# File Name: Holy-Bible---Japanese---Japanese-Bungo-yaku---Standard-Edition.noia # File Size: 4772405 # File Date: 03/27/2024 23:04:46 # File Purpose: Supporting resource for the Aionian Bible project # File Location: https://resources.AionianBible.org # File Copyright: Creative Commons Attribution No Derivative Works 4.0, 2018-2024 # File Generator: ABCMS (alpha) # File Accuracy: Contact publisher with corrections to file format or content # Publisher Name: Nainoia Inc # Publisher Contact: https://www.AionianBible.org/Publisher # Publisher Mission: https://www.AionianBible.org/Preface # Publisher Website: https://NAINOIA-INC.signedon.net # Publisher Facebook: https://www.Facebook.com/AionianBible # Bible Name: 大正改訳「新約聖書」 # Bible Name English: Japanese Bungo-yaku / Taisho-kaiyaku # Bible Language: 日本語 # Bible Language English: Japanese # Bible Copyright Format: CC Attribution NoDerivatives 4.0, 2018-2024 # Bible Copyright Text: Public Domain # Bible Source: Classical Japanese Bible published 1917, reprinted 1950 # Bible Source Version: 8/26/2022 # Bible Source Link: https://crosswire.org/sword/modules/ModInfo.jsp?modName=JapBungo # Bible Source Year: 1917, 1950 # Bible Format: Standard formatting without annotation # INDEX BOOK CHAPTER VERSE TEXT # # BOOK 001 GEN Genesis 創世記 001 GEN 001 001 元始に神天地を創造たまへり 001 GEN 001 002 地は定形なく曠空くして黑暗淵の面にあり神の靈水の面を覆たりき 001 GEN 001 003 神光あれと言たまひければ光ありき 001 GEN 001 004 神光を善と觀たまへり神光と暗を分ちたまへり 001 GEN 001 005 神光を晝と名け暗を夜と名けたまへり夕あり朝ありき是首の日なり 001 GEN 001 006 神言たまひけるは水の中に穹蒼ありて水と水とを分つべし 001 GEN 001 007 神穹蒼を作りて穹蒼の下の水と穹蒼の上の水とを判ちたまへり即ち斯なりぬ 001 GEN 001 008 神穹蒼を天と名けたまへり夕あり朝ありき是二日なり 001 GEN 001 009 神言たまひけるは天の下の水は一處に集りて乾ける土顯べしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 010 神乾ける土を地と名け水の集合るを海と名けたまへり神之を善と觀たまへり 001 GEN 001 011 神言たまひけるは地は靑草と實蓏を生ずる草蔬と其類に從ひ果を結びみづから核をもつ所の果を結ぶ樹を地に發出すべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 012 地靑草と其類に從ひ實蓏を生ずる草蔬と其類に從ひ果を結てみづから核をもつ所の樹を發出せり神これを善と觀たまへり 001 GEN 001 013 夕あり朝ありき是三日なり 001 GEN 001 014 神言たまひけるは天の穹蒼に光明ありて晝と夜とを分ち又天象のため時節のため日のため年のために成べし 001 GEN 001 015 又天の穹蒼にありて地を照す光となるべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 016 神二の巨なる光を造り大なる光に晝を司どらしめ小き光に夜を司どらしめたまふまた星を造りたまへり 001 GEN 001 017 神これを天の穹蒼に置て地を照さしめ 001 GEN 001 018 晝と夜を司どらしめ光と暗を分たしめたまふ神これを善と觀たまへり 001 GEN 001 019 夕あり朝ありき是四日なり 001 GEN 001 020 神云たまひけるは水には生物饒に生じ鳥は天の穹蒼の面に地の上に飛べしと 001 GEN 001 021 神巨なる魚と水に饒に生じて動く諸の生物を其類に從ひて創造り又羽翼ある諸の鳥を其類に從ひて創造りたまへり神之を善と觀たまへり 001 GEN 001 022 神之を祝して曰く生よ繁息よ海の水に充牣よ又禽鳥は地に蕃息よと 001 GEN 001 023 夕あり朝ありき是五日なり 001 GEN 001 024 神言給ひけるは地は生物を其類に從て出し家畜と昆蟲と地の獸を其類に從て出すべしと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 025 神地の獸を其類に從て造り家畜を其類に從て造り地の諸の昆蟲を其類に從て造り給へり神之を善と觀給へり 001 GEN 001 026 神言給けるは我儕に象りて我儕の像の如くに我儕人を造り之に海の魚と天空の鳥と家畜と全地と地に匍ふ所の諸の昆蟲を治めんと 001 GEN 001 027 神其像の如くに人を創造たまへり即ち神の像の如くに之を創造之を男と女に創造たまへり 001 GEN 001 028 神彼等を祝し神彼等に言たまひけるは生よ繁殖よ地に滿盈よ之を服從せよ又海の魚と天空の鳥と地に動く所の諸の生物を治めよ 001 GEN 001 029 神言たまひけるは視よ我全地の面にある實蓏のなる諸の草蔬と核ある木果の結る諸の樹とを汝等に與ふこれは汝らの糧となるべし 001 GEN 001 030 又地の諸の獸と天空の諸の鳥および地に匍ふ諸の物等凡そ生命ある者には我食物として諸の靑き草を與ふと即ち斯なりぬ 001 GEN 001 031 神其造りたる諸の物を視たまひけるに甚だ善りき夕あり朝ありき是六日なり 001 GEN 002 001 斯天地および其衆群悉く成ぬ 001 GEN 002 002 第七日に神其造りたる工を竣たまへり即ち其造りたる工を竣て七日に安息たまへり 001 GEN 002 003 神七日を祝して之を神聖めたまへり其は神其創造爲たまへる工を盡く竣て是日に安息みたまひたればなり 001 GEN 002 004 ヱホバ神地と天を造りたまへる日に天地の創造られたる其由來は是なり 001 GEN 002 005 野の諸の灌木は未だ地にあらず野の諸の草蔬は未生ぜざりき其はヱホバ神雨を地に降せたまはず亦土地を耕す人なかりければなり 001 GEN 002 006 霧地より上りて土地の面を遍く潤したり 001 GEN 002 007 ヱホバ神土の塵を以て人を造り生氣を其鼻に嘘入たまへり人即ち生靈となりぬ 001 GEN 002 008 ヱホバ神エデンの東の方に園を設て其造りし人を其處に置たまへり 001 GEN 002 009 ヱホバ神觀に美麗く食ふに善き各種の樹を土地より生ぜしめ又園の中に生命の樹および善惡を知の樹を生ぜしめ給へり 001 GEN 002 010 河エデンより出て園を潤し彼處より分れて四の源となれり 001 GEN 002 011 其第一の名はピソンといふ是は金あるハビラの全地を繞る者なり 001 GEN 002 012 其地の金は善し又ブドラクと碧玉彼處にあり 001 GEN 002 013 第二の河の名はギホンといふ是はクシの全地を繞る者なり 001 GEN 002 014 第三の河の名はヒデケルといふ是はアッスリヤの東に流るるものなり第四の河はユフラテなり 001 GEN 002 015 ヱホバ神其人を挈て彼をエデンの園に置き之を埋め之を守らしめ給へり 001 GEN 002 016 ヱホバ神其人に命じて言たまひけるは園の各種の樹の果は汝意のままに食ふことを得 001 GEN 002 017 然ど善惡を知の樹は汝その果を食ふべからず汝之を食ふ日には必ず死べければなり 001 GEN 002 018 ヱホバ神言たまひけるは人獨なるは善らず我彼に適ふ助者を彼のために造らんと 001 GEN 002 019 ヱホバ神土を以て野の諸の獸と天空の諸の鳥を造りたまひてアダムの之を何と名るかを見んとて之を彼の所に率ゐいたりたまへりアダムが生物に名けたる所は皆其名となりぬ 001 GEN 002 020 アダム諸の家畜と天空の鳥と野の諸の獸に名を與へたり然どアダムには之に適ふ助者みえざりき 001 GEN 002 021 是に於てヱホバ神アダムを熟く睡らしめ睡りし時其肋骨の一を取り肉をもて其處を填塞たまへり 001 GEN 002 022 ヱホバ神アダムより取たる肋骨を以て女を成り之をアダムの所に携きたりたまへり 001 GEN 002 023 アダム言けるは此こそわが骨の骨わが肉の肉なれ此は男より取たる者なれば之を女と名くべしと 001 GEN 002 024 是故に人は其父母を離れて其妻に好合ひ二人一體となるべし 001 GEN 002 025 アダムと其妻は二人倶に裸體にして愧ざりき 001 GEN 003 001 ヱホバ神の造りたまひし野の生物の中に蛇最も狡猾し蛇婦に言ひけるは神眞に汝等園の諸の樹の果は食ふべからずと言たまひしや 001 GEN 003 002 婦蛇に言けるは我等園の樹の果を食ふことを得 001 GEN 003 003 然ど園の中央に在樹の果實をば神汝等之を食ふべからず又之に捫るべからず恐は汝等死んと言給へり 001 GEN 003 004 蛇婦に言けるは汝等必らず死る事あらじ 001 GEN 003 005 神汝等が之を食ふ日には汝等の目開け汝等神の如くなりて善惡を知に至るを知りたまふなりと 001 GEN 003 006 婦樹を見ば食に善く目に美麗しく且智慧からんが爲に慕はしき樹なるによりて遂に其果實を取て食ひ亦之を己と偕なる夫に與へければ彼食へり 001 GEN 003 007 是において彼等の目倶に開て彼等其裸體なるを知り乃ち無花果樹の葉を綴て裳を作れり 001 GEN 003 008 彼等園の中に日の清涼き時分歩みたまふヱホバ神の聲を聞しかばアダムと其妻即ちヱホバ神の面を避て園の樹の間に身を匿せり 001 GEN 003 009 ヱホバ神アダムを召て之に言たまひけるは汝は何處にをるや 001 GEN 003 010 彼いひけるは我園の中に汝の聲を聞き裸體なるにより懼れて身を匿せりと 001 GEN 003 011 ヱホバ言たまひけるは誰が汝の裸なるを汝に告しや汝は我が汝に食ふなかれと命じたる樹の果を食ひたりしや 001 GEN 003 012 アダム言けるは汝が與て我と偕ならしめたまひし婦彼其樹の果實を我にあたへたれば我食へりと 001 GEN 003 013 ヱホバ神婦に言たまひけるは汝がなしたる此事は何ぞや婦言けるは蛇我を誘惑して我食へりと 001 GEN 003 014 ヱホバ神蛇に言たまひけるは汝是を爲たるに因て汝は諸の家畜と野の諸の獸よりも勝りて詛はる汝は腹行て一生の間塵を食ふべし 001 GEN 003 015 又我汝と婦の間および汝の苗裔と婦の苗裔の間に怨恨を置ん彼は汝の頭を碎き汝は彼の踵を碎かん 001 GEN 003 016 又婦に言たまひけるは我大に汝の懷姙の劬勞を増すべし汝は苦みて子を產ん又汝は夫をしたひ彼は汝を治めん 001 GEN 003 017 又アダムに言たまひけるは汝その妻の言を聽て我が汝に命じて食ふべからずと言たる樹の果を食ひしに縁て土は汝のために詛はる汝は一生のあひだ勞苦て其より食を得ん 001 GEN 003 018 土は荊棘と薊とを汝のために生ずべしまた汝は野の草蔬を食ふべし 001 GEN 003 019 汝は面に汗して食物を食ひ終に土に歸らん其は其中より汝は取れたればなり汝は塵なれば塵に皈るべきなりと 001 GEN 003 020 アダム其妻の名をヱバと名けたり其は彼は群の生物の母なればなり 001 GEN 003 021 ヱホバ神アダムと其妻のために皮衣を作りて彼等に衣せたまへり 001 GEN 003 022 ヱホバ神曰たまひけるは視よ夫人我等の一の如くなりて善惡を知る然ば恐くは彼其手を舒べ生命の樹の果實をも取りて食ひ限無生んと 001 GEN 003 023 ヱホバ神彼をエデンの園よりいだし其取て造られたるところの土を耕さしめたまへり 001 GEN 003 024 斯神其人を逐出しエデンの園の東にケルビムと自から旋轉る焔の劍を置て生命の樹の途を保守りたまふ 001 GEN 004 001 アダム其妻エバを知る彼孕みてカインを生みて言けるは我ヱホバによりて一個の人を得たりと 001 GEN 004 002 彼また其弟アベルを生りアベルは羊を牧ふ者カインは土を耕す者なりき 001 GEN 004 003 日を經て後カイン土より出る果を携來りてヱホバに供物となせり 001 GEN 004 004 アベルもまた其羊の初生と其肥たる者を携來れりヱホバ、アベルと其供物を眷顧みたまひしかども 001 GEN 004 005 カインと其供物をば眷み給はざりしかばカイン甚だ怒り且其面をふせたり 001 GEN 004 006 ヱホバ、カインに言たまひけるは汝何ぞ怒るや何ぞ面をふするや 001 GEN 004 007 汝若善を行はば擧ることをえざらんや若善を行はずば罪門戸に伏す彼は汝を慕ひ汝は彼を治めん 001 GEN 004 008 カイン其弟アベルに語りぬ彼等野にをりける時カイン其弟アベルに起かかりて之を殺せり 001 GEN 004 009 ヱホバ、カインに言たまひけるは汝の弟アベルは何處にをるや彼言ふ我しらず我あに我弟の守者ならんやと 001 GEN 004 010 ヱホバ言たまひけるは汝何をなしたるや汝の弟の血の聲地より我に叫べり 001 GEN 004 011 されば汝は詛れて此地を離るべし此地其口を啓きて汝の弟の血を汝の手より受たればなり 001 GEN 004 012 汝地を耕すとも地は再其力を汝に效さじ汝は地に吟行ふ流離子となるべしと 001 GEN 004 013 カイン、ヱホバに言けるは我が罪は大にして負ふこと能はず 001 GEN 004 014 視よ汝今日斯地の面より我を逐出したまふ我汝の面を觀ることなきにいたらん我地に吟行ふ流離子とならん凡そ我に遇ふ者我を殺さん 001 GEN 004 015 ヱホバ彼に言たまひけるは然らず凡そカインを殺す者は七倍の罰を受んとヱホバ、カインに遇ふ者の彼を撃ざるため印誌を彼に與へたまへり 001 GEN 004 016 カイン、ヱホバの前を離て出でエデンの東なるノドの地に住り 001 GEN 004 017 カイン其妻を知る彼孕みエノクを生りカイン邑を建て其邑の名を其子の名に循ひてエノクと名けたり 001 GEN 004 018 エノクにイラデ生れたりイラデ、メホヤエルを生みメホヤエル、メトサエルを生みメトサエル、レメクを生り 001 GEN 004 019 レメク二人の妻を娶れり一の名はアダと曰ひ一の名はチラと曰り 001 GEN 004 020 アダ、ヤバルを生めり彼は天幕に住て家畜を牧ふ所の者の先祖なり 001 GEN 004 021 其弟の名はユバルと云ふ彼は琴と笛とをとる凡ての者の先祖なり 001 GEN 004 022 又チラ、トバルカインを生り彼は銅と鐡の諸の刃物を鍛ふ者なりトバルカインの妹をナアマといふ 001 GEN 004 023 レメク其妻等に言けるはアダとチラよ我聲を聽けレメクの妻等よわが言を容よ我わが創傷のために人を殺すわが痍のために少年を殺す 001 GEN 004 024 カインのために七倍の罰あればレメクのためには七十七倍の罰あらん 001 GEN 004 025 アダム復其妻を知て彼男子を生み其名をセツと名けたり其は彼神我にカインの殺したるアベルのかはりに他の子を與へたまへりといひたればなり 001 GEN 004 026 セツにもまた男子生れたりかれ其名をエノスと名けたり此時人々ヱホバの名を呼ことをはじめたり 001 GEN 005 001 アダムの傳の書は是なり神人を創造りたまひし日に神に象りて之を造りたまひ 001 GEN 005 002 彼等を男女に造りたまへり彼等の創造られし日に神彼等を祝してかれらの名をアダムと名けたまへり 001 GEN 005 003 アダム百三十歳に及びて其像に循ひ己に象りて子を生み其名をセツと名けたり 001 GEN 005 004 アダムのセツを生し後の齡は八百歳にして男子女子を生り 001 GEN 005 005 アダムの生存へたる齡は都合九百三十歳なりき而して死り 001 GEN 005 006 セツ百五歳に及びてエノスを生り 001 GEN 005 007 セツ、エノスを生し後八百七年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 008 セツの齡は都合九百十二歳なりき而して死り 001 GEN 005 009 エノス九十歳におよびてカイナンを生り 001 GEN 005 010 エノス、カイナンを生し後八百十五年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 011 エノスの齡は都合九百五歳なりき而して死り 001 GEN 005 012 カイナン七十歳におよびてマハラレルを生り 001 GEN 005 013 カイナン、マハラレルを生し後八百四十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 014 カイナンの齡は都合九百十歳なりきしかして死り 001 GEN 005 015 マハラレル六十五歳に及びてヤレドを生り 001 GEN 005 016 マハラレル、ヤレドを生し後八百三十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 017 マハラレルの齡は都合八百九十五歳なりき而して死り 001 GEN 005 018 ヤレド百六十二歳に及びてエノクを生り 001 GEN 005 019 ヤレド、エノクを生し後八百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 020 ヤレドの齡は都合九百六十二歳なりき而して死り 001 GEN 005 021 エノク六十五歳に及びてメトセラを生り 001 GEN 005 022 エノク、メトセラを生し後三百年神とともに歩み男子女子を生り 001 GEN 005 023 エノクの齡は都合三百六十五歳なりき 001 GEN 005 024 エノク神と偕に歩みしが神かれを取りたまひければをらずなりき 001 GEN 005 025 メトセラ百八十七歳に及びてレメクを生り 001 GEN 005 026 メトセラ、レメクを生しのち七百八十二年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 027 メトセラの齡は都合九百六十九歳なりき而して死り 001 GEN 005 028 レメク百八十二歳に及びて男子を生み 001 GEN 005 029 其名をノアと名けて言けるは此子はヱホバの詛ひたまひし地に由れる我操作と我勞苦とに就て我らを慰めん 001 GEN 005 030 レメク、ノアを生し後五百九十五年生存へて男子女子を生り 001 GEN 005 031 レメクの齡は都合七百七十七歳なりき而して死り 001 GEN 005 032 ノア五百歳なりきノア、セム、ハム、ヤペテを生り 001 GEN 006 001 人地の面に繁衍はじまりて女子之に生るるに及べる時 001 GEN 006 002 神の子等人の女子の美しきを見て其好む所の者を取て妻となせり 001 GEN 006 003 ヱホバいひたまひけるは我靈永く人と爭はじ其は彼も肉なればなり然ど彼の日は百二十年なるべし 001 GEN 006 004 當時地にネピリムありき亦其後神の子輩人の女の所に入りて子女を生しめたりしが其等も勇士にして古昔の名聲ある人なりき 001 GEN 006 005 ヱホバ人の惡の地に大なると其心の思念の都て圖維る所の恒に惟惡きのみなるを見たまへり 001 GEN 006 006 是に於てヱホバ地の上に人を造りしことを悔いて心に憂へたまへり 001 GEN 006 007 ヱホバ言たまひけるは我が創造りし人を我地の面より拭去ん人より獸昆蟲天空の鳥にいたるまでほろぼさん其は我之を造りしことを悔ればなりと 001 GEN 006 008 されどノアはヱホバの目のまへに恩を得たり 001 GEN 006 009 ノアの傳は是なりノアは義人にして其世の完全き者なりきノア神と偕に歩めり 001 GEN 006 010 ノアはセム、ハム、ヤペテの三人の子を生り 001 GEN 006 011 時に世神のまへに亂れて暴虐世に滿盈ちたりき 001 GEN 006 012 神世を視たまひけるに視よ亂れたり其は世の人皆其道をみだしたればなり 001 GEN 006 013 神ノアに言たまひけるは諸の人の末期わが前に近づけり其は彼等のために暴虐世にみつればなり視よ我彼等を世とともに剪滅さん 001 GEN 006 014 汝松木をもて汝のために方舟を造り方舟の中に房を作り瀝靑をもて其内外を塗るべし 001 GEN 006 015 汝かく之を作るべし即ち其方舟の長は三百キユビト其濶は五十キユビト其高は三十キユビト 001 GEN 006 016 又方舟に導光牖を作り上一キユビトに之を作り終べし又方舟の戸は其傍に設くべし下牀と二階と三階とに之を作るべし 001 GEN 006 017 視よ我洪水を地に起して凡て生命の氣息ある肉なる者を天下より剪滅し絶ん地にをる者は皆死ぬべし 001 GEN 006 018 然ど汝とは我わが契約をたてん汝は汝の子等と汝の妻および汝の子等の妻とともに其方舟に入るべし 001 GEN 006 019 又諸の生物總て肉なる者をば汝各其二を方舟に挈へいりて汝とともに其生命を保たしむべし其等は牝牡なるべし 001 GEN 006 020 鳥其類に從ひ獸其類に從ひ地の諸の昆蟲其類に從ひて各二汝の所に至りて其生命を保つべし 001 GEN 006 021 汝食はるる諸の食品を汝の許に取て之を汝の所に集むべし是即ち汝と是等の物の食品となるべし 001 GEN 006 022 ノア是爲し都て神の己に命じたまひしごとく然爲せり 001 GEN 007 001 ヱホバ、ノアに言たまひけるは汝と汝の家皆方舟に入べし我汝がこの世の人の中にてわが前に義を視たればなり 001 GEN 007 002 諸の潔き獸を牝牡七宛汝の許に取り潔らぬ獸を牝牡二 001 GEN 007 003 亦天空の鳥を雌雄七宛取て種を全地の面に生のこらしむべし 001 GEN 007 004 今七日ありて我四十日四十夜地に雨ふらしめ我造りたる萬有を地の面より拭去ん 001 GEN 007 005 ノア、ヱホバの凡て己に命じたまひし如くなせり 001 GEN 007 006 地に洪水ありける時にノア六百歳なりき 001 GEN 007 007 ノア其子等と其妻および其子等の妻と倶に洪水を避て方舟にいりぬ 001 GEN 007 008 潔き獸と潔らざる獸と鳥および地に匍ふ諸の物 001 GEN 007 009 牝牡二宛ノアに來りて方舟にいりぬ神のノアに命じたまへるが如し 001 GEN 007 010 かくて七日の後洪水地に臨めり 001 GEN 007 011 ノアの齡の六百歳の二月即ち其月の十七日に當り此日に大淵の源皆潰れ天の戸開けて 001 GEN 007 012 雨四十日四十夜地に注げり 001 GEN 007 013 此日にノアとノアの子セム、ハム、ヤペテおよびノアの妻と其子等の三人の妻諸倶に方舟にいりぬ 001 GEN 007 014 彼等および諸の獸其類に從ひ諸の家畜其類に從ひ都て地に匍ふ昆蟲其類に從ひ諸の禽即ち各樣の類の鳥皆其類に從ひて入りぬ 001 GEN 007 015 即ち生命の氣息ある諸の肉なる者二宛ノアに來りて方舟にいりぬ 001 GEN 007 016 入たる者は諸の肉なる者の牝牡にして皆いりぬ神の彼に命じたまへるが如しヱホバ乃ち彼を閉置たまへり 001 GEN 007 017 洪水四十日地にありき是において水増し方舟を浮めて方舟地の上に高くあがれり 001 GEN 007 018 而して水瀰漫りて大に地に増しぬ方舟は水の面に漂へり 001 GEN 007 019 水甚大に地に瀰漫りければ天下の高山皆おほはれたり 001 GEN 007 020 水はびこりて十五キユビトに上りければ山々おほはれたり 001 GEN 007 021 凡そ地に動く肉なる者鳥家畜獸地に匍ふ諸の昆蟲および人皆死り 001 GEN 007 022 即ち凡そ其鼻に生命の氣息のかよふ者都て乾土にある者は死り 001 GEN 007 023 斯地の表面にある萬有を人より家畜昆蟲天空の鳥にいたるまで盡く拭去たまへり是等は地より拭去れたり唯ノアおよび彼とともに方舟にありし者のみ存れり 001 GEN 007 024 水百五十日のあひだ地にはびこりぬ 001 GEN 008 001 神ノアおよび彼とともに方舟にある諸の生物と諸の家畜を眷念ひたまひて神乃ち風を地の上に吹しめたまひければ水減りたり 001 GEN 008 002 亦淵の源と天の戸閉塞りて天よりの雨止ぬ 001 GEN 008 003 是に於て水次第に地より退き百五十日を經てのち水減り 001 GEN 008 004 方舟は七月に至り其月の十七日にアララテの山に止りぬ 001 GEN 008 005 水次第に減て十月に至りしが十月の月朔に山々の嶺現れたり 001 GEN 008 006 四十日を經てのちノア其方舟に作りし窓を啓て 001 GEN 008 007 鴉を放出ちけるが水の地に涸るまで往來しをれり 001 GEN 008 008 彼地の面より水の減少しかを見んとて亦鴿を放出いだしけるが 001 GEN 008 009 鴿其足の跖を止べき處を得ずして彼に還りて方舟に至れり其は水全地の面にありたればなり彼乃ち其手を舒て之を執へ方舟の中におのれの所に接入たり 001 GEN 008 010 尚又七日待て再び鴿を方舟より放出ちけるが 001 GEN 008 011 鴿暮におよびて彼に還れり視よ其口に橄欖の新葉ありき是に於てノア地より水の減少しをしれり 001 GEN 008 012 尚又七日まちて鴿を放出ちけるが再び彼の所に歸らざりき 001 GEN 008 013 六百一年の一月の月朔に水地に涸たりノア乃ち方舟の蓋を撤きて視しに視よ土の面は燥てありぬ 001 GEN 008 014 二月の二十七日に至りて地乾きたり 001 GEN 008 015 爰に神ノアに語りて言給はく 001 GEN 008 016 汝および汝の妻と汝の子等と汝の子等の妻ともに方舟を出べし 001 GEN 008 017 汝とともにある諸の肉なる諸の生物諸の肉なる者即ち鳥家畜および地に匍ふ諸の昆蟲を率いでよ此等は地に饒く生育地の上に生且殖増すべし 001 GEN 008 018 ノアと其子等と其妻および其子等の妻ともに出たり 001 GEN 008 019 諸の獸諸の昆蟲および諸の鳥等凡そ地に動く者種類に從ひて方舟より出たり 001 GEN 008 020 ノア、ヱホバのために壇を築き諸の潔き獸と諸の潔き鳥を取て燔祭を壇の上に献げたり 001 GEN 008 021 ヱホバ其馨き香を聞ぎたまひてヱホバ其意に謂たまひけるは我再び人の故に因て地を詛ふことをせじ其は人の心の圖維るところ其幼少時よりして惡かればなり又我曾て爲たる如く再び諸の生る物を撃ち滅さじ 001 GEN 008 022 地のあらん限りは播種時、收穫時、寒熱夏冬および日と夜息ことあらじ 001 GEN 009 001 神ノアと其子等を祝して之に曰たまひけるは生よ増殖よ地に滿よ 001 GEN 009 002 地の諸の獸畜天空の諸の鳥地に匍ふ諸の物海の諸の魚汝等を畏れ汝等に懾かん是等は汝等の手に與へらる 001 GEN 009 003 凡そ生る動物は汝等の食となるべし菜蔬のごとく我之を皆汝等に與ふ 001 GEN 009 004 然ど肉を其生命なる其血のままに食ふべからず 001 GEN 009 005 汝等の生命の血を流すをば我必ず討さん獸之をなすも人をこれを爲すも我討さん凡そ人の兄弟人の生命を取ば我討すべし 001 GEN 009 006 凡そ人の血を流す者は人其血を流さん其は神の像のごとくに人を造りたまひたればなり 001 GEN 009 007 汝等生よ増殖よ地に饒くなりて其中に増殖よ 001 GEN 009 008 神ノアおよび彼と偕にある其子等に告て言たまひけるは 001 GEN 009 009 見よ我汝等と汝等の後の子孫 001 GEN 009 010 および汝等と偕なる諸の生物即ち汝等とともなる鳥家畜および地の諸の獸と契約を立ん都て方舟より出たる者より地の諸の獸にまで至らん 001 GEN 009 011 我汝等と契約を立ん總て肉なる者は再び洪水に絶るる事あらじ又地を滅す洪水再びあらざるべし 001 GEN 009 012 神言たまひけるは我が我と汝等および汝等と偕なる諸の生物の間に世々限りなく爲す所の契約の徴は是なり 001 GEN 009 013 我わが虹を雲の中に起さん是我と世との間の契約の徴なるべし 001 GEN 009 014 即ち我雲を地の上に起す時虹雲の中に現るべし 001 GEN 009 015 我乃ち我と汝等および總て肉なる諸の生物の間のわが契約を記念はん水再び諸の肉なる者を滅す洪水とならじ 001 GEN 009 016 虹雲の中にあらん我之を觀て神と地にある都て肉なる諸の生物との間なる永遠の契約を記念えん 001 GEN 009 017 神ノアに言たまひけるは是は我が我と地にある諸の肉なる者との間に立たる契約の徴なり 001 GEN 009 018 ノアの子等の方舟より出たる者はセム、ハム、ヤペテなりきハムはカナンの父なり 001 GEN 009 019 是等はノアの三人の子なり全地の民は是等より出て蔓延れり 001 GEN 009 020 爰にノアの農夫となりて葡萄園を植ることを始しが 001 GEN 009 021 葡萄酒を飮て醉天幕の中にありて裸になれり 001 GEN 009 022 カナンの父ハム其父のかくし所を見て外にありし二人の兄弟に告たり 001 GEN 009 023 セムとヤペテ乃ち衣を取て倶に其肩に負け後向に歩みゆきて其父の裸體を覆へり彼等面を背にして其父の裸體を見ざりき 001 GEN 009 024 ノア酒さめて其若き子の己に爲たる事を知れり 001 GEN 009 025 是に於て彼言けるはカナン詛はれよ彼は僕輩の僕となりて其兄弟に事へん 001 GEN 009 026 又いひけるはセムの神ヱホバは讚べきかなカナン彼の僕となるべし 001 GEN 009 027 神ヤペテを大ならしめたまはん彼はセムの天幕に居住はんカナン其僕となるべし 001 GEN 009 028 ノア洪水の後三百五十年生存へたり 001 GEN 009 029 ノアの齡は都て九百五十年なりき而して死り 001 GEN 010 001 ノアの子セム、ハム、ヤペテの傳は是なり洪水の後彼等に子等生れたり 001 GEN 010 002 ヤペテの子はゴメル、マゴグ、マデア、ヤワン、トバル、メセク、テラスなり 001 GEN 010 003 ゴメルの子はアシケナズ、リパテ、トガルマなり 001 GEN 010 004 ヤワンの子はエリシヤ、タルシシ、キツテムおよびドダニムなり 001 GEN 010 005 是等より諸國の洲島の民は派分れ出て各其方言と其宗族と其邦國とに循ひて其地に住り 001 GEN 010 006 ハムの子はクシ、ミツライム、フテおよびカナンなり 001 GEN 010 007 クシの子はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカなりラアマの子はシバおよびデダンなり 001 GEN 010 008 クシ、ニムロデを生り彼始めて世の權力ある者となれり 001 GEN 010 009 彼はヱホバの前にありて權力ある獵夫なりき是故にヱホバの前にある夫權力ある獵夫ニムロデの如しといふ諺あり 001 GEN 010 010 彼の國の起初はシナルの地のバベル、エレク、アツカデ、及びカルネなりき 001 GEN 010 011 其地より彼アッスリヤに出でニネベ、レホポテイリ、カラ 001 GEN 010 012 およびニネベとカラの間なるレセンを建たり是は大なる城邑なり 001 GEN 010 013 ミツライム、ルデ族アナミ族レハビ族ナフト族 001 GEN 010 014 バテロス族カスル族およびカフトリ族を生りカスル族よりペリシテ族出たり 001 GEN 010 015 カナン其冢子シドンおよびヘテ 001 GEN 010 016 エブス族アモリ族ギルガシ族 001 GEN 010 017 ヒビ族アルキ族セニ族 001 GEN 010 018 アルワデ族ゼマリ族ハマテ族を生り後に至りてカナン人の宗族蔓延りぬ 001 GEN 010 019 カナン人の境はシドンよりゲラルを經てガザに至りソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムに沿てレシヤにまで及べり 001 GEN 010 020 是等はハムの子孫にして其宗族と其方言と其土地と其邦國に隨ひて居りぬ 001 GEN 010 021 セムはヱベルの全の子孫の先祖にしてヤペテの兄なり彼にも子女生れたり 001 GEN 010 022 セムの子はエラム、アシユル、アルパクサデルデ、アラムなり 001 GEN 010 023 アラムの子はウヅ、ホル、ゲテル、マシなり 001 GEN 010 024 アルパクサデ、シラを生みシラ、エベルを生り 001 GEN 010 025 エベルに二人の子生れたり一人の名をペレグ(分れ)といふ其は彼の代に邦國分れたればなり其弟の名をヨクタンと曰ふ 001 GEN 010 026 ヨクタン、アルモダデ、シヤレフ、ハザルマウテ、ヱラ 001 GEN 010 027 ハドラム、ウザル、デクラ 001 GEN 010 028 オバル、アビマエル、シバ 001 GEN 010 029 オフル、ハビラおよびヨバブを生り是等は皆ヨクタンの子なり 001 GEN 010 030 彼等の居住所はメシヤよりして東方の山セバルにまで至れり 001 GEN 010 031 是等はセムの子孫にして其宗族と其方言と其土地と其邦國とに隨ひて居りぬ 001 GEN 010 032 是等はノアの子の宗族にして其血統と其邦國に隨ひて居りぬ洪水の後是等より地の邦國の民は派分れ出たり 001 GEN 011 001 全地は一の言語一の音のみなりき 001 GEN 011 002 茲に人衆東に移りてシナルの地に平野を得て其處に居住り 001 GEN 011 003 彼等互に言けるは去來甎石を作り之を善く爇んと遂に石の代に甎石を獲灰沙の代に石漆を獲たり 001 GEN 011 004 又曰けるは去來邑と塔とを建て其塔の頂を天にいたらしめん斯して我等名を揚て全地の表面に散ることを免れんと 001 GEN 011 005 ヱホバ降臨りて彼人衆の建る邑と塔とを觀たまへり 001 GEN 011 006 ヱホバ言たまひけるは視よ民は一にして皆一の言語を用ふ今旣に此を爲し始めたり然ば凡て其爲んと圖維る事は禁止め得られざるべし 001 GEN 011 007 去來我等降り彼處にて彼等の言語を淆し互に言語を通ずることを得ざらしめんと 001 GEN 011 008 ヱホバ遂に彼等を彼處より全地の表面に散したまひければ彼等邑を建ることを罷たり 001 GEN 011 009 是故に其名はバベル(淆亂)と呼ばる是はヱホバ彼處に全地の言語を淆したまひしに由てなり彼處よりヱホバ彼等を全地の表に散したまへり 001 GEN 011 010 セムの傳は是なりセム百歳にして洪水の後の二年にアルパクサデを生り 001 GEN 011 011 セム、アルパクサデを生し後五百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 012 アルパクサデ三十五歳に及びてシラを生り 001 GEN 011 013 アルパクサデ、シラを生し後四百三年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 014 シラ三十歳におよびてエベルを生り 001 GEN 011 015 シラ、エベルを生し後四百三年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 016 エベル三十四歳におよびてペレグを生り 001 GEN 011 017 エベル、ペレグを生し後四百三十年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 018 ペレグ三十歳におよびてリウを生り 001 GEN 011 019 ペレグ、リウを生し後二百九年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 020 リウ三十二歳におよびてセルグを生り 001 GEN 011 021 リウ、セルグを生し後二百七年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 022 セルグ三十年におよびてナホルを生り 001 GEN 011 023 セルグ、ナホルを生しのち二百年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 024 ナホル二十九歳に及びてテラを生り 001 GEN 011 025 ナホル、テラを生し後百十九年生存へて男子女子を生り 001 GEN 011 026 テラ七十歳に及びてアブラム、ナホルおよびハランを生り 001 GEN 011 027 テラの傳は是なりテラ、アブラム、ナホルおよびハランを生ハラン、ロトを生り 001 GEN 011 028 ハランは其父テラに先ちて其生處なるカルデアのウルにて死たり 001 GEN 011 029 アブラムとナホルと妻を娶れりアブラムの妻の名をサライと云ナホルの妻の名をミルカと云てハランの女なりハランはミルカの父にして亦イスカの父なりき 001 GEN 011 030 サライは石女にして子なかりき 001 GEN 011 031 テラ、カナンの地に往とて其子アブラムとハランの子なる其孫ロト及其子アブラムの妻なる其媳サライをひき挈て倶にカルデアのウルを出たりしがハランに至て其處に住り 001 GEN 011 032 テラの齡は二百五歳なりきテラはハランにて死り 001 GEN 012 001 爰にヱホバ、アブラムに言たまひけるは汝の國を出で汝の親族に別れ汝の父の家を離れて我が汝に示さん其地に至れ 001 GEN 012 002 我汝を大なる國民と成し汝を祝み汝の名を大ならしめん汝は祉福の基となるべし 001 GEN 012 003 我は汝を祝する者を祝し汝を詛ふ者を詛はん天下の諸の宗族汝によりて福禔を獲と 001 GEN 012 004 アブラム乃ちヱホバの自己に言たまひし言に從て出たりロト彼と共に行りアブラムはハランを出たる時七十五歳なりき 001 GEN 012 005 アブラム其妻サライと其弟の子ロトおよび其集めたる總の所有とハランにて獲たる人衆を携へてカナンの地に往んとて出で遂にカナンの地に至れり 001 GEN 012 006 アブラム其地を經過てシケムの處に及びモレの橡樹に至れり其時にカナン人其地に住り 001 GEN 012 007 茲にヱホバ、アブラムに顯現れて我汝の苗裔に此地に與へんといひたまへり彼處にて彼己に顯現れたまひしヱホバに壇を築けり 001 GEN 012 008 彼其處よりベテルの東の山に移りて其天幕を張り西にベテル東にアイありき彼處にて彼ヱホバに壇を築きヱホバの名を龥り 001 GEN 012 009 アブラム尚進て南に遷れり 001 GEN 012 010 茲に饑饉其地にありければアブラム、エジプトに寄寓らんとて彼處に下れり其は饑饉其地に甚しかりければなり 001 GEN 012 011 彼近く來りてエジプトに入んとする時其妻サライに言けるは視よ我汝を觀て美麗き婦人なるを知る 001 GEN 012 012 是故にエジプト人汝を見る時是は彼の妻なりと言て我を殺さん然ど汝をば生存かん 001 GEN 012 013 請ふ汝わが妹なりと言へ然ば我汝の故によりて安にしてわが命汝のために生存ん 001 GEN 012 014 アブラム、エジプトに至りし時エジプト人此婦を見て甚だ美麗となせり 001 GEN 012 015 またパロの大臣等彼を視て彼をパロの前に譽めければ婦遂にパロの家に召入れられたり 001 GEN 012 016 是に於てパロ彼のために厚くアブラムを待ひてアブラム遂に羊牛僕婢牝牡の驢馬および駱駝を多く獲るに至れり 001 GEN 012 017 時にヱホバ、アブラムの妻サライの故によりて大なる災を以てパロと其家を惱したまへり 001 GEN 012 018 パロ、アブラムを召て言けるは汝が我になしたる此事は何ぞや汝何故に彼が汝の妻なるを我に告ざりしや 001 GEN 012 019 汝何故に彼はわが妹なりといひしや我幾彼をわが妻にめとらんとせり然ば汝の妻は此にあり挈去るべしと 001 GEN 012 020 パロ即ち彼の事を人々に命じければ彼と其妻および其有る諸の物を送りさらしめたり 001 GEN 013 001 アブラム其妻および其有る諸の物と偕にエジプトを出て南の地に上れりロト彼と共にありき 001 GEN 013 002 アブラム甚家畜と金銀に富り 001 GEN 013 003 彼南の地より其旅路に進てベテルに至りベテルとアイの間なる其以前に天幕を張たる處に至れり 001 GEN 013 004 即ち彼が初に其處に築きたる壇のある處なり彼處にアブラム、ヱホバの名を龥り 001 GEN 013 005 アブラムと偕に行しロトも羊牛および天幕を有り 001 GEN 013 006 其地は彼等を載て倶に居しむること能はざりき彼等は其所有多かりしに縁て倶に居ることを得ざりしなり 001 GEN 013 007 斯有かばアブラムの家畜の牧者とロトの家畜の牧者の間に競爭ありきカナン人とペリジ人此時其地に居住り 001 GEN 013 008 アブラム、ロトに言けるは我等は兄弟の人なれば請ふ我と汝の間およびわが牧者と汝の牧者の間に競爭あらしむる勿れ 001 GEN 013 009 地は皆爾の前にあるにあらずや請ふ我を離れよ爾若左にゆかば我右にゆかん又爾右にゆかば我左にゆかんと 001 GEN 013 010 是に於てロト目を擧てヨルダンの凡ての低地を瞻望みけるにヱホバ、ソドムとゴモラとを滅し給はざりし前なりければゾアルに至るまであまねく善く潤澤ひてヱホバの園の如くエジプトの地の如くなりき 001 GEN 013 011 ロト乃ちヨルダンの低地を盡く撰とりて東に徙れり斯彼等彼此に別たり 001 GEN 013 012 アブラムはカナンの地に住り又ロトは低地の諸邑に住み其天幕を遷してソドムに至れり 001 GEN 013 013 ソドムの人は惡くしてヱホバの前に大なる罪人なりき 001 GEN 013 014 ロトのアブラムに別れし後ヱホバ、アブラムに言たまひけるは爾の目を擧て爾の居る處より西東北南を瞻望め 001 GEN 013 015 凡そ汝が觀る所の地は我之を永く爾と爾の裔に與べし 001 GEN 013 016 我爾の後裔を地の塵沙の如くなさん若人地の塵沙を數ふることを得ば爾の後裔も數へらるべし 001 GEN 013 017 爾起て縱横に其地を行き巡るべし我之を爾に與へんと 001 GEN 013 018 アブラム遂に天幕を遷して來りヘブロンのマムレの橡林に住み彼處にてヱホバに壇を築けり 001 GEN 014 001 當時シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオク、エラムの王ケダラオメルおよびゴイムの王テダル等 001 GEN 014 002 ソドムの王ベラ、ゴモルの王ビルシア、アデマの王シナブ、ゼボイムの王セメベルおよびベラ(即ち今のゾアル)の王と戰ひをなせり 001 GEN 014 003 是等の五人の王皆結合てシデムの谷に至れり其處は今の鹽海なり 001 GEN 014 004 彼等は十二年ケダラオメルに事へ第十三年に叛けり 001 GEN 014 005 第十四年にケダラオメルおよび彼と偕なる王等來りてアシタロテカルナイムのレパイム人、ハムのズジ人、シヤベキリアタイムのエミ人 001 GEN 014 006 およびセイル山のホリ人を撃て曠野の傍なるエルパランに至り 001 GEN 014 007 彼等歸りてエンミシパテ(即ち今のカデシ)に至りアマレク人の國を盡く撃又ハザゾンタマルに住るアモリ人を撃り 001 GEN 014 008 爰にソドムの王ゴモラの王アデマの王ゼボイムの王およびベラ(即ち今のゾアル)の王出てシデムの谷にて彼等と戰ひを接たり 001 GEN 014 009 即ち彼五人の王等エラムの王ケダラオメル、ゴイムの王テダル、シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオクの四人と戰へり 001 GEN 014 010 シデムの谷には地瀝靑の坑多かりしがソドムとゴモラの王等遁て其處に陷りぬ其餘の者は山に遁逃たり 001 GEN 014 011 是に於て彼等ソドムとゴモラの諸の物と其諸の食料を取て去れり 001 GEN 014 012 彼等アブラムの姪ロトと其物を取て去り其は彼ソドムに住たればなり 001 GEN 014 013 茲に遁逃者來りてヘブル人アブラムに之を告たり時にアブラムはアモリ人マムレの橡林に住りマムレはエシコルの兄弟又アネルの兄弟なり是等はアブラムと契約を結べる者なりき 001 GEN 014 014 アブラム其兄弟の擄にせられしを聞しかば其熟練したる家の子三百十八人を率ゐてダンまで追いたり 001 GEN 014 015 其家臣を分ちて夜に乗じて彼等を攻め彼等を撃破りてダマスコの左なるホバまで彼等を追ゆけり 001 GEN 014 016 アブラム斯諸の物を奪回し亦其兄弟ロトと其物および婦人と人民を取回せり 001 GEN 014 017 アブラム、ケダラオメルおよび彼と偕なる王等を撃破りて歸れる時ソドムの王シヤベの谷(即ち今の王の谷)にて彼を迎へたり 001 GEN 014 018 時にサレムの王メルキゼデク、パンと酒を携出せり彼は至高き神の祭司なりき 001 GEN 014 019 彼アブラムを祝して言けるは願くは天地の主なる至高神アブラムを祝福みたまへ 001 GEN 014 020 願くは汝の敵を汝の手に付したまひし至高神に稱譽あれとアブラム乃ち彼に其諸の物の什分の一を饋れり 001 GEN 014 021 茲にソドムの王アブラムに言けるは人を我に與へ物を汝に取れと 001 GEN 014 022 アブラム、ソドムの王に言けるは我天地の主なる至高き神ヱホバを指て言ふ 001 GEN 014 023 一本の絲にても鞋帶にても凡て汝の所屬は我取ざるべし恐くは汝我アブラムを富しめたりと言ん 001 GEN 014 024 但少者の旣に食ひたる物および我と偕に行し人アネル、エシコルおよびマムレの分を除くべし彼等には彼等の分を取しめよ 001 GEN 015 001 是等の事の後ヱホバの言異象の中にアブラムに臨て曰くアブラムよ懼るなかれ我は汝の干櫓なり汝の賚は甚大なるべし 001 GEN 015 002 アブラム言けるは主ヱホバよ何を我に與んとしたまふや我は子なくして居り此ダマスコのエリエゼル我が家の相續人なり 001 GEN 015 003 アブラム又言けるは視よ爾子を我にたまはず我の家の子わが嗣子とならんとすと 001 GEN 015 004 ヱホバの言彼にのぞみて曰く此者は爾の嗣子となるべからず汝の身より出る者爾の嗣子となるべしと 001 GEN 015 005 斯てヱホバ彼を外に携へ出して言たまひけるは天を望みて星を數へ得るかを見よと又彼に言たまひけるは汝の子孫は是のごとくなるべしと 001 GEN 015 006 アブラム、ヱホバを信ずヱホバこれを彼の義となしたまへり 001 GEN 015 007 又彼に言たまひけるは我は此地を汝に與へて之を有たしめんとて汝をカルデアのウルより導き出せるヱホバなり 001 GEN 015 008 彼言けるは主ヱホバよ我いかにして我之を有つことを知るべきや 001 GEN 015 009 ヱホバ彼に言たまひけるは三歳の牝牛と三歳の牝山羊と三歳の牡羊と山鳩および雛き鴿を我ために取れと 001 GEN 015 010 彼乃ち是等を皆取て之を中より剖き其剖たる者を各相對はしめて置り但鳥は剖ざりき 001 GEN 015 011 鷙鳥其死體の上に下る時はアブラム之を驅はらへり 001 GEN 015 012 斯て日の沒る頃アブラム酣く睡りしが其大に暗きを覺えて懼れたり 001 GEN 015 013 時にヱホバ、アブラムに言たまひけるは爾確に知るべし爾の子孫他人の國に旅人となりて其人々に服事へん彼等四百年のあひだ之を惱さん 001 GEN 015 014 又其服事たる國民は我之を鞫かん其後彼等は大なる財貨を携へて出ん 001 GEN 015 015 爾は安然に爾の父祖の所にゆかん爾は遐齡に逹りて葬らるべし 001 GEN 015 016 四代に及びて彼等此に返りきたらん其はアモリ人の惡未だ貫盈ざれば也と 001 GEN 015 017 斯て日の沒て黑暗となりし時烟と火焔の出る爐其切剖たる物の中を通過り 001 GEN 015 018 是日にヱホバ、アブラムと契約をなして言たまひけるは我此地をエジプトの河より彼大河即ちユフラテ河まで爾の子孫に與ふ 001 GEN 015 019 即ちケニ人ケナズ人カデモニ人 001 GEN 015 020 ヘテ人ペリジ人レパイム人 001 GEN 015 021 アモリ人カナン人ギルガシ人ヱブス人の地是なり 001 GEN 016 001 アブラムの妻サライ子女を生ざりき彼に一人の侍女ありしがエジプト人にして其名をハガルと曰り 001 GEN 016 002 サライ、アブラムに言けるは視よヱホバわが子を生むことを禁めたまひければ請ふ我が侍女の所に入れ我彼よりして子女を得ることあらんとアブラム、サライの言を聽いれたり 001 GEN 016 003 アブラムの妻サライ其侍女なるエジプト人ハガルを取て之を其夫アブラムに與へて妻となさしめたり是はアブラムがカナンの地に十年住みたる後なりき 001 GEN 016 004 是においてアブラム、ハガルの所に入るハガル遂に孕みければ己の孕めるを見て其女主を藐視たり 001 GEN 016 005 サライ、アブラムに言けるはわが蒙れる害は汝に歸すべし我わが侍女を汝の懷に與へたるに彼己の孕るを見て我を藐視ぐ願はヱホバ我と汝の間の事を鞫きたまへ 001 GEN 016 006 アブラム、サライに言けるは視よ汝の侍女は汝の手の中にあり汝の目に善と見ゆる所を彼に爲すべしサライ乃ち彼を苦めければ彼サライの面を避て逃たり 001 GEN 016 007 ヱホバの使者曠野の泉の旁即ちシユルの路にある泉の旁にて彼に遭ひて 001 GEN 016 008 言けるはサライの侍女ハガルよ汝何處より來れるや又何處に往や彼言けるは我は女主サライの面をさけて逃るなり 001 GEN 016 009 ヱホバの使者彼に言けるは汝の女主の許に返り身を其手に任すべし 001 GEN 016 010 ヱホバの使者又彼に言ひけるは我大に汝の子孫を増し其數を衆多して數ふることあたはざらしめん 001 GEN 016 011 ヱホバの使者又彼に言けるは汝孕めり男子を生まん其名をイシマエル(神聽知)と名くべしヱホバ汝の艱難を聽知したまへばなり 001 GEN 016 012 彼は野驢馬の如き人とならん其手は諸の人に敵し諸の人の手はこれに敵すべし彼は其諸の兄弟の東に住んと 001 GEN 016 013 ハガル己に諭したまへるヱホバの名をアタエルロイ(汝は見たまふ神なり)とよべり彼いふ我視たる後尚生るやと 001 GEN 016 014 是をもて其井はベエルラハイロイ(我を見る活る者の井)と呼ばる是はカデシとベレデの間にあり 001 GEN 016 015 ハガル、アブラムの男子を生めりアブラム、ハガルの生める其子の名をイシマエルと名づけたり 001 GEN 016 016 ハガル、イシマエルをアブラムに生める時アブラムは八十六歳なりき 001 GEN 017 001 アブラム九十九歳の時ヱホバ、アブラムに顯れて之に言たまひけるは我は全能の神なり汝我前に行みて完全かれよ 001 GEN 017 002 我わが契約を我と汝の間に立て大に汝の子孫を増ん 001 GEN 017 003 アブラム乃ち俯伏たり神又彼に告て言たまひけるは 001 GEN 017 004 我汝とわが契約を立つ汝は衆多の國民の父となるべし 001 GEN 017 005 汝の名を此後アブラムと呼ぶべからず汝の名をアブラハム(衆多の人の父)とよぶべし其は我汝を衆多の國民の父と爲ばなり 001 GEN 017 006 我汝をして衆多の子孫を得せしめ國々の民を汝より起さん王等汝より出べし 001 GEN 017 007 我わが契約を我と汝および汝の後の世々の子孫との間に立て永久の契約となし汝および汝の後の子孫の神となるべし 001 GEN 017 008 我汝と汝の後の子孫に此汝が寄寓る地即ちカナンの全地を與へて永久の產業となさん而して我彼等の神となるべし 001 GEN 017 009 神またアブラハムに言たまひけるは然ば汝と汝の後の世々の子孫わが契約を守るべし 001 GEN 017 010 汝等の中の男子は咸割禮を受べし是は我と汝等および汝の後の子孫の間の我が契約にして汝等の守るべき者なり 001 GEN 017 011 汝等其陽の皮を割べし是我と汝等の間の契約の徴なり 001 GEN 017 012 汝等の代々の男子は家に生れたる者も異邦人より金にて買たる汝の子孫ならざる者も皆生れて八日に至らば割禮を受べし 001 GEN 017 013 汝の家に生れたる者も汝の金にて買たる者も割禮を受ざるべからず斯我契約汝等の身にありて永久の契約となるべし 001 GEN 017 014 割禮を受ざる男兒即ち其陽の皮を割ざる者は我契約を破るによりて其人其民の中より絶るべし 001 GEN 017 015 神又アブラハムの言たまひけるは汝の妻サライは其名をサライと稱ぶべからず其名をサラと爲べし 001 GEN 017 016 我彼を祝み彼よりして亦汝に一人の男子を授けん我彼を祝み彼をして諸邦の民の母とならしむべし諸の民の王等彼より出べし 001 GEN 017 017 アブラハム俯伏て哂ひ其心に謂けるは百歳の人に豈で子の生るることあらんや又サラは九十歳なれば豈で產ことをなさんやと 001 GEN 017 018 アブラハム遂に神にむかひて願くはイシマエルの汝のまへに生存へんことをと曰ふ 001 GEN 017 019 神言たまひけるは汝の妻サラ必ず子を生ん汝其名をイサクと名くべし我彼および其後の子孫と契約を立て永久の契約となさん 001 GEN 017 020 又イシマエルの事に關ては我汝の願を聽たり視よ我彼を祝みて多衆の子孫を得さしめ大に彼の子孫を増すべし彼十二の君王を生ん我彼を大なる國民となすべし 001 GEN 017 021 然どわが契約は我翌年の今頃サラが汝に生ん所のイサクと之を立べし 001 GEN 017 022 神アブラハムと言ことを竟へ彼を離れて昇り給へり 001 GEN 017 023 是に於てアブラハム神の己に言たまへる如く此日其子イシマエルと凡て其家に生れたる者および凡て其金にて買たる者即ちアブラハムの家の人の中なる諸の男を將きたりて其陽の皮を割たり 001 GEN 017 024 アブラハムは其陽の皮を割れたる時九十九歳 001 GEN 017 025 其子イシマエルは其陽の皮を割れたる時十三歳なりき 001 GEN 017 026 是日アブラハムと其子イシマエル割禮を受たり 001 GEN 017 027 又其家の人家に生れたる者も金にて異邦人より買たる者も皆彼とともに割禮を受たり 001 GEN 018 001 ヱホバ、マムレの橡林にてアブラハムに顯現たまへり彼は日の熱き時刻天幕の入口に坐しゐたりしが 001 GEN 018 002 目を擧て見たるに視よ三人の人其前に立り彼見て天幕の入口より趨り行て之を迎へ 001 GEN 018 003 身を地に鞠めて言けるは我が主よ我若汝の目のまへに恩を得たるならば請ふ僕を通り過すなかれ 001 GEN 018 004 請ふ少許の水を取きたらしめ汝等の足を濯ひて樹の下に休憇たまへ 001 GEN 018 005 我一口のパンを取來らん汝等心を慰めて然る後過ゆくべし汝等僕の所に來ればなり彼等言ふ汝が言るごとく爲せ 001 GEN 018 006 是においてアブラハム天幕に急ぎいりてサラの許に至りて言けるは速に細麺三セヤを取り捏てパンを作るべしと 001 GEN 018 007 而してアブラハム牛の群に趨ゆき犢の柔にして善き者を取りきたりて少者に付しければ急ぎて之を調理ふ 001 GEN 018 008 かくてアブラハム牛酪と牛乳および其調理へたる犢を取て彼等のまへに供へ樹の下にて其側に立り彼等乃ち食へり 001 GEN 018 009 彼等アブラハムに言けるは爾の妻サラは何處にあるや彼言ふ天幕にあり 001 GEN 018 010 其一人言ふ明年の今頃我必ず爾に返るべし爾の妻サラに男子あらんサラ其後なる天幕の入口にありて聞ゐたり 001 GEN 018 011 抑アブラハムとサラは年邁み老いたる者にしてサラには婦人の常の經已に息たり 001 GEN 018 012 是故にサラ心に哂ひて言けるは我は老衰へ吾が主も亦老たる後なれば我に樂あるべけんや 001 GEN 018 013 ヱホバ、アブラハムに言たまひけるは何故にサラは哂ひて我老たれば果して子を生ことあらんと言ふや 001 GEN 018 014 ヱホバに豈爲し難き事あらんや時至らば我定めたる期に爾に歸るべしサラに男子あらんと 001 GEN 018 015 サラ懼れたれば承ずして我哂はずと言へりヱホバ言たまひけるは否汝哂へるなり 001 GEN 018 016 斯て其人々彼處より起てソドムの方を望みければアブラハム彼等を送らんとて倶に行り 001 GEN 018 017 ヱホバ言ひ給けるは我爲んとする事をアブラハムに隱すべけんや 001 GEN 018 018 アブラハムは必ず大なる強き國民となりて天下の民皆彼に由て福を獲に至るべきに在ずや 001 GEN 018 019 其は我彼をして其後の兒孫と家族とに命じヱホバの道を守りて公儀と公道を行しめん爲に彼をしれり是ヱホバ、アブラハムに其曾て彼に就て言し事を行はん爲なり 001 GEN 018 020 ヱホバ又言給ふソドムとゴモラの號呼大なるに因り又其罪甚だ重に因て 001 GEN 018 021 我今下りて其號呼の我に逹れる如くかれら全く行ひたりしやを見んとす若しからずば我知るに至らんと 001 GEN 018 022 其人々其處より身を旋してソドムに赴むけりアブラハムは尚ほヱホバのまへに立り 001 GEN 018 023 アブラハム近よりて言けるは爾は義者をも惡者と倶に滅ぼしたまふや 001 GEN 018 024 若邑の中に五十人の義者あるも汝尚ほ其處を滅ぼし其中の五十人の義者のためにこれを恕したまはざるや 001 GEN 018 025 なんぢ斯の如く爲て義者と惡者と倶に殺すが如きは是あるまじき事なり又義者と惡者を均等するが如きもあるまじき事なり天下を鞫く者は公儀を行ふ可にあらずや 001 GEN 018 026 ヱホバ言たまひけるは我若ソドムに於て邑の中に五十人の義者を看ば其人々のために其處を盡く恕さん 001 GEN 018 027 アブラハム應へていひけるは我は塵と灰なれども敢て我主に言上す 001 GEN 018 028 若五十人の義者の中五人缺たらんに爾五人の缺たるために邑を盡く滅ぼしたまふやヱホバ言たまひけるは我若彼處に四十五人を看ば滅さざるべし 001 GEN 018 029 アブラハム又重ねてヱホバに言上して曰けるは若彼處に四十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我四十人のために之をなさじ 001 GEN 018 030 アブラハム曰ひけるは請ふわが主よ怒らずして言しめたまへ若彼處に三十人看えなば如何ヱホバいひたまふ我三十人を彼處に看ば之を爲じ 001 GEN 018 031 アブラハム言ふ我あへてわが主に言上す若彼處に二十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我二十人のためにほろぼさじ 001 GEN 018 032 アブラハム言ふ請ふわが主怒らずして今一度言しめたまへ若かしこに十人看えなば如何ヱホバ言たまふ我十人のためにほろぼさじ 001 GEN 018 033 ヱホバ、アブラハムと言ふことを終てゆきたまへりアブラハムおのれの所にかへりぬ 001 GEN 019 001 其二個の天使黄昏にソドムに至るロト時にソドムの門に坐し居たりしがこれを視起て迎へ首を地にさげて 001 GEN 019 002 言けるは我主よ請ふ僕の家に臨み足を濯ひて宿りつとに起て途に遄征たまへ彼等言ふ否我等は街衢に宿らんと 001 GEN 019 003 然ど固く強ければ遂に彼の所に臨みて其家に入るロト乃ち彼等のために筵を設け酵いれぬパンを炊て食はしめたり 001 GEN 019 004 斯て未だ寢ざる前に邑の人々即ちソドムの人老たるも若きも諸共に四方八方より來たれる民皆其家を環み 001 GEN 019 005 ロトを呼て之に言けるは今夕爾に就たる人は何處にをるや彼等を我等の所に携へ出せ我等之を知らん 001 GEN 019 006 ロト入口に出て其後の戸を閉ぢ彼等の所に至りて 001 GEN 019 007 言けるは請ふ兄弟よ惡き事を爲すなかれ 001 GEN 019 008 我に未だ男知ぬ二人の女あり請ふ我之を携へ出ん爾等の目に善と見ゆる如く之になせよ唯此人等は旣に我家の蔭に入たれば何をも之になすなかれ 001 GEN 019 009 彼等曰ふ爾退け又言けるは此人は來り寓れる身なるに恒に士師とならんとす然ば我等彼等に加ふるよりも多くの害を爾に加へんと遂に彼等酷しく其人ロトに逼り前よりて其戸を破んとせしに 001 GEN 019 010 彼二人其手を舒しロトを家の内に援いれて其戸を閉ぢ 001 GEN 019 011 家の入口にをる人衆をして大なるも小も倶に目を眩しめければ彼等遂に入口を索ぬるに困憊たり 001 GEN 019 012 斯て二人ロトに言けるは外に爾に屬する者ありや汝の婿子女および凡て邑にをりて爾に屬する者を此所より携へ出べし 001 GEN 019 013 此處の號呼ヱホバの前に大になりたるに因て我等之を滅さんとすヱホバ我等を遣はして之を滅さしめたまふ 001 GEN 019 014 ロト出て其女を娶る婿等に告て言けるはヱホバが邑を滅したまふべければ爾等起て此處を出よと然ど婿等は之を戲言と視爲り 001 GEN 019 015 曉に及て天使ロトを促して言けるは起て此なる爾の妻と二人の女を携へよ恐くは爾邑の惡とともに滅されん 001 GEN 019 016 然るに彼遲延ひしかば二人其手と其妻の手と其二人の女の手を執て之を導き出し邑の外に置りヱホバ斯彼に仁慈を加へたまふ 001 GEN 019 017 旣に之を導き出して其一人曰けるは逃遁て汝の生命を救へ後を回顧るなかれ低地の中に止るなかれ山に遁れよ否ずば爾滅されん 001 GEN 019 018 ロト彼等に言けるはわが主よ請ふ斯したまふなかれ 001 GEN 019 019 視よ僕爾の目のまへに恩を得たり爾大なる仁慈を吾に施してわが生命を救たまふ吾山に遁る能はず恐くは災害身に及びて死るにいたらん 001 GEN 019 020 視よ此邑は遁ゆくに近くして且小し我をして彼處に遁れしめよしからば吾生命全からん是は小き邑なるにあらずや 001 GEN 019 021 天使之にいひけるは視よ我此事に關ても亦爾の願を容たれば爾が言ふところの邑を滅さじ 001 GEN 019 022 急ぎて彼處に遁れよ爾が彼處に至るまでは我何事をも爲を得ずと是に因て其邑の名はゾアル(小し)と稱る 001 GEN 019 023 ロト、ゾアルに至れる時日地の上に昇れり 001 GEN 019 024 ヱホバ硫黄と火をヱホバの所より即ち天よりソドムとゴモラに雨しめ 001 GEN 019 025 其邑と低地と其邑の居民および地に生るところの物を盡く滅したまへり 001 GEN 019 026 ロトの妻は後を回顧たれば鹽の柱となりぬ 001 GEN 019 027 アブラハム其朝夙に起て其嘗てヱホバの前に立たる處に至り 001 GEN 019 028 ソドム、ゴモラおよび低地の全面を望み見るに其地の烟燄窰の烟のごとくに騰上れり 001 GEN 019 029 神低地の邑を滅したまふ時即ちロトの住る邑を滅したまふ時に當り神アブラハムを眷念て斯其滅亡の中よりロトを出したまへり 001 GEN 019 030 斯てロト、ゾアルに居ることを懼れたれば其二人の女と偕にゾアルを出て上りて山に居り其二人の女子とともに巖穴に住り 001 GEN 019 031 茲に長女季女にいひけるは我等の父は老いたり又此地には我等に偶て世の道を成す人あらず 001 GEN 019 032 然ば我等父に酒を飮せて與に寢ね父に由て子を得んと 001 GEN 019 033 遂に其夜父に酒を飮せ長女入て其父と與に寢たり然るにロトは女の起臥を知ざりき 001 GEN 019 034 翌日長女季女に言けるは我昨夜わが父と寢たり我等此夜又父に酒をのません爾入て與に寢よわれらの父に由て子を得ることをえんと 001 GEN 019 035 乃ち其夜も亦父に酒をのませ季女起て父と與に寢たりロトまた女の起臥を知ざりき 001 GEN 019 036 斯ロトの二人の女其父によりて孕みたり 001 GEN 019 037 長女子を生み其名をモアブと名く即ち今のモアブ人の先祖なり 001 GEN 019 038 季女も亦子を生み其名をベニアンミと名く即ち今のアンモニ人の先祖なり 001 GEN 020 001 アブラハム彼處より徒りて南の地に至りカデシとシユルの間に居りゲラルに寄留り 001 GEN 020 002 アブラハム其妻サラを我妹なりと言しかばゲラルの王アビメレク人を遣してサラを召入たり 001 GEN 020 003 然るに神夜の夢にアビメレクに臨みて之に言たまひけるは汝は其召入たる婦人のために死るなるべし彼は夫ある者なればなり 001 GEN 020 004 アビメレク未だ彼に近づかざりしかば言ふ主よ汝は義き民をも殺したまふや 001 GEN 020 005 彼は我に是はわが妹なりと言しにあらずや又婦も自彼はわが兄なりと言たり我全き心と潔き手をもて此をなせり 001 GEN 020 006 神又夢に之に言たまひけるは然り我汝が全き心をもて之をなせるを知りたれば我も汝を阻めて罪を我に犯さしめざりき彼に觸るを容ざりしは是がためなり 001 GEN 020 007 然ば彼の妻を歸せ彼は預言者なれば汝のために祈り汝をして生命を保しめん汝若歸ずば汝と汝に屬する者皆必死るべきを知るべし 001 GEN 020 008 是に於てアビメレク其朝夙に起て臣僕を悉く召し此事を皆語り聞せければ人々甚く懼れたり 001 GEN 020 009 斯てアビメレク、アブラハムを召て之に言けるは爾我等に何を爲すや我何の惡き事を爾になしたれば爾大なる罪を我とわが國に蒙らしめんとせしか爾爲べからざる所爲を我に爲したり 001 GEN 020 010 アビメレク又アブラハムに言けるは爾何を見て此事を爲たるや 001 GEN 020 011 アブラハム言けるは我此處はかならず神を畏れざるべければ吾妻のために人我を殺さんと思ひたるなり 001 GEN 020 012 又我は誠にわが妹なり彼はわが父の子にしてわが母の子にあらざるが遂に我妻となりたるなり 001 GEN 020 013 神我をして吾父の家を離れて周遊しめたまへる時に當りて我彼に爾我等が至る處にて我を爾の兄なりと言へ是は爾が我に施す恩なりと言たり 001 GEN 020 014 アビメレク乃ち羊牛僕婢を將てアブラハムに與へ其妻サラ之に歸せり 001 GEN 020 015 而してアビメレク言けるは視よ我地は爾のまへにあり爾の好むところに住め 001 GEN 020 016 又サラに言けるは視よ我爾の兄に銀千枚を與へたり是は爾および諸の人にありし事等につきて爾の目を蔽ふ者なり斯爾償贖を得たり 001 GEN 020 017 是に於てアブラハム神に祈りければ神アビメレクと其妻および婢を醫したまひて彼等子を產むにいたる 001 GEN 020 018 ヱホバさきにはアブラハムの妻サラの故をもてアビメレクの家の者の胎をことごとく閉たまへり 001 GEN 021 001 ヱホバ其言し如くサラを眷顧みたまふ即ちヱホバ其語しごとくサラに行ひたまひしかば 001 GEN 021 002 サラ遂に孕み神のアブラハムに語たまひし期日に及びて年老たるアブラハムに男子を生り 001 GEN 021 003 アブラハム其生れたる子即ちサラが己に生る子の名をイサクと名けたり 001 GEN 021 004 アブラハム神の命じたまひし如く八日に其子イサクに割禮を行へり 001 GEN 021 005 アブラハムは其子イサクの生れたる時百歳なりき 001 GEN 021 006 サラ言けるは神我を笑はしめたまふ聞く者皆我とともに笑はん 001 GEN 021 007 又曰けるは誰かアブラハムにサラ子女に乳を飮しむるにいたらんと言しものあらん然に彼が年老るに及びて男子を生たりと 001 GEN 021 008 偖其子長育ちて遂に乳を離るイサクの乳を離るる日にアブラハム大なる饗宴を設けたり 001 GEN 021 009 時にサラ、エジプト人ハガルがアブラハムに生たる子の笑ふを見て 001 GEN 021 010 アブラハムに言けるは此婢と其子を遂出せ此婢の子は吾子イサクと共に嗣子となるべからざるなりと 001 GEN 021 011 アブラハム其子のために甚く此事を憂たり 001 GEN 021 012 神アブラハムに言たまひけるは童兒のため又汝の婢のために之を憂るなかれサラが汝に言ところの言は悉く之を聽け其はイサクより出る者汝の裔と稱らるべければなり 001 GEN 021 013 又婢の子も汝の胤なれば我之を一の國となさん 001 GEN 021 014 アブラハム朝夙に起てパンと水の革嚢とを取りハガルに與へて之を其肩に負せ其子を携へて去しめければ彼往てベエルシバの曠野に躑躅しが 001 GEN 021 015 革嚢の水遂に罄たれば子を灌木の下に置き 001 GEN 021 016 我子の死るを見るに忍ずといひて遙かに行き箭逹を隔てて之に對ひ坐しぬ斯相嚮ひて坐し聲をあげて泣く 001 GEN 021 017 神其童兒の聲を聞たまふ神の使即ち天よりハガルを呼て之に言けるはハガルよ何事ぞや懼るるなかれ神彼處にをる童兒の聲を聞たまへり 001 GEN 021 018 起て童兒を起し之を汝の手に抱くべし我之を大なる國となさんと 001 GEN 021 019 神ハガルの目を開きたまひければ水の井あるを見ゆきて革嚢に水を充し童兒に飮しめたり 001 GEN 021 020 神童兒と偕に在す彼遂に成長り曠野に居りて射者となり 001 GEN 021 021 パランの曠野に住り其母彼のためにエジプトの國より妻を迎へたり 001 GEN 021 022 當時アビメレクと其軍勢の長ピコル、アブラハムに語て言けるは汝何事を爲にも神汝とともに在す 001 GEN 021 023 然ば汝が我とわが子とわが孫に僞をなさざらんことを今此に神をさして我に誓へ我が厚情をもて汝をあつかふごとく汝我と此汝が寄留る地とに爲べし 001 GEN 021 024 アブラハム言ふ我誓はん 001 GEN 021 025 アブラハム、アビメレクの臣僕等が水の井を奪ひたる事につきてアビメレクを責ければ 001 GEN 021 026 アビメレク言ふ我誰が此事を爲しを知ず汝我に告しこと无く又我今日まで聞しことなし 001 GEN 021 027 アブラハム乃ち羊と牛を取て之をアビメレクに與ふ斯て二人契約を結べり 001 GEN 021 028 アブラハム牝の羔七を分ち置ければ 001 GEN 021 029 アビメレク、アブラハムに言ふ汝此七の牝の羔を分ちおくは何のためなるや 001 GEN 021 030 アブラハム言けるは汝わが手より此七の牝の羔を取りて我が此井を掘たる證據とならしめよと彼等二人彼處に誓ひしによりて 001 GEN 021 031 其處をベエルシバ(盟約の井)と名けたり 001 GEN 021 032 斯彼等ベエルシバにて契約を結びアビメレクと其軍勢の長ピコルは起てペリシテ人の國に歸りぬ 001 GEN 021 033 アブラハム、ベエルシバに柳を植ゑ永遠に在す神ヱホバの名を彼處に龥り 001 GEN 021 034 斯してアブラハム久くペリシテ人の地に留寄りぬ 001 GEN 022 001 是等の事の後神アブラハムを試みんとて之をアブラハムよと呼たまふ彼言ふ我此にあり 001 GEN 022 002 ヱホバ言給ひけるは爾の子爾の愛する獨子即ちイサクを携てモリアの地に到りわが爾に示さんとする彼所の山に於て彼を燔祭として獻ぐべし 001 GEN 022 003 アブラハム朝夙に起て其驢馬に鞍おき二人の少者と其子イサクを携へ且燔祭の柴薪を劈りて起て神の己に示したまへる處におもむきけるが 001 GEN 022 004 三日におよびてアブラハム目を擧て遙に其處を見たり 001 GEN 022 005 是に於てアブラハム其少者に言けるは爾等は驢馬とともに此に止れ我と童子は彼處にゆきて崇拜を爲し復爾等に歸ん 001 GEN 022 006 アブラハム乃ち燔祭の柴薪を取て其子イサクに負せ手に火と刀を執て二人ともに往り 001 GEN 022 007 イサク父アブラハムに語て父よと曰ふ彼答て子よ我此にありといひければイサク即ち言ふ火と柴薪は有り然ど燔祭の羔は何處にあるや 001 GEN 022 008 アブラハム言けるは子よ神自ら燔祭の羔を備へたまはんと二人偕に進みゆきて 001 GEN 022 009 遂に神の彼に示したまへる處に到れり是においてアブラハム彼處に壇を築き柴薪を臚列べ其子イサクを縛りて之を壇の柴薪の上に置せたり 001 GEN 022 010 斯してアブラハム手を舒べ刀を執りて其子を宰んとす 001 GEN 022 011 時にヱホバの使者天より彼を呼てアブラハムよアブラハムよと言へり彼言ふ我此にあり 001 GEN 022 012 使者言けるは汝の手を童子に按るなかれ亦何をも彼に爲べからず汝の子即ち汝の獨子をも我ために惜まざれば我今汝が神を畏るを知ると 001 GEN 022 013 茲にアブラハム目を擧て視れば後に牡綿羊ありて其角林叢に繋りたりアブラハム即ち往て其牡綿羊を執へ之を其子の代に燔祭として獻げたり 001 GEN 022 014 アブラハム其處をヱホバエレ(ヱホバ預備たまはん)と名く是に縁て今日もなほ人々山にヱホバ預備たまはんといふ 001 GEN 022 015 ヱホバの使者再天よりアブラハムを呼て 001 GEN 022 016 言けるはヱホバ諭したまふ我己を指て誓ふ汝是事を爲し汝の子即ち汝の獨子を惜まざりしに因て 001 GEN 022 017 我大に汝を祝み又大に汝の子孫を増して天の星の如く濱の沙の如くならしむべし汝の子孫は其敵の門を獲ん 001 GEN 022 018 又汝の子孫によりて天下の民皆福祉を得べし汝わが言に遵ひたるによりてなりと 001 GEN 022 019 斯てアブラハム其少者の所に歸り皆たちて偕にベエルシバにいたれりアブラハムはベエルシバに住り 001 GEN 022 020 是等の事の後アブラハムに告る者ありて言ふミルカ亦汝の兄弟ナホルにしたがひて子を生り 001 GEN 022 021 長子はウヅ其弟はブヅ其次はケムエル是はアラムの父なり 001 GEN 022 022 其次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、ヱデラフ、ベトエル 001 GEN 022 023 ベトエルはリベカを生り是八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに生たる者なり 001 GEN 022 024 ナホルの妾名はルマといふ者も亦テバ、ガハム、タハシおよびマアカを生り 001 GEN 023 001 サラ百二十七歳なりき是即ちサラの齡の年なり 001 GEN 023 002 サラ、キリアテアルバにて死り是はカナンの地のヘブロンなりアブラハム至りてサラのために哀み且哭り 001 GEN 023 003 斯てアブラハム死人の前より起ち出てヘテの子孫に語りて言けるは 001 GEN 023 004 我は汝等の中の賓旅なり寄居者なり請ふ汝等の中にて我は墓地を與へて吾が所有となし我をして吾が死人を出し葬ることを得せしめよ 001 GEN 023 005 ヘテの子孫アブラハムに應て之に言ふ 001 GEN 023 006 我主よ我等に聽たまへ我等の中にありて汝は神の如き君なり我等の墓地の佳者を擇みて汝の死人を葬れ我等の中一人も其墓地を汝にをしみて汝をしてその死人を葬らしめざる者なかるべし 001 GEN 023 007 是に於てアブラハム起ち其地の民ヘテの子孫に對て躬を鞠む 001 GEN 023 008 而して彼等と語ひて言けるは若我をしてわが死人を出し葬るを得せしむる事汝等の意ならば請ふ我に聽て吾ためにゾハルの子エフロンに求め 001 GEN 023 009 彼をして其野の極端に有るマクペラの洞穴を我に與へしめよ彼其十分の値を取て之を我に與へ汝等の中にてわが所有なる墓地となさば善し 001 GEN 023 010 時にエフロン、ヘテの子孫の中に坐しゐたりヘテ人エフロン、ヘテの子孫即ち凡て其邑の門に入る者の聽る前にてアブラハムに應へて言けるは 001 GEN 023 011 吾主よ我に聽たまへ其野は我汝に與ふ又其中の洞穴も我之を汝に與ふ我吾民なる衆人の前にて之を汝にあたふ汝の死人を葬れ 001 GEN 023 012 是に於てアブラハム其地の民の前に躬を鞠たり 001 GEN 023 013 而して彼其地の民に聽る前にてエフロンに語りて言けるは汝若之を肯はば請ふ吾に聽け我其野の値を汝に償はん汝之を吾より取れ我わが死人を彼處に葬らん 001 GEN 023 014 エフロン、アブラハムに答て曰けるは 001 GEN 023 015 わが主よ我に聽たまへ彼地は銀四百シケルに當る是は我と汝の間に豈道に足んや然ば汝の死人を葬れ 001 GEN 023 016 アブラハム、エフロンの言に從ひエフロンがヘテの子孫の聽る前にて言たる所の銀を秤り商買の中の通用銀四百シケルを之に與へたり 001 GEN 023 017 マムレの前なるマクペラに在るエフロンの野は野も其中の洞穴も野の中と其四周の堺にある樹も皆 001 GEN 023 018 ヘテの子孫の前即ち凡て其邑に入る者の前にてアブラハムの所有と定りぬ 001 GEN 023 019 厥後アブラハム其妻サラをマムレの前なるマクペラの野の洞穴に葬れり是即ちカナンの地のヘブロンなり 001 GEN 023 020 斯く其野と其中の洞穴はヘテの子孫之をアブラハムの所有なる墓地と定めたり 001 GEN 024 001 アブラハム年邁て老たりヱホバ萬の事に於てアブラハムを祝みたまへり 001 GEN 024 002 茲にアブラハム其凡の所有を宰る其家の年邁なる僕に言けるは請ふ爾の手を吾髀の下に置よ 001 GEN 024 003 我爾をして天の神地の神ヱホバを指て誓はしめん即ち汝わが偕に居むカナン人の女の中より吾子に妻を娶るなかれ 001 GEN 024 004 汝わが故國に往き吾親族に到りて吾子イサクのために妻を娶れ 001 GEN 024 005 僕彼に言けるは倘女我に從ひて此地に來ることを好まざる事あらん時は我爾の子を彼汝が出來りし地に導き歸るべきか 001 GEN 024 006 アブラハム彼に曰けるは汝愼みて吾子を彼處に携かへるなかれ 001 GEN 024 007 天の神ヱホバ我を導きて吾父の家とわが親族の地を離れしめ我に語り我に誓ひて汝の子孫に此地を與へんと言たまひし者其使を遣して汝に先たしめたまはん汝彼處より我子に妻を娶るべし 001 GEN 024 008 若女汝に從ひ來る事を好ざる時は汝吾此誓を解るべし唯我子を彼處に携へかへるなかれ 001 GEN 024 009 是に於て僕手を其主人アブラハムの髀の下に置て此事について彼に誓へり 001 GEN 024 010 斯て僕其主人の駱駝の中より十頭の駱駝を取りて出たてり即ち其主人の諸の佳物を手にとりて起てメソポタミアに往きナホルの邑に至り 001 GEN 024 011 其駱駝を邑の外にて井の傍に跪伏しめたり其時は黄昏にて婦女等の水汲にいづる時なりき 001 GEN 024 012 斯して彼言けるは吾主人アブラハムの神ヱホバよ願くは今日我にその者を逢しめわが主人アブラハムに恩惠を施し給へ 001 GEN 024 013 我この水井の傍に立ち邑の人の女等水を汲に出づ 001 GEN 024 014 我童女に向ひて請ふ汝の瓶をかたむけて我に飮しめよと言んに彼答へて飮め我また汝の駱駝にも飮しめんと言ば彼は汝が僕イサクの爲に定め給ひし者なるべし然れば我汝の吾主人に恩惠を施し給ふを知らん 001 GEN 024 015 彼語ふことを終るまへに視よリベカ瓶を肩にのせて出きたる彼はアブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルに生れたる者なり 001 GEN 024 016 其童女は觀に甚だ美しく且處女にして未だ人に適しことあらず彼井に下り其瓶に水を盈て上りしかば 001 GEN 024 017 僕はせゆきて之にあひ請ふ我をして汝の瓶より少許の水を飮しめよといひけるに 001 GEN 024 018 彼主よ飮たまへといひて乃ち急ぎ其瓶を手におろして之にのましめたりしが 001 GEN 024 019 飮せをはりて言ふ汝の駱駝のためにも其飮をはるまで水を汲て飽しめん 001 GEN 024 020 急ぎて其瓶を水鉢にあけ又汲んとて井にはせゆき其諸の駱駝のために汲みたり 001 GEN 024 021 其人之を見つめヱホバが其途に幸福をくだしたまふや否やをしらんとして默し居たり 001 GEN 024 022 茲に駱駝飮をはりしかば其人重半シケルの金の鼻環一箇と重十シケルの金の手釧二箇をとりて 001 GEN 024 023 言けるは汝は誰の女なるや請ふ我に告よ汝の父の家に我等が宿る隙地ありや 001 GEN 024 024 女彼に曰けるは我はミルカがナホルに生みたる子ベトエルの女なり 001 GEN 024 025 又彼にいひけるは家には藁も飼草も多くあり且宿る隙地もあり 001 GEN 024 026 是に於て其人伏てヱホバを拜み 001 GEN 024 027 言けるは吾主人アブラハムの神ヱホバは讃美べきかなわが主人に慈惠と眞實とを缺きたまはず我途にありしにヱホバ我を吾主人の兄弟の家にみちびきたまへり 001 GEN 024 028 茲に童女走行て其母の家に此等の事を告たり 001 GEN 024 029 リベカに一人の兄あり其名をラバンといふラバンはせいで井にゆきて其人の許につく 001 GEN 024 030 すなはち彼鼻環および其妹の手の手釧を見又其妹リベカが其人斯我に語りといふを聞て其人の所に到り見るに井の側らにて駱駝の傍にたちゐたれば 001 GEN 024 031 之に言けるは汝ヱホバに祝るる者よ請ふ入れ奚ぞ外にたつや我家を備へ且駱駝のために所をそなへたり 001 GEN 024 032 是に於て其人家にいりぬラバン乃ち其駱駝の負を釋き藁と飼草を駱駝にあたへ又水をあたへて其人の足と其從者の足をあらはしめ 001 GEN 024 033 斯して彼の前に食をそなへたるに彼言ふ我はわが事をのぶるまでは食はじとラバン語れといひければ 001 GEN 024 034 彼言ふわれはアブラハムの僕なり 001 GEN 024 035 ヱホバ大にわが主人をめぐみたまひて大なる者とならしめ又羊牛金銀僕婢駱駝驢馬をこれにたまへり 001 GEN 024 036 わが主人の妻サラ年老てのちわが主人に男子をうみければ主人其所有を悉く之に與ふ 001 GEN 024 037 わが主人我を誓せて言ふ吾すめるカナンの地の人の女子の中よりわが子に妻を娶るなかれ 001 GEN 024 038 汝わが父の家にゆきわが親族にいたりわが子のために妻をめとれと 001 GEN 024 039 我わが主人にいひけるは倘女我にしたがひて來ずば如何 001 GEN 024 040 彼我にいひけるは吾事ふるところのヱホバ其使者を汝とともに遣はして汝の途に幸福を降したまはん爾わが親族わが父の家より吾子に妻をめとるべし 001 GEN 024 041 汝わが親族に至れる時はわが誓を解さるべし若彼等汝にあたへずば汝はわが誓をゆるさるべしと 001 GEN 024 042 我今日井に至りて謂けらくわが主人アブラハムの神ヱホバねがはくはわがゆく途に幸福を降したまへ 001 GEN 024 043 我はこの井水の傍に立つ水を汲にいづる處女あらん時我彼にむかひて請ふ汝の瓶より少許の水を我にのましめよと言んに 001 GEN 024 044 若我に答へて汝飮め我亦汝の駱駝のためにも汲んと言ば是ヱホバがわが主人の子のために定たまひし女なるべし 001 GEN 024 045 我心の中に語ふことを終るまへにリベカ其瓶を肩にのせて出來り井にくだりて水を汲みたるにより我彼に請ふ我にのましめよと言ければ 001 GEN 024 046 彼急ぎ其瓶を肩よりおろしていひけるは飮めまた汝の駱駝にものましめんと是に於て我飮しが彼また駱駝にものましめたり 001 GEN 024 047 我彼に問て汝は誰の女なるやといひければミルカがナホルに生たる子ベトエルの女なりといふ是に於て我其鼻に環をつけ其手に手釧をつけたり 001 GEN 024 048 而して我伏てヱホバを拜み吾主人アブラハムの神ヱホバを頌美たりヱホバ我を正き途に導きてわが主人の兄弟の女を其子のために娶しめんとしたまへばなり 001 GEN 024 049 されば汝等若わが主人にむかひて慈惠と眞誠をもて事をなさんと思はば我に告よ然ざるも亦我に告よ然ば我右か左におもむくをえん 001 GEN 024 050 ラバンとベトエル答て言けるは此事はヱホバより出づ我等汝に善惡を言ふあたはず 001 GEN 024 051 視よリベカ汝の前にをる携へてゆき彼をしてヱホバの言たまひし如く汝の主人の子の妻とならしめよ 001 GEN 024 052 アブラハムの僕彼等の言を聞て地に伏てヱホバを拜めり 001 GEN 024 053 是に於て僕銀の飾品金の飾品および衣服をとりいだしてリベカに與へ亦其兄と母に寶物をあたへたり 001 GEN 024 054 是に於て彼および其從者等食飮して宿りしが朝起たる時彼言我をして吾主人に還らしめよ 001 GEN 024 055 リベカの兄と母言けるは童女を數日の間少くも十日我等と偕にをらしめよしかるのち彼ゆくべし 001 GEN 024 056 彼人之に言ヱホバ吾途に福祉をくだしたまひたるなれば我を阻むるなかれ我を歸してわが主人に往しめよ 001 GEN 024 057 彼等いひけるは童女をよびて其言を問んと 001 GEN 024 058 即ちリベカを呼て之に言けるは汝此人と共に往や彼言ふ往ん 001 GEN 024 059 是に於て彼等妹リベカと其乳媼およびアブラハムの僕と其從者を遣り去しめたり 001 GEN 024 060 即ち彼等リベカを祝して之にいひけるはわれらの妹よ汝千萬の人の母となれ汝の子孫をして其仇の門を獲しめよ 001 GEN 024 061 是に於てリベカ起て其童女等とともに駱駝にのりて其人にしたがひ往く僕乃ちリベカを導きてさりぬ 001 GEN 024 062 茲にイサク、ラハイロイの井の路より來れり南の國に住居たればなり 001 GEN 024 063 しかしてイサク黄昏に野に出て默想をなしたりしが目を擧て見しに駱駝の來るあり 001 GEN 024 064 リベカ目をあげてイサクを見駱駝をおりて 001 GEN 024 065 僕にいひけるは野をあゆみて我等にむかひ來る者は何人なるぞ僕わが主人なりといひければリベカ覆衣をとりて身をおほへり 001 GEN 024 066 茲に僕其凡てなしたる事をイサクに告ぐ 001 GEN 024 067 イサク、リベカを其母サラの天幕に携至りリベカを娶りて其妻となしてこれを愛したりイサクは母にわかれて後茲に慰籍を得たり 001 GEN 025 001 アブラハム再妻を娶る其名をケトラといふ 001 GEN 025 002 彼ジムラン、ヨクシヤン、メダン、ミデアン、イシバク、シユワを生り 001 GEN 025 003 ヨクシヤン、シバとデダンを生むデダンの子はアッシユリ族レトシ族リウミ族なり 001 GEN 025 004 ミデアンの子はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアなり是等は皆ケトラの子孫なり 001 GEN 025 005 アブラハム其所有を盡くイサクに與へたり 001 GEN 025 006 アブラハムの妾等の子にはアブラハム其生る間の物をあたへて之をして其子イサクを離れて東にさりて東の國に至らしむ 001 GEN 025 007 アブラハムの生存へたる齡の日は即ち百七十五年なりき 001 GEN 025 008 アブラハム遐齡に及び老人となり年滿て氣たえ死て其民に加る 001 GEN 025 009 其子イサクとイシマエル之をヘテ人ゾハルの子エフロンの野なるマクペラの洞穴に葬れり是はマムレの前にあり 001 GEN 025 010 即ちアブラハムがヘテの子孫より買たる野なり彼處にアブラハムと其妻サラ葬らる 001 GEN 025 011 アブラハムの死たる後神其子イサクを祝みたまふイサクはベエルラハイロイの邊に住り 001 GEN 025 012 サラの侍婢なるエジプト人ハガルがアブラハムに生たる子イシマエルの傳は左のごとし 001 GEN 025 013 イシマエルの子の名は其名氏と其世代に循ひて言ば是のごとしイシマエルの長子はネバヨテなり其次はケダル、アデビエル、ミブサム 001 GEN 025 014 ミシマ、ドマ、マツサ 001 GEN 025 015 ハダデ、テマ、ヱトル、ネフシ、ケデマ 001 GEN 025 016 是等はイシマエルの子なり是等は其郷黨を其營にしたがひて言る者にして其國に循ひていへば十二の牧伯なり 001 GEN 025 017 イシマエルの齡は百三十七歳なりき彼いきたえ死て其民にくははる 001 GEN 025 018 イシマエルの子等はハビラよりエジプトの前なるシユルまでの間に居住てアッスリヤまでにおよべりイシマエルは其すべての兄弟等のまへにすめり 001 GEN 025 019 アブラハムの子イサクの傳は左のごとしアブラハム、イサクを生り 001 GEN 025 020 イサク四十歳にしてリベカを妻に娶れりリベカはパダンアラムのスリア人ベトエルの女にしてスリア人ラバンの妹なり 001 GEN 025 021 イサク其妻の子なきに因て之がためにヱホバに祈願をたてければヱホバ其ねがひを聽たまへり遂に其妻リベカ孕みしが 001 GEN 025 022 其子胎の内に爭そひければ然らば我いかで斯てあるべきと言て往てヱホバに問に 001 GEN 025 023 ヱホバ彼に言たまひけるは二の國民汝の胎にあり二の民汝の腹より出て別れん一の民は一の民よりも強かるべし大は小に事へんと 001 GEN 025 024 かくて臨月みちて見しに胎には孿ありき 001 GEN 025 025 先に出たる者は赤くして躰中裘の如し其名をエサウと名けたり 001 GEN 025 026 其後に弟出たるが其手にエサウの踵を持り其名をヤコブとなづけたりリベカが彼等を生し時イサクは六十歳なりき 001 GEN 025 027 茲に童子人となりしがエサウは巧なる獵人にして野の人となりヤコブは質樸なる人にして天幕に居ものとなれり 001 GEN 025 028 イサクは麆を嗜によりてエサウを愛したりしがリベカはヤコブを愛したり 001 GEN 025 029 茲にヤコブ羹を煮たり時にエサウ野より來りて憊れ居り 001 GEN 025 030 エサウ、ヤコブにむかひ我憊れたれば請ふ其紅羹其處にある紅羹を我にのませよといふ是をもて彼の名はエドム(紅)と稱らる 001 GEN 025 031 ヤコブ言けるは今日汝の家督の權を我に鬻れ 001 GEN 025 032 エサウいふ我は死んとして居る此家督の權我に何の益をなさんや 001 GEN 025 033 ヤコブまた言けるは今日我に誓へと彼すなはち誓て其家督の權をヤコブに鬻ぬ 001 GEN 025 034 是に於てヤコブ、パンと扁豆の羹とをエサウに與へければ食且飮て起て去り斯エサウ家督の權を藐視じたり 001 GEN 026 001 アブラハムの時にありし最初の饑饉の外に又其國に饑饉ありければイサク、ゲラルに往てペリシテ人の王アビメレクの許にいたれり 001 GEN 026 002 時にヱホバ彼にあらはれて言たまひけるはエジプトに下るなかれ吾汝に示すところの地にをれ 001 GEN 026 003 汝此地にとどまれ我汝と共にありて汝を祝まん我是等の國を盡く汝および汝の子孫に與へ汝の父アブラハムに誓ひたる誓言を行ふべし 001 GEN 026 004 われ汝の子孫を増て天の星のごとくなし汝の子孫に凡て是等の國を與へん汝の子孫によりて天下の國民皆福祉を獲べし 001 GEN 026 005 是はアブラハムわが言に順ひわが職守とわが誡命とわが憲法とわが律法を守りしに因てなり 001 GEN 026 006 イサク乃ちゲラルに居しが 001 GEN 026 007 處の人其妻の事をとへば我妹なりと言ふリベカは觀に美麗かりければ其處の人リベカの故をもて我を殺さんと謂て彼をわが妻と言をおそれたるなり 001 GEN 026 008 イサク久しく彼處にをりし後一日ペリシテ人の王アビメレク\牖より望みてイサクが其妻リベカと嬉戲るを見たり 001 GEN 026 009 是に於てアビメレク、イサクを召て言けるは彼は必ず汝の妻なり汝なんぞ吾妹といひしやイサク彼に言けるは恐くは我彼のために死るならんと思たればなり 001 GEN 026 010 アビメレクいひけるは汝なんぞ此事を我等になすや民の一人もし輕々しく汝の妻と寢ることあらんその時は汝罪を我等に蒙らしめんと 001 GEN 026 011 アビメレク乃ちすべて民に皆命じて此人と其妻にさはるものは必ず死すべしと言り 001 GEN 026 012 イサク彼地に種播て其年に百倍を獲たりヱホバ彼を祝みたまふ 001 GEN 026 013 其人大になりゆきて進て盛になり遂に甚だ大なる者となれり 001 GEN 026 014 即ち羊と牛と僕從を多く有しかばペリシテ人彼を嫉みたり 001 GEN 026 015 其父アブラハムの世に其父の僕從が掘たる諸の井はペリシテ人之をふさぎて土を之にみてたり 001 GEN 026 016 茲にアビメレク、イサクに言けるは汝は大に我等よりも強大ければ我等をはなれて去れと 001 GEN 026 017 イサク乃ち彼處をさりてゲラルの谷に天幕を張て其處に住り 001 GEN 026 018 其父アブラハムの世に掘たる水井をイサク茲に復び鑿り其はアブラハムの死たる後ペリシテ人之を塞ぎたればなり斯してイサク其父が之に名けたる名をもて其名となせり 001 GEN 026 019 イサクの僕谷に掘て其處に泉の湧出る井を得たり 001 GEN 026 020 ゲラルの牧者此水は我儕の所屬なりといひてイサクの僕と爭ひければイサク其井の名をエセク(競爭)と名けたり彼等が己と之を競爭たるによりてなり 001 GEN 026 021 是に於て又他の井を鑿しが彼等是をも爭ひければ其名をシテナ(敵)となづけたり 001 GEN 026 022 イサク乃ち彼處より遷りて他の井を鑿けるが彼等之をあらそはざりければ其名をレホボテ(廣塲)と名けて言けるは今ヱホバ我等の處所を廣くしたまへり我等此地を繁衍ん 001 GEN 026 023 斯て彼其處よりベエルシバにのぼりしが 001 GEN 026 024 其夜ヱホバ彼にあらはれて言たまひけるは我は汝の父アブラハムの神なり懼るるなかれ我汝と偕にありて汝を祝み我僕アブラハムのために汝の子孫を増んと 001 GEN 026 025 是に於て彼處に壇を築きてヱホバの名を龥び天幕を彼處に張り彼處にてイサクの僕井を鑿り 001 GEN 026 026 茲にアビメレク其友アホザテ及び其軍勢の長ピコルと共にゲラルよりイサクの許に來りければ 001 GEN 026 027 イサク彼等に言ふ汝等は我を惡み我をして汝等をはなれて去らしめたるなるに何ぞ我許に來るや 001 GEN 026 028 彼等いひけるは我等確然にヱホバが汝と偕にあるを見たれば我等の間即ち我等と汝の間に誓詞を立て汝と契約を結ばんと謂へり 001 GEN 026 029 汝我等に惡事をなすなかれ其は我等は汝を害せず只善事のみを汝になし且汝を安然に去しめたればなり汝はヱホバの祝みたまふ者なり 001 GEN 026 030 イサク乃ち彼等のために酒宴を設けたれば彼等食ひ且飮り 001 GEN 026 031 斯て朝夙に起て互に相誓へり而してイサク彼等を去しめたれば彼等イサクをはなれて安然にかへりぬ 001 GEN 026 032 其日イサクの僕來りて其ほりたる井につきて之に告て我等水を得たりといへり 001 GEN 026 033 即ち之をシバとなづく此故に其邑の名は今日までベエルシバ(誓詞の井)といふ 001 GEN 026 034 エサウ四十歳の時ヘテ人の女ユデテとヘテ人エロンの女バスマテを妻に娶り 001 GEN 026 035 彼等はイサクとリベカの心の愁煩となれり 001 GEN 027 001 イサク老て目くもりて見るあたはざるに及びて其長子エサウを召て之に吾子よといひければ答へて我此にありといふ 001 GEN 027 002 イサクいひけるは視よ我は今老て何時死るやを知ず 001 GEN 027 003 然ば請ふ汝の器汝の弓矢を執て野に出でわがために麆を獵て 001 GEN 027 004 わが好む美味を作り我にもちきたりて食はしめよ我死るまへに心に汝を祝せん 001 GEN 027 005 イサクが其子エサウに語る時にリベカ聞ゐたりエサウは麆を獵て携きたらんとて野に往り 001 GEN 027 006 是に於てリベカ其子ヤコブに語りていひけるは我聞ゐたるに汝の父汝の兄エサウに語りて言けらく 001 GEN 027 007 吾ために麆をとりきたり美味を製りて我にくはせよ死るまへに我ヱホバの前にて汝を祝せんと 001 GEN 027 008 然ば吾子よ吾言にしたがひわが汝に命ずるごとくせよ 001 GEN 027 009 汝群畜の所にゆきて彼處より山羊の二箇の善き羔を我にとりきたれ我之をもて汝の父のために其好む美味を製らん 001 GEN 027 010 汝之を父にもちゆきて食しめ其死る前に汝を祝せしめよ 001 GEN 027 011 ヤコブ其母リベカに言けるは兄エサウは毛深き人にして我は滑澤なる人なり 001 GEN 027 012 恐くは父我に捫ることあらん然らば我は欺く者と父に見えんされば祝をえずして返て呪詛をまねかん 001 GEN 027 013 其母彼にいひけるは我子よ汝の詛はるる所は我に歸せん只わが言にしたがひ往て取來れと 001 GEN 027 014 是において彼往て取り母の所にもちきたりければ母すなはち父の好むところの美味を製れり 001 GEN 027 015 而してリベカ家の中に己の所にある長子エサウの美服をとりて之を季子ヤコブに衣せ 001 GEN 027 016 又山羊の羔の皮をもて其手と其頸の滑澤なる處とを掩ひ 001 GEN 027 017 其製りたる美味とパンを子ヤコブの手にわたせり 001 GEN 027 018 彼乃ち父の許にいたりて我父よといひければ我此にありわが子よ汝は誰なると曰ふ 001 GEN 027 019 ヤコブ父にいひけるは我は汝の長子エサウなり我汝が我に命じたるごとくなせり請ふ起て坐しわが麆の肉をくらひて汝の心に我を祝せよ 001 GEN 027 020 イサク其子に言けるは吾子よ汝いかにして斯速に獲たるや彼言ふ汝の神ヱホバ之を我にあはせたまひしが故なり 001 GEN 027 021 イサク、ヤコブにいひけるはわが子よ請ふ近くよれ我汝に捫て汝がまことに吾子エサウなるや否やをしらん 001 GEN 027 022 ヤコブ父イサクに近よりければイサク之にさはりていひけるは聲はヤコブの聲なれども手はエサウの手なりと 001 GEN 027 023 彼の手其兄エサウの手のごとく毛深かりしに因て之を辨別へずして遂に之を祝したり 001 GEN 027 024 即ちイサクいひけるは汝はまことに吾子エサウなるや彼然りといひければ 001 GEN 027 025 イサクいひけるは我に持きたれ吾子の麆を食ひてわが心に汝を祝せんと是に於てヤコブ彼の許にもちきたりければ食へり又酒をもちきたりければ飮り 001 GEN 027 026 かくて父イサク彼にいひけるは吾子よ近くよりて我に接吻せよと 001 GEN 027 027 彼すなはち近よりて之に接吻しければ其衣の馨香をかぎて彼を祝していひけるは嗚呼吾子の香はヱホバの祝たまへる野の馨香のごとし 001 GEN 027 028 ねがはくは神天の露と地の腴および饒多の穀と酒を汝にたまへ 001 GEN 027 029 諸の民汝につかへ諸の邦汝に躬を鞠ん汝兄弟等の主となり汝の母の子等汝に身をかがめん汝を詛ふ者はのろはれ汝を祝す者は祝せらるべし 001 GEN 027 030 イサク、ヤコブを祝することを終てヤコブ父イサクの前より出さりし時にあたりて兄エサウ獵より歸り來り 001 GEN 027 031 己も亦美味をつくりて之を其父の許にもちゆき父にいひけるは父よ起て其子の麆を食ひて心に我を祝せよ 001 GEN 027 032 父イサク彼にいひけるは汝は誰なるや彼いふ我は汝の子汝の長子エサウなり 001 GEN 027 033 イサク甚大に戰兢ていひけるは然ば彼麆を獵て之を我にもちきたりし者は誰ぞや我汝がきたるまへに諸の物を食ひて彼を祝したれば彼まことに祝福をうべし 001 GEN 027 034 エサウ父の言を聞て大に哭き痛く泣て父にいひけるは父よ我を祝せよ我をも祝せよ 001 GEN 027 035 イサク言けるは汝の弟僞りて來り汝の祝を奪ひたり 001 GEN 027 036 エサウいひけるは彼をヤコブ(推除者)となづくるは宜ならずや彼が我をおしのくる事此にて二次なり昔にはわが家督の權を奪ひ今はわが祝を奪ひたり又言ふ汝は祝をわがために殘しおかざりしや 001 GEN 027 037 イサク對てエサウにいひけるは我彼を汝の主となし其兄弟を悉く僕として彼にあたへたり又穀と酒とを彼に授けたり然ば吾子よ我何を汝になすをえん 001 GEN 027 038 エサウ父に言けるは父よ父の祝唯一ならんや父よ我を祝せよ我をも祝せよと聲をあげて哭ぬ 001 GEN 027 039 父イサク答て彼にいひけるは汝の住所は地の膏腴にはなれ上よりの天の露にはなるべし 001 GEN 027 040 汝は劍をもて世をわたり汝の弟に事ん然ど汝繋を離るる時は其軛を汝の頸より振ひおとすを得ん 001 GEN 027 041 エサウ父のヤコブを祝したる其祝の爲にヤコブを惡めり即ちエサウ心に謂けるは父の喪の日近ければ其時我弟ヤコブを殺さんと 001 GEN 027 042 長子エサウの此言リベカに聞えければ季子ヤコブを呼よせて之に言けるは汝の兄エサウ汝を殺さんとおもひて自ら慰む 001 GEN 027 043 されば吾子よ我言にしたがひ起てハランにゆきわが兄ラバンの許にのがれ 001 GEN 027 044 汝の兄の怒の釋るまで暫く彼とともに居れ 001 GEN 027 045 汝の兄の鬱憤釋て汝をはなれ汝彼になしたる事を忘るるにいたらば我人をやりて汝を彼處よりむかへん我何ぞ一日のうちに汝等二人を喪ふべけんや 001 GEN 027 046 リベカ、イサクに言けるは我はヘテの女等のために世を厭ふにいたるヤコブ若此地の彼女等の如きヘテの女の中より妻を娶らば我身生るも何の利益あらんや 001 GEN 028 001 イサク、ヤコブを呼て之を祝し之に命じて言けるは汝カナンの女の中より妻を娶るなかれ 001 GEN 028 002 起てパダンアラムに往き汝の母の父ベトエルの家にいたり彼處にて汝の母の兄ラバンの女の中より妻を娶れ 001 GEN 028 003 願くは全能の神汝を祝み汝をして子女を多く得せしめ且汝の子孫を増て汝をして多衆の民とならしめ 001 GEN 028 004 又アブラハムに賜んと約束せし祝を汝および汝と共に汝の子孫に賜ひ汝をして神がアブラハムにあたへ給ひし此汝が寄寓る地を持たしめたまはんことをと 001 GEN 028 005 斯てイサク、ヤコブを遣しければパダンアラムにゆきてラバンの所にいたれりラバンはスリア人ベトエルの子にしてヤコブとエサウの母なるリベカの兄なり 001 GEN 028 006 エサウはイサクがヤコブを祝して之をパダンアラムにつかはし彼處より妻を娶しめんとしたるを見又之を祝し汝はカナンの女の中より妻をめとるなかれといひて之に命じたることを見 001 GEN 028 007 又ヤコブが其父母の言に順ひてパダンアラムに往しを見たり 001 GEN 028 008 エサウまたカナンの女の其父イサクの心にかなはぬを見たり 001 GEN 028 009 是においてエサウ、イシマエルの所にゆきて其有る妻の外に又アブラハムの子イシマエルの女ネバヨテの妹マハラテを妻にめとれり 001 GEN 028 010 茲にヤコブ、ベエルシバより出たちてハランの方におもむきけるが 001 GEN 028 011 一處にいたれる時日暮たれば即ち其處に宿り其處の石をとり枕となして其處に臥て寢たり 001 GEN 028 012 時に彼夢て梯の地にたちゐて其巓の天に逹れるを見又神の使者の其にのぼりくだりするを見たり 001 GEN 028 013 ヱホバ其上に立て言たまはく我は汝の祖父アブラハムの神イサクの神ヱホバなり汝が偃臥ところの地は我之を汝と汝の子孫に與へん 001 GEN 028 014 汝の子孫は地の塵沙のごとくなりて西東北南に蔓るべし又天下の諸の族汝と汝の子孫によりて福祉をえん 001 GEN 028 015 また我汝とともにありて凡て汝が往ところにて汝をまもり汝を此地に率返るべし我はわが汝にかたりし事を行ふまで汝をはなれざるなり 001 GEN 028 016 ヤコブ目をさまして言けるは誠にヱホバ此處にいますに我しらざりきと 001 GEN 028 017 乃ち惶懼ていひけるは畏るべき哉此處是即ち神の殿の外ならず是天の門なり 001 GEN 028 018 かくてヤコブ朝夙に起き其枕となしたる石を取り之を立て柱となし膏を其上に沃ぎ 001 GEN 028 019 其處を名をベテル(神殿)と名けたり其邑の名は初はルズといへり 001 GEN 028 020 ヤコブ乃ち誓をたてていひけるは若神我とともにいまし此わがゆく途にて我をまもり食ふパンと衣る衣を我にあたへ 001 GEN 028 021 我をしてわが父の家に安然に歸ることを得せしめたまはばヱホバをわが神となさん 001 GEN 028 022 又わが柱にたてたる此石を神の家となさん又汝がわれにたまふ者は皆必ず其十分の一を汝にささげん 001 GEN 029 001 斯てヤコブ其途にすすみて東の民の地にいたりて 001 GEN 029 002 見るに野に井ありて羊の群三其傍に臥ゐたり此井より群に飮へばなり大なる石井の口にあり 001 GEN 029 003 羊の群皆其處に集る時に井の口より石をまろばして羊に水飼ひ復故のごとく井の口に石をのせおくなり 001 GEN 029 004 ヤコブ人々に言けるは兄弟よ奚よりきたれるや彼等いふ我等はハランより來る 001 GEN 029 005 ヤコブ彼等にいひけるは汝等ナホルの子ラバンをしるや彼等識といふ 001 GEN 029 006 ヤコブ又かれらにいひけるは彼は安きや彼等いふ安し視よ彼の女ラケル羊と偕に來ると 001 GEN 029 007 ヤコブ言ふ視よ日尚高し家畜を聚むべき時にあらず羊に飮ひて往て牧せよ 001 GEN 029 008 彼等いふ我等しかする能はず群の皆聚るに及て井の口より石をまろばして羊に飮ふべきなり 001 GEN 029 009 ヤコブ尚彼等と語れる時にラケル父の羊とともに來る其は之を牧居たればなり 001 GEN 029 010 ヤコブ其母の兄ラバンの女ラケルおよび其母の兄ラバンの羊を見しかばヤコブ進みよりて井の口より石をまろばし母の兄ラバンの羊に飮ひたり 001 GEN 029 011 而してヤコブ、ラケルに接吻して聲をあげて啼哭ぬ 001 GEN 029 012 即ちヤコブ、ラケルに己はその父の兄弟にしてリベカの子なることを告ければ彼はしりゆきて父に告たり 001 GEN 029 013 ラバン其妹の子ヤコブの事を聞しかば趨ゆきて之を迎へ之を抱きて接吻し之を家に導きいたれりヤコブすなはち此等の事を悉くラバンに述たり 001 GEN 029 014 ラバン彼にいひけるは汝は誠にわが骨肉なりとヤコブ一月の間彼とともに居る 001 GEN 029 015 茲にラバン、ヤコブにいひけるは汝はわが兄弟なればとて空く我に役事べけんや何の報酬を望むや我に告よ 001 GEN 029 016 ラバン二人の女子を有り姉の名はレアといひ妹の名はラケルといふ 001 GEN 029 017 レアは目弱かりしがラケルは美くして姝し 001 GEN 029 018 ヤコブ、ラケルを愛したれば言ふ我汝の季女ラケルのために七年汝に事ん 001 GEN 029 019 ラバンいひけるは彼を他の人にあたふるよりも汝にあたふるは善し我と偕に居れ 001 GEN 029 020 ヤコブ七年の間ラケルのために勤たりしが彼を愛するが爲に此を數日の如く見做り 001 GEN 029 021 茲にヤコブ、ラバンに言けるはわが期滿たればわが妻をあたへて我をしてかれの處にいることを得せしめよ 001 GEN 029 022 是に於てラバン處の人を盡く集めて酒宴を設けたりしが 001 GEN 029 023 晩に及びて其女レアを携へて此をヤコブにつれ來れりヤコブ即ち彼の處にいりぬ 001 GEN 029 024 ラバンまた其侍婢ジルパを娘レアに與へて侍婢となさしめたり 001 GEN 029 025 朝にいたりて見るにレアなりしかばヤコブ、ラバンに言けるは汝なんぞ此事を我になしたるや我ラケルのために汝に役事しにあらずや汝なんぞ我を欺くや 001 GEN 029 026 ラバンいひけるは姉より先に妹を嫁しむる事は我國にて爲ざるところなり 001 GEN 029 027 其七日を過せ我等是をも汝に與へん然ば汝是がために尚七年我に事へて勤むべし 001 GEN 029 028 ヤコブ即ち斯なして其七日をすごせしかばラバン其女ラケルをも之にあたへて妻となさしむ 001 GEN 029 029 またラバン其侍婢ビルハを女ラケルにあたへて侍婢となさしむ 001 GEN 029 030 ヤコブまたラケルの所にいりぬ彼レアよりもラケルを愛し尚七年ラバンに事たり 001 GEN 029 031 ヱホバ、レアの嫌るるを見て其胎をひらきたまへり然どラケルは姙なきものなりき 001 GEN 029 032 レア孕みて子を生み其名をルベンと名けていひけるはヱホバ誠にわが艱苦を顧みたまへりされば今夫我を愛せんと 001 GEN 029 033 彼ふたたび孕みて子を產みヱホバわが嫌るるを聞たまひしによりて我に是をもたまへりと言て其名をシメオンと名けたり 001 GEN 029 034 彼また孕みて子を生み我三人の子を生たれば夫今より我に膠漆んといへり是によりて其名をレビと名けたり 001 GEN 029 035 彼復姙みて子を生み我今ヱホバを讚美んといへり是によりて其名をユダと名けたり是にいたりて產ことやみぬ 001 GEN 030 001 ラケル己がヤコブに子を生ざるを見て其姉を夢みヤコブに言けるは我に子を與へよ然らずば我死んと 001 GEN 030 002 ヤコブ、ラケルにむかひて怒を發して言ふ汝の胎に子をやどらしめざる者は神なり我神に代るをえんや 001 GEN 030 003 ラケルいふ吾婢ビルハを視よ彼の處に入れ彼子を生てわが膝に置ん然ば我もまた彼によりて子をうるにいたらんと 001 GEN 030 004 其仕女ビルハを彼にあたへて妻となさしめたりヤコブ即ち彼の處にいる 001 GEN 030 005 ビルハ遂にはらみてヤコブに子を生ければ 001 GEN 030 006 ラケルいひけるは神我を監み亦わが聲を聽いれて吾に子をたまへりと是によりて其名をダンと名けたり 001 GEN 030 007 ラケルの仕女ビルハ再び姙みて次の子をヤコブに生ければ 001 GEN 030 008 ラケル我神の爭をもて姉と爭ひて勝ぬといひて其名をナフタリと名けたり 001 GEN 030 009 茲にレア產ことの止たるを見しかば其仕女ジルパをとりて之をヤコブにあたへて妻となさしむ 001 GEN 030 010 レアの仕女ジルパ、ヤコブに子を產ければ 001 GEN 030 011 レア福來れりといひて其名をガドと名けたり 001 GEN 030 012 レアの仕女ジルパ次子をヤコブに生ければ 001 GEN 030 013 レアいふ我は幸なり女等我を幸なる者となさんと其名をアセルとなづけたり 001 GEN 030 014 茲に麥苅の日にルベン出ゆきて野にて戀茄を獲これを母レアの許にもちきたりければラケル、レアにいひけるは請ふ我に汝の子の戀茄をあたへよ 001 GEN 030 015 レア彼にいひけるは汝のわが夫を奪しは微き事ならんや然るに汝またわが子の戀茄をも奪んとするやラケルいふ然ば汝の子の戀茄のために夫是夜汝と寢べし 001 GEN 030 016 晩におよびてヤコブ野より來りければレア之をいでむかへて言けるは我誠にわが子の戀茄をもて汝を雇ひたれば汝我の所にいらざるべからずヤコブ即ち其夜彼といねたり 001 GEN 030 017 神レアに聽たまひければ彼妊みて第五の子をヤコブに生り 001 GEN 030 018 レアいひけるは我わが仕女を夫に與へたれば神我に其値をたまへりと其名をイツサカルと名けたり 001 GEN 030 019 レア復妊みて第六の子をヤコブに生り 001 GEN 030 020 レアいひけるは神我に嘉賚を貺ふ我六人の男子を生たれば夫今より我と偕にすまんと其名をゼブルンとなづけたり 001 GEN 030 021 其後彼女子を生み其名をデナと名けたり 001 GEN 030 022 茲に神ラケルを念ひ神彼に聽て其胎を開きたまひければ 001 GEN 030 023 彼妊みて男子を生て曰ふ神わが恥辱を洒ぎたまへりと 001 GEN 030 024 乃ち其名をヨセフと名けて言ふヱホバ又他の子を我に加へたまはん 001 GEN 030 025 茲にラケルのヨセフを生むに及びてヤコブ、ラバンに言けるは我を歸して故郷に我國に往しめよ 001 GEN 030 026 わが汝に事て得たる所の妻子を我に與へて我を去しめよわが汝になしたる役事は汝之を知るなり 001 GEN 030 027 ラバン彼にいひけるは若なんぢの意にかなはばねがはくは留れ我ヱホバが汝のために我を祝みしを卜ひ得たり 001 GEN 030 028 又言ふ汝の望む値をのべよ我之を與ふべし 001 GEN 030 029 ヤコブ彼にいひけるは汝は如何にわが汝に事しか如何に汝の家畜を牧しかを知る 001 GEN 030 030 わが來れる前に汝の有たる者は鮮少なりしが増て遂に群をなすに至る吾來りてよりヱホバ汝を祝みたまへり然ども我は何時吾家を成にいたらんや 001 GEN 030 031 彼言ふ我何を汝に與へんかヤコブいひけるは汝何者をも我に與ふるに及ばず汝若此事を我になさば我復汝の群を牧守らん 001 GEN 030 032 即ち我今日徧く汝の群をゆきめぐりて其中より凡て斑なる者點なる者を移し綿羊の中の凡て黑き者を移し山羊の中の點なる者と斑なる者を移さん是わが値なるべし 001 GEN 030 033 後に汝來りてわが傭値をしらぶる時わが義我にかはりて應をなすべし若わが所に山羊の斑ならざる者點ならざる者あり綿羊の黑からざる者あらば皆盜る者となすべし 001 GEN 030 034 ラバンいふ汝の言の如くなさんことを願ふ 001 GEN 030 035 是に於て彼其日牡山羊の斑入なる者斑點なる者を移し凡て牝山羊の斑駮なる者斑點なる者都て身に白色ある者を移し又綿羊の中の凡て黑き者を移して其子等の手に付せり 001 GEN 030 036 而して彼己とヤコブの間に三日程の隔をたてたりヤコブはラバンの餘の群を牧ふ 001 GEN 030 037 茲にヤコブ楊柳と楓と桑の靑枝を執り皮を剥て白紋理を成り枝の白き所をあらはし 001 GEN 030 038 其皮をはぎたる枝を群の來りて飮むところの水槽と水鉢に立て群に向はしめ群をして水のみの來る時に孕ましむ 001 GEN 030 039 群すなはち枝の前に孕みて斑入の者斑駮なる者斑點なる者を產しかば 001 GEN 030 040 ヤコブ其羔羊を區分ちラバンの群の面を其群の斑入なる者と黑き者に對はしめたりしが己の群をば一所に置てラバンの群の中にいれざりき 001 GEN 030 041 又家畜の壯健き者孕みたる時はヤコブ水槽の中にて其家畜の目の前に彼枝を置き枝の傍において孕ましむ 001 GEN 030 042 然ど家畜の羸弱かる時は之を置ず是に因て羸弱者はラバンのとなり壯健者はヤコブのとなれり 001 GEN 030 043 是に於て其人大に富饒になりて多の家畜と婢僕および駱駝驢馬を有にいたれり 001 GEN 031 001 茲にヤコブ、ラバンの子等がヤコブわが父の所有を盡く奪ひ吾父の所有によりて此凡の榮光を獲たりといふを聞り 001 GEN 031 002 亦ヤコブ、ラバンの面を見るに己に對すること疇昔の如くならず 001 GEN 031 003 時にヱホバ、ヤコブに言たまへるは汝の父の國にかへり汝の親族に至れ我汝と偕にをらんと 001 GEN 031 004 是に於てヤコブ人をやりてラケルとレアを野に招きて群の所に至らしめ 001 GEN 031 005 之にいひけるは我汝等の父の面を見るに其我に對すること疇昔の如くならず然どわが父の神は我と偕にいますなり 001 GEN 031 006 汝等がしるごとく我力を竭して汝らの父に事へたるに 001 GEN 031 007 汝等の父我を欺きて十次もわが値を易たり然ども神彼の我を害するを容したまはず 001 GEN 031 008 彼斑駮なる者は汝の傭値なるべしといへば群の生ところ皆斑駮なり斑入の者は汝の値なるべしといへば群の生ところ皆斑入なり 001 GEN 031 009 斯神汝らの父の家畜を奪て我に與へたまへり 001 GEN 031 010 群の孕む時に當りて我夢に目をあげて見しに群の上に乗る牡羊は皆斑入の者斑駮なる者白點なる者なりき 001 GEN 031 011 時に神の使者夢の中に我に言ふヤコブよと我此にありと對へければ 001 GEN 031 012 乃ち言ふ汝の目をあげて見よ群の上に乗る牡羊は皆斑入の者斑駮なる者白點なる者なり我ラバンが凡て汝に爲すところを鑒みる 001 GEN 031 013 我はベテルの神なり汝彼處にて柱に膏を沃ぎ彼處にて我に誓を立たり今起て斯地を出て汝の親族の國に歸れと 001 GEN 031 014 ラケルとレア對て彼にいひけるは我等の父の家に尚われらの分あらんや我等の產業あらんや 001 GEN 031 015 我等は父に他人のごとくせらるるにあらずや其は父我等を賣り亦我等の金を蝕减したればなり 001 GEN 031 016 神がわが父より取たまひし財寶は我等とわれらの子女の所屬なり然ば都て神の汝に言たまひし事を爲せ 001 GEN 031 017 是に於てヤコブ起て子等と妻等を駱駝に乗せ 001 GEN 031 018 其獲たる凡の家畜と凡の所有即ちパダンアラムにてみづから獲たるところの家畜を携へ去てカナンの地に居所の其父イサクの所におもむけり 001 GEN 031 019 時にラバンは羊の毛を剪んとて往てありラケル其父のテラピムを竊めり 001 GEN 031 020 ヤコブは其去ことをスリア人ラバンに告ずして潛に忍びいでたり 001 GEN 031 021 即ち彼その凡の所有を挈へて逃去り起て河を渡りギレアデの山にむかふ 001 GEN 031 022 ヤコブの逃去しこと三日におよびてラバンに聞えければ 001 GEN 031 023 彼兄弟を率てその後を追ひしが七日路をへてギレアデの山にて之に追及ぬ 001 GEN 031 024 神夜の夢にスリア人ラバンに臨みて汝愼みて善も惡もヤコブに道なかれと之に告たまへり 001 GEN 031 025 ラバン遂にヤコブに追及しがヤコブは山に天幕を張ゐたればラバンもその兄弟と共にギレアデの山に天幕をはれり 001 GEN 031 026 而してラバン、ヤコブに言けるは汝我に知しめずして忍びいで吾女等を劍をもて執たる者のごとくにひき往り何ぞかかる事をなすや 001 GEN 031 027 何故に汝潛に逃さり我をはなれて忍いで我につげざりしや我歡喜と歌謠と鼗と琴をもて汝を送りしならんを 001 GEN 031 028 何ぞ我をしてわが孫と女に接吻するを得ざらしめしや汝愚妄なる事をなせり 001 GEN 031 029 汝等に害をくはふるの能わが手にあり然ど汝等の父の神昨夜我に告て汝つつしみて善も惡もヤコブに語べからずといへり 001 GEN 031 030 汝今父の家を甚く戀て歸んと願ふは善れども何ぞわが神を竊みたるや 001 GEN 031 031 ヤコブ答へてラバンにいひけるは恐くは汝強て女を我より奪ならんと思ひて懼れたればなり 001 GEN 031 032 汝の神を持る者を見ば之を生しおくなかれ我等の兄弟等の前にて汝の何物我の許にあるかをみわけて之を汝に取れと其はヤコブ、ラケルが之を竊しを知ざればなり 001 GEN 031 033 是に於てラバン、ヤコブの天幕に入りレアの天幕に入りまた二人の婢の天幕にいりしが視いださざればレアの天幕を出てラケルの天幕にいる 001 GEN 031 034 ラケル已にテラピムを執て之を駱駝の鞍の下にいれて其上に坐しければラバン遍く天幕の中をさぐりたれども見いださざりき 001 GEN 031 035 時にラケル父にいひけるは婦女の經の習例の事わが身にあれば父の前に起あたはず願くは主之を怒り給ふなかれと是をもて彼さがしたれども遂にテラピムを見いださざりき 001 GEN 031 036 是に於てヤコブ怒てラバンを謫即ちヤコブ應てラバンに言けるは我何の愆あり何の罪ありてか汝火急く我をおふや 001 GEN 031 037 汝わが物を盡く索たるが汝の家の何物を見いだしたるや此にわが兄弟と汝の兄弟の前に其を置て我等二人の間をさばかしめよ 001 GEN 031 038 我この二十年汝とともにありしが汝の牝綿羊と牝山羊其胎を殰ねしことなし又汝の群の牡綿羊は我食はざりき 001 GEN 031 039 又噛裂れたる者は我これを汝の所に持きたらずして自ら之を補へり又晝竊るるも夜竊るるも汝わが手より之を要めたり 001 GEN 031 040 我は是ありつ晝は暑に夜は寒に犯されて目も寐るの遑なく 001 GEN 031 041 此二十年汝の家にありたり汝の二人の女の爲に十四年汝の群のために六年汝に事たり然に汝は十次もわが値を易たり 001 GEN 031 042 若わが父の神アブラハムの神イサクのの畏む者我とともにいますにあらざれば汝今必ず我を空手にて去しめしならん神わが苦難とわが手の勞苦をかへりみて昨夜汝を責たまへるなり 001 GEN 031 043 ラバン應てヤコブに言けるは女等はわが女子等はわが子群はわが群汝が見る者は皆わが所屬なり我今日此わが女等とその生たる子等に何をなすをえんや 001 GEN 031 044 然ば來れ我と汝二人契約をむすび之を我と汝の間の證憑となすべし 001 GEN 031 045 是に於てヤコブ石を執りこれを建て柱となせり 001 GEN 031 046 ヤコブ又その兄弟等に石をあつめよといひければ即ち石をとりて垤を成れり斯て彼等彼處にて垤の上に食す 001 GEN 031 047 ラバン之をエガルサハドタ(證憑の垤)と名けヤコブ之をギレアデ(證憑の垤)と名けたり 001 GEN 031 048 ラバン此垤今日われとなんぢの間の證憑たりといひしによりて其名はギレアデとと稱らる 001 GEN 031 049 又ミヅパ(觀望樓)と稱らる其は彼我等が互にわかるるに及べる時ねがはくはヱホバ我と汝の間を監みたまへといひたればなり 001 GEN 031 050 彼又いふ汝もしわが女をなやまし或はわが女のほかに妻をめとらば人の我らと偕なる者なきも神と汝のあひだにいまして證をなしたまふ 001 GEN 031 051 ラバン又ヤコブにいふ我われとなんぢの間にたてたる此垤を視よ柱をみよ 001 GEN 031 052 此垤證とならん柱證とならん我この垤を越て汝を害せじ汝この垤この柱を越て我を害せざれ 001 GEN 031 053 アブラハムの神ナホルの神彼等の父の神われらの間を鞫きたまへとヤコブ乃ちその父イサクの畏む者をさして誓へり 001 GEN 031 054 斯てヤコブ山にて犧牲をささげその兄弟を招きてパンを食しむ彼等パンを食ひて山に宿れり 001 GEN 031 055 ラバン朝蚤に起き其孫と女に接吻して之を祝せりしかしてラバンゆきて其所にかへりぬ 001 GEN 032 001 茲にヤコブその途に進みしが神の使者これにあふ 001 GEN 032 002 ヤコブこれを見て是は神の陣營なりといひてその處の名をマハナイム(二營)となづけたり 001 GEN 032 003 かくてヤコブ己より前に使者をつかはしてセイルの地エドムの野にをる其兄エサウの所にいたらしむ 001 GEN 032 004 即ち之に命じて言ふ汝等かくわが主エサウにいふべし汝の僕ヤコブ斯いふ我ラバンの所に寄寓て今までとどまれり 001 GEN 032 005 我牛驢馬羊僕婢あり人をつかはしてわが主に告ぐ汝の前に恩をえんことを願ふなりと 001 GEN 032 006 使者ヤコブにかへりて言けるは我等汝の兄エサウの許に至れり彼四百人をしたがへて汝をむかへんとて來ると 001 GEN 032 007 是によりヤコブ大におそれ且くるしみ己とともにある人衆および羊と牛と駱駝を二隊にわかちて 001 GEN 032 008 言けるはエサウもし一の隊に來りて之をうたば遺れるところの一隊逃るべし 001 GEN 032 009 ヤコブまた言けるはわが父アブラハムの神わが父イサクの神ヱホバよ汝甞て我につげて汝の國にかへり汝の親族に到れ我なんぢを善せんといひたまへり 001 GEN 032 010 我はなんぢが僕にほどこしたまひし恩惠と眞實を一も受るにたらざるなり我わが杖のみを持てこのヨルダンを濟りしが今は二隊とも成にいたれり 001 GEN 032 011 願くはわが兄の手よりエサウの手より我をすくひいだしたまへ我彼をおそる恐くは彼きたりて我をうち母と子とに及ばん 001 GEN 032 012 汝は甞て我かならず汝を惠み汝の子孫を濱の沙の多して數ふべからざるが如くなさんといひたまへりと 001 GEN 032 013 彼その夜彼處に宿りその手にいりし物の中より兄エサウへの禮物をえらべり 001 GEN 032 014 即ち牝山羊二百牡山羊二十牝羊二百牡羊二十 001 GEN 032 015 乳駱駝と其子三十牝牛四十牡牛十牝の驢馬二十驢馬の子十 001 GEN 032 016 而して其群と群とをわかちて之を僕の手に授し僕にいひけるは吾に先ちて進み群と群との間を隔ておくべし 001 GEN 032 017 又その前者に命じて言けるはわが兄エサウ汝にあひ汝に問て汝は誰の人にして何處にゆくや是汝のまへなる者は誰の所有なるやといはば 001 GEN 032 018 汝の僕ヤコブの所有にしてわが主エサウにたてまつる禮物なり視よ彼もわれらの後にをるといふべしと 001 GEN 032 019 彼かく第二の者第三の者および凡て群々にしたがひゆく者に命じていふ汝等エサウにあふ時はかくの如く之にいふべし 001 GEN 032 020 且汝等いへ視よなんぢの僕ヤコブわれらの後にをるとヤコブおもへらく我わが前におくる禮物をもて彼を和めて然るのち其面を觀ん然ば彼われを接遇ることあらんと 001 GEN 032 021 是によりて禮物かれに先ちて行く彼は其夜陣營の中に宿りしが 001 GEN 032 022 其夜おきいでて二人の妻と二人の仕女および十一人の子を導きてヤボクの渡をわたれり 001 GEN 032 023 即ち彼等をみちびきて川を渉らしめ又その有る物を渡せり 001 GEN 032 024 而してヤコブ一人遺りしが人ありて夜の明るまで之と角力す 001 GEN 032 025 其人己のヤコブに勝ざるを見てヤコブの髀の樞骨に觸しかばヤコブの髀の樞骨其人と角力する時挫離たり 001 GEN 032 026 其人夜明んとすれば我をさらしめよといひければヤコブいふ汝われを祝せずばさらしめずと 001 GEN 032 027 是に於て其人かれにいふ汝の名は何なるや彼いふヤコブなり 001 GEN 032 028 其人いひけるは汝の名は重てヤコブととなふべからずイスラエルととなふべし其は汝神と人とに力をあらそひて勝たればなりと 001 GEN 032 029 ヤコブ問て請ふ汝の名を告よといひければ其人何故にわが名をとふやといひて乃ち其處にて之を祝せり 001 GEN 032 030 是を以てヤコブその處の名をベニエル(神の面)となづけて曰ふ我面と面をあはせて神とあひ見てわが生命なほ存るなりと 001 GEN 032 031 斯て彼日のいづる時にベニエルを過たりしが其髀のために歩行はかどらざりき 001 GEN 032 032 是故にイスラエルの子孫は今日にいたるまで髀の樞の巨筋を食はず是彼人がヤコブの髀の巨筋に觸たるによりてなり 001 GEN 033 001 爰にヤコブ目をあげて視にエサウ四百人をひきゐて來しかば即ち子等を分ちてレアとラケルと二人の仕女とに付し 001 GEN 033 002 仕女とその子等を前におきレアとその子等を次におきラケルとヨセフを後におきて 001 GEN 033 003 自彼等の前に進み七度身を地にかがめて遂に兄に近づきけるに 001 GEN 033 004 エサウ趨てこれを迎へ抱きてその頸をかかへて之に接吻すしかして二人ともに啼泣り 001 GEN 033 005 エサウ目をあげて婦人と子等を見ていひけるは是等の汝とともなる者は誰なるやヤコブいひけるは神が僕に授たまひし子なりと 001 GEN 033 006 時に仕女等その子とともに近よりて拜し 001 GEN 033 007 レアも亦その子とともに近よりて拜す其後にヨセフとラケルちかよりて拜す 001 GEN 033 008 エサウ又いひけるは我あへる此諸の群は何のためなるやヤコブいふ主の目の前に恩を獲んがためなり 001 GEN 033 009 エサウいひけるは弟よわが有ところの者は足り汝の所有は汝自ら之を有てよ 001 GEN 033 010 ヤコブいひけるは否我もし汝の目の前に恩をえたらんには請ふわが手よりこの禮物を受よ我汝の面をみるに神の面をみるがごとくなり汝また我をよろこぶ 001 GEN 033 011 神我をめぐみたまひて我が有ところの者足りされば請ふわが汝にたてまつる禮物を受よと彼に強ければ終に受たり 001 GEN 033 012 エサウいひけるは我等いでたちてゆかん我汝にさきだつべし 001 GEN 033 013 ヤコブ彼にいひけるは主のしりたまふごとく子等は幼弱し又子を持る羊と牛と我にしたがふ若一日これを驅すごさば群みな死ん 001 GEN 033 014 請ふわが主僕にさきだちて進みたまへ我はわが前にゆくところの家畜と子女に足にまかせて徐に導きすすみセイルにてわが主に詣らん 001 GEN 033 015 エサウいひけるは然ば我わがひきゐる人數人を汝の所にのこさんヤコブいひけるは何ぞ此を須んや我をして主の目の前に恩を得せしめよ 001 GEN 033 016 是に於てエサウは此日その途にしたがひてセイルに還りぬ 001 GEN 033 017 斯てヤコブ、スコテに進みて己のために家を建て又家畜のために廬を作れり是によりて其處の名をスコテ(廬)といふ 001 GEN 033 018 ヤコブ、パダンアラムより來りて恙なくカナンの地にあるシケムの邑に至り邑の前にその天幕を張り 001 GEN 033 019 遂にその天幕をはりしところの野をシケムの父ハモルの子等の手により金百枚にて購とり 001 GEN 033 020 彼處に壇をきづきて之をエル、エロヘ、イスラエル(イスラエルの神なる神)となづけたり 001 GEN 034 001 レアのヤコブに生たる女デナその國の婦女を見んとていでゆきしが 001 GEN 034 002 その國の君主なるヒビ人ハモルの子シケムこれを見て之をひきいれこれと寢てこれを辱しむ 001 GEN 034 003 而してその心ふかくヤコブの女デナを戀ひて彼此女を愛しこの女の心をいひなだむ 001 GEN 034 004 斯てシケムその父ハモルに語り此少き女をわが妻に獲よといへり 001 GEN 034 005 ヤコブ彼がその女子デナを汚したることを聞しかどもその子等家畜を牧て野にをりしによりて其かへるまでヤコブ默しゐたり 001 GEN 034 006 シケムの父ハモル、ヤコブの許にいできたりて之と語らふ 001 GEN 034 007 茲にヤコブの子等野より來りしが之を聞しかば其人々憂へかつ甚く怒れり是はシケムがヤコブの女と寢てイスラエルに愚なる事をなしたるに因り是のごとき事はなすべからざる者なればなり 001 GEN 034 008 ハモル彼等に語りていひけるはわが子シケム心になんぢの女を戀ふねがはくは彼をシケムにあたへて妻となさしめよ 001 GEN 034 009 汝ら我らと婚姻をなし汝らの女を我らにあたへ我らの女汝らに娶れ 001 GEN 034 010 かくして汝等われらとともに居るべし地は汝等の前にあり此に住て貿易をなし此にて產業を獲よ 001 GEN 034 011 シケム又デナの父と兄弟等にいひけるは我をして汝等の目のまへに恩を獲せしめよ汝らが我にいふところの者は我あたへん 001 GEN 034 012 いかに大なる聘物と禮物を要るも汝らがわれに言ふごとくあたへん唯この女を我にあたへて妻となさしめよ 001 GEN 034 013 ヤコブの子等シケムとその父ハモルに詭りて答へたり即ちシケムがその妹デナを汚したるによりて 001 GEN 034 014 彼等これに語りていひけるは我等この事を爲あたはず割禮をうけざる者にわれらの妹をあたふるあたはず是われらの恥辱なればなり 001 GEN 034 015 然ど斯せば我等汝らに允さん若し汝らの中の男子みな割禮をうけてわれらの如くならば 001 GEN 034 016 我等の女子を汝等にあたへ汝らの女子をわれらに娶り汝らと偕にをりて一の民とならん 001 GEN 034 017 汝等もし我等に聽ずして割禮をうけずば我等女子をとりて去べしと 001 GEN 034 018 彼等の言ハモルとハモルの子シケムの心にかなへり 001 GEN 034 019 此若き人ヤコブの女を愛するによりて其事をなすを遲せざりき彼はその父の家の中にて最貴れたる者なり 001 GEN 034 020 ハモルとその子シケム乃ちその邑の門にいたり邑の人々に語りていひけるは 001 GEN 034 021 是人々は我等と睦し彼等をして此地に住て此に貿易をなさしめよ地は廣くして彼らを容るにたるなり我ら彼らの女を妻にめとり我らの女をかれらに與へん 001 GEN 034 022 若唯われらの中の男子みな彼らが割禮をうくるごとく割禮を受なば此人々われらに聽て我等と偕にをり一の民となるべし 001 GEN 034 023 然ばかれらの家畜と財產と其諸の畜は我等が所有となるにあらずや只かれらに聽んしからば彼らわれらとともにをるべしと 001 GEN 034 024 邑の門に出入する者みなハモルとその子シケムに聽したがひ邑の門に出入する男子皆割禮を受たり 001 GEN 034 025 斯て三日におよび彼等その痛をおぼゆる時ヤコブの子二人即ちデナの兄弟なるシメオンとレビ各劍をとり往て思よらざる時に邑を襲ひ男子を悉く殺し 001 GEN 034 026 利刄をもてハモルとその子シケムをころしシケムの家よりデナを携へいでたり 001 GEN 034 027 而してヤコブの子等ゆきて其殺されし者を剥ぎ其邑をかすめたり是彼等がその妹を汚したるによりてなり 001 GEN 034 028 またその羊と牛と驢馬およびその邑にある者と野にある者 001 GEN 034 029 並にその諸の貨財を奪ひその子女と妻等を悉く擄にし家の中なる物を悉く掠めたり 001 GEN 034 030 ヤコブ、シメオンとレビに言けるは汝等我を累はし我をして此國の人即ちカナン人とベリジ人の中に避嫌れしむ我は數すくなければ彼ら集りて我をせめ我をころさん然ば我とわが家滅さるべし 001 GEN 034 031 彼らいふ彼豈われらの妹を娼妓のごとくしてよからんや 001 GEN 035 001 茲に神ヤコブに言たまひけるは起てベテルにのぼりて彼處に居り汝が昔に兄エサウの面をさけて逃る時に汝にあらはれし神に彼處にて壇をきづけと 001 GEN 035 002 ヤコブ乃ちその家人および凡て己とともなる者にいふ汝等の中にある異神を棄て身を清めて衣服を易よ 001 GEN 035 003 我等起てベテルにのぼらん彼處にて我わが苦患の日に我に應へわが往ところの途にて我とともに在せし神に壇をきづくべし 001 GEN 035 004 是に於て彼等その手にある異神およびその耳にある耳環を盡くヤコブに與へしかばヤコブこれをシケムの邊なる橡樹の下に埋たり 001 GEN 035 005 斯て彼等いでたちしが神其四周の邑々をして懼れしめたまひければヤコブの子の後を追ふ者なかりき 001 GEN 035 006 ヤコブ及び之と共なる諸の人遂にカナンの地にあるルズに至る是即ちベテルなり 001 GEN 035 007 彼かしこに壇をきづき其處をエルベテルと名けたり是は兄の面をさけて逃る時に神此にて己にあらはれ給しによりてなり 001 GEN 035 008 時にリベカの乳媼デボラ死たれば之をベテルの下にて橡樹の下に葬れり是によりてその樹の名をアロンバクテ(哀哭の橡)といふ 001 GEN 035 009 ヤコブ、パダンアラムより歸りし時神復これにあらはれて之を祝したまふ 001 GEN 035 010 神かれに言たまはく汝の名はヤコブといふ汝の名は重てヤコブとよぶべからずイスラエルを汝の名となすべしとその名をイスラエルと稱たまふ 001 GEN 035 011 神また彼にいひたまふ我は全能の神なり生よ殖よ國民および多の國民汝よりいで又王等なんぢの腰よりいでん 001 GEN 035 012 わがアブラハムおよびイサクに與し地は我これを汝にあたへん我なんぢの後の子孫にその地をあたふべしと 001 GEN 035 013 神かれと言たまひし處より彼をはなれて昇りたまふ 001 GEN 035 014 是に於てヤコブ神の己と言いひたまひし處に柱すなはち石の柱を立て其上に酒を灌ぎまた其上に膏を沃げり 001 GEN 035 015 而してヤコブ神の己にものいひたまひし處の名をベテルとなづけたり 001 GEN 035 016 かくてヤコブ等ベテルよりいでたちしがエフラタに至るまでは尚路の隔ある處にてラケル產にのぞみその產おもかりき 001 GEN 035 017 彼難產にのぞめる時產婆之にいひけるは懼るなかれ汝また此男の子を得たり 001 GEN 035 018 彼死にのぞみてその魂さらんとする時その子の名をベノニ(吾苦痛の子)と呼たり然ど其父これをベニヤミン(右手の子)となづけたり 001 GEN 035 019 ラケル死てエフラタの途に葬らる是即ちベテレヘムなり 001 GEN 035 020 ヤコブその墓に柱を立たり是はラケルの墓の柱といひて今日まで在り 001 GEN 035 021 イスラエル復いでたちてエダルの塔の外にその天幕を張り 001 GEN 035 022 イスラエルかの地に住る時にルベン往て父の妾ビルハと寢たりイスラエルこれを聞く夫ヤコブの子は十二人なり 001 GEN 035 023 即ちレアの子はヤコブの長子ルベンおよびシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルンなり 001 GEN 035 024 ラケルの子はヨセフとベニヤミンなり 001 GEN 035 025 ラケルの仕女ビルハの子はダンとナフタリなり 001 GEN 035 026 レアの仕女ジルパの子はガドとアセルなり是等はヤコブの子にしてパダンアラムにて彼に生れたる者なり 001 GEN 035 027 ヤコブ、キリアテアルバのマムレにゆきてその父イサクに至れり是すなはちヘブロンなり彼處はアブラハムとイサクの寄寓しところなり 001 GEN 035 028 イサクの齡は百八十歳なりき 001 GEN 035 029 イサク老て年滿ち氣息たえ死にて其民にくははれりその子エサウとヤコブ之をはうむる 001 GEN 036 001 エサウの傳はかくのごとしエサウはすなはちエドムなり 001 GEN 036 002 エサウ、カナンの女の中より妻をめとれり即ちヘテ人エロンの女アダおよびヒビ人ヂベオンの女なるアナの女アホリバマ是なり 001 GEN 036 003 又イシマエルの女ネバヨテの妹バスマテをめとれり 001 GEN 036 004 アダはエリパズをエサウに生みバスマテはリウエルを生み 001 GEN 036 005 アホリバマはヱウシ、ヤラムおよびコラを生り是等はエサウの子にしてカナンの地に於て彼に生れたる者なり 001 GEN 036 006 エサウその妻と子女およびその家の諸の人並に家畜と諸の畜類およびそのカナンの地にて獲たる諸の物を挈へて弟ヤコブをはなれて他の地にゆけり 001 GEN 036 007 其は二人の富有多くして倶にをるあたはざればなり彼らが寄寓しところの地はかれらの家畜のためにかれらを容るをえざりき 001 GEN 036 008 是に於てエサウ、セイル山に住りエサウはすなはちエドムなり 001 GEN 036 009 セイル山にをりしエドミ人の先祖エサウの傳はかくのごとし 001 GEN 036 010 エサウの子の名は左のごとしエサウの妻アダの子はエリパズ、エサウの妻バスマテの子はリウエル 001 GEN 036 011 エリパズの子はテマン、オマル、ゼポ、ガタムおよびケナズなり 001 GEN 036 012 テムナはエサウの子エリパズの妾にしてアマレクをエリパズに生り是等はエサウの妻アダの子なり 001 GEN 036 013 リウエルの子は左の如しナハテ、ゼラ、シヤンマおよびミザ是等はエサウの妻バスマテの子なり 001 GEN 036 014 ヂベオンの女なるアナの女にしてエサウの妻なるアホリバマの子は左のごとし彼ヱウシ、ヤラムおよびコラをエサウに生り 001 GEN 036 015 エサウの子孫の侯たる者は左のごとしエサウの冢子エリパスの子にはテマン侯オマル侯ゼボ侯ケナズ侯 001 GEN 036 016 コラ侯ガタム侯アマレク侯是等はエリパズよりいでたる侯にしてエドムの地にありき是等はアダの子なり 001 GEN 036 017 エサウの子リウエルの子は左のごとしナハテ侯ゼラ侯シヤンマ侯ミザ侯是等はリウエルよりいでたる侯にしてエドムの地にありき是等はエサウの妻バスマテの子なり 001 GEN 036 018 エサウの妻アホリバマの子は左のごとしヱウシ侯ヤラム侯コラ侯是等はアナの女にしてエサウの妻なるアホリバマよりいでたる侯なり 001 GEN 036 019 是等はエサウすなはちエドムの子孫にしてその侯たる者なり 001 GEN 036 020 素より此地に住しホリ人セイルの子は左のごとしロタン、シヨバル 、ヂベオン、アナ 001 GEN 036 021 デシヨン、エゼル、デシヤン是等はセイルの子ホリ人の中の侯にしてエドムの地にあり 001 GEN 036 022 ロタンの子はホリ、ヘマムなりロタンの妹はテムナ 001 GEN 036 023 シヨバルの子は左のごとしアルワン、マナハテ、エバル、シボ、オナム 001 GEN 036 024 ヂベオンの子は左のごとし即ちアヤとアナ此アナその父ヂベオンの驢馬を牧をりし時曠野にて温泉を發見り 001 GEN 036 025 アナの子は左のごとしデシヨンおよびアホリバマ、アホリバマはアナの女なり 001 GEN 036 026 デシヨンの子は左のごとしヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン 001 GEN 036 027 エゼルの子は左のごとしビルハン、ザワン、ヤカン 001 GEN 036 028 デシヤンの子は左のごとしウヅ、アラン 001 GEN 036 029 ホリ人の侯たる者は左のごとしロタン侯シヨバル侯ヂベオン侯アナ侯 001 GEN 036 030 デシヨン侯エゼル侯デシヤン侯是等はホリ人の侯にしてその所領にしたがひてセイルの地にあり 001 GEN 036 031 イスラエルの子孫を治むる王いまだあらざる前にエドムの地を治めたる王は左のごとし 001 GEN 036 032 ベオルの子ベラ、エドムに王たりその都の名はデナバといふ 001 GEN 036 033 ベラ薨てボヅラのゼラの子ヨバブ之にかはりて王となる 001 GEN 036 034 ヨバブ薨てテマン人の地のホシヤムこれにかはりて王となる 001 GEN 036 035 ホシヤム薨てベダデの子ハダデの子ハダこれに代て王となる彼モアブの野にてミデアン人を撃しことあり其邑の名はアビテといふ 001 GEN 036 036 ハダデ薨てマスレカのサムラこれにかはりて王となる 001 GEN 036 037 サラム薨て河の旁なるレホボテのサウル之にかはりて王となる 001 GEN 036 038 サウル薨てアクボルの子バアルハナンこれに代りて王となる 001 GEN 036 039 アクボルの子バアルハナン薨てハダル之にかはりて王となる其都の名はパウといふその妻の名はメヘタベルといひてマテレデの女なりマテレデはメザハブの女なり 001 GEN 036 040 エサウよりいでたる侯の名はその宗族と居處と名に循ひていへば左のごとしテムナ侯アルワ侯エテテ侯 001 GEN 036 041 アホリバマ侯エラ侯ピノン侯 001 GEN 036 042 ケナズ侯テマン侯ミブザル侯 001 GEN 036 043 マグデエル侯イラム侯是等はエドムの侯にして其領地の居處によりて言る者なりエドミ人の先祖はエサウ是なり 001 GEN 037 001 ヤコブはカナンの地に住り即ちその父が寄寓し地なり 001 GEN 037 002 ヤコブの傳は左のごとしヨセフ十七歳にしてその兄弟と偕に羊を牧ふヨセフは童子にしてその父の妻ビルハの子およびジルパの子と侶たりしが彼等の惡き事を父につぐ 001 GEN 037 003 ヨセフは老年子なるが故にイスラエルその諸の兄弟よりも深くこれを愛しこれがために綵る衣を製れり 001 GEN 037 004 その兄弟等父がその諸の兄弟よりも深く彼を愛するを見て彼を惡み穩和に彼にものいふことを得せざりき 001 GEN 037 005 茲にヨセフ夢をみてその兄弟に告ければ彼等愈これを惡めり 001 GEN 037 006 ヨセフ彼等にいひけるは請ふわが夢たる此夢を聽け 001 GEN 037 007 我等田の中に禾束をむすび居たるにわが禾束おき且立り而して汝等の禾束環りたちてわが禾束を拜せり 001 GEN 037 008 その兄弟等之にいひけるは汝眞にわれらの君となるや眞に我等ををさむるにいたるやとその夢とその言のために益これを惡めり 001 GEN 037 009 ヨセフ又一の夢をみて之をその兄弟に述ていひけるは我また夢をみたるに日と月と十一の星われを拜せりと 001 GEN 037 010 則ちこれをその父と兄弟に述ければ父かれを戒めて彼にいふ汝が夢しこの夢は何ぞや我と汝の母となんぢの兄弟と實にゆきて地に鞠て汝を拜するにいたらんやと 001 GEN 037 011 斯しかばその兄弟かれを嫉めり然どその父はこの言をおぼえたり 001 GEN 037 012 茲にその兄弟等シケムにゆきて父の羊を牧ゐたりしかば 001 GEN 037 013 イスラエル、ヨセフにいひけるは汝の兄弟はシケムにて羊を牧をるにあらずや來れ汝を彼等につかはさんヨセフ父にいふ我ここにあり 001 GEN 037 014 父かれにいひけるは請ふ往て汝の兄弟と群の恙なきや否を見てかへりて我につげよと彼をヘブロンの谷より遣はしければ遂にシケムに至る。 