# File Name: Holy-Bible---Japanese---Japanese-Meiji-yaku---Standard-Edition.noia # File Size: 1603346 # File Date: 03/27/2024 23:04:57 # File Purpose: Supporting resource for the Aionian Bible project # File Location: https://resources.AionianBible.org # File Copyright: Creative Commons Attribution No Derivative Works 4.0, 2018-2024 # File Generator: ABCMS (alpha) # File Accuracy: Contact publisher with corrections to file format or content # Publisher Name: Nainoia Inc # Publisher Contact: https://www.AionianBible.org/Publisher # Publisher Mission: https://www.AionianBible.org/Preface # Publisher Website: https://NAINOIA-INC.signedon.net # Publisher Facebook: https://www.Facebook.com/AionianBible # Bible Name: 明治元訳「舊約聖書」 # Bible Name English: Japanese Meiji-yaku 1953 # Bible Language: 日本語 # Bible Language English: Japanese # Bible Copyright Format: CC Attribution NoDerivatives 4.0, 2018-2024 # Bible Copyright Text: Public Domain # Bible Source: Translated 1887 by James Hepburn, Samuel Brown, and others, edited 1953 # Bible Source Version: 8/18/2017 # Bible Source Link: https://crosswire.org/sword/modules/ModInfo.jsp?modName=JapMeiji # Bible Source Year: 1887, 1953 # Bible Description: Psalm 83-124 and Isaiah 20-66 from Kougo-yaku # Bible Format: Standard formatting without annotation # INDEX BOOK CHAPTER VERSE TEXT # # BOOK 001 GEN Genesis 創世記 001 GEN 001 001 元始に神天地を創造たまへり 001 GEN 001 002 地は定形なく曠空くして黒暗淵の面にあり神の靈水の面を覆たりき 001 GEN 001 003 神光あれと言たまひければ光ありき 001 GEN 001 004 神光を善と觀たまへり神光と暗を分ちたまへり 001 GEN 001 005 神光を晝と名け暗を夜と名けたまへり夕あり朝ありき是首の日なり 001 GEN 001 006 神言たまひけるは水の中に穹蒼ありて水と水とを分つべし 001 GEN 001 007 神穹蒼を作りて穹蒼の下の水と穹蒼の上の水とを判ちたまへり即ち斯なりぬ 001 GEN 001 008 神穹蒼を天と名けたまへり夕あり朝ありき是二日なり 001 GEN 001 009 神言たまひけるは天の下の水は一處に集りて乾ける土顯べしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 010 神乾ける土を地と名け水の集合るを海と名けたまへり神之を善と觀たまへり 001 GEN 001 011 神言たまひけるは地は青草と實蓏を生ずる草蔬と其類に從ひ果を結びみづから核をもつ所の果を結ぶ樹を地に發出すべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 012 地青草と其類に從ひ實蓏を生ずる草蔬と其類に從ひ果を結てみづから核をもつ所の樹を發出せり神これを善と觀たまへり 001 GEN 001 013 夕あり朝ありき是三日なり 001 GEN 001 014 神言たまひけるは天の穹蒼に光明ありて晝と夜とを分ち又天象のため時節のため日のため年のために成べし 001 GEN 001 015 又天の穹蒼にありて地を照す光となるべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 016 神二の巨なる光を造り大なる光に晝を司どらしめ小き光に夜を司どらしめたまふまた星を造りたまへり 001 GEN 001 017 神これを天の穹蒼に置て地を照さしめ 001 GEN 001 018 晝と夜を司どらしめ光と暗を分たしめたまふ神これを善と觀たまへり 001 GEN 001 019 夕あり朝ありき是四日なり 001 GEN 001 020 神云ひたまひけるは水には生物饒に生じ鳥は天の穹蒼の面に地の上に飛べしと 001 GEN 001 021 神巨なる魚と水に饒に生じて動く諸の生物を其類に從ひて創造り又羽翼ある諸の鳥を其類に從ひて創造りたまへり神之を善と觀たまへり 001 GEN 001 022 神之を祝して曰く生よ繁息よ海の水に充牣よ又禽鳥は地に蕃息よと 001 GEN 001 023 夕あり朝ありき是五日なり 001 GEN 001 024 神言給ひけるは地は生物を其類に從て出し家畜と昆蟲と地の獸を其類に從て出すべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 025 神地の獸を其類に從て造り家畜を其類に從て造り地の諸の昆蟲を其類に從て造り給へり神之を善と觀給へり 001 GEN 001 026 神言給けるは我儕に象りて我儕の像の如くに我儕人を造り之に海の魚と天空の鳥と家畜と全地と地に匍ふ所の諸の昆蟲を治めんと 001 GEN 001 027 神其像の如くに人を創造たまへり即ち神の像の如くに之を創造之を男と女に創造たまへり 001 GEN 001 028 神彼等を祝し神彼等に言たまひけるは生よ蕃殖よ地に滿盈よ之を服從せよ又海の魚と天空の鳥と地に動く所の諸の生物を治めよ 001 GEN 001 029 神言たまひけるは視よ我全地の面にある實蓏のなる諸の草蔬と核ある木果の結る諸の樹とを汝等に與ふこれは汝らの糧となるべし 001 GEN 001 030 又地の諸の獸と天空の諸の鳥および地に匍ふ諸の物等凡そ生命ある者には我食物として諸の青き草を與ふと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 031 神其造りたる諸の物を視たまひけるに甚だ善りき夕あり朝ありき是六日なり 001 GEN 002 001 斯天地および其衆群悉く成ぬ 001 GEN 002 002 第七日に神其造りたる工を竣たまへり即ち其造りたる工を竣て七日に安息たまへり 001 GEN 002 003 神七日を祝して之を神聖めたまへり其は神其創造爲たまへる工を盡く竣て是日に安息みたまひたればなり 001 GEN 002 004 ヱホバ神地と天を造りたまへる日に天地の創造られたる其由來は是なり 001 GEN 002 005 野の諸の灌木は未だ地にあらず野の諸の草蔬は未生ぜざりき其はヱホバ神雨を地に降せたまはず亦土地を耕す人なかりければなり 001 GEN 002 006 霧地より上りて土地の面を遍く潤したり 001 GEN 002 007 ヱホバ神土の塵を以て人を造り生氣を其鼻に嘘入たまへり人即ち生靈となりぬ 001 GEN 002 008 ヱホバ神エデンの東の方に園を設て其造りし人を其處に置たまへり 001 GEN 002 009 ヱホバ神觀に美麗く食ふに善き各種の樹を土地より生ぜしめ又園の中に生命の樹および善惡を知の樹を生ぜしめ給へり 001 GEN 002 010 河エデンより出て園を潤し彼處より分れて四の源となれり 001 GEN 002 011 其第一の名はピソンといふ是は金あるハビラの全地を繞る者なり 001 GEN 002 012 其地の金は善し又ブドラクと碧玉彼處にあり 001 GEN 002 013 第二の河の名はギホンといふ是はクシの全地を繞る者なり 001 GEN 002 014 第三の河の名はヒデケルといふ是はアッスリヤの東に流るるものなり第四の河はユフラテなり 001 GEN 002 015 ヱホバ神其人を挈て彼をエデンの園に置き之を埋め之を守らしめ給へり 001 GEN 002 016 ヱホバ神其人に命じて言たまひけるは園の各種の樹の果は汝意のままに食ふことを得 001 GEN 002 017 然ど善惡を知の樹は汝その果を食ふべからず汝之を食ふ日には必ず死べければなり 001 GEN 002 018 ヱホバ神言たまひけるは人獨なるは善らず我彼に適ふ助者を彼のために造らんと 001 GEN 002 019 ヱホバ神土を以て野の諸の獸と天空の諸の鳥を造りたまひてアダムの之を何と名るかを見んとて之を彼の所に率ゐいたりたまへりアダムが生物に名けたる所は皆其名となりぬ 001 GEN 002 020 アダム諸の家畜と天空の鳥と野の諸の獸に名を與へたり然どアダムには之に適ふ助者みえざりき 001 GEN 002 021 是に於てヱホバ神アダムを熟く睡らしめ睡りし時其肋骨の一を取り肉をもて其處を填塞たまへり 001 GEN 002 022 ヱホバ神アダムより取たる肋骨を以て女を成り之をアダムの所に携きたりたまへり 001 GEN 002 023 アダム言けるは此こそわが骨の骨わが肉の肉なれ此は男より取たる者なれば之を女と名くべしと 001 GEN 002 024 是故に人は其父母を離れて其妻に好合ひ二人一體となるべし 001 GEN 002 025 アダムと其妻は二人倶に裸體にして愧ざりき 001 GEN 003 001 ヱホバ神の造りたまひし野の生物の中に蛇最も狡猾し蛇婦に言ひけるは神眞に汝等園の諸の樹の果は食ふべからずと言たまひしや 001 GEN 003 002 婦蛇に言けるは我等園の樹の果を食ふことを得 001 GEN 003 003 然ど園の中央に在樹の果實をば神汝等之を食ふべからず又之に捫るべからず恐は汝等死んと言給へり 001 GEN 003 004 蛇婦に言けるは汝等必らず死る事あらじ 001 GEN 003 005 神汝等が之を食ふ日には汝等の目開け汝等神の如くなりて善惡を知に至るを知りたまふなりと 001 GEN 003 006 婦樹を見ば食ふに善く目に美麗しく且智慧からんが爲に慕はしき樹なるによりて遂に其果實を取て食ひ亦之を己と偕なる夫に與へければ彼食へり 001 GEN 003 007 是において彼等の目倶に開て彼等其裸體なるを知り乃ち無花果樹の葉を綴て裳を作れり 001 GEN 003 008 彼等園の中に日の清涼き時分歩みたまふヱホバ神の聲を聞しかばアダムと其妻即ちヱホバ神の面を避て園の樹の間に身を匿せり 001 GEN 003 009 ヱホバ神アダムを召て之に言たまひけるは汝は何處にをるや 001 GEN 003 010 彼いひけるは我園の中に汝の聲を聞き裸體なるにより懼れて身を匿せりと 001 GEN 003 011 ヱホバ言たまひけるは誰が汝の裸なるを汝に告しや汝は我が汝に食ふなかれと命じたる樹の果を食ひたりしや 001 GEN 003 012 アダム言けるは汝が與へて我と偕ならしめたまひし婦彼其樹の果實を我にあたへたれば我食へりと 001 GEN 003 013 ヱホバ神婦に言たまひけるは汝がなしたる此事は何ぞや婦言けるは蛇我を誘惑して我食へりと 001 GEN 003 014 ヱホバ神蛇に言たまひけるは汝是を爲たるに因て汝は諸の家畜と野の諸の獸よりも勝りて詛はる汝は腹行て一生の間塵を食ふべし 001 GEN 003 015 又我汝と婦の間および汝の苗裔と婦の苗裔の間に怨恨を置ん彼は汝の頭を碎き汝は彼の踵を碎かん 001 GEN 003 016 又婦に言たまひけるは我大に汝の懷姙の劬勞を増すべし汝は苦みて子を産ん又汝は夫をしたひ彼は汝を治めん 001 GEN 003 017 又アダムに言たまひけるは汝その妻の言を聽て我が汝に命じて食ふべからずと言たる樹の果を食ひしに縁て土は汝のために詛はる汝は一生のあひだ勞苦て其より食を得ん 001 GEN 003 018 土は荊棘と薊とを汝のために生ずべしまた汝は野の草蔬を食ふべし 001 GEN 003 019 汝は面に汗して食物を食ひ終に土に歸らん其は其中より汝は取れたればなり汝は塵なれば塵に皈るべきなりと 001 GEN 003 020 アダム其妻の名をヱバと名けたり其は彼は群の生物の母なればなり 001 GEN 003 021 ヱホバ神アダムと其妻のために皮衣を作りて彼等に衣せたまへり 001 GEN 003 022 ヱホバ神曰たまひけるは視よ夫人我等の一の如くなりて善惡を知る然ば恐くは彼其手を舒べ生命の樹の果實をも取りて食ひ限無生んと 001 GEN 003 023 ヱホバ神彼をエデンの園よりいだし其取て造られたるところの土を耕さしめたまへり 001 GEN 003 024 斯神其人を逐出しエデンの園の東にケルビムと自から旋轉る焔の劍を置て生命の樹の途を保守りたまふ 001 GEN 004 001 アダム其妻エバを知る彼孕みてカインを生みて言けるは我ヱホバによりて一個の人を得たりと 001 GEN 004 002 彼また其弟アベルを生りアベルは羊を牧ふ者カインは土を耕す者なりき 001 GEN 004 003 日を經て後カイン土より出る果を携來りてヱホバに供物となせり 001 GEN 004 004 アベルもまた其羊の初生と其肥たる者を携來れりヱホバ、アベルと其供物を眷顧みたまひしかども 001 GEN 004 005 カインと其供物をば眷み給はざりしかばカイン甚だ怒り且其面をふせたり 001 GEN 004 006 ヱホバ、カインに言たまひけるは汝何ぞ怒るや何ぞ面をふするや 001 GEN 004 007 汝若善を行はば擧ることをえざらんや若善を行はずば罪門戸に伏す彼は汝を慕ひ汝は彼を治めん 001 GEN 004 008 カイン其弟アベルに語りぬ彼等野にをりける時カイン其弟アベルに起かかりて之を殺せり 001 GEN 004 009 ヱホバ、カインに言たまひけるは汝の弟アベルは何處にをるや彼言ふ我しらず我あに我弟の守者ならんやと 001 GEN 004 010 ヱホバ言たまひけるは汝何をなしたるや汝の弟の血の聲地より我に叫べり 001 GEN 004 011 されば汝は詛れて此地を離るべし此地其口を啓きて汝の弟の血を汝の手より受たればなり 001 GEN 004 012 汝地を耕すとも地は再其力を汝に效さじ汝は地に吟行ふ流離子となるべしと 001 GEN 004 013 カイン、ヱホバに言けるは我が罪は大にして負ふこと能はず 001 GEN 004 014 視よ汝今日斯地の面より我を逐出したまふ我汝の面を觀ることなきにいたらん我地に吟行ふ流離子とならん凡そ我に遇ふ者我を殺さん 001 GEN 004 015 ヱホバ彼に言たまひけるは然らず凡そカインを殺す者は七倍の罰を受んとヱホバ、カインに遇ふ者の彼を撃ざるため印誌を彼に與へたまへり 001 GEN 004 016 カイン、ヱホバの前を離て出でエデンの東なるノドの地に住り 001 GEN 004 017 カイン其妻を知る彼孕みエノクを生りカイン邑を建て其邑の名を其子の名に循ひてエノクと名けたり 001 GEN 004 018 エノクにイラデ生れたりイラデ、メホヤエルを生みメホヤエル、メトサエルを生みメトサエル、レメクを生り 001 GEN 004 019 レメク二人の妻を娶れり一の名はアダと曰ひ一の名はチラと曰り 001 GEN 004 020 アダ、ヤバルを生めり彼は天幕に住て家畜を牧ふ所の者の先祖なり 001 GEN 004 021 其弟の名はユバルと云ふ彼は琴と笛とをとる凡ての者の先祖なり 001 GEN 004 022 又チラ、トバルカインを生り彼は銅と鐡の諸の刃物を鍛ふ者なりトバルカインの妹をナアマといふ 001 GEN 004 023 レメク其妻等に言けるはアダとチラよ我聲を聽けレメクの妻等よわが言を容よ我わが創傷のために人を殺すわが痍のために少年を殺す 001 GEN 004 024 カインのために七倍の罰あればレメクのためには七十七倍の罰あらん 001 GEN 004 025 アダム復其妻を知て彼男子を生み其名をセツと名けたり其は彼神我にカインの殺したるアベルのかはりに他の子を與へたまへりといひたればなり 001 GEN 004 026 セツにもまた男子生れたりかれ其名をエノスと名けたり此時人々ヱホバの名を呼ことをはじめたり 001 GEN 005 001 アダムの傳の書は是なり神人を創造りたまひし日に神に象りて之を造りたまひ 001 GEN 005 002 彼等を男女に造りたまへり彼等の創造られし日に神彼等を祝してかれらの名をアダムと名けたまへり 001 GEN 005 003 アダム百三十歳に及びて其像に循ひ己に象りて子を生み其名をセツと名けたり 001 GEN 005 004 アダムのセツを生し後の齡は八百歳にして男子女子を生り 001 GEN 005 005 アダムの生存へたる齡は都合九百三十歳なりき而して死り 001 GEN 005 006 セツ百五歳に及びてエノスを生り 001 GEN 005 007 セツ、エノスを生し後八百七年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 008 セツの齡は都合九百十二歳なりき而して死り 001 GEN 005 009 エノス九十歳におよびてカイナンを生り 001 GEN 005 010 エノス、カイナンを生し後八百十五年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 011 エノスの齡は都合九百五歳なりき而して死り 001 GEN 005 012 カイナン七十歳におよびてマハラレルを生り 001 GEN 005 013 カイナン、マハラレルを生し後八百四十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 014 カイナンの齡は都合九百十歳なりきしかして死り 001 GEN 005 015 マハラレル六十五歳に及びてヤレドを生り 001 GEN 005 016 マハラレル、ヤレドを生し後八百三十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 017 マハラレルの齡は都合八百九十五歳なりき而して死り 001 GEN 005 018 ヤレド百六十二歳に及びてエノクを生り 001 GEN 005 019 ヤレド、エノクを生し後八百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 020 ヤレドの齡は都合九百六十二歳なりき而して死り 001 GEN 005 021 エノク六十五歳に及びてメトセラを生り 001 GEN 005 022 エノク、メトセラを生し後三百年神とともに歩み男子女子を生り 001 GEN 005 023 エノクの齡は都合三百六十五歳なりき 001 GEN 005 024 エノク神と偕に歩みしが神かれを取りたまひければをらずなりき 001 GEN 005 025 メトセラ百八十七歳に及びてレメクを生り 001 GEN 005 026 メトセラ、レメクを生しのち七百八十二年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 027 メトセラの齡は都合九百六十九歳なりき而して死り 001 GEN 005 028 レメク百八十二歳に及びて男子を生み 001 GEN 005 029 其名をノアと名けて言けるは此子はヱホバの詛ひたまひし地に由れる我操作と我勞苦とに就て我らを慰めん 001 GEN 005 030 レメク、ノアを生し後五百九十五年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 031 レメクの齡は都合七百七十七歳なりき而して死り 001 GEN 005 032 ノア五百歳なりきノア、セム、ハム、ヤペテを生り 001 GEN 006 001 人地の面に繁衍はじまりて女子之に生るるに及べる時 001 GEN 006 002 神の子等人の女子の美しきを見て其好む所の者を取て妻となせり 001 GEN 006 003 ヱホバいひたまひけるは我靈永く人と爭はじ其は彼も肉なればなり然ど彼の日は百二十年なるべし 001 GEN 006 004 當時地にネピリムありき亦其後神の子輩人の女の所に入りて子女を生しめたりしが其等も勇士にして古昔の名聲ある人なりき 001 GEN 006 005 ヱホバ人の惡の地に大なると其心の思念の都て圖維る所の恒に惟惡きのみなるを見たまへり 001 GEN 006 006 是に於てヱホバ地の上に人を造りしことを悔いて心に憂へたまへり 001 GEN 006 007 ヱホバ言たまひけるは我が創造りし人を我地の面より拭去ん人より獸昆蟲天空の鳥にいたるまでほろぼさん其は我之を造りしことを悔ればなりと 001 GEN 006 008 されどノアはヱホバの目のまへに恩を得たり 001 GEN 006 009 ノアの傳は是なりノアは義人にして其世の完全き者なりきノア神と偕に歩めり 001 GEN 006 010 ノアはセム、ハム、ヤペテの三人の子を生り 001 GEN 006 011 時に世神のまへに亂れて暴虐世に滿盈ちたりき 001 GEN 006 012 神世を視たまひけるに視よ亂れたり其は世の人皆其道をみだしたればなり 001 GEN 006 013 神ノアに言たまひけるは諸の人の末期わが前に近づけり其は彼等のために暴虐世にみつればなり視よ我彼等を世とともに剪滅さん 001 GEN 006 014 汝松木をもて汝のために方舟を造り方舟の中に房を作り瀝青をもて其内外を塗るべし 001 GEN 006 015 汝かく之を作るべし即ち其方舟の長は三百キユビト其濶は五十キユビト其高は三十キユビト 001 GEN 006 016 又方舟に導光牖を作り上一キユビトに之を作り終べし又方舟の戸は其傍に設くべし下牀と二階と三階とに之を作るべし 001 GEN 006 017 視よ我洪水を地に起して凡て生命の氣息ある肉なる者を天下より剪滅し絶ん地にをる者は皆死ぬべし 001 GEN 006 018 然ど汝とは我わが契約をたてん汝は汝の子等と汝の妻および汝の子等の妻とともに其方舟に入るべし 001 GEN 006 019 又諸の生物總て肉なる者をば汝各其二を方舟に挈へいりて汝とともに其生命を保たしむべし其等は牝牡なるべし 001 GEN 006 020 鳥其類に從ひ獸其類に從ひ地の諸の昆蟲其類に從ひて各二汝の所に至りて其生命を保つべし 001 GEN 006 021 汝食はるる諸の食品を汝の許に取て之を汝の所に集むべし是即ち汝と是等の物の食品となるべし 001 GEN 006 022 ノア是爲し都て神の己に命じたまひしごとく然爲せり 001 GEN 007 001 ヱホバ、ノアに言たまひけるは汝と汝の家皆方舟に入べし我汝がこの世の人の中にてわが前に義を視たればなり 001 GEN 007 002 諸の潔き獸を牝牡七宛汝の許に取り潔らぬ獸を牝牡二 001 GEN 007 003 亦天空の鳥を雌雄七宛取て種を全地の面に生のこらしむべし 001 GEN 007 004 今七日ありて我四十日四十夜地に雨ふらしめ我造りたる萬有を地の面より拭去ん 001 GEN 007 005 ノア、ヱホバの凡て己に命じたまひし如くなせり 001 GEN 007 006 地に洪水ありける時にノア六百歳なりき 001 GEN 007 007 ノア其子等と其妻および其子等の妻と倶に洪水を避て方舟にいりぬ 001 GEN 007 008 潔き獸と潔らざる獸と鳥および地に匍ふ諸の物 001 GEN 007 009 牝牡二宛ノアに來りて方舟にいりぬ神のノアに命じたまへるが如し 001 GEN 007 010 かくて七日の後洪水地に臨めり 001 GEN 007 011 ノアの齡の六百歳の二月即ち其月の十七日に當り此日に大淵の源皆潰れ天の戸開けて 001 GEN 007 012 雨四十日四十夜地に注げり 001 GEN 007 013 此日にノアとノアの子セム、ハム、ヤペテおよびノアの妻と其子等の三人の妻諸倶に方舟にいりぬ 001 GEN 007 014 彼等および諸の獸其類に從ひ諸の家畜其類に從ひ都て地に匍ふ昆蟲其類に從ひ諸の禽即ち各樣の類の鳥皆其類に從ひて入りぬ 001 GEN 007 015 即ち生命の氣息ある諸の肉なる者二宛ノアに來りて方舟にいりぬ 001 GEN 007 016 入たる者は諸の肉なる者の牝牡にして皆いりぬ神の彼に命じたまへるが如しヱホバ乃ち彼を閉置たまへり 001 GEN 007 017 洪水四十日地にありき是において水増し方舟を浮めて方舟地の上に高くあがれり 001 GEN 007 018 而して水瀰漫りて大に地に増しぬ方舟は水の面に漂へり 001 GEN 007 019 水甚大に地に瀰漫りければ天下の高山皆おほはれたり 001 GEN 007 020 水はびこりて十五キユビトに上りければ山々おほはれたり 001 GEN 007 021 凡そ地に動く肉なる者鳥家畜獸地に匍ふ諸の昆蟲および人皆死り 001 GEN 007 022 即ち凡そ其鼻に生命の氣息のかよふ者都て乾地にある者は死り 001 GEN 007 023 斯地の表面にある萬有を人より家畜昆蟲天空の鳥にいたるまで盡く拭去たまへり是等は地より拭去れたり唯ノアおよび彼とともに方舟にありし者のみ存れり 001 GEN 007 024 水百五十日のあひだ地にはびこりぬ 001 GEN 008 001 神ノアおよび彼とともに方舟にある諸の生物と諸の家畜を眷念ひたまひて神乃ち風を地の上に吹しめたまひければ水減りたり 001 GEN 008 002 亦淵の源と天の戸閉塞りて天よりの雨止ぬ 001 GEN 008 003 是に於て水次第に地より退き百五十日を經てのち水減り 001 GEN 008 004 方舟は七月に至り其月の十七日にアララテの山に止りぬ 001 GEN 008 005 水次第に減て十月に至りしが十月の月朔に山々の嶺現れたり 001 GEN 008 006 四十日を經てのちノア其方舟に作りし窓を啓て 001 GEN 008 007 鴉を放出ちけるが水の地に涸るまで往來しをれり 001 GEN 008 008 彼地の面より水の減少しかを見んとて亦鴿を放出いだしけるが 001 GEN 008 009 鴿其足の跖を止べき處を得ずして彼に還りて方舟に至れり其は水全地の面にありたればなり彼乃ち其手を舒て之を執へ方舟の中におのれの所に接入たり 001 GEN 008 010 尚又七日待て再び鴿を方舟より放出ちけるが 001 GEN 008 011 鴿暮におよびて彼に還れり視よ其口に橄欖の若葉ありき是に於てノア地より水の減少しをしれり 001 GEN 008 012 尚又七日まちて鴿を放出ちけるが再び彼の所に歸らざりき 001 GEN 008 013 六百一年の一月の月朔に水地に涸たりノア乃ち方舟の蓋を撤きて視しに視よ土の面は燥てありぬ 001 GEN 008 014 二月の二十七日に至りて地乾きたり 001 GEN 008 015 爰に神ノアに語りて言給はく 001 GEN 008 016 汝および汝の妻と汝の子等と汝の子等の妻ともに方舟を出べし 001 GEN 008 017 汝とともにある諸の肉なる諸の生物諸の肉なる者即ち鳥家畜および地に匍ふ諸の昆蟲を率いでよ此等は地に饒く生育地の上に生且殖増すべし 001 GEN 008 018 ノアと其子等と其妻および其子等の妻ともに出たり 001 GEN 008 019 諸の獸諸の昆蟲および諸の鳥等凡そ地に動く者種類に從ひて方舟より出たり 001 GEN 008 020 ノア、ヱホバのために壇を築き諸の潔き獸と諸の潔き鳥を取て燔祭を壇の上に獻げたり 001 GEN 008 021 ヱホバ其馨き香を聞ぎたまひてヱホバ其意に謂たまひけるは我再び人の故に因て地を詛ふことをせじ其は人の心の圖維るところ其幼少時よりして惡かればなり又我曾て爲たる如く再び諸の生る物を撃ち滅さじ 001 GEN 008 022 地のあらん限りは播種時、收穫時、寒熱夏冬および日と夜息ことあらじ 001 GEN 009 001 神ノアと其子等を祝して之に曰たまひけるは生よ増殖よ地に滿よ 001 GEN 009 002 地の諸の獸畜天空の諸の鳥地に匍ふ諸の物海の諸の魚汝等を畏れ汝等に懾かん是等は汝等の手に與へらる 001 GEN 009 003 凡そ生る動物は汝等の食となるべし菜蔬のごとく我之を皆汝等に與う 001 GEN 009 004 然ど肉を其生命なる其血のままに食ふべからず 001 GEN 009 005 汝等の生命の血を流すをば我必ず討さん獸之をなすも人をこれを爲すも我討さん凡そ人の兄弟人の生命を取ば我討すべし 001 GEN 009 006 凡そ人の血を流す者は人其血を流さん其は神の像のごとくに人を造りたまひたればなり 001 GEN 009 007 汝等生よ増殖よ地に饒くなりて其中に増殖よ 001 GEN 009 008 神ノアおよび彼と偕にある其子等に告て言たまひけるは 001 GEN 009 009 見よ我汝等と汝等の後の子孫 001 GEN 009 010 および汝等と偕なる諸の生物即ち汝等とともなる鳥家畜および地の諸の獸と契約を立ん都て方舟より出たる者より地の諸の獸にまで至らん 001 GEN 009 011 我汝等と契約を立ん總て肉なる者は再び洪水に絶るる事あらじ又地を滅す洪水再びあらざるべし 001 GEN 009 012 神言たまひけるは我が我と汝等および汝等と偕なる諸の生物の間に世々限りなく爲す所の契約の徴は是なり 001 GEN 009 013 我わが虹を雲の中に起さん是我と世との間の契約の徴なるべし 001 GEN 009 014 即ち我雲を地の上に起す時虹雲の中に現るべし 001 GEN 009 015 我乃ち我と汝等および總て肉なる諸の生物の間のわが契約を記念はん水再び諸の肉なる者を滅す洪水とならじ 001 GEN 009 016 虹雲の中にあらん我之を觀て神と地にある都て肉なる諸の生物との間なる永遠の契約を記念えん 001 GEN 009 017 神ノアに言たまひけるは是は我が我と地にある諸の肉なる者との間に立たる契約の徴なり 001 GEN 009 018 ノアの子等の方舟より出たる者はセム、ハム、ヤペテなりきハムはカナンの父なり 001 GEN 009 019 是等はノアの三人の子なり全地の民は是等より出て蔓延れり 001 GEN 009 020 爰にノアの農夫となりて葡萄園を植ることを始しが 001 GEN 009 021 葡萄酒を飮て醉天幕の中にありて裸になれり 001 GEN 009 022 カナンの父ハム其父のかくし所を見て外にありし二人の兄弟に告たり 001 GEN 009 023 セムとヤペテ乃ち衣を取て倶に其肩に負け後向に歩みゆきて其父の裸體を覆へり彼等面を背にして其父の裸體を見ざりき 001 GEN 009 024 ノア酒さめて其若き子の己に爲たる事を知れり 001 GEN 009 025 是に於て彼言けるはカナン詛はれよ彼は僕輩の僕となりて其兄弟に事へん 001 GEN 009 026 又いひけるはセムの神ヱホバは讚べきかなカナン彼の僕となるべし 001 GEN 009 027 神ヤペテを大ならしめたまはん彼はセムの天幕に居住はんカナン其僕となるべし 001 GEN 009 028 ノア洪水の後三百五十年生存へたりノアの齡は都て九百五十年なりき而して死り 001 GEN 010 001 ノアの子セム、ハム、ヤペテの傳は是なり洪水の後彼等に子等生れたり 001 GEN 010 002 ヤペテの子はゴメル、マゴグ、マデア、ヤワン、トバル、メセク、テラスなり 001 GEN 010 003 ゴメルの子はアシケナズ、リパテ、トガルマなり 001 GEN 010 004 ヤワンの子はエリシヤ、タルシシ、キツテムおよびドダニムなり 001 GEN 010 005 是等より諸國の洲島の民は派分れ出て各其方言と其宗族と其邦國とに循ひて其地に住り 001 GEN 010 006 ハムの子はクシ、ミツライム、フテおよびカナンなり 001 GEN 010 007 クシの子はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカなりラアマの子はシバおよびデダンなり 001 GEN 010 008 クシ、ニムロデを生り彼始めて世の權力ある者となれり 001 GEN 010 009 彼はヱホバの前にありて權力ある獵夫なりき是故にヱホバの前にある夫權力ある獵夫ニムロデの如しといふ諺あり 001 GEN 010 010 彼の國の起初はシナルの地のバベル、エレク、アツカデ、及びカルネなりき 001 GEN 010 011 其地より彼アツスリヤに出でニネベ、レホポテイリ、カラ 001 GEN 010 012 およびニネベとカラの間なるレセンを建たり是は大なる城邑なり 001 GEN 010 013 ミツライム、ルデ族アナミ族レハビ族ナフト族 001 GEN 010 014 バテロス族カスル族およびカフトリ族を生りカスル族よりペリシテ族出たり 001 GEN 010 015 カナン其冢子シドンおよびヘテ 001 GEN 010 016 エブス族アモリ族ギルガシ族 001 GEN 010 017 ヒビ族アルキ族セニ族 001 GEN 010 018 アルワデ族ゼマリ族ハマテ族を生り後に至りてカナン人の宗族蔓延りぬ 001 GEN 010 019 カナン人の境はシドンよりゲラルを經てガザに至りソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムに沿てレシヤにまで及べり 001 GEN 010 020 是等はハムの子孫にして其宗族と其方言と其土地と其邦國に隨ひて居りぬ 001 GEN 010 021 セムはヱベルの全の子孫の先祖にしてヤペテの兄なり彼にも子女生れたり 001 GEN 010 022 セムの子はエラム、アシユル、アルパクサデルデ、アラムなり 001 GEN 010 023 アラムの子はウヅ、ホル、ゲテル、マシなり 001 GEN 010 024 アルパクサデ、シラを生みシラ、エベルを生り 001 GEN 010 025 エベルに二人の子生れたり一人の名をペレグ(分れ)といふ其は彼の代に邦國分れたればなり其弟の名をヨクタンと曰ふ 001 GEN 010 026 ヨクタン、アルモダデ、シヤレフ、ハザルマウテ、ヱラ 001 GEN 010 027 ハドラム、ウザル、デクラ 001 GEN 010 028 オバル、アビマエル、シバ 001 GEN 010 029 オフル、ハビラおよびヨバブを生り是等は皆ヨクタンの子なり 001 GEN 010 030 彼等の居住所はメシヤよりして東方の山セバルにまで至れり 001 GEN 010 031 是等はセムの子孫にして其宗族と其方言と其土地と其邦國とに隨ひて居りぬ 001 GEN 010 032 是等はノアの子の宗族にして其血統と其邦國に隨ひて居りぬ洪水の後是等より地の邦國の民は派分れ出たり 001 GEN 011 001 全地は一の言語一の音のみなりき 001 GEN 011 002 茲に人衆東に移りてシナルの地に平野を得て其處に居住り 001 GEN 011 003 彼等互に言けるは去來甎石を作り之を善く爇んと遂に石の代に甎石を獲灰沙の代に石漆を獲たり 001 GEN 011 004 又曰けるは去來邑と塔とを建て其塔の頂を天にいたらしめん斯して我等名を揚て全地の表面に散ることを免れんと 001 GEN 011 005 ヱホバ降臨りて彼人衆の建る邑と塔とを觀たまへり 001 GEN 011 006 ヱホバ言たまひけるは視よ民は一にして皆一の言語を用ふ今既に此を爲し始めたり然ば凡て其爲んと圖維る事は禁止め得られざるべし 001 GEN 011 007 去來我等降り彼處にて彼等の言語を淆し互に言語を通ずることを得ざらしめんと 001 GEN 011 008 ヱホバ遂に彼等を彼處より全地の表面に散したまひければ彼等邑を建ることを罷たり 001 GEN 011 009 是故に其名はバベル(淆亂)と呼ばる是はヱホバ彼處に全地の言語を淆したまひしに由てなり彼處よりヱホバ彼等を全地の表に散したまへり 001 GEN 011 010 セムの傳は是なりセム百歳にして洪水の後の二年にアルパクサデを生り 001 GEN 011 011 セム、アルパクサデを生し後五百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 012 アルパクサデ三十五歳に及びてシラを生り 001 GEN 011 013 アルパクサデ、シラを生し後四百三年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 014 シラ三十歳におよびてエベルを生り 001 GEN 011 015 シラ、エベルを生し後四百三年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 016 エベル三十四歳におよびてペレグを生り 001 GEN 011 017 エベル、ペレグを生し後四百三十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 018 ペレグ三十歳におよびてリウを生り 001 GEN 011 019 ペレグ、リウを生し後二百九年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 020 リウ三十二歳におよびてセルグを生り 001 GEN 011 021 リウ、セルグを生し後二百七年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 022 セルグ三十年におよびてナホルを生り 001 GEN 011 023 セルグ、ナホルを生しのち二百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 024 ナホル二十九歳に及びてテラを生り 001 GEN 011 025 ナホル、テラを生し後百十九年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 026 テラ七十歳に及びてアブラム、ナホルおよびハランを生り 001 GEN 011 027 テラの傳は是なりテラ、アブラム、ナホルおよびハランを生ハラン、ロトを生り 001 GEN 011 028 ハランは其父テラに先ちて其生處なるカルデアのウルにて死たり 001 GEN 011 029 アブラムとナホルと妻を娶れりアブラムの妻の名をサライと云ナホルの妻の名をミルカと云てハランの女なりハランはミルカの父にして亦イスカの父なりき 001 GEN 011 030 サライは石女にして子なかりき 001 GEN 011 031 テラ、カナンの地に往とて其子アブラムとハランの子なる其孫ロト及其子アブラムの妻なる其媳サライをひき挈て倶にカルデアのウルを出たりしがハランに至て其處に住り 001 GEN 011 032 テラの齡は二百五歳なりきテラはハランにて死り 001 GEN 012 001 爰にヱホバ、アブラムに言たまひけるは汝の國を出で汝の親族に別れ汝の父の家を離れて我が汝に示さん其地に至れ 001 GEN 012 002 我汝を大なる國民と成し汝を祝み汝の名を大ならしめん汝は祉福の基となるべし 001 GEN 012 003 我は汝を祝する者を祝し汝を詛ふ者を詛はん天下の諸の宗族汝によりて福禔を獲と 001 GEN 012 004 アブラム乃ちヱホバの自己に言たまひし言に從て出たりロト彼と共に行りアブラムはハランを出たる時七十五歳なりき 001 GEN 012 005 アブラム其妻サライと其弟の子ロトおよび其集めたる總の所有とハランにて獲たる人衆を携へてカナンの地に往んとて出で遂にカナンの地に至れり 001 GEN 012 006 アブラム其地を經過てシケムの處に及びモレの橡樹に至れり其時にカナン人其地に住り 001 GEN 012 007 茲にヱホバ、アブラムに顯現れて我汝の苗裔に此地に與へんといひたまへり彼處にて彼己に顯現れたまひしヱホバに壇を築けり 001 GEN 012 008 彼其處よりベテルの東の山に移りて其天幕を張り西にベテル東にアイありき彼處にて彼ヱホバに壇を築きヱホバの名を龥り 001 GEN 012 009 アブラム尚進て南に遷れり 001 GEN 012 010 茲に饑饉其地にありければアブラム、エジプトに寄寓らんとて彼處に下れり其は饑饉其地に甚しかりければなり 001 GEN 012 011 彼近く來りてエジプトに入んとする時其妻サライに言けるは視よ我汝を觀て美麗き婦人なるを知る 001 GEN 012 012 是故にエジプト人汝を見る時是は彼の妻なりと言て我を殺さん然ど汝をば生存かん 001 GEN 012 013 請ふ汝わが妹なりと言へ然ば我汝の故によりて安にしてわが命汝のために生存ん 001 GEN 012 014 アブラム、エジプトに至りし時エジプト人此婦を見て甚だ美麗となせり 001 GEN 012 015 またパロの大臣等彼を視て彼をパロの前に譽めければ婦遂にパロの家に召入れられたり 001 GEN 012 016 是に於てパロ彼のために厚くアブラムを待ひてアブラム遂に羊牛僕婢牝牡の驢馬および駱駝を多く獲るに至れり 001 GEN 012 017 時にヱホバ、アブラムの妻サライの故によりて大なる災を以てパロと其家を惱したまへり 001 GEN 012 018 パロ、アブラムを召て言けるは汝が我になしたる此事は何ぞや汝何故に彼が汝の妻なるを我に告ざりしや 001 GEN 012 019 汝何故に彼はわが妹なりといひしや我幾彼をわが妻にめとらんとせり然ば汝の妻は此にあり挈去るべしと 001 GEN 012 020 パロ即ち彼の事を人々に命じければ彼と其妻および其有る諸の物を送りさらしめたり 001 GEN 013 001 アブラム其妻および其有る諸の物と偕にエジプトを出て南の地に上れりロト彼と共にありき 001 GEN 013 002 アブラム甚家畜と金銀に富り 001 GEN 013 003 彼南の地より其旅路に進てベテルに至りベテルとアイの間なる其以前に天幕を張たる處に至れり 001 GEN 013 004 即ち彼が初に其處に築きたる壇のある處なり彼處にアブラム、ヱホバの名を龥り 001 GEN 013 005 アブラムと偕に行しロトも羊牛および天幕を有り 001 GEN 013 006 其地は彼等を載て倶に居しむること能はざりき彼等は其所有多かりしに縁て倶に居ることを得ざりしなり 001 GEN 013 007 斯有かばアブラムの家畜の牧者とロトの家畜の牧者の間に競爭ありきカナン人とペリジ人此時其地に居住り 001 GEN 013 008 アブラム、ロトに言けるは我等は兄弟の人なれば請ふ我と汝の間およびわが牧者と汝の牧者の間に競爭あらしむる勿れ 001 GEN 013 009 地は皆爾の前にあるにあらずや請ふ我を離れよ爾若左にゆかば我右にゆかん又爾右にゆかば我左にゆかんと 001 GEN 013 010 是に於てロト目を擧てヨルダンの凡ての低地を瞻望みけるにヱホバ、ソドムとゴモラとを滅し給はざりし前なりければゾアルに至るまであまねく善く潤澤ひてヱホバの園の如くエジプトの地の如くなりき 001 GEN 013 011 ロト乃ちヨルダンの低地を盡く撰とりて東に徙れり斯彼等彼此に別たり 001 GEN 013 012 アブラムはカナンの地に住り又ロトは低地の諸邑に住み其天幕を遷してソドムに至れり 001 GEN 013 013 ソドムの人は惡くしてヱホバの前に大なる罪人なりき 001 GEN 013 014 ロトのアブラムに別れし後ヱホバ、アブラムに言たまひけるは爾の目を擧て爾の居る處より西東北南を瞻望め 001 GEN 013 015 凡そ汝が觀る所の地は我之を永く爾と爾の裔に與べし 001 GEN 013 016 我爾の後裔を地の塵沙の如くなさん若人地の塵沙を數ふることを得ば爾の後裔も數へらるべし 001 GEN 013 017 爾起て縱横に其地を行き巡るべし我之を爾に與へんと 001 GEN 013 018 アブラム遂に天幕を遷して來りヘブロンのマムレの橡林に住み彼處にてヱホバに壇を築けり 001 GEN 014 001 當時シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオク、エラムの王ケダラオメルおよびゴイムの王テダル等 001 GEN 014 002 ソドムの王ベラ、ゴモルの王ビルシア、アデマの王シナブ、ゼボイムの王セメベルおよびベラ(即ち今のゾアル)の王と戰ひをなせり 001 GEN 014 003 是等の五人の王皆結合てシデムの谷に至れり其處は今の鹽海なり 001 GEN 014 004 彼等は十二年ケダラオメルに事へ第十三年に叛けり 001 GEN 014 005 第十四年にケダラオメルおよび彼と偕なる王等來りてアシタロテカルナイムのレパイム人、ハムのズジ人、シヤベキリアタイムのエミ人 001 GEN 014 006 およびセイル山のホリ人を撃て曠野の傍なるエルパランに至り 001 GEN 014 007 彼等歸りてエンミシパテ(即ち今のカデシ)に至りアマレク人の國を盡く撃又ハザゾンタマルに住るアモリ人を撃り 001 GEN 014 008 爰にソドムの王ゴモラの王アデマの王ゼボイムの王およびベラ(即ち今のゾアル)の王出てシデムの谷にて彼等と戰ひを接たり 001 GEN 014 009 即ち彼五人の王等エラムの王ケダラオメル、ゴイムの王テダル、シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオクの四人と戰へり 001 GEN 014 010 シデムの谷には地瀝青の坑多かりしがソドムとゴモラの王等遁て其處に陷りぬ其餘の者は山に遁逃たり 001 GEN 014 011 是に於て彼等ソドムとゴモラの諸の物と其諸の食料を取て去れり 001 GEN 014 012 彼等アブラムの姪ロトと其物を取て去り其は彼ソドムに住たればなり 001 GEN 014 013 茲に遁逃者來りてヘブル人アブラムに之を告たり時にアブラムはアモリ人マムレの橡林に住りマムレはエシコルの兄弟又アネルの兄弟なり是等はアブラムと契約を結べる者なりき 001 GEN 014 014 アブラム其兄弟の擄にせられしを聞しかば其熟練したる家の子三百十八人を率ゐてダンまで追いたり 001 GEN 014 015 其家臣を分ちて夜に乗じて彼等を攻め彼等を撃破りてダマスコの左なるホバまで彼等を追ゆけり 001 GEN 014 016 アブラム斯諸の物を奪回し亦其兄弟ロトと其物および婦人と人民を取回せり 001 GEN 014 017 アブラム、ケダラオメルおよび彼と偕なる王等を撃破りて歸れる時ソドムの王シヤベの谷(即ち今の王の谷)にて彼を迎へたり 001 GEN 014 018 時にサレムの王メルキゼデク、パンと酒を携出せり彼は至高き神の祭司なりき 001 GEN 014 019 彼アブラムを祝して言けるは願くは天地の主なる至高神アブラムを祝福みたまへ 001 GEN 014 020 願くは汝の敵を汝の手に付したまひし至高神に稱譽あれとアブラム乃ち彼に其諸の物の什分の一を餽れり 001 GEN 014 021 茲にソドムの王アブラムに言けるは人を我に與へ物を汝に取れと 001 GEN 014 022 アブラム、ソドムの王に言けるは我天地の主なる至高き神ヱホバを指て言ふ 001 GEN 014 023 一本の絲にても鞋帶にても凡て汝の所屬は我取ざるべし恐くは汝我アブラムを富しめたりと言ん 001 GEN 014 024 但少者の既に食ひたる物および我と偕に行し人アネル、エシコルおよびマムレの分を除くべし彼等には彼等の分を取しめよ 001 GEN 015 001 是等の事の後ヱホバの言異象の中にアブラムに臨て曰くアブラムよ懼るなかれ我は汝の干櫓なり汝の賚は甚大なるべし 001 GEN 015 002 アブラム言けるは主ヱホバよ何を我に與んとしたまふや我は子なくして居り此ダマスコのエリエゼル我が家の相續人なり 001 GEN 015 003 アブラム又言けるは視よ爾子を我にたまはず我の家の子わが嗣子とならんとすと 001 GEN 015 004 ヱホバの言彼にのぞみて曰く此者は爾の嗣子となるべからず汝の身より出る者爾の嗣子となるべしと 001 GEN 015 005 斯てヱホバ彼を外に携へ出して言たまひけるは天を望みて星を數へ得るかを見よと又彼に言たまひけるは汝の子孫は是のごとくなるべしと 001 GEN 015 006 アブラム、ヱホバを信ずヱホバこれを彼の義となしたまへり 001 GEN 015 007 又彼に言たまひけるは我は此地を汝に與へて之を有たしめんとて汝をカルデアのウルより導き出せるヱホバなり 001 GEN 015 008 彼言けるは主ヱホバよ我いかにして我之を有つことを知るべきや 001 GEN 015 009 ヱホバ彼に言たまひけるは三歳の牝牛と三歳の牝山羊と三歳の牡羊と山鳩および雛き鴿を我ために取れと 001 GEN 015 010 彼乃ち是等を皆取て之を中より剖き其剖たる者を各相對はしめて置り但鳥は剖ざりき 001 GEN 015 011 鷙鳥其死體の上に下る時はアブラム之を驅はらへり 001 GEN 015 012 斯て日の沒る頃アブラム酣く睡りしが其大に暗きを覺えて懼れたり 001 GEN 015 013 時にヱホバ、アブラムに言たまひけるは爾確に知るべし爾の子孫他人の國に旅人となりて其人々に服事へん彼等四百年のあひだ之を惱さん 001 GEN 015 014 又其服事たる國民は我之を鞫かん其後彼等は大なる財貨を携へて出ん 001 GEN 015 015 爾は安然に爾の父祖の所にゆかん爾は遐齡に逹りて葬らるべし 001 GEN 015 016 四代に及びて彼等此に返りきたらん其はアモリ人の惡未だ貫盈ざれば也と 001 GEN 015 017 斯て日の沒て黒暗となりし時烟と火焔の出る爐其切剖たる物の中を通過り 001 GEN 015 018 是日にヱホバ、アブラムと契約をなして言たまひけるは我此地をエジプトの河より彼大河即ちユフラテ河まで爾の子孫に與ふ 001 GEN 015 019 即ちケニ人ケナズ人カデモニ人 001 GEN 015 020 ヘテ人ペリジ人レパイム人 001 GEN 015 021 アモリ人カナン人ヱブス人の地是なり 001 GEN 016 001 アブラムの妻サライ子女を生ざりき彼に一人の侍女ありしがエジプト人にして其名をハガルと曰り 001 GEN 016 002 サライ、アブラムに言けるは視よヱホバわが子を生むことを禁めたまひければ請ふ我が侍女の所に入れ我彼よりして子女を得ることあらんとアブラム、サライの言を聽いれたり 001 GEN 016 003 アブラムの妻サライ其侍女なるエジプト人ハガルを取て之を其夫アブラムに與へて妻となさしめたり是はアブラムがカナンの地に十年住みたる後なりき 001 GEN 016 004 是においてアブラム、ハガルの所に入るハガル遂に孕みければ己の孕めるを見て其女主を藐視たり 001 GEN 016 005 サライ、アブラムに言けるはわが蒙れる害は汝に歸すべし我わが侍女を汝の懷に與へたるに彼己の孕るを見て我を藐視ぐ願はヱホバ我と汝の間の事を鞫きたまへ 001 GEN 016 006 アブラム、サライに言けるは視よ汝の侍女は汝の手の中にあり汝の目に善と見ゆる所を彼に爲すべしサライ乃ち彼を苦めければ彼サライの面を避て逃たり 001 GEN 016 007 ヱホバの使者曠野の泉の旁即ちシユルの路にある泉の旁にて彼に遭ひて 001 GEN 016 008 言けるはサライの侍女ハガルよ汝何處より來れるや又何處に往や彼言けるは我は女主サライの面をさけて逃るなり 001 GEN 016 009 ヱホバの使者彼に言けるは汝の女主の許に返り身を其手に任すべし 001 GEN 016 010 ヱホバの使者又彼に言ひけるは我大に汝の子孫を増し其數を衆多して數ふることあたはざらしめん 001 GEN 016 011 ヱホバの使者又彼に言けるは汝孕めり男子を生まん其名をイシマエル(神聽知)と名くべしヱホバ汝の艱難を聽知したまへばなり 001 GEN 016 012 彼は野驢馬の如き人とならん其手は諸の人に敵し諸の人の手はこれに敵すべし彼は其諸の兄弟の東に住んと 001 GEN 016 013 ハガル己に諭したまへるヱホバの名をアタエルロイ(汝は見たまふ神なり)とよべり彼いふ我視たる後尚生るやと 001 GEN 016 014 是をもて其井はベエルラハイロイ(我を見る活る者の井)と呼ばる是はカデシとベレデの間にあり 001 GEN 016 015 ハガル、アブラムの男子を生めりアブラム、ハガルの生める其子の名をイシマエルと名づけたり 001 GEN 016 016 ハガル、イシマエルをアブラムに生める時アブラムは八十六歳なりき 001 GEN 017 001 アブラム九十九歳の時ヱホバ、アブラムに顯れて之に言たまひけるは我は全能の神なり汝我前に行みて完全かれよ 001 GEN 017 002 我わが契約を我と汝の間に立て大に汝の子孫を増ん 001 GEN 017 003 アブラム乃ち俯伏たり神又彼に告て言たまひけるは 001 GEN 017 004 我汝とわが契約を立つ汝は衆多の國民の父となるべし 001 GEN 017 005 汝の名を此後アブラムと呼ぶべからず汝の名をアブラハム(衆多の人の父)とよぶべし其は我汝を衆多の國民の父と爲ばなり 001 GEN 017 006 我汝をして衆多の子孫を得せしめ國々の民を汝より起さん王等汝より出べし 001 GEN 017 007 我わが契約を我と汝および汝の後の世々の子孫との間に立て永久の契約となし汝および汝の後の子孫の神となるべし 001 GEN 017 008 我汝と汝の後の子孫に此汝が寄寓る地即ちカナンの全地を與へて永久の産業となさん而して我彼等の神となるべし 001 GEN 017 009 神またアブラハムに言たまひけるは然ば汝と汝の後の世々の子孫わが契約を守るべし 001 GEN 017 010 汝等の中の男子は咸割禮を受べし是は我と汝等および汝の後の子孫の間の我が契約にして汝等の守るべき者なり 001 GEN 017 011 汝等其陽の皮を割べし是我と汝等の間の契約の徴なり 001 GEN 017 012 汝等の代々の男子は家に生れたる者も異邦人より金にて買たる汝の子孫ならざる者も皆生れて八日に至らば割禮を受べし 001 GEN 017 013 汝の家に生れたる者も汝の金にて買たる者も割禮を受ざるべからず斯我契約汝等の身にありて永久の契約となるべし 001 GEN 017 014 割禮を受ざる男兒即ち其陽の皮を割ざる者は我契約を破るによりて其人其民の中より絶るべし 001 GEN 017 015 神又アブラハムの言たまひけるは汝の妻サライは其名をサライと稱ぶべからず其名をサラと爲べし 001 GEN 017 016 我彼を祝み彼よりして亦汝に一人の男子を授けん我彼を祝み彼をして諸邦の民の母とならしむべし諸の民の王等彼より出べし 001 GEN 017 017 アブラハム俯伏て哂ひ其心に謂けるは百歳の人に豈で子の生るることあらんや又サラは九十歳なれば豈で産ことをなさんやと 001 GEN 017 018 アブラハム遂に神にむかひて願くはイシマエルの汝のまへに生存へんことをと曰ふ 001 GEN 017 019 神言たまひけるは汝の妻サラ必ず子を生ん汝其名をイサクと名くべし我彼および其後の子孫と契約を立て永久の契約となさん 001 GEN 017 020 又イシマエルの事に關ては我汝の願を聽たり視よ我彼を祝みて多衆の子孫を得さしめ大に彼の子孫を増すべし彼十二の君王を生ん我彼を大なる國民となすべし 001 GEN 017 021 然どわが契約は我翌年の今頃サラが汝に生ん所のイサクと之を立べし 001 GEN 017 022 神アブラハムと言ことを竟へ彼を離れて昇り給へり 001 GEN 017 023 是に於てアブラハム神の己に言たまへる如く此日其子イシマエルと凡て其家に生れたる者および凡て其金にて買たる者即ちアブラハムの家の人の中なる諸の男を將きたりて其陽の皮を割たり 001 GEN 017 024 アブラハムは其陽の皮を割れたる時九十九歳 001 GEN 017 025 其子イシマエルは其陽の皮を割れたる時十三歳なりき 001 GEN 017 026 是日アブラハムと其子イシマエル割禮を受たり 001 GEN 017 027 又其家の人家に生れたる者も金にて異邦人より買たる者も皆彼とともに割禮を受たり 001 GEN 018 001 ヱホバ、マムレの橡林にてアブラハムに顯現たまへり彼は日の熱き時刻天幕の入口に坐しゐたりしが 001 GEN 018 002 目を擧て見たるに視よ三人の人其前に立り彼見て天幕の入口より趨り行て之を迎へ 001 GEN 018 003 身を地に鞠めて言けるは我が主よ我若汝の目のまへに恩を得たるならば請ふ僕を通り過すなかれ 001 GEN 018 004 請ふ少許の水を取きたらしめ汝等の足を濯ひて樹の下に休憇たまへ 001 GEN 018 005 我一口のパンを取來らん汝等心を慰めて然る後過ゆくべし汝等僕の所に來ればなり彼等言ふ汝が言るごとく爲せ 001 GEN 018 006 是においてアブラハム天幕に急ぎいりてサラの許に至りて言けるは速に細麺三セヤを取り捏てパンを作るべしと 001 GEN 018 007 而してアブラハム牛の群に趨ゆき犢の柔にして善き者を取りきたりて少者に付しければ急ぎて之を調理ふ 001 GEN 018 008 かくてアブラハム牛酪と牛乳および其調理へたる犢を取て彼等のまへに供へ樹の下にて其側に立り彼等乃ち食へり 001 GEN 018 009 彼等アブラハムに言けるは爾の妻サラは何處にあるや彼言ふ天幕にあり 001 GEN 018 010 其一人言ふ明年の今頃我必ず爾に返るべし爾の妻サラに男子あらんサラ其後なる天幕の入口にありて聞ゐたり 001 GEN 018 011 抑アブラハムとサラは年邁み老いたる者にしてサラには婦人の常の經已に息たり 001 GEN 018 012 是故にサラ心に哂ひて言けるは我は老衰へ吾が主も亦老たる後なれば我に樂あるべけんや 001 GEN 018 013 ヱホバ、アブラハムに言たまひけるは何故にサラは哂ひて我老たれば果して子を生ことあらんと言ふや 001 GEN 018 014 ヱホバに豈爲し難き事あらんや時至らば我定めたる期に爾に歸るべしサラに男子あらんと 001 GEN 018 015 サラ懼れたれば承ずして我哂はずと言へりヱホバ言たまひけるは否汝哂へるなり 001 GEN 018 016 斯て其人々彼處より起てソドムの方を望みければアブラハム彼等を送らんとて倶に行り 001 GEN 018 017 ヱホバ言ひ給けるは我爲んとする事をアブラハムに隱すべけんや 001 GEN 018 018 アブラハムは必ず大なる強き國民となりて天下の民皆彼に由て福を獲に至るべきに在ずや 001 GEN 018 019 其は我彼をして其後の兒孫と家族とに命じヱホバの道を守りて公儀と公道を行しめん爲に彼をしれり是ヱホバ、アブラハムに其曾て彼に就て言し事を行はん爲なり 001 GEN 018 020 ヱホバ又言給ふソドムとゴモラの號呼大なるに因り又其罪甚だ重に因て 001 GEN 018 021 我今下りて其號呼の我に逹れる如くかれら全く行ひたりしやを見んとす若しからずば我知るに至らんと 001 GEN 018 022 其人々其處より身を旋してソドムに赴むけりアブラハムは尚ほヱホバのまへに立り 001 GEN 018 023 アブラハム近よりて言けるは爾は義者をも惡者と倶に滅ぼしたまふや 001 GEN 018 024 若邑の中に五十人の義者あるも汝尚ほ其處を滅ぼし其中の五十人の義者のためにこれを恕したまはざるや 001 GEN 018 025 なんぢ斯の如く爲て義者と惡者と倶に殺すが如きは是あるまじき事なり又義者と惡者を均等するが如きもあるまじき事なり天下を鞫く者は公儀を行ふ可にあらずや 001 GEN 018 026 ヱホバ言たまひけるは我若ソドムに於て邑の中に五十人の義者を看ば其人々のために其處を盡く恕さん 001 GEN 018 027 アブラハム應へていひけるは我は塵と灰なれども敢て我主に言上す 001 GEN 018 028 若五十人の義者の中五人缺たらんに爾五人の缺たるために邑を盡く滅ぼしたまふやヱホバ言たまひけるは我若彼處に四十五人を看ば滅さざるべし 001 GEN 018 029 アブラハム又重ねてヱホバに言上して曰けるは若彼處に四十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我四十人のために之をなさじ 001 GEN 018 030 アブラハム曰ひけるは請ふわが主よ怒らずして言しめたまへ若彼處に三十人看えなば如何ヱホバいひたまふ我三十人を彼處に看ば之を爲じ 001 GEN 018 031 アブラハム言ふ我あへてわが主に言上す若彼處に二十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我二十人のためにほろぼさじ 001 GEN 018 032 アブラハム言ふ請ふわが主怒らずして今一度言しめたまへ若かしこに十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我十人のためにほろぼさじ 001 GEN 018 033 ヱホバ、アブラハムと言ふことを終てゆきたまへりアブラハムおのれの所にかへりぬ 001 GEN 019 001 其二個の天使黄昏にソドムに至るロト時にソドムの門に坐し居たりしがこれを視起て迎へ首を地にさげて 001 GEN 019 002 言けるは我主よ請ふ僕の家に臨み足を濯ひて宿りつとに起きて途に遄征たまへ彼等言ふ否我等は街衢に宿らんと 001 GEN 019 003 然ど固く強ければ遂に彼の所に臨みて其家に入るロト乃ち彼等のために筵を設け酵いれぬパンを炊て食はしめたり 001 GEN 019 004 斯て未だ寢ざる前に邑の人々即ちソドムの人老たるも若きも諸共に四方八方より來たれる民皆其家を環み 001 GEN 019 005 ロトを呼て之に言けるは今夕爾に就たる人は何處にをるや彼等を我等の所に携へ出せ我等之を知らん 001 GEN 019 006 ロト入口に出て其後の戸を閉ぢ彼等の所に至りて 001 GEN 019 007 言けるは請ふ兄弟よ惡き事を爲すなかれ 001 GEN 019 008 我に未だ男知ぬ二人の女あり請ふ我之を携へ出ん爾等の目に善と見ゆる如く之になせよ唯此人等は既に我家の蔭に入たれば何をも之になすなかれ 001 GEN 019 009 彼等曰ふ爾退け又言けるは此人は來り寓れる身なるに恒に士師とならんとす然ば我等彼等に加ふるよりも多くの害を爾に加へんと遂に彼等酷しく其人ロトに逼り前よりて其戸を破んとせしに 001 GEN 019 010 彼二人其手を舒しロトを家の内に援いれて其戸を閉ぢ 001 GEN 019 011 家の入口にをる人衆をして大なるも小も倶に目を眩しめければ彼等遂に入口を索ぬるに困憊たり 001 GEN 019 012 斯て二人ロトに言けるは外に爾に屬する者ありや汝の婿子女および凡て邑にをりて爾に屬する者を此所より携へ出べし 001 GEN 019 013 此處の號呼ヱホバの前に大になりたるに因て我等之を滅さんとすヱホバ我等を遣はして之を滅さしめたまふ 001 GEN 019 014 ロト出て其女を娶る婿等に告て言けるはヱホバが邑を滅したまふべければ爾等起て此處を出よと然ど婿等は之を戲言と視爲り 001 GEN 019 015 曉に及て天使ロトを促して言けるは起て此なる爾の妻と二人の女を携へよ恐くは爾邑の惡とともに滅されん 001 GEN 019 016 然るに彼遲延ひしかば二人其手と其妻の手と其二人の女の手を執て之を導き出し邑の外に置りヱホバ斯彼に仁慈を加へたまふ 001 GEN 019 017 既に之を導き出して其一人曰けるは逃遁て汝の生命を救へ後を回顧るなかれ低地の中に止るなかれ山に遁れよ否ずば爾滅されん 001 GEN 019 018 ロト彼等に言けるはわが主よ請ふ斯したまふなかれ 001 GEN 019 019 視よ僕爾の目のまへに恩を得たり爾大なる仁慈を吾に施してわが生命を救たまふ吾山に遁る能はず恐くは災害身に及びて死るにいたらん 001 GEN 019 020 視よ此邑は遁ゆくに近くして且小し我をして彼處に遁れしめよしからば吾生命全からん是は小き邑なるにあらずや 001 GEN 019 021 天使之にいひけるは視よ我此事に關ても亦爾の願を容たれば爾が言ふところの邑を滅さじ 001 GEN 019 022 急ぎて彼處に遁れよ爾が彼處に至るまでは我何事をも爲を得ずと是に因て其邑の名はゾアル(小し)と稱る 001 GEN 019 023 ロト、ゾアルに至れる時日地の上に昇れり 001 GEN 019 024 ヱホバ硫黄と火をヱホバの所より即ち天よりソドムとゴモラに雨しめ 001 GEN 019 025 其邑と低地と其邑の居民および地に生るところの物を盡く滅したまへり 001 GEN 019 026 ロトの妻は後を回顧たれば鹽の柱となりぬ 001 GEN 019 027 アブラハム其朝夙に起て其嘗てヱホバの前に立たる處に至り 001 GEN 019 028 ソドム、ゴモラおよび低地の全面を望み見るに其地の烟燄窰の烟のごとくに騰上れり 001 GEN 019 029 神低地の邑を滅したまふ時即ちロトの住る邑を滅したまふ時に當り神アブラハムを眷念て斯其滅亡の中よりロトを出したまへり 001 GEN 019 030 斯てロト、ゾアルに居ることを懼れたれば其二人の女と偕にゾアルを出て上りて山に居り其二人の女子とともに巖穴に住り 001 GEN 019 031 茲に長女季女にいひけるは我等の父は老いたり又此地には我等に偶て世の道を成す人あらず 001 GEN 019 032 然ば我等父に酒を飮せて與に寢ね父に由て子を得んと 001 GEN 019 033 遂に其夜父に酒を飮せ長女入て其父と與に寢たり然るにロトは女の起臥を知ざりき 001 GEN 019 034 翌日長女季女に言けるは我昨夜わが父と寢たり我等此夜又父に酒をのません爾入て與に寢よわれらの父に由て子を得ることをえんと 001 GEN 019 035 乃ち其夜も亦父に酒をのませ季女起て父と與に寢たりロトまた女の起臥を知ざりき 001 GEN 019 036 斯ロトの二人の女其父によりて孕みたり 001 GEN 019 037 長女子を生み其名をモアブと名く即ち今のモアブ人の先祖なり 001 GEN 019 038 季女も亦子を生み其名をベニアンミと名く即ち今のアンモニ人の先祖なり 001 GEN 020 001 アブラハム彼處より徒りて南の地に至りカデシとシユルの間に居りゲラルに寄留り 001 GEN 020 002 アブラハム其妻サラを我妹なりと言しかばゲラルの王アビメレク人を遣してサラを召入たり 001 GEN 020 003 然るに神夜の夢にアビメレクに臨みて之に言たまひけるは汝は其召入たる婦人のために死るなるべし彼は夫ある者なればなり 001 GEN 020 004 アビメレク未だ彼に近づかざりしかば言ふ主よ汝は義き民をも殺したまふや 001 GEN 020 005 彼は我に是はわが妹なりと言しにあらずや又婦も自彼はわが兄なりと言たり我全き心と潔き手をもて此をなせり 001 GEN 020 006 神又夢に之に言たまひけるは然り我汝が全き心をもて之をなせるを知りたれば我も汝を阻めて罪を我に犯さしめざりき彼に觸るを容ざりしは是がためなり 001 GEN 020 007 然ば彼の妻を歸せ彼は預言者なれば汝のために祈り汝をして生命を保しめん汝若歸さずば汝と汝に屬する者皆必死るべきを知るべし 001 GEN 020 008 是に於てアビメレク其朝夙に起て臣僕を悉く召し此事を皆語り聞せければ人々甚く懼れたり 001 GEN 020 009 斯てアビメレク、アブラハムを召て之に言けるは爾我等に何を爲すや我何の惡き事を爾になしたれば爾大なる罪を我とわが國に蒙らしめんとせしか爾爲すべからざる所爲を我に爲したり 001 GEN 020 010 アビメレク又アブラハムに言けるは爾何を見て此事を爲たるや 001 GEN 020 011 アブラハム言けるは我此處はかならず神を畏れざるべければ吾妻のために人我を殺さんと思ひたるなり 001 GEN 020 012 又我は誠にわが妹なり彼はわが父の子にしてわが母の子にあらざるが遂に我妻となりたるなり 001 GEN 020 013 神我をして吾父の家を離れて周遊しめたまへる時に當りて我彼に爾我等が至る處にて我を爾の兄なりと言へ是は爾が我に施す恩なりと言たり 001 GEN 020 014 アビメレク乃ち羊牛僕婢を將てアブラハムに與へ其妻サラ之に歸せり 001 GEN 020 015 而してアビメレク言けるは視よ我地は爾のまへにあり爾の好むところに住め 001 GEN 020 016 又サラに言けるは視よ我爾の兄に銀千枚を與へたり是は爾および諸の人にありし事等につきて爾の目を蔽ふ者なり斯爾償贖を得たり 001 GEN 020 017 是に於てアブラハム神に祈りければ神アビメレクと其妻および婢を醫したまひて彼等子を産むにいたる 001 GEN 020 018 ヱホバさきにはアブラハムの妻サラの故をもてアビメレクの家の者の胎をことごとく閉たまへり 001 GEN 021 001 ヱホバ其言し如くサラを眷顧みたまふ即ちヱホバ其語しごとくサラに行ひたまひしかば 001 GEN 021 002 サラ遂に孕み神のアブラハムに語たまひし期日に及びて年老たるアブラハムに男子を生り 001 GEN 021 003 アブラハム其生れたる子即ちサラが己に生る子の名をイサクと名けたり 001 GEN 021 004 アブラハム神の命じたまひし如く八日に其子イサクに割禮を行へり 001 GEN 021 005 アブラハムは其子イサクの生れたる時百歳なりき 001 GEN 021 006 サラ言けるは神我を笑はしめたまふ聞く者皆我とともに笑はん 001 GEN 021 007 又曰けるは誰かアブラハムにサラ子女に乳を飮しむるにいたらんと言しものあらん然に彼が年老るに及びて男子を生たりと 001 GEN 021 008 偖其子長育ちて遂に乳を離るイサクの乳を離るる日にアブラハム大なる饗宴を設けたり 001 GEN 021 009 時にサラ、エジプト人ハガルがアブラハムに生たる子の笑ふを見て 001 GEN 021 010 アブラハムに言けるは此婢と其子を遂出せ此婢の子は吾子イサクと共に嗣子となるべからざるなりと 001 GEN 021 011 アブラハム其子のために甚く此事を憂たり 001 GEN 021 012 神アブラハムに言たまひけるは童兒のため又汝の婢のために之を憂るなかれサラが汝に言ところの言は悉く之を聽け其はイサクより出る者汝の裔と稱らるべければなり 001 GEN 021 013 又婢の子も汝の胤なれば我之を一の國となさん 001 GEN 021 014 アブラハム朝夙に起てパンと水の革嚢とを取りハガルに與へて之を其肩に負せ其子を携へて去しめければ彼往てベエルシバの曠野に躑躅しが 001 GEN 021 015 革嚢の水遂に罄たれば子を灌木の下に置き 001 GEN 021 016 我子の死るを見るに忍ずといひて遙かに行き箭逹を隔てて之に對ひ坐しぬ斯相嚮ひて坐し聲をあげて泣く 001 GEN 021 017 神其童兒の聲を聞たまふ神の使即ち天よりハガルを呼て之に言けるはハガルよ何事ぞや懼るるなかれ神彼處にをる童兒の聲を聞たまへり 001 GEN 021 018 起て童兒を起し之を汝の手に抱くべし我之を大なる國となさんと 001 GEN 021 019 神ハガルの目を開きたまひければ水の井あるを見ゆきて革嚢に水を充し童兒に飮しめたり 001 GEN 021 020 神童兒と偕に在す彼遂に成長り曠野に居りて射者となり 001 GEN 021 021 パランの曠野に住り其母彼のためにエジプトの國より妻を迎へたり 001 GEN 021 022 當時アビメレクと其軍勢の長ピコル、アブラハムに語て言けるは汝何事を爲にも神汝とともに在す 001 GEN 021 023 然ば汝が我とわが子とわが孫に僞をなさざらんことを今此に神をさして我に誓へ我が厚情をもて汝をあつかふごとく汝我と此汝が寄留る地とに爲べし 001 GEN 021 024 アブラハム言ふ我誓はん 001 GEN 021 025 アブラハム、アビメレクの臣僕等が水の井を奪ひたる事につきてアビメレクを責ければ 001 GEN 021 026 アビメレク言ふ我誰が此事を爲しを知ず汝我に告しこと无く又我今日まで聞しことなし 001 GEN 021 027 アブラハム乃ち羊と牛を取て之をアビメレクに與ふ斯て二人契約を結べり 001 GEN 021 028 アブラハム牝の羔七を分ち置ければ 001 GEN 021 029 アビメレク、アブラハムに言ふ汝此七の牝の羔を分ちおくは何のためなるや 001 GEN 021 030 アブラハム言けるは汝わが手より此七の牝の羔を取りて我が此井を掘たる證據とならしめよと彼等二人彼處に誓ひしによりて 001 GEN 021 031 其處をベエルシバ(盟約の井)と名けたり 001 GEN 021 032 斯彼等ベエルシバにて契約を結びアビメレクと其軍勢の長ピコルは起てペリシテ人の國に歸りぬ 001 GEN 021 033 アブラハム、ベエルシバに柳を植ゑ永遠に在す神ヱホバの名を彼處に龥り 001 GEN 021 034 斯してアブラハム久くペリシテ人の地に留寄りぬ 001 GEN 022 001 是等の事の後神アブラハムを試みんとて之をアブラハムよと呼たまふ彼言ふ我此にあり 001 GEN 022 002 ヱホバ言給ひけるは爾の子爾の愛する獨子即ちイサクを携てモリアの地に到りわが爾に示さんとする彼所の山に於て彼を燔祭として獻ぐべし 001 GEN 022 003 アブラハム朝夙に起て其驢馬に鞍おき二人の少者と其子イサクを携へ且燔祭の柴薪を劈りて起て神の己に示したまへる處におもむきけるが 001 GEN 022 004 三日におよびてアブラハム目を擧て遙に其處を見たり 001 GEN 022 005 是に於てアブラハム其少者に言けるは爾等は驢馬とともに此に止れ我と童子は彼處にゆきて崇拜を爲し復爾等に歸ん 001 GEN 022 006 アブラハム乃ち燔祭の柴薪を取て其子イサクに負せ手に火と刀を執て二人ともに往り 001 GEN 022 007 イサク父アブラハムに語て父よと曰ふ彼答て子よ我此にありといひければイサク即ち言ふ火と柴薪は有り然ど燔祭の羔は何處にあるや 001 GEN 022 008 アブラハム言けるは子よ神自ら燔祭の羔を備へたまはんと二人偕に進みゆきて 001 GEN 022 009 遂に神の彼に示したまへる處に到れり是においてアブラハム彼處に壇を築き柴薪を臚列べ其子イサクを縛りて之を壇の柴薪の上に置せたり 001 GEN 022 010 斯してアブラハム手を舒べ刀を執りて其子を宰んとす 001 GEN 022 011 時にヱホバの使者天より彼を呼てアブラハムよアブラハムよと言へり彼言ふ我此にあり 001 GEN 022 012 使者言けるは汝の手を童子に按るなかれ亦何をも彼に爲べからず汝の子即ち汝の獨子をも我ために惜まざれば我今汝が神を畏るを知ると 001 GEN 022 013 茲にアブラハム目を擧て視れば後に牡綿羊ありて其角林叢に繋りたりアブラハム即ち往て其牡綿羊を執へ之を其子の代に燔祭として獻げたり 001 GEN 022 014 アブラハム其處をエホバエレ(エホバ預備たまはん)と名く是に縁て今日もなほ人々山にヱホバ預備たまはんといふ 001 GEN 022 015 ヱホバの使者再天よりアブラハムを呼て 001 GEN 022 016 言けるはヱホバ諭したまふ我己を指て誓ふ汝是事を爲し汝の子即ち汝の獨子を惜まざりしに因て 001 GEN 022 017 我大に汝を祝み又大に汝の子孫を増して天の星の如く濱の沙の如くならしむべし汝の子孫は其敵の門を獲ん 001 GEN 022 018 又汝の子孫によりて天下の民皆福祉を得べし汝わが言に遵ひたるによりてなりと 001 GEN 022 019 斯てアブラハム其少者の所に歸り皆たちて偕にベエルシバにいたれりアブラハムはベエルシバに住り 001 GEN 022 020 是等の事の後アブラハムに告る者ありて言ふミルカ亦汝の兄弟ナホルにしたがひて子を生り 001 GEN 022 021 長子はウヅ其弟はブヅ其次はケムエル是はアラムの父なり 001 GEN 022 022 其次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、ヱデラフ、ベトエル 001 GEN 022 023 ベトエルはリベカを生り是八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに生たる者なり 001 GEN 022 024 ナホルの妾名はルマといふ者も亦テバ、ガハム、タハシおよびマアカを生り 001 GEN 023 001 サラ百二十七歳なりき是即ちサラの齡の年なり 001 GEN 023 002 サラ、キリアテアルバにて死り是はカナンの地のヘブロンなりアブラハム至りてサラのために哀み且哭り 001 GEN 023 003 斯てアブラハム死人の前より起ち出てヘテの子孫に語りて言けるは 001 GEN 023 004 我は汝等の中の賓旅なり寄居者なり請ふ汝等の中にて我は墓地を與へて吾が所有となし我をして吾が死人を出し葬ることを得せしめよ 001 GEN 023 005 ヘテの子孫アブラハムに應て之に言ふ 001 GEN 023 006 我主よ我等に聽たまへ我等の中にありて汝は神の如き君なり我等の墓地の佳者を擇みて汝の死人を葬れ我等の中一人も其墓地を汝にをしみて汝をしてその死人を葬らしめざる者なかるべし 001 GEN 023 007 是に於てアブラハム起ち其地の民ヘテの子孫に對て躬を鞠む 001 GEN 023 008 而して彼等と語ひて言けるは若我をしてわが死人を出し葬るを得せしむる事汝等の意ならば請ふ我に聽て吾ためにゾハルの子エフロンに求め 001 GEN 023 009 彼をして其野の極端に有るマクペラの洞穴を我に與へしめよ彼其十分の値を取て之を我に與へ汝等の中にてわが所有なる墓地となさば善し 001 GEN 023 010 時にエフロン、ヘテの子孫の中に坐しゐたりヘテ人エフロン、ヘテの子孫即ち凡て其邑の門に入る者の聽る前にてアブラハムに應へて言けるは 001 GEN 023 011 吾主よ我に聽たまへ其野は我汝に輿ふ又其中の洞穴も我之を汝に輿ふ我わが民なる衆人の前にて之を汝あたふ汝の死人を葬れ 001 GEN 023 012 是に於てアブラハム其地の民の前に躬を鞠たり 001 GEN 023 013 而して彼其地の民に聽る前にてエフロンに語りて言けるは汝若之を肯はば請ふ吾に聽け我其野の値を汝に償はん汝之を吾より取れ我わが死人を彼處に葬らん 001 GEN 023 014 エフロン、アブラハムに答て曰けるは 001 GEN 023 015 わが主よ我に聽たまへ彼地は銀四百シケルに當る是は我と汝の間に豈道に足んや然ば汝の死人を葬れ 001 GEN 023 016 アブラハ、ムエフロンの言に從ひエフロンがヘテの子孫の聽る前にて言たる所の銀を秤り商買の中の通用銀四百シケルを之に輿へたり 001 GEN 023 017 マムレの前なるマクペラに在るエフロンの野は野も其中の洞穴も野の中と其四周の堺にある樹も皆 001 GEN 023 018 ヘテの子孫の前即ち凡て其邑に入る者の前にてアブラハムの所有と定りぬ 001 GEN 023 019 厥後アブラハム其妻サラをマムレの前なるマクペラの野の洞穴に葬れり是即ちカナンの地のヘブロンなり 001 GEN 023 020 斯く其野と其中の洞穴はヘテの子孫之をアブラハムの所有なる墓地と定めたり 001 GEN 024 001 アブラハム年邁て老たりヱホバ萬の事に於てアブラハムを祝みたまへり 001 GEN 024 002 茲にアブラハム其凡の所有を宰る其家の年邁なる僕に言けるは請ふ爾の手を吾髀の下に置よ 001 GEN 024 003 我爾をして天の神地の神ヱホバを指て誓はしめん即ち汝わが偕に居むカナン人の女の中より吾子に妻を娶るなかれ 001 GEN 024 004 汝わが故國に往き吾親族に到りて吾子イサクのために妻を娶れ 001 GEN 024 005 僕彼に言けるは倘女我に從ひて此地に來ることを好まざる事あらん時は我爾の子を彼汝が出來りし地に導き歸るべきか 001 GEN 024 006 アブラハム彼に曰けるは汝愼みて吾子を彼處に携かへるなかれ 001 GEN 024 007 天の神ヱホバ我を導きて吾父の家とわが親族の地を離れしめ我に語り我に誓ひて汝の子孫に此地を與へんと言たまひし者其使を遣して汝に先たしめたまはん汝彼處より我子に妻を娶るべし 001 GEN 024 008 若女汝に從ひ來る事を好ざる時は汝吾此誓を解るべし唯我子を彼處に携へかへるなかれ 001 GEN 024 009 是に於て僕手を其主人アブラハムの髀の下に置て此事について彼に誓へり 001 GEN 024 010 斯て僕其主人の駱駝の中より十頭の駱駝を取りて出たてり即ち其主人の諸の佳物を手にとりて起てメソポタミアに往きナホルの邑に至り 001 GEN 024 011 其駱駝を邑の外にて井の傍に跪伏しめたり其時は黄昏にて婦女等の水汲にいづる時なりき 001 GEN 024 012 斯して彼言けるは吾主人アブラハムの神ヱホバよ願くは今日我にその者を逢しめわが主人アブラハムに恩惠を施し給へ 001 GEN 024 013 我この水井の傍に立ち邑の人の女等水を汲に出づ 001 GEN 024 014 我童女に向ひて請ふ汝の瓶をかたむけて我に飮しめよと言んに彼答へて飮め我また汝の駱駝にも飮しめんと言ば彼は汝が僕イサクの爲に定め給ひし者なるべし然れば我汝の吾主人に恩惠を施し給ふを知らん 001 GEN 024 015 彼語ふことを終るまへに視よリベカ瓶を肩にのせて出きたる彼はアブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルに生れたる者なり 001 GEN 024 016 其童女は觀るに甚だ美しく且處女にして未だ人に適しことあらず彼井に下り其瓶に水を盈て上りしかば 001 GEN 024 017 僕はせゆきて之にあひ請ふ我をして汝の瓶より少許の水を飮しめよといひけるに 001 GEN 024 018 彼主よ飮たまへといひて乃ち急ぎ其瓶を手におろして之にのましめたりしが 001 GEN 024 019 飮せをはりて言ふ汝の駱駝のためにも其飮をはるまで水を汲て飽しめん 001 GEN 024 020 急ぎて其瓶を水鉢にあけ又汲んとて井にはせゆき其諸の駱駝のために汲みたり 001 GEN 024 021 其人之を見つめヱホバが其途に幸福をくだしたまふや否やをしらんとして默し居たり 001 GEN 024 022 茲に駱駝飮をはりしかば其人重半シケルの金の鼻環一箇と重十シケルの金の手釧二箇をとりて 001 GEN 024 023 言けるは汝は誰の女なるや請ふ我に告よ汝の父の家に我等が宿る隙地ありや 001 GEN 024 024 女彼に曰けるは我はミルカがナホルに生みたる子ベトエルの女なり 001 GEN 024 025 又彼にいひけるは家には藁も飼草も多くあり且宿る隙地もあり 001 GEN 024 026 是に於て其人伏てヱホバを拜み 001 GEN 024 027 言けるは吾主人アブラハムの神ヱホバは讃美べきかなわが主人に慈惠と眞實とを缺きたまはず我途にありしにヱホバ我を吾主人の兄弟の家にみちびきたまへり 001 GEN 024 028 茲に童女走行て其母の家に此等の事を告たり 001 GEN 024 029 リベカに一人の兄あり其名をラバンといふラバンはせいで井にゆきて其人の許につく 001 GEN 024 030 すなはち彼鼻環および其妹の手の手釧を見又其妹リベカが其人斯我に語りといふを聞て其人の所に到り見るに井の側にて駱駝の傍にたちゐたれば 001 GEN 024 031 之に言けるは汝ヱホバに祝るる者よ請ふ入れ奚ぞ外にたつや我家を備へ且駱駝のために所をそなへたり 001 GEN 024 032 是に於て其人家にいりぬラバン乃ち其駱駝の負を釋き藁と飼草を駱駝にあたへ又水をあたへて其人の足と其從者の足をあらはしめ 001 GEN 024 033 斯して彼の前に食をそなへたるに彼言ふ我はわが事をのぶるまでは食はじとラバン語れといひければ 001 GEN 024 034 彼言ふわれはアブラハムの僕なり 001 GEN 024 035 ヱホバ大にわが主人をめぐみたまひて大なる者とならしめ又羊牛金銀僕婢駱駝驢馬をこれにたまへり 001 GEN 024 036 わが主人の妻サラ年老てのちわが主人に男子をうみければ主人其所有を悉く之に輿ふ 001 GEN 024 037 わが主人我を誓せて言ふ吾すめるカナンの地の人の女子の中よりわが子に妻を娶るなかれ 001 GEN 024 038 汝わが父の家にゆきわが親族にいたりわが子のために妻をめとれと 001 GEN 024 039 我わが主人にいひけるは倘女我にしたがひて來ずば如何 001 GEN 024 040 彼我にいひけるは吾事ふるところのヱホバ其使者を汝とともに遣はして汝の途に幸福を降したまはん爾わが親族わが父の家より吾子に妻をめとるべし 001 GEN 024 041 汝わが親族に至れる時はわが誓を解さるべし若彼等汝にあたへずば汝はわが誓をゆるさるべしと 001 GEN 024 042 我今日井に至りて謂けらくわが主人アブラハムの神ヱホバねがはくはわがゆく途に幸福を降したまへ 001 GEN 024 043 我はこの井水の傍に立つ水を汲にいづる處女あらん時我彼にむかひて請ふ汝の瓶より少許の水を我にのましめよと言んに 001 GEN 024 044 若我に答へて汝飮め我亦汝の駱駝のためにも汲んと言ば是ヱホバがわが主人の子のために定たまひし女なるべし 001 GEN 024 045 我心の中に語ふことを終るまへにリベカ其瓶を肩にのせて出來り井にくだりて水を汲みたるにより我彼に請ふ我にのましめよと言ければ 001 GEN 024 046 彼急ぎ其瓶を肩よりおろしていひけるは飮めまた汝の駱駝にものましめんと是に於て我飮しが彼また駱駝にものましめたり 001 GEN 024 047 我彼に問て汝は誰の女なるやといひければミルカがナホルに生たる子ベトエルの女なりといふ是に於て我其鼻に環をつけ其手に手釧をつけたり 001 GEN 024 048 而して我伏てヱホバを拜み吾主人アブラハムの神ヱホバを頌美たりヱホバ我を正き途に導きてわが主人の兄弟の女を其子のために娶しめんとしたまへばなり 001 GEN 024 049 されば汝等若わが主人にむかひて慈恵と眞誠をもて事をなさんと思はば我に告よ然ざるも亦我に告よ然ば我右か左におもむくをえん 001 GEN 024 050 ラバンとベトエル答て言けるは此事はヱホバより出す我等汝に善惡を言ふあたはず 001 GEN 024 051 視よリベカ汝の前にをる携へてゆき彼をしてヱホバの言たまひし如く汝の主人の子の妻とならしめよ 001 GEN 024 052 アブラハムの僕彼等の言を聞て地に伏てヱホバを拜めり 001 GEN 024 053 是に於て僕銀の飾品金の飾品および衣服をとりいだしてリベカに輿へ亦其兄と母に寶物をあたへたり 001 GEN 024 054 是に於て彼および其從者等食飮して宿りしが朝起たる時彼言我をして吾主人に還らしめよ 001 GEN 024 055 リベカの兄と母言けるは童女を數日の間少くも十日我等と偕にをらしめよしかるのち彼ゆくべし 001 GEN 024 056 彼人之に言ヱホバ吾途に福祉をくだしたまひたるなれば我を阻むるなかれ我を歸してわが主人に往しめよ 001 GEN 024 057 彼等いひけるは童女をよびて其言を問んと 001 GEN 024 058 即ちリベカを呼て之に言けるは汝此人と共に往や彼言ふ往ん 001 GEN 024 059 是に於て彼等妹リベカと其乳媼およびアブラハムの僕と其從者を遣り去しめたり 001 GEN 024 060 即ち彼等リベカを祝して之にいひけるはわれらの妹よ汝千萬の人の母となれ汝の子孫をして其仇の門を獲しめよ 001 GEN 024 061 是に於てリベカ起て其童女等とともに駱駝にのりて其人にしたがひ往く僕乃ちリベカを導きてさりぬ 001 GEN 024 062 茲にイサク、ラハイロイの井の路より來れり南の國に住居たればなり 001 GEN 024 063 しかしてイサク黄昏に野に出て默想をなしたりしが目を擧て見しに駱駝の來るあり 001 GEN 024 064 リベカ目をあげてイサクを見駱駝をおりて 001 GEN 024 065 僕にいひけるは野をあゆみて我等にむかひ來る者は何人なるぞ僕わが主人なりといひければリベカ覆衣をとりて身をおほへり 001 GEN 024 066 茲に僕其凡てなしたる事をイサクに告ぐ 001 GEN 024 067 イサク、リベカを其母サラの天幕に携至りリベカを娶りて其妻となしてこれを愛したりイサクは母にわかれて後茲に慰籍を得たり 001 GEN 025 001 アブラハム再妻を娶る其名をケトラといふ 001 GEN 025 002 彼ジムラン、ヨクシヤン、メダン、ミデアン、イシバク、シユワを生り 001 GEN 025 003 ヨクシヤン、シバとデダンを生むデダンの子はアッシユリ族レトシ族リウミ族なり 001 GEN 025 004 ミデアンの子はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアなり是等は皆ケトラの子孫なり 001 GEN 025 005 アブラハム其所有を盡くイサクに與へたり 001 GEN 025 006 アブラハムの妾等の子にはアブラハム其生る間の物をあたへて之をして其子イサクを離れて東にさりて東の國に至らしむ 001 GEN 025 007 アブラハムの生存へたる齡の日は即ち百七十五年なりき 001 GEN 025 008 アブラハム遐齡に及び老人となり年滿て氣たえ死て其民に加る 001 GEN 025 009 其子イサクとイシマエル之をヘテ人ゾハルの子エフロンの野なるマクペラの洞穴に葬れり是はマムレの前にあり 001 GEN 025 010 即ちアブラハムがヘテの子孫より買たる野なり彼處にアブラハムと其妻サラ葬らる 001 GEN 025 011 アブラハムの死たる後神其子イサクを祝みたまふイサクはベエルラハイロイの邊に住り 001 GEN 025 012 サラの侍婢なるエジプト人ハガルがアブラハムに生たる子イシマエルの傳は左のごとし 001 GEN 025 013 イシマエルの子の名は其名氏と其世代に循ひて言ば是のごとしイシマエルの長子はネバヨテなり其次はケダル、アデビエル、ミブサム 001 GEN 025 014 ミシマ、ドマ、マツサ 001 GEN 025 015 ハダデ、テマ、ヱトル、ネフシ、ケデマ 001 GEN 025 016 是等はイシマエルの子なり是等は其郷黨を其營にしたがひて言る者にして其國に循ひていへば十二の牧伯なり 001 GEN 025 017 イシマエルの齡は百三十七歳なりき彼いきたえ死て其民にくははる 001 GEN 025 018 イシマエルの子等はハビラよりエジプトの前なるシユルまでの間に居住てアッスリヤまでにおよべりイシマエルは其すべての兄弟等のまへにすめり 001 GEN 025 019 アブラハムの子イサクの傳は左のごとしアブラハム、イサクを生り 001 GEN 025 020 イサク四十歳にしてリベカを妻に娶れりリベカはパダンアラムのスリア人ベトエルの女にしてスリア人ラバンの妹なり 001 GEN 025 021 イサク其妻の子なきに因て之がためにヱホバに祈願をたてければヱホバ其ねがひを聽たまへり遂に其妻リベカ孕みしが 001 GEN 025 022 其子胎の内に爭そひければ然らば我いかで斯てあるべきと言て往てヱホバに問に 001 GEN 025 023 ヱホバ彼に言たまひけるは二の國民汝の胎にあり二の民汝の腹より出て別れん一の民は一の民よりも強かるべし大は小に亊へんと 001 GEN 025 024 かくて臨月みちて見しに胎には孿ありき 001 GEN 025 025 先に出たる者は赤くして躰中裘の如し其名をエサウと名けたり 001 GEN 025 026 其後に弟出たるが其手にエサウの踵を持り其名をヤコブとなづけたりリベカが彼等を生し時イサクは六十歳なりき 001 GEN 025 027 茲に童子人となりしがエサウは巧なる獵人にして野の人となりヤコブは質樸なる人にして天幕に居ものとなれり 001 GEN 025 028 イサクは麆を嗜によりてエサウを愛したりしがリベカはヤコブを愛したり 001 GEN 025 029 茲にヤコブ羹を煮たり時にエサウ野より來りて憊れ居り 001 GEN 025 030 エサウ、ヤコブにむかひ我憊れたれば請ふ其紅羹其處にある紅羹を我にのませよといふ是をもて彼の名はエドム(紅)と稱らる 001 GEN 025 031 ヤコブ言けるは今日汝の家督の權を我に鬻れ 001 GEN 025 032 エサウいふ我は死んとして居る此家督の權我に何の益をなさんや 001 GEN 025 033 ヤコブまた言けるは今日我に誓へと彼すなはち誓て其家督の權をヤコブに鬻ぬ 001 GEN 025 034 是に於てヤコブ、パンと扁豆の羹とをエサウに與へければ食且飮て起て去り斯エサウ家督の權を藐視じたり 001 GEN 026 001 アブラハムの時にありし最初の饑饉の外に又其國に饑饉ありければイサク、ゲラルに往てペリシテ人の王アビメレクの許にいたれり 001 GEN 026 002 時にヱホバ彼にあらはれて言たまひけるはエジプトに下るなかれ吾汝に示すところの地にをれ 001 GEN 026 003 汝此地にとどまれ我汝と共にありて汝を祝まん我是等の國を盡く汝および汝の子孫に與へ汝の父アブラハムに誓ひたる誓言を行ふべし 001 GEN 026 004 われ汝の子孫を増て天の星のごとくなし汝の子孫に凡て是等の國を與へん汝の子孫によりて天下の國民皆福祉を獲べし 001 GEN 026 005 是はアブラハムわが言に順ひわが職守とわが誡命とわが憲法とわが律法を守りしに因てなり 001 GEN 026 006 イサク乃ちゲラルに居しが 001 GEN 026 007 處の人其妻の事をとへば我妹なりと言ふリベカは觀に美麗かりければ其處の人リベカの故をもて我を殺さんと謂て彼をわが妻と言をおそれたるなり 001 GEN 026 008 イサク久しく彼處にをりし後一日ペリシテ人の王アビメレク牖より望みてイサクが其妻リベカと嬉戲るを見たり 001 GEN 026 009 是に於てアビメレク、イサクを召て言けるは彼は必ず汝の妻なり汝なんぞ吾妹といひしやイサク彼に言けるは恐くは我彼のために死るならんと思たればなり 001 GEN 026 010 アビメレクいひけるは汝なんぞ此事を我等になすや民の一人もし輕々しく汝の妻と寢ることあらんその時は汝罪を我等に蒙らしめんと 001 GEN 026 011 アビメレク乃ちすべて民に皆命じて此人と其妻にさはるものは必ず死すべしと言り 001 GEN 026 012 イサク彼地に種播て其年に百倍を獲たりヱホバ彼を祝みたまふ 001 GEN 026 013 其人大になりゆきて進て盛になり遂に甚だ大なる者となれり 001 GEN 026 014 即ち羊と牛と僕從を多く有しかばペリシテ人彼を嫉みたり 001 GEN 026 015 其父アブラハムの世に其父の僕從が掘たる諸の井はペリシテ人之をふさぎて土を之にみてたり 001 GEN 026 016 茲にアビメレク、イサクに言けるは汝は大に我等よりも強大ければ我等をはなれて去れと 001 GEN 026 017 イサク乃ち彼處をさりてゲラルの谷に天幕を張て其處に住り 001 GEN 026 018 其父アブラハムの世に掘たる水井をイサク茲に復び鑿り其はアブラハムの死たる後ペリシテ人之を塞ぎたればなり斯してイサク其父が之に名けたる名をもて其名となせり 001 GEN 026 019 イサクの僕谷に掘て其處に泉の湧出る井を得たり 001 GEN 026 020 ゲラルの牧者此水は我儕の所屬なりといひてイサクの僕と爭ひければイサク其井の名をエセク(競爭)と名けたり彼等が己と之を競爭たるによりてなり 001 GEN 026 021 是に於て又他の井を鑿しが彼等是をも爭ひければ其名をシテナ(敵)となづけたり 001 GEN 026 022 イサク乃ち彼處より遷りて他の井を鑿けるが彼等之をあらそはざりければ其名をレホボテ(廣塲)と名けて言けるは今ヱホバ我等の處所を廣くしたまへり我等此地を繁衍ん 001 GEN 026 023 斯て彼其處よりベエルシバにのぼりしが 001 GEN 026 024 其夜ヱホバ彼にあらはれて言たまひけるは我は汝の父アブラハムの神なり懼るるなかれ我汝と偕にありて汝を祝み我僕アブラハムのために汝の子孫を増んと 001 GEN 026 025 是に於て彼處に壇を築きてヱホバの名を龥び天幕を彼處に張り彼處にてイサクの僕井を鑿り 001 GEN 026 026 茲にアビメレク其友アホザテ及び其軍勢の長ピコルと共にゲラルよりイサクの許に來りければ 001 GEN 026 027 イサク彼等に言ふ汝等は我を惡み我をして汝等をはなれて去らしめたるなるに何ぞ我許に來るや 001 GEN 026 028 彼等いひけるは我等確然にヱホバが汝と偕にあるを見たれば我等の間即ち我等と汝の間に誓詞を立て汝と契約を結ばんと謂へり 001 GEN 026 029 汝我等に惡事をなすなかれ其は我等は汝を害せず只善事のみを汝になし且汝を安然に去しめたればなり汝はヱホバの祝みたまふ者なり 001 GEN 026 030 イサク乃ち彼等のために酒宴を設けたれば彼等食ひ且飮り 001 GEN 026 031 斯て朝夙に起て互に相誓へり而してイサク彼等を去しめたれば彼等イサクをはなれて安然にかへりぬ 001 GEN 026 032 其日イサクの僕來りて其ほりたる井につきて之に告て我等水を得たりといへり 001 GEN 026 033 即ち之をシバとなづく此故に其邑の名は今日までベエルシバ(誓詞の井)といふ 001 GEN 026 034 エサウ四十歳の時ヘテ人の女ユデテとヘテ人エロンの女バスマテを妻に娶り 001 GEN 026 035 彼等はイサクとリベカの心の愁煩となれり 001 GEN 027 001 イサク老て目くもりて見るあたはざるに及びて其長子エサウを召て之に吾子よといひければ答へて我此にありといふ 001 GEN 027 002 イサクいひけるは視よ我は今老て何時死るやを知ず 001 GEN 027 003 然ば請ふ汝の器汝の弓矢を執て野に出でわがために麆を獵て 001 GEN 027 004 わが好む美味を作り我にもちきたりて食はしめよ我死るまへに心に汝を祝せん 001 GEN 027 005 イサクが其子エサウに語る時にリベカ聞ゐたりエサウは麆を獵て携きたらんとて野に往り 001 GEN 027 006 是に於てリベカ其子ヤコブに語りていひけるは我聞ゐたるに汝の父汝の兄エサウに語りて言けらく 001 GEN 027 007 吾ために麆をとりきたり美味を製りて我にくはせよ死るまへに我ヱホバの前にて汝を祝せんと 001 GEN 027 008 然ば吾子よ吾言にしたがひわが汝に命ずるごとくせよ 001 GEN 027 009 汝群畜の所にゆきて彼處より山羊の二箇の善き羔を我にとりきたれ我之をもて汝の父のために其好む美味を製らん 001 GEN 027 010 汝之を父にもちゆきて食しめ其死る前に汝を祝せしめよ 001 GEN 027 011 ヤコブ其母リベカに言けるは兄エサウは毛深き人にして我は滑澤なる人なり 001 GEN 027 012 恐くは父我に捫ることあらん然らば我は欺く者と父に見えんされば祝をえずして返て呪詛をまねかん 001 GEN 027 013 其母彼にいひけるは我子よ汝の詛はるる所は我に歸せん只わが言にしたがひ往て取來れと 001 GEN 027 014 是において彼往て取り母の所にもちきたりければ母すなはち父の好むところの美味を製れり 001 GEN 027 015 而してリベカ家の中に己の所にある長子エサウの美服をとりて之を季子ヤコブに衣せ 001 GEN 027 016 又山羊の羔の皮をもて其手と其頸の滑澤なる處とを掩ひ 001 GEN 027 017 其製りたる美味とパンを子ヤコブの手にわたせり 001 GEN 027 018 彼乃ち父の許にいたりて我父よといひければ我此にありわが子よ汝は誰なると曰ふ 001 GEN 027 019 ヤコブ父にいひけるは我は汝の長子エサウなり我汝が我に命じたるごとくなせり請ふ起て坐しわが麆の肉をくらひて汝の心に我を祝せよ 001 GEN 027 020 イサク其子に言けるは吾子よ汝いかにして斯速に獲たるや彼言ふ汝の神ヱホバ之を我にあはせたまひしが故なり 001 GEN 027 021 イサク、ヤコブにいひけるはわが子よ請ふ近くよれ我汝に捫りて汝がまことに吾子エサウなるや否やをしらん 001 GEN 027 022 ヤコブ父イサクに近よりければイサク之にさはりていひけるは聲はヤコブの聲なれども手はエサウの手なりと 001 GEN 027 023 彼の手其兄エサウの手のごとく毛深かりしに因て之を辨別へずして遂に之を祝したり 001 GEN 027 024 即ちイサクいひけるは汝はまことに吾子エサウなるや彼然りといひければ 001 GEN 027 025 イサクいひけるは我に持きたれ吾子の麆を食ひてわが心に汝を祝せんと是に於てヤコブ彼の許にもちきたりければ食へり又酒をもちきたりければ飮り 001 GEN 027 026 かくて父イサク彼にいひけるは吾子よ近くよりて我に接吻せよと 001 GEN 027 027 彼すなはち近よりて之に接吻しければ其衣の馨香をかぎて彼を祝していひけるは嗚呼吾子の香はヱホバの祝たまへる野の馨香のごとし 001 GEN 027 028 ねがはくは神天の露と地の腴および饒多の殼と酒を汝にたまへ 001 GEN 027 029 諸の民汝につかへ諸の邦汝に躬を鞠ん汝兄弟等の主となり汝の母の子等汝に身をかがめん汝を詛ふ者はのろはれ汝を祝す者は祝せらるべし 001 GEN 027 030 イサク、ヤコブを祝することを終てヤコブ父イサクの前より出さりし時にあたりて兄エサウ獵より歸り來り 001 GEN 027 031 己も亦美味をつくりて之を其父の許にもちゆき父にいひけるは父よ起て其子の麆を食ひて心に我を祝せよ 001 GEN 027 032 父イサク彼にいひけるは汝は誰なるや彼いふ我は汝の子汝の長子エサウなり 001 GEN 027 033 イサク甚大に戰兢ていひけるは然ば彼麆を獵て之を我にもちきたりし者は誰ぞや我汝がきたるまへに諸の物を食ひて彼を祝したれば彼まことに祝福をうべし 001 GEN 027 034 エサウ父の言を聞て大に哭き痛く泣て父にいひけるは父よ我を祝せよ我をも祝せよ 001 GEN 027 035 イサク言けるは汝の弟僞りて來り汝の祝を奪ひたり 001 GEN 027 036 エサウいひけるは彼をヤコブ(推除者)となづくるは宜ならずや彼が我をおしのくる事此にて二次なり昔にはわが家督の權を奪ひ今はわが祝を奪ひたり又言ふ汝は祝をわがために殘しおかざりしや 001 GEN 027 037 イサク對てエサウにいひけるは我彼を汝の主となし其兄弟を悉く僕として彼にあたへたり又殼と酒とを彼に授けたり然ば吾子よ我何を汝になすをえん 001 GEN 027 038 エサウ父に言けるは父よ父の祝唯一ならんや父よ我を祝せよ我をも祝せよと聲をあげて哭ぬ 001 GEN 027 039 父イサク答て彼にいひけるは汝の住所は地の膏腴にはなれ上よりの天の露にはなるべし 001 GEN 027 040 汝は劍をもて世をわたり汝の弟に事ん然ど汝繋を離るる時は其軛を汝の頸より振ひおとすを得ん 001 GEN 027 041 エサウ父のヤコブを祝したる其祝の爲にヤコブを惡めり即ちエサウ心に謂けるは父の喪の日近ければ其時我弟ヤコブを殺さんと 001 GEN 027 042 長子エサウの此言リベカに聞えければ季子ヤコブを呼よせて之に言けるは汝の兄エサウ汝を殺さんとおもひて自ら慰む 001 GEN 027 043 されば吾子よ我言にしたがひ起てハランにゆきわが兄ラバンの許にのがれ 001 GEN 027 044 汝の兄の怒の釋るまで暫く彼とともに居れ 001 GEN 027 045 汝の兄の鬱憤釋けて汝をはなれ汝彼になしたる事を忘るるにいたらば我人をやりて汝を彼處よりむかへん我何ぞ一日のうちに汝等二人を喪ふべけんや 001 GEN 027 046 リベカ、イサクに言けるは我はヘテの女等のために世を厭ふにいたるヤコブ若此地の彼女等の如きヘテの女の中より妻を娶らば我身生るも何の利益あらんや 001 GEN 028 001 イサク、ヤコブを呼て之を祝し之に命じて言けるは汝カナンの女の中より妻を娶るなかれ 001 GEN 028 002 起てパダンアラムに往き汝の母の父ベトエルの家にいたり彼處にて汝の母の兄ラバンの女の中より妻を娶れ 001 GEN 028 003 願くは全能の神汝を祝み汝をして子女を多く得せしめ且汝の子孫を増て汝をして多衆の民とならしめ 001 GEN 028 004 又アブラハムに賜んと約束せし祝を汝および汝と共に汝の子孫に賜ひ汝をして神がアブラハムにあたへ給ひし此汝が寄寓る地を持たしめたまはんことをと 001 GEN 028 005 斯てイサク、ヤコブを遣しければパダンアラムにゆきてラバンの所にいたれりラバンはスリア人ベトエルの子にしてヤコブとエサウの母なるリベカの兄なり 001 GEN 028 006 エサウはイサクがヤコブを祝して之をパダンアラムにつかはし彼處より妻を娶しめんとしたるを見又之を祝し汝はカナンの女の中より妻をめとるなかれといひて之に命じたることを見 001 GEN 028 007 又ヤコブが其父母の言に順ひてパダンアラムに往しを見たり 001 GEN 028 008 エサウまたカナンの女の其父イサクの心にかなはぬを見たり 001 GEN 028 009 是においてエサウ、イシマエルの所にゆきて其有る妻の外に又アブラハムの子イシマエルの女ネバヨテの妹マハラテを妻にめとれり 001 GEN 028 010 茲にヤコブ、ベエルシバより出たちてハランの方におもむきけるが 001 GEN 028 011 一處にいたれる時日暮たれば即ち其處に宿り其處の石をとり枕となして其處に臥て寢たり 001 GEN 028 012 時に彼夢て梯の地にたちゐて其巓の天に逹れるを見又神の使者の其にのぼりくだりするを見たり 001 GEN 028 013 ヱホバ其上に立て言たまはく我は汝の祖父アブラハムの神イサクの神ヱホバなり汝が偃臥ところの地は我之を汝と汝の子孫に與へん 001 GEN 028 014 汝の子孫は地の塵沙のごとくなりて西東北南に蔓るべし又天下の諸の族汝と汝の子孫によりて福祉をえん 001 GEN 028 015 また我汝とともにありて凡て汝が往ところにて汝をまもり汝を此地に率返るべし我はわが汝にかたりし事を行ふまで汝をはなれざるなり 001 GEN 028 016 ヤコブ目をさまして言けるは誠にヱホバ此處にいますに我しらざりきと 001 GEN 028 017 乃ち惶懼ていひけるは畏るべき哉此處是即ち神の殿の外ならず是天の門なり 001 GEN 028 018 かくてヤコブ朝夙に起き其枕となしたる石を取り之を立て柱となし膏を其上に沃ぎ 001 GEN 028 019 其處を名をベテル(神殿)と名けたり其邑の名は初はルズといへり 001 GEN 028 020 ヤコブ乃ち誓をたてていひけるは若神我とともにいまし此わがゆく途にて我をまもり食ふパンと衣る衣を我にあたへ 001 GEN 028 021 我をしてわが父の家に安然に歸ることを得せしめたまはばヱホバをわが神となさん 001 GEN 028 022 又わが柱にたてたる此石を神の家となさん又汝がわれにたまふ者は皆必ず其十分の一を汝にささげん 001 GEN 029 001 斯てヤコブ其途にすすみて東の民の地にいたりて 001 GEN 029 002 見るに野に井ありて羊の群三其傍に臥ゐたり此井より群に飮へばなり大なる石井の口にあり 001 GEN 029 003 羊の群皆其處に集る時に井の口より石をまろばして羊に水飼ひ復故のごとく井の口に石をのせおくなり 001 GEN 029 004 ヤコブ人々に言けるは兄弟よ奚よりきたれるや彼等いふ我等はハランより來る 001 GEN 029 005 ヤコブ彼等にいひけるは汝等ナホルの子ラバンをしるや彼等識といふ 001 GEN 029 006 ヤコブ又かれらにいひけるは彼は安きや彼等いふ安し視よ彼の女ラケル羊と偕に來ると 001 GEN 029 007 ヤコブ言ふ視よ日尚高し家畜を聚むべき時にあらず羊に飮ひて往て牧せよ 001 GEN 029 008 彼等いふ我等しかする能はず群の皆聚るに及て井の口より石をまろばして羊に飮ふべきなり 001 GEN 029 009 ヤコブ尚彼等と語れる時にラケル父の羊とともに來る其は之を牧居たればなり 001 GEN 029 010 ヤコブ其母の兄ラバンの女ラケルおよび其母の兄ラバンの羊を見しかばヤコブ進みよりて井の口より石をまろばし母の兄ラバンの羊に飮ひたり 001 GEN 029 011 而してヤコブ、ラケルに接吻して聲をあげて啼哭ぬ 001 GEN 029 012 即ちヤコブ、ラケルに己はその父の兄弟にしてリベカの子なることを告ければ彼はしりゆきて父に告たり 001 GEN 029 013 ラバン其妹の子ヤコブの事を聞しかば趨ゆきて之を迎へ之を抱きて接吻し之を家に導きいたれりヤコブすなはち此等の事を悉くラバンに述たり 001 GEN 029 014 ラバン彼にいひけるは汝は誠にわが骨肉なりとヤコブ一月の間彼とともに居る 001 GEN 029 015 茲にラバン、ヤコブにいひけるは汝はわが兄弟なればとて空く我に役事べけんや何の報酬を望むや我に告よ 001 GEN 029 016 ラバン二人の女子を有り姉の名はレアといひ妹の名はラケルといふ 001 GEN 029 017 レアは目弱かりしがラケルは美しくして姝し 001 GEN 029 018 ヤコブ、ラケルを愛したれば言ふ我汝の季女ラケルのために七年汝に亊ん 001 GEN 029 019 ラバンいひけるは彼を他の人にあたふるよりも汝にあたふるは善し我と偕に居れ 001 GEN 029 020 ヤコブ七年の間ラケルのために勤たりしが彼を愛するが爲に此を數日の如く見做り 001 GEN 029 021 茲にヤコブ、ラバンに言けるはわが期滿たればわが妻をあたへて我をしてかれの處にいることを得せしめよ 001 GEN 029 022 是に於てラバン處の人を盡く集めて酒宴を設けたりしが 001 GEN 029 023 晩に及びて其女レアを携へて此をヤコブにつれ來れりヤコブ即ち彼の處にいりぬ 001 GEN 029 024 ラバンまた其侍婢ジルパを娘レアに與へて侍婢となさしめたり 001 GEN 029 025 朝にいたりて見るにレアなりしかばヤコブ、ラバンに言けるは汝なんぞ此事を我になしたるや我ラケルのために汝に役事しにあらずや汝なんぞ我を欺くや 001 GEN 029 026 ラバンいひけるは姉より先に妹を嫁しむる事は我國にて爲ざるところなり 001 GEN 029 027 其七日を過せ我等是をも汝に與へん然ば汝是がために尚七年我に事へて勤むべし 001 GEN 029 028 ヤコブ即ち斯なして其七日をすごせしかばラバン其女ラケルをも之にあたへて妻となさしむ 001 GEN 029 029 またラバン其侍婢ビルハを女ラケルにあたへて侍婢となさしむ 001 GEN 029 030 ヤコブまたラケルの所にいりぬ彼レアよりもラケルを愛し尚七年ラバンに事たり 001 GEN 029 031 ヱホバ、レアの嫌はるるを見て其胎をひらきたまへり然どラケルは姙なきものなりき 001 GEN 029 032 レア孕みて子を生み其名をルベンと名けていひけるはヱホバ誠にわが艱苦を顧みたまへりされば今夫我を愛せんと 001 GEN 029 033 彼ふたたび孕みて子を産みヱホバわが嫌はるるを聞たまひしによりて我に是をもたまへりと言て其名をシメオンと名けたり 001 GEN 029 034 彼また孕みて子を生み我三人の子を生たれば夫今より我に膠漆んといへり是によりてレビと名けたり 001 GEN 029 035 彼復姙みて子を生み我今ヱホバを讚美んといへり是によりて其名をユダと名けたり是にいたりて産ことやみぬ 001 GEN 030 001 ラケル己がヤコブに子を生ざるを見て其姉を夢みヤコブに言けるは我に子を與へよ然らずば我死んと 001 GEN 030 002 ヤコブ、ラケルにむかひて怒を發して言ふ汝の胎に子をやどらしめざる者は神なり我神に代るをえんや 001 GEN 030 003 ラケルいふ吾婢ビルハを視よ彼の處に入れ彼子を生てわが膝に置ん然ば我もまた彼によりて子をうるにいたらんと 001 GEN 030 004 其仕女ビルハを彼にあたへて妻となさしめたりヤコブ即ち彼の處にいる 001 GEN 030 005 ビルハ遂にはらみてヤコブに子を生ければ 001 GEN 030 006 ラケルいひけるは神我を監み亦わが聲を聽いれて吾に子をたまへりと是によりて其名をダンと名けたり 001 GEN 030 007 ラケルの仕女ビルハ再び姙みて次の子をヤコブに生ければ 001 GEN 030 008 ラケル我神の爭をもて姉と爭ひて勝ぬといひて其名をナフタリと名けたり 001 GEN 030 009 茲にレア産ことの止たるを見しかば其仕女ジルパをとりて之をヤコブにあたへて妻となさしむ 001 GEN 030 010 レアの仕女ジルパ、ヤコブに子を産ければ 001 GEN 030 011 レア福來れりといひて其名をガドと名けたり 001 GEN 030 012 レアの仕女ジルパ次子をヤコブに生ければ 001 GEN 030 013 レアいふ我は幸なり女等我を幸なる者となさんと其名をアセルとなづけたり 001 GEN 030 014 茲に麥苅の日にルベン出ゆきて野にて戀茄を獲これを母レアの許にもちきたりければラケル、レアにいひけるは請ふ我に汝の子の戀茄をあたへよ 001 GEN 030 015 レア彼にいひけるは汝のわが夫を奪しは微き事ならんや然るに汝またわが子の戀茄をも奪んとするやラケルいふ然ば汝の子の戀茄のために夫是夜汝と寢べし 001 GEN 030 016 晩におよびてヤコブ野より來りければレア之をいでむかへて言けるは我誠にわが子の戀茄をもて汝を雇ひたれば汝我の所にいらざるべからずヤコブ即ち夜彼といねたり 001 GEN 030 017 神レアに聽たまひければ彼妊みて第五の子をヤコブに生り 001 GEN 030 018 レアいひけるは我わが仕女を夫に與へたれば神我に其値をたまへりと其名をイツサカルと名けたり 001 GEN 030 019 レア復妊みて第六の子をヤコブに生り 001 GEN 030 020 レアいひけるは神我に嘉賚を貺ふ我六人の男子を生たれば夫今より我と偕にすまんと其名をゼブルンとなづけたり 001 GEN 030 021 其後彼女子を生み其名をデナと名けたり 001 GEN 030 022 茲に神ラケルを念ひ神彼に聽て其胎を開きたまひければ 001 GEN 030 023 彼妊みて男子を生て曰ふ神わが恥辱を洒ぎたまへりと 001 GEN 030 024 乃ち其名をヨセフと名けて言ふヱホバ又他の子を我に加へたまはん 001 GEN 030 025 茲にラケルのヨセフを生むに及びてヤコブ、ラバンに言けるは我を歸して故郷に我國に往しめよ 001 GEN 030 026 わが汝に事て得たる所の妻子を我に與へて我を去しめよわが汝になしたる役事は汝之を知るなり 001 GEN 030 027 ラバン彼にいひけるは若なんぢの意にかなはばねがはくは留れ我ヱホバが汝のために我を祝みしを卜ひ得たり 001 GEN 030 028 又言ふ汝の望む値をのべよ我之を與ふべし 001 GEN 030 029 ヤコブ彼にいひけるは汝は如何にわが汝に事へしか如何に汝の家畜を牧しかを知る 001 GEN 030 030 わが來れる前に汝の有たる者は鮮少なりしが増て遂に群をなすに至る吾來りてよりヱホバ汝を祝みたまへり然ども我は何時吾家を成にいたらんや 001 GEN 030 031 彼言ふ我何を汝に與へんかヤコブいひけるは汝何者をも我に與ふるに及ばず汝もし此事を我になさば我復汝の群を牧守らん 001 GEN 030 032 即ち我今日徧く汝の群をゆきめぐりて其中より凡て斑なる者點なる者を移し綿羊の中の凡て黒き者を移し山羊の中の點なる者と斑なる者を移さん是わが値なるべし 001 GEN 030 033 後に汝來りてわが傭値をしらぶる時わが義我にかはりて應をなすべし若わが所に山羊の斑ならざる者點ならざる者あり綿羊の黒からざる者あらば皆盜る者となすべし 001 GEN 030 034 ラバンいふ汝の言の如くなさんことを願ふ 001 GEN 030 035 是に於て彼其日牡山羊の斑入なる者斑點なる者を移し凡て牝山羊の斑駮なる者斑點なる者都て身に白色ある者を移し又綿羊の中の凡て黒き者を移して其子等の手に付せり 001 GEN 030 036 而して彼己とヤコブの間に三日程の隔をたてたりヤコブはラバンの餘の群を牧ふ 001 GEN 030 037 茲にヤコブ楊柳と楓と桑の青枝を執り皮を剥て白紋理を成り枝の白き所をあらはし 001 GEN 030 038 其皮をはぎたる枝を群の來りて飮むところの水槽と水鉢に立て群に向はしめ群をして水のみの來る時に孕ましむ 001 GEN 030 039 群すなはち枝の前に孕みて斑入の者斑駮なる者斑點なる者を産しかば 001 GEN 030 040 ヤコブ其羔羊を區分ちラバンの群の面を其群の斑入なる者と黒き者に對はしめたりしが己の群をば一所に置てラバンの群の中にいれざりき 001 GEN 030 041 又家畜の壯健き者孕みたる時はヤコブ水槽の中にて其家畜の目の前に彼枝を置き枝の傍において孕ましむ 001 GEN 030 042 然ど家畜の羸弱かる時は之を置ず是に因て羸弱者はラバンのとなり壯健者はヤコブのとなれり 001 GEN 030 043 是に於て其人大に富饒になりて多の家畜と婢僕および駱駝驢馬を有にいたれり 001 GEN 031 001 茲にヤコブ、ラバンの子等がヤコブわが父の所有を盡く奪ひ吾父の所有によりて此凡の榮光を獲たりといふを聞り 001 GEN 031 002 亦ヤコブ、ラバンの面を見るに己に對すること疇昔の如くならず 001 GEN 031 003 時にヱホバ、ヤコブに言たまへるは汝の父の國にかへり汝の親族に至れ我汝と偕にをらんと 001 GEN 031 004 是に於てヤコブ人をやりてラケルとレアを野に招きて群の所に至らしめ 001 GEN 031 005 之にいひけるは我汝等の父の面を見るに其我に對すること疇昔の如くならず然どわが父の神は我と偕にいますなり 001 GEN 031 006 汝等がしるごとく我力を竭して汝らの父に事へたるに 001 GEN 031 007 汝等の父我を欺きて十次もわが値を易たり然ども神彼の我を害するを容したまはず 001 GEN 031 008 彼斑駮なる者は汝の傭値なるべしといへば群の生ところ皆斑駮なり斑入の者は汝の値なるべしといへば群の生ところ皆斑入なり 001 GEN 031 009 斯神汝らの父の家畜を奪て我に輿へたまへり 001 GEN 031 010 群の孕む時に當りて我夢に目をあげて見しに群の上に乗る牡羊は皆斑入の者斑駮なる者白點なる者なりき 001 GEN 031 011 時に神の使者夢の中に我に言ふヤコブよと我此にありと對へければ 001 GEN 031 012 乃ち言ふ汝の目をあげて見よ群の上に乗る牡羊は皆斑入の者斑駮なる者白點なる者なり我ラバンが凡て汝に爲すところを鑒みる 001 GEN 031 013 我はベテルの神なり汝彼處にて柱に膏を沃ぎ彼處にて我に誓を立たり今起て斯地を出で汝の親族の國に歸れと 001 GEN 031 014 ラケルとレア對て彼にいひけるは我等の父の家に尚われらの分あらんや我等の産業あらんや 001 GEN 031 015 我等は父に他人のごとくせらるるにあらずや其は父我等を賣り亦我等の金を蝕减したればなり 001 GEN 031 016 神がわが父より取たまひし財寶は我等とわれらの子女の所屬なり然ば都て神の汝に言たまひし事を爲せ 001 GEN 031 017 是に於てヤコブ起て子等と妻等を駱駝に乗せ 001 GEN 031 018 其獲たる凡の家畜と凡の所有即ちパダンアラムにてみづから獲たるところの家畜を携へ去てカナンの地に居る所の其父イサクの所におもむけり 001 GEN 031 019 時にラバンは羊の毛を剪んとて往てありラケル其父のテラピムを竊めり 001 GEN 031 020 ヤコブは其去ことをスリア人ラバンに告ずして潛に忍びいでたり 001 GEN 031 021 即ち彼その凡の所有を挈へて逃去り起て河を渡りギレアデの山にむかふ 001 GEN 031 022 ヤコブの逃去しこと三日におよびてラバンに聞えければ 001 GEN 031 023 彼兄弟を率てその後を追ひしが七日路をへてギレアデの山にて之に追及ぬ 001 GEN 031 024 神夜の夢にスリア人ラバンに臨みて汝愼みて善も惡もヤコブに道なかれと之に告たまへり 001 GEN 031 025 ラバン遂にヤコブに追及しがヤコブは山に天幕を張ゐたればラバンもその兄弟と共にギレアデの山に天幕をはれり 001 GEN 031 026 而してラバン、ヤコブに言けるは汝我に知しめずして忍びいで吾女等を劍をもて執たる者のごとくにひき往り何ぞかかる事をなすや 001 GEN 031 027 何故に汝潛に逃さり我をはなれて忍いで我につげざりしや我歡喜と歌謠と鼗と琴をもて汝を送りしならんを 001 GEN 031 028 何ぞ我をしてわが孫と女に接吻するを得ざらしめしや汝愚妄なる事をなせり 001 GEN 031 029 汝等に害をくはふるの能わが手にあり然ど汝等の父の神昨夜我に告て汝つつしみて善も惡もヤコブに語べからずといへり 001 GEN 031 030 汝今父の家を甚く戀て歸んと願ふは善れども何ぞわが神を竊みたるや 001 GEN 031 031 ヤコブ答へてラバンにいひけるは恐くは汝強て女を我より奪ならんと思ひて懼れたればなり 001 GEN 031 032 汝の神を持る者を見ば之を生しおくなかれ我等の兄弟等の前にて汝の何物我の許にあるかをみわけて之を汝に取れと其はヤコブ、ラケルが之を竊しを知ざればなり 001 GEN 031 033 是に於てラバン、ヤコブの天幕に入りレアの天幕に入りまた二人の婢の天幕にいりしが視いださざればレアの天幕を出てラケルの天幕にいる 001 GEN 031 034 ラケル已にテラピムを執て之を駱駝の鞍の下にいれて其上に坐しければラバン遍く天幕の中をさぐりたれども見いださざりき 001 GEN 031 035 時にラケル父にいひけるは婦女の經の習例の事わが身にあれば父の前に起あたはず願くは主之を怒り給ふなかれと是をもて彼さがしたれども遂にテラピムを見いださざりき 001 GEN 031 036 是に於てヤコブ怒てラバンを謫即ちヤコブ應へてラバンに言けるは我何の愆あり何の罪ありてか汝火急く我をおふや 001 GEN 031 037 汝わが物を盡く索たるが汝の家の何物を見いだしたるや此にわが兄弟と汝の兄弟の前に其を置て我等二人の間をさばかしめよ 001 GEN 031 038 我この二十年汝とともにありしが汝の牝綿羊と牝山羊其胎を殰ねしことなし又汝の群の雄綿羊は我食はざりき 001 GEN 031 039 又噛裂れたる者は我これを汝の所に持きたらずして自ら之を補へり又晝竊るるも夜竊るるも汝わが手より之を要めたり 001 GEN 031 040 我は是ありつ晝は暑に夜は寒に犯されて目も寐るの遑なく 001 GEN 031 041 此二十年汝の家にありたり汝の二人の女の爲に十四年汝の群のために六年汝に事たり然に汝は十次もわが値を易たり 001 GEN 031 042 若わが父の神アブラハムの神イサクのの畏む者我とともにいますにあらざれば汝今必ず我を空手にて去しめしならん神わが苦難とわが手の勞苦をかへりみて昨夜汝を責たまへるなり 001 GEN 031 043 ラバン應てヤコブに言けるは女等はわが女子等はわが子群はわが群汝が見る者は皆わが所屬なり我今日此わが女等とその生たる子等に何をなすをえんや 001 GEN 031 044 然ば來れ我と汝二人契約をむすび之を我と汝の間の證憑となすべし 001 GEN 031 045 是に於てヤコブ石を執りこれを建て柱となせり 001 GEN 031 046 ヤコブ又その兄弟等に石をあつめよといひければ即ち石をとりて垤を成れり斯て彼等彼處にて垤の上に食す 001 GEN 031 047 ラバン之をエガルサハドタ(證憑の垤)と名けヤコブ之をギレアデ(證憑の垤)と名けたり 001 GEN 031 048 ラバン此垤今日われとなんぢの間の證憑たりといひしによりて其名はギレアデとと稱らる 001 GEN 031 049 又ミヅパ(觀望樓)と稱らる其は彼我等が互にわかるるに及べる時ねがはくはヱホバ我と汝の間を監みたまへといひたればなり 001 GEN 031 050 彼又いふ汝もしわが女をなやまし或はわが女のほかに妻をめとらば人の我らと偕なる者なきも神と汝のあひだにいまして證をなしたまふ 001 GEN 031 051 ラバン又ヤコブにいふ我われとなんぢの間にたてたる此垤を視よ柱をみよ 001 GEN 031 052 此垤證とならん柱證とならん我この垤を越て汝を害せじ汝この垤この柱を越て我を害せざれ 001 GEN 031 053 アブラハムの神ナホルの神彼等の父の神われらの間を鞫きたまへとヤコブ乃ちその父イサクの畏む者をさして誓へり 001 GEN 031 054 斯てヤコブ山にて犧牲をささげその兄弟を招きてパンを食はしむ彼等パンを食ひて山に宿れり 001 GEN 031 055 ラバン朝夙に起き其孫と女に接吻して之を祝せりしかしてラバンゆきて其所にかへりぬ 001 GEN 032 001 茲にヤコブその途に進みしが神の使者これにあふ 001 GEN 032 002 ヤコブこれを見て是は神の陣營なりといひてその處の名をマハナイム(二營)となづけたり 001 GEN 032 003 かくてヤコブ己より前に使者をつかはしてセイルの地エドムの野にをる其兄エサウの所にいたらしむ 001 GEN 032 004 即ち之に命じて言ふ汝等かくわが主エサウにいふべし汝の僕ヤコブ斯いふ我ラバンの所に寄寓て今までとどまれり 001 GEN 032 005 我牛驢馬羊僕婢あり人をつかはしてわが主に告ぐ汝の前に恩をえんことを願ふなりと 001 GEN 032 006 使者ヤコブにかへりて言けるは我等汝の兄エサウの許に至れり彼四百人をしたがへて汝をむかへんとて來ると 001 GEN 032 007 是によりヤコブ大におそれ且くるしみ己とともにある人衆および羊と牛と駱駝を二隊にわかちて 001 GEN 032 008 言けるはエサウもし一の隊に來りて之をうたば遺れるところの一隊逃るべし 001 GEN 032 009 ヤコブまた言けるはわが父アブラハムの神わが父イサクの神ヱホバよ汝嘗て我につげて汝の國にかへり汝の親族に到れ我なんぢを善せんといひたまへり 001 GEN 032 010 我はなんぢが僕にほどこしたまひし恩恵と眞實を一も受るにたらざるなり我わが杖のみを持てこのヨルダンを濟りしが今は二隊とも成にいたれり 001 GEN 032 011 願くはわが兄の手よりエサウの手より我をすくひいだしたまへ我彼をおそる恐くは彼きたりて我をうち母と子とに及ばん 001 GEN 032 012 汝は嘗て我かならず汝を惠み汝の子孫を濱の沙の多して數ふべからざるが如くなさんといひたまへりと 001 GEN 032 013 彼その夜彼處に宿りその手にいりし物の中より兄エサウへの禮物をえらべり 001 GEN 032 014 即ち牝山羊二百牡山羊二十牝羊二百牡羊二十 001 GEN 032 015 乳駱駝と其子三十牝牛四十牡牛十牝の驢馬二十驢馬の子十 001 GEN 032 016 而して其群と群とをわかちて之を僕の手に授し僕にいひけるは吾に先ちて進み群と群との間を隔ておくべし 001 GEN 032 017 又その前者に命じて言けるはわが兄エサウ汝にあひ汝に問て汝は誰の人にして何處にゆくや是汝のまへなる者は誰の所有なるやといはば 001 GEN 032 018 汝の僕ヤコブの所有にしてわが主エサウにたてまつる禮物なり視よ彼もわれらの後にをるといふべしと 001 GEN 032 019 彼かく第二の者第三の者および凡て群々にしたがひゆく者に命じていふ汝等エサウにあふ時はかくの如く之にいふべし 001 GEN 032 020 且汝等いへ視よなんぢの僕ヤコブわれらの後にをるとヤコブおもへらく我わが前におくる禮物をもて彼を和めて然るのち其面を觀ん然ば彼われを接遇ることあらんと 001 GEN 032 021 是によりて禮物かれに先ちて行く彼は其夜陣營の中に宿りしが 001 GEN 032 022 其夜おきいでて二人の妻と二人の仕女および十一人の子を導きてヤボクの渡をわたれり 001 GEN 032 023 即ち彼等をみちびきて川を渉らしめ又その有る物を渡せり 001 GEN 032 024 而してヤコブ一人遺りしが人ありて夜の明るまで之と角力す 001 GEN 032 025 其人己のヤコブに勝ざるを見てヤコブの髀の樞骨に觸しかばヤコブの髀の樞骨其人と角力する時挫離たり 001 GEN 032 026 其人夜明んとすれば我をさらしめよといひければヤコブいふ汝われを祝せずばさらしめずと 001 GEN 032 027 是に於て其人かれにいふ汝の名は何なるや彼いふヤコブなり 001 GEN 032 028 其人いひけるは汝の名は重てヤコブととなふべからずイスラエルととなふべし其は汝神と人とに力をあらそひて勝たればなりと 001 GEN 032 029 ヤコブ問て請ふ汝の名を告よといひければ其人何故にわが名をとふやといひて乃ち其處にて之を祝せり 001 GEN 032 030 是を以てヤコブその處の名をベニエル(神の面)となづけて曰ふ我面と面をあはせて神とあひ見てわが生命なほ存るなりと 001 GEN 032 031 斯て彼日のいづる時にベニエルを過たりしが其髀のために歩行はかどらざりき 001 GEN 032 032 是故にイスラエルの子孫は今日にいたるまで髀の樞の巨筋を食はず是彼人がヤコブの髀の巨筋に觸たるによりてなり 001 GEN 033 001 爰にヤコブ目をあげて視にエサウ四百人をひきゐて來りしかば則ち子等を分ちてレアとラケルと二人の仕女とに付し 001 GEN 033 002 仕女とその子等を前におきレアとその子等を次におきラケルとヨセフを後におきて 001 GEN 033 003 自彼等の前に進み七度身を地にかがめて遂に兄に近づきけるに 001 GEN 033 004 エサウ趨てこれを迎へ抱きてその頸をかかへて之に接吻すしかして二人ともに啼泣り 001 GEN 033 005 エサウ目をあげて婦人と子等を見ていひけるは是等の汝とともなる者は誰なるやヤコブいひけるは神が僕に授けたまひし子なりと 001 GEN 033 006 時に仕女等その子とともに近よりて拜し 001 GEN 033 007 レアも亦その子とともに近よりて拜す其後にヨセフとラケルちかよりて拜す 001 GEN 033 008 エサウ又いひけるは我あへる此諸の群は何のためなるやヤコブいふ主の目の前に恩を獲んがためなり 001 GEN 033 009 エサウいひけるは弟よわが有ところの者は足り汝の所有は汝自ら之を有てよ 001 GEN 033 010 ヤコブいひけるは否我もし汝の目の前に恩をえたらんには請ふわが手よりこの禮物を受よ我汝の面をみるに神の面をみるがごとくなり汝また我をよろこぶ 001 GEN 033 011 神我をめぐみたまひて我が有ところの者足りされば請ふわが汝にたてまつる禮物を受よと彼に強ければ終に受たり 001 GEN 033 012 エサウいひけるは我等いでたちてゆかん我汝にさきだつべし 001 GEN 033 013 ヤコブ彼にいひけるは主のしりたまふごとく子等は幼弱し又子を持る羊と牛と我にしたがふ若一日これを驅すごさば群みな死ん 001 GEN 033 014 請ふわが主僕にさきだちて進みたまへ我はわが前にゆくところの家畜と子女に足にまかせて徐に導きすすみセイルにてわが主に詣らん 001 GEN 033 015 エサウいひけるは然ば我わがひきゐる人數人を汝の所にのこさんヤコブいひけるは何ぞ此を須んや我をして主の目の前に恩を得せしめよ 001 GEN 033 016 是に於てエサウは此日その途にしたがひてセイルに還りぬ 001 GEN 033 017 斯てヤコブ、スコテに進みて己のために家を建て又家畜のために廬を作れり是によりて其處の名をスコテ(廬)といふ 001 GEN 033 018 ヤコブ、パダンアラムより來りて恙なくカナンの地にあるシケムの邑に至り邑の前にその天幕を張り 001 GEN 033 019 遂にその天幕をはりしところの野をシケムの父ハモルの子等の手により金百枚にて購とり 001 GEN 033 020 彼處に壇をきづきて之をエル、エロヘ、イスラエル(イスラエルの神なる神)となづけたり 001 GEN 034 001 レアのヤコブに生たる女デナその國の婦女を見んとていでゆきしが 001 GEN 034 002 その國の君主なるヒビ人ハモルの子シケムこれを見て之をひきいれこれと寢てこれを辱しむ 001 GEN 034 003 而してその心ふかくヤコブの女デナを戀ひて彼此女を愛しこの女の心をいひなだむ 001 GEN 034 004 斯てシケムその父ハモルに語り此少き女をわが妻に獲よといへり 001 GEN 034 005 ヤコブ彼がその女子デナを汚したることを聞しかどもその子等家畜を牧て野にをりしによりて其かへるまでヤコブ默しゐたり 001 GEN 034 006 シケムの父ハモル、ヤコブの許にいできたりて之と語らふ 001 GEN 034 007 茲にヤコブの子等野より來りしが之を聞しかば其人々憂へかつ甚く怒れり是はシケムがヤコブの女と寢てイスラエルに愚なる事をなしたるに因り是のごとき事はなすべからざる者なればなり 001 GEN 034 008 ハモル彼等に語りていひけるはわが子シケム心になんぢの女を戀ふねがはくは彼をシケムにあたへて妻となさしめよ 001 GEN 034 009 汝ら我らと婚姻をなし汝らの女を我らにあたへ我らの女汝らに娶れ 001 GEN 034 010 かくして汝等われらとともに居るべし地は汝等の前にあり此に住て貿易をなし此にて産業を獲よ 001 GEN 034 011 シケム又デナの父と兄弟等にいひけるは我をして汝等の目のまへに恩を獲せしめよ汝らが我にいふところの者は我あたへん 001 GEN 034 012 いかに大なる聘物と禮物を要るも汝らがわれに言ふごとくあたへん唯この女を我にあたへて妻となさしめよ 001 GEN 034 013 ヤコブの子等シケムとその父ハモルに詭りて答へたり即ちシケムがその妹デナを汚したるによりて 001 GEN 034 014 彼等これに語りていひけるは我等この事を爲あたはず割禮をうけざる者にわれらの妹をあたふるあたはず是われらの恥辱なればなり 001 GEN 034 015 然ど斯せば我等汝らに允さん若し汝らの中の男子みな割禮をうけてわれらの如くならば 001 GEN 034 016 我等の女子を汝等にあたへ汝らの女子をわれらに娶り汝らと偕にをりて一の民とならん 001 GEN 034 017 汝等もし我等に聽ずして割禮をうけずば我等女子をとりて去べしと 001 GEN 034 018 彼等の言ハモルとハモルの子シケムの心にかなへり 001 GEN 034 019 此若き人ヤコブの女を愛するによりて其事をなすを遲せざりき彼はその父の家の中にて最も貴れたる者なり 001 GEN 034 020 ハモルとその子シケム乃ちその邑の門にいたり邑の人々に語りていひけるは 001 GEN 034 021 是人々は我等と睦し彼等をして此地に住て此に貿易をなさしめよ地は廣くして彼らを容るにたるなり我ら彼らの女を妻にめとり我らの女をかれらに與へん 001 GEN 034 022 若唯われらの中の男子みな彼らが割礼をうくるごとく割禮を受なば此人々われらに聽て我等と偕にをり一の民となるべし 001 GEN 034 023 然ばかれらの家畜と財産と其諸の畜は我等が所有となるにあらずや只かれらに聽んしからば彼らわれらとともにをるべしと 001 GEN 034 024 邑の門に出入する者みなハモルとその子シケムに聽したがひ邑の門に出入する男子皆割禮を受たり 001 GEN 034 025 斯て三日におよび彼等その痛をおぼゆる時ヤコブの子二人即ちデナの兄弟なるシメオンとレビ各劍をとり往て思よらざる時に邑を襲ひ男子を悉く殺し 001 GEN 034 026 利刄をもてハモルとその子シケムをころしシケムの家よりデナを携へいでたり 001 GEN 034 027 而してヤコブの子等ゆきて其殺されし者を剥ぎ其邑をかすめたり是彼等がその妹を汚したるによりてなり 001 GEN 034 028 またその羊と牛と驢馬およびその邑にある者と野にある者 001 GEN 034 029 並にその諸の貨財を奪ひその子女と妻等を悉く擄にし家の中なる物を悉く掠めたり 001 GEN 034 030 ヤコブ、シメオンとレビに言けるは汝等我を累はし我をして此國の人即ちカナン人とベリジ人の中に避嫌れしむ我は數すくなければ彼ら集りて我をせめ我をころさん然ば我とわが家滅さるべし 001 GEN 034 031 彼らいふ彼豈われらの妹を娼妓のごとくしてよからんや 001 GEN 035 001 茲に神ヤコブに言たまひけるは起てベテルにのぼりて彼處に居り汝が昔に兄エサウの面をさけて逃る時に汝にあらはれし神に彼處にて壇をきづけと 001 GEN 035 002 ヤコブ乃ちその家人および凡て己とともなる者にいふ汝等の中にある異神を棄て身を清めて衣服を易よ 001 GEN 035 003 我等起てベテルにのぼらん彼處にて我わが苦患の日に我に應へわが往ところの途にて我とともに在せし神に壇をきづくべし 001 GEN 035 004 是に於て彼等その手にある異神およびその耳にある耳環を盡くヤコブに與へしかばヤコブこれをシケムの邊なる橡樹の下に埋たり 001 GEN 035 005 斯て彼等いでたちしが神其四周の邑々をして懼れしめたまひければヤコブの子の後を追ふ者なかりき 001 GEN 035 006 ヤコブ及び之と共なる諸の人遂にカナンの地にあるルズに至る是即ちベテルなり 001 GEN 035 007 彼かしこに壇をきづき其處をエルベテルと名けたり是は兄の面をさけて逃る時に神此にて己にあらはれ給しによりてなり 001 GEN 035 008 時にリベカの乳媼デボラ死たれば之をベテルの下にて橡樹の下に葬れり是によりてその樹の名をアロンバクテ(哀哭の橡)といふ 001 GEN 035 009 ヤコブ、パダンアラムより歸りし時神復これにあらはれて之を祝したまふ 001 GEN 035 010 神かれに言たまはく汝の名はヤコブといふ汝の名は重てヤコブとよぶべからずイスラエルを汝の名となすべしとその名をイスラエルと稱たまふ 001 GEN 035 011 神また彼にいひたまふ我は全能の神なり生よ殖よ國民および多の國民汝よりいで又王等なんぢの腰よりいでん 001 GEN 035 012 わがアブラハムおよびイサクに與し地は我これを汝にあたへん我なんぢの後の子孫にその地をあたふべしと 001 GEN 035 013 神かれと言たまひし處より彼をはなれて昇りたまふ 001 GEN 035 014 是に於てヤコブ神の己と言いひたまひし處に柱すなはち石の柱を立て其上に酒を灌ぎまた其上に膏を沃げり 001 GEN 035 015 而してヤコブ神の己にものいひたまひし處の名をベテルとなづけたり 001 GEN 035 016 かくてヤコブ等ベテルよりいでたちしがエフラタに至るまでは尚路の隔ある處にてラケル産にのぞみその産おもかりき 001 GEN 035 017 彼難産にのぞめる時産婆之にいひけるは懼るなかれ汝また此男の子を得たり 001 GEN 035 018 彼死にのぞみてその魂さらんとする時その子の名をベノニ(吾苦痛の子)と呼たり然ど其父これをベニヤミン(右手の子)となづけたり 001 GEN 035 019 ラケル死てエフラタの途に葬らる是即ちベテレヘムなり 001 GEN 035 020 ヤコブその墓に柱を立たり是はラケルの墓の柱といひて今日まで在り 001 GEN 035 021 イスラエル復いでたちてエダルの塔の外にその天幕を張り 001 GEN 035 022 イスラエルかの地に住る時にルベン往て父の妾ビルハと寢たりイスラエルこれを聞く夫ヤコブの子は十二人なり 001 GEN 035 023 即ちレアの子はヤコブの長子ルベンおよびシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルンなり 001 GEN 035 024 ラケルの子はヨセフとベニヤミンなり 001 GEN 035 025 ラケルの仕女ビルハの子はダンとナフタリなり 001 GEN 035 026 レアの仕女ジルパの子はガドとアセルなり是等はヤコブの子にしてパダンアラムにて彼に生れたる者なり 001 GEN 035 027 ヤコブ、キリアテアルバのマムレにゆきてその父イサクに至れり是すなはちヘブロンなり彼處はアブラハムとイサクの寄寓しところなり 001 GEN 035 028 イサクの齡は百八十歳なりき 001 GEN 035 029 イサク老て年滿ち氣息たえ死にて其民にくははれりその子エサウとヤコブ之をはうむる 001 GEN 036 001 エサウの傳はかくのごとしエサウはすなはちエドムなり 001 GEN 036 002 エサウ、カナンの女の中より妻をめとれり即ちヘテ人エロンの女アダおよびヒビ人ヂベオンの女なるアナの女アホリバマ是なり 001 GEN 036 003 又イシマエルの女ネバヨテの妹バスマテをめとれり 001 GEN 036 004 アダはエリパズをエサウに生みバスマテはリウエルを生み 001 GEN 036 005 アホリバマはヱウシ、ヤラムおよびコラを生り是等はエサウの子にしてカナンの地に於て彼に生れたる者なり 001 GEN 036 006 エサウその妻と子女およびその家の諸の人並に家畜と諸の畜類およびそのカナンの地にて獲たる諸の物を挈へて弟ヤコブをはなれて他の地にゆけり 001 GEN 036 007 其は二人の富有多くして倶にをるあたはざればなり彼らが寄寓しところの地はかれらの家畜のためにかれらを容るをえざりき 001 GEN 036 008 是に於てエサウ、セイル山に住りエサウはすなはちエドムなり 001 GEN 036 009 セイル山にをりしエドミ人の先祖エサウの傳はかくのごとし 001 GEN 036 010 エサウの子の名は左のごとしエサウの妻アダの子はエリパズ、エサウの妻バスマテの子はリウエル 001 GEN 036 011 エリパズの子はテマン、オマル、ゼポ、ガタムおよびケナズなり 001 GEN 036 012 テムナはエサウの子エリパズの妾にしてアマレクをエリパズに生り是等はエサウの妻アダの子なり 001 GEN 036 013 リウエルの子は左の如しナハテ、ゼラ、シヤンマおよびミザ是等はエサウの妻バスマテの子なり 001 GEN 036 014 ヂベオンの女なるアナの女にしてエサウの妻なるアホリバマの子は左のごとし彼ヱウシ、ヤラムおよびコラをエサウに生り 001 GEN 036 015 エサウの子孫の侯たる者は左のごとしエサウの冢子エリパスの子にはテマン侯オマル侯ゼボ侯ケナズ侯 001 GEN 036 016 コラ侯ガタム侯アマレク侯是等はエリパズよりいでたる侯にしてエドムの地にありき是等はアダの子なり 001 GEN 036 017 エサウの子リウエルの子は左のごとしナハテ侯ゼラ侯シヤンマ侯ミザ侯是等はリウエルよりいでたる侯にしてエドムの地にありき是等はエサウの妻バスマテの子なり 001 GEN 036 018 エサウの妻アホリバマの子は左のごとしヱウシ侯ヤラム侯コラ侯是等はアナの女にしてエサウの妻なるアホリバマよりいでたる侯なり 001 GEN 036 019 是等はエサウすなはちエドムの子孫にしてその侯たる者なり 001 GEN 036 020 素より此地に住しホリ人セイルの子は左のごとしロタン、シヨバル 、ヂベオン、アナ 001 GEN 036 021 デシヨン、エゼル、デシヤン是等はセイルの子ホリ人の中の侯にしてエドムの地にあり 001 GEN 036 022 ロタンの子はホリ、ヘマムなりロタンの妹はテムナ 001 GEN 036 023 シヨバルの子は左のごとしアルワン、マナハテ、エバル、シボ、オナム 001 GEN 036 024 ヂベオンの子は左のごとし即ちアヤとアナ此アナその父ヂベオンの驢馬を牧をりし時曠野にて温泉を發見り 001 GEN 036 025 アナの子は左のごとしデシヨンおよびアホリバマ、アホリバマはアナの女なり 001 GEN 036 026 デシヨンの子は左のごとしヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン 001 GEN 036 027 エゼルの子は左のごとしビルハン、ザワン、ヤカン 001 GEN 036 028 デシヤンの子は左のごとしウズ、アラン 001 GEN 036 029 ホリ人の侯たる者は左のごとしロタン侯シヨバル侯ヂベオン侯アナ侯 001 GEN 036 030 デシヨン侯エゼル侯デシヤン侯是等はホリ人の侯にしてその所領にしたがひてセイルの地にあり 001 GEN 036 031 イスラエルの子孫を治むる王いまだあらざる前にエドムの地を治めたる王は左のごとし 001 GEN 036 032 ベオルの子ベラ、エドムに王たりその都の名はデナバといふ 001 GEN 036 033 ベラ薨てボヅラのゼラの子ヨバブ之にかはりて王となる 001 GEN 036 034 ヨバブ薨てテマン人の地のホシヤムこれにかはりて王となる 001 GEN 036 035 ホシヤム薨てベダデの子ハダデの子ハダこれに代て王となる彼モアブの野にてミデアン人を撃しことあり其邑の名はアビテといふ 001 GEN 036 036 ハダデ薨てマスレカのサムラこれにかはりて王となる 001 GEN 036 037 サラム薨て河の旁なるレホボテのサウル之にかはりて王となる 001 GEN 036 038 サウル薨てアクボルの子バアルハナンこれに代りて王となる 001 GEN 036 039 アクボルの子バアルハナン薨てハダル之にかはりて王となる其都の名はパウといふその妻の名はメヘタベルといひてマテレデの女なりマテレデはメザハブの女なり 001 GEN 036 040 エサウよりいでたる侯の名はその宗族と居處と名に循ひていへば左のごとしテムナ侯アルワ侯エテテ侯 001 GEN 036 041 アホリバマ侯エラ侯ピノン侯 001 GEN 036 042 ケナズ侯テマン侯ミブザル侯 001 GEN 036 043 マグデエル侯イラム侯是等はエドムの侯にして其領地の居處によりて言る者なりエドミ人の先祖はエサウ是なり 001 GEN 037 001 ヤコブはカナンの地に住り即ちその父が寄寓し地なり 001 GEN 037 002 ヤコブの傳は左のごとしヨセフ十七歳にしてその兄弟と偕に羊を牧ふヨセフは童子にしてその父の妻ビルハの子およびジルパの子と侶たりしが彼等の惡き事を父につぐ 001 GEN 037 003 ヨセフは老年子なるが故にイスラエルその諸の兄弟よりも深くこれを愛しこれがために綵る衣を製れり 001 GEN 037 004 その兄弟等父がその諸の兄弟よりも深く彼を愛するを見て彼を惡み穩和に彼にものいふことを得せざりき 001 GEN 037 005 茲にヨセフ夢をみてその兄弟に告ければ彼等愈これを惡めり 001 GEN 037 006 ヨセフ彼等にいひけるは請ふわが夢たる此夢を聽け 001 GEN 037 007 我等田の中に禾束をむすび居たるにわが禾束おき且立り而して汝等の禾束環りたちてわが禾束を拜せり 001 GEN 037 008 その兄弟等之にいひけるは汝眞にわれらの君となるや眞に我等ををさむるにいたるやとその夢とその言のために益これを惡めり 001 GEN 037 009 ヨセフ又一の夢をみて之をその兄弟に述ていひけるは我まら夢をみたるに日と月と十一の星われを拜せりと 001 GEN 037 010 則ちこれをその父と兄弟に述ければ父かれを戒めて彼にいふ汝が夢しこの夢は何ぞや我と汝の母となんぢの兄弟と實にゆきて地に鞠て汝を拜するにいたらんやと 001 GEN 037 011 斯しかばその兄弟かれを嫉めり然どその父はこの言をおぼえたり 001 GEN 037 012 茲にその兄弟等シケムにゆきて父の羊を牧ゐたりしかば 001 GEN 037 013 イスラエル、ヨセフにいひけるは汝の兄弟はシケムにて羊を牧をるにあらずや來れ汝を彼等につかはさんヨセフ父にいふ我ここにあり 001 GEN 037 014 父かれにいひけるは請ふ往て汝の兄弟と群の恙なきや否を見てかへりて我につげよと彼をヘブロンの谷より遣はしければ遂にシケムに至る。 001 GEN 037 015 或人かれに遇ふに彼野にさまよひをりしかば其人かれに問て汝何をたづぬるやといひければ 001 GEN 037 016 彼いふ我はわが兄弟等をたづぬ請ふかれらが羊をかひをる所をわれに告よ 001 GEN 037 017 その人いひけるは彼等は此をされり我かれらがドタンにゆかんといふを聞たりと是に於てヨセフその兄弟の後をおひゆきドタンにて之に遇ふ 001 GEN 037 018 ヨセフの彼等に近かざる前に彼ら之を遙に見てこれを殺さんと謀り 001 GEN 037 019 互にいひけるは視よ作夢者きたり 001 GEN 037 020 去來彼をころして阱に投いれ或惡き獸これを食たりと言ん而して彼の夢の如何になるかを觀るべし 001 GEN 037 021 ルベン聞てヨセフを彼等の手より拯ひださんとして言けるは我等これを殺すべからず 001 GEN 037 022 ルベンまた彼らにいひけるは血をながすなかれ之を曠野の此阱に投いれて手をこれにつくるなかれと是は之を彼等の手よりすくひだして父に歸んとてなりき 001 GEN 037 023 茲にヨセフ兄弟の許に到りければ彼等ヨセフの衣即ちその着たる綵る衣を褫ぎ 001 GEN 037 024 彼を執て阱に投いれたり阱は空にしてその中に水あらざりき 001 GEN 037 025 斯して彼等坐りてパンを食ひ目をあげて見しに一群のイシマエル人駱駝に香物と乳香と沒藥をおはせてエジプトにくだりゆかんとてギレアデより來る 001 GEN 037 026 ユダその兄弟にいひけるは我儕弟をころしてその血を匿すも何の益かあらん 001 GEN 037 027 去來彼をイシマエル人に賣ん彼は我等の兄弟われらの肉なればわれらの手をかれにつくべからずと兄弟等これを善とす 001 GEN 037 028 時にミデアンの商旅經過ければヨセフを阱よりひきあげ銀二十枚にてヨセフをイシマエル人に賣り彼等すなはちヨセフをエジプトにたづさへゆきぬ 001 GEN 037 029 茲にルベンかへりて阱にいたり見しにヨセフ阱にをらざりしかばその衣を裂き 001 GEN 037 030 兄弟の許にかへりて言ふ童子はをらず嗚呼我何處にゆくべきや 001 GEN 037 031 斯て彼等ヨセフの衣をとり牡山羊の羔をころしてその衣を血に濡し 001 GEN 037 032 その綵る衣を父におくり遣していひけるは我等これを得たりなんぢの子の衣なるや否を知れと 001 GEN 037 033 父これを知りていふわが子の衣なり惡き獸彼をくらへりヨセフはかならずさかれしならんと 001 GEN 037 034 ヤコブその衣を裂き麻布を腰にまとひ久しくその子のためになげけり 001 GEN 037 035 その子女みな起てかれを慰むれどもその慰謝をうけずして我は哀きつつ陰府にくだりて我子のもとにゆかんといふ斯その父かれのために哭ぬ 001 GEN 037 036 偖ミデアン人はエジプトにてパロの侍衞の長ポテパルにヨセフを賣り 001 GEN 038 001 當時ユダ兄弟をはなれて下りアドラム人名はヒラといふ者の近邊に天幕をはりしが 001 GEN 038 002 ユダかしこにてカナン人名はシュアといふ者の女子を見これを娶りてその所にいる 001 GEN 038 003 彼はらみて男子を生みければユダその名をエルとなづく 001 GEN 038 004 彼ふたたび孕みて男子を生みその名をオナンとなづけ 001 GEN 038 005 またかさねて孕みて男子を生みてその名をシラとなづく此子をうみける時ユダはクジブにありき 001 GEN 038 006 ユダその長子エルのために妻をむかふその名をタマルといふ 001 GEN 038 007 ユダの長子エル、ヱホバの前に惡をなしたればヱホバこれを死しめたまふ 001 GEN 038 008 茲にユダ、オナンにいひけるは汝の兄の妻の所にいりて之をめとり汝の兄をして子をえせしめよ 001 GEN 038 009 オナンその子の己のものとならざるを知たれば兄の妻の所にいりし時兄に子をえせしめざらんために地に洩したり 001 GEN 038 010 斯なせし事ヱホバの目に惡かりければヱホバ彼をも死しめたまふ 001 GEN 038 011 ユダその媳タマルにいひけるは嫠婦となりて汝の父の家にをりわが子シラの人となるを待てと恐らくはシラも亦その兄弟のごとく死るならんとおもひたればなりタマルすなはち往てその父の家にをる 001 GEN 038 012 日かさなりて後シュアの女ユダの妻死たりユダ慰をいれてその友アドラム人ヒラとともにテムナにのぼりその羊毛を剪る者の所にいたる 001 GEN 038 013 茲にタマルにつげて視よなんぢの舅はその羊の毛を剪んとてテムナにのぼるといふ者ありしかば 001 GEN 038 014 彼その嫠の服を脱すて被衣をもて身をおほひつつみテムナの途の側にあるエナイムの入口に坐す其はシラ人となりたれども己これが妻にせられざるを見たればなり 001 GEN 038 015 彼その面を蔽ひゐたりしかばユダこれを見て娼妓ならんとおもひ 001 GEN 038 016 途の側にて彼に就き請ふ來りて我をして汝の所にいらしめよといふ其はその子の妻なるをしらざればなり彼いひけるは汝何を我にあたへてわが所にいらんとするや 001 GEN 038 017 ユダいひけるは我群より山羊の羔をおくらん彼いふ汝其をおくるまで質をあたへんか 001 GEN 038 018 ユダ何の質をなんぢに與ふべきやといふに彼汝の印と綬と汝の手の杖をといひければ即ちこれを與へて彼の所にいりぬ彼ユダに由て姙めり 001 GEN 038 019 彼起て去りその被衣をぬぎすて嫠婦の服をまとふ 001 GEN 038 020 かくてユダ婦の手より質をとらんとてその友アドラム人の手に托して山羊の羔をおくりけるが彼婦を見ざれば 001 GEN 038 021 その處の人に問て途の側なるエナイムの娼妓は何處にをるやといふに此には娼妓なしといひければ 001 GEN 038 022 ユダの許にかへりていふ我彼を見いださず亦その處の人此には娼妓なしといへりと 001 GEN 038 023 ユダいひけるは彼にとらせおけ恐くはわれら笑抦とならん我この山羊の羔をおくりたるに汝かれを見ざるなりと 001 GEN 038 024 三月ばかりありて後ユダに告る者ありていふ汝の媳タマル姦淫をなせり亦その姦淫によりて妊めりユダいひけるは彼を曵いだして焚べし 001 GEN 038 025 彼ひきいだされし時その舅にいひつかはしけるは是をもてる人によりて我は妊りと彼すなはち請ふこの印と綬と杖は誰の所屬なるかを辨別よといふ 001 GEN 038 026 ユダこれを見識ていひけるは彼は我よりも正しわれ彼をわが子わがシラにあたへざりしによりてなりと再びこれを知らざりき 001 GEN 038 027 かくて産の時にいたりて見るにその胎に孿あり 001 GEN 038 028 その産時手出しかば産婆是首にいづといひて絳き線をとりてその手にしばりしが 001 GEN 038 029 手を引こむるにあたりて兄弟いでたれば汝なんぞ圻いづるやその圻汝に歸せんといへり故にその名はペレヅ(圻)と稱る 001 GEN 038 030 その兄弟手に絳線のある者後にいづその名はゼラとよばる 001 GEN 039 001 ヨセフ挈へられてエジプトにくだりしがエジプト人ポテパル、パロの臣侍衞の長なる者彼を其處にたづさへくだれるイシマエル人の手よりこれを買ふ 001 GEN 039 002 ヱホバ、ヨセフとともに在す彼享通者となりてその主人なるエジプト人の家にをる 001 GEN 039 003 その主人ヱホバの彼とともにいますを見またヱホバがかれの手の凡てなすところを享通しめたまふを見たり 001 GEN 039 004 是によりてヨセフ彼の心にかなひて其近侍となる彼ヨセフにその家を宰どらしめその所有を盡くその手に委たり 001 GEN 039 005 彼ヨセフにその家とその有る凡の物をつかさどらせし時よりしてヱホバ、ヨセフのために其エジプト人の家を祝みたまふ即ちヱホバの祝福かれが家と田に有る凡の物におよぶ 001 GEN 039 006 彼その有る物をことごとくヨセフの手にゆだねその食ふパンの外は何もかへりみざりき夫ヨセフは容貌麗しくして顏美しかりき 001 GEN 039 007 これらの事の後その主人の妻ヨセフに目をつけて我と寢よといふ 001 GEN 039 008 ヨセフ拒みて主人の妻にいひけるは視よわが主人の家の中の物をかへりみずその有るものことごとくわが手に委ぬ 001 GEN 039 009 この家には我より大なるものなし又主人何をも我に禁ぜず只汝を除くのみ汝はその妻なればなり然ば我いかで此おほいなる惡をなして神に罪ををかすをえんや 001 GEN 039 010 彼日々にヨセフに言よりたれどもヨセフきかずして之といねず亦與にをらざりき 001 GEN 039 011 當時ヨセフその職をなさんとて家にいりしが家の人一箇もその内にをらざりき 001 GEN 039 012 時に彼婦その衣を執て我といねよといひければヨセフ衣を彼の手に棄おきて外に遁いでたり 001 GEN 039 013 彼ヨセフがその衣を己の手に棄おきて遁いでしを見て 001 GEN 039 014 その家の人々を呼てこれにいふ視よヘブル人を我等の所につれ來りて我等にたはむれしむ彼我といねんとて我の所にいり來りしかば我大聲によばはれり 001 GEN 039 015 彼わが聲をあげて呼はるを聞しかばその衣をわが許にすておきて外に遁いでたりと 001 GEN 039 016 其衣を傍に置て主人の家に歸るを待つ 001 GEN 039 017 かくて彼是言のごとく主人につげていふ汝が我らに携へきたりしヘブルの僕われにたはむれんとて我許にいりきたりしが 001 GEN 039 018 我聲をあげてよばはりしかばその衣を我許にすておきて遁いでたり 001 GEN 039 019 主人その妻が己につげて汝の僕斯のごとく我になせりといふ言を聞て怒を發せり 001 GEN 039 020 是に於てヨセフの主人彼を執へて獄にいる其獄は王の囚徒を繋ぐ所なりヨセフ彼處にて獄にをりしが 001 GEN 039 021 ヱホバ、ヨセフとともに在して之に仁慈を加へ典獄の恩顧をこれにえさせたまひければ 001 GEN 039 022 典獄獄にある囚人をことごとくヨセフの手に付せたり其處になす所の事は皆ヨセフこれをなすなり 001 GEN 039 023 典獄そのまかせたる所の事は何をもかへりみざりき其はヱホバ、ヨセフとともにいませばなりヱホバかれのなすところをさかえしめたまふ 001 GEN 040 001 これらの事の後エジプト王の酒人と膳夫その主エジプト王に罪ををかす 001 GEN 040 002 パロその二人の臣すなはち酒人の長と膳夫の長を怒りて 001 GEN 040 003 之を侍衞の長の家の中なる獄に幽囚ふヨセフが繋れをる所なり 001 GEN 040 004 侍衞の長ヨセフをして彼等の側に侍しめたればヨセフ之につかふ彼等幽囚れて日を經たり 001 GEN 040 005 茲に獄に繋れたるエジプト王の酒人と膳夫の二人ともに一夜の中に各夢を見たりその夢はおのおんおのその解明にかなふ 001 GEN 040 006 ヨセフ朝に及びて彼等の所に入て視るに彼等物憂に見ゆ 001 GEN 040 007 是に於てヨセフその主人の家に己とともに幽囚をるパロの臣に問て汝等なにゆゑに今日は顏色あやしきやといふに 001 GEN 040 008 彼等これにいふ我等夢を見たれど之を解く者なしとヨセフ彼等にいひけるは解く事は神によるにあらずや請ふ我に述よ 001 GEN 040 009 酒人の長その夢をヨセフに述て之にいふ我夢の中に見しにわが前に一の葡萄樹あり 001 GEN 040 010 その樹に三の枝あり芽いで花ひらきて葡萄なり球をなして熟たるがごとくなりき 001 GEN 040 011 時にパロの爵わが手にあり我葡萄を摘てこれをパロの爵に搾りその爵をパロの手に奉たり 001 GEN 040 012 ヨセフ彼にいひけるはその解明は是のごとし三の枝は三日なり 001 GEN 040 013 今より三日の中にパロなんぢの首を擧げ汝を故の所にかへさん汝は曩に酒人たりし時になせし如くパロの爵をその手に奉ぐるにいたらん 001 GEN 040 014 然ば請ふ汝善ならん時に我をおもひて我に恩惠をほどこし吾事をパロにのべてこの家よりわれを出せ 001 GEN 040 015 我はまことにヘブル人の地より掠れ來しものなればなりまた此にても我は牢にいれらるるがごとき事はなさざりしなり 001 GEN 040 016 茲に膳夫の長その解明の善りしを見てヨセフにいふ我も夢を得て見たるに白きパン三筐わが首にありて 001 GEN 040 017 その上の筐には膳夫がパロのために作りたる各種の饌ありしが鳥わが首の筐の中より之をくらへり 001 GEN 040 018 ヨセフこたへていひけるはその解明はかくのごとし三の筐は三日なり 001 GEN 040 019 今より三日の中にパロ汝の首を擧はなして汝を木に懸んしかして鳥汝の肉をくらひとるべしと 001 GEN 040 020 第三日はパロの誕辰なればパロその諸の臣僕に筵席をなし酒人の長と膳夫の長をして首をその臣僕の中に擧しむ 001 GEN 040 021 即ちパロ酒人の長をその職にかへしければ彼爵をパロの手に奉たり 001 GEN 040 022 されど膳夫の長は木に懸らるヨセフの彼等に解明せるがごとし 001 GEN 040 023 然るに酒人の長ヨセフをおぼえずして之を忘れたり 001 GEN 041 001 二年の後パロ夢ることあり即ち河の濱にたちて 001 GEN 041 002 視るに七の美しき肥たる牝牛河よりのぼりて葦を食ふ 001 GEN 041 003 その後また七の醜き痩たる牛河よりのぼり河の畔にて彼牛の側にたちしが 001 GEN 041 004 その醜き痩たる牛かの美しき肥たる七の牛を食ひつくせりパロ是にいたりて寤む 001 GEN 041 005 彼また寢て再び夢るに一の莖に七の肥たる佳き穗いできたる 001 GEN 041 006 其のちに又しなびて東風に燒たる七の穗いできたりしが 001 GEN 041 007 その七のしなびたる穗かの七の肥實りたる穗を呑盡せりパロ寤て見に夢なりき 001 GEN 041 008 パロ朝におよびてその心安からず人をつかはしてエジプトの法術士とその博士を皆ことごとく召し之にその夢を述たり然ど之をパロに解うる者なかりき 001 GEN 041 009 時に酒人の長パロに告ていふ我今日わが過をおもひいづ 001 GEN 041 010 嘗てパロその僕を怒て我と膳夫の長を侍衞の長の家に幽囚へたまひし時 001 GEN 041 011 我と彼ともに一夜のうちに夢み各その解明にかなふ夢をみたりしが 001 GEN 041 012 彼處に侍衞の長の僕なる若きヘブル人我らと偕にあり我等これにのべたれば彼われらの夢を解その夢にしたがひて各人に解明をなせり 001 GEN 041 013 しかして其事かれが解たるごとくなりて我はわが職にかへり彼は木に懸らる 001 GEN 041 014 是に於てパロ人をやりてヨセフを召しければ急ぎてこれを獄より出せりヨセフすなはち髭を薙り衣をかへてパロの許にいり來る 001 GEN 041 015 パロ、ヨセフにいひけるは我夢をみたれど之をとく者なし聞に汝は夢をききて之を解くことをうると云ふ 001 GEN 041 016 ヨセフ、パロにこたへていひけるは我によるにあらず神パロの平安を告たまはん 001 GEN 041 017 パロ、ヨセフにいふ我夢に河の岸にたちて見るに 001 GEN 041 018 河より七の肥たる美しき牝牛のぼりて葦を食ふ 001 GEN 041 019 後また弱く甚だ醜き瘠たる七の牝牛のぼりきたる其惡き事エジプト全國にわが未だ見ざるほどなり 001 GEN 041 020 その瘠たる醜き牛初の七の肥たる牛を食ひつくしたりしが 001 GEN 041 021 已に腹にいりても其腹にいりし事しれず尚前のごとく醜かりき我是にいたりて寤めたり 001 GEN 041 022 我また夢に見るに七の實たる佳き穗一の莖にいできたる 001 GEN 041 023 その後にまたいぢけ萎びて東風にやけたる七の穗生じたりしが 001 GEN 041 024 そのしなびたる穗かの七の佳穗を呑つくせり我これを法術士に告たれどもわれにこれをしめすものなし 001 GEN 041 025 ヨセフ、パロにいひけるはパロの夢は一なり神その爲んとする所をパロに示したまへるなり 001 GEN 041 026 七の美牝牛は七年七の佳穗も七年にして夢は一なり 001 GEN 041 027 其後にのぼりし七の瘠たる醜き牛は七年にしてその東風にやけたる七の空穗は七年の饑饉なり 001 GEN 041 028 是はわがパロに申すところなり神そのなさんとするところをパロにしめしたまふ 001 GEN 041 029 エジプトの全地に七年の大なる豐年あるべし 001 GEN 041 030 その後に七年の凶年おこらん而してエジプトの地にありし豐作を皆忘るにいたるべし饑饉國を滅さん 001 GEN 041 031 後にいたるその饑饉はなはだはげしきにより前の豐作國の中に知れざるにいたらん 001 GEN 041 032 パロのふたたび夢をかさね見たまひしは神がこの事をさだめて速かに之をなさんとしたまふなり 001 GEN 041 033 さればパロ慧く賢き人をえらみて之にエジプトの國を治めしめたまふべし 001 GEN 041 034 パロこれをなし國中に官吏を置てその七年の豐年の中にエジプトの國の五分の一を取たまふべし 001 GEN 041 035 而して其官吏をして來らんとするその善き年の諸の糧食を斂めてその穀物をパロの手に蓄へしめ糧食を邑々にかこはしめたまふべし 001 GEN 041 036 その糧食を國のために畜藏へおきてエジプトの國にのぞむ七年の饑饉に備へ國をして饑饉のために滅ざらしむべし 001 GEN 041 037 パロとその諸の臣僕此事を善とす 001 GEN 041 038 是に於てパロその臣僕にいふ我等神の靈のやどれる是のごとき人を看いだすをえんやと 001 GEN 041 039 しかしてパロ、ヨセフにいひけるは神是を盡く汝にしめしたまひたれば汝のごとく慧く賢き者なかるべし 001 GEN 041 040 汝わが家を宰るべしわが民みな汝の口にしたがはん唯位においてのみ我は汝より大なるべし 001 GEN 041 041 パロ、ヨセフにいひけるは視よ我汝をエジプト全國の冢宰となすと 001 GEN 041 042 パロすなはち指環をその手より脱して之をヨセフの手にはめ之を白布を衣せ金の索をその項にかけ 001 GEN 041 043 之をして己のもてる次の輅に乗らしめ下にゐよと其前に呼しむ是彼をエジプト全國の冢宰となせり 001 GEN 041 044 パロ、ヨセフにいひけるは我はパロなりエジプト全國に汝の允准をえずして手足をあぐる者なかるべしと 001 GEN 041 045 パロ、ヨセフの名をザフナテパネアと名けまたオンの祭司ポテパルの女アセナテを之にあたへて妻となさしむヨセフいでてエジプトの地をめぐる 001 GEN 041 046 ヨセフはエジプトの王パロのまへに立し時三十歳なりきヨセフ、パロのまへを出て遍くエジプトの地を巡れり 001 GEN 041 047 七年の豐年の中に地山なして物を生ず 001 GEN 041 048 ヨセフすなはちエジプトの地にありしその七年の糧食を斂めてその糧食を邑々に藏む即ち邑の周圍の田圃の糧食を其邑の中に藏む 001 GEN 041 049 ヨセフ海隅の沙のごとく甚だ多く穀物を儲へ遂に數ふることをやむるに至る其は數かぎり無ればなり 001 GEN 041 050 饑饉の歳のいたらざる前にヨセフに二人の子うまる是はオンの祭司ポテパルの女アセナテの生たる者なり 001 GEN 041 051 ヨセフその冢子の名をマナセ(忘)となづけて言ふ神我をしてわが諸の苦難とわが父の家の凡の事をわすれしめたまふと 001 GEN 041 052 又次の子の名をエフライム(多く生る)となづけていふ神われをしてわが艱難の地にて多くの子をえせしめたまふと 001 GEN 041 053 爰にエジプトの國の七年の豐年をはり 001 GEN 041 054 ヨセフの言しごとく七年の凶年きたりはじむその饑饉は諸の國にあり然どエジプト全國には食物ありき 001 GEN 041 055 エジプト全國饑ゑし時民さけびてパロに食物を乞ふパロ、エジプトの諸の人にいひけるはヨセフに往け彼が汝等にいふところをなせと 001 GEN 041 056 饑饉全地の面にありヨセフすなはち諸の倉廩をひらきてエジプト人に賣わたせり饑饉ますますエジプトの國にはげしくなる 001 GEN 041 057 饑饉諸の國にはげしくなりしかば諸國の人エジプトにきたりヨセフにいたりて穀物を買ふ 001 GEN 042 001 ヤコブ、エジプトに穀物あるを見しかばその子等にいひけるは汝等なんぞたがひに面を見あはするや 001 GEN 042 002 ヤコブまたいふ我エジプトに穀物ありと聞り彼處にくだりて彼處より我等のために買きたれ然らばわれら生るを得て死をまぬかれんと 001 GEN 042 003 ヨセフの十人の兄弟エジプトにて穀物をかはんとて下りゆけり 001 GEN 042 004 されどヨセフの弟ベニヤミンはヤコブこれをその兄弟とともに遣さざりきおそらくは災難かれの身にのぞむことあらんと思たればなり 001 GEN 042 005 イスラエルの子等穀物を買んとて來る者とともに來る其はカナンの地に饑饉ありたればなり 001 GEN 042 006 時にヨセフは國の總督にして國の凡の人に賣ことをなせりヨセフの兄弟等來りてその前に地に伏て拜す 001 GEN 042 007 ヨセフその兄弟を見てこれを知たれども知ざる者のごとくして荒々しく之にものいふ即ち彼等に汝等は何處より來れるやといへば彼等いふ糧食を買んためにカナンの地より來れりと 001 GEN 042 008 ヨセフはその兄弟をしりたれども彼等はヨセフをしらざりき 001 GEN 042 009 ヨセフその昔に彼等の事を夢たる夢をを憶いだし彼等に言けるは汝等は間者にして此國の隙を窺はんとて來れるなり 001 GEN 042 010 彼等之にいひけるはわが主よ然らず唯糧食をかはんとて僕等は來れるなり 001 GEN 042 011 我等はみな一箇の人の子にして篤實なる者なり僕等は間者にあらず 001 GEN 042 012 ヨセフ彼等にいひけるは否汝等は此地の隙を窺はんとて來れるなり 001 GEN 042 013 彼等いひけるは僕等は十二人の兄弟にしてカナンの地の一箇の人の子なり季子は今日父とともにをる又一人はをらずなりぬ 001 GEN 042 014 ヨセフかれらにいひけるはわが汝等につげて汝等は間者なりといひしはこの事なり 001 GEN 042 015 汝等斯してその眞實をあかすべしパロの生命をさして誓ふ汝等の末弟ここに來るにあらざれば汝等は此をいづるをえじ 001 GEN 042 016 汝等の一人をやりて汝等の弟をつれきたらしめよ汝等をば繋ぎおきて汝等の言をためし汝らの中に眞實あるや否をみんパロの生命をさして誓ふ汝等はかならず間者なりと 001 GEN 042 017 彼等を皆ともに三日のあひだ幽囚おけり 001 GEN 042 018 三日におよびてヨセフ彼等にいひけるは我神を畏る汝等是なして生命をえよ 001 GEN 042 019 汝等もし篤實なる者ならば汝らの兄弟の一人をしてこの獄に繋がれしめ汝等は穀物をたづさへゆきてなんぢらの家々の饑をすくへ 001 GEN 042 020 但し汝らの末弟を我につれきたるべしさすればなんぢらの言の眞實あらはれて汝等死をまぬかるべし彼等すなはち斯なせり 001 GEN 042 021 茲に彼らたがひに言けるは我等は弟の事によりて信に罪あり彼等は彼が我らに只管にねがひし時にその心の苦を見ながら之を聽ざりき故にこの苦われらにのぞめるなり 001 GEN 042 022 ルベンかれらに對ていひけるは我なんぢらにいひて童子に罪ををかすなかれといひしにあらずや然るに汝等きかざりき是故に視よ亦彼の血をながせし罪をたださると 001 GEN 042 023 彼等はヨセフが之を解するをしらざりき其は互に通辨をもちひたればなり 001 GEN 042 024 ヨセフ彼等を離れゆきて哭き復かれらにかへりて之とかたり遂にシメオンを彼らの中より取りその目のまへにて之を縛れり 001 GEN 042 025 而してヨセフ命じてその器に穀物をみたしめ其人々の金を嚢に返さしめ又途の食を之にあたへしむヨセフ斯かれらになせり 001 GEN 042 026 彼等すなはち穀物を驢馬におはせて其處をさりしが 001 GEN 042 027 其一人旅邸にて驢馬に糧を與んとて嚢をひらき其金を見たり其は嚢の口にありければなり 001 GEN 042 028 彼その兄弟にいひけるは吾金は返してあり視よ嚢の中にありと是において彼等膽を消し懼れてたがひに神の我らになしたまふ此事は何ぞやといへり 001 GEN 042 029 かくて彼等カナンの地にかへりて父ヤコブの所にいたり其身にありし事等を悉く之につげていひけるは 001 GEN 042 030 彼國の主荒々しく我等にものいひ我らをもて國を偵ふ者となせり 001 GEN 042 031 我ら彼にいふ我等は篤實なる者なり間者にあらず 001 GEN 042 032 我らは十二人の兄弟にして同じ父の子なり一人はをらずなり季のは今日父とともにカナンの地にありと 001 GEN 042 033 國の主なるその人われらにいひけるは我かくして汝等の篤實なるをしらん汝等の兄弟の一人を吾もとにのこし糧食をたづさへゆきて汝らの家々の饑をすくへ 001 GEN 042 034 しかして汝らの季の弟をわが許につれきたれ然れば我なんぢらが間者にあらずして篤實なる者たるをしらん我なんぢらの兄弟を汝等に返し汝等をしてこの國にて交易をなさしむべしと 001 GEN 042 035 茲に彼等その嚢を傾たるに視よ各人の金包その嚢のなかにあり彼等とその父金包を見ておそれたり 001 GEN 042 036 その父ヤコブ彼等にいひけるは汝等は我をして子を喪はしむヨセフはをらずなりシメオンもをらずなりたるにまたベニヤミンを取んとす是みなわが身にかかるなり 001 GEN 042 037 ルベン父に告ていふ我もし彼を汝につれかへらずば吾ふたりの子を殺せ彼をわが手にわたせ我之をなんぢにつれかへらん 001 GEN 042 038 ヤコブいひけるはわが子はなんぢらとともに下るべからず彼の兄は死て彼ひとり遺たればなり若なんぢらが行ところの途にて災難かれの身におよばば汝等はわが白髮をして悲みて墓にくだらしむるにいたらん 001 GEN 043 001 饑饉その地にはげしかりき 001 GEN 043 002 茲に彼等エジプトよりもちきたりし穀物を食つくせし時父かられらに再びゆきて少許の糧食を買きたれといひければ 001 GEN 043 003 ユダ父にかたりていひけるは彼人かたく我等をいましめていふ汝らの弟汝らとともにあるにあらざれば汝らはわが面をみるべからずと 001 GEN 043 004 汝もし弟をわれらとともに遣さば我等下て汝のために糧食を買ふべし 001 GEN 043 005 されど汝もし彼をつかはさずば我等くだらざるべし其はかの人われらにむかひ汝等の弟なんぢらとともにあるにあらざれば汝ら吾面をみるべからずといひたればなりと 001 GEN 043 006 イスラエルいひけるは汝等なにゆゑに汝等に尚弟のあることを彼人につげて我を惡くなすや 001 GEN 043 007 彼等いふ其人われらの模樣とわれらの親族を問ただして汝らの父は尚生存へをるや汝等は弟をもつやといひしにより其言の條々にしたがひて彼につげたるなり我等いかでか彼が汝等の弟をつれくだれといふならんとしるをえん 001 GEN 043 008 ユダ父イスラエルにいひけるは童子をわれとともに遣はせ我等たちて往ん然らば我儕と汝およびわれらの子女生ることを得て死をまぬかるべし 001 GEN 043 009 我彼の身を保はん汝わが手にかれを問へ我もし彼を汝につれかへりて汝のまへに置ずば我永遠に罪をおはん 001 GEN 043 010 我儕もし濡滯ことなかりしならば必ずすでにゆきて再びかへりしならん 001 GEN 043 011 父イスラエル彼等にいひけるは然ば斯なせ汝等國の名物を器にいれ携へくだりて彼人に禮物とせよ乳香少許、蜜少許、香物、沒藥、胡桃および巴旦杏 001 GEN 043 012 又手に一倍の金を取りゆけ汝等の嚢の口に返してありし彼金を再び手にたづさへ行べし恐くは差謬にてありしならん 001 GEN 043 013 且また汝らの弟を挈へ起てふたたたび其人の所にゆけ 001 GEN 043 014 ねがはくは全能の神その人のまへにて汝等を矜恤みその人をして汝等の他の兄弟とベニヤミンを放ちかへさしめたまはんことを若われ子に別るべくあらば別れんと 001 GEN 043 015 是に於てかの人々その禮物を執り一倍の金を手に執りベニヤミンを携へて起てエジプトにくだりヨセフの前に立つ 001 GEN 043 016 ヨセフ、ベニヤミンの彼らと偕なるを見てその家宰にいひけるはこの人々を家に導き畜を屠りて備へよこの人々卓午に我とともに食をなすべければなり 001 GEN 043 017 其人ヨセフのいひしごとくなし其人この人々をヨセフの家に導けり 001 GEN 043 018 人々ヨセフの家に導かれたるによりて懼れいひけるは初めにわれらの嚢にかへりてありし金の事のために我等はひきいれらる是われらを抑留へて我等にせまり執へて奴隸となし且われらの驢馬を取んとするなりと 001 GEN 043 019 彼等すなはちヨセフの家宰に進みよりて家の入口にて之にかたりて 001 GEN 043 020 いひけるは主よ我等實に最初くだりて糧食を買たり 001 GEN 043 021 しかるに我等旅邸に至りて嚢を啓き見るに各人の金その嚢の口にありて其金の量全かりし然ば我等これを手にもちかへれり 001 GEN 043 022 又糧食を買ふ他の金をも手にもちくだる我等の金を嚢にいれたる者は誰なるかわれらは知ざるなり 001 GEN 043 023 彼いひけるは汝ら安ぜよ懼るなかれ汝らの神汝らの父の神財寶を汝等の嚢におきて汝らに賜ひしなり汝らの金は我にとどけりと遂にシメオンを彼等の所にたづさへいだせり 001 GEN 043 024 かくて其人この人々をヨセフの家に導き水をあたへてその足を濯はしめ又その驢馬に飼草をあたふ 001 GEN 043 025 彼等其處にて食をなすなりと聞しかば禮物を調へてヨセフの日午に來るをまつ 001 GEN 043 026 茲にヨセフ家にかへりしかば彼等その手の禮物を家にもちきたりてヨセフの許にいたり地に伏てこれを拜す 001 GEN 043 027 ヨセフかれらの安否をとふていふ汝等の父汝らが初にかたりしその老人は恙なきや尚いきながらへをるや 001 GEN 043 028 彼等こたへてわれらの父汝の僕は恙なくしてなほ生ながらへをるといひ身をかがめ禮をなす 001 GEN 043 029 ヨセフ目をあげてその母の子なる己の弟ベニヤミンを見ていひけるは是は汝らが初に我にかたりし汝らの若き兄弟なるや又いふわが子よ願はくは神汝をめぐみたまはんことをと 001 GEN 043 030 ヨセフその弟のために心焚るがごとくなりしかば急ぎてその泣べきところを尋ね室にいりて其處に泣り 001 GEN 043 031 而して面をあらひて出で自から抑へて食をそなへよといふ 001 GEN 043 032 すなはちヨセフはヨセフ彼等は彼等陪食するエジプト人はエジプト人と別々に之を供ふ是はエジプト人ヘブル人と共に食することをえざるによる其事エジプト人の穢はしとするところなればなり 001 GEN 043 033 かくて彼等ヨセフの前に坐るに長子をばその長たるにしたがひて坐らせ若き者をばその幼少にしたがひてすわらせければその人々駭きあへり 001 GEN 043 034 ヨセフ己の前より皿を彼等に供ふベニヤミンの皿は他の人のよりも五倍おほかりきかれら飮てヨセフとともに樂めり 001 GEN 044 001 茲にヨセフその家宰に命じていふこの人々の嚢にその負うるほど糧食を充せ各人の金をその嚢の口に置れ 001 GEN 044 002 またわが杯すなはち銀の杯を彼の少き者の嚢の口に置てその穀物の金子とともにあらしめよと彼がヨセフがいひし言のごとくなせり 001 GEN 044 003 かくて夜のあくるにおよびてその人々と驢馬をかへしけるが 001 GEN 044 004 かれら城邑をいでてなほ程とほからぬにヨセフ家宰にいひけるは起てかの人々の後を追ひおひつきし時之にいふべし汝らなんぞ惡をもて善にむくゆるや 001 GEN 044 005 其はわが主がもちひて飮み又用ひて常に卜ふ者にあらずや汝らかくなすは惡しと 001 GEN 044 006 是に於て家宰かれらにおひつきてこの言をかれらにいひければ 001 GEN 044 007 かれら之にいふ主なにゆゑに是事をいひたまふや僕等きはめてこの事をなさず 001 GEN 044 008 視よ我らの嚢の口にありし金はカナンの地より汝の所にもちかへれり然ば我等いかで汝の主の家より金銀をぬすまんや 001 GEN 044 009 僕等の中誰の手に見あたるも其者は死べし我等またわが主の奴隸となるべし 001 GEN 044 010 彼いひけるはさらば汝らの言のごとくせん其の見あたりし者はわが奴隸となるべし汝等は咎なしと 001 GEN 044 011 是において彼等急ぎて各その嚢を地におろし各その嚢をひらきしかば 001 GEN 044 012 彼すなはち索し長者よりはじめて少者にをはるに杯はベニヤミンの嚢にありき 001 GEN 044 013 斯有しかば彼等その衣を裂きおのおのその驢馬に荷を負せて邑にかへる 001 GEN 044 014 しかしてユダとその兄弟等ヨセフの家にいたるにヨセフなほ其處にをりしかばその前に地に伏す 001 GEN 044 015 ヨセフかれらにいひけるは汝等がなしたるこの事は何ぞや我のごとき人は善く卜ひうる者なるをしらざるや 001 GEN 044 016 ユダいひけるは我等主に何をいはんや何をのべんや如何にしてわれらの正直をあらはさんや神僕等の罪を摘發したまへり然ば我等およびこの杯の見あたりし者倶に主の奴隸となるべし 001 GEN 044 017 ヨセフいひけるはきはめて然せじ杯の手に見あたりし人はわが奴隸となるべし汝等は安然に父にかへりのぼるべし 001 GEN 044 018 時にユダかれに近よりていひけるはわが主よ請ふ僕をして主の耳に一言いふをえせしめよ僕にむかひて怒を發したまふなかれ汝はパロのごとくにいますなり 001 GEN 044 019 昔にわが主僕等に問て汝等は父あるや弟あるやといひたまひしかば 001 GEN 044 020 我等主にいへり我等にわが父あり老人なり又その老年子なる少者ありその兄は死てその母の遺せるは只是のみ故に父これを愛すと 001 GEN 044 021 汝また僕等にいひたまはく彼を我許につれくだり我をして之に目をつくることをえせしめよと 001 GEN 044 022 われら主にいへり童子父を離るをえず若父をはなるるならば父死べしと 001 GEN 044 023 汝また僕等にいひたまはく汝らの季の弟汝等とともに下るにあらざれば汝等ふたたたびわが面を見るべからずと 001 GEN 044 024 我等すなはちなんぢの僕わが父の所にかへりのぼりて主の言をこれに告たり 001 GEN 044 025 我らの父再びゆきて少許の糧食を買きたれといひければ 001 GEN 044 026 我らいふ我らくだりゆくことをえずわれらの季の弟われらと共にあらば下りゆくべし其は季の弟われらと共にあるにあらざれば彼人の面をみるをえざればなりと 001 GEN 044 027 なんぢの僕わが父われらにいふ汝らのしるごとく吾妻われに二人を生しが 001 GEN 044 028 その一人出てわれをはなれたれば必ず裂ころされしならんと思へり我今にいたるまで彼を見ず 001 GEN 044 029 なんぢら是をも我側より取ゆかんに若災害是の身におよぶあらば遂にわが白髮をして悲みて墓にくだらしむるにいたらんと 001 GEN 044 030 抑父の生命と童子の生命とは相結びてあれば我なんぢの僕わが父に歸りいたらん時に童子もしわれらと共に在ずば如何ぞや 001 GEN 044 031 父童子の在ざるを見ば死るにいたらん然れば僕等なんぢの僕われらの父の白髮をして悲みて墓にくだらしむるなり 001 GEN 044 032 僕わが父に童子の事を保ひて我もし是を汝につれかへらずば永久に罪を父に負んといへり 001 GEN 044 033 されば請ふ僕をして童子にかはりをりて主の奴隸とならしめ童子をしてその兄弟とともに歸りのぼらしめたまへ 001 GEN 044 034 我いかでか童子を伴はずして父の許に上りゆくべけん恐くは災害の父におよぶを見ん 001 GEN 045 001 茲にヨセフその側にたてる人々のまへに自ら禁ぶあたはざるに至りければ人皆われを離ていでよと呼はれり是をもてヨセフが己を兄弟にあかしたる時一人も之とともにたつものなかりき 001 GEN 045 002 ヨセフ聲をあげて泣りエジプト人これを聞きパロの家またこれを聞く 001 GEN 045 003 ヨセフすなはちその兄弟にいひけるは我はヨセフなりわが父はなほ生ながらへをるやと兄弟等その前に愕き懼れて之にこたふるをえざりき 001 GEN 045 004 ヨセフ兄弟にいひけるは請ふ我にちかよれとかれらすなはち近よりければ言ふ我はなんぢらの弟ヨセフなんぢらがエジプトにうりたる者なり 001 GEN 045 005 されど汝等我をここに賣しをもて憂ふるなかれ身を恨るなかれ神生命をすくはしめんとて我を汝等の前につかはしたまへるなり 001 GEN 045 006 この二年のあひだ饑饉國の中にありしが尚五年の間耕すことも穫こともなかるべし 001 GEN 045 007 神汝等の後を地につたへんため又大なる救をもて汝らの生命を救はんために我を汝等の前に遣したまへり 001 GEN 045 008 然ば我を此につかはしたる者は汝等にはあらず神なり神われをもてパロの父となしその全家の主となしエジプト全國の宰となしたまへり 001 GEN 045 009 汝等いそぎ父の許にのぼりゆきて之にいへ汝の子ヨセフかく言ふ神われをエジプト全國の主となしたまへりわが所にくだれ遲疑なかれ 001 GEN 045 010 汝ゴセンの地に住べし斯汝と汝の子と汝の子の子およびなんぢの羊と牛並に汝のすべて有ところの者われの近方にあるべし 001 GEN 045 011 なほ五年の饑饉あるにより我其處にてなんぢを養はん恐くは汝となんぢの家族およびなんぢの凡て有ところの者匱乏ならん 001 GEN 045 012 汝等の目とわが弟ベニヤミンの目の視るごとく汝等にこれをいふ者はわが口なり 001 GEN 045 013 汝等わがエジプトにて亨る顯榮となんぢらが見たる所とを皆悉く父につげよ汝ら急ぎて父を此にみちびき下るべし 001 GEN 045 014 而してヨセフその弟ベニヤミンの頸を抱へて哭にベニヤミンもヨセフの頸をかかへて哭く 001 GEN 045 015 ヨセフ亦その諸の兄弟に接吻し之をいだきて哭く是のち兄弟等ヨセフと言ふ 001 GEN 045 016 茲にヨセフの兄弟等きたれりといふ聲パロの家にきこえければパロとその臣僕これを悦ぶ 001 GEN 045 017 パロすなはちヨセフにいひけるは汝の兄弟に言べし汝等かく爲せ汝等の畜に物を負せ往てカナンの地に至り 001 GEN 045 018 なんぢらの父となんぢらの家族を携へて我にきたれ我なんぢらにエジプトの地の嘉物をあたへん汝等國の膏腴を食ふことをうべしと 001 GEN 045 019 今汝命をうく汝等かく爲せ汝等エジプトの地より車を取ゆきてなんぢらの子女と妻等を載せ汝等の父を導きて來れ 001 GEN 045 020 また汝等の器を惜み視るなかれエジプト全國の嘉物は汝らの所屬なればなり 001 GEN 045 021 イスラエルの子等すなはち斯なせりヨセフ、パロの命にしたがひて彼等に車をあたへかつ途の餱糧をかれらにあたへたり 001 GEN 045 022 又かれらに皆おのおの衣一襲を與へたりしがベニヤミンには銀三百と衣五襲をあたへたり 001 GEN 045 023 彼また斯のごとく父に餽れり即ち驢馬十疋にエジプトの嘉物をおはせ牝の驢馬十疋に父の途の用に供ふる穀物と糧と肉をおはせて餽れり 001 GEN 045 024 斯して兄弟をかへして去しめ之にいふ汝等途にて相あらそふなかれと 001 GEN 045 025 かれらエジプトより上りてカナンの地にゆきその父ヤコブにいたり 001 GEN 045 026 之につげてヨセフは尚いきてをりエジプト全國の宰となりをるといふしかるにヤコブの心なほ寒冷なりき其はこれを信ぜざればなり 001 GEN 045 027 彼等またヨセフの己にいひたる言をことごとく之につげたりその父ヤコブ、ヨセフがおのれを載んとておくりし車をみるにおよびて其氣おのれにかへれり 001 GEN 045 028 イスラエルすなはちいふ足りわが子ヨセフなほ生をるわれ死ざるまへに往て之を視ん 001 GEN 046 001 イスラエルその己につける諸の者とともに出たちベエルシバにいたりてその父イサクの神に犧牲をささぐ 001 GEN 046 002 神夜の異象にイスラエルにかたりてヤコブよヤコブよといひたまふ 001 GEN 046 003 ヤコブわれ此にありといひければ神いひたまふ我は神なり汝の父の神なりエジプトにくだることを懼るなかれわれ彼處にて汝を大なる國民となさん 001 GEN 046 004 我汝と共にエジプトに下るべし亦かならず汝を導のぼるべしヨセフ手をなんぢの目の上におかんと 001 GEN 046 005 かくてヤコブ、ベエルシバをたちいでたりイスラエルの子等すなはちパロの載んとておくりたる車に父ヤコブと己の子女と妻等を載せ 001 GEN 046 006 その家畜とカナンの地にてえたる貨財をたづさへ斯してヤコブとその子孫皆ともにエジプトにいたれり 001 GEN 046 007 ヤコブかくその子と子の子およびその女と子の女すなはちその子孫を皆ともなひてエジプトににつれゆけり 001 GEN 046 008 イスラエルの子のエジプトにくだれる者の名は左のごとしヤコブとその子等ヤコブの長子はルベン 001 GEN 046 009 ルベンの子はヘノク、パル、ヘヅロン、カルミ 001 GEN 046 010 シメオンの子はヱムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンの婦のうめる子シヤウル 001 GEN 046 011 レビの子はゲルシヨン、コハテ、メラリ 001 GEN 046 012 ユダの子エル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ但しエルとオナンはカナンの地に死たりペレヅの子はヘヅロンおよびハムルなり 001 GEN 046 013 イツサカルの子はトラ、プワ、ヨブ、シムロン 001 GEN 046 014 ゼブルンの子はセレデ、エロン、ヤリエルなり 001 GEN 046 015 是等および女子デナはレアがパダンアラムにてヤコブにうみたる者なりその男子女子あはせて三十三人なりき 001 GEN 046 016 ガドの子はゼボン、ハギ、シユニ、エヅポン、エリ、アロデ、アレリ 001 GEN 046 017 アセルの子はヱムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよびその妹サラ並にベリアの子ヘベルとマルキエルなり 001 GEN 046 018 是等はラバンがその女レアにあたへたるジルパの子なり彼是等をヤコブにうめり都合十六人 001 GEN 046 019 ヤコブの妻ラケルの子はヨセフとベニヤミンなり 001 GEN 046 020 エジプトの國にてヨセフにマナセとエフライムうまれたり是はオンの祭司ポテパルの女アセナテが生たる者なり 001 GEN 046 021 ベニヤミンの子はベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムツピム、ホパム、アルデ 001 GEN 046 022 是等はラケルの子にしてヤコブにうまれたる者なり都合十四人 001 GEN 046 023 ダンの子はホシム 001 GEN 046 024 ナフタリの子はヤジエル、グニ、ヱゼル、シレム 001 GEN 046 025 是等はラバンがその女ラケルにあたへたるビルハの子なり彼これらをヤコブにうめり都合七人 001 GEN 046 026 ヤコブとともにエジプトにいたりし者はヤコブの子の妻をのぞきて六十六人なりき是皆ヤコブの身よりいでたる者なり 001 GEN 046 027 エジプトにてヨセフにうまれたる子二人ありヤコブの家の人のエジプトにいたりし者はあはせて七十人なりき 001 GEN 046 028 ヤコブ預じめユダをヨセフにつかはしおのれをゴセンにみちびかしむ而して皆ゴセンの地にいたる 001 GEN 046 029 ヨセフその車を整へゴセンにのぼりて父イスラエルを迓へ之にまみえてその頸を抱き頸をかかへて久く啼く 001 GEN 046 030 イスラエル、ヨセフにいふ汝なほ生てをり我汝の面を見ることをえたれば今は死るも可しと 001 GEN 046 031 ヨセフその兄弟等と父の家族とにいひけるは我のぼりてパロにつげて之にいふべしわが兄弟等とわが父の家族カナンの地にをりし者我のところに來れり 001 GEN 046 032 その人々は牧者にして牧畜の人なり彼等その羊と牛およびその有る諸の物をたづさへ來れりと 001 GEN 046 033 パロもし汝等を召て汝等の業は何なるやと問ことあらば 001 GEN 046 034 僕等は幼少より今に至るまで牧畜の人なり我儕も先祖等もともにしかりといへしからばなんぢらゴセンの地にすむことをえん牧者は皆エジプト人の穢はしとするものなればなり 001 GEN 047 001 茲にヨセフゆきてパロにつげていひけるはわが父と兄弟およびその羊と牛と諸の所有物カナンの地よりいたれり彼らはゴセンの地にをると 001 GEN 047 002 その兄弟の中より五人をとりてこれをパロにまみえしむ 001 GEN 047 003 パロ、ヨセフの兄弟等にいひけるは汝らの業は何なるか彼等パロにいふ僕等は牧者なりわれらも先祖等もともにしかりと 001 GEN 047 004 かれら又パロにいひけるは此國に寓らんとて我等はきたる其はカナンの地に饑饉はげしくして僕等の群をやしなふ牧場なければなりされば請ふ僕等をしてゴセンの地にすましめたまへ 001 GEN 047 005 パロ、ヨセフにかたりていふ汝の父と兄弟汝の所にきたれり 001 GEN 047 006 エジプトの地はなんぢの前にあり地の善き處に汝の父と兄弟をすましめよすなはちゴセンの地にかれらをすましめよ汝もし彼等の中に才能ある者あるをしらば其人々をしてわが家畜をつかさどらしめよ 001 GEN 047 007 ヨセフまた父ヤコブを引ていりパロの前にたたしむヤコブ、パロを祝す 001 GEN 047 008 パロ、ヤコブにいふ汝の齡の日は幾何なるか 001 GEN 047 009 ヤコブ、パロにいひけるはわが旅路の年月は百三十年にいたる我が齡の日は僅少にして且惡かり未だわが先祖等の齡の日と旅路の日にはおよばざるなり 001 GEN 047 010 ヤコブ、パロを祝しパロのまへよりいでさりぬ 001 GEN 047 011 ヨセフ、パロの命ぜしごとくその父と兄弟に居所を與へエジプトの國の中の善き地即ちラメセスの地をかれらにあたへて所有となさしむ 001 GEN 047 012 ヨセフその父と兄弟と父の全家にその子の數にしたがひて食物をあたへて養へり 001 GEN 047 013 却説饑饉ははなはだはげしくして全國に食物なくエジプトの國とカナンの國饑饉のために弱れり 001 GEN 047 014 ヨセフ穀物を賣あたへてエジプトの地とカナンの地にありし金をことごとく斂む而してヨセフその金をパロの家にもちきたる 001 GEN 047 015 エジプトの國とカナンの國に金つきたればエジプト人みなヨセフにいたりていふ我等に食物をあたへよ如何ぞなんぢの前に死べけんや金すでにたえたり 001 GEN 047 016 ヨセフいひけるは汝等の家畜をいだせ金もしたえたらば我なんぢらの家畜にかへて與ふべしと 001 GEN 047 017 かれら乃ちその家畜をヨセフにひききたりければヨセフその馬と羊の群と牛の群および驢馬にかへて食物をかれらにあたへそのすべての家畜のために其年のあひだ食物をあたへてこれをやしなふ 001 GEN 047 018 かくてその年暮けるが明年にいたりて人衆またヨセフにきたりて之にいふ我等主に隱すところなしわれらの金は竭たりまたわれらの畜の群は主に皈す主のまへにいだすべき者は何ものこりをらず唯われらの身體と田地あるのみ 