001 GEN 037 015 或人かれに遇ふに彼野にさまよひをりしかば其人かれに問て汝何をたづぬるやといひければ 001 GEN 037 016 彼いふ我はわが兄弟等をたづぬ請ふかれらが羊をかひをる所をわれに告よ 001 GEN 037 017 その人いひけるは彼等は此をされり我かれらがドタンにゆかんといふを聞たりと是に於てヨセフその兄弟の後をおひゆきドタンにて之に遇ふ 001 GEN 037 018 ヨセフの彼等に近かざる前に彼ら之を遙に見てこれを殺さんと謀り 001 GEN 037 019 互にいひけるは視よ作夢者きたる 001 GEN 037 020 去來彼をころして阱に投いれ或惡き獸これを食たりと言ん而して彼の夢の如何になるかを觀るべし 001 GEN 037 021 ルベン聞てヨセフを彼等の手より拯ひださんとして言けるは我等これを殺すべからず 001 GEN 037 022 ルベンまた彼らにいひけるは血をながすなかれ之を曠野の此阱に投いれて手をこれにつくるなかれと是は之を彼等の手よりすくひだして父に歸んとてなりき 001 GEN 037 023 茲にヨセフ兄弟の許に到りければ彼等ヨセフの衣即ちその着たる綵る衣を褫ぎ 001 GEN 037 024 彼を執て阱に投いれたり阱は空にしてその中に水あらざりき 001 GEN 037 025 斯して彼等坐てパンを食ひ目をあげて見しに一群のイシマエル人駱駝に香物と乳香と沒藥をおはせてエジプトにくだりゆかんとてギレアデより來る 001 GEN 037 026 ユダその兄弟にいひけるは我儕弟をころしてその血を匿すも何の益かあらん 001 GEN 037 027 去來彼をイシマエル人に賣ん彼は我等の兄弟われらの肉なればわれらの手をかれにつくべからずと兄弟等これを善とす 001 GEN 037 028 時にミデアンの商旅經過ければヨセフを阱よりひきあげ銀二十枚にてヨセフをイシマエル人に賣り彼等すなはちヨセフをエジプトにたづさへゆきぬ 001 GEN 037 029 茲にルベンかへりて阱にいたり見しにヨセフ阱にをらざりしかばその衣を裂き 001 GEN 037 030 兄弟の許にかへりて言ふ童子はをらず嗚呼我何處にゆくべきや 001 GEN 037 031 斯て彼等ヨセフの衣をとり牡山羊の羔をころしてその衣を血に濡し 001 GEN 037 032 その綵る衣を父におくり遣していひけるは我等これを得たりなんぢの子の衣なるや否を知れと 001 GEN 037 033 父これを知りていふわが子の衣なり惡き獸彼をくらへりヨセフはかならずさかれしならんと 001 GEN 037 034 ヤコブその衣を裂き麻布を腰にまとひ久くその子のためになげけり 001 GEN 037 035 その子女みな起てかれを慰むれどもその慰謝をうけずして我は哀きつつ陰府にくだりて我子のもとにゆかんといふ斯その父かれのために哭ぬ 001 GEN 037 036 偖ミデアン人はエジプトにてパロの侍衞の長ポテパルにヨセフを賣り 001 GEN 038 001 當時ユダ兄弟をはなれて下りアドラム人名はヒラといふ者の近邊に天幕をはりしが 001 GEN 038 002 ユダかしこにてカナン人名はシュアといふ者の女子を見これを娶りてその所にいる 001 GEN 038 003 彼はらみて男子を生みければユダその名をエルとなづく 001 GEN 038 004 彼ふたたび孕みて男子を生みその名をオナンとなづけ 001 GEN 038 005 またかさねて孕みて男子を生みてその名をシラとなづく此子をうみける時ユダはクジブにありき 001 GEN 038 006 ユダその長子エルのために妻をむかふその名をタマルといふ 001 GEN 038 007 ユダの長子エル、ヱホバの前に惡をなしたればヱホバこれを死しめたまふ 001 GEN 038 008 茲にユダ、オナンにいひけるは汝の兄の妻の所にいりて之をめとり汝の兄をして子をえせしめよ 001 GEN 038 009 オナンその子の己のものとならざるを知たれば兄の妻の所にいりし時兄に子をえせしめざらんために地に洩したり 001 GEN 038 010 斯なせし事ヱホバの目に惡かりければヱホバ彼をも死しめたまふ 001 GEN 038 011 ユダその媳タマルにいひけるは嫠婦となりて汝の父の家にをりわが子シラの人となるを待てと恐らくはシラも亦その兄弟のごとく死るならんとおもひたればなりタマルすなはち往てその父の家にをる 001 GEN 038 012 日かさなりて後シュアの女ユダの妻死たりユダ慰をいれてその友アドラム人ヒラとともにテムナにのぼりその羊毛を剪る者の所にいたる 001 GEN 038 013 茲にタマルにつげて視よなんぢの舅はその羊の毛を剪んとてテムナにのぼるといふ者ありしかば 001 GEN 038 014 彼その嫠の服を脱すて被衣をもて身をおほひつつみテムナの途の側にあるエナイムの入口に坐す其はシラ人となりたれども己これが妻にせられざるを見たればなり 001 GEN 038 015 彼その面を蔽ひゐたりしかばユダこれを見て娼妓ならんとおもひ 001 GEN 038 016 途の側にて彼に就き請ふ來りて我をして汝の所にいらしめよといふ其はその子の妻なるをしらざればなり彼いひけるは汝何を我にあたへてわが所にいらんとするや 001 GEN 038 017 ユダいひけるは我群より山羊の羔をおくらん彼いふ汝其をおくるまで質をあたへんか 001 GEN 038 018 ユダ何の質をなんぢに與ふべきやといふに彼汝の印と綬と汝の手の杖をといひければ即ちこれを與へて彼の所にいりぬ彼ユダに由て姙めり 001 GEN 038 019 彼起て去りその被衣をぬぎすて嫠婦の服をまとふ 001 GEN 038 020 かくてユダ婦の手より質をとらんとてその友アドラム人の手に托して山羊の羔をおくりけるが彼婦を見ざれば 001 GEN 038 021 その處の人に問て途の側なるエナイムの娼妓は何處にをるやといふに此には娼妓なしといひければ 001 GEN 038 022 ユダの許にかへりていふ我彼を見いださず亦その處の人此には娼妓なしといへりと 001 GEN 038 023 ユダいひけるは彼にとらせおけ恐くはわれら笑抦とならん我この山羊の羔をおくりたるに汝かれを見ざるなりと 001 GEN 038 024 三月ばかりありて後ユダに告る者ありていふ汝の媳タマル姦淫をなせり亦その姦淫によりて妊めりユダいひけるは彼を曵いだして焚べし 001 GEN 038 025 彼ひきいだされし時その舅にいひつかはしけるは是をもてる人によりて我は妊りと彼すなはち請ふこの印と綬と杖は誰の所屬なるかを辨別よといふ 001 GEN 038 026 ユダこれを見識ていひけるは彼は我よりも正しわれ彼をわが子わがシラにあたへざりしによりてなりと再びこれを知らざりき 001 GEN 038 027 かくて產の時にいたりて見るにその胎に孿あり 001 GEN 038 028 その產時手出しかば產婆是首にいづといひて絳き線をとりてその手にしばりしが 001 GEN 038 029 手を引こむるにあたりて兄弟いでたれば汝なんぞ圻いづるやその圻汝に歸せんといへり故にその名はペレヅ(圻)と稱る 001 GEN 038 030 その兄弟手に絳線のある者後にいづその名はゼラとよばる 001 GEN 039 001 ヨセフ挈へられてエジプトにくだりしがエジプト人ポテパル、パロの臣侍衞の長なる者彼を其處にたづさへくだれるイシマエル人の手よりこれを買ふ 001 GEN 039 002 ヱホバ、ヨセフとともに在す彼享通者となりてその主人なるエジプト人の家にをる 001 GEN 039 003 その主人ヱホバの彼とともにいますを見またヱホバがかれの手の凡てなすところを享通しめたまふを見たり 001 GEN 039 004 是によりてヨセフ彼の心にかなひて其近侍となる彼ヨセフにその家を宰どらしめその所有を盡くその手に委たり 001 GEN 039 005 彼ヨセフにその家とその有る凡の物をつかさどらせし時よりしてヱホバ、ヨセフのために其エジプト人の家を祝みたまふ即ちヱホバの祝福かれが家と田に有る凡の物におよぶ 001 GEN 039 006 彼その有る物をことごとくヨセフの手にゆだねその食ふパンの外は何もかへりみざりき夫ヨセフは容貌麗しくして顏美しかりき 001 GEN 039 007 これらの事の後その主人の妻ヨセフに目をつけて我と寢よといふ 001 GEN 039 008 ヨセフ拒みて主人の妻にいひけるは視よわが主人の家の中の物をかへりみずその有るものことごとくわが手に委ぬ 001 GEN 039 009 この家には我より大なるものなし又主人何をも我に禁ぜず只汝を除くのみ汝はその妻なればなり然ば我いかで此おほいなる惡をなして神に罪ををかすをえんや 001 GEN 039 010 彼日々にヨセフに言よりたれどもヨセフきかずして之といねず亦與にをらざりき 001 GEN 039 011 當時ヨセフその職をなさんとて家にいりしが家の人一箇もその内にをらざりき 001 GEN 039 012 時に彼婦その衣を執て我といねよといひければヨセフ衣を彼の手に棄おきて外に遁いでたり 001 GEN 039 013 彼ヨセフがその衣を己の手に棄おきて遁いでしを見て 001 GEN 039 014 その家の人々を呼てこれにいふ視よヘブル人を我等の所につれ來て我等にたはむれしむ彼我といねんとて我の所にいり來しかば我大聲によばはれり 001 GEN 039 015 彼わが聲をあげて呼はるを聞しかばその衣をわが許にすておきて外に遁いでたりと 001 GEN 039 016 其衣を傍に置て主人の家に歸るを待つ 001 GEN 039 017 かくて彼是言のごとく主人につげていふ汝が我らに携へきたりしヘブルの僕われにたはむれんとて我許にいりきたりしが 001 GEN 039 018 我聲をあげてよばはりしかばその衣を我許にすておきて遁いでたり 001 GEN 039 019 主人その妻が己につげて汝の僕斯のごとく我になせりといふ言を聞て怒を發せり 001 GEN 039 020 是に於てヨセフの主人彼を執へて獄にいる其獄は王の囚徒を繋ぐ所なりヨセフ彼處にて獄にをりしが 001 GEN 039 021 ヱホバ、ヨセフとともに在して之に仁慈を加へ典獄の恩顧をこれにえさせたまひければ 001 GEN 039 022 典獄獄にある囚人をことごとくヨセフの手に付せたり其處になす所の事は皆ヨセフこれをなすなり 001 GEN 039 023 典獄そのまかせたる所の事は何をもかへりみざりき其はヱホバ、ヨセフとともにいませばなりヱホバかれのなすところをさかえしめたまふ 001 GEN 040 001 これらの事の後エジプト王の酒人と膳夫その主エジプト王に罪ををかす 001 GEN 040 002 パロその二人の臣すなはち酒人の長と膳夫の長を怒りて 001 GEN 040 003 之を侍衞の長の家の中なる獄に幽囚ふヨセフが繋れをる所なり 001 GEN 040 004 侍衞の長ヨセフをして彼等の側に侍しめたればヨセフ之につかふ彼等幽囚れて日を經たり 001 GEN 040 005 茲に獄に繋れたるエジプト王の酒人と膳夫の二人ともに一夜の中に各夢を見たりその夢はおのおんおのその解明にかなふ 001 GEN 040 006 ヨセフ朝に及びて彼等の所に入て視るに彼等物憂に見ゆ 001 GEN 040 007 是に於てヨセフその主人の家に己とともに幽囚をるパロの臣に問て汝等なにゆゑに今日は顏色あやしきやといふに 001 GEN 040 008 彼等これにいふ我等夢を見たれど之を解く者なしとヨセフ彼等にいひけるは解く事は神によるにあらずや請ふ我に述よ 001 GEN 040 009 酒人の長その夢をヨセフに述て之にいふ我夢の中に見しにわが前に一の葡萄樹あり 001 GEN 040 010 その樹に三の枝あり芽いで花ひらきて葡萄なり球をなして熟たるがごとくなりき 001 GEN 040 011 時にパロの爵わが手にあり我葡萄を摘てこれをパロの爵に搾りその爵をパロの手に奉たり 001 GEN 040 012 ヨセフ彼にいひけるはその解明は是のごとし三の枝は三日なり 001 GEN 040 013 今より三日の中にパロなんぢの首を擧げ汝を故の所にかへさん汝は曩に酒人たりし時になせし如くパロの爵をその手に奉ぐるにいたらん 001 GEN 040 014 然ば請ふ汝善ならん時に我をおもひて我に恩惠をほどこし吾事をパロにのべてこの家よりわれを出せ 001 GEN 040 015 我はまことにヘブル人の地より掠れ來しものなればなりまた此にても我は牢にいれらるるがごとき事はなさざりしなり 001 GEN 040 016 茲に膳夫の長その解明の善りしを見てヨセフにいふ我も夢を得て見たるに白きパン三筐わが首にありて 001 GEN 040 017 その上の筐には膳夫がパロのために作りたる各種の饌ありしが鳥わが首の筐の中より之をくらへり 001 GEN 040 018 ヨセフこたへていひけるはその解明はかくのごとし三の筐は三日なり 001 GEN 040 019 今より三日の中にパロ汝の首を擧はなして汝を木に懸んしかして鳥汝の肉をくらひとるべしと 001 GEN 040 020 第三日はパロの誕辰なればパロその諸の臣僕に筵席をなし酒人の長と膳夫の長をして首をその臣僕の中に擧しむ 001 GEN 040 021 即ちパロ酒人の長をその職にかへしければ彼爵をパロの手に奉たり 001 GEN 040 022 されど膳夫の長は木に懸らるヨセフの彼等に解明せるがごとし 001 GEN 040 023 然るに酒人の長ヨセフをおぼえずして之を忘れたり 001 GEN 041 001 二年の後パロ夢ることあり即ち河の濱にたちて 001 GEN 041 002 視るに七の美しき肥たる牝牛河よりのぼりて葦を食ふ 001 GEN 041 003 その後また七の醜き痩たる牛河よりのぼり河の畔にて彼牛の側にたちしが 001 GEN 041 004 その醜き痩たる牛かの美しき肥たる七の牛を食ひつくせりパロ是にいたりて寤む 001 GEN 041 005 彼また寢て再び夢るに一の莖に七の肥たる佳き穗いできたる 001 GEN 041 006 其のちに又しなびて東風に燒たる七の穗いできたりしが 001 GEN 041 007 その七のしなびたる穗かの七の肥實りたる穗を呑盡せりパロ寤て見に夢なりき 001 GEN 041 008 パロ朝におよびてその心安からず人をつかはしてエジプトの法術士とその博士を皆ことごとく召し之にその夢を述たり然ど之をパロに解うる者なかりき 001 GEN 041 009 時に酒人の長パロに告ていふ我今日わが過をおもひいづ 001 GEN 041 010 甞てパロその僕を怒て我と膳夫の長を侍衞の長の家に幽囚へたまひし時 001 GEN 041 011 我と彼ともに一夜のうちに夢み各その解明にかなふ夢をみたりしが 001 GEN 041 012 彼處に侍衞の長の僕なる若きヘブル人我らと偕にあり我等これにのべたれば彼われらの夢を解その夢にしたがひて各人に解明をなせり 001 GEN 041 013 しかして其事かれが解たるごとくなりて我はわが職にかへり彼は木に懸らる 001 GEN 041 014 是に於てパロ人をやりてヨセフを召しければ急ぎてこれを獄より出せりヨセフすなはち髭を薙り衣をかへてパロの許にいり來る 001 GEN 041 015 パロ、ヨセフにいひけるは我夢をみたれど之をとく者なし聞に汝は夢をききて之を解くことをうると云ふ 001 GEN 041 016 ヨセフ、パロにこたへていひけるは我によるにあらず神パロの平安を告たまはん 001 GEN 041 017 パロ、ヨセフにいふ我夢に河の岸にたちて見るに 001 GEN 041 018 河より七の肥たる美しき牝牛のぼりて葦を食ふ 001 GEN 041 019 後また弱く甚だ醜き瘠たる七の牝牛のぼりきたる其惡き事エジプト全國にわが未だ見ざるほどなり 001 GEN 041 020 その瘠たる醜き牛初の七の肥たる牛を食ひつくしたりしが 001 GEN 041 021 已に腹にいりても其腹にいりし事しれず尚前のごとく醜かりき我是にいたりて寤めたり 001 GEN 041 022 我また夢に見るに七の實たる佳き穗一の莖にいできたる 001 GEN 041 023 その後にまたいぢけ萎びて東風にやけたる七の穗生じたりしが 001 GEN 041 024 そのしなびたる穗かの七の佳穗を呑つくせり我これを法術士に告たれどもわれにこれをしめすものなし 001 GEN 041 025 ヨセフ、パロにいひけるはパロの夢は一なり神その爲んとする所をパロに示したまへるなり 001 GEN 041 026 七の美牝牛は七年七の佳穗も七年にして夢は一なり 001 GEN 041 027 其後にのぼりし七の瘠たる醜き牛は七年にしてその東風にやけたる七の空穗は七年の饑饉なり 001 GEN 041 028 是はわがパロに申すところなり神そのなさんとするところをパロにしめしたまふ 001 GEN 041 029 エジプトの全地に七年の大なる豐年あるべし 001 GEN 041 030 その後に七年の凶年おこらん而してエジプトの地にありし豐作を皆忘るにいたるべし饑饉國を滅さん 001 GEN 041 031 後にいたるその饑饉はなはだはげしきにより前の豐作國の中に知れざるにいたらん 001 GEN 041 032 パロのふたたび夢をかさね見たまひしは神がこの事をさだめて速に之をなさんとしたまふなり 001 GEN 041 033 さればパロ慧く賢き人をえらみて之にエジプトの國を治めしめたまふべし 001 GEN 041 034 パロこれをなし國中に官吏を置てその七年の豐年の中にエジプトの國の五分の一を取たまふべし 001 GEN 041 035 而して其官吏をして來らんとするその善き年の諸の糧食を斂めてその穀物をパロの手に蓄へしめ糧食を邑々にかこはしめたまふべし 001 GEN 041 036 その糧食を國のために畜藏へおきてエジプトの國にのぞむ七年の饑饉に備へ國をして饑饉のために滅ざらしむべし 001 GEN 041 037 パロとその諸の臣僕此事を善とす 001 GEN 041 038 是に於てパロその臣僕にいふ我等神の靈のやどれる是のごとき人を看いだすをえんやと 001 GEN 041 039 しかしてパロ、ヨセフにいひけるは神是を盡く汝にしめしたまひたれば汝のごとく慧く賢き者なかるべし 001 GEN 041 040 汝わが家を宰るべしわが民みな汝の口にしたがはん唯位においてのみ我は汝より大なるべし 001 GEN 041 041 パロ、ヨセフにいひけるは視よ我汝をエジプト全國の冢宰となすと 001 GEN 041 042 パロすなはち指環をその手より脱して之をヨセフの手にはめ之を白布を衣せ金の索をその項にかけ 001 GEN 041 043 之をして己のもてる次の輅に乗しめ下にゐよと其前に呼しむ是彼をエジプト全國の冢宰となせり 001 GEN 041 044 パロ、ヨセフにいひけるは我はパロなりエジプト全國に汝の允准をえずして手足をあぐる者なかるべしと 001 GEN 041 045 パロ、ヨセフの名をザフナテパネアと名けまたオンの祭司ポテパルの女アセナテを之にあたへて妻となさしむヨセフいでてエジプトの地をめぐる 001 GEN 041 046 ヨセフはエジプトの王パロのまへに立し時三十歳なりきヨセフ、パロのまへを出て遍くエジプトの地を巡れり 001 GEN 041 047 七年の豐年の中に地山なして物を生ず 001 GEN 041 048 ヨセフすなはちエジプトの地にありしその七年の糧食を斂めてその糧食を邑々に藏む即ち邑の周圍の田圃の糧食を其邑の中に藏む 001 GEN 041 049 ヨセフ海隅の沙のごとく甚だ多く穀物を儲へ遂に數ふることをやむるに至る其は數かぎり無ればなり 001 GEN 041 050 饑饉の歳のいたらざる前にヨセフに二人の子うまる是はオンの祭司ポテパルの女アセナテの生たる者なり 001 GEN 041 051 ヨセフその冢子の名をマナセ(忘)となづけて言ふ神我をしてわが諸の苦難とわが父の家の凡の事をわすれしめたまふと 001 GEN 041 052 又次の子の名をエフライム(多く生る)となづけていふ神われをしてわが艱難の地にて多くの子をえせしめたまふと 001 GEN 041 053 爰にエジプトの國の七年の豐年をはり 001 GEN 041 054 ヨセフの言しごとく七年の凶年きたりはじむその饑饉は諸の國にあり然どエジプト全國には食物ありき 001 GEN 041 055 エジプト全國饑し時民さけびてパロに食物を乞ふパロ、エジプトの諸の人にいひけるはヨセフに往け彼が汝等にいふところをなせと 001 GEN 041 056 饑饉全地の面にありヨセフすなはち諸の倉廩をひらきてエジプト人に賣わたせり饑饉ますますエジプトの國にはげしくなる 001 GEN 041 057 饑饉諸の國にはげしくなりしかば諸國の人エジプトにきたりヨセフにいたりて穀物を買ふ 001 GEN 042 001 ヤコブ、エジプトに穀物あるを見しかばその子等にいひけるは汝等なんぞたがひに面を見あはするや 001 GEN 042 002 ヤコブまたいふ我エジプトに穀物ありと聞り彼處にくだりて彼處より我等のために買きたれ然らばわれら生るを得て死をまぬかれんと 001 GEN 042 003 ヨセフの十人の兄弟エジプトにて穀物をかはんとて下りゆけり 001 GEN 042 004 されどヨセフの弟ベニヤミンはヤコブこれをその兄弟とともに遣さざりきおそらくは災難かれの身にのぞむことあらんと思たればなり 001 GEN 042 005 イスラエルの子等穀物を買んとて來る者とともに來る其はカナンの地に饑饉ありたればなり 001 GEN 042 006 時にヨセフは國の總督にして國の凡の人に賣ことをなせりヨセフの兄弟等來りてその前に地に伏て拜す 001 GEN 042 007 ヨセフその兄弟を見てこれを知たれども知ざる者のごとくして荒々しく之にものいふ即ち彼等に汝等は何處より來れるやといへば彼等いふ糧食を買んためにカナンの地より來れりと 001 GEN 042 008 ヨセフはその兄弟をしりたれども彼等はヨセフをしらざりき 001 GEN 042 009 ヨセフその昔に彼等の事を夢たる夢をを憶いだし彼等に言けるは汝等は間者にして此國の隙を窺んとて來れるなり 001 GEN 042 010 彼等之にいひけるはわが主よ然らず唯糧食をかはんとて僕等は來れるなり 001 GEN 042 011 我等はみな一箇の人の子にして篤實なる者なり僕等は間者にあらず 001 GEN 042 012 ヨセフ彼等にいひけるは否汝等は此地の隙を窺んとて來れるなり 001 GEN 042 013 彼等いひけるは僕等は十二人の兄弟にしてカナンの地の一箇の人の子なり季子は今日父とともにをる又一人はをらずなりぬ 001 GEN 042 014 ヨセフかれらにいひけるはわが汝等につげて汝等は間者なりといひしはこの事なり 001 GEN 042 015 汝等斯してその眞實をあかすべしパロの生命をさして誓ふ汝等の末弟ここに來るにあらざれば汝等は此をいづるをえじ 001 GEN 042 016 汝等の一人をやりて汝等の弟をつれきたらしめよ汝等をば繋ぎおきて汝等の言をためし汝らの中に眞實あるや否をみんパロの生命をさして誓ふ汝等はかならず間者なりと 001 GEN 042 017 彼等を皆ともに三日のあひだ幽囚おけり 001 GEN 042 018 三日におよびてヨセフ彼等にいひけるは我神を畏る汝等是なして生命をえよ 001 GEN 042 019 汝等もし篤實なる者ならば汝らの兄弟の一人をしてこの獄に繋れしめ汝等は穀物をたづさへゆきてなんぢらの家々の饑をすくへ 001 GEN 042 020 但し汝らの末弟を我につれきたるべしさすればなんぢらの言の眞實あらはれて汝等死をまぬかるべし彼等すなはち斯なせり 001 GEN 042 021 茲に彼らたがひに言けるは我等は弟の事によりて信に罪あり彼等は彼が我らに只管にねがひし時にその心の苦を見ながら之を聽ざりき故にこの苦われらにのぞめるなり 001 GEN 042 022 ルベンかれらに對ていひけるは我なんぢらにいひて童子に罪ををかすなかれといひしにあらずや然るに汝等きかざりき是故に視よ亦彼の血をながせし罪をたださると 001 GEN 042 023 彼等はヨセフが之を解するをしらざりき其は互に通辨をもちひたればなり 001 GEN 042 024 ヨセフ彼等を離れゆきて哭き復かれらにかへりて之とかたり遂にシメオンを彼らの中より取りその目のまへにて之を縛れり 001 GEN 042 025 而してヨセフ命じてその器に穀物をみたしめ其人々の金を嚢に返さしめ又途の食を之にあたへしむヨセフ斯かれらになせり 001 GEN 042 026 彼等すなはち穀物を驢馬におはせて其處をさりしが 001 GEN 042 027 其一人旅邸にて驢馬に糧を與んとて嚢をひらき其金を見たり其は嚢の口にありければなり 001 GEN 042 028 彼その兄弟にいひけるは吾金は返してあり視よ嚢の中にありと是において彼等膽を消し懼れてたがひに神の我らになしたまふ此事は何ぞやといへり 001 GEN 042 029 かくて彼等カナンの地にかへりて父ヤコブの所にいたり其身にありし事等を悉く之につげていひけるは 001 GEN 042 030 彼國の主荒々しく我等にものいひ我らをもて國を偵ふ者となせり 001 GEN 042 031 我ら彼にいふ我等は篤實なる者なり間者にあらず 001 GEN 042 032 我らは十二人の兄弟にして同じ父の子なり一人はをらずなり季のは今日父とともにカナンの地にありと 001 GEN 042 033 國の主なるその人われらにいひけるは我かくして汝等の篤實なるをしらん汝等の兄弟の一人を吾もとにのこし糧食をたづさへゆきて汝らの家々の饑をすくへ 001 GEN 042 034 しかして汝らの季の弟をわが許につれきたれ然れば我なんぢらが間者にあらずして篤實なる者たるをしらん我なんぢらの兄弟を汝等に返し汝等をしてこの國にて交易をなさしむべしと 001 GEN 042 035 茲に彼等その嚢を傾たるに視よ各人の金包その嚢のなかにあり彼等とその父金包を見ておそれたり 001 GEN 042 036 その父ヤコブ彼等にいひけるは汝等は我をして子を喪はしむヨセフはをらずなりシメオンもをらずなりたるにまたベニヤミンを取んとす是みなわが身にかかるなり 001 GEN 042 037 ルベン父に告ていふ我もし彼を汝につれかへらずば吾ふたりの子を殺せ彼をわが手にわたせ我之をなんぢにつれかへらん 001 GEN 042 038 ヤコブいひけるはわが子はなんぢらとともに下るべからず彼の兄は死て彼ひとり遺たればなり若なんぢらが行ところの途にて災難かれの身におよばば汝等はわが白髮をして悲みて墓にくだらしむるにいたらん 001 GEN 043 001 饑饉その地にはげしかりき 001 GEN 043 002 茲に彼等エジプトよりもちきたりし穀物を食つくせし時父かられらに再びゆきて少許の糧食を買きたれといひければ 001 GEN 043 003 ユダ父にかたりていひけるは彼人かたく我等をいましめていふ汝らの弟汝らとともにあるにあらざれば汝らはわが面をみるべからずと 001 GEN 043 004 汝もし弟をわれらとともに遣さば我等下て汝のために糧食を買ふべし 001 GEN 043 005 されど汝もし彼をつかはさずば我等くだらざるべし其はかの人われらにむかひ汝等の弟なんぢらとともにあるにあらざれば汝ら吾面をみるべからずといひたればなりと 001 GEN 043 006 イスラエルいひけるは汝等なにゆゑに汝等に尚弟のあることを彼人につげて我を惡くなすや 001 GEN 043 007 彼等いふ其人われらの模樣とわれらの親族を問ただして汝らの父は尚生存へをるや汝等は弟をもつやといひしにより其言の條々にしたがひて彼につげたるなり我等いかでか彼が汝等の弟をつれくだれといふならんとしるをえん 001 GEN 043 008 ユダ父イスラエルにいひけるは童子をわれとともに遣はせ我等たちて往ん然らば我儕と汝およびわれらの子女生ることを得て死をまぬかるべし 001 GEN 043 009 我彼の身を保はん汝わが手にかれを問へ我もし彼を汝につれかへりて汝のまへに置ずば我永遠に罪をおはん 001 GEN 043 010 我儕もし濡滯ことなかりしならば必ずすでにゆきて再びかへりしならん 001 GEN 043 011 父イスラエル彼等にいひけるは然ば斯なせ汝等國の名物を器にいれ携へくだりて彼人に禮物とせよ乳香少許、蜜少許、香物、沒藥、胡桃および巴旦杏 001 GEN 043 012 又手に一倍の金を取りゆけ汝等の嚢の口に返してありし彼金を再び手にたづさへ行べし恐くは差謬にてありしならん 001 GEN 043 013 且また汝らの弟を挈へ起てふたたたび其人の所にゆけ 001 GEN 043 014 ねがはくは全能の神その人のまへにて汝等を矜恤みその人をして汝等の他の兄弟とベニヤミンを放ちかへさしめたまはんことを若われ子に別るべくあらば別れんと 001 GEN 043 015 是に於てかの人々その禮物を執り一倍の金を手に執りベニヤミンを携へて起てエジプトにくだりヨセフの前に立つ 001 GEN 043 016 ヨセフ、ベニヤミンの彼らと偕なるを見てその家宰にいひけるはこの人々を家に導き畜を屠て備へよこの人々卓午に我とともに食をなすべければなり 001 GEN 043 017 其人ヨセフのいひしごとくなし其人この人々をヨセフの家に導けり 001 GEN 043 018 人々ヨセフの家に導かれたるによりて懼れいひけるは初めにわれらの嚢にかへりてありし金の事のために我等はひきいれらる是われらを抑留へて我等にせまり執へて奴隸となし且われらの驢馬を取んとするなりと 001 GEN 043 019 彼等すなはちヨセフの家宰に進みよりて家の入口にて之にかたりて 001 GEN 043 020 いひけるは主よ我等實に最初くだりて糧食を買たり 001 GEN 043 021 しかるに我等旅邸に至りて嚢を啓き見るに各人の金その嚢の口にありて其金の量全かりし然ば我等これを手にもちかへれり 001 GEN 043 022 又糧食を買ふ他の金をも手にもちくだる我等の金を嚢にいれたる者は誰なるかわれらは知ざるなり 001 GEN 043 023 彼いひけるは汝ら安ぜよ懼るなかれ汝らの神汝らの父の神財寶を汝等の嚢におきて汝らに賜ひしなり汝らの金は我にとどけりと遂にシメオンを彼等の所にたづさへいだせり 001 GEN 043 024 かくて其人この人々をヨセフの家に導き水をあたへてその足を濯はしめ又その驢馬に飼草をあたふ 001 GEN 043 025 彼等其處にて食をなすなりと聞しかば禮物を調へてヨセフの日午に來るをまつ 001 GEN 043 026 茲にヨセフ家にかへりしかば彼等その手の禮物を家にもちきたりてヨセフの許にいたり地に伏てこれを拜す 001 GEN 043 027 ヨセフかれらの安否をとふていふ汝等の父汝らが初にかたりしその老人は恙なきや尚いきながらへをるや 001 GEN 043 028 彼等こたへてわれらの父汝の僕は恙なくしてなほ生ながらへをるといひ身をかがめ禮をなす 001 GEN 043 029 ヨセフ目をあげてその母の子なる己の弟ベニヤミンを見ていひけるは是は汝らが初に我にかたりし汝らの若き兄弟なるや又いふわが子よ願はくは神汝をめぐみたまはんことをと 001 GEN 043 030 ヨセフその弟のために心焚るがごとくなりしかば急ぎてその泣べきところを尋ね室にいりて其處に泣り 001 GEN 043 031 而して面をあらひて出で自から抑へて食をそなへよといふ 001 GEN 043 032 すなはちヨセフはヨセフ彼等は彼等陪食するエジプト人はエジプト人と別々に之を供ふ是はエジプト人ヘブル人と共に食することをえざるによる其事エジプト人の穢はしとするところなればなり 001 GEN 043 033 かくて彼等ヨセフの前に坐るに長子をばその長たるにしたがひて坐らせ若き者をばその幼少にしたがひてすわらせければその人々駭きあへり 001 GEN 043 034 ヨセフ己のまへより皿を彼等に供ふベニヤミンの皿は他の人のよりも五倍おほかりきかれら飮てヨセフとともに樂めり 001 GEN 044 001 茲にヨセフその家宰に命じていふこの人々の嚢にその負うるほど糧食を充せ各人の金をその嚢の口に置れ 001 GEN 044 002 またわが杯すなはち銀の杯を彼の少き者の嚢の口に置てその穀物の金子とともにあらしめよと彼がヨセフがいひし言のごとくなせり 001 GEN 044 003 かくて夜のあくるにおよびてその人々と驢馬をかへしけるが 001 GEN 044 004 かれら城邑をいでてなほ程とほからぬにヨセフ家宰にいひけるは起てかの人々の後を追ひおひつきし時之にいふべし汝らなんぞ惡をもて善にむくゆるや 001 GEN 044 005 其はわが主がもちひて飮み又用ひて常に卜ふ者にあらずや汝らかくなすは惡しと 001 GEN 044 006 是に於て家宰かれらにおひつきてこの言をかれらにいひければ 001 GEN 044 007 かれら之にいふ主なにゆゑに是事をいひたまふや僕等きはめてこの事をなさず 001 GEN 044 008 視よ我らの嚢の口にありし金はカナンの地より汝の所にもちかへれり然ば我等いかで汝の主の家より金銀をぬすまんや 001 GEN 044 009 僕等の中誰の手に見あたるも其者は死べし我等またわが主の奴隸となるべし 001 GEN 044 010 彼いひけるはさらば汝らの言のごとくせん其の見あたりし者はわが奴隸となるべし汝等は咎なしと 001 GEN 044 011 是において彼等急ぎて各その嚢を地におろし各その嚢をひらきしかば 001 GEN 044 012 彼すなはち索し長者よりはじめて少者にをはるに杯はベニヤミンの嚢にありき 001 GEN 044 013 斯有しかば彼等その衣を裂きおのおのその驢馬に荷を負せて邑にかへる 001 GEN 044 014 しかしてユダとその兄弟等ヨセフの家にいたるにヨセフなほ其處にをりしかばその前に地に伏す 001 GEN 044 015 ヨセフかれらにいひけるは汝等がなしたるこの事は何ぞや我のごとき人は善く卜ひうる者なるをしらざるや 001 GEN 044 016 ユダいひけるは我等主に何をいはんや何をのべんや如何にしてわれらの正直をあらはさんや神僕等の罪を摘發したまへり然ば我等およびこの杯の見あたりし者倶に主の奴隸となるべし 001 GEN 044 017 ヨセフいひけるはきはめて然せじ杯の手に見あたりし人はわが奴隸となるべし汝等は安然に父にかへりのぼるべし 001 GEN 044 018 時にユダかれに近よりていひけるはわが主よ請ふ僕をして主の耳に一言いふをえせしめよ僕にむかひて怒を發したまふなかれ汝はパロのごとくにいますなり 001 GEN 044 019 昔にわが主僕等に問て汝等は父あるや弟あるやといひたまひしかば 001 GEN 044 020 我等主にいへり我等にわが父あり老人なり又その老年子なる少者ありその兄は死てその母の遺せるは只是のみ故に父これを愛すと 001 GEN 044 021 汝また僕等にいひたまはく彼を我許につれくだり我をして之に目をつくることをえせしめよと 001 GEN 044 022 われら主にいへり童子父を離るをえず若父をはなるるならば父死べしと 001 GEN 044 023 汝また僕等にいひたまはく汝らの季の弟汝等とともに下るにあらざれば汝等ふたたたびわが面を見るべからずと 001 GEN 044 024 我等すなはちなんぢの僕わが父の所にかへりのぼりて主の言をこれに告たり 001 GEN 044 025 我らの父再びゆきて少許の糧食を買きたれといひければ 001 GEN 044 026 我らいふ我らくだりゆくことをえずわれらの季の弟われらと共にあらば下りゆくべし其は季の弟われらと共にあるにあらざれば彼人の面をみるをえざればなりと 001 GEN 044 027 なんぢの僕わが父われらにいふ汝らのしるごとく吾妻われに二人を生しが 001 GEN 044 028 その一人出てわれをはなれたれば必ず裂ころされしならんと思へり我今にいたるまで彼を見ず 001 GEN 044 029 なんぢら是をも我側より取ゆかんに若災害是の身におよぶあらば遂にわが白髮をして悲みて墓にくだらしむるにいたらんと 001 GEN 044 030 抑父の生命と童子の生命とは相結びてあれば我なんぢの僕わが父に歸りいたらん時に童子もしわれらと共に在ずば如何ぞや 001 GEN 044 031 父童子の在ざるを見ば死るにいたらん然れば僕等なんぢの僕われらの父の白髮をして悲みて墓にくだらしむるなり 001 GEN 044 032 僕わが父に童子の事を保ひて我もし是を汝につれかへらずば永久に罪を父に負んといへり 001 GEN 044 033 されば請ふ僕をして童子にかはりをりて主の奴隸とならしめ童子をしてその兄弟とともに歸りのぼらしめたまへ 001 GEN 044 034 我いかでか童子を伴はずして父の許に上りゆくべけん恐くは災害の父におよぶを見ん 001 GEN 045 001 茲にヨセフその側にたてる人々のまへに自ら禁ぶあたはざるに至りければ人皆われを離ていでよと呼はれり是をもてヨセフが己を兄弟にあかしたる時一人も之とともにたつものなかりき 001 GEN 045 002 ヨセフ聲をあげて泣りエジプト人これを聞きパロの家またこれを聞く 001 GEN 045 003 ヨセフすなはちその兄弟にいひけるは我はヨセフなりわが父はなほ生ながらへをるやと兄弟等その前に愕き懼れて之にこたふるをえざりき 001 GEN 045 004 ヨセフ兄弟にいひけるは請ふ我にちかよれとかれらすなはち近よりければ言ふ我はなんぢらの弟ヨセフなんぢらがエジプトにうりたる者なり 001 GEN 045 005 されど汝等我をここに賣しをもて憂ふるなかれ身を恨るなかれ神生命をすくはしめんとて我を汝等の前につかはしたまへるなり 001 GEN 045 006 この二年のあひだ饑饉國の中にありしが尚五年の間耕すことも穫こともなかるべし 001 GEN 045 007 神汝等の後を地につたへんため又大なる救をもて汝らの生命を救はんために我を汝等の前に遣したまへり 001 GEN 045 008 然ば我を此につかはしたる者は汝等にはあらず神なり神われをもてパロの父となしその全家の主となしエジプト全國の宰となしたまへり 001 GEN 045 009 汝等いそぎ父の許にのぼりゆきて之にいへ汝の子ヨセフかく言ふ神われをエジプト全國の主となしたまへりわが所にくだれ遲疑なかれ 001 GEN 045 010 汝ゴセンの地に住べし斯汝と汝の子と汝の子の子およびなんぢの羊と牛並に汝のすべて有ところの者われの近方にあるべし 001 GEN 045 011 なほ五年の饑饉あるにより我其處にてなんぢを養はん恐くは汝となんぢの家族およびなんぢの凡て有ところの者匱乏ならん 001 GEN 045 012 汝等の目とわが弟ベニヤミンの目の視るごとく汝等にこれをいふ者はわが口なり 001 GEN 045 013 汝等わがエジプトにて亨る顯榮となんぢらが見たる所とを皆悉く父につげよ汝ら急ぎて父を此にみちびき下るべし 001 GEN 045 014 而してヨセフその弟ベニヤミンの頸を抱へて哭にベニヤミンもヨセフの頸をかかへて哭く 001 GEN 045 015 ヨセフ亦その諸の兄弟に接吻し之をいだきて哭く是のち兄弟等ヨセフと言ふ 001 GEN 045 016 茲にヨセフの兄弟等きたれりといふ聲パロの家にきこえければパロとその臣僕これを悦ぶ 001 GEN 045 017 パロすなはちヨセフにいひけるは汝の兄弟に言べし汝等かく爲せ汝等の畜に物を負せ往てカナンの地に至り 001 GEN 045 018 なんぢらの父となんぢらの家族を携へて我にきたれ我なんぢらにエジプトの地の嘉物をあたへん汝等國の膏腴を食ふことをうべしと 001 GEN 045 019 今汝命をうく汝等かく爲せ汝等エジプトの地より車を取ゆきてなんぢらの子女と妻等を載せ汝等の父を導きて來れ 001 GEN 045 020 また汝等の器を惜み視るなかれエジプト全國の嘉物は汝らの所屬なればなり 001 GEN 045 021 イスラエルの子等すなはち斯なせりヨセフ、パロの命にしたがひて彼等に車をあたへかつ途の餱糧をかれらにあたへたり 001 GEN 045 022 又かれらに皆おのおの衣一襲を與へたりしがベニヤミンには銀三百と衣五襲をあたへたり 001 GEN 045 023 彼また斯のごとく父に餽れり即ち驢馬十疋にエジプトの嘉物をおはせ牝の驢馬十疋に父の途の用に供ふる穀物と糧と肉をおはせて餽れり 001 GEN 045 024 斯して兄弟をかへして去しめ之にいふ汝等途にて相あらそふなかれと 001 GEN 045 025 かれらエジプトより上りてカナンの地にゆきその父ヤコブにいたり 001 GEN 045 026 之につげてヨセフは尚いきてをりエジプト全國の宰となりをるといふしかるにヤコブの心なほ寒冷なりき其はこれを信ぜざればなり 001 GEN 045 027 彼等またヨセフの己にいひたる言をことごとく之につげたりその父ヤコブ、ヨセフがおのれを載んとておくりし車をみるにおよびて其氣おのれにかへれり 001 GEN 045 028 イスラエルすなはちいふ足りわが子ヨセフなほ生をるわれ死ざるまへに往て之を視ん 001 GEN 046 001 イスラエルその己につける諸の者とともに出たちベエルシバにいたりてその父イサクの神に犧牲をささぐ 001 GEN 046 002 神夜の異象にイスラエルにかたりてヤコブよヤコブよといひたまふ 001 GEN 046 003 ヤコブわれ此にありといひければ神いひたまふ我は神なり汝の父の神なりエジプトにくだることを懼るなかれわれ彼處にて汝を大なる國民となさん 001 GEN 046 004 我汝と共にエジプトに下るべし亦かならず汝を導のぼるべしヨセフ手をなんぢの目の上におかんと 001 GEN 046 005 かくてヤコブ、ベエルシバをたちいでたりイスラエルの子等すなはちパロの載んとておくりたる車に父ヤコブと己の子女と妻等を載せ 001 GEN 046 006 その家畜とカナンの地にてえたる貨財をたづさへ斯してヤコブとその子孫皆ともにエジプトにいたれり 001 GEN 046 007 ヤコブかくその子と子の子およびその女と子の女すなはちその子孫を皆ともなひてエジプトににつれゆけり 001 GEN 046 008 イスラエルの子のエジプトにくだれる者の名は左のごとしヤコブとその子等ヤコブの長子はルベン 001 GEN 046 009 ルベンの子はヘノク、パル、ヘヅロン、カルミ 001 GEN 046 010 シメオンの子はヱムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンの婦のうめる子シヤウル 001 GEN 046 011 レビの子はゲルシヨン、コハテ、メラリ 001 GEN 046 012 ユダの子エル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ但しエルとオナンはカナンの地に死たりペレヅの子はヘヅロンおよびハムルなり 001 GEN 046 013 イツサカルの子はトラ、プワ、ヨブ、シムロン 001 GEN 046 014 ゼブルンの子はセレデ、エロン、ヤリエルなり 001 GEN 046 015 是等および女子デナはレアがパダンアラムにてヤコブにうみたる者なりその男子女子あはせて三十三人なりき 001 GEN 046 016 ガドの子はゼボン、ハギ、シユニ、エヅポン、エリ、アロデ、アレリ 001 GEN 046 017 アセルの子はヱムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよびその妹サラ並にベリアの子ヘベルとマルキエルなり 001 GEN 046 018 是等はラバンがその女レアにあたへたるジルパの子なり彼是等をヤコブにうめり都合十六人 001 GEN 046 019 ヤコブの妻ラケルの子はヨセフとベニヤミンなり 001 GEN 046 020 エジプトの國にてヨセフにマナセとエフライムうまれたり是はオンの祭司ポテパルの女アセナテが生たる者なり 001 GEN 046 021 ベニヤミンの子はベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムツピム、ホパム、アルデ 001 GEN 046 022 是等はラケルの子にしてヤコブにうまれたる者なり都合十四人 001 GEN 046 023 ダンの子はホシム 001 GEN 046 024 ナフタリの子はヤジエル、グニ、ヱゼル、シレム 001 GEN 046 025 是等はラバンがその女ラケルにあたへたるビルハの子なり彼これらをヤコブにうめり都合七人 001 GEN 046 026 ヤコブとともにエジプトにいたりし者はヤコブの子の妻をのぞきて六十六人なりき是皆ヤコブの身よりいでたる者なり 001 GEN 046 027 エジプトにてヨセフにうまれたる子二人ありヤコブの家の人のエジプトにいたりし者はあはせて七十人なりき 001 GEN 046 028 ヤコブ預じめユダをヨセフにつかはしおのれをゴセンにみちびかしむ而して皆ゴセンの地にいたる 001 GEN 046 029 ヨセフその車を整へゴセンにのぼりて父イスラエルを迓へ之にまみえてその頸を抱き頸をかかへて久く啼く 001 GEN 046 030 イスラエル、ヨセフにいふ汝なほ生てをり我汝の面を見ることをえたれば今は死るも可しと 001 GEN 046 031 ヨセフその兄弟等と父の家族とにいひけるは我のぼりてパロにつげて之にいふべしわが兄弟等とわが父の家族カナンの地にをりし者我のところに來れり 001 GEN 046 032 その人々は牧者にして牧畜の人なり彼等その羊と牛およびその有る諸の物をたづさへ來れりと 001 GEN 046 033 パロもし汝等を召て汝等の業は何なるやと問ことあらば 001 GEN 046 034 僕等は幼少より今に至るまで牧畜の人なり我儕も先祖等もともにしかりといへしからばなんぢらゴセンの地にすむことをえん牧者は皆エジプト人の穢はしとするものなればなり 001 GEN 047 001 茲にヨセフゆきてパロにつげていひけるはわが父と兄弟およびその羊と牛と諸の所有物カナンの地よりいたれり彼らはゴセンの地にをると 001 GEN 047 002 その兄弟の中より五人をとりてこれをパロにまみえしむ 001 GEN 047 003 パロ、ヨセフの兄弟等にいひけるは汝らの業は何なるか彼等パロにいふ僕等は牧者なりわれらも先祖等もともにしかりと 001 GEN 047 004 かれら又パロにいひけるは此國に寓らんとて我等はきたる其はカナンの地に饑饉はげしくして僕等の群をやしなふ牧場なければなりされば請ふ僕等をしてゴセンの地にすましめたまへ 001 GEN 047 005 パロ、ヨセフにかたりていふ汝の父と兄弟汝の所にきたれり 001 GEN 047 006 エジプトの地はなんぢの前にあり地の善き處に汝の父と兄弟をすましめよすなはちゴセンの地にかれらをすましめよ汝もし彼等の中に才能ある者あるをしらば其人々をしてわが家畜をつかさどらしめよ 001 GEN 047 007 ヨセフまた父ヤコブを引ていりパロの前にたたしむヤコブ、パロを祝す 001 GEN 047 008 パロ、ヤコブにいふ汝の齡の日は幾何なるか 001 GEN 047 009 ヤコブ、パロにいひけるはわが旅路の年月は百三十年にいたる我が齡の日は僅少にして且惡かり未だわが先祖等の齡の日と旅路の日にはおよばざるなり 001 GEN 047 010 ヤコブ、パロを祝しパロのまへよりいでさりぬ 001 GEN 047 011 ヨセフ、パロの命ぜしごとくその父と兄弟に居所を與へエジプトの國の中の善き地即ちラメセスの地をかれらにあたへて所有となさしむ 001 GEN 047 012 ヨセフその父と兄弟と父の全家にその子の數にしたがひて食物をあたへて養へり 001 GEN 047 013 却説饑饉ははなはだはげしくして全國に食物なくエジプトの國とカナンの國饑饉のために弱れり 001 GEN 047 014 ヨセフ穀物を賣あたへてエジプトの地とカナンの地にありし金をことごとく斂む而してヨセフその金をパロの家にもちきたる 001 GEN 047 015 エジプトの國とカナンの國に金つきたればエジプト人みなヨセフにいたりていふ我等に食物をあたへよ如何ぞなんぢの前に死べけんや金すでにたえたり 001 GEN 047 016 ヨセフいひけるは汝等の家畜をいだせ金もしたえたらば我なんぢらの家畜にかへて與ふべしと 001 GEN 047 017 かれら乃ちその家畜をヨセフにひききたりければヨセフその馬と羊の群と牛の群および驢馬にかへて食物をかれらにあたへそのすべての家畜のために其年のあひだ食物をあたへてこれをやしなふ 001 GEN 047 018 かくてその年暮けるが明年にいたりて人衆またヨセフにきたりて之にいふ我等主に隱すところなしわれらの金は竭たりまたわれらの畜の群は主に皈す主のまへにいだすべき者は何ものこりをらず唯われらの身體と田地あるのみ 001 GEN 047 019 われらいかんぞわれらの田地とともに汝の目のまへに死亡ぶべけんや我等とわれらの田地を食物に易て買とれ我等田地とともにパロの僕とならんまた我等に種をあたへよ然ばわれら生るをえて死るにいたらず田地も荒蕪にいたらじ 001 GEN 047 020 是に於てヨセフ、エジプトの田地をことごとく購とりてパロに納る其はエジプト人饑饉にせまりて各人その田圃を賣たればなり是によりて地はパロの所有となれり 001 GEN 047 021 また民はエジプトのこの境の極よりかの境の極の者までヨセフこれを邑々にうつせり 001 GEN 047 022 但祭司の田地は購とらざりき祭司はパロより祿をたまはりをればパロの與る祿を食たるによりてその田地を賣ざればなり 001 GEN 047 023 茲にヨセフ民にいひけるは視よ我今日汝等となんぢらの田地をかひてパロに納る視よこの種子を汝らに與ふ地に播べし 001 GEN 047 024 しかして收穫の五分の一をパロに輸し四分をなんぢらに取て田圃の種としなんぢらの食としなんぢらの家族と子女の食とせよ 001 GEN 047 025 人衆いひけるは汝われらの生命を拯ひたまへりわれら主のまへに恩をえんことをねがふ我等パロの僕となるべしと 001 GEN 047 026 ヨセフ、エジプトの田地に法をたてその五分の一をパロにをさめしむその事今日にいたる唯祭司の田地のみパロの有とならざりき 001 GEN 047 027 イスラエル、エジプトの國に於てゴセンの地にすみ彼處に產業を獲その數増て大に殖たり 001 GEN 047 028 ヤコブ、エジプトの國に十七年いきながらへたりヤコブの年齒の日は合て百四十七年なりき 001 GEN 047 029 イスラエル死る日ちかよりければその子ヨセフをよびて之にいひけるは我もし汝のまへに恩を得るならば請ふなんぢの手をわが髀の下にいれ懇に眞實をもて我をあつかへ我をエジプトに葬るなかれ 001 GEN 047 030 我は先祖等とともに偃んことをねがふ汝われをエジプトよ舁いだして先祖等の墓場にはうむれヨセフいふ我なんぢが言るごとくなすべしと 001 GEN 047 031 ヤコブまた我に誓へといひければすなはち誓へりイスラエル床の頭にて拜をなせり 001 GEN 048 001 是等の事の後汝の父病にかかるとヨセフに告る者ありければヨセフ二人の子マナセとエフライムをともなひて至る 001 GEN 048 002 人ヤコブに告て汝の子ヨセフなんぢの許にきたるといひければイスラエル強て床に坐す 001 GEN 048 003 しかしてヤコブ、ヨセフにいひけるは昔に全能の神カナンの地のルズにて我にあらはれて我を祝し 001 GEN 048 004 我にいひたまひけらく我なんぢをして多く子をえせしめ汝をふやし汝を衆多の民となさん我この地を汝の後の子孫にあたへて永久の所有となさしめんと 001 GEN 048 005 わがエジプトにきたりて汝に就まへにエジプトにて汝に生れたる二人の子エフライムとマナセ是等はわが子となるべしルベンとシメオンのごとく是等はわが子とならん 001 GEN 048 006 是等の後になんぢが得たる子は汝のものとすべし又その產業はその兄弟の名をもて稱らるべし 001 GEN 048 007 我事をいはんに我昔パダンより來れる時ラケル我にしたがひをりて途にてカナンの地に死り其處はエフラタまで尚途の隔あるところなりわれ彼處にて彼をエフラタの途にはうむれり(エフラタはすなはちベテレヘムなり) 001 GEN 048 008 斯てイスラエル、ヨセフの子等を見て是等は誰なるやといひければ 001 GEN 048 009 ヨセフ父にいふ是は神の此にて我にたまひし子等なりと父すなはちいふ請ふ彼らを我所につれきたれ我これを祝せんと 001 GEN 048 010 イスラエルの目は年壽のために眯て見るをえざりしがヨセフかれらをその許につれきたりければ之に接吻してこれを抱けり 001 GEN 048 011 しかしてイスラエル、ヨセフにいひけるは我なんぢの面を見るあらんとは思はざりしに視よ神なんぢの子をもわれにしめしたまふと 001 GEN 048 012 ヨセフかれらをその膝の間よりいだし地に俯て拜せり 001 GEN 048 013 しかしてヨセフ、エフライムを右の手に執てヤコブに左の手にむかはしめマナセを左の手に執てヤコブの右の手にむかはしめ二人をみちびきてかれに就ければ 001 GEN 048 014 イスラエル右の手をのべて季子エフライムの頭に按き左の手をのべてマナセの頭におけりマナセは長子なれども故にかくその手をおけるなり 001 GEN 048 015 斯してヨセフを祝していふわが父アブラハム、イサクの事へし神わが生れてより今日まで我をやしなひたまひし神 001 GEN 048 016 我をして諸の災禍を贖はしめたまひし天使ねがはくは是童子等を祝たまへねがはくは是等の者わが名とわが父アブラハム、イサクの名をもて稱られんことをねがはくは是等地の中に繁殖がるにいたれ 001 GEN 048 017 ヨセフ父が右の手をエフライムの頭に按るを見てよろこばず父の手をあげて之をエフライムの頭よりマナセの頭にうつさんとす 001 GEN 048 018 ヨセフすなはち父にいひけるは然にあらず父よ是長子なれば右の手をその頭に按たまへ 001 GEN 048 019 父こばみていひけるは我知るわが子よわれしる彼も一の民となり彼も大なる者とならん然れどもその弟は彼よりも大なる者となりてその子孫は多衆の國民となるべしと 001 GEN 048 020 此日彼等を祝していふイスラエル汝を指て人を祝し願くは神汝をしてエフライムのごとくマナセのごとくならしめたまへといふにいたらんとすなはちエフライムをマナセの先にたてたり 001 GEN 048 021 イスラエルまたヨセフにいひけるは視よわれは死んされど神なんぢらとともにいまして汝等を先祖等の國にみちびきかへりたまふべし 001 GEN 048 022 且われ一の分をなんぢの兄弟よりもおほく汝にあたふ是わが刀と弓を以てアモリ人の手より取たる者なり 001 GEN 049 001 ヤコブその子等を呼ていひけるは汝らあつまれ我後の日に汝らが遇んところの事を汝等につげん 001 GEN 049 002 汝等つどひて聽けヤコブの子等よ汝らの父イスラエルに聽け 001 GEN 049 003 ルベン汝はわが冢子わが勢わが力の始威光の卓越たる者權威の卓越たる者なり 001 GEN 049 004 汝は水の沸あがるがごとき者なれば卓越を得ざるべし汝父の床にのぼりて浼したればなり嗚呼彼はわが寢牀にのぼれり 001 GEN 049 005 シメオン、レビは兄弟なりその劍は暴逆の器なり 001 GEN 049 006 我魂よかれらの席にのぞむなかれ我寶よかれらの集會につらなるなかれ其は彼等その怒にまかせて人をころしその意にまかせて牛を筋截たればなり 001 GEN 049 007 その怒は烈しかれば詛ふべしその憤は暴あれば詛ふべし我彼らをヤコブの中に分ちイスラエルの中に散さん 001 GEN 049 008 ユダよ汝は兄弟の讚る者なり汝の手はなんぢの敵の頸を抑へんなんぢの父の子等なんぢの前に鞠ん 001 GEN 049 009 ユダは獅子の子の如しわが子よ汝は所掠物をさきてかへりのぼる彼は牡獅子のごとく伏し牝獅のごとく蹲まる誰か之をおこすことをせん 001 GEN 049 010 杖ユダを離れず法を立る者その足の間をはなるることなくしてシロの來る時にまでおよばん彼に諸の民したがふべし 001 GEN 049 011 彼その驢馬を葡萄の樹に繋ぎその牝驢馬の子を葡萄の蔓に繋がん又その衣を酒にあらひ其服を葡萄の汁にあらふべし 001 GEN 049 012 その目は酒によりて紅くその齒は乳によりて白し 001 GEN 049 013 ゼブルンは海邊にすみ舟の泊る海邊に住はんその界はシドンにおよぶべし 001 GEN 049 014 イッサカルは羊の牢の間に伏す健き驢馬の如し 001 GEN 049 015 彼みて安泰を善としその國を樂とし肩をさげて負ひ租税をいだして僕となるべし 001 GEN 049 016 ダンはイスラエルの他の支派の如く其民を鞫かん 001 GEN 049 017 ダンは路の旁の蛇のごとく途邊にある蝮のごとし馬の踵を噛てその騎者をして後に落しむ 001 GEN 049 018 ヱホバよわれ汝の拯救を待り 001 GEN 049 019 ガドは軍勢これにせまらんされど彼返てその後にせまらん 001 GEN 049 020 アセルよりいづる食物は美るべし彼王の食ふ美味をいださん 001 GEN 049 021 ナフタリは釋れたる麀のごとし彼美言をいだすなり 001 GEN 049 022 ヨセフは實を結ぶ樹の芽のごとし即ち泉の傍にある實をむすぶ樹の芽のごとしその枝つひに垣を踰ゆ 001 GEN 049 023 射者彼をなやまし彼を射かれを惡めり 001 GEN 049 024 然どかれの弓はなほ勁くあり彼の手の臂は力あり是ヤコブの全能者の手によりてなり其よりイスラエルの磐なる牧者いづ 001 GEN 049 025 汝の父の神による彼なんぢを助けん全能者による彼なんぢを祝まん上なる天の福、下によこたはる淵の福、乳哺の福、胎の福、汝にきたるべし 001 GEN 049 026 父の汝を祝することはわが父祖の祝したる所に勝て恒久の山の限極にまでおよばん是等の祝福はヨセフの首に歸しその兄弟と別になりたる者の頭頂に歸すべし 001 GEN 049 027 ベニヤミンは物を噛む狼なり朝にその所掠物を啖ひ夕にその所攫物をわかたん 001 GEN 049 028 是等はイスラエルの十二の支派なり斯その父彼らに語り彼等を祝せりすなはちその祝すべき所にしたがひて彼等諸人を祝せり 001 GEN 049 029 ヤコブまた彼等に命じて之にいひけるは我はわが民にくははらんとすヘテ人エフロンの田にある洞穴にわが先祖等とともに我をはうむれ 001 GEN 049 030 その洞穴はカナンの地にてマムレのまへなるマクペラの田にあり是はアブラハムがヘテ人エフロンより田とともに購て所有の墓所となせし者なり 001 GEN 049 031 アブラハムとその妻サラ彼處にはうむられイサクとその妻リベカ彼處に葬られたり我またかしこにレアを葬れり 001 GEN 049 032 彼田とその中の洞穴はヘテの子孫より購たる者なり 001 GEN 049 033 ヤコブその子に命ずることを終し時足を床に斂めて氣たえてその民にくははる 001 GEN 050 001 ヨセフ父の面に俯し之をいだきて哭き之に接吻す 001 GEN 050 002 而してヨセフその僕なる醫者に命じてその父に釁らしむ醫者イスラエルに釁れり 001 GEN 050 003 すなはち之がために四十日を用ふ其は尸に釁るにはこの日數を用ふべければなりエジプト人七十日の間之がために哭けり 001 GEN 050 004 哀哭の日すぎし時ヨセフ、パロの家にかたりていひけるは我もし汝等の前に恩惠を得るならば請ふパロの耳にまうして言へ 001 GEN 050 005 わが父我死ばカナンの地にわが掘おきたる墓に我をはうむれといひて我を誓はしめたり然ば請ふわれをして上りて父を葬らしめたまへまた歸りきたらんと 001 GEN 050 006 パロいひけるは汝の父汝をちかはせしごとくのぼりて之を葬るべし 001 GEN 050 007 是に於てヨセフ父を葬らんとて上るパロの諸の臣パロの家の長老等エジプトの地の長老等 001 GEN 050 008 およびヨセフの全家とその兄弟等およびその父の家之とともに上る只その子女と羊と牛はゴセンの地にのこせり 001 GEN 050 009 また車と騎兵ヨセフにしたがひてのぼり其隊ははなはだ大なりき 001 GEN 050 010 彼等つひにヨルダンの外なるアタデの禾場に到り彼にて大に泣き痛く哀しむヨセフすなはち七日父のために哭きぬ 001 GEN 050 011 その國の居人なるカナン人等アタデの禾場の哀哭を見て是はエジプト人の痛くなげくなりといへり是によりて其處の名をアベルミツライム(エジプト人の哀哭)と稱ふヨルダンの外にあり 001 GEN 050 012 ヤコブの子等その命ぜられたるごとく之になせり 001 GEN 050 013 すなはちヤコブの子等彼をカナンの地に舁ゆきて之をマクペラの田の洞穴にはうむれり是はアブラハムがヘテ人エフロンより田とともに購とりて所有の墓所となせし者にてマムレの前にあり 001 GEN 050 014 ヨセフ父を葬りてのち其兄弟および凡て己とともにのぼりて父をはうむれる者とともにエジプトにかへりぬ 001 GEN 050 015 ヨセフの兄弟等その父の死たるを見ていひけるはヨセフあるいはわれらを恨むることあらん又かならずわれらが彼になしたる諸の惡にむくゆるならんと 001 GEN 050 016 すなはちヨセフにいひおくりけるはなんぢの父死るまへに命じて言けらく 001 GEN 050 017 汝ら斯ヨセフにいふべし汝の兄弟汝に惡をなしたれども冀はくはその罪咎をゆるせと然ば請ふ汝の父の神の僕等の咎をゆるせとヨセフその言を聞て啼泣り 001 GEN 050 018 兄弟等もまた自らきたりヨセフの面の前に俯し我儕は汝の僕とならんといふ 001 GEN 050 019 ヨセフかれらに曰けるは懼るなかれ我あに神にかはらんや 001 GEN 050 020 汝等は我を害せんとおもひたれども神はそれを善にかはらせ今日のごとく多の民の生命を救ふにいたらしめんとおもひたまへり 001 GEN 050 021 故に汝らおそるるなかれ我なんぢらと汝らの子女をやしなはんと彼等をなぐさめ懇に之にかたれり 001 GEN 050 022 ヨセフ父の家族とともにエジプトにすめりヨセフは百十歳いきながらへたり 001 GEN 050 023 ヨセフ、エフライムの三世の子女をみるにいたれりマナセの子マキルの子女もうまれてヨセフの膝にありき 001 GEN 050 024 ヨセフその兄弟等にいひけるは我死ん神かならず汝等を眷顧みなんぢらを此地よりいだしてそのアブラハム、イサク、ヤコブに誓ひし地にいたらしめたまはんと 001 GEN 050 025 ヨセフ神かならず汝等をかへりみたまはん汝らわが骨をここよりたづさへのぼるべしといひてイスラエルの子孫を誓はしむ 001 GEN 050 026 ヨセフ百十歳にして死たれば之に釁りて櫃にをさめてエジプトにおけり # # BOOK 002 EXO Exodus 出エジプト記 002 EXO 001 001 イスラエルの子等のエジプトに至りし者の名は左のごとし衆人各その家族をたづさへてヤコブとともに至れり 002 EXO 001 002 すなはちルベン、シメオン、レビ、ユダ、 002 EXO 001 003 イツサカル、ゼブルン、ベニヤミン、 002 EXO 001 004 ダン、ナフタリ、ガド、アセルなり 002 EXO 001 005 ヤコブの腰より出たる者は都合七十人ヨセフはすでにエジプトにありき 002 EXO 001 006 ヨセフとその諸の兄弟および當世の人みな死たり 002 EXO 001 007 イスラエルの子孫饒く子を生み彌増殖え甚だしく大に強くなりて國に滿るにいたれり 002 EXO 001 008 茲にヨセフの事をしらざる新き王エジプトに起りしが 002 EXO 001 009 彼その民にいひけるは視よ此民イスラエルの子孫われらよりも多く且強し 002 EXO 001 010 來れわれら機巧く彼等に事をなさん恐くは彼等多ならん又戰爭の起ることある時は彼等敵にくみして我等と戰ひ遂に國よりいでさらんと 002 EXO 001 011 すなはち督者をかれらの上に立て彼らに重荷をおはせて之を苦む彼等パロのために府庫の邑ピトムとラメセスを建たり 002 EXO 001 012 然るにイスラエルの子孫は苦むるに隨ひて増し殖たれば皆これを懼れたり 002 EXO 001 013 エジプト人イスラエルの子孫を嚴く動作かしめ 002 EXO 001 014 辛き力役をもて彼等をして苦みて生を度らしむ即ち和泥、作甎および田圃の諸の工にはたらかしめけるが其働かしめし工作は皆嚴かりき 002 EXO 001 015 エジプトの王又ヘブルの產婆シフラと名くる者とブワと名くる者の二人に諭して 002 EXO 001 016 いひけるは汝等ヘブルの婦女のために收生をなす時は床の上を見てその子若男子ならばこれを殺せ女子ならば生しおくべしと 002 EXO 001 017 然に產婆神を畏れエジプト王の命ぜしごとく爲ずして男子をも生しおけり 002 EXO 001 018 エジプト王產婆を召て之にいひけるは汝等なんぞ此事をなし男子を生しおくや 002 EXO 001 019 產婆パロに言けるはヘブルの婦はエジプトの婦のごとくならず彼等は健して產婆のかれらに至らぬ前に產をはるなりと 002 EXO 001 020 是によりて神その產婆等に恩をほどこしたまへり是において民増ゆきて甚だ強くなりぬ 002 EXO 001 021 產婆神を畏れたるによりて神かれらのために家を成たまへり 002 EXO 001 022 斯有しかばパロその凡の民に命じていふ男子の生るあらば汝等これを悉く河に投いれよ女子は皆生しおくべし 002 EXO 002 001 爰にレビの家の一箇の人往てレビの女を娶れり 002 EXO 002 002 女妊みて男子を生みその美きを見て三月のあひだこれを匿せしが 002 EXO 002 003 すでにこれを匿すあたはざるにいたりければ萑の箱舟を之がために取て之に瀝靑と樹脂を塗り子をその中に納てこれを河邊の葦の中に置り 002 EXO 002 004 その姉遥に立てその如何になるかを窺ふ 002 EXO 002 005 茲にパロの女身を洗んとて河にくだりその婢等河の傍にあゆむ彼葦の中に箱舟あるを見て使女をつかはしてこれを取きたらしめ 002 EXO 002 006 これを啓きてその子のをるを見る嬰兒すなはち啼く彼これを憐みていひけるは是はヘブル人の子なりと 002 EXO 002 007 時にその姉パロの女にいひけるは我ゆきてヘブルの女の中より此子をなんぢのために養ふべき乳母を呼きたらんか 002 EXO 002 008 パロの女往よと之にいひければ女子すなはち往てその子の母を呼きたる 002 EXO 002 009 パロの女かれにいひけるは此子をつれゆきて我ために之を養へ我その値をなんぢにとらせんと婦すなはちその子を取てこれを養ふ 002 EXO 002 010 斯てその子の長ずるにおよびて之をパロの女の所にたづさへゆきければすなはちこれが子となる彼その名をモーセ(援出)と名けて言ふ我これを水より援いだせしに因ると 002 EXO 002 011 茲にモーセ生長におよびて一時いでてその兄弟等の所にいたりその重荷を負ふを見しが會一箇のエジプト人が一箇のイスラエル人即ちおのれの兄弟を撃つを見たれば 002 EXO 002 012 右左を視まはして人のをらざるを見てそのエジプト人を撃ころし之を沙の中に埋め匿せり 002 EXO 002 013 次の日また出て二人のヘブル人の相爭ふを見たればその曲き者にむかひ汝なんぞ汝の隣人を撃つやといふに 002 EXO 002 014 彼いひけるは誰が汝を立てわれらの君とし判官としたるや汝かのエジプト人をころせしごとく我をも殺さんとするやと是においてモーセ懼れてその事かならず知れたるならんとおもへり 002 EXO 002 015 パロ此事を聞てモーセを殺さんともとめければモーセすなはちパロの面をさけて逃げのびミデアンの地に住り彼井の傍に坐せり 002 EXO 002 016 ミデアンの祭司に七人の女子ありしが彼等來りて水を汲み水鉢に盈て父の羊群に飮はんとしけるに 002 EXO 002 017 牧羊者等きたりて彼らを逐はらひければモーセ起あがりて彼等をたすけその羊群に飮ふ 002 EXO 002 018 彼等その父リウエルに至れる時父言けるは今日はなんぢら何ぞかく速にかへりしや 002 EXO 002 019 かれらいひけるは一箇のエジプト人我らを牧羊者等の手より救いだし亦われらのために水を多く汲て羊群に飮しめたり 002 EXO 002 020 父女等にいひけるは彼は何處にをるや汝等なんぞその人を遺てきたりしや彼をよびて物を食しめよと 002 EXO 002 021 モーセこの人とともに居ることを好めり彼すなはちその女子チツポラをモーセに與ふ 002 EXO 002 022 彼男子を生みければモーセその名をゲルシヨム(客)と名けて言ふ我異邦に客となりをればなりと 002 EXO 002 023 斯て時をふる程にジプトの王死りイスラエルの子孫その勞役の故によりて歎き號ぶにその勞役の故によりて號ぶところの聲神に達りければ 002 EXO 002 024 神その長呻を聞き神そのアブラハム、イサク、ヤコブになしたる契約を憶え 002 EXO 002 025 神イスラエルの子孫を眷み神知しめしたまへり 002 EXO 003 001 モーセその妻の父なるミデアンの祭司ヱテロの群を牧ひをりしがその群を曠野の奧にみちびきて神の山ホレブに至るに 002 EXO 003 002 ヱホバの使者棘の裏の火燄の中にて彼にあらはる彼見るに棘火に燃れどもその棘燬ず 002 EXO 003 003 モーセいひけるは我ゆきてこの大なる觀を見 何故に棘の燃たえざるかを見ん 002 EXO 003 004 ヱホバ彼がきたり觀んとするを見たまふ即ち神棘の中よりモーセよモーセよと彼をよびたまひければ我ここにありといふに 002 EXO 003 005 神いひたまひけるは此に近よるなかれ汝の足より履を脱ぐべし汝が立つ處は聖き地なればなり 002 EXO 003 006 又いひたまひけるは我はなんぢの父の神アブラハムの神イサクの神ヤコブの神なりとモーセ神を見ることを畏れてその面を蔽せり 002 EXO 003 007 ヱホバ言たまひけるは我まことにエジプトにをるわが民の苦患を觀また彼等がその驅使者の故をもて號ぶところの聲を聞り我かれらの憂苦を知るなり 002 EXO 003 008 われ降りてかれらをエジプト人の手より救ひいだし之を彼地より導きのぼりて善き廣き地乳と蜜との流るる地すなはちカナン人ヘテ人アモリ人ベリジ人ヒビ人ヱブス人のをる處に至らしめんとす 002 EXO 003 009 今イスラエルの子孫の號呼われに達る我またエジプト人が彼らを苦むるその暴虐を見たり 002 EXO 003 010 然ば來れ我なんぢをパロにつかはし汝をしてわが民イスラエルの子孫をエジプトより導きいださしめん 002 EXO 003 011 モーセ神にいひけるは我は如何なる者ぞや我豈パロの許に往きイスラエルの子孫をエジプトより導きいだすべき者ならんや 002 EXO 003 012 神いひたまひけるは我かならず汝とともにあるべし是はわが汝をつかはせる證據なり汝民をエジプトより導きいだしたる時汝等この山にて神に事へん 002 EXO 003 013 モーセ神にいひけるは我イスラエルの子孫の所にゆきて汝らの先祖等の神我を汝らに遣はしたまふと言んに彼等もし其名は何と我に言ば何とかれらに言べきや 002 EXO 003 014 神モーセにいひたまひけるは我は有て在る者なり又いひたまひけるは汝かくイスラエルの子孫にいふべし我有といふ者我を汝らに遣したまふと 002 EXO 003 015 神またモーセにいひたまひけるは汝かくイスラエルの子孫にいふべし汝らの先祖等の神アブラハムの神イサクの神ヤコブの神ヱホバわれを汝らにつかはしたまふと是は永遠にわが名となり世々にわが誌となるべし 002 EXO 003 016 汝往てイスラエルの長老等をあつめて之にいふべし汝らの先祖等の神アブラハム、イサク、ヤコブの神ヱホバ我にあらはれて言たまひけらく我誠になんぢらを眷み汝らがエジプトにて蒙るところの事を見たり 002 EXO 003 017 我すなはち言り我汝らをエジプトの苦患の中より導き出してカナン人ヘテ人アモリ人ペリジ人ヒビ人エブス人の地すなはち乳と蜜の流るる地にのぼり至らしめんと 002 EXO 003 018 彼等なんぢの言に聽したがふべし汝とイスラエルの長老等エジプトの王の許にいたりて之に言へヘブル人の神ヱホバ我らに臨めり然ば請ふわれらをして三日程ほど曠野に入しめわれらの神ヱホバに犠牲をささぐることを得せしめよと 002 EXO 003 019 我しるエジプトの王は假令能力ある手をくはふるも汝等の往をゆるさざるべし 002 EXO 003 020 我すなはちわが手を舒ベエジプトの中に諸の奇跡を行ひてエジプトを撃ん其後かれ汝等を去しむべし 002 EXO 003 021 我エジプト人をして此民をめぐましめん汝ら去る時手を空うして去るべからず 002 EXO 003 022 婦女皆その隣人とおのれの家に寓る者とに金の飾品銀の飾品および衣服を乞べし而して汝らこれを汝らの子女に穿戴せよ汝等かくエジプト人の物を取べし 002 EXO 004 001 モーセ對へていひけるは然ながら彼等我を信ぜず又わが言に聽したがはずして言んヱホバ汝にあらはれたまはずと 002 EXO 004 002 ヱホバかれにいひたまひけるは汝の手にある者は何なるや彼いふ杖なり 002 EXO 004 003 ヱホバいひたまひけるは其を地に擲よとすなはち之を地になぐるに蛇となりければモーセその前を避たり 002 EXO 004 004 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝の手をのべて其尾を執れとすなはち手をのべて之を執ば手にいりて杖となる 002 EXO 004 005 ヱホバいひたまふ是は彼らの先祖等の神アブラハムの神イサクの神ヤコブの神ヱホバの汝にあらはれたることを彼らに信ぜしめんためなり 002 EXO 004 006 ヱホバまたかれに言たまひけるは汝の手を懐に納よとすなはち手を懐にいれて之を出し見るにその手癩病を生じて雪のごとくなれり 002 EXO 004 007 ヱホバまた言たまひけるは汝の手をふたたび懐にいれよと彼すなはちふたたび其手を懐にいれて之を懐より出し見るに變りて他處の肌膚のごとくになる 002 EXO 004 008 ヱホバいひたまふ彼等もし汝を信ぜずまたその最初の徴の聲に聽從はざるならば後の徴の聲を信ぜん 002 EXO 004 009 彼らもし是ふたつの徴をも信ぜすして汝の言に聽從はざるならば汝河の水をとりて之を陸地にそそげ汝が河より取たる水陸地にて血となるべし 002 EXO 004 010 モーセ、ヱホバにいひけるはわが主よ我は素言辭に敏き人にあらず汝が僕に語りたまへるに及びても猶しかり我は口重く舌重き者なり 002 EXO 004 011 ヱホバかれにいひたまひけるは人の口を造る者は誰なるや唖者聾者目明者瞽者などを造る者は誰なるや我ヱホバなるにあらずや 002 EXO 004 012 然ば往けよ我なんぢの口にありて汝の言ふべきことを敎へん 002 EXO 004 013 モーセいひけるはわが主よ願くは遣すべき者をつかはしたまへ 002 EXO 004 014 是においてヱホバ、モーセにむかひ怒を發していひたまひけるはレビ人アロンは汝の兄弟なるにあらずや我かれが言を善するを知るまた彼なんぢに遇んとていで來る彼汝を見る時心に喜ばん 002 EXO 004 015 汝かれに語りて言をその口に授くべし我なんぢの口と彼の口にありて汝らの爲べき事を敎へん 002 EXO 004 016 彼なんぢに代て民に語らん彼は汝の口に代らん汝は彼のために神に代るべし 002 EXO 004 017 なんぢこの杖を手に執り之をもて奇蹟をおこなふべし 002 EXO 004 018 是においてモーセゆきてその妻の父ヱテロの許にかへりて之にいふ請ふ我をして往てわがエジプトにある兄弟等の所にかへらしめ彼等のなほ生ながらへをるや否を見さしめよヱテロ、モーセに安然に往くべしといふ 002 EXO 004 019 爰にヱホバ、ミデアンにてモーセにいひたまひけるは往てエジプトにかへれ汝の生命をもとめし人は皆死たりと 002 EXO 004 020 モーセすなはちその妻と子等をとり之を驢馬に乗てエジプトの地にかへるモーセは神の杖を手に執り 002 EXO 004 021 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝エジプトにかへりゆける時はかならず我がなんぢの手に授けたるところの奇跡を悉くパロのまへにおこなふべし但し我かれの心を剛愎にすれば彼民を去しめざるべし 002 EXO 004 022 汝パロに言べしヱホバかく言ふイスラエルはわが子わが冢子なり 002 EXO 004 023 我なんぢにいふ我が子を去らしめて我に事ふることをえせしめよ汝もし彼をさらしむることを拒ば我なんぢの子なんぢの冢子を殺すべしと 002 EXO 004 024 モーセ途にある時ヱホバかれの宿所にて彼に遇てころさんとしたまひければ 002 EXO 004 025 チツポラ利き石をとりてその男子の陽の皮を割りモーセの足下になげうちて言ふ汝はまことにわがためには血の夫なりと 002 EXO 004 026 是においてヱホバ、モーセをゆるしたまふ此時チツポラが血の夫といひしは割禮の故によりてなり 002 EXO 004 027 爰にヱホバ、アロンにいひたまひけるに曠野にゆきてモーセを迎へよと彼すなはちゆきて神の山にてモーセに遇ひ之に接吻す 002 EXO 004 028 モーセ、ヱホバがおのれに言ふくめて遣したまへる諸の言とヱホバのおのれに命じたまひし諸の奇跡とをアロンにつげたり 002 EXO 004 029 斯てモーセとアロン往てイスラエルの子孫の長老を盡く集む 002 EXO 004 030 而してアロン、ヱホバのモーセにかたりたまひし言を盡くつぐ又彼民の目のまへにて奇蹟をなしければ 002 EXO 004 031 民すなはち信ず彼等ヱホバがイスラエルの民をかへりみその苦患をおもひたまふを聞て身をかがめて拝をなせり 002 EXO 005 001 その後モーセとアロン入てパロにいふイスラエルの神ヱホバ斯いひたまふ我民を去しめ彼等をして曠野に於て我を祭ることをえせしめよと 002 EXO 005 002 パロいひけるはヱホバは誰なればか我その聲にしたがひてイスラエルを去しむべき我ヱホバを識ず亦イスラエルを去しめじ 002 EXO 005 003 彼ら言けるはヘブル人の神我らに顯れたまへり請ふ我等をして三日程ほど曠野にいりてわれらの神ヱホバに犠牲をささぐることをえせしめよ恐くはヱホバ疫病か又は刀兵をもて我らをなやましたまはん 002 EXO 005 004 エジプト王かれらに言けるは汝等モーセ、アロンなんぞ民の操作を妨ぐるや往てなんぢらの荷を負へ 002 EXO 005 005 パロまたいふ土民今は多かり然るに汝等かれらをして荷をおふことを止しめんとす 002 EXO 005 006 パロ此日民が驅使ふ者等および民の有司等に命じていふ 002 EXO 005 007 汝等再び前のごとく民に磚瓦を造る禾稈を與ふべからず彼等をして往てみづから禾稈をあつめしめよ 002 EXO 005 008 また彼等が前に造りし磚瓦の數のごとくに仍かれらに之をつくらしめよ其を減すなかれ彼等は懈惰が故に我儕をして往てわれらの神に犠牲をささげしめよと呼はり言ふなり 002 EXO 005 009 人々の工作を重くして之に勞かしめよ然ば偽の言を聽ことあらじと 002 EXO 005 010 民を驅使ふ者等およびその有司等出ゆきて民にいひけるはパロかく言たまふ我なんぢらに禾稈をあたへじ 002 EXO 005 011 汝等往て禾稈のある處にて之をとれ但しなんぢらの工作は分毫も減さざるべしと 002 EXO 005 012 是において民遍くエジプトの地に散て草藁をあつめて禾稈となす 002 EXO 005 013 驅使者かれらを促たてて言ふ禾稈のありし時のごとく汝らの工作汝らの日々の業をなしをふべしと 002 EXO 005 014 パロの驅使者等がイスラエルの子孫の上に立たるところの有司等撻れなんぢら何ぞ昨日も今日も磚瓦を作るところの汝らの業を前のごとくに爲しをへざるやと言る 002 EXO 005 015 是に於てイスラエルの子孫の有司等來りてパロに呼はりて言ふ汝なんぞ斯僕等になすや 002 EXO 005 016 僕等に禾稈を與へずしてわれらに磚瓦を作れといふ視よ僕等は撻る是なんぢの民の過なりと 002 EXO 005 017 然るにパロいふ汝等は懶惰し懶惰し故に汝らは我らをして往てヱホバに犠牲をささげしめよと言ふなり 002 EXO 005 018 然ば汝ら往て操作けよ禾稈はなんぢらに與ふることなかるべけれどなんぢら尚數のごとくに磚瓦を交納むべしと 002 EXO 005 019 イスラエルの子孫の有司等汝等その日々につくる磚瓦を減すべからずと言るを聞て災害の身におよぶを知り 002 EXO 005 020 彼らパロをはなれて出たる時モーセとアロンの對面にたてるを見たれば 002 EXO 005 021 之にいひけるは願くはヱホバ汝等を鑒みて鞫きたまへ汝等はわれらの臭をパロの目と彼の僕の目に忌嫌はれしめ刀を彼等の手にわたして我等を殺さしめんとするなりと 002 EXO 005 022 モーセ、ヱホバに返りて言ふわが主よ何て此民をあしくしたまふや何のために我をつかはしたまひしや 002 EXO 005 023 わがパロの許に來りて汝の名をもて語りしよりして彼この民をあしくす汝また絶てなんぢの民をすくひたまはざるなり 002 EXO 006 001 ヱホバ、モーセに言たまひけるは今汝わがパロに爲んところの事を見るべし能ある手の加はるによりてパロ彼らをさらしめん能ある手の加はるによりてパロ彼らを其國より逐いだすべし 002 EXO 006 002 神モーセに語りて之にいひたまひけるは我はヱホバなり 002 EXO 006 003 我全能の神といひてアブラハム、イサク、ヤコブに顯れたり然ど我名のヱホバの事は彼等しらざりき 002 EXO 006 004 我また彼らとわが契約を立て彼等が旅して寄居たる國カナンの地をかれらに與ふ 002 EXO 006 005 我またエジプト人が奴隸となせるイスラエルの子孫の呻吟た聞き且我が契約を憶ひ出づ 002 EXO 006 006 故にイスラエルの子孫に言へ我はヱホバなり我汝らをエジプト人の重負の下より携出し其使役をまぬかれしめ又腕をのべ大なる罰をほどこして汝等を贖はん 002 EXO 006 007 我汝等を取て吾民となし汝等の神となるべし汝等はわがエジプト人の重擔の下より汝らを携出したるなんぢらの神ヱホバなることを知ん 002 EXO 006 008 我わが手をあげてアブラハム、イサク、ヤコブに與へんと誓ひし地に汝等を導きいたり之を汝等に與へて產業となさしめん我はヱホバなり 002 EXO 006 009 モーセかくイスラエルの子孫に語けれども彼等は心の傷ると役事の苦きとの爲にモーセに聽ざりき 002 EXO 006 010 ヱホバ、モーセに告ていひたまひけるは 002 EXO 006 011 入てエジプトの王パロに語りイスラエルの子孫をその國より去しめよ 002 EXO 006 012 モーセ、ヱホバの前に申していふイスラエルの子孫旣に我に聽ず我は口に割禮をうけざる者なればパロいかで我にきかんや 002 EXO 006 013 ヱホバ、モーセとアロンに語り彼等に命じてイスラエルの子孫とエジプトの王パロの所に往しめイスラエルの子孫をエジプトの地より導きいださしめたまふ 002 EXO 006 014 かれらの父の家々の長は左のごとしイスラエルの冢子ルベンの子ヘノク、バル、ヘヅロン、カルミ是等はルベンの家族なり 002 EXO 006 015 シメオンの子ヱムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンの女の生しシヤウル是らはシメオンの家族なり 002 EXO 006 016 レビの子の名はその世代にしたがひて言ば左のごとしゲルシヨン、コハテ、メラリ是なりレビの齢の年は百三十七年なりき 002 EXO 006 017 ゲルシヨンの子はその家族にしたがひて言ばリブニおよびシメイなり 002 EXO 006 018 コハテの子はアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルなりコハテの齢の年は百三十三年なりき 002 EXO 006 019 メラリの子はマヘリおよびムシなり是等はレビの家族にしてその世代にしたがひて言るものなり 002 EXO 006 020 アムラム其伯母ヨケベデを妻にめとれり彼アロンとモーセを生むアムラムの齢の年は百三十七年なりき 002 EXO 006 021 イヅハルの子はコラ、ネベグ、ジクリなり 002 EXO 006 022 ウジエルの子はミサエル、エルザバン、シテリなり 002 EXO 006 023 アロン、ナシヨンの姉アミナダブの女エリセバを妻にめとれり彼ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを生む 002 EXO 006 024 コラの子はアツシル、エルカナ、アビアサフ是等はコラ人の族なり 002 EXO 006 025 アロンの子エレアザル、ブテエルの女の中より妻をめとれり彼ピネハスを生む是等はレビ人の父の家々の長にしてその家族に循ひて言る者なり 002 EXO 006 026 ヱホバがイスラエルの子孫を其軍隊にしたがひてエジプトの地より導きいだせよといひたまひしは此アロンとモーセなり 002 EXO 006 027 彼等はイスラエルの子孫をエジプトより導きいださんとしてエジプトの王パロに語りし者にして即ち此モーセとアロンなり 002 EXO 006 028 ヱホバ、エジプトの地にてモーセに語りたまへる日に 002 EXO 006 029 ヱホバ、モーセに語りて言たまひけるは我はヱホバなり汝わが汝にいふ所を悉皆くエジプトの王パロに語るべし 002 EXO 006 030 モーセ、ヱホバの前に言けるは我は口に割禮を受ざる者なればパロいかで我に聽んや 002 EXO 007 001 ヱホバ、モーセに言たまひけるは視よ我汝をしてパロにおけること神のごとくならしむ汝の兄弟アロンは汝の預言者となるべし 002 EXO 007 002 汝はわが汝に命ずる所を盡く宣べし汝の兄弟アロンはパロに告ることを爲べし彼イスラエルの子孫をその國より出すに至らん 002 EXO 007 003 我パロの心を剛愎にして吾徴と奇跡をエジプトの國に多くせん 002 EXO 007 004 然どパロ汝に聽ざるべし我すなはち吾手をエジプトに加へ大なる罰をほどこして吾軍隊わが民イスラエルの子孫をエジプトの國より出さん 002 EXO 007 005 我わが手をエジプトの上に伸てイスラエルの子孫をエジプト人の中より出す時には彼等我のヱホバなるを知ん 002 EXO 007 006 モーセとアロン斯おこなひヱホバの命じたまへる如くに然なしぬ 002 EXO 007 007 そのパロと談論ける時モーセは八十歳アロンは八十三歳なりき 002 EXO 007 008 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまひけるは 002 EXO 007 009 パロ汝等に語りて汝ら自ら奇蹟を行へと言時には汝アロンに言べし汝の杖をとりてパロの前に擲てよと其は蛇とならん 002 EXO 007 010 是に於てモーセとアロンはパロの許にいたりヱホバの命じたまひしごとくに行へり即ちアロンその杖をパロとその臣下の前に擲しに蛇となりぬ 002 EXO 007 011 斯在しかばパロもまた博士と魔術士を召よせたるにエジプトの法術士等もその秘術をもてかくおこなへり 002 EXO 007 012 即ち彼ら各人その杖を投たれば蛇となりけるがアロンの杖かれらの杖を呑つくせり 002 EXO 007 013 然るにパロの心剛愎になりて彼らに聽ことをせざりきヱホバの言たまひし如し 002 EXO 007 014 ヱホバ、モーセに言たまひけるはパロは心頑にして民を去しむることを拒むなり 002 EXO 007 015 朝におよびて汝パロの許にいたれ視よ彼は水に臨む汝河の邊にたちて彼を逆ふべし汝かの蛇に化し杖を手にとりて居り 002 EXO 007 016 彼に言ふべしヘブル人の神ヱホバ我を汝につかはして言しむ吾民を去しめて曠野にて我に事ふることを得せしめよ視よ今まで汝は聽入ざりしなり 002 EXO 007 017 ヱホバかく言ふ汝これによりて我がヱホバなるを知ん視よ我わが手の杖をもて河の水を撃ん是血に變ずべし 002 EXO 007 018 而して河の魚は死に河は臭くならんエジプト人は河の水を飮ことを厭ふにいたるべし 002 EXO 007 019 ヱホバまたモーセに言たまはく汝アロンに言へ汝の杖をとりて汝の手をエジプトの上に伸べ流水の上河々の上池塘の上一切の湖水の上に伸て血とならしめよエジプト全國に於て木石の器の中に凡て血あるにいたらん 002 EXO 007 020 モーセ、アロンすなはちヱホバの命じたまへるごとくに爲り即ち彼パロとその臣下の前にて杖をあげて河の水を撃しに河の水みな血に變じたり 002 EXO 007 021 是において河の魚死て河臭くなりエジプト人河の水を飮ことを得ざりき斯エジプト全國に血ありき 002 EXO 007 022 エジプトの法術士等もその秘術をもて斯のごとく行へりパロは心頑固にして彼等に聽ことをせざりきヱホバの言たまひし如し 002 EXO 007 023 パロすなはち身をめぐらしてその家に入り此事にも心をとめざりき 002 EXO 007 024 エジプト人河の水を飮ことを得ざりしかば皆飮水を得んとて河のまはりを掘たりヱホバ河を撃たまひてより後七日たちぬ 002 EXO 008 001 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝パロに詣りて彼に言へヱホバかく言たまふ吾民を去しめて我に事ふることを得せしめよ 002 EXO 008 002 汝もし去しむることを拒まば我蛙をもて汝の四方の境を惱さん 002 EXO 008 003 河に蛙むらがり上りきたりて汝の家にいり汝の寝室にいり汝の牀にのぼり汝の臣下の家にいり汝の民の所にいたり汝の竃におよび汝の搓鉢にいらん 002 EXO 008 004 蛙なんぢの身にのぼり汝の民と汝の臣下の上にのぼるべし 002 EXO 008 005 ヱホバ、モーセに言たまはく汝アロンに言へ汝杖をとりて手を流水の上に伸べ河々の上と池塘の上に伸て蛙をエジプトの地に上らしめよ 002 EXO 008 006 アロン手をエジプトの水のうへに伸たれば蛙のぼりきたりてエジプトの地を蔽ふ 002 EXO 008 007 法術士等もその秘術をもて斯おこなひ蛙をエジプトの地に上らしめたり 002 EXO 008 008 パロ、モーセとアロンを召て言けるはヱホバに願ひてこの蛙を我とわが民の所より取さらしめよ我この民を去しめてヱホバに犠牲をささぐることを得せしめん 002 EXO 008 009 モーセ、パロに言けるは我なんぢと汝の臣下と汝の民のために願ひて何時此蛙を汝と汝の家より絶さりて河にのみ止らしむべきや我に示せと 002 EXO 008 010 彼明日といひければモーセ言ふ汝の言のごとくに爲し汝をして我らの神ヱホバのごとき者なきことを知しめん 002 EXO 008 011 蛙汝と汝の家を離れ汝の臣下と汝の民を離れて河にのみ止るべしと 002 EXO 008 012 モーセとアロンすなはちパロを離れて出でモーセそのパロに至らしめたまひし蛙のためにヱホバに呼はりしに 002 EXO 008 013 ヱホバ、モーセの言のごとくなしたまひて蛙家より村より田野より死亡たり 002 EXO 008 014 茲にこれを攢むるに山をなし地臭くなりぬ 002 EXO 008 015 然るにパロは嘘氣時あるを見てその心を頑固にして彼等に聽ことをせざりきヱホバの言たまひし如し 002 EXO 008 016 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝アロンに言へ汝の杖を伸べ地の塵を打てエジプト全國に蚤とならしめよと 002 EXO 008 017 彼等斯なせり即ちアロン杖をとりて手を伸べ地の塵を撃けるに蚤となりて人と畜につけりエジプト全國において地の塵みな蚤となりぬ 002 EXO 008 018 法術士等その秘術をもて斯おこなひて蚤を出さんとしたりしが能はざりき蚤は人と畜に著く 002 EXO 008 019 是において法術士等パロに言ふ是は神の指なりと然るにパロは心剛愎にして彼等に聽ざりきヱホバの言たまひし如し 002 EXO 008 020 ヱホバ、モーセに言たまはく汝朝早く起てパロの前に立て視よ彼は水に臨む汝彼に言へヱホバかく言たまふわが民を去しめて我に事ふることを得せしめよ 002 EXO 008 021 汝もしわが民を去しめずば視よ我汝と汝の臣下と汝の民と汝の家とに蚋をおくらんエジプト人の家々には蚋充べし彼らの居るところの地も然らん 002 EXO 008 022 その日に我わが民の居るゴセンの地を區別おきて其處に蚋あらしめじ是地の中にありて我のヱホバなることを汝が知んためなり 002 EXO 008 023 我わが民と汝の民の間に區別をたてん明日この徴あるべし 002 EXO 008 024 ヱホバかく爲たまひたれば蚋おびただしく出來りてパロの家にいりその臣下の家にいりエジプト全國にたり蚋のために地害はる 002 EXO 008 025 是においてパロ、モーセとアロンを召ていひけるは汝等往て國の中にて汝らの神に犠牲を献げよ 002 EXO 008 026 モーセ言ふ然するは宜からず我等はエジプト人の崇拝む者を犠牲としてわれらの神ヱホバに献ぐべければなり我等もしエジプト人の崇拝む者をその目の前にて犠牲に献げなば彼等石にて我等を撃ざらんや 002 EXO 008 027 我等は三日路ほど曠野にいりて我らの神ヱホバに犠牲を献げその命じたまひしごとくせんとす 002 EXO 008 028 パロ言けるは我汝らを去しめて汝らの神ヱホバに曠野にて犠牲を献ぐることを得せしめん但餘に遠くは行べからず我ために祈れよ 002 EXO 008 029 モーセ言けるは視よ我汝をはなれて出づ我ヱホバに祈ん明日蚋パロとその臣下とその民を離れん第パロ再び偽をおこなひ民を去しめてヱホバに犠牲をささぐるを得せしめざるが如きことを爲ざれ 002 EXO 008 030 かくてモーセ、パロをはなれて出でヱホバに祈りたれば 002 EXO 008 031 ヱホバ、モーセの言のごとく爲したまへり即ちその蚋をパロとその臣下とその民よりはなれしめたまふ一ものこらざりき 002 EXO 008 032 然るにパロ此時にもまたその心を頑固にして民を去しめざりき 002 EXO 009 001 爰にヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロの所にいりてかれに告よヘブル人の神ヱホバ斯いひたまふ吾民を去しめて我につかふることをえせしめよ 002 EXO 009 002 汝もし彼等をさらしむることを拒みて尚かれらを拘留へなば 002 EXO 009 003 ヱホバの手野にをる汝の家畜馬驢馬駱駝牛および羊に加はらん即ち甚だ惡き疾あるべし 002 EXO 009 004 ヱホバ、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを別ちたまはんイスラエルの子孫に屬する者は死る者あらざるべしと 002 EXO 009 005 ヱホバまた期をさだめて言たまふ明日ヱホバこの事を國になさんと 002 EXO 009 006 明日ヱホバこの事をなしたまひければエジプトの家畜みな死り然どイスラエルの子孫の家畜は一も死ざりき 002 EXO 009 007 パロ人をつかはして見さしめたるにイスラエルの家畜は一頭だにも死ざりき然どもパロは心剛愎にして民をさらしめざりき 002 EXO 009 008 またヱホバ、モーセとアロンにいひたまひけるは汝等竃爐の灰を一握とれ而してモーセ、パロの目の前にて天にむかひて之をまきちらすべし 002 EXO 009 009 其灰エジプト全國に塵となりてエジプト全國の人と畜獣につき膿をもちて脹るる腫物とならんと 002 EXO 009 010 彼等すなはち竃爐の灰をとりてパロの前に立ちモーセ天にむかひて之をまきちらしければ人と獣畜につき膿をもちて脹るる腫物となれり 002 EXO 009 011 法術士等はその腫物のためにモーセの前に立つことを得ざりき腫物は法術士等よりして諸のエジプト人にまで生じたり 002 EXO 009 012 然どヱホバ、パロの心を剛愎にしたまひたれば彼らに聽ざりきヱホバのモーセに言給ひし如し 002 EXO 009 013 爰にヱホバ、モーセにいひたまひけるは朝早くおきてパロの前にたちて彼に言へヘブル人の神ヱホバ斯いひたまふ吾民を去しめて我に事ふるをえせしめよ 002 EXO 009 014 我此度わが諸の災害を汝の心となんぢの臣下およびなんぢの民に降し全地に我ごとき者なきことを汝に知しめん 002 EXO 009 015 我もしわが手を伸べ疫病をもて汝となんぢの民を撃たらば汝は地より絶れしならん 002 EXO 009 016 抑わが汝をたてたるは即ちなんぢをしてわが權能を見さしめわが名を全地に傳へんためなり 002 EXO 009 017 汝なほ吾民の前に立ふさがりて之を去しめざるや 002 EXO 009 018 視よ明日の今頃我はなはだ大なる雹を降すべし是はエジプトの開國より今までに嘗てあらざりし者なり 002 EXO 009 019 然ば人をやりて汝の家畜および凡て汝が野に有る物を集めよ人も獣畜も凡て野にありて家に歸らざる者は雹その上にふりくだりて死るにたらん 002 EXO 009 020 パロの臣下の中ヱホバの言を畏る者はその僕と家畜を家に逃いらしめしが 002 EXO 009 021 ヱホバの言を意にとめざる者はその僕と家畜を野に置り 002 EXO 009 022 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝の手を天に舒てエジプト全國に雹あらしめエジプトの國中の人と獣畜と田圃の諸の蔬にふりくだらしめよと 002 EXO 009 023 モーセ天にむかひて杖を舒たればヱホバ雷と雹を遣りたまふ又火いでて地に馳すヱホバ雹をエジプトの地に降せたまふ 002 EXO 009 024 斯雹ふり又火の塊雹に雑りて降る甚だ勵しエジプト全國には其國を成てよりこのかた未だ斯る者あらざりしなり 002 EXO 009 025 雹エジプト全國に於て人と獣畜とをいはず凡て田圃にをる者を撃り雹また田圃の諸の蔬を撃ち野の諸の樹を折り 002 EXO 009 026 唯イスラエルの子孫のをるゴセンの地には雹あらざりき 002 EXO 009 027 是に於てパロ人をつかはしてモーセとアロンを召てこれに言けるは我此度罪ををかしたりヱホバは義く我とわが民は惡し 002 EXO 009 028 ヱホバに願ひてこの神鳴と雹を最早これにて足しめよ我なんぢらを去しめん汝等今は留るにおよばず 002 EXO 009 029 モーセかれに曰けるは我邑より出て我手をヱホバに舒ひろげん然ば雷やみて雹かさねてあらざるべし斯して地はヱホバの所屬なるを汝にしらしめん 002 EXO 009 030 然ど我しる汝となんぢの臣下等はなほヱホバ神を畏れざるならんと 002 EXO 009 031 偖麻と大麥は撃れたり大麥は穂いで麻は花さきゐたればなり 002 EXO 009 032 然ど小麥と裸麥は未だ長ざりしによりて撃れざりき 002 EXO 009 033 モーセ、パロをはなれて邑より出でヱホバにむかひて手をのべひろげたれば雷と雹やみて雨地にふらずなりぬ 002 EXO 009 034 然るにパロ雨と雹と雷鳴のやみたるを見て復も罪を犯し其心を剛硬にす彼もその臣下も然り 002 EXO 009 035 即ちパロは心剛愎にしてイスラエルの子孫を去しめざりきヱホバのモーセによりて言たまひしごとし 002 EXO 010 001 爰にヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロの所に入れ我かれの心とその臣下の心を剛硬にせり是はわが此等の徴を彼等の中に示さんため 002 EXO 010 002 又なんぢをして吾がエジプトにて行ひし事等すなはち吾がエジプトの中にてなしたる徴をなんぢの子となんぢの子の子の耳に語らしめんためなり斯して汝等わがヱホバなるを知べし 002 EXO 010 003 モーセとアロン、パロの所にいりて彼にいひけるはヘブル人の神ヱホバかく言たまふ何時まで汝は我に降ることを拒むや我民をさらしめて我に事ふることをえせしめよ 002 EXO 010 004 汝もしわが民を去しむることを拒まば明日我蝗をなんぢの境に入しめん 002 EXO 010 005 蝗地の面を蔽て人地を見るあたはざるべし蝗かの免かれてなんぢに遺れる者すなはち雹に打のこされたる者を食ひ野に汝らのために生る諸の樹をくらはん 002 EXO 010 006 又なんぢの家となんぢの臣下の家々および凡のエジプト人の家に滿べし是はなんぢの父となんぢの父の父が世にいでしより今日にいたるまで未だ嘗て見ざるものなりと斯て彼身をめぐらしてパロの所よりいでたり 002 EXO 010 007 時にパロの臣下パロにいひけるは何時まで此人われらの羂となるや人々を去しめてその神ヱホバに事ふることをえせしめよ汝なほエジプトの滅ぶるを知ざるやと 002 EXO 010 008 是をもてモーセとアロンふたたび召れてパロの許にいたるにパロかれらにいふ往てなんぢらの神ヱホバに事よ但し往く者は誰と誰なるや 002 EXO 010 009 モーセいひけるは我等は幼者をも老者をも子息をも息女をも挈へて往き羊をも牛をもたづさへて往くべし其は我らヱホバの祭禮をなさんとすればなり 002 EXO 010 010 パロかれらにいひけるは我汝等となんぢらの子等を去しむる時はヱホバなんぢらと偕に在れ愼めよ惡き事なんぢらの面のまへにあり 002 EXO 010 011 そは宜からず汝ら男子のみ往てヱホバに事よ是なんぢらが求むるところなりと彼等つひにパロの前より逐いださる 002 EXO 010 012 爰にヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝の手をエジプトの地のうへに舒て蝗をエジプトの國にのぞませて彼の雹が打殘したる地の諸の蔬を悉く食しめよ 002 EXO 010 013 モーセすなはちエジプトの地の上に其杖をのべければヱホバ東風をおこしてその一日一夜地にふかしめたまひしが東風朝におよびて蝗を吹きたりて 002 EXO 010 014 蝗エジプト全國にのぞみエジプトの四方の境に居て害をなすこと太甚し是より先には斯のごとき蝗なかりし是より後にもあらざるべし 002 EXO 010 015 蝗全國の上を蔽ひければ國暗くなりぬ而して蝗地の諸の蔬および雹の打殘せし樹の菓を食ひたればエジプト全國に於て樹にも田圃の蔬にも靑き者とてはのこらざりき 002 EXO 010 016 是をもてパロ急ぎモーセとアロンを召て言ふ 我なんちらの神ヱホバと汝等とにむかひて罪ををかせり 002 EXO 010 017 然ば請ふ今一次のみ吾罪を宥してなんぢらの神ヱホバに願ひ唯此死を我より取はなさしめよと 002 EXO 010 018 彼すなはちパロの所より出てヱホバにねがひければ 002 EXO 010 019 ヱホバはなはだ強き西風を吹めぐらせて蝗を吹はらはしめ之を紅海に驅いれたまひてエジプトの四方の境に蝗ひとつも遺らざるにいたれり 002 EXO 010 020 然れどもヱホバ、パロの心を剛愎にしたまひたればイスラエルの子孫をさらしめざりき 002 EXO 010 021 ヱホバまたモーセにいひたまひけるは天にむかひて汝の手を舒べエジプトの國に黑暗を起すべし其暗黑は摸るべきなりと 002 EXO 010 022 モーセすなはち天にむかひて手を舒ければ稠密黑暗三日のあひだエジプト全國にありて 002 EXO 010 023 三日の間は人々たがひに相見るあたはず又おのれの處より起ものなかりき然どイスラエルの子孫の居處には皆光ありき 002 EXO 010 024 是に於てパロ、モーセを呼ていひけるは汝等ゆきてヱホバに事よ唯なんぢらの羊と牛を留めおくべし汝らの子女も亦なんぢらとともに往べし 002 EXO 010 025 モーセいひけるは汝また我等の神ヱホバに献ぐべき犠牲と燔祭の物をも我儕に與ふべきなり 002 EXO 010 026 われらの家畜もわれらとともに往べし一蹄も後にのこすべからず其は我等その中を取てわれらの神ヱホバに事べきが故なりまたわれら彼處にいたるまでは何をもてヱホバに事ふべきかを知ざればなりと 002 EXO 010 027 然れどもヱホバ、パロの心を剛愎にしたまひたればパロかれらをさらしむることを肯ぜざりき 002 EXO 010 028 すなはちパロ、モーセに言ふ我をはなれて去よ自ら愼め重てわが面を見るなかれ汝わが面を見る日には死べし 002 EXO 010 029 モーセいひけるは汝の言ふところは善し我重て復なんぢの面を見ざるべし 002 EXO 011 001 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは我今一箇の災をパロおよびエジプトに降さん然後かれ汝等を此處より去しむべし彼なんぢらを全く去しむるには必ず汝らを此より逐はらはん 002 EXO 011 002 然ば汝民の耳にかたり男女をしておのおのその隣々に銀の飾品金の飾具を乞しめよと 002 EXO 011 003 ヱホバつひに民をしてエジプト人の恩を蒙らしめたまふ又その人モーセはエジプトの國にてパロの臣下の目と民の目に甚だ大なる者と見えたり 002 EXO 011 004 モーセいひけるはヱホバかく言たまふ夜半頃われ出てエジプトの中に至らん 002 EXO 011 005 エジプトの國の中の長子たる者は位に坐するパロの長子より磨の後にをる婢の長子まで悉く死べし又獣畜の首出もしかり 002 EXO 011 006 而してエジプト全國に大なる號哭あるべし是まで是のごとき事はあらずまた再び斯ること有ざるべし 002 EXO 011 007 然どイスラエルの子孫にむかひては犬もその舌をうごかさじ人にむかひても獣畜にむかひても然り汝等これによりてヱホバがエジプト人とイスラエルのあひだに區別をなしたまふを知べし 002 EXO 011 008 汝の此臣等みなわが許に下り來てわれを拝し汝となんぢに從がふ民みな出よと言ん然る後われ出べしと烈しく怒りてパロの所より出たり 002 EXO 011 009 ヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロ汝に聽ざるべし是をもて吾がエジプトの國に奇蹟をおこなふこと増べし 002 EXO 011 010 モーセとアロンこの諸の奇蹟をことごとくパロの前に行ひたれどもヱホバ、パロの心を剛愎にしたまひければ彼イスラエルの子孫をその國より去しめざりき 002 EXO 012 001 ヱホバ、エジプトの國にてモーセとアロンに告ていひたまひけるは 002 EXO 012 002 此月を汝らの月の首となせ汝ら是を年の正月となすべし 002 EXO 012 003 汝等イスラエルの全會衆に告て言べし此月の十日に家の父たる者おのおの羔羊を取べし即ち家ごとに一箇の羔羊を取べし 002 EXO 012 004 もし家族少くして其羔羊を盡すことあたはずばその家の隣なる人とともに人の數にしたがひて之を取べし各人の食ふ所にしたがひて汝等羔羊を計るべし 002 EXO 012 005 汝らの羔羊は疵なき當歳の牡なるべし汝等綿羊あるひは山羊の中よりこれを取べし 002 EXO 012 006 而して此月の十四日まで之を守りおきイスラエルの會衆みな薄暮に之を屠り 002 EXO 012 007 その血をとりて其之を食ふ家の門口の兩旁の橒と鴨居に塗べし 002 EXO 012 008 而して此夜その肉を火に炙て食ひ又酵いれぬパンに苦菜をそへて食ふべし 002 EXO 012 009 其を生にても水に煮ても食ふなかれ火に炙べし其頭と脛と臓腑とを皆くらへ 002 EXO 012 010 其を明朝まで殘しおくなかれ其明朝まで殘れる者は火にて燒つくすべし 002 EXO 012 011 なんぢら斯之を食ふべし即ち腰をひきからげ足に鞋を穿き手に杖をとりて急て之を食ふべし是ヱホバの逾越節なり 002 EXO 012 012 是夜われエジプトの國を巡りて人と畜とを論ずエジプトの國の中の長子たる者を盡く撃殺し又エジプトの諸の神に罰をかうむらせん我はヱホバなり 002 EXO 012 013 その血なんぢらが居るところの家にありて汝等のために記號とならん我血を見る時なんぢらを逾越すべし又わがエジプトの國を撃つ時災なんぢらに降りて滅ぼすことなかるべし 002 EXO 012 014 汝ら是日を記念えてヱホバの節期となし世々これを祝ふべし汝等之を常例となして祝ふべし 002 EXO 012 015 七日の間酵いれぬパンを食ふべしその首の日にパン酵を汝等の家より除け凡て首の日より七日までに酵入たるパンを食ふ人はイスラエルより絶るべきなり 002 EXO 012 016 且首の日に聖會をひらくべし又第七日に聖會を汝らの中に開け是ふたつの日には何の業をもなすべからず只各人の食ふ者のみ汝等作ることを得べし 002 EXO 012 017 汝ら酵いれぬパンの節期を守るべし其は此日に我なんぢらの軍隊をエジプトの國より導きいだせばなり故に汝ら常例となして世々是日をまもるべし 002 EXO 012 018 正月に於てその月の十四日の晩より同月の二十一日の晩まで汝ら酵いれぬパンを食へ 002 EXO 012 019 七日の間なんぢらの家にパン酵をおくべからず凡て酵いれたる物を食ふ人は其異邦人たると本國に生れし者たるとを問ず皆イスラエルの聖會より絶るべし 002 EXO 012 020 汝ら酵いれたる物は何をも食ふべからず凡て汝らの居處に於ては酵いれぬパンを食ふべし 002 EXO 012 021 是に於てモーセ、イスラエルの長老を盡くまねきて之にいふ汝等その家族に循ひて一頭の羔羊を撿み取り之を屠りて逾越節のために備へよ 002 EXO 012 022 又牛膝草一束を取て盂の血に濡し盂の血を門口の鴨居および二旁の柱にそそぐべし明朝にいたるまで汝等一人も家の戸をいづるなかれ 002 EXO 012 023 其はヱホバ、エジプトを撃に巡りたまふ時鴨居と兩旁の柱に血のあるを見ばヱキバ其門を逾越し殺滅者をして汝等の家に入て撃ざらしめたまふべければなり 002 EXO 012 024 汝ら是事を例となして汝となんぢの子孫永くこれを守るべし 002 EXO 012 025 汝等ヱホバがその言たまひし如くになんぢらに與へたまはんところの地に至る時はこの禮式をまもるべし 002 EXO 012 026 若なんぢらの子女この禮式は何の意なるやと汝らに問ば 002 EXO 012 027 汝ら言ふべし是はヱホバの逾越節の祭祀なりヱホバ、エジプト人を撃たまひし時エジプトにをるイスラエルの子孫の家を逾越てわれらの家を救ひたまへりと民すなはち鞠て拝せり 002 EXO 012 028 イスラエルの子孫去てヱホバのモーセとアロンに命じたまひしごとくなし斯おこなへり 002 EXO 012 029 爰にヱホバ夜半にエジプトの國の中の長子たる者を位に坐するパロの長子より牢獄にある俘虜の長子まで盡く撃たまふ亦家畜の首生もしかり 002 EXO 012 030 期有しかばパロとその諸の臣下およびエジプト人みな夜の中に起あがりエジプトに大なる號哭ありき死人あらざる家なかりければなり 002 EXO 012 031 パロすなはち夜の中にモーセとアロンを召ていひけるは汝らとイスラエルの子孫起てわが民の中より出さり汝らがいへる如くに往てヱホバに事へよ 002 EXO 012 032 亦なんぢらが言るごとく汝らの羊と牛をひきて去れ汝らまた我を祝せよと 002 EXO 012 033 是においてエジプト人我等みな死ると言て民を催逼て速かに國を去しめんとせしかば 002 EXO 012 034 民捏粉の未だ酵いれざるを執り捏盤を衣服に包みて肩に負ふ 002 EXO 012 035 而してイスラエルの子孫モーセの言のごとく爲しエジプト人に銀の飾物、金の飾物および衣服を乞たるに 002 EXO 012 036 ヱホバ、エジプト人をして民をめぐましめ彼等にこれを與へしめたまふ斯かれらエジプト人の物を取り 002 EXO 012 037 斯てイスラエルの子孫ラメセスよりスコテに進みしが子女の外に徒にて歩める男六十萬人ありき 002 EXO 012 038 又衆多の寄集人および羊牛等はなはだ多の家畜彼等とともに上れり 002 EXO 012 039 爰に彼等エジプトより携へいでたる捏粉をもて酵いれぬパンを烘り未だ酵をいれざりければなり是かれらエジプトより逐いだされて濡滞るを得ざりしに由り又何の食糧をも備へざりしに因る 002 EXO 012 040 偖イスラエルの子孫のエジプトに住居しその住居の間は四百三十年なりき 002 EXO 012 041 四百三十年の終にいたり即ち其日にヱホバの軍隊みなエジプトの國より出たり 002 EXO 012 042 是はヱホバが彼等をエジプトの國より導きいだしたまひし事のためにヱホバの前に守るべき夜なり是はヱホバの夜にしてイスラエルの子孫が皆世々まもるべき者なり 002 EXO 012 043 ヱホバ、モーセとアロンに言たまひけるは逾越節の例は是のごとし異邦人はこれを食ふべからず 002 EXO 012 044 但し各人の金にて買たる僕は割禮を施して然る後是を食しむべし 002 EXO 012 045 外國の客および傭人は之を食ふべからず 002 EXO 012 046 一の家にてこれを食ふべしその肉を少も家の外に持いづるなかれ又其骨を折べからず 002 EXO 012 047 イスラエルの會衆みな之を守るべし 002 EXO 012 048 異邦人なんぢとともに寄居てヱホバの逾越節を守らんとせば其男悉く割禮を受て然る後に近りて守るべし即ち彼は國に生れたる者のごとくなるべし割禮をうけざる人はこれを食ふべからざるなり 002 EXO 012 049 國に生れたる者にもまた汝らの中に寄居る異邦人にも此法は同一なり 002 EXO 012 050 イスラエルの子孫みな斯おこなひヱホバのモーセとアロンに命じたまひしごとく爲たり 002 EXO 012 051 その同じ日にヱホバ、イスラエルの子孫をその軍隊にしたがひてエジプトの國より導きいだしたまへり 002 EXO 013 001 爰にヱホバ、モーセに告ていひたまひけるは 002 EXO 013 002 人と畜とを論ず凡てイスラエルの子孫の中の始て生れたる首生をば皆聖別て我に歸せしむべし是わが所屬なればなり 002 EXO 013 003 モーセ民にいひけるは汝等エジプトを出で奴隸たる家を出るこの日を誌えよヱホバ能ある手をもて汝等を此より導きいだしたまへばなり酵いれたるパンを食ふべからず 002 EXO 013 004 アビブの月の此日なんぢら出づ 002 EXO 013 005 ヱホバ汝を導きてカナン人ヘテ人アモリ人ヒビ人エブス人の地すなはちその汝にあたへんと汝の先祖たちに誓ひたまひし彼乳と蜜の流るる地に至らしめたまはん時なんぢ此月に是禮式を守るべし 002 EXO 013 006 七日の間なんぢ酵いれぬパンを食ひ第七日にヱホバの節筵をなすべし 002 EXO 013 007 酵いれぬパンを七日くらふべし酵いれたるパンを汝の所におくなかれ又汝の境の中にて汝の許にパン酵をおくなかれ 002 EXO 013 008 汝その日に汝の子に示して言べし是は吾がエジプトより出る時にヱホバの我に爲したまひし事のためなりと 002 EXO 013 009 斯是をなんぢの手におきて記號となし汝の目の間におきて記號となしてヱホバの法律を汝の口に在しむべし其はヱホバ能ある手をもて汝をエジプトより導きいだしたまへばなり 002 EXO 013 010 是故に年々その期にいたりてこの例をまもるべし 002 EXO 013 011 ヱホバ汝となんぢの先祖等に誓ひたまひしごとく汝をカナン人の地にみちびきて之を汝に與へたまはん時 002 EXO 013 012 汝凡て始て生れたる者及び汝の有る畜の初生を悉く分ちてヱホバに歸せしむべし男牡はヱホバの所屬なるべし 002 EXO 013 013 又驢馬の初子は皆羔羊をもて贖ふべしもし贖はずばその頸を折るべし汝の子等の中の長子なる人はみな贖ふべし 002 EXO 013 014 後に汝の子汝に問て是は何なると言ばこれに言べしヱホバ能ある手をもて我等をエジプトより出し奴隸たりし家より出したまへり 002 EXO 013 015 當時パロ剛愎にして我等を去しめざりしかばヱホバ、エジプトの國の中の長子たる者を人の長子より畜の初生まで盡く殺したまへり是故に始めて生れし牡を盡くヱホバに犠牲に献ぐ但しわが子等の中の長子は之を贖ふなり 002 EXO 013 016 是をなんぢの手におきて號となし汝の目の間におきて誌となすべしヱホバ能ある手をもて我等をエジプトより導きいだしたまひたればなりと 002 EXO 013 017 偖パロ民をさらしめし時ペリシテ人の地は近かりけれども神彼等をみちびきて其地を通りたまはざりき其は民戰爭を見ば悔てエジプトに歸るならんと神おもひたまひたればなり 002 EXO 013 018 神紅海の曠野の道より民を導きたまふイスラエルの子孫行伍をたててエジプトの國より出づ 002 EXO 013 019 其時モーセはヨセフの骨を携ふ是はヨセフ神かならず汝らを眷みたまふべければ汝らわが骨を此より携へ出づべしといひてイスラエルの子孫を固く誓せたればなり 002 EXO 013 020 斯てかれらスコテより進みて曠野の端なるエタム比幕張す 002 EXO 013 021 ヱホバかれらの前に往たまひ晝は雲の柱をもてかれらを導き夜は火の柱をもて彼らを照して晝夜往すすましめたまふ 002 EXO 013 022 民の前に晝は雲の柱を除きたまはず夜は火の柱をのぞきたまはず 002 EXO 014 001 茲にヱホバ、モーセに告ていひ給ひけるは 002 EXO 014 002 イスラエルの子孫に言て轉回てミグドルと海の間なるピハヒロテの前にあたりてバアルゼポンの前に幕を張しめよ其にむかひて海の傍に幕を張るべし 002 EXO 014 003 パロ、イスラエルの子孫の事をかたりて彼等はその地に迷ひをりて曠野に閉こめられたるならんといふべければなり 002 EXO 014 004 我パロの心を剛愎にすべければパロ彼等の後を追はん我パロとその凡の軍勢に由て譽を得エジプト人をして吾ヱホバなるを知しめんと彼等すなはち斯なせり 002 EXO 014 005 茲に民の逃さりたることエジプト王に聞えければパロとその臣下等民の事につきて心を變じて言ふ我等何て斯イスラエルを去しめて我に事ざらしむるがごとき事をなしたるやと 002 EXO 014 006 パロすなはちその車を備へ民を將て己にしたがはしめ 002 EXO 014 007 撰抜の戰車六百兩にエジプトの諸の戰車および其の諸の軍長等を率ゐたり 002 EXO 014 008 ヱホバ、エジプト王パロの心を剛愎にしたまひたれば彼イスラエルの子孫の後を追ふイスラエルの子孫は高らかなる手によりて出しなり 002 EXO 014 009 エジプト人等パロの馬、車およびその騎兵と軍勢彼等の後を追てそのバアルゼポンの前なるピハヒロテの邊にて海の傍に幕を張るに追つけり 002 EXO 014 010 パロの近よりし時イスラエルの子孫目をあげて視しにエジプト人己の後に進み來りしかば痛く懼れたり是に於てイスラエルの子孫ヱホバに呼號り 002 EXO 014 011 且モーセに言けるはエジプトに墓のあらざるがために汝われらをたづさへいだして曠野に死しむるや何故に汝われらをエジプトより導き出して斯我らに爲や 002 EXO 014 012 我等がエジプトにて汝に告て我儕を棄おき我らをしてエジプト人に事しめよと言し言は是ならずや其は曠野にて死るよりもエジプト人に事るは善ればなり 002 EXO 014 013 モーセ民にいひけるは汝ら懼るるなかれ立てヱホバが今日汝等のために爲たまはんところの救を見よ汝らが今日見たるエジプト人をば汝らかさねて復これを見ること絶てなかるべきなり 002 EXO 014 014 ヱホバ汝等のために戰ひたまはん汝等は靜りて居るべし 002 EXO 014 015 時にヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぞ我に呼はるやイスラエルの子孫に言て進みゆかしめよ 002 EXO 014 016 汝杖を擧げ手を海の上に伸て之を分ちイスラエルの子孫をして海の中の乾ける所を往しめよ 002 EXO 014 017 我エジプト人の心を剛愎にすべければ彼等その後にしたがひて入るべし我かくしてパロとその諸の軍勢およびそ戰車と騎兵に囚て榮譽を得ん 002 EXO 014 018 我がパロとその戰車と騎兵とによりて榮譽をえん時エジプト人は我のヱホバなるを知ん 002 EXO 014 019 爰にイスラエルの陣營の前に行る神の使者移りてその後に行けり即ち雲の柱その前面をはなれて後に立ち 002 EXO 014 020 エジプト人の陣營とイスラエル人の陣營の間に至りけるが彼がためには雲となり暗となり是がためには夜を照せり是をもて彼と是と夜の中に相近づかざりき 002 EXO 014 021 モーセ手を海の上に伸ければヱホバ終夜強き東風をもて海を退かしめ海を陸地となしたまひて水遂に分れたり 002 EXO 014 022 イスラエルの子孫海の中の乾ける所を行くに水は彼等の右左に墻となれり 002 EXO 014 023 エジプト人等パロの馬車、騎兵みなその後にしたがひて海の中に入る 002 EXO 014 024 暁にヱホバ火と雲との柱の中よりエジプト人の軍勢を望みエジプト人の軍勢を惱まし 002 EXO 014 025 其車の輪を脱して行に重くならしめたまひければエジプト人言ふ我儕イスラエルを離れて逃ん其はヱホバかれらのためにエジプト人と戰へばなりと 002 EXO 014 026 時にヱホバ、モーセに言たまひける汝の手を海の上に伸て水をエジプト人とその戰車と騎兵の上に流れ反らしめよと 002 EXO 014 027 モーセすなはち手を海の上に伸けるに夜明におよびて海本の勢力にかへりたればエジプト人之に逆ひて逃たりしがヱホバ、エジプト人を海の中に擲ちたまへり 002 EXO 014 028 即ち水流反りて戰車と騎兵を覆ひイスラエルの後にしたがひて海にいりしパロの軍勢を悉く覆へり一人も遺れる者あらざりき 002 EXO 014 029 然どイスラエルの子孫は海の中の乾ける所を歩みしが水はその右左に墻となれり 002 EXO 014 030 斯ヱホバこの日イスラエルをエジプト人の手より救ひたまへりイスラエルはエジプト人が海邊に死をるを見たり 002 EXO 014 031 イスラエルまたヱホバがエジプト人に爲たまひし大なる事を見たり是に於て民ヱホバを畏れヱホバとその僕モーセを信じたり 002 EXO 015 001 是に於てモーセおよびイスラエルの子孫この歌をヱホバに謡ふ云く我ヱホバを歌ひ頌ん彼は高らかに高くいますなり彼は馬とその乗者を海になげうちたまへり 002 EXO 015 002 わが力わが歌はヱホバなり彼はわが救拯となりたまへり彼はわが神なり我これを頌美ん彼はわが父の神なり我これを崇めん 002 EXO 015 003 ヱホバは軍人にして其名はヱホバなり 002 EXO 015 004 彼パロの戰車とその軍勢を海に投すてたまふパロの勝れたる軍長等は紅海に沈めり 002 EXO 015 005 大水かれらを掩ひて彼等石のごとくに淵の底に下る 002 EXO 015 006 ヱホバよ汝の右の手は力をもて榮光をあらはすヱホバよ汝の右の手は敵を碎く 002 EXO 015 007 汝の大なる榮光をもて汝は汝にたち逆ふ者を滅したまふ汝怒を發すれば彼等は藁のごとくに焚つくさる 002 EXO 015 008 汝の鼻の息によりて水積かさなり浪堅く立て岸のごとくに成り大水海の中に凝る 002 EXO 015 009 敵は言ふ我追て追つき掠取物を分たん我かれらに因てわが心を飽しめん我劍を抜んわが手かれらを亡さんと 002 EXO 015 010 汝氣を吹たまへば海かれらを覆ひて彼等は猛烈き水に鉛のごとくに沈めり 002 EXO 015 011 ヱホバよ神の中に誰か汝に如ものあらん誰か汝のごとく聖して榮あり讃べくして威ありて奇事を行なふ者あらんや 002 EXO 015 012 汝その右の手を伸たまへば地かれらを呑む 002 EXO 015 013 汝はその贖ひし民を恩惠をもて導き汝の力をもて彼等を汝の聖き居所に引たまふ 002 EXO 015 014 國々の民聞て慄へペリシテに住む者畏懼を懐く 002 EXO 015 015 エドムの君等駭きモアブの剛者戰慄くカナンに住る者みな消うせん 002 EXO 015 016 畏懼と戰慄かれらに及ぶ汝の腕の大なるがために彼らは石のごとくに默然たりヱホバよ汝の民の通り過るまで汝の買たまひし民の通り過るまで然るべし 002 EXO 015 017 汝民を導きてこれを汝の產業の山に植たまはんヱホバよ是すなはち汝の居所とせんとて汝の設けたまひし者なり主よ是汝の手の建たる聖所なり 002 EXO 015 018 ヱホバは世々限なく王たるべし 002 EXO 015 019 斯パロの馬その車および騎兵とともに海にいりしにヱホバ海の水を彼等の上に流れ還らしめたまひしがイスラエルの子孫は海の中にありて旱地を通れり 002 EXO 015 020 時にアロンの姉なる預言者ミリアム鼗を手にとるに婦等みな彼にしたがひて出で鼗をとり且踊る 002 EXO 015 021 ミリアムすなはち彼等に和へて言ふ汝等ヱホバを歌ひ頌よ彼は高らかに高くいますなり彼は馬とその乗者を海に擲ちたまへりと 002 EXO 015 022 斯てモーセ紅海よりイスラエルを導きてシユルの曠野にいり曠野に三日歩みたりしが水を得ざりき 002 EXO 015 023 彼ら遂にメラにいたりしがメラの水苦くして飮ことを得ざりき是をもて其名はメラ(苦)と呼る 002 EXO 015 024 是に於て民モーセにむかひて呟き我儕何を飮んかと言ければ 002 EXO 015 025 モーセ、ヱホバに呼はりしにヱホバこれに一本の木を示したまひたれば即ちこれを水に投いれしに水甘くなれり彼處にてヱホバ民のために法度と法律をたてたまひ彼處にてこれを試みて 002 EXO 015 026 言たまはく汝もし善く汝の神ヱホバの聲に聽したがひヱホバの口に善と見ることを爲しその誡命に耳を傾けその諸の法度を守ば我わがエジプト人に加へしところのその疾病を一も汝に加へざるべし其は我はヱホバにして汝を醫す者なればなりと 002 EXO 015 027 斯て彼等エリムに至れり其處に水の井十二棕櫚七十本あり彼處にて彼等水の傍に幕張す 002 EXO 016 001 斯てエリムを出たちてイスラエルの子孫の會衆そのエジプトの地を出しより二箇月の十五日に皆エリムとシナイの間なるシンの曠野にいたりけるが 002 EXO 016 002 其曠野においてイスラエルの全會衆モーセとアロンに向ひて呟けり 002 EXO 016 003 即ちイスラエルの子孫かれらに言けるは我儕エジプトの地に於て肉の鍋の側に坐り飽までにパンを食ひし時にヱホバの手によりて死たらば善りし者を汝等はこの曠野に我等を導きいだしてこの全會を饑に死しめんとするなり 002 EXO 016 004 時にヱホバ、モーセに言たまひけるは視よ我パンを汝らのために天より降さん民いでて日用の分を毎日斂むべし斯して我かれらが吾の法律にしたがふや否を試みん 002 EXO 016 005 第六日には彼等その取いれたる者を調理ふべし其は日々に斂る者の二倍なるべし 002 EXO 016 006 モーセとアロン、イスラエルの全の子孫に言けるは夕にいたらば汝等はヱホバが汝らをエジプトの地より導きいだしたまひしなるを知にいたらん 002 EXO 016 007 又朝にいたらば汝等ヱホバの榮光を見ん其はヱホバなんぢらがヱホバに向ひて呟くを聞たまへばなり我等を誰となして汝等は我儕に向ひて呟くや 002 EXO 016 008 モーセまた言けるはヱホバ夕には汝等に肉を與へて食はしめ朝にはパンをあたへて飽しめたまはん其はヱホバ己にむかひて汝等が呟くところの怨言を聞給へばなり我儕を誰と爲や汝等の怨言は我等にむかひてするに非ずヱホバにむかひてするなり 002 EXO 016 009 モーセ、アロンに言けるはイスラエルの子孫の全會衆に言へ汝等ヱホバの前に近よれヱホバなんぢらの怨言を聞給へりと 002 EXO 016 010 アロンすなはちイスラエルの子孫の全會衆に語しかば彼等曠野を望むにヱホバの榮光雲の中に顯はる 002 EXO 016 011 ヱホバ、モーセに告て言たまひけるは 002 EXO 016 012 我イスラエルの子孫の怨言を聞り彼等に告て言へ汝等夕には肉を食ひ朝にはパンに飽べし而して我のヱホバにして汝等の神なることを知にいたらんと 002 EXO 016 013 即ち夕におよびて鶉きたりて營を覆ふ又朝におよびて露營の四圍におきしが 002 EXO 016 014 そのおける露乾くにあたりて曠野の表に霜のごとき小き圓き者地にあり 002 EXO 016 015 イスラエルの子孫これを見て此は何ぞやと互に言ふ其はその何たるを知ざればなりモーセかれらに言けるは是はヱホバが汝等の食にあたへたまふパンなり 002 EXO 016 016 ヱホバの命じたまふところの事は是なり即ち各その食ふところに循ひて之を斂め汝等の人數にしたがひて一人に一オメルを取れ各人その天幕にをる者等のためにこれを取べし 002 EXO 016 017 イスラエルの子孫かくなせしに其斂るところに多きと少きとありしが 002 EXO 016 018 オメルをもてこれむ量るに多く斂めし者にも餘るところ無く少く斂めし者にも足ぬところ無りき皆その食ふところに循ひてこれを斂めたり 002 EXO 016 019 モーセ彼等に誰も朝までこれを殘しおく可らずと言り 002 EXO 016 020 然るに彼等モーセに聽したがはずして或者はこれを朝まで殘したりしが蟲たかりて臭なりぬモーセこれを怒る 002 EXO 016 021 人々各その食ふところに循ひて朝毎に之を斂めしが日熱なれば消ゆ 002 EXO 016 022 第六日にいたりて人々二倍のパンを斂めたり即ち一人に二オメルを斂むるに會衆の長皆きたりて之をモーセに告ぐモーセ 002 EXO 016 023 かれらに言ふヱホバの言たまふところ是のごとし明日はヱホバの聖安息日にして休息なり今日汝等烤んとする者を烤き煮んとする者を煮よ其殘れる者は皆明朝まで蔵めおくべし 002 EXO 016 024 彼等モーセの命ぜしごとくに翌朝まで蔵めおきしが臭なること無く又蟲もその中に生ぜざりき 002 EXO 016 025 モーセ言ふ汝等今日其を食へ今日はヱホバの安息日なれば今日は汝等これを野に獲ざるべし 002 EXO 016 026 六日の間汝等これを斂むべし第七日は安息日なればその日には有ざるべし 002 EXO 016 027 然るに民の中に七日に出て斂めんとせし者ありしが得ところ無りき 002 EXO 016 028 是に於てヱホバ、モーセに言たまひけるは何時まで汝等は吾が誡命とわが律法をまもることをせざるや 002 EXO 016 029 汝等視よヱホバなんぢらに安息日を賜へり故に第六日に二日の食物を汝等にあたへたまふなり汝等おのおのその處に休みをれ第七日にはその處より出る者あるべからず 002 EXO 016 030 是民第七日に休息り 002 EXO 016 031 イスラエルの家その物の名をマナと稱り是は莞の實のごとくにして白く其味は蜜をいれたる菓子のごとし 002 EXO 016 032 モーセ言ふヱホバの命じたまふところ是のごとし是を一オメル盛て汝等の代々の子孫のためにたくはへおくべし是はわが汝等をエジプトの地より導きいだせし時に曠野にて汝等を養ひしところのパンを之に見さしめんためなり 002 EXO 016 033 而してモーセ、アロンに言けるは壷を取てその中にマナ一オメルを盛てこれをヱホバの前におき汝等の代々の子孫のためにたくはふべし 002 EXO 016 034 ヱホバのモーセに命じたまひし如くにアロンこれを律法の前におきてたくはふ 002 EXO 016 035 イスラエルの子孫は人の住る地に至るまで四十年が間マナを食へり即ちカナンの地の境にいたるまでマナを食へり 002 EXO 016 036 オメルはエパの十分の一なり 002 EXO 017 001 イスラエルの子孫の會衆ヱホバの命にしたがひて皆シンの曠野を立出で旅路をかさねてレピデムに幕張せしが民の飮む水あらざりき 002 EXO 017 002 是をもて民モーセと爭ひて言ふ我儕に水をあたへて飮しめよモーセかれらに言けるは汝ら何ぞ我とあらそふや何ぞヱホバを試むるや 002 EXO 017 003 彼處にて民水に渇き民モーセにむかひて呟き言ふ汝などて我等をエジプトより導きいだして我等とわれらの子女とわれらの家畜を渇に死しめんとするや 002 EXO 017 004 是に於てモーセ、ヱホバに呼はりて言ふ我この民に何をなすべきや彼等は殆ど我を石にて撃んとするなり 002 EXO 017 005 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝民の前に進み民の中の或長老等を伴ひかの汝が河を撃し杖を手に執て往よ 002 EXO 017 006 視よ我そこにて汝の前にあたりてホレブの磐の上に立ん汝磐を撃べし然せば其より水出ん民これを飮べしモーセすなはちイスラエルの長老等の前にて斯おこなへり 002 EXO 017 007 かくて彼その處の名をマツサと呼び又メリバと呼り是はイスラエルの子孫の爭ひしに由り又そのヱホバはわれらの中に在すや否と言てヱホバを試みしに由なり 002 EXO 017 008 時にアマレクきたりてイスラエルとレピデムに戰ふ 002 EXO 017 009 モーセ、ヨシユアに言けるは我等のために人を擇み出てアマレクと戰へ明日我神の杖を手にとりて岡の嶺に立ん 002 EXO 017 010 ヨシユアすなはちモーセの己に言しごとくに爲しアマレクと戰ふモーセ、アロンおよびホルは岡の嶺に登りしが 002 EXO 017 011 モーセ手を擧をればイスラエル勝ち手を垂ればアマレク勝り 002 EXO 017 012 然るにモーセの手重くなりたればアロンとホル石をとりてモーセの下におきてその上に坐せしめ一人は此方一人は彼方にありてモーセの手を支へたりしかばその手日の沒まで垂下ざりき 002 EXO 017 013 是においてヨシユア刃をもてアマレクとその民を敗れり 002 EXO 017 014 ヱホバ、モーセに言たまひけるは之を書に筆して記念となしヨシユアの耳にこれをいれよ我必ずアマレクの名を塗抹て天下にこれを誌ゆること无らしめんと 002 EXO 017 015 斯てモーセ一座の壇を築きその名をヱホバニシ(ヱホバ吾旗)と稱ふ 002 EXO 017 016 モーセ云けらくヱホバの寶位にむかひて手を擧ることありヱホバ世々アマレクと戰ひたまはん 002 EXO 018 001 茲にモーセの外舅なるミデアンの祭司ヱテロ神が凡てモーセのため又その民イスラエルのために爲したまひし事ヱホバがイスラエルをエジプトより導き出したまひし事を聞り 002 EXO 018 002 是に於てモーセの外舅ヱテロかの遣り還されてありしモーセの妻チッポラとその二人の子を挈へ來る 002 EXO 018 003 その子の一人の名はゲルシヨムと云ふ是はモーセ我他國に客となりをると言たればなり 002 EXO 018 004 今一人の名はエリエゼルと曰ふ是はかれ吾父の神われを助け我を救ひてパロの劍を免かれしめたまふと言たればなり 002 EXO 018 005 斯モーセの外舅ヱテロ、モーセの子等と妻をつれて曠野に來りモーセが神の山に陣を張る處にいたる 002 EXO 018 006 彼すなはちモーセに言けるは汝の外舅なる我ヱテロ汝の妻および之と供なるその二人の子をたづさへて汝に詣ると 002 EXO 018 007 モーセ出てその外舅を迎へ禮をなして之に接吻し互に其安否を問て共に天幕に入る 002 EXO 018 008 而してモーセ、ヱホバがイスラエルのためにパロとエジプト人とに爲たまひし諸の事と途にて遇し諸の艱難およびヱホバの己等を拯ひたまひし事をその外舅に語りければ 002 EXO 018 009 ヱテロ、ヱホバがイスラエルをエジプト人の手より救ひいだして之に諸の恩典をたまひし事を喜べり 002 EXO 018 010 ヱテロすなはち言けるはヱホバは頌べき哉汝等をエジプト人の手とパロの手より救ひいだし民をエジプト人の手の下より拯ひいだせり 002 EXO 018 011 今我知るヱホバは諸の神よりも大なり彼等傲慢を逞しうして事をなせしがヱホバかれらに勝りと 002 EXO 018 012 而してモーセの外舅ヱテロ燔祭と犠牲をヱホバに持きたれりアロンおよびイスラエルの長老等皆きたりてモーセの外舅とともに神の前に食をなす 002 EXO 018 013 次の日にいたりてモーセ坐して民を審判きしが民は朝より夕までモーセの傍に立り 002 EXO 018 014 モーセの外舅モーセの凡て民に爲ところを見て言けるは汝が民になす此事は何なるや何故に汝は一人坐しをりて民朝より夕まで汝の傍にたつや 002 EXO 018 015 モーセその外舅に言けるは民神に問んとて我に來るなり 002 EXO 018 016 彼等事ある時は我に來れば我此と彼とを審判きて神の法度と律法を知しむ 002 EXO 018 017 モーセの外舅これに言けるは汝のなすところ善らず 002 EXO 018 018 汝かならず氣力おとろへん汝も汝とともなる民も然らん此事汝には重に過ぐ汝一人にては之を爲ことあたはざるべし 002 EXO 018 019 今吾言を聽け我なんぢに策を授けん願くは神なんぢとともに在せ汝民のために神の前に居り訴訟を神に陳よ 002 EXO 018 020 汝かれらに法度と律法を敎へ彼等の歩むべき道と爲べき事とを彼等に示せ 002 EXO 018 021 又汝全體の民の中より賢して神を畏れ眞實を重んじ利を惡むところの人を選み之を民の上に立て千人の司となし百人の司となし五十人の司となし十人の司となすべし 002 EXO 018 022 而して彼等をして常に民を鞫かしめ大事は凡てこれを汝に陳しめ小事は凡て彼等みづからこれを判かしむべし斯汝の身の煩瑣を省き彼らをして汝とその任を共にせしめよ 002 EXO 018 023 汝もし此事を爲し神また斯汝に命じなば汝はこれに勝ん此民もまた安然にその所に到ることを得べし 002 EXO 018 024 モーセその外舅の言にしたがひてその凡て言しごとく成り 002 EXO 018 025 モーセすなはちイスラエルの中より遍く賢き人を擇みてこれを民の長となし千人の司となし百人の司となし五十人の司となし十人の司となせり 002 EXO 018 026 彼等常に民を鞫き難事はこれをモーセに陳べ小事は凡て自らこれを判けり 002 EXO 018 027 斯てモーセその外舅を還したればその國に往ぬ 002 EXO 019 001 イスラエルの子孫エジプトの地を出て後第三月にいたりて其日にシナイの曠野に至る 002 EXO 019 002 即ちかれらレピデムを出たちてシナイの曠野にいたり曠野に幕を張り彼處にてイスラエルは山の前に營を設けたり 002 EXO 019 003 爰にモーセ登て神に詣るにヱホバ山より彼を呼て言たまはく汝かくヤコブの家に言ひイスラエルの子孫に告べし 002 EXO 019 004 汝らはエジプト人に我がなしたるところの事を見我が鷲の翼をのべて汝らを負て我にいたらしめしを見たり 002 EXO 019 005 然ば汝等もし善く我が言を聽きわが契約を守らば汝等は諸の民に愈りてわが寶となるべし全地はわが所有なればなり 002 EXO 019 006 汝等は我に對して祭司の國となり聖き民となるべし是等の言語を汝イスラエルの子孫に告べし 002 EXO 019 007 是に於てモーセ來りて民の長老等を呼びヱホバの己に命じたまひし言を盡くその前に陳たれば 002 EXO 019 008 民皆等く應へて言けるはヱホバの言たまひし所は皆われら之を爲べしとモーセすなはち民の言をヱホバに告ぐ 002 EXO 019 009 ヱホバ、モーセに言たまひけるは觀よ我密雲の中にをりて汝に臨む是民をして我が汝と語るを聞しめて汝を永く信ぜしめんがためなりとモーセ民の言をヱホバに告たり 002 EXO 019 010 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝民の所に往て今日明日これを聖め之にその衣服を澣せ 002 EXO 019 011 準備をなして三日を待て其は第三日にヱホバ全體の民の目の前にてシナイ山に降ればなり 002 EXO 019 012 汝民のために四周に境界を設けて言べし汝等愼んで山に登るなかれその境界に捫るべからず山に捫る者はかならず殺さるべし 002 EXO 019 013 手を之に觸べからず其者はかならす石にて撃ころされ或は射ころさるべし獣と人とを言ず生ることを得じ喇叭を長く吹鳴さば人々山に上るべしと 002 EXO 019 014 モーセすなはち山を下り民にいたりて民を聖め民その衣服を濯ふ 002 EXO 019 015 モーセ民に言けるは準備をなして三日を待て婦人に近づくべからず 002 EXO 019 016 かくて三日の朝にいたりて雷と電および密雲山の上にあり又喇叭の聲ありて甚だ高かり營にある民みな震ふ 002 EXO 019 017 モーセ營より民を引いでて神に會しむ民山の麓に立に 002 EXO 019 018 シナイ山都て煙を出せりヱホバ火の中にありてその上に下りたまへばなりその煙竃の煙のごとく立のぼり山すべて震ふ 002 EXO 019 019 喇叭の聲彌高くなりゆきてばげしくなりける時モーセ言を出すに神聲をもて應へたまふ 002 EXO 019 020 ヱホバ、シナイ山に下りその山の頂上にいまし而してヱホバ山の頂上にモーセを召たまひければモーセ上れり 002 EXO 019 021 ヱホバ、モーセに言たまひけるは下りて民を警めよ恐らくは民推破りてヱホバに來りて見んとし多の者死るにいたらん 002 EXO 019 022 又ヱホバに近くところの祭司等にその身を潔めしめよ恐くはヱホバかれらを撃ん 002 EXO 019 023 モーセ、ヱホバに言けるは民はシナイ山に得のぼらじ其は汝われらを警めて山の四周に境界をたて山を聖めよと言たまひたればなり 002 EXO 019 024 ヱホバかれに言たまひけるは往け下れ而して汝とアロンともに上り來るべし但祭司等と民には推破りてにのぼりきたらしめざれ恐らくは我かれらを撃ん 002 EXO 019 025 モーセ民にくだりゆきてこれに告たり 002 EXO 020 001 神この一切の言を宣て言たまはく 002 EXO 020 002 我は汝の神ヱホバ汝をエジプトの地その奴隸たる家より導き出せし者なり 002 EXO 020 003 汝我面の前に我の外何物をも神とすべからず 002 EXO 020 004 汝自己のために何の偶像をも彫むべからず又上は天にある者下は地にある者ならびに地の下の水の中にある者の何の形状をも作るべからず 002 EXO 020 005 之を拝むべからずこれに事ふべからず我ヱホバ汝の神は嫉む神なれば我を惡む者にむかひては父の罪を子にむくいて三四代におよぼし 002 EXO 020 006 我を愛しわが誡命を守る者には恩惠をほどこして千代にいたるなり 002 EXO 020 007 汝の神ヱホバの名を妄に口にあぐべからずヱホバはおのれの名を妄に口にあぐる者を罰せではおかざるべし 002 EXO 020 008 安息日を憶えてこれを聖潔すべし 002 EXO 020 009 六日の間勞きて汝の一切の業を爲べし 002 EXO 020 010 七日は汝の神ヱホバの安息なれば何の業務をも爲べからず汝も汝の息子息女も汝の僕婢も汝の家畜も汝の門の中にをる他國の人も然り 002 EXO 020 011 其はヱホバ六日の中に天と地と海と其等の中の一切の物を作りて第七日に息みたればなり是をもてヱホバ安息日を祝ひて聖日としたまふ 002 EXO 020 012 汝の父母を敬へ是は汝の神ヱホバの汝にたまふ所の地に汝の生命の長からんためなり 002 EXO 020 013 汝殺すなかれ 002 EXO 020 014 汝姦淫するなかれ 002 EXO 020 015 汝盗むなかれ 002 EXO 020 016 汝その隣人に對して虚妄の證據をたつるなかれ 002 EXO 020 017 汝その隣人の家を貧るなかれ又汝の鄰人の妻およびその僕婢牛驢馬ならびに凡て汝の隣人の所有を貧るなかれ 002 EXO 020 018 民みな雷と電と喇叭の音と山の煙るとを見たり民これを見て懼れをののきて遠く立ち 002 EXO 020 019 モーセにいひけるは汝われらに語れ我等聽ん唯神の我らに語りたまふことあらざらしめよ恐くは我等死ん 002 EXO 020 020 モーセ民に言けるは畏るるなかれ神汝らを試みんため又その畏怖を汝らの面の前におきて汝らに罪を犯さざらしめんために臨みたまへるなり 002 EXO 020 021 是において民は遠くに立ちしがモーセは神の在すところの濃雲に進みいたる 002 EXO 020 022 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝イスラエルの子孫に斯いふべし汝等は天よりわが汝等に語ふを見たり 002 EXO 020 023 汝等何をも我にならべて造るべからず銀の神をも金の神をも汝等のために造るべからず 002 EXO 020 024 汝土の壇を我に築きてその上に汝の燔祭と酬恩祭汝の羊と牛をそなふべし我は凡てわが名を憶えしむる處にて汝に臨みて汝を祝まん 002 EXO 020 025 汝もし石の壇を我につくるならば琢石をもてこれを築くべからず其は汝もし鑿をこれに當なば之を汚すべければなり 002 EXO 020 026 汝階よりわが壇に升るべからず是汝の恥る處のその上に露るることなからんためなり 002 EXO 021 001 是は汝が民の前に立べき律例なり 002 EXO 021 002 汝ヘブルの僕を買ふ時は六年の間之に職業を爲しめ第七年には贖を索ずしてこれを釋つべし 002 EXO 021 003 彼もし獨身にて來らば獨身にて去べし若妻あらばその妻これとともに去べし 002 EXO 021 004 もしその主人これに妻をあたへて男子又は女子これに生れたらば妻とその子等は主人に屬すべし彼は獨身にて去べし 002 EXO 021 005 僕もし我わが主人と我が妻子を愛す我釋たるるを好まずと明白に言ば 002 EXO 021 006 その主人これを士師の所に携ゆき又戸あるひは戸柱の所につれゆくべし而して主人錐をもてかれの耳を刺とほすべし彼は何時までもこれに事ふべきなり 002 EXO 021 007 人若その娘を賣て婢となす時は僕のごとくに去べからす 002 EXO 021 008 彼もしその約せし主人の心に適ざる時はその主人これを贖はしむることを得べし然ど之に眞實ならずして亦これを異邦人に賣ことをなすを得べからず 002 EXO 021 009 又もし之を己の子に與へんと約しなばこれを女子のごとくに待ふべし 002 EXO 021 010 父もしその子のために別に娶ることあるとも彼に食物と衣服を與ふる事とその交接の道とはこれを間斷しむべからず 002 EXO 021 011 其人かれに此三を行はずば彼は金をつくのはずして出さることを得べし 002 EXO 021 012 人を撃て死しめたる妻は必ず殺さるべし 002 EXO 021 013 若人みづから畫策ことなきに神人をその手にかからしめたまふことある時は我汝のために一箇の處を設くればその人其處に逃るべし 002 EXO 021 014 人もし故にその隣人を謀りて殺す時は汝これをわが壇よりも執へゆきて殺すべし 002 EXO 021 015 その父あるひは母を撃ものは必ず殺さるべし 002 EXO 021 016 人を拐帶したる者は之を賣たるも尚その手にあるも必ず殺さるべし 002 EXO 021 017 その父あるひは母を罵る者は殺さるべし 002 EXO 021 018 人相爭ふ時に一人石または拳をもてその對手を撃ちしに死にいたらずして床につくことあらんに 002 EXO 021 019 若起あがりて杖によりて歩むにいたらば之を撃たる者は赦さるべし但しその業を休める賠償をなして之を全く愈しむべきなり 002 EXO 021 020 人もし杖をもてその僕あるひは婢を撃んにその手の下に死ば必ず罰せらるべし 002 EXO 021 021 然ど彼もし一日二日生のびなば其人は罰せられざるべし彼はその人の金子なればなり 002 EXO 021 022 人もし相爭ひて妊める婦を撃ちその子を堕させんに別に害なき時は必ずその婦人の夫の要むる所にしたがひて刑られ法官の定むる所を爲べし 002 EXO 021 023 若害ある時は生命にて生命を償ひ 002 EXO 021 024 目にて目を償ひ歯にて歯を償ひ手にて手を償ひ足にて足を償ひ 002 EXO 021 025 烙にて烙を償ひ傷にて傷を償ひ打傷にて打傷を償ふべし 002 EXO 021 026 人もしその僕の一の目あるひは婢の一の目を撃てこれを喪さばその目のために之を釋つべし 002 EXO 021 027 又もしその僕の一箇の歯か婢の一箇の歯を打落ばその歯のために之を釋つべし 002 EXO 021 028 牛もし男あるひは女を衝て死しめなばその牛をば必ず石にて撃殺すべしその肉は食べからず但しその牛の主は罪なし 002 EXO 021 029 然ど牛もし素より衝くことをなす者にしてその主これがために忠告をうけし事あるに之を守りおかずして遂に男あるひは女を殺すに至らしめなばその牛は石にて撃れその主もまた殺さるべし 002 EXO 021 030 若彼贖罪金を命ぜられなば凡てその命ぜられし者を生命の償に出すべし 002 EXO 021 031 男子を衝も女子を衝もこの例にしたがひてなすべし 002 EXO 021 032 牛もし僕あるひは婢を衝ばその主人に銀三十シケルを與ふべし又その牛は石にて撃ころすべし 002 EXO 021 033 人もし坑を啓くか又は人もし穴を掘ことをなしこれを覆はずして牛あるひは驢馬これに陷ば 002 EXO 021 034 穴の主これを償ひ金をその所有主に與ふべし但しその死たる畜は己の有となるべし 002 EXO 021 035 此人の牛もし彼人のを衝殺さば二人その生る牛を賣てその價を分つべし又その死たるものをも分つべし 002 EXO 021 036 然どその牛素より衝ことをなす者なること知をるにその主これを守りおかざりしならばその人かならず牛をもて牛を償ふべし但しその死たる者は己の有となるべし 002 EXO 022 001 人もし牛あるひは羊を竊みてこれを殺し又は賣る時は五の牛をもて一の牛を賠ひ四の羊をもて一の羊を賠ふべし 002 EXO 022 002 もし盗賊の壞り入るを見てこれを撃て死しむる時はこれがために血をながすに及ばず 002 EXO 022 003 然ど若日いでてよりならば之がために血をながすべし盗賊は全く償をなすべし若物あらざる時は身をうりてその竊める物を償ふべし 002 EXO 022 004 若その竊める物眞に生てその手にあらばその牛驢馬羊たるにかかはらず倍してこれを償ふべし 002 EXO 022 005 人もし田圃あるひは葡萄園の物を食はせその家畜をはなちて人の田圃の物を食ふにいたらしむる時は自己の田圃の嘉物と自己の葡萄園の嘉物をもてその償をなすべし 002 EXO 022 006 火もし逸て荊棘にうつりその積あげたる穀物あるひは未だ刈ざる穀物あるひは田野を燬ばその火を焚たる者かならずこれを償ふべし 002 EXO 022 007 人もし金あるひは物を人に預るにその人の家より竊みとられたる時はその盗者あらはれなばこれを倍して償はしむべし 002 EXO 022 008 盗者もしあらはれずば家の主人を法官につれゆきて彼がその人の物に手をかけたるや否を見るべし 002 EXO 022 009 何の過愆を論ず牛にもあれ驢馬にもあれ羊にもあれ衣服にもあれ又は何の失物にもあれ凡て人の見て是其なりと言ふ者ある時は法官その兩造の言を聽べし而して法官の罪ありとする者これを倍してその對手に償ふべし 002 EXO 022 010 人もし驢馬か牛か羊か又はその他の家畜をその隣人にあづけんに死か傷けらるるか又は搶ひさらるることありて誰もこれを見し者なき時は 002 EXO 022 011 二人の間にその隣人の物に手をかけずとヱホバを指て誓ふことあるべし然る時はその持主これを承諾べし彼人は償をなすに及ばず 002 EXO 022 012 然ど若自己の許より竊まれたる時はその所有主にこれを償ふべし 002 EXO 022 013 若またその裂ころされし時は其を證據のために持きたるべしその裂ころされし者は償ふにおよばず 002 EXO 022 014 人もしその隣人より借たる者あらんにその物傷けられ又は死ることありてその所有主それとともにをらざる時は必ずこれを償ふべし 002 EXO 022 015 その所有主それと共にをらばこれを償ふにむよばず雇し者なる時もしかり其は雇れて來りしなればなり 002 EXO 022 016 人もし聘定あらざる處女を誘ひてこれと寝たらば必ずこれに聘禮して妻となすべし 002 EXO 022 017 その父もしこれをその人に與ふることを固く拒まば處女にする聘禮にてらして金をはらふべし 002 EXO 022 018 魔術をつかふ女を生しおくべからず 002 EXO 022 019 凡て畜を犯す者をば必ず殺すべし 002 EXO 022 020 ヱホバをおきて別の神に犠牲を献る者をば殺すべし 002 EXO 022 021 汝他國の人を惱すべからず又これを虐ぐべからず汝らもエジプトの國にをる時は他國の人たりしなり 002 EXO 022 022 汝凡て寡婦あるひは孤子を惱すべからず 002 EXO 022 023 汝もし彼等を惱まして彼等われに呼らば我かならずその號呼を聽べし 002 EXO 022 024 わが怒烈しくなり我劍をもて汝らを殺さん汝らの妻は寡婦となり汝らの子女は孤子とならん 002 EXO 022 025 汝もし汝とともにあるわが民の貧き者に金を貸す時は金貸のごとくなすべからず又これより利足をとるべからず 002 EXO 022 026 汝もし人の衣服を質にとらば日のいる時までにこれを歸すべし 002 EXO 022 027 其はその身を蔽ふ者は是のみにして是はその膚の衣なればなり彼何の中に寝んや彼われに龥はらば我きかん我は慈悲ある者なればなり 002 EXO 022 028 汝神を罵るべからず民の主長を詛ふべからず 002 EXO 022 029 汝の豊滿なる物と汝の搾りたる物とを献ぐることを怠るなかれ汝の長子を我に與ふべし 002 EXO 022 030 汝また汝の牛と羊をも斯なすべし即ち七日母とともにをらしめて八日にこれを我に與ふべし 002 EXO 022 031 汝等は我の聖民となるべし汝らは野にて獣に裂れし者の肉を食ふべからず汝らこれを犬に投與ふべし 002 EXO 023 001 汝虚妄の風説を言ふらすべからず惡き人と手をあはせて人を誣る證人となるべからず 002 EXO 023 002 汝衆の人にしたがひて惡をなすべからず訴訟において答をなすに方りて衆の人にしたがひて道を曲べからず 002 EXO 023 003 汝また貧き人の訴訟を曲て庇くべからず 002 EXO 023 004 汝もし汝の敵の牛あるひは驢馬の迷ひ去に遭ばかならずこれを牽てその人に歸すべし 002 EXO 023 005 汝もし汝を惡む者の驢馬のその負の下に仆れ臥すを見ば愼みてこれを遺さるべからず必ずこれを助けてその負を釋べし 002 EXO 023 006 汝貧き者の訴訟ある時にその判決を曲べからず 002 EXO 023 007 虚假の事に遠かれ無辜者と義者とはこれを殺すなかれ我は惡き者を義とすることあらざるなり 002 EXO 023 008 汝賄賂を受べからず賄賂は人の目を暗まし義者の言を曲しむるなり 002 EXO 023 009 他國の人を虐ぐべからず汝等はエジプトの國にをる時は他國の人にてありたれば他國の人の心を知なり 002 EXO 023 010 汝六年の間汝の地に種播きその實を穫いるべし 002 EXO 023 011 但し第七年にはこれを息ませて耕さずにおくべし而して汝の民の貧き者に食ふことを得せしめよ其餘れる者は野の獣これを食はん汝の葡萄園も橄欖園も斯のごとくなすべし 002 EXO 023 012 汝六日の間汝の業をなし七日に息むべし斯汝の牛および驢馬を息ませ汝の婢の子および他國の人をして息をつかしめよ 002 EXO 023 013 わが汝に言し事に凡て心を用ひよ他の神々の名を稱ふべからずまた之を汝の口より聞えしめざれ 002 EXO 023 014 汝年に三度わがために節筵を守るべし 002 EXO 023 015 汝無酵パンの節禮をまもるべし即ちわが汝に命ぜしごとくアビブの月の定の時において七日の間酵いれぬパンを食ふべし其はその月に汝エジプトより出たればなり徒手にてわが前に出る者あるべからず 002 EXO 023 016 また穡時の節筵を守るべし是すなはち汝が勞苦て田野に播る者の初の實を祝ふなり又収蔵の節筵を守るべし是すなはち汝の勞苦によりて成る者を年の終に田野より収蔵る者なり 002 EXO 023 017 汝の男たる者は皆年に三次主ヱホバの前に出べし 002 EXO 023 018 汝わが犠牲の血を酵いれしパンとともに献ぐべからず又わが節筵の脂を翌朝まで殘しおくべからず 002 EXO 023 019 汝の地に初に結べる實の初を汝の神ヱホバの室に持きたるべし汝山羊羔をその母の乳にて煮べからず 002 EXO 023 020 視よ我天の使をかはして汝に先たせ途にて汝を守らせ汝をわが備へし處に導かしめん 002 EXO 023 021 汝等その前に愼みをりその言にしたがへ之を怒らするなかれ彼なんぢらの咎を赦さざるべしわが名かれの中にあればなり 002 EXO 023 022 汝もし彼が言にしたがひ凡てわが言ところを爲ば我なんぢの敵の敵となり汝の仇の仇となるべし 002 EXO 023 023 わが使汝にさきだちゆきて汝をアモリ人ヘテ人ペリジ人カナン人ヒビ人およびヱブス人に導きたらん我かれらを絶べし 002 EXO 023 024 汝かれらの神を拝むべからずこれに奉事べからず彼らの作にならふなかれ汝其等を悉く毀ちその偶像を打摧くべし 002 EXO 023 025 汝等の神ヱホバに事へよ然ばヱホバ汝らのパンと水を祝し汝らの中より疾病を除きたまはん 002 EXO 023 026 汝の國の中には流產する者なく妊ざる者なかるべし我汝の日の數を盈さん 002 EXO 023 027 我わが畏懼をなんぢの前に遣し汝が至るところの民をことごとく敗り汝の諸の敵をして汝に後を見せしめん 002 EXO 023 028 吾黄蜂を汝の先につかはさん是ヒビ人カナン人およびヘテ人を汝の前より逐はらふべし 002 EXO 023 029 我かれらを一年の中には汝の前より逐はらはじ恐くは土地荒れ野の獣増て汝を害せん 002 EXO 023 030 我漸々にかれらを汝の前より逐はらはん汝らは遂に増てその地を獲にいたらん 002 EXO 023 031 我なんぢの境をさだめて紅海よりペリシテ人の海にいたらせ曠野より河にいたらしめん我この地に住る者を汝の手に付さん汝かれらを汝の前より逐はらふべし 002 EXO 023 032 汝かれらおよび彼らの神と何の契約をもなすべからず 002 EXO 023 033 彼らは汝の國に住べきにあらず恐くは彼ら汝をして我に罪を犯さしめん汝もし彼等の神に事なばその事かならず汝の機檻となるべきなり 002 EXO 024 001 又モーセに言たまひけるは汝アロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老とともにヱホバの許に上りきたれ而して汝等遥にたちて拝むべし 002 EXO 024 002 モーセ一人ヱホバに近づくべし彼等は近るべからず又民もかれとともに上るべからず 002 EXO 024 003 モーセ來りてヱホバの諸の言およびその諸の典例を民に告しに民みな同音に應て云ふヱホバの宣ひし言は皆われらこれを爲べし 002 EXO 024 004 モーセ、ヱホバの言をことごとく書記し朝夙に興いでて山の麓に壇を築きイスラエルの十二の支派にしたがひて十二の柱を建て 002 EXO 024 005 而してイスラエルの子孫の中の少き人等を遣はしてヱホバに燔祭を献げしめ牛をもて酬恩祭を供へしむ 002 EXO 024 006 モーセ時にその血の半をとりて鉢に盛れ又その血の半を壇の上に灌げり 002 EXO 024 007 而して契約の書をとりて民に誦きかせたるに彼ら應へて言ふヱホバの宣ふ所は皆われらこれを爲て遵ふべしと 002 EXO 024 008 モーセすなはちその血をとりて民に灌ぎて言ふ是すなはちヱホバが此諸の言につきて汝と結たまへる契約の血なり 002 EXO 024 009 斯てモーセ、アロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老のぼりゆきて 002 EXO 024 010 イスラエルの神を見るにその足の下には透明れる靑玉をもて作れるごとき物ありて耀ける天空にさも似たり 002 EXO 024 011 神はイスラエルの此頭人等にその手をかけたまはざりき彼等は神を見又食飮をなせり 002 EXO 024 012 茲にヱホバ、モーセに言たまひけるは山に上りて我に來り其處にをれ我わが彼等を敎へんために書しるせる法律と誡命を載るところの石の板を汝に與へん 002 EXO 024 013 モーセその從者ヨシユアとともに起あがりモーセのぼりて神の山に至る 002 EXO 024 014 時に彼長老等に言けるは我等の汝等に歸るまで汝等は此に待ちをれ視よアロンとホル汝等とともに在り凡て事ある者は彼等にいたるべし 002 EXO 024 015 而してモーセ山にのぼりしが雲山を蔽ひをる 002 EXO 024 016 すなはちヱホバの榮光シナイ山の上に駐りて雲山を蔽ふこと六日なりしが七日にいたりてヱホバ雲の中よりモーセを呼たまふ 002 EXO 024 017 ヱホバの榮光山の嶺に燃る火のごとくにイスラエルの子孫の目に見えたり 002 EXO 024 018 モーセ雲の中に入り山に登りモーセ四十日四十夜山に居る 002 EXO 025 001 ヱホバ、モーセに告て言たまひけるは 002 EXO 025 002 イスラエルの子孫に告て我に献物を持きたれと言へ凡てその心に好んで出す者よりは汝等その我に献ぐるところの物を取べし 002 EXO 025 003 汝等がかれらより取べきその献物は是なり即ち金 銀 銅 002 EXO 025 004 靑 紫 紅の線 麻 山羊毛 002 EXO 025 005 赤染の牡羊の皮 貛の皮 合歓木 002 EXO 025 006 燈油塗膏と馨しき香を調ふところの香料 002 EXO 025 007 葱珩およびエポデと胸牌に嵌る玉 002 EXO 025 008 彼等わがために聖所を作るべし我かれらの中に住ん 002 EXO 025 009 凡てわが汝らに示すところに循ひ幕屋の式樣およびその器具の式樣にしたがひてこれを作るべし 002 EXO 025 010 彼等合歓木をもて櫃を作るべしその長は二キユビト半その濶は一キユビト半その高は一キユビト半なるべし 002 EXO 025 011 汝純金をもて之を蔽ふべし即ち内外ともにこれを蔽ひその上の周圍に金の縁を造るべし 002 EXO 025 012 汝金の環四箇を鋳てその四の足につくべし即ち此旁に二箇の輪彼旁に二箇の輪をつくべし 002 EXO 025 013 汝また合歓木をもて杠を作りてこれに金を著すべし 002 EXO 025 014 而してその杠を櫃の邊旁の環にさしいれてこれをもて櫃を舁べし 002 EXO 025 015 杠は櫃の環に差いれおくべし其より脱はなすべからず 002 EXO 025 016 汝わが汝に與ふる律法をその櫃に蔵むべし 002 EXO 025 017 汝純金をもて贖罪所を造るべしその長は二キユビト半その濶は一キユビト半なるべし 002 EXO 025 018 汝金をもて二箇のケルビムを作るべし即ち槌にて打てこれを作り贖罪所の兩旁に置べし 002 EXO 025 019 一のケルブを此旁に一のケルブを彼旁に造れ即ちケルビムを贖罪所の兩旁に造るべし 002 EXO 025 020 ケルビムは翼を高く展べその翼をもて贖罪所を掩ひその面を互に相向くべしすなはちケルビムの面は贖罪所に向ふべし 002 EXO 025 021 汝贖罪所を櫃の上に置ゑまた我が汝に與ふる律法を櫃の中に蔵むべし 002 EXO 025 022 其處にて我なんぢに會ひ贖罪所の上より律法の櫃の上なる二箇のケルビムの間よりして我イスラエルの子孫のためにわが汝に命ぜんとする諸の事を汝に語ん 002 EXO 025 023 汝また合歓木をもて案を作るべしその長は二キユビトその濶は一キユビトその高は一キユビト半なるべし 002 EXO 025 024 而して汝純金をこれに著せその周圍に金の縁をつくるべし 002 EXO 025 025 汝その四圍に掌寛の邊をつくりその邊の周圍に金の小縁を作るべし 002 EXO 025 026 またそれがために金の環四箇を作りその足の四隅にその環をつくべし 002 EXO 025 027 環は邊の側に附べし是は案を舁ところの杠をいるる處なり 002 EXO 025 028 また合歓木をもてその杠をつくりてこれに金を著すべし案はこれに因て舁るべきなり 002 EXO 025 029 汝また其に用ふる皿匙杓および酒を灌ぐところの斝を作るべし即ち純金をもてこれを造るべし 002 EXO 025 030 汝案の上に供前のパンを置て常にわが前にあらしむべし 002 EXO 025 031 汝純金をもて一箇の燈臺を造るべし燈臺は槌をもてうちて之を作るべしその臺座 軸 萼 節 花は其に聯らしむべし 002 EXO 025 032 又六の枝をその旁より出しむべし即ち燈臺の三の枝は此旁より出で燈臺の三の枝は彼旁より出しむべし 002 EXO 025 033 巴旦杏の花の形せる三の萼節および花とともに此枝にあり又巴旦杏の花の形せる三の萼節および花とともに彼枝にあるべし燈臺より出る六の枝を皆斯のごとくにすべし 002 EXO 025 034 巴旦杏の花の形せる四の萼その節および花とともに燈臺にあるべし 002 EXO 025 035 兩箇の枝の下に一箇の節あらしめ又その兩箇の枝の下に一箇の節あらしめ又その兩箇の枝の下に一箇の節あらしむべし燈臺より出る六の枝みな是のごとくなるべし 002 EXO 025 036 その節と枝とは其に連ならしめ皆槌にて打て純金をもて造るべし 002 EXO 025 037 又それがために七箇の燈盞を造りその燈盞を上に置てその對向を照さしむべし 002 EXO 025 038 その燈鉗と剪燈盤をも純金ならしむべし 002 EXO 025 039 燈臺と此の諸の器具を造るには純金一タラントを用ふべし 002 EXO 025 040 汝山にて示されし式樣にしたがひて之を作ることに心を用ひよ 002 EXO 026 001 汝また幕屋のために十の幕を造るべしその幕は即ち麻の撚絲靑紫および紅の絲をもて之を造り精巧にケルビムをその上に織出すべし 002 EXO 026 002 一の幕の長は二十八キユビト一の幕の濶は四キユビトなるべし幕は皆その寸尺を同うすべし 002 EXO 026 003 その幕五箇を互に連ねあはせ又その他の幕五箇をも互に連ねあはすべし 002 EXO 026 004 而してその一聯の幕の邊においてその聯絡處の端に靑色の襟を付べし又他の一聯の幕の聯絡處の邊にも斯なすべし 002 EXO 026 005 汝一聯の幕に襟五十をつけ又他の一聯の幕の聯絡處の邊にも襟五十をつけ斯その襟をして彼と此と相對せしむべし 002 EXO 026 006 而して金の鐶五十を造りその鐶をもて幕を連ねあはせて一の幕屋となすべし 002 EXO 026 007 汝また山羊の毛をもて幕をつくりて幕屋の上の蓋となすべし即ち幕十一をつくるべし 002 EXO 026 008 その一箇の幕の長は三十キユビトその一箇の幕の濶は四キユビトなるべし即ちその十一の幕は寸尺を一にすべし 002 EXO 026 009 而してその幕五を一に聯ねまたその幕六を一に聯ねその第六の幕を幕屋の前に摺むべし 002 EXO 026 010 又その一聯の幕の邊すなはちその聯絡處の端に襟五十を付け又他の一聯の幕の聯絡處にも襟五十を付べし 002 EXO 026 011 而して銅の鐶五十を作りその鐶を襟にかけてその幕を聯ねあはせて一となすべし 002 EXO 026 012 その天幕の幕の餘れる遺餘すなはちその餘れる半幕をば幕屋の後に垂しむべし 002 EXO 026 013 天幕の幕の餘れる者は此旁に一キユビト彼旁に一キユビトあり之を幕屋の兩旁此方彼方に垂てこれを蓋ふべし 002 EXO 026 014 汝赤く染たる牡山羊の皮をもて幕屋の蓋をつくりその上に貛の皮の蓋をほどこすべし 002 EXO 026 015 汝合歓木をもて幕屋のために竪板を造るべし 002 EXO 026 016 一枚の板の長は十キユビト一枚の板の濶は一キユビト半なるべし 002 EXO 026 017 板ごとに二の榫をつくりて彼と此と交指しめよ幕屋の板には皆斯のごとく爲べし 002 EXO 026 018 汝幕屋のために板を造るべし即ち南向の方のために板二十枚を作るべし 002 EXO 026 019 而してその二十枚の板の下に銀の座四十を造るべし即ち此板の下にもその二の榫のために二の座あらしめ彼板の下にもその二の榫のために二の座あらしむべし 002 EXO 026 020 幕屋の他の方すなはちその北の方のためにも板二十枚を作るべし 002 EXO 026 021 而してこれに銀の座四十を作り此板の下にも二の座彼板の下にも二の座あらしむべし 002 EXO 026 022 幕屋の後すなはちその西の方のために板六枚を造るべし 002 EXO 026 023 又幕屋の後の兩の隅のために板二枚を造るべし 002 EXO 026 024 その二枚は下にて相合せしめその頂まで一に連ならしむべし一箇の鐶に於て然りその二枚ともに是の如くなるべし其等は二の隅のために設くる者なり 002 EXO 026 025 その板は合て八枚その銀の座は十六座此板にも二の座彼板にも二の座あらしむべし 002 EXO 026 026 汝合歓木をもて横木を作り幕屋の此方の板のために五本を設くべし 002 EXO 026 027 また幕屋の彼方の板のために横木五本を設け幕屋の後すなはちその西の方の板のために横木五本を設くべし 002 EXO 026 028 板の眞中にある中間の横木をば端より端まで通らしむべし 002 EXO 026 029 而してその板に金を着せ金をもて之がために鐶を作りて横木をこれに貫き又その横木に金を着すべし 002 EXO 026 030 汝山にて示されしところのその模範にしたがひて幕屋を建べし 002 EXO 026 031 汝また靑紫紅の線および麻の撚絲をもて幕を作り巧にケルビムをその上に織いだすべし 002 EXO 026 032 而して金を着たる四本の合歓木の柱の上に之を掛べしその鈎は金にしその柱は四の銀の座の上に置べし 002 EXO 026 033 汝その幕を鐶の下に掛け其處にその幕の中に律法の櫃を蔵むべしその幕すなはち汝らのために聖所と至聖所を分たん 002 EXO 026 034 汝至聖所にある律法の櫃の上に贖罪所を置べし 002 EXO 026 035 而してその幕の外に案を置ゑ幕屋の南の方に燈臺を置て案に對はしむべし案は北の方に置べし 002 EXO 026 036 又靑紫紅の線および麻の撚絲をもて幔を織なして幕屋の入口に掛べし 002 EXO 026 037 又その幔のために合歓木をもて柱五本を造りてこれに金を着せその鈎を金にすべし又その柱のために銅をもて五箇の座を鋳べし 002 EXO 027 001 汝合歓木をもて長五キユビト濶五キユビトの壇を作るべしその壇は四角その高は三キユビトなるべし 002 EXO 027 002 その四隅の上に其の角を作りてその角を其より出しめその壇には銅を着すべし 002 EXO 027 003 又灰を受る壷と火鏟と鉢と肉叉と火鼎を作るべし壇の器は皆銅をもて之を作るべし 002 EXO 027 004 汝壇のために銅をもて金網を作りその網の上にその四隅に銅の鐶を四箇作るべし 002 EXO 027 005 而してその網を壇の中程の邊の下に置て之を壇の半に達せしむべし 002 EXO 027 006 又壇のために杠を作るべし即ち合歓木をもて杠を造り銅をこれに着すべし 002 EXO 027 007 その杠を鐶に貫きその杠を壇の兩旁にあらしめて之を舁べし 002 EXO 027 008 壇は汝板をもて之を空に造り汝が山にて示されしごとくにこれを造るべし 002 EXO 027 009 汝また幕屋の庭をつくるべし南に向ひては庭のために南の方に長百キユピトの細布の幕を設けてその一方に當べし 002 EXO 027 010 その二十の柱およびその二十の座は銅にし其柱の鈎およびその桁は銀にすべし 002 EXO 027 011 又北の方にあたりて長百キユビトの幕をその樅に設くべしその二十の柱とその柱の二十の座は銅にし柱の鈎とその桁は銀にすべし 002 EXO 027 012 庭の横すなはちその西の方には五十キユビトの幕を設くべしその柱は十その座も十 002 EXO 027 013 また東に向ひては庭の東の方の濶は五十キユビトにすべし 002 EXO 027 014 而して此一旁に十五キユビトの幕を設くべしその柱は三その座も三 002 EXO 027 015 又彼一旁にも十五キユビトの幕を設くべしその柱は三その座も三 002 EXO 027 016 庭の門のために靑紫紅の線および麻の撚絲をもて織なしたる二十キユビトの幔を設くべしその柱は四その座も四 002 EXO 027 017 庭の四周の柱は皆銀の桁をもて続けその鈎を銀にしその座を銅にすべし 002 EXO 027 018 庭の樅は百キユビトその横は五十キユビト宛その高は五キユビト麻の撚絲をもてつくりなしその座を銅にすべし 002 EXO 027 019 凡て幕屋に用ふるところの諸の器具並にその釘および庭の釘は銅をもて作るべし 002 EXO 027 020 汝又イスラエルの子孫に命じ橄欖を搗て取たる清き油を燈火のために汝に持きたらしめて絶ず燈火をともすべし 002 EXO 027 021 集會の幕屋に於て律法の前なる幕の外にアロンとその子等晩より朝までヱホバの前にその燈火を整ふべし是はイスラエの子孫が世々たえず守るべき定例なり 002 EXO 028 001 汝イスラエルの子孫の中より汝の兄弟アロンとその子等すなはちアロンとその子ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを汝に至らしめて彼をして我にむかひて祭司の職をなさしむべし 002 EXO 028 002 汝また汝の兄弟アロンのために聖衣を製りて彼の身に顯榮と榮光あらしむべし 002 EXO 028 003 汝凡て心に智慧ある者すなはち我が智慧の霊を充しおきたる者等に語りてアロンの衣服を製しめ之を用てアロンを聖別て我に祭司の職をなさしむべし 002 EXO 028 004 彼等が製るべき衣服は是なり即ち胸牌エポデ明衣間格の裏衣頭帽および帶彼等汝の兄弟アロンとその子等のために聖衣をつくりて彼をして祭司の職を我にむかひてなすことをえせしむべし 002 EXO 028 005 即ち彼等金靑紫紅の糸および麻糸をとりて用ふべし 002 EXO 028 006 又金靑紫紅の線および麻の撚糸をもて巧にエポデを織なすべし 002 EXO 028 007 エポデには二の肩帶をほどこしその兩の端を連ねて之を合すべし 002 EXO 028 008 エポデの上にありてこれを束ぬるところの帶はその物同うしてエポデの製のごとくにすべし即ち金靑紫紅の糸および麻の撚糸をもてこれを作るべし 002 EXO 028 009 汝二箇の葱珩をとりてその上にイスラエルの子等の名を鐫つくべし 002 EXO 028 010 即ち彼等の誕生にしたがひてその名六を一の玉に鐫りその遺餘の名六を外の玉に鐫べし 002 EXO 028 011 玉に雕刻する人の印を刻が如くに汝イスラエルの子等の名をその二の玉に鐫つけその玉を金の槽に嵌べし 002 EXO 028 012 この二の玉をエポデの肩帶の上につけてイスラエルの子等の記念の玉とならしむべし即ちアロン、ヱホバの前において彼等の名をその兩の肩に負て記念とならしむべし 002 EXO 028 013 汝金の槽を作るべし 002 EXO 028 014 而して純金を組て紐の如き二箇の鏈を作りその組る鏈をかの槽につくべし 002 EXO 028 015 汝また審判の胸牌を巧に織なしエポデの製のごとくに之をつくるべし即ち金靑紫紅の線および麻の撚糸をもてこれを製るべし 002 EXO 028 016 是は四角にして二重なるべく其長は半キユビトその濶も半キユビトなるべし 002 EXO 028 017 汝またその中に玉を嵌て玉を四行にすべし即ち赤玉黄玉瑪瑙の一行を第一行とすべし 002 EXO 028 018 第二行は紅玉靑玉金剛石 002 EXO 028 019 第三行は深紅玉 白瑪瑙 紫玉 002 EXO 028 020 第四行は黄緑玉 葱珩 碧玉 凡て金の槽の中にこれを嵌べし 002 EXO 028 021 その玉はイスラエルの子等の名に循ひその名のごとくにこれを十二にすべし而してその十二の支派の各々の名は印を刻ごとくにこれを鐫つくべし 002 EXO 028 022 汝純金を紐のごとくに組たる鏈を胸牌の上につくべし 002 EXO 028 023 また胸牌の上に金の環二箇を作り胸牌の兩の端にその二箇の環をつけ 002 EXO 028 024 かの金の紐二條を胸牌の端の二箇の環につくべし 002 EXO 028 025 而してその二條の紐の兩の端を二箇の槽に結ひエポデの肩帶の上につけてその前にあらしむべし 002 EXO 028 026 又二箇の金の環をつくりて之を胸牌の兩の端につくべし即ちそのエポデに對ふところの内の邊に之をつくべし 002 EXO 028 027 汝また金の環二箇を造りてこれをエポデの兩旁の下の方につけその前の方にてその聯接る處に對ひてエポデの帶の上にあらしむべし 002 EXO 028 028 胸牌は靑紐をもてその環によりて之をエポデの環に結ひつけエポデの帶の上にあらしむべし然せば胸牌エポデを離るること無るべし 002 EXO 028 029 アロン聖所に入る時はその胸にある審判の胸牌にイスラエルの子等の名を帶てこれをその心の上に置きヱホバの前に恒に記念とならしむべし 002 EXO 028 030 汝審判の胸牌にウリムとトンミムをいれアロンをしてそのヱホバの前に入る時にこれをその心の上に置しむべしアロンはヱホバの前に常にイスラエルの子孫の審判を帶てその心の上に置べし 002 EXO 028 031 エポデに屬する明衣は凡てこれを靑く作るべし 002 EXO 028 032 頭をいるる孔はその眞中に設くべし又その孔の周圍には織物の縁をつけて鎧の領盤のごとくになして之を綻びざらしむべし 002 EXO 028 033 その裾には靑紫紅の糸をもて石榴をつくりてその裾の周圍につけ又四周に金の鈴をその間々につくべし 002 EXO 028 034 即ち明衣の据には金の鈴に石榴又金の鈴に石榴とその周圍につくべし 002 EXO 028 035 アロン奉事をなす時にこれを著べし彼が聖所にいりてヱホバの前に至る時また出きたる時にはその鈴の音聞ゆべし斯せば彼死ることあらじ 002 EXO 028 036 汝純金をもて一枚の前板を作り印を刻がごとくにその上にヱホバに聖と鐫つけ 002 EXO 028 037 之を靑紐につけて頭帽の上にあらしむべし即ち頭帽の前の方にこれをつくべし 002 EXO 028 038 是はアロンの額にあるべしアロンはイスラエルの子孫が献ぐるところの聖物すなはちその献ぐる諸の聖き供物の上にあるとこるの罪を負べしこの板をば常にアロンの額にあらしむべし是ヱホバの前に其等の受納られんためなり 002 EXO 028 039 汝麻糸をもて裏衣を間格に織り麻糸をもて頭帽を製りまた帶を繍工に織なすべし 002 EXO 028 040 汝またアロンの子等のために裏衣を製り彼らのために帶を製り彼らのために頭巾を製りてその身に顯榮と榮光あらしむべし 002 EXO 028 041 而して汝これを汝の兄弟アロンおよび彼とともなるその子等に着せ膏を彼等に灌ぎこれを立てこれを聖別てこれをして祭司の職を我になさしむべし 002 EXO 028 042 又かれらのためにその陰所を蔽ふ麻の褌を製り腰より髀に達らしむべし 002 EXO 028 043 アロンとその子等は集會の幕屋に入る時又は祭壇に近づきて聖所に職事をなす時はこれを著べし斯せば愆をかうむりて死ることなからん是は彼および彼の後の子孫の永く守るべき例なり 002 EXO 029 001 汝かれらを聖別て彼らをして我にむかひて祭司の職をなさしむるには斯これに爲べし即ち若き牡牛と二の全き牡山羊を取り 002 EXO 029 002 無酵パン油を和たる無酵菓子および油を塗たる無酵煎餅を取べし是等は麥粉をもて製るべし 002 EXO 029 003 而してこれを一箇の筐にいれ牡牛および二の牡山羊とともにこれをその筐のままに持きたるべし 002 EXO 029 004 汝またアロンとその子等を集會の幕屋の口に携きたりて水をもてかれらを洗ひ清め 002 EXO 029 005 衣服をとりて裏衣エポデに屬する明衣エポデおよび胸牌をアロンに着せエポデの帶を之に帶しむべし 002 EXO 029 006 而してかれの首に頭帽をかむらせその頭帽の上にかの聖金板を戴しめ 002 EXO 029 007 灌油を取てこれを彼の首に傾け灌ぐべし 002 EXO 029 008 又かれの子等を携來りて之に裏衣を着せ 002 EXO 029 009 之に帶を帶しめ頭巾をこれにかむらすべし即ちアロンとその子等に斯なすべし祭司の職はかれらに歸す永くこれを例となすべし汝斯アロンとその子等を立べし 002 EXO 029 010 汝集會の幕屋の前に牡牛をひき來らしむべし而してアロンとその子等その牡牛の頭に手を按べし 002 EXO 029 011 かくして汝集會の幕屋の口にてヱホバの前にその牡牛を宰すべし 002 EXO 029 012 汝その牡牛の血をとり汝の指をもてこれを壇の角に塗りその血をばことごとく壇の下に灌ぐべし 002 EXO 029 013 汝またその臓腑を裏むところの諸の脂肝の上の網膜および二の腎とその上の脂を取てこれを壇の上に燔べし 002 EXO 029 014 但しその牡牛の肉とその皮および糞は營の外にて火に燒べし是は罪祭なり 002 EXO 029 015 汝かの牡山羊一頭を取るべし而してアロンとその子等その牡山羊の上に手を按べし 002 EXO 029 016 汝その牡山羊を宰しその血をとりてこれを壇の上の周圍に灌ぐべし 002 EXO 029 017 汝その牡山羊を切割きその臓腑とその足を洗ひて之をその肉の塊とその頭の上におくべし 002 EXO 029 018 汝その牡山羊を壇の上に悉く燒べし是ヱホバにたてまつる燔祭なり是は馨しき香にしてヱホバにたてまつる火祭なり 002 EXO 029 019 汝また今一の牡山羊をとるべし而してアロンとその子等その牡山羊の頭の上に手を按べし 002 EXO 029 020 汝すなはちその牡山羊を殺しその血をとりてこれをアロンの右の耳の端およびその子等の右の耳の端につけ又その右の手の大指と右の足の栂指につけその血を壇の周圍に灌ぐべし 002 EXO 029 021 又壇の上の血をとり灌油をとりて之をアロンとその衣服およびその子等とその子等の衣服に灌ぐべし斯彼とその衣服およびその子等とその子等の衣服清淨なるべし 002 EXO 029 022 汝その牡山羊の脂と脂の尾および其臓腑を裏る脂肝の上の網膜二箇の腎と其上の脂および右の腿を取べし是は任職の牡山羊なり 002 EXO 029 023 汝またヱホバの前にある無酵パンの筐の中よりパン一個と油ぬりたる菓子一箇と煎餅一個を取べし 002 EXO 029 024 汝これらを悉くアロンの手と其子等の手に授けこれを搖てヱホバに搖祭となすべし 002 EXO 029 025 而して汝これらを彼等の手より取て壇の上にて燔祭にくはへて燒くべし是ヱホバの前に馨しき香となるべし是すなはちヱホバにたてまつる火祭なり 002 EXO 029 026 汝またアロンの任職の牡山羊の胸を取てこれをヱホバの前に搖て搖祭となすべし是汝の受るところの分なり 002 EXO 029 027 汝その搖ところの搖祭の物の胸およびその擧るところの擧祭の物の腿すなはちアロンとその子等の任職の牡山羊の胸と腿を聖別つべし 002 EXO 029 028 是はアロンとその子等に歸すべしイスラエルの子孫永くこの例を守るべきなり是はイスラエルの子孫が酬恩祭の犠牲の中よりとるところの擧祭にしてヱホバになすところの擧祭なり 002 EXO 029 029 アロンの聖衣は其後の子孫に歸すべし子孫これを着て膏をそそがれ職に任ぜらるべきなり 002 EXO 029 030 アロンの子孫の中彼にかはりて祭司となり集會の幕屋にいりて聖所に職をなす者は先七日の間これを着べし 002 EXO 029 031 汝任職の牡山羊を取り聖所にてその肉を煮べし 002 EXO 029 032 アロンとその子等は集會の幕屋の戸口においてその牡山羊の肉と筐の中のパンを食ふべし 002 EXO 029 033 罪を贖ふ物すなはち彼らを立て彼らを聖別るに用るところの物を彼らは食ふべし餘の人は食ふべからず其は聖物なればなり 002 EXO 029 034 もし任職の肉あるひはパン旦まで遺りをらばその遺者は火をもてこれを燒べし是は聖ければ食ふべからず 002 EXO 029 035 汝わが凡て汝に命ずるごとくにアロンとその子等に斯なすべし即ちかれらのために七日のあひだ任職の禮をおこなふべし 002 EXO 029 036 汝日々に罪祭の牡牛一頭をささげて贖をなすべし又壇のために贖罪をなしてこれを清めこれに膏を灌ぎこれを聖別べし 002 EXO 029 037 汝七日のあひだ壇のために贖をなして之を聖別め至聖き壇とならしむべし凡て壇に捫る者は聖なるべし 002 EXO 029 038 汝が壇の上にささぐべき者は是なり即ち一歳の羔二を日々絶ず献ぐべし 002 EXO 029 039 一の羔は朝にこれを献げ一の羔は夕にこれを献べし 002 EXO 029 040 一の羔に麥粉十分の一に搗たる油一ヒンの四分の一を和たるを添へ又灌祭として酒一ヒンの四分の一を添べし 002 EXO 029 041 今一の羔羊は夕にこれを献げ朝とおなじき素祭と灌祭をこれと共にささげ馨しき香とならしめヱホバに火祭たらしむべし 002 EXO 029 042 是すなはち汝らが代々絶ず集會の幕屋の門口にてヱホバの前に献ぐべき燔祭なり我其處にて汝等に會ひ汝と語ふべし 002 EXO 029 043 其處にて我イスラエルの子孫に會ん幕屋はわが榮光によりて聖なるべし 002 EXO 029 044 我集會の幕屋と祭壇を聖めん亦アロンとその子等を聖めて我に祭司の職をなさしむべし 002 EXO 029 045 我イスラエルの子孫の中に居て彼らの神とならん 002 EXO 029 046 彼等は我が彼らの神ヱホバにして彼等の中に住んとて彼等をエジプトの地より導き出せし者なることを知ん我はかれらの神ヱホバなり 002 EXO 030 001 汝香を焚く壇を造るべし即ち合歓木をもてこれを造るべし 002 EXO 030 002 その長は一キユビトその寛も一キユビトにして四角ならしめ其高は三キユビトにし其角は其より出しむべし 002 EXO 030 003 而してその上その四傍その角ともに純金を着せその周圍に金の縁を作るべし 002 EXO 030 004 汝またその兩面に金の縁の下に金の環二箇を之がために作るべし即ちその兩傍にこれを作るべし是すなはちこれを舁ところの杠を貫く所なり 002 EXO 030 