001 GEN 047 019 われらいかんぞわれらの田地とともに汝の目のまへに死亡ぶべけんや我等とわれらの田地を食物に易て買とれ我等田地とともにパロの僕とならんまた我等に種をあたへよ然らばわれら生るをえて死るにいたらず田地も荒蕪にいたらじ 001 GEN 047 020 是に於てヨセフ、エジプトの田地をことごとく購とりてパロに納る其はエジプト人饑饉にせまりて各人その田圃を賣たればなり是によりて地はパロの所有となれり 001 GEN 047 021 また民はエジプトのこの境の極よりかの堺の極の者までヨセフこれを邑々にうつせり 001 GEN 047 022 但祭司の田地は購とらざりき祭司はパロより祿をたまはりをればパロの與る祿を食たるによりてその田地を賣ざればなり 001 GEN 047 023 茲にヨセフ民にいひけるは視よ我今日汝等となんぢらの田地をかひてパロに納る視よこの種子を汝らに與ふ地に播べし 001 GEN 047 024 しかして收穫の五分の一をパロに輸し四分をなんぢらに取て田圃の種としなんぢらの食としなんぢらの家族と子女の食とせよ 001 GEN 047 025 人衆いひけるは汝われらの生命を拯ひたまへりわれら主のまへに恩をえんことをねがふ我等パロの僕となるべしと 001 GEN 047 026 ヨセフ、エジプトの田地に法をたてその五分の一をパロにをさめしむその事今日にいたる唯祭司の田地のみパロの有とならざりき 001 GEN 047 027 イスラエル、エジプトの國に於てゴセンの地にすみ彼處に産業を獲その數増して大に殖たり 001 GEN 047 028 ヤコブ、エジプトの國に十七年いきながらへたりヤコブの年齒の日は合て百四十七年なりき 001 GEN 047 029 イスラエル死る日ちかよりければその子ヨセフをよびて之にいひけるは我もし汝のまへに恩を得るならば請ふなんぢの手をわが髀の下にいれ懇に眞實をもて我をあつかへ我をエジプトに葬るなかれ 001 GEN 047 030 我は先祖等とともに偃んことをねがふ汝われをエジプトよ舁いだして先祖等の墓場にはうむれヨセフいふ我なんぢが言るごとくなすべしと 001 GEN 047 031 ヤコブまた我に誓へといひければすなはち誓へりイスラエル床の頭にて拜をなせり 001 GEN 048 001 是等の事の後汝の父病にかかるとヨセフに告る者ありければヨセフ二人の子マナセとエフライムをともなひて至る 001 GEN 048 002 人ヤコブに告て汝の子ヨセフなんぢの許にきたるといひければイスラエル強て床に坐す 001 GEN 048 003 しかしてヤコブ、ヨセフにいひけるは昔に全能の神カナンの地のルズにて我にあらはれて我を祝し 001 GEN 048 004 我にいひたまひけらく我なんぢをして多く子をえせしめ汝をふやし汝を衆多の民となさん我この地を汝の後の子孫にあたへて永久の所有となさしめんと 001 GEN 048 005 わがエジプトにきたりて汝に就まへにエジプトにて汝に生れたる二人の子エフライムとマナセ是等はわが子となるべしルベンとシメオンのごとく是等はわが子とならん 001 GEN 048 006 是等の後になんぢが得たる子は汝のものとすべし又その産業はその兄弟の名をもて稱らるべし 001 GEN 048 007 我事をいはんに我昔パダンより來れる時ラケル我にしたがひをりて途にてカナンの地に死り其處はエフラタまで尚途の隔あるところなりわれ彼處にて彼をエフラタの途にはうむれり(エフラタはすなはちベテレヘムなり) 001 GEN 048 008 斯てイスラエル、ヨセフの子等を見て是等は誰なるやといひければ 001 GEN 048 009 ヨセフ父にいふ是は神の此にて我にたまひし子等なりと父すなはちいふ請ふ彼らを我所につれきたれ我これを祝せんと 001 GEN 048 010 イスラエルの目は年壽のために眯て見るをえざりしがヨセフかれらをその許につれきたりければ之に接吻してこれを抱けり 001 GEN 048 011 しかしてイスラエル、ヨセフにいひけるは我なんぢの面を見るあらんとは思はざりしに視よ神なんぢの子をもわれにしめしたまふと 001 GEN 048 012 ヨセフかれらをその膝の間よりいだし地に俯て拜せり 001 GEN 048 013 しかしてヨセフ、エフライムを右の手に執てヤコブに左の手にむかはしめマナセを左の手に執てヤコブの右の手にむかはしめ二人をみちびきてかれに就ければ 001 GEN 048 014 イスラエル右の手をのべて季子エフライムの頭に按き左の手をのべてマナセの頭におけりマナセは長子なれども故にかくその手をおけるなり 001 GEN 048 015 斯してヨセフを祝していふわが父アブラハム、イサクの事へし神わが生れてより今日まで我をやしなひたまひし神 001 GEN 048 016 我をして諸の災禍を贖はしめたまひし天使ねがはくは是童子等を祝たまへねがはくは是等の者わが名とわが父アブラハム、イサクの名をもて稱られんことをねがはくは是等地の中に繁殖がるにいたれ 001 GEN 048 017 ヨセフ父が右の手をエフライムの頭に按るを見てよろこばず父の手をあげて之をエフライムの頭よりマナセの頭にうつさんとす 001 GEN 048 018 ヨセフすなはち父にいひけるは然にあらず父よ是長子なれば右の手をその頭に按たまへ 001 GEN 048 019 父こばみていひけるは我知るわが子よわれしる彼も一の民となり彼も大なる者とならん然れどもその弟は彼よりも大なる者となりてその子孫は多衆の國民となるべしと 001 GEN 048 020 此日彼等を祝していふイスラエル汝を指て人を祝し願くは神汝をしてエフライムのごとくマナセのごとくならしめたまへといふにいたらんとすなはちエフライムをマナセの先にたてたり 001 GEN 048 021 イスラエルまたヨセフにいひけるは視よわれは死んされど神なんぢらとともにいまして汝等を先祖等の國にみちびきかへりたまふべし 001 GEN 048 022 且われ一の分をなんぢの兄弟よりもおほく汝にあたふ是わが刀と弓を以てアモリ人の手より取たる者なり 001 GEN 049 001 ヤコブその子等を呼ていひけるは汝らあつまれ我後の日に汝らが遇んところの事を汝等につげん 001 GEN 049 002 汝等つどひて聽けヤコブの子等よ汝らの父イスラエルに聽け 001 GEN 049 003 ルベン汝はわが冢子わが勢わが力の始威光の卓越たる者權威の卓越たる者なり 001 GEN 049 004 汝は水の沸あがるがごとき者なれば卓越を得ざるべし汝父の床にのぼりて浼したればなり嗚呼彼はわが寢牀にのぼれり 001 GEN 049 005 シメオン、レビは兄弟なりその劍は暴逆の器なり 001 GEN 049 006 我魂よかれらの席にのぞむなかれ我寶よかれらの集會につらなるなかれ其は彼等その怒にまかせて人をころしその意にまかせて牛を筋截たればなり 001 GEN 049 007 その怒は烈しかれば詛ふべしその憤は暴あれば詛ふべし我彼らをヤコブの中に分ちイスラエルの中に散さん 001 GEN 049 008 ユダよ汝は兄弟の讚る者なり汝の手はなんぢの敵の頸を抑へんなんぢの父の子等なんぢの前に鞠ん 001 GEN 049 009 ユダは獅子の子の如しわが子よ汝は所掠物をさきてかへりのぼる彼は牡獅子のごとく伏し牝獅のごとく蹲まる誰か之をおこすことをせん 001 GEN 049 010 杖ユダを離れず法を立る者その足の間をはなるることなくしてシロの來る時にまでおよばん彼に諸の民したがふべし 001 GEN 049 011 彼その驢馬を葡萄の樹に繋ぎその牝驢馬の子を葡萄の蔓に繋がん又その衣を酒にあらひ其服を葡萄の汁にあらふべし 001 GEN 049 012 その目は酒によりて紅くその齒は乳によりて白し 001 GEN 049 013 ゼブルンは海邊にすみ舟の泊る海邊に住はんその界はシドンにおよぶべし 001 GEN 049 014 イッサカルは羊の牢の間に伏す健き驢馬の如し 001 GEN 049 015 彼みて安泰を善としその國を樂とし肩をさげて負ひ租税をいだして僕となるべし 001 GEN 049 016 ダンはイスラエルの他の支派の如く其民を鞫かん 001 GEN 049 017 ダンは路の旁の蛇のごとく途邊にある蝮のごとし馬の踵を噛てその騎者をして後に落しむ 001 GEN 049 018 ヱホバよわれ汝の拯救を待り 001 GEN 049 019 ガドは軍勢これにせまらんされど彼返てその後にせまらん 001 GEN 049 020 アセルよりいづる食物は美るべし彼王の食ふ美味をいださん 001 GEN 049 021 ナフタリは釋れたる麀のごとし彼美言をいだすなり 001 GEN 049 022 ヨセフは實を結ぶ樹の芽のごとし即ち泉の傍にある實をむすぶ樹の芽のごとしその枝つひに垣を踰ゆ 001 GEN 049 023 射者彼をなやまし彼を射かれを惡めり 001 GEN 049 024 然どかれの弓はなほ勁くあり彼の手の臂は力あり是ヤコブの全能者の手によりてなり其よりイスラエルの磐なる牧者いづ 001 GEN 049 025 汝の父の神による彼なんぢを助けん全能者による彼なんぢを祝まん上なる天の福、下によこたはる淵の福、乳哺の福、胎の福、汝にきたるべし 001 GEN 049 026 父の汝を祝することはわが父祖の祝したる所に勝て恒久の山の限極にまでおよばん是等の祝福はヨセフの首に歸しその兄弟と別になりたる者の頭頂に歸すべし 001 GEN 049 027 ベニヤミンは物を噛む狼なり朝にその所掠物を啖ひ夕にその所攫物をわかたん 001 GEN 049 028 是等はイスラエルの十二の支派なり斯その父彼らに語り彼等を祝せりすなはちその祝すべき所にしたがひて彼等諸人を祝せり 001 GEN 049 029 ヤコブまた彼等に命じて之にいひけるは我はわが民にくははらんとすヘテ人エフロンの田にある洞穴にわが先祖等とともに我をはうむれ 001 GEN 049 030 その洞穴はカナンの地にてマムレのまへなるマクペラの田にあり是はアブラハムがヘテ人エフロンより田とともに購て所有の墓所となせし者なり 001 GEN 049 031 アブラハムとその妻サラ彼處にはうむられイサクとその妻リベカ彼處に葬られたり我またかしこにレアを葬れり 001 GEN 049 032 彼田とその中の洞穴はヘテの子孫より購たる者なり 001 GEN 049 033 ヤコブその子に命ずることを終し時足を床に斂めて氣たえてその民にくははる 001 GEN 050 001 ヨセフ父の面に俯し之をいだきて哭き之に接吻す 001 GEN 050 002 而してヨセフその僕なる醫者に命じてその父に釁らしむ醫者イスラエルに釁れり 001 GEN 050 003 すなはち之がために四十日を用ふ其は尸に釁るにはこの日數を用ふべければなりエジプト人七十日の間之がために哭けり 001 GEN 050 004 哀哭の日すぎし時ヨセフ、パロの家にかたりていひけるは我もし汝等の前に恩惠を得るならば請ふパロの耳にまうして言へ 001 GEN 050 005 わが父我死ばカナンの地にわが掘おきたる墓に我をはうむれといひて我を誓はしめたり然ば請ふわれをして上りて父を葬らしめたまへまた歸りきたらんと 001 GEN 050 006 パロいひけるは汝の父汝をちかはせしごとくのぼりて之を葬るべし 001 GEN 050 007 是に於てヨセフ父を葬らんとて上るパロの諸の臣パロの家の長老等エジプトの地の長老等 001 GEN 050 008 およびヨセフの全家とその兄弟等およびその父の家之とともに上る只その子女と羊と牛はゴセンの地にのこせり 001 GEN 050 009 また車と騎兵ヨセフにしたがひてのぼり其隊ははなはだ大なりき 001 GEN 050 010 彼等つひにヨルダンの外なるアタデの禾場に到り彼にて大に泣き痛く哀しむヨセフすなはち七日父のために哭きぬ 001 GEN 050 011 その國の居人なるカナン人等アタデの禾場の哀哭を見て是はエジプト人の痛くなげくなりといへり是によりて其處の名をアベルミツライム(エジプト人の哀哭)と稱ふヨルダンの外にあり 001 GEN 050 012 ヤコブの子等その命ぜられたるごとく之になせり 001 GEN 050 013 すなはちヤコブの子等彼をカナンの地に舁ゆきて之をマクペラの田の洞穴にはうむれり是はアブラハムがヘテ人エフロンより田とともに購とりて所有の墓所となせし者にてマムレの前にあり 001 GEN 050 014 ヨセフ父を葬りてのち其兄弟および凡て己とともにのぼりて父をはうむれる者とともにエジプトにかへりぬ 001 GEN 050 015 ヨセフの兄弟等その父の死たるを見ていひけるはヨセフあるいはわれらを恨むることあらん又かならずわれらが彼になしたる諸の惡にむくゆるならんと 001 GEN 050 016 すなはちヨセフにいひおくりけるはなんぢの父死るまへに命じて言けらく 001 GEN 050 017 汝ら斯ヨセフにいふべし汝の兄弟汝に惡をなしたれども冀はくはその罪咎をゆるせと然ば請ふ汝の父の神の僕等の咎をゆるせとヨセフその言を聞て啼泣り 001 GEN 050 018 兄弟等もまた自らきたりヨセフの面の前に俯し我儕は汝の僕とならんといふ 001 GEN 050 019 ヨセフかれらに曰けるは懼るなかれ我あに神にかはらんや 001 GEN 050 020 汝等は我を害せんとおもひたれども神はそれを善にかはらせ今日のごとく多の民の生命を救ふにいたらしめんとおもひたまへり 001 GEN 050 021 故に汝らおそるるなかれ我なんぢらと汝らの子女をやしなはんと彼等をなぐさめ懇に之にかたれり 001 GEN 050 022 ヨセフ父の家族とともにエジプトにすめりヨセフは百十歳いきながらへたり 001 GEN 050 023 ヨセフ、エフライムの三世の子女をみるにいたれりマナセの子マキルの子マキルの子女もうまれてヨセフの膝にありき 001 GEN 050 024 ヨセフその兄弟等にいひけるは我死ん神かならず汝等を眷顧みなんぢらを此地よりいだしてそのアブラハム、イサク、ヤコブに誓ひし地にいたらしめたまはんと 001 GEN 050 025 ヨセフ神かならず汝等をかへりみたまはん汝らわが骨をここよりたづさへのぼるべしといひてイスラエルの子孫を誓はしむ 001 GEN 050 026 ヨセフ百十歳にして死たれば之に釁りて櫃にをさめてエジプトにおけり # # BOOK 007 JDG Judges 士師記 007 JDG 001 001 ヨシユアの死にたるのちイスラエルの子孫ヱホバに問ひていひけるはわれらの中孰か先に攻め登りてカナン人と戰ふべきや 007 JDG 001 002 ヱホバいひたまひけるはユダ上るべし視よ我此國を其の手に付すと 007 JDG 001 003 ユダその兄弟シメオンに言けるは我と共にわが領地にのぼりてカナン人と戰へわれもまた偕に汝の領地に往べしとここにおいてシメオンかれとともにゆけり 007 JDG 001 004 ユダすなはち上りゆきけるにヱホバその手にカナン人とペリジ人とを付したまひたればベゼクにて彼ら一萬人を殺し 007 JDG 001 005 またベゼクにおいてアドニベゼクにゆき逢ひこれと戰ひてカナン人とペリジ人を殺せり 007 JDG 001 006 しかるにアドニベゼク逃れ去りしかばそのあとを追ひてこれを執へその手足の巨擘を斫りはなちたれば 007 JDG 001 007 アドニベゼクいひけるは七十人の王たちかつてその手足の巨擘を斫られて我が食几のしたに屑を拾へり神わが曾て行ひしところをもてわれに報いたまへるなりと衆之を曳てエルサレムに至りしが其處にしねり 007 JDG 001 008 ユダの子孫エルサレムを攻めてこれを取り刃をもてこれを撃ち邑に火をかけたり 007 JDG 001 009 かくてのちユダの子孫山と南方の方および平地に住めるカナン人と戰はんとて下りしが 007 JDG 001 010 ユダまづヘブロンに住るカナン人を攻めてセシヤイ、アヒマンおよびタルマイを殺せり〔ヘブロンの舊の名はキリアテアルバなり〕 007 JDG 001 011 またそこより進みてデビルに住るものを攻む〔デビルの舊の名はキリアテセペルなり〕 007 JDG 001 012 時にカレブいひけるはキリアテセペルをうちてこれを取るものにはわが女アクサをあたへて妻となさんと 007 JDG 001 013 カレブの舍弟ケナズの子オテニエルこれを取ければすなはちその女アクサをこれが妻にあたふ 007 JDG 001 014 アクサ往くときおのれの父に田圃を求めんことを夫にすすめたりしがつひにアクサ驢馬より下りければカレブこれは何事ぞやといふに 007 JDG 001 015 答へけるはわれに惠賜をあたへよなんぢ南の地をわれにあたへたればねがはくは源泉をもわれにあたへよとここにおいてカレブ上の源泉と下の源泉とをこれにあたふ 007 JDG 001 016 モーセの外舅ケニの子孫ユダの子孫と偕に棕櫚の邑よりアラドの南なるユダの野にのぼり來りて民のうちに住居せり 007 JDG 001 017 茲にユダその兄弟シメオンとともに往きてゼバテに住るカナン人を撃ちて盡くこれを滅ぼせり是をもてその邑の名をホルマと呼ぶ 007 JDG 001 018 ユダまたガザと其の境アシケロンとその境およびエクロンとその境を取り 007 JDG 001 019 ヱホバ、ユダとともに在したればかれつひに山地を手に入れたりしが谷に住る民は鐵の戰車をもちたるが故にこれを遂出すこと能はざりき 007 JDG 001 020 衆モーセのかつていひし如くヘブロンをカレブに與ふカレブそのところよりアナクの三人の子をおひ出せり 007 JDG 001 021 ベニヤミンの子孫はエルサレムに住るエブス人を追出さざりしりかばエブス人は今日に至るまでベニヤミンの子孫とともにエルサレムに住ふ 007 JDG 001 022 茲にヨセフの族またベテルをさして攻め上るヱホバこれと偕に在しき 007 JDG 001 023 ヨセフの族すなはちベテルを窺察しむ〔此邑の舊の名はルズなり〕 007 JDG 001 024 その間者邑より人の出來るを見てこれにいひけるは請ふわれらに邑の入口を示せさらば汝に恩慈を施さんと 007 JDG 001 025 彼邑の入口を示したればすなはち刃をもて邑を撃てり然ど彼の人と其家族をばみな縱ち遣りぬ 007 JDG 001 026 その人ヘテ人の地にゆき邑を建てルズと名けたり今日にいたるまでこれを其名となす 007 JDG 001 027 マナセはベテシヤンとその村里の民タアナクとその村里の民ドルとその村里の民イプレアムとその村里の民メギドンとその村里の民を逐ひ出さざりきカナン人はなほその地に住ひ居る 007 JDG 001 028 イスラエルはその強なりしときカナン人をして貢を納れしめたりしが之を全く追ひいだすことは爲さざりき 007 JDG 001 029 エフライムはゲゼルに住るカナン人を遂ひいださざりきカナン人はゲゼルにおいてかれらのうちに住み居たり 007 JDG 001 030 ゼブルンはまたキテロンの民およびナハラルの民を遂ひいださざりきカナン人かれらのうちに住て貢ををさむるものとなりぬ 007 JDG 001 031 アセルはアツコの民およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの民を遂ひ出さざりき 007 JDG 001 032 アセル人は其地の民なるカナン人のうちに住み居たりそはこれを遂ひ出さざりしゆゑなり 007 JDG 001 033 ナフタリはベテシメシの民およびベテアナテの民を遂ひ出さずその地の民なるカナン人のうちに住み居たりベテシメシとベテアナテの民はつひにかれらに貢を納むるものとなりぬ 007 JDG 001 034 アモリ人ダンの子孫を山におひこみ谷に下ることを得させざりき 007 JDG 001 035 アモリ人はなほヘレス山アヤロン、シヤラビムに住ひ居りしがヨセフの家の手力勝りたれば終に貢を納むるものとなりぬ 007 JDG 001 036 アモリ人の界はアクラビムの阪よりセラを經て上に至れり 007 JDG 002 001 ヱホバの使者ギルガルよりボキムに上りていひけるは我汝等をエジプトより上らしめわが汝らの先祖に誓ひたる地に携へ來れりまた我いひけらくわれ汝らと締べる契約を絶てやぶることあらじ 007 JDG 002 002 汝らはこの國の民と契約を締ぶべからずかれらの祭壇を毀つべしとしかるに汝らはわが聲に從はざりき汝ら如何なれば斯ることをなせしや 007 JDG 002 003 我またいひけらくわれ汝らの前より彼らを追ふべからずかれら反て汝等の肋を刺す荊棘とならんまた彼らの神々は汝等の罟となるべし 007 JDG 002 004 ヱホバの使これらの言をイスラエルのすべての子孫に語しかば民聲をあげて哭ぬ 007 JDG 002 005 故に其所の名をボキム(哭者)と呼ぶかれら彼所にてヱホバに祭物を獻げたり 007 JDG 002 006 ヨシユア民を去しめたればイスラエルの子孫おのおのその領地におもむきて地を獲たり 007 JDG 002 007 ヨシユアの世にありし間またヨシユアより後に生きのこりたる長老等の世にありしあひだ民はヱホバに事へたりこの長老等はヱホバのかつてイスラエルのために成したまひし諸の大なる行爲を見しものなり 007 JDG 002 008 ヱホバの僕ヌンの子ヨシユア百十歳にて死り 007 JDG 002 009 衆人エフライムの山のテムナテヘレスにあるかれらの産業の地においてガアシ山の北にこれを葬れり 007 JDG 002 010 かくてまたその時代のものことごとくその先祖のもとにあつめられその後に至りて他の時代おこりしが是はヱホバを識ずまたそのイスラエルのために爲したまひし行爲をも識ざりき 007 JDG 002 011 イスラエルの子孫ヱホバのまへに惡きことを作してバアリムにつかへ 007 JDG 002 012 かつてエジプトの地よりかれらを出したまひしその先祖の神ヱホバを棄てて他の神すなはちその四周なる國民の神にしたがひ之に跪づきてヱホバの怒を惹起せり 007 JDG 002 013 即ちかれらヱホバをすててバアルとアシタロテに事へたれば 007 JDG 002 014 ヱホバはげしくイスラエルを怒りたまひ掠むるものの手にわたして之を掠めしめかつ四周なるもろもろの敵の手にこれを賣りたまひしかばかれらふたたびその敵の前に立つことを得ざりき 007 JDG 002 015 かれらいづこに往くもヱホバの手これに災をなしぬ是はヱホバのいひたまひしごとくヱホバのこれに誓ひたまひしごとしここにおいてかれら惱むこと甚だしかりしが 007 JDG 002 016 ヱホバ士師を立てたまひたればかれらこれを掠むるものの手よりすくひ出したり 007 JDG 002 017 然るにかれらその士師にもしたがはず反りて他の神を慕て之と淫をおこなひ之に跪き先祖がヱホバの命令に從がひて歩みたることろの道を頓に離れ去りてその如くには行はざりき 007 JDG 002 018 かれらのためにヱホバ士師を立てたまひし時に方りてはヱホバつねにその士師とともに在しその士師の世に在る間はヱホバかれらを敵の手よりすくひ出したまへり此はかれらおのれを虐げくるしむるものありしを呻きかなしめるによりてヱホバ之を哀れみたまひたればなり 007 JDG 002 019 されどその士師の死しのちまた戻きて先祖よりも甚だしく邪曲を行ひ他の神にしたがひてこれに事へ之に跪きておのれの行爲を息めずその頑固なる路を離れざりき 007 JDG 002 020 是をもてヱホバはげしくイスラエルをいかりていひたまはく此民はわがかつてその列祖に命じたる契約を犯し吾聲に從がはざるがゆゑに 007 JDG 002 021 我もまたいまよりはヨシユアがその死しときに存しおけるいづれの國民をもかれらのまへより遂ひはらはざるべし 007 JDG 002 022 此は我イスラエルがその先祖の守りしごとくヱホバの道を守りてこれに歩むやいなやを試みんがためなりと 007 JDG 002 023 ヱホバはこれらの國民を遂はらふことを速にせずして之を遺しおきてヨシユアの手に付したまはざりしなり 007 JDG 003 001 ヱホバが凡てカナンの諸の戰爭を知ざるイスラエルの者どもをこころみんとて遺しおきたまへる國民は左のごとし 007 JDG 003 002 (こはただイスラエルの代々の子孫特にいまだ戰爭を知ざるものにこれををしへ知らしめんがためなり) 007 JDG 003 003 即ちペリシテ人の五人の伯すべてのカナン人シドン人およびレバノン山に住みてバアルヘルモンの山よりハマテに入るところまでを占めたるヒビ人是なり 007 JDG 003 004 これらをもてイスラエルをこころみかれらがヱホバのモーセによりてその先祖に命じたまひし命令に遵ふや否やを可知りしなり 007 JDG 003 005 イスラエルの子孫はカナン人ヘテ人アモリ人 007 JDG 003 006 ペリジ人ヒビ人エブス人のうちに住みかれらの女を妻に娶りまたおのれの女をかれらの子に與へかつかれらの神に事へたり 007 JDG 003 007 斯くイスラエルの子孫ヱホバのまへに惡をおこなひ己れの神なるヱホバをわすれてバアリムおよびアシラに事へたり 007 JDG 003 008 是においてヱホバはげしくイスラエルを怒りてこれをメソポタミヤの王クシヤンリシヤタイムの手に賣り付したまひしかばイスラエルの子孫はおよそ八年のあひだクシヤンリシヤタイムにつかへたり 007 JDG 003 009 茲にイスラエルの子孫ヱホバによばはりしかばヱホバはイスラエルの子孫の爲にひとりの救者を起して之を救はしめ給ふすなはちカレブの舍弟ケナズの子オテニエル是なり 007 JDG 003 010 ヱホバの靈オテニエルにのぞみたれば彼イスラエルを治め戰に出づヱホバ、メソポタミヤの王クシヤンリシヤタイムをその手に付したまひたればオテニエルの手クシヤンリシヤタイムに勝ことを得たり 007 JDG 003 011 かくて國は四十年のあひだ太平なりきケナズの子オテニエルつひに死り 007 JDG 003 012 イスラエルの子孫復ヱホバの眼のまへに惡をおこなふヱホバかれらがヱホバのまへに惡をおこなふによりてモアブの王エグロンをつよくなしてイスラエルに敵せしめたまへり 007 JDG 003 013 エグロンすなはちアンモンおよびアマレクの子孫を招き聚め往きてイスラエルを撃ち棕櫚の邑を取り 007 JDG 003 014 ここにおいてイスラエルの子孫は十八年のあひだモアブの王エグロンに事へたりしが 007 JDG 003 015 イスラエルの子孫ヱホバに呼はりけるときヱホバかれらの爲に一個の救者を起したまふすなはちベニヤミン人ゲラの子なる左手利捷のエホデ是なりイスラエルの子孫かれを以てモアブの王エグロンに餽物せり 007 JDG 003 016 エホデ長一キユビトなる兩刃の劍を作らせこれを衣のしたに右の股のあたりにおび 007 JDG 003 017 餽物を齎してモアブの王エグロンのもとに詣るエグロンは甚だ肥たる人なりき 007 JDG 003 018 さて餽物を獻ぐることをはりしかば彼餽物を負ひ來りしものをかへし去らしめ 007 JDG 003 019 自らはギルガルの傍なる石像の在る所より引き回していひけるは王よ我爾に告ぐべき密事ありと王人拂を命じたればその旁に立つものみな出で去りぬ 007 JDG 003 020 エホデすなはち王のところに入來れり時に王はひとり上なる涼殿に坐し居たりしがエホデ我神の命に由りて爾に傳ふべきことありといひければ王すなはち座より起に 007 JDG 003 021 エホデ左の手を出し右の股より劍を取りてその腹を刺せり 007 JDG 003 022 抦もまた刃とともに入りたりしが脂肉刃を塞ぎて之を腹より拔き出すことあたはずその鋒鋩うしろに出づ 007 JDG 003 023 エホデすなはち廊をとほりてその後に樓の戸を閉てこれを鎖せり 007 JDG 003 024 その出でしのち王の僕來りて樓の戸の鎖したるを見いひけるは王はかならず涼殿の間に足を蔽ひ居るならんと 007 JDG 003 025 僕ども耻るまでに俟居たれど王樓の戸をひらかざれば鑰をとりて之を開き見るにその君は地に仆れて死をる 007 JDG 003 026 エホデは彼等の猶豫ふ間に逃れて石像の在るところを過りセイラテに遁げゆけり 007 JDG 003 027 かれ既に至りエフライムの山に箛を吹きければイスラエルの子孫これとともに山より下るエホデこれを導けり 007 JDG 003 028 かれ人衆にいひけるは我に續て來れヱホバ汝等の敵モアブ人を汝等の手に付したまふなりここにおいて彼らエホデにしたがひて下りモアブにおもむくところのヨルダンの津を取りて一人も渡ることを允さざりき 007 JDG 003 029 そのとき彼らモアブ人およそ一萬人を殺せり是皆肥太たる勇士なりそのうち一人も脱れたるものなし 007 JDG 003 030 モアブはその日イスラエルの手に服せり而して國は八十年の間太平なりき 007 JDG 003 031 エホデの後にアナテの子シヤムガルといふものあり牛の策をもてペリシテ人六百人を殺せり此人もまたイスラエルを救へり 007 JDG 004 001 エホデの死たるのちイスラエルの子孫復ヱホバの目前に惡を行しかば 007 JDG 004 002 ヱホバ、ハゾルにて世を治むるカナンの王ヤビンの手に之を賣たまふヤビンの軍勢の長はシセラといふ彼異邦人のハロセテに住居り 007 JDG 004 003 鐵の戰車九百輌を有居て二十年の間イスラエルの子孫を甚だしく虐げしかばイスラエルの子孫ヱホバに呼はれり 007 JDG 004 004 當時ラピドテの妻なる預言者デボラ、イスラエルの士師なりき 007 JDG 004 005 彼エフライムの山のラマとベテルの間に在るデボラの棕櫚の樹の下に坐せりイスラエルの子孫はその許に上りて審判を受く 007 JDG 004 006 デボラ人をつかはしてケデシ、ナフタリよりアビノアムの子バラクを招きこれにいひけるはイスラエルの神ヱホバ汝に斯く命じたまふにあらずやいはく汝ナフタリの子孫とゼブルンの子孫とを一萬人ひきゐゆきてタボル山におもむけ 007 JDG 004 007 我ヤビンの軍勢の長シセラおよびその戰車とその群衆とをキシオン河に引き寄せて汝のもとに至らせ之を汝の手に付すべし 007 JDG 004 008 バラク之にいひけるは汝もし我とともにゆかば我往べし然ど汝もし我とともに行ずば我行ざるべし 007 JDG 004 009 デボラいひけるは我かならず汝とともに往くべし然ど汝は今往くところの途にては榮譽を得ることなからんヱホバ婦人の手にシセラを賣りたまふべければなりとデボラすなはち起ちてバラクと共にケデシに往けり 007 JDG 004 010 バラク、ゼブルンとナフタリをケデシに招き一萬人を從へて上るデボラもまた之とともに上れり 007 JDG 004 011 ここにケニ人ヘベルといふ者あり彼はモーセの外舅ホバブの裔なるがケニを離れてケデシの邊なるザアナイムの橡の樹のかたはらにその天幕を張り居たり 007 JDG 004 012 衆アビノアムの子バラクがタボル山に上れるよしをシセラに告げたりければ 007 JDG 004 013 シセラそのすべての戰車すなはち鐵の戰車九百輌およびおのれとともに在るすべての民を異邦人のハロセテよりキシオン河に招き集へたり 007 JDG 004 014 デボラ、バラクにいひけるは起よ是ヱホバがシセラを汝の手に付したまふ日なりヱホバ汝に先き立ちて出でたまひしにあらずやとバラクすなはち一萬人をしたがへてタボル山より下る 007 JDG 004 015 ヱホバ刃をもてシセラとその諸の戰車およびその全軍をバラクの前に打敗りたまひたればシセラ戰車より飛び下り徒歩になりて遁れ走れり 007 JDG 004 016 バラク戰車と軍勢とを追ひ撃て異邦人のハロセテに至れりシセラの軍勢は悉く刃にたふれて殘れるもの一人もなかりしが 007 JDG 004 017 シセラは徒歩にて奔りケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に來れり是はハゾルの王ヤビンとケニ人ヘベルの家とは互ひに睦じかりしゆゑなり 007 JDG 004 018 ヤエル出來りてシセラを迎へ之にいひけるは來れわが主よ入り來れ怖るるなかれとシセラその天幕に入たればヤエル被をもてこれを覆へり 007 JDG 004 019 シセラ之にいひけるはねがはくは少しの水をわれに飮ませよ我渇けりとヤエルすなはち乳嚢を啓きて之に飮ませまた之を覆へり 007 JDG 004 020 シセラまた之にいひけるは天幕の門邊に立て居れもし人來り汝にとふて誰かここに居るやといはば否と答ふべしと 007 JDG 004 021 彼疲れて熟睡せしかばヘベルの妻ヤエル天幕の釘子を取り手に鎚を携へてそのかたはらに忍び寄り鬢のあたりに釘子をうちこみて地に刺し通したればシセラすなはち死たり 007 JDG 004 022 バラク、シセラを追ひ來りしときヤエル之を出でむかへていひけるは來れ我汝の索るところの人を示さんとかれそのところに入て見にシセラ鬢のあたりに釘子うたれて死たふれをる 007 JDG 004 023 その日に神カナンの王ヤビンをイスラエルの子孫のまへに打敗りたまへり 007 JDG 004 024 かくてイスラエルの子孫の手ますます強くなりてカナンの王ヤビンに勝ちつひにカナンの王ヤビンを亡ぼすに至れり 007 JDG 005 001 その日デボラとアビノアムの子バラク謳ひていはく 007 JDG 005 002 イスラエルの首長みちびきをなし民また好んで出でたればヱホバを頌美よ 007 JDG 005 003 もろもろの王よ聽けもろもろの伯よ耳をかたぶけよ我はそのヱホバに謳はん我はイスラエルの神ヱホバを讚へん 007 JDG 005 004 ああヱホバよ汝セイルより出でエドムの野より進みたまひしとき地震ひ天また滴りて雲水を滴らせたり 007 JDG 005 005 もろもろの山はヱホバのまへに撼動ぎ彼のシナイもイスラエルの神ヱホバのまへに撼動げり 007 JDG 005 006 アナテの子シヤムガルのときまたヤエルの時には大路は通行る者なく途行く人は徑を歩み 007 JDG 005 007 イスラエルの村莊には住者なく住む者あらずなりけるがつひに我デボラ起れり我起りてイスラエルに母となる 007 JDG 005 008 人々新しき神を選みければ戰鬪門におよべりイスラエルの四萬人のうちに盾或は鎗の見しことあらんや 007 JDG 005 009 吾が心は民のうちに好んでいでたるイスラエルの有司等に傾けり汝らヱホバを頌美よ 007 JDG 005 010 しろき驢馬に乗るもの毛氈に坐するものおよび路歩む人よ汝ら謳ふべし 007 JDG 005 011 矢叫の聲に遠かり水汲むところにおいてヱホバの義しき所爲をとなへそのイスラエルを治理めたまふ義しき所爲を唱へよその時ヱホバの民は門に下れり 007 JDG 005 012 興よ起よデボラ興よ起よ歌を謳ふべし起てよバラク汝の俘虜を擄へきたれアビノアムの子よ 007 JDG 005 013 其時民の首長等の殘餘者くだり來るヱホバ勇士の中にいまして我にくだりたまふ 007 JDG 005 014 エフライムより出る者ありその根アマレクにありベニヤミン汝のあとにつきて汝の民の中にありマキルよりは牧伯下りゼブルンよりは采配を執るものいたる 007 JDG 005 015 イッサカルの伯たちはデボラとともに居るイッサカルはバラクとおなじく足の進みて平地に至るルベンの河邊にて大に心にはかる事あり 007 JDG 005 016 何故に汝は圈のうちに止まりて羊の群に笛吹くを聽くやルベンの河邊にて大に心に考ふることあり 007 JDG 005 017 ギレアデはヨルダンの彼方に臥し居る何故にダンは舟のかたはらに止まりしやアセルは濱邊に坐してその港に臥し居る 007 JDG 005 018 ゼブルンは生命を捐て死を冐せる民なり野の高きところに居るナフタリまた是の如し 007 JDG 005 019 もろもろの王來りて戰へる時にカナンのもろもろの王メギドンの水の邊においてタアナクに戰へり彼ら一片の貨幣をも獲ざりき 007 JDG 005 020 天よりこれを攻るものありもろもろの星其の道を離れてシセラを攻む 007 JDG 005 021 キシオンの河之を押し流しぬ是彼の古への河キシオンの河なりわが靈魂よ汝ますます勇みて進め 007 JDG 005 022 その時馬の蹄は強きももの馳に馳るに由りて地を踏鳴せり 007 JDG 005 023 ヱホバの使いひけるはメロズを詛ふべし汝ら重ね重ねその民を詛ふべきなり彼等來りてヱホバを助けずヱホバを助けて猛者を攻めざればなり 007 JDG 005 024 ケニ人ヘベルの妻ヤエルは婦女のうちの最も頌むべき者なり彼は天幕に居る婦女のうち最も頌むべきものなり 007 JDG 005 025 シセラ水を乞ふにヤエル乳を與ふ即ち貴き盤に乳の油を盛てささぐ 007 JDG 005 026 ヤエル釘子に手をかけ右の手に重き椎をとりてシセラを打ちその頭を碎きその鬢のあたりをうちて貫ぬく 007 JDG 005 027 シセラ、ヤエルの足の間に屈みて仆れ偃しその足のあはひに屈みて仆れその屈みたる所にて仆れ亡ぬ 007 JDG 005 028 シセラの母窓より望み格子のうちより叫びて言ふ彼が車のきたること何て遲きや彼が馬の歩何てはかどらざるやと 007 JDG 005 029 その賢き侍女こたへをなす(母また獨語して斯いへり) 007 JDG 005 030 かれら獲ものしてこれを分たざらんや人ごとに一人二人の女子を獲んシセラの獲るものは彩る衣ならんその獲る者は彩る衣にして文繍を施せる者ならん即ち彩りて兩面に文繍をほどこせる衣をえてその頸にまとはんと 007 JDG 005 031 ヱホバよ汝の敵みな是のごとくに亡びよかしまたヱホバを愛するものは日の眞盛に昇るが如くなれよかしとかくて後國は四十年のあひだ太平なりき 007 JDG 006 001 イスラエルの子孫またヱホバの目のまへに惡を行ひたればヱホバ七年の間之をミデアン人の手に付したまふ 007 JDG 006 002 ミデアン人の手イスラエルにかてりイスラエルの子孫はミデアン人の故をもて山にある窟と洞穴と要害とをおのれのために造れり 007 JDG 006 003 イスラエル人蒔種してありける時しもミデアン人アマレキ人及び東方の民上り來りて押寄せ 007 JDG 006 004 イスラエル人に向ひて陣を取り地の産物を荒してガザにまで至りイスラエルのうちに生命を維ぐべき物を遺さず羊も驢馬も遺ざりき 007 JDG 006 005 夫この衆人は家畜と天幕を携へ上り蝗蟲の如くに數多く來れりその人と駱駝は數ふるに勝ず彼ら國を荒さんとて入きたる 007 JDG 006 006 かかりしかばイスラエルはミデアン人のために大いに衰へイスラエルの子孫ヱホバに呼れり 007 JDG 006 007 イスラエルの子孫ミデアン人の故をもてヱホバに呼はりしかば 007 JDG 006 008 ヱホバひとりの預言者をイスラエルの子孫に遣りて言はしめたまひけるはイスラエルの神ヱホバ斯くいひたまふ我かつて汝らをエジプトより上らせ汝らを奴隸たるの家より出し 007 JDG 006 009 エジプト人の手およびすべて汝らを虐ぐるものの手より汝らを拯ひいだし汝らの前より彼らを追ひはらひてその邦土を汝らに與へたり 007 JDG 006 010 我また汝らに言り我は汝らの神ヱホバなり汝らが住ひ居るアモリ人の國の神を懼るるなかれとしかるに汝らは我が聲に從はざりき 007 JDG 006 011 茲にヱホバの使者來りてアビエゼル人ヨアシの所有なるオフラの橡の樹のしたに坐す時にヨアシの子ギデオン、ミデアン人に奪はれざらんために酒榨のなかに麥を打ち居たりしが 007 JDG 006 012 ヱホバの使之に現れて剛勇丈夫よヱホバ汝とともに在すといひたれば 007 JDG 006 013 ギデオン之にいひけるはああ吾が主よヱホバ我らと偕にいまさばなどてこれらのことわれらの上に及びたるやわれらの先祖がヱホバは我らをエジプトより上らしめたまひしにあらずやといひて我らに告たりしその諸の不思議なる行爲は何處にあるや今はヱホバわれらを棄てミデアン人の手に付したまへり 007 JDG 006 014 ヱホバ之を顧みていひたまひけるは汝此汝の力をもて行きミデアン人の手よりイスラエルを拯ひいだすべし我汝を遣すにあらずや 007 JDG 006 015 ギデオン之にいひけるはああ主よ我何をもてかイスラエルを拯ふべき視よわが家はマナセのうちの最も弱きもの我はまた父の家の最も卑賤きものなり 007 JDG 006 016 ヱホバ之にいひたまひけるは我かならず汝とともに在ん汝は一人を撃がごとくにミデアン人を撃つことを得ん 007 JDG 006 017 ギデオン之にいひけるは我もし汝のまへに恩を蒙るならば請ふ我と語る者の汝なる證據を見せたまへ 007 JDG 006 018 ねがはくは我復び汝に來りわが祭物をたづさへて之を汝のまへに供ふるまでここを去たまふなかれ彼いひたまひけるは我汝の還るまで待つべし 007 JDG 006 019 ギデオンすなはち往て山羊の羔を調へ粉一エパをもて無酵パンをつくり肉を筺にいれ羹を壺に盛り橡樹の下にもち出て之を供へたれば 007 JDG 006 020 神の使之にいひたまひけるは肉と無酵パンをとりて此巖のうへに置き之に羹を斟げとすなはちそのごとくに行ふ 007 JDG 006 021 ヱホバの使手にもてる杖の末端を出して肉と無酵パンに觸れたりしかば巖より火燃えあがり肉と無酵パンを燒き盡せりかくてヱホバの使去てその目に見ずなりぬ 007 JDG 006 022 ギデオン是において彼がヱホバの使者なりしを覺りギデオンいひけるはああ神ヱホバよ我面を合せてヱホバの使者を見たれば將如何せん 007 JDG 006 023 ヱホバ之にいひたまひけるは心安かれ怖るる勿れ汝死ぬることあらじ 007 JDG 006 024 ここにおいてギデオン彼所にヱホバのために祭壇を築き之をヱホバシヤロムと名けたり是は今日に至るまでアビエゼル人のオフラに存る 007 JDG 006 025 其夜ヱホバ、ギデオンにいひ給ひけるは汝の父の少き牡牛および七歳なる第二の牛を取り汝の父のもてるバアルの祭壇を毀ち其上なるアシラの像を斫り仆し 007 JDG 006 026 汝の神ヱホバのためにこの堡砦の頂において次序をただしくし祭壇を築き第二の牛を取りて汝が斫り倒せるアシラの木をもて燔祭を供ぐべし 007 JDG 006 027 ギデオンすなはちその僕十人を携へてヱホバのいひたまひしごとく行へりされど父の家のものどもおよび邑の人を怖れたれば晝之をなすことを得ず夜に入りて之を爲り 007 JDG 006 028 邑の衆朝興出て視にバアルの祭壇は摧け其の上なるアシラの像は斫仆されて居り新に築る祭壇に第二の牛の供へてありしかば 007 JDG 006 029 たがひに此は誰が所爲ぞやと言ひつつ尋ね問ひけるに此はヨアシの子ギデオンの所爲なりといふものありたれば 007 JDG 006 030 邑の人々ヨアシにむかひ汝の子を曳き出して死なしめよそは彼バアルの祭壇を摧き其上に在しアシラの像を斫仆したればなりといふ 007 JDG 006 031 ヨアシおのれの周圍に立るすべてのものにいひけるは汝らはバアルの爲に爭論ふや汝らは之を救はんとするや之が爲に爭論ふ者は朝の中に死べしバアルもし神ならば人其祭壇を摧きたれば自ら爭論ふ可なりと 007 JDG 006 032 是をもて人衆ギデオンその祭壇を摧きたればバアル自ら之といひあらそはんといひて此日かれをヱルバアル(バアルいひあらそはん)と呼なせり 007 JDG 006 033 茲にミデアン人アマレク人および東方の民相集まりて河を濟りヱズレルの谷に陣を取しが 007 JDG 006 034 ヱホバの靈ギデオンに臨みてギデオン箛を吹たればアビエゼル人集りて之に從ふ 007 JDG 006 035 ギデオン徧くマナセに使者を遣りしかばマナセ人また集りて之に從ふ彼またアセル、ゼブルン及びナフタリに使者を遣りしにその人々も上りて之を迎ふ 007 JDG 006 036 ギデオン神にいひけるは汝かつていひたまひしごとくわが手をもてイスラエルを救はんとしたまはば 007 JDG 006 037 視よ我一箇の羊の毛を禾塲におかん露もし羊毛にのみおきて地はすべて燥きをらば我之れによりて汝がかつて言たまひし如く吾が手をもてイスラエルを救ひたまふを知んと 007 JDG 006 038 すなはち斯ありぬ彼明る朝早く興きいで羊毛をかき寄てその毛より露を搾りしに鉢に滿つるほどの水いできたる 007 JDG 006 039 ギデオン神にいひけるは我にむかひて怒を發したまふなかれ我をしていま一回いはしめたまへねがはくは我をして羊の毛をもていま一回試さしめたまへねがはくは羊毛のみを燥して地には悉く露あらしめたまへと 007 JDG 006 040 その夜神かくの如くに爲したまふすなはち羊毛のみ燥きて地には凡て露ありき 007 JDG 007 001 斯てヱルバアルと呼るるギデオンおよび之とともにあるすべての民朝夙に興きいでてハロデの井のほとりに陣を取るミデアン人の陣はかれらの北の方にあたりモレの山に沿ひ谷のうちにありき 007 JDG 007 002 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは汝とともに在る民は餘りに多ければ我その手にミデアン人を付さじおそらくはイスラエル我に向ひ自ら誇りていはん我わが手をもて己を救へりと 007 JDG 007 003 されば民の耳に告示していふべし誰にても懼れ慄くものはギレアデ山より歸り去るべしとここにおいて民のかへりしもの二萬二千人あり殘しものは一萬人なりき 007 JDG 007 004 ヱホバまたギデオンにいひたまひけるは民なほ多し之を導きて水際に下れ我かしこにて汝のために彼らを試みんおほよそ我が汝に告て此人は汝とともに行くべしといはんものはすなはち汝とともに行くべしまたおほよそ我汝に告て此人は汝とともに行くべからずといはんものはすなはち行くべからざるなり 007 JDG 007 005 ギデオン民をみちびきて水際に下りしにヱホバ之にいひたまひけるはおほよそ犬の餂るがごとくその舌をもて水を餂るものは汝之を別けおくべしまたおほよそ其の膝を折り屈みて水を飮むものをも然すべしと 007 JDG 007 006 手を口にあてて水を餂しものの數は三百人なり餘の民は盡くその膝を折り屈みて水を飮り 007 JDG 007 007 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは我水を餂たる三百人の者をもて汝らを救ひミデアン人を汝の手に付さん餘の民はおのおの其所に歸るべしと 007 JDG 007 008 ここにおいて彼ら民の兵粮とその箛を手にうけとれりギデオンすなはちすべてのイスラエル人を各自その天幕に歸らせ彼の三百人を留めおけり時にミデアン人の陣はその下の谷のなかにありき 007 JDG 007 009 その夜ヱホバ、ギデオンにいひたまはく起よ下りて敵陣に入るべし我之を汝の手に付すなり 007 JDG 007 010 されど汝もし下ることを怖れなば汝の僕フラを伴ひ陣所に下りて 007 JDG 007 011 彼らのいふ所を聞べし然せば汝の手強くなりて汝敵陣にくだることを得んとギデオンすなはち僕フラとともに下りて陣中にある隊伍のほとりに至るに 007 JDG 007 012 ミデアン人アマレク人およびすべて東方の民は蝗蟲のごとくに數衆く谷のうちに堰しをりその駱駝は濱の砂の多きがごとくにして數ふるに勝ず 007 JDG 007 013 ギデオン其處に至りしに或人その伴侶に夢を語りて居りすなはちいふ我夢を見たりしが夢に大麥のパンひとつミデアンの陣中に轉びいりて天幕に至り之をうち仆し覆したれば天幕倒れ臥せり 007 JDG 007 014 其の伴侶答へていふ是イスラエルの人ヨアシの子ギデオンの劍に外ならず神ミデアンとすべての陣營を之が手に付したまふなりと 007 JDG 007 015 ギデオン夢の説話とその解釋を聞しかば拜をなしてイスラエルの陣所にかへりいひけるは起よヱホバ汝らの手にミデアンの陣をわたしたまふと 007 JDG 007 016 かくて三百人を三隊にわかち手に手に箛および空瓶を取せその瓶のなかに燈火をおかしめ 007 JDG 007 017 これにいひけるは我を視てわが爲すところにならへ我が敵陣の邊に至らんときに爲すごとく汝らも爲すべし 007 JDG 007 018 我およびわれとともに在るものすべて箛を吹ば汝らもまたすべて陣營の四方にて箛を吹き此ヱホバのためなりギデオンのためなりといへと 007 JDG 007 019 而してギデオンおよび之とともなる百人中更の初に陣營の邊に至るにをりしも番兵を更代たるときなりければ箛を吹き手に携へたる瓶をうちくだけり 007 JDG 007 020 即ち三隊の兵隊箛を吹き瓶をうちくだき左の手には燈火を執り右の手には箛をもちて之を吹きヱホバの劍ギデオンの劍なるぞと叫べり 007 JDG 007 021 かくておのおのその持塲に立ち陣營を取り圍みたれば敵軍みな走り叫びてにげゆけり 007 JDG 007 022 三百人のもの箛を吹くにあたりヱホバ敵軍をしてみなたがひに同士撃せしめたまひければ敵軍にげはしりてゼレラのベテシツダ、アベルメホラの境およびタバテに至る 007 JDG 007 023 イスラエルの人々すなはちナフタリ、アセルおよびマナセ中より集ひ來りてミデアン人を追撃り 007 JDG 007 024 ギデオン使者をあまねくエフライムの山に遣していはせけるは下りてミデアン人を攻めベタバラにいたる渡口およびヨルダンを遮斷るべしと是においてエフライムの人盡く集ひ來りてベタバラにいたる渡口およびヨルダンを取り 007 JDG 007 025 ミデアン人の君主オレブとゼエブの二人を俘へてオレブをばオレブ砦の上に殺しゼエブをばゼエブの酒搾のほとりに殺しまたミデアン人を追撃ちオレブとゼエブの首を携へてヨルダンの彼方よりギデオンの許にいたる 007 JDG 008 001 エフライムの人々ギデオンにむかひ汝ミデアン人と戰はんとて往る時われらを召ざりしが斯ることを我らになすは何故ぞといひていたく之を詰りたり 007 JDG 008 002 ギデオン之にいひけるは今吾が成るところは汝らのなせる所に比ぶべけんやエフライムの拾ひ得し遺餘の葡萄はアビエゼルの收穫し葡萄にも勝れるならずや 007 JDG 008 003 神はミデアンの群伯オレブとゼエブを汝等の手に付したまへりわが成えたるところは汝らの成る所に比ぶべけんやとギデオン此の語をのべしかば彼らの憤解たり 007 JDG 008 004 ギデオン自己に從がへる三百人とともにヨルダンに至りて之を濟り疲れながらも仍追撃しけるが 007 JDG 008 005 遂にスコテの人々に言けるは願くは我にしたがへる民に食を與へよ彼等疲れをるに我ミデアンの王ゼバとザルムンナを追行なりと 007 JDG 008 006 スコテの群伯等いひけるはゼバとザルムンナの手すでに汝の手のうちに在るや我らなんぞ汝の軍勢に食を與ふべけんや 007 JDG 008 007 ギデオンいひけるは然らばヱホバの吾が手にゼバをザルムンナを付したまふときに我野の荊と棘とをもて汝の肉を打つべしと 007 JDG 008 008 かくて其所よりペヌエルにのぼりおなじことを彼らにのべたるにペヌエルの人もスコテの人の答へしごとくに答へしかば 007 JDG 008 009 またペヌエルの人につげていひけるは我平康に歸るときに此の城樓を毀つべしと 007 JDG 008 010 偖ゼバとザルムンナはその軍勢おほよそ一萬五千人をひきゐてカルコルに居る是皆東方の人の全軍の中の生殘れるものなり戰死せし者は劍を拔ところのもの十二萬人ありき 007 JDG 008 011 ギデオンすなはちノバとヨグベバの東にて天幕にすめるものの路より上りて敵軍の慮りなく居るを撃り 007 JDG 008 012 ここにおいてゼバとザルムンナにげ走りたればギデオン之を追撃ちミデアンの二人の王ゼバとザルムンナを生捕て悉くその軍勢を敗れり 007 JDG 008 013 斯てヨアシの子ギデオン、ヘレシの阪よりして戰陣よりかへり 007 JDG 008 014 スコテの人の少壯者一人を執へて之に尋ねたれば即ちスコテの群伯およびその長老等七十七人をこれがために書き録せり 007 JDG 008 015 ギデオン、スコテの人の所に詣りていひけるは汝らが曾て我を罵りゼバとザルムンナの手すでに汝の手のうちにあるや我ら何ぞ汝の疲れたる人に食をあたふべけんやと言たりしそのゼバとザルムンナを見よと 007 JDG 008 016 すなはちその邑の長老等を執へ野の荊と棘を取り之をもちてスコテの人を懲し 007 JDG 008 017 またペヌヘルの城樓を毀ちて邑の人を殺せり 007 JDG 008 018 かくてギデオン、ゼバとザルムンナにいひけるは汝らがタボルにて殺せしものは如何なるものなりしや答へていふ彼らは汝に似てみな王子の如くに見えたり 007 JDG 008 019 ギデオンいひけるは彼らは我が兄弟我が母の子なりヱホバは活く汝らもし彼らを生し置たらば我汝らを殺すまじきをと 007 JDG 008 020 すなはちその長子ヱテルに起て彼らを殺せといひたりしが彼の少者は年尚わかかりしかば懼れて劍を拔ざりき 007 JDG 008 021 ここにおいてゼバとザルムンナいひけるは汝みづから起て我らを撃よ人の如何によりてその力量異る者なりとギデオンすなはち起てゼバとザルムンナを殺しその駱駝の頸にかけたる半月の飾を取り 007 JDG 008 022 茲にイスラエルの衆ギデオンにいひけるは汝ミデアンの手より我らを救ひたれば汝と汝の子及び汝の孫我らを治めよ 007 JDG 008 023 ギデオン之にいひけるは我汝らを治むることをせじまた我が子も汝らを治むべからずヱホバ汝らを治めたまふべし 007 JDG 008 024 ギデオンまた之にいひけるは我汝らにひとつの願ふべきことあり汝らおのおの掠取の環を我にあたへよと是は彼らイシマエル人なるをもて金の環を着けたるに由る 007 JDG 008 025 衆答へけるは我ら悦んで之を與へんとて衣を布きおのおの掠取の環を其うちに投げいれたり 007 JDG 008 026 ギデオンが求め得たる金の環の重量は金一千七百シケルなり外に半月の飾および耳環とミデアンの王たちの着たる紫のころもおよび駱駝の頸にかけたる鏈などもありき 007 JDG 008 027 ギデオン之をもて一箇のエポデを造り之をおのれの郷里オフラに藏むイスラエルみなこれを慕ひてこれと淫をおこなふこの物ギデオンと其家を陷るる罟となりぬ 007 JDG 008 028 ミデアン人は是の如くイスラエルの子孫に攻ふせられてふたたびその頭を擡ることを得ざりきかくて國はギデオンの世にある中四十年の間平穩にてありき 007 JDG 008 029 ヨアシの子ヱルバアル往ておのれの家に住り 007 JDG 008 030 ギデオンは妻を多く有ちたれば其身より出たる子七十人ありき 007 JDG 008 031 シケムに居しその妾またひとりの子を産たれば之をアビメレクと名けたり 007 JDG 008 032 ヨアシの子ギデオン妙齡に邁みて死にアビエゼル人のオフラに在るその父ヨアシの墓に葬られたり 007 JDG 008 033 ギデオンの死るに及びてイスラエルの子孫復ひるがへりてバアルを慕ひて之と淫をおこなひバアルベリテをおのれの神と爲り 007 JDG 008 034 イスラエルの子孫その四周のもろもろの敵の手よりおのれを救ひ出したまひし神ヱホバを記憶えず 007 JDG 008 035 またヱルバアルといふギデオンがイスラエルになせし諸の善行にしたがひて彼の家を厚く待ふことをせざりき 007 JDG 009 001 ヱルバアルの子アビメレク、シケムに往きその母の兄弟のもとに至りて彼らおよびすべて其母の父の家の一族に語りて云ひけるは 007 JDG 009 002 ねがはくはシケムのすべての民の耳に斯く告よヱルバアルのすべての子七十人して汝らを治むると一人して汝らを治むると孰れか汝らのためによきやまた我は汝らの骨肉なるを記えよと 007 JDG 009 003 その母の兄弟アビメレクのことにつきて此等の言をことごとくシケムの人々の耳に語りしに是はわれらの兄弟なりといひて心をアビメレクに傾むけ 007 JDG 009 004 バアルベリテの社より銀七十をとりて之に與ふアビメレクこれをもて遊蕩にして輕躁なる者等を傭ひておのれに從はせ 007 JDG 009 005 オフラに在る父の家に往きてヱルバアルの子なるその兄弟七十人を一つの石の上に殺せり但しヱルバアルの季の子ヨタムは身を潜めしに由て遺されたり 007 JDG 009 006 ここにおいてシケムのすべての民およびミロの諸の人集り往てシケムの碑の旁なる橡樹の邊にてアビメレクを立て王となしけるが 007 JDG 009 007 ヨタムにかくと告るものありければ往てゲリジム山の巓に立ち聲を揚て號びかれらにいひけるはシケムの民よ我に聽よ神また汝らに聽たまはん 007 JDG 009 008 樹木出ておのれのうへに王を立んとし橄欖の樹に汝われらの王となれよといひけるに 007 JDG 009 009 橄欖の樹之にいふ我いかで人の我に取て神と人とを崇むるところのそのわが油を棄て往て樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 010 樹木また無花果樹に汝來りて我らの王となれといひけるに 007 JDG 009 011 無花果樹之にいひけらく我いかでわが甜美とわが善き果を棄て往きて樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 012 樹木また葡萄の樹に汝來りて我らの王となれよといふに 007 JDG 009 013 葡萄の樹之にいひけるは我いかで神と人を悦こばしむるわが葡萄酒を棄て往て樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 014 ここにおいてすべての樹木荊に汝來りて我らの王となれよといひければ 007 JDG 009 015 荊樹木にいふ汝らまことに我を立て汝らの王と爲さば來りて我が庇蔭に托れ然せずば荊より火出てレバノンの香柏を燒き殫すべしと 007 JDG 009 016 抑汝らがアビメレクを立て王となせしは眞實と誠意をもて爲しことなるや汝等はヱルバアルと其家を善く待ひかれの手のなせし所に循ひて之にむくいしや 007 JDG 009 017 夫わが父は汝らのため戰ひ生命を惜まずして汝らをミデアンの手より救ひ出したるに 007 JDG 009 018 汝ら今日おこりてわが父の家を攻めその子七十人を一つの石の上に殺しその侍妾の子アビメレクは汝らの兄弟なるをもて之を立てシケムの民の王となせり 007 JDG 009 019 汝らが今日ヱルバアルとその家になせしこと眞實と誠意をもてなせし者ならば汝らアビメレクのために悦べ彼も汝らのために悦ぶべし 007 JDG 009 020 若し然らずばアビメレクより火いでてシケムの民とミロの家を燬つくさんまたシケムの民とミロの家よりも火いでてアビメレクを燬つくすべしと 007 JDG 009 021 かくてヨタム走り遁れてベエルに往きその兄弟アビメレクの面を避て彼所に住めり 007 JDG 009 022 アビメレク三年の間イスラエルを治めたりしが 007 JDG 009 023 神アビメレクとシケムの民のあひだに惡鬼をおくりたまひたればシケムの民アビメレクを欺くにいたる 007 JDG 009 024 是ヱルバアルの七十人の子が受たる殘忍と彼らの血のこれを殺せしその兄弟アビメレクおよび彼の手に力をそへてその兄弟を殺さしめたるシケムの人々に報い來るなり 007 JDG 009 025 シケムの人伏兵を山の巓に置て彼を窺はしめ其途を經て傍を過る者を凡て褫しめたり或人之をアビメレクに告ぐ 007 JDG 009 026 ここにエベデの子ガアル其の兄弟とともにシケムに越ゆきたりしかばシケムの民かれを恃めり 007 JDG 009 027 民田野に出て葡萄を收穫れこれを踐み絞りて祭禮をなしその神の社に入り食ひかつ飮みてアビメレクを詛ふ 007 JDG 009 028 エベデの子ガアルいひけるはアビメレクは如何なるものシケムは如何なるものなればか我ら彼に從ふべき彼はヱルバアルの子に非ずやゼブルその輔佐なるにあらずやむしろシケムの父ハモルの一族に事ふべし我らなんぞ彼に事ふべけんや 007 JDG 009 029 嗚呼此の民を吾が手に屬しむるものもがな然ば我アビメレクを除かんと而してガアル、アビメレクに汝の軍勢を益て出きたれよと言り 007 JDG 009 030 邑の宰ゼブル、エベデの子ガアルの言をききて怒を發し 007 JDG 009 031 私かに使者をアビメレクに遣りていひけるはエベデの子ガアル及びその兄弟シケムに來り邑をさわがして汝に敵せしめんとす 007 JDG 009 032 然ば汝及び汝と共なる民夜の中に興て野に身を伏よ 007 JDG 009 033 而て朝に至り日の昇る時汝夙く興出て邑に攻かかれガアル及び之とともなる民出て汝に當らん汝機を見てこれに事をなすべし 007 JDG 009 034 アビメレクおよび之とともなるすべての民夜の中に興出て四隊に分れ身を伏てシケムを伺ふ 007 JDG 009 035 エベデの子ガアル出て邑の門の口に立るにアビメレク及び之とともなる民その伏たるところより起りしかば 007 JDG 009 036 ガアル民を見てゼブルにいひけるは視よ民山の峰々より下るとゼブル之に答へて汝山の影を見て人と做すのみといふ 007 JDG 009 037 ガアルふたたび語りていひけるは視よ民地の高處より下りまた一隊は法術士の橡樹の途より來ると 007 JDG 009 038 ゼブル之にいひけるは汝がかつてアビメレクは何者なればか我ら之に事ふべきといひしその汝の口今いづこに在るや是汝が侮りたる民にあらずや今乞ふ出て之と戰へよと 007 JDG 009 039 ここにおいてガアル、シケム人を率ゐ往てアビメレクと戰ひしが 007 JDG 009 040 アビメレク之を追くづしたればガアル其まへより逃走れりかくて殺されて斃るるもの多くして邑の門の口までに及ぶ 007 JDG 009 041 かくてアビメレクはアルマに居しがゼブルはガアルおよびその兄弟等を遂いだしてシケムに居ることを得ざらしむ 007 JDG 009 042 あくる日民田畑に出しに人之をアビメレクに告げしかば 007 JDG 009 043 アビメレクおのれの民を率ゐてこれを三隊に分ち野に埋伏して伺ふに民邑より出來りたればすなはち起りて之を撃り 007 JDG 009 044 アビメレクおよび之とともに在る隊の者は襲ひゆきて邑の門の入口に立ち餘の二隊は野に在るすべてのものをおそふて之を殺せり 007 JDG 009 045 アビメレク其日終日邑を攻めつひに邑を取りてそのうちの民を殺し邑を破却ちて鹽を撒布ぬ 007 JDG 009 046 シケムの櫓の人みな之を聞てベリテ神の廟の塔に入たりしが 007 JDG 009 047 シケムの櫓の人のことごとく集れるよしアビメレクに聞えければ 007 JDG 009 048 アビメレク己とともなる民をことごとく率ゐてザルモン山に上りアビメレク手に斧を取り木の枝を斫落し之をおのれの肩に載せ偕に居る民にむかひて汝ら吾が爲ところを見る急ぎてわがごとく爲せよといひしかば 007 JDG 009 049 民もまた皆おのおのその枝を斫りおとしアビメレクに從ひて枝を塔に倚せかけ塔に火をかけて彼等を攻むここにおいてシケムの櫓の人もまた悉く死り男女およそ一千人なりき 007 JDG 009 050 茲にアビメレク、テベツに赴きテベツに對て陣を張て之を取しが 007 JDG 009 051 邑のなかに一の堅固なる櫓ありてすべての男女および邑の民みな其所に遁れ往き後を鎖して櫓の頂に上りたれば 007 JDG 009 052 アビメレクすなはち櫓のもとに押寄て之を攻め櫓の口に近きて火をもて之を焚んとせしに 007 JDG 009 053 一人の婦アビメレクの頭に磨石の上層石を投げてその腦骨を碎けり 007 JDG 009 054 アビメレクおのれの武器を執る少者を急ぎ召て之にいひけるは汝の劍を拔て我を殺せおそらくは人吾をさして婦に殺されたりといはんと其少者之を刺し通したればすなはち死り 007 JDG 009 055 イスラエルの人々はアビメレクの死たるを見ておのおのおのれの處に歸り去りぬ 007 JDG 009 056 神はアビメレクがその七十人の兄弟を殺しておのれの父になしたる惡に斯く報いたまへり 007 JDG 009 057 またシケムの民のすべての惡き事をも神は彼等の頭に報いたまへりすなはちヱルバアルの子ヨタムの詛彼らの上に及べるなり 007 JDG 010 001 アビメレクの後イッサカルの人にてドドの子なるプワの子トラ起りてイスラエルを救ふ彼エフライムの山のシヤミルに住み 007 JDG 010 002 二十三年の間イスラエルを審判しがつひに死てシヤミルに葬らる 007 JDG 010 003 彼の後にギレアデ人ヤイル起りて二十二年の間イスラエルを審判たり 007 JDG 010 004 彼に子三十人ありて三十の驢馬に乗る彼等三十の邑を有りギレアデの地において今日までヤイルの村ととなふるものすなはち是なり 007 JDG 010 005 ヤイル死てカモンに葬らる 007 JDG 010 006 イスラエルの子孫ふたたびヱホバの目のまへに惡を爲しバアルとアシタロテ及びスリヤの神シドンの神モアブの神アンモンの子孫の神ペリシテ人の神に事へヱホバを棄て之に事へざりき 007 JDG 010 007 ヱホバ烈しくイスラエルを怒りて之をペリシテ人及びアンモンの子孫の手に賣付したまへり 007 JDG 010 008 其年に彼らイスラエルの子孫を虐げ難せりヨルダンの彼方においてギレアデにあるところのアモリ人の地に居るイスラエルの子孫十八年の間斯せられたりき 007 JDG 010 009 アンモンの子孫またユダとベニヤミンとエフライムの族とを攻んとてヨルダンを渡りしかばイスラエル太く苦めり 007 JDG 010 010 ここにおいてイスラエルの子孫ヱホバに呼りていひけるは我らおのれの神を棄てバアルに事へて汝に罪を犯したりと 007 JDG 010 011 ヱホバ、イスラエルの子孫にいひたまひけるは我かつてエジプト人アモリ人アンモンの子孫ペリシテ人より汝らを救ひ出せしにあらずや 007 JDG 010 012 又シドン人アマレク人及びマオン人の汝らを困しめしとき汝ら我に呼りしかば我汝らを彼らの手より救ひ出せり 007 JDG 010 013 然るに汝ら我を棄て他の神に事ふれば我かさねて汝らを救はざるべし 007 JDG 010 014 汝らが擇める神々に往て呼れ汝らの艱難のときに之をして汝らを救はしめよ 007 JDG 010 015 イスラエルの子孫ヱホバに言けるは我ら罪を犯せりすべて汝の目に善と見るところを我らになしたまへねがはくは唯今日我らを救ひたまへと 007 JDG 010 016 而して民おのれの中より異なる神々を取除きてヱホバに事へたりヱホバの心イスラエルの艱難を見るに忍びずなりぬ 007 JDG 010 017 茲にアンモンの子孫集てギレアデに陣を取りしがイスラエルの子孫は聚りてミヅパに陣を取り 007 JDG 010 018 時に民ギレアデの群伯たがひにいひけるは誰かアンモンの子孫に打ちむかひて戰を始むべき人ぞ其人をギレアデのすべての民の首となすべしと 007 JDG 011 001 ギレアデ人ヱフタはたけき勇士にして妓婦の子なりギレアデ、ヱフタをうましめしなり 007 JDG 011 002 ギレアデの妻子等をうみしが妻の子等成長におよびてヱフタをおひいだしてこれにいひけるは汝は他の婦の子なればわれらが父の家を嗣べきにあらずと 007 JDG 011 003 ヱフタ其の兄弟の許より逃さりてトブの地に住けるに遊蕩者ヱフタのもとに集ひ來りて之とともに出ることをなせり 007 JDG 011 004 程經てのちアンモンの子孫イスラエルとたたかふに至りしが 007 JDG 011 005 アンモンの子孫のイスラエルとたたかへるときにギレアデの長老等ゆきてヱフタをトブの地より携來らんとし 007 JDG 011 006 ヱフタにいひけるは汝來りて吾らの大將となれ我らアンモンの子孫とたたかはん 007 JDG 011 007 ヱフタ、ギレアデの長老等にいひけるは汝らは我を惡みてわが父の家より遂いだしたるにあらずやしかるに今汝らが艱める時に至りて何ぞ我に來るや 007 JDG 011 008 ギレアデの長老等ヱフタにこたへけるは其がために我ら今汝にかへる汝われらとともにゆきてアンモンの子孫とたたかはばすべて我等ギレアデにすめるものの首領となすべしと 007 JDG 011 009 ヱフタ、ギレアデの長老等にいひけるは汝らもし我をたづさへかへりてアンモンの子孫とたたかはしめんにヱホバ之を我に付したまはば我は汝らの首となるべし 007 JDG 011 010 ギレアデの長老等ヱフタにいひけるはヱホバ汝と我との間の證者たり我ら誓つて汝の言のごとくになすべし 007 JDG 011 011 是に於てヱフタ、ギレアデの長老等とともに往くに民之を立ておのれの首領となし大將となせりヱフタ即ちミヅパにおいてヱホバのまへにこの言をことごとく陳たり 007 JDG 011 012 かくてヱフタ、アンモンの子孫の王に使者をつかはしていひけるは汝と我の間に何事ありてか汝われに攻めきたりてわが地に戰はんとする 007 JDG 011 013 アンモンの子孫の王ヱフタの使者に答へけるはむかしイスラエル、エジプトより上りきたりし時にアルノンよりヤボクにいたりヨルダンに至るまで吾が土地を奪ひしが故なり然ば今穩便に之を復すべし 007 JDG 011 014 ヱフタまた使者をアンモンの子孫の王に遣りて之にいはせけるは 007 JDG 011 015 ヱフタ斯いへりイスラエルはモアブの地を取ずまたアンモンの子孫の地をも取ざりしなり 007 JDG 011 016 夫イスラエルはエジプトより上りきたれる時に曠野を經て紅海に到りカデシに來れり 007 JDG 011 017 而してイスラエル使者をエドムの王に遣して言けるはねがはくは我をして汝の土地を經過しめよと然るにエドムの王之をうけがはずまたおなじく人をモアブの王に遣したれども是もうべなはざりしかばイスラエルはカデシに留まりしが 007 JDG 011 018 遂にイスラエル曠野を經てエドムの地およびモアブの地を繞りモアブの地の東の方に出てアルノンの彼方に陣を取り然どモアブの界には入らざりきアルノンはモアブの界なればなり 007 JDG 011 019 かくてイスラエル、ヘシボンに王たりしアモリ人の王シホンに使者を遣せりすなはちイスラエル之にいひけらくねがはくは我らをして汝の土地を經過てわがところにいたらしめよと 007 JDG 011 020 然るにシホン、イスラエルを信ぜずしてその界をとほらしめずかへつてそのすべての民を集めてヤハヅに陣しイスラエルとたたかひしが 007 JDG 011 021 イスラエルの神ヱホバ、シホンとそのすべての民をイスラエルの手に付したまひたればイスラエル之を撃敗りてその土地にすめるアモリ人の地を悉く手に入れ 007 JDG 011 022 アルノンよりヤボクに至るまでまた曠野よりヨルダンに至るまですべてアモリ人の土地を手に入たり 007 JDG 011 023 斯のごとくイスラエルの神ヱホバは其の民イスラエルのまへよりアモリ人を遂しりぞけたまひしに汝なほ之を取んとする乎 007 JDG 011 024 汝は汝の神ケモシが汝に取しむるものを取ざらんやわれらは我らの神ヱホバが我らに取しむる物を取ん 007 JDG 011 025 汝は誠にモアブの王チツポルの子バラクにまされる處ありとするかバラク曾てイスラエルとあらそひしことありや曾て之とたたかひしことありや 007 JDG 011 026 イスラエルがヘシボンとその村里アロエルとその村里およびアルノンの岸に沿ひたるすべての邑々に住ること三百年なりしに汝などてかその間に之を回復さざりしや 007 JDG 011 027 我は汝に罪を犯せしことなきに汝はわれとたたかひて我に害をくはへんとす願くは審判をなしたまふヱホバ今日イスラエルの子孫とアンモンの子孫との間を鞫きたまへと 007 JDG 011 028 しかれどもアンモンの子孫の王はヱフタのいひつかはせる言を聴いれざりき 007 JDG 011 029 ここにヱホバの靈ヱフタに臨みしかばヱフタすなはちギレアデおよびマナセを經過りギレアデのミヅパにいたりギレアデのミヅパよりすすみてアンモンの子孫に向ふ 007 JDG 011 030 ヱフタ、ヱホバに誓願を立ていひけるは汝誠にアンモンの子孫をわが手に付したまはば 007 JDG 011 031 我がアンモンの子孫の所より安然かに歸らんときに我家の戸より出きたりて我を迎ふるもの必ずヱホバの所有となるべし我之を燔祭となしてささげんと 007 JDG 011 032 ヱフタすなはちアンモンの子孫の所に進みゆきて之と戰ひしにヱホバかれらをその手に付したまひしかば 007 JDG 011 033 アロエルよりミンニテにまで至りこれが二十の邑を打敗りてアベルケラミムにいたり甚だ多の人をころせりかくアンモンの子孫はイスラエルの子孫に攻伏られたり 007 JDG 011 034 かくてヱフタ、ミヅパに來りておのが家にいたるに其女鼓を執り舞ひ踊りて之を出で迎ふ是彼が獨子にて其のほかには男子もなくまた女子も有ざりき 007 JDG 011 035 ヱフタ之を視てその衣を裂ていひけるはああ吾が女よ汝實に我を傷しむ汝は我を惱すものなり其は我ヱホバにむかひて口を開きしによりて改むることあたはざればなり 007 JDG 011 036 女之にいひけるはわが父よ汝ヱホバにむかひて口をひらきたれば汝の口より言出せしごとく我になせよ其はヱホバ汝のために汝の敵なるアンモンの子孫に仇を復したまひたればなり 007 JDG 011 037 女またその父にいひけるはねがはくは此事をわれに允せすなはち二月の間我をゆるし我をしてわが友等とともに往て山にくだりてわが處女たることを歎かしめよと 007 JDG 011 038 ヱフタすなはち往けといひて之を二月のあひだ出し遣ぬ女その友等とともに往き山の上にておのれの處女たるを歎きしが 007 JDG 011 039 二月滿てその父に歸り來りたれば父その誓ひし誓願のごとくに之に行へり女は終に男を知ことなかりき 007 JDG 011 040 是よりして年々にイスラエルの女子等往て年に四日ほどギレアデ人ヱフタの女のために哀哭ことをなす是イスラエルの規矩となれり 007 JDG 012 001 エフライムの人々つどひて北にゆきヱフタにいひけるは汝何故に往きてアンモンの子孫と戰ひながらわれらをまねきて汝とともに行せざりしや我ら火をもて汝の家を汝とともに焚くべしと 007 JDG 012 002 ヱフタ之にいひけるは我とわが民の曾てアンモンの子孫と大に爭ひしときに我汝らをよびしに汝らかれらの手より我を救ふことをせざりき 007 JDG 012 003 我汝らが我を救はざるを見たればわが命をかけてアンモンの子孫の所に攻ゆきしにヱホバかれらを我が手に付したまへり然ば汝らなんぞ今日我が許に上り來りて我とたたかはんとするやと 007 JDG 012 004 ヱフタここにおいてギレアデの人をことごとくつどへてエフライムとたたかひしがギレアデの人々エフライムを撃破れり是はエフライム汝らギレアデ人はエフライムの逃亡者にしてエフライムとマナセの中にをるなりと言しに由る 007 JDG 012 005 而してギレアデ人エフライムにおもむくところのヨルダンの津をとりきりしがエフライム人の逃れ來る者ありて我を渡らせよといへばギレアデの人之に汝はエフライム人なるかと問ひ彼もし然らずと言ときは 007 JDG 012 006 また之に請ふシボレテといへといふに彼その音を正しくいひ得ずしてセボレテと言ばすなはち之を引捕へてヨルダンの津に屠せりその時にエフライム人のたふれし者四萬二千人なりき 007 JDG 012 007 ヱフタ六年のあひだイスラエルを審きたりギレアデ人ヱフタつひに死てギレアデのある邑に葬むらる 007 JDG 012 008 彼の後にベテレヘムのイブザン、イスラエルを審きたり 007 JDG 012 009 彼に三十人の男子ありまた三十人の女子ありしがこれをば外に嫁がしめてその子息等のために三十人の女を外より娶れり彼七年のあひだイスラエルを審きたり 007 JDG 012 010 イブザンつひに死てベテレヘムに葬むらる 007 JDG 012 011 彼の後にゼブルン人エロン、イスラエルを審きたりゼブルン人エロン十年のあひだイスラエルを審きたり 007 JDG 012 012 ゼブルン人エロンつひに死てゼブルンの地のアヤロンに葬むらる 007 JDG 012 013 彼の後にピラトン人ヒレルの子アブドン、イスラエルを審きたり 007 JDG 012 014 彼に四十人の男子および三十人の孫ありて七十の驢馬に乗る彼八年のあひだイスラエルを審けり 007 JDG 012 015 ピラトン人ヒレルの子アブドンつひに死てエフライムの地のピラトンに葬むらる是はアマレク人の山にあり 007 JDG 013 001 イスラエルの子孫またヱホバのまへにて惡を行ひしかばヱホバこれを四十年の間ペリシテ人の手にわたしたまへり 007 JDG 013 002 ここにダン人の族にて名をマノアとよべるゾラ人あり其の妻は石婦にして子を生みしことなし 007 JDG 013 003 ヱホバの使その女に現れて之にいひけるは汝は石婦にして子を生しことあらず然ど汝孕みて子をうまん 007 JDG 013 004 されば汝つつしみて葡萄酒および濃き酒を飮むことなかれまたすべて穢たるものを食ふなかれ 007 JDG 013 005 視よ汝孕みて子を産ん其の頭には剃刀をあつべからずその兒は胎を出るよりして神のナザレ人[神に身を獻げし者]たるべし彼ペリシテ人の手よりイスラエルを拯ひ始めんと 007 JDG 013 006 その婦人來りて夫に告て曰けるは神の人我にのぞめりその容貌は神の使の容貌のごとくにして甚おそろしかりしが我其のいづれより來れるやを問ず彼また其の名を我に告ざりき 007 JDG 013 007 彼我にいひけるは視よ汝孕みて子を産まん然ば葡萄酒および濃き酒を飮むなかれまたすべてけがれたるものを食ふなかれその兒は胎を出るより其の死る日まで神のナザレ人たるべしと 007 JDG 013 008 マノア、ヱホバにこひ求めていひけるはああわが主よ汝がさきに遣はしたまひし神の人をふたたび我らにのぞませ之をして我らがその産るる兒になすべき事を教へしめたまへ 007 JDG 013 009 神マノアの聲をききいれたまひて神の使者婦人の田野に坐しをる時に復之にのぞめり時に夫マノアは共にをらざりき 007 JDG 013 010 是において婦いそぎ走りて夫の告て之にいひけるは先頃我にのぞみし人また我に現はれたりと 007 JDG 013 011 マノアすなはち起て妻のあとに付て行き其人のもとに至りて之に汝はかつて此婦に語言し人なるかといふに然りとこたふ 007 JDG 013 012 マノアいひけるは汝の言のごとく成ん時は其兒の養育方および之になすべき事は如何 007 JDG 013 013 ヱホバの使者マノアにいひけるはわがさきに婦に言しところのことどもは婦之をつつしむべきなり 007 JDG 013 014 すなはち葡萄樹よりいづる者は凡て食ふべからず葡萄酒と濃き酒を飮ずまたすべて穢たるものを食ふべからずすべてわが彼に命じたることどもを彼守るべきなり 007 JDG 013 015 マノア、ヱホバの使者にいひけるは請我らをして汝を款留しめ汝のまへに山羊羔を備へしめよ 007 JDG 013 016 ヱホバの使者マノアにいひける汝我を款留るも我は汝の食物をくらはじまた汝燔祭をそなへんとならばヱホバにこれをそなふべしとマノアは彼がヱホバの使者なるを知ざりしなり 007 JDG 013 017 マノア、ヱホバの使者にいひけるは汝の名はなにぞ汝の言の効驗あらんときは我ら汝を崇ん 007 JDG 013 018 ヱホバの使者之にいひけるは我が名は不思議なり汝何故に之をたづぬるやと 007 JDG 013 019 マノア山羊羔と素祭物とをとり磐のうへにて之をヱホバにささぐ使者すなはち不思議なる事をなせりマノアとその妻之を視る 007 JDG 013 020 すなはち火燄壇より天にあがれるときヱホバの使者壇の火燄のうちにありて昇れりマノアと其の妻これを視をりて地にひれふせり 007 JDG 013 021 ヱホバの使者そののち重ねてマノアと其の妻に現はれざりきマノアつひに彼がヱホバの使者たりしを暁れり 007 JDG 013 022 茲にマノアその妻にむかひ我ら神を視たれば必ず死ぬるならんといふに 007 JDG 013 023 其の妻之にいひけるはヱホバもし我らを殺さんとおもひたまはばわれらの手より燔祭及び素祭をうけたまはざりしならんまたこれらの諸のことを我らに示すことをなしこたびのごとく我らに斯ることを告たまはざりしなるべしと 007 JDG 013 024 かくて婦子を産てその名をサムソンと呼べりその子育ち行くヱホバこれを惠みたまふ 007 JDG 013 025 ヱホバの靈ゾラとエシタオルのあひだなるマハネダンにて始て感動す 007 JDG 014 001 サムソン、テムナテに下り、ペリシテ人の女にてテムナテに住る一人の婦を見 007 JDG 014 002 歸り上りておのが父母に語ていひけるは我ペリシテ人の女にてテムナテに住るひとりの婦を見たりされば今之をめとりてわが妻とせよと 007 JDG 014 003 その父母之にいひけるは汝ゆきて割禮を受けざるペリシテ人のうちより妻を迎んとするは汝が兄弟等の女のうちもしくはわがすべての民のうちに婦女無が故なるかとしかるにサムソン父にむかひ彼婦わがこころに適へば之をわがために娶れと言り 007 JDG 014 004 その父母はこの事のヱホバより出しなるを知ざりきサムソンはペリシテ人を攻んと釁をうかがひしなりそは其のころペリシテ人イスラエルを轄め居たればなり 007 JDG 014 005 サムソン父母とともにテムナテに下りてテムナテの葡萄園にいたるに稚き獅子咆吼りて彼に向ひしが 007 JDG 014 006 ヱホバの靈彼にのぞみたれば山羊羔を裂がごとくに之を裂たりしが手には何の武器も持ざりきされどサムソンはその爲せしことを父にも母にも告ずしてありぬ 007 JDG 014 007 サムソンつひに下りて婦とうちかたらひしが婦その心にかなへり 007 JDG 014 008 かくて日を經て後サムソンかれを娶らんとて立かへりしが身を轉して彼の獅子の屍を見るに獅子の體に蜂の群と蜜とありければ 007 JDG 014 009 すなはちその蜜を手にとりて歩みつつ食ひ父母の許にいたりて之を與へけるに彼ら之を食へりされど獅子の體よりその蜜を取來れることをば彼らにかたらざりき 007 JDG 014 010 斯て其の父下りて婦のもとに至りしかばサムソン少年の習例にしたがひてそこに饗宴をまうけたるに 007 JDG 014 011 サムソンを見て三十人の者をつれ來りて之が伴侶とならしむ 007 JDG 014 012 サムソンかれらにいひけるは我汝らにひとつの隱語をかけん汝ら七日の筵宴の内に之を解てあきらかに之を我に告なば我汝らに裏衣三十と衣三十襲をあたふべし 007 JDG 014 013 然どもし之をわれに告得ずば汝ら我に裏衣三十と衣三十襲を與ふべしと彼等之にいひけるは汝の隱語をかけて我らに聽しめよ 007 JDG 014 014 サムソン之にいひけるは食ふ者より食物出で強き者より甘き物出でたりと彼ら三日の中に之を解ことあたはざりしかば 007 JDG 014 015 第七日にいたりてサムソンの妻にいひけるは汝の夫を説すすめて隱語を我らに明さしめよ然せずば火をもて汝と汝の父の家を焚ん汝らはわれらの物をとらんとてわれらを招けるなるか然るにあらずやと 007 JDG 014 016 是においてサムソンの妻サムソンのまへに泣ていひけるは汝はわれを惡む而巳われを愛せざるなり汝わが民の子孫に隱語をかけて之をわれに説あかさずとサムソン之にいふ我これをわが父や母にも説あかさざればいかで汝に説あかすべけんやと 007 JDG 014 017 婦七日の筵宴のあひだ彼のまへに泣き居りしが第七日に至りてサムソンつひに之を彼に説あかせり其は太く強たればなり婦すなはち隱語をおのが民の子孫に明せり 007 JDG 014 018 是において第七日に及びて日の沒るまへに邑の人々サムソンにいひけるは何ものか蜜よりあまからん何ものか獅子より強からんとサムソン之にいひけるは汝らわが牝犢をもて耕さざりしならばわが隱語を解得ざるなりと 007 JDG 014 019 茲にヱホバの靈サムソンに臨みしかばサムソン、アシケロンに下りてかしこの者三十人を殺しその物を奪ひ彼の隱語を解し者等にその衣服を與へはげしく怒りて其父の家にかへり上れり 007 JDG 014 020 サムソンの妻はサムソンの友となり居たるその伴侶の妻となりぬ 007 JDG 015 001 日を經てのち麥秋の時にサムソン山羊羔をたづさへて妻のもとを訪ていひけるは我室に入てわが妻に會んと然るに妻の父其の入ことをゆるさず 007 JDG 015 002 其父すなはちいひけるはわれまことに汝は彼の婦を嫌ひたりと意ひしがゆゑに彼を汝の伴侶たりし者に與へたり彼が妹は彼よりも善にあらずやねがはくは彼に代て之を汝のものとせよ 007 JDG 015 003 サムソン彼らにいひけるは今回はわれペリシテ人に害を加ふるとも彼らに對して罪なかるべしと 007 JDG 015 004 サムソンすなはち往て山犬三百をとらへ火炬をとり尾と尾をあはせてその二つの尾の間に一つの火炬を結ひつけ 007 JDG 015 005 火炬に火をつけてペリシテ人のいまだ刈ざる麥のなかにこれを放ち入れその束ね積たるものといまだ刈ざるものを焚き橄欖の園にまで及ぼせり 007 JDG 015 006 ペリシテ人いひけるは是は誰の行爲なるやこたへて言ふテムナテ人の婿サムソンなりそは彼サムソンの妻をとりて其伴侶なりし者に與へたればなりとここにおいてペリシテ人上りきたりて彼の婦とその父とを火にて燒きうしなへり 007 JDG 015 007 サムソンかれらに言ふ汝ら斯おこなへば我汝らに仇をむくはでは止じと 007 JDG 015 008 すなはち脛に腿に彼らを撃て大いに之を殺せりかくてサムソンは下りてエタムの巖間に居る 007 JDG 015 009 ここにおいてペリシテ人上り來りてユダに陣を取りレヒに布き備へたれば 007 JDG 015 010 ユダの人々いひけるは汝ら何の故にわれらに攻めのぼりたるやとかれらこたへけるはサムソンをしばりて彼がわれらに爲しごとくかれに爲んとてのぼれるなりと 007 JDG 015 011 是をもてユダの人三千人エタムの巖間にくだりてサムソンにいふ汝ペリシテ人はわれらを轄るものなるを知らざるや汝などてかわれらに斯る事をなせしやサムソンかれらにいひけるは我は彼らが我に爲しごとく彼らに爲しなりと 007 JDG 015 012 かれらまたサムソンにいひけるは我らは汝をしばりてペリシテ人の手にわたさんとて下りきたれりサムソンかれらにいひけるは汝らの自われを害すまじきことを我に誓へ 007 JDG 015 013 彼ら之にかたりていふいなわれらはただ汝を縛りいましめてペリシテ人の手にわたさんのみわれらは必らず汝を殺さざるべしとすなはち二條の新しき索をもてかれをいましめて巖より之を携かへれり 007 JDG 015 014 サムソン、レヒにいたれるときペリシテ人聲を揚てかれに近づきしが時しもヱホバの靈彼にのぞみたればその腕にかかれる索は火に焚たる麻のごとくになりて手のいましめ解はなれたり 007 JDG 015 015 サムソンすなはち驢馬のあたらしき腮骨ひとつを見出し手をのべて之を取り其をもて一千人を殺し 007 JDG 015 016 而して言ふ驢馬の腮骨をもて山をきづき山をつくる驢馬の腮骨をもて我一千人を撃殺せりと 007 JDG 015 017 かく言終りてその手より腮骨をうちすて其處をラマテレヒと名けたり 007 JDG 015 018 時に彼渇をおぼゆること甚だしかりしかばヱホバによばはりていふ汝のしもべの手をもて汝この大なる拯をほどこしたまへるにわれ今渇きて死に割禮を受けざるものの手におちいらんとすと 007 JDG 015 019 ここにおいて神レヒに在るくぼめる所を裂きたまひしかば水そこより流れいでしがサムソン之を飮たれば精神舊に返りてふたたび爽になりぬ故に其名をエンハッコレ(呼はれるものの泉)と呼ぶ是今日にいたるまでレヒに在り 007 JDG 015 020 サムソンはペリシテ人の治世の時に二十年イスラエルをさばけり 007 JDG 016 001 サムソン、ガザに往きかしこにて一人の妓を見てそれの處に入りしに 007 JDG 016 002 サムソンここに來れりとガザ人につぐるものありければすなはち之を取り圍みよもすがら邑の門に埋伏し詰朝におよび夜の明たる時に之をころすべしといひてよもすがら靜まりかへりて居る 007 JDG 016 003 サムソン夜半までいね夜半にいたりて興き邑の門の扉とふたつの柱に手をかけて楗もろともに之をひきぬき肩に載てヘブロンの向ひなる山の巓に負のぼれり 007 JDG 016 004 こののちサムソン、ソレクの谷に居る名はデリラと言ふ婦人を愛す 007 JDG 016 005 ペリシテ人の群伯その婦のもとに上り來て之にいひけるは汝サムソンを説すすめてその大いなる力は何に在るかまたわれら如何にせば之に勝て之を縛りくるしむるを得べきかを見出せ然すればわれらおのおの銀千百枚づつをなんぢに與ふべし 007 JDG 016 006 ここにおいてデリラ、サムソンにいひけるは汝の大なる力は何にあるかまた如何せば汝を縛りて苦むることを得るや請ふ之をわれにつげよ 007 JDG 016 007 サムソン之にいひけるは人もし乾きしことなき七條の新しき繩をもてわれを縛るときはわれ弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 008 ここに於てペリシテ人の群伯乾きしことなき七條の新しき繩を婦にもち來りければ婦之を以てサムソンをしばりしが 007 JDG 016 009 かねて室のうちに人しのび居て己とともにありたれば斯してサムソンにむかひサムソンよペリシテ人汝に及ぶと言にサムソンすなはちその索を絶りあたかも麻絲の火にあひて斷るるがごとし斯其の力の原由知れざりき 007 JDG 016 010 デリラ、サムソンにいひけるは視よ汝われを欺きてわれに謊を告たり請ふ何をもてせば汝を縛ることをうるや今我に告よ 007 JDG 016 011 彼之にいひけるはもし人用ひたることなき新しき索をもてわれを縛りいましめなばわれ弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 012 是をもてデリラあたらしき索をとり其をもて彼を縛りしかして彼にいふサムソンよペリシテ人汝におよぶと時に室のうちに人しのび居たりしがサムソン絲の如くにその索を腕より絶おとせり 007 JDG 016 013 デリラ、サムソンにいひけるに今までは汝われを欺きて我に謊をつげたるが何をもてせば汝をしばることをうるやわれに告よと彼之にいひけるは汝もしわが髮毛七繚を機の緯線とともに織ばすなはち可しと 007 JDG 016 014 婦すなはち釘をもて之をとめおきて彼にいひけるはサムソンよペリシテ人汝におよぶとサムソンすなはちその寢をさまし織機の釘と緯線とを曳拔り 007 JDG 016 015 婦ここにおいてサムソンにいひけるは汝の心われに居ざるに汝いかでわれを愛すといふや汝すでに三次われをあざむきて汝が大なる力の何にあるかをわれに告ずと 007 JDG 016 016 日々にその言をもて之にせまりうながして彼の心を死るばかりに苦ませたれば 007 JDG 016 017 彼つひにその心をことごとく打明して之にいひけるはわが頭にはいまだかつて剃刀を當しことあらずそはわれ母の胎を出るよりして神のナザレ人たればなりもしわれ髮をそりおとされなばわが力われをはなれわれは弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 018 デリラ、サムソンがことごとく其のこころを明したるを見人をつかはしてペリシテ人の群伯を召ていひけるはサムソンことごとくその心をわれに明したれば今ひとたび上り來るべしとここにおいてペリシテ人の群伯かの銀を携へて婦のもとにいたる 007 JDG 016 019 婦おのが膝のうへにサムソンをねむらせ人をよびてその頭髮七繚をきりおとさしめ之を苦めはじめたるにその力すでにうせさりてあり 007 JDG 016 020 婦ここにおいてサムソンよペリシテ人汝におよぶといひければ彼睡眠をさましていひけるはわれ毎のごとく出て身を振はさんと彼はヱホバのおのれをはなれたまひしを覺らざりき 007 JDG 016 021 ペリシテ人すなはち彼を執へ眼を抉りて之をガザにひき下り銅の鏈をもて之を繋げりかくてサムソンは囚獄のうちに磨を挽居たりしが 007 JDG 016 022 その髮の毛剃りおとされてのち復長はじめたり 007 JDG 016 023 茲にペリシテ人の群伯共にあつまりてその神ダゴンに大なる祭物をささげて祝をなさんとしすなはち言ふわれらの神はわれらの敵サムソンをわれらの手に付したりと 007 JDG 016 024 民サムソンを見ておのれの神をほめたたへて言ふわれらの神はわれらの敵たる者われらの地を荒せしものわれらを數多殺せしものをわれらの手に付したりと 007 JDG 016 025 その心に喜びていひけるはサムソンを召てわれらのために戲技をなさしめよとて囚獄よりサムソンを召いだせしかばサムソン之がために戲技をなせり彼等サムソンを柱の間に立しめしに 007 JDG 016 026 サムソンおのが手をひきをる少者にいひけるはわれをはなして此家の倚て立ところの柱をさぐりて之に倚しめよと 007 JDG 016 027 その家には男女充ちペリシテ人の群伯もまたみな其處に居る又屋蓋のうへには三千ばかりの男女をりてサムソンの戲技をなすを觀てありき 007 JDG 016 028 時にサムソン、ヱホバに呼はりいひけるはああ主ヱホバよねがはくは我を記念えたまへ嗚呼神よ願くは唯今一度われを強くしてわがふたつの眼のひとつのためにだにもペリシテ人に仇をむくいしめたまへと 007 JDG 016 029 サムソンすなはちその家の倚てたつところの兩箇の中柱のひとつを右の手ひとつを左の手にかかへて身をこれによせたりしが 007 JDG 016 030 サムソン我はペリシテ人とともに死なんといひて力をきはめて身をかがめたれば家はそのなかに居る群伯とすべての民のうへに倒れたりかくサムソンが死るときに殺せしものは生けるときに殺せし者よりもおほかりき 007 JDG 016 031 こののちサムソンの兄弟およびその父の家族ことごとく下りて之を取り携へのぼりてゾラとエシタオルのあひだなる其の父マノアの墓にはうむれりサムソンがイスラエルをさばきしは二十年なりき 007 JDG 017 001 ここにエフライムの山の人にて名をミカとよべるものありしが 007 JDG 017 002 その母に言けるは汝かつてその千百枚の銀を取れしことを吾が聞ところにて詛ひて語りしが視よその銀はわが手に在り我之を取るなりと母すなはちわが子よねがはくはヱホバ汝に祝福をたまへと言り 007 JDG 017 003 彼千百枚の銀をその母にかへせしかば母いひけらくわれわが子のためにひとつの像を雕みひとつの像を鑄んためにその銀をわが手よりヱホバに納む然ばわれ今之を汝にかへすべしと 007 JDG 017 004 ミカその銀を母にかへせしかば母その銀二百枚をとりて之を鑄物師にあたへてひとつの像をきざませひとつの像を鑄させたり其像はミカの家に在り 007 JDG 017 005 このミカといふ人神の殿をもちをりエポデおよびテラピムを造りひとりの子を立ておのが祭司となせり 007 JDG 017 006 此ときにはイスラエルに王なかりければ人々おのれの目に是とみゆることをおこなへり 007 JDG 017 007 ここにひとりの少者ありてベテレヘムユダに於てユダの族の中にをる彼はレビ人にしてかしこに寓居るなり 007 JDG 017 008 この人居べきところをたづねてその邑ベテレヘムユダを去しが遂に旅してエフライムの山にゆきてミカの家にいたりしに 007 JDG 017 009 ミカ之にいひけるは汝いづこよ來れるやと彼之にいふ我はベテレヘムユダのレビ人なるが居べきところをたづねに往くものなり 007 JDG 017 010 ミカ之に言けるは汝われと偕に居りわがために父とも祭司ともなれよ然ばわれ年に銀十枚および衣服食物を汝にあたへんとレビ人すなはち入しが 007 JDG 017 011 レビ人つひにその人と偕に居んことを肯ふ是においてその少者はかれの子の一人のごとくなりぬ 007 JDG 017 012 ミカ、レビ人なるこの少者をたてて祭司となしたればすなはちミカの家に居る 007 JDG 017 013 ミカここにおいて言ふ今われ知るヱホバわれに恩惠をたまはんそはこのレビ人われの祭司となればなり 007 JDG 018 001 當時イスラエルには王なかりしがダン人の支派其頃住むべき地を求めたり是は彼らイスラエルの支派の中にありて其日まで未だ産業の地を得ざりしが故なり 007 JDG 018 002 ダンの子孫すなはちゾラとエシタオルよりして自己の族の勇者五人を遣はしその境を出て土地を窺ひ探らしむ即ち彼等に言ふ往て土地を探れと彼等エフライムの山にいたりミカの家につきて其處に宿れり 007 JDG 018 003 かれらミカの家の傍にある時レビ人なる少者の聲を聞認たれば身をめぐらして其處にいりて之に言ふ誰が汝を此に携きたりしや汝此處にて何をなすや此に何の用あるや 007 JDG 018 004 其人かれらに言けるはミカ斯々我を待ひ我を雇ひて我その祭司となれりと 007 JDG 018 005 彼等これに言ふ請ふ神に問ひ我等が往くところの途に利逹あるや否を我等にしらしめよ 007 JDG 018 006 その祭司かれらに言けるは安んじて往よ汝らが往ところの途はヱホバの前にあるなりと 007 JDG 018 007 是に於て五人の者往てライシに至り其處に住る人民を視るに顧慮なく住ひをり其安穩にして安固なることシドン人のごとし此國には政權を握りて人を煩はす者絶てあらず其シドン人と隔たること遠くまた他の人民と交ることなし 007 JDG 018 008 斯て彼等ゾラとエシタオルに返りてその兄弟等にいたるに兄弟等如何なりしやと彼等に問ければ 007 JDG 018 009 答て言ふ起よ彼等の所に攻のぼらん我等その地を見るに甚だ善し汝等は安んじをるなり進みいたりてその地を取ることを怠るなかれ 007 JDG 018 010 汝等往ば安固なる人民の所に至らんその地は堅横ともに廣し神これを汝らの手に與へたまふなり此處には世にある物一箇も缺ることあらず 007 JDG 018 011 是に於てダン人の族の者六百人武器を帶てゾラとエシタオルより出ゆき 007 JDG 018 012 上りてユダのキリヤテヤリムに陣を張り是をもてその處をマハネダンと名けしがその名今日に存る是はキリヤテヤリムの後にあり 007 JDG 018 013 彼等其處よりエフライム山に進みミカの家に至りけるに 007 JDG 018 014 夫のライシの國を窺ひに往たりし五人の者その兄弟等に告て言けるは是等の家にはエポデ、テラピムおよび雕める像と鑄たる像あるを汝等知や然ば汝ら今その爲べきことを考へよと 007 JDG 018 015 乃ち其方に身をめぐらして夫のレビ人の少者の家なるミカの家に至りてその安否を問けるが 007 JDG 018 016 武器を帶たる六百人のダンの子孫は門の入口に立り 007 JDG 018 017 夫の土地を窺ひに往たりし五人の者上りて其處にいりその雕める像とエポデとテラピムおよび鑄たる像を取けるが祭司は武器を帶たる六百人の者とともに門の入口に立ゐたり 007 JDG 018 018 此人々ミカの家にいりて其雕める像とエポデとテラピムと鑄たる像とを取しかば祭司かれらに汝ら何をなすやと言ふに 007 JDG 018 019 彼等これに言けるは汝默せよ汝手を口にあてて我らとともに來り我らの父とも祭司ともなれよかし一人の家の祭司たるとイスラエルの一の支派一の族の祭司たるとは何か好や 007 JDG 018 020 祭司すなはち心に悦びてエポデとテラピムと雕める像とを取て民の中に入る 007 JDG 018 021 斯てかれら身をめぐらしその子女と家畜と財寳を前にたてて進みしが 007 JDG 018 022 ミカの家を遙かに離れし時ミカの家に近きところの家の人々呼はり集てダンの子孫に追ひつき 007 JDG 018 023 ダンの子孫を呼たれば彼等回顧てミカに言ふ汝何事ありて集りしや 007 JDG 018 024 かれら言けるは汝らはわが造れる神々および祭司を奪ひさりたれば我尚何かあらん然るに汝等何ぞ我にむかひて何事ぞやと言や 007 JDG 018 025 ダンの子孫かれに言けるは汝の聲を我らの中に聞えしむるなかれ恐くは心の荒き人々汝に撃かかるありて汝おのれの生命と家族の生命とを失ふにいたらんと 007 JDG 018 026 而してダンの子孫進みゆきけるがミカは彼らが己よりも強きを見て身をめぐらして家に返れり 007 JDG 018 027 彼等ミカが造りし者とその有し祭司をとりてライシにおもむき平穩にして安樂なる民の所にいたり刃をもて之を撃ち火をもてその邑を燬たりしが 007 JDG 018 028 其シドンと隔たること遠きが上に他の人民と交際ざりしによりて之を救ふ者なかりきその邑はベテレホブの邊の谷にあり彼ら邑を建なほして其處に住み 007 JDG 018 029 イスラエルの生たるその先祖ダンの名にしたがひて其邑の名をダンと名けたりその邑の名は本はライシなりき 007 JDG 018 030 斯てダンの子孫その雕める像を安置りモーセの子なるゲルシヨムの子ヨナタンとその子孫ダンの支派の祭司となりて國の奪はるる時にまでおよべり 007 JDG 018 031 神の家のシロにありし間恒に彼等はミカが造りしかの雕める像を安置おきぬ 007 JDG 019 001 其頃イスラエルに王なかりし時にあたりてエフライムの山の奧に一人のレビ人寄寓をりベテレヘムユダより一人の婦人をとりて妾となしたるに 007 JDG 019 002 その妾彼に背きて姦淫を爲し去てベテレヘムユダなるその父の家にかへり其所に四月といふ日をおくれり 007 JDG 019 003 是に於てその夫彼をなだめて携かへらんとてその僕と二頭の驢馬をしたがへ起てかれの後をしたひゆきければその父の家に之を導きいたりしに女の父これを見て之に遇ことを悦こべり 007 JDG 019 004 而してその女の父なる外舅彼をひきとめたれば則ち三日これと共に居り皆食飮して其所に宿りしが 007 JDG 019 005 四日におよびて朝早く起あがり彼たちて去んとしければ女の父その婿に言ふ少許の食物をもて汝の心を強くして然る後に去れよと 007 JDG 019 006 二人すなはち坐りて共に食飮しけるが女の父その人にいひけるは請ふ幸に今一夜を明し汝の心を樂ましめよと 007 JDG 019 007 其人起て去んとしけるに外舅これを強たれば遂に復其所に宿り 007 JDG 019 008 五日におよびて朝はやく起いでて去んとしたるに女の父これに言けるは請ふ汝の心を強くせよと是をもて日の昃るまでとどまりて共に食をなしけるが 007 JDG 019 009 其人つひに妾および僕とともに去んとて起あがりければ女の父彼に言ふ視よ今は日暮なんとす請ふ今一夜を明されよ視よ日昃たり汝此にやどりて汝の心をたのしませ明日蚤く起て出たち汝の家にいたれよと 007 JDG 019 010 然るに其人止宿ることを肯はずして起て去りヱブスの對面に至れり是はエルサレムなり鞍おける二の驢馬彼とともにあり妾も彼とともなりき 007 JDG 019 011 彼らヱブスの近傍にをる時日はや沒んとしければ僕その主人にいひけるは請ふ來れ我等身をめぐらしてヱブス人の此邑にいりて其所に宿らんと 007 JDG 019 012 その主人これに言けるは我等は彼所に身をめぐらしてイスラエルの子孫の邑ならざる外國の人の邑にいるべからずギベアに進みゆかんと 007 JDG 019 013 すなはちその僕にいひけるは來れ我らギベアかラマか是等の處の一に就て止宿んと 007 JDG 019 014 皆すすみ往きけるがベニヤミンのギベアの近邊にて日暮たれば 007 JDG 019 015 ギベアにゆきて宿らんとて其所に身をめぐらし入て邑の衢に坐しけるに誰も彼を家に接て宿らしむる者なかりき 007 JDG 019 016 時に一人の老人日暮に田野の働作をやめて歸りきたる此人はエフライム山の者にしてギベアに寄寓れるなり但し此處の人はベニヤミン人なり 007 JDG 019 017 彼目をあげて旅人の邑の衢にをるを見たり老人すなはちいひけるは汝は何所にゆくなるや何所より來れるやと 007 JDG 019 018 その人これにいひけるは我らはベテレヘムユダよりエフライム山の奧におもむく者なり我は彼所の者にて既にベテレヘムユダにゆき今ヱホバの室に詣らんとするなるが誰もわれを家に接ものあらず 007 JDG 019 019 然ど驢馬の藁も飼蒭もあり又我と汝の婢および僕等とともなる少者の用ふべき食物も酒も在て何も事缺るところなし 007 JDG 019 020 老人いひけるは願くは汝安かれ汝が需むる者は我そなへん唯衢に宿るなかれと 007 JDG 019 021 かれをその家に携れ驢馬に飼ふ彼らすなはち足をあらひて食飮せしが 007 JDG 019 022 その心を樂ませをる時にあたりて邑の人々の邪なる者その家をとりかこみ戸を打たたきて家の主人なる老人に言ふ汝の家にきたれる人をひき出せ我らこれを犯さんと 007 JDG 019 023 是に於て家の主人なる人かれらの所にいでゆきてこれに言けるは否わが兄弟よ惡をなす勿れ此人すでにわが家にいりたればこの愚なる事をなすなかれ 007 JDG 019 024 我が處女なる女と此人の妾とあるにより我これを今つれいだすべければ汝らかれらを辱しめ汝等の好むところをこれに爲せ唯この人には斯る愚なる事を爲すなかれと 007 JDG 019 025 然るにその人々これを聽いれざるにより其人その妾をとりてこれを彼らの所にいだしやりければすなはちこれを犯して朝にいたるまで終夜これを辱しめ日のいづる頃にいたりて釋てり 007 JDG 019 026 是をもて婦黎明にきたりてその夫のをる彼人の家の門に仆れ夜のあくるまで其處に臥をる 007 JDG 019 027 その主朝におよびておきいで家の戸をひらきて出去んとせしがその妾の婦の家の門にたふれをりて手を閾の上におくを見ければ 007 JDG 019 028 これにむかひ起よ我ら出往んと言たれども何の答もあらざりき是によりてその人これを驢馬にのせたちて己の所におもむきしが 007 JDG 019 029 家にいたるにおよびて刀をとり其妾を執へて骨ぐるみこれを十二分にたちわりて之をイスラエルの四方の境におくりければ 007 JDG 019 030 之を見る者皆いふイスラエルの子孫がエジプトの地より出のぼりし日より今日にいたるまで斯のごとき事は行はれしことなく見えしことなし思をめぐらし相議りて言ふことをせよ 007 JDG 020 001 是に於てイスラエルの子孫ダンよりベエルシバにいたりギレアデの地にいたるまで皆出きたり其會衆一人のごとくにしてミヅパに於てヱホバの前に集り 007 JDG 020 002 衆民の長たる者すなはちイスラエルの諸の支派の長等みづから神の民の集會に出づ劍をぬくところの歩兵四十萬人ありき 007 JDG 020 003 ベニヤミンの子孫はイスラエルの子孫がミヅパにのぼれることを聞り斯てイスラエルの子孫此惡事の樣を語れと言ければ 007 JDG 020 004 彼殺されし婦の夫なるレビの人こたへていふ我わが妾とともにベニヤミンのギベアに宿らんとて往たるに 007 JDG 020 005 ギベアの人起りたちて我をせめ夜の間に我がをる家をとりかこみて我を殺さんと企て遂にわが妾を辱しめてこれを死しめたれば 007 JDG 020 006 我わが妾をとらへてこれをたちわり是をイスラエルの産業なる全地に遣れり是は彼らイスラエルにおいて淫事をなし愚なる事をなしたればなり 007 JDG 020 007 汝等は皆イスラエルの子孫なり今汝らの意見と思考をのべよ 007 JDG 020 008 民みな一人のごとくに起ていひけるは我らは誰もおのれの天幕にゆかずまた誰もおのれの家におもむかじ 007 JDG 020 009 我らがギベアになさんところの事は是なりすなはち鬮にしたがひて之を攻ん 007 JDG 020 010 我らイスラエルの諸の支派の中に於て百人より十人千人より百人萬人より千人を取りて民の糧食を執せ之をしてベニヤミンのギベアにいたり彼らがイスラエルにおこなひたるその愚なる事にしたがひて事をなさしむべしと 007 JDG 020 011 斯イスラエルの人々皆あつまりて此邑を攻んとせしが其相結べること一人のごとくなりき 007 JDG 020 012 イスラエルの諸の支派遍く人をベニヤミンの支派の中に遣して言しめけるは汝らの中に此惡事のおこなはれしは何事ぞや 007 JDG 020 013 然ばギベアにをるかの邪なる人々をわたせ我らこれを誅して惡をイスラエルに絶べしと然るにベニヤミンの子孫はその兄弟なるイスラエルの子孫の言を聽いれざりき 007 JDG 020 014 却てベニヤミンの子孫は邑々よりギベアにあつまりて出てイスラエルの子孫と戰はんとす 007 JDG 020 015 その時邑々より出たるベニヤミンの子孫を數ふるに劍をぬく所の人二萬六千あり外にまたギベアの居民ありて之をかぞふるに精兵七百人ありき 007 JDG 020 016 この諸の民の中に左手利の精兵七百人あり皆能く投石器をもて石を投るに毫末もたがふことなし 007 JDG 020 017 イスラエルの人を數ふるにベニヤミンを除きて劍をぬくところの者四十萬人ありき是みな軍人なり 007 JDG 020 018 爰にイスラエルの子孫起あがりてベテルにのぼり神に問て我等の中孰か最初にのぼりてベニヤミンの子孫と戰ふべきやと言ふにヱホバ、ユダ最初にと言たまふ 007 JDG 020 019 イスラエルの子孫すなはち朝おきてギベアにむかひて陣をとりけるが 007 JDG 020 020 イスラエルの人々ベニヤミンと戰はんとて出でゆきイスラエルの人々行伍をたててギベアにて彼らと戰はんとしければ 007 JDG 020 021 ベニヤミンの子孫ギベアより進みいで其日イスラエル人二萬二千を地に撃仆せり 007 JDG 020 022 然るにイスラエルの民の人々みづから奮ひその初の日に行伍をたてし所にまた行伍をたてたり 007 JDG 020 023 而してイスラエルの子孫上りゆきてヱホバの前に夕暮まで哭きヱホバに問て言ふ我復進みよりて吾兄弟なるベニヤミンの子孫とたたかふべきやとヱホバ彼に攻のぼれと言たまへり 007 JDG 020 024 是に於てイスラエルの子孫次の日またベニヤミンの子孫の所に攻よするに 007 JDG 020 025 ベニヤミンまた次の日ギベアより進みて之にいであい再びイスラエルの子孫一萬八千人を地に撃仆せり是みな劍をぬくところの者なりき 007 JDG 020 026 斯在しかばイスラエルの子孫と民みな上りてベテルにいたりて哭き其處にてヱホバの前に坐りその日の夕暮まで食を斷ち燔祭と酬恩祭をヱホバの前に獻げ 007 JDG 020 027 而してイスラエルの子孫ヱホバにとへり(その頃は神の契約の櫃彼處にありて 007 JDG 020 028 アロンの子エレアザルの子なるピネハス當時これに事へたり)即ち言けるは我またも出てわが兄弟なるベニヤミンの子孫とたたかふべきや或は息べきやヱホバ言たまふ上れよ明日はわれ汝の手にかれらを付すべしと 007 JDG 020 029 イスラエル是に於てギベアの周圍に伏兵を置き 007 JDG 020 030 而してイスラエルの子孫三日目にまたベニヤミンの子孫の所に攻のぼり前のごとくにギベアにむかひて行伍をたてたれば 007 JDG 020 031 ベニヤミンの子孫民に出あひしが遂に邑より誘出されたり彼等始は民を撃ち大路にて前のごとくイスラエルの人三千人許を殺せりその大路は一筋はベテルにいたり一筋は野のギベアに至る 007 JDG 020 032 ベニヤミンの子孫すなはち言ふ彼らは初のごとく我らに撃破らると然るにイスラエルの人は云ふ我等逃て彼らを邑より大路に誘き出さんと 007 JDG 020 033 イスラエルの人々みなその所を起て去りバアルタマルに行伍をたてたり而して伏兵その處より即ちギベアの野原より起れり 007 JDG 020 034 イスラエルの全軍の中より選拔たる兵一萬來りてギベアを襲ひ其戰鬪はげしかりしがベニヤミン人は葘害の己にのぞむを知ざりき 007 JDG 020 035 ヱホバ、イスラエルのまへにベニヤミンを撃敗りたまひしかばイスラエルの子孫その日ベニヤミン人二萬五千一百人を殺せり是みな劍をぬくところの者なり 007 JDG 020 036 ベニヤミンの子孫すなはち己の撃敗らるるを見たり偖イスラエルの人々そのギベアにむかひて設けたる所の伏兵を恃てベニヤミン人を避て退きけるが 007 JDG 020 037 伏兵急ぎてギベアに突いり伏兵進みて刃をもて邑を盡く撃り 007 JDG 020 038 イスラエルの人々とその伏兵との間に定めたる合圖は邑より大なる黒烟をあげんとの事なりき 007 JDG 020 039 イスラエルの人々戰陣より引き退ぞくベニヤミン初が程はイスラエルの人々を撃ちて三千人許を殺し乃ち言ふ彼等はまことに最初の戰のごとく我等に撃やぶらると 007 JDG 020 040 然るに火焔烟の柱なして邑より上りはじめしかばベニヤミン人後を見かへりしに邑は皆烟となりて空にのぼる 007 JDG 020 041 時にイスラエルの人々ふりかへりしかばベニヤミンの人々葘害のおのれに迫るを見て狼狽へ 007 JDG 020 042 イスラエルの人々の前より身をめぐらして野の途におもむきけるが戰鬪これに追せまりて遂にその邑々よりいでたる者どもその中に戰死す 007 JDG 020 043 イスラエルの人すなはちベニヤミン人をとりまきて之を追うち容易くこれを踏たふして東の方ギベアの對面にまでおよべり 007 JDG 020 044 ベニヤミンの仆るる者一萬八千人是みな勇士なり 007 JDG 020 045 茲に彼等身をめぐらして野の方ににげリンモンの磐にいたれりイスラエルの人大路にて彼等五千人を伐とり尚もこれを追うちてギドムにいたりその二千人を殺せり 007 JDG 020 046 是をもて其日ベニヤミンの仆れし者は劍をぬくところの人あはせて二萬五千なりき是みな勇士なり 007 JDG 020 047 但六百人の者身をめぐらして野の方にのがれリンモンの磐にいたりて四月があひだリンモンの磐にをる 007 JDG 020 048 是に於てイスラエルの人々また身をかへしてベニヤミンの子孫をせめ刃をもて邑の人より畜にいたるまで凡て目にあたる者を撃ち亦その至るところの邑々に火をかけたり 007 JDG 021 001 イスラエルの人々曾てミヅパにて誓ひ曰ひけるは我等の中一人もその女をベニヤミンの妻にあたふる者あるべからずと 007 JDG 021 002 茲に民ベテルに至り彼處にて夕暮まで神の前に坐り聲を放ちて痛く哭き 007 JDG 021 003 言けるはイスラエルの神ヱホバよなんぞイスラエルに斯ること起り今日イスラエルに一の支派の缺るにいたりしやと 007 JDG 021 004 而して翌日民蚤に起て其處に壇を築き燔祭と酬恩祭をささげたり 007 JDG 021 005 茲にイスラエルの子孫いひけるはイスラエルの支派の中に誰か會衆とともに上りてヱホバにいたらざる者あらんと其は彼らミヅパに來りてヱホバにいたらざる者の事につきて大なる誓をたてて其人をばかならず死しむべしと言たればなり 007 JDG 021 006 イスラエルの子孫すなはち其兄弟ベニヤミンの事を憫然におもひて言ふ今日イスラエルに一の支派絶ゆ 007 JDG 021 007 我等ヱホバをさして我らの女をかれらの妻にあたへじと誓ひたれば彼の遺る者等に妻をめとらしめんには如何にすべきや 007 JDG 021 008 又言ふイスラエルの支派の中孰の者かミヅパにのぼりてヱホバにいたらざると而して視るにヤベシギレアデよりは一人も陣營にきたり集會に臨める者なし 007 JDG 021 009 即ち民をかぞふるにヤベシギレアデの居民は一人も其處にをらざりき 007 JDG 021 010 是に於て會衆勇士一萬二千を彼處に遣し之に命じて言ふ往て刃をもてヤベシギレアデの居民を撃て婦女兒女をも餘すなかれ 007 JDG 021 011 汝ら斯おこなふべし即ち汝等男人および男と寢たる婦人をば悉く滅し盡すべしと 007 JDG 021 012 彼等ヤベシギレアデの居民の中にて四百人の若き處女を獲たり是は未だ男と寢て男しりしことあらざる者なり彼らすなはち之をシロの陣營に曳きたる是はカナンの地にあり 007 JDG 021 013 斯て全會衆人をやりてリンモンの磐にをるベニヤミン人と語はしめ和睦をこれに宣べしめたれば 007 JDG 021 014 ベニヤミンすなはち其時に歸りきたれり是において彼らヤベシギレアデの婦人の中より生しおきたるところの女子を之にあたへけるが尚足ざりき 007 JDG 021 015 ヱホバ、イスラエルの支派の中に缺を生ぜしめ給ひしに因て民ベニヤミンの事を憫然におもへり 007 JDG 021 016 會衆の長老等いひけるはベニヤミンの婦女絶たれば彼の遺れる者等に妻をめとらせんには如何すべきや 007 JDG 021 017 又言けるはベニヤミンの中の逃れたる者等に産業あらしめん然らばイスラエルに一の支派の消ることなかるべし 007 JDG 021 018 然ながら我等は我等の女子を彼らの妻にあたふべからず其はイスラエルの子孫誓をなしベニヤミンに妻を與ふる者は詛はれんと言たればなりと 007 JDG 021 019 而して言ふ歳々シロにヱホバの祭ありと其處はベテルの北にあたりてベテルよりシケムにのぼるところの大路の東レバナの南にあり 007 JDG 021 020 是に於てかれらベニヤミンの子孫に命じて言ふ汝らゆきて葡萄園に伏して窺ひ 007 JDG 021 021 若シロの女等舞をどらんと出きたらば葡萄園より出でシロの女の中より各人妻を執てベニヤミンの地に往け 007 JDG 021 022 若その父あるひは兄弟來りて我らに愬へなば我らこれに言ふべし請ふ幸に彼らを我らに取せよ我等戰爭の時に皆ことごとくその妻をとりしにあらざればなり汝等今かれらに與へしにあらざれば汝等は罪なしと 007 JDG 021 023 ベニヤミンの子孫すなはちかく行なひその踊れる者等を執へてその中より己の數にしたがひて妻を取り往てその地にかへり邑々を建なほして其處に住り 007 JDG 021 024 斯てイスラエルの子孫その時に其處を去て各人その支派に往きその族にいたれり即ち其處より出て各人その地にいたりぬ 007 JDG 021 025 當時はイスラエルに王なかりしかば各人その目に善と見るところを爲り # # BOOK 008 RUT Ruth ルツ記 008 RUT 001 001 士師の世ををさむる時にあたりて國に饑饉ありければ一箇の人その妻と二人の男子をひきつれてベテレヘムユダを去りモアブの地にゆきて寄寓る 008 RUT 001 002 その人の名はエリメレクその妻の名はナオミその二人の男子の名はマロンおよびキリオンといふベテレヘムユダのエフラテ人なり 彼等モアブの地にいたりて其處にをりしが 008 RUT 001 003 ナオミの夫エリメレク死てナオミとその二人の男子のこさる 008 RUT 001 004 彼等おのおのモアブの婦人を妻にめとる その一人の名はオルパといひ一人の名はルツといふ 彼處にすむこと十年許にして 008 RUT 001 005 マロンとキリオンの二人もまた死り 斯ナオミは二人の男子と夫に後れしが 008 RUT 001 006 モアブの地にて彼ヱホバその民を眷みて食物を之にたまふと聞ければその媳とともに起ちてモアブの地より歸らんとし 008 RUT 001 007 その在ところを出たりその 二人の媳これとともにあり 彼等ユダの地にかへらんと途にすすむ 008 RUT 001 008 爰にナオミその二人の媳にいひけるは汝らはゆきておのおの母の家にかへれ 汝らがかの死たる者と我とを善く待ひしごとくにねがはくはヱホバまたなんぢらを善くあつかひたまへ 008 RUT 001 009 ねがはくはヱホバなんぢらをして各その夫の家にて安身處をえせしめたまへと 乃ちかれらに接吻しければ彼等聲をあげて哭き 008 RUT 001 010 之にいひけるは我ら汝とともに汝の民にかへらんと 008 RUT 001 011 ナオミいひけるは女子よ返れ 汝らなんぞ我と共に往くべけんや 汝らの夫となるべき子猶わが胎にあらんや 008 RUT 001 012 女子よかへりゆけ 我は老たれば夫をもつをえざるなり 假設われ指望ありといふとも今夜夫を有つとも而してまた子を生むとも 008 RUT 001 013 汝等これがために其子の生長までまちをるべけんや 之がために夫をもたずしてひきこもりをるべけんや 女子よ然すべきにあらず 我はヱホバの手ののぞみてわれを攻しことを汝らのために痛くうれふるなり 008 RUT 001 014 彼等また聲をあげて哭く 而してオルパはその姑に接吻せしがルツは之を離れず 008 RUT 001 015 是によりてナオミまたいひけるは視よ汝の妯娌はその民とその神にかへり往く 汝も妯娌にしたがひてかへるべし 008 RUT 001 016 ルツいひけるは汝を棄て汝をはなれて歸ることを我に催すなかれ我は汝のゆくところに往き汝の宿るところにやどらん 汝の民はわが民汝の神はわが神なり 008 RUT 001 017 汝の死る所に我は死にて其處に葬らるべし 若死別にあらずして我なんぢとわかれなばヱホバわれにかくなし又かさねてかくなしたまへ 008 RUT 001 018 彼 媳が固く心をさだめて己とともに來らんとするを見しかば之に言ふことを止たり 008 RUT 001 019 かくて彼等二人ゆきて終にベテレヘムにいたりしがベテレヘムにいたれる時 邑こぞりて之がためにさわぎたち婦女等是はナオミなるやといふ 008 RUT 001 020 ナオミかれらにいひけるは我をナオミ(樂し)と呼なかれ マラ(苦し)とよぶべし 全能者痛く我を苦しめ給ひたればなり 008 RUT 001 021 我 盈足て出でたるにヱホバ我をして空くなりて歸しめたまふ ヱホバ我を攻め全能者われをなやましたまふに汝等なんぞ我をナオミと呼や 008 RUT 001 022 斯ナオミそのモアブの地より歸れる 媳モアブの女ルツとともに歸り來れり 即ち彼ら大麥刈の初にベテレヘムにいたる 008 RUT 002 001 ナオミにその夫の知己あり 即ちエリメレクの族にして大なる力の人なり その名をボアズといふ 008 RUT 002 002 茲にモアブの女ルツ、ナオミにいひけるは請ふわれをして田にゆかしめよ 我何人かの目のまへに恩をうることあらばその人の後にしたがひて穗を拾はんと ナオミ彼に女子よ往べしといひければ 008 RUT 002 003 乃ち往き遂に至りて刈者の後にしたがひ田にて穗を拾ふ 彼 意はずもエリメレクの族なるボアズの田の中にいたれり 008 RUT 002 004 時にボアズ、ベテレヘムより來り その刈者等刈者等に言ふ ねがはくはヱホバ汝等とともに在せと 彼等すなはち答てねがはくはヱホバ汝を祝たまへといふ 008 RUT 002 005 ボアズその刈者を督る僕にいひけるは此は誰の女なるや 008 RUT 002 006 刈者を督る人こたへて言ふ是はモアブの女にしてモアブの地よりナオミとともに還りし者なるが 008 RUT 002 007 いふ請ふ我をして刈者の後にしたがひて禾束の間に穗をひろひあつめしめよと 而して來りて朝より今にいたるまで此にあり 其家にやすみし間は暫時のみ 008 RUT 002 008 ボアズ、ルツにいひけるは女子よ聽け 他の田に穗をひろひにゆくなかれ 又此よりいづるなかれわが婢等に離ずして此にをるべし 008 RUT 002 009 人々の刈ところの田に目をとめてその後にしたがひゆけ 我 少者等に汝にさはるなかれと命ぜしにあらずや 汝渇く時は器の所にゆきて少者の汲るを飮めと 008 RUT 002 010 彼すなはち伏して地に拜し之にいひけるは我 如何して汝の目の前に恩惠を得たるか なんぢ異邦人なる我を顧みると 008 RUT 002 011 ボアズこたへて彼にいひけるは汝が夫の死にたるより巳來姑に盡したる事汝がその父母および生れたる國を離れて見ず識ずの民に來りし事皆われに聞えたり 008 RUT 002 012 ねがはくはヱホバ汝の行爲に報いたまへ ねがはくはイスラエルの神ヱホバ即ち汝がその翼の下に身を寄んとて來れる者汝に十分の報施をたまはんことを 008 RUT 002 013 彼いひけるは主よ我をして汝の目の前に恩をえせしめたまへ 我は汝の仕女の一人にも及ざるに汝かく我を慰め斯 仕女に懇切に語りたまふ 008 RUT 002 014 ボアズかれにいひけるは食事の時は此にきたりてこのパンを食ひ且汝の食物をこの醋に濡せよと 彼すなはち刈者の傍に坐しければボアズ烘麥をかれに與ふ 彼くらひて飽き其 餘を懷む 008 RUT 002 015 かくて彼また穗をひろはんとて起あがりければボアズその少者に命じていふ 彼をして禾束の間にても穗をひろはしめよ かれを羞しむるなかれ 008 RUT 002 016 且手の穗を故に彼がために抽落しおきて彼に拾はしめよ 叱るなかれ 008 RUT 002 017 彼かく薄暮まで田に穗を拾ひてその拾ひし者を撲しに大麥一斗許ありき 008 RUT 002 018 彼すなはち之を携へて邑にいり姑にその拾ひし者を看せ且その飽きたる後に懷めおきたる者を取出して之にあたふ 008 RUT 002 019 姑かれにいひけるは汝今日何處にて穗をひろひしや 何の處にて工作しや 願くは汝を眷顧たる者に福祉あれ 彼すなはち姑にその誰の所に工作しかを告げていふ 今日われに工作をなさしめたる人の名はボアズといふ 008 RUT 002 020 ナオミ媳にいひけるは願はヱホバの恩かれに至れ 彼は生ける者と死る者とを棄ずして恩をほどこす ナオミまた彼にいひけるは其人は我等に縁ある者にして我等の贖業者の一人なり 008 RUT 002 021 モアブの女ルツいひけるは彼また我にかたりて汝わが穫刈の盡く終るまでわが少者の傍をはなるるなかれといへりと 008 RUT 002 022 ナオミその媳ルツにいひけるは女子よ汝かれの婢等とともに出るは善し 然れば他の田にて人に見らるることを免かれん 008 RUT 002 023 是によりて彼ボアズの婢等の傍を離れずして穗をひろひ大麥刈と小麥刈の終にまでおよぶ 彼その姑とともにをる 008 RUT 003 001 爰に姑ナオミ彼にいひけるは女子よ我汝の安身所を求めて汝を幸ならしむべきにあらずや 008 RUT 003 002 夫汝が偕にありし婢等を有る彼ボアズは我等の知己なるにあらずや 視よ彼は今夜 禾塲にて大麥を簸る 008 RUT 003 003 然ば汝の身を洗て膏をぬり衣服をまとひて禾塲に下り汝をその人にしらせずしてその食飮を終るを待て 008 RUT 003 004 而て彼が臥す時に汝その臥す所を見とめおき入てその脚を掀開りて其處に臥せよ 彼なんぢの爲べきことを汝につげんと 008 RUT 003 005 ルツ姑にいひけるは汝が我に言ところは我皆なすべしと 008 RUT 003 006 即ち禾塲に下り凡てその姑の命ぜし如くなせり 008 RUT 003 007 偖ボアズは食飮をなしてその心をたのしませ往て麥を積る所の傍に臥す 是に於て彼 潜にゆきその足を掀開て其處に臥す 008 RUT 003 008 夜半に及びて其人 畏懼をおこし起かへりて見るに一人の婦その足の方に臥ゐたれば 008 RUT 003 009 汝は誰なるやといふに婦こたへて我は汝の婢ルツなり 汝の裾をもて婢を覆ひたまへ 汝は贖業者なればなり 008 RUT 003 010 ボアズいひけるは女子よ願くはヱホバの恩典なんぢにいたれ 汝の後の誠實は前のよりも勝る 其は汝貧きと富とを論ず少き人に從ふことをせざればなり 008 RUT 003 011 されば女子よ懼る勿れ 汝が言ふところの事は皆われ汝のためになすべし 其はわが邑の人皆なんぢの賢き女なるをしればなり 008 RUT 003 012 我はまことに贖業者なりと雖も我よりも近き贖業者あり 008 RUT 003 013 今夜は此に住宿れ 朝におよびて彼もし汝のために贖ふならば善し彼に贖はしめよ 然ど彼もし汝のために贖ふことを好まずばヱホバは活く我汝のために贖はん 朝まで此に臥せよと 008 RUT 003 014 ルツ朝までその足の方に臥て誰彼の辨がたき頃に起あがる ボアズ此女の禾塲に來りしことを人にしらしむべからずといへり 008 RUT 003 015 而していひけるは汝の著る袿衣を將きたりて其を開げよと 即ち開げければ大麥六升を量りて之に負せたり 斯して彼 邑にいたりぬ 008 RUT 003 016 爰にルツその姑の許に至るに姑いふ 女子よ如何ありしやと 彼すなはち其人の己になしたる事をことごとく之につげて 008 RUT 003 017 而していひけるは彼 空手にて汝の姑の許に往くなかれといひて此六升の大麥を我にあたへたり 008 RUT 003 018 姑いひけるは女子よ坐して待ち事の如何になりゆくかを見よ 彼人今日その事を爲終ずば安んぜざるべければなり 008 RUT 004 001 爰にボアズ門の所にのぼり往て其處に坐しけるに前にボアズの言たる贖業者過りければ之に言ふ 某よ來りて此に坐せよと 即ち來りて坐す 008 RUT 004 002 ボアズまた邑の長老十人を招き汝等此に坐せよといひければ則ち坐す 008 RUT 004 003 時に彼その贖業人にいひけるはモアブの地より還りしナオミ我等の兄弟エリメレクの地を賣る 008 RUT 004 004 我汝につげしらせて此に坐する人々の前わが民の長老の前にて之を買へと言んと想へり 汝もし之を贖はんと思はば贖ふべし 然どもし之を贖はずば吾に告げてしらしめよ 汝の外に贖ふ者なければなり 我はなんぢの次なりと彼我これを贖はんといひければ 008 RUT 004 005 ボアズいふ 汝ナオミの手よりその地を買ふ日には死る者の妻なりし モアブの女ルツをも買て死る者の名をその産業に存すべきなり 008 RUT 004 006 贖業人いひけるは我はみづから贖ふあたはず 恐くはわが産業を壞はん 汝みづから我にかはりてあがなへ 我あがなふことあたはざればなりと 008 RUT 004 007 昔イスラエルにて物を贖ひ或は交易んとする事につきて萬事を定めたる慣例は斯のごとし 即ち此人鞋を脱ぎて彼人にわたせり 是イスラエルの中の證なりき 008 RUT 004 008 是によりてその贖業人ボアズにむかひ汝みづから買ふべしといひて其鞋を脱たり 008 RUT 004 009 ボアズ長老および諸の民にいひけるは汝等今日 見證をなす 我エリメレクの凡の所有及びキリオンとマロンの凡の所有をナオミの手より買たり 008 RUT 004 010 我またマロンの妻なりしモアブの女ルツを買て妻となし彼死る者の名をその産業に存すべし 是かの死る者の名を其兄弟の中とその處の門に絶ざらしめんためなり 汝等今日 證をなす 008 RUT 004 011 門にをる人々および長老等いひけるはわれら證をなす 願くはヱホバ汝の家にいるところの婦人をして彼イスラエルの家を造りなしたるラケルとレアの二人のごとくならしめたまはんことを 願くは汝エフラタにて能を得ベテレヘムにて名をあげよ 008 RUT 004 012 ねがはくはヱホバが此 若き婦よりして汝にたまはんところの子に由て汝の家かのタマルがユダに生たるペレズの家のごとくなるにいたれ 008 RUT 004 013 斯てボアズ、ルツを娶りて妻となし彼の所にいりければヱホバ彼を孕ましめたまひて彼 男子を生り 008 RUT 004 014 婦女等ナオミにいひけるはヱホバは讚べきかな 汝を遺ずして今日汝に贖業人あらしめたまふ その名イスラエルに揚れ 008 RUT 004 015 彼は汝の心をなぐさむる者 汝の老を養ふ者とならん 汝を愛する汝の媳即ち七人の子よりも汝に善もの之をうみたり 008 RUT 004 016 ナオミその子をとりて之を懷に置き之が養育者となる 008 RUT 004 017 その隣人なる婦女等これに名をつけて云ふ ナオミに男子うまれたりと その名をオベデと稱り 彼はダビデの父なるヱサイの父なり 008 RUT 004 018 偖ペレヅの系圖は左のごとし ペレヅ、ヘヅロンを生み 008 RUT 004 019 ヘヅロン、ラムを生み ラム、アミナダブを生み 008 RUT 004 020 アミナダブ、ナシヨンを生み ナシヨン、サルモンを生み 008 RUT 004 021 サルモン、ボアズを生み ボアズ、オベデを生み 008 RUT 004 022 オベデ、ヱサイを生み ヱサイ、ダビデを生り # # BOOK 015 EZR Ezra エズラ記 015 EZR 001 001 ペルシヤ王クロスの元年に當りヱホバ曩にエレミヤの口によりて傳へたまひしその聖言を成んとてペルシヤ王クロスの心を感動したまひければ王すなはち宣命をつたへ詔書を出して徧く國中に告示して云く 015 EZR 001 002 ペルシヤ王クロスかく言ふ 天の神ヱホバ地上の諸國を我に賜へり その家をユダのヱルサレムに建ることを我に命ず 015 EZR 001 003 凡そ汝らの中もしその民たる者あらばその神の助を得てユダのヱルサレムに上りゆきヱルサレムなるイスラエルの神ヱホバの室を建ることをせよ 彼は神にましませり 015 EZR 001 004 その民にして生存れる者等の寓りをる處の人々は之に金銀貨財家畜を予へて助くべし その外にまたヱルサレムなる神の室のために物を誠意よりささぐべしと 015 EZR 001 005 是にユダとベニヤミンの宗家の長祭司レビ人など凡て神にその心を感動せられし者等ヱルサレムなるヱホバの室を建んとて起おこれり 015 EZR 001 006 その周圍の人々みな銀の器黄金貨財家畜および寳物を予へて之に力をそへこの外にまた各種の物を誠意より獻げたり 015 EZR 001 007 クロス王またネブカデネザルが前にヱルサレムより携へ出して己の神の室に納めたりしヱホバの室の器皿を取いだせり 015 EZR 001 008 即ちペルシヤ王クロス庫官ミテレダテの手をもて之を取いだしてユダの牧伯セシバザルに數へ交付せり 015 EZR 001 009 その數は是のごとし 金の盤三十 銀の盤一千 小刀二十九 015 EZR 001 010 金の大斝三十、二等の銀の大斝四百十 その他の器具一千 015 EZR 001 011 金銀の器皿は合せて五千四百ありしがセシバザル俘擄人等をバビロンよりヱルサレムに將て上りし時に之をことごとく携へ上れり 015 EZR 002 001 往昔バビロンの王ネブカデネザルに擄へられバビロンに遷されたる者のうち俘囚をゆるされてヱルサレムおよびユダに上りおのおの己の邑に歸りし此州の者は左の如し 015 EZR 002 002 是皆ゼルバベル、ヱシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシヤン、ミスパル、ビグワイ、レホム、バアナ等に隨ひ來れり 其イスラエルの民の人數は是のごとし 015 EZR 002 003 パロシの子孫二千百七十二人 015 EZR 002 004 シパテヤの子孫三百七十二人 015 EZR 002 005 アラの子孫七百七十五人 015 EZR 002 006 ヱシュアとヨアブの族たるパハテモアブの子孫二千八百十二人 015 EZR 002 007 エラムの子孫千二百五十四人 015 EZR 002 008 ザットの子孫九百四十五人 015 EZR 002 009 ザッカイの子孫七百六十人 015 EZR 002 010 バニの子孫六百四十二人 015 EZR 002 011 ベバイの子孫六百二十三人 015 EZR 002 012 アズガデの子孫千二百二十二人 015 EZR 002 013 アドニカムの子孫六百六十六人 015 EZR 002 014 ビグワイの子孫二千五十六人 015 EZR 002 015 アデンの子孫四百五十四人 015 EZR 002 016 ヒゼキヤの家のアテルの子孫九十八人 015 EZR 002 017 ベザイの子孫三百二十三人 015 EZR 002 018 ヨラの子孫百十二人 015 EZR 002 019 ハシユムの子孫二百二十三人 015 EZR 002 020 ギバルの子孫九十五人 015 EZR 002 021 ベテレヘムの子孫百二十三人 015 EZR 002 022 ネトパの人五十六人 015 EZR 002 023 アナトテの人百二十八人 015 EZR 002 024 アズマウテの民四十二人 015 EZR 002 025 キリアテヤリム、ケピラおよびベエロテの民七百四十三人 015 EZR 002 026 ラマおよびゲバの民六百二十一人 015 EZR 002 027 ミクマシの人百二十二人 015 EZR 002 028 ベテルおよびアイの人二百二十三人 015 EZR 002 029 ネボの民五十二人 015 EZR 002 030 マグビシの民百五十六人 015 EZR 002 031 他のエラムの民千二百五十四人 015 EZR 002 032 ハリムの民三百二十人 015 EZR 002 033 ロド、ハデデおよびオノの民七百二十五人 015 EZR 002 034 ヱリコの民三百四十五人 015 EZR 002 035 セナアの民三千六百三十人 015 EZR 002 036 祭司はヱシュアの家のヱダヤの子孫九百七十三人 015 EZR 002 037 インメルの子孫千五十二人 015 EZR 002 038 パシュルの子孫千二百四十七人 015 EZR 002 039 ハリムの子孫千十七人 015 EZR 002 040 レビ人はホダヤの子等ヱシュアとカデミエルの子孫七十四人 015 EZR 002 041 謳歌者はアサフの子孫百二十八人 015 EZR 002 042 門を守る者の子孫はシヤルムの子孫アテルの子孫タルモンの子孫アックブの子孫ハテタの子孫シヨバイの子孫合せて百三十九人 015 EZR 002 043 ネテニ人はヂハの子孫ハスパの子孫タバオテの子孫 015 EZR 002 044 ケロスの子孫シアハの子孫パドンの子孫 015 EZR 002 045 レバナの子孫ハガバの子孫アックブの子孫 015 EZR 002 046 ハガブの子孫シヤルマイの子孫ハナンの子孫 015 EZR 002 047 ギデルの子孫ガハルの子孫レアヤの子孫 015 EZR 002 048 レヂンの子孫ネコダの子孫ガザムの子孫 015 EZR 002 049 ウザの子孫パセアの子孫ベサイの子孫 015 EZR 002 050 アスナの子孫メウニムの子孫ネフシムの子孫 015 EZR 002 051 バクブクの子孫ハクパの子孫ハルホルの子孫 015 EZR 002 052 バヅリテの子孫メヒダの子孫ハルシヤの子孫 015 EZR 002 053 バルコスの子孫シセラの子孫テマの子孫 015 EZR 002 054 ネヂアの子孫ハテパの子孫等なり 015 EZR 002 055 ソロモンの僕たりし者等の子孫すなはちソタイの子孫ハッソペレテの子孫ペリダの子孫 015 EZR 002 056 ヤアラの子孫ダルコンの子孫ギデルの子孫 015 EZR 002 057 シパテヤの子孫ハッテルの子孫ポケレテハツゼバイムの子孫アミの子孫 015 EZR 002 058 ネテニ人とソロモンの僕たりし者等の子孫とは合せて三百九十二人 015 EZR 002 059 またテルメラ、テルハレサ、ケルブ、アダンおよびインメルより上り來れる者ありしがその宗家の長とその血統とを示してイスラエルの者なるを明かにすることを得ざりき 015 EZR 002 060 是すなはちデラヤの子孫トビヤの子孫ネコダの子孫にして合せて六百五十二人 015 EZR 002 061 祭司の子孫たる者の中にハバヤの子孫ハッコヅの子孫バルジライの子孫あり バルジライはギレアデ人バルジライの女を妻に娶りてその名を名りしなり 015 EZR 002 062 是等の者譜系に載たる者等の中におのが名を尋ねたれども在ざりき 是の故に汚れたる者として祭司の中より除かれたり 015 EZR 002 063 テルシヤタは之に告てウリムとトンミムを帶る祭司の興るまでは至聖物を食ふべからずと言り 015 EZR 002 064 會衆あはせて四萬二千三百六十人 015 EZR 002 065 この外にその僕婢七千三百三十七人 謳歌男女二百人あり 015 EZR 002 066 その馬七百三十六匹 その騾二百四十五匹 015 EZR 002 067 その駱駝四百三十五匹 驢馬六千七百二十匹 015 EZR 002 068 宗家の長數人ヱルサレムなるヱホバの室にいたるにおよびてヱホバの室をその本の處に建んとて物を誠意より獻げたり 015 EZR 002 069 即ちその力にしたがひて工事のために庫を納めし者は金六萬一千ダリク銀五千斤祭司の衣服百襲なりき 015 EZR 002 070 祭司レビ人民等謳歌者門を守る者およびネテニ人等その邑々に住み一切のイスラエル人その邑々に住り 015 EZR 003 001 イスラエルの子孫かくその邑々に住居しが七月に至りて民一人のごとくにヱルサレムに集まれり 015 EZR 003 002 是に於てヨザダクの子ヱシュアとその兄弟なる祭司等およびシャルテルの子ゼルバベルとその兄弟等立おこりてイスラエルの神の壇を築けり 是神の人モーセの律法に記されたる所に循ひてその上に燔祭を獻げんとてなりき 015 EZR 003 003 彼等は壇をその本の處に設けたり 是國々の民を懼れしが故なり 而してその上にて燔祭をヱホバに獻げ朝夕にこれを獻ぐ 015 EZR 003 004 またその録されたる所に循ひて結茅節を行ひ毎日の分を按へて例に照し數のごとくに日々の燔祭を獻げたり 015 EZR 003 005 是より後は常の燔祭および月朔とヱホバの一切のきよき節會とに用ゐる供物ならびに人の誠意よりヱホバにたてまつる供物を獻ぐることをす 015 EZR 003 006 即ち七月の一日よりして燔祭をヱホバに獻ぐることを始めけるがヱホバの殿の基礎は未だ置ざりき 015 EZR 003 007 是において石工と木工に金を交付しまたシドンとツロの者に食物飮物および油を與へてペルシヤの王クロスの允准にしたがひてレバノンよりヨッパの海に香柏を運ばしめたり 015 EZR 003 008 斯てヱルサレムより神の室に歸りたる次の年の二月にシャルテルの子ゼルバベル、ヨザダクの子ヱシュアおよびその兄弟たる他の祭司レビ人など凡て俘囚をゆるされてヱルサレムに歸りし者等を始め二十歳以上のレビ人を立てヱホバの室の工事を監督せしむ 015 EZR 003 009 是に於てユダの子等なるヱシュアとその子等および兄弟カデミエルとその子等齊しく立て神の家の工人を監督せり ヘナダデの子等およびその子等と兄弟等のレビ人も然り 015 EZR 003 010 かくて建築者ヱホバの殿の基礎を置る時祭司等禮服を衣て喇叭を執りアサフの子孫たるレビ人鐃鈸を執りイスラエルの王ダビデの例に循ひてヱホバを讃美す 015 EZR 003 011 彼等班列にしたがひて諸共に歌を謠ひてヱホバを讃めかつ頌へヱホバは恩ふかく其矜恤は永遠にたゆることなければなりと言り そのヱホバを讃美する時に民みな大聲をあげて呼はれり ヱホバの室の基礎を据ればなり 015 EZR 003 012 されど祭司レビ人宗家の長の中に以前の室を見たりし老人ありけるが今この室の基礎をその目の前に置るを見て多く聲を放ちて泣り また喜悦のために聲をあげて呼はる者も多かりき 015 EZR 003 013 是をもて人衆民の歡こびて呼はる聲と民の泣く聲とを聞きわくることを得ざりき そは民大聲に呼はり叫びければその聲遠くまで聞えわたりたればなり 015 EZR 004 001 茲にユダとベニヤミンの敵たる者等夫俘囚より歸り來りし人々イスラエルの神ヱホバのために殿を建ると聞き 015 EZR 004 002 乃ちゼルバベルと宗家の長等の許に至りて之に言けるは我儕をして汝等と共に之を建てしめよ 我らは汝らと同じく汝らの神を求む アッスリヤの王エサルハドンが我儕を此に携へのぼりし日より以來我らはこれに犠牲を獻ぐるなりと 015 EZR 004 003 然るにゼルバベル、ヱシュアおよびその餘のイスラエルの宗家の長等これに言ふ 汝らは我らの神に室を建ることに與るべからず 我儕獨りみづからイスラエルの神ヱホバのために建ることを爲べし 是ペルシヤの王クロス王の我らに命ぜし所なりと 015 EZR 004 004 是に於てその地の民ユダの民の手を弱らせてその建築を妨げ 015 EZR 004 005 之が計る所を敗らんために議官に賄賂して之に敵せしむペルシヤ王クロスの世にある日よりペルシヤ王ダリヨスの治世まで常に然り 015 EZR 004 006 アハシユエロスの治世すなはち其治世の初に彼ら表を上りてユダとヱルサレムの民を誣訟へたり 015 EZR 004 007 またアルタシヤスタの世にビシラム、ミテレダテ、タビエルおよびその餘の同僚同じく表をペルシヤの王アルタシヤスタに上つれり その書の文はスリヤの文字にて書きスリヤ語にて陳述たる者なりき 015 EZR 004 008 方伯レホム書記官シムシヤイ書をアルタシヤスタ王に書おくりてヱルサレムを誣ゆ左のごとし 015 EZR 004 009 即ち方伯レホム書記官シムシヤイおよびその餘の同僚デナ人アパルサテカイ人タルペライ人アパルサイ人アルケロイ人バビロン人シユシヤン人デハウ人エラマイ人 015 EZR 004 010 ならびに其他の民すなはち大臣オスナパルが移してサマリアの邑および河外ふのその他の地に置し者等云々 015 EZR 004 011 其アルタシヤスタ王に上りし書の稿は是なく云く河外ふの汝の僕等云々 015 EZR 004 012 王知たまへ汝の所より上り來りしユダヤ人ヱルサレムに到りてわれらの中にいりかの背き悖る惡き邑を建なほし石垣を築きあげその基礎を固うせり 015 EZR 004 013 然ば王いま知りたまへ 若この邑を建て石垣を築きあげなば彼ら必ず貢賦租税税金などを納じ 然すれば終に王等の不利とならん 015 EZR 004 014 そもそも我らは王の鹽を食む者なれば王の輕んぜらるるを見るに忍びず 茲に人を遣はし王に奏聞す 015 EZR 004 015 列祖の記録の書を稽へたまへ必ずその記録の書の中において此邑は背き悖る邑にして諸王と諸州とに害を加へし者なるを見その中に古來叛逆の事ありしを知たまふべし此邑の滅ぼされしは此故に縁るなり 015 EZR 004 016 我ら王に奏聞す 若この邑を建て石垣を築きあげなばなんぢは之がために河外ふの領分をうしなふなるべしと 015 EZR 004 017 王すなはち方伯レホム書記官シムシヤイこの餘サマリアおよび河外ふのほかの處に住る同僚に答書をおくりて云く平安あれ云々 015 EZR 004 018 汝らが我儕におくりし書をば我前に讀解しめたり 015 EZR 004 019 我やがて詔書を下して稽考しめしに此邑の古來起りて諸王に背きし事その中に反乱謀叛のありし事など詳悉なり 015 EZR 004 020 またヱルサレムには在昔大なる王等ありて河外ふをことごとく治め貢賦租税税金などを己に納しめたる事あり 015 EZR 004 021 然ば汝ら詔言を傳へて其人々を止め我が詔言を下すまで此邑を建ること無らしめよ 015 EZR 004 022 汝ら愼め 之を爲ことを忽にする勿れ 何ぞ損害を増て王に害を及ぼすべけんやと 015 EZR 004 023 アルタシヤスタ王の書の稿をレホム及び書記官シムシヤイとその同僚の前に讀あげければ彼等すなはちヱルサレムに奔ゆきてユダヤ人に就き腕力と權威とをもて之を止めたり 015 EZR 004 024 此をもてヱルサレムなる神の室の工事止みぬ 即ちペルシヤ王ダリヨスの治世の二年まで止みたりき 015 EZR 005 001 爰に預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの二人の預言者ユダとヱルサレムに居るユダヤ人に向ひてイスラエルの神の名をもて預言する所ありければ 015 EZR 005 002 シヤルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子ヱシュア起あがりてヱルサレムなる神の室を建ることを始む 神の預言者等これと共に在て之を助く 015 EZR 005 003 その時に河外の總督タテナイといふ者セタルボズナイおよびその同僚とともにその所に來り誰が汝らに此室を建て此石垣を築きあぐることを命ぜしやと斯言ひ 015 EZR 005 004 また此建物を建る人々の名は何といふやと斯これに問り 015 EZR 005 005 然るにユダヤ人の長老等の上にはその神の目そそぎゐたれば彼等これを止むること能はずして遂にその事をダリヨスに奏してその返答の來るを待り 015 EZR 005 006 河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚なる河外ふのアパルサカイ人がダリヨス王に上まつりし書の稿は左のごとし 015 EZR 005 007 即ち其上まつりし書の中に書しるしたる所は是のごとし 云く願くはダリヨス王に大なる平安あれ 015 EZR 005 008 王知りたまへ我儕ユダヤ州に往てかの大神の室に至り視しに巨石をもて之を建て材木を組て壁を作り居り其工事おほいに捗りてその手を下すところ成ざる無し 015 EZR 005 009 是に於て我儕その長老等に問てこれに斯いへり 誰が汝らに此室を建てこの石垣を築きあぐることを命ぜしやと 015 EZR 005 010 我儕またその首長たる人々の名を書しるして汝に奏聞せんがためにその名を問り 015 EZR 005 011 時に彼等かく我らに答へて言り 我儕は天地の神の僕にして年久しき昔に建おかれし殿を再び建るなり 是は素イスラエルの大なる王 某の建築きたる者なしりが 015 EZR 005 012 我らの父等天の神の震怒を惹起せしに縁てつひに之をカルデヤ人バビロンの王ネブカデネザルの手に付したまひければ彼この殿を毀ち民をバビロンに擄へゆけり 015 EZR 005 013 然るにバビロンの王クロスの元年にクロス王神のこの室を建べしとの詔言を下したまへり 015 EZR 005 014 然のみならず ヱルサレムの殿よりネブカデネザルが取いだしてバビロンの殿に携へいれし神の室の金銀の器皿もクロス王これをバビロンの殿より取いだし其立たる總督セシバザルと名くる者に之を付し 015 EZR 005 015 而して彼に言けらく是等の器皿を取り往て之をヱルサレムの殿に携へいれ神の室をその本の處に建よと 015 EZR 005 016 是において其セシバザル來りてヱルサレムなる神の室の石礎を置たりき 其時よりして今に至るまで之を建つつありしが猶いまだ竣らざるなりと 015 EZR 005 017 然ば今王もし善となされなば請ふ御膝下バビロンにある所の王の寳蔵を査べたまひて神のこの室を建べしとの詔言のクロス王より出しや否を稽へ而して王此事につきて御旨を我らに諭したまえ 015 EZR 006 001 是に於てダリヨス王詔言を出しバビロンにて寳物を蔵むる所の文庫に就て査べ稽しめしに 015 EZR 006 002 メデア州の都城アクメタにて一の卷物を得たり その内に書しるせる記録は是のごとし 015 EZR 006 003 クロス王の元年にクロス王 詔言を出せり 云くヱルサレムなる神の室の事につきて諭す その犠牲を獻ぐる所なる殿を建てその石礎を堅く置ゑ其室の高を六十キュビトにし其濶を六十キュビトにし 015 EZR 006 004 巨石三行新木一行を以せよ 其費用は王の家より授くべし 015 EZR 006 005 またネブカデネザルがヱルサレムの殿より取いだしてバビロンに携へきたりし神の室の金銀の器皿は之を還してヱルサレムの殿に持ゆかしめ神の室に置てその故の所にあらしむべしと 015 EZR 006 006 然ば河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚なる河外ふのアパルサカイ人汝等これに遠ざかるべし 015 EZR 006 007 神のその室の工事を妨ぐる勿れ ユダヤ人の牧伯とユダヤ人の長老等に神のその家を故の處に建しめよ 015 EZR 006 008 我また詔言を出し其神の家を建ることにつきて汝らが此ユダヤ人の長老等に爲べきことを示す 王の財寳の中すなはち河外ふの租税の中より迅速に費用をその人々に與へよその工事を滯ほらしむる勿れ 015 EZR 006 009 又その需むる物即ち天の神にたてまつる燔祭の小牛牡羊および羔羊ならびに麥鹽酒油など凡てヱルサレムにをる祭司の定むる所に循ひて日々に怠慢なく彼等に與へ 015 EZR 006 010 彼らをして馨しき香の犠牲を天の神に獻ぐることを得せしめ王とその子女の生命のために祈ることを得せしめよ 015 EZR 006 011 かつ我詔言を出す誰にもせよ此言を易る者あらば其家の梁を抜きとり彼を擧て之に釘ん その家はまた之がために厠にせらるべし 015 EZR 006 012 凡そ之を易へまたヱルサレムなるその神の室を毀たんとて手を出す王あるひは民は彼處にその名を留め給ふ神ねがはくはこれを倒したまへ 我ダリヨス詔言を出せり 迅速に之を行なへ 015 EZR 006 013 ダリヨス王かく諭しければ河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚迅速に之を行なへり 015 EZR 006 014 ユダヤ人の長老等すなはち之を建て預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの預言に由て之を成就たり 彼等イスラエルの神の命に循ひクロス、ダリヨスおよびペルシヤ王アルタシヤスタの詔言に依て之を建竣ぬ 015 EZR 006 015 ダリヨス王の治世の六年アダルの月の三日にこの室成り 015 EZR 006 016 是に於てイスラエルの子孫祭司レビ人およびその餘の俘擄人よろこびて神のこの室の落成禮を行なへり 015 EZR 006 017 即ち神のこの室の落成禮において牡牛一百 牡羊二百 羔羊四百を獻げまたイスラエルの支派の數にしたがひて牡山羊十二を獻げてイスラエル全體のために罪祭となし 015 EZR 006 018 祭司をその分別にしたがひて立て レビ人をその班列にしたがひて立て ヱルサレムに於て神に事へしむ 凡てモーセの書に書しるしたるが如し 015 EZR 006 019 斯て俘囚より歸り來りし人々正月の十四日に逾越節を行へり 015 EZR 006 020 即ち祭司レビ人共に身を潔めて皆潔くなり一切俘囚より歸り來りし人々のため其兄弟たる祭司等のため又自己のために逾越の物を宰れり 015 EZR 006 021 擄はれゆきて歸り來しイスラエルの子孫および其國の異邦人の汚穢を棄て是等に附てイスラエルの神ヱホバを求むる者等すべて之を食ひ 015 EZR 006 022 喜びて七日の間酵いれぬパンの節を行へり 是はヱホバかれらを喜ばせアッスリヤの王の心を彼らに向はせ彼をしてイスラエルの神にまします神の家の工事を助けさせたまひしが故なり 015 EZR 007 001 是等の事の後ペルシヤ王アルタシヤスタの治世にエズラといふ者あり エズラはセラヤの子セラヤはアザリヤの子アザリヤはヒルキヤの子 015 EZR 007 002 ヒルキヤはシヤルムの子シヤルムはザドクの子ザドクはアヒトブの子 015 EZR 007 003 アヒトブはアマリヤの子アマリヤはアザリヤの子アザリヤはメラヨテの子 015 EZR 007 004 メラヨテはゼラヒヤの子ゼラヒヤはウジの子ウジはブッキの子 015 EZR 007 005 ブッキはアビシュアの子アビシュアはピネハスの子ピネハスはエレアザルの子エレアザルは祭司の長アロンの子なり 015 EZR 007 006 此エズラ、バビロンより上り來れり 彼はイスラエルの神ヱホバの授けたまひしモーセの律法に精しき學士なりき 其神ヱホバの手これが上にありしに因てその求むる所を王ことごとく許せり 015 EZR 007 007 アルタシヤスタ王の七年にイスラエルの子孫および祭司レビ人謳歌者門を守る者ネテニ人など多くヱルサレムに上れり 015 EZR 007 008 王の七年の五月にエズラ、ヱルサレムに到れり 015 EZR 007 009 即ち正月の一日にバビロンを出たちて五月の一日にヱルサレムに至る 其神のよき手これが上にありしに因てなり 015 EZR 007 010 エズラは心をこめてヱホバの律法を求め之を行ひてイスラエルの中に法度と例規とを教へたりき 015 EZR 007 011 ヱホバの誡命の言に精しく且つイスラエルに賜ひし法度に明かなる學士にて祭司たるエズラにアルタシヤスタ王の與へし書の言は是のごとし 015 EZR 007 012 諸王の王アルタシヤスタ天の神の律法の學士なる祭司エズラに諭す 願くは全云々 015 EZR 007 013 我詔言を出す 我國の内にをるイスラエルの民およびその祭司レビ人の中凡てヱルサレムに往んと志す者は皆なんぢと偕に往べし 015 EZR 007 014 汝はおのが手にある汝の神の律法に照してユダとヱルサレムの模樣とを察せんために王および七人の議官に遣はされて往くなり 015 EZR 007 015 且汝は王とその議官がヱルサレムに宮居するところのイスラエルの神のために誠意よりささぐる金銀を携へ 015 EZR 007 016 またバビロン全州にて汝が獲る一切の金銀および民と祭司とがヱルサレムなる其神の室のために誠意よりする禮物を携さふ 015 EZR 007 017 然ば汝その金をもて牡牛牡羊羔羊およびその素祭と灌祭の品を速に買ひヱルサレムにある汝らの神の室の壇の上にこれを獻ぐべし 015 EZR 007 018 また汝と汝の兄弟等その餘れる金銀をもて爲んと欲する所あらば汝らの神の旨にしたがひて之を爲せ 015 EZR 007 019 また汝の神の室の奉事のために汝が賜はりし器皿は汝これをヱルサレムの神の前に納めよ 015 EZR 007 020 その外汝の神の室のために需むる所あらば汝の用ひんとする所の者をことごとく王の府庫より取て用ふべし 015 EZR 007 021 我や我アルタシヤスタ王 河外ふの一切の庫官に詔言を下して云ふ 天の神の律法の學士祭司エズラが汝らに需むる所は凡てこれを迅速に爲べし 015 EZR 007 022 即ち銀は百タラント小麥は百石酒は百バテ油は百バテ鹽は量なかるべし 015 EZR 007 023 天の神の室のために天の神の命ずる所は凡て謹んで之を行なへ しからずば王とその子等との國に恐くは震怒のぞまん 015 EZR 007 024 かつ我儕なんぢらに諭す 祭司レビ人謳歌者門を守る者ネテニ人および神のその室の役者などには貢賦租税税金などを課すべからず 015 EZR 007 025 汝エズラ汝の手にある汝の神の智慧にしたがひて有司および裁判人を立て河外ふの一切の民すなはち汝の神の律法を知る者等を盡く裁判しめよ 汝らまた之を知ざる者を教へよ 015 EZR 007 026 凡そ汝の神の律法および王の律法を行はざる者をば迅速にその罪を定めて或は殺し或は追放ち或はその貨財を沒収し或は獄に繋ぐべし 015 EZR 007 027 我らの先祖の神ヱホバは讃べき哉 斯王の心にヱルサレムなるヱホバの室を飾る意を起させ 015 EZR 007 028 また王の前とその議官の前と王の大臣の前にて我に矜恤を得させたまへり 我神ヱホバの手わが上にありしに因て我は力を得 イスラエルの中より首領たる人々を集めて我とともに上らしむ 015 EZR 008 001 アルタシヤスタ王の治世に我とともにバビロンより上り來りし者等の宗家の長およびその系譜は左のごとし 015 EZR 008 002 ピネハスの子孫の中にてはゲルシヨム、イタマルの子孫の中にてはダニエル、ダビデの子孫の中にてはハットシ 015 EZR 008 003 シカニヤの子孫の中パロシの子孫の中にてはゼカリヤ彼と偕にありて名簿に載られたる男子百五十人 015 EZR 008 004 パハテモアブの子孫の中にてはゼラヒヤの子エリヨエナイ彼と偕なる男二百人 015 EZR 008 005 シカニヤの子孫の中にてはヤハジエルの子 彼と偕なる男三百人 015 EZR 008 006 アデンの子孫の中にてはヨナタンの子エベデ彼とともなる男五十人 015 EZR 008 007 エラムの子孫の中にてはアタリヤの子ヱサヤ彼と偕なる男七十人 015 EZR 008 008 シパテヤの子孫の中にてはミカエルの子ゼバデヤ彼とともなる男八十人 015 EZR 008 009 ヨハブの子孫の中にてはヱヒエルの子オバデヤ彼とともなる男二百十八人 015 EZR 008 010 シロミテの子孫の中にてはヨシピアの子 彼とともなる男百六十人 015 EZR 008 011 ベバイの子孫の中にてはベバイの子ゼカリヤ彼と偕なる男二十八人 015 EZR 008 012 アズガデの子孫の中にてはハッカタンの子ヨハナン彼とともなる男百十人 015 EZR 008 013 アドニカムの子孫の中の後なる者等あり 其名をエリペレテ、ユエル、シマヤといふ彼らと偕なる男六十人 015 EZR 008 014 ビグワイの子孫の中にてはウタイおよびザブデ彼等とともなる男七十人 015 EZR 008 015 我かれらをアハワに流るる所の河の邊に集めて三日が間かしこに天幕を張居たりしが我民と祭司とを閲せしにレビの子孫一人も其處に居ざりければ 015 EZR 008 016 すなはち人を遣てエリエゼル、アリエル、シマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシユラムなどいふ長たる人々を招きまた教晦を施こす所のヨヤリブおよびエルナタンを招けり 015 EZR 008 017 而して我カシピアといふ處の長イドの許に彼らを出し遣せり 即ち我カシピアといふ處にをるイドとその兄弟なるネテニ人に告ぐべき詞を之が口に授け我等の神の室のために役者を我儕に携へ來れと言けるが 015 EZR 008 018 我らの神よく我儕を助けたまひて彼等つひにイスラエルの子レビの子マヘリの子孫イシケセルを我らに携さへ來り又セレビヤといふ者およびその子等と兄弟十八人 015 EZR 008 019 ハシヤビヤならびにメラリの子孫のヱサヤおよびその兄弟とその子等二十人を携へ 015 EZR 008 020 またネテニ人すなはちダビデとその牧伯等がレビ人に事へしむるために設けたりしネテニ人二百二十人を携へ來れり 此等の者は皆その名を掲げられたり 015 EZR 008 021 斯て我かしこなるアハワの河の邊にて斷食を宣傳へ我儕の神の前にて我儕身を卑し我らと我らの小き者と我らの諸の所有のために正しき途を示されんことを之に求む 015 EZR 008 022 其は我儕さきに王に告て我らの神は己を求むる者を凡て善く助けまた己を棄る者にはその權能と震怒とをあらはしたまふと言しに因て我道路の敵を防ぎて我儕を護るべき歩兵と騎兵とを王に請ふを羞ぢたればなり 015 EZR 008 023 かくてこのことを我ら斷食して我儕の神に求めけるに其祈禱を容れたまへり 015 EZR 008 024 時に我祭司の長十二人即ちセレビヤ、ハシヤビヤおよびその兄弟十人を之とともに擇び 015 EZR 008 025 金銀および器皿すなはち王とその議官とその牧伯と彼處の一切のイスラエル人とが我らの神の室のために獻げたる奉納物を量りて彼らに付せり 015 EZR 008 026 その量りて彼らの手に付せし者は銀六百五十タラント銀の器百タラント金百タラントなりき 015 EZR 008 027 また金の大斝二十あり一千ダリクに當るまた光り輝く精銅の器二箇あり その貴きこと金のごとし 015 EZR 008 028 而して我かれらに言り汝等はヱホバの聖者なり 此器皿もまた聖し又この金銀は汝らの先祖の神ヱホバに奉まつりし誠意よりの禮物なり 015 EZR 008 029 汝等ヱルサレムに至りてヱホバの家の室に於て祭司レビ人の長等およびイスラエルの宗家の首等の前に量るまで之を伺ひ守るべしと 015 EZR 008 030 是に於て祭司およびレビ人その金銀および器皿をヱルサレムなる我らの神の室に携へゆかんとて其重にしたがひて之を受取れり 015 EZR 008 031 我ら正月の十二日にアハワの河邊を出たちてヱルサレム赴きけるが我らの神その手を我らの上におき我らを救ひて敵の手また路に伏て窺ふ者の手に陷らしめたまはざりき 015 EZR 008 032 我儕すなはちヱルサレムに至りて三日かしこに居しが 015 EZR 008 033 四日にいたりて我らの神の室においてその金銀および器皿をウリヤの子祭司メレモテの手に量り付せり ピネハスの子エレアザル彼に副ふ又ヱシュアの子ヨザバデおよびビンヌイの子ノアデヤの二人のレビ人かれらに副ふ 015 EZR 008 034 即ちその一々の重と數を査べ其重をことごとく其時かきとめたり 015 EZR 008 035 俘囚の人々のその俘囚をゆるされて歸り來し者イスラエルの神に燔祭を獻げたり 即ちイスラエル全體にあたる牡牛十二を獻げまた牡羊九十六羔羊七十七罪祭の牡山羊十二を獻げたり 是みなヱホバにたてまつりし燔祭なり 015 EZR 008 036 彼等王の勅諭を王の代官と河外ふの總督等に示しければその人々民を助けて神の室を建しむ 015 EZR 009 001 是等の事の成し後牧伯等我許にきたりて言ふ イスラエルの民祭司およびレビ人は諸國の民とはなれずしてカナン人ヘテ人ペリジ人エビス人アンモニ人モアブ人エジプト人アモリ人などの中なる憎むべき事を行へり 015 EZR 009 002 即ち彼等の女子を自ら娶りまたその男子に娶れば聖種諸國の民と相雜れり牧伯たる者 長たる者さきだちてこの愆を犯せりと 015 EZR 009 003 我この事を聞て我衣と袍を裂き頭髪と鬚を抜き驚き呆れて坐せり 015 EZR 009 004 イスラエルの神の言を戰慄おそるる者はみな俘囚より歸り來し者等の愆の故をもて我許に集まりしが我は晩の供物の時まで驚きつつ茫然として坐しぬ 015 EZR 009 005 晩の供物の時にいたり我その苦行より起て衣と袍とを裂たるまま膝を屈めてわが神ヱホバにむかひ手を舒て 015 EZR 009 006 言けるは我神よ我はわが神に向ひて面を擧るを羞て赧らむ 其は我らの罪積りて頭の上に出で我らの愆重りて天に達すればなり 015 EZR 009 007 我らの先祖の日より今日にいたるまで我らは大なる愆を身に負り 我らの罪の故によりて我儕と我らの王等および祭司たちは國々の王等の手に付され劍にかけられ擄へゆかれ掠められ面に恥をかうぶれり 今日のごとし 015 EZR 009 008 然るに今われらの神ヱホバ暫く恩典を施こして逃れ存すべき者を我らの中に殘し我らをしてその聖所にうちし釘のごとくならしめ斯して我らの神われらの目を明にし我らをして奴隷の中にありて少く生る心地せしめたまへり 015 EZR 009 009 そもそも我らは奴隷の身なるがその奴隷たる時にも我らの神われらを忘れず反てペルシヤの王等の目の前にて我らに憐憫を施こして我らに活る心地せしめ我らの神の室を建しめ其破壞を修理はしめユダとヱルサレムにて我らに石垣をたまふ 015 EZR 009 010 我らの神よ已に是のごとくなれば我ら今何と言のべんや 我儕はやくも汝の命令を棄たればなり 015 EZR 009 011 汝かつて汝の僕なる預言者等によりて命じて宣へり 云く汝らが往て獲んとする地はその各地の民の汚穢により其憎むべき事によりて汚れたる地にして此極より彼極までその汚穢盈わたるなり 015 EZR 009 012 然ば汝らの女子を彼らの男子に與ふる勿れ 彼らの女子をなんぢらの男子に娶る勿れ 又何時までもかれらの爲に平安をも福祿をも求むべからず 然すれば汝ら旺盛にしてその地の佳物を食ふことを得 永くこれを汝らの子孫に傳へて産業となさしむることを得んと 015 EZR 009 013 我らの惡き行により我らの大なる愆によりて此事すべて我儕に臨みたりしが汝我らの神はわれらの罪よりも輕く我らを罰して我らの中に是のごとく人を遺したまひたれば 015 EZR 009 014 我儕再び汝の命令を破りて是等の憎むべき行ある民と縁を結ぶべけんや 汝我らを怒りて終に滅ぼし盡し遺る者も逃るる者も無にいたらしめたまはざらんや 015 EZR 009 015 イスラエルの神ヱホバよ汝は義し 即ち我ら逃れて遺ること今日のごとし 今我ら罪にまとはれて汝の前にあり 是がために一人として汝の前に立ことを得る者なきなり 015 EZR 010 001 エズラ神の室の前に泣伏して禱りかつ懺悔しをる時に男女および兒女はなはだし多くイスラエルの中より集ひて彼の許に聚り來れり すべての民はいたく泣かなしめり 015 EZR 010 002 時にエラムの子ヱヒエルの子シカニヤ答へてエズラに言ふ 我らはわれらの神に對ひて罪を犯し此地の民なる異邦人の婦女を娶れり 然ながら此事につきてはイスラエルに今なほ望あり 015 EZR 010 003 然ば我儕わが主の教晦にしたがひ又我らの神の命令に戰慄く人々の教晦にしたがひて斯る妻をことごとく出し之が産たる者を去んといふ契約を今われらの神に立てん 而して律法にしたがひて之を爲べし 015 EZR 010 004 起よ是事は汝の主どる所なり 我ら汝を助くべし心を強くして之を爲せと 015 EZR 010 005 エズラやがて起あがり祭司の長等レビ人およびイスラエルの人衆をして此言のごとく爲んと誓はしめたり 彼ら乃ち誓へり 015 EZR 010 006 かくてエズラ神の家の前より起いでてエリアシブの子ヨハナンの室に入しが彼處に至りてもパンを食ず水を飮ざりき 是は俘囚より歸り來りし者の愆を憂へたればなり 015 EZR 010 007 斯てユダおよびヱルサレムに遍ねく宣て俘囚の人々に盡く示して云ふ 汝ら皆ヱルサレムに集まるべし 015 EZR 010 008 凡そ牧伯等と長老等の諭言にしたがひて三日の内に來らざる者は皆その一切の所有を取あげられ俘擄人の會より黜けらるべしと 015 EZR 010 009 是においてユダとベニヤミンの人々みな三日の内にヱルサレムに集まれり 是は九月にして恰もその月の廿日なりき 民みな神の室の前なる廣塲に坐して此事のためまた大雨のために震ひ慄けり 015 EZR 010 010 時に祭司エズラ起て之に言けるは汝らは罪を犯し異邦の婦人を娶りてイスラエルの愆を増り 015 EZR 010 011 然ば今なんぢらのの先祖の神ヱホバに懺悔してその御旨を行へ 即ち汝等この地の民等および異邦の婦人とはなるべしと 015 EZR 010 012 會衆みな聲をあげて答へて言ふ 汝が我らに諭せるごとく我儕かならず爲べし 015 EZR 010 013 然ど民は衆し 又今は大雨の候なれば我儕外に立こと能はず 且これは一日二日の事業にあらず 其は我らこの事について大に罪を犯したればなり 015 EZR 010 014 然ば我らの牧伯等この全會衆のために立れよ 凡そ我儕の邑の内にもし異邦の婦人を娶りし者あらば皆定むる時に來るべし 又その各々の邑の長老および裁判人これに伴ふべし 斯して此事を成ば我らの神の烈しき怒つひに我らを離るるあらんと 015 EZR 010 015 その時立てこれに逆ひし者はアサヘルの子ヨナタンおよびテクワの子ヤハジア而已メシユラムおよびレビ人シヤベタイこれを贊く 015 EZR 010 016 俘囚より歸り來りし者つひに然なし 祭司エズラおよび宗家の長數人その宗家にしたがひて名指して撰ばれ十月の一日より共に坐してこの事を査べ 015 EZR 010 017 正月の一日に至りてやうやく異邦の婦人を娶りし人々を盡く査べ畢れり 015 EZR 010 018 祭司の徒の中にて異邦の婦人を娶りし者は即ちヨザダクの子ヱシュアの子等およびその兄弟マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダリヤ 015 EZR 010 019 彼らはその妻を出さんといふ誓をなし已に愆を獲たればとて牡羊一匹をその愆のために獻げたり 015 EZR 010 020 インメルの子孫ハナニおよびゼバデヤ 015 EZR 010 021 ハリムの子孫マアセヤ、エリヤ、シマヤ、ヱヒエル、ウジヤ 015 EZR 010 022 パシユルの子孫エリオエナイ、マアセヤ、イシマエル、ネタンエル、ヨザバデ、エラサ 015 EZR 010 023 レビ人の中にてはヨザバデ、シメイ、ケラヤ(即ちケリタ)ペタヒヤ、ユダ、エリエゼル 015 EZR 010 024 謳歌者の中にてはエリアシブ 門を守る者の中にてはシヤルム、テレムおよびウリ 015 EZR 010 025 イスラエルの中にてはパロシの子孫ラミヤ、エジア、マルキヤ、ミヤミン、エレアザル、マルキヤ、ベナヤ 015 EZR 010 026 エラムの子孫マッタニヤ、ゼカリヤ、ヱヒエル、アブデ、ヱレモテ、エリヤ 015 EZR 010 027 ザットの子孫エリオエナイ、エリアシブ、マッタニヤ、ヱレモテ、ザバデ、アジザ 015 EZR 010 028 ベバイの子孫ヨハナン、ハナニヤ、ザバイ、アテライ 015 EZR 010 029 バニの子孫メシユラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シヤル、ヱレモテ 015 EZR 010 030 パハテモアブの子孫アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マッタニヤ、ベザレル、ビンヌイ、マナセ 015 EZR 010 031 ハリムの子孫エリエゼル、ヱシヤ、マルキヤ、シマヤ、シメオン 015 EZR 010 032 ベニヤミン、マルク、シマリヤ 015 EZR 010 033 ハシュムの子孫マッテナイ、マツタタ、ザバデ、エリパレテ、ヱレマイ、マナセ、シメイ 015 EZR 010 034 バニの子孫マアダイ、アムラム、ウエル 015 EZR 010 035 ベナヤ、ベデヤ、ケルヒ 015 EZR 010 036 ワニヤ、メレモテ、エリアシブ 015 EZR 010 037 マッタニヤ、マッテナイ、ヤアス 015 EZR 010 038 バニ、ビンヌイ、シメイ 015 EZR 010 039 シレミヤ、ナタン、アダヤ 015 EZR 010 040 マクナデバイ、シヤシヤイ、シヤライ 015 EZR 010 041 アザリエル、シレミヤ、シマリヤ 015 EZR 010 042 シヤルム、アマリヤ、ヨセフ 015 EZR 010 043 ネボの子孫ヱイエル、マッタテヤ、ザバデ、ゼビナ、イド、ヨエル、ベナヤ 015 EZR 010 044 是みな異邦の婦人を娶りし者なり その婦人の中には子女を産し者もありき # # BOOK 016 NEH Nehemiah ネヘミヤ 記 016 NEH 001 001 カリヤの子ネヘミヤの言詞 第二十年キスレウの月我シユシヤンの都にありける時 016 NEH 001 002 わが兄弟の一人なるハナニ數人の者とともにユダより來りしかば我俘虜人の遺餘なる夫の逃れかへりしユダヤ人の事およびヱルサレムり事を問たづねしに 016 NEH 001 003 彼ら我に言けるは俘虜人の遺餘なる夫の州内の民は大なる患難に遭ひ凌辱に遭ふ又ヱルサレムの石垣は打崩され其門は火に焚たりと 016 NEH 001 004 我この言を聞坐りて泣き數日の間哀しみ断食し天の神に祈りて言ふ 016 NEH 001 005 天の神ヱホバ大なる畏るべき神己を愛し己の誡命を守る者にむかひて契約を保ち恩恵を施こしたまふ者よ 016 NEH 001 006 ねがはくは耳を傾むけ目を開きて僕の祈祷を聴いれたまへ我いま汝の僕なるイスラエルの子孫のために日夜なんぢの前に祈り我儕イスラエルの子孫が汝にむかひて犯せし罪を懺悔す誠に我も我父の家も罪を犯せり 016 NEH 001 007 我らは汝にむかひて大に惡き事を行ひ汝の僕モーセに汝の命じたまひし誡命をも法度をも例規をも守らざりき 016 NEH 001 008 請ふ汝の僕モーセに命じたまひし言を憶ひたまへ其言に云く汝ら若罪を犯さば我汝らを國々に散さん 016 NEH 001 009 然れども汝らもし我にたちかへり我誡命を守りてこれを行なはば暇令逐れゆきて天の涯にをるとも我そこより汝等をあつめ我名を住はせんとて撰びし處にきたらしめんと 016 NEH 001 010 そもそも是等の者は汝が大なる能力と強き手をもて贖ひたまひし汝の僕なんぢの民なり 016 NEH 001 011 主よ請ふ僕の祈祷および汝の名を畏むことを悦こぶ汝の僕等の祈祷に耳を傾けたまへ願くは今日僕を助けて此人の目の前に隣憫を得させたまへこの時我は王の洒人なりき 016 NEH 002 001 茲にアルタシヤスタ王の二十年ニサンの月王の前に酒のいでし時我酒をつぎて王にたてまつれり我は今まで王の前にて憂色を帯しこと有ざりき 016 NEH 002 002 王われに言けるは汝は疾病も有ざるに何とて面に憂色を帯るや是他ならず心に憂ふる所あるなりと是において我甚だ大に懼れたりしが 016 NEH 002 003 遂に王に奏して曰ふ願くは王長壽かれ我が先胆の墓の地たるその邑は荒蕪その門は火にて焚たれば我いかで顔に憂色を帯ざるを得んやと 016 NEH 002 004 王われに向ひて然らば汝何をなさんと願ふやと言ければ我すなはち天の神に祈りて 016 NEH 002 005 王に言けるは王もし之を善としたまひ我もし汝の前に恩を得たる者なりせば願くはユダにあるわが先祖の墓の邑に我を遣はして我にこれを建起さしめたまへと 016 NEH 002 006 時に后妃も傍に坐しをりしが王われに言けるは汝が往てをる間は何程なるべきや何時頃歸りきたるやと王かく我を遣はすことを善としければ我期を定めて奏せり 016 NEH 002 007 而して我また王に言けるは王もし善としたまはば請ふ河外ふの総督等に與ふる書を我に賜ひ彼らをして我をユダまで通さしめたまへ 016 NEH 002 008 また王の山林を守るアサフに與ふる書をも賜ひ彼をして殿に属する城の門を作り邑の石垣および我が入べき家に用ふる材木を我に授けしめたまへと我神善く我を助けたまひしに因て王これを我に允せり 016 NEH 002 009 是に於て我河外ふの総督等に詣りて王の書をこれに付せり王は軍長數人に騎兵をそへて我に件なはせたり 016 NEH 002 010 時にホロニ人サンバラテおよびアンモニ人奴隷トビヤこれを聞きイスラエルの子孫の安寧を求むる人來れりとて大に憂ふ 016 NEH 002 011 我ついにヱルサレムに到りて彼處に三日居りける後 016 NEH 002 012 夜中に起いでたり數人の者われに伴なふ我はわが神がヱルサレムのために爲せんとて我心に入たまひし所の事を何人にも告しらせず亦我が乗る一匹の畜の外には畜を引つれざりき 016 NEH 002 013 我すなはち夜中に立いで谷の門を通り龍井の對面を経糞門に至りてヱルサレムの石垣を閲せしにその石垣は頽れをりその門は已に火に焚てありき 016 NEH 002 014 かくて又前みて泉の門にゆき王の池にいたりしに我が乗る畜の通るべき處なかりき 016 NEH 002 015 我亦その夜の中に渓川に沿て進みのぼりて石垣を観めぐり頓て身を反して谷の門より歸りいりぬ 016 NEH 002 016 然るに牧伯等は我が何處に往しか何を爲しかを知ざりき我また未だこれをユダヤ人にも祭司にも貴き人にも方伯等にも其他の役人にも告しらせざりしが 016 NEH 002 017 遂に披らに言けるは汝らの見るごとく我儕の境遇は惡くヱルサレムは荒はてその門は火に焚たり來れ我儕ヱルサレムの石垣を築きあげて再び世の凌辱をうくることなからんと 016 NEH 002 018 而して我わが神の善われを助けたまひし事を彼らに告げまた王の我に語りし言詞をも告しらせけれぱ去來起て築かんと言ひ皆奮ひてこの美事を認んとす 016 NEH 002 019 時にホロニ人サンバラテ、アンモニ人奴隷トビヤおよびアラビヤ人ガシムこれを聞て我らを嘲けり我儕を悔りて言ふ汝ら何事をなすや王に叛かんとするなるかと 016 NEH 002 020 我すなはち答へて彼らに言ふ天の神われらをして志を得させたまはん故に其僕たる我儕起て築くべし然ど汝らはヱルサレムに何の分もなく權理もなく記念もなしと 016 NEH 003 001 茲に祭司の長ヱリアシブその兄弟の祭司等とともに起て羊の門を建て之を聖別てその扉を設け尚も之を聖別てハンメアの戌樓に及ぼし又ハナネルの戌樓に及ぼせり 016 NEH 003 002 その次にはヱリコの人々を築き建て其次にはイムリの子ザツクル築き建たり 016 NEH 003 003 魚の門はハツセナアの子等これを建構へその扉を設けて之に鎖と閂を施こせり 016 NEH 003 004 その次にはハツコヅの子ウリヤの子メレモタ修繕をなし其次にはメシザベルの子ベレキヤの子メシユラム修繕をなしその次にはバアナの子ザドク修繕をなし 016 NEH 003 005 その次にはテコア人等修繕をなせり但しその貴き族はその主の工事に服せざりき 016 NEH 003 006 古門はパセアの子ヨイアダおよびベソデヤの子メシユラムこれを修繕ひ構へその扉を設けて之に鎖と閂を施せり 016 NEH 003 007 その次にはギベオン人メラテヤ、メロノテ人ヤドン河外ふの総督の管轄に属するギベオンとミヅパの人々等修繕をなせり 016 NEH 003 008 その次にはハルハヤの子ウジエルなどの金工修繕をなし其次には製香者ハナニヤなど修繕をなしヱルサレムを堅うして石垣の廣き處にまで及べり 016 NEH 003 009 その次にはエルサレムの郡の半の知事ホルの子レパヤ修繕をなせり 016 NEH 003 010 その次にはハルマフの子ヱダヤ己の家と相對ふ處を修繕りその次にはハシヤブニヤの子ハツトシ修繕をなせり 016 NEH 003 011 ハリムの子マルキヤおよびバハテモアブの子ハシユブも一方を修繕ひまた爐戍樓を修繕へり 016 NEH 003 012 その次にはヱルサレムの郡の半の知事ハロヘシの子シヤルムその女子等とともに修繕をなせり 016 NEH 003 013 谷の門はハヌン、ザノアの民と偕に之を修繕ひ之を建なほしてその扉を設け之に鎖と閂を施しまた糞の門までの石垣一千キユビトを修繕り 016 NEH 003 014 糞の門はベテハケレムの郡の半の知事レカブの子マルキヤこれを修繕ひ之を建なほしてその扉を設け之に鎖と閂を施こせり 016 NEH 003 015 泉の門はミヅパの郡の知事コロホゼの子シヤルンこれを修繕ひ之を建なほして覆ひその扉を設け之に鎖と閂を施こしまた王の園の辺なるシラの池に沿る石垣を修繕てダビデの邑より下るところの階級にまで及ぼせり 016 NEH 003 016 その後にはベテズルの郡の半の知事アズブクの子ネヘミヤ修繕をなしてダビデの墓に對ふ處にまで及ぼし堀池に至り勇士宅に至れり 016 NEH 003 017 その後にはバニの子レホムなどのレビ人修繕をなし其次にはケイラの郡の半の知事ハシヤビヤその郡の爲に修繕をなせり 016 NEH 003 018 その後にはケイラの郡の半の知事ヘナダデの子バワイなどいふ其兄弟修繕をなし 016 NEH 003 019 その次にはヱシユアの子ミヅパの知事エゼル石垣の彎にある武器庫に上る所に對へる部分を修繕ひ 016 NEH 003 020 その後にはザバイの子バルク力を竭して石垣の彎より祭司の長エリアシブの家の門までの部分を修繕ひ 016 NEH 003 021 その次にはハツコヅの子ウリヤの子メレモテ、エリアシブの家の門よりエジアシブの家の極までの部分を修繕ひ 016 NEH 003 022 その次には窪地の人なる祭司等修繕をなし 016 NEH 003 023 その次にはベニヤミンおよびハシユブ己の家と相対ふ處を修繕ひ其次にはアナニヤの子マアセヤの子アザリヤ己の家に近き處を修繕ひ 016 NEH 003 024 その次にはヘナダデの子ビンヌイ、アザリヤの家より石垣の彎角までの部分を修繕へり 016 NEH 003 025 ウザイの子パラルは石垣の彎に對ふ處および王の上の家より聳え出たる戍樓に對ふ處を修繕り是は侍衛の廳に近し其次にはパロシの子ペダヤ修繕をなせり 016 NEH 003 026 時にネテニ人オペルに住をりて東の方水の門に對ふ處および聳え出たる戍樓に對ふ處まで及べり 016 NEH 003 027 その次にはテコア人聳出たる大戍樓に對ふところの部分を修繕てオペルの石垣に及ぼせり 016 NEH 003 028 馬の門より上は祭司等おのおのその己の家と相對ふ處を修繕り 016 NEH 003 029 その次にはインメルの子ザドク己の家と相對ふ處を修繕ひ其次にはシカニヤの子シマヤといふ東の門を守る者修繕をなし 016 NEH 003 030 その次にはシレミヤの子ハナニヤおよびザラフの第六の子ハヌン一方を修繕ひその後にはベレキヤの子メシユラム己の室と相對ふ處を修繕へり 016 NEH 003 031 その次には金工の一人マルキヤといふ者ハンミフカデの門と相對ふ處を修繕ひて隅の昇ロに至りネテニ人および商人の家に及ぼせり 016 NEH 003 032 また隅の昇口と羊の門の間は金工および商人等これを修繕へり 016 NEH 004 001 茲にサンバラテわれらが石垣を築くを聞て怒り大に憤ほりてユダヤ人を罵れり 016 NEH 004 002 即ち彼その兄弟等およびサマリアの軍兵の前に語りて言ふ此軟弱しきユダヤ人何を爲や自ら強くせんとするか獻祭をなさんとするか一日に事を終んとするか塵堆の中の石は既に燬たるに之を取出して活さんとするかと 016 NEH 004 003 時にアンモニ人トビヤその傍にありてまた言ふ彼らの築く石垣は狐上るも圮るべしと 016 NEH 004 004 我らの神よ聴たまへ我らは侮らる願くは彼らの出す凌辱をその身の首に歸し彼らを他國に擄はれしめ掠られしめたまへ 016 NEH 004 005 彼らの愆を蔽ひたまふ勿れ彼らの罪を汝の前より消去しめたまはざれ其は彼ら築建者の前にて汝の怒を惹おこしたればなり 016 NEH 004 006 斯われら石垣を築きけるが石垣はみな已に相連なりてその高さの半にまで及べり其は民心をこめて操作たればなり 016 NEH 004 007 然るにサンバラテ、トビヤ、アラビヤ人アンモニ人アシドド人等ヱルサレムの石垣改修れ其破壊も次第に塞がると聞て大に怒り 016 NEH 004 008 皆ともに相結びてヱルサレムに攻來らんとしその中に擾亂をおこさんとせり 016 NEH 004 009 是において我ら神に祈祷をなしかれらのために日夜守望者を置て之に備ふ 016 NEH 004 010 ユダ人は言り荷を負ふ者の力衰へしが上に灰土おびただしくして我ら石垣を築くこと能はずと 016 NEH 004 011 我らの敵は言り彼等が知ずまた見ざる間に我ら其中に入り之を殺してその工事を止めんと 016 NEH 004 012 又彼らの辺に住るユダヤ人來る時は我らに告て言ふ汝ら我らの所に歸らざるべからずと其事十次にも及べり 016 NEH 004 013 是に因て我石垣の後の顕露なる低き處に民を置き劍鎗または弓を持せてその宗族にしたがひて之をそなふ 016 NEH 004 014 我観めぐり起て貴き人々および牧伯等ならびにその餘の民に告て云ふ汝ら彼等のために懼るる勿れ主の大にして畏るべきを憶ひ汝らの兄弟のため男子女子のため妻および家のために戦かへよと 016 NEH 004 015 我らの敵おのが事の我らに知れたるをききておのが謀計を神に破られたるを聞しによりて我ら皆石垣に歸り各々その工事をなせり 016 NEH 004 016 其時より後わが僕半は工事に操作き半は鎗楯弓などを持て鎧を着たり牧伯等はユダの全家の後にありき 016 NEH 004 017 石垣を築く者および荷を負ひはこぶ者は各々片手もて工事を爲し片手に武器を執り 016 NEH 004 018 築建者はおのおのその腰に劍を帯て築き建つ又喇叭を吹く者は我傍あり 016 NEH 004 019 我貴き人々および牧伯等ならびにその餘の民に告て云ふ此工事は大にして廣ければ我儕石垣にありて彼此に相離ること遠し 016 NEH 004 020 何處にもあれ汝ら喇叭の音のきこゆるを聞ば其處に奔あつまりて我らに就け我らの神われらのために戦ひたまふべしと 016 NEH 004 021 我ら斯して工事をなしけるが半の者は東雲の出るより星の現はるるまで鎗を持をれり 016 NEH 004 022 當時われ亦民に言らく皆おのおのその僕とともにヱルサレムの中に宿り夜は我らの防守となり昼は工事をつとむべしと 016 NEH 004 023 而して我もわが兄弟等もわが僕も我に從がふ防守の人々もその衣服を脱す水を汲に出るにも皆武器を執れり 016 NEH 005 001 茲に民その妻とともにその兄弟なるユダヤ人にむかひて大に叫べり 016 NEH 005 002 或人言ふ我儕および我らの男子女子は多し我ら穀物を得食ふて生ざるべからず 016 NEH 005 003 或人は言ふ我らは我らの田畑葡萄園および家をも質となすなり既に飢に迫れば我らに穀物を獲させよ 016 NEH 005 004 或は言ふ我らは我らの田畝および葡萄園をもて金を貸て王の租税を納む 016 NEH 005 005 然ど我らの肉も我らの兄弟の肉と同じく我らの子女も彼らの子女と同じ視よ我らは男子女子を人に伏從はせて奴隷となす我らの女子の中すでに人に伏從せし者もあり如何とも爲ん方法なし其は我らの田畝および葡萄園は別の人の有となりたればなりと 016 NEH 005 006 我は彼らの叫および是等の言を聞て大に怒れり 016 NEH 005 007 是において我心に思ひ計り貴き人々および牧伯等を責てこれに言けるは汝らは各々その兄弟より利息を取るなりと而して我かれらの事につきて大會を開き 016 NEH 005 008 彼らに言けるは我らは異邦人の手に売れたる我らの兄弟ユダヤ人を我らの力にしたがひて贖へり然るにまた汝等は己の兄弟を売んとするやいかで之をわれらの手に売るべけんやと彼らは黙して言なかりき 016 NEH 005 009 我また言けるは汝らの爲すところ善らず汝らは我らの敵たる異邦人の誹膀をおもひて我儕の神を畏れつつ事をなすべきに非ずや 016 NEH 005 010 我もわが兄弟および僕等も同じく金と穀物とを貸て利息を取ことをなす願くは我らこの利息を廃ん 016 NEH 005 011 請ふ汝ら今日にも彼らの田畝葡萄園橄欖園および家を彼らに還しまた彼らに貸あたへて金穀物および酒油などの百分の一を取ることを廃よと 016 NEH 005 012 彼ら即ち言けるは我ら之を還すべし彼らに何をも要めざらん汝の言るごとく我ら然なすべしと是に於て我祭司を呼び彼らをして此言のごとく行なふといふ誓を立しめたり 016 NEH 005 013 而して我わが胸懐を打拂ひて言ふ是言を行はざる者をば臨くは神是のごとく凡て打拂ひてその家およびその業を離れさせたまへ即ちその人は斯打拂はれて空しくなれかしと時に會衆みなアーメンと言てヱホバを讃美せり而して民はこの言のごとくに行へり 016 NEH 005 014 且また我がユダの地の総督に任ぜられし時より即ちアルタシヤユタ王の二十年より三十二年まで十二年の間は我もわが兄弟も総督の受べき禄を食ざりき 016 NEH 005 015 わが以前にありし旧の総督等は民に重荷を負せてパンと酒とを是より取り其外にまた銀四十シケルを取れり然のみならずその僕等も亦民を圧せり然ども我は神を畏るるに因て然せざりき 016 NEH 005 016 我は反てこの石垣の工事に身を委ね我儕は何の田地をも買しこと無し我僕は皆かしこに集りて工事をなせり 016 NEH 005 017 且また我席にはユダヤ人および牧伯等百五十人あり其外にまた我らの周圍の異邦人の中より我らに來れる者等もありき 016 NEH 005 018 是をもて一日に牛一匹肥たる羊六匹を備へ亦鶏をも許多備へ十日に一回種々の酒を多く備へたり是ありしかどもこの民の役おもきに因て我は総督の受くべき禄を要めざりき 016 NEH 005 019 わが神よ我が此民のために爲る一切の事を憶ひ仁慈をもて我をあしらひ給へ 016 NEH 006 001 サンバラテ、トビヤおよびアラビヤ人ガシムならびにその餘の我らの敵我が石垣を築き終りて一の破壊も遺らずと聞り(然どその時は未だ門に扉を設けざりしなり) 016 NEH 006 002 是においてサンバラテとガシム我に言つかはしけるは來れ我らオノの平野なる某の村にて相會せんとその實は我を害せんと思ひしなり 016 NEH 006 003 我すなはち使者を彼らに遣はして言らく我は大なる工事をなし居れば下りゆくことを得ずなんぞ工事を離れ汝らの所に下りゆきてその間工事を休ますべけんやと 016 NEH 006 004 彼ら四次まで是のごとく我に言遣はしけるが我は何時もかくのごとく之に答へたり 016 NEH 006 005 是においてサンバラテまた五次目にその僕を前のごとく我に遣はせり其手には封ぜざる書を携さふ 016 NEH 006 006 その文に云く國々にて言博ふガシムもまた然いふ汝はユダヤ人とともに叛かんとして之がために石垣を築けり而して汝はその王とならんとすとその言ところ是のごとし 016 NEH 006 007 また汝は預言者を設けて汝の事をヱルサレムに宣しめユダに王ありと言しむといひ傳ふ恐くはその事この言のごとく王に聞えん然ば汝いま來れ我ら共に相議らんと 016 NEH 006 008 我すなはち彼に言つかはしけるは汝が言るごとき事を爲し事なし惟なんぢ之を己の心より作りいだせるなりと 016 NEH 006 009 彼らは皆われらを懼れしめんとせり彼ら謂らく斯なさば彼ら手弱りて工事を息べければ工事成ざるべしと今ねがはくは我手を強くしたまへ 016 NEH 006 010 かくて後我メヘタベルの子デラヤの子シマヤの家に往しに彼閉こもり居て言らく我ら神の室に到りて神殿の内に相會し神殿の戸を閉おかん彼ら汝を殺さんとて來るべければなり必ず夜のうちに汝を殺さんとて來るべしと 016 NEH 006 011 我言けるは我ごとき人いかで逃べけんや我ごとき身にして誰か神殿に入て生命を全うすることを爲んや我は入じと 016 NEH 006 012 我暁れるに神かれを遣はしたまひしに非ず彼が我にむかひて此預言を説しはトビヤとサンバラテ彼に賄賂したればなり 016 NEH 006 013 彼に賄賂せしは此事のためなり即ち我をして懼れて然なして罪を犯さしめ惡き名を我に負する種を得て我を辱しめんとてなりき 016 NEH 006 014 わが神よトビヤ、サンバラテおよび女預言者ノアデヤならびにその他の預言者など凡て我を懼れしめんとする者等を憶えてその行爲に報をなしたまへ 016 NEH 006 015 石垣は五十二日を歴てエルルの月の二十五日に成就せり 016 NEH 006 016 我らの敵皆これを聞ければ我らの周圍の異邦人は凡て怖れ大に面目をうしなへり其は彼等この工事は我らの神の爲たまひし者なりと暁りたればなり 016 NEH 006 017 其頃ユダの貴き人々しばしば書をトビヤにおくれりトビヤの書もまた彼らに來れり 016 NEH 006 018 トビヤはアラの子シカニヤの婿なるをもてユダの中に彼と盟を結べる者多かりしが故なりトビヤの子ヨハナンも亦ベレキヤの子メシユラムの女子を妻に娶りたり 016 NEH 006 019 彼らはトビヤの善行を我前に語りまた我言を彼に通ぜりトビヤは常に書をおくりて我を懼れしめんとせり 016 NEH 007 001 石垣を築き扉を設け門を守る者謳歌者およびレビ人を立るにおよびて 016 NEH 007 002 我わが兄弟ハナニおよび城の宰ハナニヤをしてヱルサレムを治めしむ彼は忠信なる人にして衆多の者に超りて神を畏るる者なり 016 NEH 007 003 我かれらに言ふ日の熱くなるまではヱルサレムの門を啓くべからず人々の立て守りをる間に門を閉させて汝らこれを堅うせよ汝らヱルサレムの民を番兵に立て各々にその所を守らしめ各々にその家と相對ふ處を守らしめよと 016 NEH 007 004 邑は廣くして大なりしかどもその内の民は寡くして家は未だ建ざりき 016 NEH 007 005 我神はわが心に貴き人々牧伯等および民を集めてその名簿をしらぶる思念を起さしめたまへり我最先に上り來りし者等の系図の書を得て見にその中に書しるして曰く 016 NEH 007 006 往昔バビロンの王ネブカデネザルに擄へられバビロンに遷されたる者のうち俘囚をゆるされてヱルサレムおよびユダに上りおのおの己の邑に歸りし此州の者は左の如し 是皆ゼルバベル、ヱシユア、ネヘミヤ、アザリヤ、ラアミヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシヤン、ミスペレテ、ビグワイ、ネホム、バアナ等に隨ひ來れり 016 NEH 007 007 そのイスラエルの民の人數は是のごとし 016 NEH 007 008 パロシの子孫二千百七十二人 016 NEH 007 009 シパテヤの子孫三百七十二人 016 NEH 007 010 アラの子孫六百五十二人 016 NEH 007 011 ヱシユアとヨアブの族たるパハテモアブの子孫二千八百十八人 016 NEH 007 012 エラムの子孫千二百五十四人 016 NEH 007 013 ザツトの子孫八百四十五人 016 NEH 007 014 ザツカイの子孫七百六十人 016 NEH 007 015 ビンヌイの子孫六百四十八人 016 NEH 007 016 ベバイの子孫六百二十八人 016 NEH 007 017 アズガデの子孫二千三百二十二人 016 NEH 007 018 アドニカムの子孫六百六十七人 016 NEH 007 019 ビグワイの子孫二千六十七人 016 NEH 007 020 アデンの子孫六百五十五人 016 NEH 007 021 ヒゼキヤの家のアテルの子孫九十八人 016 NEH 007 022 ハシユムの子孫三百二十八人 016 NEH 007 023 ベザイの子孫三百二十四人 016 NEH 007 024 ハリフの子孫百十二人 016 NEH 007 025 ギベオンの子孫九十五人 016 NEH 007 026 ベテレヘムおよびネトパの人百八十八人 016 NEH 007 027 アナトテの人百二十八人 016 NEH 007 028 ベテアズマウテの人四十二人 016 NEH 007 029 キリアテヤリム、ケピラおよびベエロテの人七百四十三人 016 NEH 007 030 ラマおよびゲバの人六百二十一人 016 NEH 007 031 ミクマシの人百二十二人 016 NEH 007 032 ベテルおよびアイの人百二十三人 016 NEH 007 033 他のネボの人五十二人 016 NEH 007 034 他のエラムの民千二一百五十四人 016 NEH 007 035 ハリムの民三百二十人 016 NEH 007 036 ヱリコの民三百四十五人 016 NEH 007 037 ロド、ハデデおよびオノの民七百二十一人 016 NEH 007 038 セナアの子孫三千九百三十人 016 NEH 007 039 祭司はヱシユアの家のヱダヤの子孫九百七十三人 016 NEH 007 040 インメルの子孫千五十二人 016 NEH 007 041 パシユルの子孫一千二百四十七人 016 NEH 007 042 ハリムの子孫一千十七人 016 NEH 007 043 レビ人はホデワの子等ヱシユアとカデミエルの子孫七十四人 016 NEH 007 044 謳歌者はアサフの子孫百四十八人 016 NEH 007 045 門を守る者はシヤルムの子孫アテルの子孫タルモンの子孫アツクブの子孫ハテタの子孫シヨバイの子孫百三十八人 016 NEH 007 046 ネテニ人はジハの子孫ハスパの子孫タバオテの子孫 016 NEH 007 047 ケロスの子孫シアの子孫パドンの子孫 016 NEH 007 048 レバナの子孫ハガバの子孫サルマイの子孫 016 NEH 007 049 ハナンの子孫ギデルの子孫ガハルの子孫 016 NEH 007 050 レアヤの子孫レヂンの子孫ネコダの子孫 016 NEH 007 051 ガザムの子孫ウザの子孫パセアの子孫 016 NEH 007 052 ベサイの子孫メウニムの子孫ネフセシムの子孫 016 NEH 007 053 バクブクの子孫ハクパの子孫ハルホルの子孫 016 NEH 007 054 バヅリテの子孫メヒダの子孫ハルシヤの子孫 016 NEH 007 055 バルコスの子孫シセラの子孫テマの子孫 016 NEH 007 056 ネヂアの子孫ハテパの子孫等なり 016 NEH 007 057 ソロモンの僕たりし者等の子孫は即ちソタイの子孫ソペレテの子孫ペリダの子孫 016 NEH 007 058 ヤアラの子孫ダルコンの子孫ギデルの子孫 016 NEH 007 059 シパテヤの子孫ハツテルの子孫ポケレテハツゼバイムの子孫アモンの子孫 016 NEH 007 060 ネテニ人とソロモンの僕たりし者等の子孫とは合せて三百九十二人 016 NEH 007 061 またテルメラ、テルハレサ、ケルブ、アドンおよびインメルより上り來れる者ありしがその宗家とその血統とを示してイスラエルの者なるを明かにすることを得ざりき 016 NEH 007 062 是すなはちデラヤの子孫トビヤの子孫ネコダの子孫にして合せて六百四十二人 016 NEH 007 063 祭司の中にホバヤの子孫ハツコヅの子孫バルジライの子孫ありバルジライはギレアデ人バルジライの女を妻に娶りてその名を名りしなり 016 NEH 007 064 是等の者系圖に載る者等の中にその籍を尋ねたれども在ざりき是故に汚れたる者として祭司の中より除かれたり 016 NEH 007 065 テルシヤタ即ち之に告てウリムとトンミムを帯る祭司の興るまでは至聖物を食ふべからずと言り 016 NEH 007 066 會衆あはせて四萬二千三百六十人 016 NEH 007 067 この外にその僕婢七千三百三十七人謳歌男女二百四十五人あり 016 NEH 007 068 その馬七百三十六匹その騾二百四十五匹 016 NEH 007 069 駱駝四百三十五匹驢馬六千七百二十匹 016 NEH 007 070 宗家の長の中工事のためにを納めし人々ありテルシヤタは光一千ダリク鉢五十祭司の衣服五百三十襲を施して庫に納む 016 NEH 007 071 また宗家の長數人は金二萬ダリク銀二千二百斤を工事のために庫に納む 016 NEH 007 072 その餘の民の納めし者は金二萬ダリク銀二千斤祭司の衣服六十七襲なりき 016 NEH 007 073 かくて祭司レビ人門を守る者謳歌者民等ネテニ人およびイスラエル人すべてその邑々に住り イスラエルの子孫かくてその邑々に住みをりて七月にいたりぬ 016 NEH 008 001 茲に民みな一人のごとくになりて水の門の前なる廣場に集り學士エズラに請てヱホバのイスラエルに命じたまひしモーセの律法の書を携へきたらんことを求めたり 016 NEH 008 002 この日すなはち七月一日祭司エズラ律法を携へ來りてその集りをる男女および凡て聴て了ることを得るところの人々の前に至り 016 NEH 008 003 水の門の前なる廣場にて曙より日中まで男女および了り得る者等の前にこれを誦めり民みな律法の書に耳を傾く 016 NEH 008 004 學士エズラこの事のために預て設けたる木の台の上に立たりしがその傍には右の方にマツタテヤ、シマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤおよびマアセヤ立をり左の方にペダヤ、ミサエル、マルキヤ、ハシユム、ハシバダナ、ゼカリヤおよびメシユラム立をる 016 NEH 008 005 エズラ一切の民の目の前にその書を開けり(彼一切の民より高きところに立たり)かれが開きたる時に民みな起あがれり 016 NEH 008 006 エズラすなはち大神ヱホバを祝しければ民みなその手を挙て應へてアーメン、アーメンと言ひ首を下げ地に俯伏てヱホバを拝めり 016 NEH 008 007 ヱシユア、バニ、セレビヤ、ヤミン、アツクブ、シヤベタイ、ホデヤ、マアセヤ、ケリタ、アザリヤ、ヨザバテ、ハナン、ペラヤおよびレビ人等民に律法を了らしめたり民はその所に立をる 016 NEH 008 008 彼等その書に就て神の律法を朗かに誦み且その意を解あかしてその誦ところを之に了らしむ 016 NEH 008 009 時にテルシヤタたるネヘミヤ祭司たる學士エズラおよび民を教ふるレビ人等一切の民にむかひて此日は汝らの神ヱホバの聖日なり哭くなかれ泣なかれと言り其は民みな律法の言を聴て泣たればなり 016 NEH 008 010 而して彼らに言けるは汝ら去て肥たる者を食ひ甘き者を飮め而してその備をなし得ざる者に之を分ちおくれ此日は我らの主の聖日なり汝ら憂ふることをせざれヱホバを喜ぶ事は汝らの力なるぞかしと 016 NEH 008 011 レビ人も亦一切の民を静めて言ふ汝ら黙せよ此日は聖きぞかし憂ふる勿れと 016 NEH 008 012 一切の民すなはち去りて食ひかつ飮み又人に分ちおくりて大なる喜悦をなせり是はその誦きかされし言を了りしが故なり 016 NEH 008 013 その翌日一切の民の族長等祭司およびレビ人等律法の語を學ばんとて學士エズラの許に集り來り 016 NEH 008 014 律法を視るにヱホバのモーセによりて命じたまひし所を録して云く七月の節會にはイスラエルの子孫茅廬に居るべしと 016 NEH 008 015 又云く一切の邑々及びヱルサレムに布傅へて言べし汝ら山に出ゆき橄欖の枝油木の枝烏拈の枝棕櫚の枝および茂れる木の枝を取きたりて録されたるごとくに茅廬を造れと 016 NEH 008 016 是において民出ゆきて之を取きたり各々その家の屋背の上あるひはその庭あるひは神の室の庭あるひは水の門の廣場あるひはエフライムの門の廣場に茅廬を造れり 016 NEH 008 017 擄はれゆきて歸り來りし會衆みな斯茅廬を造りて茅廬に居りヌンの子ヨシユアの日より彼日までにイスラエルの子孫斯おこなひし事なし是をもてその喜悦はなはだ大なりき 016 NEH 008 018 初の日より終の日までエズラ日々に神の律法の書を誦り人衆七日の間節筵をおこなひ第八日にいたり例にしたがひて聖會を開けり 016 NEH 009 001 その月の二十四日にイスラエルの子孫あつまりて断食し麻布を纒ひ土を蒙れり 016 NEH 009 002 イスラエルの裔たる者一切の異邦人とはなれ而して立て己の罪と先組の愆とを殲悔し 016 NEH 009 003 皆おのおのがその處に立てこの日の四分の一をもてその神ヱホバの律法の書を誦み他の四分の一をもて懺悔をなしその神ヱホバを拝めり 016 NEH 009 004 時にヱシユア、バニ、カデミエル、シバニヤ、ブンニ、セレビヤ、バニ、ケナニ等レビ人の台に立ち大聲を挙てその神ヱホバに呼はれり 016 NEH 009 005 斯てまたヱシユア、カデミエル、バニ、ハシヤブニヤ、セレビヤ、ホデヤ、セバニヤ、ペタヒヤなどのレビ人言けらく汝ら起あがり永遠より永遠にわたりて在す汝らの神ヱホバを讃よ汝の尊き御名は讃べきかな是は一切の讃にも崇にも遠く超るなり 016 NEH 009 006 汝は唯なんぢのみヱホバにまします汝は天と諸天の天およびその萬象地とその上の一切の物ならびに海とその中の一切の物を造り之をことごとく保存せたまふなり天軍なんぢを拝す 016 NEH 009 007 汝はヱホバ神にまします汝は在昔アブラムを撰みてカルデヤのウルより之を導きいだしアブラハムといふ名をこれにつけ 016 NEH 009 008 その心の汝の前に忠信なるを観そなはし之に契約を立てカナン人ヘテ人アモリ人ペリジ人ヱブス人およびギルガシ人の地をこれに與へその子孫に授けんと宣まひて終に汝の言を成たまへり汝は實に義し 016 NEH 009 009 汝は我らの先祖がエジプトにて艱難を受るを鑒みその紅海の邊にて呼はり叫ぶを聴いれ 016 NEH 009 010 異兆と奇蹟とをあらはしてパロとその諸臣とその國の庶民とを攻たまへりそはかれらは傲りて我らの先祖等を攻しことを知たまへばなり而して汝の名を揚たまへること尚今日のごとし 016 NEH 009 011 汝はまた彼らの前にあたりて海を分ち彼らをして旱ける地を踏て海の中を通らしめ彼らを追ふ者をば石を大水に投いるるごとくに淵に投いれたまひ 016 NEH 009 012 また昼は雲の柱をもて彼らを導き夜は火の柱をもて其往べき路を照したまひき 016 NEH 009 013 汝はまたシナイ山の上に降り天より彼らと語ひ正しき例規および眞の律法善き法度および誡命を之に授け 016 NEH 009 014 汝の聖安息日を之に示し汝の僕モーセの手によりて誡命と法度と律法を之に命じ 016 NEH 009 015 天より食物を之に與へてその餓をとどめ磐より水を之がために出してその渇を濕し且この國をなんぢらに與へんと手を挙て誓ひ給ひしその國に入これを獲べきことをかれらに命じたまへり 016 NEH 009 016 然るに彼等すなはち我らの先祖みづから傲りその項を強くして汝の賊命に聴したがはず 016 NEH 009 017 聴從ふことを拒み亦なんぢが其中にて行ひたまひし奇蹟を憶はず還てその項を強くし悖りて自ら一人の首領を立てその奴隷たりし處に歸らんとせり然りと雖も汝は罪を赦す神にして恩恵あり憐憫あり怒ること遅く慈悲厚くましまして彼らを棄たまはざりき 016 NEH 009 018 また彼ら自ら一箇の犢を鋳造りて是は汝をエジプトより導き上りし汝の神なりと言て大に震怒をひきおこす事を行ひし時にすら 016 NEH 009 019 汝は重々も憐憫を垂て彼らを荒野に棄たまはず昼は雲の柱その上を離れずして之を途に導き夜は火の柱離れずして之を照しその行べき路を示したりき 016 NEH 009 020 汝はまた汝の善霊を賜ひて彼らを訓へ汝のマナを常に彼らの口にあたへまた水を彼らに與へてその渇をとどめ 016 NEH 009 021 四十年の間かれらを荒野に養ひたまたれば彼らは何の缺る所もなくその衣服も古びずその足も腫ざりき 016 NEH 009 022 而して汝諸國諸民を彼らにあたへて之を各々に分ち取しめ給へりかれらはシホンの地ヘシボンの王の地およびバシヤンの王オグの地を獲たり 016 NEH 009 023 斯てまた汝は彼らの子孫を増て空の星のごなくならしめ前にその先祖等に入て獲よと宣まひたる地に之を導きいりたまひしかば 016 NEH 009 024 則ちその子孫入てこの地を獲たり期て汝この地にすめるカナン人をかれらの前に打伏せその王等およびその國の民をかれらの手に付して意のままに之を待はしめたまひき 016 NEH 009 025 斯りしかば彼ら堅固なる邑々および膏腴なる地を取り各種の美物の充る家鑿井葡萄園橄欖園および許多の菓の樹を獲乃はち食ひて飽き肥太り汝の大なる恩恵に沾ひて樂みたりしが 016 NEH 009 026 尚も悖りて汝に叛き汝の律法を後に抛擲ち己を戒しめて汝に歸らせんとしたる預言者等を殺し大に震怒を惹おこす事を行なへり 016 NEH 009 027 是に因て汝かれらをその敵の手に付して窘しめさせたまひしが彼らその艱難の時に汝に呼はりければ汝天より之を聴て重々も憐憫を加へ彼らに救ふ者を多く與へて彼らをその敵の手より救はせたまへり 016 NEH 009 028 然るに彼らは安を獲の後復も汝の前に惡き事を行ひしかば汝かれらをその敵の手に棄おきて敵にこれを治めしめたまひけるが彼ら復立歸りて汝に呼はりたれば汝天よりこれを聴き憐憫を加へてしばしば彼らを助け 016 NEH 009 029 彼らを汝の律法に引もどさんとして戒しめたまへり然りと雖も彼らは自ら傲りて汝の誡命に聴したがはず汝の例規(人のこれを行はば之によりて生べしといふ者)を犯し肩を聳かし項を強くして聴ことをせざりき 016 NEH 009 030 斯りしかど汝は年ひさしく彼らを容しおき汝の預言者等に由て汝の霊をもて彼らを戒めたまひしが彼等つひに耳を傾けざりしに因て彼らを國々の民等の手に付したまへり 016 NEH 009 031 されど汝は憐憫おほくして彼らを全くは絶さず亦彼らを棄たまふことをも爲たまはざりき汝は恩恵あり憐憫ある神にましませばなり 016 NEH 009 032 然ば我らの神大にして力強く且畏るべくして契約を保ち恩恵を施こしたまふ御神ねがはくはアツスリヤの王等の日より今日にいたるまで我儕の王等牧伯等祭司預言者我らの先祖汝の一切の民等に臨みし諸の苦難を小き事と観たまはざれ 016 NEH 009 033 我らに臨みし諸の事につきては汝義く在せり汝の爲たまひし所は誠實にして我らの爲しところは惡かりしなり 016 NEH 009 034 我らの王等牧伯等祭司父祖等は汝の律法を行はず汝が用ひて彼らを戒しめたまひしその誡命と證詞に聴從はざりき 016 NEH 009 035 即ち彼らは己の國に居り汝の賜ふ大なる恩恵に沾ひ汝が與へてその前に置たまひし廣き膏腴なる地にありける時に汝に事ふることを爲ず又ひるがへりて自己の惡き業をやむる事もせざりしなり 016 NEH 009 036 鳴呼われらは今日奴隷たり汝が我らの先祖に與へてその中の産出物およびその中の佳物を食はせんとしたまひし地にて我らは奴隷となりをるこそはかなけれ 016 NEH 009 037 この地は汝が我らの罪の故によりて我らの上に立たまひし王等のために衆多の産物を出すなり且また彼らは我らの身をも我らの家畜をも意のままに左右することを得れば我らは大難の中にあるなり 此もろもろの事のために我ら今堅き契約を立てこれを書しるし我らの牧伯等我らのレビ人我らの祭司これに印す 016 NEH 010 001 印を捺る者はハカリヤの子テルシヤタ、ネヘミヤおよびゼデキヤ 016 NEH 010 002 セラヤ、アザリヤ、ヱレミヤ 016 NEH 010 003 パシユル、アマリヤ、マルキヤ、 016 NEH 010 004 ハツトシ、シバニヤ、マルク 016 NEH 010 005 ハリム、メレモテ、オバデヤ 016 NEH 010 006 ダニエル、ギンネトン、バルク 016 NEH 010 007 メシユラム、アビヤ、ミヤミン 016 NEH 010 008 マアジア、ビルガ、シマヤ是等は祭司たり 016 NEH 010 009 レビ人は即ちアザニヤの子ヱシユア 、ヘナダデの子ビンヌイ、カデミエル 016 NEH 010 010 ならびに其兄弟シバ二ヤ、ホデヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン 016 NEH 010 011 ミカ、レホブ、ハシヤビヤ 016 NEH 010 012 ザツクル、セレビヤ、シバ二ヤ 016 NEH 010 013 ホデヤ、バニ、ベニヌ 016 NEH 010 014 民の長たる者はパロシ、パハテモアブ、エラム、ザツト、バニ 016 NEH 010 015 ブンニ、アズカデ、ベバイ 016 NEH 010 016 アドニヤ、ビグワイ、アデン 016 NEH 010 017 アテル、ヒゼキヤ、アズル 016 NEH 010 018 ホデヤ、ハシユム、ベザイ 016 NEH 010 019 ハリフ、アナトテ、ノバイ 016 NEH 010 020 マグピアシ、メシユラム、ヘジル 016 NEH 010 021 メシザベル、ザドク、ヤドア 016 NEH 010 022 ペラテヤ、ハナン、アナニヤ 016 NEH 010 023 ホセア、ハナニヤ、ハシユブ 016 NEH 010 024 ハロヘシ、ピルハ、シヨベク 016 NEH 010 025 レホム、ハシヤブナ、マアセヤ 016 NEH 010 026 アヒヤ、ハナン、アナン 016 NEH 010 027 マルク、ハリム、バアナ 016 NEH 010 028 その餘の民祭司レビ人門をまもる者謳歌者ネテニ人ならびに都て國々の民等と離れて神の律法に附る者およびその妻その男子女子など凡そ事を知り辨まふる者は 016 NEH 010 029 皆その兄弟たる貴き人々に附したがひ呪胆に加はり誓を立て云く我ら神の僕モーセによりて傳はりし神の律法に歩み我らの主ヱホバの一切の誡命およびその例規と法度を守り行はん 016 NEH 010 030 我らは此地の民等に我らの女子を與へじ亦われらの男子のために彼らの女子を娶らじ 016 NEH 010 031 比地の民等たとひ貨物あるひは食物を安息日に携へ來りて売んとするとも安息日または聖日には我儕これを取じ又七年ごとに耕作を廃め一切の負債を免さんと 016 NEH 010 032 我らまた自ら例を設けて年々にシケルの三分の一を出して我らの神の室の用となし 016 NEH 010 033 供物のパン常素祭常燔祭のため安息日月朔および節会の祭物のため聖物のためイスラエルの贖をなす罪祭および我らの神の家の諸の工のために之を用ゐることを定む 016 NEH 010 034 また我ら祭司レビ人および民籤を掣き律法に記されたるごとく我らの神ヱホバの壇の上に焚べき薪水の禮物を年々定まれる時にわれらの宗家にしたがひて我らの神の室に納むる者を定め 016 NEH 010 035 かつ誓ひて云ふ我らの産物の初および各種の樹の果の初を年々ヱホバの室に携へきたらん 016 NEH 010 036 また我らの子等および我らの獣畜の首出および我らの牛羊の首出を律法に記されたるごとく我らの神の室に携へ來りて我らの神の室に事ふる祭司に交し 016 NEH 010 037 我らの麥粉の初われらの挙祭の物各種の樹の果および洒油を祭司の許に携へ到りて我らの神の家の室に納め我らの産物の什一をレビ人に與へんレビ人は我らの一切の農作の邑においてその什一を受べき者なればなり 016 NEH 010 038 レビ人什一を受る時にはアロンの子孫たる祭司一人そのレビ人と偕にあるべし而してまたレビ人はその什一の十分の一を我らの神の家に携へ上りて府庫の諸室に納むべし 016 NEH 010 039 即ちイスラエルの子孫およびレビの子孫は穀物および酒油の挙祭を携さへいたり聖所の器皿および奉事をする祭司門を守る者謳歌者などが在るところの室に之を納むべし我らは我らの神の家を棄じ 016 NEH 011 001 民の牧伯等はヱルサレムに住りその餘の民もまた籤を掣き十人の中よりして一人宛を聖邑ヱルサレムに來りて住しめその九人を他の邑々に住しめたり 016 NEH 011 002 又すべて自ら進でヱルサレムに住んと言ふ人々は民これを祝せり 016 NEH 011 003 イスラエル祭司レビ人ネテニ人およびソロモンの臣僕たりし者等の子孫すべてユダの邑々にありておのおのその邑々なる自己の所有地に住をれり此州の貴き人々のヱルサレムに住をりし者は左のごとし 016 NEH 011 004 即ちユダの子孫およびベニヤミンの子孫のヱルサレムに住る者は是なりユダの子孫はウジヤの子アタヤ、ウジヤはゼカリヤの子ゼカリヤはアマリヤの子アマリヤはシパテヤの子シパテヤはマハラレルの子是はペレズの子孫なり 016 NEH 011 005 又バルクの子マアセヤといふ者ありバルクはコロホゼの子コロホゼはハザヤの子ハザヤはアダヤの子アダヤはヨヤリブの子ヨヤリプはゼカリヤの子ゼカリヤはシロニ人の子なり 016 NEH 011 006 ペレズの子孫のヱルサレムに住る者は合せて四百六十八人にして皆勇士なり 016 NEH 011 007 ベニヤミンの子孫は左のごとしメシユラムの子サル、メシユラムはヨエデの子ヨエデはペダヤの子ペダヤはコラヤの子コラヤはマアセヤの子マアセヤはイテエルの子イテエルはヱサヤの子なり 016 NEH 011 008 その次はガバイおよびサライなどにして合せて九百二十八人 016 NEH 011 009 ジクリの子ヨエルかれらの監督たりハツセヌアの子ユダこれに副ふて邑を治む 016 NEH 011 010 祭司はヨヤリブの子ヱダヤ、ヤキン 016 NEH 011 011 および神の室の宰セラヤ、セラヤはヒルヤキの子ヒルキヤはメシユラムの子メシユラムはザドクの子ザドクはメラヨテの子メラヨテはアヒトブの子なり 016 NEH 011 012 殿の職事をするその兄弟八百二十二人あり又アダヤといふ者ありアダヤはヱロハムの子ヱロハムはペラリヤの子ペラリヤはアムジの子アムジはゼカリヤの子ゼカリヤはパシホルの子パシホルはマルキヤの子なり 016 NEH 011 013 アダヤの兄弟たる宗家の長二百四十二人あり又アマシサイといふ者ありアマシサイはアザリエルの子アザリエルはアハザイの子アハザイはメシレモテの子メシレモテはイシメルの子なり 016 NEH 011 014 その兄弟たる勇士百二十八人ありハツゲドリムの子ザブデエル彼らの監督たり 016 NEH 011 015 レビ人はハシユブの子シマヤ、ハシユブはアズリカムの子アズリカムはハシヤビヤの子ハシヤビヤはブンニの子なり 016 NEH 011 016 またシヤベタイおよびヨザバデあり是等はレビ人の長にして神の室の外の事を掌どれり 016 NEH 011 017 またマツタニヤといふ者ありマツタニヤはミカの子ミカはザブデの子ザブデはアサフの子なりマツタニヤは祈祷の時に感謝の詞を唱へはじむる者なり彼の兄弟の中にてバクブキヤといふ者かれに次り又アブダといふ者ありアブダはシヤンマの子シヤンマはガラルの子ガラルはヱドトンの子なり 016 NEH 011 018 聖邑にあるレビ人は合せて二百八十四人 016 NEH 011 019 門を守る者アツクブ、タルモンおよびその兄弟等合せて百七十二人あり皆門々にありて伺守ることをせり 016 NEH 011 020 その餘のイスラエル人祭司およびレビ人は皆ユダの一切の邑々にありて各々おのれの産業に居り 016 NEH 011 021 但しネテニ人はオぺルに居りヂハ及びギシパ、ネタニ人を統ぶ 016 NEH 011 022 ヱルサレムにをるレビ人の監督はウジといふ者なりウジはバニの子バニはハシヤビヤの子ハシヤビヤはマツタニヤの子マツタニヤはミカの子なり是は謳歌者なるアサフの子孫なりその職務は神の室の事にかかはる 016 NEH 011 023 王より命令ありて是らの事を定め謳歌者に日々の定まれる分を與へしむ 016 NEH 011 024 ユダの子ゼラの子孫メシザベルの子ぺタヒヤといふ者王の手に属して民に関る一切の事を取あつかへり 016 NEH 011 025 又村荘とその田圃につきてはユダの子孫の者キリアテアルバとその郷里デボンとその郷里およびヱカブジエルとその村荘に住み 016 NEH 011 026 ヱシユア、モラダおよびベテぺレテに住み 016 NEH 011 027 ハザルシユアルおよびベエルシバとその郷里に住み 016 NEH 011 028 ヂクラグおよびメコナとその郷里に住み 016 NEH 011 029 エンリンモン、ザレア、ヤルムテに住み 016 NEH 011 030 ザノア、アドラムおよび其等の村荘ラキシとその田野およびアゼカとその郷里に住り斯かれらはベエルシバよりヒンノムの谷までに天幕を張り 016 NEH 011 031 ベニヤミンの子孫はまたゲバよりしてミクマシ、アヤおよびベテルとその郷里に住み 016 NEH 011 032 アナトテ、ノブ、アナニヤ 016 NEH 011 033 ハゾル、ラマ、ギツタイム 016 NEH 011 034 ハデデ、ゼボイム、ネバラテ 016 NEH 011 035 ロド、オノ工匠谷に住り 016 NEH 011 036 レビ人の班列のユダにある者の中ベニヤミンに合せし者もありき 016 NEH 012 001 シヤルテルの子ゼルバベルおよびヱシユアと偕に上りきたりし祭司とレビ人は左のごとしセラヤ、ヱレミヤ、エズラ 016 NEH 012 002 アマリヤ、マルク、ハツトシ 016 NEH 012 003 シカニヤ、レホム、メレモテ 016 NEH 012 004 イド、ギンネトイ、アビヤ 016 NEH 012 005 ミヤミン、マアデヤ、ビルガ 016 NEH 012 006 シマヤ、ヨヤリブ、ヱダヤ 016 NEH 012 007 サライ、アモク、ヒルキヤ、ヱダヤ是等の者はヱシユアの世に祭司およびその兄弟等の長たりき 016 NEH 012 008 またレビ人はヱシユア、ビンヌイ、カデミエル、セレビヤ、ユダ、マツタニヤ、マツタニヤはその兄弟とともに感謝の事を掌どれり 016 NEH 012 009 またその兄弟バクブキヤおよびウンノ之と相對ひて職務をなせり 016 NEH 012 010 ヱシユア、ヨアキムを生みヨアキム、エリアシブを生みエリアシブ、ヨイアダを生み 016 NEH 012 011 ヨイアダ、ヨナタンを生みヨナタン、ヤドアを生り 016 NEH 012 012 ヨアキムの日に祭司等の宗家の長たりし者はセラヤの族にてはメラヤ、ヱレミヤの族にてはハナニヤ 016 NEH 012 013 エズラの族にてはメシユラム、アマリヤの族にてはヨハナン 016 NEH 012 014 マルキの族にてはヨナタンシ、シバニヤの族にてはヨセフ 016 NEH 012 015 ハリムの族にてはアデナ、メラヨテの族にてはヘルカイ 016 NEH 012 016 イドの族にではゼカリヤ、ギンネトン膳良にてはメシユラム 016 NEH 012 017 アビヤの族にてはジクリ、ミニヤミンの族モアデヤの族にてはピルタイ 016 NEH 012 018 ビルガの族にてはシヤンマ、シマヤの族にてはヨナタン 016 NEH 012 019 ヨヤリブの族にてはマツテナイ、ヱダヤの族にてはウジ 016 NEH 012 020 サライの族にてはカライ、アモクの族にてはエベル 016 NEH 012 021 ヒルキヤの族にてはハシヤビヤ、ヱダヤの族にてはネタンエル 016 NEH 012 022 エリアシブ、ヨイアダ、ヨハナンおよびヤドアの日にレビ人の宗家の長等冊に録さる亦ペルシヤ王ダリヨスの治世に祭司等も然せらる 016 NEH 012 023 宗家の長たるレビ人はエリアシブの子ヨハナンの日まで凡て歴代志の書に記さる 016 NEH 012 024 レビ人の長はハシヤビヤ、セレビヤおよびカデミエルの子ヱシユアなりその兄弟等これと相對ひて居る即ち彼らは班列と班列とあひむかひ居り神の人ダビデの命令に本づきて讃美と感謝とをつとむ 016 NEH 012 025 マツタニヤ、バクブキヤ、オバデヤ、メシユラム、タルモン、アツクブは門を守る者にして門の内の府庫を伺ひ守れり 016 NEH 012 026 是等はヨザダクの子ヱシユアの子ヨアキムの日に在り総督ネヘミヤおよび學士たる祭司エズラの日に在りし者なり 016 NEH 012 027 ヱルサレムの石垣の落成せし節會に当りてレビ人をその一切の處より招きてヱルサレムに來らせ感附と歌と鐃鈸と瑟と琴とをもて歓喜を盡してその落成の節會を行はんとす 016 NEH 012 028 是において謳歌ふ徒輩ヱルサレムの周圍の窪地およびネトパ人の村々より集り來り 016 NEH 012 029 またベテギルガルおよびゲバとアズマウテとの野より集り來れりこの謳歌者等はヱルサレムの周圍に己の村々を建たりき 016 NEH 012 030 茲に祭司およびレビ人身を潔めまた民および諸の門と石垣とを潔めければ 016 NEH 012 031 我すなはちユダの牧伯等をして石垣の上に上らしめ又二の大なる隊を作り設けて之に感謝の詞を唱へて並進ましむ即ちその一は糞の門を指て石垣の上を右に進めり 016 NEH 012 032 その後につきて進める者はホシヤヤおよびユダの牧伯の半 016 NEH 012 033 ならびにアザリヤ、エズラ、メシユラム 016 NEH 012 034 ユダ、ベニヤミン、シマヤ、ヱレミヤなりき 016 NEH 012 035 又祭司の徒數人喇叭を吹て伴ふあり即ちヨナタンの子ゼカリヤ、ヨナタンはシマヤの子シマヤはマツタニヤの子マツタニヤはミカヤの子ミカヤはザツクルの子ザツクルはアサフの子なり 016 NEH 012 036 またゼカリヤの兄弟シマヤ、アザリエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニ等ありて神の人ダビデの樂器を執り學士エズラこれに先だつ 016 NEH 012 037 而して彼ら泉の門を経ただちに進みて石垣の上口に於てダビデの城の段階より登りダビデの家の土を過て東の方水の門に至れり 016 NEH 012 038 また今一隊の感謝する者は彼らに対ひて進み我は民の半とともにその後に從がへり而して皆石垣の上を行き爐戌樓の上を過て石垣の廣き處にいたり 016 NEH 012 039 エフライムの門の上を通り舊門を過ぎ魚の門およびハナニエルの戌樓とハンメアの戌樓を過て羊の門に至り牢の門に立どまれり 016 NEH 012 040 かくて二隊の感謝する者神の室にいりて立り我もそこにたち牧伯等の半われと偕にありき 016 NEH 012 041 また祭司エリアキム、マアセヤ、ミニヤミン、ミカヤ、エリヨエナイ、ゼカリヤ、ハナニヤ等喇叭を執て居り 016 NEH 012 042 マアセヤ、シマヤ、エレアザル、ウジ、ヨナハン、マルキヤ、エラム、エゼル之と偕にあり謳歌ふ者聲高くうたへりヱズラヒヤはその監督なりき 016 NEH 012 043 斯してその日みな大なる犠牲を献げて喜悦を盡せり其は神かれらをして大に喜こび樂ませたまひたればなり婦女小兒までも喜悦り是をもてヱルサレムの喜悦の聲とほくまで聞えわたりぬ 016 NEH 012 044 その日府庫のすべての室を掌どるべき人々を撰びて挙祭の品初物および什一など律法に定むるところの祭司とレビ人との分を邑々の田圃に准ひて取あつめてすべての室にいるることを掌どらしむ是は祭司およびレビ人の立て奉ふるをユダ人喜こびたればなり 016 NEH 012 045 彼らは神の職守および潔齋の職守を勤む謳歌者および門を守る者も然り皆ダビデとその子ソロモンの命令に依る 016 NEH 012 046 在昔ダビデおよびアサフの日には謳歌者の長一人ありて神に讃美感謝をたてまつる事ありき 016 NEH 012 047 またゼルバベルの日およびネヘミヤの日にはイスラエル人みな謳歌者と門を守る者に日々の分を與へまたレビ人に物を聖別て與ヘレビ人またこれを聖別てアロンの子孫に與ふ 016 NEH 013 001 その日モーセの書を読て民に聴しめけるに其中に録して云ふアンモニ人およびモアブ人は何時までも神の會に入べからず 016 NEH 013 002 是は彼らパンと水とをもてイスラエルの子孫を迎へずして還て之を詛はせんとてバラムを傭ひたりしが故なり斯りしかども我らの神はその呪詛を變て祝福となしたまへりと 016 NEH 013 003 衆人この律法を聞てのち雑りたる民を盡くイスラエルより分ち離てり 016 NEH 013 004 是より先我らの神の家の室を掌れる祭司エリアシブといふ者トビヤと近くなりたれば 016 NEH 013 005 彼のために大なる室を備ふ其室は元來素祭の物乳香器皿および例によりてレビ人謳歌者門を守る者等に與ふる穀物酒油の什一ならびに祭司に與る挙祭の物を置し處なり 016 NEH 013 006 常時は我ヱルサレムに居ざりき我はバビロンの王アルタシヤスタの三十二年に王の所に往たりしが數日の後王に暇を乞て 016 NEH 013 007 エルサレムに來りエリアシブがトビヤのために爲たる惡事すなはちかれがために神の家の庭に一の室を備へし事を詳悉にせり 016 NEH 013 008 我はなはだこれを憂ひてトビヤの家の器皿をことごとくその室より投いだし 016 NEH 013 009 頓て命じてすべての室を潔めさせ而して神の家の器皿および素祭乳香などを再び其處に携へいれたり 016 NEH 013 010 我また査べ観しにレビ人そのうくべき分を與へられざりきこの故に其職務をなす所のレビ人および謳歌者等各々おのれの田に奔り歸りぬ 016 NEH 013 011 是において我何故に神の室を棄させしやと言て牧伯等を詰り頓てまたレビ人を招き集めてその故の所に立しめたり 016 NEH 013 012 斯りしかばユダ人みな穀物酒油の什一を府庫に携へ來れり 016 NEH 013 013 その時我祭司シレミヤ學士ザドクおよびレビ人ペダヤを府庫の有司とし之にマツタニヤの子ザツクルの子ハナンを副て庫をつかさどらしむ彼らは忠信なる者と思はれたればなり其職は兄弟等に分配るの事なりき 016 NEH 013 014 わが神よ此事のために我を記念たまへ我神の室とその職事のために我が行ひし善事を拭ひ去たまはざれ 016 NEH 013 015 當時われ観しにユダの中にて安息日に酒榨を踏む者あり麥束を持きたりて驢馬に負するあり亦酒葡萄無花果および各種の荷を安息日にヱルサレムに携へいるるあり我かれらが食物を鬻ぎをる日に彼らを戒しめたり 016 NEH 013 016 彼處にまたツロの人々も住をりしが魚および各種の貨物を携へいりて安息日にユダの人々に之を鬻ぎかつヱルサレムにて商賣せり 016 NEH 013 017 是において我ユダの貴き人々を詰りて之に言ふ汝ら何ぞ此惡き事をなして安息日を涜すや 016 NEH 013 018 汝らの先祖等も斯おこなはざりしや我らの神これが爲にこの一切の災禍を我らとこの邑とに降したまひしにあらずや然るに汝らは安息日を涜して更に大なる震怒をイスラエルに招くなりと 016 NEH 013 019 而して安息日の前の日ヱルサレムの門々暗くならんとする頃ほひに我命じてその扉を閉させ安息日の過さるまで之を開くべからずと命じ我僕數人を門々に置て安息日に荷を携へいるる事なからしめたり 016 NEH 013 020 斯りしかば商賣および各種の品を賣る者等一二回ヱルサレムの外に宿れり 016 NEH 013 021 我これを戒めてこれに言ふ汝ら石垣の前に宿るは何ぞや汝等もし重ねて然なさば我なんぢらに手をかけんと其時より後は彼ら安息日には來らざりき 016 NEH 013 022 我またレビ人に命じてその身を潔めさせ來りて門を守らしめて安息日を聖くす我神よ我ために此事を記念し汝の大なる仁慈をもて我を憫みたまへ 016 NEH 013 023 富時われアシドド、アンモン、モアブなどの婦女を娶りしユダヤ人を見しに 016 NEH 013 024 その子女はアシドドの言語を半雑へて言ひユダヤの言語を言ことあたはず各國の言語を雑へ用ふ 016 NEH 013 025 我彼等を詰りまた詬りその中の數人を撻ちその毛を抜き神を指て誓はしめて言ふ汝らは彼らの男子におのが女子を與ふべからず又なんぢらの男子あるひはおのれ自身のために彼らの女子を娶るべからず 016 NEH 013 026 是らの事についてイスラエルの王ソロモンは罪を獲たるに非ずや彼がごとき王は衆多の國民の中にもあらずして神に愛せられし者なり神かれをイスラエル全國の王となしたまへり然るに尚ほ異邦の婦女等はこれに罪を犯さしめたり 016 NEH 013 027 然ば汝らが異邦の婦女を娶りこの一切の大惡をなして我らの神に罪を犯すを我儕聴し置べけんや 016 NEH 013 028 祭司の長エリアシブの子ヨイアダの一人の子はホロニ人サンバラテの婿なりけれぱ我これを逐出して我を離れしむ 016 NEH 013 029 わが神よ彼らは祭司の職を汚し祭司およびレビ人の契約に背きたり彼らのことを忘れたまふ勿れ 016 NEH 013 030 我かく人衆を潔めて異邦の物を盡く棄しめ祭司およびいビ人の班列を立て各々その職務に服せしめ 016 NEH 013 031 また人衆をして薪柴の禮物をその定まる期に献げしめかつ初物を奉つらしむ我神よ我を憶ひ仁慈をもて我を待ひたまへ # # BOOK 017 EST Esther エステル 記 017 EST 001 001 アハシユエロスすなはち印度よりエテオピヤまで百二十七州を治めたるアハシユエロスの世 017 EST 001 002 アハシユエロス王シユシヤンの城にてその國の祚に坐しをりける当時 017 EST 001 003 その治世の第三年にその牧伯等および臣僕等のために酒宴を設けたり ペルシヤとメデアの武士および貴族と讃州の牧伯等その前にありき 017 EST 001 004 時に王その盛なる國の富有とその大なる威の榮を示して衆多の日をわたり百八十日に及びぬ 017 EST 001 005 これらの日のをはりし時 王また王の宮の園の庭にてシユシヤンに居る大小のすべての民のために七日の間酒宴を設けたり 017 EST 001 006 白緑青の帳幔ありて細布と紫色の紐にて銀の環および蝋石の柱に繋がるまた牀榻は金銀にして赤白黄黒の蝋石の上に居らる 017 EST 001 007 金の酒盃にて酒を賜ふその酒盃は此と彼おのおの異なり王の用ゐる酒をたまふこと夥だし王の富有に適へり 017 EST 001 008 その飮むことは法にかなひて誰も強ることを爲ず 其は王人として各々おのれの好むごとく爲しむべしとその宮内のすべての有司に命じたればなり 017 EST 001 009 后ワシテもまたアハシユエロス王に属する王宮の内にて婦女のために酒宴をまうけたり 017 EST 001 010 第七日にアハシユエロス王酒のために心樂み王の前に事ふる七人の侍從メホマン、ビスタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、セタルおよびカルカスに命じ 017 EST 001 011 后ワシテをして后の冠冕をかぶりて王の前に來らしめよと言り 是は彼観に美しければその美麗を民等と牧伯等に見さんとてなりき 017 EST 001 012 しかるに后ワシテ侍從が傅へし王の命に從ひて來ることを肯はざりしかば王おほいに憤ほりて震怒その衷に燃ゆ 017 EST 001 013 是において王時を知る智者にむかひて言ふ(王はすべて法律と審理に明かなる者にむかひて是の如くするを常とせり 017 EST 001 014 時に彼の次になりし者はペルシヤおよびメデアの七人の牧伯カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンなりき 是みな王の面を見る者にして國の第一に位せり) 017 EST 001 015 后ワシテ、アハシユエロス王が侍從をもて傅へし命を爲されば法律にしたがひて如何に彼になすべきや 017 EST 001 016 メムカン王と牧伯たちの前に答へて曰ふ 后ワシテは唯王にむかひて惡き事をなしたる而已ならず一切の牧伯たちおよびアハシユエロス王の各州のもろもろの民にむかひてもまた之を爲るなり 017 EST 001 017 后のこの事あまねく一切の婦女に聞えて彼らつひにその夫を藐め観て言ん アハシユエロス王后ワシテに已のまへに來れと命じたりしに來らざりしと 017 EST 001 018 而して后の此所行を聞るペルシヤとメデアの諸夫人もまた今日王のすべての牧伯等に是のごとく言ん然すれば必らず藐視と忿怒多く起るべし 017 EST 001 019 王もし之を善としたまはばワシテは此後ふたたびアハシユエロス王の前に來るべからずといふ王命を下し之をペルシヤとメデアの律法の中に書いれて更ること無らしめ而してその后の位を彼に勝れる他の者に與へたまへ 017 EST 001 020 王の下したまはん御詔この大なる御國に徧ねく聞えわたる時は妻たる者ことごとくその夫を大小となく共に敬まふべしと 017 EST 001 021 王と牧伯等この言を善としければ王メムカンの言のごとく爲たり 017 EST 001 022 かくて王の諸州に徧ねく書をおくりもろもろの州にその文字にしたがひて書おくりもろもろの民にその言語にしたがひて書おくり凡て男子たる者はその家の主となるべくまたおのれの民の言を用ひてものいふべしと諭しぬ 017 EST 002 001 これらの事の後アハシユエロス王忿怒とけてワシテおよび彼が爲たる所またその彼にむかひて議定めしところの事を憶ひおこせり 017 EST 002 002 ここに王の前に事ふる僕等いひけるは請ふ美しき少き處女等を王のために尋もとめん 017 EST 002 003 願はくは王御國の各州において官吏を択び之をして美はしき處女をことごとくシユシヤンの城に集めしめ婦人を管理る王の侍從ヘガイの手にわたして婦人の局に入らしめ而して潔浄の物をこれに與へたまへ 017 EST 002 004 斯して王の御意に適ふ女子を取りワシテに代りて后とならしめたまへと王この事を善として然なしぬ 017 EST 002 005 茲にシユシヤンの城に一人のユダヤ人ありその名をモルデカイと日ひキシの曾孫シメイの孫ヤイルの子にしてベニヤミン人なり 017 EST 002 006 かれはバビロンの王ネブカデネザルが擄へゆきしユダのヱコニヤとともに擄はれ往る俘囚の中にありてヱサレムより移されたる者なり 017 EST 002 007 かれその叔父の女ハダツサすなはちエステルを養ひ育てたり 是は父も母もなかりければなり この女子顔貌勝れてうるはしかりしがその父母の死たる後モルデカイこれを取ておのれの女となせるなり 017 EST 002 008 王の命令と詔言の聞え伝はり衆多の女子シユシヤンの城にあつめられてヘガイの手にわたさにし時エステルも亦王の家に携へられてゆき婦人を管理るヘガイの手に交されしが 017 EST 002 009 この女子ヘガイの意にかなひて之が恵を受たり即はちヘガイすみやかに之に潔浄の物およびその分を與へまた王の家の中より七人の侍女を挙てこれに附そはしめ彼とその侍女等を婦人の局の中なる最も佳き處に移しぬ 017 EST 002 010 エステルはおのれの民をもおのれの宗族をも顧はさざりき其はモルデカイこれを顕はすなかれと彼に言ふくめたればなり 017 EST 002 011 またモルデカイはエステルの模様およびその如何になれるかを知んため日々に婦人の局の庭の前をあゆめり 017 EST 002 012 女子はおのおの婦人の則にしたがひて十二ケ月を経しかる後順番にいりてアハシユエロス王にいたる是その潔浄の日を終るはかくのごとくなるが故なり 既ち没薬の油を用ふること六ヶ月また各種の薫物および婦人の潔浄ごとにあつる物等を用ふること六ヶ月 017 EST 002 013 女子の王にいたるは是のごとしその婦人の局より出て王の家にゆく時には凡てその望む物をことごとく與へらる 017 EST 002 014 而して夕に往き朝におよびて婦人の第二の局に還り妃嬪をつかさどる王の侍從シヤシガスの手に属す王これを喜こびて名をさして召すにあらざれぼ重ねて王にいたることなし 017 EST 002 015 ここにモルデカイの叔父アビハイルの女すなはちモルデカイが取ておのれの女となしたるエステル入て王にいたるべき順番にあたりけるが彼は婦人をつかさどる王の侍從ヘガイが言きかせたる事の外には何をももとめざりき エステルは凡て彼を見る者によろこばれたり 017 EST 002 016 かくエステルは王の家に召いれられてアハシユエロス王にいたれり是その治世の第七年十月即ちテベテの月なり 017 EST 002 017 王一切の婦人に超てエステルを愛しければエステルはすべての處女にまさりて王の前に恩寵と厚情を得たり 王つひに后の冕をかれの首に戴かせ彼をしてワシテにかはりて后とならしむ 017 EST 002 018 ここにおいて王おほいなる酒宴を設けてそのもろもろの牧伯と臣僕を饗す これをエステルの酒宴と稱ふまた諸州に租税をゆるし王の富有にかなひて物を賜ふ 017 EST 002 019 再度處女の集められし時モルデカイは王の門に坐しをりぬ 017 EST 002 020 エステルはモルデカイがかれに言ふくめたる如くして未だおのれの宗族をもおのれの民をも顕はさざりき エステタはモルデカイの言語にしたがふことその彼に養なひ育てられし時と異ならざりき 017 EST 002 021 常時モルデカイ王の門に坐し居ける時王の侍從にて戸を守る者の中ビグタンおよびテレシの二人怨むる事ありてアハシユエロス王を弑せんともとめたりしが 017 EST 002 022 その事モルデカイに知れければモルデカイこれを后エステルに告げエステルまたモルデカイの名をもてこれを王に告げたり 017 EST 002 023 ここにおいて此事をしらべさせしにその然ること顕はれければ彼ら二人は木にかけられその事は王の前なる日誌の書にかきしるさる 017 EST 003 001 これらの事の後アハシユエロス王アガグ人ハンメダタの子ハマンを貴びこれを高くして己とともにある一切の牧伯の上にその席を定めしむ 017 EST 003 002 王の門にある主の諸臣みな跪づきてハマンを拝せり 是は王斯かれになすことを命じたれぱなり 然れどもモルデカイは跪づかず又これを拝せざりき 017 EST 003 003 ここをもて王の門にある王の諧臣モデカイにむかひて言ふ 汝いかなれば王の命に背くやと 017 EST 003 004 かれらモデカイに日々かく言ふといへども聴ざりければその事の爲をふさるべきか否を見んとてハマンにこれを告たり 其はモルデカイおのれのユダヤ人なることを語りたればなり 017 EST 003 005 ハマン、モルデカイの跪づかずまた己を拝せざるを見たれば ハマン忿怒にたへざりしが 017 EST 003 006 ただモルデカイ一人を殺すは事小さしと思へり彼らモルデカイの属する民をハマンに顕はしければハマンはアハシユエロスの國の中にある一切のユダヤ人すなはちモルデカイの属する民をことごとく殺さんと謀れり 017 EST 003 007 アハシユエロス王の十二年正月即ちニサンの月にハマンの前にて十二月すなはちアダルの月まで一日一日のため一月一月のためにプルを投しむプルは即ち籤なり 017 EST 003 008 ハマンかくてアハシユエロス王に言けるは御國の各州にある諸民の中に散されて別れ別れになりをる一の民ありその律法は一切の民と異り また王の法律を守らずこの故にこれを容しおくは王の益にあらず 017 EST 003 009 王もしこれを善としたまはば願くは彼らを滅ぼせと書くだしたまへ さらば我王の事をつかさどる者等の手に銀一萬タラントを秤り交して王の府庫に人しめん 017 EST 003 010 王すなはち指環をその手より取はづしアガグ人ハンメダタの子ハマンすなはちユダヤ人の敵たる者に交し 017 EST 003 011 しかしてハマンに言けるはその銀はなんぢに與ふ その民もまた汝にあたふれば汝に善と見ゆるごとく爲よ 017 EST 003 012 ここにおいて正月の十三日に王の書記官を召あつめ王に属する州牧各州の方伯およびもろもろの民の牧伯にハマンが命ぜんとする所をことごとく書しるさしむ 即ちもろもろの州におくるものは其文字をもちひ もろもろの民におくるものはその言語をもちひ おのおのアハシユエロス王の名をもてこれを書き王の指環をもてこれに印したり 017 EST 003 013 しかして驛卒をもて書を王の諸州におくり十二月すなはちアダルの月の十三日において一日の内に一切のユダヤ人を若き者老たる者小児婦人の差別なくことごとく滅ぼし殺し絶しかつその所有物を奪ふべしと諭しぬ 017 EST 003 014 この詔旨を諸州に傅へてかの日のために準備をなさしめんとてその書る物の寫本を一切の民に開きて示せり 017 EST 003 015 驛卒王の命によりて急ぎて出ゆきぬ この詔書はシユシヤンの城に於て出されたり かくて王とハマンは坐して酒飮ゐたりしがシユシヤンの邑は惑ひわづらへり 017 EST 004 001 モルデカイ凡てこの爲れたる事を知しかばモルデカイ衣服を裂き麻布を纒ひ灰をかぷり邑の中に行て大に哭き痛く號び 017 EST 004 002 王の門の前までも斯して來れり 其は麻布をまとふては王の門の内に入ること能はざればなり 017 EST 004 003 すべて王の命とその詔書と到れる諸州にてはユダヤ人の中におほいなる哀みあり断食哭泣號呼おこれり また麻布をまとふて灰の上に坐する者おほかりき 017 EST 004 004 ここにエステルの侍女およびその侍從等きたりてこれを告ければ后はなはだしく憂ひ衣服をおくり之をモルデカイにきせてその麻布を脱しめんとしたりしがうけざりき 017 EST 004 005 ここをもてエステルは王の侍從の一人すなはち王の命じて己に侍らしむるハタクといふ者を召しモルデカイの許に往きてその何事なるか何故なるかを知きたれと命ぜり 017 EST 004 006 ハタクいでて王の門の前なる邑の廣場にをるモルデカイにいたりしに 017 EST 004 007 モルデカイおのれの遇たるところを具にこれに語りかつハマンがユダヤ人を滅ぼす事のために王の府庫に秤りいれんと約したる銀の額を告げ 017 EST 004 008 またその彼等をほろぼさしむるためにシユシヤンにおいて書て與へられし詔書の写を彼にわたし之をエステルに見せかつ解あかし また彼に王の許にゆきてその民のためにこれに衿恤を請ひその前に順ふことを爲べしと言つたへよと言り 017 EST 004 009 ハタクかへり來りてモルデカイの言詞をエステルに告ければ 017 EST 004 010 エステル、ハタクに命じモルデカイに言をつたへしむ云く 017 EST 004 011 王の諸臣がよび王の諸州の民みな知る男にもあれ女にもあれ凡て召れずして内庭に入て王にいたる者は必ず殺さるべき一の法律あり されど王これに金圭を伸れば生るを得べし かくて我此三十日は王にいたるべき召をかうむらざるなり 017 EST 004 012 エステルの言をモルデカイに告げけるに 017 EST 004 013 モルデカイ命じてエステルに答へしめて曰く 汝王の家にあれば一切のユダヤ人の如くならずして免かるべしと思ふなかれ 017 EST 004 014 なんぢ若この時にあたりて黙して言ずば他の處よりして助援と拯救ユダヤ人に興らんされど汝どなんぢの父の家は亡ぶべし 汝が后の位を得たるは此のごとき時のためなりしやも知るべからず 017 EST 004 015 エステルまたモルデカイに答へしめて曰く 017 EST 004 016 なんぢ往きシユシヤンにをるユダヤ人をことごとく集めてわがために断食せよ 三日の間夜昼とも食ふことも飮むこともするなかれ 我とわが侍女等もおなじく断食せん しかして我法律にそむく事なれども王にいたらん 我もし死べくば死べし 017 EST 004 017 ここにおいてモルデカイ往てエステルが凡ておのれに命じたるごとく行なへり 017 EST 005 001 第三日にエステル后の服を着王の家の内庭にいり王の家にむかひて立つ王は王宮玉座に坐して王宮の戸口にむかひをりしが 017 EST 005 002 王后エステルが庭にたちをるを見てこれに恩をくはへ其手にある金圭をエステルの方に伸しければエステルすすみよりてその圭の頭にさはれり 017 EST 005 003 王かれに言けるは后エステルなんぢ何をもとむるやなんぢの願意は何なるや國の半分にいたるとも汝にあたふべし 017 EST 005 004 エステルいひけるは王もし善としたまはば願くは今日わが王のために設けたる酒宴に王とハマンと臨みたまへ 017 EST 005 005 ここに於て王ハマンを急がしめてエステルの言るごとくならしめよと命じ王とハマンやがてエステルが設けたる酒宴に臨めり 017 EST 005 006 酒宴の時王またエステルに言けるは汝の所求は何なるやかならずゆるさるべし なんぢの願意は何なるや固の半分にいたるとも成就らるべし 017 EST 005 007 エステル言けるは我が所求わが願意は是なり 017 EST 005 008 われもし王の目の前に恩を得 王もしわが所求をゆるしわが願意を成就しむることを善としたまはば願くは玉とハマンまたわが設けんとする酒宴に臨みたまへ われ明日王の宜まへる言にしたがはん 017 EST 005 009 かくてハマンはその日よろこび心たのしみて出きたりけるがハマン、モルデカイが王の門に居て己にむかひて起もあがらず身動もせざるを見しかば 痛くモルデカイを怒れり 017 EST 005 010 されどもハマン耐忍びて家にかへりその朋友等および妻ゼレシをまねき來らしめ 017 EST 005 011 而してハマンその富の榮耀とその子の衆多ことと凡て王の己を貴とびし事また己をたかくして王の牧伯および臣僕の上にあらしむることを之に語れり 017 EST 005 012 しかしてハマンまた言けらく后エステル酒宴を設けたりしが我のほかは何人をも王とともに之に臨ましめず明日もまた我は玉とともに后に招かれをるなり 017 EST 005 013 然れどユダヤ人モルデカイが王の門に坐しをるを見る間は是らの事も快樂からず 017 EST 005 014 時にその妻ゼレシとその一切の朋友かれに言けるは請ふ高五十キユビトの木を立しめ明日の朝モルデカイをその上に懸んことを王に奏せ而して王とともに樂しみてその酒宴におもむけとハマンこの事を善としてその木を立しめたり 017 EST 006 001 その夜王ねむること能はざりければ命じて日々の事を記せる記録の書を持きたらしめ王の前にこれを読しめけるに 017 EST 006 002 モルデカイ曾て王の侍從の二人戸を守る者なるビグタンとテレシがアハシユエロス王を殺さんと謀れるを告たりと記せるに遇ふ 017 EST 006 003 王すなはち言けるは之がために何の榮誉と爵位をモルデカイにあたへしや 王に事ふる臣僕等こたへて何をも彼にあたへしこと無しといへり 017 EST 006 004 ここにおいて王誰ぞ庭にあるやと問ふ この時ハマンは己がモルデカイのために設けたる木にモルデカイを懸ることを王に奏せんとして已に王の家の外庭に來りて居る 017 EST 006 005 王の臣僕等王につげてハマン庭に立をると言ければ王かれをして入來らしめよと言ふ 017 EST 006 006 ハマンやがて入きたりしに王かれにいひけるは王の尊とばんと欲する人には如何になさば善らんかとマン心におもひけるは王の尊ばんとずる者は我にあらずして誰ぞやと 017 EST 006 007 ハマンすなはち王にいひけるは王の尊ばんと欲する人のためには 017 EST 006 008 王の着たまへる衣服を携さへ來らしめかつ王の乗たまへる馬即ちその頭に王の冠冕を戴ける馬をひき來らしめ 017 EST 006 009 これを王の最も貴とき一人の牧伯の手にわたし王の尊ばんとする人に其衣服を衣せしめこれを馬にのせて邑の街衢をみちびき通り 王の尊とばんと欲する人には是のごとくなすべしと呼はらしむべし 017 EST 006 010 王ハマンに言けるは急ぎなんぢが言しごとくその衣服と馬とを取り王の門に坐するユダヤ人モルデカイに斯なせよ なんぢが言しところを一も欠こと無らしめよ 017 EST 006 011 ここにおいてハマン衣服と馬とを取りモルデカイにその衣服を着せ彼をして邑の街衢を乗とほらしめその前に呼はりて云ふ王の尊ばんと欲する人には是のごとくなすべしと 017 EST 006 012 かくてモルデカイは王の門にかへりたりしがハマンは愁へなやみ首をおほふておのれの家にはしりゆき 017 EST 006 013 しかしてハマンおのが邁る事をことごとくその妻ゼレシとその朋友等に告げるにその智者等およびその妻ゼレシかれに言けるは 彼のモルデカイすなはちなんぢがその前に敗れはじめたる者もしユダヤ人ならば汝これに勝ことを得じ必らずその前にやぶれんと 017 EST 006 014 かれら尚ハマンとものいひをる間に王の侍從きたりてハマンをうながしエステルが設けたる酒宴にのぞましむ 017 EST 007 001 王またハマンとともに后エステルと酒宴せんとて來れり 017 EST 007 002 この第二の酒宴の日に王またエステルに言けるは后エステルよなんぢのもとめは何なるや かならず許さるべし 汝のねがひは何なるや國の半分にいたるとも成就らるべし 017 EST 007 003 后エステルこたへて言けるは王よ我もし王の御目の前に恩を得王もし善と見たまはばわがもとめにしたがりこわが生命をわれに賜へ またわが願にしたがひてわが民を我に賜へ 017 EST 007 004 我とわが民は売れて滅ぼされ殺され絶されんとす 我らもし奴婢に売れたるならんには我黙してはべらん 敵人は王の損害を償なふ事能はざるなり 017 EST 007 005 アハシユエロス王后エステルにこたへて言けるは之をなさんと心にたくめる者は誰また何處にをるや 017 EST 007 006 エステルいひけるはその敵その仇人は即ちこの惡きハマンなりと 是によりてハマンは王と后の前にありて懼れたり 017 EST 007 007 王怒り酒宴の席をたちて宮殿の園に往きければハマンたちあがりて后エステルに生命を乞り 其はかれ王のおのれに禍災をなさんと決めしを見たればなり 017 EST 007 008 王宮殿の園より歸りて酒宴の場にいたりしにエステルのをる牀榻の上にハマン俯伏ゐたれば王いひけるは彼はまた家の内にてわが前に后を辱しめんとするかと此ことば王の口より出るや人々ハマンの面をおほへり 017 EST 007 009 時に王の前にある一人の侍從ハルボナいひけるは王の爲に善き事を言たりしかのモルデカイを懸んとてハマンが作りたる五十キユビトのり木ハマンの家に立をるなりと王いひけるは彼をその上に懸よ 017 EST 007 010 人々ハマンを其モルデカイをかけんとて設けし本の上に懸たり 王の震怒つひに解く 017 EST 008 001 その日アハシユエロス王ユダヤ人の敵ハマン一家を后エステルに賜ふ モダカイもまた王の前に來れり 是はエステル彼が己と何なる係りなるかを告たればなり 017 EST 008 002 王ハマンより取かへせし己の指環をはづしてモルデカイに與ふ 而してエステル、モルデカイをしてハマンの家をつかさどらしむ 017 EST 008 003 エステルふたたび王の前に奏してその足下にひれふしアガグ人ハマンがユダヤ人を害せんと謀りしその謀計を除かんことを涙ながらに乞求めたり 017 EST 008 004 王エステルにむかひて金圭を伸ければステル起て王の前に立ち 017 EST 008 005 言けるは王もし之を善としたまひ我もし王の前に恩を得この事もし王に正と見え我もし御目にかなひたらば アガグ人ハンメダタの子ハマンが王の諸州にあるユダヤ人をほろぼさんと謀りて書おくりたる書をとりけすべき旨を書くだしたまへ 017 EST 008 006 われ豈わが民に臨まんとずる禍害を見るに忍びんや 豈わが宗族のほろぶるを見るにしのびんや 017 EST 008 007 アハシユエロス王后エステルとユダヤ人モルデカイにいひけるはハマン、ユダヤ人を殺さんとしたれば我すでにハマンの家をエステルに與へまたハマンを木にかけたり 017 EST 008 008 なんぢらも亦おのれの好むごとく王の名をもて書をつくり王の指環をもてこれに印してユダヤ人につたへよ王の名をもて書き王の指環をもて印したる答は誰もとりけすこと能はざればなり 017 EST 008 009 ここをもてその時また王の書記官を召あつむ是三月すなはちシワンの月の二十三日なりきしかして印度よりエテオピアまでの百二十七州のユダヤ人州牧諸州の方伯牧伯等にモルデカイが命ぜんとするところを盡く書しるさしむ 即ちもろもろの州におくるものはその文字をもちひ諸の民におくるものはその言語をもちひひ書おくりユダヤ人におくるものはその文字と言語をもちふ 017 EST 008 010 かれアハシユエロス王の名をもてこれをかき王の指環をもてこれに印し驛卒をして御厩にてそだてたる逸足の御用馬にのりてその書をおくりつたへしむ 017 EST 008 011 その中に云ふ王すべての邑にあるユダヤ人に許す彼らあひ集まり立ておのれの生命を保護しおのれを襲ふ諸國諸州の一切の兵民をその妻子もろともにほろぼし殺し絶し且その所有物を奪ふべし 017 EST 008 012 アハシユエロス王の諸州におて十二月すなはちアダルの月の十三日一日の内かくのごとくするを許さる 017 EST 008 013 この詔旨を諸州につたへんがためまたユダヤ人をしてかの日のために準備してその敵に仇をかへさしめんがためにその書る物の写本を一切の民に開きて示せり 017 EST 008 014 驛卒逸足の御用馬にのり王の命によりて急がせられせきたてられて出ゆけりこの詔書はシユシヤンの城において出されたり 017 EST 008 015 かくてモルデカイは藍と白の朝服を着大なる金の冠を戴き紫色の細布の外衣をまとひて王の前よりいできたれり シユシヤンの邑中聲をあげて喜びぬ 017 EST 008 016 ユダヤ人には光輝あり喜悦あり快樂あり尊榮ありき 017 EST 008 017 いづれの州にても何の邑にても凡て王の命令と詔書のいたるところにてはユダヤ人よろこぴ樂しみ酒宴をひらきて此日を吉日となせりしかして國の民おほくユダヤ人となれり是はユダヤ人を畏るる心おこりたればなり 017 EST 009 001 十二月すなはちアダルの月の十三日王の命令と詔書のおこなはるべき時いよいよ近づける時すなはちユダヤ人の敵ユダヤ人を打伏んとまちかまへたりしに却てユダヤ人おのれを惡む者を打ふする事となりける其日に 017 EST 009 002 ユダヤ人アハシユエロス王の各州にある己の邑々に相あつまりおのれを害せんとする者どもを殺さんとせり誰も彼らに敵ることを得る者なかりき 其は一切の民ユダヤ人を畏れたればなり 017 EST 009 003 諸州の牧伯州牧方伯など凡て王の事を辨理ふ者は皆ユダヤ人をたすけたり 是モルデカイを畏るるによりてたり 017 EST 009 004 モルデカイは王の家にて大なる者となりその名各州にきこえわたれり斯その人モルデカイはますます大になりゆきぬ 017 EST 009 005 ユダヤ人すなはち刀刃をもてその一切の敵を撃て殺し減ぼしおのれを惡む者を意のままに爲したり 017 EST 009 006 ユダヤ人またシユシヤンの城においても五百人を殺しほろぼせり 017 EST 009 007 パルシヤンダタ、ダルポン、アスパタ 017 EST 009 008 ポラタ、アダリヤ、アリダタ 017 EST 009 009 パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ 017 EST 009 010 これらの者すなはちハンメダタの子ユダヤ入の敵たるハマンの十人の子をも彼ら殺せりされどその所有物には手をかけざりき 017 EST 009 011 シユシヤンの城の内にて殺されし者の數をその日王にまうしあげければ 017 EST 009 012 王きさきエステルにいひけるはユダヤ人シユシヤンの城の内にて五百人を殺しまたハマンの十人の子をころせり王のその余の諸州においては幾何なりしぞや 汝また何か求むるところあるやかならず許さるべし尚何かねがふところあるや必らず成就らるべし 017 EST 009 013 エステルいひけるは王もし之を善としたまはば願くはシユシヤンにあるユダヤ人に允して明日も今日の詔旨のごとくなさしめ且ハマンの十人の子を木に懸しめたまへ 017 EST 009 014 王かく爲せと命じシユシヤンにおいて詔旨を出せりマンの十人の子は木に懸らる 017 EST 009 015 アダルの月の十四日にシユシヤンのユダヤ人また集まりシユシヤンの内にて三百人をころせり然れどもその所有物には手をかけざりき 017 EST 009 016 王の諸州にあるその余のユダヤ人もまた相あつまり立ておのれの生命を保護しその敵に勝て安んじおのれを惡む者七萬五千人をころせり然れどもその所有には手をかけざりき 017 EST 009 017 アダルの月の十三日にこの事をおこなひ十四日にやすみてその日に酒宴をなして喜こべり 017 EST 009 018 されどシユシヤンにをるユダヤ人はその十三日と十四日とにあひ集まり十五日にやすみてその日に酒宴をなして喜こべり 017 EST 009 019 これによりて村々のユダヤ人すなはち石垣なき邑々にすめる者はアダルの月の十四日をもて喜樂の日酒宴の日吉日となして互に物をやりとりす 017 EST 009 020 モルデカイこれらの事を書しるしてアハシユエロス王の諸州にをるユダヤ人に遠きにも近きにも書をおくり 017 EST 009 021 アダルの月の十四日と十五日を年々にいはふことを命じ 017 EST 009 022 この兩の日にユダヤ人その敵に勝て休みこの月は彼のために憂愁より喜樂にかはり悲哀より吉日にかはりたれば是らの日に酒宴をなして喜びたがひに物をやりとりし貧しき者に施與をなすべしと諭しぬ 017 EST 009 023 ここをもてユダヤ人はその已にはじめたるごとくモルデカイがかれらに書おくりしごとく行なひつづけたり 017 EST 009 024 アガグ人ハンメダタの子ハマンすなはちすべてのユダヤ人の敵たる者ユダヤ人を滅ぼさんと謀りプルすなはち籤を投てこれを滅ぼし絶さんとしたりしが 017 EST 009 025 その事王の前に明かになりし時王書をおくりて命じハマンがユダヤ人を害せんとはかりしその惡き謀計をしてハマンのかうべに歸らしめ彼とその子等を木に懸しめたり 017 EST 009 026 このゆゑに此兩の日をそのプルの名にしたがひてプリムとなづけたり斯りしかばこの書のすべての詞によりこの事につきて見たるところ己の遇たるところに依て 017 EST 009 027 ユダヤ人あひ定め年々その書るところにしたがひその定めたる時にしたがひてこの兩の日をまもり己とおのれの子孫および凡て已につらなる者これを行ひつづけて廃すること無く 017 EST 009 028 この兩の日をもて代々家々州々邑々において必ず記念てまもるべき者となしこれらのプリムの日をしてユダヤ人の中に廃せらるること無らしめまたこの記念をしてその子孫の中に絶ること無らしむ 017 EST 009 029 かくてアビハイルの女なる后エステルとユダヤ人モルデカイおほいなる力をもてプリムの第二の書を書おくりてこれを堅うす 017 EST 009 030 すなはちモルデカイ、アハシユエロスの國の百二十七州にある一切のユダヤ人に平和と眞實の言語をもて書をおくり 017 EST 009 031 断食と悲哀のことにつきてプリムのこれらの日を堅うしてその定めたる時を守らしむすなはちユダヤ人モルデカイと后エステルが曾てかれらに命じたるごとくまたユダヤ人等が曾てみづから己のためおよびおのれの子孫のために定めたるがごとし 017 EST 009 032 エステルの語プリムにかかはる是等の事をかたうせり是は書にしるされたり 017 EST 010 001 アハシユエロス王國土および海の島々に貢をたてまつらしむ 017 EST 010 002 アハシユエロス王が權勢と能力をもて爲たる一切の事業および彼がモルデカイを高くして大いなる者とならしめたる事の委き話はメデアとぺルシヤの列王の日誌の書に記さるるにあらずや 017 EST 010 003 ユダヤ人モルデカイはアハシユエロス王に次ぐ者となりユダヤ人の中にありて大なる者にしてその衆多の兄弟によろこばれたり彼はその民の福祉をもとめその一切の宗族に平和の言をのべたりき # # BOOK 018 JOB Job ヨブ 記 018 JOB 001 001 ウヅの地にヨブと名くる人あり 其人と爲完全かつ正しくして神を畏れ惡に遠ざかる 018 JOB 001 002 その生る者は男の子七人女の子三人 018 JOB 001 003 その所有物は羊七千 駱駝三千 牛五百軛 牝驢馬五百 僕も夥多しくあり 此人は東の人の中にて最も大なる者なり 018 JOB 001 004 その子等おのおの己の家にて己の日に宴筵を設くる事を爲し その三人の姉妹をも招きて與に食飮せしむ 018 JOB 001 005 その宴筵の日はつる毎にヨブかならず彼らを召よせて潔む 即ち朝はやく興き彼ら一切の數にしたがひて燔祭を獻ぐ 是はヨブ我子ら罪を犯し心を神を忘れたらんも知べからずと謂てなり ヨブの爲ところ常に是のごとし 018 JOB 001 006 或日神の子等きたりてヱホバの前に立つ サタンも來りてその中にあり 018 JOB 001 007 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝何處より來りしや サタン、ヱホバに應へて言けるは地を行めぐり此彼經あるきて來れり 018 JOB 001 008 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝心をもちひてわが僕ヨブを觀しや 彼のごとく完全かつ正くして神を畏れ惡に遠ざかる人世にあらざるなり 018 JOB 001 009 サタン、ヱホバに應へて言けるはヨブあにもとむることなくして神を畏れんや 018 JOB 001 010 汝彼とその家およびその一切の所有物の周圍に藩屏を設けたまふにあらずや 汝かれが手に爲ところを盡く成就せしむるがゆゑにその所有物地に遍ねし 018 JOB 001 011 然ど汝の手を伸て彼の一切の所有物を撃たまへ 然ば必ず汝の面にむかひて汝を詛はん 018 JOB 001 012 ヱホバ、サタンに言たまひけるは視よ彼の一切の所有物を汝の手に任す 唯かれの身に汝の手をつくる勿れ サタンすなはちヱホバの前よりいでゆけり 018 JOB 001 013 或日ヨブの子女等その第一の兄の家にて物食ひ酒飮ゐたる時 018 JOB 001 014 使者ヨブの許に來りて言ふ 牛耕しをり牝驢馬その傍に草食をりしに 018 JOB 001 015 シバ人襲ひて之を奪ひ刄をもて少者を打殺せり 我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 016 彼なほ語ひをる中に又一人きたりて言ふ 神の火天より降りて羊および少者を焚きて滅せり 我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 017 彼なほ語ひをる中に又一人きたりて言ふ カルデヤ人三隊に分れ來て駱駝を襲ひてこれを奪ひ刄をもて少者を打殺せり我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 018 彼なほ語ひをる中に又一人來りて言ふ汝の子女等その第一の兄の家にて物食ひ酒飮みをりしに 018 JOB 001 019 荒野の方より大風ふき來て家の四隅を撃ければ夫の若き人々の上に潰れおちて皆しねり 我これを汝に告んとて只一人のがれ來れりと 018 JOB 001 020 是においてヨブ起あがり外衣を裂き髮を斬り地に伏して拜し 018 JOB 001 021 言ふ我裸にて母の胎を出たり 又裸にて彼處に歸らん ヱホバ與へヱホバ取りたまふなり ヱホバの御名は讚べきかな 018 JOB 001 022 この事においてヨブは全く罪を犯さず神にむかひて愚なることを言ざりき 018 JOB 002 001 或日神の子等きたりてヱホバの前に立つ サタンも來りその中にありてヱホバの前に立つ 018 JOB 002 002 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝何處より來りしや サタン、ヱホバに應へて言けるは地を行めぐり此彼經あるきて來れり 018 JOB 002 003 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝心をもちひて我僕ヨブを見しや 彼のごとく完全かつ正くして神を畏れ惡に遠ざかる人世にあらざるなり 汝われを勸めて故なきに彼を打惱さしめしかど彼なほ己を完うして自ら堅くす 018 JOB 002 004 サタン、ヱホバに應へて言けるは皮をもて皮に換るなれば人はその一切の所有物をもて己の生命に換ふべし 018 JOB 002 005 然ど今なんぢの手を伸て彼の骨と肉とを撃たまへ 然ば必らず汝の面にむかひて汝を詛はん 018 JOB 002 006 ヱホバ、サタンに言たまひけるは彼を汝の手に任す 只かれの生命を害ふ勿れと 018 JOB 002 007 サタンやがてヱホバの前よりいでゆきヨブを撃てその足の跖より頂までに惡き腫物を生ぜしむ 018 JOB 002 008 ヨブ土瓦の碎片を取り其をもて身を掻き灰の中に坐りぬ 018 JOB 002 009 時にその妻かれに言けるは汝は尚も己を完うして自ら堅くするや 神を詛ひて死るに如ずと 018 JOB 002 010 然るに彼はこれに言ふ汝の言ところは愚なる婦の言ところに似たり 我ら神より福祉を受るなれば災禍をも亦受ざるを得んやと 此事においてはヨブまつたくその唇をもて罪を犯さざりき 018 JOB 002 011 時にヨブの三人の友この一切の災禍の彼に臨めるを聞き各おのれの處よりして來れり 即ちテマン人エリパズ、シュヒ人ビルダデおよびマアナ人ゾパル是なり 彼らヨブを弔りかつ慰めんとて互に約してきたりしが 018 JOB 002 012 目を擧て遙に觀しに其ヨブなるを見識がたき程なりければ齊く聲を擧て泣き 各おのれの外衣を裂き天にむかひて塵を撒て己の頭の上にちらし 018 JOB 002 013 乃ち七日七夜かれと偕に地に坐しゐて 一言も彼に言かくる者なかりき 彼が苦惱の甚だ大なるを見たればなり 018 JOB 003 001 斯て後ヨブ口を啓きて自己の日を詛へり 018 JOB 003 002 ヨブすなはち言詞を出して云く 018 JOB 003 003 我が生れし日亡びうせよ 男子胎にやどれりと言し夜も亦然あれ 018 JOB 003 004 その日は暗くなれ 神上よりこれを顧みたまはざれ 光これを照す勿れ 018 JOB 003 005 暗闇および死蔭これを取りもどせ 雲これが上をおほえ 日を暗くする者これを懼しめよ 018 JOB 003 006 その夜は黒暗の執ふる所となれ 年の日の中に加はらざれ 月の數に入ざれ 018 JOB 003 007 その夜は孕むこと有ざれ 歡喜の聲その中に興らざれ 018 JOB 003 008 日を詛ふ者レビヤタンを激發すに巧なる者これを詛へ 018 JOB 003 009 その夜の晨星は暗かれ その夜には光明を望むも得ざらしめ 又東雲の眼蓋を見ざらしめよ 018 JOB 003 010 是は我母の胎の戸を闔ずまた我目に憂を見ること無らしめざりしによる 018 JOB 003 011 何とて我は胎より死て出ざりしや 何とて胎より出し時に氣息たえざりしや 018 JOB 003 012 如何なれば膝ありてわれを接しや 如何なれば乳房ありてわれを養ひしや 018 JOB 003 013 否らずば今は我偃して安んじかつ眠らん 然ばこの身やすらひをり 018 JOB 003 014 かの荒墟を自己のために築きたりし世の君等臣等と偕にあり 018 JOB 003 015 かの黄金を有ち白銀を家に充したりし牧伯等と偕にあらん 018 JOB 003 016 又人しれず墮る胎兒のごとくにして世を出ず また光を見ざる赤子のごとくならん 018 JOB 003 017 彼處にては惡き者 虐遇を息め倦憊たる者安息を得 018 JOB 003 018 彼處にては俘囚人みな共に安然に居りて驅使者の聲を聞ず 018 JOB 003 019 小き者も大なる者も同じく彼處にあり僕も主の手を離る 018 JOB 003 020 如何なれば艱難にをる者に光を賜ひ 心苦しむ者に生命をたまひしや 018 JOB 003 021 斯る者は死を望むなれどもきたらず これをもとむるは藏れたる寳を掘るよりも甚だし 018 JOB 003 022 もし墳墓を尋ねて獲ば大に喜こび樂しむなり 018 JOB 003 023 その道かくれ神に取籠られをる人に如何なれば光明を賜ふや 018 JOB 003 024 わが歎息はわが食物に代り我呻吟は水の流れそそぐに似たり 018 JOB 003 025 我が戰慄き懼れし者我に臨み我が怖懼れたる者この身に及べり 018 JOB 003 026 我は安然ならず穩ならず安息を得ず唯艱難のみきたる 018 JOB 004 001 時にテマン人エリパズ答へて曰く 018 JOB 004 002 人もし汝にむかひて言詞を出さば汝これを厭ふや 然ながら誰か言で忍ぶことを得んや 018 JOB 004 003 さきに汝は衆多の人を誨へ諭せり 手の埀たる者をばこれを強くし 018 JOB 004 004 つまづく者をば言をもて扶けおこし 膝の弱りたる者を強くせり 018 JOB 004 005 然るに今この事汝に臨めば汝悶え この事なんぢに加はれば汝おぢまどふ 018 JOB 004 006 汝は神を畏こめり 是なんぢの依頼む所ならずや 汝はその道を全うせり 是なんぢの望ならずや 018 JOB 004 007 請ふ想ひ見よ 誰か罪なくして亡びし者あらん 義者の絶れし事いづくに在や 018 JOB 004 008 我の觀る所によれば不義を耕へし惡を播く者はその穫る所も亦 是のごとし 018 JOB 004 009 みな神の氣吹によりて滅びその鼻の息によりて消うす 018 JOB 004 010 獅子の吼 猛き獅子の聲ともに息み 少き獅子の牙折れ 018 JOB 004 011 大獅子獲物なくして亡び小獅子散失す 018 JOB 004 012 前に言の密に我に臨めるありて我その細聲を耳に聞得たり 018 JOB 004 013 即ち人の熟睡する頃我夜の異象によりて想ひ煩ひをりける時 018 JOB 004 014 身に恐懼をもよほして戰慄き 骨節ことごとく振ふ 018 JOB 004 015 時に靈ありて我面の前を過ければ我は身の毛よだちたり 018 JOB 004 016 その物立とまりしが我はその状を見わかつことえざりき 唯一の物の象わが目の前にあり 時に我しづかなる聲を聞けり云く 018 JOB 004 017 人いかで神より正義からんや 人いかでその造主より潔からんや 018 JOB 004 018 彼はその僕をさへに恃みたまはず 其使者をも足ぬ者と見做たまふ 018 JOB 004 019 況んや土の家に住をりて塵を基とし蜉蝣のごとく亡ぶる者をや 018 JOB 004 020 是は朝より夕までの間に亡びかへりみる者もなくして永く失逝る 018 JOB 004 021 その魂の緒あに絶ざらんや皆悟ること無くして死うす 018 JOB 005 001 請ふなんぢ龥びて看よ 誰か汝に應ふる者ありや 聖者の中にて誰に汝むかはんとするや 018 JOB 005 002 夫愚なる者は憤恨のために身を殺し 癡き者は嫉媢のために己を死しむ 018 JOB 005 003 我みづから愚なる者のその根を張るを見たりしがすみやかにその家を詛へり 018 JOB 005 004 その子等は助援を獲ることなく 門にて惱まさる 之を救ふ者なし 018 JOB 005 005 その穡とれる物は飢たる人これを食ひ 荊棘の籬の中にありてもなほ之を奪ひいだし 羂をその所有物にむかひて口を張る 018 JOB 005 006 災禍は塵より起らず 艱難は土より出ず 018 JOB 005 007 人の生れて艱難をうくるは火の子の上に飛がごとし 018 JOB 005 008 もし我ならんには我は必らず神に告求め 我事を神に任せん 018 JOB 005 009 神は大にして測りがたき事を行ひたまふ 其不思議なる事を爲たまふこと數しれず 018 JOB 005 010 雨を地の上に降し 水を野に遣り 018 JOB 005 011 卑き者を高く擧げ 憂ふる者を引興して幸福ならしめたまふ 018 JOB 005 012 神は狡しき者の謀計を敗り 之をして何事をもその手に成就ること能はざらしめ 018 JOB 005 013 慧き者をその自分の詭計によりて執へ 邪なる者の謀計をして敗れしむ 018 JOB 005 014 彼らは晝も暗黒に遇ひ 卓午にも夜の如くに摸り惑はん 018 JOB 005 015 神は惱める者を救ひてかれらが口の劍を免かれしめ 強き者の手を免かれしめたまふ 018 JOB 005 016 是をもて弱き者望あり 惡き者口を閉づ 018 JOB 005 017 神の懲したまふ人は幸福なり 然ば汝全能者の儆責を輕んずる勿れ 018 JOB 005 018 神は傷け又裹み 撃ていため又その手をもて善醫したまふ 018 JOB 005 019 彼はなんぢを六の艱難の中にて救ひたまふ 七の中にても災禍なんぢにのぞまじ 018 JOB 005 020 饑饉の時にはなんぢを救ひて死を免れしめ 戰爭の時には劍の手を免れしめたまふ 018 JOB 005 021 汝は舌にて鞭たるる時にも隱るることを得 壞滅の來る時にも懼るること有じ 018 JOB 005 022 汝は壞滅と饑饉を笑ひ地の獸をも懼るること無るべし 018 JOB 005 023 田野の石なんぢと相結び野の獸なんぢと和がん 018 JOB 005 024 汝はおのが幕屋の安然なるを知ん 汝の住處を見まはるに缺たる者なからん 018 JOB 005 025 汝また汝の子等の多くなり 汝の裔の地の草の如くになるを知ん 018 JOB 005 026 汝は遐齡におよびて墓にいらん 宛然麥束を時にいたりて運びあぐるごとくなるべし 018 JOB 005 027 視よ我らが尋ね明めし所かくのごとし 汝これを聽て自ら知れよ 018 JOB 006 001 ヨブ應へて曰く 018 JOB 006 002 願はくは我憤恨の善く權られ 我懊惱の之とむかひて天秤に懸られんことを 018 JOB 006 003 然すれば是は海の沙よりも重からん 斯ればこそ我言躁妄なりけれ 018 JOB 006 004 それ全能者の箭わが身にいりわが魂神その毒を飮り 神の畏怖我を襲ひ攻む 018 JOB 006 005 野驢馬あに青草あるに鳴んや 牛あに食物あるに吽らんや 018 JOB 006 006 淡き物あに鹽なくして食はれんや 蛋の白あに味あらんや 018 JOB 006 007 わが心の觸るることを嫌ふ物是は我が厭ふ所の食物のごとし 018 JOB 006 008 願はくは我求むる所を得んことを 願はくは神わが希ふ所の物を我に賜はらんことを 018 JOB 006 009 願はくは神われを滅ぼすを善とし 御手を伸て我を絶たまはんことを 018 JOB 006 010 然るとも我は尚みづから慰むる所あり 烈しき苦痛の中にありて喜ばん 是は我聖者の言に悖りしことなければなり 018 JOB 006 011 我何の氣力ありてか尚俟ん 我の終いかなれば我なほ耐へ忍ばんや 018 JOB 006 012 わが氣力あに石の氣力のごとくならんや 我肉あに銅のごとくならんや 018 JOB 006 013 わが助われの中に無にあらずや 救拯我より逐はなされしにあらずや 018 JOB 006 014 憂患にしづむ者はその友これを憐れむべし 然らずは全能者を畏るることを廢ん 018 JOB 006 015 わが兄弟はわが望を充さざること溪川のごとく 溪川の流のごとくに過さる 018 JOB 006 016 是は氷のために黒くなり 雪その中に藏るれども 018 JOB 006 017 温暖になる時は消ゆき熱くなるに及てはその處に絶はつ 018 JOB 006 018 隊旅客身をめぐらして去り空曠處にいたりて亡ぶ 018 JOB 006 019 テマの隊旅客これを望みシバの旅客これを慕ふ 018 JOB 006 020 彼等これを望みしによりて愧恥を取り 彼處に至りてその面を赧くす 018 JOB 006 021 かく汝等も今は虚しき者なり 汝らは怖ろしき事を見れば則ち懼る 018 JOB 006 022 我あに汝等我に予へよと言しこと有んや 汝らの所有物の中より物を取て我ために饋れと言しこと有んや 018 JOB 006 023 また敵人の手より我を救ひ出せと言しことあらんや 虐ぐる者の手より我を贖へと言しことあらんや 018 JOB 006 024 我を教へよ 然らば我默せん 請ふ我の過てる所を知せよ 018 JOB 006 025 正しき言は如何に力あるものぞ 然ながら汝らの規諫る所は何の規諫とならんや 018 JOB 006 026 汝らは言を規正んと想ふや 望の絶たる者の語る所は風のごときなり 018 JOB 006 027 汝らは孤子のために籤を掣き 汝らの友をも商貨にするならん 018 JOB 006 028 今ねがはくは我に向へ 我は汝らの面の前に僞はらず 018 JOB 006 029 請ふ再びせよ 不義あらしむる勿れ 請ふ再びせよ 此事においては我正義し 018 JOB 006 030 我舌に不義あらんや 我口惡き物を辨へざらんや 018 JOB 007 001 それ人の世にあるは戰鬪にあるがごとくならずや 又其日は傭人の日のごとくなるにあらずや 018 JOB 007 002 奴僕の暮を冀がふが如く傭人のその價を望むがごとく 018 JOB 007 003 我は苦しき月を得させられ 憂はしき夜をあたへらる 018 JOB 007 004 我臥ば乃はち言ふ 何時夜あけて我おきいでんかと 曙まで頻に輾轉ぶ 018 JOB 007 005 わが肉は蟲と土塊とを衣服となし 我皮は愈てまた腐る 018 JOB 007 006 わが日は機の梭よりも迅速なり 我望む所なくし之を送る 018 JOB 007 007 想ひ見よ わが生命が氣息なる而已 我目は再び福祉を見ること有じ 018 JOB 007 008 我を見し者の眼かさねて我を見ざらん 汝目を我にむくるも我は已に在ざるべし 018 JOB 007 009 雲の消て逝がごとく陰府に下れる者は重ねて上りきたらじ 018 JOB 007 010 彼は再びその家に歸らず 彼の郷里も最早かれを認めじ 018 JOB 007 011 然ば我はわが口を禁めず 我心の痛によりて語ひ わが神魂の苦しきによりて歎かん 018 JOB 007 012 我あに海ならんや鰐ならんや 汝なにとて我を守らせおきたまふぞ 018 JOB 007 013 わが牀われを慰め わが寢床わが愁を解んと思ひをる時に 018 JOB 007 014 汝夢をもて我を驚かし 異象をもて我を懼れしめたまふ 018 JOB 007 015 是をもて我心は氣息の閉んことを願ひ 我この骨よりも死を冀がふ 018 JOB 007 016 われ生命を厭ふ 我は永く生るをことを願はず 我を捨おきたまへ 我日は氣のごときなり 018 JOB 007 017 人を如何なる者として汝これを大にし 之を心に留 018 JOB 007 018 朝ごとに之を看そなはし 時わかず之を試みたまふや 018 JOB 007 019 何時まで汝われに目を離さず 我が津を咽む間も我を捨おきたまはざるや 018 JOB 007 020 人を鑒みたまふ者よ我罪を犯したりとて汝に何をか爲ん 何ぞ我を汝の的となして我にこの身を厭はしめたまふや 018 JOB 007 021 汝なんぞ我の愆を赦さず我罪を除きたまはざるや 我いま土の中に睡らん 汝我を尋ねたまふとも我は在ざるべし 018 JOB 008 001 時にシュヒ人ビルダデ答へて曰く 018 JOB 008 002 何時まで汝かかる事を言や 何時まで汝の口の言語を大風のごとくにするや 018 JOB 008 003 神あに審判を曲たまはんや 全能者あに公義を曲たまはんや 018 JOB 008 004 汝の子等かれに罪を獲たるにや之をその愆の手に付したまへり 018 JOB 008 005 汝もし神に求め 全能者に祈り 018 JOB 008 006 清くかつ正しうしてあらば必ず今汝を顧み汝の義き家を榮えしめたまはん 018 JOB 008 007 然らば汝の始は微小くあるとも汝の終は甚だ大ならん 018 JOB 008 008 請ふ汝過にし代の人に問へ 彼らの父祖の尋究めしところの事を學べ 018 JOB 008 009 (我らは昨日より有しのみにて何をも知ず 我らが世にある日は影のごとし) 018 JOB 008 010 彼等なんぢを教へ汝を諭し 言をその心より出さざらんや 018 JOB 008 011 葦あに泥なくして長んや 萩あに水なくしてそだたんや 018 JOB 008 012 是はその青くして未だ刈ざる時にも他の一切の草よりは早く槁る 018 JOB 008 013 神を忘るる者の道は凡て是のごとく 悖る者の望は空しくなる 018 JOB 008 014 その恃む所は絶れ その倚ところは蜘蛛網のごとし 018 JOB 008 015 その家に倚かからんとすれば家立ず 之に堅くとりすがるも保たじ 018 JOB 008 016 彼日の前に青緑を呈はし その枝を園に蔓延らせ 018 JOB 008 017 その根を石堆に盤みて石の屋を眺むれども 018 JOB 008 018 若その處より取のぞかれなばその處これを認めずして我は汝を見たる事なしと言ん 018 JOB 008 019 視よその道の喜樂是のごとし 而してまた他の者地より生いでん 018 JOB 008 020 それ神は完全人を棄たまはず また惡き者の手を執りたまはず 018 JOB 008 021 遂に哂笑をもて汝の口に充し歡喜を汝の唇に置たまはん 018 JOB 008 022 汝を惡む者は羞恥を着せられ 惡き者の住所は無なるべし 018 JOB 009 001 ヨブこたへて言けるは 018 JOB 009 002 我まことに其事の然るを知り 人いかでか神の前に義かるべけん 018 JOB 009 003 よし人は神と辨爭はんとするとも千の一も答ふること能はざるべし 018 JOB 009 004 神は心慧く力強くましますなり 誰か神に逆ひてその身安からんや 018 JOB 009 005 彼山を移したまふに山しらず 彼震怒をもて之を飜倒したまふ 018 JOB 009 006 彼地を震ひてその所を離れしめたまへばその柱ゆるぐ 018 JOB 009 007 日に命じたまへば日いでず 又星辰を封じたまふ 018 JOB 009 008 唯かれ獨天を張り海の濤を覆たまふ 018 JOB 009 009 また北斗參宿昴宿および南方の密室を造りたまふ 018 JOB 009 010 大なる事を行ひたまふこと測られず奇しき業を爲たまふこと數しれず 018 JOB 009 011 視よ彼わが前を過たまふ 然るに我これを見ず彼すすみゆき賜ふ然るに我之を曉ず 018 JOB 009 012 彼奪ひ去賜ふ 誰か能之を沮まん 誰か之に汝何を爲やと言ことを得爲ん 018 JOB 009 013 神其震怒を息賜はず ラハブを助る者等之が下に屈む 018 JOB 009 014 然ば我爭か彼に回答を爲ことを得ん 爭われ言を選びて彼と論ふ事をえんや 018 JOB 009 015 假令われ義かるとも彼に回答をせじ 彼は我を審判く者なれば我彼に哀き求ん 018 JOB 009 016 假令我彼を呼て彼われに答へたまふともわが言を聽いれ賜ひしとは我信ぜざるなり 018 JOB 009 017 彼は大風をもて我を撃碎き 故なくして我に衆多の傷を負せ 018 JOB 009 018 我に息をつかさしめず 苦き事をもて我身に充せ賜ふ 018 JOB 009 019 強き者の力量を言んか 視よ此にあり 審判の事ならんか 誰か我を喚出すことを得爲ん 018 JOB 009 020 假令われ義かるとも我口われを惡しと爲ん 假令われ完全かるとも尚われを罪ありとせん 018 JOB 009 021 我は全し 然ども我はわが心を知ず 我生命を賤む 018 JOB 009 022 皆同一なり 故に我は言ふ神は完全者と惡者とを等しく滅ぼしたまふと 018 JOB 009 023 災禍の俄然に人を誅す如き事あれば彼は辜なき者の苦痛を笑ひ見たまふ 018 JOB 009 024 世は惡き者の手に交されてあり 彼またその裁判人の面を蔽ひたまふ 若彼ならずば是誰の行爲なるや 018 JOB 009 025 わが日は驛使よりも迅く 徒に過さりて福祉を見ず 018 JOB 009 026 其はしること葦舟のごとく 物を攫まんとて飛かける鷲のごとし 018 JOB 009 027 たとひ我わが愁を忘れ面色を改めて笑ひをらんと思ふとも 018 JOB 009 028 尚この諸の苦痛のために戰慄くなり 我思ふに汝われを釋し放ちたまはざらん 018 JOB 009 029 我は罪ありとせらるるなれば何ぞ徒然に勞すべけんや 018 JOB 009 030 われ雪水をもて身を洗ひ 灰汁をもて手を潔むるとも 018 JOB 009 031 汝われを汚はしき穴の中に陷いれたまはん 而して我衣も我を厭ふにいたらん 018 JOB 009 032 神は我のごとく人にあらざれば我かれに答ふべからず 我ら二箇して共に裁判に臨むべからず 018 JOB 009 033 また我らの間には我ら二箇の上に手を置べき仲保あらず 018 JOB 009 034 願くは彼その杖を我より取はなし その震怒をもて我を懼れしめたまはざれ 018 JOB 009 035 然らば我 言語て彼を畏れざらん 其は我みづから斯る者と思はざればなり 018 JOB 010 001 わが心生命と厭ふ 然ば我わが憂愁を包まず言あらはし わが魂神の苦きによりて語はん 018 JOB 010 002 われ神に申さん 我を罪ありしとしたまふ勿れ 何故に我とあらそふかを我に示したまへ 018 JOB 010 003 なんぢ虐遇を爲し 汝の手の作を打棄て惡き者の謀計を照すことを善としたまふや 018 JOB 010 004 汝は肉眼を有たまふや 汝の觀たまふ所は人の觀るがごとくなるや 018 JOB 010 005 なんぢの日は人間の日のごとく 汝の年は人の日のごとくなるや 018 JOB 010 006 何とて汝わが愆を尋ねわが罪をしらべたまふや 018 JOB 010 007 されども汝はすでに我の罪なきを知たまふ また汝の手より救ひいだし得る者なし 018 JOB 010 008 汝の手われをいとなみ我をことごとく作れり 然るに汝今われを滅ぼしたまふなり 018 JOB 010 009 請ふ記念たまへ 汝は土塊をもてすてるがごとくに我を作りたまへり 然るに復われを塵に歸さんとしたまふや 018 JOB 010 010 汝は我を乳のごとく斟ぎ牛酪のごとくに凝しめたまひしに非ずや 018 JOB 010 011 汝は皮と肉とを我に着せ骨と筋とをもて我を編み 018 JOB 010 012 生命と恩惠とをわれに授け我を眷顧てわが魂神を守りたまへり 018 JOB 010 013 然はあれど汝これらの事を御心に藏しおきたまへり 我この事汝の心にあるを知る 018 JOB 010 014 我もし罪を犯さば汝われをみとめてわが罪を赦したまはじ 018 JOB 010 015 我もし行状あしからば禍あらん 假令われ義かるとも我頭を擧じ 其は我は衷に羞耻充ち 眼にわが患難を見ればなり 018 JOB 010 016 もし頭を擧なば獅子のごとくに汝われを追打ち 我身の上に復なんぢの奇しき能力をあらはしたまはん 018 JOB 010 017 汝はしばしば證する者を入かへて我を攻め 我にむかひて汝の震怒を増し新手に新手を加へて我を攻めたまふ 018 JOB 010 018 何とて汝われを胎より出したまひしや 然らずば我は息絶え目に見らるること無く 018 JOB 010 019 曾て有ざりし如くならん 即ち我は胎より墓に持ゆかれん 018 JOB 010 020 わが日は幾時も无きに非ずや 願くは彼姑らく息て我を離れ我をして少しく安んぜしめんことを 018 JOB 010 021 我が往て復返ることなきその先に斯あらしめよ 我は暗き地 死の蔭の地に往ん 018 JOB 010 022 この地は暗くして晦冥に等しく死の蔭にして區分なし 彼處にては光明も黒暗のごとし 018 JOB 011 001 是においてナアマ人ゾパル答へて言けるは 018 JOB 011 002 言語多からば豈答へざるを得んや 口おほき人あに義とせられんや 018 JOB 011 003 汝も空しき言あに人をして口を閉しめんや 汝嘲らば人なんぢをして羞しめざらんや 018 JOB 011 004 汝は言ふ 我教は正し 我は汝の目の前に潔しと 018 JOB 011 005 願くは神言を出し 汝にむかひて口を開き 018 JOB 011 006 智慧の祕密をなんぢに示してその知識の相倍するを顯したまはんことを 汝しれ神はなんぢの罪よりも輕くなんぢを處置したまふなり 018 JOB 011 007 なんぢ神の深事を窮むるを得んや 全能者を全く窮むることを得んや 018 JOB 011 008 その高きことは天のごとし 汝なにを爲し得んや 其深きことは陰府のごとし 汝なにを知えんや 018 JOB 011 009 その量は地よりも長く海よりも濶し 018 JOB 011 010 彼もし行めぐりて人を執へて召集めたまふ時は誰か能くこれを阻まんや 018 JOB 011 011 彼は僞る人を善く知りたまふ 又惡事は顧みること無して見知たまふなり 018 JOB 011 012 虚しき人は悟性なし その生るるよりして野驢馬の駒のごとし 018 JOB 011 013 汝もし彼にむかひて汝の心を定め 汝の手を舒べ 018 JOB 011 014 手に罪のあらんには之を遠く去れ 惡をなんぢの幕屋に留むる勿れ 018 JOB 011 015 然すれば汝 面を擧て玷なかるべく 堅く立て懼るる事なかるべし 018 JOB 011 016 すなはち汝憂愁を忘れん 汝のこれを憶ゆることは流れ去し水のごとくならん 018 JOB 011 017 なんぢの生存らふる日は眞晝よりも輝かん 假令暗き事あるとも是は平旦のごとくならん 018 JOB 011 018 なんぢは望あるに因て安んじ 汝の周圍を見めぐりて安然に寐るにいたらん 018 JOB 011 019 なんぢは何にも懼れさせらるること無して偃やまん 必ず衆多の者なんぢを悦こばせんと務むべし 018 JOB 011 020 然ど惡き者は目曚み逃遁處を失なはん 其望は氣の斷ると等しかるべし 018 JOB 012 001 ヨブこたへて言ふ 018 JOB 012 002 なんぢら而已まことに人なり 智慧は汝らと共に死ん 018 JOB 012 003 我もなんぢらと同じく心あり 我はなんぢらの下に立ず 誰か汝らの言し如き事を知ざらんや 018 JOB 012 004 我は神に龥はりて聽るる者なるに今その友に嘲らるる者となれり 嗚呼正しくかつ完たき人あざけらる 018 JOB 012 005 安逸なる者は思ふ 輕侮は不幸なる者に附そひ足のよろめく者を俟と 018 JOB 012 006 掠奪ふ者の天幕は繁榮え 神を怒らせ自己の手に神を携ふる者は安泰なり 018 JOB 012 007 今請ふ獸に問へ然ば汝に教へん 天空の鳥に問へ然ばなんぢに語らん 018 JOB 012 008 地に言へ然ばなんぢに教へん 海の魚もまた汝に述べし 018 JOB 012 009 誰かこの一切の者に依てヱホバの手のこれを作りしなるを知ざらんや 018 JOB 012 010 一切の生物の生氣および一切の人の靈魂ともに彼の手の中にあり 018 JOB 012 011 耳は説話を辨へざらんや その状あたかも口の食物を味ふがごとし 018 JOB 012 012 老たる者の中には智慧あり 壽長者の中には穎悟あり 018 JOB 012 013 智慧と權能は神に在り 智謀と穎悟も彼に屬す 018 JOB 012 014 視よ彼毀てば再び建ること能はず 彼人を閉こむれば開き出すことを得ず 018 JOB 012 015 視よ彼水を止むれば則ち涸れ 水を出せば則ち地を滅ぼす 018 JOB 012 016 權能と穎悟は彼に在り 惑はさるる者も惑はす者も共に彼に屬す 018 JOB 012 017 彼は議士を裸體にして擄へゆき 審判人をして愚なる者とならしめ 018 JOB 012 018 王等の權威を解て反て之が腰に繩をかけ 018 JOB 012 019 祭司等を裸體にして擄へゆき 權力ある者を滅ぼし 018 JOB 012 020 言爽なる者の言語を取除き 老たる者の了知を奪ひ 018 JOB 012 021 侯伯たる者等に恥辱を蒙らせ 強き者の帶を解き 018 JOB 012 022 暗中より隱れたる事等を顯し 死の蔭を光明に出し 018 JOB 012 023 國々を大にしまた之を滅ぼし 國々を廣くしまた之を舊に歸し 018 JOB 012 024 地の民の長たる者等の了知を奪ひ これを路なき荒野に吟行はしむ 018 JOB 012 025 彼らは光明なき暗にたどる 彼また彼らを醉る人のごとくによろめかしむ 018 JOB 013 001 視よわが目これを盡く觀 わが耳これを聞て通逹れり 018 JOB 013 002 汝らが知るところは我もこれを知る 我は汝らに劣らず 018 JOB 013 003 然りと雖ども我は全能者に物言ん 我は神と論ぜんことをのぞむ 018 JOB 013 004 汝らは只謊言を造り設くる者 汝らは皆無用の醫師なり 018 JOB 013 005 願くは汝ら全く默せよ 然するは汝らの智慧なるべし 018 JOB 013 006 請ふわが論ずる所を聽き 我が唇にて辨爭そふ所を善く聽け 018 JOB 013 007 神のために汝ら惡き事を言や 又かれのために虚僞を述るや 018 JOB 013 008 汝ら神の爲に偏るや またかれのために爭はんとするや 018 JOB 013 009 神もし汝らを鑒察たまはば豈善らんや 汝等人を欺むくごとくに彼を欺むき得んや 018 JOB 013 010 汝等もし密に私しするあらば彼かならず汝らを責ん 018 JOB 013 011 その威光なんぢらを懼れしめざらんや 彼を懼るる畏懼なんぢらに臨まざらんや 018 JOB 013 012 なんぢらの諭言は灰に譬ふべし なんぢらの城は土の城となる 018 JOB 013 013 默して我にかかはらざれ 我言語んとす 何事にもあれ我に來らば來れ 018 JOB 013 014 我なんぞ我肉をわが齒の間に置き わが生命をわが手に置かんや 018 JOB 013 015 彼われを殺すとも我は彼に依頼まん 唯われは吾道を彼の前に明かにせんとす 018 JOB 013 016 彼また終に我救拯とならん 邪曲なる者は彼の前にいたること能はざればなり 018 JOB 013 017 なんぢら聽よ 我言を聽け我が述る所をなんぢらの耳に入しめよ 018 JOB 013 018 視よ我すでに吾事を言竝べたり 必ず義しとせられんと自ら知る 018 JOB 013 019 誰か能くわれと辨論ふ者あらん 若あらば我は口を緘て死ん 018 JOB 013 020 惟われに二の事を爲たまはざれ 然ば我なんぢの面をさけて隱れじ 018 JOB 013 021 なんぢの手を我より離したまへ 汝の威嚴をもて我を懼れしめたまはざれ 018 JOB 013 022 而して汝われを召したまへ 我こたへん 又われにも言はしめて汝われに答へたまへ 018 JOB 013 023 我の愆われの罪いくばくなるや 我の背反と罪とを我に知しめたまへ 018 JOB 013 024 何とて御顏を隱し我をもて汝の敵となしたまふや 018 JOB 013 025 なんぢは吹廻さるる木の葉を威し 干あがりたる籾殼を追ひたまふや 018 JOB 013 026 汝は我につきて苦き事等を書しるし 我をして我が幼稚時の罪を身に負しめ 018 JOB 013 027 わが足を足械にはめ 我すべての道を伺ひ我足の周圍に限界をつけたまふ 018 JOB 013 028 我は腐れたる者のごとくに朽ゆき 蠹に食るる衣服に等し 018 JOB 014 001 婦の産む人はその日少なくして艱難多し 018 JOB 014 002 その來ること花のごとくにして散り 其馳ること影のごとくにして止まらず 018 JOB 014 003 なんぢ是のごとき者に汝の目を啓きたまふや 汝われを汝の前にひきて審判したまふや 018 JOB 014 004 誰か清き物を汚れたる物の中より出し得る物あらん 一人も無し 018 JOB 014 005 その日既に定まり その月の數なんぢに由り 汝これが區域を立て越ざらしめたまふなれば 018 JOB 014 006 是に目を離して安息を得させ 之をして傭人のその日を樂しむがごとくならしめたまへ 018 JOB 014 007 それ木には望あり 假令砍るるとも復芽を出してその枝絶ず 018 JOB 014 008 たとひ其根地の中に老い 幹土に枯るとも 018 JOB 014 009 水の潤霑にあへば即ち芽をふき枝を出して若樹に異ならず 018 JOB 014 010 然ど人は死れば消うす 人氣絶えなば安に在んや 018 JOB 014 011 水は海に竭き河は涸てかわく 018 JOB 014 012 是のごとく人も寢臥てまた興ず 天の盡るまで目覺ず睡眠を醒さざるなり 018 JOB 014 013 願はくは汝われを陰府に藏し 汝の震怒の息むまで我を掩ひ 我ために期を定め而して我を念ひたまへ 018 JOB 014 014 人もし死ばまた生んや 我はわが征戰の諸日の間望みをりて我が變更の來るを待ん 018 JOB 014 015 なんぢ我を呼びたまはん 而して我こたへん 汝かならず汝の手の作を顧みたまはん 018 JOB 014 016 今なんぢは我に歩履を數へたまふ 我罪を汝うかがひたまはざらんや 018 JOB 014 017 わが愆は凡て嚢の中に封じてあり汝わが罪を縫こめたまふ 018 JOB 014 018 それ山も倒れて終に崩れ巖石も移りてその處を離る 018 JOB 014 019 水は石を鑿ち 浪は地の塵を押流す 汝は人の望を斷たまふ 018 JOB 014 020 なんぢは彼を永く攻なやまして去ゆかしめ 彼の面容の變らせて逐やりたまふ 018 JOB 014 021 その子尊貴なるも彼は之を知ず 卑賤なるもまた之を曉らざるなり 018 JOB 014 022 只己みづからその肉に痛苦を覺え己みづからその心に哀く而已 018 JOB 015 001 テマン人エリパズ答へて曰く 018 JOB 015 002 智者あに虚しき智識をもて答へんや豈東風をその腹に充さんや 018 JOB 015 003 あに裨なき談益なき詞をもて辨論はんや 018 JOB 015 004 まことに汝は神を畏るる事を棄て その前に祷ることを止む 018 JOB 015 005 なんぢの罪なんぢの口を教ふ 汝はみづから擇びて狡猾人の舌を用ふ 018 JOB 015 006 なんぢの口みづから汝の罪を定む 我には非ず汝の唇なんぢの惡きを證す 018 JOB 015 007 汝あに最初に世に生れたる人ならんや 山よりも前に出來しならんや 018 JOB 015 008 神の御謀議を聞しならんや 智慧を獨にて藏めをらんや 018 JOB 015 009 なんぢが知る所は我らも知ざらんや 汝が曉るところは我らの心にも在ざらんや 018 JOB 015 010 我らの中には白髮の人および老たる人ありて汝の父よりも年高し 018 JOB 015 011 神の慰藉および夫の柔かき言詞を汝小しとするや 018 JOB 015 012 なんぢ何ぞかく心狂ふや 何ぞかく目をしばたたくや 018 JOB 015 013 なんぢ是のごとく神に對ひて氣をいらだて 斯る言詞をなんぢの口よりいだすは如何ぞや 018 JOB 015 014 人は如何なる者ぞ 如何してか潔からん 婦の産し者は如何なる者ぞ 如何してか義からん 018 JOB 015 015 それ神はその聖者にすら信を置たまはず 諸の天もその目の前には潔からざるなり 018 JOB 015 016 況んや罪を取ること水を飮が如くする憎むべき穢れたる人をや 018 JOB 015 017 我なんぢに語る所あらん 聽よ我見たる所を述ん 018 JOB 015 018 是すなはち智者等が父祖より受て隱すところなく傳へ來し者なり 018 JOB 015 019 彼らに而已この地は授けられて外國人は彼等の中に往來せしこと無りき 018 JOB 015 020 惡き人はその生る日の間つねに悶へ苦しむ 強暴人の年は數へて定めおかる 018 JOB 015 021 その耳には常に懼怖しき音きこえ平安の時にも滅ぼす者これに臨む 018 JOB 015 022 彼は幽暗を出得るとは信ぜず 目ざされて劒に付さる 018 JOB 015 023 彼食物は何處にありやと言つつ尋ねありき 黒暗日の備へられて己の側にあるを知る 018 JOB 015 024 患難と苦痛とはかれを懼れしめ 戰鬪の準備をなせる王のごとくして彼に打勝ん 018 JOB 015 025 彼は手を伸て神に敵し 傲りて全能者に悖り 018 JOB 015 026 頸を強くし 厚き楯の面を向て之に馳かかり 018 JOB 015 027 面に肉を滿せ 腰に脂を凝し 018 JOB 015 028 荒されたる邑々に住居を設けて人の住べからざる家 石堆となるべき所に居る 018 JOB 015 029 是故に彼は富ず その貨物は永く保たず その所有物は地に蔓延ず 018 JOB 015 030 また自己は黒暗を出づるに至らず 火燄その枝葉を枯さん 而してその身は神の口の氣吹によりて亡ゆかん 018 JOB 015 031 彼は虚妄を恃みて自ら欺くべからず 其報は虚妄なるべければなり 018 JOB 015 032 彼の日の來らざる先に其事成べし 彼の枝は緑ならじ 018 JOB 015 033 彼は葡萄の樹のその熟せざる果を振落すがごとく 橄欖の樹のその花を落すがごとくなるべし 018 JOB 015 034 邪曲なる者の宗族は零落れ 賄賂の家は火に焚ん 018 JOB 015 035 彼等は惡念を孕み 虚妄を生み その胎にて詭計を調ふ 018 JOB 016 001 ヨブ答へて曰く 018 JOB 016 002 斯る事は我おほく聞り 汝らはみな人を慰めんとして却つて人を煩はす者なり 018 JOB 016 003 虚しき言語あに終極あらんや 汝なにに勵まされて應答をなすや 018 JOB 016 004 我もまた汝らの如くに言ことを得 もし汝らの身わが身と處を換なば我は言語を練て汝らを攻め 汝らにむかひて首を搖ことを得 018 JOB 016 005 また口をもて汝らを強くし 唇の慰藉をもて汝らの憂愁を解ことを得るなり 018 JOB 016 006 たとひ我言を出すとも我憂愁は解ず 默するとても何ぞ我身の安くなること有んや 018 JOB 016 007 彼いま已に我を疲らしむ 汝わが宗族をことごとく荒せり 018 JOB 016 008 なんぢ我をして皺らしめたり 是われに向ひて見證をなすなり 又わが痩おとろへたる状貌わが面の前に現はれ立て我を攻む 018 JOB 016 009 かれ怒りてわれを撕裂きかつ窘しめ 我にむかひて齒を噛鳴し我敵となり目を鋭して我を看る 018 JOB 016 010 彼ら我にむかひて口を張り 我を賤しめてわが頬を打ち 相集まりて我を攻む 018 JOB 016 011 神われを邪曲なる者に交し 惡き者の手に擲ちたまへり 018 JOB 016 012 我は安穩なる身なりしに彼いたく我を打惱まし 頸を執へて我をうちくだき遂に我を立て鵠となしたまひ 018 JOB 016 013 その射手われを遶り圍めり やがて情もなく我腰を射透し わが膽を地に流れ出しめたまふ 018 JOB 016 014 彼はわれを打敗りて破壞に破壞を加へ 勇士のごとく我に奔かかりたまふ 018 JOB 016 015 われ麻布をわが肌に縫つけ 我角を塵にて汚せり 018 JOB 016 016 我面は泣て頳くなり 我目縁には死の蔭あり 018 JOB 016 017 然れども我手には不義あること無く わが祈祷は清し 018 JOB 016 018 地よ我血を掩ふなかれ 我號呼は休む處を得ざれ 018 JOB 016 019 視よ今にても我證となる者天にあり わが眞實を表明す者高き處にあり 018 JOB 016 020 わが朋友は我を嘲けれども我目は神にむかひて涙を注ぐ 018 JOB 016 021 願くは彼 人のために神と論辨し 人の子のためにこれが朋友と論辨せんことを 018 JOB 016 022 數年すぎさらば我は還らぬ旅路に往べし 018 JOB 017 001 わが氣息は已にくさり 我日すでに盡なんとし墳墓われを待つ 018 JOB 017 002 まことに嘲弄者等わが傍に在り 我目は彼らの辨爭ふを常に見ざるを得ず 018 JOB 017 003 願くは質を賜ふて汝みづから我の保證となりたまへ 誰か他にわが手をうつ者あらんや 018 JOB 017 004 汝彼らの心を閉て悟るところ無らしめたまへり 必ず彼らをして愈らしめたまはじ 018 JOB 017 005 朋友を交付して掠奪に遭しむる者は其子等の目潰るべし 018 JOB 017 006 彼われを世の民の笑柄とならしめたまふ 我は面に唾せらるべき者となれり 018 JOB 017 007 かつまた我目は憂愁によりて昏み 肢體は凡て影のごとし 018 JOB 017 008 義しき者は之に驚き 無辜者は邪曲なる者を見て憤ほる 018 JOB 017 009 然ながら義しき者はその道を堅く持ち 手に潔淨き者はますます力を得るなり 018 JOB 017 010 請ふ汝ら皆ふたたび來れ 我は汝らの中に一人も智き者あるを見ざるなり 018 JOB 017 011 わが日は已に過ぎ わが計る所わが心に冀ふ所は已に敗れたり 018 JOB 017 012 彼ら夜を晝に變ふ 黒暗の前に光明ちかづく 018 JOB 017 013 我もし俟つところ有ば是わが家たるべき陰府なるのみ 我は黒暗にわが牀を展ぶ 018 JOB 017 014 われ朽腐に向ひては汝はわが父なりと言ひ 蛆に向ひては汝は我母わが姉妹なりと言ふ 018 JOB 017 015 然ばわが望はいづくにかある 我望は誰かこれを見る者あらん 018 JOB 017 016 是は下りて陰府の關に到らん 之と齊しく我身は塵の中に臥靜まるべし 018 JOB 018 001 シユヒ人ビルダデこたへて曰く 018 JOB 018 002 汝等いつまで言語を獵求むることをするや 汝ら先曉るべし 然る後われら辨論はん 018 JOB 018 003 われら何ぞ獸畜とおもはるべけんや 何ぞ汝らの目に汚穢たる者と見らるべけんや 018 JOB 018 004 なんぢ怒りて身を裂く者よ 汝のためとて地あに棄られんや 磐あに其處より移されんや 018 JOB 018 005 惡き者の光明は滅され 其火の焔は照じ 018 JOB 018 006 その天幕の内なる光明は暗くなり其が上の燈火は滅さるべし 018 JOB 018 007 またその強き歩履は狹まり 其計るところは自分を陷いる 018 JOB 018 008 すなはち其足に逐れて網に到り また陷阱の上を歩むに 018 JOB 018 009 索はその踵に纒り 羂これを執ふ 018 JOB 018 010 索かれを執ふるために地に隱しあり 羂かれを陷しいるるために路に設けあり 018 JOB 018 011 怖ろしき事四方において彼を懼れしめ 其足にしたがひて彼をおふ 018 JOB 018 012 その力は餓ゑ 其傍には災禍そなはり 018 JOB 018 013 その膚の肢は蝕壞らる 即ち死の初子これが肢を蝕壞るなり 018 JOB 018 014 やがて彼はその恃める天幕より曳離されて懼怖の王の許に驅やられん 018 JOB 018 015 彼に屬せざる者かれの天幕に住み 硫礦かれの家の上に降ん 018 JOB 018 016 下にてはその根枯れ 上にてはその枝砍る 018 JOB 018 017 彼の跡は地に絶え 彼の名は街衢に傳はらじ 018 JOB 018 018 彼は光明の中より黒暗に逐やられ 世の中より驅出されん 018 JOB 018 019 彼は其民の中に子も無く孫も有じ また彼の住所には一人も遺る者なからん 018 JOB 018 020 之が日を見るにおいて後に來る者は駭き 先に出し者は怖おそれん 018 JOB 018 021 かならず惡き人の住所は是のごとく 神を知ざる者の所は是のごとくなるべし 018 JOB 019 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 019 002 汝ら我心をなやまし 言語をもて我を打くだくこと何時までぞや 018 JOB 019 003 なんぢら已に十次も我を辱しめ我を惡く待ひてなほ愧るところ無し 018 JOB 019 004 假令われ眞に過ちたらんもその過は我の身に止れり 018 JOB 019 005 なんぢら眞に我に向ひて誇り我身に羞べき行爲ありと證するならば 018 JOB 019 006 神われを虐げその網羅をもて我と包みたまへりと知るべし 018 JOB 019 007 我虐げらるると叫べども答なく 呼はり求むれども審理なし 018 JOB 019 008 彼わが路の周圍に垣を結めぐらして逾る能はざらしめ 我が行く途に黒暗を蒙むらしめ 018 JOB 019 009 わが光榮を褫ぎわが冠冕を首より奪ひ 018 JOB 019 010 四方より我を毀ちて失しめ 我望を樹のごとくに根より拔き 018 JOB 019 011 我にむかひて震怒を燃し 我を敵の一人と見たまへり 018 JOB 019 012 その軍旅ひとしく進み途を高くして我に攻寄せ わが天幕の周圍に陣を張り 018 JOB 019 013 彼わが兄弟等をして遠くわれを離れしめたまへり 我を知る人々は全く我に疎くなりぬ 018 JOB 019 014 わが親戚は往來を休め わが朋友はわれを忘れ 018 JOB 019 015 わが家に寄寓る者およびわが婢等は我を見て外人のごとくす 我かれらの前にては異國人のごとし 018 JOB 019 016 われわが僕を喚べどもこたへず 我口をもて彼に請はざるを得ざるなり 018 JOB 019 017 わが氣息はわが妻に厭はれ わが臭氣はわが同胎の子等に嫌はる 018 JOB 019 018 童子等さへも我を侮どり 我起あがれば則ち我を嘲ける 018 JOB 019 019 わが親しき友われを惡みわが愛したる人々ひるがへりてわが敵となれり 018 JOB 019 020 わが骨はわが皮と肉とに貼り 我は僅に齒の皮を全うして逃れしのみ 018 JOB 019 021 わが友よ汝等われを恤れめ 神の手われを撃り 018 JOB 019 022 汝らなにとて神のごとくして我を攻め わが肉に饜ことなきや 018 JOB 019 023 望むらくは我言の書留られんことを 望むらくは我言書に記されんことを 018 JOB 019 024 望むらくは鐡の筆と鉛とをもて之を永く磐石に鐫つけおかんことを 018 JOB 019 025 われ知る我を贖ふ者は活く 後の日に彼かならず地の上に立ん 018 JOB 019 026 わがこの皮この身の朽はてん後われ肉を離れて神を見ん 018 JOB 019 027 我みづから彼を見たてまつらん 我目かれを見んに識らぬ者のごとくならじ 我が心これを望みて焦る 018 JOB 019 028 なんぢら若われら如何に彼を攻めんかと言ひ また事の根われに在りと言ば 018 JOB 019 029 劍を懼れよ 忿怒は劍の罰をきたらす 斯なんぢら遂に審判のあるを知ん 018 JOB 020 001 ナアマ人ゾパルこたへて曰く 018 JOB 020 002 これに因てわれ答をなすの思念を起し心しきりに之がために急る 018 JOB 020 003 我を辱しむる警語を我聞ざるを得ず 然しながらわが了知の性われをして答ふることを得せしむ 018 JOB 020 004 なんぢ知らずや古昔より地に人の置れしより以來 018 JOB 020 005 惡き人の勝誇は暫時にして邪曲なる者の歡樂は時の間のみ 018 JOB 020 006 その高天に逹しその首雲に及ぶとも 018 JOB 020 007 終には己の糞のごとくに永く亡絶べし 彼を見識る者は言ん彼は何處にありやと 018 JOB 020 008 彼は夢の如く過さりて復見るべからず 夜の幻のごとく追はらはれん 018 JOB 020 009 彼を見たる目かさねてかれを見ることあらず 彼の住たる處も再びかれを見ること無らん 018 JOB 020 010 その子等は貧しき者に寛待を求めん 彼もまたその取し貨財を手づから償さん 018 JOB 020 011 その骨に少壯氣勢充り 然れどもその氣勢もまた塵の中に彼とおなじく臥ん 018 JOB 020 012 かれ惡を口に甘しとして舌の底に藏め 018 JOB 020 013 愛みて捨ず 之を口の中に含みをる 018 JOB 020 014 然どその食物膓の中にて變り 腹の内にて蝮の毒とならん 018 JOB 020 015 かれ貨財を呑たれども復之を吐いださん 神これを彼の腹より推いだしたまふべし 018 JOB 020 016 かれは蝮の毒を吸ひ 虺の舌に殺されん 018 JOB 020 017 かれは蜂蜜と牛酪の湧て流るる河川を視ざらん 018 JOB 020 018 その勞苦て獲たる物は之を償して自ら食はず 又それを求めたる所有よりは快樂を得じ 018 JOB 020 019 是は彼貧しき者を虐遇げて之を棄たればなり 假令家を奪ひとるとも之を改め作ることを得ざらん 018 JOB 020 020 かれはその腹に飽ことを知ざるが故に自己の深く喜ぶ物をも保つこと能はじ 018 JOB 020 021 かれが遺して食はざる物とては一も無し 是によりてその福祉は永く保たじ 018 JOB 020 022 その繁榮の眞盛において彼は艱難に迫られ 乏しき者すべて手をこれが上に置ん 018 JOB 020 023 かれ腹を充さんとすれば神烈しき震怒をその上に下し その食する時にこれをその上に降したまふ 018 JOB 020 024 かれ鐡の器を避れば銅の弓これを射透す 018 JOB 020 025 是に於て之をその身より拔ば閃く鏃その膽より出きたりて畏懼これに臨む 018 JOB 020 026 各種の黒暗これが寳物ををほろぼすために蓄へらる 又人の吹おこせしに非る火かれを焚き その天幕に遺りをる者をも焚ん 018 JOB 020 027 天かれの罪を顯はし 地興りて彼を攻ん 018 JOB 020 028 その家の儲蓄は亡て神の震怒の日に流れ去ん 018 JOB 020 029 是すなはち惡き人が神より受る分 神のこれに定めたまへる數なり 018 JOB 021 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 021 002 請ふ汝等わが言を謹んで聽き 之をもて汝らの慰藉に代よ 018 JOB 021 003 先われに容して言しめよ 我が言る後なんぢ嘲るも可し 018 JOB 021 004 わが怨言は世の人の上につきて起れる者ならんや 我なんぞ氣をいらだつ可らざらんや 018 JOB 021 005 なんぢら我を視て驚き 手を口にあてよ 018 JOB 021 006 われ思ひまはせば畏しくなりて身體しきりに戰慄く 018 JOB 021 007 惡き人何とて生ながらへ 老かつ勢力強くなるや 018 JOB 021 008 その子等はその周圍にありてその前に堅く立ち その子孫もその目の前に堅く立べし 018 JOB 021 009 またその家は平安にして畏懼なく 神の杖その上に臨まじ 018 JOB 021 010 その牡牛は種を與へて過らず その牝牛は子を産てそこなふ事なし 018 JOB 021 011 彼等はその少き者等を外に出すこと群のごとし その子等は舞をどる 018 JOB 021 012 彼等は鼓と琴とをもて歌ひ 笛の音に由て樂み 018 JOB 021 013 その日を幸福に暮し まばたくまに陰府にくだる 018 JOB 021 014 然はあれども彼等は神に言らく我らを離れ賜へ 我らは汝の道をしることを好まず 018 JOB 021 015 全能者は何者なれば我らこれに事ふべき 我儕これに祈るとも何の益を得んやと 018 JOB 021 016 視よ彼らの福祿は彼らの力に由にあらざるなり 惡人の希圖は我に與する所にあらず 018 JOB 021 017 惡人のその燈火を滅るる事幾度ありしか その滅亡のこれに臨む事 神の怒りて之に艱苦を蒙らせたまふ事幾度有しか 018 JOB 021 018 かれら風の前に藁の如く 暴風に吹さらるる籾殼の如くなること幾度有しか 018 JOB 021 019 神かれの愆を積たくはへてその子孫に報いたまふか 之を彼自己の身に報い知しむるに如ず 018 JOB 021 020 かれをして自らその滅亡を目に視させ かつ全能者の震怒を飮しめよ 018 JOB 021 021 その月の數すでに盡るに於ては何ぞその後の家に關はる所あらん 018 JOB 021 022 神は天にある者等をさへ審判きたまふなれば誰か能これに知識を教へんや 018 JOB 021 023 或人は繁榮を極め全く平穩にかつ安康にして死に 018 JOB 021 024 その器に乳充ち その骨の髓は潤ほへり 018 JOB 021 025 また或人は心を苦しめて死し 終に福祉をあぢはふる事なし 018 JOB 021 026 是等は倶に齊しく塵に臥して蛆におほはる 018 JOB 021 027 我まことに汝らの思念を知り 汝らが我を攻撃んとするの計略を知る 018 JOB 021 028 なんぢらは言ふ王侯の家は何に在る 惡人の住所は何にあると 018 JOB 021 029 汝らは路往く人々に詢ざりしや 彼等の證據を曉らざるや 018 JOB 021 030 すなはち滅亡の日に惡人遺され 烈しき怒の日に惡人たづさへ出さる 018 JOB 021 031 誰か能かれに打向ひて彼の行爲を指示さんや 誰か能彼の爲たる所を彼に報ゆることを爲ん 018 JOB 021 032 彼は舁れて墓に到り 塚の上にて守護ることを爲す 018 JOB 021 033 谷の土塊も彼には快し 一切の人その後に從ふ 其前に行る者も數へがたし 018 JOB 021 034 既に是の如くなるに汝等なんぞ徒に我を慰さめんとするや 汝らの答ふる所はただ虚僞のみ 018 JOB 022 001 是においてテマン人エリパズこたへて曰く 018 JOB 022 002 人 神を益する事をえんや 智人も唯みづから益する而已なるぞかし 018 JOB 022 003 なんぢ義かるとも全能者に何の歡喜かあらん なんぢ行爲を全たふするとも彼に何の利益かあらん 018 JOB 022 004 彼汝の畏懼の故によりて汝を責め汝を鞫きたまはんや 018 JOB 022 005 なんぢの惡大なるにあらずや 汝の罪はきはまり無し 018 JOB 022 006 即ち汝は故なくその兄弟の物を抑へて質となし 裸なる者の衣服を剥て取り 018 JOB 022 007 渇く者に水を與へて飮しめず 饑る者に食物を施こさず 018 JOB 022 008 力ある者土地を得 貴き者その中に住む 018 JOB 022 009 なんぢは寡婦に手を空しうして去しむ 孤子の腕は折る 018 JOB 022 010 是をもて網羅なんぢを環り 畏懼にはかに汝を擾す 018 JOB 022 011 なんぢ黒暗を見ずや 洪水のなんぢを覆ふを見ずや 018 JOB 022 012 神は天の高に在すならずや 星辰の巓ああ如何に高きぞや 018 JOB 022 013 是によりて汝は言ふ 神なにをか知しめさん 豈よく黒雲の中より審判するを得たまはんや 018 JOB 022 014 濃雲かれを蔽へば彼は見たまふ所なし 唯天の蒼穹を歩みたまふ 018 JOB 022 015 なんぢ古昔の世の道を行なはんとするや 是あしき人の踐たりし者ならずや 018 JOB 022 016 彼等は時いまだ至らざるに打絶れ その根基は大水に押流されたり 018 JOB 022 017 彼ら神に言けらく我儕を離れたまへ 全能者われらのために何を爲ことを得んと 018 JOB 022 018 しかるに彼は却つて佳物を彼らの家に盈したまへり 但し惡人の計畫は我に與する所にあらず 018 JOB 022 019 義しき者は之を見て喜び 無辜者は彼らを笑ふ 018 JOB 022 020 曰く我らの仇は誠に滅ぼされ 其盈餘れる物は火にて焚つくさる 018 JOB 022 021 請ふ汝神と和らぎて平安を得よ 然らば福祿なんぢに來らん 018 JOB 022 022 請ふかれの口より教晦を受け その言語をなんぢの心に藏めよ 018 JOB 022 023 なんぢもし全能者に歸向り且なんぢの家より惡を除き去ば汝の身再び興されん 018 JOB 022 024 なんぢの寳を土の上に置き オフルの黄金を谿河の石の中に置け 018 JOB 022 025 然れば全能者なんぢの寳となり汝のために白銀となりたまふべし 018 JOB 022 026 而してなんぢは又全能者を喜び且神にむかひて面をあげん 018 JOB 022 027 なんぢ彼に祈らば彼なんぢに聽きたまはん 而して汝その誓願をつくのひ果さん 018 JOB 022 028 なんぢ事を爲んと定めなばその事なんぢに成ん 汝の道には光照ん 018 JOB 022 029 其卑く降る時は汝いふ昇る哉と 彼は謙遜者を拯ひたまふべし 018 JOB 022 030 かれは罪なきに非ざる者をも拯ひたまはん 汝の手の潔淨によりて斯る者も拯はるべし 018 JOB 023 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 023 002 我は今日にても尚つぶやきて服せず わが禍災はわが嘆息よりも重し 018 JOB 023 003 ねがはくは神をたづねて何處にか遇まつるを知り其御座に參いたらんことを 018 JOB 023 004 我この愁訴をその御前に陳べ口を極めて辨論はん 018 JOB 023 005 我その我に答へ給ふ言を知り また其われに言たまふ所を了らん 018 JOB 023 006 かれ大なる能をもて我と爭ひたまはんや 然らじ反つて我を眷みたまふべし 018 JOB 023 007 彼處にては正義人かれと辨爭ふことを得 斯せば我を鞫く者の手を永く免かるべし 018 JOB 023 008 しかるに我東に往くも彼いまさず 西に往くも亦見たてまつらず 018 JOB 023 009 北に工作きたまへども遇まつらず 南に隱れ居たまへば望むべからず 018 JOB 023 010 わが平生の道は彼知りたまふ 彼われを試みたまはば我は金のごとくして出きたらん 018 JOB 023 011 わが足は彼の歩履に堅く隨へり 我はかれの道を守りて離れざりき 018 JOB 023 012 我はかれの唇の命令に違はず 我が法よりも彼の口の言語を重ぜり 018 JOB 023 013 かれは一に居る者にまします 誰か能かれをして意を變しめん 彼はその心に慾する所をかならず爲たまふ 018 JOB 023 014 然ば我に向ひて定めし事を必らず成就たまはん 是のごとき事を多く彼は爲たまふなり 018 JOB 023 015 是故に我かれの前に慄ふ 我考ふれば彼を懼る 018 JOB 023 016 神わが心を弱くならしめ 全能者われをして懼れしめたまふ 018 JOB 023 017 かく我は暗の來らぬ先わが面を黒暗の覆ふ前に打絶れざりき 018 JOB 024 001 なにゆゑに全能者時期を定めおきたまはざるや 何故に彼を知る者その日を見ざるや 018 JOB 024 002 人ありて地界を侵し群畜を奪ひて牧ひ 018 JOB 024 003 孤子の驢馬を驅去り 寡婦の牛を取て質となし 018 JOB 024 004 貧しき者を路より推退け 世の受難者をして盡く身を匿さしむ 018 JOB 024 005 視よ彼らは荒野にをる野驢馬のごとく出て業を爲て食を求め 野原よりその子等のために食物を得 018 JOB 024 006 圃にて惡き者の麥を刈り またその葡萄の遺餘を摘む 018 JOB 024 007 かれらは衣服なく裸にして夜を明し 覆ふて寒氣を禦ぐべき物なし 018 JOB 024 008 山の暴風に濡れ 庇はるるところ無して岩を抱く 018 JOB 024 009 孤子を母の懷より奪ふ者あり 貧しき者の身につける物を取て質となす者あり 018 JOB 024 010 貧き者衣服なく裸にて歩き 飢つつ麥束を擔ふ 018 JOB 024 011 人の垣の内にて油を搾め また渇きつつ酒醡を踐む 018 JOB 024 012 邑の中より人々の呻吟たちのぼり 傷つけられたる者の叫喚おこる 然れども神はその怪事を省みたまはず 018 JOB 024 013 また光明に背く者あり 光の道を知らず 光の路に止らず 018 JOB 024 014 人を殺す者昧爽に興いで 受難者や貧しき者を殺し 夜は盜賊のごとくす 018 JOB 024 015 姦淫する者は我を見る目はなからんと言てその目に昏暮をうかがひ待ち而してその面に覆ふ物を當つ 018 JOB 024 016 また夜分家を穿つ者あり 彼等は晝は閉こもり居て光明を知らず 018 JOB 024 017 彼らには晨は死の蔭のごとし 是死の蔭の怖ろしきを知ばなり 018 JOB 024 018 彼は水の面に疾ながるる物の如し その産業は世の中に詛はる その身重ねて葡萄圃の路に向はず 018 JOB 024 019 亢旱および炎熱は雪水を直に乾涸す 陰府が罪を犯せし者におけるも亦かくのごとし 018 JOB 024 020 これを宿せし腹これを忘れ 蛆これを好みて食ふ 彼は最早世におぼえらるること無く その惡は樹を折るるが如くに折る 018 JOB 024 021 是すなはち孕まず産ざりし婦人をなやまし 寡婦を憐れまざる者なり 018 JOB 024 022 神はその權能をもて強き人々を保存へさせたまふ 彼らは生命あらじと思ふ時にも復興る 018 JOB 024 023 神かれらに安泰を賜へば彼らは安らかなり 而してその目をもて彼らの道を見そなはしたまふ 018 JOB 024 024 かれらは旺盛になり暫時が間に無なり卑くなりて一切の人のごとくに沒し麥の穗のごとくに斷る 018 JOB 024 025 すでに是のごとくなれば誰か我の謬まれるを示してわが言語を空しくすることを得ん 018 JOB 025 001 時にシユヒ人ビルダデこたへて曰く 018 JOB 025 002 神は大權を握りたまふ者 畏るべき者にましまし 高き處に平和を施したまふ 018 JOB 025 003 その軍旅數ふることを得んや 其光明なに物をか照さざらん 018 JOB 025 004 然ば誰か神の前に正義かるべき 婦人の産し者いかでか清かるべき 018 JOB 025 005 視よ月も輝かず 星も其目には清明ならず 018 JOB 025 006 いはんや蛆のごとき人 蟲のごとき人の子をや 018 JOB 026 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 026 002 なんぢ能力なき者を如何に助けしや 氣力なきものを如何に救ひしや 018 JOB 026 003 智慧なき者を如何に誨へしや 穎悟の道を如何に多く示ししや 018 JOB 026 004 なんぢ誰にむかひて言語を出ししや なんぢより出しは誰が靈なるや 018 JOB 026 005 陰靈水またその中に居る者の下に慄ふ 018 JOB 026 006 かれの御前には陰府も顯露なり 滅亡の坑も蔽ひ匿す所なし 018 JOB 026 007 彼は北の天を虚空に張り 地を物なき所に懸けたまふ 018 JOB 026 008 水を濃雲の中に包みたまふてその下の雲裂ず 018 JOB 026 009 御寳座の面を隱して雲をその上に展べ 018 JOB 026 010 水の面に界を設けて光と暗とに限を立たまふ 018 JOB 026 011 かれ叱咤たまへば天の柱震ひかつ怖る 018 JOB 026 012 その權能をもて海を靜めその智慧をもてラハブを撃碎き 018 JOB 026 013 その氣嘘をもて天を輝かせ 其手をもて逃る蛇を衝とほしたまふ 018 JOB 026 014 視よ是等はただその御工作の端なるのみ 我らが聞く所の者は如何にも微細なる耳語ならずや 然どその權能の雷轟に至りては誰かこれを曉らんや 018 JOB 027 001 ヨブまた語を繼ていはく 018 JOB 027 002 われに義しき審判を施したまはざる神 わが心魂をなやまし給ふ全能者 此神は活く 018 JOB 027 003 (わが生命なほ全くわれの衷にあり 神の氣息なほわが鼻にあり) 018 JOB 027 004 わが口は惡を言ず わが舌は謊言を語らじ 018 JOB 027 005 我決めて汝等を是とせじ 我に死るまで我が罪なきを言ことを息じ 018 JOB 027 006 われ堅くわが正義を持ちて之を棄じ 我は今まで一日も心に責られし事なし 018 JOB 027 007 我に敵する者は惡き者と成り我を攻る者は義からざる者と成るべし 018 JOB 027 008 邪曲なる者もし神に絶れその魂神を脱とらるるに於ては何の望かあらん 018 JOB 027 009 かれ艱難に罹る時に神その呼號を聽いれたまはんや 018 JOB 027 010 かれ全能者を喜こばんや 常に神を龥んや 018 JOB 027 011 われ神の御手を汝等に教へん 全能者の道を汝等に隱さじ 018 JOB 027 012 視よ汝等もみな自らこれを觀たり 然るに何ぞ斯愚蒙をきはむるや 018 JOB 027 013 惡き人の神に得る分 強暴の人の全能者より受る業は是なり 018 JOB 027 014 その子等蕃れば劍に殺さる その子孫は食物に飽ず 018 JOB 027 015 その遺れる者は疫病に斃れて埋められ その妻等は哀哭をなさず 018 JOB 027 016 かれ銀を積むこと塵のごとく衣服を備ふること土のごとくなるとも 018 JOB 027 017 その備ふる者は義き人これを着ん またその銀は無辜者これを分ち取ん 018 JOB 027 018 その建る家は蟲の巣のごとく また番人の造る茅家のごとし 018 JOB 027 019 彼は富る身にて寢臥し重ねて興ること無し また目を開けば即ちその身きえ亡す 018 JOB 027 020 懼ろしき事大水のごとく彼に追及き 夜の暴風かれを奪ひ去る 018 JOB 027 021 東風かれを颺げて去り 彼をその處より吹はらふ 018 JOB 027 022 神かれを射て恤まず 彼その手より逃れんともがく 018 JOB 027 023 人かれに對ひて手を鳴し嘲りわらひてその處をいでゆかしむ 018 JOB 028 001 白銀掘いだす坑あり 煉るところの黄金は出處あり 018 JOB 028 002 鐡は土より取り 銅は石より鎔して獲るなり 018 JOB 028 003 人すなはち黒暗を破り極より極まで尋ね窮めて黒暗および死蔭の石を求む 018 JOB 028 004 その穴を穿つこと深くして上に住む人と遠く相離れ その上を歩む者まつたく之を覺えず 是のごとく身を縋下げ 遙に人と隔たりて空に懸る 018 JOB 028 005 地その上は食物を出し 其下は火に覆へさるるがごとく覆へる 018 JOB 028 006 その石の中には碧の玉のある處あり 黄金の沙またその内にあり 018 JOB 028 007 その逕は鷙鳥もこれを知ず 鷹の目もこれを看ず 018 JOB 028 008 鷙き獸も未だこれを踐ず 猛き獅子も未だこれを通らず 018 JOB 028 009 人堅き磐に手を加へまた山を根より倒し 018 JOB 028 010 岩に河を掘り各種の貴き物を目に見とめ 018 JOB 028 011 水路を塞ぎて漏ざらしめ隱れたる寳物を光明に取いだすなり 018 JOB 028 012 然ながら智慧は何處よりか覓め得ん 明哲の在る所は何處ぞや 018 JOB 028 013 人その價を知ず人のすめる地に獲べからず 018 JOB 028 014 淵は言ふ我の内に在ずと 海は言ふ我と偕ならずと 018 JOB 028 015 精金も之に換るに足ず銀も秤りてその價となすを得ず 018 JOB 028 016 オフルの金にてもその價を量るべからず 貴き青玉も碧玉もまた然り 018 JOB 028 017 黄金も玻璃もこれに並ぶ能はず 精金の器皿も之に換るに足ず 018 JOB 028 018 珊瑚も水晶も論にたらず 智慧を得るは眞珠を得るに勝る 018 JOB 028 019 エテオビアより出る黄玉もこれに並ぶあたはず 純金をもてするともその價を量るべからず 018 JOB 028 020 然ば智慧は何處より來るや 明哲の在る所は何處ぞや 018 JOB 028 021 是は一切の生物の目に隱れ 天空の鳥にも見えず 018 JOB 028 022 滅亡も死も言ふ我等はその風聲を耳に聞し而已 018 JOB 028 023 神その道を曉り給ふ 彼その所を知りたまふ 018 JOB 028 024 そは彼は地の極までも觀そなはし天が下を看きはめたまへばなり 018 JOB 028 025 風にその重量を與へ 水を度りてその量を定めたまひし時 018 JOB 028 026 雨のために法を立て 雷霆の光のために途を設けたまひし時 018 JOB 028 027 智慧を見て之を顯はし之を立て試みたまへり 018 JOB 028 028 また人に言たまはく視よ主を畏るるは是智慧なり 惡を離るるは明哲なり 018 JOB 029 001 ヨブまた語をつぎて曰く 018 JOB 029 002 嗚呼過にし年月のごとくならまほし 神の我を護りたまへる日のごとくならまほし 018 JOB 029 003 かの時には彼の燈火わが首の上に輝やき彼の光明によりて我黒暗を歩めり 018 JOB 029 004 わが壯なりし日のごとくならまほし 彼時には神の恩惠わが幕屋の上にありき 018 JOB 029 005 かの時には全能者なほ我とともに在し わが子女われの周圍にありき 018 JOB 029 006 乳ながれてわが足跡を洗ひ 我が傍なる磐油を灌ぎいだせり 018 JOB 029 007 かの時には我いでて邑の門に上りゆき わが座を街衢に設けたり 018 JOB 029 008 少き者は我を見て隱れ 老たる者は起あがりて立ち 018 JOB 029 009 牧伯たる者も言談ずしてその口に手を當て 018 JOB 029 010 貴き者も聲ををさめてその舌を上顎に貼たりき 018 JOB 029 011 我事を耳に聞る者は我を幸福なりと呼び 我を目に見たる者はわがために證據をなしぬ 018 JOB 029 012 是は我助力を求むる貧しき者を拯ひ 孤子および助くる人なき者を拯ひたればなり 018 JOB 029 013 亡びんとせし者われを祝せり 我また寡婦の心をして喜び歌はしめたり 018 JOB 029 014 われ正義を衣また正義の衣る所となれり 我が公義は袍のごとく冠冕のごとし 018 JOB 029 015 われは盲目の目となり跛者の足となり 018 JOB 029 016 貧き者の父となり知ざる者の訴訟の由を究め 018 JOB 029 017 惡き者の牙を折り その齒の間より獲物を取いだせり 018 JOB 029 018 我すなはち言けらく 我はわが巣に死ん 我が日は砂の如く多からん 018 JOB 029 019 わが根は水の邊に蔓り 露わが枝に終夜おかん 018 JOB 029 020 わが榮光はわが身に新なるべくわが弓はわが手に何時も強からんと 018 JOB 029 021 人々われに聽き默して我が教を俟ち 018 JOB 029 022 わが言し後は彼等言を出さず 我説ところは彼等に甘露のごとく 018 JOB 029 023 かれらは我を望み待つこと雨のごとく 口を開きて仰ぐこと春の雨のごとくなりき 018 JOB 029 024 われ彼等にむかひて笑ふとも彼等は敢て眞實とおもはず我面の光を彼等は除くことをせざりき 018 JOB 029 025 われは彼等のために道を擇び その首として座を占め 軍中の王のごとくして居り また哀哭者を慰さむる人のごとくなりき 018 JOB 030 001 然るに今は我よりも年少き者等われを笑ふ 彼等の父は我が賤しめて群の犬と並べ置くことをもせざりし者なり 018 JOB 030 002 またかれらの手の力もわれに何の用をかなさん 彼らは其氣力すでに衰へたる者なり 018 JOB 030 003 かれらは缺乏と饑とによりて痩おとろへ 荒かつ廢れたる暗き野にて乾ける地を咬む 018 JOB 030 004 すなはち灌木の中にて藜を摘み苕の根を食物となす 018 JOB 030 005 彼らは人の中より逐いださる 盜賊を追ふがごとくに人かれらを追ふて呼はる 018 JOB 030 006 彼等は懼ろしき谷に住み 土坑および磐穴に居り 018 JOB 030 007 灌木の中に嘶なき 荊棘の下に偃す 018 JOB 030 008 彼らは愚蠢なる者の子 卑むべき者の子にして國より撃いださる 018 JOB 030 009 しかるに今は我かれらの歌謠に成り 彼らの嘲哢となれり 018 JOB 030 010 かれら我を厭ふて遠く我を離れ またわが面に唾することを辭まず 018 JOB 030 011 神わが綱を解て我をなやましたまへば彼等もわが前にその韁を縱せり 018 JOB 030 012 この輩わが右に起あがり わが足を推のけ我にむかひて滅亡の路を築く 018 JOB 030 013 彼らは自ら便なき者なれども尚わが逕を毀ち わが滅亡を促す 018 JOB 030 014 かれらは石垣の大なる崩口より入がごとくに進み來り 破壞の中にてわが上に乗かかり 018 JOB 030 015 懼ろしき事わが身に臨み 風のごとくに我が尊榮を吹はらふ わが福祿は雲のごとくに消失す 018 JOB 030 016 今はわが心われの衷に鎔て流れ 患難の日かたく我を執ふ 018 JOB 030 017 夜にいれば我骨刺れて身を離る わが身を噬む者つひに休むこと無し 018 JOB 030 018 わが疾病の大なる能によりてわが衣服は醜き樣に變り 裏衣の襟の如くに我身に固く附く 018 JOB 030 019 神われを泥の中に投こみたまひて我は塵灰に等しくなれり 018 JOB 030 020 われ汝にむかひて呼はるに汝答へたまはず 我立をるに 汝只われをながめ居たまふ 018 JOB 030 021 なんぢは我にむかひて無情なりたまひ 御手の能力をもて我を攻撃たまふ 018 JOB 030 022 なんぢ我を擧げ風の上に乗て負去しめ 大風の音とともに消亡しめたまふ 018 JOB 030 023 われ知る汝はわれを死に歸らしめ一切の生物の終に集る家に歸らしめたまはん 018 JOB 030 024 かれは必ず荒垤にむかひて手を舒たまふこと有じ 假令人滅亡に陷るとも是等の事のために號呼ぶことをせん 018 JOB 030 025 苦みて日を送る者のために我哭ざりしや 貧しき者のために我心うれへざりしや 018 JOB 030 026 われ吉事を望みしに凶事きたり 光明を待しに黒暗きたれり 018 JOB 030 027 わが膓沸かへりて安からず 患難の日我に追及ぬ 018 JOB 030 028 われは日の光を蒙らずして哀しみつつ歩き 公會の中に立て助を呼もとむ 018 JOB 030 029 われは山犬の兄弟となり 駝鳥の友となれり 018 JOB 030 030 わが皮は黒くなりて剥落ち わが骨は熱によりて焚け 018 JOB 030 031 わが琴は哀の音となり わが笛は哭の聲となれり 018 JOB 031 001 我わが目と約を立たり 何ぞ小艾を慕はんや 018 JOB 031 002 然せば上より神の降し給ふ分は如何なるべきぞ 高處より全能者の與へ給ふ業は如何なるべきぞ 018 JOB 031 003 惡き人には滅亡きたらざらんや 善らぬ事を爲す者には常ならぬ災禍あらざらんや 018 JOB 031 004 彼わが道を見そなはし わが歩履をことごとく數へたまはざらんや 018 JOB 031 005 我虚誕とつれだちて歩みし事ありや わが足虚僞に奔從がひし事ありや 018 JOB 031 006 請ふ公平き權衡をもて我を稱れ 然ば神われの正しきを知たまはん 018 JOB 031 007 わが歩履もし道を離れ わが心もしわが目に隨がひて歩み わが手にもし汚のつきてあらば 018 JOB 031 008 我が播たるを人食ふも善し わが産物を根より拔るるも善し 018 JOB 031 009 われもし婦人のために心まよへる事あるか 又は我もしわが隣の門にありて伺ひし事あらば 018 JOB 031 010 わが妻ほかの人のために臼磨き ほかの人々かれの上に寢るも善し 018 JOB 031 011 其は是は重き罪にして裁判人に罰せらるべき惡事なればなり 018 JOB 031 012 是はすなはち滅亡にまでも燬いたる火にしてわが一切の産をことごとく絶さん 018 JOB 031 013 わが僕あるひは婢の我と辯爭ひし時に我もし之が權理を輕んぜし事あらば 018 JOB 031 014 神の起あがりたまふ時には如何せんや 神の臨みたまふ時には何と答へまつらんや 018 JOB 031 015 われを胎内に造りし者また彼をも造りたまひしならずや われらを腹の内に形造りたまひし者は唯一の者ならずや 018 JOB 031 016 我もし貧き者にその願ふところを獲しめず 寡婦をしてその目おとろへしめし事あるか 018 JOB 031 017 または我獨みづから食物を啖ひて孤子にこれを啖はしめざりしこと有るか 018 JOB 031 018 (却つて彼らは我が若き時より我に育てられしこと父におけるが如し 我は胎内を出てより以來寡を導びく事をせり) 018 JOB 031 019 われ衣服なくして死んとする者あるひは身を覆ふ物なくして居る人を見し時に 018 JOB 031 020 その腰もし我を祝せず また彼もしわが羊の毛にて温まらざりし事あるか 018 JOB 031 021 われを助くる者の門にをるを見て我みなしごに向ひて手を上し事あるか 018 JOB 031 022 然ありしならば肩骨よりしてわが肩おち骨とはなれてわが腕折よ 018 JOB 031 023 神より出る災禍は我これを懼る その威光の前には我 能力なし 018 JOB 031 024 我もし金をわが望となし 精金にむかひて汝わが所頼なりと言しこと有か 018 JOB 031 025 我もしわが富の大なるとわが手に物を多く獲たることを喜びしことあるか 018 JOB 031 026 われ日の輝くを見または月の輝わたりて歩むを見し時 018 JOB 031 027 心竊にまよひて手を口に接しことあるか 018 JOB 031 028 是もまた裁判人に罪せらるべき惡事なり 我もし斯なせし事あらば上なる神に背しなり 018 JOB 031 029 我もし我を惡む者の滅亡るを喜び 又は其災禍に罹るによりて自ら誇りし事あるか 018 JOB 031 030 (我は之が生命を呪ひ索めて我口に罪を犯さしめし如き事あらず) 018 JOB 031 031 わが天幕の人は言ずや彼の肉に飽ざる者いづこにか在んと 018 JOB 031 032 旅人は外に宿らず わが門を我は街衢にむけて啓けり 018 JOB 031 033 我もしアダムのごとくわが罪を蔽ひ わが惡事を胸に隱せしことあるか 018 JOB 031 034 すなはち大衆を懼れ宗族の輕蔑に怖ぢて口を閉ぢ門を出ざりしごとき事あるか 018 JOB 031 035 嗚呼われの言ところを聽わくる者あらまほし(我が花押ここに在り 願くは全能者われに答へたまへ)我を訴ふる者みづから訴訟状を書け 018 JOB 031 036 われ必らず之を肩に負ひ冠冕のごとくこれを首に結ばん 018 JOB 031 037 我わが歩履の數を彼に述ん 君王たる者のごとくして彼に近づかん 018 JOB 031 038 わが田圃號呼りて我を攻め その阡陌ことごとく泣さけぶあるか 018 JOB 031 039 若われ金を出さずしてその産物を食ひ またはその所有主をして生命を失はしめし事あらば 018 JOB 031 040 小麥の代に蒺藜生いで 大麥のかはりに雜草おひ出るとも善し ヨブの詞をはりぬ 018 JOB 032 001 ヨブみづから見て己の正義とするに因て此三人の者之に答ふる事を止む 018 JOB 032 002 時にラムの族ブジ人バラケルの子エリフ怒を發せり ヨブ神よりも己を正しとするに因て彼ヨブにむかひて怒を發せり 018 JOB 032 003 またヨブの三人の友答ふるに詞なくして猶ヨブを罪ありとせしによりて彼らにむかひて怒を發せり 018 JOB 032 004 エリフはヨブに言ふことをひかへて俟をりぬ 是は自己よりも彼等年老たればなり 018 JOB 032 005 茲にエリフこの三人の口に答ふる詞の有ざるを見て怒を發せり 018 JOB 032 006 ブジ人バラケルの子エリフすなはち答へて曰く 我は年少く汝等は年老たり是をもて我はばかりて我意見をなんぢらに陳ることを敢てせざりき 018 JOB 032 007 我意へらく日を重ねたる者宜しく言を出すべし 年を積たる者宜しく智慧を教ふべしと 018 JOB 032 008 但し人の衷には靈あり 全能者の氣息人に聰明を與ふ 018 JOB 032 009 大なる人すべて智慧あるに非ず 老たる者すべて道理に明白なるに非ず 018 JOB 032 010 然ば我言ふ 我に聽け 我もわが意見を陳べん 018 JOB 032 011 視よ我は汝らの言語を俟ち なんぢらの辯論を聽き なんぢらが言ふべき言語を尋ね盡すと待り 018 JOB 032 012 われ細に汝らに聽しが汝らの中にヨブを駁折る者一人も無く また彼の言詞に答ふる者も無し 018 JOB 032 013 おそらくは汝等いはん 我ら智慧を見得たり 彼に勝つ者は唯神のみ 人は能はずと 018 JOB 032 014 彼はその言語を我に向て發さざりき 我はまた汝らの言ふ所をもて彼に答へじ 018 JOB 032 015 彼らは愕きて復答ふる所なく 言語かれらの衷に浮ばず 018 JOB 032 016 彼等ものいはず立とどまりて重ねて答へざればとて我あに俟をるべけんや 018 JOB 032 017 我も自らわが分を答へわが意見を吐露さん 018 JOB 032 018 我には言滿ち わが衷の心しきりに迫る 018 JOB 032 019 わが腹は口を啓かざる酒のごとし 新しき皮嚢のごとく今にも裂んとす 018 JOB 032 020 われ説いだして胸を安んぜんとす われ口を啓きて答へん 018 JOB 032 021 かならず我は人に偏らず 人に諂はじ 018 JOB 032 022 我は諂ふことを知ず もし諂はば我の造化主ただちに我を絶たまふべし 018 JOB 033 001 然ばヨブよ請ふ我が言ふ事を聽け わが一切の言語に耳を傾むけよ 018 JOB 033 002 視よ我口を啓き 舌を口の中に動かす 018 JOB 033 003 わが言ふ所は正義き心より出づ わが唇あきらかにその智識を陳ん 018 JOB 033 004 神の靈われを造り 全能者の氣息われを活しむ 018 JOB 033 005 汝もし能せば我に答へよ わが前に言をいひつらねて立て 018 JOB 033 006 我も汝とおなじく神の者なり 我もまた土より取てつくられしなり 018 JOB 033 007 わが威嚴はなんぢを懼れしめず わが勢はなんぢを壓せず 018 JOB 033 008 汝わが聽くところにて言談り 我なんぢの言語の聲を聞けり云く 018 JOB 033 009 われは潔淨くして愆なし 我は辜なく惡き事わが身にあらず 018 JOB 033 010 視よ彼らわれを攻る釁隙を尋ね われを己の敵と算へ 018 JOB 033 011 わが脚を桎に夾めわが一切の擧動に目を着たまふと 018 JOB 033 012 視よ我なんぢに答へん なんぢ此事において正義からず 神は人よりも大なる者にいませり 018 JOB 033 013 彼その凡て行なふところの理由を示したまはずとて汝かれにむかひて辯爭そふは何ぞや 018 JOB 033 014 まことに神は一度二度と告示したまふなれど人これを曉らざるなり 018 JOB 033 015 人熟睡する時または床に睡る時に夢あるひは夜の間の異象の中にて 018 JOB 033 016 かれ人の耳をひらき その教ふる所を印して堅うし 018 JOB 033 017 斯して人にその惡き業を離れしめ 傲慢を人の中より除き 018 JOB 033 018 人の魂靈を護りて墓に至らしめず 人の生命を護りて劍にほろびざらしめたまふ 018 JOB 033 019 人床にありて疼痛に攻られ その骨の中に絶ず戰鬪のあるあり 018 JOB 033 020 その氣食物を厭ひ その魂靈うまき物をも嫌ふ 018 JOB 033 021 その肉は痩おちて見えず その骨は見えざりし者までも顯露になり 018 JOB 033 022 その魂靈は墓に近より その生命は滅ぼす者に近づく 018 JOB 033 023 しかる時にもし彼とともに一箇の使者あり 千の中の一箇にして中保となり 正しき道を人に示さば 018 JOB 033 024 神かれを憫れみて言給はん彼を救ひて墓にくだること無らしめよ 我すでに收贖の物を得たりと 018 JOB 033 025 その肉は小兒の肉よりも瑞々しくなり その若き時の形状に歸らん 018 JOB 033 026 かれ若し神に祷らば神かれを顧りみ 彼をしてその御面を喜こび見ることを得せしめたまはん 神は人の正義に報をなしたまふべし 018 JOB 033 027 かれ人の前に歌ひて言ふ 我は罪を犯し正しきを抂たり 然ど報を蒙らず 018 JOB 033 028 神わが魂靈を贖ひて墓に下らしめず わが生命光明を見ん 018 JOB 033 029 そもそも神は是等のもろもろの事をしばしば人におこなひ 018 JOB 033 030 その魂靈を墓より牽かへし生命の光明をもて彼を照したまふ 018 JOB 033 031 ヨブよ耳を傾むけて我に聽け 請ふ默せよ 我かたらん 018 JOB 033 032 なんぢもし言ふべきことあらば我にこたへよ 請ふ語れ 我なんぢを義とせんと慾すればなり 018 JOB 033 033 もし無ば我に聽け 請ふ默せよ 我なんぢに智慧を教へん 018 JOB 034 001 エリフまた答へて曰く 018 JOB 034 002 なんぢら智慧ある者よ我言を聽け 智識ある者よ我に耳を傾むけよ 018 JOB 034 003 口の食物を味はふごとく耳は言詞を辨まふ 018 JOB 034 004 われら自ら是非を究め われらもとともに善惡を明らかにせん 018 JOB 034 005 それヨブは言ふ我は義し 神われに正しき審判を施こしたまはず 018 JOB 034 006 われは義しかれども僞る者とせらる 我は愆なけれどもわが身の矢創愈がたしと 018 JOB 034 007 何人かヨブのごとくならん彼は罵言を水のごとくに飮み 018 JOB 034 008 惡き事を爲す者等と交はり 惡人とともに歩むなり 018 JOB 034 009 すなはち彼いへらく 人は神と親しむとも身に益なしと 018 JOB 034 010 然ばなんぢら心ある人々よ我に聽け 神は惡を爲すことを決めて無く 全能者は不義を行ふこと決めて無し 018 JOB 034 011 却つて人の所爲をその身に報い 人をしてその行爲にしたがひて獲るところあらしめたまふ 018 JOB 034 012 かならず神は惡き事をなしたまはず全能者は審判を抂たまはざるなり 018 JOB 034 013 たれかこの地を彼に委ねし者あらん 誰か全世界を定めし者あらん 018 JOB 034 014 神もしその心を己にのみ用ひ その靈と氣息とを己に收回したまはば 018 JOB 034 015 もろもろの血肉ことごとく亡び人も亦塵にかへるべし 018 JOB 034 016 なんぢもし曉ることを得ば請ふ我に聽けわが言詞の聲に耳を側だてよ 018 JOB 034 017 公義を惡む者あに世ををさむるを得んや なんぢあに至義き者を惡しとすべけんや 018 JOB 034 018 王たる者にむかひて汝は邪曲なりと言ひ 牧伯たる者にむかひて汝らは惡しといふべけんや 018 JOB 034 019 まして君王たる者をも偏視ず貧しき者に超て富る者をかへりみるごとき事をせざる者にむかひてをや 斯爲たまふは彼等みな同じくその御手の作るところなればなり 018 JOB 034 020 彼らは瞬く時間に死に 民は夜の間に滅びて消失せ 力ある者も人手によらずして除かる 018 JOB 034 021 それ神の目は人の道の上にあり 神は人の一切の歩履を見そなはす 018 JOB 034 022 惡を行なふ者の身を匿すべき黒暗も無く死蔭も无し 018 JOB 034 023 神は人をして審判を受けしむるまでに長くその人を窺がふに及ばず 018 JOB 034 024 權勢ある者をも査ぶることを須ひずして打ほろぼし他の人々を立て之に替たまふ 018 JOB 034 025 かくの如く彼らの所爲を知り 夜の間に彼らを覆がへしたまへば彼らは乃て滅ぶ 018 JOB 034 026 人の觀るところにて彼等を惡人のごとく撃たまふ 018 JOB 034 027 是は彼ら背きて之に從はずその道を全たく顧みざるに因る 018 JOB 034 028 かれら是のごとくして遂に貧しき者の號呼を彼の許に逹らしめ患難者の號呼を彼に聽しむ 018 JOB 034 029 かれ平安を賜ふ時には誰か惡しと言ふことをえんや 彼面をかくしたまふ時には誰かこれを見るを得んや 一國におけるも一人におけるも凡て同じ 018 JOB 034 030 かくのごとく邪曲なる者をして世を治むること無らしめ 民の機檻となることなからしむ 018 JOB 034 031 人は宜しく神に申すべし 我は已に懲しめられたり再度惡き事を爲じ 018 JOB 034 032 わが見ざる所は請ふ我にをしへたまへ 我もし惡き事を爲たるならば重ねて之をなさじと 018 JOB 034 033 かれ豈なんぢの好むごとくに應報をなしたまはんや 然るに汝はこれを咎む 然ばなんぢ自ら之を選ぶべし 我は爲じ 汝の知るところを言へ 018 JOB 034 034 心ある人々は我に言ん 我に聽ところの智慧ある人々は言ん 018 JOB 034 035 ヨブの言ふ所は辨知なし その言詞は明哲からずと 018 JOB 034 036 ねがはくはヨブ終まで試みられんことを其は惡き人のごとくに應答をなせばなり 018 JOB 034 037 まことに彼は自己の罪に愆を加へわれらの中間にありて手を拍ちかつ言詞を繁くして神に逆らふ 018 JOB 035 001 エリフまた答へて曰く 018 JOB 035 002 なんぢは言ふ 我が義しきは神に愈れりと なんぢ之を正しとおもふや 018 JOB 035 003 すなはち汝いへらく 是は我に何の益あらんや 罪を犯すに較ぶれば何の愈るところか有んと 018 JOB 035 004 われ言詞をもて汝およびなんぢにそへる汝の友等に答へん 018 JOB 035 005 天を仰ぎて見よ 汝の上なる高き空を望め 018 JOB 035 006 なんぢ罪を犯すとも神に何の害か有ん 愆を熾んにするとも神に何を爲えんや 018 JOB 035 007 汝正義かるとも神に何を與るを得んや 神なんぢの手より何をか受たまはん 018 JOB 035 008 なんぢの惡は只なんぢに同じき人を損ぜん而已 なんぢの善は只人の子を益せんのみ 018 JOB 035 009 暴虐の甚だしきに因て叫び 權勢ある者の腕に壓れて呼はる人々あり 018 JOB 035 010 然れども一人として我を造れる神は何處にいますやといふ者なし 彼は人をして夜の中に歌を歌ふに至らしめ 018 JOB 035 011 地の獸畜よりも善くわれらを教へ 空の鳥よりも我らを智からしめたまふ者なり 018 JOB 035 012 惡き者等の驕傲ぶるに因て斯のごとく人々叫べども應ふる者あらず 018 JOB 035 013 虚しき語を神かならず之を聽たまはず 全能者これを顧みたまはじ 018 JOB 035 014 汝は我かれを見たてまつらずと言といへども審判は神の前にあり この故に汝彼を待べきなり 018 JOB 035 015 今かれ震怒をもて罰することを爲ず 罪愆を深く心に留たまはざる(が如くなる)に因て 018 JOB 035 016 ヨブ口を啓きて虚しき事を述べ無知の言語を繁くす 018 JOB 036 001 エリフまた言詞を繼て曰く 018 JOB 036 002 暫らく我に容せ我なんぢに示すこと有ん 尚神のために言ふべき事あればなり 018 JOB 036 003 われ廣くわが知識を取り我の造化主に正義を歸せんとす 018 JOB 036 004 わが言語は眞實に虚僞ならず 知識の完全き者なんぢの前にあり 018 JOB 036 005 視よ神は權能ある者にましませども何をも藐視めたまはず その了知の能力は大なり 018 JOB 036 006 惡しき者を生し存ず 艱難者のために審判を行ひたまふ 018 JOB 036 007 義しき者に目を離さず 位にある王等とともに永遠に坐せしめて之を貴くしたまふ 018 JOB 036 008 もし彼ら鏈索に繋がれ 艱難の繩にかかる時は 018 JOB 036 009 彼らの所行と愆尤とを示してその驕れるを知せ 018 JOB 036 010 彼らの耳を開きて教を容れしめ かつ惡を離れて歸れよと彼らに命じたまふ 018 JOB 036 011 もし彼ら聽したがひて之に事へなば繁昌てその日を送り 樂しくその年を渉らん 018 JOB 036 012 若かれら聽したがはずば刀劍にて亡び 知識を得ずして死なん 018 JOB 036 013 しかれども心の邪曲なる者等は忿怒を蓄はへ 神に縛しめらるるとも祈ることを爲ず 018 JOB 036 014 かれらは年わかくして死亡せ 男娼とその生命をひとしうせん 018 JOB 036 015 神は艱難者を艱難によりて救ひ 之が耳を虐遇によりて開きたまふ 018 JOB 036 016 然ば神また汝を狹きところより出して狹からぬ廣き所に移したまふあらん 而して汝の席に陳ぬる物は凡て肥たる物ならん 018 JOB 036 017 今は惡人の鞫罰なんぢの身に充り 審判と公義となんぢを執ふ 018 JOB 036 018 なんぢ忿怒に誘はれて嘲笑に陷いらざるやう愼しめよ 收贖の大なるが爲に自ら誤るなかれ 018 JOB 036 019 なんぢの號叫なんぢを艱難の中より出さんや 如何に力を盡すとも所益あらじ 018 JOB 036 020 世の人のその處より絶る其夜を慕ふなかれ 018 JOB 036 021 愼しみて惡に傾くなかれ 汝は艱難よりも寧ろ之を取んとせり 018 JOB 036 022 それ神はその權能をもて大いなる事を爲したまふ 誰か能く彼のごとくに教晦を埀んや 018 JOB 036 023 たれか彼のためにその道を定めし者あらんや 誰かなんぢは惡き事をなせりと言ふことを得ん 018 JOB 036 024 なんぢ神の御所爲を讚歎ふることを忘れざれ これ世の人の歌ひ崇むる所なり 018 JOB 036 025 人みな之を仰ぎ觀る 遠き方より人これを視たてまつるなり 018 JOB 036 026 神は大なる者にいまして我儕かれを知たてまつらず その御年の數は計り知るべからず 018 JOB 036 027 かれ水を細にして引あげたまへば霧の中に滴り出て雨となるに 018 JOB 036 028 雲これを降せて人々の上に沛然に灌ぐなり 018 JOB 036 029 たれか能く雲の舒展る所以またその幕屋の響く所以を了知んや 018 JOB 036 030 視よ彼その光明を自己の周圍に繞らし また海の底をも蔽ひたまひ 018 JOB 036 031 これらをもて民を鞫きまた是等をもて食物を豐饒に賜ひ 018 JOB 036 032 電光をもてその兩手を包みその電光に命じて敵を撃しめたまふ 018 JOB 036 033 その鳴聲かれを顯はし 家畜すらも彼の來ますを知らすなり 018 JOB 037 001 之がためにわが心わななき その處を動き離る 018 JOB 037 002 神の聲の響およびその口より出る轟聲を善く聽け 018 JOB 037 003 これを天が下に放ち またその電光を地の極にまで至らせたまふ 018 JOB 037 004 その後聲ありて打響き 彼威光の聲を放ちて鳴わたりたまふ その御聲聞えしむるに當りては電光を押へおきたまはず 018 JOB 037 005 神奇しくも御聲を放ちて鳴わたり 我儕の知ざる大なる事を行ひたまふ 018 JOB 037 006 かれ雪にむかひて地に降れと命じたまふ 雨すなはちその權能の大雨にも亦しかり 018 JOB 037 007 斯かれ一切の人の手を封じたまふ 是すべての人にその御工作を知しめんがためなり 018 JOB 037 008 また獸は穴にいりてその洞に居る 018 JOB 037 009 南方の密室より暴風きたり 北より寒氣きたる 018 JOB 037 010 神の氣吹によりて氷いできたり 水の寛狹くせらる 018 JOB 037 011 かれ水をもて雲に搭載せまた電光の雲を遠く散したまふ 018 JOB 037 012 是は神の導引によりて週る 是は彼の命ずるところを盡く世界の表面に爲んがためなり 018 JOB 037 013 その之を來らせたまふは或は懲罰のため あるひはその地のため 或は恩惠のためなり 018 JOB 037 014 ヨブよ是を聽け 立ちて神の奇妙き工作を考へよ 018 JOB 037 015 神いかに是等に命を傳へその雲の光明をして輝かせたまふか汝これを知るや 018 JOB 037 016 なんぢ雲の平衡知識の全たき者の奇妙き工作を知るや 018 JOB 037 017 南風によりて地の穩かになる時なんぢの衣服は熱くなるなり 018 JOB 037 018 なんぢ彼とともに彼の堅くして鑄たる鏡のごとくなる蒼穹を張ることを能せんや 018 JOB 037 019 われらが彼に言ふべき事を我らに教へよ 我らは暗昧して言詞を列ぬること能はざるなり 018 JOB 037 020 われ語ることありと彼に告ぐべけんや 人あに滅ぼさるることを望まんや 018 JOB 037 021 人いまは雲霄に輝やく光明を見ること能はず 然れど風きたりて之を吹清む 018 JOB 037 022 北より黄金いできたる 神には畏るべき威光あり 018 JOB 037 023 全能者はわれら測りきはむることを得ず 彼は能おほいなる者にいまし審判をも公義をも抂たまはざるなり 018 JOB 037 024 この故に人々かれを畏る 彼はみづから心に有智とする者をかへりみたまはざるなり 018 JOB 038 001 茲にヱホバ大風の中よりヨブに答へて宣まはく 018 JOB 038 002 無智の言詞をもて道を暗からしむる此者は誰ぞや 018 JOB 038 003 なんぢ腰ひきからげて丈夫のごとくせよ 我なんぢに問ん 汝われに答へよ 018 JOB 038 004 地の基を我が置たりし時なんぢは何處にありしや 汝もし穎悟あらば言へ 018 JOB 038 005 なんぢ若知んには誰が度量を定めたりしや 誰が準繩を地の上に張りたりしや 018 JOB 038 006 その基は何の上に奠れたりしや その隅石は誰が置たりしや 018 JOB 038 007 かの時には晨星あひともに歌ひ 神の子等みな歡びて呼はりぬ 018 JOB 038 008 海の水ながれ出で 胎内より涌いでし時誰が戸をもて之を閉こめたりしや 018 JOB 038 009 かの時我雲をもて之が衣服となし 黒暗をもて之が襁褓となし 018 JOB 038 010 これに我法度を定め關および門を設けて 018 JOB 038 011 曰く此までは來るべし此を越べからず 汝の高浪ここに止まるべしと 018 JOB 038 012 なんぢ生れし日より以來朝にむかひて命を下せし事ありや また黎明にその所を知しめ 018 JOB 038 013 これをして地の縁を取へて惡き者をその上より振落さしめたりしや 018 JOB 038 014 地は變りて土に印したるごとくに成り 諸の物は美はしき衣服のごとくに顯る 018 JOB 038 015 また惡人はその光明を奪はれ 高く擧たる手は折らる 018 JOB 038 016 なんぢ海の泉源にいたりしことありや 淵の底を歩みしことありや 018 JOB 038 017 死の門なんぢのために開けたりしや 汝死蔭の門を見たりしや 018 JOB 038 018 なんぢ地の廣を看きはめしや 若これを盡く知ば言へ 018 JOB 038 019 光明の在る所に往く路は孰ぞや 黒暗の在る所は何處ぞや 018 JOB 038 020 なんぢ之をその境に導びき得るや その家の路を知をるや 018 JOB 038 021 なんぢ之を知ならん汝はかの時すでに生れをり また汝の經たる日の數も多ければなり 018 JOB 038 022 なんぢ雪の庫にいりしや 雹の庫を見しや 018 JOB 038 023 これ我が艱難の時にために蓄はへ 戰爭および戰鬪の日のために蓄はへ置くものなり 018 JOB 038 024 光明の發散る道 東風の地に吹わたる所の路は何處ぞや 018 JOB 038 025 誰が大雨を灌ぐ水路を開き雷電の光の過る道を開き 018 JOB 038 026 人なき地にも人なき荒野にも雨を降し 018 JOB 038 027 荒かつ廢れたる處々を潤ほし かつ若菜蔬を生出しむるや 018 JOB 038 028 雨に父ありや 露の珠は誰が生る者なるや 018 JOB 038 029 氷は誰が胎より出るや 空の霜は誰が産むところなるや 018 JOB 038 030 水かたまりて石のごとくに成り 淵の面こほる 018 JOB 038 031 なんぢ昴宿の鏈索を結びうるや 參宿の繋繩を解うるや 018 JOB 038 032 なんぢ十二宮をその時にしたがひて引いだし得るや また北斗とその子星を導びき得るや 018 JOB 038 033 なんぢ天の常經を知るや 天をして其權力を地に施こさしむるや 018 JOB 038 034 なんぢ聲を雲に擧げ滂沛の水をして汝を掩はしむるを得るや 018 JOB 038 035 なんぢ閃電を遣はして往しめ なんぢに答へて我儕は此にありと言しめ得るや 018 JOB 038 036 胸の中の智慧は誰が與へし者ぞ 心の内の聰明は誰が授けし者ぞ 018 JOB 038 037 たれか能く智慧をもて雲を數へんや たれか能く天の瓶を傾むけ 018 JOB 038 038 塵をして一塊に流れあはしめ土塊をしてあひかたまらしめんや 018 JOB 038 039 なんぢ牝獅子のために食物を獵や また小獅子の食氣を滿すや 018 JOB 038 040 その洞穴に伏し 森の中に隱れ伺がふ時なんぢこの事を爲うるや 018 JOB 038 041 また鴉の子 神にむかひて呼はり 食物なくして徘徊る時 鴉に餌を與ふる者は誰ぞや 018 JOB 039 001 なんぢ岩間の山羊が子を産む時をしるや また麀鹿の産に臨むを見しや 018 JOB 039 002 なんぢ是等の在胎の月を數へうるや また是等が産む時を知るや 018 JOB 039 003 これらは身を鞠めて子を産みその痛苦を出す 018 JOB 039 004 またその子は強くなりて野に育ち 出ゆきて再たびその親にかへらず 018 JOB 039 005 誰が野驢馬を放ちて自由にせしや 誰が野驢馬の繋繩を解しや 018 JOB 039 006 われ野をその家となし 荒野をその住所となせり 018 JOB 039 007 是は邑の喧閙を賤しめ 馭者の號呼を聽いれず 018 JOB 039 008 山を走まはりて草を食ひ 各種の青き物を尋ぬ 018 JOB 039 009 兕肯て汝に事へ なんぢの飼草槽の傍にとどまらんや 018 JOB 039 010 なんぢ兕に綱附て阡陌をあるかせ得んや 是あに汝にしたがひて谷に馬鈀を牽んや 018 JOB 039 011 その力おほいなればとて汝これに恃まんや またなんぢの工事をこれに任せんや 018 JOB 039 012 なんぢこれにたよりて己が穀物を運びかへらせ之を打禾塲にあつめしめんや 018 JOB 039 013 駝鳥は歡然にその翼を皷ふ 然どもその羽と毛とはあに鶴にしかんや 018 JOB 039 014 是はその卵を土の中に棄おき これを砂の中にて暖たまらしめ 018 JOB 039 015 足にてその潰さるべきと 野の獸のこれを踐むべきとを思はず 018 JOB 039 016 これはその子に情なくして宛然おのれの子ならざるが如くし その劬勞の空しくなるも繋念ところ無し 018 JOB 039 017 是は神これに智慧を授けず穎悟を與へざるが故なり 018 JOB 039 018 その身をおこして走るにおいては馬をもその騎手をも嘲るべし 018 JOB 039 019 なんぢ馬に力を與へしや その頸に勇ましき鬣を粧ひしや 018 JOB 039 020 なんぢ之を蝗蟲のごとく飛しむるや その嘶なく聲の響は畏るべし 018 JOB 039 021 谷を踋爬て力に誇り 自ら進みて兵士に向ふ 018 JOB 039 022 懼るることを笑ひて驚ろくところ無く 劍にむかふとも退ぞかず 018 JOB 039 023 矢筒その上に鳴り 鎗に矛あひきらめく 018 JOB 039 024 猛りつ狂ひつ地を一呑にし 喇叭の聲鳴わたるも立どまる事なし 018 JOB 039 025 喇叭の鳴ごとにハーハーと言ひ遠方より戰鬪を嗅つけ 將帥の大聲および吶喊聲を聞しる 018 JOB 039 026 鷹の飛かけり その羽翼を舒て南に向ふは豈なんぢの智慧によるならんや 018 JOB 039 027 鷲の翔のぼり 高き處に巣を營なむは豈なんぢの命令に依んや 018 JOB 039 028 これは岩の上に住所を構へ 岩の尖所または峻險き所に居り 018 JOB 039 029 其處よりして攫むべき物をうかがふ その目のおよぶところ遠し 018 JOB 039 030 その子等もまた血を吸ふ 凡そ殺されし者のあるところには是そこに在り 018 JOB 040 001 ヱホバまたヨブに對へて言たまはく 018 JOB 040 002 非難する者ヱホバと爭はんとするや 神と論ずる者これに答ふべし 018 JOB 040 003 ヨブ是においてヱホバに答へて曰く 018 JOB 040 004 嗚呼われは賤しき者なり 何となんぢに答へまつらんや 唯手をわが口に當んのみ 018 JOB 040 005 われ已に一度言たり 復いはじ 已に再度せり 重ねて述じ 018 JOB 040 006 是に於てヱホバまた大風の中よりヨブに應へて言たまはく 018 JOB 040 007 なんぢ腰ひきからげて丈夫のごとくせよ 我なんぢに問ん なんぢ我にこたへよ 018 JOB 040 008 なんぢ我審判を廢んとするや 我を非として自身を是とせんとするや 018 JOB 040 009 なんぢ神のごとき腕ありや 神のごとき聲をもて轟きわたらんや 018 JOB 040 010 さればなんぢ威光と尊貴とをもて自ら飾り 榮光と華美とをもて身に纒へ 018 JOB 040 011 なんぢの溢るる震怒を洩し 高ぶる者を視とめて之をことごとく卑くせよ 018 JOB 040 012 すなはち高ぶる者を見てこれを盡く鞠ませ また惡人を立所に踐つけ 018 JOB 040 013 これを塵の中に埋め これが面を隱れたる處に閉こめよ 018 JOB 040 014 さらば我もなんぢを讚てなんぢの右の手なんぢを救ひ得ると爲ん 018 JOB 040 015 今なんぢ我がなんぢとともに造りたりし河馬を視よ 是は牛のごとく草を食ふ 018 JOB 040 016 觀よその力は腰にあり その勢力は腹の筋にあり 018 JOB 040 017 その尾の搖く樣は香柏のごとく その腿の筋は彼此に盤互ふ 018 JOB 040 018 その骨は銅の管ごとくその肋骨は鐡の棒のごとし 018 JOB 040 019 これは神の工の第一なる者にして之を造りし者これに劍を賦けたり 018 JOB 040 020 山もこれがために食物を産出し もろもろの野獸そこに遊ぶ 018 JOB 040 021 これは蓮の樹の下に臥し葦蘆の中または沼の裏に隱れをる 018 JOB 040 022 蓮の樹その蔭をもてこれを覆ひ また河の柳これを環りかこむ 018 JOB 040 023 たとひ河荒くなるとも驚ろかず ヨルダンその口に注ぎかかるも惶てず 018 JOB 040 024 その目の前にて誰か之を執ふるを得ん 誰か羂をその鼻に貫くを得ん 018 JOB 041 001 なんぢ鈎をもて鱷を釣いだすことを得んや その舌を糸にひきかくることを得んや 018 JOB 041 002 なんぢ葦の繩をその鼻に通し また鈎をその齶に衝とほし得んや 018 JOB 041 003 是あに頻になんぢに願ふことをせんや 柔かになんぢに言談んや 018 JOB 041 004 あに汝と契約を爲んや なんぢこれを執て永く僕と爲しおくを得んや 018 JOB 041 005 なんぢ鳥と戲むるる如くこれとたはむれ また汝の婦人等のために之を繋ぎおくを得んや 018 JOB 041 006 また漁夫の社會これを商貨と爲して商賣人の中間に分たんや 018 JOB 041 007 なんぢ漁叉をもてその皮に滿し 魚矛をもてその頭を衝とほし得んや 018 JOB 041 008 手をこれに下し見よ 然ばその戰鬪をおぼえて再び之を爲ざるべし 018 JOB 041 009 視よその望は虚し 之を見てすら倒るるに非ずや 018 JOB 041 010 何人も之に激する勇氣あるなし 然ば誰かわが前に立うる者あらんや 018 JOB 041 011 誰か先に我に與へしところありて我をして之に酬いしめんとする者あらん 普天の下にある者はことごとく我有なり 018 JOB 041 012 我また彼者の肢體とその著るしき力とその美はしき身の構造とを言では措じ 018 JOB 041 013 誰かその外甲を剥ん 誰かその雙齶の間に入ん 018 JOB 041 014 誰かその面の戸を開きえんや その周圍の齒は畏るべし 018 JOB 041 015 その並列る鱗甲は之が誇るところ その相闔たる樣は堅く封じたるがごとく 018 JOB 041 016 此と彼とあひ接きて風もその中間にいるべからず 018 JOB 041 017 一々あひ連なり堅く膠て離すことを得ず 018 JOB 041 018 嚔すれば即はち光發す その目は曙光の眼瞼(を開く)に似たり 018 JOB 041 019 その口よりは炬火いで火花發し 018 JOB 041 020 その鼻の孔よりは煙いできたりて宛然葦を焚く釜のごとし 018 JOB 041 021 その氣息は炭火を爇し 火燄その口より出づ 018 JOB 041 022 力氣その頸に宿る 懼るる者その前に彷徨まよふ 018 JOB 041 023 その肉の片は密に相連なり 堅く身に着て動かす可らず 018 JOB 041 024 その心の堅硬こと石のごとく その堅硬こと下磨のごとし 018 JOB 041 025 その身を興す時は勇士も戰慄き 恐怖によりて狼狽まどふ 018 JOB 041 026 劍をもて之を撃とも利ず 鎗も矢も漁叉も用ふるところ無し 018 JOB 041 027 是は鐡を見ること稿のごとくし銅を見ること朽木のごとくす 018 JOB 041 028 弓箭もこれを逃しむること能はず 投石機の石も稿屑と見做る 018 JOB 041 029 棒も是には稿屑と見ゆ 鎗の閃めくを是は笑ふ 018 JOB 041 030 その下腹には瓦礫の碎片を連ね 泥の上に麥打車を引く 018 JOB 041 031 淵をして鼎のごとく沸かへらしめ 海をして香油の釜のごとくならしめ 018 JOB 041 032 己が後に光る道を遺せば淵は白髮をいただけるかと疑はる 018 JOB 041 033 地の上には是と並ぶ者なし 是は恐怖なき身に造られたり 018 JOB 041 034 是は一切の高大なる者を輕視ず 誠に諸の誇り高ぶる者の王たるなり 018 JOB 042 001 ヨブ是に於てヱホバに答へて曰く 018 JOB 042 002 我知る汝は一切の事をなすを得たまふ また如何なる意志にても成すあたはざる無し 018 JOB 042 003 無知をもて道を蔽ふ者は誰ぞや 斯われは自ら了解らざる事を言ひ 自ら知ざる測り難き事を述たり 018 JOB 042 004 請ふ聽たまへ 我言ふところあらん 我なんぢに問まつらん 我に答へたまへ 018 JOB 042 005 われ汝の事を耳にて聞ゐたりしが今は目をもて汝を見たてまつる 018 JOB 042 006 是をもて我みづから恨み 塵灰の中にて悔ゆ 018 JOB 042 007 ヱホバ是等の言語をヨブに語りたまひて後エホバ、テマン人エリパズに言たまひけるは我なんぢと汝の二人の友を怒る 其はなんぢらが我に關て言述べたるところはわが僕ヨブの言たることのごとく正當からざればなり 018 JOB 042 008 然ば汝ら牡牛七頭 牡羊七頭を取てわが僕ヨブに至り汝らの身のために燔祭を獻げよ わが僕ヨブなんぢらのために祈らん われかれを嘉納べければ之によりて汝らの愚を罰せざらん 汝らの我について言述たるところは我僕ヨブの言たることのごとく正當からざればなり 018 JOB 042 009 是においてテマン人エリパズ、シユヒ人ビルダデ、ナアマ人ゾパル往てヱホバの自己に宣まひしごとく爲ければヱホバすなはちヨブを嘉納たまへり 018 JOB 042 010 ヨブその友のために祈れる時 ヱホバ、ヨブの艱難をときて舊に復ししかしてヱホバつひにヨブの所有物を二倍に増たまへり 018 JOB 042 011 是において彼の諸の兄弟諸の姉妹およびその舊相識れる者等ことごとく來りて彼とともにその家にて飮食を爲しかつヱホバの彼に降したまひし一切の災難につきて彼をいたはり慰さめ また各金一ケセタと金の環一箇を之に贈れり 018 JOB 042 012 ヱホバかくのごとくヨブをめぐみてその終を初よりも善したまへり 即ち彼は綿羊一萬四千匹 駱駝六千匹 牛一千軛 牝驢馬一千匹を有り 018 JOB 042 013 また男子七人 女子三人ありき 018 JOB 042 014 かれその第一の女をエミマと名け第二をケジアと名け 第三をケレンハツプクと名けたり 018 JOB 042 015 全國の中にてヨブの女子等ほど美しき婦人は見えざりき その父之にその兄弟等とおなじく産業をあたへたり 018 JOB 042 016 この後ヨブは百四十年いきながらへてその子その孫と四代までを見たり 018 JOB 042 017 かくヨブは年老い日滿て死たりき # # BOOK 019 PSA Psalms 詩篇 019 PSA 001 001 惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり 019 PSA 001 002 かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ 019 PSA 001 003 かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん 019 PSA 001 004 あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし 019 PSA 001 005 然ばあしきものは審判にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり 019 PSA 001 006 そはヱホバはただしきものの途をしりたまふ されど惡きものの途はほろびん 019 PSA 002 001 何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや 019 PSA 002 002 地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ 019 PSA 002 003 われらその械をこぼち その繩をすてんと 019 PSA 002 004 天に坐ずるもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし 019 PSA 002 005 かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ 019 PSA 002 006 しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと 019 PSA 002 007 われ詔命をのべんヱホバわれに宜まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り 019 PSA 002 008 われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ他の極をなんぢの有としてあたへん 019 PSA 002 009 汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打砕かんと 019 PSA 002 010 されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ 019 PSA 002 011 畏をもてヱホバにつかへ戦慄をもてよろこべ 019 PSA 002 012 子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依頼むものは福ひなり 019 PSA 003 001 ダビデその子アブサロムを避しときのうた ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからびて起りたつもの多し 019 PSA 003 002 わが霊魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほき (セラ) 019 PSA 003 003 されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり 019 PSA 003 004 われ聲をあげてヱホバによばはればその聖山より我にこたへたまふ (セラ) 019 PSA 003 005 われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり 019 PSA 003 006 われをかこみて立かまへたる干萬の人をも我はおそれじ 019 PSA 003 007 ヱホバよねがはくは起たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの歯ををりたまへり 019 PSA 003 008 救はヱホバにあり ねがはくは恩恵なんぢの民のうへに在んことを (セラ) 019 PSA 004 001 琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ 019 PSA 004 002 人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを経んとするか (セラ) 019 PSA 004 003 然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聴たまはん 019 PSA 004 004 なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて黙せ (セラ) 019 PSA 004 005 なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依頼め 019 PSA 004 006 おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせたまへ 019 PSA 004 007 なんぢのわが心にあたへたまひし歓喜はかれらの穀物と洒との豊かなる時にまさりき 019 PSA 004 008 われ安然にして臥またねぶらんヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり 019 PSA 005 001 簫にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ 019 PSA 005 002 わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり 019 PSA 005 003 ヱホバよ朝になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望むべし 019 PSA 005 004 なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり 019 PSA 005 005 たかぶる者はなんぢの目前にたつをえず なんぢはずべて邪曲をおこなものを憎みたまふ 019 PSA 005 006 なんぢは虚偽をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり 019 PSA 005 007 然どわれは豊かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖宮にむかひて拝まん 019 PSA 005 008 ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途をわが前になほくしたまへ 019 PSA 005 009 かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり 019 PSA 005 010 神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり 019 PSA 005 011 されど凡てなんぢに依頼む者をよろこばせ永遠によろこびよばはらぜたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歓をえしめたまへ 019 PSA 005 012 ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩恵をもて之をかこみたまはん 019 PSA 006 001 八音ある琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ 019 PSA 006 002 ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ 019 PSA 006 003 わが霊魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや 019 PSA 006 004 ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ 019 PSA 006 005 そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん 019 PSA 006 006 われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ涙をもてわが衾をひたせり 019 PSA 006 007 わが日うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ 019 PSA 006 008 なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり 019 PSA 006 009 ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん 019 PSA 006 010 わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ 019 PSA 007 001 ベニヤミンの人クシの言につきダビデ、ヱホバに對ひてうたへるシガヨンの歌 わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ 019 PSA 007 002 おそらくはかれ獅の如くわが霊魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん 019 PSA 007 003 わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纏りをらんには 019 PSA 007 004 故なく仇ずるものをさへ助けしに禍害をもてわが友にむくいしならんには 019 PSA 007 005 よし仇人わがたましひを逐とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよ (セラ) 019 PSA 007 006 ヱホバよなんぢの怒をもて起わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判をおほせ出したまへり 019 PSA 007 007 もろもろの人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまヘ 019 PSA 007 008 ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全とにしたがひて我をさばきたまへ 019 PSA 007 009 ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ 019 PSA 007 010 わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり 019 PSA 007 011 神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり 019 PSA 007 012 人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまヘ 019 PSA 007 013 これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん 019 PSA 007 014 視よその人はよこしまを産んとしてくるしむ 残害をはらみ虚偽をうむなり 019 PSA 007 015 また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり 019 PSA 007 016 その残害はおのが首にかへり その強暴はおのが頭上にくだらん 019 PSA 007 017 われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん 019 PSA 008 001 ギデトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな その榮光を天におきたまへり 019 PSA 008 002 なんぢは嬰児ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭静めんがためなり 019 PSA 008 003 我なんぢの指のわざなる天を観なんぢの設けたまへる月と星とをみるに 019 PSA 008 004 世人はいかなるものなればこれを聖念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧みたまふや 019 PSA 008 005 只すこしく人を神よりも卑つくりて祭と尊貴とをかうぶらせ 019 PSA 008 006 またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり 019 PSA 008 007 すべての羊うしまた野の獣 019 PSA 008 008 そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり 019 PSA 008 009 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな 019 PSA 009 001 ムツラベン(調子の名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん 019 PSA 009 002 われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん 019 PSA 009 003 わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前にほろぶ 019 PSA 009 004 なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判をしつつ寳座にすわりたまへり 019 PSA 009 005 またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり 019 PSA 009 006 仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし 019 PSA 009 007 ヱホバはとこしへに聖位にすわりたまふ 審判のためにその寳座をまうけたまひたり 019 PSA 009 008 ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判をおこなひたまはん 019 PSA 009 009 ヱホバは虐げらるるものの城また難みのときの城なり 019 PSA 009 010 聖名をしるものはなんぢに依頼ん そはヱホバよなんぢを尋るものの棄られしこと断てなければなり 019 PSA 009 011 シオンに住たまふヱホバに対ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ 019 PSA 009 012 血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず 019 PSA 009 013 ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ 019 PSA 009 014 さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん 019 PSA 009 015 もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる 019 PSA 009 016 ヱホバは己をしらしめ審判をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン (セラ) 019 PSA 009 017 あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん 019 PSA 009 018 貧者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望はとこしへに滅ぶるにあらず 019 PSA 009 019 ヱホバよ起たまへ ねがはくは勝を人にえしめたまふなかれ御前にてもろもろのくにびとに審判をうけしめたまヘ 019 PSA 009 020 ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘ (セラ) 019 PSA 010 001 ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや 019 PSA 010 002 惡しき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまヘ 019 PSA 010 003 あしきひとは己がこころの欲望をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ 019 PSA 010 004 あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり 019 PSA 010 005 かれの途はつねに堅く なんぢの審判はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く 019 PSA 010 006 かくて已がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害なかるべしと 019 PSA 010 007 その口にはのろひと虚偽としへたげとみち その舌のしたには残害とよこしまとあり 019 PSA 010 008 かれは村里のかくれたる處にをり隠やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ 019 PSA 010 009 窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧しきものをその網にひきいれてとらふ 019 PSA 010 010 また身をかがめて蹲まるその強勁によりて依仗なきものは仆る 019 PSA 010 011 かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと 019 PSA 010 012 ヱホバよ起たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ 019 PSA 010 013 いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや 019 PSA 010 014 なんぢは鍳たまへりその残害と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり 019 PSA 010 015 ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまヘ 019 PSA 010 016 ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の固より跡をたちたり 019 PSA 010 017 ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき 019 PSA 010 018 孤子と虐げらる者とのために審判をなし地につける人にふたたび恐嚇をもちひざらしめ給はん 019 PSA 011 001 うたのかみに謳はしめたるダビデのうた われヱホバに依頼めり なんぢら何ぞわが霊魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや 019 PSA 011 002 視よあしきものは暗處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ 019 PSA 011 003 基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや 019 PSA 011 004 ヱホバはその聖宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ 019 PSA 011 005 ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと強暴をこのむ者とをにくみ 019 PSA 011 006 羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫黄ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり 019 PSA 011 007 ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖顔をあふぎみん 019 PSA 012 001 八音にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ああヱホバよ助けたまへ そは紳をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失るなり 019 PSA 012 002 人はみな虚偽をもてその隣とあひかたり滑かなるくちびると貳心とをもてものいふ 019 PSA 012 003 ヱホバはすべての滑かなるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん 019 PSA 012 004 かれらはいふ われら舌をもて勝をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと 019 PSA 012 005 ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧しきもの歎くがゆゑに我いま起てこれをその慕ひもとむる平安におかん 019 PSA 012 006 ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる炉にてねり七次きよめたる白銀のごとし 019 PSA 012 007 ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん 019 PSA 012 008 人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり 019 PSA 013 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をかすれたまふや 聖顔をかくしていくそのときを歴たまふや 019 PSA 013 002 われ心のうちに終日かなしみをいだき籌書をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか 019 PSA 013 003 わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん 019 PSA 013 004 おそらくはわが仇いはん 我かれに勝りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん 019 PSA 013 005 されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん 019 PSA 013 006 ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん 019 PSA 014 001 うたのかみに謳はしめたるダビデのうた 愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし 019 PSA 014 002 ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに 019 PSA 014 003 みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし 019 PSA 014 004 不義をおこなふ者はみな智覚なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり 019 PSA 014 005 視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり 019 PSA 014 006 なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり 019 PSA 014 007 ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん 019 PSA 015 001 ダビデのうた ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖山にすまはんものは誰ぞ 019 PSA 015 002 直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる 019 PSA 015 003 かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむ言をあげもちひず 019 PSA 015 004 惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害となるも変ることなし 019 PSA 015 005 貨をかして過たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠にうごかさるることなかるべし 019 PSA 016 001 ダビデがミクタムの歌 ヱホバよねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依頼む 019 PSA 016 002 われヱホにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと 019 PSA 016 003 地にある聖徒はわが極めてよろこぶ勝れしものなり 019 PSA 016 004 ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ 019 PSA 016 005 ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所領をまもりたまはん 019 PSA 016 006 準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな 019 PSA 016 007 われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ 019 PSA 016 008 われ常にヱホバをわが前におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし 019 PSA 016 009 このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平安にをらん 019 PSA 016 010 そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり 019 PSA 016 011 なんぢ生命の道をわれに示したまはん なんぢの前には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり 019 PSA 017 001 ダビデの祈祷 ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ 019 PSA 017 002 ねがはくはわが宣告みまへよりいでてなんぢの目公平をみたまはんことを 019 PSA 017 003 なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん 019 PSA 017 004 人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途をさけたり 019 PSA 017 005 わが歩はかたくなんぢの途にたちわが足はよるめくことなかりき 019 PSA 017 006 神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ 019 PSA 017 007 なんぢに依頼むものを右手をもて仇するものより授ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ 019 PSA 017 008 願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし 019 PSA 017 009 我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ 019 PSA 017 010 かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり 019 PSA 017 011 いづこにまれ往ところにてわれらを打囲み われらを地にたふさんと目をとむ 019 PSA 017 012 かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隠やかなるところに潜みまつ壮獅のごとし 019 PSA 017 013 ヱホバよ起たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが霊魂をすくひたまヘ 019 PSA 017 014 ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺す 019 PSA 017 015 されどわれは義にありて聖顔をみ目さむるとき容光をもて飽足ることをえん 019 PSA 018 001 伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデの歌、このうたの詞はもろもろの仇およびサウルの手より救れしときヱホバに對ひてうたへるなり 云く ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ 019 PSA 018 002 ヱホバはわが巌 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり 019 PSA 018 003 われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん 019 PSA 018 004 死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり 019 PSA 018 005 陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり 019 PSA 018 006 われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又わが紳にさけびたり ヱホバはその官よりわが聲をききたまふ その前にてわがよびし聲はその耳にいれり 019 PSA 018 007 このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり 019 PSA 018 008 烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり 019 PSA 018 009 ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし 019 PSA 018 010 かくてケルブに乗りてとび風のつばさにて翔り 019 PSA 018 011 闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり 019 PSA 018 012 そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり 019 PSA 018 013 ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり 019 PSA 018 014 ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり 019 PSA 018 015 ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり 019 PSA 018 016 ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ 019 PSA 018 017 わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最強かりき 019 PSA 018 018 かれらはわが災害の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき 019 PSA 018 019 ヱホバはわれを悦びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり 019 PSA 018 020 ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり 019 PSA 018 021 われヱホバの道をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり 019 PSA 018 022 そのすべての審判はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり 019 PSA 018 023 われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり 019 PSA 018 024 この故にヱホバはわがただしきとその目前にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり 019 PSA 018 025 なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全ものには全きものとなり 019 PSA 018 026 きよきものには潔きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ 019 PSA 018 027 そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり 019 PSA 018 028 なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗をてらしたまはん 019 PSA 018 029 我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ 019 PSA 018 030 神はしもその途またくヱホバの言はきよし ヱホバはずべて依頼むものの盾なり 019 PSA 018 031 そはヱホバのほかに紳はたれぞや われらの紳のほかに巌はたれぞや 019 PSA 018 032 神はちからをわれに帯しめ わが途を全きものとなしたまふ 019 PSA 018 033 神はわが足を唐のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ 019 PSA 018 034 神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ 019 PSA 018 035 又なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙卑われを大ならしめたまへり 019 PSA 018 036 なんぢわが歩むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき 019 PSA 018 037 われ仇をおひてこれに追及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ 019 PSA 018 038 われかれらを撃てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし 019 PSA 018 039 そはなんぢ戦争のために力をわれに帯しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり 019 PSA 018 040 我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり 019 PSA 018 041 かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき 019 PSA 018 042 我かれらを風のまへの塵のごとくに搗砕き ちまたの坭のごとくに打棄たり 019 PSA 018 043 なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん 019 PSA 018 044 かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん 019 PSA 018 045 ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん 019 PSA 018 046 ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな 019 PSA 018 047 わがために讎をむくい異邦人をわれに服はせたまふはこの神なり 019 PSA 018 048 神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ 019 PSA 018 049 この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん 019 PSA 018 050 ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ 019 PSA 019 001 うたのかみに謳はしめたるダビデのうた もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手みてのわざをしめす 019 PSA 019 002 この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる 019 PSA 019 003 語らずいはずその聲きこえざるに 019 PSA 019 004 そのひびきは全地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり 019 PSA 019 005 日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり 019 PSA 019 006 そのいでたつや天の涯よりし その運りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし 019 PSA 019 007 ヱホバの法はまたくして霊魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ 019 PSA 019 008 ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ 019 PSA 019 009 ヱホバを惶かしもみおそるる道はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し 019 PSA 019 010 これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌増りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し 019 PSA 019 011 なんぢのしもべはこれらによりて儆戒をうく これらをまもらばおおいなる報償あらん 019 PSA 019 012 たれかおのれの過失あやまちをしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ 019 PSA 019 013 願はくはなんぢの僕をひきとめて故意なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆とがをまぬかるるをえん 019 PSA 019 014 ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悦ばるることを得しめたまへ 019 PSA 020 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ 019 PSA 020 002 聖所より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ 019 PSA 020 003 汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことを (セラ) 019 PSA 020 004 ねがはくはなんちがこころの願望をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂しめたまはんことを 019 PSA 020 005 我儕なんぢの救によりて歓びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを 019 PSA 020 006 われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右の手なるすくひの力にてかれに應へたまはん 019 PSA 020 007 あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん 019 PSA 020 008 かれらは屈みまた仆るわれらは起てかたくたてり 019 PSA 020 009 ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ 019 PSA 021 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歓喜をなさん 019 PSA 021 002 なんぢ彼がこころの願望をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりき (セラ) 019 PSA 021 003 そはよきたまものの恵をもてかれを迎へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり 019 PSA 021 004 かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齢の日を世々かぎりなからしめ給へり 019 PSA 021 005 なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊貴と稜威とをかれに衣せたまふ 019 PSA 021 006 そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖顔のまへの歓喜をもて樂しませたまへばなり 019 PSA 021 007 王はヱホバに依頼み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん 019 PSA 021 008 なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし 019 PSA 021 009 なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食つくさん 019 PSA 021 010 汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん 019 PSA 021 011 かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂がたき謀略をおもひまはせばなり 019 PSA 021 012 汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん 019 PSA 021 013 ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん 019 PSA 022 001 あけぼのの鹿の調にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか 019 PSA 022 002 ああわが神われ昼よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平安をえず 019 PSA 022 003 然はあれイスラエルの讃美のなかに住たまふものよ汝はきよし 019 PSA 022 004 われらの列祖はなんぢに依頼めり かれら依頼みたればこれを助けたまへり 019 PSA 022 005 かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき 019 PSA 022 006 然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる 019 PSA 022 007 すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ 019 PSA 022 008 かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悦びたまふが故にたすくべしと 019 PSA 022 009 されど汝はわれを胎内よりいだし絵へるものなり わが母のふところにありしとき既になんぢに依頼ましめたまへり 019 PSA 022 010 我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり 019 PSA 022 011 われに遠ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又すくふものなければなり 019 PSA 022 012 おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり 019 PSA 022 013 かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし 019 PSA 022 014 われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり 019 PSA 022 015 わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり 019 PSA 022 016 そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり 019 PSA 022 017 わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる 019 PSA 022 018 かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを鬮にす 019 PSA 022 019 ヱホバよ遠くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速きたりてわれを授けたまへ 019 PSA 022 020 わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ 019 PSA 022 021 われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり 019 PSA 022 022 われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん 019 PSA 022 023 ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め 019 PSA 022 024 ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖顔をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり 019 PSA 022 025 大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん 019 PSA 022 026 謙遜者はくらひて飽ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを 019 PSA 022 027 地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前にふしをがむべし 019 PSA 022 028 國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ 019 PSA 022 029 地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくたるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拝脆かん 019 PSA 022 030 たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし 019 PSA 022 031 かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん 019 PSA 023 001 ダビデのうた ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ 019 PSA 023 002 ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ 019 PSA 023 003 ヱホバはわが霊魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ 019 PSA 023 004 たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む 019 PSA 023 005 なんぢわが仇のまへに我がために筳をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり 019 PSA 023 006 わが世にあらん限りはかならず恩恵と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん 019 PSA 024 001 ダビデのうた 地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり 019 PSA 024 002 ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり 019 PSA 024 003 ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ 019 PSA 024 004 手きよく心いさぎよき者そのたましひ虚きことを仰ぎのぞまず偽りの誓をせざるものぞ その人なる 019 PSA 024 005 かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん 019 PSA 024 006 斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖顔をもとむる者なり (セラ) 019 PSA 024 007 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん 019 PSA 024 008 えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戦闘にたけきヱホバなり 019 PSA 024 009 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん 019 PSA 024 010 この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なる (セラ) 019 PSA 025 001 ダビデのうた ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望む 019 PSA 025 002 わが神よわれなんぢに依頼めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝誇ることなからしめたまへ 019 PSA 025 003 實になんぢを侯望むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん 019 PSA 025 004 ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ 019 PSA 025 005 我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終日なんぢを侯望む 019 PSA 025 006 なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絶ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ 019 PSA 025 007 わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまヘ 019 PSA 025 008 ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道をつみびとにをしへ 019 PSA 025 009 謙だるものを正義にみちびきたまはん その道をへりくだる者にしめしたまはん 019 PSA 025 010 ヱホバのもろもろの道はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり 019 PSA 025 011 わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまヘ 019 PSA 025 012 ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道をしめしたまはん 019 PSA 025 013 かかる人のたましひは平安にすまひ その裔はくにをつぐべし 019 PSA 025 014 ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契約をかれらに示したまはん 019 PSA 025 015 わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり 019 PSA 025 016 ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり 019 PSA 025 017 願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ 019 PSA 025 018 わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ 019 PSA 025 019 わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情なき憾をもてわれをにくめり 019 PSA 025 020 わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依頼めばなり 019 PSA 025 021 われなんぢを挨望むねがはくは完全と正直とわれをまもれかし 神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ 019 PSA 026 001 ダビデの歌 ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依頼めり 019 PSA 026 002 ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを錬きよめたまへ 019 PSA 026 003 そは汝のいつくしみわが眼前にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり 019 PSA 026 004 われは虚しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ 019 PSA 026 005 惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ 019 PSA 026 006 われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり 019 PSA 026 007 感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん 019 PSA 026 008 ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとどまる處とをいつくしむ 019 PSA 026 009 願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ 019 PSA 026 010 かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ 019 PSA 026 011 されどわれはわが完全によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ 019 PSA 026 012 わがあしは平坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん 019 PSA 027 001 ダビデの歌 ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや 019 PSA 027 002 われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり 019 PSA 027 003 縦ひいくさびと営をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戦ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり 019 PSA 027 004 われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ 019 PSA 027 005 ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巌のうへに我をたかく置たまふべければなり 019 PSA 027 006 今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歓喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん 019 PSA 027 007 わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ 019 PSA 027 008 なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖顔をたづねんといへり 019 PSA 027 009 ねがはくは御顔をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ 019 PSA 027 010 わが父母われをすつるともヱホバわれを迎へたまはん 019 PSA 027 011 ヱホバよなんぢの途をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途にみちびきたまへ 019 PSA 027 012 いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ 019 PSA 027 013 われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや 019 PSA 027 014 ヱホバを俟望ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ 019 PSA 028 001 ダビデの歌 ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗唖となりたまふなかれ なんぢ黙したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん 019 PSA 028 002 われ汝にむかひてさけび聖断の奥にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ 019 PSA 028 003 あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には残害をいだけり 019 PSA 028 004 その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與ヘこれにその受べきものを報いたまへ 019 PSA 028 005 かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん 019 PSA 028 006 ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをきいたまひたり 019 PSA 028 007 ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依頼みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん 019 PSA 028 008 ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり 019 PSA 028 009 なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懐きたすけたまへ 019 PSA 029 001 ダビデの歌 なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ 019 PSA 029 002 その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拝みまつれ 019 PSA 029 003 ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり 019 PSA 029 004 ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり 019 PSA 029 005 ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ 019 PSA 029 006 これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ 019 PSA 029 007 ヱホバのみこゑは火焔をわかつ 019 PSA 029 008 ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ 019 PSA 029 009 ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ 019 PSA 029 011 ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠に王なり ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平安をもてその民をさきはひたまはん 019 PSA 030 001 殿をささぐるときに謳へるダビデのうた ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり 019 PSA 030 002 わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり 019 PSA 030 003 ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき 019 PSA 030 004 ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ 019 PSA 030 005 その怒はただしばしにてその恵はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん 019 PSA 030 006 われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと 019 PSA 030 007 ヱホバよなんぢ恵をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり 019 PSA 030 008 ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり 019 PSA 030 009 われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや 019 PSA 030 010 ヱホバよ聴たまへ われを憐みたまヘ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ 019 PSA 030 011 なんぢ踴躍をもてわが哀哭にかへわが麁服をとき歓喜をもてわが帯としたまへり 019 PSA 030 012 われ榮をもてほめうたひつつ黙すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠になんぢに感謝せん 019 PSA 031 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ 019 PSA 031 002 なんぢの耳をかたぶけて速かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ 019 PSA 031 003 なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導きたまへ 019 PSA 031 004 なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり 019 PSA 031 005 われ霊魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり 019 PSA 031 006 われはいつはりの虚きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり 019 PSA 031 007 我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害をしり 019 PSA 031 008 われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり 019 PSA 031 009 われ迫りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 霊魂も身もまた衰へぬ 019 PSA 031 010 わが生命はかなしみによりて消えゆき わが年華はなげきによりて消ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり 019 PSA 031 011 われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避てのがる 019 PSA 031 012 われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり 019 PSA 031 013 そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり 019 PSA 031 014 されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり 019 PSA 031 015 わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追迫るものより助けいだしたまへ 019 PSA 031 016 なんぢの僕のうへに聖顔をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまヘ 019 PSA 031 017 ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ 019 PSA 031 018 傲慢と軽侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ 019 PSA 031 019 汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依頼むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな 019 PSA 031 020 汝かれらを御前なるひそかなる所にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん 019 PSA 031 021 讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顕したまへり 019 PSA 031 022 われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絶れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり 019 PSA 031 023 なんぢらもろもろの聖徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ 019 PSA 031 024 すべてヱホバを侯望むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ 019 PSA 032 001 ダビデの訓諭のうた その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり 019 PSA 032 002 不義をヱホバに負せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり 019 PSA 032 003 我いひあらはさざりしときは終日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり 019 PSA 032 004 なんぢの手はよるも昼もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれり (セラ) 019 PSA 032 005 斯てわれなんぢの前にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへり (セラ) 019 PSA 032 006 されば神をうやまふ者はなんぢに遇ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ 019 PSA 032 007 汝はわがかくるべき所なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはん (セラ) 019 PSA 032 008 われ汝ををしへ汝をあゆむべき途にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん 019 PSA 032 009 汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具をもてひきとめずば近づききたることなし 019 PSA 032 010 惡者はかなしみ多かれどヱホバに依頼むものは憐憫にてかこまれん 019 PSA 032 011 ただしき者よヱホバを喜びだのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし 019 PSA 033 001 ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適はしきなり 019 PSA 033 002 琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ 019 PSA 033 003 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歓喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ 019 PSA 033 004 ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり 019 PSA 033 005 ヱホバは義と公平とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ 019 PSA 033 006 もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり 019 PSA 033 007 ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ 019 PSA 033 008 全地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし 019 PSA 033 009 そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり 019 PSA 033 010 ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虚くし もろもろの民のおもひを徒労にしたまふ 019 PSA 033 011 ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ 019 PSA 033 012 ヱホバをおのが神とするはさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり 019 PSA 033 013 ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見 019 PSA 033 014 その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ 019 PSA 033 015 ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ 019 PSA 033 016 王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり 019 PSA 033 017 馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん 019 PSA 033 018 視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり 019 PSA 033 019 此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり 019 PSA 033 020 われらのたましひはヱホバを侯望めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり 019 PSA 033 021 われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん 019 PSA 033 022 ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ 019 PSA 034 001 ダビデ、アビメレクのまへにて狂へる状をなし逐れていでさりしときに作れるうた われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ 019 PSA 034 002 わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙だるものは之をききてよろこばん 019 PSA 034 003 われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん 019 PSA 034 004 われヱホバを尋ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり 019 PSA 034 005 かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし 019 PSA 034 006 この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり 019 PSA 034 007 ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに営をつらねてこれを援く 019 PSA 034 008 なんぢらヱホバの恩恵ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり 019 PSA 034 009 ヱホバの聖徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり 019 PSA 034 010 わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ 019 PSA 034 011 子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん 019 PSA 034 012 福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや 019 PSA 034 013 なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虚偽をいはざらしめよ 019 PSA 034 014 惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ 019 PSA 034 015 ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの号呼にかたぶく 019 PSA 034 016 ヱホバの聖顔はあくをなす者にむかひてその跡を地より断滅したまふ 019 PSA 034 017 義者さけびたれぱヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり 019 PSA 034 018 ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ 019 PSA 034 019 ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ 019 PSA 034 020 ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし 019 PSA 034 021 惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし 019 PSA 034 022 ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依頼むものは一人だにつみなはるることなからん 019 PSA 035 001 ダビデのうた ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戦ひたまへ 019 PSA 035 002 干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ 019 PSA 035 003 戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途をふさぎ且わが霊魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ 019 PSA 035 004 願くはわが霊魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退けられて惶てためかんことを 019 PSA 035 005 ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを 019 PSA 035 006 願くはかれらの途をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追ゆかしめたまはんことを 019 PSA 035 007 かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが霊魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり 019 PSA 035 008 願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを 019 PSA 035 009 然ときわが霊魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん 019 PSA 035 010 わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと 019 PSA 035 011 こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ 019 PSA 035 012 かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり 019 PSA 035 013 然どわれかれらが病しときには麁服をつけ糧をたちてわが霊魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり 019 PSA 035 014 わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり 019 PSA 035 015 然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき 019 PSA 035 016 かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて歯をかみならせり 019 PSA 035 017 主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ 019 PSA 035 018 われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん 019 PSA 035 019 虚偽をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ 019 PSA 035 020 かれらは平安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國内におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る 019 PSA 035 021 然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり 019 PSA 035 022 ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは黙したまふなかれ主よわれに遠ざかりたまふなかれ 019 PSA 035 023 わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判をなしわが訟ををさめたまへ 019 PSA 035 024 わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜をえしめたまふなかれ 019 PSA 035 025 かれらにその心裡にて ああここちよきかな観よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ 019 PSA 035 026 願くはわが害なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを 019 PSA 035 027 わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悦びたまふと恒にいはしめたまへ 019 PSA 035 028 わが舌は終日なんぢの義となんぢの誉とをかたらん 019 PSA 036 001 伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデのうた あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ 019 PSA 036 002 かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る 019 PSA 036 003 その口のことばは邪曲と虚偽となり智をこばみ善をおこなふことを息たり 019 PSA 036 004 かつその寝床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途にたちとまりて惡をきらはず 019 PSA 036 005 ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ 019 PSA 036 006 汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ 019 PSA 036 007 神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得 019 PSA 036 008 なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽ことをえん なんぢはその歓樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん 019 PSA 036 009 そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん 019 PSA 036 010 ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ 019 PSA 036 011 たかぶるものの足われをふみ惡きものの今われを逐去ふをゆるし給ふなかれ 019 PSA 036 012 邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起ことあたはざるべし 019 PSA 037 001 ダビデのうた 惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ 019 PSA 037 002 かれらはやがて草のごとくかりとられ青菜のごとく打萎るべければなり 019 PSA 037 003 ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとどまり眞實をもて糧とせよ 019 PSA 037 004 ヱホバによりて歓喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん 019 PSA 037 005 なんぢの途をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ 019 PSA 037 006 光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん 019 PSA 037 007 なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍びてこれを埃望め おのが途をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ 019 PSA 037 008 怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん 019 PSA 037 009 そは惡をおこなふものは断滅され ヱホバを埃望むものは國をつぐべければなり 019 PSA 037 010 あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん 019 PSA 037 011 されど謙だるものは國をつぎ また平安のゆたかなるを樂まん 019 PSA 037 012 惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切歯す 019 PSA 037 013 主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり 019 PSA 037 014 あしきものは釧をぬき弓をはりて苦しむものと貧しきものとをたふし行びなほきものを殺さんとせり 019 PSA 037 015 されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし 019 PSA 037 016 義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豊かなるにまされり 019 PSA 037 017 そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり 019 PSA 037 018 ヱホバは完全もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん 019 PSA 037 019 かれらは禍害にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん 019 PSA 037 020 あしき者ははろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消ゆかん 019 PSA 037 021 あしき者はものかりて償はず 義きものは恵ありて施しあたふ 019 PSA 037 022 神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は断滅さるべし 019 PSA 037 023 人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途をヱホバよろこびたまへり 019 PSA 037 024 縦ひその人たふるることありとも全くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへぱなり 019 PSA 037 025 われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし 019 PSA 037 026 ただしきものは終日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり 019 PSA 037 027 惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住居とこしへならん 019 PSA 037 028 ヱホバは公平をこのみ その聖徒をすてたまはざればなり かれらは永遠にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは断滅さるべし 019 PSA 037 029 ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん 019 PSA 037 030 ただしきものの口は智慧をかたり その舌は公平をのぶ 019 PSA 037 031 かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一歩だにすべることあらじ 019 PSA 037 032 あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる 019 PSA 037 033 ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判のときに罰ひたまふことなし 019 PSA 037 034 ヱホバを俟望みてその途をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん 019 PSA 037 035 我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし 019 PSA 037 036 然れどもかれは逝ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき 019 PSA 037 037 完人に目をそそぎ直人をみよ 和平なる人には後あれど 019 PSA 037 038 罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず断るべければなり 019 PSA 037 039 ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり 019 PSA 037 040 ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避所とすればなり 019 PSA 038 001 記念のためにつくれるダビデのうた ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給なかれ 019 PSA 038 002 なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり 019 PSA 038 003 なんぢの怒によりてわが肉には全きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし 019 PSA 038 004 わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負がたけれぱなり 019 PSA 038 005 われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり 019 PSA 038 006 われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終日かなしみありく 019 PSA 038 007 わが腰はことごとく焼るがごとく肉に全きところなければなり 019 PSA 038 008 我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやずからざるによりて欷歔さけべり 019 PSA 038 009 ああ主よわがすべての願望はなんぢの前にあり わが嘆息はなんぢに隠るることなし 019 PSA 038 010 わが胸をどりわが力おとろへ わが限のひかりも亦われをはなれたり 019 PSA 038 011 わが女わが親めるものはわが痍をみて遥にたち わが隣もまた遠かりてたてり 019 PSA 038 012 わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終目たばかりを謀る 019 PSA 038 013 然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ唖者のごとし 019 PSA 038 014 如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり 019 PSA 038 015 ヱホバよ我なんぢを俟望めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり 019 PSA 038 016 われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと 019 PSA 038 017 われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前にあり 019 PSA 038 018 そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり 019 PSA 038 019 わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし 019 PSA 038 020 惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり 019 PSA 038 021 ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠かりたまふなかれ 019 PSA 038 022 主わがすくひよ速きたりて我をたすけたまへ 019 PSA 039 001 伶長エドトンにうたはしめたるダビデのうた われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと 019 PSA 039 002 われ黙して唖となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり 019 PSA 039 003 わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく 019 PSA 039 004 ヱホバよ願くはわが終とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ 019 PSA 039 005 観よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなし (セラ) 019 PSA 039 006 人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄るものはたが手にをさまるをしらず 019 PSA 039 007 主よわれ今なにをかまたん わが望はなんぢにあり 019 PSA 039 008 ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ 019 PSA 039 009 われは黙して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なれぱなり 019 PSA 039 010 願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ 019 PSA 039 011 なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなし (セラ) 019 PSA 039 012 ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが涙をみて黙したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列組のごとく宿れるものなり 019 PSA 039 013 我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ 019 PSA 040 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた 我たへしのびてヱホバを俟望みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり 019 PSA 040 002 また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが歩をかたくしたまへり 019 PSA 040 003 ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり 多くの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん 019 PSA 040 004 ヱホバをおのが頼となし高るものによらず虚偽にかたぶく者によらざる人はさいはひなり 019 PSA 040 005 わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず 019 PSA 040 006 なんぢ犠牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず 019 PSA 040 007 そのとき我いへらく 観よわれきたらんわがことを書の巻にしるしたり 019 PSA 040 008 わが神よわれは聖意にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと 019 PSA 040 009 われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ 019 PSA 040 010 われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞理となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき 019 PSA 040 011 ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ 019 PSA 040 012 そはかぞへがたき禍害われをかこみ わが不義われに追及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髪にもまさり わが心きえうするばかりなればなり 019 PSA 040 013 ヱホバよ願くはわれをすくひたまヘ ヱホバよ急ぎきたりて我をたすけたまへ 019 PSA 040 014 願くはわが霊魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを 019 PSA 040 015 われにむかひてああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを 019 PSA 040 016 願くはなんぢを尋求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを 019 PSA 040 017 われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ 019 PSA 041 001 うたのかみに謳はしめたるダビデのうた よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん 019 PSA 041 002 ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ 019 PSA 041 003 ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん 019 PSA 041 004 我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと 019 PSA 041 005 わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと 019 PSA 041 006 かれ又われを見んとてきたるときは虚偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ 019 PSA 041 007 すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る 019 PSA 041 008 かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたたび起ることなからんと 019 PSA 041 009 わが侍みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり 019 PSA 041 010 然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん 019 PSA 041 011 わが仇われに打勝てよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛いつくしみたまふを我しりぬ 019 PSA 041 012 わが事をいはば なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ 019 PSA 041 013 イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメンアーメン 019 PSA 042 001 伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌 ああ神よしかの渓水をしたひ喘ぐがごとく わが霊魂もなんぢをしたひあえぐなり 019 PSA 042 002 わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん 019 PSA 042 003 かれらが終日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが涙のみ昼夜そそぎてわが糧なりき 019 PSA 042 004 われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歓喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり 019 PSA 042 005 ああわが霊魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔のたすけありて我なほわが神をめたたふべければなり 019 PSA 042 006 わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ 019 PSA 042 007 なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり 019 PSA 042 008 然はあれど昼はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり 019 PSA 042 009 われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや 019 PSA 042 010 わが骨もくだくるぼかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくに心りやといひののしりつつ我をそしれり 019 PSA 042 011 ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尚わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり 019 PSA 043 001 神よねがはくは我をさばき 情しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭詐おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ 019 PSA 043 002 なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐によりてかなしみありくや 019 PSA 043 003 願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖山とその帷幄とにゆかしめたまへ 019 PSA 043 004 さらばわれ神の祭壇にゆき又わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん 019 PSA 043 005 ああわが霊魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり 019 PSA 044 001 伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌 ああ神よむかしわれらの列組の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列組われらに語れり 019 PSA 044 002 なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列組をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列組をはびこらせたまひき 019 PSA 044 003 かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを恵みたまひたればなり 019 PSA 044 004 神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ 019 PSA 044 005 われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし 019 PSA 044 006 そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざれぱなり 019 PSA 044 007 なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり 019 PSA 044 008 われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠になんぢの名に感謝せん (セラ) 019 PSA 044 009 しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず 019 PSA 044 010 われらを敵のまへより退かしめたまへり われらを惡むものその任意にわれらを掠めうばへり 019 PSA 044 011 なんぢわれらを食にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし 019 PSA 044 012 得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき 019 PSA 044 013 汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり 019 PSA 044 014 又もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり 019 PSA 044 015 わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり 019 PSA 044 016 こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり 019 PSA 044 017 これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契約をいつはりまもらざりき 019 PSA 044 018 われらの心しりぞかずわれらの歩履なんぢの道をはなれず 019 PSA 044 019 然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり 019 PSA 044 020 われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには 019 PSA 044 021 神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隠れたることをも知たまふ 019 PSA 044 022 われらは終日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり 019 PSA 044 023 主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ 019 PSA 044 024 いかなれば聖顔をかくしてわれらがうくる苦難と虐待とをわすれたまふや 019 PSA 044 025 われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり 019 PSA 044 026 ねがはくは起てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ 019 PSA 045 001 百合花のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のをしへのうた 愛のうた わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり 019 PSA 045 002 なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり 019 PSA 045 003 英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし 019 PSA 045 004 なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝をえて乗すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん 019 PSA 045 005 なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる 019 PSA 045 006 神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平のつゑなり 019 PSA 045 007 なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり 019 PSA 045 008 なんぢの衣はみな没薬蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の昔ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこぱしめたり 019 PSA 045 009 なんぢがたふとき婦のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ 019 PSA 045 010 女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父の家とをわすれよ 019 PSA 045 011 さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拝め 019 PSA 045 012 ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの恵をこひもとめん 019 PSA 045 013 王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり 019 PSA 045 014 かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん 019 PSA 045 015 かれらは歓喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん 019 PSA 045 016 なんぢの子らは列組にかはりてたち なんぢはこれを全地に君となさん 019 PSA 045 017 我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし 019 PSA 046 001 女音のしらべにしたがひて伶長にうたはしめたるコラの子のうた 神はわれらの避所また力なりなやめるときの最ちかき助なり 019 PSA 046 002 さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ 019 PSA 046 003 よしその水はなりとどろきてさわぐともその溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらん (セラ) 019 PSA 046 004 河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ 019 PSA 046 005 神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝つとにこれを助けたまはん 019 PSA 046 006 もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その馨をいだしたまへば地はやがてとけぬ 019 PSA 046 007 萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なり (セラ) 019 PSA 046 008 きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり 019 PSA 046 009 ヱホバは他のはてまでも戦闘をやめしめ弓ををり戈をたち戦車を火にてやきたまふ 019 PSA 046 010 汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全地にあがめらるべし 019 PSA 046 011 萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなり (セラ) 019 PSA 047 001 伶長にうたはしめたるコラの子のうた もろもろのたみよ手をうち歓喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ 019 PSA 047 002 いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめず大なる王にてましませばなり 019 PSA 047 003 ヱホバはもろもろの民をわれらに服はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ 019 PSA 047 004 又そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選びたまはん (セラ) 019 PSA 047 005 神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり 019 PSA 047 006 ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ 019 PSA 047 007 かみは地にあまねく王なればなり 教訓のうたをうたひてほめよ 019 PSA 047 008 神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ 019 PSA 047 009 もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 他のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし 019 PSA 048 001 コラの子のうたなり讃美なり ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし 019 PSA 048 002 シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悦を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり 019 PSA 048 003 そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり 019 PSA 048 004 みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ 019 PSA 048 005 かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり 019 PSA 048 006 戦慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦のごとし 019 PSA 048 007 なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ 019 PSA 048 008 曩にわれらが聞しごとく今われらは萬車のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはん (セラ) 019 PSA 048 009 神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり 019 PSA 048 010 神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り 019 PSA 048 011 なんぢのもろもろの審判によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし 019 PSA 048 013 シオンの周圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり 019 PSA 048 014 そはこの神はいや遠長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん 019 PSA 049 001 伶長にうたはしめたるコラの子のうた 019 PSA 049 002 もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ 019 PSA 049 003 わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん 019 PSA 049 004 われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん 019 PSA 049 005 わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの口もいかで懼るることあらんや 019 PSA 049 006 おのが富をたのみ財おほきを誇るもの 019 PSA 049 007 たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ 019 PSA 049 009 之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり) 019 PSA 049 010 そは智きものも死 おろかものも獣心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり 019 PSA 049 011 かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり 019 PSA 049 012 されど人は譽のなかに永くとどまらず亡びうする獣のごとし 019 PSA 049 013 斯のごときは愚かなるものの途なり 然はあれど後人はその言をよしとせん (セラ) 019 PSA 049 014 かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし 019 PSA 049 015 されど神われを接たまふべければわが霊魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはん (セラ) 019 PSA 049 016 人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ 019 PSA 049 017 かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり 019 PSA 049 018 かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも 019 PSA 049 019 なんぢ列組の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし 019 PSA 049 020 尊貴なかにありて暁らざる人はほろびうする獣のごとし 019 PSA 050 001 アサフのうた ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり 019 PSA 050 002 かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり 019 PSA 050 003 われらの神はきたりて黙したまはじ火その前にものをやきつくし暴風その四周にふきあれん 019 PSA 050 004 神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり 019 PSA 050 005 いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖徒をわがもとに集めよと 019 PSA 050 006 もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなり (セラ) 019 PSA 050 007 わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり 019 PSA 050 008 わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前にあり 019 PSA 050 009 我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず 019 PSA 050 010 林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり 019 PSA 050 011 われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獣はみなわがものなり 019 PSA 050 012 世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縦ひわれ飢るともなんぢに告じ 019 PSA 050 013 われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや 019 PSA 050 014 感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ 019 PSA 050 015 なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし 019 PSA 050 017 然はあれど神あしきものに言給く なんぢは教をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや 019 PSA 050 018 なんぢ盗人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴侶となれり 019 PSA 050 019 なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は脆計をくみなせり 019 PSA 050 020 なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり 019 PSA 050 021 汝これらの事をなししをわれ黙しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前につらぬべし 019 PSA 050 022 神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ 019 PSA 050 023 感謝のそなへものを献るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん 019 PSA 051 001 ダビデがバテセバにかよひしのち預言者ナタンの來れるときよみて伶長にうたはしめたる歌 ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ 019 PSA 051 002 わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ 019 PSA 051 003 われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前にあり 019 PSA 051 004 我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖前にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ 019 PSA 051 005 視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき 019 PSA 051 006 なんぢ眞実をこころの衷にまでのぞみ わが隠れたるところに智慧をしらしめ給はん 019 PSA 051 007 なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ浄まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪よりも白からん 019 PSA 051 008 なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが砕きし骨をよろこばせたまへ 019 PSA 051 009 ねがはくは聖顔をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ 019 PSA 051 010 ああ神よわがために清心をつくり わが衷になほき霊をあらたにおこしたまへ 019 PSA 051 011 われを聖前より棄たまふなかれ 汝のきよき霊をわれより取りたまふなかれ 019 PSA 051 012 なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の霊をあたへて我をたもちたまへ 019 PSA 051 013 さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途ををしへん罪人はなんぢに婦りきたるべし 019 PSA 051 014 神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん 019 PSA 051 015 主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん 019 PSA 051 016 なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悦びたまはず 019 PSA 051 017 神のもとめたまふ祭物はくだけたる霊魂なり 神よなんぢは砕けたる悔しこころを藐しめたまふまじ 019 PSA 051 018 ねがはくは聖意にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ 019 PSA 051 019 その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全きはんさいとを悦びたまはん かくて人汝なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし 019 PSA 052 001 エドム人ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの家にきぬと告しときダビデがよみて伶長にうたはしめたる教訓のうた 猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり 019 PSA 052 002 なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ 019 PSA 052 003 なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虚偽をいふをこのむ (セラ) 019 PSA 052 004 たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ 019 PSA 052 005 されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはん (セラ) 019 PSA 052 006 義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん 019 PSA 052 007 神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと 019 PSA 052 008 然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依頼まん 019 PSA 052 009 なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖徒のまへにて聖名をまちのぞまん こは宜しきことなれぱなり 019 PSA 053 001 マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの教訓のうた 愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし 019 PSA 053 002 神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに 019 PSA 053 003 みな退ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし 019 PSA 053 004 不義をおこなふものは知見なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり 019 PSA 053 005 かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて営をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり 019 PSA 053 006 願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん 019 PSA 054 001 ジフ人のサウルにきたりてダビデはわれらの處にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた 神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ 019 PSA 054 002 神よわ祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ 019 PSA 054 003 そは外人はわれにさからひて起りたち強暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前におかざりき (セラ) 019 PSA 054 004 みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり 019 PSA 054 005 主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ 019 PSA 054 006 我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり 019 PSA 054 007 そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望をみたり 019 PSA 055 001 ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる教訓のうた 神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ 019 PSA 055 002 われに聖意をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり 019 PSA 055 003 これ仇のこゑと惡きものの暴虐とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負せ いきどほりて我におひせまるなり 019 PSA 055 004 わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり 019 PSA 055 005 おそれと戦慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり 019 PSA 055 006 われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平安をえん 019 PSA 055 007 みよ我はるかにのがれさりて野にすまん (セラ) 019 PSA 055 008 われ速かにのがれて暴風と狂風とをはなれん 019 PSA 055 009 われ都のうちに強暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ 019 PSA 055 010 彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり 019 PSA 055 011 また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし 019 PSA 055 012 われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尚しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨みたりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし 019 PSA 055 013 されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり 019 PSA 055 014 われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき 019 PSA 055 015 死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その往處にありその中にあればなり 019 PSA 055 016 されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし 019 PSA 055 017 夕にあしたに昼にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし 019 PSA 055 018 ヱホバは我をせむる戦闘よりわが霊魂をあがなひいだして平安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり 019 PSA 055 019 太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべし (セラ) かれらには変ることなく神をおそるることなし 019 PSA 055 020 かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契約をけがしたり 019 PSA 055 021 その口はなめらかにして乳酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず 019 PSA 055 022 なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ 019 PSA 055 023 かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん 019 PSA 056 001 ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て「遠きところにをる音をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たたかひて我をしへたぐ 019 PSA 056 002 わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし 019 PSA 056 003 われおそるるときは汝によりたのまん 019 PSA 056 004 われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依頼みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや 019 PSA 056 005 かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす 019 PSA 056 006 かれらは群つどひて身をひそめ わが歩に目をとめてわが霊魂をうかがひもとむ 019 PSA 056 007 かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ 019 PSA 056 008 汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革曩にわが涙をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや 019 PSA 056 009 わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る 019 PSA 056 010 われ神によりてその聖言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん 019 PSA 056 011 われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや 019 PSA 056 012 神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん 019 PSA 056 013 汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや 019 PSA 057 001 ダビデが洞にいりてサウルの手をのがれしとき詠て「ほろぼすなかれ」にといふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた 我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂はなんぢを避所とす われ禍害のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避所とせん 019 PSA 057 002 我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん 019 PSA 057 003 神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはん (セラ) 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん 019 PSA 057 004 わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ 019 PSA 057 005 神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに挙たまへ 019 PSA 057 006 かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが霊魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれり (セラ) 019 PSA 057 007 わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん 019 PSA 057 008 わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん 019 PSA 057 009 主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん 019 PSA 057 010 そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる 019 PSA 057 011 神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに挙たまへ 019 PSA 058 001 ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた なんぢら黙しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判をおこなふや 019 PSA 058 002 否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の強暴をこの地にはかりいだすなり 019 PSA 058 003 あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷ひていつはりをいふ 019 PSA 058 005 かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし 019 PSA 058 006 神よかれらの口の歯ををりたまヘ ヱホバよ壮獅の牙をぬきくだきたまへ 019 PSA 058 007 願くはかれらを流れゆく水のごとくに消失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを 019 PSA 058 008 また融てきえゆく蝸牛のごとく婦のときならず産たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ 019 PSA 058 009 なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに青をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん 019 PSA 058 010 義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん 019 PSA 058 011 かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと 019 PSA 059 001 サウル、ダビデを殺さんとし人をおくりてその家をうかがはしめし時ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起立つものより脱かれしめたまへ 019 PSA 059 002 邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ 019 PSA 059 003 視よかれらは潜みかくれてわが霊魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず 019 PSA 059 004 かれら趨りまはりて過失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ 019 PSA 059 005 なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれ (セラ) 019 PSA 059 006 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく 019 PSA 059 007 視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと 019 PSA 059 008 されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん 019 PSA 059 009 わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり 019 PSA 059 010 憐憫をたまふ神はわれを迎へたまはん 神はわが仇につきての願望をわれに見させたまはん 019 PSA 059 011 願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ 019 PSA 059 012 かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虚偽とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ 019 PSA 059 013 忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまヘ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまヘ (セラ) 019 PSA 059 014 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし 019 PSA 059 015 かれらはゆききして食物をあさり もし飽ことなくば終夜とどまれり 019 PSA 059 016 されど我はなんぢの大能をうたひ清晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避所となりたまひたればなり 019 PSA 059 017 わがちからよ我なんぢにむかひて頌辞をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり 019 PSA 060 001 ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき塩谷にてエドム人一萬二千をころししとき教訓をなさんとてダビデがよみて「證詞の百合花」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ 019 PSA 060 002 なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり 019 PSA 060 003 なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり 019 PSA 060 004 なんぢ眞理のために挙しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへり (セラ) 019 PSA 060 005 ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ 019 PSA 060 006 神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん 019 PSA 060 007 ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖 019 PSA 060 008 モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ベリシテよわが故によりて聲をあげよと 019 PSA 060 009 たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか 019 PSA 060 010 神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず 019 PSA 060 011 ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり 019 PSA 060 012 われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり 019 PSA 061 001 琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ 019 PSA 061 002 わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ 019 PSA 061 003 なんぢはわが避所われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり 019 PSA 061 004 われ永遠になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれん (セラ) 019 PSA 061 005 神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり 019 PSA 061 006 なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん 019 PSA 061 007 王はとこしへに神のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ 019 PSA 061 008 さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん 019 PSA 062 001 エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるダビデのうた わがたましひは黙してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり 019 PSA 062 002 神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ 019 PSA 062 003 なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく揺ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか 019 PSA 062 004 かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふ (セラ) 019 PSA 062 005 わがたましひよ黙してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ 019 PSA 062 006 神こそはわが磐わがすくひなれ 又わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ 019 PSA 062 007 わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり 019 PSA 062 008 民よいかなる時にも神によりたのめ その前になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避所なり (セラ) 019 PSA 062 009 實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虚しきものよりも軽きなり 019 PSA 062 010 暴虐をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ 019 PSA 062 011 ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり 019 PSA 062 012 ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり 019 PSA 063 001 ユダの野にありしときに詠るダビデのうた ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが霊魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ 019 PSA 063 002 曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき 019 PSA 063 003 なんぢの仁慈はいのちにも勝れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん 019 PSA 063 004 斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん 019 PSA 063 006 われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髄と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん 019 PSA 063 007 そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん 019 PSA 063 008 わがたましひはなんぢを慕追ふ みぎの手はわれを支ふるなり 019 PSA 063 009 然どわがたましひを滅さんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき 019 PSA 063 010 又つるぎの刃にわたされ野犬の獲るところとなるべし 019 PSA 063 011 しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虚偽をいふものの口はふさがるべければなり 019 PSA 064 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた 神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ 019 PSA 064 002 ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ 019 PSA 064 003 かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち隠れたるところにて全者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし 019 PSA 064 004 また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと 019 PSA 064 005 かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし 019 PSA 064 007 然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん 019 PSA 064 008 斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂にかれらは蹟かん これを見るものみな逃れさるべし 019 PSA 064 009 もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし 019 PSA 064 010 義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん 019 PSA 065 001 伶長にうたはしめたる歌ダビデの讃美なり ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん 019 PSA 065 002 祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん 019 PSA 065 003 不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん 019 PSA 065 004 汝にえらぱれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽ことをえん 019 PSA 065 005 われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん 019 PSA 065 006 かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ 019 PSA 065 007 海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎮めたまへり 019 PSA 065 008 されば極遠にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ 019 PSA 065 009 なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり 019 PSA 065 010 なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し 019 PSA 065 011 また恩恵をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途には膏したたれり 019 PSA 065 012 その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歎びにかこまる 019 PSA 065 013 牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ 019 PSA 066 001 伶長にうたはしめたる讃美なり 歌なり 全地よ神にむかひて歓びよばはれ 019 PSA 066 002 その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ 019 PSA 066 003 かみに告まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ 019 PSA 066 004 全地はなんぢを拝みてうたひ名をほめうたはんと (セラ) 019 PSA 066 005 來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな 019 PSA 066 006 神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと歩行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり 019 PSA 066 007 神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからず (セラ) 019 PSA 066 008 もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ 019 PSA 066 009 神はわれらの霊魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず 019 PSA 066 010 神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを錬たまひたればなり 019 PSA 066 011 汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき 019 PSA 066 012 人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豊盛なる處にいたらしめたまへり 019 PSA 066 014 われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん 019 PSA 066 015 われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらん (セラ) 019 PSA 066 016 神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん 019 PSA 066 017 われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ 019 PSA 066 018 然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ 019 PSA 066 019 されどまことに神はききたまへり聖意をわがいのりの聲にとめたまへり 019 PSA 066 020 神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき 019 PSA 067 001 琴にあはせて伶長にうたはしめたる歌なり 讃美なり ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔をわれらのうへに照したまはんことを (セラ) 019 PSA 067 002 此はなんぢの途のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり 019 PSA 067 003 かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん 019 PSA 067 004 もろもろの國はたのしみ又よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなり (セラ) 019 PSA 067 005 神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん 019 PSA 067 006 地は産物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん 019 PSA 067 007 神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん 019 PSA 068 001 伶長にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美なり ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前よりにげさらんことを 019 PSA 068 002 烟のおひやらるるごとくかれらを駆逐たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし 019 PSA 068 003 されど義きものには歓喜あり かれら神の前にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ぱん 019 PSA 068 004 神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乗て野をすぐる者のために大道をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前によろこびをどれ 019 PSA 068 005 きよき住居にまします神はみなしごの父やもめの審士なり 019 PSA 068 006 神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆者はうるほひなき地にすめり 019 PSA 068 007 神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひき (セラ) 019 PSA 068 008 そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前にふるひうごけり 019 PSA 068 009 神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豊かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり 019 PSA 068 010 襄になんぢの公會はその中にとどまれり 神よなんぢは恵をもて貧きもののために預備をなしたまひき 019 PSA 068 011 主みことばを賜ふ その佳音をのぶる婦女はおほくして群をなせり 019 PSA 068 012 もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃去りたれば家なる婦女はその掠物をわかつ 019 PSA 068 013 なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし 019 PSA 068 014 全能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪ふりたるがごとくなりき 019 PSA 068 015 バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり 019 PSA 068 016 峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住所にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠にこの山にすみたまはん 019 PSA 068 017 神の戦車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖所にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし 019 PSA 068 018 なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ礼物を人のなかよりも叛逆者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住たまはんが爲なり 019 PSA 068 019 日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかな (セラ) 019 PSA 068 020 神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る 019 PSA 068 021 神はその仇のかうべを撃やぶりたまはん 愆のなかにとどまるものの髪おほき顱頂をうちやぶりたまはん 019 PSA 068 022 主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所よりたづさへ歸らん 019 PSA 068 023 斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん 019 PSA 068 024 神よすべての人はなんぢの進行きたまふをみたり わが神わが王の聖所にすすみゆきたまふを見たり 019 PSA 068 025 鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前にゆき琴ひくものは後にしたがへり 019 PSA 068 026 なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ 019 PSA 068 027 彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり 019 PSA 068 028 なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ 019 PSA 068 029 ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに礼物をささげん 019 PSA 068 030 ねがはくは葦間の獣むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服ことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり 019 PSA 068 031 諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん 019 PSA 068 032 地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたヘ (セラ) 019 PSA 068 033 上古よりの天の天にのりたま者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを発したまふ勢力ある聲をいだしたまふ 019 PSA 068 034 なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとどまり その大能は雲のなかにあり 019 PSA 068 035 神のおそるべき状はきよき所よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢カとをあたへたまふ 神はほむべきかな 019 PSA 069 001 百合花にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた 神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり 019 PSA 069 002 われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ 019 PSA 069 003 われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ 019 PSA 069 004 故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髪よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも價はせらる 019 PSA 069 005 神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり 019 PSA 069 006 萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるることなからしめたまヘ イスラエルの神よねがはくはなんぢを求むる者をわが故によりて恥をおはしめらるることなからしめたまへ 019 PSA 069 007 我はなんぢのために謗をおひ恥はわが面をおほひたればなり 019 PSA 069 008 われわが兄弟には旅人のごとく わが母の子には外人のごとくなれり 019 PSA 069 009 そはなんぢの家をおもふ熱心われをくらひ汝をそしるものの謗われにおよべり 019 PSA 069 010 われ涙をながして食をたち わが霊魂をなげかすれば反てこれによりて謗をうく 019 PSA 069 011 われ麁布をころもとなししにかれらが諺語となりぬ 019 PSA 069 012 門にすわる者はわがうへをかたる われは酔狂たるものに謳ひはやされたり 019 PSA 069 013 然はあれどヱホバよわれは恵のときに汝にいのる ねがはくは神よなんぢの憐憫のおほきによりて汝のすくひの眞實をもて我にこたへたまへ 019 PSA 069 014 ねがはくは泥のなかより我をたすけいだして沈まざらしめたまへ 我をにくむものより深水よりたすけいだしたまへ 019 PSA 069 015 大水われを淹ふことなく淵われをのむことなく坑その口をわがうへに閉ることなからしめたまヘ 019 PSA 069 016 ヱホバよねがはくは我にこたへたまへ なんぢの仁慈うるはしければなり なんぢの憐憫はおほしわれに歸りきたりたまへ 019 PSA 069 017 面をなんぢの僕にかくしたまふなかれ われ迫りくるしめり ねがはくは速かに我にこたへたまへ 019 PSA 069 018 わがたましひに近くよりて之をあがなひわが仇のゆゑに我をすくひたまへ 019 PSA 069 019 汝はわがうくる謗とはぢと侮辱とをしりたまへり わが敵はみな汝のみまへにあり 019 PSA 069 020 譭謗わが心をくだきぬれば我いたくわづらへり 019 PSA 069 021 われ憐憫をあたふる者をまちたれど一人だになく慰むるものを俟たれど一人をもみざりき かれら苦草をわがくひものにあたへ わが渇けるときに醋をのませたり 019 PSA 069 022 ねがはくは彼等のまへなる筳は網となり そのたのむ安逸はつひに羂となれ 019 PSA 069 023 その目をくらくして見しめず その腰をつねにふるはしめたまへ 019 PSA 069 024 願くはなんぢの忿恚をかれらのうへにそそぎ汝のいかりの猛烈をかれらに追及せたまへ 019 PSA 069 025 かれらの屋をむなしくせよ その幕屋に人をすまはするなかれ 019 PSA 069 026 かれらはなんぢが撃たまひたる者をせめ なんぢが傷けたまひたるものの痛をかたりふるればなり 019 PSA 069 027 ねがはくはれらの不義に不義をくはへてなんぢの義にあづからせ給ふなかれ 019 PSA 069 028 かれらを生命の册よりけして義きものとともに記さるることなからしめたまへ 019 PSA 069 029 斯てわれはくるしみ且うれひあり 神よねがはくはなんぢの救われを高處におかんことを 019 PSA 069 030 われ歌をもて神の名をほめたたへ 感謝をもて神をあがめまつらん 019 PSA 069 031 此はをうしまたは角と蹄とある力つよき牡牛にまさりてヱホバよろこびたまはん 019 PSA 069 032 謙遜者はこれを見てよろこべり 神をしたふ者よなんぢらの心はいくべし 019 PSA 069 033 ヱホバは乏しきものの聲をきき その俘囚をかろしめたまはざればなり 019 PSA 069 034 天地はヱホバをほめ蒼海とその中にうごくあらゆるものとはヱホバを讃まつるべし 019 PSA 069 035 神はシオンをすくひユダのもろもろの邑を建たまふべけれぱなり かれらは其處にすみ且これをおのが有とせん 019 PSA 069 036 その僕のすゑも亦これを嗣その名をいつくしむ者その中にすまん 019 PSA 070 001 伶長にうたはしめたるダビデが記念のうた 神よねがはくは我をすくひたまヘ ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ 019 PSA 070 002 わが霊魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害はるるをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを 019 PSA 070 003 ああ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを 019 PSA 070 004 すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを 019 PSA 070 005 われは苦しみ且ともし神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ 019 PSA 071 001 ヱホバよ我なんぢに依頼む ねがはくは何の日までも恥うくることなからしめ給へ 019 PSA 071 002 なんぢの義をもて我をたすけ我をまぬかれしめたまへ なんぢの耳をわれに傾けて我をすくひたまへ 019 PSA 071 003 ねがはくは汝わがすまひの磐となりたまへ われ恒にそのところに往ことを得ん なんぢ我をすくはんとて勅命をいだしたまへり そは汝はわが磐わが城なり 019 PSA 071 004 わが神よあしきものの手より不義残忍なる人のてより 我をまぬかれしめたまへ 019 PSA 071 005 主ヱホバよなんぢはわが望なり わが幼少よりの恃なり 019 PSA 071 006 われ胎をはなるるより汝にまもられ母の腹にありしときより汝にめぐまれたり 我つねに汝をほめたたへん 019 PSA 071 007 我おほくの人にあやしまるるごとき者となれり 然どなんぢはわが堅固なる避所なり 019 PSA 071 008 なんぢの頌辭となんぢの頌美とは終日わが口にみちん 019 PSA 071 009 わが年老ぬるとき我をすてたまふなかれ わが力おとろふるとき我をはなれたまなかれ 019 PSA 071 010 わが仇はわがことを論ら ひわが霊魂をうかがふ者はたがひに議ていふ 019 PSA 071 011 神かれを離れたり彼をたすくる者なし かれを追てとらへよと 019 PSA 071 012 神よわれに遠ざかりたまふなかれ わが神よとく來りて我をたすけたまへ 019 PSA 071 013 わがたましひの敵ははぢ且おとろへ我をそこなはんとするものは謗と辱とにおほはれよ 019 PSA 071 014 されど我はたえず望をいだきていやますます汝をほめたたへん 019 PSA 071 015 わが口はひねらす汝の義となんぢの救とをかたらん われその數をしらざればなり 019 PSA 071 016 われは主ヱホバの大能の事跡をたづさへゆかん われは只なんぢの義のみをかたらん 019 PSA 071 017 神よなんぢわれを幼少より教へたまへり われ今にいたるまで汝のくすしき事跡をのべつたへたり 019 PSA 071 018 神よねがはくはわれ老て頭髪しろくなるとも我がなんぢの力を次代にのべつたへ なんぢの大能を世にうまれいづる凡のものに宜傅ふるまで我をはなれ給ふなかれ 019 PSA 071 019 神よなんぢの義もまた甚たかし なんぢは大なることをなしたまへり 神よたれか汝にひとしき者あらんや 019 PSA 071 020 汝われらを多のおもき苦難にあはせたまへり なんぢ再びわれらを活しわれらを地の深所よりあげたまはん 019 PSA 071 021 ねがはくは我をいよいよ大ならしめ歸りきたりて我をなぐさめ給へ 019 PSA 071 022 わが神よさらばわれ筝をもて汝をほめ なんぢの眞實をほめたたへん イスラエルの聖者よわれ琴をもてなんぢを讃うたはん 019 PSA 071 023 われ聖前にうたときわが口唇よろこびなんぢの贖ひたまへるわが霊魂おほいに喜ばん 019 PSA 071 024 わが舌もまた終日なんぢの義をかたらん われを害はんとするもの愧惶つればなり 019 PSA 072 001 ソロモンのうた 神よねがはくは汝のもろもろの審判を王にあたへ なんぢの義をわうの子にあたへたまへ 019 PSA 072 002 かれは義をもてなんぢの民をさばき公平をもて苦しむものを鞫かん 019 PSA 072 003 義によりて山と岡とは民に平康をあたふべし 019 PSA 072 004 かれは民のくるしむ者のために審判をなし乏しきものの子輩をすくひ虐ぐるものを壊きたまはん 019 PSA 072 005 かれらは日と月とのあらんかぎり世々おしなべて汝をおそるべし 019 PSA 072 006 かれは苅とれる牧にふる雨のごとく地をうるほす白雨のごとくのぞまん 019 PSA 072 007 かれの世にただしき者はさかえ平和は月のうするまで豊かならん 019 PSA 072 008 またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし 019 PSA 072 009 野にをる者はそのまへに屈み そり仇は塵をなめん 019 PSA 072 010 タルシシおよび島々の王たちは貢ををさめ之シバとセバの王たちは礼物をささげん 019 PSA 072 011 もろもろの王はそのまへに俯伏し もろもろの國はかれにつかへん 019 PSA 072 012 かれは乏しき者をその叫ぶときにすくひ 助けなき苦しむ者をたすけ 019 PSA 072 013 弱きものと乏しき者とをあはれみ乏しきものの霊魂をすくひ 019 PSA 072 014 かれらのたましひを暴虐と強暴とよりあがなひたまふ その血はみまへに貴かるべし 019 PSA 072 015 かれらは有ふべし 人はシバの黄金をささげてかれのために恒にいのり終日かれをいははん 019 PSA 072 016 國のうち五穀ゆたかにしてその實はレバノンのごとく山のいただきにそよぎ 邑の人々は地の草のごとく榮ゆべし 019 PSA 072 017 かれの名はつねにたえず かれの名は日の久しきごとくに絶ることなし 人はかれによりて福祉をえん もろもろの國はかれをさいはひなる者ととなへん 019 PSA 072 018 ただイスラエルの神のみ奇しき事跡をなしたまへり 神ヱホバはほむべきかな 019 PSA 072 019 その榮光の名はよよにほむべきかな全地はその榮光にて満べしアーメン アーメン 019 PSA 072 020 ヱッサイの子ダビデの祈はをはりぬ 019 PSA 073 001 アサフのうた 神はイスラエルにむかひ心のきよきものに對ひてまことに恵あり 019 PSA 073 002 然はあれどわれはわが足つまづくばかりわが歩すべるばかりにてありき 019 PSA 073 003 こはわれ惡きものの榮ゆるを見てその誇れる者をねたみしによる 019 PSA 073 004 かれらは死るに苦しみなくそのちからは反てかたし 019 PSA 073 005 かれらは人のごとく憂にをらず人のごとく患難にあふことなし 019 PSA 073 006 このゆゑに倣慢は妝飾のごとくその頚をめぐり強暴はころものごとく彼等をおほへり 019 PSA 073 007 かれら肥ふとりてその目とびいで心の欲にまさりて物をうるなり 019 PSA 073 008 また嘲笑をなし惡をもて暴虐のことばをいだし高ぶりてものいふ 019 PSA 073 009 その口を天におきその舌を地にあまねく往しむ 019 PSA 073 010 このゆゑにかれの民はここにかへり水のみちたる杯をしぼりいだして 019 PSA 073 011 いへらく神いかで知たまはんや至上者に知識あらんやと 019 PSA 073 012 観よかれらは惡きものなるに常にやすらかにしてその富ましくははれり 019 PSA 073 013 誠に我はいたづらに心をきよめ罪ををかさずして手をあらひたり 019 PSA 073 014 そはわれ終日なやみにあひ朝ごとに責をうけしなり 019 PSA 073 015 われもし斯ることを述んといひしならば我なんぢが子輩の代をあやまらせしならん 019 PSA 073 016 われこれらの道理をしらんとして思ひめぐらししにわが眼いたく痛たり 019 PSA 073 017 われ神の聖所にゆきてかれらの結局をふかく思へるまでは然りき 019 PSA 073 018 誠になんぢはかれらを滑かなるところにおきかれらを滅亡におとしいれ給ふ 019 PSA 073 019 かれらは瞬間にやぶれたるかな彼等は恐怖をもてことごとく滅びたり 019 PSA 073 020 主よなんぢ目をさましてかれらが像をかろしめたまはんときは夢みし人の目さめたるがごとし 019 PSA 073 021 わが心はうれへわが腎はさされたり 019 PSA 073 022 われおろかにして知覺なし聖前にありて獣にひとしかりき 019 PSA 073 023 されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり 019 PSA 073 024 なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん 019 PSA 073 025 汝のほかに我たれをか天にもたん地にはなんぢの他にわが慕ふものなし 019 PSA 073 026 わが身とわが心とはおとろふされど神はわがこころの磐わがとこしへの嗣業なり 019 PSA 073 027 観よなんぢに遠きものは滅びん汝をはなれて姦淫をおこなふ者はみななんぢ之をほろぼしたまひたり 019 PSA 073 028 神にちかづき奉るは我によきことなり われは主ヱホバを避所としてそのもろもろの事跡をのべつたへん 019 PSA 074 001 アサフの教訓のうた 神よいかなれば汝われらをかぎりなく棄たまひしや 奈何ばなんぢの草苑の羊にみかいかりの煙あがれるや 019 PSA 074 002 ねがはくは往昔なんぢが買求めたまへる公會ゆづりの支派となさんとて贖ひたまへるものを思ひいでたまへ又なんぢが住たまふシオンの山をおもひいで給へ 019 PSA 074 003 とこしへの滅亡の跡にみあしを向たまへ仇は聖所にてもろもろの惡きわざをおこなへり 019 PSA 074 004 なんぢの敵はなんぢの集のなかに吼たけびおのが旗をたてて誌とせり 019 PSA 074 005 かれらは林のしげみにて斧をあぐる人の状にみゆ 019 PSA 074 006 いま鉞と鎚とをもて聖所のなかなる彫刻めるものをことごとく毀ちおとせり 019 PSA 074 007 かれらはなんぢの聖所に火をかけ名の居所をけがして地におとしたり 019 PSA 074 008 かれら心のうちにいふ われらことごとく之をこぼちあらさんと かくて國内なる神のもろもろの會堂をやきつくせり 019 PSA 074 009 われらの誌はみえず預言者も今はなし 斯ていくその時をかふべき われらのうちに知るものなし 019 PSA 074 010 神よ敵はいくその時をふるまでそしるや 仇はなんぢの名をとこしへに汚すならんか 019 PSA 074 011 いかなれば汝その手みぎの手をひきたまふや ねがはくは手をふところよりいだしてかれらを滅したまへ 019 PSA 074 012 神はいにしへよりわが王なり すくひを世の中におこなひたまへり 019 PSA 074 013 なんぢその力をもて海をわかち水のなかなる龍の首をくだき 019 PSA 074 014 鰐のかうべをうちくだき野にすめる民にあたへて食となしたまへり 019 PSA 074 015 なんぢは泉と水流とをひらき又もろもろの大河をからしたまへり 019 PSA 074 016 晝はなんぢのもの夜も又汝のものなり なんぢは光と日とをそなへ 019 PSA 074 017 あまねく地のもろもろの界をたて夏と冬とをつくりたまへり 019 PSA 074 018 エホバよ仇はなんぢをそしり愚なる民はなんぢの名をけがせり この事をおもひいでたまへ 019 PSA 074 019 願くはなんぢの鴿のたましひを野のあらき獣にわたしたまふなかれ 苦しむものに命をとこしへに忘れたまふなかれ 019 PSA 074 020 契約をかへりみたまへ地のくらきところは強暴の宅にて充たればなり 019 PSA 074 021 ねがはくは虐げらるるものを慚退かしめ給ふなかれ 惱るものと苦しむものとに聖名をほめたたへしめたまへ 019 PSA 074 022 神よおきてなんぢの訟をあげつらひ愚かなるものの終日なんぢを謗れるをみこころに記たまへ 019 PSA 074 023 なんぢの敵の聲をわすれたまふなかれ 汝にさからひて起りたつ者のかしがましき聲はたえずあがれり 019 PSA 075 001 「滅すなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり 神よわれら汝にかんしやすわれら感謝すなんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり 019 PSA 075 002 定りたる時いたらば我なほき審判をなさん 019 PSA 075 003 地とすべての之にすむものと消去しとき我そのもろもろの柱をたてたり (セラ) 019 PSA 075 004 われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり 019 PSA 075 005 なんぢらの角をたかく挙るなかれ頚をかたくして高りいふなかれ 019 PSA 075 006 挙ることは東よりにあらず西よりにあらずまた南よりにもあらざるなり 019 PSA 075 007 ただ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ 019 PSA 075 008 ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそそぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし 019 PSA 075 009 されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん 019 PSA 075 010 われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし 019 PSA 076 001 琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり 神はユダにしられたまへり その名はイスラエルに大なり 019 PSA 076 002 またサレムの中にその幕屋あり その居所はシオンにあり 019 PSA 076 003 彼所にてかれは弓の火矢ををり盾と劍と戦陣とをやぶりたまひき (セラ) 019 PSA 076 004 なんぢ榮光あり掠めうばふ山よりもたふとし 019 PSA 076 005 心のつよきものは掠めらる かれらは睡にしづみ勇ましきものは皆その手を見うしなへり 019 PSA 076 006 ヤコブの神よなんぢの叱咤によりて戦車と馬とともに深睡につけり 019 PSA 076 007 神よなんぢこそ懼るべきものなれ 一たび怒りたまふときは誰かみまへに立えんや 019 PSA 076 009 なんぢ天より宣告をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて黙したり (セラ) 019 PSA 076 010 實に人のいかりは汝をほむべし 怒のあまりは汝おのれの帯としたまはん 019 PSA 076 011 なんぢの神ヱホバにちかひをたてて償へ そのまはりなるすべての者はおそるべきエホバに礼物をささぐべし 019 PSA 076 012 ヱホバはもろもろの諸侯のたましひを絶たまはん ヱホバは地の王たちのおそるべき者なり 019 PSA 077 001 エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるアサフのうた 我わがこゑをあげて神によばはん われ聲を神にあげなばその耳をわれにかたぶけたまはん 019 PSA 077 002 わがなやみの日にわれ主をたづねまつれり 夜わが手をのべてゆるむることなかりき わがたましひは慰めらるるをいなみたり 019 PSA 077 003 われ神をおもひいでて打なやむ われ思ひなげきてわが霊魂おとろへぬ (セラ) 019 PSA 077 004 なんぢはわが眼をささへて閉がしめたまはず 我はものいふこと能はぬほどに惱みたり 019 PSA 077 005 われむかしの日いにしへの年をおもへり 019 PSA 077 006 われ夜わが歌をむもひいづ 我わが心にてふかくおもひわが霊魂はねもころに尋ねもとむ 019 PSA 077 007 主はとこしへに棄たまふや 再びめぐみを垂たまはざるや 019 PSA 077 008 その憐憫はのこりなく永遠にさり そのちかひは世々ながく廃れたるや 019 PSA 077 009 神は恩をほどこすことを忘れたまふや 怒をもてそのあはれみを絨たまふや (セラ) 019 PSA 077 010 斯るときに我いへらく此はただわが弱きがゆゑのみいで至上者のみぎの手のもろもろの年をおもひいでん 019 PSA 077 011 われヤハの作爲をのべとなへん われ往古よりありし汝がくすしきみわざを思ひいたさん 019 PSA 077 012 また我なんぢのすべての作爲をおもひいで汝のなしたまへることを深くおもはん 019 PSA 077 013 紳よなんぢの途はいときよし 神のごとく大なる神はたれぞや 019 PSA 077 014 なんぢは奇きみわざをなしたまへる神なり もろもろの民のあひだにその大能をしめし 019 PSA 077 015 その臂をもてヤコブ、ヨセフの子輩なんぢの民をあがなひたまへり (セラ) 019 PSA 077 016 かみよ大水なんぢを見たり おほみづ汝をみてをののき淵もまたふるへり 019 PSA 077 017 雲はみづをそそぎいだし空はひびきをいだし なんぢの矢ははしりいでたり 019 PSA 077 018 なんぢの雷鳴のこゑは暴風のうちにありき 電光は世をてらし地はふるひうごけり 019 PSA 077 019 なんぢの太道は海のなかにあり なんぢの徑はおほみづの中にあり なんぢの蹤跡はたづねがたかりき 019 PSA 077 020 なんぢその民をモーセとアロンとの手によりて羊の群のごとくみちびきたまへり 019 PSA 078 001 アサフの教訓のうた わが民よわが教訓をきき、わが口のことばになんぢらの耳をかたぶけよ 019 PSA 078 002 われ口をひらきて譬喩をまうけ いにしへの玄幽なる語をかたりいでん 019 PSA 078 003 是われらが曩にききしところ知しところ又われらが列祖のかたりつたへし所なり 019 PSA 078 004 われら之をその子孫にかくさずヱホバのもろもろの頌美と能力とそのなしたまへる奇しき事跡とをきたらんとする世につげん 019 PSA 078 005 そはヱホバ證詞をヤコブのうちにたて律法をイスラエルのうちに定めてその子孫にしらすべきことをわれらの列祖におほせたまひたればなり 019 PSA 078 006 これ來らんとする代のちに生るる子孫がこれを知みづから起りてそのまた子孫につたへ 019 PSA 078 007 かれらをして神によりたのみ神のみわざを忘れずその誡命をまもらしめん爲なり 019 PSA 078 008 またその列祖のごとく頑固にしてそむくものの類となり そのこころ修まらず そのたましひ神に忠ならざる類とならざらん爲なり 019 PSA 078 009 エフライムのこらは武具ととのへ弓をたづさへしに戦ひの日にうしろをそむけたり 019 PSA 078 010 かれら神のちかひをまもらず そのおきてを履ことをいなみ 019 PSA 078 011 ヱホバのなしたまへることとかれらに示したまへる奇しき事跡とをわすれたり 019 PSA 078 012 神はエジプトの國にてゾアンの野にて妙なる事をかれらの列祖のまへになしたまへり 019 PSA 078 013 すなはち海をさきてかれらを過ぎしめ水をつみて堆かくしたまへり 019 PSA 078 014 ひるは雲をもてかれらをみちびき夜はよもすがら火の光をもてこれを導きたまへり 019 PSA 078 015 神はあれのにて磐をさき大なる淵より汲がごとくにかれらに飮しめ 019 PSA 078 016 また磐より流をひきて河のごとくに水をながれしめたまへり 019 PSA 078 017 然るにかれら尚たえまなく罪ををかして神にさからひ荒野にて至上者にそむき 019 PSA 078 018 またおのが慾のために食をもとめてその心のうちに神をこころみたり 019 PSA 078 019 然のみならずかれらは神にさからひていへり 神は荒野にて筵をまうけたまふを得んや 019 PSA 078 020 みよ神いはを撃たまへば水ほどばしりいで流あぶれたり 糧をもあたへたまふを得んや神はその民のために肉をそなへたまはんやと 019 PSA 078 021 この故にヱホバこれを聞ていきどほりたまひき 火はヤコブにむかひてもえあがり怒はイスラエルにむかひて立騰れり 019 PSA 078 022 こはかれら神を信ぜずその救にたのまざりし故なり 019 PSA 078 023 されどなほ神はうへなる雲に命じて天の戸をひらき 019 PSA 078 025 人みな勇士の糧をくらへり 神はかれらに食物をおくりて飽足らしめたまふ 019 PSA 078 026 神は天に東風をふかせ大能もて南の風をみちびきたまへり 019 PSA 078 027 神はかれらのうへに塵のごとく肉をふらせ海の沙のごとく翼ある鳥をふらせて 019 PSA 078 028 その營のなかその住所のまはりに落したまへり 019 PSA 078 029 斯てかれらは食ひて飽たりぬ神はこれにその欲みしものを與へたまへり 019 PSA 078 030 かれらが未だその慾をはなれず食物のなほ口のうちにあるほどに 019 PSA 078 031 神のいかり既かれらに對ひてたちのぼり彼等のうちにて最もこえたる者をころしイスラエルのわかき男をうちたふしたまへり 019 PSA 078 032 これらの事ありしかど彼等はなほ罪ををかしてその奇しきみわざを信ぜざりしかば 019 PSA 078 033 神はかれらの日を空しくすぐさせ その年をおそれつつ過させたまへり 019 PSA 078 034 彼等のうへにマナをふらせて食はしめ天の穀物をあたへたまへり 神かれらを殺したまへる時かれら神をたづね歸りきたりて懇ろに神をもとめたり 019 PSA 078 035 かくて神はおのれの磐いとたかき神はおのれの贖主なることをおもひいでたり 019 PSA 078 036 然はあれど彼等はただその口をもて神にへつらひその舌をもて神にいつはりをいひたりしのみ 019 PSA 078 037 そはかれらのこころは神にむかひて堅からず その契約をまもるに忠信ならざりき 019 PSA 078 038 されど神はあはれみに充たまへばかれらの不義をゆるして亡したまはず屡ばそのみいかりを轉してことごとくは忿恚をふりおこし給はざりき 019 PSA 078 039 又かれがただ肉にして過去ばふたたび歸りこぬ風なるをおもひいで給へり 019 PSA 078 040 かれらは野にて神にそむき荒野にて神をうれへしめしこと幾次ぞや 019 PSA 078 041 かれらかへすがへす神をこころみイスラエルの聖者をはづかしめたり 019 PSA 078 042 かれらは神の手をも敵より贖ひたまひし日をもおもひいでざりき 019 PSA 078 043 神はそのもろもろの豫兆をエジプトにあらはしその奇しき事をゾアンの野にあらはし 019 PSA 078 044 かれらの河を血にかはらせてその流を飮あたはざらしめ 019 PSA 078 045 また蝿の群をおくりてかれらをくはしめ蛙をおくりてかれらを亡させたまへり 019 PSA 078 046 神はかれらの田産を蟊賊にわたし かれらの勤労を蝗にあたへたまへり 019 PSA 078 047 神は雹をもてかれらの葡萄の樹をからし霜をもてかれらの桑の樹をからし 019 PSA 078 048 その家畜をへうにわたしその群をもゆる閃電にわたし 019 PSA 078 049 かれらの上にはげしき怒といきどほりと怨恨となやみと禍害のつかひの群とをなげいだし給へり 019 PSA 078 050 神はその怒をもらす道をまうけ かれらのたましひを死よりまぬかれしめず そのいのちを疫病にわたし 019 PSA 078 051 エジプトにてすべての初子をうちハムの幕屋にてかれらの力の始をうちたまへり 019 PSA 078 052 されどおのれの民を羊のごとくに引いだし かれらを曠野にてけだものの群のごとくにみちびき 019 PSA 078 053 かれらをともなひておそれなく安けからしめ給へり されど海はかれらの仇をおほへり 019 PSA 078 054 神はその聖所のさかひ その右の手にて購たまへるこの山に彼らを携へたまへり 019 PSA 078 055 又かれらの前にてもろもろの國人をおもひいだし準縄をもちゐ その地をわかちて嗣業となし イスラエルの族をかれらの幕屋にすまはせたまへり 019 PSA 078 056 然はあれど彼等はいとたかき神をこころみ之にそむきてそのもろもろの證詞をまもらず 019 PSA 078 057 叛きしりぞきてその列祖の如く眞實をうしなひ くるへる弓のごとくひるがへりて逸ゆけり 019 PSA 078 058 高處をまうけて神のいきどほりをひき刻める像にて神の嫉妬をおこしたり 019 PSA 078 059 神ききたまひて甚だしくいかり大にイスラエルを憎みたまひしかば 019 PSA 078 060 人々の間におきたまひし幕屋なるシロのあげばりを棄さり 019 PSA 078 061 その力をとりことならしめ その榮光を敵の手にわたし 019 PSA 078 062 その民を劍にあたへ その嗣業にむかひて甚だしく怒りたまへり 019 PSA 078 063 火はかれらのわかき男をやきつくし かれらの處女はその婚姻の歌によりて譽らるることなく 019 PSA 078 064 かれらの祭司はつるぎにて仆れ かれらの寡婦は喪のなげきだにせざりき 019 PSA 078 065 斯るときに主はねぶりし者のさめしごとく勇士の洒によりてさけぶがごとく目さめたまひて 019 PSA 078 066 その敵をうちしりぞけ とこしへの辱をかれらに負せたまへり 019 PSA 078 067 またヨセフの幕屋をいなみエフライムの族をえらばず 019 PSA 078 068 ユダの族そのいつくしみたまふシオンの山をえらびたまへり 019 PSA 078 069 その聖所を山のごとく永遠にさだめたまへる地のごとくに立たまへり 019 PSA 078 070 またその僕ダビデをえらびて羊の牢のなかよりとり 019 PSA 078 071 乳をあたふる牝羊にしたがひゆく勤のうちより携へきたりてその民ヤコブその嗣業イスラエルを牧はせたまへり 019 PSA 078 072 斯てダビデはそのこころの完全にしたがひてかれらを牧ひ その手のたくみをもて之をみちびけり 019 PSA 079 001 アサフのうた ああ神よもろもろの異邦人はなんぢの嗣業の地ををかし なんぢの聖宮をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆となし 019 PSA 079 002 なんぢの僕のしかばねをそらの鳥に與へて餌となし なんぢの聖徒の肉を地のけものにあたへ 019 PSA 079 003 その血をヱルサレムのめぐりに水のごとく流したりされど之をはうむる人なし 019 PSA 079 004 われらは隣人にそしられ四周のひとびとに侮られ嘲けらるるものとなれり 019 PSA 079 005 ヱホバよ斯て幾何時をへたまふや 汝とこしへに怒たまふや なんぢのねたみは火のごとく燃るか 019 PSA 079 006 願くはなんぢを識ざることくにびと聖名をよばざるもろもろの國のうへに烈怒をそそぎたまへ 019 PSA 079 007 かれらはヤコブを呑その住處をあらしたればなり 019 PSA 079 008 われらにむかひて先祖のよこしまなるわざを記念したまふなかれ願くはなんぢの憐憫をもて速かにわれらを迎へたまへ われらは貶されて甚だしく卑くなりたればなり 019 PSA 079 009 われらのすくひの神よ名のえいくわうのために我儕をたすけ名のためにわれらを救ひわれらの罪をのぞきたまへ 019 PSA 079 010 いかなれば異邦人はいふ かれらの神はいづくにありやと 願くはなんぢの僕等がながされし血の報をわれらの目前になして異邦人にしらしめたまへ 019 PSA 079 011 ねがはくは汝のみまへにとらはれびとの嘆息のとどかんことを なんぢの大なる能力により死にさだめられし者をまもりて存へしめたまへ 019 PSA 079 012 主よわれらの隣人のなんぢをそしりたる謗を七倍ましてその懐にむくいかへしたまへ 019 PSA 079 013 然ばわれらなんぢの民なんぢの草苑のひつじは永遠になんぢに感謝しその頌辭を世々あらはさん 019 PSA 080 001 證詞の百合花といへる調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌 イスラエルの牧者よひつじの群のごとくヨセフを導きたまものよ 耳をかたぶけたまヘ ケルビムのうへに坐したまふものよ 光をはなちたまヘ 019 PSA 080 002 エフライム、ベニヤミン、マナセの前になんぢの力をふりおこし來りてわれらを救ひたまへ 019 PSA 080 003 神よふたたびわれらを復し なんぢの聖顔のひかりをてらしたまへ 然ばわれら救をえん 019 PSA 080 004 ばんぐんの神ヱホバよなんぢその民の祈にむかひて何のときまで怒りたまふや 019 PSA 080 005 汝かれらになみだの糧をくらはせ涙を量器にみちみつるほどあたへて飮しめ給へり 019 PSA 080 006 汝われらを隣人のあひあらそふ種料となしたまふ われらの仇はたがひにあざわらへり 019 PSA 080 007 萬軍の神よふたたびわれらを復したまへ 汝のみかほの光をてらしたまへ さらばわれら救をえん 019 PSA 080 008 なんぢ葡萄の樹をエジプトより携へいだしもろもろの國人をむひしりぞけて之をうゑたまへり 019 PSA 080 009 汝そのまへに地をまうけたまひしかば深く根して國にはびこれり 019 PSA 080 010 その影はもろもろの山をおほひ そのえだは神の香柏のごとくにてありき 019 PSA 080 011 その樹はえだを海にまでのべ その若枝を河にまでのべたり 019 PSA 080 012 汝いかなればその垣をくづして路ゆくすべての人に嫡取ら亡たまふやまや 019 PSA 080 013 はやしの猪はこれをあらし野のあらき獣はこれをくらふ 019 PSA 080 014 ああ萬軍の神よねがはくは歸りたまへ 天より俯視てこの葡萄の樹をかへりみ 019 PSA 080 015 なんぢが右の手にてうゑたまへるもの自己のために強くなしたまへる枝をまもりたまへ 019 PSA 080 016 その樹は火にて焼れまた斫たふさる かれらは聖顔のいかりにて亡ぶ 019 PSA 080 017 ねがはくはなんぢの手をその右の手の人のうへにおき自己のためにつよくなしたまへる人の子のうへにおきたまへ 019 PSA 080 018 さらばわれら汝をしりぞき離るることなからん 願くはわれらを活したまへ われら名をよばん 019 PSA 080 019 ああ萬軍の神ヱホバよふたたび我儕をかへしたまへ なんぢの聖顔のひかりを照したまへ 然ばわれら救をえん 019 PSA 081 001 ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフのうた われらの力なる神にむかひて高らかにうたひヤコブの神にむかひてよろこびの聲をあげよ 019 PSA 081 002 歌をうたひ鼓とよき音のことと筝とをもちきたれ 019 PSA 081 003 新月と満月とわれらの節会の日とにラッパをふきならせ 019 PSA 081 004 これイスラエルの律法ヤコブのかみの格なり 019 PSA 081 005 神さきにエジプトを攻たまひしときヨセフのなかに之をたてて證となしたまへり 我かしこにて未だしらざりし方言をきけり 019 PSA 081 006 われかれの肩より重荷をのぞき かれの手を籃よりまぬかれしめたり 019 PSA 081 007 汝光やめるとき呼しかば我なんぢをすくへり われ雷鳴のかくれたるところにて汝にこたヘメリバの水のほとりにて汝をこころみたり (セラ) 019 PSA 081 008 わが民よきけ我なんぢに證せん イスラエルよ汝がわれに從はんことをもとむ 019 PSA 081 009 汝のうちに他神あるべからず なんぢ他神ををがむべからず 019 PSA 081 010 われはエジプトの國よりなんぢを携へいでたる汝の神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん 019 PSA 081 011 されどわが民はわか聲にしたがはず イスラエルは我をこのまず 019 PSA 081 012 このゆゑに我かれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意にゆくにまかせたり 019 PSA 081 013 われはわが民のわれに從ひイスフルのわが道にあゆまんことを求む 019 PSA 081 014 さらば我すみやかにかれらの仇をしたがへ わが手をかれらの敵にむけん 019 PSA 081 015 斯てヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつづかん 019 PSA 081 016 神はむぎの最嘉をもてかれらをやしなひ 磐よりいでたる蜜をもて汝をあかしむべし 019 PSA 082 001 アテフのうた かみは神のつどひの中にたちたまふ 神はもろもろの神のなかに審判をなしたまふ 019 PSA 082 002 なんぢらは正からざる審判をなし あしきものの身をかたよりみて幾何時をへんとするや (セラ) 019 PSA 082 003 よわきものと孤児とのためにさばき苦しむものと乏しきものとのために公平をほどこせ 019 PSA 082 004 弱きものと貧しきものとをすくひ彼等をあしきものの手よりたすけいだせ 019 PSA 082 005 かれらは知ることなく悟ることなくして暗中をゆきめぐりぬ 地のもろもろの基はうごきたり 019 PSA 082 006 我いへらく なんぢらは神なりなんぢらはみな至上者の子なりと 019 PSA 082 007 然どなんぢらは人のごとくにもろもろの侯のなかの一人のごとく仆れん 019 PSA 082 008 神よおきて全地をさばきたまへ 汝もろもろの國を嗣たまふべければなり 019 PSA 083 001 アサフの歌、さんび 神よ、沈黙を守らないでください。