005 その杠は合歓木をもてこれを作りて之に金を着すべし 002 EXO 030 006 汝これを律法の櫃の傍なる幕の前に置て律法の上なる贖罪所に對はしむべし其處はわが汝に會ふ處なり 002 EXO 030 007 アロン朝ごとにその上に馨しき香を焚べし彼燈火を整ふる時はその上に香を焚べきなり 002 EXO 030 008 アロン夕に燈火を燃す時はその上に香を焚べし是香はヱホバの前に汝等が代々絶すべからざる者なり 002 EXO 030 009 汝等その上に異る香を焚べからず燔祭をも素祭をも獻ぐべからず又その上に灌祭の酒を灌ぐべからず 002 EXO 030 010 アロン年に一回贖罪の罪祭の血をもてその壇の角のために贖をなすべし汝等代々年に一度是がために贖をなすべし是はヱホバに最も聖き者たるなり 002 EXO 030 011 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 002 EXO 030 012 汝がイスラエルの子孫の數を數へしらぶるにあたりて彼等は各人その數へらるる時にその生命の贖をヱホバにたてまつるべし是はその數ふる時にあたりて彼等の中に災害のあらざらんためなり 002 EXO 030 013 凡て數へらるる者の中に入る者は聖所のシケルに遵ひて半シケルを出すべし一シケルは二十ゲラなり即ち半シケルをヱホバにたてまつるべし 002 EXO 030 014 凡て數へらるる者の中に入る者即ち二十歳以上の者はヱホバに献納物をなすべし 002 EXO 030 015 汝らの生命を贖ふためにヱホバに献納物をなすにあたりては富者も半シケルより多く出すべからず貧者も其より少く出すべからず 002 EXO 030 016 汝イスラエルの子孫より贖の金を取てこれを幕屋の用に供ふべし是はヱホバの前にイスラエルの子孫の記念となりて汝ら生命を贖ふべし 002 EXO 030 017 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 002 EXO 030 018 汝また銅をもて洗盤をつぐりその臺をも銅になして洗ふことのために供へ之を集會の幕屋と壇との間に置てその中に水をいれおくべし 002 EXO 030 019 アロンとその子等はそれに就て手と足を洗ふべし 002 EXO 030 020 彼等は集會の幕屋に入る時に水をもて洗ふことを爲て死をまぬかるべし亦壇にちかづきてその職をなし火祭をヱホバの前に焚く時も然すべし 002 EXO 030 021 即ち斯その手足を洗ひて死を免かるべし是は彼とその子孫の代々常に守るべき例なり 002 EXO 030 022 ヱホバまたモーセに言たまひけるは 002 EXO 030 023 汝また重立たる香物を取れ即ち淨沒薬五百シケル香しき肉桂その半二百五十シケル香しき菖蒲二百五十シケル 002 EXO 030 024 桂枝五百シケルを聖所のシケルに遵ひて取り又橄欖の油ヒンを取べし 002 EXO 030 025 汝これをもて聖灌膏を製るべしすなはち薫物を製る法にしたがひて香膏を製るべし是は聖灌膏たるなり 002 EXO 030 026 汝これを集會の幕屋と律法の櫃に塗り 002 EXO 030 027 案とそのもろもろの器具燈臺とそのもろもろの器具および香壇 002 EXO 030 028 並に燔祭の壇とそのもろもろの器具および洗盤とその臺とに塗べし 002 EXO 030 029 汝是等を聖めて至聖らしむべし凡てこれに捫る者は聖くならん 002 EXO 030 030 汝アロンとその子等に膏をそそぎて之を立て彼らをして我に祭司の職をなさしむべし 002 EXO 030 031 汝イスラエルの子孫に告ていふべし是は汝らが代々我の爲に用ふべき聖灌膏なり 002 EXO 030 032 是は人の身に灌ぐべからず汝等また此量をもて是に等き物を製るべからず是は聖し汝等これを聖物となすべし 002 EXO 030 033 凡て之に等き物を製る者凡てこれを餘人につくる者はその民の中より絶るべし 002 EXO 030 034 ヱホバ、モーセに言たまはく汝ナタフ、シケレテ、へルベナの香物を取りその香物を淨き乳香に和あはすべしその量は各等からしむべきなり 002 EXO 030 035 汝これを以て香を製るべし即ち薫物を製る法にしたがひてこれをもて薫物を製り鹽をこれにくはへ潔く且聖らしむべし 002 EXO 030 036 汝またその幾分を細に搗て我が汝に會ふところなる集會の幕屋の中にある律法の前にこれを供ふべし是は汝等において最も聖き者なり 002 EXO 030 037 汝が製るところの香は汝等その量をもてこれを自己のために製るべからず是は汝においてヱホバのために聖き者たるなり 002 EXO 030 038 凡て是に均き者を製りてこれを嗅ぐ者はその民の中より絶るべし 002 EXO 031 001 ヱホバ、モーセに告て言たまひけるは 002 EXO 031 002 我ユダの支派のホルの子なるウリの子ベザレルを名指て召し 002 EXO 031 003 神の霊をこれに充して智慧と了知と智識と諸の類の工に長しめ 002 EXO 031 004 奇巧を盡して金銀及び銅の作をなすことを得せしめ 002 EXO 031 005 玉を切り嵌め木に彫刻みて諸の類の工をなすことを得せしむ 002 EXO 031 006 視よ我またダンの支派のアヒサマクの子アホリアブを與へて彼とともならしむ凡て心に智ある者に我智慧を授け彼等をして我が汝に命ずる所の事を盡くなさしむべし 002 EXO 031 007 即ち集會の幕屋律法の櫃その上の贖罪所幕屋の諸の器具 002 EXO 031 008 案ならびにその器具純金の燈臺とその諸の器具および香壇 002 EXO 031 009 燔祭の壇とその諸の器具洗盤とその臺 002 EXO 031 010 供職の衣服祭司の職をなす時に用ふるアロンの聖衣およびその子等の衣服 002 EXO 031 011 および灌膏ならびに聖所の馨しき香是等を我が凡て汝に命ぜしごとくに彼等製造べきなり 002 EXO 031 012 ヱホバ、モーセに告て言たまひけるは 002 EXO 031 013 汝イスラエルの子孫に告て言べし汝等かならず吾安息日を守るべし是は我と汝等の間の代々の徴にして汝等に我の汝等を聖からしむるヱホバなるを知しむる爲の者なればなり 002 EXO 031 014 即ち汝等安息日を守るべし是は汝等に聖日なればなり凡て之を瀆す者は必ず殺さるべし凡てその日に働作をなす人はその民の中より絶るべし 002 EXO 031 015 六日の間業をなすべし第七日は大安息にしてヱホバに聖なり凡て安息日に働作をなす者は必ず殺さるべし 002 EXO 031 016 斯イスラエルの子孫は安息日を守り代々安息日を祝ふべし是永遠の契約なり 002 EXO 031 017 是は永久に我とイスラエルの子孫の間の徴たるなり其はヱホバ六日の中に天地をつくりて七日に休みて安息に入たまひたればなり 002 EXO 031 018 ヱホバ、シナイ山にてモーセに語ることを終たまひし時律法の板二枚をモーセに賜ふ是は石の板にして神が手をもて書したまひし者なり 002 EXO 032 001 茲に民モーセが山を下ることの遅きを見民集りてアロンの許に至り之に言けるは起よ汝われらを導く神を我儕のために作れ其は我らをエジプトの國より導き上りし彼モーセ其人は如何になりしか知ざればなり 002 EXO 032 002 アロンかれらに言けるは汝等の妻と息子息女等の耳にある金の環をとりはづして我に持きたれと 002 EXO 032 003 是において民みなその耳にある金の環をとりはづしてアロンの許に持來りければ 002 EXO 032 004 アロンこれを彼等の手より取り鎚鑿をもて之が形を造りて犢を鋳なしたるに人々言ふイスラエルよ是は汝をエジプトの國より導きのぼりし汝の神なりと 002 EXO 032 005 アロンこれを見てその前に壇を築き而してアロン宣告て明日はヱホバの祭禮なりと言ふ 002 EXO 032 006 是において人衆明朝早く起いでて燔祭を献げ酬恩祭を供ふ民坐して飮食し起て戯る 002 EXO 032 007 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝往て下れよ汝がエジプトの地より導き出せし汝の民は惡き事を行ふなり 002 EXO 032 008 彼等は早くも我が彼等に命ぜし道を離れ己のために犢を鋳なしてそれを拝み其に犠牲を献げて言ふイスラエルよ是は汝をエジプトの地より導きのぼりし汝の神なりと 002 EXO 032 009 ヱホバまたモーセに言たまひけるは我この民を觀たり視よ是は項の強き民なり 002 EXO 032 010 然ば我を阻るなかれ我かれらに向ひて怒を發して彼等を滅し盡さん而して汝をして大なる國をなさしむべし 002 EXO 032 011 モ-セその神ヱホバの面を和めて言けるはヱホバよ汝などて彼の大なる權能と強き手をもてエジプトの國より導きいだしたまひし汝の民にむかひて怒を發したまふや 002 EXO 032 012 何ぞエジプト人をして斯言しむべけんや曰く彼は禍をくだして彼等を山に殺し地の面より滅し盡さんとて彼等を導き出せしなりと然ば汝の烈き怒を息め汝の民にこの禍を下さんとせしを思ひ直したまへ 002 EXO 032 013 汝の僕アブラハム、イサク、イスラエルを憶ひたまへ汝は自己さして彼等に誓ひて我天の星のごとくに汝等の子孫を増し又わが言ところの比地をことごとく汝等の子孫にあたへて永くこれを有たしめんと彼等に言たまへりと 002 EXO 032 014 ヱホバ是においてその民に禍を降んとせしを思ひ直したまへり 002 EXO 032 015 モーセすなはち身を轉して山より下れりかの律法の二枚の板その手にあり此板はその兩面に文字あり即ち此面にも彼面にも文字あり 002 EXO 032 016 此板は神の作なりまた文字は神の書にして板に彫つけてあり 002 EXO 032 017 ヨシユア民の呼はる聲を聞てモーセにむかひ營中に戰爭の聲すと言ければ 002 EXO 032 018 モーセ言ふ是は勝鬨の聲にあらず又敗北の號呼聲にもあらず我が聞ところのものは歌唱ふ聲なりと 002 EXO 032 019 斯てモ-セ營に近づくに及びて犢と舞跳を見たれば怒を發してその手よりかの板を擲ちこれを山の下に碎けり 002 EXO 032 020 而して彼等が作りし犢をとりてこれを火に燒き碎きて粉となしてこれを水に撒きイスラエルの子孫に之をのましむ 002 EXO 032 021 モーセ、アロンに言けるは此民汝に何をなしてか汝かれらに大なる罪を犯させしや 002 EXO 032 022 アロン言けるは吾主よ怒を發したまふ勿れ此民の惡なるは汝の知ところなり 002 EXO 032 023 彼等われに言けらく我らを導く神をわれらのために作れ其は我らをエジプトの國より導き上りし彼モーセ其人は如何になりしか知ざればなりと 002 EXO 032 024 是において我凡て金をもつ者はそれをとりはづせと彼等に言ければ則ちそれを我に與へたり我これを火に投たれば此犢出きたれりと 002 EXO 032 025 モーセ民を視るに縦肆に事をなすアロン彼等をして縦肆に事をなさしめたれば彼等はその敵の中に嘲笑となれるなり 002 EXO 032 026 茲にモーセ營の門に立ち凡てヱホバに歸する者は我に來れと言ければレビの子孫みな集りてかれに至る 002 EXO 032 027 モーセすなはち彼等に言けるはイスラエルの神ヱホバ斯言たまふ汝等おのおの劍を横たへて門より門と營の中を彼處此處に行めぐりて各人その兄弟を殺し各人その伴侶を殺し各人その隣人を殺すべしと 002 EXO 032 028 レビの子孫すなはちモーセの言のごとくに爲たればその日民凡三千人殺されたり 002 EXO 032 029 是に於てモーセ言ふ汝等おのおのその子をもその兄弟をも顧ずして今日ヱホバに身を献げ而して今日福祉を得よ 002 EXO 032 030 明日モーセ民に言けるは汝等は大なる罪を犯せり今我ヱホバの許に上りゆかんとす我なんちらの罪を贖ふを得ることもあらん 002 EXO 032 031 モーセすなはちヱホバに歸りて言けるは嗚呼この民の罪は大なる罪なり彼等は自己のために金の神を作れり 002 EXO 032 032 然どかなはば彼等の罪を赦したまへ然ずば願くは汝の書しるしたまへる書の中より吾名を抹さりたまへ 002 EXO 032 033 ヱホバ、モーセに言たまひけるは凡てわれに罪を犯す者をば我これをわが書より抹さらん 002 EXO 032 034 然ば今往て民を我が汝につげたる所に導けよ吾使者汝に先だちて往ん但しわが罰をなこなふ日には我かれらの罪を罰せん 002 EXO 032 035 ヱホバすなはち民を撃たまへり是はかれら犢を造りたるに因る即ちアロンこれを造りしなり 002 EXO 033 001 茲にヱホバ、モーセに言たまひけるは汝と汝がエジプトの國より導き上りし民此を起いでて我がアブラハム、イサク、ヤコブに誓ひて之を汝の子孫に與へんと言しその地に上るべし 002 EXO 033 002 我一の使を遣して汝に先だたしめん我カナン人アモリ人ヘテ人ペリジ人ヒビ人ヱブス人を逐はらひ 002 EXO 033 003 なんぢらをして乳と蜜の流るる地にいたらしむべし我は汝の中にをりては共に上らじ汝は項の強き民なれば恐くは我途にて汝を滅すにいたらん 002 EXO 033 004 民この惡き告を聞て憂へ一人もその妝飾を身につくる者なし 002 EXO 033 005 ヱホバ、モーセに言たまひけるはイスラエルの子孫に言へ汝等は項の強き民なり我もし一刻も汝の中にありて往ば汝を滅すにいたらん然ば今汝らの妝飾を身より取すてよ然せば我汝に爲べきことを知んと 002 EXO 033 006 是をもてイスラエルの子孫ホレブ山より以來はその妝飾を取すてて居ぬ 002 EXO 033 007 モーセ幕屋をとりてこれを營の外に張て營と遥に離れしめ之を集會の幕屋と名けたり凡てヱホバに求むることのある者は出ゆきて營の外なるその集會の幕屋にいたる 002 EXO 033 008 モーセの出て幕屋にいたる時には民みな起あがりてモーセが幕屋にいるまで各々その天幕の門口に立てかれを見る 002 EXO 033 009 モーセ幕屋にいれば雲の柱くだりて幕屋の門口に立つ而してヱホバ、モーセとものいひたまふ 002 EXO 033 010 民みな幕屋の門口に雲の柱の立つを見れば民みな起て各人その天幕の門口にて拝をなす 002 EXO 033 011 人がその友に言談ごとくにヱホバ、モーセと面をあはせてものいひたまふモーセはその天幕に歸りしがその僕なる少者ヌンの子ヨシユアは幕屋を離れざりき 002 EXO 033 012 茲にモーセ、ヱホバに言けるは視たまへ汝はこの民を導き上れと我に言たまひながら誰を我とともに遣したまふかを我にしらしめたまはず汝かつて言たまひけらく我名をもて汝を知る汝はまた我前に恩を得たりと 002 EXO 033 013 然ば我もし誠に汝の目の前に恩を得たらば願くは汝の道を我に示して我に汝を知しめ我をして汝の目の前に恩を得せしめたまへ又汝この民の汝の有なるを念たまへ 002 EXO 033 014 ヱホバ言たまひけるは我親汝と共にゆくべし我汝をして安泰にならしめん 002 EXO 033 015 モーセ、ヱホバに言けるは汝もしみづから行たまはずは我等を此より上らしめたまふ勿れ 002 EXO 033 016 我と汝の民とが汝の目の前に恩を得ることは如何にして知るべきや是汝が我等とともに往たまひて我と汝の民とが地の諸の民に異る者となるによるにあらずや 002 EXO 033 017 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝が言るこの事をも我爲ん汝はわが目の前に恩を得たればなり我名をもて汝を知なり 002 EXO 033 018 モーセ願くは汝の榮光を我に示したまへと言ければ 002 EXO 033 019 ヱホバ言たまはく我わが諸の善を汝の前に通らしめヱホバの名を汝の前に宣ん我は惠んとする者を惠み憐まんとする者を憐むなり 002 EXO 033 020 又言たまはく汝はわが面を見ることあたはず我を見て生る人あらざればなり 002 EXO 033 021 而してヱホバ言たまひけるは視よ我が傍に一の處あり汝磐の上に立べし 002 EXO 033 022 吾榮光其處を過る時に我なんぢを磐の穴にいれ我が過る時にわが手をもて汝を蔽はん 002 EXO 033 023 而してわが手を除る時に汝わが背後を見るべし吾面は見るべきにあらず 002 EXO 034 001 茲にヱホバ、モーセに言たまひけるは汝石の板二枚を前のごとくに斫て作れ汝が碎きし彼の前の板にありし言を我その板に書さん 002 EXO 034 002 詰朝までに準備をなし朝の中にシナイ山に上り山の嶺に於て吾前に立て 002 EXO 034 003 誰も汝とともに上るべからず又誰も山の中に居べからず又その山の前にて羊や牛を牧ふべからず 002 EXO 034 004 モーセすなはち石の板二枚を前のごとくに斫て造り朝早く起て手に二枚石の板をとりヱホバの命じたまひしごとくにシナイ山にのぼりゆけり 002 EXO 034 005 ヱホバ雲の中にありて降り彼とともに其處に立ちてヱホバの名を宣たまふ 002 EXO 034 006 ヱホバすなはち彼の前を過て宣たまはくヱホバ、ヱホバ憐憫あり恩惠あり怒ることの遅く恩惠と眞實の大なる神 002 EXO 034 007 恩惠を千代までも施し惡と過と罪とを赦す者又罰すべき者をば必ず赦すことをせず父の罪を子に報い子の子に報いて三四代におよぼす者 002 EXO 034 008 モーセ急ぎ地に躬を鞠めて拝し 002 EXO 034 009 言けるはヱホバよ我もし汝の目の前に恩を得たらば願くは主我等の中にいまして行たまへ是は項の強き民なればなり我等の惡と罪を赦し我等を汝の所有となしたまへ 002 EXO 034 010 ヱホバ言たまふ視よ我契約をなす我未だ全地に行はれし事あらず何の國民の中にも行はれし事あらざるところの奇跡を汝の總躰の民の前に行ふべし汝が住ところの國の民みなヱホバの所行を見ん我が汝をもて爲ところの事は怖るべき者なればなり 002 EXO 034 011 汝わが今日汝に命ずるところの事を守れ視よ我アモリ人カナン人ヘテ人ペリジ人ヒビ人ヱブス人を汝の前より逐はらふ 002 EXO 034 012 汝みづから愼め汝が往ところの國の居民と契約をむすぶべからず恐くは汝の中において機檻となることあらん 002 EXO 034 013 汝らかへつて彼等の祭壇を崩しその偶像を毀ちそのアシラ像を斫たふすべし 002 EXO 034 014 汝は他の神を拝むべからず其はヱホバはその名を嫉妒と言て嫉妒神たればたり 002 EXO 034 015 然ば汝その地の居民と契約を結ぶべからず恐くは彼等がその神々を慕ひて其と姦淫をおこなひその神々に犠牲をささぐる時に汝を招きてその犠牲に就て食はしむる者あらん 002 EXO 034 016 又恐くは汝かれらの女子等を汝の息子等に妻すことありて彼等の女子等その神々を慕ひて姦淫を行ひ汝の息子等をして彼等の神々を慕て姦淫をおこなはしむるにいたらん 002 EXO 034 017 汝おのれのために神々を鋳なすべからず 002 EXO 034 018 汝無酵パンの節筵を守るべし即ち我が汝に命ぜしごとくアビブの月のその期におよびて七日の間無酵パンを食ふべし其は汝アビブの月にエジプトより出たればなり 002 EXO 034 019 首出たる者は皆吾の所有なり亦汝の家畜の首出の牡たる者も牛羊ともに皆しかり 002 EXO 034 020 但し驢馬の首出は羔羊をもて贖ふべし若し贖はずばその頸を折べし汝の息子の中の初子は皆贖ふべし我前に空手にて出るものあるべからず 002 EXO 034 021 六日の間汝働作をなし第七日に休むべし耕耘時にも収穫時にも休むべし 002 EXO 034 022 汝七週の節筵すなはち麥秋の初穂の節筵を爲し又年の終に収蔵の節筵をなすべし 002 EXO 034 023 年に三回汝の男子みな主ヱホバ、イスラエルの神の前に出べし 002 EXO 034 024 我國々の民を汝の前より逐はらひて汝の境を廣くせん汝が年に三回のぼりて汝の神ヱホバのまへに出る時には誰も汝の國を取んとする者あらじ 002 EXO 034 025 汝わが犠牲の血を有酵パンとともに供ふべからず又逾越の節の犠牲は明朝まで存しおくべからざるなり 002 EXO 034 026 汝の土地の初穂の初を汝の神ヱホバの家に携ふべし汝山羊羔をその母の乳にて煮べからず 002 EXO 034 027 斯てヱホバ、モーセに言たまひけるは汝是等の言語を書しるせ我是等の言語をもて汝およびイスラエルと契約をむすべばなり 002 EXO 034 028 彼はヱホバとともに四十日四十夜其處に居しが食物をも食ず水をも飮ざりきヱホバその契約の詞なる十誡をかの板の上に書したまへり 002 EXO 034 029 モーセその律法の板二枚を己の手に執てシナイ山より下りしがその山より下りし時にモーセはその面の己がヱホバと言ひしによりて光を發つを知ざりき 002 EXO 034 030 アロンおよびイスラエルの子孫モーセを見てその面の皮の光を發つを視怖れて彼に近づかざりしかば 002 EXO 034 031 モーセかれらを呼りアロンおよび會衆の長等すなはちモーセの所に歸りたればモーセ彼等と言ふ 002 EXO 034 032 斯ありて後イスラエルの子孫みな近よりければモーセ、ヱホバがシナイ山にて己に告たまひし事等を盡くこれに諭せり 002 EXO 034 033 モーセかれらと語ふことを終て覆面帕をその面にあてたり 002 EXO 034 034 但しモーセはヱホバの前にいりてともに語ることある時はその出るまで覆面帕を除きてをりまた出きたりてその命ぜられし事をイスラエルの子孫に告ぐ 002 EXO 034 035 イスラエルの子孫モーセの面を見るにモーセの面の皮光を發つモーセは入てヱホバと言ふまでまたその覆面帕を面にあてをる 002 EXO 035 001 モーセ、イスラエルの子孫の會衆を盡く集てこれに言ふ是はヱホバが爲せと命じたまへる言なり 002 EXO 035 002 即ち六日の間は働作を爲べし第七日は汝等の聖日ヱホバの大安息日なり凡てこの日に働作をなす者は殺さるべし 002 EXO 035 003 安息日には汝等の一切の住處に火をたく可らず 002 EXO 035 004 モーセ、イスラエルの子孫の會衆に徧く告て言ふ是はヱホバの命じたまへるところの事なり 002 EXO 035 005 曰く汝等が有る物の中より汝等ヱホバに献ぐる者を取べし凡て心より願ふ者に其を携へきたりてヱホバに献ぐべし即ち金 銀 銅 002 EXO 035 006 靑 紫 紅の線 麻糸 山羊の毛 002 EXO 035 007 赤染の牡羊の皮 貛の皮 合歓木 002 EXO 035 008 燈油 灌膏と馨しき香をつくる香物 002 EXO 035 009 葱珩 エポデと胸牌に嵌る玉 002 EXO 035 010 凡て汝等の中の心に智慧ある者來りてヱホバの命じたまひし者を悉く造るべし 002 EXO 035 011 即ち幕屋その天幕その頂蓋その鈎その版その横木その柱その座 002 EXO 035 012 かの櫃とその杠 贖罪所 障蔽の幕 002 EXO 035 013 案子とその杠およびその諸の器具供前のパン 002 EXO 035 014 燈明の臺その器具とその盞および燈火の油 002 EXO 035 015 香壇とその杠 灌膏 馨しき香 幕屋の入口の幔 002 EXO 035 016 燔祭の壇およびその銅の網その杠その諸の器具洗盤とその臺 002 EXO 035 017 庭の幕その柱その座庭の口の幔 002 EXO 035 018 幕屋の釘庭の釘およびその紐 002 EXO 035 019 聖所にて職をなすところの供職の衣即ち祭司の職をなす時に用ふる者なる祭司アロンの聖衣および其子等の衣服 002 EXO 035 020 斯てイスラエルの子孫の會衆みなモーセの前を離れて去しが 002 EXO 035 021 凡て心に感じたる者凡て心より願ふ者は來りてヱホバへの献納物を携へいたり集會の幕屋とその諸の用に供へ又聖衣のために供へたり 002 EXO 035 022 即ち凡て心より願ふ者は男女ともに環釦 耳環 指環 頸玉 諸の金の物を携へいたれり又凡て金の献納物をヱホバに爲す者も然せり 002 EXO 035 023 凡て靑 紫 紅の線および麻絲 山羊の毛 赤染の牡羊の皮 貛の皮ある者は是を携へいたり 002 EXO 035 024 凡て銀および銅の献納物をなす者はこれを携へきたりてヱホバに献げ又物を造るに用ふべき合歓木ある者は其を携へいたれり 002 EXO 035 025 また凡て心に智慧ある婦女等はその手をもて紡ぐことをなしその紡ぎたる者なる靑紫 紅の線および麻絲を携へきたり 002 EXO 035 026 凡て智慧ありて心に感じたる婦人は山羊の毛を紡げり 002 EXO 035 027 又長たる者どもは葱珩およびエポデと胸牌に嵌べき玉を携へいたり 002 EXO 035 028 燈火と灌膏と馨しき香とに用ふる香物と油を携へいたれり 002 EXO 035 029 斯イスラエルの子孫悦んでヱホバに獻納物をなせり即ちヱホバがモーセに藉て爲せと命じたまひし諸の工事をなさしむるために物を携へきたらんと心より願ふところの男女は皆是のごとくになしたり 002 EXO 035 030 モーセ、イスラエルの子孫に言ふ視よヱホバ、ユダの支派のホルの子なるウリの子ベザレルを名指て召たまひ 002 EXO 035 031 神の霊をこれに充して智慧と了知と知識と諸の類の工事に長しめ 002 EXO 035 032 奇巧を盡して金銀および銅の作をなすことを得せしめ 002 EXO 035 033 玉を切り嵌め木に彫刻みて諸の類の工をなすことを得せしめ 002 EXO 035 034 彼の心を明かにして敎ふることを得せしめたまふ彼とダンの支派のアヒサマクの子アホリアブ倶に然り 002 EXO 035 035 斯智慧の心を彼等に充して諸の類の工事をなすことを得せしめたまふ即ち彫刻文織および靑紫紅の絲と麻絲の刺繍並に機織等凡て諸の類の工をなすことを得せしめ奇巧をこれに盡さしめたまふなり 002 EXO 036 001 偖ベザレルとアホリアブおよび凡て心の頴敏き人即ちヱホバが智慧と了知をあたへて聖所の用に供ふるところの諸の工をなすことを知得せしめたまへる者等はヱホバの凡て命じたまひし如くに事をなすべかりし 002 EXO 036 002 モーセすなはちベザレルとアホリアブおよび凡て心の頴敏き人すなはちその心にヱホバが智慧をさづけたまひし者凡そ來りてその工をなさんと心に望ところの者を召よせたり 002 EXO 036 003 彼等は聖所の用にそなふるところの工事をなさしむるためにイスラエルの子孫が携へきたりし諸の献納物をモーセの手より受とりしが民は尚また朝ごとに自意の献納物をモーセに持きたる 002 EXO 036 004 是に於て聖所の諸の工をなすところの智き人等みな各々その爲ところの工をやめて來り 002 EXO 036 005 モーセに告て言けるは民餘りに多く持きたればヱホバが爲せと命じたまひし工事をなすに用ふるに餘ありと 002 EXO 036 006 モーセすなはち命を傳へて營中に宣布しめて云く男女ともに今よりは聖所に獻納物をなすに及ばずと是をもて民は携へきたることを止たり 002 EXO 036 007 其はその有ところの物すでに一切の工をなすに足て且餘あればなり 002 EXO 036 008 偖彼等の中心に智慧ありてその工を爲るところの者十の幕をもて幕屋を造れりその幕は麻の撚糸と靑紫紅の絲をもて巧にケルビムを織なして作れる者なり 002 EXO 036 009 その幕は各々長二十八キユビトその幕は各寛四キユビトその幕はみな寸尺一なり 002 EXO 036 010 而してその幕五箇を互に連ねあはせ又その幕五箇をたがひに連ねあはせ 002 EXO 036 011 一聯の幕の邊においてその連絡處の端に靑色の襟を造り又他の一聯の幕の邊においてその連絡處にこれを造れり 002 EXO 036 012 一聯の幕に襟五十をつくりまた他の一聯の幕の連絡處の邊にも襟五十をつくれりその襟は彼と此と相對す 002 EXO 036 013 而して金の鈎五十をつくりその鈎をもてその幕を彼と此と相連ねたれば一箇の幕屋となる 002 EXO 036 014 又山羊の毛をもて幕をつくりて幕屋の上の天幕となせりその造れる幕は十一なり 002 EXO 036 015 その幕は各々長三十キユビトその幕はおのおの寛四キユビトにして十一の幕は寸尺同一なり 002 EXO 036 016 その幕五を一幅に連ねまたその幕六を一幅に連ね 002 EXO 036 017 その幕の邊において連絡處に襟五十をつくり又次の一連の幕の邊にも襟五十をつくれり 002 EXO 036 018 又銅の鈎五十をつくりてその天幕をつらねあはせて一とならしめ 002 EXO 036 019 赤染の牡羊の皮をもてその天幕の頂蓋をつくりてその上に貛の皮の蓋を設けたり 002 EXO 036 020 又合歓木をもて幕屋の竪板をつくれり 002 EXO 036 021 板の長は十キユビト板の寛は一キユビト半 002 EXO 036 022 一の板に二の榫ありて彼と此と交指ふ幕屋の板には皆かくのごとく造りなせり 002 EXO 036 023 又幕屋のために板を作れり即ち南に於は南の方に板二十枚 002 EXO 036 024 その二十枚の板の下に銀の座四十をつくれり即ち此板の下にも二の座ありてその二の榫を承け彼板の下にも二の座ありてその二の榫を承く 002 EXO 036 025 幕屋の他の方すなはちその北の方のためにも板二十枚を作り 002 EXO 036 026 又その銀の座四十をつくれり即ち此板の下にも二の座あり彼板の下にも二の座あり 002 EXO 036 027 又幕屋の後面すなはちその西のために板六枚をつくり 002 EXO 036 028 幕屋の後の兩隅のために板二枚宛をつくれり 002 EXO 036 029 その二枚は下にて相合しその頂まで一に連なれり一箇の環に於て然りその二枚ともに是のごとし是等は二隅のために設けたる者なり 002 EXO 036 030 その板は八枚ありその座は銀の座十六座あり各々の板の下に二の座あり 002 EXO 036 031 又合歓木をもて横木を作れり即ち幕屋の此方の板のために五本を設け 002 EXO 036 032 幕屋の彼方の板のために横木五本を設け幕屋の後すなはちその西の板のために横木五本を設けたり 002 EXO 036 033 又中間の横木をつくりて板の眞中において端より端まで通らしめ 002 EXO 036 034 而してその板に金を着せ金をもて之がために鐶をつくりて横木をこれに貫き又その横木に金を着たり 002 EXO 036 035 又靑紫紅の絲および麻の撚絲をもて幕をつくり巧にケルビムをその上に織いだし 002 EXO 036 036 それがために合歓木をもて四本の柱をつくりてこれに金を着せたりその鈎は金なり又銀をもてこれがために座四を鋳たり 002 EXO 036 037 又靑紫紅の絲および麻の撚絲をもて幕屋の入口に掛る幔を織なし 002 EXO 036 038 その五本の柱とその鈎とを造りその柱の頭と桁に金を着せたり但しその五の座は銅なりき 002 EXO 037 001 ベザレル合歓木をもて櫃をつくれりその長は二キユビト半その寛は一キユビト半、その高は一キユビト半 002 EXO 037 002 而して純金をもてその内外を蔽ひてその上の周圍に金の縁を造れり 002 EXO 037 003 又金の環四箇を鋳てその四の足につけたり即ち此旁に二箇の輪彼旁に二箇の輪を付く 002 EXO 037 004 又合歓木をもて杠を作りてこれに金を着せ 002 EXO 037 005 その杠を櫃の傍の環にさしいれて之をもて櫃をかくべからしむ 002 EXO 037 006 又純金をもて贖罪所を造れりその長は二キユビト半その寛は一キユビト半なり 002 EXO 037 007 又金をもて二箇のケルビムを作れり即ち槌にて打て之を贖罪所の兩傍に作り 002 EXO 037 008 一箇のケルブを此方の末に一箇のケルブを彼方の末に置り即ち贖罪所の兩傍にケルビムを作れり 002 EXO 037 009 ケルビムは翼を高く展べ其翼をもて贖罪所を掩ひ其面をたがひに相向く即ちケルビムの面は贖罪所に向ふ 002 EXO 037 010 又合歓木をもて案を作れり其長は二キユビト其寛は二キユビト其高は一キユビト半 002 EXO 037 011 而て純金を之に着せ其周圍に金の縁をつけ 002 EXO 037 012 又其四圍に掌寛の邊を作り其邊の周圍に金の小縁を作れり 002 EXO 037 013 而て之が爲に金の環四箇を鋳其足の四隅に其環を付たり 002 EXO 037 014 即ち環は邊の側に在て案を舁く杠を入る處なり 002 EXO 037 015 而て合歓木をもて案を舁く杠を作りて之に金を着せたり 002 EXO 037 016 又案の上の器具即ち皿匙杓及び酒を灌ぐ斝を純金にて作れり 002 EXO 037 017 又純金をもて一箇の燈臺を造れり即ち槌をもて打て其燈臺を作れり其臺座軸萼節及び花は其に連る 002 EXO 037 018 六の枝その旁より出づ即ち燈臺の三の枝は此旁より出で燈臺の三の枝は彼傍より出づ 002 EXO 037 019 巴旦杏の花の形せる三の萼節および花とともに此枝にあり又巴旦杏の花の形せる三の萼節および花とともに彼枝にあり燈臺より出る六の枝みな斯のごとし 002 EXO 037 020 巴旦杏の花の形せる四の萼その節および花とともに燈臺にあり 002 EXO 037 021 兩箇の枝の下に一箇の節あり又兩箇の枝の下に一箇の節あり又兩箇の枝の下に一箇の節あり燈臺より出る六の枝みな是のごとし 002 EXO 037 022 その節と枝とは其に連れり皆槌にて打て純金をもて造れり 002 EXO 037 023 又純金をもて七箇の燈盞と燈鉗と剪燈盤を造れり 002 EXO 037 024 燈臺とその諸の器具は純金一タラントをもて作れり 002 EXO 037 025 又合歓木をもて香壇を造れり其長一キユピトその寛二キユビトにして四角なりその高は二キユビトにしてその角は其より出づ 002 EXO 037 026 その上その四旁その角ともに純金を着せその周圍に金の縁を作れり 002 EXO 037 027 又その兩面に金の縁の下に金の環二箇をこれがために作れり即ちその兩旁にこれを作る是すなはち之を舁ところの杠を貫くところなり 002 EXO 037 028 又合歓木をもてその杠をつくりて之に金を着せたり 002 EXO 037 029 又薫物をつくる法にしたがひて聖灌膏と香物の清き香とを製れり 002 EXO 038 001 又合歓木をもて燔祭の壇を築けりその長は五キユビト其寛は五キユビトにして四角その高は三キユビト 002 EXO 038 002 而してその四隅の上に其の角を作りてその角を其より出しめその壇には銅を着せたり 002 EXO 038 003 又その壇の諸の器具すなはち壷と火鏟と鉢と肉叉と火鼎を作れり壇の器はみな銅にて造る 002 EXO 038 004 又壇のために銅の網をつくりこれを壇の中程の邊の下に置ゑて壇の半に達せしめ 002 EXO 038 005 その銅の網の四隅に四箇の環を鋳て杠を貫く處となし 002 EXO 038 006 合歓木をもてその杠をつくりて之に銅を着せ 002 EXO 038 007 壇の兩旁の環にその杠をつらぬきて之を舁べからしむその壇は板をもてこれを空につくれり 002 EXO 038 008 また銅をもで洗盤をつくりその臺をも銅にす即ち集會の幕屋の門にて役事をなすところの婦人等鏡をもて之を作れり 002 EXO 038 009 又庭を作れり南に於ては庭の南の方に百キユビトの細布の幕を設く 002 EXO 038 010 その柱は二十その座は二十にして共に銅なりその柱の鈎および桁は銀なり 002 EXO 038 011 北の方には百キユビトの幕を設くその柱は二十その座は二十にして共に銅なりその柱の鈎と桁は銀なり 002 EXO 038 012 西の方には五十キユビトの幕を設くその柱は十その座は十その柱の鈎と桁は銀なり 002 EXO 038 013 東においては東の方に五十キユビトの幕を設く 002 EXO 038 014 而してこの一旁に十五キユビトの幕を設くその柱は三その座も三 002 EXO 038 015 又かの一旁にも十五キユビトの幕を設くその柱は三その座も三即ち庭の門の此旁彼旁ともに然り 002 EXO 038 016 庭の周圍の幕はみな細布なり 002 EXO 038 017 柱の座は銅柱の鈎と桁は銀柱の頭の包は銀なり庭の柱はみな銀の桁にて連る 002 EXO 038 018 庭の門の幔は靑紫紅の絲および麻の撚絲をもて織なしたる者なりその長は二十キユビトその寛における高は五キユビトにして庭の幕と等し 002 EXO 038 019 その柱は四その座は四にして共に銅その鈎は銀その頭の包と桁は銀なり 002 EXO 038 020 幕屋およびその周圍の庭の釘はみな銅なり 002 EXO 038 021 幕屋につける物すなはち律法の幕屋につける物を量るに左のごとし祭司アロンの子イタマル、モーセの命にしたがひてレビ人を率ゐ用ひてこれを量れるなり 002 EXO 038 022 ユダの支派のホルの子なるウリの子ベザレル凡てヱホバのモーセに命じたまひし事等をなせり 002 EXO 038 023 ダンの支派のアヒサマクの子アホリアブ彼とともにありて雕刻織文をなし靑紫紅の絲および麻絲をもて文繍をなせり 002 EXO 038 024 聖所の諸の工作をなすに用たる金は聖所のシケルにしたがひて言ば都合二十九タラント七百三十シケルなり是すなはち献納たるところの金なり 002 EXO 038 025 會衆の中の核數られし者の献げし銀は聖所のシケルにしたがひて言ば百タラント千七百七十五シケルなり 002 EXO 038 026 凡て數らるる者の中に入し者即ち二十歳以上の者六十萬三千五百五十人ありたれば聖所のシケルにしたがひて言ば一人に一ベカとなる是すなはち半シケルなり 002 EXO 038 027 百タラントの銀をもて聖所の座と幕の座を鋳たり百タラントをもて百座をつくれば一座すなはち一タラントなり 002 EXO 038 028 又千七百七十五シケルをもて柱の鈎をつくり柱の頭を包み又柱を連ねあはせたり 002 EXO 038 029 又獻納たるところの銅は七十タラント二千四百シケルなり 002 EXO 038 030 是をもちひて集會の幕屋の門の座をつくり銅の壇とその銅の網および壇の諸の器具をつくり 002 EXO 038 031 庭の周圍の座と庭の門の座および幕屋の諸の釘と庭の周圍の諸の釘を作れり 002 EXO 039 001 靑紫紅の絲をもて聖所にて職をなすところの供職の衣服を製り亦アロンのために聖衣を製りヱホバのモーセに命じたまひしごとくせり 002 EXO 039 002 又金靑紫紅の絲および麻の撚絲をもてエポデを製り 002 EXO 039 003 金を薄片に打展べ剪て縷となしこれを靑紫 紅の絲および麻絲に和てこれを織なし 002 EXO 039 004 又これがために肩帶をつくりて之を連ねその兩の端において之を連ぬ 002 EXO 039 005 エポデの上にありて之を束ぬるところの帶はその物同じうして其の製のごとし即ち金靑紫紅の絲および麻の撚絲をもて製る者なりヱホバのモーセに命じたまひしごとくなり 002 EXO 039 006 又葱珩を琢て金の槽に嵌め印を刻がごとくにイスラエルの子等の名をこれに鐫つけ 002 EXO 039 007 これをエボデの肩帶の上につけてイスラエルの子孫の記念の玉とならしむヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 039 008 また胸牌を巧に織なしエポデの製のごとくに金靑紫紅の絲および麻の撚絲をもてこれを製れり 002 EXO 039 009 胸牌は四角にして之を二重につくりたれば二重にしてその長半キユビトその濶半キユビトなり 002 EXO 039 010 その中に玉四行を嵌む即ち赤玉黄玉瑪瑙の一行を第一行とす 002 EXO 039 011 第二行は紅玉 靑玉 金剛石 002 EXO 039 012 第三行は深紅玉 白瑪瑙 紫玉 002 EXO 039 013 第四行は黄緑玉 葱珩 碧玉 凡て金の槽の中にこれを嵌たり 002 EXO 039 014 その玉はイスラエルの子等の名にしたがひ其名のごとくに之を十二になし而して印を刻がごとくにその十二の支派の各の名をこれに鐫つけたり 002 EXO 039 015 又純金を紐のごとくに組たる鏈を胸牌の上につけたり 002 EXO 039 016 又金をもて二箇の槽をつくり二の金の環をつくりその二の環を胸牌の兩の端につけ 002 EXO 039 017 かの金の紐二條を胸牌の端の二箇の環につけたり 002 EXO 039 018 而してその二條の紐の兩の端を二箇の槽に結ひエポデの肩帶の上につけてその前にあらしむ 002 EXO 039 019 又二箇の金の環をつくりて之を胸牌の兩の端につけたり即ちそのエポデに對ふところの内の邊にこれを付く 002 EXO 039 020 また金の環二箇を造りてこれをエポデの兩傍の下の方につけてその前の方にてその聯接る處に對てエポデの帶の上にあらしむ 002 EXO 039 021 胸牌は靑紐をもてその環によりて之をエポデの環に結つけエポデの帶の上にあらしめ胸牌をしてエポデを離るることなからしむヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 039 022 又エポデに屬する明衣は凡てこれを靑く織なせり 002 EXO 039 023 上衣の孔はその眞中にありて鎧の領盤のごとしその孔の周圍に縁ありて綻びざらしむ 002 EXO 039 024 而して明衣の裾に靑紫紅の撚絲をもて石榴を作りつけ 002 EXO 039 025 又純金をもて鈴をつくりその鈴を明衣の裾の石榴の間につけ周圍において石榴の間々にこれをつけたり 002 EXO 039 026 即ち鈴に石榴鈴に石榴と供職の明衣の裾の周圍につけたりヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 039 027 又アロンとその子等のために織布をもて裏衣を製り 002 EXO 039 028 細布をもて頭帽を製り細布をもて美しき頭巾をつくり麻の撚絲をもて褌をつくり 002 EXO 039 029 麻の撚絲および靑紫紅の絲をもて帶を織なせりヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 039 030 又純金をもて聖冠の前板をつくり印を刻がごとくにその上にヱホバに聖といふ文字を書つけ 002 EXO 039 031 之に靑紐をつけて之を頭帽の上に結つけたりヱホバのモーセに命じたまひし如し 002 EXO 039 032 斯集合の天幕なる幕屋の諸の工事成ぬイスラエルの子孫ヱホバの凡てモーセに命じたまひしごとくに爲て斯おこなへり 002 EXO 039 033 人衆幕屋と天幕とその諸の器具をモーセの許に携へいたる即ちその鈎その板その横木その柱その座 002 EXO 039 034 赤染の牡羊の皮の蓋貛の皮の蓋障蔽の幕 002 EXO 039 035 律法の櫃とその杠贖罪所 002 EXO 039 036 案とその諸の器具供前のパン 002 EXO 039 037 純金の燈臺とその盞すなはち陳列る燈盞とその諸の器具ならびにその燈火の油 002 EXO 039 038 金の壇灌膏香幕屋の門の幔子 002 EXO 039 039 銅の壇その銅の網とその杠およびその諸の器具洗盤とその臺 002 EXO 039 040 庭の幕その柱とその座庭の門の幔子その紐とその釘ならびに幕屋に用ふる諸の器具集會の天幕のために用ふる者 002 EXO 039 041 聖所にて職をなすところの供職の衣服即ち祭司の職をなす時に用ふる者なる祭司アロンの聖衣およびその子等の衣服 002 EXO 039 042 斯ヱホバの凡てモーセに命じたまひしごとくにイスラエルの子孫その諸の工事をなせり 002 EXO 039 043 モーセその一切の工作を見るにヱホバの命じたまひしごとくに造りてあり即ち是のごとくに作りてあればモーセ人衆を祝せり 002 EXO 040 001 茲にヱホバ、モーセに告て言たまひけるは 002 EXO 040 002 正月の元日に汝集會の天幕の幕屋を建べし 002 EXO 040 003 而して汝その中に律法の櫃を置ゑ幕をもてその櫃を障蔽し 002 EXO 040 004 又案を携へいり陳設の物を陳設け且燈臺を携へいりてその燈盞を置うべし 002 EXO 040 005 汝また金の香壇を律法の櫃の前に置ゑ幔子を幕屋の門に掛け 002 EXO 040 006 燔祭の壇を集會の天幕の幕屋の門の前に置ゑ 002 EXO 040 007 洗盤を集會の天幕とその壇の間に置ゑて之に水をいれ 002 EXO 040 008 庭の周圍に藩籬をたて庭の門に幔子を垂れ 002 EXO 040 009 而して灌膏をとりて幕屋とその中の一切の物に灌ぎて其とその諸の器具を聖別べし是聖物とならん 002 EXO 040 010 汝また燔祭の壇とその一切の器具に膏をそそぎてその壇を聖別べし壇は至聖物とならん 002 EXO 040 011 又洗盤とその臺に膏をそそぎて之を聖別め 002 EXO 040 012 アロンとその子等を集會の幕屋の門につれきたりて水をもて彼等を洗ひ 002 EXO 040 013 アロンに聖衣を着せ彼に膏をそそぎてこれを聖別め彼をして祭司の職を我になさしむべし 002 EXO 040 014 又かれの子等をつれきたりて之に明衣を着せ 002 EXO 040 015 その父になせるごとくに之に膏を灌ぎて祭司の職を我になさしむべし彼等の膏そそがれて祭司たることは代々變らざるべきなり 002 EXO 040 016 モーセかく行へり即ちヱホバの己に命じたまひし如くに爲たり 002 EXO 040 017 第二年の正月にいたりてその月の元日に幕屋建ぬ 002 EXO 040 018 乃ちモーセ幕屋を建てその座を置ゑその板をたてその横木をさしこみその柱を立て 002 EXO 040 019 幕屋の上に天幕を張り天幕の蓋をその上にほどこせりヱホバのモーセに命じ給ひし如し 002 EXO 040 020 而してかれ律法をとりて櫃に蔵め杠を櫃につけ贖罪所を櫃の上に置ゑ 002 EXO 040 021 櫃を幕屋に携へいり障蔽の幕を垂て律法の櫃を隱せりヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 040 022 彼また集會の幕屋において幕屋の北の方にてかの幕の外に案を置ゑ 002 EXO 040 023 供前のパンをその上にヱホバの前に陳設たりヱホバのモーセに命じたまひし如し 002 EXO 040 024 又集會の幕屋において幕屋の南の方に燈臺をおきて案にむかはしめ 002 EXO 040 025 燈盞をヱホバの前にかかげたりヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 040 026 又集會の幕屋においてかの幕の前に金の壇を居ゑ 002 EXO 040 027 その上に馨しき香を焚りヱホバのモーセに命じたまひしごとし 002 EXO 040 028 又幕屋の門に幔子を垂れ 002 EXO 040 029 集會の天幕の幕屋の門に燔祭の壇を置ゑその上に燔祭と素祭をささげたりヱホバのモーセに命じたまひし如し 002 EXO 040 030 又集會の天幕とその壇の間に洗盤をおき其に水をいれて洗ふことの爲にす 002 EXO 040 031 モーセ、アロンおよびその子等其につきて手足を洗ふ 002 EXO 040 032 即ち集會の幕屋に入る時または壇に近づく時に洗ふことをせりヱホバのモーセに命じたましごとし 002 EXO 040 033 また幕屋と壇の周圍の庭に藩籬をたて庭の門に幔子を垂ぬ是モーセその工事を竣たり 002 EXO 040 034 斯て雲集會の天幕を蓋てヱホバの榮光幕屋に充たり 002 EXO 040 035 モーセは集會の幕屋にいることを得ざりき是雲その上に止り且ヱホバの榮光幕屋に盈たればなり 002 EXO 040 036 雲幕屋の上より昇る時にはイスラエルの子孫途に進めり其途々凡て然り 002 EXO 040 037 然ど雲の昇らざる時にはその昇る日まで途に進むことをせざりき 002 EXO 040 038 即ち晝は幕屋の上にヱホバの雲あり夜はその中に火ありイスラエルの家の者皆これを見るその途々すべて然り # # BOOK 003 LEV Leviticus レビ記 003 LEV 001 001 ヱホバ集會の幕屋よりモーセを呼びこれに告て言たまはく 003 LEV 001 002 イスラエルの子孫に告てこれに言へ汝等の中の人もし家畜の禮物をヱホバに供んとせば牛あるひは羊をとりてその禮物となすべし 003 LEV 001 003 もし牛の燔祭をもてその禮物になさんとせば全き牡牛を供ふべしすなはち集會の幕屋の門にてこれをヱホバの前にその受納たまふやうに供ふべし 003 LEV 001 004 彼その燔祭とする者の首に手を按べし然ば受納られて彼のために贖罪とならん 003 LEV 001 005 彼ヱホバの前にその犢を宰るべし又アロンの子等なる祭司等はその血を携へきたりて集會の幕屋の門なる壇の四圍にその血を灑ぐべし 003 LEV 001 006 彼またその燔祭の牲の皮を剥ぎこれを切わかつべし 003 LEV 001 007 祭司アロンの子等壇の上に火を置きその火の上に薪柴を陳べ 003 LEV 001 008 而してアロンの子等なる祭司等その切わかてる者その首およびその脂を壇の上なる火の上にある薪の上に陳ぶべし 003 LEV 001 009 その臓腑と足はこれを水に洗ふべし斯て祭司は一切を壇の上に燒て燔祭となすべし是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 001 010 またその禮物もし群の羊あるひは山羊の燔祭たらば全き牡を供ふべし 003 LEV 001 011 彼壇の北の方においてヱホバの前にこれを宰るべしアロンの子等なる祭司等はその血を壇の四圍に灑ぐべし 003 LEV 001 012 彼また之を切わかちその首とその脂を截とるべし而して祭司これを皆壇の上なる火の上にある薪柴の上に陳ぶべし 003 LEV 001 013 またその臓腑と足はこれを水に洗ひ祭司一切を携へきたりて壇の上に燒べし是を燔祭となす是即ち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 001 014 若また禽を燔祭となしてヱホバに献るならば鳲鳩または雛き鴿を携へ來りて禮物となすべし 003 LEV 001 015 祭司はこれを壇にたづさへゆきてその首を切やぶりこれを壇の上に燒べしまたその血はこれをしぼりいだして壇の一方にぬるべし 003 LEV 001 016 またその穀袋とその内の物はこれを除きて壇の東の方なる灰棄處にこれを棄べし 003 LEV 001 017 またその翼は切はなすこと无にこれを割べし而して祭司これを壇の上にて火の上なる薪柴の上に燒べし是を燔祭となす是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 002 001 人素祭の禮物をヱホバに供ふる時は麥粉をもてその禮物となしその上に油をそそぎ又その上に乳香を加へ 003 LEV 002 002 これをアロンの子等なる祭司等の許に携へゆくべし斯てまた祭司はその麥粉と油一握をその一切の乳香とともに取り之を記念の分となして壇の上に燒べし是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 002 003 素祭の餘はアロンとその子等に歸すべし是はヱホバに献る火祭の一にして至聖物たるなり 003 LEV 002 004 汝もし爐に燒たる物をもて素祭の禮物となさんとせば麥粉に油を和て作れる無酵菓子および油を抹たる無酵煎餅を用ふべし 003 LEV 002 005 汝の素祭とする禮物もし鍋に燒たる物ならば麥粉に油を和て酵いれずに作れる者を用ふべし 003 LEV 002 006 汝これを細に割てその上に油をそそぐべし是を素祭となす 003 LEV 002 007 汝の素祭とする禮物もし釜に煮たる物ならば麥粉と油をもて作れる者を用ふべし 003 LEV 002 008 汝これ等の物をもて作れる素祭の物をヱホバに携へいたるべし是を祭司に授さば祭司はこれを壇にたづさへ往き 003 LEV 002 009 その素祭の中より記念の分をとりて壇の上に焚べし是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 002 010 素祭の餘はアロンとその子等に皈すべし是はヱホバにささぐる火祭の一にして至聖物たるなり 003 LEV 002 011 凡そ汝等がヱホバにたづさへいたる素祭は都て酵いれて作るべからず汝等はヱホバに献る火祭の中に酵または蜜を入て焚べからず 003 LEV 002 012 但し初熟の禮物をそなふる時には汝等これをヱホバにそなふべし然ど馨しき香のためにこれを壇にそなふる事はなすべからず 003 LEV 002 013 汝素祭を献るには凡て鹽をもて之に味くべし汝の神の契約の鹽を汝の素祭に缺こと勿れ汝禮物をなすには都て鹽をそなふべし 003 LEV 002 014 汝初穂の素祭をヱホバにそなへんとせば穂を火にやきて殼をさりたる者をもて汝の初穂の禮物にそなふべし 003 LEV 002 015 汝また油をその上にほどこし乳香をその上に加ふべし是を素祭となす 003 LEV 002 016 祭司はその殻を去たる穀物の中および油の中よりその記念の分を取りその一切の乳香とともにこれを焚べし是すなはちヱホバにささぐる火祭なり 003 LEV 003 001 人もし酬恩祭の犠牲を献るに當りて牛をとりて之を献るならば牝牡にかかはらずその全き者をヱホバの前に供ふべし 003 LEV 003 002 すなはちその禮物の首に手を按き集會の幕屋の門にこれを宰るべし而してアロンの子等なる祭司等その血を壇の周圍に灌ぐべし 003 LEV 003 003 彼はまたその酬恩祭の犠牲の中よりして火祭をヱホバに献べし即ち臓腑を裹むところの脂と臓腑の上の一切の脂 003 LEV 003 004 および二箇の腎とその上の脂の腰の兩傍にある者ならびに肝の上の網膜の腎の上に達る者を取べし 003 LEV 003 005 而してアロンの子等壇の上において火の上なる薪の上の燔祭の上にこれを焚べし是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香たるなり 003 LEV 003 006 もしまたヱホバに酬恩祭の犠牲を献るにあたりて羊をその禮物となすならば牝牡にかかはらず其全き者を供ふべし 003 LEV 003 007 若また羔羊をその禮物となすならば之をヱホバの前に牽來り 003 LEV 003 008 その禮物の首に手を按きこれを集會の幕屋の前に宰るべし而してアロンの子等その血を壇の四圍にそそぐべし 003 LEV 003 009 彼その酬恩祭の犠牲の中よりして火祭をヱホバに献べし即ちその脂をとりその尾を脊骨より全く斷きりまた臓腑を裹ところの脂と臓腑の上の一切の脂 003 LEV 003 010 および兩箇の腎とその上の脂の腰の兩傍にある者ならびに肝の上の網膜の腎の上に達る者をとるべし 003 LEV 003 011 祭司はこれを壇の上に焚べし是は火祭にしてヱホバにたてまつる食物なり 003 LEV 003 012 もし山羊を禮物となすならばこれをヱホバの前に牽來り 003 LEV 003 013 其の首に手を按きこれを集會の幕屋の前に宰るべし而してアロンの子等その血を壇の四圍に灌ぐべし 003 LEV 003 014 彼またその中よりして禮物をとりヱホバに火祭をささぐべしすなはち臓腑を裹むところの脂と臓腑の上のすべての脂 003 LEV 003 015 および兩箇の腎とその上の脂と腰の兩傍にある者ならびに肝の上の網膜の腎の上に達る者をとるべし 003 LEV 003 016 祭司はこれを壇の上に焚べし是は火祭として奉つる食物にして馨しき香たるなり脂はみなヱホバに歸すべし 003 LEV 003 017 汝等は脂と血を食ふべからず是は汝らがその一切の住處において代々永く守るべき例なり 003 LEV 004 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 004 002 イスラエルの子孫に告ていふべし人もし誤りてヱホバの誡命に違ひて罪を犯しその爲べからざる事の一を行ふことあり 003 LEV 004 003 また若膏そそがれし祭司罪を犯して民を罪に陷いるるごとき事あらばその犯せし罪のために全き犢の若き者を罪祭としてヱホバに献べし 003 LEV 004 004 即ちその牡犢を集會の幕屋の門に牽きたりてヱホバの前にいたりその牡犢の首に手を按きその牡犢をヱホバの前に宰るべし 003 LEV 004 005 かくて膏そそがれし祭司その牡犢の血をとりてこれを集會の幕屋にたづさへ入り 003 LEV 004 006 而して祭司指をその血にひたしてヱホバの前聖所の障蔽の幕の前にその血を七次そそぐべし 003 LEV 004 007 祭司またその血をとりてヱホバの前にて集會の幕屋にある馨香の壇の角にこれを塗べしその牡犢の血は凡てこれを集會の幕屋の門にある燔祭の壇の底下に灌べし 003 LEV 004 008 またその牡犢の脂をことごとく取て罪祭に用ふべし即ち臓腑を裹むところの油と臓腑の上の一切の脂 003 LEV 004 009 および兩箇の腎と其上の脂の腰の兩傍にある者ならびに肝の上の網膜の腎の上に達る者を取べし 003 LEV 004 010 之を取には酬恩祭の犠牲の牛より取が如くすべし而して祭司これを燔祭の壇の上に焚べし 003 LEV 004 011 その牡犢の皮とその一切の肉およびその首と脛と臓腑と糞等 003 LEV 004 012 凡てその牡犢はこれを營の外に携へいだして灰を棄る場なる清淨處にいたり火をもてこれを薪柴の上に焚べし即ち是は灰棄處に焚べきなり 003 LEV 004 013 またイスラエルの全會衆過失をなしたるにその事會衆の目にあらはれすして彼等つひにヱホバの誡命の爲べからざる者を爲し罪を獲ることあらんに 003 LEV 004 014 もし其犯せし罪あらはれなば會衆の者若き犢を罪祭に献べし即ちこれを集會の幕屋の前に牽いたり 003 LEV 004 015 會衆の長老等ヱホバの前にてその牡犢の首に手を按きその一人牡犢をヱホバの前に宰るべし 003 LEV 004 016 而して膏そそがれし祭司その牡犢の血を集會の幕屋に携へいり 003 LEV 004 017 祭司指をその血にひたしてヱホバの前障蔽の幕の前にこれを七次そそぐべし 003 LEV 004 018 祭司またその血をとりヱホバの前にて集會の幕屋にある壇の角にこれを塗べし其血は凡てこれを集會の幕屋の門にある燔祭の壇の底下に灌べし 003 LEV 004 019 また其脂をことごとく取て壇の上に焚べし 003 LEV 004 020 すなはち罪祭の牡犢になしたるごとくにこの牡犢にもなし祭司これをもて彼等のために贖罪をなすべし然せば彼等赦されん 003 LEV 004 021 かくして彼その牡犢を營の外にたづさへ出し初次の牡犢を焚しごとくにこれを焚べし是すなはち會衆の罪祭なり 003 LEV 004 022 また牧伯たる者罪を犯しその神ヱホバの誡命の爲べからざる者を誤り爲て罪を獲ことあらんに 003 LEV 004 023 若その罪を犯せしことを覺らば牡山羊の全き者を禮物に持きたり 003 LEV 004 024 その山羊の首に手を按き燔祭の牲を宰る場にてヱホバの前にこれを宰るべし是すなはち罪祭なり 003 LEV 004 025 祭司は指をもてその罪祭の牲の血をとり燔祭の壇の角にこれを抹り燔祭の壇の底下にその血を灌ぎ 003 LEV 004 026 酬恩祭の犠牲の脂のごとくにその脂を壇の上に焚べし斯祭司かれの罪のために贖事をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 004 027 また國の民の中に誤りて罪を犯しヱホバの誡命の爲べからざる者の一を爲て罪を獲る者あらんに 003 LEV 004 028 若その罪を犯せしことを覺らば牝山羊の全き者を牽きたりその犯せし罪のためにこれを禮物になすべし 003 LEV 004 029 即ちその罪祭の牲の首に手を按き燔祭の牲の場にてその罪祭の牲を宰るべし 003 LEV 004 030 而して祭司は指をもてその血を取り燔祭の壇の角にこれを抹りその血をことごとくその壇の底下に灌べし 003 LEV 004 031 祭司また酬恩祭の牲より脂をとるごとくにその脂をことごとく取りこれを壇の上に焚てヱホバに馨しき香をたてまつるべし斯祭司かれのために贖罪をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 004 032 彼もし羔羊を罪祭の禮物に持きたらんとせば牝の全き者を携へきたり 003 LEV 004 033 その罪祭の牲の首に手を按き燔祭の牲を宰る場にてこれを宰りて罪祭となすべし 003 LEV 004 034 かくて祭司指をもてその罪祭の牲の血を取り燔祭の壇の角にこれを抹りその血をことごとくその壇の底下に灌ぎ 003 LEV 004 035 羔羊の脂を酬恩祭の犠牲より取るごとくにその脂をことごとく取べし而して祭司はヱホバに献ぐる火祭のごとくにこれを壇の上に焚べし斯祭司彼の犯せる罪のために贖をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 005 001 人もし證人として出たる時に諭誓の聲を聽ながらその見たる事またはその知る事を陳ずして罪を犯さば己の咎は己の身に歸すべし 003 LEV 005 002 人もし汚穢たる獣の死體汚穢たる家畜の死體汚穢たる昆蟲の死體など凡て汚穢たる物に捫ることあらばその事に心づかざるもその身は汚れて辜あり 003 LEV 005 003 もし又心づかずして人の汚穢にふるる事あらばその人の汚穢は如何なる汚穢にもあれその之を知るにいたる時は辜あり 003 LEV 005 004 人もし心づかずして誓を發し妄に口をもて惡をなさんと言ひ善をなさんと言ばその人の誓を發して妄に言ふとこるは如何なる事にもあれそのこれを知るにいたる時は此等の一において辜あり 003 LEV 005 005 若これらの一において辜ある時は某の事において罪を犯せりと言あらはし 003 LEV 005 006 その愆のためその犯せし罪のために羊の牝なる者すなはち羔羊あるひは牝山羊をヱホバにたづさへ來りて罪祭となすべし斯て祭司は彼の罪のために贖罪をなすべし 003 LEV 005 007 もし羔羊にまで手のとどかざる時は鳲鳩二羽か雛鴿二羽をその犯せし愆のためにヱホバに持きたり一を罪祭にもちひ一を燔祭に用ふべし 003 LEV 005 008 即ちこれを祭司にたづさへ往べし祭司はその罪祭の者を先にささぐべし即ちその首を頸の根より切やぶるべし但しこれを切はなすべからず 003 LEV 005 009 而してその罪祭の者の血を壇の一方にそそぎその餘の血をば壇の底下にしぼり出すべし是を罪祭となす 003 LEV 005 010 またその次のは慣例のごとくに燔祭にささぐべし斯祭司彼が犯せし罪のために贖をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 005 011 もし二羽の鳲鳩か二羽の雛き鴿までに手のとどかざる時はその罪ある者麥粉一エパの十分一を禮物にもちきたりてこれを罪祭となすべしその上に膏をかくべからず又その上に乳香を加ふべからず是は罪祭なればなり 003 LEV 005 012 彼祭司の許にこれを携へゆくべし祭司はこれを一握とりて記念の分となし壇の上にてヱホバの火祭の上にこれを焚べし是を罪祭となす 003 LEV 005 013 斯祭司は彼が是等の一を犯して獲たる罪のために贖をなすべし然せば彼は赦されんその殘餘は素祭とひとしく祭司に歸すべし 003 LEV 005 014 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 005 015 人もし過失を爲し知ずしてヱホバの聖物を于して罪を獲ことあらば汝の估價に依り聖所のシケルにしたがひて數シケルの銀にあたる全き牡羊を群の中よりとりその愆のためにこれをヱホバに携へきたりて愆祭となすべし 003 LEV 005 016 而してその聖物を于して獲たる罪のために償をなしまた之に五分の一をくはへて祭司に付すべし祭司はその愆祭の牡羊をもて彼のために贖罪をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 005 017 人もし罪を犯しヱホバの誡命の爲べからざる者の一を爲すことあらば假令これを知ざるも尚罪ありその罪を任べきなり 003 LEV 005 018 即ち汝の估價にしたがひて群の中より全き牡羊をとり愆祭となしてこれを祭司にたづさへいたるべし祭司は彼が知ずして誤りし過誤のために贖罪をなすべし然せば彼は赦されん 003 LEV 005 019 是を愆祭となすその人は誠にヱホバに罪を獲たり 003 LEV 006 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 006 002 人もしヱホバにむかひて不信をなして罪を獲ことあり即ち人の物をあづかり又は質にとり又は奪ひおきて然る事あらずと言ひ或は人を虐る事を爲し 003 LEV 006 003 或は人の落せし物を拾ひおきて然る事なしと言ひ偽りて誓ふことを爲す等凡て人の爲て罪を獲るところの事を一にても行はば 003 LEV 006 004 是罪を犯して身に罪ある者なればその奪し物その虐げて取たる物その預りし物その拾ひとりし物 003 LEV 006 005 および凡てその偽り誓し物を還すべし即ちその原物を還しその上に五分の一をこれに加へその愆祭をささぐる日にこれをその本主に付すべし 003 LEV 006 006 彼その愆祭をヱホバに携へきたるべし即ち汝の估價にしたがひその愆のために群の中より全き牡羊をとりて祭司にいたるべし 003 LEV 006 007 祭司はヱホバの前において彼のために贖罪をなすべし然せば彼はその中のいづれを行ひて愆を獲るもゆるさるべし 003 LEV 006 008 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 006 009 アロンとその子等に命じて言へ燔祭の例は是のごとし此燔祭は壇の上なる爐の上に旦まで終夜あらしむべし即ち壇の火をしてこれと共に燃つつあらしむべきなり 003 LEV 006 010 祭司は麻の衣服を着て麻の褌をその肉に纒ひ壇の上にて火にやけたる燔祭の灰を取て壇の旁に置き 003 LEV 006 011 而してその衣服を脱ぎ他の衣服をつけてその灰を營の外に携へいだし清淨地にもちゆくべし 003 LEV 006 012 壇の上の火をばたえず燃しむべし熄しむべからず祭司は朝ごとに薪柴をその上に燃し燔祭の物をその上に陳べまた酬恩祭の脂をその上に焚べし 003 LEV 006 013 火はつねに壇の上にたえず燃しむべし熄しむべからず 003 LEV 006 014 素祭の例は是のごとしアロンの子等これをヱホバの前すなはち壇の前にささぐべし 003 LEV 006 015 即ち素祭の麥粉とその膏を一握とりまた素祭の上の乳香をことごとく取て之を壇の上に焚き馨しき香となし記念の分となしてヱホバにたてまつるべし 003 LEV 006 016 その遺餘はアロンとその子等これを食ふべし即ち酵をいれずして之を聖所に食ふべし集會の幕屋の庭にて之を食ふべきなり 003 LEV 006 017 之を酵いれて燒べからずわが火祭の中より我これを彼等にあたへてその分となさしか是は罪祭と愆祭のごとくに至聖し 003 LEV 006 018 アロンの子等の男たる者はみな之を食ふことを得べし是はヱホバにたてまつる火祭の例にして汝等が代々永くまもるべき者なり凡てこれに觸る者は聖なるべし 003 LEV 006 019 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 006 020 アロンとその子等が膏そそがるる日にヱホバにささぐべき禮物は是のごとし麥粉一エパの十分の一を素祭となして恒に献ぐべし即ちその半を朝にその半を夕にささぐべし 003 LEV 006 021 是は鍋の内に油をもて作りその燒たる時に汝これを携へきたるべし即ちこれを幾個にも劈て素祭となしヱホバに献げて馨しき香とならしむべし 003 LEV 006 022 アロンの子等の中膏をそそがれて彼に継で祭司となる者はこれを献ぐべし斯はヱホバに對して永く守るべき例なり是は全く焚つくすべし 003 LEV 006 023 凡て祭司の素祭はみな全く焚つくすべし食ふべからざるなり 003 LEV 006 024 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 006 025 アロンとその子等に告ていふべし罪祭の例は是のごとし燔祭の牲を宰る場にて罪祭の牲をヱホバの前に宰るべし是は至聖物なり 003 LEV 006 026 罪のために之をささぐるところの祭司これを食ふべし即ち集會の幕屋の庭において聖所に之を食ふべし 003 LEV 006 027 凡てその肉に觸る者は聖なるべしその血もし衣服に灑ぎかかることあらばその灑ぎかかれる者を聖所に洗ふべし 003 LEV 006 028 またこれを煮たる土瓦の器皿は碎くべし若これを煮たる者銅の鍋ならば水をもてこれを磨き洗ふべし 003 LEV 006 029 祭司等の中の男たる者は皆これを食ふことを得べし是は至聖し 003 LEV 006 030 然どその血を集會の幕屋にたづさへいりて聖所にて贖罪をなしたる罪祭はこれを食ふべからず火をもてこれを焚べし 003 LEV 007 001 また愆祭の例は是のごとし是は至聖者なり 003 LEV 007 002 燔祭を宰る場にて愆祭を宰るべし而して祭司その血を壇の四周にそそぎ 003 LEV 007 003 その脂をことごとく献ぐべし即ちその脂の尾その臓腑を裹むところの諸の脂 003 LEV 007 004 兩個の腎とその上の脂の腰の兩傍にある者および肝の上の網膜の腎の上におよべる者を取り 003 LEV 007 005 祭司これを壇の上に焚てヱホバに火祭とすべし之を愆祭となす 003 LEV 007 006 祭司等の中の男たる者はみな之を食ふことを得是は聖所に食ふべし至聖者なり 003 LEV 007 007 罪祭も愆祭もその例は一にして異らずこれは贖罪をなすところの祭司に歸すべし 003 LEV 007 008 人の燔祭をささぐるところの祭司その祭司はその献ぐる燔祭の物の皮を自己に得べし 003 LEV 007 009 凡て爐に燒たる素祭の物および凡て釜と鍋にて製へたる者はこれを献ぐるところの祭司に歸すべし 003 LEV 007 010 凡そ素祭は油を和たる者も乾たる者もみなアロンの諸の子等に均く歸すべし 003 LEV 007 011 ヱホバに献ぐべき酬恩祭の犠牲の例は是のごとし 003 LEV 007 012 若これを感謝のために献ぐるならば油を和たる無酵菓子と油をぬりたる無酵煎餅および麥粉に油をませて燒たる菓子をその感謝の犠牲にあはせて献ぐべし 003 LEV 007 013 その菓子の外にまた有酵パンを酬恩祭なる感謝の犠牲にあはせてその禮物に供ふべし 003 LEV 007 014 即ちこの全體の禮物の中より一箇宛を取りヱホバにささげて擧祭となすべし是は酬恩祭の血を灑ぐところの祭司に歸すべきなり 003 LEV 007 015 感謝のために献ぐる酬恩祭の犠牲の肉はこれを献げしその日の中に食ふべし少にても翌朝まで存しおくまじきなり 003 LEV 007 016 その犠牲の禮物もし願還かまたは自意の禮物ならばその犠牲をささげし日にこれを食ふべしその殘餘はまた明日これを食ふことを得るなり 003 LEV 007 017 但しその犠牲の肉の殘餘は第三日にいたらば火に焚べし 003 LEV 007 018 若その酬恩祭の犠牲の肉を第三日に少にても食ふことをなさば其は受納られずまた禮物と算らるることなくして反て憎むべき者とならん是を食ふ者その罪を任べし 003 LEV 007 019 その肉もし汚穢たる物にふるる事あらば食ふべからず火に焚べしその肉は淨き者みなこれを食ふことを得るなり 003 LEV 007 020 若その身に汚穢ある人ヱホバに屬する酬恩祭の犠牲の肉を食はばその人はその民の中より絶るべし 003 LEV 007 021 また人もし人の汚穢あるひは汚たる獣畜あるひは忌しき汚たる物等都て汚穢に觸ることありながらヱホバに屬する酬恩祭の犠牲の肉を食はばその人はその民の中より絶るべし 003 LEV 007 022 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 007 023 イスラエルの子孫に告て言べし牛羊山羊の脂は都て汝等これを食ふべからず 003 LEV 007 024 自ら死たる獣畜の脂および裂ころされし獣畜の脂は諸般の事に用ふるを得れどもこれを食ふことは絶てなすべからず 003 LEV 007 025 人のヱホバに火祭として献ぐるところの牲畜の脂は誰もこれを食ふべからず之を食ふ人はその民の中より絶るべし 003 LEV 007 026 また汝等はその一切の住處において鳥獣の血を決して食ふべからず 003 LEV 007 027 何の血によらずこれを食ふ人あればその人は皆民の中より絶るべし 003 LEV 007 028 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 007 029 イスラエルの子孫に告て言べし酬恩祭の犠牲をヱホバに献ぐる者はその酬恩祭の犠牲の中よりその禮物を取てヱホバにたづさへ來るべし 003 LEV 007 030 ヱホバの火祭はその人手づからこれを携へきたるべし即ちその脂と胸とをたづさへ來りその胸をヱホバの前に搖て搖祭となすべし 003 LEV 007 031 而して祭司その脂を壇の上に焚べしその胸はアロンとその子等に歸すべし 003 LEV 007 032 汝等はその酬恩祭の犠牲の右の腿を擧祭となして祭司に與ふべし 003 LEV 007 033 アロンの子等の中酬恩祭の血と脂とを献ぐる者その右の腿を得て自己の分となすべし 003 LEV 007 034 我イスラエルの子孫の酬恩祭の犠牲の中よりその搖る胸と擧たる腿をとりてこれを祭司アロンとその子等に與ふ是はイスラエルの子孫の中に永く行はるべき例典なり 003 LEV 007 035 是はヱホバの火祭の中よりアロンに歸する分またその子等に歸する分なり彼等を立てヱホバに祭司の職をなさしむる日に斯定めらる 003 LEV 007 036 すなはち是は彼等に膏をそそぐ日にヱホバが命をくだしてイスラエルの子孫の中より彼等に歸せしめたまふ者にて代々永くまもるべき例典たるなり 003 LEV 007 037 是すなはち燔祭素祭罪祭愆祭任職祭酬恩祭の犠牲の法なり 003 LEV 007 038 ヱホバ、シナイの野においてイスラエルの子孫にその禮物をヱホバに供ふることを命じたまひし日に是をシナイ山にてモーセに命じたまひしなり 003 LEV 008 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 008 002 汝アロンとその子等およびその衣服と灌膏と罪祭の牡牛と二頭の牡羊と無酵パン一筐を携へきたり 003 LEV 008 003 また會衆をことごとく集會の幕屋の門に集めよ 003 LEV 008 004 モーセすなはちヱホバの己に命じたまひし如くなしたれば會衆は集會の幕屋の門に集りぬ 003 LEV 008 005 モーセ會衆にむかひて言ふヱホバの爲せと命じたまへる事は斯のごとしと 003 LEV 008 006 而してモーセ、アロンとその子等を携きたり水をもて彼等を洗ひ清め 003 LEV 008 007 アロンに裏衣を著せ帶を帶しめ明衣を纒はせエポデを着しめエポデの帶を之に帶しめこれをもてエポデを其身に結つけ 003 LEV 008 008 また胸牌をこれに着させその胸牌にウリムとトンミムをつけ 003 LEV 008 009 その首に頭帽をかむらしめその頭帽の上すなはちその額に金の板の聖前板をつけたりヱホバのモーセに命じたまひし如し 003 LEV 008 010 モーセまた灌膏をとり幕屋とその中の一切の物に灌ぎてこれを聖別め 003 LEV 008 011 且これを七度壇にそそぎ壇とその諸の器具および洗盤とその臺に膏そそぎてこれを聖別め 003 LEV 008 012 また灌膏をアロンの首にそそぎ之に膏そそぎて聖別たり 003 LEV 008 013 モーセまたアロンの子等をつれきたりて裏衣をこれに着せ帶をこれに帶しめ頭巾をこれに蒙らせたりヱホバのモーセに命じたまひし如くなり 003 LEV 008 014 また罪祭の牡牛を牽きたりてアロンとその子等その罪祭の牡牛の頭に手を按り 003 LEV 008 015 斯てこれを殺してモーセその血をとり指をもてその血を壇の四周の角につけて壇を潔淨しまた壇の底下にその血を灌ぎて之を聖別め之がために贖をなせり 003 LEV 008 016 モーセまたその臓腑の上の一切の脂肝の上の網膜および兩箇の腎とその脂をとりて之を壇の上に焚り 003 LEV 008 017 但しその牡牛その皮その肉およびその糞は營の外にて火に焚りヱホバのモーセに命じたまひし如し 003 LEV 008 018 また燔祭の牡羊を牽きたりてアロンとその子等その牡羊の頭に手を按たり 003 LEV 008 019 斯てこれを宰してモーセその血を壇の周圍に灑げり 003 LEV 008 020 而してモーセその牡羊を切さきその頭と肉塊と脂とを焚り 003 LEV 008 021 また水をもてその臓腑と脛を洗ひてモーセその牡羊をことごとく壇の上に焚り是は馨しき香のためにささぐる燔祭にしてヱホバにたてまつる火祭たるなりヱホバのモーセに命じたまひし如し 003 LEV 008 022 また他の牡羊すなはち任職の牡羊を牽きたりてアロンとその子等その牡羊の頭に手を按り 003 LEV 008 023 斯てこれを殺してモーセその血をとり之をアロンの右の耳の端とその右の手の大指と右の足の拇指につけ 003 LEV 008 024 またアロンの子等をつれきたりてその右の耳の端と右の手の大指と右の足の拇指にその血をつけたり而してモーセその血を壇の周圍に灑げり 003 LEV 008 025 彼またその脂と脂の尾および臓腑の上の一切の脂と肝の上の網膜ならびに兩箇の腎とその脂とその右の腿とを取り 003 LEV 008 026 またヱホバの前なる無酵パンの筐の中より無酵菓子一箇と油ぬりたるパンの菓子一箇と煎餅一箇を取り是等をその脂の上とその右の腿の上に載せ 003 LEV 008 027 是を凡てアロンの手とその子等の手に授け之をヱホバの前に搖て搖祭となさしめたり 003 LEV 008 028 而してモーセまた之を彼等の手より取り壇の上にて燔祭の上にこれを焚り是は馨しき香のためにたてまつる任職祭にしてヱホバにささぐる火祭なり 003 LEV 008 029 斯てモーセその胸をとりヱホバの前にこれを搖て搖祭となせり任職の牡羊の中是はモーセの分に歸する者なりヱホバのモーセに命じたまひし如し 003 LEV 008 030 而してモーセ灌膏と壇の上の血とをとりて之をアロンとその衣服に灑ぎまたその子等とその子等の衣服にそそぎアロンとその衣服およびその子等とその子等の衣服を聖別たり 003 LEV 008 031 斯てモーセまたアロンとその子等に言けるは集會の幕屋の門にて汝等その肉を煮よ而して任職祭の筐の内なるパンと偕にこれを其處に食へ是はアロンとその子等これを食ふべしと我に命ありしにしたがふなり 003 LEV 008 032 その肉とパンの餘れる者は汝等これを火に焚べし 003 LEV 008 033 汝等はその任職祭の竟る日まで七日が間は集會の幕屋の門口より出べからず其は汝等の任職は七日にわたればなり 003 LEV 008 034 今日行ひて汝等のために罪をあがなふが如くにヱホバ斯せよと命じたまふなり 003 LEV 008 035 汝等は集會の幕屋の門口に七日の間日夜居てヱホバの命令を守れ然せば汝等死る事なからん我かく命ぜられたるなり 003 LEV 008 036 すなはちアロンとその子等はヱホバのモーセによりて命じたまひし事等を盡く爲り 003 LEV 009 001 斯て第八日にいたりてモーセ、アロンとその子等およびイスラエルの長老等を呼 003 LEV 009 002 而してアロンに言けるは汝若き牡犢の全き者を罪祭のために取りまた牡羊の全き者を燔祭のために取りてこれをヱホバの前に献ぐべし 003 LEV 009 003 汝イスラエルの子孫に告て言べし汝等牡山羊を罪祭のために取りまた犢牛と羔羊の當歳にして全き者を燔祭のために取きたれ 003 LEV 009 004 また酬恩祭のためにヱホバの前に供ふる牡牛と牡羊を取り且油を和たる素祭をとりきたるべしヱホバ今日汝等に顯れたまふべければなり 003 LEV 009 005 是に於てモーセの命ぜし物を集會の幕屋の前に携へ來り會衆みな進よりてヱホバの前に立ければ 003 LEV 009 006 モーセ言ふヱホバの汝等に爲と命じたまへる者はすなはち是なり斯せばヱホバの榮光汝等にあらはれん 003 LEV 009 007 モーセすなはちアロンに言けるは汝壇に往き汝の罪祭と汝の燔祭を献げて己のためと民のために贖罪を爲しまた民の禮物を献げて之がために贖罪をなし凡てヱホバの命じたまひし如くせよ 003 LEV 009 008 是に於てアロン壇に往き自己のためにする罪祭の犢を宰れり 003 LEV 009 009 しかしてアロンの子等その血をアロンの許にたづさへ來りければアロン指をその血にひたして之を壇の角につけその血を壇の底下に灌ぎ 003 LEV 009 010 また罪祭の牲の脂と腎と肝の上の網膜を壇の上に燒り凡てヱホバのモーセに命じたまひし如し 003 LEV 009 011 またその肉と皮は營の外にて火に焚り 003 LEV 009 012 アロンまた燔祭の牲を宰りしがその子等これが血を自己の許に携へきたりければ之を壇の周圍に灌げり 003 LEV 009 013 彼等また燔祭の牲すなはちその肉塊と頭をかれに持きたりければ彼壇の上にこれを焚き 003 LEV 009 014 またその臓腑と脛を洗ひ壇の上にて之を燔祭の上に焚り 003 LEV 009 015 彼また民の禮物を携へきたれり即ち民のためにする罪祭の山羊を取て之を宰り前のごとくに之を献げて罪祭となし 003 LEV 009 016 また燔祭の牲を牽きたりて定例のごとくに之をささげたり 003 LEV 009 017 また素祭を携へきたりてその中より一握をとり朝の燔祭にくはへてこれを壇の上に焚り 003 LEV 009 018 アロンまた民のためにする酬恩祭の犠牲なる牡牛と牡羊を宰りしがその子等これが血を己にもちきたりければ之を壇の周圍に灑げり 003 LEV 009 019 彼等またその牡牛と牡羊の脂およびその脂の尾と臓腑を裹む者と腎と肝の上の網膜とを携へきたれり 003 LEV 009 020 即ち彼等その脂をその胸の上に載きたりけるにアロンその脂を壇の上に焚り 003 LEV 009 021 その胸と右の腿はアロンこれをヱホバの前に搖て搖祭となせり凡てモーセの命じたる如し 003 LEV 009 022 アロン民にむかひて手を擧てこれを祝し罪祭燔祭酬恩祭を献ぐることを畢て下れり 003 LEV 009 023 モーセとアロン集會の幕屋にいり出きたりて民を祝せり斯てヱホバの榮光總體の民に顯れ 003 LEV 009 024 火ヱホバの前より出て壇の上の燔祭と脂を燬つくせり民これを見て聲をあげ俯伏ぬ 003 LEV 010 001 茲にアロンの子等なるナダブとアビウともにその火盤をとりて火をこれにいれ香をその上に盛て異火をヱホバの前に献げたり是はヱホバの命じたまひし者にあらざりしかば 003 LEV 010 002 火ヱホバより出て彼等を燬ほろぼせりすなはち彼等はヱホバの前に死うせぬ 003 LEV 010 003 モーセ、アロンに言けるはヱホバの宣ふところは是のごとし云く我は我に近づく者等の中に我の聖ことを顯はし又全體の民の前に榮光を示さんアロンは默然たりき 003 LEV 010 004 モーセかくてアロンの叔父ウジエルの子等なるミサエルとエルザパンを呼び汝等進みよりて聖所の前より汝等の兄弟等を營の外に携へ出せと之にいひければ 003 LEV 010 005 すなはち進みよりて彼等をその裏衣のままに營の外に携へ出しモーセの言るごとくせり 003 LEV 010 006 モーセまたアロンおよびその子エレアザルとイタマルにいひけるは汝らの頭を露すなかれまた汝らの衣を裂なかれ恐くは汝等死んまた震怒全體の民におよぶあらん但汝等の兄弟たるイスラエルの全家ヱホバのかく火をもて燬ほろぼしたまひし事を哀くべし 003 LEV 010 007 汝等はまた集會の幕屋の門より出べからず恐くは汝等死ん其はヱホバの灌膏汝らの上にあればなりと彼等モーセの言のごとくに爲り 003 LEV 010 008 茲にヱホバ、アロンに告て言たまはく 003 LEV 010 009 汝も汝の子等も集會の幕屋にいる時には葡萄酒と濃酒を飮なかれ恐くは汝等死ん是は汝らが代々永く守るべき例たるべし 003 LEV 010 010 斯するは汝等が物の聖と世間なるとを分ち汚たると潔淨とを分つことを得んため 003 LEV 010 011 又ヱホバのモーセによりて告たまひし一切の法度をイスラエルの子孫に敎ふることを得んがためなり 003 LEV 010 012 モーセまたアロンおよびその遺れる子エレアザルとイタマルに言けるは汝等ヱホバの火祭の中より素祭の遺餘を取り酵をいれずして之を壇の側に食へ是は至聖物なり 003 LEV 010 013 是はヱホバの火祭の中より汝に歸する者また汝の子等に歸する者なれば汝等これを聖所にて食ふべし我かく命ぜられたるなり 003 LEV 010 014 また搖る胸と擧たる腿は汝および汝の男子と女子これを淨處にて食ふべし是はイスラエルの子孫の酬恩祭の中より汝の分と汝の子等の分に與へらるる者なればなり 003 LEV 010 015 彼等その擧るところの腿と搖ところの胸を火祭の脂とともに持きたりこれをヱホバの前に搖て搖祭となすべし其は汝と汝の子等に歸すべし是は永く守るべき例にしてヱホバの命じたまふ者なり 003 LEV 010 016 斯てモーセ罪祭の山羊を尋ね索めけるに旣にこれを燬たりしかばアロンの遺れる子等エレアザルとイタマルにむかひてモーセ怒を發し言けるは 003 LEV 010 017 罪祭の牲は至聖かるに汝等なんぞ之を聖所にて食ざりしや是は汝等をして會衆の罪を任て彼等のためにヱホバのまへに贖をなさしめんとて汝等に賜ふ者たるなり 003 LEV 010 018 視よその血はまだこれを聖所に携へいることをせざりきかの物は我が命ぜしごとくに汝等これを聖所にて食ふべかりしなり 003 LEV 010 019 アロン、モーセに言けるは今日彼等その罪祭と燔祭をヱホバの前に献げしが斯る事我身に臨めり今日もし我罪祭の牲を食はばヱホバこれを善と觀たまふや 003 LEV 010 020 モーセこれを聽て善とせり 003 LEV 011 001 ヱホバ、モーセとアロンに告てこれに言給はく 003 LEV 011 002 イスラエルの子孫に告て言へ地の諸の獣畜の中汝らが食ふべき四足は是なり 003 LEV 011 003 凡て獣畜の中蹄の分たる者すなはち蹄の全く分たる反芻者は汝等これを食ふべし 003 LEV 011 004 但し反芻者と蹄の分たる者の中汝等の食ふべからざる者は是なり即ち駱駝是は反芻ども蹄わかれざれば汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 005 山鼠是は反芻ども蹄わかれざれば汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 006 兎是は反芻ども蹄わかれざれば汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 007 猪是は蹄あひ分れ蹄まったく分るれども反芻ことをせざれば汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 008 汝等是等の者の肉を食ふべからずまたその死體にさはるべからず是等は汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 009 水にある諸の族の中汝等の食ふべき者は是なり凡て水の中にをり海河に居る者にして翅と鱗のある者は汝等これを食ふべし 003 LEV 011 010 凡て水に動く者凡て水に生る者即ち凡て海河にある者にして翅と鱗なき者は是汝等には忌はしき者なり 003 LEV 011 011 是等は汝等には忌はしき者なり汝等その肉を食ふべからずまたその死體をば忌はしき者となすべし 003 LEV 011 012 凡て水にありて翅も鱗もなき者は汝等には忌はしき者たるべし 003 LEV 011 013 鳥の中に汝等が忌はしとすべき者は是なり是をば食ふべからず是は忌はしき者なり即ち鵰黄鷹鳶 003 LEV 011 014 鸇鷹の類 003 LEV 011 015 諸の鴉の類 003 LEV 011 016 駝鳥梟鴎雀鷹の類 003 LEV 011 017 鶴鵜鷺 003 LEV 011 018 白鳥鸅鸕大鷹 003 LEV 011 019 鶴鸚鵡の類鷸および蝙蝠 003 LEV 011 020 また凡て羽翼のありて四爬にあるくところの昆蟲は汝等には忌はしき者なり 003 LEV 011 021 但し羽翼のありて四爬にあるく諸の昆蟲の中その足に飛腿のありて地に飛ぶものは汝等これを食ふことを得べし 003 LEV 011 022 即ちその中蝗蟲の類大蜢の類小蜢の類螇蚸の類を汝等食ふことを得べし 003 LEV 011 023 凡て羽翼ありて四爬にあるくところの昆蟲はみな汝等には忌はしき者たるなり 003 LEV 011 024 これ等はなんぢらを汚すなり凡て是等の者の死體に捫る者は晩まで汚るべし 003 LEV 011 025 凡てその死體を身に携ふる者はその衣服を洗ふべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 011 026 凡そ蹄の分れたる獣畜の中その蹄の全く分れざる者あるひは反芻ことをせざる者の死體は汝等には汚穢たるべし凡てこれに捫る者は汚るべし 003 LEV 011 027 四足にてあるく諸の獣畜の中その掌底にて歩む者は皆汝等には汚穢たるべしその死骸に捫る者は晩まで汚るべし 003 LEV 011 028 その死體を身に携ふる者はその衣服を洗ふべしその身は晩まで汚るるなり是等は汝等には汚たる者なり 003 LEV 011 029 地に匍ところの匍行者の中汝等に汚穢となる者は是なり即ち鼬鼠鼫鼠大蜥蜴の類 003 LEV 011 030 蛤蚧龍子守宮蛇醫蝘蜓 003 LEV 011 031 諸の匍者の中是等は汝等には汚穢たるなり凡てその死たるに捫る者は晩まで汚るべし 003 LEV 011 032 是等の者の死て上に墜たる物は何にもあれ汚るべし木の器具にもあれ衣服にもあれ皮革にもあれ嚢袋にもあれ凡そ事に用ふる器は皆これを水にいるべし是は晩まで汚穢ん斯せば是は清まるべし 003 LEV 011 033 また是等の中の者瓦の器におつればその内にある者みな汚るべし汝らその器を毀つべきなり 003 LEV 011 034 また水の入たる食ふべき食物も是等によりて汚るべく諸般の器にある飮べき飮物も是等に由て汚るべし 003 LEV 011 035 是等の者の死體物の上に堕ればその物都て汚るべし爐にもあれ土鍋にもあれ之を毀つべきなり是は汚れて汝等には汚れたる者となればなり 003 LEV 011 036 然ど泉水あるひは塘池水の潴は汚るること無し唯その死體に觸る者汚るべし 003 LEV 011 037 是等の者の死體は播べき種の上に堕るも其は汚るることなし 003 LEV 011 038 然ど種の上に水のかかれる時にその死體上に堕なば其は汝等には汚たるべし 003 LEV 011 039 汝等が食ふところの獣畜の死たる時はその死體に捫る者は晩まで汚るべし 003 LEV 011 040 その死體を食ふ者はその衣服を濯ふべし其身は晩まで汚るるなりその死體を携ふる者もその衣服を洗ふべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 011 041 地の上に匍ところの諸の匍行物は忌べき者なり食ふべからず 003 LEV 011 042 即ち地に匍ところの諸の匍行物の中凡て腹ばひ行く者四足にて歩く者ならびに多の足を有つ者是等をば汝等食ふべからず是等は忌べき者たるなり 003 LEV 011 043 汝等は匍ところの匍行物のためにその身を忌はしき者にするなかれ是等をもてその身を汚すなかれ又是等に汚さるるなかれ 003 LEV 011 044 我は汝等の神ヱホバなれば汝等その身を聖潔せよ然ば汝等聖者とならん我聖ければなり汝等は必ず地に匍ところの匍行者をもてその身を汚すことをせざれ 003 LEV 011 045 我は汝等の神とならんとて汝等をエジプトの國より導きいだせしヱホバなり我聖ければ汝等聖潔なるべし 003 LEV 011 046 是すなはち獣畜と鳥と水に動く諸の生物と地に匍ふ諸の匍行物にかかはるところの例にして 003 LEV 011 047 汚たる者と潔き者とを分ち食るる生物と食はれざる生物とを分つ者なり 003 LEV 012 001 ヱホバまたモーセに告て曰たまはく 003 LEV 012 002 イスラエルの子孫に告て言へ婦女もし種をやどして男子を生ば七日汚るべし即ちその月の穢の日數ほど汚るるなり 003 LEV 012 003 また第八日に至らばその嬰の前の皮を割べし 003 LEV 012 004 その婦女は尚その成潔の血に三十三日を歴べしその成潔の日の滿るまでは聖物にさはるべからず聖所にいるべからず 003 LEV 012 005 若女子を生ば二七日汚るべし月の穢におけるがごとしまたその成潔の血に六十六日を經べきなり 003 LEV 012 006 而してその男子あるひは女子につきての成潔の日滿なば燔祭の爲に當歳の羔羊を取り罪祭のために雛き鴿あるひは鳲鳩を取てこれを集會の幕屋の門に携へきたり祭司にいたるべし 003 LEV 012 007 祭司は之をヱホバの前にささげてその婦女のために贖罪をなすべし然せばその出血の穢潔まるべし是すなはち男子または女子を生る婦女にかかはるところの例なり 003 LEV 012 008 その婦女もし羔羊にまで手の届かざる時は鳲鳩二羽か又は雛き鴿二羽を携へきたるべし是一は燔祭のため一は罪祭のためなり祭司これがために贖罪をなすべし然せば婦女は潔まるべし 003 LEV 013 001 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 003 LEV 013 002 人その身の皮に腫あるひは癬あるひは光る處あらんにもし之がその身の皮にあること癩病の患處のごとくならばその人を祭司アロンまたは祭司たるアロンの子等に携へいたるべし 003 LEV 013 003 また祭司は肉の皮のその患處を觀べしその患處の毛もし白くなり且その患處身の皮よりも深く見えなば是癩病の患處なり祭司かれを見て汚たる者となすべし 003 LEV 013 004 もし又その身の皮の光る處白くありて皮よりも深く見えずまたその毛も白くならずば祭司その患處ある人を七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 005 第七日にまた祭司之を觀べし若その患處變るところ無くまたその患處皮に蔓延ること無ば祭司またその人を七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 006 第七日にいたりて祭司ふたたびその人を觀べしその患處もし薄らぎまたその患處皮に蔓延らずば祭司これを潔者となすべし是は癬なりその人は衣服を洗ふべし然せば潔くならん 003 LEV 013 007 然どその人祭司に觀られて潔き者となりたる後にいたりてその癬皮に廣く蔓延らば再ひ祭司にその身を見すべし 003 LEV 013 008 祭司これを觀てその癬皮に蔓延るを見ば祭司その人を汚たる者となすべし是は癩病なり 003 LEV 013 009 人もしその身に癩病の患處あらば祭司にこれを携ゆくべし 003 LEV 013 010 祭司これを觀にその皮の腫白くしてその毛も白くなり且その腫に爛肉の見ゆるあらば 003 LEV 013 011 是舊き癩病のその身の皮にあるなれば祭司これを汚たる者となすべしその人は汚たる者なればこれを禁鎖るにおよばず 003 LEV 013 012 若また癩病大にその皮に發しその患處ある者の皮に遍く滿て首より足まで凡て祭司の見るところにおよばば 003 LEV 013 013 祭司これを視若その身に遍く癩病の滿たるを見ばその患處ある者を潔き者となすべし其人は全く白くなりたれば潔きなり 003 LEV 013 014 然どもし爛肉その人に顯れなば汚たる者なり 003 LEV 013 015 祭司爛肉を視ばその人を汚たる者となすべし爛肉は汚たる者なり是すなはち癩病たり 003 LEV 013 016 若またその爛肉變て白くならばその人は祭司に詣るべし 003 LEV 013 017 祭司これを視るにその患處もし白くなりをらば祭司その患處ある者を潔き者となすべしその人は潔きなり 003 LEV 013 018 また肉の皮に瘍瘡ありしに癒て 003 LEV 013 019 その瘍瘡の地方に白き腫おこり又は白くして微紅き光る處おこるありて之を祭司に見することあらんに 003 LEV 013 020 祭司これを視るに皮よりも卑く見てその毛白くなりをらば祭司その人を汚たる者となすべし其は瘍瘡より起りし癩病の患處たるなり 003 LEV 013 021 然ど祭司これを觀に其處に白き毛あらずまた皮よりも卑からずして却て薄らぎをらば祭司その人を七日の間禁鎖おくべし 003 LEV 013 022 而してもし大に皮に蔓延ば祭司その人を汚たる者となすべし是その患處なり 003 LEV 013 023 然どその光る處もしその所に止りて蔓延ずば是は瘍瘡の痕跡なり祭司その人を潔き者となすべし 003 LEV 013 024 また肉の皮に火傷あらんにその火傷の跡もし微紅くして白く又は只白くして光る處とならば 003 LEV 013 025 祭司これを視べし若その光る處の毛白くなりてその處皮よりも深く見なば是火傷より起りし癩病なれば祭司その人を汚たる者となすべし是は癩病の患處たるなり 003 LEV 013 026 然ど祭司これを視にその光る處に白き毛あらずまたその處皮よりも卑からずして却て薄らぎをらば祭司その人を七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 027 第七日に祭司これを視べしもし大に皮に蔓延りをらば祭司その人を汚たる者となすべし是は癩病の患處なり 003 LEV 013 028 もしその光る處その所に止り皮に蔓延らずして却て薄らぎをらば是火傷の腫なり祭司其人を潔き者となすべし其は是火傷の痕迹なればなり 003 LEV 013 029 男あるひは女もし頭または鬚に患處あらば 003 LEV 013 030 祭司その患處を觀べし若皮よりも深く見えまた其處に黄なる細き毛あらば祭司その人を汚れたる者となすべし其は瘡にして頭または鬚にある癩病なり 003 LEV 013 031 若また祭司その瘡の患處を視に皮よりも深からずしてまた其處に黑き毛あること無ば祭司その瘡の患處ある者を七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 032 第七日に祭司その患處を視べしその瘡もし蔓延ずまた其處に黄なる毛あらずして皮よりもその瘡深く見ずば 003 LEV 013 033 その人は剃ことをなすべし但しその瘡の上は剃べからず祭司其瘡ある者を尚また七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 034 第七日に祭司またその瘡を視べし若その瘡皮に蔓延ずまた皮よりも深く見ずば祭司その人を潔き者となすべしその人はまたその衣服をあらふべし然せば潔くならん 003 LEV 013 035 若その潔き者となりし後にいたりてその瘡大に皮に蔓延りなば 003 LEV 013 036 祭司その人を觀べし若その瘡皮に蔓延らば祭司は黄なる毛を尋るにおよばずその人は汚たる者なり 003 LEV 013 037 然ど若その瘡止たるごとくに見えて黑き毛の其處に生ずるあらばその瘡痊たる者にてその人は潔し祭司その人を潔き者となすべし 003 LEV 013 038 また男あるひは女その身の皮に光る處すなはち白き光る處あらば 003 LEV 013 039 祭司これを視べし若その身の皮の光る處薄白からば是白斑のその皮に生じたるなればその人は潔し 003 LEV 013 040 人もしその髮毛頭より脱おつるあるも禿なれば潔し 003 LEV 013 041 人もしその面に近き處の頭の毛脱おつるあるも額の禿たるなれば潔し 003 LEV 013 042 然ども若その禿頭または禿額に白く微紅き患處あらば是その禿頭または禿額に癩病の發したるなり 003 LEV 013 043 祭司これを觀べし若その禿頭あるひは禿額の患處の腫白くして微紅くあり身の肉に癩病のあらはるるごとくならば 003 LEV 013 044 是癩病人にして汚たる者なり祭司その人をもて全く汚たる者となすべしその患處その頭にあるなり 003 LEV 013 045 癩病の患處ある者はその衣服を裂きその頭を露しその口に蓋をあてて居り汚たる者汚たる者とみづから稱ふべし 003 LEV 013 046 その患處の身にある日の間は恒に汚たる者たるべしその人は汚たる者なれば人に離れて居るべし即ち營の外に住居をなすべきなり 003 LEV 013 047 若また衣服に癩病の患處起るあらん時は毛の衣にもあれ麻の衣にもあれ 003 LEV 013 048 又麻あるひは毛の經線にあるにもせよ緯線にあるにもせよ皮革にあるにもあれ又凡て皮革にて造れる物にあるにもあれ 003 LEV 013 049 若その衣服あるひは皮革あるひは經線あるひは緯線あるひは凡て皮革にて造れる物に有ところの患處靑くあるか又は赤くあらば是癩病の患處なり之を祭司に見べし 003 LEV 013 050 祭司はその患處を視その患處ある物を七日の間禁鎖おき 003 LEV 013 051 第七日にその患處を視べし若その衣服あるひは經線あるひは緯線あるひは毛あるひは皮革あるひは凡て皮革にて造れる物にあるところの患處蔓延をらばこれ惡き癩病にしてその物は汚たる者なり 003 LEV 013 052 彼その患處あるところの衣服毛または麻の經線緯線あるひは凡て皮革にて造れる物を燬べし是は惡き癩病なりその物を火に燒べし 003 LEV 013 053 然ど祭司これを視に患處もしその衣服あるひは經線あるひは緯線あるひは凡て皮革にて造れる物に蔓延ずば 003 LEV 013 054 祭司命じてその患處ある物を濯はせ尚七日の間之を禁鎖おき 003 LEV 013 055 而して祭司その濯ひし患處を觀べし患處もし色の變ることなくば患處の蔓延ことあらざるも是は汚たる者なり汝これを火に燬べし是は表面にあるも裏面にあるも共に腐蝕の陷なり 003 LEV 013 056 然ど濯たる後に祭司これを觀るにその患處薄らぎたらばその衣服あるひは皮革あるひは經線あるひは緯線より患處を切とるべし 003 LEV 013 057 然るに尚またその衣服あるひは經線あるひは緯線あるひは凡て皮革にて造れる物に患處のあらはるるあらば是再發なり汝その患處ある物を火に燒べし 003 LEV 013 058 また汝が濯ふところの衣服あるひは經線あるひは緯線あるひは凡て皮革にて造れる物よりして若その患處脱さらば再びこれを濯ふべし然せば潔し 003 LEV 013 059 是すなはち毛または麻の衣服および經線緯線ならびに凡て皮革にて造りたる物に起れる癩病の患處をしらべて潔と汚たるとを定むるところの條例なり 003 LEV 014 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 014 002 癩病人の潔めらるる日の定例は是のごとし即ちその人を祭司の許に携へゆくべし 003 LEV 014 003 先祭司營より出ゆきて觀祭司もし癩病人の身にありし癩病の患處の痊たるを見ば 003 LEV 014 004 祭司その潔めらるる者のために命じて生る潔き鳥二羽に香柏と紅の線と牛膝草を取きたらしめ 003 LEV 014 005 祭司また命じてその鳥一羽を瓦の器の内にて活水の上に殺さしめ 003 LEV 014 006 而してその生る鳥を取り香柏と紅の線と牛膝草をも取て之を夫活水の上に殺したる鳥の血の中にその生る鳥とともに濡し 003 LEV 014 007 癩病より潔められんとする者にこれを七回灑ぎてこれを潔き者となしその生る鳥をば野に放つべし 003 LEV 014 008 潔めらるる者はその衣服を濯ひその毛髮をことごとく剃おとし水に身を滌ぎて潔くなり然る後に營に入きたるべし但し七日が間は自己の天幕の外に居るべし 003 LEV 014 009 而して第七日にその身の毛髮をことごとく剃べし即ちその頭の髮と鬚と眉とをことごとく剃りまたその衣服を濯ひ且その身を水に滌ぎて潔くなるべし 003 LEV 014 010 第八日にいたりてその人二匹の全き羔羊の牡と當歳なる一匹の全き羔羊の牝を取りまた麥粉十分の三に油を和たる素祭と油一ログを取べし 003 LEV 014 011 潔禮をなす所の祭司その潔めらるべき人と是等の物とを集會の幕屋の門にてヱホバの前に置き 003 LEV 014 012 而して祭司かの羔羊の牡一匹を取り一ログの油とともに之を愆祭に献げまた之をヱホバの前に搖て搖祭となすべし 003 LEV 014 013 この羔羊の牡は罪祭燔祭の牲を宰る處すなはち聖所にてこれを宰るべし罪祭の物の祭司に歸するごとく愆祭の物も然るなり是は至聖物たり 003 LEV 014 014 而して祭司その愆祭の牲の血を取りその潔めらるべき者の右の耳の端と右の手の大指と右の足の拇指に祭司これをつくべし 003 LEV 014 015 祭司またその一ログの油をとりて之を自身の左の手の掌に傾ぎ 003 LEV 014 016 而して祭司その右の指を左の手の油にひたしその指をもて之を七回ヱホバの前に灑ぐべし 003 LEV 014 017 その手の殘餘の油は祭司その潔らるべき者の右の耳の端と右の手の大指と右の足の拇指においてその愆祭の牲の血の上に之をつくべし 003 LEV 014 018 而して尚その手に殘れる油は祭司これをその潔めらるべき者の首につけヱホバの前にて祭司その人のために贖罪をなすべし 003 LEV 014 019 斯してまた祭司罪祭を献げその汚穢を潔めらるべき者のために贖罪を爲て然る後に燔祭の牲を宰るべし 003 LEV 014 020 而して祭司燔祭と素祭を壇の上に献げその人のために祭司贖罪を爲べし然せばその人は潔くならん 003 LEV 014 021 その人もし貧くして之にまで手の届かざる時は搖て自己の贖罪をなさしむべき愆祭のために羔羊の牡一匹をとり又素祭のために麥粉十分の一に油を和たるを取りまた油一ログを取り 003 LEV 014 022 且その手のとどくところに循ひて鳲鳩二羽かまたは雛き鴿二羽を取べし其一は罪祭のための者一は燔祭のための者なり 003 LEV 014 023 而してその潔禮の第八日に之を祭司に携へ集會の幕屋の門にきたりてヱホバの前にいたるべし 003 LEV 014 024 かくて祭司はその愆祭の牡羊と一ログの油を取り祭司これをヱホバの前に搖て搖祭となすべし 003 LEV 014 025 而して愆祭の羔羊を宰りて祭司その愆祭の牲の血を取りこれをその潔めらるべき者の右の耳の端と右の手の大指と右の足の拇指につけ 003 LEV 014 026 また祭司その油の中を己の左の手の掌に傾ぎ 003 LEV 014 027 而して祭司その右の指をもて左の手の油を七回ヱホバの前に灑ぎ 003 LEV 014 028 亦祭司その潔めらるべき者の右の耳と右の手の大指と右の足の拇指において愆祭の牲の血をつけし處にその手の油をつくべし 003 LEV 014 029 またその手に殘れる油をば祭司その潔めらるべき者の首に之をつけヱホバの前にてその人のために贖罪をなすべし 003 LEV 014 030 その人はその手のおよぶところの鳲鳩または雛き鴿一羽を献ぐべし 003 LEV 014 031 即ちその手のおよぶところの者一を罪祭に一を燔祭に爲べし祭司はその潔めらるべき者のためにヱホバの前に贖罪をなすべし 003 LEV 014 032 癩病の患處ありし人にてその潔禮に用ふべき物に手の届ざる者は之をその條例とすべし 003 LEV 014 033 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 003 LEV 014 034 我が汝らの產業に與ふるカナンの地に汝等の至らん時に我汝らの產業の地の或家に癩病の患處を生ぜしむること有ば 003 LEV 014 035 その家の主來り祭司に告て患處のごとき者家に現はると言べし 003 LEV 014 036 然る時は祭司命じて祭司のその患處を視に行く前にその家を空しむべし是は家にある物の凡て汚れざらんためなり而して後に祭司いりてその家を觀べし 003 LEV 014 037 その患處を觀にもしその家の壁に靑くまたは赤き窪の患處ありて壁よりも卑く見えなば 003 LEV 014 038 祭司その家を出て家の門にいたり七日の間家を閉おき 003 LEV 014 039 祭司第七日にまた來りて視るべしその患處もし家の壁に蔓延をらば 003 LEV 014 040 祭司命じてその患處ある石を取のぞきて邑の外の汚穢所にこれを棄しめ 003 LEV 014 041 またその家の内の四周を刮らしむべしその刮りし灰沙は之を邑の外の汚穢所に傾け 003 LEV 014 042 他の石を取てその石の所に入かふべし而して彼他の灰沙をとりて家を塗べきなり 003 LEV 014 043 斯石を取のぞき家を刮りてこれを塗かへし後にその患處もし再びおこりて家に發しなば 003 LEV 014 044 祭司また來りて視べし患處もし家に蔓延たらば是家にある惡き癩病なれば其は汚るるなり 003 LEV 014 045 彼その家を毀ちその石その木およびその家の灰沙をことごとく邑の外の汚穢所に搬びいだすべし 003 LEV 014 046 その家を閉おける日の間にこれに入る者は晩まで汚るべし 003 LEV 014 047 その家に臥す者はその衣服を洗ふべしその家に食する者もその衣服を洗ふべし 003 LEV 014 048 然ど祭司いりて視にその患處家を塗かへし後に家に蔓延ずば是患處の痊たる者なれば祭司その家を潔き者となすべし 003 LEV 014 049 彼すなはちその家を潔むるために鳥二羽に香柏と紅の線と牛膝草を取り 003 LEV 014 050 その鳥一羽を瓦の器の内にて活る水の上に殺し 003 LEV 014 051 香柏と牛膝草と紅の線と生鳥を取てこれをその殺せし鳥の血なる活る水に浸し七回家に灑ぐべし 003 LEV 014 052 斯祭司鳥の血と活る水と生る鳥と香柏と牛膝草と紅の線をもて家を潔め 003 LEV 014 053 その生る鳥を邑の外の野に縦ちその家のために贖罪をなすべし然せば其は潔くならん 003 LEV 014 054 是すなはち癩病の諸患處瘡 003 LEV 014 055 および衣服と家屋の癩病 003 LEV 014 056 ならびに腫と癬と光る處とに關る條例にして 003 LEV 014 057 何の日潔きか何の日汚たるかを敎ふる者なり癩病の條例は是のごとし 003 LEV 015 001 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 003 LEV 015 002 イスラエルの子孫に告て言へ凡そ人その肉に流出あらばその流出のために汚るべし 003 LEV 015 003 その流出に由て汚るること是のごとし即ちその肉の流出したたるもその肉の流出滞ほるも共にその汚穢となるなり 003 LEV 015 004 流出ある者の臥たる床は凡て汚るまたその人の坐したる物は凡て汚るべし 003 LEV 015 005 その床に觸る人は衣服をあらひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 006 流出ある人の坐したる物の上に坐する人は衣服を洗ひ水に身をそそぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 007 流出ある者の身に觸る人は衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 008 もし流出ある者の唾潔き者にかからばその人衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 009 流出ある者の乗たる物は凡て汚るべし 003 LEV 015 010 またその下になりし物に觸る人は皆晩まで汚るまた其等の物を携ふる者は衣服を洗ひ水に身をそそぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 011 流出ある者手を水に洗はずして人にさはらばその人は衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 012 流出ある者の捫りし瓦の器は凡て碎くべし木の器は凡て水に洗ふべし 003 LEV 015 013 流出ある者その流出やみて潔くならば己の成潔のために七日を數へその衣服を洗ひ活る水にその體を滌ぐべし然せば潔くなるべし 003 LEV 015 014 而して第八日に鳲鳩二羽または雛き鴿二羽を自己のために取り集會の幕屋の門にきたりてヱホバの前にゆき之を祭司に付すべし 003 LEV 015 015 祭司はその一を罪祭に一を燔祭に献げ而して祭司その人の流出のためにヱホバの前に贖罪をなすべし 003 LEV 015 016 人もし精の洩ることあらばその全身を水にあらふべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 017 凡て精の粘着たる衣服皮革などは皆水に洗ふべし是は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 018 男もし女と寝て精を洩さば二人ともに水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 019 また婦女流出あらんにその肉の流出もし血ならば七日の間不潔なり凡て彼に捫る者は晩まで汚るべし 003 LEV 015 020 その不潔の間に彼が臥たるところの物は凡て汚るべし又彼がその上に坐れる物も皆汚れん 003 LEV 015 021 その床に捫る者は皆衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 022 彼が凡て坐りし物に捫る者は皆衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 023 彼の床の上またはその凡て坐りし物の上にある血に捫らばその人は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 024 人もし婦女と寝てその不潔を身に得ば七日汚るべしその人の臥たる床は凡て汚れん 003 LEV 015 025 婦女もしその血の流出不潔の期の外にありて多くの日に渉ることあり又その流出する事不潔の期に逾るあらばその汚穢の流出する日の間は凡てその不潔の時の如くにしてその身汚る 003 LEV 015 026 凡てその流出ある日の間彼が臥ところの床は彼におけること不潔の床のごとし凡そ彼が坐れる物はその汚るること不潔の汚穢のごとし 003 LEV 015 027 是等の物に捫る人は凡て汚るその衣服を洗ひ水に身を滌ぐべしその身は晩まで汚るるなり 003 LEV 015 028 彼もしその流出やみて淨まらば七日を算ふべし而して後潔くならん 003 LEV 015 029 彼第八日に鳲鳩二羽または雛き鴿二羽を自己のために取りこれを祭司に携へ來り集會の幕屋の門にいたるべし 003 LEV 015 030 祭司その一を罪祭に一を燔祭に献げ而して祭司かれが汚穢の流出のためにヱホバの前に贖を爲べし 003 LEV 015 031 斯汝等イスラエルの子孫をその汚穢に離れしむべし是は彼等その中間にある吾が幕屋を汚してその汚穢に死ることなからん爲なり 003 LEV 015 032 是すなはち流出ある者その精を洩してこれに身を汚せし者 003 LEV 015 033 その不潔を患ふ婦女或は男あるひは女の流出ある者汚たる婦女と寝たる者等に關るところの條例なり 003 LEV 016 001 アロンの子等二人がヱホバの前に献ぐることを爲て死たる後にヱホバ、モーセに斯告たまへり 003 LEV 016 002 即ちヱホバ、モーセに言たまひけるは汝の兄弟アロンに告よ時をわかたずして障蔽の幕の内なる聖所にいり櫃の上なる贖罪所の前にいたるべからず是死ることなからんためなり其は我雲のうちにありて贖罪所の上にあらはるべければなり 003 LEV 016 003 アロン聖所にいるには斯すべしすなはち犢の牡を罪祭のために取り牡羊を燔祭のために取り 003 LEV 016 004 聖き麻の裏衣を着麻の褌をその肉にまとひ麻の帶をもて身に帶し麻の頭帽を冠るべし是は聖衣なりその身を水にあらひてこれを着べし 003 LEV 016 005 またイスラエルの子孫の會衆の中より牡山羊二匹を罪祭のために取り牡羊一匹を燔祭のために取べし 003 LEV 016 006 アロンは自己のためなるその罪祭の牡牛を牽きたりて自己とその家族のために贖罪をなすべし 003 LEV 016 007 アロンまたその兩隻の山羊を取り集會の幕屋の門にてヱホバの前にこれを置き 003 LEV 016 008 その兩隻の山羊のために籤を掣べし即ち一の籤をヱホバのためにし一の籤をアザゼルのためにすべし 003 LEV 016 009 而してアロンそのヱホバの籤にあたりし山羊を献げて罪祭となすべし 003 LEV 016 010 又アザゼルの籤にあたりし山羊はこれをヱホバの前に生しおきこれをもて贖罪をなしこれを野におくりてアザゼルにいたらすべし 003 LEV 016 011 即ちアロン己のためなるその罪祭の牡牛を牽きたりて自己とその家族のために贖罪をなし自己のためなる其罪祭の牡牛を宰り 003 LEV 016 012 而して火鼎をとりヱホバの前の壇よりして熱れる火を之に盈てまた兩手に細末の馨しき香を盈て之を障蔽の幕の中に携へいり 003 LEV 016 013 ヱホバの前に於て香をその火に放べ香の煙の雲をして律法の上なる贖罪所を蓋はしむべし然せば彼死ることあらじ 003 LEV 016 014 彼またその牡牛の血をとり指をもて之を贖罪所の東面に灑ぎまた指をもてその血を贖罪所の前に七回灑ぐべし 003 LEV 016 015 斯してまた民のためなるその罪祭の山羊を宰りその血を障蔽の幕の内に携へいりかの牡牛の血をもて爲しごとくその血をもて爲しこれを贖罪所の上と贖罪所の前に灑ぎ 003 LEV 016 016 イスラエルの子孫の汚穢とその諸の悸れる罪とに縁て聖所のために贖罪を爲べし即ち彼等の汚穢の中間にある集會の幕屋のために斯なすべきなり 003 LEV 016 017 彼が聖所において贖罪をなさんとて入たる時はその自己と己の家族とイスラエルの全會衆のために贖罪をなして出るまでは何人も集會の幕屋の内に居べからず 003 LEV 016 018 斯て彼ヱホバの前の壇に出きたり之がために贖罪をなすべし即ちその牡牛の血と山羊の血を取て壇の四周の角につけ 003 LEV 016 019 また指をもて七回その血を其の上に灑ぎイスラエルの子孫の汚穢をのぞきて其を潔ようし且聖別べし 003 LEV 016 020 斯かれ聖所と集會の幕屋と壇のために贖罪をなしてかの生る山羊を牽きたるべし 003 LEV 016 021 然る時アロンその生る山羊の頭に兩手を按きイスラエルの子孫の諸の惡事とその諸の悸反る罪をことごとくその上に承認はしてこれを山羊の頭に載せ選びおける人の手をもてこれを野に遣るべし 003 LEV 016 022 その山羊彼等の諸惡を人なき地に任ゆくべきなり即ちその山羊を野に遣るべし 003 LEV 016 023 斯してアロン集會の幕屋にいりその聖所にいりし時に穿たる麻の衣を脱て其處に置き 003 LEV 016 024 聖所においてその身を水にそそぎ衣服をつけて出で自己の燔祭と民の燔祭とを献げて自己と民とのために贖罪をなすべし 003 LEV 016 025 また罪祭の牲の脂を壇の上に焚べきなり 003 LEV 016 026 かの山羊をアザゼルに遣りし者は衣服を濯ひ水に身を滌ぎて然る後營にいるべし 003 LEV 016 027 聖所において贖罪をなさんために其血を携へ入たる罪祭の牡牛と罪祭の山羊とは之を營の外に携へいだしその皮と肉と糞を火に燒べし 003 LEV 016 028 之を燒たる者は衣服を濯ひ水に身を滌ぎて然る後營にいるべし 003 LEV 016 029 汝等永く此例を守るべし即ち七月にいたらばその月の十日に汝等その身をなやまし何の工をも爲べからず自己の國の人もまた汝等の中に寄寓る外國の人も共に然すべし 003 LEV 016 030 其はこの日に祭司汝らのために贖罪をなして汝らを淨むればなり是汝らがヱホバの前にその諸の罪を清められんためになす者なり 003 LEV 016 031 是は汝らの大安息日なり汝ら身をなやますべし是永く守るべき例なり 003 LEV 016 032 膏をそそがれて任ぜられその父に代りて祭司の職をなすところの祭司贖罪をなすべし彼は麻の衣すなはち聖衣を衣べし 003 LEV 016 033 彼すなはち至聖所のために贖罪をなしまた集會の幕屋のためと壇のために贖罪をなしまた祭司等のためと民の會衆のために贖罪をなすべし 003 LEV 016 034 是汝等が永く守るべき例にしてイスラエルの子孫の諸の罪のために年に一度贖罪をなす者なり彼すなはちヱホバのモーセに命じたまひしごとく爲ぬ 003 LEV 017 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 017 002 アロンとその子等およびイスラエルの總の子孫に告てこれに言べしヱホバの命ずるところ斯のごとし云く 003 LEV 017 003 凡そイスラエルの家の人の中牛羊または山羊を營の内に宰りあるひは營の外に宰ることを爲し 003 LEV 017 004 之を集會の幕屋の門に牽きたりて宰りヱホバの幕屋の前において之をヱホバに禮物として献ぐることを爲ざる者は血を流せる者と算らるべし彼は血を流したるなればその民の中より絶るべきなり 003 LEV 017 005 是はイスラエルの子孫をしてその野の表に犠牲とするところの犠牲をヱホバに牽きたらしめんがためなり即ち彼等は之を牽きたり集會の幕屋の門にいたりて祭司に就きこれを酬恩祭としてヱホバに献ぐべきなり 003 LEV 017 006 然る時は祭司その血を集會の幕屋の門なるヱホバの壇にそそぎまたその脂を馨しき香のために焚てヱホバに奉つるべし 003 LEV 017 007 彼等はその慕ひて淫せし魑魅に重て犠牲をささぐ可らず是は彼等が代々永くまもるべき例なり 003 LEV 017 008 汝また彼等に言べし凡そイスラエルの家の人または汝らの中に寄寓る他國の人燔祭あるひは犠牲を献ぐることをせんに 003 LEV 017 009 之を集會の幕屋の門に携へきたりてヱホバにこれを献ぐるにあらずばその人はその民の中より絶るべし 003 LEV 017 010 凡そイスラエルの家の人または汝らの中に寄寓る他國の人の中何の血によらず血を食ふ者あれば我その血を食ふ人にわが面をむけて攻めその民の中より之を斷さるべし 003 LEV 017 011 其は肉の生命は血にあればなり我汝等がこれを以て汝等の霊魂のために壇の上にて贖罪をなさんために是を汝等に與ふ血はその中に生命のある故によりて贖罪をなす者なればなり 003 LEV 017 012 是をもて我イスラエルの子孫にいへり汝らの中何人も血をくらふべからずまた汝らの中に寄寓る他國の人も血を食ふべからずと 003 LEV 017 013 凡そイスラエルの子孫の中または汝らの中に寄寓る他國の人の中もし食はるべき獣あるひは鳥を猟獲たる者あらばその血を灑ぎいだし土にて之を掩ふべし 003 LEV 017 014 凡の肉の生命はその血にして是はすなはちその魂たるなり故に我イスラエルの子孫にいへりなんぢらは何の肉の血をもくらふべからず其は一切の肉の生命はその血なればなり凡て血をくらふものは絶るべし 003 LEV 017 015 およそ自ら死たる物または裂ころされし物をくらふ人はなんぢらの國の者にもあれ他國の者にもあれその衣服をあらひ水に身をそそぐべしその身は晩までけがるるなりその後は潔し 003 LEV 017 016 その人もし洗ふことをせずまたその身を水に滌がずばその罪を任べし 003 LEV 018 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 018 002 イスラエルの子孫に告て之に言へ我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 018 003 汝らその住をりしエジプトの國に行はるる所の事等を傚ひ行ふべからずまた我が汝等を導きいたるカナンの國におこなはるる所の事等を傚ひおこなふべからずまたその例に歩行べからず 003 LEV 018 004 汝等は我が法を行ひ我が例をまもりてその中にあゆむべし我は汝等の神ヱホバなり 003 LEV 018 005 汝等わが例とわが法をまもるべし人もし是を行はば之によりて生べし我はヱホバなり 003 LEV 018 006 汝等凡てその骨肉の親に近づきて之と淫するなかれ我はヱホバなり 003 LEV 018 007 汝の母と淫するなかれ是汝の父を辱しむるなればなり彼は汝の母なれば汝これと淫するなかれ 003 LEV 018 008 汝の父の妻と淫するなかれ是汝の父を辱しむるなればなり 003 LEV 018 009 汝の姉妹すなはち汝の父の女子と汝の母の女子は家に生れたると家外に生れたるとによらず凡てこれと淫するなかれ 003 LEV 018 010 汝の男子の女子または汝の女子の女子と淫する事なかれ是自己を辱しむるなればなり 003 LEV 018 011 汝の父の妻が汝の父によりて產たる女子は汝の姉妹なれば之と淫する勿れ 003 LEV 018 012 汝の父の姉妹と淫するなかれ是は汝の父の骨肉の親なればなり 003 LEV 018 013 また汝の母の姉妹と淫する勿れ是は汝の母の骨肉の親なり 003 LEV 018 014 汝の父の兄弟の妻に親づきて之と淫する勿れ是は汝の叔伯母なり 003 LEV 018 015 汝の媳と淫するなかれ是は汝の息子の妻なれば汝これと淫する勿れ 003 LEV 018 016 汝の兄弟の妻と淫する勿れ是汝の兄弟を辱しむるなればなり 003 LEV 018 017 汝婦人とその婦の女子とに淫する勿れまたその婦人の子息の女子またはその女子の女子を取て之に淫する勿れ是等は汝の骨肉の親なれば然するは惡し 003 LEV 018 018 汝妻の尚生る間に彼の姉妹を取て彼とおなじく妻となして之に淫する勿れ 003 LEV 018 019 婦のその行經の汚穢にある間はこれに近づきて淫するなかれ 003 LEV 018 020 汝の鄰の妻と交合して彼によりて己が身を汚すなかれ 003 LEV 018 021 汝その子女に火の中を通らしめてこれをモロクにささぐることを絶て爲ざれ亦汝の神ヱホバの名を汚すことなかれ我はヱホバなり 003 LEV 018 022 汝女と寝るごとくに男と寝るなかれ是は憎むべき事なり 003 LEV 018 023 汝獣畜と交合して之によりて己が身を汚すこと勿れまた女たる者は獣畜の前に立て之と接ること勿れ是憎むべき事なり 003 LEV 018 024 汝等はこの諸の事をもて身を汚すなかれ我が汝等の前に逐はらふ國々の人はこの諸の事によりて汚れ 003 LEV 018 025 その地もまた汚る是をもて我その惡のために之を罰すその地も亦自らそこに住る民を吐いだすなり 003 LEV 018 026 然ば汝等はわが例と法を守りこの諸の憎むべき事を一も爲べからず汝らの國の人も汝らの中間に寄寓る他國の人も然るべし 003 LEV 018 027 汝等の先にありし此地の人々はこの諸の憎むべき事を行へりその地もまた汚る 003 LEV 018 028 汝等は是のごとくするなかれ恐くはこの地汝らの先にありし國人を吐いだす如くに汝らをも吐いださん 003 LEV 018 029 凡そこの憎むべき事等を一にても行ふ者あれば之を行ふ人はその民の中より絶るべし 003 LEV 018 030 然ば汝等はわが例規を守り汝等の先におこなはれし是等の憎むべき習俗を一も行ふなかれまた之によりて汝等身を汚す勿れ我は汝等の神ヱホバなり 003 LEV 019 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 019 002 汝イスラエルの子孫の全會衆に告てこれに言へ汝等宜く聖あるべし其は我ヱホバ汝らの神聖あればなり 003 LEV 019 003 汝等おのおのその母とその父を畏れまた吾が安息日を守るべし我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 004 汝等虚き物を恃むなかれまた汝らのために神々を鋳造ることなかれ我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 005 汝等酬恩祭の犠牲をヱホバにささぐる時はその受納らるるやうに献ぐべし 003 LEV 019 006 之を食ふことは之を献ぐる日とその翌日に於てすべし若殘りて三日にいたらばこれを火に燒べし 003 LEV 019 007 もし第三日に少にても之を食ふことあらば是は憎むべき物となりて受納られざるべし 003 LEV 019 008 之を食ふ者はヱホバの聖物を汚すによりてその罰を蒙むるべし即ちその人は民の中より絶さられん 003 LEV 019 009 汝その地の穀物を穫ときには汝等その田野の隅々までを盡く穫可らず亦汝の穀物の遺穂を拾ふべからず 003 LEV 019 010 また汝の菓樹園の菓を取つくすべからずまた汝の菓樹園に落たる菓を斂むべからず貧者と旅客のためにこれを遺しおくべし我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 011 汝等竊むべからず偽べからず互に欺くべからず 003 LEV 019 012 汝等わが名を指て偽り誓ふべからずまた汝の神の名を汚すべからず我はヱホバなり 003 LEV 019 013 汝の鄰人を虐ぐべからずまたその物を奪ふべからず傭人の値を明朝まで汝の許に留めおくべからず 003 LEV 019 014 汝聾者を詛ふべからずまた瞽者の前に礙物をおくべからず汝の神を畏るべし我はヱホバなり 003 LEV 019 015 汝審判をなすに方りて不義を行なふべからず貧窮者を偏り護べからず權ある者を曲て庇くべからず但公義をもて汝の鄰を審判べし 003 LEV 019 016 汝の民の間に往めぐりて人を謗るべからず汝の鄰人の血をながすべからず我はヱホバなり 003 LEV 019 017 汝心に汝の兄弟を惡むべからず必ず汝の鄰人を勸戒むべし彼の故によりて罪を身にうくる勿れ 003 LEV 019 018 汝仇をかへすべからず汝の民の子孫に對ひて怨を懐くべからず己のごとく汝の鄰を愛すべし我はヱホバなり 003 LEV 019 019 汝らわが條例を守るべし汝の家畜をして異類と交らしむべからず異類の種をまぜて汝の田野に播べからず麻と毛をまじへたる衣服を身につくべからず 003 LEV 019 020 凡そ未だ贖ひ出されず未だ解放れざる奴隸の女にして夫に適く約束をなせし者あらんに人もしこれと交合しなばその二人を鑓責むべし然ど之を殺すに及ばず是その婦いまだ解放れざるが故なり 003 LEV 019 021 その男は愆祭をヱホバに携へきたるべし即ち愆祭の牡羊を集會の幕屋の門に牽きたるべきなり 003 LEV 019 022 而して祭司その人の犯せる罪のためにその愆祭の牡羊をもてヱホバの前にこれがために贖罪をなすべし斯せばその人の犯せし罪赦されん 003 LEV 019 023 汝等かの地にいたりて諸の果實の樹を植ん時はその果實をもて未だ割禮を受ざる者と見做べし即ち三年の間汝等これをもて割禮を受ざる者となすべし是は食はれざるなり 003 LEV 019 024 第四年には汝らそのもろもろの果實を聖物となしこれをもてヱホバに感謝の祭を爲べし 003 LEV 019 025 第五年に汝等その果實を食ふべし然せば汝らのために多く實を結ばん我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 026 汝等何をも血のままに食ふべからずまた魔術を行ふべからず卜筮をなすべからず 003 LEV 019 027 汝等頭の鬢を圓く剪べからず汝鬚の兩方を損ずべからず 003 LEV 019 028 汝等死る人のために己が身に傷くべからずまたその身に刺文をなすべからず我はヱホバなり 003 LEV 019 029 汝の女子を汚して娼妓の業をなさしむべからず恐くは淫事國におこなはれ罪惡國に滿ん 003 LEV 019 030 汝等わが安息日を守りわが聖所を敬ふべし我はヱホバなり 003 LEV 019 031 汝等憑鬼者を恃むなかれ卜筮師に問ことを爲て之に身を汚さるるなかれ我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 032 白髮の人の前には起あがるべしまた老人の身を敬ひ汝の神を畏るべし我はヱホバなり 003 LEV 019 033 他國の人汝らの國に寄留て汝とともに在ばこれを虐ぐるなかれ 003 LEV 019 034 汝等とともに居る他國の人をば汝らの中間に生れたる者のごとくし己のごとくに之を愛すべし汝等もエジブトの國に客たりし事あり我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 019 035 汝等審判に於ても尺度に於ても秤子に於ても升斗に於ても不義を爲べからず 003 LEV 019 036 汝等公平き秤公平き錘公平きエパ公平きヒンをもちふべし我は汝らの神ヱホバ汝らをエジブトの國より導き出せし者なり 003 LEV 019 037 汝等わが一切の條例とわが一切の律法を守りてこれを行ふべし我はヱホバなり 003 LEV 020 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 020 002 汝イスラエルの子孫に言べし凡そイスラエルの子孫の中またはイスラエルに寄寓る他國の人の中その子をモロクに献ぐる者は必ず誅さるべし國の民石をもて之を撃べし 003 LEV 020 003 我またわが面をその人にむけて之を攻めこれをその民の中より絶ん其は彼その子をモロクに献げて吾が聖所を汚しまたわが聖名を褻せばなり 003 LEV 020 004 その人がモロクにその子を献ぐる時に國の民もし目を掩ひて見ざるがごとくし之を殺すことをせずば 003 LEV 020 005 我わが面をその人とその家族にむけ彼および凡て彼に傚ひてモロクと淫をおこなふところの者等をその民の中より絶ん 003 LEV 020 006 憑鬼者または卜筮師を恃みこれに從がふ人あらば我わが面をその人にむけ之をその民の中に絶べし 003 LEV 020 007 然ば汝等宜く自ら聖潔して聖あるべし我は汝らの神ヱホバたるなり 003 LEV 020 008 汝等わが條例を守りこれを行ふべし我は汝らを聖別るヱホバなり 003 LEV 020 009 凡てその父またはその母を詛ふ者はかならず誅さるべし彼その父またはその母を詛ひたればその血は自身に歸すべきなり 003 LEV 020 010 人の妻と姦淫する人すなはちその鄰の妻と姦淫する者あればその姦夫淫婦ともにかならず誅さるべし 003 LEV 020 011 その父の妻と寝る人は父を辱しむるなり兩人ともにかならず誅さるべしその血は自己に歸せん 003 LEV 020 012 人もしその子の妻と寝る時は二人ともにかならず誅さるべし是憎むべき事を行へばなりその血は自己に歸せん 003 LEV 020 013 人もし婦人と寝るごとく男子と寝ることをせば是その二人憎むべき事をおこなふなり二人ともにかならず誅さるべしその血は自己に歸せん 003 LEV 020 014 人妻を娶る時にそれの母をともに娶らば是惡き事なり彼も彼等もともに火に燒るべし是汝らの中に惡き事の無らんためなり 003 LEV 020 015 男子もし獣畜と交合しなばかならず誅さるべし汝らまたその獣畜を殺すべし 003 LEV 020 016 婦人もし獣畜に近づきこれと交らばその婦人と獣畜を殺すべし是等はともに必ず誅さるべしその血は自己に歸せん 003 LEV 020 017 人もしその姉妹すなはちその父の女子あるひは母の女子を取りて此は彼の陰所を見彼は此の陰所を見なば是恥べき事をなすなりその民の子孫の前にてその二人を絶べし彼その姉妹と淫したればその罪を任べきなり 003 LEV 020 018 人もし經水ある婦人と寝て彼の陰所を露すことあり即ち男子その婦人の源を露し婦人また己の血の源を露すあらば二人ともにその民の中より絶るべし 003 LEV 020 019 汝の母の姉妹または汝の父の姉妹の陰所を露すべからず斯する皆にその骨肉の親たる者の陰所をあらはすなれば二人ともにその罪を任べきなり 003 LEV 020 020 人もしその伯叔の妻と寝る時は是その伯叔の陰所を露すなれば二人ともにその罪を任ひ子なくして死ん 003 LEV 020 021 人もしその兄弟の妻を取ば是汚はしき事なり彼その兄弟の陰所を露したるなればその二人は子なかるべし 003 LEV 020 022 汝等は我が一切の條例と一切の律法を守りて之を行ふべし然せば我が汝らを住せんとて導き行ところの地汝らを吐いだすことを爲じ 003 LEV 020 023 汝らの前より我が逐はらふところの國人の例に汝ら歩行べからず彼等はこの諸の事をなしたれば我かれらを惡むなり 003 LEV 020 024 我さきに汝等に言へり汝等その地を獲ん我これを汝らに與へて獲さすべし是は乳と蜜の流るる地なり我は汝らの神ヱホバにして汝らを他の民より區別てり 003 LEV 020 025 汝等は獣畜の潔と汚たると禽の潔と汚たるとを區別べし汝等は我が汚たる者として汝らのために區別たる獣畜または禽または地に匍ふ諸の物をもて汝らの身を汚すべからず 003 LEV 020 026 汝等は我の聖者となるべし其は我ヱホバ聖ければなり我また汝等をして我の所有とならしめんがために汝らを他の民より區別たるなり 003 LEV 020 027 男または女の憑鬼者をなし或は卜筮をなす者はかならず誅さるべし即ち石をもてこれを撃べし彼等の血は彼らに歸せん 003 LEV 021 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはくアロンの子等なる祭司等に告てこれに言へ民の中の死人のために身を汚す者あるべからず 003 LEV 021 002 但しその骨肉の親のためすなはちその母のため父のため男子のため女子のため兄弟のため 003 LEV 021 003 またその姉妹の處女にして未だ夫あらざる者のためには身を汚すも宜し 003 LEV 021 004 祭司はその民の中の長者なれば身を汚して褻たる者となるべからず 003 LEV 021 005 彼等は髮をそりて頭に毛なき所をつくるべからずその鬚の兩傍を損ずべからずまたその身に傷つくべからず 003 LEV 021 006 その神に對て聖あるべくまたその神の名をけがすべからず彼等はヱホバの火祭すなはち其神の食物を献ぐる者なれば聖あるべきなり 003 LEV 021 007 彼等は妓女または汚れたる女を妻に娶るべからずまた夫に出されたる女を娶るべからず其はその身ヱホバにむかひて聖ければなり 003 LEV 021 008 汝かれをもて聖者とすべし彼は汝の神ヱホバの食物を献ぐる者なればなり汝すなはちこれをもて聖者となすべし其は我ヱホバ汝らを聖別る者聖ければなり 003 LEV 021 009 祭司の女たる者淫行をなしてその身を汚さば是その父を汚すなり火をもてこれを燒べし 003 LEV 021 010 その兄弟の中灌膏を首にそそがれ職に任ぜられて祭司の長となれる者はその頭をあらはすべからずまたその衣服を裂べからず 003 LEV 021 011 死人の所に往べからずまたその父のためにも母のためにも身を汚すべからず 003 LEV 021 012 また聖所より出べからずその神の聖所を褻すべからず其はその神の任職の灌膏首にあればなり我はヱホバなり 003 LEV 021 013 彼妻には處女を娶るべし 003 LEV 021 014 寡婦休れたる婦または汚れたる婦妓女等は娶るべからず惟自己の民の中の處女を妻にめとるべし 003 LEV 021 015 その民の中に自己の子孫を汚すべからずヱホバこれを聖別ればなり 003 LEV 021 016 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 021 017 アロンに告て言へ凡そ汝の歴代の子孫の中身に疵ある者は進みよりてその神ヱホバの食物を献ぐる事を爲べからず 003 LEV 021 018 凡て疵ある人は進みよるべからずすなはち瞽者跛者および鼻の缺たる者成餘るところ身にある者 003 LEV 021 019 脚の折たる者手の折たる者 003 LEV 021 020 傴僂者侏儒目に雲膜ある者疥ある者癬ある者外腎の壞れたる者等は進みよるべからず 003 LEV 021 021 凡そ祭司アロンの子孫の中身に疵ある者は進みよりてヱホバの火祭を献ぐべからず彼は身に疵あるなれば進みよりてヱホバの食物を献ぐべからざるなり 003 LEV 021 022 神の食物の至聖者も聖者も彼は食ふことを得 003 LEV 021 023 然ど障蔽の幕に至べからずまた祭壇に近よるべからず其は身に疵あればなり斯かれわが聖所を汚すべからず其は我ヱホバこれを聖別ればなり 003 LEV 021 024 モーセすなはちアロンとその子等およびイスラエルの一切の子孫にこれを告たり 003 LEV 022 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 022 002 汝アロンとその子等に告て彼等をしてイスラエルの子孫の聖物をみだりに享用ざらしめまたその聖別て我にささげたる物についてわが名を汚すこと無らしむべし我はヱホバなり 003 LEV 022 003 彼等に言へ凡そ汝等の歴代の子孫の中都てイスラエルの子孫の聖別て我にささげし聖物に汚たる身をもて近く者あればその人はわが前より絶るべし我はヱホバなり 003 LEV 022 004 アロンの子孫の中癩病ある者または流出ある者は凡てその潔くなるまで聖物を食ふべからずまた死躰に汚れたる物に捫れる者または精をもらせる者 003 LEV 022 005 または凡て人を汚すところの匍行物に捫れる者または何の汚穢を論はず人をして汚れしむるところの人に捫れる者 003 LEV 022 006 此のごとき物に捫る者は晩まで汚るべしまたその身を水にて洗ふにあらざれば聖物を食ふべからず 003 LEV 022 007 日の入たる時は潔くなるべければその後に聖物を食ふべし是その食物なればなり 003 LEV 022 008 自ら死たる物または裂ころされし者を食ひて之をもて身を汚すべからず我はヱホバなり 003 LEV 022 009 彼等これを褻してこれが爲に罪を獲て死るにいたらざるやう我が例規をまもるべし我ヱホバ是等を聖せり 003 LEV 022 010 外國の人は聖物を食ふ可らず祭司の客あるひは傭人は聖物を食ふべからざるなり 003 LEV 022 011 然ど祭司金をもて人を買たる時はその者はこれを食ふことを得またその家に生れし者も然り彼等は祭司の食物を食ふことを得べし 003 LEV 022 012 祭司の女子もし外國の人に嫁ぎなば禮物なる聖物を食ふべからず 003 LEV 022 013 祭司の女子寡婦となるありまたは出さるるありて子なくしてその父の家にかへり幼時のごとくにてあらばその父の食物を食ふことを得べし但し外國の人はこれを食ふべからず 003 LEV 022 014 人もし誤りて聖物を食はばその聖物にこれが五分一を加へて祭司に付すべし 003 LEV 022 015 イスラエルの子孫がヱホバに献ぐるところの聖物を彼等褻すべからず 003 LEV 022 016 その聖物を食ふ者にはその愆の罰をかうむらしむべし其は我ヱホバこれを聖すればなり 003 LEV 022 017 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 022 018 アロンとその子等およびイスラエルの一切の子孫に告てこれに言へ凡そイスラエルにをる外國の人の中願還の禮物または自意の禮物をヱホバに献げて燔祭となさんとする者は 003 LEV 022 019 その受納らるるやうに牛羊あるひは山羊の牡の全き者を献ぐべし 003 LEV 022 020 凡て疵ある者は汝ら献ぐべからず是はその物なんぢらのために受納られざるべければなり 003 LEV 022 021 凡て願を還さんとしまたは自意の禮物をなさんとして牛あるひは羊をもて酬恩祭の犠牲を献上る者はその受納らるるやうに全き者を取べし其物には何の疵もあらしむべからざるなり 003 LEV 022 022 即ち盲なる者折たる所ある者切斷たる處ある者腫物ある者疥ある者癬ある者是の如き者は汝等これをヱホバに献ぐべからずまた壇の上に火祭となしてヱホバにたてまつるべからず 003 LEV 022 023 牛あるひは羊の成餘れる所または成足ざる所ある者は汝らこれを自意の禮物には用ふるも宜し然ど願還においては是は受納らるることなかるべし 003 LEV 022 024 汝等外腎を打壞りまたは壓つぶしまたは割きまたは斬りたる者をヱホバに献ぐべからずまた汝らの國の中に斯る事を行ふべからず 003 LEV 022 025 汝らまた異邦人の手よりも是等の物を受て神の食に供ふることを爲べからず其は是等は缺あり疵ある者なるに因て汝らのために受納らるることあらざればなり 003 LEV 022 026 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 022 027 牛羊または山羊生れなば之を七日その母につけ置べし八日より後は是はヱホバに火祭とすれば受納らるべし 003 LEV 022 028 牝牛にもあれ牝羊にもあれ汝らその母と子とを同日に殺すべからず 003 LEV 022 029 汝ら感謝の犠牲をヱホバに献ぐる時は汝らの受納らるるやうに献ぐべし 003 LEV 022 030 是はその日の内に食つくすべし明日まで遺しおくべからず我はヱホバなり 003 LEV 022 031 汝らわが誡命を守り且これを行ふべし我はヱホバなり 003 LEV 022 032 汝等わが名を瀆すべからず我はかへつてイスラエルの子孫の中に聖者とあらはるべきなり我はヱホバにして汝らを聖くする者 003 LEV 022 033 汝らの神とならんとて汝らをエジプトの國より導きいだせし者なり我はヱホバなり 003 LEV 023 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 023 002 イスラエルの子孫につげて之に言へ汝らが宣告て聖會となすべきヱホバの節期は是のごとし我が節期はすなはち是なり 003 LEV 023 003 六日の間業務をなすべし第七日は休むべき安息日にして聖會なり汝ら何の業をもなすべからず是は汝らがその一切の住所において守るべきヱホバの安息日なり 003 LEV 023 004 その期々に汝らが宣告べきヱホバの節期たる聖會は是なり 003 LEV 023 005 すなはち正月の十四日の晩はヱホバの逾越節なり 003 LEV 023 006 またその月の十五日はヱホバの酵いれぬパンの節なり七日の間汝等酵いれぬパンを食ふべし 003 LEV 023 007 その首の日には汝ら聖會をなすべし何の職業をも爲すべからず 003 LEV 023 008 汝ら七日のあひだヱホバに火祭を献ぐべし第七日にはまた聖會をなし何の職業をもなすべからず 003 LEV 023 009 ヱホバまたモーセにつげて言たまはく 003 LEV 023 010 イスラエルの子孫につげて之に言へ汝らわが汝らにたまふところの地に至るにおよびて汝らの穀物を穫ときは先なんぢらの穀物の初穂一束を祭司にもちきたるべし 003 LEV 023 011 彼その束の受いれらるるやうに之をヱホバの前に搖べし即ちその安息日の翌日に祭司これを搖べし 003 LEV 023 012 また汝らその束を搖る日に當歳の牡羔の全き者を燔祭となしてヱホバに献ぐべし 003 LEV 023 013 その素祭には油を和たる麥粉十分の二をもちひ之をヱホバに献げて火祭となし馨しき香たらしむべしまたその灌祭には酒一ヒンの四分の一をもちふべし 003 LEV 023 014 汝らはその神ヱホバに禮物をたづさへ來るその日まではパンをも烘麥をも靑穂をも食ふべからず是は汝らがその一切の住居において代々永く守るべき例なり 003 LEV 023 015 汝ら安息日の翌日より即ち汝らが搖祭の束を携へきたりし日より數へて安息日七をもてその數を盈すべし 003 LEV 023 016 すなはち第七の安息日の翌日までに日數五十を數へをはり新素祭をヱホバに献ぐべし 003 LEV 023 017 また汝らの居所より十分の二をもてつくりたるパン二箇を携へきたりて搖べし是は麥粉にてつくり酵をいれて燒べし是初穂をヱホバにささぐる者なり 003 LEV 023 018 汝らまた當歳の全き羔羊七匹と少き牡牛一匹と牡山羊二匹を其パンとともに献ぐべしすなはち是等をその素祭およびその灌祭とともにヱホバにたてまつりて燔祭となすべし是は火祭にしてヱホバに馨しき香となる者なり 003 LEV 023 019 斯てまた牡山羊一匹を罪祭にささげ當歳の羔羊二匹を酬恩祭の犠牲にささぐべし 003 LEV 023 020 而して祭司その初穂のパンとともにこの二匹の羔羊をヱホバの前に搖て搖祭となすべし是等はヱホバにたてまつる聖物にして祭司に歸すべし 003 LEV 023 021 汝らその日に汝らの中に聖會を宣告いだすべし何の職業をも爲べからず是は汝らがその一切の住所において永く守るべき條例なり 003 LEV 023 022 汝らの地の穀物を穫ときは汝その穫るにのぞみて汝の田野の隅々までをことごとく穫つくすべからず又汝の穀物の遺穂を拾ふべからずこれを貧き者と客旅とに遺しおくべし我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 023 023 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 023 024 イスラエルの子孫に告て言へ七月においては汝らその月の一日をもて安息の日となすべし是は喇叭を吹て記念するの日にして即ち聖會たり 003 LEV 023 025 汝ら何の職業をもなすべからず惟ヱホバに火祭を献ぐべし 003 LEV 023 026 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 023 027 殊にまたその七月の十日は贖罪の日にして汝らにおいて聖會たり汝等身をなやましまた火祭をヱホバに献ぐべし 003 LEV 023 028 その日には汝ら何の工をもなすべからず其は汝らのために汝らの神ヱホバの前に贖罪をなすべき贖罪の日なればなり 003 LEV 023 029 凡てその日に身をなやますことをせざる者はその民の中より絶れん 003 LEV 023 030 またその日に何の工にても爲ものあれば我その人をその民の中より滅しさらん 003 LEV 023 031 汝等何の工をもなすべからず是は汝らがその一切の住所において代々永く守るべき條例なり 003 LEV 023 032 是は汝らの休むべき安息日なり汝らその身をなやますべしまたその月の九日の晩すなはちその晩より翌晩まで汝等その安息をまもるべし 003 LEV 023 033 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 023 034 イスラエルの子孫に告て言へその七月の十五日は結茅節なり七日のあひだヱホバの前にこれを守るべし 003 LEV 023 035 首の日には聖會を開くべし何の職業をもなすべからず 003 LEV 023 036 汝等また七日のあひだ火祭をヱホバに献ぐべし而して第八日に汝等の中に聖會を開きまた火祭をヱホバに献ぐべし是は會の終結なり汝ら何の職業をもなすべからず 003 LEV 023 037 偖是等はヱホバの節期にして汝らが宣告て聖會となし火祭をヱホバに献ぐべき者なり即ち燔祭素祭犠牲および灌祭等をその献ぐべき日にしたがひて献ぐべし 003 LEV 023 038 この外にヱホバの諸安息日ありまた外に汝らの献物ありまた外に汝らの諸の願還の禮物ありまた外に汝らの自意の禮物あり是みな汝らがヱホバに献る者なり 003 LEV 023 039 汝らその地の作物を斂めし時は七月の十五日よりして七日の間ヱホバの節筵をまもるべし即ち初の日にも安息をなし第八日にも安息をなすべし 003 LEV 023 040 その首の日には汝等佳樹の枝を取べしすなはち棕櫚の枝と茂れる樹の條と水楊の枝とを取りて七日の間汝らの神ヱホバの前に樂むべし 003 LEV 023 041 汝ら歳に七日ヱホバに此節筵をまもるべし汝ら代々ながくこの條例を守り七月にこれを祝ふべし 003 LEV 023 042 汝ら七日のあひだ茅廬に居りイスラエルに生れたる人はみな茅廬に居べし 003 LEV 023 043 斯するは我がイスラエルの子孫をエジプトの地より導き出せし時にこれを茅廬に住しめし事を汝らの代々の子孫に知しめんためなり我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 023 044 モーセすなはちヱホバの節期をイスラエルの子孫に告たり 003 LEV 024 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 003 LEV 024 002 イスラエルの子孫に命じ橄欖を搗て取たる清き油を燈火のために汝に持きたらしめて絶ず燈火をともすべし 003 LEV 024 003 またアロンは集會の幕屋において律法の前なる幕の外にて絶ずヱホバの前にその燈火を整ふべし是は汝らが代々ながく守るべき定例なり 003 LEV 024 004 彼すなはちヱホバの前にて純精の燈臺の上にその燈火を絶ず整ふべきなり 003 LEV 024 005 汝麥粉を取りとれをもて菓子十二を燒べし菓子一箇には其の十分の二をもちふべし 003 LEV 024 006 而してこれをヱホバの前なる純精の案の上に二累に積み一累に六宛あらしむべし 003 LEV 024 007 汝また淨き乳香をその累の上に置きこれをしてそのパンの上にありて記念とならしめヱホバにたてまつりて火祭となすべし 003 LEV 024 008 安息日ごとに絶ずこれをヱホバの前に供ふべし是はイスラエルの子孫の献ぐべき者にして永遠の契約たるなり 003 LEV 024 009 これはアロンとその子等に歸す彼等これを聖所に食ふべし是はヱホバの火祭の一にして彼に歸する者にて至聖し是をもて永遠の條例となすべし 003 LEV 024 010 茲にその父はエジプト人母はイスラエル人なる者ありてイスラエルの子孫の中にいで來れることありしがそのイスラエルの婦の生たる者イスラエルの人と營の中に爭論をなせり 003 LEV 024 011 時にそのイスラエルの婦の生たる者ヱホバの名を瀆して詛ふことをなしければ人々これをモーセの許にひき來れり(その母はダンの支派のデブリの女子にして名をシロミテと曰ふ) 003 LEV 024 012 人々かれを閉こめおきてヱホバの示諭をかうむるを俟り 003 LEV 024 013 時にヱホバ、モーセにつげて言たまはく 003 LEV 024 014 かの詛ふことをなせし者を營の外に曳いだし之を聞たる者に皆その手を彼の首に按しめ全會衆をして彼を石にて撃しめよ 003 LEV 024 015 汝またイスラエルの子孫に告て言べし凡てその神を詛ふ者はその罰を蒙るべし 003 LEV 024 016 ヱホバの名を瀆す者はかならず誅されん全會衆かならず石をもて之を撃べし外國の人にても自己の國の人にてもヱホバの名を瀆すにおいては誅さるべし 003 LEV 024 017 人を殺す者はかならず誅さるベし 003 LEV 024 018 獣畜を殺す者はまた獣畜をもて獣畜を償ふべし 003 LEV 024 019 人もしその鄰人に傷損をつけなばそのなせし如く自己もせらるべし 003 LEV 024 020 即ち挫は挫目は目歯は歯をもて償ふべし人に傷損をつけしごとく自己も然せらるべきなり 003 LEV 024 021 獣畜を殺す者は是を償ふべく人を殺す者は誅さるべきなり 003 LEV 024 022 外國の人にも自己の國の人にもこの法は同一なり我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 024 023 モーセすなはちイスラエルの子孫にむかひかの營の外にて詛ふことをなせし者を曳いだして石にて撃てと言ければイラスエルの子孫ヱホバのモーセに命じたまひしごとく爲ぬ 003 LEV 025 001 ヱホバ、シナイ山にてモーセに告て言たまはく 003 LEV 025 002 イスラエルの子孫につげて之に言ふべし我が汝らに與ふる地に汝ら至らん時はその地にもヱホバにむかひて安息を守らしむべし 003 LEV 025 003 六年のあひだ汝その田野に種播きまた六年のあひだ汝その菓園の物を剪伐てその果を斂むべし 003 LEV 025 004 然ど第七年には地に安息をなさしむべし是ヱホバにむかひてする安息なり汝その田野に種播べからずまたその菓園の物を剪伐べからず 003 LEV 025 005 汝の穀物の自然生たる者は穫べからずまた汝の葡萄樹の修理なしに結べる葡萄は斂むべからず是地の安息の年なればなり 003 LEV 025 006 安息の年の產物は汝らの食となるべしすなはち汝と汝の僕と汝の婢と汝の傭人と汝の所に寄寓る他國の人 003 LEV 025 007 ならびに汝の家畜と汝の國の中の獣みなその產物をもて食となすべし 003 LEV 025 008 汝安息の年を七次かぞふべし是すなはち七年を七回かぞふるなり安息の年七次の間はすなはち四十九年なり 003 LEV 025 009 七月の十日になんぢ喇叭の聲を鳴わたらしむべし即ち贖罪の日になんぢら國の中にあまねく喇叭を吹ならさしめ 003 LEV 025 010 かくしてその第五十年を聖め國中の一切の人民に自由を宣しめすべしこの年はなんぢらにはヨベルの年なりなんぢらおのおのその產業に歸りおのおのその家にかへるべし 003 LEV 025 011 その五十年はなんぢらにはヨベルなりなんぢら種播べからずまた自然生たる物を穫べからず修理なしになりたる葡萄を斂むべからず 003 LEV 025 012 この年はヨベルにしてなんぢらに聖ければなりなんぢらは田野の產物をくらふべし 003 LEV 025 013 このヨベルの年にはなんぢらおのおのその產業にかへるべし 003 LEV 025 014 なんぢの鄰に物を賣りまたは汝の鄰の手より物を買ふ時はなんぢらたがひに相欺むくべからず 003 LEV 025 015 ヨベルの後の年の數にしたがひてなんぢその鄰より買ことをなすべし彼もまたその果を得べき年の數にしたがひてなんぢに賣ことをなすべきなり 003 LEV 025 016 年の數多ときはなんぢその値を増し年の數少なきときはなんぢその値を減すべし即ち彼その果の多少にしたがひてこれを汝に賣るべきなり 003 LEV 025 017 汝らたがひに相欺むくべからず汝の神を畏るべし我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 025 018 汝等わが法度を行ひまたわが律法を守りてこれを行ふべし然せば汝ら安泰にその地に住ことを得ん 003 LEV 025 019 地はその產物を出さん汝等は飽までに食ひて安泰に其處に住ことを得べし 003 LEV 025 020 汝等は我等もし第七年に種をまかずまたその產物を斂めずば何を食はんやと言か 003 LEV 025 021 我命じて第六年に恩澤を汝等に降し三年だけの果を結ばしむべし 003 LEV 025 022 汝等第八年には種を播ん然ど第九年までその舊き果を食ふことを得んすなはちその果のいできたるまで汝ら舊き者を食ふことを得べし 003 LEV 025 023 地を賣には限りなく賣べからず地は我の有なればなり汝らは客旅また寄寓者にして我とともに在るなり 003 LEV 025 024 汝らの產業の地に於ては凡てその地を贖ふことを許すべし 003 LEV 025 025 汝の兄弟もし零落てその產業を賣しことあらばその贖業人たる親戚きたりてその兄弟の賣たる者を贖ふべし 003 LEV 025 026 若また人の之を贖ふ者あらずして己みづから之を贖ふことを得にいたらば 003 LEV 025 027 その賣てよりの年を數へて之が餘の分をその買主に償ふべし然せばその產業にかへることを得ん 003 LEV 025 028 然ど若これをその人に償ふことを得ずばその賣たる者は買主の手にヨベルの年まで在てヨベルに及びてもどさるべし彼すなはちその產業にかへることを得ん 003 LEV 025 029 人石垣ある城邑の内の住宅を賣ことあらんに賣てより全一年の間はこれを贖ふことを得べし即ち期定の日の内にその贖をなすべきなり 003 LEV 025 030 もし全一年の内に贖ふことなくばその石垣ある城邑の内の家は買主の者に確定りて代々ながくこれに屬しヨベルにももどされざるべし 003 LEV 025 031 然ど周圍に石垣あらざる村落の家はその國の田畝の附屬物と見做べし是は贖はるべくまたヨベルにいたりてもどさるべきなり 003 LEV 025 032 レビ人の邑々すなはちレビ人の產業の邑々の家はレビ人何時にでも贖ふことを得べし 003 LEV 025 033 人もしレビ人の產業の邑においてレビ人より家を買ことあらば彼の賣たる家はヨベルにおよびて返さるべし其はレビ人の邑々の家はイスラエルの子孫の中に是がもてる產業なればなり 003 LEV 025 034 但しその邑々の郊地の田畝は賣べからず是その永久の產業なればなり 003 LEV 025 035 汝の兄弟零落かつ手慄ひて汝の傍にあらば之を扶助け之をして客旅または寄寓者のごとくに汝とともにありて生命を保たしむべし 003 LEV 025 036 汝の兄弟より利をも息をも取べからず神を畏るべしまた汝の兄弟をして汝とともにありて生命を保たしむべし 003 LEV 025 037 汝かれに利をとりて金を貸べからずまた益を得んとて食物を貸べからず 003 LEV 025 038 我は汝等の神ヱホバにしてカナンの地を汝らに與へ且なんぢらの神とならんとて汝らをエジプトの國より導きいだせし者なり 003 LEV 025 039 汝の兄弟零落て汝に身を賣ことあらば汝これを奴隸のごとくに使役べからず 003 LEV 025 040 彼をして傭人または寄寓者のごとくにして汝とともに在しめヨベルの年まで汝に仕へしむべし 003 LEV 025 041 其時には彼その子女とともに汝の所より出去りその一族にかへりその父祖等の產業に歸るべし 003 LEV 025 042 彼らはエジプトの國より我が導き出せし我の僕なれば身を賣て奴隸となる可らず 003 LEV 025 043 汝嚴く彼を使ふべからず汝の神を畏るべし 003 LEV 025 044 汝の有つ奴隸は男女ともに汝の四周の異邦人の中より取べし男女の奴隸は是る者の中より買べきなり 003 LEV 025 045 また汝らの中に寄寓る異邦人の子女の中よりも汝ら買ことを得また彼等の中汝らの國に生れて汝らと偕に居る人々の家よりも然り彼等は汝らの所有となるべし 003 LEV 025 046 汝ら彼らを獲て汝らの後の子孫の所有に遺し之に彼等を有ちてその所有となさしむることを得べし彼等は永く汝らの奴隸とならん然ど汝らの兄弟なるイスラエルの子孫をば汝等たがひに嚴しく相使ふべからす 003 LEV 025 047 汝の中なる客旅又は寄寓者にして富を致しその傍に住る汝の兄弟零落て汝の中なるその客旅あるひは寄寓者あるひは客旅の家の分支などに身を賣ることあらば 003 LEV 025 048 その身を賣たる後に贖はるることを得その兄弟の一人これを贖ふべし 003 LEV 025 049 その伯叔または伯叔の子これを贖ふべくその家の骨肉の親たる者これを贖ふべしまた若能せば自ら贖ふべし 003 LEV 025 050 然る時は彼己が身を賣たる年よりヨベルの年までをその買主とともに數へその年の數にしたがひてその身の代の金を定むべしまたその人に仕へし日は人を傭ひし日のごとくに數ふべきなり 003 LEV 025 051 若なほ遺れる年多からばその數にしたがひまたその買れし金に照して贖の金をその人に償ふべし 003 LEV 025 052 若またヨベルの年までに遺れる年少からばその人とともに計算をなしその年數にてらして贖の金を之に償ふべし 003 LEV 025 053 彼のその人に仕ふる事は歳雇の傭人のごとくなるべし汝の目の前において彼を嚴く使はしむべからす 003 LEV 025 054 彼もし斯く贖はれずばヨベルのの年にいたりてその子女とともに出べし 003 LEV 025 055 是イスラエルの子孫は我の僕なるに因る彼等はわが僕にして我がエジプトの地より導き出せし者なり我は汝らの神ヱホバなり 003 LEV 026 001 汝ら己のために偶像を作り木像を雕刻べからず柱の像を堅べからずまた汝らの地に石像を立て之を拝むべからず其は我は汝らの神ヱホバなればなり 003 LEV 026 002 汝等わが安息日を守りわが聖所を敬ふべし我はヱホバなり 003 LEV 026 003 汝等もしわが法令にあゆみ吾が誡命を守りてこれを行はば 003 LEV 026 004 我その時候に雨を汝らに與ふべし地はその產物を出し田野の樹木はその實を結ばん 003 LEV 026 005 是をもて汝らの麥打は葡萄を斂る時にまで及び汝らが葡萄を斂る事は種播時にまでおよばん汝等は飽までに食物を食ひ汝らの地に安泰に住ことを得べし 003 LEV 026 006 我平和を國に賜ふべければ汝等は安じて寝ることを得ん汝等を懼れしむる者なかるべし我また猛き獣を國の中より除き去ん劍なんぢらの國を行めぐることも有じ 003 LEV 026 007 汝等はその敵を逐ん彼等は汝等の前に劍に殞るべし 003 LEV 026 008 汝らの五人は百人を逐ひ汝らの百人は萬人を逐あらん汝らの敵は皆汝らの前に劍に殞れん 003 LEV 026 009 我なんぢらを眷み汝らに子を生こと多からしめて汝等を増汝らとむすびしわが契約を堅うせん 003 LEV 026 010 汝等は舊き穀物を食ふ間にまた新しき者を穫てその舊き者を出すに至らん 003 LEV 026 011 我わが幕屋を汝らの中に立ん我心汝らを忌きらはじ 003 LEV 026 012 我なんぢらの中に歩みまた汝らの神とならん汝らはまたわが民となるべし 003 LEV 026 013 我は汝らの神ヱホバ汝らをエジプトの國より導き出してその奴隸たることを免れしめし者なり我は汝らの軛の横木を碎き汝らをして眞直に立て歩く事を得せしめたり 003 LEV 026 014 然ど汝等もし我に聽したがふ事をなさずこの諸の誡命を守らず 003 LEV 026 015 わが法度を蔑如にしまた心にわが律法を忌きらひて吾が諸の誡命をおこなはず却てわが契約を破ることをなさば 003 LEV 026 016 