神よ、何も言わずに、黙っていないでください。 019 PSA 083 002 見よ、あなたの敵は騒ぎたち、あなたを憎む者は頭をあげました。 019 PSA 083 003 彼らはあなたの民にむかって巧みなはかりごとをめぐらし、あなたの保護される者にむかって相ともに計ります。 019 PSA 083 004 彼らは言います、「さあ、彼らを断ち滅ぼして国を立てさせず、イスラエルの名をふたたび思い出させないようにしよう」。 019 PSA 083 005 彼らは心をひとつにして共にはかり、あなたに逆らって契約を結びます。 019 PSA 083 006 すなわちエドムの天幕に住む者とイシマエルびと、モアブとハガルびと、 019 PSA 083 007 ゲバルとアンモンとアマレク、ペリシテとツロの住民などです。 019 PSA 083 008 アッスリヤもまた彼らにくみしました。彼らはロトの子孫を助けました。 (セラ) 019 PSA 083 009 あなたがミデアンにされたように、キション川でシセラとヤビンにされたように、彼らにしてください。 019 PSA 083 010 彼らはエンドルで滅ぼされ、地のために肥料となりました。 019 PSA 083 011 彼らの貴人をオレブとゼエブのように、そのすべての君たちをゼバとザルムンナのようにしてください。 019 PSA 083 012 彼らは言いました、「われらは神の牧場を獲て、われらの所有にしよう」と。 019 PSA 083 013 わが神よ、彼らを巻きあげられるちりのように、風の前のもみがらのようにしてください。 019 PSA 083 014 林を焼く火のように、山を燃やす炎のように、 019 PSA 083 015 あなたのはやてをもって彼らを追い、つむじかぜをもって彼らを恐れさせてください。 019 PSA 083 016 彼らの顔に恥を満たしてください。主よ、そうすれば彼らはあなたの名を求めるでしょう。 019 PSA 083 017 彼らをとこしえに恥じ恐れさせ、あわて惑って滅びうせさせてください。 019 PSA 083 018 主という名をおもちになるあなたのみ、全地をしろしめすいと高き者であることを彼らに知らせてください。 019 PSA 084 001 聖歌隊の指揮者によってギテトのしらべにあわせてうたわせたコラの子の歌 万軍の主よ、あなたのすまいはいかに麗しいことでしょう。 019 PSA 084 002 わが魂は絶えいるばかりに主の大庭を慕い、わが心とわが身は生ける神にむかって喜び歌います。 019 PSA 084 003 すずめがすみかを得、つばめがそのひなをいれる巣を得るように、万軍の主、わが王、わが神よ、あなたの祭壇のかたわらにわがすまいを得させてください。 019 PSA 084 004 あなたの家に住み、常にあなたをほめたたえる人はさいわいです。 (セラ) 019 PSA 084 005 その力があなたにあり、その心がシオンの大路にある人はさいわいです。 019 PSA 084 006 彼らはバカの谷を通っても、そこを泉のある所とします。また前の雨は池をもってそこをおおいます。 019 PSA 084 007 彼らは力から力に進み、シオンにおいて神々の神にまみえるでしょう。 019 PSA 084 008 万軍の神、主よ、わが祈をおききください。ヤコブの神よ、耳を傾けてください。 (セラ) 019 PSA 084 009 神よ、われらの盾をみそなわし、あなたの油そそがれた者の顔をかえりみてください。 019 PSA 084 010 あなたの大庭にいる一日は、よそにいる千日にもまさるのです。わたしは悪の天幕にいるよりは、むしろ、わが神の家の門守となることを願います。 019 PSA 084 011 主なる神は日です、盾です。主は恵みと誉とを与え、直く歩む者に良い物を拒まれることはありません。 019 PSA 084 012 万軍の主よ、あなたに信頼する人はさいわいです。 019 PSA 085 001 聖歌隊の指揮者によってうたわせたコラの子の歌 主よ、あなたはみ国にめぐみを示し、ヤコブの繁栄を回復されました。 019 PSA 085 002 あなたはその民の不義をゆるし、彼らの罪をことごとくおおわれました。 (セラ) 019 PSA 085 003 あなたはすべての怒りを捨て、激しい憤りを遠ざけられました。 019 PSA 085 004 われらの救の神よ、われらを回復し、われらに対するあなたの憤りをおやめください。 019 PSA 085 005 あなたはとこしえにわれらを怒り、よろずよまで、あなたの怒りを延ばされるのですか。 019 PSA 085 006 あなたの民が、あなたによって喜びを得るため、われらを再び生かされないのですか。 019 PSA 085 007 主よ、あなたのいつくしみをわれらに示し、あなたの救をわれらに与えてください。 019 PSA 085 008 わたしは主なる神の語られることを聞きましょう。主はその民、その聖徒、ならびにその心を主に向ける者に、平和を語られるからです。 019 PSA 085 009 まことに、その救は神を恐れる者に近く、その栄光はわれらの国にとどまるでしょう。 019 PSA 085 010 いつくしみと、まこととは共に会い、義と平和とは互に口づけし、 019 PSA 085 011 まことは地からはえ、義は天から見おろすでしょう。 019 PSA 085 012 主が良い物を与えられるので、われらの国はその産物を出し、 019 PSA 085 013 義は主のみ前に行き、その足跡を道とするでしょう。 019 PSA 086 001 ダビデの祈 主よ、あなたの耳を傾けて、わたしにお答えください。わたしは苦しみかつ乏しいからです。 019 PSA 086 002 わたしのいのちをお守りください。わたしは神を敬う者だからです。あなたに信頼するあなたのしもべをお救いください。あなたはわたしの神です。 019 PSA 086 003 主よ、わたしをあわれんでください。わたしはひねもすあなたに呼ばわります。 019 PSA 086 004 あなたのしもべの魂を喜ばせてください。主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 019 PSA 086 005 主よ、あなたは恵みふかく、寛容であって、あなたに呼ばわるすべての者にいつくしみを豊かに施されます。 019 PSA 086 006 主よ、わたしの祈に耳を傾け、わたしの願いの声をお聞きください。 019 PSA 086 007 わたしの悩みの日にわたしはあなたに呼ばわります。あなたはわたしに答えられるからです。 019 PSA 086 008 主よ、もろもろの神のうちにあなたに等しい者はなく、また、あなたのみわざに等しいものはありません。 019 PSA 086 009 主よ、あなたが造られたすべての国民はあなたの前に来て、伏し拝み、み名をあがめるでしょう。 019 PSA 086 010 あなたは大いなる神で、くすしきみわざをなされます。ただあなたのみ、神でいらせられます。 019 PSA 086 011 主よ、あなたの道をわたしに教えてください。わたしはあなたの真理に歩みます。心をひとつにしてみ名を恐れさせてください。 019 PSA 086 012 わが神、主よ、わたしは心をつくしてあなたに感謝し、とこしえに、み名をあがめるでしょう。 019 PSA 086 013 わたしに示されたあなたのいつくしみは大きく、わが魂を陰府の深い所から助け出されたからです。 019 PSA 086 014 神よ、高ぶる者はわたしに逆らって起り、荒ぶる者の群れはわたしのいのちを求め、彼らは自分の前にあなたを置くことをしません。 019 PSA 086 015 しかし主よ、あなたはあわれみと恵みに富み、怒りをおそくし、いつくしみと、まこととに豊かな神でいらせられます。 019 PSA 086 016 わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、あなたのしもべにみ力を与え、あなたのはしための子をお救いください。 019 PSA 086 017 わたしに、あなたの恵みのしるしをあらわしてください。そうすれば、わたしを憎む者どもはわたしを見て恥じるでしょう。主よ、あなたはわたしを助け、わたしを慰められたからです。 019 PSA 087 001 コラの子の歌、さんび 主が基をすえられた都は聖なる山の上に立つ。 019 PSA 087 002 主はヤコブのすべてのすまいにまさって、シオンのもろもろの門を愛される。 019 PSA 087 003 神の都よ、あなたについて、もろもろの栄光ある事が語られる。 (セラ) 019 PSA 087 004 わたしはラハブとバビロンをわたしを知る者のうちに挙げる。ペリシテ、ツロ、またエチオピヤを見よ。「この者はかしこに生れた」と言われる。 019 PSA 087 005 しかしシオンについては「この者も、かの者もその中に生れた」と言われる。いと高き者みずからシオンを堅く立てられるからである。 019 PSA 087 006 主がもろもろの民を登録されるとき、「この者はかしこに生れた」としるされる。 (セラ) 019 PSA 087 007 歌う者と踊る者はみな言う、「わがもろもろの泉はあなたのうちにある」と。 019 PSA 088 001 聖歌隊の指揮者によってマハラテ・レアノテのしらべにあわせてうたわせたコラの子の歌、さんび。エズラびとヘマンのマスキールの歌 わが神、主よ、わたしは昼、助けを呼び求め、夜、み前に叫び求めます。 019 PSA 088 002 わたしの祈をみ前にいたらせ、わたしの叫びに耳を傾けてください。 019 PSA 088 003 わたしの魂は悩みに満ち、わたしのいのちは陰府に近づきます。 019 PSA 088 004 わたしは穴に下る者のうちに数えられ、力のない人のようになりました。 019 PSA 088 005 すなわち死人のうちに捨てられた者のように、墓に横たわる殺された者のように、あなたが再び心にとめられない者のようになりました。彼らはあなたのみ手から断ち滅ぼされた者です。 019 PSA 088 006 あなたはわたしを深い穴、暗い所、深い淵に置かれました。 019 PSA 088 007 あなたの怒りはわたしの上に重く、あなたはもろもろの波をもってわたしを苦しめられました。 (セラ) 019 PSA 088 008 あなたはわが知り人をわたしから遠ざけ、わたしを彼らの忌みきらう者とされました。わたしは閉じこめられて、のがれることはできません。 019 PSA 088 009 わたしの目は悲しみによって衰えました。主よ、わたしは日ごとにあなたを呼び、あなたにむかってわが両手を伸べました。 019 PSA 088 010 あなたは死んだ者のために奇跡を行われるでしょうか。なき人のたましいは起きあがってあなたをほめたたえるでしょうか。 (セラ) 019 PSA 088 011 あなたのいつくしみは墓のなかに、あなたのまことは滅びのなかに、宣べ伝えられるでしょうか。 019 PSA 088 012 あなたの奇跡は暗やみに、あなたの義は忘れの国に知られるでしょうか。 019 PSA 088 013 しかし主よ、わたしはあなたに呼ばわります。あしたに、わが祈をあなたのみ前にささげます。 019 PSA 088 014 主よ、なぜ、あなたはわたしを捨てられるのですか。なぜ、わたしにみ顔を隠されるのですか。 019 PSA 088 015 わたしは若い時から苦しんで死ぬばかりです。あなたの脅しにあって衰えはてました。 019 PSA 088 016 あなたの激しい怒りがわたしを襲い、あなたの恐ろしい脅しがわたしを滅ぼしました。 019 PSA 088 017 これらの事がひねもす大水のようにわたしをめぐり、わたしを全く取り巻きました。 019 PSA 088 018 あなたは愛する者と友とをわたしから遠ざけ、わたしの知り人を暗やみにおかれました。 019 PSA 089 001 エズラびとエタンのマスキールの歌 主よ、わたしはとこしえにあなたのいつくしみを歌い、わたしの口をもってあなたのまことをよろずよに告げ知らせます。 019 PSA 089 002 あなたのいつくしみはとこしえに堅く立ち、あなたのまことは天のようにゆるぐことはありません。 019 PSA 089 003 あなたは言われました、「わたしはわたしの選んだ者と契約を結び、わたしのしもべダビデに誓った、 019 PSA 089 004 『わたしはあなたの子孫をとこしえに堅くし、あなたの王座を建てて、よろずよに至らせる』」。 (セラ) 019 PSA 089 005 主よ、もろもろの天にあなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、聖なる者のつどいで、あなたのまことをほめたたえさせてください。 019 PSA 089 006 大空のうちに、だれか主と並ぶものがあるでしょうか。神の子らのうちに、だれか主のような者があるでしょうか。 019 PSA 089 007 主は聖なる者の会議において恐るべき神、そのまわりにあるすべての者にまさって大いなる恐るべき者です。 019 PSA 089 008 万軍の神、主よ、主よ、だれかあなたのように大能のある者があるでしょうか。あなたのまことは、あなたをめぐっています。 019 PSA 089 009 あなたは海の荒れるのを治め、その波の起るとき、これを静められます。 019 PSA 089 010 あなたはラハブを、殺された者のように打ち砕き、あなたの敵を力ある腕をもって散らされました。 019 PSA 089 011 もろもろの天はあなたのもの、地もまたあなたのもの、世界とその中にあるものとはあなたがその基をおかれたものです。 019 PSA 089 012 北と南はあなたがこれを造られました。タボルとヘルモンは、み名を喜び歌います。 019 PSA 089 013 あなたは大能の腕をもたれます。あなたの手は強く、あなたの右の手は高く、 019 PSA 089 014 義と公平はあなたのみくらの基、いつくしみと、まことはあなたの前に行きます。 019 PSA 089 015 祭の日の喜びの声を知る民はさいわいです。主よ、彼らはみ顔の光のなかを歩み、 019 PSA 089 016 ひねもす、み名によって喜び、あなたの義をほめたたえます。 019 PSA 089 017 あなたは彼らの力の栄光だからです。われらの角はあなたの恵みによって高くあげられるでしょう。 019 PSA 089 018 われらの盾は主に属し、われらの王はイスラエルの聖者に属します。 019 PSA 089 019 昔あなたは幻をもってあなたの聖徒に告げて言われました、「わたしは勇士に栄冠を授け、民の中から選ばれた者を高くあげた。 019 PSA 089 020 わたしはわがしもべダビデを得て、これにわが聖なる油をそそいだ。 019 PSA 089 021 わが手は常に彼と共にあり、わが腕はまた彼を強くする。 019 PSA 089 022 敵は彼をだますことなく、悪しき者は彼を卑しめることはない。 019 PSA 089 023 わたしは彼の前にもろもろのあだを打ち滅ぼし、彼を憎む者どもを打ち倒す。 019 PSA 089 024 わがまことと、わがいつくしみは彼と共にあり、わが名によって彼の角は高くあげられる。 019 PSA 089 025 わたしは彼の手を海の上におき、彼の右の手を川の上におく。 019 PSA 089 026 彼はわたしにむかい『あなたはわが父、わが神、わが救の岩』と呼ぶであろう。 019 PSA 089 027 わたしはまた彼をわがういごとし、地の王たちのうちの最も高い者とする。 019 PSA 089 028 わたしはとこしえに、わがいつくしみを彼のために保ち、わが契約は彼のために堅く立つ。 019 PSA 089 029 わたしは彼の家系をとこしえに堅く定め、その位を天の日数のようにながらえさせる。 019 PSA 089 030 もしその子孫がわがおきてを捨て、わがさばきに従って歩まないならば、 019 PSA 089 031 もし彼らがわが定めを犯し、わが戒めを守らないならば、 019 PSA 089 032 わたしはつえをもって彼らのとがを罰し、むちをもって彼らの不義を罰する。 019 PSA 089 033 しかし、わたしはわがいつくしみを彼から取り去ることなく、わがまことにそむくことはない。 019 PSA 089 034 わたしはわが契約を破ることなく、わがくちびるから出た言葉を変えることはない。 019 PSA 089 035 わたしはひとたびわが聖によって誓った。わたしはダビデに偽りを言わない。 019 PSA 089 036 彼の家系はとこしえに続き、彼の位は太陽のように常にわたしの前にある。 019 PSA 089 037 また月のようにとこしえに堅く定められ、大空の続くかぎり堅く立つ」。 (セラ) 019 PSA 089 038 しかしあなたは、あなたの油そそがれた者を捨ててしりぞけ、彼に対して激しく怒られました。 019 PSA 089 039 あなたはそのしもべとの契約を廃棄し、彼の冠を地になげうって、けがされました。 019 PSA 089 040 あなたはその城壁をことごとくこわし、そのとりでを荒れすたれさせられました。 019 PSA 089 041 そこを通り過ぎる者は皆彼をかすめ、彼はその隣り人のあざけりとなりました。 019 PSA 089 042 あなたは彼のあだの右の手を高くあげ、そのもろもろの敵を喜ばせられました。 019 PSA 089 043 まことに、あなたは彼のつるぎの刃をかえして、彼を戦いに立たせられなかったのです。 019 PSA 089 044 あなたは彼の手から王のつえを取り去り、その王座を地に投げすてられました。 019 PSA 089 045 あなたは彼の若き日をちぢめ、恥をもって彼をおおわれました。 (セラ) 019 PSA 089 046 主よ、いつまでなのですか。とこしえにお隠れになるのですか。あなたの怒りはいつまで火のように燃えるのですか。 019 PSA 089 047 主よ、人のいのちの、いかに短く、すべての人の子を、いかにはかなく造られたかを、みこころにとめてください。 019 PSA 089 048 だれか生きて死を見ず、その魂を陰府の力から救いうるものがあるでしょうか。 (セラ) 019 PSA 089 049 主よ、あなたがまことをもってダビデに誓われた昔のいつくしみはどこにありますか。 019 PSA 089 051 主よ、あなたのしもべがうけるはずかしめをみこころにとめてください。主よ、あなたのもろもろの敵はわたしをそしり、あなたの油そそがれた者の足跡をそしります。わたしはもろもろの民のそしりをわたしのふところにいだいているのです。 019 PSA 089 052 主はとこしえにほむべきかな。アァメン、アァメン。 019 PSA 090 001 神の人モーセの祈 主よ、あなたは世々われらのすみかでいらせられる。 019 PSA 090 002 山がまだ生れず、あなたがまだ地と世界とを造られなかったとき、とこしえからとこしえまで、あなたは神でいらせられる。 019 PSA 090 003 あなたは人をちりに帰らせて言われます、「人の子よ、帰れ」と。 019 PSA 090 004 あなたの目の前には千年も過ぎ去ればきのうのごとく、夜の間のひと時のようです。 019 PSA 090 005 あなたは人を大水のように流れ去らせられます。彼らはひと夜の夢のごとく、あしたにもえでる青草のようです。 019 PSA 090 006 あしたにもえでて、栄えるが、夕べには、しおれて枯れるのです。 019 PSA 090 007 われらはあなたの怒りによって消えうせ、あなたの憤りによって滅び去るのです。 019 PSA 090 008 あなたはわれらの不義をみ前におき、われらの隠れた罪をみ顔の光のなかにおかれました。 019 PSA 090 009 われらのすべての日は、あなたの怒りによって過ぎ去り、われらの年の尽きるのは、ひと息のようです。 019 PSA 090 010 われらのよわいは七十年にすぎません。あるいは健やかであっても八十年でしょう。しかしその一生はただ、ほねおりと悩みであって、その過ぎゆくことは速く、われらは飛び去るのです。 019 PSA 090 011 だれがあなたの怒りの力を知るでしょうか。だれがあなたをおそれる恐れにしたがってあなたの憤りを知るでしょうか。 019 PSA 090 012 われらにおのが日を数えることを教えて、知恵の心を得させてください。 019 PSA 090 013 主よ、み心を変えてください。いつまでお怒りになるのですか。あなたのしもべをあわれんでください。 019 PSA 090 014 あしたに、あなたのいつくしみをもってわれらを飽き足らせ、世を終るまで喜び楽しませてください。 019 PSA 090 015 あなたがわれらを苦しめられた多くの日と、われらが災にあった多くの年とに比べて、われらを楽しませてください。 019 PSA 090 016 あなたのみわざを、あなたのしもべらに、あなたの栄光を、その子らにあらわしてください。 019 PSA 090 017 われらの神、主の恵みを、われらの上にくだし、われらの手のわざを、われらの上に栄えさせてください。われらの手のわざを栄えさせてください。 019 PSA 091 001 いと高き者のもとにある隠れ場に住む人、全能者の陰にやどる人は 019 PSA 091 002 主に言うであろう、「わが避け所、わが城、わが信頼しまつるわが神」と。 019 PSA 091 003 主はあなたをかりゅうどのわなと、恐ろしい疫病から助け出されるからである。 019 PSA 091 004 主はその羽をもって、あなたをおおわれる。あなたはその翼の下に避け所を得るであろう。そのまことは大盾、また小盾である。 019 PSA 091 005 あなたは夜の恐ろしい物をも、昼に飛んでくる矢をも恐れることはない。 019 PSA 091 006 また暗やみに歩きまわる疫病をも、真昼に荒す滅びをも恐れることはない。 019 PSA 091 007 たとい千人はあなたのかたわらに倒れ、万人はあなたの右に倒れても、その災はあなたに近づくことはない。 019 PSA 091 008 あなたはただ、その目をもって見、悪しき者の報いを見るだけである。 019 PSA 091 009 あなたは主を避け所とし、いと高き者をすまいとしたので、 019 PSA 091 010 災はあなたに臨まず、悩みはあなたの天幕に近づくことはない。 019 PSA 091 011 これは主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道であなたを守らせられるからである。 019 PSA 091 012 彼らはその手で、あなたをささえ、石に足を打ちつけることのないようにする。 019 PSA 091 013 あなたはししと、まむしとを踏み、若いししと、へびとを足の下に踏みにじるであろう。 019 PSA 091 014 彼はわたしを愛して離れないゆえに、わたしは彼を助けよう。彼はわが名を知るゆえに、わたしは彼を守る。 019 PSA 091 015 彼がわたしを呼ぶとき、わたしは彼に答える。わたしは彼の悩みのときに、共にいて、彼を救い、彼に光栄を与えよう。 019 PSA 091 016 わたしは長寿をもって彼を満ち足らせ、わが救を彼に示すであろう。 019 PSA 092 001 安息日の歌、さんび いと高き者よ、主に感謝し、み名をほめたたえるのは、よいことです。 019 PSA 092 002 あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、夜な夜な、あなたのまことをあらわすために、 019 PSA 092 003 十弦の楽器と立琴を用い、琴のたえなる調べを用いるのは、よいことです。 019 PSA 092 004 主よ、あなたはみわざをもってわたしを楽しませられました。わたしはあなたのみ手のわざを喜び歌います。 019 PSA 092 005 主よ、あなたのみわざはいかに大いなることでしょう。あなたのもろもろの思いは、いとも深く、 019 PSA 092 006 鈍い者は知ることができず、愚かな者はこれを悟ることができません。 019 PSA 092 007 たとい、悪しき者は草のようにもえいで、不義を行う者はことごとく栄えても、彼らはとこしえに滅びに定められているのです。 019 PSA 092 008 しかし、主よ、あなたはとこしえに高き所にいらせられます。 019 PSA 092 009 主よ、あなたの敵、あなたの敵は滅び、不義を行う者はことごとく散らされるでしょう。 019 PSA 092 010 しかし、あなたはわたしの角を野牛の角のように高くあげ、新しい油をわたしに注がれました。 019 PSA 092 011 わたしの目はわが敵の没落を見、わたしの耳はわたしを攻める悪者どもの破滅を聞きました。 019 PSA 092 012 正しい者はなつめやしの木のように栄え、レバノンの香柏のように育ちます。 019 PSA 092 013 彼らは主の家に植えられ、われらの神の大庭に栄えます。 019 PSA 092 014 彼らは年老いてなお実を結び、いつも生気に満ち、青々として、 019 PSA 092 015 主の正しいことを示すでしょう。主はわが岩です。主には少しの不義もありません。 019 PSA 093 001 主は王となり、威光の衣をまとわれます。主は衣をまとい、力をもって帯とされます。まことに、世界は堅く立って、動かされることはありません。 019 PSA 093 002 あなたの位はいにしえより堅く立ち、あなたはとこしえよりいらせられます。 019 PSA 093 003 主よ、大水は声をあげました。大水はその声をあげました。大水はそのとどろく声をあげます。 019 PSA 093 004 主は高き所にいらせられて、その勢いは多くの水のとどろきにまさり、海の大波にまさって盛んです。 019 PSA 093 005 あなたのあかしはいとも確かです。主よ、聖なることはとこしえまでもあなたの家にふさわしいのです。 019 PSA 094 001 あだを報いられる神、主よ、あだを報いられる神よ、光を放ってください。 019 PSA 094 002 地をさばかれる者よ、立って高ぶる者にその受くべき罰をお与えください。 019 PSA 094 003 主よ、悪しき者はいつまで、悪しき者はいつまで勝ち誇るでしょうか。 019 PSA 094 004 彼らは高慢な言葉を吐き散らし、すべて不義を行う者はみずから高ぶります。 019 PSA 094 005 主よ、彼らはあなたの民を打ち砕き、あなたの嗣業を苦しめます。 019 PSA 094 006 彼らはやもめと旅びとのいのちをうばい、みなしごを殺します。 019 PSA 094 007 彼らは言います、「主は見ない、ヤコブの神は悟らない」と。 019 PSA 094 008 民のうちの鈍き者よ、悟れ。愚かな者よ、いつ賢くなるだろうか。 019 PSA 094 009 耳を植えた者は聞くことをしないだろうか、目を造った者は見ることをしないだろうか。 019 PSA 094 010 もろもろの国民を懲らす者は罰することをしないだろうか、人を教える者は知識をもたないだろうか。 019 PSA 094 011 主は人の思いの、むなしいことを知られる。 019 PSA 094 012 主よ、あなたによって懲らされる人、あなたのおきてを教えられる人はさいわいです。 019 PSA 094 013 あなたはその人を災の日からのがれさせ、悪しき者のために穴が掘られるまでその人に平安を与えられます。 019 PSA 094 014 主はその民を捨てず、その嗣業を見捨てられないからです。 019 PSA 094 015 さばきは正義に帰り、すべて心の正しい者はそれに従うでしょう。 019 PSA 094 016 だれがわたしのために立ちあがって、悪しき者を責めるだろうか。だれがわたしのために立って、不義を行う者を責めるだろうか。 019 PSA 094 017 もしも主がわたしを助けられなかったならば、わが魂はとくに音なき所に住んだであろう。 019 PSA 094 018 しかし「わたしの足がすべる」と思ったとき、主よ、あなたのいつくしみはわたしをささえられました。 019 PSA 094 019 わたしのうちに思い煩いの満ちるとき、あなたの慰めはわが魂を喜ばせます。 019 PSA 094 020 定めをもって危害をたくらむ悪しき支配者はあなたと親しむことができるでしょうか。 019 PSA 094 021 彼らは相結んで正しい人の魂を責め、罪のない者に死を宣告します。 019 PSA 094 022 しかし主はわが高きやぐらとなり、わが神はわが避け所の岩となられました。 019 PSA 094 023 主は彼らの不義を彼らに報い、彼らをその悪のゆえに滅ぼされます。われらの神、主は彼らを滅ぼされます。 019 PSA 095 001 さあ、われらは主にむかって歌い、われらの救の岩にむかって喜ばしい声をあげよう。 019 PSA 095 002 われらは感謝をもって、み前に行き、主にむかい、さんびの歌をもって、喜ばしい声をあげよう。 019 PSA 095 003 主は大いなる神、すべての神にまさって大いなる王だからである。 019 PSA 095 004 地の深い所は主のみ手にあり、山々の頂もまた主のものである。 019 PSA 095 005 海は主のもの、主はこれを造られた。またそのみ手はかわいた地を造られた。 019 PSA 095 006 さあ、われらは拝み、ひれ伏し、われらの造り主、主のみ前にひざまずこう。 019 PSA 095 007 主はわれらの神であり、われらはその牧の民、そのみ手の羊である。どうか、あなたがたは、きょう、そのみ声を聞くように。 019 PSA 095 008 あなたがたは、メリバにいた時のように、また荒野のマッサにいた日のように、心をかたくなにしてはならない。 019 PSA 095 009 あの時、あなたがたの先祖たちはわたしのわざを見たにもかかわらず、わたしを試み、わたしをためした。 019 PSA 095 010 わたしは四十年の間、その代をきらって言った、「彼らは心の誤っている民であって、わたしの道を知らない」と。 019 PSA 095 011 それゆえ、わたしは憤って、彼らはわが安息に入ることができないと誓った。 019 PSA 096 001 新しい歌を主にむかってうたえ。全地よ、主にむかってうたえ。 019 PSA 096 002 主にむかって歌い、そのみ名をほめよ。日ごとにその救を宣べ伝えよ。 019 PSA 096 003 もろもろの国の中にその栄光をあらわし、もろもろの民の中にそのくすしきみわざをあらわせ。 019 PSA 096 004 主は大いなる神であって、いともほめたたうべきもの、もろもろの神にまさって恐るべき者である。 019 PSA 096 005 もろもろの民のすべての神はむなしい。しかし主はもろもろの天を造られた。 019 PSA 096 006 誉と、威厳とはそのみ前にあり、力と、うるわしさとはその聖所にある。 019 PSA 096 007 もろもろの民のやからよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 019 PSA 096 008 そのみ名にふさわしい栄光を主に帰せよ。供え物を携えてその大庭にきたれ。 019 PSA 096 009 聖なる装いをして主を拝め、全地よ、そのみ前におののけ。 019 PSA 096 010 もろもろの国民の中に言え、「主は王となられた。世界は堅く立って、動かされることはない。主は公平をもってもろもろの民をさばかれる」と。 019 PSA 096 011 天は喜び、地は楽しみ、海とその中に満ちるものとは鳴りどよめき、 019 PSA 096 012 田畑とその中のすべての物は大いに喜べ。そのとき、林のもろもろの木も主のみ前に喜び歌うであろう。 019 PSA 096 013 主は来られる、地をさばくために来られる。主は義をもって世界をさばき、まことをもってもろもろの民をさばかれる。 019 PSA 097 001 主は王となられた。地は楽しみ、海に沿った多くの国々は喜べ。 019 PSA 097 002 雲と暗やみとはそのまわりにあり、義と正とはそのみくらの基である。 019 PSA 097 003 火はそのみ前に行き、そのまわりのあだを焼きつくす。 019 PSA 097 004 主のいなずまは世界を照し、地は見ておののく。 019 PSA 097 005 もろもろの山は主のみ前に、全地の主のみ前に、ろうのように溶けた。 019 PSA 097 006 もろもろの天はその義をあらわし、よろずの民はその栄光を見た。 019 PSA 097 007 すべて刻んだ像を拝む者、むなしい偶像をもってみずから誇る者ははずかしめをうける。もろもろの神は主のみ前にひれ伏す。 019 PSA 097 008 主よ、あなたのさばきのゆえに、シオンは聞いて喜び、ユダの娘たちは楽しむ。 019 PSA 097 009 主よ、あなたは全地の上にいまして、いと高く、もろもろの神にまさって大いにあがめられます。 019 PSA 097 010 主は悪を憎む者を愛し、その聖徒のいのちを守り、これを悪しき者の手から助け出される。 019 PSA 097 011 光は正しい人のために現れ、喜びは心の正しい者のためにあらわれる。 019 PSA 097 012 正しき人よ、主によって喜べ、その聖なるみ名に感謝せよ。 019 PSA 098 001 歌 新しき歌を主にむかってうたえ。主はくすしきみわざをなされたからである。その右の手と聖なる腕とは、おのれのために勝利を得られた。 019 PSA 098 002 主はその勝利を知らせ、その義をもろもろの国民の前にあらわされた。 019 PSA 098 003 主はそのいつくしみと、まこととをイスラエルの家にむかって覚えられた。地のもろもろのはては、われらの神の勝利を見た。 019 PSA 098 004 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。声を放って喜び歌え、ほめうたえ。 019 PSA 098 005 琴をもって主をほめうたえ。琴と歌の声をもってほめうたえ。 019 PSA 098 006 ラッパと角笛の音をもって王なる主の前に喜ばしき声をあげよ。 019 PSA 098 007 海とその中に満ちるもの、世界とそのうちに住む者とは鳴りどよめけ。 019 PSA 098 008 大水はその手を打ち、もろもろの山は共に主のみ前に喜び歌え。 019 PSA 098 009 主は地をさばくために来られるからである。主は義をもって世界をさばき、公平をもってもろもろの民をさばかれる。 019 PSA 099 001 主は王となられた。もろもろの民はおののけ。主はケルビムの上に座せられる。地は震えよ。 019 PSA 099 002 主はシオンにおられて大いなる神、主はもろもろの民の上に高くいらせられる。 019 PSA 099 003 彼らはあなたの大いなる恐るべきみ名をほめたたえるであろう。主は聖でいらせられる。 019 PSA 099 004 大能の王であり、公義を愛する者であるあなたは堅く公平を立て、ヤコブの中に正と義とを行われた。 019 PSA 099 005 われらの神、主をあがめ、その足台のもとで拝みまつれ。主は聖でいらせられる。 019 PSA 099 006 その祭司の中にモーセとアロンとがあった。そのみ名を呼ぶ者の中にサムエルもあった。彼らが主に呼ばわると、主は答えられた。 019 PSA 099 007 主は雲の柱のうちで彼らに語られた。彼らはそのあかしと、彼らに賜わった定めとを守った。 019 PSA 099 008 われらの神、主よ、あなたは彼らに答えられた。あなたは彼らにゆるしを与えられた神であったが、悪を行う者には報復された。 019 PSA 099 009 われらの神、主をあがめ、その聖なる山で拝みまつれ。われらの神、主は聖でいらせられるからである。 019 PSA 100 001 感謝の供え物のための歌 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。 019 PSA 100 002 喜びをもって主に仕えよ。歌いつつ、そのみ前にきたれ。 019 PSA 100 003 主こそ神であることを知れ。われらを造られたものは主であって、われらは主のものである。われらはその民、その牧の羊である。 019 PSA 100 004 感謝しつつ、その門に入り、ほめたたえつつ、その大庭に入れ。主に感謝し、そのみ名をほめまつれ。 019 PSA 100 005 主は恵みふかく、そのいつくしみはかぎりなく、そのまことはよろず代に及ぶからである。 019 PSA 101 001 ダビデの歌 わたしはいつくしみと公義について歌います。主よ、わたしはあなたにむかって歌います。 019 PSA 101 002 わたしは全き道に心をとめます。あなたはいつ、わたしに来られるでしょうか。わたしは直き心をもって、わが家のうちを歩みます。 019 PSA 101 003 わたしは目の前に卑しい事を置きません。わたしはそむく者の行いを憎みます。それはわたしに付きまといません。 019 PSA 101 004 ひがんだ心はわたしを離れるでしょう。わたしは悪い事を知りません。 019 PSA 101 005 ひそかに、その隣り人をそしる者をわたしは滅ぼします。高ぶる目と高慢な心の人を耐え忍ぶ事はできません。 019 PSA 101 006 わたしは国のうちの忠信な者に好意を寄せ、わたしと共に住まわせます。全き道を歩む者はわたしに仕えるでしょう。 019 PSA 101 007 欺くことをする者はわが家のうちに住むことができません。偽りを言う者はわが目の前に立つことができません。 019 PSA 101 008 わたしは朝ごとに国の悪しき者をことごとく滅ぼし、不義を行う者をことごとく主の都から断ち除きます。 019 PSA 102 001 苦しむ者が思いくずおれてその嘆きを主のみ前に注ぎ出すときの祈 主よ、わたしの祈をお聞きください。わたしの叫びをみ前に至らせてください。 019 PSA 102 002 わたしの悩みの日にみ顔を隠すことなく、あなたの耳をわたしに傾け、わが呼ばわる日に、すみやかにお答えください。 019 PSA 102 003 わたしの日は煙のように消え、わたしの骨は炉のように燃えるからです。 019 PSA 102 004 わたしの心は草のように撃たれて、しおれました。わたしはパンを食べることを忘れました。 019 PSA 102 005 わが嘆きの声によってわたしの骨はわたしの肉に着きます。 019 PSA 102 006 わたしは荒野のはげたかのごとく、荒れた跡のふくろうのようです。 019 PSA 102 007 わたしは眠らずに屋根にひとりいるすずめのようです。 019 PSA 102 008 わたしの敵はひねもす、わたしをそしり、わたしをあざける者はわが名によってのろいます。 019 PSA 102 009 わたしは灰をパンのように食べ、わたしの飲み物に涙を交えました。 019 PSA 102 010 これはあなたの憤りと怒りのゆえです。あなたはわたしをもたげて投げすてられました。 019 PSA 102 011 わたしのよわいは夕暮の日影のようです。わたしは草のようにしおれました。 019 PSA 102 012 しかし主よ、あなたはとこしえにみくらに座し、そのみ名はよろず代に及びます。 019 PSA 102 013 あなたは立ってシオンをあわれまれるでしょう。これはシオンを恵まれる時であり、定まった時が来たからです。 019 PSA 102 014 あなたのしもべはシオンの石をも喜び、そのちりをさえあわれむのです。 019 PSA 102 015 もろもろの国民は主のみ名を恐れ、地のもろもろの王はあなたの栄光を恐れるでしょう。 019 PSA 102 016 主はシオンを築き、その栄光をもって現れ、 019 PSA 102 017 乏しい者の祈をかえりみ、彼らの願いをかろしめられないからです。 019 PSA 102 018 きたるべき代のために、この事を書きしるしましょう。そうすれば新しく造られる民は、主をほめたたえるでしょう。 019 PSA 102 019 主はその聖なる高き所から見おろし、天から地を見られた。 019 PSA 102 020 これは捕われ人の嘆きを聞き、死に定められた者を解き放ち、 019 PSA 102 021 人々がシオンで主のみ名をあらわし、エルサレムでその誉をあらわすためです。 019 PSA 102 022 その時もろもろの民、もろもろの国はともに集まって、主に仕えるでしょう。 019 PSA 102 023 主はわたしの力を中途でくじき、わたしのよわいを短くされました。 019 PSA 102 024 わたしは言いました、「わが神よ、どうか、わたしのよわいの半ばでわたしを取り去らないでください。あなたのよわいはよろず代に及びます」と。 019 PSA 102 025 あなたはいにしえ、地の基をすえられました。天もまたあなたのみ手のわざです。 019 PSA 102 026 これらは滅びるでしょう。しかしあなたは長らえられます。これらはみな衣のように古びるでしょう。あなたがこれらを上着のように替えられると、これらは過ぎ去ります。 019 PSA 102 027 しかしあなたは変ることなく、あなたのよわいは終ることがありません。 019 PSA 102 028 あなたのしもべの子らは安らかに住み、その子孫はあなたの前に堅く立てられるでしょう。 019 PSA 103 001 ダビデの歌 わがたましいよ、主をほめよ。わがうちなるすべてのものよ、その聖なるみ名をほめよ。 019 PSA 103 002 わがたましいよ、主をほめよ。そのすべてのめぐみを心にとめよ。 019 PSA 103 003 主はあなたのすべての不義をゆるし、あなたのすべての病をいやし、 019 PSA 103 004 あなたのいのちを墓からあがないいだし、いつくしみと、あわれみとをあなたにこうむらせ、 019 PSA 103 005 あなたの生きながらえるかぎり、良き物をもってあなたを飽き足らせられる。こうしてあなたは若返って、わしのように新たになる。 019 PSA 103 006 主はすべてしえたげられる者のために正義と公正とを行われる。 019 PSA 103 007 主はおのれの道をモーセに知らせ、おのれのしわざをイスラエルの人々に知らせられた。 019 PSA 103 008 主はあわれみに富み、めぐみふかく、怒ること遅く、いつくしみ豊かでいらせられる。 019 PSA 103 009 主は常に責めることをせず、また、とこしえに怒りをいだかれない。 019 PSA 103 010 主はわれらの罪にしたがってわれらをあしらわず、われらの不義にしたがって報いられない。 019 PSA 103 011 天が地よりも高いように、主がおのれを恐れる者に賜わるいつくしみは大きい、 019 PSA 103 012 東が西から遠いように、主はわれらのとがをわれらから遠ざけられる。 019 PSA 103 013 父がその子供をあわれむように、主はおのれを恐れる者をあわれまれる。 019 PSA 103 014 主はわれらの造られたさまを知り、われらのちりであることを覚えていられるからである。 019 PSA 103 015 人は、そのよわいは草のごとく、その栄えは野の花にひとしい。 019 PSA 103 016 風がその上を過ぎると、うせて跡なく、その場所にきいても、もはやそれを知らない。 019 PSA 103 017 しかし主のいつくしみは、とこしえからとこしえまで、主を恐れる者の上にあり、その義は子らの子に及び、 019 PSA 103 018 その契約を守り、その命令を心にとめて行う者にまで及ぶ。 019 PSA 103 019 主はその玉座を天に堅くすえられ、そのまつりごとはすべての物を統べ治める。 019 PSA 103 020 主の使たちよ、そのみ言葉の声を聞いて、これを行う勇士たちよ、主をほめまつれ。 019 PSA 103 021 そのすべての万軍よ、そのみこころを行うしもべたちよ、主をほめよ。 019 PSA 103 022 主が造られたすべての物よ、そのまつりごとの下にあるすべての所で、主をほめよ。わがたましいよ、主をほめよ。 019 PSA 104 001 わがたましいよ、主をほめよ。わが神、主よ、あなたはいとも大いにして誉と威厳とを着、 019 PSA 104 002 光を衣のようにまとい、天を幕のように張り、 019 PSA 104 003 水の上におのが高殿のうつばりをおき、雲をおのれのいくさ車とし、風の翼に乗りあるき、 019 PSA 104 004 風をおのれの使者とし、火と炎をおのれのしもべとされる。 019 PSA 104 005 あなたは地をその基の上にすえて、とこしえに動くことのないようにされた。 019 PSA 104 006 あなたはこれを衣でおおうように大水でおおわれた。水はたたえて山々の上を越えた。 019 PSA 104 007 あなたのとがめによって水は退き、あなたの雷の声によって水は逃げ去った。 019 PSA 104 008 山は立ちあがり、谷はあなたが定められた所に沈んだ。 019 PSA 104 009 あなたは水に境を定めて、これを越えさせず、再び地をおおうことのないようにされた。 019 PSA 104 010 あなたは泉を谷にわき出させ、それを山々の間に流れさせ、 019 PSA 104 011 野のもろもろの獣に飲ませられる。野のろばもそのかわきをいやす。 019 PSA 104 012 空の鳥もそのほとりに住み、こずえの間にさえずり歌う。 019 PSA 104 013 あなたはその高殿からもろもろの山に水を注がれる。地はあなたのみわざの実をもって満たされる。 019 PSA 104 014 あなたは家畜のために草をはえさせ、また人のためにその栽培する植物を与えて、地から食物を出させられる。 019 PSA 104 015 すなわち人の心を喜ばすぶどう酒、その顔をつややかにする油、人の心を強くするパンなどである。 019 PSA 104 016 主の木と、主がお植えになったレバノンの香柏とは豊かに潤され、 019 PSA 104 017 鳥はその中に巣をつくり、こうのとりはもみの木をそのすまいとする。 019 PSA 104 018 高き山はやぎのすまい、岩は岩だぬきの隠れる所である。 019 PSA 104 019 あなたは月を造って季節を定められた。日はその入る時を知っている。 019 PSA 104 020 あなたは暗やみを造って夜とされた。その時、林の獣は皆忍び出る。 019 PSA 104 021 若きししはほえてえさを求め、神に食物を求める。 019 PSA 104 022 日が出ると退いて、その穴に寝る。 019 PSA 104 023 人は出てわざにつき、その勤労は夕べに及ぶ。 019 PSA 104 024 主よ、あなたのみわざはいかに多いことであろう。あなたはこれらをみな知恵をもって造られた。地はあなたの造られたもので満ちている。 019 PSA 104 025 かしこに大いなる広い海がある。その中に無数のもの、大小の生き物が満ちている。 019 PSA 104 026 そこに舟が走り、あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる。 019 PSA 104 027 彼らは皆あなたが時にしたがって食物をお与えになるのを期待している。 019 PSA 104 028 あなたがお与えになると、彼らはそれを集める。あなたが手を開かれると、彼らは良い物で満たされる。 019 PSA 104 029 あなたがみ顔を隠されると、彼らはあわてふためく。あなたが彼らの息を取り去られると、彼らは死んでちりに帰る。 019 PSA 104 030 あなたが霊を送られると、彼らは造られる。あなたは地のおもてを新たにされる。 019 PSA 104 031 どうか、主の栄光がとこしえにあるように。主がそのみわざを喜ばれるように。 019 PSA 104 032 主が地を見られると、地は震い、山に触れられると、煙をいだす。 019 PSA 104 033 わたしは生きるかぎり、主にむかって歌い、ながらえる間はわが神をほめ歌おう。 019 PSA 104 034 どうか、わたしの思いが主に喜ばれるように。わたしは主によって喜ぶ。 019 PSA 104 035 どうか、罪びとが地から断ち滅ぼされ、悪しき者が、もはや、いなくなるように。わがたましいよ、主をほめよ。主をほめたたえよ。 019 PSA 105 001 主に感謝し、そのみ名を呼び、そのみわざをもろもろの民のなかに知らせよ。 019 PSA 105 002 主にむかって歌え、主をほめうたえ、そのすべてのくすしきみわざを語れ。 019 PSA 105 003 その聖なるみ名を誇れ。主を尋ね求める者の心を喜ばせよ。 019 PSA 105 004 主とそのみ力とを求めよ、つねにそのみ顔を尋ねよ。 019 PSA 105 006 そのしもべアブラハムの子孫よ、その選ばれた者であるヤコブの子らよ、主のなされたくすしきみわざと、その奇跡と、そのみ口のさばきとを心にとめよ。 019 PSA 105 007 彼はわれらの神、主でいらせられる。そのさばきは全地にある。 019 PSA 105 008 主はとこしえに、その契約をみこころにとめられる。これはよろず代に命じられたみ言葉であって、 019 PSA 105 009 アブラハムと結ばれた契約、イサクに誓われた約束である。 019 PSA 105 010 主はこれを堅く立てて、ヤコブのために定めとし、イスラエルのために、とこしえの契約として 019 PSA 105 011 言われた、「わたしはあなたにカナンの地を与えて、あなたがたの受ける嗣業の分け前とする」と。 019 PSA 105 012 このとき彼らの数は少なくて、数えるに足らず、その所で旅びととなり、 019 PSA 105 013 この国からかの国へ行き、この国から他の民へ行った。 019 PSA 105 014 主は人の彼らをしえたげるのをゆるさず、彼らのために王たちを懲しめて、 019 PSA 105 015 言われた、「わが油そそがれた者たちにさわってはならない、わが預言者たちに害を加えてはならない」と。 019 PSA 105 016 主はききんを地に招き、人のつえとするパンをことごとく砕かれた。 019 PSA 105 017 また彼らの前にひとりをつかわされた。すなわち売られて奴隷となったヨセフである。 019 PSA 105 018 彼の足は足かせをもって痛められ、彼の首は鉄の首輪にはめられ、 019 PSA 105 019 彼の言葉の成る時まで、主のみ言葉が彼を試みた。 019 PSA 105 020 王は人をつかわして彼を解き放ち、民のつかさは彼に自由を与えた。 019 PSA 105 021 王はその家のつかさとしてその所有をことごとくつかさどらせ、 019 PSA 105 022 その心のままに君たちを教えさせ、長老たちに知恵を授けさせた。 019 PSA 105 023 その時イスラエルはエジプトにきたり、ヤコブはハムの地に寄留した。 019 PSA 105 024 主はその民を大いに増し加え、これをそのあだよりも強くされた。 019 PSA 105 025 主は人々の心をかえて、その民を憎ませ、そのしもべたちを悪賢く扱わせられた。 019 PSA 105 026 主はそのしもべモーセと、そのお選びになったアロンとをつかわされた。 019 PSA 105 027 彼らはハムの地で主のしるしと、奇跡とを彼らのうちにおこなった。 019 PSA 105 028 主は暗やみをつかわして地を暗くされた。しかし彼らはそのみ言葉に従わなかった。 019 PSA 105 029 主は彼らの水を血に変らせて、その魚を殺された。 019 PSA 105 030 彼らの国には、かえるが群がり、王の寝間にまではいった。 019 PSA 105 031 主が言われると、はえの群れがきたり、ぶよが国じゅうにあった。 019 PSA 105 032 主は雨にかえて、ひょうを彼らに与え、きらめくいなずまを彼らの国に放たれた。 019 PSA 105 033 主は彼らのぶどうの木と、いちじくの木とを撃ち、彼らの国のもろもろの木を折り砕かれた。 019 PSA 105 034 主が言われると、いなごがきたり、無数の若いいなごが来て、 019 PSA 105 035 彼らの国のすべての青物を食いつくし、その地の実を食いつくした。 019 PSA 105 036 主は彼らの国のすべてのういごを撃ち、彼らのすべての力の初めを撃たれた。 019 PSA 105 037 そして金銀を携えてイスラエルを出て行かせられた。その部族のうちに、ひとりの倒れる者もなかった。 019 PSA 105 038 エジプトは彼らの去るのを喜んだ。彼らに対する恐れが彼らに臨んだからである。 019 PSA 105 039 主は雲をひろげておおいとし、夜は火をもって照された。 019 PSA 105 040 また彼らの求めによって、うずらを飛びきたらせ、天から、かてを豊かに彼らに与えられた。 019 PSA 105 041 主が岩を開かれると、水がほとばしり出て、かわいた地に川のように流れた。 019 PSA 105 042 これは主がその聖なる約束と、そのしもべアブラハムを覚えられたからである。 019 PSA 105 043 こうして主はその民を導いて喜びつつ出て行かせ、その選ばれた民を導いて歌いつつ出て行かせられた。 019 PSA 105 044 主はもろもろの国びとの地を彼らに与えられたので、彼らはもろもろの民の勤労の実を自分のものとした。 019 PSA 105 045 これは彼らが主の定めを守り、そのおきてを行うためである。主をほめたたえよ。 019 PSA 106 001 主をほめたたえよ。主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 019 PSA 106 002 だれが主の大能のみわざを語り、その誉をことごとく言いあらわすことができようか。 019 PSA 106 003 公正を守る人々、常に正義を行う人はさいわいである。 019 PSA 106 004 主よ、あなたがその民を恵まれるとき、わたしを覚えてください。あなたが彼らを救われるとき、わたしを助けてください。 019 PSA 106 005 そうすれば、わたしはあなたの選ばれた者の繁栄を見、あなたの国民の喜びをよろこび、あなたの嗣業と共に誇ることができるでしょう。 019 PSA 106 006 われらは先祖たちと同じく罪を犯した。われらは不義をなし、悪しきことを行った。 019 PSA 106 007 われらの先祖たちはエジプトにいたとき、あなたのくすしきみわざに心を留めず、あなたのいつくしみの豊かなのを思わず、紅海で、いと高き神にそむいた。 019 PSA 106 008 けれども主はその大能を知らせようと、み名のために彼らを救われた。 019 PSA 106 009 主は紅海をしかって、それをかわかし、彼らを導いて荒野を行くように、淵を通らせられた。 019 PSA 106 010 こうして主は彼らをあだの手から救い、敵の力からあがなわれた。 019 PSA 106 011 水が彼らのあだをおおったので、そのうち、ひとりも生き残った者はなかった。 019 PSA 106 012 このとき彼らはそのみ言葉を信じ、その誉を歌った。 019 PSA 106 013 しかし彼らはまもなくそのみわざを忘れ、その勧めを待たず、 019 PSA 106 014 野でわがままな欲望を起し、荒野で神を試みた。 019 PSA 106 015 主は彼らにその求めるものを与えられたが、彼らのうちに病気を送って、やせ衰えさせられた。 019 PSA 106 016 人々が宿営のうちでモーセをねたみ、主の聖者アロンをねたんだとき、 019 PSA 106 017 地が開けてダタンを飲み、アビラムの仲間をおおった。 019 PSA 106 018 火はまたこの仲間のうちに燃え起り、炎は悪しき者を焼きつくした。 019 PSA 106 019 彼らはホレブで子牛を造り、鋳物の像を拝んだ。 019 PSA 106 020 彼らは神の栄光を草を食う牛の像と取り替えた。 019 PSA 106 022 彼らは、エジプトで大いなる事をなし、ハムの地でくすしきみわざをなし、紅海のほとりで恐るべき事をなされた救主なる神を忘れた。 019 PSA 106 023 それゆえ、主は彼らを滅ぼそうと言われた。しかし主のお選びになったモーセは破れ口で主のみ前に立ち、み怒りを引きかえして、滅びを免れさせた。 019 PSA 106 024 彼らは麗しい地を侮り、主の約束を信ぜず、 019 PSA 106 025 またその天幕でつぶやき、主のみ声に聞き従わなかった。 019 PSA 106 026 それゆえ、主はみ手をあげて、彼らに誓い、彼らを荒野で倒れさせ、 019 PSA 106 027 またその子孫を、もろもろの国民のうちに追い散らし、もろもろの地に彼らをまき散らそうとされた。 019 PSA 106 028 また彼らはペオルのバアルを慕って、死んだ者にささげた、いけにえを食べた。 019 PSA 106 029 彼らはそのおこないをもって主を怒らせたので、彼らのうちに疫病が起った。 019 PSA 106 030 その時ピネハスが立って仲裁にはいったので、疫病はやんだ。 019 PSA 106 031 これによってピネハスはよろず代まで、とこしえに義とされた。 019 PSA 106 032 彼らはまたメリバの水のほとりで主を怒らせたので、モーセは彼らのために災にあった。 019 PSA 106 033 これは彼らが神の霊にそむいたとき、彼がそのくちびるで軽率なことを言ったからである。 019 PSA 106 034 彼らは主が命じられたもろもろの民を滅ぼさず、 019 PSA 106 035 かえってもろもろの国民とまじってそのわざにならい、 019 PSA 106 036 自分たちのわなとなった偶像に仕えた。 019 PSA 106 037 彼らはそのむすこ、娘たちを悪霊にささげ、 019 PSA 106 038 罪のない血、すなわちカナンの偶像にささげたそのむすこ、娘たちの血を流した。こうして国は血で汚された。 019 PSA 106 039 このように彼らはそのわざによっておのれを汚し、そのおこないによって姦淫をなした。 019 PSA 106 040 それゆえ、主の怒りがその民にむかって燃え、その嗣業を憎んで、 019 PSA 106 041 彼らをもろもろの国民の手にわたされた。彼らはおのれを憎む者に治められ、 019 PSA 106 042 その敵にしえたげられ、その力の下に征服された。 019 PSA 106 043 主はしばしば彼らを助けられたが、彼らははかりごとを設けてそむき、その不義によって低くされた。 019 PSA 106 044 それにもかかわらず、主は彼らの叫びを聞かれたとき、その悩みをかえりみ、 019 PSA 106 045 その契約を彼らのために思い出し、そのいつくしみの豊かなるにより、みこころを変えられ、 019 PSA 106 046 彼らをとりこにした者どもによって、あわれまれるようにされた。 019 PSA 106 047 われらの神、主よ、われらを救って、もろもろの国民のなかから集めてください。われらはあなたの聖なるみ名に感謝し、あなたの誉を誇るでしょう。 019 PSA 106 048 イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。すべての民は「アァメン」ととなえよ。主をほめたたえよ。 019 PSA 107 001 「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と、 019 PSA 107 002 主にあがなわれた者は言え。主は彼らを悩みからあがない、 019 PSA 107 003 もろもろの国から、東、西、北、南から彼らを集められた。 019 PSA 107 004 彼らは人なき荒野にさまよい、住むべき町にいたる道を見いださなかった。 019 PSA 107 005 彼らは飢え、またかわき、その魂は彼らのうちに衰えた。 019 PSA 107 006 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから助け出し、 019 PSA 107 007 住むべき町に行き着くまで、まっすぐな道に導かれた。 019 PSA 107 008 どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 019 PSA 107 009 主はかわいた魂を満ち足らせ、飢えた魂を良き物で満たされるからである。 019 PSA 107 010 暗黒と深いやみの中にいる者、苦しみと、くろがねに縛られた者、 019 PSA 107 011 彼らは神の言葉にそむき、いと高き者の勧めを軽んじたので、 019 PSA 107 012 主は重い労働をもって彼らの心を低くされた。彼らはつまずき倒れても、助ける者がなかった。 019 PSA 107 013 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 019 PSA 107 014 暗黒と深いやみから彼らを導き出して、そのかせをこわされた。 019 PSA 107 015 どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 019 PSA 107 016 主は青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切られたからである。 019 PSA 107 017 ある者はその罪に汚れた行いによって病み、その不義のゆえに悩んだ。 019 PSA 107 018 彼らはすべての食物をきらって、死の門に近づいた。 019 PSA 107 019 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 019 PSA 107 020 そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された。 019 PSA 107 021 どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 019 PSA 107 022 彼らが感謝のいけにえをささげ、喜びの歌をもって、そのみわざを言いあらわすように。 019 PSA 107 023 舟で海にくだり、大海で商売をする者は、 019 PSA 107 024 主のみわざを見、また深い所でそのくすしきみわざを見た。 019 PSA 107 025 主が命じられると暴風が起って、海の波をあげた。 019 PSA 107 026 彼らは天にのぼり、淵にくだり、悩みによってその勇気は溶け去り、 019 PSA 107 027 酔った人のようによろめき、よろめいて途方にくれる。 019 PSA 107 028 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。 019 PSA 107 029 主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。 019 PSA 107 030 こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。 019 PSA 107 031 どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 019 PSA 107 032 彼らが民の集会で主をあがめ、長老の会合で主をほめたたえるように。 019 PSA 107 033 主は川を野に変らせ、泉をかわいた地に変らせ、 019 PSA 107 034 肥えた地をそれに住む者の悪のゆえに塩地に変らせられる。 019 PSA 107 035 主は野を池に変らせ、かわいた地を泉に変らせ、 019 PSA 107 036 飢えた者をそこに住まわせられる。こうして彼らはその住むべき町を建て、 019 PSA 107 037 畑に種をまき、ぶどう畑を設けて多くの収穫を得た。 019 PSA 107 038 主が彼らを祝福されたので彼らは大いにふえ、その家畜の減るのをゆるされなかった。 019 PSA 107 039 彼らがしえたげと、悩みと、悲しみとによって減り、かつ卑しめられたとき、 019 PSA 107 040 主はもろもろの君に侮りをそそぎ、道なき荒れ地にさまよわせられた。 019 PSA 107 041 しかし主は貧しい者を悩みのうちからあげて、その家族を羊の群れのようにされた。 019 PSA 107 042 正しい者はこれを見て喜び、もろもろの不義はその口を閉じた。 019 PSA 107 043 すべて賢い者はこれらの事に心をよせ、主のいつくしみをさとるようにせよ。 019 PSA 108 001 ダビデの歌、さんび 神よ、わが心は定まりました。わが心は定まりました。わたしは歌い、かつほめたたえます。わが魂よ、さめよ。 019 PSA 108 002 立琴よ、琴よ、さめよ。わたしはしののめを呼びさまします。 019 PSA 108 003 主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、もろもろの国の中であなたをほめたたえます。 019 PSA 108 004 あなたのいつくしみは大きく、天にまでおよびあなたのまことは雲にまで及ぶ。 019 PSA 108 005 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 019 PSA 108 006 あなたの愛される者が助けを得るために、右のみ手をもって救をほどこし、わたしに答えてください。 019 PSA 108 007 神はその聖所で言われた、「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、スコテの谷を分かち与えよう。 019 PSA 108 008 ギレアデはわたしのもの、マナセもわたしのものである。エフライムはわたしのかぶと、ユダはわたしのつえである。 019 PSA 108 009 モアブはわたしの足だらい、エドムにはわたしのくつを投げる。ペリシテについては、かちどきをあげる」。 019 PSA 108 010 だれがわたしを堅固な町に至らせるであろうか。だれがわたしをエドムに導くであろうか。 019 PSA 108 011 神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。 019 PSA 108 012 われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。人の助けはむなしいからです。 019 PSA 108 013 われらは神によって勇ましく働きます。われらのあだを踏みにじる者は神だからです。 019 PSA 109 001 聖歌隊の指揮者によってうたわせたダビデの歌 わたしのほめたたえる神よ、もださないでください。 019 PSA 109 002 彼らは悪しき口と欺きの口をあけて、わたしにむかい、偽りの舌をもってわたしに語り、 019 PSA 109 003 恨みの言葉をもってわたしを囲み、ゆえなくわたしを攻めるのです。 019 PSA 109 004 彼らはわが愛にむくいて、わたしを非難します。しかしわたしは彼らのために祈ります。 019 PSA 109 005 彼らは悪をもってわが善に報い、恨みをもってわが愛に報いるのです。 019 PSA 109 006 彼の上に悪しき人を立て、訴える者に彼を訴えさせてください。 019 PSA 109 007 彼がさばかれるとき、彼を罪ある者とし、その祈を罪に変えてください。 019 PSA 109 008 その日を少なくし、その財産をほかの人にとらせ、 019 PSA 109 009 その子らをみなしごにし、その妻をやもめにしてください。 019 PSA 109 010 その子らを放浪者として施しをこわせ、その荒れたすまいから追い出させてください。 019 PSA 109 011 彼が持っているすべての物を債主に奪わせ、その勤労の実をほかの人にかすめさせてください。 019 PSA 109 012 彼にいつくしみを施す者はひとりもなく、またそのみなしごをあわれむ者もなく、 019 PSA 109 013 その子孫を絶えさせ、その名を次の代に消し去ってください。 019 PSA 109 014 その父たちの不義は主のみ前に覚えられ、その母の罪を消し去らないでください。 019 PSA 109 015 それらを常に主のみ前に置き、彼の記憶を地から断ってください。 019 PSA 109 016 これは彼がいつくしみを施すことを思わず、かえって貧しい者、乏しい者を責め、心の痛める者を殺そうとしたからです。 019 PSA 109 017 彼はのろうことを好んだ。のろいを彼に臨ませてください。彼は恵むことを喜ばなかった。恵みを彼から遠ざけてください。 019 PSA 109 018 彼はのろいを衣のように着た。のろいを水のようにその身にしみこませ、油のようにその骨にしみこませてください。 019 PSA 109 019 またそれを自分の着る着物のようにならせ、常に締める帯のようにならせてください。 019 PSA 109 020 これがわたしを非難する者と、わたしに逆らって悪いことを言う者の主からうける報いとしてください。 019 PSA 109 021 しかし、わが主なる神よ、あなたはみ名のために、わたしを顧みてください。あなたのいつくしみの深きにより、わたしをお助けください。 019 PSA 109 022 わたしは貧しく、かつ乏しいのです。わたしの心はわがうちに傷ついています。 019 PSA 109 023 わたしは夕日の影のように去りゆき、いなごのように追い払われます。 019 PSA 109 024 わたしのひざは断食によってよろめき、わたしの肉はやせ衰え、 019 PSA 109 025 わたしは彼らにそしられる者となりました。彼らはわたしを見ると、頭を振ります。 019 PSA 109 026 わが神、主よ、わたしをお助けください。あなたのいつくしみにしたがって、わたしをお救いください。 019 PSA 109 027 主よ、これがあなたのみ手のわざであること、あなたがそれをなされたことを、彼らに知らせてください。 019 PSA 109 028 彼らはのろうけれども、あなたは祝福されます。わたしを攻める者をはずかしめ、あなたのしもべを喜ばせてください。 019 PSA 109 029 わたしを非難する者にはずかしめを着せ、おのが恥を上着のようにまとわせてください。 019 PSA 109 030 わたしはわが口をもって大いに主に感謝し、多くの人のなかで主をほめたたえます。 019 PSA 109 031 主は貧しい者の右に立って、死罪にさだめようとする者から彼を救われるからです。 019 PSA 110 001 ダビデの歌 主はわが主に言われる、「わたしがあなたのもろもろの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座せよ」と。 019 PSA 110 002 主はあなたの力あるつえをシオンから出される。あなたはもろもろの敵のなかで治めよ。 019 PSA 110 003 あなたの民は、あなたがその軍勢を聖なる山々に導く日に心から喜んでおのれをささげるであろう。あなたの若者は朝の胎から出る露のようにあなたに来るであろう。 019 PSA 110 004 主は誓いを立てて、み心を変えられることはない、「あなたはメルキゼデクの位にしたがってとこしえに祭司である」。 019 PSA 110 005 主はあなたの右におられて、その怒りの日に王たちを打ち破られる。 019 PSA 110 006 主はもろもろの国のなかでさばきを行い、しかばねをもって満たし、広い地を治める首領たちを打ち破られる。 019 PSA 110 007 彼は道のほとりの川からくんで飲み、それによって、そのこうべをあげるであろう。 019 PSA 111 001 主をほめたたえよ。わたしは正しい者のつどい、および公会で、心をつくして主に感謝する。 019 PSA 111 002 主のみわざは偉大である。すべてそのみわざを喜ぶ者によって尋ね窮められる。 019 PSA 111 003 そのみわざは栄光と威厳とに満ち、その義はとこしえに、うせることがない。 019 PSA 111 004 主はそのくすしきみわざを記念させられた。主は恵みふかく、あわれみに満ちていられる。 019 PSA 111 005 主はおのれを恐れる者に食物を与え、その契約をとこしえに心にとめられる。 019 PSA 111 006 主はもろもろの国民の所領をその民に与えて、みわざの力をこれにあらわされた。 019 PSA 111 007 そのみ手のわざは真実かつ公正であり、すべてのさとしは確かである。 019 PSA 111 008 これらは世々かぎりなく堅く立ち、真実と正直とをもってなされた。 019 PSA 111 009 主はその民にあがないを施し、その契約をとこしえに立てられた。そのみ名は聖にして、おそれおおい。 019 PSA 111 010 主を恐れることは知恵のはじめである。これを行う者はみな良き悟りを得る。主の誉は、とこしえに、うせることはない。 019 PSA 112 001 主をほめたたえよ。主をおそれて、そのもろもろの戒めを大いに喜ぶ人はさいわいである。 019 PSA 112 002 その子孫は地において強くなり、正しい者のやからは祝福を得る。 019 PSA 112 003 繁栄と富とはその家にあり、その義はとこしえに、うせることはない。 019 PSA 112 004 光は正しい者のために暗黒の中にもあらわれる。主は恵み深く、あわれみに満ち、正しくいらせられる。 019 PSA 112 005 恵みを施し、貸すことをなし、その事を正しく行う人はさいわいである。 019 PSA 112 006 正しい人は決して動かされることなく、とこしえに覚えられる。 019 PSA 112 007 彼は悪いおとずれを恐れず、その心は主に信頼してゆるがない。 019 PSA 112 008 その心は落ち着いて恐れることなく、ついにそのあだについての願いを見る。 019 PSA 112 009 彼は惜しげなく施し、貧しい者に与えた。その義はとこしえに、うせることはない。その角は誉を得てあげられる。 019 PSA 112 010 悪しき者はこれを見て怒り、歯をかみならして溶け去る。悪しき者の願いは滅びる。 019 PSA 113 001 主をほめたたえよ。主のしもべたちよ、ほめたたえよ。主のみ名をほめたたえよ。 019 PSA 113 002 今より、とこしえに至るまで主のみ名はほむべきかな。 019 PSA 113 003 日のいずるところから日の入るところまで、主のみ名はほめたたえられる。 019 PSA 113 004 主はもろもろの国民の上に高くいらせられ、その栄光は天よりも高い。 019 PSA 113 005 われらの神、主にくらぶべき者はだれか。主は高き所に座し、 019 PSA 113 006 遠く天と地とを見おろされる。 019 PSA 113 007 主は貧しい者をちりからあげ、乏しい者をあくたからあげて、 019 PSA 113 008 もろもろの君たちと共にすわらせ、その民の君たちと共にすわらせられる。 019 PSA 113 009 また子を産まぬ女に家庭を与え、多くの子供たちの喜ばしい母とされる。主をほめたたえよ。 019 PSA 114 001 イスラエルがエジプトをいで、ヤコブの家が異言の民を離れたとき、 019 PSA 114 002 ユダは主の聖所となり、イスラエルは主の所領となった。 019 PSA 114 003 海はこれを見て逃げ、ヨルダンはうしろに退き、 019 PSA 114 004 山は雄羊のように踊り、小山は小羊のように踊った。 019 PSA 114 005 海よ、おまえはどうして逃げるのか、ヨルダンよ、おまえはどうしてうしろに退くのか。 019 PSA 114 006 山よ、おまえたちはどうして雄羊のように踊るのか、小山よ、おまえたちはどうして小羊のように踊るのか。 019 PSA 114 007 地よ、主のみ前におののけ、ヤコブの神のみ前におののけ。 019 PSA 114 008 主は岩を池に変らせ、石を泉に変らせられた。 019 PSA 115 001 主よ、栄光をわれらにではなく、われらにではなく、あなたのいつくしみと、まこととのゆえに、ただ、み名にのみ帰してください。 019 PSA 115 002 なにゆえ、もろもろの国民は言うのでしょう、「彼らの神はどこにいるのか」と。 019 PSA 115 003 われらの神は天にいらせられる。神はみこころにかなうすべての事を行われる。 019 PSA 115 004 彼らの偶像はしろがねと、こがねで、人の手のわざである。 019 PSA 115 005 それは口があっても語ることができない。目があっても見ることができない。 019 PSA 115 006 耳があっても聞くことができない。鼻があってもかぐことができない。 019 PSA 115 007 手があっても取ることができない。足があっても歩くことができない。また、のどから声を出すこともできない。 019 PSA 115 008 これを造る者と、これに信頼する者とはみな、これと等しい者になる。 019 PSA 115 009 イスラエルよ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 019 PSA 115 010 アロンの家よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 019 PSA 115 011 主を恐れる者よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 019 PSA 115 012 主はわれらをみこころにとめられた。主はわれらを恵み、イスラエルの家を恵み、アロンの家を恵み、 019 PSA 115 013 また、小さい者も、大いなる者も、主を恐れる者を恵まれる。 019 PSA 115 014 どうか、主があなたがたを増し加え、あなたがたと、あなたがたの子孫とを増し加えられるように。 019 PSA 115 015 天地を造られた主によってあなたがたが恵まれるように。 019 PSA 115 016 天は主の天である。しかし地は人の子らに与えられた。 019 PSA 115 017 死んだ者も、音なき所に下る者も、主をほめたたえることはない。 019 PSA 115 018 しかし、われらは今より、とこしえに至るまで、主をほめまつるであろう。主をほめたたえよ。 019 PSA 116 001 わたしは主を愛する。主はわが声と、わが願いとを聞かれたからである。 019 PSA 116 002 主はわたしに耳を傾けられたので、わたしは生きるかぎり主を呼びまつるであろう。 019 PSA 116 003 死の綱がわたしを取り巻き、陰府の苦しみがわたしを捕えた。わたしは悩みと悲しみにあった。 019 PSA 116 004 その時わたしは主のみ名を呼んだ。「主よ、どうぞわたしをお救いください」と。 019 PSA 116 005 主は恵みふかく、正しくいらせられ、われらの神はあわれみに富まれる。 019 PSA 116 006 主は無学な者を守られる。わたしが低くされたとき、主はわたしを救われた。 019 PSA 116 007 わが魂よ、おまえの平安に帰るがよい。主は豊かにおまえをあしらわれたからである。 019 PSA 116 008 あなたはわたしの魂を死から、わたしの目を涙から、わたしの足をつまずきから助け出されました。 019 PSA 116 009 わたしは生ける者の地で、主のみ前に歩みます。 019 PSA 116 010 「わたしは大いに悩んだ」と言った時にもなお信じた。 019 PSA 116 011 わたしは驚きあわてたときに言った、「すべての人は当にならぬ者である」と。 019 PSA 116 012 わたしに賜わったもろもろの恵みについて、どうして主に報いることができようか。 019 PSA 116 013 わたしは救の杯をあげて、主のみ名を呼ぶ。 019 PSA 116 014 わたしはすべての民の前で、主にわが誓いをつぐなおう。 019 PSA 116 015 主の聖徒の死はそのみ前において尊い。 019 PSA 116 016 主よ、わたしはあなたのしもべです。わたしはあなたのしもべ、あなたのはしための子です。あなたはわたしのなわめを解かれました。 019 PSA 116 017 わたしは感謝のいけにえをあなたにささげて、主のみ名を呼びます。 019 PSA 116 018 わたしはすべての民の前で主にわが誓いをつぐないます。 019 PSA 116 019 エルサレムよ、あなたの中で、主の家の大庭の中で、これをつぐないます。主をほめたたえよ。 019 PSA 117 001 もろもろの国よ、主をほめたたえよ。もろもろの民よ、主をたたえまつれ。 019 PSA 117 002 われらに賜わるそのいつくしみは大きいからである。主のまことはとこしえに絶えることがない。主をほめたたえよ。 019 PSA 118 001 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 019 PSA 118 002 イスラエルは言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 019 PSA 118 003 アロンの家は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 019 PSA 118 004 主をおそれる者は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 019 PSA 118 005 わたしが悩みのなかから主を呼ぶと、主は答えて、わたしを広い所に置かれた。 019 PSA 118 006 主がわたしに味方されるので、恐れることはない。人はわたしに何をなし得ようか。 019 PSA 118 007 主はわたしに味方し、わたしを助けられるので、わたしを憎む者についての願いを見るであろう。 019 PSA 118 008 主に寄り頼むは人にたよるよりも良い。 019 PSA 118 009 主に寄り頼むはもろもろの君にたよるよりも良い。 019 PSA 118 010 もろもろの国民はわたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 019 PSA 118 011 彼らはわたしを囲んだ、わたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 019 PSA 118 012 彼らは蜂のようにわたしを囲み、いばらの火のように燃えたった。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 019 PSA 118 013 わたしはひどく押されて倒れようとしたが、主はわたしを助けられた。 019 PSA 118 014 主はわが力、わが歌であって、わが救となられた。 019 PSA 118 015 聞け、勝利の喜ばしい歌が正しい者の天幕にある。「主の右の手は勇ましいはたらきをなし、 019 PSA 118 016 主の右の手は高くあがり、主の右の手は勇ましいはたらきをなす」。 019 PSA 118 017 わたしは死ぬことなく、生きながらえて、主のみわざを物語るであろう。 019 PSA 118 018 主はいたくわたしを懲らされたが、死にはわたされなかった。 019 PSA 118 019 わたしのために義の門を開け、わたしはその内にはいって、主に感謝しよう。 019 PSA 118 020 これは主の門である。正しい者はその内にはいるであろう。 019 PSA 118 021 わたしはあなたに感謝します。あなたがわたしに答えて、わが救となられたことを。 019 PSA 118 022 家造りらの捨てた石は隅のかしら石となった。 019 PSA 118 023 これは主のなされた事でわれらの目には驚くべき事である。 019 PSA 118 024 これは主が設けられた日であって、われらはこの日に喜び楽しむであろう。 019 PSA 118 025 主よ、どうぞわれらをお救いください。主よ、どうぞわれらを栄えさせてください。 019 PSA 118 026 主のみ名によってはいる者はさいわいである。われらは主の家からあなたをたたえます。 019 PSA 118 027 主は神であって、われらを照された。枝を携えて祭の行列を祭壇の角にまで進ませよ。 019 PSA 118 028 あなたはわが神、わたしはあなたに感謝します。あなたはわが神、わたしはあなたをあがめます。 019 PSA 118 029 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 019 PSA 119 001 アレフ おのが道を全くして、主のおきてに歩む者はさいわいです。 019 PSA 119 002 主のもろもろのあかしを守り心をつくして主を尋ね求め、 019 PSA 119 003 また悪を行わず、主の道に歩む者はさいわいです。 019 PSA 119 004 あなたはさとしを命じて、ねんごろに守らせられます。 019 PSA 119 005 どうかわたしの道を堅くして、あなたの定めを守らせてください。 019 PSA 119 006 わたしは、あなたのもろもろの戒めに目をとめる時、恥じることはありません。 019 PSA 119 007 わたしは、あなたの正しいおきてを学ぶとき、正しい心をもってあなたに感謝します。 019 PSA 119 008 わたしはあなたの定めを守ります。わたしを全くお捨てにならないでください。 019 PSA 119 009 ベス 若い人はどうしておのが道を清く保つことができるでしょうか。み言葉にしたがって、それを守るよりほかにありません。 019 PSA 119 010 わたしは心をつくしてあなたを尋ね求めます。わたしをあなたの戒めから迷い出させないでください。 019 PSA 119 011 わたしはあなたにむかって罪を犯すことのないように、心のうちにみ言葉をたくわえました。 019 PSA 119 012 あなたはほむべきかな、主よ、あなたの定めをわたしに教えてください。 019 PSA 119 013 わたしはくちびるをもって、あなたの口から出るもろもろのおきてを言いあらわします。 019 PSA 119 014 わたしは、もろもろのたからを喜ぶように、あなたのあかしの道を喜びます。 019 PSA 119 015 わたしは、あなたのさとしを思い、あなたの道に目をとめます。 019 PSA 119 016 わたしはあなたの定めを喜び、あなたのみ言葉を忘れません。 019 PSA 119 017 ギメル あなたのしもべを豊かにあしらって、生きながらえさせ、み言葉を守らせてください。 019 PSA 119 018 わたしの目を開いて、あなたのおきてのうちのくすしき事を見させてください。 019 PSA 119 019 わたしはこの地にあっては寄留者です。あなたの戒めをわたしに隠さないでください。 019 PSA 119 020 わが魂はつねにあなたのおきてを慕って、絶えいるばかりです。 019 PSA 119 021 あなたは、あなたの戒めから迷い出る高ぶる者、のろわれた者を責められます。 019 PSA 119 022 わたしはあなたのあかしを守りました。彼らのそしりと侮りとをわたしから取り去ってください。 019 PSA 119 023 たといもろもろの君が座して、わたしをそこなおうと図っても、あなたのしもべは、あなたの定めを深く思います。 019 PSA 119 024 あなたのあかしは、わたしを喜ばせ、わたしを教えさとすものです。 019 PSA 119 025 ダレス わが魂はちりについています。み言葉に従って、わたしを生き返らせてください。 019 PSA 119 026 わたしが自分の歩んだ道を語ったとき、あなたはわたしに答えられました。あなたの定めをわたしに教えてください。 019 PSA 119 027 あなたのさとしの道をわたしにわきまえさせてください。わたしはあなたのくすしきみわざを深く思います。 019 PSA 119 028 わが魂は悲しみによって溶け去ります。み言葉に従って、わたしを強くしてください。 019 PSA 119 029 偽りの道をわたしから遠ざけ、あなたのおきてをねんごろに教えてください。 019 PSA 119 030 わたしは真実の道を選び、あなたのおきてをわたしの前に置きました。 019 PSA 119 031 主よ、わたしはあなたのあかしに堅く従っています。願わくは、わたしをはずかしめないでください。 019 PSA 119 032 あなたがわたしの心を広くされるとき、わたしはあなたの戒めの道を走ります。 019 PSA 119 033 ヘ 主よ、あなたの定めの道をわたしに教えてください。わたしは終りまでこれを守ります。 019 PSA 119 034 わたしに知恵を与えてください。わたしはあなたのおきてを守り、心をつくしてこれに従います。 019 PSA 119 035 わたしをあなたの戒めの道に導いてください。わたしはそれを喜ぶからです。 019 PSA 119 036 わたしの心をあなたのあかしに傾けさせ、不正な利得に傾けさせないでください。 019 PSA 119 037 わたしの目をほかにむけて、むなしいものを見させず、あなたの道をもって、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 038 あなたを恐れる者にかかわる約束をあなたのしもべに堅くしてください。 019 PSA 119 039 わたしの恐れるそしりを除いてください。あなたのおきては正しいからです。 019 PSA 119 040 見よ、わたしはあなたのさとしを慕います。あなたの義をもって、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 041 ワウ 主よ、あなたの約束にしたがって、あなたのいつくしみと、あなたの救をわたしに臨ませてください。 019 PSA 119 042 そうすれば、わたしをそしる者に、答えることができます。わたしはあなたのみ言葉に信頼するからです。 019 PSA 119 043 またわたしの口から真理の言葉をことごとく除かないでください。わたしの望みはあなたのおきてにあるからです。 019 PSA 119 044 わたしは絶えず、とこしえに、あなたのおきてを守ります。 019 PSA 119 045 わたしはあなたのさとしを求めたので、自由に歩むことができます。 019 PSA 119 046 わたしはまた王たちの前にあなたのあかしを語って恥じることはありません。 019 PSA 119 047 わたしは、わたしの愛するあなたの戒めに自分の喜びを見いだすからです。 019 PSA 119 048 わたしは、わたしの愛するあなたの戒めを尊び、あなたの定めを深く思います。 019 PSA 119 049 ザイン どうか、あなたのしもべに言われたみ言葉を思い出してください。あなたはわたしにそれを望ませられました。 019 PSA 119 050 あなたの約束はわたしを生かすので、わが悩みの時の慰めです。 019 PSA 119 051 高ぶる者は大いにわたしをあざ笑います。しかしわたしはあなたのおきてを離れません。 019 PSA 119 052 主よ、わたしはあなたの昔からのおきてを思い出して、みずから慰めます。 019 PSA 119 053 あなたのおきてを捨てる悪しき者のゆえに、わたしは激しい憤りを起します。 019 PSA 119 054 あなたの定めはわが旅の家で、わたしの歌となりました。 019 PSA 119 055 主よ、わたしは夜の間にあなたのみ名を思い出して、あなたのおきてを守ります。 019 PSA 119 056 わたしはあなたのさとしを守ったことによって、この祝福がわたしに臨みました。 019 PSA 119 057 ヘス 主はわたしの受くべき分です。わたしはあなたのみ言葉を守ることを約束します。 019 PSA 119 058 わたしは心をつくして、あなたの恵みを請い求めます。あなたの約束にしたがって、わたしをお恵みください。 019 PSA 119 059 わたしは、あなたの道を思うとき、足をかえして、あなたのあかしに向かいます。 019 PSA 119 060 わたしはあなたの戒めを守るのに、すみやかで、ためらいません。 019 PSA 119 061 たとい、悪しき者のなわがわたしを捕えても、わたしはあなたのおきてを忘れません。 019 PSA 119 062 わたしはあなたの正しいおきてのゆえに夜半に起きて、あなたに感謝します。 019 PSA 119 063 わたしは、すべてあなたを恐れる者、またあなたのさとしを守る者の仲間です。 019 PSA 119 064 主よ、地はあなたのいつくしみで満ちています。あなたの定めをわたしに教えてください。 019 PSA 119 065 テス 主よ、あなたはみ言葉にしたがってしもべをよくあしらわれました。 019 PSA 119 066 わたしに良い判断と知識とを教えてください。わたしはあなたの戒めを信じるからです。 019 PSA 119 067 わたしは苦しまない前には迷いました。しかし今はみ言葉を守ります。 019 PSA 119 068 あなたは善にして善を行われます。あなたの定めをわたしに教えてください。 019 PSA 119 069 高ぶる者は偽りをもってわたしをことごとくおおいます。しかしわたしは心をつくしてあなたのさとしを守ります。 019 PSA 119 070 彼らの心は肥え太って脂肪のようです。しかしわたしはあなたのおきてを喜びます。 019 PSA 119 071 苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました。 019 PSA 119 072 あなたの口のおきては、わたしのためには幾千の金銀貨幣にもまさるのです。 019 PSA 119 073 ヨード あなたのみ手はわたしを造り、わたしを形造りました。わたしに知恵を与えて、あなたの戒めを学ばせてください。 019 PSA 119 074 あなたを恐れる者はわたしを見て喜ぶでしょう。わたしはみ言葉によって望みをいだいたからです。 019 PSA 119 075 主よ、わたしはあなたのさばきの正しく、また、あなたが真実をもってわたしを苦しめられたことを知っています。 019 PSA 119 076 あなたがしもべに告げられた約束にしたがって、あなたのいつくしみをわが慰めとしてください。 019 PSA 119 077 あなたのあわれみをわたしに臨ませ、わたしを生かしてください。あなたのおきてはわが喜びだからです。 019 PSA 119 078 高ぶる者に恥をこうむらせてください。彼らは偽りをもって、わたしをくつがえしたからです。しかしわたしはあなたのさとしを深く思います。 019 PSA 119 079 あなたをおそれる者と、あなたのあかしを知る者とをわたしに帰らせてください。 019 PSA 119 080 わたしの心を全くして、あなたの定めを守らせてください。そうすればわたしは恥をこうむることがありません。 019 PSA 119 081 カフ わが魂はあなたの救を慕って絶えいるばかりです。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 019 PSA 119 082 わたしの目はあなたの約束を待つによって衰え、「いつ、あなたはわたしを慰められるのですか」と尋ねます。 019 PSA 119 083 わたしは煙の中の皮袋のようになりましたが、なお、あなたの定めを忘れませんでした。 019 PSA 119 084 あなたのしもべの日はどれほど続くでしょうか。いつあなたは、わたしを迫害する者をさばかれるでしょうか。 019 PSA 119 085 高ぶる者はわたしをおとしいれようと穴を掘りました。彼らはあなたのおきてに従わない人々です。 019 PSA 119 086 あなたの戒めはみな真実です。彼らは偽りをもってわたしを迫害します。わたしをお助けください。 019 PSA 119 087 彼らはこの地において、ほとんどわたしを滅ぼしました。しかし、わたしはあなたのさとしを捨てませんでした。 019 PSA 119 088 あなたのいつくしみにしたがってわたしを生かしてください。そうすればわたしはあなたの口から出るあかしを守ります。 019 PSA 119 089 ラメド 主よ、あなたのみ言葉は天においてとこしえに堅く定まり、 019 PSA 119 090 あなたのまことはよろずよに及びます。あなたが地を定められたので、地は堅く立っています。 019 PSA 119 091 これらのものはあなたの仰せにより、堅く立って今日に至っています。よろずのものは皆あなたのしもべだからです。 019 PSA 119 092 あなたのおきてがわが喜びとならなかったならば、わたしはついに悩みのうちに滅びたでしょう。 019 PSA 119 093 わたしは常にあなたのさとしを忘れません。あなたはこれをもって、わたしを生かされたからです。 019 PSA 119 094 わたしはあなたのものです。わたしをお救いください。わたしはあなたのさとしを求めました。 019 PSA 119 095 悪しき者はわたしを滅ぼそうと待ち伏せています。しかし、わたしはあなたのあかしを思います。 019 PSA 119 096 わたしはすべての全きことに限りあることを見ました。しかしあなたの戒めは限りなく広いのです。 019 PSA 119 097 メム いかにわたしはあなたのおきてを愛することでしょう。わたしはひねもすこれを深く思います。 019 PSA 119 098 あなたの戒めは常にわたしと共にあるので、わたしをわが敵にまさって賢くします。 019 PSA 119 099 わたしはあなたのあかしを深く思うので、わがすべての師にまさって知恵があります。 019 PSA 119 100 わたしはあなたのさとしを守るので、老いた者にまさって事をわきまえます。 019 PSA 119 101 わたしはみ言葉を守るために、わが足をとどめて、すべての悪い道に行かせません。 019 PSA 119 102 あなたがわたしを教えられたので、わたしはあなたのおきてを離れません。 019 PSA 119 103 あなたのみ言葉はいかにわがあごに甘いことでしょう。蜜にまさってわが口に甘いのです。 019 PSA 119 104 わたしはあなたのさとしによって知恵を得ました。それゆえ、わたしは偽りのすべての道を憎みます。 019 PSA 119 105 ヌン あなたのみ言葉はわが足のともしび、わが道の光です。 019 PSA 119 106 わたしはあなたの正しいおきてを守ることを誓い、かつこれを実行しました。 019 PSA 119 107 わたしはいたく苦しみました。主よ、み言葉に従って、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 108 主よ、わがさんびの供え物をうけて、あなたのおきてを教えてください。 019 PSA 119 109 わたしのいのちは常に危険にさらされています。しかし、わたしはあなたのおきてを忘れません。 019 PSA 119 110 悪しき者はわたしのためにわなを設けました。しかし、わたしはあなたのさとしから迷い出ません。 019 PSA 119 111 あなたのあかしはとこしえにわが嗣業です。まことに、そのあかしはわが心の喜びです。 019 PSA 119 112 わたしはあなたの定めを終りまで、とこしえに守ろうと心を傾けます。 019 PSA 119 113 サメク わたしは二心の者を憎みます。しかしあなたのおきてを愛します。 019 PSA 119 114 あなたはわが隠れ場、わが盾です。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 019 PSA 119 115 悪をなす者よ、わたしを離れ去れ、わたしはわが神の戒めを守るのです。 019 PSA 119 116 あなたの約束にしたがって、わたしをささえて、ながらえさせ、わが望みについて恥じることのないようにしてください。 019 PSA 119 117 わたしをささえてください。そうすれば、わたしは安らかで、常にあなたの定めに心をそそぎます。 019 PSA 119 118 すべてあなたの定めから迷い出る者をあなたは、かろしめられます。まことに、彼らの欺きはむなしいのです。 019 PSA 119 119 あなたは地のすべての悪しき者を、金かすのようにみなされます。それゆえ、わたしはあなたのあかしを愛します。 019 PSA 119 120 わが肉はあなたを恐れるので震えます。わたしはあなたのさばきを恐れます。 019 PSA 119 121 アイン わたしは正しく義にかなったことを行いました。わたしを捨てて、しえたげる者にゆだねないでください。 019 PSA 119 122 しもべのために保証人となって、高ぶる者にわたしを、しえたげさせないでください。 019 PSA 119 123 わが目はあなたの救と、あなたの正しい約束とを待ち望んで衰えます。 019 PSA 119 124 あなたのいつくしみにしたがって、しもべをあしらい、あなたの定めを教えてください。 019 PSA 119 125 わたしはあなたのしもべです。わたしに知恵を与えて、あなたのあかしを知らせてください。 019 PSA 119 126 彼らはあなたのおきてを破りました。今は主のはたらかれる時です。 019 PSA 119 127 それゆえ、わたしは金よりも、純金よりもまさってあなたの戒めを愛します。 019 PSA 119 128 それゆえ、わたしは、あなたのもろもろのさとしにしたがって、正しき道に歩み、すべての偽りの道を憎みます。 019 PSA 119 129 ペ あなたのあかしは驚くべきものです。それゆえ、わが魂はこれを守ります。 019 PSA 119 130 み言葉が開けると光を放って、無学な者に知恵を与えます。 019 PSA 119 131 わたしはあなたの戒めを慕うゆえに、口を広くあけてあえぎ求めました。 019 PSA 119 132 み名を愛する者に常にされるように、わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。 019 PSA 119 133 あなたの約束にしたがって、わが歩みを確かにし、すべての不義に支配されないようにしてください。 019 PSA 119 134 わたしを人のしえたげからあがなってください。そうすればわたしは、あなたのさとしを守ります。 019 PSA 119 135 み顔をしもべの上に照し、あなたの定めを教えてください。 019 PSA 119 136 人々があなたのおきてを守らないので、わが目の涙は川のように流れます。 019 PSA 119 137 ツァデー 主よ、あなたは正しく、あなたのさばきは正しいのです。 019 PSA 119 138 あなたの正義と、この上ない真実とをもってあなたのあかしを命じられました。 019 PSA 119 139 わたしのあだが、あなたのみ言葉を忘れるので、わが熱心はわたしを滅ぼすのです。 019 PSA 119 140 あなたの約束はまことに確かです。あなたのしもべはこれを愛します。 019 PSA 119 141 わたしは取るにたらない者で、人に侮られるけれども、なお、あなたのさとしを忘れません。 019 PSA 119 142 あなたの義はとこしえに正しく、あなたのおきてはまことです。 019 PSA 119 143 悩みと苦しみがわたしに臨みました。しかしあなたの戒めはわたしの喜びです。 019 PSA 119 144 あなたのあかしはとこしえに正しいのです。わたしに知恵を与えて、生きながらえさせてください。 019 PSA 119 145 コフ わたしは心をつくして呼ばわります。主よ、お答えください。わたしはあなたの定めを守ります。 019 PSA 119 146 わたしはあなたに呼ばわります。わたしをお救いください。わたしはあなたのあかしを守ります。 019 PSA 119 147 わたしは朝早く起き出て呼ばわります。わたしはみ言葉によって望みをいだくのです。 019 PSA 119 148 わが目は夜警の交代する時に先だってさめ、あなたの約束を深く思います。 019 PSA 119 149 あなたのいつくしみにしたがって、わが声を聞いてください。主よ、あなたの公義にしたがって、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 150 わたしをしえたげる者が悪いたくらみをもって近づいています。彼らはあなたのおきてを遠くはなれているのです。 019 PSA 119 151 しかし主よ、あなたは近くいらせられます。あなたのもろもろの戒めはまことです。 019 PSA 119 152 わたしは早くからあなたのあかしによって、あなたがこれをとこしえに立てられたことを知りました。 019 PSA 119 153 レシ わが悩みを見て、わたしをお救いください。わたしはあなたのおきてを忘れないからです。 019 PSA 119 154 わが訴えを弁護して、わたしをあがない、あなたの約束にしたがって、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 155 救は悪しき者を遠く離れている。彼らはあなたの定めを求めないからです。 019 PSA 119 156 主よ、あなたのあわれみは大きい。あなたの公義に従って、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 157 わたしをしえたげる者、わたしをあだする者は多い。しかしわたしは、あなたのあかしを離れません。 019 PSA 119 158 不信仰な者があなたのみ言葉を守らないので、わたしは彼らを見て、いとわしく思います。 019 PSA 119 159 わたしがいかにあなたのさとしを愛するかをお察しください。主よ、あなたのいつくしみにしたがって、わたしを生かしてください。 019 PSA 119 160 あなたのみ言葉の全体は真理です。あなたの正しいおきてのすべてはとこしえに絶えることはありません。 019 PSA 119 161 シン もろもろの君はゆえなくわたしをしえたげます。しかしわが心はみ言葉をおそれます。 019 PSA 119 162 わたしは大いなる獲物を得た者のようにあなたのみ言葉を喜びます。 019 PSA 119 163 わたしは偽りを憎み、忌みきらいます。しかしあなたのおきてを愛します。 019 PSA 119 164 わたしはあなたの正しいおきてのゆえに、一日に七たびあなたをほめたたえます。 019 PSA 119 165 あなたのおきてを愛する者には大いなる平安があり、何ものも彼らをつまずかすことはできません。 019 PSA 119 166 主よ、わたしはあなたの救を望み、あなたの戒めをおこないます。 019 PSA 119 167 わが魂は、あなたのあかしを守ります。わたしはいたくこれを愛します。 019 PSA 119 168 わがすべての道があなたのみ前にあるので、わたしはあなたのさとしと、あかしとを守ります。 019 PSA 119 169 タウ 主よ、どうか、わが叫びをみ前にいたらせ、み言葉に従って、わたしに知恵をお与えください。 019 PSA 119 170 わが願いをみ前にいたらせ、み言葉にしたがって、わたしをお助けください。 019 PSA 119 171 あなたの定めをわたしに教えられるので、わがくちびるはさんびを唱えます。 019 PSA 119 172 あなたのすべての戒めは正しいので、わが舌はみ言葉を歌います。 019 PSA 119 173 わたしはあなたのさとしを選びました。あなたのみ手を、常にわが助けとしてください。 019 PSA 119 174 主よ、わたしはあなたの救を慕います。あなたのおきてはわたしの喜びです。 019 PSA 119 175 わたしを生かして、あなたをほめたたえさせ、あなたのおきてを、わが助けとしてください。 019 PSA 119 176 わたしは失われた羊のように迷い出ました。あなたのしもべを捜し出してください。わたしはあなたの戒めを忘れないからです。 019 PSA 120 001 都もうでの歌 わたしが悩みのうちに、主に呼ばわると、主はわたしに答えられる。 019 PSA 120 002 「主よ、偽りのくちびるから、欺きの舌から、わたしを助け出してください」。 019 PSA 120 003 欺きの舌よ、おまえに何が与えられ、何が加えられるであろうか。 019 PSA 120 004 ますらおの鋭い矢と、えにしだの熱い炭とである。 019 PSA 120 005 わざわいなるかな、わたしはメセクにやどり、ケダルの天幕のなかに住んでいる。 019 PSA 120 006 わたしは久しく平安を憎む者のなかに住んでいた。 019 PSA 120 007 わたしは平安を願う、しかし、わたしが物言うとき、彼らは戦いを好む。 019 PSA 121 001 都もうでの歌 わたしは山にむかって目をあげる。わが助けは、どこから来るであろうか。 019 PSA 121 002 わが助けは、天と地を造られた主から来る。 019 PSA 121 003 主はあなたの足の動かされるのをゆるされない。あなたを守る者はまどろむことがない。 019 PSA 121 004 見よ、イスラエルを守る者はまどろむこともなく、眠ることもない。 019 PSA 121 005 主はあなたを守る者、主はあなたの右の手をおおう陰である。 019 PSA 121 006 昼は太陽があなたを撃つことなく、夜は月があなたを撃つことはない。 019 PSA 121 007 主はあなたを守って、すべての災を免れさせ、またあなたの命を守られる。 019 PSA 121 008 主は今からとこしえに至るまで、あなたの出ると入るとを守られるであろう。 019 PSA 122 001 ダビデがよんだ都もうでの歌 人々がわたしにむかって「われらは主の家に行こう」と言ったとき、わたしは喜んだ。 019 PSA 122 002 エルサレムよ、われらの足はあなたの門のうちに立っている。 019 PSA 122 003 しげくつらなった町のように建てられているエルサレムよ、 019 PSA 122 004 もろもろの部族すなわち主の部族が、そこに上って来て主のみ名に感謝することは、イスラエルのおきてである。 019 PSA 122 005 そこにさばきの座、ダビデの家の王座が設けられてあった。 019 PSA 122 006 エルサレムのために平安を祈れ、「エルサレムを愛する者は栄え、 019 PSA 122 007 その城壁のうちに平安があり、もろもろの殿のうちに安全があるように」と。 019 PSA 122 008 わが兄弟および友のために、わたしは「エルサレムのうちに平安があるように」と言い、 019 PSA 122 009 われらの神、主の家のために、わたしはエルサレムのさいわいを求めるであろう。 019 PSA 123 001 都もうでの歌 天に座しておられる者よ、わたしはあなたにむかって目をあげます。 019 PSA 123 002 見よ、しもべがその主人の手に目をそそぎ、はしためがその主婦の手に目をそそぐように、われらはわれらの神、主に目をそそいで、われらをあわれまれるのを待ちます。 019 PSA 123 003 主よ、われらをあわれんでください。われらをあわれんでください。われらに侮りが満ちあふれています。 019 PSA 123 004 思い煩いのない者のあざけりと、高ぶる者の侮りとは、われらの魂に満ちあふれています。 019 PSA 124 001 ダビデがよんだ都もうでの歌 今、イスラエルは言え、主がもしわれらの方におられなかったならば、 019 PSA 124 002 人々がわれらに逆らって立ちあがったとき、主がもしわれらの方におられなかったならば、 019 PSA 124 003 彼らの怒りがわれらにむかって燃えたったとき、彼らはわれらを生きているままで、のんだであろう。 019 PSA 124 004 また大水はわれらを押し流し、激流はわれらの上を越え、 019 PSA 124 005 さか巻く水はわれらの上を越えたであろう。 019 PSA 124 006 主はほむべきかな。主はわれらをえじきとして彼らの歯にわたされなかった。 019 PSA 124 007 われらは野鳥を捕えるわなをのがれる鳥のようにのがれた。わなは破れてわれらはのがれた。 019 PSA 124 008 われらの助けは天地を造られた主のみ名にある。 019 PSA 125 001 みやこ詣のうた ヱホバに依頼むものはシオンの山のうごかさるることなくして永遠にあるがごとし 019 PSA 125 002 ヱルサレムを山のかこめるごとくヱホバも今よりとこしへにその民をかこみたまはん 019 PSA 125 003 惡の杖はただしきものの所領にとどまることなかるべし斯てただしきものはその手を不義にのぶることあらじ 019 PSA 125 004 ヱホバよねがはくは善人とこころ直きものとに福祉をほどこしたまへ 019 PSA 125 005 されどヱホバは轉へりておのが曲れる道にいるものを惡きわざをなすものとともに去しめたまはん 平安はイスラエルのうへにあれ 019 PSA 126 001 京まうでの歌 ヱホバ、シオンの俘囚をかへしたまひし時 われらは夢みるもののごとくなりき 019 PSA 126 002 そのとき笑はわれらの口にみち歌はわれらの舌にみてり ヱホバかれらのために大なることを作たまへりといへる者もろもろの國のなかにありき 019 PSA 126 003 ヱホバわれらのために大なることをなしたまひたれば我儕はたのしめり 019 PSA 126 004 ヱホバよ願くはわれらの俘囚をみなみの川のごとくに歸したまへ 019 PSA 126 005 涙とともに播くものは歡喜とともに穫らん 019 PSA 126 006 その人は種をたづさへ涙をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん 019 PSA 127 001 ソロモンがよめる京まうでのうた ヱホバ家をたてたまふにあらずば 建るものの勤労はむなしく ヱホバ城をまもりたまふにあらずば衛士のさめをるは徒労なり 019 PSA 127 002 なんぢら早くおき遅くいねて辛苦の糧をくらふはむなしきなり 斯てヱホバその愛しみたまふものに寝をあたへたまふ 019 PSA 127 003 みよ子輩はヱホバのあたへたまふ嗣業にして 胎の實はその報のたまものなり 019 PSA 127 004 年壮きころほひの子はますらをの手にある矢のごとし 019 PSA 127 005 矢のみちたる箙をもつ人はさいはひなり かれら門にありて仇とものいふとき恥ることあらじ 019 PSA 128 001 京まうでの歌 ヱホバをおそれその道をあゆむものは皆さいはひなり 019 PSA 128 002 そはなんぢおのが手の勤労をくらふべければなり なんぢは福祉をえまた安處にをるべし 019 PSA 128 003 なんぢの妻はいへの奥にをりておほくの實をむすぶ葡萄の樹のごとく汝の子輩はなんぢの筵に円居してかんらんの若樹のごとし 019 PSA 128 004 見よヱホバをおそるる者はかく福祉をえん 019 PSA 128 005 ヱホバはシオンより恵をなんぢに賜はん なんぢ世にあらんかぎりヱルサレムの福祉をみん 019 PSA 128 006 なんぢおのが子輩の子をみるべし 平安はイスラエルの上にあり 019 PSA 129 001 京まうでのうた 今イスラエルはいふべし彼等はしばしば我をわかきときより惱めたり 019 PSA 129 002 かれらはしばしば我をわかきときより惱めたり されどわれに勝ことを得ざりき 019 PSA 129 003 耕すものはわが背をたがへしてその畎をながくせり 019 PSA 129 004 ヱホバは義し あしきものの繩をたちたまへり 019 PSA 129 005 シオンをにくむ者はみな恥をおびてしりぞかせらるべし 019 PSA 129 006 かれらは長たざるさきにかるる屋上の草のごとし 019 PSA 129 007 これを刈るものはその手にみたず 之をつかぬるものはその束ふところに盈ざるなり 019 PSA 129 008 かたはらを過るものはヱホバの恵なんぢの上にあれといはず われらヱホバの名によりてなんぢらを祝すといはず 019 PSA 130 001 京まうでの歌 ああヱホバよわれふかき淵より汝をよべり 019 PSA 130 002 主よねがはくはわが聲をきい汝のみみをわが懇求のこゑにかたぶけたまヘ 019 PSA 130 003 ヤハよ主よなんぢ若もろもろの不義ふぎに目をとめたまはば誰たれかよく立たつことをえんや 019 PSA 130 004 されどなんぢに赦あれば人におそれかしこまれ給ふべし 019 PSA 130 005 我ヱホバを俟望む わが霊魂はまちのぞむ われはその聖言によりて望をいだく 019 PSA 130 006 わがたましひは衛士があしたを待にまさり 誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり 019 PSA 130 007 イスラエルよヱホバによりて望をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖あり 019 PSA 130 008 ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲よりあがなひたまはん 019 PSA 131 001 ダビデのよめる京まうでのうた ヱホバよわが心おごらずわが目たかぶらず われは大なることと我におよばぬ奇しき事とをつとめざりき 019 PSA 131 002 われはわが霊魂をもださしめまた安からしめたり 乳をたちし嬰児のその母にたよるごとく 我がたましひは乳をたちし嬰児のごとくわれに恃れり 019 PSA 131 003 イスラエルよ今よりとこしへにヱホバにたよりて望をいだけ 019 PSA 132 001 京まうでの歌 ヱホバよねがはくはダビデの爲にそのもろもろの憂をこころに記たまヘ 019 PSA 132 002 ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全能者にうけひていふ 019 PSA 132 005 われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと 019 PSA 132 006 われらエフラタにて之をききヤアルの野にて見とめたり 019 PSA 132 007 われらはその居所にゆきて その承足のまへに俯伏さん 019 PSA 132 008 ヱホバよねがはくは起きて なんぢの稜威の櫃とともになんぢの安居所にいりたまへ 019 PSA 132 009 なんぢの祭司たちは義を衣 なんぢの聖徒はみな歓びよばふべし 019 PSA 132 010 なんぢの僕ダビデのためになんぢの受膏者の面をしりぞけたまふなかれ 019 PSA 132 011 ヱホバ眞實をもてダビデに誓ひたまひたれば之にたがふことあらじ 曰くわれなんぢの身よりいでし者をなんぢの座位にざせしめん 019 PSA 132 012 なんぢの子輩もしわがをしふる契約と證詞とをまもらばかれらの子輩もまた永遠になんぢの座位にざすべしと 019 PSA 132 013 ヱホバはシオンを擇びておのが居所にせんとのぞみたまへり 019 PSA 132 014 曰くこれは永遠にわが安居處なり われここに住ん そはわれ之をのぞみたればなり 019 PSA 132 015 われシオンの糧をゆたかに祝し くひものをもてその貧者をあかしめん 019 PSA 132 016 われ救をもてその祭司たちに衣せん その聖徒はみな聲たからかによろこびよばふべし 019 PSA 132 017 われダビデのためにかしこに一つの角をはえしめん わが受膏者のために燈火をそなへたり 019 PSA 132 018 われかれの仇にはぢを衣せん されどかれはその冠弁さかゆべし 019 PSA 133 001 ダビデがよめる京まうでの歌 観よはらから相睦てともにをるはいかに善いかに樂きかな 019 PSA 133 002 首にそそがれたる貴きあぶら鬚にながれ アロンの鬚にながれ その衣のすそにまで流れしたたるるがごとく 019 PSA 133 003 またヘルモンの露くだりてシオンの山にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉をくだし窮なき生命をさへあたへたまへり 019 PSA 134 001 京まうでの歌 夜間ヱホバの家にたちヱホバに事ふるもろもろの僕よ ヱホバをほめまつれ 019 PSA 134 002 なんぢら聖所にむかひ手をあげてヱホバをほめまつれ 019 PSA 134 003 ねがはくはヱホバ天地をつくりたまへるもの シオンより汝をめぐみたまはんことを 019 PSA 135 001 なんぢらヱホバを讃稱へよ ヱホバの名をほめたたへよ ヱホバの僕等ほめたたへよ 019 PSA 135 002 ヱホバの家われらの神のいへの大庭にたつものよ讃稱へよ 019 PSA 135 003 ヱホバは恵ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖名はうるはし讃うたへ 019 PSA 135 004 そはヤハおのがためにヤコブをえらみイスラエルをえらみてその珍寳となしたまへり 019 PSA 135 005 われヱホバの大なるとわれらの主のもろもろの神にまされるとをしれり 019 PSA 135 006 ヱホバその聖旨にかなふことを天にも地にも海にも淵にもみなことごとく行ひ給ふなり 019 PSA 135 007 ヱホバは地のはてより霧をのぼらせ 雨のために電光をつくりその庫より風をいだしたまふ 019 PSA 135 008 ヱホバは人より畜類にいたるまでエジプトの首出をうちたまへり 019 PSA 135 009 エジプトよヱホバはなんぢの中にしるしと奇しき事跡とをおくりて パロとその僕とに臨ませ給へり 019 PSA 135 010 ヱホバはおほくの國々をうち 又いきほひある王等をころし給へり 019 PSA 135 011 アモリ人のわうシホン、バシヤンの王オグならびにカナンの國々なり 019 PSA 135 012 かれらの地をゆづりとしその民イスフルの嗣業としてあたへ給へり 019 PSA 135 013 ヱホバよなんぢの名はとこしへに絶ることなし ヱホバよなんぢの記念はよろづ世におよばん 019 PSA 135 014 ヱホバはその民のために審判をなしその僕等にかかはれる聖意をかへたまふ可ればなり 019 PSA 135 015 もろもろのくにの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり 019 PSA 135 016 そのぐうざうは口あれどいはず目あれど見ず 019 PSA 135 017 耳あれどきかず またその口に氣息あることなし 019 PSA 135 018 これを造るものと之によりたのむものとは皆これにひとしからん 019 PSA 135 019 イスラエルの家よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ 019 PSA 135 020 レビの家よヱホバをほめまつれ ヱホバを畏るるものよヱホバをはめまつれ 019 PSA 135 021 ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて讃まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 136 001 ヱホバに感謝せよヱホバはめぐみふかし その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 002 もろもろの神の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 003 もろもろの主の主にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 004 ただ獨りおほいなる奇跡なしたまふものに感謝せよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 005 智慧をもてもろもろの天をつくりたまへるものに感謝せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 006 地を水のうへに布たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 007 巨大なる光をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 008 晝をつかさどらするために日をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 009 夜をつかさどらするために月ともろもろの星とをつくりたまへる者にかんしやせよ その隣憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 010 もろもろの首出をうちてエジプトを責たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 011 イスラエルを率てエジプト人のなかより出したまへる者にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 012 臂をのばしつよき手をもて之をひきいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 013 紅海をふたつに分たまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 014 イスラエルをしてその中をわたらしめ給へるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 015 パロとその軍兵とを紅海のうちに仆したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 016 その民をみちびきて野をすぎしめたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 017 大なる王たちを撃たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 018 名ある王等をころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 019 アモリ人のわうシホンをころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 020 バシヤンのわうオグを誅したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 021 かれらの地を嗣業としてあたへたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 022 その僕イスラエルにゆづりとして之をあたへたまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 023 われらが微賤かりしときに記念したまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 024 わが敵よりわれらを助けいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 025 すべての生るものに食物をあたへたまふものに感謝せよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 026 天の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 137 001 われらバビロンの河のほとりにすわり シオンをおもひいでて涙をながしぬ 019 PSA 137 002 われらそのあたりの柳にわが琴をかけたり 019 PSA 137 003 そはわれらを虜にせしものわれらに歌をもとめたり 我儕をくるしむる者われらにおのれを歓ばせんとて シオンのうた一つうたへといへり 019 PSA 137 004 われら外邦にありていかでヱホバの歌をうたはんや 019 PSA 137 005 エルサレムよもし我なんぢをわすれなばわが右の手にその巧をわすれしめたまへ 019 PSA 137 006 もしわれ汝を思ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歓喜の極となさずばわが舌をわが腭につかしめたまヘ 019 PSA 137 007 ヱホバよねがはくはヱルサレムの日にエドムの子輩がこれを掃除けその基までもはらひのぞけといへるを聖意にとめたまへ 019 PSA 137 008 ほろぼさるべきバビロンの女よ なんぢがわれらに作しごとく汝にむくゆる人はさいはひなるべし 019 PSA 137 009 なんぢの嬰児をとりて岩のうへになげうつものは福ひなるべし 019 PSA 138 001 ダビデのうた われはわが心をつくしてなんぢに感謝し もろもろの神のまへにて汝をほめうたはん 019 PSA 138 002 我なんぢのきよき宮にむかひて伏拝み なんぢの仁慈とまこととの故によりて聖名にかんしやせん そは汝そのみことばをもろもろの聖名にまさりて高くしたまひたればなり 019 PSA 138 003 汝わがよばはりし日にわれにこたへ わが霊魂にちからをあたへて雄々しからしめたまへり 019 PSA 138 004 ヱホバよ地のすべての王はなんぢに感謝せん かれらはなんぢの口のもろもろの言をききたればなり 019 PSA 138 005 かれらはヱホバのもろもろの途についてうたはん ヱホバの榮光おほいなればなり 019 PSA 138 006 ヱホバは高くましませども卑きものを顧みたまふ されど亦おごれるものを遠よりしりたまへり 019 PSA 138 007 縦ひわれ患難のなかを歩むとも汝われをふたたび活し その手をのばしてわが仇のいかりをふせぎ その右の手われをすくひたまふべし 019 PSA 138 008 ヱホバはわれに係れることを全うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫はとこしへにたゆることなし願くはなんぢの手のもろもろの事跡をすてたまふなかれ 019 PSA 139 001 伶長にうたはしめたるダビデの歌 ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり 019 PSA 139 002 なんぢはわが坐るをも立をもしり 又とほくよりわが念をわきまへたまふ 019 PSA 139 003 なんぢはわが歩むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途をことごとく知たまへり 019 PSA 139 004 そはわが舌に一言ありとも観よヱホバよなんぢことごとく知たまふ 019 PSA 139 005 なんぢは前より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり 019 PSA 139 006 かかる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず 019 PSA 139 007 我いづこにゆきてなんぢの聖霊をはなれんや われいづこに往てなんぢの前をのがれんや 019 PSA 139 008 われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 観よなんぢ彼處にいます 019 PSA 139 009 我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも 019 PSA 139 010 かしこにて尚なんぢの手われをみちびき汝のみぎの手われをたもちたまはん 019 PSA 139 011 暗はかならす我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも 019 PSA 139 012 汝のみまへには暗ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし 019 PSA 139 013 汝はわがはらわたをつくり 又わがははの胎にわれを組成たまひたり 019 PSA 139 014 われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが霊魂はいとつばらに之をしれり 019 PSA 139 015 われ隠れたるところにてつくられ地の底所にて妙につづりあはされしとき わが骨なんぢにかくるることなかりき 019 PSA 139 016 わが體いまだ全からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの冊にしるされたり 019 PSA 139 017 神よなんぢりもろもろの思念はわれに寶きこといかばかりぞや そのみおもひの総計はいかに多きかな 019 PSA 139 018 我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尚なんぢとともにをる 019 PSA 139 019 神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ 019 PSA 139 020 かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖名をとなふるなり 019 PSA 139 021 ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆ひておこりたつものを厭ふにあらずや 019 PSA 139 022 われ甚くかれらをにくみてわが仇とす 019 PSA 139 023 神よねがはくは我をさぐりてわが心をしり 我をこころみてわがもろもろの思念をしりたまへ 019 PSA 139 024 ねがはくは我によこしまなる途のありやなしやを見て われを永遠のみちに導きたまへ 019 PSA 140 001 伶長にうたはしめたるダビデのうた ヱホバよねがはくは惡人よりわれを助けいだし 我をまもりて強暴人よりのがれしめたまへ 019 PSA 140 002 かれらは心のうちに残害をくはだて たえず戦闘をおこす 019 PSA 140 003 かれらは蛇のごとくおのが舌を利す そのくちびるのうちに蝮の毒あり (セラ) 019 PSA 140 004 ヱホバよ願くはわれを保ちてあしきひとの手よりのがれしめ 我をまもりてわが足をつまづかせんと謀るあらぶる人よりのがれしめ給へ 019 PSA 140 005 高ぶるものはわがために羂と索とをふせ 路のほとりに網をはり かつ機をまうけたり (セラ) 019 PSA 140 006 われヱホバにいへらく汝はわが神なり ヱホバよねがはくはわが祈のこゑをきき給へ 019 PSA 140 007 わが救のちからなる主の神よ なんぢはたたかひの日にわが首をおほひたまへり 019 PSA 140 008 ヱホバよあしきひとの欲のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企図をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等みづから誇らん (セラ) 019 PSA 140 009 われを圍むものの首はおのれのくちびるの残害におほはるべし 019 PSA 140 010 もえたる炭はかれらのうへにおち かれらは火になげいれられ ふかき穴になげいれられて再びおきいづることあたはざるべし 019 PSA 140 011 惡言をいふものは世にたてられず 暴ぶるものはわざはひに追及れてたふさるべし 019 PSA 140 012 われは苦しむものの訴とまづしきものの義とをヱホバの守りたまふを知る 019 PSA 140 013 義者はかならず聖名にかんしやし直者はみまへに住ん 019 PSA 141 001 ダビデのうた ヱホバよ我なんぢを呼ふ ねがはくは速かにわれにきたりたまへ われ汝をよばふときわが聲に耳をかたぶけたまへ 019 PSA 141 002 われは薫物のごとくにわが祈をみまへにささげ 夕のそなへものの如くにわが手をあげて聖前にささげんことをねがふ 019 PSA 141 003 ヱホバよねがはくはわが口に門守をおきて わがくちびるの戸をまもりたまへ 019 PSA 141 004 惡事にわがこころを傾かしめて邪曲をおこなふ者とともに惡きわざにあづからしめ給ふなかれ 又かれらの珍饈をくらはしめたまふなかれ 019 PSA 141 005 義者われをうつとも我はこれを愛しみとしその我をせむるを頭のあぶらとせん わが頭はこれを辭まず かれらが禍害にあふときもわが祈はたえじ 019 PSA 141 006 その審士ははほの崕になげられん かれらわがことばの甘美によりて聴ことをすべし 019 PSA 141 007 人つちを耕しうがつがごとく我儕のほねははかの口にちらさる 019 PSA 141 008 されど主ヱホバよわが目はなほ汝にむかふ 我なんぢに依頼めり ねがはくはわが霊魂をともしきままに捨おきたまなかれ 019 PSA 141 009 我をまもりてかれらがわがためにまうくる羂とよこしまを行ふものの機とをまぬかれしめたまへ 019 PSA 141 010 われは全くのがれん あしきものをおのれの網におちいらしめたまへ 019 PSA 142 001 ダビデが洞にありしときよみたる教へのうたなり祈なり われ聲をいだしてヱホバによばはり 聲をいだしてヱホバにこひもとむ 019 PSA 142 002 われはその聖前にわが歎息をそそぎいだし そのみまへにわが患難をあらはす 019 PSA 142 003 わが霊魂わがうちにきえうせんとするときも汝わがみちを識たまへり 人われをとらへんとてわがゆくみちに羂をかくせり 019 PSA 142 004 願くはわがみぎの手に目をそそぎて見たまへ 一人だに我をしるものなし われには避所なくまたわが霊魂をかへりみる人なし 019 PSA 142 005 ヱホバよわれ汝をよばふ 我いへらく汝はわがさけどころ有生の地にてわがうべき分なりと 019 PSA 142 006 ねがはくはわが号呼にみこころをとめたまへ われいたく卑くせられたればなり 我をせむる者より助けいだしたまへ 彼等はわれにまさりて強ければなり 019 PSA 142 007 願くはわがたましひを囹圄よりいだし われに聖名を感謝せしめたまへ なんぢ豊にわれを待ひたまふべければ 義者われをめぐらん 019 PSA 143 001 ダビデのうた ヱホバよねがはくはわが祈をきき わが懇求にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞実なんぢの公義をもて我にこたへたまへ 019 PSA 143 002 汝のしもべの審判にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人だにみまへに義とせらるるはなし 019 PSA 143 003 仇はわがたましひを迫めわが生命を地にうちすて 死てひさしく世を經たるもののごとく我をくらき所にすまはせたり 019 PSA 143 004 又わがたましひはわが衷にきえうせんとし わが心はわがうちに曠さびれたり 019 PSA 143 005 われはいにしへの日をおもひいで 汝のおこなひたまひし一切のことを考へ なんぢの手のみわざをおもふ 019 PSA 143 006 われ汝にむかひてわが手をのべ わがたましひは燥きおとろへたる地のごとく汝をしたへり (セラ) 019 PSA 143 007 ヱホバよ速かにわれにこたへたまへ わが霊魂はおとろふ われに聖顔をかくしたまふなかれ おそらくはわれ穴にくだるもののごとくならん 019 PSA 143 008 朝になんぢの仁慈をきかしめたまへ われ汝によりたのめばなり わが歩むべき途をしらせたまへ われわが霊魂をなんぢに挙ればなり 019 PSA 143 009 ヱホバよねがはくは我をわが仇よりたすけ出したまへ われ匿れんとして汝にはしりゆく 019 PSA 143 010 汝はわが神なり われに聖旨をおこなふことををしへたまへ 恵ふかき聖霊をもて我をたひらかなる國にみちびきたまヘ 019 PSA 143 011 ヱホバよねがはくは聖名のために我をいかし なんぢの義によりてわがたましひを患難よりいだしたまへ 019 PSA 143 012 又なんぢの仁慈によりてわが仇をたち 霊魂をくるしむる者をことごとく滅したまへ そは我なんぢの僕なり 019 PSA 144 001 ダビデのうた 戦することをわが手にをしへ 闘ふことをわが指にをしへたまふ わが磐ヱホバはほむべきかな 019 PSA 144 002 ヱホバはわが仁慈わが城なり わがたかき櫓われをすくひたまふ者なり わが盾わが依頼むものなり ヱホバはわが民をわれにしたがはせたまふ 019 PSA 144 003 ヱホバよ人はいかなる者なれば之をしり 人の子はいかなる者なれば之をみこころに記たまふや 019 PSA 144 004 人は氣息にことならず その存らふる日はすぎゆく影にひとし 019 PSA 144 005 ヱホバよねがはくはなんぢの天をたれてくだり 手を山につけて煙をたたしめたまへ 019 PSA 144 006 電光をうちいだして彼等をちらし なんぢの矢をはなちてかれらを敗りたまへ 019 PSA 144 007 上より手をのべ我をすくひて 大水より外人の手よりたすけいだしたまへ 019 PSA 144 008 かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり 019 PSA 144 009 神よわれ汝にむかひて新らしき歌をうたひ 十絃の琴にあはせて汝をほめうたはん 019 PSA 144 010 なんぢは王たちに救をあたへ 僕ダビデをわざはひの劍よりすくひたまふ神なり 019 PSA 144 011 ねがはくは我をすくひて外人の手よりたすけいだしたまへ かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり 019 PSA 144 012 われらの男子はとしわかきとき育ちたる草木のごとくわれらの女子は宮のふりにならひて刻みいだしし隅の石のごとくならん 019 PSA 144 013 われらの倉はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの羊は野にて千萬の子をうみ 019 PSA 144 014 われらの牡牛はよく物をおひ われらの衢にはせめいることなく亦おしいづることなく叫ぶこともなからん 019 PSA 144 015 かかる状の民はさいはひなり ヱホバをおのが神とする民はさいはひなり 019 PSA 145 001 ダビデの讃美のうた わがかみ王よわれ汝をあがめ 世かぎりなく聖名をほめまつらん 019 PSA 145 002 われ日ごとに汝をほめ世々かぎりなく聖名をはめたたへん 019 PSA 145 003 ヱホバは大にましませば最もほむべきかな その大なることは尋ねしることかたし 019 PSA 145 004 この代はかの代にむかひてなんぢの事跡をほめたたへ なんぢの大能のはたらきを宣つたへん 019 PSA 145 005 われ汝のほまれの榮光ある稜威となんぢの奇しきみわざとを深くおもはん 019 PSA 145 006 人はなんぢのおそるべき動作のいきほひをかたり 我はなんぢの大なることを宣つたへん 019 PSA 145 007 かれらはなんぢの大なる恵の跡をいひいで なんぢの義をほめうたはん 019 PSA 145 008 ヱホバは恵ふかく憐憫みち また怒りたまふことおそく憐憫おほいなり 019 PSA 145 009 ヱホバはよろづの者にめぐみあり そのふかき憐憫はみわざの上にあまねし 019 PSA 145 010 ヱホバよ汝のすべての事跡はなんぢに感謝し なんぢの聖徒はなんぢをほめん 019 PSA 145 011 かれらは御國のえいくわうをかたり汝のみちからを宣つたへて 019 PSA 145 012 その大能のはたらきとそのみくにの榮光あるみいづとを人の子輩にしらすべし 019 PSA 145 013 なんぢの國はとこしへの國なり なんぢの政治はよろづ代にたゆることなし 019 PSA 145 014 ヱホバはすべて倒れんとする者をささへ かがじものを直くたたしめたまふ 019 PSA 145 015 よろづのものの目はなんぢを待 なんぢは時にしたがひてかれらに糧をあたへ給ふ 019 PSA 145 016 なんぢ手をひらきてもろもろの生るものの願望をあかしめたまふ 019 PSA 145 017 ヱホバはそのすべての途にただしく そのすべての作爲にめぐみふかし 019 PSA 145 018 すべてヱホバをよぶもの 誠をもて之をよぶものに ヱホバは近くましますなり 019 PSA 145 019 ヱホバは已をおそるるものの願望をみちたらしめ その号呼をききて之をすくひたまふ 019 PSA 145 020 ヱホバはおのれを愛しむものをすべて守りたまへど 惡者をことごとく滅したまはん 019 PSA 145 021 わが口はヱホバの頌美をかたり よろづの民は世々かぎりなくそのきよき名をほめまつるべし 019 PSA 146 001 ヱホバを讃稱へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ 019 PSA 146 002 われ生るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが神をほめうたはん 019 PSA 146 003 もろもろの君によりたのむことなく 人の子によりたのむなかれ かれらに助あることなし 019 PSA 146 004 その氣息いでゆけばかれ土にかへる その日かれがもろもろの企図はほろびん 019 PSA 146 005 ヤコブの神をおのが助としその望をおのが神ヱホバにおくものは福ひなり 019 PSA 146 006 此はあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造り とこしへに眞實をまもり 019 PSA 146 007 虐げらるるもののために審判をおこなひ 飢ゑたるものに食物をあたへたまふ神なり ヱホバはとらはれたる人をときはなちたまふ 019 PSA 146 008 ヱホバはめしひの目をひらき ヱホバは屈者をなほくたたせ ヱホバは義しきものを愛しみたまふ 019 PSA 146 009 ヱホバは他邦人をまもり 孤子と寡婦とをささへたまふ されど惡きものの徑はくつがへしたまふなり 019 PSA 146 010 ヱホバはとこしへに統御めたまはん シオンよなんぢの神はよろづ代まで統御めたまはん ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 147 001 ヱホバをほめたたへよ われらの神をほめうたふは善ことなり樂しきことなり 稱へまつるはよろしきに適へり 019 PSA 147 002 ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる者をあつめたまふ 019 PSA 147 003 ヱホバは心のくだけたるものを醫しその傷をつつみたまふ 019 PSA 147 004 ヱホバはもろもろの星の數をかぞへてすべてこれに名をあたへたまふ 019 PSA 147 005 われらの主はおほいなりその能力もまた大なりその智慧はきはまりなし 019 PSA 147 006 ヱホバは柔和なるものをささへ屈きものを地にひきおとし給ふ 019 PSA 147 007 ヱホバに感謝してうたへ琴にあはせてわれらの神をほめうたヘ 019 PSA 147 008 ヱホバは雲をもて天をおほひ地のために雨をそなへ もろもろの山に草をはえしめ 019 PSA 147 009 くひものを獣にあたへ並なく小鴉にあたへたまふ 019 PSA 147 010 ヱホバは馬のちからを喜びたまはず 人の足をよみしたまはず 019 PSA 147 011 ヱホバはおのれを畏るるものと おのれの憐憫をのぞむものとを好したまふ 019 PSA 147 012 ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの神をほめたたへよ 019 PSA 147 013 ヱホバはなんぢの門の関木をかたうし 汝のうちなる子輩をさきはひ給ひたればなり 019 PSA 147 014 ヱホバは汝のすべての境にやはらぎをあたへ いと嘉麥をもて汝をあかしめたまふ 019 PSA 147 015 ヱホバはそのいましめを地にくだしたまふ その聖言はいとずみやかにはしる 019 PSA 147 016 ヱホバは雪をひつじの毛のごとくふらせ霜を灰のごとくにまきたまふ 019 PSA 147 017 ヱホバは氷をつちくれのごとくに擲ちたまふ たれかその寒冷にたふることをえんや 019 PSA 147 018 ヱホバ聖言をくだしてこれを消し その風をふかしめたまへばもろもろの水はながる 019 PSA 147 019 ヱホバはそのみことばをヤコブに示し そのもろもろの律法とその審判とをイスラエルにしめしたまふ 019 PSA 147 020 ヱホバはいづれの國をも如此あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 001 ヱホバをほめたたへよ もろもろの天よりヱホバをほめたたへよ もろもろの高所にてヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 002 その天使よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍よみなヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 003 日よ月よヱホバをほめたたへよ ひかりの星よみなヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 004 もろもろの天のてんよ 天のうへなる水よ ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 005 これらはみなヱホバの聖名をほめたたふべし そはヱホバ命じたまひたればかれらは造られたり 019 PSA 148 006 ヱホバまた此等をいやとほながに立たまひたり 又すぎうすまじき詔命をくだしたまへり 019 PSA 148 007 龍よ すべての淵よ地よりヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 008 火よ霰よ雪よ霧よみことばにしたがふ狂風よ 019 PSA 148 009 もろもろの山もろもろのをか實をむすぶ樹すべての香柏よ 019 PSA 148 010 獣もろもろの牲畜はふもの翼ある鳥よ 019 PSA 148 011 地の王たち もろもろのたみ 地の諸侯よ 地のもろもろの審士よ 019 PSA 148 012 少きをのこ 若きをみな 老たる人 をさなきものよ 019 PSA 148 013 みなヱホバの聖名をほめたたふべし その聖名はたかくして類なく そのえいくわうは地よりも天よりもうへにあればなり 019 PSA 148 014 ヱホバはその民のために一つの角をあげたまへり こはそもろもろの聖徒のほまれ ヱホバにちかき民なるイスラエルの子輩のほまれなり ヱホバを讃稱へよ 019 PSA 149 001 ヱホバをほめたたへよ ヱホバに對ひてあたらしき歌をうたへ 聖徒のつどひにてヱホバの頌美をうたヘ 019 PSA 149 002 イスラエルはおのれを造りたまひしものをよろこび シオンの子輩は已が王のゆゑによりて樂しむべし 019 PSA 149 003 かれらをどりつつその聖名をほめたたへ 琴鼓にてヱホバをほめうたべし 019 PSA 149 004 ヱホバはおのが民をよろこび 救にて柔和なるものを美しくしたまへばなり 019 PSA 149 005 聖徒はえいくわうの故によりてよろこび その寝牀にてよろこびうたふべし 019 PSA 149 006 その口に神をほむるうたあり その手にもろはの劍あり 019 PSA 149 007 こはもろもろの國に仇をかへし もろもろの民をつみなひ 019 PSA 149 008 かれらの王たちを鏈にてかれらの貴人をくろかねの械にていましめ 019 PSA 149 009 録したる審判をかれらに行ふべきためなり 斯るほまれはそのもろもろの聖徒にあり ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 150 001 ヱホバをほめたたへよ その聖所にて神をほめたたへよ その能力のあらはるる穹蒼にて神をほめたたへよ 019 PSA 150 002 その大能のはたらきのゆゑをもて神をほめたたへよ その秀ておほいなることの故によりてヱホバをほめたたへよ 019 PSA 150 003 ラッパの聲をもて神をほめたたへよ 筝と琴とをもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 004 つづみと蹈舞とをもて神をほめたたへよ 絃籘をもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 005 音のたかき鐃鈸をもて神をほめたたへよ なりひびく鐃鈸をもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 006 氣息あるものは皆ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ # # BOOK 020 PRO Proverbs 箴言 知恵の泉 020 PRO 001 001 ダビデの子イスラエルの王ソロモンの箴言 020 PRO 001 002 こは人に智慧と訓誨とをしらしめ哲言を暁らせ 020 PRO 001 003 さとき訓と公義と公平と正直とをえしめ 020 PRO 001 004 拙者にさとりを與へ少者に知識と謹愼とを得させん爲なり 020 PRO 001 005 智慧ある者は之を聞て學にすすみ 哲者は智略をうべし 020 PRO 001 006 人これによりて箴言と譬喩と智慧ある者の言とその隠語とを悟らん 020 PRO 001 007 ヱホバを畏るるは知識の本なり 愚なる者は智慧と訓誨とを軽んず 020 PRO 001 008 我が子よ汝の父の教をきけ 汝の母の法を棄ることなかれ 020 PRO 001 009 これ汝の首の美しき冠となり 汝の項の妝飾とならん 020 PRO 001 010 わが子よ惡者なんぢ誘ふとも從ふことなかれ 020 PRO 001 011 彼等なんぢにむかひて請ふ われらと偕にきたれ 我儕まちぶせして人の血を流し 無辜ものを故なきに伏てねらひ 020 PRO 001 012 陰府のごとく彼等を活たるままにて呑み 壮健なる者を墳に下る者のごとくになさん 020 PRO 001 013 われら各様のたふとき財貨をえ 奪ひ取たる物をもて我儕の家に盈さん 020 PRO 001 014 汝われらと偕に籤をひけ 我儕とともに一の金嚢を持べしと云とも 020 PRO 001 015 我が子よ彼等とともに途を歩むことなかれ 汝の足を禁めてその路にゆくこと勿れ 020 PRO 001 016 そは彼らの足は惡に趨り 血を流さんとて急げばなり 020 PRO 001 017 (すべて鳥の目の前にて羅を張は徒労なり) 020 PRO 001 018 彼等はおのれの血のために埋伏し おのれの命をふしてねらふ 020 PRO 001 019 凡て利を貧る者の途はかくの如し 是その持主をして生命をうしなはしむるなり 020 PRO 001 020 智慧外に呼はり衝に其聲をあげ 020 PRO 001 021 熱閙しき所にさけび 城市の門の口邑の中にその言をのぺていふ 020 PRO 001 022 なんぢら拙者のつたなきを愛し 嘲笑者のあざけりを樂しみ 愚なる者の知識を惡むは何時までぞや 020 PRO 001 023 わが督斥にしたがひて心を改めよ 視よわれ我が霊を汝らにそそぎ 我が言をなんぢらに示さん 020 PRO 001 024 われ呼たれども汝らこたへず 手を伸たれども顧る者なく 020 PRO 001 025 かへつて我がすべての勧告をすて我が督斥を受ざりしに由り 020 PRO 001 026 われ汝らが禍災にあふとき之を笑ひ 汝らの恐懼きたらんとき嘲るべし 020 PRO 001 027 これは汝らのおそれ颶風の如くきたり 汝らのほろび颺風の如くきたり 艱難とかなしみと汝らにきたらん時なり 020 PRO 001 028 そのとき彼等われを呼ばん 然れどわれ應へじ 只管に我を求めん されど我に遇じ 020 PRO 001 029 かれら知識を憎み又ヱホバを畏るることを悦ばず 020 PRO 001 030 わが勤に從はず凡て我督斥をいやしめたるによりて 020 PRO 001 031 己の途の果を食ひおのれの策略に飽べし 020 PRO 001 032 拙者の違逆はおのれを殺し 愚なる者の幸福はおのれを滅さん 020 PRO 001 033 されど我に聞ものは平穏に住ひかつ禍害にあふ恐怖なくして安然ならん 020 PRO 002 001 我が子よ汝もし我が言をうけ 我誡命を汝のこころに蔵め 020 PRO 002 002 斯て汝の耳を智慧に傾け汝の心をさとりにむけ 020 PRO 002 003 もし知識を呼求め聡明をえんと汝の聲をあげ 020 PRO 002 004 銀の如くこれを探り 秘れたる寳の如くこれを尋ねば 020 PRO 002 005 汝ヱホバを畏るることを暁り 神を知ることを得べし 020 PRO 002 006 そはヱホバは智慧をあたへ 知識と聡明とそのロより出づればなり 020 PRO 002 007 かれは義人のために聡明をたくはへ 直く行む者の盾となる 020 PRO 002 008 そは公平の途をたもち その聖徒の途すぢを守りたまへばなり 020 PRO 002 009 斯て汝はつひに公義と公平と正直と一切の善道を暁らん 020 PRO 002 010 すなはち智慧なんぢの心にいり 知識なんぢの霊魂に樂しからん 020 PRO 002 011 謹愼なんぢを守り 聡明なんぢをたもちて 020 PRO 002 012 惡き途よりずくひ虚偽をかたる者より救はん 020 PRO 002 013 彼等は直き途をはなれて幽暗き路に行み 020 PRO 002 014 惡を行ふを樂しみ 惡者のいつはりを悦び 020 PRO 002 015 その途はまがり その行爲は邪曲なり 020 PRO 002 016 聡明はまた汝を妓女より救ひ 言をもて諂ふ婦より救はん 020 PRO 002 017 彼はわかき時の侶をすて その神に契約せしことを忘るるなり 020 PRO 002 018 その家は死に下り その途は陰府に赴く 020 PRO 002 019 凡てかれにゆく者は歸らず また生命の途に達らざるなり 020 PRO 002 020 聡明汝をたもちてよき途に行ませ 義人の途を守らしめん 020 PRO 002 021 そは義人は地にながらへをり 完全者は地に止らん 020 PRO 002 022 されど惡者は地より亡され悸逆者は地より抜さらるべし 020 PRO 003 001 我が子よわが法を忘るるなかれ 汝の心にわが誡命をまもれ 020 PRO 003 002 さらば此事は汝の日をながくし生命の年を延べ平康をなんぢに加ふべし 020 PRO 003 003 仁慈と眞實とを汝より離すことなかれ 之を汝の項にむすび これを汝の心の碑にしるせ 020 PRO 003 004 さらばなんぢ神と人との前に恩寵と好名とを得べし 020 PRO 003 005 汝こころを盡してヱホバに倚頼め おのれの聡明に倚ることなかれ 020 PRO 003 006 汝すべての途にてヱホバをみとめよ さらばなんぢの途を直くしたまふべし 020 PRO 003 007 自から看て聡明とする勿れ ヱホバを畏れて惡を離れよ 020 PRO 003 008 これ汝の身に良薬となり汝ら骨に滋潤とならん 020 PRO 003 009 汝の貨財と汝がすべての産物の初生をもてヱホバをあがめよ 020 PRO 003 010 さらば汝の倉庫はみちて余り 汝の酒醡は新しき酒にて溢れん 020 PRO 003 011 我子よ汝ヱホバの懲治をかろんずる勿れ その譴責を受くるを厭ふこと勿れ 020 PRO 003 012 それヱホバはその愛する者をいましめたまふ あたかも父のその愛する子を譴むるが如し 020 PRO 003 013 智慧を求め得る人および聡明をうる人は福なり 020 PRO 003 014 そは智慧を獲るは銀を獲るに愈りその利は精金よりも善ければなり 020 PRO 003 015 智慧は眞珠よりも尊し 汝の凡ての財貨も之と比ぶるに足らず 020 PRO 003 016 其右の手には長壽あり その左の手には富と尊貴とあり 020 PRO 003 017 その途は樂しき途なり その徑すぢは悉く平康し 020 PRO 003 018 これは執る者には生命の樹なり これ持ものは福なり 020 PRO 003 019 ヱホバ智慧をもて地をさだめ 聡明をもて天を置たまへり 020 PRO 003 020 その知識によりて海洋はわきいで 雲は露をそそぐなり 020 PRO 003 021 我が子よこれらを汝の眼より離す勿れ 聡明と謹愼とを守れ 020 PRO 003 022 然ばこれは汝り霊魂の生命となり汝の項の牧飾とならん 020 PRO 003 023 かくて汝やすらかに汝の途をゆかん 又なんぢの足つまづかじ 020 PRO 003 024 なんぢ臥とき怖るるところあらず 臥ときは酣く睡らん 020 PRO 003 025 なんぢ猝然なる恐懼をおそれず 惡者の滅亡きたる時も之を怖るまじ 020 PRO 003 026 そはヱホバは汝の倚頼むものにして汝の足を守りてとらはれしめたまはざるべければなり 020 PRO 003 027 汝の手善をなす力あらば之を爲すべき者に爲さざること勿れ 020 PRO 003 028 もし汝に物あらば汝の鄰に向ひ 去て復來れ明日われ汝に予へんといふなかれ 020 PRO 003 029 汝の鄰なんぢの傍に安らかに居らば之にむかひて惡を謀ること勿れ 020 PRO 003 030 人もし汝に惡を爲さすば故なく之と争ふこと勿れ 020 PRO 003 031 暴虐人を羨むことなく そのすべての途を好とすることなかれ 020 PRO 003 032 そは邪曲なる者はヱホバに惡まるればなり されど義者はその親き者とせらるべし 020 PRO 003 033 ヱホバの呪詛は惡者の家にあり されど義者の室はかれにめぐまる 020 PRO 003 034 彼は嘲笑者をあざけり 謙る者に恩恵をあたへたまふ 020 PRO 003 035 智者は尊榮をえ 愚なる者は羞辱之をとりさるべし 020 PRO 004 001 小子等よ父の訓をきけ 聡明を知んために耳をかたむけよ 020 PRO 004 002 われ善教を汝らにさづく わが律を棄つることなかれ 020 PRO 004 003 われも我が父には子にして 我が母の目には獨の愛子なりき 020 PRO 004 004 父われを教へていへらく我が言を汝の心にとどめ わが誡命をまもれ 然らば生べし 020 PRO 004 005 智慧をえ聡明をえよ これを忘るるなかれ また我が口の言に身をそむくるなかれ 020 PRO 004 006 智慧をすつることなかれ彼なんぢを守らん 彼を愛せよ彼なんぢを保たん 020 PRO 004 007 智慧は第一なるものなり 智慧をえよ 凡て汝の得たる物をもて聡明をえよ 020 PRO 004 008 彼を尊べ さらば彼なんぢを高く挙げん もし彼を懐かば彼汝を尊榮からしめん 020 PRO 004 009 かれ美しき飾を汝の首に置き 榮の冠弁を汝に予へん 020 PRO 004 010 我が子よきけ 我が言を納れよ さらば汝の生命の年おほからん 020 PRO 004 011 われ智慧の道を汝に教へ義しき徑筋に汝を導けり 020 PRO 004 012 歩くとき汝の歩は艱まず 趨るときも躓かじ 020 PRO 004 013 堅く訓誨を執りて離すこと勿れ これを守れ これは汝の生命なり 020 PRO 004 014 邪曲なる者の途に入ることなかれ 惡者の路をあやむこと勿れ 020 PRO 004 015 これを避よ 過ること勿れ 離れて去れ 020 PRO 004 016 そは彼等は惡を爲さざれば睡らず 人を躓かせざればいねず 020 PRO 004 017 不義のパンを食ひ暴虐の洒を飮めばなり 020 PRO 004 018 義者の途は旭光のごとし いよいよ光輝をまして昼の正午にいたる 020 PRO 004 019 惡者の途は幽冥のごとし 彼らはその蹟くもののなになるを知ざるなり 020 PRO 004 020 わが子よ我が言をきけ 我が語るところに汝の耳を傾けよ 020 PRO 004 021 之を汝の目より離すこと勿れ 汝の心のうちに守れ 020 PRO 004 022 是は之を得るものの生命にしてまたその全體の良薬なり 020 PRO 004 023 すべての操守べき物よりもまさりて汝の心を守れ そは生命の流これより出ればなり 020 PRO 004 024 虚偽の口を汝より棄さり 惡き口唇を汝より遠くはなせ 020 PRO 004 025 汝の目は正く視 汝の眼瞼は汝の前を眞直に視るべし 020 PRO 004 026 汝の足の徑をかんがへはかり 汝のすべての道を直くせよ 020 PRO 004 027 右にも左にも偏ること勿れ汝の足を惡より離れしめよ 020 PRO 005 001 我が子よわが智慧をきけ 汝の耳をわが聡明に傾け 020 PRO 005 002 しかしてなんぢ謹愼を守り汝の口唇に知識を保つべし 020 PRO 005 003 娼妓の口唇は蜜を滴らし 其口は脂よりも滑なり 020 PRO 005 004 されど其終は茵蔯の如くに苦く兩刃の劍の如くに利し 020 PRO 005 005 その足は死に下り その歩は陰府に趣く 020 PRO 005 006 彼は生命の途に入らず 其徑はさだかならねども自ら之を知ざるなり 020 PRO 005 007 小子等よいま我にきけ 我が口の言を棄つる勿れ 020 PRO 005 008 汝の途を彼より遠く離れしめよ 其家の門に近づくことなかれ 020 PRO 005 009 恐くは汝の榮を他人にわたし 汝の年を憐憫なき者にわたすにいたらん 020 PRO 005 010 恐くは他人なんぢの資財によりて盈され 汝の労苦は他人の家にあらん 020 PRO 005 011 終にいたりて汝のなんぢの體亡ぶる時なんぢ泣悲みていはん 020 PRO 005 012 われ教をいとひ 心に譴責をかろんじ 020 PRO 005 013 物が師の聲をきかず 我を教る者に耳を傾けず 020 PRO 005 014 あつまりの中会衆のうちにてほとんど諸の惡に陥れりと 020 PRO 005 015 汝おのれの水溜より水を飮み おのれの泉より流るる水をのめ 020 PRO 005 016 汝の流をほかに溢れしめ 汝の河の水を衢に流れしむべけんや 020 PRO 005 017 これを自己に歸せしめ 他人をして汝と偕にこに與らしむること勿れ 020 PRO 005 018 汝の泉に福祉を受しめ 汝の少き時の妻を樂しめ 020 PRO 005 019 彼は愛しき麀のごとく美しき鹿の如し その乳房をもて常にたれりとし その愛をもて常によろこべ 020 PRO 005 020 我子よ何なればあそびめをたのしみ 淫婦の胸を懐くや 020 PRO 005 021 それ人の途はヱホバの目の前にあり 彼はすべて其行爲を量りたまふ 020 PRO 005 022 惡者はおのれの愆にとらへられ その罪の縄に繋る 020 PRO 005 023 彼は訓誨なきによりて死 その多くの愚なることに由りて亡ぶべし 020 PRO 006 001 我子よ汝もし朋友のために保證をなし 他人のために汝の手を拍ば 020 PRO 006 002 汝その口の言によりてわなにかかり その口の言によりてとらへらるるなり 020 PRO 006 003 我子よ汝友の手に陥りしならば斯して自ら救へ すなはち往て自ら謙たり只管なんぢの友に求め 020 PRO 006 004 汝の目をして睡らしむることなく 汝の眼瞼をして閉しむること勿れ 020 PRO 006 005 かりうどの手より鹿ののがるるごとく 鳥とる者の手より鳥ののがるる如くして みづからを救へ 020 PRO 006 006 惰者よ蟻にゆき其爲すところを観て智慧をえよ 020 PRO 006 007 蟻は首領なく有司なく君主なけれども 020 PRO 006 008 夏のうちに食をそなへ 収穫のときに糧を斂む 020 PRO 006 009 惰者よ汝いづれの時まで臥息むや いづれの時まで睡りて起ざるや 020 PRO 006 010 しぼらく臥ししばらく睡り 手を叉きてまた片時やすむさらば 020 PRO 006 011 汝の貧窮は盗人の如くきたり汝の欠乏は兵士の如くきたるべし 020 PRO 006 012 邪曲なる人あしき人は虚偽の言をもて事を行ふ 020 PRO 006 013 彼は眼をもて眴せし 脚をもてしらせ 指をもて示す 020 PRO 006 014 その心に虚偽をたもち 常に惡をはかり 争端を起す 020 PRO 006 015 この故にその禍害にはかに來り 援助なくして立刻に敗らるべし 020 PRO 006 016 ヱホバの憎みたまふもの六あり 否その心に嫌ひたまふもの七あり 020 PRO 006 017 即ち驕る目いつはりをいふ舌 つみなき人の血を流す手 020 PRO 006 018 惡き謀計をめぐらす心 すみやかに惡に趨る足 020 PRO 006 019 詐偽をのぶる證人 および兄弟のうちに争端をおこす者なり 020 PRO 006 020 我子よ汝の父の誠命を守り 汝の母の法を棄る勿れ 020 PRO 006 021 常にこれを汝の心にむす び之をなんぢの頚に佩よ 020 PRO 006 022 これは汝のゆくとき汝をみちびき 汝の寝るとき汝をまもり 汝の寤るとき汝とかたらん 020 PRO 006 023 それ誡命は燈火なり 法は光なり 教訓の懲治は生命の道なり 020 PRO 006 024 これは汝をまもりて惡き婦よりまぬかれしめ 汝をたもちて淫婦の舌の諂媚にまどはされざらしめん 020 PRO 006 025 その艶美を心に戀ふことなかれ その眼瞼に捕へらるること勿れ 020 PRO 006 026 それ娼妓のために人はただ僅に一撮の糧をのこすのみにいたる 又淫婦は人の尊き生命を求むるなり 020 PRO 006 027 人は火を懐に抱きてその衣を焚れざらんや 020 PRO 006 028 人は熱火を踏て其足を焚れざらんや 020 PRO 006 029 その隣の妻と姦淫をおこなふ者もかくあるべし 凡て之に捫る者は罪なしとせられず 020 PRO 006 030 竊む者もし飢しときに其飢を充さん爲にぬすめるならば人これを藐ぜじ 020 PRO 006 031 もし捕へられなばその七倍を償ひ其家の所有をことごとく出さざるべからず 020 PRO 006 032 婦と姦淫をおこなふ者は智慧なきなり 之を行ふ者はおのれの霊魂を亡し 020 PRO 006 033 傷と陵辱とをうけて其恥を雪ぐこと能はず 020 PRO 006 034 妒忌その夫をして忿怒をもやさしむればその怨を報ゆるときかならず寛さじ 020 PRO 006 035 いかなる贖物をも顧みず 衆多の饋物をなすともやはらがざるべし 020 PRO 007 001 我子よわが言をまもり我が誡命を汝の心にたくはへよ 020 PRO 007 002 我が誠命をまもりで生命をえよ 我法を守ること汝の眸子を守るが如くせよ 020 PRO 007 003 これを汝の指にむすび これを汝の心の碑に銘せ 020 PRO 007 004 なんぢ智慧にむかひて汝はわが姉妹なりといひ 明理にむかひて汝はわが友なりといへ 020 PRO 007 005 さらば汝をまもりて淫婦にまよはざらしめ 言をもて媚る娼妓にとほざからしめん 020 PRO 007 006 われ我室の牖により檑子よりのぞきて 020 PRO 007 007 拙き者のうち幼弱者のうちに一人の智慧なき者あるを観たり 020 PRO 007 008 彼衢をすぎ婦の門にちかづき其家の路にゆき 020 PRO 007 009 黄昏に半宵に夜半に黒暗の中にあるけり 020 PRO 007 010 時に娼妓の衣を着たる狡らなる婦かれにあふ 020 PRO 007 011 この婦は譁しくしてつつしみなく 其足は家に止らず 020 PRO 007 012 あるときは衢にあり 或時はひろばにあり すみずみにたちて人をうかがふ 020 PRO 007 013 この婦かれをひきて接吻し恥しらぬ面をもていひけるは 020 PRO 007 014 われ酬恩祭を献げ今日すでにわが誓願を償せり 020 PRO 007 015 これによりて我なんぢを迎へんとていで 汝の面をたづねて汝に逢へり 020 PRO 007 016 わが榻には美しき褥およびエジプトの文枲をしき 020 PRO 007 017 沒薬蘆薈桂皮をもて我が榻にそそげり 020 PRO 007 018 來れわれら詰朝まで情をつくし愛をかよはして相なぐさめん 020 PRO 007 019 そは夫は家にあらず遠く旅立して 020 PRO 007 020 手に金嚢をとれり 望月ならでは家に歸らじと 020 PRO 007 021 多の婉言をもて惑し口唇の諂媚をもて誘へ 020 PRO 007 022 わかき人ただちにこれに隨へり あたかも牛の宰地にゆくが如く 愚なる者の桎梏をかけらるる爲にゆくが如し 020 PRO 007 023 遂には矢その肝を刺さん 烏の速かに羅にいりてその生命を喪ふに至るを知ざるがごとし 020 PRO 007 024 小子等よいま我にきけ 我が口の言に耳を傾けよ 020 PRO 007 025 なんぢの心を淫婦の道にかたむくること勿れ またこれが徑に迷ふこと勿れ 020 PRO 007 026 そは彼は多の人を傷つけて仆せり 彼に殺されたる者ぞ多かる 020 PRO 007 027 その家は陰府の途にして死の室に下りゆく 020 PRO 008 001 智慧は呼はらざるか 聡明は聲を出さざるか 020 PRO 008 002 彼は路のほとりの高處また街衝のなかに立ち 020 PRO 008 003 邑のもろもろの門 邑の口および門々の入口にて呼はりいふ 020 PRO 008 004 人々よわれ汝をよび 我が聲をもて人の子等をよぶ 020 PRO 008 005 拙き者よなんぢら聡明に明かなれ 愚なる者よ汝ら明かなる心を得よ 020 PRO 008 006 汝きけ われ善事をかたらん わが口唇をひらきて疋事をいださん 020 PRO 008 007 我が口は眞実を述べわが口唇はあしき事を憎むなり 020 PRO 008 008 わが口の言はみな義し そのうちに虚偽と奸邪とあることなし 020 PRO 008 009 是みな智煮の明かにするところ 知識をうる者の正とするところなり 020 PRO 008 010 なんぢら銀をうくるよりは我が教をうけよ 精金よりもむしろ知識をえよ 020 PRO 008 011 それ智慧は眞珠に愈れり 凡の寳も之に比ぶるに足らず 020 PRO 008 012 われ智慧は聡明をすみかとし 知識と謹愼にいたる 020 PRO 008 013 ヱホバを畏るるとは惡を憎むことなり 我は傲慢と驕奢 惡道と虚偽の口とを憎む 020 PRO 008 014 謀略と聡明は我にあり 我は了知なり 我は能力あり 020 PRO 008 015 我に由て王者は政をなし 君たる者は義しき律をたて 020 PRO 008 016 我によりて主たる者および牧伯たちなど瓦て地の審判人は世ををさむ 020 PRO 008 017 われを愛する者は我これを愛す 我を切に求むるものは我に遇ん 020 PRO 008 018 富と榮とは我にあり 貴き寳と公義とも亦然り 020 PRO 008 019 わが果は金よりも精舎よりも愈り わが利は精銀よりもよし 020 PRO 008 020 我は義しき道にあゆみ 公平なる路徑のなかを行む 020 PRO 008 021 これ我を愛する者に貨財をえさせ 又その庫を充しめん爲なり 020 PRO 008 022 ヱホバいにしへ其御わざをなしそめたまへる前に その道の始として我をつくりたまひき 020 PRO 008 023 永遠より元始より地の有ざりし前より我は立られ 020 PRO 008 024 いまだ海洋あらず いまだ大なるみづの泉あらざりしとき我すでに生れ 020 PRO 008 025 山いまださだめられず 陵いまだ有ざりし荊に我すずでに生れたり 020 PRO 008 026 即ち神いまだ地をも野をも地の塵の根元を石造り給はざりし時なり 020 PRO 008 027 かれ天をつくり海の面に穹蒼を張たまひしとき我かしこに在りき 020 PRO 008 028 彼うへに雲氣をかたく定め 淵の泉をつよくならしめ 020 PRO 008 029 海にその限界をたて 水をしてその岸を踰えざらしめ また地の基を定めたまへるとき 020 PRO 008 030 我はその傍にありて創造者となり 日々に欣び恒にその前に樂み 020 PRO 008 031 その地にて樂み又世の人を喜べり 020 PRO 008 032 されば小子等よ いま我にきけ わが道をまもる者は福ひなり 020 PRO 008 033 教をききて智慧をえよ 之を棄ることなかれ 020 PRO 008 034 凡そ我にきき 日々わが門の傍にまち わが戸口の柱のわきにたつ人は福ひなり 020 PRO 008 035 そは我を得る者は生命をえ ヱホバより恩寵を獲ればなり 020 PRO 008 036 我を失ふものは自己の生命を害ふ すべて我を惡むものは死を愛するなり 020 PRO 009 001 智慧はその家を建て その七の柱を砍成し 020 PRO 009 002 その畜を宰り その酒を混和せ その筵をそなへ 020 PRO 009 003 その婢女をつかはして邑の高處に呼はりいはしむ 020 PRO 009 004 拙者よここに來れと また智慧なき者にいふ 020 PRO 009 005 汝等きたりて我が糧を食ひ わがまぜあはせたる洒をのみ 020 PRO 009 006 拙劣をすてて生命をえ 聡明のみちを行め 020 PRO 009 007 嘲笑者をいましむる者は恥を己にえ 惡人を責むる者は疵を己にえん 020 PRO 009 008 嘲笑者を責むることなかれ 恐くは彼なんぢを惡まん 智慧ある者をせめよ 彼なんぢを愛せん 020 PRO 009 009 智慧ある者に授けよ 彼はますます智慧をえん 義者を教へよ 彼は知識に監まん 020 PRO 009 010 ヱホバを畏るることは智慧の根本なり 聖者を知るは聡明なり 020 PRO 009 011 我により汝の日は多くせられ 汝のいのちの年は増べし 020 PRO 009 012 汝もし智慧あらば自己のために智慧あるなり 汝もし嘲らば汝ひとり之を負ん 020 PRO 009 013 愚なる婦は嘩しく且つたなくして何事をも知らず 020 PRO 009 014 その家の門に坐し邑のたかき處にある座にすわり 020 PRO 009 015 道をますぐに過る往來の人を招きていふ 020 PRO 009 016 拙者よここに來れと また智慧な在りき人にむかひては之にいふ 020 PRO 009 017 竊みたる水は甘く密かに食ふ糧は美味ありと 020 PRO 009 018 彼處にある者は死し者その客は陰府のふかき處にあることを是等の人は知らざるなり 020 PRO 010 001 ソロモンの箴言 智慧ある子は父を欣ばす 愚なる子は母の憂なり 020 PRO 010 002 不義の財は益なし されど正義は救ひて死を脱かれしむ 020 PRO 010 003 ヱホバは義者の霊魂を餓ゑしめず 惡者にその欲するところを得ざらしむ 020 PRO 010 004 手をものうくして動くものは貧くなり 勤めはたらく者の手は富を得 020 PRO 010 005 夏のうちに斂むる者は智き子なり 収穫の時にねむる者は辱をきたす子なり 020 PRO 010 006 義者の首には福祉きたり 惡者の口は強暴を掩ふ 020 PRO 010 007 義者の名はた讃られ惡者の名は腐る 020 PRO 010 008 心の智き者は誡命を受く されど口の頑愚なる者は滅さる 020 PRO 010 009 直くあゆむ者はそのあゆむこと安し されどその途を曲ぐる者は知らるべし 020 PRO 010 010 眼をもて眴せする者は憂をおこし 口の頑愚なる者は亡さる 020 PRO 010 011 義者の口は生命の泉なり 惡者の口は強暴を掩ふ 020 PRO 010 012 怨恨は争端をおこし 愛はすべての愆を掩ふ 020 PRO 010 013 哲者のくちびるには智慧あり 智慧なき者の背のためには鞭あり 020 PRO 010 014 智慧ある者は知識をたくはふ 愚かなる者の口はいまにも滅亡をきたらす 020 PRO 010 015 富者の資財はその堅き城なり 貧者のともしきはそのほろびなり 020 PRO 010 016 義者が動作は生命にいたり 惡者の利得は罪にいたる 020 PRO 010 017 教をまもる者は生命の道にあり懲戒をすつる者はあやまりにおちいる 020 PRO 010 018 怨をかくす者には虚偽のくちびるあり 誹膀をいだす者は愚かなる者なり 020 PRO 010 019 言おほけれぼ罪なきことあたはず その口唇を禁むるものは智慧あり 020 PRO 010 020 義者の舌は精銀のごとし 惡者の心は値すくなし 020 PRO 010 021 義者の口唇はおほくの人をやしなひ 愚なる者は智慧なきに由て死ぬ 020 PRO 010 022 ヱホバの祝福は人を富す 人の労苦はこれに加ふるところなし 020 PRO 010 023 愚かなる者は惡をなすを戯れごとのごとくす 智慧のさとかる人にとりても是のごとし 020 PRO 010 024 惡者の怖るるところは自己にきたり 義者のねがふところはあたへらる 020 PRO 010 025 狂風のすぐるとき惡者は無に婦せん 義者は窮なくたもつ基のごとし 020 PRO 010 026 惰る者のこれを遣すものに於るは酢の歯に於るが如く煙の目に於るが如し 020 PRO 010 027 ヱホバを畏るることは人の日を多くす されど惡者の年はちぢめらる 020 PRO 010 028 義者の望は喜悦にいたり惡者の望は絶べし 020 PRO 010 029 ヱホバの途は直者の城となり 惡を行ふものの滅亡となる 020 PRO 010 030 義者は何時までも動かされず 惡者は地に住むことを得じ 020 PRO 010 031 義者の口は智慧をいだすなり 虚偽の舌は抜るべし 020 PRO 010 032 義者のくちびるは喜ばるべきことをわきまへ 惡者の口はいつはりを語る 020 PRO 011 001 いつはりの權衝はヱホバに惡まれ 義しき分銅は彼に欣ばる 020 PRO 011 002 驕傲きたれば辱も亦きたる謙だる者には智慧あり 020 PRO 011 003 直者の端荘は己を導き悖逆者の邪曲は己を亡す 020 PRO 011 004 寳は震怒の日に益なし されど正義は救ふて死をまぬかれしむ 020 PRO 011 005 完全者はその正義によりてその途を直くせられ 惡者はその惡によりて跌るべし 020 PRO 011 006 直者はその正義によりて救はれ 悸逆者は自己の惡によりて執へらる 020 PRO 011 007 惡人は死るときにその望たえ 不義なる者の望もまた絶べし 020 PRO 011 008 義者は艱難より救はれ 惡者はこれに代る 020 PRO 011 009 邪曲なる者は口をもてその鄰を亡す されど義しき者はその知識によりて救はる 020 PRO 011 010 義しきもの幸福を受ればその城邑に歓喜あり 惡きもの亡さるれば歓喜の聲おこる 020 PRO 011 011 城邑は直者の祝ふに倚て高く挙られ 惡者の口によりて亡さる 020 PRO 011 012 その鄰を侮る者は智慧なし 聡明人はその口を噤む 020 PRO 011 013 往て人の是非をいふ者は密事を洩し 心の忠信なる者は事を隠す 020 PRO 011 014 はかりごとなければ民たふれ 議士多ければ平安なり 020 PRO 011 015 他人のために保證をなす者は苦難をうけ 保證を嫌ふ者は平安なり 020 PRO 011 016 柔順なる婦は榮誉をえ 強き男子は資財を得 020 PRO 011 017 慈悲ある者は己の霊魂に益をくはへ 残忍者はおのれの身を擾はす 020 PRO 011 018 惡者の獲る報はぴなしく 義を播くものの得る報賞は確し 020 PRO 011 019 堅く義をたもつ者は生命にいたり 惡を追もとむる者はおのれの死をまねく 020 PRO 011 020 心の戻れる者はヱホバに憎まれ 直く道を歩む者は彼に悦ばる 020 PRO 011 021 手に手をあはするとも惡人は罪をまぬかれず 義人の苗裔は救を得 020 PRO 011 022 美しき婦のつつしみなきは金の環の豕の鼻にあるが如し 020 PRO 011 023 義人のねがふところは凡て福祉にいたり 惡人ののぞむところは震怒にいたる 020 PRO 011 024 ほどこし散して反りて増ものあり 與ふべきを吝みてかへりて貧しきにいたる者あり 020 PRO 011 025 施與を好むものは肥え 人を潤ほす者はまた利潤をうく 020 PRO 011 026 穀物を蔵めて糶ざる者は民に阻はる 然れど售る者の首には祝福あり 020 PRO 011 027 善をもとむる者は恩恵をえん 惡をもとむる者には惡き事きたらん 020 PRO 011 028 おのれの富を恃むものは仆れん されど義者は樹の青葉のごとくさかえん 020 PRO 011 029 おのれの家をくるしむるものは風をえて所有とせん 愚なる者は心の智きものの僕とならん 020 PRO 011 030 義人の果は生命の樹なり 智慧ある者は人を捕ふ 020 PRO 011 031 みよ義人すらも世にありて報をうくべし況て惡人と罪人とをや 020 PRO 012 001 訓誨を愛する者は知識を愛す 懲戒を惡むものは畜のごとし 020 PRO 012 002 善人はヱホバの恩寵をうけ 惡き謀略を設くる人はヱホバに罰せちる 020 PRO 012 003 人は惡をもて堅く立ことあたはず 義人の根は動くことなし 020 PRO 012 004 賢き婦はその夫の冠弁なり 辱をきたらする婦は夫をしてその骨に腐あるが如くならしむ 020 PRO 012 005 義人のおもひは直し 惡者の計るところは虚偽なり 020 PRO 012 006 惡者の言は人の血を流さんとて伺ふ されど直者の口は人を救ふなり 020 PRO 012 007 惡者はたふされて無ものとならん