我もかく汝らになさんすなはち我なんぢらに驚恐を蒙らしむべし癆瘵と熱病ありて目を壞し霊魂を憊果しめん汝らの種播ことは徒然なり汝らの敵これを食はん 003 LEV 026 017 我わが面をなんぢらに向て攻ん汝らはその敵に殺されんまた汝らの惡む者汝らを治めん汝らはまた追ものなきに逃ん 003 LEV 026 018 汝ら若かくのごとくなるも猶我に聽したがはずば我汝らの罪を罰する事を七倍重すべし 003 LEV 026 019 我なんぢらが勢力として誇るところの者をほろぼし汝らの天を鐵のごとくに爲し汝らの地を銅のごとくに爲ん 003 LEV 026 020 汝等が力を用ふる事は徒然なるべし即ち地はその產物を出さず國の中の樹はその實を結ばざらん 003 LEV 026 021 汝らもし我に敵して事をなし我に聽したがふことをせずば我なんぢらの罪にしたがひて七倍の災を汝らに降さん 003 LEV 026 022 我また野獣を汝らの中に遣るべし是等の者汝らの子女を攫くらひ汝ちの家畜を噬ころしまた汝らの數を寡くせん汝らの大路は通る人なきに至らん 003 LEV 026 023 我これらの事をもて懲すも汝ら改めずなほ我に敵して事をなさば 003 LEV 026 024 我も汝らに敵して事をなし汝らの罪を罰することをまた七倍おもくすべし 003 LEV 026 025 我劍を汝らの上にもちきたりて汝らの背約の怨を報さんまた汝らがその邑々に集る時は汝らの中に我疫病を遣らん汝らはその敵の手に付されん 003 LEV 026 026 我なんぢらが杖とするパンを打くだかん時婦人十人一箇の爐にて汝らのパンを燒き之を稱りて汝らに付さん汝等は食ふも飽ざるべし 003 LEV 026 027 汝らもし是のごとくなるも猶我に聽したがふことをせず我に敵して事をなさば 003 LEV 026 028 我も汝らに敵し怒りて事をなすべし我すなはち汝らの罪をいましむることを七倍おもくせん 003 LEV 026 029 汝らはその男子の肉を食ひまたその女子の肉を食ふにいたらん 003 LEV 026 030 我なんぢらの崇邱を毀ち汝らの柱の像を斫たふし汝らの偶像の尸の上に汝らの死體を投すて吾心に汝らを忌きらはん 003 LEV 026 031 またなんぢらの邑々を滅し汝らの聖所を荒さんまた汝らの祭物の馨しき香を聞じ 003 LEV 026 032 我その地を荒すべければ汝らの敵の其處に住る者これを奇しまん 003 LEV 026 033 我なんぢらを國々に散し劍をぬきて汝らの後を追ん汝らの地は荒れ汝らの邑々は亡びん 003 LEV 026 034 斯その地荒はてて汝らが敵の國に居んその間地は安息を樂まん即ち斯る時はその地やすみて安息を樂むべし 003 LEV 026 035 是はその荒てをる日の間息まん汝らが其處に住たる間は汝らの安息に此休息を得ざりしなり 003 LEV 026 036 また汝らの中の遺れる者にはその敵の地において我これに恐懼を懐かしめん彼等は木葉の搖く聲にもおどろきて逃げその逃る事は劍をさけて逃るがごとくまた追ものもなきに顛沛ばん 003 LEV 026 037 彼等は追ものも無に劍の前にあるが如くたがひに相つまづきて倒れん汝等はその敵の前に立ことを得じ 003 LEV 026 038 なんぢ等はもろもろの國の中にありて滅うせんなんぢらの敵の地なんぢらを呑つくすべし 003 LEV 026 039 なんぢらの中の遺れる者はなんぢらの敵の地においてその罪の中に痩衰へまた己の身につけるその先祖等の罪の中に痩衰へん 003 LEV 026 040 かくて後彼らその罪とその先祖等の罪および己が我に悸りし咎と我に敵して事をなせし事を懺悔せん 003 LEV 026 041 我も彼等に敵して事をなし彼らをその敵の地に曳いたりしが彼らの割禮を受ざる心をれて卑くなり甘んじてその罪の罰を受るに至るべければ 003 LEV 026 042 我またヤコブとむすびし吾が契約およびイサクとむすびし吾が契約を追憶しまたアブラハムとむすびしわが契約を追憶し且その地を眷顧ん 003 LEV 026 043 彼等その地を離るべければ地は彼等の之に居る者なくして荒てをる間その安息をたのしまん彼等はまた甘じてその罪の罰を受ん是は彼等わが律法を蔑如にしその心にわが法度を忌きらひたればなり 003 LEV 026 044 かれ等斯のごときに至るもなほ我彼らが敵の國にをる時にこれを棄ずまたこれを忌きらはじ斯我かれらを滅ぼし盡してわがかれらと結びし契約をやぶることを爲ざるべし我は彼らの神ヱホバなり 003 LEV 026 045 我かれらの先祖等とむすびし契約をかれらのために追憶さん彼らは前に我がその神とならんとて國々の人の目の前にてエジプトの地より導き出せし者なり我はヱホバなり 003 LEV 026 046 是等はすなはちヱホバがシナイ山において己とイスラエルの子孫の間にモーセによりて立たまひし法度と條規と律法なり 003 LEV 027 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 003 LEV 027 002 イスラエルの子孫につげてこれに言へ人もし誓願をかけなばなんぢの估價にしたがひてヱホバに献納物をなすべし 003 LEV 027 003 なんぢの估價はかくすべしすなはち二十歳より六十歳までは男には其價を聖所のシケルに循ひて五十シケルに估り 003 LEV 027 004 女にはその價を三十シケルに估るべし 003 LEV 027 005 また五歳より二十歳までは男にはその價を二十シケルに估り女には十シケルに估るべし 003 LEV 027 006 また一箇月より五歳までは男にはその價を銀五シケルに估り女にはその價を銀三シケルに估るべし 003 LEV 027 007 また六十歳より上は男にはその價を十五シケルに估り女には十シケルに估るべし 003 LEV 027 008 その人もし貧くして汝の估價に勝ざる時は祭司の前にいたり祭司の估價をうくべきなり祭司はその誓願者の力にしたがひて估價をなすべし 003 LEV 027 009 人もしそのヱホバに禮物として献ることを爲すとこるの牲畜の中を取り誓願の物となしてヱホバに献る時は其物は都て聖し 003 LEV 027 010 之を更むべからずまた佳を惡に惡を佳に易べからず若し牲畜をもて牲畜に易ることをせば其と其に易たる者ともに聖なるべし 003 LEV 027 011 もし人のヱホバに禮物として献ることを爲ざるとこるの汚たる畜の中ならばその畜を祭司の前に牽いたるべし 003 LEV 027 012 祭司はまたその佳惡にしたがひてこれが估價をなすべし即ちその價は祭司の估るところによりて定むべきなり 003 LEV 027 013 その人若これを贖はんとせばその估る價にまた之が五分の一を加ふべし 003 LEV 027 014 また人もしその家をヱホバに聖別ささげたる時は祭司その佳惡にしたがひて之が估價を爲べし即ちその價は祭司の估るところによりて定むべきなり 003 LEV 027 015 その人もし家を贖はんとせばその估價の金にまた之が五分の一を加ふべし然せば是は自分の有とならん 003 LEV 027 016 人もしその遺業の田野の中をヱホバに献る時は其處に撒るる種の多少にしたがひてこれが估價をなすべし即ち大麥の種一ホメルを五十シケルに算べきなり 003 LEV 027 017 もしその田野をヨベルの年より献たる時はその價は汝の估れる所によりて定むべし 003 LEV 027 018 もし又その田野をヨベルの後に献たる時は祭司そのヨベルの年までに遺れる年の數にしたがひてその金を算へこれに準じてその估價を減すべし 003 LEV 027 019 その田野を献たる者若これを贖はんとせばその估價の金の五分の一をこれに加ふべし然せば是はその人に歸せん 003 LEV 027 020 然ど若その田野を贖ふことをせず又はこれを他の人に賣ことをなさば再び贖ふことを得じ 003 LEV 027 021 その田野はヨベルにおよびて出きたる時は永く奉納たる田野のごとくヱホバに歸して聖き者となり祭司の產業とならん 003 LEV 027 022 若また自己が買たる田野にしてその遺業にあらざる者をヱホバに献たる時は 003 LEV 027 023 祭司その人のために估價してヨベルの年までの金を推算べし彼は汝の估れる金高をその日ヱホバにたてまつりて聖物となすべし 003 LEV 027 024 ヨベルの年にいたればその田野は賣主なるその本來の所有主に歸るべし 003 LEV 027 025 汝の估價はみな聖所のシケルにしたがびて爲べし二十ゲラを一シケルとなす 003 LEV 027 026 但し牲畜の初子はヱホバに歸すべき初子なれば何人もこれを献べからず牛にもあれ羊にもあれ是はヱホバの所屬なり 003 LEV 027 027 若し汚たる畜ならば汝の估價にしたがひこれにその五分の一を加へてその人これを贖ふべし若これを贖ふことをせずば汝の估價にしたがひて之を賣べし 003 LEV 027 028 但し人がその凡て有る物の中より取て永くヱホバに納めたる奉納物は人にもあれ畜にもあれその遺業の田野にもあれ一切賣べからずまた贖ふべからず奉納物はみなヱホバに至聖物たるなり 003 LEV 027 029 また人の中永く奉納られて奉納物となれる者も贖ふべからず必ず殺すべし 003 LEV 027 030 地の十分の一は地の產物にもあれ樹の果にもあれ皆ヱホバの所屬にしてヱホバに聖きなり 003 LEV 027 031 人もしその献る十分の一を贖はんとせば之にまたその五分の一を加ふべし 003 LEV 027 032 牛または羊の十分の一については凡て杖の下を通る者の第十番にあたる者はヱホバに聖き者なるべし 003 LEV 027 033 その佳惡をたづぬべからずまた之を易べからず若これを易る時は其とその易たる者ともに聖き者となるべしこれを贖ふことを得ず 003 LEV 027 034 是等はヱホバがシナイ山においてイスラエルの子孫のためにモーセに命じたまひし誡命なり # # BOOK 004 NUM Numbers 民数記 004 NUM 001 001 エジプトの國を出たる次の年の二月の一日にヱホバ、シナイの野に於て集會の幕屋の中にてモーセに告て言たまはく 004 NUM 001 002 汝等イスラエルの子孫の全會衆の惣數をその宗族に依り其父祖の家に循ひて核べその諸の男丁の名の數と頭數とを得よ 004 NUM 001 003 すなはちイスラエルの中凡て二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る者を汝とアロンその軍旅にしたがひて數ふべし 004 NUM 001 004 また諸の支派おのおのその父祖の家の長たる者一人を出して汝等とともならしむべし 004 NUM 001 005 汝らとともに立べき人々の名は是なり即ちルベンよりはシデウルの子エリヅル 004 NUM 001 006 シメオンよりはツリシヤダイの子シルミエル 004 NUM 001 007 ユダよりはアミナダブの子ナシヨン 004 NUM 001 008 イツサカルよりはツアルの子ネタニエル 004 NUM 001 009 ゼブルンよりはヘロンの子エリアブ 004 NUM 001 010 ヨセフの子等の中にてはエフライムよりはアミホデの子エリシヤマ、マナセよりはバダヅルの子ガマリエル 004 NUM 001 011 ベニヤミンよりはギデオニの子アビダン 004 NUM 001 012 ダンよりはアミシヤダイの子アヒエゼル 004 NUM 001 013 アセルよりはオクランの子バギエル 004 NUM 001 014 ガドよりはデウエルの子エリアサフ 004 NUM 001 015 ナフタリよりはエナンの子アヒラ 004 NUM 001 016 是等は會衆の中より選み出されし者にてその父祖の支派の牧伯またイスラエルの千人の長なり 004 NUM 001 017 かくてモーセとアロンここに名を擧たる人々を率領て 004 NUM 001 018 二月の一日に會衆をことごとく集めければ彼等その宗族に循ひその父祖の家にしたがひその名の數にしたがひて自分の出生を述たりかく二十歳以上の者ことごとく核へらる 004 NUM 001 019 ヱホバの命じたまひしごとくモーセ、シナイの野にて彼等を核數たり 004 NUM 001 020 すなはちイスラエルの長子ルベンの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるに其名の數に依りその頭數によれば 004 NUM 001 021 ルベンの支派の中にその核數られし者四萬六千五百人ありき 004 NUM 001 022 またシメオンの子等より生れたる者等をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數に依りその頭數に依ば 004 NUM 001 023 シメオンの支派の中にその核數られし者五萬九千三百人ありき 004 NUM 001 024 またガドの子等より生れたる者をその宗族に依りその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭に出るに勝る男丁を數へたるにその名の數に依れば 004 NUM 001 025 ガドの支派の中にその核數られし者四萬五千六百五十人ありき 004 NUM 001 026 ユダの子等より生れたる者をその宗族に依りその父祖の家に循ひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數に依れば 004 NUM 001 027 ユダの支派の中にその核數られし者七萬四千六百人ありき 004 NUM 001 028 イツサカルの子等より生れたる者をその宗族に依りその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭に出るに勝る男丁を數へたるにその名の數に依ば 004 NUM 001 029 イツサカルの支派の中にその核數られし者五萬四千四百人ありき 004 NUM 001 030 ゼブルンの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數によれば 004 NUM 001 031 ゼブルンの支派の中に其核數られし者五萬七千四百人ありき 004 NUM 001 032 ヨセフの子等の中エフライムの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數に依ば 004 NUM 001 033 エフライムの支派の中にその核數られし者四萬五百人ありき 004 NUM 001 034 又マナセの子等より生れたる者をその宗族に依りその父祖の家に循ひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數に依ば 004 NUM 001 035 マナセの支派の中にその核數られし者三萬二千二百人ありき 004 NUM 001 036 ベニヤミンの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數によれば 004 NUM 001 037 ベニヤミンの支派の中にその數へられし者三萬五千四百人ありき 004 NUM 001 038 ダンの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數によれば 004 NUM 001 039 ダンの支派の中にその核數られし者六萬二千七百人ありき 004 NUM 001 040 アセルの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數によれば 004 NUM 001 041 アセルの支派の中にその核數られし者四萬一千五百人ありき 004 NUM 001 042 ナフタリの子等より生れたる者をその宗族によりその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁を數へたるにその名の數によれば 004 NUM 001 043 ナフタリの支派の中にその數へられし者五萬三千四百人ありき 004 NUM 001 044 是すなはちその核數られし者にしてモーセとアロンとイスラエルの牧伯等の數ふる所是のごとしその牧伯等は十二人にして各々その父祖の家のために出たるなり 004 NUM 001 045 斯イスラエルの子孫をその父祖の家にしたがひて核べ二十歳以上にして戰爭にいづるに勝る男丁をイスラルの中に數へたるに 004 NUM 001 046 其核數られし者都合六十萬三千五百五十人ありき 004 NUM 001 047 但しレビの支派の人はその父祖にしたがひて核數らるること無りき 004 NUM 001 048 即ちヱホバ、モーセに告て言たまひけらく 004 NUM 001 049 惟レビの支派のみは汝これを核數べからずまたその總數をイスラエルの子孫とともに計ふべからざるなり 004 NUM 001 050 なんぢレビ人をして律法の幕屋とその諸の器具と其に屬する諸の物を管理らしむべし彼等はその幕屋とその諸の器具を運搬ぶことを爲しまたこれが役事を爲し幕屋の四圍にその營を張べし 004 NUM 001 051 幕屋を移す時はレビ人これを折卸し幕屋を立る時はレビ人これを組たつべし外人のこれに近く者は殺さるべし 004 NUM 001 052 イスラエルの子孫はその軍旅に循ひて各々自己の營にその天幕を張り各人その隊の纛の下に天幕を張べし 004 NUM 001 053 然どレビ人は律法の幕屋の四圍に營を張べし是イスラエルの子孫の全會衆の上に震怒のおよぶことなからん爲なりレビ人は律法の幕屋をあづかり守るべし 004 NUM 001 054 是においてイスラエルの子孫ヱホバのモーセに命じたまひしごとくに凡て爲し斯おこなへり 004 NUM 002 001 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 002 002 イスラエルの子孫は各々その隊の纛の下に營を張てその父祖の旗號の下に居るべくまた集會の幕屋の四圍において之にむかひて營を張べし 004 NUM 002 003 即ち日の出る方東に於てはユダの營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて營を張りアミナダブの子ナシヨン、ユダの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 004 その軍旅すなはちその核數られし者は七萬四千六百人 004 NUM 002 005 その傍に營を張る者はイツサカルの支派なるべし而してツアルの子ネタニエル、イツサカルの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 006 その軍旅すなはちその核數られし者は五萬四千四百人 004 NUM 002 007 またゼブルンの支派これと偕にありてヘロンの子エリアブ、ゼブルンの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 008 その軍旅すなはちその核數られし者は五萬七千四百人 004 NUM 002 009 ユダの營の軍旅すなはち核數られし者は都合十八萬六千四百人是等の者首先に進むべし 004 NUM 002 010 また南の方に於てはルベンの營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて居りシデウルの子エリヅル、ルベンの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 011 その軍旅すなはちその核數られし者は四萬六千五百人 004 NUM 002 012 その傍に營を張る者はシメオンの支派なるべし而してツリシヤダイの子シルミエル、シメオンの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 013 その軍旅すなはちその核數られし者は五萬九千三百人 004 NUM 002 014 ガドの支派これに次ぎデウエルの子エリアサフ、ガドの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 015 その軍旅すなはちその核數られし者は四萬五千六百五十人 004 NUM 002 016 ルベンの營の軍旅すなはちその核數られし者は都合十五萬一千四百五十人是等の者第二番に進むべし 004 NUM 002 017 その次に律法の幕屋レビ人の營とともに諸營の眞中にありて進むべし彼等はその營を張がごとくに各々その隊にしたがひその纛にしたがひて進むべきなり 004 NUM 002 018 また西の方においてはエフライムの營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて居りアミホデの子エリシヤマ、エフライムの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 019 その軍旅すなはちその核數られし者は四萬五百人 004 NUM 002 020 マナセの支派その傍にありてバダヅルの子ガマリエル、マナセの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 021 その軍旅すなはちその核數られし者は三萬二千二百人 004 NUM 002 022 ベニヤミンの支派これに次ぎギデオニの子アビダン、ベニヤミンの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 023 その軍旅すなはちその數へられし者は三萬五千四百人 004 NUM 002 024 ヱフライムの營の軍旅すなはちその核數られし者は都合十萬八千一百人是等の者第三番に進むべし 004 NUM 002 025 また北の方に於てはダンの營の纛の下につく者その軍旅に循ひて居りアミシヤダイの子アヒエゼル、ダンの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 026 その軍旅すなはちその核數られし者は六萬二千七百人 004 NUM 002 027 その傍に營を張る者はアセルの支派なるべし而してオクランの子パギエル、アセルの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 028 その軍旅すなはちその核數られし者は四萬一千五百人 004 NUM 002 029 ナフタリの支派これに次ぎエナンの子アヒラ、ナフタリの子孫の牧伯となるべし 004 NUM 002 030 その軍旅すなはちその核數られし者は五萬三千四百人 004 NUM 002 031 ダンの營の核數られし者は都合十五萬七千六百人是等の者その旗號にしたがひて最後に進むべし 004 NUM 002 032 イスラエルの子孫のその父祖の家にしたがひて核數られし者は是のごとし諸營の軍旅すなはちその核數られし者は都合六十萬三千五百五十人なりき 004 NUM 002 033 但しレビ人はイスラエルの子孫とともに計へらるること無りきすなはちヱホバのモーセに命じたまへる如し 004 NUM 002 034 是においてイスラエルの子孫ヱホバの凡てモーセに命じたまひしごとくに行ひ各々その宗族に依りその父祖の家に依りその隊の纛にしたがひて營を張りまた進むことを爲せり 004 NUM 003 001 ヱホバ、シナイ山に於てモーセと語ひたまへる日にはアロンとモーセの一族左のごとくにてありき 004 NUM 003 002 アロンの子孫は是のごとし長子はナダブ次はアビウ、エレアザル、イタマル 004 NUM 003 003 是すなはちアロンの子等の名なり彼等は皆膏そそがれ祭司の職に任ぜられて祭司となれり 004 NUM 003 004 ナダブとアビウはシナイの野にて異火をヱホバの前に献たる時にヱホバの前に死り子なしエレアザルとイタマルはその父アロンの目の前にて祭司の職を爲り 004 NUM 003 005 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 003 006 レビの支派を召よせ祭司アロンの前に侍りてこれに事へしめよ 004 NUM 003 007 彼らは集會の幕屋の前にありてアロンの職と全會衆の職に替り幕屋の役事をなすべきなり 004 NUM 003 008 すなはち彼等は集會の幕屋の諸の器具を看守イスラエルの子孫の職に替りて幕屋の役事をなすべし 004 NUM 003 009 汝レビ人をアロンとその子等に與ふべしイスラエルの子孫の中より彼等は全くアロンに與へられたる者なり 004 NUM 003 010 汝アロンとその子等を立て祭司の職を行はしむべし外人の近づく者は殺されん 004 NUM 003 011 ヱホバすなはちモーセに告て言たまはく 004 NUM 003 012 視よ我イスラエルの子孫の中なる始に生れたる者すなはち首出の代にレビ人をイスラエルの子孫の中より取り 004 NUM 003 013 首出はすべて吾が有なり我エジプトの國の中の首出をことごとく撃ころせる時イスラエルの首出を人も畜もことごとく聖別て我に歸せしめたり是はわが有となるべし我はヱホバなり 004 NUM 003 014 ヱホバ、シナイの野にてモーセに告ていひたまはく 004 NUM 003 015 汝レビの子孫をその父祖の家に依りその宗族にしたがひて核數よ即ちその一箇月以上の男子を核數べし 004 NUM 003 016 是においてモーセ、ヱホバの言に循ひてその命ぜられしごとくに之を核數たり 004 NUM 003 017 レビの子等の名は左のごとしゲルシヨン、コハテ、メラリ 004 NUM 003 018 ゲルシヨンの子等の名はその宗族によれば左の如しリブニ、シメイ 004 NUM 003 019 コハテの子等の名はその宗族に依ば左のごとしアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル 004 NUM 003 020 メラリの子等の名はその宗族によればマヘリ、ムシなりレビ人の宗族はその父祖の家に依ば是のごとくなり 004 NUM 003 021 ゲルシヨンよりリブニ人の族とシメイ人の族出たり是すなはちゲルシヨン人の族なり 004 NUM 003 022 その核數られし者の數すなはち一箇月以上の男子の數は都合七千五百人 004 NUM 003 023 ゲルシヨン人の族は凡て幕屋の後すなはち西の方に營を張べし 004 NUM 003 024 而してラエルの子エリアサフ、ゲルシヨン人の牧伯となるべし 004 NUM 003 025 集會の幕屋におけるゲルシヨンの子孫の職守は幕屋と天幕とその頂蓋および集會の幕屋の入口の幔と 004 NUM 003 026 庭の幕および幕屋と壇の周圍なる庭の入口の幔ならびにその繩等凡て之に用ふる物を守るべき事なり 004 NUM 003 027 またコハテよりアムラミ人の族イヅハリ人の族ヘブロン人の族ウジエリ人の族出たり是すなはちコハテ人の族なり 004 NUM 003 028 一箇月以上の男子の數は都合八千六百人是みな聖所の職守を守るべき者なり 004 NUM 003 029 コハテの子孫の族は凡て幕屋の南の方に營を張べし 004 NUM 003 030 而してウジエルの子エリザパン、コハテ人の族の牧伯となるべし 004 NUM 003 031 彼等の職守は律法の櫃案燈臺諸壇および聖所の役事に用ふる器具ならびに幔等凡て其處に用ふる物を守るべき事なり 004 NUM 003 032 祭司アロンの子エレアザル、レビ人の牧伯の長となり且聖所の職を守る者を統轄るべし 004 NUM 003 033 又メラリよりマヘリ人の族とムシ人の族出たり是すなはちメラリの族なり 004 NUM 003 034 その核數られし者すなはち一箇月以上の男子の數は六千二百人 004 NUM 003 035 アビハイルの子ツリエル、メラリの族の牧伯となり此族幕屋の北の方に營を張べし 004 NUM 003 036 メラリの子孫の管理るべき者職守とすべき者は幕屋の板とその横木その柱その座その諸の器具および其に用ふる一切の物 004 NUM 003 037 ならびに庭の周圍の柱とその座その釘およびその繩なり 004 NUM 003 038 また幕屋の前その東の方すなはち集會の幕屋の東の方にはモーセとアロンおよびアロンの子等營を張りイスラエルの子孫の職守に代て聖所の職守を守るべし外人の近づく者は殺されん 004 NUM 003 039 モーセとアロン、ヱホバの言に依りレビ人を悉く核數たるに一箇月以上の男子の數二萬二千ありき 004 NUM 003 040 ヱホバまたモーセに言たまはく汝イスラエルの子孫の中の首出たる男子の一箇月以上なる者を盡く數へてその名の數を計れ 004 NUM 003 041 我はヱホバなり我ために汝レビ人を取りてイスラエルの子孫の中なる諸の首出子に代へまたレビ人の家畜を取てイスラエルの子孫の家畜の中なる諸の首出に代べし 004 NUM 003 042 モーセすなはちヱホバの己に命じたまへるごとくにイスラエルの子孫の中なる首出子を盡く數へたり 004 NUM 003 043 その數へられし首出なる男子の一箇月以上なる者はその名の數に依ば都合二萬二千二百七十三人なりき 004 NUM 003 044 すなはちヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 003 045 汝レビ人を取てイスラエルの子孫の中なる諸の首出子に代へまたレビ人の家畜を取て彼等の家畜に代よレビ人はわが所有とならん我はヱホバなり 004 NUM 003 046 またイスラエルの子孫の首出子はレビ人より多きこと二百七十三人なれば是等をば贖ふべき者となし 004 NUM 003 047 その頭數に依て一人ごとに五シケルを取べし即ち聖所のシケルに循ひて之を取べきなり一シケルは二十ゲラなり 004 NUM 003 048 汝その餘れる者の贖の金をアロンとその子等に付すべし 004 NUM 003 049 是においてモーセ、レビ人をもて贖ひ餘せるところの者の贖の金を取り 004 NUM 003 050 即ちモーセ、イスラエルの子孫の首出子の中より聖所のシケルにしたがひて金千三百六十五シケルを取り 004 NUM 003 051 その贖はるる者の金をヱホバの言にしたがひてアロンとその子等に付せりヱホバのモーセに命じたまひし如し 004 NUM 004 001 ヱホバまたモーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 004 002 レビの子孫の中よりコハテの子孫の總數をその宗族に依りその父祖の家にしたがひて計べ 004 NUM 004 003 三十歳以上五十歳までにして能く軍団に入り集會の幕屋に働作をなすことを得る者をことごとく數へよ 004 NUM 004 004 コハテの子孫が集會の幕屋においてなすべき勤務は至聖物に關る者にして是のごとし 004 NUM 004 005 即ち營を進むる時はアロンとその子等まづ往て障蔽の幕を取おろし之をもて律法の櫃を覆ひ 004 NUM 004 006 その上に獾の皮の蓋をほどこしまたその上に總靑の布を打かけその杠を差いるべし 004 NUM 004 007 また供前のパンの案の上には靑き布を打かけその上に皿匙杓および酒を灌ぐ斝を置きまた常供のパンをその上にあらしめ 004 NUM 004 008 紅の布をその上に打かけ獾の皮の蓋をもてこれを覆ひ而してその杠を差いるべし 004 NUM 004 009 また靑き布を取て燈臺とその盞その燈鉗その剪燈盤および其に用ふる諸の油の器を覆ひ 004 NUM 004 010 獾の皮の蓋の内に燈臺とその諸の器をいれてこれを棹にかくべし 004 NUM 004 011 また金の壇の上に靑き布を打かけ獾の皮の蓋をもて之を蓋ひその杠を差いるべし 004 NUM 004 012 また聖所の役事に用ふる役事の器をことごとく取靑き布に裹み獾の皮の蓋をもてこれを蓋ひて棹にかくべし 004 NUM 004 013 また壇の灰を取さりて紫の布をその壇に打かけ 004 NUM 004 014 その上に役事をなすに用ふる諸の器具すなはち火鼎肉叉火鏟鉢および壇の一切の器具をこれに載せ獾の皮の蓋をその上に打かけ而してその杠を差とほすべし 004 NUM 004 015 營を進むるにあたりてアロンとその子等聖所と聖所の一切の器具を蓋ふことを畢りたらば即ちコハテの子孫いり來りてこれを舁べし然ながら彼等は聖物に捫るべからず恐くは死ん集會の幕屋の中なる是等の物はコハテの子孫の擔ふべき者なり 004 NUM 004 016 祭司アロンの子エレアザルは燈火の油馨しき香常供の素祭および灌膏を司どりまた幕屋の全體とその中なる一切の聖物および其處の諸の器具を司どるべし 004 NUM 004 017 ヱホバまたモーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 004 018 汝等コハテ人の宗族の者をしてレビ人の中より絶るるに至らしむる勿れ 004 NUM 004 019 彼等が至聖物に近く時に生命を保ちて死ることなからん爲に汝等かく之に爲べし即ちアロンとその子等まづ入り彼等をして各箇その役事に就しめその擔ふべき物を取しむべし 004 NUM 004 020 彼等は入て須臾も聖物を觀るべからず恐らくは死ん 004 NUM 004 021 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 004 022 汝ゲルシヨンの子孫の總數をその父祖の家に依りその宗族に循ひてしらべ 004 NUM 004 023 三十歳以上五十歳までにして能く軍團に入り集會の幕屋に動作をなすことを得る者をことごとく數へよ 004 NUM 004 024 ゲルシヨン人の働く事と擔ふ物は是のごとし 004 NUM 004 025 即ち彼等は幕屋の幕と集會の天幕およびその頂蓋とその上なる貛の皮の蓋ならびに集會の天幕の入口の幔を擔ひ 004 NUM 004 026 庭の幕および幕屋と壇の周圍なる庭の門の入口の幔とその繩ならびにそれに用ふる諸の器具と其がために造る一切の物を擔ふべし斯動作べきなり 004 NUM 004 027 ゲルシヨンの子孫の一切の役事すなはちその擔ふところと働くところはアロンとその子等の命に循ふべきなり汝等は彼等にその擔ふべき物を割交してこれを守らしむべし 004 NUM 004 028 ゲルシヨンの子孫の宗族が集會の幕屋において爲べき動作は是のごとし彼等の守る所は祭司アロンの子イタマルこれを監督るべし 004 NUM 004 029 メラリの子孫もまた汝これをその宗族に依りその父祖の家に循ひて計べ 004 NUM 004 030 三十歳以上五十歳までにして能く軍團に入り集會の幕屋において勤務をなすことを得る者を盡く數へよ 004 NUM 004 031 彼等が集會の幕屋において爲べき一切の役事すなはちその擔ひ守るべき物は是のごとし幕屋の板その横木その柱その座 004 NUM 004 032 庭の四周の柱その座その釘その繩およびこれがために用ふる一切の器具なり彼等が擔ひ守るべき器具は汝等その名を按べて之を數ふべし 004 NUM 004 033 是すなはちメラリの子孫の族がなすべき役事にして彼等は祭司アロンの子イタマルの監督をうけて集會の幕屋において此すべての役事を爲べきなり 004 NUM 004 034 是においてモーセとアロンおよび會衆の牧伯等コハテの子孫をその宗族に依りその父祖の家にしたがひてしらべ 004 NUM 004 035 三十歳以上五十歳までにして能く軍團に入り集會の幕屋において勤務をなすことを得る者を盡く數へたるに 004 NUM 004 036 その宗族にしたがひて數へられし者二千七百五十人ありき 004 NUM 004 037 是すなはちコハテ人の族の數へられし者にして皆集會の幕屋に於て役事をなすことを得る者なりモーセとアロン、ヱホバがモーセによりて命じたまひし所にしたがひて之を數へたり 004 NUM 004 038 またゲルシヨンの子孫をその宗族に依りその父祖の家に循ひて計べ 004 NUM 004 039 三十歳以上五十歳までにして能く軍團に入り集會の幕屋において勤務をなすことを得る者を數へたるに 004 NUM 004 040 その宗族に依りその父祖の家に循ひて數へられし者二千六百三十人ありき 004 NUM 004 041 是すなはちゲルシヨンの子孫の族の數へられし者にして皆集會の幕屋において勤務をなすことを得る者なりモーセとアロン、ヱホバの命にしたがひて之を數へたり 004 NUM 004 042 またメラリの子孫の族をその宗族に依りその父祖の家に循ひて計べ 004 NUM 004 043 三十歳以上五十歳までにして能く軍團に入り集會の幕屋において勤務をなすことを得る者を數へたるに 004 NUM 004 044 その宗族にしたがひて數へられし者三千二百人ありき 004 NUM 004 045 是すなはちメラリの子孫の族の數へられし者なりモーセとアロン、ヱホバのモーセによりて命じたまひし所にしたがひて之を數へたり 004 NUM 004 046 モーセとアロンおよびイスラエルの牧伯等レビ人をその宗族に依りその父祖の家にしたがひてしらべ 004 NUM 004 047 三十歳以上五十歳までにして能く來りて集會の幕屋の役事を爲し且これを擔ふ業を爲す者を數へたるに 004 NUM 004 048 その數へられしものの數都合八千五百八十人なりき 004 NUM 004 049 ヱホバの命にしたがひてモーセかれらを數へ彼等をして各人その役事に就しめかつその擔ふ所をうけもたしめたりヱホバの命にしたがひて數へたるところ是のごとし 004 NUM 005 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 005 002 イスラエルの子孫に命じて癩病人と流出ある者と死骸に汚されたる者とを盡く營の外に出さしめよ 004 NUM 005 003 男女をわかたず汝等これを出して營の外に居しめ彼等をしてその營を汚さしむべからず我その諸營の中に住なり 004 NUM 005 004 イスラエルの子孫かく爲して之を營の外に出せりすなはちヱホバのモーセに告たまひし如くにイスラエルの子孫然なしぬ 004 NUM 005 005 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 005 006 イスラエルの子孫に告よ男または女もし人の犯す罪を犯してヱホバに悖りその身罪ある者とならば 004 NUM 005 007 その犯せし罪を言あらはしその物の代價にその五分の一を加へてこれを己が罪を犯せる者に付してその償を爲べし 004 NUM 005 008 然ど若その罪の償を受べき親戚その人にあらざる時はその罪の償をヱホバになして之を祭司に歸せしむべしまた彼のために用ひて贖をなすところの贖罪の牡羊も祭司に歸す 004 NUM 005 009 イスラエルの子孫の擧祭となして祭司に携へ來る所の聖物は皆祭司に歸す 004 NUM 005 010 諸の人の聖別て献る物は祭司に歸し凡て人の祭司に付す物は祭司に歸するなり 004 NUM 005 011 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 005 012 イスラエルの子孫に告てこれに言へ人の妻道ならぬ事を爲てその夫に罪を犯すあり 004 NUM 005 013 人かれと交合したるにその事夫の目にかくれて露顯ず彼その身を汚したれどこれが證人となる者なく彼またその時に執へられもせざるあり 004 NUM 005 014 すなはち妻その身を汚したる事ありて夫猜疑の心を起してその妻を疑ふことあり又は妻その身を汚したる事なきに夫猜疑の心を起してその妻を疑ふことある時は 004 NUM 005 015 夫その妻を祭司の許に携へきたり大麥の粉一エパの十分の一をこれがために禮物として持きたるべしその上に油を灌べからずまた乳香を加ふべからず是は猜疑の禮物記念の禮物にして罪を誌えしむる者なればなり 004 NUM 005 016 祭司はまたその婦人を近く進ませてヱホバの前に立しめ 004 NUM 005 017 瓦の器に聖水を入れ幕屋の下の地の土を取てその水に放ち 004 NUM 005 018 其婦人をヱホバの前に立せ婦人にその頭を露さしめて記念の禮物すなはち猜疑の禮物をその手に持すべし而して祭司は詛を來らするとこるの苦き水を手に執り 004 NUM 005 019 婦を誓せてこれに言べし人もし汝と寝たる事あらず汝また汝の夫を措て道ならぬ事を爲て汚穢に染しこと無ば詛を來する此苦水より害を受ること有ざれ 004 NUM 005 020 然ど汝もし汝の夫を措き道ならぬ事を爲てその身を汚し汝の夫ならざる人と寝たる事あらば 004 NUM 005 021 (祭司その婦人をして詛を來らする誓をなさしめて祭司その婦人に言べし)ヱホバ汝の腿を痩しめ汝の腹を脹れしめ汝をして汝の民の指て詛ふ者指て誓ふ者とならしめたまへ 004 NUM 005 022 また詛を來らするこの水汝の腸にいりて汝の腹を脹れさせ汝の腿を痩させんとその時婦人はアーメン、アーメンと言べし 004 NUM 005 023 而して祭司この詛を書に筆記しその苦水にて之を洗おとし 004 NUM 005 024 婦人をしてその詛を來らする水を飮しむべしその詛を來らする水かれの中にいりて苦ならん 004 NUM 005 025 祭司まづその婦人の手より猜疑の禮物を取りその禮物をヱホバの前に搖てこれを壇に持來り 004 NUM 005 026 而して祭司其禮物の中より記念の分一握をとりて之を壇の上に焚き然る後婦人にその水を飮しむべし 004 NUM 005 027 その水を之に飮しめたる時はもしかれその身を汚し夫に罪を犯したる事あるに於てはその詛を來らする水かれの中に入て苦くなりその腹脹れその腿痩て自己はその民の指て詛ふ者とならん 004 NUM 005 028 然ど彼もしその身を汚しし事あらずして潔からば害を受ずして能く子を生ん 004 NUM 005 029 是すなはち猜疑の律法なり妻たる者その夫を措き道ならぬ事を爲て身を汚しし時 004 NUM 005 030 また夫たる者猜疑の心を起してその妻を疑ふ時はその婦人をヱホバの前におきて祭司その律法のごとく之に行ふべきなり 004 NUM 005 031 斯せば夫は罪なく妻はその罪を任ん 004 NUM 006 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 006 002 イスラエルの子孫に告て之に言へ男または女俗を離れてナザレ人の誓願を立て俗を離れてその身をヱホバに歸せしむる時は 004 NUM 006 003 葡萄酒と濃酒を斷ち葡萄酒の醋となれる者と濃酒の醋となれる者を飮ずまた葡萄の汁を飮ず葡萄の鮮なる者をも乾たる者をも食はざるべし 004 NUM 006 004 その俗を離れをる日の間は都て葡萄の樹より取たる者はその核より皮まで一切食ふべからざるなり 004 NUM 006 005 その誓願を立て俗を離れをる日の間は都て薙刀をその頭にあつべからずその俗を離れて身をヱホバに歸せしめたる日の滿るまで彼は聖ければその頭髮を長しおくべし 004 NUM 006 006 その俗を離れて身をヱホバに歸せしむる日の間は凡て死骸に近づくべからず 004 NUM 006 007 其父母兄弟姉妹の死たる時にもこれがために身を汚すべからず其はその俗を離れて神に歸したる記號その首にあればなり 004 NUM 006 008 彼はその俗を離れをる日の間は凡てヱホバの聖者なり 004 NUM 006 009 もし人計ずも彼の傍に死てそのナザレの頭を汚すことあらばその身を潔る日に頭を剃べしすなはち第七日にこれを剃べきなり 004 NUM 006 010 而して第八日に鳲鳩二羽かまたは雛き鴿二羽を祭司に携へきたり集會の幕屋の門にいたるべし 004 NUM 006 011 斯て祭司はその一を罪祭に一を燔祭に献げ彼が屍に由て獲たる罪を贖ひまたその日にかれの首を聖潔すべし 004 NUM 006 012 彼またその俗を離れてヱホバに歸するの日を新にし當歳の羔羊を携へきたりて愆祭となすべし彼その俗を離れをる時に身を汚したれば是より前の日はその中に算ふべからざるなり 004 NUM 006 013 ナザレ人の律法は是のごとしその俗を離るるの日滿たる時はその人を集會の幕屋の門に携へいたるべし 004 NUM 006 014 斯てその人は禮物をヱホバにささぐべし即ち當歳の羔羊の牡の全き者一匹を燔祭となし當歳の羔羊の牝の全き者一匹を罪祭となし牡羊の全き者一匹を酬恩祭となし 004 NUM 006 015 また無酵パン一筐麥粉に油を和て作れる菓子油を塗たる酵いれぬ煎餅およびその素祭と灌祭の物を持きたるべし 004 NUM 006 016 斯て祭司これをヱホバの前に携へきたりその罪祭と酬恩祭を献げ 004 NUM 006 017 またその牡羊を筐の中なる酵いれぬパンとあはせこれを酬恩祭の犠牲としヱホバに献ぐべし祭司またその素祭と灌祭をも献ぐべきなり 004 NUM 006 018 ナザレ人は集會の幕屋の門に於てそのナザレの頭を剃りそのナザレの頭の髮を取てこれを酬恩祭の犠牲の下の火に放つべし 004 NUM 006 019 祭司その牡羊の煮たる肩と筐の中の酵いれぬ菓子一箇と酵いれぬ煎餅一箇をとりてこれをナザレ人がそのナザレの頭を剃におよびてこれをその手に授け 004 NUM 006 020 而して祭司ヱホバの前にて之を搖て搖祭となすべし是は聖物にしてその搖る胸と擧たる腿とともに祭司に歸すべし斯て後ナザレ人は洒を飮ことを得 004 NUM 006 021 是すなはち誓願を立たるナザレ人がその俗を離れ居し事によりてヱホバに禮物を献ぐるの律法なり此外にまたその能力の及ぶところの物を献ぐることを得べし即ちその立たる誓願のごとくその俗を離るるの律法にしたがひて爲べきなり 004 NUM 006 022 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 006 023 アロンとその子等に告て言へ汝等斯のごとくイスラエルの子孫を祝して言べし 004 NUM 006 024 願くはヱホバ汝を惠み汝を守りたまへ 004 NUM 006 025 願くはヱホバその面をもて汝を照し汝を憐みたまへ 004 NUM 006 026 願くはヱホバその面を擧て汝を眷み汝に平安を賜へと 004 NUM 006 027 かくして彼等吾名をイスラエルの子孫に蒙らすべし然ば我かれらを惠まん 004 NUM 007 001 モーセ幕屋を建をはり之に膏を灌ぎてこれを聖別めまたその一切の器具およびその壇とその一切の器具に膏を灌ぎて之を聖別たる日に 004 NUM 007 002 イスラエルの牧伯等すなはちその諸宗族の長諸支派の牧伯にしてその核數られし者を監督る者等献物を爲り 004 NUM 007 003 彼等その禮物をヱホバに持きたるに蓋ある車六輛と牛十二匹あり牧伯二人に車一輛一人に牛一匹なり即ちこれか幕屋の前にひき至れり 004 NUM 007 004 時にヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 007 005 汝これを彼等より取て集會の幕屋の用に供へレビ人にその職分職分にしたがひて之を授すべし 004 NUM 007 006 是においてモーセその車と牛を取て之をレビ人に授せり 004 NUM 007 007 即ちゲルシヨンの子孫にはその職分を按へて車二輛と牛四匹を授し 004 NUM 007 008 メラリの子孫にはその職分を按へて車四輛と牛八匹を授し祭司アロンの子イタマルをしてこれを監督らしめたり 004 NUM 007 009 然どコハテの子孫には何をも授さざりき是は彼等が聖所になすべき職分はその肩をもて擔ふの事なるが故なり 004 NUM 007 010 壇に膏を灌ぐ日に牧伯等壇奉納の禮物を携へ來り牧伯等その禮物を壇の上に献げたり 004 NUM 007 011 ヱホバ先にモーセに言たまひけるは牧伯等は一日に一人宛その壇奉納の禮物を献ぐべし 004 NUM 007 012 第一日に禮物を献げし者はユダの支派のアミナダブの子ナシヨンなり 004 NUM 007 013 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 014 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 015 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 016 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 017 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹アミナダブの子サションの禮物は是の如し 004 NUM 007 018 第二日にはイッサカルの牧伯ツアルの子ネタニエル献納を爲り 004 NUM 007 019 その献げし禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 020 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 021 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 022 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 023 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹ツアルの子ネタニエルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 024 第三日にはゼブルンの子孫の牧伯ヘロンの子エリアブ献納を爲り 004 NUM 007 025 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 026 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 027 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 028 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 029 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹ヘロンの子エリアブの禮物は是のごとし 004 NUM 007 030 第四日にはルベンの子孫の牧伯シデウルの子エリヅル献納を爲り 004 NUM 007 031 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 032 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 033 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 034 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 035 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹シデウルの子エリヅルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 036 第五日にはシメオンの子孫の牧伯ツリシヤダイの子シルミエル献物を爲り 004 NUM 007 037 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 038 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 039 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 040 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 041 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹ツリシヤダイの子シルミエルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 042 第六日にはガドの子孫の牧伯デウエルの子エリアサフ献納をなせり 004 NUM 007 043 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 044 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 045 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 046 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 047 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹デウエルの子エリアサフの禮物はかくのごとし 004 NUM 007 048 第七日にはエフライムの子孫の牧伯アミホデの子エリシヤマ献納をなせり 004 NUM 007 049 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふ此二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 050 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 051 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 052 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 053 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹アミホデの子エリシヤマの禮物は是のごとし 004 NUM 007 054 第八日にはマナセの子孫の牧伯パダヅルの子ガマリエル献納をなせり 004 NUM 007 055 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケルみな聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 056 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 057 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 058 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 059 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹パダヅルの子ガマリエルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 060 第九日にはベニヤミンの子孫の牧伯ギデオニの子アビダン献納をなせり 004 NUM 007 061 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケルみな聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 062 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 063 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 064 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 065 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹ギデオニの子アビダンの禮物は是のごとし 004 NUM 007 066 第十日にはダンの子孫の牧伯アミシヤダイの子アヒエゼル献納をなせり 004 NUM 007 067 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケル皆聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 068 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 069 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 070 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 071 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹アミシヤダイの子アヒエゼルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 072 第十一日にはアセルの子孫の牧伯オクランの子パギエル献納を爲せり 004 NUM 007 073 その禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケルみな聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 074 亦金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 075 亦燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 076 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 077 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹オクランの子パギエルの禮物は是のごとし 004 NUM 007 078 第十二日にはナフタリの子孫の牧伯エナンの子アヒラ献物をなせり 004 NUM 007 079 其禮物は銀の皿一箇その重は百三十シケル銀の鉢一箇是は七十シケルみな聖所のシケルに循ふこの二者には麥粉に油を和たる素祭の品を充す 004 NUM 007 080 また金の匙の十シケルなる者一箇是には香を充す 004 NUM 007 081 また燔祭に用ふる若き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊一匹 004 NUM 007 082 罪祭に用ふる牡山羊一匹 004 NUM 007 083 酬恩祭の犠牲に用ふる牛二匹牡羊五匹牡山羊五匹當歳の羔羊五匹エナンの子アヒラの禮物は是のごとし 004 NUM 007 084 是すなはち壇に油を灌げる日にイスラエルの牧伯等が献げたる壇奉納の禮物なり即ち銀の皿十二銀の鉢十二金の匙十二 004 NUM 007 085 銀の皿は各々百三十シケル鉢は各々七十シケル聖所のシケルに依ばこの諸の銀の器はその重都合二千四百シケルなりき 004 NUM 007 086 また香を充せる金の匙十二ありその重は聖所のシケルに依ば各々十シケルその匙の金は都合百二十シケルなりき 004 NUM 007 087 また燔祭に用ふる者は牡牛十二牡羊十二當歳の羔羊十二ありき之にその素祭の物を加ふまた罪祭の牡山羊十二あり 004 NUM 007 088 また酬恩祭の犠牲に用ふる者は牡牛二十四牡羊六十牡山羊六十當歳の羔羊六十あり壇に膏を灌ぎて後に献たる壇奉納の禮物は是のごとし 004 NUM 007 089 斯てモーセはヱホバと語はんとて集會の幕屋に入けるに律法の櫃の上なる贖罪所の上兩箇のケルビムの間より聲いでて己に語ふを聽り即ち彼と語へり 004 NUM 008 001 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 008 002 アロンに告て之に言へ汝燈火を燃す時は七の燈盞をして均く燈臺の前を照さしむべし 004 NUM 008 003 アロンすなはち然なし燈火を燈臺の前の方にむけて燃せりヱホバのモーセに命じたまへる如し 004 NUM 008 004 燈臺の作法は是のごとし是は槌にて椎て作れる者即ちその臺座よりその花まで槌にて椎て作れる者なりモーセ、ヱホバの己に示したまへる式樣にてらしてこの燈臺を作れり 004 NUM 008 005 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 008 006 レビ人をイスラエルの子孫の中より取てこれを潔めよ 004 NUM 008 007 汝かく彼らに爲て之を潔むべし即ち罪を潔むる水を彼等に灑ぎかけ彼等にその身をことごとく剃しめその衣服を洗はしめて之を潔め 004 NUM 008 008 而して彼等に若き牡牛一匹と麥粉に油を和たる者を取しめよ汝また別に若き牡牛を罪祭のために取べし 004 NUM 008 009 斯て汝レビ人を集會の幕屋の前に携きたりてイスラエルの子孫の全會を集め 004 NUM 008 010 而してレビ人をヱホバの前に進ましめてイスラエルの子孫に其手をレビ人の上に按しむべし 004 NUM 008 011 而してイスラエルの子孫の爲にレビ人を搖祭となしてヱホバの前に献ぐべし是彼らをしてヱホバの勤務を爲しめんためなり 004 NUM 008 012 斯て汝レビ人にその手をかの牛の頭に按しめその一を燔祭となしてヱホバに献げ之をもてレビ人のために贖罪をなすべし 004 NUM 008 013 即ちレビ人をアロンとその子等の前に立しめ之を搖祭となしてヱホバに献ぐべし 004 NUM 008 014 汝レビ人をイスラエルの子孫の中より區分ちレビ人をしてわが所屬とならしむべし 004 NUM 008 015 斯て後レビ人は入て集會の幕屋の役事をなすべし汝かれらを潔め之を献げて搖祭となすべし 004 NUM 008 016 彼らはイスラエルの子孫の中よりして我に献げらるる者なりイスラエルの子孫の中なる始に生れたる者すなはちその首出子の代に我かれらを取なり 004 NUM 008 017 イスラエルの子孫の中の首出子は人たるも獣たるも凡てわが所屬となるべし其は我エジプトの地において首出子を盡く撃ころしたる時に彼等を聖者となして我に屬せしめたればなり 004 NUM 008 018 是をもて我イスラエルの子孫の中の一切の首出子の代にレビ人を取なり 004 NUM 008 019 我イスラエルの子孫の中よりレビ人を取て之をアロンとその子等に與へ之をして集合の幕屋においてイスラエルの子孫に代てその役事を爲しめまたイスラエルの子孫のために贖罪をなさしめん是イスラエルの子孫が聖所に近く時にイスラエルの子孫の中に災害の起ざらんためなり 004 NUM 008 020 モーセとアロンおよびイスラエルの子孫の全會衆ヱホバがレビ人の事につきてモーセに命じたまへる所に悉くしたがひてレビ人におこなへり即ちイスラエルの子孫かくの如く彼等に行ひたり 004 NUM 008 021 レビ人是に於てその身を潔め衣服を洗ひたればアロンかれらをヱホバの前に献て搖祭となしアロンまた彼らのために贖罪をなして之を潔めたり 004 NUM 008 022 斯て後レビ人は集會の幕屋に入てアロンとその子等の前にてその役事を爲り彼等はレビ人の事につきてヱホバのモーセに命じたまへる所に循ひて斯のごとく之を行ひたり 004 NUM 008 023 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 008 024 レビ人は斯なすべし即ち二十五歳以上の者は軍団に入て集會の幕屋の役事をなすべし 004 NUM 008 025 然ど五十歳よりは軍団を退きて休み重て役事をなすべからず 004 NUM 008 026 唯集會の幕屋においてその兄弟等をつかさどり且伺ひ守ることを勤むべし役事を爲すべからず汝レビ人をしてその職務をなさしむるには斯のごとくなすべし 004 NUM 009 001 エジプトの國を出たる次の年の正月ヱホバ、シナイの野にてモーセに告ていひたまはく 004 NUM 009 002 イスラエルの子孫をして逾越節をその期におよびて行はしめよ 004 NUM 009 003 其期即ち此月の十四日の晩にいたりて汝等これを行ふべし汝等これをおこなふにはその諸の條例とその諸の式法に循ふべきなり 004 NUM 009 004 是においてモーセ、イスラエルの子孫に逾越節を行ふべき事を告たれば 004 NUM 009 005 彼等正月の十四日の晩にシナイの野にて逾越節を行へり即ちイスラエルの子孫はヱホバのモーセに命じたまへる所に盡く循ひてこれを爲ぬ 004 NUM 009 006 時に人の死骸に身を汚して逾越節を行ふこと能ざる人々ありてその日にモーセとアロンの前にいたれり 004 NUM 009 007 その人々すなはち彼に言ふ我等は人の死骸に身を汚したり然ば我らはその期におよびてイスラエルの子孫と偕にヱホバに禮物を献ることを得ざるべき乎 004 NUM 009 008 モーセかれらに言けるは姑く待てヱホバ汝らの事を如何に宣ふかを聽ん 004 NUM 009 009 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 009 010 イスラエルの子孫に告て言へ汝等または汝等の子孫の中死屍に身を汚したる人も遠き途にある人も皆逾越節をヱホバにむかひて行ふべきなり 004 NUM 009 011 即ち二月の十四日の晩に之をおこなひ酵いれぬパンと苦菜をそへて之を食ふべし 004 NUM 009 012 朝までこれを少許も遺しおくべからず又その骨を一本も折べからず逾越節の諸の條例にしたがひて之を行ふべし 004 NUM 009 013 然ど人その身潔くありまた征途にもあらずして逾越節を行ふことをせざる時はその人民の中より斷れん斯る人はその期におよびてヱホバの禮物を持きたらざるが故にその罪を任べきなり 004 NUM 009 014 他國の人もし汝らの中に寄寓をりて逾越節をヱホバにおこなはんとせば逾越節の條例に依りその法式にしたがひて之をおこなふべし他國の人にも自國の人にもその條例は同一なるべし 004 NUM 009 015 幕屋を建たる日に雲幕屋を蔽へり是すなはち律法の幕屋なり而して夕にいたれば幕屋の上に火のごとき者あらはれて朝におよべり 004 NUM 009 016 即ち常に是のごとくにして晝は雲これを蔽ひ夜は火のごとき者ありき 004 NUM 009 017 雲幕屋を離れて上る時はイスラエルの子孫直に途に進みまた雲の止まる所にイスラエルの子孫營を張り 004 NUM 009 018 即ちイスラエルの子孫はヱホバの命によりて途に進みまたヱホバの命によりて營を張り幕屋の上に雲の止まれる間は營を張をれり 004 NUM 009 019 幕屋の上に雲の止ること日久しき時はイスラエルの子孫ヱホバの職守をまもりて途に進まざりき 004 NUM 009 020 また幕屋の上に雲の止まる事日少き時も然り彼等は只ヱホバの命にしたがひて營を張りヱホバの命にしたがひて途に進めり 004 NUM 009 021 また雲夕より朝まで止り朝におよびてその雲昇る時は彼等途に進めり夜にもあれ晝にもあれ雲の昇る時は即ち途に進めり 004 NUM 009 022 二日にもあれ一月にもあれまたは其よりも多くの日にもあれ幕屋の上に雲の止り居る間はイスラエルの子孫營を張居て途に進まずその昇るにおよびて途に進めり 004 NUM 009 023 即ち彼等はヱホバの命にしたがひて營を張りヱホバの命にしたがひて途に進み且モーセによりて傳はりしヱホバの命にしたがひてヱホバの職守を守れり 004 NUM 010 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 010 002 汝銀の喇叭二本を製れ即ち槌にて椎て之を製り之を用ひて人を呼集めまた營を進ますべし 004 NUM 010 003 この二者を吹ときは全會衆集會の幕屋の門に集りて汝に就べし 004 NUM 010 004 もし只その一を吹く時はイスラエルの千人の長たるその牧伯等集りて汝に就べし 004 NUM 010 005 汝等これを吹鳴す時は東の方に營を張る者途に進むべし 004 NUM 010 006 また二次これを吹ならす時は南の方に營を張る者途に進むべし凡て途に進まんとする時は音長く喇叭を吹ならすべし 004 NUM 010 007 また會衆を集むる時にも喇叭をふくべし但し音長くこれを吹ならすべからず 004 NUM 010 008 アロンの子等の祭司たる者どもその喇叭を吹べし是すなはち汝らが代々ながく守るべき例たるなり 004 NUM 010 009 また汝らの國において汝等その己を攻るところの敵と戰はんとて出る時は喇叭を吹ならすべし然せば汝等の神ヱホバ汝らを記憶て汝らをその敵の手より救ひたまはん 004 NUM 010 010 また汝らの喜樂の日汝らの節期および月々の朔日には燔祭の上と酬恩祭の犠牲の上に喇叭を吹ならすべし然せば汝らの神これに由て汝らを記憶たまはん我は汝らの神ヱホバ也 004 NUM 010 011 斯て第二年の二月の二十日に雲律法の幕屋を離れて昇りければ 004 NUM 010 012 イスラエルの子孫シナイの野より出でて途に進みたりしがパランの野にいたりて雲止れり 004 NUM 010 013 斯かれらはヱホバのモーセによりて命じたまへるところに遵ひて途に進むことを始めたり 004 NUM 010 014 首先にはユダの子孫の營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて進めりユダの軍旅の長はアミナダブの子ナシヨン 004 NUM 010 015 イッサカルの子孫の支派の軍旅の長はツアルの子ネタニエル 004 NUM 010 016 ゼブルンの子孫の支派の軍旅の長はへロンの子エリアブなりき 004 NUM 010 017 乃ち幕屋を取くづしゲルシヨンの子孫およびメラリの子孫幕屋を擔ひて進めり 004 NUM 010 018 次にルベンの營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて進めりルベンの軍旅の長はシデウルの子エリヅル 004 NUM 010 019 シメオンの子孫の支派の軍旅の長はツリシヤダイの子シルミエル 004 NUM 010 020 ガドの子孫の支派の軍旅の長はデウエルの子エリアサフなりき 004 NUM 010 021 コハテ人聖所を擔ひて進めり是が至るまでに彼その幕屋を建をはる 004 NUM 010 022 次にエフライムの子孫の營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて進めりヱフライムの軍旅の長はアミホデの子エリシヤマ 004 NUM 010 023 マナセの子孫の支派の軍旅の長はパダヅルの子ガマリエル 004 NUM 010 024 ベニヤミンの子孫の支派の軍旅の長はギデオニの子アビダンなりき 004 NUM 010 025 次にダンの子孫の營の纛の下につく者その軍旅にしたがひて進めりこの軍旅は諸營の後驅なりきダンの軍旅の長はアミシヤダイの子アヒエゼル 004 NUM 010 026 アセルの子孫の支派の軍旅の長はオクランの子バギエル 004 NUM 010 027 ナフタリの子孫の支派の軍旅の長はエナンの子アヒラなりき 004 NUM 010 028 イスラエルの子孫はその途に進む時は是のごとくその軍旅にしたがひて進みたり 004 NUM 010 029 茲にモーセその外舅なるミデアン人リウエルの子ホバブに言けるは我等はヱホバが甞て我これを汝等に與へんと言たまひし處に進み行なり汝も我等とともに來れ我等汝をして幸福ならしめん其はヱホバ、イスラエルに福祉を降さんと言たまひたればなり 004 NUM 010 030 彼モーセに言ふ我は往じ我はわが國に還りわが親族に至らん 004 NUM 010 031 モーセまた言けるは請ふ我等を棄去なかれ汝は我儕が曠野に營を張るを知ば願くは我儕の目となれ 004 NUM 010 032 汝もし我儕とともに往ばヱホバの我儕に降したまふところの福祉を我儕また汝にもおよぼさん 004 NUM 010 033 斯て彼等ヱホバの山をたち出て三日路ほど進み行りヱホバの契約の櫃その三日路の間かれらに先だち行て彼等の休息所を尋ね覓めたり 004 NUM 010 034 彼等營を出て途に進むに當りて晝はヱホバの雲かれらの上にありき 004 NUM 010 035 契約の櫃の進まんとする時にはモーセ言りヱホバよ起あがりたまへ然ば汝の敵は打散され汝を惡む者等は汝の前より逃さらんと 004 NUM 010 036 またその止まる時は言りヱホバよ千萬のイスラエル人に歸りたまへ 004 NUM 011 001 茲に民災難に罹れる者のごとくにヱホバの耳に呟きぬヱホバその怨言を聞て震怒を發したまひければヱホバの火かれらに向ひて燃いでその營の極端を燒り 004 NUM 011 002 是に於て民モーセに呼はりしがモーセ、ヱホバに祈ければその火鎮りぬ 004 NUM 011 003 ヱホバの火かれらに向ひて燃出たるに因てその處の名をタベラ(燃)と稱ぶ 004 NUM 011 004 茲に彼等の中なる衆多の寄集人等慾心を起すイスラエルの子孫もまた再び哭て言ふ誰か我らに肉を與へて食しめんか 004 NUM 011 005 憶ひ出るに我等エジプトにありし時は魚黄瓜水瓜韮葱靑蒜等を心のままに食へり 004 NUM 011 006 然るに今は我儕の精神枯衰ふ我らの目の前にはこのマナの外何も有ざるなりと 004 NUM 011 007 マナは莞荽の實のごとくにしてその色はブドラクの色のごとし 004 NUM 011 008 民行巡りてこれを斂め石磨にひき或は臼に搗てこれを釜の中に煮て餅となせりその味は油菓子の味のごとし 004 NUM 011 009 夜にいりて露營に降る時にマナその上に降れり 004 NUM 011 010 モーセ聞に民の家々の者おのおのその天幕の門口に哭く是におひてヱホバ烈しく怒を發したまふこの事またモーセの目にも惡く見ゆ 004 NUM 011 011 モーセすなはちヱホバに言けるは汝なんぞ僕を惡くしたまふ乎いかなれば我汝の前に恩を獲ずして汝かく此すべての民をわが任となして我に負せたまふや 004 NUM 011 012 この總體の民は我が姙みし者ならんや我が生し者ならんや然るに汝なんぞ我に慈父が乳哺子を抱くがごとくに彼らを懐に抱きて汝が昔日かれらの先祖等に誓ひたまひし地に至れと言たまふや 004 NUM 011 013 我何處より肉を得てこの總體の民に與へんや彼等は我にむかひて哭き我等に肉を與へて食しめよと言なり 004 NUM 011 014 我は一人にてはこの總體の民をわが任として負ことあたはず是は我には重きに過ればなり 004 NUM 011 015 我もし汝の前に恩を獲ば請ふ斯我を爲んよりは寧ろ直に我を殺したまへ我をしてわが困苦を見せしめたまふ勿れ 004 NUM 011 016 是においてヱホバ、モーセに言たまはくイスラエルの老人の中民の長老たり有司たるを汝が知るところの者七十人を我前に集め集會の幕屋に携きたりて其處に汝とともに立しめよ 004 NUM 011 017 我降りて其處にて汝と言はん又われ汝の上にあるところの霊を彼等にも分ち與へん彼等汝とともに民の任を負ひ汝をして只一人にて之を負ふこと無らしむべし 004 NUM 011 018 汝また民に告て言へ汝等身を潔めて明日を待て必ず肉を食ふことを得ん汝等ヱホバの耳に哭て誰か我等に肉を與へて食しめん我らエジプトにありし時は却て善りしと言たればヱホバなんぢらに肉を與へて食しめたまふべし 004 NUM 011 019 汝等がこれを食ふは一日や二日や五日や十日や二十日にはあらずして 004 NUM 011 020 一月におよび遂に汝らの鼻より出るにいたらん汝等これに饜はつべし是なんぢら己等の中にいますヱホバを軽んじてその前に哭き我等何とてエジプトより出しやと言たればなり 004 NUM 011 021 モーセ言けるは我が偕にをる民は歩卒のみにても六十萬あり然るに汝は我かれらに肉を與へて一月の間食しめんと言たまふ 004 NUM 011 022 羊と牛の群を宰るとも彼等を飽しむることを得んや海の魚をことごとく集むるとも彼等を飽しむることを得んや 004 NUM 011 023 ヱホバ、モーセに言たまはくヱホバの手短からんや吾言の成と然らざるとは汝今これを見るあらん 004 NUM 011 024 是に於てモーセ出きたりてヱホバの言を民に告げ民の長老七十人を集めて幕屋の四圍に立しめけるに 004 NUM 011 025 ヱホバ雲の中にありて降りモーセと言ひモーセのうへにある霊をもてその長老七十人にも分ち與へたまひしがその霊かれらの上にやどりしかば彼等預言せり但し此後はかさねて爲ざりき 004 NUM 011 026 時に彼等の中なる二人の者營に止まり居るその一人の名はエルダデといひ一人の名はメダデと曰ふ霊またかれらの上にもやどれり彼らは其名を録されたる者なりしが幕屋に往ざりければ營の中にて預言をなせり 004 NUM 011 027 時に一人の少者奔りきたりモーセに告てエルダデとメダデ營の中にて預言すと言ければ 004 NUM 011 028 その少時よりしてモーセの從者たりしヌンの子ヨシユアこたへて曰けるは吾主モーセこれを禁めたまヘ 004 NUM 011 029 モーセこれに言けるは汝わがために媢嫉を起すやヱホバの民の皆預言者とならんことまたヱホバのその霊を之に降したまはんことこそ願しけれ 004 NUM 011 030 斯てモーセ、イスラエルの長老等とともに營に返れり 004 NUM 011 031 茲にヱホバの許より風おこり出て海の方より鶉を吹きたりこれをして營の周圍に堕しめたりその堕ひろがれること營の四周此旁も大約一日路彼旁も大約一日路地の表より高きこと大約二キユビトなりき 004 NUM 011 032 民すなはち起あがりてその日終日その夜終夜またその次の日終日鶉を拾ひ斂めけるが拾ひ斂むることの至て寡き者も十ホメルほど拾ひ斂めたり皆これを營の周圍に陳べおけり 004 NUM 011 033 肉なほ歯のあひだにありていまだ食つくさざるにヱホバ民にむかひて怒を發しこれを撃ておほいに滅ぼしたまへり 004 NUM 011 034 是をもてその處の名をキブロテハッタワ(慾心の墓)とよべり其は慾心をおこせる人々を其處に埋たればなり 004 NUM 011 035 斯て民キブロテハツタワよりハゼロテに進みゆきてハゼロテに居ぬ 004 NUM 012 001 モーセはエテオピアの女を娶りたりしがそのエテオピアの女を娶りしをもてミリアムとアロン、モーセを謗れり 004 NUM 012 002 彼等すなはち言けるはヱホバただモーセによりてのみ語りたまはんやまた我等によりても語り給ふにあらずやとヱホバこれを聞たまへり 004 NUM 012 003 (モーセはその人と爲温柔なること世の中の諸の人に勝れり) 004 NUM 012 004 是に於てヱホバ遽にモーセ、アロン及びミリアムに言たまはく汝等三人集會の幕屋に出きたれと三人すなはち出きたりければ 004 NUM 012 005 ヱホバ雲の柱の中にありて降り幕屋の門に立てアロンとミリアムを呼たまひしがかれら二人進みたれば 004 NUM 012 006 之に言たまはく汝等わが言を聽け汝らの中にもし預言者あらば我ヱホバ異象において我をこれに知しめまた夢において之と語らん 004 NUM 012 007 わが僕モーセに於ては然らず彼はわが家に忠義なる者なり 004 NUM 012 008 彼とは我口をもて相語り明かに言ひて隠語を用ひず彼はまたヱホバの形を見るなり然るを汝等なんぞわが僕モーセを謗ることを畏れざるやと 004 NUM 012 009 ヱホバかれらに向ひ忿怒を發して去たまへり 004 NUM 012 010 雲すなはち幕屋をはなれて去ぬその時ミリアムに癩病生じてその身雪のごとく爲りアロン、ミリアムを見かへるに旣に癩病生じをる 004 NUM 012 011 アロン是においてモーセに言けるは嗟わが主よ我等愚なる事をなして罪を犯したれど願くは其罪を我等に蒙らしむる勿れ 004 NUM 012 012 彼をして母の胎より肉半分腐れて死て生れいづる者のごとくならしむる勿れ 004 NUM 012 013 モーセすなはちヱホバに呼はりて言ふ嗚呼神よ願くは彼を醫したまへ 004 NUM 012 014 ヱホバ、モーセに言たまひけるは彼の父その面に唾する事ありてすら彼は七日の間羞をるべきに非ずや然ば七日の間かれを營の外に禁鎖おきて然る後に歸り入しむべしと 004 NUM 012 015 ミリアムはすなはち七日の間營の外に禁鎖られぬ民はミリアムの歸り入るまで途に進まざりき 004 NUM 012 016 その後民ハゼロテより進みてバランの曠野に營を張り 004 NUM 013 001 茲にヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 013 002 汝人を遣して我がイスラエルの子孫に與ふるカナンの地を窺はしめよ即ち支派ごとに一人を取て之を遣すべし其人々は皆かれらの中の牧伯たる者なるべし 004 NUM 013 003 モーセすなはちヱホバの命にしたがひてバランの曠野よりこれを遣せりその人等は皆イスラエルの子孫の領袖たる者なり 004 NUM 013 004 その名は是のごとしルベンの支派にてはザックルの子シヤンマ 004 NUM 013 005 シメオンの支派にてはホリの子シヤパテ 004 NUM 013 006 ユダの支派にてはエフンネの子カルブ 004 NUM 013 007 イッサカルの支派にてはヨセフの子イガル 004 NUM 013 008 エフライムの支派にてはヌンの子ホセア 004 NUM 013 009 ベニヤミンの支派にてはラフの子パルテ 004 NUM 013 010 ゼブルンの支派にてはソデの子ガデエル 004 NUM 013 011 ヨセフの支派すなはちマナセの支派にてはスシの子ガデ 004 NUM 013 012 ダンの支派にではゲマリの子アンミエル 004 NUM 013 013 アセルの支派にてはミカエルの子セトル 004 NUM 013 014 ナフタリの支派にてはワフシの子ナヘビ 004 NUM 013 015 ガドの支派にてはマキの子ギウエル 004 NUM 013 016 是すなはちモーセがその地を窺はしめんとて遣したる人々の名なり時にモーセ、ヌンの子ホセアをヨシユアと名けたり 004 NUM 013 017 モーセかれらを遣はしてカナンの地を窺はしめんとして之に言けるは汝等その南の方に赴きて山に登り 004 NUM 013 018 その地の如何と其處に住む民の強か弱か多か寡かを觀 004 NUM 013 019 またその住ところの地は善か惡か其住ところの邑々は如何なるものなるか彼等は天幕に住をるか城の邑に住をるかを觀 004 NUM 013 020 またその地は腴なるか痩たるか其中に樹あるや否を觀よ汝等勇しかれその地の果物を携へきたれよとこの時は葡萄の熟し始むる時なりき 004 NUM 013 021 是において彼等上りゆきてその地を窺ひチンの曠野よりレホブにおよべり是はハマテに近し 004 NUM 013 022 彼等すなはち南の方に上りゆきてヘブロンにいたれり此にはアナクの子アヒマン、セシヤイおよびタルマイあり(ヘブロンはエジプトのゾアンよりも七年前に建たる者なり) 004 NUM 013 023 彼らつひにエシコルの谷にいたり其處より一球の葡萄のなれる枝を砍とりてこれを杠に貫き二人してこれを擔へりまた石榴と無花果を取り 004 NUM 013 024 イスラエルの子孫其處より葡萄一球を砍とりしが故にその處をエシコル(一球の葡萄)の谷と稱ふ 004 NUM 013 025 彼ら四十日を經その地を窺ふことを竟て歸り 004 NUM 013 026 パランの曠野なるカデシに至りてモーセとアロンおよびイスラエルの子孫の全會衆に就きかれらと全會衆にその復命を申しその地の果物をこれに見せり 004 NUM 013 027 彼等すなはちモーセに語りて言ふ我等は汝が遣しし地にいたれり誠に其處は乳と蜜とながる是その果物なり 004 NUM 013 028 然ながらその地に住む民は猛くその邑々は堅固にして甚だ大なり我等またアナクの子孫の其處にをるを見たり 004 NUM 013 029 またアマレキ人その南の地に住みヘテ人エブス人およびアモリ人その山々に住みカナン人その海邊とヨルダンの邊に住をると 004 NUM 013 030 時にカルブ、モーセの前に民を靜めて言けるは我等直に上りゆきて之を攻取ん我等は必ずこれに勝ことを得ん 004 NUM 013 031 然ど彼とともに往たる人々は言ふ我等はかの民の所に攻上ることを得ず彼らは我らよりも強ければなりと 004 NUM 013 032 彼等すなはちその窺ひたりし地の事をイスラエルの子孫の中に惡く言ふらして云く我等が行巡りて窺ひたる地は其中に住む者を呑ほろぼす地なり且またその中に我等が見し民はみな身幹たかき人なりし 004 NUM 013 033 我等またアナクの子ネピリムを彼處に見たり是ネピリムより出たる者なり我儕は自ら見るに蝗のごとくまた彼らにも然見なされたり 004 NUM 014 001 是において會衆みな聲をあげて叫び民その夜哭あかせり 004 NUM 014 002 すなはちイスラエルの子孫みなモーセとアロンに對ひて呟き全會衆かれらに言けるは嗚呼我等はエジプトの國に死たらば善りしものを又はこの曠野に死ば善らんものを 004 NUM 014 003 何とてヱホバ我等をこの地に導きいりて劍に斃れしめんとし我らの妻子をして掠められしめんとするやエジプトに歸ること反て好らずやと 004 NUM 014 004 互に相語り我等一人の長を立てエジプトに歸らんと云り 004 NUM 014 005 是をもてモーセとアロンはイスラエルの子孫の全會衆の前において俯伏たり 004 NUM 014 006 時にかの地を窺ひたりし者の中なるヌンの子ヨシユアとヱフンネの子カルブその衣服を裂き 004 NUM 014 007 イスラエルの子孫の全會衆に語りて言ふ我等が行巡りて窺ひたりし地は甚だ善き地なり 004 NUM 014 008 ヱホバもし我等を悦びたまはば我らをその地に導きいりて之を我等に賜はん是は乳と蜜との流るる地なるぞかし 004 NUM 014 009 唯ヱホバに逆ふ勿れまたその地の民を懼るるなかれ彼等は我等の食物とならん彼等の影となる者は旣に去りかつヱホバわれらと共にいますなり彼等を懼るる勿れ 004 NUM 014 010 然るに會衆みな石をもて之を撃んとせり時にヱホバの榮光集會の幕屋の中よりイスラエルの全體の子孫に顯れたり 004 NUM 014 011 ヱホバすなはちモーセに言たまはく此民は何時まで我を藐視るや我諸の休徴をかれらの中間に行ひたるに彼等何時まで我を賴むことを爲ざるや 004 NUM 014 012 我疫病をもてかれらを撃ち滅し汝をして彼等よりも大なる強き民とならしめん 004 NUM 014 013 モーセ、ヱホバに言けるは汝がその權能をもてこの民をエジプトより導き出したまひし事はエジプト人唯これを聞し而已ならず 004 NUM 014 014 また之をこの地に住る民に告たりまた彼等は汝ヱホバがこの民の中に在し汝ヱホバが明かにこれに顯れたまふことを聞きまたその上に汝の雲をりて汝が晝は雲の柱の中にあり夜は火の柱の中にありて之が前に行たまふを聞り 004 NUM 014 015 然ば汝もしこの民を一人のごとくに殺したまはば汝の名聲を聞る國人等言ん 004 NUM 014 016 ヱホバこの民を導きてその之に誓ひたりし地に至ること能はざるが故に之を曠野に殺せりと 004 NUM 014 017 吾主ねがはくは今汝の權能を大ならしめて汝の言たまへる如したまへ 004 NUM 014 018 汝曾言たまひけらくヱホバは怒ること遅く恩惠深く惡と過とを赦す者また罰すべき者をば必ず赦すことをせず父の罪を子に報いて三四代に及ぼす者と 004 NUM 014 019 願くは汝の大なる恩惠をもち汝がエジプトより今にいたるまでこの民を赦しし如くにこの民の惡を赦したまへ 004 NUM 014 020 ヱホバ言たまはく我汝の言にしたがひて之を赦す 004 NUM 014 021 然ながら我の活るごとくまたヱホバの榮光の全世界に充わたらん如く 004 NUM 014 022 かのわが榮光および我がエジプトと曠野において行ひし休徴を見ながら斯十度も我を試みて我聲に聽したがはざる人々は 004 NUM 014 023 皆かならず我がその先祖等に誓ひし地を見ざるべしまた我を藐視る人々も之を見ざるべし 004 NUM 014 024 但しわが僕カルブはその心異にして我に全く從ひたれば彼の往たりし地に我かれを導きいらんその子孫これを有つに至るべし 004 NUM 014 025 アマレキ人とカナン人谷にをれば明日汝等身を轉して紅海の路より曠野に退くべし 004 NUM 014 026 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 014 027 我この我にむかひて呟くところの惡き會衆を何時まで赦しおかんや我イスラエルの子孫が我にむかひて呟くところの怨言を聞り 004 NUM 014 028 彼等に言へヱホバ曰ふ我は活く汝等が我耳に言しごとく我汝等になすべし 004 NUM 014 029 汝らの屍はこの曠野に横はらん即ち汝ら核數られたる二十歳以上の者の中我に對ひて呟ける者は皆ことごとく此に斃るべし 004 NUM 014 030 ヱフンネの子カルブとヌンの子ヨシュアを除くの外汝等は我が汝らを住しめんと手をあげて誓ひたりし地に至ることを得ず 004 NUM 014 031 汝等が掠められんと言たりし汝等の子女等を我導きて入ん彼等は汝らが顧みざるところの地を知に至るべし 004 NUM 014 032 汝らの屍はかならずこの曠野に横はらん 004 NUM 014 033 汝らの子女等は汝らが屍となりて曠野に朽るまで四十年の間曠野に流蕩て汝らの悸逆の罪にあたらん 004 NUM 014 034 汝らはかの地を窺ふに日數四十日を經たれば其一日を一年として汝等四十年の間その罪を任ひ我が汝らを離たるを知べし 004 NUM 014 035 我ヱホバこれを言り必ずこれをかの集りて我に敵する惡き會衆に盡く行なふべし彼らはこの曠野に朽ち此に死うせん 004 NUM 014 036 モーセに遣されてかの地を窺ひに往き還り來りてその地を謗り全會衆をしてモーセに對ひて呟かしめたる人々 004 NUM 014 037 即ちその地を惡く言なしたるかの人々は罰をうけてヱホバの前に死り 004 NUM 014 038 但しその地を窺ひに往きたる人々の中ヌンの子ヨシユアとヱフンネの子カルブとは生のこれり 004 NUM 014 039 モーセこれらの事をイスラエルの子孫に告ければ民痛く哀み 004 NUM 014 040 朝蚤く起いでて山の嶺に登りて言ふ視よ我儕此にあり率ヱホバの約束したまひし地に上りゆかん我等罪を犯したればなり 004 NUM 014 041 モーセ言けるは汝等なんぞ斯ヱホバの命に背くやこの事成就せざるべし 004 NUM 014 042 汝ら上り行く勿れヱホバ汝らの中にいまさざれば恐くは汝らその敵の前に撃破られん 004 NUM 014 043 アマレキ人とカナン人其處に汝らの前にあれば汝等は劍に斃るるならん汝らヱホバに遵はざりし故にヱホバ汝等と偕に在さざるべしと 004 NUM 014 044 然るに彼等自擅に山の嶺に登れり但しヱホバの契約の櫃およびモーセは營を出ざりき 004 NUM 014 045 斯りしかばその山に住るアマレキ人とカナン人下り來てこれを打敗りホルマまで追いたれり 004 NUM 015 001 茲にヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 015 002 イスラエルの子孫に告て之に言へ我が汝等に與へて住しむる地に汝等到り 004 NUM 015 003 ヱホバに火祭を献る時すなはち願を還す時期又は自意の禮物を爲の時期または汝らの節期にあたりて牛あるひは羊をもて燔祭または犠牲を献げてヱホバに馨しき香を奉つる時は 004 NUM 015 004 その禮物をヱホバに献る者もし羔羊をもて燔祭あるひは犠牲となすならば麥粉十分の一に油一ヒンの四分の一を混和たるをその素祭として供へ酒一ヒンの四分の一をその灌祭として供ふべし 004 NUM 015 005 その禮物をヱホバに献る者もし羔羊をもて燔祭あるひは犠牲となすならば麥粉十分の一に油一ヒンの四分の一を混和たるをその素祭として供へ酒一ヒンの四分の一をその灌祭として供ふべし 004 NUM 015 006 若また牡羊を之に用ふるならば麥粉十分の二に油一ヒンの三分の一を混和たるをその素祭として供へ 004 NUM 015 007 また酒一ヒンの三分の一をその灌祭として献げヱホバに馨しき香をたてまつるべし 004 NUM 015 008 汝また願還あるひは酬恩祭をヱホバになすに當りて牡牛をもて燔祭あるひは犠牲となすならば 004 NUM 015 009 麥粉十分の三に油一ヒンの半を混和たるを素祭となしてその牡牛とともに献げ 004 NUM 015 010 また酒一ヒンの半をその灌祭として献ぐべし是すなはち火祭にしてヱホバに馨しき香をたてまつる者なり 004 NUM 015 011 牡牛あるひは牡羊あるひは羔羊あるひは羔山羊は一匹ごとに斯爲べきなり 004 NUM 015 012 即ち汝らが献ぐるところの數にてらしその數にしたがひて一匹ごとに斯なすべし 004 NUM 015 013 本國に生れたる者火祭を献げてヱホバに馨しき香をたてまつる時には凡て斯のごとく是等の事を行ふべし 004 NUM 015 014 また汝らの中に寄寓る他國の人あるひは汝らの中に代々住ふところの人火祭をささげてヱホバに馨しき香をたてまつらんとする時は汝らの爲がごとくにその人もなすべきなり 004 NUM 015 015 汝ら會衆および汝らの中に寄寓る他國の人は同一の例にしたがふべし是は汝らが代々永く守るべき例なり他國の人のヱホバの前に侍ることは汝等と異るところ無るべきなり 004 NUM 015 016 汝らと汝らの中に宿寓る他國の人とは同一の法同一の禮式にしたがふべし 004 NUM 015 017 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 015 018 イスラエルの子孫に告てこれに言へ我が汝等を導き往ところの地に汝等いたらん時は 004 NUM 015 019 その地の食物を食ふにあたりて汝ら擧祭をヱホバにささぐべし 004 NUM 015 020 即ち汝らはその麥粉の初をもてパンを作りてこれを擧祭にそなふべし是は禾場より擧祭をそなふるが如くに擧てそなふべきなり 004 NUM 015 021 汝ら代々その麥粉の初をもて擧祭をヱホバにたてまつるべし 004 NUM 015 022 汝等もし誤りてヱホバのモーセに告たまへるこの諸の命令を行はず 004 NUM 015 023 ヱホバがモーセをもて命じたまひし事等並にその命ずることを始めたまひし日より以來汝らの代々にも命じたまはんところの事等を行はざる事有ん時 004 NUM 015 024 すなはち會衆誤りて犯す所ありて之を知ざることあらん時は全會衆少き牡牛一匹を燔祭にささげてヱホバに馨しき香とならしめ之にその素祭と灌祭を禮式のごとくに加へまた牡山羊一匹を罪祭にささぐべし 004 NUM 015 025 而して祭司イスラエルの子孫の全會衆のために贖罪を爲べし斯せば是は赦されん是は過誤なればなり彼等はその禮物として火祭をヱホバにささげまたその過誤のために罪祭をヱホバの前にささぐべし 004 NUM 015 026 然せばイスラエルの子孫の會衆みな赦されんまた彼等の中に寄寓る他國の人も然るべし其は民みな誤り犯せるなればなり 004 NUM 015 027 人もし誤りて罪を犯さば當歳の牝山羊一匹を罪祭に献ぐべし 004 NUM 015 028 祭司はまたその誤りて罪を犯せる人が誤りてヱホバの前に罪を獲たるが爲に贖罪をなしてその罪を贖ふべし然せば是は赦されん 004 NUM 015 029 イスラエルの子孫の國の者にもあれまた其中に寄寓る他國の人にもあれ凡そ誤りて罪を犯す者には汝らその法を同じからしむべし 004 NUM 015 030 本國の人にもあれ他國の人にもあれ凡そ擅横に罪を犯す者は是ヱホバを瀆すなればその人はその民の中より絶るべし 004 NUM 015 031 斯る人はヱホバの言を軽んじその誡命を破るなるが故に必ず絶れその罪を身に承ん 004 NUM 015 032 イスラエルの子孫曠野に居る時安息日に一箇の人の柴を拾ひあつむるを見たり 004 NUM 015 033 是においてその柴を拾ひあつむるを見たる者等これをモーセとアロンおよび會衆の許に曳きたりけるが 004 NUM 015 034 之を如何に爲べきか未だ示諭を蒙らざるが故に之を禁錮おけり 004 NUM 015 035 時にヱホバ、モーセに言たまひけるはその人はかならず殺さるべきなり全會衆營の外にて石をもて之を撃べしと 004 NUM 015 036 全會衆すなはち之を營の外に曳いだし石をもてこれを撃ころしヱホバのモーセに命じたまへるごとくせり 004 NUM 015 037 ヱホバ亦モーセに告て言たまはく 004 NUM 015 038 汝イスラエルの子孫に告げ代々その衣服の裾に襚をつけその裾の襚 の上に靑き紐をほどこすべしと之に命ぜよ 004 NUM 015 039 此襚は汝らに之を見てヱホバの諸の誡命を記憶して其をおこなはしめ汝らをしてその放縦にする自己の心と目の欲に從がふこと無らしむるための者なり 004 NUM 015 040 斯して汝等吾もろもろの誡命を記憶して之を行ひ汝らの神の前に聖あるべし 004 NUM 015 041 我は汝らの神ヱホバにして汝らの神とならんとて汝らをエジプトの地より導きいだせし者なり我は汝らの神ヱホバなるぞかし 004 NUM 016 001 茲にレビの子コハテの子イヅハルの子なるコラおよびルベンの子等なるエリアブの子ダタンとアビラム並にペレテの子オン等相結び 004 NUM 016 002 イスラエルの子孫の會衆の中に選まれて牧伯となれるところの名ある人々二百五十人とともに起てモーセに逆らふ 004 NUM 016 003 すなはち彼等集りてモーセとアロンに逆ひ之に言けるは汝らはその分を超ゆ會衆みな盡く聖者となりてヱホバその中に在すなるに汝ら尚ヱホバの會衆の上に立つや 004 NUM 016 004 モーセこれを聞て俯伏たりしが 004 NUM 016 005 やがてコラとその一切の黨類に言けるは明日ヱホバ己の所屬は誰聖者は誰なるかを示して其者を己に近かせたまはん即ちその選びたまへる者を己に近かせたまふべし 004 NUM 016 006 汝等かく爲よコラとその黨類よ汝等みな火盤を取り 004 NUM 016 007 その中に火をいれその中に香を盛て明日ヱホバの前に至れその時ヱホバの選みたまふ人は聖者たるべしレビの人々よ汝等はその分を超るなり 004 NUM 016 008 モーセまたコラに言けるは汝等レビの子等よ請ふ聽け 004 NUM 016 009 イスラエルの神汝らをイスラエルの會衆の中より分ち己に近かせてヱホバの幕屋の役事を爲しめ會衆の前に立て之にかはりて勤務をなさしめたまふ是あに汝らにとりて小き事ならんや 004 NUM 016 010 神すでに汝と汝の兄弟なるレビの兒孫等を己に近かせたまふに汝らまた祭司とならんことをも求むるや 004 NUM 016 011 汝と汝の黨類は皆これがために集りてヱホバに敵するなりアロンを如何なる者として汝等これに對ひて呟くや 004 NUM 016 012 かくてモーセ、エリアブの子ダタンとアビラムを呼に遣はしけるに彼等いひけるは我等は上り往じ 004 NUM 016 013 汝は乳と蜜との流るる地より我らを導き出して曠野に我らを殺さんとす是あに小き事ならんや然るに汝また我等の上に君たらんとす 004 NUM 016 014 且また汝は我らを乳と蜜との流るる地にも導きゆかずまた田畝をも葡萄園をも我らに與へて有たしめず汝この人々の目を抉りとらんとするや我等は上りゆかじ 004 NUM 016 015 是においてモーセおほいに怒りヱホバに申しけるは汝かれらの禮物を顧みたまふ勿れ我はかれらより驢馬一匹をも取しことなくまた彼等を一人も害せしこと無し 004 NUM 016 016 斯てモーセ、コラに言けるは汝と汝の黨類みなアロンと偕に明日ヱホバの前に至れ 004 NUM 016 017 即ち汝らおのおの火盤を執てその中に香を盛り各人その火盤をヱホバの前に携へいたれその火祭は都合二百五十汝とアロンも各々その火盤を携へいたるべしと 004 NUM 016 018 彼等すなはち各々火盤を執り火をその中にいれて香をその上に盛りモーセおよびアロンとともに集會の幕屋の門に立り 004 NUM 016 019 コラ會衆をことごとく集會の幕屋の門に集めおきてかれら二人に敵せしめんとせしにヱホバの榮光全會衆に顯れ 004 NUM 016 020 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまひけるは 004 NUM 016 021 汝等この會衆を離れよ我これを直に滅さんとすと 004 NUM 016 022 是においてかれら二人俯伏て言ふ神よ一切の血肉ある者の生命の神よこの一人の者罪を犯したればとて汝全會衆にむかひて怒を發したまふや 004 NUM 016 023 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 016 024 汝會衆にむかひてコラとダタンとアビラムの居所の周圍を去れと言へと 004 NUM 016 025 モーセすなはち起あがりてダタンとアビラムの所に往けるがイスラエルの長老等これに從がひいたれり 004 NUM 016 026 而してモーセ會衆に告て言けるは汝らこの惡き人々の天幕を離れて去れ彼等の物には何にも捫る勿れ恐くは彼らの諸の罪のために汝らも滅ぼされん 004 NUM 016 027 是において人々はコラとダタンとアビラムの居所を離れて四方に去ゆけりまたダタンとアビラムはその妻子ならびに幼兒とともに出てその天幕の門に立り 004 NUM 016 028 モーセやがて言けるは汝等ヱホバがこの諸の事をなさせんとて我を遣したまへる事また我がこれを自分の心にしたがひて行ふにあらざる事を是によりて知べし 004 NUM 016 029 すなはちこの人々もし一般の人の死るごとくに死に一般の人の罰せらるる如くに罰せられなばヱホバわれを遣したまはざるなり 004 NUM 016 030 然どヱホバもし新しき事を爲たまひ地その口を開きてこの人々と之に屬する者を呑つくして生ながら陰府に下らしめなばこの人々はヱホバを瀆ししなりと汝ら知るべし 004 NUM 016 031 モーセこの一切の言をのべ終れる時かれらの下なる土裂け 004 NUM 016 032 地その口を開きてかれらとその家族の者ならびにコラに屬する一切の男等と一切の所有品を呑つくせり 004 NUM 016 033 すなはち彼等とかれらに屬する者はみな生ながら陰府に下りて地その上に閉ふさがりぬ彼等かく會衆の中より滅ぼされたりしが 004 NUM 016 034 その周圍に居たるイスラエル人は皆かれらの叫喊を聞て逃はしり恐くは地われらをも呑つくさんと言り 004 NUM 016 035 且またヱホバの許より火いでてかの香をそなへたる者二百五十人を燒つくせり 004 NUM 016 036 時にヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 016 037 汝祭司アロンの子エレアザルに告てその燃る火の中より彼の火盤を取いださしめその中の火を遠方に傾すてよその火盤は聖なりたればなり 004 NUM 016 038 而してその罪を犯して生命を喪へる者等の火盤は之を濶き展版となして祭壇を包むに用ひよ彼等ヱホバの前にそなへしに因て是は聖なりたればなり斯是はイスラエルの子孫に徴と爲べし 004 NUM 016 039 是において祭司エンアザル彼の燒死されし者等が用ひてそなへたる銅の火盤を取いだしければ之を濶く打展し之をもて祭壇を包み 004 NUM 016 040 之をイスラエルの子孫の記念の物と爲り是はアロンの子孫たらざる外人が近りてヱホバの前に香を焚こと無らんため亦かかる人ありてコラとその黨類のごとくにならざらん爲なり是みなヱホバがモーセをもて彼にのたまひし所に依るなり 004 NUM 016 041 その翌日イスラエルの子孫の會衆みなモーセとアロンにむかひて呟き汝等はヱホバの民を殺せりと言り 004 NUM 016 042 會衆集りてモーセとアロンに敵する時集會の幕屋を望み觀に雲ありてこれを覆ひヱホバの榮光顯れをる 004 NUM 016 043 時にモーセとアロン集會の幕屋の前にいたりけるに 004 NUM 016 044 ヱホバ、モーせに言たまひけるは 004 NUM 016 045 汝らこの會衆をはなれて去れ我直にこれをほろぼさんとすと是において彼等二人は俯伏ぬ 004 NUM 016 046 斯てモーセ、アロンに言けるは汝火盤を執り壇の火を之にいれ香をその上に盛て速かにこれを會衆の中に持ゆき之がために贖罪を爲せ其はヱホバ震怒を發したまひて疫病すでに始りたればなりと 004 NUM 016 047 アロンすなはちモーセの命ぜしごとくに之を執て會衆の中に奔ゆきけるに疫病すでに民の中に始まり居たれば香を焚て民のために贖罪を爲し 004 NUM 016 048 旣に死る者と尚生る者との間に立ければ疫病止まれり 004 NUM 016 049 コラの事によりて死たる者の外この疫病に死たる者は一萬四千七百人なりき 004 NUM 016 050 而してアロンはモーセの許にかへり集會の幕屋の門にいたれり疫病は斯やみぬ 004 NUM 017 001 ヱホバ、モーセに告て言給はく 004 NUM 017 002 汝イスラエルの子孫に語り之が中よりその各箇の父祖の家にしたがひて杖一本づつを取れ即ちその一切の牧伯等よりその父祖の家に循ひて杖都合十二本を取りその人等の名を各々その杖に書せ 004 NUM 017 003 レビの杖には汝アロンの名を書せ其はその父祖の家の長たる者各箇杖一本を出すべければなり 004 NUM 017 004 而して集會の幕屋の中我が汝等に會ふ處なる律法の櫃の前に汝之を置べし 004 NUM 017 005 我が選める人の杖は芽さん我かくイスラエルの子孫が汝等にむかひて呟くところの怨言をわが前に止むべし 004 NUM 017 006 モーセかくイスラエルの子孫に語りければその牧伯等おのおの杖一本づつを之に付せり即ち牧伯等おのおのその父祖の家にしたがひて一本づつを出したればその杖あはせて十二本アロンの杖もその杖の中にあり 004 NUM 017 007 モーセその杖を皆律法の幕屋の中にてヱホバの前に置り 004 NUM 017 008 斯てその翌日モーセ律法の幕屋にいりて視るにレビの家のために出せるアロンの杖芽をふき蕾をなし花咲て巴旦杏の果を結べり 004 NUM 017 009 モーセその杖をことごとくヱホバの前よりイスラエルの子孫の所に取いだしければ彼ら見ておのおの自分の杖を取り 004 NUM 017 010 時にヱホバまたモーセに言たまはく汝アロンの杖を律法の櫃の前に携へかヘり其處にたくはへ置てこの背反者等のために徴とならしめよ斯して汝かれらの怨言を全く取のぞきかれらをして死ざらしむべし 004 NUM 017 011 モーセすなはち然なしヱホバの己に命じたまへる如くせり 004 NUM 017 012 イスラエルの子孫モーセに語りて曰ふ嗚呼我等は死ん我等は滅びん我等はみな滅びん 004 NUM 017 013 凡そヱホバの幕屋に微にても近く者はみな死るなり我等はみな死斷べき歟 004 NUM 018 001 斯てヱホバ、アロンに告て言たまはく汝と汝の子等および汝の父祖の家の者は聖所に關れる罪をその身に擔當べしまた汝と汝の子等は汝らがその祭司の職について獲ところの罪をその身に擔當べし 004 NUM 018 002 汝また汝の兄弟たるレビの支派の者すなはち汝の父祖の支派の者等をも率て汝に合せしめ汝に事しむべし但し汝と汝の子等は律法の幕屋の前に侍るべきなり 004 NUM 018 003 彼らは汝の職守と聖所の職守とを守るべし只聖所の器具と壇とに近くべからず恐くは彼等も汝等も死るならん 004 NUM 018 004 彼等は汝に合して集合の幕屋の職守を守り幕屋の諸の役事をなすべきなり外人は汝らに近づく可らず 004 NUM 018 005 斯なんぢらは聖所の職守と祭壇の職守を守るべし然せばヱホバの震怒かさねてイスラエルの子孫に及ぶこと有じ 004 NUM 018 006 視よ我なんぢらの兄弟たるレビ人をイスラエルの子孫の中より取りヱホバのために之を賜物として汝らに賜ふて集會の幕屋の役事を爲しむ 004 NUM 018 007 汝と汝の子等は祭司の職を守りて祭壇の上と障蔽の幕の内の一切の事を執おこなひ斯ともに勤むべし我祭司の職の勤務と賜物として汝らに賜ふ外人の近く者は殺されん 004 NUM 018 008 ヱホバ又アロンに言たまはく我イスラエルの子孫の諸の聖禮物の中我に擧祭とするところの者をもて汝に賜ひて得さす即ち我これを汝と汝の子等にあたへてその分となさしめ是を永く例となす 004 NUM 018 009 斯のごとく至聖禮物の中火にて燒ざる者は汝に歸すべし即ちその我に献る諸の禮物素祭罪祭愆祭等みな至聖くして汝と汝らの子等に歸すべし 004 NUM 018 010 至聖所にて汝これを食ふべし男子等はみなこれを食ふことを得是は汝に歸すべき聖物たるなり 004 NUM 018 011 汝に歸すべき物は是なり即ちイスラエルの子孫の献る擧祭と搖祭の物我これを汝と汝の男子と女子に與へ是を永く例となす汝の家の者の中潔き者はみな之を食ふことを得るなり 004 NUM 018 012 油の嘉者酒の嘉者穀物の嘉者など凡てヱホバに献るその初の物を我なんぢに與ふ 004 NUM 018 013 最初に成る國の產物の中ヱホバに携へたる者は皆なんぢに歸すべし汝の家の者の中潔き者はみな之を食ふことを得るなり 004 NUM 018 014 イスラエルの人の献納る物は皆汝に歸すべし 004 NUM 018 015 凡そ血肉ある者の首出子にしてヱホバに献らるる者は人にもあれ畜にもあれ皆なんぢに歸すべし但し人の首出子は必ず贖ふべくまた汚れたる畜獣の首出子も贖ふべきなり 004 NUM 018 016 之を贖ふにはその人の生れて一箇月に至れる後に汝その估價に依り聖所のシケルに循ひて銀五シケルに之を贖ふべし一シケルはすなはち二十ゲラなり 004 NUM 018 017 然ど牛の首出子羊の首出子山羊の首出子は贖ふべからず是等は聖しその血を壇の上に灑ぎまたその脂を焚て火祭となしてヱホバに馨しき香をたてまつるべし 004 NUM 018 018 その肉は汝に歸すべし搖る胸と右の腿とおなじく是は汝に歸するなり 004 NUM 018 019 イスラエルの子孫がヱホバに献て擧祭とする所の聖物はみな我これを汝と汝の男子女子に與へこれを永く例となす是はヱホバの前において汝と汝の子孫に對する鹽の契約にして變らざる者なり 004 NUM 018 020 ヱホバまたアロンに告たまはく汝はイスラエルの子孫の地の中に產業を有べからずまた彼等の中に何の分をも有べからず彼らの中において我は汝の分汝の產業たるなり 004 NUM 018 021 またレビの子孫たる者には我イスラエルの中において物の十分の一を與へて之が產業となし其なすところの役事すなはち集會の幕屋の役事に報ゆ 004 NUM 018 022 イスラエルの子孫はかさねて集會の幕屋に近づくべからず恐くは罪を負て死ん 004 NUM 018 023 第レビ人集會の幕屋の役事をなすべしまた彼らはその罪な自己の身に負べし彼等はイスラエルの子孫の中に產業の地を有ざる事をもてその例となして汝らの世代の子孫の中に永く之を守るべきなり 004 NUM 018 024 イスラエルの子孫が十に一を取り擧祭としてヱホバに献るところの物を我レビ人に與へてその產業となさしむるが故に我かれらにつきて言り彼等はイスラエルの子孫の中に產業の地を得べからずと 004 NUM 018 025 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 018 026 汝かくレビ人に告て之に言べし我がイスラエルの子孫より取て汝等に與へて產業となさしむるその什一の物を汝ら之より受る時はその什一の物の十分の一を献てヱホバの擧祭となすべし 004 NUM 018 027 汝等の擧祭の物品は禾場よりたてまつる穀物の如く酒醡の内よりたてまつる酒のごとくに見做れん 004 NUM 018 028 此のごとく汝等もまたイスラエルの子孫より受る一切の什一の物の中よりヱホバに擧祭を献げそのヱホバの擧祭を祭司アロンに與ふべし 004 NUM 018 029 汝らの受る一切の禮物の中より汝らはその嘉ところ即ちその聖き分を取てヱホバの擧祭を献べし 004 NUM 018 030 汝かく彼等に言べし汝らその中より嘉ところを取て献るに於てはその殘餘の物は汝等レビ人におけること禾場より取る物のごとく酒醡より取る物のごとくならん 004 NUM 018 031 汝等と汝らの眷屬何處にても之を食ふことを得べし是は汝らが集會の幕屋に於て爲す役事の報酬たればなり 004 NUM 018 032 汝らその嘉ところを献るに於ては之がために罪を負こと有じ汝らはイスラエルの子孫の聖別て献る物を汚すべからず恐くは汝ら死ん 004 NUM 019 001 ヱホバ、モーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 019 002 ヱホバが命ずるところの律の例は是のごとし云くイスラエルの子孫に告て赤牝牛の全くして疵なく未だ軛を負しこと有ざる者を汝の許に牽きたらしめ 004 NUM 019 003 汝ら之を祭司エレアザルに交すべし彼はまたこれを營の外に牽いだして自己の眼の前にこれを宰らしむべし 004 NUM 019 004 而して祭司エレアザルこれが血を其指につけ集會の幕屋の表にむかひてその血を七次灑ぎ 004 NUM 019 005 やがてその牝牛を自己の眼の前に燒しむべしその皮その肉その血およびその糞をみな燒べし 004 NUM 019 006 その時祭司香柏と牛膝草と紅の絲をとりて之をその燒る牝牛の中に投いるべし 004 NUM 019 007 かくて祭司はその衣服を浣ひ水にてその身を滌ぎて然る後營に入べし祭司の身は晩まで汚るるなり 004 NUM 019 008 また之を燒たる者も水にその衣服を浣ひ水にその身を滌ぐべし彼も晩まで汚るるなり 004 NUM 019 009 斯て身の潔き人一人その牝牛の灰をかき斂めてこれを營の外の清淨處に蓄へ置べし是イスラエルの子孫の會衆のために備へおきて汚穢を潔る水を作るべき者にして罪を潔むる物に當るなり 004 NUM 019 010 その牝牛の灰をかき斂めたる者はその衣服を浣ふべしその身は晩まで汚るるなりイスラエルの子孫とその中に寄寓る他國の人とは永くこれを例とすべきなり 004 NUM 019 011 人の死屍に捫る者は七日の間汚る 004 NUM 019 012 第三日と第七日にこの灰水を以て身を潔むべし然せば潔くならん然ど若し第三日と第七日に身を潔むることを爲ざれば潔くならじ 004 NUM 019 013 凡そ死人の屍に捫りて身を潔むることを爲ざる者はヱホバの幕屋を汚すなればイスラエルより斷るべし汚穢を潔むる水をその身に灑ざるによりて潔くならずその汚穢なほ身にあるなり 004 NUM 019 014 天幕に人の死ることある時に應用ふる律は是なり即ち凡てその天幕に入る者凡てその天幕にある物は七日の間汚るべし 004 NUM 019 015 凡そ蓋を取はなして蓋はざりし所の器皿はみな汚る 004 NUM 019 016 凡そ刀劍にて殺されたる者または死屍または人の骨または墓等に野の表にて捫る者はみな七日の間汚るべし 004 NUM 019 017 汚れたる者ある時はかの罪を潔むる者たる燒る牝牛の灰をとりて器に入れ活水を之に加ふべし 004 NUM 019 018 而して身の潔き人一人牛膝草を執てその水にひたし之をその天幕と諸の器皿および其處に居あはせたる人々に灑ぐべくまたは骨あるひは殺されし者あるひは死たる者あるひは墓などに捫れる者に灑ぐべし 004 NUM 019 019 即ち身の潔き人第三日と第七日にその汚れたる者に之を灑ぐべし而して第七日にはその人みづから身を潔むることを爲しその衣服をあらひ水に身を滌ぐべし然せば晩におよびて潔くなるべし 004 NUM 019 020 然ど汚れて身を潔ることを爲ざる人はヱホバの聖所を汚すが故にその身は會衆の中より絶るべし汚穢を潔むる水を身に灑がざるによりてその人は潔くならざるなり 004 NUM 019 021 彼等また永くこれを例とすべし即ち汚穢を潔むる水を人に灑げる者はその衣服を浣ふべしまた汚穢を潔むる水に捫れる者も晩まで汚るべし 004 NUM 019 022 凡て汚れたる人の捫れる者は汚るべしまた之に捫る人も晩まで汚るべし 004 NUM 020 001 斯てイスラエルの子孫の全會衆正月におよびてチンの曠野にいたれり而して民みなカデシに止りけるがミリアム其處にて死たれば之を其處に葬りぬ 004 NUM 020 002 當時會衆水を得ざるによりて相集りてモーセとアロンに迫れり 004 NUM 020 003 すなはち民モーセと爭ひ言けるは嚮に我らの兄弟等がヱホバの前に死たる時に我等も死たらば善りしものを 004 NUM 020 004 汝等何とてヱホバの會衆をこの曠野に導き上りて我等とわれらの家畜を此に死しめんとするや 004 NUM 020 005 汝らなんぞ我らをエジプトより上らしめてこの惡き處に導きいりしや此には種を播べき處なく無花果もなく葡萄もなく石榴も無くまた飮べき水も無し 004 NUM 020 006 是においてモーセとアロンは會衆の前を去り集會の幕屋の門にいたりて俯伏けるにヱホバの榮光かれらに顯れ 004 NUM 020 007 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 020 008 汝杖を執り汝の兄弟アロンとともに會衆を集めその眼の前にて汝ら磐に命ぜよ磐その中より水を出さん汝かく磐より水を出して會衆とその獣畜に飮しむべしと 004 NUM 020 009 モーセすなはちその命ぜられしごとくヱホバの前より杖を取り 004 NUM 020 010 アロンとともに會衆を磐の前に集めて之に言けるは汝ら背反者等よ聽け我等水をしてこの磐より汝らのために出しめん歟と 004 NUM 020 011 モーセその手を擧げ杖をもて磐を二度撃けるに水多く湧出たれば會衆とその獣畜ともに飮り 004 NUM 020 012 時にヱホバ、モーセとアロンに言たまひけるは汝等は我を信ぜずしてイスラエルの子孫の目の前に我の聖を顯さざりしによりてこの會衆をわが之に與へし地に導きいることを得じと 004 NUM 020 013 是をメリバ(爭論)の水とよべりイスラエルの子孫是がためにヱホバにむかひて爭ひたりしかばヱホバつひにその聖ことを顯したまへり 004 NUM 020 014 茲にモーセ、カデシより使者をエドムの王に遣して言けるは汝の兄弟イスラエルかく言ふ汝はわれらが遭し諸の艱難を知る 004 NUM 020 015 そもそも我らの先祖等エジプトに下りゆきて我ら年ひさしくエジプトに住をりしがエジプト人われらと我らの先祖等をなやましたれば 004 NUM 020 016 我らヱホバに龥はりけるにヱホバわれらの聲を聽たまひ一箇の天の使を遣して我らをエジプトより導きいだしたまへり視よ我ら今は汝の邊境の邊端にあるカデシの邑に居るなり 004 NUM 020 017 願くは我らをして汝の國を通過しめよ我等は田畝をも葡萄園をも通過じまた井の水をも飮じ我らは第王の路を通過り汝の境をいづるまでは右にも左にもまがらじ 004 NUM 020 018 エドム、モーセに言けるは汝我の中を通過べからず恐くは我いでて劍をもて汝にむかはん 004 NUM 020 019 イスラエルの子孫エドムに言ふ我らは大道を通過ん若われらと我らの獣畜なんぢの水を飮ことあらばその値を償ふべし我は徒行にて通過のみなれば何事にもあらざるなりと 004 NUM 020 020 然るにエドムは汝通過べからずといひて許多の群衆を率ゐて出で大なる力をもて之にむかへり 004 NUM 020 021 エドムかくイスラエルにその境の中を通過ことを容さざりければイスラエルは他にむかひて去り 004 NUM 020 022 かくてイスラエルの子孫の會衆みなカデシより進みてホル山にいたれり 004 NUM 020 023 ヱホバ、エドムの國の境なるホル山にてモーセとアロンに告て言たまはく 004 NUM 020 024 アロンはその死たる民に列らんイスラエルの子孫に我が與へし地に彼は入ことを得ざるべし是メリバの水のある處にて汝等わが言に背きたればなり 004 NUM 020 025 汝アロンとその子エレアザルをひきつれてホル山に登り 004 NUM 020 026 アロンにその衣服を脱せてこれをその子エレアザルに衣せよアロンは其處に死てその民に列るべしと 004 NUM 020 027 モーセすなはちヱホバの命じたまへるごとく爲し相つれだちて全會衆の目の前にてホル山に登り 004 NUM 020 028 而してモーセはアロンにその衣服をぬがせて之をその子エレアデルに衣せたりアロンは其處にて山の嶺に死り斯てモーセとエレアザル山よりくだりけるが 004 NUM 020 029 會衆みなアロンの死たるを見て三十日のあひだ哀哭をなせりイスラエルの家みな然せり 004 NUM 021 001 茲に南の方に住るカナン人アラデ王といふ者イスラエルが間者の道よりして來るといふを聞きイスラエルを攻うちてその中の數人を擄にせり 004 NUM 021 002 是においてイスラエル誓願をヱホバに立て言ふ汝もしこの民をわが手に付したまはば我その城邑を盡く滅さんと 004 NUM 021 003 ヱホバすなはちイスラエルの言を聽いれてカナン人を付したまひければ之とその城邑をことごとく滅せり是をもてその處の名をホルマ(殲滅)と呼なしたり 004 NUM 021 004 民はホル山より進みゆき紅海の途よりしてエドムを繞り通らんとせしがその途のために民心を苦めたり 004 NUM 021 005 すなはち民神とモーセにむかいて呟きけるは汝等なんぞ我らをエジプトより導きのぼりて曠野に死しめんとするや此には食物も無くまた水も無し我等はこの粗き食物を心に厭ふなりと 004 NUM 021 006 是をもてヱバホ火の蛇を民の中に遣して民を咬しめたまひければイスラエルの民の中死る者多かりき 004 NUM 021 007 是によりて民モーセにいたりて言けるは我らヱホバと汝にむかひて呟きて罪を獲たり請ふ汝ヱホバに祈りて蛇を我等より取はなさしめよとモーセすなはち民のために祈ければ 004 NUM 021 008 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝蛇を作りてこれを杆の上に載おくべし凡て咬れたる者は之を仰ぎ觀なば生べし 004 NUM 021 009 モーセすなはち銅をもて一條の蛇をつくり之を杆の上に載おけり凡て蛇に咬れたる者その銅の蛇を仰ぎ觀ば生たり 004 NUM 021 010 イスラエルの子孫途に進みてオボテに營を張り 004 NUM 021 011 またオボテより進み往きモアブの東の方に亘るところの曠野においてイヱアバリムに營を張り 004 NUM 021 012 また其處より進みゆきてゼレデの谷に營を張り 004 NUM 021 013 其處より進みゆきてアルノンの彼旁に營を張りアルノンはアモリの境より出て曠野に流るる者にてモアブとアモリの間にありてモアブの界をなすなり 004 NUM 021 014 故にヱホバの戰爭の記に言るあり云くスパのワヘブ、アルノンの河 004 NUM 021 015 河の流即ちアルの邑に落下りモアブの界に倚る者と 004 NUM 021 016 かれら其處よりベエル(井)にいたれりヱホバがモーセにむかひて汝民を集めよ我これに水を與へんと言たまひしはこの井なりき 004 NUM 021 017 時にイスラエルこの歌を歌へり云く井の水よ湧あがれ汝等これがために歌へよ 004 NUM 021 018 此井は笏と杖とをもて牧伯等これを掘り民の君長等之を掘りと斯て曠野よりマツタナにいたり 004 NUM 021 019 マツタナよりナハリエルにいたりナハリエルよりバモテにいたり 004 NUM 021 020 バモテよりモアブの野にある谷に往き曠野に對するピスガの嶺にいたれり 004 NUM 021 021 かくてイスラエル使者をアモリ人の王シホンに遣して言しめけるは 004 NUM 021 022 我をして汝の國を通過しめよ我等は田畝にも葡萄園にも入じまた井の水をも飮じ我らは汝の境を出るまでは唯王の道を通りて行んのみと 004 NUM 021 023 然るにシホンはイスラエルに自己の境の中を通る事を容さざりき而してシホンその民をことごとく集め曠野にいでてイスラエルを攻んとしヤハヅに來りてイスラエルと戰ひけるが 004 NUM 021 024 イスラエル刄をもて之を撃やぶりその地をアルノンよりヤボクまで奪ひ取りアンモンの子孫にまで至れりアンモンの子孫の境界は堅固なりき 004 NUM 021 025 イスラエルかくその城邑を盡く取り而してイスラエルはアモリ人の諸の城邑に住みヘシボンとそれに附る諸の村々に居る 004 NUM 021 026 ヘシボンはアモリ人の王シホンの都城なりシホンは曾てモアブの前の王と戰ひてかれの地をアルノンまで盡くその手より奪ひ取しなり 004 NUM 021 027 故に歌をもて云るあり曰く汝らヘシボンに來れシホンの城邑を築き建よ 004 NUM 021 028 ヘシボンより火出でシホンの都城より熖いでてモアブのアルを焚つくしアルノンの邊の高處を占る君王等を滅ぼせり 004 NUM 021 029 モアブよ汝は禍なる哉ケモシの民よ汝は滅ぼさるその男子は逃奔りその女子はアモリ人の王シホンに擄らるるなり 004 NUM 021 030 我等は彼らを撃たふしヘシボンを滅ぼしてデボンに及び之を荒してまたノパに及びメデバにいたる 004 NUM 021 031 斯イスラエルの子孫はアモリ人の地に住たりしが 004 NUM 021 032 モーセまた人を遣はしてヤゼルを窺はしめ遂にその村々を取て其處にをりしアモリ人を逐出し 004 NUM 021 033 轉てバシヤンの路に上り往きけるにバシヤンの王オグその民を盡く率ゐて出で之を迎へてエデレイに戰はんとす 004 NUM 021 034 ヱホバ、モーセに言たまひけるは彼を懼るる勿れ我かれとその民とその地を盡く汝の手に付す汝ヘシボンに住をりしアモリ人の王シホンに爲たるごとくに彼にも爲べしと 004 NUM 021 035 是において彼とその子とその民をことごとく撃ころし一人も生存る者なきに至らしめて之が地を奪ひたり 004 NUM 022 001 かくてイスラエルの子孫また途に進みてモアブの平野に營を張り此はヨルダンの此旁にしてヱリコに對ふ 004 NUM 022 002 チッポルの子バラクはイスラエルが凡てアモリ人に爲たる所を見たり 004 NUM 022 003 是においてモアブ人大いにイスラエルの民を懼る是その數多きに因てなりモアブ人かくイスラエルの子孫のために心をなやましたれば 004 NUM 022 004 すなはちミデアンの長老等に言ふこの群衆は牛が野の草を餂食ふごとくに我等の四圍の物をことごとく餂食はんとすとこの時にはチッポルの子バラク、モアブ人の王たり 004 NUM 022 005 彼すなはち使者をペトルに遣してベオルの子バラムを招かしめんとすペトルはバラムの本國にありて河の邊に立りその之を招かしむる言に云く茲にエジプトより出來し民あり地の面を蓋ふて我の前にをる 004 NUM 022 006 然ば請ふ汝今來りて我ためにこの民を詛へ彼等は我よりも強ければなり然せば我これを撃やぶりて我國よりこれを逐はらふを得ることもあらん其は汝が祝する者は福徳を得汝が詛ふ者は禍を受くと我しればなりと 004 NUM 022 007 モアブの長老等とミデアンの長老等すなはち占卜の禮物を手にとりて出たちバラムにいたりてバラクの言をこれに告たれば 004 NUM 022 008 バラムかれらに言ふ今晩は此に宿れヱホバの我に告るところに循ひて汝らに返答をなすべしと是をもてモアブの牧伯等バラムの許に居る 004 NUM 022 009 時に神バラムに臨みて言たまはく汝の許にをる此人々は何者なるや 004 NUM 022 010 バラム神に言けるはモアブの王チッポルの子バラク我に言つかはしけらく 004 NUM 022 011 茲にエジプトより出きたりし民ありて地の面を蓋ふ請ふ今來りてわがために之を詛へ然せば我これに戰ひ勝てこれを逐はらふを得ることもあらんと 004 NUM 022 012 神バラムに言たまひけるは汝かれらとともに往べからず亦この民を詛ふべからず是は祝福るる者たるなり 004 NUM 022 013 是においてバラム朝起てバラクの牧伯等に言けるは汝ら國に歸れよヱホバ我が汝らとともに往く事をゆるさざるなりと 004 NUM 022 014 モアブの牧伯たちすなはち起あがりてバラクの許にいたりバラムは我らとともに來ることを肯ぜずと告たれば 004 NUM 022 015 バラクまた前の者よりも尊き牧伯等を前よりも多く遣せり 004 NUM 022 016 彼らバラムに詣りて之に言けるはチッボルの子バラクかく言ふ願くは汝何の障碍をも顧みずして我に來れ 004 NUM 022 017 我汝をして甚だ大なる尊榮を得させん汝が我に言ところは凡て我これを爲べし然ば願くは來りて我ためにこの民を詛へ 004 NUM 022 018 バラム答へてバラクの臣僕等に言けるは假令バラクその家に盈るほどの金銀を我に與ふるとも我は事の大小を諭ずわが神ヱホバの言を踰ては何をも爲ことを得ず 004 NUM 022 019 然ば請ふ汝らも今晩此に宿り我をしてヱホバの再び我に何と言たまふかを知しめよと 004 NUM 022 020 夜にいりて神バラムにのぞみて之に言たまひけるはこの人々汝を招きに來りたれば起あがりて之とともに往け但し汝は我が汝につぐる言のみを行ふべし 004 NUM 022 021 バラム翌朝起あがりてその驢馬に鞍おきてモアブの牧伯等とともに往り 004 NUM 022 022 然るにヱホバかれの往たるに縁て怒を發したまひければヱホバの使者かれに敵せんとて途に立り彼は驢馬に乗その僕二人はこれとともに在しが 004 NUM 022 023 驢馬ヱホバの使者が劍を手に抜持て途に立るを見驢馬途より身を轉して田圃に入ければバラム驢馬を打て途にかへさんとせしに 004 NUM 022 024 ヱホバの使者また葡萄園の途に立り其處には此旁にも石垣あり彼旁にも石垣あり 004 NUM 022 025 驢馬ヱホバの使者を見石垣に貼依てバラムの足を石垣に貼依たればバラムまた之を打り 004 NUM 022 026 然るにヱホバの使者また進みよりて狭き處に立けるが其處には右にも左にもまがる道あらざりしかば 004 NUM 022 027 驢馬ヱホバの使者を見てバラムの下に臥たり是においてバラム怒を發し杖をもて驢馬を打けるに 004 NUM 022 028 ヱホバ驢馬の口を啓きたまひたれば驢馬バラムにむかひて言ふ我なんぢに何を爲せばぞ汝かく三次我を打や 004 NUM 022 029 バラム驢馬に言ふ汝われを侮るが故なり我手に劍あらば今汝を殺さんものを 004 NUM 022 030 驢馬またバラムに言けるは我は汝の所有となりてより今日にいたるまで汝が常に乗ところの驢馬ならずや我つねに斯のごとく汝になしたるやとバラムこたへて否と言ふ 004 NUM 022 031 時にヱホバ、バラムの目を啓きたまひければ彼ヱホバの使者の途に立て劍を手に抜持るを見身を鞠めて俯伏たるに 004 NUM 022 032 ヱホバの使者これに言ふ汝なにとて斯三度なんぢの驢馬を打や我汝の道の直に滅亡にいたる者なるを見て汝に敵せんとて出きたれり 004 NUM 022 033 驢馬はわれを見て斯みたび身を轉して我を避たるなり是もし身を轉らして我を避ずば我すでに汝を殺して是を生しおきしならん 004 NUM 022 034 バラム、ヱホバの使者に言けるは我罪を獲たり我は汝が我に敵せんとて途に立るを知ざりしなり汝もし之を惡しとせば我は歸るべし 004 NUM 022 035 ヱホバの使者バラムに言けるはこの人々とともに往け但し汝は我が汝に告る言詞のみを宣べしとバラムすなはちバラクの牧伯等とともに往り 004 NUM 022 036 さてまたバラクはバラムの來るを聞てモアブの境の極處に流るるアルノンの旁の邑まで出ゆきて之を迎ふ 004 NUM 022 037 バラクすなはちバラムに言けるは我ことさらに人を遣はして汝を招きしにあらずや汝なにゆゑ我許に來らざりしや我あに汝に尊榮を得さすることを得ざらんや 004 NUM 022 038 バラム、バラクに言けるは視よ我つひに汝の許に來れり然ど今は我何事をも自ら言を得んや我はただ神の我口に授る言語を宣んのみと 004 NUM 022 039 斯てバラムはバラクとともに往てキリアテホゾテに至りしが 004 NUM 022 040 バラク牛と羊を宰りてバラムおよび之と偕なる牧伯等に餽れり 004 NUM 022 041 而してその翌朝にいたりバラクはバラムを件ひこれを携へてバアルの崇邱に登イスラエルの民の極端を望ましむ 004 NUM 023 001 バラム、バラクに言けるは我ために此に七個の壇を築き此に七匹の牡牛と七匹の牡羊を備へよと 004 NUM 023 002 バラクすなはちバラムの言るごとく爲しバラクとバラムその壇ごとに牡牛一匹と牡羊一匹を献げたり 004 NUM 023 003 而してバラムはバラクにむかひ汝は燔祭の傍に立をれ我は往んとすヱホバあるひは我に來りのぞみたまはんその我に示したまふところの事は凡てこれを汝に告んと言て一の高處に登たるに 004 NUM 023 004 神バラムに臨みたまひければバラムこれに言けるは我は七箇の壇を設けその壇ごとに牡牛一匹と牡羊一匹を献げたりと 004 NUM 023 005 ヱホバ、バラムの口に言を授けて言たまはく汝バラクの許に歸りて斯いふべしと 004 NUM 023 006 彼すなはちバラクの許に至るにバラクはモアブの諸の牧伯等とともに燔祭の傍に立をる 004 NUM 023 007 バラムすなはちこの歌をのべて云くモアブの王バラク、スリアより我を招き寄せ東の邦の山より我を招き寄て云ふ來りて我ためにヤコブを詛へ來りてわがためにイスラエルを呪れと 004 NUM 023 008 神の詛はざる者を我いかで詛ふことを得んやヱホバの呪らざる者を我いかで呪ることを得んや 004 NUM 023 009 磐の頂より我これを觀岡の上より我これを望むこの民は獨り離れて居ん萬の民の中に列ぶことなからん 004 NUM 023 010 誰かヤコブの塵を計へ得んやイスラエルの四分一を數ふることを能せんや願くは義人のごとくに我死ん願くはわが終これが終にひとしかれ 004 NUM 023 011 是においてバラク、バラムに言けるは汝我に何を爲や我はわが敵を詛はしめんとて汝を携きたりしなるに汝はかへつて全くこれを祝せり 004 NUM 023 012 バラムこたへて言けるは我は愼みてヱホバの我口に授る事のみを宣べきにあらずや 004 NUM 023 013 バラクこれに言けるは請ふ汝われとともに他の處に來りて其處より彼らを觀よ汝ただ彼らの極端のみを觀ん彼らを全くは觀ことを得ざるべし請ふ其處にて我ために彼らを詛へと 004 NUM 023 014 やがて之を導きてピスガの嶺なる斥候の原に至り七箇の壇を築きて壇ごとに牡牛一匹と牡羊一匹を献たり 004 NUM 023 015 時にバラム、バラクに言けるは汝此にて燔祭の傍に立をれ我またも往て會見ゆることをせんと 004 NUM 023 016 ヱホバまたバラムに臨みて言をその口に授け汝バラクの許に歸りてかく言へとのたまひければ 004 NUM 023 017 彼バラクの許にかへりけるにバラクは燔祭の傍に立をりモアブの牧伯等これとともに居りしがバラクすなはちバラムにむかひヱホバ何と言しやと問ければ 004 NUM 023 018 バラムまたこの歌を宣たり云くバラクよ起て聽けチッポルの子よ我に耳を傾けよ 004 NUM 023 019 神は人のごとく謊ること无しまた人の子のごとく悔ること有ずその言ところは之を行はざらんやその語るところは之を成就ざらんや 004 NUM 023 020 我はこれがために福祉をいのれとの命令を受く旣に之に福祉をたまへば我これを變るあたはざるなり 004 NUM 023 021 ヱホバ、ヤコブの中に惡き事あるを見ずイスラエルの中に憂患あるを見ずその神ヱホバこれとともに在し王を喜びて呼はる聲その中にあり 004 NUM 023 022 神かれらをエジプトより導き出したまふイスラエルは強きこと兕のごとし 004 NUM 023 023 ヤコブには魔術なしイスラエルには占卜あらず神はその爲ところをその時にヤコブに告げイスラエルにしめしたまふなり 004 NUM 023 024 觀よこの民は牝獅子のごとくに起あがり牡獅子のごとくに身を興さん是はその攫得たる物を食ひその殺しし物の血を飮では臥ことを爲じ 004 NUM 023 025 是においてバラクはバラムに向ひ汝かれらを詛ふことをも祝することをも爲なかれと言けるに 004 NUM 023 026 バラムこたへてバラクに言ふ我はヱホバの宣まふ事は凡てこれを爲ざるを得ずと汝に告おきしにあらずやと 004 NUM 023 027 バラクまたバラムに言けるは請ふ來れ我なんぢを他の處に導き往ん神あるひは汝が其處より彼らを我ために詛ふことを善とせんと 004 NUM 023 028 バラクすなはちバラムを導きて曠野に對するペオルの嶺に至るに 004 NUM 023 029 バラム、バラクに言けるは我ために七箇の壇を此に築き牡牛七匹牡羊七匹を此に備へよと 004 NUM 023 030 バラクすなはちバラムの言るごとく爲しその壇ごとに牡牛一匹と牡羊一匹を献たり 004 NUM 024 001 バラムはイスラエルを祝することのヱホバの心に適ふを視たれば此度は前の時のごとくに往て法術を求むる事を爲ずその面を曠野に向て居り 004 NUM 024 002 バラム目を擧てイスラエルのその支派にしたがひて居るを觀たり時に神の霊かれに臨みければ 004 NUM 024 003 彼すなはちこの歌をのべて云くベオルの子バラム言ふ目の啓きたる人言ふ 004 NUM 024 004 神の言詞を聞し者能はざる無き者をまぼろしに觀し者倒れ臥て其目の啓けたる者言ふ 004 NUM 024 005 ヤコブよ汝の天幕は美しき哉イスラエルよ汝の住所は美しき哉 004 NUM 024 006 是は谷々のごとくに布列ね河邊の園のごとくヱホバの栽し沈香樹のごとく水の邊の香柏のごとし 004 NUM 024 007 その桶よりは水溢れんその種は水の邊に發育んその王はアガグよりも高くなりその國は振ひ興らん 004 NUM 024 008 神これをエジプトより導き出せり是は強きこと兕のごとくその敵なる國々の民を呑つくしその骨を摧き矢をもて之を衝とほさん 004 NUM 024 009 是は牡獅子のごとくに身をかがめ牝獅子のごとくに臥す誰か敢てこれを起さんやなんぢを祝するものは福祉を得なんぢをのろふものは災禍をかうむるべし 004 NUM 024 010 ここにおいてバラクはバラムにむかひて怒を發しその手を拍ならせり而してバラク、バラムにいひけるは我はなんぢをしてわが敵を詛はしめんとてなんぢを招きたるに汝は却て斯三度までも彼らを大に祝したり 004 NUM 024 011 然ば汝今汝の處に奔り往け我は汝に大なる尊榮を得させんと思ひたれどヱホバ汝を阻めて尊榮を得るに至らざらしむ 004 NUM 024 012 バラム、バラクに言けるは我は汝が我に遣しし使者等に告て言ざりしや 004 NUM 024 013 假令バラクその家に盈るほどの金銀を我に與ふるとも我はヱホバの言を踰て自己の心のままに善も惡きも爲ことを得ず我はヱホバの宣まふ事のみを言べしと 004 NUM 024 014 今われは吾民にかへる然ば來れ我この民が後の日に汝の民に爲んところの事を汝に告しらせんと 004 NUM 024 015 すなはちこの歌をのべて云くベオルの子バラム言ふ目の啓きたる人言ふ 004 NUM 024 016 神の言を聞るあり至高者を知の知識あり能はざる無き者をまぼろしに觀倒れ臥て其目の啓けたる者言ふ 004 NUM 024 017 我これを見ん然ど今にあらず我これを望まん然ど近くはあらずヤコブより一箇の星いでんイスラエルより一條の杖おこりモアブを此旁より彼旁に至まで撃破りまた鼓譟者どもを盡く滅すべし 004 NUM 024 018 其敵なるエドムは是が產業となりセイルは之が產業とならんイスラエルは盛になるべし 004 NUM 024 019 權を秉る者ヤコブより出で遺れる者等を城より滅し絶ん 004 NUM 024 020 バラム又アマレクを望みこの歌をのべて云くアマレクは國々の中の最初なる者なり其終には滅び絶るに至らん 004 NUM 024 021 亦ケニ人を望みこの歌をのべて云く汝の住所は堅固なり汝は磐に巣をつくる 004 NUM 024 022 然どカインは亡て終にアッスリアの爲に擄へ移されん 004 NUM 024 023 彼亦この歌をのべて云く嗟神これを爲たまはん時は誰か生ることを得ん 004 NUM 024 024 キッテムの方より船來てアッスリアを攻なやましエベルを攻なやますべし而して是もまた終に亡失ん 004 NUM 024 025 斯てバラムは起あがりて自己の處に歸り往きぬバラクも亦去ゆけり 004 NUM 025 001 イスラエルはシッテムに止まり居けるがその民モアブの婦女等と婬をおこなふことを始めたり 004 NUM 025 002 その婦女等其神々に犠牲を献る時に民を招けば民は往て食ふことを爲しかつその神々を拝めり 004 NUM 025 003 イスラエルかくバアルベオルに附ければイスラエルにむかひてヱホバ怒を發したまへり 004 NUM 025 004 ヱホバすなはちモーセに告て言たまはく民の首をことごとく携きたりヱホバのためにかの者等を日に曝せ然せばヱホバの烈しき怒イスラエルを離るるあらんと 004 NUM 025 005 是においてモーセ、イスラエルの士師等にむかひ汝らおのおのその配下の人々のバアルベオルに附る者を殺せと言り 004 NUM 025 006 モーセとイスラエルの子孫の全會衆集合の幕屋の門にて哭をる時一箇のイスラエル人ミデアンの婦人一箇を携きたり彼らの目の前にてその兄弟等の中に至れり 004 NUM 025 007 祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスこれを見會衆の中より起あがりて槍を手に執り 004 NUM 025 008 そのイスラエルの人の後を追て之が寝室に入りイスラエルの人を衝きまたその婦女の腹を衝とほして二人を殺せり是において疫病のイスラエルの子孫におよぶこと止れり 004 NUM 025 009 その疫病にて死たる者は二萬四千人なりき 004 NUM 025 010 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 025 011 祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスはわが熱心をイスラエルの子孫の中にあらはして吾怒をその中より取去り我として熱心をもてイスラエルの子孫を滅し盡すにいたらざらしめたり 004 NUM 025 012 故に汝言へ我これに平和のわが契約をさづく 004 NUM 025 013 即ち彼とその後の子孫永く祭司の職を得べし是は彼その神のために熱心にしてイスラエルの子孫のために贖をなしたればなり 004 NUM 025 014 その殺されしイスラエル人すなはちミデアンの婦人とともに殺されし者はその名をジムリと言てサルの子にしてシメオン人の宗族の牧伯の一人なり 004 NUM 025 015 またその殺されしミデアンの婦人は名をコズビと曰てツルの女子なりツルはミデアンの民の宗族の首なり 004 NUM 025 016 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 025 017 ミデアン人に逼りてこれを撃て 004 NUM 025 018 其は彼ら謀計をもて汝に逼りペオルの事とその姉妹なるミデアンの牧伯の女すなはちペオルのために疫病の起れる日に殺されしコズビの事において汝らを惑したればなり 004 NUM 026 001 疫病の後ヱホバ、モーセと祭司アロンの子エレアザルに告て言たまはく 004 NUM 026 002 イスラエルの全會衆の總數をその父祖の家にしたがひて核べイスラエルの中凡そ二十歳以上にして戰爭に出るに勝る者を數へよと 004 NUM 026 003 モーセ及び祭司エレアザルすなはちヱリコに對してヨルダンの邊にあるモアブの平野に於てかれらに告て言けるは 004 NUM 026 004 エジプトの地より出きたれるモーセとイスラエルの子孫にヱホバの命じ給へる如く汝ら其中の二十歳以上の者を計へよ 004 NUM 026 005 イスラエルの長子はルベン、ルベンの子孫はヘノクよりヘノク人の族出でパルよりパル人の族出で 004 NUM 026 006 ヘヅロンよりヘヅロン人の族出でカルミよりカルミ人の族出づ 004 NUM 026 007 ルベンの宗族は是のごとくにしてその核數られし者は四萬三千七百三千人 004 NUM 026 008 またパルの子はエリアブ 004 NUM 026 009 エリアブの子はネムエル、ダタン、アビラムこのダタンとアビラムは會衆の中に名ある者にてコラの黨類とともにモーセとアロンに逆ひてヱホバに悸りし事ありしが 004 NUM 026 010 地その口を開きて彼らとコラとを呑みその黨類二百五十人は火に燒れて死うせ人の鑑戒となれり 004 NUM 026 011 但しコラの子等は死ざりき 004 NUM 026 012 シメオンの子孫はその宗族に依ば左のごとしネムエルよりはネムエル人の族出でヤミンよりはヤミン人の族出でヤキンよりはヤキン人の族出で 004 NUM 026 013 ゼラよりはゼラ人の族出でシヤウルよりはシヤウル人の族出づ 004 NUM 026 014 シメオン人の宗族は是の如くにして其數られし者は二萬二千二百人 004 NUM 026 015 ガドの子孫は其宗族に依ば左の如しゼポンよりはゼポン人の族出でハギよりはハギ人の族出でシユニよりはシユニ人の族出で 004 NUM 026 016 オズニよりはオズニ人の族出でエリよりはエリ人の族出で 004 NUM 026 017 アロドよりはアロド人の族出でアレリよりはアレリ人の族出づ 004 NUM 026 018 ガドの宗族は是のごとくにしてその核數られし者は四萬五百人 004 NUM 026 019 ユダの子等はエルとオナン、エルとオナンはカナンの地に死たり 004 NUM 026 020 ユダの子孫はその宗族によれば左のごとしシラよりはシラ人の族出でペレヅよりはペレヅ人の族出でゼラよりはゼラ人の族出づ 004 NUM 026 021 ペレヅの子孫は左のごとしヘヅロンよりはヘヅロン人の族出でハムルよりけハムル人の族出づ 004 NUM 026 022 ユダの宗族は是のごとくにしてその核數られし者は七萬六千五百人 004 NUM 026 023 イツサカルの子孫はその宗族によれば左のごとしトラよりはトラ人の族出でプワよりはプワ人の族出で 004 NUM 026 024 ヤシユブよりはヤシユブ人の族出でシムロンよりはシムロン人の族出づ 004 NUM 026 025 イッサカルの宗族は是のごとくにしてその數へられし者は六萬四千三百人 004 NUM 026 026 ゼブルンの子孫はその宗族によれば左の如しセレデよりはセレデ人の族出でエロンよりはエロン人の族出でヤリエルよりはヤリエル人の族出づ 004 NUM 026 027 ゼブルン人の宗族は是のごとくにしてその核數られし者は六萬五百人 004 NUM 026 028 ヨセフの子等はその宗族に依ばマナセとエフライム 004 NUM 026 029 マナセの子等の中マキルよりマキル人の族出づマキル、ギレアデを生りギレアデよりギレアデ人の族出づ 004 NUM 026 030 ギレアデの子孫は左のごとしイエゼルよりはイエゼル人の族出でヘレクよりはヘレク人の族出で 004 NUM 026 031 アスリエルよりはアスリエル人の族出でシケムよりはシケム人の族出で 004 NUM 026 032 セミダよりはセミダ人の族出でヘペルよりはヘペル人の族出づ 004 NUM 026 033 ヘペルの子ゼロペハデには男子なく惟女子ありしのみその名はマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザと曰ふ 004 NUM 026 034 マナセの宗族は是のごとくにしてその核數られし者は五萬二千七百人 004 NUM 026 035 エフライムの子孫はその宗族によれば左のごとしシユテラよりはシユテラ人の宗族出でベケルよりはベケル人の族出でタハンよりはタハン人の族出づ 004 NUM 026 036 シユテラの子孫は左のごとしエランよりエラン人の族出づ 004 NUM 026 037 エフライムの子孫の宗族は是のごとくにしてその核數られし者は三萬二千五百人ヨセフの子孫はその宗族に依ば是のごとし 004 NUM 026 038 ベニヤミンの子孫はその宗族によれば左のごとしベラよりはベラ人の族出でアシベルよりはアシベル人の族出でアヒラムよりはアヒラム人の族出で 004 NUM 026 039 シユパムよりはシユパム人の族出でホパムよりはホパム人の族出づ 004 NUM 026 040 ベラの子等はアルデとナアマン、アルデよりはアルデ人の族出でナアマンよりはナアマン人の族出づ 004 NUM 026 041 ベニヤミンの子孫はその宗族に依ば是のごとくにしてその核數られし者は四萬五千六百人 004 NUM 026 042 ダンの子孫はその宗族に依ば左のごとしシユハムよりシユハム人の族出づダンの宗族はその宗族によれば是の如し 004 NUM 026 043 シユハム人の諸の族の中核數られし者は六萬四千四百人 004 NUM 026 044 アセルの子孫はその宗族によれば左のごとしヱムナよりはヱムナ人の族出でヱスイよりはヱスイ人の族出でベリアよりはベリア人の族出づ 004 NUM 026 045 ベリアの子孫の中ヘベルよりはヘベル人の族出でマルキエルよりはマルキエル人の族出づ 004 NUM 026 046 アセルの女子の名はサラと曰ふ 004 NUM 026 047 アセルの子孫の宗族は是のごとくにしてその核數られし者五萬三千四百人 004 NUM 026 048 ナフタリの子孫はその宗族によれば左のごとしヤジエルよりヤジエル人の族出でグニよりグニ人の族出で 004 NUM 026 049 ヱゼルよりヱゼル人の族出でシレムよりシレム人の族出づ 004 NUM 026 050 ナフタリの宗族はその宗族によればかくのごとくにしてその核數られしものは四萬五千四百人 004 NUM 026 051 すなはちイスラエルの子孫の核數られし者は六十萬一千七百三十人なりき 004 NUM 026 052 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 026 053 この人々にその名の數にしたがひて地を分ち與へてこれが產業となさしむべし 004 NUM 026 054 人衆には汝多くの產業を與へ人寡には少の產業を與ふべし即ちその核數られし數にしたがひておのおの產業を受べきなり 004 NUM 026 055 但しその地は鬮をもて之を分ちその父祖の支派の名にしたがひて之を獲べし 004 NUM 026 056 即ち鬮をもてその產業を人衆き者と寡き者とに分つべきなり 004 NUM 026 057 レビ人のその宗族にしたがひて數へられし者は左のごとしゲルションよりはゲルション人の族出でコハテよりはコハテ人の族出でメラリよりはメラリ人の族出づ 004 NUM 026 058 レビの族は左のごとしリブニ人の族ヘブロン人の族マヘリ人の族ムシ人の族コラ人の族コハテ、アムラムを生り 004 NUM 026 059 アムラムの妻の名はヨケベデといひてレビの女子なり是はエジプトにてレビに生れし者なりしがアムラムにそひてアロンとモーセおよびその姉妹ミリアムを生り 004 NUM 026 060 アロンにはナダブ、アビウ、エレアザルおよびイタマル生る 004 NUM 026 061 ナダブとアビウは異火をヱホバの前にささげし時死り 004 NUM 026 062 その核數られし一箇月以上の男子は都合二萬三千人レビ人はイスラエルの子孫の中に產業を與へられざるが故にイスラエルの子孫の中に核數られざるなり 004 NUM 026 063 是すなはちモーセと祭司エレアザルがヨルダンの邊なるヱリコに對するモアブの平野にて數へたるイスラエルの子孫の數なり 004 NUM 026 064 但しその中にはモーセとアロンがシナイの曠野においてイスラエルの子孫をかぞへし時に數へたる者は一人もあらざりき 004 NUM 026 065 其はヱホバ曾て彼らの事を宣て是はかならず曠野に死んといひたまひたればなり是をもてヱフンネの子カルブとヌンの子ヨシュアの外は一人も遺れる者あらざりき 004 NUM 027 001 茲にヨセフの子マナセの族の中なるヘペルの子ゼロペハデの女子等きたれりヘペルはギレアデの子ギレアデはマキルの子マキルはマナセの子なりその女子等の名はマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといふ 004 NUM 027 002 彼ら集會の幕屋の門にてモーセと祭司エレアザルと牧伯等と全會衆の前に立ち言けるは 004 NUM 027 003 我等の父は曠野に死り彼はかのコラに與して集りてヱホバに逆ひし者等の中に加はらず自己の罪に死り然るに男子なし 004 NUM 027 004 我らの父の名なんぞその男子あらざるがためにその族の中より削らるることある可んや我らの父の兄弟の中において我らにも產業を與へよと 004 NUM 027 005 モーセすなはちその事をヱホバの前に陳けるに 004 NUM 027 006 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 027 007 ゼロペハデの女子等の言ところは道理なり汝かならず彼らの父の兄弟の中において彼らに產業を與へて獲さすべし即ちその父の產業をこれに歸せしむべし 004 NUM 027 008 汝イスラエルの子孫に告て言べし人もし男子なくして死ばその產業をこれが女子に歸せしむべし 004 NUM 027 009 もしまた女子もあらざる時はその產業をその兄弟に與ふべし 004 NUM 027 010 もし兄弟あらざる時はその產業をその父の兄弟に與ふべし 004 NUM 027 011 もしまたその父に兄弟あらざる時はその親戚の最も近き者にその產業を與へて獲さすべしヱホバのモーセに命ぜしごとくイスラエルの子孫は永く之をもて律法の例とすべし 004 NUM 027 012 茲にヱホバ、モーセに言たまはく汝このアバリム山にのぼり我イスラエルの子孫に與へし地を觀よ 004 NUM 027 013 汝これを觀なばアロンの旣に加はりしごとく汝もその民に加はるべし 004 NUM 027 014 是チンの曠野において會衆の爭論をなせる砌に汝らわが命に悸りかの水の側にて我の聖き事をかれらの目のまへに顯すことを爲ざりしが故なり是すなはちチンの曠野のカデシにあるメリバの水なり 004 NUM 027 015 モーセ、ヱホバに申して言けるは 004 NUM 027 016 ヱホバ一切の血肉ある者の生命の神よ願くはこの會衆の上に一人を立て 004 NUM 027 017 之をして彼等の前に出かれらの前に入り彼らを導き出し彼らを導き入る者とならしめヱホバの會衆をして牧者なき羊のごとくならざらしめたまへ 004 NUM 027 018 ヱホバ、モーセに言たまはくヌンの子ヨシユアといふ霊のやどれる人を取り汝の手をその上に按き 004 NUM 027 019 これを祭司エレアザルと全會衆の前に立せて彼らの前にて之に命ずる事をなすべし 004 NUM 027 020 汝これに自己の尊榮を分ち與ヘイスラエルの子孫の全會衆をしてこれに順がはしむべし 004 NUM 027 021 彼は祭司エレアザルの前に立べしエレアザルはウリムをもて彼のためにヱホバの前に問ことを爲べしヨシユアとイスラエルの子孫すなはちその全會衆はエレアザルの言にしたがひて出でエレアザルの言にしたがひて入べし 004 NUM 027 022 是においてモーセはヱホバの己に命じたまへるごとく爲しヨシユアを取て之を祭司エレアザルと全會衆の前に立せ 004 NUM 027 023 その手をこれが上に按き之に命ずることを爲しヱホバのモーセをもて命じたまへる如くなせり 004 NUM 028 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 028 002 イスラエルの子孫に命じて之に言へわが禮物わが食物なる火祭わが馨香の物は汝らこれをその期にいたりて我に献ぐることを怠るべからず 004 NUM 028 003 汝かれらに言べし汝らがヱホバに献ぐる火祭は是なり即ち當歳の全たき羔羊二匹を日々に献げて常燔祭となすべし 004 NUM 028 004 即ち一匹の羔羊を朝に献げ一匹の羔羊を夕に献ぐべし 004 NUM 028 005 また麥粉一エパの十分の一に搗て取たる油一ヒンの四分の一を混和て素祭となすべし 004 NUM 028 006 是すなはちシナイ山において定めたる常燔祭にしてヱホバに馨しき香としてたてまつる火祭なり 004 NUM 028 007 またその灌祭は羔羊一匹に一ヒンの四分の一を用ふべし即ち聖所において濃酒をヱホバのために灌ぎて灌祭となすべし 004 NUM 028 008 夕にはまた今一の羔羊を献ぐべしその素祭と灌祭とは朝のごとくになし之を献げて火祭となしてヱホバに馨しき香をたてまつるべし 004 NUM 028 009 また安息日には當歳の羔羊の全き者二匹と麥粉十分の二に油をまじへたるその素祭とその灌祭を献ぐべし 004 NUM 028 010 是すなはち安息日ごとの燔祭にして常燔祭とその灌祭の外なる者なり 004 NUM 028 011 また汝ら月々の朔日には燔祭をヱホバに献ぐべし即ち少き牡牛二匹牡羊一匹當歳の羔羊の全き者七匹を献げ 004 NUM 028 012 牡牛一匹には麥粉十分の三に油を和たるをもてその素祭となし牡羊一匹には麥粉十分の二に油をまじへたるをもてその素祭となし 004 NUM 028 013 羔羊一匹には麥粉十分の一に油を混和たるをもてその素祭となし之を馨しき香の燔祭としてヱホバに火祭をたてまつるべし 004 NUM 028 014 またその灌祭は牡牛一匹に酒一ヒンの半牡羊一匹に一ヒンの三分の一羔羊一匹に一ヒンの四分の一を用ふべし是すなはち年の月々の中月ごとに献ぐべき燔祭なり 004 NUM 028 015 また常燔祭とその灌祭の外に牡山羊一匹を罪祭としてヱホバに献ぐべし 004 NUM 028 016 正月の十四日はヱホバの逾越節なり 004 NUM 028 017 またその月の十五日は節日なり七日の間酵いれぬパンを食ふべし 004 NUM 028 018 その首の日には聖會をひらくべし汝等何の職業をも爲べからず 004 NUM 028 019 汝ら火祭を献げてヱホバに燔祭たらしむるには少き牡牛二匹牡羊一匹當歳の羔羊七匹をもてすべし是等は皆全き者なるべし 004 NUM 028 020 その素祭には麥粉に油を和たるを用べし即ち牡牛一匹には麥粉十分の三を献げ牡羊一匹には十分の二を献げ 004 NUM 028 021 また羔羊は七匹ともその羔羊一匹ごとに十分の一を献ぐべし 004 NUM 028 022 また牡山羊一匹を罪祭に献げて汝らのために贖罪をなすべし 004 NUM 028 023 朝に献ぐる常燔祭なる燔祭の外に汝ら是らを献ぐべし 004 NUM 028 024 是のごとく汝ら七日の間日ごとに火祭の食物を献げてヱホバに馨しき香をたてまつるべし是は常燔祭とその灌祭の外に献ぐべき者なり 004 NUM 028 025 而して第七日には汝ら聖會を開くべし何の職業をち爲べからず 004 NUM 028 026 七七日の後すなはち汝らが新しき素祭をヱホバに携へきたる初穂の日にも汝ら聖會を開くべし何の職業をも爲べからず 004 NUM 028 027 汝ら燔祭を献げてヱホバに馨しき香をたてまつるべし即ち少き牡牛二匹牡羊一匹當歳の羔羊七匹を献ぐべし 004 NUM 028 028 その素祭には麥粉に油を混和たるを用ふべし即ち牡牛一匹に十分の三牡羊一匹に十分の二を用ひ 004 NUM 028 029 また羔羊には七匹ともに羔羊一匹に十分の一を用ふべし 004 NUM 028 030 また牡山羊一匹をささげて汝らのために贖罪をなすべし 004 NUM 028 031 汝ら常燔祭とその素祭とその灌祭の外に是等を献ぐべし是みな全き者なるべし 004 NUM 029 001 七月にいたりその月の朔日に汝ら聖會を開くべし何の職業をも爲べからず是は汝らが喇叭を吹べき日なり 004 NUM 029 002 汝ら燔祭をささげてヱホバに馨しき香をたてまつるべし即ち少き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊の全き者七匹を献ぐべし 004 NUM 029 003 その素祭には麥粉に油を混和たるを用ふべし即ぢ牡牛一匹に十分の三牡羊一匹に十分の二をもちひ 004 NUM 029 004 また羔羊には七匹とも羔羊一匹に十分の一を用ふべし 004 NUM 029 005 また牡山羊一匹を罪祭に献げて汝らのために贖罪をなすべし 004 NUM 029 006 是は月々の朔日の燔祭とその素祭および日々の燔祭とその素祭と灌祭の外なる者なり是らの物の例にしたがひて之をヱホバにたてまつりて馨しき香の火祭となすべし 004 NUM 029 007 またその七月の十日に汝ら聖會を開きかつ汝らの身をなやますべし何の職業をも爲べからず 004 NUM 029 008 汝らヱホバに燔祭を献げて馨しき香をたてまつるべし即ち少き牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊七匹是みな全き者なるべし 004 NUM 029 009 その素祭には麥粉に油を混和たるを用ふべし即ち牡牛一匹に十分の三牡羊一匹に十分の二を用ひ 004 NUM 029 010 また羔羊には七匹とも羔羊一匹に十分の一を用ふべし 004 NUM 029 011 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是等は贖罪の罪祭と常燔祭とその素祭と灌祭の外なる者なり 004 NUM 029 012 七月の十五日に汝ら聖會を開くべし何の職業をも爲べからず汝ら七日の間ヱホバに向て節筵を守るべし 004 NUM 029 013 汝ら燔祭を献げてヱホバに馨しき香の火祭をたてまつるべし即ち少き牡牛十三牡羊二匹當歳の羔羊十四是みな全き者なるべし 004 NUM 029 014 その素祭には麥粉に油を混和たるを用ふべし即ちその十三の牡牛には各箇十分の三その二匹の牡羊には各箇十分の二を用ひ 004 NUM 029 015 その十四の羔羊には各箇十分の一を用ふべし 004 NUM 029 016 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是等は常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 017 第二日には少き牡牛十二牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 018 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數に循ひて例のごとくすべし 004 NUM 029 019 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是らは常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 020 第三日には少き牡牛十一牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 021 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數に循ひて例のごとくすべし 004 NUM 029 022 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是らは常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 023 第四日には少き牡牛十匹牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 024 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數に循ひて例のごとくすべし 004 NUM 029 025 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是等は常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 026 第五日には少き牡牛九匹牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 027 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數にしたがひて例のごとくすべし 004 NUM 029 028 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是らは常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 029 第六日には少き牡牛八匹牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 030 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數にしたがひて例のごとくすべし 004 NUM 029 031 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是等は常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 032 第七日には少き牡牛七匹牡羊二匹當歳の羔羊の全き者十四を献ぐべし 004 NUM 029 033 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數にしたがひて例のごとくすべし 004 NUM 029 034 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是等は常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 035 第八日にはまた汝ら會をひらくべし何の職業をも爲べからず 004 NUM 029 036 燔祭を献げてヱホバに馨しき香の火祭をたてまつるべし即ち牡牛一匹牡羊一匹當歳の羔羊の全き者七匹を献ぐべし 004 NUM 029 037 その牡牛と牡羊と羔羊のために用ふる素祭と灌祭はその數にしたがひて例のごとくすべし 004 NUM 029 038 また牡山羊一匹を罪祭に献ぐべし是らは常燔祭およびその素祭と灌祭の外なり 004 NUM 029 039 汝らその節期にはヱホバに斯なすべし是らは皆汝らが願還のために献げまたは自意の禮物として献ぐる所の燔祭素祭灌祭および酬恩祭の外なり 004 NUM 029 040 モーセはヱホバのモーセに命じたまへる事をことごとくイスラエルの子孫に告たり 004 NUM 030 001 モーセ、イスラエルの子孫の支派の長等に告て云ふヱホバの命じたまふ事は是のごとし 004 NUM 030 002 人もしヱホバに誓願をかけ又はその身に斷物をなさんと誓ひなばその言詞を破るべからずその口より出ししごとく凡て爲べし 