されど義者の家は立べし 020 PRO 012 008 人はその聡明にしたがひて誉られ 心の悖れる者は藐めらる 020 PRO 012 009 卑賤してしもべある者は自らたかぶりて食に乏き者に愈る 020 PRO 012 010 義者はその畜の生命を顧みる されど惡者は残忍をもてその憐憫とす 020 PRO 012 011 おのれの田地を耕すものは食にあく 放蕩なる人にしたがふ者は智慧なし 020 PRO 012 012 惡者はあしき人の獲たる物をうらやみ 義者の根は芽をいだす 020 PRO 012 013 惡者はくちびるの愆によりて罟に陥る されど義者は患難の中よりまぬかれいでん 020 PRO 012 014 人はその口の徳によりて福祉に飽ん 人の手の行爲はその人の身にかへるべし 020 PRO 012 015 愚なる者はみづからその道を見て正しとす されど智慧ある者はすすめを容る 020 PRO 012 016 愚なる者はただちに怒をあらはし 智きものは恥をつつむ 020 PRO 012 017 眞實をいふものは正義を述べ いつはりの證人は虚偽をいふ 020 PRO 012 018 妄りに言をいだし劍をもて刺がごとくする者あり されど智慧ある者の舌は人をいやす 020 PRO 012 019 眞理をいふ口唇は何時までも存つ されど虚偽をいふ舌はただ瞬息のあひだのみなり 020 PRO 012 020 惡事をはかる者の心には欺詐あり 和平を謀る者には歓喜あり 020 PRO 012 021 義者には何の禍害も來らず 惡者はわざはひをもて充さる 020 PRO 012 022 いつはりの口唇はヱホバに憎まれ 眞實をおこなふ者は彼に悦ばる 020 PRO 012 023 賢人は知識をかくす されど愚たる者のこころは愚なる事を述ぶ 020 PRO 012 024 勤めはたらく者の手は人ををさむるにいたり惰者は人に服ふるにいたる 020 PRO 012 025 うれひ人の心にあれば之を屈ます されど善言はこれを樂します 020 PRO 012 026 義者はその友に道を示す されど惡者は自ら途にまよふ 020 PRO 012 027 惰者はおのれの猟獲たる物をも燔ず 勉めはたらくことは人の貴とき寳なり 020 PRO 012 028 義しき道には生命ありその道すぢには死なし 020 PRO 013 001 智慧ある子は父の教訓をきき 戯謔者は懲治をきかず 020 PRO 013 002 人はその口の徳によりて福祉をくらひ悖逆者の霊魂は強暴をくらふ 020 PRO 013 003 その口を守る者はその生命を守る その口唇を大きくひらく者には滅亡きたる 020 PRO 013 004 惰る者はこころに慕へども得ることなし 勤めはたらく者の心は豊饒なり 020 PRO 013 005 義者は虚偽の言をにくみ 惡者ははぢをかうむらせ面を赤くせしむ 020 PRO 013 006 義は道を直くあゆむ者をまもり 惡は罪人を倒す 020 PRO 013 007 自ら富めりといひあらはして些少の所有もなき者あり 自ら貧しと稱へて資財おほき者ありi 020 PRO 013 008 人の資財はその生命を贖ふものとなるあり 然ど貧者は威嚇をきくことあらず 020 PRO 013 009 義者の光は輝き惡者の燈火はけさる 020 PRO 013 010 驕傲はただ争端を生ず 勧告をきく者は智慧あり 020 PRO 013 011 詭詐をもて得たる資財は減る されど手をもて聚めたくはふる者はこれを増すことを得 020 PRO 013 012 望を得ること遅きときは心を疾しめ 願ふ所既にとぐるときは生命の樹を得たるがごとし 020 PRO 013 013 御言をかろんずる者は亡され 誡命をおそるる者は報賞を得 020 PRO 013 014 智慧ある人の教訓はいのちの泉なり 能く人をして死の罟を脱れしむ 020 PRO 013 015 善にして哲きものは恩を蒙る されど悸逆者の途は艱難なり 020 PRO 013 016 凡そ賢者は知識に由りて事をおこなひ 愚なる者はおのれの痴を顕す 020 PRO 013 017 惡き使者は災禍に陥る されど忠信なる使者は良薬の如し 020 PRO 013 018 貧乏と恥辱とは教訓をすつる者にきたる されど譴責を守る者は尊まる 020 PRO 013 019 望を得れば心に甘し 愚なる者は惡を棄つることを嫌ふ 020 PRO 013 020 智慧ある者と偕にあゆむものは智慧をえ 愚なる者の友となる者はあしくなる 020 PRO 013 021 わざはひは罪人を追ひ 義者は善報をうく 020 PRO 013 022 善人はその産業を子孫に遺す されど罪人の資材は義者のために蓄へらる 020 PRO 013 023 貧しき者の新田にはおほくの糧あり されど不義によりて亡る者あり 020 PRO 013 024 鞭をくはへざる者はその子を憎むなり 子を愛する者はしきりに之をいましむ 020 PRO 013 025 義しき者は食をえて胞く されど惡者の腹は空し 020 PRO 014 001 智慧ある婦はその家をたて 愚なる婦はおのれの手をもて之を毀つ 020 PRO 014 002 直くあゆむ者はヱホバを畏れ 曲りてあゆむ者はこれを侮る 020 PRO 014 003 愚なる者の口にはその傲のために鞭笞あり 智者の口唇はおのれを守る 020 PRO 014 004 牛なければ飼蒭倉むなし牛の力によりて生産る物おほし 020 PRO 014 005 忠信の證人はいつはらず 虚偽のあかしびとは謊言を吐く 020 PRO 014 006 嘲笑者は智慧を求むれどもえず 哲者は知識を得ること容易し 020 PRO 014 007 汝おろかなる者の前を離れされ つひに知識の彼にあるを見ざるべし 020 PRO 014 008 賢者の智慧はおのれの道を暁るにあり 愚なる者の痴は欺くにあり 020 PRO 014 009 おろろかなる者は罪をかろんず されど義者の中には恩恵あり 020 PRO 014 010 心の苦みは心みづから知る其よろこびには他人あづからず 020 PRO 014 011 惡者の家は亡され 正直き者の幕屋はさかゆ 020 PRO 014 012 人のみづから見て正しとする途にしてその終はつひに死にいたる途となるものあり 020 PRO 014 013 笑ふ時にも心に悲あり 歎樂の終に憂あり 020 PRO 014 014 心の悖れる者はおのれの途に飽かん 善人もまた自己に飽かん 020 PRO 014 015 拙者はすべての言を信ず 賢者はその行を愼む 020 PRO 014 016 智慧ある者は怖れて惡をはなれ 愚なる者はたかぶりて怖れず 020 PRO 014 017 怒り易き者は愚なることを行ひ 惡き謀計を設くる者は惡まる 020 PRO 014 018 批者は愚なる事を得て所有となし 賢者は知識をもて冠弁となす 020 PRO 014 019 惡者は善者の前に俯伏し 罪ある者は義者の門に俯伏す 020 PRO 014 020 貧者はその鄰にさへも惡まる されど富者を愛ずる者はおほし 020 PRO 014 021 その鄰を藐むる者は罪あり 困苦者を憐むものは幸福あり 020 PRO 014 022 惡を謀る者は自己をあやまるにあらずや 善を謀る者には憐憫と眞實とあり 020 PRO 014 023 すべての勤労には利益あり されど口唇のことばは貧乏をきたらするのみなり 020 PRO 014 024 智慧ある者の財寳はその冠弁となる 愚なる者のおろかはただ痴なり 020 PRO 014 025 眞實の證人は人のいのちを救ふ 謊言を吐く者は偽人なり 020 PRO 014 026 ヱホバを畏るることは堅き依頼なり その児輩は逃避場をうべし 020 PRO 014 027 ヱホバを畏るることは生命の泉なり 人を死の罟より脱れしむ 020 PRO 014 028 王の榮は民の多きにあり 牧泊の衰敗は民を失ふにあり 020 PRO 014 029 怒を遅くする者は大なる知識あり 氣の短き者は愚なることを顕す 020 PRO 014 030 心の安穏なるは身のいのちなり 娼嫉は誉の腐なり 020 PRO 014 031 貧者を虐ぐる者はその造主を侮るなり 彼をうやまふ者は貧者をあはれむ 020 PRO 014 032 惡者はその惡のうちにて亡され義者はその死ぬる時にも望あり 020 PRO 014 033 智慧は哲者の心にとどまり 愚なる者の衷にある事はあらはる 020 PRO 014 034 義は國を高くし罪は民を辱しむ 020 PRO 014 035 さとき僕は王の恩を蒙ぶり 辱をきたらす者はその震怒にあふ 020 PRO 015 001 柔和なる答は憤恨をとどめ厲しき言は怒を激す 020 PRO 015 002 智慧ある者の舌は知識を善きものとおもはしめ 愚なる者の口はおろかをはく 020 PRO 015 003 ヱホバの目は何處にもありて惡人と善人とを鑒みる 020 PRO 015 004 温柔き舌は生命の樹なり 悸れる舌は霊塊を傷ましむ 020 PRO 015 005 愚なる者はその父の訓をかろんず 誡命をまもる者は賢者なり 020 PRO 015 006 義者の家には多くの資財あり 惡者の利潤には擾累あり 020 PRO 015 007 智者のくちびるは知識をひろむ 愚なる者の心は定りなし 020 PRO 015 008 惡者の祭物はヱホバに憎まれ 直き人の祈は彼に悦ばる 020 PRO 015 009 惡者の道はヱホバに憎まれ 正義をもとむる者は彼に愛せらる 020 PRO 015 010 道をはなるる者には厳しき懲治あり 譴責を惡む者は死ぬべし 020 PRO 015 011 陰府と況淪とはヱホバの目の前にあり 況て人の心をや 020 PRO 015 012 嘲笑昔は誡めらるることを好まず また智慧ある者に近づかず 020 PRO 015 013 心に喜樂あれば顔色よろこばし 心に憂苦あれば氣ふさぐ 020 PRO 015 014 哲者のこころは知識をたづね 愚なる者の口は愚をくらふ 020 PRO 015 015 艱難者の日はことごとく惡く 心の懽べる者は恒に酒宴にあり 020 PRO 015 016 すこしの物を有てヱホバを畏るるは多の寳をもちて擾煩あるに愈る 020 PRO 015 017 蔬菜をくらひて互に愛するは肥たる牛を食ひて互に恨むるに愈る 020 PRO 015 018 憤ほり易きものは争端をおこし 怒をおそくする者は争端をとどむ 020 PRO 015 019 惰者の道は棘の底に似たり 直者の途は平坦なり 020 PRO 015 020 智慧ある子は父をよろこばせ 愚なる人はその母をかろんず 020 PRO 015 021 無知なる者は愚なる事をよろこび 哲者はその途を直くす 020 PRO 015 022 相議ることあらざれば謀計やぶる 議者おほければ謀計かならず成る 020 PRO 015 023 人はその口の答によりて喜樂をう 言語を出して時に適ふはいかに善らずや 020 PRO 015 024 哲人の途は生命の路にして上へ昇りゆく これ下にあるところの陰府を離れんが爲なり 020 PRO 015 025 ヱホバはたかぶる者の家をほろぼし 寡婦の地界をさだめたまふ 020 PRO 015 026 あしき謀計はヱホバに憎まれ 温柔き言は潔白し 020 PRO 015 027 不義の利をむさぼる者はその家をわづらはせ 賄賂をにくむ者は活ながらふべし 020 PRO 015 028 義者の心は答ふべきことを考へ 惡者の口は惡を吐く 020 PRO 015 029 ヱホバは惡者に遠ざかり 義者の祈祷をききたまふ 020 PRO 015 030 目の光は心をよろこばせ 好音信は骨をうるほす 020 PRO 015 031 生命の誡命をきくところの耳は智慧ある者の中間に駐まる 020 PRO 015 032 教をすつる者は自己の生命をかろんずるなり 懲治をきく者は聡明を得 020 PRO 015 033 ヱホバを畏るることは智慧の訓なり 謙遜は尊貴に先だつ 020 PRO 016 001 心に謀るところは人にあり 舌の答はヱホバより出づ 020 PRO 016 002 人の途はおのれの目にことごとく潔しと見ゆ 惟ヱホバ霊魂をはかりたまふ 020 PRO 016 003 なんぢの作爲をヱホバに託せよ さらば汝の謀るところ必ず成るべし 020 PRO 016 004 ヱホバはすべての物をおのおのその用のために造り 惡人をも惡き日のために造りたまへり 020 PRO 016 005 すべて心たかぶる者はヱホバに惡まれ 手に手をあはするとも罪をまぬかれじ 020 PRO 016 006 憐憫と眞實とによりて愆は贖はる ヱホバを畏るることによりて人惡を離る 020 PRO 016 007 ヱホバもし人の途を喜ばば その人の敵をも之と和がしむべし 020 PRO 016 008 義によりて得たるところの僅少なる物は不義によりて得たる多の資財にまさる 020 PRO 016 009 人は心におのれの途を考へはかる されどその歩履を導くものはヱホバなり 020 PRO 016 010 王のくちびるには神のさばきあり 審判するときその口あやまる可らず 020 PRO 016 011 公平の權衡と天秤とはヱホバのものなり 嚢にある分銅もことごとく彼の造りしものなり 020 PRO 016 012 惡をおこなふことは王の憎むところなり 是その位は公義によりて堅く立ばなり 020 PRO 016 013 義しき口唇は王によろこばる 彼等は正直をいふものを愛す 020 PRO 016 014 王の怒は死の使者のごとし 智慧ある人はこれをなだむ 020 PRO 016 015 王の面の光には生命あり その恩寵は春雨の雲のごとし 020 PRO 016 016 智慧を得るは金をうるよりも更に善らずや 聡明をうるは銀を得るよりも望まし 020 PRO 016 017 惡を離るるは直き人の路なり おのれの道を守るは霊魂を守るなり 020 PRO 016 018 驕傲は滅亡にさきだち誇る心は傾跌にさきだつ 020 PRO 016 019 卑き者に交りて謙たるは驕ぶる者と偕にありて贈物をわかつに愈る 020 PRO 016 020 愼みて御言をおこなふ者は益をうべし ヱホバに倚頼むものは福なり 020 PRO 016 021 心に智慧あれば哲者と稱へらる くちびる甘ければ人の知識をます 020 PRO 016 022 明哲はこれを持つものに生命の泉となる 愚なる者をいましむる者はおのれの痴是なり 020 PRO 016 023 智慧ある者の心はおのれの口ををしへ 又おのれの口唇に知識をます 020 PRO 016 024 こころよき言は蜂蜜のごとくにして 霊魂に甘く骨に良薬となる 020 PRO 016 025 人の自から見て正しとする途にして その終はつひに死にいたる途となるものあり 020 PRO 016 026 労をるものは飮食のために骨をる 是その口おのれに迫ればなり 020 PRO 016 027 邪曲なる人は惡を掘る その口唇には烈しき火のごときものあり 020 PRO 016 028 いつはる者はあらそひを起し つけぐちする者は朋友を離れしむ 020 PRO 016 029 強暴人は沃の鄰をいざなひ 之を善らざる途にみちびく 020 PRO 016 030 その目を閉て惡を謀り その口唇を蹙めて惡事を成遂ぐ 020 PRO 016 031 白髪は榮の冠弁なり 義しき途にてこれを見ん 020 PRO 016 032 怒を遅くする者は勇士に愈り おのれの心を治むる者は城を攻取る者に愈る 020 PRO 016 033 人は籤をひく されど事をさだむるは全くヱホバにあり 020 PRO 017 001 睦じうして一塊の乾けるパンあるは あらそひありて宰れる畜の盈たる家に愈る 020 PRO 017 002 かしこき僕は恥をきたらする子ををさめ 且その子の兄弟の中にありて産業を分ち取る 020 PRO 017 003 銀を試むる者は坩堝 金を試むる者は鑢 人の心を試むる者はヱホバなり 020 PRO 017 004 惡を行ふものは虚偽のくちびるにきき 虚偽をいふ者はあしき舌に耳を傾ぶく 020 PRO 017 005 貧人を嘲るものはその造主をあなどるなり 人の災禍を喜ぶものは罪をまぬかれず 020 PRO 017 006 孫は老人の冠弁なり 父は子の榮なり 020 PRO 017 007 勝れたる事をいふは愚なる人に適はず 況て虚偽をいふ口唇は君たる者に適はんや 020 PRO 017 008 贈物はこれを受る者の目には貴き珠のごとし その向ふところにて凡て幸福を買ふ 020 PRO 017 009 愛を追求むる者は人の過失をおほふ 人の事を言ひふるる者は朋友をあひ離れしむ 020 PRO 017 010 一句の誡命の智人に徹るは百囘扑つことの愚なる人に徹るよりも深し 020 PRO 017 011 叛きもとる者はただ惡きことのみをもとむ 比故に彼にむかひて残忍なる使者遣はさる 020 PRO 017 012 愚なる者の愚妄をなすにあはんよりは寧ろ子をとられたる牝熊にあへ 020 PRO 017 013 惡をもて善に報ゆる者は惡その家を離れじ 020 PRO 017 014 争端の起源は堤より水をもらすに似たり この故にあらそひの起らざる先にこれを止むべし 020 PRO 017 015 惡者を義とし義者を惡しとするこの二の者はヱホバに憎まる 020 PRO 017 016 愚なる者はすでに心なし何ぞ智慧をかはんとて手にその價の金をもつや 020 PRO 017 017 朋友はいづれの時にも愛す 兄弟は危難の時のために生る 020 PRO 017 018 智慧なき人は手を拍てその友の前にて保證をなす 020 PRO 017 019 争端をこのむ者は罪を好み その門を高くする者は敗壊を求む 020 PRO 017 020 邪曲なる心ある者はさいはひを得ず その舌をみだりにする者はわざはひに陥る 020 PRO 017 021 愚なる者を産むものは自己の憂を生じ 愚なる者の父は喜樂を得ず 020 PRO 017 022 心のたのしみは良薬なり 霊魂のうれひは骨を枯す 020 PRO 017 023 惡者は人の懐より賄賂をうけて審判の道をまぐ 020 PRO 017 024 智慧は哲者の面のまへにあり されど愚なる者は目を地の極にそそぐ 020 PRO 017 025 愚なる子は其父の憂となり 亦これを生る母の煩労となる 020 PRO 017 026 義者を罰するは善らず 貴き者をその義ががために扑は善らず 020 PRO 017 027 言を寡くする者は知識あり 心の静なる者は哲人なり 020 PRO 017 028 愚なる者も黙するときは智慧ある者と思はれ その口唇を閉るときは哲者とおもはるべし 020 PRO 018 001 自己を人と異にする者はおのれの欲ずるところのみを求めてすべての善き考察にもとる 020 PRO 018 002 愚なる者は明哲を喜ばず 惟おのれの心意を顕すことを喜ぶ 020 PRO 018 003 惡者きたれば藐視したがひてきたり 恥きたれば凌辱もともに來る 020 PRO 018 004 人の口の言は深水の如し 湧てながるる川 智慧の泉なり 020 PRO 018 005 惡者を偏視るは善らず 審判をなして義者を惡しとするも亦善らず 020 PRO 018 006 愚なる者の口唇はあらそひを起し その口は打るることを招く 020 PRO 018 007 愚なる者の口はおのれの敗壊となり その口唇はおのれの霊魂の罟となる 020 PRO 018 008 人の是非をいふものの言はたはぶれのごとしといへども反つて腹の奥にいる 020 PRO 018 009 その行爲をおこたる者は滅すものの兄弟なり 020 PRO 018 010 ヱホバの各はかたき櫓のごとし 義者は之に走りいりて救を得 020 PRO 018 011 富者の資財はその堅き城なり これを高き石垣の如くに思ふ 020 PRO 018 012 人の心のたかぶりは滅亡に先だち 謙遜はたふとまるる事にさきだつ 020 PRO 018 013 いまだ事をきかざるさきに應ふる者は愚にして辱をかうぶる 020 PRO 018 014 人の心は尚其疾を忍ぶべし されど心の傷める時は誰かこれに耐んや 020 PRO 018 015 哲者の心は知識をえ 智慧ある者の耳は知識を求む 020 PRO 018 016 人の贈物はその人のために道をひらき かつ貴きものの前にこれを導く 020 PRO 018 017 先に訴訟の理由をのぶるものは正義に似たれども その鄰人きたり詰問ひてその事を明かにす 020 PRO 018 018 籤は争端をとどめ且つよきものの間にへだてとなる 020 PRO 018 019 怒れる兄弟はかたき城にもまさりて説き伏せがたし 兄弟のあらそひは檜の貫木のごとし 020 PRO 018 020 人は口の徳によりて腹をあかし その口唇の徳によりて自ら飽べし 020 PRO 018 021 死生は舌の權能にあり これを愛する者はその果を食はん 020 PRO 018 022 妻を得るものは美物を得るなり 且ヱホバより恩寵をあたへらる 020 PRO 018 023 貧者は哀なる言をもて乞ひ 富人は厲しき答をなす 020 PRO 018 024 多の友をまうくる人は遂にその身を亡す 但し兄弟よりもたのもしき知己もまたあり 020 PRO 019 001 ただしく歩むまづしき者は くちびるの悖れる愚なる者に愈る 020 PRO 019 002 心に思慮なければ善らず 足にて急ぐものは道にまよふ 020 PRO 019 003 人はおのれの痴によりて道につまづき 反て心にヱホバを怨む 020 PRO 019 004 資財はおほくの友をあつむ されど貧者はその友に疎まる 020 PRO 019 005 虚偽の證人は罰をまぬかれず 謊言をはくものは避るることをえず 020 PRO 019 006 君に媚る者はおほし 凡そ人は贈物を與ふる者の友となるなり 020 PRO 019 007 貧者はその兄弟すらも皆これをにくむ 況てその友これに遠ざからざらんや 言をはなちてこれを呼とも去てかへらざるなり 020 PRO 019 008 智慧を得る者はおのれの霊魂を愛す 聡明をたもつ者は善福を得ん 020 PRO 019 009 虚偽の證人は罰をまぬかれず 謊言をはく者はほろぶべし 020 PRO 019 010 愚なる者の驕奢に居るは適当からず 況て僕にして上に在る者を治むることをや 020 PRO 019 011 聡明は人に怒をしのばしむ 過失を宥すは人の榮誉なり 020 PRO 019 012 王の怒は獅の吼るが如く その恩典は草の上におく露のごとし 020 PRO 019 013 愚なる子はその父の災禍なり 妻の相争そふは雨漏のたえぬにひとし 020 PRO 019 014 家と資財とは先組より承嗣ぐもの 賢き妻はヱホバより賜ふものなり 020 PRO 019 015 懶惰は人を酣寐せしむ 懈怠人は飢べし 020 PRO 019 016 誠命を守るものは自己の霊魂を守るなり その道をかろむるものは死ぬべし 020 PRO 019 017 貧者をあはれむ者はヱホバに貸すなり その施濟はヱホバ償ひたまはん 020 PRO 019 018 望ある間に汝の子を打て これを殺すこころを起すなかれ 020 PRO 019 019 然ることの烈しき者は罰をうく 汝もしこれを救ふともしばしば然せざるを得じ 020 PRO 019 020 なんぢ勧をきき訓をうけよ 然ばなんぢの終に智慧あらん 020 PRO 019 021 人の心には多くの計畫あり されど惟ヱホバの旨のみ立べし 020 PRO 019 022 人のよろこびは施濟をするにあり 貧者は謊人に愈る 020 PRO 019 023 ヱホバを畏るることは人をして生命にいたらしめ かつ恒に飽足りて災禍に遇ざらしむ 020 PRO 019 024 惰者はその手を盤にいるるも之をその口に挙ることをだにせず 020 PRO 019 025 嘲笑者を打て さらば拙者も愼まん 哲者を譴めよ さらばかれ知識を得ん 020 PRO 019 026 父を煩はし母を逐ふは羞赧をきたらし凌辱をまねく子なり 020 PRO 019 027 わが子よ哲者を離れしむる教を聴くことを息めよ 020 PRO 019 028 惡き證人は審判を嘲り 惡者の口は惡を呑む 020 PRO 019 029 審判は嘲笑者のために備へられ 鞭は愚なる者の背のために備へらる 020 PRO 020 001 酒は人をして嘲らせ 濃酒は人をして騒がしむ 之に迷はさるる者は無智なり 020 PRO 020 002 王の震怒は獅の吼るがごとし 彼を怒らする者は自己のいのちを害ふ 020 PRO 020 003 穏かに居りて争はざるは人の榮誉なりすべて愚なる者は怒り争ふ 020 PRO 020 004 惰者は寒ければとて耕さず この故に収穫のときにおよびて求るとも得るところなし 020 PRO 020 005 人の心にある謀計は深き井の水のごとし 然れど哲人はこれを汲出す 020 PRO 020 006 凡そ人は各自おのれの善を誇る されど誰か忠信なる者に遇しぞ 020 PRO 020 007 身を正しくして歩履む義人はその後の子孫に福祉あるべし 020 PRO 020 008 審判の位に坐する王はその目をもてすべての惡を散す 020 PRO 020 009 たれか我わが心をきよめ わが罪を潔められたりといひ得るや 020 PRO 020 010 二種の權衡二種の斗量は等しくヱホバに憎まる 020 PRO 020 011 幼子といへどもその動作によりておのれの根性の清きか或は正しきかをあらはす 020 PRO 020 012 聴くところの耳と視るところの眼とはともにヱホバの造り給へるものなり 020 PRO 020 013 なんぢ睡眠を愛すること勿れ 恐くは貧窮にいたらん 汝の眼をひらけ 然らば糧に飽べし 020 PRO 020 014 買者はいふ惡し惡しと 然れど去りて後はみづから誇る 020 PRO 020 015 金もあり眞珠も多くあれど貴き器は知識のくちびるなり 020 PRO 020 016 人の保證をなす者よりは先その衣をとれ 他人の保證をなす者をばかたくとらへよ 020 PRO 020 017 欺きとりし糧は人に甜し されど後にはその口に沙を充されん 020 PRO 020 018 謀計は相議るによりて成る 戦はんとせば先よく議るべし 020 PRO 020 019 あるきめぐりて人の是非をいふ者は密事をもらす 口唇をひらきてあるくものと交ること勿れ 020 PRO 020 020 おのれの父母を罵るものはその燈火くらやみの中に消ゆべし 020 PRO 020 021 初に俄に得たる産業はその終さいはひならず 020 PRO 020 022 われ惡に報いんと言ふこと勿れ ヱホバを待て 彼なんぢを救はん 020 PRO 020 023 二種の分銅はヱホバに憎まる 虚偽の權衡は善らず 020 PRO 020 024 人の歩履はヱホバによる 人いかで自らその道を明かにせんや 020 PRO 020 025 漫に誓願をたつることは其人の罟となる誓願をたててのちに考ふることも亦然り 020 PRO 020 026 賢き王は箕をもて簸るごとく惡人を散し 車輪をもて碾すごとく之を罰す 020 PRO 020 027 人の霊魂はヱホバの燈火にして人の心の奥を窺ふ 020 PRO 020 028 王は仁慈と眞実をもて自らたもつ その位もまた恩恵のおこなひによりて堅くなる 020 PRO 020 029 少者の榮はその力 おいたる者の美しきは白髪なり 020 PRO 020 030 傷つくまでに打たば惡きところきよまり 打てる鞭は腹の底までもとほる 020 PRO 021 001 王の心はヱホバの手の中にありて恰かも水の流れのごとし 彼その聖旨のままに之を導きたまふ 020 PRO 021 002 人の道はおのれの目に正しとみゆ されどヱホバは人の心をはかりたまふ 020 PRO 021 003 正義と公平を行ふは犠牲よりも愈りてヱホバに悦ばる 020 PRO 021 004 高ぶる目と驕る心とは惡人の光にしてただ罪のみ 020 PRO 021 005 勤めはたらく者の圖るところは遂にその身を豊裕ならしめ 凡てさわがしく急ぐ者は貧乏をいたす 020 PRO 021 006 虚偽の舌をもて財を得るは吹はらはるる雲烟のごとし 之を求むる者は死を求むるなり 020 PRO 021 007 惡者の残虐は自己を亡す これ義しきを行ふことを好まさればなり 020 PRO 021 008 罪人の道は曲り 潔者の行爲は直し 020 PRO 021 009 相争ふ婦と偕に室に居らんよりは屋蓋の隅にをるはよし 020 PRO 021 010 惡者の霊魂は惡をねがふ その鄰も彼にあはれみ見られず 020 PRO 021 011 あざけるもの罰をうくれば拙者は智慧を得 ちゑあるもの教をうくれば知識を得 020 PRO 021 012 義しき神は惡者の家をみとめて惡者を滅亡に投いれたまふ 020 PRO 021 013 耳を掩ひて貧者の呼ぶ聲をきかざる者は おのれ自ら呼ぶときもまた聴れざるべし 020 PRO 021 014 潜なる饋物は忿恨をなだめ 懐中の賄賂は烈しき瞋恚をやはらぐ 020 PRO 021 015 公義を行ふことは義者の喜樂にして 惡を行ふものの敗壊なり 020 PRO 021 016 さとりの道を離るる人は死し者の集会の中にをらん 020 PRO 021 017 宴樂を好むものは貧人となり 酒と膏とを好むものは富をいたさじ 020 PRO 021 018 惡者は義者のあがなひとなり 悸れる者は直き者に代る 020 PRO 021 019 争ひ怒る婦と偕にをらんよりは荒野に居るはよし 020 PRO 021 020 智慧ある者の家には貴き寳と膏とあり 愚なる人は之を呑つくす 020 PRO 021 021 正義と憐憫と追求むる者は生命と正義と尊貴とを得べし 020 PRO 021 022 智慧ある者は強者の城にのぼりて その堅く頼むところを倒す 020 PRO 021 023 口と舌とを守る者はその霊魂を守りて患難に遇せじ 020 PRO 021 024 高ぶり驕る者を嘲笑者となづく これ驕者を逞しくして行ふものなり 020 PRO 021 025 惰者の情慾はおのれの身を殺す 是はその手を肯て働かせざればなり 020 PRO 021 026 人は終日しきりに慾を図る されど義者は與へて吝まず 020 PRO 021 027 惡者の献物は憎まる 況て惡き事のために献ぐる者をや 020 PRO 021 028 虚偽の證人は滅さる 然れど聴く人は恒にいふべし 020 PRO 021 029 惡人はその面を厚くし 義者はその道を謹む 020 PRO 021 030 ヱホバにむかひては智慧も明哲も謀賂もなすところなし 020 PRO 021 031 戦闘の日のために馬を備ふ されど勝利はヱホバによる 020 PRO 022 001 嘉名は大なる富にまさり恩寵は銀また金よりも佳し 020 PRO 022 002 富者と貧者と偕に世にをる凡て之をる造りし者はヱホバなり 020 PRO 022 003 賢者は災禍を見てみづから避け 拙者はすすみて罰をうく 020 PRO 022 004 謙遜とヱホバを畏るる事との報は富と尊貴と生命となり 020 PRO 022 005 悸れる者の途には荊棘と罟とあり 霊魂を守る者は遠くこれを離れん 020 PRO 022 006 子をその道に從ひて教へよ 然ばその老たる時も之を離れじ 020 PRO 022 007 富者は貧者を治め借者は貸人の僕となる 020 PRO 022 008 惡を播くものは禍害を穡り その怒の杖は廃るべし 020 PRO 022 009 人を見て恵む者はまた恵まる 此はその糧を貧者に與ふればなり 020 PRO 022 010 嘲笑者を逐へば争論も亦さり 且闘諍も恥辱もやむ 020 PRO 022 011 心の潔きを愛する者はその口唇に憐憫をもてり 王その友とならん 020 PRO 022 012 ヱホバの目は知識ある者を守る 彼は悸れる者の言を敗りたまふ 020 PRO 022 013 惰者はいふ獅そとにあり われ衢にて殺されんと 020 PRO 022 014 妓婦の口は深き坑なり ヱホバに憎まるる者これに陥らん 020 PRO 022 015 痴なること子の心の中に繋がる 懲治の鞭これを逐いだす 020 PRO 022 016 貧者を虐げて自らを富さんとする者と富者に與ふる者とは遂にかならず貧しくなる 020 PRO 022 017 汝の耳を傾ぶけて智慧ある者の言をきき且なんぢの心をわが知識に用ゐよ 020 PRO 022 018 之を汝の腹にたもちて 盡くなんぢの口唇にそなはらしめば樂しかるべし 020 PRO 022 019 汝をしてヱホバに倚頓ましめんが爲にわれ今日これを汝に教ふ 020 PRO 022 020 われ勧言と知識とをふくみたる勝れし言を汝の爲に録ししにあらずや 020 PRO 022 021 これ汝をして眞の言の確實なることを暁らしめ 且なんぢを遣しし者に其の言を持歸らしめん爲なり 020 PRO 022 022 弱き者を弱きがために掠むることなかれ 艱難者を門にて壓つくること勿れ 020 PRO 022 023 そはヱホバその訴を糺し且かれらを害ふものの生命をそこなはん 020 PRO 022 024 怒る者と交ること勿れ 憤ほる人とともに往ことなかれ 020 PRO 022 025 恐くは汝その道に效ひてみづから罟に陥らん 020 PRO 022 026 なんぢ人と手をうつ者となることなかれ 人の負債の保證をなすこと勿れ 020 PRO 022 027 汝もし償ふべきものあらずば人なんぢの下なる臥牀までも奪ひ取ん 是壹よからんや 020 PRO 022 028 なんぢの先祖がたてし古き地界を移すこと勿れ 020 PRO 022 029 汝その業に巧なる人を見るか 斯る人は王の前に立ん かならず賤者の前にたたじ 020 PRO 023 001 なんぢ侯たる者とともに坐して食ふときは 愼みて汝の前にある者の誰なるかを思へ 020 PRO 023 002 汝もし食を嗜む者ならば汝の喉に刀をあてよ 020 PRO 023 003 その珍饈を貪り食ふこと勿れ これ迷惑の食物なればなり 020 PRO 023 004 富を得んと思煩らふこと勿れ 自己の明哲を恃むこと勿れ 020 PRO 023 005 なんぢ虚しきに歸すべき者に目をとむるか 富はかならず自ら翅を生じて鷲のごとく天に飛さらん 020 PRO 023 006 惡目をする者の糧をくらふことなく その珍饈をむさぼりねがふことなかれ 020 PRO 023 007 そはその心に思ふごとくその人となりも亦しかればなり 彼なんぢに食へ飮めといふこといへどもその心は汝に眞実ならず 020 PRO 023 008 汝つひにその食へる物を吐出すにいたり 且その出し懇懃の言もむなしくならん 020 PRO 023 009 愚なる者の耳に語ること勿れ 彼なんぢが言の示す明哲を藐めん 020 PRO 023 010 古き地界を移すことなかれ 孤子の畑を侵すことなかれ 020 PRO 023 011 そはかれが贖者は強し 必ず汝に對らひて之が訴をのべん 020 PRO 023 012 汝の心を教に用ゐ 汝の耳を知識の言に傾けよ 020 PRO 023 013 子を懲すことを爲ざるなかれ 鞭をもて彼を打とも死ることあらじ 020 PRO 023 014 もし鞭をもて彼をうたばその霊魂を陰府より救ふことをえん 020 PRO 023 015 わが子よもし汝のこころ智からば我が心もまた歓び 020 PRO 023 016 もし汝の口唇ただしき事をいはば我が腎腸も喜ぶべし 020 PRO 023 017 なんぢ心に罪人をうらやむ勿れ ただ終日ヱホバを畏れよ 020 PRO 023 018 そは必ず應報ありて汝の望は廃らざればなり 020 PRO 023 019 わが子よ汝ききて智慧をえ かつ汝の心を道にかたぶけよ 020 PRO 023 020 酒にふけり肉をたしむものと交ること勿れ 020 PRO 023 021 それ酒にふける者と肉を嗜む者とは貧しくなり 睡眠を貪る者は敞れたる衣をきるにいたらん 020 PRO 023 022 汝を生る父にきけ 汝の老たる母を軽んずる勿れ 020 PRO 023 023 眞理を買へ これを售るなかれ 智慧と誡命と知識とまた然あれ 020 PRO 023 024 義き者の父は大によろこび 智慧ある子を生る者はこれがために樂しまん 020 PRO 023 025 汝の父母を樂しませ 汝を生る者を喜ばせよ 020 PRO 023 026 わが子よ汝の心を我にあたへ 汝の目にわが途を樂しめ 020 PRO 023 027 それ妓婦は深き抗のごとく 淫婦は狭き井のごとし 020 PRO 023 028 彼は盗賊のごとく人を窺ひ かつ世の人の中に悖れる者を増なり 020 PRO 023 029 禍害ある者は誰ぞ 憂愁ある者は誰ぞ 争端をなす者は誰ぞ 煩慮ある者は誰ぞ 故なくして傷をうくる者は誰ぞ 赤目ある者は誰ぞ 020 PRO 023 030 是すなはち酒に夜をふかすもの 往て混和せたる酒を味ふる者なり 020 PRO 023 031 洒はあかく盃の中に泡だち滑かにくだる 汝これを見るなかれ 020 PRO 023 032 是は終に蛇のごとく噬み蝮の如く刺すべし 020 PRO 023 033 また汝の目は怪しきものを見 なんぢの心は諕言をいはん 020 PRO 023 034 汝は海のなかに偃すもののごとく帆桅の上に偃すもののごとし 020 PRO 023 035 汝いはん人われを撃ども我いたまず 我を拷けども我おぼえず 我さめなばまた酒を求めんと 020 PRO 024 001 なんぢ惡き人を羨むことなかれ 又これと偕に居らんことを願ふなかれ 020 PRO 024 002 そはその心に暴虐をはかり その口唇に人を害ふことをいへばなり 020 PRO 024 003 家は智慧によりて建られ 明哲によりて堅くせられ 020 PRO 024 004 また室は知識によりて各種の貴く美しき寳にて充されん 020 PRO 024 005 智慧ある者は強し 知識ある人は力をます 020 PRO 024 006 汝よき謀計をもて戦闘をなせ 勝利は議者の多きによる 020 PRO 024 007 智慧は高くして愚なる者の及ぶところにあらず 愚なる者は門にて口を啓くことをえず 020 PRO 024 008 惡をなさんと謀る者を邪曲なる者と稱ふ 020 PRO 024 009 愚なる者の謀るところは罪なり 嘲笑者は人に憎まる 020 PRO 024 010 汝もし患難の日に氣を挫かば汝の力は弱し 020 PRO 024 011 なんぢ死地に曳れゆく者を拯へ 滅亡によろめきゆく者をすくはざる勿れ 020 PRO 024 012 汝われら之を知らずといふとも心をはかる者これを暁らざらんや 汝の霊魂をまもる者これを知ざらんや 彼は聲のおのおのの行爲によりて人に報ゆべし 020 PRO 024 013 わが子よ蜜を食へ 是は美ものなり また蜂のすの滴瀝を食へ 是はなんぢの口に甘し 020 PRO 024 014 智慧の汝の霊魂におけるも是の如しと知れ これを得ばかならず報いありて汝の望すたれじ 020 PRO 024 015 惡者よ義者の家を窺ふことなかれ その安居所を攻ること勿れ 020 PRO 024 016 そは義者は七次たふるるともまた起く されど惡者は禍災によりて亡ぶ 020 PRO 024 017 汝の仇たふるるとき樂しむこと勿れ 彼の亡ぶるときこころに喜ぶことなかれ 020 PRO 024 018 恐くはヱホバこれを見て惡しとし その震怒を彼より離れしめたまはん 020 PRO 024 019 なんぢ惡者を怒ることなかれ 邪曲なる者を羨むなかれ 020 PRO 024 020 それ惡者には後の善賚なし 邪曲なる爲の燈火は滅されん 020 PRO 024 021 わが子よヱホバと王とを畏れよ 叛逆者に交ること勿れ 020 PRO 024 022 斯るものらの災渦は速におこる この兩者の滅亡はたれか知えんや 020 PRO 024 023 是等もまた智慧ある者の箴言なり 偏り鞫するは善らず 020 PRO 024 024 罪人に告て汝は義しといふものをは衆人これを詛ひ諸民これを惡まん 020 PRO 024 025 これを譴る者は恩をえん また福祉これにきたるべし 020 PRO 024 026 ほどよき應答をなす者は口唇に接吻するなり 020 PRO 024 027 外にて汝の工をととのへ田圃にてこれを自己のためにそなへ 然るのち汝の家を建よ 020 PRO 024 028 故なく汝の鄰に敵して證することなかれ 汝なんぞ口唇をもて欺くべけんや 020 PRO 024 029 彼の我に爲しし如く我も亦かれになすべし われ人の爲ししところに循ひてこれに報いんといふこと勿れ 020 PRO 024 030 われ曾て惰人の田圃と智慧なき人の葡萄園とをすぎて見しに 020 PRO 024 031 荊棘あまねく生え薊その地面を掩ひ その石垣くづれゐたり 020 PRO 024 032 我これをみて心をとどめこれを観て教をえたり 020 PRO 024 033 しばらく臥し 暫らく睡り 手を叉きて又しばらく休む 020 PRO 024 034 さらば汝の貧窮は盗人のごとく汝の欠乏は兵士の如くきたるべし 020 PRO 025 001 此等もまたソロモンの箴言なり ユダの王ヒゼキヤに属せる人々これを輯めたり 020 PRO 025 002 事を隠すは神の榮誉なり 事を窮むるは王の榮誉なり 020 PRO 025 003 天の高さと地の深さと 王たる者の心とは測るべからず 020 PRO 025 004 銀より渣滓を除け さらば銀工の用ふべき器いでん 020 PRO 025 005 王の前より惡者をのぞけ 然ばその位義によりて堅く立ん 020 PRO 025 006 王の前に自ら高ぶることなかれ 貴人の場に立つことなかれ 020 PRO 025 007 なんぢが目に見る王の前にて下にさげらるるよりは ここに上れといはるること愈れり 020 PRO 025 008 汝かろがろしく出でて争ふことなかれ 恐くは終にいたりて汝の鄰に辱しめられん その時なんぢ如何になさんとするか 020 PRO 025 009 なんぢ鄰と争ふことあらば只これと争へ 人の密事を洩すなかれ 020 PRO 025 010 恐くは聞者なんぢを卑しめん 汝そしられて止ざらん 020 PRO 025 011 機にかなひて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌たるが如し 020 PRO 025 012 智慧をもて譴むる者の之をきく者の耳におけることは 金の耳環と精金の飾のごとし 020 PRO 025 013 忠信なる使者は之を遣す者におけること穡收の日に冷かなる雪あるがごとし 能その主の心を喜ばしむ 020 PRO 025 014 おくりものすと偽りて誇る人は雨なき雲風の如し 020 PRO 025 015 怒を緩くすれば君も言を容る 柔かなる舌は骨を折く 020 PRO 025 016 なんぢ蜜を得るか 惟これを足る程に食へ 恐くは食ひ過して之を吐出さん 020 PRO 025 017 なんぢの足を鄰の家にしげくするなかれ 恐くは彼なんぢを厭ひ惡まん 020 PRO 025 018 その鄰に敵して虚偽の證をたつる人は斧刃または利き箭のごとし 020 PRO 025 019 艱難に遇ふとき忠実ならぬ者を頼むは惡しき歯または跛たる足を恃むがごとし 020 PRO 025 020 心の傷める人の前に歌をうたふは寒き日に衣をぬぐが如く 曹達のうへに酢を注ぐが如し 020 PRO 025 021 なんぢの仇もし飢ゑなば之に糧をくらはせ もし渇かば之に水を飮ませよ 020 PRO 025 022 なんぢ斯するは火をこれが首に積むなり ヱホバなんぢに報いたまふべし 020 PRO 025 023 北風は雨をおこし かげごとをいふ舌は人の顔をいからす 020 PRO 025 024 争ふ婦と偕に室に居らんより屋蓋の隅にをるは宜し 020 PRO 025 025 遠き國よりきたる好き消息は渇きたる人における冷かなる水のごとし 020 PRO 025 026 義者の惡者の前に服するは井の濁れるがごとく泉の汚れたるがごとし 020 PRO 025 027 蜜をおほく食ふは善らず 人おのれの榮誉をもとむるは榮誉にあらず 020 PRO 025 028 おのれの心を制へざる人は石垣なき壊れたる城のごとし 020 PRO 026 001 榮誉の愚なる者に適はざるは夏の時に雪ふり 穡收の時に雨ふるがごとし 020 PRO 026 002 故なき詛は雀の翔り燕の飛ぶが如くにきたるものにあらず 020 PRO 026 003 馬の爲には策あり 驢馬の爲には銜ありり 愚なる者の背のために杖あり 020 PRO 026 004 愚なる者の痴にしたがひて答ふること勿れ 恐くはおのれも是と同じからん 020 PRO 026 005 愚なる者の痴にしたがひて之に答へよ 恐くは彼おのれの目に自らを智者と見ん 020 PRO 026 006 愚なる者に托して事を言おくる者はおのれの足をきり身に害をうく 020 PRO 026 007 跛者の足は用なし 愚なる者の口の箴もかくのごとし 020 PRO 026 008 榮誉を愚なるに具ふる者に與ふるは石を投石索に繋ぐが如し 020 PRO 026 009 愚なる者の口にたもつ箴言は酔へるものの莉ある杖を手にて挙ぐるがごとし 020 PRO 026 010 愚なる者を傭ひ流浪者を傭ふ者は すべての人を傷くる射手の如し 020 PRO 026 011 狗のかへり來りてその吐たる物を食ふがごとく 愚なる者は重ねてその痴なる事をおこなふ 020 PRO 026 012 汝おのれの目に自らを智慧ある者とする人を見るか 彼よりも却て愚なる人に望あり 020 PRO 026 013 惰者は途に獅あり 衢に獅ありといふ 020 PRO 026 014 戸の蝶鉸によりて轉るごとく惰者はその牀に輾轉す 020 PRO 026 015 惰者はその手を盤にいるるも之をその口に挙ることを厭ふ 020 PRO 026 016 惰者はおのれの目に自らを善く答ふる七人の者よりも習慧ありとなす 020 PRO 026 017 路をよぎり自己に関りなき争擾にたづさはる者は狗の耳をとらふる者のごとし 020 PRO 026 019 既にその鄰を欺くことをなして我はただ戯れしのみといふ者は 火箭または鎗または死を擲つ狂人のごとし 020 PRO 026 020 薪なければ火はきえ 人の是非をいふ者なければ争端はやむ 020 PRO 026 021 煨火に炭をつぎ火に薪をくぶるがごとく争論を好む人は争論を起す 020 PRO 026 022 人の是非をいふものの言はたはぶれのごとしと雍もかへつて腹の奥に入る 020 PRO 026 023 温かき口唇をもちて惡き心あるは銀の滓をきせたる瓦片のごとし 020 PRO 026 024 恨むる者は口唇をもて自ら飾れども 心の衷には虚偽をいだく 020 PRO 026 025 彼その聲を和らかにするとも之を信ずるなかれ その心に七の憎むべき者あればなり 020 PRO 026 026 たとひ虚偽をもてその恨をかくすとも その惡は会衆の中に顕はる 020 PRO 026 027 坑を掘るものは自ら之に陥らん 石を轉ばしあぐる者の上にはその石まろびかへらん 020 PRO 026 028 虚偽の舌はおのれの害す者を憎み 諂ふ口は滅亡をきたらす 020 PRO 027 001 なんぢ明日のことを誇るなかれ そは一日の生ずるところの如何なるを知ざればなり 020 PRO 027 002 汝おのれの口をもて自ら讃むることなく人をして己を讃めしめよ 自己の口唇をもてせず 他人をして己をほめしめよ 020 PRO 027 003 石は重く沙は軽からず 然ど愚なる者の怒はこの二よりも重し 020 PRO 027 004 忿怒は猛く憤恨は烈し されど嫉妬の前には誰か立ことをを得ん 020 PRO 027 005 明白に譴むるに秘に愛するに愈る 020 PRO 027 006 愛する者の傷つくるは眞実よりし 敵の接吻するは偽詐よりするなり 020 PRO 027 007 飽るものは蜂の蜜をも踐つく されど飢たる者には苦き物さへもすべて甘し 020 PRO 027 008 その家を離れてさまよふ人は その巣を離れてさまよふ鳥のごとし 020 PRO 027 009 膏と香とは人の心をよろこばすなり 心よりして勧言を與ふる友の美しきもまた斯のごとし 020 PRO 027 010 なんぢの友と汝の父の友とを棄るなかれ なんぢ患難にあふ日に兄弟の家にいることなかれ 親しき隣は疏き兄弟に愈れり 020 PRO 027 011 わが子よ智慧を得てわが心を悦ばせよ 然ば我をそしる者に我こたふることを得ん 020 PRO 027 012 賢者は禍害を見てみづから避け 拙者はすすみて罰をうく 020 PRO 027 013 人の保證をなす者よりは先その衣をとれ 他人の保證をなす者をば固くとらへよ 020 PRO 027 014 晨はやく起て大聲にその隣を祝すれば却て呪詛と見なされん 020 PRO 027 015 相争ふ婦は雨ふる日に絶ずある雨漏のごとし 020 PRO 027 016 これを制ふるものは風をおさふるがごとく 右の手に膏をつかむがごとし 020 PRO 027 017 鉄は鉄をとぐ 斯のごとくその友の面を研なり 020 PRO 027 018 無花果の樹をまもる者はその果をくらふ 主を貴ぶものは響を得 020 PRO 027 019 水に照せば面と面と相肖るがごとく 人の心は人の心に似たり 020 PRO 027 020 陰府と沈淪とは飽ことなく 人の目もまた飽ことなし 020 PRO 027 021 坩堝によりて銀をためし鑢によりて金をためし その讃らるる所によりて人をためす 020 PRO 027 022 なんぢ愚なる者を臼にいれ杵をもて麥と偕にこれを搗ともその愚は去らざるなり 020 PRO 027 023 なんぢの羊の状況をよく知り なんぢの群に心を留めよ 020 PRO 027 024 富は永く保つものにあらず いかで位は世々にたもたん 020 PRO 027 025 艸枯れ苗いで山の蔬菜あつめらる 020 PRO 027 026 羔羊はなんぢの衣服を出し 牝羊は田圃を買ふ價となり 020 PRO 027 027 牝羊の乳はおほくして汝となんぢの家人の糧となり汝の女をやしなふにたる 020 PRO 028 001 惡者は逐ふ者なけれども逃げ 義者は獅子のごとくに勇まし 020 PRO 028 002 國の罪によりて侯伯多くなり 智くして知識ある人によりて國は長く保つ 020 PRO 028 003 弱者を虐ぐる貧人は糧をのこさざる暴しき雨のごとし 020 PRO 028 004 律法を棄るものは惡者をほめ 律法を守る者はこれに敵す 020 PRO 028 005 惡人は義きことを覚らず ヱホバを求むる者は凡の事をさとる 020 PRO 028 006 義しくあゆむ貧者は曲れる路をあゆむ富者に愈る 020 PRO 028 007 律法を守る者は智子なり 放蕩なる者に交るものは父を辱かしむ 020 PRO 028 008 利息と高利とをもてその財産を増すものは貧人をめぐむ者のために之をたくはふるなり 020 PRO 028 009 耳をそむけて律法を聞ざる者はその祈すらも憎まる 020 PRO 028 010 義者を惡き這に惑す者はみづから自己の阱に陥らん されど質直なる者は福祉をつぐべし 020 PRO 028 011 富者はおのれの目に自らを智恵ある者となす されど聡明ある貧者は彼をはかり知る 020 PRO 028 012 義者の喜ぶときは大なる榮あり 惡者の起るときは民身を匿す 020 PRO 028 013 その罪を隠すものは榮ゆることなし 然ど認らはして之を離るる者は憐憫をうけん 020 PRO 028 014 恒に畏るる人は幸福なり その心を剛愎にする者は災禍に陥るべし 020 PRO 028 015 貧しき民を治むるあしき侯伯は吼る獅子あるひは飢たる熊のごとし 020 PRO 028 016 智からざる君はおほく暴虐をおこなふ 不義の利を惡む者は遐齢をうべし 020 PRO 028 017 人を殺してその血を心に負ふ者は墓に奔るなり 人これを阻むること勿れ 020 PRO 028 018 義く行む者は救をえ 曲れる路に行む者は直に跌れん 020 PRO 028 019 おのれの田地を耕す者は糧にあき 放蕩なる者に從ふものは貧乏に飽く 020 PRO 028 020 忠信なる人は多くの幸幅をえ 速かに富を得んとずる者は罪を免れず 020 PRO 028 021 人を偏視るはよからず 人はただ一片のパンのために愆を犯すなり 020 PRO 028 022 惡目をもつ者は財をえんとて急がはしく 却て貧窮のおのれに來るを知らず 020 PRO 028 023 人を譴むる者は舌をもて諮ふ者よりも大なる感謝をうく 020 PRO 028 024 父母の物を竊みて非ならずといふ者は滅す者の友なり 020 PRO 028 025 心に貪る者は争端を起し ヱホバに倚頼むものは豊饒になるべし 020 PRO 028 026 おのれの心を恃む者は愚なり 智慧をもて行む者は救をえん 020 PRO 028 027 貧者に賙すものは乏しからず その目を掩ふ者は詛を受ること多し 020 PRO 028 028 惡者の起るときは人匿れ その滅るときは義者ます 020 PRO 029 001 しばしば責られてもなほ強項なる者は救はるることなくして猝然に滅されん 020 PRO 029 002 義者ませば民よろこび 惡きもの權を掌らば民かなしむ 020 PRO 029 003 智慧を愛する人はその父を悦ばせ 妓婦に交る者はその財産を費す 020 PRO 029 004 王は公義をもて國を堅うす されど租税を征取る者はこれを滅す 020 PRO 029 005 その隣に諮者はかれの脚の前に羅を張 020 PRO 029 006 惡人の罪の中には罟あり 然ど義者は歓び樂しむ 020 PRO 029 007 義きものは貧きものの訟をかへりみる 然ど惡人は之を知ることを願はず 020 PRO 029 008 嘲笑人は城邑を擾し 智慧ある者は怒をしづむ 020 PRO 029 009 智慧ある人おろかかる人と争へば或は怒り或は笑ひて休むことなし 020 PRO 029 010 血をながす人は直き人を惡む されど義き者はその生命を救はんことを求む 020 PRO 029 011 愚なる者はその怒をことごとく露はし 智慧ある者は之を心に蔵む 020 PRO 029 012 君王もし虚偽の言を聴かばその臣みな惡し 020 PRO 029 013 貧者と苛酷者と偕に世にをる ヱホバは彼等の目に光をあたへ給ふ 020 PRO 029 014 眞實をもて弱者を審判する王はその位つねに堅く立つべし 020 PRO 029 015 鞭と譴責とは智慧をあたふ 任意になしおかれたる子はその母を辱しむ 020 PRO 029 016 惡きもの多ければ罪も亦おほし 義者は彼等の傾覆をみん 020 PRO 029 017 なんぢの子を懲せ さらば彼なんぢを安からしめ 又なんぢの心に喜樂を與へん 020 PRO 029 018 黙示なければ民は放肆にす 律法を守るものは福ひなり 020 PRO 029 019 僕は言をもて譴むるとも改めず 彼は知れども從はざればなり 020 PRO 029 020 なんぢ言を謹まざる人を見しや 彼よりは却て愚なる者に望あり 020 PRO 029 021 僕をその幼なき時より柔かに育てなば終には子の如くならしめん 020 PRO 029 022 怒る人は争端を起し憤る人は罪おほし 020 PRO 029 023 人の傲慢はおのれを卑くし 心に謙だる者は榮誉を得 020 PRO 029 024 盗人に党する者はおのれの霊魂を惡むなり 彼は誓を聴けども説述べず 020 PRO 029 025 人を畏るれば罟におちいる ヱホバをたのむ者は護られん 020 PRO 029 026 君の慈悲を求むる者はおほし 然れど人の事を定むるはヱホバによる 020 PRO 029 027 不義をなす人は義者の惡むところ 義くあゆむ人は惡者の惡むところなり 020 PRO 030 001 ヤケの子アグルの語なる箴言 かれイテエルにむかひて之をいへり 即ちイテエルとクカルとにいへる所のものなり 020 PRO 030 002 我は人よりも愚なり 我には人の聡明あらず 020 PRO 030 003 我いまた智慧をならひ得ず またいまだ至聖きものを暁ることをえず 020 PRO 030 004 天に昇りまた降りし者は誰か 風をその掌中に聚めし者は誰か 水を衣につつみし者は誰か 他のすべての限界を定めし者は誰か その名は何ぞ その子の名は何ぞ 汝これを知るや 020 PRO 030 005 神の言はみな潔よし 神は彼を頼むものの盾なり 020 PRO 030 006 汝その言に加ふること勿れ 恐くは彼なんぢをせめ 又なんぢを謊る者となしたまはん 020 PRO 030 007 われ二の事をなんぢに求めたり 我が死ざる先にこれをたまへ 020 PRO 030 008 即ち虚假と謊言とを我より離れしめ 我をして貧からしめずまた富しめず 惟なくてならぬ糧をあたへ給へ 020 PRO 030 009 そは我あきて神を知ずといひヱホバは誰なりやといはんことを恐れ また貧くして窃盗をなし我が紳の名を汚さんことを恐るればなり 020 PRO 030 010 なんぢ僕をその主に讒ることなかれ 恐くは彼なんぢを詛ひてなんぢ罪せられん 020 PRO 030 011 その父を詛ひその母を祝せざる世類あり 020 PRO 030 012 おのれの目に自らを潔者となして尚その汚穢を滌はれざる世類あり 020 PRO 030 013 また一の世類あり 嗚呼その眼はいかに高きぞや その瞼は昂れり 020 PRO 030 014 その歯は劍のごとく その牙は刃のごとき世類あり 彼等は貧き者を地より呑み 窮乏者を人の中より食ふ 020 PRO 030 015 蛭に二人の女あり 與ヘよ與へよと呼はる 飽ことを知ざるもの三あり 否な四あり皆たれりといはず 020 PRO 030 016 即ち陰府姙まざる胎水に満されざる地 足りといはざる火これたり 020 PRO 030 017 おのれの父を嘲り母に從ふことをいやしとする眼は 谷の鴉これを抜いだし鷲の雛これを食はん 020 PRO 030 018 わが奇とするもの三あり否な四あり共にわが識ざる者なり 020 PRO 030 019 即ち空にとぷ鷲の路 磐の上にはふ蛇の路 淘にはしる舟の路 男の女にあふの路これなり 020 PRO 030 020 淫婦の途も亦しかり 彼は食ひてその口を拭ひ われ惡きことを爲ざりきといふ 020 PRO 030 021 地は三の者によりて震ふ否な四の者によりて耐ることあたはざるなり 020 PRO 030 022 即ち僕たるもの王となるに因り愚なるもの糧に飽るにより 020 PRO 030 023 厭忌はれたる婦の嫁ぐにより婢女その生母に績に囚りてなり 020 PRO 030 024 地に四の物あり微小といへども最智し 020 PRO 030 025 蟻は力なき者なれどもその糧を夏のうちに備ふ 020 PRO 030 026 山鼠ば強からざれどもその室を磐につくる 020 PRO 030 027 蝗は王なけれどもみな隊を立ていづ 020 PRO 030 028 守宮は手をもてつかまり王の宮にをる 020 PRO 030 029 善あゆむもの三あり否な四あり皆よく歩く 020 PRO 030 030 獣の中にて最も強くもろもろのものの前より退かざる獅子 020 PRO 030 031 肚帯せし戦馬 牡野羊 および當ること能はざる王これなり 020 PRO 030 032 汝もし愚にして自から高ぶり或は惡きことを計らば汝の手を口に當つべし 020 PRO 030 033 それ乳を搾れば乾酪いで鼻を搾れば血いで 怒を激れば争端おこる 020 PRO 031 001 レムエル王のことば即ちその母の彼に教へし箴言なり 020 PRO 031 002 わが子よ何を言んか わが胎の子よ何をいはんか 我が願ひて得たる子よ何をいはんか 020 PRO 031 003 なんぢの力を女につひやすなかれ 王を滅すものに汝の途をまかする勿れ 020 PRO 031 004 レムエルよ酒を飮は王の爲べき事に非ず 王の爲べき事にあらず 醇醪を求むるは牧伯の爲すべき事にあらず 020 PRO 031 005 恐くは洒を飮て律法をわすれ 且すべて惱まさるる者の審判を枉げん 020 PRO 031 006 醇醪を亡びんとする者にあたへ 酒を心の傷める者にあたへよ 020 PRO 031 007 かれ飮てその貧窮をわすれ復その苦楚を憶はざるべし 020 PRO 031 008 なんぢ瘖者のため又すべての孤者の訟のために口をひらけ 020 PRO 031 009 なんぢ口をひらきて義しき審判をなし貧者と窮乏者の訟を糺せ 020 PRO 031 010 誰か賢き女を見出すことを得ん その價は眞珠よりも貴とし 020 PRO 031 011 その夫の心は彼を恃み その産業は乏しくならじ 020 PRO 031 012 彼が存命ふる間はその夫に善事をなして惡き事をなさず 020 PRO 031 013 彼は羊の毛と麻とを求め喜びて手から操き 020 PRO 031 014 商賈の舟のごとく遠き國よりその糧を運び 020 PRO 031 015 夜のあけぬ先に起てその家人に糧をあたへ その婢女に日用の分をあたふ 020 PRO 031 016 田畝をはかりて之を買ひ その手の操作をもて葡萄園を植ゑ 020 PRO 031 017 力をもて腰に帯し その手を強くす 020 PRO 031 018 彼はその利潤の益あるを知る その燈火は終夜きえず 020 PRO 031 019 かれ手を紡線車にのべ その指に紡錘をとり 020 PRO 031 020 手を貧者にのべ 手を困苦者に舒ぶ 020 PRO 031 021 彼は家人の爲に雪をおそれず 蓋その家人みな蕃紅の衣をきればなり 020 PRO 031 022 彼はおのれの爲に美しき褥子をつくり 細布と紫とをもてその衣とせり 020 PRO 031 023 その夫はその地の長老とともに邑の門に坐するによりて人に知らるるなり 020 PRO 031 024 彼は細布の衣を製りてこれをうり 帯をつくりて商賈にあたふ 020 PRO 031 025 彼は筋力と尊貴とを衣とし且のちの日を笑ふ 020 PRO 031 026 彼は口を啓きて智慧をのぶ 仁愛の教誨その舌にあり 020 PRO 031 027 かれはその家の事を鑒み 怠惰の糧を食はず 020 PRO 031 028 その衆子は起て彼を祝す その夫も彼を讃ていふ 020 PRO 031 029 賢く事をなす女子は多けれども 汝はすべての女子に愈れり 020 PRO 031 030 艶麗はいつはりなり 美色は呼吸のごとし 惟ヱホバを畏るる女は誉られん 020 PRO 031 031 その手の操作の果をこれにあたへ その行爲によりてこれを邑の門にほめよ # # BOOK 021 ECC Ecclesiastes 伝道者の書 021 ECC 001 001 ダビデの子 ヱルサレムの王 傅道者の言 021 ECC 001 002 傅道者言く 空の空 空の空なる哉 都て空なり 021 ECC 001 003 日の下に人の労して爲ところの諸の動作はその身に何の益かあらん 021 ECC 001 004 世は去り世は來る 地は永久に長存なり 021 ECC 001 005 日は出で日は入り またその出し處に喘ぎゆくなり 021 ECC 001 006 風は南に行き又轉りて北にむかひ 旋轉に旋りて行き 風復その旋轉る處にかへる。 021 ECC 001 007 河はみな海に流れ入る 海は盈ること無し 河はその出きたれる處に復還りゆくなり 021 ECC 001 008 萬の物は労苦す 人これを言つくすことあたはず 目は見に飽ことなく耳は聞に充ること無し 021 ECC 001 009 曩に有りし者はまた後にあるべし 曩に成し事はまた後に成べし 日の下には新しき者あらざるなり 021 ECC 001 010 見よ是は新しき者なりと指て言べき物あるや 其は我等の前にありし世々に既に久しくありたる者なり 021 ECC 001 011 己前のものの事はこれを記憶ることなし 以後のものの事もまた後に出る者これをおぼゆることあらじ 021 ECC 001 012 われ傅道者はヱルサレムにありてイスラエルの王たりき 021 ECC 001 013 我心を盡し智慧をもちひて天が下に行はるる諸の事を尋ねかつ考覈たり此苦しき事件は神が世の人にさづけて之に身を労せしめたまふ者なり 021 ECC 001 014 我日の下に作ところの諸の行爲を見たり 嗚呼皆空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 001 015 曲れる者は直からしむるあたはす欠たる者は散をあはするあたはず 021 ECC 001 016 我心の中に語りて言ふ 嗚呼我は大なる者となれり 我より先にヱルサレムにをりしすべての者よりも我は多くの智慧を得たり 我心は智慧と知識を多く得たり 021 ECC 001 017 我心を盡して智慧を知んとし狂妄と愚癡を知んとしたりしが 是も亦風を捕ふるがごとくなるを暁れり 021 ECC 001 018 夫智慧多ければ憤激多し 知識を増す者は憂患を増す 021 ECC 002 001 我わが心に言けらく 來れ我試みに汝をよろこばせんとす 汝逸樂をきはめよと 嗚呼是もまた空なりき 021 ECC 002 002 我笑を論ふ是は狂なり 快樂を論ふ是何の爲ところあらんやと 021 ECC 002 003 我心に智慧を懐きて居つつ洒をもて肉身を肥さんと試みたり 又世の人は天が下におて生涯如何なる事をなさぼ善らんかを知んために我は愚なる事を行ふことをせり 021 ECC 002 004 我は大なる事業をなせり 我はわが爲に家を建て葡萄園を設け 021 ECC 002 005 園をつくり囿をつくり 又菓のなる諸の樹を其處に植ゑ 021 ECC 002 006 また水の塘池をつくりて樹木の生茂れる林に其より水を灌がしめたり 021 ECC 002 007 我は僕婢を買得たり また家の子あり 我はまた凡て我より前にヱルサレムにをりし者よりも衆多の牛羊を有り 021 ECC 002 008 我は金銀を積み 王等と國々の財寶を積あげたり また歌詠之男女を得 世の人の樂なる妻妾を多くえたり 021 ECC 002 009 斯我は大なる者となり 我より前にヱルサレムにをりし諸の人よりも大になりぬ 吾智慧もまたわが身を離れざりき 021 ECC 002 010 凡そわが目の好む者は我これを禁ぜす 凡そわが心の悦ぶ者は我これを禁ぜざりき 即ち我はわが諸の労苦によりて快樂を得たり 是は我が諸の労苦によりて得たるところの分なり 021 ECC 002 011 我わが手にて爲たる諸の事業および我が労して事を爲たる労苦を顧みるに 皆空にして風を捕ふるが如くなりき 日の下には益となる者あらざるなり 021 ECC 002 012 我また身を轉らして智慧と狂妄と愚癡とを観たり 抑王に嗣ぐところの人は如何なる事を爲うるや その既になせしところの事に過ざるべし 021 ECC 002 013 光明の黒暗にまさるがごとく智匙は愚癡に勝るなり 我これを暁れり 021 ECC 002 014 智者の目はその頭にあり愚者は黒暗に歩む 然ど我しる具みな遇ふところの事は同一なり 021 ECC 002 015 我心に謂けらく 愚者の遇ふところの事に我もまた遇ふべければ 我なんぞ智慧のまさる所あらんや 我また心に謂り是も亦空なるのみと 021 ECC 002 016 夫智者も愚者と均しく永く世に記念らるることなし 來らん世にいたれば皆早く既に忘らるるなり 嗚呼智者の愚者とおなじく死るは是如何なる事ぞや 021 ECC 002 017 是に於て我世にながらふることを厭へり 凡そ日の下に爲ところの事は我に惡く見ればなり 即ち皆空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 002 018 我は日の下にわが労して諸の動作をなしたるを恨む其は我の後を嗣ぐ人にこれを遺さざるを得ざればなり 021 ECC 002 019 其人の智愚は誰かこれを飢らん然るにその人は日の下に我が労して爲し智慧をこめて爲たる諸の工作を管理るにいたらん是また空なり 021 ECC 002 020 我身をめぐらし日の下にわが労して爲たる諸の動作のために望を失へり 021 ECC 002 021 今茲に人あり 智慧と知識と才能をもて労して事をなさんに終には之がために労せざる人に一切を遺してその所有となさしめざるを得ざるなり 是また空にして大に惡し 021 ECC 002 022 夫人はその日の下に労して爲ところの諸の動作とその心労によりて何の得ところ有るや 021 ECC 002 023 その世にある日には常に憂患あり その労苦は苦し その心は夜の間も安んずることあらず 是また空なり 021 ECC 002 024 人の食飮をなしその労苦によりて心を樂しましむるは幸福なる事にあらず 是もまた神の手より出るなり 我これを見る 021 ECC 002 025 誰かその食ふところその歓樂を極むるところに於て我にまさる者あらん 021 ECC 002 026 神はその心に適ふ人には智慧と知識と喜樂を賜ふ 然れども罪を犯す人には労苦を賜ひて斂めかつ積ことを爲さしむ 是は其を神の心に適ふ人に與へたまはんためなり 是もまた空にして風を捕るがごとし 021 ECC 003 001 天が下の萬の事には期あり 萬の事務には時あり 021 ECC 003 002 生るるに時あり死るに時あり 植るに時あり植たる者を抜に時あり 021 ECC 003 003 殺すに時あり醫すに時あり 毀つに時あり建るに時あり 021 ECC 003 004 泣に時あり笑ふに時あり 悲むに時あり躍るに時あり 021 ECC 003 005 石を擲つに時あり石を斂むるに時あり 懐くに時あり懐くことをせざるに時あり 021 ECC 003 006 得に時あり失ふに時あり 保つに時あり棄るに時あり 021 ECC 003 007 裂に時あり縫に時あり 黙すに時あり語るに時あり 021 ECC 003 008 愛しむに時あり惡むに時あり 戦ふに時あり和ぐに時あり 021 ECC 003 009 働く者はその労して爲ところよりして何の益を得んや 021 ECC 003 010 我神が世の人にさづけて身をこれに労せしめたまふところの事作を視たり 021 ECC 003 011 神の爲したまふところは皆その時に適ひて美麗しかり 神はまた人の心に永遠をおもふの思念を授けたまへり 然れば人は神のなしたまふ作爲を始より終まで知明むることを得ざるなり 021 ECC 003 012 我知る人の中にはその世にある時に快樂をなし善をおこなふより外に善事はあらず 021 ECC 003 013 また人はみな食飮をなしその労苦によりて逸樂を得べきなり 是すなはち神の賜物たり 021 ECC 003 014 我知る凡て神のなしたまふ事は限なく存せん 是は加ふべき所なく是は減すべきところ無し 神の之をなしたまふは人をしてその前に畏れしめんがためなり 021 ECC 003 015 昔ありたる者は今もあり 後にあらん者は既にありし者なり 神はその遂やられし者を索めたまふ 021 ECC 003 016 我また日の下を見るに審判をおこなふ所に邪曲なる事あり 公義を行ふところに邪曲なる事あり 021 ECC 003 017 我すなはち心に謂けらく神は義者と惡者とを鞫きたまはん 彼處において萬の事と萬の所爲に時あるなり 021 ECC 003 018 我また心に謂けらく是事あるは是世の人のためなり 即ち神は斯世の人を検して之にその獣のごとくなることを自ら暁らしめ給ふなり 021 ECC 003 019 世の人に臨むところの事はまた獣にも臨む この二者に臨むところの事は同一にして是も死ば彼も死るなり 皆同一の呼吸に依れり 人は獣にまさる所なし皆空なり 021 ECC 003 020 皆一の所に往く 皆塵より出で皆塵にかへるなり 021 ECC 003 021 誰か人の魂の上に昇り獣の魂の地にくだることを知ん 021 ECC 003 022 然ば人はその動作によりて逸樂をなすに如はなし 是その分なればなり 我これを見る その身の後の事は誰かこれを携へゆきて見さしむる者あらんや 021 ECC 004 001 茲に我身を轉して日の下に行はるる諸の虐遇を視たり 嗚呼虐げらる者の涙ながる 之を慰むる者あらざるなり また虐ぐる者の手には權力あり 彼等はこれを慰むる者あらざるなり 021 ECC 004 002 我は猶生る生者よりも既に死たる死者をもて幸なりとす 021 ECC 004 003 またこの二者よりも幸なるは未だ世にあらずして日の下におこなはるる惡事を見ざる者なり 021 ECC 004 004 我また諸の労苦と諸の工事の精巧とを観るに 是は人のたがひに嫉みあひて成せる者たるなり 是も空にして風を捕ふるが如し 021 ECC 004 005 愚なる者は手を束ねてその身の肉を食ふ 021 ECC 004 006 片手に物を盈て平穏にあるは 兩手に物を盈て労苦て風を捕ふるに愈れり 021 ECC 004 007 我また身をめぐらし日の下に空なる事のあるを見たり 021 ECC 004 008 茲に人あり只獨にして伴侶もなく子もなく兄弟もなし 然るにその労苦は都て窮なくの目は富に飽ことなし 彼また言ず嗚呼我は誰がために労するや何とて我は心を樂ませざるやと 是もまた空にして労力の苦き者なり 021 ECC 004 009 二人は一人に愈る其はその労苦のために善報を得ればなり 021 ECC 004 010 即ちその跌倒る時には一箇の人その伴侶を扶けおこすべし 然ど孤身にして跌倒る者は憐なるかな之を扶けおこす者なきなり 021 ECC 004 011 又二人ともに寝れば温暖なり一人ならぼ爭で混暖ならんや 021 ECC 004 012 人もしその一人を攻撃ば二人してこれに當るべし 三根の繩は容易く断ざるなり 021 ECC 004 013 貧くして賢き童子は 老て愚にして諌を納れざる王に愈る 021 ECC 004 014 彼は牢獄より出て王となれり 然どその國に生れし時は貧かりき 021 ECC 004 015 我日の下にあゆむところの群生が彼王に続てこれに代りて立ところの童子とともにあるを観たり 021 ECC 004 016 民はすべて際限なし その前にありし者みな然り 後にきたる者また彼を悦ばず 是も空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 005 001 汝ヱホバの室にいたる時にはその足を愼め 進みよりて聴聞は愚なる者の犠牲にまさる 彼等はその惡をおこなひをることを知ざるなり 021 ECC 005 002 汝神の前にありては軽々し口を開くなかれ 心を攝めて妄に言をいだすなかれ 其は神は天にいまし汝は地にをればなり 然ば汝言詞を少からしめよ 021 ECC 005 003 夫夢は事の繁多によりて生じ 愚なる者の聲は言の衆多によりて識るなり 021 ECC 005 004 汝神に誓願をかけなば之を還すことを怠るなかれ 神は愚なる者を悦びたまはざるなり 汝はそのかけし誓願を還すべし 021 ECC 005 005 誓願をかけてこれを還さざるよりは寧ろ誓願をかけざるは汝に善し 021 ECC 005 006 汝の口をもて汝の身に罪を犯さしむるたかれ 亦使者の前に其は過誤なりといふべからず 恐くは神汝の言を怒り汝の手の所爲を滅したまはん 021 ECC 005 007 夫夢多ければ空たる事多し 言詞の多きもまた然り 汝ヱホバを畏め 021 ECC 005 008 汝國の中に貧き者を虐遇る事および公道と公義を枉ることあるを見るもその事あるを怪むなかれ 其はその位高き人よりも高き者ありてその人を伺へばなり又其等よりも高き者あるなり 021 ECC 005 009 國の利益は全く是にあり 即ち王者が農事に勤むるにあるなり 021 ECC 005 010 銀を好む者は銀に飽こと無し 豊富ならんことを好む者は得るところ有らず 是また空なり 021 ECC 005 011 貨財増せばこれを食む者も増すなり その所有主は唯日にこれを看るのみ その外に何の益かあらん 021 ECC 005 012 労する者はその食ふところは多きも少きも快く睡るなり 然れども富者はその貨財の多きがために睡ることを得せず 021 ECC 005 013 我また日の下に患の大なる者あるを見たり すなはち財寶のこれを蓄ふる者の身に害をおよぼすことある是なり 021 ECC 005 014 その財寶はまた災難によりて失落ことあり 然ばその人子を挙ることあらんもその手には何物もあることなし 021 ECC 005 015 人は母の胎より出て釆りしごとくにまた裸體にして皈りゆくべし その労苦によりて得たる者を毫厘も手にとりて携へゆくことを得ざるなり 021 ECC 005 016 人は全くその來りしごとくにまた去ゆかざるを得ず 是また患の大なる者なり 抑風を追て労する者何の益をうること有んや 021 ECC 005 017 人は生命の涯黒暗の中に食ふことを爲す また憂愁多かり 疾病身にあり 憤怒あり 021 ECC 005 018 視よ我は斯観たり 人の身にとりて善かつ美なる者は 神にたまはるその生命の極食飮をなし 且その日の下に労して働ける労苦によりて得るところの福禄を身に享るの事なり是その分なればなり 021 ECC 005 019 何人によらず神がこれに富と財を與へてそれに食ことを得せしめ またその分を取りその労苦によりて快樂を得ることをせさせたまふあれば その事は神の賜物たるなり 021 ECC 005 020 かかる人はその年齢の日を憶ゆること深からず 其は神これが心の喜ぶところにしたがひて應ることを爲したまへばなり 021 ECC 006 001 我観るに日の下に一件の患あり是は人の間に恒なる者なり 021 ECC 006 002 すなはち神富と財と貴を人にあたへて その心に慕ふ者を一件もこれに欠ることなからしめたまひながらも 神またその人に之を食ふことを得せしめたまはずして 他人のこれを食ことあり 是空なり惡き疾なり 021 ECC 006 003 仮令人百人の子を挙けまた長壽してその年齢の日多からんも 若その心景福に満足せざるか又は葬らるることを得ざるあれば 我言ふ流産の子はその人にまさるたり 021 ECC 006 004 夫流産の子はその來ること空しくして黒暗の中に去ゆきその名は黒暗の中にかくるるなり 021 ECC 006 005 又是は日を見ることなく物を知ることなければ彼よりも安泰なり 021 ECC 006 006 人の壽命千年に倍するとも福祉を蒙れるにはあらず 皆一所に往くにあらずや 021 ECC 006 007 人の労苦は皆その口のためなり その心はなほも飽ざるところ有り 021 ECC 006 008 賢者なんぞ愚者に勝るところあらんや また世人の前に歩行ことを知ところの貧者も何の勝るところ有んや 021 ECC 006 009 目に観る事物は心のさまよひ歩くに愈るなり 是また空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 006 010 嘗て在し者は久しき前にすでにその名を命られたり 即ち是は人なりと知る 然ば是はかの自己よりも力強き者と争ふことを得ざるなり 021 ECC 006 011 衆多の言論ありて虚浮き事を増す然ど人に何の益あらんや 021 ECC 006 012 人はその虚空き生命の日を影のごとくに送るなり 誰かこの世において如何なる事か人のために善き者なるやを知ん 誰かその身の後に日の下にあらんところの事を人に告うる者あらんや 021 ECC 007 001 名は美膏に愈り 死る日は生るる日に愈る 021 ECC 007 002 哀傷の家に入は宴樂の家に入に愈る 其は一切の人の終かくのごとくなればなり 生る者またこれをその心にとむるあらん 021 ECC 007 003 悲哀は嬉笑に愈る 其は面に憂色を帯るなれば心も善にむかへばなり 021 ECC 007 004 賢き者の心は哀傷の家にあり 愚なる者の心は喜樂の家にあり 021 ECC 007 005 賢き者の勤責を聴は愚なる者の歌詠を聴に愈るなり 021 ECC 007 006 愚なる者の笑は釜の下に焚る荊剌の聲のごとし是また空なり 021 ECC 007 007 賢き人も虐待る事によりて狂するに至るあり賄賂は人の心を壊なふ 021 ECC 007 008 事の終はその始よりも善し 容忍心ある者は傲慢心ある者に勝る 021 ECC 007 009 汝氣を急くして怒るなかれ 怒は愚なる者の胸にやどるなり 021 ECC 007 010 昔の今にまさるは伺故ぞやと汝言なかれ 汝の斯る問をなすは是智慧よりいづる者にあらざるなり 021 ECC 007 011 智慧の上に財産をかぬれば善し 然れば日を見る者等に利益おほかるべし 021 ECC 007 012 智慧も身の護庇となり銀子も身の護庇となる 然ど智恵はまたこれを有る者に生命を保しむ 是知識の殊勝たるところなり 021 ECC 007 013 汝神の作爲を考ふべし 神の曲たまひし者は誰かこれを直くすることを得ん 021 ECC 007 014 幸福ある日には樂め 禍患ある日には考へよ 神はこの二者をあひ交錯て降したまふ 是は人をしてその後の事を知ることなからしめんためなり 021 ECC 007 015 我この空の世にありて各様の事を見たり 義人の義をおこなひて亡ぶるあり 惡人の惡をおこなひて長壽あり 021 ECC 007 016 汝義に過るなかれまた賢に過るなかれ 汝なんぞ身を減ずべけんや 021 ECC 007 017 汝惡に過るなかれまた愚なる勿れ 汝なんぞ時いたらざるに死べけんや 021 ECC 007 018 汝此を執は善しまた彼にも手を放すなかれ 神を畏む者はこの一切の者の中より逃れ出るなり 021 ECC 007 019 智恵の智者を幇くることは邑の豪雄者十人にまさるなり 021 ECC 007 020 正義して善をおこなひ罪を犯すことなき人は世にあることなし 021 ECC 007 021 人の言出ず言詞には凡て心をとむる勿れ 恐くは汝の僕の汝を詛ふを聞こともあらん 021 ECC 007 022 汝も屡人を詛ふことあるは汝の心に知ところなり 021 ECC 007 023 我智慧をもてこの一切の事を試み役は智者とならんと謂たりしが遠くおよばざるなり 021 ECC 007 024 事物の理は遠くして甚だ深し 誰かこれを究むることを得ん 021 ECC 007 025 我は身をめぐらし心をもちひて物を知り事を探り 智慧と道理を崇めんとし 又惡の愚たると愚癡の狂妄たるを知んとせり 021 ECC 007 026 我了れり 婦人のその心羅と網のごとくその手縲絏のごとくなる者は是死よりも苦き者なり 神の悦びたまふ者は之を避ることを得ん罪人は之に執らるべし 021 ECC 007 027 傅道者言ふ 視よ我その數を知んとして一々に算へてつびに此事を了る 021 ECC 007 028 我なほ尋ねて得ざる者は是なり 我千人の中には一箇の男子を得たれども その數の中には一箇の女子をも得ざるなり 021 ECC 007 029 我了れるところは唯是のみ 即ち神は人を正直者に造りたまひしに人衆多の計略を案出せしなり 021 ECC 008 001 誰か智者に如ん誰か事物の理を解ことを得ん 人の智慧はその人の面に光輝あらしむ 又その粗暴面も変改べし 021 ECC 008 002 我言ふ王の命を守るべし既に神をさして誓ひしことあれ然るべきなり 021 ECC 008 003 早まりて王の前を去ることなかれ 惡き事につのること勿れ 其は彼は凡てその好むところを爲ばなり 021 ECC 008 004 王の言語には權力あり 然ば誰か之に汝何をなすやといふことを得ん 021 ECC 008 005 命令を守る者は禍患を受るに至らず 智者の心は時期と判断を知なり 021 ECC 008 006 萬の事務には時あり判断あり是をもて人大なる禍患をうくるに至るあり 021 ECC 008 007 人は後にあらんところの事を知ず また誰か如何なる事のあらんかを之に告る者あらん 021 ECC 008 008 霊魂を掌管て霊魂を留めうる人あらず 人はその死る日には權力あること旡し 此戦争には釈放たるる者あらず 又罪惡はこれを行ふ者を救ふことを得せざるなり 021 ECC 008 009 我この一切の事を見また日の下におこなはるる諸の事に心を用ひたり時としては此人彼人を治めてこれに害を蒙らしむることあり 021 ECC 008 010 我見しに惡人の葬られて安息にいるあり また善をおこなふ者の聖所を離れてその邑に忘らるるに至るあり是また空なり 021 ECC 008 011 惡き事の報速にきたらざるが故に世人心を専にして惡をおこなふ 021 ECC 008 012 罪を犯す者百次惡をなして猶長命あれども 我知る神を畏みてその前に畏怖をいだく者には幸福あるべし 021 ECC 008 013 但し惡人には幸福あらず またその生命も長からずして影のごとし 其は神の前に畏怖をいだくことなければなり 021 ECC 008 014 我日の下に空なる事のおこなはるるを見たり 即ち義人にして惡人の遭べき所に遭ふ者あり 惡人にして義人の遭べきところに遭ふ者あり 我謂り是もまた空なり 021 ECC 008 015 是に於て我喜樂を讃む 其は食飮して樂むよりも好き事は日の下にあらざればなり 人の労して得る物の中是こそはその日の下にて神にたまはる生命の日の間その身に離れざる者なれ 021 ECC 008 016 茲に我心をつくして智慧を知らんとし世に爲ところの事を究めんとしたり 人は夜も昼もその目をとぢて眠ることをせざるなり 021 ECC 008 017 我神の諸の作爲を見しが人は日の下におこなはるるところの事を究むるあたはざるなり 人これを究めんと労するもこれを究むることを得ず 且又智者ありてこれを知ると思ふもこれを究むることあたはざるなり 021 ECC 009 001 我はこの一切の事に心を用ひてこの一切の事を明めんとせり 即ち義き者と賢き者およびかれらの爲ところは神の手にあるなるを明めんとせり 愛むや惡むやは人これを知ることなし一切の事はその前にあるなり 021 ECC 009 002 諸の人に臨む所は皆同じ 義き者にも惡き者にも善者にも 浄者にも穢れたる者にも 犠牲を献ぐる者にも犠牲を献げぬ者にもその臨むところの事は同一なり 善人も罪人に異ならず 誓をなす者も誓をなすことを畏るる者に異ならず 021 ECC 009 003 諸の人に臨むところの事の同一なるは是日の下におこなはるる事の中の惡き者たり 抑人の心には惡き事充をり その生る間は心に狂妄を懐くあり 後には死者の中に往くなり 021 ECC 009 004 凡活る者の中に列る者は望あり 其は生る犬は死る獅子に愈ればなり 021 ECC 009 005 生者はその死んことを知る 然ど死る者は何事をも知ずまた應報をうくることも重てあらず その記憶らるる事も遂に忘れらるるに至る 021 ECC 009 006 またその愛も惡も嫉も既に消うせて彼等は日の下におこなはるる事に最早何時までも関係ことあらざるなり 021 ECC 009 007 汝往て喜悦をもて汝のパンを食ひ樂き心をも汝の酒を飮め 其は神久しく汝の行爲を嘉納たまへばなり 021 ECC 009 008 汝の衣服を常に白からしめよ 汝の頭に膏を絶しむるなかれ 021 ECC 009 009 日の下に汝が賜はるこの汝の空なる生命の日の間汝その愛する妻とともに喜びて度生せ 汝の空なる生命の日の間しかせよ 是は汝が世にありて受る分汝が日の下に働ける労苦によりて得る者なり 021 ECC 009 010 凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを爲せ 其は汝の往んところの陰府には工作も計謀も知識も智慧もあることなければなり 021 ECC 009 011 我また身をめぐらして日の下を観るに 迅速者走ることに勝にあらず強者戦争に勝にあらず 智慧者食物を獲にあらず 明哲人財貨を得にあらず 知識人恩顧を得にあらず 凡て人に臨むところの事は時ある者偶然なる者なり 021 ECC 009 012 人はまたその時を知ず 魚の禍の網にかかり烏の烏羅にかかるが如くに世の人もまた禍患の時の計らざるに臨むに及びてその禍患にかかるなり 021 ECC 009 013 我日の下に是事を観て智慧となし大なる事となせり 021 ECC 009 014 すなはち茲に一箇の小き邑ありて その中の人は鮮かりしが大なる王これに攻きたりてこれを囲みこれに向ひて大なる雲梯を建たり 021 ECC 009 015 時に邑の中に一人の智慧ある貧しき人ありてその智慧をもて邑を救へり 然るに誰ありてその貧しき人を記念もの無りし 021 ECC 009 016 是において我言り智慧は勇力に愈る者なりと 但しかの貧しき人の智慧は藐視られその言詞は聴れざりしなり 021 ECC 009 017 静に聴る智者の言は愚者の君長たる者の號呼に愈る 021 ECC 009 018 智慧は軍の器に勝れり一人の惡人は許多の善事を壊ふなり 021 ECC 010 001 死し蝿は和香者の膏を臭くしこれを腐らす 少許の愚癡は智能と尊榮よりも重し 021 ECC 010 002 智者の心はその右に愚者の心はその左に行くなり 021 ECC 010 003 愚者は出て途を行にあたりてその心たらず自己の愚なることを一切の人に告ぐ 021 ECC 010 004 君長たる者汝にむかひて腹たつとも汝の本處を離るる勿れ温順は大なる愆を生ぜしめざるなり 021 ECC 010 005 我日の下に一の患事あるを見たり是は君長たる者よりいづる過誤に似たり 021 ECC 010 006 すなはち愚なる者高き位に置かれ貴き者卑き處に坐る 021 ECC 010 007 我また僕たる者が馬に乗り王侯たる者が僕のごとく地の上に歩むを観たり 021 ECC 010 008 坑を据る者はみづから之におちいり石垣を毀つ者は蛇に咬れん 021 ECC 010 009 石を打くだく者はそれがために傷を受け木を割る者はそれがために危難に遭ん 021 ECC 010 010 鐵の鈍くなれるあらんにその刃を磨ざれば力を多く之にもちひざるを得ず 智慧は功を成に益あるなり 021 ECC 010 011 蛇もし呪術を聴ずして咬ば呪術師は用なし 021 ECC 010 012 智者の口の言語は恩徳あり 愚者の唇はその身を呑ほろぼす 021 ECC 010 013 愚者の口の言は始は愚なり またその言は終は狂妄にして惡し 021 ECC 010 014 愚者は言詞を衆くす 人は後に有ん事を知ず 誰かその身の後にあらんところの事を述るを得ん 021 ECC 010 015 愚者の労苦はその身を疲らす彼は邑にいることをも知ざるなり 021 ECC 010 016 その王は童子にしてその侯伯は朝に食をなず國よ 汝は禍なるかな 021 ECC 010 017 その王は貴族の子またその侯伯は酔樂むためならず力を補ふために適宜き時に食をなす國よ 汝は福なるかな 021 ECC 010 018 懶惰ところよりして屋背は落ち 手を垂をるところよりして家屋は漏る 021 ECC 010 019 食事をもて笑ひ喜ぶの物となし洒をもて決樂を取れり 銀子は何事にも應ずるなり 021 ECC 010 020 汝心の中にても王たる者を詛ふなかれ また寝室にても富者を詛なかれ 天空の鳥その聲を傳へ羽翼ある者その事を布べければなり 021 ECC 011 001 汝の糧食を水の上に投げよ 多くの日の後に汝ふたたび之を得ん 021 ECC 011 002 汝一箇の分を七また八にわかて 其は汝如何なる災害の地にあらんかを知ざればなり 021 ECC 011 003 雲もし雨の充るあれば地に注ぐ また樹もし南か北に倒るるあればその樹は倒れたる處にあるべし 021 ECC 011 004 風を伺ふ者は種播ことを得ず 雲を望む者は刈ことを得ず 021 ECC 011 005 汝は風の道の如何なるを知ず また孕める婦の胎にて骨の如何に生長つを知ず 斯汝は萬事を爲たまふ神の作爲を知ことなし 021 ECC 011 006 汝朝に種を播け 夕にも手を歇るなかれ 其はその實る者は此なるか彼なるか又は二者ともに美なるや汝これを知ざればなり 021 ECC 011 007 夫光明は快き者なり 目に日を見るは樂し 021 ECC 011 008 人多くの年生ながらへてその中凡て幸福なるもなほ幽暗の日を憶ふべきなり 其はその數も多かるべければなり 凡て來らんところの事は皆空なり 021 ECC 011 009 少者よ汝の少き時に快樂をなせ 汝の少き日に汝の心を悦ばしめ汝の心の道に歩み汝の目に見るところを爲せよ 但しその諸の行爲のために神汝を鞫きたまはんと知べし 021 ECC 011 010 然ば汝の心より憂を去り 汝の身より惡き者を除け 少き時と壮なる時はともに空なればなり 021 ECC 012 001 故に少き日に汝の造主を記えよ 即ち惡き日の來り年のよりて我は早何も樂むところ無しと言にいたらざる先 021 ECC 012 002 また日や光明や月や星の暗くならざる先 雨の後に雲の返らざる中に汝然せよ 021 ECC 012 003 その日いたる時は家を守る者は慄ひ 力ある人は屈み 磨碎者は寡きによりて息み 窓より窺ふ者は目昏むなり 021 ECC 012 004 磨こなす聲低くなれば衢の門は閉づ その人は鳥の聲に起あがり 歌の女子はみな身を卑くす 021 ECC 012 005 かかる人は高き者を恐る畏しき者多く途にあり 巴旦杏は花咲くまた蝗もその身に重くその嗜欲は廃る 人永遠の家にいたらんとすれば哭婦衢にゆきかふ 021 ECC 012 006 然る時には銀の紐は解け金の盞は砕け吊瓶は泉の側に壊れ轆轤は井の傍に破ん 021 ECC 012 007 而して塵は本の如くに土に皈り 霊魂はこれを賦けし神にかへるべし 021 ECC 012 008 傳道者云ふ空の空なるかな皆空なり 021 ECC 012 009 また傅道者は智慧あるが故に恒に知識を民に教へたり 彼は心をもちひて尋ね究め許多の箴言を作れり 021 ECC 012 010 傳道者は務めて佳美き言詞を求めたり その書しるしたる者は正直して眞實の言語なり 021 ECC 012 011 智者の言語は刺鞭のごとく 會衆の師の釘たる釘のごとくにして 一人の牧者より出し者なり 021 ECC 012 012 わが子よ是等より訓誡をうけよ 多く書をつくれば竟なし 多く学べば體疲る 021 ECC 012 013 事の全體の皈する所を聴べし 云く 神を畏れその誡命を守れ 是は諸の人の本分たり 神は一切の行爲ならびに一切の隠れたる事を善惡ともに審判たまふなり # # BOOK 022 SOL Song of Solomon 雅歌 022 SOL 001 001 これはソロモンの雅歌なり 022 SOL 001 002 ねがはしきは彼その口の接吻をもて我にくちつけせんことなり 汝の愛は酒よりもまさりぬ 022 SOL 001 003 なんぢの香膏は其香味たへに馨しくなんぢの名はそそがれたる香膏のごとし 是をもて女子等なんぢを愛す 022 SOL 001 004 われを引き給へ われら汝にしたがひて走らん 王われをたづさへてその後宮にいれたまへり 我らは汝によりて歡び樂しみ酒よりも勝りてなんぢの愛をほめたたふ 彼らは直きこころをもて汝を愛す 022 SOL 001 005 エルサレムの女子等よ われは黒けれどもなほ美はし ケダルの天幕のごとく またソロモンの帷帳に似たり 022 SOL 001 006 われ色くろきが故に日のわれを焼たるが故に我を視るなかれ わが母の子等われを怒りて我に葡萄園をまもらしめたり 我はおのが葡萄園をまもらざりき 022 SOL 001 007 わが心の愛する者よなんぢは何處にてなんぢの群を牧ひ 午時いづこにて之を息まするや請ふわれに告げよ なんぞ面を覆へる者の如くしてなんぢが伴侶の群のかたはらにをるべけんや 022 SOL 001 008 婦女の最も美はしき者よ なんぢ若しらずば群の足跡にしたがひて出ゆき 牧羊者の天幕のかたはらにて汝の羔山羊を牧へ 022 SOL 001 009 わが佳耦よ 我なんぢをパロの車の馬に譬ふ 022 SOL 001 010 なんぢの臉には鏈索を垂れ なんぢの頸には珠玉を陳ねて至も美はし われら白銀の星をつけたる黄金の鏈索をなんぢのために造らん 022 SOL 001 012 王其席につきたまふ時 わがナルダ其香味をいだせり 022 SOL 001 013 わが愛する者は我にとりてはわが胸のあひだにおきたる沒藥の袋のごとし 022 SOL 001 014 わが愛する者はわれにとりてはエンゲデの園にあるコペルの英華のごとし 022 SOL 001 015 ああ美はしきかな わが佳耦よ ああうるはしきかな なんぢの目は鴿のごとし 022 SOL 001 016 わが愛する者よ ああなんぢは美はしくまた樂しきかな われらの牀は青緑なり 022 SOL 001 017 われらの家の棟梁は香柏 その垂木は松の木なり 022 SOL 002 001 われはシャロンの野花 谷の百合なり 022 SOL 002 002 女子等の中にわが佳耦のあるは荊棘の中に百合花のあるがごとし 022 SOL 002 003 わが愛する者の男子等の中にあるは林の樹の中に林檎のあるがごとし 我ふかく喜びてその蔭にすわれり その實はわが口に甘かりき 022 SOL 002 004 彼われをたづさへて酒宴の室にいれたまへり その我上にひるがへしたる旗は愛なりき 022 SOL 002 005 請ふ なんぢら乾葡萄をもてわが力をおぎなへ 林檎をもて我に力をつけよ 我は愛によりて疾わづらふ 022 SOL 002 006 彼が左の手はわが頭の下にあり その右の手をもて我を抱く 022 SOL 002 007 エルサレムの女子等よ我なんぢらに獐と野の鹿とをさし誓ひて請ふ 愛のおのづから起るときまでは殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 002 008 わが愛する者の聲きこゆ 視よ 山をとび 岡を躍りこえて來る 022 SOL 002 009 わが愛する者は獐のごとくまた小鹿のごとし 視よ彼われらの壁のうしろに立ち 窓より覗き 格子より窺ふ 022 SOL 002 010 わが愛する者われに語りて言ふ わが佳耦よ わが美しき者よ 起ていできたれ 視よ 冬すでに過ぎ 雨もやみてはやさりぬ 022 SOL 002 012 もろもろの花は地にあらはれ 鳥のさへづる時すでに至り 班鳩の聲われらの地にきこゆ 022 SOL 002 013 無花果樹はその青き果を赤らめ 葡萄の樹は花さきてその馨しき香氣をはなつ わが佳耦よ わが美しき者よ 起て出きたれ 022 SOL 002 014 磐間にをり 斷崖の匿處にをるわが鴿よ われに汝の面を見させよ なんぢの聲をきかしめよ なんぢの聲は愛らしく なんぢの面はうるはし 022 SOL 002 015 われらのために狐をとらへよ 彼の葡萄園をそこなふ小狐をとらへよ 我等の葡萄園は花盛なればなり 022 SOL 002 016 わが愛する者は我につき我はかれにつく 彼は百合花の中にて其群を牧ふ 022 SOL 002 017 わが愛する者よ 日の涼しくなるまで 影の消るまで身をかへして出ゆき 荒き山々の上にありて獐のごとく 小鹿のごとくせよ 022 SOL 003 001 夜われ床にありて我心の愛する者をたづねしが尋ねたれども得ず 022 SOL 003 002 我おもへらく今おきて邑をまはりありき わが心の愛する者を街衢あるひは大路にてたづねんと 乃ちこれを尋ねたれども得ざりき 022 SOL 003 003 邑をまはりありく夜巡者らわれに遇ひければ 汝らわが心の愛する者を見しやと問ひ 022 SOL 003 004 これに別れて過ゆき間もなくわが心の愛する者の遇たれば 之をひきとめて放さず 遂にわが母の家にともなひゆき 我を産し者の室にいりぬ 022 SOL 003 005 エルサレムの女子等よ 我なんぢらに獐と野の鹿とをさし誓ひて請ふ 愛のおのづから起る時まで殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 003 006 この沒藥乳香など商人のもろもろの薫物をもて身をかをらせ 煙の柱のごとくして荒野より來る者は誰ぞや 022 SOL 003 007 視よ こはソロモンの乗輿にして 勇士六十人その周圍にあり イスラエルの勇士なり 022 SOL 003 008 みな刀劍を執り 戰鬪を善す 各人腰に刀劍を帶て夜の警誡に備ふ 022 SOL 003 009 ソロモン王レバノンの木をもて己のために輿をつくれり 022 SOL 003 010 その柱は白銀 その欄杆は黄金 その座は紫色にて作り その内部にはイスラエルの女子等が愛をもて繍たる物を張つく シオンの女子等よ 出きたりてソロモン王を見よ かれは婚姻の日 心の喜べる日にその母の己にかうぶらしし冠冕を戴けり 022 SOL 004 001 ああなんぢ美しきかな わが佳耦よ ああなんぢうるはしきかな なんぢの目は面帕のうしろにありて鴿のごとし なんぢの髪はギレアデ山の腰に臥たる山羊の群に似たり 022 SOL 004 002 なんぢの齒は毛を剪たる牝羊の浴塲より出たるがごとし おのおの雙子をうみてひとつも子なきものはなし 022 SOL 004 003 なんぢの唇は紅色の線維のごとく その口は美はし なんぢの頬は面帕のうしろにありて柘榴の半片に似たり 022 SOL 004 004 なんぢの頸項は武器庫にとて建たるダビデの戍樓のごとし その上には一千の盾を懸け列ぬ みな勇士の大楯なり 022 SOL 004 005 なんぢの兩乳房は牝獐の雙子なる二箇の小鹿が百合花の中に草はみをるに似たり 022 SOL 004 006 日の涼しくなるまで 影の消るまでわれ沒藥の山また乳香の岡に行べし 022 SOL 004 007 わが佳耦よ なんぢはことごとくうるはしくしてすこしのきずもなし 022 SOL 004 008 新婦よ レバノンより我にともなへ レバノンより我とともに來れ アマナの巓セニルまたヘルモンの巓より望み 獅子の穴また豹の山より望め 022 SOL 004 009 わが妹わが新婦よ なんぢはわが心を奪へり なんぢは只一目をもてまた頸玉の一をもてわが心をうばへり 022 SOL 004 010 わが妹わが新婦よ なんぢの愛は樂しきかな なんぢの愛は酒よりも遙にすぐれ なんぢの香膏の馨は一切の香物よりもすぐれたり 新婦よ なんぢの唇は蜜を滴らす なんぢの舌の底には蜜と乳とあり なんぢの衣裳の香氣はレバノンの香氣のごとし 022 SOL 004 012 わが妹わがはなよめよ なんぢは閉たる園 閉ぢたる水源 封じたる泉水のごとし 022 SOL 004 013 なんぢの園の中に生いづる者は石榴及びもろもろの佳果またコペル及びナルダの草 022 SOL 004 014 ナルダ 番紅花 菖蒲 桂枝さまざまの乳香の木および沒藥 蘆薈一切の貴とき香物なり 022 SOL 004 015 なんぢは園の泉水 活る水の井 レバノンよりいづる流水なり 022 SOL 004 016 北風よ起れ 南風よ來れ 我園を吹てその香氣を揚よ ねがはくはわが愛する者のおのが園にいりきたりてその佳き果を食はんことを 022 SOL 005 001 わが妹わがはなよめよ 我はわが園にいり わが沒藥と薫物とを採り わが蜜房と蜜とを食ひ わが酒とわが乳とを飮り わが伴侶等よ 請ふ食へ わが愛する人々よ 請ふ飮あけよ 022 SOL 005 002 われは睡りたれどもわが心は醒ゐたり 時にわが愛する者の聲あり 即はち門をたたきていふ わが妹わが佳耦 わが鴿 わが完きものよ われのために開け わが首には露滿ち わが髪の毛には夜の點滴みてりと 022 SOL 005 003 われすでにわが衣服を脱げり いかでまた着るべき 已にわが足を洗へり いかでまた汚すべき 022 SOL 005 004 わが愛する者戸の穴より手をさしいれしかば わが心かれのためにうごきたり 022 SOL 005 005 やがて起いでてわが愛する者の爲に開かんとせしとき 沒藥わが手より沒藥の汁わが指よりながれて關木の把柄のうへにしたたれり 022 SOL 005 006 我わが愛する者の爲に開きしに わが愛する者は已に退き去りぬ さきにその物いひし時はわが心さわぎたり 我かれをたづねたれども遇ず 呼たれども答應なかりき 022 SOL 005 007 邑をまはりありく夜巡者等われを見てうちて傷つけ 石垣をまもる者らはわが上衣をはぎとれり 022 SOL 005 008 エルサレムの女子等よ 我なんぢらにかたく請ふ もしわが愛する者にあはば汝ら何とこれにつぐべきや 我愛によりて疾わづらふと告げよ 022 SOL 005 009 なんぢの愛する者は別の人の愛する者に何の勝れるところありや 婦女の中のいと美はしき者よ なんぢが愛する者は別の人の愛する者に何の勝れるところありて斯われらに固く請ふや 022 SOL 005 010 わが愛する者は白くかつ紅にして萬人の上に越ゆ その頭は純金のごとく その髪はふさやかにして黒きこと烏のごとし 022 SOL 005 012 その目は谷川の水のほとりにをる鴿のごとく 乳にて洗はれて美はしく嵌れり 022 SOL 005 013 その頬は馨しき花の床のごとく 香草の壇のごとし その唇は百合花のごとくにして沒藥の汁をしたたらす 022 SOL 005 014 その手はきばみたる碧玉を嵌し黄金の釧のごとく 其躰は青玉をもておほひたる象牙の彫刻物のごとし 022 SOL 005 015 その脛は蝋石の柱を黄金の臺にてたてたるがごとく その相貌はレバノンのごとく その優れたるさまは香柏のごとし 022 SOL 005 016 その口ははなはだ甘く誠に彼には一つだにうつくしからぬ所なし エルサレムの女子等よ これぞわが愛する者 これぞわが伴侶なる 022 SOL 006 001 婦女のいと美はしきものよ 汝の愛する者は何處へゆきしや なんぢの愛する者はいづこへおもむきしや われら汝とともにたづねん 022 SOL 006 002 わが愛するものは己の園にくだり 香しき花の床にゆき 園の中にて群を牧ひ また百合花を採る 022 SOL 006 003 我はわが愛する者につき わが愛する者はわれにつく 彼は百合花の中にてその群を牧ふ 022 SOL 006 004 わが佳耦よ なんぢは美はしきことテルザのごとく 華やかなることエルサレムのごとく 畏るべきこと旗をあげたる軍旅のごとし 022 SOL 006 005 なんぢの目は我をおそれしむ 請ふ我よりはなれしめよ なんぢの髪はギレアデ山の腰に臥たる山羊の群に似たり 022 SOL 006 006 なんぢの齒は毛を剪たる牝羊の浴塲より出たるがごとし おのおの雙子をうみてひとつも子なきものはなし 022 SOL 006 007 なんぢの頬は面帕の後にありて石榴の半片に似たり 022 SOL 006 008 后六十人 妃嬪八十人 數しられぬ處女あり 022 SOL 006 009 わが鴿わが完き者はただ一人のみ 彼はその母の獨子にして産たる者の喜ぶところの者なり 女子等は彼を見て幸福なる者ととなへ 后等妃嬪等は彼を見て讃む 022 SOL 006 010 この晨光のごとくに見えわたり 月のごとくに美はしく 日のごとくに輝やき 畏るべきこと旗をあげたる軍旅のごとき者は誰ぞや われ胡桃の園にくだりゆき 谷の青き草木を見 葡萄や芽しし石榴の花や咲しと見回しをりしに 022 SOL 006 012 意はず知ず我が心われをしてわが貴とき民の車の中間にあらしむ 022 SOL 006 013 歸れ歸れシユラミの婦よ 歸れ歸れ われら汝を觀んことをねがふ なんぢら何とてマハナイムの跳舞を觀るごとくにシユラミの婦を觀んとねがふや 022 SOL 007 001 君の女よ なんぢの足は鞋の中にありて如何に美はしきかな 汝の腿はまろらかにして玉のごとく 巧匠の手にて作りたるがごとし 022 SOL 007 002 なんぢの臍は美酒の缺ることあらざる圓き杯盤のごとく なんぢの腹は積かさねたる麥のまはりを百合花もてかこめるが如し 022 SOL 007 003 なんぢの兩乳房は牝鹿の雙子なる二の小鹿のごとし 022 SOL 007 004 なんぢの頸は象牙の戍樓の如く 汝の目はヘシボンにてバテラビムの門のほとりにある池のごとく なんぢの鼻はダマスコに對へるレバノンの戍樓のごとし 022 SOL 007 005 なんぢの頭はカルメルのごとく なんぢの頭の髪は紫花のごとし 王その垂たる髪につながれたり 022 SOL 007 006 ああ愛よ もろもろの快樂の中にありてなんぢは如何に美はしく如何に悦ばしき者なるかな 022 SOL 007 007 なんぢの身の長は棕櫚の樹に等しく なんぢの乳房は葡萄のふさのごとし 022 SOL 007 008 われ謂ふこの棕櫚の樹にのぼり その枝に執つかんと なんぢの乳房は葡萄のふさのごとく なんぢの鼻の氣息は林檎のごとく匂はん 022 SOL 007 009 なんぢの口は美酒のごとし わが愛する者のために滑かに流れくだり 睡れる者の口をして動かしむ 022 SOL 007 010 われはわが愛する者につき 彼はわれを戀したふ わが愛する者よ われら田舍にくだり 村里に宿らん 022 SOL 007 012 われら夙におきて葡萄や芽しし莟やいでし石榴の花やさきしいざ葡萄園にゆきて見ん かしこにて我わが愛をなんぢにあたへん 022 SOL 007 013 戀茄かぐはしき香氣を發ち もろもろの佳き果物古き新らしき共にわが戸の上にあり わが愛する者よ我これをなんぢのためにたくはへたり 022 SOL 008 001 ねがはくは汝わが母の乳をのみしわが兄弟のごとくならんことを われ戸外にてなんぢに遇ふとき接吻せん 然するとも誰ありてわれをいやしむるものあらじ 022 SOL 008 002 われ汝をひきてわが母の家にいたり 汝より教晦をうけん 我かぐはしき酒 石榴のあまき汁をなんぢに飮しめん 022 SOL 008 003 かれが左の手はわが頭の下にあり その右の手をもて我を抱く 022 SOL 008 004 エルサレムの女子等よ 我なんぢ等に誓ひて請ふ 愛のおのづから起る時まで殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 008 005 おのれの愛する者に倚かかりて荒野より上りきたる者は誰ぞや 林檎の樹の下にてわれなんぢを喚さませり なんぢの母かしこにて汝のために劬勞をなし なんぢを産し者かしこにて劬勞をなしぬ 022 SOL 008 006 われを汝の心におきて印のごとくし なんぢの腕におきて印のごとくせよ 其の愛は強くして死のごとく 嫉妬は堅くして陰府にひとし その熖は火のほのほのごとし いともはげしき熖なり 022 SOL 008 007 愛は大水も消ことあたはず 洪水も溺らすことあたはず 人その家の一切の物をことごとく與へて愛に換んとするとも尚いやしめらるべし 022 SOL 008 008 われら小さき妹子あり 未だ乳房あらず われらの妹子の問聘をうくる日には之に何をなしてあたへんや 022 SOL 008 009 かれもし石垣ならんには我ら白銀の城をその上にたてん 彼もし戸ならんには香柏の板をもてこれを圍まん 022 SOL 008 010 われは石垣わが乳房は戍樓のごとし 是をもてわれは情をかうむれる者のごとく彼の目の前にありき バアルハモンにソロモンの葡萄園をもてり これをその守る者等にあづけおき 彼等をしておのおの銀一千をその果のために納めしむ 022 SOL 008 012 われ自らの有なる葡萄園われの手にあり ソロモンなんぢは一千を獲よ その果をまもる者も二百を獲べし 022 SOL 008 013 なんぢ園の中に住む者よ 伴侶等なんぢの聲に耳をかたむく 請ふ我にこれを聽しめよ 022 SOL 008 014 わが愛する者よ 請ふ急ぎはしれ 香はしき山々の上にありて獐のごとく 小鹿のごとくあれ # # BOOK 023 ISA Isaiah イザヤ書 023 ISA 001 001 アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤのときに示されたるユダとヱルサレムとに係る異象 023 ISA 001 002 天よきけ地よ耳をかたぶけよ ヱホバの語りたまふ言あり 曰く われ子をやしなひ育てしにかれらは我にそむけり 023 ISA 001 003 牛はその主をしり驢馬はそのあるじの廐をしる 然どイスラエルは識ず わが民はさとらず 023 ISA 001 004 ああ罪ををかせる國人よこしまを負ふたみ 惡をなす者のすゑ壞りそこなふ種族 かれらはヱホバをすてイスラエルの聖者をあなどり之をうとみて退きたり 023 ISA 001 005 なんぢら何ぞかさねがさね悖りて猶撻れんとするか その頭はやまざる所なくその心はつかれはてたり 023 ISA 001 006 足のうらより頭にいたるまで全きところなくただ創痍と打傷と腫物とのみなり 而してこれを合すものなく包むものなく亦あぶらにて軟らぐる者もなし 023 ISA 001 007 なんぢらの國はあれすたれなんぢらの諸邑は火にてやかれなんぢらの田畑はその前にて外人にのまれ既にあだし人にくつがへされて荒廢れたり 023 ISA 001 008 シオンの女はぶだうぞのの廬のごとく瓜田の假舎のごとくまた圍をうけたる城のごとく唯ひとり遺れり 023 ISA 001 009 萬軍のヱホバわれらに少しの遺をとどめ給ふことなくば我儕はソドムのごとく又ゴモラに同じかりしならん 023 ISA 001 010 なんぢらソドムの有司よヱホバの言をきけ なんぢらゴモラの民よわれらの神の律法に耳をかたぶけよ 023 ISA 001 011 ヱホバ言たまはくなんぢらが獻ぐるおほくの犠牲はわれに何の益あらんや我はをひつじの燔祭とこえたるけものの膏とにあけり われは牡牛あるひは小羊あるひは牡山羊の血をよろこばず 023 ISA 001 012 なんぢらは我に見えんとてきたる このことを誰がなんぢらに要めしや 徒らにわが庭をふむのみなり 023 ISA 001 013 むなしき祭物をふたたび携ふることなかれ 燻物はわがにくむところ 新月および安息日また會衆をよびあつむることも我がにくむところなり なんぢらは聖會に惡を兼ぬ われ容すにたへず 023 ISA 001 014 わが心はなんぢらの新月と節會とをきらふ 是わが重荷なりわれ負にうみたり 023 ISA 001 015 我なんぢらが手をのぶるとき目をおほひ 汝等がおほくの祈祷をなすときも聞ことをせじ なんぢらの手には血みちたり 023 ISA 001 016 なんぢら己をあらひ己をきょくしわが眼前よりその惡業をさり惡をおこなふことを止め 023 ISA 001 017 善をおこなふことをならひ 公平をもとめ虐げらるる者をたすけ 孤児に公平をおこなひ寡婦の訟をあげつらへ 023 ISA 001 018 ヱホバいひたまはく 率われらともに論らはん なんぢらの罪は緋のごとくなるも雪のごとく白くなり紅のごとく赤くとも羊の毛のごとくにならん 023 ISA 001 019 若なんぢら肯ひしたがはば地の美産をくらふことを得べし 023 ISA 001 020 もし汝等こばみそむかば劍にのまるべし 此はヱホバその御口よりかたりたまヘるなり 023 ISA 001 021 忠信なりし邑いかにして妓女とはなれる 昔しは公平にてみち正義その中にやどりしに今は人をころす者ばかりとなりぬ 023 ISA 001 022 なんぢの白銀は滓となり なんぢ葡萄酒は水をまじへ 023 ISA 001 023 なんぢの長輩はそむきて盗人の伴侶となり おのおの賄賂をよろこび贈財をおひもとめ 孤児に公平をおこなはず寡婦の訟はかれらの前にいづるとと能はず 023 ISA 001 024 このゆゑに主萬軍のヱホバ、イスラエルの全能者のたまはく 唆われ敵にむかひて念をはらし仇にむかひて報をすべし 023 ISA 001 025 我また手をなんぢの上にそへ なんぢの滓をことごとく淨くし なんぢの鉛をすべて取去り 023 ISA 001 026 なんぢの審士を舊のごとく なんぢの議官を始のごとくに復すべし 然るのちなんぢは正義の邑忠信の邑ととなへられん 023 ISA 001 027 シオンは公平をもてあがなはれ 歸來るものも正義をもて贖はるべし 023 ISA 001 028 されど愆ををかすものと罪人とはともに敗れ ヱホバをすつる者もまた亡びうせん 023 ISA 001 029 なんぢらはその喜びたる橿樹によりて恥をいだき そのえらびたる園によりて慙赧むべし 023 ISA 001 030 なんぢらは葉のかるる橿樹のごとく水なき園のごとくならん 023 ISA 001 031 權勢あるものは麻のごとくその工は火花のごとく 二つのもの一同もえてこれを撲滅すものなし 023 ISA 002 001 アモツの子イザヤが示されたるユダとヱルサレムとにかかる言 023 ISA 002 002 すゑの日にヱホバの家の山はもろもろの山のいただきに堅立ち もろもろの嶺よりもたかく擧り すべての國は流のごとく之につかん 023 ISA 002 003 おほくの民ゆきて相語いはん 率われらヱホバの山にのぼりヤコブの神の家にゆかん神われらにその道ををしヘ給はん われらその路をあゆむべしと そは律法はシオンよりいでヱホバの言はヱルサレムより出べければなり 023 ISA 002 004 ヱホバはもろもろの國のあひだを鞫き おほくの民をせめたまはん 斯てかれらはその劒をうちかへて鋤となし その鎗をうちかへて鎌となし 國は國にむかひて劒をあげず戰鬪のことを再びまなばざるべし 023 ISA 002 005 ヤコブの家よきたれ 我儕ヱホバの光にあゆまん 023 ISA 002 006 主よなんぢはその民ヤコブの家をすてたまへり 此はかれらのなかに東のかたの風俗みち 皆ぺリシテ人のごとく陰陽師となり 異邦人のともがらと手をうちて盟をたてしが故なり 023 ISA 002 007 かれらの國には黄金白銀みちて財寶の數かぎりなし かれらの國には馬みちて戰車のかず限りなし 023 ISA 002 008 かれらの國には偶像みち皆おのが手の工その指のつくれる者ををがめり 023 ISA 002 009 賤しきものは屈められ尊きものは卑せらる かれらを容したまふなかれ 023 ISA 002 010 なんぢ岩間にいりまた土にかくれてヱホバの畏るべき容貌とその稜威の光輝とをさくべし 023 ISA 002 011 この日には目をあげて高ぶるもの卑せられ 驕る人かがめられ唯ヱホバのみ高くあげられ給はん 023 ISA 002 012 そは萬軍のヱホバの一の日あり すべて高ぶる者おごる者みづからを崇るものの上にのぞみて之をひくくし 023 ISA 002 013 またレバノンのたかく聳たるすべての香柏バシャンのすべての橿樹 023 ISA 002 014 もろもろの高山もろもろの聳えたる嶺 023 ISA 002 015 すべてのたかき櫓すべての堅固なる石垣 023 ISA 002 016 およびタルシシのすべての舟すべての慕ふべき美はしきものに臨むべし 023 ISA 002 017 この日には高ぶる者はかがめられ 驕る人はひくくせられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん 023 ISA 002 018 かくて偶像はことごとく亡びうすべし 023 ISA 002 019 ヱホバたちて地を震動したまふとき人々そのおそるべき容貌とその稜威の光輝とをさけて巌の洞と地の穴とにいらん 023 ISA 002 020 その日人々おのが拝せんとて造れる白銀ぐうざうと黄金のぐうざうとを鼹鼠のあな蝙蝠の穴になげすて 023 ISA 002 021 岩々の隙けはしき山峽にいりヱホバの起て地をふるひうごかしたまふその畏るべき容貌と稜威のかがやきとを避ん 023 ISA 002 022 なんぢら鼻より息のいでいりする人に倚ることをやめよ斯るものは何ぞかぞふるに足らん 023 ISA 003 001 みよ主ばんぐんのヱホバ、ヱルサレムおよびユダの頼むところ倚ところなる凡てその頼むところの糧すべてその頼むところの水 023 ISA 003 002 勇士 戰士 審士 預言者 卜筮者 長老 023 ISA 003 003 五十人の首 貴顯者 議官 藝に長たる者および言語たくみなるものを除去りたまはん 023 ISA 003 004 われ童子をもてかれらの君とし 嬰兒にかれらを治めしめん 023 ISA 003 005 民たがひに相虐げ 人おのおのその隣をしヘたげ 童子は老たる者にむかひて高ぶり 賤しきものは貴きものに對ひてたかぶらん 023 ISA 003 006 そのとき人ちちの家にて兄弟にすがりていはん 汝なほ衣ありわれらの有司となりてこの荒敗をその手にてをさめよと 023 ISA 003 007 その日かれ聲をあげていはん 我なんぢらを愈すものとなるを得じ わが家に糧なくまた衣なし 我をたてて民の有司とすることなかれと 023 ISA 003 008 是かれらの舌と行爲とはみなヱホバにそむきてその榮光の目ををかししが故に ヱルサレムは敗れユダは仆れたればなり 023 ISA 003 009 かれらの面色はその惡きことの證をなし ソドムのごとくその罪をあらはして隱すことをせざるなり かれらの靈魂はわざはひなるかな自らその惡の報をとれり 023 ISA 003 010 なんぢら義人にいへ かならず福祉をうけんと 彼等はそのおこなひの實をくらふべければなり 023 ISA 003 011 惡者はわざはひなる哉かならず災禍をうけん その手の報きたるべければなり 023 ISA 003 012 わが民はをさなごに虐げられ婦女にをさめらる 唉わが民よなんぢを導くものは反てなんぢを迷はせ汝のゆくべき途を絶つ 023 ISA 003 013 ヱホバ立いでて公理をのべ起てもろもろの民を審判し給ふ 023 ISA 003 014 ヱホバ來りておのが民の長老ともろもろの君とをさばきて言給はん なんぢらは葡萄園をくひあらせり貧きものより掠めとりたる物はなんぢらの家にあり 023 ISA 003 015 いかなれば汝等わが民をふみにじり貧きものの面をすりくだくやと これ主萬軍のヱホバのみことばなり 023 ISA 003 016 ヱホバまた言給はくシォンの女輩はおごり項をのばしてあるき眼にて媚をおくり徐々としてあゆみゆくその足にはりんりんと音あり 023 ISA 003 017 このゆゑに主シオンのむすめらの頭をかぶろにしヱホバ彼らの醜所をあらはし給はん 023 ISA 003 018 その日主かれらが足にかざれる美はしき釧をとり 瓔珞 半月飾 023 ISA 003 019 耳環 手釧 面帕 023 ISA 003 020 華冠 脛飾 紳 香盒 符嚢 023 ISA 003 021 指環 鼻環 023 ISA 003 022 公服 上衣 外帔 金嚢 023 ISA 003 023 鏡 細布の衣 首帕 被衣などを取除きたまはん 023 ISA 003 024 而して馨はしき香はかはりて臭穣となり 紳はかはりて繩となり 美はしく編たる髪はかぶろとなり華かなる衣はかはりて麁布のころもとなり 麗顔はかはりて烙鐵せられたる痕とならん 023 ISA 003 025 なんぢの男はつるぎにたふれ なんぢの勇士はたたかひに仆るべし 023 ISA 003 026 その門はなげきかなしみシオンは荒廢れて地にすわらん 023 ISA 004 001 その日七人のをんな一人の男にすがりていはん 我儕おのれの糧をくらひ己のころもを着るべし ただ我儕になんぢの名をとなふることを許してわれらの恥をとりのぞけと 023 ISA 004 002 その日ヱホバの枝はさかえて輝かん 地よりなりいづるものの實はすぐれ並うるはしくして逃れのこれるイスラエルの益となるべし 023 ISA 004 003 而してシオンに遣れるもの ヱルサレムにとどまれる者 すべて此等のヱルサレムに存ふる者のなかに録されたるものは聖ととなへられん 023 ISA 004 004 そは主さばきするみたまと焼つくす靈とをもてシオンのむすめらの汚をあらひ ヱルサレムの血をその中よりのぞきたまふ期きたるべければなり 023 ISA 004 005 爰にヱホバはシォンの山のすべての住所ともろもろの聚會とのうへに 晝は雲と煙とをつくり夜はほのほの光をつくり給はん あまねく榮のうへに覆庇あるべし 023 ISA 004 006 また一つの假廬ありて晝はあつさをふせぐ陰となり暴風と雨とをさけてかくるる所となるべし 023 ISA 005 001 われわが愛する者のために歌をつくり 我があいするものの葡萄園のことをうたはん わが愛するものは土肥たる山にひとつの葡萄園をもてり 023 ISA 005 002 彼その園をすきかへし石をのぞきて嘉ぶだうをうゑ そのなかに望樓をたて酒榨をほりて嘉葡萄のむすぶを望みまてり 然るに結びたるものは野葡萄なりき 023 ISA 005 003 さればヱルサレムに住るものとユダの人よ 請なんぢら我とわがぶだうぞのとの間をさばけ 023 ISA 005 004 わが葡萄園にわれの作たるほか何のなすべき事ありや 我はよきぶだうの結ぶをのぞみまちしに 何なれば野葡萄をむすびしや 023 ISA 005 005 然ばわれわが葡萄園になさんとすることを汝等につげん 我はぶだうぞのの籬芭をとりさりてその食あらさるるにまかせ その垣をこぼちてその踐あらさるるにまかせん 023 ISA 005 006 我これを荒してふたたび剪ことをせず耕すことをせず棘と荊とをはえいでしめん また雲に命せてそのうヘに雨ふることなからしめん 023 ISA 005 007 それ萬軍のヱホバの葡萄園はイスラエルの家なり その喜びたまふところの植物はユダの人なり これに公平をのぞみたまひしに反りて血をながし これに正義をのぞみ給ひしにかへりて號呼あり 023 ISA 005 008 禍ひなるかな彼らは家に家をたてつらね田圃に田圃をましくはへて餘地をあまさず己ひとり國のうちに住んとす 023 ISA 005 009 萬軍のヱホバ我耳につげて宣はく 實におほくの家はあれすたれ大にして美しき家は人のすむことなきにいたらん 023 ISA 005 010 十段のぶだうぞの僅かに一バテをみのり一ホメルの穀種はわづかに一エパを實るべし 023 ISA 005 011 禍ひなるかなかれらは朝つとにおきて濃酒をおひもとめ 夜のふくるまで止まりてのみ 酒にその身をやかるるなり 023 ISA 005 012 かれらの酒宴には琴あり瑟あり鼓あり笛あり葡萄酒あり されどヱホバの作爲をかへりみずその手のなしたまふところに目をとめず 023 ISA 005 013 斯るが故にわが民は無知にして虜にせられ その貴顯者はうゑ そのもろもろの民は渇によりて疲れはてん 023 ISA 005 014 また陰府はその欲望をひろくしその度られざる口をはる かれらの榮華かれらの群衆かれらの饒富および喜びたのしめる入みなその中におつべし 023 ISA 005 015 賤しき者はかがめられ 貴きものは卑くせられ 目をあげて高ぶる者はひくくせらるべし 023 ISA 005 016 されど萬軍のヱホバは公平によりてあがめられ 聖なる神は正義によりて聖とせられ給ふべし 023 ISA 005 017 而して小羊おのが牧場にあるごとくに草をはみ 豐かなるものの田はあれて旅客にくらはれん 023 ISA 005 018 禍ひなるかな彼等はいつはりを繩となして惡をひき 索にて車をひくごとく罪をひけり 023 ISA 005 019 かれらは云 その成んとする事をいそぎて速かになせ 我儕これを見ん イスラエルの聖者のさだむることを逼來らせよ われらこれを知んと 023 ISA 005 020 禍ひなるかな かれらは惡をよびて善とし善をよびて惡とし暗をもて光とし光をもて暗とし苦をもて甘とし甘をもて苦とする者なり 023 ISA 005 021 わざはひなる哉 かれらは己をみて智しとし自らかへりみて聰とする者なり 023 ISA 005 022 禍ひなるかな かれらは葡萄酒をのむに丈夫なり 濃酒を和するに勇者なり 023 ISA 005 023 かれらは賄賂によりて惡きものを義となし義人よりその義をうばふ 023 ISA 005 024 此によりて火舌の刈株をくらふがごとくまた枯草の火焔のなかにおつるがごとくその根はくちはてその花は塵のごとくに飛さらん かれらは萬軍のヱホバの律法をすててイスラエルの聖者のことばを蔑したればなり 023 ISA 005 025 この故にヱホバその民にむかひて怒をはなち手をのべてかれらを撃たまヘり 山はふるひうごきかれらの屍は衢のなかにて糞土のごとくなれり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手を伸したまふ 023 ISA 005 026 かくて旗をたててとほき國々をまねき彼等をよびて地の極より來らしめたまはん 視よかれら趨りて速かにきたるべし 023 ISA 005 027 その中には疲れたふるるものなく眠りまたは寢るものなし その腰の帯はとけずその履の紐はきれず 023 ISA 005 028 その矢は鋭その弓はことごとく張りその馬のひづめは石のごとくその車の輪は疾風のごとしと稱へられん 023 ISA 005 029 その嘷ること獅のごとく また小獅のごとく嘷うなりつつ獲物をつかみて掠去れども之をすくふ者なし 023 ISA 005 030 その日かれらが嘯響めくこと海のなりどよめくがごとしもし地をのぞまば暗と難とありて光は黒雲のなかにくらくなりたるを見ん 023 ISA 006 001 ウジヤ王のしにたる年われ高くあがれる御座にヱホバの坐し給ふを見しにその衣裾は殿にみちたり 023 ISA 006 002 セラピムその上にたつ おのおの六の翼ありその二をもて面をおほひその二をもて足をおほひ其二をもて飛翔り 023 ISA 006 003 たがひに呼いひけるは聖なるかな聖なるかな聖なるかな萬軍のヱホバその榮光は全地にみつ 023 ISA 006 004 斯よばはる者の聲によりて閾のもとゐ揺うごき家のうちに煙みちたり 023 ISA 006 005 このとき我いへり禍ひなるかな我ほろびなん我はけがれたる唇の民のなかにすみて穢たるくちびるの者なるにわが眼ばんぐんのヱホバにまします王を見まつればなりと 023 ISA 006 006 爰にかのセラピムのひとり鉗をもて壇の上よりとりたる熱炭を手にたづさへて我にとびきたり 023 ISA 006 007 わが口に觸ていひけるは視よこの火なんぢの唇にふれたれば既になんぢの惡はのぞかれなんぢの罪はきよめられたりと 023 ISA 006 008 我またヱホバの聲をきく曰くわれ誰をつかはさん誰かわれらのために往べきかとそのとき我いひけるはわれ此にあり我をつかはしたまヘ 023 ISA 006 009 ヱホバいひたまはく往てこの民にかくのごとく告よなんぢら聞てきけよ然どさとらざるべし見てみよ然どしらざるべしと 023 ISA 006 010 なんぢこの民のこころを鈍くしその耳をものうくしその眼をおほヘ 恐らくは彼らその眼にて見その耳にてききその心にてさとり翻ヘりて醫さるることあらん 023 ISA 006 011 ここに我いひけるは主よいつまで如此あらんか 主こたヘたまはく邑はあれすたれて住むものなく家に人なく邦ことごとく荒土となり 023 ISA 006 012 人々ヱホバに遠方までうつされ廢りたるところ國中におほくならん時まで如此あるべし 023 ISA 006 013 そのなかに十分の一のこる者あれども此もまた呑つくされん されど聖裔のこりてこの地の根となるべし彼のテレビントまたは橿樹がきらるることありともその根ののこるがごとし 023 ISA 007 001 ウジャの子ヨタムその子ユダヤ王アハズのときアラムの王レヂンとレマリヤの子イスラエル王ペカと上りきたりてヱルサレムを攻しがつひに勝ことあたはざりき 023 ISA 007 002 ここにアラムとエフライムと結合なりたりとダビデの家につぐる者ありければ王のこころと民の心とは林木の風にうごかさるるが如くに動けり 023 ISA 007 003 その時ヱホバ、イザヤに言たまひけるは今なんぢと汝の子シヤルヤシユブと共にいでて布をさらす野の大路のかたはらなる上池の樋口にゆきてアハズを迎へ 023 ISA 007 004 これに告べしなんぢ謹みて静かなれ アラムのレヂン及びレマリャの子はげしく怒るとも二の燼餘りたる煙れる片柴のごとし懼るるなかれ心をよわくするなかれ 023 ISA 007 005 アラム、エフライム及びレマリヤの子なんぢにむかひて惡き謀ごとを企てていふ 023 ISA 007 006 われらユダに攻上りて之をおびやかし我儕のためにこれを破りとりタビエルの子をその中にたてて王とせんと 023 ISA 007 007 されど主ヱホバいひたまはくこの事おこなはれずまた成ことなし 023 ISA 007 008 アラムの首はダマスコ、ダマスコの首はレヂンなり エフライムは六十五年のうちに敗れて國をなさざるべし 023 ISA 007 009 またエフライムの首はサマリヤ、サマリヤの首はレマリヤの子なり 若なんぢら信ぜずばかならず立ことを得じと 023 ISA 007 010 ヱホバ再びアハズに告ていひたまはく 023 ISA 007 011 なんぢの神ヱホバに一の豫兆をもとめよ或はふかき處あるひは上のたかき處にもとめよ 023 ISA 007 012 アハズいひけるは我これを求めじ 我はヱホバを試むることをせざるべし 023 ISA 007 013 イザヤいひけるはダビデのいへよ請なんぢら聞 なんぢら人をわづらはしこれを小事として亦わが神をも煩はさんとするか 023 ISA 007 014 この故に主みづから一の豫兆をなんぢらに賜ふべし 視よをとめ孕みて子をうまんその名をインマヌエルと稱ふべし 023 ISA 007 015 かれ惡をすて善をえらぶことを知 ころほひにいたりて乳酥と蜂蜜とをくらはん 023 ISA 007 016 そはこの子いまだ惡をすて善をえらぶことを知ざるさきになんぢが忌きらふ兩の王の地はすてらるべし 023 ISA 007 017 ヱホバはエフライムがユダを離れし時よりこのかた臨みしことなき日を汝となんぢの民となんぢの父の家とにのぞませ給はん是アツスリヤの王なり 023 ISA 007 018 其日ヱホバ、エジプトなる河々のほとりの蠅をまねきアツスリヤの地の蜂をよびたまはん 023 ISA 007 019 皆きたりて荒たるたに岩穴すべての荊棘すべての牧場のうヘに止まるべし 023 ISA 007 020 その日主はかはの外ふより雇へるアツスリヤの王を剃刀として首と足の毛とを剃たまはんまた髯をも除きたまふべし 023 ISA 007 021 その日人わかき牝犢ひとつと羊ふたつとを飼をらん 023 ISA 007 022 その出すところの乳おほきによりて乳酥をくらふことを得んすべて國のうちに遺れるものは乳酥と蜂蜜とをくらふべし 023 ISA 007 023 その日千株に銀一千の價をえたる葡萄ありし處もことごとく荊と棘はえいづべし 023 ISA 007 024 荊とおどろと地にあまねきがゆゑに人々矢と弓とをもて彼處にゆくなり 023 ISA 007 025 鋤をもて掘たがへしたる山々もいばらと棘のために人おそれてその中にゆくことを得じ その地はただ牛をはなち羊にふましむる處とならん 023 ISA 008 001 ヱホバ我にいひたまひけるは一の大なる牌をとりそのうへに平常の文字にてマヘル シャラル ハシ バズと録せ 023 ISA 008 002 われ信實の證者なる祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤをもてその證をなさしむ 023 ISA 008 003 われ預言者の妻にちかづきしとき彼はらみて子をうみければ ヱホバ我にいひたまはく その名をマヘル シャラル ハシ バズと稱へよ 023 ISA 008 004 そはこの子いまだ我が父わが母とよぶことを知らざるうちにダマスコの富とサマリヤの財寳はうばはれてアツスリヤ王のまへに到るべければなり 023 ISA 008 005 ヱホバまた重て我につげたまへり云く 023 ISA 008 006 この民はゆるやかに流るるシロアの水をすててレヂンとレマリヤの子とをよろこぶ 023 ISA 008 007 此によりて主はいきほひ猛くみなぎりわたる大河の水をかれらのうヘに堰入たまはん 是はアツスリヤ王とそのもろもろの威勢とにして 百の支流にはびこりもろもろの岸をこえ 023 ISA 008 008 ユダにながれいり溢れひろごりてその項にまで及ばん インマヌエルよそののぶる翼はあまねくなんぢの地にみちわたらん 023 ISA 008 009 もろもろの民よさばめき騒げなんぢら摧かるべし 遠きくにぐにの者よきけ腰におびせよ汝等くだかるべし 腰に帯せよなんぢら摧かるべし 023 ISA 008 010 なんぢら互にはかれつひに徒勞ならん なんぢら言をいだせ遂におこなはれじ そは神われらとともに在せばなり 023 ISA 008 011 ヱホバつよき手をもて此如われに示しこの民の路にあゆまざらんことを我にさとして言給はく 023 ISA 008 012 此民のすべて叛逆ととなふるところの者をなんぢら叛逆ととなふるなかれ 彼等のおそるるところを汝等おそるるなかれ慴くなかれ 023 ISA 008 013 なんぢらはただ萬軍のヱホバを聖としてこれを畏みこれを恐るべし 023 ISA 008 014 然らばヱホバはきよき避所となりたまはん 然どイスラエルの兩の家には躓く石となり妨ぐる磐とならん ヱルサレムの民には網罟となり機濫とならん 023 ISA 008 015 おほくの人々これによりて蹶きかつ仆れやぶれ網せられまた捕へらるべし 023 ISA 008 016 證詞をつかね律法をわが弟子のうちに封べし 023 ISA 008 017 いま面をおほひてヤコブの家をかへりみ給はずといヘども我そのヱホバを待そのヱホバを望みまつらん 023 ISA 008 018 視よわれとヱホバが我にたまひたる子輩とはイスラエルのうちの豫兆なり奇しき標なり此はシオンの山にいます萬軍のヱホバの與へたまふ所なり 023 ISA 008 019 もし人なんぢらにつげて巫女および魔術者のさえづるがごとく細語がごとき者にもとめよといはば民はおのれの神にもとむべきにあらずやいかで活者のために死者にもとむることを爲んといへ 023 ISA 008 020 ただ律法と證詞とを求むべし彼等のいふところ此言にかなはずば晨光あらじ 023 ISA 008 021 かれら國をヘあるきて苦みうゑん その飢るとき怒をはなち己が王おのが神をさして誼ひかつその面をうへに向ん 023 ISA 008 022 また地をみれば艱難と幽暗とくるしみの闇とあり かれらは昏黒におひやられん 023 ISA 009 001 今くるしみを受れども後には闇なかるべし 昔しはゼブルンの地ナフタリの地をあなどられしめ給ひしかど後には海にそひたる地ヨルダンの外の地ことくに人のガリラヤに榮をうけしめ給へり 023 ISA 009 002 幽暗をあゆめる民は大なる光をみ死蔭の地にすめる者のうへに光てらせり 023 ISA 009 003 なんぢ民をましその歡喜を大にしたまひければかれらは收穫時によろこぶがごとく掠物をわかつときに樂むがごとく汝の前によろこべり 023 ISA 009 004 そは汝かれらがおへる軌とその肩の笞と虐ぐるものの杖とを折りこれを折りてミデアンの日のごとくなし給ひたればなり 023 ISA 009 005 すべて亂れたたかふ兵士のよろひと血にまみれたる衣とはみな火のもえくさとなりて焚るべし 023 ISA 009 006 ひとりの嬰兒われらのために生れたり我儕はひとりの子をあたヘられたり政事はその肩にありその名は奇妙また議士また大能の神とこしへのちち平和の君ととなヘられん 023 ISA 009 007 その政事と平和とはましくははりて窮りなし且ダビデの位にすわりてその國ををさめ今よりのちとこしへに公平と正義とをもてとれを立これを保ちたまはん 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし 023 ISA 009 008 主一言をヤコブにおくり之をイスラエルの上にのぞませ給へり 023 ISA 009 009 すべてのこの民エフライムとサマリヤに居るものとは知ならん かれらは高ぶり誇る心をもていふ 023 ISA 009 010 瓦くづるるともわれら研石をもて建 くはの木きらるるともわれら香柏をもて之にかヘんと 023 ISA 009 011 この故にヱホバ、レヂンの敵をあげもちゐてイスラエルを攻しめその仇をたけび勇しめたまはん 023 ISA 009 012 前にアラム人あり後にペシリテ人あり口をはりてイスラエルを呑んとす 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 009 013 然どこの民はおのれをうつものに歸らず萬軍のヱホバを求めず 023 ISA 009 014 斯るゆゑにヱホバ一日のうちに首と尾と椶櫚のえだと葦とをイスラエルより斷切たまはん 023 ISA 009 015 その首とは老たるもの尊きものその尾とは謊言をのぶる預言者をいふなり 023 ISA 009 016 この民をみちびく者はこれを迷はせその引導をうくる者はほろぶるなり 023 ISA 009 017 このゆゑに主はその少壯者をよろこびたまはずその孤兒と寡婦とを憐みたまはざるべし 是その民はことごとく邪まなり惡をおこなふ者なり おのおのの口は愚かなる言をかたればなり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 009 018 惡は火のごとくもえ棘と荊とを食つくし茂りあふ林をやくべければみな煙となりむらがりて上騰らん 023 ISA 009 019 萬軍のヱホバの怒によりて地はくろく焼 その民は火のもえくさとなり人々たがひに相憐むことなし 023 ISA 009 020 人みぎに攫めどもなほ飢ひだりに食へども尚あかず おのおのその腕の肉をくらふべし 023 ISA 009 021 マナセはエフライムをエフライムはマナセをくらひ又かれら相合てユダをを攻めん 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 010 001 不義のおきてをさだめ暴虐のことばを録すものは禍ひなるかな 023 ISA 010 002 かれらは乏きものの訴をうけず わが民のなかの貧しきものの權利をはぎ寡婦の資産をうばひ孤兒のものを掠む 023 ISA 010 003 なんぢら懲しめらるる日きたらば何をなさんとするか 敗壞とほきより來らんとき何をなさんとするか なんぢら逃れゆきて誰にすくひを求めんとするか また何處になんぢらの榮をのこさんとするか 023 ISA 010 004 ただ縛められたるものの下にかがみ 殺されたるもののしたに伏仆れんのみ 然はあれどヱホバのいかり止ずして尚ほその手をのばしたまふ 023 ISA 010 005 咄アツスリヤ人なんぢはわが怒の杖なり その手の苔はわが忿恚なり 023 ISA 010 006 われ彼をつかはして邪曲なる國をせめ我かれに命じて我がいかれる民をせめてその所有をかすめその財寶をうばはしめかれらを街の泥のごとくに蹂躪らしめん 023 ISA 010 007 されどアツスリヤ人のこころざしは斯のごとくならずその心の念もまた斯のごとくならずそのこころは敗壞をこのみあまたの國をほろぼし絶ん 023 ISA 010 008 かれ云わが諸侯はみな王にあらずや 023 ISA 010 009 カルノはカルケミシの如くハマテはアルパデの如くサマリヤはダマスコの如きにあらずや 023 ISA 010 010 わが手は偶像につかふる國々を得たり その彫たる像はヱルサレムおよびサマリヤのものに勝れたり 023 ISA 010 011 われ既にサマリヤとその偶像とに行へるごとく亦ヱルサレムとその偶像とにおこなはざる可んやと 023 ISA 010 012 このゆゑに主いひたまふ我シォンの山とヱルサレムとに爲んとする事をことごとく遂をはらんとき我アツスリヤ王のおごれる心の實とその高ぶり仰ぎたる眼とを罰すべし 023 ISA 010 013 そは彼いヘらくわれ手の力と智慧とによりて之をなせり我はかしこし國々の境をのぞきその獲たるものをうばひ又われは丈夫にしてかの位に坐するものを下したり 023 ISA 010 014 わが手もろもろの民のたからを得たりしは巣をとるが如くまた天が下を取收めたりしは遺しすてたる卵をとりあつむるが如くなりき あるひは翼をうごかしあるひは口をひらきあるひは喃々する者もなかりしなりと 023 ISA 010 015 斧はこれをもちゐて伐ものにむかひて己みづから誇ることをせんや鋸はこれを動かす者にむかひて己みづから高ぶることをせんや此はあだかも笞がおのれを擧るものを動かし杖みづから木にあらざるものを擧んとするにひとし 023 ISA 010 016 このゆゑに主萬軍のヱホバは肥たるものを瘠しめ且その榮光のしたに火のもゆるが如き火焰をおこし給はん 023 ISA 010 017 イスラエルの光は火のごとくその聖者はほのほの如くならん斯て一日のうちに荊とおどろとを焼ほろぼし 023 ISA 010 018 又かの林と土肥たる田圃の榮をうせしめ靈魂をも身をもうせしめて病るものの衰へたるが如くなさん 023 ISA 010 019 かつ林のうちに殘れる木わづかにして童子も算へうるが如くになるべし 023 ISA 010 020 その日イスラエルの遺れる者とヤコブの家ののがれたる者とは再びおのれを撃し者にたよらず誠意をもてイスラエルの聖者ヱホバにたよらん 023 ISA 010 021 その遺れるものヤコブの遣れるものは大能の神にかヘるべし 023 ISA 010 022 ああイスラエルよなんぢの民は海の沙のごとしといへども遺りて歸りきたる者はただ僅少ならんそは敗壞すでにさだまり義にて溢るべければなり 023 ISA 010 023 主萬軍のヱホバの定めたまヘる敗壞はこれを徧く國内におこなひ給ふべし 023 ISA 010 024 このゆゑに主萬軍のヱホバいひたまはくシオンに住るわが民よアツスリヤ人エジプトの例にならひ苔をもて汝をうち杖をあげて汝をせむるとも懼るるなかれ 023 ISA 010 025 ただ頃刻にして忿恚はやまん我がいかりは彼等をほろぼして息ん 023 ISA 010 026 萬軍のヱホバむかしミデアン人をオレブの巖のあたりにて撃たまひしごとくに禍害をおこして之をせめ又その杖を海のうへに伸しエジプトの例にしたがひてこれを擧たまはん 023 ISA 010 027 その日かれの重荷はなんぢの肩より下かれの軌はなんぢの頸よりはなれその軛はあぶらの故をもて壞れん 023 ISA 010 028 かれアイにきたりミグロンを過ミクマシにてその輜重をとどめ 023 ISA 010 029 渡口をすぎてゲバに宿るここに於てラマはをののきサウルギべア人は逃れはしれり 023 ISA 010 030 ガリムの女よなんぢ聲をあげて叫べライシよ耳をかたぶけて聽けアナトテよなんぢも聲をあげよ 023 ISA 010 031 マデメナはさすらひゲビムの民はのがれ走れり 023 ISA 010 032 この日かれノブに立とどまりシオンのむすめの山ヱルサレムの岡にむかひて手をふりたり 023 ISA 010 033 主ばんぐんのヱホバは雄々しくたけびてその枝を斷たまはん丈高きものは伐おとされ聳えたる者はひくくせらるべし 023 ISA 010 034 また銕をもて茂りあふ林をきり給はんレバノンは能力あるものに倒さるべし 023 ISA 011 001 ヱツサイの株より一つの芽いでその根より一つの枝はえて實をむすばん 023 ISA 011 002 その上にヱホバの靈とどまらんこれ智慧聰明の靈謀略才能の靈知識の靈ヱホバをおそるるの靈なり 023 ISA 011 003 かれはヱホバを畏るるをもて歡樂としまた目みるところによりて審判をなさず耳きくところによりて断定をなさず 023 ISA 011 004 正義をもて貧しき者をさばき公平をもて國のうちの卑しき者のために斷定をなしその口の杖をもて國をうちその口唇の氣息をもて惡人をころすべし 023 ISA 011 005 正義はその腰の帯となり忠信はその身のおびとならん 023 ISA 011 006 おほかみは小羊とともにやどり豹は小山羊とともにふし犢をじし肥たる家畜ともに居てちひさき童子にみちびかれ 023 ISA 011 007 牝牛と熊とはくひものを同にし熊の子と牛の子とともにふし獅はうしのごとく藁をくらひ 023 ISA 011 008 乳兒は毒蛇のほらにたはふれ乳ばなれの兒は手をまむしの穴にいれん 023 ISA 011 009 斯てわが聖山のいづこにても害ふことなく傷ることなからんそは水の海をおほへるごとくヱホバをしるの知識地にみつべければなり 023 ISA 011 010 その日ヱツサイの根たちてもろもろの民の旂となりもろもろの邦人はこれに服ひきたり榮光はそのとどまる所にあらん 023 ISA 011 011 その日主はまたふたたび手をのべてその民ののこれる僅かのものをアツスリヤ、エジプト、パテロス、エテオピア、エラム、シナル、ハマテおよび海のしまじまより贖ひたまふべし 023 ISA 011 012 ヱホバは國々の爲に旂をたててイスラエルの逐やられたる者をあつめ地の四極よりユダの散失たるものを集へたまはん 023 ISA 011 013 またエフライムの猜はうせユダを惱ますものは斷れエフライムはユダをそねまずユダはエフライムを惱ますことなかるべし 023 ISA 011 014 かれらは西なるペリシテ人の境にとびゆき相共にひがしの子輩をかすめその手をエドムおよびモアブにのべアンモンの子孫をおのれに服はしめん 023 ISA 011 015 ヱホバ、エジプトの海汊をからし河のうへに手をふりて熱風をふかせその河をうちて七の小流となし履をはきて渉らしめたまはん 023 ISA 011 016 斯てその民ののこれる僅かのものの爲にアツスリヤより來るべき叫つの大路あり昔しイスラエルがエジプトの地よりいでし時のごとくなるべし 023 ISA 012 001 その日なんぢ言んヱホバよ我なんぢに感謝すべし汝さきに我をいかり給ひしかどその怒はやみて我をなぐさめたまへり 023 ISA 012 002 視よ神はわが救なりわれ依頼ておそるるところなし主ヱホバはわが力わが歌なりエホバは亦わが救となりたまへりと 023 ISA 012 003 此故になんぢら欣喜をもて救の井より水をくむべし 023 ISA 012 004 その日なんぢらいはんヱホバに感謝せよその名をよべその行爲をもろもろの民の中につたヘよその名のあがむべきことを語りつげよと 023 ISA 012 005 ヱホバを頌うたヘそのみわざは高くすぐれたればなりこれを全地につたヘよ 023 ISA 012 006 シオンに住るものよ聲をあげてよばはれイスラエルの聖者はなんぢの中にて大なればなり 023 ISA 013 001 アモツの子イザヤが示されたるバビロンにかかる重負の預言 023 ISA 013 002 なんぢらかぶろの山に旂をたて聲をあげ手をふり彼等をまねきて貴族の門にいらしめよ 023 ISA 013 003 われ既にきよめ別ちたるものに命じわが丈夫ほこりかにいさめる者をよびてわが怒をもらさしむ 023 ISA 013 004 山におほくの人の聲きこゆ大なる民あるがごとし もろもろの國民のよりつどひて喧めく聲きこゆ これ萬軍のヱホバたたかひの軍兵を召したまふなり 023 ISA 013 005 かれらはとほき國より天の極よりきたる これヱホバとその忿恚をもらす器とともに全國をほろぼさんとて來るなり 023 ISA 013 006 なんぢら泣號ぶべしヱホバの日ちかづき全能者よりいづる敗亡きたるべければなり 023 ISA 013 007 この故にすべての手はたれ凡の人のこころは消ゆかん 023 ISA 013 008 かれら慴きおそれ艱難と憂とにせまられ子をうまんとする婦のごとく苦しみ互におどろき相みあひてその面は燄のごとくならん 023 ISA 013 009 視よヱホバの日苛くして忿恚とはげしき怒とをもて來り この國をあらしその中よりつみびとを絶滅さん 023 ISA 013 010 天のもろもろの星とほしの宿は光をはなたず 日はいでてくらく月はその光をかがやかさざるべし 023 ISA 013 011 われ惡ことのために世をつみし不義のために惡きものをばつし驕れるものの誇をとどめ暴ぶるものの傲慢をひくくせん 023 ISA 013 012 われ人をして精金よりもすくなくオフルの黄金よりも少なからしめん 023 ISA 013 013 かくて亦われ萬軍のヱホバの忿恚のとき烈しき怒りの日に天をふるはせ地をうごかしてその處をうしなはしむべし 023 ISA 013 014 かれらは逐るる鹿のごとく集むるものなき羊のごとくなりて各自おのれの民にかへりおのれの國にのがれゆかん 023 ISA 013 015 すべて其處にあるもの見出さるれば刺れ拘留らるるものは劍にたふされ 023 ISA 013 016 彼等の嬰兒はその目前にてなげくだかれその家財はかすめうばはれその妻はけがさるべし 023 ISA 013 017 視よわれ白銀をもかへりみず黄金をもよろこばざるメデア人をおこして之にむかはしめん 023 ISA 013 018 かれらは弓をもて若きものを射くだき腹の實をあはれむことなく小子をみてをしむことなし 023 ISA 013 019 すべての國の中にてうるはしくカルデヤ人がほこり飾となせるバビロンはむかし神にほろぼされたるソドム、ゴモラのごとくならん 023 ISA 013 020 ここに住むもの永くたえ世々にいたるまで居ものなくアラビヤ人もかしこに幕屋をはらず牧人もまたかしこにはその群をふさすることなく 023 ISA 013 021 ただ猛獸かしこにふし吼るものその家にみち鴕鳥かしこにすみ牡山羊かしこに躍らん 023 ISA 013 022 豺狼その城のなかになき野犬えいぐわの宮にさけばんその時のいたるは近きにありその日は延ることなかるべし 023 ISA 014 001 ヱホバ、ヤコブを憐みイスラエルをふたたび撰びて之をおのれの地におきたまはん異邦人これに加りてヤコブの家にむすびつらなるべし 023 ISA 014 002 もろもろの民はかれらをその處にたづさへいたらん而してイスラエルの家はヱホバの地にてこれを奴婢となし曩におのれを虜にしたるものを虜にしおのれを虐げたるものを治めん 023 ISA 014 003 ヱホバなんぢの憂と艱難とをのぞき亦なんぢが勤むるからき役をのぞきて安息をたまふの日 023 ISA 014 004 なんぢこの歌をとなヘバビロン王をせめていはん虐ぐる者いかにして息みしや金をはたる者いかにして息みしやと 023 ISA 014 005 ヱホバあしきものの笞ともろもろの有司の杖とををりたまへり 023 ISA 014 006 かれらは怒をもてもろもろの民をたえず撃てはうち忿恚をもてもろもろの國ををさむれどその暴虐をとどむる者なかりき 023 ISA 014 007 今は全地やすみを得おだやかを得ことごとく聲をあげてうたふ 023 ISA 014 008 實にまつの樹およびレバノンの香柏さへもなんぢの故により歡びていふ汝すでに仆たれば樵夫のぼりきたりてわれらを攻ることなしと 023 ISA 014 009 下の陰府はなんぢの故により動きて汝のきたるをむかへ世のもろもろの英雄の亡靈をおこし國々のもろもろの王をその位より起おこらしむ 023 ISA 014 010 かれらは皆なんぢに告ていはん汝もわれらのごとく弱くなりしや汝もわれらと同じくなりしやと 023 ISA 014 011 なんぢの榮華となんぢの琴の音はすでに陰府におちたり蛆なんぢの下にしかれ蚯蚓なんぢをおほふ 023 ISA 014 012 あしたの子明星よいかにして天より隕しやもろもろの國をたふしし者よいかにして斫れて地にたふれしや 023 ISA 014 013 汝さきに心中におもへらくわれ天にのぼり我くらゐを神の星のうへにあげ北の極なる集會の山にざし 023 ISA 014 014 たかき雲漢にのぼり至上者のごとくなるべしと 023 ISA 014 015 然どなんぢは陰府におとされ坑の最下にいれられん 023 ISA 014 016 なんぢを見るものは熟々なんぢを視なんぢに目をとめていはんこの人は地をふるはせ列國をうごかし 023 ISA 014 017 世を荒野のごとくしもろもろの邑をこぼち捕へたるものをその家にときかへさざりしものなるかと 023 ISA 014 018 もろもろの國の王たちはことごとく皆たふとき状にておのおのその家にねぶる 023 ISA 014 019 然どなんぢは忌きらふべき枝のごとくおのが墓のそとにすてられその周圍には劍にて刺ころされ坑におろされ石におほはれたる者ありて踐つけらるる屍にことならず 023 ISA 014 020 汝おのれの國をほろぼしおのれの民をころししが故にかれらとおなじく葬らるることあたはずそれ惡をおこなふものの裔はとこしへに名をよばるることなかるべし 023 ISA 014 021 先祖のよこしまの故をもてその子孫のために戮場をそなへ彼等をしてたちて地をとり世界のおもてに邑をみたすことなからしめよ 023 ISA 014 022 萬軍のヱホバのたまはく我立てかれらを攻めバビロンよりその名と遺りたるものとを絶滅しその子その孫をたちほろぼさんとこれヱホバの聖言なり 023 ISA 014 023 われバビロンを刺蝟のすみかとし沼とし且ほろびの箒をもてこれを掃除かんとこれ萬軍のヱホバのみことばなり 023 ISA 014 024 萬軍のヱホバ誓をたてて言給はくわがおもひし事はかならず成わがさだめし事はかならず立ん 023 ISA 014 025 われアツスリヤ人をわが地にてうちやぶりわが山々にてふみにじらんここにおいて彼がおきし軛はイスラエル人よりはなれ彼がおはせし重負はイスラエル人の肩よりはなるべし 023 ISA 014 026 これは全地のことにつきて定めたる謀略なり是はもろもろの國のうへに伸したる手なり 023 ISA 014 027 萬軍のヱホバさだめたまへり誰かこれを破ることを得んやその手をのばしたまへり誰かこれを押返すことを得んや 023 ISA 014 028 アハズ王の死たる年おもにの預言ありき 023 ISA 014 029 曰くペリシテの全地よなんぢをうちし杖をれたればとて喜ぶなかれ蛇の根より蝮いでその果はとびかける巨蛇となるべければなり 023 ISA 014 030 いと貧しきものはものくひ乏しきものは安然にふさんわれ飢饉をもてなんぢの根をしなせ汝がのこれる者をころすべし 023 ISA 014 031 門よなげけ邑よさけべペリシテよなんぢの全地きえうせたりそはけぶり北よりいできたりその軍兵の列におくるるものなし 023 ISA 014 032 その國の使者たちに何とこたふべきや答ヘていはんヱホバ、シオンの基をおきたまへりその民のなかの苦しむものは避所をこの中にえん 023 ISA 015 001 モアブにかかる重負のよげん曰く モアブのアルは一夜の間にあらされて亡びうせモアブのキルは一夜のまに荒されてほろびうせん 023 ISA 015 002 かれバイテおよびデボンの高所にのぼりて哭きモアブはネボ及びメデバの上にてなげきさけぶおのおのその頭を禿にしその鬚をことごとく剃たり 023 ISA 015 003 かれら麁服をきてその衢にあり屋蓋または廣きところにて皆なきさけび悲しむこと甚だし 023 ISA 015 004 ヘシボンとエレアレと叫びてその聲ヤハズにまで聞ゆこの故にモアブの軍兵こゑをあげその靈魂うちに在てをののけり 023 ISA 015 005 わが心モアブのために叫びよばはれりその貴族はゾアルおよびヱグラテシリシヤにのがれ哭つつルヒテの坂をのぼりホロナイムの途にて敗亡の聲をあぐ 023 ISA 015 006 ニムリムの水はかわき草はかれ苗はつきて緑蔬あらず 023 ISA 015 007 このゆゑに彼等はその獲たる富とその藏めたる物をたづさへて柳の河をわたらん 023 ISA 015 008 その泣號のこゑはモアブの境をめぐり悲歎のこゑはエグライムにいたりなげきの聲はべエルエリムにいたる 023 ISA 015 009 デモンの水は血にて充われデモンの上にひとしほ禍害をくはへモアブの遁れたる者とこの地の遺りたるものとに獅をおくらん 023 ISA 016 001 なんぢら荒野のセラより羔羊をシオンの女の山におくりて國の首にをさむべし 023 ISA 016 002 モアブの女輩はアルノンの津にありてさまよふ鳥のごとく巣をおはれたる雛のごとくなるべし 023 ISA 016 003 相謀りて審判をおこなひ亭午にもなんぢの蔭を夜のごとくならしめ驅逐人をかくし遁れきたるものを顯はすなかれ 023 ISA 016 004 わが驅逐人をなんぢとともに居しめ汝モアブの避所となりて之をそこなふ者のまへより脱れしめよ勒索者はうせ害ふものはたえ暴虐者は地より絶れん 023 ISA 016 005 ひとつの位あはれみをもて堅くたち眞實をおこなふ者そのうヘに坐せん彼ダビデの幕屋にをりて審判をなし公平をもとめて義をおこなふに速し 023 ISA 016 006 われらモアブの傲慢をきけりその高ぶること甚だしわれらその誇とたかぶりと忿恚とをきけりその大言はむなし 023 ISA 016 007 この故にモアブはモアブの爲になきさけび民みな哭さけぶべしなんぢら必らず甚だしく心をいためてキルハレステの乾葡萄のためになげくべし 023 ISA 016 008 そはヘシボンの畑とシブマのぶだうの樹とは凋みおとろヘたりその枝さきにはヤゼルにまでいたりて荒野にはびこりのびて海をわたりしが國々のもろもろの主その美はしき枝ををりたり 023 ISA 016 009 この故にわれヤゼルの哭とひとしくシブマの葡萄の樹のためになかんヘシボンよエレアレよわが涙なんぢをひたさんそは鬨聲なんぢが果物なんぢが收穫の實のうへにおちきたればなり 023 ISA 016 010 欣喜とたのしみとは土肥たる畑より取さられ葡萄園には謳ふことなく歡呼ばふことなく酒榨にはふみて酒をしぼるものなし我そのよろこびたつる聲をやめしめたり 023 ISA 016 011 このゆゑにわが心腸はモアブの故をもて琴のごとく鳴ひびきキルハレスの故をもてわが衷もまた然り 023 ISA 016 012 モアブは高處にいでて倦つかれその聖所にきたりて祈るべけれど驗あらじ 023 ISA 016 013 こはヱホバが曩にモアブに就てかたりたまへる聖言なり 023 ISA 016 014 されど今ヱホバかたりて言たまはくモアブの榮はその大なる群衆とともに傭人の期にひとしく三年のうちに恥かしめをうけ遺れる者はなはだ少なくして力なからん 023 ISA 017 001 ダマスコにかかはる重負の預言いはく 視よダマスコは邑のすがたをうしなひて荒墟となるべし 023 ISA 017 002 アロエルの諸邑はすてられん獸畜のむれそこにすみてその伏やすめるをおびやかす者もなからん 023 ISA 017 003 エフライムの城はすたりダマスコの政治はやみスリアの遺れる者はイスラエルの子輩のさかえのごとく消うせん是は萬軍のヱホバの聖言なり 023 ISA 017 004 その日ヤコブの榮はおとろへその肥たる肉はやせて 023 ISA 017 005 あだかも收穫人の麥をかりあつめ腕をもて穂をかりたる後のごとくレパイムの谷に穂をひろひたるあとの如くならん 023 ISA 017 006 されど橄欖樹をうつとき二つ三の核を杪にのこしあるひは四つ五をみのりおほき樹の外面のえだに遺せるが如く採のこさるるものあるべし是イスラエルの神ヱホバの聖言なり 023 ISA 017 007 その日人おのれを造れるものを仰ぎのぞみイスラエルの聖者に目をとめん 023 ISA 017 008 斯ておのれの手の工なる祭壇をあふぎ望まずおのれの指のつくりたるアシラの像と日の像とに目をとめじ 023 ISA 017 009 その日かれが堅固なるまちまちは昔イスラエルの子輩をさけてすてさりたる森のなか嶺のうへに今のこれる荒跡のごとく荒地となるべし 023 ISA 017 010 そは汝おのがすくひの神をわすれ己がちからとなるべき磐を心にとめざりしによるこのゆゑになんぢ美くしき植物をうゑ異やうの枝をさし 023 ISA 017 011 かつ植たる日に籬をまはし朝に芽をいださしむれども患難の日といたましき憂の日ときたりて收穫の果はとびさらん 023 ISA 017 012 唉おほくの民はなりどよめけり海のなりどよめく如くかれらも鳴動めけりもろもろの國はなりひびけり、戸じ大水のなりひびくが如くかれらも鳴響けり 023 ISA 017 013 もろもろの國はおほくの水のなりひびくがごとく鳴響かんされど神かれらを攻たまふべしかれら遠くのがれて風にふきさらるる山のうヘの粃糠のごとくまた旋風にふきさらるる塵のごとくならん 023 ISA 017 014 視よゆふぐれに恐怖ありいまだ黎明にいたらずして彼等は亡たり これ我儕をかすむる者のうくべき報われらを奪ふもののひくべき鬮なり 023 ISA 018 001 唉エテオピアの河の彼方なるさやさやと羽音のきこゆる地 023 ISA 018 002 この地蒹のふねを水にうかべ海路より使者をつかはさんとてその使者にいへらく疾走る使よなんぢら河々の流のわかるる國にゆけ丈たかく肌なめらかなる始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人を踐にじる民にゆけ 023 ISA 018 003 すべて世にをるもの地にすむものよ山のうへに旗のたつとき汝等これを見ラッパの鳴響くときなんぢら之をきけ 023 ISA 018 004 そはヱホバわれに如此いひ給へりいはく空はれわたり日てり收穫の熱むしてつゆけき雲のたるる間われわが居所にしづかに居てながめん 023 ISA 018 005 收穫のまへにその芽またく生その花ぶだうとなりて熟せんとするときかれ鎌をもて蔓をかり枝をきり去ん 023 ISA 018 006 斯てみな山のたけきとりと地の獸とになげあたへらるべし猛鳥そのうヘにて夏をすごし地のけものその上にて冬をわたらん 023 ISA 018 007 そのとき河々の流のわかるる國の丈たかく肌なめらかなる始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人をふみにじる民より萬軍のヱホバにささぐる禮物をたづさへて萬軍のヱホバの聖名のところシオンの山にきたるべし 023 ISA 019 001 エジプトにかかる重負のよげんいはく ヱホバははやき雲にのりてエジプトに來りたまふエジプトのもろもろの偶像はその前にふるひをののきエジプト人のこころはその衷にて消ゆかん 023 ISA 019 002 我エジプト人をたけび勇ましめてエジプト人を攻しめん斯てかれら各自その兄弟をせめおのおのその鄰をせめ邑は邑をせめ國はくにを攻べし 023 ISA 019 003 エジプト人の靈魂うせてその中むなしくならんわれその謀略をほろぼすべしかれらは偶像および呪文をとなふるもの巫女魔術者にもとむることを爲ん 023 ISA 019 004 われエジプト人を苛酷なる主人の手にわたさんあらあらしき王かれらを治むべし是主萬軍のヱホバの聖言なり 023 ISA 019 005 海の水はつき河もまた涸てかわかん 023 ISA 019 006 また河々はくさき臭をはなちエジプトの堭はみな漸次にへりてかわき葦と蘆とかれはてん 023 ISA 019 007 ナイルのほとりの草原ナイルの岸にほどちかき所すべてナイルの最寄にまきたる者はことごとく枯てちりうせん 023 ISA 019 008 漁者もまた歎きすべてナイルに釣をたるる者はかなしみ網を水のうへに施ものはおとろふべし 023 ISA 019 009 練たる麻にて物つくるもの白布を織ものは恥あわて 023 ISA 019 010 その柱はくだけ一切のやとはれたる者のこころ憂ひかなしまん 023 ISA 019 011 誠やゾアンの諸侯は愚なりパロの最もかしこき議官のはかりごとは癡鈍べし然ばなんぢら何でパロに 023 ISA 019 012 あなたの賢い者はどこにおるか。彼らをして、万軍の主がエジプトについて定められたことをあなたに告げ知らしめよ。 023 ISA 019 013 ゾアンの君たちは愚かとなり、メンピスの君たちは欺かれ、エジプトのもろもろの部族の隅の石たる彼らは、かえってエジプトを迷わせた。 023 ISA 019 014 主は曲った心を彼らのうちに混ぜられた。彼らはエジプトをして、すべてその行うことに迷わせ、あたかも酔った人の物吐くときによろめくようにさせた。 023 ISA 019 015 エジプトに対しては、頭あるいは尾、しゅろの枝あるいは葦が共になしうるわざはない。 023 ISA 019 016 その日、エジプトびとは女のようになり、万軍の主の彼らの上に振り動かされるみ手の前に恐れおののく。 023 ISA 019 017 ユダの地は、エジプトびとに恐れられ、ユダについて語り告げることを聞くエジプトびとはみな、万軍の主がエジプトびとにむかって定められた計りごとのゆえに恐れる。 023 ISA 019 018 その日、エジプトの地にカナンの国ことばを語り、また万軍の主に誓いを立てる五つの町があり、その中の一つは太陽の町ととなえられる。 023 ISA 019 019 その日、エジプトの国の中に主をまつる一つの祭壇があり、その境に主をまつる一つの柱がある。 023 ISA 019 020 これはエジプトの国で万軍の主に、しるしとなり、あかしとなる。彼らがしえたげる者のゆえに、主に叫び求めるとき、主は救う者をつかわして、彼らを守り助けられる。 023 ISA 019 021 主はご自分をエジプトびとに知らせられる。その日、エジプトびとは主を知り、犠牲と供え物とをもって主に仕え、主に誓願をたててこれを果す。 023 ISA 019 022 主はエジプトを撃たれる。主はこれを撃たれるが、またいやされる。それゆえ彼らは主に帰る。主は彼らの願いをいれて、彼らをいやされる。 023 ISA 019 023 その日、エジプトからアッスリヤに通う大路があって、アッスリヤびとはエジプトに、エジプトびとはアッスリヤに行き、エジプトびとはアッスリヤびとと共に主に仕える。 023 ISA 019 024 その日、イスラエルはエジプトとアッスリヤと共に三つ相並び、全地のうちで祝福をうけるものとなる。 023 ISA 019 025 万軍の主は、これを祝福して言われる、「さいわいなるかな、わが民なるエジプト、わが手のわざなるアッスリヤ、わが嗣業なるイスラエル」と。 023 ISA 020 001 アッスリヤの王サルゴンからつかわされた最高司令官がアシドドに来て、これを攻め、これを取った年、 023 ISA 020 002 その時に主はアモツの子イザヤによって語って言われた、「さあ、あなたの腰から荒布を解き、足からくつを脱ぎなさい」。そこでイザヤはそのようにし、裸、はだしで歩いた。 023 ISA 020 003 主は言われた、「わがしもべイザヤは三年の間、裸、はだしで歩き、エジプトとエチオピヤに対するしるしとなり、前ぶれとなったが、 023 ISA 020 004 このようにエジプトびとのとりことエチオピヤびとの捕われ人とは、アッスリヤの王に引き行かれて、その若い者も老いた者もみな裸、はだしで、しりをあらわし、エジプトの恥を示す。 023 ISA 020 005 彼らはその頼みとしたエチオピヤのゆえに、その誇としたエジプトのゆえに恐れ、かつ恥じる。 023 ISA 020 006 その日には、この海べに住む民は言う、『見よ、われわれが頼みとした国、すなわちわれわれがのがれて行って助けを求め、アッスリヤ王から救い出されようとした国はすでにこのとおりである。われわれはどうしてのがれることができようか』と。」 023 ISA 021 001 海の荒野についての託宣。つむじ風がネゲブを吹き過ぎるように、荒野から、恐るべき地から、来るものがある。 023 ISA 021 002 わたしは一つのきびしい幻を示された。かすめ奪う者はかすめ奪い、滅ぼす者は滅ぼす。エラムよ、のぼれ、メデアよ、囲め。わたしはすべての嘆きをやめさせる。 023 ISA 021 003 それゆえ、わが腰は激しい痛みに満たされ、出産に臨む女の苦しみのような苦しみがわたしを捕えた。わたしは、かがんで聞くことができず、恐れおののいて見ることができない。 023 ISA 021 004 わが心はみだれ惑い、わななき恐れること、はなはだしく、わたしのあこがれたたそがれは変っておののきとなった。 023 ISA 021 005 彼らは食卓を設け、じゅうたんを敷いて食い飲みする。もろもろの君よ、立って、盾に油をぬれ。 023 ISA 021 006 主はわたしにこう言われた、「行って、見張びとをおき、その見るところを告げさせよ。 023 ISA 021 007 馬に乗って二列に並んだ者と、ろばに乗った者と、らくだに乗った者とを彼が見るならば、耳を傾けてつまびらかに聞かせよ」。 023 ISA 021 008 その時、見張びとは呼ばわって言った、「主よ、わたしがひねもすやぐらに立ち、夜もすがらわが見張所に立っていると、 023 ISA 021 009 見よ、馬に乗って二列に並んだ者がここに来ます」。彼は答えて言った、「倒れた、バビロンは倒れた、その神々の像はことごとく打ち砕かれて地に伏した」。 023 ISA 021 010 ああ、踏みにじられたわが民、わが打ち場の子よ、イスラエルの神、万軍の主からわたしが聞いたところのものをあなたがたに告げる。 023 ISA 021 011 ドマについての託宣。セイルからわたしに呼ばわる者がある、「夜回りよ、今は夜のなんどきですか、夜回りよ、今は夜のなんどきですか」。 023 ISA 021 012 夜回りは言う、「朝がきます、夜もまたきます。もしあなたがたが聞こうと思うならば聞きなさい、また来なさい」。 023 ISA 021 013 アラビヤについての託宣。デダンびとの隊商よ、あなたがたはアラビヤの林にやどる。 023 ISA 021 014 テマの地に住む民よ、水を携えて、かわいた者を迎え、パンをもって、逃げのがれた者を迎えよ。 023 ISA 021 015 彼らはつるぎを避け、抜いたつるぎを避け、張った弓を避け、また激しい戦いを避けて、逃げてきたからである。 023 ISA 021 016 主はわたしにこう言われた、「雇人の年期のように一年以内にケダルのすべての栄華はつきはてる。 023 ISA 021 017 ケダルの子らの勇士で、射手の残る者は少ない」。これはイスラエルの神、主が語られたのである。 023 ISA 022 001 幻の谷についての託宣。あなたがたはなぜ、みな屋根にのぼったのか。 023 ISA 022 002 叫び声で満ちている者、騒がしい都、喜びに酔っている町よ。あなたのうちの殺された者はつるぎで殺されたのではなく、また戦いに倒れたのでもない。 023 ISA 022 003 あなたのつかさたちは皆共にのがれて行ったが、弓を捨てて捕えられた。彼らは遠く逃げて行ったが、あなたのうちの見つかった者はみな捕えられた。 023 ISA 022 004 それゆえ、わたしは言った、「わたしを顧みてくれるな、わたしはいたく泣き悲しむ。わが民の娘の滅びのために、わたしを慰めようと努めてはならない」。 023 ISA 022 005 万軍の神、主は幻の谷に騒ぎと、踏みにじりと、混乱の日をこさせられる。城壁はくずれ落ち、叫び声は山に聞える。 023 ISA 022 006 エラムは箙を負い、戦車と騎兵とをもってきたり、キルは盾をあらわした。 023 ISA 022 007 あなたの最も美しい谷は戦車で満ち、騎兵はもろもろの門にむかって立った。 023 ISA 022 008 ユダを守るおおいは取り除かれた。その日あなたは林の家の武具を仰ぎ望んだ。 023 ISA 022 009 またあなたがたはダビデの町の破れの多いのを見、下の池の水を集め、 023 ISA 022 010 エルサレムの家を数え、またその家をこわして城壁を築き、 023 ISA 022 011 一つの貯水池を二つの城壁の間に造って古池の水をひいた。しかしあなたがたはこの事をなされた者を仰ぎ望まず、この事を昔から計画された者を顧みなかった。 023 ISA 022 012 その日、万軍の神、主は泣き悲しみ、頭をかぶろにし、荒布をまとうことを命じられたが、 023 ISA 022 013 見よ、あなたがたは喜び楽しみ、牛をほふり、羊を殺し、肉を食い、酒を飲んで言う、「われわれは食い、かつ飲もう、明日は死ぬのだから」。 023 ISA 022 014 万軍の主はみずからわたしの耳に示された、「まことに、この不義はあなたがたが死ぬまで、ゆるされることはない」と万軍の神、主は言われる。 023 ISA 022 015 万軍の神、主はこう言われる、「さあ、王の家をつかさどるこの執事セブナに行って言いなさい、 023 ISA 022 016 『あなたはここになんの係わりがありますか。あなたはだれの縁故でここに自分のために墓を掘ったのですか。あなたは高い所に墓を掘り、岩をうがって自分のためにすみかを造った。 023 ISA 022 017 強い人よ、見よ、主はあなたを激しくなげ倒される。主はあなたを堅くつかまえ、 023 ISA 022 018 ぐるぐるまわして、まりのように広々した地に投げられる。主人の家の恥となる者よ、あなたはそこで死に、あなたの華麗な車はそこに残る。 023 ISA 022 019 わたしは、あなたをその職から追い、その地位から引きおろす。 023 ISA 022 020 その日、わたしは、わがしもべヒルキヤの子エリアキムを呼んで、 023 ISA 022 021 あなたの衣を着せ、あなたの帯をしめさせ、あなたの権力を彼の手にゆだねる。彼はエルサレムの民とユダの家との父となる。 023 ISA 022 022 わたしはまたダビデの家のかぎを彼の肩に置く。彼が開けば閉じる者なく、彼が閉じれば開く者はない。 023 ISA 022 023 わたしは彼を堅い所に打ったくぎのようにする。そして彼はその父の家の誉の座となり、 023 ISA 022 024 その父の家のすべての重さは彼の上にかかる。すなわちその子、その孫およびすべての小さい器、鉢からすべてのびんにいたるまでみな、彼の上にかかる』」。 023 ISA 022 025 万軍の主は言われる、「その日、堅い所に打ったくぎは抜け、切られて落ちる。その上にかかっている荷もまた取り去られる」と主は語られた。 023 ISA 023 001 ツロについての託宣。タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、ツロは荒れすたれて、家なく、船泊まりする港もないからだ。この事はクプロの地から彼らに告げ知らせられる。 023 ISA 023 002 海べに住む民よ、シドンの商人よ、もだせ、あなたがたの使者は海を渡り、大いなる水の上にあった。 023 ISA 023 003 ツロの収入はシホルの穀物、ナイル川の収穫であった。ツロはもろもろの国びとの商人であった。 023 ISA 023 004 シドンよ、恥じよ、海は言った、海の城は言う、「わたしは苦しまず、また産まなかった。わたしは若い男子を養わず、また処女を育てなかった」。 023 ISA 023 005 この報道がエジプトに達するとき、彼らはツロについての報道によって、いたく苦しむ。 023 ISA 023 006 タルシシに渡れ、海べに住む民よ、泣き叫べ。 023 ISA 023 007 これがその起源も古い町、自分の足で移り、遠くにまで移住した町、あなたがたの喜び誇る町なのか。 023 ISA 023 008 ツロにむかってこれを定めたのはだれか。ツロは冠を授けた町、その商人は君たち、その貿易業者は地の尊い人々であった。 023 ISA 023 009 万軍の主はすべての栄光の誇を汚し、地のすべての尊い者をはずかしめるためにこれを定められたのだ。 023 ISA 023 010 タルシシの娘よ、ナイル川のようにおのが地にあふれよ。もはや束縛するものはない。 023 ISA 023 011 主はその手を海の上に伸べて国々を震い動かされた。主はカナンについて詔を出し、そのとりでをこわされた。 023 ISA 023 012 主は言われた、「しえたげられた処女シドンの娘よ、あなたはもはや喜ぶことはない。立って、クプロに渡れ、そこでもあなたは安息を得ることはない」。 023 ISA 023 013 カルデヤびとの国を見よ、アッスリヤではなく、この民がツロを野の獣のすみかに定めた。彼らはやぐらを建て、もろもろの宮殿をこわして荒塚とした。 023 ISA 023 014 タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、あなたがたのとりでは荒れすたれたから。 023 ISA 023 015 その日、ツロはひとりの王のながらえる日と同じく七十年の間忘れられ、七十年終って後、ツロは遊女の歌のようになる、 023 ISA 023 016 「忘れられた遊女よ、琴を執って町を経めぐり、巧みに弾じ、多くの歌をうたって、人に思い出されよ」。 023 ISA 023 017 七十年終って後、主はツロを顧みられる。ツロは再び淫行の価を得て、地のおもてにある世のすべての国々と姦淫を行い、 023 ISA 023 018 その商品とその価とは主にささげられる。これはたくわえられることなく、積まれることなく、その商品は主の前に住む者のために豊かな食物となり、みごとな衣服となる。 023 ISA 024 001 見よ、主はこの地をむなしくし、これを荒れすたれさせ、これをくつがえして、その民を散らされる。 023 ISA 024 002 そして、その民も祭司もひとしく、しもべも主人もひとしく、はしためも主婦もひとしく、買う者も売る者もひとしく、貸す者も借りる者もひとしく、債権者も債務者もひとしく、この事にあう。 023 ISA 024 003 地は全くむなしくされ、全くかすめられる。主がこの言葉を告げられたからである。 023 ISA 024 004 地は悲しみ、衰え、世はしおれ、衰え、天も地と共にしおれはてる。 023 ISA 024 005 地はその住む民の下に汚された。これは彼らが律法にそむき、定めを犯し、とこしえの契約を破ったからだ。 023 ISA 024 006 それゆえ、のろいは地をのみつくし、そこに住む者はその罪に苦しみ、また地の民は焼かれて、わずかの者が残される。 023 ISA 024 007 新しいぶどう酒は悲しみ、ぶどうはしおれ、心の楽しい者もみな嘆く。 023 ISA 024 008 鼓の音は静まり、喜ぶ者の騒ぎはやみ、琴の音もまた静まった。 023 ISA 024 009 彼らはもはや歌をうたって酒を飲まず、濃き酒はこれを飲む者に苦くなる。 023 ISA 024 010 混乱せる町は破られ、すべての家は閉ざされて、はいることができない。 023 ISA 024 011 ちまたには酒の不足のために叫ぶ声があり、すべての喜びは暗くなり、地の楽しみは追いやられた。 023 ISA 024 012 町には荒れすたれた所のみ残り、その門もこわされて破れた。 023 ISA 024 013 地のうちで、もろもろの民のなかで残るものは、オリブの木の打たれた後の実のように、ぶどうの収穫の終った後にその採り残りを集めるときのようになる。 023 ISA 024 014 彼らは声をあげて喜び歌う。主の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる。 023 ISA 024 015 それゆえ、東で主をあがめ、海沿いの国々でイスラエルの神、主の名をあがめよ。 023 ISA 024 016 われわれは地の果から、さんびの歌を聞いた、「栄光は正しい者にある」と。しかし、わたしは言う、「わたしはやせ衰える、わたしはやせ衰える、わたしはわざわいだ。欺く者はあざむき、欺く者は、はなはだしくあざむく」。 023 ISA 024 017 地に住む者よ、恐れと、落し穴と、わなとはあなたの上にある。 023 ISA 024 018 恐れの声をのがれる者は落し穴に陥り、落し穴から出る者はわなに捕えられる。天の窓は開け、地の基が震い動くからである。 023 ISA 024 019 地は全く砕け、地は裂け、地は激しく震い、 023 ISA 024 020 地は酔いどれのようによろめき、仮小屋のようにゆり動く。そのとがはその上に重く、ついに倒れて再び起きあがることはない。 023 ISA 024 021 その日、主は天において、天の軍勢を罰し、地の上で、地のもろもろの王を罰せられる。 023 ISA 024 022 彼らは囚人が土ろうの中に集められるように集められて、獄屋の中に閉ざされ、多くの日を経て後、罰せられる。 023 ISA 024 023 こうして万軍の主がシオンの山およびエルサレムで統べ治め、かつその長老たちの前にその栄光をあらわされるので、月はあわて、日は恥じる。 023 ISA 025 001 主よ、あなたはわが神、わたしはあなたをあがめ、み名をほめたたえる。あなたはさきに驚くべきみわざを行い、いにしえから定めた計画を真実をもって行われたから。 023 ISA 025 002 あなたは町を石塚とし、堅固な町を荒塚とされた。外国人のやかたは、もはや町ではなく、とこしえに建てられることはない。 023 ISA 025 003 それゆえ、強い民はあなたを尊び、あらぶる国々の町はあなたを恐れる。 023 ISA 025 004 あなたは貧しい者のとりでとなり、乏しい者の悩みのときのとりでとなり、あらしをさける避け所となり、熱さをさける陰となられた。あらぶる者の及ぼす害は、石がきを打つあらしのごとく、 023 ISA 025 005 かわいた地の熱さのようだからである。あなたは外国人の騒ぎをおさえ、雲が陰をもって熱をとどめるようにあらぶる者の歌をとどめられる。 023 ISA 025 006 万軍の主はこの山で、すべての民のために肥えたものをもって祝宴を設け、久しくたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。すなわち髄の多い肥えたものと、よく澄んだ長くたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。 023 ISA 025 007 また主はこの山で、すべての民のかぶっている顔おおいと、すべての国のおおっているおおい物とを破られる。 023 ISA 025 008 主はとこしえに死を滅ぼし、主なる神はすべての顔から涙をぬぐい、その民のはずかしめを全地の上から除かれる。これは主の語られたことである。 023 ISA 025 009 その日、人は言う、「見よ、これはわれわれの神である。わたしたちは彼を待ち望んだ。彼はわたしたちを救われる。これは主である。わたしたちは彼を待ち望んだ。わたしたちはその救を喜び楽しもう」と。 023 ISA 025 010 主の手はこの山にとどまり、モアブは肥だめの中に踏まれるわらのように、おのれの所で踏みにじられる。 023 ISA 025 011 彼はその中で泳ぐ物が泳ごうとして手を伸ばすように、その手を伸ばす。しかし主はその高ぶりを、その手の巧みなわざと共に低くされる。 023 ISA 025 012 その石がきの高い城郭を主は傾け倒し、地に投げうって、ちりにかえされる。 023 ISA 026 001 その日ユダの国で、この歌をうたう、「われわれは堅固な町をもつ。主は救をその石がきとし、またとりでとされる。 023 ISA 026 002 門を開いて、信仰を守る正しい国民を入れよ。 023 ISA 026 003 あなたは全き平安をもってこころざしの堅固なものを守られる。彼はあなたに信頼しているからである。 023 ISA 026 004 とこしえに主に信頼せよ、主なる神はとこしえの岩だからである。 023 ISA 026 005 主は高き所、そびえたつ町に住む者をひきおろし、これを伏させ、これを地に伏させて、ちりにかえされる。 023 ISA 026 006 こうして足で踏まれ、貧しい者の足で踏まれ、乏しい者はその上を歩む」。 023 ISA 026 007 正しい者の道は平らである。あなたは正しい者の道をなめらかにされる。 023 ISA 026 008 主よ、あなたがさばきをなさる道で、われわれはあなたを待ち望む。われわれの魂の慕うものは、あなたの記念の名である。 023 ISA 026 009 わが魂は夜あなたを慕い、わがうちなる霊は、せつにあなたを求める。あなたのさばきが地に行われるとき、世に住む者は正義を学ぶからである。 023 ISA 026 010 悪しき者は恵まれても、なお正義を学ばず、正しい地にあっても不義を行い、主の威光を仰ぐことをしない。 023 ISA 026 011 主よ、あなたのみ手が高くあがるけれども、彼らはそれを顧みない。どうか、あなたの、おのが民を救われる熱心を彼らに見させて、大いに恥じさせ、火をもってあなたの敵を焼き滅ぼしてください。 023 ISA 026 012 主よ、あなたはわれわれのために平和を設けられる。あなたはわれわれのためにわれわれのすべてのわざをなし遂げられた。 023 ISA 026 013 われわれの神、主よ、あなた以外のもろもろの主がわれわれを治めた。しかし、われわれはただ、あなたの名のみをあがめる。 023 ISA 026 014 死んだ者はまた生きない。亡霊は生き返らない。それで、あなたは彼らを罰して滅ぼし、彼らの思い出をことごとく消し去られた。 023 ISA 026 015 主よ、あなたはこの国民を増し加えられた。あなたはこの国民を増し加えられた。あなたは栄光をあらわされた。あなたは地の境を四方に広げられた。 023 ISA 026 016 主よ、彼らは悩みのとき、あなたに求めた。彼らがあなたの懲しめにあったとき、祈をささげた。 023 ISA 026 017 主よ、はらめる女の産むときが近づいて苦しみ、その痛みによって叫ぶように、われわれはあなたのゆえに、そのようであった。 023 ISA 026 018 われわれは、はらみ、苦しんだ。しかしわれわれの産んだものは風にすぎなかった。われわれは救を地に施すこともせず、また世に住む者を滅ぼすこともしなかった。 023 ISA 026 019 あなたの死者は生き、彼らのなきがらは起きる。ちりに伏す者よ、さめて喜びうたえ。あなたの露は光の露であって、それを亡霊の国の上に降らされるからである。 023 ISA 026 020 さあ、わが民よ、あなたのへやにはいり、あなたのうしろの戸を閉じて、憤りの過ぎ去るまで、しばらく隠れよ。 023 ISA 026 021 見よ、主はそのおられる所を出て、地に住む者の不義を罰せられる。地はその上に流された血をあらわして、殺された者を、もはやおおうことがない。 023 ISA 027 001 その日、主は堅く大いなる強いつるぎで逃げるへびレビヤタン、曲りくねるへびレビヤタンを罰し、また海におる龍を殺される。 023 ISA 027 002 その日「麗しきぶどう畑よ、このことを歌え。 023 ISA 027 003 主なるわたしはこれを守り、常に水をそそぎ、夜も昼も守って、そこなう者のないようにする。 023 ISA 027 004 わたしは憤らない。いばら、おどろがわたしと戦うなら、わたしは進んでこれを攻め、皆もろともに焼きつくす。 023 ISA 027 005 それを望まないなら、わたしの保護にたよって、わたしと和らぎをなせ、わたしと和らぎをなせ」。 023 ISA 027 006 後になれば、ヤコブは根をはり、イスラエルは芽を出して花咲き、その実を全世界に満たす。 023 ISA 027 007 主は彼らを撃った者を撃たれたように彼らを撃たれたか。あるいは彼らを殺した者が殺されたように彼らは殺されたか。 023 ISA 027 008 あなたは彼らと争って、彼らを追放された。主は東風の日に、その激しい風をもって彼らを移しやられた。 023 ISA 027 009 それゆえ、ヤコブの不義はこれによって、あがなわれる。これによって結ぶ実は彼の罪を除く。すなわち彼が祭壇のすべての石を砕けた白堊のようにし、アシラ像と香の祭壇とを再び建てないことである。 023 ISA 027 010 堅固な町は荒れてさびしく、捨て去られたすまいは荒野のようだ。子牛はそこに草を食い、そこに伏して、その木の枝を裸にする。 023 ISA 027 011 その枝が枯れると、折り取られ、女が来てそれを燃やす。これは無知の民だからである。それゆえ、彼らを造られた主は彼らをあわれまれない。彼らを形造られた主は、彼らを恵まれない。 023 ISA 027 012 イスラエルの人々よ、その日、主はユフラテ川からエジプトの川にいたるまで穀物の穂を打ち落される。そしてあなたがたは、ひとりびとり集められる。 023 ISA 027 013 その日大いなるラッパが鳴りひびき、アッスリヤの地にある失われた者と、エジプトの地に追いやられた者とがきて、エルサレムの聖山で主を拝む。 023 ISA 028 001 エフライムの酔いどれの誇る冠と、酒におぼれた者の肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、わざわいだ。 023 ISA 028 002 見よ、主はひとりの力ある強い者を持っておられる。これはひょうをまじえた暴風のように、破り、そこなう暴風雨のように、大水のあふれみなぎる暴風のように、それを激しく地に投げうつ。 023 ISA 028 003 エフライムの酔いどれの誇る冠は足で踏みにじられる。 023 ISA 028 004 肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、夏前に熟した初なりのいちじくのようだ。人がこれを見ると、取るやいなや、食べてしまう。 023 ISA 028 005 その日、万軍の主はその民の残った者のために、栄えの冠となり、麗しい冠となられる。 023 ISA 028 006 また、さばきの席に座する者にはさばきの霊となり、戦いを門まで追い返す者には力となられる。 023 ISA 028 007 しかし、これらもまた酒のゆえによろめき、濃き酒のゆえによろける。祭司と預言者とは濃き酒のゆえによろめき、酒のゆえに心みだれ、濃き酒のゆえによろける。彼らは幻を見るときに誤り、さばきを行うときにつまづく。 023 ISA 028 008 すべての食卓は吐いた物で満ち、清い所はない。 023 ISA 028 009 「彼はだれに知識を教えようとするのか。だれにおとずれを説きあかそうとするのか。乳をやめ、乳ぶさを離れた者にするのだろうか。 023 ISA 028 010 それは教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則。ここにも少し、そこにも少し教えるのだ」。 023 ISA 028 011 否、むしろ主は異国のくちびると、異国の舌とをもってこの民に語られる。 023 ISA 028 012 主はさきに彼らに言われた、「これが安息だ、疲れた者に安息を与えよ。これが休息だ」と。しかし彼らは聞こうとはしなかった。 023 ISA 028 013 それゆえ、主の言葉は彼らに、教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則、ここにも少し、そこにも少しとなる。これは彼らが行って、うしろに倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられるためである。 023 ISA 028 014 それゆえ、エルサレムにあるこの民を治めるあざける人々よ、主の言葉を聞け。 023 ISA 028 015 あなたがたは言った、「われわれは死と契約をなし、陰府と協定を結んだ。みなぎりあふれる災の過ぎる時にも、それはわれわれに来ない。われわれはうそを避け所となし、偽りをもって身をかくしたからである」。 023 ISA 028 016 それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わたしはシオンに一つの石をすえて基とした。これは試みを経た石、堅くすえた尊い隅の石である。『信ずる者はあわてることはない』。 023 ISA 028 017 わたしは公平を、測りなわとし、正義を、下げ振りとする。ひょうは偽りの避け所を滅ぼし、水は隠れ場を押し倒す」。 023 ISA 028 018 その時あなたがたが死とたてた契約は取り消され、陰府と結んだ協定は行われない。みなぎりあふれる災の過ぎるとき、あなたがたはこれによって打ち倒される。 023 ISA 028 019 それが過ぎるごとに、あなたがたを捕える。それは朝な朝な過ぎ、昼も夜も過ぎるからだ。このおとずれを聞きわきまえることは、全くの恐れである。 023 ISA 028 020 床が短くて身を伸べることができず、かける夜具が狭くて身をおおうことができないからだ。 023 ISA 028 021 主はペラジム山で立たれたように立ちあがり、ギベオンの谷で憤られたように憤られて、その行いをなされる。その行いは類のないものである。またそのわざをなされる。そのわざは異なったものである。 023 ISA 028 022 それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。わたしは主なる万軍の神から全地の上に臨む滅びの宣言を聞いたからである。 023 ISA 028 023 あなたがたは耳を傾けて、わが声を聞くがよい。心してわが言葉を聞くがよい。 023 ISA 028 024 種をまくために耕す者は絶えず耕すだろうか。彼は絶えずその地をひらき、まぐわをもって土をならすだろうか。 023 ISA 028 025 地のおもてを平らにしたならば、いのんどをまき、クミンをまき、小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、スペルト麦をその境に植えないだろうか。 023 ISA 028 026 これは彼の神が正しく、彼を導き教えられるからである。 023 ISA 028 027 いのんどは麦こき板でこかない、クミンはその上に車輪をころがさない。いのんどを打つには棒を用い、クミンを打つにはさおを用いる。 023 ISA 028 028 人はパン用の麦を打つとき砕くだろうか、否、それが砕けるまでいつまでも打つことをしない。馬をもってその上に車輪を引かせるとき、それを砕くことをしない。 023 ISA 028 029 これもまた万軍の主から出ることである。その計りごとは驚くべく、その知恵はすぐれている。 023 ISA 029 001 ああ、アリエルよ、アリエルよ、ダビデが営をかまえた町よ、年に年を加え、祭をめぐりこさせよ。 