004 NUM 030 003 また女もし若くしてその父の家に居る時ヱホバに誓願をかけ又はその身斷物を爲ことあらんに 004 NUM 030 004 その父これが誓願またはその身に斷し斷物を聞て之にむかひて言ふこと無ば其かけたる誓願を行ひまたその身に斷し斷物を守るべし 004 NUM 030 005 然どその父これを聞る日に之を允さざるあらばその誓願およびその身に斷し斷物を凡て止ることを得べしその父の允さざるなればヱホバこれを赦したまふなり 004 NUM 030 006 もしまた夫に適く身にして自ら誓願をかけまたはその身に斷物せんと軽々しく口より言いだすことあらんに 004 NUM 030 007 その夫これを聞もそのこれを聞る日にこれに向ひて言ふこと無ばその誓願を行ひその身に斷し斷物を守るべし 004 NUM 030 008 されど夫もし之を聞る日にこれを允さざるならば之がかけし誓願または之がその身に斷物せんと軽々しく口に出ししところの事を空うするを得べしヱホバはその女を赦したまふなり 004 NUM 030 009 また寡婦あるひは去れたる婦人の誓願など凡てその身になしし斷物はこれを守るべし 004 NUM 030 010 婦女もしその夫の家において誓願をかけ又はその身に斷物せんと誓ふことあらんに 004 NUM 030 011 夫これを聞てこれに對ひて言ふことなく之を允さざること無ばその誓願は凡てこれを行ふべくその身に斷し斷物は凡てこれを守るべし 004 NUM 030 012 然どその夫もしこれを聞る日に全くこれを空うせばその誓願またはその斷物につき口より出しし事は凡て守るに及ばずその夫これを空くなしたるなればヱホバその婦女を赦したまふなり 004 NUM 030 013 凡の誓願および凡てその身をなやますところの誓約は夫これを堅うすることを得夫これを空うすることを得べし 004 NUM 030 014 その夫もし之にむかひて言ふことなくして日をおくらば之が誓願またはこれが斷物を凡て堅うするなり彼これを聞る日に妻にむかひて言ふことを爲ざるに因て之を堅うせるなり 004 NUM 030 015 然どその夫もしこれを聞たる後にいたりてこれを空うする事あらばその妻の罪を任べし 004 NUM 030 016 是すなはちヱホバがモーセに命じたまへる法令にして夫と妻および父とその女子の少くして父の家にある者とにかかはる者なり 004 NUM 031 001 茲にヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 031 002 汝イスラエルの子孫の仇をミデアン人に報ゆべし其後汝はその民に加はらん 004 NUM 031 003 モーセすなはち民に告て言けるは汝らの中より人を選みて戰爭にいづる准備をなさしめ之をしてミデアン人に攻ゆかしめてヱホバの仇をミデアン人に報ゆべし 004 NUM 031 004 即ちイスラエルの諸の支派につきて各々の支派より千人づつを取りこれを戰爭につかはすべしと 004 NUM 031 005 是において各々の支派より千人づつを選みイスラエルの衆軍の中より一萬二千人を得て戰爭にいづる准備をなさしむ 004 NUM 031 006 モーセすなはち各々の支派より千人宛を戰爭に遣しまた祭司エレアザルの子ピネハスに聖器と吹鳴す喇叭を執しめて之とともに戰爭に遣せり 004 NUM 031 007 彼らヱホバのモーセに命じたまへるごとくミデアン人を攻撃ち遂にその中の男子をことごとく殺せり 004 NUM 031 008 その殺しし者の外にまたミデアンの王五人を殺せりそのミデアンの王等はエビ、レケム、ツル、ホル、レバといふまたベオルの子バラムをも劍にかけて殺せり 004 NUM 031 009 イスラエルの子孫すなはちミデアンの婦女等とその子女を生擒りその家畜と羊の群とその貨財をことごとく奪ひ取り 004 NUM 031 010 その住居の邑々とその村々とを盡く火にて燒り 004 NUM 031 011 かくて彼等はその奪ひし物と掠めし物を人と畜ともに取り 004 NUM 031 012 ヱリコに對するヨルダンの邊なるモアブの平野の營にその生擒し者と掠めし物と奪ひし物とを携へきたりてモーセと祭司エレアザルとイスラエルの子孫の會衆に詣れり 004 NUM 031 013 時にモーセと祭司エレアザルおよび會衆の牧伯等みな營の外に出て之を迎へたりしが 004 NUM 031 014 モーセはその軍勢の領袖等すなはち戰爭より歸りきたれる千人の長等と百人の長等のなせる所を怒れり 004 NUM 031 015 モーセすなはち彼等に言けるは汝らは婦女等をことごとく生し存しや 004 NUM 031 016 視よ是等の者はバラムの謀計によりイスラエルの子孫をしてペオルの事においてヱホバに罪を犯さしめ遂にヱホバの會衆の中に疫病おこるにいたらしめたり 004 NUM 031 017 然ばこの子等の中の男の子を盡く殺しまた男と寝て男しれる婦人を盡く殺せ 004 NUM 031 018 但し未だ男と寝て男しれる事あらざる女の子はこれを汝らのために生し存べし 004 NUM 031 019 而して汝らは七日の間營の外に居れ汝らの中凡そ人を殺せし者または殺されし者に捫りたる者は第三日と第七日にその身を潔め且その俘囚を潔むべし 004 NUM 031 020 また一切の衣服と一切の皮の器具および凡て山羊の毛にて作れる物と凡て木にて造れる物を潔むべしと 004 NUM 031 021 祭司エレアザル戰にいでし軍人等に言けるはヱホバのモーセに命じたまへる律法の例は是のごとし 004 NUM 031 022 金銀銅鐵錫鉛など 004 NUM 031 023 凡て火に勝る物は火の中を通すべし然せば潔くならん然ながら尚また潔淨の水をもてこれを潔むべしまた凡て火に勝ざる者は水の中を通すべし 004 NUM 031 024 汝等は第七日にその衣服を洗ひて潔くなり然る後營にいるべし 004 NUM 031 025 その時ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 031 026 汝と祭司エレアザルおよび會衆の族長等この取獲たる人と畜の總數をしらべ 004 NUM 031 027 その獲物を二分に分てその一を戰爭にいでて戰ひし者に予へその一を全會衆に予へよ 004 NUM 031 028 而して戰ひに出し軍人をして人または牛または驢馬または羊おのおの五百ごとに一をとりてヱホバに貢として奉つらしめよ 004 NUM 031 029 即ち彼らの一半より之をとりヱホバの擧祭として祭司エレアザルに與へよ 004 NUM 031 030 またイスラエルの子孫の一半よりはその獲たる人または牛または驢馬または羊または種々の獣畜五十ごとに一を取りヱホバの幕屋の職守を守るところのレビ人にこれを與へよと 004 NUM 031 031 モーセと祭司エレアザルすなはちヱホバのモーセに命じたまへるごとく爲り 004 NUM 031 032 その掠取物すなはち軍人等が奪ひ獲たる物の殘餘は羊六十七萬五千 004 NUM 031 033 牛七萬二千 004 NUM 031 034 驢馬六萬一千 004 NUM 031 035 人三萬二千是みな未だ男と寝て男しれる事あらざる女なり 004 NUM 031 036 その一半すなはち戰爭にいでし者の分は羊三十三萬七千五百 004 NUM 031 037 ヱホバに貢として奉つれる羊は六百七十五 004 NUM 031 038 牛三萬六千その中よりヱホバに貢とせし者は七十二 004 NUM 031 039 驢馬三萬五百その中よりヱホバに貢とせし者は六十一 004 NUM 031 040 人一萬六千その中よりヱホバに貢とせし者は三十二人 004 NUM 031 041 モーセその貢すなはちヱホバの擧祭なる者を祭司エレアザルに與へたりヱホバのモーセに命じたまへる如し 004 NUM 031 042 モーセが戰爭に出しものより分ちとりてイスラエルの子孫に予へし一半 004 NUM 031 043 すなはち會衆に屬する一半は羊三十三萬七千五百 004 NUM 031 044 牛三萬六千 004 NUM 031 045 驢馬三萬五百 004 NUM 031 046 人一萬六千 004 NUM 031 047 すなはちイスラエルの子孫のその一半よりモーセ人と畜ともに各箇五十ごとに一を取りヱホバの幕屋の職守をまもるレビ人に之を與へたりヱホバのモーセに命じたまへるごとし 004 NUM 031 048 時に其軍勢の帥士たりし者等すなはち千人の長百人の長等モーセにきたり 004 NUM 031 049 モーセに言けるは僕等我らの手に屬する軍人を數へたるにわれらの中一人も缺たる者なし 004 NUM 031 050 是をもて我ら各人その獲たる金の飾品すなはち鏈子釧指鐶耳環頸玉等をヱホバに携へきたりて禮物となし之をもて我らの生命のためにヱホバの前に贖罪をなさんとすと 004 NUM 031 051 モーセと祭司エレアザルすなはち彼らよりその金を受たり是みな製り成る飾品なりき 004 NUM 031 052 千人の長と百人の長たちがヱホバに献げて擧祭となせしその金は都合一萬六千七百五十シケル 004 NUM 031 053 軍人は各箇その掠取物をもて自分の有となせり 004 NUM 031 054 モーセと祭司エレアザルは千人の長と百人の長等よりその金を受て集會の幕屋に携へいりヱホバの前におきてイスラエルの子孫の記念とならしむ 004 NUM 032 001 ルベンの子孫とガドの子孫は甚だ多くの家畜の群を有り彼等ヤゼルの地とギレアデの地を觀るにその處は家畜に適き所なりければ 004 NUM 032 002 ガドの子孫とルベンの子孫來りてモーセと祭司エレアザルと會衆の牧伯等に言けるは 004 NUM 032 003 アタロテ、デボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシボン、エレアレ、シバム、ネボ、ベオン 004 NUM 032 004 即ちヱホバがイスラエルの會衆の前に撃ほろぼしたまひし國は家畜に適き所なるが我らは家畜あり 004 NUM 032 005 また曰ふ然ば我らもし汝の目の前に恩を獲たらば請ふこの地を僕等に與へて產業となさしめ我らをしてヨルダンを濟ること無らしめよと斯いへり 004 NUM 032 006 モーセ、ガドの子孫とルベンの子孫に言けるは汝らの兄弟たちは戰ひに往に汝らは此に坐しをらんとするや 004 NUM 032 007 汝ら何ぞイスラエルの子孫の心を挫きてヱホバのこれに賜ひし地に濟ることを得ざらしめんとするや 004 NUM 032 008 汝らの先祖等も我がカデシバルネアより其地を觀に遣せし時に然なせり 004 NUM 032 009 即ち彼らエシコルの谷に至りて其地を觀し時イスラエルの子孫の心を挫きて之をしてヱホバの賜ひし地に往ことを得ざらしめたり 004 NUM 032 010 その時ヱホバ怒を發し誓ひて言たまひけらく 004 NUM 032 011 エジプトより出きたれる人々の二十歳以上なる者は一人も我がアブラハム、イサク、ヤコブに誓ひたる地を見ざるべし其はかれら我に全くは從はざればなり 004 NUM 032 012 第ケナズ人ヱフンネの子カルブとヌンの子ヨシユアとを除く此二人はヱホバに全く從ひたればなり 004 NUM 032 013 ヱホバかくイスラエルにむかひて怒を發し之をして四十年のあひだ曠野にさまよはしめたまひければヱホバの前に惡をなししその代の人みな終に亡ぶるに至れり 004 NUM 032 014 抑汝らはその父に代りて起れる者即ち罪人の種にしてヱホバのイスラエルにむかひて懐たまふ烈しき怒を更に増んとするなり 004 NUM 032 015 汝ら若反きてヱホバに從はずばヱホバまたこの民を曠野に遺おきたまはん然せば汝等すなはちこの民を滅ぼすにいたるべし 004 NUM 032 016 彼らモーセの側に進みよりて言けるは我らは此に我らの群のために羊の圈を建我らの少者のために邑を建んとす 004 NUM 032 017 然ど我らはイスラエルの子孫をその處に導きゆくまでは身をよろひて之が前に奮ひ進まん第われらの少者はこの國に住る者等のために堅固なる邑に居ざるを得ず 004 NUM 032 018 我らはイスラエルの子孫が皆おのおのその產業を獲までは我らの家に歸らじ 004 NUM 032 019 我らはヨルダンの彼旁において彼らと偕に產業を獲ことを爲じ我らはヨルダンの此旁すなはち東の方に產業を獲ればなり 004 NUM 032 020 モーセかれらに言けるは汝らもしこの事を爲し汝らみな身をよろひてヱホバの前に往て戰ひ 004 NUM 032 021 汝ら皆身をよろひヱホバの前にゆきてヨルダンを濟りヱホバのその敵を己の前より逐はらひたまひて 004 NUM 032 022 この國のヱホバに服ふにおよびて後汝ら歸ばヱホバの前にもイスラエルの前にも汝ら罪なかるべし然せばこの地はヱホバの前において汝らの產業とならん 004 NUM 032 023 然ど汝らもし然せずば是ヱホバにむかひて罪を犯すなれば必ずその罪汝らの身におよぶと知べし 004 NUM 032 024 汝らその少者のために邑を建てその羊のために圈を建よ而して汝らの口より出せるところを爲せ 004 NUM 032 025 ガドの子孫とルベンの子孫モーセにこたへて言けるはわが主の命じたまふごとく僕等行ふべし 004 NUM 032 026 我らの少者と妻と羊と諸の家畜は此にギレアデの邑々に居べし 004 NUM 032 027 然ど僕等はおのおの戰爭のために身をよろひてわが主の言たまふ如くヱホバの前に渉りゆきて戰ふべし 004 NUM 032 028 是においてモーセかれらの爲に祭司エレアザルとヌンの子ヨシユアとイスラエルの支派の族長等に命ずる事ありき 004 NUM 032 029 すなはちモーセかれらに言けるはガドの子孫とルベンの子孫もし汝らとともにヨルダンを濟りゆき各箇身をよろひてヱホバの前に戰ひてこの地汝らに服ふにいたらば汝らギレアデの地をかれらに與へて產業となさしむべし 004 NUM 032 030 然ど彼らもし汝らとともに身をよろひて濟りゆかずば彼らはカナンの地に於て汝らの中に產業を獲ざる可らず 004 NUM 032 031 ガドの子孫とルベンの子孫こたへて言ふヱホバが僕等に言たまふごとく我ら爲べし 004 NUM 032 032 我らは身をよろひてヱホバの前にカナンの地に濟りゆきヨルダンの此旁なる我らの產業を保つことを爲べし 004 NUM 032 033 是においてモーセはアモリ人の王シホンの國とバシヤンの王オグの國をもてガドの子孫とルベンの子孫とヨセフの子マナセの支派の半とに與へたり即ちその國およびその境の内の邑々とその邑々の周圍の地とを之に與ふ 004 NUM 032 034 ガドの子孫はデボン、アタロテ、アロエル 004 NUM 032 035 アテロテ、シヨバン、ヤゼル、ヨグベハ 004 NUM 032 036 ベテニムラ、ベテハランなどの堅固なる邑を建て羊のために圈を建たり 004 NUM 032 037 またルベンの子孫はヘシボン、エレアレ、キリヤタイム 004 NUM 032 038 ネボ、バアルメオン等の邑を建てその名を更めまたシブマの邑を建たりその建たる邑々には新しき名をつけたり 004 NUM 032 039 またマナセの子マキルの子孫はギレアデに至りてこれを取り其處にをりしアモリ人を逐はらひければ 004 NUM 032 040 モーセ、ギレアデをマナセの子マキルに與へて其處に住しむ 004 NUM 032 041 またマナセの子ヤイルは往てその村々を取りこれをハヲテヤイル(ヤイル村)と名けたり 004 NUM 032 042 またノバは往てケナテとその村々を取り自己の名にしたがひて之をノバと名けたり 004 NUM 033 001 イスラエルの子孫がモーセとアロンに導かれ其軍旅にしたがひてエジプトの國より出きたりて經たる旅路は左のごとし 004 NUM 033 002 モーセ、ヱホバの命に依りその旅路にしたがひてこれが發程を記せりその發程によればその旅路は左のごとくなり 004 NUM 033 003 彼らは正月の十五日にラメセスより出立り即ぢ逾越の翌日にイスラエルの子孫は一切のエジプト人の目の前にて高らかなる手によりて出たり 004 NUM 033 004 時にエジプト人はヱホバに撃ころされし其長子を葬りて居りヱホバはまた彼らの神々にも罰をかうむらせたまへり 004 NUM 033 005 イスラエルの子孫ラメセスより出立てスコテに營を張り 004 NUM 033 006 スコテより出立て曠野の極端なるエタムに營を張り 004 NUM 033 007 エタムより出立てバアルゼポンの前なるピハヒロテに轉りゆきてミグドルに營を張り 004 NUM 033 008 ピハヒロテの前より出立ち海の中を通りて曠野にいりエタムの曠野に三日路ほど入てメラに營を張り 004 NUM 033 009 メラより出立てヱリムに至れりエリムには泉十二棕櫚七十本あり乃ち此に營を張り 004 NUM 033 010 かくてエリムより出たちて紅海の邊に營を張り 004 NUM 033 011 紅海より出たちてシンの曠野に營を張り 004 NUM 033 012 シンの曠野より出たちてドフカに營を張り 004 NUM 033 013 ドフカより出たちてアルシに營を張り 004 NUM 033 014 アルシより出たちてレピデムに營を張り此には民の飮む水あらざりき 004 NUM 033 015 かくてレピデムより出たちてシナイの曠野に營を張り 004 NUM 033 016 シナイの曠野より出たちてキブロテハッタワに營を張り 004 NUM 033 017 キブロテハッタワより出たちてハゼロテに營を張り 004 NUM 033 018 ハゼロテより出たちてリテマに營を張り 004 NUM 033 019 リテマより出たちてリンモンバレツに營を張り 004 NUM 033 020 リンモンパレツより出たちてリブナに營を張り 004 NUM 033 021 リブナより出たちてリッサに營を張り 004 NUM 033 022 リッサより出たちてケヘラタに營を張り 004 NUM 033 023 ケヘラタより出たちてシヤペル山に營を張り 004 NUM 033 024 シヤペル山より出たちてハラダに營を張り 004 NUM 033 025 ハラダより出たちてマケロテに營を張り 004 NUM 033 026 マケロテより出たちてタハテに營を張り 004 NUM 033 027 タハテより出たちてテラに營を張り 004 NUM 033 028 テラより出たちてミテカに營を張り 004 NUM 033 029 ミテカより出たちてハシモナに營を張り 004 NUM 033 030 ハシモナより出たちてモセラに營を張り 004 NUM 033 031 モセラより出たちてベネヤカンに營を張り 004 NUM 033 032 ベネヤカンより出たちてホルハギデガデに營を張り 004 NUM 033 033 ホルハギデガデより出たちてヨテバタに營を張り 004 NUM 033 034 ヨテバタより出たちてアブロナに營を張り 004 NUM 033 035 アブロナより出たちてエジオングベルに營を張り 004 NUM 033 036 エジオングベルより出たちてカデシのチンの曠野に營を張り 004 NUM 033 037 カデシより出たちてエドムの國の界なるホル山に營を張り 004 NUM 033 038 イスラエルの子孫がエジプトの國を出てより四十年の五月の朔日に祭司アロンはヱホバの命によりてホル山に登て其處に死り 004 NUM 033 039 アロンはホル山に死たる時は百二十三歳なりき 004 NUM 033 040 カナンの地の南に住るカナン人アラデ王といふ者イスラエルの子孫の來るを聞り 004 NUM 033 041 かくてホル山より出たちてザルモナに營を張り 004 NUM 033 042 ザルモナより出立てプノンに營を張り 004 NUM 033 043 プノンより出たちてオボテに營を張り 004 NUM 033 044 オボテより出たちてモアブの界なるイヱアバリムに營を張り 004 NUM 033 045 イヰムより出たちてデボンガドに營を張り 004 NUM 033 046 デボンガドより出たちてアルモンデブラタイムに營を張り 004 NUM 033 047 アルモンデブラタイムより出たちてネボの前なるアバリムの山々に營を張り 004 NUM 033 048 アバリムの山々より出たちてヱリコに對するヨルダンの邊なるモアブの平野に營を張り 004 NUM 033 049 すなはちモアブの平野においてヨルダンの邊に營を張りベテヱシモテよりアベルシッテムにいたる 004 NUM 033 050 ヱリコに對するヨルダンの邊なるモアブの平野においてヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 033 051 イスラエルの子孫に告てこれに言へ汝らヨルダンを濟りてカナンの地に入る時は 004 NUM 033 052 その地に住る民をことごとく汝らの前より逐はらひその石の像をことごとく毀ちその鋳たる像を毀ちその崇邱をことごとく毀ちつくすべし 004 NUM 033 053 汝らその地の民を逐はらひて其處に住べし其は我その地を汝らの產業として汝らに與へたればなり 004 NUM 033 054 汝らの族にしたがひ鬮をもてその地を分ちて產業となし人多きには多くの產業を與へ人少きには少しの產業を與ふべし各人の分はその鬮にあたれる處にあるべきなり汝らその先祖の支派にしたがひて之を獲べし 004 NUM 033 055 然ど汝らもしその地に住る民を汝らの前より逐はらはずば汝らが存しおくところの者汝らの目に莿となり汝の脇に棘となり汝らの住む國において汝らを惱さん 004 NUM 033 056 且また我は彼らに爲んと思ひし事を汝らに爲ん 004 NUM 034 001 ヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 034 002 イスラエルの子孫に告てこれに言へ汝らがカナンの地にいる時に汝らに歸して產業となる地は是なり即ち是カナンの地その境に循へる者 004 NUM 034 003 汝らの南の方はエドムに接すろチンの曠野より起り南の界は鹽海の極端より東の方にいたるべし 004 NUM 034 004 また汝らの界は南より繞りてアクラビムの坂にいたりてチンに赴き南よりカデシバルネアに亘りハザルアダルに進みアズモンに赴くべし 004 NUM 034 005 その界はまたアズモンより繞りてエジプトの河にいたり海におよびて盡べし 004 NUM 034 006 西の界においては大海をもてその界とすべし是を汝らの西の界とす 004 NUM 034 007 汝らの北の界は是のごとし即ち大海よりホル山までを畫り 004 NUM 034 008 ホル山よりハマテの入口までを畫りその界をしてゼダデまで亘らしむべし 004 NUM 034 009 またその界はジフロンに進みハザルエノンにいたりて盡べし是を汝らの北の界とす 004 NUM 034 010 汝らの東の界はハザルエノンよりシバムまでを畫るべし 004 NUM 034 011 またその界はアインの東の方においてシバムよりリブラに下りゆくべし斯その界は下りてキンネレテの海の東の傍に抵り 004 NUM 034 012 その界ヨルダンに下りゆきて鹽海におよびて盡べし汝らの國はその周圍の界に依ば是のごとくなるべし 004 NUM 034 013 モーセ、イスラエルの子孫に命じて言けるは是すなはち汝らが鬮をもて獲べき地なりヱホバこれを九の支派と半支派とに與へよと命じたまふ 004 NUM 034 014 そはルベンの子孫の支派とガドの子孫の支派はともにその宗族にしたがひてその產業を受けまたマナセの半支派もその產業を受たればなり 004 NUM 034 015 この二の支派と半支派とはヱリコに對するヨルダンの彼旁すなはちその東日の出る方においてその產業を受たり 004 NUM 034 016 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 034 017 汝らに地を分つ人々の名は是なり即ち祭司エレアザルとヌンの子ヨシユア 004 NUM 034 018 汝らまた各箇の支派より牧伯一人づつを簡びて地を分つことを爲しむべし 004 NUM 034 019 その人々の名は是のごとしユダの支派にてはエフンネの子カルブ 004 NUM 034 020 シメオンの子孫の支派にてはアミホデの子サムエル 004 NUM 034 021 ベニヤミンの支派にてはキスロンの子エリダデ 004 NUM 034 022 ダンの子孫の支派の牧伯はヨグリの子ブッキ 004 NUM 034 023 ヨセフの子孫すなはちマナセの子孫の支派の牧伯はエポデの子ハニエル 004 NUM 034 024 エフライムの子孫の支派の牧伯はシフタンの子ケムエル 004 NUM 034 025 ゼブルンの子孫の支派の牧伯はパルナクの子エリザバン 004 NUM 034 026 イッサカルの子孫の支派の牧伯はアザンの子パルテエル 004 NUM 034 027 アセルの子孫の支派の牧伯はシロミの子アヒウデ 004 NUM 034 028 ナフタリの子孫の支派の牧伯はアミホデの子パダヘル 004 NUM 034 029 カナンの地においてイスラエルの子孫に產業を分つことをヱホバの命じたまへる人は是のごとし 004 NUM 035 001 ヱリコに對するヨルダンの邊なるモアブの平野においてヱホバ、モーセに告て言たまはく 004 NUM 035 002 イスラエルの子孫に命じてその獲たる產業の中よりレビ人に住べき邑々を與へしめよ汝らまたその邑々の周圍に郊地をつけてレビ人に與ふべし 004 NUM 035 003 その邑々は彼らの住べき所その郊地は彼らの家畜貨財および諸の獣をおくところたるべし 004 NUM 035 004 汝らがレビ人に與ふる邑々の郊地は邑の石垣より外四周一千キユビトなるべし 004 NUM 035 005 すなはち邑の外に於て東の方に二千キユビト南の方に二千キユビト西の方に二千キユビト北の方に二千キユビトを量り邑をその中にあらしむべし彼らの邑の郊地は是のごとくなるべし 004 NUM 035 006 汝らがレビ人に與ふる邑々は是のごとくなるべし即ち逃遁邑六を與ふべし是は人を殺せる者の其處に逃るべきための者なり此外にまた邑四十二を與ふべし 004 NUM 035 007 汝らがレビ人に與ふる邑は都合四十八邑これを其郊地とともに與ふべし 004 NUM 035 008 汝らイスラエルの子孫の產業の中よりレビ人に邑を與ふるには多く有る者は多く與へ少く有る者は少く與へ各人その獲たる產業にしたがひてその邑々を之に與ふべし 004 NUM 035 009 ヱホバまたモーセに告て言たまはく 004 NUM 035 010 イスラエルの子孫に告てこれに言へ汝らヨルダンを濟りてカナンの地に入ば 004 NUM 035 011 汝らのために邑を設けて逃遁邑と爲し誤りて人を殺せる者をして其處に逃るべからしむべし 004 NUM 035 012 其は汝らが仇打する者を避て逃るべき邑なり是あるは人を殺せる者が未だ會衆の前にたちて審判をうけざる先に殺さるること無らんためなり 004 NUM 035 013 汝らが予ふる邑々の中六をもて逃遁邑とすべし 004 NUM 035 014 すなはち汝らヨルダンの此旁において三の邑を予ヘカーナンの地において三の邑を予へて逃遁邑となすべし 004 NUM 035 015 この六の邑はイスラエルの子孫と他國人およびその中に寄寓る者の逃遁場たるべし凡て誤りて人を殺せる者は其處に逃るることを得べし 004 NUM 035 016 もし鐵の器をもて人を撃て死しめなば是故殺なり故殺人はかならず殺さるべし 004 NUM 035 017 もし人を殺すほどの石を執て人を撃て死しめなば是故殺なり故殺人はかならず殺さるべし 004 NUM 035 018 また人を殺すほどの木の器をとりて人を撃て死しめなば是故殺なり故殺人はかならず殺さるべし 004 NUM 035 019 仇を打つ者その故殺人を殺すことを得すなはち之に遭ふところにて之を殺すことを得るなり 004 NUM 035 020 もしまた怨恨のために人を推しまたは意ありて人に物を投うちて死しめ 004 NUM 035 021 または敵の心を挾さみ手をもて人を撃て死しめなばその人を撃たる者は必ず殺さるべし是故殺なればなり仇を打つ者これに遭ふところにて之を殺すことを得べし 004 NUM 035 022 然どもし敵の心なくして思はず人を推しまたは意なくして人に物を擲ち 004 NUM 035 023 または人あるを見ずして人を殺すほどの石を之に投つけて死しむること有んにその人これが敵にもあらずまた之を害せんとせしにもあらざる時は 004 NUM 035 024 會衆この律法によりてその人を殺せる者と仇打する者とに審判を言わたすべし 004 NUM 035 025 即ち會衆はその人を殺せる者を仇打する者の手より救ひ出してこれをその逃れゆきたる逃遁邑に還すべしその者は聖膏を灌れたる祭司の長の死るまで其處に居べし 004 NUM 035 026 然ど人を殺しし者その逃れし逃遁邑の境を出でたらんに 004 NUM 035 027 仇打する者その逃遁邑の境の外にてこれに遭ことありて仇打する者すなはちその人を殺しし者を殺すことあるとも血をながせる罪あらじ 004 NUM 035 028 其は彼は祭司の長の死るまでその逃遁邑に居べき者なればなり祭司の長の死たる後はその人を殺せし者おのれの產業の地にかへることを得べし 004 NUM 035 029 汝ら代々その住所において之を審判の法度とすべし 004 NUM 035 030 凡て人を殺せる者すなはち故殺人は證人の口にしたがひて殺さるべし然ど只一人の證人の言にしたがひて人を殺すことを爲べからず 004 NUM 035 031 汝ら死に當る故殺人の生命を贖はしむべからず必ずこれを殺すべし 004 NUM 035 032 また逃遁邑に逃れたる者の贖を容て祭司の死ざる前にこれを自己の地に歸り住しむる勿れ 004 NUM 035 033 汝らその居ところの地を汚すべからず血は地を汚すなり地の上に流せる血は之を流せる者の血をもてするに非れば贖ふことを得ざるなり 004 NUM 035 034 汝らその住ところの地すなはち我が居ところの地を汚すなかれ其は我ヱホバ、イスラエルの子孫の中に居ばなり 004 NUM 036 001 ヨセフの子等の族の中マナセの子マキルの子なるギレアデの子等の族の族長等進みよりてモーセの前とイスラエルの子孫の族長たる牧伯等の前に語り 004 NUM 036 002 言けるはイスラエルの子孫にその產業の地を鬮によりて與ふることをヱホバわが主に命じたまへり吾主またわれらの兄弟ゼロペハデの產業をその女子等に與ふべしとヱホバに命ぜられたまふ 004 NUM 036 003 彼らもしイスラエルの子孫の中他の支派の人々に嫁ぎなば彼らの產業はわれらの父祖の產業の中より除去れてその適る支派の產業に加はるべし斯是は我らの產業の分の中より除去れん 004 NUM 036 004 而して彼らの產業はイスラエルの子孫のヨベルに至りてその適る支派の產業に加はるべし斯かれらの產業は我らの父祖の支派の產業の中より除去れん 004 NUM 036 005 モーセ、ヱホバの言にしたがひてイスラエルの子孫に命じて言ふヨセフの子等の支派の言ところは善し 004 NUM 036 006 ゼロペハデの女子等の事につきてヱホバの命じたまふところは是のごとし云く彼らはその心に適ふ者に嫁ぐべけれど惟その父祖の支派の家にのみ嫁ぐべし 004 NUM 036 007 然せばイスラエルの子孫の產業この支派よりかの支派に移ることあらじイスラエルの子孫はみな各箇その父祖の支派の產業に止まるべきなり 004 NUM 036 008 イスラエルの子孫の支派の中凡そ產業を有る女は皆おのれの父の支派の家に嫁ぐべし然せばイスラエルの子孫おのおのその父祖の產業を保つことを得ん 004 NUM 036 009 產業をしてこの支派よりかの支派に移らしむべからずイスラエルの子孫の支派の者は皆おのおの自己の產業にとどまるべし 004 NUM 036 010 是においてゼロペハデの女子等はヱホバのモーセに命じたまへる如くせり 004 NUM 036 011 即ちゼロペハデの女子等マアラ、テルザ、ホグラ、ミルカおよびノアはその父の兄弟の子等に嫁げり 004 NUM 036 012 彼らはヨセフの子マナセの子等の家に嫁ぎたればその產業はその父の族の支派に止まれり 004 NUM 036 013 是等はヱリコに對するヨルダンの邊なるモアテの平野においてヱホバがモーセによりてイスラエルの子孫に命じたまひし命令と律法なり # # BOOK 005 DEU Deuteronomy 申命記 005 DEU 001 001 是はモーセがヨルダンの此旁の曠野紅海に對する平野に在てバラン、トベル、ラバン、ハゼロテ、デザハブの間にてイスラエルの一切の人に告たる言語なり 005 DEU 001 002 ホレブよりセイル山の路を經てカデシバルネアに至るには十一日路あり 005 DEU 001 003 第四十年の十一月にいたりその月の一日にモーセはイスラエルの子孫にむかひてヱホバが彼等のために自己に授けたまひし命令を悉く告たり 005 DEU 001 004 是はモーセがヘシボンに住るアモリ人の王シホン及びエデレイのアシタロテに住るバシヤンの王オグを殺したる後なりき 005 DEU 001 005 即ちモーセ、ヨルダンの此旁なるモアブの地においてこの律法を解明すことを爲し始めたり曰く 005 DEU 001 006 我らの神ヱホバ、ホレブにて我らに告て言たまへり汝らはこの山に居こと日すでに久し 005 DEU 001 007 汝ら身を轉らして途に進みアモリ人の山に往き其に鄰れる處々に往き平野山地窪地南の地海邊カナン人の地レバノンおよび大河ユフラテ河に至れ 005 DEU 001 008 我この地を汝らの前に置り入てこの地を獲よ是はヱホバが汝らの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓ひて之を彼らとその後の子孫に與へんと言たまひし者なりと 005 DEU 001 009 彼時我なんぢらに語りて言り我は一人にては汝らをわが任として負ことあたはず 005 DEU 001 010 汝らの神ヱホバ汝らを衆多ならしめたまひたれば汝ら今日は天空の星のごとくに衆し 005 DEU 001 011 願くは汝らの先祖の神ヱホバ汝らをして今あるよりは千倍も多くならしめ又なんぢらに約束せしごとく汝らを祝福たまはんことを 005 DEU 001 012 我一人にては爭で汝らを吾任となしまた汝らの重負と汝らの爭競に當ることを得んや 005 DEU 001 013 汝らの支派の中より智慧あり知識ありて人に識れたる人々を簡べ我これを汝らの首長となさんと 005 DEU 001 014 時に汝ら答へて言り汝が言ところの事を爲は善しと 005 DEU 001 015 是をもて我汝らの支派の首長なる智慧ありて人に知れたる者等を取て汝らの首長となせり即ち之をもて千人の長百人の長五十人の長十人の長となしまた汝らの支派の中の官吏となせり 005 DEU 001 016 また彼時に我汝らの士師等に命じて言り汝らその兄弟の中の訴訟を聽き此人と彼人の間を正く審判くべし他國の人においても然り 005 DEU 001 017 汝ら人を視て審判すべからず小き者にも大なる者にも聽べし人の面を懼るべからず審判は神の事なればなり汝らにおいて斷定がたき事は我に持きたれ我これを聽ん 005 DEU 001 018 我かの時に汝らの爲べき事をことごとく汝らに命じたりき 005 DEU 001 019 我等の神ヱホバの我等に命じたまひしごとくに我等はホレブより出たち汝らが見知るかの大なる畏しき曠野を通りアモリ人の山を指てガデシバルネアに至れり 005 DEU 001 020 時に我なんぢらに言り汝らは我らの神ヱホバの我らに與へたまへるアモリ人の山に至れり 005 DEU 001 021 視よ汝の神ヱホバこの地を汝の前に置たまふ汝の先祖の神ヱホバの汝に言たまふごとく上り往てこれを獲よ懼るるなかれ猶豫なかれと 005 DEU 001 022 汝らみな我に近りて言り我等人を我らの先に遣してその地を伺察しめ彼らをして返て何の途より上るべきか何の邑々に入べきかを我らに告しめんと 005 DEU 001 023 この言わが目に善と見ければ我汝らの中より十二人の者を取り即ち一の支派より一人宛なりき 005 DEU 001 024 彼等前みゆきて山に登りエシコルの谷にいたり之を伺ひ 005 DEU 001 025 その地の菓物を手に取てわれらの許に持くだり我らに復命して言り我等の神ヱホバの我等に與へたまへる地は善地なりと 005 DEU 001 026 然るに汝等は上り往ことを好まずして汝らの神ヱホバの命令に背けり 005 DEU 001 027 すなはち汝らその天幕にて呟きて言りヱホバわれらを惡むが故に我らをアモリ人の手に付して滅ぼさんとてエジプトの國より我らを導き出せり 005 DEU 001 028 我等は何方に往べきや我らの兄弟等は言ふその民は我らよりも大にして身長たかく邑々は大にしてその石垣は天に達る我らまたアナクの子孫を其處に見たりと斯いひて我らの氣を挫けりと 005 DEU 001 029 時に我なんぢらに言り怖る勿れ懼るるなかれ 005 DEU 001 030 汝らに先ち行たまふ汝らの神ヱホバ、エジプトにおいて汝らの爲に汝らの目の前にて諸の事をなしたまひし如く今また汝らのために戰ひたまはん 005 DEU 001 031 曠野においては汝また汝の神ヱホバが人のその子を抱くが如くに汝を抱きたまひしを見たり汝らが此處にいたるまでその路すがら常に然ありしなりと 005 DEU 001 032 この言をなせども汝らはなほその神ヱホバを信ぜざりき 005 DEU 001 033 ヱホバは途にありては汝らに先ちゆきて汝らが營を張べき處を尋ね夜は火の中にあり晝は雲の中にありて汝らの行べき途を示したまへる者なり 005 DEU 001 034 ヱホバ汝らの言語の聲を聞て怒り誓て言たまひけらく 005 DEU 001 035 この惡き代の人々の中には我が汝らの先祖等に與へんと誓ひしかの善地を見る者一人も有ざるべし 005 DEU 001 036 只ヱフンネの子カルブのみ之を見ることを得ん彼が踐たりし地をもて我かれとかれの子孫に與ふべし其は彼まったくヱホバに從ひたればなり 005 DEU 001 037 ヱホバまた汝らの故をもて我をも怒て言たまへり汝もまた彼處に入ことを得ず 005 DEU 001 038 汝の前に侍るヌンの子ヨシユアかしこに入べし彼に力をつけよ彼イスラエルをして之を獲しむべし 005 DEU 001 039 また汝等が掠められんと言たりしその汝らの子女および當日になほ善惡を辨へざりし汝らの幼兒等彼ら即ちかしこに入べし我これを彼らに與へて獲さすべし 005 DEU 001 040 汝らは身をめぐらし紅海の途より曠野に進みいるべしと 005 DEU 001 041 然るに汝ら對て我にいへり我等はヱホバにむかひて罪を犯せり然ばわれらの神ヱホバの凡て我らに命じたまへるがごとく我ら上りゆきて戰はんと汝らおのおの武器を身に帶て軽々しく山に登らんとせり 005 DEU 001 042 時にヱホバわれに言たまひけるは汝かれらに言へ汝ら上りゆくなかれ又戰ふなかれ我なんぢらの中間に居ざればなり汝ら恐らくはその敵に打敗られんと 005 DEU 001 043 われかく汝らに告たるに汝ら聽ずしてヱホバの命令に背き自檀に山に登りたりしが 005 DEU 001 044 その山に住るアモリ人汝等にむかひて出きたり蜂の驅がごとくに汝らを驅ちらしなんぢらをセイルに打敗りてホルマにおよべり 005 DEU 001 045 斯りしかばなんぢら還りきたりてヱホバの前に哭きたりしがヱホバなんぢらの聲を聽たまはず汝らに耳を傾むけたまはざりき 005 DEU 001 046 是をもてなんぢらは日久しくカデシに居りなんぢらが其處に居たる日數のごとし 005 DEU 002 001 斯て我らは身を轉らしヱホバの我に命じたまへる如く紅海の途より曠野に進みいりて日久しくセイル山を行めぐりたりしが 005 DEU 002 002 ヱホバつひに我に告て言たまはく 005 DEU 002 003 汝等はこの山を行めぐること旣に久し今よりは北に轉りて進め 005 DEU 002 004 汝また民に命じて言へ汝らはセイルに住るヱサウの子孫なる汝らの兄弟の境界を通らんとす彼らはなんぢらを懼れん汝ら深く自ら謹むべし 005 DEU 002 005 彼らを攻る勿れ彼らの地は足の跖に踐ほどをも汝らに與へじ其は我セイル山をエサウにあたへて產業となさしめたればなり 005 DEU 002 006 汝ら金をもて彼らより食物を買て食ひまた金をもて彼らより水をもとめて飮め 005 DEU 002 007 汝の神ヱホバ汝が手に作ところの諸の事において汝をめぐみ汝がこの大なる曠野を通るを看そなはしたまへり汝の神ヱホバこの四十年のあひだ汝とともに在したれば汝は乏しき所あらざりしなり 005 DEU 002 008 我らつひにセイル山に住るエサウの子孫なる我らの兄弟を離れてアラバの路を通りエラテとエジオンゲベルを經て/轉りてモアブの曠野の路に進みいれり 005 DEU 002 009 時にヱホバわれに言たまひけるはモアブ人をなやますなかれまた之を攻て戰ふなかれ彼らの地をば我なんぢらの產業に與へじ其は我ロトの子孫にアルをあたへて產業となさしめたればなりと 005 DEU 002 010 (昔エミ人ここに住り是民は大にして數多くアナク人のごとくに身長高かり 005 DEU 002 011 アナク人とおなじくレバイムと呼なされたりしがモアブ人はこれをエミ人とよべり 005 DEU 002 012 ホリ人もまた昔セイルに住をりしがエサウの子孫これを逐滅し之にかはりて其處に住りイスラエルがヱホバに賜はりしその產業の地になせるが如し) 005 DEU 002 013 茲に汝等今たちあがりゼレデ川を渉れとありければ我らすなはちゼレデ川を渉れり 005 DEU 002 014 カデシバルネアを出てよりゼレデ川を渉るまでの間の日は三十八年にしてその代の軍人はみな亡果て營中にあらずなりぬヱホバのかれらに誓ひたまひし如し 005 DEU 002 015 誠にヱホバ手をもて之を攻めこれを營中より滅ぼしたまひければ終にみな亡はてたり 005 DEU 002 016 かく軍人みなその民の中より死亡たる時にあたりて 005 DEU 002 017 ヱホバ我に告て言たまひけらく 005 DEU 002 018 汝は今日モアブの境なるアルを通らんとす 005 DEU 002 019 汝アンモンの子孫に近く時に之をなやます勿れ之を攻るなかれアンモンの子孫の地は我これを汝らの產業に與へじ其は我これをロトの子孫にあたへて產業となさしめたればなり 005 DEU 002 020 (是もまたレバイムの國とよびなされたり昔レバイムここに住ゐたればなりアンモン人はかれらをザムズミ人とよべり 005 DEU 002 021 この民は大にして數多くアナク人のごとくに身長たかかりしがヱホバ、アンモン人の前に之を滅ぼしたまひたればアンモン人これを逐はらひて之にかはりて住り 005 DEU 002 022 その事はセイルに住るエサウの子孫の前にホリ人を滅ぼしたまひしが如し彼らはホリ人を逐はらひ之にかはりて今日まで其處に住をるなり 005 DEU 002 023 カフトルより出たるカフトリ人はまたかの村々に住ひてガザにまで到るととろのアビ人を滅ぼし之にかはりて其處に居る) 005 DEU 002 024 汝ら起あがり進みてアルノン河を渉れ我ヘシボンの王アモリ人シホンとこれが國を汝らの手に付す進んで之を獲よ彼を攻て戰へ 005 DEU 002 025 今日我一天下の國人に汝を畏ぢ汝を懼れしめん彼らは汝の名聲を聞て慄ひ汝の爲に心を苦めんと 005 DEU 002 026 茲に我ケデモテの曠野よりヘシボンの王シホンに使者をおくり和好の言を述しめたり云く 005 DEU 002 027 我に汝の國を通らしめよ我は大路を通りて行ん右にも左にも轉らじ 005 DEU 002 028 汝金をとりて食物を我に賣て食はせ金をとりて水を我にあたへて飮せよ我はただ徒歩にて通らんのみ 005 DEU 002 029 セイルに住るエサウの子孫とアルに住るモアブ人とが我になしたる如くせよ然せば我はヨルダンを濟りて我らの神ヱホバの我らに賜ひし地にいたらんと 005 DEU 002 030 然るにヘシボンの王シホンは我らの通ることを容さざりき是は汝の神ヱホバ彼を汝の手に付さんとてその氣を頑梗しその心を剛愎にしたまひたればなり今日見るが如し 005 DEU 002 031 時にヱホバ我に言たまひけるは視よ我いまシホンとこれが地を汝に與へんとす進んでその地を獲て汝の產業とせよと 005 DEU 002 032 茲にシホンその民をことごとく率ゐて出きたりヤハヅに於て戰ひけるが 005 DEU 002 033 我らの神ヱホバ彼をわれらに付したまひたれば我らかれとその子等とその一切の民を撃殺せり 005 DEU 002 034 その時に我らは彼の邑々を盡く取りその一切の邑の男女および兒童を滅して一人をも遺さざりき 005 DEU 002 035 只その家畜および邑々より取たる掠取物は我らこれを獲て自分の物となせり 005 DEU 002 036 アルノンの河邊のアロエルおよび河の傍なる邑よりギレアデにいたるまで我らの攻取がたき邑とては一もあらざりき我らの神ヱホバこれを盡くわれらに付したまへり 005 DEU 002 037 第アンモンの子孫の地ヤボク川の全岸山地の邑々など凡てわれらの神ヱホバが我らの往を禁じたまへる處には汝いたらざりき 005 DEU 003 001 斯てわれら身をめぐらしてバシヤンの路に上り行けるにバシヤンの王オグその民をことごとく率ゐ出てエデレイに戰はんとせり 005 DEU 003 002 時にヱホバわれに言たまひけらく彼を懼るるなかれ我かれとその一切の民とその地とを汝の手に付さん汝かのヘシボンに住たるアモリ人の王シホンになせし如く彼に爲べしと 005 DEU 003 003 我らの神ヱホバすなはちバシヤンの王オグとその一切の民を我らの手に付したまひしかば我ら之を撃ころして一人をも遺さざりき 005 DEU 003 004 その時に我らこれが邑々をことごとく取り取ざる邑は一も有ざりきその取る邑は六十是すなはちアルゴブの地にしてバシヤンにおけるオグの國なり 005 DEU 003 005 この邑々はみな高き石垣あり門あり關ありて堅固なりき外にまた石垣あらざる邑甚だ多くありき 005 DEU 003 006 我らはヘシボンの王シホンになせし如く之を滅しその一切の邑の男女および兒童をことごとく滅せり 005 DEU 003 007 惟その一切の家畜とその邑々よりの掠取物とはこれを獲てわれらの物となせり 005 DEU 003 008 その時我らヨルダンの此旁の地をアルノン河よりヘルモン山までアモリ人の王二人の手より取り 005 DEU 003 009 (ヘルモンはシドン人これをシリオンと呼びアモリ人これをセニルと呼ぶ) 005 DEU 003 010 すなはち平野の一切の邑ギレアデの全地バシヤンの全地サルカおよびエデレイなどバシヤンに於るオグの國をことごとく取り 005 DEU 003 011 彼レバイムの遺れる者はバシヤンの王オグ只一人なりき彼の寝臺は鐵の寝臺なりき是は今なほアンモンの子孫のラバにあるに非ずや人の肘によれば是はその長九キユビトその寛四キユビトあり 005 DEU 003 012 その時に我らこの地を獲たりしがアルノン河の邊なるアロエルよりの地とギレアデの山地の半とその中の邑々とは我これをルベン人とガド人に與へたり 005 DEU 003 013 またオグの國なりしギレアデの殘餘の地とバシヤンの全地とは我これをマナセの半支派に與へたりアルゴブの全地すなはちバシヤンの全體はレバイムの國と稱へらる 005 DEU 003 014 マナセの子ヤイルはアルゴブの全地を取てゲシユルの境界とマアカの境界にまで至り自分の名にしたがひてバシヤンをハヲテヤイルと名けたりその名今日にいたる 005 DEU 003 015 またマキルには我ギレアデを與へ 005 DEU 003 016 ルベン人とガド人にはギレアデよりアルノン河までを與へその河の眞中をもて界となしまたアンモンの子孫の地の界なるヤボク河にまで至り 005 DEU 003 017 またアラバおよびヨルダンとその邊の地をキンネレテよりアラバの海すなはち鹽海まで之にあたへて東の方ピスガの麓にいたる 005 DEU 003 018 その時我なんぢらに命じて言り汝らの神ヱホバこの地を汝らに與へて產業となさしめたまへば汝ら軍人に身をよろひて汝らの兄弟なるイスラエルの子孫に先だちて渉りゆくべし 005 DEU 003 019 但し汝らの妻と子女と家畜は我が汝らに與へし邑に止るべし我なんぢらが衆多の家畜を有を知なり 005 DEU 003 020 ヱホバなんぢらに賜ひしごとく汝らの兄弟にも安息を賜ひて彼らもまたヨルダンの彼旁にて汝らの神ヱホバにたまはるところの地を獲て產業となすに至らば汝らおのおの我なんぢらに與へし產業に歸るべし 005 DEU 003 021 かの時に我ヨシユアに命じて言り汝はこの二人の王に汝らの神ヱホバのおこなひたまふ所の事を目に視たりヱホバまた汝が往ところの諸の國にも斯のごとく行ひたまはん 005 DEU 003 022 汝これを懼るる勿れ汝らの神ヱホバ汝らのために戰ひたまはんと 005 DEU 003 023 當時われヱホバに求めて言り 005 DEU 003 024 主ヱホバよ汝は汝の大なる事と汝の強き手を僕に見すことを始めたまへり天にても地にても何の神か能なんぢの如き事業を爲し汝のごとき能力を有んや 005 DEU 003 025 願くは我をして渉りゆかしめヨルダンの彼旁なる美地美山およびレバノンを見ことを得させたまへと 005 DEU 003 026 然るにヱホバなんぢらの故をもて我を怒り我に聽ことを爲たまはずヱホバすなはち我に言たまひけるは旣に足りこの事を重て我に言なかれ 005 DEU 003 027 汝ビスガの嶺にのぼり目を擧て西北南東を望み汝の目をもて其地を觀よ汝はヨルダンを濟ることを得ざるべければなり 005 DEU 003 028 汝ヨシユアに命じ之に力をつけ之を堅うせよ其はこの民を率ゐて渉りゆき之に汝が見るところの地を獲さする者は彼なればなりと 005 DEU 003 029 かくて我らはベテベオルに對する谷に居る 005 DEU 004 001 今イスラエルよ我が汝らに敎ふる法度と律法を聽てこれを行へ然せば汝らは生ることを得汝らの先祖の神ヱホバの汝らに賜ふ地にいりて之を產業となすを得べし 005 DEU 004 002 我が汝らに命ずる言は汝らこれを増しまたは減すべからず我が汝らに命ずる汝らの神ヱホバの命令を守るべし 005 DEU 004 003 汝らはヱホバがバアルペオルの事によりて行ひたまひし所を目に觀たり即ちバアルペオルに從ひたる人々は汝の神ヱホバことごとく之を汝らの中間より滅し去たまひしが 005 DEU 004 004 汝らの神ヱホバに附て離れざりし汝等はみな今日までも生ながらへ居るなり 005 DEU 004 005 我はわが神ヱホバの我に命じたまひし如くに法度と律法を汝らに敎へ汝らをしてその往て獲ところの地において之を行はしめんとせり 005 DEU 004 006 然ば汝ら之を守り行ふべし然する事は國々の民の目の前において汝らの智慧たり汝らの知識たるなり彼らこの諸の法度を聞て言んこの大なる國人は必ず智慧あり知識ある民なりと 005 DEU 004 007 われらの神ヱホバは我らがこれに龥もとむるに常に我らに近く在すなり何の國人か斯のごとく大にして神これに近く在すぞ 005 DEU 004 008 また何の國人か斯のごとく大にして今日我が汝らの前に立るこの一切の律法の如き正しき法度と律法とを有るぞ 005 DEU 004 009 汝深く自ら愼み汝の心を善く守れ恐くは汝その目に觀たる事を忘れん恐くは汝らの生存らふる日の中に其等の事汝の心を離れん汝それらの事を汝の子汝の孫に敎へよ 005 DEU 004 010 汝がホレブにおいて汝の神ヱホバの前に立る日にヱホバわれに言たまひけらく我ために民を集めよ我これに吾言を聽しめ之をしてその世に存らふる日の間我を畏るることを學ばせまたその子女を敎ふることを爲しめんとすと 005 DEU 004 011 是において汝らは前みよりて山の麓に立ちけるが山は火にて燒てその燄は中天に沖り暗くして雲あり黑雲深かりき 005 DEU 004 012 時にヱホバ火の中より汝らに言ひたまひしが汝らは言詞の聲を聞る而已にて聲の外は何の像をも見ざりし 005 DEU 004 013 ヱホバすなはち其契約を汝らに述て汝らに之を守れと命じたまへり是すなはち十誡にしてヱホバこれを二枚の石の板に書したまふ 005 DEU 004 014 かの時にヱホバ我に命じて汝らに法度と律法を敎へしめたまへり是汝らにその往て獲ところの地にて之を爲しめんとてなりき 005 DEU 004 015 ホレブにおいてヱホバ火の中より汝らに言ひたまひし日には汝ら何の像をも見ざりしなり然ば汝ら深く自ら愼み 005 DEU 004 016 道をあやまりて自己のために偶像を刻む勿れ物の像は男の形にもあれ女の形にもあれ凡て造るなかれ 005 DEU 004 017 即ち地の上にをる諸の獣の像空に飛ぶ諸の鳥の像 005 DEU 004 018 地に匍ふもろもろの物の像地の下の水の中に居る諸の魚の像など凡て造る勿れ 005 DEU 004 019 汝目をあげて天を望み日月星辰など凡て天の衆群を觀誘はれてこれを拝み之に事ふる勿れ是は汝の神ヱホバが一天下の萬國の人々に分ちたまひし者なり 005 DEU 004 020 ヱホバ汝らを取り汝らを鐵の爐の中すなはちエジプトより導きいだして自己の產業の民となしたまへること今日のごとし 005 DEU 004 021 然るにヱホバなんぢらの故によりて我を怒り我はヨルダンを濟りゆくことを得ずまた汝の神ヱホバが汝の產業に賜ひしその美地に入ことを得ずと誓ひたまへり 005 DEU 004 022 我はこの地に死ざるを得ず我はヨルダンを濟りゆくことあたはずなんぢらは濟りゆきて之を獲て產業となすことを得ん 005 DEU 004 023 汝ら自ら愼み汝らの神ヱホバが汝らに立たまひし契約を忘れて汝の神ヱホバの禁じたまふ偶像など凡て物の像を刻むことを爲なかれ 005 DEU 004 024 汝の神ヱホバは燬盡す火嫉妬神なり 005 DEU 004 025 汝ら子を擧け孫を得てその地に長く居におよびて若し道をあやまりて偶像など凡て物の像を刻み汝の神ヱホバの惡と觀たまふ事をなしてその震怒を惹おこすことあらば 005 DEU 004 026 我今日天と地を呼て證となす汝らはかならずそのヨルダンを濟りゆきて獲たる地より速かに滅亡うせん汝らはその上に汝らの日を永うする能はず必ず滅びうせん 005 DEU 004 027 ヱホバなんぢらを國々に散したまべしヱホバの汝らを逐やりたまふ國々の中に汝らの遺る者はその數寡なからん 005 DEU 004 028 其處にて汝らは人の手の作なる見ことも聞ことも食ふことも嗅こともなき木や石の神々に事へん 005 DEU 004 029 但しまた其處にて汝その神ヱホバを求むるあらんに若し心をつくし精神を盡してこれを求めなば之に遇ん 005 DEU 004 030 後の日にいたりて汝艱難にあひて此もろもろの事の汝に臨まん時に汝もしその神ヱホバにたち歸りてその言にしたがはば 005 DEU 004 031 汝の神ヱホバは慈悲ある神なれば汝を棄ず汝を滅さずまた汝の先祖に誓ひたりし契約を忘れたまはざるべし 005 DEU 004 032 試に問へ汝の前に過さりし日神が地の上に人を造りたまひし日より已來天の此極より彼極までに曾て斯のごとき大なる事ありしや是のごとき事の聞えたる事ありしや 005 DEU 004 033 曾て人神が火の中より言ふ聲を汝らが聞るごとくに聞て尚生る者ありしや 005 DEU 004 034 汝らの神ヱホバがエジプトにおいて汝らの目の前にて汝らの爲に諸の事を爲たまひし如く曾て試探と徴證と奇蹟と戰爭と強き手と伸たる腕と大なる恐嚇をもて來りこの民をかの民の中より領いださんとせし神ありしや 005 DEU 004 035 汝にこの事を示ししはヱホバはすなはち神にしてその外には有ことなしと汝に知しめんがためなりき 005 DEU 004 036 汝を敎へんためにヱホバ天より汝に聲を聞しめ地に於てはまたその大なる火を汝に示したまへり即ち汝はその言の火の中より出るを聞り 005 DEU 004 037 ヱホバ汝の先祖等を愛したまひしが故にその後の子孫を選び大なる能力をもて親ら汝をエジプトより導き出したまひ 005 DEU 004 038 汝よりも大にして強き國々の民を汝の前より逐はらひ汝をその地に導きいりて之を汝の產業に與へんとしたまふこと今日のごとくなり 005 DEU 004 039 然ば汝今日知て心に思念べし上は天下は地においてヱホバは神にいましその外には神有こと無し 005 DEU 004 040 今日わが汝に命ずるヱホバの法度と命令を守るべし然せば汝と汝の後の子孫祥を得汝の神ヱホバの汝にたまふ地において汝その日を永うすることを得て疆なからん 005 DEU 004 041 斯てモーセ、ヨルダンの此旁日の出る方にないて邑三を別てり 005 DEU 004 042 是素より怨なきに誤りて人を殺せる者をして其處に逃れしむる爲なり其邑の一に逃るる時はその人生命を全うするを得べし 005 DEU 004 043 即ち一は曠野の内の平野にあるベゼル是はルベン人のためなり一はギレアデのラモテ是はガド人のためなり一はバシヤンのゴラン是はマナセ人のためなり 005 DEU 004 044 モーセがイスラエルの子孫の前に示しし律法は是なり 005 DEU 004 045 イスラエルの子孫のエジプトより出たる後モーセこの誡命と法度と律法を之に述たり 005 DEU 004 046 即ちヨルダンの此旁なるアモリ人の王シホンの地にありベテペオルに對する谷に於て之を述たりシホンはヘシボンに住をりしがモーセとイスラエルの子孫エジプトより出きたりし後これを撃ほろぼして 005 DEU 004 047 之が地を獲またバシヤンの王オグの地を獲たり彼ら二人はアモリ人の王にしてヨルダンの此旁日の出る方に居り 005 DEU 004 048 その獲たる地はアルノン河の邊なるアロエルよりヘルモンといふシオン山にいたり 005 DEU 004 049 ヨルダンの此旁すなはちその東の方なるアラバの全部を括てアラバの鹽海に達しピスガの麓におよべり 005 DEU 005 001 茲にモーセ、イスラエルをことごとく召て之に言ふイスラエルよ今日我がなんぢらの耳に語るところの法度と律法とを聽きこれを學びこれを守りて行へよ 005 DEU 005 002 我らの神ヱホバ、ホレブに於て我らと契約を結びたまへり 005 DEU 005 003 この契約はヱホバわれらの先祖等とは結ばずして我ら今日此に生存へをる者と結びたまへり 005 DEU 005 004 ヱホバ山において火の中より汝らと面をあはせて言ひたまひしが 005 DEU 005 005 その時我はヱホバと汝らの間にたちてヱホバの言を汝らに傳へたり汝ら火に懼れて山にのぼり得ざりければなり 005 DEU 005 006 ヱホバすなはち言たまひけらく我は汝の神ヱホバ汝をエジプトの地その奴隸たる家より導き出せし者なり 005 DEU 005 007 汝わが面の前に我の外何物をも神とすべからず 005 DEU 005 008 汝自己のために何の偶像をも彫むべからず又上は天にある者下は地にある者ならびに地の下の水の中にある者の何の形状をも作るべからず 005 DEU 005 009 之を拝むべからず之に事ふべからず我ヱホバ汝の神は嫉む神なれば我を惡む者にむかひては父の罪を子に報いて三四代におよぼし 005 DEU 005 010 我を愛しわが誡命を守る者には恩惠を施して千代にいたるなり 005 DEU 005 011 汝の神ヱホバの名を妄に口にあぐべからずヱホバは己の名を妄に口にあぐる者を罰せではおかざるべし 005 DEU 005 012 安息日を守りて之を聖潔すること汝の神ヱホバの汝に命ぜしごとくすべし 005 DEU 005 013 六日のあひだ勞きて汝の一切の業を爲べし 005 DEU 005 014 七日は汝の神ヱホバの安息なれば何の業務をも爲べからず汝も汝の男子女子も汝の僕婢も汝の牛驢馬も汝の諸の家畜も汝の門の中にをる他國の人も然り斯なんぢ僕婢をして汝とおなじく息ましむべし 005 DEU 005 015 汝誌ゆべし汝かつてエジプトの地に奴隸たりしに汝の神ヱホバ強き手と伸べたる腕とをもて其處より汝を導き出したまへり是をもて汝の神ヱホバなんぢに安息日を守れと命じたまふなり 005 DEU 005 016 汝の神ヱホバの汝に命じたまふごとく汝の父母を敬へ是汝の神ヱホバの汝に賜ふ地において汝の日の長からんため汝に祥のあらんためなり 005 DEU 005 017 汝殺す勿れ 005 DEU 005 018 汝姦淫する勿れ 005 DEU 005 019 汝盗むなかれ 005 DEU 005 020 汝その隣に對して虚妄の證據をたつる勿れ 005 DEU 005 021 汝その隣人の妻を貧るなかれまた隣人の家 田野 僕 婢牛 驢馬ならびに凡て汝の隣人の所有を貧るなかれ 005 DEU 005 022 是等の言をヱホバ山において火の中雲の中黑雲の中より大なる聲をもて汝らの全會衆に告たまひしが此外には言ことを爲ず之を二枚の石の版に書して我に授けたまへり 005 DEU 005 023 時にその山は火にて燒をりしが汝ら黑暗の中よりその聲の出るを聞におよびて汝らの支派の長および長老等我に進みよりて 005 DEU 005 024 言けるは視よ我らの神ヱホバその榮光とその大なる事を我らに示したまひて我らその聲の火の中より出るを聞り我ら今日ヱホバ人と言ひたまふてその人の尚生るを見る 005 DEU 005 025 我らなんぞ死にいたるべけんや此大なる火われらを燒ほろぼさんとするなり我らもし此上になほ我らの神ヱホバの聲を聞ば死べし 005 DEU 005 026 凡そ肉身の者の中誰か能く活神の火の中より言ひたまふ聲を我らのごとくに聞てなほ生る者あらんや 005 DEU 005 027 請ふ汝進みゆきて我らの神ヱホバの言たまふとこるを都て聽き我らの神ヱホバの汝に告給ふところを都て我らに告よ我ら聽て行はんと 005 DEU 005 028 ヱホバなんぢらが我に語れる言の聲を聞てヱホバ我に言たまひけるは我この民が汝に語れる言の聲を聞り彼らの言ところは皆善し 005 DEU 005 029 只願しきは彼等が斯のごとき心を懐いて恒に我を畏れ吾が誡命を守りてその身もその子孫も永く福祉を得にいたらん事なり 005 DEU 005 030 汝ゆきて彼らに言へ汝らおのおのその天幕にかへるべしと 005 DEU 005 031 然ど汝は此にて我傍に立て我なんぢに諸の誡命と法度と律法とを告しめさん汝これを彼らに敎へ我が彼らに與へて產業となさしむる地において彼らにこれを行はしむべしと 005 DEU 005 032 然ば汝らの神ヱホバの汝等に命じたまふごとくに汝ら謹みて行ふべし右にも左にも曲るべからず 005 DEU 005 033 汝らの神ヱホバの汝らに命じたまふ一切の道に歩め然せば汝らは生ることを得かつ福祉を得て汝らの產業とする地に汝らの日を長うすることを得ん 005 DEU 006 001 是すなはち汝らの神ヱホバが汝らに敎へよと命じたまふところの誡命と法度と律法とにして汝らがその濟りゆきて獲ところの地にて行ふべき者なり 005 DEU 006 002 是は汝と汝の子および汝の孫をしてその生命ながらふる日の間つねに汝の神ヱホバを畏れしめて我が汝らに命ずるその諸の法度と誡命とを守らしめんため又なんぢの日を永からしめんための者なり 005 DEU 006 003 然ばイスラエルよ聽て謹んでこれを行へ然せば汝は福祉を獲汝の先祖の神ヱホバの汝に言たまひしごとく乳と蜜の流るる國にて汝の數おほいに増ん 005 DEU 006 004 イスラエルよ聽け我らの神ヱホバは惟一のヱホバなり 005 DEU 006 005 汝心を盡し精神を盡し力を盡して汝の神ヱホバを愛すべし 005 DEU 006 006 今日わが汝に命ずる是らの言は汝これをその心にあらしめ 005 DEU 006 007 勤て汝の子等に敎へ家に坐する時も路を歩む時も寝る時も興る時もこれを語るべし 005 DEU 006 008 汝またこれを汝の手に結びて號となし汝の目の間におきて誌となし 005 DEU 006 009 また汝の家の柱と汝の門に書記すべし 005 DEU 006 010 汝の神ヱホバその汝の先祖アブラハム、イサク、ヤコブにむかひて汝に與んと誓ひたりし地に汝を入しめん時は汝をして汝が建たる者にあらざる大なる美しき邑々を得させ 005 DEU 006 011 汝が盈せるに非る諸の佳物を盈せる家を得させ汝が堀たる者にあらざる堀井を得させたまふべし汝は食ひて飽ん 005 DEU 006 012 然る時は汝愼め汝をエジプトの地奴隸たる家より導き出ししヱホバを忘るる勿れ 005 DEU 006 013 汝の神ヱホバを畏れてこれに事へその名を指て誓ふことをすべし 005 DEU 006 014 汝ら他の神々すなはち汝の四周なる民の神々に從ふべからず 005 DEU 006 015 汝らの中にいます汝の神ヱホバは嫉妬神なれば恐くは汝の神ヱホバ汝にむかひて怒を發し汝を地の面より滅し去たまはん 005 DEU 006 016 汝マツサにおいて試みしごとく汝の神ヱホバを試むるなかれ 005 DEU 006 017 汝らの神ヱホバの汝らに命じたまへる誡命と律法と法度とを汝ら謹みて守るべし 005 DEU 006 018 汝ヱホバの義と視善と視たまふ事を行ふべし然せば汝福祉を獲かつヱホバの汝の先祖に誓ひたまひしかの美地に入てこれを產業となすことを得ん 005 DEU 006 019 ヱホバまたその言たまひし如く汝の敵をことごとく汝の前より逐はらひたまはん 005 DEU 006 020 後の日に至りて汝の子なんぢに問てこの汝らの神ヱホバが汝らに命じたまひし誡命と法度と律法とは何のためなるやと言ば 005 DEU 006 021 汝その子に告て言べし我らは昔エジプトにありてパロの奴隸たりしがヱホバ強き手をもて我らをエジプトより導き出したまへり 005 DEU 006 022 即ちヱホバわれらの目の前において大なる畏るべき徴と奇蹟をエジプトとパロとその全家とに示したまひ 005 DEU 006 023 我らを其處より導き出して其曾て我等の先祖に誓ひし地に我らを入せて之を我らに與へたまへり 005 DEU 006 024 而してヱホバ我らにこの諸の法度を守れと命じたまふ是われらをして我らの神ヱホバを畏れて常に幸ならしめんため又ヱホバ今日のごとく我らを守りて生命を保たしめんとてなりき 005 DEU 006 025 我らもしその命ぜられたるごとく此一切の誡命を我らの神ヱホバの前に謹んで守らば是われらの義となるべしと 005 DEU 007 001 汝の神ヱホバ汝が往て獲べきところの地に汝を導きいり多の國々の民ヘテ人ギルガシ人アモリ人カナン人ペリジ人ヒビ人ヱブス人など汝よりも數多くして力ある七の民を汝の前より逐はらひたまはん時 005 DEU 007 002 すなはち汝の神ヱホバかれらを汝に付して汝にこれを撃せたまはん時は汝かれらをことごとく滅すべし彼らと何の契約をもなすべからず彼らを憫むべからず 005 DEU 007 003 また彼らと婚姻をなすべからず汝の女子を彼の男子に與ふべからず彼の女子を汝の男子に娶るべからず 005 DEU 007 004 其は彼ら汝の男子を惑はして我を離れしめ之をして他の神々に事へしむるありてヱホバこれがために汝らにむかひて怒を發し俄然に汝を滅したまふにいたるべければなり 005 DEU 007 005 汝らは反て斯かれらに行ふべし即ちかれらの壇を毀ちその偶像を打擢きそのアシラ像を斫たふし火をもてその雕像を焚べし 005 DEU 007 006 其は汝は汝の神ヱホバの聖民なればなり汝の神ヱホバは地の面の諸の民の中より汝を擇びて己の寶の民となしたまへり 005 DEU 007 007 ヱホバの汝らを愛し汝らを擇びたまひしは汝らが萬の民よりも數多かりしに因にあらず汝らは萬の民の中にて最も小き者なればなり 005 DEU 007 008 但ヱホバ汝らを愛するに因りまた汝らの先祖等に誓し誓を保たんとするに因てヱホバ強き手をもて汝らを導きいだし汝らを其奴隸たりし家よりエジプトの王パロの手より贖ひいだしたまへるなり 005 DEU 007 009 汝知べし汝の神ヱホバは神にましまし眞實の神にましまして之を愛しその誡命を守る者には契約を保ち恩惠をほどこして千代にいたり 005 DEU 007 010 また之を惡む者には覿面にその報をなしてこれを滅ぼしたまふヱホバは己を惡む者には緩ならず覿面にこれに報いたまふなり 005 DEU 007 011 然ば汝わが今日汝に命ずるところの誡命と法度と律法とを守りてこれを行ふべし 005 DEU 007 012 汝らもし是らの律法を聽きこれを守り行はば汝の神ヱホバ汝の先祖等に誓ひし契約を保ちて汝に恩惠をほどこしたまはん 005 DEU 007 013 即ち汝を愛し汝を惠み汝の數を増したまひその昔なんぢに與へんと汝らの先祖等に誓たりし地において汝の兒女をめぐみ汝の地の產物穀物酒油等を殖し汝の牛の產汝の羊の產を増たまふべし 005 DEU 007 014 汝は惠まるること萬の民に愈らん汝らの中および汝らの家畜の中には男も女も子なき者は無るべし 005 DEU 007 015 ヱホバまた諸の疾病を汝の身より除きたまひ汝らが知る彼のエジプトの惡き病を汝の身に臨ましめず但汝を惡む者に之を臨ませたまふべし 005 DEU 007 016 汝は汝の神ヱホバの汝に付したまはんところの民をことごとく滅しつくすべし彼らを憫み見べからずまた彼らの神に事ふべからずその事汝の罟となればなり 005 DEU 007 017 汝是らの民は我よりも衆ければ我いかでか之を逐はらふことを得んと心に謂ふか 005 DEU 007 018 汝かれらを懼るるなかれ汝の神ヱホバがパロとエジプトに爲たまひしところの事を善く憶えよ 005 DEU 007 019 即ち汝が眼に見たる大なる試煉と徴證と奇蹟と強き手と伸たる腕とを憶えよ汝の神ヱホバこれをもて汝を導き出したまへり是のごとく汝の神ヱホバまた汝が懼るる一切の民に爲たまふべし 005 DEU 007 020 即ち汝の神ヱホバ黄蜂を彼らの中に遣りて終に彼らの遺れる者と汝の面を避て匿れたる者とを滅したまはん 005 DEU 007 021 汝かれらを懼るる勿れ其は汝の神ヱホバ能力ある畏るべき神汝らの中にいませばなり 005 DEU 007 022 汝の神ヱホバ是等の國人を漸々に汝の前より逐はらひたまはん汝は急速に彼らを滅しつくす可らず恐くは野の獣殖て汝に逼らん 005 DEU 007 023 汝の神ヱホバかれらを汝に付し大にこれを惶れ慄かしめて終にこれを滅し盡し 005 DEU 007 024 彼らの王等を汝の手に付したまはん汝かれらの名を天が下より削るべし汝には當ることを得る者なくして汝つひに之を滅ぼし盡すに至らん 005 DEU 007 025 汝かれらの神の雕像を火にて焚べし之に著せたる銀あるひは金を貧るべからず之を己に取べからず恐くは汝これに因て罟にかからん是は汝の神ヱホバの憎みたまふ者なれば也 005 DEU 007 026 憎むべき物を汝の家に携へいるべからず恐くは汝も其ごとくに詛はるる者とならん汝これを大に忌み痛く嫌ふべし是は詛ふべき者なればなり 005 DEU 008 001 我が今日なんぢに命ずるところの諸の誡命を汝ら謹んで行ふべし然せば汝ら生ることを得かつ殖増しヱホバの汝の先祖等に誓たまひし地に入てこれを產業となすことを得ん 005 DEU 008 002 汝記念べし汝の神ヱホバこの四十年の間汝をして曠野の路に歩ましめたまへり是汝を苦しめて汝を試驗み汝の心の如何なるか汝がその誡命を守るや否やを知んためなりき 005 DEU 008 003 即ち汝を苦しめ汝を饑しめまた汝も知ず汝の先祖等も知ざるところのマナを汝らに食はせたまへり是人はパン而已にて生る者にあらず人はヱホバの口より出る言によりて生る者なりと汝に知しめんが爲なり 005 DEU 008 004 この四十年のあひだ汝の衣服は古びて朽ず汝の足は腫ざりし 005 DEU 008 005 汝また心に念ふべし人のその子を懲戒ごとく汝の神ヱホバも汝を懲戒たまふなり 005 DEU 008 006 汝の神ヱホバの誡命を守りその道にあゆみてこれを畏るべし 005 DEU 008 007 汝の神ヱホバ汝をして美地に到らしめたまふ是は谷にも山にも水の流あり泉あり瀦水ある地 005 DEU 008 008 小麥 大麥 葡萄 無花果および石榴ある地油 橄欖および蜜のある地 005 DEU 008 009 汝の食ふ食物に缺るところなく汝に何も乏しきところあらざる地なりその地の石はすなはち鐵その山よりは銅を掘とるべし 005 DEU 008 010 汝は食ひて飽き汝の神ヱホバにその美地を己にたまひし事を謝すべし 005 DEU 008 011 汝わが今日なんぢに命ずるヱホバの誡命と律法と法度とを守らずして汝の神ヱホバを忘るるにいたらざるやう愼めよ 005 DEU 008 012 汝食ひて飽き美しき家を建て住ふに至り 005 DEU 008 013 また汝の牛羊殖増し汝の金銀殖増し汝の所有みな殖増にいたらん時に 005 DEU 008 014 恐くは汝心に驕りて汝の神ヱホバを忘れんヱホバは汝をエジプトの地奴隸たる家より導き出し 005 DEU 008 015 汝をみちびきて彼の大にして畏るべき曠野すなはち蛇火の蛇蠍などありて水あらざる乾ける地を通り汝らのために堅き磐の中より水を出し 005 DEU 008 016 汝の先祖等の知ざるマナを曠野にて汝に食せたまへり是みな汝を苦しめ汝を試みて終に福祉を汝にたまはんとてなりき 005 DEU 008 017 汝我力とわが手の動作によりて我この資財を得たりと心に謂なかれ 005 DEU 008 018 汝の神ヱホバを憶えよ其はヱホバ汝に資財を得の力をたまふなればなり斯したまふは汝の先祖等に誓し契約を今日の如く行はんとてなり 005 DEU 008 019 汝もし汝の神ヱホバを忘れ果て他の神々に從がひ之に事へこれを拝むことを爲ば我今日汝らに證をなす汝らはかならず滅亡ん 005 DEU 008 020 ヱホバの汝らの前に滅ぼしたまひし國々の民のごとく汝らも滅亡べし是なんぢらの神ヱホバの聲に汝らしたがはざればなり 005 DEU 009 001 イスラエルよ聽け汝は今日ヨルダンを濟りゆき汝よりも大にして強き國々に入てこれを取んとすその邑々は大にして石垣は天に達り 005 DEU 009 002 その民は汝が知ところのアナクの子孫にして大くかつ身長たかし汝また人の言るを聞り云く誰かアナクの子孫の前に立ことを得んと 005 DEU 009 003 汝今日知る汝の神ヱホバは燬つくす火にましまして汝の前に進みたまふとヱホバかならず彼らを滅ぼし彼らを汝の前に攻伏たまはんヱホバの汝に言たまひし如く汝かれらを逐はらひ速かに彼らを滅ぼすべし 005 DEU 009 004 汝の神ヱホバ汝の前より彼らを逐はらひたまはん後に汝心に言なかれ云く我の義がためにヱホバ我をこの地に導きいりてこれを獲させたまへりとそはこの國々の民の惡きがためにヱホバ之を汝の前より逐はらひたまふなり 005 DEU 009 005 汝の往てその地を獲は汝の義きによるにあらず又なんぢの心の直によるに非ずこの國々の民惡きが故に汝の神ヱホバこれを汝の前より逐はらひたまふなりヱホバの斯したまふはまた汝の先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓たりし言を行はんとてなり 005 DEU 009 006 汝知る汝の神ヱホバの汝に此美地を與へて獲させたまふは汝の義きによるに非ず汝は項の強き民なればなり 005 DEU 009 007 汝曠野に於て汝の神ヱホバを怒せし事を憶えて忘るる勿れ汝らはエジプトの地を出し日より此處にいたる日まで常にヱホバに悖れり 005 DEU 009 008 ホレブにおいて汝らヱホバを怒せたればヱホバ汝らを怒りて汝らを滅ぼさんとしたまへり 005 DEU 009 009 かの時われ石の板すなはちヱホバの汝らに立たまへる契約を載る石の板を受んとて山に上り四十日四十夜山に居りパンも食ず水も飮ざりき 005 DEU 009 010 ヱホバ我に神の指をもて書しるしたる文字ある石の板二枚を授けたまへりその上には集會の日にヱホバが山において火の中より汝らに告たまひし言をことごとく載す 005 DEU 009 011 すなはち四十日四十夜過し時ヱホバ我にその契約を載る板なる石の板二枚を授け 005 DEU 009 012 而してヱホバ我に言たまひけるは汝起あがりて速かに此より下れ汝がエジプトより導き出しし民は惡き事を行ふなり彼らは早くもわが彼らに命ぜし道を離れて自己のために偶像を鋳造れりと 005 DEU 009 013 ヱホバまた我に言たまひけるは我この民を觀たり視よ是は項の強き民なり 005 DEU 009 014 我を阻むるなかれ我かれらを滅ぼしその名を天が下より抹さり汝をして彼らよりも強くまた大なる民とならしむべし 005 DEU 009 015 是に於て我身をめぐらして山を下りけるが山は火にて燒をる又その契約の板二枚はわが兩の手にあり 005 DEU 009 016 斯て我觀しに汝らはその神ヱホバにむかひて罪を犯し自己のために犢を鋳造りて早くもヱホバの汝らに命じたまひし道を離れたりしかば 005 DEU 009 017 我その二枚の板をとりてわが兩の手よりこれを擲ち汝らの目の前にこれを碎けり 005 DEU 009 018 而して我は前のごとく四十日四十夜ヱホバの前に伏て居りパンも食ず水も飮ざりき是は汝らヱホバの目の前に惡き事をおこなひ之を怒せて大に罪を獲たればなり 005 DEU 009 019 ヱホバ忿怒を發し憤恨をおこし汝らを怒りて滅ぼさんとしたまひしかば我懼れたりしが此度もまたヱホバ我に聽たまへり 005 DEU 009 020 ヱホバまた痛くアロンを怒りてこれを滅ぼさんとしたまひしかば我その時またアロンのために祈れり 005 DEU 009 021 斯て我なんぢらが作りて罪を犯しし犢を取り火をもて之を燒きこれを搗きこれを善く打碎きて細き塵となしその塵を山より流れ下るところの渓流に投棄たり 005 DEU 009 022 汝らはタベラ、マツサおよびキブロテハツタワにおいてもまたヱホバを怒らせたり 005 DEU 009 023 またヱホバ、カデシバルネアより汝らを遣さんとせし時言たまひけるは汝ら上りゆきて我がなんぢらに與ふる地を獲て產業とせよと然るに汝らはその神ヱホバの命に悖り之を信ぜずまたその言を聽ざりき 005 DEU 009 024 我が汝らを識し日より以來汝らは常にヱホバに悖りしなり 005 DEU 009 025 かの時ヱホバ汝らを滅さんと言たまひしに因て我最初に伏たる如く四十日四十夜ヱホバの前に伏し 005 DEU 009 026 ヱホバに祈りて言けるは主ヱホバよ汝その大なる權能をもて贖ひ強き手をもてエジプトより導き出しし汝の民汝の產業を滅したまふ勿れ 005 DEU 009 027 汝の僕アブラハム、イサク、ヤコブを念たまへ此民の剛愎と惡と罪とを鑑みたまふ勿れ 005 DEU 009 028 恐くは汝が我らを導き出したまひし國の人言んヱホバその約せし地にかれらを導きいること能はざるに因りまた彼らを惡むに因て彼らを導き出して曠野に殺せりと 005 DEU 009 029 抑かれらは汝の民汝の產業にして汝が強き能力をもて腕を伸て導き出したまひし者なり 005 DEU 010 001 かの時ヱホバ我に言たまひけるは汝石の板二枚を前のごとくに斫て作りまた木の櫃一箇を作りて山に登り來れ 005 DEU 010 002 汝が碎きしかの前の板に載たる言を我その板に書さん汝これをその櫃に蔵むべし 005 DEU 010 003 我すなはち合歓木をもて櫃一箇を作りまた石の板二枚を前のごとくに斫て作りその板二枚を手に執て山に登りしかば 005 DEU 010 004 ヱホバかの集會の日に山において火の中より汝らに告たるその十誡を前に書したるごとくその板に書し而してヱホバこれを我に授けたまへり 005 DEU 010 005 是に於て我身を轉らして山より下りその板を我が造りしかの櫃に蔵めたり今なほその中にありヱホバの我に命じたまへる如し 005 DEU 010 006 斯てイスラエルの子孫はヤカン人の井より出たちてモセラにいたれりアロン其處に死て其處に葬られその子エレアザルこれに代りて祭司となれり 005 DEU 010 007 又其處より出たちてグデゴダにいたりグデゴダより出たちてヨテバにいたれりこの地には水の流多かりき 005 DEU 010 008 かの時ヱホバ、レビの支派を區分てヱホバの契約の櫃を舁しめヱホバの前に立てこれに事へしめ又ヱホバの名をもて祝することを爲せたまへり其事今日にいたる 005 DEU 010 009 是をもてレビはその兄弟等の中に分なくまた產業なし惟ヱホバその產業たり汝の神ヱホバの彼に言たまへる如し 005 DEU 010 010 我は前の日數のごとく四十日四十夜山に居しがヱホバその時にもまた我に聽たまへりヱホバ汝を滅すことを好みたまはざりき 005 DEU 010 011 斯てヱホバ我に言たまひけるは汝起あがり民に先だちて進み行き彼らをして我が之に與へんとその先祖に誓ひたる地に入てこれを獲せしめよ 005 DEU 010 012 イスラエルよ今汝の神ヱホバの汝に要めたまふ事は何ぞや惟是のみ即ち汝がその神ヱホバを畏れその一切の道に歩み之を愛し心を盡し精神を盡して汝の神ヱホバに事へ 005 DEU 010 013 又我が今日汝らに命ずるヱホバの誡命と法度とを守りて身に福祉を得るの事のみ 005 DEU 010 014 夫天と諸天の天および地とその中にある者は皆汝の神ヱホバに屬す 005 DEU 010 015 然るにヱホバただ汝の先祖等を悦こびて之を愛しその後の子孫たる汝らを萬の民の中より選びたまへり今日のごとし 005 DEU 010 016 然ば汝ら心に割禮を行へ重て項を強くする勿れ 005 DEU 010 017 汝の神ヱホバは神の神主の主大にしてかつ權能ある畏るべき神にましまし人を偏り視ずまた賄賂を受ず 005 DEU 010 018 孤兒と寡婦のために審判を行ひまた旅客を愛してこれに食物と衣服を與へたまふ 005 DEU 010 019 汝ら旅客を愛すべし其は汝らもエジプトの國に旅客たりし事あればなり 005 DEU 010 020 汝の神ヱホバを畏れ之に事へこれに附從がひその名を指て誓ふことをすべし 005 DEU 010 021 彼は汝の讃べき者また汝の神にして汝が目に見たる此等の大なる畏るべき事業をなしたまへり 005 DEU 010 022 汝の先祖等は僅か七十人にてエジプトに下りたりしに今汝の神ヱホバ汝をして天空の星のごとくに多くならしめたまへり 005 DEU 011 001 然ば汝の神ヱホバを愛し常にその職守と法度と律法と誡命とを守るべし 005 DEU 011 002 汝らの子女は知ずまた見ざれば我これに言ず惟汝らに言ふ汝らは今日すでに汝らの神ヱホバの懲戒とその大なる事とその強き手とその伸たる腕とを知り 005 DEU 011 003 またそのエジプトの中においてエジプト王パロとその全國にむかひておこなひたまひし徴證と行爲とを知り 005 DEU 011 004 またヱホバがエジプトの軍勢とその馬とその車とに爲たまひし事すなはち彼らが汝らの後を追きたれる時に紅海の水を彼らの上に覆ひかからしめ之を滅ぼして今日までその跡方なからしめし事を知り 005 DEU 011 005 また此處にいたるまで曠野に於て汝らに爲たまひし事等を知り 005 DEU 011 006 またそのルベンの子孫なるエリアブの子等ダタンとアビラムに爲たまひし事すなはちイスラエルの全家の眞中において地その口を啓きて彼らとその家族とその天幕とその足下に立つ者とを呑つくしし事を知なり 005 DEU 011 007 即ち汝らはヱホバの行ひたまひし此諸の大なる作爲を目に覩たり 005 DEU 011 008 然ば汝ら我今日汝らに命ずる誡命を盡く守るべし然せば汝らは強くなり汝らが濟りゆきて獲んとする地にいりて之を獲ことを得 005 DEU 011 009 またヱホバが汝らと汝らの後の子孫にあたへんと汝らの先祖等に誓たまひし地乳と蜜との流るる國において汝らの日を長うすることを得ん 005 DEU 011 010 汝らが進みいりて獲んとする地は汝らが出來りしエジプトの地のごとくならず彼處にては汝ら種を播き足をもて之に灌漑げりその状蔬菜園におけるが如し 005 DEU 011 011 然ど汝らが濟りゆきて獲ところの地は山と谷の多き地にして天よりの雨水を吸ふなり 005 DEU 011 012 その地は汝の神ヱホバの顧みたまふ者にして年の始より年の終まで汝の神ヱホバの目常にその上に在り 005 DEU 011 013 汝らもし我今日なんぢらに命ずる吾命令を善守りて汝らの神ヱホバを愛し心を盡し精神を盡して之に事へなば 005 DEU 011 014 我なんぢらの地の雨を秋の雨春の雨ともに時に隨ひて降し汝らをしてその穀物を收入しめ且酒と油を獲せしめ 005 DEU 011 015 また汝の家畜のために野に草を生ぜしむべし汝は食ひて飽ん 005 DEU 011 016 汝ら自ら愼むべし心迷ひ翻へりて他の神々に事へこれを拝む勿れ 005 DEU 011 017 恐くはヱホバ汝らにむかひて怒を發して天を閉たまひ雨ふらず地物を生ぜずなりて汝らそのヱホバに賜れる美地より速かに滅亡るに至らん 005 DEU 011 018 汝ら是等の我言を汝らの心と魂との中に蔵めまた之を汝らの手に結びて徴となし汝らの目の間におきて誌となし 005 DEU 011 019 之をなんぢらの子等に敎へ家に坐する時も路を歩む時も寝る時も興る時もこれを語り 005 DEU 011 020 また汝の家の柱となんぢの門に之を書記べし 005 DEU 011 021 然せばヱホバが汝らの先祖等に與へんと誓ひたまひし地に汝らのをる日および汝らの子等のをる日は數多くして天の地を覆ふ日の久きが如くならん 005 DEU 011 022 汝らもし我が汝らに命ずる此一切の誡命を善く守りてこれを行ひ汝等の神ヱホバを愛しその一切の道に歩み之に附從がはば 005 DEU 011 023 ヱホバこの國々の民をことごとく汝らの前より逐はらひたまはん而して汝らは己よりも大にして能力ある國々を獲にいたるべし 005 DEU 011 024 凡そ汝らが足の蹠にて踏む處は皆汝らの有とならん即ち汝らの境界は曠野よりレバノンに亘りまたユフラテ河といふ河より西の海に亘るべし 005 DEU 011 025 汝らの前に立ことを得る人あらじ汝らの神ヱホバ汝らが踏いるところの地の人々をして汝らを怖ぢ汝らを畏れしめたまふこと其嘗て汝らに言たまひし如くならん 005 DEU 011 026 視よ我今日汝らの前に祝福と呪詛とを置く 005 DEU 011 027 汝らもし我が今日なんぢらに命ずる汝らの神ヱホバの誡命に遵はば祝福を得ん 005 DEU 011 028 汝らもし汝らの神ヱホバの誡命に遵はず翻へりて我が今日なんぢらに命ずる道を離れ素知ざりし他の神々に從がひなば呪詛を蒙らん 005 DEU 011 029 汝の神ヱホバ汝が往て獲んとする地に汝を導きいりたまふ時は汝ゲリジム山に祝福を置きエバル山に呪詛をおくべし 005 DEU 011 030 この二山はヨルダンの彼旁アラバに住るカナン人の地において日の出る方の道の後にありギルガルに對ひてモレの橡樹と相去こと遠らざるにあらずや 005 DEU 011 031 汝らはヨルダンを濟り汝らの神ヱホバの汝らに賜ふ地に進みいりて之を獲んとす必ずこれを獲て其處に住ことを得ん 005 DEU 011 032 然ば我が今日なんぢらに授くるところの法度と律法を汝らことごとく守りて行ふべし 005 DEU 012 001 是は汝の先祖等の神ヱホバの汝に與へて獲させたまふところの地において汝らが世に生存ふる日の間常に守り行ふべき法度と律法となり 005 DEU 012 002 汝らが逐はらふ國々の民がその神々に事へし處は山にある者も岡にある者も靑樹の下にある者もみな之を盡く毀ち 005 DEU 012 003 その壇を毀ちその柱を碎きそのアシラ像を火にて燒きまたその神々の雕像を斫倒して之が名をその處より絶去べし 005 DEU 012 004 但し汝らの神ヱホバには汝ら是のごとく爲べからず 005 DEU 012 005 汝らの神ヱホバがその名を置んとて汝らの支派の中より擇びたまふ處なるヱホバの住居を汝ら尋ね求めて其處にいたり 005 DEU 012 006 汝らの燔祭と犠牲汝らの什一と汝らの手の擧祭汝らの願還と自意の禮物および汝らの牛羊の首出等を汝ら其處に携へ詣り 005 DEU 012 007 其處にて汝らの神ヱホバの前に食をなし又汝らと汝らの家族皆その手を勞して獲たる物をもて快樂を取べし是なんぢの神ヱホバの祝福によりて獲たるものなればなり 005 DEU 012 008 汝ら彼處にては我らが今日此に爲ごとく各々その目に善と見ところを爲べからす 005 DEU 012 009 汝らは尚いまだ汝らの神ヱホバの賜ふ安息と產業にいたらざるなり 005 DEU 012 010 然ど汝らヨルダンを渡り汝らの神ヱホバの汝らに與へて獲させたまふ地に住にいたらん時またヱホバ汝らの周圍の敵を除き汝らに安息を賜ひて汝等安泰に住ふにいたらん時は 005 DEU 012 011 汝らの神ヱホバその名を置んために一の處を擇びたまはん汝ら其處に我が命ずる物を都て携へゆくべし即ち汝らの燔祭と犠牲と汝らの什一と汝らの手の擧祭および汝らがヱホバに誓願をたてて献んと誓ひし一切の佳物とを携へいたるべし 005 DEU 012 012 汝らは汝らの男子女子僕婢とともに汝らの神ヱホバの前に樂むべしまた汝らの門の内にをるレビ人とも然すべし其は是は汝らの中間に分なく產業なき者なればなり 005 DEU 012 013 汝愼め凡て汝が自ら擇ぶ處にて燔祭を献ることをする勿れ 005 DEU 012 014 唯汝らの支派の一の中にヱホバの選びたまはんその處に於て汝燔祭を献げまた我が汝に命ずる一切の事を爲べし 005 DEU 012 015 彼處にては汝の神ヱホバの汝にたまふ祝福に循ひて汝その心に好む獣畜を汝の門の内に殺してその肉を食ふことを得即ち汚れたる人も潔き人もこれを食ふを得ること羚羊と牡鹿に於けるが如し 005 DEU 012 016 但しその血は食ふべからず水の如くにこれを地に灌ぐべし 005 DEU 012 017 汝の穀物と酒と油の什一および汝の牛羊の首出ならびに汝が立し誓願を還すための禮物と汝の自意の禮物および汝の手の擧祭の品は汝これを汝の門の内に食ふべからず 005 DEU 012 018 汝の神ヱホバの選びたまふ處において汝の神ヱホバの前に汝これを食ふべし即ち汝の男子女子僕婢および汝の門の内にをるレビ人とともに之を食ひ汝の手を勞して獲たる一切の物をもて汝の神ヱホバの前に快樂を取べし 005 DEU 012 019 汝愼め汝が世に生存ふる日の間レビ人を棄る勿れ 005 DEU 012 020 汝の神ヱホバ汝に言しごとくに汝の境界を廣くしたまふに及び汝心に肉を食ふことを欲して言ん我肉を食はんと然る時は汝すべてその心に好む肉を食ふことを得べし 005 DEU 012 021 もし汝の神ヱホバのその名を置んとて擇びたまへる處汝と離るること遠からば我が汝に命ぜし如く汝そのヱホバに賜はれる牛羊を宰り汝の門の内にて凡てその心に好む者を食ふべし 005 DEU 012 022 牡鹿と羚羊を食ふがごとく汝これを食ふことを得汚れたる者も潔き者も均くこれを食ふことを得るなり 005 DEU 012 023 唯堅く愼みてその血を食はざれ血はこれが生命なればなり汝その生命を肉とともに食ふべからず 005 DEU 012 024 汝これを食ふ勿れ水のごとくにこれを地に灌ぐべし 005 DEU 012 025 汝血を食はざれ汝もし斯ヱホバの善と觀たをふ事を爲ば汝の身と汝の後の子孫とに福祉あらん 005 DEU 012 026 唯汝の献げたる聖物と誓願の物とはこれをヱホバの擇びたまふ處に携へゆくべし 005 DEU 012 027 汝燔祭を献る時はその肉と血を汝の神ヱホバの壇に供ふべくまた犠牲を献る時はその血を汝の神ヱホバの壇の上に灌ぎその肉を食ふべし 005 DEU 012 028 わが汝に命ずる是等の言を汝聽て守れ汝かく汝の神ヱホバの善と觀正と觀たまふ事を爲ば汝と汝の後の子孫に永く福祉あらん 005 DEU 012 029 汝の神ヱホバ汝が往て逐はらはんとする國々の民を汝の前より絶去たまひて汝つひにその國々を獲てその地に住にいたらん時は 005 DEU 012 030 汝みづから愼め彼らが汝の前に亡びたる後汝かれらに倣ひて罟にかかる勿れまた彼らの神を尋求めこの國々の民は如何なる樣にてその神々に事へたるか我もその如くにせんと言ことなかれ 005 DEU 012 031 汝の神ヱホバに向ひては汝然す可らず彼らはヱホバの忌かつ憎みたまふ諸の事をその神にむかひて爲しその男子女子をさへ火にて焚てその神々に献げたり 005 DEU 012 032 我が汝らに命ずるこの一切の言をなんぢら守りて行ふべし汝これを増なかれまた之を減すなかれ 005 DEU 013 001 汝らの中に預言者あるひは夢者興りて徴證と奇蹟を汝に見し 005 DEU 013 002 汝に告て我らは今より汝と我とが是まで識ざりし他の神々に從ひて之に事へんと言ことあらんにその徴證または奇蹟これが言ごとく成とも 005 DEU 013 003 汝その預言者または夢者の言に聽したがふ勿れ其は汝等の神ヱホバ汝らが心を盡し精神を盡して汝らの神ヱホバを愛するや否やを知んとて斯なんぢらを試みたまふなればなり 005 DEU 013 004 汝らは汝らの神ヱホバに從ひて歩み之を畏れその誡命を守りその言に遵ひ之に事へこれに附從ふべし 005 DEU 013 005 その預言者または夢者をば殺すべし是は彼汝らをして汝らをエジプトの國より導き出し奴隸の家より贖ひ取たる汝らの神ヱホバに背かせんとし汝の神ヱホバの汝に歩めと命ぜし道より汝を誘ひ出さんとして語るに因てなり汝斯して汝の中より惡を除き去べし 005 DEU 013 006 汝の母の生る汝の兄弟または汝の男子女子または汝の懐の妻または汝と身命を共にする汝の友潜に汝を誘ひて言あらん汝も汝の先祖等も識ざりし他の神々に我ら往て事へん 005 DEU 013 007 即ち汝の周圍にある國々の神の或は汝に近く或は汝に遠くして地の此極より地の彼極までに鎮り坐る者に我ら事へんと斯言ことあるとも 005 DEU 013 008 汝これに從ふ勿れ之に聽なかれ之を惜み視る勿れ之を憐むなかれ之を庇ひ匿す勿れ 005 DEU 013 009 汝かならず之を殺すべし之を殺すには汝まづ之に手を下し然る後に民みな手を下すべし 005 DEU 013 010 彼はエジプトの國奴隸の家より汝を導き出したまひし汝の神ヱホバより汝を誘ひ離さんと求めたれば汝石をもて之を撃殺すべし 005 DEU 013 011 然せばイスラエルみな聞て懼れ重ねて斯る惡き事を汝らの中に行はざらん 005 DEU 013 012 汝聞に汝の神ヱホバの汝に與へて住しめたまへる汝の邑の一に 005 DEU 013 013 邪僻なる人々興り我らは今まで識ざりし他の神々に往て事へんと言てその邑に住む人を誘ひ惑はしたりと言あらば 005 DEU 013 014 汝これを尋ね探り善問べし若その事眞にその言確にして斯る憎むべき事汝らの中に行はれたらば 005 DEU 013 015 汝かならずその邑に住む者を刃にかけて撃ころしその邑とその中に居る一切の者およびその家畜を刃にかけて盡く撃ころすべし 005 DEU 013 016 またその中より獲たる掠取物は凡てこれをその衢に集め火をもてその邑とその一切の掠取物をことごとく焚て汝の神ヱホバに供ふべし是は永く荒邱となりて再び建なほさるること無るべきなり 005 DEU 013 017 斯汝この詛はれし物を少許も汝の手に附おく勿れ然せばヱホバその烈しき怒を靜め汝に慈悲を加へて汝を憐れみ汝の先祖等に誓ひしごとく汝の數を衆くしたまはん 005 DEU 013 018 汝もし汝の神ヱホバの言を聽き我が今日なんぢに命ずるその一切の誡命を守り汝の神ヱホバの善と觀たまふ事を行はば是のごとくなるべし 005 DEU 014 001 汝らは汝等の神ヱホバの子等なり汝ら死る者のために己が身に傷くべからずまた己が目の間にあたる頂の髮を剃べからず 005 DEU 014 002 其は汝は汝の神ヱホバの聖民なればなりヱホバは地の面の諸の民の中より汝を擇びて己の寶の民となし給へり 005 DEU 014 003 汝穢はしき物は何をも食ふ勿れ 005 DEU 014 004 汝らが食ふべき獣畜は是なり即ち牛 羊 山羊 005 DEU 014 005 牡鹿 羚羊 小鹿 麣 麞 麈 麖など 005 DEU 014 006 凡て獣畜の中蹄の分れ割て二つの蹄を成る反芻獣は汝ら之を食ふべし 005 DEU 014 007 但し反芻者と蹄の分れたる者の中汝らの食ふべからざる者は是なり即ち駱駝 兎および山鼠是らは反芻ども蹄わかれざれば汝らには汚れたる者なり 005 DEU 014 008 また豚是は蹄わかるれども反芻ことをせざれば汝らには汚たる者なり汝ら是等の物の肉を食ふべからずまたその死體に捫るべからず 005 DEU 014 009 水にをる諸の物の中是のごとき者を汝ら食ふべし即ち凡て翅と鱗のある者は皆汝ら之を食ふべし 005 DEU 014 010 凡て翅と鱗のあらざる者は汝らこれを食ふべからず是は汝らには汚たる者なり 005 DEU 014 011 また凡て潔き鳥は皆汝らこれを食ふべし 005 DEU 014 012 但し是等は食ふべからず即ち鵰黄鷹鳶 005 DEU 014 013 鸇鷹 黑鷹の類 005 DEU 014 014 各種の鴉の類 005 DEU 014 015 駝鳥 梟 鴎 雀鷹の類 005 DEU 014 016 鸛 鷺 白鳥 005 DEU 014 017 鸅鸕 大鷹 鵜 005 DEU 014 018 鶴 鸚鵡の類 鷸および蝙蝠 005 DEU 014 019 また凡て羽翼ありて匍ところの者は汝らには汚たる者なり汝らこれを食ふべからず 005 DEU 014 020 凡て羽翼をもて飛ところの潔き物は汝らこれを食ふべし 005 DEU 014 021 凡そ自ら死たる者は汝ら食ふべからず汝の門の内にをる他國の人に之を與へて食しかべし又これを異邦人に賣も可し汝は汝の神ヱホバの聖民なればなり汝山羊羔をその母の乳にて煮べからず 005 DEU 014 022 汝かならず年々に田畝に種蒔て獲ところの產物の什一を取べし 005 DEU 014 023 而して汝の神ヱホバの前すなはちヱホバのその名を置んとて擇びたまはん處において汝の穀物と酒と油の什一を食ひまた汝の牛羊の首出を食ひ斯して汝の神ヱホバを常に畏るることを學ぶべし 005 DEU 014 024 但しその路行に勝がたくして之を携へいたること能はざる時または汝の神ヱホバのその名を置んとて擇びたまへる處汝を離るること餘りに遠き時は汝もし汝の神ヱホバの恩惠に潤ふ身ならば 005 DEU 014 025 その物を金に易へその金を包みて手に執り汝の神ヱホバの擇びたまへる處に往き 005 DEU 014 026 凡て汝の心の好む物をその金に易べし即ち牛羊葡萄酒濃酒など凡て汝が心に欲する物をもとめ其處にて汝の神ヱホバの前にこれを食ひ汝と汝の家族ともに樂むべし 005 DEU 014 027 汝の門の内にをるレビ人を棄る勿れ是は汝の中間に分なく產業なき者なればなり 005 DEU 014 028 三年の末に到る毎にその年の產物の十分の一を盡く持出してこれを汝の門の内に儲蓄ふべし 005 DEU 014 029 然る時は汝の中間に分なく產業なきレビ人および汝の門の内にをる他國の人と孤子と寡婦など來りてこれを食ひて飽ん斯せば汝の神ヱホバ汝が手をもて爲ところの諸の事において汝に福祉を賜ふべし 005 DEU 015 001 七年の終に至るごとに汝放釋を行ふべし 005 DEU 015 002 その放釋の例は是のごとし凡てその鄰に貸ことを爲しその債主は之を放釋べしその鄰またはその兄弟にこれを督促べからず是はヱホバの放釋と稱へらるればなり 005 DEU 015 003 異國の人には汝これを督促ことを得されど汝の兄弟に貸たる物は汝の手よりこれを放釋べし 005 DEU 015 004 斯せば汝らの中間に貧者なからん其は汝の神ヱホバその汝に與へて產業となさしめたまふ地において大に汝を祝福たまふべければなり 005 DEU 015 005 只汝もし謹みて汝の神ヱホバの言に聽したがひ我が今日なんぢに命ずるこの誡命を盡く守り行ふに於ては是のごとくなるべし 005 DEU 015 006 汝の神ヱホバ汝に言しごとく汝を祝福たまふべければ汝は衆多の國人に貸ことを得べし然ど借こと有じまた汝は衆多の國人を治めん然ど彼らは汝を治むることあらじ 005 DEU 015 007 汝の神ヱホバの汝に賜ふ地において若汝の兄弟の貧き人汝の門の中にをらばその貧しき兄弟にむかひて汝の心を剛愎にする勿れまた汝の手を閉る勿れ 005 DEU 015 008 かならず汝の手をこれに開き必ずその要むる物をこれに貸あたへてこれが乏しきを補ふべし 005 DEU 015 009 汝愼め心に惡き念を起し第七年放釋の年近づけりと言て汝の貧き兄弟に目をかけざる勿れ汝もし斯之に何をも與へずしてその人これがために汝をヱホバに訴へなば汝罪を獲ん 005 DEU 015 010 汝かならず之に與ふることを爲べしまた之に與ふる時は心に惜むこと勿れ其は此事のために汝の神ヱホバ汝の諸の事業と汝の手の諸の働作とに於て汝を祝福たまふべければなり 005 DEU 015 011 貧き者は何時までも國にたゆること無るべければ我汝に命じて言ふ汝かならず汝の國の中なる汝の兄弟の困難者と貧乏者とに汝の手を開くべし 005 DEU 015 012 汝の兄弟たるヘブルの男またはヘブルの女汝の許に賣れたらんに若六年なんぢに事へたらば第七年に汝これを放ちて去しむべし 005 DEU 015 013 汝これを放ちて去しむる時は空手にて去しむべからず 005 DEU 015 014 汝の群と禾場と搾場の中より贈物を取て之が肩に負すべし即ち汝の神ヱホバの汝を祝福て賜ふところの物をこれに與ふべし 005 DEU 015 015 汝記憶べし汝はエジプトの國に奴隸たりしが汝の神ヱホバ汝を贖ひ出したまへり是故に我今日この事を汝に命ず 005 DEU 015 016 その人もし汝と汝の家を愛し汝と偕にをるを善として汝にむかひ我汝を離れて去を好まずと言ば 005 DEU 015 017 汝錐を取て彼の耳を戸に刺とほすべし然せば彼は永く汝の僕たるべし汝の婢にもまた是のごとくすべし 005 DEU 015 018 汝これを放ちて去しむるを難き事と見るべからず其は彼が六年汝に事へて働きしは工價を取る傭人の二倍に當ればなり汝斯なさば汝の神ヱホバ汝が凡て爲ところの事に於て汝をめぐみたまふべし 005 DEU 015 019 汝の牛羊の產る初子は皆これを聖別て汝の神ヱホバに歸せしむべし汝の牛の初子をもちゐて何の工作をも爲べからず又汝の羊の初子の毛を剪べからず 005 DEU 015 020 汝の神ヱホバの選びたまへる處にてヱホバの前に汝と汝の家族年々にこれを食ふべし 005 DEU 015 021 然どその畜もし疵ある者すなはち跛足盲目なるなど凡て惡き疵ある者なる時は汝の神ヱホバにこれを宰りて献ぐべからず 005 DEU 015 022 汝の門の内にこれを食ふべし汚れたる者も潔き者も均くこれを食ふを得ること牡鹿と羚羊のごとし 005 DEU 015 023 但しその血はこれを食ふべからず水のごとくにこれを地に灌ぐべし 005 DEU 016 001 汝アビブの月を守り汝の神ヱホバに對ひて逾越節を行なへ其はアビブの月に於て汝の神ヱホバ夜の間に汝をエジプトより導き出したまひたればなり 005 DEU 016 002 汝すなはちヱホバのその名を置んとて擇びたまふ處にて羊および牛を宰り汝の神ヱホバの前に逾越節をなすべし 005 DEU 016 003 酵いれたるパンを之とともに食ふべからず七日の間酵いれぬパン即ち憂患のパンを之とともに食ふべし其は汝エジプトの國より出る時は急ぎて出たればなり斯おこなひて汝その世に生存ふる日の間恒に汝がエジプトの國より出來し日を誌ゆべし 005 DEU 016 004 その七日の間は汝の四方の境の内にパン酵の見ること有しむべからず又なんぢが初の日の薄暮に宰りたる者の肉を翌朝まで存しおくべからず 005 DEU 016 005 汝の神ヱホバの汝に賜ふ汝の門の内にて逾越の牲畜を宰ることを爲べからず 005 DEU 016 006 惟汝の神ヱホバのその名を置んとて選びたまふ處にて汝薄暮の日の入る頃汝がエジプトより出たる時刻に逾越の牲畜を宰るべし 005 DEU 016 007 而して汝の神ヱホバの選びたまふ處にて汝これを燔て食ひ朝におよびて汝の天幕に歸り往くべし 005 DEU 016 008 汝六日の間酵いれぬパンを食ひ第七日に汝の神ヱホバの前に會を開くべし何の職業をも爲べからず 005 DEU 016 009 汝また七七日を計ふべし即ち穀物に鎌をいれ初る時よりしてその七七日を計へ始むべきなり 005 DEU 016 010 而して汝の神ヱホバの前に七週の節筵を行なひ汝の神ヱホバの汝を祝福たまふ所にしたがひ汝の力に應じてその心に願ふ禮物を献ぐべし 005 DEU 016 011 斯して汝と汝の男子女子僕婢および汝の門の内に居るレビ人ならびに汝らの中間にをる賓旅と孤子と寡婦みなともに汝の神ヱホバのその名を置んとて選びたまふ處にて汝の神ヱホバの前に樂むべし 005 DEU 016 012 汝その昔エジプトに奴隸たりしことを誌え是等の法度を守り行ふべし 005 DEU 016 013 汝禾場と搾場の物を収蔵たる時七日の間結茅節をおこなふべし 005 DEU 016 014 節筵をなす時には汝と汝の男子女子僕婢および汝の門の内なるレビ人賓旅孤子寡婦など皆ともに樂むべし 005 DEU 016 015 ヱホバの選びたまふ處にて汝七日の間なんぢの神ヱホバの前に節筵をなすべし汝の神ヱホバ汝の諸の產物と汝が手の諸の工事とについて汝を祝福たまふべければ汝かならず樂むことを爲べし 005 DEU 016 016 汝の中間の男は皆なんぢの神ヱホバの擇びたまふ處にて一年に三次即ち酵いれぬパンの節と七週の節と結茅の節とに於てヱホバの前に出べし但し空手にてヱホバの前に出べからず 005 DEU 016 017 各人汝の神ヱホバに賜はる恩惠にしたがひて其力におよぶ程の物を献ぐべし 005 DEU 016 018 汝の神ヱホバの汝に賜ふ一切の邑々に汝の支派に循がひて士師と官人を立べし彼らはまだ義き審判をもて民を審判べし 005 DEU 016 019 汝裁判を枉べからず人を偏視るべからずまた賄賂を取べからず賄賂は智者の目を暗まし義者の言を枉ればなり 005 DEU 016 020 汝ただ公義を而已求むべし然せば汝生存へて汝の神ヱホバの汝に賜ふ地を獲にいたらん 005 DEU 016 021 汝の神ヱホバのために築くところの壇の傍にアシラの木像を立べからず 005 DEU 016 022 また汝の神ヱホバの惡みたまふ偶像を己のために造るべからず 005 DEU 017 001 凡て疵あり惡き處ある牛羊は汝これを汝の神ヱホバに献ぐべからず斯る者は汝の神ヱホバの忌嫌ひたまふ者なればなり 005 DEU 017 002 汝の神ヱホバの汝に賜ふ邑々の中にて汝らの中間に若し或男または女汝の神ヱホバの目の前に惡事を行ひてその契約に悖り 005 DEU 017 003 往て他の神々に事へてこれを拝み我が命ぜざる日や月や天の衆群などを拝むあらんに 005 DEU 017 004 その事を汝に告る者ありて汝これを聞き細かにこれを査べ見るにその事眞にその言確にしてイスラエルの中に斯る憎むべき事行はれ居たらば 005 DEU 017 005 汝その惡き事を行へる男または女を汝の門に曳いだし石をもてその男または女を撃殺すべし 005 DEU 017 006 殺すべき者は二人の證人または三人の證人の口に依てこれを殺すべし惟一人の證人の口のみをもて之を殺すことは爲べからず 005 DEU 017 007 斯る者を殺すには證人まづその手を之に加へ然る後に民みなその手を加ふべし汝かく惡事を汝らの中より除くべし 005 DEU 017 008 汝の門の内に訟へ爭ふ事おこるに當りその事件もし血を相流す事または權理を相爭ふ事または互に相撃たる事などにして汝に裁判かぬる者ならば汝起あがりて汝の神ヱホバの選びたまふ處に上り往き 005 DEU 017 009 祭司なるレビ人と當時の士師とに詣りて問べし彼ら裁判の言詞を汝に示さん 005 DEU 017 010 ヱホバの選びたまふ處にて彼らが汝に示す命令の言のごとくに汝行ひ凡て彼らが汝に敎ふるごとくに愼みて爲べし 005 DEU 017 011 即ち故らが汝に敎ふる律法の命令に循がひ彼らが汝に告る裁判に依て行ふべし彼らが汝に示す言に違ふて右にも左にも偏るべからず 005 DEU 017 012 人もし自ら壇斷にしその汝の神ヱホバの前に立て事ふる祭司またはその士師に聽したがはざる有ばその人を殺しイスラエルの中より惡を除くべし 005 DEU 017 013 然せば民みな聞て畏れ重て壇斷に事をなさざらん 005 DEU 017 014 汝の神ヱホバの汝に賜ふ地に汝いたり之を獲て其處に住におよべる時汝もし我周圍の一切の國人のごとくに我も王をわが上に立んと言あらば 005 DEU 017 015 只なんぢの神ヱホバの選びたまふ人を汝の上にたてて王となすべしまた汝の上に王を立るには汝の兄弟の中の人をもてすべし汝の兄弟ならざる他國の人を汝の上に立べからず 005 DEU 017 016 但し王となれる者は馬を多く得んとすべからず又馬を多く得んために民を率てエジプトに還るべからず其はヱホバなんぢらに向ひて汝らはこの後かさねて此路に歸るべからずと宣ひたればなり 005 DEU 017 017 また妻を多くその身に有て心を迷すべからずまた金銀を己のために多く蓄積べからず 005 DEU 017 018 彼その國の位に坐するにいたらば祭司なるレビ人の前にある書よりしてこの律法を一の書に書寫さしめ 005 DEU 017 019 世に生存ふる日の間つねにこれを己の許に置て誦み斯してその神ヱホバを畏るることを學びこの律法の一切の言と是等の法度を守りて行ふべし 005 DEU 017 020 然せば彼の心その兄弟の上に高ぶること無くまたその誡命を離れて右にも左にもまがること無してその子女とともにその國においてイスラエルの中にその日を永うすることを得ん 005 DEU 018 001 祭司たるレビ人およびレビの支派は都てイスラエルの中に分なく產業なし彼らはヱホバの火祭の品とその產業の物を食ふべし 005 DEU 018 002 彼らはその兄弟の中間に產業を有じヱホバこれが產業たるたり即ちその曾て之に言たまひしが如し 005 DEU 018 003 祭司が民より受べき分は是なり即ち凡て犠牲を献ぐる者は牛にもあれ羊にもあれその肩と兩方の頬と胃とを祭司に與ふべし 005 DEU 018 004 また汝の穀物と酒と油の初および羊の毛の初をも之にあたふべし 005 DEU 018 005 其は汝の神ヱホバ汝の諸の支派の中より彼を選び出し彼とその子孫をして永くヱホバの名をもて立て奉事をなさしめたまへばなり 005 DEU 018 006 レビ人はイスラエルの全地の中何の處に居る者にもあれその寄寓たる汝の邑を出てヱホバの選びたま處に到るあらば 005 DEU 018 007 その人はヱホバの前に侍るその諸兄弟のレビ人とおなじくその神ヱホバの名をもて奉事をなすことを得べし 005 DEU 018 008 その人の得て食ふ分は彼らと同じ但しその父の遺業を賣て獲たる物はこの外に彼に屬す 005 DEU 018 009 汝の神ヱホバの汝に賜ふ池にいたるに及びて汝その國々の民の憎むべき行爲を倣ひ行ふなかれ 005 DEU 018 010 汝らの中間にその男子女子をして火の中を通らしむる者あるべからずまた卜筮する者邪法を行なふ者禁厭する者魔術を使ふ者 005 DEU 018 011 法印を結ぶ者憑鬼する者巫覡の業をなす者死人に詢ことをする者あるべからず 005 DEU 018 012 凡て是等の事を爲す者はヱホバこれを憎たまふ汝の神ヱホバが彼らを汝の前より逐はらひたまひしも是等の憎むべき事のありしに因てなり 005 DEU 018 013 汝の神ヱホバの前に汝完き者たれ 005 DEU 018 014 汝が逐はらふ故の國々の民は邪法師卜筮師などに聽ことをなせり然ど汝には汝の神ヱホバ然する事を許したまはず 005 DEU 018 015 汝の神ヱホバ汝の中汝の兄弟の中より我のごとき一箇の預言者を汝のために興したまはん汝ら之に聽ことをすべし 005 DEU 018 016 是まったく汝が集會の日にホレブにおいて汝の神ヱホバに求めたる所なり即ち汝言けらく我をして重てこの我神ヱホバの聲を聞しむる勿れまた重てこの大なる火を見さする勿れ恐くは我死んと 005 DEU 018 017 是においてヱホバ我に言たまひけるは彼らの言る所は善し 005 DEU 018 018 我かれら兄弟の中より汝のごとき一箇の預言者を彼らのために興し我言をその口に授けん我が彼に命ずる言を彼ことごとく彼らに告べし 005 DEU 018 019 凡て彼が吾名をもて語るところの吾言に聽したがはざる者は我これを罰せん 005 DEU 018 020 但し預言者もし我が語れと命ぜざる言を吾名をもて縦肆に語りまたは他の神々の名をもて語ることを爲すならばその預言者は殺さるべし 005 DEU 018 021 汝あるひは心に謂ん我ら如何にしてその言のヱホバの言たまふ者にあらざるを知んと 005 DEU 018 022 然ば若し預言者ありてヱホバの名をもて語ることをなすにその言就ずまた效あらざる時は是ヱホバの語りたまふ言にあらずしてその預言者が縦肆に語るところなり汝その預言者を畏るるに及ばす 005 DEU 019 001 汝の神ヱホバこの國々の民を滅し絶ち汝の神ヱホバこれが地を汝に賜ふて汝つひにこれを獲その邑々とその家々に住にいたる時は 005 DEU 019 002 汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地の中に三の邑を汝のために區別べし 005 DEU 019 003 而して汝これに道路を開きまた汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地の全體を三の區に分ち凡て人を殺せる者をして其處に逃れしむべし 005 DEU 019 004 人を殺せる者の彼處に逃れて生命を全うすべきその事は是のごとし即ち凡て素より惡むことも無く知ずしてその鄰人を殺せる者 005 DEU 019 005 例ば人木を伐んとてその鄰人とともに林に入り手に斧を執て木を斫んと撃おろす時にその頭の鐵柯より脱てその鄰人にあたりて之を死しめたるが如き是なり斯る人は是等の邑の一に逃れて生命を全うすべし 005 DEU 019 006 恐くは復仇する者心熱してその殺人者を追かけ道路長きにおいては遂に追しきて之を殺さん然るにその人は素より之を惡みたる者にあらざれば殺さるべき理あらざるなり 005 DEU 019 007 是をもて我なんぢに命じて三の邑を汝のために區別べしと言り 005 DEU 019 008 汝の神ヱホバ汝の先祖等に誓ひしごとく汝の境界を廣め汝の先祖等に與へんと言し地を盡く汝に賜ふにいたらん時 005 DEU 019 009 即ち汝我が今日なんぢに命ずるこの一切の誡命を守りてこれを行なひ汝の神ヱホバを愛し恒にその道に歩まん時はこの三の外にまた三の邑を増加ふべし 005 DEU 019 010 是汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地に辜なき者の血を流すこと無らんためなり斯せずばその血汝に歸せん 005 DEU 019 011 然どもし人その隣人を惡みて之を附覘ひ起かかり撃てその生命を傷ひて之を死しめ而してこの邑の一に逃れたる事あらば 005 DEU 019 012 その邑の長老等人を遣て之を其處より曳きたらしめ復仇者の手にこれを付して殺さしむべし 005 DEU 019 013 汝かれを憫み視るべからず辜なき者の血を流せる咎をイスラエルより除くべし然せば汝に福祉あらん 005 DEU 019 014 汝の神ヱホバの汝に與へて獲させたまふ地の中において汝が嗣ぐところの產業に汝の先人の定めたる汝の鄰の地界を侵すべからず 005 DEU 019 015 何の惡にもあれ凡てその犯すところの罪は只一人の證人によりて定むべからず二人の證人の口によりまたは三人の證人の口によりてその事を定むべし 005 DEU 019 016 もし偽妄の證人起りて某の人は惡事をなせりと言たつること有ば 005 DEU 019 017 その相爭ふ二人の者ヱホバの前に至り當時の祭司と士師の前に立べし 005 DEU 019 018 然る時士師詳細にこれを査べ視るにその證人もし偽妄の證人にしてその兄弟にむかひて虚妄の證をなしたる者なる時は 005 DEU 019 019 汝兄弟に彼が蒙らさんと謀れる所を彼に蒙らし斯して汝らの中より惡事を除くべし 005 DEU 019 020 然せばその遺れる者等聞て畏れその後かさねて斯る惡き事を汝らの中におこなはじ 005 DEU 019 021 汝憫み視ることをすべからず生命は生命眼は眼歯は歯手は手足は足をもて償はしむべし 005 DEU 020 001 汝その敵と戰はんとて出るに當り馬と車を見また汝よりも數多き民を見るもこれに懼るる勿れ其は汝をエジプトの國より導き上りし汝の神ヱホバなんぢとともに在せばなり 005 DEU 020 002 汝ら戰闘に臨む時は祭司進みいで民に告て 005 DEU 020 003 之に言べしイスラエルよ聽け汝らは今日なんぢらの敵と戰はんとて進み來れり心に臆する勿れ懼るるなかれ倉皇なかれ彼らに怖るなかれ 005 DEU 020 004 其は汝らの神ヱホバ汝らとともに行き汝らのために汝らの敵と戰ひて汝らを救ひたまふべければなりと 005 DEU 020 005 斯てまた有司等民に告て言べし誰か新しき家を建て之に移らざる者あるかその人は家に歸りゆくべし恐くは自己戰闘に死て他の人これに移らん 005 DEU 020 006 誰か菓物園を作りてその果を食はざる者あるかその人は家に歸りゆくべし恐くは自己戰闘に死て他の人これを食はん 005 DEU 020 007 誰か女と契りて之を娶らざる者あるかその人は家に歸りゆくべし恐くは自己戰闘に死て他の人これを娶らんと 005 DEU 020 008 有司等なほまた民に告て言べし誰か懼れて心に臆する者あるかその人は家に歸りゆくべし恐くはその兄弟たちの心これが心のごとく挫けんと 005 DEU 020 009 有司等かく民に告ることを終たらば軍勢の長等を立て民を率しむべし 005 DEU 020 010 汝ある邑に進みゆきて之を攻んとする時は先これに平穩に降ることを勸むべし 005 DEU 020 011 その邑もし平穩に降らんと答へてその門を汝に開かば其處なる民をして都て汝に貢を納しめ汝に事へしむべし 005 DEU 020 012 其もし平穩に汝に降ることを肯んぜずして汝と戰かはんとせば汝これを攻べし 005 DEU 020 013 而して汝の神ヱホバこれを汝の手に付したまふに至らば刃をもてその中の男を盡く撃殺すべし 005 DEU 020 014 惟その婦女嬰孩家畜および凡てその邑の中にて汝が奪ひ獲たる物は盡く己に取べし抑汝がその敵より奪ひ獲たる物は汝の神ヱホバの汝に賜ふ者なれば汝これをもて樂むべし 005 DEU 020 015 汝を離るることの遠き邑々すなはち是等の國々に屬せざるところの邑々には凡てかくのごとく行なふべし 005 DEU 020 016 但し汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふこの國々の邑々においては呼吸する者を一人も生し存べからず 005 DEU 020 017 即ちヘテ人 アモリ人 カナン人 ペリジ人 ヒビ人 ヱブス人などは汝かならずこれを滅ぼし盡して汝の神ヱホバの汝に命じたまへる如くすべし 005 DEU 020 018 斯するは彼らがその神々にむかひて行ふところの憎むべき事を汝らに敎へて之を倣ひおこなはしめ汝らをして汝らの神ヱホバに罪を獲せしむる事のなからんためなり 005 DEU 020 019 汝久しく邑を圍みて之を攻取んとする時においても斧を振ふて其處の樹を砍枯すべからず是は汝の食となるべき者なり且その城攻において田野の樹あに人のごとく汝の前に立ふさがらんや 005 DEU 020 020 但し果を結ばざる樹と知る樹はこれを砍り枯し汝と戰ふ邑にむかひて之をもて雲梯を築きその降るまで之を攻るも宜し 005 DEU 021 001 汝の神ヱホバの汝に與へて獲させたまふ地において若し人殺されて野に仆れをるあらんに之を殺せる者の誰なるかを知ざる時は 005 DEU 021 002 汝の長老等と士師等出きたりその人の殺されをる處よりその四周の邑々までを度るべし 005 DEU 021 003 而してその人の殺されをる處に最も近き邑すなはちその邑の長老等は未だ使はず未だ軛を負せて牽ざるところの少き牝牛を取り 005 DEU 021 004 邑の長老等その牝牛を耕すことも種蒔こともせざる流つきせぬ谷に牽ゆきその谷において牝牛の頸を折べし 005 DEU 021 005 その時は祭司たるレビの子孫等其處に進み來るべし彼らは汝の神ヱホバが選びて己に事へしめまたヱホバの名をもて祝することを爲しめたまふ者にて一切の訴訟と一切の爭競は彼らの口によりて決定るべきが故なり 005 DEU 021 006 而してその人の殺されをりし處に最も近き邑の長老等その谷にて頸を折たる牝牛の上において手を洗ひ 005 DEU 021 007 答へて言べし我らの手はこの血を流さず我らの目はこれを見ざりしなり 005 DEU 021 008 ヱホバよ汝が贖ひし汝の民イスラエルを赦したまへこの辜なき者の血を流せる罰を汝の民イスラエルの中に降したまふ勿れと斯せば彼らその血の罪を赦されん 005 DEU 021 009 汝かくヱホバの善と觀たまふ事をおこなひその辜なき者の血を流せる咎を汝らの中より除くべし 005 DEU 021 010 汝出て汝の敵と戰ふにあたり汝の神ヱホバこれを汝の手に付したまひて汝これを俘虜となしたる時 005 DEU 021 011 汝もしその俘虜の中に貌美しき女あるを見てこれを悦び取て妻となさんとせば 005 DEU 021 012 汝の家の中にこれを携へゆくべし而して彼はその髮を剃り爪を截り 005 DEU 021 013 まだ俘虜の衣服を脱すてて汝の家に居りその父母のために一月のあひだ哀哭べし然る後なんぢ故の處に入りてこれが夫となりこれを汝の妻とすべし 005 DEU 021 014 その後汝もし彼を好まずなりなば彼の心のままに去ゆかしむべし決して金のためにこれを賣べからず汝すでにこれを犯したれば之を嚴く待遇べからざるなり 005 DEU 021 015 人二人の妻ありてその一人は愛する者一人は惡む者ならんにその愛する者と惡む者の二人ともに男の子を生ありてその長子もし惡む婦の產る者なる時は 005 DEU 021 016 その子等に己の所有を嗣しむる日にその惡む婦の產る長子を措てその愛する婦の產る子を長子となすべからず 005 DEU 021 017 必ずその惡む者の產る子を長子となし己の所有を分つ時にこれには二倍を與ふべし是は己の力の始にして長子の權これに屬すればなり 005 DEU 021 018 人にもし放肆にして背悖る子ありその父の言にも母の言にも順はず父母これを責るも聽ことをせざる時は 005 DEU 021 019 その父母これを執へてその處の門にいたり邑の長老等に就き 005 DEU 021 020 邑の長老たちに言べし我らの此子は放肆にして背悖る者我らの言にしたがはざる者放蕩にして酒に耽る者なりと 005 DEU 021 021 然る時は邑の人みな石をもて之を撃殺すべし汝かく汝らの中より惡事を除き去べし然せばイスラエルみな聞て懼れん 005 DEU 021 022 人もし死にあたる罪を犯して死刑に遇ことありて汝これを木に懸て曝す時は 005 DEU 021 023 翌朝までその體を木の上に留おくべからず必ずこれをその日の中に埋むべし其は木に懸らるる者はヱホバに詛はるる者なればなり斯するは汝の神ヱホバの汝に賜ふて產業となさしめたまふ地の汚れざらんためなり 005 DEU 022 001 汝の兄弟の牛または羊の迷ひをるを見てこれを見すて置べからず必ずこれを汝の兄弟に牽ゆきて歸すべし 005 DEU 022 002 汝の兄弟もし汝に近からざるか又は汝かれを知ざる時はこれを汝の家に牽ゆきて汝の許におき汝の兄弟の尋ねきたるに及びて之を彼に還すべし 005 DEU 022 003 汝の兄弟の驢馬におけるも是のごとく爲しまたその衣服におけるも斯なすべし凡て汝の兄弟の失ひたる遺失物を得たる時も汝かく爲べし之を見すておくべからず 005 DEU 022 004 また汝の兄弟の驢馬または牛の途に踣れをるを見て見すておくべからず必ずこれを助け起すべし 005 DEU 022 005 女は男の衣服を纒ふべからずまた男は女の衣裳を著べからず凡て斯する者は汝の神ヱホバこれを憎みたまふなり 005 DEU 022 006 汝鳥の巣の路の頭または樹の上または土の上にあるを見んに雛または卵その中にありて母鳥その雛または卵の上に伏をらばその母鳥を雛とともに取べからず 005 DEU 022 007 かならずその母鳥を去しめ唯その雛のみをとるべし然せば汝福祉を獲かつ汝の日を永うすることを得ん 005 DEU 022 008 汝新しき家を建る時はその屋蓋の周圍に欄杆を設くべし是は人その上より堕てこれが血の汝の家に歸すること無らんためなり 005 DEU 022 009 汝菓物園に異類の種を混て播べからず然せば汝が播たる種より產する物および汝の菓物園より出る菓物みな聖物とならん 005 DEU 022 010 汝牛と驢馬とを耦せて耕すことを爲べからず 005 DEU 022 011 汝毛と麻とをまじへたる衣服を著べからず 005 DEU 022 012 汝が上に纒ふ衣服の裾の四方に繸をつくべし 005 DEU 022 013 人もし妻を娶り之とともに寝て後これを嫌ひ 005 DEU 022 014 我この婦人を娶りしが之と寝たる時にその處女なるを見ざりしと言て誹謗の辭抦を設けこれに惡き名を負せなば 005 DEU 022 015 その女の父と母その女の處女なる證跡を取り門にをる邑の長老等にこれを差出し 005 DEU 022 016 而してその女の父長老等に言べし我この人にわが女子を與へて妻となさしめしにこの人これを嫌ひ 005 DEU 022 017 誹謗の辭抦を設けて言ふ我なんぢの女子の處女なるを見ざりしと然るに吾女子の處女なりし證跡は此にありと斯いひてその父母かの布を邑の長老等の前に展べし 005 DEU 022 018 然る時は邑の長老等その人を執へてこれを鞭ち 005 DEU 022 019 又これに銀百シケルを罰してその女の父に償はしむべし其はイスラエルの處女に惡き名を負せたればなり斯てその人はこれを妻とすべし一生これを去ことを得ず 005 DEU 022 020 然どこの事もし眞にしてその女の處女なる證跡あらざる時は 005 DEU 022 021 その女をこれが父の家の門に曳いだしその邑の人々石をもてこれを撃ころすべし其は彼その父の家にて淫なる事をなしてイスラエルの中に惡をおこなひたればなり汝かく惡事を汝らの中より除くべし 005 DEU 022 022 もし夫に適し婦と寝る男あるを見ばその婦と寝たる男と其婦とをともに殺し斯して惡事をイスラエルの中より除くべし 005 DEU 022 023 處女なる婦人すでに夫に適の約をなせる後ある男これに邑の内に遇てこれを犯さば 005 DEU 022 024 汝らその二人を邑の門に曳いだし石をもてこれを撃ころすべし是その女は邑の内にありながら叫ぶことをせざるに因りまたその男はその鄰の妻を辱しめたるに因てなり汝かく惡事を汝らの中より除くべし 005 DEU 022 025 然ど男もし人に適の約をなしし女に野にて遇ひこれを強て犯すあらば之を犯しし男のみを殺すべし 005 DEU 022 026 その女には何をも爲べからず女には死にあたる罪なし人その鄰人に起むかひてこれを殺せるとその事おなじ 005 DEU 022 027 其は男野にてこれに遇たるが故にその人に適の約をなしし女叫びたれども拯ふ者なかりしなり 005 DEU 022 028 男もし未だ人に適の約をなさざる處女なる婦に遇ひこれを執へて犯すありてその二人見あらはされなば 005 DEU 022 029 これを犯せる男その女の父に銀五十シケルを與へて之を己の妻とすべし彼その女を辱しめたれば一生これを去るべからざるなり 005 DEU 022 030 人その父の妻を娶るべからずその父の被を掀開べからず 005 DEU 023 001 外腎を傷なひたる者または玉莖を切りたる者はヱホバの會に入べからず 005 DEU 023 002 私子はヱホバの會にいるべからず是は十代までもヱホバの會にいるべからざるなり 005 DEU 023 003 アンモン人およびモアブ人はヱホバの會にいる可らず故らは十代までも何時までもヱホバの會にいるべからざるなり 005 DEU 023 004 是汝らがエジプトより出きたりし時に彼らはパンと水とをもて汝らを途に迎へずメソポタミアのペトル人ベオルの子バラムを倩ひて汝を詛はせんと爲たればなり 005 DEU 023 005 然れども汝の神ヱホバ、バラムに聽ことを爲給はずして汝の神ヱホバその呪詛を變て汝のために祝福となしたまへり是汝の神ヱホバ汝を愛したまふが故なり 005 DEU 023 006 汝一生いつまでも彼らのために平安をもまた福禄をも求むべからず 005 DEU 023 007 汝エドム人を惡べからず是は汝の兄弟なればなりまたエジプト人を惡むべからず汝もこれが國に客たりしこと有ばなり 005 DEU 023 008 彼等の生たる子等は三代におよばばヱホバの會にいることを得べし 005 DEU 023 009 汝軍旅を出して汝の敵を攻る時は諸の惡き事を自ら謹むべし 005 DEU 023 010 汝らの中間にもし夜中計ずも汚穢にふれて身の潔からざる人あらば陣營の外にいづべし陣營の内に入べからず 005 DEU 023 011 而して薄暮に水をもて身を洗ひ日の入て後陣營に入べし 005 DEU 023 012 汝陣營の外に一箇の處を設けおき便する時は其處に往べし 005 DEU 023 013 また器具の中に小鍬を備へおき外に出て便する時はこれをもて土を掘り身を返してその汝より出たる物を蓋ふべし 005 DEU 023 014 其は汝の神ヱホバ汝を救ひ汝の敵を汝に付さんとて汝の陣營の中を歩きたまへばなり是をもて汝の陣營を聖潔すべし然せば汝の中に汚穢物あるを見て汝を離れたまふこと有ざるべし 005 DEU 023 015 その主人を避て汝の許に逃きたる僕をその主人に交すべからす 005 DEU 023 016 その者をして汝らの中に汝とともに居しめ汝の一の邑の中にて之が善と見て擇ぶ處に住しむべし之を虐遇べからず 005 DEU 023 017 イスラエルの女子の中に娼妓あるべからずイスラエルの男子の中に男娼あるべからず 005 DEU 023 018 娼妓の得たる價および狗の價を汝の神ヱホバの家に携へいりて何の誓願にも用ゐるべからず是等はともに汝の神ヱホバの憎みたまふ者なればなり 005 DEU 023 019 汝の兄弟より利息を取べからず即ち金の利息食物の利息など凡て利息を生ずべき物の利息を取べからず 005 DEU 023 020 他國の人よりは汝利息を取も宜し惟汝の兄弟よりは利息を取べからず然ば汝が往て獲ところの地において汝の神ヱホバ凡て汝が手に爲ところの事に福祥をくだしたまふべし 005 DEU 023 021 汝の神ヱホバに誓願をかけなば之か還すことを怠るべからず汝の神ヱホバかならずこれを汝に要めたまふべし怠る時は汝罪あり 005 DEU 023 022 汝誓願をかけざるも罪を獲ること有じ 005 DEU 023 023 汝が口より出しし事は守りて行ふべし凡て自意の禮物は汝の神ヱホバに汝が誓願し口をもて約せしごとくに行ふべし 005 DEU 023 024 汝の鄰の葡萄園に至る時汝意にまかせてその葡萄を飽まで食ふも宜し然ど器の中に取いるべからず 005 DEU 023 025 また汝の鄰の麥圃にいたる時汝手にてその穂を摘食ふも宜し然ど汝の鄰の麥圃に鎌をいるべからず 005 DEU 024 001 人妻を取てこれを娶れる後恥べき所のこれにあるを見てこれを好まずなりたらば離縁状を書てこれが手に交しこれをその家より出すべし 005 DEU 024 002 その婦これが家より出たる後往て他の人に嫁ぐことをせんに 005 DEU 024 003 後の夫もこれを嫌ひ離縁状を書てその手にわたして之を家より出し又はこれを妻にめとれるその後の夫死るあるも 005 DEU 024 004 是は已に身を汚玷したるに因て之を出したるその先の夫ふたたびこれを妻にめとるべからず是ヱホバの憎みたまふ事なればなり汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地に汝罪を負すなかれ 005 DEU 024 005 人あらたに妻を娶りたる時は之を軍に出すべからずまた何の職務をもこれに任すべからずその人は一年家に間居してその娶れる妻を慰むべし 005 DEU 024 006 人その磨礱を質におくべからず是その生命をつなぐ物を質におくなればなり 005 DEU 024 007 イスラエルの子孫の中なるその兄弟を拐帶してこれを使ひまたはこれを賣る人あるを見ばその拐帶者を殺し然して汝らの中より惡を除くべし 005 DEU 024 008 汝癩病を愼み凡て祭司たるレビ人が汝らに敎ふる所を善く守りて行ふべし即ち我が彼らに命ぜしごとくに汝ら守りて行ふべし 005 DEU 024 009 汝らがエジプトより出きたれる路にて汝の神ヱホバがミリアムに爲たまひしところの事を誌えよ 005 DEU 024 010 凡て汝の鄰に物を貸あたふる時は汝みづからこれが家にいりてその質物を取べからず 005 DEU 024 011 汝は外に立をり汝が貸たる人その質物を外に持いだして汝に付すべし 005 DEU 024 012 その人もし困苦者ならば之が質物を留おきて睡眠に就べからず 005 DEU 024 013 かならず日の入る頃その質物を之に還すべし然せばその人おのれの上衣をまとふて睡眠につくことを得て汝を祝せん是汝の神ヱホバの前において汝の義となるべし 005 DEU 024 014 困苦る貧き傭人は汝の兄弟にもあれ又は汝の地にてなんぢの門の内に寄寓る他國の人にもあれ之を虐ぐべからず 005 DEU 024 015 當日にこれが値をはらふべし日の入るまで延すべからず其は貧き者にてその心にこれを慕へばなり恐らくは彼ヱホバに汝を訴ふるありて汝罪を獲ん 005 DEU 024 016 父はその子等の故によりて殺さるべからず子等はその父の故によりて殺さるべからず各人おのれの罪によりて殺さるべきなり 005 DEU 024 017 汝他國の人または孤子の審判を曲べからずまた寡婦の衣服を質に取べからず 005 DEU 024 018 汝誌ゆべし汝はエジプトに奴隸たりしが汝の神ヱホバ汝を其處より贖ひいだしたまへり是をもて我この事をなせと汝に命ずるなり 005 DEU 024 019 汝田野にて穀物を刈る時もしその一束を田野に忘れおきたらば返りてこれを取べからず他國の人と孤子と寡婦とにこれを取すべし然せば汝の神ヱホバ凡て汝が手に作ところの事に祝福を降したまはん 005 DEU 024 020 汝橄欖を打落す時は再びその枝をさがすべからずその遺れる者を他國の人と孤子と寡婦とに取すべし 005 DEU 024 021 また葡萄園の葡萄を摘とる時はその遺れる者を再びさがすべからず他國の人と孤子と寡婦とにこれを取すべし 005 DEU 024 022 汝誌ゆべし汝はエジプトの國に奴隸たりしなり是をもて我この事を爲せと汝に命ず 005 DEU 025 001 人と人との間に爭辯ありて來りて審判を求むる時は士師これを鞫きその義き者を義とし惡き者を惡とすべし 005 DEU 025 002 その惡き者もし鞭つべき者ならば士師これを伏せその罪にしたがひて數のごとく自己の前にてこれを扑すべし 005 DEU 025 003 これを扑ことは四十を逾べからず若これを逾て是よりも多く扑ときは汝その汝の兄弟を賤め視にいたらん 005 DEU 025 004 穀物を碾す牛に口籠をかく可らず 005 DEU 025 005 兄弟ともに居んにその中の一人死て子を遺さざる時はその死たる者の妻いでて他人に嫁ぐべからず其夫の兄弟これの所に入りこれを娶りて妻となし斯してその夫の兄弟たる道をこれに盡し 005 DEU 025 006 而してその婦の生ところの初子をもてその死たる兄弟の後を嗣しめその名をイスラエルの中に絶ざらしむべし 005 DEU 025 007 然どその人もしその兄弟の妻をめとることを肯ぜずばその兄弟の妻門にいたりて長老等に言べし吾夫の兄弟はその兄弟の名をイスラエルの中に興ることを肯ぜず吾夫の兄弟たる道を盡すことをせずと 005 DEU 025 008 然る時はその邑の長老等かれを呼よせて諭すべし然るも彼堅く執て我はこれを娶ることを好まずと言ば 005 DEU 025 009 その兄弟の妻長老等の前にて彼の側にいたりこれが鞋をその足より脱せその面に唾して答て言べしその兄弟の家を興ることを肯ぜざる者には斯のごとくすべきなりと 005 DEU 025 010 またその人の名は鞋を脱たる者の家とイスラエルの中に稱へらるべし 005 DEU 025 011 人二人あひ爭そふ時に一人の者の妻その夫を撃つ者の手より夫を救はんとて進みより手を伸てその人の陰所を執ふるあらば 005 DEU 025 012 汝その婦の手を切おとすべし之を憫れみ視るべからず 005 DEU 025 013 汝の嚢の中に一箇は大く一箇は小き二種の權衡石をいれおくべからず 005 DEU 025 014 汝の家に一箇は大く一箇は小き二種の升斗をおくべからず 005 DEU 025 015 唯十分なる公正き權衡を有べくまた十分なる公正き升斗を有べし然せば汝の神ヱホバの汝にたまふ地に汝の日永からん 005 DEU 025 016 凡て斯る事をなす者凡て正しからざる事をなす者は汝の神ヱホバこれを憎みたまふなり 005 DEU 025 017 汝らがエジプトより出きたりし時その路においてアマレクが汝に爲たりし事を記憶よ 005 DEU 025 018 即ち彼らは汝を途に迎へ汝の疲れ倦たるに乗じて汝の後なる弱き者等を攻撃り斯かれらは神を畏れざりき 005 DEU 025 019 然ば汝の神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地において汝の神ヱホバ汝にその周圍の敵を盡く攻ふせて安泰ならしめたまふに至らば汝アマレクの名を天が下より塗抹て之をおぼゆる者なからしむべし 005 DEU 026 001 汝その神ヱホバの汝に與へて產業となさしめたまふ地にいりこれを獲てそこに住にいたらば 005 DEU 026 002 汝の神ヱホバの汝に與へたまへる地の諸の土產の初を取て筐にいれ汝の神ヱホバのその名を置んとて選びたまふ處にこれを携へゆくべし 005 DEU 026 003 而して汝當時の祭司に詣り之にいふべし我は今日なんぢの神ヱホバに申さん我はヱホバが我らに與へんと我らの先祖等に誓ひたまひし地に至れりと 005 DEU 026 004 然る時は祭司汝の手よりその筐をとりて汝の神ヱホバの壇のまへに之を置べし 005 DEU 026 005 汝また汝の神ヱホバの前に陳て言べし我先祖は憫然なる一人のスリア人なりしが僅少の人を將てエジプトに下りゆきて其處に寄寓をりそこにて終に大にして強く人口おほき民となれり 005 DEU 026 006 然るにエジプト人我らに害を加へ我らを惱まし辛き力役を我らに負せたりしに因て 005 DEU 026 007 我等先祖等の神ヱホバに向ひて呼はりければヱホバわれらの聲を聽き我らの艱難と勞苦と虐遇を顧みたまひ 005 DEU 026 008 而してヱホバ強き手を出し腕を伸べ大なる威嚇と徴證と奇跡とをもてエジプトより我らを導きいだし 005 DEU 026 009 この處に我らを携へいりてこの地すなはち乳と蜜との流るる地を我らに賜へり 005 DEU 026 010 ヱホバよ今我なんぢが我に賜ひし地の產物の初を持きたれりと斯いひて汝その筐を汝の神ヱホバの前にそなへ汝の神ヱホバの前に禮拝をなすべし 005 DEU 026 011 而して汝は汝の神ヱホバの汝と汝の家に降したまへる諸の善事のためにレビ人および汝の中間なる旅客とともに樂むべし 005 DEU 026 012 第三年すなはち十に一を取の年に汝その諸の產物の什一を取りレビ人と客旅と孤子と寡婦とにこれを與へて汝の門の内に食ひ飽しめたる時は 005 DEU 026 013 汝の神ヱホバの前に言べし我は聖物を家より執いだしまたレビ人と客旅と孤子と寡婦とにこれを與へ全く汝が我に命じたまひし命令のごとくせり我は汝の命令に背かずまたこれを忘れざるなり 005 DEU 026 014 我はこの聖物を喪の中に食ひし事なくをた汚穢たる身をもて之を携へ出しし事なくまた死人のためにこれを贈りし事なきなり我はわが神ヱホバの言に聽したがひて凡て汝が我に命じたまへるごとく行へり 005 DEU 026 015 願くは汝の聖住所なる天より臨み觀汝の民イスラエルと汝の我らに與へし地とに福祉をくだしたまへ是は我がわれらの先祖等に誓ひたまひし乳と蜜との流るる地なり 005 DEU 026 016 今日汝の神ヱホバこれらの法度と律法とを行ふことを汝に命じたまふ然ば汝心を盡し精心を盡してこれを守りおこなふべし 005 DEU 026 017 今日なんぢヱホバを認めて汝の神となし且その道に歩みその法度と誡法と律法とを守りその聲に聽したがはんと言り 005 DEU 026 018 今日ヱホバまたその言しごとく汝を認めてその寶の民となし且汝にその諸の誡命を守れと言たまへり 005 DEU 026 019 ヱホバ汝の名譽と聲聞と榮耀とをしてその造れる諸の國の人にまさらしめたまはん汝はその神ヱホバの聖民となることその言たまひしごとくならん 005 DEU 027 001 モーセ、イスラエルの長老等とともにありて民に命じて曰ふ我が今日なんぢらに命ずるこの誡命を汝ら全く守るべし 005 DEU 027 002 汝らヨルダンを濟り汝の神ヱホバが汝に與へたまふ地にいる時は大なる石數箇を立て石灰をその上に塗り 005 DEU 027 003 旣に濟りて後この律法の諸の言語をその上に書すべし然すれば汝の神ヱホバの汝にたまふ地なる乳と蜜の流るる國に汝いるを得ること汝の先祖等の神ヱホバの汝に言たまひしごとくならん 005 DEU 027 004 即ち汝らヨルダンを濟るにおよばば我が今日なんぢらに命ずるその石をエバル山に立て石灰をその上に塗べし 005 DEU 027 005 また其處に汝の神ヱホバのために石の壇一座を築くべし但し之を築くには鐵の器を用ゐるべからず 005 DEU 027 006 汝新石をもて汝の神ヱホバのその壇を築きその上にて汝の神ヱホバに燔祭を献ぐべし 005 DEU 027 007 汝また彼處にて酬恩祭を獻げその物を食ひて汝の神ヱホバの前に樂むべし 005 DEU 027 008 汝この律法の諸の言語をその石の上に明白に書すべし 005 DEU 027 009 モーセまた祭司たるレビ人とともにイスラエルの全家に告て曰ふイスラエルよ謹みて聽け汝は今日汝の神ヱホバの民となれり 005 DEU 027 010 然ば汝の神ヱホバの聲に聽從ひ我が今日汝に命ずる之が誡命と法度をおこなふべし 005 DEU 027 011 その日にモーセまた民に命じて言ふ 005 DEU 027 012 汝らがヨルダンを渡りし後是らの者ゲリジム山にたちて民を祝すべし即ちシメオン、レビ、ユダ、イツサカル、ヨセフおよびベニヤミン 005 DEU 027 013 また是らの者はエバル山にたちて呪詛ことをすべし即ちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ 005 DEU 027 014 レビ人大聲にてイスラエルの人々に告て言べし 005 DEU 027 015 偶像は工人の手の作にしてヱホバの憎みたまふ者なれば凡てこれを刻みまたは鋳造りて密に安置く人は詛はるべしと民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 016 その父母を軽んずる者は詛はるべし民みな對てアーメンといふべし 005 DEU 027 017 その鄰の地界を侵す者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 018 盲者をして路に迷はしむる者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 019 客旅孤子および寡婦の審判を枉る者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 020 その父の妻と寝る者はその父を辱しむるなれば詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 021 凡て獣畜と交る者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 022 その父の女子またはその母の女子たる己の姉妹と寝る者は詛はるべし民みな對へてアーメンとふべし 005 DEU 027 023 その妻の母と寝る者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 024 暗の中にその鄰を撃つ者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 025 報酬をうけて無辜者を殺してその血を流す者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 027 026 この律法の言を守りて行はざる者は詛はるべし民みな對へてアーメンといふべし 005 DEU 028 001 汝もし善く汝の神ヱホバの言に聽したがひ我が今日なんぢに命ずるその一切の誡命を守りて行はば汝の神ヱホバ汝をして地の諸の國人の上に立しめたまふべし 005 DEU 028 002 汝もし汝の神ヱホバの言に聽したがふ時はこの諸の福祉汝に臨み汝におよばん 005 DEU 028 003 汝は邑の内にても福祉を得田野にても福祉を得ん 005 DEU 028 004 また汝の胎の產汝の地の產汝の家畜の產汝の牛の產汝の羊の產に福祉あらん 005 DEU 028 005 また汝の飯籃と汝の捏盤に福祉あらん 005 DEU 028 006 汝は入にも福祉を得出るにも福祉を得べし 005 DEU 028 007 汝の敵起て汝を攻るあればヱホバ汝をして之を打敗らしめたまふべし彼らは一條の路より攻きたり汝の前にて七條の路より逃はしらん 005 DEU 028 008 ヱホバ命じて福祉を汝の倉庫に降しまた汝が手にて爲ところの事に降し汝の神ヱホバの汝に與ふる地においてヱホバ汝を祝福たまふべし 005 DEU 028 009 汝もし汝の神ヱホバの誡命を守りてその道に歩まばヱホバ汝に誓ひしごとく汝を立て己の聖民となしたまふべし 005 DEU 028 010 然る時は地の民みな汝がヱホバの名をもて稱へらるるを視て汝を畏れん 005 DEU 028 011 ヱホバが汝に與へんと汝の先祖等に誓ひたまひし地においてヱホバ汝の佳物すなはち汝の身の產と汝の家畜の產と汝の地の產とを饒にしたまふべし 005 DEU 028 012 ヱホバその寶の蔵なる天を啓き雨をその時にしたがびて汝の地に降し汝の手の諸の行爲に祝福をたまはん汝は許多の國々の民に貸ことをなすに至らん借ことなかるべし 005 DEU 028 013 ヱホバ汝をして首とならしめたまはん尾とはならしめたまはじ汝は只上におらん下には居じ汝もし我が今日汝に命ずる汝の神ヱホバの誡命に聽したがひてこれを守りおこなはばかならず斯のごとくなるべし 005 DEU 028 014 汝わが今日汝に命ずるこの言語を離れ右または左にまがりて他の神々にしたがひ事ふることをすべからず 005 DEU 028 015 汝もし汝の神ヱホバの言に聽したがはず我が今日なんぢに命ずるその一切の誡命と法度とを守りおこなはずば此もろもろの呪詛汝に臨み汝におよぶべし 005 DEU 028 016 汝は邑の内にても詛はれ田野にても詛はれん 005 DEU 028 017 また汝の飯籃も汝の捏盤も詛はれん 005 DEU 028 018 汝の胎の產汝の地の產汝の牛の產汝の羊の產も詛はれん 005 DEU 028 019 汝は入にも詛はれ出るにも詛はれん 005 DEU 028 020 ヱホバ汝をしてその凡て手をもて爲ところにおいて呪詛と恐懼と鑓責を蒙らしめたまふべければ汝は滅びて速かに亡はてん是は汝惡き事をおこなひて我を棄るによりてなり 005 DEU 028 021 ヱホバ疫病を汝の身に着せて遂に汝をその往て得るとこるの地より滅ぼし絶たまはん 005 DEU 028 022 ヱホバまた癆瘵と熱病と傷寒と瘧疾と刀劍と枯死と汚腐とをもて汝を撃なやましたまふべし是らの物汝を追ひ汝をして滅びうせしめん 005 DEU 028 023 汝の頭の上なる天は銅のごとくになり汝の下なる地は鐵のごとくになるべし 005 DEU 028 024 ヱホバまた雨のかはりに沙と灰とを汝の地に降せたまはん是らの物天より汝の上に下りて遂に汝を滅ぼさん 005 DEU 028 025 ヱホバまた汝をして汝の敵に打敗られしめたまふべし汝は彼らにむかひて一條の路より進み彼らの前にて七條の路より逃はしらん而して汝はまた地の諸の國にて虐遇にあはん 005 DEU 028 026 汝の死屍は空の諸の鳥と地の獣の食とならん然るもこれを逐はらふ者あらじ 005 DEU 028 027 ヱホバまたエジプトの瘍瘡と痔と癰と癢とをもて汝を撃たまはん汝はこれより愈ることあらじ 005 DEU 028 028 ヱホバまた汝を撃ち汝をして狂ひ且目くらみて心に驚き悸れしめたまはん 005 DEU 028 029 汝は瞽者が暗にたどるごとく眞晝においても尚たどらん汝その途によりて福祉を得ることあらじ汝は只つねに虐げられ掠められんのみ汝を救ふ者なかるべし 005 DEU 028 030 汝妻を娶る時は他の人これと寝ん汝家を建るもその中に住ことを得ず葡萄園を作るもその葡萄を摘とることを得じ 005 DEU 028 031 汝の牛汝の目の前に宰らるるも汝は之を食ふことを得ず汝の驢馬は汝の目の前にて奪ひさられん再び汝にかへることあらじ又なんぢの羊は汝の敵の有とならん然ど汝にはこれを救ふ道あらじ 005 DEU 028 032 汝の男子と汝の女子は他邦の民の有とならん汝は終日これを慕ひ望みて目を喪ふに至らん汝の手には何の力もあらじ 005 DEU 028 033 汝の地の產物および汝の努苦て得たる物は汝の識ざる民これを食はん汝は只つねに虐げられ窘められん而已 005 DEU 028 034 汝はその目に見るところの事によりて心狂ふに至らん 005 DEU 028 035 ヱホバ汝の膝と脛とに惡くして愈ざる瘍瘡を生ぜしめて終に足の蹠より頭の頂にまでおよぼしたまはん 005 DEU 028 036 ヱホバ汝と汝が立たる王とを携へて汝も汝の先祖等も知ざりし國々に移し給はん汝は其處にて木または石なる他の神々に事ふるあらん 005 DEU 028 037 汝はヱホバの汝を遣はしたまふ國々にて人の詑異む者となり諺語となり諷刺とならん 005 DEU 028 038 汝は多分の種を田野に携へ出すもその刈とるとこるは少かるべし蝗これを食ふべければなり 005 DEU 028 039 汝葡萄園を作りてこれに培ふもその酒を飮ことを得ずまたその果を斂むることを得じ蟲これを食ふべければなり 005 DEU 028 040 汝の國には遍く橄欖の樹あらん然ど汝はその油を身に膏ことを得じ其果みな堕べければなり 005 DEU 028 041 汝男子女子を擧くるもこれを汝の有とすることを得じ皆擄へゆかるべければなり 005 DEU 028 042 汝の諸の樹および汝の地の產物はみな蝗これを取て食ふべし 005 DEU 028 043 汝の中間にある他國の人はますます高くなりゆきて汝の上に出で汝はますます卑くなりゆかん 005 DEU 028 044 彼は汝に貸ことをせん汝は彼に貸ことを得じ彼は首となり汝は尾とならん 005 DEU 028 045 この諸の災禍汝に臨み汝を追ひ汝に及びてつひに汝を滅ぼさん是は汝その神ヱホバの言に聽したがはず其なんぢに命じたまへる誡命と法度とを守らざるによるなり 005 DEU 028 046 是等の事は恒になんぢと汝の子孫の上にありて徴證となり人を驚かす者となるべし 005 DEU 028 047 なんぢ萬の物の豊饒なる中にて心に歓び樂みて汝の神ヱホバに事へざるに因り 005 DEU 028 048 饑ゑ渇きかつ裸になり萬の物に乏しくしてヱホバの汝に攻きたらせたまふところの敵に事ふるに至らん彼鐵の軛をなんぢの頸につけて遂に汝をほろぼさん 005 DEU 028 049 即ちヱホバ遠方より地の極所より一の民を鵰の飛がごとくに汝に攻きたらしめたまはん是は汝がその言語を知ざる民 005 DEU 028 050 その面の猛惡なる民にして老たる者の身を顧みず幼稚者を憐まず 005 DEU 028 051 汝の家畜の產と汝の地の產を食ひて汝をほろぼし穀物をも酒をも油をも牛の產をも羊の產をも汝のために遺さずして終に全く汝を滅さん 005 DEU 028 052 その民は汝の全國において汝の一切の邑々を攻圍み遂にその汝が賴む堅固なる高き石垣をことごとく打圮し汝の神ヱホバの汝にたまへる國の中なる一切の邑々をことごとく攻圍むべし 005 DEU 028 053 汝は敵に圍まれ烈しく攻なやまさるるによりて終にその汝の神ヱホバに賜はれる汝の胎の產なる男子女子の肉を食ふにいたらん 005 DEU 028 054 汝らの中の柔生育にして軟弱なる男すらもその兄弟とその懐の妻とその遺れる子女とを疾視 005 DEU 028 055 自己の食ふその子等の肉をこの中の誰にも與ふることを好まざらん是は汝の敵汝の一切の邑々を圍み烈しく汝を攻なやまして何物をも其人に遺さざればなり 005 DEU 028 056 又汝らの中の柔生育にして繊弱なる婦女すなはちその柔生育にして繊弱なるがために足の蹠を土につくることをも敢てせざる者すらもその懐の夫とその男子とその女子とを疾視 005 DEU 028 057 己の足の間より出る胞衣と己の產ところの子を取て密にこれを食はん是は汝の敵なんぢの邑々を圍み烈しくこれを攻なやますによりて何物をも得ざればなり 005 DEU 028 058 汝もしこの書に記したるこの律法の一切の言を守りて行はず汝の神ヱホバと云榮ある畏るべき名を畏れずば 005 DEU 028 059 ヱホバ汝の災禍と汝の子孫の災禍を烈しくしたまはん其災禍は大にして久しくその疾病は重くして久しかるべし 005 DEU 028 060 ヱホバまた汝が懼れし疾病なるエジプトの諸の疾病を持きたりて汝の身に纏ひ附しめたまはん 005 DEU 028 061 また此律法の書に載ざる諸の疾病と諸の災害を汝の滅ぶるまでヱホバ汝に降したまはん 005 DEU 028 062 汝らは空の星のごとくに衆多かりしも汝の神ヱホバの言に聽したがはざるによりて殘り寡に打なさるべし 005 DEU 028 063 ヱホバさきに汝らを善して汝等を衆くすることを喜びしごとく今はヱホバ汝らを滅ぼし絶すことを喜びたまはん汝らは其往て獲ところの地より抜さらるべし 005 DEU 028 064 ヱホバ地のこの極よりかの極までの國々の中に汝を散したまはん汝は其處にて汝も汝の先祖等も知ざりし木または石なる他の神々に事へん 005 DEU 028 065 その國々の中にありて汝は安寧を得ずまた汝の足の跖を休むる所を得じ其處にてヱホバ汝をして心慄き目昏み精神亂れしめたまはん 005 DEU 028 066 汝の生命は細き糸に懸るが如く汝に見ゆ汝は夜晝となく恐怖をいだき汝の生命おぼつかなしと思はん 005 DEU 028 067 汝心に懼るる所によりまた目に見る所によりて朝においては言ん嗚呼夕ならば善らんとまた夕においては言ん嗚呼朝ならば善らんと 005 DEU 028 068 ヱホバなんぢを舟にのせ彼の昔わが汝に告て汝は再びこれを見ることあらじと言たるその路より汝をエジプトに曳ゆきたまはん彼處にて人汝らを賣て汝らの敵の奴婢となさん汝らを買ふ人もあらじ 005 DEU 029 001 ヱホバ、モーセに命じモアブの地にてイスラエルの子孫と契約を結ばしめたまふその言は斯のごとし是はホレブにてかれらと結びし契約の外なる者なり 005 DEU 029 002 モーセ、イスラエルの全家を呼あつめて之に言けるは汝らはヱホバがエジプトの地において汝らの目の前にてパロとその臣下とその全地とに爲たまひし一切の事を觀たり 005 DEU 029 003 即ち其大なる試煉と徴證と大なる奇跡とを汝目に觀たるなり 005 DEU 029 004 然るにヱホバ今日にいたるまで汝らの心をして悟ることなく目をして見ることなく耳をして聞ことなからしめたまへり 005 DEU 029 005 四十年の間われ汝らを導きて曠野を通りしが汝らの身の衣服は古びず汝の足の鞋は古びざりき 005 DEU 029 006 汝らはまたパンをも食はず葡萄酒をも濃酒をも飮ざりき斯ありて汝らは我が汝らの神ヱホバなることを知り 005 DEU 029 007 汝らこの處に來りし時ヘシボンの王シホンおよびバシヤンの王オグ我らを迎へて戰ひしが我らこれを打敗りて 005 DEU 029 008 その地を取りこれをルベン人とガド人とマナセの半支派とに與へて產業となさしめたり 005 DEU 029 009 然ば汝らこの契約の言を守りてこれを行ふべし然れば汝らの凡て爲ところに祥あらん 005 DEU 029 010 汝らみな今日なんぢらの神ヱホバの前に立つ即ち汝らの首領等なんぢらの支派なんぢらの長老等および汝らの牧司等などイスラエルの一切の人 005 DEU 029 011 汝らの小き者等汝らの妻ならびに汝らの營の中にをる客旅など凡て汝のために薪を割る者より水を汲む者にいたるまで皆ヱホバの前に立て 005 DEU 029 012 汝の神ヱホバの契約に入んとし又汝の神ヱホバの汝にむかひて今日なしたまふところの誓に入んとす 005 DEU 029 013 然ばヱホバさきに汝に言しごとくまた汝の先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓ひしごとく今日なんぢを立て己の民となし己みづから汝の神となりたまはん 005 DEU 029 014 我はただ汝らと而已此契約と誓とを結ぶにあらず 005 DEU 029 015 今日此にてわれらの神ヱホバの前に我らとともにたちをる者ならびに今日われらとともに此にたち居ざる者ともこれを結ぶなり 005 DEU 029 016 我らは如何にエジプトの地に住をりしか如何に國々を通り來りしか汝らこれを知り 005 DEU 029 017 汝らはまた木石金銀にて造れる憎むべき物および偶像のその國々にあるを見たり 005 DEU 029 018 然ば汝らの中に今日その心に我らの神ヱホバを離れて其等の國々の神に往て事ふる男女宗族支派などあるべからず又なんぢらの中に葶藶または茵蔯を生ずる根あるべからず 005 DEU 029 019 斯る人はこの呪詛の言を聞もその心に自ら幸福なりと思ひて言ん我はわが心を剛愎にして事をなすも尚平安なり終には酔飽る者をもて渇ける者を除くにいたらんと 005 DEU 029 020 是のごとき人はヱホバかならず之を赦したまはじ還てヱホバの忿怒と嫉妬の火これが上に燃えまたこの書にしるしたる災禍みなその身に加はらんヱホバつひにその人の名を天が下より抹さりたまふべし 005 DEU 029 021 ヱホバすなはちイスラエルの諸の支派の中よりその人を分ちてこれに災禍を下しこの律法の書にしるしたる契約中の諸の呪詛のごとくしたまはん 005 DEU 029 022 汝等の後に起る汝らの子孫の代の人および遠き國より來る客旅この地の災禍を見またヱホバがこの地に流行せたまふ疾病を見て言ところあらん 005 DEU 029 023 即ち彼ら見るにその全地は硫黄となり鹽となり且燒土となりて種も蒔れず產する所もなく何の草もその上に生せずして彼の昔ヱホバがその震怒と忿恨とをもて毀ちたましソドム、ゴモラ、アデマ、ゼポイムの毀たれたると同じかるべければ 005 DEU 029 024 彼らも國々の人もみな言んヱホバ何とて斯この地になしたるやこの烈しき大なる震怒は何事ぞやと 005 DEU 029 025 その時人應へて曰ん彼らはその先祖たちの神ヱホバがエジプトの地より彼らを導きいだして彼らと結びたるその契約を棄て 005 DEU 029 026 往て己の識ずまた授らざる他の神々に事へてこれを拝みたるが故なり 005 DEU 029 027 是をもてヱホバこの地にむかひて震怒を發しこの書にしるしたる諸の災禍をこれに下し 005 DEU 029 028 而してヱホバ震怒と忿恨と大なる憤怨をもて彼らをこの地より抜とりてこれを他の國に投やれりその状今日のごとし 005 DEU 029 029 隠微たる事は我らの神ヱホバに屬する者なりまた顯露されたる事は我らと我らの子孫に屬し我らをしてこの律法の諸の言を行はしむる者なり 005 DEU 030 001 我が汝らの前に陳たるこの諸の祝福と呪詛の事すでに汝に臨み汝その神ヱホバに逐やられたる諸の國々において此事を心に考ふるにいたり 005 DEU 030 002 汝と汝の子等ともに汝の神ヱホバに起かへり我が今日なんぢに命ずる所に全たく循がひて心をつくし精神をつくしてヱホバの言に聽したがはば 005 DEU 030 003 汝の神ヱホバ汝の俘擄を解て汝を憐れみ汝の神ヱホバ汝を顧みその汝を散しし國々より汝を集めたまはん 005 DEU 030 004 汝たとひ天涯に逐やらるるとも汝の神ヱホバ其處より汝を集め其處より汝を携へかへりたまはん 005 DEU 030 005 汝の神ヱホバ汝をしてその先祖の有ちし地に歸らしめたまふて汝またこれを有つにいたらんヱホバまた汝を善し汝を増て汝の先祖よりも衆からしめたまはん 005 DEU 030 006 而して汝の神ヱホバ汝の心と汝の子等の心に割禮を施こし汝をして心を盡し精神をつくして汝の神ヱホバを愛せしめ斯して汝に生命を得させたまふべし 005 DEU 030 007 汝の神ヱホバまた汝の敵と汝を惡み攻る者とにこの諸の災禍をかうむらせたまはん 005 DEU 030 008 然ど汝は再びヱホバの言に聽したがひ我が今日なんぢに命ずるその一切の誡命を行ふにいたらん 005 DEU 030 009 然る時は汝の神ヱホバ汝をして汝が手をかくる諸の物と汝の胎の產と汝の家畜の產と汝の地の產に富しめて汝を善したまはん即ちヱホバ汝の先祖たちを悦こびしごとく再び汝を悦こびて汝を善したまはん 005 DEU 030 010 是は汝その神ヱホバの言に聽したがひ此律法の書にしるされたる誡命と法度を守り心をつくし精神を盡して汝の神ヱホバに歸するによりてなり 005 DEU 030 011 我が今日なんぢに命ずる誡命は汝が理會がたき者にあらずまた汝に遠き者にあらず 005 DEU 030 012 是は天に在ならねば汝は誰か我らのために天にのぼりてこれを我らに持くだり我らにこれを聞せて行はせんかと曰ふにおよばず 005 DEU 030 013 また是は海の外にあるならねば汝は誰か我らのために海をわたりゆきてこれを我らに持きたり我らにこれを聞せて行はせんかと曰におよばず 005 DEU 030 014 是言は甚だ汝に近くして汝の口にあり汝の心にあれば汝これを行ふことを得べし 005 DEU 030 015 視よ我今日生命と福徳および死と災禍を汝の前に置り 005 DEU 030 016 即ち我今日汝にむかひて汝の神ヱホバを愛しその道に歩みその誡命と法度と律法とを守ることを命ずるなり然なさば汝生ながらへてその數衆くならんまた汝の神ヱホバ汝が往て獲るところの地にて汝を祝福たまふべし 005 DEU 030 017 然ど汝もし心をひるがへして聽從がはず誘はれて他の神々を拝みまたこれに事へなば 005 DEU 030 018 我今日汝らに告ぐ汝らは必ず滅びん汝らはヨルダンを渡りゆきて獲るところの地にて汝らの日を永うすることを得ざらん 005 DEU 030 019 我今日天と地を呼て證となす我は生命と死および祝福と呪詛を汝らの前に置り汝生命をえらぶべし然せば汝と汝の子孫生存らふることを得ん 005 DEU 030 020 即ち汝の神ヱホバを愛してその言を聽き且これに附從がふべし斯する時は汝生命を得かつその日を永うすることを得ヱホバが汝の先祖アブラハム、イサク、ヤコブに與へんと誓ひたまひし地に住ことを得ん 005 DEU 031 001 茲にモーセ往てイスラエルの一切の人にこの言をのべたり 005 DEU 031 002 即ちこれに言けるは我は今日すでに百二十歳なれば最早出入をすること能はず且またヱホバ我にむかひて汝はこのヨルダンを濟ることを得ずと宣へり 005 DEU 031 003 汝の神ヱホバみづから汝に先だちて渡りゆき汝の前よりこの國々の人を滅ぼしさりて汝にこれを獲させたまふべしまたヱホバのかつて宣まひしごとくヨシユア汝を率ゐて濟るべし 005 DEU 031 004 ヱホバさきにアモリ人の王シホンとオグおよび之が地になしたる如くまた彼らにも爲てこれを滅ぼしたまはん 005 DEU 031 005 ヱホバかれらを汝らの前に付したまふべければ汝らは我が汝らに命ぜし一切の命令のごとくこれに爲べし 005 DEU 031 006 汝ら心を強くしかつ勇め彼らを懼るる勿れ彼らの前に慄くなかれ其は汝の神ヱホバみづから汝とともに往きたまへばなり必ず汝を離れず汝を棄たまはじ 005 DEU 031 007 斯てモーセ、ヨシユアを呼びイスラエルの一切の人の目の前にてこれに言ふ汝はこの民とともに往き在昔ヱホバがかれらの先祖たちに與へんと誓ひたまひし地に入るべきが故に心を強くしかつ勇め汝彼らにこれを獲さすることを得べし 005 DEU 031 008 ヱホバみづから汝に先だちて往きたまはんまた汝とともに居り汝を離れず汝を棄たまはじ懼るる勿れ驚くなかれ 005 DEU 031 009 モーセこの律法を書きヱホバの契約の櫃を舁ところのレビの子孫たる祭司およびイスラエルの諸の長老等に授けたり 005 DEU 031 010 而してモーセ彼らに命じて言けるは七年の末年すなはち放釋の年の節期にいたり結茅の節において 005 DEU 031 011 イスラエルの人皆なんぢの神ヱホバの前に出んとてヱホバの選びたまふ處に來らんその時に汝イスラエルの一切の人の前にこの律法を誦てこれに聞すべし 005 DEU 031 012 即ち男女子等および汝の門の内なる他國の人など一切の民を集め彼らをしてこれを聽かつ學ばしむべし然すれば彼等汝らの神ヱホバを畏れてこの律法の言を守り行はん 005 DEU 031 013 また彼らの子等のこれを知ざる者も之を聞て汝らの神ヱホバを畏るることを學ばん汝らそのヨルダンを濟りゆきて獲ところの地に存ふる日の間つねに斯すべし 005 DEU 031 014 ヱホバまたモーセに言たまひけるは視よ汝の死る日近しヨシユアを召てともに集會の幕屋に立て我かれに命ずるところあらんとモーセとヨシユアすなはち往て集會の幕屋に立けるに 005 DEU 031 015 ヱホバ幕屋において雲の柱の中に現はれたまへりその雲の柱は幕屋の門口の上に駐まれり 005 DEU 031 016 ヱホバ、モーセに言たまひけるは汝は先祖たちとともに寝らん此民は起あがりその往ところの他國の神々を慕ひて之と姦淫を行ひかつ我を棄て我が彼らとむすびし契約を破らん 005 DEU 031 017 その日には我かれらにむかひて怒を發し彼らを棄て吾面をかれらに隱すべければ彼らは呑ほろぼされ許多の災害と艱難かれらに臨まん是をもてその日に彼ら言ん是等の災禍の我らにのぞむは我らの神ヱホバわれらとともに在さざるによるならずやと 005 DEU 031 018 然るも彼ら諸の惡をおこなひて他の神々に歸するによりて我その日にはかならず吾面をかれらに隱さん 005 DEU 031 019 然ば汝ら今この歌を書きイスラエルの子孫にこれを敎へてその口に念ぜしめ此歌をしてイスラエルの子孫にむかひて我の證とならしめよ 005 DEU 031 020 我かれらの先祖たちに誓ひし乳と蜜の流るる地にかれらを導きいらんに彼らは食ひて飽き肥太るにおよばば翻へりて他の神々に歸してこれに事へ我を軽んじ吾契約を破らん 005 DEU 031 021 而して許多の災禍と艱難彼らに臨むにいたる時はこの歌かれらに對ひて證をなす者とならん其はこの歌かれらの口にありて忘るることなかるべければなり我いまだわが誓ひし地に彼らを導きいらざるに彼らは早く已に思ひ量る所あり我これを知ると 