023 ISA 029 002 その時わたしはアリエルを悩ます。そこには悲しみと嘆きとがあって、アリエルのようなものとなる。 023 ISA 029 003 わたしはあなたのまわりに営を構え、やぐらをもってあなたを囲み、塁を築いてあなたを攻める。 023 ISA 029 004 その時あなたは深い地の中から物言い、低いちりの中から言葉を出す。あなたの声は亡霊の声のように地から出、あなたの言葉はちりの中から、さえずるようである。 023 ISA 029 005 しかしあなたのあだの群れは細かなちりのようになり、あらぶる者の群れは吹き去られるもみがらのようになる。また、にわかに、またたくまに、この事がある。 023 ISA 029 006 すなわち万軍の主は雷、地震、大いなる叫び、つむじ風、暴風および焼きつくす火の炎をもって臨まれる。 023 ISA 029 007 そしてアリエルを攻めて戦う国々の群れ、すなわちアリエルとその城を攻めて戦い、これを悩ます者はみな夢のように、夜の幻のようになる。 023 ISA 029 008 飢えた者が食べることを夢みても、さめると、その飢えがいえないように、あるいは、かわいた者が飲むことを夢みても、さめると、疲れてそのかわきがとまらないように、シオンの山を攻めて戦う国々の群れもそのようになる。 023 ISA 029 009 あなたがたは知覚を失って気が遠くなれ、目がくらんで盲となれ。あなたがたは酔っていよ、しかし酒のゆえではない、よろめけ、しかし濃き酒のゆえではない。 023 ISA 029 010 主が深い眠りの霊をあなたがたの上にそそぎ、あなたがたの目である預言者を閉じこめ、あなたがたの頭である先見者をおおわれたからである。 023 ISA 029 011 それゆえ、このすべての幻は、あなたがたには封じた書物の言葉のようになり、人々はこれを読むことのできる者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「これは封じてあるから読むことができない」と彼は言う。 023 ISA 029 012 またその書物を読むことのできない者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「読むことはできない」と彼は言う。 023 ISA 029 013 主は言われた、「この民は口をもってわたしに近づき、くちびるをもってわたしを敬うけれども、その心はわたしから遠く離れ、彼らのわたしをかしこみ恐れるのは、そらで覚えた人の戒めによるのである。 023 ISA 029 014 それゆえ、見よ、わたしはこの民に、再び驚くべきわざを行う、それは不思議な驚くべきわざである。彼らのうちの賢い人の知恵は滅び、さとい人の知識は隠される」。 023 ISA 029 015 わざわいなるかな、おのが計りごとを主に深く隠す者。彼らは暗い中でわざを行い、「だれがわれわれを見るか、だれがわれわれのことを知るか」と言う。 023 ISA 029 016 あなたがたは転倒して考えている。陶器師は粘土と同じものに思われるだろうか。造られた物はそれを造った者について、「彼はわたしを造らなかった」と言い、形造られた物は形造った者について、「彼は知恵がない」と言うことができようか。 023 ISA 029 017 しばらくしてレバノンは変って肥えた畑となり、肥えた畑は林のように思われる時が来るではないか。 023 ISA 029 018 その日、耳しいは書物の言葉を聞き、目しいの目はその暗やみから、見ることができる。 023 ISA 029 019 柔和な者は主によって新たなる喜びを得、人のなかの貧しい者はイスラエルの聖者によって楽しみを得る。 023 ISA 029 020 あらぶる者は絶え、あざける者はうせ、悪を行おうと、おりをうかがう者は、ことごとく断ち滅ぼされるからである。 023 ISA 029 021 彼らは言葉によって人を罪に定め、町の門でいさめる者をわなにおとしいれ、むなしい言葉をかまえて正しい者をしりぞける。 023 ISA 029 022 それゆえ、昔アブラハムをあがなわれた主は、ヤコブの家についてこう言われる、「ヤコブは、もはやはずかしめを受けず、その顔は、もはや色を失うことはない。 023 ISA 029 023 彼の子孫が、その中にわが手のわざを見るとき、彼らはわが名を聖とし、ヤコブの聖者を聖として、イスラエルの神を恐れる。 023 ISA 029 024 心のあやまれる者も、悟りを得、つぶやく者も教をうける」。 023 ISA 030 001 主は言われる、「そむける子らはわざわいだ、彼らは計りごとを行うけれども、わたしによってではない。彼らは同盟を結ぶけれども、わが霊によってではない、罪に罪を加えるためだ。 023 ISA 030 002 彼らはわが言葉を求めず、エジプトへ下っていって、パロの保護にたより、エジプトの陰に隠れようとする。 023 ISA 030 003 それゆえ、パロの保護はかえってあなたがたの恥となり、エジプトの陰に隠れることはあなたがたのはずかしめとなる。 023 ISA 030 004 たとい、彼の君たちがゾアンにあり、彼の使者たちがハネスに来ても、 023 ISA 030 005 彼らは皆おのれを益することのできない民により、すなわち助けとならず、益とならず、かえって恥となり、はずかしめとなる民によって、恥をかくからである」。 023 ISA 030 006 ネゲブの獣についての託宣。彼らはその富を若いろばの背に負わせ、その宝をらくだの背に負わせて、雌じし、雄じし、まむしおよび飛びかけるへびの出る悩みと苦しみの国を通って、おのれを益することのできない民に行く。 023 ISA 030 007 そのエジプトの助けは無益であって、むなしい。それゆえ、わたしはこれを「休んでいるラハブ」と呼んだ。 023 ISA 030 008 いま行って、これを彼らの前で札にしるし、書物に載せ、後の世に伝えて、とこしえにあかしとせよ。 023 ISA 030 009 彼らはそむける民、偽りを言う子ら、主の教を聞こうとしない子らだ。 023 ISA 030 010 彼らは先見者にむかって「見るな」と言い、預言者にむかっては「正しい事をわれわれに預言するな、耳に聞きよいことを語れ、迷わしごとを預言せよ。 023 ISA 030 011 大路を去り、小路をはなれ、イスラエルの聖者について語り聞かすな」と言う。 023 ISA 030 012 それゆえ、イスラエルの聖者はこう言われる、「あなたがたはこの言葉を侮り、しえたげと、よこしまとを頼み、これにたよるがゆえに、 023 ISA 030 013 この不義はあなたがたには突き出て、くずれ落ちようとする高い石がきの破れのようであって、その倒壊はにわかに、またたくまに来る。 023 ISA 030 014 その破れることは陶器師の器を破るように惜しむことなく打ち砕き、その砕けのなかには、炉から火を取り、池から水をくめるほどの、ひとかけらさえ見いだされない」。 023 ISA 030 015 主なる神、イスラエルの聖者はこう言われた、「あなたがたは立ち返って、落ち着いているならば救われ、穏やかにして信頼しているならば力を得る」。しかし、あなたがたはこの事を好まなかった。 023 ISA 030 016 かえって、あなたがたは言った、「否、われわれは馬に乗って、とんで行こう」と。それゆえ、あなたがたはとんで帰る。また言った、「われらは速い馬に乗ろう」と。それゆえ、あなたがたを追う者は速い。 023 ISA 030 017 ひとりの威嚇によって千人は逃げ、五人の威嚇によってあなたがたは逃げて、その残る者はわずかに山の頂にある旗ざおのように、丘の上にある旗のようになる。 023 ISA 030 018 それゆえ、主は待っていて、あなたがたに恵を施される。それゆえ、主は立ちあがって、あなたがたをあわれまれる。主は公平の神でいらせられる。すべて主を待ち望む者はさいわいである。 023 ISA 030 019 シオンにおり、エルサレムに住む民よ、あなたはもはや泣くことはない。主はあなたの呼ばわる声に応じて、必ずあなたに恵みを施される。主がそれを聞かれるとき、直ちに答えられる。 023 ISA 030 020 たとい主はあなたがたに悩みのパンと苦しみの水を与えられても、あなたの師は再び隠れることはなく、あなたの目はあなたの師を見る。 023 ISA 030 021 また、あなたが右に行き、あるいは左に行く時、そのうしろで「これは道だ、これに歩め」と言う言葉を耳に聞く。 023 ISA 030 022 その時、あなたがたはしろがねをおおった刻んだ像と、こがねを張った鋳た像とを汚し、これをきたない物のようにまき散らして、これに「去れ」と言う。 023 ISA 030 023 主はあなたが地にまく種に雨を与え、地の産物なる穀物をくださる。それはおびただしく、かつ豊かである。その日あなたの家畜は広い牧場で草を食べ、 023 ISA 030 024 地を耕す牛と、ろばは、シャベルと、くまででより分けて塩を加えた飼料を食べる。 023 ISA 030 025 大いなる虐殺の日、やぐらの倒れる時、すべてのそびえたつ山と、すべての高い丘に水の流れる川がある。 023 ISA 030 026 さらに主がその民の傷を包み、その打たれた傷をいやされる日には、月の光は日の光のようになり、日の光は七倍となり、七つの日の光のようにになる。 023 ISA 030 027 見よ、主の名は遠い所から燃える怒りと、立ちあがる濃い煙をもって来る。そのくちびるは憤りで満ち、その舌は焼きつくす火のごとく、 023 ISA 030 028 その息はあふれて首にまで達する流れのようであって、滅びのふるいをもってもろもろの国をふるい、また惑わす手綱をもろもろの民のあごにつけるために来る。 023 ISA 030 029 あなたがたは、聖なる祭を守る夜のように歌をうたう。また笛をならして主の山にきたり、イスラエルの岩なる主にまみえる時のように心に喜ぶ。 023 ISA 030 030 主はその威厳ある声を聞かせ、激しい怒りと、焼きつくす火の炎と、豪雨と、暴風と、ひょうとをもってその腕の下ることを示される。 023 ISA 030 031 主がそのむちをもって打たれる時、アッスリヤの人々は主の声によって恐れおののく。 023 ISA 030 032 主が懲しめのつえを彼らの上に加えられるごとに鼓を鳴らし、琴をひく。主は腕を振りかざして、彼らと戦われる。 023 ISA 030 033 焼き場はすでに設けられた。しかも王のために深く広く備えられ、火と多くのたきぎが積まれてある。主の息はこれを硫黄の流れのように燃やす。 023 ISA 031 001 助けを得るためにエジプトに下り、馬にたよる者はわざわいだ。彼らは戦車が多いので、これに信頼し、騎兵がはなはだ強いので、これに信頼する。しかしイスラエルの聖者を仰がず、また主にはかることをしない。 023 ISA 031 002 それにもかかわらず、主もまた賢くいらせられ、必ず災をくだし、その言葉を取り消すことなく、立って悪をなす者の家を攻め、また不義を行う者を助ける者を攻められる。 023 ISA 031 003 かのエジプトびとは人であって、神ではない。その馬は肉であって、霊ではない。主がみ手を伸ばされるとき、助ける者はつまずき、助けられる者も倒れて、皆ともに滅びる。 023 ISA 031 004 主はわたしにこう言われた、「ししまたは若いししが獲物をつかんで、ほえたけるとき、あまたの羊飼が呼び出されて、これにむかっても、その声によって驚かず、その叫びによって恐れないように、万軍の主は下ってきて、シオンの山およびその丘で戦われる。 023 ISA 031 005 鳥がひなを守るように、万軍の主はエルサレムを守り、これを守って救い、これを惜しんで助けられる」。 023 ISA 031 006 イスラエルの人々よ、主に帰れ。あなたがたは、はなはだしく主にそむいた。 023 ISA 031 007 その日、あなたがたは自分の手で造って罪を犯したしろがねの偶像と、こがねの偶像をめいめい投げすてる。 023 ISA 031 008 「アッスリヤびとはつるぎによって倒れる、人のつるぎではない。つるぎが彼らを滅ぼす、人のつるぎではない。彼らはつるぎの前から逃げ去り、その若い者は奴隷の働きをしいられる。 023 ISA 031 009 彼らの岩は恐れによって過ぎ去り、その君たちはあわて、旗をすてて逃げ去る」。これは主の言葉である。主の火はシオンにあり、その炉はエルサレムにある。 023 ISA 032 001 見よ、ひとりの王が正義をもって統べ治め、君たちは公平をもってつかさどり、 023 ISA 032 002 おのおの風をさける所、暴風雨をのがれる所のようになり、かわいた所にある水の流れのように、疲れた地にある大きな岩の陰のようになる。 023 ISA 032 003 こうして、見る者の目は開かれ、聞く者の耳はよく聞き、 023 ISA 032 004 気短な者の心は悟る知識を得、どもりの舌はたやすく、あざやかに語ることができる。 023 ISA 032 005 愚かな者は、もはや尊い人と呼ばれることなく、悪人はもはや、りっぱな人と言われることはない。 023 ISA 032 006 それは愚かな者は愚かなことを語り、その心は不義をたくらみ、よこしまを行い、主について誤ったことを語り、飢えた者の望みを満たさず、かわいた者の飲み物を奪い取るからである。 023 ISA 032 007 悪人の行いは悪い。彼は悪い計りごとをめぐらし、偽りの言葉をもって貧しい者をおとしいれ、乏しい者が正しいことを語っても、なお、これをおとしいれる。 023 ISA 032 008 しかし尊い人は尊いことを語り、つねに尊いことを行う。 023 ISA 032 009 安んじている女たちよ、起きて、わが声を聞け。思い煩いなき娘たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。 023 ISA 032 010 思い煩いなき女たちよ、一年あまりの日をすぎて、あなたがたは震えおののく。ぶどうの収穫がむなしく、実を取り入れる時が来ないからだ。 023 ISA 032 011 安んじている女たちよ、震え恐れよ。思い煩いなき女たちよ、震えおののけ。衣を脱ぎ、裸になって腰に荒布をまとえ。 023 ISA 032 012 良き畑のため、実り豊かなぶどうの木のために胸を打て。 023 ISA 032 013 いばら、おどろの生えているわが民の地のため、喜びに満ちている町にあるすべての喜びの家のために胸を打て。 023 ISA 032 014 宮殿は捨てられ、にぎわった町は荒れすたれ、丘と、やぐらとは、とこしえにほら穴となり、野のろばの楽しむ所、羊の群れの牧場となるからである。 023 ISA 032 015 しかし、ついには霊が上からわれわれの上にそそがれて、荒野は良き畑となり、良き畑は林のごとく見られるようになる。 023 ISA 032 016 その時、公平は荒野に住み、正義は良き畑にやどる。 023 ISA 032 017 正義は平和を生じ、正義の結ぶ実はとこしえの平安と信頼である。 023 ISA 032 018 わが民は平和の家におり、安らかなすみかにおり、静かな休み所におる。 023 ISA 032 019 しかし林はことごとく切り倒され、町もことごとく倒される。 023 ISA 032 020 すべての水のほとりに種をまき、牛およびろばを自由に放ちおくあなたがたは、さいわいである。 023 ISA 033 001 わざわいなるかな、おのれ自ら滅ぼされないのに、人を滅ぼし、だれも欺かないのに人を欺く者よ。あなたが滅ぼすことをやめたとき、あなたは滅ぼされ、あなたが欺くことを終えたとき、あなたは欺かれる。 023 ISA 033 002 主よ、われわれをお恵みください、われわれはあなたを待ち望む。朝ごとに、われわれの腕となり、悩みの時に、救となってください。 023 ISA 033 003 鳴りとどろく声によって、もろもろの民は逃げ去り、あなたが立ちあがられると、もろもろの国は散らされる。 023 ISA 033 004 青虫が物を集めるようにぶんどり品は集められ、いなごのとびつどうように、人々はその上にとびつどう。 023 ISA 033 005 主は高くいらせられ、高い所に住まわれる。主はシオンに公平と正義とを満たされる。 023 ISA 033 006 また主は救と知恵と知識を豊かにして、あなたの代を堅く立てられる。主を恐れることはその宝である。 023 ISA 033 007 見よ、勇士たちは外にあって叫び、平和の使者はいたく嘆く。 023 ISA 033 008 大路は荒れすたれて、旅びとは絶え、契約は破られ、証人は軽んぜられ、人を顧みることがない。 023 ISA 033 009 地は嘆き衰え、レバノンは恥じて枯れ、シャロンは荒野のようになり、バシャンとカルメルはその葉を落す。 023 ISA 033 010 主は言われる、「今わたしは起きよう、いま立ちあがろう、いま自らを高くしよう。 023 ISA 033 011 あなたがたは、もみがらをはらみ、わらを産む。あなたがたの息は火となって、あなたがたを食いつくす。 023 ISA 033 012 もろもろの民は焼かれて石灰のようになり、いばらが切られて火に燃やされたようになる」。 023 ISA 033 013 あなたがた遠くにいる者よ、わたしがおこなったことを聞け。あなたがた近くにいる者よ、わが大能を知れ。 023 ISA 033 014 シオンの罪びとは恐れに満たされ、おののきは神を恐れない者を捕えた。「われわれのうち、だれが焼きつくす火の中におることができよう。われわれのうち、だれがとこしえの燃える火の中におることができよう」。 023 ISA 033 015 正しく歩む者、正直に語る者、しえたげて得た利をいやしめる者、手を振って、まいないを取らない者、耳をふさいで血を流す謀略を聞かない者、目を閉じて悪を見ない者、 023 ISA 033 016 このような人は高い所に住み、堅い岩はそのとりでとなり、そのパンは与えられ、その水は絶えることがない。 023 ISA 033 017 あなたの目は麗しく飾った王を見、遠く広い国を見る。 023 ISA 033 018 あなたの心はかの恐ろしかった事を思い出す。「数を調べた者はどこにいるか。みつぎを量った者はどこにいるか。やぐらを数えた者はどこにいるか」。 023 ISA 033 019 あなたはもはや高慢な民を見ない。かの民の言葉はあいまいで、聞きとりがたく、その舌はどもって、悟りがたい。 023 ISA 033 020 定めの祭の町シオンを見よ。あなたの目は平和なすまい、移されることのない幕屋エルサレムを見る。その杭はとこしえに抜かれず、その綱は、ひとすじも断たれることはない。 023 ISA 033 021 主は威厳をもってかしこにいまし、われわれのために広い川と流れのある所となり、その中には、こぐ舟も入らず、大きな船も過ぎることはない。 023 ISA 033 022 主はわれわれのさばき主、主はわれわれのつかさ、主はわれわれの王であって、われわれを救われる。 023 ISA 033 023 あなたの船綱は解けて、帆柱のもとを結びかためることができず、帆を張ることもできない。その時多くの獲物とぶんどり品は分けられ、足なえまでも獲物を取る。 023 ISA 033 024 そこに住む者のうちには、「わたしは病気だ」と言う者はなく、そこに住む民はその罪がゆるされる。 023 ISA 034 001 もろもろの国よ、近づいて聞け。もろもろの民よ、耳を傾けよ。地とそれに満ちるもの、世界とそれから出るすべてのものよ、聞け。 023 ISA 034 002 主はすべての国にむかって怒り、そのすべての軍勢にむかって憤り、彼らをことごとく滅ぼし、彼らをわたして、ほふらせられた。 023 ISA 034 003 彼らは殺されて投げすてられ、その死体の悪臭は立ちのぼり、山々はその血で溶けて流れる。 023 ISA 034 004 天の万象は衰え、もろもろの天は巻物のように巻かれ、その万象はぶどうの木から葉の落ちるように、いちじくの木から葉の落ちるように落ちる。 023 ISA 034 005 わたしのつるぎは天において憤りをもって酔った。見よ、これはエドムの上にくだり、わたしが滅びに定めた民の上にくだって、これをさばく。 023 ISA 034 006 主のつるぎは血で満ち、脂肪で肥え、小羊とやぎの血、雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。主がボズラで犠牲の獣をほふり、エドムの地で大いに殺されたからである。 023 ISA 034 007 野牛は彼らと共にほふり場にくだり、子牛は力ある雄牛と共にくだる。その国は血で酔い、その土は脂肪で肥やされる。 023 ISA 034 008 主はあだをかえす日をもち、シオンの訴えのために報いられる年をもたれるからである。 023 ISA 034 009 エドムのもろもろの川は変って樹脂となり、その土は変って硫黄となり、その地は変って燃える樹脂となって、 023 ISA 034 010 夜も昼も消えず、その煙は、とこしえに立ちのぼる。これは世々荒れすたれて、とこしえまでもそこを通る者はない。 023 ISA 034 011 たかと、やまあらしとがそこをすみかとし、ふくろうと、からすがそこに住む。主はその上に荒廃をきたらせる測りなわを張り、尊い人々の上に混乱を起す下げ振りをさげられる。 023 ISA 034 012 人々はこれを名づけて「国なき所」といい、その君たちは皆うせてなくなる。 023 ISA 034 013 そのとりでの上には、いばらが生え、その城には、いらくさと、あざみとが生え、山犬のすみか、だちょうのおる所となる。 023 ISA 034 014 野の獣はハイエナと出会い、鬼神はその友を呼び、夜の魔女もそこに降りてきて、休み所を得る。 023 ISA 034 015 ふくろうはそこに巣をつくって卵を産み、それをかえして、そのひなを翼の陰に集める。とびもまた、おのおのその連れ合いと共に、そこに集まる。 023 ISA 034 016 あなたがたは主の書をつまびらかにたずねて、これを読め。これらのものは一つも欠けることなく、また一つもその連れ合いを欠くものはない。これは主の口がこれを命じ、その霊が彼らを集められたからである。 023 ISA 034 017 主は彼らのためにくじを引き、手ずから測りなわをもって、この地を分け与え、長く彼らに所有させ、世々ここに住まわせられる。 023 ISA 035 001 荒野と、かわいた地とは楽しみ、さばくは喜びて花咲き、さふらんのように、 023 ISA 035 002 さかんに花咲き、かつ喜び楽しみ、かつ歌う。これにレバノンの栄えが与えられ、カルメルおよびシャロンの麗しさが与えられる。彼らは主の栄光を見、われわれの神の麗しさを見る。 023 ISA 035 003 あなたがたは弱った手を強くし、よろめくひざを健やかにせよ。 023 ISA 035 004 心おののく者に言え、「強くあれ、恐れてはならない。見よ、あなたがたの神は報復をもって臨み、神の報いをもってこられる。神は来て、あなたがたを救われる」と。 023 ISA 035 005 その時、目しいの目は開かれ、耳しいの耳はあけられる。 023 ISA 035 006 その時、足なえは、しかのように飛び走り、おしの舌は喜び歌う。それは荒野に水がわきいで、さばくに川が流れるからである。 023 ISA 035 007 焼けた砂は池となり、かわいた地は水の源となり、山犬の伏したすみかは、葦、よしの茂りあう所となる。 023 ISA 035 008 そこに大路があり、その道は聖なる道ととなえられる。汚れた者はこれを通り過ぎることはできない、愚かなる者はそこに迷い入ることはない。 023 ISA 035 009 そこには、ししはおらず、飢えた獣も、その道にのぼることはなく、その所でこれに会うことはない。ただ、あがなわれた者のみ、そこを歩む。 023 ISA 035 010 主にあがなわれた者は帰ってきて、その頭に、とこしえの喜びをいただき、歌うたいつつ、シオンに来る。彼らは楽しみと喜びとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 023 ISA 036 001 ヒゼキヤ王の第十四年に、アッスリヤの王セナケリブが上ってきて、ユダのすべての堅固な町々を攻め取った。 023 ISA 036 002 アッスリヤの王はラキシからラブシャケをエルサレムにつかわし、大軍を率いてヒゼキヤ王のもとへ行かせた。ラブシャケは布さらしの野へ行く大路に沿う、上の池の水道のかたわらに立った。 023 ISA 036 003 この時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアが彼の所に出てきた。 023 ISA 036 004 ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王アッスリヤの王はこう仰せられる、あなたが頼みとする者は何か。 023 ISA 036 005 口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれを頼んで、わたしにそむいたのか。 023 ISA 036 006 見よ、あなたはかの折れかけている葦のつえエジプトを頼みとしているが、それは人が寄りかかるとき、その人の手を刺し通す。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにするのだ。 023 ISA 036 007 しかし、あなたがもし「われわれはわれわれの神、主を頼む」とわたしに言うならば、ヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはこの祭壇の前で礼拝しなければならない」と言って除いたのは、その神の高き所と祭壇ではなかったのか。 023 ISA 036 008 さあ、今わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。 023 ISA 036 009 あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。 023 ISA 036 010 わたしがこの国を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしでしたことであろうか。主はわたしに、この国へ攻め上って、これを滅ぼせと言われたのだ』」。 023 ISA 036 011 その時、エリアキム、セブナおよびヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべたちに話してください。わたしたちはそれがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。 023 ISA 036 012 しかしラブシャケは言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるために、わたしをつかわされたのではないか。彼らをも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至らせるためではないか」。 023 ISA 036 013 そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った、「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。 023 ISA 036 014 王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたを救い出すことはできない。 023 ISA 036 015 ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。 023 ISA 036 016 あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたは、わたしと和ぼくして、わたしに降服せよ。そうすれば、あなたがたはめいめい自分のぶどうの実を食べ、めいめい自分のいちじくの実を食べ、めいめい自分の井戸の水を飲むことができる。 023 ISA 036 017 やがて、わたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それは、あなたがたの国のように穀物とぶどう酒の多い地、パンとぶどう畑の多い地だ。 023 ISA 036 018 ヒゼキヤが、主はわれわれを救われる、と言って、あなたがたを惑わすことのないように気をつけよ。もろもろの国の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。 023 ISA 036 019 ハマテやアルパデの神々はどこにいるか。セパルワイムの神々はどこにいるか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。 023 ISA 036 020 これらの国々のすべての神々のうちに、だれかその国をわたしの手から救い出した者があるか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。 023 ISA 036 021 しかし民は黙ってひと言も答えなかった。王が命じて、「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。 023 ISA 036 022 その時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。 023 ISA 037 001 ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主の宮に入り、 023 ISA 037 002 宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとへつかわした。 023 ISA 037 003 彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう言います、『きょうは悩みと責めと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。 023 ISA 037 004 あなたの神、主は、あるいはラブシャケのもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。彼はその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしりました。あなたの神、主はその言葉を聞いて、あるいは責められるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。 023 ISA 037 005 ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 023 ISA 037 006 イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王のしもべらが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。 023 ISA 037 007 見よ、わたしは一つの霊を彼のうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、その国でつるぎに倒れさせる』」。 023 ISA 037 008 ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼は王がラキシを去ったことを聞いたからである。 023 ISA 037 009 この時、アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々が言うのを聞いた。彼はこのことを聞いて、使者をヒゼキヤにつかわそうとして言った、 023 ISA 037 010 「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。 023 ISA 037 011 あなたはアッスリヤの王たちが、国々にしたこと、彼らを全く滅ぼしたことを聞いている。どうしてあなたは救われることができようか。 023 ISA 037 012 わたしの先祖たちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。 023 ISA 037 013 ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるか』」。 023 ISA 037 014 ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、 023 ISA 037 015 主に祈って言った、 023 ISA 037 016 「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。 023 ISA 037 017 主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いて見てください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉を聞いてください。 023 ISA 037 018 主よ、まことにアッスリヤの王たちは、もろもろの民とその国々を滅ぼし、 023 ISA 037 019 またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の造ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。 023 ISA 037 020 今われわれの神、主よ、どうぞ、われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆あなただけが主でいらせられることを知るようになるでしょう」。 023 ISA 037 021 その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたはアッスリヤの王セナケリブについてわたしに祈ったゆえ、 023 ISA 037 022 主が彼について語られた言葉はこうである、『処女であるシオンの娘はあなたを侮り、あなたをあざける。エルサレムの娘は、あなたのうしろで頭を振る。 023 ISA 037 023 あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。あなたはだれにむかって声をあげ、目を高くあげたのか。イスラエルの聖者にむかってだ。 023 ISA 037 024 あなたは、そのしもべらによって主をそしって言った、「わたしは多くの戦車を率いて山々の頂にのぼり、レバノンの奥へ行き、たけの高い香柏と、最も良いいとすぎを切り倒し、またその果の高地へ行き、その密林にはいった。 023 ISA 037 025 わたしは井戸を掘って水を飲んだ。わたしは足の裏でエジプトのすべての川を踏みからした」。 023 ISA 037 026 あなたは聞かなかったか、昔わたしがそれを定めたことを。堅固な町々を、あなたがこわして荒塚とすることも、いにしえの日から、わたしが計画して今それをきたらせたのだ。 023 ISA 037 027 そのうちに住む民は力弱く、おののき恥をいだいて、野の草のように、青菜のようになり、育たずに枯れる屋根の草のようになった。 023 ISA 037 028 わたしは、あなたの座すること、出入りすること、また、わたしにむかって怒り叫んだことをも知っている。 023 ISA 037 029 あなたが、わたしにむかって怒り叫んだことと、あなたの高慢な言葉とがわたしの耳にはいったゆえ、わたしは、あなたの鼻に輪をつけ、あなたの口にくつわをはめて、あなたを、もと来た道へ引きもどす』。 023 ISA 037 030 あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂から生えた物を食べ、二年目には、またその落ち穂から生えた物を食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。 023 ISA 037 031 ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ。 023 ISA 037 032 すなわち残る者はエルサレムから出、のがれる物はシオンの山から出る。万軍の主の熱心がこれをなし遂げられる。 023 ISA 037 033 それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない。またここに矢を放たない。また盾をもって、その前にこない。また塁を築いて、これを攻めることはない。 023 ISA 037 034 彼は来た道から帰って、この町に、はいることはない、と主は言う。 023 ISA 037 035 わたしは自分のため、また、わたしのしもべダビデのために町を守って、これを救おう』」。 023 ISA 037 036 主の使が出て、アッスリヤびとの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆死体となっていた。 023 ISA 037 037 アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰っていってニネベにいたが、 023 ISA 037 038 その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子らのアデラン・メレクとシャレゼルがつるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げていった。それで、その子エサルハドンが代って王となった。 023 ISA 038 001 そのころヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところに来て言った、「主はこう仰せられます、あなたの家を整えておきなさい。あなたは死にます、生きながらえることはできません」。 023 ISA 038 002 そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、 023 ISA 038 003 「ああ主よ、願わくは、わたしが真実と真心とをもって、み前に歩み、あなたの目にかなう事を行ったのを覚えてください」。そしてヒゼキヤはひどく泣いた。 023 ISA 038 004 その時主の言葉がイザヤに臨んで言った、 023 ISA 038 005 「行って、ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられます、「わたしはあなたの祈を聞いた。あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたのよわいを十五年増そう。 023 ISA 038 006 わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、この町を守ろう」。 023 ISA 038 007 主が約束されたことを行われることについては、あなたは主からこのしるしを得る。 023 ISA 038 008 見よ、わたしはアハズの日時計の上に進んだ日影を十度退かせよう』」。すると日時計の上に進んだ日影が十度退いた。 023 ISA 038 009 次の言葉はユダの王ヒゼキヤが病気になって、その病気が直った後、書きしるしたものである。 023 ISA 038 010 わたしは言った、わたしはわが一生のまっ盛りに、去らなければならない。わたしは陰府の門に閉ざされて、わが残りの年を失わなければならない。 023 ISA 038 011 わたしは言った、わたしは生ける者の地で、主を見ることなく、世におる人々のうちに、再び人を見ることがない。 023 ISA 038 012 わがすまいは抜き去られて羊飼の天幕のようにわたしを離れる。わたしは、わが命を機織りのように巻いた。彼はわたしを機から切り離す。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 023 ISA 038 013 わたしは朝まで叫んだ。主はししのようにわが骨をことごとく砕かれる。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 023 ISA 038 014 わたしは、つばめのように、つるのように鳴き、はとのようにうめき、わが目は上を見て衰える。主よ、わたしは、しえたげられています。どうか、わたしの保証人となってください。 023 ISA 038 015 しかし、わたしは何を言うことができましょう。主はわたしに言われ、かつ、自らそれをなされたからである。わが魂の苦しみによって、わが眠りはことごとく逃げ去った。 023 ISA 038 016 主よ、これらの事によって人は生きる。わが霊の命もすべてこれらの事による。どうか、わたしをいやし、わたしを生かしてください。 023 ISA 038 017 見よ、わたしが大いなる苦しみにあったのは、わが幸福のためであった。あなたはわが命を引きとめて、滅びの穴をまぬかれさせられた。これは、あなたがわが罪をことごとく、あなたの後に捨てられたからである。 023 ISA 038 018 陰府は、あなたに感謝することはできない。死はあなたをさんびすることはできない。墓にくだる者は、あなたのまことを望むことはできない。 023 ISA 038 019 ただ生ける者、生ける者のみ、きょう、わたしがするように、あなたに感謝する。父はあなたのまことを、その子らに知らせる。 023 ISA 038 020 主はわたしを救われる。われわれは世にあるかぎり、主の家で琴にあわせて、歌をうたおう。 023 ISA 038 021 イザヤは言った、「干いちじくのひとかたまりを持ってこさせ、それを腫物につけなさい。そうすれば直るでしょう」。 023 ISA 038 022 ヒゼキヤはまた言った、「わたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 023 ISA 039 001 そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダク・バラダンは手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病気であったが、直ったことを聞いたからである。 023 ISA 039 002 ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。 023 ISA 039 003 時に預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとに来て言った、「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、すなわちバビロンから来たのです」。 023 ISA 039 004 イザヤは言った、「彼らは、あなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「彼らは、わたしの家にある物を皆見ました。倉庫のうちには、彼らに見せなかった物は一つもありません」。 023 ISA 039 005 そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「万軍の主の言葉を聞きなさい。 023 ISA 039 006 見よ、すべてあなたの家にある物およびあなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物がバビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはない、と主が言われます。 023 ISA 039 007 また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られて、バビロンの王の宮殿において宦官となるでしょう」。 023 ISA 039 008 ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「少なくとも自分が世にある間は太平と安全があるだろう」と思ったからである。 023 ISA 040 001 あなたがたの神は言われる、「慰めよ、わが民を慰めよ、 023 ISA 040 002 ねんごろにエルサレムに語り、これに呼ばわれ、その服役の期は終り、そのとがはすでにゆるされ、そのもろもろの罪のために二倍の刑罰を主の手から受けた」。 023 ISA 040 003 呼ばわる者の声がする、「荒野に主の道を備え、さばくに、われわれの神のために、大路をまっすぐにせよ。 023 ISA 040 004 もろもろの谷は高くせられ、もろもろの山と丘とは低くせられ、高底のある地は平らになり、険しい所は平地となる。 023 ISA 040 005 こうして主の栄光があらわれ、人は皆ともにこれを見る。これは主の口が語られたのである」。 023 ISA 040 006 声が聞える、「呼ばわれ」。わたしは言った、「なんと呼ばわりましょうか」。「人はみな草だ。その麗しさは、すべて野の花のようだ。 023 ISA 040 007 主の息がその上に吹けば、草は枯れ、花はしぼむ。たしかに人は草だ。 023 ISA 040 008 草は枯れ、花はしぼむ。しかし、われわれの神の言葉はとこしえに変ることはない」。 023 ISA 040 009 よきおとずれをシオンに伝える者よ、高い山にのぼれ。よきおとずれをエルサレムに伝える者よ、強く声をあげよ、声をあげて恐れるな。ユダのもろもろの町に言え、「あなたがたの神を見よ」と。 023 ISA 040 010 見よ、主なる神は大能をもってこられ、その腕は世を治める。見よ、その報いは主と共にあり、そのはたらきの報いは、そのみ前にある。 023 ISA 040 011 主は牧者のようにその群れを養い、そのかいなに小羊をいだき、そのふところに入れて携えゆき、乳を飲ませているものをやさしく導かれる。 023 ISA 040 012 だれが、たなごころをもって海をはかり、指を伸ばして天をはかり、地のちりを枡に盛り、てんびんをもって、もろもろの山をはかり、はかりをもって、もろもろの丘をはかったか。 023 ISA 040 013 だれが、主の霊を導き、その相談役となって主を教えたか。 023 ISA 040 014 主はだれと相談して悟りを得たか。だれが主に公義の道を教え、知識を教え、悟りの道を示したか。 023 ISA 040 015 見よ、もろもろの国民は、おけの一しずくのように、はかりの上のちりのように思われる。見よ、主は島々を、ほこりのようにあげられる。 023 ISA 040 016 レバノンは、たきぎに足りない、またその獣は、燔祭に足りない。 023 ISA 040 017 主のみ前には、もろもろの国民は無きにひとしい。彼らは主によって、無きもののように、むなしいもののように思われる。 023 ISA 040 018 それで、あなたがたは神をだれとくらべ、どんな像と比較しようとするのか。 023 ISA 040 019 偶像は細工人が鋳て造り、鍛冶が、金をもって、それをおおい、また、これがために銀の鎖を造る。 023 ISA 040 020 貧しい者は、ささげ物として朽ちることのない木を選び、巧みな細工人を求めて、動くことのない像を立たせる。 023 ISA 040 021 あなたがたは知らなかったか。あなたがたは聞かなかったか。初めから、あなたがたに伝えられなかったか。地の基をおいた時から、あなたがたは悟らなかったか。 023 ISA 040 022 主は地球のはるか上に座して、地に住む者をいなごのように見られる。主は天を幕のようにひろげ、これを住むべき天幕のように張り、 023 ISA 040 023 また、もろもろの君を無きものとせられ、地のつかさたちを、むなしくされる。 023 ISA 040 024 彼らは、かろうじて植えられ、かろうじてまかれ、その幹がかろうじて地に根をおろしたとき、神がその上を吹かれると、彼らは枯れて、わらのように、つむじ風にまき去られる。 023 ISA 040 025 聖者は言われる、「それで、あなたがたは、わたしをだれにくらべ、わたしは、だれにひとしいというのか」。 023 ISA 040 026 目を高くあげて、だれが、これらのものを創造したかを見よ。主は数をしらべて万軍をひきいだし、おのおのをその名で呼ばれる。その勢いの大いなるにより、またその力の強きがゆえに、一つも欠けることはない。 023 ISA 040 027 ヤコブよ、何ゆえあなたは、「わが道は主に隠れている」と言うか。イスラエルよ、何ゆえあなたは、「わが訴えはわが神に顧みられない」と言うか。 023 ISA 040 028 あなたは知らなかったか、あなたは聞かなかったか。主はとこしえの神、地の果の創造者であって、弱ることなく、また疲れることなく、その知恵ははかりがたい。 023 ISA 040 029 弱った者には力を与え、勢いのない者には強さを増し加えられる。 023 ISA 040 030 年若い者も弱り、かつ疲れ、壮年の者も疲れはてて倒れる。 023 ISA 040 031 しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、わしのように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない。 023 ISA 041 001 海沿いの国々よ、静かにして、わたしに聞け。もろもろの民よ、力を新たにし、近づいて語れ。われわれは共にさばきの座に近づこう。 023 ISA 041 002 だれが東から人を起したか。彼はその行く所で勝利をもって迎えられ、もろもろの国を征服し、もろもろの王を足の下に踏みつけ、そのつるぎをもって彼らをちりのようにし、その弓をもって吹き去られる、わらのようにする。 023 ISA 041 003 彼はこれらの者を追ってその足のまだ踏んだことのない道を、安らかに過ぎて行く。 023 ISA 041 004 だれがこの事を行ったか、なしたか。だれが初めから世々の人々を呼び出したか。主なるわたしは初めであって、また終りと共にあり、わたしがそれだ。 023 ISA 041 005 海沿いの国々は見て恐れ、地の果は、おののき、近づいて来た。 023 ISA 041 006 彼らはおのおのその隣を助け、その兄弟たちに言う、「勇気を出せよ」と。 023 ISA 041 007 細工人は鍛冶を励まし、鎚をもって平らかにする者は金敷きを打つ者に、はんだづけについて言う、「それは良い」と。また、くぎをもってそれを堅くし、動くことのないようにする。 023 ISA 041 008 しかし、わがしもべイスラエルよ、わたしの選んだヤコブ、わが友アブラハムの子孫よ、 023 ISA 041 009 わたしは地の果から、あなたを連れてき、地のすみずみから、あなたを召して、あなたに言った、「あなたは、わたしのしもべ、わたしは、あなたを選んで捨てなかった」と。 023 ISA 041 010 恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる。 023 ISA 041 011 見よ、あなたにむかって怒る者はみな、はじて、あわてふためき、あなたと争う者は滅びて無に帰する。 023 ISA 041 012 あなたは、あなたと争う者を尋ねても見いださず、あなたと戦う者は全く消えうせる。 023 ISA 041 013 あなたの神、主なるわたしはあなたの右の手をとってあなたに言う、「恐れてはならない、わたしはあなたを助ける」。 023 ISA 041 014 主は言われる、「虫にひとしいヤコブよ、イスラエルの人々よ、恐れてはならない。わたしはあなたを助ける。あなたをあがなう者はイスラエルの聖者である。 023 ISA 041 015 見よ、わたしはあなたを鋭い歯のある新しい打穀機とする。あなたは山を打って、これを粉々にし、丘をもみがらのようにする。 023 ISA 041 016 あなたがあおげば風はこれを巻き去り、つむじ風がこれを吹き散らす。あなたは主によって喜びイスラエルの聖者によって誇る。 023 ISA 041 017 貧しい者と乏しい者とは水を求めても、水がなく、その舌がかわいて焼けているとき、主なるわたしは彼らに答える、イスラエルの神なるわたしは彼らを捨てることがない。 023 ISA 041 018 わたしは裸の山に川を開き、谷の中に泉をいだし、荒野を池となし、かわいた地を水の源とする。 023 ISA 041 019 わたしは荒野に香柏、アカシヤ、ミルトスおよびオリブの木を植え、さばくに、いとすぎ、すずかけ、からまつをともに置く。 023 ISA 041 020 人々はこれを見て、主のみ手がこれをなし、イスラエルの聖者がこれを創造されたことを知り、かつ、よく考えて共に悟る」。 023 ISA 041 021 主は言われる、「あなたがたの訴えを出せ」と。ヤコブの王は言われる、「あなたがたの証拠を持ってこい。 023 ISA 041 022 それを持ってきて、起るべき事をわれわれに告げよ。さきの事どもの何であるかを告げよ。われわれはよく考えて、その結末を知ろう。あるいはきたるべき事をわれわれに聞かせよ。 023 ISA 041 023 この後きたるべき事をわれわれに告げよ。われわれはあなたがたが神であることを知るであろう。幸をくだし、あるいは災をくだせ。われわれは驚いて肝をつぶすであろう。 023 ISA 041 024 見よ、あなたがたは無きものである。あなたがたのわざはむなしい。あなたがたを選ぶ者は憎むべき者である」。 023 ISA 041 025 わたしはひとりを起して北からこさせ、わが名を呼ぶ者を東からこさせる。彼はもろもろのつかさを踏みつけてしっくいのようにし、陶器師が粘土を踏むようにする。 023 ISA 041 026 だれか、初めからこの事をわれわれに告げ知らせたか。だれか、あらかじめわれわれに告げて、「彼は正しい」と言わせたか。ひとりもこの事を告げた者はない。ひとりも聞かせた者はない。ひとりもあなたがたの言葉を聞いた者はない。 023 ISA 041 027 わたしははじめてこれをシオンに告げた。わたしは、よきおとずれを伝える者をエルサレムに与える。 023 ISA 041 028 しかし、わたしが見ると、ひとりもない。彼らのなかには、わたしが尋ねても答えうる助言者はひとりもない。 023 ISA 041 029 見よ、彼らはみな人を惑わす者であって、そのわざは無きもの、その鋳た像はむなしき風である。 023 ISA 042 001 わたしの支持するわがしもべ、わたしの喜ぶわが選び人を見よ。わたしはわが霊を彼に与えた。彼はもろもろの国びとに道をしめす。 023 ISA 042 002 彼は叫ぶことなく、声をあげることなく、その声をちまたに聞えさせず、 023 ISA 042 003 また傷ついた葦を折ることなく、ほのぐらい灯心を消すことなく、真実をもって道をしめす。 023 ISA 042 004 彼は衰えず、落胆せず、ついに道を地に確立する。海沿いの国々はその教を待ち望む。 023 ISA 042 005 天を創造してこれをのべ、地とそれに生ずるものをひらき、その上の民に息を与え、その中を歩む者に霊を与えられる主なる神はこう言われる、 023 ISA 042 006 「主なるわたしは正義をもってあなたを召した。わたしはあなたの手をとり、あなたを守った。わたしはあなたを民の契約とし、もろもろの国びとの光として与え、 023 ISA 042 007 盲人の目を開き、囚人を地下の獄屋から出し、暗きに座する者を獄屋から出させる。 023 ISA 042 008 わたしは主である、これがわたしの名である。わたしはわが栄光をほかの者に与えない。また、わが誉を刻んだ像に与えない。 023 ISA 042 009 見よ、さきに預言した事は起った。わたしは新しい事を告げよう。その事がまだ起らない前に、わたしはまず、あなたがたに知らせよう」。 023 ISA 042 010 主にむかって新しき歌をうたえ。地の果から主をほめたたえよ。海とその中に満ちるもの、海沿いの国々とそれに住む者とは鳴りどよめ。 023 ISA 042 011 荒野とその中のもろもろの町と、ケダルびとの住むもろもろの村里は声をあげよ。セラの民は喜びうたえ。山の頂から呼ばわり叫べ。 023 ISA 042 012 栄光を主に帰し、その誉を海沿いの国々で語り告げよ。 023 ISA 042 013 主は勇士のように出て行き、いくさ人のように熱心を起し、ときの声をあげて呼ばわり、その敵にむかって大能をあらわされる。 023 ISA 042 014 わたしは久しく声を出さず、黙して、おのれをおさえていた。今わたしは子を産もうとする女のように叫ぶ。わたしの息は切れ、かつあえぐ。 023 ISA 042 015 わたしは山と丘とを荒し、すべての草を枯らし、もろもろの川を島とし、もろもろの池をからす。 023 ISA 042 016 わたしは目しいを彼らのまだ知らない大路に行かせ、まだ知らない道に導き、暗きをその前に光とし、高低のある所を平らにする。わたしはこれらの事をおこなって彼らを捨てない。 023 ISA 042 017 刻んだ偶像に頼み、鋳た偶像にむかって「あなたがたは、われわれの神である」と言う者は退けられて、大いに恥をかく。 023 ISA 042 018 耳しいよ、聞け。目しいよ、目を注いで見よ。 023 ISA 042 019 だれか、わがしもべのほかに目しいがあるか。だれか、わがつかわす使者のような耳しいがあるか。だれか、わが献身者のような目しいがあるか。だれか、主のしもべのような目しいがあるか。 023 ISA 042 020 彼は多くの事を見ても認めず、耳を開いても聞かない。 023 ISA 042 021 主はおのれの義のために、その教を大いなるものとし、かつ光栄あるものとすることを喜ばれた。 023 ISA 042 022 ところが、この民はかすめられ、奪われて、みな穴の中に捕われ、獄屋の中に閉じこめられた。彼らはかすめられても助ける者がなく、物を奪われても「もどせ」と言う者もない。 023 ISA 042 023 あなたがたのうち、だれがこの事に耳を傾けるだろうか、だれが心をもちいて後のためにこれを聞くだろうか。 023 ISA 042 024 ヤコブを奪わせた者はだれか。かすめる者にイスラエルをわたした者はだれか。これは主ではないか。われわれは主にむかって罪を犯し、その道に歩むことを好まず、またその教に従うことを好まなかった。 023 ISA 042 025 それゆえ、主は激しい怒りと、猛烈な戦いを彼らに臨ませられた。それが火のように周囲に燃えても、彼らは悟らず、彼らを焼いても、心にとめなかった。 023 ISA 043 001 ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ、あなたはわたしのものだ。 023 ISA 043 002 あなたが水の中を過ぎるとき、わたしはあなたと共におる。川の中を過ぎるとき、水はあなたの上にあふれることがない。あなたが火の中を行くとき、焼かれることもなく、炎もあなたに燃えつくことがない。 023 ISA 043 003 わたしはあなたの神、主である、イスラエルの聖者、あなたの救主である。わたしはエジプトを与えてあなたのあがないしろとし、エチオピヤとセバとをあなたの代りとする。 023 ISA 043 004 あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛するがゆえに、あなたの代りに人を与え、あなたの命の代りに民を与える。 023 ISA 043 005 恐れるな、わたしはあなたと共におる。わたしは、あなたの子孫を東からこさせ、西からあなたを集める。 023 ISA 043 006 わたしは北にむかって『ゆるせ』と言い、南にむかって『留めるな』と言う。わが子らを遠くからこさせ、わが娘らを地の果からこさせよ。 023 ISA 043 007 すべてわが名をもってとなえられる者をこさせよ。わたしは彼らをわが栄光のために創造し、これを造り、これを仕立てた」。 023 ISA 043 008 目があっても目しいのような民、耳があっても耳しいのような民を連れ出せ。 023 ISA 043 009 国々はみな相つどい、もろもろの民は集まれ。彼らのうち、だれがこの事を告げ、さきの事どもを、われわれに聞かせることができるか。その証人を出して、おのれの正しい事を証明させ、それを聞いて「これは真実だ」と言わせよ。 023 ISA 043 010 主は言われる、「あなたがたはわが証人、わたしが選んだわがしもべである。それゆえ、あなたがたは知って、わたしを信じ、わたしが主であることを悟ることができる。わたしより前に造られた神はなく、わたしより後にもない。 023 ISA 043 011 ただわたしのみ主である。わたしのほかに救う者はいない。 023 ISA 043 012 わたしはさきに告げ、かつ救い、かつ聞かせた。あなたがたのうちには、ほかの神はなかった。あなたがたはわが証人である」と主は言われる。 023 ISA 043 013 「わたしは神である、今より後もわたしは主である。わが手から救い出しうる者はない。わたしがおこなえば、だれが、これをとどめることができよう」。 023 ISA 043 014 あなたがたをあがなう者、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「あなたがたのために、わたしは人をバビロンにつかわし、すべての貫の木をこわし、カルデヤびとの喜びの声を嘆きに変らせる。 023 ISA 043 015 わたしは主、あなたがたの聖者、イスラエルの創造者、あなたがたの王である」。 023 ISA 043 016 海のなかに大路を設け、大いなる水の中に道をつくり、 023 ISA 043 017 戦車および馬、軍勢および兵士を出てこさせ、これを倒して起きることができないようにし、絶え滅ぼして、灯心の消えうせるようにされる主はこう言われる、 023 ISA 043 018 「あなたがたは、さきの事を思い出してはならない、また、いにしえのことを考えてはならない。 023 ISA 043 019 見よ、わたしは新しい事をなす。やがてそれは起る、あなたがたはそれを知らないのか。わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる。 023 ISA 043 020 野の獣はわたしをあがめ、山犬および、だちょうもわたしをあがめる。わたしが荒野に水をいだし、さばくに川を流れさせて、わたしの選んだ民に飲ませるからだ。 023 ISA 043 021 この民は、わが誉を述べさせるためにわたしが自分のために造ったものである。 023 ISA 043 022 ところがヤコブよ、あなたはわたしを呼ばなかった。イスラエルよ、あなたはわたしをうとんじた。 023 ISA 043 023 あなたは燔祭の羊をわたしに持ってこなかった。また犠牲をもってわたしをあがめなかった。わたしは供え物の重荷をあなたに負わせなかった。また乳香をもってあなたを煩わさなかった。 023 ISA 043 024 あなたは金を出して、わたしのために菖蒲を買わず、犠牲の脂肪を供えて、わたしを飽かせず、かえって、あなたの罪の重荷をわたしに負わせ、あなたの不義をもって、わたしを煩わせた。 023 ISA 043 025 わたしこそ、わたし自身のためにあなたのとがを消す者である。わたしは、あなたの罪を心にとめない。 023 ISA 043 026 あなたは、自分の正しいことを証明するために自分のことを述べて、わたしに思い出させよ。われわれは共に論じよう。 023 ISA 043 027 あなたの遠い先祖は罪を犯し、あなたの仲保者らはわたしにそむいた。 023 ISA 043 028 それゆえ、わたしは聖所の君たちを汚し、ヤコブを全き滅びにわたし、イスラエルをののしらしめた。 023 ISA 044 001 しかし、わがしもべヤコブよ、わたしが選んだイスラエルよ、いま聞け。 023 ISA 044 002 あなたを造り、あなたを胎内に形造り、あなたを助ける主はこう言われる、『わがしもべヤコブよ、わたしが選んだエシュルンよ、恐れるな。 023 ISA 044 003 わたしは、かわいた地に水を注ぎ、干からびた地に流れをそそぎ、わが霊をあなたの子らにそそぎ、わが恵みをあなたの子孫に与えるからである。 023 ISA 044 004 こうして、彼らは水の中の草のように、流れのほとりの柳のように、生え育つ。 023 ISA 044 005 ある人は「わたしは主のものである」と言い、ある人はヤコブの名をもって自分を呼び、またある人は「主のものである」と手にしるして、イスラエルの名をもって自分を呼ぶ』」。 023 ISA 044 006 主、イスラエルの王、イスラエルをあがなう者、万軍の主はこう言われる、「わたしは初めであり、わたしは終りである。わたしのほかに神はない。 023 ISA 044 007 だれかわたしに等しい者があるか。その者はそれを示し、またそれを告げ、わが前に言いつらねよ。だれが、昔から、きたるべき事を聞かせたか。その者はやがて成るべき事をわれわれに告げよ。 023 ISA 044 008 恐れてはならない、またおののいてはならない。わたしはこの事を昔から、あなたがたに聞かせなかったか、また告げなかったか。あなたがたはわが証人である。わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。わたしはそのあることを知らない」。 023 ISA 044 009 偶像を造る者は皆むなしく、彼らの喜ぶところのものは、なんの役にも立たない。その信者は見ることもなく、また知ることもない。ゆえに彼らは恥を受ける。 023 ISA 044 010 だれが神を造り、またなんの役にも立たない偶像を鋳たか。 023 ISA 044 011 見よ、その仲間は皆恥を受ける。その細工人らは人間にすぎない。彼らが皆集まって立つとき、恐れて共に恥じる。 023 ISA 044 012 鉄の細工人はこれを造るのに炭の火をもって細工し、鎚をもってこれを造り、強い腕をもってこれを鍛える。彼が飢えれば力は衰え、水を飲まなければ疲れはてる。 023 ISA 044 013 木の細工人は線を引き、鉛筆でえがき、かんなで削り、コンパスでえがき、それを人の美しい姿にしたがって人の形に造り、家の中に安置する。 023 ISA 044 014 彼は香柏を切り倒し、あるいはかしの木、あるいはかしわの木を選んで、それを林の木の中で強く育てる。あるいは香柏を植え、雨にそれを育てさせる。 023 ISA 044 015 こうして人はその一部をとって、たきぎとし、これをもって身を暖め、またこれを燃やしてパンを焼き、また他の一部を神に造って拝み、刻んだ像に造ってその前にひれ伏す。 023 ISA 044 016 その半ばは火に燃やし、その半ばで肉を煮て食べ、あるいは肉をあぶって食べ飽き、また身を暖めて言う、「ああ、暖まった、熱くなった」と。 023 ISA 044 017 そしてその余りをもって神を造って偶像とし、その前にひれ伏して拝み、これに祈って、「あなたはわが神だ、わたしを救え」と言う。 023 ISA 044 018 これらの人は知ることがなく、また悟ることがない。その目はふさがれて見ることができず、その心は鈍くなって悟ることができない。 023 ISA 044 019 その心のうちに思うことをせず、また知識がなく、悟りがないために、「わたしはその半ばを火に燃やし、またその炭火の上でパンを焼き、肉をあぶって食べ、その残りの木をもって憎むべきものを造るのか。木のはしくれの前にひれ伏すのか」と言う者もない。 023 ISA 044 020 彼は灰を食い、迷った心に惑わされて、おのれを救うことができず、また「わが右の手に偽りがあるではないか」と言わない。 023 ISA 044 021 ヤコブよ、イスラエルよ、これらの事を心にとめよ。あなたはわがしもべだから。わたしはあなたを造った、あなたはわがしもべだ。イスラエルよ、わたしはあなたを忘れない。 023 ISA 044 022 わたしはあなたのとがを雲のように吹き払い、あなたの罪を霧のように消した。わたしに立ち返れ、わたしはあなたをあがなったから。 023 ISA 044 023 天よ、歌え、主がこの事をなされたから。地の深き所よ、呼ばわれ。もろもろの山よ、林およびその中のもろもろの木よ、声を放って歌え。主はヤコブをあがない、イスラエルのうちに栄光をあらわされたから。 023 ISA 044 024 あなたをあがない、あなたを胎内に造られた主はこう言われる、「わたしは主である。わたしはよろずの物を造り、ただわたしだけが天をのべ、地をひらき、だれがわたしと共にいたか 023 ISA 044 025 偽る物のしるしをむなしくし、占う者を狂わせ、賢い者をうしろに退けて、その知識を愚かにする。 023 ISA 044 026 わたしは、わがしもべの言葉を遂げさせ、わが使の計りごとを成らせ、エルサレムについては、『これは民の住む所となる』と言い、ユダのもろもろの町については、『ふたたび建てられる、わたしはその荒れ跡を興そう』と言い、 023 ISA 044 027 また淵については、『かわけ、わたしはあなたのもろもろの川を干す』と言い、 023 ISA 044 028 またクロスについては、『彼はわが牧者、わが目的をことごとくなし遂げる』と言い、エルサレムについては、『ふたたび建てられる』と言い、神殿については、『あなたの基がすえられる』と言う」。 023 ISA 045 001 わたしはわが受膏者クロスの右の手をとって、もろもろの国をその前に従わせ、もろもろの王の腰を解き、とびらをその前に開かせて、門を閉じさせない、と言われる主はその受膏者クロスにこう言われる、 023 ISA 045 002 「わたしはあなたの前に行って、もろもろの山を平らにし、青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切り、 023 ISA 045 003 あなたに、暗い所にある財宝と、ひそかな所に隠した宝物とを与えて、わたしは主、あなたの名を呼んだイスラエルの神であることをあなたに知らせよう。 023 ISA 045 004 わがしもべヤコブのために、わたしの選んだイスラエルのために、わたしはあなたの名を呼んだ。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたに名を与えた。 023 ISA 045 005 わたしは主である。わたしのほかに神はない、ひとりもない。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたを強くする。 023 ISA 045 006 これは日の出る方から、また西の方から、人々がわたしのほかに神のないことを知るようになるためである。わたしは主である、わたしのほかに神はない。 023 ISA 045 007 わたしは光をつくり、また暗きを創造し、繁栄をつくり、またわざわいを創造する。わたしは主である、すべてこれらの事をなす者である。 023 ISA 045 008 天よ、上より水を注げ、雲は義を降らせよ。地は開けて救を生じ、また義をも、生えさせよ。主なるわたしはこれを創造した。 023 ISA 045 009 陶器が陶器師と争うように、おのれを造った者と争う者はわざわいだ。粘土は陶器師にむかって『あなたは何を造るか』と言い、あるいは『あなたの造った物には手がない』と言うだろうか。 023 ISA 045 010 父にむかって『あなたは、なぜ子をもうけるのか』と言い、あるいは女にむかって『あなたは、なぜ産みの苦しみをするのか』と言う者はわざわいだ」。 023 ISA 045 011 イスラエルの聖者、イスラエルを造られた主はこう言われる、「あなたがたは、わが子らについてわたしに問い、またわが手のわざについてわたしに命ずるのか。 023 ISA 045 012 わたしは地を造って、その上に人を創造した。わたしは手をもって天をのべ、その万軍を指揮した。 023 ISA 045 013 わたしは義をもってクロスを起した。わたしは彼のすべての道をまっすぐにしよう。彼はわが町を建て、わが捕囚を価のためでなく、また報いのためでもなく解き放つ」と万軍の主は言われる。 023 ISA 045 014 主はこう言われる、「エジプトの富と、エチオピヤの商品と、たけの高いセバびととはあなたに来て、あなたのものとなり、あなたに従い、彼らは鎖につながれて来て、あなたの前にひれ伏し、あなたに願って言う、『神はただあなたと共にいまし、このほかに神はなく、ひとりもない』」。 023 ISA 045 015 イスラエルの神、救主よ、まことに、あなたはご自分を隠しておられる神である。 023 ISA 045 016 偶像を造る者は皆恥を負い、はずかしめを受け、ともに、あわてふためいて退く。 023 ISA 045 017 しかし、イスラエルは主に救われて、とこしえの救を得る。あなたがたは世々かぎりなく、恥を負わず、はずかしめを受けない。 023 ISA 045 018 天を創造された主、すなわち神であってまた地をも造り成し、これを堅くし、いたずらにこれを創造されず、これを人のすみかに造られた主はこう言われる、「わたしは主である、わたしのほかに神はない。 023 ISA 045 019 わたしは隠れたところ、地の暗い所で語らず、ヤコブの子孫に『わたしを尋ねるのはむだだ』と言わなかった。主なるわたしは正しい事を語り、まっすぐな事を告げる。 023 ISA 045 020 もろもろの国からのがれてきた者よ、集まってきて、共に近寄れ。木像をにない、救うことのできない神に祈る者は無知である。 023 ISA 045 021 あなたがたの言い分を持ってきて述べよ。また共に相談せよ。この事をだれがいにしえから示したか。だれが昔から告げたか。わたし、すなわち主ではなかったか。わたしのほかに神はない。わたしは義なる神、救主であって、わたしのほかに神はない。 023 ISA 045 022 地の果なるもろもろの人よ、わたしを仰ぎのぞめ、そうすれば救われる。わたしは神であって、ほかに神はないからだ。 023 ISA 045 023 わたしは自分をさして誓った、わたしの口から出た正しい言葉は帰ることがない、『すべてのひざはわが前にかがみ、すべての舌は誓いをたてる』。 023 ISA 045 024 人はわたしについて言う、『正義と力とは主にのみある』と。人々は主にきたり、主にむかって怒る者は皆恥を受ける。 023 ISA 045 025 しかしイスラエルの子孫は皆主によって勝ち誇ることができる」。 023 ISA 046 001 ベルは伏し、ネボはかがみ、彼らの像は獣と家畜との上にある。あなたがたが持ち歩いたものは荷となり、疲れた獣の重荷となった。 023 ISA 046 002 彼らはかがみ、彼らは共に伏し、重荷となった者を救うことができずかえって、自分は捕われて行く。 023 ISA 046 003 「ヤコブの家よ、イスラエルの家の残ったすべての者よ、生れ出た時から、わたしに負われ、胎を出た時から、わたしに持ち運ばれた者よ、わたしに聞け。 023 ISA 046 004 わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。わたしは造ったゆえ、必ず負い、持ち運び、かつ救う。 023 ISA 046 005 あなたがたは、わたしをだれにたぐい、だれと等しくし、だれにくらべ、かつなぞらえようとするのか。 023 ISA 046 006 彼らは袋からこがねを注ぎ出し、はかりをもって、しろがねをはかり、金細工人を雇って、それを神に造らせ、これにひれ伏して拝む。 023 ISA 046 007 彼らはこれをもたげて肩に載せ、持って行って、その所に置き、そこに立たせる。これはその所から動くことができない。人がこれに呼ばわっても答えることができない。また彼をその悩みから救うことができない。 023 ISA 046 008 あなたがたはこの事をおぼえ、よく考えよ。そむける者よ、この事を心にとめよ、 023 ISA 046 009 いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。わたしは神である、わたしのほかに神はない。わたしは神である、わたしと等しい者はない。 023 ISA 046 010 わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う、『わたしの計りごとは必ず成り、わが目的をことごとくなし遂げる』と。 023 ISA 046 011 わたしは東から猛禽を招き、遠い国からわが計りごとを行う人を招く。わたしはこの事を語ったゆえ、必ずこさせる。わたしはこの事をはかったゆえ、必ず行う。 023 ISA 046 012 心をかたくなにして、救に遠い者よ、わたしに聞け。 023 ISA 046 013 わたしはわが救を近づかせるゆえ、その来ることは遠くない。わが救はおそくない。わたしは救をシオンに与え、わが栄光をイスラエルに与える」。 023 ISA 047 001 処女なるバビロンの娘よ、下って、ちりの中にすわれ。カルデヤびとの娘よ、王座のない地にすわれ。あなたはもはや、やさしく、たおやかな女ととなえられることはない。 023 ISA 047 002 石うすをとって粉をひけ、顔おおいを取り去り、うちぎを脱ぎ、すねをあらわして川を渡れ。 023 ISA 047 003 あなたの裸はあらわれ、あなたの恥は見られる。わたしはあだを報いて、何人とをも助けない。 023 ISA 047 004 われわれをあがなう者はその名を万軍の主といい、イスラエルの聖者である。 023 ISA 047 005 カルデヤびとの娘よ、黙してすわれ、また暗い所にはいれ。あなたはもはや、もろもろの国の女王ととなえられることはない。 023 ISA 047 006 わたしはわが民を憤り、わが嗣業を汚して、これをあなたの手に渡した。あなたはこれに、あわれみを施さず、年老いた者の上に、はなはだ重いくびきを負わせた。 023 ISA 047 007 あなたは言った、「わたしは、とこしえに女王となる」と。そして、あなたはこれらの事を心にとめず、またその終りを思わなかった。 023 ISA 047 008 楽しみにふけり、安らかにおり、心のうちに「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもなく、わたしは寡婦となることはない、また子を失うことはない」と言う者よ、今この事を聞け。 023 ISA 047 009 これらの二つの事は一日のうちに、またたくまにあなたに臨む。すなわち子を失い、寡婦となる事はたといあなたが多くの魔術を行い、魔法の大いなる力をもってしてもことごとくあなたに臨む。 023 ISA 047 010 あなたは自分の悪に寄り頼んで言う、「わたしを見る者はない」と。あなたの知恵と、あなたの知識とはあなたを惑わした。あなたは心のうちに言った、「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもない」と。 023 ISA 047 011 しかし、わざわいが、あなたに臨む、あなたは、それをあがなうことができない。なやみが、あなたを襲う、あなたは、それをつぐなうことができない。滅びが、にわかにあなたに臨む、あなたは、それについて何も知らない。 023 ISA 047 012 あなたが若い時から勤め行ったあなたの魔法と、多くの魔術とをもって立ちむかってみよ、あるいは成功するかもしれない、あるいは敵を恐れさせるかもしれない。 023 ISA 047 013 あなたは多くの計りごとによってうみ疲れた。かの天を分かつ者、星を見る者、新月によって、あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて、あなたを救わせてみよ。 023 ISA 047 014 見よ、彼らはわらのようになって、火に焼き滅ぼされ、自分の身を炎の勢いから、救い出すことができない。その火は身を暖める炭火ではない、またその前にすわるべき火でもない。 023 ISA 047 015 あなたが勤めて行ったものと、あなたの若い時からあなたと売り買いした者とは、ついにこのようになる。彼らはめいめい自分の方向にさすらいゆき、ひとりもあなたを救う者はない。 023 ISA 048 001 ヤコブの家よ、これを聞け。あなたがたはイスラエルの名をもってとなえられ、ユダの腰から出、主の名によって誓い、イスラエルの神をとなえるけれども、真実をもってせず、正義をもってしない。 023 ISA 048 002 彼らはみずから聖なる都のものととなえ、イスラエルの神に寄り頼む。その名は万軍の主という。 023 ISA 048 003 「わたしはさきに成った事を、いにしえから告げた。わたしは口から出して彼らに知らせた。わたしは、にわかにこの事を行い、そして成った。 023 ISA 048 004 わたしはあなたが、かたくなで、その首は鉄の筋、その額は青銅であることを知るゆえに、 023 ISA 048 005 いにしえから、かの事をあなたに告げ、その成らないさきに、これをあなたに聞かせた。そうでなければ、あなたは言うだろう、『わが偶像がこれをしたのだ、わが刻んだ像と、鋳た像がこれを命じたのだ』と。 023 ISA 048 006 あなたはすでに聞いた、すべてこれが成ったことを見よ。あなたがたはこれを宣べ伝えないのか。わたしは今から新しい事、あなたがまだ知らない隠れた事をあなたに聞かせよう。 023 ISA 048 007 これらの事はいま創造されたので、いにしえからあったのではない。この日以前には、あなたはこれを聞かなかった。そうでなければ、あなたは言うだろう、『見よ、わたしはこれを知っていた』と。 023 ISA 048 008 あなたはこれを聞くこともなく、知ることもなく、あなたの耳は、いにしえから開かれなかった。わたしはあなたが全く不信実で、生れながら反逆者ととなえられたことを知っていたからである。 023 ISA 048 009 わが名のために、わたしは怒りをおそくする。わが誉のために、わたしはこれをおさえて、あなたを断ち滅ぼすことをしない。 023 ISA 048 010 見よ、わたしはあなたを練った。しかし銀のようにではなくて、苦しみの炉をもってあなたを試みた。 023 ISA 048 011 わたしは自分のために、自分のためにこれを行う。どうしてわが名を汚させることができよう。わたしはわが栄光をほかの者に与えることをしない。 023 ISA 048 012 ヤコブよ、わたしの召したイスラエルよ、わたしに聞け。わたしはそれだ、わたしは初めであり、わたしはまた終りである。 023 ISA 048 013 わが手は地の基をすえ、わが右の手は天をのべた。わたしが呼ぶと、彼らはもろともに立つ。 023 ISA 048 014 あなたがたは皆集まって聞け。彼らのうち、だれがこれらの事を告げたか。主の愛せられる彼は主のみこころをバビロンに行い、その腕はカルデヤびとの上に臨む。 023 ISA 048 015 語ったのは、ただわたしであって、わたしは彼を召した。わたしは彼をこさせた。彼はその道に栄える。 023 ISA 048 016 あなたがたはわたしに近寄って、これを聞け。わたしは初めから、ひそかに語らなかった。それが成った時から、わたしはそこにいたのだ」。いま主なる神は、わたしとその霊とをつかわされた。 023 ISA 048 017 あなたのあがない主、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「わたしはあなたの神、主である。わたしは、あなたの利益のために、あなたを教え、あなたを導いて、その行くべき道に行かせる。 023 ISA 048 018 どうか、あなたはわたしの戒めに聞き従うように。そうすれば、あなたの平安は川のように、あなたの義は海の波のようになり、 023 ISA 048 019 あなたのすえは砂のように、あなたの子孫は砂粒のようになって、その名はわが前から断たれることなく、滅ぼされることはない」。 023 ISA 048 020 あなたがたはバビロンから出、カルデヤからのがれよ。喜びの声をもってこれをのべ聞かせ、地の果にまで語り伝え、「主はそのしもべヤコブをあがなわれた」と言え。 023 ISA 048 021 主が彼らを導いて、さばくを通らせられたとき、彼らは、かわいたことがなかった。主は彼らのために岩から水を流れさせ、また岩を裂かれると、水がほとばしり出た。 023 ISA 048 022 主は言われた、「悪い者には平安がない」と。 023 ISA 049 001 海沿いの国々よ、わたしに聞け。遠いところのもろもろの民よ、耳を傾けよ。主はわたしを生れ出た時から召し、母の胎を出た時からわが名を語り告げられた。 023 ISA 049 002 主はわが口を鋭利なつるぎとなし、わたしをみ手の陰にかくし、とぎすました矢となして、箙にわたしを隠された。 023 ISA 049 003 また、わたしに言われた、「あなたはわがしもべ、わが栄光をあらわすべきイスラエルである」と。 023 ISA 049 004 しかし、わたしは言った、「わたしはいたずらに働き、益なく、むなしく力を費した。しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、わが報いはわが神と共にある」と。 023 ISA 049 005 ヤコブをおのれに帰らせ、イスラエルをおのれのもとに集めるために、わたしを腹の中からつくってそのしもべとされた主は言われる。(わたしは主の前に尊ばれ、わが神はわが力となられた) 023 ISA 049 006 主は言われる、「あなたがわがしもべとなって、ヤコブのもろもろの部族をおこし、イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、いとも軽い事である。わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、わが救を地の果にまでいたらせよう」と。 023 ISA 049 007 イスラエルのあがない主、イスラエルの聖者なる主は、人に侮られる者、民に忌みきらわれる者、つかさたちのしもべにむかってこう言われる、「もろもろの王は見て、立ちあがり、もろもろの君は立って、拝する。これは真実なる主、イスラエルの聖者が、あなたを選ばれたゆえである」。 023 ISA 049 008 主はこう言われる、「わたしは恵みの時に、あなたに答え、救の日にあなたを助けた。わたしはあなたを守り、あなたを与えて民の契約とし、国を興し、荒れすたれた地を嗣業として継がせる。 023 ISA 049 009 わたしは捕えられた人に『出よ』と言い、暗きにおる者に『あらわれよ』と言う。彼らは道すがら食べることができ、すべての裸の山にも牧草を得る。 023 ISA 049 010 彼らは飢えることがなく、かわくこともない。また熱い風も、太陽も彼らを撃つことはない。彼らをあわれむ者が彼らを導き、泉のほとりに彼らを導かれるからだ。 023 ISA 049 011 わたしは、わがもろもろの山を道とし、わが大路を高くする。 023 ISA 049 012 見よ、人々は遠くから来る。見よ、人々は北から西から、またスエネの地から来る」。 023 ISA 049 013 天よ、歌え、地よ、喜べ。もろもろの山よ、声を放って歌え。主はその民を慰め、その苦しむ者をあわれまれるからだ。 023 ISA 049 014 しかしシオンは言った、「主はわたしを捨て、主はわたしを忘れられた」と。 023 ISA 049 015 「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。 023 ISA 049 016 見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある。 023 ISA 049 017 あなたを建てる者は、あなたをこわす者を追い越し、あなたを荒した者は、あなたから出て行く。 023 ISA 049 018 あなたの目をあげて見まわせ。彼らは皆集まって、あなたのもとに来る。主は言われる、わたしは生きている、あなたは彼らを皆、飾りとして身につけ、花嫁の帯のようにこれを結ぶ。 023 ISA 049 019 あなたの荒れ、かつすたれた所、こわされた地は、住む人の多いために狭くなり、あなたを、のみつくした者は、はるかに離れ去る。 023 ISA 049 020 あなたが子を失った後に生れた子らは、なおあなたの耳に言う、『この所はわたしには狭すぎる、わたしのために住むべき所を得させよ』と。 023 ISA 049 021 その時あなたは心のうちに言う、『だれがわたしのためにこれらの者を産んだのか。わたしは子を失って、子をもたない。わたしは捕われ、かつ追いやられた。だれがこれらの者を育てたのか。見よ、わたしはひとり残された。これらの者はどこから来たのか』と」。 023 ISA 049 022 主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは手をもろもろの国にむかってあげ、旗をもろもろの民にむかって立てる。彼らはそのふところにあなたの子らを携え、その肩にあなたの娘たちを載せて来る。 023 ISA 049 023 もろもろの王は、あなたの養父となり、その王妃たちは、あなたの乳母となり、彼らはその顔を地につけて、あなたにひれ伏し、あなたの足のちりをなめる。こうして、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥をこうむることがない」。 023 ISA 049 024 勇士が奪った獲物をどうして取り返すことができようか。暴君がかすめた捕虜をどうして救い出すことができようか。 023 ISA 049 025 しかし主はこう言われる、「勇士がかすめた捕虜も取り返され、暴君が奪った獲物も救い出される。わたしはあなたと争う者と争い、あなたの子らを救うからである。 023 ISA 049 026 わたしはあなたをしえたげる者にその肉を食わせ、その血を新しい酒のように飲ませて酔わせる。こうして、すべての人はわたしが主であって、あなたの救主、またあなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るようになる」。 023 ISA 050 001 主はこう言われる、「わたしがあなたがたの母を去らせたその離縁状は、どこにあるか。わたしはどの債主にあなたがたを売りわたしたか。見よ、あなたがたは、その不義のために売られ、あなたがたの母は、あなたがたのとがのために出されたのだ。 023 ISA 050 002 わたしが来たとき、なぜひとりもいなかったか。わたしが呼んだとき、なぜひとりも答える者がなかったか。わたしの手が短くて、あがなうことができないのか。わたしは救う力を持たないのか。見よ、わたしが、しかると海はかれ、川は荒野となり、その中の魚は水がないために、かわき死んで悪臭を放つ。 023 ISA 050 003 わたしは黒い衣を天に着せ、荒布をもってそのおおいとする」。 023 ISA 050 004 主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、疲れた者を言葉をもって助けることを知らせ、また朝ごとにさまし、わたしの耳をさまして、教をうけた者のように聞かせられる。 023 ISA 050 005 主なる神はわたしの耳を開かれた。わたしは、そむくことをせず、退くことをしなかった。 023 ISA 050 006 わたしを打つ者に、わたしの背をまかせ、わたしのひげを抜く者に、わたしのほおをまかせ、恥とつばきとを避けるために、顔をかくさなかった。 023 ISA 050 007 しかし主なる神はわたしを助けられる。それゆえ、わたしは恥じることがなかった。それゆえ、わたしは顔を火打石のようにした。わたしは決してはずかしめられないことを知る。 023 ISA 050 008 わたしを義とする者が近くおられる。だれがわたしと争うだろうか、われわれは共に立とう。わたしのあだはだれか、わたしの所へ近くこさせよ。 023 ISA 050 009 見よ、主なる神はわたしを助けられる。だれがわたしを罪に定めるだろうか。見よ、彼らは皆衣のようにふるび、しみのために食いつくされる。 023 ISA 050 010 あなたがたのうち主を恐れ、そのしもべの声に聞き従い、暗い中を歩いて光を得なくても、なお主の名を頼み、おのれの神にたよる者はだれか。 023 ISA 050 011 見よ、火を燃やし、たいまつをともす者よ、皆その火の炎の中を歩め、またその燃やした、たいまつの中を歩め。あなたがたは、これをわたしの手から受けて、苦しみのうちに伏し倒れる。 023 ISA 051 001 「義を追い求め、主を尋ね求める者よ、わたしに聞け。あなたがたの切り出された岩と、あなたがたの掘り出された穴とを思いみよ。 023 ISA 051 002 あなたがたの父アブラハムと、あなたがたを産んだサラとを思いみよ。わたしは彼をただひとりであったときに召し、彼を祝福して、その子孫を増し加えた。 023 ISA 051 003 主はシオンを慰め、またそのすべて荒れた所を慰めて、その荒野をエデンのように、そのさばくを主の園のようにされる。こうして、その中に喜びと楽しみとがあり、感謝と歌の声とがある。 023 ISA 051 004 わが民よ、わたしに聞け、わが国びとよ、わたしに耳を傾けよ。律法はわたしから出、わが道はもろもろの民の光となる。 023 ISA 051 005 わが義はすみやかに近づき、わが救は出て行った。わが腕はもろもろの民を治める。海沿いの国々はわたしを待ち望み、わが腕に寄り頼む。 023 ISA 051 006 目をあげて天を見、また下なる地を見よ。天は煙のように消え、地は衣のようにふるび、その中に住む者は、ぶよのように死ぬ。しかし、わが救はとこしえにながらえ、わが義はくじけることがない。 023 ISA 051 007 義を知る者よ、心のうちにわが律法をたもつ者よ、わたしに聞け。人のそしりを恐れてはならない、彼らのののしりに驚いてはならない。 023 ISA 051 008 彼らは衣のように、しみに食われ、羊の毛のように虫に食われるからだ。しかし、わが義はとこしえにながらえ、わが救はよろず代に及ぶ」。 023 ISA 051 009 主のかいなよ、さめよ、さめよ、力を着よ。さめて、いにしえの日、昔の代にあったようになれ。ラハブを切り殺し、龍を刺し貫いたのは、あなたではなかったか。 023 ISA 051 010 海をかわかし、大いなる淵の水をかわかし、また海の深き所を、あがなわれた者の過ぎる道とされたのは、あなたではなかったか。 023 ISA 051 011 主にあがなわれた者は、歌うたいつつ、シオンに帰ってきて、そのこうべに、とこしえの喜びをいただき、彼らは喜びと楽しみとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 023 ISA 051 012 「わたしこそあなたを慰める者だ。あなたは何者なれば、死ぬべき人を恐れ、草のようになるべき人の子を恐れるのか。 023 ISA 051 013 天をのべ、地の基をすえられたあなたの造り主、主を忘れて、なぜ、しえたげる者が滅ぼそうと備えをするとき、その憤りのゆえに常にひねもす恐れるのか。しえたげる者の憤りはどこにあるか。 023 ISA 051 014 身をかがめている捕われ人は、すみやかに解かれて、死ぬことなく、穴にくだることなく、その食物はつきることがない。 023 ISA 051 015 わたしは海をふるわせ、その波をなりどよめかすあなたの神、主である。その名を万軍の主という。 023 ISA 051 016 わたしはわが言葉をあなたの口におき、わが手の陰にあなたを隠した。こうして、わたしは天をのべ、地の基をすえ、シオンにむかって、あなたはわが民であると言う」。 023 ISA 051 017 エルサレムよ、起きよ、起きよ、立て。あなたはさきに主の手から憤りの杯をうけて飲み、よろめかす大杯を、滓までも飲みほした。 023 ISA 051 018 その産んだもろもろの子のなかに、自分を導く者なく、その育てたもろもろの子のなかに、自分の手をとる者がない。 023 ISA 051 019 これら二つの事があなたに臨んだだれがあなたと共に嘆くだろうか荒廃と滅亡、ききんとつるぎ。だれがあなたを慰めるだろうか。 023 ISA 051 020 あなたの子らは息絶えだえになり、網にかかった、かもしかのように、すべてのちまたのすみに横たわり、主の憤りと、あなたの神の責めとは、彼らに満ちている。 023 ISA 051 021 それゆえ、苦しめる者、酒にではなく酔っている者よ、これを聞け。 023 ISA 051 022 あなたの主、おのが民の訴えを弁護されるあなたの神、主はこう言われる、「見よ、わたしはよろめかす杯をあなたの手から取り除き、わが憤りの大杯を取り除いた。あなたは再びこれを飲むことはない。 023 ISA 051 023 わたしはこれをあなたを悩ます者の手におく。彼らはさきにあなたにむかって言った、『身をかがめよ、われわれは越えていこう』と。そしてあなたはその背を地のようにし、ちまたのようにして、彼らの越えていくにまかせた」。 023 ISA 052 001 シオンよ、さめよ、さめよ、力を着よ。聖なる都エルサレムよ、美しい衣を着よ。割礼を受けない者および汚れた者は、もはやあなたのところに、はいることがないからだ。 023 ISA 052 002 捕われたエルサレムよ、あなたの身からちりを振り落せ、起きよ。捕われたシオンの娘よ、あなたの首のなわを解きすてよ。 023 ISA 052 003 主はこう言われる、「あなたがたは、ただで売られた。金を出さずにあがなわれる」。 023 ISA 052 004 主なる神はこう言われる、「わが民はさきにエジプトへ下って行って、かしこに寄留した。またアッスリヤびとはゆえなく彼らをしえたげた。 023 ISA 052 005 それゆえ、今わたしはここに何をしようか。わが民はゆえなく捕われた」と主は言われる。主は言われる、「彼らをつかさどる者はわめき、わが名は常にひねもす侮られる。 023 ISA 052 006 それゆえ、わが民はわが名を知るにいたる。その日には彼らはこの言葉を語る者がわたしであることを知る。わたしはここにおる」。 023 ISA 052 007 よきおとずれを伝え、平和を告げ、よきおとずれを伝え、救を告げ、シオンにむかって「あなたの神は王となられた」と言う者の足は山の上にあって、なんと麗しいことだろう。 023 ISA 052 008 聞けよ、あなたの見張びとは声をあげて、共に喜び歌っている。彼らは目と目と相合わせて、主がシオンに帰られるのを見るからだ。 023 ISA 052 009 エルサレムの荒れすたれた所よ、声を放って共に歌え。主はその民を慰め、エルサレムをあがなわれたからだ。 023 ISA 052 010 主はその聖なるかいなを、もろもろの国びとの前にあらわされた。地のすべての果は、われわれの神の救を見る。 023 ISA 052 011 去れよ、去れよ、そこを出て、汚れた物にさわるな。その中を出よ、主の器をになう者よ、おのれを清く保て。 023 ISA 052 012 あなたがたは急いで出るに及ばない、また、とんで行くにも及ばない。主はあなたがたの前に行き、イスラエルの神はあなたがたのしんがりとなられるからだ。 023 ISA 052 013 見よ、わがしもべは栄える。彼は高められ、あげられ、ひじょうに高くなる。 023 ISA 052 014 多くの人が彼に驚いたように彼の顔だちは、そこなわれて人と異なり、その姿は人の子と異なっていたからである 023 ISA 052 015 彼は多くの国民を驚かす。王たちは彼のゆえに口をつむぐ。それは彼らがまだ伝えられなかったことを見、まだ聞かなかったことを悟るからだ。 023 ISA 053 001 だれがわれわれの聞いたことを信じ得たか。主の腕は、だれにあらわれたか。 023 ISA 053 002 彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。 023 ISA 053 003 彼は侮られて人に捨てられ、悲しみの人で、病を知っていた。また顔をおおって忌みきらわれる者のように、彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。 023 ISA 053 004 まことに彼はわれわれの病を負い、われわれの悲しみをになった。しかるに、われわれは思った、彼は打たれ、神にたたかれ、苦しめられたのだと。 023 ISA 053 005 しかし彼はわれわれのとがのために傷つけられ、われわれの不義のために砕かれたのだ。彼はみずから懲しめをうけて、われわれに平安を与え、その打たれた傷によって、われわれはいやされたのだ。 023 ISA 053 006 われわれはみな羊のように迷って、おのおの自分の道に向かって行った。主はわれわれすべての者の不義を、彼の上におかれた。 023 ISA 053 007 彼はしえたげられ、苦しめられたけれども、口を開かなかった。ほふり場にひかれて行く小羊のように、また毛を切る者の前に黙っている羊のように、口を開かなかった。 023 ISA 053 008 彼は暴虐なさばきによって取り去られた。その代の人のうち、だれが思ったであろうか、彼はわが民のとがのために打たれて、生けるものの地から断たれたのだと。 023 ISA 053 009 彼は暴虐を行わず、その口には偽りがなかったけれども、その墓は悪しき者と共に設けられ、その塚は悪をなす者と共にあった。 023 ISA 053 010 しかも彼を砕くことは主のみ旨であり、主は彼を悩まされた。彼が自分を、とがの供え物となすとき、その子孫を見ることができ、その命をながくすることができる。かつ主のみ旨が彼の手によって栄える。 023 ISA 053 011 彼は自分の魂の苦しみにより光を見て満足する。義なるわがしもべはその知識によって、多くの人を義とし、また彼らの不義を負う。 023 ISA 053 012 それゆえ、わたしは彼に大いなる者と共に物を分かち取らせる。彼は強い者と共に獲物を分かち取る。これは彼が死にいたるまで、自分の魂をそそぎだし、とがある者と共に数えられたからである。しかも彼は多くの人の罪を負い、とがある者のためにとりなしをした。 023 ISA 054 001 「子を産まなかったうまずめよ、歌え。産みの苦しみをしなかった者よ、声を放って歌いよばわれ。夫のない者の子は、とついだ者の子よりも多い」と主は言われる。 023 ISA 054 002 「あなたの天幕の場所を広くし、あなたのすまいの幕を張りひろげ、惜しむことなく、あなたの綱を長くし、あなたの杭を強固にせよ。 023 ISA 054 003 あなたは右に左にひろがり、あなたの子孫はもろもろの国を獲、荒れすたれた町々をも住民で満たすからだ。 023 ISA 054 004 恐れてはならない。あなたは恥じることがない。あわてふためいてはならない。あなたは、はずかしめられることがない。あなたは若い時の恥を忘れ、寡婦であった時のはずかしめを、再び思い出すことがない。 023 ISA 054 005 あなたを造られた者はあなたの夫であって、その名は万軍の主。あなたをあがなわれる者は、イスラエルの聖者であって、全地の神ととなえられる。 023 ISA 054 006 捨てられて心悲しむ妻、また若い時にとついで出された妻を招くように主はあなたを招かれた」とあなたの神は言われる。 023 ISA 054 007 「わたしはしばしばあなたを捨てたけれども、大いなるあわれみをもってあなたを集める。 023 ISA 054 008 あふれる憤りをもって、しばしわが顔を隠したけれども、とこしえのいつくしみをもって、あなたをあわれむ」とあなたをあがなわれる主は言われる。 023 ISA 054 009 「このことはわたしにはノアの時のようだ。わたしはノアの洪水を、再び地にあふれさせないと誓ったが、そのように、わたしは再びあなたを怒らない、再びあなたを責めないと誓った。 023 ISA 054 010 山は移り、丘は動いても、わがいつくしみはあなたから移ることなく、平安を与えるわが契約は動くことがない」とあなたをあわれまれる主は言われる。 023 ISA 054 011 「苦しみをうけ、あらしにもてあそばれ、慰めを得ない者よ、見よ、わたしはアンチモニーであなたの石をすえ、サファイヤであなたの基をおき、 023 ISA 054 012 めのうであなたの尖塔を造り、紅玉であなたの門を造り、あなたの城壁をことごとく宝石で造る。 023 ISA 054 013 あなたの子らはみな主に教をうけ、あなたの子らは大いに栄える。 023 ISA 054 014 あなたは義をもって堅く立ち、しえたげから遠ざかって恐れることはない。また恐怖から遠ざかる、それはあなたに近づくことがないからである。 023 ISA 054 015 たとい争いを起す者があってもわたしによるのではない。すべてあなたと争う者は、あなたのゆえに倒れる。 023 ISA 054 016 見よ、炭火を吹きおこして、その目的にかなう武器を造り出す鍛冶は、わたしが創造した者、また荒し滅ぼす者も、わたしが創造した者である。 023 ISA 054 017 すべてあなたを攻めるために造られる武器は、その目的を達しない。すべてあなたに逆らい立って、争い訴える舌は、あなたに説き破られる。これが主のしもべらの受ける嗣業であり、また彼らがわたしから受ける義である」と主は言われる。 023 ISA 055 001 「さあ、かわいている者はみな水にきたれ。金のない者もきたれ。来て買い求めて食べよ。あなたがたは来て、金を出さずに、ただでぶどう酒と乳とを買い求めよ。 023 ISA 055 002 なぜ、あなたがたは、かてにもならぬもののために金を費し、飽きることもできぬもののために労するのか。わたしによく聞き従え。そうすれば、良い物を食べることができ、最も豊かな食物で、自分を楽しませることができる。 023 ISA 055 003 耳を傾け、わたしにきて聞け。そうすれば、あなたがたは生きることができる。わたしは、あなたがたと、とこしえの契約を立てて、ダビデに約束した変らない確かな恵みを与える。 023 ISA 055 004 見よ、わたしは彼を立てて、もろもろの民への証人とし、また、もろもろの民の君とし、命令する者とした。 023 ISA 055 005 見よ、あなたは知らない国民を招く、あなたを知らない国民はあなたのもとに走ってくる。これはあなたの神、主、イスラエルの聖者のゆえであり、主があなたに光栄を与えられたからである。 023 ISA 055 006 あなたがたは主にお会いすることのできるうちに、主を尋ねよ。近くおられるうちに呼び求めよ。 023 ISA 055 007 悪しき者はその道を捨て、正らぬ人はその思いを捨てて、主に帰れ。そうすれば、主は彼にあわれみを施される。われわれの神に帰れ、主は豊かにゆるしを与えられる。 023 ISA 055 008 わが思いは、あなたがたの思いとは異なり、わが道は、あなたがたの道とは異なっていると主は言われる。 023 ISA 055 009 天が地よりも高いように、わが道は、あなたがたの道よりも高く、わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。 023 ISA 055 010 天から雨が降り、雪が落ちてまた帰らず、地を潤して物を生えさせ、芽を出させて、種まく者に種を与え、食べる者にかてを与える。 023 ISA 055 011 このように、わが口から出る言葉も、むなしくわたしに帰らない。わたしの喜ぶところのことをなし、わたしが命じ送った事を果す。 023 ISA 055 012 あなたがたは喜びをもって出てきて、安らかに導かれて行く。山と丘とはあなたの前に声を放って喜び歌い、野にある木はみな手を打つ。 023 ISA 055 013 いとすぎは、いばらに代って生え、ミルトスの木は、おどろに代って生える。これは主の記念となり、また、とこしえのしるしとなって、絶えることはない」。 023 ISA 056 001 主はこう言われる、「あなたがたは公平を守って正義を行え。わが救の来るのは近く、わが助けのあらわれるのが近いからだ。 023 ISA 056 002 安息日を守って、これを汚さず、その手をおさえて、悪しき事をせず、このように行う人、これを堅く守る人の子はさいわいである」。 023 ISA 056 003 主に連なっている異邦人は言ってはならない、「主は必ずわたしをその民から分かたれる」と。宦官もまた言ってはならない、「見よ、わたしは枯れ木だ」と。 023 ISA 056 004 主はこう言われる、「わが安息日を守り、わが喜ぶことを選んで、わが契約を堅く守る宦官には、 023 ISA 056 005 わが家のうちで、わが垣のうちで、むすこにも娘にもまさる記念のしるしと名を与え、絶えることのない、とこしえの名を与える。 023 ISA 056 006 また主に連なり、主に仕え、主の名を愛し、そのしもべとなり、すべて安息日を守って、これを汚さず、わが契約を堅く守る異邦人は 023 ISA 056 007 わたしはこれをわが聖なる山にこさせ、わが祈の家のうちで楽しませる、彼らの燔祭と犠牲とは、わが祭壇の上に受けいれられる。わが家はすべての民の祈の家ととなえられるからである」。 023 ISA 056 008 イスラエルの追いやられた者を集められる主なる神はこう言われる、「わたしはさらに人を集めて、すでに集められた者に加えよう」と。 023 ISA 056 009 野のすべての獣よ、林におるすべての獣よ、来て食らえ。 023 ISA 056 010 見張人らはみな目しいで、知ることがなく、みな、おしの犬で、ほえることができない。みな夢みる者、伏している者、まどろむことを好む者だ。 023 ISA 056 011 この犬どもは強欲で、飽くことを知らない。彼らはまた悟ることのできない牧者で、皆おのが道にむかいゆき、おのおのみな、おのれの利を求める。 023 ISA 056 012 彼らは互に言う、「さあ、われわれは酒を手に入れ、濃い酒をあびるほど飲もう。あすも、きょうのようであるだろう、すばらしい日だ」と。 023 ISA 057 001 正しい者が滅びても、心にとめる人がなく、神を敬う人々が取り去られても、悟る者はない。正しい者は災の前に取り去られて、 023 ISA 057 002 平安に入るからである。すべて正直に歩む者は、その床に休むことができる。 023 ISA 057 003 しかし、あなたがた女魔法使の子よ、姦夫と遊女のすえよ、こちらへ近寄れ。 023 ISA 057 004 あなたがたは、だれにむかって戯れをなすのか。だれにむかって口を開き、舌を出すのか。あなたがたは背信の子ら、偽りのすえではないか。 023 ISA 057 005 あなたがたは、かしの木の間、すべての青木の下で心をこがし、谷の中、岩のはざまで子どもを殺した。 023 ISA 057 006 あなたは谷のなめらかな石を自分の嗣業とし、これを自分の分け前とし、これに灌祭をそそぎ、供え物をささげた。わたしはこれらの物によってなだめられようか。 023 ISA 057 007 あなたは高くそびえた山の上に自分の床を設け、またそこに登って行って犠牲をささげた。 023 ISA 057 008 また戸および柱のうしろに、あなたのしるしを置いた。あなたはわたしを離れて自分の床をあらわし、それにのぼって、その床をひろくした。また彼らと契約をなし、彼らの床を愛し、その裸を見た。 023 ISA 057 009 あなたは、におい油を携えてモレクに行き、多くのかおり物をささげた。またあなたの使者を遠くにつかわし、陰府の深い所にまでつかわした。 023 ISA 057 010 あなたは道の長いのに疲れても、なお「望みがない」とは言わなかった。あなたはおのが力の回復を得たので、衰えることがなかった。 023 ISA 057 011 あなたはだれをおじ恐れて、偽りを言い、わたしを覚えず、また心におかなかったのか。わたしが久しく黙っていたために、あなたはわたしを恐れなかったのではなかったか。 023 ISA 057 012 わたしはあなたの義と、あなたのわざを告げ示そう、しかしこれらはあなたを益しない。 023 ISA 057 013 あなたが呼ばわる時、あなたが集めておいた偶像にあなたを救わせよ。風は彼らを運び去り、息は彼らを取り去る。しかしわたしに寄り頼む者は地を継ぎ、わが聖なる山をまもる。 023 ISA 057 014 主は言われる、「土を盛り、土を盛って道を備えよ、わが民の道から、つまずく物を取り去れ」と。 023 ISA 057 015 いと高く、いと上なる者、とこしえに住む者、その名を聖ととなえられる者がこう言われる、「わたしは高く、聖なる所に住み、また心砕けて、へりくだる者と共に住み、へりくだる者の霊をいかし、砕ける者の心をいかす。 023 ISA 057 016 わたしはかぎりなく争わない、また絶えず怒らない。霊はわたしから出、いのちの息はわたしがつくったからだ。 023 ISA 057 017 彼のむさぼりの罪のゆえに、わたしは怒って彼を打ち、わが顔をかくして怒った。しかし彼はなおそむいて、おのが心の道へ行った。 023 ISA 057 018 わたしは彼の道を見た。わたしは彼をいやし、また彼を導き、慰めをもって彼に報い、悲しめる者のために、くちびるの実を造ろう。 023 ISA 057 019 遠い者にも近い者にも平安あれ、平安あれ、わたしは彼をいやそう」と主は言われる。 023 ISA 057 020 しかし悪しき者は波の荒い海のようだ。静まることができないで、その水はついに泥と汚物とを出す。 023 ISA 057 021 わが神は言われる、「よこしまな者には平安がない」と。 023 ISA 058 001 「大いに呼ばわって声を惜しむな。あなたの声をラッパのようにあげ、わが民にそのとがを告げ、ヤコブの家にその罪を告げ示せ。 023 ISA 058 002 彼らは日々わたしを尋ね求め、義を行い、神のおきてを捨てない国民のように、わが道を知ることを喜ぶ。彼らは正しいさばきをわたしに求め、神に近づくことを喜ぶ。 023 ISA 058 003 彼らは言う、『われわれが断食したのに、なぜ、ごらんにならないのか。われわれがおのれを苦しめたのに、なぜ、ごぞんじないのか』と。見よ、あなたがたの断食の日には、おのが楽しみを求め、その働き人をことごとくしえたげる。 023 ISA 058 004 見よ、あなたがたの断食するのは、ただ争いと、いさかいのため、また悪のこぶしをもって人を打つためだ。きょう、あなたがたのなす断食は、その声を上に聞えさせるものではない。 023 ISA 058 005 このようなものは、わたしの選ぶ断食であろうか。人がおのれを苦しめる日であろうか。そのこうべを葦のように伏せ、荒布と灰とをその下に敷くことであろうか。あなたは、これを断食ととなえ、主に受けいれられる日と、となえるであろうか。 023 ISA 058 006 わたしが選ぶところの断食は、悪のなわをほどき、くびきのひもを解き、しえたげられる者を放ち去らせ、すべてのくびきを折るなどの事ではないか。 023 ISA 058 007 また飢えた者に、あなたのパンを分け与え、さすらえる貧しい者を、あなたの家に入れ、裸の者を見て、これを着せ、自分の骨肉に身を隠さないなどの事ではないか。 023 ISA 058 008 そうすれば、あなたの光が暁のようにあらわれ出て、あなたは、すみやかにいやされ、あなたの義はあなたの前に行き、主の栄光はあなたのしんがりとなる。 023 ISA 058 009 また、あなたが呼ぶとき、主は答えられ、あなたが叫ぶとき、『わたしはここにおる』と言われる。もし、あなたの中からくびきを除き、指をさすこと、悪い事を語ることを除き、 023 ISA 058 010 飢えた者にあなたのパンを施し、苦しむ者の願いを満ち足らせるならば、あなたの光は暗きに輝き、あなたのやみは真昼のようになる。 023 ISA 058 011 主は常にあなたを導き、良き物をもってあなたの願いを満ち足らせ、あなたの骨を強くされる。あなたは潤った園のように、水の絶えない泉のようになる。 023 ISA 058 012 あなたの子らは久しく荒れすたれたる所を興し、あなたは代々やぶれた基を立て、人はあなたを『破れを繕う者』と呼び、『市街を繕って住むべき所となす者』と呼ぶようになる。 023 ISA 058 013 もし安息日にあなたの足をとどめ、わが聖日にあなたの楽しみをなさず、安息日を喜びの日と呼び、主の聖日を尊ぶべき日ととなえ、これを尊んで、おのが道を行わず、おのが楽しみを求めず、むなしい言葉を語らないならば、 023 ISA 058 014 その時あなたは主によって喜びを得、わたしは、あなたに地の高い所を乗り通らせ、あなたの先祖ヤコブの嗣業をもって、あなたを養う」。これは主の口から語られたものである。 023 ISA 059 001 見よ、主の手が短くて、救い得ないのではない。その耳が鈍くて聞き得ないのでもない。 023 ISA 059 002 ただ、あなたがたの不義があなたがたと、あなたがたの神との間を隔てたのだ。またあなたがたの罪が主の顔をおおったために、お聞きにならないのだ。 023 ISA 059 003 あなたがたの手は血で汚れ、あなたがたの指は不義で汚れ、あなたがたのくちびるは偽りを語り、あなたがたの舌は悪をささやき、 023 ISA 059 004 ひとりも正義をもって訴え、真実をもって論争する者がない。彼らはむなしきことを頼み、偽りを語り、害悪をはらみ、不義を産む。 023 ISA 059 005 彼らはまむしの卵をかえし、くもの巣を織る。その卵を食べる者は死ぬ。卵が踏まれると破れて毒蛇を出す。 023 ISA 059 006 その織る物は着物とならない。その造る物をもって身をおおうことができない。彼のわざは不義のわざであり、彼らの手には暴虐の行いがある。 023 ISA 059 007 彼らの足は悪に走り、罪のない血を流すことに速い。彼らの思いは不義の思いであり、荒廃と滅亡とがその道にある。 023 ISA 059 008 彼らは平和の道を知らず、その行く道には公平がない。彼らはその道を曲げた。すべてこれを歩む者は平和を知らない。 023 ISA 059 009 それゆえ、公平は遠くわれわれを離れ、正義はわれわれに追いつかない。われわれは光を望んでも、暗きを見、輝きを望んでも、やみを行く。 023 ISA 059 010 われわれは盲人のように、かきを手さぐりゆき、目のない者のように手さぐりゆき、真昼でも、たそがれのようにつまずき、強壮な者の中にあっても死人のようだ。 023 ISA 059 011 われわれは皆くまのようにほえ、はとのようにいたくうめき、公平を望んでも、きたらず、救を望んでも、遠くわれわれを離れ去る。 023 ISA 059 012 われわれのとがは、あなたの前に多く、罪は、われわれを訴えて、あかしをなし、とがは、われわれと共にあり、不義は、われわれがこれを知る。 023 ISA 059 013 われわれは、そむいて主をいなみ、退いて、われわれの神に従わず、しえたげと、そむきとを語り、偽りの言葉を心にはらんで、それを言いあらわす。 023 ISA 059 014 公平はうしろに退けられ、正義ははるかに立つ。それは、真実は広場に倒れ、正直は、はいることができないからである。 023 ISA 059 015 真実は欠けてなく、悪を離れる者はかすめ奪われる。主はこれを見て、公平がなかったことを喜ばれなかった。 023 ISA 059 016 主は人のないのを見られ、仲に立つ者のないのをあやしまれた。それゆえ、ご自分のかいなをもって、勝利を得、その義をもって、おのれをささえられた。 023 ISA 059 017 主は義を胸当としてまとい、救のかぶとをその頭にいただき、報復の衣をまとって着物とし、熱心を外套として身を包まれた。 023 ISA 059 018 主は彼らの行いにしたがって報いをなし、あだにむかって怒り、敵にむかって報いをなし、海沿いの国々にむかって報いをされる。 023 ISA 059 019 こうして、人々は西の方から主の名を恐れ、日の出る方からその栄光を恐れる。主は、せき止めた川を、そのいぶきで押し流すように、こられるからである。 023 ISA 059 020 主は言われる、「主は、あがなう者としてシオンにきたり、ヤコブのうちの、とがを離れる者に至る」と。 023 ISA 059 021 主は言われる、「わたしが彼らと立てる契約はこれである。あなたの上にあるわが霊、あなたの口においたわが言葉は、今から後とこしえに、あなたの口から、あなたの子らの口から、あなたの子らの子の口から離れることはない」と。 023 ISA 060 001 起きよ、光を放て。あなたの光が臨み、主の栄光があなたの上にのぼったから。 023 ISA 060 002 見よ、暗きは地をおおい、やみはもろもろの民をおおう。しかし、あなたの上には主が朝日のごとくのぼられ、主の栄光があなたの上にあらわれる。 023 ISA 060 003 もろもろの国は、あなたの光に来、もろもろの王は、のぼるあなたの輝きに来る。 023 ISA 060 004 あなたの目をあげて見まわせ、彼らはみな集まってあなたに来る。あなたの子らは遠くから来、あなたの娘らは、かいなにいだかれて来る。 023 ISA 060 005 その時あなたは見て、喜びに輝き、あなたの心はどよめき、かつ喜ぶ。海の富が移ってあなたに来、もろもろの国の宝が、あなたに来るからである。 023 ISA 060 006 多くのらくだ、ミデアンおよびエパの若きらくだはあなたをおおい、シバの人々はみな黄金、乳香を携えてきて、主の誉を宣べ伝える。 023 ISA 060 007 ケダルの羊の群れはみなあなたに集まって来、ネバヨテの雄羊はあなたに仕え、わが祭壇の上にのぼって受けいれられる。こうして、わたしはわが栄光の家を輝かす。 023 ISA 060 008 雲のように飛び、はとがその小屋に飛び帰るようにして来る者はだれか。 023 ISA 060 009 海沿いの国々はわたしを待ち望み、タルシシの船はいや先にあなたの子らを遠くから載せて来、また彼らの金銀を共に載せて来て、あなたの神、主の名にささげ、イスラエルの聖者にささげる。主があなたを輝かされたからである。 023 ISA 060 010 異邦人はあなたの城壁を築き、彼らの王たちはあなたに仕える。わたしは怒りをもってあなたを打ったけれども、また恵みをもってあなたをあわれんだからである。 023 ISA 060 011 あなたの門は常に開いて、昼も夜も閉ざすことはない。これは人々が国々の宝をあなたに携えて来、その王たちを率いて来るためである。 023 ISA 060 012 あなたに仕えない国と民とは滅び、その国々は全く荒れすたれる。 023 ISA 060 013 レバノンの栄えはあなたに来、いとすぎ、すずかけ、まつは皆共に来て、わが聖所をかざる。またわたしはわが足をおく所を尊くする。 023 ISA 060 014 あなたを苦しめた者の子らは、かがんで、あなたのもとに来、あなたをさげすんだ者は、ことごとくあなたの足もとに伏し、あなたを主の都、イスラエルの聖者のシオンととなえる。 023 ISA 060 015 あなたは捨てられ、憎まれて、その中を過ぎる者もなかったが、わたしはあなたを、とこしえの誇、世々の喜びとする。 023 ISA 060 016 あなたはまた、もろもろの国の乳を吸い、王たちの乳ぶさを吸い、そして主なるわたしが、あなたの救主、また、あなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るにいたる。 023 ISA 060 017 わたしは青銅の代りに黄金を携え、くろがねの代りにしろがねを携え、木の代りに青銅を、石の代りに鉄を携えてきて、あなたのまつりごとを平和にし、あなたのつかさびとを正しくする。 023 ISA 060 018 暴虐は、もはやあなたの地に聞かれず、荒廃と滅亡は、もはやあなたの境のうちに聞かれず、あなたはその城壁を「救」ととなえ、その門を「誉」ととなえる。 023 ISA 060 019 昼は、もはや太陽があなたの光とならず、夜も月が輝いてあなたを照さず、主はとこしえにあなたの光となり、あなたの神はあなたの栄えとなられる。 023 ISA 060 020 あなたの太陽は再び没せず、あなたの月はかけることがない。主がとこしえにあなたの光となり、あなたの悲しみの日が終るからである。 023 ISA 060 021 あなたの民はことごとく正しい者となって、とこしえに地を所有する。彼らはわたしの植えた若枝、わが手のわざ、わが栄光をあらわすものとなる。 023 ISA 060 022 その最も小さい者は氏族となり、その最も弱い者は強い国となる。わたしは主である。その時がくるならば、すみやかにこの事をなす。 023 ISA 061 001 主なる神の霊がわたしに臨んだ。これは主がわたしに油を注いで、貧しい者に福音を宣べ伝えることをゆだね、わたしをつかわして心のいためる者をいやし、捕われ人に放免を告げ、縛られている者に解放を告げ、 023 ISA 061 002 主の恵みの年とわれわれの神の報復の日とを告げさせ、また、すべての悲しむ者を慰め、 023 ISA 061 003 シオンの中の悲しむ者に喜びを与え、灰にかえて冠を与え、悲しみにかえて喜びの油を与え、憂いの心にかえて、さんびの衣を与えさせるためである。こうして、彼らは義のかしの木ととなえられ、主がその栄光をあらわすために植えられた者ととなえられる。 023 ISA 061 004 彼らはいにしえの荒れた所を建てなおし、さきに荒れすたれた所を興し、荒れた町々を新たにし、世々すたれた所を再び建てる。 023 ISA 061 005 外国人は立ってあなたがたの群れを飼い、異邦人はあなたがたの畑を耕す者となり、ぶどうを作る者となる。 023 ISA 061 006 しかし、あなたがたは主の祭司ととなえられ、われわれの神の役者と呼ばれ、もろもろの国の富を食べ、彼らの宝を得て喜ぶ。 023 ISA 061 007 あなたがたは、さきに受けた恥にかえて、二倍の賜物を受け、はずかしめにかえて、その嗣業を得て楽しむ。それゆえ、あなたがたはその地にあって、二倍の賜物を獲、とこしえの喜びを得る。 023 ISA 061 008 主なるわたしは公平を愛し、強奪と邪悪を憎み、真実をもって彼らに報いを与え、彼らと、とこしえの契約を結ぶからである。 023 ISA 061 009 彼らの子孫は、もろもろの国の中で知られ、彼らの子らは、もろもろの民の中に知られる。すべてこれを見る者はこれが主の祝福された民であることを認める。 023 ISA 061 010 わたしは主を大いに喜び、わが魂はわが神を楽しむ。主がわたしに救の衣を着せ、義の上衣をまとわせて、花婿が冠をいただき、花嫁が宝玉をもって飾るようにされたからである。 023 ISA 061 011 地が芽をいだし、園がまいたものを生やすように、主なる神は義と誉とを、もろもろの国の前に、生やされる。 023 ISA 062 001 シオンの義が朝日の輝きのようにあらわれいで、エルサレムの救が燃えるたいまつの様になるまで、わたしはシオンのために黙せず、エルサレムのために休まない。 023 ISA 062 002 もろもろの国はあなたの義を見、もろもろの王は皆あなたの栄えを見る。そして、あなたは主の口が定められる新しい名をもってとなえられる。 023 ISA 062 003 また、あなたは主の手にある麗しい冠となり、あなたの神の手にある王の冠となる。 023 ISA 062 004 あなたはもはや「捨てられた者」と言われず、あなたの地はもはや「荒れた者」と言われず、あなたは「わが喜びは彼女にある」ととなえられ、あなたの地は「配偶ある者」ととなえられる。主はあなたを喜ばれ、あなたの地は配偶を得るからである。 023 ISA 062 005 若い者が処女をめとるようにあなたの子らはあなたをめとり、花婿が花嫁を喜ぶようにあなたの神はあなたを喜ばれる。 023 ISA 062 006 エルサレムよ、わたしはあなたの城壁の上に見張人をおいて、昼も夜もたえず、もだすことのないようにしよう。主に思い出されることを求める者よ、みずから休んではならない。 023 ISA 062 007 主がエルサレムを堅く立てて、全地に誉を得させられるまで、お休みにならぬようにせよ。 023 ISA 062 008 主はその右の手をさし、大能のかいなをさして誓われた、「わたしは再びあなたの穀物をあなたの敵に与えて食べさせない。また、あなたが労して得たぶどう酒を異邦人に与えて飲ませない。 023 ISA 062 009 しかし、穀物を刈り入れた者はこれを食べて主をほめたたえ、ぶどうを集めた者はわが聖所の庭でこれを飲む」。 023 ISA 062 010 門を通って行け、通って行け。民の道を備えよ。土を盛り、土を盛って大路を設けよ。石を取りのけ。もろもろの民の上に旗をあげよ。 023 ISA 062 011 見よ、主は地の果にまで告げて言われた、「シオンの娘に言え、『見よ、あなたの救は来る。見よ、その報いは主と共にあり、その働きの報いは、その前にある』と。 023 ISA 062 012 彼らは『聖なる民、主にあがなわれた者』ととなえられ、あなたは『人に尋ね求められる者、捨てられない町』ととなえられる」。 023 ISA 063 001 「このエドムから来る者、深紅の衣を着て、ボズラから来る者はだれか。その装いは、はなやかに、大いなる力をもって進み来る者はだれか」。「義をもって語り、救を施す力あるわたしがそれだ」。 023 ISA 063 002 「何ゆえあなたの装いは赤く、あなたの衣は酒ぶねを踏む者のように赤いのか」。 023 ISA 063 003 「わたしはひとりで酒ぶねを踏んだ。もろもろの民のなかに、わたしと事を共にする者はなかった。わたしは怒りによって彼らを踏み、憤りによって彼らを踏みにじったので、彼らの血がわが衣にふりかかり、わが装いをことごとく汚した。 023 ISA 063 004 報復の日がわが心のうちにあり、わがあがないの年が来たからである。 023 ISA 063 005 わたしは見たけれども、助ける者はなく、怪しんだけれども、ささえる者はなかった。それゆえ、わがかいながわたしを勝たせ、わが憤りがわたしをささえた。 023 ISA 063 006 わたしは怒りによって、もろもろの民を踏みにじり、憤りによって彼らを酔わせ、彼らの血を、地に流れさせた」。 023 ISA 063 007 わたしは主がわれわれになされたすべてのことによって、主のいつくしみと、主の誉とを語り告げ、また、そのあわれみにより、その多くのいつくしみによって、イスラエルの家に施されたその大いなる恵みを語り告げよう。 023 ISA 063 008 主は言われた、「まことに彼らはわが民、偽りのない子らである」と。そして主は彼らの救主となられた。 023 ISA 063 009 彼らのすべての悩みのとき、主も悩まれて、そのみ前の使をもって彼らを救い、その愛とあわれみとによって彼らをあがない、いにしえの日、つねに彼らをもたげ、彼らを携えられた。 023 ISA 063 010 ところが彼らはそむいてその聖なる霊を憂えさせたので、主はひるがえって彼らの敵となり、みずから彼らと戦われた。 023 ISA 063 011 その時、民はいにしえのモーセの日を思い出して言った、「その群れの牧者を、海から携えあげた者はどこにいるか。彼らの中に聖なる霊をおいた者はどこにいるか。 023 ISA 063 012 栄光のかいなをモーセの右に行かせ、彼らの前に水を二つに分けて、みずから、とこしえの名をつくり、 023 ISA 063 013 彼らを導いて、馬が野を走るように、つまずくことなく淵を通らせた者はどこにいるか。 023 ISA 063 014 谷にくだる家畜のように、主の霊は彼らをいこわせられた。このように、あなたはおのれの民を導いてみずから栄光の名をつくられた」。 023 ISA 063 015 どうか、天から見おろし、その聖なる栄光あるすみかからごらんください。あなたの熱心と、大能とはどこにありますか。あなたのせつなる同情とあわれみとはおさえられて、わたしにあらわれません。 023 ISA 063 016 たといアブラハムがわれわれを知らず、イスラエルがわれわれを認めなくても、あなたはわれわれの父です。主よ、あなたはわれわれの父、いにしえからあなたの名はわれわれのあながい主です。 023 ISA 063 017 主よ、なぜ、われわれをあなたの道から離れ迷わせ、われわれの心をかたくなにして、あなたを恐れないようにされるのですか。どうぞ、あなたのしもべらのために、あなたの嗣業である部族らのために、お帰りください。 023 ISA 063 018 あなたの聖なる民が、あなたの聖所を獲て間もないのに、われわれのあだは、それを踏みにじりました。 023 ISA 063 019 われわれはあなたによって、いにしえから治められない者のようになり、あなたの名をもって、となえられない者のようになりました。 023 ISA 064 001 どうか、あなたが天を裂いて下り、あなたの前に山々が震い動くように。 023 ISA 064 002 火が柴木を燃やし、火が水を沸かすときのごとく下られるように。そして、み名をあなたのあだにあらわし、もろもろの国をあなたの前に震えおののかせられるように。 023 ISA 064 003 あなたは、われわれが期待しなかった恐るべき事をなされた時に下られたので、山々は震い動いた。 023 ISA 064 004 いにしえからこのかた、あなたのほか神を待ち望む者に、このような事を行われた神を聞いたことはなく、耳に入れたこともなく、目に見たこともない。 023 ISA 064 005 あなたは喜んで義を行い、あなたの道にあって、あなたを記念する者を迎えられる。見よ、あなたは怒られた、われわれは罪を犯した。われわれは久しく罪のうちにあった。われわれは救われるであろうか。 023 ISA 064 006 われわれはみな汚れた人のようになり、われわれの正しい行いは、ことごとく汚れた衣のようである。われわれはみな木の葉のように枯れ、われわれの不義は風のようにわれわれを吹き去る。 023 ISA 064 007 あなたの名を呼ぶ者はなく、みずから励んで、あなたによりすがる者はない。あなたはみ顔を隠して、われわれを顧みられず、われわれをおのれの不義の手に渡された。 023 ISA 064 008 されど主よ、あなたはわれわれの父です。われわれは粘土であって、あなたは陶器師です。われわれはみな、み手のわざです。 023 ISA 064 009 主よ、ひどくお怒りにならぬように、いつまでも不義をみこころにとめられぬように。どうぞ、われわれを顧みてください。われわれはみな、あなたの民です。 023 ISA 064 010 あなたの聖なる町々は荒野となり、シオンは荒野となり、エルサレムは荒れすたれた。 023 ISA 064 011 われわれの先祖があなたをほめたたえた聖なる麗しいわれわれの宮は火で焼かれ、われわれが慕った所はことごとく荒れはてた。 023 ISA 064 012 主よ、これらの事があってもなお、あなたはみずからをおさえ、黙して、われわれをいたく苦しめられるのですか。 023 ISA 065 001 わたしはわたしを求めなかった者に問われることを喜び、わたしを尋ねなかった者に見いだされることを喜んだ。わたしはわが名を呼ばなかった国民に言った、「わたしはここにいる、わたしはここにいる」と。 023 ISA 065 002 よからぬ道に歩み、自分の思いに従うそむける民に、わたしはひねもす手を伸べて招いた。 023 ISA 065 003 この民はまのあたり常にわたしを怒らせ、園の中で犠牲をささげ、かわらの上で香をたき、 023 ISA 065 004 墓場にすわり、ひそかな所にやどり、豚の肉を食らい、憎むべき物の、あつものをその器に盛って、 023 ISA 065 005 言う、「あなたはそこに立って、わたしに近づいてはならない。わたしはあなたと区別されたものだから」と。これらはわが鼻の煙、ひねもす燃える火である。 023 ISA 065 006 見よ、この事はわが前にしるされた、「わたしは黙っていないで報い返す。そうだ、わたしは彼らのふところに、 023 ISA 065 007 彼らの不義と、彼らの先祖たちの不義とを共に報い返す。彼らが山の上で香をたき、丘の上でわたしをそしったゆえ、わたしは彼らのさきのわざを量って、そのふところに返す」と主は言われる。 023 ISA 065 008 主はこう言われる、「人がぶどうのふさの中に、ぶどうのしるのあるのを見るならば、『それを破るな、その中に祝福があるから』と言う。そのようにわたしは、わがしもべらのために行って、ことごとくは滅ぼさない。 023 ISA 065 009 わたしはヤコブから子孫をいだし、ユダからわが山々を受けつぐべき者をいだす。わたしが選んだ者はこれを受けつぎ、わがしもべらはそこに住む。 023 ISA 065 010 シャロンは羊の群れの牧場となり、アコルの谷は牛の群れの伏す所となって、わたしを尋ね求めたわが民のものとなる。 023 ISA 065 011 しかし主を捨て、わが聖なる山を忘れ、机を禍福の神に供え、混ぜ合わせた酒を盛って運命の神にささげるあなたがたよ、 023 ISA 065 012 わたしは、あなたがたをつるぎに渡すことに定めた。あなたがたは皆かがんでほふられる。あなたがたはわたしが呼んだときに答えず、わたしが語ったときに聞かず、わたしの目に悪い事をおこない、わたしの好まなかった事を選んだからだ」。 023 ISA 065 013 それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わがしもべたちは食べる、しかし、あなたがたは飢える。見よ、わがしもべたちは飲む、しかし、あなたがたはかわく。見よ、わがしもべたちは喜ぶ、しかし、あなたがたは恥じる。 023 ISA 065 014 見よ、わがしもべたちは心の楽しみによって歌う、しかし、あなたがたは心の苦しみによって叫び、たましいの悩みによって泣き叫ぶ。 023 ISA 065 015 あなたがたの残す名はわが選んだ者には、のろいの文句となり、主なる神はあなたがたを殺される。しかし、おのれのしもべたちを、ほかの名をもって呼ばれる。 023 ISA 065 016 それゆえ、地にあっておのれのために祝福を求める者は、真実の神によっておのれの祝福を求め、地にあって誓う者は、真実の神をさして誓う。さきの悩みは忘れられて、わが目から隠れうせるからである。 023 ISA 065 017 見よ、わたしは新しい天と、新しい地とを創造する。さきの事はおぼえられることなく、心に思い起すことはない。 023 ISA 065 018 しかし、あなたがたはわたしの創造するものにより、とこしえに楽しみ、喜びを得よ。見よ、わたしはエルサレムを造って喜びとし、その民を楽しみとする。 023 ISA 065 019 わたしはエルサレムを喜び、わが民を楽しむ。泣く声と叫ぶ声は再びその中に聞えることはない。 023 ISA 065 020 わずか数日で死ぬみどりごと、おのが命の日を満たさない老人とは、もはやその中にいない。百歳で死ぬ者も、なお若い者とせられ、百歳で死ぬ者は、のろわれた罪びととされる。 023 ISA 065 021 彼らは家を建てて、それに住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。 023 ISA 065 022 彼らが建てる所に、ほかの人は住まず、彼らが植えるものは、ほかの人が食べない。わが民の命は、木の命のようになり、わが選んだ者は、その手のわざをながく楽しむからである。 023 ISA 065 023 彼らの勤労はむだでなく、その生むところの子らは災にかからない。彼らは主に祝福された者のすえであって、その子らも彼らと共におるからである。 023 ISA 065 024 彼らが呼ばないさきに、わたしは答え、彼らがなお語っているときに、わたしは聞く。 023 ISA 065 025 おおかみと小羊とは共に食らい、ししは牛のようにわらを食らい、へびはちりを食物とする。彼らはわが聖なる山のどこでもそこなうことなく、やぶることはない」と主は言われる。 023 ISA 066 001 主はこう言われる、「天はわが位、地はわが足台である。あなたがたはわたしのためにどんな家を建てようとするのか。またどんな所がわが休み所となるのか」。 023 ISA 066 002 主は言われる、「わが手はすべてこれらの物を造った。これらの物はことごとくわたしのものである。しかし、わたしが顧みる人はこれである。すなわち、へりくだって心悔い、わが言葉に恐れおののく者である。 023 ISA 066 003 牛をほふる者は、また人を殺す者、小羊を犠牲とする者は、また犬をくびり殺す者、供え物をささげる者は、また豚の血をささげる者、乳香を記念としてささげる者は、また偶像をほめる者である。これはおのが道を選び、その心は憎むべきものを楽しむ。 023 ISA 066 004 わたしもまた彼らのために悩みを選び、彼らの恐れるところのものを彼らに臨ませる。これは、わたしが呼んだときに答える者なく、わたしが語ったときに聞くことをせず、わたしの目に悪い事を行い、わたしの好まなかった事を選んだからである」。 023 ISA 066 005 あなたがた、主の言葉に恐れおののく者よ、主の言葉を聞け、「あなたがたの兄弟たちはあなたがたを憎み、あなたがたをわが名のために追い出して言った、『願わくは主がその栄光をあらわしてわれわれにあなたがたの喜びを見させよ』と。しかし彼らは恥を受ける。 023 ISA 066 006 聞けよ、町から起る騒ぎを。宮から聞える声を。主がその敵に報復される声を。 023 ISA 066 007 シオンは産みの苦しみをなす前に産み、その苦しみの来ない前に男子を産んだ。 023 ISA 066 008 だれがこのような事を聞いたか、だれがこのような事どもを見たか。一つの国は一日の苦しみで生れるだろうか。一つの国民はひと時に生れるだろうか。しかし、シオンは産みの苦しみをするやいなやその子らを産んだ。 023 ISA 066 009 わたしが出産に臨ませて産ませないことがあろうか」と主は言われる。「わたしは産ませる者なのに胎をとざすであろうか」とあなたの神は言われる。 023 ISA 066 010 「すべてエルサレムを愛する者よ、彼女と共に喜べ、彼女のゆえに楽しめ。すべて彼女のために悲しむ者よ、彼女と共に喜び楽しめ。 023 ISA 066 011 あなたがたは慰めを与えるエルサレムの乳ぶさから乳を吸って飽くことができ、またその豊かな栄えから飲んで楽しむことができるからだ」。 023 ISA 066 012 主はこう言われる、「見よ、わたしは川のように彼女に繁栄を与え、みなぎる流れのように、もろもろの国の富を与える。あなたがたは乳を飲み、腰に負われ、ひざの上であやされる。 023 ISA 066 013 母のその子を慰めるように、わたしもあなたがたを慰める。あなたがたはエルサレムで慰めを得る。 023 ISA 066 014 あなたがたは見て、心喜び、あなたがたの骨は若草のように栄える。主の手はそのしもべらと共にあり、その憤りはその敵にむかっていることを知る。 023 ISA 066 015 見よ、主は火の中にあらわれて来られる。その車はつむじ風のようだ。激しい怒りをもってその憤りをもらし、火の炎をもって責められる。 023 ISA 066 016 主は火をもって、またつるぎをもって、すべての人にさばきを行われる。主に殺される者は多い」。 023 ISA 066 017 「みずからを聖別し、みずからを清めて園に行き、その中にあるものに従い、豚の肉、憎むべき物およびねずみを食う者はみな共に絶えうせる」と主は言われる。 023 ISA 066 018 「わたしは彼らのわざと、彼らの思いとを知っている。わたしは来て、すべての国民と、もろもろのやからとを集める。彼らは来て、わが栄光を見る。 023 ISA 066 019 わたしは彼らの中に一つのしるしを立てて、のがれた者をもろもろの国、すなわちタルシシ、よく弓をひくプトおよびルデ、トバル、ヤワン、またわが名声を聞かず、わが栄光を見ない遠くの海沿いの国々につかわす。彼らはわが栄光をもろもろの国民の中に伝える。 023 ISA 066 020 彼らはイスラエルの子らが清い器に供え物を盛って主の宮に携えて来るように、あなたがたの兄弟をことごとくもろもろの国の中から馬、車、かご、騾馬、らくだに乗せて、わが聖なる山エルサレムにこさせ、主の供え物とする」と主は言われる。 023 ISA 066 021 「わたしはまた彼らの中から人を選んで祭司とし、レビびととする」と主は言われる。 023 ISA 066 022 「わたしが造ろうとする新しい天と、新しい地がわたしの前にながくとどまるように、あなたの子孫と、あなたの名はながくとどまる」と主は言われる。 023 ISA 066 023 「新月ごとに、安息日ごとに、すべての人はわが前に来て礼拝する」と主は言われる。 023 ISA 066 024 「彼らは出て、わたしにそむいた人々のしかばねを見る。そのうじは死なず、その火は消えることがない。彼らはすべての人に忌みきらわれる」。 # # BOOK 025 LAM Lamentations 哀歌 025 LAM 001 001 ああ哀しいかな古昔は人のみちみちたりし此都邑 いまは凄しき様にて坐し 寡婦のごとくになれり 嗟もろもろの民の中にて大いなりし者 もろもろの州の中に女王たりし者 いまはかへつて貢をいるる者となりぬ 025 LAM 001 002 彼よもすがら痛く泣きかなしみて涙面にながる その戀人の中にはこれを慰むる者ひとりだに無く その朋これに背きてその仇となれり 025 LAM 001 003 ユダは艱難の故によりまた大いなる苦役のゆゑによりて擄はれゆき もろもろの國に住ひて安息を得ず これを追ふものみな狭隘にてこれに追しきぬ 025 LAM 001 004 シオンの道路は節會の上り來る者なきがために哀しみ その門はことごとく荒れ その祭司は歎き その處女は憂へ シオンもまた自から苦しむ 025 LAM 001 005 その仇は首となり その敵は享ゆ その愆の多きによりてヱホバこれをなやませたまへるなり そのわかき子等は擄はれて仇の前にゆけり 025 LAM 001 006 シオンの女よりはその榮華ことごとく離れされり またその牧伯等は草を得ざる鹿のごとくに成り おのれを追ふものの前に力つかれて歩みゆけり 025 LAM 001 007 ヱルサレムはその艱難と窘迫の時むかしの代にありしもろもろの樂しき物を思ひ出づ その民仇の手におちいり誰もこれを助くるものなき時 仇人これを見てその荒はてたるを笑ふ 025 LAM 001 008 ヱルサレムははなはだしく罪ををかしたれば汚穢たる者のごとくになれり 前にこれを尊とびたる者もその裸體を見しによりて皆これをいやしむ 是もまたみづから嗟き身をそむけて退けり 025 LAM 001 009 その汚穢これが裾にあり 彼その終局をおもはざりき 此故に驚ろくまでに零落たり 一人の慰むる者だに無し ヱホバよわが艱難をかへりみたまへ 敵は勝ほこれり 025 LAM 001 010 敵すでに手を伸てその財寳をことごとく奪ひたり 汝さきに異邦人等はなんぢの公會にいるべからずと命じおきたまひしに 彼らが聖所を侵しいるをシオンは見たり 025 LAM 001 011 その民はみな哀きて食物をもとめ その生命を支へんがために財寳を出して食にかへたり ヱホバよ見そなはし我のいやしめらるるを顧みたまへ 025 LAM 001 012 すべて行路人よ なんぢら何ともおもはざるか ヱホバその烈しき震怒の日に我をなやましてわれに降したまへるこの憂苦にひとしき憂苦また世にあるべきや考がへ見よ 025 LAM 001 013 ヱホバ上より火をくだしわが骨にいれて之を克服せしめ 網を張りわが足をとらへて我を後にむかしめ 我をして終日心さびしくかつ疾わづらはしめたまふ 025 LAM 001 014 わが愆尤の軛は主の御手にて結ばれ諸の愆あひ纒はりてわが項にのれり 是はわが力をしておとろへしむ 主われを敵たりがたき者の手にわたしたまへり 025 LAM 001 015 主われの中なる勇士をことごとく除き 節會をもよほして我を攻め わが少き人を打ほろぼしたまへり 主酒榨をふむがごとくにユダの處女をふみたまへり 025 LAM 001 016 これがために我なげく わが目やわが目には水ながる わがたましひを活すべき慰さむるものわれに遠ければなり わが子等は敵の勝るによりて滅びうせにき 025 LAM 001 017 シオンは手をのぶれども誰もこれを慰むる者なし ヤコブにつきてはヱホバ命をくだしてその周圍の民をこれが敵とならしめたまふ ヱルサレムは彼らの中にありて汚れたる者のごとくなりぬ 025 LAM 001 018 ヱホバは正し 我その命令にそむきたるなり 一切の民よわれに聽け わが憂苦をかへりみよ わが處女もわかき男も俘囚て往り 025 LAM 001 019 われわが戀人を呼たれども彼らはわれを欺むけり わが祭司およびわが長老は生命を繋がんとて食物を求むる間に都邑の中にて氣息たえたり 025 LAM 001 020 ヱホバよかへりみたまへ 我はなやみてをり わが膓わきかへり わが心わが衷に顛倒す 我甚しく悖りたればなり 外には劍ありてわが子を殺し 内には死のごとき者あり 025 LAM 001 021 かれらはわが嗟歎をきけり 我をなぐさむるもの一人だに无し わが敵みなわが艱難をききおよび 汝のこれを爲たまひしを喜こべり 汝はさきに告しらせしその日を來らせたまはん 而して彼らもつひに我ごとくに成るべし 025 LAM 001 022 ねがはくは彼等が與へし艱難をことごとくなんぢの御前にあらはし 前にわがもろもろの罪愆のために我におこなひし如く彼らにも行ひたまへ わが嗟歎は多くわが心はうれひかなしむなり 025 LAM 002 001 ああヱホバ震怒をおこし 黒雲をもてシオンの女を蔽ひたまひ イスラエルの榮光を天より地におとし その震怒の日に己の足凳を心にとめたまはざりき 025 LAM 002 002 主ヤコブのすべての住居を呑つくしてあはれまず 震怒によりてユダの女の保砦を毀ち これを地にたふし その國とその牧伯等を辱かしめ 025 LAM 002 003 烈しき震怒をもてイスラエルのすべての角を絶ち 敵の前にて己の右の手をひきちぢめ 四面を焚きつくす燃る火のごとくヤコブを焚き 025 LAM 002 004 敵のごとく弓を張り 仇のごとく右の手を挺て立ち 凡て目に喜こばしきものを滅し シオンの女の幕屋に火のごとくその怒をそそぎたまへり 025 LAM 002 005 主敵のごとくに成たまひてイスラエルを呑ほろぼし その諸の殿を呑ほろぼし そのもろもろの保砦をこぼち ユダの女の上に憂愁と悲哀を増くはへ 025 LAM 002 006 園のごとく己の幕屋を荒し その集會の所をほろぼしたまへり ヱホバ節會と安息日とをシオンに忘れしめ 烈しき怒によりて王と祭司とをいやしめ棄たまへり 025 LAM 002 007 主その祭壇を忌棄て その聖所を嫌ひ憎みて その諸の殿の石垣を敵の手にわたしたまへり 彼らは節會の日のごとくヱホバの室にて聲をたつ 025 LAM 002 008 ヱホバ、シオンの女の石垣を毀たんと思ひさだめ 繩を張り こぼち進みてその手をひかず 壕と石垣とをして哀しましめたまふ 是らは共に憂ふ 025 LAM 002 009 その門は地に埋もれヱホバその關木をこぼちくだき その王ともろもろの牧伯は律法なき國人の中にあり その預言者はヱホバより異象を蒙らず 025 LAM 002 010 シオンの女の長老等は地に坐りて黙し 首に灰をかむり 身に麻をまとふ ヱルサレムの處女は首を地に低る 025 LAM 002 011 わが目は涙の爲に潰れんとし わが膓は沸かへり わが肝は地に塗る わが民の女ほろぼされ 幼少ものや乳哺子は疲れはてて邑の街衢に氣息たえなんとすればなり 025 LAM 002 012 かれらは疵を負る者の如く邑のちまたにて氣息たえなんとし 母の懐にその靈魂をそそがんとし 母にむかひて言ふ 穀物と酒とはいづくにあるやと 025 LAM 002 013 ヱルサレムの女よ 我なにをもて汝にあかしし 何をもて汝にならべんや シオンの處女よ われ何をもて汝になぞらへて汝をなぐさめんや 汝のやぶれは海のごとく大なり 嗟たれか能く汝を醫さんや 025 LAM 002 014 なんぢの預言者は虚しき事と愚なることとなんぢに預言し かつて汝の不義をあらはしてその俘囚をまぬかれしめんとはせざりき その預言するところは唯むなしき重荷および追放たるる根本となるべき事のみ 025 LAM 002 015 すべて往來の人なんぢにむかひて手を拍ち ヱルサレムの女にむかひて嘲りわらひ かつ頭をふりて言ふ 美麗の極全地の欣喜ととなへたりし邑は是なるかと 025 LAM 002 016 なんぢのもろもろの敵はなんぢに對ひて口を開け あざけり笑ひて切齒をなす 斯て言ふわれら之を呑つくしたり 是われらが望みたりし日なり 我ら已に之にあへり 我らすでに之を見たりと 025 LAM 002 017 ヱホバはその定めたまへることを成し いにしへより其命じたまひし言を果したまへり ヱホバはほろぼして憐れまず 敵をして汝にかちほこらしめ汝の仇の角をたかくしたまへり 025 LAM 002 018 かれらの心は主にむかひて呼はれり シオンの女の墻垣よ なんぢ夜も晝も河の如く涙をながせ みづから安んずることをせず 汝の瞳子を休むることなかれ 025 LAM 002 019 なんぢ夜の初更に起いでて呼さけべ 主の御前に汝の心を水のごとく灌げ 街衢のほとりに饑たふるるなんぢの幼兒の生命のために主にむかひて兩手をあげよ 025 LAM 002 020 ヱホバよ視たまへ 汝これを誰におこなひしか 願はくは顧みたまへ 婦人おのが實なるその懷き育てし孩兒を食ふべけんや 祭司預言者等主の聖所において殺さるべけんや 025 LAM 002 021 をさなきも老たるも街衢にて地に臥し わが處女も若き男も刄にかかりて斃れたり なんぢはその震怒の日にこれを殺し これを屠りて恤れみたまはざりき 025 LAM 002 022 なんぢ節會の日のごとくわが懼るるところの者を四方より呼あつめたまへり ヱホバの震怒の日には遁れたる者なく又のこりたる者なかりき わが懷き育てし者はみなわが敵のためにほろぼされたり 025 LAM 003 001 我はかれの震怒の笞によりて艱難に遭たる人なり 025 LAM 003 002 かれは我をひきて黒暗をあゆませ光明にゆかしめたまはず 025 LAM 003 003 まことに屢々その手をむけて終日われを攻なやまし 025 LAM 003 004 わが肉と肌膚をおとろへしめ わが骨を摧き 025 LAM 003 005 われにむかひて患苦と艱難を築きこれをもて我を圍み 025 LAM 003 006 われをして長久に死し者のごとく暗き處に住しめ 025 LAM 003 007 我をかこみて出ること能はざらしめわが鏈索を重くしたまへり 025 LAM 003 008 我さけびて助をもとめしとき彼わが祈禱をふせぎ 025 LAM 003 009 斫たる石をもてわが道を塞ぎわが途をまげたまへり 025 LAM 003 010 その我に對することは伏て伺がふ熊のごとく潜みかくるる獅子のごとし 025 LAM 003 011 われに路を離れしめ 我をひきさきて獨くるしましめ 025 LAM 003 012 弓を張りてわれを矢先の的となし 025 LAM 003 013 矢筒の矢をもてわが腰を射ぬきたまへり 025 LAM 003 014 われはわがすべての民のあざけりとなり 終日うたひそしらる 025 LAM 003 015 かれ我をして苦き物に飽しめ茵蔯を飮しめ 025 LAM 003 016 小石をもてわが齒を摧き灰をもて我を蒙ひたまへり 025 LAM 003 017 なんぢわが靈魂をして平和を遠くはなれしめたまへば我は福祉をわすれたり 025 LAM 003 018 是において我みづから言り わが氣力うせゆきぬ ヱホバより何を望むべきところ無しと 025 LAM 003 019 ねがはくは我が艱難と苦楚茵蔯と膽汁とを心に記たまへ 025 LAM 003 020 わがたましひは今なほ是らの事を想ひてわが衷に鬱ぐ 025 LAM 003 021 われこの事を心におもひ起せり この故に望をいだくなり 025 LAM 003 022 われらの尚ほろびざるはヱホバの仁愛によりその憐憫の盡ざるに因る 025 LAM 003 023 これは朝ごとに新なり なんぢの誠實はおほいなるかな 025 LAM 003 024 わが靈魂は言ふ ヱホバはわが分なり このゆゑに我彼を待ち望まん 025 LAM 003 025 ヱホバはおのれを待ち望む者とおのれを尋ねもとむる人に恩惠をほどこしたまふ 025 LAM 003 026 ヱホバの救拯をのぞみて靜にこれを待は善し 025 LAM 003 027 人わかき時に軛を負は善し 025 LAM 003 028 ヱホバこれを負せたまふなれば獨坐して黙すべし 025 LAM 003 029 口を塵につけよ あるひは望あらん 025 LAM 003 030 おのれを撃つ者に頬をむけ 充足れるまでに恥辱をうけよ 025 LAM 003 031 そは主は永久に棄ることを爲したまはざるべければなり 025 LAM 003 032 かれは患難を與へ給ふといへどもその慈悲おほいなればまた憐憫を加へたまふなり 025 LAM 003 033 心より世の人をなやましかつ苦しめ給ふにはあらざるなり 025 LAM 003 034 世のもろもろの俘囚人を脚の下にふみにじり 025 LAM 003 035 至高者の面の前にて人の理を抂げ 025 LAM 003 036 人の詞訟を屈むることは主のよろこび給はざるところなり 025 LAM 003 037 主の命じたまふにあらずば誰か事を述んにその事即ち成んや 025 LAM 003 038 禍も福もともに至高者の口より出るにあらずや 025 LAM 003 039 活る人なんぞ怨言べけんや 人おのれの罪の罰せらるるをつぶやくべけんや 025 LAM 003 040 我等みづからの行をしらべかつ省みてヱホバに歸るべし 025 LAM 003 041 我ら天にいます神にむかひて手とともに心をも擧べし 025 LAM 003 042 われらは罪ををかし我らは叛きたり なんぢこれを赦したまはざりき 025 LAM 003 043 なんぢ震怒をもてみづから蔽ひ 我らを追攻め殺してあはれまず 025 LAM 003 044 雲をもてみづから蔽ひ 祈禱をして通ぜざらしめ 025 LAM 003 045 もろもろの民の中にわれらを塵埃となしたまへり 025 LAM 003 046 敵は皆われらにむかひて口を張れり 025 LAM 003 047 恐懼と陷阱また暴行と滅亡我らに來れり 025 LAM 003 048 わが民の女の滅亡によりてわが眼には涙の河ながる 025 LAM 003 049 わが目は斷ず涙をそそぎて止ず 025 LAM 003 050 天よりヱホバの臨み見て顧みたまふ時にまで至らん 025 LAM 003 051 わが邑の一切の女等の故によりてわが眼はわが心をいたましむ 025 LAM 003 052 故なくして我に敵する者ども鳥を追ごとくにいたく我をおひ 025 LAM 003 053 わが生命を坑の中にほろぼし わが上に石を投かけ 025 LAM 003 054 また水わが頭の上に溢る 我みづから言り滅びうせぬと 025 LAM 003 055 ヱホバよ われ深き坑の底より汝の名を呼り 025 LAM 003 056 なんぢ我が聲を聽きたまへり わが哀歎と祈求に耳をおほひたまふなかれ 025 LAM 003 057 わが汝を龥たりし時なんぢは近よりたまひて恐るるなかれと宣へり 025 LAM 003 058 主よなんぢはわが靈魂の訴を助け伸べ わが生命を贖ひ給へり 025 LAM 003 059 ヱホバよ なんぢは我がかうむりたる不義を見たまへり 願はくは我に正しき審判を與へたまへ 025 LAM 003 060 なんぢは彼らが我を怨み われを害せんとはかるを凡て見たまへり 025 LAM 003 061 ヱホバよなんぢは彼らが我を詈り 我を害せんとはかるを凡て聞きたまへり 025 LAM 003 062 かの立て我に逆らふ者等の言語およびその終日われを攻んとて運らす謀計もまた汝これを聞たまへり 025 LAM 003 063 ねがはくは彼らの起居をかんがみたまへ 我はかれらに歌ひそしらる 025 LAM 003 064 ヱホバよ なんぢは彼らが手に爲すところに循がひて報をなし 025 LAM 003 065 かれらをして心くらからしめたまはん なんぢの呪詛かれらに歸せよ 025 LAM 003 066 なんぢは震怒をもてかれらを追ひ ヱホバの天の下よりかれらをほろぼし絶ちたまはん 025 LAM 004 001 ああ黄金は光をうしなひ純金は色を變じ 聖所の石はもろもろの街衢の口に投すてられたり 025 LAM 004 002 ああ精金にも比ぶべきシオンの愛子等は陶噐師の手の作なる土の器のごとくに見做る 025 LAM 004 003 山犬さへも乳房をたれてその子に乳を哺す 然るにわが民の女は殘忍荒野の鴕鳥のごとくなれり 025 LAM 004 004 乳哺兒の舌は渇きて上顎にひたと貼き 幼兒はパンをもとむるも擘てあたふる者なし 025 LAM 004 005 肥甘物をくらひ居りし者はおちぶれて街衢にあり 紅の衣服にて育てられし者も今は塵堆を抱く 025 LAM 004 006 今我民の女のうくる愆の罰はソドムの罪の罰よりもおほいなり ソドムは古昔人に手を加へらるることなくして瞬く間にほろぼされしなり 025 LAM 004 007 わが民の中なる貴き人は從前には雪よりも咬潔に乳よりも白く 珊瑚よりも躰紅色にしてその形貌のうるはしきこと藍玉のごとくなりしが 025 LAM 004 008 いまはその面くろきが上に黒く 街衢にあるとも人にしられず その皮は骨にひたと貼き 乾きて枯木のごとくなれり 025 LAM 004 009 劍にて死る者は饑て死る者よりもさいはひなり そは斯る者は田圃の産物の罄るによりて漸々におとろへゆき刺れし者のごとくに成ばなり 025 LAM 004 010 わが民の女のほろぶる時には情愛ふかき婦人等さへも手づから己の子等を煮て食となせり 025 LAM 004 011 ヱホバその憤恨をことごとく洩し 烈しき怒をそそぎ給ひ シオンに火をもやしてその基礎までも焼しめ給へり 025 LAM 004 012 地の諸王も世のもろもろの民もすべてヱルサレムの門に仇や敵の打いらんとは信ぜざりき 025 LAM 004 013 斯なりしはその預言者の罪によりその祭司の愆によれり かれらは即はち正しき者の血をその邑の中にながしたりき 025 LAM 004 014 今かれらは盲人のごとく街衢にさまよひ 身は血にて汚れをれば人その衣服にふるるあたはず 025 LAM 004 015 人かれらに向ひて呼はり言ふ 去れよ穢らはし 去れ去れ觸るなかれと 彼らはしり去りて流離ば異邦人の中間にても人々また言ふ 彼らは此に寓るべからずと 025 LAM 004 016 ヱホバ怒れる面をもてこれを散し給へり 再びこれを顧みたまはじ 人々祭司の面をも尊ばず長老をもあはれまざりき 025 LAM 004 017 われらは頼まれぬ救援を望みて目つかれおとろふ 我らは俟ゐたりしが救拯をなすこと能はざる國人を待をりぬ 025 LAM 004 018 敵われらの脚をうかがへば我らはおのれの街衢をも歩くことあたはず 我らの終ちかづけり 我らの日つきたり 即ち我らの終きたりぬ 025 LAM 004 019 我らを追ふものは天空ゆく鷲よりも迅し 山にて我らを追ひ 野に伏てわれらを伺ふ 025 LAM 004 020 かの我らが鼻の氣息たる者ヱホバに膏そそがれたるものは陷阱にて執へられにき 是はわれらが異邦にありてもこの蔭に住んとおもひたりし者なり 025 LAM 004 021 ウズの地に住むエドムの女よ悦び樂しめ 汝にもまたつひに杯めぐりゆかん なんぢも醉て裸になるべし 025 LAM 004 022 シオンの女よ なんぢが愆の罰はをはれり 重ねてなんぢを擄へゆきたまはじ エドムの女よ なんぢの愆を罰したまはん 汝の罪を露はしたまはん 025 LAM 005 001 ヱホバよ我らにありし所の事をおもひたまへ 我らの恥辱をかへりみ觀たまへ 025 LAM 005 002 われらの産業は外國人に歸し われらの家屋は他國人の有となれり 025 LAM 005 003 われらは孤子となりて父あらず われらの母は寡婦にひとし 025 LAM 005 004 われらは金を出して自己の水を飮み おのれの薪を得るにも價をはらふ 025 LAM 005 005 われらを追ふ者われらの頸に迫る 我らは疲れて休むことを得ず 025 LAM 005 006 食物を得て饑を凌がんとてエジプト人およびアッスリヤ人に手を與へたり 025 LAM 005 007 われらの父は罪ををかして已に世にあらず 我らその罪を負ふなり 025 LAM 005 008 奴僕等われらを制するに誰ありて我らを之が手よりすくひ出すものなし 025 LAM 005 009 荒野の刀兵の故によりて我ら死を冒して食物を得 025 LAM 005 010 饑饉の烈しき熱氣によりてわれらの皮膚は爐のごとく熱し 025 LAM 005 011 シオンにて婦人等をかされユダの邑々にて處女等けがさる 025 LAM 005 012 侯伯たる者も敵の手にて吊され 老たる者の面も尊とばれず 025 LAM 005 013 少き者は石磨を擔はせられ 童子は薪を負ふてよろめき 025 LAM 005 014 長老は門にあつまることを止め 少き者はその音樂を廢せり 025 LAM 005 015 我らが心の快樂はすでに罷み われらの跳舞はかはりて悲哀となり 025 LAM 005 016 われらの冠冕は首より落たり われら罪ををかしたれば禍なるかな 025 LAM 005 017 これが爲に我らの心うれへ これらのために我らが目くらくなれり 025 LAM 005 018 シオンの山は荒はて 山犬はその上を歩くなり 025 LAM 005 019 ヱホバよなんぢは永遠に在す なんぢの御位は世々かぎりなし 025 LAM 005 020 何とて我らを永く忘れ われらを斯ひさしく棄おきたまふや 025 LAM 005 021 ヱホバよねがはくは我らをして汝に歸らしめたまへ われら歸るべし 我らの日を新にして昔日の日のごとくならしめたまへ 025 LAM 005 022 さりとも汝まつたく我らを棄たまひしや 痛くわれらを怒りゐたまふや # # BOOK 027 DAN Daniel ダニエル書 027 DAN 001 001 ユダの王エホヤキムの治世の第三年にバビロンの王ネブカデネザル、ヱルサレムにきたりて之を攻圍みしに 027 DAN 001 002 主ユダの王ヱホヤキムと神の家の器具幾何とをかれの手にわたしたまひければ則ちこれをシナルの地に携へゆきて己の神の家にいたりその器具を己の神の庫に蔵めたり 027 DAN 001 003 茲に王寺人の長アシベナズに命じてイスラエルの子孫の中より王の血統の者と貴族たる者幾何を召寄しむ 027 DAN 001 004 即ち身に疵なく容貌美しくして一切の智慧の道に頴く知識ありて思慮深く王の宮に侍るに足る能幹ある少き者を召寄しめこれにカルデヤ人の文學土と言語とを學ばせんとす 027 DAN 001 005 是をもて王は命を下して日々に王の用ゐる饌と王の飮む酒とを彼らに與へしめ三年の間かく彼らを養ひ育てしめんとす是その後に彼らをして王の前に立ことを得せしめんとてなり 027 DAN 001 006 是等の中にユダの人ダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤありしが 027 DAN 001 007 寺人の長かれらに名をあたへてダニエルをベルテシヤザルと名けハナニヤをシヤデラクと名けミシヤエルをメシヤクと名けアザリヤをアベデネゴと名く 027 DAN 001 008 然るにダニエルは王の用ゐる饌と王の飮む酒とをもて己の身を汚すまじと心に思ひさだめたれば己の身を汚さざらしめんことを寺人の長に求む 027 DAN 001 009 以前よりヱホバ、ダニエルをして寺人の長の慈悲と寵愛とを蒙らしめたまふ 027 DAN 001 010 是において寺人の長ダニエルに言けるは吾主なる王すでに命をくだして汝らの食物と汝らの飮物とを頒たしめたまへば我かれを畏る恐くは彼なんぢらの面の其同輩の少者等と異にして憂色あるを見ん然る時は汝らのために我首王の前に危からん 027 DAN 001 011 寺人の長はメルザル官をしてダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル及びアザリヤを監督らせ置たればダニエル之に言けるは 027 DAN 001 012 請十日の間僕等を験したまへ即ち我らには菜蔬を與へて食せ水を與ヘて飮せよ 027 DAN 001 013 而して我らの面と王の饌を食ふ少者どもの面とを較べ見汝の視るところにしたがひて僕等を待ひたまへと 027 DAN 001 014 是において彼この事を聴いれ十日のあひだ彼らを験しけるが 027 DAN 001 015 十日の後にいたりて見るに王の饌を食へる諸の少者よりも彼らの面は美しくまた肥え膩つきてありければ 027 DAN 001 016 メルザル官すなはち彼らの分なる饌と彼らの飮べき洒とを撤きさりて菜蔬をこれに與へたり 027 DAN 001 017 この四人の少者には神知識を得させ諸の文學と智慧に頴からしめたまへりダニエはまた能く各諸の異象と夢兆を暁る 027 DAN 001 018 王かねて命をくだし少者どもを召いるる迄に經べき日を定めおきしがその日數も過たるに因て寺人の長かれらを引てネブカデザルの前にいたりければ 027 DAN 001 019 王かれらと言談へり彼ら一切の中にはダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤに比ぶ者あらざりければこの四人は王の前に侍れり 027 DAN 001 020 王かれらに諸の事を詢たづね見に彼らは智慧の學においてその全國の博士と法術士に愈ること十倍なり 027 DAN 001 021 ダニエルはクロス王の元年までありき 027 DAN 002 001 ネブカデネザルの治世の二年にネブカデネザル夢を見それがために心に思ひなやみて復睡ること能はざりき 027 DAN 002 002 是をもて王は命を下し王のためにその夢を解せんとて博士と法術士と魔術士とカルデヤ人とを召しめたれぼ彼ら來りて王の前に立つ 027 DAN 002 003 王すなはち彼らにむかひ我夢を見その夢の義を知んと心に思ひなやむと言ければ 027 DAN 002 004 カルデヤ人等スリア語をもて王に申しけるは願くは王長壽かれ請ふ僕等にその夢を語りたまへ我らその解明を進めたてまつらんと 027 DAN 002 005 王こたへてカルデヤ人に言けるは我すでに命を出せり汝等もしその夢とこれが解明とを我に示さざるにおいては汝らの身は切裂れ汝らの家は厠にせられん 027 DAN 002 006 又汝らもしその夢とこれが解明を示さば贐物と賞賚と大なる尊榮とを我より獲ん然ばその夢と之が解明を我に示せ 027 DAN 002 007 彼らまた對へて言けるは願くは王僕どもにその夢を語りたまへ然ば我らその解明を奏すべしと 027 DAN 002 008 王こたへて言けるは我あきらかに知る汝らは吾命の下りしを見るが故に時を延さんことを望むなり 027 DAN 002 009 汝らもしその夢を我に示さずば汝らを處置するの法は只一のみ汝らは相語らひて虚言と妄誕なる詞を我前にのべて時の變るを待んとするなり汝ら今先その夢を我に示せ然すれば汝らがその解明をも我にしめし得ることを我しらんと 027 DAN 002 010 カルデヤ人等こたへて王の前に申しけるは世の中には王のその事を示し得る人一箇もなし是をもて王たる者主たる者君たる者等の中に斯る事を博士または法術士またはカルデヤ人に問たづねし者絶てあらざるなり 027 DAN 002 011 王の問たまふその事は甚だ難し肉身なる者と共に居ざる神々を除きては王の前にこれを示すことを得る者無るべしと 027 DAN 002 012 斯りしかば王怒を發し大に憤りバビロンの智者をことごとく殺せと命じたり 027 DAN 002 013 即ち此命くだりければ智者等は殺されんとせり又ダニエルとその同僚をも殺さんともとめたり 027 DAN 002 014 茲に王の侍衛の長アリオク、バビロンの智者等を殺さんとて出きたりければダニエル遠慮と智慧とをもて之に應答せり 027 DAN 002 015 すなはち王の高官アリオクに對へて言けるは王なにとて斯すみやかにこの命を下したまひしやとアリオクその事をダニエルに告しらせたれば 027 DAN 002 016 ダニエルいりて王に乞求めて言ふ暫くの時日を賜へ然ばその解明を王に奏せんと 027 DAN 002 017 斯てダニエルその家にかへりその同僚ハナニヤ、ミシヤエルおよびアザリヤにこの事を告しらせ 027 DAN 002 018 共にこの秘密につき天の神の憐憫を乞ひダニエルとその同僚等をしてその他のバビロンの智者とともに滅びさらしめんことを求めたりしが 027 DAN 002 019 ダニエルつひに夜の異象の中にこの秘密を示されければダニエル天の神を賞賛ふ 027 DAN 002 020 即ちダニエル應へて言けるは永遠より永遠にいたるまでこの神の御名は讃まつるべきなり智慧と權能はこれが有なればなり 027 DAN 002 021 彼は時と期とを變じ王を廃し王を立て智者に智慧を與へ賢者に知識を賜ふ 027 DAN 002 022 彼は深妙秘密の事を顕し幽暗にあるところの者を知たまふまた光明彼の裏にあり 027 DAN 002 023 わが先祖等の神よ汝は我に智慧と權能を賜ひ今われらが汝に乞求めたるところの事を我にしめし給へば我感謝して汝を賞賛ふ即ち汝は王のかの事を我らに示したまへり 027 DAN 002 024 是においてダニエルは王がバビロンの智者等を殺すことを命じおけるアリオクの許にいたり即ちいりてこれに言けるはバビロンの智者等を殺す勿れ我を王の前に引いたれよ我その解明を王に奏上ぐべしと 027 DAN 002 025 アリオクすなはちダニエルを引て急ぎ王の前にいたり王にまうしけるは我ユダの俘囚人の中に一箇の人を得たり是者その解明を王にまうしあげん 027 DAN 002 026 王こたへてベルテシヤザルと名くるダニエルに言けるは汝は我が見たる夢とその解明とを我に知らすることを得るやと 027 DAN 002 027 ダニエルすなはち應へて王の前に言けるは王の問たまふ秘密は智者法術士博士卜筮師など之を王に奏上ぐることを得ず 027 DAN 002 028 然ど天に一の神ありて秘密をあらはし給ふ彼後の日に起らんところの事の如何なるかをネブカデネザル王にしらせたまふなり汝の夢汝が牀にありて想見たまひし汝の脳中の異象は是なり 027 DAN 002 029 王よ汝牀にいりし時将來の事の如何を想ひまはしたまひしが秘密を顕す者将來の事の如何を汝にしめし給へり 027 DAN 002 030 我がこの示現を蒙れるは凡の生る者にまさりて我に智慧あるに由にあらず唯その解明を王に知しむる事ありて王のつひにその心に想ひたまひし事を知にいたり給はんがためなり 027 DAN 002 031 王よ汝は一箇の巨なる像の汝の前に立るを見たまへり其像は大くしてその光輝は常ならずその形は畏ろしくあり 027 DAN 002 032 其像は頭は純金 胸と兩腕とは銀 腹と腿とは銅 027 DAN 002 033 脛は鉄 脚は一分は鉄一分は泥土なり 027 DAN 002 034 汝見て居たまひしに遂に一箇の石人手によらずして鑿れて出でその像の鉄と泥土との脚を撃てこれを碎けり 027 DAN 002 035 斯りしかばその鉄と泥土と銅と銀と金とは皆ともに碎けて夏の禾場の糠のごとくに成り風に吹はらはれて止るところ無りき而してその像を撃たる石は大なる山となりて全地に充り 027 DAN 002 036 是その夢なり我らその解明を王の前に陳ん 027 DAN 002 037 王よ汝は諸王の王にいませり即ち天の神汝に國と權威と能力と尊貴とを賜へり 027 DAN 002 038 また人の子等等の獣畜かよび天空の鳥は何處にをる者にもあれ皆これを汝の手に與へて汝にこれをことごとく治めしめたまふ汝はすなはち此金の頭なり 027 DAN 002 039 汝の後に汝に劣る一の國おこらんまた第三に銅の國おこりて全世界を治めん 027 DAN 002 040 第四の國は堅きこと鉄のごとくならん鉄は能く萬の物を毀ち碎くなり 鉄の是等をことごとく打碎くがごとく其國は毀ちかつ碎くことをせん 027 DAN 002 041 汝その足と足の趾を見たまひしに一分は陶人の泥土一分は鉄なりければその國は分裂たる者ならん又汝鉄と粘土との混和たるを見たまひたればその國は鉄のごとく強からん 027 DAN 002 042 その足の趾の一分は鉄一分は泥土なりしごとくその國は強きところもあり脆きところも有ん 027 DAN 002 043 汝が鉄と粘土との混りたるを見たまひしごとく其等は人草の種子と混らん然ど鉄と泥土との相合せざるごとく彼と此と相合すること有じ 027 DAN 002 044 この王等の日に天の神一の國を建たまはん是は何時までも滅ぶること無らん此國は他の民に歸せず却てこの諸の國を打破りてこれを滅せん是は立ちて永遠にいたらん 027 DAN 002 045 かの石の人手によらずして山より鑿れて出で鉄と銅と泥土と銀と金とを打碎きしを汝が見たまひしは即ちこの事なり大御神この後に起らんところの事を王にしらせたまへるなりその夢は眞にしてこの解明は確なり 027 DAN 002 046 是においてネブカデネザル王は俯伏てダニエルを拝し礼物と香をこれに献ぐることを命じたり 027 DAN 002 047 而して王こたへてダニエルに言けるは汝がこの秘密を明かに示すことを得たるを見れば誠に汝らの神は神等の神王等の主にして能く秘密を示す者なりと 027 DAN 002 048 かくて王はダこエルに高位を授け種々の大なる賜物を與へてこれをバビロン全州の総督となしまたバビロンの智者等を統る者の首長となせり 027 DAN 002 049 王またダニエルの願によりてシヤデラクとメシヤクとアベデネゴを挙てバビロン州の事務をつかさどらしめたりダニエルは王の宮にをる 027 DAN 003 001 茲にネブカデネザル王 一箇の金の像を造れりその高は六十キユビトその横の廣は六キユビトなりき即ちこれをバビロン州のドラの平野に立たり 027 DAN 003 002 而してネブカデネザル王は州牧将軍方伯刑官庫官法官士師および州郡の諸有司を召集めそのネブカデネザル王の立たる像の告成礼に臨ましめんとせり 027 DAN 003 003 是においてその州牧将軍方伯刑官庫官法官土師および州郡の諸有司等はネブカデネザル王の立たる像の告成礼に臨みそのネブカデネザル王の立たる像の前に立り 027 DAN 003 004 時に傳令者大聲に呼はりて言ふ諸民諸族諸音よ汝らは斯命ぜらる 027 DAN 003 005 汝ら喇叭笙琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く時は俯伏しネブカデネザル王の立たまへる金像を拝すべし 027 DAN 003 006 凡て俯伏て拝せざる者は即時に火の燃る爐の中に投こまるべしと 027 DAN 003 007 是をもて諸民等喇叭笙琵琶琴瑟などの諸の樂器の音を聞くや直に諸民諸族諸音みな俯伏しネブカデネザル王の立たる金像を拝したり 027 DAN 003 008 そわ寺成カ冲デヤ人等巡みきたりてユダヤ人を讒奏せり 027 DAN 003 009 即ち彼らネブカデネザル王に奏聞して言ふ願くは王長壽かれ 027 DAN 003 010 王よ汝は命を出して宜へり凡て喇叭笙琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く者はみな俯伏しこの像を拝すべし 027 DAN 003 011 凡て俯伏し拝せざる者はみな火の燃る鍾の巾に投こまるべしと 027 DAN 003 012 此に汝が立てバビロン州の事務を司どらせ給へるユダヤ人シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴあり王よ此人々は汝を尊ばず汝の神々にも事へず汝の立たまへる金像をも拝せざるなりと 027 DAN 003 013 是においてネブカデネザル怒りかつ憤りてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを召寄よと命じければ即ちこの人々を王の前に引きたりしに 027 DAN 003 014 ネブカデネザルかれらに問て言けるはジヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ汝ら我神に事へずまた我が立たる金像を拝せざるは是故意にするなるか 027 DAN 003 015 汝らもし何の時にもあれ喇叭笙琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く時に俯伏し我が造れる像を拝することを爲ば可し然ど汝らもし拝することをせずば即時に火の燃る爐の中に投こまるべし何の神か能く汝らをわが手より就ひいだすことをせん 027 DAN 003 016 シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴ對へて王に言けるはネブカデネザルよこの事においては我ら汝に答ふるに及ばず 027 DAN 003 017 もし善らんには王よ我らの事ふる我らの神我らを救ふの能あり彼その火の燃る爐の中と汝の手の中より我らを救ひいださん 027 DAN 003 018 仮令しからざるも王よ知たまへ我らは汝の神々に事へずまた汝の立たる金像を拝せじ 027 DAN 003 019 是に沿いてネブカデネザル怒氣を充しシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴにむかひてその面の容を變へ即ち爐を常に熱くするよりも七倍熱くせよと命じ 027 DAN 003 020 またその軍勢の中の力強き人身を喚てシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを縛りてこれを火の燃る爐の中に投こめと命じたり 027 DAN 003 021 是をもて此人心はその褲子羽織外套およびその他の服装を着たるままにて縛られて大の燃る爐の中に投こまれたりしが 027 DAN 003 022 王の命はなはだ急にして爐は甚だしく熱しゐたれば彼のシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを引抱へゆける者等はその火焔に焼ころされたり 027 DAN 003 023 また此シヤデラク、メシヤク、デベデネゴの三人は縛られたるままにて燃る爐の中に落いりぬ 027 DAN 003 024 時にネブカデネザル王驚きて急忙しくたちあがり大臣等に言ふ我らは三人を縛りて火の中に役いれざりしや彼ら王にこたへて言ふ王よ然りと 027 DAN 003 025 王また應へて言ふ我見るに四人の者縲絏解て火の中に歩みをり凡て何の害をも受ずまたその第四の者の容は神の子のごとしと 027 DAN 003 026 ネブカデネザルすなはちその火の燃る爐の口に進みよりて呼て言ふ至高神の僕シヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ汝ら出きたれと是においてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴその火の中より出きたりしかば 027 DAN 003 027 州牧将軍方伯および王の大臣等集まりて比人々を見たり此人々の身は火もこれを害する力なかりきまたその頭の髪は焼けずその衣裳は傷ねず火の臭氣もこれに付ざりき 027 DAN 003 028 ネブカデネザルすなはち宣て曰くシヤデラク、メシヤク、アベデネゴの神は讃べき哉彼その使者を遣りて己を頼む僕を救へりまた彼らは自己の神の外には何の神にも事へずまた拝せざらんとて王の命をも用ひず自己の身をも捨んとせり 027 DAN 003 029 然ば我今命を下す諸民諸族諸音の中凡てシヤデラク、メシヤクおよびアベダネゴの神を詈る者あらばその身は切裂れその家は厠にせられん其は是のごとくに救を施す神他にあらざればなりと 027 DAN 003 030 かくて王またシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴの位をすすめてバビロン州にをらしむ 027 DAN 004 001 ネブカデネザル王全世界に住める諸民諸族諸音に諭す願くは大なる平安汝らにあれ 027 DAN 004 002 至高神我にむかひて徴證と奇蹟を行へり我これを知しむることを善と思ふ 027 DAN 004 003 嗚呼大なるかなその徴證嗚呼盛なるかなその奇蹟その國は永遠の國その權は世々限なし 027 DAN 004 004 我ネブカデネザルわが家に安然に居りわが宮に榮え居れり 027 DAN 004 005 我一の夢を見て之がために懼れ即ち床にありてその事を想ひめぐらしその我脳中の異象のために心をなやませり 027 DAN 004 006 是に於て我命を下しバビロンの智者をことごとく我前に召よせしめてその夢の解明を我にしめさせんと爲たれば 027 DAN 004 007 すなはち博士法術士カルデヤ人卜筮師等きたりしに囚て我その夢を彼らに語りけるに彼らはその解明を我にしめすことを得ざりき 027 DAN 004 008 かくて後ダニエルわが前に來れり彼の名は吾神の名にしたがひてベルテシヤザルと稱へられその裏には聖神の霊やどれり我その夢を彼の前に語りて曰けらく 027 DAN 004 009 博士の長ベルテシヤザルよ我しる汝の裏には聖神の霊やどれば如何なる秘密も汝には難き事なし我が夢に見たるところの事等を聞きその解明を我に告げよ 027 DAN 004 010 我が床にありて見たる吾脳中の異象は是のごとし我観しに地の當中に一の樹ありてその丈高かりしが 027 DAN 004 011 その樹長じて強固なり天に達するほどの高となりて地の極までも見えわたり 027 DAN 004 012 その葉は美しくその菓は饒にして一切の者その中より食を得また野の獣その蔭に臥し空の鳥その枝に棲み凡て血氣ある者みな是によりて身を畳ふ 027 DAN 004 013 我床にありて得たる脳中の異象の中に一箇の警寤者一箇の聖者の天より下るを見たりしが 027 DAN 004 014 彼聲高く呼はりて斯いへり此樹を伐たふしその枝を斫はなしその葉を揺おとしその果を打散し獣をしてその下より逃はしらせ鳥をしてその枝を飛さらしめよ 027 DAN 004 015 但しその根の上の斬株を地に遺しおき鉄と銅の索をかけて之を野の草の中にあらしめよ是は天よりくだる露に濕れまた地の草の中にて獣とその分を同じうせん 027 DAN 004 016 又その心は變りて人間の心のごとくならず獣の心を稟て七の時を經ん 027 DAN 004 017 この事は警寤者等の命によりこの事は聖者等の言による是至高者人間の國を治めて自己の意のままにこれを人に與ヘまた人の中の最も賤き者をその上に立たまふといふ事を一切の者に知しめんがためなり 027 DAN 004 018 我ネブカデネザル王この夢を見たりベルテシヤザルよ汝その解明を我に述よ我國の智者は執も皆その解明を我に示すことを得ざりしが汝は之を能せん其は汝の裏には聖神の霊やどればなりと 027 DAN 004 019 その時ダニエル又の名はベルタシヤザルとい者暫時の間驚き居り心に深く懼れたれば王これに告て言りベルテシヤザルよ汝この夢とその解明のために懼るるにおよばずとベルテシヤザルすなはち答へて言けらく我主よ願くはこの夢汝を惡む者の上にかからん事を願くは此解明汝の敵にのぞまんことを 027 DAN 004 020 汝が見たまひし樹すなはちその長じて強くなり天に達するほどの高となりて地の極までも見えわたり 027 DAN 004 021 その葉は美しくその果は饒にして一切の者その中より食を得またその下に野の獣臥しその枝に空の鳥棲たる者 027 DAN 004 022 王よ是はすなはち汝なり汝は長じて強くなり汝の勢ひは盛にして天におよび汝の權は地の極にまでおよべり 027 DAN 004 023 王また一箇の警寤者一箇の聖者の天より下りて斯言ふを見たまへり云くこの樹を伐たふして之をそこなへ但し其根の上の斬株を地に遺しおき鉄と銅の索をかけて之を野の草の中にあらしめよ是は天より下る露に濡れ野の獣とその分を同じうして七の時を經ん 027 DAN 004 024 王よその解明は是の如し是即ち至高者の命にして王我主に臨まんとする者なり 027 DAN 004 025 即ち汝は逐れて世の人と離れ野の獣とともに居り牛のごとくに草を食ひ天よりくだる露に濡れん是の如くにして七の時を經て汝つひに知ん至高者人間の國を治めて自己の意のままに之を人に與へ給ふと 027 DAN 004 026 又彼らその樹の根の上の斬株を遺しおけと言たれば汝の國は汝が天は主たりと知にいたる時まで汝を離れん 027 DAN 004 027 然ば王よ吾諌を容れ義をおこなひて罪を離れ貧者を憐みて惡を離れよ然らば汝の平安あるひは長く続かんと 027 DAN 004 028 この事みなネブカデネザル王に臨めり 027 DAN 004 029 十二箇月を經て後王バビロンの王宮の上に歩みをり 027 DAN 004 030 王すなはち語りて言ふ此大なるバビロンは我が大なる力をもて建て京城となし之をもてわが威光を耀かす者ならずや 027 DAN 004 031 その言なほ王の口にある中に天より聲降りて言ふネブカデネザル王よ汝に告ぐ汝は國の位を失はん 027 DAN 004 032 汝は逐れて世の人と離れ野の獣と共に居り牛のごとくに草を食はん斯の如くにして七の時を經て汝つひに知ん至高者人間の國を治めて己れの意のままにこれを人に與へたまふと 027 DAN 004 033 その時直にこの事ネブカデネザルに臨み彼は逐れて世の人に離れ牛のごとくに草を食ひてその身は天よりくだる露に濡れ終にその髪毛は鷲の羽のごとくになりその爪は鳥の爪のごとくになりぬ 027 DAN 004 034 斯てその日の満たる後我ネブカデネザル目をあげて天を望みしにわが分別性我に婦りたれば我至高者に感謝しその永遠に生る者を讃かつ崇めたり彼の御宇は永遠の御宇彼の國は世々かぎり無し 027 DAN 004 035 地上の居民は凡て無き者のごとし天の衆群にも地の居民にも彼はその意のままに事をなしたまふ誰も彼の手をおさへて汝なんぞ然するやと言ことを程る者なし 027 DAN 004 036 この時わが分別性かく我に歸りたりしがわが國の榮光につきてはまた我の尊厳と光耀我にかへれり且また大臣牧伯等我に請求めて我たたび國の祚を践み前よりも著しく威光を増たり 027 DAN 004 037 是において我ネブカデネザル今は天の王を讃頌へかつ崇む彼の作爲は凡て眞実彼の道は正義自ら高ぶる者は彼能くこれを卑くしたまふ 027 DAN 005 002 酒の進むにいたりてベルシヤザルはその父ネブカデネザルがヱルサレムの宮より取きたりし金銀の器を携へいたれと命ぜり是王とその大臣および王の妻妾等みな之をもて酒を飮んとてなりき 027 DAN 005 003 是をもてそのヱルサレムなる神の官の内院より取たりし金の器を携へいたりければ王とその大臣および王の妻妾等これをもて飮めり 027 DAN 005 004 すなはち彼らは酒をのみて金銀銅鉄木石などの神を讃たたへたりしが 027 DAN 005 005 その時に人の手の指あらはれて燭台と相對する王の宮の粉壁に物書り王その物書る手の末を見たり 027 DAN 005 006 是において王の愉快なる顔色は變りその心は思ひなやみて安からず腿の関節はゆるみ膝はあひ撃り 027 DAN 005 007 王すなはち大聲に呼はりて法術士カルデヤ人卜筮師等を召きたらしめ而して王バビロンの智者等に告て言ふこの文字を読みその解明を我に示す者には紫の衣を衣せ頚に金の鏈をかけさせて之を國の第三の牧伯となさんと 027 DAN 005 008 王の智者等は皆きたりしかどもその文字を読こと能はずまたその解明を王にしめすこと能はざりければ 027 DAN 005 009 ベルシヤザル王おほいに思ひなやみてその顔色を失へりその大臣等もまた驚き懼れたり 027 DAN 005 010 時に大后王と大臣等の言を聞てその酒宴の室にいりきたり大后すなはち陳て言ふ願くは王長壽かれ汝心に思ひなやむ勿れまた顔色を失ふにおよばず 027 DAN 005 011 汝の國に聖神の霊のやどれる一箇の人あり汝の父の代に彼聡明了知および神の智慧のごとき智慧あることを顕せり汝の父ネブカデネザル王すなはち汝の父の王彼を立てて博士法術士カルデヤ人卜筮師等の長となせり 027 DAN 005 012 彼はダニエルといへる者なるが王これにベルテシヤザルといふ名を與ヘたり彼は心の殊勝たる者にて了知あり知識ありて能く夢を解き隠語を解き難問を解くなり然ばダニエルを召されよ彼その解明をしめさんと 027 DAN 005 013 是においてダニエル召れて王の前に至りければ王ダニエルに語りて言ふ汝は吾父の王がユダより曳きたりしユダの俘囚人なるそのダニエルなるか 027 DAN 005 014 我聞になんぢの裏には神の霊やどりをりて汝は聡明了知および非凡の智慧ありと云ふ 027 DAN 005 015 我智者法術士等を吾前に召よせてこの文字を読しめその解明を我にしめさせんと爲たれども彼らはこの事の解明を我にしめすことを得ず 027 DAN 005 016 我聞に汝は能く物事の解明をなしかつ難問を解くと云ふ然ば汝もし能くこの文字を読みその解明を我に示さば汝に紫の衣を衣せ金の索を汝の頚にかけさせて汝をこの國の第三の牧伯となさんと 027 DAN 005 017 ダニエルこたへて王に言けるは汝の賜物は汝みづからこれを取り汝の饒物はこれを他の人に與へたまへ然ながら我は王のためにその文字を読みその解明をこれに知せたてまつらん 027 DAN 005 018 王よ至高神汝の父ネブカデネザルに國と權勢と榮光と尊貴を賜へり 027 DAN 005 019 彼に權勢を賜ひしによりて諸民諸族諸音みな彼の前に慄き畏れたり彼はその欲する者を殺しその欲する者を活しその欲する者を上げその欲する者を下ししなり 027 DAN 005 020 而して彼心に高ぶり氣を剛愎にして驕りしかばその國の位をすべりてその尊貴を失ひ 027 DAN 005 021 逐れて世の人と離れその心は獣のごとくに成りその住所は野馬の中にあり牛のごとくに草を食ひてその身は天よりの露に濡たり是のごとくにして終に彼は至高神の人間の國を治めてその意のままに人を立たまふといふことをしるにいたれり 027 DAN 005 022 ベルシヤザルよ汝は彼の子にして此事を盡く知るといへども猶その心を卑くせず 027 DAN 005 023 却って天の主にむかひて自ら高ぶりその家の器皿を汝の前に持きたらしめて汝と汝の大臣と汝の妻妾等それをもて酒を飮み而して汝は見ことも聞ことも知こともあらぬ金銀銅鉄木石の神を讃頌ふることを爲し汝の生命をその手に握り汝の一切の道を主どりたまふ神を崇むることをせず 027 DAN 005 024 是をもて彼の前よりこの手の末いできたりてこの文字を書るなり 027 DAN 005 025 その書る文字は是のごとしメネ、メネ、テケル、ウバルシン 027 DAN 005 026 その言の解明は是のごとしメネ(數へたり)は神汝の治世を數へてこれをその終に至らせしを謂なり 027 DAN 005 027 テケル(秤れり)は汝が權衡にて秤られて汝の重の足らざることの顕れたるを謂なり 027 DAN 005 028 ベレス(分たれたり)は汝の國の分たれてメデアとペルシヤに與ヘらるるを謂なり 027 DAN 005 029 是においてベルシヤザル命を降してダニエルに紫の衣を荊せしめ金の鏈をこれが頚にかけさせて彼は國の第三の牧伯なりと布告せり 027 DAN 005 030 カルデヤ人の王ベルシヤザルはその夜の中に殺され 027 DAN 005 031 メデア人ダリヨスその國を得たり此時ダリヨスは六十二歳なりき 027 DAN 006 001 ダリヨスはその國に百二十人の牧伯を立ることを善とし即ちこれを立て全國を治理しめ 027 DAN 006 002 また彼らの上に監督三人を立たりダニエルはその一人なりき是その州牧をして此三人の前にその職を述しめて王に損失の及ぶこと無らしめんためなりき 027 DAN 006 003 ダニエルは心の殊勝たる者にしてその他の監督および州牧等に勝りたれば王かれを立て全國を治めしめんとせり 027 DAN 006 004 是においてその監督と州牧等國事につきてダエルを訟ふる隙を得んとしたりしが何の隙をも何の咎をも見いだすことを得ざりき其は彼は忠義なる者にてその身に何の咎もなく何の過失もなかりければなり 027 DAN 006 005 是においてその人々言けるはこのダニエルはその神の例典について之が隙を獲にあらざればついにこれを訟るに由なしと 027 DAN 006 006 すなはちその監督と州牧等王の許に集り來りて斯王に言りダリヨス王よ願くは長壽かれ 027 DAN 006 007 國の監督将軍州牧牧伯方伯等みな相議りて王に一の律法を立て一の禁令を定めたまはんことを求めんとす王よその事は是の如し即ち今より三十日の内は唯汝にのみ願事をなさしめ若汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡て獅子の穴に投いれんといふ是なり 027 DAN 006 008 