005 DEU 031 022 モーセすなはちその日にこの歌を書てこれをイスラエルの子孫に敎へたり 005 DEU 031 023 ヱホバまたヌンの子ヨシユアに命じて曰たまはく汝はイスラエルの子孫を我が其に誓ひし地に導きいるべきが故に心を強くしかつ勇め我なんぢとともに在べしと 005 DEU 031 024 モーセこの律法の言をことごとく書に書しるすことを終たる時 005 DEU 031 025 モーセ、ヱホバの契約の櫃を舁ところのレビ人に命じて言けるは 005 DEU 031 026 この律法の書をとりて汝らの神ヱホバの契約の櫃の傍にこれを置き之をして汝にむかひて證をなす者たらしめよ 005 DEU 031 027 我なんぢの悖る事と頑梗なるとを知る見よ今日わが生存へて汝らとともにある間すら汝らはヱホバに悖れり况てわが死たる後においてをや 005 DEU 031 028 汝らの諸支派の長老等および牧伯たちを吾許に集めよ我これらの言をかれらに語り聞せ天と地とを呼てかれらに證をなさしめん 005 DEU 031 029 我しる我が死たる後には汝ら必らず惡き事を行ひ我が汝らに命ぜし道を離れん而して後の日に災害なんぢらに臨まん是なんぢらヱホバの惡と觀たまふ事をおこなひ汝らの手の行爲をもてヱホバを怒らするによりてなり 005 DEU 031 030 かくてモーセ、イスラエルの全會衆にこの歌の言をことごとく語り聞せたり 005 DEU 032 001 天よ耳を傾むけよ我語らん地よ吾口の言を聽け 005 DEU 032 002 わが敎は雨の降るがごとし吾言は露のおくがごとく靀の若艸の上にふるごとく細雨の靑艸の上にくだるが如し 005 DEU 032 003 我はヱホバの御名を頌揚ん我らの神に汝ら榮光を歸せよ 005 DEU 032 004 ヱホバは磐にましましてその御行爲は完くその道はみな正しまた眞實ある神にましまして惡きところ無し只正くして直くいます 005 DEU 032 005 彼らはヱホバにむかひて惡き事をおこなふ者にてその子にはあらず只これが玷となるのみ其人と爲は邪僻にして曲れり 005 DEU 032 006 愚にして智慧なき民よ汝らがヱホバに報ゆること是のごとくなるかヱホバは汝の父にして汝を贖ひまた汝を造り汝を建たまはずや 005 DEU 032 007 昔の日を憶え過にし世代の年を念へよ汝の父に問べし彼汝に示さん汝の中の年老に問べし彼ら汝に語らん 005 DEU 032 008 至高者人の子を四方に散して萬の民にその產業を分ちイスラエルの子孫の數に照して諸の民の境界を定めたまへり 005 DEU 032 009 ヱホバの分はその民にしてヤユブはその產業たり 005 DEU 032 010 ヱホバこれを荒野の地に見これに獣の吼る曠野に遇ひ環りかこみて之をいたはり眼の珠のごとくにこれを護りたまへり 005 DEU 032 011 鵰のその巣雛を喚起しその子の上に翺翔ごとくヱホバその羽を展て彼らを載せその翼をもてこれを負たまへり 005 DEU 032 012 ヱホバは只独にてかれを導きたまへり別神はこれとともならざりき 005 DEU 032 013 ヱホバかれに地の高處を乗とほらせ田園の產物を食はせ石の中より蜜を吸しめ磐の中より油を吸しめ 005 DEU 032 014 牛の乳 羊の乳 羔羊の脂 バシヤンより出る牡羊 牡山羊および小麥の最も佳き者をこれに食はせたまひき汝はまた葡萄の汁の紅き酒を飮り 005 DEU 032 015 然るにヱシユルンは肥て踢ことを爲す汝は肥太りて大きくなり己を造りし神を棄て己が救拯の磐を軽んず 005 DEU 032 016 彼らは別神をもて之が嫉妬をおこし憎むべき者をもて之が震怒を惹く 005 DEU 032 017 彼らが犠牲をささぐる者は鬼にして神にあらず彼らが識ざりし鬼神近頃新に出たる者汝らの遠つ親の畏まざりし者なり 005 DEU 032 018 汝を生し磐をば汝これを棄て汝を造りし神をば汝これを忘る 005 DEU 032 019 ヱホバこれを見その男子女子を怒りてこれを棄たまふ 005 DEU 032 020 すなはち曰たまはく我わが面をかれらに隱さん我かれらの終を觀ん彼らはみな背き悖る類の者眞實あらざる子等なり 005 DEU 032 021 彼らは神ならぬ者をもて我に嫉妬を起させ虚き者をもて我を怒らせたれば我も民ならぬ者をもて彼らに嫉妬を起させ愚なる民をもて彼らを怒らせん 005 DEU 032 022 即ちわが震怒によりて火燃いで深き陰府に燃いたりまた地とその產物とを燒つくし山々の基をもやさん 005 DEU 032 023 我禍災をかれらの上に積かさね吾矢をかれらにむかひて射つくさん 005 DEU 032 024 彼らは饑て痩おとろへ熱の病患と惡き疫とによりて滅びん我またかれらをして獣の歯にかからしめ地に匍ふ者の毒にあたらしめん 005 DEU 032 025 外には劒内には恐惶ありて少き男をも少き女をも幼兒をも白髮の人をも滅ぼさん 005 DEU 032 026 我は曰ふ我彼等を吹掃ひ彼らの事をして世の中に記憶らるること無らしめんと 005 DEU 032 027 然れども我は敵人の怒を恐る即ち敵人どれを見あやまりて言ん我らの手能くこれを爲り是はすべてヱホバの爲るにあらずと 005 DEU 032 028 彼らはまつたく智慧なき民なりその中には知識ある者なし 005 DEU 032 029 嗚呼彼らもし智慧あらば之を了りてその身の終を思慮らんものを 005 DEU 032 030 彼らの磐これを賣ずヱホバごれを付さずば爭か一人にて千人を逐ひ二人にて萬人を敗ることを得ん 005 DEU 032 031 彼らの磐は我らの磐にしかず我らの敵たる者等も然認めたり 005 DEU 032 032 彼らの葡萄の樹はソドムの葡萄の樹またゴモラの野より出たる者その葡萄は毒葡萄その球は苦し 005 DEU 032 033 その葡萄酒は蛇の毒のごとく蝮の惡き毒のごとし 005 DEU 032 034 是は我の許に蓄へあり我の庫に封じこめ有にあらずや 005 DEU 032 035 彼らの足の躚かん時に我仇をかへし應報をなさんその災禍の日は近く其がために備へられたる事は迅速にいたる 005 DEU 032 036 ヱホバつひにその民を鞫きまたその僕に憐憫をくはへたまはん其は彼らの力のすでに去うせて繋がれたる者も繋がれざる者もあらずなれるを見たまへばなり 005 DEU 032 037 ヱホバ言たまはん彼らの神々は何處にをるや彼らが賴める磐は何處ぞや 005 DEU 032 038 即ちその犠牲の膏油を食ひその灌祭の酒を飮たる者は何處にをるや其等をして起て汝らを助けしめ汝らを護しめよ 005 DEU 032 039 汝ら今觀よ我こそは彼なり我の外には神なし殺すこと活すこと撃こと愈すことは凡て我是を爲す我手より救ひ出すことを得る者あらず 005 DEU 032 040 我天にむかひて手をあげて言ふ我は永遠に活く 005 DEU 032 041 我わが閃爍く刃を磨ぎ審判をわが手に握る時はかならず仇をわが敵にかへし我を惡む者に返報をなさん 005 DEU 032 042 我わが箭をして血に酔しめ吾劍をして肉を食しめん即ち殺るる者と擄らるる者の血を之に飮せ敵の髮おほき首の肉をこれに食はせん 005 DEU 032 043 國々の民よ汝らヱホバの民のために歓悦をなせ其はヱホバその僕の血のために返報をなしその敵に仇をかへしその地とその民の汚穢をのぞきたまへばなり 005 DEU 032 044 モーセ、ヌンの子ヨシユアとともに到りてこの歌の言をことごとく民に誦きかせたり 005 DEU 032 045 モーセこの言語をことごとくイスラエルの一切の人に告をはりて 005 DEU 032 046 これに言けるは我が今日なんぢらに對ひて證するこの一切の言語を汝ら心に蔵め汝らの子等にこの律法の一切の言語を守りおこなふことを命ずべし 005 DEU 032 047 抑この言は汝らには虚しき言にあらず是は汝らの生命なりこの言によりて汝らはそのヨルダンを濟りゆきて獲ところの地にて汝らの生命を永うすることを得るなり 005 DEU 032 048 この日にヱホバ、モーセに告て言たまはく 005 DEU 032 049 汝ヱリコに對するモアブの地のアバリム山に登りてネボ山にいたり我がイスラエルの子孫にあたへて產業となさしむるカナンの地を觀わたせよ 005 DEU 032 050 汝はその登れる山に死て汝の民に列ならん是汝の兄弟アロンがホル山に死てその民に列りしごとくなるべし 005 DEU 032 051 是は汝らチンの曠野なるカデシのメリバの水の邊においてイスラエルの子孫の中間にて我に悖りイスラエルの子孫の中に我の聖きことを顯さざりしが故なり 005 DEU 032 052 然ども汝は我がイスラエルの子孫に與ふる地を汝の前に觀わたすことを得ん但しその地には汝いることを得じ 005 DEU 033 001 神の人モーセその死る前にイスラエルの子孫を祝せりその祝せし言は是のごとし云く 005 DEU 033 002 ヱホバ、シナイより來りセイルより彼らにむかひて昇りバランの山より光明を發ちて出で千萬の聖者の中間よりして格りたまへりその右の手には輝やける火ありき 005 DEU 033 003 ヱホバは民を愛したまふ其聖者は皆その手にあり皆その足下に坐りその言によりて起あがる 005 DEU 033 004 モーセわれらに律法を命ぜり是はヤコブの會衆の產業たり 005 DEU 033 005 民の首領等イスラエルの諸の支派あひ集れる時に彼はヱシユルンの中に王たりき 005 DEU 033 006 ルベンは生ん死はせじ然どその人數は寡少ならん 005 DEU 033 007 ユダにつきては斯いふヱホバよユダの聲を聽きこれをその民に引かへしたまへ彼はその手をもて己のために戰はん願くは汝これを助けてその敵にあたらしめたまへ 005 DEU 033 008 レビについては言ふ汝のトンミムとウリムは汝の聖人に歸す汝かつてマツサにて彼を試みメリバの水の邊にてかれと爭へり 005 DEU 033 009 彼はその父またはその母につきて言り我はこれを見ずと又彼は自己の兄弟を認ずまた自己の子等を顧みざりき是はなんぢの言に遵がひ汝の契約を守りてなり 005 DEU 033 010 彼らは汝の式例をヤコブに敎へ汝の律法をイスラエルに敎へ又香を汝の鼻の前にそなへ燔祭を汝の壇の上にささぐ 005 DEU 033 011 ヱホバよ彼の所有を祝し彼が手の作爲を悦こびて納れたまへ又起てこれに逆らふ者とこれを惡む者との腰を摧きて復起あがることあたはざらしめたまへ 005 DEU 033 012 ベニヤミンについては言ふヱホバの愛する者安然にヱホバとともにあり日々にその庇護をかうむりてその肩の間に居ん 005 DEU 033 013 ヨセフについては言ふ願くはその地ヱホバの祝福をかうむらんことを即ち天の寶物なる露淵の底なる水 005 DEU 033 014 日によりて產する寶物月によりて生ずる寶物 005 DEU 033 015 古山の嶺の寶物老嶽の寶物 005 DEU 033 016 地の寶物地の中の產物および柴の中に居たまひし者の恩惠などヨセフの首に臨みその兄弟と別になりたる者の頂に降らん 005 DEU 033 017 彼の牛の首出はその身に榮光ありてその角は兕の角のごとく之をもて國々の民を衝たふして直に地の四方の極にまで至る是はエフライムの萬々是はマナセの千々なり 005 DEU 033 018 ゼブルンについては言ふゼブルンよ汝は外に出て快樂を得よイツサカルよ汝は家に居て快樂を得よ 005 DEU 033 019 彼らは國々の民を山に招き其處にて義の犠牲を献げん又海の中に盈る物を得て食ひ沙の中に蔵れたる物を得て食はん 005 DEU 033 020 ガドについては言ふガドをして大ならしむる者は讃べき哉ガドは獅子のごとくに伏し腕と首の頂とを掻裂ん 005 DEU 033 021 彼は初穂の地を自己のために選べり其處には大將の分もこもれり彼は民の首領等とともに至りイスラエルとともにヱホバの公義と審判とをなこなへり 005 DEU 033 022 ダンについては言ふダンは小獅子のごとくバシヤンより跳り出づ 005 DEU 033 023 ナフタリについては言ふナフタリよ汝は大に福祉をかうむりヱホバの恩惠にうるほふて西と南の部を獲ん 005 DEU 033 024 アセルについては言ふアセルは他の子等よりも幸福なりまた其兄弟等にこえて惠まれその足を膏の中に浸さん 005 DEU 033 025 汝の門閂は鐵のごとく銅のごとし汝の能力は汝が日々に需むるところに循はん 005 DEU 033 026 ヱシユルンよ全能の神のごとき者は外に無し是は天に乗て汝を助け雲に駕てその威光をあらはしたまふ 005 DEU 033 027 永久に在す神は住所なり下には永遠の腕あり敵人を汝の前より驅はらひて言たまふ滅ぼせよと 005 DEU 033 028 イスラエルは安然に住をりヤコブの泉は穀と酒との多き地に獨り在らんその天はまた露をこれに降すべし 005 DEU 033 029 イスラエルよ汝は幸福なり誰か汝のごとくヱホバに救はれし民たらんヱホバは汝を護る楯汝の榮光の劍なり汝の敵は汝に諂ひ服せん汝はかれらの高處を踐ん 005 DEU 034 001 斯てモーセ、モアブの平野よりネボ山にのぼりヱリコに對するピスガの嶺にいたりければヱホバ之にギレアデの全地をダンまで見し 005 DEU 034 002 ナフタリの全部エフライムとマナセの地およびユダの全地を西の海まで見し 005 DEU 034 003 南の地と棕櫚の邑なるヱリコの谷の原をゾアルまで見したまへり 005 DEU 034 004 而してヱホバかれに言たまひけるは我がアブラハム、イサク、ヤコブにむかひ之を汝の子孫にあたへんと言て誓ひたりし地は是なり我なんぢをして之を汝の目に觀ことを得せしむ然ど汝は彼處に濟りゆくことを得ずと 005 DEU 034 005 斯の如くヱホバの僕モーセはヱホバの言の如くモアブの地に死り 005 DEU 034 006 ヱホバ、ベテペオルに對するモアブの地の谷にこれを葬り給へり今日までその墓を知る人なし 005 DEU 034 007 モーセはその死たる時百二十歳なりしがその目は曚まずその氣力は衰へざりき 005 DEU 034 008 イスラエルの子孫モアブの地において三十日のあひだモーセのために哭泣をなしけるがモーセのために哭き哀しむ日つひに滿り 005 DEU 034 009 ヌンの子ヨシユアは心に智慧の充る者なりモーセその手をこれが上に按たるによりて然るなりイスラエルの子孫は之に聽したがひヱホバのモーセに命じたまひし如くおこなへり 005 DEU 034 010 イスラエルの中にはこの後モーセのごとき預言者おこらざりきモーセはヱホバが面を對せて知たまへる者なりき 005 DEU 034 011 即ちヱホバ、エジプトの地においてかれをパロとその臣下とその全地とにつかはして諸々の徴證と奇蹟を行はせたまへり 005 DEU 034 012 またイスラエルの一切の人の目の前にてモーセその大なる能力をあらはし大なる畏るべき事を行へり # # BOOK 006 JOS Joshua ヨシュア記 006 JOS 001 001 ヱホバの僕モーセの死し後ヱホバ、モーセの從者ヌンの子ヨシユアに語りて言たまはく 006 JOS 001 002 わが僕モーセは已に死り然ば汝いま此すべての民とともに起てこのヨルダンを濟り我がイスラエルの子孫に與ふる地にゆけ 006 JOS 001 003 凡そ汝らが足の蹠にて踏む所は我これを盡く汝らに與ふ我が前にモーセに語し如し 006 JOS 001 004 汝らの疆界は荒野および此レバノンより大河ユフラテ河に至りてヘテ人の全地を包ね日の沒る方の大海に及ぶべし 006 JOS 001 005 汝が生ながらふる日の間なんぢに當る事を得る人なかるべし我モーセと偕に在しごとく汝と偕にあらん我なんぢを離れず汝を棄じ 006 JOS 001 006 心を強くしかつ勇め汝はこの民をして我が之に與ふることをその先祖等に誓ひたりし地を獲しむべき者なり 006 JOS 001 007 惟心を強くし勇み勵んで我僕モーセが汝に命ぜし律法をことごとく守りて行へ之を離れて右にも左にも曲るなかれ然ば汝いづくに往ても利を得べし 006 JOS 001 008 この律法の書を汝の口より離すべからず夜も晝もこれを念ひて其中に録したる所をことごとく守りて行へ然ば汝の途福利を得汝かならず勝利を得べし 006 JOS 001 009 我なんぢに命ぜしにあらずや心を強くしかつ勇め汝の凡て往く處にて汝の神ヱホバ偕に在せば懼るる勿れ戰慄なかれ 006 JOS 001 010 茲にヨシユア民の有司等に命じて言ふ 006 JOS 001 011 陣營の中を行めぐり民に命じて言へ汝等糧食を備へよ三日の内に汝らは此ヨルダンを濟り汝らの神ヱホバが汝らに與へて獲させんとしたまふ地を獲んために進みゆくべければなりと 006 JOS 001 012 ヨシユアまたルベン人ガド人およびマナセの支派の半に告て言ふ 006 JOS 001 013 ヱホバの僕モーセ前に汝らに命じて言り汝らの神ヱホバ今なんぢらに安息を賜へり亦この地を汝らに與へたまふべしと汝らこの言詞を記念よ 006 JOS 001 014 汝らの妻子および家畜はモーセが汝らに與へしヨルダンの此旁の地に止まるべし然ど汝ら勇者は皆身をよろひて兄弟等の先にたち進濟りて之を助けよ 006 JOS 001 015 而してヱホバが汝らに賜ひし如くなんぢらの兄弟等にも安息を賜ふにおよばば又かれらもなんぢらの神ヱホバの與へたまふ地を獲るにおよばば汝らヱホバの僕モーセより與へられしヨルダンの此旁日の出る方なる己が所有の地に還りてこれを保つべしと 006 JOS 001 016 彼らヨシユアに應て言ふ汝が我等に命ぜし所は我等盡く爲べし凡て汝が我らを遣す處には我ら往べし 006 JOS 001 017 我らは一切の事モーセに聽したがひし如く亦なんぢに聽したがはん唯ねがはくは汝の神ヱホバ、モーセと偕にいまししごとく汝と偕に在さんことを 006 JOS 001 018 誰にもあれ汝が命令に背き凡て汝が命ずるところの言に聽したがはざる者あらば之を殺すべし唯なんぢ心を強くしかつ勇め 006 JOS 002 001 茲にヌンの子ヨシユア、シツテムより潜かに二人の間者を發し之にいひけるは往てかの地およびヱリコを窺ひ探れ乃ち彼ら往て妓婦ラハブと名づくる者の家に入て其處に寝けるが 006 JOS 002 002 或人ヱリコの王に告て觀よイスラエルの子孫の者この地を探らんとて今宵ここに入きたれりといふ 006 JOS 002 003 是に於てヱリコの王ラハブに言つかはしけるは汝にきたりて汝の家に入し人を曳いだせ彼らは此全國を探らんとて來れるなり 006 JOS 002 004 婦人かのふたりの人を將て之を匿し而して言ふ實にその人々はわが許に來れり然れども我その何處よりか知ざりしが 006 JOS 002 005 黄昏どき門を閉るころに出されり我その人々の何處へ往しかを知ず急ぎその後を追へ然ば之に追及んと 006 JOS 002 006 その實は婦すでにかれらを領て屋葢に升り屋葢の上に列べおきたる麻のなかに之をかくししなり 006 JOS 002 007 かくてその人々彼らの後を追ひヨルダンの路をゆきて渡場に赴むけり、かれらの後を追ふ者出るや直に門を閉しぬ 006 JOS 002 008 二人のもの未だ寝ずラハブ屋背に上りて彼らのもとに來り 006 JOS 002 009 これに言けるはヱホバこの地を汝らに賜へり我らは甚く汝らを懼る此地の民盡く汝らの前に消亡ん我この事を知る 006 JOS 002 010 其は汝らがエジプトより出來し時ヱホバなんぢらの前にて紅海の水を乾たまひし事および汝らがヨルダンの彼旁にありしアモリ人の二箇の王シホンとオグとになししこと即ちことごとく之を滅ぼしたりし事を我ら聞たればなり 006 JOS 002 011 我ら之を聞や心怯けなんぢらの故によりて人の魂きえうせたり汝らの神ヱホバは上の天にも下の地にも神たるなり 006 JOS 002 012 然ば請ふ我すでに汝らに恩を施したれば汝らも今ヱホバを指て我父の家に恩をほどこさんことを誓ひて我に眞實の記號を與へよ 006 JOS 002 013 又わが父母兄弟姉妹および凡て彼らに屬る者をながらへしめ我らの生命を拯ひて死を免かれしめんことを誓へよ 006 JOS 002 014 二人のものこれに言けるは汝ら若しわれらの此事を洩すことなくば我らの生命汝らに代りて死ん又ヱホバわれらに此地を與へたまふ時には我らなんぢに恩を施し眞實を盡さん 006 JOS 002 015 是においてラハブ繩をもて彼らを窓より縋おろせり是は其家邑の石垣の上にありてかれ石垣の上に住しによる 006 JOS 002 016 ラハブかれらに言けるは恐らくは追者なんぢに遇ん汝ら山に往て三日が間そこに隱れをり追者の還るを待て後去ゆくべし 006 JOS 002 017 二人のものかれに言けるは汝が我らに誓しし此誓につきては我ら罪を獲じ 006 JOS 002 018 我らが此地に打いらん時は汝我らを縋おろしたりし窓に此一條の赤き紐を結つけ且つ汝の父母兄弟および汝の父の家の眷族を悉く汝の家に聚むべし 006 JOS 002 019 凡て汝の家の門を出て街衢に來る者はその血自身の首に歸すべし我らは罪なし然どもし汝とともに家にをる者に手をくはふることをせばその血は我らの首に歸すべし 006 JOS 002 020 將た汝もし我らのこの事を洩さば汝が我らに誓せたる誓に我らあづかることなし 006 JOS 002 021 ラハブいひけるはなんぢらの言のごとくすべしと斯てかれらを出し去しめて赤き紐を窓に結べり 006 JOS 002 022 かれら往て山にいり追來るもののかへるを待て三日が間そこに居れりおひ來れるもの徧ねく彼らを途に尋ねしかども終に獲ざりき 006 JOS 002 023 而してかの二箇の人は山を下り河を濟りて歸りヌンの子ヨシユアに詣りて其有し事等をつぶさに陳ぶ 006 JOS 002 024 またヨシユアにいふ誠にヱホバこの國をことごとく我らの手に付したまへりこの國の民は皆我らの前に消うせんと 006 JOS 003 001 ヨシユア朝はやく起いでてイスラエルの人々とともにシツテムを打發てヨルダンにゆき之を濟らずして其處に宿りぬ 006 JOS 003 002 斯て三日の後有司ら陣營の中をめぐり 006 JOS 003 003 民に命じて曰ふ汝ら祭司等レビ人がなんぢらの神ヱホバの契約の櫃を舁出すを見ば其處を發出てその後に從がへ 006 JOS 003 004 されど汝らとその櫃との間には量りて凡そ二千キユビト許の隔離あるべし之に近づく勿れなんぢらその行べき途を知んためなり汝らは未だこの途を經しことなかりき 006 JOS 003 005 ヨシユアまた民に言ふ汝ら身を潔めよヱホバ明日なんぢらの中に妙なる事を行ひたまふべしと 006 JOS 003 006 ヨシユア祭司等に告ていふ契約の櫃を舁き民に先だちて濟れと則ち契約の櫃を舁き民に先だちて進めり 006 JOS 003 007 ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは今日よりして我イスラエルの衆の目の前に汝を尊くし我がモーセと偕にありし如く汝と偕にあることを之に知せん 006 JOS 003 008 なんぢ契約の櫃を舁ところの祭司等に命じて言へ汝らヨルダンの水際にゆかばヨルダンにいりて立べしと 006 JOS 003 009 ヨシユアでイスラエルの人々にむかひて汝ら此に近づき汝らの神ヱホバの言を聽けと 006 JOS 003 010 而してヨシユア語りけらく活神なんぢらの中に在してカナン人ヘテ人ヒビ人ペリジ人ギルガジ人アモリ人ヱブス人を汝らの前より必ず逐はらひたまふべきを左の事によりてなんぢら知るべし 006 JOS 003 011 視よ全地の主の契約の櫃なんぢらに先だちてヨルダンにすすみ入る 006 JOS 003 012 然ば今イスラエルの支派の中より支派ごとに一人づつ合せて十二人を擧よ 006 JOS 003 013 全地の主ヱホバの櫃を舁ところの祭司等の足の蹠ヨルダンの水の中に踏とどまらばヨルダンの水上より流れくだる水きれとどまり立てうづだかくならん 006 JOS 003 014 かくて民はヨルダンを濟らんとてその幕屋を立出祭司等は契約の櫃を舁て之に先だちゆく 006 JOS 003 015 抑々ヨルダンは収穫の頃には絶ずその岸にことごとく溢るるなれど櫃を舁く者等ヨルダンに到り櫃を舁ける祭司等の足水際に浸ると斉しく 006 JOS 003 016 上より流れくだる水止まりて遥に遠き處まで涸れザレタンに近きアダム邑の邊にて積り起て堆かくなりアラバの海すなはち鹽海の方に流れくだる水まつたく截止りたれば民ヱリコにむかひて直に濟れり 006 JOS 003 017 即ちヱホバの契約の櫃を舁る祭司等ヨルダンの中の乾ける地に堅く立をりてイスラエル人みな乾ける地を渉りゆき遂に民ことごとくヨルダンを濟りつくせり 006 JOS 004 001 民ことごとくヨルダンを濟りつくしたる時ヱホバ、ヨシユアに語りて言たまはく 006 JOS 004 002 汝ら民の中より支派ごとに一人づつ合せて十二人を擧げ 006 JOS 004 003 これに命じて言へ汝らヨルダンの中祭司等の足を踏とめしその處より石十二を取あげてこれを負ひ濟り此夜なんぢらが宿る宿場に居ゑよと 006 JOS 004 004 ヨシユアすなはちイスラエルの人々の中より支派ごとに預て一人づつを取て備へおきぬその十二人の者を召よせ 006 JOS 004 005 而してヨシユアこれに言けるは汝らの神ヱホバの契約の櫃の前に當りて汝らヨルダンの中にすすみ入りイスラエルの人々の支派の數に循ひて各々石ひとつを取あげて肩に負きたれ 006 JOS 004 006 是は汝らの中に徴となるべし後の日にいたりて汝らの子輩是等の石は何のこころなりやと問て言ば 006 JOS 004 007 之にいへ往昔ヨルダンの水ヱホバの契約の櫃の前にて裁斷りたる事を表はすなり即ちそのヨルダンを濟れる時にヨルダンの水きれ止まれりこの故にこれらの石を永くイスラエルの人々の記念となすべしと 006 JOS 004 008 イスラエルのひとびとヨシユアの命ぜしごとく然なしヱホバのヨシユアに告げたまひし如くイスラエルの人々の支派の數にしたがひてヨルダンの中より石十二を取あげ之を負わたりてその宿る處にいたり之を其處にすゑたり 006 JOS 004 009 ヨシユアまたヨルダンの中において契約の櫃を舁る祭司等の足を踏立し處に石十二を立たりしが今日までも尚ほ彼處にあり 006 JOS 004 010 櫃を舁る祭司等はヱホバのヨシユアに命じて民に告しめたまひし事の悉く成るまでヨルダンの中に立をれり凡てモーセのヨシユアに命ぜし所に適へり民は急ぎて濟りぬ 006 JOS 004 011 民の悉く濟りつくせるときヱホバの櫃および祭司等は民の觀る前にて濟りたり 006 JOS 004 012 ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半モーセの之に言たりし如く身をよろひてイスラエルの人々に先だちて濟りゆき 006 JOS 004 013 凡そ四萬人ばかりの者軍の装に身を堅め攻戰はんとてヱホバに先だち濟りてヱリコの平野に至れり 006 JOS 004 014 ヱホバこの日イスラエルの衆人の目の前にてヨシユアを尊くしたまひければ皆モーセを畏れしごとくに彼を畏る其一生の間常に然り 006 JOS 004 015 ヱホバ、ヨシユアに語りて言たまひけるは 006 JOS 004 016 なんぢ證詞の櫃を舁る祭司等にヨルダンを出きたれと命ぜよ 006 JOS 004 017 ヨシユアすなはち祭司等に命じヨルダンを出きたれと言ければ 006 JOS 004 018 ヱホバの契約の櫃を舁る祭司等ヨルダンの中より出きたる 祭司等足の蹠を陸地に擧ると斉くヨルダンの水故の處に流れかへりて初のごとくその岸にことごとく溢れぬ 006 JOS 004 019 正月の十日に民ヨルダンを出きたりヱリコの東の境界なるギルガルに營を張り 006 JOS 004 020 時にヨシユアそのヨルダンより取きたらせし十二の石をギルガルにたて 006 JOS 004 021 イスラエルの人々に語りて言ふ後の日にいたりて汝らの子輩その父に問て是らの石は何の意なりやと言ば 006 JOS 004 022 その子輩に告しらせて言へ在昔イスラエルこのヨルダンを陸地となして濟りすぎし事あり 006 JOS 004 023 即ち汝らの神ヱホバ、ヨルダンの水を汝らの前に乾涸して汝らを濟らせたまへり其事は汝らの神ヱホバの我らの前に紅海を乾涸して我らを渡らせたまひし状况の如くなりき 006 JOS 004 024 斯なしたまひしは地の諸の民をしてヱホバの手の力あるを知しめ汝らの神ヱホバを恒に畏れしめんためなり 006 JOS 005 001 ヨルダンの彼旁に居るアモリ人の諸の王および海邊に居るカナン人の諸の王はヱホバ、ヨルダンの水をイスラエルの人々の前に乾涸して我らを濟らせたまひしと聞きイスラエルの人々の事によりて神魂消え心も心ならざりき 006 JOS 005 002 その時ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは汝石の小刀を作り重て復イスラエルの人々に割禮を行なへと 006 JOS 005 003 ヨシユアすなはち石の小刀を作り陽皮山にてイスラエルの人々に割禮を行へり 006 JOS 005 004 ヨシユアが割禮を行ひし所以は是なりエジプトより出きたりし民の中の一切の男すなはち軍人は皆エジプトを出し後途にて荒野に死たりしが 006 JOS 005 005 その出來し民はみな割禮を受たる者なりき然どエジプトを出し後途にて荒野に生れし民には皆割禮を施こさざりき 006 JOS 005 006 そもそもイスラエルの人々は四十年の間荒野を歩みをりて終にそのエジプトより出來し民すなはち軍人等ことごとく亡はてたり是ヱホバの聲に聽したがはざりしに因てなり是をもてヱホバかれらの先祖等に誓ひて我等に與へんと宣まひし地なる乳と蜜との流るる地を之に見せじと誓たまへり 006 JOS 005 007 かれらに継て興らしめたまひしその子輩にはヨシユア割禮を行へりかれらは途にて割禮を施さざりしによりて割禮なきものなりければなり 006 JOS 005 008 一切の民に割禮を行ふこと畢りぬれば民は陣營に其儘居てその痊るを待り 006 JOS 005 009 時にヱホバ、ヨシユアにむかひて我今日エジプトの羞辱を汝らの上より轉ばし去りと宣まへり是をもてその處の名を今日までギルガル(轉)と稱ふ 006 JOS 005 010 イスラエルの人々ギルガルに營を張りその月の十四日の晩ヱリコの平野にて逾越節を行へり 006 JOS 005 011 而して逾越節の翌日その地の穀物酵いれぬパンおよび烘麥をその日に食ひけるが 006 JOS 005 012 その地の穀物を食ひし翌日よりしてマナの降ることを止みてイスラエルの人々かさねてマナを獲ざりき其年はカナンの地の產物を食へり 006 JOS 005 013 ヨシユア、ヱリコの邊にあひける時目を擧て觀しに一箇の人劍を手に抜持て己にむかひて立ゐければヨシユアすなはちその許にゆきて之に言ふ汝は我等を助くるか將われらの敵を助くるか 006 JOS 005 014 かれいひけるは否われはヱホバの軍旅の將として今來れるなりとヨシユア地に俯伏て拝し我主なにを僕に告んとしたまふやと之に言り 006 JOS 005 015 ヱホバの軍旅の將ヨシユアに言けるは汝の履を足より脱され汝が立をる處は聖きなりとヨシユア然なしぬ 006 JOS 006 001 (イスラエルの人々の故によりてヱリコは堅く閉して出入する者なし) 006 JOS 006 002 ヱホバ、ヨシユアに言ひたまひけるは觀よわれヱリコおよびその王と大勇士とを汝の手に付さん 006 JOS 006 003 汝ら軍人みな邑を繞りて邑の周圍を一次まはるべし汝六日が間かく爲よ 006 JOS 006 004 祭司等七人おのおのヨベルの喇叭をたづさへて櫃に先だつべし而して第七日には汝ら七次邑をめぐり祭司等喇叭を吹ならすべし 006 JOS 006 005 然して祭司等ヨベルの角を音ながくふきならして喇叭の聲なんぢらに聞ゆる時は民みな大に呼はり喊ぶべし然せばその邑の石垣崩れおちん民みな直に進て攻のぼるべしと 006 JOS 006 006 ヌンの子ヨシユアやがて祭司等を召て之に言ふ汝ら契約の櫃を舁き祭司等七人ヨベルの喇叭七をたづさへてヱホバの櫃に先だつべしと 006 JOS 006 007 而して民に言ふ汝ら進みゆきて邑を繞れ甲冑のものどもヱホバの櫃に先だちて進むべしと 006 JOS 006 008 ヨシユアかく民に語りしかば七人の祭司等おのおのヨベルの喇叭をたづさへヱホバに先だちすきみて喇叭を吹きヱホバの契約の櫃これにしたがふ 006 JOS 006 009 即ち甲冑のものどもは喇叭を吹くところの祭司等にさきだちて行き後軍は櫃の後に行く祭司たちは喇叭を吹きつつすすめり 006 JOS 006 010 ヨシユア民に命じて言ふ汝ら呼はる勿れ汝らの聲を聞えしむるなかれまた汝らの口より言を出すなかれわが汝らに呼はれと命ずる日におよびて呼はるべしと 006 JOS 006 011 而してヱホバの櫃をもち邑を繞りて一周し陣營に來りて營中に宿れり 006 JOS 006 012 又あくる朝ヨシユアはやく興いで祭司等ヱホバの櫃を舁き 006 JOS 006 013 七人の祭司等おのおのヨベルの喇叭をたづさへヱホバの櫃に先だちて行き喇叭を吹きつつすすみ甲冑の者等これに先だちて行き後軍はヱホバの櫃の後に行く祭司等喇叭をふきつつ進めり 006 JOS 006 014 その次の日にも一次邑を繞りて陣營に歸り六日が間然なせり 006 JOS 006 015 第七日には夜明に早く興いで前のごとくして七次邑を繞れり唯この日のみ七次邑を繞りたり 006 JOS 006 016 七次目にいたりて祭司等喇叭を吹くときにヨシユア民に言ふ汝ら呼はれヱホバこの邑を汝らに賜へり 006 JOS 006 017 この邑およびその中の一切の物をば詛はれしものとしてヱホバに献ぐべし唯妓婦ラハブおよび凡て彼とともに家に在るものは生し存べしわれらが遣しし使者を匿したればなり 006 JOS 006 018 唯汝ら詛はれし物を愼め恐らくは汝ら其を詛はれしものとして献ぐるに方りその詛はれし物を自ら取りてイスラエルの陣營をも詛はるるものとならしめ之をして惱ましむるに至らん 006 JOS 006 019 但し銀金銅器鐵器などは凡てヱホバに聖別て奉まつるべきものなればヱホバの府庫にこれを携へいるべしと 006 JOS 006 020 是において民よばはり祭司喇叭を吹ならしけるが民喇叭の聲をきくと斉しくみな大聲を擧て呼はりしかば石垣崩れおちぬ斯りしかば民おのおの直に邑に上りいりて邑を攻取り 006 JOS 006 021 邑にある者は男女少きもの老たるものの區別なく盡くこれを刃にかけて滅ぼし且つ牛羊驢馬にまで及ぼせり 006 JOS 006 022 時にヨシユアこの地を窺ひたりし二箇の人にむかひ汝らかの妓婦の家に入りかの婦人およびかれに屬る一切のものを携へいだしかれに誓ひし如くせよと言ければ 006 JOS 006 023 間者たりし少き人等すなはち入てラハブおよびその父母兄弟ならびに彼につけるすべてのものを携へ出しまたその親戚をも携へ出しイスラエルの陣營の外にかれらを置り 006 JOS 006 024 斯て火をもて邑とその中の一切のものを焚ぬ但し銀金銅器鐵器などはヱホバの室の府庫に納めたり 006 JOS 006 025 妓婦ラハブおよびその父の家の一族と彼に屬る一切の者とはヨシユアこれを生し存ければラハブは今日までイスラエルの中に住をる是はヨシユアがヱリコを窺はせんとて遣はしし使者を匿したるに因てなり 006 JOS 006 026 ヨシユアその時人衆に誓ひて命じ言けるは凡そ起てこのヱリコの邑を建る者はヱホバの前に詛はるべし其石礎をすゑなば長子を失ひその門を建なば季子を失はんと 006 JOS 006 027 ヱホバ、ヨシユアとともに在してヨシユアの名あまねく此地に聞ゆ 006 JOS 007 001 時にイスラエルの人々その詛はれし物につきて罪を犯せり即ちユダの支派の中なるゼラの子ザブデの子なるカルミの子アカン詛はれし物を取り是をもてヱホバ、イスラエルの人々にむかひて震怒を發ちたまへり 006 JOS 007 002 ヨシユア、ヱリコより人を遣はしベテルの東に當りてベテアベンの邊にあるアイに到らしめんとし之に語りて言ふ汝ら上りゆきてかの地を窺へとその人々上りゆきてアイを窺ひけるが 006 JOS 007 003 ヨシユアの許に歸て之に言ふ民を盡くは上り往しめざれ唯二三千人を上らせてアイを撃しめよかれらは寡ければ一切の民を彼處に遣て勞せしむるなかれと 006 JOS 007 004 是において民およそ三千人ばかり彼處に上りゆきけるが遂にアイの人の前より遁はしれり 006 JOS 007 005 アイの人彼らを門の前より追てシバリムにいたり下坂にてその三十六人ばかりを撃り民は魂神消て水のごとくになりぬ 006 JOS 007 006 斯りしかばヨシユア衣を裂きイスラエルの長老等とともにヱホバの櫃の前にて暮まで地に俯伏をり首に塵を蒙れり 006 JOS 007 007 ヨシユア言けらく嗟主ヱホバよ何とて此民を導きてヨルダンを濟らせ我らをアモリ人の手に付して滅亡させんとしたまふや我等ヨルダンの彼旁に安んじ居しならば善りしものを 006 JOS 007 008 嗟主よイスラエルすでに敵に背を見せたれば我また何をか言ん 006 JOS 007 009 カナン人およびこの地の一切の民これを聞きわれらを攻かこみてわれらの名をこの世より絶ん然らば汝の大なる御名を如何にせんや 006 JOS 007 010 ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは立よなんぢ何とて斯は俯伏すや 006 JOS 007 011 イスラエルすでに罪を犯しわが彼らに命じおける契約を破れり即ち彼らは詛はれし物を取り窃みかつ詐りてこれを己の所有物の中にいれたり 006 JOS 007 012 是をもてイスラエルの人々は敵に當ること能はず敵に背を見す是は彼らも詛はるる者となりたればなり汝ら其詛はれし物を汝らの中より絶にあらざれば我ふたたび汝らと偕にをらじ 006 JOS 007 013 たてよ民を潔めて言へ汝ら身を潔めて明日を待てイスラエルの神ヱホバかく言たまふイスラエルよ汝の中に詛はれしものあり汝その詛はれし物を汝らの中より除き去るまでは汝の敵に當ること能はず 006 JOS 007 014 然ば翌朝汝らその支派にしたがひて進みいづべし而してヱホバの掣たまふ支派はその宗族にしたがひて進み出でヱホバの掣たまふ宗族はその家にしたがひて進み出でヱホバの掣たまふ家は男ひとりびとりに從がひて進みいづべし 006 JOS 007 015 凡そ掣れて詛はれし物を有りと定まる者は其一切の所有物とともに火に焚るべし是はヱホバの契約を破りイスラエルの中に愚なる事を行ひたるが故なりと 006 JOS 007 016 ヨシユア是において朝はやく興いでてイスラエルをその支派にしたがひて進出しめけるにユダの支派掣れたれば 006 JOS 007 017 ユダのもろもろの宗族を進み出でしめけるにゼラの宗族掣れゼラの宗族の人々を進み出しめけるにザブデ掣れ 006 JOS 007 018 ザブデの家の人々を進み出しめけるにアカン掣れぬ彼はユダの支派なるゼラの子ザブデの子なるカルミの子なり 006 JOS 007 019 ヨシユア、アカンに言けるは我子よ請ふイスラエルの神ヱホバに稱讃を歸し之にむかひて懺悔し汝の爲たる事を我に告よ其事を我に隱すなかれ 006 JOS 007 020 アカン、ヨシユアに答へて言けるは實にわれはイスラエルの神ヱホバに對ひて罪ををかし如此々々行へり 006 JOS 007 021 即ちわれ掠取物の中にバビロンの美しき衣服一枚に銀二百シケルと重量五十シケルの金の棒あるを見欲く思ひて其を取れりそれはわが天幕の中に地に埋め匿してあり銀も下にありと 006 JOS 007 022 爰にヨシユア使者を遣はしければ即ち彼の天幕に奔りゆきて視しに其は彼の天幕の中に匿しありて銀も下にありき 006 JOS 007 023 彼ら其を天幕の中より取出してヨシユアとイスラエルの一切の人々の所に携へきたりければ則ちそれをヱホバの前に置り 006 JOS 007 024 ヨシユアやがてイスラエルの一切の人とともにゼラの子アカンを執へかの銀と衣服と金の棒およびその男子女子牛驢馬羊天幕など凡て彼の有る物をことごとく取てアコルの谷にこれを曳ゆけり 006 JOS 007 025 而してヨシユア言けらく汝なんぞ我らを惱まししやヱホバ今日汝を惱ましたまふべしと頓てイスラエル人みな石をもて彼を撃ころし又その家族等をも石にて撃ころし火をもて之を焚けり 006 JOS 007 026 而してアカンの上に大なる石堆を積揚たりしが今日まで存るかくてヱホバその烈しき忿怒を息たまへり是によりてその處の名を今日までアコル(惱)の谷と呼ぶ 006 JOS 008 001 茲にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは懼るる勿れ戰慄なかれ軍人をことごとく率ゐ起てアイに攻のぼれ視よ我アイの王およびその民その邑その地を都て汝の手に授く 006 JOS 008 002 汝さきにヱリコとその王とに爲し如くアイとその王とに爲べし今回は其貨財およびその家畜を奪ひて自ら取べし汝まづ邑の後に伏兵を設くべしと 006 JOS 008 003 ヨシユアすなはち起あがり軍人をことごとく將てアイに攻のぼらんとしまづ大勇士三萬人を選びて夜の中にこれを遣はせり 006 JOS 008 004 ヨシユアこれに命じて言く汝らは邑に對ひて邑の後に伏すべし邑に遠く離れをる勿れ皆準備をなして待をれ 006 JOS 008 005 我と我に從がふ民みな共に邑に攻よせん而して彼らが初のごとく我らにむかひて打出んとき我らは彼らの前より逃はしらん 006 JOS 008 006 然せば彼ら我らを追て出來べければ我等つひに之を邑より誘き出すことを得ん其は彼等いはんこの人衆は初めのごとくまた我等の前より逃ぐと斯てわれらその前より逃はしらん 006 JOS 008 007 汝らその伏をる處より起りて邑を取べし汝らの神ヱホバ之を汝らの手に付したまふべし 006 JOS 008 008 汝ら邑を乗取たらば邑に火を放ちヱホバの言詞の如く爲べし我これを汝らに命ず努よやと 006 JOS 008 009 かくてヨシユアかれらを遣はしければ即はち往てアイの西の方にてベテルとアイとの間に身を伏せたりヨシユアはその夜民の中に宿れり 006 JOS 008 010 ヨシユア朝はやく興いでて民をあつめイスラエルの長老等とともに民に先だちてアイにのぼりゆけり 006 JOS 008 011 彼に從がふ軍人ことごとく上りゆきて攻寄せ邑の前に至りてアイの北に陣をとれり彼とアイの間には一の谷ありき 006 JOS 008 012 ヨシユア五千人許を擧て邑の西の方にてベテルとアイとの間にこれを伏せおけり 006 JOS 008 013 かく民の全軍を邑の北に置きその伏兵を邑の西に置てヨシユアその夜谷の中にいりぬ 006 JOS 008 014 アイの王これを視しかばその邑の人々みな急ぎて蚤に起き進み出てイスラエルと戰ひけるが預て諜しあはせ置る頃には王とその一切の民アラバの前に進み來れり王は邑の後に伏兵ありて已を伺ふを知らざりき 006 JOS 008 015 時にヨシユア、イスラエルの一切の人とともに彼らに打負し状して荒野の路を指て逃はしりしかば 006 JOS 008 016 その邑の民みな之を追撃んとて呼はり集まりヨシユアの後を追て邑を出離れ 006 JOS 008 017 アイにもベテルにもイスラエルを追ゆかずして遺りをる者は一人もなく皆邑を開き放してイスラエルの後を追り 006 JOS 008 018 時にヱホバ、ヨシユアに言たまはく汝の手にある矛をアイの方に指伸よ我これを汝の手に授くべしとヨシユアすなはち己の手にある矛をアイの方に指伸るに 006 JOS 008 019 伏兵たちまち其處より起りヨシユアが手を伸ると齊しく奔きたりて邑に打いり之を取りて直に邑に火をかけたり 006 JOS 008 020 茲にアイの人々背をふりかへりて觀しに邑の焚る煙天に立騰りゐたれば此へも彼へも逃るに術なかりき斯る機しも荒野に逃ゆける民も身をかへして其追きたる者等に逼れり 006 JOS 008 021 ヨシユアおよび一切のイスラエル人伏兵の邑を取て邑の焚る煙の立騰るを見身を還してアイの人々を殺しけるが 006 JOS 008 022 かの兵また邑より出きたりて彼らに向ひければ彼方にも此方にもイスラエル人ありて彼らはその中間に挾まれぬイスラエル人かくして彼らを攻撃て一人をも餘さず逃さず 006 JOS 008 023 つひにアイの王を生擒てヨシユアの許に曳きたれり 006 JOS 008 024 イスラエル人己を荒野に追きたりしアイの民をことごとく野に殺し刃をもてこれを仆し盡すにおよびて皆アイに歸り刃をもてこれを撃ほろぼせり 006 JOS 008 025 その日アイの人々ことごとく斃れたりその數男女あはせて一萬二千人 006 JOS 008 026 ヨシユア、アイの民をことごとく滅ぼし絶まではその矛を指伸たる手を垂ざりき 006 JOS 008 027 但しその邑の家畜および貨財はイスラエル人これを奪ひて自ら取り是はヱホバのヨシユアに命じたまひし言に依なり 006 JOS 008 028 ヨシユア、アイを燬て永くこれを墟垤とならしむ是は今日まで荒地となりをる 006 JOS 008 029 ヨシユアまたアイの王を薄暮まで木に掛てさらし日の沒におよびて命じてその死骸を木より取おろさしめ邑の門の入口にこれを投すて其上に石の大垤を積おこせり其は今日まで存る 006 JOS 008 030 かくてヨシユア、エバル山にてイスラエルの神ヱホバに一の壇を築けり 006 JOS 008 031 是はヱホバの僕モーセがイスラエルの子孫に命ぜしことに本づきモーセの律法の書に記されたる所に循がひて新石をもて作れる壇にて何人も鐵器をその上に振あげず人衆その上にてヱホバに燔祭を献げ酬恩祭を供ふ 006 JOS 008 032 彼處にてヨシユア、モーセの書しるしし律法をイスラエルの子孫の前にて石に書うつせり 006 JOS 008 033 かくてイスラエルの一切の人およびその長老官吏裁判人など他國の者も本國の者も打まじりてヱホバの契約の櫃を舁る祭司等レビ人の前にあたりて櫃の此旁と彼旁に分れ半はゲリジム山の前に半はエバル山の前に立り是ヱホバの僕モーセの命ぜし所にしたがひて最初に先イスラエルの民を祝せんとてなり 006 JOS 008 034 然る後ヨシユア律法の書に凡てしるされたる所に循ひて祝福と呪詛とにかかはる律法の言をことごとく誦り 006 JOS 008 035 モーセの命じたる一切の言の中にヨシユアがイスラエルの全會衆および婦人子等ならびにイスラエルの中にをる他國の人の前にて誦ざるは無りき 006 JOS 009 001 茲にヨルダンの彼旁において山地平地レバノンに對へる大海の濱邊に居る諸の王すなはちヘテ人アモリ人カナン人ペリジ人ヒビ人ヱブス人たる者どもこれな聞て 006 JOS 009 002 心を同うし相集まりてヨシユアおよびイスラエルと戰はんとす 006 JOS 009 003 然るにギベオンの民ヨシユアがヱリコとアイとに爲たりし事を聞しかば 006 JOS 009 004 己も詭計をめぐらして使者の状にいでたち古き袋および古び破れたるを結びとめたる酒の革嚢を驢馬に負せ 006 JOS 009 005 補ひたる古履を足にはき古衣を身にまとひ來れり其糧のパンは凡て乾きかつ黴てありき 006 JOS 009 006 彼等ギルガルの陣營に來りてヨシユアの許にいたり彼とイスラエルの人々に言ふ我らは遠き國より來れり然ば今われらと契約を結べと 006 JOS 009 007 イスラエルの人々ヒビ人に言けるは汝らは我等の中に住をるならんも計られねば我ら爭か汝らと契約を結ぶことを得んと 006 JOS 009 008 彼ら又ヨシユアにむかひて我らは汝の僕なりと言ければヨシユアかれらに汝らは何人にして何處より來りしやと問しに 006 JOS 009 009 彼らヨシユアに言けるは僕等は汝の神ヱホバの名の故によりて遥に遠き國より來れり其は我ら彼の聲譽および彼がエジプトにて行ひたりし一切の事を聞き 006 JOS 009 010 また彼がヨルダンの彼旁にをりしアモリ人の二箇の王すなはちヘシボンの王シホンおよびアシタロテにをりしバシヤンの王オグに爲たりし一切の事を聞たればなり 006 JOS 009 011 是をもて我らの長老および我らの國に住をるものみなわれらに告て言り汝ら旅路の糧を手に携さへ往てかれらを迎へて彼らに言へ我らは汝らの僕なり請ふ我らと契約を結べと 006 JOS 009 012 我らの此パンは汝らの所に來らんとて出たちし日に我ら家々より其なほ温煖なるをとり備へしなるが視よ今は已に乾きて黴たり 006 JOS 009 013 また酒をみたせるこれらの革嚢も新しかりしが破るるに至り我らのこの衣服も履も旅路の甚だ長きによりて古びぬと 006 JOS 009 014 然るに人々は彼らの糧を取りヱホバの口を問ことをせざりき 006 JOS 009 015 ヨシユアすなはち彼らと好を爲し彼らを生しおかんといふ契約を結び會中の長等かれらに誓ひたりしが 006 JOS 009 016 その彼らと契約を結びてより三日を經て後かれらは己に近き人にして己の中に住をる者なりと聞り 006 JOS 009 017 イスラエルの子孫やがて進みて第三日に彼らの邑々に至れり其邑はギベオン、ケピラ、ベエロテおよびキリアテヤリムなり 006 JOS 009 018 然れども會中の長等イスラエルの神ヱホバを指て彼らに誓ひたりしをもてイスラエルの子孫これを攻撃ざりき是をもて會衆みな長等にむかひて呟けり 006 JOS 009 019 然ど長等は凡て全會衆に言ふ我らイスラエルの神ヱホバを指て彼らに誓へり然ば今彼らに觸べからず 006 JOS 009 020 我ら斯かれらに爲て彼らを生しおかん然すれば彼らに誓ひし誓によりて震怒の我らに及ぶことあらじと 006 JOS 009 021 長等また人衆にむかひて彼らを生しおくべしと言ければ彼らは遂に全會衆のために薪を斬り水を汲ことをする者となれり長等の彼等に言たるが如し 006 JOS 009 022 ヨシユアすなはち彼らを召よせて彼らに語りて言けるは汝らは我らの中に住をりながら何とて我らは汝らに甚だ遠しと言て我らを誑かししや 006 JOS 009 023 然ば汝らは詛はる汝らは永く奴隸となり皆わが神の室のために薪を斬り水を汲ことをする者となるべしと 006 JOS 009 024 彼らヨシユアに應へて言けるは僕等はなんぢの神ヱホバその僕モーセに此地をことごとく汝らに與へ此地の民をことごとく汝らの前より滅ぼし去ことを命ぜしと明白に傳へ聞たれば汝らのために生命の危からんことを太く懼れて斯は爲けるなり 006 JOS 009 025 視よ我らは今汝の手の中にあり汝の我らに爲を善とし正當とする所を爲たまへと 006 JOS 009 026 ヨシユアすなはち其ごとく彼らに爲し彼らをイスラエルの子孫の手より救ひて殺さしめざりき 006 JOS 009 027 ヨシユアその日かれらをして會衆のためおよびヱホバの壇の爲に其えらびたまふ處において薪を斬り水を汲ことをする者とならしめたりしが今日まで然り 006 JOS 010 001 茲にエルサレムの王アドニゼデクはヨシユアがアイを攻取てこれを全く滅ぼし嚮にヱリコとその王とに爲しごとくにアイとその王とにも爲たる事およびギベオンの民がイスラエルと好を爲て之が中にをる事を聞て 006 JOS 010 002 大に懼る是ギベオンは大なる邑にして都府に等しきに因りまたアイよりも大きくしてその内の人々凡て強きに因てなり 006 JOS 010 003 エルサレムの王アドニゼデク是においてヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピラム、ラキシの王ヤピアおよびエグロンの王デビルに人を遣はして云ふ 006 JOS 010 004 我の處に上りきたりて我を助けよ我らギベオンを攻撃ん其はヨシユアおよびイスラエルの子孫と好を結びたればなりと 006 JOS 010 005 而してこのアモリ人の王五人すなはちエルサレムの王ヘブロンの王ヤルムテの王ラキシの王およびエグロンの王あひ集まりそり諸軍勢を率て上りきたりギベオンに對ひて陣を取り之を攻て戰ふ 006 JOS 010 006 ギベオンの人々ギルガルの陣營に人を遣はしヨシユアに言しめけるは僕等を助くることを緩うする勿れ迅速に我らの所に上り來りて我らを救ひ助けよ山地に住をるアモリ人の王みな相集りて我らを攻るなりと 006 JOS 010 007 ヨシユアすなはち一切の軍人および一切の大勇士を率ゐてギルガルより進みのぼれり 006 JOS 010 008 時にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは彼らを懼るるなかれ我かれらを汝の手に付す彼らの中には汝に當ることを得る者一人もあらじと 006 JOS 010 009 この故にヨシユア、ギルガルより終夜進みのぼりて猝然にかれらに攻よせしに 006 JOS 010 010 ヱホバかれらをイスラエルの前に敗りたまひければヨシユア、ギベオンにおいて彼らを夥多く撃殺しベテホロンの昇阪の路よりしてアゼカおよびマツケダまで彼らを追撃り 006 JOS 010 011 彼らイスラエルの前より逃はしりてベテホロンの降阪にありける時ヱホバ天より大石を降しそのアゼカに到るまで然したまひければ多く死りイスラエルの子孫が劍をもて殺しし者よりも雹石にて死し者の方衆かりき 006 JOS 010 012 ヱホバ、イスラエルの子孫の前にアモリ人を付したまひし日にヨシユア、ヱホバにむかひて申せしことあり即ちイスラエルの目の前にて言けらく日よギベオンの上に止まれ月よアヤロンの谷にやすらへ 006 JOS 010 013 民その敵を撃やぶるまで日は止まり月はやすらひぬ是はヤシヤルの書に記さるるにあらずや即ち日空の中にやすらひて急ぎ沒ざりしこと凡そ一日なりき 006 JOS 010 014 是より先にも後にもヱホバ是のごとく人の言を聽いれたまひし日は有ず是時にはヱホバ、イスラエルのために戰ひたまへり 006 JOS 010 015 かくてヨシユア一切のイスラエル人とともにギルガルの陣營に歸りぬ 006 JOS 010 016 かの五人の王は逃ゆきてマツケダの洞穴に隱れたりしが 006 JOS 010 017 五人の王はマツケダの洞穴に隱れをるとヨシユアに告て言ふ者ありければ 006 JOS 010 018 ヨシユアいひけるは汝ら洞穴の口に大石を轉ばしその傍に人を置てこれを守らせよ 006 JOS 010 019 但し汝らは止る勿れ汝らの敵の後を追てその殿軍を撃て彼らをその邑々に入しむる勿れ汝らの神ヱホバかれらを汝らの手に付したまへるぞかしと 006 JOS 010 020 ヨシユアおよびイスラエルの子孫おびただしく彼らを撃殺して遂に殺し盡しその撃もらされて遺れる者等城々に逃いるにおよびて 006 JOS 010 021 民みな安然にマツケダの陣營にかへりてヨシユアの許にいたりけるがイスラエルの子孫にむかひて舌を鳴すもの一人もなかりき 006 JOS 010 022 時にヨシユア言ふ洞穴の口を開きて洞穴よりかの五人の王を我前に曳いだせと 006 JOS 010 023 やがて然なしてかの五人の王すなはちエルサレムの王ヘブロンの王ヤルムテの王ラキシの王およびエグロンの王を洞穴より彼の前に曳いだせり 006 JOS 010 024 かの王等をヨシユアの前に曳いだしし時ヨシユア、イスラエルの一切の人々を呼よせ己とともに往し軍人の長等に言けるは汝ら近よりて此王等の頸に足をかけよと乃はち近よりてその王等の頸に足をかけければ 006 JOS 010 025 ヨシユアこれに言ふ汝ら懼るる勿れ慄く勿れ心を強くしかつ勇めよ汝らが攻て戰ふ諸の敵にはヱホバすべて斯のごとく爲たまふべしと 006 JOS 010 026 かくて後ヨシユア彼らを撃て死しめ五個の木にかけて晩暮まで木の上にこれを曝しおきしが 006 JOS 010 027 日の沒る時におよびてヨシユア命を下しければ之を木より取おろしその隱れたりし洞穴に投いれて洞穴の口に大石を置り是は今日が日までも存す 006 JOS 010 028 ヨシユアかの日マツケダを取り刃をもて之とその王とを撃ち之とその中たる一切の人をことごとく滅して一人をも遺さずヱリコの王になしたるごとくにマツケダの王にも爲しぬ 006 JOS 010 029 かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてマツケダよりリブナに進みてリブナを攻て戰ひけるに 006 JOS 010 030 ヱホバまた之とその王をもイスラエルの手に付したまひしかば刃をもて之とその中なる一切の人を撃ほろぼし一人をもその中に遺さずヱリコの王に爲たるごとくにその王にも爲ぬ 006 JOS 010 031 ヨシユアまた一切のイスラエル人を率ゐてリブナよりラキシに進み之にむかひて陣をとり之を攻めて戰ひけるに 006 JOS 010 032 ヱホバでラキシをイスラエルの手に付したまひけれぼ第二日にこれを取り刃をもて之とその中なる一切の人々を撃ちほろぼせり凡てリブナに爲たるがごとし 006 JOS 010 033 時にゲゼルの王ホラム、ラキシを援けんとて上りきたりければヨシユアかれとその民とを撃ころして終に一人をも遺さざりき 006 JOS 010 034 斯てヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてラキシよりエグロンに進み之に對ひて陣を取りこれを攻て戰ひ 006 JOS 010 035 その日にこれを取り刃をもて之を撃その中なる一切の人をことごとくその日に滅ぼせり凡てラキシに爲たるが如し 006 JOS 010 036 ヨシユアまた一切のイスラエル人をひきゐてエグロンよりヘブロンに進みのぼり之を攻て戰ひ 006 JOS 010 037 やがてこれを取り之とその王およびその一切の邑々とその中なる一切の人を刃にかけて撃ころして一人をも遺さざりき凡てエグロンに爲たるが如し即ち之とその中なる一切の人をことごとく滅ぼせり 006 JOS 010 038 かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐ歸りてデビルに至り之を攻て戰ひ 006 JOS 010 039 之とその王およびその一切の邑を取り刃をもて之を撃てその中なる一切の人をことごとく滅ぼし一人をも遺さざりき其デビルと其王に爲たる所はヘブロンに爲たるが如く又リブナとその王に爲たるがごとくなりき 006 JOS 010 040 ヨシユアかく此全地すなはち山地南の地平地および山腹の地ならびに其すべての王等を撃ほろぼして人一箇をも遺さず凡て氣息する者は盡くこれを滅ぼせりイスラエルの神ヱホバの命じたまひしごとし 006 JOS 010 041 ヨシユア、カデシバルネアよりガザまでの國々およびゴセンの全地を撃ほろぼしてギベオンにまで及ぼせり 006 JOS 010 042 イスラエルの神ヱホバ、イスラエルのために戰ひたまひしに因てヨシユアこれらの諸王およびその地を一時に取り 006 JOS 010 043 かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてギルガルの陣營にかへりぬ 006 JOS 011 001 ハゾルの王ヤビン之を聞およびマドンの王ヨバブ、シムロンの王アクサフの王 006 JOS 011 002 および北の地山地キンネロテの南のアラバ平地西の方なるドルの高處などに居る王等 006 JOS 011 003 すなはち東西のカナン人アモリ人ヘテ人ペリジ人山地のエブス人ミヅバの地なるヘルモンの麓のヒビ人などに人を遣はせり 006 JOS 011 004 爰に彼らその諸軍勢を率ゐて出きたれり其民の衆多ことは濱の砂の多きがごとくにして馬と車もまた甚だ多かりき 006 JOS 011 005 これらの王たち皆あひ會して進みきたり共にメロムの水の邊に陣をとりてイスラエルと戰はんとす 006 JOS 011 006 時にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは彼らの故によりて懼るる勿れ明日の今頃われ彼らをイスラエルの前に付して盡く殺さしめん汝かれらの馬の足の筋を截り火をもて彼らの車を焚べしと 006 JOS 011 007 ヨシユアすなはち一切の軍人を率ゐて俄然にメロムの水の邊に押寄て之を襲ひけるに 006 JOS 011 008 ヱホバこれをイスラエルの手に付したまひしかば則ち之を撃やぶりて大シドンおよびミスレポテマイムまで之を追ゆき東の方にては又ミヅバの谷までこれを追ゆき遂に一人をも遺さず撃とれり 006 JOS 011 009 ヨシユアすなはちヱホバの己に命じたまひしことにしたがひて彼らに馬の足の筋を截り火をもてその車を焚り 006 JOS 011 010 その時ヨシユア歸りきたりてハゾルを取り刃をもてその王を撃り在昔ハゾルは是らの諸國の盟主たりき 006 JOS 011 011 即ち刃をもてその中なる一切の人を撃てことごとく之を滅ぼし氣息する者は一人だに遺さざりき又火をもてハゾルを焚り 006 JOS 011 012 ヨシユアこれらの王の一切の邑々およびその諸王を取り刃をもてこれを撃て盡く滅ぼせり、ヱホバの僕モーセの命じたるがごとし 006 JOS 011 013 但しその岡の上にたちたる邑々はイスラエルこれを焚ず唯ハゾルのみをヨシユア焚り 006 JOS 011 014 是らの邑の諸の貨財及び家畜はイスラエルの人々奪ひて自ら之を取り人はみな刃をもて撃て滅ぼし盡し氣息する者は一人だに遺さざりき 006 JOS 011 015 ヱホバその僕モーセに命じたまひし所をモーセまたヨシユアに命じ置たりしがヨシユアその如くに行へり凡てヱホバのモーセに命じたまひし所はヨシユア一だに爲で置し事なし 006 JOS 011 016 ヨシユア斯その全地すなはち山地南の全地ゴセンの全地平地アラバ、イスラエルの山地およびその平地を取り 006 JOS 011 017 セイルに上りゆくでハラク山よりヘルモン山の麓なるレバノン谷のバアルガデまでを獲その王等をことごとく執へて之を撃て死しめたり 006 JOS 011 018 ヨシユア此すべての王等と戰爭をなすこと日ひさし 006 JOS 011 019 ギベオンの民ヒビ人を除くの外はイスラエルの子孫と好をなしし邑なかりき皆戰爭をなしてこれを攻とりしなり 006 JOS 011 020 そもそも彼らが心を剛愎にしてイスラエルに攻よせしはヱホバの然らしめたまひし者なり彼らは詛はれし者となり憐憫を乞ふこととせず滅ぼされんがためなりき是全くヱホバのモーセに命じたまひしが如し 006 JOS 011 021 その時ヨシユアまた往て山地ヘブロン、デビル、アナブ、ユダの一切の山地イスラエルの一切の山地などよりしてアナク人を絶ち而してヨシユア彼らの邑々をも與に滅ぼせり 006 JOS 011 022 然からにイスラエルの子孫の地の内にはアナク人一人も遺りをらず只ガザ、ガテ、アシドドに少く遺りをる而已 006 JOS 011 023 ヨシユアかく此地を盡く取り全くヱホバのモーセに告たまひし如し而してヨシユア、イスラエルの支派の區別にしたがひ之を與へて產業となさしめたり遂に此地に戰爭やみぬ 006 JOS 012 001 偖ヨルダンの彼旁日の出る方に於てアルノンの谷よりヘルモン山および東アラバの全土までの間にてイスラエルの子孫が撃ほろぼして地を取たりし其國の王等は左のごとし 006 JOS 012 002 先アモリ人の王シホン彼はヘシボンに住をれり其治めたる地はアルノンの谷の端なるアロエルより谷の中の邑およびギレアデの半を括てアンモンの子孫の境界なるヤボク河にいたり 006 JOS 012 003 アラバをキンネレテの海の東まで括またアラバの海すなはち鹽海の東におよびてベテエシモテの路にいたり南の方ビスガの山腹にまで達す 006 JOS 012 004 次にレバイムの殘餘なりしバシヤンの王オグの國境を言んに彼はアシタロテとエデレイに住をり 006 JOS 012 005 ヘルモン山サレカおよびバシヤンの全土よりしてゲシユリ人マアカ人およびギレアデの半を治めてヘシボンの王シホンと境を接ふ 006 JOS 012 006 ヱホバの僕モーセ、イスラエルの子孫とともに彼らを撃ほろぼせり而してヱホバの僕モーセ之が地をルベン人ガド人およびマナセの支派の半に與へて產業となさしむ 006 JOS 012 007 またヨルダンの此旁西の方においてレバノンの谷のバアルガデよりセイル山の上途なるハラク山までの間にてヨシユアとイスラエルの子孫が撃ほろぼしたりし其國の王等は左のごとしヨシユア、イスラエルの支派の區別にしたがひその地をあたへて產業となさしむ 006 JOS 012 008 是は山地平地アラバ山腹荒野南の地などにしてヘテ人アモリ人カナン人ペリジ人ヒビ人ヱブス人等が有ちたりし者なり 006 JOS 012 009 ヱリコの王一人ベテルの邊なるアイの王一人 006 JOS 012 010 エルサレムの王一人ヘブロンの王一人 006 JOS 012 011 ヤルムテの王一人ラキシの王一人 006 JOS 012 012 エグロンの王一人ゲゼルの王一人 006 JOS 012 013 デビルの王一人ゲデルの王一人 006 JOS 012 014 ホルマの王一人アラデの王一人 006 JOS 012 015 リブナの王一人アドラムの王一人 006 JOS 012 016 マツケダの王一人ベテルの王一人 006 JOS 012 017 タッブアの王一人へペルの王一人 006 JOS 012 018 アペクの王一人ラシヤロンの王一人 006 JOS 012 019 マドンの王一人ハゾルの王一人 006 JOS 012 020 シムロンメロンの王一人アクサフの王一人 006 JOS 012 021 タアナクの王一人メギドンの王一人 006 JOS 012 022 ケデシの王一人カルメルのヨクネアムの王一人 006 JOS 012 023 ドルの高處なるドルの王一人ギルガのゴイイムの王一人 006 JOS 012 024 テルザの王一人合せて三十一王 006 JOS 013 001 ヨシユアすでに年邁みて老たりしがヱホバかれに言たまひけらく汝は年邁みて老たるが尚取るべき地の殘れる者甚だおほし 006 JOS 013 002 その尚のこれる地は是なりペリシテ人の全州ゲシユル人の全土 006 JOS 013 003 エジプトの前なるシホルより北の方カナン人に屬すると人のいふエクロンの境界までの部ペリシテ人の五人の主の地すなはちガザ人アシドド人アシケロン人ガテ人エクロン人の地 006 JOS 013 004 南のアビ人カナン人の全地シドン人に屬するメアラおよびアモリ人の境界なるアベクまでの部 006 JOS 013 005 またへルモン山の麓なるバアルガデよりハマテの入口までに亘るゲバル人の地およびレバノンの東の全土 006 JOS 013 006 レバノンよりミスレポテマイムまでの山地の一切の民すなはちシドン人の全土我かれらをイスラエルの子孫の前より逐はらふべし汝は我が命じたりしごとくその地をイスラエルに分ち與へて產業となさしめよ 006 JOS 013 007 即ちその地を九の支派とマナセの支派の半とに分ちて產業となさしむべし 006 JOS 013 008 マナセとともにルベン人およびガド人はヨルダンの彼旁東の方にてその產業をモーセより賜はり獲たりヱホバの僕モーセの彼らに與へし者は即ち是のごとし 006 JOS 013 009 アルノンの谷の端にあるアロエルより此方の地谷の中にある邑デボンまでに亘るメデバの一切の平地 006 JOS 013 010 ヘシボンにて世を治めしアモリ人の王シホンの一切の邑々よりしてアンモンの子孫の境界までの地 006 JOS 013 011 ギレアデ、ゲシユル人及びマアカ人の境界に沿る地へルモン山の全土サルカまでバシヤン一圓 006 JOS 013 012 アシタロテおよびエデレイにて世を治めしバシヤンの王オグの全國オグはレバイムの餘民の遺れる者なりモーセこれらを撃て逐はらへり 006 JOS 013 013 但しゲシユル人およびマアカ人はイスラエルの子孫これを逐はらはざりきゲシユル人とマアカ人は今日までイスラエルの中に住をる 006 JOS 013 014 唯レビの支派にはヨシユア何の產業をも與へざりき是イスラエルの神ヱホバの火祭これが產業たればなり其かれに言たまひしが如し 006 JOS 013 015 モーセ、ルベンの子孫の支派にその宗族にしたがひて與ふる所ありしが 006 JOS 013 016 その境界の内はアルノンの谷の端なるアロエルよりこなたの地谷の中なる邑メデバの邊の一切の平地 006 JOS 013 017 ヘシボンおよびその平地の一切の邑々 デボン、バモテバアル、ベテバアルメオン 006 JOS 013 018 ヤハズ、ケデモテ、メバアテ 006 JOS 013 019 キリアタイム、シブマ、谷中の山のゼレテシヤル 006 JOS 013 020 ベテペオル、ピスガの山腹ベテヱシモテ 006 JOS 013 021 平地の一切の邑々 ヘシボンにて世を治めしアモリ人の王シホンの全國 モーセ、シホンをミデアンの貴族エビ、レケム、ツル、ホルおよびレバとあはせて撃ころせり是みなシホンの大臣にしてその地に住をりし者なり 006 JOS 013 022 イスラエルの子孫またベオルの子卜筮師バラムをも刃にかけてその外に殺せし者等とともに殺せり 006 JOS 013 023 ルベンの子孫はヨルダンおよびその河岸をもて己の境界とせり ルベンの子孫がその宗族に循がひて獲たる產業は是のごとくにして邑も村もこれに准らふ 006 JOS 013 024 モーセまたガドの子孫たるガドの支派にもその宗族にしたがひて與ふる所ありしが 006 JOS 013 025 その境界の内はヤゼル、ギレアデの一切の邑々アンモンの子孫の地の半ラバの前なるアロエルまでの地 006 JOS 013 026 ヘシボンよりラマテミヅバまでの地およびベトニム、マナハイムよりデビルの境界までの地 006 JOS 013 027 谷においてはベテハラム、ベテニムラ、スコテ、ザポンなどヘシボンの王シホンの國の殘れる部分 ヨルダンおよびその河岸よりしてヨルダンの東の方キンネレテの海の岸までの地 006 JOS 013 028 ガドの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとくにして邑も村も之に准らふ 006 JOS 013 029 モーセまたマナセの支派の半にも與ふる所ありき是すなはちマナセの支派の半にその宗族にしたがひて與へしなり 006 JOS 013 030 その境界の内はマナハイムより此方の地 バシヤンの全土 バシヤンの王オグの全國 バシヤンにあるヤイルの一切の邑すなはち其六十の邑 006 JOS 013 031 ギレアデの半バシヤンにおけるオグの國の邑々 アシタロテおよびエデレイ是等はマナセの子マキルの子孫に歸せり即ちマキルの子孫の半その宗族にしたがひて之を獲たり 006 JOS 013 032 ヨルダンの東の方に於てヱリコに對ひをるモアブの野にてモーセが分ち與へし產業は是のごとし 006 JOS 013 033 但しレビの支派にはモーセ何の產業をも與へざりきイスラエルの神ヱホバこれが產業たればなり其かれらに言たまひし如し 006 JOS 014 001 イスラエルの子孫がカナンの地にて取しその產業の地は左のごとし即ち祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等これを彼らに分ち 006 JOS 014 002 ヱホバがモーセによりて命じたまひしごとく產業の籤によりて之を九の支派および半の支派に與ふ 006 JOS 014 003 其はヨルダンの彼旁にてモーセ已にかの二の支派と半の支派とに產業を與へたればなり但しレビ人には之が中に產業を與へざりき 006 JOS 014 004 是はヨセフの子孫マナセ、エフライムの二の支派と成たるに因て然りレビ人には此地において何の分をも與へず唯その住べき邑々およびその家畜と貨財を置べき郊地を與へしのみ 006 JOS 014 005 イスラエルの子孫ヱホバのモーセに命じたまひしごとく行ひてその地を分てり 006 JOS 014 006 茲にユダの子孫ギルガルにてヨシユアの許に至りケニズ人ヱフンネの子カレブ、ヨシユアに言けるはヱホバ、カデシバルネアにて我と汝との事につきて神の人モーセに告たまひし事あり汝これを知る 006 JOS 014 007 ヱホバの僕モーセが此地を窺はせんとて我をカデシバルネアより遣はしし時に我は四十歳なりき其時我は心に思ふまにまに彼に復命したり 006 JOS 014 008 我とともに上り往しわが兄弟等は民の心を挫くことを爲たりしが我は全く我神ヱホバに從へり 006 JOS 014 009 その日モーセ誓ひて言けらく汝の足の踐たる地は必ず永く汝と汝の子孫の產業となるべし汝まったく我神ヱホバに從がひたればなりと 006 JOS 014 010 ヱホバこの言をモーセに語りたまひし時より已來イスラエルが荒野に歩みたる此四十五年の間かく其のたまひし如く我を生存らへさせたまへり視よ我は今日すでに八十五歳なるが 006 JOS 014 011 今日もなほモーセの我を遣はしたりし日のごとく健剛なり我が今の力はかの時の力のごとくにして出入し戰闘をなすに堪ふ 006 JOS 014 012 然ば彼日ヱホバの語りたまひし此山を我に與へよ汝も彼日聞たる如く彼處にはアナキ人をりその邑々は大にして堅固なり然ながらヱホバわれとともに在して我つひにヱホバの宣ひしごとく彼らを逐はらふことを得んと 006 JOS 014 013 ヨシユア、ヱフンネの子カレブを祝しヘブロンをこれに與へて產業となさしむ 006 JOS 014 014 是をもてヘブロンは今日までケニズ人ヱフンネの子カレブの產業となりをる是は彼まつたくイスラエルの神ヱホバに從がひたればなり 006 JOS 014 015 ヘブロンの名は元はキリアテアルバと曰ふアルバはアナキ人の中の最も大なる人なりき茲にいたりてその地に戰爭やみぬ 006 JOS 015 001 ユダの子孫の支派がその宗族にしたがひて籤にて獲たる地はエドムの境界に達し南の方ヂンの荒野にわたり南の極端に及ぶ 006 JOS 015 002 その南の境界は鹽海の極端なる南に向へる入海より起り 006 JOS 015 003 アクラビムの坂の南にわたりてヂンに進みカデシバルネアの南より上りてヘヅロンに沿て進みアダルに上りゆきてカルカに環り 006 JOS 015 004 アズモンに進みてエジプトの河にまで達しその境界海にいたりて盡く汝らの南の境界は是の如くなるべし 006 JOS 015 005 その東の境界は鹽海にしてヨルダンの河口に達す北の方の境界はヨルダンの河口なる入海より起り 006 JOS 015 006 上りてベテホグラにいたりベテアラバの北をすぎ上りてルベン人ボハンの石に達し 006 JOS 015 007 またアコルの谷よりデビルに上りて北におもむき河の南にあるアドミムの坂に對するギルガルに向ひすすみてエンシメシの水に達しエンロゲルにいたりて盡く 006 JOS 015 008 又その境界はベニヒンノムの谷に沿てヱブス人の地すなはちヱルサレムの南の脇に上りゆきヒンノムの谷の西面に横はる山の嶺に上る是はレバイムの谷の北の極處にあり 006 JOS 015 009 而してその境界この山の嶺より延てネフトアの水の泉源にいたりエフロン山の邑々にわたりその境昇延てバアラにいたる是すなはちキリアテヤリムなり 006 JOS 015 010 その境界バアラより西の方セイル山に環りヤリム山(すなはちケサロン)の北の脇をへてベテシメシに下りテムナに沿て進み 006 JOS 015 011 エクロンの北の脇にわたり延てシツケロンに至りバアラ山に進みヤブネルに達し海にいたりて盡く 006 JOS 015 012 また西の境界は大海にいたりその濱をもて限とすユダの子孫がその宗族にしたがひて獲たる地の四方の境界は是のごとし 006 JOS 015 013 ヨシユアそのヱホバに命ぜられしごとくヱフンネの子カレブにユダの子孫の中にてキリアテアルバすなはちヘブロンを與へてその分となさしむ 006 JOS 015 014 アルバはアナクの父なりカレブかしこよりアナクの子三人を逐はらへり是すなはちアナクより出たるセシヤイ、アヒマンおよびタルマイなり 006 JOS 015 015 而して彼かしこよりデビルの民の所に攻上れりデビルの名は元はキリアテセペルといふ 006 JOS 015 016 カレブ言けらくキリアテセペルを撃てこれを取る者には我女子アクサを妻に與へんと 006 JOS 015 017 ケナズの子にしてカレブの弟なるオテニエルといふ者これを取ければカレブその女子アタサを之が妻に與へたり 006 JOS 015 018 アクサ適く時田野をその父に求むべきことをオテニエルに勸め遂にみづから驢馬より下れりカレブこれに何を望むやと言ければ 006 JOS 015 019 答へて言ふ我に粧奩を與へよ汝われを南の地に遣なれば水泉をも我に與へよと乃ち上の泉と下の泉とをこれに與ふ 006 JOS 015 020 ユダの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし 006 JOS 015 021 ユダの子孫の支派が南においてエドムの境界の方に有るその遠き邑々は左のごとしカブジエル、エデル、ヤグル 006 JOS 015 022 キナ、デモナ、アダダ、 006 JOS 015 023 ケデシ、ハゾル、イテナン、 006 JOS 015 024 ジフ、テレム、ベアロテ 006 JOS 015 025 ハゾルハダツタ、ケリオテヘヅロンすなはちハゾル 006 JOS 015 026 アマム、シマ、モラダ 006 JOS 015 027 ハザルガダ、ヘシモン、ベテパレテ 006 JOS 015 028 ハザルシユアル、ベエルシバ、ビジヨテヤ 006 JOS 015 029 バアラ、イヰム、エゼム 006 JOS 015 030 エルトラデ、ケシル、ホルマ 006 JOS 015 031 チクラグ、マデマンナ、サンサンナ 006 JOS 015 032 レバオテ、シルヒム、アイン、リンモン、その邑あはせて二十九ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 033 平野にてはエシタオル、ゾラ、アシナ 006 JOS 015 034 ザノア、エンガンニム、タップア、エナム 006 JOS 015 035 ヤルムテ、アドラム、シヨコ、アゼカ 006 JOS 015 036 シヤアライム、アデタイム、ゲデラ、ゲデロタイム合せて十四邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 037 ゼナン、ハダシヤ、ミグダルガデ 006 JOS 015 038 デラン、ミヅバ、ヨクテル 006 JOS 015 039 ラキシ、ボヅカテ、エグロン 006 JOS 015 040 カボン、ラマム、キリテシ 006 JOS 015 041 ゲデロテ、ベテダゴン、ナアマ、マツケダ合せて十六邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 042 またリブナ、エテル、アシヤン 006 JOS 015 043 イフタ、アシナ、ネジブ 006 JOS 015 044 ケイラ、アクジブ、マレシア合せて九邑ならびに之に屬ける村々なり 006 JOS 015 045 エクロンならびにその郷里および村々なり 006 JOS 015 046 エクロンより海まで凡てアシドドの邊にある處々ならびに之につける村々なり 006 JOS 015 047 アシドドならびにその郷里および村々 ガザならびにその郷里および村々 エジプトの河および大海の濱にいたるまでの處々なり 006 JOS 015 048 山地にてはシヤミル、ヤツテル、シヨコ 006 JOS 015 049 ダンナ、キリアテサンナすなはちデビル 006 JOS 015 050 アナブ、エシテモ、アニム 006 JOS 015 051 ゴセン、ホロン、ギロ、合せて十一邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 052 アラブ、ドマ、エシヤン 006 JOS 015 053 ヤニム、ベテタツプア、アペカ 006 JOS 015 054 ホムタ、キリアテアルバすなはちヘブロン、デオルあはせて九邑ならびに之につける村々なり 006 JOS 015 055 マオン、カルメル、ジフ、ユダ 006 JOS 015 056 ヱズレル、ヨグテアム、ザノア 006 JOS 015 057 カイン、ギベア、テムナあはぜて十邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 058 ハルホル、ベテズル、ゲドル 006 JOS 015 059 マアラテ、ベテアノテ、エルテコンあはせて六邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 015 060 キリアテバアルすなはちキリアテヤリムおよびラバあはせて二邑ならびに之につける村々なり 006 JOS 015 061 荒野にてはベテアラバ、ミデン、セカカ 006 JOS 015 062 ニブシヤン鹽邑エングデあはせて六邑ならびに之につける村々なり 006 JOS 015 063 ヱルサレムの民ヱブス人はユダの子孫これを逐はらふことを得ざりき是をもてヱブス人は今日までユダの子孫とともにエルサレムに住ぬ 006 JOS 016 001 ヨセフの子孫が籤によりて獲たる地の境界はヱリコの邊なるヨルダンすなはちヱリコの東の水の邊より起りてヱリコにかかり更に上りて山地を過ぎベテルにいたりて荒野に沿ひ行き 006 JOS 016 002 ベテルよりルズにおもむきアルキ人の境界なるアタロテに進み 006 JOS 016 003 また西の方ヤフレテ人の境界に下り下ベテホロンの境界に及びゲゼルにまで達し海にいたりて盡く 006 JOS 016 004 かくヨセフの子孫マナセ及びエフライムその產業を受たり 006 JOS 016 005 エフライムの子孫がその宗族にしたがひて獲たる地の境界は是のごとしその產業の境界東はアタロテアダルにて上はベテホロンに達し 006 JOS 016 006 ミクメタの北より西におもむき東にをれてタアナテシロにいたり之に沿てヤノアの東を過ぎ 006 JOS 016 007 ヤノアより下りてアタロテおよびナアラにいたりヱリコに達しヨルダンにいたりて盡き 006 JOS 016 008 タツプアよりして西に進みカナの河にまで達し海にいたりて盡くエフライムの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし 006 JOS 016 009 この外にマナセの子孫の產業の中にてエフライムの子孫に別ち與へし邑々ありエフライムの一切の邑およびその村々を得たり 006 JOS 016 010 但しゲゼルに住るカナン人をば逐はらはざりき是をもてカナン人は今日までエフライムの中に住み僕となりて之に使役せらる 006 JOS 017 001 マナセの支派が籤によりて獲たる地は左のごとしマナセはヨセフの長子なりきマナセの長子にしてギレアデの父なるマキルは軍人なるが故にギレアデとバシヤンを獲たり 006 JOS 017 002 此餘のマナセの子等即ちアビエゼルの子孫ヘレクの子孫アスリエルの子孫シケムの子孫へペルの子孫セミダの子孫などもその宗族にしたがひて獲る所ありき是等はヨセフの子マナセが男の子にしてその宗族に循ひて言るなり 006 JOS 017 003 マナセの子マキルその子ギレアデその子へペルその子なるゼロペハデといふ者は女の子のみありて男の子あらざりきその女の子の名はマヘラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといふ 006 JOS 017 004 彼等祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよび長等の前に進み出て言けらく我らの兄弟の中にて我らにも產業を與へよとヱホバ、モーセに命じおきたまへりヨシユアすなはちヱホバの命にしたがひて彼らの父の兄弟の中にて彼らにも產業を與ふ 006 JOS 017 005 マナセはヨルダンの彼旁にてギレアデおよびバシヤンの地の外になほ十部の地を獲たり 006 JOS 017 006 是はマナセの女の子等もその男の子等の中にて產業を獲たればなりギレアデの地はマナセのその餘の子等に屬す 006 JOS 017 007 マナセの境界はアセルよりシケムの前なるミクメタテに及び右におもむきてエンタツプアの民に達す 006 JOS 017 008 タツプアの地はマナセに屬す但しマナセの境界にあるタツプアはエフライムの子孫に屬す 006 JOS 017 009 またその境界カナの河に下りてその河の南に至る是等の邑はマナセの邑々の中にありてエフライムに屬すマナセの境界はその河の北にあり海にいたりて盡く 006 JOS 017 010 その南の方はエフライムに屬し北の方はマナセに屬し海これらの境界を成すマナセは北はアセルに達し東はイツサカルに達す 006 JOS 017 011 イツサカルおよびアセルの中にてマナセはベテシヤンとその郷里イブレアムとその郷里ドルの民とその郷里およびエンドルの民とその郷里タアナクの民とその郷里メギドンの民とその郷里など合せて三の高處を有り 006 JOS 017 012 但しマナセの子孫は是らの邑の民を逐はらふことを得ざりければカナン人この地に固く住ひをりしが 006 JOS 017 013 イスラエルの子孫強くなるに及びてカナン人を使役し之を盡く逐ことはせざりき 006 JOS 017 014 茲にヨセフの子孫ヨシユアに語りて言けるはヱホバ今まで我を祝福たまひて我は大なる民となりけるに汝わが產業にとて只一の籤一の分のみを我に與へしは何ぞや 006 JOS 017 015 ヨシユアかれらに言けるは汝もし大なる民となりしならば林に上りゆきて彼處なるペリジ人およびレバイム人の地を自ら斬ひらくべしエフライムの山地は汝には狭しと言ばなり 006 JOS 017 016 ヨセフの子孫言けるは山地は我らには足ずかつ又谷の地にをるカナン人はベテシヤンとその郷里にをる者もヱズレルの谷にをる者も凡て鐵の戰車を有り 006 JOS 017 017 ヨシユアかさねてヨセフの家すなはちエフライムとマナセに語りて言ふ汝は大なる民にして大なる力あり然れば只一籤のみを取てをる可らず 006 JOS 017 018 山地をも汝の有とすべし是は林なれども汝これを斬ひらきてその極處を獲べしカナン人は鐵の戰車を有をりかつ強くあれども汝これを逐はらふことを得ん 006 JOS 018 001 かくてイスラエルの子孫の會衆ことごとくシロに集り集會の幕屋をかしこに立つその地は已に彼らに歸服ぬ 006 JOS 018 002 この時なほイスラエルの子孫の中に未だその產業を分ち取ざる支派七のこりゐければ 006 JOS 018 003 ヨシユア、イスラエルの子孫に言けるは汝らは汝らの先祖の神ヱホバの汝らに與へたまひし地を取に往くことを何時まで怠りをるや 006 JOS 018 004 汝ら支派ごとに三人づつを擧よ我これを遣さん彼らは起てその地を歩きめぐりその產業にしたがひて之を描き寫して我に歸るべし 006 JOS 018 005 彼らその地を分ちて七分となすべしユダは南にてその境界の内にをりヨセフの家は北にてその境界の内にをるべし 006 JOS 018 006 汝らその地を描き寫して七分となし此にわが許に持きたれ我ここにて我等の神ヱホバの前になんぢらの爲に籤を掣ん 006 JOS 018 007 レビ人は汝らの中に何の分をも有ずヱホバの祭司となることをもて其產業とす又ガド、ルベンおよびマナセの支派の半はヨルダンの彼旁東の方にて已にその產業を受たり是ヱホバの僕モーセの之に與へし者なりと 006 JOS 018 008 その人々すなはち起て往り其地を描き寫さんとて出ゆける此者等にヨシユア命じて云ふ汝等ゆきてその地を歩きめぐり之を描き寫して我に歸りきたれ我シロにて此にヱホバの前にて汝らのために籤を掣んと 006 JOS 018 009 その人々ゆきてその地を經めぐり邑にしたがひて之を七分となして書に描き寫しシロの營に歸りてヨシユアに詣りければ 006 JOS 018 010 ヨシユア、シロにて彼らのためにヱホバの前に籤を掣り而してヨシユア彼所にてイスラエルの子孫の區分にしたがひて其地を分ち與へたり 006 JOS 018 011 まづベニヤミンの子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣りその籤によりて獲たる地の境界はユダの子孫とヨセフの子孫の間にわたる 006 JOS 018 012 即ちその北の方の境界はヨルダンよりしてヱリコの北の脇に上り西の山地を逾てまた上りベテアベンの荒野にいたりて盡く 006 JOS 018 013 彼處よりその境界ルズに進みルズの南の脇にいたるルズはベテルなり而して其境界下ベテホロンの南に横たはる山に沿てアタロテアダルに下り 006 JOS 018 014 延て西の方にて南に曲りベテホロンの南面に横はるところの山より進みユダの子孫の邑キリアテバアル即ちキリアテヤリムにいたりて盡くその西の境界は是のごとし 006 JOS 018 015 またその南の方はキリアテヤリムの極處よりして西におもむきてネフトアの水の源にいたり 006 JOS 018 016 レバイムの谷の中の北の方にてベニヒンノムの谷の前に横たはる所の山の極處に下り其處よりしてヒンノムの谷に下りてヱブス人の南の脇にいたりエンロゲルに下り 006 JOS 018 017 北に延てエンシメシにおもむきアドミムの阪に對へるゲリロテにおもむきルベン人、ボハンの石まで下り 006 JOS 018 018 北の方にてアラバに對する處にわたりてアラバに下り 006 JOS 018 019 ベテホグラの北の脇にわたりヨルダンの南の極にて鹽海の北の入海にいたりて盡くその南の境界は是のごとし 006 JOS 018 020 東の方にてはヨルダンその境界となる是すなはちベニヤミンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業の周圍の境界なり 006 JOS 018 021 ベニヤミンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる邑々はヱリコ、ベテホグラ、エメクケジツ 006 JOS 018 022 ベテアラバ、ゼマライム、ベテル 006 JOS 018 023 アビム、パラ、オフラ 006 JOS 018 024 ケパルアンモン、オフニ、ケバの十二邑ならびに之に屬る村々なり 006 JOS 018 025 ギベオン、ラマ、ベエロテ 006 JOS 018 026 ミヅパ、ケピラ、モザ 006 JOS 018 027 レケム、イルピエル、タララ、 006 JOS 018 028 ゼラ、エレフ、ヱブスすなはちエルサレム、ギベア、キリアテの十四邑ならびに之につける村々是なり ベニヤミンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし 006 JOS 019 001 次にシメオンのため即ちシメオン子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣りその產業ばユダの子孫の產業の中にあり 006 JOS 019 002 その有る產業はベエルシバ即ちシバ、モラダ 006 JOS 019 003 ハザルシユアル、バラ、エゼム 006 JOS 019 004 エルトラデ、ベトル、ホルマ 006 JOS 019 005 チクラグ、ベテマルカボテ、ハザルスサ 006 JOS 019 006 ベテレバオテ、シヤルヘンの十三邑並びに之につける村々 006 JOS 019 007 およびアイン、リンモン、エテル、アシヤンの四邑ならびに之につける村々 006 JOS 019 008 および此邑々の周圍にありてバアラテベエルすなはち南のラマまでに至るところの一切の村々等なりシメオンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし 006 JOS 019 009 シメオンの子孫の產業はユダの子孫の分の中より出づ是ユダの子孫の分自分のためには多かりしに因てシメオンの子孫のおのれの產業を彼らの產業の中に獲たるなり 006 JOS 019 010 第三にゼブルンの子孫のために其宗族にしたがひて籤を掣り其產業の境界はサリデに及び 006 JOS 019 011 また西に上りてマララに至りダバセテに達しヨグネアムの前なる河に達し 006 JOS 019 012 サリデよりして東の方日のいづる方にまがりてキスロテタボルの境界にいたりタベラに出でヤピアに上り 006 JOS 019 013 彼處より東の方ガテヘペルにわたりてイツタカジンにいたりネアまで廣がるところのリンモンに至りて盡き 006 JOS 019 014 また北にまはりてハンナトンにいたりイフタエルの谷にいたりて盡く 006 JOS 019 015 カツタテ、ナハラル、シムロン、イダラ、ベテレヘムなどの十二邑ならびに之につける村々あり 006 JOS 019 016 ゼブルンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑と村とは是のごとし 006 JOS 019 017 第四にイツサカルすなはちイツサカルの子孫のためにその宗族にしたがひて籤を掣り 006 JOS 019 018 その境界の包括る處はヱズレル、ケスロテ、シユネム 006 JOS 019 019 ハパライム、シオン、アナハラテ 006 JOS 019 020 ラビテ、キシン、エベツ 006 JOS 019 021 レメテ、エンガンニム、エンハダ、ベテパツゼズなどなり 006 JOS 019 022 その境界タボル、シヤハヂマおよびベテシメシに達しその境界ヨルダンにいたりて盡く其邑あはせて十六また之につける村々あり 006 JOS 019 023 イツサカルの子孫の支派が其宗族にしたがひて獲たる產業および其邑々村々は是の如し 006 JOS 019 024 第五にアセルの子孫の支派のために其宗族にしたがひて籤を掣り 006 JOS 019 025 其境界の内はヘルカテ、ハリ、ベテン、アクサフ 006 JOS 019 026 アランメレク、アマデ、ミシヤルなり其境界西の方カルメルに達しまたシホルリブナテに達し 006 JOS 019 027 日の出る方に折てベテダゴンにいたりゼブルンに達し北の方イフタヱルの谷のベテエメク及びネイエルに達し左してカブルに出で 006 JOS 019 028 エプロン、レホブ、ハンモン、カナにわたりて大シドンにまでいたり 006 JOS 019 029 ラマに旋りツロの城に及びまたホサに旋りアクジブの邊にて海にいたりて盡く 006 JOS 019 030 またウンマ、アベクおよびレホブありその邑あはせて二十二また之につける村々あり 006 JOS 019 031 アセルの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし 006 JOS 019 032 第六にナフタリの子孫のためにナフタリの子孫の宗族にしたがひて籤を掣り 006 JOS 019 033 その境界はヘレフより即ちザアナイムの樫の樹より起りアダミネケブおよびヤブニエルを經てラクムにいたりヨルダンにいたりて盡く 006 JOS 019 034 而して其境界西に旋りてアズノテタボルにいたり彼處よりホツコクに出で南はゼブルンに達し西はアセルに達し日の出る方はヨルダンの邊にてユダに達す 006 JOS 019 035 その堅固たる邑々はヂデム、ゼル、ハンマテ、ラツカテ、キンネレテ 006 JOS 019 036 アダマ、ラマ、ハゾル 006 JOS 019 037 ケデシ、エデレイ、エンハゾル 006 JOS 019 038 イロン、ミグダルエル、ホレム、ベテアナテ、ベテシメシなど合せて十九邑亦これにつける村々あり 006 JOS 019 039 ナフタリの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし 006 JOS 019 040 第七にダンの子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣り 006 JOS 019 041 その產業の境界の内はゾラ、エシタオル、イルシメシ 006 JOS 019 042 シヤラビム、アヤロン、イテラ 006 JOS 019 043 エロン、テムナ、エクロン 006 JOS 019 044 エルテケ、ギベトン、バアラテ 006 JOS 019 045 ヱホデ、ベネベラク、ガテリンモン 006 JOS 019 046 メヤルコン、ラツコン、ヨツパと相對ふ地などなり 006 JOS 019 047 但しダンの子孫の境界は初よりは廣くなれり其はダンの子孫上りゆきてライシを攻取り刃をもちてこれを撃ほろぼし之を獲て其處に住たればなり而してその先祖ダンの名にしたがびてライシをダンと名けたり 006 JOS 019 048 ダンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし 006 JOS 019 049 かく境界を畫りて產業の地を與ふることを終ぬ而してイスラエルの子孫おのれの中にてヌンの子ヨシユアに產業を與へたり 006 JOS 019 050 すなはちヱホバの命にしたがひて彼にその求むる邑を與ふエフライムの山地なるテムナテセラ是なり彼その邑を建なほして其處に住む 006 JOS 019 051 祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等がシロにおいて集會の幕屋の門にてヱホバの前に籤をもて分與へし產業は是のごとし斯地を分つことを終たり 006 JOS 020 001 茲にヱホバ、ヨシユアに告て言たまひけるは 006 JOS 020 002 汝イスラエルの子孫に告て言へ汝等モーセによりて我が汝らに語りおきし逃遁の邑を擇び定め 006 JOS 020 003 誤りて知ずに人を殺せる者を其處に逃れしめよ是は汝らが仇打する者を避て逃るべき處なり 006 JOS 020 004 斯る者は是等の邑の一に逃れゆき邑の門の入口に立てその邑の長老等の耳にその事情を述べし然る時は彼ら之をその邑に受いれ處を與へて己の中に住しむべし 006 JOS 020 005 假令仇打する者追ゆくとも彼らその人を殺せる者を之が手に交すべからず其は彼知ずして人を殺せるにて素より之を惡みをりしに非ればなり 006 JOS 020 006 その人は會衆の前に立て審判を受るまで其時の祭司の長の死る迄その邑に住をるべし然る後その人を殺せる者己の邑に歸り往てその家にいたり己が逃いでし邑に住むべし 006 JOS 020 007 爰にナフタリの山地なるガリラヤのケデシ、エフライムの山地なるシケムおよびユダの山地なるキリアテアルバ(すなはちヘブロン)を之がために分ち 006 JOS 020 008 またヨルダンの彼旁ヱリコの東の方にてはルベンの支派の中より平地なる荒野のベゼルを擇び定めガドの支派の中よりギレアデのラモテを擇び定めマナセの支派の中よりバシヤンのゴランを擇び定めたり 006 JOS 020 009 是すなはちイスラエルの一切の子孫および之が中に寄寓をる他國人のために設けたる邑々にして凡て人を誤まり殺せる者を此に逃れしめ其會衆の前に立ざる中に仇打の手に死るがごときことなからしめんためなり 006 JOS 021 001 茲にレビの族長等來りて祭司ヱレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等の許にいたり 006 JOS 021 002 カナンの地シロにおいて之に語りて言ふヱホバかつて我らに住べき邑々を與ふることおよびその郊地を我らの家畜のために與ふる事をモーセによりて命じおきたまへりと 006 JOS 021 003 イスラエルの子孫すなはちヱホバの命にしたがひて自己の產業の中より左の邑々とその郊地とをレビ人に與ふ 006 JOS 021 004 先コハテ人の宗族のために籤を掣り祭司アロンの子孫たるレビ人籤によりてユダの支派の中シメオンの支派の中およびベニヤミンの支派の中より十三の邑を獲 006 JOS 021 005 その餘のコハテの子孫は籤によりてエフライムの支派の宗族の中ダンの支派の中マナセの支派の半の中より十の邑を獲たり 006 JOS 021 006 またゲシヨンの子孫は籤によりてイツサカルの支派の宗族の中アセルの支派の中ナフタリの支派の中およびバシヤンにあるマナセの支派の半の中より十三の邑を獲たり 006 JOS 021 007 またメラリの子孫は其宗族にしたがひてルベンの支派の中ガドの支派の中およびゼブルンの支派の中より十二の邑を獲たり 006 JOS 021 008 イスラエルの子孫ヱホバのモーセによりて命じたまひし所にしたがひて此の邑々とその郊地とを籤によりてレビ人に與ふ 006 JOS 021 009 即ち先ユダの子孫の支派の中およびシメオンの子孫の支派の中より左に名を擧たる邑々を與ふ 006 JOS 021 010 是はレビの子孫コハテ人の宗族なるアロンの子孫に歸す其は彼ら第一の籤にあたりたればなり 006 JOS 021 011 即ちユダの山地なるキリアテアルバ即ちヘブロンおよびその周圍の郊地をこれに與ふ此アルバはアナクの父なりき 006 JOS 021 012 その邑の田野およびその村々はこれをエフンネの子カレブに與へて所有となさしむ 006 JOS 021 013 祭司アロンの子孫に與へし者は即ち人を殺し者の逃るべき邑なるヘブロンとその郊地リブナとその郊地 006 JOS 021 014 ヤツテルとその郊地エシテモアとその郊地 006 JOS 021 015 ホロンとその郊地デビルとその郊地 006 JOS 021 016 アインとその郊地ユツタとその郊地ベテシメシとその郊地此九の邑は此ふたつの支派の中より分ちしものなり 006 JOS 021 017 またベニヤミンの支派の中よりギベオンとその郊地ゲバとその郊地 006 JOS 021 018 アナトテとその郊地アルモンとその郊地など四の邑をあたへたり 006 JOS 021 019 アロンの子孫たる祭司等の邑は合せて十三邑又之につける郊地あり 006 JOS 021 020 この他のコハテの子孫なるレビ人の宗族籤によりてエフライムの支派の中より邑を獲たり 006 JOS 021 021 即ち之に與へしは人を殺せる者の逃るべき邑なるエフライムの山地のシケムとその郊地およびゲゼルとその郊地 006 JOS 021 022 キブザイムとその郊地ベテホロンとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 023 又ダンの支派の中より分ちて與へし者はエルテケとその郊地ギベトンとその郊地 006 JOS 021 024 アヤロンとその郊地ガテリンモンとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 025 又マナセの支派の半の中より分ちて與へし者はタアナクとその郊地ガテリンモンとその郊地など二の邑なり 006 JOS 021 026 外のコハテの子孫の宗族の邑は合せて十また之につける郊地あり 006 JOS 021 027 ゲルシヨンの子孫たるレビ人の宗族に與へし者はマナセの支派の半の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるバシヤンのゴランとその郊地およびベエシテラとその郊地など二の邑なり 006 JOS 021 028 イツサカルの支派の中よりはキシオンとその郊地ダベラとその郊地 006 JOS 021 029 ヤルムテとその郊地エンガンニムとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 030 アセルの支派の中よりはミシヤルとその郊地アブドンとその郊地 006 JOS 021 031 ヘルカテとその郊地レホブとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 032 ナフタリの支派の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるガリラヤのケデシとその郊地およだハンモテドルとその郊地カルタンとその郊地など三の邑なり 006 JOS 021 033 ゲルシヨン人がその宗族にしたがひて獲たる邑は合せて十三邑にして又これに屬る郊地あり 006 JOS 021 034 この餘のレビ人なるメラリの子孫の宗族に與へし者はゼブルンの支派の中よりはヨクネアムと其郊地カルタとその郊地 006 JOS 021 035 デムナとその郊地ナハラルとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 036 ルベンの支派の中よりはべゼルとその郊地ヤハヅとその郊地 006 JOS 021 037 ケデモテとその郊地メバアテとその郊地など四の邑なり 006 JOS 021 038 ガドの支派の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるギレアデのラモテとその郊地およびマハナイムとその郊地 006 JOS 021 039 ヘシボンとその郊地ヤゼルとその郊地など合せて四の邑 006 JOS 021 040 是みな外のレビ人なるメラリの子孫がその宗族にしたがひて獲たる邑々なり其籤によりて獲たる邑は合せて十二 006 JOS 021 041 イスラエルの子孫の所有の中にレビ人が有る邑々は合せて四十八邑又之につける郊地あり 006 JOS 021 042 この邑々は各々その周圍に郊地あり此邑々みな然り 006 JOS 021 043 かくヱホバ、イスラエルに與へんとその先祖等に誓ひたまひし地をことごとく與へたまひければ彼ら之を獲て其處に住り 006 JOS 021 044 ヱホバ凡てその先祖等に誓ひたまひし如く四方におて彼らに安息を賜へり其すべての敵の中に一人も之に當ることを得る者なかりきヱホバかれらの敵をことごとくその手に付したまへり 006 JOS 021 045 ヱホバがイスラエルの家に語りたまひし善事は一だに缺ずして悉くみな來りぬ 006 JOS 022 001 茲にヨシユア、ルベン人ガド人およびマナセの支派の半を召て 006 JOS 022 002 これに言けるは汝らはヱホバの僕モーセが汝らに命ぜし所をことごとく守り又わが汝らに命ぜし一切の事において我言に聽したがへり 006 JOS 022 003 汝らは今日まで日ひさしく汝らの兄弟を離れずして汝らの神ヱホバの命令の言を守り來り 006 JOS 022 004 今は已に汝らの神ヱホバなんぢらの兄弟に向に宣まひし如く安息を賜ふに至れり然ば汝ら身を轉らしヱホバの僕モーセが汝らに與へしヨルダンの彼方なる汝等の產業の地に歸りて自己の天幕にゆけ 006 JOS 022 005 只ヱホバの僕モーセが汝らに命じおきし誡命と律法とを善く謹しみて行ひ汝らの神ヱホバを愛しその一切の途に歩みその命令を守りて之に附したがひ心を盡し精神を盡して之に事ふべしと 006 JOS 022 006 かくてヨシユア彼らを祝して去しめければ彼らはその天幕に往り 006 JOS 022 007 マナセの支派の半にはモーセ、バシヤンにて產業を與へおけりその他の半にはヨシユア、ヨルダンの此旁西の方にてその兄弟等の中に產業を與ふヨシユア彼らをその天幕に歸し遣るに當りて之を祝し 006 JOS 022 008 之に告て言けるは汝ら衆多の貨財夥多しき家畜金銀銅鐵および夥多しき衣服をもちて汝らの天幕に歸り汝らの敵より獲たるその物を汝らの兄弟の中に分つべしと 006 JOS 022 009 爰にルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半はヱホバのモーセによりて命じ給ひし所に循ひて己の所有の地すなはち已に獲たるギレアデの地に往んとてカナンの地のシロよりしてイスラエルの子孫に別れて歸りけるが 006 JOS 022 010 ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半カナンの地のヨルダンの岸邊にいたるにおよびて彼處にてヨルダンの傍に一の壇を築けりその壇は大にして遥に見えわたる 006 JOS 022 011 イスラエルの子孫はルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半カナンの地の前の部にてヨルダンの岸邊イスラエルの子孫に屬する方にて一の壇を築けりと言を聞り 006 JOS 022 012 イスラエルの子孫これを聞と斉しくイスラエルの子孫の會衆ことごとくシロに集まりて彼らの所に攻のぼらんとす 006 JOS 022 013 イスラエルの子孫すなはち祭司エレアザルの子ピハネスをギレアデの地に遣はしてルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半の所に至らしめ 006 JOS 022 014 イスラエルの各々の支派の中より父祖の家の牧伯一人づつを擧て合せて十人の牧伯を之に伴なはしむ是みなイスラエルの家族の中にて父祖の家の長たる者なりき 006 JOS 022 015 彼らギレアデの地に往きルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半にいたりて之に語りて言けらく 006 JOS 022 016 ヱホバの全會衆かく言ふ汝らイスラエルの神にむかひて愆を犯し今日すでに翻へりてヱホバに從がはざらんとし即ち己のために一の壇を築きて今日ヱホバに叛かんとするは何事ぞや 006 JOS 022 017 ベオルの罪われらに足ざらんや之がためにヱホバの會衆に災禍くだりたりしかども我ら今日までも尚身を潔めてその罪を棄ざるなり 006 JOS 022 018 然るに汝らは今日ひるがへりてヱホバに從がはざらんとするや汝ら今日ヱホバに叛けば明日はヱホバ、イスラエルの全會衆を怒りたまふべし 006 JOS 022 019 然ながら汝らの所有の地もし潔からずばヱホバの幕屋のたてるヱホバの產業の地に濟り來て我らの中にて所有を獲よ惟われらの神ヱホバの壇の外に壇を築きてヱホバに叛く勿れまた我らに悖るなかれ 006 JOS 022 020 ゼラの子アカン詛はれし物につきて愆を犯しつひにイスラエルの全會衆に震怒臨みしにあらずや且また其罪にて滅亡し者は彼人ひとりにはあらざりき 006 JOS 022 021 ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半答へてイスラエルの宗族の長等に言けるは 006 JOS 022 022 諸の神の神ヱホバ諸の神の神ヱホバ知しめすイスラエルも亦知んもし叛く事あるひはヱホバに罪を犯す事ならば汝今日我らを救ふなかれ 006 JOS 022 023 我らが壇を築きし事もし翻がへりてヱホバに從がはざらんが爲なるか又は其上に燔祭素祭を献げんが爲なるか又はその上に酬恩祭の犠牲を獻げんがためならばヱホバみづからその罪を問討したまへ 006 JOS 022 024 我等は遠き慮をもて故に斯なしたるなり即ち思ひけらく後の日にいたりて汝らの子孫われらの子孫に語りて言ならん汝らはイスラエルの神ヱホバと何の關係あらんや 006 JOS 022 025 ルベンの子孫およびガドの子孫よヱホバ我らと汝らの間にヨルダンを界となしたまへり汝らはヱホバの中に分なしと斯いひてなんぢらの子孫われらの子孫としてヱホバを畏るることを息しめんと 006 JOS 022 026 是故に我ら言けらく我らいま一の壇を我らのために築かんと是燔祭のために非ずまた犠牲のために非ず 006 JOS 022 027 惟し之をして我らと汝らの間および我らの後の子孫の間に證とならしめて我ら燔祭犠牲および酬恩祭をもてヱホバの前にその職務をなさんがためなり然せば汝らの子孫後の日いたりて我らの子孫に汝らはヱホバの中に分なしと言こと無らん 006 JOS 022 028 是をもて我ら言り彼らが我らまたは後の日に我らの子孫に然いはばその時我ら言ん我らの父祖の築きたりしヱホバの壇の模形を見よ是は燔祭のためにも非ずまた犠牲のためにもあらず我らと汝らとの間の證なり 006 JOS 022 029 ヱホバに叛き翻へりて今日ヱホバに從がふことを息め我らの神ヱホバの幕屋の前にあるその祭壇の外に燔祭素祭犠牲などのために壇を築くことは我らの絶て爲ざる所なり 006 JOS 022 030 祭司ピネハスおよび會衆の長等即ち彼とともなるイスラエルの宗族の首等はルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの子孫が述たる言を聞て善とせり 006 JOS 022 031 祭司エレアザルの子ピネハスすなはちルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの子孫に言けるは我ら今日ヱホバの我らの中に在すを知る其は汝らヱホバにむかひて此愆を犯さざればなり今なんぢらはイスラエルの子孫をヱホバの手より救ひいだせりと 006 JOS 022 032 祭司エレアザルの子ピネハスおよび牧伯等すなはちルベンの子孫およびガドの子孫に別れてギレアデの地よりカナンの地に歸りイスラエルの子孫にいたりて復命しけるに 006 JOS 022 033 イスラエルの子孫これを善とせり而してイスラエルの子孫神を讃めルベンの子孫およびガドの子孫の住をる國を滅ぼしに攻上らんと重ねて言ざりき 006 JOS 022 034 ルベンの子孫およびガドの子孫その壇をエド(證)と名けて云ふ是は我らの間にありてヱホバは神にいますとの證をなす者なりと 006 JOS 023 001 ヱホバ、イスラエルの四方の敵をことごとく除きて安息をイスラエルに賜ひてより久しき後すなはちヨシユア年邁みて老たる後 006 JOS 023 002 ヨシユア一切のイスラエル人すなはち其長老首領裁判人官吏などを招きよせて之に言けるは 006 JOS 023 003 我は年すすみて老ゆ汝らは已に汝らの神ヱホバが汝らのために此もろもろの國人に行ひたまひし事を盡く見たり即ち汝らの神ヱホバみづから汝らのために戰ひたまへり 006 JOS 023 004 視よ我ヨルダンより日の入る方大海までの此もろもろの漏のこれる國々および已に滅ぼしたる一切の國々を籤にて汝らに分ちて汝らの支派の產業となさしめたり 006 JOS 023 005 汝らの神ヱホバみづから汝らの前よりその國民を打攘ひ汝らの目の前よりこれを逐はらひたまはん而して汝らは汝らの神ヱホバの汝らに宣まひしごとく之が地を獲にいたるべし 006 JOS 023 006 然ば汝ら勵みてモーセの律法の書に記されたる所を盡く守り行なへ之を離れて右にも左にも曲るなかれ 006 JOS 023 007 汝らの中間に遺りをる是等の國人の中に往なかれ彼らの神の名を唱ふるなかれ之を指て誓はしむる勿れ又これに事へこれを拝むなかれ 006 JOS 023 008 惟今日まで爲たるごとく汝らの神ヱホバに附したがへ 006 JOS 023 009 それヱホバは大にして且強き國民を汝らの前より逐はらひたまへり汝らには今日まで當ることを得る人一箇もあらざりき 006 JOS 023 010 汝らの一人は千人を逐ことを得ん其は汝らの神ヱホバ汝らに宣まひしごとく自ら汝らのために戰ひたまへばなり 006 JOS 023 011 然ば汝ら自ら善く愼しみて汝らの神ヱホバを愛せよ 006 JOS 023 012 然らずして汝ら若後もどりしつつ是等の國人の漏のこりて汝らの中間に止まる者等と親しくなり之と婚姻をなして互に相往來しなば 006 JOS 023 013 汝ら確く知れ汝らの神ヱホバかさねて是等の國人を汝らの目の前より逐はらひたまはじ彼ら反て汝らの羂となり罟となり汝らの脇に鞭となり汝らの目に莿となりて汝ら遂に汝らの神ヱホバの汝らに賜ひしこの美地より亡び絶ん 006 JOS 023 014 視よ今日われは世人の皆ゆく途を行んとす汝ら一心一念に善く知るならん汝らの神ヱホバの汝らにつきて宣まひし諸の善事は一も缺る所なかりき皆なんぢらに臨みてその中一も缺たる者なきなり 006 JOS 023 015 汝らの神ヱホバの汝らに宣まひし諸の善事の汝らに臨みしごとくヱホバまた諸の惡き事を汝らに降して汝らの神ヱホバの汝らに與へしこの美地より終に汝らを滅ぼし絶たまはん 006 JOS 023 016 汝ら若なんぢらの神ヱホバの汝らに命じたまひしその契約を犯し往て他神に事へてこれに身を鞠むるに於てはヱホバの震怒なんぢらに向ひて燃いでてなんぢらヱホバに與へられし善地より迅速に亡びうせん 006 JOS 024 001 茲にヨシユア、イスラエルの一切の支派をシケムに集めイスラエルの長老首領裁判人官吏などを招きよせて諸共に神の前に進みいで 006 JOS 024 002 而してヨシユアすべての民に言けるはイスラヱルの神ヱホバかく言たまふ汝らの遠祖すなはちアブラハムの父たりナホルの父たりしテラのごときは在昔河の彼旁に住て皆他神に事へたりしが 006 JOS 024 003 我なんぢらの先祖アブラハムを河の彼旁より携へ出してカナンの全地を導きてすぎその子孫を増んとして之にイサクを與へたり 006 JOS 024 004 而してイサクにヤコブとエサウを與へエサウにセイル山を與へて獲させたりまたヤコブとその子等はエジプトに下れり 006 JOS 024 005 我モーセおよびアロンを遣はしまた災禍をエジプトに降せり我がその中に爲たる所の事のごとし而して後われ汝らを導びき出せり 006 JOS 024 006 我なんぢらの父をエジプト入り導き出し汝ら海に至りしにエジプト人戰車と騎兵とをもて汝らの後を追て紅海に來りけるが 006 JOS 024 007 汝らの父等ヱホバに呼はりければヱホバ黑暗を汝らとエジプト人との間に置き海を彼らの上に傾むけて彼らを淹へり汝らは我がエジプトにて爲たる事を目に觀たり斯て汝らは日ひさしく曠野に住をれり 006 JOS 024 008 我またヨルダンの彼旁にすめるアモリ人の地に汝らを携へいれたり彼ら汝らと戰ひければ我かれらを汝らの手に付しかれらの地をなんぢらに獲しめ彼らを汝らの前より滅ぼし去り 006 JOS 024 009 時にモアブの王チツポルの子バラク起てイスラエルに敵し人を遣はしてペオルの子バラムを招きて汝らを詛はせんとしたりしが 006 JOS 024 010 我バラムに聽ことを爲ざりければ彼かへつて汝らを祝せり斯われ汝らを彼の手より拯出せり 006 JOS 024 011 而して汝らヨルダンを濟りてヱリコに至りしにヱリコの人々すなはちアモリ人ペリジ人カナン人ヘテ人ギルガシ人ヒビ人ヱブス人等なんぢらに敵したりしが我かれらを汝らの手に付せり 006 JOS 024 012 われ黄蜂を汝らの前に遣はして彼のアモリ人の王二人を汝らの前より逐はらへり汝らの劍または汝らの弓を用ひて斯せしに非ず 006 JOS 024 013 而して我なんちらが勞せしに非ざる地を汝らに與へ汝らが建たるに非ざる邑を汝らに與へたり汝らは今その中に住をる汝らは亦己が作りたるに非ざる葡萄園と橄欖園とにつきて食ふ 006 JOS 024 014 然ば汝らヱホバを畏れ赤心と眞實とをもて之に事へ汝らの先祖が河の彼邊およびエジプトにて事へたる神を除きてヱホバに事へよ 006 JOS 024 015 汝ら若ヱホバに事ふることを惡とせば汝らの先祖が河の彼邊にて事へし神々にもあれ又は汝らが今をる地のアモリ人の神々にもあれ汝らの事ふべき者を今日選べ但し我と我家とは共にヱホバに事へん 006 JOS 024 016 民こたへて言けるはヱホバを棄て他神に事ふることは我等きはめて爲じ 006 JOS 024 017 其は我らの神ヱホバみづから我等と我らの先祖とをエジプトの地奴隸の家より導き上りかつ我らの目の前にかの大なる徴を行ひ我らが往し一切の路にて我らを守りまた我らが其中間を通りし一切の民の中にて我らを守りたまひければなり 006 JOS 024 018 而してヱホバ此地に住をりしアモリ人などいふ一切の民を我らの前より逐はらひたまへり然ば我らもヱホバに事へん彼は我らの神なればなり 006 JOS 024 019 ヨシユア民に言けるは汝らはヱホバに事ふること能はざらん其は彼は聖神また妬みたまふ神にして汝らの罪愆を赦したまはざればなり 006 JOS 024 020 汝ら若ヱホバを棄て他神に事へなば汝らに福祉を降したまへる後にも亦ひるがへりて汝らに災禍を降して汝らを滅ぼしたまはん 006 JOS 024 021 民ヨシユアに言けるは否我ら必らずヱホバに事ふべしと 006 JOS 024 022 ヨシユア民に向ひて汝らはヱホバを選びて之に事へんといへりなんぢら自らその證人たりと言ければ皆我らは證人なりと答ふ 006 JOS 024 023 ヨシユアまた言り然ば汝らの中にある異なる神を除きてイスラエルの神ヱホバに汝らの心を傾むけよ 006 JOS 024 024 民ヨシユアに言けるは我らの神ヱホバに我らは事へ其聲に我らは聽したがふべしと 006 JOS 024 025 ヨシユアすなはち其日民と契約を結びシケムにおいて法度と定規とを彼らのために設けたり 006 JOS 024 026 ヨシユアこれらの言を神の律法の書に書しるし大なる石をとり彼處にてヱホバの聖所の傍なる樫の樹の下に之を立て 006 JOS 024 027 而してヨシユア一切の民に言けるは視よ此石われらの證となるべし是はヱホバの我らに語りたまひし言をことごとく聞たればなり然ば汝らが己の神を棄ること無らんために此石なんぢらの證となるべしと 006 JOS 024 028 かくてヨシユア民を各々その產業に歸しさらしめたりき 006 JOS 024 029 是らの事の後ヱホバの僕ヌンの子ヨシユア百十歳にして死り 006 JOS 024 030 人衆これをその產業の地の内にてテムナテセラに葬むれりテムナテセラはエフライムの山地にてガアシ山の北にあり 006 JOS 024 031 イスラエルはヨシユアの世にある日の間またヱホバがイスラエルのために行ひたまひし諸の事を識ゐてヨシユアの後に生存れる長老等の世にある日の間つねにヱホバに事へたり 006 JOS 024 032 イスラエルの子孫のエジプトより携さへ上りしヨセフの骨を昔ヤコブが銀百枚をもてシケムの父ハモルの子等より買たりしシケムの中なる一の地に葬れり是はヨセフの子孫の產業となりぬ 006 JOS 024 033 アロンの子エレアザルもまた死り人衆これを其子ピネハスがエフライムの山地にて受たりし岡に葬れり # # BOOK 007 JDG Judges 士師記 007 JDG 001 001 ヨシユアの死にたるのちイスラエルの子孫ヱホバに問ひていひけるはわれらの中孰か先に攻め登りてカナン人と戰ふべきや 007 JDG 001 002 ヱホバいひたまひけるはユダ上るべし視よ我此國を其の手に付すと 007 JDG 001 003 ユダその兄弟シメオンに言けるは我と共にわが領地にのぼりてカナン人と戰へわれもまた偕に汝の領地に往べしとここにおいてシメオンかれとともにゆけり 007 JDG 001 004 ユダすなはち上りゆきけるにヱホバその手にカナン人とペリジ人とを付したまひたればベゼクにて彼ら一萬人を殺し 007 JDG 001 005 またベゼクにおいてアドニベゼクにゆき逢ひこれと戰ひてカナン人とペリジ人を殺せり 007 JDG 001 006 しかるにアドニベゼク逃れ去りしかばそのあとを追ひてこれを執へその手足の巨擘を斫りはなちたれば 007 JDG 001 007 アドニベゼクいひけるは七十人の王たちかつてその手足の巨擘を斫られて我が食几のしたに屑を拾へり神わが曾て行ひしところをもてわれに報いたまへるなりと衆之を曳てエルサレムに至りしが其處にしねり 007 JDG 001 008 ユダの子孫エルサレムを攻めてこれを取り刃をもてこれを撃ち邑に火をかけたり 007 JDG 001 009 かくてのちユダの子孫山と南方の方および平地に住めるカナン人と戰はんとて下りしが 007 JDG 001 010 ユダまづヘブロンに住るカナン人を攻めてセシヤイ、アヒマンおよびタルマイを殺せり〔ヘブロンの舊の名はキリアテアルバなり〕 007 JDG 001 011 またそこより進みてデビルに住るものを攻む〔デビルの舊の名はキリアテセペルなり〕 007 JDG 001 012 時にカレブいひけるはキリアテセペルをうちてこれを取るものにはわが女アクサをあたへて妻となさんと 007 JDG 001 013 カレブの舍弟ケナズの子オテニエルこれを取ければすなはちその女アクサをこれが妻にあたふ 007 JDG 001 014 アクサ往くときおのれの父に田圃を求めんことを夫にすすめたりしがつひにアクサ驢馬より下りければカレブこれは何事ぞやといふに 007 JDG 001 015 答へけるはわれに惠賜をあたへよなんぢ南の地をわれにあたへたればねがはくは源泉をもわれにあたへよとここにおいてカレブ上の源泉と下の源泉とをこれにあたふ 007 JDG 001 016 モーセの外舅ケニの子孫ユダの子孫と偕に棕櫚の邑よりアラドの南なるユダの野にのぼり來りて民のうちに住居せり 007 JDG 001 017 茲にユダその兄弟シメオンとともに往きてゼバテに住るカナン人を撃ちて盡くこれを滅ぼせり是をもてその邑の名をホルマと呼ぶ 007 JDG 001 018 ユダまたガザと其の境アシケロンとその境およびエクロンとその境を取り 007 JDG 001 019 ヱホバ、ユダとともに在したればかれつひに山地を手に入れたりしが谷に住る民は鐵の戰車をもちたるが故にこれを逐出すこと能はざりき 007 JDG 001 020 衆モーセのかつていひし如くヘブロンをカレブに與ふカレブそのところよりアナクの三人の子をおひ出せり 007 JDG 001 021 ベニヤミンの子孫はエルサレムに住るエブス人を追出さざりしりかばエブス人は今日に至るまでベニヤミンの子孫とともにエルサレムに住ふ 007 JDG 001 022 茲にヨセフの族またベテルをさして攻め上るヱホバこれと偕に在しき 007 JDG 001 023 ヨセフの族すなはちベテルを窺察しむ〔此邑の舊の名はルズなり〕 007 JDG 001 024 その間者邑より人の出來るを見てこれにいひけるは請ふわれらに邑の入口を示せさらば汝に恩慈を施さんと 007 JDG 001 025 彼邑の入口を示したればすなはち刃をもて邑を撃てり然ど彼の人と其家族をばみな縱ち遣りぬ 007 JDG 001 026 その人ヘテ人の地にゆき邑を建てルズと名けたり今日にいたるまでこれを其名となす 007 JDG 001 027 マナセはベテシヤンとその村里の民タアナクとその村里の民ドルとその村里の民イプレアムとその村里の民メギドンとその村里の民を逐ひ出さざりきカナン人はなほその地に住ひ居る 007 JDG 001 028 イスラエルはその強なりしときカナン人をして貢を納れしめたりしが之を全く追ひいだすことは爲ざりき 007 JDG 001 029 エフライムはゲゼルに住るカナン人を逐ひいださざりきカナン人はゲゼルにおいてかれらのうちに住み居たり 007 JDG 001 030 ゼブルンはまたキテロンの民およびナハラルの民を逐ひいださざりきカナン人かれらのうちに住みて貢ををさむるものとなりぬ 007 JDG 001 031 アセルはアツコの民およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの民を逐ひ出さざりき 007 JDG 001 032 アセル人は其地の民なるカナン人のうちに住み居たりそはこれを逐ひ出さざりしゆゑなり 007 JDG 001 033 ナフタリはベテシメシの民およびベテアナテの民を逐ひ出さずその地の民なるカナン人のうちに住み居たりベテシメシとベテアナテの民はつひにかれらに貢を納むるものとなりぬ 007 JDG 001 034 アモリ人ダンの子孫を山におひこみ谷に下ることを得させざりき 007 JDG 001 035 アモリ人はなほヘレス山アヤロン、シヤラビムに住ひ居りしがヨセフの家の手力勝りたれば終に貢を納むるものとなりぬ 007 JDG 001 036 アモリ人の界はアクラビムの阪よりセラを經て上に至れり 007 JDG 002 001 ヱホバの使者ギルガルよりボキムに上りていひけるは我汝等をエジプトより上らしめわが汝らの先祖に誓ひたる地に携へ來れりまた我いひけらくわれ汝らと締べる契約を絶てやぶることあらじ 007 JDG 002 002 汝らはこの國の民と契約を締ぶべからずかれらの祭壇を毀つべしとしかるに汝らはわが聲に從はざりき汝ら如何なれば斯ることをなせしや 007 JDG 002 003 我またいひけらくわれ汝らの前より彼らを追ふべからずかれら反て汝等の肋を刺す荊棘とならんまた彼らの神々は汝等の罟となるべし 007 JDG 002 004 ヱホバの使これらの言をイスラエルのすべての子孫に語しかば民聲をあげて哭ぬ 007 JDG 002 005 故に其所の名をボキム(哭者)と呼ぶかれら彼所にてヱホバに祭物を獻げたり 007 JDG 002 006 ヨシユア民を去しめたればイスラエルの子孫おのおのその領地におもむきて地を獲たり 007 JDG 002 007 ヨシユアの世にありし間またヨシユアより後に生きのこりたる長老等の世にありしあひだ民はヱホバに事へたりこの長老等はヱホバのかつてイスラエルのために成したまひし諸の大なる行爲を見しものなり 007 JDG 002 008 ヱホバの僕ヌンの子ヨシユア百十歳にて死り 007 JDG 002 009 衆人エフライムの山のテムナテヘレスにあるかれらの產業の地においてガアシ山の北にこれを葬れり 007 JDG 002 010 かくてまたその時代のものことごとくその先祖のもとにあつめられその後に至りて他の時代おこりしが是はヱホバを識ずまたそのイスラエルのために爲したまひし行爲をも識ざりき 007 JDG 002 011 イスラエルの子孫ヱホバのまへに惡きことを作してバアリムにつかへ 007 JDG 002 012 かつてエジプトの地よりかれらを出したまひしその先祖の神ヱホバを棄てて他の神すなはちその四周なる國民の神にしたがひ之に跪づきてヱホバの怒を惹起せり 007 JDG 002 013 即ちかれらヱホバをすててバアルとアシタロテに事へたれば 007 JDG 002 014 ヱホバはげしくイスラエルを怒りたまひ掠むるものの手にわたして之を掠めしめかつ四周なるもろもろの敵の手にこれを賣たまひしかばかれらふたたびその敵の前に立つことを得ざりき 007 JDG 002 015 かれらいづこに往くもヱホバの手これに災をなしぬ是はヱホバのいひたまひしごとくヱホバのこれに誓ひたまひしごとしここにおいてかれら惱むこと甚だしかりしが 007 JDG 002 016 ヱホバ士師を立てたまひたればかれらこれを掠むるものの手よりすくひ出したり 007 JDG 002 017 然るにかれらその士師にもしたがはず反りて他の神を慕て之と淫をおこなひ之に跪き先祖がヱホバの命令に從がひて歩みたることろの道を頓に離れ去りてその如くには行はざりき 007 JDG 002 018 かれらのためにヱホバ士師を立てたまひし時に方りてはヱホバつねにその士師とともに在しその士師の世に在る間はヱホバかれらを敵の手よりすくひ出したまへり此はかれらおのれを虐げくるしむるものありしを呻きかなしめるによりてヱホバ之を哀れみたまひたればなり 007 JDG 002 019 されどその士師の死しのちまた戻きて先祖よりも甚だしく邪曲を行ひ他の神にしたがひてこれに事へ之に跪きておのれの行爲を息めずその頑固なる路を離れざりき 007 JDG 002 020 是をもてヱホバはげしくイスラエルをいかりていひたまはく此民はわがかつてその列祖に命じたる契約を犯し吾聲に從がはざるがゆゑに 007 JDG 002 021 我もまたいまよりはヨシユアがその死しときに存しおけるいづれの國民をもかれらのまへより逐ひはらはざるべし 007 JDG 002 022 此は我イスラエルがその先祖の守りしごとくヱホバの道を守りてこれに歩むやいなやを試みんがためなりと 007 JDG 002 023 ヱホバはこれらの國民を逐はらふことを速にせずして之を遺しおきてヨシユアの手に付したまはざりしなり 007 JDG 003 001 ヱホバが凡てカナンの諸の戰爭を知ざるイスラエルの者どもをこころみんとて遺しおきたまへる國民は左のごとし 007 JDG 003 002 〔こはただイスラエルの代々の子孫特にいまだ戰爭を知ざるものにこれををしへ知らしめんがためなり〕 007 JDG 003 003 即ちペリシテ人の五人の伯すべてのカナン人シドン人およびレバノン山に住みてバアルヘルモンの山よりハマテに入るところまでを占めたるヒビ人是なり 007 JDG 003 004 これらをもてイスラエルをこころみかれらがヱホバのモーセによりてその先祖に命じたまひし命令に遵ふや否を可知りしなり 007 JDG 003 005 イスラエルの子孫はカナン人ヘテ人アモリ人 007 JDG 003 006 ペリジ人ヒビ人エブス人のうちに住みかれらの女を妻に娶りまたおのれの女をかれらの子に與へかつかれらの神に事へたり 007 JDG 003 007 斯くイスラエルの子孫ヱホバのまへに惡をおこなひ己れの神なるヱホバをわすれてバアリムおよびアシラに事へたり 007 JDG 003 008 是においてヱホバはげしくイスラエルを怒りてこれをメソポタミヤの王クシヤンリシヤタイムの手に賣り付したまひしかばイスラエルの子孫はおよそ八年のあひだクシヤンリシヤタイムにつかへたり 007 JDG 003 009 茲にイスラエルの子孫ヱホバによばはりしかばヱホバはイスラエルの子孫の爲にひとりの救者を起して之を救はしめ給ふすなはちカレブの舍弟ケナズの子オテニエル是なり 007 JDG 003 010 ヱホバの靈オテニエルにのぞみたれば彼イスラエルを治め戰ひに出づヱホバ、メソポタミヤの王クシヤンリシヤタイムをその手に付したまひたればオテニエルの手クシヤンリシヤタイムに勝ことを得たり 007 JDG 003 011 かくて國は四十年のあひだ太平なりきケナズの子オテニエルつひに死り 007 JDG 003 012 イスラエルの子孫復ヱホバの眼のまへに惡をおこなふヱホバかれらがヱホバのまへに惡をおこなふによりてモアブの王エグロンをつよくなしてイスラエルに敵せしめたまへり 007 JDG 003 013 エグロンすなはちアンモンおよびアマレクの子孫を招き聚め往きてイスラエルを撃ち椶櫚の邑を取り 007 JDG 003 014 ここにおいてイスラエルの子孫は十八年のあひだモアブの王エグロンに事へたりしが 007 JDG 003 015 イスラエルの子孫ヱホバに呼はりけるときヱホバかれらの爲に一個の救者を起したまふすなはちベニヤミン人ゲラの子なる左手利捷のエホデ是なりイスラエルの子孫かれを以てモアブの王エグロンに餽物せり 007 JDG 003 016 エホデ長一キユビトなる兩刃の劍を作らせこれを衣のしたに右の股のあたりにおび 007 JDG 003 017 餽物を齎してモアブの王エグロンのもとに詣るエグロンは甚だ肥たる人なりき 007 JDG 003 018 さて餽物を獻ぐることをはりしかば彼餽物を負ひ來りしものをかへし去らしめ 007 JDG 003 019 自らはギルガルの傍なる石像の在る所より引き回していひけるは王よ我爾に告ぐべき密事ありと王人拂を命じたればその旁に立つものみな出で去りぬ 007 JDG 003 020 エホデすなはち王のところに入來れり時に王はひとり上なる涼殿に坐し居たりしがエホデ我神の命に由りて爾に傳ふべきことありといひければ王すなはち座より起に 007 JDG 003 021 エホデ左の手を出し右の股より劍を取りてその腹を刺せり 007 JDG 003 022 抦もまた刃とともに入りたりしが脂肉刃を塞ぎて之を腹より拔き出すことあたはずその鋒鋩うしろに出づ 007 JDG 003 023 エホデすなはち廊をとほりてその後に樓の戸を閉てこれを鎖せり 007 JDG 003 024 その出でしのち王の僕來りて樓の戸の鎖したるを見いひけるは王はかならず涼殿の間に足を蔽ひ居るならんと 007 JDG 003 025 僕ども耻るまでに俟居たれど王樓の戸をひらかざれば鑰をとりて之を開き見るにその君は地に仆れて死をる 007 JDG 003 026 エホデは彼等の猶豫ふ間に逃れて石像の在るところを過りセイラテに遁げゆけり 007 JDG 003 027 かれ旣に至りエフライムの山に箛を吹きければイスラエルの子孫これとともに山より下るエホデこれを導けり 007 JDG 003 028 かれ人衆にいひけるは我に續て來れヱホバ汝等の敵モアブ人を汝等の手に付したまふなりここにおいてかれらエホデにしたがひて下りモアブにおもむくところのヨルダンの津を取りて一人も渡ることを允さざりき 007 JDG 003 029 そのとき彼らモアブ人およそ一萬人を殺せり是皆肥太たる勇士なりそのうち一人も脱れたるものなし 007 JDG 003 030 モアブはその日イスラエルの手に服せり而して國は八十年の間太平なりき 007 JDG 003 031 エホデの後にアナテの子シヤムガルといふものあり牛の策を以てペリシテ人六百人を殺せり此人もまたイスラエルを救へり 007 JDG 004 001 エホデの死たるのちイスラエルの子孫復ヱホバの目前に惡を行しかば 007 JDG 004 002 ヱホバ、ハゾルにて世を治むるカナンの王ヤビンの手に之を賣たまふヤビンの軍勢の長はシセラといふ彼異邦人のハロセテに住居り 007 JDG 004 003 鐵の戰車九百輌を有居て二十年の間イスラエルの子孫を甚だしく虐げしかばイスラエルの子孫ヱホバに呼はれり 007 JDG 004 004 當時ラピドテの妻なる預言者デボラ、イスラエルの士師なりき 007 JDG 004 005 彼エフライムの山のラマとベテルの間に在るデボラの棕櫚の樹の下に坐せりイスラエルの子孫はその許に上りて審判を受く 007 JDG 004 006 デボラ人をつかはしてケデシ、ナフタリよりアビノアムの子バラクを招きこれにいひけるはイスラエルの神ヱホバ汝に斯く命じたまふにあらずやいはく汝ナフタリの子孫とゼブルンの子孫とを一萬人ひきゐゆきてタボル山におもむけ 007 JDG 004 007 我ヤビンの軍勢の長シセラおよびその戰車とその群衆とをキシオン河に引き寄せて汝のもとに至らせ之を汝の手に付すべし 007 JDG 004 008 バラク之にいひけるは汝もし我とともにゆかば我往べし然ど汝もし我とともに行ずば我行ざるべし 007 JDG 004 009 デボラいひけるは我かならず汝とともに往くべし然ど汝は今往くところの途にては榮譽を得ることなからんヱホバ婦人の手にシセラを賣りたまふべければなりとデボラすなはち起ちてバラクと共にケデシに往けり 007 JDG 004 010 バラク、ゼブルンとナフタリをケデシに招き一萬人を從へて上るデボラもまた之とともに上れり 007 JDG 004 011 ここにケニ人ヘベルといふ者あり彼はモーセの外舅ホバブの裔なるがケニを離れてケデシの邊なるザアナイムの橡の樹のかたはらにその天幕を張り居たり 007 JDG 004 012 衆アビノアムの子バラクがタボル山に上れるよしをシセラに告げたりければ 007 JDG 004 013 シセラそのすべての戰車すなはち鐵の戰車九百輌およびおのれとともに在るすべての民を異邦人のハロセテよりキシオン河に招き集へたり 007 JDG 004 014 デボラ、バラクにいひけるは起よ是ヱホバがシセラを汝の手に付したまふ日なりヱホバ汝に先き立ちて出でたまひしにあらずやとバラクすなはち一萬人をしたがへてタボル山より下る 007 JDG 004 015 ヱホバ刃をもてシセラとその諸の戰車およびその全軍をバラクの前に打敗りたまひたればシセラ戰車より飛び下り徒歩になりて遁れ走れり 007 JDG 004 016 バラク戰車と軍勢とを追ひ撃て異邦人のハロセテに至れりシセラの軍勢は悉く刃にたふれて殘れるもの一人もなかりしが 007 JDG 004 017 シセラは徒歩にて奔りケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に來れり是はハゾルの王ヤビンとケニ人ヘベルの家とは互ひに睦じかりしゆゑなり 007 JDG 004 018 ヤエル出來りてシセラを迎へ之にいひけるは來れわが主よ入り來れ怖るるなかれとシセラその天幕に入たればヤエル被をもてこれを覆へり 007 JDG 004 019 シセラ之にいひけるはねがはくは少しの水をわれに飮ませよ我渇けりとヤエルすなはち乳嚢を啓きて之に飮ませまた之を覆へり 007 JDG 004 020 シセラまた之にいひけるは天幕の門邊に立て居れもし人來り汝にとふて誰かここに居るやといはば否と答ふべしと 007 JDG 004 021 彼疲れて熟睡せしかばヘベルの妻ヤエル天幕の釘子を取り手に鎚を携へてそのかたはらに忍び寄り鬢のあたりに釘子をうちこみて地に刺し通したればシセラすなはち死たり 007 JDG 004 022 バラク、シセラを追ひ來りしときヤエル之を出むかへていひけるは來れ我汝の索るところの人を示さんとかれそのところに入て見にシセラ鬢のあたりに釘子うたれて死たふれをる 007 JDG 004 023 その日に神カナンの王ヤビンをイスラエルの子孫のまへに打敗りたまへり 007 JDG 004 024 かくてイスラエルの子孫の手ますます強くなりてカナンの王ヤビンに勝ちつひにカナンの王ヤビンを亡ぼすに至れり 007 JDG 005 001 その日デボラとアビノアムの子バラク謳ひていはく 007 JDG 005 002 イスラエルの首長みちびきをなし民また好んで出でたればヱホバを頌美よ 007 JDG 005 003 もろもろの王よ聽けもろもろの伯よ耳をかたぶけよ我はそのヱホバに謳はん我はイスラエルの神ヱホバを讚へん 007 JDG 005 004 ああヱホバよ汝セイルより出でエドムの野より進みたまひしとき地震ひ天また滴りて雲水を滴らせたり 007 JDG 005 005 もろもろの山はヱホバのまへに撼動ぎ彼のシナイもイスラエルの神ヱホバのまへに撼動げり 007 JDG 005 006 アナテの子シヤムガルのときまたヤエルの時には大路は通行る者なく途行く人は徑を歩み 007 JDG 005 007 イスラエルの村莊には住者なく住む者あらずなりけるがつひに我デボラ起れり我起りてイスラエルに母となる 007 JDG 005 008 人々新しき神を選みければ戰鬪門におよべりイスラエルの四萬人のうちに盾或は鎗の見しことあらんや 007 JDG 005 009 吾が心は民のうちに好んでいでたるイスラエルの有司等に傾けり汝らヱホバを頌美よ 007 JDG 005 010 しろき驢馬に乗るもの毛氈に坐するものおよび路歩む人よ汝ら謳ふべし 007 JDG 005 011 矢叫の聲に遠かり水汲むところにおいてヱホバの義しき所爲をとなへそのイスラエルを治理めたまふ義しき所爲を唱へよその時ヱホバの民は門に下れり 007 JDG 005 012 興よ起よデボラ興よ起よ歌を謳ふべし起てよバラク汝の俘虜を擄きたれアビノアムの子よ 007 JDG 005 013 其時民の首長等の殘餘者くだり來るヱホバ勇士の中にいまして我にくだりたまふ 007 JDG 005 014 エフライムより出る者ありその根アマレクにありベニヤミン汝のあとにつきて汝の民の中にありマキルよりは牧伯下りゼブルンよりは采配を執るものいたる 007 JDG 005 015 イッサカルの伯たちはデボラとともに居るイッサカルはバラクとおなじく足の進みて平地に至るルベンの河邊にて大に心にはかる事あり 007 JDG 005 016 何故に汝は圈のうちに止まりて羊の群に笛吹くを聽くやルベンの河邊にて大に心に考ふることあり 007 JDG 005 017 ギレアデはヨルダンの彼方に臥し居る何故にダンは舟のかたはらに止まりしやアセルは濱邊に坐してその港に臥し居る 007 JDG 005 018 ゼブルンは生命を捐て死を冒せる民なり野の高きところに居るナフタリまた是の如し 007 JDG 005 019 もろもろの王來りて戰へる時にカナンのもろもろの王メギドンの水の邊においてタアナクに戰へり彼ら一片の貨幣をも獲ざりき 007 JDG 005 020 天よりこれを攻るものありもろもろの星其の道を離れてシセラを攻む 007 JDG 005 021 キシオンの河之を押し流しぬ是彼の古への河キシオンの河なりわが靈魂よ汝ますます勇みて進め 007 JDG 005 022 その時馬の蹄は強きももの馳に馳るに由りて地を踏鳴せり 007 JDG 005 023 ヱホバの使いひけるはメロズを詛ふべし汝ら重ね重ねその民を詛ふべきなり彼等來りてヱホバを助けずヱホバを助けて猛者を攻めざればなり 007 JDG 005 024 ケニ人ヘベルの妻ヤエルは婦女のうちの最も頌むべき者なり彼は天幕に居る婦女のうち最も頌むべきものなり 007 JDG 005 025 シセラ水を乞ふにヤエル乳を與ふ即ち貴き盤に乳の油を盛てささぐ 007 JDG 005 026 ヤエル釘子に手をかけ右の手に重き椎をとりてシセラを打ちその頭を碎きその鬢のあたりをうちて貫ぬく 007 JDG 005 027 シセラ、ヤエルの足の間に屈みて仆れ偃しその足のあはひに屈みて仆れその屈みたる所にて仆れ亡ぬ 007 JDG 005 028 シセラの母窓より望み格子のうちより叫びて言ふ彼が車のきたること何て遲きや彼が馬の歩何てはかどらざるやと 007 JDG 005 029 その賢き侍女こたへをなす(母また獨語して斯いへり) 007 JDG 005 030 かれら獲ものしてこれを分たざらんや人ごとに一人二人の女子を獲んシセラの獲るものは彩る衣ならんその獲る者は彩る衣にして文繍を施せる者ならん即ち彩りて兩面に文繍をほどこせる衣をえてその頸にまとはんと 007 JDG 005 031 ヱホバよ汝の敵みな是のごとくに亡びよかしまたヱホバを愛するものは日の眞盛に昇るが如くなれよかし とかくて後國は四十年のあひだ太平なりき 007 JDG 006 001 イスラエルの子孫またヱホバの目のまへに惡を行ひたればヱホバ七年の間之をミデアン人の手に付したまふ 007 JDG 006 002 ミデアン人の手イスラエルにかてりイスラエルの子孫はミデアン人の故をもて山にある窟と洞穴と要害とをおのれのために造れり 007 JDG 006 003 イスラエル人蒔種してありける時しもミデアン人アマレキ人及び東方の民上り來りて押寄せ 007 JDG 006 004 イスラエル人に向ひて陣を取り地の產物を荒してガザにまで至りイスラエルのうちに生命を維ぐべき物を遺さず羊も牛も驢馬も遺ざりき 007 JDG 006 005 夫この衆人は家畜と天幕を携へ上り蝗蟲の如くに數多く來れりその人と駱駝は數ふるに勝ず彼ら國を荒さんとて入きたる 007 JDG 006 006 かかりしかばイスラエルはミデアン人のために大いに衰へイスラエルの子孫ヱホバに呼れり 007 JDG 006 007 イスラエルの子孫ミデアン人の故をもてヱホバに呼はりしかば 007 JDG 006 008 ヱホバひとりの預言者をイスラエルの子孫に遣りて言しめたまひけるはイスラエルの神ヱホバ斯くいひたまふ我かつて汝らをエジプトより上らせ汝らを奴隸たるの家より出し 007 JDG 006 009 エジプト人の手およびすべて汝らを虐ぐるものの手より汝らを拯ひいだし汝らの前より彼らを追ひはらひてその邦土を汝らに與へたり 007 JDG 006 010 我また汝らに言り我は汝らの神ヱホバなり汝らが住ひ居るアモリ人の國の神を懼るるなかれとしかるに汝らは我が聲に從はざりき 007 JDG 006 011 茲にヱホバの使者來りてアビエゼル人ヨアシの所有なるオフラの橡の樹のしたに坐す時にヨアシの子ギデオン、ミデアン人に奪はれざらんために酒榨のなかに麥を打ち居たりしが 007 JDG 006 012 ヱホバの使之に現れて剛勇丈夫よヱホバ汝とともに在すといひたれば 007 JDG 006 013 ギデオン之にいひけるはああ吾が主よヱホバ我らと偕にいまさばなどてこれらのことわれらの上に及びたるやわれらの先祖がヱホバは我らをエジプトより上らしめたまひしにあらずやといひて我らに告たりしその諸の不思議なる行爲は何處にあるや今はヱホバわれらを棄てミデアン人の手に付したまへり 007 JDG 006 014 ヱホバ之を顧みていひたまひけるは汝此汝の力をもて行きミデアン人の手よりイスラエルを拯ひいだすべし我汝を遣すにあらずや 007 JDG 006 015 ギデオン之にいひけるはああ主よ我何をもてかイスラエルを拯ふべき視よわが家はマナセのうちの最も弱きもの我はまた父の家の最も卑賤きものなり 007 JDG 006 016 ヱホバ之にいひたまひけるは我かならず汝とともに在ん汝は一人を撃がごとくにミデアン人を撃つことを得ん 007 JDG 006 017 ギデオン之にいひけるは我もし汝のまへに恩を蒙るならば請ふ我と語る者の汝なる證據を見せたまへ 007 JDG 006 018 ねがはくは我復び汝に來りわが祭物をたづさへて之を汝のまへに供ふるまでここを去たまふなかれ彼いひたまひけるは我汝の還るまで待つべし 007 JDG 006 019 ギデオンすなはち往て山羊の羔を調へ粉一エパをもて無酵パンをつくり肉を筺にいれ羹を壺に盛り橡樹の下にもち出て之を供へたれば 007 JDG 006 020 神の使之にいひたまひけるは肉と無酵パンをとりて此巖のうへに置き之に羹を斟げとすなはちそのごとくに行ふ 007 JDG 006 021 ヱホバの使手にもてる杖の末端を出して肉と無酵パンに觸れたりしかば巖より火燃えあがり肉と無酵パンを燒き盡せりかくてヱホバの使去てその目に見ずなりぬ 007 JDG 006 022 ギデオン是において彼がヱホバの使者なりしを覺りギデオンいひけるはああ神ヱホバよ我面を合せてヱホバの使者を見たれば將如何せん 007 JDG 006 023 ヱホバ之にいひたまひけるは心安かれ怖るる勿れ汝死ぬることあらじ 007 JDG 006 024 ここにおいてギデオン彼所にヱホバのために祭壇を築き之をヱホバシヤロムと名けたり是は今日に至るまでアビエゼル人のオフラに存る 007 JDG 006 025 其夜ヱホバ、ギデオンにいひ給ひけるは汝の父の少き牡牛および七歳なる第二の牛を取り汝の父のもてるバアルの祭壇を毀ち其上なるアシラの像を斫り仆し 007 JDG 006 026 汝の神ヱホバのためにこの堡砦の頂において次序をただしくし祭壇を築き第二の牛を取りて汝が斫り倒せるアシラの木をもて燔祭を供ぐべし 007 JDG 006 027 ギデオンすなはちその僕十人を携へてヱホバのいひたまひしごとく行へりされど父の家のものどもおよび邑の人を怖れたれば晝之をなすことを得ず夜に入りて之を爲り 007 JDG 006 028 邑の衆朝興出て視にバアルの祭壇は摧け其の上なるアシラの像は斫仆されて居り新に築る祭壇に第二の牛の供へてありしかば 007 JDG 006 029 たがひに此は誰が所爲ぞやと言ひつつ尋ね問ひけるに此はヨアシの子ギデオンの所爲なりといふものありたれば 007 JDG 006 030 邑の人々ヨアシにむかひ汝の子を曳き出して死なしめよそは彼バアルの祭壇を摧き其上に在しアシラの像を斫仆したればなりといふ 007 JDG 006 031 ヨアシおのれの周圍に立るすべてのものにいひけるは汝らはバアルの爲に爭論ふや汝らは之を救んとするや之が爲に爭論ふ者は朝の中に死べしバアルもし神ならば人其祭壇を摧きたれば自ら爭論ふ可なりと 007 JDG 006 032 是をもて人衆ギデオンその祭壇を摧きたればバアル自ら之といひあらそはんといひて此日かれをヱルバアル(バアルいひあらそはん)と呼なせり 007 JDG 006 033 茲にミデアン人アマレク人および東方の民相集まりて河を濟りヱズレルの谷に陣を取しが 007 JDG 006 034 ヱホバの靈ギデオンに臨みてギデオン箛を吹たればアビエゼル人集りて之に從ふ 007 JDG 006 035 ギデオン徧くマナセに使者を遣りしかばマナセ人また集りて之に從ふ彼またアセル、ゼブルン及びナフタリに使者を遣りしにその人々も上りて之を迎ふ 007 JDG 006 036 ギデオン神にいひけるは汝かつていひたまひしごとくわが手をもてイスラエルを救はんとしたまはば 007 JDG 006 037 視よ我一箇の羊の毛を禾塲におかん露もし羊毛にのみおきて地はすべて燥きをらば我之れによりて汝がかつて言たまひし如く吾が手をもてイスラエルを救ひたまふを知んと 007 JDG 006 038 すなはち斯ありぬ彼明る朝早く興きいで羊毛をかき寄てその毛より露を搾りしに鉢に滿つるほどの水いできたる 007 JDG 006 039 ギデオン神にいひけるは我にむかひて怒を發したまふなかれ我をしていま一回いはしめたまへねがはくは我をして羊の毛をもていま一回試さしめたまへねがはくは羊毛のみを燥して地には悉く露あらしめたまへと 007 JDG 006 040 その夜神かくの如くに爲したまふすなはち羊毛のみ燥きて地には凡て露ありき 007 JDG 007 001 斯てヱルバアルと呼るるギデオンおよび之とともにあるすべての民朝夙に興きいでてハロデの井のほとりに陣を取るミデアン人の陣はかれらの北の方にあたりモレの山に沿ひ谷のうちにありき 007 JDG 007 002 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは汝とともに在る民は餘りに多ければ我その手にミデアン人を付さじおそらくはイスラエル我に向ひ自ら誇りていはん我わが手をもて己を救へりと 007 JDG 007 003 されば民の耳に告示していふべし誰にても懼れ慄くものはギレアデ山より歸り去るべしとここにおいて民のかへりしもの二萬二千人あり殘しものは一萬人なりき 007 JDG 007 004 ヱホバまたギデオンにいひたまひけるは民なほ多し之を導きて水際に下れ我かしこにて汝のために彼らを試みんおほよそ我が汝に告て此人は汝とともに行くべしといはんものはすなはち汝とともに行くべしまたおほよそ我汝に告て此人は汝とともに行くべからずといはんものはすなはち行くべからざるなり 007 JDG 007 005 ギデオン民をみちびきて水際に下りしにヱホバ之にいひたまひけるはおほよそ犬の餂るがごとくその舌をもて水を餂るものは汝之を別けおくべしまたおほよそ其の膝を折り屈みて水を飮むものをも然すべしと 007 JDG 007 006 手を口にあてて水を餂しものの數は三百人なり餘の民は盡くその膝を折り屈みて水を飮り 007 JDG 007 007 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるは我水を餂たる三百人の者をもて汝らを救ひミデアン人を汝の手に付さん餘の民はおのおの其所に歸るべしと 007 JDG 007 008 ここにおいて彼ら民の兵粮とその箛を手にうけとれりギデオンすなはちすべてのイスラエル人を各自その天幕に歸らせ彼の三百人を留めおけり時にミデアン人の陣はその下の谷のなかにありき 007 JDG 007 009 その夜ヱホバ、ギデオンにいひたまはく起よ下りて敵陣に入るべし我之を汝の手に付すなり 007 JDG 007 010 されど汝もし下ることを怖れなば汝の僕フラを伴ひ陣所に下りて 007 JDG 007 011 彼らのいふ所を聞べし然せば汝の手強くなりて汝敵陣にくだることを得んとギデオンすなはち僕フラとともに下りて陣中にある隊伍のほとりに至るに 007 JDG 007 012 ミデアン人アマレク人およびすべて東方の民は蝗蟲のごとくに數衆く谷のうちに堰しをりその駱駝は濱の砂の多きがごとくにして數ふるに勝ず 007 JDG 007 013 ギデオン其處に至りしに或人その伴侶に夢を語りて居りすなはちいふ我夢を見たりしが夢に大麥のパンひとつミデアンの陣中に轉びいりて天幕に至り之をうち仆し覆したれば天幕倒れ臥り 007 JDG 007 014 其の伴侶答へていふ是イスラエルの人ヨアシの子ギデオンの劍に外ならず神ミデアンとすべての陣營を之が手に付したまふなりと 007 JDG 007 015 ギデオン夢の説話とその解釋を聞しかば拜をなしてイスラエルの陣所にかへりいひけるは起よヱホバ汝らの手にミデアンの陣をわたしたまふと 007 JDG 007 016 かくて三百人を三隊にわかち手に手に箛および空瓶を取せその瓶のなかに燈火をおかしめ 007 JDG 007 017 これにいひけるは我を視てわが爲すところにならへ我が敵陣の邊に至らんときに爲すごとく汝らも爲すべし 007 JDG 007 018 我およびわれとともに在るものすべて箛を吹ば汝らもまたすべて陣營の四方にて箛を吹き此ヱホバのためなりギデオンのためなりといへと 007 JDG 007 019 而してギデオンおよび之とともなる百人中更の初に陣營の邊に至るにをりしも番兵を更代たるときなりければ箛を吹き手に携へたる瓶をうちくだけり 007 JDG 007 020 即ち三隊の兵隊箛を吹き瓶をうちくだき左の手には燈火を執り右の手には箛をもちて之を吹きヱホバの劍ギデオンの劍なるぞと叫べり 007 JDG 007 021 かくておのおのその持場に立ち陣營を取り圍みたれば敵軍みな走り叫びてにげゆけり 007 JDG 007 022 三百人のもの箛を吹くにあたりヱホバ敵軍をしてみなたがひに同士撃せしめたまひければ敵軍にげはしりてゼレラのベテシツダ、アベルメホラの境およびタバテに至る 007 JDG 007 023 イスラエルの人々すなはちナフタリ、アセルおよびマナセ中より集ひ來りてミデアン人を追撃り 007 JDG 007 024 ギデオン使者をあまねくエフライムの山に遣していはせけるは下りてミデアン人を攻めベタバラにいたる渡口およびヨルダンを遮斷るべしと是においてエフライムの人盡く集ひ來りてベタバラにいたる渡口およびヨルダンを取り 007 JDG 007 025 ミデアン人の君主オレブとゼエブの二人を俘へてオレブをばオレブ砦の上に殺しゼエブをばゼエブの酒搾のほとりに殺しまたミデアン人を追撃ちオレブとゼエブの首を携へてヨルダンの彼方よりギデオンの許にいたる 007 JDG 008 001 エフライムの人々ギデオンにむかひ汝ミデアン人と戰はんとて往る時われらを召ざりしが斯ることを我らになすは何故ぞといひていたく之を詰りたり 007 JDG 008 002 ギデオン之にいひけるは今吾が成るところは汝らのなせる所に比ぶべけんやエフライムの拾ひ得し遺餘の葡萄はアビエゼルの收穫し葡萄にも勝れるならずや 007 JDG 008 003 神はミデアンの群伯オレブとゼエブを汝等の手に付したまへりわが成えたるところは汝らの成る所に比ぶべけんやとギデオン此の語をのべしかば彼らの憤解たり 007 JDG 008 004 ギデオン自己に從がへる三百人とともにヨルダンに至りて之を濟り疲れながらも仍追撃しけるが 007 JDG 008 005 遂にスコテの人々に言けるは願くは我にしたがへる民に食を與へよ彼等疲れをるに我ミデアンの王ゼバとザルムンナを追行なりと 007 JDG 008 006 スコテの群伯等いひけるはゼバとザルムンナの手すでに汝の手のうちに在るや我らなんぞ汝の軍勢に食を與ふべけんや 007 JDG 008 007 ギデオンいひけるは然らばヱホバの吾が手にゼバをザルムンナを付したまふときに我野の荊と棘とをもて汝の肉を打つべしと 007 JDG 008 008 かくて其所よりペヌエルにのぼりおなじことを彼らにのべたるにペヌエルの人もスコテの人の答へしごとくに答へしかば 007 JDG 008 009 またペヌエルの人につげていひけるは我平康に歸るときに此の城樓を毀つべしと 007 JDG 008 010 偖ゼバとザルムンナはその軍勢おほよそ一萬五千人をひきゐてカルコルに居る是皆東方の人の全軍の中の生殘れるものなり戰死せし者は劍を拔ところのもの十二萬人ありき 007 JDG 008 011 ギデオンすなはちノバとヨグベバの東にて天幕にすめるものの路より上りて敵軍の慮りなく居るを撃り 007 JDG 008 012 ここにおいてゼバとザルムンナにげ走りたればギデオン之を追撃ちミデアンの二人の王ゼバとザルムンナを生捕て悉くその軍勢を敗れり 007 JDG 008 013 斯てヨアシの子ギデオン、ヘレシの阪よりして戰陣よりかへり 007 JDG 008 014 スコテの人の少壯者一人を執へて之に尋ねたれば即ちスコテの群伯およびその長老等七十七人をこれがために書き録せり 007 JDG 008 015 ギデオン、スコテの人の所に詣りていひけるは汝らが曾て我を罵りゼバとザルムンナの手すでに汝の手のうちにあるや我ら何ぞ汝の疲れたる人に食をあたふべけんやと言たりしそのゼバとザルムンナを見よと 007 JDG 008 016 すなはちその邑の長老等を執へ野の荊と棘を取り之をもちてスコテの人を懲し 007 JDG 008 017 またペヌヘルの城樓を毀ちて邑の人を殺せり 007 JDG 008 018 かくてギデオン、ゼバとザルムンナにいひけるは汝らがタボルにて殺せしものは如何なるものなりしや答へていふ彼らは汝に似てみな王子の如くに見えたり 007 JDG 008 019 ギデオンいひけるは彼らは我が兄弟我が母の子なりヱホバは活く汝らもし彼らを生し置たらば我汝らを殺すまじきをと 007 JDG 008 020 すなはちその長子ヱテルに起て彼らを殺せといひたりしが彼の少者は年尚わかかりしかば懼れて劍を拔ざりき 007 JDG 008 021 ここにおいてゼバとザルムンナいひけるは汝みづから起て我らを撃よ人の如何によりてその力量異る者なりとギデオンすなはち起てゼバとザルムンナを殺しその駱駝の頸にかけたる半月の飾を取り 007 JDG 008 022 茲にイスラエルの衆ギデオンにいひけるは汝ミデアンの手より我らを救ひたれば汝と汝の子及び汝の孫我らを治めよ 007 JDG 008 023 ギデオン之にいひけるは我汝らを治むることをせじまた我が子も汝らを治むべからずヱホバ汝らを治めたまふべし 007 JDG 008 024 ギデオンまた之にいひけるは我汝らにひとつの願ふべきことあり汝らおのおの掠取の環を我にあたへよと是は彼らイシマエル人なるをもて金の環を着けたるに由る 007 JDG 008 025 衆答へけるは我ら悦んで之を與へんとて衣を布きおのおの掠取の環を其うちに投げいれたり 007 JDG 008 026 ギデオンが求め得たる金の環の重量は金一千七百シケルなり外に半月の飾および耳環とミデアンの王たちの着たる紫のころもおよび駱駝の頸にかけたる鏈などもありき 007 JDG 008 027 ギデオン之をもて一箇のエポデを造り之をおのれの郷里オフラに藏むイスラエルみなこれを慕ひてこれと淫をおこなふこの物ギデオンと其家を陷るる罟となりぬ 007 JDG 008 028 ミデアン人は是の如くイスラエルの子孫に攻ふせられてふたたびその頭を擡ることを得ざりきかくて國はギデオンの世にある中四十年の間平穩にてありき 007 JDG 008 029 ヨアシの子ヱルバアル往ておのれの家に住り 007 JDG 008 030 ギデオンは妻を多く有ちたれば其身より出たる子七十人ありき 007 JDG 008 031 シケムに居しその妾またひとりの子を產たれば之をアビメレクと名けたり 007 JDG 008 032 ヨアシの子ギデオン妙齡に邁みて死にアビエゼル人のオフラに在るその父ヨアシの墓に葬られたり 007 JDG 008 033 ギデオンの死るに及びてイスラエルの子孫復ひるがへりてバアルを慕ひて之と淫をおこなひバアルベリテをおのれの神と爲り 007 JDG 008 034 イスラエルの子孫その四周のもろもろの敵の手よりおのれを救ひ出したまひし神ヱホバを記憶えず 007 JDG 008 035 またヱルバアルといふギデオンがイスラエルになせし諸の善行にしたがひて彼の家を厚く待ふことをせざりき 007 JDG 009 001 ヱルバアルの子アビメレク、シケムに往きその母の兄弟のもとに至りて彼らおよびすべて其母の父の家の一族に語りて云ひけるは 007 JDG 009 002 ねがはくはシケムのすべての民の耳に斯く告よヱルバアルのすべての子七十人して汝らを治むると一人して汝らを治むると孰れか汝らのためによきやまた我は汝らの骨肉なるを記えよと 007 JDG 009 003 その母の兄弟アビメレクのことにつきて此等の言をことごとくシケムの人々の耳に語りしに是はわれらの兄弟なりといひて心をアビメレクに傾むけ 007 JDG 009 004 バアルベリテの社より銀七十をとりて之に與ふアビメレクこれをもて遊蕩にして輕躁なる者等を傭ひておのれに從はせ 007 JDG 009 005 オフラに在る父の家に往きてヱルバアルの子なるその兄弟七十人を一つの石の上に殺せり但しヱルバアルの季の子ヨタムは身を潜めしに由て遺されたり 007 JDG 009 006 ここにおいてシケムのすべての民およびミロの諸の人集り往てシケムの碑の旁なる橡樹の邊にてアビメレクを立て王となしけるが 007 JDG 009 007 ヨタムにかくと告るものありければ往てゲリジム山の巓に立ち聲を揚て號びかれらにいひけるはシケムの民よ我に聽よ神また汝らに聽たまはん 007 JDG 009 008 樹木出ておのれのうへに王を立んとし橄欖の樹に汝われらの王となれよといひけるに 007 JDG 009 009 橄欖の樹之にいふ我いかで人の我に取て神と人とを崇むるところのそのわが油を棄て往て樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 010 樹木また無花果樹に汝來りて我らの王となれといひけるに 007 JDG 009 011 無花果樹之にいひけらく我いかでわが甜美とわが善き果を棄て往きて樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 012 樹木また葡萄の樹に汝來りて我らの王となれよといふに 007 JDG 009 013 葡萄の樹之にいひけるは我いかで神と人を悦こばしむるわが葡萄酒を棄て往て樹木の上に戰ぐべけんやと 007 JDG 009 014 ここにおいてすべての樹木荊に汝來りて我らの王となれよといひければ 007 JDG 009 015 荊樹木にいふ汝らまことに我を立て汝らの王と爲さば來りて我が庇蔭に托れ然せずば荊より火出てレバノンの香柏を燒き殫すべしと 007 JDG 009 016 抑汝らがアビメレクを立て王となせしは眞實と誠意をもて爲しことなるや汝等はヱルバアルと其家を善く待ひかれの手のなせし所に循ひて之にむくいしや 007 JDG 009 017 夫わが父は汝らのため戰ひ生命を惜まずして汝らをミデアンの手より救ひ出したるに 007 JDG 009 018 汝ら今日おこりてわが父の家を攻めその子七十人を一つの石の上に殺しその侍妾の子アビメレクは汝らの兄弟なるをもて之を立てシケムの民の王となせり 007 JDG 009 019 汝らが今日ヱルバアルとその家になせしこと眞實と誠意をもてなせし者ならば汝らアビメレクのために悦べ彼も汝らのために悦ぶべし 007 JDG 009 020 若し然らずばアビメレクより火いでてシケムの民とミロの家を燬つくさんまたシケムの民とミロの家よりも火いでてアビメレクを燬つくすべしと 007 JDG 009 021 かくてヨタム走り遁れてベエルに往きその兄弟アビメレクの面を避て彼所に住めり 007 JDG 009 022 アビメレク三年の間イスラエルを治めたりしが 007 JDG 009 023 神アビメレクとシケムの民のあひだに惡鬼をおくりたまひたればシケムの民アビメレクを欺くにいたる 007 JDG 009 024 是ヱルバアルの七十人の子が受たる殘忍と彼らの血のこれを殺せしその兄弟アビメレクおよび彼の手に力をそへてその兄弟を殺さしめたるシケムの人々に報い來るなり 007 JDG 009 025 シケムの人伏兵を山の巓に置て彼を窺はしめ其途を經て傍を過る者を凡て褫しめたり或人之をアビメレクに告ぐ 007 JDG 009 026 ここにエベデの子ガアル其の兄弟とともにシケムに越ゆきたりしかばシケムの民かれを恃めり 007 JDG 009 027 民田野に出て葡萄を收穫れこれを踐み絞りて祭禮をなしその神の社に入り食ひかつ飮みてアビメレクを詛ふ 007 JDG 009 028 エベデの子ガアルいひけるはアビメレクは如何なるものシケムは如何なるものなればか我ら彼に從ふべき彼はヱルバアルの子に非ずやゼブルその輔佐なるにあらずやむしろシケムの父ハモルの一族に事ふべし我らなんぞ彼に事ふべけんや 007 JDG 009 029 嗚呼此の民を吾が手に屬しむるものもがな然ば我アビメレクを除かんと而してガアル、アビメレクに汝の軍勢を益て出きたれよと言り 007 JDG 009 030 邑の宰ゼブル、エベデの子ガアルの言をききて怒を發し 007 JDG 009 031 私かに使者をアビメレクに遣りていひけるはエベデの子ガアル及びその兄弟シケムに來り邑をさわがして汝に敵せしめんとす 007 JDG 009 032 然ば汝及び汝と共なる民夜の中に興て野に身を伏よ 007 JDG 009 033 而て朝に至り日の昇る時汝夙く興出て邑に攻かかれガアル及び之とともなる民出て汝に當らん汝機を見てこれに事をなすべし 007 JDG 009 034 アビメレクおよび之とともなるすべての民夜の中に興出て四隊に分れ身を伏てシケムを伺ふ 007 JDG 009 035 エベデの子ガアル出て邑の門の口に立るにアビメレク及び之とともなる民その伏たるところより起りしかば 007 JDG 009 036 ガアル民を見てゼブルにいひけるは視よ民山の峰々より下るとゼブル之に答へて汝山の影を見て人と做すのみといふ 007 JDG 009 037 ガアルふたたび語りていひけるは視よ民地の高處より下りまた一隊は法術士の橡樹の途より來ると 007 JDG 009 038 ゼブル之にいひけるは汝がかつてアビメレクは何者なればか我ら之に事ふべきといひしその汝の口今いづこに在るや是汝が侮りたる民にあらずや今乞ふ出て之と戰へよと 007 JDG 009 039 ここにおいてガアル、シケム人を率ゐ往てアビメレクと戰ひしが 007 JDG 009 040 アビメレク之を追くづしたればガアル其まへより逃走れりかくて殺されて斃るるもの多くして邑の門の口までに及ぶ 007 JDG 009 041 かくてアビメレクはアルマに居しがゼブルはガアルおよびその兄弟等を逐いだしてシケムに居ることを得ざらしむ 007 JDG 009 042 あくる日民田畑に出しに人之をアビメレクに告げしかば 007 JDG 009 043 アビメレクおのれの民を率ゐてこれを三隊に分ち野に埋伏して伺ふに民邑より出來りたればすなはち起りて之を撃り 007 JDG 009 044 アビメレクおよび之とともに在る隊の者は襲ひゆきて邑の門の入口に立ち餘の二隊は野に在るすべてのものをおそふて之を殺せり 007 JDG 009 045 アビメレク其日終日邑を攻めつひに邑を取りてそのうちの民を殺し邑を破却ちて鹽を撒布ぬ 007 JDG 009 046 シケムの櫓の人みな之を聞てベリテ神の廟の塔に入たりしが 007 JDG 009 047 シケムの櫓の人のことごとく集れるよしアビメレクに聞えければ 007 JDG 009 048 アビメレク己とともなる民をことごとく率ゐてザルモン山に上りアビメレク手に斧を取り木の枝を斫落し之をおのれの肩に載せ偕に居る民にむかひて汝ら吾が爲ところを見る急ぎてわがごとく爲せよといひしかば 007 JDG 009 049 民もまた皆おのおのその枝を斫りおとしアビメレクに從ひて枝を塔に倚せかけ塔に火をかけて彼等を攻むここにおいてシケムの櫓の人もまた悉く死り男女およそ一千人なりき 007 JDG 009 050 茲にアビメレク、テベツに赴きテベツに對て陣を張て之を取しが 007 JDG 009 051 邑のなかに一の堅固なる櫓ありてすべての男女および邑の民みな其所に遁れ往き後を鎖して櫓の頂に上りたれば 007 JDG 009 052 アビメレクすなはち櫓のもとに押寄て之を攻め櫓の口に近きて火をもて之を焚んとせしに 007 JDG 009 053 一人の婦アビメレクの頭に磨石の上層石を投げてその腦骨を碎けり 007 JDG 009 054 アビメレクおのれの武器を執る少者を急ぎ召て之にいひけるは汝の劍を拔て我を殺せおそらくは人吾をさして婦に殺されたりといはんと其少者之を刺し通したればすなはち死り 007 JDG 009 055 イスラエルの人々はアビメレクの死たるを見ておのおのおのれの處に歸り去りぬ 007 JDG 009 056 神はアビメレクがその七十人の兄弟を殺しておのれの父になしたる惡に斯く報いたまへり 007 JDG 009 057 またシケムの民のすべての惡き事をも神は彼等の頭に報いたまへりすなはちヱルバアルの子ヨタムの詛彼らの上に及べるなり 007 JDG 010 001 アビメレクの後イッサカルの人にてドドの子なるプワの子トラ起りてイスラエルを救ふ彼エフライムの山のシヤミルに住み 007 JDG 010 002 二十三年の間イスラエルを審判しがつひに死てシヤミルに葬らる 007 JDG 010 003 彼の後にギレアデ人ヤイル起りて二十二年の間イスラエルを審判たり 007 JDG 010 004 彼に子三十人ありて三十の驢馬に乗る彼等三十の邑を有りギレアデの地において今日までヤイルの村ととなふるものすなはち是なり 007 JDG 010 005 ヤイル死てカモンに葬らる 007 JDG 010 006 イスラエルの子孫ふたたびヱホバの目のまへに惡を爲しバアルとアシタロテ及びスリヤの神シドンの神モアブの神アンモンの子孫の神ペリシテ人の神に事へヱホバを棄て之に事へざりき 007 JDG 010 007 ヱホバ烈しくイスラエルを怒りて之をペリシテ人及びアンモンの子孫の手に賣付したまへり 007 JDG 010 008 其年に彼らイスラエルの子孫を虐げ難せりヨルダンの彼方においてギレアデにあるところのアモリ人の地に居るイスラエルの子孫十八年の間斯せられたりき 007 JDG 010 009 アンモンの子孫またユダとベニヤミンとエフライムの族とを攻んとてヨルダンを渡りしかばイスラエル太く苦めり 007 JDG 010 010 ここにおいてイスラエルの子孫ヱホバに呼りていひけるは我らおのれの神を棄てバアルに事へて汝に罪を犯したりと 007 JDG 010 011 ヱホバ、イスラエルの子孫にいひたまひけるは我かつてエジプト人アモリ人アンモンの子孫ペリシテ人より汝らを救ひ出せしにあらずや 007 JDG 010 012 又シドン人アマレク人及びマオン人の汝らを困しめしとき汝ら我に呼りしかば我汝らを彼らの手より救ひ出せり 007 JDG 010 013 然るに汝ら我を棄て他の神に事ふれば我かさねて汝らを救はざるべし 007 JDG 010 014 汝らが擇める神々に往て呼れ汝らの艱難のときに之をして汝らを救はしめよ 007 JDG 010 015 イスラエルの子孫ヱホバに言けるは我ら罪を犯せりすべて汝の目に善と見るところを我らになしたまへねがはくは唯今日我らを救ひたまへと 007 JDG 010 016 而して民おのれの中より異なる神々を取除きてヱホバに事へたりヱホバの心イスラエルの艱難を見るに忍びずなりぬ 007 JDG 010 017 茲にアンモンの子孫集てギレアデに陣を取りしがイスラエルの子孫は聚りてミヅパに陣を取り 007 JDG 010 018 時に民ギレアデの群伯たがひにいひけるは誰かアンモンの子孫に打ちむかひて戰を始むべき人ぞ其人をギレアデのすべての民の首となすべしと 007 JDG 011 001 ギレアデ人ヱフタはたけき勇士にして妓婦の子なりギレアデ、ヱフタをうましめしなり 007 JDG 011 002 ギレアデの妻子等をうみしが妻の子等成長におよびてヱフタをおひいだしてこれにいひけるは汝は他の婦の子なればわれらが父の家を嗣べきにあらずと 007 JDG 011 003 ヱフタ其の兄弟の許より逃さりてトブの地に住けるに遊蕩者ヱフタのもとに集ひ來りて之とともに出ることをなせり 007 JDG 011 004 程經てのちアンモンの子孫イスラエルとたたかふに至りしが 007 JDG 011 005 アンモンの子孫のイスラエルとたたかへるときにギレアデの長老等ゆきてヱフタをトブの地より携來らんとし 007 JDG 011 006 ヱフタにいひけるは汝來りて吾らの大將となれ我らアンモンの子孫とたたかはん 007 JDG 011 007 ヱフタ、ギレアデの長老等にいひけるは汝らは我を惡みてわが父の家より逐いだしたるにあらずやしかるに今汝らが艱める時に至りて何ぞ我に來るや 007 JDG 011 008 ギレアデの長老等ヱフタにこたへけるは其がために我ら今汝にかへる汝われらとともにゆきてアンモンの子孫とたたかはばすべて我等ギレアデにすめるものの首領となすべしと 007 JDG 011 009 ヱフタ、ギレアデの長老等にいひけるは汝らもし我をたづさへかへりてアンモンの子孫とたたかはしめんにヱホバ之を我に付したまはば我は汝らの首となるべし 007 JDG 011 010 ギレアデの長老等ヱフタにいひけるはヱホバ汝と我との間の證者たり我ら誓つて汝の言のごとくになすべし 007 JDG 011 011 是に於てヱフタ、ギレアデの長老等とともに往くに民之を立ておのれの首領となし大將となせりヱフタ即ちミヅパにおいてヱホバのまへにこの言をことごとく陳たり 007 JDG 011 012 かくてヱフタ、アンモンの子孫の王に使者をつかはしていひけるは汝と我の間に何事ありてか汝われに攻めきたりてわが地に戰はんとする 007 JDG 011 013 アンモンの子孫の王ヱフタの使者に答へけるはむかしイスラエル、エジプトより上りきたりし時にアルノンよりヤボクにいたりヨルダンに至るまで吾が土地を奪ひしが故なり然ば今穩便に之を復すべし 007 JDG 011 014 ヱフタまた使者をアンモンの子孫の王に遣りて之にいはせけるは 007 JDG 011 015 ヱフタ斯いへりイスラエルはモアブの地を取ずまたアンモンの子孫の地をも取ざりしなり 007 JDG 011 016 夫イスラエルはエジプトより上りきたれる時に曠野を經て紅海に到りカデシに來れり 007 JDG 011 017 而してイスラエル使者をエドムの王に遣して言けるはねがはくは我をして汝の土地を經過しめよと然るにエドムの王之をうけがはずまたおなじく人をモアブの王に遣したれども是もうべなはざりしかばイスラエルはカデシに留まりしが 007 JDG 011 018 遂にイスラエル曠野を經てエドムの地およびモアブの地を繞りモアブの地の東の方に出てアルノンの彼方に陣を取り然どモアブの界には入らざりきアルノンはモアブの界なればなり 007 JDG 011 019 かくてイスラエル、ヘシボンに王たりしアモリ人の王シホンに使者を遣せりすなはちイスラエル之にいひけらくねがはくは我らをして汝の土地を經過てわがところにいたらしめよと 007 JDG 011 020 然るにシホン、イスラエルを信ぜずしてその界をとほらしめずかへつてそのすべての民を集めてヤハヅに陣しイスラエルとたたかひしが 007 JDG 011 021 イスラエルの神ヱホバ、シホンとそのすべての民をイスラエルの手に付したまひたればイスラエル之を撃敗りてその土地にすめるアモリ人の地を悉く手に入れ 007 JDG 011 022 アルノンよりヤボクに至るまでまた曠野よりヨルダンに至るまですべてアモリ人の土地を手に入たり 007 JDG 011 023 斯のごとくイスラエルの神ヱホバは其の民イスラエルのまへよりアモリ人を逐しりぞけたまひしに汝なほ之を取んとする乎 007 JDG 011 024 汝は汝の神ケモシが汝に取しむるものを取ざらんやわれらは我らの神ヱホバが我らに取しむる物を取ん 007 JDG 011 025 汝は誠にモアブの王チツポルの子バラクにまされる處ありとするかバラク曾てイスラエルとあらそひしことありや曾て之とたたかひしことありや 007 JDG 011 026 イスラエルがヘシボンとその村里アロエルとその村里およびアルノンの岸に沿ひたるすべての邑々に住ること三百年なりしに汝などてかその間に之を回復さざりしや 007 JDG 011 027 我は汝に罪を犯せしことなきに汝はわれとたたかひて我に害をくはへんとす願くは審判をなしたまふヱホバ今日イスラエルの子孫とアンモンの子孫との間を鞫きたまへと 007 JDG 011 028 しかれどもアンモンの子孫の王はヱフタのいひつかはせる言を聽いれざりき 007 JDG 011 029 ここにヱホバの靈ヱフタに臨みしかばヱフタすなはちギレアデおよびマナセを經過りギレアデのミヅパにいたりギレアデのミヅパよりすすみてアンモンの子孫に向ふ 007 JDG 011 030 ヱフタ、ヱホバに誓願を立ていひけるは汝誠にアンモンの子孫をわが手に付したまはば 007 JDG 011 031 我がアンモンの子孫の所より安然かに歸らんときに我家の戸より出きたりて我を迎ふるもの必ずヱホバの所有となるべし我之を燔祭となしてささげんと 007 JDG 011 032 ヱフタすなはちアンモンの子孫の所に進みゆきて之と戰ひしにヱホバかれらをその手に付したまひしかば 007 JDG 011 033 アロエルよりミンニテにまで至りこれが二十の邑を打敗りてアベルケラミムにいたり甚だ多の人をころせりかくアンモンの子孫はイスラエルの子孫に攻伏られたり 007 JDG 011 034 かくてヱフタ、ミヅパに來りておのが家にいたるに其女鼓を執り舞ひ踊りて之を出で迎ふ是彼が獨子にて其のほかには男子もなくまた女子も有ざりき 007 JDG 011 035 ヱフタ之を視てその衣を裂ていひけるはああ吾が女よ汝實に我を傷しむ汝は我を惱すものなり其は我ヱホバにむかひて口を開きしによりて改むることあたはざればなり 007 JDG 011 036 女之にいひけるはわが父よ汝ヱホバにむかひて口をひらきたれば汝の口より言出せしごとく我になせよ其はヱホバ汝のために汝の敵なるアンモンの子孫に仇を復したまひたればなり 007 JDG 011 037 女またその父にいひけるはねがはくは此事をわれに允せすなはち二月の間我をゆるし我をしてわが友等とともに往て山にくだりてわが處女たることを歎かしめよと 007 JDG 011 038 ヱフタすなはち往けといひて之を二月のあひだ出し遣ぬ女その友等とともに往き山の上にておのれの處女たるを歎きしが 007 JDG 011 039 二月滿てその父に歸り來りたれば父その誓ひし誓願のごとくに之に行へり女は終に男を知ことなかりき 007 JDG 011 040 是よりして年々にイスラエルの女子等往て年に四日ほどギレアデ人ヱフタの女のために哀哭ことをなす是イスラエルの規矩となれり 007 JDG 012 001 エフライムの人々つどひて北にゆきヱフタにいひけるは汝何故に往きてアンモンの子孫と戰ひながらわれらをまねきて汝とともに行せざりしや我ら火をもて汝の家を汝とともに焚くべしと 007 JDG 012 002 ヱフタ之にいひけるは我とわが民の曾てアンモンの子孫と大に爭ひしときに我汝らをよびしに汝らかれらの手より我を救ふことをせざりき 007 JDG 012 003 我汝らが我を救はざるを見たればわが命をかけてアンモンの子孫の所に攻ゆきしにヱホバかれらを我が手に付したまへり然ば汝らなんぞ今日我が許に上り來りて我とたたかはんとするやと 007 JDG 012 004 ヱフタここにおいてギレアデの人をことごとくつどへてエフライムとたたかひしがギレアデの人々エフライムを撃破れり是はエフライム汝らギレアデ人はエフライムの逃亡者にしてエフライムとマナセの中にをるなりと言しに由る 007 JDG 012 005 而してギレアデ人エフライムにおもむくところのヨルダンの津をとりきりしがエフライム人の逃れ來る者ありて我を渡らせよといへばギレアデの人之に汝はエフライム人なるかと問ひ彼もし然らずと言ときは 007 JDG 012 006 また之に請ふシボレテといへといふに彼その音を正しくいひ得ずしてセボレテと言ばすなはち之を引捕へてヨルダンの津に屠せりその時にエフライム人のたふれし者四萬二千人なりき 007 JDG 012 007 ヱフタ六年のあひだイスラエルを審きたりギレアデ人ヱフタつひに死てギレアデのある邑に葬むらる 007 JDG 012 008 彼の後にベテレヘムのイブザン、イスラエルを審きたり 007 JDG 012 009 彼に三十人の男子ありまた三十人の女子ありしがこれをば外に嫁がしめてその子息等のために三十人の女を外より娶れり彼七年のあひだイスラエルを審きたり 007 JDG 012 010 イブザンつひに死てベテレヘムに葬むらる 007 JDG 012 011 彼の後にゼブルン人エロン、イスラエルを審きたりゼブルン人エロン十年のあひだイスラエルを審きたり 007 JDG 012 012 ゼブルン人エロンつひに死てゼブルンの地のアヤロンに葬むらる 007 JDG 012 013 彼の後にピラトン人ヒレルの子アブドン、イスラエルを審きたり 007 JDG 012 014 彼に四十人の男子および三十人の孫ありて七十の驢馬に乗る彼八年のあひだイスラエルを審けり 007 JDG 012 015 ピラトン人ヒレルの子アブドンつひに死てエフライムの地のピラトンに葬むらる是はアマレク人の山にあり 007 JDG 013 001 イスラエルの子孫またヱホバのまへにて惡を行ひしかばヱホバこれを四十年の間ペリシテ人の手にわたしたまへり 007 JDG 013 002 ここにダン人の族にて名をマノアとよべるゾラ人あり其の妻は石婦にして子を生みしことなし 007 JDG 013 003 ヱホバの使その女に現れて之にいひけるは汝は石婦にして子を生しことあらず然ど汝孕みて子をうまん 007 JDG 013 004 されば汝つつしみて葡萄酒および濃き酒を飮むことなかれまたすべて穢たるものを食ふなかれ 007 JDG 013 005 視よ汝孕みて子を產ん其の頭には剃刀をあつべからずその兒は胎を出るよりして神のナザレ人〔神に身を獻げし者〕たるべし彼ペリシテ人の手よりイスラエルを拯ひ始めんと 007 JDG 013 006 その婦人來りて夫に告て曰けるは神の人我にのぞめりその容貌は神の使の容貌のごとくにして甚おそろしかりしが我其のいづれより來れるやを問ず彼また其の名を我に告ざりき 007 JDG 013 007 彼我にいひけるは視よ汝孕みて子を產まん然ば葡萄酒および濃き酒を飮むなかれまたすべてけがれたるものを食ふなかれその兒は胎を出るより其の死る日まで神のナザレ人たるべしと 007 JDG 013 008 マノア、ヱホバにこひ求めていひけるはああわが主よ汝がさきに遣はしたまひし神の人をふたたび我らにのぞませ之をして我らがその產るる兒になすべき事を敎へしめたまへ 007 JDG 013 009 神マノアの聲をききいれたまひて神の使者婦人の田野に坐しをる時に復之にのぞめり時に夫マノアは共にをらざりき 007 JDG 013 010 是において婦いそぎ走りて夫に告て之にいひけるは先頃我にのぞみし人また我に現はれたりと 007 JDG 013 011 マノアすなはち起て妻のあとに付て行き其人のもとに至りて之に汝はかつて此婦に語言し人なるかといふに然りとこたふ 007 JDG 013 012 マノアいひけるは汝の言のごとく成ん時は其兒の養育方および之になすべき事は如何 007 JDG 013 013 ヱホバの使者マノアにいひけるはわがさきに婦に言しところのことどもは婦之をつつしむべきなり 007 JDG 013 014 すなはち葡萄樹よりいづる者は凡て食ふべからず葡萄酒と濃き酒を飮ずまたすべて穢たるものを食ふべからずすべてわが彼に命じたることどもを彼守るべきなり 007 JDG 013 015 マノア、ヱホバの使者にいひけるは請我らをして汝を款留しめ汝のまへに山羊羔を備へしめよ 007 JDG 013 016 ヱホバの使者マノアにいひける汝我を款留るも我は汝の食物をくらはじまた汝燔祭をそなへんとならばヱホバにこれをそなふべしとマノアは彼がヱホバの使者なるを知ざりしなり 007 JDG 013 017 マノア、ヱホバの使者にいひけるは汝の名はなにぞ汝の言の效驗あらんときは我ら汝を崇ん 007 JDG 013 018 ヱホバの使者之にいひけるは我が名は不思議なり汝何故に之をたづぬるやと 007 JDG 013 019 マノア山羊羔と素祭物とをとり磐のうへにて之をヱホバにささぐ使者すなはち不思議なる事をなせりマノアとその妻之を視る 007 JDG 013 020 すなはち火燄壇より天にあがれるときヱホバの使者壇の火燄のうちにありて昇れりマノアと其の妻これを視をりて地にひれふせり 007 JDG 013 021 ヱホバの使者そののち重ねてマノアと其の妻に現はれざりきマノアつひに彼がヱホバの使者たりしを暁れり 007 JDG 013 022 茲にマノアその妻にむかひ我ら神を視たれば必ず死ぬるならんといふに 007 JDG 013 023 其の妻之にいひけるはヱホバもし我らを殺さんとおもひたまはばわれらの手より燔祭及び素祭をうけたまはざりしならんまたこれらの諸のことを我らに示すことをなしこたびのごとく我らに斯ることを告たまはざりしなるべしと 007 JDG 013 024 かくて婦子を產てその名をサムソンと呼べりその子育ち行くヱホバこれを惠みたまふ 007 JDG 013 025 ヱホバの靈ゾラとエシタオルのあひだなるマハネダンにて始て感動す 007 JDG 014 001 サムソン、テムナテに下り、ペリシテ人の女にてテムナテに住る一人の婦を見 007 JDG 014 002 歸り上りておのが父母に語ていひけるは我ペリシテ人の女にてテムナテに住るひとりの婦を見たりされば今之をめとりてわが妻とせよと 007 JDG 014 003 その父母之にいひけるは汝ゆきて割禮を受けざるペリシテ人のうちより妻を迎んとするは汝が兄弟等の女のうちもしくはわがすべての民のうちに婦女無が故なるかとしかるにサムソン父にむかひ彼婦わがこころに適へば之をわがために娶れと言り 007 JDG 014 004 その父母はこの事のヱホバより出しなるを知ざりきサムソンはペリシテ人を攻んと釁をうかがひしなりそは其のころペリシテ人イスラエルを轄め居たればなり 007 JDG 014 005 サムソン父母とともにテムナテに下りてテムナテの葡萄園にいたるに稚き獅子咆哮りて彼に向ひしが 007 JDG 014 006 ヱホバの靈彼にのぞみたれば山羊羔を裂がごとくに之を裂たりしが手には何の武器も持ざりきされどサムソンはその爲せしことを父にも母にも告ずしてありぬ 007 JDG 014 007 サムソンつひに下りて婦とうちかたらひしが婦その心にかなへり 007 JDG 014 008 かくて日を經て後サムソンかれを娶らんとて立かへりしが身を轉して彼の獅子の屍を見るに獅子の體に蜂の群と蜜とありければ 007 JDG 014 009 すなはちその蜜を手にとりて歩みつつ食ひ父母の許にいたりて之を與へけるに彼ら之を食へりされど獅子の體よりその蜜を取來れることをば彼らにかたらざりき 007 JDG 014 010 斯て其の父下りて婦のもとに至りしかばサムソン少年の習例にしたがひてそこに饗宴をまうけたるに 007 JDG 014 011 サムソンを見て三十人の者をつれ來りて之が伴侶とならしむ 007 JDG 014 012 サムソンかれらにいひけるは我汝らにひとつの隱語をかけん汝ら七日の筵宴の内に之を解てあきらかに之を我に告なば我汝らに裏衣三十と衣三十襲をあたふべし 007 JDG 014 013 然どもし之をわれに告得ずば汝ら我に裏衣三十と衣三十襲を與ふべしと彼等之にいひけるは汝の隱語をかけて我らに聽しめよ 007 JDG 014 014 サムソン之にいひけるは食ふ者より食物出で強き者より甘き物出でたりと彼ら三日の中に之を解ことあたはざりしかば 007 JDG 014 015 第七日にいたりてサムソンの妻にいひけるは汝の夫を説すすめて隱語を我らに明さしめよ然せずば火をもて汝と汝の父の家を焚ん汝らはわれらの物をとらんとてわれらを招けるなるか然るにあらずやと 007 JDG 014 016 是においてサムソンの妻サムソンのまへに泣ていひけるは汝はわれを惡む而巳われを愛せざるなり汝わが民の子孫に隱語をかけて之をわれに説あかさずとサムソン之にいふ我これをわが父や母にも説あかさざればいかで汝に説あかすべけんやと 007 JDG 014 017 婦七日の筵宴のあひだ彼のまへに泣き居りしが第七日に至りてサムソンつひに之を彼に説あかせり其は太く強たればなり婦すなはち隱語をおのが民の子孫に明せり 007 JDG 014 018 是において第七日に及びて日の沒るまへに邑の人々サムソンにいひけるは何ものか蜜よりあまからん何ものか獅子より強からんとサムソン之にいひけるは汝らわが牝犢をもて耕さざりしならばわが隱語を解得ざるなりと 007 JDG 014 019 茲にヱホバの靈サムソンに臨みしかばサムソン、アシケロンに下りてかしこの者三十人を殺しその物を奪ひ彼の隱語を解し者等にその衣服を與へはげしく怒りて其父の家にかへり上れり 007 JDG 014 020 サムソンの妻はサムソンの友となり居たるその伴侶の妻となりぬ 007 JDG 015 001 日を經てのち麥秋の時にサムソン山羊羔をたづさへて妻のもとを訪ていひけるは我室に入てわが妻に會んと然るに妻の父其の入ことをゆるさず 007 JDG 015 002 其父すなはちいひけるはわれまことに汝は彼の婦を嫌ひたりと意ひしがゆゑに彼を汝の伴侶たりし者に與へたり彼が妹は彼よりも善にあらずやねがはくは彼に代て之を汝のものとせよ 007 JDG 015 003 サムソン彼らにいひけるは今回はわれペリシテ人に害を加ふるとも彼らに對して罪なかるべしと 007 JDG 015 004 サムソンすなはち往て山犬三百をとらへ火炬をとり尾と尾をあはせてその二つの尾の間に一つの火炬を結ひつけ 007 JDG 015 005 火炬に火をつけてペリシテ人のいまだ刈ざる麥のなかにこれを放ち入れその束ね積たるものといまだ刈ざるものを焚き橄欖の園にまで及ぼせり 007 JDG 015 006 ペリシテ人いひけるは是は誰の行爲なるやこたへて言ふテムナテ人の婿サムソンなりそは彼サムソンの妻をとりて其伴侶なりし者に與へたればなりとここにおいてペリシテ人上りきたりて彼の婦とその父とを火にて燒きうしなへり 007 JDG 015 007 サムソンかれらに言ふ汝ら斯おこなへば我汝らに仇をむくはでは止じと 007 JDG 015 008 すなはち脛に腿に彼らを撃て大いに之を殺せりかくてサムソンは下りてエタムの巖間に居る 007 JDG 015 009 ここにおいてペリシテ人上り來りてユダに陣を取りレヒに布き備へたれば 007 JDG 015 010 ユダの人々いひけるは汝ら何の故にわれらに攻めのぼりたるやとかれらこたへけるはサムソンをしばりて彼がわれらに爲しごとくかれに爲んとてのぼれるなりと 007 JDG 015 011 是をもてユダの人三千人エタムの巖間にくだりてサムソンにいふ汝ペリシテ人はわれらを轄るものなるを知らざるや汝などてかわれらに斯る事をなせしやサムソンかれらにいひけるは我は彼らが我に爲しごとく彼らに爲しなりと 007 JDG 015 012 かれらまたサムソンにいひけるは我らは汝をしばりてペリシテ人の手にわたさんとて下りきたれりサムソンかれらにいひけるは汝らの自われを害すまじきことを我に誓へ 007 JDG 015 013 彼ら之にかたりていふいなわれらはただ汝を縛りいましめてペリシテ人の手にわたさんのみわれらは必らず汝を殺さざるべしとすなはち二條の新しき索をもてかれをいましめて巖より之を携かへれり 007 JDG 015 014 サムソン、レヒにいたれるときペリシテ人聲を揚てかれに近づきしが時しもヱホバの靈彼にのぞみたればその腕にかかれる索は火に焚たる麻のごとくになりて手のいましめ解はなれたり 007 JDG 015 015 サムソンすなはち驢馬のあたらしき腮骨ひとつを見出し手をのべて之を取り其をもて一千人を殺し 007 JDG 015 016 而して言ふ驢馬の腮骨をもて山をきづき山をつくる驢馬の腮骨をもて我一千人を撃殺せりと 007 JDG 015 017 かく言終りてその手より腮骨をうちすて其處をラマテレヒと名けたり 007 JDG 015 018 時に彼渇をおぼゆること甚だしかりしかばヱホバによばはりていふ汝のしもべの手をもて汝この大なる拯をほどこしたまへるにわれ今渇きて死に割禮を受けざるものの手におちいらんとすと 007 JDG 015 019 ここにおいて神レヒに在るくぼめる所を裂きたまひしかば水そこより流れいでしがサムソン之を飮たれば精神舊に返りてふたたび爽になりぬ故に其名をエンハッコレ(呼はれるものの泉)と呼ぶ是今日にいたるまでレヒに在り 007 JDG 015 020 サムソンはペリシテ人の治世の時に二十年イスラエルをさばけり 007 JDG 016 001 サムソン、ガザに往きかしこにて一人の妓を見てそれの處に入しに 007 JDG 016 002 サムソンここに來れりとガザ人につぐるものありければすなはち之を取り圍みよもすがら邑の門に埋伏し詰朝におよび夜の明たる時に之をころすべしといひてよもすがら靜まりかへりて居る 007 JDG 016 003 サムソン夜半までいね夜半にいたりて興き邑の門の扉とふたつの柱に手をかけて楗もろともに之をひきぬき肩に載てヘブロンの向ひなる山の巓に負のぼれり 007 JDG 016 004 こののちサムソン、ソレクの谷に居る名はデリラと言ふ婦人を愛す 007 JDG 016 005 ペリシテ人の群伯その婦のもとに上り來て之にいひけるは汝サムソンを説すすめてその大いなる力は何に在るかまたわれら如何にせば之に勝て之を縛りくるしむるを得べきかを見出せ然すればわれらおのおの銀千百枚づつをなんぢに與ふべし 007 JDG 016 006 ここにおいてデリラ、サムソンにいひけるは汝の大なる力は何にあるかまた如何せば汝を縛りて苦むることを得るや請ふ之をわれにつげよ 007 JDG 016 007 サムソン之にいひけるは人もし乾きしことなき七條の新しき繩をもてわれを縛るときはわれ弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 008 ここに於てペリシテ人の群伯乾きしことなき七條の新しき繩を婦にもち來りければ婦之を以てサムソンをしばりしが 007 JDG 016 009 かねて室のうちに人しのび居て己とともにありたれば斯してサムソンにむかひサムソンよペリシテ人汝に及ぶと言にサムソンすなはちその索を絶りあたかも麻絲の火にあひて斷るるがごとし斯其の力の原由知れざりき 007 JDG 016 010 デリラ、サムソンにいひけるは視よ汝われを欺きてわれに謊を告たり請ふ何をもてせば汝を縛ることをうるや今我に告よ 007 JDG 016 011 彼之にいひけるはもし人用ひたることなき新しき索をもてわれを縛りいましめなばわれ弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 012 是をもてデリラあたらしき索をとり其をもて彼を縛りしかして彼にいふサムソンよペリシテ人汝におよぶと時に室のうちに人しのび居たりしがサムソン絲の如くにその索を腕より絶おとせり 007 JDG 016 013 デリラ、サムソンにいひけるに今までは汝われを欺きて我に謊をつげたるが何をもてせば汝をしばることをうるやわれに告よと彼之にいひけるは汝もしわが髮毛七繚を機の緯線とともに織ばすなはち可しと 007 JDG 016 014 婦すなはち釘をもて之をとめおきて彼にいひけるはサムソンよペリシテ人汝におよぶとサムソンすなはちその寢をさまし織機の釘と緯線とを曳拔り 007 JDG 016 015 婦ここにおいてサムソンにいひけるは汝の心われに居ざるに汝いかでわれを愛すといふや汝すでに三次われをあざむきて汝が大なる力の何にあるかをわれに告ずと 007 JDG 016 016 日々にその言をもて之にせまりうながして彼の心を死るばかりに苦ませたれば 007 JDG 016 017 彼つひにその心をことごとく打明して之にいひけるはわが頭にはいまだかつて剃刀を當しことあらずそはわれ母の胎を出るよりして神のナザレ人たればなりもしわれ髮をそりおとされなばわが力われをはなれわれは弱くなりて別の人のごとくならんと 007 JDG 016 018 デリラ、サムソンがことごとく其のこころを明したるを見人をつかはしてペリシテ人の群伯を召ていひけるはサムソンことごとくその心をわれに明したれば今ひとたび上り來るべしとここにおいてペリシテ人の群伯かの銀を携へて婦のもとにいたる 007 JDG 016 019 婦おのが膝のうへにサムソンをねむらせ人をよびてその頭髮七繚をきりおとさしめ之を苦めはじめたるにその力すでにうせさりてあり 007 JDG 016 020 婦ここにおいてサムソンよペリシテ人汝におよぶといひければ彼睡眠をさましていひけるはわれ毎のごとく出て身を振はさんと彼はヱホバのおのれをはなれたまひしを覺らざりき 007 JDG 016 021 ペリシテ人すなはち彼を執へ眼を抉りて之をガザにひき下り銅の鏈をもて之を繋げりかくてサムソンは囚獄のうちに磨を挽居たりしが 007 JDG 016 022 その髮の毛剃りおとされてのち復長はじめたり 007 JDG 016 023 茲にペリシテ人の群伯共にあつまりてその神ダゴンに大なる祭物をささげて祝をなさんとしすなはち言ふわれらの神はわれらの敵サムソンをわれらの手に付したりと 007 JDG 016 024 民サムソンを見ておのれの神をほめたたへて言ふわれらの神はわれらの敵たる者われらの地を荒せしものわれらを數多殺せしものをわれらの手に付したりと 007 JDG 016 025 その心に喜びていひけるはサムソンを召てわれらのために戲技をなさしめよとて囚獄よりサムソンを召いだせしかばサムソン之がために戲技をなせり彼等サムソンを柱の間に立しめしに 007 JDG 016 026 サムソンおのが手をひきをる少者にいひけるはわれをはなして此家の倚て立ところの柱をさぐりて之に倚しめよと 007 JDG 016 027 その家には男女充ちペリシテ人の群伯もまたみな其處に居る又屋蓋のうへには三千ばかりの男女をりてサムソンの戲技をなすを觀てありき 007 JDG 016 028 時にサムソン、ヱホバに呼はりいひけるはああ主ヱホバよねがはくは我を記念えたまへ嗚呼神よ願くは唯今一度われを強くしてわがふたつの眼のひとつのためにだにもペリシテ人に仇をむくいしめたまへと 007 JDG 016 029 サムソンすなはちその家の倚てたつところの兩箇の中柱のひとつを右の手ひとつを左の手にかかへて身をこれによせたりしが 007 JDG 016 030 サムソン我はペリシテ人とともに死なんといひて力をきはめて身をかがめたれば家はそのなかに居る群伯とすべての民のうへに倒れたりかくサムソンが死るときに殺せしものは生けるときに殺せし者よりもおほかりき 007 JDG 016 031 こののちサムソンの兄弟およびその父の家族ことごとく下りて之を取り携へのぼりてゾラとエシタオルのあひだなる其の父マノアの墓にはうむれりサムソンがイスラエルをさばきしは二十年なりき 007 JDG 017 001 ここにエフライムの山の人にて名をミカとよべるものありしが 007 JDG 017 002 その母に言けるは汝かつてその千百枚の銀を取れしことを吾が聞ところにて詛ひて語りしが視よその銀はわが手に在り我之を取るなりと母すなはちわが子よねがはくはヱホバ汝に祝福をたまへと言り 007 JDG 017 003 彼千百枚の銀をその母にかへせしかば母いひけらくわれわが子のためにひとつの像を雕みひとつの像を鑄んためにその銀をわが手よりヱホバに納む然ばわれ今之を汝にかへすべしと 007 JDG 017 004 ミカその銀を母にかへせしかば母その銀二百枚をとりて之を鑄物師にあたへてひとつの像をきざませひとつの像を鑄させたり其像はミカの家に在り 007 JDG 017 005 このミカといふ人神の殿をもちをりエポデおよびテラピムを造りひとりの子を立ておのが祭司となせり 007 JDG 017 006 此ときにはイスラエルに王なかりければ人々おのれの目に是とみゆることをおこなへり 007 JDG 017 007 ここにひとりの少者ありてベテレヘムユダに於てユダの族の中にをる彼はレビ人にしてかしこに寓居るなり 007 JDG 017 008 この人居べきところをたづねてその邑ベテレヘムユダを去しが遂に旅してエフライムの山にゆきてミカの家にいたりしに 007 JDG 017 009 ミカ之にいひけるは汝いづこよ來れるやと彼之にいふ我はベテレヘムユダのレビ人なるが居べきところをたづねに往くものなり 007 JDG 017 010 ミカ之に言けるは汝われと偕に居りわがために父とも祭司ともなれよ然ばわれ年に銀十枚および衣服食物を汝にあたへんとレビ人すなはち入しが 007 JDG 017 011 レビ人つひにその人と偕に居んことを肯ふ是においてその少者はかれの子の一人のごとくなりぬ 007 JDG 017 012 ミカ、レビ人なるこの少者をたてて祭司となしたればすなはちミカの家に居る 007 JDG 017 013 ミカここにおいて言ふ今われ知るヱホバわれに恩惠をたまはんそはこのレビ人われの祭司となればなり 007 JDG 018 001 當時イスラエルには王なかりしがダン人の支派其頃住むべき地を求めたり是は彼らイスラエルの支派の中にありて其日まで未だ產業の地を得ざりしが故なり 007 JDG 018 002 ダンの子孫すなはちゾラとエシタオルよりして自己の族の勇者五人を遣はしその境を出て土地を窺ひ探らしむ即ち彼等に言ふ往て土地を探れと彼等エフライムの山にいたりミカの家につきて其處に宿れり 007 JDG 018 003 かれらミカの家の傍にある時レビ人なる少者の聲を聞認たれば身をめぐらして其處にいりて之に言ふ誰が汝を此に携きたりしや汝此處にて何をなすや此に何の用あるや 007 JDG 018 004 其人かれらに言けるはミカ斯々我を待ひ我を雇ひて我その祭司となれりと 007 JDG 018 005 彼等これに言ふ請ふ神に問ひ我等が往ところの途に利逹あるや否を我等にしらしめよ 007 JDG 018 006 その祭司かれらに言けるは安んじて往よ汝らが往ところの途はヱホバの前にあるなりと 007 JDG 018 007 是に於て五人の者往てライシに至り其處に住る人民を視るに顧慮なく住ひをり其安穩にして安固なることシドン人のごとし此國には政權を握りて人を煩はす者絶てあらず其シドン人と隔たること遠くまた他の人民と交ることなし 007 JDG 018 008 斯て彼等ゾラとエシタオルに返りてその兄弟等にいたるに兄弟等如何なりしやと彼等に問ければ 007 JDG 018 009 答て言ふ起よ彼等の所に攻のぼらん我等その地を見るに甚だ善し汝等は安んじをるなり進みいたりてその地を取ることを怠るなかれ 007 JDG 018 010 汝等往ば安固なる人民の所に至らんその地は堅横ともに廣し神これを汝らの手に與へたまふなり此處には世にある物一箇も缺ることあらず 007 JDG 018 011 是に於てダン人の族の者六百人武器を帶てゾラとエシタオルより出ゆき 007 JDG 018 012 上りてユダのキリヤテヤリムに陣を張り是をもてその處をマハネダンと名けしがその名今日に存る是はキリヤテヤリムの後にあり 007 JDG 018 013 彼等其處よりエフライム山に進みミカの家に至りけるに 007 JDG 018 014 夫のライシの國を窺ひに往たりし五人の者その兄弟等に告て言けるは是等の家にはエポデ、テラピムおよび雕める像と鑄たる像あるを汝等知や然ば汝ら今その爲べきことを考へよと 007 JDG 018 015 乃ち其方に身をめぐらして夫のレビ人の少者の家なるミカの家に至りてその安否を問けるが 007 JDG 018 016 武器を帶たる六百人のダンの子孫は門の入口に立り 007 JDG 018 017 夫の土地を窺ひに往たりし五人の者上りて其處にいりその雕める像とエポデとテラピムおよび鑄たる像を取けるが祭司は武器を帶たる六百人の者とともに門の入口に立ゐたり 007 JDG 018 018 此人々ミカの家にいりて其雕める像とエポデとテラピムと鑄たる像とを取しかば祭司かれらに汝ら何をなすやと言ふに 007 JDG 018 019 彼等これに言けるは汝默せよ汝手を口にあてて我らとともに來り我らの父とも祭司ともなれよかし一人の家の祭司たるとイスラエルの一の支派一の族の祭司たるとは何か好や 007 JDG 018 020 祭司すなはち心に悦びてエポデとテラピムと雕める像とを取て民の中に入る 007 JDG 018 021 斯てかれら身をめぐらしその子女と家畜と財寳を前にたてて進みしが 007 JDG 018 022 ミカの家を遙かに離れし時ミカの家に近きところの家の人々呼はり集てダンの子孫に追ひつき 007 JDG 018 023 ダンの子孫を呼たれば彼等回顧てミカに言ふ汝何事ありて集りしや 007 JDG 018 024 かれら言けるは汝らはわが造れる神々および祭司を奪ひさりたれば我尚何かあらん然るに汝等何ぞ我にむかひて何事ぞやと言や 007 JDG 018 025 ダンの子孫かれに言けるは汝の聲を我らの中に聞えしむるなかれ恐くは心の荒き人々汝に撃かかるありて汝おのれの生命と家族の生命とを失ふにいたらんと 007 JDG 018 026 而してダンの子孫進みゆきけるがミカは彼らが己よりも強きを見て身をめぐらして家に返れり 007 JDG 018 027 彼等ミカが造りし者とその有し祭司をとりてライシにおもむき平穩にして安樂なる民の所にいたり刃をもて之を撃ち火をもてその邑を燬たりしが 007 JDG 018 028 其シドンと隔たること遠きが上に他の人民と交際ざりしによりて之を救ふ者なかりきその邑はベテレホブの邊の谷にあり彼ら邑を建なほして其處に住み 007 JDG 018 029 イスラエルの生たるその先祖ダンの名にしたがひて其邑の名をダンと名けたりその邑の名は本はライシなりき 007 JDG 018 030 斯てダンの子孫その雕める像を安置りモーセの子なるゲルシヨムの子ヨナタンとその子孫ダンの支派の祭司となりて國の奪はるる時にまでおよべり 007 JDG 018 031 神の家のシロにありし間恒に彼等はミカが造りしかの雕める像を安置おきぬ 007 JDG 019 001 其頃イスラエルに王なかりし時にあたりてエフライムの山の奧に一人のレビ人寄寓をりベテレヘムユダより一人の婦人をとりて妾となしたるに 007 JDG 019 002 その妾彼に背きて姦淫を爲し去てベテレヘムユダなるその父の家にかへり其所に四月といふ日をおくれり 007 JDG 019 003 是に於てその夫彼をなだめて携かへらんとてその僕と二頭の驢馬をしたがへ起てかれの後をしたひゆきければその父の家に之を導きいたりしに女の父これを見て之に遇ことを悦こべり 007 JDG 019 004 而してその女の父なる外舅彼をひきとめたれば則ち三日これと共に居り皆食飮して其所に宿りしが 007 JDG 019 005 四日におよびて朝早く起あがり彼たちて去んとしければ女の父その婿に言ふ少許の食物をもて汝の心を強くして然る後に去れよと 007 JDG 019 006 二人すなはち坐りて共に食飮しけるが女の父その人にいひけるは請ふ幸に今一夜を明し汝の心を樂ましめよと 007 JDG 019 007 其人起て去んとしけるに外舅これを強たれば遂に復其所に宿り 007 JDG 019 008 五日におよびて朝はやく起いでて去んとしたるに女の父これに言けるは請ふ汝の心を強くせよと是をもて日の昃るまでとどまりて共に食をなしけるが 007 JDG 019 009 其人つひに妾および僕とともに去んとて起あがりければ女の父彼に言ふ視よ今は日暮なんとす請ふ今一夜を明されよ視よ日昃たり汝此にやどりて汝の心をたのしませ明日蚤く起て出たち汝の家にいたれよと 007 JDG 019 010 然るに其人止宿ることを肯はずして起て去りヱブスの對面に至れり是はエルサレムなり鞍おける二の驢馬彼とともにあり妾も彼とともなりき 007 JDG 019 011 彼らヱブスの近傍にをる時日はや沒んとしければ僕その主人にいひけるは請ふ來れ我等身をめぐらしてヱブス人の此邑にいりて其所に宿らんと 007 JDG 019 012 その主人これに言けるは我等は彼所に身をめぐらしてイスラエルの子孫の邑ならざる外國の人の邑にいるべからずギベアに進みゆかんと 007 JDG 019 013 すなはちその僕にいひけるは來れ我らギベアかラマか是等の處の一に就て止宿んと 007 JDG 019 014 皆すすみ往きけるがベニヤミンのギベアの近邊にて日暮たれば 007 JDG 019 015 ギベアにゆきて宿らんとて其所に身をめぐらし入て邑の衢に坐しけるに誰も彼を家に接て宿らしむる者なかりき 007 JDG 019 016 時に一人の老人日暮に田野の働作をやめて歸りきたる此人はエフライム山の者にしてギベアに寄寓れるなり但し此處の人はベニヤミン人なり 007 JDG 019 017 彼目をあげて旅人の邑の衢にをるを見たり老人すなはちいひけるは汝は何所にゆくなるや何所より來れるやと 007 JDG 019 018 その人これにいひけるは我らはベテレヘムユダよりエフライム山の奧におもむく者なり我は彼所の者にて旣にベテレヘムユダにゆき今ヱホバの室に詣らんとするなるが誰もわれを家に接ものあらず 007 JDG 019 019 然ど驢馬の藁も飼蒭もあり又我と汝の婢および僕等とともなる少者の用ふべき食物も酒も在て何も事缺るところなし 007 JDG 019 020 老人いひけるは願くは汝安かれ汝が需むる者は我そなへん唯衢に宿るなかれと 007 JDG 019 021 かれをその家に携れ驢馬に飼ふ彼らすなはち足をあらひて食飮せしが 007 JDG 019 022 その心を樂ませをる時にあたりて邑の人々の邪なる者その家をとりかこみ戸を打たたきて家の主人なる老人に言ふ汝の家にきたれる人をひき出せ我らこれを犯さんと 007 JDG 019 023 是に於て家の主人なる人かれらの所にいでゆきてこれに言けるは否わが兄弟よ惡をなす勿れ此人すでにわが家にいりたればこの愚なる事をなすなかれ 007 JDG 019 024 我が處女なる女と此人の妾とあるにより我これを今つれいだすべければ汝らかれらを辱しめ汝等の好むところをこれに爲せ唯この人には斯る愚なる事を爲すなかれと 007 JDG 019 025 然るにその人々これを聽いれざるにより其人その妾をとりてこれを彼らの所にいだしやりければすなはちこれを犯して朝にいたるまで終夜これを辱しめ日のいづる頃にいたりて釋てり 007 JDG 019 026 是をもて婦黎明にきたりてその夫のをる彼人の家の門に仆れ夜のあくるまで其處に臥をる 007 JDG 019 027 その主朝におよびておきいで家の戸をひらきて出去んとせしがその妾の婦の家の門にたふれをりて手を閾の上におくを見ければ 007 JDG 019 028 これにむかひ起よ我ら出往んと言たれども何の答もあらざりき是によりてその人これを驢馬にのせたちて己の所におもむきしが 007 JDG 019 029 家にいたるにおよびて刀をとり其妾を執へて骨ぐるみこれを十二分にたちわりて之をイスラエルの四方の境におくりければ 007 JDG 019 030 之を見る者皆いふイスラエルの子孫がエジプトの地より出のぼりし日より今日にいたるまで斯のごとき事は行はれしことなく見えしことなし思をめぐらし相議りて言ふことをせよ 007 JDG 020 001 是に於てイスラエルの子孫ダンよりベエルシバにいたりギレアデの地にいたるまで皆出きたり其會衆一人のごとくにしてミヅパに於てヱホバの前に集り 007 JDG 020 002 衆民の長たる者すなはちイスラエルの諸の支派の長等みづから神の民の集會に出づ劍をぬくところの歩兵四十萬人ありき 007 JDG 020 003 ベニヤミンの子孫はイスラエルの子孫がミヅパにのぼれることを聞り斯てイスラエルの子孫此惡事の樣を語れと言ければ 007 JDG 020 004 彼殺されし婦の夫なるレビの人こたへていふ我わが妾とともにベニヤミンのギベアに宿らんとて往たるに 007 JDG 020 005 ギベアの人起りたちて我をせめ夜の間に我がをる家をとりかこみて我を殺さんと企て遂にわが妾を辱しめてこれを死しめたれば 007 JDG 020 006 我わが妾をとらへてこれをたちわり是をイスラエルの產業なる全地に遣れり是は彼らイスラエルにおいて淫事をなし愚なる事をなしたればなり 007 JDG 020 007 汝等は皆イスラエルの子孫なり今汝らの意見と思考をのべよ 007 JDG 020 008 民みな一人のごとくに起ていひけるは我らは誰もおのれの天幕にゆかずまた誰もおのれの家におもむかじ 007 JDG 020 009 我らがギベアになさんところの事は是なりすなはち鬮にしたがひて之を攻ん 007 JDG 020 010 我らイスラエルの諸の支派の中に於て百人より十人千人より百人萬人より千人を取りて民の糧食を執せ之をしてベニヤミンのギベアにいたり彼らがイスラエルにおこなひたるその愚なる事にしたがひて事をなさしむべしと 007 JDG 020 011 斯イスラエルの人々皆あつまりて此邑を攻んとせしが其相結べること一人のごとくなりき 007 JDG 020 012 イスラエルの諸の支派遍く人をベニヤミンの支派の中に遣して言しめけるは汝らの中に此惡事のおこなはれしは何事ぞや 007 JDG 020 013 然ばギベアにをるかの邪なる人々をわたせ我らこれを誅して惡をイスラエルに絶べしと然るにベニヤミンの子孫はその兄弟なるイスラエルの子孫の言を聽いれざりき 007 JDG 020 014 却てベニヤミンの子孫は邑々よりギベアにあつまりて出てイスラエルの子孫と戰はんとす 007 JDG 020 015 その時邑々より出たるベニヤミンの子孫を數ふるに劍をぬく所の人二萬六千あり外にまたギベアの居民ありて之をかぞふるに精兵七百人ありき 007 JDG 020 016 この諸の民の中に左手利の精兵七百人あり皆能く投石器をもて石を投るに毫末もたがふことなし 007 JDG 020 017 イスラエルの人を數ふるにベニヤミンを除きて劍をぬくところの者四十萬人ありき是みな軍人なり 007 JDG 020 018 爰にイスラエルの子孫起あがりてベテルにのぼり神に問て我等の中孰か最初にのぼりてベニヤミンの子孫と戰ふべきやと言ふにヱホバ、ユダ最初にと言たまふ 007 JDG 020 019 イスラエルの子孫すなはち朝おきてギベアにむかひて陣をとりけるが 007 JDG 020 020 イスラエルの人々ベニヤミンと戰はんとて出でゆきイスラエルの人々行伍をたててギベアにて彼らと戰はんとしければ 007 JDG 020 021 ベニヤミンの子孫ギベアより進みいで其日イスラエル人二萬二千を地に撃仆せり 007 JDG 020 022 然るにイスラエルの民の人々みづから奮ひその初の日に行伍をたてし所にまた行伍をたてたり 007 JDG 020 023 而してイスラエルの子孫上りゆきてヱホバの前に夕暮まで哭きヱホバに問て言ふ我復進みよりて吾兄弟なるベニヤミンの子孫とたたかふべきやとヱホバ彼に攻のぼれと言たまへり 007 JDG 020 024 是に於てイスラエルの子孫次の日またベニヤミンの子孫の所に攻よするに 007 JDG 020 025 ベニヤミンまた次の日ギベアより進みて之にいであい再びイスラエルの子孫一萬八千人を地に撃仆せり是みな劍をぬくところの者なりき 007 JDG 020 026 斯在しかばイスラエルの子孫と民みな上りてベテルにいたりて哭き其處にてヱホバの前に坐りその日の夕暮まで食を斷ち燔祭と酬恩祭をヱホバの前に獻げ 007 JDG 020 027 而してイスラエルの子孫ヱホバにとへり(その頃は神の契約の櫃彼處にありて 007 JDG 020 028 アロンの子エレアザルの子なるピネハス當時これに事へたり)即ち言けるは我またも出てわが兄弟なるベニヤミンの子孫とたたかふべきや或は息べきやヱホバ言たまふ上れよ明日はわれ汝の手にかれらを付すべしと 007 JDG 020 029 イスラエル是に於てギベアの周圍に伏兵を置き 007 JDG 020 030 而してイスラエルの子孫三日目にまたベニヤミンの子孫の所に攻のぼり前のごとくにギベアにむかひて行伍をたてたれば 007 JDG 020 031 ベニヤミンの子孫民に出あひしが遂に邑より誘出されたり彼等始は民を撃ち大路にて前のごとくイスラエルの人三十人許を殺せりその大路は一筋はベテルにいたり一筋は野のギベアに至る 007 JDG 020 032 ベニヤミンの子孫すなはち言ふ彼らは初のごとく我らに撃破らると然るにイスラエルの人は云ふ我等逃て彼らを邑より大路に誘き出さんと 007 JDG 020 033 イスラエルの人々みなその所を起て去りバアルタマルに行伍をたてたり而して伏兵その處より即ちギベアの野原より起れり 007 JDG 020 034 イスラエルの全軍の中より選拔たる兵一萬來りてギベアを襲ひ其戰鬪はげしかりしがベニヤミン人は葘害の己にのぞむを知ざりき 007 JDG 020 035 ヱホバ、イスラエルのまへにベニヤミンを撃敗りたまひしかばイスラエルの子孫その日ベニヤミン人二萬五千一百人を殺せり是みな劍をぬくところの者なり 007 JDG 020 036 ベニヤミンの子孫すなはち己の撃敗らるるを見たり偖イスラエルの人々そのギベアにむかひて設たる所の伏兵を恃てベニヤミン人を避て退きけるが 007 JDG 020 037 伏兵急ぎてギベアに突いり伏兵進みて刃をもて邑を盡く撃り 007 JDG 020 038 イスラエルの人々とその伏兵との間に定めたる合圖は邑より大なる黑烟をあげんとの事なりき 007 JDG 020 039 イスラエルの人々戰陣より引き退ぞくベニヤミン初が程はイスラエルの人々を撃ちて三千人許を殺し乃ち言ふ彼等はまことに最初の戰のごとく我等に撃やぶらると 007 JDG 020 040 然るに火焔烟の柱なして邑より上りはじめしかばベニヤミン人後を見かへりしに邑は皆烟となりて空にのぼる 007 JDG 020 041 時にイスラエルの人々ふりかへりしかばベニヤミンの人々葘害のおのれに迫るを見て狼狽へ 007 JDG 020 042 イスラエルの人々の前より身をめぐらして野の途におもむきけるが戰鬪これに追せまりて遂にその邑々よりいでたる者どもその中に戰死す 007 JDG 020 043 イスラエルの人すなはちベニヤミン人をとりまきて之を追うち容易くこれを踏たふして東の方ギベアの對面にまでおよべり 007 JDG 020 044 ベニヤミンの仆るる者一萬八千人是みな勇士なり 007 JDG 020 045 茲に彼等身をめぐらして野の方ににげリンモンの磐にいたれりイスラエルの人大路にて彼等五千人を伐とり尚もこれを追うちてギドムにいたりその二千人を殺せり 007 JDG 020 046 是をもて其日ベニヤミンの仆れし者は劍をぬくところの人あはせて二萬五千なりき是みな勇士なり 007 JDG 020 047 但六百人の者身をめぐらして野の方にのがれリンモンの磐にいたりて四月があひだリンモンの磐にをる 007 JDG 020 048 是に於てイスラエルの人々また身をかへしてベニヤミンの子孫をせめ刃をもて邑の人より畜にいたるまで凡て目にあたる者を撃ち亦その至るところの邑々に火をかけたり 007 JDG 021 001 イスラエルの人々曾てミヅパにて誓ひ曰けるは我等の中一人もその女をベニヤミンの妻にあたふる者あるべからずと 007 JDG 021 002 茲に民ベテルに至り彼處にて夕暮まで神の前に坐り聲を放ちて痛く哭き 007 JDG 021 003 言けるはイスラエルの神ヱホバよなんぞイスラエルに斯ること起り今日イスラエルに一の支派の缺るにいたりしやと 007 JDG 021 004 而して翌日民蚤に起て其處に壇を築き燔祭と酬恩祭をささげたり 007 JDG 021 005 茲にイスラエルの子孫いひけるはイスラエルの支派の中に誰か會衆とともに上りてヱホバにいたらざる者あらんと其は彼らミヅパに來りてヱホバにいたらざる者の事につきて大なる誓をたてて其人をばかならず死しむべしと言たればなり 007 JDG 021 006 イスラエルの子孫すなはち其兄弟ベニヤミンの事を憫然におもひて言ふ今日イスラエルに一の支派絶ゆ 007 JDG 021 007 我等ヱホバをさして我らの女をかれらの妻にあたへじと誓ひたれば彼の遺る者等に妻をめとらしめんには如何にすべきや 007 JDG 021 008 又言ふイスラエルの支派の中孰の者かミヅパにのぼりてヱホバにいたらざると而して視るにヤベシギレアデよりは一人も陣營にきたり集會に臨める者なし 007 JDG 021 009 即ち民をかぞふるにヤベシギレアデの居民は一人も其處にをらざりき 007 JDG 021 010 是に於て會衆勇士一萬二千を彼處に遣し之に命じて言ふ往て刃をもてヤベシギレアデの居民を撃て婦女兒女をも餘すなかれ 007 JDG 021 011 汝ら斯おこなふべし即ち汝等男人および男と寢たる婦人をば悉く滅し盡すべしと 007 JDG 021 012 彼等ヤベシギレアデの居民の中にて四百人の若き處女を獲たり是は未だ男と寢て男しりしことあらざる者なり彼らすなはち之をシロの陣營に曳きたる是はカナンの地にあり 007 JDG 021 013 斯て全會衆人をやりてリンモンの磐にをるベニヤミン人と語はしめ和睦をこれに宣しめたれば 007 JDG 021 014 ベニヤミンすなはち其時に歸りきたれり是において彼らヤベシギレアデの婦人の中より生しおきたるところの女子を之にあたへけるが尚足ざりき 007 JDG 021 015 ヱホバ、イスラエルの支派の中に缺を生ぜしめたまひしに因て民ベニヤミンの事を憫然におもへり 007 JDG 021 016 會衆の長老等いひけるはベニヤミンの婦女絶たれば彼の遺れる者等に妻をめとらせんには如何すべきや 007 JDG 021 017 又言けるはベニヤミンの中の逃れたる者等に產業あらしめん然らばイスラエルに一の支派の消ることなかるべし 007 JDG 021 018 然ながら我等は我等の女子を彼らの妻にあたふべからず其はイスラエルの子孫誓をなしベニヤミンに妻を與ふる者は詛はれんと言たればなりと 007 JDG 021 019 而して言ふ歳々シロにヱホバの祭ありと其處はベテルの北にあたりてベテルよりシケムにのぼるところの大路の東レバナの南にあり 007 JDG 021 020 是に於てかれらベニヤミンの子孫に命じて言ふ汝らゆきて葡萄園に伏して窺ひ 007 JDG 021 021 若シロの女等舞をどらんと出きたらば葡萄園より出でシロの女の中より各人妻を執てベニヤミンの地に往け 007 JDG 021 022 若その父あるひは兄弟來りて我らに愬へなば我らこれに言ふべし請ふ幸に彼らを我らに取せよ我等戰爭の時に皆ことごとくその妻をとりしにあらざればなり汝等今かれらに與へしにあらざれば汝等は罪なしと 007 JDG 021 023 ベニヤミンの子孫すなはちかく行なひその踊れる者等を執へてその中より己の數にしたがひて妻を取り往てその地にかへり邑々を建なほして其處に住り 007 JDG 021 024 斯てイスラエルの子孫その時に其處を去て各人その支派に往きその族にいたれり即ち其處より出て各人その地にいたりぬ 007 JDG 021 025 當時はイスラエルに王なかりしかば各人その目に善と見るところを爲り # # BOOK 008 RUT Ruth ルツ記 008 RUT 001 001 士師の世ををさむる時にあたりて國に饑饉たありければ一箇の人その妻と二人の男子をひきつれてベテレヘムユダを去りモアブの地にゆきて寄寓る 008 RUT 001 002 その人の名はエリメレクその妻の名はナオミその二人の男子の名はマロンおよびキリオンといふベテレヘムユダのエフラテ人なり 彼等モアブの地にいたりて其處にをりしが 008 RUT 001 003 ナオミの夫エリメレク死てナオミとその二人の男子のこさる 008 RUT 001 004 彼等おのおのモアブの婦人を妻にめとる その一人の名はオルパといひ一人の名はルツといふ 彼處にすむこと十年許にして 008 RUT 001 005 マロンとキリオンの二人もまた死り 斯ナオミは二人の男子と夫に後れしが 008 RUT 001 006 モアブの地にて彼ヱホバその民を眷みて食物を之にたまふと聞ければその媳とともに起ちてモアブの地より歸らんとし 008 RUT 001 007 その在ところを出たりその 二人の媳これとともにあり 彼等ユダの地にかへらんと途にすすむ 008 RUT 001 008 爰にナオミその二人の媳にいひけるは汝らはゆきておのおの母の家にかへれ 汝らがかの死たる者と我とを善く待ひしごとくにねがはくはヱホバまたなんぢらを善くあつかひたまへ 008 RUT 001 009 ねがはくはヱホバなんぢらをして各々その夫の家にて安身處をえせしめたまへと 乃ちかれらに接吻しければ彼等聲をあげて哭き 008 RUT 001 010 之にいひけるは我ら汝とともに汝の民にかへらんと 008 RUT 001 011 ナオミいひけるは女子よ返れ 汝らなんぞ我と共にゆくべけんや 汝らの夫となるべき子猶わが胎にあらんや 008 RUT 001 012 女子よかへりゆけ 我は老たれば夫をもつをえざるなり 假設われ指望ありといふとも今夜夫を有つとも而してまた子を生むとも 008 RUT 001 013 汝等これがために其子の生長までまちをるべけんや 之がために夫をもたずしてひきこもりをるべけんや 女子よ然すべきにあらず 我はヱホバの手ののぞみてわれを攻しことを汝らのために痛くうれふるなり 008 RUT 001 014 彼等また聲をあげて哭く 而してオルパはその姑に接吻せしがルツは之を離れず 008 RUT 001 015 是によりてナオミまたいひけるは視よ汝の妯娌はその民とその神にかへり往く 汝も妯娌にしたがひてかへるべし 008 RUT 001 016 ルツいひけるは汝を棄て汝をはなれて歸ることを我に催すなかれ我は汝のゆくところに往き汝の宿るところにやどらん 汝の民はわが民汝の神はわが神なり 008 RUT 001 017 汝の死るところに我は死て其處に葬らるべし 若死別にあらずして我なんぢとわかれなばヱホバわれにかくなし又かさねてかくなしたまへ 008 RUT 001 018 彼 媳が固く心をさだめて己とともに來らんとするを見しかば之に言ふことを止たり 008 RUT 001 019 かくて彼等二人ゆきて終にベテレヘムにいたりしがベテレヘムにいたれる時 邑こぞりて之がためにさわぎたち婦女等是はナオミなるやといふ 008 RUT 001 020 ナオミかれらにいひけるは我をナオミ(樂し)と呼なかれ マラ(苦し)とよぶべし 全能者痛く我を苦め給ひたればなり 008 RUT 001 021 我盈足て出たるにヱホバ我をして空くなりて歸らしめたまふ ヱホバ我を攻め全能者われをなやましたまふに汝等なんぞ我をナオミと呼や 008 RUT 001 022 斯ナオミそのモアブの地より歸れる 媳モアブの女ルツとともに歸り來れり 即ち彼ら大麥刈の初にベテレヘムにいたる 008 RUT 002 001 ナオミにその夫の知己あり 即ちエリメレクの族にして大なる力の人なり その名をボアズといふ 008 RUT 002 002 茲にモアブの女ルツ、ナオミにいひけるは請ふわれをして田にゆかしめよ 我何人かの目のまへに恩をうることあらばその人の後にしたがひて穗を拾はんと ナオミ彼に女子よ往べしといひければ 008 RUT 002 003 乃ち往き遂に至りて刈者の後にしたがひ田にて穗を拾ふ 彼意はずもエリメレクの族なるボアズの田の中にいたれり 008 RUT 002 004 時にボアズ、ベテレヘムより來り その刈者等刈者等に言ふ ねがはくはヱホバ汝等とともに在せと 彼等すなはち答てねがはくはヱホバ汝を祝たまへといふ 008 RUT 002 005 ボアズその刈者を督る僕にいひけるは此は誰の女なるや 008 RUT 002 006 刈者を督る人こたへて言ふ是はモアブの女にしてモアブの地よりナオミとともに還りし者なるが 008 RUT 002 007 いふ請ふ我をして刈者の後にしたがひて禾束の間に穗をひろひあつめしめよと 而して來りて朝より今にいたるまで此にあり 其家にやすみし間は暫時のみ 008 RUT 002 008 ボアズ、ルツにいひけるは女子よ聽け 他の田に穗をひろひにゆくなかれ 又此よりいづるなかれわが婢等に離ずして此にをるべし 008 RUT 002 009 人々の刈ところの田に目をとめてその後にしたがひゆけ 我少者等に汝にさはるなかれと命ぜしにあらずや 汝渇く時は器の所にゆきて少者の汲るを飮めと 008 RUT 002 010 彼すなはち伏て地に拜し之にいひけるは我如何して汝の目の前に恩惠を得たるか なんぢ異邦人なる我を顧みると 008 RUT 002 011 ボアズこたへて彼にいひけるは汝が夫の死たるより巳來姑に盡したる事汝がその父母および生れたる國を離れて見ず識ずの民に來りし事皆われに聞えたり 008 RUT 002 012 ねがはくはヱホバ汝の行爲に報いたまへ ねがはくはイスラエルの神ヱホバ即ち汝がその翼の下に身を寄んとて來れる者汝に十分の報施をたまはんことを 008 RUT 002 013 彼いひけるは主よ我をして汝の目の前に恩をえせしめたまへ 我は汝の仕女の一人にも及ざるに汝かく我を慰め斯仕女に懇切に語りたまふ 008 RUT 002 014 ボアズかれにいひけるは食事の時は此にきたりてこのパンを食ひ且汝の食物をこの醋に濡せよと 彼すなはち刈者の傍に坐しければボアズ烘麥をかれに與ふ 彼くらひて飽き其餘を懷む 008 RUT 002 015 かくて彼また穗をひろはんとて起あがりければボアズその少者に命じていふ 彼をして禾束の間にても穗をひろはしめよ かれを羞しむるなかれ 008 RUT 002 016 且手の穗を故に彼がために抽落しおきて彼に拾はしめよ 叱るなかれ 008 RUT 002 017 彼かく薄暮まで田に穗をひろひてその拾ひし者を撲しに大麥一斗許ありき 008 RUT 002 018 彼すなはち之を携へて邑にいり姑にその拾ひし者を看せ且その飽たる後に懷めおきたる者を取出して之にあたふ 008 RUT 002 019 姑かれにいひけるは汝今日何處にて穗をひろひしや 何の處にて工作しや 願くは汝を眷顧たる者に福祉あれ 彼すなはち姑にその誰の所に工作しかを告ていふ 今日われに工作をなさしめたる人の名はボアズといふ 008 RUT 002 020 ナオミ媳にいひけるは願はヱホバの恩かれに至れ 彼は生る者と死る者とを棄ずして恩をほどこす ナオミまた彼にいひけるは其人は我等に縁ある者にして我等の贖業者の一人なり 008 RUT 002 021 モアブの女ルツいひけるは彼また我にかたりて汝わが穫刈の盡く終るまでわが少者の傍をはなるるなかれといへりと 008 RUT 002 022 ナオミその媳ルツにいひけるは女子よ汝かれの婢等とともに出るは善し 然れば他の田にて人に見らるることを免かれん 008 RUT 002 023 是によりて彼ボアズの婢等の傍を離れずして穗をひろひ大麥刈と小麥刈の終にまでおよぶ 彼その姑とともにをる 008 RUT 003 001 爰に姑ナオミ彼にいひけるは女子よ我汝の安身所を求めて汝を幸ならしむべきにあらずや 008 RUT 003 002 夫汝が偕にありし婢等を有る彼ボアズは我等の知己なるにあらずや 視よ彼は今夜 禾塲にて大麥を簸る 008 RUT 003 003 然ば汝の身を洗て膏をぬり衣服をまとひて禾塲に下り汝をその人にしらせずしてその食飮を終るを待て 008 RUT 003 004 而て彼が臥す時に汝その臥す所を見とめおき入てその脚を掀開りて其處に臥せよ 彼なんぢの爲べきことを汝につげんと 008 RUT 003 005 ルツ姑にいひけるは汝が我に言ところは我皆なすべしと 008 RUT 003 006 すなはち禾塲に下り凡てその姑の命ぜしごとくなせり 008 RUT 003 007 偖ボアズは食飮をなしてその心をたのしませ往て麥を積る所の傍に臥す 是に於て彼潜にゆきその足を掀開て其處に臥す 008 RUT 003 008 夜半におよびて其人畏懼をおこし起かへりて見るに一人の婦その足の方に臥ゐたれば 008 RUT 003 009 汝は誰なるやといふに婦こたへて我は汝の婢ルツなり 汝の裾をもて婢を覆ひたまへ 汝は贖業者なればなり 008 RUT 003 010 ボアズいひけるは女子よねがはくはヱホバの恩典なんぢにいたれ 汝の後の誠實は前のよりも勝る 其は汝貧きと富とを論ず少き人に從ふことをせざればなり 008 RUT 003 011 されば女子よ懼るなかれ 汝が言ふところの事は皆われ汝のためになすべし 其はわが邑の人皆なんぢの賢き女なるをしればなり 008 RUT 003 012 我はまことに贖業者なりと雖も我よりも近き贖業者あり 008 RUT 003 013 今夜は此に住宿れ 朝におよびて彼もし汝のために贖ふならば善し彼に贖はしめよ 然ど彼もし汝のために贖ふことを好まずばヱホバは活く我汝のために贖はん 朝まで此に臥せよと 008 RUT 003 014 ルツ朝までその足の方に臥て誰彼の辨がたき頃に起あがる ボアズ此女の禾塲に來りしことを人にしらしむべからずといへり 008 RUT 003 015 而していひけるは汝の著る袿衣を將きたりて其を開げよと 即ち開げければ大麥六升を量りて之に負せたり 斯して彼邑にいたりぬ 008 RUT 003 016 爰にルツその姑の許に至るに姑いふ 女子よ如何ありしやと 彼すなはち其人の己になしたる事をことごとく之につげて 008 RUT 003 017 而していひけるは彼空手にて汝の姑の許に往くなかれといひて此六升の大麥を我にあたへたり 008 RUT 003 018 姑いひけるは女子よ坐して待ち事の如何になりゆくかを見よ 彼人今日その事を爲終ずば安んぜざるべければなり 008 RUT 004 001 爰にボアズ門の所にのぼり往て其處に坐しけるに前にボアズの言たる贖業者過りければ之に言ふ 某よ來りて此に坐せよと 即ち來りて坐す 008 RUT 004 002 ボアズまた邑の長老十人を招き汝等此に坐せよといひければ則ち坐す 008 RUT 004 003 時に彼その贖業人にいひけるはモアブの地より還りしナオミ我等の兄弟エリメレクの地を賣る 008 RUT 004 004 我汝につげしらせて此に坐する人々の前わが民の長老の前にて之を買へと言んと想へり 汝もし之を贖はんと思はば贖ふべし 然どもし之を贖はずば吾に告てしらしめよ 汝の外に贖ふ者なければなり 我はなんぢの次なりと彼我これを贖はんといひければ 008 RUT 004 005 ボアズいふ 汝ナオミの手よりその地を買ふ日には死る者の妻なりし モアブの女ルツをも買て死る者の名をその產業に存すべきなり 008 RUT 004 006 贖業人いひけるは我はみづから贖ふあたはず 恐くはわが產業を壞はん 汝みづから我にかはりてあがなへ 我あがなふことあたはざればなりと 008 RUT 004 007 昔イスラエルにて物を贖ひ或は交易んとする事につきて萬事を定めたる慣例は斯のごとし 即ち此人鞋を脱て彼人にわたせり 是イスラエルの中の證なりき 008 RUT 004 008 是によりてその贖業人ボアズにむかひ汝みづから買ふべしといひて其鞋を脱たり 008 RUT 004 009 ボアズ長老および諸の民にいひけるは汝等今日見證をなす 我エリメレクの凡の所有およびキリオンとマロンの凡の所有をナオミの手より買たり 008 RUT 004 010 我またマロンの妻なりしモアブの女ルツを買て妻となし彼死る者の名をその產業に存すべし 是かの死る者の名を其兄弟の中とその處の門に絶ざらしめんためなり 汝等今日證をなす 008 RUT 004 011 門にをる人々および長老等いひけるはわれら證をなす 願くはヱホバ汝の家にいるところの婦人をして彼イスラエルの家を造りなしたるラケルとレアの二人のごとくならしめたまはんことを 願くは汝エフラタにて能を得ベテレヘムにて名をあげよ 008 RUT 004 012 ねがはくはヱホバが此若き婦よりして汝にたまはんところの子に由て汝の家かのタマルがユダに生たるペレズの家のごとくなるにいたれ 008 RUT 004 013 斯てボアズ、ルツを娶りて妻となし彼の所にいりければヱホバ彼を孕ましめたまひて彼男子を生り 008 RUT 004 014 婦女等ナオミにいひけるはヱホバは讚べきかな 汝を遺ずして今日汝に贖業人あらしめたまふ その名イスラエルに揚れ 008 RUT 004 015 彼は汝の心をなぐさむる者 汝の老を養ふ者とならん 汝を愛する汝の媳即ち七人の子よりも汝に善もの之をうみたり 008 RUT 004 016 ナオミその子をとりて之を懷に置き之が養育者となる 008 RUT 004 017 その隣人なる婦女等これに名をつけて云ふ ナオミに男子うまれたりと その名をオベデと稱り 彼はダビデの父なるヱサイの父なり 008 RUT 004 018 偖ペレヅの系圖は左のごとし ペレヅ、ヘヅロンを生み 008 RUT 004 019 ヘヅロン、ラムを生み ラム、アミナダブを生み 008 RUT 004 020 アミナダブ、ナシヨンを生み ナシヨン、サルモンを生み 008 RUT 004 021 サルモン、ボアズを生み ボアズ、オベデを生み 008 RUT 004 022 オベデ、ヱサイを生み ヱサイ、ダビデを生り # # BOOK 009 1SA 1 Samuel サムエル記Ⅰ 009 1SA 001 001 エフライムの山地のラマタイムゾビムにエルカナと名くる人ありエフライテ人にしてエロハムの子なりエロハムはエリウの子エリウはトフの子トフはツフの子なり 009 1SA 001 002 エルカナに二人の妻ありてひとりの名をハンナといひひとりの名をペニンナといふペニンナには子ありたれどもハンナには子あらざりき 009 1SA 001 003 是人毎歳に其邑をいで上りてシロにおいて萬軍のヱホバを拝み之に祭物をささぐ其處にエリの二人の子ホフニとピネハスをりてヱホバに祭司たり 009 1SA 001 004 エルカナ祭物をささぐる時其妻ペニンナと其すべての息子女子にわかちあたへしが 009 1SA 001 005 ハンナには其倍をあたふ是はハンナを愛するが故なりされどヱホバ其孕みをとどめたまふ 009 1SA 001 006 其敵もまた痛くこれをなやましてヱホバが其はらみをとどめしを怒らせんとす 009 1SA 001 007 歳々ハンナ、ヱホバの家にのぼるごとにエルカナかくなせしかばペニンナかくのごとく之をなやます是故にハンナないてものくはざりき 009 1SA 001 008 其夫エルカナ之にいひけるはハンナよ何故になくや何故にものくはざるや何故に心かなしむや我は汝のためには十人の子よりもまさるにあらずや 009 1SA 001 009 かくてシロにて食飮せしのちハンナたちあがれり時に祭司エリ、ヱホバの宮の柱の傍にある壇に坐す 009 1SA 001 010 ハンナ心にくるしみヱホバにいのりて甚く哭き 009 1SA 001 011 誓をなしていひけるは萬軍のヱホバよ若し誠に婢の惱をかへりみ我を憶ひ婢を忘れずして婢に男子をあたへたまはば我これを一生のあひだヱホバにささげ剃髮刀を其首にあつまじ 009 1SA 001 012 ハンナ、ヱホバのまへに長くいのりければエリ其口に目をとめたり 009 1SA 001 013 ハンナ心の中にものいへば只唇うごくのみにて聲きこえず是故にエリこれを酔たる者と思ひ 009 1SA 001 014 之にいひけるは何時まで酔ひをるか爾の酒をされよ 009 1SA 001 015 ハンナこたへていひけるは主よ然るにあらず我は氣のわづらふ婦人にして葡萄酒をも濃き酒をものまず惟わが心をヱホバのまへに明せるなり 009 1SA 001 016 婢を邪なる女となすなかれ我はわが憂と悲みの多きよりして今までかたれり 009 1SA 001 017 エリ答へていひけるは安んじて去れ願くはイスラエルの神汝の求むる願ひを許したまはんことを 009 1SA 001 018 ハンナいひけるはねがはくは仕女の汝のまへに恩をえんことをと斯てこの婦さりて食ひ其顔ふたたび哀しげならざりき 009 1SA 001 019 是に於て彼等朝はやくおきてヱホバの前に拝をしかへりてラマの家にいたる而してエルカナ其つまハンナとまじはるヱホバ之をかへりみたまふ 009 1SA 001 020 ハンナ孕みてのち月みちて男子をうみ我これをヱホバに求めし故なりとて其名をサムエル(ヱホバに聽る)となづく 009 1SA 001 021 爰に其人エルカナ及び其家族みな上りて年々の祭物及び其誓ひし物をささぐ 009 1SA 001 022 然どもハンナは上らず其夫にいひけるは我はこの子の乳ばなれするに及びてのち之をたづさへゆきヱホバのまへにあらはれしめ恒にかしこに居らしめん 009 1SA 001 023 其夫エルカナ之にいひけるは汝の善と思ふところを爲し此子を乳ばなすまでとどまるべし只ヱホバの其言を確實ならしめ賜んことをねがふと斯くこの婦止まりて其子に乳をのませ其ちばなれするをまちしが 009 1SA 001 024 乳ばなせしとき牛三頭粉一斗酒一嚢を取り其子をたづさへてシロにあるヱホバの家にいたる其子なほ幼稚し 009 1SA 001 025 是に於て牛をころしその子をエリの許に携へゆきぬ 009 1SA 001 026 ハンナいひけるは主よ汝のたましひは活くわれはかつてここにてなんぢの傍にたちヱホバにいのりし婦なり 009 1SA 001 027 われ此子のためにいのりしにヱホバわが求めしものをあたへたまへり 009 1SA 001 028 此故にわれまたこれをヱホバにささげん其一生のあひだ之をヱホバにささぐ斯てかしこにてヱホバををがめり 009 1SA 002 001 ハンナ祷りて言けるは我心はヱホバによりて喜び我角はヱホバによりて高し我口はわが敵の上にはりひらく是は我汝の救拯によりて樂むが故なり 009 1SA 002 002 ヱホバのごとく聖き者はあらず其は汝の外に有る者なければなり又われらの神のごとき磐はあることなし 009 1SA 002 003 汝等重ねて甚く誇りて語るなかれ汝等の口より漫言を出すなかれヱホバは全知の神にして行爲を裁度りたまふなり 009 1SA 002 004 勇者の弓は折れ倒るる者は勢力を帶ぶ 009 1SA 002 005 飽足る者は食のために身を傭はせ饑たる者は憩へり石女は七人を生み多くの子を有る者は衰ふるにいたる 009 1SA 002 006 ヱホバは殺し又生したまひ陰府に下し又上らしめたまふ 009 1SA 002 007 ヱホバは貧からしめ又富しめたまひ卑くしまた高くしたまふ 009 1SA 002 008 荏弱者を塵の中より擧げ窮乏者を埃の中より升せて王公の中に坐せしめ榮光の位をつがしめ給ふ地の柱はヱホバの所屬なりヱホバ其上に世界を置きたまへり 009 1SA 002 009 ヱホバ其聖徒の足を守りたまはん惡き者は黑暗にありて默すべし其は人力をもて勝つべからざればなり 009 1SA 002 010 ヱホバと爭ふ者は破碎かれんヱホバ天より雷を彼等の上にくだしヱホバは地の極を審き其王に力を與へ其膏そそぎし者の角を高くし給はん 009 1SA 002 011 エルカナ、ラマに往て其家にいたりしが稚子は祭司エリのまへにありてヱホバにつかふ 009 1SA 002 012 さてエリの子は邪なる者にしてヱホバをしらざりき 009 1SA 002 013 祭司の民に於る習慣は斯のごとし人祭物をささぐる時肉を烹るあひだに祭司の僕三の歯ある肉叉を手にとりて來り 009 1SA 002 014 之を釜あるひは鍋あるひは鼎又は炮烙に突きいれ肉叉の引きあぐるところの肉は祭司みなこれを己にとる是くシロに於て凡てそこに來るイスラエル人になせり 009 1SA 002 015 脂をやく前にも亦祭司のしもべ來り祭物をささぐる人にいふ祭司のために燒くべき肉をあたへよ祭司は汝より烹たる肉を受けず生腥の肉をこのむと 009 1SA 002 016 もし其人これにむかひ直ちに脂をやくべければ後心のこのむままに取れといはば僕之にいふ否今あたへよ然らずば我強て取んと 009 1SA 002 017 故に其壯者の罪ヱホバのまへに甚だ大なりそは人々ヱホバに祭物をささぐることをいとひたればなり 009 1SA 002 018 サムエルなほ幼して布のエポデを著てヱホバのまへにつかふ 009 1SA 002 019 また其母これがために小き明衣をつくり歳毎にその夫とともに年の祭物をささげにのぼる時これをもちきたる 009 1SA 002 020 エリ、エルカナとその妻を祝していひけるは汝がヱホバにささげたる者のためにヱホバ此婦よりして子を汝にあたへたまはんことをねがふと斯てかれら其郷にかへる 009 1SA 002 021 しかしてヱホバ、ハンナをかへりみたまひければハンナ孕みて三人の男子と二人の女子をうめり童子サムエルはヱホバのまへにありて生育てり 009 1SA 002 022 ここにエリ甚だ老て其子等がイスラエルの人々になせし諸の事を聞きまた其集會の幕屋の門にいづる婦人たちと寝たるを聞て 009 1SA 002 023 これにいひけるは何ぞ斯る事をなすや我このすべての民より汝らのあしき行をきく 009 1SA 002 024 わが子よ然すべからず我きくところの風聞よからず爾らヱホバの民をしてあやまたしむ 009 1SA 002 025 人もし人にむかひて罪ををかさば神之をさばかんされど人もしヱホバに向ひて罪ををかさば誰かこれがためにとりなしをなさんやとしかれども其子父のことばを聽ざりきそはヱホバかれらを殺さんと思ひたまへばなり 009 1SA 002 026 童子サムエル生長ゆきてヱホバと人とに愛せらる 009 1SA 002 027 茲に神の人エリの許に來りこれにいひけるはヱホバ斯くいひたまふ爾の父祖の家エジプトにおいてパロの家にありしとき我明かに之にあらはれしにあらずや 009 1SA 002 028 我これをイスラエルの諸の支派のうちより選みてわが祭司となしわが壇の上に祭物をささげ香をたかしめ我前にエポデを衣しめまたイスラエルの人の火祭を悉く汝の父の家にあたへたり 009 1SA 002 029 なんぞわが命ぜし犠牲と禮物を汝の家にてふみつくるや何ぞ我よりもなんぢの子をたふとみわが民イスラエルの諸の祭物の最も嘉きところをもて己を肥すや 009 1SA 002 030 是ゆゑにイスラエルの神ヱホバいひたまはく我誠に曾ていへり汝の家およびなんぢの父祖の家永くわがまへにあゆまんと然ども今ヱホバいひたまふ決めてしからず我をたふとむ者は我もこれをたふとむ我を賤しむる者はかろんぜらるべし 009 1SA 002 031 視よ時いたらん我汝の腕と汝の父祖の家の腕を絶ち汝の家に老たるもの无らしめん 009 1SA 002 032 我大にイスラエルを善すべけれど汝の家内には災見えん汝の家にはこののち永く老るものなかるべし 009 1SA 002 033 またわが壇より絶ざる汝の族の者は汝の目をそこなひ汝の心をいたましめん又汝の家にうまれいづるものは壯年にして死なん 009 1SA 002 034 汝のふたりの子ホフニとピネスの遇ところの事を其徴とせよ即ち二人ともに同じ日に死なん 009 1SA 002 035 我はわがために忠信なる祭司をおこさん其人わが心とわが意にしたがひておこなはんわれその家をかたうせんかれわが膏そそぎし者のまへに恒にあゆむべし 009 1SA 002 036 しかして汝の家にのこれる者は皆きたりてこれに屈み一厘の金と一片のパンを乞ひ且いはんねがはくは我を祭司の職の一に任じて些少のパンにても食ふことをえせしめよと 009 1SA 003 001 童子サムエル、エリのまへにありてヱホバにつかふ當時はヱホバの言まれにして默示あること恒ならざりき 009 1SA 003 002 偖エリ目漸くくもりて見ることをえず此時其室に寝たり 009 1SA 003 003 神の燈なほきえずサムエル神の櫃あるヱホバの宮に寝ね 009 1SA 003 004 時にヱホバ、サムエルをよびたまふ彼我此にありといひて 009 1SA 003 005 エリの許に趨ゆきいひけるは汝われをよぶ我ここにありエリいひけるは我よばず反りて臥よと乃ちゆきていぬ 009 1SA 003 006 ヱホバまたかさねてサムエルよとよびたまへばサムエルおきてエリのもとにいたりいひけるは汝われをよぶ我ここにありエリこたへけるは我よばずわが子よ反りていねよ 009 1SA 003 007 サムエルいまだヱホバをしらずまたヱホバのことばいまだかれにあらはれず 009 1SA 003 008 ヱホバ、三たびめに又サムエルをよびたまへばサムエルおきてエリの許にたりいひけるは汝われをよぶ我ここにありとエリ乃ちヱホバの童子をよびたまひしをさとる 009 1SA 003 009 故にエリ、サムエルにいひけるはゆきて寝よ彼若し汝をよばば僕聽くヱホバ語りたまへといへとサムエルゆきて其室にいねしに 009 1SA 003 010 ヱホバ來りて立ちまへの如くサムエル、サムエルとよびたまへばサムエル僕きく語りたまへといふ 009 1SA 003 011 ヱホバ、サムエルにいひ賜けるは視よ我イスラエルのうちに一の事をなさんこれをきくものは皆其耳ふたつながら鳴ん 009 1SA 003 012 其日にはわれ嘗てエリの家について言しことを始より終までことごとくエリになすべし 009 1SA 003 013 われかつてエリに其惡事のために永くその家をさばかんとしめせりそは其子の詛ふべきことをなすをしりて之をとどめざればなり 009 1SA 003 014 是故に我エリのいへに誓ひてエリの家の惡は犠牲あるひは禮物をもて永くあがなふ能はずといへり 009 1SA 003 015 サムエル朝までいねてヱホバの家の戸を開きしが其異象をエリにしめすことをおそる 009 1SA 003 016 エリ、サムエルをよびていひけるはわが子サムエルよ答へけるはわれここにあり 009 1SA 003 017 エリいひけるは何事を汝につげたまひしや請ふ我にかくすなかれ汝もし其汝に告げたまひしところを一にてもかくすときは神汝にかくなし又かさねてかくなしたまヘ 009 1SA 003 018 サムエル其事をことごとくしめして彼に隱すことなかりきエリいひけるは是はヱホバなり其よしと見たまふことをなしたまへと 009 1SA 003 019 サムエルそだちぬヱホバこれとともにいましてそのことばをして一も地におちざらしめたまふ 009 1SA 003 020 ダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルの人みなサムエルがヱホバの預言者とさだまれるをしれり 009 1SA 003 021 ヱホバふたたびシロにてあらはれたまふヱホバ、シロにおいてヱホバの言によりてサムエルにおのれをしめしたまふなりサムエルの言あまねくイスラエル人におよぶ 009 1SA 004 001 イスラエル人ペリシテ人にいであひて戰はんとしエベネゼルの邊に陣をとりペリシテ人はアベクに陣をとる 009 1SA 004 002 ペリシテ人イスラエル人にむかひて陣列をなせり戰ふにおよびてイスラエル人ペリシテ人のまへにやぶるペリシテ人戰場において其軍四千人ばかりを殺せり 009 1SA 004 003 民陣營にいたるにイスラエルの長老曰けるはヱホバ何故に今日我等をペリシテ人のまへにやぶりたまひしやヱホバの契約の櫃をシロより此にたづさへ來らん其櫃われらのうちに來らば我らを敵の手よりすくひいだすことあらんと 009 1SA 004 004 かくて民人をシロにつかはしてケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバの契約の櫃を其處よりたづさへきたらしむ時にエリの二人の子ホフニとピネハス神の契約のはことともに彼處にありき 009 1SA 004 005 ヱホバの契約の櫃陣營にいたりしときイスラエル人皆大によばはりさけびければ地なりひびけり 009 1SA 004 006 ペリシテ人喊呼の聲を聞ていひけるはヘブル人の陣營に起れる此大なるさけびの聲は何ぞやと遂にヱホバの櫃の其陣營にいたれるを知る 009 1SA 004 007 ペリシテ人おそれていひけるは神陣營にいたる又いひけるは鳴呼われら禍なるかな今にいたるまで斯ることなかりき 009 1SA 004 008 ああ我等禍なるかな誰かわれらを是らの強き神の手よりすくひいださんや此等の神は昔し諸の災を以てエジプト人を曠野に撃し者なり 009 1SA 004 009 ペリシテ人よ強くなり豪傑のごとく爲せヘブル人がかつて汝らに事へしごとく汝らこれに事ふるなかれ豪傑のごとく爲して戰へよ 009 1SA 004 010 かくてペリシテ人戰ひしかばイスラエル人やぶれて各々其天幕に逃かへる戰死はなはだ多くイスラエルの歩兵の仆れし者三萬人なりき 009 1SA 004 011 又神の櫃は奪はれエリの二人の子ホフニとピネハス殺さる 009 1SA 004 012 是日ベニヤミンの一人軍中より走來り其衣を裂き土をかむりてシロにいたる 009 1SA 004 013 其いたれる時エリ道の傍に壇に坐して觀望居たり其心に神の櫃のことを思ひ煩らひたればなり其人いたり邑にて人々に告ければ邑こぞりてさけびたり 009 1SA 004 014 エリ此呼號の聲をききていひけるは是喧嘩の聲は何なるやと其人いそぎきたりてエリにつぐ 009 1SA 004 015 時にエリ九十八歳にして其目かたまりて見ることあたはず 009 1SA 004 016 其人エリにいひけるは我は軍中より來れるもの我今日軍中より逃れたりエリいひけるは吾子よ事いかん 009 1SA 004 017 使人答へていひけるはイスラエル人ペリシテ人の前に逃げ且民の中に大なる戰死ありまた汝の二人の子ホフニとピネハスは殺され神の櫃は奪はれたり 009 1SA 004 018 神の櫃のことを演しときエリ其壇より仰けに門の傍におち頸をれて死ねり是はかれ老て身重かりければなり其イスラエルを鞫しは四十年なりき 009 1SA 004 019 エリの媳ピネハスの妻孕みて子產ん時ちかかりしが神の櫃の奪はれしと舅と夫の死にしとの傳言を聞しかば其痛みおこりきたり身をかがめて子を產り 009 1SA 004 020 其死なんとする時傍にたてる婦人これにいひけるは懼るるなかれ汝男子を生りと然ども答へず又かへりみず 009 1SA 004 021 只榮光イスラエルをさりぬといひて其子をイカボデ(榮なし)と名く是は神の櫃奪はれしによりまた舅と夫の故に因るなり 009 1SA 004 022 またいひけるは榮光イスラエルをさりぬ神の櫃うばはれたればなり 009 1SA 005 001 ペリシテ人神の櫃をとりて之をエベネゼルよりアシドドにもちきたる 009 1SA 005 002 即ちペリシテ人神の櫃をとりて之をダゴンの家にもちきたりダゴンの傍に置ぬ 009 1SA 005 003 アシドド人次の日夙く興きヱホバの櫃のまへにダゴンの俯伏に地にたふれをるをみ乃ちダゴンをとりて再びこれを本の處におく 009 1SA 005 004 また翌朝夙く興きヱホバの櫃のまへにダゴン俯伏に地にたふれをるを見るダゴンの頭と其兩手門閾のうへに斷ち切れをり只ダゴンの體のみのこれり 009 1SA 005 005 是をもてダゴンの祭司およびダゴンの家にいるもの今日にいたるまでアシドドにあるダゴンの閾をふまず 009 1SA 005 006 かくてヱホバの手おもくアシドド人にくははりヱホバこれをほろぼし腫物をもてアシドドおよび其四周の人をくるしめたまふ 009 1SA 005 007 アシドド人その斯るを見ていひけるはイスラエルの神の櫃を我らのうちにとどむべからず其は其手いたくわれらおよび我らの神ダゴンにくははればなり 009 1SA 005 008 是故に人をつかはしてペリシテ人の諸君主を集めていひけるはイスラエルの神の櫃をいかにすべきや彼らいひけるはイスラエルの神のはこはガテに移さんと遂にイスラエルの神のはこをうつす 009 1SA 005 009 之をうつせるのち神の手其邑にくははりて滅亡るもの甚だおほし即ち老たると幼とをいはず邑の人をうちたまひて腫物人々におこれり 009 1SA 005 010 是において神のはこをエクロンにおくりたるに神の櫃エクロンにいたりしときエクロン人さけびていひけるは我等とわが民をころさんとてイスラエルの神のはこを我等にうつすと 009 1SA 005 011 かくて人を遣してペリシテ人の諸君主をあつめていひけるはイスラエルの神の櫃をおくりて本のところにかへさん然らば我等とわが民をころすことなからん蓋は邑中に恐ろしき滅亡おこり神の手甚だおもく其處にくははればなり 009 1SA 005 012 死なざる者は腫物にくるしめられ邑の號呼天に達せり 009 1SA 006 001 ヱホバの櫃七月のあひだペリシテ人の國にあり 009 1SA 006 002 ペリシテ人祭司と卜筮師をよびていひけるは我らヱホバの櫃をいかがせんや如何にして之をもとの所にかへすべきか我らにつげよ 009 1SA 006 003 答へけるはイスラエルの神の櫃をかへすときはこれを空しくかへすなかれ必らず彼に過祭をなすべし然なさば汝ら愈ことをえ且彼の手の汝らをはなれざる故を知にいたらん 009 1SA 006 004 人々いひけるは如何なる過祭を彼になすべきや答へけるはペリシテ人の諸君主の數にしたがひて五の金の腫物と五の金の鼠をつくれ是は汝ら皆と汝らの諸伯におよべる災は一なるによる 009 1SA 006 005 汝らの腫物の像および地をあらす鼠の像をつくりイスラエルの神に榮光を皈すべし庶幾はその手を汝等およびなんぢらの神と汝等の地にくはふることを軽くせん 009 1SA 006 006 汝らなんぞエジプト人とパロの其心を頑にせしごとくおのれの心をかたくなにするや神かれらの中に數度其力をしめせしのち彼ら民をゆかしめ民つひにさりしにあらずや 009 1SA 006 007 されば今あたらしき車一輛をつくり乳牛のいまだ軛をつけざるもの二頭をとり其牛を車に繋ぎ其犢をはなして家につれゆき 009 1SA 006 008 ヱホバの櫃をとりて之を其車に載せ汝らが過祭として彼になす金の製作物を檟にをさめて其傍におき之をおくりて去らしめ 009 1SA 006 009 しかして見よ若し其境のみちよりベテシメシにのぼらばこの大なる災を我らになせるものは彼なり若ししかせずば我等をうちしは彼の手にあらずしてそのことの偶然なりしをしるべし 009 1SA 006 010 人々つひに斯なし二つの乳牛をとりて之を車につなぎその犢を室にとぢこめ 009 1SA 006 011 ヱホバの櫃および金の鼠と其腫物の像ををさめたる檟を車に載す 009 1SA 006 012 牝牛直にあゆみてベテシメシの路をゆき鳴つつ大路をすすみゆきて右左にまがらずペリシテ人の君主ベテシメシの境まで其うしろにしたがひゆけり 009 1SA 006 013 時にベテシメシ人谷に麥を刈り居たりしが目をあげて其櫃をみ之を見るをよろこべり 009 1SA 006 014 車ベテシメシ人ヨシユアの田にいりて其處にとどまる此に大なる石あり人々車の木を劈り其牝牛を燔祭としてヱホバにささげたり 009 1SA 006 015 レビの人ヱホバの櫃とこれとともなる檟の金の製作物ををさめたる者をとりおろし之を其大石のうへにおくしかしてベテシメシ人此日ヱホバに燔祭をそなへ犠牲をささげたり 009 1SA 006 016 ペリシテ人の五人の君主これを見て同じ日にエクロンにかへれり 009 1SA 006 017 さてペリシテ人が過祭としてヱホバにたせし金の腫物はこれなり即ちアシドドのために一ガザのために一アシケロンのために一ガテのために一エクロンのために一なりき 009 1SA 006 018 また金の鼠は城邑と郷里をいはず凡て五人の君主に屬するペリシテ人の邑の數にしたがひて造れりヱホバの櫃をおろせし大石今日にいたるまでベテシメシ人ヨシユアの田にあり 009 1SA 006 019 ベテシメシの人々ヱホバの櫃をうかがひしによりヱホバこれをうちたまふ即ち民の中七十人をうてりヱホバ民をうちて大にこれをころしたまひしかば民なきさけべり 009 1SA 006 020 ベテシメシ人いひけるは誰かこの聖き神たるヱホバのまへに立つことをえんヱホバ我らをはなれて何人のところにのぼりゆきたまふべきや 009 1SA 006 021 かくて使者をキリアテヤリムの人に遣はしていひけるはペリシテ人ヱホバの櫃をかへしたれば汝らくだりて之を汝らの所に携へのぼるべし 009 1SA 007 001 キリアテヤリムの人來りヱホバのはこを携へのぼりこれを山のうへなるアビナダブの家にもちきたり其子エレアザルを聖てヱホバの櫃をまもらしむ 009 1SA 007 002 其櫃キリアテヤリムにとどまること久しくして二十年をへたりイスラエルの全家ヱホバをしたひて歎けり 009 1SA 007 003 時にサムエル、イスラエルの全家に告ていひけるは汝らもし一心を以てヱホバにかへり異る神とアシタロテを汝らの中より棄て汝らの心をヱホバに定め之にのみ事へなばヱホバ汝らをペリシテ人の手より救ひださん 009 1SA 007 004 ここにおいてイスラエルの人々バアルとアシタロテをすててヱホバにのみ事ふ 009 1SA 007 005 サムエルいひけるはイスラエル人をことごとくミズパにあつめよ我汝らのためにヱホバにいのらん 009 1SA 007 006 かれらミズパに集り水を汲て之をヱホバのまへに注ぎ其日斷食して彼處にいひけるは我等ヱホバに罪ををかしたりとサムエル、ミズパに於てイスラエルの人を鞫く 009 1SA 007 007 ペリシテ人イスラエルの人々のミズパに集れるを聞しかばペリシテ人の諸君主イスラエルにせめのぼれりイスラエル人これを聞てペリシテ人をおそれたり 009 1SA 007 008 イスラエルの人々サムエルに云けるは我らのために我らの神ヱホバに祈ることをやむるなかれ然らばヱホバ我らをペリシテ人の手よりすくひいださん 009 1SA 007 009 サムエル哺乳羊をとり燔祭となしてこれをまつたくヱホバにささぐまたサムエル、イスラエルのためにヱホバにいのりければヱホバこれにこたへたまふ 009 1SA 007 010 サムエル燔祭をささげ居し時ペリシテ人イスラエル人と戰はんとて近づきぬ是日ヱホバ大なる雷をくだしペリシテ人をうちて之を亂し賜ければペリシテ人イスラエル人のまへに敗れたり 009 1SA 007 011 イスラエル人ミズパをいでてペリシテ人をおひ之をうちてベテカルの下にいたる 009 1SA 007 012 サムエル一の石をとりてミズパとセンの間におきヱホバ是まで我らを助けたまへりといひて其名をエベネゼル(助けの石)と呼ぶ 009 1SA 007 013 ペリシテ人攻伏られて再びイスラエルの境にいらずサムエルの一生のあひだヱホバの手ペリシテ人をふせげり 009 1SA 007 014 ペリシテ人のイスラエルより取たる邑々はエクロンよりガテまでイスラエルにかへりぬまた其周圍の地はイスラエル人これをペリシテ人の手よりとりかへせりまたイスラエル人とアモリ人と好をむすべり 009 1SA 007 015 サムエル一生のあひだイスラエルをさばき 009 1SA 007 016 歳々ベテルとギルガルおよびミズパをめぐりて其處々にてイスラエル人をさばき 009 1SA 007 017 またラマにかへれり此處に其家あり此にてイスラエルをさばき又此にてヱホバに壇をきづけり 009 1SA 008 001 サムエル年老て其子をイスラエルの士師となす 009 1SA 008 002 兄の名をヨエルといひ弟の名をアビヤといふベエルシバにありて士師たり 009 1SA 008 003 其子父の道をあゆまずして利にむかひ賄賂をとりて審判を曲ぐ 009 1SA 008 004 是においてイスラエルの長老みなあつまりてラマにゆきサムエルの許に至りて 009 1SA 008 005 これにいひけるは視よ汝は老い汝の子は汝の道をあゆまずさればわれらに王をたててわれらを鞫かしめ他の國々のごとくならしめよと 009 1SA 008 006 その我らに王をあたへて我らを鞫かしめよといふを聞てサムエルよろこばず而してサムエル、ヱホバにいのりしかば 009 1SA 008 007 ヱホバ、サムエルにいひたまひけるは民のすべて汝にいふところのことばを聽け其は汝を棄るにあらず我を棄て我をして其王とならざらしめんとするなり 009 1SA 008 008 かれらはわがエジプトより救ひいだせし日より今日にいたるまで我をすてて他の神につかへて種々の所行をなせしごとく汝にもまた然す 009 1SA 008 009 然れどもいま其言をきけ但し深くいさめて其治むべき王の常例をしめすべし 009 1SA 008 010 サムエル王を求むる民にヱホバのことばをことごとく告て 009 1SA 008 011 いひけるは汝等ををさむる王の常例は斯のごとし汝らの男子をとり己れのために之をたてて車の御者となし騎兵となしまた其車の前驅となさん 009 1SA 008 012 また之をおのれの爲に千夫長五十夫長となしまた其地をたがへし其作物を刈らしめまた武器と車器とを造らしめん 009 1SA 008 013 また汝らの女子をとりて製香者となし厨婢となし灸麺者となさん 009 1SA 008 014 又汝らの田畝と葡萄園と橄欖園の最も善きところを取て其臣僕にあたへ 009 1SA 008 015 汝らの穀物と汝らの葡萄の什分一をとりて其官吏と臣僕にあたへ 009 1SA 008 016 また汝らの僕婢および汝らの最も善き牛と汝らの驢馬を取ておのれのために作かしめ 009 1SA 008 017 又汝らの羊の十分一をとり又汝らを其僕となさん 009 1SA 008 018 其日において汝等己のために擇みし王のことによりて呼號らんされどヱホバ其日に汝らに聽たまはざるべしと 009 1SA 008 019 然るに民サムエルの言にしたがふことをせずしていひけるは否われらに王なかるべからず 009 1SA 008 020 我らも他の國々の如くになり我らの王われらを鞫きわれらを率て我らの戰にたたかはん 009 1SA 008 021 サムエル民のことばを盡く聞て之をヱホバの耳に告ぐ 009 1SA 008 022 ヱホバ、サムエルにいひたまひけるはかれらのことばを聽きかれらのために王をたてよサムエル、イスラエルの人々にいひけるは汝らおのおの其邑にかへるべし 009 1SA 009 001 茲にベニヤミンの人にてキシと名くる力の大なるものありキシはアビエルの子アビニルはゼロンの子ゼロンはベコラテの子ベコラテはアビヤの子アビヤはベニヤミンの子なり 009 1SA 009 002 キシにサウルと名くる子あり壯にして美はしイスラエルの子孫の中に彼より美はしき者たく肩より上民のいづれの人よりも高し 009 1SA 009 003 サウルの父キシの驢馬失ぬキシ其子サウルにいひけるは一人の僕をともなひ起ちてゆき驢馬を尋ねよ 009 1SA 009 004 サウル、ニフライムの山地を通り過ぎシヤリシヤの地を通りすぐれども見あたらずシヤリムの地を通りすぐれども居らずベニヤミンの地をとほりすぐれども見あたらず 009 1SA 009 005 かれらツフの地にいたれる時サウル其ともなへる僕にいひけるはいざ還らん恐らくはわが父驢馬の事を措て我等の事を思ひ煩はん 009 1SA 009 006 僕これにいひけるは此邑に神の人あり尊き人にして其言ふところは皆必らず成る我らかしこにいたらんかれ我らがゆくべき路をわれらにしめすことあらん 009 1SA 009 007 サウル僕にいひけるは我らもしゆかば何を其人におくらんか器のパンは旣に罄て神の人におくるべき禮物あらず何かあるや 009 1SA 009 008 僕またサウルにこたへていひけるは視よわが手に銀一シケルの四分の一あり我これを神の人にあたへて我らに路をしめさしめんと 009 1SA 009 009 昔しイスラエルにおいては人神にとはんとてゆく時はいざ先見者にゆかんといへり其は今の預言者は昔しは先見者とよばれたればなり 009 1SA 009 010 サウル僕にいひけるは善くいへりいざゆかんとて神の人のをる邑におもむけり 009 1SA 009 011 かれら邑にいる坂をのぼれる時童女數人の水くみにいづるにあひ之にいひけるは先見者は此にをるや 009 1SA 009 012 答ていひけるはをる視よ汝のまへにをる急ぎゆけ今日民崇邱にて祭をなすにより彼けふ邑にきたれり 009 1SA 009 013 汝ら邑にる時かれが崇邱にのぼりて食に就くまへに直ちにかれにあはん其は彼まづ祭品を祝してしかるのち招かれたる者食ふべきに因りかれが來るまでは民食はざるなり故に汝らのぼれ今かれにあはんと 009 1SA 009 014 かれら邑にのぼりて邑のなかにいるとき視よサムエル崇邱にのぼらんとてかれらにむかひて出きたりぬ 009 1SA 009 015 ヱホバ、サウルのきたる一日まへにサムエルの耳につげていひたまひけるは 009 1SA 009 016 明日いまごろ我ベニヤミンの地より一箇の人を汝につかはさん汝かれに膏を注ぎてわが民イスラエルの長となせかれわが民をペリシテ人の手より救ひいださんわが民のさけび我に達せしにより我是をかへりみるなり 009 1SA 009 017 サムエル、サウルを見るときヱホバこれにいひたまひけるは視よわが汝につげしは此人なり是人わが民ををさむべし 009 1SA 009 018 サウル門の中にてサムエルにちかづきいひけるは先見者の家はいづくにあるや請ふ我につげよ 009 1SA 009 019 サムエル、サウルにこたへていひけるは我はすなはち先見者なり汝わがまへにゆきて崇邱にのぼれ汝ら今日我とともに食す可し明日われ汝をさらしめ汝の心にあることを悉く汝にしめさん 009 1SA 009 020 三日まへに失たる汝の驢馬は旣に見あたりたれば之をおもふなかれ抑もイスラエルの總ての寶は誰の者なるや即ち汝と汝の父の家のものならずや 009 1SA 009 021 サウルこたへていひけるは我はイスラエルの支派の最も小き支派なるベニヤミンの人にしてわが族はベニヤミンの支派の諸の族の最も小き者に非やなんぞ斯る事を我にかたるや 009 1SA 009 022 サムエル、サウルと其僕をみちびきて堂にいり招かれたる三十人ばかりの者の中の最も上に坐せしむ 009 1SA 009 023 サムエル庖人にいひけるはわが汝にわたして汝の許におけといひし分をもちきたれ 009 1SA 009 024 庖人肩と肩に屬る者をとりあげて之をサウルのまへに置くサムエルいひけるは視よ是は存へおきたる物なり汝のまへにおきて食へ其はわれ民をまねきし時よりこれを汝の爲にたくはへおきたればなりかくてサウル此日サムエルとともに食せり 009 1SA 009 025 崇邱をくだりて邑にいりし時サムエル、サウルとともに屋背の上にてものがたる 009 1SA 009 026 かれら早くおく即ちサムエル曙に屋背の上なるサウルをよびていけるは起よわれ汝をかへさんとサウルすなはちおきあがるサウルとサムエルともに外にいで 009 1SA 009 027 邑の極處にくだれるときサムエル、サウルにいひけるは僕に命じて我等の先にゆかしめよ(僕先にゆく)しかして汝暫くとどまれ我汝に神の言をしめさん 009 1SA 010 001 サムエルすなはち膏の瓶をとりてサウルの頭に沃ぎ口接して曰けるはヱホバ汝をたてて其產業の長となしたまふにあらずや 009 1SA 010 002 汝今日我をはなれて去りゆく時ベニヤミンの境のゼルザにあるラケルの墓のかたはらにて二人の人にあふべしかれら汝にいはん汝がたづねにゆきし驢馬は見あたりぬ汝の父驢馬のことをすてて汝らのことをおもひわづらひわが子の事をいかがすべきやといへりと 009 1SA 010 003 其處より汝尚すすみてタボルの橡の樹のところにいたらんに彼處にてベテルにのぼり神にまうでんとする三人の者汝にあはん一人は三頭の山羊羔を携へ一人は三團のパンをたづさへ一人は一嚢の酒をたづさふ 009 1SA 010 004 かれら汝に安否をとひ二團のパンを汝にあたへん汝之を其手よりうくべし 009 1SA 010 005 其の後汝神のギベアにいたらん其處にペリシテ人の代官あり汝彼處にゆきて邑にいるとき一群の預言者の瑟と鼗と笛と琴を前に執らせて預言しつつ崇邱をくだるにあはん 009 1SA 010 006 其の時神のみたま汝にのぞみて汝かれらとともに預言し變りて新しき人とならん 009 1SA 010 007 是らの徴汝の身におこらば手のあたるにまかせて事を爲すべし神汝とともにいませばなり 009 1SA 010 008 汝我にさきだちてギルガルにくだるべし我汝の許にくだりて燔祭を供へ酬恩祭を献げんわが汝のもとに至り汝の爲すべきことを示すまで汝七日のあひだ待つべし 009 1SA 010 009 サケウル背をかへしてサムエルを離れし時神之に新しき心をあたへたまふしかして此しるし皆其日におこれり 009 1SA 010 010 ふたり彼處にゆきてギベアにいたれるときみよ一群の預言者これにあふしかして神の霊サウルにのぞみてサウルかれらの中にありて預言せり 009 1SA 010 011 素よりサウルを識る人々サウルの預言者と偕に預言するを見て互ひにいひけるはキシの子サウル今何事にあふやサウルも預言者の中にあるやと 009 1SA 010 012 其處の人ひとり答へて彼等の父は誰ぞやといふ是故にサウルも預言者の中にあるやといふは諺となれり 009 1SA 010 013 サウル預言を終て崇邱にいたるに 009 1SA 010 014 サウルの叔父サウルと僕にいひけるは汝ら何處にゆきしやサウルいひけるは驢馬を尋ねに出しが何處にもをらざるを見てサムエルの許にいたれり 009 1SA 010 015 サウルの叔父いひけるはサムエルは汝に何をいひしか請ふ我につげよ 009 1SA 010 016 サウル叔父にいひけるは明かに驢馬の見あたりしを告げたりと然れどもサムエルが言る國王の事はこれにつげざりき 009 1SA 010 017 サムエル民をミヅパにてヱホバのまへに集め 009 1SA 010 018 イスラエルの子孫にいひけるはイスラエルの神ヱホバ斯くいひたまふ我イスラエルをみちびきてエジプトより出し汝らをエジプト人の手および凡て汝らを虐遇る國人の手より救ひいだせり 009 1SA 010 019 然るに汝らおのれを患難と難苦のうちより救ひいだしたる汝らの神を棄て且否われらに王をたてよといへり是故にいま汝等の支派と群にしたがひてヱホバのまへに出よ 009 1SA 010 020 サムエル、イスラエルの諸の支派を呼よせし時ベニヤミンの支派籤にあたりぬ 009 1SA 010 021 またベニヤミンの支派を其族のかずにしたがひて呼よせしときマテリの族籤にあたりキシの子サウル籤にあたれり人々かれを尋ねしかども見出ざれば 009 1SA 010 022 またヱホバに其人は此に來るや否やを問しにヱホバ答たまはく視よ彼は行李のあひだにかくると 009 1SA 010 023 人々はせゆきて彼を其處よりつれきたれり彼民の中にたつに肩より以上民の何の人よりも高かりき 009 1SA 010 024 サムエル民にいひけるは汝らヱホバの擇みたまひし人を見るか民のうちに是人の如き者とし民みなよばはりいひけるは願くは王いのちながかれ 009 1SA 010 025 時にサムエル王國の典章を民にしめして之を書にしるし之をヱホバのまへに蔵めたりしかしてサムエル民をことごとく其家にかへらしむ 009 1SA 010 026 サウルもまたギベアの家にかへるに神に心を感ぜられたる勇士等これとともにゆけり 009 1SA 010 027 然れども邪なる人々は彼人いかで我らを救はんやといひて之を蔑視り之に禮物をおくらざりしかどサウルは唖のごとくせり 009 1SA 011 001 アンモニ人ナハシ、ギレアデのヤベシにのぼりて之を圍むヤベシの人々ナハシにいひけるは我らと約をなせ然らば汝につかへん 009 1SA 011 002 アンモニ人ナハシこれに答へけるは我かくして汝らと約をなさん即ち我汝らの右の目を抉りてイスラエルの全地に恥辱をあたへん 009 1SA 011 003 ヤベシの長老これにいひけるは我らに七日の猶予をあたへて使をイスラエルの四方の境におくることを得さしめよ而して若し我らを救ふ者なくば我ら汝にくだらん 009 1SA 011 004 斯て使サウルのギベアにいたり此事を民の耳に告しかば民皆聲をあげて哭きぬ 009 1SA 011 005 爰にサウル田より牛にしたがひて來るサウルいひけるは民何によりて哭くやと人々これにヤベシ人の事を告ぐ 009 1SA 011 006 サウル之を聞るとき神の霊これに臨みてその怒甚だしく燃えたち 009 1SA 011 007 一軛の牛をころしてこれを切り割き使の手をもてこれをイスラエルの四方の境にあまねくおくりていはしめけるは誰にてもサウルとサムエルにしたがひて出ざる者は其牛かくのごとくせらるべしと民ヱホバを畏み一人のごとく均くいでたり 009 1SA 011 008 サウル、ベゼクにてこれを數ふるにイスラエルの子孫三十萬ユダの人三萬ありき 009 1SA 011 009 斯て人々來れる使にいひけるはギレアデのヤベシの人にかくいへ明日日の熱き時汝ら助を得んと使かへりてヤベシ人に告げければ皆よろこびぬ 009 1SA 011 010 是をもてヤベシの人云けるは明日汝らに降らん汝らの善と思ふところを爲せ 009 1SA 011 011 明日サウル民を三隊にわかち暁更に敵の軍の中にいりて日の熱くなる時までアンモニ人をころしければ遺れる者は皆ちりぢりになりて二人倶にあるものなかりき 009 1SA 011 012 民サムエルにいひけるはサウル豈我らの王となるべけんやと言しは誰ぞや其人を引き來れ我ら之をころさん 009 1SA 011 013 サウルいひけるは今日ヱホバ救をイスラエルに施したまひたれば今日は人をころすべからず 009 1SA 011 014 茲にサムエル民にいひけるはいざギルガルに往て彼處にて王國を新にせんと 009 1SA 011 015 民みなギルガルにゆきて彼處にてヱホバのまへにサウルを王となし彼處にて酬恩祭をヱホバのまへに献げサウルとイスラエルの人々皆かしこにて大に祝へり 009 1SA 012 001 サムエル、イスラエルの人々にいひけるは視よ我汝らが我にいひし言をことごとく聽て汝らに王を立たり 009 1SA 012 002 見よ今王汝らのまへにあゆむ我は老て髮しろし視よわが子ども汝らと共にあり我幼稚時より今日にいたるまで汝等のまへにあゆめり 009 1SA 012 003 視よ我ここにありヱホバのまへと其膏そそぎし者のまへに我を訴へよ我誰の牛を取りしや誰の驢馬をとりしや誰を掠めしや誰を虐遇しや誰の手より賄賂をとりてわが目を矇せしや有ば我これを汝らにかへさん 009 1SA 012 004 彼らいひけるは汝は我らをかすめずくるしめず又何をも人の手より取りしことなし 009 1SA 012 005 サムエルかれらにいひけるは汝らが我手のうちに何をも見いださざるをヱホバ汝らに證したまふ其膏そそぎし者も今日證す彼ら答へけるは證したまふ 009 1SA 012 006 サムエル民にいひけるはヱホバはモーセとアロンをたてし者汝らの先祖をエジプトの地より導きいだせしものなり 009 1SA 012 007 立ちあがれヱホバが汝らおよび汝らの先祖になしたまひし諸の義しき行爲につきて我ヱホバのまへに汝らと論ぜん 009 1SA 012 008 ヤコブのエジプトにいたるにおよびて汝らの先祖のヱホバに呼はりし時ヱホバ、モーセとアロンを遣はしたまひて此二人汝らの先祖をエジプトより導きいだして此處にすましめたり 009 1SA 012 009 しかるに彼ら其神ヱホバを忘れしかばヱホバこれをハゾルの軍の長シセラの手とペリシテ人の手およびモアブ王の手にわたしたまへり斯て彼らこれを攻ければ 009 1SA 012 010 民ヱホバに呼はりていひけるは我らヱホバを棄てバアルとアシタロテに事へてヱホバに罪を犯したりされど今我らを敵の手より救ひいだしたまへ我ら汝につかへんと 009 1SA 012 011 是においてヱホバ、ヱルバアルとバラクとエフタとサムエルを遣はして汝らを四方の敵の手より救ひいだしたまひて汝ら安らかに住めり 009 1SA 012 012 しかるに汝らアンモンの子孫の王ナハシの汝らを攻んとて來るを見て汝らの神ヱホバ汝らの王なるに汝ら我にいふ否我らををさむる王なかるべからずと 009 1SA 012 013 今汝らが選みし王汝らがねがひし王を見よ視よヱホバ汝らに王をたてたまへり 009 1SA 012 014 汝らもしヱホバを畏みて之につかへ其言にしたがひてヱホバの命にそむかずまた汝らと汝らををさむる王恒に汝らの神ヱホバに從はば善し 009 1SA 012 015 しかれども汝らもしヱホバの言にしたがはずしてヱホバの命にそむかばヱホバの手汝らの先祖をせめしごとく汝らをせむべし 009 1SA 012 016 汝ら今たちてヱホバが爾らの目のまへになしたまふ此大なる事を見よ 009 1SA 012 017 今日は麥刈時にあらずや我ヱホバを呼んヱホバ雷と雨をくだして汝らが王をもとめてヱホバのまへに爲したる罪の大なるを見しらしめたまはん 009 1SA 012 018 かくてサムエル、ヱホバをよびければヱホバ其日雷と雨をくだしたまへり民みな大にヱホバとサムエルを恐る 009 1SA 012 019 民みなサムエルにいひけるは僕らのために汝の神ヱホバにいのりて我らを死なざらしめよ我ら諸の罪にまた王を求むるの惡をくはへたればなり 009 1SA 012 020 サムエル民にいひけるは懼るなかれ汝らこの總ての惡をなしたりされどヱホバに從ふことを息ず心をつくしてヱホバに事へ 009 1SA 012 021 虚しき物に迷ひゆくなかれ是は虚しき物なれば汝らを助くることも救ふことも得ざるなり 009 1SA 012 022 ヱホバ其大なる名のために此民をすてたまはざるべし其はヱホバ汝らをおのれの民となすことを善としたまへばなり 009 1SA 012 023 また我は汝らのために祈ることをやめてヱホバに罪ををかすことは決てせざるべし且われ善き正しき道をもて汝らををしへん 009 1SA 012 024 汝ら只ヱホバをかしこみ心をつくして誠にこれにつかへよ而して如何に大なることをヱホバ汝らになしたまひしかを思ふ可し 009 1SA 012 025 しかれども汝らもしなほ惡をなさば汝らと汝らの王ともにほろぼさるべし 009 1SA 013 001 サウル三十歳にて王の位に即く彼二年イスラエルををさめたり 009 1SA 013 002 爰にサウル、イスラエル人三千を擇む其二千はサウルとともにミクマシおよびベテルの山地にあり其一千はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり其餘の民はサウルおのおの其幕屋にかへらしむ 009 1SA 013 003 ヨナタン、ゲバにあるペリシテ人の代官をころせりペリシテ人之れをきく是においてサウル國中にあまねくラツパを吹ていはしめけるはヘブル人よ聞くべし 009 1SA 013 004 イスラエル人皆聞けるに云くサウル、ペリシテ人の代官を撃りしかしてイスラエル、ペリシテ人の中に惡まると斯て民めされてサウルにしたがひギルガルにいたる 009 1SA 013 005 ペリシテ人イスラエルと戰はんとて集りけるが兵車三百騎兵六千にして民は濱の沙の多きがごとくなりき彼らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに陣をとれり 009 1SA 013 006 イスラエルの人苦められ其危きを見て皆巖穴に林叢に崗巒に高塔に坎阱にかくれたり 009 1SA 013 007 また或るヘブル人はヨルダンを渉りてガドとギレアデの地にいたる然るにサウルは尚ギルガルにあり民皆戰慄て之にしたがふ 009 1SA 013 008 サウル、サムエルの定めし期にしたがひて七日とどまりしがサムエル、ギルガルに來らず民はなれて散ければ 009 1SA 013 009 サウルいひけるは燔祭と酬恩祭を我にもちきたれと遂に燔祭をささげたり 009 1SA 013 010 燔祭をささぐることを終しときに視よサムエルいたるサウル安否を問はんとてこれをいで迎ふに 009 1SA 013 011 サムエルいひけるは汝何をなせしやサウルいひけるは我民の我をはなれてちりまた汝の定まれる日のうちに來らずしてペリシテ人のミクマシに集まれるを見しかば 009 1SA 013 012 ペリシテ人ギルガルに下りて我をおそはんに我いまだヱホバをなごめずといひて勉て燔祭をささげたり 009 1SA 013 013 サムエル、サウルにいひけるは汝おろかなることをなせり汝その神ヱホバのなんぢに命じたまひし命令を守らざりしなり若し守りしならばヱホバ、イスラエルををさむる位を永く汝に定めたまひしならん 009 1SA 013 014 然どもいま汝の位たもたざるべしヱホバ其心に適ふ人を求めてヱホバ之に其民の長を命じたまへり汝がヱホバの命ぜしことを守らざるによる 009 1SA 013 015 かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる 009 1SA 013 016 サウルおのれとともにある民をかぞふるに凡そ六百人ありき 009 1SA 013 017 サウルおよび其子ヨナタン並にこれとともにある民はベニヤミンのゲバに居りペリシテ人はミクマシに陣を張る 009 1SA 013 018 劫掠人三隊にわかれてペリシテ人の陣よりいで一隊はオフラの路にむかひてシユアルの地にいたり 009 1SA 013 019 一隊はベテホロンの道に向ひ一隊は曠野の方にあるゼボイムの谷をのぞむ境の路にむかふ 009 1SA 013 020 時にイスラエルの地のうち何處にも鐵工なかりき是はペリシテ人ヘブル人の劍あるひは槍を作ることを恐れたればなり 009 1SA 013 021 イスラエル人皆其耜鋤斧耒即ち耜鋤三歯鍬斧の錣に缺ありてこれを鍛ひ改さんとする時又は鞭を尖らさんとする時は常にペリシテ人の所にくだれり 009 1SA 013 022 是をもて戰の日にサウルおよびヨナタンとともにある民の手には劍も槍も見えず只サウルと其子ヨナクンのみ持り 009 1SA 013 023 茲にペリシテ人の先陣ミクマシの渡口に進む 009 1SA 014 001 其時サウルの子ヨナタン武器を執る若者にいひけるはいざ對面にあるペリシテ人の先陣に渉りゆかんと然ど其父には告ざりき 009 1SA 014 002 サウル、ギベアの極においてミグロンにある石榴の樹の下に住まりしが倶にある民はおよそ六百人なりき 009 1SA 014 003 又アヒヤ、エポデを衣てともにをるアヒヤはアヒトブの子アヒトブはイカボデの兄弟イカボデばピネハスの子ピネハスはシロにありてヱホバの祭司たりしエリの子なり民ヨナタンの行けるをしらざりき 009 1SA 014 004 ヨナタンの渉りてペリシテ人の先陣にいたらんとする渡口の間に此傍に巉巌あり彼傍にも巉巌あり一の名をボゼツといひ一の名をセネといふ 009 1SA 014 005 其一は北に向ひてミクマシに對し一に南にむかひてゲバに對す 009 1SA 014 006 ヨナタン武器を執る少者にいふいざ我ら此割禮なき者どもの先陣にわたらんヱホバ我らのためにはたらきたまことあらん多くの人をもて救ふも少き人をもてすくふもヱホバにおいては妨げなし 009 1SA 014 007 武器をとるもの之にいひけるは總て汝の心にあるところをなせ進めよ我汝の心にしたがひて汝とともにあり 009 1SA 014 008 ヨナタンいひけるは見よ我らかの人々のところにわたり身をかれらにあらはさん 009 1SA 014 009 かれら若し我らが汝らにいたるまでとどまれと斯く我らにいはば我らはこのままとどまりてかれらの所にのぼらじ 009 1SA 014 010 されど若し我らのところにのぼれとかくいはば我らのぼらんヱホバかれらを我らの手にわたしたまふなり是を徴となさんと 009 1SA 014 011 斯て二人其身をペリシテ人の先陣にあらはしければペリシテ人いひけるは視よヘブル人其かくれたる穴よりいで來ると 009 1SA 014 012 すなはち先陣の人ヨナタンと其武器を執る者にこたへて我等の所に上りきたれ目に物見せんといひしかばヨナタン武器を執る者にいひけるは我にしたがひてのぼれヱホバ彼らをイスラエルの手にわたしたまふなり 009 1SA 014 013 ヨナタン攀のぼり其武器を執るもの之にしたがふペリシテ人ヨナタンのまへに仆る武器をとる者も後にしたがひて之をころす 009 1SA 014 014 ヨナタンと其武器を取るもの手はじめに殺せし者およそ二十人此事田畑半段の内になれり 009 1SA 014 015 しかして野にある陣のものおよび凡ての民の中に戰慄おこり先陣の人および劫掠人もまたおののき地ふるひ動けり是は神よりの戰慄なりき 009 1SA 014 016 ベニヤミンのギベアにあるサウルの戌卒望見しに視よペリシテ人の群衆くづれて此彼にちらばる 009 1SA 014 017 時にサウルおのれとともなる民にいひけるは汝ら點驗て誰が我らの中よりゆきしかを見よとすなはちしらべたるにヨナタンとその武器を執るもの居らざりき 009 1SA 014 018 サウル、アヒヤにエポデを持きたれといふ其はかれ此時イスラエルのまへにエポデを著たれば也 009 1SA 014 019 サウル祭司にかたれる時ペリシテ人の軍の騒いよいよましたりければサウル祭司にいふ姑く汝の手を措けと 009 1SA 014 020 かくてサウルおよびサウルと共にある民皆呼はりて戰ひに至るにペリシテ人おのおの劍を以て互に相撃ちければその敗績はなはだ大なりき 009 1SA 014 021 また此時よりまへにペリシテ人とともにありてペリシテ人と共に上りて陣に來るところのヘブル人もまた翻へりてサウルおよびヨナタンと共にあるイスラエル人に合せり 009 1SA 014 022 又エフライムの山地にかくれたるイスラエル人皆ペリシテ人の逃るを聞てまた戰ひに出て之を追撃り 009 1SA 014 023 是の如くヱホバ此日イスラエルをすくひたまふ而して戰はベテアベンにうつれり 009 1SA 014 024 されど此日イスラエル人苦めり其はサウル民を誓はせて夕まで即ちわが敵に仇をむくゆるまでに食物を食ふ者は呪詛れんと言たればなり是故に民の中に食物を味ひし者なし 009 1SA 014 025 爰に民みな林森に至に地の表に蜜あり 009 1SA 014 026 即ち民森にいたりて蜜のながるるをみる然ども民誓を畏るれば誰も手を口につくる者なし 009 1SA 014 027 然にヨナタンは其父が民をちかはせしを聞ざりければ手にある杖の末をのばして蜜にひたし手を口につけたり是に由て其目あきらかになりぬ 009 1SA 014 028 時に民のひとり答て言けるは汝の父かたく民をちかはせて今日食物をくらふ人は呪詛はれんと言り是に由て民つかれたり 009 1SA 014 029 ヨナタンいひけるはわが父國を煩せり請ふ我この蜜をすこしく嘗しによりて如何にわが目の明かになりしかを見よ 009 1SA 014 030 ましてや民今日敵よりうばひし物を十分に食しならばペリシテ人をころすこと更におほかるべきにあらずや 009 1SA 014 031 イスラエル人かの日ペリシテ人を撃てミクマシよりアヤロンにいたる而して民はなはだ疲たり 009 1SA 014 032 是において民劫掠物に走かかり羊と牛と犢とを取りて之を地のうへにころし血のままに之をくらふ 009 1SA 014 033 人々サウルにつげていひけるは民肉を血のままに食ひて罪をヱホバにをかすとサウルいひけるは汝ら背けり直ちにわがもとに大石をまろばしきたれ 009 1SA 014 034 サウルまたいひけるは汝らわかれて民のうちにいりていへ人各其牛と各其羊をわがもとに引ききたり此處にてころしくらへ血のままにくらひて罪をヱホバに犯すなかれと此において民おのおのこの夜其牛を手にひききたりて之をかしこにころせり 009 1SA 014 035 しかしてサウル、ヱホバに一つの壇をきづく是はサウルのヱホバに壇を築ける始なり 009 1SA 014 036 斯てサウルいひけるは我ら夜のうちにペリシテ人を追くだり夜明までかれらを掠めて一人をも殘すまじ皆いひけるは凡て汝の目に善とみゆる所をなせと時に祭司いひけるは我ら此にちかより神にもとめんと 009 1SA 014 037 サウル神に我ペリシテ人をおひくだるべきか汝かれらをイスラエルの手にわたしたまふやと問けれど此日はこたへたまはざりき 009 1SA 014 038 是においてサウルいひけるは民の長たちよ皆此にちかよれ汝らみて今日のこの罪のいづくにあるを知れ 009 1SA 014 039 イスラエルを救ひたまへるヱホバはいく假令わが子ヨナタンにもあれ必ず死なざるべからずとされど民のうち一人もこれにこたへざりき 009 1SA 014 040 サウル、イスラエルの人々にいひけるはなんぢらは彼處にをれ我とわが子ヨナタンは此處にをらんと民いひけるは汝の目によしとみゆるところをなせ 009 1SA 014 041 サウル、イスラエルの神ヱホバにいひけるはねがはくは眞實をしめしたまへとかくてヨナタンとサウル籤にあたり民はのがれたり 009 1SA 014 042 サウルいひけるは我とわが子のあひだの鬮を掣けと即ちヨナタンこれにあたれり 009 1SA 014 043 サウル、ヨナタンにいひけるは汝がなせしところを我に告よヨナタンつげていひけるは我は只わが手の杖の末をもて少許の蜜をなめしのみなるが我しなざるをえず 009 1SA 014 044 サウルこたへけるは神かくなしまたかさねてかくなしたまヘヨナタンよ汝死ざるべからず 009 1SA 014 045 民サウルにいひけるはイスラエルの中に此大なるすくひをなせるヨナタン死ぬべけんや決めてしからずヱホバは生くヨナタンの髮の毛ひとすぢも地におつべからず其はかれ神とともに今日はたらきたればなりとかく民ヨナタンをすくひて死なざらしむ 009 1SA 014 046 サウル、ペリシテ人を追ことを息てのぼりぬペリシテ人其國にかへれり 009 1SA 014 047 かくてサウル、イスラエルの王の位につきて四方の敵を攻む即ちモアブ、アンモンの子孫エドム、ゾバの王たちおよびペリシテ人をせめけるに凡てむかふところにて勝利を得たり 009 1SA 014 048 サウル力をえアマレク人をうちてイスラエルを其劫掠人の手よりすくひいだせり 009 1SA 014 049 サウルの男子はヨナタン、ヱスイおよびマルキシユアなり其二人の女子の名は姉はメラブといひ妹はミカルといふ 009 1SA 014 050 サウルの妻の名はアヒノアムといひてアヒマアズの女子なり其軍の長の名はアブネルといひてサウルの叔父なるネルの子なり 009 1SA 014 051 サウルの父キシとアブネルの父ネルはアビエルの子なり 009 1SA 014 052 サウルの一生のあひだ恒にペリシテ人と烈しき戰ありサウルは力ある人または勇ある人を見るごとにこれをかかへたり 009 1SA 015 001 茲にサムエル、サウルにいひけるはヱホバ我をつかはし汝に膏を沃ぎて其民イスラエルの王となさしめたりさればヱホバの言の聲をきけ 009 1SA 015 002 萬軍のヱホバかくいひたまふ我アマレクがイスラエルになせし事すなはちエジプトよりのぼれる時其途を遮りしをかへりみる 009 1SA 015 003 今ゆきてアマレクを撃ち其有る物をことごとく滅しつくし彼らを憐むなかれ男女童稚哺乳兒牛羊駱駝驢馬を皆殺せ 009 1SA 015 004 サウル民をよびあつめてこれをテライムに核ふ歩兵二十萬ユダの人一萬あり 009 1SA 015 005 しかしてサウル、アマレクの邑にいたりて谷に兵を伏たり 009 1SA 015 006 サウル、ケニ人にいひけるは汝らゆきてさりアマレク人をはなれくだるべし恐らくはかれらとともに汝らをほろぼすにいたらんイスラエルの子孫のエジプトよりのぼれる時汝らこれに恩みをほどこしたりと即ちケニ人アマレク人をはなれてさりぬ 009 1SA 015 007 サウル、アマレク人をうちてハビラよりエジプトの東面なるシユルにいたる 009 1SA 015 008 サウル、アマレク人の王アガグを生擒り刃をもて其民をことごとくほろぼせり 009 1SA 015 009 然ども、サウルと民アガグをゆるしまた羊と牛の最も嘉きもの及び肥たる物並に羔と凡て善き物を殘して之をほろぼしつくすをこのまず但惡き弱き物をほろぼしつくせり 009 1SA 015 010 時にヱホバの言サムエルにのぞみていはく 009 1SA 015 011 我サウルを王となせしを悔ゆ其は彼背きて我にしたがはずわが命をおこなはざればなりとサムエル憂て終夜ヱホバによばはれり 009 1SA 015 012 かくてサムエル、サウルにあはんとて夙く起きけるにサムエルにつぐるものありていふサウル、カルメルにいたり勝利の表を立て轉り進みてギルガルにくだれりと 009 1SA 015 013 サムエル、サウルの許に至りければサウルこれにいひけるは汝がヱホバより福祉を得んことをねがふ我ヱホバの命を行へりと 009 1SA 015 014 サムエルいひけるは然らばわが耳にいる此羊の聲およびわがきく牛のこゑは何ぞや 009 1SA 015 015 サウルいひけるは人々これをアマレク人のところより引ききたれり其は民汝の神ヱホバにささげんために羊と牛の最も嘉きものをのこせばなり其ほかは我らほろぼしつくせり 009 1SA 015 016 サムエル、サウルにいけるは止まれ昨夜ヱホバの我にかたりたまひしことを汝につげんサウルいひけるはいへ 009 1SA 015 017 サムエルいひけるはさきに汝が微き者とみづから憶へる時に爾イスラエルの支派の長となりしに非ずや即ちヱホバ汝に膏を注いでイスラエルの王となせり 009 1SA 015 018 ヱホバ汝を途に遣はしていひたまはく往て惡人なるアマレク人をほろぼし其盡るまで戰へよと 009 1SA 015 019 何故に汝ヱホバの言をきかずして敵の所有物にはせかかりヱホバの目のまへに惡をなせしや 009 1SA 015 020 サウル、サムエルにひけるは我誠にヱホバの言にしたがひてヱホバのつかはしたまふ途にゆきアマレクの王アガグを執きたりアマレクをほろぼしつくせり 009 1SA 015 021 ただ民其ほろぼしつくすべき物の最初としてギルガルにて汝の神ヱホバにささげんとて敵の物の中より羊と牛をとれり 009 1SA 015 022 サムエルいひけるはヱホバはその言にしたがふ事を善したまふごとく燔祭と犠牲を善したまふや夫れ順ふ事は犠牲にまさり聽く事は牡羔の脂にまさるなり 009 1SA 015 023 其は違逆は魔術の罪のごとく抗戻は虚しき物につかふる如く偶像につかふるがごとし汝ヱホバの言を棄たるによりヱホバもまた汝をすてて王たらざらしめたまふ 009 1SA 015 024 サウル、サムエルにいひけるに我ヱホバの命と汝の言をやぶりて罪ををかしたり是は民をおそれて其言にしたがひたるによりてなり 009 1SA 015 025 されば今ねがはくはわがつみをゆるし我とともにかへりて我をしてヱホバを拝することをえさしめよ 009 1SA 015 026 サムエル、サウルにいひけるは我汝とともにかへらじ汝ヱホバの言を棄たるによりヱホバ汝をすててイスラエルに王たらしめたまはざればなり 009 1SA 015 027 サムエル去らんとて振還しときサウルその明衣の裾を捉へしかば裂たり 009 1SA 015 028 サムエルかれにいひけるは今日ヱホバ、イスラエルの國を裂て汝よりはなし汝の隣なる汝より善きものにこれをあたへたまふ 009 1SA 015 029 またイスラエルの能力たる者は謊らず悔ず其はかれは人にあらざればくゆることなし 009 1SA 015 030 サウルいひけるは我罪ををかしたれどねがはくはわが民の長老のまへおよびイスラエルのまへにて我をたふとみて我とともにかへり我をして汝の神ヱホバを拝むことをえさしめよ 009 1SA 015 031 ここにおいてサムエル、サウルにしたがひてかへるしかしてサウル、ヱホバを拝む 009 1SA 015 032 時にサムエルいひけるは汝らわが許にアマレクの王アガグをひききたれとアガグ喜ばしげにサムエルの許にきたりアガグいひけるは死の苦みは必ず過さりぬ 009 1SA 015 033 サムエルいひけるに汝の劍はおほくの婦人を子なき者となせりかくのごとく汝の母は婦人の中の最も子なき者となるべしとサムエル、ギルガルにてヱホバのまへにおいてアガグを斬り 009 1SA 015 034 かくてサムエルはラマにゆきサウルはサウルのギベアにのぼりてその家にいたる 009 1SA 015 035 サムエル其しぬる日までふたたびきたりてサウルをみざりきしかれどもサムエル、サウルのためにかなしめりまたヱホバはサウルをイスラエルの王となせしを悔たまへり 009 1SA 016 001 爰にヱホバ、サムエルにいひたまひけるは我すでにサウルを棄てイスラエルに王たらしめざるに汝いつまでかれのために歎くや汝の角に膏油を滿してゆけ我汝をベテレヘム人ヱサイの許につかはさん其は我其子の中にひとりの王を尋ねえたればなり 009 1SA 016 002 サムエルいひけるは我いかで往くことをえんサウル聞て我をころさんヱホバいひたまひけるは汝一犢を携へゆきて言へヱホバに犠牲をささげんために來ると 009 1SA 016 003 しかしてヱサイを犠牲の場によべ我汝が爲すべき事をしめさん我汝に告るところの人に膏をそそぐ可し 009 1SA 016 004 サムエル、ヱホバの語たまひしごとくなしてベテレヘムにいたる邑の長老おそれて之をむかへいひけるは汝平康なる事のためにきたるや 009 1SA 016 005 サムエルいひけるは平康なることのためなり我はヱホバに犠牲をささげんとてきたる汝ら身をきよめて我とともに犠牲の場にきたれと斯てヱサイと其諸子を潔めて犠牲の場によびきたる 009 1SA 016 006 かれらが至れる時サムエル、エリアブを見ておもへらくヱホバの膏そそぐものは必ず此人ならんと 009 1SA 016 007 しかるにヱホバ、サムエルにいひたまひけるは其容貌と身長を觀るなかれ我すでにかれをすてたりわが視るところは人に異なり人は外の貌を見ヱホバは心をみるなり 009 1SA 016 008 ヱサイ、ヘアビナダブをよびてサムエルのまへを過しむサムエルいひけるは此人もまたヱホバ擇みたまはず 009 1SA 016 009 ヱサイ、シヤンマを過しむサムエルいひけるは此人もまたヱホバえらみたまはず 009 1SA 016 010 ヱサイ其七人の子をしてサムエルの前をすぎしむサムエル、ヱサイにいふヱホバ是等をえらみたまはず 009 1SA 016 011 サムエル、ヱサイにいひけるは汝の男子は皆此にをるやヱサイいひけるは尚季子のこれり彼は羊を牧をるなりとサムエル、ヱサイにいひけるは彼を迎へきたらしめよかれが此にいたるまでは我ら食に就かざるべし 009 1SA 016 012 是において人をつかはしてかれをつれきたらしむ其人色赤く目美しくして其貌麗しヱホバいひたまひけるは起てこれにあぶらを沃げ是其人なり 009 1SA 016 013 サムエル膏の角をとりて其兄弟の中にてこれに膏をそそげり此日よりのちヱホバの霊ダビデにのぞむサムエルはたちてラマにゆけり 009 1SA 016 014 かくてヱホバの霊サウルをはなれヱホバより來る惡鬼これを惱せり 009 1SA 016 015 サウルの臣僕これにいひけるは視よ神より來れる惡鬼汝をなやます 009 1SA 016 016 ねがはくはわれらの主汝のまへにつかふる臣僕に命じて善く琴を鼓く者一人を求めしめよ神よりきたれる惡鬼汝に臨む時彼手をもて琴を鼓て汝いゆることをえん 009 1SA 016 017 サウル臣僕にいひけるはわがために巧に鼓琴者をたづねてわがもとにつれきたれ 009 1SA 016 018 時に一人の少者こたへていひけるは我ベテレヘム人ヱサイの子を見しが琴に巧にしてまた豪氣して善くたたかふ辯舌さはやかなる美しき人なりかつヱホバこれとともにいます 009 1SA 016 019 サウルすなはち使者をヱサイにつかはしていひけるは羊をかふ汝の子ダビデをわがもとに遣はせと 009 1SA 016 020 ヱサイすなはち驢馬にパンを負せ一嚢の酒と山羊の羔を執りてこれを其子ダビデの手によりてサウルにおくれり 009 1SA 016 021 ダビデ、サウルの許にいたりて其まへに事ふサウル大にこれを愛し其武器を執る者となす 009 1SA 016 022 サウル人をヱサイにつかはしていひけるはねがはくはダビデをしてわが前に事へしめよ彼はわが心にかなへりと 009 1SA 016 023 神より出たる惡鬼サウルに臨めるときダビデ琴を執り手をもてこれを弾にサウル慰さみて愈え惡鬼かれをはなる 009 1SA 017 001 爰にペリシテ人其軍を集めて戰はんとしユダに屬するシヨコにあつまりシヨコとアゼカの間なるバスダミムに陣をとる 009 1SA 017 002 サウルとイスラエルの人々集まりてエラの谷に陣をとりペリシテ人にむかひて軍の陣列をたつ 009 1SA 017 003 ペリシテ人は此方の山にたちイスラエルは彼方の山にたつ谷は其あひだにあり 009 1SA 017 004 時にペリシテ人の陣よりガテのゴリアテと名くる挑戰者いできたる其身の長六キユビト半 009 1SA 017 005 首に銅の盔を戴き身に鱗綴の鎧甲を着たり其よろひの銅のおもさは五千シケルなり 009 1SA 017 006 また脛には銅の脛當を着け肩の間に銅の矛戟を負ふ 009 1SA 017 007 其槍の柄は機の梁のごとく槍の鋒刃の鐵は六百シケルなり楯を執る者其前にゆく 009 1SA 017 008 ゴリアテ立てイスラエルの諸行伍によばはり云けるは汝らはなんぞ陣列をなして出きたるや我はペリシテ人にして汝らはサウルの臣下にあらずや汝ら一人をえらみて我ところにくだせ 009 1SA 017 009 其人もし我とたたかひて我をころすことをえば我ら汝らの臣僕とならんされど若し我かちてこれを殺さば汝ら我らの僕となりて我らに事ふ可し 009 1SA 017 010 かくて此ペリシテ人いひけるは我今日イスラエルの諸行伍を挑む一人をいだして我と戰はしめよと 009 1SA 017 011 サウルおよびイスラエルみなペリシテ人のこの言を聞き驚きて大に懼れたり 009 1SA 017 012 抑ダビデはかのベテレヘムユダのエフラタ人ヱサイとなづくる者の子なり此人八人の子ありしがサウルの世には年邁みてすでに老たり 009 1SA 017 013 ヱサイの長子三人ゆきてサウルにしたがひて戰爭にいづ其戰にいでし三人の子の名は長をエリアブといひ次をアビナダブといひ第三をシヤンマといふ 009 1SA 017 014 ダビデは季子にして其兄三人はサウルにしたがへり 009 1SA 017 015 ダビデはサウルに往來してベテレヘムにて其父の羊を牧ふ 009 1SA 017 016 彼ペリシテ人四十日のあひだ朝夕近づきて前にたてり 009 1SA 017 017 時にヱサイ其子ダビデにいひけるは今汝の兄のために此烘麥一斗と此十のパンを取りて陣營にをる兄のところにいそぎゆけ 009 1SA 017 018 また此十の乾酪をとりて其千夫の長におくり兄の安否を視て其返事をもちきたれと 009 1SA 017 019 サウルと彼等およびイスラエルの人は皆ペリシテ人とたたかひてエラの谷にありき 009 1SA 017 020 ダビデ朝夙くおきて羊をひとりの牧者にあづけヱサイの命ぜしごとく携へゆきて車營にいたるに軍勢いでて行伍をなし鯨波をあげたり 009 1SA 017 021 しかしてイスラエルとペリシテ人陣列をたてて行伍を行伍に相むかはせたり 009 1SA 017 022 ダビデ其荷をおろして荷をまもる者の手にわたし行伍の中にはせゆきて兄の安否を問ふ 009 1SA 017 023 ダビデ彼等と倶に語れる時視よペリシテ人の行伍よりガテのペリシテのゴリアテとなづくる彼の挑戰者のぼりきたり前のことばのごとく言しかばダビデ之を聞けり 009 1SA 017 024 イスラエルの人其人を見て皆逃て之をはなれ痛く懼れたり 009 1SA 017 025 イスラエルの人いひけるは汝らこののぼり來る人を見しや誠にイスラエルを挑んとて上りきたるなり彼をころす人は王大なる富を以てこれをとまし其女子をこれにあたへて其父の家にはイスラエルの中にて租税をまぬかれしめん 009 1SA 017 026 ダビデ其傍にたてる人々にかたりていひけるは此ペリシテ人をころしイスラエルの耻辱を雪ぐ人には如何なることをなすや此割禮なきペリシテ人は誰なればか活る神の軍を搦む 009 1SA 017 027 民まへのごとく答へていひけるはかれを殺す人には斯のごとくせらるべしと 009 1SA 017 028 兄エリアブ、ダビデが人々とかたるを聞しかばエリアブ、ダビデにむかひて怒りを發しいひけるは汝なにのために此に下りしや彼の野にあるわづかの羊を誰にあづけしや我汝の傲慢と惡き心を知る其は汝戰爭を見んとて下ればなり 009 1SA 017 029 ダビデいひけるは我今なにをなしたるや只一言にあらずやと 009 1SA 017 030 又ふりむきて他の人にむかひ前のごとく語れるに民まへのごとく答たり 009 1SA 017 031 人々ダビデが語れる言をききてこれをサウルのまへにつげければサウルかれを召す 009 1SA 017 032 ダビデ、サウルにいひけるは人々かれがために氣をおとすべからず僕ゆきてかのペリシテ人とたたかはん 009 1SA 017 033 サウル、ダビデにいひけるは汝はかのペリシテ人をむかへてたたかふに勝ず其は汝は少年なるにかれは若き時よりの戰士なればなり 009 1SA 017 034 ダビデ、サウルにいひけるは僕さきに父の羊を牧るに獅子と熊と來りて其群の羔を取たれば 009 1SA 017 035 其後をおひて之を搏ち羔を其口より援ひいだせりしかして其獣我に猛りかかりたれば其鬚をとらへてこれを撃ちころせり 009 1SA 017 036 僕は旣に獅子と熊とを殺せり此割禮なきペリシテ人活る神の軍をいどみたれば亦かの獣の一のごとくなるべし 009 1SA 017 037 ダビデまたいひけるはヱホバ我を獅子の爪と熊の爪より援ひいだしたまひたれば此ペリシテ人の手よりも援ひいだしたまはんとサウル、ダビデにいふ往けねがはくはヱホバ汝とともにいませ 009 1SA 017 038 是においてサウルおのれの戎衣をダビデに衣せ銅の盔を其首にかむらせ亦鱗綴の鎧をこれにきせたり 009 1SA 017 039 ダビデ戎衣のうへに劍を佩て往かんことを試む未だ驗せしことなければなりしかしてダビデ、サウルにいひけるは我いまだ驗せしことなければ是を衣ては往くあたはずと 009 1SA 017 040 ダビデこれを脱ぎすて手に杖をとり谿間より五の光滑なる石を拾ひて之を其持てる牧羊者の具なる袋に容れ手に投石索を執りて彼ペリシテ人にちかづく 009 1SA 017 041 ペリシテ人進みきてダビデに近づけり楯を執るもの其まへにあり 009 1SA 017 042 ペリシテ人環視てダビデを見て之を藐視る其は少くして赤くまた美しき貌なればなり 009 1SA 017 043 ペリシテ人ダビデにいひけるは汝杖を持てきたる我豈犬ならんやとペリシテ人其神の名をもってダビデを呪詛ふ 009 1SA 017 044 しかしてペリシテ人ダビデにいひけるは我がもとに來れ汝の肉を空の鳥と野の獣にあたへんと 009 1SA 017 045 ダビデ、ペリシテ人にいひけるは汝は劍と槍と矛戟をもて我にきたる然ど我は萬軍のヱホバの名すなはち汝が搦みたるイスラエルの軍の神の名をもて汝にゆく 009 1SA 017 046 今日ヱホバ汝をわが手に付したまはんわれ汝をうちて汝の首級を取りペリシテ人の軍勢の尸體を今日空の鳥と地の野獣にあたへて全地をしてイスラエルに神あることをしらしめん 009 1SA 017 047 且又この群衆みなヱホバは救ふに劍と槍を用ひたまはざることをしるにいたらん其は戰はヱホバによれば汝らを我らの手にわたしたまはんと 009 1SA 017 048 ペリシテ人すなはち立あがり進みちかづきてダビデをむかへしかばダビデいそぎ陣にはせゆきてペリシテ人をむかふ 009 1SA 017 049 ダビデ手を嚢にいれて其中より一つの石をとり投てペリシテ人の顙を撃ければ石其顙に突きいりて俯伏に地にたふれたり 009 1SA 017 050 かくダビデ投石索と石をもてペリシテ人にかちペリシテ人をうちて之をころせり然どダビデの手には劍なかりしかば 009 1SA 017 051 ダビデはしりてペリシテ人の上にのり其劍を取て之を鞘より抜きはなしこれをもて彼をころし其首級を斬りたり爰にペリシテの人々其勇士の死るを見てにげしかば 009 1SA 017 052 イスラエルとユダの人おこり喊呼をあげてペリシテ人をおひガテの入口およびエクロンの門にいたるペリシテ人の負傷人シヤライムの路に仆れてガテおよびエクロンにおよぶ 009 1SA 017 053 イスラエルの子孫ペリシテ人をおふてかへり其陣を掠む 009 1SA 017 054 ダビデかのペリシテ人の首を取りて之をエルサレムにたづさへきたりしが其甲冑はおのれの天幕におけり 009 1SA 017 055 サウル、ダビデがペリシテ人にむかひて出るを見て軍長アブネルにいひけるはアブネル此少者はたれの子なるやアブネルいひけるは王汝の霊魂は生くわれしらざるなり 009 1SA 017 056 王いひけるはこの少年はたれの子なるかを尋ねよ 009 1SA 017 057 ダビデかのペリシテ人を殺してかへれる時アブネルこれをひきて其ペリシテ人の首級を手にもてるままサウルのまへにつれゆきければ 009 1SA 017 058 サウルかれにいひけるは若き人よ汝はたれの子なるやダビデこたへけるは汝の僕ベテレヘム人ヱサイの子なり 009 1SA 018 001 ダビデ、サウルにかたることを終しときヨナタンの心ダビデの心にむすびつきてヨナタンおのれの命のごとくダビデを愛せり 009 1SA 018 002 此日サウル、ダビデをかかへて父の家にかへらしめず 009 1SA 018 003 ヨナタンおのれの命のごとくダビデを愛せしかばヨナタンとダビデ契約をむすべり 009 1SA 018 004 ヨナタンおのれの衣たる明衣を脱てダビデにあたふ其戎衣および其刀も弓も帶もまたしかせり 009 1SA 018 005 ダビデは凡てサウルが遣はすところにいでゆきて功をあらはしければサウルかれを兵隊の長となせりしかしてダビデ民の心にかなひ又サウルの僕の心にもかなふ 009 1SA 018 006 衆人かへりきたれる時すなはちダビデ、ペリシテ人をころして還れる時婦女イスラエルの邑々よりいできたり鼗と祝歌と磬をもちて歌ひまひつつサウル王を迎ふ 009 1SA 018 007 婦人踊躍つつ相こたへて歌ひけるはサウルは千をうち殺しダビデは萬をうちころすと 009 1SA 018 008 サウル甚だ怒りこの言をよろこばずしていひけるは萬をダビデに歸し千をわれに歸す此上かれにあたふべき者は唯國のみと 009 1SA 018 009 サウルこの日より後ダビデを目がけたり 009 1SA 018 010 次の日神より出たる惡鬼サウルにのぞみてサウル家のなかにて預言したりしかばダビデ故のごとく手をもつて琴をひけり時にサウルの手に投槍ありければ 009 1SA 018 011 サウル我ダビデを壁に刺とほさんといひて其投槍をさしあげしがダビデ二度身をかはしてサウルをさけたり 009 1SA 018 012 ヱホバ、サウルをはなれてダビデと共にいますによりてサウル彼をおそれたり 009 1SA 018 013 是故にサウル彼を遠ざけて千夫長となせりダビデすなはち民のまへに出入す 009 1SA 018 014 またダビデすべて其ゆくところにて功をあらはし且ヱホバかれとともにいませり 009 1SA 018 015 サウル、ダビデが大に功をあらはすをみてこれを恐れたり 009 1SA 018 016 しかれどもイスラエルとユダの人はみなダビデを愛せり彼が其前に出入するによりてなり 009 1SA 018 017 サウル、ダビデにいひけるはわれわが長女メラブを汝に妻さん汝ただわがために勇みヱホバの軍に戰ふべしと其はサウルわが手にてかれを殺さでペリシテ人の手にてころさんとおもひたればなり 009 1SA 018 018 ダビデ、サウルにいひけるは我は誰ぞわが命はなんぞわが父の家はイスラエルにおいて何なる者ぞや我いかでか王の婿となるべけんと 009 1SA 018 019 然るにサウルの女子メラブはダビデに嫁ぐべき時におよびてメホラ人アデリエルに妻されたり 009 1SA 018 020 サウルの女ミカル、ダビデを愛す人これを王に告ければサウル其事を善しとせり 009 1SA 018 021 サウルいひけるは我ミカルをかれにあたへて彼を謀る手段となしペリシテ人の手にてかれを殺さんといひてサウル、ダビデにいひけるは汝今日ふたたびわが婿となるべし 009 1SA 018 022 かくてサウル其僕に命じけるは汝ら密にダビデにかたりて言へ視よ王汝を悦び王の僕みな汝を愛すされば汝王の婿となるべしと 009 1SA 018 023 サウルの僕此言をダビデの耳に語りしかばダビデいひけるは王の婿となること汝らの目には易き事とみゆるや且われは貧しく賤しき者なりと 009 1SA 018 024 サウルの僕サウルにつげてダビデ是の如くかたれりといへり 009 1SA 018 025 サウルいひけるはなんぢらかくダビデにいへ王は聘禮を望まずただペリシテ人の陽皮一百をえて王の仇をむくいんことを望むと是はサウル、ダビデをペリシテ人の手に殞沒しめんとおもへるなり 009 1SA 018 026 サウルの僕此言をダビデにつげしかばダビデは王の婿となることを善とせり斯て其時いまだ滿ざるあひだに 009 1SA 018 027 ダビデ起て其從者とともにゆきペリシテ人二百人をころして其陽皮をたづさへきたり之を悉く王にささげて王の婿とならんとすサウル乃はち其女ミカルをダビデに妻せたり 009 1SA 018 028 サウル見てヱホバのダビデとともにいますを知りぬまたサウルの女ミカルはダビデを愛せり 009 1SA 018 029 サウルさらにますますダビデを恐れサウル一生のあひだダビデの敵となれり 009 1SA 018 030 爰にペリシテ人の諸伯攻きたりしがダビデかれらが攻めきたるごとにサウルの諸の臣僕よりは多の功をたてしかば其名はなはだ尊まる 009 1SA 019 001 サウル其子ヨナタンおよび諸の臣僕にダビデをころさんとすることを語れり 009 1SA 019 002 されどサウルの子ヨナタン深くダビデを愛せしかばヨナタン、ダビデにつげていひけるはわが父サウル汝をころさんことを求むこのゆゑに今ねがはくは汝翌朝謹恪で潜みをりて身を隱せ 009 1SA 019 003 我いでゆきて汝がをる野にてわが父の傍にたちわが父とともに汝の事を談はんしかして我其事の如何なるを見て汝に告ぐべし 009 1SA 019 004 ヨナタン其父サウルに向ひダビデを褒揚ていひけるは願くは王其僕ダビデにむかひて罪ををかすなかれ彼は汝に罪ををかさずまた彼が汝になす行爲ははなはだ善し 009 1SA 019 005 またかれは生命をかけてかのペリシテ人をころしたりしかしてヱホバ、イスラエルの人々のためにおほいなる救をほどこしたまふ汝見てよろこべりしかるに何ぞゆゑなくしてダビデをころし無辜者の血をながして罪ををかさんとするや 009 1SA 019 006 サウル、ヨナタンの言を聽いれサウル誓ひけるはヱホバはいくわれかならずかれをころさじ 009 1SA 019 007 ヨナタン、ダビデをよびてヨナタン其事をみなダビデにつげ遂にダビデをサウルの許につれきたりければダビデさきのごとくサウルの前にをる 009 1SA 019 008 爰に再び戰爭おこりぬダビデすなはちいでてペリシテ人とたたかひ大にかれらを殺せしかばかれら其まへを逃げされり 009 1SA 019 009 サウル手に投槍を執て室に坐する時ヱホバより出たる惡鬼これにのりうつれり其時ダビデ乃ち手をもて琴を弾く 009 1SA 019 010 サウル投槍をもてダビデを壁に刺とほさんとしたりしがダビデ、サウルのまへを避ければ投槍を壁に衝たてたりダビデ其夜逃さりぬ 009 1SA 019 011 サウル使者をダビデの家につかはしてかれを守らしめ朝におよびてかれをころさしめんとすダビデの妻ミカル、ダビデにつげていひけるは若し今夜爾の命を援ずば明朝汝は殺されんと 009 1SA 019 012 ミカル即ち牖よりダビデを縋おろしければ往て逃されり 009 1SA 019 013 斯てミカル像をとりて其牀に置き山羊の毛の編物を其頭におき衣服をもて之をおほへり 009 1SA 019 014 サウル、ダビデを執ふる使者をつかはしければミカルいふかれは疾ありと 009 1SA 019 015 サウル使者をつかはしダビデを見させんとていひけるはかれを牀のまま我にたづさきたれ我これをころさん 009 1SA 019 016 使者いりて見たるに牀には像ありて其頭に山羊の毛の編物ありき 009 1SA 019 017 サウル、ミカルにいひけるはなんぞかく我をあざむきてわが敵を逃しやりしやミカル、サウルにこたへけるは彼我にいへり我をはなちてさらしめよ然らずば我汝をころさんと 009 1SA 019 018 ダビデにげさりてラマにゆきサムエルの許にいたりてサウルがおのれになせしことをことごとくつげたりしかしてダビデとサムエルはゆきてナヨテにすめり 009 1SA 019 019 サウルに告る者ありていふ視よダビデはラマのナヨテにをると 009 1SA 019 020 サウル乃ちダビデを執ふる使者をつかはせしが彼等預言者の一群の預言しをりてサムエルが其中の長となりて立てるを見るにおよび神の霊サウルの使者にのぞみて彼等もまた預言せり 009 1SA 019 021 人々これを告ければサウル他の使者を遣しけるにかれらも亦預言せしかばサウルまた三度使者を遣はしけるが彼等もまた預言せり 009 1SA 019 022 是においてサウルもまたラマにゆきけるがセクの大井にいたれる時問ていひけるはサムエルとダビデは何處にをるや答ていふラマのナヨテにをる 009 1SA 019 023 サウルかしこにゆきてラマのナヨテに至りけるに神の霊また彼にのぞみて彼ラマのナヨテにいたるまで歩きつつ預言せり 009 1SA 019 024 彼もまた其衣服をぬぎすて同くサムエルのまへに預言し其一日一夜裸體にて仆臥たり是故に人々サウルもまた預言者のうちにあるかといふ 009 1SA 020 001 ダビデ、ラマのナヨテより逃きたりてヨナタンにいひけるは我何をなし何のあしき事あり汝の父のまへに何の罪を得てか彼わが命を求むる 009 1SA 020 002 ヨナタンかれにいひけるは汝決て殺さるることあらじ視よわが父は事の大なるも小なるも我につげずしてなすことなしわが父なんぞこの事を我にかくさんやこの事しからず 009 1SA 020 003 ダビデまた誓ひていひけるは汝の父必ずわが汝のまへに恩惠をうるを知る是をもてかれ思へらく恐らくはヨナタン悲むべければこの事をかれにしらしむべからずとしかれどもヱホバはいくまたなんぢの霊魂はいくわれは死をさること只一歩のみ 009 1SA 020 004 ヨナタン、ダビデにいひけるはなんぢの心なにをねがふか我爾のために之をなさんと 009 1SA 020 005 ダビデ、ヨナタンにいひけるは明日は月朔なれば我王とともに食につかざるべからず然ども我をゆるして去らしめ三日の晩まで野に隱るることをえさしめよ 009 1SA 020 006 若汝の父まことに我をもとめなば其時言へダビデ切に其邑ベテレヘムにはせゆかんことを我に請り其は彼處に全家の歳祭あればなりと 009 1SA 020 007 彼もし善しといはば僕やすからんされど彼もし甚しく怒らば彼の害をくはへんと決しを知れ 009 1SA 020 008 汝ヱホバのまへに僕と契約をむすびたれば願くは僕に恩をほどこせ然ど若我に惡き事あらば汝自ら我をころせ何ぞ我を汝の父に引ゆくべけんや 009 1SA 020 009 ヨナタンいひけるは斯る事かならず汝にあらざれ我わが父の害を汝にくはへんと決るをしらば必ず之を汝につげん 009 1SA 020 010 ダビデ、ヨナタンにいひけるは若し汝の父荒々しく汝にこたふる時は誰か其事を我に告ぐべきや 009 1SA 020 011 ヨナタン、ダビデにいひけるは來れ我ら野にいでゆかんと倶に野にいでゆけり 009 1SA 020 012 しかしてヨナタン、ダビデにいひけるはイスラエルの神ヱホバよ明日か明後日の今ごろ我わが父を窺ひて事のダビデのために善きを見ながら人を汝に遣はして告しらさずばヱホバ、ヨナタンに斯なしまた重て斯くなしたまへ 009 1SA 020 013 されど若しわが父汝に害をくはへんと欲せば我これを告げしらせて汝をにがし汝を安らかにさらしめん願くはヱホバわが父とともに坐せしごとく汝とともにいませ 009 1SA 020 014 汝只わが生るあひだヱホバの恩を我にしめして死ざらしむるのみならず 009 1SA 020 015 ヱホバがダビデの敵を悉く地の表より絶ちさりたまふ時にもまた汝わが家を永く汝の恩にはなれしむるなかれ 009 1SA 020 016 かくヨナタン、ダビデの家と契約をむすぶヱホバ之に關てダビデの敵を討したまへり 009 1SA 020 017 しかしてヨナタンふたたびダビデに誓はしむかれを愛すればなり即ちおのれの生命を愛するごとく彼を愛せり 009 1SA 020 018 またヨナタン、ダビデにいひけるは明日は月朔なるが汝の座空かるべければ汝求めらるべし 009 1SA 020 019 汝三日とどまりて速かに下り嘗てかの事の日に隱れたるところに至りてエゼルの石の傍に居るべし 009 1SA 020 020 我的を射るごとくして其石の側に三本の矢をはなたん 009 1SA 020 021 しかしてゆきて矢をたづねよといひて僮子をつかはすべし我もし故に僮子に視よ矢は汝の此旁にあり其を取と曰ばなんぢきたるべしヱホバは生く汝安くして何もなかるべければなり 009 1SA 020 022 されど若し我少年に視よ矢は汝の彼旁にありといはば汝さるべしヱホバ汝をさらしめたまふなり 009 1SA 020 023 汝と我とかたれることについては願はくはヱホバ恒に汝と我との間にいませと 009 1SA 020 024 ダビデ即ち野にかくれぬ偖月朔になりければ王坐して食に就く 009 1SA 020 025 即ち王は常のごとく壁によりて座を占むヨナタン立あがりアブネル、サウルの側に坐すダビデの座はなむし 009 1SA 020 026 されど其日にはサウル何をも曰ざりき其は何事か彼におこりしならん彼きよからず定て潔からずと思ひたればなり 009 1SA 020 027 明日すなはち月の二日におよびてダビデの座なほ虚しサウル其子ヨナタンにいひけるは何ゆゑにヱサイの子は昨日も今日も食に來らざるや 009 1SA 020 028 ヨナタン、サウルにこたへけるはダビデ切にベテレヘムにゆかんことを我にこひて曰けるは 009 1SA 020 029 ねがはくは我をゆるしてゆかしめよわが家邑にて祭をなすによりわが兄我にきたることを命ぜり故に我もし汝のまへにめぐみをえたるならばねがはくは我をゆるして去しめ兄弟をみることを得さしめよと是故にかれは王の席に來らざるなり 009 1SA 020 030 サウル、ヨナタンにむかひて怒りを發しかれにいひけるは汝は曲り且悖れる婦の子なり我あに汝がヱサイの子を簡みて汝の身をはづかしめまた汝の母の膚を辱しむることを知ざらんや 009 1SA 020 031 ヱサイの子の此世にながらふるあひだは汝と汝の位固くたつを得ず是故に今人をつかはして彼をわが許に引きたれ彼は死ぬべき者なり 009 1SA 020 032 ヨナタン父サウルに對へていひけるは彼なにによりて殺さるべきか何をなしたるやと 009 1SA 020 033 ここにおいてサウル、ヨナタンを撃んとて投槍をさしあげたりヨナタンすなはち其父のダビデを殺さんと決しをしれり 009 1SA 020 034 かくてヨナタン烈しく怒りて席を立ち月の二日には食をなさざりき其は其父のダビデをはづかしめしによりてダビデのために憂へたればなり 009 1SA 020 035 翌朝ヨナタン一小童子を從がヘダビデと約せし時刻に野にいでゆき 009 1SA 020 036 童にいひけるは走りて我はなつ矢をたづねよと童子はしる時ヨナタン矢を彼のさきに發てり 009 1SA 020 037 童子がヨナタンの發ちたる矢のところにいたれる時ヨナタン童子のうしろに呼はりていふ矢は汝のさきにあるにあらずや 009 1SA 020 038 ヨナタンまた童子のうしろによばはりていひけるは速かにせよ急げ止まるなかれとヨナタンの童子矢をひろひあつめて其主人のもとにかへる 009 1SA 020 039 されど童子は何をも知ざりき只ヨナタンとダビデ其事をしりたるのみ 009 1SA 020 040 かくてヨナタン其武器を童子に授ていひけるは往けこれを邑に携へよと 009 1SA 020 041 童子すなはち往けり時にダビデ石の傍より立ちあがり地にふして三たび拝せりしかしてふたり互に接吻してたがひに哭くダビデ殊にはなはだし 009 1SA 020 042 ヨナタン、ダビデにいひけるは安じて往け我ら二人ともにヱホバの名に誓ひて願くはヱホバ恒に我と汝のあひだに坐し我が子孫と汝の子孫のあひだにいませといへりとダビデすなはちたちて去るヨナタン邑にいりぬ 009 1SA 021 001 ダビデ、ノブにゆきて祭司アヒメレクにいたるアヒメレク懼れてダビデを迎へこれにいひけるは汝なんぞ獨にして誰も汝とともならざるや 009 1SA 021 002 ダビデ祭司アヒメレクにいふ王我に一の事を命じて我にいふ我が汝を遣はすところの事およびわが汝に命じたる所については何をも人にしらするなかれと我某處に我少者を出おけり 009 1SA 021 003 いま何か汝の手にあるや我手に五のパンか或はなににてもある所を與よ 009 1SA 021 004 祭司ダビデに對ていひけるは常のパンはわが手になしされど若し少者婦女をだに愼みてありしならば聖きパンあるなりと 009 1SA 021 005 ダビデ祭司に對へていひけるは實にわがいでしより此三日は婦女われらにちかづかず且少者等の器は潔し又パンは常の物のごとし今日器に潔きパンあれば殊に然と 009 1SA 021 006 祭司かれに聖きパンを與たり其はかしこに供前のパンの外はパン无りければなり即ち其パンは下る日に熱きパンをささげんとて之をヱホバのまへより取されるなり 009 1SA 021 007 其日かしこにサウルの僕一人留められてヱホバのまへにあり其名をドエグといふエドミ人にしてサウルの牧者の長なり 009 1SA 021 008 ダビデまたアヒメレクにいふ此に汝の手に槍か劍あらぬか王の事急なるによりて我は刀も武器も携へざりしと 009 1SA 021 009 祭司いひけるは汝がエラの谷にて殺したるペリシテ人ゴリアテの劍布に裏みてエポデの後にあり汝もし之をとらんとおもはば取れ此にはほかの劍なしダビデいひけるはそれにまさるものなし我にあたへよと 009 1SA 021 010 ダビデ其日サウルをおそれて立てガテの王アキシのところに逃げゆきぬ 009 1SA 021 011 アキシの臣僕アキシに曰けるは此は其地の王ダビデにあらずや人々舞踏のうちにこの人のことを歌ひあひてサウルは千をうちころしダビデは萬をうちころすといひしにあらずや 009 1SA 021 012 ダビデこの言を心に蔵め深くガテの王アキシをおそれ 009 1SA 021 013 人々のまへに佯て其氣を變じ執はれて狂人のさまをなし門の扉に書き其涎沫を鬚にながれくだらしむ 009 1SA 021 014 アキシ僕に云けるは汝らの見るごとく此人は狂人なり何ぞかれを我にひき來るや 009 1SA 021 015 我なんぞ狂人を須ひんや汝ら此者を引きたりてわがまへに狂しめんとするや此者なんぞ吾が家にいるべけんや 009 1SA 022 001 是故にダビデ其處をいでたちてアドラムの洞穴にのがる其兄弟および父の家みな聞きおよびて彼處にくだり彼の許に至る 009 1SA 022 002 また惱める人負債者心に嫌ぬ者皆かれの許にあつまりて彼其長となれりかれとともにある者はおよそ四百人なり 009 1SA 022 003 ダビデ其處よりモアブのミヅパにいたりモアブの王にいひけるは神の我をいかがなしたまふかを知るまでねがはくはわが父母をして出て汝らとともにをらしめよと 009 1SA 022 004 遂にかれらをモアブの王のまへにつれきたるかれらはダビデが要害にをる間王とともにありき 009 1SA 022 005 預言者ガデ、ダビデに云けるは要害に住るなかれゆきてユダの地にいたれとダビデゆきてハレテの叢林にいたる 009 1SA 022 006 爰にサウル、ダビデおよびかれとともなる人々の見露されしを聞けり時にサウルはギベアにあり手に槍を執て岡巒の柳の樹の下にをり臣僕ども皆其傍にたてり 009 1SA 022 007 サウル側にたてる僕にいひけるは汝らベニヤミン人聞けよヱサイの子汝らおのおのに田と葡萄園をあたへ汝らおのおのを千夫長百夫長となすことあらんや 009 1SA 022 008 汝ら皆我に敵して謀り一人もわが子のヱサイの子と契約を結びしを我につげしらする者なしまた汝ら一人もわがために憂へずわが子が今日のごとくわが僕をはげまして道に伏て我をおそはしめんとするを我につげしらす者なし 009 1SA 022 009 時にエドミ人ドエグ、サウルの僕の中にたち居りしが答へていひけるは我ヱサイの子のノブにゆきてアヒトブの子アヒメレクに至るを見しが 009 1SA 022 010 アヒメレクかれのためにヱホバに問ひまたかれに食物をあたへペリシテ人ゴリアテの劍をあたへたりと 009 1SA 022 011 王すなはち人をつかはしてアヒトブの子祭司アヒメレクなよびその父の家すなはちノブの祭司たる人々を召したればみな王の許にきたる 009 1SA 022 012 サウルいひけるは汝アヒトブの子聽よ答へけるは主よ我ここにあり 009 1SA 022 013 サウルかれにいふ汝なんぞヱサイの子とともに我に敵して謀り汝かれにパンと劍をあたへ彼が爲に神に問ひかれをして今日のごとく道に伏て我をおそはしめんとするや 009 1SA 022 014 アヒメレク王にこたへていひけるは汝の臣僕のうち誰かダビデのごとく忠義なる彼は王の婿にして親しく汝に見ゆるもの汝の家に尊まるる者にあらずや 