然ば王よねがはくはその禁令を立てその詔書を認めメデアとペルシヤの廃ることなき律法のごとくに之をして變らざらしめたまへと 027 DAN 006 009 王すなはち詔書をしたためてその禁令を出せり 027 DAN 006 010 茲にダニエルはその詔書を認めたることを知りて家にかへりけるがその二階の窓のヱルサレムにむかひて開ける處にて一日に三度づつ膝をかがめて祷りその神に向て感謝せり是その時の前よりして斯なし居たればなり 027 DAN 006 011 斯りしかばその人々馳よりてダニエルがその神にむかひて祷りかつ求めをるを見あらはせり 027 DAN 006 012 而して彼ら進みきたり王の禁令の事につきて王に奏上して言けるは王よ汝は禁令をしたため出し今より三十日の内には只なんぢにのみ願事をなさしめ若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡てその者を獅子の穴に投いれんと定めたまへるならずやと王こたへて言ふ其事は眞実にしてメデアとペルシヤの作法のごとく廃べかちずる者なり 027 DAN 006 013 彼らまた對へて王の前に言けるは王よユダの俘擄人なるダニエルは汝をも汝の認め出し給ひし禁令をも顧みずして一日に三度づつ祈祷をなすなりと 027 DAN 006 014 王この事を聞てこれがために大に愁ひダニエルを就はんと心を用ひ即ちこれを拯けんと力をつくして日の入る頃におよびければ 027 DAN 006 015 その人汝また王の許に集ひきたりて王に言けるは王よ知りたまヘメデアとペルシヤの律法によれば王の立たる禁令または法度は變べからざる者なりと 027 DAN 006 016 是において王命を下しければダニエルを曳きたりて獅子の穴に投いれたり王ダニエルに語りて言ふ願くは汝が恒に事ふる神汝を救はんことをと 027 DAN 006 017 時に石を持きたりてその穴の口を塞ぎければ王おのれの印と大臣等の印をもてこれに封印をなせり是ダニエルの處置をして變ることなからしめんためなりき 027 DAN 006 018 斯て後王はその宮にかへりけるがその夜は食をなさずまた嬪等を召よせずして全く寝ることをせざりき 027 DAN 006 019 而して王は朝まだきに起いでてその獅子の穴に急ぎいたりしが 027 DAN 006 020 穴にいたりける時哀しげなる聲をあげてダニエルを呼りすなはち王ダニエルに言けるは活神の僕ダニエルよ汝が恒に事ふる神汝を救ふて獅子の害を免れしむることを得しや 027 DAN 006 021 ダニエル王にいひけるは願くは王長壽かれ 027 DAN 006 022 吾神その使をおくりて獅子の口を閉させたまひたれば獅子は我を害せざりき其は我の辜なき事かれの前に明かなればなり王よ我は汝にも惡しき事をなさざりしなりと 027 DAN 006 023 是において王おほいに喜びダニエルを穴の中より出せと命じければダニルは穴の中より出されけるがその身に何の害をも受をらざりき是は彼おのれの神を頼みたるによりてなり 027 DAN 006 024 かくて王また命を下しかのダニエルを讒奏せし者等を曳きたらせて之をその妻子とともに獅子の穴に投いれしめたるにその穴の底につかざる内に獅子はやくも彼らを攫みてその骨までもことごとく咬碎けり 027 DAN 006 025 是においてダリヨス王全世界に住る諸民諸族諸音に詔書を頒てり云く願くは大なる平安なんぢらにあれ 027 DAN 006 026 今我詔命を出す我國の各州の人みなダニエルの神を畏れ敬ふべし是は活神にして永遠に立つ者またその國は亡びずその權は終極まで続くなり 027 DAN 006 027 是は救を施し拯をなし天においても地においても休徴をほどこし奇蹟をおこなふ者にてすなはちダニエルを救ひて獅子の力を免れしめたりと 027 DAN 006 028 このダニエルはダリヨスの世とペルシヤ人クロスの世においてその身榮えたり 027 DAN 007 001 バビロンの王ベルシヤザルの元年にダニエルその牀にありて夢を見 腦中に異象を得たりしが即ちその夢を記してその事の大意を述ぶ 027 DAN 007 002 ダニエル述て曰く我夜の異象の中に見てありしに四方の天風大海にむかひて烈しく吹きたり 027 DAN 007 003 四箇の大なる獣海より上りきたれりその形はおのおの異なり 027 DAN 007 004 第一のは獅子の如くにして鷲の翼ありけるが我見てをりしに是はその翼を抜とられまた地より起され人のごとく足にて立せられ且人の心を賜はれり 027 DAN 007 005 第二の獣は熊のごとくなりき是はその體の一方を挙げその口の歯の間に三の脇骨を啣へ居けるが之にむかひて言る者あり曰く起あがりて許多の肉を食へと 027 DAN 007 006 その後に我見しに豹のごとき獣いでたりしがその背には鳥の翼四ありこの獣はまた四の頭ありて統轄權をたまはれり 027 DAN 007 007 我夜の異象の中に見しにその後第四の獣いでたりしが是は畏しく猛く大に強くして大なる鉄の歯あり食ひかつ咬碎きてその残餘をば足にて踏つけたり是はその前に出たる諸の獣とは異なりてまた十の角ありき 027 DAN 007 008 我その角を考へ観つつありけるにその中にまた一箇の小き角出きたりしがこの小き角のために先の角三箇その根より抜おちたりこの小き角には人の目のごとき目ありまた大なる事を言口あり 027 DAN 007 009 我観つつありしに遂に賓座を置列ぶるありて日の老たる者座を占めたりしがその衣は雪のごとくに白くその髪毛は漂潔めたる羊の毛のごとし又その賓座は火の熖にしてその車輪は燃る火なり 027 DAN 007 010 而して彼の前より一道の火の流わきいづ彼に仕ふる者は千々彼の前に侍る者は萬々審判すなはち始りて書を開けり 027 DAN 007 011 その角の大なる事を言ふ聲によりて我観つつありけるが我が見る間にその獣は終に殺され體を壊はれて燃る火に投いれられたり 027 DAN 007 012 またその餘の獣はその權威を奪はれたりしがその生命は時と期の至るまで延されたり 027 DAN 007 013 我また夜の異象の中に観てありけるに人の子のごとき者雲に乗て來り日の老たる者の許に到りたればすなはちその前に導きけるに 027 DAN 007 014 之に權と榮と國とを賜ひて諸民諸族諸音をしてこれに事へしむその權は永遠の權にして移りさらず又その國は亡ぶることなし 027 DAN 007 015 是において我ダニエルその體の内の魂を憂へしめわが脳中の異象のために思ひなやみたれば 027 DAN 007 016 すなはち其處にたてる者の一箇に就てこの一切の事の眞意を問けるに其者われにこの事の解明を告しらせて云く 027 DAN 007 017 この四の大なる獣は地に興らんとする四人の王なり 027 DAN 007 018 然ど終には至高者の聖徒國を受け長久にその國を保ちて世々限りなからんと 027 DAN 007 019 是において我またその第四の獣の眞意を知んと欲せり此獣は他の獣と異なりて至畏ろしくその歯は鉄その爪は銅にして食ひかつ咬碎きてその残餘を足にて踏つけたり 027 DAN 007 020 此獣の頭には十の角ありしが其他にまた一の角いできたりしかば之がために三の角抜おちたり此角には目ありまた大なる事を言ふ口ありてその状はその同類よりも強く見えたり我またこの事を知んと欲せり 027 DAN 007 021 我観つつありけるに此角聖徒と戦ひてこれに勝たりしが 027 DAN 007 022 終に日の老たる者來りて至高者の聖徒のために公義をおこなへり而してその時いたりて聖徒國を捉たり 027 DAN 007 023 彼かく言り第四の獣は地上の第四の國なり是は一切の國と異なり全世界を并呑しこれを踏つけかつ打破らん 027 DAN 007 024 その十の角はこの國に興らんところの十人の王なり之が後にまた一人興るべし是は先の者と異なり且その王三人を倒すべし 027 DAN 007 025 かれ至高者に敵して言を出しかつ至高者の聖徒を惱まさん彼また時と法とを變んことを望まん聖徒は一時と二時と半時を經るまで彼の手に付されてあらん 027 DAN 007 026 斯て後審判はじまり彼はその權を奪はれて終極まで滅び亡ん 027 DAN 007 027 而して國と權と天下の國々の勢力とはみな至高者の聖徒たる民に歸せん至高者の國は永遠の國なり諸國の者みな彼に事へかつ順はんと 027 DAN 007 028 その事此にて終れり我ダニエルこれを思ひまはして大に憂へ顔色も變りぬ我この事を心に蔵む 027 DAN 008 001 我ダニエル前に異象を得たりしが後またベルシヤザルの第三年にいたりて異象を得たり 027 DAN 008 002 我異象を見たり我これを見たる時に吾身はエラム州なるシユシヤンの城にあり我が異象を見たるはウライ河の邊においてなりき 027 DAN 008 003 我目を挙て観しに何の上に一匹の牡羊立をり之に二の角ありてその角共に長かりしが一の角はその他の角よりも長かりきその長き者は後に長たるなり 027 DAN 008 004 我観しにその牡羊西北南にむかひて牴觸りけるが之に敵ることを得る獣一匹も無くまたその手より救ひいだすことを得る者絶てあらざりき是はその意にまかせて事をなしその勢威はなはだ盛なりき 027 DAN 008 005 我これを考へ見つつありけるにて一匹の牡山羊全地の上を飛わたりて西より來りしがその足は土を履ざりきこの牡山羊は目の間に著明しき一の角ありき 027 DAN 008 006 此者さきに我が何の上に立るを見たる彼の二の角ある牡羊に向ひ來り熾盛なる力をもて之の所に跑いたりけるが 027 DAN 008 007 我観てあるに牡羊に近づくに至りて之にむかひて怒を發し牡羊を撃てその二の角を碎きたるに牡羊には之に敵る力なかりければこれを地に打倒して蹈つけたり然るにその牡羊をこれが手より救ひ得る者あらざりき 027 DAN 008 008 而してその牡山羊甚だ大きくなりけるがその盛なる時にあたりてかの大なる角折れその代に四の著明しき角生じて天の四方に對へり 027 DAN 008 009 またその角の一よりして一の小き角いできたり南にむかひ東にむかひ美地にむかひて甚だ大きくなり 027 DAN 008 010 天軍におよぶまでに高くなりその軍と星數箇を地に投くだしてこれを蹈つけ 027 DAN 008 011 また自ら高ぶりてその軍の主に敵しその常供の物を取のぞきかつその聖所を毀てり 027 DAN 008 012 一軍罪の故によりて常供の物とともに棄られたり彼者はまた眞理を地に擲ち事をなしてその意志を得たり 027 DAN 008 013 かくて我聞に一箇の聖者語ひをりしが又一箇の聖者ありてその語ひをる聖者にむかひて言ふ常供の物と荒廃を來らする罪とにつきて異象にあらはれたるところの事聖所とその軍との棄られて蹈つけらるる事は何時まで斯てあるべきかと 027 DAN 008 014 彼すなはち我に言けるは二千三百の朝夕をかさぬるまで斯てあらん而して聖所は潔めらるべし 027 DAN 008 015 我ダニエルこの異象を見てその意義を知んと求めをりける時人のごとく見ゆる者わが前に立り 027 DAN 008 016 時に我聞にウライ河の兩岸の間より人の聲出て呼はりて言ふガブリエルよこの異象をその人に暁らしめよと 027 DAN 008 017 彼すなはち我の立る所にきたりしがその到れる時に我おそれて仆れ伏たるに彼われに言けるは人の子よ暁れ此異象は終の時にかかはる者なりと 027 DAN 008 018 彼の我に語ひける時我は氣を喪へる状にて地に俯伏をりしが彼我に手をつけて我を立せ言けるは 027 DAN 008 019 視よ我忿怒の終に起らんところの事を汝に知せん此事は終末の期におよびてあらん 027 DAN 008 020 汝が見たるかの二の角ある牡羊はメデアとペルシャの王なり 027 DAN 008 021 またかの牡山羊はギリシヤの王その目の間の大なる角はその第一の王なり 027 DAN 008 022 またその角をれてその代に四の角生じたればその民よりして四の國おこらん然ど第一の者の權勢には及ばざるなり 027 DAN 008 023 彼らの國の末にいたり罪人の罪貫盈におよびて一人の王おこらんその顔は猛惡にして巧に詭譎を言ひ 027 DAN 008 024 その權勢は熾盛ならん但し自己の能力をもて之を致すに非ずその毀滅ことを爲は常ならず意志を得て事を爲し權能ある者等と聖民とを滅さん 027 DAN 008 025 彼は機巧をもて詭譎をその手に行ひ遂げ心にみづから高ぶり平和の時に衆多の人を打滅しまた君の君たる者に敵せん然ど終には人手によらずして滅されん 027 DAN 008 026 前に告たる朝夕の異象は眞実なり汝その異象の事を秘しおけ是は衆多の日の後に有べき事なり 027 DAN 008 027 是において我ダニエル疲れはてて數日の間病わづらひて後興いでて王の事務をおこなへり我はこの異象の事を案ひて駭けり人もまたこれを暁ることを得ざりき 027 DAN 009 001 メデア人アハシユエロスの子ダリヨスがカルデヤ人の王とせられしその元年 027 DAN 009 002 すなはちその世の元年に我ダニエル、ヱホバの言の預言者ヱレミヤにのぞみて告たるその年の數を書によりて暁れり即ちその言にヱルサレムは荒て七十年を經んとあり 027 DAN 009 003 是にかいて我面を主ヱホバに向け断食をなし麻の衣を着灰を蒙り祈りかつ願ひて求むることをせり 027 DAN 009 004 即ち我わが神ヱホバに祷り懺悔して言り嗚呼大にして畏るべき神なる主自己を愛し自己の誠命を守る者のために契約を保ち之に恩恵を施したまふ者よ 027 DAN 009 005 我等は罪を犯し悖れる事を爲し惡を行ひ叛逆を爲して汝の誠命と律法を離れたり 027 DAN 009 006 我等はまた汝の僕なる預言者等が汝の名をもて我らの王等君等先祖等および全國の民に告たる所に聴したがはざりしなり 027 DAN 009 007 主よ公義は汝に歸し羞辱は我らに歸せりその状今日のごとし即ちユダの人々ヱルサレムの居民およびイスラエルの全家の者は近き者も遠き者も皆汝の逐やりたまひし諸の國々にて羞辱を蒙れり是は彼らが汝に背きて獲たる罪によりて然るなり 027 DAN 009 008 主よ羞辱は我儕に歸し我らの王等君等および先祖等に歸す是は我儕なんぢに向ひて罪を犯したればなり 027 DAN 009 009 憐憫と赦宥は主たる我らの神の裏にあり其は我らこれに叛きたればなり 027 DAN 009 010 我らはまた我らの神ヱホバの言に遵はずヱホバがその僕なる預言者等によりて我らの前に設けたまひし律法を行はざりしなり 027 DAN 009 011 抑イスラエルの人は皆汝の律法を犯し離れさりて汝の言に遵はざりき是をもて神の僕モーセの律法に記したる呪詛と誓詞我らの上に斟ぎかかれり是は我らこれに罪を獲たればなり 027 DAN 009 012 即ち神は大なる災害を我らに蒙らせたまひてその前に我らと我らを鞫ける士師とにむかひて宣ひし言を行ひとげたまへりかのエルサレムに臨みたる事の如きは普天の下に未だ曾て有ざりしなり 027 DAN 009 013 モーセの律法に記したる如くにこの災害すべて我らに臨みしかども我らはその神ヱホバの面を和めんとも爲ずその惡を離れて汝の眞理を暁らんとも爲ざりき 027 DAN 009 014 是をもてヱホバ心にかけて災害を我らに降したまへり我らの神ヱホバは何事をなしたまふも凡て公義いますなり然るに我らはその言に遵はざりき 027 DAN 009 015 主たる我らの神よ汝は強き手をもて汝の民をエジプトの地より導き出して今日のごとく汝の名を揚たまふ我らは罪を犯し惡き事を行へり 027 DAN 009 016 主よ順くは汝が是まで公義き御行爲を爲たまひし如く汝の邑ヱルサレム汝の聖山より汝の忿怒と憤恨を取離し給へ其は我らの罪と我らの先祖の惡のためにヱルサレムと汝の民は我らの周圍の者の笑柄となりたればなり 027 DAN 009 017 然ば我らの神よ僕の祷と願を聴たまへ汝は主にいませばかの荒をる汝の聖所に汝の面を耀かせたまへ 027 DAN 009 018 我神よ耳を傾けて聴たまへ目を啓きて我らの荒蕪たる状を観汝の名をもて稱へらるる邑を観たまへ我らが汝の前に祈祷をたてまつるは自己の公義によるに非ず唯なんぢの大なる憐憫によるなり 027 DAN 009 019 主よ聴いれたまへ主よ赦したまへ主よ聴いれて行ひたまへこの事を遅くしたまふなかれわが神よ汝みづからのために之をなしたまへ其は汝の邑と汝の民は汝の名をもて稱へらるればなり 027 DAN 009 020 我かく言て祈りかつわが罪とわが民イスラエルの罪を懺悔し我神の聖山の事につきてわが神ヱホバのまへに願をたてまつりをる時 027 DAN 009 021 即ち我祈祷の言をのべをる時我が初に異象の中に見たるかの人ガブリエル迅速に飛て晩の祭物を献ぐる頃我許に達し 027 DAN 009 022 我に告げ我に語りて言けるはダニエルよ今我なんぢを教へて了解を得せしめんとて出きたれり 027 DAN 009 023 汝が祈祷を始むるに方りて我言を受たれば之を汝に示さんとて來れり汝は大に愛せらるる者なり此言を了りその現れたる事の義を暁れ 027 DAN 009 024 汝の民と汝の聖邑のために七十週を定めおかる而して惡を抑へ罪を封じ愆を贖ひ永遠の義を携へ入り異象と預言を封じ至る聖者に膏を潅がん 027 DAN 009 025 汝暁り知べしヱルサレムを建なほせといふ命令の出づるよりメッシヤたる君の起るまでに七週と六十二週ありその街と石垣とは擾乱の間に建なほされん 027 DAN 009 026 その六十二週の後にメッシャ絶れん但し是は自己のために非ざるなりまた一人の君の民きたりて邑と聖所とを毀たんその終は洪水に由れる如くなるべし戦争の終るまでに荒蕪すでに極る 027 DAN 009 027 彼一週の間衆多の者と固く契約を結ばん而して彼その週の半に犠牲と供物を廃せんまた残暴可惡者羽翼の上に立たん斯てつひにその定まれる災害残暴るる者の上に斟ぎくだらん 027 DAN 010 001 ペルシャの王クロスの三年にベルテシヤザルといふダニエル一の事の黙旨を得たるがその事は眞實にしてその戦争は大なり彼その事を暁りその示現の義を暁れり 027 DAN 010 002 常時我ダニエル三七日の間哀めり 即ち三七日の全く満るまでは旨き物を食ず肉と酒とを口にいれずまた身に膏油を抹ざりき 027 DAN 010 004 正月の二十四日に我ヒデケルといふ大河の邊に在り 027 DAN 010 005 目を挙て望観しに一箇の人ありて布の衣を衣ウバズの金の帯を腰にしめをり 027 DAN 010 006 その體は黄金色の玉のごとくその面は電光の如くその目は火の熖のごとくその手とその足の色は磨ける銅のごとくその言ふ聲は群衆の聲の如し 027 DAN 010 007 この示現は唯我ダニエル一人これを観たり我と偕なる人々はこの示現を見ざりしが何となくその身大に慄きて逃かくれたり 027 DAN 010 008 故に我ひとり遺りたるがこの大なる示現を観るにおよびて力ぬけさり顔色まつたく變りて毫も力なかりき 027 DAN 010 009 我その語ふ聲を聞けるがその語ふ聲を聞る時我は氣を喪へる状にて俯伏し面を土につけゐたりしに 027 DAN 010 010 一の手ありて我に捫りければ我戦ひながら跪づきて手をつきたるに 027 DAN 010 011 彼われに言けるは愛せらるる人ダニエルよ我が汝に告る言を暁れよ汝まづ起あがれ我は今汝の許に遣されたるなりと彼がこの言を我に告る時に我は戦ひて立り 027 DAN 010 012 彼すなはち我に言けるはダニエルよ懼るる勿れ汝が心をこめて悟らんとし汝の神の前に身をなやませるその初の日よりして汝の言はすでに聴れたれば我汝の言によりて來れり 027 DAN 010 013 然るにペルシャの國の君二十一日の間わが前に立塞がりけるが長たる君の一なるミカエル來りて我を肋けたれば我勝留りてペルシャの王等の傍にをる 027 DAN 010 014 我は末の日に汝の民に臨まんとするところの事を汝に暁らせんとて米れりまた後の日に関はる所の異象ありと 027 DAN 010 015 かれ是等の言を我に宣たる時に我は面を土につけて居り辭を措ところ無りしが 027 DAN 010 016 人の子のごとき者わが唇に捫りければ我すなはち口を開きわが前に立る者に陳て言り我主よこの示現によりて我は畏怖にたへず全く力を失へり 027 DAN 010 017 此わが主の僕いかでか此わが主と語ふことを得んとその時は我まつたく力を失ひて氣息も止らんばかりなりしが 027 DAN 010 018 人の形のごとき者ふたたび我に捫り我に力をつけて 027 DAN 010 019 言けるは愛せらるる人よ懼るる勿れ安んぜよ心強かれ心強かれと斯われに言ければ我力づきて曰り我主よ語りたまへ汝われに力をつけたまへりと 027 DAN 010 020 彼われに言けるは汝は我が何のために汝に臨めるかを知るや我今また歸りゆきてペルシャの君と戦はんとす我が出行ん後にギリシャの君きたらん 027 DAN 010 021 但し我まづ眞実の書に記されたる所を汝に示すべし我を助けて彼らに敵る者は汝らの君ミカエルのみ 027 DAN 011 001 我はまたメデア人ダリヨスの元年にかれを助け彼に力をそへたる事ありしなり 027 DAN 011 002 我いま眞実を汝に示さん視よ此後ペルシャに三人の王興らんその第四の者は富ること一切の者に勝りその富強の大なるを恃みて一切を激發してギリシヤの國を攻ん 027 DAN 011 003 また一箇の強き王おこり大なる威權を振ふて世を治めその意のままに事を爲ん 027 DAN 011 004 但し彼の正に旺盛なる時にその國は破裂して天の四方に分れん其は彼の兒孫に歸せず又かれの振ひしほどの威權あらず即ち彼の國は抜とられて是等の外なる者等に歸せん 027 DAN 011 005 南の王は強からん然どその大臣の一人これに逾て強くなり威權を振はんその威權は大だる威朧なるべし 027 DAN 011 006 年を經て後彼等相結ばん即ち南の王の女子北の王に適て和好を圖らん然どその腕には力なしまたその王およびその腕は立ことを得じこの女とこれを導ける者とこれを生せたる者とこれに力をつけたる者はみな時におよびて付されん 027 DAN 011 007 期て後この女の根より出たる芽興りて之に代り北の王の軍勢にむかひて來りこれが城に打いりて之を攻て勝を得 027 DAN 011 008 之が神々鑄像および金銀の貴き器具をエジプトに携へさらん彼は北の王の上に立て年を重ねん 027 DAN 011 009 彼南の王の國に打入ことあらん然ど自己の國に退くべし 027 DAN 011 010 その子等また憤激して許多の大軍を聚め進みきたり溢れて往來しその城まで攻寄せん 027 DAN 011 011 是において南の王大に怒り出きたりて北の王と戦ふべし彼大軍を興してこれに當らん然れどもその軍兵はこれが手に付されん 027 DAN 011 012 大軍すなはち興りて彼心に高ぶり數萬人を仆さん然れどもその勢力はこれがために増さじ 027 DAN 011 013 また北の王は退きて初よりも大なる軍兵を興し或時すなはち或年數を經て後かならず大兵を率ゐ莫大の輜重を備へて攻來らん 027 DAN 011 014 是時にあたりて衆多の者興りて南の王に敵せん又なんぢの民の中の奸惡人等みづから高ぶりて事を爲しつひに預言をして應ぜしめん即ち彼らは自ら仆るべし 027 DAN 011 015 茲に北の王襲ひきたり塁を築きて堅城を攻おとさん南の王の腕はこれに當ることを得じ又その撰抜の民もこれに當る力なかるべし 027 DAN 011 016 之に攻きたる者はその意に任せて事をなさんその前に立ことを得る者なかるべし彼は美しき地に到らんその地はこれがために荒さるべし 027 DAN 011 017 彼その全國の力を盡して打入んとその面をこれに向べけれどまたこれと和好をなして婦人の女子を之に與へん然るにその婦人の女子は之がために身を滅すに至り何事をも成あたはす毫も彼のために益する所なかるべし 027 DAN 011 018 彼またその面を島々にむけて之を多く取らん茲に一人の大将ありて彼が與へたる恥辱を雪ぎその恥辱をかれの身に與へかへさん 027 DAN 011 019 かくて彼その面を自己の國の城々に向ん而して終に躓き仆れて亡ん 027 DAN 011 020 彼に代りて興る者は榮光の國に人を出して租税を征斂しめん但し彼は忿怒にも戦門にもよらずして數日の内に滅亡せん 027 DAN 011 021 また之にかはりて起る者は賤まるる者にして國の尊榮これに歸せざらん然れども彼不意に來り巧言をもて國を獲ん 027 DAN 011 022 洪水のごとき軍勢かれのために押流されて敗れん契約の君たる者も然らん 027 DAN 011 023 彼は之に契約をむすびて後詭詐を行ひ上りきたりて僅少の民をもて勢を得ん 027 DAN 011 024 彼すなはち不意にきたりてその國の膏腴なる處に攻いりその父もその父の父も爲ざりしところの事を行はん彼はその奪ひたる物掠めたる物および財寳を衆人の中に散すべし彼は謀略をめぐらして堅固なる城々を攻取べし時の至るまで斯のごとくならん 027 DAN 011 025 彼はその勢力を奮ひ心を勵まし大軍を率ゐて南の王に攻よせん南の王もまた自ら奮ひ甚だ大なる強き軍勢をもて迎へ戦はん然ど謀略をめぐらして攻るが故にこれに當ることを得ざるべし 027 DAN 011 026 すなはち彼の珍膳に與り食ふ者彼を倒さんその軍兵溢れん打死する者衆かるべし 027 DAN 011 027 此二人の王は害をなさんと心にはかり同席に共に食して詭詐を言ん然どもその志ならざるべし定まれる時のいたる迄は其事終らじ 027 DAN 011 028 彼は莫大の財寳をもちて自己の國に歸らん彼は聖約に敵する心を懐きて事をなし而してその國にかへらん 027 DAN 011 029 定まれる時にいたりて彼また進みて南に到らん然ど後の模様は先の模様のごとくならざらん 027 DAN 011 030 即ちキツテムの船かれに到るべければ彼力をおとして還り聖約にむかひて忿怒をもらして事をなさん而して彼歸りゆき聖約を棄る者と相謀らん 027 DAN 011 031 彼より腕おこりて聖所すなはち堅城を汚し常供の物を撤除かせかつ残暴可惡者を立ん 027 DAN 011 032 彼はまた契約に関て罪を獲る者等を巧言をもて引誘して背かせん然どその神を知る人々は力ありて事をなさん 027 DAN 011 033 民の中の頴悟者ども衆多の人を教ふるあらん然ながら彼らは暫時の間刃にかかり火にやかれ擄はれ掠められ等して仆れん 027 DAN 011 034 その仆るる時にあたりて彼らは少しく扶助を獲ん又衆多の人詐りて彼らに合せん 027 DAN 011 035 また穎悟者等の中にも仆るる者あらん斯のごとく彼らの中に試むる事浄むる事潔よくする事おこなはれて終の時にいたらん即ち定まれる時まで然るべし 027 DAN 011 036 此王その意のままに事をおこなひ萬の神に逾て自己を高くし自己を大にし神々の神たる者にむかひて大言を吐き等して忿怒の息む時までその志を得ん其はその定まれるところの事成ざるべからざればなり 027 DAN 011 037 彼はその先祖の神々を顧みず婦女の愉快を思はずまた何の神をも顧みざらん其は彼一切に逾て自己を大にすればなり 027 DAN 011 038 彼は之の代に軍神を崇め金銀珠玉および寳物をもてその先祖等の識ざりし神を崇めん 027 DAN 011 039 彼はこの異邦の神に由り要害の城々にむかひて事を爲ん凡て彼を尊ぶ者には彼加ふるに榮を以てし之をして衆多の人を治めしめ土地をこれに分ち與へて賞賜とせん 027 DAN 011 040 終の時にいたりて南の王彼と戦はん北の王は車と馬と衆多の船をもて大風のごとく之に攻寄せ國に打いりて潮のごとく溢れ渉らん 027 DAN 011 042 彼はまた美しき國に進み入ん彼のために亡ぶる者多かるべし然どエドム、モアブ、 027 DAN 011 043 アンモン人の中の第一なる者などは彼の手を免かれん 027 DAN 011 044 彼國々にその手を伸さんエジプトの地も免かれがたし 027 DAN 011 045 彼は遂にエジプトの金銀財寳を手に入れんリブア人とエテオピア人は彼の後に從はん 彼東と北より報知を得て周章ふためき許多の人を滅し絶んと大に忿りて出ゆかん 彼は海の間において美しき聖山に天幕の宮殿をしつらはん然ど彼つひにその終にいたらん之を助くる者なかるべし 027 DAN 012 001 その時汝の民の人々のために立ところの大なる君ミカエル起あがらん是艱難の時なり國ありてより以來その時にいたるまで期る艱難ありし事なかるべしその時汝の民は救はれん即ち書にしるされたる者はみな救はれん 027 DAN 012 002 また地の下に睡りをる者の中衆多の者目を醒さんその中永生を得る者ありまた恥辱を蒙りて限なく羞る者あるべし 027 DAN 012 003 穎悟者は空の光輝のごとくに耀かんまた衆多の人を義に導ける者は星のごとくなりて永遠にいたらん 027 DAN 012 004 ダニエルよ終末の時まで此言を秘し此書を封じおけ衆多の者跋渉らん而して知識増べしと 027 DAN 012 005 茲に我ダニエル観に別にまた二箇の者ありて一箇は河の此旁の岸にあり一箇は河の彼旁の岸にありけるが 027 DAN 012 006 その一箇の者かの布の衣を衣て河の水の上に立る人にむかひて言り此奇跡は何の時にいたりて終るべきやと 027 DAN 012 007 我聞にかの布の衣を衣て河の水の上に立る人天にむかひてその右の手と左の手を挙げ永久に生る者を指て誓ひて言りその間は一時と二時と半時なり聖民の手の碎くること終らん時に是等の事みな終るべしと 027 DAN 012 008 我聞たれども暁ることを得ざりき我また言りわが主よ是等の事の終は何ぞやと 027 DAN 012 009 彼いひけるはダニエルよ往け此言は終極の時まで秘しかつ封じ置るべし 027 DAN 012 010 衆多の者浄められ潔よくせられ試みられん然ど惡き者は惡き事を行はん惡き者は人も暁ること無るべし然ど頴悟者は暁るべし 027 DAN 012 011 常供の者を除き残暴可惡者を立ん時よりして一千二百九十日あらん 027 DAN 012 012 待をりて一千三百三十五日に至る者は幸福なり 027 DAN 012 013 汝終りに進み行け汝は安息に入り日の終りに至り起て汝の分を享ん # # BOOK 028 HOS Hosea ホセア書 028 HOS 001 001 これユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世にベエリの子ホセアに臨めるヱホバの言なり 028 HOS 001 002 ヱホバはじめホセアによりて語りたまへる時ヱホバ、ホセアに宣はく汝ゆきて淫行の婦人を娶り淫行の子等を取れ この國ヱホバに遠ざかりてはなはだしき淫行をなせばなり 028 HOS 001 003 是において彼ゆきてデブライムの女子ゴメルを妻に娶りけるがその婦はらみて男子を産り 028 HOS 001 004 ヱホバまた彼にいひ給ひけるは汝その名をヱズレルと名くべし 暫時ありて我ヱズレルの血をヱヒウの家に報いイスラエルの家の國をほろぼすべければなり 028 HOS 001 005 その目われヱズレルの谷にてイスラエルの弓を折べしと 028 HOS 001 006 ゴメルまた孕みて女子を産ければヱホバ、ホセアに言たまひけるは汝その名をロルマハ(憐まれぬ者)と名くべしそは我もはやイスラエルの家をあはれみて赦すが如きことを爲ざるべければなり 028 HOS 001 007 然どわれユダの家をあはれまん その神ヱホバによりて之をすくはん 我は弓劍戦争馬騎兵などによりてすくふことをせじ 028 HOS 001 008 ロルハマ乳をやめゴメルまた孕みて男子を産けるに 028 HOS 001 009 ヱホバ言たまひけるはその子の名をロアンミ(吾民に非ざる者)と名くべし 其は汝らは吾民にあらず我は汝らの神に非ざればなり 028 HOS 001 010 然どイスラエルの子孫の數は濱の沙石のごとくに成ゆきて量ることも數ふる事も爲しがたく前になんぢらわが民にあらずと言れしその處にて汝らは活神の子なりと言れんとす 028 HOS 001 011 斯てユダの子孫とイスラエルの子孫は共に集り一人の首をたててその地より上り來らん ヱズレルの日は大なるべし 028 HOS 002 001 汝らの兄弟に向ひてはアンミ(わが民)と言ひ汝らの姉財にむかひてはルハマ(憐まるる者)と言へ 028 HOS 002 002 なんぢらの母とあげつらへ論辨ふことをせよ彼はわが妻にあらず我はかれの夫にあらざるなりなんぢら斯してかれにその面より淫行を除かせその乳房の間より姦淫をのぞかしめよ 028 HOS 002 003 然らざれば我かれを剥て赤體にしその生れいでたる日のごとくにしまた荒野のごとくならしめ潤ひなき地のごとくならしめ渇によりて死しめん 028 HOS 002 004 我その子等を憐まじ淫行の子等なればなり 028 HOS 002 005 かれらの母は淫行をなせりかれらを生る者は恥べき事をおこなへり蓋かれいへる言あり我はわが戀人等につきしたがはん彼らはわがパンわが水わが羊毛わが麻わが油わが飮物などを我に與ふるなりと 028 HOS 002 006 この故にわれ荊棘をもてなんぢの路をふさぎ垣をたてて彼にその徑をえざらしむべし 028 HOS 002 007 彼はその戀人たちの後をしたひゆけども追及ことなく之をたづぬれども遇ことなし是において彼いはん我ゆきてわが前の夫にかへるべしかのときのわが状態は今にまさりて善りきと 028 HOS 002 008 彼が得る穀物と酒と油はわが與ふるところ彼がバアルのために用ゐたる金銀はわが彼に増あたへたるところなるを彼はしらざるなり 028 HOS 002 009 これによりて我わが穀物をその時におよびて奪ひわが酒をその季にいたりてうばひ又かれの裸體をおほふに用ゆべきわが羊毛およびわが麻をとらん 028 HOS 002 010 今われかれの恥るところをその戀人等の目のまへに露すべし彼をわが手より救ふものあらじ 028 HOS 002 011 我かれがすべての喜樂すなはち祝筵新月のいはひ安息日およびこの節會をして息しめん 028 HOS 002 012 また彼の葡萄の樹と無花果樹をそこなはん彼さきに此等をさしてわが戀人の我にあたへし賞賜なりと言しがわれこれを林となし野の厭をしてくらはしめん 028 HOS 002 013 われかれが耳環頚玉などを掛てその戀人らをしたひゆき我をわすれ香をたきて事へしもろもろのバアルの日のゆゑをもてその罪を罰せんヱホバかく言たまふ 028 HOS 002 014 斯るがゆゑに我かれを誘ひて荒野にみちびきいり終にかれの心をなぐさめ 028 HOS 002 015 かしこを出るや直ちにわれかれにその葡萄園を與へアコル(艱難)の谷を望の門となしてあたへん彼はわかかりし時のごとくエジプトの國より上りきたりし時のごとくかしこにて歌うたはん 028 HOS 002 016 ヱホバ言たまふその日にはなんぢ我をふたたびバアリとよばずしてイシ(吾夫)とよばん 028 HOS 002 017 我もろもろのバアルの名をかれが口よりとりのぞき重ねてその名を世に記憶せらるること無らしめん 028 HOS 002 018 その日には我かれら(我民)のために野の獣そらの鳥および地の昆蟲と誓約をむすびまた弓箭ををり戦争を全世界よりのぞき彼らをして安らかに居しむべし 028 HOS 002 019 われ汝をめとりて永遠にいたらん公義と公平と寵愛と憐憫とをもてなんぢを娶り 028 HOS 002 020 かはることなき眞実をもて汝をめとるべし汝ヱホバをしらん 028 HOS 002 021 ヱホバいひ給ふその日われ應へん我は天にこたへ天は地にこたへ 028 HOS 002 022 地は穀物と洒と油とに應へまた是等のものはヱズレルに應へん 028 HOS 002 023 我わがためにかれを地にまき憐まれざりし者をあはれみわが民ならざりし者にむかて汝はわが民なりといはんかれらは我にむかひて汝はわが神なりといはん 028 HOS 003 001 ヱホバわれに言給ひけるは汝ふたたび往てヱホバに愛せらるれども轉りてほかのもろもろの神にむかひ葡萄の菓子を愛するイスラエルの子孫のごとく そのつれそふものに愛せらるれども姦淫をおこなふ婦人をあいせよ 028 HOS 003 002 われ銀十五枚おほむぎ一ホメル半をもてわが爲にその婦人をえたり 028 HOS 003 003 我これにいひけるは汝おほくの日わがためにとどまりて淫行をなすことなく他の人にゆくことなかれ 我もまた汝にむかひて然せん 028 HOS 003 004 イスラエルの子輩は多くの日王なく君なく犠牲なく表柱なくエボデなくテラビムなくして居らん 028 HOS 003 005 その後イスラエルの子輩はかへりてその神ヱホバとその王ダビデをたづねもとめ末日にをののきてヱホバとその恩恵とにむかひてゆかん 028 HOS 004 001 イスラエルの子輩よヱホバの言を聴けヱホバこの地に住る者と争辨たまふ其は此地には誠實なく愛情なく神を知る事なければなり 028 HOS 004 002 ただ詛偽凶殺盗姦淫のみにして互に相襲ひ血血につづき流る 028 HOS 004 003 このゆゑにその地うれひにしづみ之にすむものはみな野のけもの空のとりとともにおとろへ海の魚もまた絶はてん 028 HOS 004 004 されど何人もあらそふべからずいましむ可らず汝の民は祭司と争ふ者の如くなれり 028 HOS 004 005 汝は昼つまづき汝と偕なる預言者は夜つまづかん我なんぢの母を亡すべし 028 HOS 004 006 わが民は知識なきによりて亡さるなんぢ知識を棄つるによりて我もまた汝を棄ててわが祭司たらしめじ汝おのが神の作法を忘るるによりて我もなんぢの子等を忘れん 028 HOS 004 007 彼らは大なるにしたがひてますます我に罪を犯せば我かれらの榮を辱に変ん 028 HOS 004 008 彼らはわが民の罪をくらひ心をかたむけてその罪ををかすを願へり 028 HOS 004 009 このゆゑに民の遇ところは祭司もまた同じわれその途をかれらにきたらせその行爲をもて之にむくゆべし 028 HOS 004 010 かれらは食へども飽ず淫行をなせどもその數まさずその心をヱホバにとむることを止ればなり 028 HOS 004 011 淫行と酒と新しき洒はその人の心をうばふ 028 HOS 004 012 わが民木にむかひて事をとふその杖かれらに事をしめす是かれら淫行の霊にまよはされその神の下を離れて淫行を爲すなり 028 HOS 004 013 彼らは山々の巓にて犠牲を献げ岡の上にて香を焚き橡樹 楊樹 栗樹の下にてこの事をおこなふ此はその樹蔭の美しきによりてなりここをもてなんぢらの女子は淫行をなしなんぢらの兒婦は姦淫をおこなふ 028 HOS 004 014 我なんぢらのむすめ淫行をなせども罰せずなんぢらの兒婦かんいんをおこなへども刑せじ其はなんぢらもみづから離れゆきて妓女とともに居り淫婦とともに献物をそなふればなり悟らざる民はほろぶべし 028 HOS 004 015 イスラエルよ汝淫行をなすともユダに罪を犯さする勿れギルガルに往なかれベテアベンに上るなかれヱホバは活くと曰て誓ふなかれ 028 HOS 004 016 イスラエルは頑強なる牛のごとくに頑強なり今ヱホバ恙羊をひろき野にはなてるが如くして之を牧はん 028 HOS 004 017 エフライムは偶像にむすびつらなれりその爲にまかせよ 028 HOS 004 018 かれらの酒はくされかれらの淫行はやまずかれらの楯となるべき者等は恥を愛しいたく之を愛せり 028 HOS 004 019 かれは風の翼につつまれかれらはその礼物によりて恥辱をかうむらん 028 HOS 005 001 祭司等よこれを聴けイスラエルの家よ耳をかたむけよ 王のいへよ之にこころを注よ さばきは汝等にのぞまん そは我らはミズパに設くる羂タボルに張れる網のごとくなればなり 028 HOS 005 002 悖逆者はふかく罪にしづみたり我かれらをことごとく懲しめん 028 HOS 005 003 我はエフライムを知る イスラエルはわれに隠るるところ無し エフライムよなんぢ今すでに淫行をなせりイスラエルはすでに汚れたり 028 HOS 005 004 かれらの行爲かれらをしてその神に歸ること能はざらしむ そは淫行の霊その衷にありてヱホバを知ることなければなり 028 HOS 005 005 イスラエルの驕傲はその面にむかひて證をなしその罪によりてイスラエルとエフライムは仆れユダもまた之とともにたふれん 028 HOS 005 006 かれらは羊のむれ牛の群をたづさへ往てヱホバを尋ね求めん然どあふことあらじヱホバ既にかれらより離れ給ひたればなり 028 HOS 005 007 かれらヱホバにむかひ貞操を守らずして他人の子を産り新月かれらとその産業とをともに滅さん 028 HOS 005 008 なんぢらギベアにて角をふきラマにてラッパを吹ならしベテアベンにて呼はりて言へベニヤミンよなんぢの後にありと 028 HOS 005 009 罰せらるるの日にエフライムは荒廃れん我イスラエルの支派の中にかならず有るべきことを示せり 028 HOS 005 010 ユダの牧伯等は境界をうつすもののごとくなれり我わが震怒を水のごとくに彼らのうへに斟がん 028 HOS 005 011 エフライムは甘んじて人のさだめたるところに從ひあゆむがゆゑに鞫をうけて虐げられ圧られん 028 HOS 005 012 われエフライムには蠧のごとくユダの家には腐朽のごとし 028 HOS 005 013 エフライムおのれに病あるを見ユダおのれに傷あるをみたり斯てエフライムはアツスリヤに往きヤレブ王に人をつかはしたれど彼はなんぢらを醫すことをえず又なんぢらの傷をのぞきさることを得ざるべし 028 HOS 005 014 われエフライムには獅子のごとくユダの家にはわかき獅子のごとし我しも我は抓劈てさり掠めゆけども救ふ者なかるべし 028 HOS 005 015 我ふたたびわが處にかへりゆき彼らがその罪をくいてひたずらわが面をたづね求むるまで其處にをらん彼らは艱難によりて我をたづねもとむることをせん 028 HOS 006 001 來れわれらヱホバにかへるべし ヱホバわれらを抓劈たまひたれどもまた醫すことをなし我儕をうち給ひたれどもまたその傷をつつむことを爲したまふ可ればなり 028 HOS 006 002 ヱホバは二日ののちわれらむ活かへし三日にわれらを起せたまはん 我らその前にて生ん 028 HOS 006 003 この故にわれらヱホバをしるべし切にヱホバを知ことを求むべしヱホバは晨光のごとく必ずあらはれいで雨のごとくわれらにのぞみ後の雨のごとく地をうるほし給ふ 028 HOS 006 004 エフライムよ我なんぢに何をなさんやユダよ我なんぢに何をなさんやなんぢの愛情はあしたの雲のごとくまたただちにきゆる露のごとし 028 HOS 006 005 このゆゑにわれ預言者等をもてかれらを撃ちわが口の言をもてかれらえを殺せりわが審判はあらはれいづる光明のごとし 028 HOS 006 006 われは愛憎をよろこびて犠牲をよろこばず神をしるを悦ぶこと燔祭にまされり 028 HOS 006 007 然るに彼らはアダムのごとく誓をやぶりかしこにて不義をわれにおこなへり 028 HOS 006 008 ギレアデは惡をおこなふものの邑にして血の足跡そのなかに徧し 028 HOS 006 009 祭司のともがらは山賊の群のごとく伏伺して人をそこなひシケムに往く大路にて人をころす彼等はかくのごとき惡きことをおこなへり 028 HOS 006 010 われイスラエルのいへに憎むべきことあるを見たりかの處にてエフライムは淫をおこなふイスフルは汚れたり 028 HOS 006 011 ユダよ我わが民の俘囚をかへさんときまた汝のためにも穫刈をそなへん 028 HOS 007 001 われイスラエルを醫さんときエフライムの愆とサマリヤのあしきわざと露るかれらは詐詭をおこなひ内には偸盗いるあり外には山賊のむれ掠めさるあり かれら心にわがその一切の惡をしたためたることを思はず今その行爲はかれらを囲みふさぎて皆わが目前にあり 028 HOS 007 003 かれらはその惡をもて王を悦ばせその詐詭をもてもろもろの牧伯を悦ばせり 028 HOS 007 004 かれらはみな姦淫をおこなふ者にしてパンを作るものに焼るる爐のごとし揑粉をこねてその発酵ときまでしばらく火をおこすことをせざるのみなり 028 HOS 007 005 われらの王の目にもろもろの牧伯は洒の熱によりて疾し王は嘲るものとともに手を伸ぶ 028 HOS 007 006 かれら伏伺するほどに心を爐のごとくして備をなすそのパンを焼くものは終夜ねむりにつき朝におよべばまた焔のごとく燃ゆ 028 HOS 007 007 かれらはみな爐のごとくに熱してその審士をやくそのもろもろの王はみな仆るかれらの中には我をよぶもの一人だになし 028 HOS 007 008 エフライムは異邦人にいりまじるエフライムはかへさざる餹餅となれり 028 HOS 007 009 かれは他邦人らにその力をのまるれども之をしらず白髪その身に雑り生れどもこれをさとらず 028 HOS 007 010 イスラエルの驕傲はその面にむかひて證をなすかれらは此もろもろの事あれどもその神ヱホバに歸ることをせず又もとむることをせざるなり 028 HOS 007 011 エフライムは智慧なくして愚なる鴿のごとし彼等はエジプトにむかひて呼求めまたアツスリヤに往く 028 HOS 007 012 我かれらの往ときわが網をその上にはりて天空の鳥のごとくに引堕し前にその公会に告しごとくかれらを懲しめん 028 HOS 007 013 禍なるかなかれらは我をはなれて迷ひいでたり敗壊かれらにきたらんかれらは我にむかひて罪ををかしたり我かれらを贖はんとおもへどもかれら我にさからひて謊言をいへり 028 HOS 007 014 かれら誠心をもて我をよばず唯牀にありて哀號べりかれらは穀物とあたらしき酒のゆゑをもて相集りかつわれに逆らふ 028 HOS 007 015 我かれらを教へその腕をつよくせしかども披らはわれにもとりて惡きことを謀る 028 HOS 007 016 かれらは歸るされども至高者にかへらず彼らはたのみがたき弓のごとし彼らのもろもろの牧伯はその舌のあらき言によりて劍にたふれん彼らは之がためにエジプトの國にて嘲笑をうくべし 028 HOS 008 001 ラッパをなんぢの口にあてよ敵は鷲のごとくヱホバの家にのぞめりこの民わが契約をやぶりわが律法を犯ししによる 028 HOS 008 002 かれら我にむかひてわが神よわれらイスラエルはなんぢを知れりと叫ばん 028 HOS 008 003 イスラエルは善をいみきらへり敵これを追ん 028 HOS 008 004 かれら王をたてたり然れども我により立しにあらずかれら牧伯をたてたり然れども我がしらざるところなり彼らまたその金銀をもて己がために偶像をつくれりその造れるは毀ちすてられんが爲にせしにことならず 028 HOS 008 005 サマリヤよなんぢの犢は忌きらふべきものなりわが怒かれらにむかひて燃ゆかれら何れの時にか罪なきにいたらん 028 HOS 008 006 この犢はイスラエルより出づ匠人のつくれる者にして神にあらずサマリヤの犢はくだけて粉とならん 028 HOS 008 007 かれらは風をまきて狂風をかりとらん種ところは生長る穀物なくその穂はみのらざるべしたとひ實るとも他邦人これを呑ん 028 HOS 008 008 イスラエルは既に呑れたり彼等いま列國の中において悦ばれざる器のごとく視做るるなり 028 HOS 008 009 彼らは獨ゐし野の驢馬のごとくアツスリヤにゆけりエフライムは物を餽りて戀人を得たり 028 HOS 008 010 かれら列國の民に物を餽りたりと雖も今われ彼等をつどへ集む彼らは諸侯伯の王に負せらるる重擔のために衰へ始めん 028 HOS 008 011 エフライムは多くの祭壇を造りて罪を犯すこの祭壇はかれらが罪に陥る階とはなれり 028 HOS 008 012 我かれらのために律法をしるして數件の箇條を示したれど彼らは反て之を異物とおもへり 028 HOS 008 013 かれらは我に献ふべき物を献ふれども只肉をそなへて己みづから之を食ふヱホバは之を納たまはず今かれらの愆を記え彼らの罪を罰したまはん彼らはエジプトに歸るべし 028 HOS 008 014 イスラエルは己が造主を忘れてもろもろの社廟を建てユダは塀をとりまはせる邑を多く増し加へたり然どわれ火をその邑々におくりて諸の城を焼亡さん 028 HOS 009 001 イスラエルよ異邦人のごとく喜びすさむ勿れなんぢ淫行をなして汝の神を離る汝すべての麥の打塲にて賜はる淫行の賞賜を愛せり 028 HOS 009 002 打場と酒榨とはかれらを養はじ亦あたらしき酒もむなしくならん 028 HOS 009 003 かれらはヱホバの地にとどまらずエフライムはエジプトに歸りアツスリヤにて汚穢たる物を食はん 028 HOS 009 004 彼等はヱホバにむかひて酒を灌ぐべき者にあらずその祭物はヱホバの悦びたまふ所にあらずかれらの犠牲は喪に居もののパンのごとし凡てこれを食ふものは汚るべし彼等のパンは只おのが食ふためにのみ用ゐべくしてヱホバの家に入るべきにあらず 028 HOS 009 005 なんぢら集會の日とヱホバの節會の日に何をなさんとするや 028 HOS 009 006 視よかれら滅亡の故によりて去ゆきぬエジプトかれらをあつめメンピスかれらを葬らん蒺藜かれらが銀の寳物を獲いばら彼らの天幕に蔓らん 028 HOS 009 007 刑罰の日きたり應報の日きたれりイスラエルこれを知ん預言者は愚なるもの霊に感じたるものは狂へるものなりこれ汝の惡おほく汝の怨恨おほいなるに因る 028 HOS 009 008 エフライムは我が神にならべて他の神をも佇望めり預言者の一切の途は鳥を捕ふる者の網のごとく且その神の室の中にて怨恨を懐けり 028 HOS 009 009 かれらはギベアの日のごとく甚だしく惡き事を行へりヱホバはその惡をこころに記てその罪を罰したまはん 028 HOS 009 010 在昔われイスラエルを見ること荒野の葡萄のごとく汝らの先組等を看ること無花果樹の始にむすべる最先の果の如くなししに彼等はバアルペオルにゆきて身を恥辱にゆたねその愛する物とともに憎むべき者とはなれり 028 HOS 009 011 エフライムの榮光は鳥のごとく飛さらん即ち産ことも孕むことも妊娠こともなかるべし 028 HOS 009 012 仮令かれら子等を育つるとも我その子を喪ひて遺る人なきにいたらしめん我が離るる時かれらの禍大なる哉 028 HOS 009 013 われエフライムを美地に植てツロのごとくなししかどもエフライムはその子等を携へいだして人を殺すに付さんとす 028 HOS 009 014 ヱホバよ彼らに與ヘたまへ汝なにを與ヘんとしたまふや孕まざる胎と乳なき乳房とを與へたまへ 028 HOS 009 015 かれらが凡のはギルガルにあり此故に我かしこにて之を惡めりその行爲あしければ我が家より逐いたし重て愛することをせじその牧伯等はみな悼れる者なり 028 HOS 009 016 エフライムは撃れその根はかれて果を結ぶまじ若し産ことあらば我その胎なる愛しむ實を殺さん 028 HOS 009 017 かれら聴從はざるによりて我が神これを棄たまふべしかれらは列國民のうちに流離人とならん 028 HOS 010 001 イスラエルは果をむすびて茂り榮る葡萄の樹その果の多くなるがままに祭壇をましその地の饒かなるがままに偶像を美しくせり 028 HOS 010 002 かれらは二心をいだけり今かれら罪せらるべし神はその祭壇を打毀ちその偶像を折棄てたまはん 028 HOS 010 003 かれら今いふべし我儕神を畏れざりしに因て我らに王なしこの王はわれらのために何をかなさんと 028 HOS 010 004 かれらは虚しき言をいだし偽の誓をなして約をたつ審判は畑の畝にもえいづる茵蔯のごとし 028 HOS 010 005 サマリヤの居民はベテアベンの犢の故によりて戦慄かんその民とこれを悦ぶ祭司等はその榮のうせたるが爲になげかん 028 HOS 010 006 犢はアツスリヤに携へられ礼物としてヤレブ王に献げらるべしエフライムは羞をかうむりイスラエルはおのが計議を恥ぢん 028 HOS 010 007 サマリヤはぼろびその王は水のうへの木片のごとし 028 HOS 010 008 イスラエルの罪なるアベンの崇邱は荒はてて荊棘と蒺藜その壇のうへにはえ茂らんその時かれら山にむかひて我儕をおほへ陵にむかひて我儕のうへに倒れよといはん 028 HOS 010 009 イスラエルよ汝はギベアの日より罪ををかせり彼等はそこに立り邪惡のひとびとを攻たりし戦争はギベアにてかれらに及ばざりき 028 HOS 010 010 我思ふままに彼等をいましめん彼等その二の罪につながれん時もろもろの民あつまりて之をせめん 028 HOS 010 011 エフライムは馴されたる牝牛のごとくにして穀をふむことを好むされどわれその美しき頸に物を負しむべし我エフライムに軛をかけんユダは耕しヤコブは土塊をくだかん 028 HOS 010 012 なんぢら義を生ずるために種をまき憐憫にしたがひてかりとり又新地をひらけ今はヱホバを求むべき時なり終にはヱホバきたりて義を雨のごとく汝等のうへに降せたまはん 028 HOS 010 013 なんぢらは惡をたがへし不義を穫をさめ虚偽の果をくらへりこは汝おのれの途をたのみ己が勇士の數衆きをたのめるに縁る 028 HOS 010 014 この故になんぢらの民のなかに騒乱おこりて汝らの城はことごとく打破られんシャルマンが戦門の日にベテアルベルを打破りしにことならず母その子とともに砕かれたり 028 HOS 010 015 なんぢらの大なる惡のゆゑによりてべテル如此なんぢらに行へるなりイスラエルの王はあしたに滅びん 028 HOS 011 001 イスラエルの幼かりしとき我これを愛しぬ我わが子をエジプトより呼いだしたり 028 HOS 011 002 かれらは呼るるに隨ひていよいよその呼者に遠ざかり且もろもろのバアルに犠牲をささげ雕たる偶像に香を焚り 028 HOS 011 003 われエフライムに歩むことををしへ彼等をわが腕にのせて抱けり然どかれらは我にいやされたるを知ず 028 HOS 011 004 われ人にもちゐる索すなはち愛のつなをもて彼等をひけり我がかれらを待ふは軛をその腮より挙のくるもののごとくにして彼等に食物をあたへたり 028 HOS 011 005 かれらはエジプトの地にかへらじ然どかれらがヱホバに歸らざるによりてアツスリヤ人その王とならん 028 HOS 011 006 劍かれらの諸邑にまはりゆきてその関門をこぼち彼らをその謀計の故によりて滅さん 028 HOS 011 007 わが民はともすれば我にはなれんとする心あり人これを招きて上に在るものに属しめんとすれども身をおこすもの一人だになし 028 HOS 011 008 エフライムよ我いかで汝をすてんやイスラエルよ我いかで汝をわたさんや我いかで汝をアデマのごとくせんや争でなんぢをゼボイムのごとく爲んやわが心わが衷にかはりて我の愛憐ことごとく燃おこれり 028 HOS 011 009 我わが烈しき震怒をほどこすことをせじ我かさねてエフライムを滅すことをせじ我は人にあらず神なればなり我は汝のうちにいます聖者なりいかりをもて臨まじ 028 HOS 011 010 かれらは獅子の吼るごとくに聲を出したまふヱホバに隨ひて歩まんヱホバ聲を出したまへば子等は西より急ぎ來らん 028 HOS 011 011 かれらエジプトより鳥のごとくアツスリヤより鴿のごとくに急ぎ來らん我かれらをその家々に住はしむべし是エホバの聖言なり 028 HOS 011 012 エフライムは謊言をもてイスラエルの家は詐偽をもて我を囲めりユダは神と信ある聖者とに属きみつかずみ漂蕩をれり 028 HOS 012 001 エフライムは風をくらひ東風をおひ日々に詐偽と暴逆とを増くはへアツスリヤと契約を結び油をエジプトに餽れり 028 HOS 012 002 ヱホバはユダと争辨をなしたまふヤコブをその途にしたがひて罰しその行爲にしたがひて報いたまふ 028 HOS 012 003 ヤコブは胎にゐし時その兄弟の踵をとらへまた己が力をもて神と角力あらそへり 028 HOS 012 004 かれは天の使と角力あらそひて勝ちなきて之に恩をもとめたり彼はベテルにて神にあへり其處にて神われらに語ひたまへり 028 HOS 012 005 これは萬軍の神ヱホバなりヱホバは其記念の名なり 028 HOS 012 006 然ばなんぢの神にかへり衿恤と公義とをまもり恒になんぢの神を仰ぐべし 028 HOS 012 007 彼はカナン人(商賈)なりその手に脆詐の權衡をもち好であざむき取ことをなす 028 HOS 012 008 エフライムはいふ誠にわれは富る者となれり我は身に財寳をえたり凡てわが労したることの中に罪をうべき不義を見いだす者なかるべし 028 HOS 012 009 我ヱホバはエジプトの國をいでしより以來なんぢらの神なり我いまも尚なんぢを幕屋にすまはせて節会の日のごとくならしめん 028 HOS 012 010 我もろもろの預言者にかたり又これに益々おほく異象をしめしたり我もろもろの預言者に托して譬喩をまうく 028 HOS 012 011 ギレアデは不義なる者ならずや彼らは全く虚しかれらはギルガルにて牛を犠牲に献ぐかれらの祭壇は圃の畝につみたる石の如し 028 HOS 012 012 ヤコブはアラムの野ににげゆけりイスラエルは妻を得んために人に事へ妻を得んために羊を牧へり 028 HOS 012 013 ヱホバ一人の預言者をもてイスラエルをエジプトより導きいだし一人の預言者をもて之を護りたまへり 028 HOS 012 014 エフライムは怒を激ふること極てはなはだしその主かれが流しし血をかれが上にとどめその恥辱をかれに歸らせたまはん 028 HOS 013 001 エフライム言を出せば人をののけり彼はイスラエルのなかに己をたかうしバアルにより罪を犯して死たりしが 028 HOS 013 002 今も尚ますます罪を犯しその銀をもて己のために像を鋳その機巧にしたがひて偶像を作る是みな工人の作なるなり彼らは之につきていふ犠牲を献ぐる者はこの犢に吻を接べしと 028 HOS 013 003 是によりて彼らは朝の雲のごとく速にきえうする露のごとく打場より大風に吹散さるる穀殻のごとく窓より出ゆく煙のごとくならん 028 HOS 013 004 されど我はエジプトの國をいでてより來なんぢの神ヱホバなり爾われの外に神を知ことなし我のほかに救者なし 028 HOS 013 005 我さきに荒野にて水なき地にて爾を顧みたり 028 HOS 013 006 かれらは秣場によりて食に飽き飽くによりてその心たかぶり是によりて我を忘れたり 028 HOS 013 007 斯るがゆゑに我かれらに對ひて獅子の如くなり途の傍にひそみうかがふ豹のごとくならん 028 HOS 013 008 われ子をうしなへる熊のごとく彼らに向ひてその心膜を裂き獅子の如くこれを食はん野の獣これを攫断るべし 028 HOS 013 009 イスラエルよ汝の滅ぶるは我に背き汝を助くる者に背くが故なり 028 HOS 013 010 汝のもろもろの邑に汝を助くべき汝の王は今いづくにかあるなんぢらがその王と牧伯等とを我に與へよと言たりし士師等は今いづくにかある 028 HOS 013 011 われ忿怒をもて汝に王を與へ憤恨をもて之をうばひたり 028 HOS 013 012 エフライムの不義は包まれてありその罪はをさめたくはへられたり 028 HOS 013 013 劬労にかかれる婦のかなしみ之に臨まん彼は愚なる子なり時に臨みてもなほ産門に入らず 028 HOS 013 014 我かれらを陰府の手より贖はん我かれらを死より贖はん死よなんぢの疫は何處にあるか陰府よなんぢの災は何處にあるか悔改はかくれて我が目にみえず 028 HOS 013 015 彼は兄弟のなかにて果を結ぶこと多けれども東風吹きたりヱホバの息荒野より吹おこらん之がためにその泉は乾その源は涸れんその積蓄へたるもろもろの賓貴器皿は掠め奪はるべし 028 HOS 013 016 サマリヤはその神にそむきたれば刑せられ劍に斃れんその嬰兒はなげくだかれその孕たる婦は剖れん 028 HOS 014 001 イスラエルよ汝の神ヱホバに歸れよ汝は不義のために仆れたり 028 HOS 014 002 汝ら言詞をたづさへ來りヱホバに歸りていへ諸の不義は赦して善ところを受納れたまへ斯て我らは唇をもて牛のごとくに汝に献げん 028 HOS 014 003 アツスリヤはわれらを授けじ我らは馬に騎らじまたふたたび我儕みづからの手にて作れる者にむかひわが神なりと言じ孤児は爾によりて憐憫を得べければなりと 028 HOS 014 004 我かれらの反逆を醫し悦びて之を愛せん我が怒はかれを離れ去たり 028 HOS 014 005 我イスラエルに対しては露のごとくならん彼は百合花のごとく花さきレバノンのごとく根をはらん 028 HOS 014 006 その枝は茂りひろがり其美麗は橄欖の樹のごとくその芬芳はレバノンのごとくならん 028 HOS 014 007 その蔭に往む者かへり來らんかれらは穀物の如く活かへり葡萄樹のごとく花さきその馨香はレバノンの酒のごとくなるべし 028 HOS 014 008 エフライムはいふ我また偶像と何のあづかる所あらんやと我これに應へたり我かれを顧みん我は蒼翠の松のごとし汝われより果を得ん 028 HOS 014 009 誰か智慧ある者ぞその人はこの事を暁らん誰か頴悟ある者ぞその人は之を知んヱホバの道は凡て直し義者は之をむ然ど罪人は之に躓かん # # BOOK 029 JOE Joel ヨエル書 029 JOE 001 001 ペトエルの子ヨエルに臨めるヱホバの言 029 JOE 001 002 老たる人よ汝ら是を聽け すべて此地に住む者汝ら耳を傾けよ 汝らの世あるは汝らの先祖の世にも是のごとき事ありしや 029 JOE 001 003 汝ら之を子に語り子はまた之をその子に語りその子之を後の代に語りつたへよ 029 JOE 001 004 噬くらふ蝗虫の遺せる者は群ゐる蝗虫のくらふ所となりその遺せる者はなめつくすおほねむしのくらふ所となりその遺せる者は喫ほろぼす蝗虫の食ふ所となれり 029 JOE 001 005 醉る者よ汝ら目を醒して泣け すべて酒をのむ者よ哭きさけべ あたらしき酒なんぢらの口に絶えたればなり 029 JOE 001 006 そはことなる民わが國に攻よすればなり その勢ひ強くその數はかられずその齒は獅子の齒のごとくその牙は牝獅子の牙のごとし 029 JOE 001 007 彼等わが葡萄の樹を荒しわが無花果の樹を折りその皮をはぎはだかにして之を棄つ その枝白くなれり 029 JOE 001 008 汝ら哀哭かなしめ 貞女その若かりしときの夫のゆゑに麻布を腰にまとひて哀哭かなしむがごとくせよ 029 JOE 001 009 素祭灌祭ともにヱホバの家に絶えヱホバに事ふる祭司等哀傷をなす 029 JOE 001 010 田は荒れ地は哀傷む 是穀物荒はて新しき酒つき油たえんとすればなり 029 JOE 001 011 こむぎ大麥の故をもて農夫羞ぢよ 葡萄をつくり哭けよ 田の禾稼うせはてたればなり 029 JOE 001 012 葡萄樹は枯れ無花果樹は萎れ石榴 椰子 林檎および野の諸の樹は凋みたり 是をもて世の人の喜樂かれうせぬ 029 JOE 001 013 祭司よ汝ら麻布を腰にまとひてなきかなしめ 祭壇に事ふる者よ汝らなきさけべ 神に事ふる者よなんぢら來り麻布をまとひて夜をすごせ 其は素祭も灌祭も汝らの神の家に入ことあらざればなり 029 JOE 001 014 汝ら斷食を定め集會を設け長老等を集め國の居民をことごとく汝らの神ヱホバの家に集めヱホバにむかひて號呼れよ 029 JOE 001 015 ああその日は禍なるかな ヱホバの日近く暴風のごとくに全能者より來らん 029 JOE 001 016 我らがまのあたりに食物絶えしにあらずや 我らの神の家に歡喜と快樂絶えしにあらずや 029 JOE 001 017 種は土の下に朽ち倉は壞れ廩は圯る そは穀物ほろぼされたればなり 029 JOE 001 018 いかに畜獸は哀み鳴くや 牛の群は亂れ迷ふ 草なければなり 羊の群もまた死喪ん 029 JOE 001 019 ヱホバよ我なんぢに向ひて呼はらん 荒野の諸の草は火にて焼け野の諸の樹は火熖にてやけつくればなり 029 JOE 001 020 野の獸もまた汝にむかひて呼はらん 其は水の流涸はて荒野の草火にてやけつくればなり 029 JOE 002 001 汝らシオンにて喇叭を吹け 我聖山にて音たかく之を吹鳴せ 國の民みな慄ひわななかん そはヱホバの日きたらんとすればなり すでに近づけり 029 JOE 002 002 この日は黒くをぐらき日雲むらがるまぐらき日にしてしののめの山々にたなびくが如し 數おほく勢さかんなる民むれいたらん かかる者はいにしへよりありしことなく後の代々の年にもあることなかるべし 029 JOE 002 003 火彼らの前を焚き火熖かれらの後にもゆ その過さる前は地エデンのごとくその過ぎしのちは荒はてたる野の如し 此をのがれうるもの一としてあることなし 029 JOE 002 004 彼らの状は馬のかたちのごとく其馳ありくことは軍馬のごとし 029 JOE 002 005 その山の嶺にとびをどる音は車の轟聲がごとし また火の稗株をやくおとの如くしてその様強き民の行伍をたてて戰陣にのぞむに似たり 029 JOE 002 006 そのむかふところ諸民戰慄きその面みな色を失ふ 029 JOE 002 007 彼らは勇士の如くに趨あるき軍人のごとくに石垣に攀のぼる 彼ら各おのが道を進みゆきてその列を亂さず 029 JOE 002 008 彼ら互に推あはず各その道にしたがひて進み行く 彼らは刄に觸るとも身を害はず 029 JOE 002 009 彼らは邑をかけめぐり石垣の上に奔り家に攀登り盗賊のごとくに窓より入る 029 JOE 002 010 そのむかふところ地ゆるぎ天震ひ日も月も暗くなり星その光明を失ふ 029 JOE 002 011 ヱホバその軍勢の前にて聲をあげたまふ 其軍旅はなはだ大なればなり 其言を爲とぐる者は強し ヱホバの日は大にして甚だ畏るべきが故に誰かこれに耐ふることを得んや 029 JOE 002 012 然どヱホバ言たまふ 今にても汝ら斷食と哭泣と悲哀とをなし心をつくして我に歸れ 029 JOE 002 013 汝ら衣を裂かずして心を裂き汝等の神ヱホバに歸るべし 彼は恩惠あり憐憫ありかつ怒ることゆるく愛憐大にして災害をなすを悔いたまふなり 029 JOE 002 014 誰か彼のあるひは立歸り悔て祝福をその後にとめのこし汝らをして素祭と灌祭とをなんぢらの神ヱホバにささげしめ給はじと知んや 029 JOE 002 015 汝らシオンにて喇叭を吹きならし斷食を定め公會をよびつどへ 029 JOE 002 016 民を集めその會を潔くし老たる人をあつめ孩童と乳哺子を集め新郎をその室より呼いだし新婦をその密室より呼いだせ 029 JOE 002 017 而してヱホバに事ふる祭司等は廊と祭壇の間にて泣て言へ ヱホバよ汝の民を赦したまへ 汝の産業を恥辱しめらるるに任せ之を異邦人に治めさする勿れ 何ぞ異邦人をして彼らの神は何處にあると言しむべけんや 029 JOE 002 018 然せばヱホバ己の地にために嫉妬を起しその民を憐みたまはん 029 JOE 002 019 ヱホバ應へてその民に言たまはん 視よ我穀物とあたらしき酒と油を汝におくる 汝ら之に飽ん 我なんぢらをして重ねて異邦人の中に恥辱を蒙らしめじ 029 JOE 002 020 我北よりきたる軍を遠く汝らより離れしめうるほひなき荒地に逐やらん 其前軍を東の海にその後軍を西の海に入れん その臭味立ちその惡臭騰らん 是大なる事を爲たるに因る 029 JOE 002 021 地よ懼るる勿れ 喜び樂しめ ヱホバ大なる事を行ひたまふなり 029 JOE 002 022 野の獸よ懼るる勿れ あれ野の牧草はもえいで樹は果を結び無花果樹葡萄樹はその力をめざすなり 029 JOE 002 023 シオンの子等よ 汝らの神ヱホバによりて樂め喜べ ヱホバは秋の雨を適當なんぢらに賜ひまた前のごとく秋の雨と春の雨とを汝らの上に降せたまふ 029 JOE 002 024 打塲には穀物盈ち甕にはあたらしき酒と油溢れん 029 JOE 002 025 我が汝らに遣しし大軍すなはち群ゐる蝗なめつくす蝗喫ほろぼす蝗噬くらふ蝗の触あらせる年を我汝らに賠はん 029 JOE 002 026 汝らは食ひ食ひて飽き よのつねならずなんぢらを待ひたまひし汝らの神ヱホバの名をほめ頌へん 我民はとこしへに辱しめらるることなかるべし 029 JOE 002 027 かくて汝らはイスラエルの中に我が居るを知り汝らの神ヱホバは我のみにて外に無きことを知らん 我民は永遠に辱かしめらるることなかるべし 029 JOE 002 028 その後われ吾靈を一切の人に注がん 汝らの男子女子は預言せん 汝らの老たる人は夢を見 汝らの少き人は異象を見ん 029 JOE 002 029 その日我またわが靈を僕婢に注がん 029 JOE 002 030 また天と地に徴證を顯さん 即ち血あり火あり煙の柱あるべし 029 JOE 002 031 ヱホバの大なる畏るべき日の來らん前に日は暗く月は血に變らん 029 JOE 002 032 凡てヱホバの名を龥ぶ者は救はるべし そはヱホバの宣ひし如くシオンの山とヱルサレムとに救はれし者あるべければなり 其遺れる者の中にヱホバの召し給へるものあらん 029 JOE 003 001 觀よ我ユダとヱルサレムの俘囚人を歸さん その日その時 029 JOE 003 002 萬國の民を集め之を携へてヨシヤパテの谷にくだりかしこにて我民我ゆづりの産なるイスラエルのために彼らをさばかん 彼らこれを國々に散してその地を分ち取りたればなり 029 JOE 003 003 彼らは籤をひきて我民を取り童子を娼妓に換へ童女を賣り酒に換て飮めり 029 JOE 003 004 ツロ、シドンよベリシテのすべての國よ 汝ら我と何のかかはりあらんや 汝ら我がなししことに返をなさんとするや 若し我に返報をなさんとならば我忽ち迅速に汝らがなししことをもてその首に歸らしめん 029 JOE 003 005 是は汝らは我の金銀を取り我のしたふべき寶を汝らの宮にたづさへゆき 029 JOE 003 006 またユダの人とヱルサレムの人をギリシヤ人に賣りてその本國より遠く離らせたればなり 029 JOE 003 007 視よ我かられを起して汝らが賣たる處より出し汝らがなししことをもてその首にかへらしめん 029 JOE 003 008 我はなんぢらの男子女子をユダの人の手に賣り彼らは之を遠き民なるシバ人に賣らん ヱホバこれを言ふ 029 JOE 003 009 もろもろの國に宣つたへよ 戰爭の準備を爲し勇士をはげまし軍人をことごとくちかより來らしめよ 029 JOE 003 010 汝等の鋤を劍に打かへ汝らの鎌を鎗に打かへよ 弱き者も我は強しと言へ 029 JOE 003 011 四周の國々の民よ汝ら急ぎ上りて集れ ヱホバよ汝の勇士をかしこに降したまへ 029 JOE 003 012 國々の民よ起て上りヨシヤパテの谷に至れ 彼處に我座をしめて四周の國々の民をことごとく鞫かん 029 JOE 003 013 鎌をいれよ 穀物は熟せり 來り踏めよ酒榨は盈ち甕は溢る 彼らの惡 大なればなりと 029 JOE 003 014 かまびすしきかな無數の民 審判の谷にありてかまびすし ヱホバの日 審判の谷に近づくが故なり 029 JOE 003 015 日も月も暗くなり星その光明を失ふ 029 JOE 003 016 ヱホバ、シオンよりよびとどろかしヱルサレムより聲をはなち天地を震ひうごかしたまふ 然れどヱホバはその民の避所イスラエルの子孫の城となりたまはん 029 JOE 003 017 かくて汝ら我はヱホバ汝等の神にして我聖山シオンに住むことをしるべし ヱルサレムは聖き所となり他國の人は重ねてその中をかよふまじ 029 JOE 003 018 その日山にあたらしき酒滴り岡に乳流れユダのもろもろの河に水流れヱホバの家より泉水流れいでてシッテムの谷に灌がん 029 JOE 003 019 エジプトは荒すたれエドムは荒野とならん 是はかれらユダの子孫を虐げ辜なき者の血をその國に流したればなり 029 JOE 003 020 されどユダは永久にすまひヱルサレムは世々に保たん 029 JOE 003 021 我さきにはかれらが流しし血の罪を報いざりしが今はこれをむくいん ヱホバ、シオンに住みたまはん # # BOOK 030 AMO Amos アモス書 030 AMO 001 001 テコアの牧者の中なるアモスの言 是はユダの王ウジヤの世 イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世 地震の二年前に彼が見されたる者にてイスラエルの事を論るなり 其言に云く 030 AMO 001 002 ヱホバ、シオンより呼號りエルサレムより聲を出したまふ 牧者の牧塲は哀きカルメルの巓は枯る 030 AMO 001 003 ヱホバかく言たまふ ダマスコは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは鐵の打禾車をもてギレアデを打り 030 AMO 001 004 我ハザエルの家に火を遣りベネハダデの宮殿を焚ん 030 AMO 001 005 我ダマスコの關を碎きアベンの谷の中よりその居民を絶のぞきベテエデンの中より王の杖を執る者を絶のぞかん スリアの民は擄へられてキルにゆかん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 001 006 ヱホバかく言たまふ ガザは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとく曳ゆきてこれをエドムに付せり 030 AMO 001 007 我ガザの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん 030 AMO 001 008 我アシドドの中よりその居民を絶のぞきアシケロンの中より王の杖を執る者を絶除かん 我また手を反してエクロンを撃ん ペリシテ人の遺れる者亡ぶべし 主ヱホバこれを言ふ 030 AMO 001 009 ヱホバかく言たまふ ツロは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとくエドムに付しまた兄弟の契約を忘れたり 030 AMO 001 010 我ツロの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん 030 AMO 001 011 ヱホバかく言たまふ エドムは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼は劍をもてその兄弟を追ひ全く憐憫の情を斷ち恒に怒りて人を害し永くその憤恨をたくはへたり 030 AMO 001 012 我テマンに火を遣りポヅラの一切の殿を焚ん 030 AMO 001 013 ヱホバかく言たまふ アンモンの人々は三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはその國境を廣めんとてギレアデの孕める婦を剖たり 030 AMO 001 014 我ラバの石垣の内に火を放ちその一切の殿を焚ん 是は戰鬪の日に吶喊の聲をもて爲され暴風の日に旋風をもて爲されん 030 AMO 001 015 彼らの王はその牧伯等と諸共に擄へられて往かん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 002 001 ヱホバかく言たまふ モアブは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼はエドムの王の骨を焼て灰となせり 030 AMO 002 002 我モアブに火を遣りケリオテの一切の殿を焚ん モアブは噪擾と吶喊の聲と喇叭の音の中に死ん 030 AMO 002 003 我その中より審判長を絶除きその諸の牧伯を之とともに殺さん ヱホバはこれを言ふ 030 AMO 002 004 ヱホバかく言たまふ ユダは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはヱホバの律法を輕んじその法度を守らずその先祖等が從ひし僞の物に惑はさる 030 AMO 002 005 我ユダに火を遣りエルサレムの諸の殿を焚ん 030 AMO 002 006 ヱホバかく言たまふ イスラエルは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは義者を金のために賣り貧者を鞋一足のために賣る 030 AMO 002 007 彼らは弱き者の頭に地の塵のあらんことを喘ぎて求め柔かき者の道を曲げ又父子共に一人の女子に行て我聖名を汚す 030 AMO 002 008 彼らは質に取れる衣服を一切の壇の傍に敷きてその上に偃し罰金をもて得たる酒をその神の家に飮む 030 AMO 002 009 嚮に我はアモリ人を彼らの前に絶たり アモリ人はその高きこと香柏のごとくその強きこと橡の樹のごとくなりしが我その上の果と下の根とをほろぼしたり 030 AMO 002 010 我は汝らをエジプトの地より携へのぼり四十年のあひだ荒野において汝らを導き終にアモリ人の地を汝らに獲させたり 030 AMO 002 011 我は汝らの子等の中より預言者を興し汝らの少者の中よりナザレ人を興したり イスラエルの子孫よ然るにあらずや ヱホバこれを言ふ 030 AMO 002 012 然るに汝らはナザレ人に酒を飮ませ預言者に命じて預言するなかれと言り 030 AMO 002 013 視よ我麥束を積滿せる車の物を壓するがごとく汝らを壓せん 030 AMO 002 014 その時は疾走者も逃るに暇あらず 強き者もその力を施すを得ず 勇士も己の生命を救ふこと能はず 030 AMO 002 015 弓を執る者も立ことを得ず 足駛の者も自ら救ふ能はず 馬に騎れる者も己の生命を救ふこと能はず 030 AMO 002 016 勇士の中の心剛き者もその日には裸にて逃ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 003 001 イスラエルの子孫よヱホバが汝らにむかひて言ところ我がエジプトの地より導き上りし全家にむかひて言ところの此言を聽け 030 AMO 003 002 地の諸の族の中にて我ただ汝ら而已を知れり 此故に我なんぢらの諸の罪のために汝らを罰せん 030 AMO 003 003 二人もし相會せずば爭で共に歩かんや 030 AMO 003 004 獅子もし獲物あらずば豈林の中に吼んや 猛獅子もし物を攫まずば豈その穴より聲を出さんや 030 AMO 003 005 もし羂の設なくば鳥あに地に張れる網にかからんや 網もし何の得るところも無くば豈地よりあがらんや 030 AMO 003 006 邑にて喇叭を吹かば民おどらかざらんや 邑に災禍のおこるはヱホバのこれを降し給ふならずや 030 AMO 003 007 夫主ヱホバはその隱れたる事をその僕なる預言者に傳へずしては何事をも爲たまはざるなり 030 AMO 003 008 獅子吼ゆ 誰か懼れざらんや 主ヱホバ言語たまふ 誰か預言せざらんや 030 AMO 003 009 アシドドの一切の殿に傳へエジプトの地の一切の殿に宣て言へ 汝等サマリヤの山々に集りその中にある大なる紛亂を觀その中間におこなはるる虐遇を觀よ 030 AMO 003 010 ヱホバいひたまふ 彼らは正義をおこなふことを知ず 虐げ取し物と奪ひたる物とをその宮殿に積蓄ふ 030 AMO 003 011 是故に主ヱホバかく言たまふ 敵ありて此國を攻かこみ汝の權力を汝より取下さん 汝の一切の殿は掠めらるべし 030 AMO 003 012 ヱホバかく言たまふ 牧羊者は獅子の口より羊の兩足あるひは片耳を取かへし得るのみ サマリヤに於て床の隅またはダマスコ錦の榻に坐するイスラエルの子孫もその救はるること是のごとくならん 030 AMO 003 013 萬軍の神 主ヱホバかく言たまふ 汝ら聽てヤコブの家に證せよ 030 AMO 003 014 我イスラエルの諸の罪を罰する日にはベテルの壇を罰せん 其壇の角は折て地に落べし 030 AMO 003 015 我また冬の家および夏の家をうたん 象牙の家ほろび大きなる家失ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 004 001 バシヤンの牝牛等よ汝ら此言を聽け 汝らはサマリヤの山に居り弱者を虐げ貧者を壓し又その主にむかひて此に持きたりて我らに飮せよと言ふ 030 AMO 004 002 主ヱホバ己の聖を指し誓ひて云ふ 視よ日汝らの上に臨む その日には人汝らを鈎にかけ汝等の遺餘者を釣魚鈎にかけて曳いださん 030 AMO 004 003 汝らは各々その前なる石垣の破壞たる處より奔出てハルモンに逃往ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 004 004 汝らベテルに往て罪を犯しギルガルに往て益々おほく罪を犯せ 朝ごとに汝らの犠牲を携へゆけ 三日ごとに汝らの什一を携へゆけ 030 AMO 004 005 酵いれたる者を感謝祭に獻げ願意よりする禮物を召てこれを告示せ イスラエルの子孫よ 汝らは斯するを好むなりと主ヱホバ言たまふ 030 AMO 004 006 また我汝らの一切の邑に於て汝らの齒を清からしめ汝らの一切の處において汝らの食を乏しからしめたり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言給ふ 030 AMO 004 007 また我収穫までには尚 三月あるに雨をとどめて汝らに下さず かの邑には雨を降しこの邑には雨をふらさざりき 此田圃は雨を得 彼田圃は雨を得ずして枯れたり 030 AMO 004 008 二三の邑別の一の邑に躚めきゆきて水を飮ども飽ことあたはず 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 009 我枯死殻と朽腐穗とをもて汝等を撃なやませり また汝らの衆多の園と葡萄園と無花果樹と橄欖樹とは蝗これを食へり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 010 我なんぢらの中にエジプトに爲し如く疫病をおこし劍をもて汝らの少き人を殺し又汝らの馬を奪さり汝らの營の臭氣をして騰りて汝らの鼻を撲しめたり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバいひたまふ 030 AMO 004 011 我なんぢらの中の邑を滅すことソドム、ゴモラを神の滅したまひし如くしたれば汝らは熖の中より取いだしたる燃柴のごとくなれり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 012 イスラエルよ然ば我かく汝に行はん 我是を汝に行ふべければイスラエルよ汝の神に會ふ準備をせよ 030 AMO 004 013 彼は即ち山を作りなし風を作り出し人の思想の如何なるをその人に示しまた晨光をかへて黒暗となし地の高處を踏む者なり その名を萬軍の神ヱホバといふ 030 AMO 005 001 イスラエルの家よ我が汝らに對ひて宣る此言を聽け 是は哀歎の歌なり 030 AMO 005 002 處女イスラエルは仆れて復起あがらず彼は己の地に扑倒さる 之を扶け起す者なし 030 AMO 005 003 主ヱホバかく言たまふ イスラエルの家においては前に千人出たる邑は只百人のみのこり前に百人出たる邑は只十人のみのこらん 030 AMO 005 004 ヱホバかくイスラエルの家に言たまふ 汝ら我を求めよ さらば生べし 030 AMO 005 005 ベテルを求むるなかれ ギルガルに往なかれ ベエルシバに赴く勿れ ギルガルは必ず擄へられゆきベテルは無に歸せん 030 AMO 005 006 汝らヱホバを求めよ 然ば生べし 恐くはヱホバ火のごとくにヨセフの家に落くだりたまひてその火これを焼ん ベテルのためにこれを熄す者一人もあらじ 030 AMO 005 007 汝ら公道を茵蔯に變じ正義を地に擲つる者よ 030 AMO 005 008 昴宿および參宿を造り死の蔭を變じて朝となし晝を暗くして夜となし海の水を呼て地の面に溢れさする者を求めよ 其名はヱホバといふ 030 AMO 005 009 彼は滅亡を忽然強者に臨ましむ 滅亡つひに城に臨む 030 AMO 005 010 彼らは門にありて勸戒る者を惡み正直を言ふ者を忌嫌ふ 030 AMO 005 011 汝らは貧しき者を踐つけ麥の贐物を之より取る この故に汝らは鑿石の家を建しと雖どもその中に住ことあらじ 美しき葡萄園を作りしと雖どもその酒を飮ことあらじ 030 AMO 005 012 我知る汝らの愆は多く汝らの罪は大なり 汝らは義き者を虐げ賄賂を取り門において貧き者を推抂ぐ 030 AMO 005 013 是故に今の時は賢き者黙す 是惡き時なればなり 030 AMO 005 014 汝ら善を求めよ 惡を求めざれ 然らば汝ら生べし また汝らが言ごとく萬軍の神ヱホバ汝らと偕に在さん 030 AMO 005 015 汝ら惡を惡み善を愛し門にて公義を立よ 萬軍の神ヱホバあるひはヨセフの遺れる者を憐れみたまはん 030 AMO 005 016 是故に主たる萬軍の神ヱホバかく言たまふ 諸の街衢にて啼ことあらん 諸の大路にて人哀哉哀哉と呼ん 又農夫を呼きたりて哀哭しめ啼女を招きて啼しめん 030 AMO 005 017 また諸の葡萄園にも啼こと有べし 其は我汝らの中を通るべければなり ヱホバこれを言たまふ 030 AMO 005 018 ヱホバの日を望む者は禍なるかな 汝ら何とてヱホバの日を望むや 是は昏くして光なし 030 AMO 005 019 人 獅子の前を逃れて熊に遇ひ又家にいりてその手を壁に附て蛇に咬るるに宛も似たり 030 AMO 005 020 ヱホバの日は昏くして光なく暗にして耀なきに非ずや 030 AMO 005 021 我は汝らの節筵を惡みかつ藐視む また汝らの集會を悦ばじ 030 AMO 005 022 汝ら我に燔祭または素祭を獻ぐるとも我之を受納れじ 汝らの肥たる犢の感謝祭は我これを顧みじ 030 AMO 005 023 汝らの歌の聲を我前に絶て汝らの琴の音は我これを聽じ 030 AMO 005 024 公道を水のごとくに正義をつきざる河のごとくに流れしめよ 030 AMO 005 025 イスラエルの家よ汝らは四十年荒野に居し間 犠牲と供物を我に獻げたりしや 030 AMO 005 026 かへつて汝らは汝らの王シクテを負ひ汝らの偶像キウンを負へり 是即ち汝らの神とする星にして汝らの自ら造り設けし者なり 030 AMO 005 027 然ば我汝らをダマスコの外に移さん 萬軍の神ととなふるヱホバこれを言たまふ 030 AMO 006 001 身を安くしてシオンに居る者思ひわづらはずしてサマリヤの山に居る者 諸の國にて勝れたる國の中なる聞高くしてイスラエルの家に就きしたがはるる者は禍なるかな 030 AMO 006 002 カルネに渉りゆき彼處より大ハマテに至りまたペリシテ人のガテに下りて視よ其等は此二國に愈るや 彼らの土地は汝らの土地よりも大なるや 030 AMO 006 003 汝等は災禍の日をもて尚遠しと爲し強暴の座を近づけ 030 AMO 006 004 自ら象牙の牀に臥し寢臺の上に身を伸し群の中より羔羊を取り圏の中より犢牛を取て食ひ 030 AMO 006 005 琴の音にあはせて唄ひ噪ぎダビデのごとくに樂器を製り出し 030 AMO 006 006 大斝をもて酒を飮み最も貴とき膏を身に抹りヨセフの艱難を憂へざるなり 030 AMO 006 007 是故に今彼等は擄はれて俘囚人の眞先に立て往んかの身を伸したる者等の嘈の聲止べし 030 AMO 006 008 萬軍の神ヱホバ言たまふ 主ヱホバ己を指て誓へり 我ヤコブが誇る所の物を忌嫌ひその宮殿を惡む 我この邑とその中に充る者とを付すべし 030 AMO 006 009 一の家に十人遺りをるとも皆死ん 030 AMO 006 010 而してその親戚すなはち之を焚く者その死骸を家より運びいださんとて之を取あげまたその家の奥に潛み居る者に向ひて他になほ汝とともに居る者あるやと言ふとき對へて一人も無しと言ん 此時かの人また言べし 黙せよヱホバの名を口に擧ること有べからずと 030 AMO 006 011 視よヱホバ命を下し大なる家を撃て墟址とならしめ小き家を撃て微塵とならしめたまふ 030 AMO 006 012 馬あに能く岩の上を走らんや 人あに牛をもて岩を耕へすことを得んや 然るに汝らは公道を毒に變じ正義の果を茵蔯に變じたり 030 AMO 006 013 汝らは無物を喜び我儕は自分の力をもて角を得しにあらずやと言ふ 030 AMO 006 014 是をもて萬軍の神ヱホバ言たまふ イスラエルの家よ我一の國を起して汝らに敵せしめん 是はハマテの入口よりアラバの川までも汝らをなやまさん 030 AMO 007 001 主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち草の再び生ずる時にあたりて彼蝗を造りたまふ その草は王の刈たる後に生じたるものなり 030 AMO 007 002 その蝗地の青物を食盡しし後我言り 主ヱホバよ願くは赦したまへ ヤコブは小し 爭でか立ことを得んと 030 AMO 007 003 ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これを爲じと言たまふ 030 AMO 007 004 主ヱホバの我に示したまへる所是のごとし 即ち主ヱホバ火をもて罰せんとて火を呼たまひければ火大淵を焚きまた産業の地を焚かんとす 030 AMO 007 005 時に我言り 主ヱホバよ願くは止みたまへ ヤコブは小し爭でか立ことを得んと 030 AMO 007 006 ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これをなさじと主ヱホバ言たまふ 030 AMO 007 007 また我に示したまへるところ是のごとし 即ち準縄をもて築ける石垣の上にヱホバ立ちその手に準縄を執たまふ 030 AMO 007 008 而してヱホバ我にむかひアモス汝何を見るやと言たまひければ準縄を見ると我答へしに主また言たまはく我準縄を我民イスラエルの中に設く 我再び彼らを見過しにせじ 030 AMO 007 009 イサクの崇邱は荒されイスラエルの聖所は毀たれん 我劍をもちてヤラベアムの家に起むかはん 030 AMO 007 010 時にベテルの祭司アマジヤ、イスラエルの王ヤラベアムに言遣しけるはイスラエルの家の眞中にてアモス汝に叛けり 彼の諸の言には此地も堪るあたはざるなり 030 AMO 007 011 即ちアモスかく言り ヤラベアムは劍によりて死ん イスラエルは必ず擄へられてゆきてその國を離れんと 030 AMO 007 012 而してアマジヤ、アモスに言けるは先見者よ 汝往きてユダの地に逃れ彼處にて預言して汝の食物を得よ 030 AMO 007 013 然どベテルにては重ねて預言すべからず 是は王の聖所王の宮なればなり 030 AMO 007 014 アモス對へてアマジヤに言けるは我は預言者にあらず また預言者の子にも非ず 我は牧者なり 桑の樹を作る者なりと 030 AMO 007 015 然るにヱホバ羊に從ふ所より我を取り往て我民イスラエルに預言せよとヱホバわれに宣へり 030 AMO 007 016 今ヱホバの言を聽け 汝は言ふイスラエルにむかひて預言する勿れ イサクの家にむかひて言を出すなかれと 030 AMO 007 017 是故にヱホバかく言たまふ 汝の妻は邑の中にて妓婦となり汝の男子女子は劍に斃れ汝の地は繩をもて分たれん 而して汝は穢れたる地に死にイスラエルは擄られゆきてその國を離れん 030 AMO 008 001 主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち熟したる果物一筐あり 030 AMO 008 002 ヱホバわれにむかひてアモス汝何を見るやと言たまひければ熟したる果物一筐を見ると答へしにヱホバ我に言たまはく我民イスラエルの終いたれり 我ふたたび彼らを見過しにせじ 030 AMO 008 003 主ヱホバ言たまふ 其日には宮殿の歌は哀哭に變らん 死屍おびただしくあり 人これを遍き處に投棄ん 黙せよ 030 AMO 008 004 汝ら喘ぎて貧しき者に迫り且地の困難者を滅す者よ之を聽け 030 AMO 008 005 汝らは言ふ月朔は何時過去んか 我等穀物を賣んとす 安息日は何時過去んか 我ら麥倉を開かんとす 我らエパを小くしシケルを大くし僞の權衡をもて欺く事をなし 030 AMO 008 006 銀をもて賤しき者を買ひ鞋一足をもて貧き者を買ひかつ屑麥を賣いださんと 030 AMO 008 007 ヱホバ、ヤコブの榮光を指て誓ひて言たまふ 我かならず彼等の一切の行爲を何時までも忘れじ 030 AMO 008 008 之がために地震はざらんや地に住る者みな哭かざらんや 地みな河のごとく噴あがらん エジプトの河のごとく湧あがり又沈まん 030 AMO 008 009 主ヱホバ言たまふ其日には我日をして眞晝に沒せしめ地をして白晝に暗くならしめ 030 AMO 008 010 汝らの節筵を悲傷に變らせ汝らの歌を盡く哀哭に變らせ一切の人に麻布を腰に纒はしめ一切の人に頂を剃しめ其日をして獨子を喪へる哀傷のごとくならしめ其終をして苦き日のごとくならしめん 030 AMO 008 011 主ヱホバ言たまふ 視よ日至らんとす その時 我饑饉を此國におくらん 是はパンに乏しきに非ず 水に渇くに非ず ヱホバの言を聽ことの饑饉なり 030 AMO 008 012 彼らは海より海とさまよひ歩き北より東と奔まはりてヱホバの言を求めん 然ど之を得ざるべし 030 AMO 008 013 その日には美しき處女も少き男もともに渇のために絶いらん 030 AMO 008 014 かのサマリヤの罪を指て誓ひダンよ汝の神は活くと言ひまたベエルシバの路は活くと言る者等は必ず仆れん 復興ることあらじ 030 AMO 009 001 我觀るに主 壇の上に立て言たまはく柱の頭を撃て閾を震はせ之を打碎きて一切の人の首に落かからしめよ 其遺れる者をば我劍をもて殺さん 彼らの逃る者も逃おほすることを得ず 彼らの遁るる者もたすからじ 030 AMO 009 002 假令かれら陰府に掘くだるとも我手をもて之を其處より曳いださん 假令かれら天に攀のぼるとも我これを其處より曳おろさん 030 AMO 009 003 假令かれらカルメルの巓に匿るるとも我これを捜して其處より曳いださん 假令かれら海の底に匿れて我目を逃るるとも我蛇に命じて其處にて之を咬しめん 030 AMO 009 004 假令かれらその敵に擄はれゆくとも我劍に命じて其處にて之を殺さしめん 我かれらの上に我目を注ぎて災禍を降さん 福祉を降さじ 030 AMO 009 005 主たる萬軍のヱホバ地に捫れば地鎔けその中に住む者みな哀む 即ち全地は河のごとくに噴あがりエジプトの河のごとくにまた沈むなり 030 AMO 009 006 彼は樓閣を天に作り穹蒼の基を地の上に置ゑまた海の水を呼て地の面にこれを斟ぐなり 其名をヱホバといふ 030 AMO 009 007 ヱホバ言たまふ イスラエルの子孫よ 我は汝らを視ことエテオピア人を觀がごとくするにあらずや 我はイスラエルをエジプトの國よりペリシテ人をカフトルよりスリア人をキルより導き來りしにあらずや 030 AMO 009 008 視よ我主ヱホバその目を此罪を犯すところの國に注ぎ之を地の面より滅し絶ん 但し我はヤコブの家を盡くは滅さじ ヱホバこれを言ふ 030 AMO 009 009 我すなはち命を下し篩にて物を篩ふがごとくイスラエルの家を萬國の中にて篩はん 一粒も地に落ちざるべし 030 AMO 009 010 我民の罪人即ち災禍われらに及ばず我らに降らじと言をる者等は皆劍によりて死ん 030 AMO 009 011 其日には我ダビデの倒れたる幕屋を興しその破壞を修繕ひその傾圯たるを興し古代の日のごとくに之を建なほすべし 030 AMO 009 012 而して彼らはエドムの遺餘者および我名をもて稱へらるる一切の民を獲ん 此事を行ふ ヱホバかく言なり 030 AMO 009 013 ヱホバ言ふ 視よ日いたらんとす その時には耕者は刈者に相繼ぎ葡萄を踐む者は播種者に相繼がん また山々には酒滴り岡は皆鎔て流れん 030 AMO 009 014 我わが民イスラエルの俘囚を返さん 彼らは荒たる邑々を建なほして其處に住み葡萄園を作りてその酒を飮み園圃を作りてその果を食はん 030 AMO 009 015 我かれらをその地に植つけん 彼らは我がこれに與ふる地より重ねて抜とらるることあらじ 汝の神ヱホバこれを言ふ # # BOOK 031 OBA Obadiah オバデヤ書 031 OBA 001 001 オバデヤの預言 主ヱホバ、エドムにつきて斯いひたまふ 我らヱホバより出たる音信を聞り 一人の使者國々の民の中に遣されて云ふ 起よ我等起てエドムを攻撃んと 031 OBA 001 002 我汝をして國々の中において小き者たらしむ 汝は大に藐視らるるなり 031 OBA 001 003 山崖の巖屋に居り高き處に住む者よ 汝が心の傲慢なんぢを欺けり 汝心の中に謂ふ誰か我を地に曵くだすことを得んと 031 OBA 001 004 汝たとひ鷲のごとくに高く擧り星の間に巣を造るとも我そこより汝を曵くださん ヱホバこれを言たまふ 031 OBA 001 005 盜賊汝に來り 強盜夜なんぢに來り 竊ともその心に滿るときは止ざらんや 嗚呼なんぢは滅されて絶ゆ 葡萄を摘む者汝にいたるも尚 幾何を遺さざらんや 031 OBA 001 006 嗚呼エサウは搜されその隱しおける物は探りいださる 031 OBA 001 007 汝と盟約を結べる人々はみな汝を國境に逐やり汝と和好をなせる人々はみな汝を欺きて汝に勝ち汝の食物を食ふ者 等は汝の下に羂を設く 彼の中には穎悟あらず 031 OBA 001 008 ヱホバ言たまふ當日には我智慧ある者をヱドムより絶除き穎悟をエサウの山より絶除かざらんや 031 OBA 001 009 テマンよ汝の勇士は驚き懼れん 而して人みな終に殺されてエサウの山より絶除かるべし 031 OBA 001 010 汝はその兄弟ヤコブに暴虐を加へたるに因て恥辱なんぢを蒙はん 汝は永遠に至るまで絶るべし 031 OBA 001 011 汝が遠く離れて立をりし日即ち異邦人これが財寳を奪ひ他國人これが門に進み入りエルサレムのために籤を掣たる日には汝も彼らの一人のごとくなりき 031 OBA 001 012 汝は汝の兄弟の日すなはちその災禍の日を觀るべからず 又ユダの子孫の滅亡の日を喜ぶべからず その苦難の日には汝口を大きく開べからざるなり 031 OBA 001 013 我民の滅ぶる日には汝その門に入べからず其滅ぶる日には汝その患難を見べからず 又その滅ぶる日には汝その財寳に手をかく可らず 031 OBA 001 014 汝路の辻々に立て その逃亡者を斬べからず 其 患難の日にこれが遺る者を付すべからず 031 OBA 001 015 ヱホバの日萬國に臨むこと邇し 汝の爲せるごとく汝も爲られ汝の應報なんぢの首に歸すべし 031 OBA 001 016 汝等のわが聖山にて飮しごとく萬國の民も恒に飮ん 即ちみな飮かつ啜りて從前より有ざりし者のごとく成ん 031 OBA 001 017 シオン山には救はるる者等をりてその山聖所とならん またヤコブの家はその産業を獲ん 031 OBA 001 018 ヤコブの家は火となりヨセフの家は火燄となりエサウの家は藁とならん 即ち彼等これが上に燃てこれを焚ん エサウの家には遺る者一人も無にいたるべし ヱホバこれを言なり 031 OBA 001 019 南の人はエサウの山を獲 平地の人はペリシテを獲ん 又彼らはエフライムの地及びサマリヤの地を獲 べニヤミンはギレアデを獲ん 031 OBA 001 020 かの擄はれゆきしイスラエルの軍旅はカナン人に屬する地をザレパテまで取らん セパラデにあるエルサレムの俘擄人は南の邑々を獲ん 031 OBA 001 021 然る時に救者シオンの山に上りてエサウの山を鞫かん而して國はヱホバに歸すべし # # BOOK 032 JON Jonah ヨナ書 032 JON 001 001 ヱホバの言アミタイの子ヨナに臨めりいはく 032 JON 001 002 起てかの大なる邑ニネベに往きこれを呼はり責よ そは其惡わが前に上り來ればなりと 032 JON 001 003 然るにヨナはヱホバの面をさけてタルシシへ逃れんと起てヨツパに下り行けるが機しもタルシシへ往く舟に遇ければその價値を給へヱホバの面をさけて偕にタルシシへ行んとてその舟に乗れり 032 JON 001 004 時にヱホバ大風を海の上に起したまひて烈しき颺風海にありければ舟は幾んど破れんとせり 032 JON 001 005 かかりしかば船夫恐れて各おのれの神を呼び又舟を輕くせんとてその中なる載荷を海に投すてたり 然るにヨナは舟の奧に下りゐて臥て酣睡せり 032 JON 001 006 船長來りて彼に云けるは汝なんぞかく酣睡するや起きて汝の神を呼べあるひは彼われらを眷顧て淪亡ざらしめんと 032 JON 001 007 かくて人衆互に云けるは此災の我儕にのぞめるは誰の故なるかを知んがため去來鬮を掣んと やがて鬮をひきしに鬮ヨナに當りければ 032 JON 001 008 みな彼に云けるはこの災禍なにゆゑに我らにのぞめるか請ふ告げよ 汝の業は何なるや 何處より來れるや 汝の國は何處ぞや 何處の民なるや 032 JON 001 009 ヨナ彼等にいひけるは我はヘブル人にして海と陸とを造りたまひし天の神ヱホバを畏るる者なり 032 JON 001 010 是に於て船夫甚だしく懼れて彼に云けるは汝なんぞ其事をなせしやと その人々は彼がヱホバの面をさけて逃れしなるを知れり 其はさきにヨナ彼等に告げたればなり 032 JON 001 011 遂に船夫彼にいひけるは我儕のために海を靜かにせんには汝に如何がなすべきや 其は海いよいよ甚だしく狂蕩たればなり 032 JON 001 012 ヨナ彼等に曰けるはわれを取りて海に投いれよ さらば海は汝等の爲に靜かにならん そはこの大なる颺風の汝等にのぞめるはわが故なるを知ればなり 032 JON 001 013 されど船夫は陸に漕もどさんとつとめたりしが終にあたはざりき 其は海かれらにむかひていよいよ烈しく蕩たればなり 032 JON 001 014 ここにおいて彼等ヱホバに呼はりて曰けるはヱホバよこひねがはくは此人の命の爲に我儕を滅亡したまふ勿れ 又罪なきの血をわれらに歸したまふなかれ そはヱホバよ汝 聖意にかなふところを爲し給へるなればなりと 032 JON 001 015 すなわちヨナを取りて海に投入たり しかして海のあるることやみぬ 032 JON 001 016 かかりしかばその人々おほいにヱホバを畏れヱホバに犧牲を獻げ誓願を立たり 032 JON 001 017 さてヱホバすでに大なる魚を備へおきてヨナを呑しめ給へり ヨナは三日三夜魚の腹の中にありき 032 JON 002 001 ヨナ魚の腹の中よりその神ヱホバに祈祷て 032 JON 002 002 曰けるは われ患難の中よりヱホバを呼びしに彼われこたへたまへり われ陰府の腹の中より呼はりしに汝わが聲を聽たまへり 032 JON 002 003 汝我を淵のうち海の中心に投いれたまひて海の水我を環り汝の波濤と巨浪すべて我上にながる 032 JON 002 004 われ曰けるは我なんぢの目の前より逐れたれども復汝の聖殿を望まん 032 JON 002 005 水われを環りて 魂にも及ばんとし淵我をとりかこみ海草わが頭に纒へり 032 JON 002 006 われ山の根基にまで下れり 地の關木いつも我うしろにありき しかるに我神ヱホバよ汝はわが命を深き穴より救ひあげたまへり 032 JON 002 007 わが靈魂 衷に弱りしとき我ヱホバをおもへり しかしてわが祈なんぢに至りなんぢの聖殿におよべり 032 JON 002 008 いつはりなる虚き者につかふるものは自己の恩たる者を棄つ 032 JON 002 009 されど我は感謝の聲をもて汝に獻祭をなし 又わが誓願をなんぢに償さん 救はヱホバより出るなりと 032 JON 002 010 ヱホバ其魚に命じたまひければヨナを陸に吐出せり 032 JON 003 001 ヱホバの言ふたたびヨナに臨めり 曰く 032 JON 003 002 起てかの大なる府ニネベに往きわが汝に命ずるところを宣よ 032 JON 003 003 ヨナすなはちヱホバの言に循ひて起てニネベに往り ニネベは甚だ大なる邑にしてこれをめぐるに三日を歴る程なり 032 JON 003 004 ヨナその邑に入はじめ一日路を行つつ呼はり曰けるは四十日を歴ばニネベは滅亡さるべし 032 JON 003 005 かかりしかばニネベの人々神を信じ斷食を宣れ大なる者より小き者に至るまでみな麻布を衣たり 032 JON 003 006 この言ニネベの王に聞えければ彼 位より起ち朝服を脱ぎ麻布を身に纒ふて灰の中に坐せり 032 JON 003 007 また王大臣とともに命をくだしてニネベ中に宣しめて曰く人も畜も牛も羊もともに何をも味ふべからず 又物をくらひ水を飮べからず 032 JON 003 008 人も畜も麻布をまとひ只管神に呼はり且おのおの其惡き途および其手に作す邪惡を離るべし 032 JON 003 009 或は神その聖旨をかへて悔い其烈しき怒を息てわれらを滅亡さざらん 誰かその然らざるを知んや 032 JON 003 010 神かれらの爲すところをかんがみ其あしき途を離るるを見そなはし彼等になさんと言し所の災禍を悔て之をなしたまはざりき 032 JON 004 001 ヨナこの事を甚だ惡しとして烈く怒り 032 JON 004 002 ヱホバに祈りて曰けるはヱホバよ我なほ本國にありし時斯あらんと曰しに非ずや さればこそ前にタルシシへ逃れたるなれ 其は我なんぢは矜恤ある神 憐憫あり 怒ること遲く慈悲深くして災禍を悔たまふものなりと知ばなり 032 JON 004 003 ヱホバよ願くは今わが命を取たまへ 其は生ることよりも死るかた我に善ればなり 032 JON 004 004 ヱホバ曰たまひけるは汝の怒る事いかで宣しからんや 032 JON 004 005 ヨナは邑より出てその東の方に居り己が爲に其處に一の小屋をしつらひその蔭の下に坐して府の如何に成行くかを見る 032 JON 004 006 ヱホバ神 瓢を備へこれをして發生てヨナの上を覆はしめたり こはヨナの首の爲に庇蔭をまうけてその憂を慰めんが爲なりき ヨナはこの瓢の木によりて甚だ喜べり 032 JON 004 007 されど神あくる日の夜明に虫をそなへて其ひさごを噛せたまひければ瓢は枯たり 032 JON 004 008 かくて日の出し時神暑き東風を備へ給ひ又日ヨナの首を照しければ彼よわりて心の中に死ることを願ひて言ふ 生ることよりも死るかた我に善し 032 JON 004 009 神またヨナに曰ひたまひけるは瓢の爲に汝のいかる事いかで宣しからんや 彼曰けるはわれ怒りて死るともよろし 032 JON 004 010 ヱホバ曰たまひけるは汝は勞をくはへず生育ざる此の一夜に生じて一夜に亡びし瓢を惜めり 032 JON 004 011 まして十二萬餘の右左を辨へざる者と許多の家畜とあるこの大なる府ニネベをわれ惜まざらんや # # BOOK 033 MIC Micah ミカ書 033 MIC 001 001 ユダの王ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの代にモレシテ人ミカに臨めるヱホバの言是すなはちサマリアとエルサレムの事につきて彼が示されたる者なり 033 MIC 001 002 萬民よ聽け 地とその中の者よ耳を傾けよ 主ヱホバ汝らに對ひて證を立てたまはん 即ち主その聖殿より之を立たまふべし 033 MIC 001 003 視よヱホバその處より出てくだり地の高處を踏みたまはん 033 MIC 001 004 山は彼の下に融け谷は裂けたり 火の前なる蝋のごとく坡に流るる水の如し 033 MIC 001 005 是みなヤコブの咎の故イスラエルの家の罪のゆゑなり ヤコブの愆とは何か サマリヤにあらずや ユダの崇邱とは何か エルサレムにあらずや 033 MIC 001 006 是故に我サマリヤを野の石堆となし葡萄を植る處と爲し又その石を谷に投おとしその基を露さん 033 MIC 001 007 その石像はみな碎かれその獲たる價金はみな火にて焚れん 我その偶像をことごとく毀たん 彼妓女の價金よりこれを積たれば是はまた歸りて妓女の價金となるべし 033 MIC 001 008 我これがために哭き咷ばん 衣を脱ぎ裸體にて歩行ん 山犬のごとくに哭き駝鳥のごとくに啼ん 033 MIC 001 009 サマリヤの傷は醫すべからざる者にてすでにユダに至り我民の門エルサレムにまでおよべり 033 MIC 001 010 ガテに傳ふるなかれ 泣さけぶ勿れ ベテレアフラにて我塵の中に輾びたり 033 MIC 001 011 サピルに住る者よ 汝ら裸になり辱を蒙りて進みゆけ ザアナンに住る者は敢て出ず ベテエゼルのの哀哭によりて汝らは立處を得ず 033 MIC 001 012 マロテに住る者は己の幸福につきて思ひなやむ 其は災禍ヱホバより出てエルサレムの門に臨めばなり 033 MIC 001 013 ラキシに住る者よ馬に車をつなげ ラキシはシオンの女の罪の根本なり イスラエルの愆は汝の中に見ゆ 033 MIC 001 014 この故に汝モレセテガテに離別の饋物を與へよ アクジブの家々はイスラエルの王等におけること人を欺く溪川のごとくなるべし 033 MIC 001 015 マレシヤにすめる者よ 我また汝の地を獲べき者を汝に携へ往べし イスラエルの榮光アドラムに往ん 033 MIC 001 016 汝その悦ぶところの子等の故によりて汝の髪を剃おろせ 汝の首の剃し處を大きくして鷲のごとくにせよ 其は彼等擄へられて汝を離るればなり 033 MIC 002 001 その牀にありて不義を圖り惡事を工夫る者等には禍あるべし 彼らはその手に力あるが故に天亮におよべばこれを行ふ 033 MIC 002 002 彼らは田圃を貪りてこれを奪ひ家を貪りて是を取りまた人を虐げてその家を掠め人を虐げてその産業をかすむ 033 MIC 002 003 是故にヱホバかく言たまふ 視よ我此族にむかひて災禍を降さんと謀る 汝らはその頸を是より脱すること能はじ また首をあげて歩くこと能はざるべし 其時は災禍の時なればなり 033 MIC 002 004 その日には人汝らにつきて詩を作り悲哀の歌をもて悲哀て言ん 事既にいたれり 我等は悉く滅さる 彼わが民の産業を人に與ふ 如何なれば我よりこれを離すや 我儕の田圃を違逆者に分ち與ふ 033 MIC 002 005 然ば汝らヱホバの會衆の中には籤によりて繩をうつ者一人も有じ 033 MIC 002 006 預言する勿れ 彼らは預言す 彼らは是等の者等にむかひて預言せじ 恥辱彼らを離れざるべし 033 MIC 002 007 汝ヤコブの家と稱へらるる者よ ヱホバの氣短からんや ヱホバの行爲是のごとくならんや 我言は品行正直者の益とならざらんや 033 MIC 002 008 然るに我民は近頃起りて敵となれり 汝らは夫の戰爭を避て心配なく過るところの者等に就てその衣服の外衣を奪ひ 033 MIC 002 009 我民の婦女をその悦ぶところの家より逐いだしその子等より我の妝飾を永く奪ふ 033 MIC 002 010 起て去れ 是は汝らの安息の地にあらず 是は已に汚れたれば必ず汝らを滅さん 其滅亡は劇かるべし 033 MIC 002 011 人もし風に歩み謊言を宣べ我葡萄酒と濃酒の事につきて汝に預言せんと言ことあらば其人はこの民の預言者とならん 033 MIC 002 012 ヤコブよ我かならず汝をことごとく集へ 必ずイスラエルの遺餘者を聚めん 而して我之を同一に置てボヅラの羊のごとく成しめん 彼らは人數衆きによりて牧塲の中なる群のごとくにその聲をたてん 033 MIC 002 013 打破者かれらに先だちて登り彼ら遂に門を打敗り之を通りて出ゆかん 彼らの王その前にたちて進みヱホバその首に立たまふべし 033 MIC 003 001 我言ふヤコブの首領よイスラエルの家の侯伯よ 汝ら聽け公義は汝らの知べきことに非ずや 033 MIC 003 002 汝らは善を惡み惡を好み民の身より皮を剥ぎ骨より肉を剔り 033 MIC 003 003 我民の肉を食ひその皮を剥ぎその骨を碎きこれを切きざみて鍋に入る物のごとくし鼎の中にいるる肉のごとくす 033 MIC 003 004 然ば彼時に彼らヱホバに呼はるともヱホバかれらに應へたまはじ 却てその時には面を彼らに隱したまはん 彼らの行惡ければなり 033 MIC 003 005 我民を惑す預言者は齒にて噛べき物を受る時は平安あらんと呼はれども何をもその口に與へざる者にむかひては戰門の準備をなす ヱホバ彼らにつきて斯いひたまふ 033 MIC 003 006 然ば汝らは夜に遭べし 復異象を得じ 黒暗に遭べし 復卜兆を得じ 日はその預言者の上をはなれて沒りその上は晝も暗かるべし 033 MIC 003 007 見者は愧を抱き卜者は面を赧らめ皆共にその唇を掩はん 神の垂應あらざればなり 033 MIC 003 008 然れども我はヱホバの御靈によりて能力身に滿ち公義および勇氣衷に滿ればヤコブにその愆を示しイスラエルにその罪を示すことを得 033 MIC 003 009 ヤコブの家の首領等およびイスラエルの家の牧伯等公義を惡み一切の正直事を曲る者よ汝ら之を聽け 033 MIC 003 010 彼らは血をもてシオンを建て不義をもてエルサレムを建つ 033 MIC 003 011 その首領等は賄賂をとりて審判をなしその祭司等は値錢を取て教晦をなす 又その預言者等は銀子を取て占卜を爲しヱホバに倚頼みて云ふヱホバわれらと偕に在すにあらずや 然ば災禍われらに降らじと 033 MIC 003 012 是によりてシオンは汝のゆゑに田圃となりて耕へされエルサレムは石堆となり宮の山は樹の生しげる高處とならん 033 MIC 004 001 末の日にいたりてヱホバの家の山諸の山の巓に立ち諸の嶺にこえて高く聳へ萬民河のごとく之に流れ歸せん 033 MIC 004 002 即ち衆多の民來りて言ん 去來我儕ヱホバの山に登りヤコブの神の家にゆかん ヱホバその道を我らに教へて我らにその路を歩ましめたまはん 律法はシオンより出でヱホバの言はエルサレムより出べければなり 033 MIC 004 003 彼衆多の民の間を鞫き強き國を規戒め遠き處にまでも然したまふべし 彼らはその劍を鋤に打かへその鎗を鎌に打かへん 國と國とは劍を擧て相攻めず また重て戰爭を習はじ 033 MIC 004 004 皆その葡萄の樹の下に坐しその無花果樹の下に居ん 之を懼れしむる者なかるべし 萬軍のヱホバの口之を言ふ 033 MIC 004 005 一切の民はみな各々その神の名によりて歩む 然れども我らはわれらの神ヱホバの名によりて永遠に歩まん 033 MIC 004 006 ヱホバ言たまふ 其日には我かの足蹇たる者を集へかの散されし者および我が苦しめし者を聚め 033 MIC 004 007 その足蹇たる者をもて遺餘民となし遠く逐やられたりし者をもて強き民となさん 而してヱホバ、シオンの山において今より永遠にこれが王とならん 033 MIC 004 008 羊樓シオンの女の山よ最初の權汝に歸らん 即ちエルサレムの女の國祚なんぢに歸るべし 033 MIC 004 009 汝なにとて喚叫ぶや 汝の中に王なきや 汝の議者絶果しや 汝は産婦の如くに痛苦を懷くなり 033 MIC 004 010 シオンの女よ産婦のごとく劬勞て産め 汝は今邑を出て野に宿りバビロンに往ざるを得ず 彼處にて汝救はれん ヱホバ汝を彼處にて汝の敵の手より贖ひ取り給ふべし 033 MIC 004 011 今許多の國民あつまりて汝におしよせて言ふ 願くはシオンの汚されんことを 我ら目にシオンを觀てなぐさまんと 033 MIC 004 012 然ながら彼らはヱホバの思念を知ずまたその御謀議を曉らず ヱホバ麥束を打塲にあつむるごとくに彼らを聚め給へり 033 MIC 004 013 シオンの女よ起てこなせ 我なんぢの角を鐵にし汝の蹄を銅にせん 汝許多の國民を打碎くべし 汝かれらの掠取物をヱホバに獻げ彼らの財産を全地の主に奉納べし 033 MIC 005 001 軍隊の女よ今なんぢ集りて隊をつくれ 敵われらを攻囲み杖をもてイスラエルの士師の頬を撃つ 033 MIC 005 002 ベテレヘム、エフラタ汝はユダの郡中にて小き者なり 然れどもイスラエルの君となる者汝の中より我ために出べし その出る事は古昔より永遠の日よりなり 033 MIC 005 003 是故に産婦の産おとすまで彼等を付しおきたまはん 然る後その遺れる兄弟イスラエルの子孫とともに歸るべし 033 MIC 005 004 彼はヱホバの力に由りその神ヱホバの名の威光によりて立てその群を牧ひ之をして安然に居しめん 今彼は大なる者となりて地の極にまでおよばん 033 MIC 005 005 彼は平和なり アッスリヤ人われらの國に入り我らの宮殿を踏あらさんとする時は我儕七人の牧者八人の人君を立てこれに當らん 033 MIC 005 006 彼ら劍をもてアッスリヤの地をほろぼしニムロデの地の邑々をほろぼさん アッスリヤの人我らの地に攻いり我らの境を踏あらす時には彼その手より我らを救はん 033 MIC 005 007 ヤコブの遺餘者は衆多の民の中に在こと人に頼ら世の人を俟ずしてヱホバより降る露の如く青草の上にふりしく雨の如くならん 033 MIC 005 008 ヤコブの遺餘者の國々にをり衆多の民の中にをる樣は林の獸の中に獅子の居るごとく羊の群の中に猛き獅子の居るごとくならん その過るときは踏みかつ裂ことをなす救ふ者なし 033 MIC 005 009 望らくは汝の手汝が諸の敵の上にあげられ汝がもろもろの仇ことごとく絶れんことを 033 MIC 005 010 ヱホバ言たまふ其日には我なんぢの馬を汝の中より絶ち汝の車を毀ち 033 MIC 005 011 汝の國の邑々を絶し汝の一切の城をことごとく圮さん 033 MIC 005 012 我また汝の手より魔術を絶ん 汝の中に卜筮師無にいたるべし 033 MIC 005 013 我なんぢの彫像および柱像を汝の中より絶ん 汝の手にて作れる者を汝重て拜むこと無るべし 033 MIC 005 014 我また汝のアシラ像を汝の中より抜たふし汝の邑々を滅さん 033 MIC 005 015 而して我忿怒と憤恨をもてその聽從はざる國民に仇を報いん 033 MIC 006 001 請ふ汝らヱホバの宣まふところを聽け 汝起あがりて山の前に辨爭へ 崗に汝の聲を聽しめよ 033 MIC 006 002 山々よ地の易ることなき基よ 汝らヱホバの辨爭を聽け ヱホバその民と辨爭を爲しイスラエルと論ぜん 033 MIC 006 003 我民よ我何を汝になししや 何において汝を疲労たるや 我にむかひて證せよ 033 MIC 006 004 我はエジプトの國より汝を導きのぼり奴隷の家より汝を贖ひいだしモーセ、アロンおよびミリアムを遣して汝に先だたしめたり 033 MIC 006 005 我民よ請ふモアブの王バラクが謀りし事およびベオルの子バラムがこれに應へし事を念ひシツテムよりギルガルにいたるまでの事等を念へ 然らば汝ヱホバの正義を知ん 033 MIC 006 006 我ヱホバの前に何をもちゆきて高き神を拜せん 燔祭の物および當歳の犢をもてその御前にいたるべきか 033 MIC 006 007 ヱホバ數千の牡羊萬流の油を悦びたまはんか 我愆のためにわが長子を獻げんか 我靈魂の罪のために我身の産を獻げんか 033 MIC 006 008 人よ彼さきに善事の何なるを汝に告たり ヱホバの汝に要めたまふ事は唯正義を行ひ憐憫を愛し謙遜りて汝の神とともに歩む事ならずや 033 MIC 006 009 ヱホバの聲邑にむかひて呼はる 智慧ある者はなんぢの名を仰がん 汝ら笞杖および之をおくらんと定めし者に聽け 033 MIC 006 010 惡人の家に猶惡財ありや 詛ふべき縮小たる升ありや 033 MIC 006 011 我もし正からざる權衡を用ひ袋に僞の碼子をいれおかば爭で潔からんや 033 MIC 006 012 その富る人は強暴にて充ち其居民は謊言を言ひその舌は口の中にて欺くことを爲す 033 MIC 006 013 是をもて我も汝を撃て重傷を負はせ汝の罪のために汝を滅す 033 MIC 006 014 汝は食ふとも飽ず腹はつねに空ならん 汝は移すともつひに拯ふことを得じ 汝が拯ひし者は我これを劍に付すべし 033 MIC 006 015 汝は種播とも刈ることあらず 橄欖を踐ともその油を身に抹ることあらず 葡萄を踐ともその酒を飮むことあらじ 033 MIC 006 016 汝らはオムリの法度を守りアハブの家の一切の行爲を行ひて彼等の謀計に遵ふ 是は我をして汝を荒さしめ且その居民を胡盧となさしめんが爲なり 汝らはわが民の恥辱を任べし 033 MIC 007 001 我は禍なるかな 我の景况は夏の菓物を採る時のごとく遺れる葡萄を斂むる時に似たり 食ふべき葡萄あること無く我が心に嗜む初結の無花果あること無し 033 MIC 007 002 善人地に絶ゆ 人の中に直き者なし 皆血を流さんと伏て伺ひ各々網をもてその兄弟を獵る 033 MIC 007 003 兩手は惡を善なすに急がし 牧伯は要求め裁判人は賄賂を取り力ある人はその心の惡き望を言あらはし斯共にその惡をあざなひ合す 033 MIC 007 004 彼らの最も善き者も荊棘のごとく最も直き者も刺ある樹の垣より惡し 汝の觀望人の日すなはち汝の刑罰の日いたる 彼らの中に今混亂あらん 033 MIC 007 005 汝ら伴侶を信ずる勿れ 朋友を恃むなかれ 汝の懐に寢る者にむかひても汝の口の戸を守れ 033 MIC 007 006 男子は父を藐視め女子は母の背き媳は姑に背かん 人の敵はその家の者なるべし 033 MIC 007 007 我はヱホバを仰ぎ望み我を救ふ神を望み俟つ 我神われに聽たまふべし 033 MIC 007 008 我敵人よ我につきて喜ぶなかれ 我仆るれば興あがる 幽暗に居ればヱホバ我の光となりたまふ 033 MIC 007 009 ヱホバわが訴訟を理し我ために審判をおこなひたまふまで我は忍びてその忿怒をかうむらん 其は我これに罪を得たればなり ヱホバつひに我を光明に携へいだし給はん 而して我ヱホバの正義を見ん 033 MIC 007 010 わが敵これを見ん 汝の神ヱホバは何處にをるやと我に言る者 恥辱をかうむらん 我かれを目に見るべし 彼は街衢の泥のごとくに踏つけらるべし 033 MIC 007 011 汝の垣を築く日いたらん 其日には法度遠く徙るべし 033 MIC 007 012 その日にはアッスリヤよりエジプトの邑々より人々汝に來りエジプトより河まで海より海まで山より山までの人々汝に來り就ん 033 MIC 007 013 その日地はその居民の故によりて荒はつべし 是その行爲の果報なり 033 MIC 007 014 汝の杖をもて汝の民即ち獨離れてカルメルの中の林にをる汝の産業の羊を牧養ひ之をして古昔の日のごとくバシヤンおよびギレアデにおいて草を食はしめたまへ 033 MIC 007 015 汝がエジプトの國より出來し日のごとく我ふしぎなる事等を彼にしめさん 033 MIC 007 016 國々の民見てその一切の能力を恥ぢその手を口にあてん その耳は聾となるべし 033 MIC 007 017 彼らは蛇のごとくに塵を餂め地に匍ふ者の如くにその城より振ひて出で戰慄て我らの神ヱホバに詣り汝のために懼れん 033 MIC 007 018 何の神か汝に如ん 汝は罪を赦しその産業の遺餘者の愆を見過したまふなり 神は憐憫を悦ぶが故にその震怒を永く保ちたまはず 033 MIC 007 019 ふたたび顧みて我らを憐み我らの愆を踏つけ我らの諸の罪を海の底に投しづめたまはん 033 MIC 007 020 汝古昔の日われらの先祖に誓ひたりしその眞實をヤコブに賜ひ憐憫をアブラハムに賜はん # # BOOK 034 NAH Nahum ナホム書 034 NAH 001 001 ニネベに關る重き預言 エルコシ人ナホムの異象の書 034 NAH 001 002 ヱホバは妬みかつ仇を報ゆる神 ヱホバは仇を報ゆる者また忿怒の主 ヱホバは己に逆らふ者に仇を報い己に敵する者にむかひて憤恨を含む者なり 034 NAH 001 003 ヱホバは怒ることの遲く能力の大なる者 また罰すべき者をば必ず赦すことを爲ざる者 ヱホバの道は旋風に在り 大風に在り 雲はその足の塵なり 034 NAH 001 004 彼海を指斥て之を乾かし河々をしてことごとく涸しむ バシヤン及びカルメルの草木は枯れレバノンの花は凋む 034 NAH 001 005 彼の前には山々ゆるぎ嶺々溶く 彼の前には地墳上り世界およびその中に住む者皆ふきあげらる 034 NAH 001 006 誰かその憤恨に當ることを得ん 誰かその燃る忿怒に堪ることを得ん 其震怒のそそぐこと火のごとし 巖も之がために裂く 034 NAH 001 007 ヱホバは善なる者にして患難の時の要害なり 彼は己に倚頼む者を善知たまふ 034 NAH 001 008 彼みなぎる洪水をもてその處を全く滅し己に敵する者を幽暗處に逐やりたまはん 034 NAH 001 009 汝らヱホバに對ひて何を謀るや 彼全く滅したまふべし 患難かさねて起らじ 034 NAH 001 010 彼等むすびからまれる荊棘のごとくなるとも酒に浸りをるとも乾ける藁のごとくに焚つくさるべし 034 NAH 001 011 ヱホバに對ひて惡事を謀る者一人汝の中より出て邪曲なる事を勸む 034 NAH 001 012 ヱホバかく言たまふ 彼等全くしてその數夥多しかるとも必ず芟たふされて皆絶ん 我前にはなんじを苦めたれども重て汝を苦めじ 034 NAH 001 013 いま我かれが汝に負せし軛を碎き汝の縛を切はなすべし 034 NAH 001 014 ヱホバ汝の事につきて命令を下す 汝の名を負ふ者再び播るること有じ 汝の神々の室より我雕像および鑄像を除き絶べし 我汝の墓を備へん 汝輕ければなり 034 NAH 001 015 嘉音信を傳ふる者の脚山の上に見ゆ 彼平安を宣ぶ ユダよ汝の節筵を行ひ汝の誓願を果せ 邪曲なる者重て汝の中を通らざるべし 彼は全く絶る 034 NAH 002 001 撃破者攻のぼりて汝の前に至る 汝城を守り路を窺ひ腰を強くし汝の力を大に強くせよ 034 NAH 002 002 ヱホバはヤコブの榮を舊に復してイスラエルの榮のごとくしたまふ 其は掠奪者これを掠めその葡萄蔓を壞ひたればなり 034 NAH 002 003 その勇士は楯を紅にしその軍兵は紅に身を甲ふ 其行伍を立つる時には戰車の鐵 灼燦て火のごとし 鎗また閃めきふるふ 034 NAH 002 004 戰車街衢に狂ひ奔り大路に推あふ 其形状火炬のごとく其疾く馳すること電光の如し 034 NAH 002 005 彼その將士を憶ひいだす 彼らはその途にて躓き仆れその石垣に奔ゆき大楯を備ふ 034 NAH 002 006 河々の門啓け宮消うせん 034 NAH 002 007 この事定まれり 彼は裸にせられて擄はれゆきその宮女胸を打て鴿のごとくに啼くべし 034 NAH 002 008 ニネベはその建し日より以來水の滿る池に似たりしがその民今は逃奔る 止れ止れと呼ども後を顧みる者なし 034 NAH 002 009 白銀を奪へよ 黄金を奪へよ その寳物限なく諸の貴とき噐用夥多し 034 NAH 002 010 滅亡たり 空虚なれり 荒果たり 心は消え膝は慄ひ腰には凡て劇しき痛あり 面はみな色を失ふ 034 NAH 002 011 獅子の穴は何處ぞや 少き獅子の物を食ふ處は何處ぞや 雄獅子雌獅子その小獅子とともに彼處に歩むに之を懼れしむる者なし 034 NAH 002 012 雄獅子は小獅子のために物を噛ころし雌獅子の爲に物をくびり殺しその掠獲たる物をもて穴に充しその裂殺しし物をもて住所に滿す 034 NAH 002 013 萬軍のヱホバ言たまふ 視よ我なんぢに臨む 我なんぢの戰車を焚て煙となすべし 汝の少き獅子はみな劍の殺す所とならん 我また汝の獲物を地より絶べし 汝の使者の聲かさねて聞ゆること無らん 034 NAH 003 001 禍なるかな血を流す邑 その中には全く詭譎および暴行充ち掠め取ること息まず 034 NAH 003 002 鞭の音あり輪の轟く音あり 馬は躍り跳ね車は輾り行く 034 NAH 003 003 騎兵馳のぼり劍きらめき鎗ひらめく 殺さるる者夥多しくして死屍山を爲し死骸限なし 皆死屍に躓きて倒る 034 NAH 003 004 是はかの魔術の主なる美しき妓女多く淫行を行ひその淫行をもて諸國を奪ひその魔術をもて諸族を惑したるに因てなり 034 NAH 003 005 萬軍のヱホバ言たまふ 視よ我なんぢに臨む 我なんぢの裳裾を掲げて面の上にまで及ぼし汝の陰所を諸民に見し汝の羞る所を諸國に見すべし 034 NAH 003 006 我また穢はしき物を汝の上に投かけて汝を辱しめ汝をして賽物とならしめん 034 NAH 003 007 凡て汝を見る者はみな汝を避て奔り去りニネベは亡びたりと言ん 誰か汝のために哀かんや 何處よりして我なんぢを弔ふ者を尋ね得んや 034 NAH 003 008 汝あにノアモンに愈らんや ノアモンは河々の間に立ち水をその周圍に環らし海をもて壕となし海をもて垣となせり 034 NAH 003 009 かつその勢力たる者はエテオピア人およびエジプト人などにして限あらず フテ人ルビ人等汝を助けたりき 034 NAH 003 010 然るに是も俘囚となりて擄はれてゆきその子女は一切の衢の隅々にて投付られて碎け又その尊貴者は籤にて分たれ其大なる者はみな鏈に繋がれたり 034 NAH 003 011 汝もまた酔せられて終に隱れん 汝もまた敵を避て逃るる處を尋ね求めん 034 NAH 003 012 汝の城々はみな初に結びし果のなれる無花果樹のごとし 之を撼がせばその果落て食はんとする者の口にいる 034 NAH 003 013 汝の中にある民は婦人のごとし 汝の地の門はみな汝の敵の前に廣く開きてあり 火なんぢの關を焚ん 034 NAH 003 014 汝水を汲て圍まるる時の用に備へ汝の城々を堅くし泥の中に入て踐て石灰を作りかつ瓦焼窰を修理へよ 034 NAH 003 015 其處にて火汝を焼き劍なんぢを斬らん 其なんぢを滅すこと吸蝗のごとくなるべし 汝吸蝗のごとく數多からば多かれ 汝群蝗のごとく數多からば多かれ 034 NAH 003 016 汝はおのれの商賣を空の星よりも多くせり 吸蝗掠めて飛さる 034 NAH 003 017 汝の重臣は群蝗のごとく汝の軍長は蝗の群のごとし 寒き日には垣に巣窟を構へ日出きたれば飛て去る その在る處を知る者なし 034 NAH 003 018 アッスリヤの王よ汝の牧者は睡り汝の貴族は臥す 又なんぢの民は山々に散さる 之を聚むる者なし 034 NAH 003 019 汝の傷は愈ること無し 汝の創は重し 汝の事を聞およぶ者はみな汝の故によりて手を拍ん 誰か汝の惡行を恒に身に受ざる者やある # # BOOK 035 HAB Habakkuk ハバクク書 035 HAB 001 001 預言者ハバククが示を蒙りし預言の重負 035 HAB 001 002 ヱホバよ我呼はるに汝の民に聽たまはざること何時までぞや 我なんぢにむかひて強暴を訴ふれども汝は助けたまはざるなり 035 HAB 001 003 汝なにとて我に害惡を見せたまふや 何とて艱難を瞻望居たまふや 奪掠および強暴わが前に行はる且爭論あり鬪諍おこる 035 HAB 001 004 是によりて律法弛み公義正しく行はれず惡き者義しき者を圍むが故に公義曲りて行はる 035 HAB 001 005 汝ら國々の民の中を望み觀駭け 汝らの日に我一の事を爲ん 之を告る者あるとも汝ら信ぜざらん 035 HAB 001 006 視よ我カルデヤカ人を興さんとす 是すなはち猛くまた荒き國民にして地を縦横に行めぐり 己の有ならざる住處を奪ふ者なり 035 HAB 001 007 是は懼るべく又驚くべし 其是非威光は己より出づ 035 HAB 001 008 その馬は豹よりも迅く夜求食する豺狼よりも疾し 其騎兵は跑まはる 即ちその騎兵は遠き處より來る 其飛ことは物を食はんと急ぐ鷲のごとし 035 HAB 001 009 是は全く強暴のために來り 其面を前にむけて頻に進むその俘虜を寄集むることは砂のごとし 035 HAB 001 010 是は王等を侮り君等を笑ひ諸の城々を笑ひ土を積あげてこれを取ん 035 HAB 001 011 斯て風のごとくに行めぐり進みわたりて罪を獲ん 是は己の力を神とす 035 HAB 001 012 ヱホバわが神わが聖者よ 汝は永遠より在すに非ずや 我らは死なじ ヱホバよ汝は是を審判のために設けたまへり 磐よ汝は是を懲戒のために立たまへり 035 HAB 001 013 汝は目清くして肯て惡を觀給はざる者 肯て不義を視たまはざる者なるに何ゆゑ邪曲の者を觀すて置たまふや 惡き者を己にまさりて義しき者を呑噬ふに何ゆゑ汝黙し居たまふや 035 HAB 001 014 汝は人をして海の魚のごとくならしめ君あらぬ昆蟲のごとくならしめたまふ 035 HAB 001 015 彼鈎をもて之を盡く釣あげ網をもて之を寄せ集め引網をもて之を捕ふるなり 是に因て彼歡び樂しむ 035 HAB 001 016 是故に彼その網に犠牲を獻げその引網に香を焚く 其は之がためにその分肥まさりその食饒になりたればなり 035 HAB 001 017 然ど彼はその網を傾けつつなほたえず國々の人を惜みなく殺すことをするならんか 035 HAB 002 001 我わが觀望所に立ち戍樓に身を置ん 而して我候ひ望みて其われに何と宣まふかを見 わが訴言に我みづから何と答ふべきかを見ん 035 HAB 002 002 ヱホバわれに答へて言たまはく 此黙示を書しるして之を板の上に明白に鐫つけ奔りながらも之を讀むべからしめよ 035 HAB 002 003 この黙示はなほ定まれる時を俟てその終を急ぐなり 僞ならず 若し遲くあらば待べし 必ず臨むべし 濡滯りはせじ 035 HAB 002 004 視よ彼の心は高ぶりその中にありて直からず 然ど義き者はその信仰によりて活べし 035 HAB 002 005 かの酒に耽る者は邪曲なる者なり 驕傲者にして安んぜず彼はその情慾を陰府のごとくに濶くす また彼は死のごとし 又足ことを知ず 萬國を集へて己に歸せしめ萬民を聚めて己に就しむ 035 HAB 002 006 其等の民みな諺語をもて彼を評し嘲弄の詩歌をもて彼を諷せざらんや 即ち言ん己に屬せざる物を積累ぬる者は禍なるかな 斯て何の時にまでおよばんや 嗟かの質物の重荷を身に負ふ者よ 035 HAB 002 007 汝を噬む者にはかに興らざらんや 汝を惱ます者醒出ざらんや 汝は之に掠めらるべし 035 HAB 002 008 汝衆多の國民を掠めしに因てその諸の民の遺れる者なんぢを掠めん 是人の血を流ししに因る また強暴を地上に行ひて邑とその内に住る一切の者とに及ぼせしに因るなり 035 HAB 002 009 災禍の手を免れんが爲に高き處に巣を構へんとして己の家に不義の利を取る者は禍なるかな 035 HAB 002 010 汝は事を圖りて己の家に恥辱を來らせ衆多の民を滅して自ら罪を取れり 035 HAB 002 011 石垣の石叫び建物の梁これに應へん 035 HAB 002 012 血をもて邑を建て惡をもて城を築く者は禍なるかな 035 HAB 002 013 諸の民は火のために勞し諸の國人は虚空事のために疲る 是は萬軍のヱホバより出る者ならずや 035 HAB 002 014 ヱホバの榮光を認むるの知識地上に充て宛然海を水の掩ふが如くならん 035 HAB 002 015 人に酒を飮せ己の忿怒を酌和へて之を酔せ而して之が陰所を見んとする者は禍なるかな 035 HAB 002 016 汝は榮譽に飽ずして羞辱に飽り 汝もまた飮て汝の不割禮を露はせ ヱホバの右の手の杯汝に巡り來るべし 汝は汚なき物を吐て榮耀を掩はん 035 HAB 002 017 汝がレバノンに爲たる強暴と獣を懼れしめしその殲滅とは汝の上に報いきたるべし 是人の血を流ししに因りまた強暴を地上に行ひて邑とその内に住る一切の者とに及ぼししに因るなり 035 HAB 002 018 雕像はその作者これを刻みたりとて何の益あらんや 又鑄像および僞師は語はぬ偶像なればその像の作者これを作りて頼むとも何の益あらんや 035 HAB 002 019 木にむかひて興ませと言ひ 語はぬ石にむかひて起たまへと言ふ者は禍なるかな 是あに教晦を爲んや 視よ是は金銀に着せたる者にてその中には全く氣息なし 035 HAB 002 020 然りといへどもヱホバはその聖殿に在ますぞかし 全地その御前に黙すべし 035 HAB 003 001 シギヨノテに合せて歌へる預言者ハバククの祈禱 035 HAB 003 002 ヱホバよ我なんぢの宣ふ所を聞て懼る ヱホバよこの諸の年の中間に汝の運動を活齑かせたまへ 此諸の年の間に之を顯現したまへ 怒る時にも憐憫を忘れ給はざれ 035 HAB 003 003 神テマンより來り聖者パラン山より臨みたまふ (セラ) 其榮光諸天を蔽ひ其讃美世界に徧ねし 035 HAB 003 004 その朗耀は日のごとく光線その手より出づ 彼處はその權能の隱るる所なり 035 HAB 003 005 疫病その前に先だち行き熱病その足下より出づ 035 HAB 003 006 彼立て地を震はせ觀まはして萬國を戰慄しめたまふ 永久の山は崩れ常磐の岡は陷る 彼の行ひたまふ道は永久なり 035 HAB 003 007 我觀るにクシヤンの天幕は艱難に罹りミデアンの地の幃幕は震ふ 035 HAB 003 008 ヱホバよ汝は馬を驅り汝の拯救の車に乗りたまふ 是河にむかひて怒りたまふなるか 河にむかひて汝の忿怒を發したまふなるか 海にむかひて汝の憤恨を洩し給ふなるか 035 HAB 003 009 汝の弓は全く嚢を出で杖は言をもて言かためらる (セラ) 汝は地を裂て河となし給ふ 035 HAB 003 010 山々汝を見て震ひ洪水溢れわたり淵聲を出してその手を高く擧ぐ 035 HAB 003 011 汝の奔る矢の光のため汝の鎗の電光のごとき閃燦のために日月その住處に立とどまる 035 HAB 003 012 汝は憤ほりて地を行めぐり 怒りて國民を踏つけ給ふ 035 HAB 003 013 汝は汝の民を救んとて出きたり 汝の膏沃げる者を救はんとて臨みたまふ 汝は惡き者の家の頭を碎きその石礎を露はして頸におよぼし給へり (セラ) 035 HAB 003 014 汝は彼の鎗をもてその將帥の首を刺とほし給ふ 彼らは我を散さんとて大風のごとくに進みきたる 彼らは貧き者を密に呑ほろぼす事をもてその樂とす 035 HAB 003 015 汝は汝の馬をもて海を乗とほり大水の逆卷ところを渉りたまふ 035 HAB 003 016 我聞て膓を斷つ 我唇その聲によりて震ふ 腐朽わが骨に入り我下體わななく 其は我患難の日の來るを待ばなり 其時には即ち此民に攻寄る者ありて之に押逼らん 035 HAB 003 017 その時には無花果の樹は花咲ず葡萄の樹には果ならず 橄欖の樹の産は空くなり 田圃は食糧を出さず圏には羊絶え小屋には牛なかるべし 035 HAB 003 018 然ながら我はヱホバによりて樂み わが拯救の神によりて喜ばん 035 HAB 003 019 主ヱホバは我力にして我足を鹿の如くならしめ 我をして我高き處を歩ましめ給ふ 伶長これを我琴にあはすべし # # BOOK 036 ZEP Zephaniah ゼパニヤ書 036 ZEP 001 001 アモンの子ユダの王ヨシヤの世にゼパニヤに臨めるヱホバの言 ゼパニヤはクシの子 クシはゲダリアの子 ゲダリアはアマリヤの子 アマリヤはヒゼキヤの子なり 036 ZEP 001 002 ヱホバ言たまふ われ地の面よりすべての物をはらひのぞかん 036 ZEP 001 003 われ人と獣畜をほろぼし空の鳥 海の魚および躓礙になる者と惡人とを滅さん 我かならず地の面より人をほろぼし絶ん ヱホバこれを言ふ 036 ZEP 001 004 我ユダとエルサレムの一切の居民との上に手を伸ん 我 この處よりかの漏のこれるバアルを絶ちケマリムの名を祭司と與に絶ち 036 ZEP 001 005 また屋上にて天の衆軍を拜む者ヱホバに誓を立てて拜みながらも亦おのれの王を指て誓ふことをする者 036 ZEP 001 006 ヱホバに悖り離るる者ヱホバを求めず尋ねざる者を絶ん 036 ZEP 001 007 汝 主ヱホバの前に黙せよ そはヱホバの日近づきヱホバすでに犠牲を備へその招くべき者をさだめ給ひたればなり 036 ZEP 001 008 ヱホバの犠牲の日に我もろもろの牧伯と王の子等および凡て異邦の衣服を着る者を罰すべし 036 ZEP 001 009 その日には我また凡て閾をとびこえ強暴と詭譎をもて獲たる物をおのが主の家に滿す者等を罰せん 036 ZEP 001 010 ヱホバ曰たまはく その日には魚の門より號呼の聲おこり下邑より喚く聲おこり山々より大なる敗壞おこらん 036 ZEP 001 011 マクテシの民よ汝ら叫べ 其は商賣する民 悉くほろび銀を擔ふ者 悉く絶たればなり 036 ZEP 001 012 その時はわれ燈をもちてエルサレムの中を尋ねん 而して滓の上に居着て心の中にヱホバは福をもなさず災をもなさずといふものを罰すべし 036 ZEP 001 013 かれらの財寳は掠められ彼らの家は荒果てん かれら家を造るともその中に住ことを得ず 葡萄を植るともその葡萄酒を飮ことを得ざるべし 036 ZEP 001 014 ヱホバの大なる日近づけり 近づきて速かに來る 聽よ是ヱホバの日なるぞ 彼處に勇士のいたく叫ぶあり 036 ZEP 001 015 その日は忿怒の日 患難および痛苦の日 荒かつ亡ぶるの日 黒暗またをぐらき日 濃き雲および黒雲の日 036 ZEP 001 016 箛をふき鯨聲をつくり堅き城を攻め高き櫓を攻るの日なり 036 ZEP 001 017 われ人々に患難を蒙らせて盲者のごとくに惑ひあるかしめん 彼らヱホバにむかひて罪を犯したればなり 彼らの血は流されて塵のごとくになり彼らの肉は捨られて糞土のごとくなるべし 036 ZEP 001 018 かれらの銀も金もヱホバの烈き怒の日には彼らを救ふことあたはず 全地その嫉妬の火に呑るべし 即ちヱホバ地の民をことごとく滅したまはん 其事まことに速なるべし 036 ZEP 002 001 汝等羞恥を知ぬ民早く自ら内に省みよ 036 ZEP 002 002 夫日は糠粃の如く過ぎさる 然ば詔言のいまだ行はれざる先ヱホバの烈き怒のいまだ汝等に臨まざる先ヱホバの忿怒の日のいまだ汝等にきたらざるさきに自ら省みるべし 036 ZEP 002 003 すべてヱホバの律法を行ふ斯地の遜るものよ 汝等ヱホバを求め公義を求め謙遜を求めよ 然すれば汝等ヱホバの忿怒の日に或は匿さるることあらん 036 ZEP 002 004 夫ガザは棄られアシケロンは荒はてアシドドは白晝に逐はらはれエクロンは抜さらるべし 036 ZEP 002 005 海邊に住る者およびケレテの國民は禍なるかな ベリシテ人の國カナンよ ヱホバの言なんぢらを攻む 我なんぢを滅して住者なきに至らしむべし 036 ZEP 002 006 海邊は必ず牧塲となり牧者の洞および羊の牢そこに在ん 036 ZEP 002 007 此地はユダの家の殘餘れる者に歸せん 彼ら其處にて草飼ひ暮に至ればアシケロンの家に臥ん そは彼らの神ヱホバかれらを顧みその俘囚を歸したまふべければなり 036 ZEP 002 008 我すでにモアブの嘲弄とアンモンの子孫の罵言を聞けり 彼らはわが民を嘲り自ら誇りて之が境界を侵せしなり 036 ZEP 002 009 是故に萬軍のヱホバ、イスラエルの神 言たまふ 我は活く 必ずモアブはソドムのごとくになりアンモンの子孫はゴモラのごとくにならん 是は共に蕁麻の蔓延る處となり鹽坑の地となりて長久に荒はつべし 我民の遺れる者かれらを掠めわが國民の餘されたる者かれらを獲ん 036 ZEP 002 010 この事の彼らに臨むはその傲慢による 即ち彼ら萬軍のヱホバの民を嘲りて自ら誇りたればなり 036 ZEP 002 011 ヱホバは彼等に對ひては畏ろしくましまし地の諸の神や饑し滅したまふなり 諸の國の民おのおのその處より出てヱホバを拜まん 036 ZEP 002 012 エテオピア人よ汝等もまたわが劍にかかりて殺さる 036 ZEP 002 013 ヱホバ北に手を伸てアッスリヤを滅したまはん 亦ニネベを荒して荒野のごとき旱地となしたまはん 036 ZEP 002 014 而して畜の群もろもろの類の生物その中に伏し鸅鸕および刺猬其柱の頂に住み囀る者の聲 窓の内にきこえ荒落たる物 閾の上に積り香柏の板の細工 露顯になるべし 036 ZEP 002 015 是邑は驕り傲ぶりて安泰に立をり 唯我あり 我の外には誰もなしと心の中に言つつありし者なるが斯も荒はてて畜獣の臥す處となる者かな 此を過る者はみな嘶きて手をふるはん 036 ZEP 003 001 此暴虐を行ふ悖りかつ汚れたる邑は禍なるかな 036 ZEP 003 002 是は聲を聽いれず教晦を承ずヱホバに依頼まずおのれの神に近よらず 036 ZEP 003 003 その中にをる牧伯等は吼る獅子の如くその審士は明旦までに何をも遺さざる 夜求食する狼のごとし 036 ZEP 003 004 その預言者は傲りかつ詐る人なり その祭司は聖物を汚し律法を破ることをなせり 036 ZEP 003 005 その中にいますヱホバは義くして不義を行なひたまはず朝な朝な己の公義を顯して缺ることなし 然るに不義なる者は恥を知ず 036 ZEP 003 006 我國々の民を滅したればその櫓は凡て荒たり 我これが街を荒凉れしめたれば往來する者なし その邑々は滅びて人なく住む者なきに至れり 036 ZEP 003 007 われ前に言り 汝ただ我を畏れまた警教を受べし 然らばその住家は我が凡て之につきて定めたる所の如くに滅されざるべしと 然るに彼等は夙に起て己の一切の行状を壞れり 036 ZEP 003 008 ヱホバ曰たまふ 是ゆゑに汝らわが起て獲物をする日いたるまで我を俟て 我もろもろの民を集へ諸の國を聚めてわが憤恨とわが烈き忿怒を盡くその上にそそがんと思ひ定む 全地はわが嫉妬の火に焼ほろぼさるべし 036 ZEP 003 009 その時われ國々の民に清き唇をあたへ彼らをして凡てヱホバの名を呼しめ心をあはせて之につかへしめん 036 ZEP 003 010 わが散せし者等の女即ち我を拜む者エテオピアの河々の彼旁よりもきたりて我に禮ものをささぐべし 036 ZEP 003 011 その日には汝われに對てをかしきたりし諸の行爲をもて羞を得ことなかるべし その時には我なんぢの中より高ぶり樂む者等を除けば汝かさねてわが聖山にて傲り高ぶることなければなり 036 ZEP 003 012 われ柔和にして貧き民をなんぢの中にのこさん 彼らはヱホバの名に依頼むべし 036 ZEP 003 013 イスラエルの遺れる者は惡を行はず 謊をいはず その口のうちには詐僞の舌なし 彼らは草食ひ臥やすまん 之を懼れしむる者なかるべし 036 ZEP 003 014 シオンの女よ歡喜の聲を擧よ イスラエルよ樂み呼はれ エルサレムの女よ心のかぎり喜び樂め 036 ZEP 003 015 ヱホバすでに汝の鞫を止め汝の敵を逐はらひたまへり イスラエルの王ヱホバ汝の中にいます 汝はかさねて災禍にあふことあらじ 036 ZEP 003 016 その日にはエルサレムに向ひて言あらん 懼るるなかれ シオンよ 汝の手をしなえ垂るるなかれと 036 ZEP 003 017 なんぢの神ヱホバなんぢの中にいます 彼は拯救を施す勇士なり 彼なんぢのために喜び樂み愛の餘りに黙し汝のために喜びて呼はりたまふ 036 ZEP 003 018 われ節會のことにつきて憂ふるものを集めん 彼等は汝より出し者なり 恥辱かれらに蒙ること重負のごとし 036 ZEP 003 019 視よその時われ汝を虐遇る者を盡く處置し足蹇たるものを救ひ逐はなたれたる者を集め彼らをして其羞辱を蒙りし一切の國にて稱譽を得させ名を得さすべし 036 ZEP 003 020 その時われ汝らを携へその時われ汝らを集むべし 我なんぢらの目の前において汝らの俘囚をかへし汝らをして地上の萬國に名を得させ稱譽を得さすべし ヱホバこれを言ふ # # BOOK 037 HAG Haggai ハガイ書 037 HAG 001 001 ダリヨス王の二年六月其月の一日にヱホバの言預言者ハガイによりてシヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルおよびヨザダクの子 祭司の長ヨシユアに臨めりいはく 037 HAG 001 002 萬軍のヱホバかくいひたまふ是民はヱホバの殿を建べき時期未だ來らずといへり 037 HAG 001 003 ヱホバの言また預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 001 004 此殿かく毀壞をれば汝等板をもてはれる家に居るべき時ならんや 037 HAG 001 005 されば今萬軍のヱホバかく曰たまふ 汝等おのれの行爲を省察べし 037 HAG 001 006 汝らは多く播ども収入るるところは少く食へども飽ことを得ず 飮ども滿足ことを得ず 衣れども暖きことを得ず 又工價を得るものは之を破れたる袋に入る 037 HAG 001 007 萬軍のヱホバまた曰たまふ 汝等おのれの行爲を省察べし 037 HAG 001 008 山に上り木を携へ來て殿を建てよ さすれば我これを悦び又榮光を受ん ヱホバこれを言ふ 037 HAG 001 009 なんぢら多く得んと望みたりしに反て少かりき 又汝等これを家に携へ歸りしとき我これを吹はらへり 萬軍のヱホバいひたまふ 是何故ぞや 是は我が殿破壞をるに汝等おのおの己の室に走り至ればなり 037 HAG 001 010 この故になんぢらの上の天は雨露を止め地はその産物を止めたり 037 HAG 001 011 且われ地にも山にも穀物にも新酒にも油にも地の生ずる物にも人にも家畜にも手のもろもろの工にもすべて毀壞を召きかうむらしめたり 037 HAG 001 012 シヤルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子祭司の長ヨシユアおよびその殘れるすべての民ともに其神ヱホバの聲と預言者ハガイの言に聽したがへり 是は其神ヱホバかれを遣したまひしに因る 民みなヱホバの前に敬畏たり 037 HAG 001 013 時にヱホバの使者ハガイ、エホバの命により民に告て曰けるは我なんぢらと偕に在りとヱホバ曰たまふと 037 HAG 001 014 エホバ、シヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルの心とヨザダクの子 祭司の長ヨシユアの心およびその殘れるすべての民の心をふりおこしたまひければ彼等來りて其神萬軍のヱホバの殿にて工作を爲り 037 HAG 001 015 これダリヨス王の二年六月二十四日なりき 037 HAG 002 001 七月其月の二十一日ヱホバの言預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 002 002 シヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルとヨザダクの子祭司の長ヨシユアおよびその殘れる一切の民に告よ 037 HAG 002 003 なんぢら遺れる者の中この殿の從前の榮光を見しものは誰ぞや 今これを如何に見るや かの殿にくらぶれば是は汝らの目に何もなきが如く見ゆるにあらずや 037 HAG 002 004 ヱホバ曰たまふゼルバベルよ自ら強くせよ ヨザダクの子祭司の長ヨシユアよ自ら強くせよ ヱホバ言たまふ この地の民よ自らつよくしてはたらけ 我なんぢらとともに在り 萬軍のヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 005 汝らがエジプトよりいでし時わがなんぢらに約せし言およびわが靈なほなんぢらの中に留れり 懼るるなかれ 037 HAG 002 006 萬軍のヱホバかくいひたまふ いま一度しばらくありてわれ天と地と海と陸とを震動はん 037 HAG 002 007 又われ萬國を震動はん また萬國の願ふところのもの來らん 又われ榮光をもてこの殿に充滿さん 萬軍のヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 008 銀も我ものなり 金もわが物なりと萬軍のヱホバいひたまふ 037 HAG 002 009 この殿の後の榮光は從前の榮光より大ならんと萬軍のヱホバいひたまふ この處においてわれ平康をあたへんと萬軍のヱホバいひたまふ 037 HAG 002 010 ダリヨスの二年九月二十四日ヱホバのことば預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 002 011 萬軍のヱホバかく曰たまふ 律法につきて祭司に問ふて曰ふべし 037 HAG 002 012 人衣の裾にて聖肉を携へたらんにその裾もしパン或は羮あるひは酒あるひは油あるひは他の食物に捫らばそれらは聖ものとなるや 祭司たち答へて曰けるはしからず 037 HAG 002 013 ハガイまたいひけるは屍體に捫りて汚れしもの若これらの物にさはらば其ものはけがるべきや 祭司等こたへて曰けるは汚れん 037 HAG 002 014 ここに於てハガイ答へて曰けるはヱホバ曰たまふ 我前此民もかくの如くまた此國もかくの如し 又其手の一切のわざもかくのごとく彼等がその處に獻ぐるものもけがれたるものなり 037 HAG 002 015 また今われ汝らに乞 この日より以前すなはちヱホバの殿にて石の上に石の置れざりし時を憶念べし 037 HAG 002 016 かの時には二十舛もあるべき麥束につきてわづかに十を得 また酒榨につきて五十桶汲んとせしにただ二十を得たるのみ 037 HAG 002 017 汝が手をもて爲せる一切の事に於てわれ不實穗と朽腐穗と雹を以てなんぢらを撃り されど汝ら我にかへらざりき ヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 018 なんぢらこの日より以前を憶念みよ 即ち九月二十四日よりヱホバの殿の基を置し日までをおもひ見よ 037 HAG 002 019 種子なほ倉にあるや 葡萄の樹 無花果の樹 石榴の樹 橄欖の樹もいまだ實を結ばざりき 此日よりのちわれ汝らを惠まん 037 HAG 002 020 此月の二十四日にヱホバのことば再びハガイに臨めり曰く 037 HAG 002 021 ユダの方伯ゼルバベルに告よ われ天地を震動ん 037 HAG 002 022 列國の位を倒さん また異邦の諸國の權勢を滅さん 又車および之に駕る者を倒さん 馬および之に騎る者もおのおの其伴侶の劍によりてたふれん 037 HAG 002 023 萬軍のヱホバ曰たまはくシヤルテルの子わが僕ゼルバベルよヱホバいふその日に我なんぢを取りなんぢを印の如くにせん そはわれ汝をえらびたればなり 萬軍のヱホバこれを言ふ # # BOOK 038 ZEC Zechariah ゼカリヤ書 038 ZEC 001 001 ダリヨスの二年八月のヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 001 002 ヱホバいたく汝らの父等を怒りたまへり 038 ZEC 001 003 萬軍のヱホバかく言ふと汝かれらに告よ萬軍のヱホバ言ふ汝ら我に歸れ萬軍のヱホバいふ我も汝らに歸らん 038 ZEC 001 004 汝らの父等のごとくならざれ前の預言者等かれらに向ひて呼はりて言り萬軍のヱホバかく言たまふ請ふ汝らその惡き道を離れその惡き行を棄てて歸れと然るに彼等は聽ず耳を我に傾けざりきヱホバこれを言ふ 038 ZEC 001 005 汝らの父等は何處にありや預言者たち永遠に生んや 038 ZEC 001 006 然ながら我僕なる預言者等に我が命じたる吾言とわが法度とは汝らの父等に追及たるに非ずや然ゆゑに彼らかへりて言り萬軍のヱホバ我らの道に循ひ我らの行に循ひて我らに爲んと思ひたまひし事を我らに爲たまへりと 038 ZEC 001 007 ダリヨスの二年十一月すなはちセバテといふ月の二十四日にヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 001 008 我夜觀しに一箇の人赤馬に乗て谷の裏なる鳥拈樹の中に立ちその後に赤馬 駁馬 白馬をる 038 ZEC 001 009 我わが主よ是等は何ぞやと問ひけるに我と語ふ天の使われにむかひて是等の何なるをわれ汝に示さんと言り 038 ZEC 001 010 鳥拈樹の中に立る人答へて言けるは是等は地上を遍く歩かしめんとてヱホバの遣したまひし者なりと 038 ZEC 001 011 彼ら答へて鳥拈樹の中に立るヱホバの使に言けるは我ら地上を行めぐり觀しに全地は穏にして安し 038 ZEC 001 012 ヱホバの使こたへて言ふ萬軍のヱホバよ汝いつまでヱルサレムとユダの邑々を恤みたまはざるか汝はこれを怒りたまひてすでに七十年になりぬと 038 ZEC 001 013 ヱホバ我と語ふ天の使に嘉事慰事をもて答へたまへり 038 ZEC 001 014 かくて我と語ふ天の使我に言けるは汝呼はりて言へ萬軍のヱホバかく言はまふ我ヱルサレムのためシオンのために甚だしく心を熱して嫉妬おもひ 038 ZEC 001 015 安居せる國々の民を太く怒る其は我すこしく怒りしに彼ら力を出して之に害を加へたればなり 038 ZEC 001 016 ヱホバかく言ふ是故に我憐憫をもてヱルサレムに歸る萬軍のヱホバのたまふ我室その中に建てられ量繩ヱルサレムに張られん 038 ZEC 001 017 汝また呼はりて言へ萬軍のヱホバかく宣ふ我邑々には再び嘉物あふれんヱホバふたたびシオンを慰め再びヱルサレムを簡びたまふべしと 038 ZEC 001 018 かくて我目を擧て觀しに四の角ありければ 038 ZEC 001 019 我に語ふ天の使に是等は何なるやと問しに彼われに答へけるは是等はユダ、イスラエルおよびヱルサレムを散したる角なりと 038 ZEC 001 020 時にヱホバ四箇の鍛冶を我に見し給へり 038 ZEC 001 021 我是等は何を爲んとて來れるや問しに斯こたへ給へり是等の角はユダを散して人にその頭を擧しめざりし者なるが今この四箇の者來りて之を威しかのユダの地にむかひて角を擧て之を散せし諸國の角を擲たんとす 038 ZEC 002 001 茲に我目を擧て觀しに一箇の人量繩を手に執居ければ 038 ZEC 002 002 汝は何處へ往くやと問しにヱルサレムを量りてその廣と長の幾何なるを觀んとすと我に答ふ 038 ZEC 002 003 時に我に語ふ天の使出行たりしが又一箇の天の使出きたりて之に會ひ 038 ZEC 002 004 之に言けるは走ゆきてこの少き人に告て言へヱルサレムはその中に人と畜と饒なるによりて野原のごとくに廣く亘るべし 038 ZEC 002 005 ヱホバ言たまふ我その四周にて火の垣となりその中にて榮光とならん 038 ZEC 002 006 ヱホバいひたまふ來れ來れ北の地より逃きたれ我なんぢらを四方の天風のごとくに行わたらしむればなりヱホバこれを言ふ 038 ZEC 002 007 來れバビロンの女子とともに居るシオンよ遁れ來れ 038 ZEC 002 008 萬軍のヱホバかく言たまふヱホバ汝等を擄へゆきし國々へ榮光のために我儕を遣したまふ汝らを打つ者は彼の目の珠を打なればなり 038 ZEC 002 009 即ち我手をかれらの上に搖ん彼らは己に事へし者の俘虜となるべし汝らは萬軍のヱホバの我を遣したまへるなるを知ん 038 ZEC 002 010 ヱホバ言たまふシオンの女子よ喜び樂め我きたりて汝の中に住ばなり 038 ZEC 002 011 その日には許多の民ヱホバに附て我民とならん我なんぢの中に住べし汝は萬軍のヱホバの我を遣したまへるなるを知ん 038 ZEC 002 012 ヱホバ聖地の中にてユダを取て己の分となし再びヱルサレムを簡びたまふべし 038 ZEC 002 013 ヱホバ起てその聖住所よりいでたまへば凡そ血肉ある者ヱホバの前に粛然たれ 038 ZEC 003 001 彼祭司の長ヨシユアがヱホバの使の前に立ちサタンのその右に立てこれに敵しをるを我に見す 038 ZEC 003 002 ヱホバ、サタンに言たまひけるはサタンよヱホバ汝をせむべし即ちヱルサレムを簡びしヱホバ汝をいましむ是は火の中より取いだしたる燃柴ならずやと 038 ZEC 003 003 ヨシユア汚なき衣服を衣て使の前に立をりしが 038 ZEC 003 004 ヱホバ己の前に立る者等に告て汚なき衣服を之に脱せよと宣ひまたヨシユアに向ひて觀よ我なんぢの罪を汝の身より取のぞけり汝に美服を衣すべしと宣へり 038 ZEC 003 005 我また潔き冠冕をその首に冠らせよと言り是において潔き冠冕をその首に冠らせ衣服をこれに衣すヱホバの使は立をる 038 ZEC 003 006 ヱホバの使證してヨシユアに言ふ 038 ZEC 003 007 萬軍のヱホバかく言たまふ汝もし我道を歩みわが職守を守らば我家を司どり我庭を守ることを得ん我また此に立る者等の中に往來する路を汝に與ふべし 038 ZEC 003 008 祭司の長ヨシユアよ請ふ汝と汝の前に坐する汝の同僚とともに聽べし彼らは即ち前表となるべき人なり我かならず我僕たる枝を來らすべし 038 ZEC 003 009 ヨシユアの前に我が立るところの石を視よ此一箇の石の上に七箇の目あり我自らその彫刻をなす萬軍のヱホバこれを言ふなり我この地の罪を一日の内に除くべし 038 ZEC 003 010 萬軍のヱホバ言たまふ其日には汝等おのおの互に相招きて葡萄の樹の下無花果の樹の下にあらん 038 ZEC 004 001 我に語へる天の使また來りて我を呼醒せり我は睡れる人の呼醒されしごとくなりき 038 ZEC 004 002 彼我にむかひて汝何を見るやと言ければ我いへり我觀に惣金の燈臺一箇ありてその頂に油を容る噐ありまた燈臺の上に七箇の燭盞ありその燭盞は燈臺の頂にありて之に各七本づつの管あり 038 ZEC 004 003 また燈臺の側に橄欖の樹二本ありて一は油を容る噐の右にあり一はその左にあり 038 ZEC 004 004 我答へて我と語ふ天の使の問言けるは我主よ是等は何ぞやと 038 ZEC 004 005 我と語ふ天の使我に答へて汝是等の何なるを知ざるかと言しにより我主よ知ずとわれ言り 038 ZEC 004 006 彼また答へて我に言けるはゼルバベルにヱホバの告たまふ言は是のごとし萬軍のヱホバ宣ふ是は權勢に由らず能力に由らず我靈に由るなり 038 ZEC 004 007 ゼルバベルの前にあたれる大山よ汝は何者ぞ汝は平地とならん彼は恩惠あれ之に恩惠あれと呼はる聲をたてて頭石を曳いださん 038 ZEC 004 008 ヱホバの言われに臨めり云く 038 ZEC 004 009 ゼルバベルの手この室の石礎を置たり彼の手これを成終ん汝しらん萬軍のヱホバ我を汝等に遣したまひしと 038 ZEC 004 010 誰か小き事の日を藐視むる者ぞ夫の七の者は遍く全地に往來するヱホバの目なり準繩のゼルバベルの手にあるを見て喜ばん 038 ZEC 004 011 我また彼に問て燈臺の右左にある此二本の橄欖の樹は何なるやと言ひ 038 ZEC 004 012 重ねてまた彼に問て此二本の金の管によりて金の油をその中より斟ぎ出す二枝の橄欖は何ぞやと言しに 038 ZEC 004 013 彼われに答へて汝是等の何なるを知ざるかと言ければ我主よ知ずと言けるに 038 ZEC 004 014 彼言らく是等は油の二箇の子にして全地の主の前に立つ者なり 038 ZEC 005 001 我また目を擧て觀しに卷物の飛あり 038 ZEC 005 002 彼われに汝何を見るやと言ければ我言ふ我卷物の飛ぶを見る其長は二十キユビトその寛は十キユビト 038 ZEC 005 003 彼またわれに言けるは是は全地の表面を往めぐる呪詛の言なり凡て竊む者は卷物のこの面に照して除かれ凡て誓ふ者は卷物の彼の面照して除かるべし 038 ZEC 005 004 萬軍のヱホバのたまふ我これを出せり是は竊盗者の家に入りまた我名を指て僞り誓ふ者の家に入てその家の中に宿りその木と石とを並せて盡く之を焼べしと 038 ZEC 005 005 我に語へる天の使進み來りて我に言けるは請ふ目を擧てこの出きたれる物の何なるを見よ 038 ZEC 005 006 これは何なるやと我言ければ彼言ふ此出來れる者はエパ舛なり又言ふ全地において彼等の形状は是のごとしと 038 ZEC 005 007 かくて鉛の圓き蓋を取あぐれば一人の婦人エパ舛の中に坐し居る 038 ZEC 005 008 彼是は罪惡なりと言てその婦人をエパ舛の中に投いれ鉛の錘をその舛の口に投かぶらせたり 038 ZEC 005 009 我また目を擧て觀しに婦人二人出きたれり之に鶴の翼のごとき翼ありてその翼風を含む彼等そのエパ舛を天地の間に持擧ぐ 038 ZEC 005 010 我すなはち我に語ふ天の使にむかひて彼等エパ舛を何處へ携へゆくなるやと言けるに 038 ZEC 005 011 彼我に言ふシナルの地にて之がために家を建んとてなり是は彼處に置られてその臺の上に立ん 038 ZEC 006 001 我また目を擧て觀しに四輌の車二の山の間より出きたれりその山は銅の山なり 038 ZEC 006 002 第一の車には赤馬を着け第二の車には黒馬を着け 038 ZEC 006 003 第三の車には白馬を着け第四の車には白點なる強馬を着く 038 ZEC 006 004 我すなはち我に語ふ天の使に問て我主よ是等は何なるやと言けるに 038 ZEC 006 005 天の使こたへて我に言ふ是は四の天風にして全地の主の前より罷り出たる者なり 038 ZEC 006 006 黒馬は北の地をさして進み行き白馬その後に從ふ又白點馬は南の地をさして進みゆき 038 ZEC 006 007 強馬は進み出て地を徧く行めぐらんとす彼汝ら往き地を徧くめぐれと言たまひければ則ち地を行めぐれり 038 ZEC 006 008 彼われを呼て我に告て言ふ此北の地に往る者等は北の地にて我靈を安んず 038 ZEC 006 009 ヱホバの言われに臨めり曰く 038 ZEC 006 010 汝かの囚虜人の中の者ヘルダイ、トビヤおよびヱダヤより取ことをせよ即ちその日に汝かれらがバビロンより歸りて宿りをるゼパニヤの子ヨシヤの家に到り 038 ZEC 006 011 金銀を取て冠冕を造りヨザダクの子なる祭司の長ヨシユアの首にこれを冠らせ 038 ZEC 006 012 彼に語りて言べし萬軍のヱホバ斯言たまふ視よ人ありその名を枝といふ彼おのれの處より生いでてヱホバの宮を建ん 038 ZEC 006 013 即ち彼者ヱホバの宮を建て尊榮を帶びその位に坐して政事を施しその位にありて祭司とならん此二の者の間に平和の計議あるべし 038 ZEC 006 014 偖またその冠冕はヘレム、トビヤ、ユダヤおよびゼパニヤの子ヘンの記念のために之をヱホバの殿に納むべし 038 ZEC 006 015 遠き處の者等來りてヱホバの殿を建ん而して汝らは萬軍のヱホバの我を遣したまひしなるを知にいたらん汝らもし汝らの神ヱホバの聲に聽したがはば是のごとくなるべし 038 ZEC 007 001 ダリヨス王の四年の九月すなはちキスリウといふ月の四日にヱホバの言ゼカリヤに臨めり 038 ZEC 007 002 ベテルかの時シヤレゼル、レゲンメレクおよびその從者を遣してヱホバを和めさせ 038 ZEC 007 003 かつ萬軍のヱホバの室にをる祭司に問しめ且豫言者に問しめて言けらく我今まで年久しく爲きたりしごとく尚五月をもて哭きかつ齋戒すべきやと 038 ZEC 007 004 ここにおいて萬軍のヱホバの言我に臨めり云く 038 ZEC 007 005 國の諸民および祭司に告て言へ汝らは七十年のあひだ五月と七月とに斷食しかつ哀哭せしがその斷食せし時果して我にむかひて斷食せしや 038 ZEC 007 006 汝ら食ひかつ飮は全く己のために食ひ己のために飮ならずや 038 ZEC 007 007 在昔ヱルサレムおよび周圍の邑々人の住ふありて平安なりし時南の地および平野にも人の住ひをりし時に已往の預言者によりてヱホバの宣ひたりし言を汝ら知ざるや 038 ZEC 007 008 ヱホバの言ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 007 009 萬軍のヱホバかく宣へり云く正義き審判を行ひ互に相愛しみ相憐め 038 ZEC 007 010 寡婦孤兒旅客および貧者を虐ぐるなかれ人を害せんと心に圖る勿れと 038 ZEC 007 011 然るに彼等は肯て耳を傾けず背を向け耳を鈍くして聽ず 038 ZEC 007 012 且その心を金剛石のごとくし萬軍のヱホバがその御霊をもて已往の預言者に由て傳へたまひし律法と言詞に聽したがはざりき是をもて大なる怒萬軍のヱホバより出て臨めり 038 ZEC 007 013 彼かく呼はりたれども彼等聽ざりき其ごとく彼ら呼はるとも我聽じ萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 007 014 我かれらをその識ざる諸の國に吹散すべし其後にてこの地は荒て往來する者なきに至らん彼等かく美しき國を荒地となす 038 ZEC 008 001 萬軍のヱホバの言われに臨めり曰く 038 ZEC 008 002 萬軍のヱホバかく言たまふ我シオンのために甚だしく心を熱して妬く思ひ大なる忿怒を起して之がために妬く思ふ 038 ZEC 008 003 ヱホバかく言たまふ今我シオンに歸れり我ヱルサレムの中に住んヱルサレムは誠實ある邑と稱へられ萬軍のヱホバの山は聖山と稱へらるべし 038 ZEC 008 004 萬軍のヱホバかく言たまふヱルサレムの街衢には再び老たる男 老たる女坐せん皆年高くして各々杖を手に持べし 038 ZEC 008 005 またその邑の街衢には男の兒 女の兒滿て街衢に遊び戯れん 038 ZEC 008 006 萬軍のヱホバかく言たまふこの事其日には此民の遺餘者の目に奇といふとも我目に何の奇きこと有んや萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 008 007 萬軍のヱホバかく言たまふ視よ我わが民を日の出る國より日の入る國より救ひ出し 038 ZEC 008 008 かれらを携へ來りてヱルサレムの中に住しめん彼らは我民となり我は彼らの神となりて共に誠實と正義に居ん 038 ZEC 008 009 萬軍のヱホバかく言たまふ汝ら萬軍のヱホバの室なる殿を建んとて其基礎を置たる日に起りし預言者等の口の言詞を今日聞く者よ汝らの腕を強くせよ 038 ZEC 008 010 此日の先には人も工の價を得ず獸畜も工の價を得ず出者も入者も仇の故をもて安然ならざりき即ち我人々をして互に相攻しめたり 038 ZEC 008 011 然れども今は我此民の遺餘者に對すること曩の日のごとくならずと萬軍のヱホバ言たまふ 038 ZEC 008 012 即ち平安の種子あるべし葡萄の樹は果を結び地は産物を出し天は露を與へん我この民の遺餘者にこれを盡く獲さすべし 038 ZEC 008 013 ユダの家およびイスラエルの家よ汝らが國々の中に呪詛となりしごとく此度は我なんぢらを救ふて祝言とならしめん懼るる勿れ汝らの腕を強くせよ 038 ZEC 008 014 萬軍のヱホバかく言たまふ在昔汝らの先祖我を怒らせし時に我これに災禍を降さんと思ひて之を悔ざりき萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 008 015 是のごとく我また今日ヱルサレムとユダの家に福祉を降さんと思ふ汝ら懼るる勿れ 038 ZEC 008 016 汝らの爲べき事は是なり汝ら各たがひに眞實を言べし又汝等の門にて審判する時は眞實を執て平和の審判を爲べし 038 ZEC 008 017 汝等すべて人の災害を心に圖る勿れ僞の誓を好む勿れ是等はみな我が惡む者なりとヱホバ言たまふ 038 ZEC 008 018 萬軍のヱホバの言われに臨めり云く 038 ZEC 008 019 萬軍のヱホバかく言たまふ四月の斷食五月の斷食七月の斷食十月の斷食かへつてユダの家の宴樂となり欣喜となり佳節となるべし惟なんぢら眞實と平和を愛すべし 038 ZEC 008 020 萬軍のヱホバかく言たまふ國々の民および衆多の邑の居民來り就ん 038 ZEC 008 021 即ちこの邑の居民往てかの邑の者に向ひ我儕すみやかに往てヱホバを和め萬軍のヱホバを求めんと言んに我も往べしと答へん 038 ZEC 008 022 衆多の民強き國民ヱルサレムに來りて萬軍のヱホバを求めヱホバを和めん 038 ZEC 008 023 萬軍のヱホバかく言たまふ其日には諸の國語の民十人にてユダヤ人一箇の裾を拉へん即ち之を拉へて言ん我ら汝らと與に往べし其は我ら神の汝らと偕にいますを聞たればなり 038 ZEC 009 001 ヱホバの言詞の重負ハデラクの地に臨むダマスコはその止る所なりヱホバ世の人を眷みイスラエルの一切の支派を眷みたまへばなり 038 ZEC 009 002 之に界するハマテも然りツロ、シドンも亦はなはだ怜悧ければ同じく然るべし 038 ZEC 009 003 ツロは自己のために城郭を構へ銀を塵のごとくに積み金を街衢の土のごとくに積めり 038 ZEC 009 004 視よ主これを攻取り海にて之が力を打ほろぼしたまふべし是は火にて焚うせん 038 ZEC 009 005 アシケロンこれを見て懼れガザもこれを見て太く慄ふエクロンもその望む所の者辱しめらるるに因て亦然りガザには王絶えアシケロンには住者なきに至らん 038 ZEC 009 006 アシドドにはまた雑種の民すまん我ペリシテ人が誇る所の者を絶べし 038 ZEC 009 007 我これが口より血を取除き之が齒の間より憎むべき物を取除かん是も遺りて我儕の神に歸しユダの牧伯のごとくに成べしまたエクロンはヱブス人のごとくになるべし 038 ZEC 009 008 我わが家のために陣を張て敵軍に當り之をして往來すること無らしめん虐遇者かさねて逼ること無るべし我いま我目をもて親ら見ればなり 038 ZEC 009 009 シオンの女よ大に喜べヱルサレムの女よ呼はれ視よ汝の王汝に來る彼は正義して拯救を賜はり柔和にして驢馬に乗る即ち牝驢馬の子なる駒に乗るなり 038 ZEC 009 010 我エフライムより車を絶ちヱルサレムより馬を絶ん戰爭弓も絶るべし彼國々の民に平和を諭さん其政治は海より海に及び河より地の極におよぶべし 038 ZEC 009 011 汝についてはまた汝の契約の血のために我かの水なき坑より汝の被俘人を放ち出さん 038 ZEC 009 012 望を懷く被俘人よ汝等城に歸れ我今日もなほ告て言ふ我かならず倍して汝等に賚ふべし 038 ZEC 009 013 我ユダを張て弓となしエフライムを矢となして之につがへんシオンよ我汝の人々を振起してギリシヤの人々を攻しめ汝をして大丈夫の劍のごとくならしむべし 038 ZEC 009 014 ヱホバこれが上に顯れてその箭を電光のごとくに射いだしたまはん主ヱホバ喇叭を吹ならし南の暴風に乗て出來まさん 038 ZEC 009 015 萬軍のヱホバ彼らを護りたまはん彼等は食ふことを爲し投石器の石を踏つけん彼等は飮ことを爲し酒に醉るごとくに聲を擧ん其これに盈さるることは血を盛る鉢のごとく祭壇の隅のごとくなるべし 038 ZEC 009 016 彼らの神ヱホバ當日に彼らを救ひその民を羊のごとくに救ひたまはん彼等は冠冕の玉のごとくになりて其地に輝くべし 038 ZEC 009 017 その福祉は如何計ぞや其美麗は如何計ぞや穀物は童男を長ぜしめ新酒は童女を長ぜしむ 038 ZEC 010 001 汝ら春の雨の時に雨をヱホバに乞へヱホバは電光を造り大雨を人々に賜ひ田野において草蔬を各に賜ふべし 038 ZEC 010 002 夫テラピムは空虚き事を言ひ卜筮師はその見る所 眞實ならずして虚僞の夢を語る其慰むる所は徒然なり是をもて民は羊のごとくに迷ひ牧者なきに因て惱む 038 ZEC 010 003 我牧者にむかひて怒を發す我牡山羊を罰せん萬軍のヱホバその群なるユダの家を顧み之をしてその美しき軍馬のごとくならしめたまふ 038 ZEC 010 004 隅石彼より出で釘かれより出で軍弓かれより出で宰たる者みな齊く彼より出ん 038 ZEC 010 005 彼等戰ふ時は勇士のごとくにして街衢の泥の中に敵を蹂躙らんヱホバかれらとともに在せば彼ら戰はん馬に騎れる者等すなはち媿を抱くべし 038 ZEC 010 006 我ユダの家を強くしヨセフの家を救はん我かれらを恤むが故に彼らをして歸り住しめん彼らは我に棄られし事なきが如くなるべし我は彼らの神ヱホバなり我かれらに聽べし 038 ZEC 010 007 エフライム人は勇士に等しくして酒を飮たるごとく心に歡ばん其子等は見て喜びヱホバに因て心に樂しまん 038 ZEC 010 008 我かれらに向ひて嘯きて之を集めん其は我これを贖ひたればなり彼等は昔殖増たる如くに殖増ん 038 ZEC 010 009 我かれらを國々の民の中に捲ん彼等は遠き國において我をおぼへん彼らは其子等とともに生ながらへて歸り來るべし 038 ZEC 010 010 我かれらをエジプトの國より携へかへりアッスリヤより彼等を集めギレアデの地およびレバノンに彼らを携へゆかんその居處も無きほどなるべし 038 ZEC 010 011 彼艱難の海を通り海の浪を撃破りたまふナイルの淵は盡く涸るアッスリヤの傲慢は卑くせられエジプトの杖は移り去ん 038 ZEC 010 012 我彼らをしてヱホバに由て強くならしめん彼等はヱホバの名をもて歩まんヱホバこれを言たまふ 038 ZEC 011 001 レバノンよ汝の門を啓き火をして汝の香柏を焚しめよ 038 ZEC 011 002 松よ叫けべ香柏は倒れ威嚴樹はそこなはれたりバシヤンの橡よ叫べ高らかなる林は倒れたり 038 ZEC 011 003 牧者の叫ぶ聲あり其榮そこなはれたればなり猛き獅子の吼る聲ありヨルダンの叢そこなはれたればなり 038 ZEC 011 004 我神ヱホバかく言たまふ宰らるべき羔を牧へ 038 ZEC 011 005 之を買ふ者は之を宰るとも罪なし之を賣る者は言ふ我富を得ればヱホバを祝すべしと其牧者もこれを惜まざるなり 038 ZEC 011 006 ヱホバ言たまふ我かさねて地の居民を惜まじ視よ我人を各その隣人の手に付しその王の手に付さん彼ら地を荒すべし我これを彼らの手より救ひ出さじ 038 ZEC 011 007 我すなはち其宰らるべき羊を牧り是は最も憫然なる羊なり我みづから二本の杖を取り一を恩と名け一を結と名けてその羊を牧り 038 ZEC 011 008 我一月に牧者三人を絶り我心に彼らを厭ひしが彼等も心に我を惡めり 038 ZEC 011 009 我いへり我は汝らを飼はじ死る者は死に絶るる者は絶れ遺る者は互にその肉を食ひあふべし 038 ZEC 011 010 我恩といふ杖を取て之を折れり是諸の民に立し我契約を廢せんとてなりき 038 ZEC 011 011 是は其日に廢せられたり是に於てかの我に聽したがひし憫然なる羊は之をヱホバの言なりしと知れり 038 ZEC 011 012 我彼らに向ひて汝等もし善と視なば我價を我に授けよ若しからずば止めよと言ければ彼等すなはち銀三十を權りて我價とせり 038 ZEC 011 013 ヱホバ我に言たまひけるは彼等に我が估價せられしその善價を陶人に投あたへよと我すなはち銀三十を取てヱホバの室に投いれて陶人に歸せしむ 038 ZEC 011 014 我また結といふ杖を折れり是ユダとイスラエルの間の和好を絶んとてなりき 038 ZEC 011 015 ヱホバ我に言たまはく汝また愚なる牧者の器を取れ 038 ZEC 011 016 視よ我地に一人の牧者を興さん彼は亡ぶる者を顧みず迷へる者を尋ねず傷つける者を醫さず健剛なる者を飼はず肥たる者の肉を食ひ且その蹄を裂ん 038 ZEC 011 017 其羊の群を棄る惡き牧者は禍なるかな劍その腕に臨みその右の目に臨まん其腕は全く枯えその右の目は全く盲れん 038 ZEC 012 001 イスラエルにかかはるヱホバの言詞の重負 ヱホバ即ち天を舒べ地の基を置ゑ人の内の靈魂を造る者言たまふ 038 ZEC 012 002 視よ我ヱルサレムをしてその周圍の國民を蹌踉はする杯とならしむべしヱルサレムの攻圍まるる時是はユダにも及ばん 038 ZEC 012 003 其日には我ヱルサレムをして諸の國民に對ひて重石とならしむべし之を持擧る者は大傷を受ん地上の諸國みな集りて之に攻寄べし 038 ZEC 012 004 ヱホバ言たまふ當日には我一切の馬を撃て駭かせその騎手を撃て狂はせん而して我ユダの家の上に我目を開き諸の國民の馬を撃て盲になすべし 038 ZEC 012 005 ユダの牧伯等その心の中に謂んヱルサレムの居民はその神萬軍のヱホバに由て我力となるべしと 038 ZEC 012 006 當日には我ユダの牧伯等をして薪の下にある火盤のごとく麥束の下にある炬火のごとくならしむべし彼等は右左にむかひその周圍の國民を盡く焚んヱルサレム人はなほヱルサレムにてその本の處に居ことを得べし 038 ZEC 012 007 ヱホバまづユダの幕屋を救ひたまはん是ダビデの家の榮およびヱルサレムの居民の榮のユダに勝ること無らんためたり 038 ZEC 012 008 當日ヱホバ、ヱルサレムの居民を護りたまはん彼らの中の弱き者もその日にはダビデのごとくなるべしまたダビデの家は神のごとく彼らに先だつヱホバの使のごとくなるべし 038 ZEC 012 009 その日には我ヱルサレムに攻きたる國民をことごとく滅すことを務むべし 038 ZEC 012 010 我ダビデの家およびヱルサレムの居民に恩惠と祈禱の靈をそそがん彼等はその刺たりし我を仰ぎ觀獨子のため哭くがごとく之がために哭き長子のために悲しむがごとく之がために痛く悲しまん 038 ZEC 012 011 その日にはヱルサレムに大なる哀哭あらん是はメギドンの谷なるハダデリンモンに在りし哀哭のごとくなるべし 038 ZEC 012 012 國中の族おのおの別れ居て哀哭べし即ちダビデの族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きナタンの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭かん 038 ZEC 012 013 レビの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きシメイの族別れ居て哀哭きその妻等わかれ居て哀哭かん 038 ZEC 012 014 その他の族も凡て然りすなはち族おのおの別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭くべし 038 ZEC 013 001 その日罪と汚穢を清むる一の泉ダビデの家とヱルサレムの居民のために開くべし 038 ZEC 013 002 萬軍のヱホバ言たまふ其日には我地より偶像の名を絶のぞき重て人に記憶らるること無らしむべし我また預言者および汚穢の靈を地より去しむべし 038 ZEC 013 003 人もしなほ預言することあらば其生の父母これに言ん汝は生べからず汝はヱホバの名をもて虚僞を語るなりと而してその生の父母これが預言しをるを刺ん 038 ZEC 013 004 その日には預言者等預言するに方りてその異象を羞ん重て人を欺かんために毛衣を纒はじ 038 ZEC 013 005 彼言ん我は預言者にあらず地を耕へす者なり即ち我は若き時より人に買れたりと 038 ZEC 013 006 若これに向ひて然らば汝の兩手の間の傷は何ぞやと言あらば是は我が愛する者の家にて受たる傷なりと答へん 038 ZEC 013 007 萬軍のヱホバ言たまふ劍よ起て我牧者わが伴侶なる人を攻よ牧者を撃て然らばその羊散らん我また我手を小き者等の上に伸べし 038 ZEC 013 008 ヱホバ言たまふ全地の人二分は絶れて死に三分の一はその中に遺らん 038 ZEC 013 009 我その三分の一を携へて火にいれ銀を熬分るごとくに之を熬分け金を試むるごとくに之を試むべし彼らわが名を呼ん我これにこたへん我これは我民なりと言ん彼等またヱホバは我神なりと言ん 038 ZEC 014 001 視よヱホバの日來る汝の貨財奪はれて汝の中にて分たるべし 038 ZEC 014 002 我萬國の民を集めてヱルサレムを攻撃しめん邑は取られ家は掠められ婦女は犯され邑の人は半は擄へられてゆかん然どその餘の民は邑より絶れじ 038 ZEC 014 003 その時ヱホバ出きたりて其等の國人を攻撃たまはん在昔その軍陣の日に戰ひたまひしごとくなるべし 038 ZEC 014 004 其日にはヱルサレムの前に當りて東にあるところの橄欖山の上に彼の足立ん而して橄欖山その眞中より西東に裂て甚だ大なる谷を成しその山の半は北に半は南に移るべし 038 ZEC 014 005 汝らは我山の谷に逃いらん其山の谷はアザルにまで及ぶべし汝らはユダの王ウジヤの世に地震を避て逃しごとくに逃ん我神ヱホバ來りたまはん諸の聖者なんぢとともなるべし 038 ZEC 014 006 その日には光明なかるべく輝く者消うすべし 038 ZEC 014 007 茲に只一の日あるべしヱホバこれを知たまふ是は晝にもあらず夜にもあらず夕暮の頃に明くなるべし 038 ZEC 014 008 その日に活る水ヱルサレムより出でその半は東の海にその半は西の海に流れん夏も冬も然あるべし 038 ZEC 014 009 ヱホバ全地の王となりたまはん其日には只ヱホバのみ只その御名のみにならん 038 ZEC 014 010 全地はアラバのごとくなりてゲバよりヱルサレムの南のリンモンまでの間のごとくなるべし而してヱルサレムは高くなりてその故の處に立ちベニヤミンの門より第一の門の處に及び隅の門にいたりハナニエルの戍樓より王の酒榨倉までに渉るべし 038 ZEC 014 011 その中には人住ん重て呪詛あらじヱルサレムは安然に立べし 038 ZEC 014 012 ヱルサレムを攻撃し諸の民にヱホバ災禍を降してこれを撃なやましたまふこと是のごとくなるべし即ち彼らその足にて立をる中に肉腐れ目その孔の中にて腐れ舌その口の中にて腐れん 038 ZEC 014 013 その日にはヱホバかれらをして大に狼狽しめたまはん彼らは各人の手を執へん此手と彼手撃あふべし 038 ZEC 014 014 ユダもまたヱルサレムに於て戰ふべしその四周の一切の國人の財寳金銀衣服など甚だ多く聚められん 038 ZEC 014 015 また馬騾駱駝驢馬およびその諸營の一切の家畜の蒙る災禍もこの災禍のごとくなるべし 038 ZEC 014 016 ヱルサレムに攻きたりし諸の國人の遺れる者はみな歳々に上りきてその王なる萬軍のヱホバを拜み結茅の節を守るにいたるべし 038 ZEC 014 017 地上の諸族の中その王なる萬軍のヱホバを拜みにヱルサレムに上らざる者の上には凡て雨ふらざるべし 038 ZEC 014 018 例ばエジプトの族もし上り來らざる時はその上に雨ふらじヱホバその結茅の節を守りに上らざる一切の國人を撃なやます災禍を之に降したまふべし 038 ZEC 014 019 エジプトの罪凡て結茅の節を守りに上り來らざる國人の罪是のごとくなるべし 038 ZEC 014 020 その日には馬の鈴にまでヱホバに聖としるさん又ヱホバの家の鍋は壇の前の鉢と等しかるべし 038 ZEC 014 021 ヱルサレムおよびユダの鍋は都て萬軍のヱホバの聖物となるべし凡そ犠牲を獻ぐる者は來りてこれを取り其中にて祭肉を煮ん其日には萬軍のヱホバの室に最早カナン人あらざるべし # # BOOK 039 MAL Malachi マラキ書 039 MAL 001 001 これマラキに托てイスラエルに臨めるヱホバの言の重負なり 039 MAL 001 002 ヱホバ曰たまふ我汝らを愛したり 然るに汝ら云ふ 汝いかに我儕を愛せしやと ヱホバいふエサウはヤコブの兄に非ずや されど我はヤコブを愛し 039 MAL 001 003 エサウを惡めり 且つわれ彼の山を荒し其嗣業を山犬にあたへたり 039 MAL 001 004 エドムは我儕ほろぼされたれども再び荒たる所を建んといふによりて萬軍のヱホバかく曰たまふ 彼等は建ん されど我これを倒さん 人は彼等を惡境とよび又ヱホバの恒に怒りたまふ人民と稱へん 039 MAL 001 005 汝らこれを目に見て云ん ヱホバはイスラエルの地に大なりと 039 MAL 001 006 子は其父を敬ひ僕はその主を敬ふ されば我もし父たらば我を敬ふこと安にあるや 我もし主たらば我をおそるること安にあるや なんぢら我が名を藐視る祭司よと萬軍のヱホバいひたまふ 然るに汝曹はいふ我儕何に汝の名を藐視りしやと 039 MAL 001 007 汝ら汚れたるパンをわが壇の上に獻げしかして言ふ我儕何に爾を汚せしやと 汝曹ヱホバの臺は卑しきなりと云しがゆゑなり 039 MAL 001 008 汝ら盲目なる者を犠牲に獻ぐるは惡に非ずや 又跛足なるものと病者を獻ぐるは惡に非ずや 今これを汝の方伯に獻げよ されば彼なんぢを悦ぶや 汝を受納るや 萬軍のヱホバ之をいふ 039 MAL 001 009 請ふ汝ら神に我らをあはれみ給はんことをもとめよ これらは凡て汝らの手になれり 彼なんぢらを納んや 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 001 010 汝らが我壇の上にいたづらに火をたくこと無らんために汝らの中一人扉を閉づる者あらまほし われ汝らを悦ばず 又なんぢらの手より獻物を受じと萬軍のヱホバいひ給ふ 039 MAL 001 011 日の出る處より沒る處までの列國の中に我名は大ならん 又何處にても香と潔き獻物を我名に獻げん そはわが名列國の中に大なるべければなりと萬軍のヱホバいひ給ふ 039 MAL 001 012 しかるになんぢら之を褻したり そは汝曹はヱホバの臺は汚れたり また其果すなはちその食物は卑しと云ばなり 039 MAL 001 013 なんぢらは又如何に煩勞しきことにあらずやといひ且これを藐視たり 萬軍のヱホバこれをいふ 又なんぢらは奪ひし物跛足たる者病る者を携へ來れり 汝らかく獻物を携へ來ればわれ之を汝らの手より受べけんや ヱホバこれをいひ給へり 039 MAL 001 014 群の中に牡あるに誓を立てて疵あるものをヱホバに獻ぐる詐僞者は詛はるべし そは我は大なる王また我名は列國に畏れらるべきなればなり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 001 祭司等よ今この命令なんぢらにあたへらる 039 MAL 002 002 萬軍のヱホバいひたまふ汝等もし聽きしたがはず又これを心にとめず我名に榮光を歸せずばわれ汝らの上に詛を來らせん 又なんぢらの祝福を詛はん われすでに此等を詛へり 汝らこれを心にとめざりしに因てなり 039 MAL 002 003 視よ我なんぢらのために種をいましめん また糞すなはち汝らの犠牲の糞を汝らの面の上に撒さん 汝らこれとともに携へさられん 039 MAL 002 004 わが此命令をなんぢらに下し與ふるは我契約をしてレビに保たしめんためなるを汝ら知るべし 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 005 わが彼と結びし契約は生命と平安とにあり 我がこれを彼に與へしは彼に我を畏れしめんが爲なり 彼われを懼れわが名の前にをののけり 039 MAL 002 006 眞理の法彼の口に在て不義その口唇にあらず 彼平安と公義をとりて我とともにあゆみ又多の人を不義より立歸らせたりき 039 MAL 002 007 夫れ祭司の口唇に知識を持べく又人彼の口より法を諮詢べし そは祭司は萬軍のヱホバの使者なればなり 039 MAL 002 008 しかるに汝らは道を離れ衆多の人を法に躓礙かせレビの契約を壞りたり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 009 汝らは我道を守らず法をおこなふに當りて人に偏りし故にわれも汝らを一切の民の前に輕められまた賤められしむ 039 MAL 002 010 我儕の父は皆同一なるにあらずや われらを造りし神は同一なるにあらずや 我儕先祖等の契約を破りて各おのれの兄弟にいつはりを行ふは何ぞ 039 MAL 002 011 ユダは誓約にそむけり イスラエル及びエルサレムの中には憎むべき事行はる すなはちユダはヱホバの愛したまふ聖所を褻して他神の女をめとれり 039 MAL 002 012 ヱホバこれをおこなふ人をば主なるものをも事ふる者をもヤコブの幕屋よりのぞきたまはん 萬軍のヱホバに獻物をささぐるものにてもまた然り 039 MAL 002 013 つぎに又なんぢらはこれをなせり 即ち涙と泣と歎とをもてヱホバの壇をおほはしめたり 故に彼もはや獻物を顧みずまたこれを汝らの手より悦び納たまはざるなり 039 MAL 002 014 汝らはなほ何故ぞやと言ふ そは是はヱホバ汝となんぢの若き時の妻の間にいりて證をなしたまへばなり 彼はなんぢの伴侶汝が契約をなせし妻なるに汝誓約に背きてこれを棄つ 039 MAL 002 015 ヱホバは只一を造りたまひしにあらずや されども彼にはなほ靈の餘ありき 何故にひとつのみなりしや 是は神を敬虔の裔を得んが爲なりき 故になんぢら心に謹みその若き時の妻を誓約にそむきて棄るなかれ 039 MAL 002 016 イスラエルの神ヱホバいひたまふ われは離縁を惡みまた虐遇をもて其衣を蔽ふ人を惡む 故に汝ら誓約にそむきて妻を待遇はざるやう心につつしむべし 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 017 なんぢらは言をもてヱホバを煩勞はせり されど汝ら言ふ 何にわづらはせしやと 如何となればなんぢら凡て惡をなすものはヱホバの目に善と見えかつ彼に悦ばると言ひ また審判の神は安にあるやといへばなり 039 MAL 003 001 視よ我わが使者を遣さん かれ我面の前に道を備へん また汝らが求むるところの主すなはち汝らの悦樂ぶ契約の使者忽然その殿に來らん 視よ彼來らんと萬軍のヱホバ云たまふ 039 MAL 003 002 されど其來る日には誰か堪えんや その顯著る時には誰か立えんや 彼は金をふきわくる者の火の如く布晒の灰汁のごとくならん 039 MAL 003 003 かれは銀をふきわけてこれを潔むる者のごとく坐せん 彼はレビの裔を潔め金銀の如くかれらをきよめん 而して彼等は義をもて獻物をヱホバにささげん 039 MAL 003 004 その時ユダとエルサレムの獻物はむかし日の如く又先の年のごとくヱホバに悦ばれん 039 MAL 003 005 われ汝らにちかづきて審判をなし巫術者にむかひ姦淫を行ふ者にむかひ僞の誓をなせる者にむかひ傭人の價金をかすめ寡婦と孤子をしへたげ異邦人を推抂げ我を畏れざるものどもにむかひて速に證をなさんと萬軍のヱホバ云たまふ 039 MAL 003 006 それわれヱホバは易らざる者なり 故にヤコブの子等よ汝らは亡されず 039 MAL 003 007 なんぢら其先祖等の日よりこのかたわが律例をはなれてこれを守らざりき 我にかへれ われ亦なんぢらに歸らん 萬軍のヱホバこれを言ふ 然るに汝らはわれら何においてかへるべきやと言り 039 MAL 003 008 ひと神の物をぬすむことをせんや されど汝らはわが物を盗めり 汝らは又何において汝の物をぬすみしやといへり 十分の一および獻物に於てなり 039 MAL 003 009 汝らは呪詛をもて詛はる またなんぢら一切の國人はわが物をぬすめり 039 MAL 003 010 わが殿に食物あらしめんために汝ら什一をすべて我倉にたづさへきたれ 而して是をもて我を試みわが天の窓をひらきて容べきところなきまでに恩澤を汝らにそそぐや否やを見るべし 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 003 011 我また噬食ふ者をなんぢらの爲に抑へてなんぢらの地の産物をやぶらざらしめん 又なんぢらの葡萄の樹をして時のいたらざる前にその實を圃におとさざらしめん 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 003 012 又萬國の人なんぢらを幸福なる者ととなへん そは汝ら樂しき地となるべければなり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 003 013 ヱホバ云たまふ 汝らは言詞をはげしくして我に逆らへり しかるも汝らは我儕なんぢらにさからひて何をいひしやといへり 039 MAL 003 014 汝らは言らく神に服事ることは徒然なり われらその命令をまもりかつ萬軍のヱホバの前に悲みて歩みたりとて何の益あらんや 039 MAL 003 015 今われらは驕傲ものを幸福なりと稱ふ また惡をおこなふものも盛になり 神を試むるものすらも救はると 039 MAL 003 016 その時ヱホバをおそるる者互に相かたりヱホバ耳をかたむけてこれを聽たまへり またヱホバを畏るる者およびその名を記憶る者のためにヱホバの前に記念の書をかきしるせり 039 MAL 003 017 萬軍のヱホバいひたまふ 我わが設くる日にかれらをもて我寳となすべし また人の己につかふる子をあはれむがごとく我彼等をあはれまん 039 MAL 003 018 その時汝らは更にまた義者と惡きものと神に服事るものと事へざる者との區別をしらん 039 MAL 004 001 萬軍のヱホバいひたまふ 視よ爐のごとくに焼る日來らん すべて驕傲者と惡をおこなふ者は藁のごとくにならん 其きたらんとする日彼等を焼つくして根も枝ものこらざらしめん 039 MAL 004 002 されど我名をおそるる汝らには義の日いでて昇らん その翼には醫す能をそなへん 汝らは牢よりいでし犢の如く躍跳ん 039 MAL 004 003 又なんぢらは惡人を踐つけん 即ちわが設くる日にかれらは汝らの脚の掌の下にありて灰のごとくならん 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 004 004 なんぢらわが僕モーセの律法をおぼえよ すなはち我がホレブにてイスラエル全體のために彼に命ぜし法度と誡命をおぼゆべし 039 MAL 004 005 視よヱホバの大なる畏るべき日の來るまへにわれ預言者エリヤを汝らにつかはさん かれ父の心にその子女の心を慈はせ 子女の心にその父をおもはしめん 是は我が來りて詛をもて地を撃ことなからんためなり