009 1SA 022 015 我其時かれのために神に問ことを始めしや決てしからずねがはくは王僕およびわが父の全家に何をも歸するなかれ其は僕この事については多少をいはず何をもしらざればなり 009 1SA 022 016 王いひけるはアヒメレク汝必ず死ぬべし汝の父の全家もしかりと 009 1SA 022 017 王旁にたてる前驅の人々にいひけるは身をひるがへしてヱホバの祭司を殺せかれらもダビデと力を合するが故またかれらダビデの逃たるをしりて我に告ざりし故なりと然ど王の僕手をいだしてヱホバの祭司を撃ことを好まざれば 009 1SA 022 018 王ドエグにいふ汝身をひるがへして祭司をころせとエドミ人ドエグ乃ち身をひるがへして祭司をうち其日布のエポデを衣たる者八十五人をころせり 009 1SA 022 019 かれまた刃を以て祭司の邑ノブを撃ち刃をもて男女童稚嬰孩牛驢馬羊を殺せり 009 1SA 022 020 アヒトブの子アヒメレクの一人の子アビヤタルとなづくる者逃れてダビデにはしり從がふ 009 1SA 022 021 アビヤタル、サウルがヱホバの祭司を殺したることをダビデに告しかば 009 1SA 022 022 ダビデ、アビヤタルにいふかの日エドミ人ドエグ彼處にをりしかば我かれが必らずサウルにつげんことを知れり我汝の父の家の人々の生命を喪へる源由となれり 009 1SA 022 023 汝我とともに居れ懼るるなかれわが生命を求むる者汝の生命をも求むるなり汝我とともにあらば安全なるべし 009 1SA 023 001 人々ダビデにつげていひけるは視よペリシテ人ケイラを攻め穀場を掠むと 009 1SA 023 002 ダビデ、ヱホバに問ていひけるは我ゆきて是のペリシテ人を撃つべきかとヱホバ、ダビデにいひたまひけるは往てペリシテ人をうちてケイラを救ヘ 009 1SA 023 003 ダビデの從者かれにいひけるは視よわれら此にユダにあるすら尚ほおそる况やケイラにゆきてペリシテ人の軍にあたるをやと 009 1SA 023 004 ダビデふたたびヱホバに問ひけるにヱホバ答ていひたまひけるは起てケイラにくだれ我ペリシテ人を汝の手にわたすべし 009 1SA 023 005 ダビデとその從者ケイラにゆきてペリシテ人とたたかひ彼らの家畜を奪ひとり大にかれらをうちころせりかくダビデ、ケイラの居民をすくふ 009 1SA 023 006 アヒメレクの子アビヤタル、ケイラにのがれてダビデにいたれる時其手にエポデを執てくだれり 009 1SA 023 007 爰にダビデのケイラに至れる事サウルに聞えければサウルいふ神かれを我手にわたしたまへり其はかれ門あり關ある邑にいりたれば閉こめらるればなり 009 1SA 023 008 サウルすなはち民をことごとく軍によびあつめてケイラにくだりてダビデと其從者を圍んとす 009 1SA 023 009 ダビデはサウルのおのれを害せんと謀るを知りて祭司アビヤタルにいひけるはエポデを持ちきたれと 009 1SA 023 010 しかしてダビデいひけるはイスラエルの神ヱホバよ僕たしかにサウルがケイラにきたりてわがために此邑をほろぼさんと求むるを聞り 009 1SA 023 011 ケイラの人々我をかれの手にわたすならんか僕のきけるごとくサウル下るならんかイスラエルの神ヱホバよ請ふ僕につげたまへとヱホバいひたまひけるは彼下るべしと 009 1SA 023 012 ダビデいひけるはケイラの人々われとわが從者をサウルの手にわたすならんかヱホバいひたまひけるは彼らわたすべし 009 1SA 023 013 是においてダビデと其六百人ばかりの從者起てケイラをいで其ゆきうる所にゆけりダビデのケイラをにげはなれしことサウルに聞えければサウルいづることを止たり 009 1SA 023 014 ダビデは曠野にをり要害の地にをりまたジフの野にある山に居るサウル恒にかれを尋ねたれども神かれを其手にわたしたまはざりき 009 1SA 023 015 ダビデ、サウルがおのれの生命を求めんために出たるを見る時にダビデはジフの野の叢林にをりしが 009 1SA 023 016 サウルの子ヨナタンたちて叢林にいりてダビデにいたり神によりて其力を強うせしめたり 009 1SA 023 017 即ちヨナタンかれにいひけるに懼るるなかれわが父サウルの手汝にとどくことあらじ汝はイスラエルの王とならん我は汝の次なるべし此事はわが父サウルもしれりと 009 1SA 023 018 かくて彼ら二人ヱホバのまへに契約をむすびダビデは叢林にとどまりヨナタンは其家にかへれり 009 1SA 023 019 時にジフ人ギベアにのぼりサウルの許にいたりていひけるはダビデは曠野の南にあるハキラの山の叢林の中なる要害に隱れて我らとともにをるにあらずや 009 1SA 023 020 今王汝のくだらんとする望のごとく下りたまへ我らはかれを王の手にわたさんと 009 1SA 023 021 サウルいひけるは汝ら我をあはれめば願くは汝等ヱホバより福祉をえよ 009 1SA 023 022 請ふゆきて尚ほ心を用ひ彼の踪跡ある處と誰がかれを見たるかを見きはめよ其は人我にかれが甚だ機巧く事を爲すを告たれば也 009 1SA 023 023 されば汝ら彼が隱るる逃躱處を皆たしかに見きはめて再び我にきたれ我汝らとともにゆかん彼もし其地にあらば我ユダの郡中をあまねく尋ねて彼を獲んと 009 1SA 023 024 かれらたちてサウルに先てジフにゆけりダビデと其從者は曠野の南のアラバにあるマオンの野にをる 009 1SA 023 025 斯てサウルと其從者ゆきて彼を尋ぬ人々これをダビデに告ければダビデ巌を下てマオンの野にをるサウル之を聞てマオンの野に至てダビデを追ふ 009 1SA 023 026 サウルは山の此旁に行ダビデと其從者は山の彼旁に行ダビデは周章てサウルの前を避んとしサウルと其從者はダビデと其從者を圍んで之を取んとす 009 1SA 023 027 時に使者サウルに來て言けるはペリシテ人國ををかす急ぎきたりたまへと 009 1SA 023 028 故にサウル、ダビデを追ことを止てかへり往てペリシテ人にあたるここをもて人々その處をセラマレコテ(逃岩)となづく 009 1SA 023 029 ダビデ其處よりのぼりてエンゲデの要害にをる 009 1SA 024 001 サウル、ペリシテ人を追ふことをやめて還りし時人々かれにつげていひけるは視よダビデはエンゲデの野にありと 009 1SA 024 002 サウル、イスラエルの中より選みたる三千の人を率ゐゆきて野羊の巌にダビデと其從者を尋ぬ 009 1SA 024 003 途にて羊の棧にいたるに其處に洞穴ありサウル其足を掩んとていりぬ時にダビデと其從者洞の隅に居たり 009 1SA 024 004 ダビデの從者これにいひけるはヱホバが汝に告て視よ我汝の敵を汝の手にわたし汝をして善と見るところを彼になさしめんといひたまひし日は今なりとダビデすなはち起てひそかにサウルの衣の裾をきれり 009 1SA 024 005 ダビデ、サウルの衣の裾をきりしによりて後ち其心みづから責む 009 1SA 024 006 ダビデ其從者にいひけるはヱホバの膏そそぎし者なるわが主にわが此事をなすをヱホバ禁じたまふかれはヱホバの膏そそぎし者なればかれに敵してわが手をのぶるは善らず 009 1SA 024 007 ダビデ此ことばをもって其從者を止めサウルに撃ちかかる事を容さずサウルたちて洞を出て其道にゆく 009 1SA 024 008 ダビデもまた後よりたちて洞をいでサウルのうしろに呼はりて我主王よといふサウル後をかへりみる時ダビデ地にふして拝す 009 1SA 024 009 ダビデ、サウルにいひけるは汝なんぞダビデ汝を害せん事を求むといふ人の言を聽くや 009 1SA 024 010 視よ今日汝の目ヱホバの汝を洞のうちにて今日わが手にわたしたまひしことを見たり人々我に汝をころさんことを勸めたれども我汝を惜めり我いひけらくわが主はヱホバの膏そそぎし者なればこれに敵してわが手をのぶべからずと 009 1SA 024 011 わが父よ視よわが手にある汝の衣の裾を見よわが汝の衣の裾をきりて汝を殺さざるを見ばわが手には惡も罪過もなきことを汝見て知るべし我汝に罪ををかせしことなし然るに汝わが生命をとらんとねらふ 009 1SA 024 012 ヱホバ我と汝の間を審きたまはんヱホバわがために汝に報いたまふべし然どわが手は汝に加へざるべし 009 1SA 024 013 古への諺にいふごとく惡は惡人よりいづされどわが手は汝にくはへざるべし 009 1SA 024 014 イスラエルの王は誰を趕んとて出たるや汝たれを追ふや死たる犬をおひ一の蚤をおふなり 009 1SA 024 015 ねがはくはヱホバ審判者となりて我と汝のあひだをさばきかつ見てわが訟を理し我を汝の手よりすくひいだしたまはんことを 009 1SA 024 016 ダビデこれらの言をサウルに語りをへしときサウルいひけるはわが子ダビデよ是は汝の聲なるかとサウル聲をあげて哭きぬ 009 1SA 024 017 しかしてダビデにいひけるは汝は我よりも正し我は汝に惡をむくゆるに汝は我に善をむくゆ 009 1SA 024 018 汝今日いかに汝が我に善くなすかを明かにせりヱホバ我を爾の手にわたしたまひしに爾我をころさざりしなり 009 1SA 024 019 人もし其敵にあはばこれを安らかに去しむべけんや爾が今日我になしたる事のためにヱホバ爾に善をむくいたまふべし 009 1SA 024 020 視よ我爾が必ず王とならんことを知りまたイスラエルの王國の爾の手によりて堅くたたんことをしる 009 1SA 024 021 今爾ヱホバをさして我にわが後にてわが子孫を斷ずわが名をわが父の家に滅せざらんことを誓へと 009 1SA 024 022 ダビデすなはちサウルにちかふ是においてサウルは家にかへりダビデと其從者は要害にのぼれり 009 1SA 025 001 爰にサムエル死にしかばイスラエル人皆あつまりて之をかなしみラマにあるその家にてこれを葬むれりダビデたちてバランの野にくだる 009 1SA 025 002 マオンに一箇の人あり其所有はカルメルにあり其人甚だ大なる者にして三千の羊と一千の山羊をもちしがカルメルにて羊の毛を剪り居たり 009 1SA 025 003 其人の名はナバルといひ其妻の名はアビガルといふアビガルは賢く顔美き婦なりされど其夫は剛愎にして其爲すところ惡かりきかれはカレブの人なり 009 1SA 025 004 ダビデ野にありてナバルが其羊の毛を剪りをるを聞き 009 1SA 025 005 ダビデ十人の少者を遣はすダビデ其少者にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが名をもてかれに安否をとひ 009 1SA 025 006 かくのごとくいへ願くは壽ながかれ爾平安なれ爾の家やすらかなれ爾が有ところの物みなやすらかなれ 009 1SA 025 007 我爾が羊毛を剪せをるを聞り爾の牧羊者は我らとともにありしが我らこれを害せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの物何も失たることなし 009 1SA 025 008 爾の少者に問へかれら爾につげん願くは少者をして爾のまへに恩をえせしめよ我ら吉日に來る請ふ爾の手にあるところの物を爾の僕らおよび爾の子ダビデにあたへよ 009 1SA 025 009 ダビデの少者いたりダビデの名をもって是らのことばの如くナバルに語りてやめり 009 1SA 025 010 ナバル、ダビデの僕にこたへていひけるはダビデは誰なるヱサイの子は誰なる此頃は主人をすてて遁逃るる僕おほし 009 1SA 025 011 我あにわがパンと水およびわが羊毛をきる者のために殺したる肉をとりて何處よりか知れざるところの人々にあたふべけんや 009 1SA 025 012 ダビデの少者ふりかへりて其道に就き歸りきたりて此等の言のごとくダビデに告ぐ 009 1SA 025 013 是においてダビデ其從者に爾らおのおの劍を帶よと言ければ各劍をおぶダビデもまた劍をおぶ而して四百人ばかりダビデにしたがひて上り二百人は輜重のところに止れり 009 1SA 025 014 時にひとりの少者ナバルの妻アビガルに告ていひけるは視よダビデ野より使者をおくりて我らの主人を祝したるに主人かれらを詈れり 009 1SA 025 015 されどかの人々はわれらに甚だ善くなし我らは害をかうむらず亦われら野にありし時かれらとともにをるあひだはなにをも失なはざりき 009 1SA 025 016 我らが羊をかひて彼らとともにありしあひだ彼らは日夜われらの墻となれり 009 1SA 025 017 されば爾今しりてなにをなさんかを考ふべし其はわれらの主人および主人の全家に定めて害きたるべければなり主人は邪魔なる者にして語ることをえずと 009 1SA 025 018 アビガルいそぎパン二百酒の革嚢二旣に調へたる羊五烘麥五セア乾葡萄百球乾無花果の團塊二百を取て驢馬にのせ 009 1SA 025 019 其少者にいひけるは我先に進め視よ我爾らの後にゆくと然ど其夫ナバルには告げざりき 009 1SA 025 020 アビガル驢馬にのりて山の僻處にくだれる時視よダビデと其從者かれにむかひてくだりければかれ其人々にあふ 009 1SA 025 021 ダビデかつていひけるは誠にわれ徒に此人の野にて有る物をみなまもりてその物をして何もうせざらしめたりかれは惡をもてわが善にむくゆ 009 1SA 025 022 ねがはくは神ダビデの敵にかくなしまた重ねてかくなしたまへ明晨までに我はナバルに屬する總ての物の中ひとりの男をものこさざるべし 009 1SA 025 023 アビガル、ダビデを視しとき急ぎ驢馬よりおりダビデのまへに地に俯して拝し 009 1SA 025 024 其足もとにふしていひけるはわが主よ此咎を我に歸したまへ但し婢をして爾の耳にいふことを得さしめ婢のことばを聽たまへ 009 1SA 025 025 ねがはくは我主この邪なる人ナバル(愚)の事を意に介むなかれ其はかれは其名の如くなればなりかれの名はナバルにしてかれは愚なりわれなんぢの婢はわが主のつかはせし少ものを見ざりき 009 1SA 025 026 さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて血をながしまた爾がみづから仇をむくゆるを阻めたまへりねがはくは爾の敵たるものおよびわが主に害をくはへんとする者はナバルのごとくなれ 009 1SA 025 027 さて仕女がわが主にもちきたりしこの禮物をねがはくはわが主の足迹にあゆむ少者にたてまつらしめたまへ 009 1SA 025 028 請ふ婢の過をゆるしたまへヱホバ必ずわが主のために堅き家を立たまはん是はわが主ヱホバの軍に戰ふにより又世にいでてよりこのかた爾の身に惡きこと見えざるによりてなり 009 1SA 025 029 人たちて爾を追ひ爾の生命を求むれどもわが主の生命は爾の神ヱホバとともに生命の包裏の中に包みあり爾の敵の生命は投石器のうちより投すつる如くヱホバこれをなげすてたまはん 009 1SA 025 030 ヱホバその爾につきて語りたまひし諸の善き事をわが主になして爾をイスラエルの主宰に命じたまはん時にいたりて 009 1SA 025 031 爾の故なくして血をながしたることも又わが主のみづから其仇をむくいし事も爾の憂となることなくまたわが主の心の責となることなかるべし但しヱホバのわが主に善くなしたまふ時にいたらばねがはくは婢を憶たまへ 009 1SA 025 032 ダビデ、アビガルにいふ今日汝をつかはして我をむかへしめたまふイスラエルの神ヱホバは頌美べきかな 009 1SA 025 033 また汝の智慧はほむべきかな又汝はほむべきかな汝今日わがきたりて血をながし自ら仇をむくゆるを止めたり 009 1SA 025 034 わが汝を害するを阻めたまひしイスラエルの神ヱホバは生く誠にもし汝いそぎて我を來り迎ずば必ず翌朝までにナバルの所にひとりの男ものこらざりしならんと 009 1SA 025 035 ダビデ、アビガルの携へきたりし物を其手より受てかれにいひけるは安かに汝の家にかへりのぼれ視よわれ汝の言をききいれて汝の顔を立たり 009 1SA 025 036 かくてアビガル、ナバルにいたりて視にかれは家に酒宴を設け居たり王の酒宴のごとしナバルの心これがために樂みて甚だしく酔たればアビガル多少をいはず何をも翌朝までかれにつげざりき 009 1SA 025 037 朝にいたりナバルの酒のさめたる時妻かれに是等の事をつげたるに彼の心そのうちに死て其身石のごとくなりぬ 009 1SA 025 038 十日ばかりありてヱホバ、ナバルを撃ちたまひければ死り 009 1SA 025 039 ダビデ、ナバルの死たるを聞ていひけるはヱホバは頌美べきかなヱホバわが蒙むりたる恥辱の訟を理してナバルにむくい僕を阻めて惡をおこなはざらしめたまふ其はヱホバ、ナバルの惡を其首に歸し賜へばなりと爰にダビデ、アビガルを妻にめとらんとて人を遣はしてこれとかたらはしむ 009 1SA 025 040 ダビデの僕カルメルにをるアビガルの許にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ汝を妻にめとらんとて我らを汝に遣はすと 009 1SA 025 041 アビガルたちて地にふして拝しいひけるは視よ婢はわが主の僕等の足を洗ふ仕女なりと 009 1SA 025 042 アビガルいそぎたちて驢馬に乗り五人の侍女とともにダビデの使者にしたがひゆきてダビデの妻となる 009 1SA 025 043 ダビデまたヱズレルのアヒノアムを娶れり彼ら二人ダビデの妻となる 009 1SA 025 044 但しサウルはダビデの妻なりし其女ミカルをガリムの人なるライシの子パルテにあたへたり 009 1SA 026 001 ジフ人ギベアにきたりサウルの許にいたりてひけるはダビデは曠野のまへなるハキラの山にかくれをるにあらずやと 009 1SA 026 002 サウルすなはち起ちジフの野にダビデを尋ねんとイスラエルの中より選みたる三千の人をしたがへてジフの野にくだる 009 1SA 026 003 サウルは曠野のまへなるハキラの山において路のほとりに陣を取るダビデは曠野に居てサウルのおのれをおふて曠野にきたるをさとりければ 009 1SA 026 004 ダビデ斥候を出してサウルの誠に來しをしれり 009 1SA 026 005 ここにおいてダビデたちてサウルの陣をとれるところにいたりサウルおよび其軍の長ネルの子アブネルの寝たるところを見たりすなはちサウルは車營の中に寝ぬ民其まはりに陣をはれり 009 1SA 026 006 ダビデ答へてヘテ人アヒメレクおよびゼルヤの子にしてヨアブの兄弟なるアビシヤイにいひけるは誰か我とともにサウルの陣にくだらんかとアビシヤイいふ我汝とともに下らん 009 1SA 026 007 ダビデとアビシヤイすなはち夜にいりて民の所にいたるに視よサウルは車營のうちに寝臥し其槍地にさして枕邊にありアブネルと民は其まはりに寝たり 009 1SA 026 008 アビシヤイ、ダビデにいひけるは神今日爾の敵を爾の手にわたしたまふ請ふいま我に槍をもてかれを一度地にさしとほさしめよ再びするにおよばじ 009 1SA 026 009 ダビデ、アビシヤイにいふ彼をころすなかれ誰かヱホバの膏そそぎし者に敵して其手をのべて罪なからんや 009 1SA 026 010 ダビデまたいひけるはヱホバは生くヱホバかれを撃たまはんあるひはその死ぬる日來らんあるひは戰ひにくだりて死うせん 009 1SA 026 011 わがヱホバのあぶらそそぎしものに敵して手をのぶることはきはめて善らずヱホバ禁じたまふされどいま請ふ爾そのまくらもとの槍と水の瓶をとれしかして我らさりゆかんと 009 1SA 026 012 ダビデ、サウルの枕邊より槍と水の瓶を取りてかれらさりゆきしが誰も見ず誰もしらず誰も目を醒さざりき其はかれら皆眠り居たればなり即ちヱホバかれらをふかく睡らしめたまふ 009 1SA 026 013 かくてダビデは彼旁にわたりて遥に山の頂にたてり彼と此とのへだたり大なり 009 1SA 026 014 ダビデ民とネルの子アブネルによばはりいひけるはアブネルよ爾こたへざるかアブネルこたへていふ王をよぶ爾はたれなるや 009 1SA 026 015 ダビデ、アブネルにいひけるは爾は勇士ならずやイスラエルの中にて誰か爾に如ものあらんしかるに爾なんぞ爾の主なる王をまもらざるや民のひとり爾の主なる王を殺さんとていりぬ 009 1SA 026 016 爾がなせる此事よからずヱホバは生くなんぢらの罪死にあたれり爾らヱホバの膏そそぎし爾らの主をまもらざればなり今王の槍と王の枕邊にありし水の瓶はいづくにあるかを見よ 009 1SA 026 017 サウル、ダビデの聲をしりていひけるはわが子ダビデよ是は爾の聲なるかダビデいひけるは王わが主よわが聲なり 009 1SA 026 018 ダビデまたいひけるはわが主なにゆゑに斯くその僕をおふや我なにをなせしや何の惡き事わが手にあるや 009 1SA 026 019 王わが主よ請ふいま僕の言を聽きたまへ若しヱホバ爾を我に敵せしめたまふならばねがはくはヱホバ禮物をうけたまへされど若し人ならばねがはくは其人々ヱホバのまへにのろはれよ其は彼等爾ゆきて他の神につかへよといひて今日我を追ひヱホバの產業に連なることをえざらしむるが故なり 009 1SA 026 020 ねがはくは我血をしてヱホバのまへをはなれて地におちしむるなかれそは人の山にて鷓鴣をおふがごとくイスラエルの王一の蚤をたづねにいでたればなり 009 1SA 026 021 サウルいひけるは我罪ををかせりわが子ダビデよ歸れわが生命今日爾の目に寶と見なされたる故により我々かさねて爾に害を加へざるべし嗚呼われ愚なることをなして甚だしく過てり 009 1SA 026 022 ダビデこたへていひけるは王よ槍を視よ請ひとりの少者をしてわたりてこれを取しめよ 009 1SA 026 023 ねがはくはヱホバおのおのに其義と眞實とにしたがひて報いたまへ共はヱホバ今日爾をわが手にわたしたまひしに我ヱホバの受膏者に敵してわが手をのぶることをせざればなり 009 1SA 026 024 爾の生命を今日わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが生命をおもんじて諸の艱難のうちより我をすくひいだしたまへ 009 1SA 026 025 サウル、ダビデにいひけるはわが子ダビデよ爾はほむべきかな爾大なる事を爲さん亦かならず勝をえんとしかしてダビデは其道にさりサウルはおのれの所にかへれり 009 1SA 027 001 ダビデ心の中にいひけるは是のごとくば我早晩サウルの手にほろびん速にペリシテ人の地にのがるるにまさることあらず然らばサウルかさねて我をイスラエルの四方の境にたづぬることをやめて我かれの手をのがれんと 009 1SA 027 002 ダビデたちておのれとともな六百人のものとともにわたりてガテの王マオクの子アキシにいたる 009 1SA 027 003 ダビデと其從者ガテにてアキシとともに住ておのおの其家族とともにをるダビデはその二人の妻すなはちヱズレル人アヒノアムとカルメル人ナバルの妻なりしアビガルとともにあり 009 1SA 027 004 ダビデのガテににげしことサウルにきこえければサウルかさねてかれをたづねざりき 009 1SA 027 005 ここにダビデ、アキシにいひけるは我もし爾のまへに恩を得たるならばねがはくは郷里にある邑のうちにて一のところを我にあたへて其處にすむことを得さしめよ僕なんぞ爾とともに王城にすむべけんやと 009 1SA 027 006 アキシ其日チクラグをかれにあたへたり是故にヂクラグは今日にいたるまでユダの王に屬す 009 1SA 027 007 タビデのペリシテ人の國にをりし日數は一年と四箇月なりき 009 1SA 027 008 ダビデ其從者と共にのぼりゲシユル人ゲゼリ人アマレク人を襲ふたり昔より是等はシユルにいたる地にすみてエジプトの地にまでおよべり 009 1SA 027 009 ダビデ其地をうちて男をも女をも生し存さず羊と牛と駱駝と衣服をとりて還りてアキシに至る 009 1SA 027 010 アキシいひけるは爾ら今日何地を襲ひしやダビデいひけるはユダの南とヱラメルの南とケニ人の南ををかせりと 009 1SA 027 011 ダビデ男も女も生存らしめずして一人をもガテにひきゆかざりき其はダビデ恐くは彼らダビデかくなせりといひて我儕の事を告んといひたればなりダビデ、ペリシテ人の地にすめるあひだは其なすところ常にかくのごとくなりき 009 1SA 027 012 アキシ、ダビデを信じていひけるは彼は其民イスラエルをして全くおのれを惡ましむされば永くわが僕となるべし 009 1SA 028 001 其頃ペリシテ人イスラエルと戰はんとて軍のために軍勢を集めたればアキシ、ダビデにいひけるは爾明かにこれをしれ爾と爾の從者我とともに出て軍にくははるべし 009 1SA 028 002 ダビデ、アキシにいひけるはされば爾僕のなさんところをしるべしとアキシ、ダビデにさらば我爾を永く我身をまもる者となさんといへり 009 1SA 028 003 サムエルすでに死たればイスラエルみなこれをかなしみてこれをそのまちラマにはうむれりまたサウルは口寄者と卜筮師を其地よりおひいだせり 009 1SA 028 004 ペリシテ人あつまりきたりてシユネムに陣をとりければサウル、イスラエルを悉くあつめてギルボアに陣をとれり 009 1SA 028 005 サウル、ペリシテ人の軍を見しときおそれて其心大にふるへたり 009 1SA 028 006 サウル、ヱホバに問ひけるにヱホバ對たまはず夢に因てもウリムによりても預言者によりてもこたへたまはず 009 1SA 028 007 サウル僕等にいひけるは口寄の婦を求めよわれそのところにゆきてこれに尋ねんと僕等かれにいひけるは視よエンドルに口寄の婦あり 009 1SA 028 008 サウル形を變へて他の衣服を著二人の人をともなひてゆき彼等夜の間に其婦の所にいたるサウルいひけるは請ふわがために口寄の術をおこなひてわが爾に言ふ人をわれに呼おこせ 009 1SA 028 009 婦かれにいひけるはなんぢサウルのなしたる事すなはち如何にかれが口寄者と卜筮師を國より斷さりたるを知る爾なんぞ我を死しめんとてわが生命を亡す謀計をなすや 009 1SA 028 010 サウル、ヱホバを指てかれに誓ひいひけるはヱホバは生く此事のためになんぢ罪にあふことあらじ 009 1SA 028 011 婦いひけるは誰を我なんぢに呼起すべきかサウルいふサムエルをよびおこせ 009 1SA 028 012 婦サムエルを見て大なる聲にてさけびいだせりしかして婦サウルにいひけるは爾なにゆゑに我を欺きしや爾はすなはちサウルなり 009 1SA 028 013 王かれにいひけるは恐るるなかれ爾なにを見しや婦サウルにいひけるは我神の地よりのぼるを見たり 009 1SA 028 014 サウルかれにいひけるは其形容は如何彼いひけるは一人の老翁のぼる其人明衣を衣たりサウル其人のサムエルなるをしりて地にふして拝せり 009 1SA 028 015 サムエル、サウルにいひけるは爾なんぞ我をよびおこして我をわづらはすやサウルこたへけるは我いたく惱むペリシテ人我にむかひて軍をおこし又神我をはなれて預言者によりても又夢によりてもふたたび我にこたへたまはずこのゆゑに我なすべき事を爾にまなばんとて爾を呼り 009 1SA 028 016 サムエルいひけるはヱホバ爾をはなれて爾の敵となりたまふに爾なんぞ我にとふや 009 1SA 028 017 ヱホバわれをもて語りたまひしことをみづから行ひてヱホバ國を爾の手より割きはなち爾の隣人ダビデにあたへたまふ 009 1SA 028 018 爾ヱホバの言にしたがはず其烈しき怒をアマレクにもらさざりしによりてヱホバ此事を今日爾になしたまふ 009 1SA 028 019 ヱホバ、イスラエルをも爾とともにペリシテ人の手にわたしたまふべし明日爾と爾の子等我とともなるべしまたイスラエルの陣營をもヱホバ、ペリシテ人の手にわたしたまはんと 009 1SA 028 020 サウル直ちに地に伸びたふれサムエルの言のために痛くおそれ又其力を失へり其はかれ其一日一夜物食ざりければなり 009 1SA 028 021 かの婦サウルにいたり其痛く慄くを見てこれにいひけるは視よ仕女爾の言をききわが生命をかけて爾が我にいひし言にしたがへり 009 1SA 028 022 されば請ふ爾も仕女の言を聽て我をして一口のパンを爾のまへにそなへしめよしかして爾くらひて途に就く時に力を得よ 009 1SA 028 023 されどサウル否みて我は食はじといひしを其僕および婦強ければ其言をききいれて地より立あがり床のうへに坐せり 009 1SA 028 024 婦の家に肥たる犢ありしかば急ぎて之を殺しまた粉をとり摶て酵いれぬパンを炊き 009 1SA 028 025 サウルのまへと其僕等のまへに持ちきたりければ彼等くらひて立ちあがり其夜のうちにされり 009 1SA 029 001 爰にペリシテ人其軍をことごとくアペクにあつむイスラエルはヱズレルにある泉水の傍に陣をとる 009 1SA 029 002 ペリシテ人の君等あるひは百人或は千人をひきゐて進みダビデと其從者はアキシとともに其後にすすむ 009 1SA 029 003 ペリシテ人の諸伯いひけるは是等のヘブル人は何なるやアキシ、ペリシテ人の諸伯にいひけるは此はイスラエルの王サウルの僕ダビデにあらずやかれ此日ごろ此年ごろ我とともにをりしがその逃げおちし日より今日にいたるまで我かれの身に咎あるを見ずと 009 1SA 029 004 ペリシテ人の諸伯これを怒る即ちペリシテ人の諸伯彼にいひけるは此人をかへらしめて爾が之をおきし其所にふたたびいたらしめよ彼は我らとともに戰ひにくだるべからず然ば彼戰爭においてわれらの敵とならざるべしかれ其主と和がんとせば何をもてすべきやこの人々の首級をもてすべきにあらずや 009 1SA 029 005 是はかつて人々が舞踏の中にて歌ひあひサウルは千をうちころしダビデは萬をうちころすといひたるダビデにあらずや 009 1SA 029 006 アキシ、ダビデをよびてこれにいひけるはヱホバは生くまことになんぢは正し爾の我とともに陣營に出入するはわが目には善と見ゆ其は爾が我に來りし日より今日にいたるまで我爾の身に惡き事あるを見ざればなり然ど諸伯の目には爾よからず 009 1SA 029 007 されば今かへりて安かにゆきペリシテ人の諸伯の目に惡く見ゆることをなすなかれ 009 1SA 029 008 ダビデ、アキシにいひけるは我何をなせしやわが爾のまへに出し日より今日までに爾何を僕の身に見たればか我ゆきてわが主なるわうの敵とたたかふことをえざると 009 1SA 029 009 アキシこたへてダビデにいひけるは我爾のわが目には神の使のごとく善きをしるされどペリシテ人の諸伯かれは我らとともに戰ひにのぼるべからずといへり 009 1SA 029 010 されば爾および爾の主の僕の爾とともにきたれる者明朝夙く起よ爾ら朝はやくおきて夜のあくるに及ばばさるべし 009 1SA 029 011 是をもてダビデと其從者ペリシテ人の地にかへらんと朝はやく起てされりしかしてペリシテ人はヱズレルにのぼれり 009 1SA 030 001 ダビデと其從者第三日にチクラグにいたるにアマレク人すでに南の地とチクラグを侵したりかれらチクラグを撃ち火をもて之を燬き 009 1SA 030 002 其中に居りし婦女を擄にし老たるをも若きをも一人も殺さずして之をひきて其途におもむけり 009 1SA 030 003 ダビデと其從者邑にいたりて視に邑は火に燬けその妻と男子女子は擄にせられたり 009 1SA 030 004 ダビデおよびこれとともにある民聲をあげて哭き終に哭く力もなきにいたれり 009 1SA 030 005 ダビデのふたりの妻すなはちヱズレル人アヒノアムとカルメル人ナバルの妻なりしアビガルも虜にせられたり 009 1SA 030 006 時にダビデ大に心を苦めたり其は民おのおの其男子女子のために氣をいらだてダビデを石にて撃んといひたればなりされどダビデ其神ヱホバによりておのれをはげませり 009 1SA 030 007 ダビデ、アヒメレクの子祭司アビヤタルにいひけるは請ふエポデを我にもちきたれとアビヤタル、エポデをダビデにもちきたる 009 1SA 030 008 ダビデ、ヱホバに問ていひけるは我此軍の後を追ふべきや我これに追つくことをえんかとヱホバかれにこたへたまはく追ふべし爾かならず追つきてたしかに取もどすことをえん 009 1SA 030 009 ダビデおよびこれとともなる六百人の者ゆきてベソル川にいたれり後にのこれる者はここにとどまる 009 1SA 030 010 即ちダビデ四百人をひきゐて追ゆきしが憊れてベソル川をわたることあたはざる者二百人はとどまれり 009 1SA 030 011 衆人野にて一人のエジプト人を見これをダビデにひききたりてこれに食物をあたへければ食へりまたこれに水をのませたり 009 1SA 030 012 すなはち一段の乾無花果と二球の乾葡萄をこれにあたへたり彼くらひて其氣ふたたび爽かになれりかれは三日三夜物をもくはず水をものまざりしなり 009 1SA 030 013 ダビデかれにいひけるは爾は誰の人なる爾はいづくの者なるやかれいひけるは我はエジプトの少者にて一人のアマレク人の僕なり三日まへに我疾にかかりしゆゑにわが主人我をすてたり 009 1SA 030 014 我らケレテ人の南とユダの地とカレブの南ををかしまた火をもてチクラグをやけり 009 1SA 030 015 ダビデかれにいひけるは爾我を此軍にみちびきくだるやかれいひけるは爾我をころさずまた我をわが主人の手にわたさざるを神をさして我に誓へ我爾を此軍にみちびきくだらん 009 1SA 030 016 かれダビデをみちびきくだりしが視よ彼等はペリシテ人の地とユダの地より奪ひたる諸の大なる掠取物のためによろこびて飮食し踊りつつ地にあまねく散ひろがりて居る 009 1SA 030 017 ダビデ暮あひより次日の晩にいたるまでかれらを撃しかば駱駝にのりて逃げたる四百人の少者の外は一人ものがれたるもの无りき 009 1SA 030 018 ダビデはすべてアマレク人の奪ひたる物を取りもどせり其二人の妻もダビデとりもどせり 009 1SA 030 019 小きも大なるも男子も女子も掠取物もすべてアマレク人の奪さりし物は一も失はずダビデことごとく取かへせり 009 1SA 030 020 ダビデまた凡の羊と牛をとれり人々この家畜をそのまへに驅きたり是はダビデの掠取物なりといへり 009 1SA 030 021 かくてダビデかの憊れてダビデにしたがひ得ずしてベソル川のほとりに止まりし二百人の者のところにいたるに彼らダビデをいでむかへまたダビデとともなる民をいでむかふダビデかの民にちかづきてその安否をたづぬ 009 1SA 030 022 ダビデとともにゆきし人々の中の惡く邪なる者みなこたへていひけるは彼等は我らとともにゆかざりければ我らこれに取りもどしたる掠取物をわけあたふべからず唯おのおのにその妻子をあたへてこれをみちびきさらしめん 009 1SA 030 023 ダビデ言けるはわが兄弟よヱホバ我らをまもり我らにせめきたりし軍を我らの手にわたしたまひたれば爾らヱホバのわれらにたまひし物をしかするは宜からず 009 1SA 030 024 誰か爾らにかかることをゆるさんや戰ひにくだりし者の取る分のごとく輜重のかたはらに止まりし者の取る分もまた然あるべし共にひとしく取るべし 009 1SA 030 025 この日よりのちダビデこれをイスラエルの法となし例となせり其事今日にいたる 009 1SA 030 026 ダビデ、チクラグにいたりて其掠取物をユダの長老なる其朋友にわかちおくりて曰しめけるは是はヱホバの敵よりとりて爾らにおくる饋物なり 009 1SA 030 027 ベテルにをるもの南のラモテにをるものヤツテルにをる者 009 1SA 030 028 アロエルにをる者シフモテにをるものエシテモにをるもの 009 1SA 030 029 ラカルにをるものヱラメル人の邑にをるものケニ人の邑にをるもの 009 1SA 030 030 ホルマにをるものコラシヤンにをるものアタクにをるもの 009 1SA 030 031 ヘブロンにをるものおよびすべてダビデが其從者とともに毎にゆきし所にこれをわかちおくれり 009 1SA 031 001 ペリシテ人イスラエルと戰ふイスラエルの人々ペリシテ人のまへより逃げ負傷者ギルボア山に斃れたり 009 1SA 031 002 ペリシテ人サウルと其子等に攻よりペリシテ人サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを殺したり 009 1SA 031 003 戰はげしくサウルにせまりて射手の者サウルを射とめければ彼痛く射手の者のために苦しめり 009 1SA 031 004 サウル武器を執る者にいひけるは爾の劍を抜き其をもて我を刺とほせ恐らくは是等の割禮なき者きたりて我を刺し我をはづかしめんと然ども武器をとるもの痛くおそれて肯ぜざればサウル劍をとりて其上に伏したり 009 1SA 031 005 武器を執るものサウルの死たるを見ておのれも劍の上にふしてかれとともに死り 009 1SA 031 006 かくサウルと其三人の子およびサウルの武器をとるもの並に其從者みな此日倶に死り 009 1SA 031 007 イスラエルの人々の谷の對向にをるもの及びヨルダンの對面にをるものイスラエルの人々の逃るを見サウルと其子等の死るをみて諸邑を棄て逃ければペリシテ人きたりて其中にをる 009 1SA 031 008 明日ペリシテ人戰沒せる者を剥んとてきたりサウルと其三人の子のギルボア山にたふれをるを見たり 009 1SA 031 009 彼等すなはちサウルの首を斬り其鎧甲をはぎとりペリシテ人の地の四方につかはして此好報を其偶像の家および民の中につげしむ 009 1SA 031 010 またかれら其鎧甲をアシタロテの家におき其體をベテシヤンの城垣に釘けたり 009 1SA 031 011 ヤベシギレアデの人々ペリシテ人のサウルになしたる事を聞きしかば 009 1SA 031 012 勇士みなおこり終夜ゆきてサウルの體と其子等の體をベテシヤンの城垣よりとりおろしヤベシにいたりて之を其處に焚き 009 1SA 031 013 其骨をとりてヤベシの柳樹の下にはうむり七日のあひだ斷食せり # # BOOK 010 2SA 2 Samuel サムエル記Ⅱ 010 2SA 001 001 サウルの死し後ダビデ、アマレク人を撃てかへりチクラグに二日とどまりけるが 010 2SA 001 002 第三日に及びて一個の人其衣を裂き頭に土をかむりて陣營より即ちサウルの所より來りダビデの許にいたり地にふして拝せり 010 2SA 001 003 ダビデかれにいひけるは汝いづくより來れるやかれダビデにいひけるはイスラエルの陣營より逃れきたれり 010 2SA 001 004 ダビデかれにいひけるは事いかん請ふ我につげよかれこたへけるは民戰に敗れて逃げ民おほく仆れて死りまたサウルと其子ヨナタンも死り 010 2SA 001 005 ダビデ其おのれにつぐる少者にいひけるは汝いかにしてサウルと其子ヨナタンの死たるをしるや 010 2SA 001 006 ダビデにつぐる少者いひけるは我はからずもギルボア山にのぼり見しにサウル其槍に倚かかりをりて戰車と騎兵かれにせめよらんとせり 010 2SA 001 007 彼うしろにふりむきて我を見我をよびたれば我こたへて我ここにありといふ 010 2SA 001 008 かれ我に汝は誰なるやといひければ我かれにこたへて我はアマレク人なりといふ 010 2SA 001 009 かれまた我にいひけるはわが身いたく攣ば請ふ我うへにのりて我をころせわが生命なほわれの中にまつたければなりと 010 2SA 001 010 我すなはちかれの上にのりてかれを殺したり其は我かれが旣に仆て生ることをえざるをしりたればなりしかして我その首にありし冕とその腕にありし釧を取りてこれをわが主に携へきたれり 010 2SA 001 011 是においてダビデおのれの衣を執てこれを裂けりまた彼とともにある者も皆しかせり 010 2SA 001 012 彼等サウルのためまた其子ヨナタンのためまたヱホバの民のためイスラエルの家のために哭きかなしみて晩まで食を斷り其は彼ら劍にたふれたればなり 010 2SA 001 013 ダビデおのれに告し少者にいひけるは汝は何處の者なるやかれこたへけるは我は他國の人すなはちアマレク人なりと 010 2SA 001 014 ダビデかれにいひけるは汝なんぞ手をのばしてヱホバの膏そそぎし者をころすことを畏ざりしやと 010 2SA 001 015 ダビデ一人の少者をよびていひけるは近よりてかれをころせとすなはちかれをうちければ死り 010 2SA 001 016 ダビデかれにいひけるは汝の血は汝の首に歸せよ其は汝口づから我ヱホバのあぶらそそぎし者をころせりといひて己にむかひて證をたつればなり 010 2SA 001 017 ダビデ悲歌をもてサウルと其子ヨナタンを吊ふ 010 2SA 001 018 ダビデ命じてこれをユダの族にをしへしむ即ち弓の歌是なり是はヤシル書に記さる 010 2SA 001 019 イスラエルよ汝の榮耀は汝の崇邱に殺さる嗚呼勇士は仆れたるかな 010 2SA 001 020 此事をガテに告るなかれアシケロンの邑に傳るなかれ恐くはペリシテ人の女等喜ばん恐くは割禮を受ざる者の女等樂み祝はん 010 2SA 001 021 ギルボアの山よ願は汝の上に雨露降ることあらざれ亦供物の田園もあらざれ其は彼處に勇士の干棄らるればなり即ちサウルの干膏を沃がずして彼處に棄らる 010 2SA 001 022 殺せし者の血をのまずしてヨナタンの弓は退かず勇士の脂を食ずしてサウルの劍は空く歸らず 010 2SA 001 023 サウルとヨナタンは愛らしく樂げにして生死ともに離れず二人は鷲よりも捷く獅子よりも強かりき 010 2SA 001 024 イスラエルの女等よサウルのために哀けサウルは絳き衣をもて汝等を華麗に粧ひ金の飾を汝等の衣に着たり 010 2SA 001 025 嗚呼勇士は戰の中に仆たるかなヨナタン汝の崇邱に殺されぬ 010 2SA 001 026 兄弟ヨナタンよ我汝のために悲慟む汝は大に我に樂き者なりき汝の我をいつくしめる愛は尋常ならず婦の愛にも勝りたり 010 2SA 001 027 嗚呼勇士は仆たるかな戰の具は失たるかな 010 2SA 002 001 此のちダビデ、ヱホバに問ていひけるは我ユダのひとつの邑にのぼるべきやヱホバかれにいひたまひけるはのぼれダビデいひけるは何處にのぼるべきやヱホバいひたまひけるはヘブロンにのぼるべしと 010 2SA 002 002 ダビデすなはち彼處にのぼれりその二人の妻ヱズレル人アヒノアムおよびカルメル人ナバルの妻なりしアビガルもともにのぼれり 010 2SA 002 003 ダビデ其おのれとともにありし從者と其家族をことごとく將のぼりければ皆ヘブロンの諸巴にすめり 010 2SA 002 004 時にユダの人々きたり彼處にてダビデに膏をそそぎてユダの家の王となせり 人々ダビデにつげてサウルを葬りしはヤベシギレアデの人なりといひければ 010 2SA 002 005 ダビデ使者をヤベシギレアデの人におくりてこれにいひけるは汝らこの厚意を汝らの主サウルにあらはしてかれを葬りたればねがはくは汝らヱホバより福祉をえよ 010 2SA 002 006 ねがはくはヱホバ恩寵と眞實を汝等にしめしたまへ汝らこの事をなしたるにより我亦汝らに此恩惠をしめすなり 010 2SA 002 007 されば汝ら手をつよくして勇ましくなれ汝らの主サウルは死たり又ユダの家我に膏をそそぎて我をかれらの王となしたればなりと 010 2SA 002 008 爰にサウルの軍の長ネルの子アブネル、サウルの子イシボセテを取りてこれをマナイムにみちびきわたり 010 2SA 002 009 ギレアデとアシユリ人とヱズレルとエフライムとベニヤミンとイスラエルの衆の王となせり 010 2SA 002 010 サウルの子イシボセテはイスラエルの王となりし時四十歳にして二年のあひだ位にありしがユダの家はダビデにしたがへり 010 2SA 002 011 ダビデのヘブロンにありてユダの家の王たりし日數は七年と六ヶ月なりき 010 2SA 002 012 ネルの子アブネル及びサウルの子なるイシボセテの臣僕等マハナイムを出てギベオンに至れり 010 2SA 002 013 セルヤの子ヨアブとダビデの臣僕もいでゆけり彼らギベオンの池の傍にて出會一方は池の此畔に一方は池の彼畔に坐す 010 2SA 002 014 アブネル、ヨアブにいひけるはいざ少者をして起て我らのまへに戯れしめんヨアブいひけるは起しめんと 010 2SA 002 015 サウルの子イシボセテに屬するベニヤミンの人其數十二人及びダビデの臣僕十二人起て前み 010 2SA 002 016 おのおの其敵手の首を執へて劍を其敵手の脅に刺し斯して彼等倶に斃れたり是故に其處はヘルカテハヅリム(利劍の地)と稱らる即ちギベオンにあり 010 2SA 002 017 此日戰甚だ烈しくしてアブネルとイスラエルの人々ダビデの臣僕のまへに敗る 010 2SA 002 018 其處にゼルヤの三人の子ヨアブ、アビシヤイ、アサヘル居たりしがアサヘルは疾足なること野にをる麆のごとくなりき 010 2SA 002 019 アサヘル、アブネルの後を追ひけるが行に右左にまがらずアブネルの後をしたふ 010 2SA 002 020 アブネル後を顧みていふ汝はアサヘルなるか彼しかりと答ふ 010 2SA 002 021 アブネルかれにいひけるは汝の右か左に轉向て少者の一人を擒へて其戎服を取れと然どアサヘル、アブネルをおふことを罷て外に向ふを肯ぜず 010 2SA 002 022 アブネルふたたびアサヘルにいふ汝我を追ことをやめて外に向へ我なんぞ汝を地に撃ち仆すべけんや然せば我いかでかわが面を汝の兄ヨアブにむくべけんと 010 2SA 002 023 然どもかれ外にむかふことをいなむによりアブネル槍の後銛をもてかれの腹を刺しければ槍その背後にいでたりかれ其處にたふれて立時に死り斯しかばアサヘルの仆れて死るところに來る者は皆たちどまれり 010 2SA 002 024 されどヨアブとアビシヤイはアブネルの後を追きたりしがギベオンの野の道傍にギアの前にあるアンマの山にいたれる時日暮ぬ 010 2SA 002 025 ベニヤミンの子孫アブネルにしたがひて集まり一隊となりてひとつの山の頂にたてり 010 2SA 002 026 爰にアブネル、ヨアブをよびていひけるは刀劍豈永久にほろぼさんや汝其終りには怨恨を結ぶにいたるをしらざるや汝何時まで民に其兄弟を追ふことをやめてかへることを命ぜざるや 010 2SA 002 027 ヨアブいひけるは神は活く若し汝が言出さざりしならば民はおのおの其兄弟を追はずして今晨のうちにさりゆきしならんと 010 2SA 002 028 かくてヨアブ喇叭を吹きければ民皆たちどまりて再イスラエルの後を追はずまたかさねて戰はざりき 010 2SA 002 029 アブネルと其從者終夜アラバを經ゆきてヨルダンを濟りビテロンを通りてマハナイムに至れり 010 2SA 002 030 ヨアブ、アブネルを追ことをやめて歸り民をことごとく集めたるにダビデの臣僕十九人とアサヘル缺てをらざりき 010 2SA 002 031 されどダビデの臣僕はベニヤミンとアブネルの從者三百六十人を撃ち殺せり 010 2SA 002 032 人々アサヘルを取りあげてベテレヘムにある其父の墓に葬るヨアブと其從者は終夜ゆきて黎明にヘブロンにいたれり 010 2SA 003 001 サウルの家とダビデの家の間の戰爭久しかりしがダビデは益強くなりサウルの家はますます弱くなれり 010 2SA 003 002 ヘブロンにてダビデに男子等生る其首出の子はアムノンといひてヱズレル人アヒノアムより生る 010 2SA 003 003 其次はギレアブといひてカルメル人ナバルの妻なりしアビガルより生る第三はアブサロムといひてゲシユルの王タルマイの女子マアカの子なり 010 2SA 003 004 第四はアドニヤといひてハギテの子なり第五はシバテヤといひてアビタルの子なり 010 2SA 003 005 第六はイテレヤムといひてダビデの妻エグラの子なり是等の子ヘブロンにてダビデに生る 010 2SA 003 006 サウルの家とダビデの家の間に戰爭ありし間アブネルは堅くサウルの家に荷擔り 010 2SA 003 007 嚮にサウル一人の妾を有り其名をリヅパといふアヤの女なり爰にイシボセテ、アブネルにいひけるは汝何ぞわが父の妾に通じたるや 010 2SA 003 008 アブネル甚しくイシボセテの言を怒りていひけるは我今日汝の父サウルの家とその兄弟とその朋友に厚意をあらはし汝をダビデの手にわたさざるに汝今日婦人の過を擧て我を責む我あに犬の首ならんやユダにくみする者ならんや 010 2SA 003 009 神アブネルに斯なしまたかさねて斯なしたまへヱホバのダビデに誓ひたまひしごとく我かれに然なすべし 010 2SA 003 010 即ち國をサウルの家より移しダビデの位をダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルとユダの上にたてん 010 2SA 003 011 イシボセテ、アブネルを恐れたればかさねて一言も之にこたふるをえざりき 010 2SA 003 012 アブネルおのれの代に使者をダビデにつかはしていひけるは此地は誰の所有なるや又いひけるは汝我と契約を爲せ我力を汝に添へてイスラエルを悉く汝に歸せしめん 010 2SA 003 013 ダビデいひけるは善し我汝と契約をなさん但し我一の事を汝に索む即ち汝來りてわが面を覿る時先づサウルの女ミカルを携きたらざれば我面を覿るを得じと 010 2SA 003 014 ダビデ使者をサウルの子イシボセテに遣していひけるはわがペリシテ人の陽皮一百を以て聘たるわが妻ミカルを我に交すべし 010 2SA 003 015 イシボセテ人をつかはしてかれを其夫ライシの子パルテより取しかば 010 2SA 003 016 其夫哭つつ歩みて其後にしたがひて倶にバホリムにいたりしがアブネルかれに歸り往けといひければすなはち歸りぬ 010 2SA 003 017 アブネル、イスラエルの長老等と語りていひけるは汝ら前よりダビデを汝らの王となさんことを求め居たり 010 2SA 003 018 されば今これをなすべし其はヱホバ、ダビデに付て語りて我わが僕ダビデの手を以てわが民イスラエルをペリシテ人の手よりまたその諸の敵の手より救ひいださんといひたまひたればなりと 010 2SA 003 019 アブネル亦ベニヤミンの耳に語れりしかしてアブネル自らイスラエルおよびベニヤミンの全家の善とおもふ所をヘブロンにてダビデの耳に告んとて往り 010 2SA 003 020 すなはちアブネル二十人をしたがへてヘブロンにゆきてダビデの許にいたりければダビデ、アブネルと其したがへる從者のために酒宴を設けたり 010 2SA 003 021 アブネル、ダビデにいひけるは我起てゆきイスラエルをことごとくわが主王の所に集めて彼等に汝と契約を立しめ汝をして心の望む所の者をことごとく治むるにいたらしめんと是においてダビデ、アブネルを歸してかれ安然に去り 010 2SA 003 022 時にダビデの臣僕およびヨアブ人の國を侵して歸り大なる掠取物を携へきたれり然どアブネルはタビデとともにヘブロンにはをらざりき其はダビデかれを歸してかれ安然に去りたればなり 010 2SA 003 023 ヨアブおよびともにありし軍兵皆かへりきたりしとき人々ヨアブに告ていひけるはネルの子アブネル王の所にきたりしが王かれを返してかれ安然にされりと 010 2SA 003 024 ヨアブ王に詣りていひけるは汝何を爲したるやアブネル汝の所にきたりしに汝何故にかれを返して去ゆかしめしや 010 2SA 003 025 汝ネルの子アブネルが汝を誑かさんとてきたり汝の出入を知りまた汝のすべて爲す所を知んために來りしを知ると 010 2SA 003 026 かくてヨアブ、ダビデの所より出來り使者をつかはしてアブネルを追しめたれば使者シラの井よりかれを將返れりされどダビデは知ざりき 010 2SA 003 027 アブネル、ヘブロンに返りしかばヨアブ彼と密に語らんとてかれを門の内に引きゆき其處にてその腹を刺てこれを殺し己の兄弟アサヘルの血をむくいたり 010 2SA 003 028 其後ダビデ聞ていひけるは我と我國はネルの子アブネルの血につきてヱホバのまへに永く罪あることなし 010 2SA 003 029 其罪はヨアブの首と其父の全家に歸せよねがはくはヨアブの家には白濁を疾ものか癩病人か杖に倚ものか劍に仆るものか食物に乏しき者か絶ゆることあらざれと 010 2SA 003 030 ヨアブとその弟アビシヤイのアブネルを殺したるは彼がギベオンにて戰陣のうちにおのれの兄弟アサヘルをころせしによれり 010 2SA 003 031 ダビデ、ヨアブおよびおのれとともにある民にいひけるは汝らの衣服を裂き麻の衣を著てアブネルのために哀哭くべしとダビデ王其棺にしたがふ 010 2SA 003 032 人衆アブネルをヘブロンに葬れり王聲をあげてアブネルの墓に哭き又民みな哭けり 010 2SA 003 033 王アブネルの爲に悲の歌を作りて云くアブネル如何にして愚なる人の如くに死けん 010 2SA 003 034 汝の手は縛もあらず汝の足は鏈にも繋れざりしものを嗚呼汝は惡人のために仆る人のごとくにたふれたり斯て民皆再びかれのために哭けり 010 2SA 003 035 民みな日のあるうちにダビデにパンを食はしめんとて來りしにダビデ誓ひていひけるは若し日の沒まへに我パンにても何にても味ひなば神我にかくなし又重ねて斯なしたまへと 010 2SA 003 036 民皆見て之を其目に善しとせり凡て王の爲すところの事は皆民の目に善と見えたり 010 2SA 003 037 其日民すなはちイスラエル皆ネルの子アブネルを殺たるは王の所爲にあらざるを知れり 010 2SA 003 038 王その臣僕にいひけるは今日一人の大將大人イスラエルに斃る汝らこれをしらざるや 010 2SA 003 039 我は膏そそがれし王なれども今日尚弱しゼルヤの子等なる此等の人我には制しがたしヱホバ惡をおこな者に其惡に隨ひて報いたまはん 010 2SA 004 001 サウルの子はアブネルのヘブロンにて死たるを聞きしかば其手弱くなりてイスラエルみな憂へたり 010 2SA 004 002 サウルの子隊長二人を有てり其一人をバアナといひ一人をレカブといふベニヤミンの支派なるベロテ人リンモンの子等なり其はベロテも亦ベニヤミンの中に數らるればなり 010 2SA 004 003 昔にペロテ人ギツタイムに逃遁れて今日にいたるまで彼處に旅人となりて止まる 010 2SA 004 004 サウルの子ヨナタンに跛足の子一人ありヱズレルよりサウルとヨナタンの事の報いたりし時には五歳なりき其乳媼かれを抱きて逃れたりしが急ぎ逃る時其子堕て跛者となれり其名をメピボセテといふ 010 2SA 004 005 ベロテ人リンモンの子レカブとバアナゆきて日の熱き頃イシボセテの家にいたるにイシボセテ午睡し居たり 010 2SA 004 006 かれら麥を取らんといひて家の中にいりきたりかれの腹を刺りしかしてレカブと其兄弟バアナ逃げさりぬ 010 2SA 004 007 彼等が家にいりしときイシボセテは其寝室にありて床の上に寝たりかれら即ちこれをうちころしこれを馘りて其首級をとり終夜アラバの道をゆきて 010 2SA 004 008 イシボセテの首級をヘブロンにダビデの許に携へいたりて王にいひけるは汝の生命を求めたる汝の敵サウルの子イシボセテの首を視よヱホバ今日我主なる王の仇をサウルと其裔に報いたまへりと 010 2SA 004 009 ダビデ、ベロテ人リンモンの子レカブと其兄弟バアナに答へていひけるはわが生命を諸の艱難の中に救ひたまひしヱホバは生く 010 2SA 004 010 我は嘗て人の我に告て視よサウルは死りと言ひて自ら我に善き事を傳ふる者と思ひをりしを執てこれをチクラグに殺し其消息に報いたり 010 2SA 004 011 况や惡人の義人を其家の床の上に殺したるをやされば我彼の血をながせる罪を汝らに報い汝らをこの地より絶ざるべけんやと 010 2SA 004 012 ダビデ少者に命じければ少者かれらを殺して其手足を切離しヘブロンの池の上に懸たり又イシボセテの首を取りてヘブロンにあるアブネルの墓に葬れり 010 2SA 005 001 爰にイスラエルの支派咸くヘブロンにきたりダビデにいたりていひけるは視よ我儕は汝の骨肉なり 010 2SA 005 002 前にサウルが我儕の王たりし時にも汝はイスラエルを率ゐて出入する者なりきしかしてヱホバ汝に汝わが民イスラエルを牧養はん汝イスラエルの君長とならんといひたまへりと 010 2SA 005 003 斯くイスラエルの長老皆ヘブロンにきたり王に詣りければダビデ王ヘブロンにてヱホバのまへにかれらと契約をたてたり彼らすなはちダビデに膏を灑でイスラエルの王となす 010 2SA 005 004 ダビデは王となりし時三十歳にして四十年の間位に在き 010 2SA 005 005 即ちヘブロンにてユダを治むること七年と六箇月またエルサレムにてイスラエルとユダを全く治むること三十三年なり 010 2SA 005 006 茲に王其從者とともにエルサレムに往き其地の居民ヱブス人を攻んとすヱブス人ダビデに語りていひけるは汝此に入ること能はざるべし反て盲者跛者汝を追はらはんと是彼らダビデ此に入るあたはずと思へるなり 010 2SA 005 007 然るにダビデ、シオンの要害を取り是即ちダビデの城邑なり 010 2SA 005 008 ダビデ其日いひけるは誰にても水道にいたりてヱブス人を撃ちまたダビデの心の惡める跛者と盲者を撃つ者は(首となし長となさん)と是によりて人々盲者と跛者は家に入るべからずといひなせり 010 2SA 005 009 ダビデ其要害に住て之をダビデの城邑と名けたりまたダビデ、ミロ(城塞)より内の四方に建築をなせり 010 2SA 005 010 かくてダビデはますます大に成りゆき且萬軍の神ヱホバこれと共にいませり 010 2SA 005 011 ツロの王ヒラム使者をダビデに遣はして香柏および木匠と石工をおくれり彼らダビデの爲に家を建つ 010 2SA 005 012 ダビデ、ヱホバのかたく己をたててイスラエルの王となしたまへるを暁りまたヱホバの其民イスラエルのために其國を興したまひしを暁れり 010 2SA 005 013 ダビデ、ヘブロンより來りし後エルサレムの中よりまた妾と妻を納たれば男子女子またダビデに生る 010 2SA 005 014 ヱルサレムにて彼に生れたる者の名はかくのごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン 010 2SA 005 015 イブハル、エリシユア、ネペグ、ヤピア 010 2SA 005 016 エリシヤマ、エリアダ、エリバレテ 010 2SA 005 017 爰に膏を沃いでダビデをイスラエルの王と爲し事ペリシテ人に聞えければペリシテ人皆ダビデを獲んとて上るダビデ聞て要害に下れり 010 2SA 005 018 ペリシテ人臻りてレバイムの谷に布き備たり 010 2SA 005 019 ダビデ、ヱホバに問ていひけるは我ペリシテ人にむかひて上るべきや汝かれらをわが手に付したまふやヱホバ、ダビデにいひたまひけるは上れ我必らずペリシテ人を汝の手にわたさん 010 2SA 005 020 ダビデ、バアルペラジムに至りかれらを其所に撃ていひけるはヱホバ水の破壞り出るごとく我敵をわが前に破壞りたまへりと是故に其所の名をバアルペラジム(破壞の處)と呼ぶ 010 2SA 005 021 彼處に彼等其偶像を遺たればダビデと其從者これを取あげたり 010 2SA 005 022 ペリシテ人再び上りてレバイムの谷に布き備へたれば 010 2SA 005 023 ダビデ、ヱホバに問にヱホバいひたまひけるは上るべからず彼等の後にまはりベカの樹の方より彼等を襲へ 010 2SA 005 024 汝ベカの樹の上に進行の音を聞ばすなけち突出づべし其時にはヱホバ汝のまへにいでてペリシテ人の軍を撃たまふべければなりと 010 2SA 005 025 ダビデ、ヱホバのおのれに命じたまひしごとくなしペリシテ人を撃てゲバよりガゼルにいたる 010 2SA 006 001 ダビデ再びイスラエルの選抜の兵士三萬人を悉く集む 010 2SA 006 002 ダビデ起ておのれと共にをる民とともにバアレユダに往て神の櫃を其處より舁上らんとす其櫃はケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバの名をもて呼る 010 2SA 006 003 すなはち神の櫃を新しき車に載せて山にあるアビナダブの家より舁だせり 010 2SA 006 004 アビナダブの子ウザとアヒオ神の櫃を載たる其新しき車を御しアヒオは櫃のまへにゆけり 010 2SA 006 005 ダビデおよびイスラエルの全家琴と瑟と鼗と鈴と鐃鈸をもちて力を極め謡を歌ひてヱホバのまへに躍踴れり 010 2SA 006 006 彼等がナコンの禾場にいたれる時ウザ手を神の櫃に伸してこれを扶へたり其は牛振たればなり 010 2SA 006 007 ヱホバ、ウザにむかひて怒りを發し其誤謬のために彼を其處に撃ちたまひければ彼そこに神の櫃の傍に死ねり 010 2SA 006 008 ヱホバ、ウザを撃ちたまひしによりてダビデ怒り其處をペレヅウザ(ウザ撃)と呼り其名今日にいたる 010 2SA 006 009 其日ダビデ、ヱホバを畏れていひけるはヱホバの櫃いかで我所にいたるべけんやと 010 2SA 006 010 ダビデ、ヱホバの櫃を己に移してダビデの城邑にいらしむるを好まず之を轉してガテ人オベデエドムの家にいたらしむ 010 2SA 006 011 ヱホバの櫃ガテ人オベデエドムの家に在ること三月なりきヱホバ、オベデエドムと其全家を惠みたまふ 010 2SA 006 012 ヱホバ神の櫃のためにオベデエドムの家と其所有を皆惠みたまふといふ事ダビデ王に聞えけれぼダビデゆきて喜樂をもて神の櫃をオベデエドムの家よりダビデの城邑に舁上れり 010 2SA 006 013 ヱホバの櫃を舁者六歩行](ゆき)}たる時ダビデ牛と肥たる者を献げたり 010 2SA 006 014 ダビデ力を極めてヱホバの前に踊躍れり時にダビデ布のエポデを著け居たり 010 2SA 006 015 ダビデおよびイスラエルの全家歓呼と喇叭の聲をもてヱホバの櫃を舁のぼれり 010 2SA 006 016 神の櫃ダビデの城邑にいりし時サウルの女ミカル窻より窺ひてダビデ王のヱホバのまへに舞躍るを見其心にダビデを蔑視む 010 2SA 006 017 人々ヱホバの櫃を舁入てこれをダビデが其爲に張たる天幕の中なる其所に置りしかしてダビデ燔祭と酬恩祭をヱホバのまへに献げたり 010 2SA 006 018 ダビデ燔祭と酬恩祭を献ぐることを終し時萬軍のヱホバの名を以て民を祝せり 010 2SA 006 019 また民の中即ちイスラエルの衆庶の中に男にも女にも倶にパン一箇 肉一斤 乾葡萄一塊を分ちあたへたり斯て民皆おのおの其家にかへりぬ 010 2SA 006 020 爰にダビデ其家族を祝せんとて歸りしかばサウルの女ミカル、ダビデをいでむかへていひけるはイスラエルの王今日如何に威光ありしや自ら遊蕩者の其身を露すがごとく今日其臣僕の婢女のまへに其身を露したまへりと 010 2SA 006 021 ダビデ、ミカルにいふ我はヱホバのまへに即ち汝の父よりもまたその全家よりも我を選みて我をヱホバの民イスラエルの首長に命じたまへるヱホバのまへに躍れり 010 2SA 006 022 我は此よりも尚鄙からんまたみづから賤しと思はん汝が語る婢女等とともにありて我は尊榮をえんと 010 2SA 006 023 是故にサウルの女ミカルは死ぬる日まで子あらざりき 010 2SA 007 001 王其家に住にいたり且ヱホバ其四方の敵を壞てかれを安らかならしめたまひし時 010 2SA 007 002 王預言者ナタンに云けるは視よ我は香柏の家に住む然ども神の櫃は幔幕の中にあり 010 2SA 007 003 ナタン王に云けるはヱホバ汝と共に在せば往て凡て汝の心にあるところを爲せ 010 2SA 007 004 其夜ヱホバの言ナタンに臨みていはく 010 2SA 007 005 往てわが僕ダビデに言へヱホバ斯く言ふ汝わがために我の住むべき家を建んとするや 010 2SA 007 006 我はイスラエルの子孫をエジプトより導き出せし時より今日にいたるまで家に住しことなくして但天幕と幕屋の中に歩み居たり 010 2SA 007 007 我イスラエルの子孫と共に凡て歩める處にて汝ら何故に我に香柏の家を建ざるやとわが命じてわが民イスラエルを牧養しめしイスラエルの士師の一人に一言も語りしことあるや 010 2SA 007 008 然ば汝わが僕ダビデに斯く言ふべし萬軍のヱホバ斯く言ふ我汝を牧場より取り羊に隨ふ所より取りてわが民イスラエルの首長となし 010 2SA 007 009 汝がすべて往くところにて汝と共にあり汝の諸の敵を汝の前より斷さりて地の上の大なる者の名のごとく汝に大なる名を得さしめたり 010 2SA 007 010 又我わが民イスラエルのために處を定めてかれらを植つけかれらをして自己の處に住て重て動くことなからしめたり 010 2SA 007 011 また惡人昔のごとくまたわが民イスラエルの上に士師を立てたる時よりの如くふたたび之を惱ますことなかるべし我汝の諸の敵をやぶりて汝を安かならしめたり又ヱホバ汝に告ぐヱホバ汝のために家をたてん 010 2SA 007 012 汝の日の滿て汝が汝の父祖等と共に寝らん時に我汝の身より出る汝の種子を汝の後にたてて其國を堅うせん 010 2SA 007 013 彼わが名のために家を建ん我永く其國の位を堅うせん 010 2SA 007 014 我はかれの父となり彼はわが子となるべし彼もし迷はば我人の杖と人の子の鞭を以て之を懲さん 010 2SA 007 015 されど我の恩惠はわが汝のまへより除きしサウルより離れたるごとくに彼よりは離るることあらじ 010 2SA 007 016 汝の家と汝の國は汝のまへに永く保つべし汝の位は永く堅うせらるべし 010 2SA 007 017 ナタン凡て是等の言のごとくまたすべてこの異象のごとくダビデに語りければ 010 2SA 007 018 ダビデ王入りてヱホバの前に坐していひけるは主ヱホバよ我は誰わが家は何なればか爾此まで我を導きたまひしや 010 2SA 007 019 主ヱホバよ此はなほ汝の目には小き事なり汝また僕の家の遥か後の事を語りたまへり主ヱホバよ是は人の法なり 010 2SA 007 020 ダビデ此上何を汝に言ふを得ん其は主ヱホバ汝僕を知たまへばなり 010 2SA 007 021 汝の言のためまた汝の心に隨ひて汝此諸の大なることを爲し僕に之をしらしめたまふ 010 2SA 007 022 故に神ヱホバよ爾は大なり其は我らが凡て耳に聞る所に依ば汝の如き者なくまた汝の外に神なければなり 010 2SA 007 023 地の何れの國か汝の民イスラエルの如くなる其は神ゆきてかれらを贖ひ己の民となして大なる名を得たまひまた彼らの爲に大なる畏るべき事を爲したまへばなり即ち汝がエジプトより贖ひ取たまひし民の前より國々の人と其諸神を逐拂ひたまへり 010 2SA 007 024 汝は汝の民イスラエルをかぎりなく汝の民として汝に定めたまへりヱホバよ汝はかれの神となりたまふ 010 2SA 007 025 されば神ヱホバよ汝が僕と其家につきて語りたまひし言を永く堅うして汝のいひしごとく爲たまへ 010 2SA 007 026 ねがはくは永久に汝の名を崇めて萬軍のヱホバはイスラエルの神なりと曰しめたまへねがはくは僕ダビデの家をして汝のまへに堅く立しめたまへ 010 2SA 007 027 其は萬軍のヱホバ、イスラエルの神よ汝僕の耳に示して我汝に家をたてんと言たまひたればなり 是故に僕此祈祷を汝に爲す道を心の中に得たり 010 2SA 007 028 主ヱホバよ汝は神なり汝の言は眞なり汝この惠を僕に語りたまへり 010 2SA 007 029 願くは僕の家を祝福て汝のまへに永く続くことを得さしめたまへ其は主ヱホバ汝これを語りたまへばなりねがはくは汝の祝福によりて僕の家に永く祝福を蒙らしめたまへ 010 2SA 008 001 此後ダビデ、ペリシテ人を撃てこれを服すダビデまたペリシテ人の手よりメテグアンマをとれり 010 2SA 008 002 ダビデまたモアブを撃ち彼らをして地に伏しめ繩をもてかれらを度れり即ち二條の繩をもて死す者を度り一條の繩をもて生しおく者を量度るモアブ人は貢物を納てダビデの臣僕となれり 010 2SA 008 003 ダビデまたレホブの子なるゾバの王ハダデゼルがユフラテ河の邊にて其勢を新にせんとて往るを撃り 010 2SA 008 004 しかしてダビデ彼より騎兵千七百人歩兵二萬人を取りまたダビデ一百の車の馬を存して其餘の車馬は皆其筋を切斷り 010 2SA 008 005 ダマスコのスリア人ゾバの王ハダデゼルを援んとて來りければダビデ、スリア人二萬二千を殺せり 010 2SA 008 006 しかしてダビデ、ダマスコのスリアに代官を置きぬスリア人は貢物を納てダビデの臣僕となれりヱホバ、ダビデを凡て其往く所にて助けたまへり 010 2SA 008 007 ダビデ、ハダデゼルの臣僕等の持る金の楯を奪ひてこれをエルサレムに携きたる 010 2SA 008 008 ダビデ王又ハダデゼルの邑ベタとベロタより甚だ多くの銅を取り 010 2SA 008 009 時にハマテの王トイ、ダビデがハダデゼルの總の軍を撃破りしを聞て 010 2SA 008 010 トイ其子ヨラムをダビデ王につかはし安否を問ひかつ祝を宣しむ其はハダデゼル嘗てトイと戰を爲したるにダビデ、ハダデゼルとたたかひてこれを撃やぶりたればなりヨラム銀の器と金の器と銅の器を携へ來りければ 010 2SA 008 011 ダビデ王其攻め伏せたる諸の國民の中より取りて納めたる金銀と共に是等をもヱホバに納めたり 010 2SA 008 012 即ちエドムよりモアブよりアンモンの子孫よりペリシテ人よりアマレクよりえたる物およびゾバの王レホブの子ハダデゼルより得たる掠取物とともにこれを納めたり 010 2SA 008 013 ダビデ鹽谷にてエドム人一萬八千を撃て歸て名譽を得たり 010 2SA 008 014 ダビデ、エドムに代官を置り即ちエドムの全地に徧く代官を置てエドム人は皆ダビデの臣僕となれりヱホバ、ダビデを凡て其往くところにて助け給へり 010 2SA 008 015 ダビデ、イスラエルの全地を治め其民に公道と正義を行ふ 010 2SA 008 016 ゼルヤの子ヨアブは軍の長アヒルデの子ヨシヤバテは史官 010 2SA 008 017 アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アヒメレクは祭司セラヤは書記官 010 2SA 008 018 ヱホヤダの子ベナヤはケレテ人およびペレテ人の長ダビデの子等は大臣なりき 010 2SA 009 001 爰にダビデいひけるはサウルの家の遺存れる者尚あるや我ヨナタンの爲に其人に恩惠をほどこさんと 010 2SA 009 002 サウルの家の僕なるヂバと名くる者ありければかれをダビデの許に召きたるに王かれにいひけるは汝はヂバなるか彼いふ僕是なり 010 2SA 009 003 王いひけるは尚サウルの家の者あるか我其人に神の恩惠をほどこさんとすヂバ王にいひけるはヨナタンの子尚あり跛足なり 010 2SA 009 004 王かれにいひけるは其人は何處にをるやヂバ王にいひけるはロデバルにてアンミエルの子マキルの家にをる 010 2SA 009 005 ダビデ王人を遣はしてロデバルより即ちアンミエルの子マキルの家よりかれを携來らしむ 010 2SA 009 006 サウルの子ヨナタンの子なるメピボセテ、ダビデの所に來り伏て拝せりダビデ、メピボセテよといひければ答て僕此にありと曰ふ 010 2SA 009 007 ダビデかれにいひけるは恐るるなかれ我必ず汝の父ヨナタンの爲に恩惠を汝にしめさん我汝の父サウルの地を悉く汝に復すべし又汝は恒に我席において食ふべしと 010 2SA 009 008 かれ拝して言けるは僕何なればか汝死たる犬のごとき我を眷顧たまふ 010 2SA 009 009 王サウルの僕ヂバを呼てこれにいひけるは凡てサウルとその家の物は我皆汝の主人の子にあたへたり 010 2SA 009 010 汝と汝の子等と汝の僕かれのために地を耕へして汝の主人の子に食ふべき食物を取りきたるべし但し汝の主人の子メピボセテは恒に我席において食ふべしとヂバは十五人の子と二十人の僕あり 010 2SA 009 011 ヂバ王にいひけるは總て王わが主の僕に命じたまひしごとく僕なすべしとメピボセテは王の子の一人のごとくダビデの席にて食へり 010 2SA 009 012 メピボセテに一人の若き子あり其名をミカといふヂバの家に住る者は皆メピボセテの僕なりき 010 2SA 009 013 メピボセテはエルサレムに住みたり其はかれ恒に王の席にて食ひたればなりかれは兩の足ともに跛たる者なり 010 2SA 010 001 此後アンモンの子孫の王死て其子ハヌン之に代りて位に即く 010 2SA 010 002 ダビデ我ナハシの子ハヌンにその父の我に恩惠を示せしごとく恩惠を示さんといひてダビデかれを其父の故によりて慰めんとて其僕を遣せりダビデの僕アンモンの子孫の地にいたるに 010 2SA 010 003 アンモンの子孫の諸伯其主ハヌンにいひけるはダビデ慰者を汝に遣はしたるによりて彼汝の父を崇むと汝の目に見ゆるやダビデ此城邑を窺ひこれを探りて陷いれんために其僕を汝に遣はせるにあらずや 010 2SA 010 004 是においてハヌン、ダビデの僕を執へ其鬚の半を剃り落し其衣服を中より斷て股までにしてこれを歸せり 010 2SA 010 005 人々これをダビデに告たればダビデ人を遣はしてかれらを迎へしむ其人々大に恥たればなり即ち王いふ汝ら鬚の長るまでヱリコに止まりて然るのち歸るべしと 010 2SA 010 006 アンモンの子孫自己のダビデに惡まるるを見しかばアンモンの子孫人を遣はしてベテレホブのスリア人とゾバのスリア人の歩兵二萬人およびマアカの王より一千人トブの人より一萬二千人を雇いれたり 010 2SA 010 007 ダビデ聞てヨアブと勇士の惣軍を遣はせり 010 2SA 010 008 アンモンの子孫出て門の入口に軍の陣列をなしたりゾバとレホブのスリア人およびトブの人とマアカの人は別に野に居り 010 2SA 010 009 ヨアブ戰の前後より己に向ふを見てイスラエルの選抜の兵の中を選みてこれをスリア人に對ひて備へしめ 010 2SA 010 010 其餘の民をば其兄弟アビシヤイの手に交してアンモンの子孫に向て備へしめて 010 2SA 010 011 いひけるは若スリア人我に手強からば汝我を助けよ若アンモンの子孫汝に手剛からば我ゆきて汝をたすけん 010 2SA 010 012 汝勇ましくなれよ我ら民のためとわれらの神の諸邑のために勇しく爲んねがはくはヱホバ其目によしと見ゆるところをなしたまへ 010 2SA 010 013 ヨアブ己と共に在る民と共にスリア人にむかひて戰んとて近づきければスリア人彼のまへより逃たり 010 2SA 010 014 アンモンの子孫スリア人の逃たるを見て亦自己等もアビシヤイのまへより逃て城邑にいりぬヨアブすなはちアンモンの子孫の所より還りてエルサレムにいたる 010 2SA 010 015 スリア人其イスラエルのまへに敗れたるを見て倶にあつまれり 010 2SA 010 016 ハダデゼル人をやりて河の前岸にをるスリア人を將ゐ出して皆ヘラムにきたらしむハダデゼルの軍の長シヨバクかれらを率ゐたり 010 2SA 010 017 其事ダビデに聞えければ彼イスラエルを悉く集めてヨルダンを渉りてヘラムに來れりスリア人ダビデに向ひて備へ之と戰ふ 010 2SA 010 018 スリア人イスラエルのまへより逃ければダビデ、スリアの兵車の人七百騎兵四萬を殺し又其軍の長シヨバクを撃てこれを其所に死しめたり 010 2SA 010 019 ハダデゼルの臣なる王等其イスラエルのまへに壞れたるを見てイスラエルと平和をなして之に事へたり斯スリア人は恐れて再びアンモンの子孫を助くることをせざりき 010 2SA 011 001 年歸りて王等の戰に出る時におよびてダビデ、ヨアブおよび自己の臣僕並にイスラエルの全軍を遣はせり彼等アンモンの子孫を滅ぼしてラバを圍めりされどダビデはエルサレムに止りぬ 010 2SA 011 002 爰に夕暮にダビデ其床より興きいでて王の家の屋蓋のうへに歩みしが屋蓋より一人の婦人の體をあらふを見たり其婦は觀るに甚だ美し 010 2SA 011 003 ダビデ人を遣して婦人を探らしめしに或人いふ此はエリアムの女ハテシバにてヘテ人ウリヤの妻なるにあらずやと 010 2SA 011 004 ダビデ乃ち使者を遣はして其婦を取る婦彼に來りて彼婦と寝たりしかして婦其不潔を清めて家に歸りぬ 010 2SA 011 005 かくて婦孕みければ人をつかはしてダビデに告ていひけるは我子を孕めりと 010 2SA 011 006 是においてダビデ人をヨアブにつかはしてヘテ人ウリヤを我に遣はせといひければヨアブ、ウリヤをダビデに遣はせり 010 2SA 011 007 ウリヤ、ダビデにいたりしかばダビデこれにヨアブの如何なると民の如何なると戰爭の如何なるを問ふ 010 2SA 011 008 しかしてダビデ、ウリヤにいひけるは汝の家に下りて足を洗へとウリヤ王の家を出るに王の贈物其後に從ひてきたる 010 2SA 011 009 然どウリヤは王の家の門に其主の僕等とともに寝ておのれの家にくだりいたらず 010 2SA 011 010 人々ダビデに告てウリヤ其家にくだり至らずといひければダビデ、ウリヤにいひけるは汝は旅路をなして來れるにあらずや何故に自己の家にくだらざるや 010 2SA 011 011 ウリヤ、ダビデにいひけるは櫃とイスラエルとユダは小屋の中に住まりわが主ヨアブとわが主の僕は野の表に陣を取るに我いかでわが家にゆきて食ひ飮しまた妻と寝べけけんや汝は生また汝の霊魂は活く我此事をなさじ 010 2SA 011 012 ダビデ、ウリヤにいふ今日も此にとどまれ明日我汝を去しめんとウリヤ其日と次の日エルサレムにとどまりしが 010 2SA 011 013 ダビデかれを召て其まへに食ひ飮せしめダビデかれを酔しめたり晩にいたりて彼出て其床に其主の僕と共に寝たりされどおのれの家にはくだりゆかざりき 010 2SA 011 014 朝におよびてダビデ、ヨアブヘの書を認めて之をウリヤの手によりて遣れり 010 2SA 011 015 ダビデ其書に書ていはく汝らウリヤを烈しき戰の先鉾にいだしてかれの後より退きて彼をして戰死せしめよ 010 2SA 011 016 是においてヨアブ城邑を窺ひてウリヤをば其勇士の居ると知る所に置り 010 2SA 011 017 城邑の人出てヨアブと戰ひしかばダビデの僕の中の數人仆れヘテ人ウリヤも死り 010 2SA 011 018 ヨアブ人をつかはして軍の事を悉くダビデに告げしむ 010 2SA 011 019 ヨアブ其使者に命じていひけるは汝が軍の事を皆王に語り終しとき 010 2SA 011 020 王もし怒りを發して汝に汝らなんぞ戰はんとて城邑に近づきしや汝らは彼らが石墻の上より射ることを知らざりしや 010 2SA 011 021 ヱルベセテの子アビメレクを撃し者は誰なるや一人の婦が石垣の上より磨の上石を投て彼をテベツに殺せしにあらずや何ぞ汝ら城垣に近づきしやと言はば汝言べし汝の僕ヘテ人ウリヤもまた死りと 010 2SA 011 022 使者ゆきてダビデにいたりヨアブが遣はしたるところのことをことごとく告げたり 010 2SA 011 023 使者ダビデにいひけるは敵我儕に手強かりしが城外にいでて我儕にいたりしかば我儕これに迫りて門の入口にまでいたれり 010 2SA 011 024 時に射手の者城垣の上より汝の僕を射たりければ王の僕の或者死に亦汝の僕ヘテ人ウリヤも死りと 010 2SA 011 025 ダビデ使者にいひけるは斯汝ヨアブに言べし此事を憂ふるなかれ刀劍は此をも彼をも同じく殺すなり強く城邑を攻て戰ひ之を陷いるべしと汝かくヨアブを勵ますべし 010 2SA 011 026 ウリヤの妻其夫ウリヤの死たるを聞て夫のために悲哀り 010 2SA 011 027 其喪の過し時ダビデ人を遣はしてかれをおのれの家に召いる彼すなはちその妻となりて男子を生り但しダビデの爲たる此事はヱホバの目に惡かりき 010 2SA 012 001 ヱホバ、ナタンをダビデに遣はしたまへば彼ダビデに至りてこれにいひけるは一の邑に二箇の人あり一は富て一は貧し 010 2SA 012 002 其富者は甚だ多くの羊と牛を有り 010 2SA 012 003 されど貧者は唯自己の買て育てたる一の小き牝羔の外は何をも有ざりき其牝羔彼およびかれの子女とともに生長ちかれの食物を食ひかれの椀に飮みまた彼の懐に寝て彼には女子のごとくなりき 010 2SA 012 004 時に一人の旅人其富る人の許に來りけるが彼おのれの羊と牛の中を取りてそのおのれに來れる旅人のために烹を惜みてかの貧き人の牝羔を取りて之をおのれに來れる人のために烹たり 010 2SA 012 005 ダビデ其人の事を大に怒りてナタンにいひけるはヱホバは生く誠に此をなしたる人は死べきなり 010 2SA 012 006 且彼此事をなしたるに因りまた憐憫まざりしによりて其牝羔を四倍になして償ふべし 010 2SA 012 007 ナタン、ダビデにいひけるは汝は其人なりイスラエルの神ヱホバ斯いひたまふ我汝に膏を沃いでイスラエルの王となし我汝をサウルの手より救ひいだし 010 2SA 012 008 汝に汝の主人の家をあたへ汝の主人の諸妻を汝の懐に與へまたイスラエルとユダの家を汝に與へたり若し少からば我汝に種々の物を増くはへしならん 010 2SA 012 009 何ぞ汝ヱホバの言を藐視じて其目のまへに惡をなせしや汝刃劍をもてヘテ人ウリヤを殺し其妻をとりて汝の妻となせり即ちアンモンの子孫の劍をもて彼を斬殺せり 010 2SA 012 010 汝我を軽んじてヘテ人ウリヤの妻をとり汝の妻となしたるに因て劍何時までも汝の家を離るることなかるべし 010 2SA 012 011 ヱホバ斯いひたまふ視よ我汝の家の中より汝の上に禍を起すべし我汝の諸妻を汝の目のまへに取て汝の隣人に與へん其人此日のまへにて汝の諸妻とともに寝ん 010 2SA 012 012 其は汝は密に事をなしたれど我はイスラエルの衆のまへと日のまへに此事をなすべければなりと 010 2SA 012 013 ダビデ、ナタンにいふ我ヱホバに罪を犯したりナタン、ダビデにいひけるはヱホバまた汝の罪を除きたまへり汝死ざるべし 010 2SA 012 014 されど汝此所行によりてヱホバの敵に大なる罵る機會を與へたれば汝に生れし其子必ず死べしと 010 2SA 012 015 かくてナタン其家にかへれり 爰にヱホバ、ウリヤの妻がダビデに生る子を撃たまひければ痛く疾めり 010 2SA 012 016 ダビデ其子のために神に乞求む即ちダビデ斷食して入り終夜地に臥したり 010 2SA 012 017 ダビデの家の年寄等彼の傍に立ちてかれを地より起しめんとせしかども彼肯ぜず又かれらとともに食を爲ざりき 010 2SA 012 018 第七日に其子死りダビデの僕其子の死たることをダビデに告ることを恐れたりかれらいひけるは子の尚生る間に我儕彼に語たりしに彼我儕の言を聽いれざりき如何ぞ彼に其子の死たるを告ぐべけんや彼害を爲んと 010 2SA 012 019 然にダビデ其僕の私語くを見てダビデ其子の死たるを暁れりダビデ乃ち其僕に子は死たるやといひければかれら死りといふ 010 2SA 012 020 是においてダビデ地よりおきあがり身を洗ひ膏をぬり其衣服を更てヱホバの家にいりて拝し自己の家に至り求めておのれのために食を備へしめて食へり 010 2SA 012 021 僕等彼にいひけるは此の汝がなせる所は何事なるや汝子の生るあひだはこれがために斷食して哭きながら子の死る時に汝は起て食を爲すと 010 2SA 012 022 ダビデいひけるは嬰孩の尚生るあひだにわが斷食して哭きたるは我誰かヱホバの我を憐れみて此子を生しめたまふを知んと思ひたればなり 010 2SA 012 023 されど今死たれば我なんぞ斷食すべけんや我再びかれをかへらしむるを得んや我かれの所に往べけれど彼は我の所にかへらざるべし 010 2SA 012 024 ダビデ其妻バテシバを慰めかれの所にいりてかれとともに寝たりければ彼男子を生りダビデ其名をソロモンと呼ぶヱホバこれを愛したまひて 010 2SA 012 025 預言者ナタンを遣はし其名をヱホバの故によりてヱデデア(ヱホバの愛する者)と名けしめたまふ 010 2SA 012 026 爰にヨアブ、アンモンの子孫のラバを攻めて王城を取れり 010 2SA 012 027 ヨアブ使者をダビデにつかはしていひけるは我ラバを攻て水城を取れり 010 2SA 012 028 されば汝今餘の民を集め斯城に向て陣どりて之を取れ恐らくは我此城を取て人我名をもて之を呼にいたらんと 010 2SA 012 029 是においてダビデ民を悉くあつめてラバにゆき攻て之を取り 010 2SA 012 030 しかしてダビデ、アンモン王の冕を其首より取はなしたり其金の重は一タラントなりまた寶石を嵌たりこれをダビデの首に置ダビデ其邑の掠取物を甚だ多く持出せり 010 2SA 012 031 かくてダビデ其中の民を將いだしてこれを鋸と鐵の千歯と鐵の斧にて斬りまた瓦陶の中を通行しめたり彼斯のごとくアンモンの子孫の凡ての城邑になせりしかしてタビデと民は皆エルサレムに還りぬ 010 2SA 013 001 此後ダビデの子アブサロムにタマルと名くる美しき妹ありしがダビデの子アムノンこれを戀ひたり 010 2SA 013 002 アムノン心を苦しめて遂に其姉妹タマルのためにわづらへり其はタマルは處女なりければアムノンかれに何事をも爲しがたしと思ひたればなり 010 2SA 013 003 然るにアムノンに一人の朋友ありダビデの兄弟シメアの子にして其名をヨナダブといふヨナダブに甚だ有智き人なり 010 2SA 013 004 彼アムノンにいひけるは汝王の子なんぞ日に日に斯く痩ゆくや汝我に告ざるやアムノン彼にいひけるは我わが兄弟アブサロムの妹タマルを戀ふ 010 2SA 013 005 ヨナダブかれにいひけるは床に臥て病と佯り汝の父の來りて汝を見る時これにいへ請ふわが妹タマルをして來りて我に食を予へしめわが見て彼の手より食ふことをうる樣にわが目のまへにて食物を調理しめよと 010 2SA 013 006 アムノンすなはち臥して病と佯りしが王の來りておのれを見る時アムノン王にいひけるは請ふ吾妹タマルをして來りてわが目のまへにて二の菓子を作へしめて我にかれの手より食ふことを得さしめよと 010 2SA 013 007 是においてダビデ、タマルの家にいひつかはしけるは汝の兄アムノンの家にゆきてかれのために食物を調理よと 010 2SA 013 008 タマル其兄アムノンの家にいたるにアムノンは臥し居たりタマル乃ち粉をとりて之を摶てかれの目のまへにて菓子を作へ其菓子を燒き 010 2SA 013 009 鍋を取て彼のまへに傾出たりしかれども彼食ふことを否めりしかしてアムノンいひけるは汝ら皆我を離れていでよと皆かれをはなれていでたり 010 2SA 013 010 アムノン、タマルにいひけるは食物を寝室に持きたれ我汝の手より食はんとタマル乃ち己の作りたる菓子を取りて寝室に持ゆきて其兄アムノンにいたる 010 2SA 013 011 タマル彼に食しめんとて近く持いたれる時彼タマルを執へて之にいひけるは妹よ來りて我と寝よ 010 2SA 013 012 タマルかれにいひける否兄上よ我を辱しむるなかれ是のごとき事はイスラエルに行はれず汝此愚なる事をなすべからず 010 2SA 013 013 我は何處にわが恥辱を棄んか汝はイスラエルの愚人の一人となるべしされば請ふ王に語れ彼我を汝に予ざることなかるべしと 010 2SA 013 014 然どもアムノン其言を聽ずしてタマルよりも力ありければタマルを辱しめてこれと偕に寝たりしが 010 2SA 013 015 遂にアムノン甚だ深くタマルを惡むにいたる其かれを惡む所の惡みはかれを戀ひたるところの戀よりも大なり即ちアムノンかれにいひけるは起て往けよ 010 2SA 013 016 かれアムノンにいひけるは我を返して此惡を作るなかれ是は汝がさきに我になしたる所の惡よりも大なりとしかれども聽いれず 010 2SA 013 017 其側に仕ふる少者を呼ていひけるは汝此女をわが許より遣りいだして其後に戸を楗せと 010 2SA 013 018 タマル振袖を着ゐたり王の女等の處女なるものは斯のごとき衣服をもて粧ひたりアムノンの侍者かれを外にいだして其後に戸を楗せり 010 2SA 013 019 タマル灰を其首に蒙り着たる振袖を裂き手を首にのせて呼はりつつ去ゆけり 010 2SA 013 020 其兄アブサロムかれにいひけるは汝の兄アムノン汝と偕に在しや然ど妹よ默せよ彼は汝の兄なり此事を心に留るなかれとかくてタマルは其兄アブサロムの家に凄しく住み居れり 010 2SA 013 021 ダビデ王是等の事を悉く聞て甚だ怒れり 010 2SA 013 022 アブサロムはアムノンにむかひて善も惡きも語ざりき其はアブサロム、アムノンを惡みたればたり是はかれがおのれの妹タマルを辱しめたるに由り 010 2SA 013 023 全二年の後アブサロム、エフライムの邊なるバアルハゾルにて羊の毛を剪しめ居て王の諸子を悉く招けり 010 2SA 013 024 アブサロム王の所にいりていひけるは視よ僕羊の毛を剪しめをるねがはくは王と王の僕等僕とともに來りたまへ 010 2SA 013 025 王アブサロムに云けるは否わが子よ我儕を皆いたらしむるなかれおそらくは汝の費を多くせんアブサロム、ダビデを強ふしかれどもダビデ往ことを肯ぜずして彼を祝せり 010 2SA 013 026 アブサロムいひけるは若しからずば請ふわが兄アムノンをして我らとともに來らしめよ王かれにいひけるは彼なんぞ汝とともにゆくべけんやと 010 2SA 013 027 されどアブサロムかれを強ければアムノンと王の諸子を皆アブサロムとともにゆかしめたり 010 2SA 013 028 爰にアブサロム其少者等に命じていひけるは請ふ汝らアムノンの心の酒によりて樂む時を視すましてわが汝等にアムノンを撃てと言ふ時に彼を殺せ懼るるなかれ汝等に之を命じたるは我にあらずや汝ら勇しく武くなれと 010 2SA 013 029 アブサロムの少者等アブサロムの命ぜしごとくアムノンになしければ王の諸子皆起て各其騾馬に乗て逃たり 010 2SA 013 030 彼等が路にある時風聞ダビデにいたりていはくアブサロム王の諸子を悉く殺して一人も遺るものなしと 010 2SA 013 031 王乃ち起ち其衣を裂きて地に臥す其臣僕皆衣を裂て其傍にたてり 010 2SA 013 032 ダビデの兄弟シメアの子ヨナダブ答へていひけるは吾主よ王の御子等なる少年を皆殺したりと思たまふなかれアムノン獨り死るのみ彼がアブサロムの妹タマルを辱かしめたる日よりアブサロム此事をさだめおきたるなり 010 2SA 013 033 されば吾主王よ王の御子等皆死りといひて此事をおもひ煩ひたまふなかれアムノン獨死たるなればなりと 010 2SA 013 034 斯てアブサロムは逃れたり爰に守望ゐたる少者目をあげて視たるに視よ山の傍よりして己の後の道より多くの人來れり 010 2SA 013 035 ヨナダブ王にいひけるは視よ王の御子等來る僕のいへるがごとくしかりと 010 2SA 013 036 彼語ることを終し時視よ王の子等來り聲をあげて哭り王と其僕等も皆大に甚く哭り 010 2SA 013 037 偖アブサロムは逃てゲシユルの王アミホデの子タルマイにいたるダビデは日々其子のために悲めり 010 2SA 013 038 アブサロム逃てゲシユルにゆき三年彼處に居たり 010 2SA 013 039 ダビデ王アブサロムに逢んと思ひ煩らふ其はアムノンは死たるによりてダビデかれの事はあきらめたればなり 010 2SA 014 001 ゼルヤの子ヨアブ王の心のアブサロムに趣くを知れり 010 2SA 014 002 ヨアブ乃ちテコアに人を遣りて彼處より一人の哲婦を呼きたらしめて其婦にいひけるは請ふ汝喪にある眞似して喪の服を着油む身にぬらず死者のために久しく哀しめる婦のごとく爲りて 010 2SA 014 003 王の所にいたり是のごとくかれに語るべしとヨアブ其語言をかれの口に授けたり 010 2SA 014 004 テコアの婦王にいたり地に伏て拝し王にいひけるは王よ助けたまへ 010 2SA 014 005 王婦にひけるは何事なるや婦いひけるは我は實に嫠婦にしてわが夫は死り 010 2SA 014 006 仕女に二人の子あり倶に野に爭ひしが誰もかれらを排解ものなきにより此遂に彼を撃て殺せり 010 2SA 014 007 是において視よ全家仕女に逼りていふ其兄弟を撃殺したる者を付せ我らかれをその殺したる兄弟の生命のために殺さんと斯く嗣子をも滅ぼし存れるわが炭火を熄てわが夫の名をも遺存をも地の面に無らしめんとす 010 2SA 014 008 王婦にいひけるは汝の家に往け我汝の事につきて命令を下さん 010 2SA 014 009 テコアの婦王にいひけるは王わが主よねがはくは其罪は我とわが父の家に歸して王と王の位には罪あらざれ 010 2SA 014 010 王いひけるは誰にても爾に語る者をば我に將來れしかせば彼かさねて爾に觸ること无るべし 010 2SA 014 011 婦いひけるは願くは王爾の神ヱホバを憶えてかの仇を報ゆる者をして重て滅すことを爲しめず我子を斷ことなからしめたまへと王いひけるはヱホバは生く爾の子の髮毛一すぢも地に隕ることなかるべし 010 2SA 014 012 婦いひけるは請ふ仕女をして一言わが主王に言しめたまヘダビデいひけるは言ふべし 010 2SA 014 013 婦いひけるは爾なんぞ斯る事を神の民にむかひて思ひたるや王此言を言ふにより王は罪ある者のごとし其は王その放れたる者を歸らしめざればなり 010 2SA 014 014 抑我儕は死ざるべからず我儕は地に潟れたる水の再び聚る能はざるがごとし神は生命を取りたまはず方法を設けて其放れたる者をして己の所より放たれをることなからしむ 010 2SA 014 015 我此事を王我主に言んとて來れるは民我を恐れしめたればなり故に仕女謂らく王に言ん王婢の言を行ひたまふならんと 010 2SA 014 016 其は王聞て我とわが子を共に滅して神の產業に離れしめんとする人の手より婢を救ひいだしたまふべければなり 010 2SA 014 017 仕女また思り王わが主の言は慰となるべしと其は神の使のごとく王わが主は善も惡も聽たまへばなりねがはくは爾の神ヱホバ爾と共に在せと 010 2SA 014 018 王こたへて婦にいひけるは請ふわが爾に問んところの事を我に隱すなかれ婦いふ請ふ王わが主言たまへ 010 2SA 014 019 王いひけるは比すべての事においてはヨアブの手爾とともにあるや婦答へていひけるは爾の霊魂は活く王わが主よ凡て王わが主の言たまひしところは右にも左にもまがらず皆に爾の僕ヨアブ我に命じ是等の言を悉く仕女の口に授けたり 010 2SA 014 020 其事の見ゆるとこるを變んとて爾の僕ヨアブ此事をなしたるなり然どわが主は神の使の智慧のごとく智慧ありて地にある事を悉く知たまふと 010 2SA 014 021 是において王ヨアブにいひけるは視よ我此事を爲すされば往て少年アブサロムを携歸るべし 010 2SA 014 022 ヨアブ地に伏し拝し王を祝せりしかしてヨアブいひけるは王わが主よ王僕の言を行ひたまへば今日僕わが爾に惠るるを知ると 010 2SA 014 023 ヨアブ乃ち起てゲシユルに往きアブサロムをエルサレムに携きたれり 010 2SA 014 024 王いひけるは彼は其家に退くべしわが面を見るべからずと故にアブサロム己の家に退きて王の面を觀ざりき 010 2SA 014 025 偖イスラエルの中にアブサロムのごとく其美貌のために讃られたる人はなかりき其足の跖より頭の頂にいたるまで彼には瑕疵あることなし 010 2SA 014 026 アブサロム其頭を剪る時其頭の髮を衡るに王の權衡の二百シケルあり毎年の終にアブサロム其頭を剪り是は己の重によりて剪たるなり 010 2SA 014 027 アブサロムに三人の男子と一人のタマルといふ女子生れたりタマルは美女なり 010 2SA 014 028 アブサロム二年のあひだエルサレムにをりたれども王の顔を見ざりき 010 2SA 014 029 是によりてアブサロム王に遣さんとてヨアブを呼に遣はしけるが彼來ることを肯ぜず再び遣せしかども來ることを肯ぜざりき 010 2SA 014 030 アブサロム其僕にいひけるは視よヨアブの田地は我の近くにありて其處に大麥あり往て其に火を放てとアブサロムの僕等田地に火を放てり 010 2SA 014 031 ヨアブ起てアブサロムの家に來りてこれにいひけるは何故に爾の僕等田地に火を放たるや 010 2SA 014 032 アブサロム、ヨアブにいひけるは我人を爾に遣はして此に來れ我爾を王につかはさんと言り即ち爾をして王に我何のためにゲシユルよりきたりしや彼處に尚あらば我ためには反て善しと言しめんとせり然ば我今王の面を見ん若し我に罪あらば王我を殺すべし 010 2SA 014 033 ヨアブ王にいたりてこれに告たれば王アブサロムを召す彼王にいたりて王のまへに地に伏て拝せり王アブサロムに接吻す 010 2SA 015 001 此後アブサロム己のために戰車と馬ならびに己のまへに驅る者五十人を備たり 010 2SA 015 002 アブサロム夙く興きて門の途の傍にたち人の訴訟ありて王に裁判を求めんとて來る時はアブサロム其人を呼ていふ爾は何の邑の者なるやと其人僕はイスラエルの某の支派の者なりといへば 010 2SA 015 003 アブサロム其人にいふ見よ爾の事は善くまた正し然ど爾に聽くべき人は王いまだ立ずと 010 2SA 015 004 アブサロム又嗚呼我を此地の士師となす者もがな然れば凡て訴訟と公事ある者は我に來りて我之に公義を爲しあたへんといふ 010 2SA 015 005 また人彼を拝せんとて近づく時は彼手をのばして其人を扶け之に接吻す 010 2SA 015 006 アブサロム凡て王に裁判を求めんとて來るイスラエル人に是のごとくなせり斯アブサロムはイスラエルの人々の心を取り 010 2SA 015 007 斯て四年の後アブサロム王にいひけるは請ふ我をして往てヘブロンにてヱホバに我嘗て立し願を果さしめよ 010 2SA 015 008 其は僕スリアのゲシユルに居し時願を立て若しヱホバ誠に我をエルサレムに携歸りたまはば我ヱホバに事へんと言たればなりと 010 2SA 015 009 王かれにいひけるは安然に往けと彼すなはち起てヘブロンに往り 010 2SA 015 010 しかしてアブサロム窺ふ者をイスラエルの支派の中に徧く遣はして言せけるは爾等喇叭の音を聞ばアブサロム、ヘブロンにて王となれりと思ふべしと 010 2SA 015 011 二百人の招かれたる者エルサレムよりアブサロムとともにゆけり彼らは何心なくゆきて何事をもしらざりき 010 2SA 015 012 アブサロム犠牲をささぐる時にダビデの議官ギロ人アヒトペルを其邑ギロより呼よせたり徒黨強くして民次第にアブサロムに加はりぬ 010 2SA 015 013 爰に使者ダビデに來りてイスラエルの人の心アブサロムにしたがふといふ 010 2SA 015 014 ダビデおのれと共にエルサレムに居る凡ての僕にいひけるは起てよ我ら逃ん然らずば我らアブサロムより遁るるあたはざるべし急ぎ往け恐らくは彼急ぎて我らに追ひつき我儕に害を蒙らせ刃をもて邑を撃ん 010 2SA 015 015 王の僕等王にいひけるは視よ僕等王わが主の選むところを凡て爲ん 010 2SA 015 016 王いでゆき其全家これにしたがふ王十人の妾なる婦を遺して家をまもらしむ 010 2SA 015 017 王いでゆき民みな之にしたがふ彼等遠の家に息めり 010 2SA 015 018 かれの僕等みな其傍に進みケレテ人とペレテ人および彼にしたがひてガテよりきたれる六百人のガテ人みな王のまへに進めり 010 2SA 015 019 時に王がガテ人イツタイにいひけるは何ゆゑに爾もまた我らとともにゆくや爾かへりて王とともにをれ爾は外國人にして移住て處をもとむる者なり 010 2SA 015 020 爾は昨日來れり我は今日わが得るところに往くなれば豈爾をして我らとともにさまよはしむべけんや爾歸り爾の兄弟をも携歸るべしねがはくは恩と眞實爾とともにあれ 010 2SA 015 021 イツタイ王に答へていひけるはヱホバは活く王わが主は活く誠に王わが主いかなる處に坐すとも生死ともに僕もまた其處に居るべし 010 2SA 015 022 ダビデ、イツタイにいひけるは進みゆけガテ人イツタイ乃ち進みかれのすべての從者およびかれとともにある妻子皆進めり 010 2SA 015 023 國中皆大聲をあげて哭き民皆進む王もまたキデロン川を渡りて進み民皆進みて野の道におもむけり 010 2SA 015 024 視よザドクおよび倶にあるレビ人もまた皆神の契約の櫃を舁ていたり神の櫃をおろして民の悉く邑よりいづるをまてりアビヤタルもまたのぼれり 010 2SA 015 025 ここに王ザドクにいひけるは神の櫃を邑に舁もどせ若し我ヱホバのまへに恩をうるならばヱホバ我を携かへりて我にこれを見し其往處を見したまはん 010 2SA 015 026 されどヱホバもし汝を悦ばずと斯いひたまはば視よ我は此にあり其目に善と見ゆるところを我になしたまへ 010 2SA 015 027 王また祭司ザドクにいひけるは汝先見者汝らの二人の子即ち汝の子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンを伴ひて安然に城邑に歸れ 010 2SA 015 028 見よ我は汝より言のきたりて我に告るまで野の渡場に留まらんと 010 2SA 015 029 ザドクとアビヤタルすなはち神の櫃をエルサレムに舁もどりて彼處に止まれり 010 2SA 015 030 ここにダビデ橄欖山の路を陟りしが陟るときに哭き其首を蒙みて跣足にて行りかれと倶にある民皆各其首を蒙みてのぼり哭つつのぼれり 010 2SA 015 031 時にアヒトペルがアブサロムに與せる者の中にあることダビデに聞えければダビデいふヱホバねがはくはアヒトペルの計策を愚ならしめたまへと 010 2SA 015 032 ダビデ嶺にある神を拝する處に至れる時視よアルキ人ホシヤイ衣を裂き土を頭にかむりてきたりてダビデを迎ふ 010 2SA 015 033 ダビデかれにいひけるは爾若し我とともに進まば我の負となるべし 010 2SA 015 034 されど汝もし城邑にかへりてアブサロムにむかひ王よ我爾の僕となるべし此まで爾の父の僕たりしごとく今また汝の僕となるべしといはば爾はわがためにアヒトペルの計策を敗るにいたらん 010 2SA 015 035 祭司ザドクとアビヤタル爾とともに彼處にあるにあらずや是故に爾が王の家より聞たる事はことごとく祭司ザドクとアビヤタルに告べし 010 2SA 015 036 視よかれらとともに彼處にはその二人の子即ちザドクの子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンをるなり爾ら其聞たる事をことごとく彼等の手によりて我に通ずべし 010 2SA 015 037 ダビデの友ホシヤイすなはち城邑にいたりぬ時にアブサロムはエルサレムに入居たり 010 2SA 016 001 ダビデ少しく嶺を過ゆける時視よメピボセテの僕ヂバ鞍おける二頭の驢馬を引き其上にパン二百乾葡萄一百球乾棗の團塊一百酒一嚢を載きたりてダビデを迎ふ 010 2SA 016 002 王ヂバにいひけるは此等は何なるかヂバいひけるは驢馬は王の家族の乗るためパンと乾棗は少者の食ふため洒は野に困憊たる者の飮むためなり 010 2SA 016 003 王いひけるは爾の主人の子は何處にあるやヂバ王にいひけるはかれはエルサレムに止まる其は彼イスラエルの家今日我父の國を我にかへさんと言をればなり 010 2SA 016 004 王ヂバにいひけるは視よメピボセテの所有は悉く爾の所有となるべしヂバいひけるは我拝す王わが主よ我をして爾のまへに恩を蒙むらしめたまへ 010 2SA 016 005 斯てダビデ王バホリムにいたるに視よ彼處よりサウルの家の族の者一人出きたる其名をシメイといふゲラの子なり彼出きたりて來りつつ詛へり 010 2SA 016 006 又彼ダビデとダビデ王の諸の臣僕にむかひて石を投たり時に民と勇士皆王の左右にあり 010 2SA 016 007 シメイ詛の中に斯いへり汝血を流す人よ爾邪なる人よ出され出され 010 2SA 016 008 爾が代りて位に登りしサウルの家の血を凡てヱホバ爾に歸したまへりヱホバ國を爾の子アブサロムの手に付したまへり視よ爾は血を流す人なるによりて禍患の中にあるなり 010 2SA 016 009 ゼルヤの子アビシヤイ王にいひけるは此死たる犬なんぞ王わが主を詛ふべけんや請ふ我をして渉りゆきてかれの首を取しめよ 010 2SA 016 010 王いひけるはゼルヤの子等よ爾らの與るところにあらず彼の詛ふはヱホバ彼にダビデを詛へと言たまひたるによるなれば誰か爾なんぞ然するやと言べけんや 010 2SA 016 011 ダビデ又アビシヤイおよび己の諸の臣僕にいひけるは視よわが身より出たるわが子わが生命を求む况や此ベニヤミン人をや彼を聽して詛はしめよヱホバ彼に命じたまへるなり 010 2SA 016 012 ヱホバわが艱難を俯視みたまふことあらん又ヱホバ今日彼の詛のために我に善を報いたまふことあらんと 010 2SA 016 013 斯てダビデと其從者途を行けるにシメイはダビデに對へる山の傍に行て行つつ詛ひまた彼にむかひて石を投げ塵を揚たり 010 2SA 016 014 王および倶にある民皆アエピムに來りて彼處に息をつげり 010 2SA 016 015 偖アブサロムと總ての民イスラエルの人々エルサレムに至れりアヒトペルもアブサロムとともにいたる 010 2SA 016 016 ダビデの友なるアルキ人ホシヤイ、アブサロムの許に來りし時アブサロムにいふ願くは王壽かれ願くは王壽かれ 010 2SA 016 017 アブサロム、ホシヤイにいひけるは此は爾が其友に示す厚意なるや爾なんぞ爾の友と往ざるやと 010 2SA 016 018 ホシヤイ、アブサロムにいひけるは然らずヱホバと此民とイスラエルの總の人々の選む者に我は屬し且其人とともに居るべし 010 2SA 016 019 且又我誰に事ふべきか其子の前に事べきにあらずや我は爾の父のまへに事しごとく爾のまへに事べし 010 2SA 016 020 爰にアブサロム、アヒトベルにいひけるは我儕如何に爲べきか爾等計を爲すべしと 010 2SA 016 021 アヒトペル、アブサロムにいひけるは爾の父が遺して家を守らしむる妾等の處に入れ然ばイスラエル皆爾が其父に惡まるるを聞ん而して爾とともにをる總の者の手強くなるべしと 010 2SA 016 022 是において屋脊にアブサロムのために天幕を張ければアブサロム、イスラエルの目のまへにて其父の妾等の處に入りぬ 010 2SA 016 023 當時アヒトペルが謀れる謀計は神の言に問たるごとくなりきアヒトペルの謀計は皆ダビデとアブサロムとに倶に是のごとく見えたりき 010 2SA 017 001 時にアヒトペル、アブサロムにいひけるは請ふ我に一萬二千の人を擇み出さしめよ我起て今夜ダビデの後を追ひ 010 2SA 017 002 彼が憊れて手弱なりし所を襲ふて彼をおびえしめん而して彼とともにをる民の逃ん時に我王一人を撃とり 010 2SA 017 003 總の民を爾に歸せしむべし夫衆の歸するは爾が求むる此人に依なれば民みな平穩になるべし 010 2SA 017 004 此言アブサロムの目とイスラエルの總の長老の目に的當と見えたり 010 2SA 017 005 アブサロムいひけるはアルキ人ホシヤイをも召きたれ我等彼が言ふ所をも聞んと 010 2SA 017 006 ホシヤイ乃ちアブサロムに至るにアブサロムかれにかたりていひけるはアヒトペル是のごとく言り我等其言を爲べきか若し可ずば爾言ふべし 010 2SA 017 007 ホシヤイ、アブサロムにいひけるは此時にあたりてアヒトペルが授けし計略は善らず 010 2SA 017 008 ホシヤイまたいひけるは爾の知るごとく爾の父と其從者は勇士なり且彼等は野にて其子を奪れたる熊の如く其氣激怒をれり又爾の父は戰士なれば民と共に宿らざるべし 010 2SA 017 009 彼は今何の穴にか何の處にか匿れをる若し數人の者手始に仆なば其を聞く者は皆アブサロムに從ふ者の中に敗ありと言はん 010 2SA 017 010 しからば獅子の心のごとき心ある勇猛き夫といふとも全く挫碎ん其はイスラエル皆爾の父の勇士にして彼とともにある者の勇猛き人なるをしればなり 010 2SA 017 011 我は計議るイスラエルをダンよりベエルシバにいたるまで海濱の沙の多きが如くに悉く爾の處につどへ集めて爾親ら戰陣に臨むべし 010 2SA 017 012 我等彼の見出さるる處にて彼を襲ひ露の地に下るがごとく彼のうへに降らんしかして彼および彼とともにあるすべての人々を一人も遺さざるべし 010 2SA 017 013 若し彼何かの城邑に集らばイスラエル皆繩を其城邑にかけ我等これを河に曳きたふして其處に一の小石も見えざらしむべしと 010 2SA 017 014 アブサロムとイスラエルの人々皆アルキ人ホシヤイの謀計はアヒトペルの謀計よりも善しといふ其はヱホバ、アブサロムに禍を降さんとてヱホバ、アヒトペルの善き謀計を破ることを定めたまひたればなり 010 2SA 017 015 爰にホシヤイ祭司ザドクとアビヤタルにいひけるはアヒトペル、アブサロムとイスラエルの長老等のために斯々に謀れりきた我は斯々に謀れり 010 2SA 017 016 されば爾ら速に人を遣してダビデに告て今夜野の渡場に宿ることなく速に渡りゆけといへおそらくは王および倶にある民皆呑つくされん 010 2SA 017 017 時にヨナタンとアヒマアズはエンロゲルに俟居たり是は城邑にいるを見られざらんとてなり爰に一人の仕女ゆきて彼等に告げければ彼らダビデ王に告んとて往く 010 2SA 017 018 しかるに一人の少者かれらを見てアブザロムにつげたりされど彼等二人は急ぎさりてバホリムの或人の家にいたる其人の庭に井ありてかれら其處にくだりければ 010 2SA 017 019 婦蓋をとりて井の口のうへに掩け其上に擣たる麥をひろげたり故に事知れざりき 010 2SA 017 020 時にアブサロムの僕等其婦の家に來りていひけるはアヒマアズとヨナタンは何處にをるや婦かれらに彼人々は小川を濟れりといふかれら尋ねたれども見當ざればエルサレムに歸れり 010 2SA 017 021 彼等が去し時かの二人は井よりのぼりて往てダビデ王に告げたり即ちダビデに言けるは起て速かに水を濟れ其はアヒトベル斯爾等について謀計を爲したればなりと 010 2SA 017 022 ダビデ起て己とともにある凡ての民とともにヨルダンを濟れり曙には一人もヨルダンを濟らざる者はなかりき 010 2SA 017 023 アヒトベルは其謀計の行れざるを見て其驢馬に鞍おき起て其邑に往て其家にいたり家の人に遺言して自ら縊れ死て其父の墓に葬らる 010 2SA 017 024 爰にダビデ、マナハイムに至る又アブサロムは己とともにあるイスラエルの凡の人々とともにヨルダンを濟れり 010 2SA 017 025 アブサロム、アマサをヨアブの代りに軍の長と爲りアマサは夫のナハシの女にてヨアブの母ゼルヤの妹なるアビガルに通じたるイシマエル人名はヱテルといふ人の子なり 010 2SA 017 026 かくてイスラエルとアブサロムはギレアデの地に陣どれり 010 2SA 017 027 ダビデ、マハナイムにいたれる時アンモンの子孫の中なるラバのナハシの子シヨビとロデバルのアンミエルの子マキルおよびロゲリムのギレアデ人バルジライ 010 2SA 017 028 臥床と鍋釜と陶器と小麥と大麥と粉と烘麥と豆と小豆の烘たる者と 010 2SA 017 029 蜜と牛酪と羊と犢をダビデおよび倶にある民の食ふために持來れり其は彼等民は野にて饑憊れ渇くならんと謂たればなり 010 2SA 018 001 爰にダビデ己とともにある民を核べて其上に千夫の長百夫の長を立たり 010 2SA 018 002 しかしてダビデ民を三に分ちて其一をヨアブの手に託け一をゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシヤイの手に託け一をガテ人イツタイの手に託けたりかくして王民にいひけるは我もまた必ず汝らとともに出んと 010 2SA 018 003 されど民いふ汝は出べからず我儕如何に逃るとも彼等は我儕に心をとめじ又我儕半死とも我儕に心をとめざるべしされど汝は我儕の一萬に等し故に汝は城邑の中より我儕を助けなば善し 010 2SA 018 004 王かれらにいひけるは汝等の目に善と見ゆるところを爲すべしとかくて王門の傍に立ち民皆或は百人或は千人となりて出づ 010 2SA 018 005 王ヨアブ、アビシヤイおよびイツタイに命じてわがために少年アブサロムを寛に待へよといふ王のアブサロムの事について諸の將官に命を下せる時民皆聞り 010 2SA 018 006 爰に民イスラエルにむかひて野に出でエフライムの叢林に戰ひしが 010 2SA 018 007 イスラエルの民其處にてダビデの臣僕のまへに敗る其日彼處の戰死大にして二萬にいたれり 010 2SA 018 008 しかして戰徧く其地の表に廣がりぬ是日叢林の滅ぼせる者は刀劒の滅ぼせる者よりも多かりき 010 2SA 018 009 爰にアブサロム、ダビデの臣僕に行き遭り時にアブサロム騾馬に乗居たりしが騾馬大なる橡樹の繁き枝の下を過ければアブサロムの頭其橡に繋りて彼天地のあひだにあがれり騾馬はかれの下より行過たり 010 2SA 018 010 一箇の人見てヨアブに告ていひけるは我アブサロムが橡樹に懸りをるを見たりと 010 2SA 018 011 ヨアブ其告たる人にいひけるはさらば爾見て何故に彼を其處にて地に撃落さざりしや我爾に銀十枚と一本の帶を與へんものを 010 2SA 018 012 其人ヨアブにいひけるは假令わが手に銀千枚を受べきも我は手をいだして王の子に敵せじ其は王我儕の聞るまへにて爾とアビシヤイとイツタイに命じて爾ら各少年アブサロムを害するなかれといひたまひたればなり 010 2SA 018 013 我若し反いてかれの生命を戕賊はば何事も王に隱るる所なければ爾自ら立て我を責んと 010 2SA 018 014 時にヨアブ我かく爾とともに滞るべからずといひて手に三本の槍を携へゆきて彼の橡樹の中に尚生をるアブサロムの胸に之を衝通せり 010 2SA 018 015 ヨアブの武器を執る十人の少者繞きてアブサロムを撃ち之を死しめたり 010 2SA 018 016 かくてヨアブ喇叭を吹ければ民イスラエルの後を追ふことを息てかへれりヨアブ民を止めたればなり 010 2SA 018 017 衆アブサロムを將て叢林の中なる大なる穴に投げいれ其上に甚だ大きく石を疊あげたり是においてイスラエル皆おのおの其天幕に逃かへれり 010 2SA 018 018 アブサロム我はわが名を傳ふべき子なしと言て其生る間に己のために一の表柱を建たり王の谷にあり彼おのれの名を其表柱に與たり其表柱今日にいたるまでアブサロムの碑と稱らる 010 2SA 018 019 爰にザドクの子アヒマアズいひけるは請ふ我をして趨りて王にヱホバの王をまもりて其敵の手を免かれしめたまひし音信を傳へしめよと 010 2SA 018 020 ヨアブかれにいひけるは汝は今日音信を傳ふるものとなるべからず他日に音信を傳ふべし今日は王の子死たれば汝音信を傳ふべからず 010 2SA 018 021 ヨアブ、クシ人にいひけるは往て爾が見たる所を王に告よクシ人ヨアブに禮をなして走れり 010 2SA 018 022 ザドクの子アヒマアズ再びヨアブにいひけるは請ふ何にもあれ我をも亦クシ人の後より走ゆかしめよヨアブいひけるは我子よ爾は充分の音信を持ざるに何故に走りゆかんとするや 010 2SA 018 023 かれいふ何れにもあれ我をして走りゆかしめよとヨアブかれにいふ走るべし是においてアヒマアズ低地の路をはしりてクシ人を走越たり 010 2SA 018 024 時にダビデは二の門の間に坐しゐたり爰に守望者門の蓋上にのぼり石墻にのぼりて其目を擧て見るに視よ獨一人にて走きたる者あり 010 2SA 018 025 守望者呼はりて王に告ければ王いふ若し獨ならば口に音信を持つならんと其人進み來りて近づけり 010 2SA 018 026 守望者復一人の走りきたるを見しかば守望者守門者に呼はりて言ふ獨一人にて走きたる者あり王いふ其人もまた音信を持ものなり 010 2SA 018 027 守望者言ふ我先者の走を見るにザドクの子アヒマアズの走るが如しと王いひけるは彼は善人なり善き音信を持來るならん 010 2SA 018 028 アヒマアズ呼はりて王にいひけるはねがはくは平安なれとかくて王のまへに地に伏していふ爾の神ヱホバは讃べきかなヱホバかの手をあげて王わが主に敵したる人々を付したまへり 010 2SA 018 029 王いひけるは少年アブサロムは平安なるやアヒマアズこたへけるは王の僕ヨアブ僕を遣はせし時我大なる噪を見たれども何をも知らざるなり 010 2SA 018 030 王いひけるは側にいたりて其處に立よと乃ち側にいたりて立つ 010 2SA 018 031 時に視よクシ人來れりクシ人いひけるはねがはくは王音信を受たまへヱホバ今日爾をまもりて凡て爾にたち逆ふ者の手を免かれしめたまへり 010 2SA 018 032 王クシ人にいひけるは少年アブサロムは平安なるやクシ人いひけるはねがはくは王わが主の敵および凡て汝に起ち逆ひて害をなさんとする者は彼少年のごとくなれと 010 2SA 018 033 王大に感み門の樓にのぼりて哭り彼行ながらかくいへりわが子アブサロムよわが子わが子アブサロムよ鳴呼われ汝に代りて死たらん者をアブサロムわが子よわが子よ 010 2SA 019 001 時にヨアブに告る者ありていふ視よ王はアブサロムの爲に哭き悲しむと 010 2SA 019 002 其日の勝利は凡の民の悲哀となれり其は民其日王は其子のために憂ふと言ふを聞たればなり 010 2SA 019 003 其日民は戰爭に逃て羞たる民の竊て去がごとく竊て城邑にいりぬ 010 2SA 019 004 王は其面を掩へり王大聲に叫てわが子アブサロムよアブサロムわが子よわが子よといふ 010 2SA 019 005 ここにヨアブ家にいり王の許にいたりていひけるは汝今日汝の生命と汝の男子汝の女子の生命および汝の妻等の生命と汝の妾等の生命を救ひたる汝の凡の臣僕の顔を羞させたり 010 2SA 019 006 是は汝おのれを惡む者を愛しおのれを愛する者を惡むなり汝今日汝が諸侯伯をも諸僕をも顧みざるを示せり今日我さとる若しアブサロム生をりて我儕皆死たらば汝の目に適ひしならん 010 2SA 019 007 されど今立て出で汝の諸僕を慰めてかたるべし我ヱホバを指て誓ふ汝若し出ずば今夜一人も汝とともに止るものなかるべし是は汝が若き時より今にいたるまでに蒙りたる諸の災禍よりも汝に惡かるべし 010 2SA 019 008 是に於て王たちて門に坐す人々凡の民に告て視よ王は門に坐し居るといひければ民皆王のまへにいたる然どイスラエルはおのむの其天幕に逃かへれり 010 2SA 019 009 イスラエルの諸の支派の中に民皆爭ひていひけるは王は我儕を敵の手より救ひいだしまた我儕をペリシテ人の手より助けいだせりされど今はアブサロムのために國を逃いでたり 010 2SA 019 010 また我儕が膏そそぎて我儕の上にかきしアブサロムは戰爭に死ねりされば爾ら何ぞ王を導きかへらんことと言ざるや 010 2SA 019 011 ダビデ王祭司ザドクとアビヤタルに言つかはしけるはユダの長老等に告て言ヘイスラエルの全家の言語王の家に達せしに爾ら何ぞ王を其家に導きかへる最後となるや 010 2SA 019 012 爾等はわが兄弟爾らはわが骨肉なりしかるになんぞ爾等王を導き歸る最後となるやと 010 2SA 019 013 又アマサに言べし爾はわが骨肉にあらずや爾ヨアブにかはりて常にわがまへにて軍長たるべし若しからずば神我に斯なし又重ねてかくなしたまへと 010 2SA 019 014 かくダビデ、ユダの凡の人をして其心を傾けて一人のごとくにならしめければかれら王にねがはくは爾および爾の諸の臣僕歸りたまへといひおくれり 010 2SA 019 015 是において王歸りてヨルダンにいたるにユダの人々王を迎へんとて來りてギルガルにいたり王を送りてヨルダンを濟らんとす 010 2SA 019 016 時にバホリムのベニヤミン人ゲラの子シメイ急ぎてユダの人々とともに下りダビデ王を迓ふ 010 2SA 019 017 一千のベニヤミン人彼とともにあり亦サウルの家の僕ヂバも其十五人の男子と二十人の僕をしたがへて偕に居たりしが皆王のまへにむかひてヨルダンをこぎ渡れり 010 2SA 019 018 時に王の家族を濟しまた王の目に善と見ゆるところを爲んとて濟舟を濟せり爰にゲラの子シメイ、ヨルダンを濟れる時王のまへに伏して 010 2SA 019 019 王にいひけるはわが主よねがはくは罪を我に歸するなかれまた王わが主のエルサレムより出たまへる日に僕が爲たる惡き事を記憶えたまふなかれねがはくは王これを心に置たまふなかれ 010 2SA 019 020 其は僕我罪を犯したるを知ればなり故に視よ我今日ヨセフの全家の最初に下り來りて王わが主を迓ふと 010 2SA 019 021 然にゼルヤの子アビシヤイ答へていひけるはシメイはヱホバの膏そそぎし者を詛たるに因て其がために誅さるべきにあらずやと 010 2SA 019 022 ダビデいひけるは爾らゼルヤの子よ爾らのあづかるところにあらず爾等今日我に敵となる今日豈イスラエルの中にて人を誅すべけんや我豈わが今日イスラエルの王となりたるをしらざらんやと 010 2SA 019 023 是をもて王はシメイに爾は誅されじといひて王かれに誓へり 010 2SA 019 024 爰にサウルの子メピボセテ下りて王をむかふ彼は王の去し日より安かに歸れる日まで其足を飾らず其鬚を飾らず又其衣を濯ざりき 010 2SA 019 026 彼エルサレムよりきたりて王を迓ふる時王かれにいひけるはメビボセテ爾なんぞ我とともに往ざりしや 彼こたへけるはわが主王よわが僕我を欺けり僕はわれ驢馬に鞍おきて其に乗て王の處にゆかんといへり僕跛者なればなり 010 2SA 019 027 しかるに彼僕を王わが主に讒言せり然ども王わが主は神の使のごとし故に爾の目に善と見るところを爲たまへ 010 2SA 019 028 わが父の全家は王わが主のまへには死人なるのみなるに爾僕を爾の席にて食ふ者の中に置たまへりされば我何の理ありてか重ねて王に哀訴ることをえん 010 2SA 019 029 王かれにいひけるは爾なんぞ重ねて爾の事を言や我いふ爾とヂバ其地を分つべし 010 2SA 019 030 メピボセテ王にいひけるは王わが主安然に其家に歸りたまひたればかれに之を悉くとらしめたまへと 010 2SA 019 031 爰にギレアデ人バルジライ、ロゲリムより下り王を送りてヨルダンを渡らんとて王とともにヨルダンを濟れり 010 2SA 019 032 バルジライは甚だ老たる人にて八十歳なりきかれは甚だ大なる人なれば王のマハナイムに留れる間王を養へり 010 2SA 019 033 王バルジライにいひけるは爾我とともに濟り來れ我エルサレムにて爾を我とともに養はん 010 2SA 019 034 バルジライ王にいひけるはわが生命の年の日尚幾何ありてか我王とともにエルサレムに上らんや 010 2SA 019 035 我は今日八十歳なり善きと惡きとを辨へるをえんや僕其食ふところと飮ところを味ふをえんや我再び謳歌之男と謳歌之女の聲を聽えんや僕なんぞ尚王わが主の累となるべけんや 010 2SA 019 036 僕は王とともにヨルダンを濟りて只少しくゆかん王なんぞこの報賞を我に報ゆるに及ばんや 010 2SA 019 037 請ふ僕を歸らしめよ我自己の邑にてわが父母の墓の側に死ん但し僕キムハムを視たまへかれを王わが主とともに濟り往しめたまへ又爾の目に善と見る所を彼になしたまへ 010 2SA 019 038 王いひけるはキムハム我とともに濟り往くべし我爾の目に善と見ゆる所をかれに爲ん又爾が望みて我に求むる所は皆我爾のために爲すべしと 010 2SA 019 039 民皆ヨルダンを濟れり王渡りし時王バルジライに接吻してこれを祝す彼遂に己の所に歸れり 010 2SA 019 040 かくて王ギルガルに進むにキムハムかれとともに進めりユダの民皆王を送れりイスラエルの民の半も亦しかり 010 2SA 019 041 是にイスラエルの人々皆王の所にいたりて王にいひけるは我儕の兄弟なるユダの人々何故に爾を竊みさり王と其家族およびダビデとともなる其凡の從者を送りてヨルダンを濟りしやと 010 2SA 019 042 ユダの人々皆イスラエルの人々に對へていふ王は我に近きが故なり爾なんぞ此事について怒るや我儕王の物を食ひしことあるや王我儕に賜物を與へたることあるや 010 2SA 019 043 イスラエルの人ユダの人に對ていひけるは我は王のうちに十の分を有ち亦ダビデのうちにも我は爾よりも多を有つなりしかるに爾なんぞ我らを軽じたるやわが王を導きかへらんと言しは我最初なるにあらずやとされどユダの人々の言はイスラエルの人々の言よりも厲しかりき 010 2SA 020 001 爰に一人の邪なる人あり其名をシバといビクリの子にしてベニヤミン人なり彼喇叭を吹ていひけるは我儕はダビデの中に分なし又ヱサイの子のうちに產業なしイスラエルよ各人其天幕に歸れよと 010 2SA 020 002 是によりてイスラエルの人皆ダビデに随ふことを止てのぼりビクリの子シバにしたがへり然どユダの人々は其王に附てヨルダンよりエルサレムにいたれり 010 2SA 020 003 ダビデ、エルサレムにある己の家にいたり王其遺して家を守らせたる妾なる十人の婦をとりてこれを一の室に守り置て養へりされどかれらの處には入ざりき斯かれらは死る日まで閉こめられて生涯嫠婦にてすごせり 010 2SA 020 004 爰に王アマサにいひけるは我ために三日のうちにユダの人々を召きたれしかして爾此處にをれ 010 2SA 020 005 アマサ乃ちユダを召あつめんとて往たりしが彼ダビデが定めたる期よりも長く留れり 010 2SA 020 006 是においてダビデ、アビシヤイにいひけるはビクリの子シバ今我儕にアブサロムよりもおほくの害をなさんとす爾の主の臣僕を率ゐて彼の後を追へ恐らくは彼堅固なる城邑を獲て我儕の目を逃れんと 010 2SA 020 007 是によりてヨアブの從者とケレテ人とペレテ人および都の勇士彼にしたがびて出たり即ち彼等エルサレムより出てビクリの子シバの後を追ふ 010 2SA 020 008 彼等がギベオンにある大石の傍に居りし時アマサかれらにむかひ來れり時にヨアブ戎衣に帶を結て衣服となし其上に刀を鞘にをさめ腰に結びて帶び居たりしが其劍脱け堕ちたり 010 2SA 020 009 ヨアブ、アマサにわが兄弟よ爾は平康なるやといひて右の手をもてアマサの鬚を將て彼に接吻せんとせしが 010 2SA 020 010 アマサはヨアブの手にある劍に意を留ざりければヨアブ其をもてアマサの腹を刺して其膓を地に流しいだし重ねて撃に及ばざらしめてこれをころせり かくてヨアブと其兄弟アビシヤイ、ビクリの子シバの後を追り 010 2SA 020 011 時にヨアブの少者の一人アマサの側にたちていふヨアブを助くる者とダビデに附從ものはヨアブの後に隨へと 010 2SA 020 012 アマサは血に染て大路の中に轉び居たり斯人民の皆立どまるを見てアマサを大路より田に移したるが其側にいたれる者皆見て立ちとまりければ衣を其上にかけたり 010 2SA 020 013 アマサ大路より移されければ人皆ヨアブにしたがひ進みてビクリの子シバの後を追ふ 010 2SA 020 014 彼イスラエルの凡の支派の中を行てアベルとベテマアカに至るに少年皆集りて亦かれにしたがひゆけり 010 2SA 020 015 かくて彼等來りて彼をアベル、ベテマアカに圍み城邑にむかひて壘を築けり是は壕の中にたてりかくしてヨアブとともにある民皆石垣を崩さんとてこれを撃居りしが 010 2SA 020 016 一箇の哲き婦城邑より呼はりていふ爾ら聽よ爾ら聽よ請ふ爾らヨアブに此に近よれ我爾に言んと言へと 010 2SA 020 017 かれ其婦にちかよるに婦いひけるは爾はヨアブなるやかれ然りといひければ婦彼にいふ婢の言を聽けかれ我聽くといふ 010 2SA 020 018 婦即ち語りていひけるは昔人々誠に語りて人必ずアベルにおいて索問べしといひて事を終ふ 010 2SA 020 019 我はイスラエルの中の平和なる忠義なる者なりしかるに爾はイスラルの中にて母ともいふべき城邑を滅さんことを求む何ゆゑに爾ヱホバの產業を呑み盡さんとするや 010 2SA 020 020 ヨアブ答へていひけるは決めてしからず決めてしからずわれ呑み盡し或は滅ぼさんとすることなし 010 2SA 020 021 其事しからずエフライムの山地の人ビクリの子名はシバといふ者手を擧て王ダビデに敵せり爾ら只彼一人を付せ然らば我此邑をさらんと婦ヨアブにいひけるは視よ彼の首級は石垣の上より爾に投いだすべし 010 2SA 020 022 かくて婦其智慧をもて凡の民の所にいたりければかれらビクリの子シバの首級を刎てヨアブの所に投出せり是においてヨアブ喇叭を吹ならしければ人々散て邑より退きておのおの其天幕に還りぬヨアブはエルサレムにかへりて王の處にいたれり 010 2SA 020 023 ヨアブはイスラエルの全軍の長なりヱホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の長なり 010 2SA 020 024 アドラムは徴募長なりアヒルデの子ヨシヤパテは史官なり 010 2SA 020 025 シワは書記官なりザドクとアビヤタルは祭司なり 010 2SA 020 026 亦ヤイル人イラはダビデの大臣なり 010 2SA 021 001 ダビデの世に年復年と三年饑饉ありければダビデ、ヱホバに問にヱホバ言たまひけるは是はサウルと血を流せる其家のためなり其は彼嘗てギベオン人を殺したればなりと 010 2SA 021 002 是において王ギベオン人を召てかれらにいへりギベオン人はイスラエルの子孫にあらずアモリ人の殘餘なりしがイスラエルの子孫昔彼等に誓をなしたり然るにサウル、イスラエルとユダの子孫に熱心なるよりして彼等を殺さんと求めたり 010 2SA 021 003 即ちダビデ、ギベオン人にいひけるは我汝等のために何を爲すべきか我何の賠償を爲さば汝等ヱホバの產業を祝するや 010 2SA 021 004 ギベオン人彼にいひけるは我儕はサウルと其家の金銀を取じ又汝は我らのためにイスラエルの中の人一人をも殺すなかれダビデいひけるは汝等が言ふ所は我汝らのために爲ん 010 2SA 021 005 彼等王にいひけるは我儕を滅したる人我儕を殲してイスラエルの境の中に居留ざらしめんとて我儕にむかひて謀を設けし人 010 2SA 021 006 請ふ其人の子孫七人を我儕に與へよ我儕ヱホバの選みたるサウルのギベアにて彼等をヱホバのまへに懸ん王いふ我與ふべしと 010 2SA 021 007 されど王サウルの子ヨナタンの子なるメピボセテを惜めり是は彼等のあひだ即ちダビデとサウルの子ヨナタンとの間にヱホバを指して爲る誓あるに因り 010 2SA 021 008 されど王アヤの女リヅパがサウルに生し二人の子アルモニとメピボセテおよびサウルの女メラブがメホラ人バルジライの子アデリエルに生し五人の子を取りて 010 2SA 021 009 かれらをギベオン人の手に與へければギベオン人かれらを山の上にてヱホバの前に懸たり彼等七人倶に斃れて刈穫の初日即ち大麥刈の初時に死り 010 2SA 021 010 アヤの女リヅパ麻布を取りて刈穫の初時より其屍上に天より雨ふるまでこれをおのれのために磐の上に布きおきて晝は空の鳥を屍の上に止らしめず夜は野の獣をちかよらしめざりき 010 2SA 021 011 爰にアヤの女サウルの妾リヅパの爲しことダビデに聞えければ 010 2SA 021 012 ダビデ往てサウルの骨と其子ヨナタンの骨をヤベシギレアデの人々の所より取り是はペリシテ人がサウルをギルボアに殺してベテシヤンの衢に懸たるをかれらが竊みさりたるものなり 010 2SA 021 013 ダビデ其處よりサウルの骨と其子ヨナタンの骨を携へ上れりまた人々其懸られたる者等の骨を斂たり 010 2SA 021 014 かくてサウルと其子ヨナタンの骨をベニヤミンの地のゼラにて其父キシの墓に葬り都て王の命じたる所を爲り比より後神其地のため祈祷を聽たまへり 010 2SA 021 015 ペリシテ人復イスラエルと戰爭を爲すダビデ其臣僕とともに下りてペリシテ人と戰ひけるがダビデ困憊居りければ 010 2SA 021 016 イシビベノブ、ダビデを殺さんと思へり(イシビベノブは巨人の子等の一人にて其槍の銅の重は三百シケルあり彼新しき劒を帶たり) 010 2SA 021 017 しかれどもゼルヤの子アビシヤイ、ダビデを助けて其ペリシテ人を撃ち殺せり是においてダビデの從者かれに誓ひていひけるは汝は再我儕と共に戰爭に出べからず恐らくは爾イスラエルの燈光を消さんと 010 2SA 021 018 此後再びゴブにおいてペリシテ人と戰あり時にホシヤ人シベカイ巨人の子等の一人なるサフを殺せり 010 2SA 021 019 爰に復ゴブにてペリシテ人と戰あり其處にてベテレヘム人ヤレオレギムの子エルハナン、ガテのゴリアテの兄弟ラミを殺せり其槍の柄は機の梁の如くなりき 010 2SA 021 020 又ガテに戰ありしが其處に一人の身長き人あり手には各六の指あり足には各六の指ありて其數合せて二十四なり彼もまた巨人の生る者なり 010 2SA 021 021 彼イスラエルを挑みしかばダビデに兄弟シメアの子ヨナタン彼を殺せり 010 2SA 021 022 是らの四人はガテにて巨人の生るものなりしがダビデの手と其臣僕の手に斃れたり 010 2SA 022 001 ダビデ、ヱホバが己を諸の敵の手とサウルの手より救ひいだしたまへる日に此歌の言をヱホバに陳たり曰く 010 2SA 022 002 ヱホバはわが巌わが要害我を救ふ者 010 2SA 022 003 わが磐の神なりわれ彼に倚賴むヱホバはわが干わが救の角わが高櫓わが逃躱處わが救主なり爾我をすくひて暴き事を免れしめたまふ 010 2SA 022 004 我ほめまつるべきヱホバに呼はりてわが敵より救はる 010 2SA 022 005 死の波涛われを繞み邪曲なる者の河われをおそれしむ 010 2SA 022 006 冥府の繩われをとりまき死の機檻われにのぞめり 010 2SA 022 007 われ艱難のうちにヱホバをよびまたわが神に龥れりヱホバ其殿よりわが聲をききたまひわが喊呼其耳にいりぬ 010 2SA 022 008 爰に地震ひ撼き天の基動き震へりそは彼怒りたまへばなり 010 2SA 022 009 烟其鼻より出てのぽり火その口より出て燒きつくしおこれる炭かれより燃いづ 010 2SA 022 010 彼天を傾けて下りたまふ黑雲その足の下にあり 010 2SA 022 011 ケルブに乗て飛び風の翼の上にあらはれ 010 2SA 022 012 其周圍に黑暗をおき集まれる水密雲を幕としたまふ 010 2SA 022 013 そのまへの光より炭火燃いづ 010 2SA 022 014 ヱホバ天より雷をくだし最高者聲をいだし 010 2SA 022 015 又箭をはなちて彼等をちらし電をはなちて彼等をうちやぶりたまへり 010 2SA 022 016 ヱホバの叱咤とその鼻の氣吹の風によりて海の底あらはれいで地の基あらはになりぬ 010 2SA 022 017 ヱホバ上より手をたれて我をとり洪水の中より我を引あげ 010 2SA 022 018 またわが勁き敵および我をにくむ者より我をすくひたまへり彼等は我よりも強かりければなり 010 2SA 022 019 彼等はわが菑災の日にわれに臨めりされどヱホバわが支柱となり 010 2SA 022 020 我を廣き處にひきいだしわれを喜ぶがゆゑに我をすくひたまへり 010 2SA 022 021 ヱホバわが義にしたがひて我に報い吾手の清潔にしたがひて我に酬したまへり 010 2SA 022 022 其はわれヱホバの道をまもり惡をなしてわが神に離しことなければなり 010 2SA 022 023 その律例は皆わがまへにあり其法憲は我これを離れざるなり 010 2SA 022 024 われ神にむかひて完全かり又身を守りて惡を避たり 010 2SA 022 025 故にヱホバわが義にしたがひ其目のまへにわが潔白あるに循ひてわれに報いたまへり 010 2SA 022 026 矜恤者には爾矜恤ある者のごとくし完全人には爾完全者のごとくし 010 2SA 022 027 潔白者には爾潔白もののごとくし邪曲者には爾嚴刻者のごとくしたまふ 010 2SA 022 028 難る民は爾これを救たまふ然ど矜高者は爾の目見て之を卑したまふ 010 2SA 022 029 ヱホバ爾はわが燈火なりヱホバわが暗をてらしたまふ 010 2SA 022 030 われ爾によりて軍隊の中を驅とほりわが神に由て石垣を飛こゆ 010 2SA 022 031 神は其道まつたしヱホバの言は純粋なし彼は都て己に倚賴む者の干となりたまふ 010 2SA 022 032 夫ヱホバのほか誰か神たらん我儕の神のほか敦か磐たらん 010 2SA 022 033 神はわが強き堅衆にてわが道を全うし 010 2SA 022 034 わが足を麀の如くなし我をわが崇邱に立しめたまふ 010 2SA 022 035 神わが手に戰を敎へたまへばわが腕は銅の弓をも挽を得 010 2SA 022 036 爾我に爾の救の干を與へ爾の慈悲われを大ならしめたまふ 010 2SA 022 037 爾わが身の下の歩を恢廓しめたまへば我踝ふるへず 010 2SA 022 038 われわが敵を追て之をほろぼし之を絶すまではかへらず 010 2SA 022 039 われ彼等を絶し彼等を破碎ば彼等たちえずわが足の下にたふる 010 2SA 022 040 汝戰のために力をもて我に帶しめ又われに逆ふ者をわが下に拝跪しめたまふ 010 2SA 022 041 爾わが敵をして我に後を見せしめたまふ我を惡む者はわれ之をほろぼさん 010 2SA 022 042 彼等環視せど救ふ者なしヱホバを仰視ど彼等に應たまはず 010 2SA 022 043 地の塵の如くわれ彼等をうちくだき又衢間の泥のごとくわれ彼等をふみにぢる 010 2SA 022 044 爾われをわが民の爭闘より救ひ又われをまもりて異邦人等の首長となしたまふわが知ざる民我につかふ 010 2SA 022 045 異邦人等は我に媚び耳に聞と均しく我にしたがふ 010 2SA 022 046 異邦人等は衰へ其衛所より戰慄て出づ 010 2SA 022 047 ヱホバは活る者なりわが磐は讃べきかなわが救の磐の神はあがめまつるべし 010 2SA 022 048 此神われに仇を報いしめ國々の民をわが下にくだらしめたまひ 010 2SA 022 049 又わが敵の中よりわれを出し我にさからふ者の上に我をあげまた強暴人の許よりわれを救ひいだしたまふ 010 2SA 022 050 是故にヱホバよわれ異邦人等のうちに爾をほめ爾の名を稱へん 010 2SA 022 051 ヱホバその王の救をおほいにしその受膏者なるダビデと其裔に永久に恩を施したまふなり 010 2SA 023 001 ダビデの最後の言は是なりヱサイの子ダビデの詔言即ち高く擧られし人ヤコブの神に膏をそそがれし者イスラエルの善き歌人の詔言 010 2SA 023 002 ヱホバの霊わが中にありて言たまふ其諭言わが舌にあり 010 2SA 023 003 イスラエルの神いひたまふイスラエルの磐われに語たまふ人を正く治むる者神を畏れて治むる者は 010 2SA 023 004 日の出の朝の光のごとく雲なき朝のごとく又雨の後の日の光明によりて地に茁いづる新草ごとし 010 2SA 023 005 わが家かく神とともにあるにあらずや神萬具備りて鞏固なる永久の契約を我になしたまへり吾が救と喜を皆いかで生ぜしめたまはざらんや 010 2SA 023 006 しかれども邪なる者は荊棘のごとくにして手をもて取がたければ皆ともにすてられん 010 2SA 023 007 之にふるる人は鐵と槍の柯とを其身に備ふべし是は火にやけて燒たゆるにいたらん 010 2SA 023 008 是等はダビデの勇士の名なりタクモニ人ヤシヨベアムは三人衆の長なりしが一時八百人にむかひて槍を揮ひて之を殺せり 010 2SA 023 009 彼の次はアホア人ドドの子エルアザルにして三勇士の中の者なり彼其處に戰はんとて集まれるペリシテ人にむかひて戰を挑みイスラエルの人々の進みのぼれる時にダビデとともに居たりしが 010 2SA 023 010 たちてペリシテ人を撃ち終に其手疲て其手劍に固着て離れざるにいたれり此日ヱホバ大なる救拯を行ひたまふ民は彼の跡にしたがひゆきて只褫取而巳なりき 010 2SA 023 011 彼の次はハラリ人アゲの子シヤンマなり一時ペリシテ人一隊となりて集まれり彼處に扁豆の滿たる地の處あり民ペリシテ人のまへより逃たるに 010 2SA 023 012 彼其地の中に立て禦ぎペリシテ人を殺せりしかしてヱホバ大なる救拯を行ひたまふ 010 2SA 023 013 刈穫の時に三十人衆の首長なる三人下りてアドラムの洞穴に往てダビデに詣れり時にペリシテ人の隊レパイムの谷に陣どれり 010 2SA 023 014 其時ダビデは要害に居りペリシテ人の先陣はベテレヘムにあり 010 2SA 023 015 ダビデ慕ひていひけるは誰かベテレヘムの門にある井の水を我にのましめんかと 010 2SA 023 016 三勇士乃ちペリシテ人の陣を衝き過てベテレヘムの門にある井の水を汲取てダビデの許に携へ來れり然どダビデ之をのむことをせずこれをヱホバのまへに灌ぎて 010 2SA 023 017 いひけるはヱホバよ我決てこれを爲じ是は生命をかけて往し人の血なりと彼これを飮ことを好まざりき三勇士は是等の事を爲り 010 2SA 023 018 ゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシヤイは三十人衆の首たり彼三百人にむかひて槍を揮ひて殺せり彼其三十人衆の中に名を得たり 010 2SA 023 019 彼は三十人衆の中の最も尊き者にして彼等の長とたれり然ども三人衆には及ばざりき 010 2SA 023 020 ヱホヤダの子カブジエルのベナヤは勇氣あり多くの功績ありし者なり彼モアブの人の獅子の如きもの二人を撃殺せり彼は亦雪の時に下りて穴の中にて獅子を撃殺せり 010 2SA 023 021 彼また容貌魁偉たるエジプト人を撃殺せり其エジプト人は手に槍を持たるに彼は杖を執て下りエジプト人の手より槍を捩とりて其槍をもてこれを殺せり 010 2SA 023 022 ヱホヤダの子ベナヤ是等の事を爲し三十勇士の中に名を得たり 010 2SA 023 023 彼は三十人衆の中に尊かりしかども三人衆には及ばざりきダビデかれを參議の中に列しむ 010 2SA 023 024 三十人衆の中にはヨアブの兄弟アサヘル、ベテレヘムのドドの子エルハナン 010 2SA 023 025 ハロデ人シヤンマ、ハロデ人エリカ 010 2SA 023 026 パルデ人ヘレヅ、テコア人イツケシの子イラ 010 2SA 023 027 アネトテ人アビエゼル、ホシヤ人メブンナイ 010 2SA 023 028 アホア人ザルモン、ネトバ人マハライ 010 2SA 023 029 ネトパ人バアナの子ヘレブ、ベニヤミンの子孫のギベアより出たるリバイの子イツタイ 010 2SA 023 030 ヒラトン人ベナヤ、ガアシの谷のヒダイ 010 2SA 023 031 アルパテ人アビアルボン、バホリム人アズマウテ 010 2SA 023 032 シヤルボニ人エリヤバ、キゾニ人ヤセン 010 2SA 023 033 ハラリ人シヤンマの子ヨナタン、アラリ人シヤラルの子アヒアム 010 2SA 023 034 ウルの子エリパレテ、マアカ人へペル、ギロ人アヒトペルの子エリアム 010 2SA 023 035 カルメル人ヘヅライ、アルバ人パアライ 010 2SA 023 036 ゾバのナタンの子イガル、ガド人バニ 010 2SA 023 037 アンモニ人ゼレク、ゼルヤの子ヨアブの武器を執る者ベエロデ人ナハライ 010 2SA 023 038 ヱテリ人イラ、ヱテリ人ガレブ 010 2SA 023 039 ヘテ人ウリヤあり都三十七人 010 2SA 024 001 ヱホバ復イスラエルにむかひて怒を發しダビデを感動して彼等に敵對しめ往てイスラエルとユダを數へよと言しめたまふ 010 2SA 024 002 王乃ちヨアブおよびヨアブとともにある軍長等にいひけるは請ふイスラエルの諸の支派の中をダンよりベエルシバに至るまで行めぐりて民を核べ我をして民の數を知しめよ 010 2SA 024 003 ヨアブ王にいひけるは幾何あるともねがはくは汝の神ヱホバ民を百倍に増たまへ而して王わが主の目それを視るにいたれ然りといへども王わが主の此事を悦びたまふは何故ぞやと 010 2SA 024 004 されど王の言ヨアブと軍長等に勝ければヨアブと軍長等王の前を退きてイスラエルの民を核べに往り 010 2SA 024 005 かれらヨルダンを濟りアロエルより即ち河の中の邑より始めてガドにいたりヤゼルにいたり 010 2SA 024 006 ギレアデにいたりタテムホデシの地にいたり又ダニヤンにいたりてシドンに旋り 010 2SA 024 007 またツロの城にいたりヒビ人とカナン人の諸の邑にいたりユダの南に出てベエルシバにいたれり 010 2SA 024 008 彼等國を徧く行めぐり九月と廿日を經てルサレムに至りぬ 010 2SA 024 009 ヨアブ人口の數を王に告たり即ちイスラエルに劍を抜く壯士八十萬ありき又ユダの人は五十萬ありき 010 2SA 024 010 ダビデ民の數を書し後其心自ら責む是においてダビデ、ヱホバにいふ我これを爲して大に罪を犯したりねがはくはヱホバよ僕の罪を除きたまへ我甚だ愚なる事を爲りと 010 2SA 024 011 ダビデ朝興し時ヱホバの言ダビデの先見者なる預言者ガデに臨みて曰く 010 2SA 024 012 往てダビデに言へヱホバ斯いふ我汝に三を示す汝其一を擇べ我其を汝に爲んと 010 2SA 024 013 ガデ、ダビデの許にいたりこれに告てこれにいひけるは汝の地に七年の饑饉いたらんか或は汝敵に追れて三月其前に遁んか或は爾の地に三日の疫病あらんか爾考へてわが如何なる答を我を遣はせし者に爲べきかを決めよ 010 2SA 024 014 ダビデ、ガデにいひけるは我大に苦しむ請ふ我儕をしてヱホバの手に陷らしめよ其憐憫大なればなり我をして人の手に陷らしむるなかれ 010 2SA 024 015 是においてヱホバ朝より集會の時まで疫病をイスラエルに降したまふダンよりベエルシバまでに民の死る者七萬人なり 010 2SA 024 016 天の使其手をエルサレムに伸てこれを滅さんとしたりしがヱホバ此害惡を悔て民を滅す天使にいひたまひけるは足り今汝の手を住めよと時にヱホバの使はヱブス人アラウナの禾場の傍にあり 010 2SA 024 017 ダビデ民を撃つ天使を見し時ヱホバに申していひけるは嗚呼我は罪を犯したり我は惡き事を爲たり然ども是等の羊群は何を爲たるや請ふ爾の手を我とわが父の家に對たまへと 010 2SA 024 018 此日ガデ、ダビデの所にいたりてかれにいひけるは上りてヱブス人アラウナの禾場にてヱホバに壇を建よ 010 2SA 024 019 ダビデ、ガデの言に隨ひヱホバの命じたまひしごとくのぼれり 010 2SA 024 020 アラウナ觀望て王と其臣僕の己の方に進み來るを見アラウナ出て王のまへに地に伏て拝せり 010 2SA 024 021 かくてアラウナいひけるは何に因てか王わが主僕の所にきませるやダビデひけるは汝より禾場を買ひとりヱホバに壇を築きて民に降る災をとどめんとてなり 010 2SA 024 022 アラウナ、ダビデにいひけるはねがはくは王わが主其目に善と見ゆるものを取て献げたまへ燔祭には牛あり薪には打禾車と牛の器ありと 010 2SA 024 023 アラリナこれを悉く王に奉呈ぐアラウナ又王にねがはくは爾の神ヱホバ爾を受納たまはんことをといふ 010 2SA 024 024 王アラウナにいひけるは斯すべからず我必ず値をはらひて爾より買とらん我費なしに燔祭をわが神ヱホバに献ぐることをせじとダビデ銀五十シケルにて禾場と牛を買とれり 010 2SA 024 025 ダビデ其處にてヱホバに壇を築き燔祭と酬恩祭を献げたり是においてヱホバ其地のために祈祷を聽たまひて災のイスラエルに降ること止りぬ # # BOOK 011 1KI 1 Kings 列王記Ⅰ 011 1KI 001 001 爰にダビデ王年邁みて老い寝衣を衣するも温らざりければ 011 1KI 001 002 其臣僕等彼にいひけるは王わが主のために一人の若き處女を求めしめて之をして王のまへにたちて王の左右となり汝の懐に臥て王わが主を暖めしめんと 011 1KI 001 003 彼等乃ちイスラエルの四方の境に美き童女を求めてシユナミ人アビシヤグを得て之を王に携きたれり 011 1KI 001 004 此童女甚だ美くして王の左右となり王に事たり然ど王之と交はらざりき 011 1KI 001 005 時にハギテの子アドニヤ自ら高くし我は王とならんと言て己のために戰車と騎兵および自己のまへに驅る者五十人を備へたり 011 1KI 001 006 其父は彼が生れてより已來汝何故に然するやと言てかれを痛しめし事なかりきアドニヤも亦容貌の甚だ美き者にてアブサロムの次に生れたり 011 1KI 001 007 彼ゼルヤの子ヨアブおよび祭司アビヤタルと商議ひしかば彼等之に從ひゆきて助けたり 011 1KI 001 008 されど祭司ザドクとヱホヤダの子ベナヤと預言者ナタンおよびシメイとレイならびにダビデに屬したる勇士はアドニヤに與せざりき 011 1KI 001 009 アドニヤ、エンロゲルの近邊なるゾヘレテの石の傍にて羊と牛と肥畜を宰りて王の子なる己の兄弟および王の臣僕なるユダの人を盡く請けり 011 1KI 001 010 されども預言者ナタンとベナヤと勇士とおのれの兄弟ソロモンとをば招かざりき 011 1KI 001 011 爰にナタン、ソロモンの母バテシバに語りていひけるは汝ハギテの子アドニヤが王となれるを聞ざるかしかるにわれらの主ダビデはこれを知ざるなり 011 1KI 001 012 されば請ふ來れ我汝に計を授て汝をして己の生命と汝の子ソロモンの生命を救しめん 011 1KI 001 013 汝往てダビデ王の所に入り之にいへ王わが主よ汝は婢に誓ひて汝の子ソロモンは我に継で王となりわが位に坐せんといひたまひしにあらずや然にアドニヤ何故に王となれるやと 011 1KI 001 014 われまた汝が尚其處にて王と語ふ時に汝に次て入り汝の言を證すべしと 011 1KI 001 015 是においてバテシバ寝室に入りて王の所にいたるに王は甚だ老てシユナミ人アビシヤグ王に事へ居たり 011 1KI 001 016 バテシバ躬を鞠め王を拝す王いふ何なるや 011 1KI 001 017 かれ王にいひけるはわが主汝は汝の神ヱホバを指て婢に汝の子ソロモンは我に継で王となりわが位に坐せんと誓ひたまへり 011 1KI 001 018 しかるに視よ今アドニヤ王となれり而て王わが主汝は知たまはず 011 1KI 001 019 彼は牛と肥畜と羊を饒く宰りて王の諸子および祭司アビヤタルと軍の長ヨアブを招けりされど汝の僕ソロモンをば招かざりき 011 1KI 001 020 汝王わが主よイスラエルの目皆汝に注ぎ汝が彼等に誰が汝に継で王わが主の位に坐すべきを告るを望む 011 1KI 001 021 王わが主の其父祖と共に寝たまはん時に我とわが子ソロモンは罪人と見做さるるにいたらんと 011 1KI 001 022 バテシバ尚王と語ふうちに視よ預言者ナタンも亦入きたりければ 011 1KI 001 023 人々王に告て預言者ナタン此にありと曰ふ彼王のまへに入り地に伏て王を拝せり 011 1KI 001 024 しかしてナタンいひけるは王わが主汝はアドニヤ我に継で王となりわが位に坐すべしといひたまひしや 011 1KI 001 025 彼は今日下りて牛と肥畜と羊を饒く宰りて王の諸子と軍の長等と祭司アビヤタルを招けりしかして彼等はアドニヤのまへに飮食してアドニヤ王壽かれと言ふ 011 1KI 001 026 されど汝の僕なる我と祭司ザドクとヱホヤダの子ベナヤと汝の僕ソロモンとは彼請かざるなり 011 1KI 001 027 此事は王わが主の爲たまふ所なるかしかるに汝誰が汝に継で王わが主の位に坐すべきを僕に知せたまはざるなりと 011 1KI 001 028 ダビデ王答ていふバテシバをわが許に召せと彼乃ち王のまへに入て王のまへにたつに 011 1KI 001 029 王誓ひていひけるはわが生命を諸の艱難の中に救ひたまひしヱホバは活く 011 1KI 001 030 我イスラエルの神ヱホバを指て誓ひて汝の子ソロモン我に継で王となり我に代りてわが位に坐すべしといひしごとくに我今日爲すべしと 011 1KI 001 031 是においてバテシバ躬を鞠め地に伏て王を拝し願くはわが主ダビデ王長久に生ながらへたまへといふ 011 1KI 001 032 ダビデ王いひけるはわが許に祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤを召と彼等乃ち王のまへに來る 011 1KI 001 033 王彼等にいひけるは汝等の主の臣僕を伴ひわが子ソロモンをわが身の騾に乗せ彼をギホンに導き下り 011 1KI 001 034 彼處にて祭司ザドクと預言者ナタンは彼に膏をそそぎてイスラエルの上に王と爲すべししかして汝ら喇叭を吹てソロモン王壽かれと言へ 011 1KI 001 035 かくして汝ら彼に隨ひて上り來るべし彼は來りてわが位に坐し我に代りて王となるべし我彼を立てイスラエルとユダの上に主君となせりと 011 1KI 001 036 ヱホヤダの子ベナヤ王に對へていひけるはアメンねがはくは王わが主の神ヱホバ然言たまはんことを 011 1KI 001 037 ねがはくはヱホバ王わが主とともに在せしごとくソロモンとともに在してその位をわが主ダビデ王の位よりも大ならしめたまはんことを 011 1KI 001 038 斯て祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤ並にケレテ人とペレテ人下りソロモンをダビデ王の騾に乗せて之をギホンに導きいたれり 011 1KI 001 039 しかして祭司ザドク幕屋の中より膏の角を取てソロモンに膏そそげりかくて喇叭を吹きならし 011 1KI 001 040 民みなソロモン王壽かれと言り民みなかれに隨ひ上りて笛を吹き大に喜祝ひ地はかれらの聲にて裂たり 011 1KI 001 041 アドニヤおよび彼とともに居たる賓客其食を終たる時に皆これを聞りヨアブ喇叭の聲を聞ていひけるは城邑の中の聲音何ぞ喧囂やと 011 1KI 001 042 彼が言をる間に視よ祭司アビヤタルの子ヨナタン來るアドニヤ彼にいひけるは入よ汝は勇ある人なり嘉音を持きたれるならん 011 1KI 001 043 ヨナタン答へてアドニヤにいひけるは誠にわが主ダビデ王ソロモンを王となしたまへり 011 1KI 001 044 王祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤ並にケレテ人とペレテ人をソロモンとともに遣したまふ即ち彼等はソロモンを王の騾に乗せてゆき 011 1KI 001 045 祭司ザドクと預言者ナタン、ギホンにて彼に膏をそそぎて王となせり而して彼等其處より歓て上るが故に城邑は諠囂し汝らが聞る聲音は是なり 011 1KI 001 046 又ソロモン國の位に坐し 011 1KI 001 047 且王の臣僕來りてわれらの主ダビデ王に祝を陳て願くは汝の神ソロモンの名を汝の名よりも美し其位を汝の位よりも大たらしめたまへと言りしかして王は牀の上にて拝せり 011 1KI 001 048 王また斯いへりイスラエルの神ヱホバはほむべきかなヱホバ今日わが位に坐する者を與たまひてわが目亦これを見るなりと 011 1KI 001 049 アドニヤとともにある賓客皆驚愕き起て各其途に去りゆけり 011 1KI 001 050 茲にアドニヤ、ソロモンの面を恐れ起て往き壇の角を執へたり 011 1KI 001 051 或人ソロモンに告ていふアドニヤ、ソロモン王を畏る彼壇の角を執て願くはソロモン王今日我に劍をもて僕を殺じと誓ひ給へと言たりと 011 1KI 001 052 ソロモンいひけるは彼もし善人となるならば其髮の毛一すぢも地におちざるべし然ど彼の中に惡の見るあらば死しむべしと 011 1KI 001 053 ソロモン王乃ち人を遣て彼を壇より携下らしむ彼來りてソロモン王を拝しければソロモン彼に汝の家に往といへり 011 1KI 002 001 ダビデ死ぬる日近よりければ其子ソロモンに命じていふ 011 1KI 002 002 我は世人の皆往く途に往んとす汝は強く丈夫のごとく爲れ 011 1KI 002 003 汝の神ヱホバの職守を守り其道に歩行み其法憲と其誡命と其律例と其證言とをモーセの律法に録されたるごとく守るべし然らば汝凡て汝の爲ところと凡て汝の向ふところにて榮ゆべし 011 1KI 002 004 又ヱホバは其甞に我の事に付て語りて若汝の子等其道を愼み心を盡し精神を盡して眞實をもて吾前に歩ばイスラエルの位に上る人汝に缺ることなかるべしと言たまひし言を堅したまはん 011 1KI 002 005 又汝はゼルヤの子ヨアブが我に爲たる事即ち彼がイスラエルの二人の軍の長ネルの子アブネルとヱテルの子アマサに爲たる事を知る彼此二人を切殺し太平の時に戰の血を流し戰の血を己の腰の周圍の帶と其足の履に染たり 011 1KI 002 006 故に汝の智慧にしたがひて事を爲し其白髮を安然に墓に下らしむるなかれ 011 1KI 002 007 但しギレアデ人バルジライの子等には恩惠を施こし彼等をして汝の席にて食ふ者の中にあらしめよ彼等はわが汝の兄弟アブサロムの面を避て逃し時我に就たるなり 011 1KI 002 008 視よ又バホリムのベニヤミン人ゲラの子シメイ汝とともに在り彼はわがマナハイムに往し時勵しき詛言をもて我を詛へり然ども彼ヨルダンに下りて我を迎へたれば我ヱホバを指て誓ひて我劍をもて汝を殺さじといへり 011 1KI 002 009 然りといへども彼を辜なき者とする勿れ汝は智慧ある人なれば彼に爲べき事を知るなり血を流して其白髮を墓に下すべしと 011 1KI 002 010 斯てダビデは其父祖と偕に寝りてダビデの城に葬らる 011 1KI 002 011 ダビデのイスラエルに王たりし日は四十年なりき即ちヘブロンにて王たりし事七年エルサレムにて王たりし事三十三年 011 1KI 002 012 ソロモン其父ダビデの位に坐し其國は堅固く定まりぬ 011 1KI 002 013 爰にハギテの子アドニヤ、ソロモンの母バテシバの所に來りければバテシバいひけるは汝は平穩なる事のために來るや彼いふ平穩たる事のためなり 011 1KI 002 014 彼又いふ我は汝に言さんとする事ありとバテシバいふ言されよ 011 1KI 002 015 かれいひけるは汝の知ごとく國は我の有にしてイスラエル皆其面を我に向て王となさんと爲りしかるに國は轉てわが兄弟の有となれり其彼の有となれるはヱホバより出たるなり 011 1KI 002 016 今我一の願を汝に求む請ふわが面を黜くるなかれバテシバかれにいひけるは言されよ 011 1KI 002 017 彼いひけるは請ふソロモン王に言て彼をしてシエナミ人アビシヤグを我に與て妻となさしめよ彼は汝の面を黜けざるべければなり 011 1KI 002 018 バテシバいふ善し我汝のために王に言んと 011 1KI 002 019 かくてバテシバ、アドニヤのために言とてソロモン王の許に至りければ王起てかれを迎へ彼を拝して其位に坐なほり王母のために座を設けしむ乃ち其右に坐せり 011 1KI 002 020 しかしてバテシバいひけるは我一の細小き願を汝に求むわが面を黜くるなかれ王かれにいひけるは母上よ求めたまへ我汝の面を黜けざるなり 011 1KI 002 021 彼いひけるは請ふシユナミ人アビシヤグをアドニヤに與て妻となさしめよ 011 1KI 002 022 ソロモン王答て其母にいひけるは何ぞアドニヤのためにシユナミ人アビシヤグを求めらるるや彼のために國をも求められよ彼は我の兄なればなり彼と祭司アビヤタルとゼルヤの子ヨアブのために求められよと 011 1KI 002 023 ソロモン王乃ちヱホバを指て誓ひていふ神我に斯なし又重ねて斯なしたまへアドニヤは其身の生命を喪はんとて此言を言いだせり 011 1KI 002 024 我を立てわが父ダビデの位に上しめ其約せしごとく我に家を建たまひしヱホバは生くアドニヤは今日戮さるべしと 011 1KI 002 025 ソロモン王ヱホヤダの子ベナヤを遣はしければ彼アドニヤを撃て死しめたり 011 1KI 002 026 王また祭司アビヤタルにいひけるは汝の故田アナトテにいたれ汝は死に當る者なれども嚮にわが父ダビデのまへに神ヱホバの櫃を舁き又凡てわが父の艱難を受たる處にて汝も艱難を受たれば我今日は汝を戮さじと 011 1KI 002 027 ソロモン、アビヤタルを逐いだしてヱホバの祭司たらしめざりき斯ヱホバがシロにてエリの家につきて言たまひし言應たり 011 1KI 002 028 爰に其風聞ヨアブに達りければヨアブ、ヱホバの幕屋に遁れて壇の角を執たり其はヨアブは轉てアブサロムには隨はざりしかどもアドニヤに隨ひたればなり 011 1KI 002 029 ヨアブがヱホバの幕屋に遁れて壇の傍に居ることソロモンに聞えければソロモン、ヱホヤダの子ベナヤを遣はしいひけるは往て彼を撃てと 011 1KI 002 030 ベナヤ乃ちヱホバの幕屋にいたり彼にいひけるは王斯言ふ出來れ彼いひけるは否我は此に死んとベナヤ反て王に告てヨアブ斯言ひ斯我に答へたりと言ふ 011 1KI 002 031 王ベナヤにいひけるは彼が言ふごとく爲し彼を撃て葬りヨアブが故なくして流したる血を我とわが父の家より除去べし 011 1KI 002 032 又ヱホバはヨアブの血を其身の首に歸したまふべし其は彼は己よりも義く且善りし二の人を撃ち劍をもてこれを殺したればなり即ちイスラエルの軍の長ネルの子アブネルとユダの軍の長ヱテルの子アマサを殺せり然るに吾父ダビデは與り知ざりき 011 1KI 002 033 されば彼等の血は長久にヨアブの首と其苗裔の首に皈すべし然どダビデと其苗裔と其家と其位にはヱホバよりの平安永久にあるべし 011 1KI 002 034 ヱホヤダの子ベナヤすなはち上りて彼を撃ち彼を殺せり彼は野にある己の家に葬らる 011 1KI 002 035 王乃ちヱホヤダの子ベナヤをヨアブに代て軍の長となせり王また祭司ザドクをしてアビヤタルに代しめたり 011 1KI 002 036 又王人を遣てシメイを召て之に曰けるはエルサレムに於て汝の爲に家を建て其處に住み其處より此にも彼にも出るなかれ 011 1KI 002 037 汝が出てキデロン川を濟る日には汝確に知れ汝必ず戮さるべし汝の血は汝の首に歸せん 011 1KI 002 038 シメイ王にいひけるは此言は善し王わが主の言たまへるごとく僕然なすべしと斯シメイ日久しくエルサレムに住り 011 1KI 002 039 三年の後シメイの二人の僕ガテの王マアカの子アキシの所に逃されり人々シメイに告ていふ視よ汝の僕はガテにありと 011 1KI 002 040 シメイ乃ち起て其驢馬に鞍置きガテに往てアキシに至り其僕を尋ねたり即ちシメイ往て其僕をガテより携來りしが 011 1KI 002 041 シメイのエルサレムよりガテにゆきて歸しことソロモンに聞えければ 011 1KI 002 042 王人を遣てシメイを召て之にいひけるは我汝をしてヱホバを指て誓しめ且汝を戒めて汝確に知れ汝が出て此彼に歩く日には汝必ず戮さるべしと言しにあらずや又汝は我に我聞る言葉は善しといへり 011 1KI 002 043 しかるに汝なんぞヱホバの誓とわが汝に命じたる命令を守ざりしや 011 1KI 002 044 王又シメイにいひけるは汝は凡て汝の心の知る諸の惡即ち汝がわが父ダビデに爲たる所を知るヱホバ汝の惡を汝の首に歸したまふ 011 1KI 002 045 されどソロモン王は福祉を蒙らんまたダビデの位は永久にヱホバのまへに固く立べしと 011 1KI 002 046 王ヱホヤダの子ベナヤに命じければ彼出てシメイを撃ちて死しめたりしかして國はソロモンの手に固く立り 011 1KI 003 001 ソロモン、エジプトの王パロと縁を結びパロの女を娶て之を携來り自己の家とヱホバの家とエルサレムの周圍の石垣を建築ことを終るまでダビデの城に置り 011 1KI 003 002 當時までヱホバの名のために建たる家なかりければ民は崇邱にて祭を爲り 011 1KI 003 003 ソロモン、ヱホバを愛し其父ダビデの法憲に歩めり但し彼は崇邱にて祭を爲し香を焚り 011 1KI 003 004 爰に王ギベオンに往て其處に祭を爲んとせり其は彼處は大なる崇邱なればなり即ちソロモン一千の燔祭を其壇に献たり 011 1KI 003 005 ギベオンにてヱホバ夜の夢にソロモンに顯れたまへり神いひたまひけるは我何を汝に與ふべきか汝求めよ 011 1KI 003 006 ソロモンいひけるは汝は汝の僕わが父ダビデが誠實と公義と正心を以て汝と共に汝の前に歩みしに囚て大なる恩惠を彼に示したまへり又汝彼のために此大なる恩惠を存て今日のごとくかれの位に坐する子を彼に賜へり 011 1KI 003 007 わが神ヱホバ汝は僕をして我父ダビデに代て王とならしめたまへり而るに我は小き子にして出入することを知ず 011 1KI 003 008 且僕は汝の選みたまひし汝の民の中にあり即ち大なる民にて其數衆くして數ふることも書すことも能はざる者なり 011 1KI 003 009 是故に聽き別る心を僕に與へて汝の民を鞫しめ我をして善惡を辨別ることを得さしめたまへ誰か汝の此夥多き民を鞫くことを得んと 011 1KI 003 010 ソロモン此事を求めければ其言主の心にかなへり 011 1KI 003 011 是において神かれにいひたまひけるは汝此事を求めて己の爲に長壽を求めず又己のために富有をも求めず又己の敵の生命をも求めずして惟訟を聽き別る才智を求めたるに因て 011 1KI 003 012 視よ我汝の言に循ひて爲り我汝に賢明く聡慧き心を與ふれば汝の先には汝の如き者なく汝の後にも汝の如き者興らざるべし 011 1KI 003 013 我亦汝の求めざる者即ち富と貴とをも汝に與ふれば汝の生の涯王等の中に汝の如き者あらざるべし 011 1KI 003 014 又汝若汝の父ダビデの歩し如く吾道に歩みてわが法憲と命令を守らば我汝の日を長うせんと 011 1KI 003 015 ソロモン目寤て視るに夢なりき斯てソロモン、エルサレムに至りヱホバの契約の櫃の前に立ち燔祭を献げ酬恩祭を爲して其諸の臣僕に饗宴を爲り 011 1KI 003 016 爰に娼妓なる二人の婦王の所に來りて其前に立ちしが 011 1KI 003 017 一人の婦いひけるはわが主よ我と此婦は一の家に住む我此婦と偕に家にありて子を生り 011 1KI 003 018 しかるにわが生し後第三日に此婦もまた生りしかして我儕偕にありき家には他人の我らと偕に居りし者なし家には只我儕二人のみ 011 1KI 003 019 然るに此婦其子の上に臥たるによりて夜の中に其子死たれば 011 1KI 003 020 中夜に起て婢の眠れる間にわが子をわれの側より取りて之を己の懐に臥しめ己の死たる子をわが懐に臥しめたり 011 1KI 003 021 朝に及びて我わが子に乳を飮せんとて興て見るに死ゐたり我朝にいたりて其を熟く視たるに其はわが生るわが子にはあらざりしと 011 1KI 003 022 今一人の婦いふ否活るはわが子死るは汝の子なりと此婦いふ否死るは汝の子活るはわが子なりと彼等斯王のまへに論り 011 1KI 003 023 時に王いひけるは一人は此活るはわが子死るは汝の子なりと言ひ又一人は否死るは汝の子活るはわが子なりといふと 011 1KI 003 024 王乃ち劍を我に持來れといひければ劍を王の前に持來れり 011 1KI 003 025 王いひけるは活る子を二に分て其半を此に半を彼に與へよと 011 1KI 003 026 時に其活子の母なる婦人心其子のために焚がごとくなりて王に言していひけるは請ふわが主よ活る子を彼に與へたまへ必ず殺したまふなかれと然ども他の一人は是を我のにも汝のにもならしめず判たせよと言り 011 1KI 003 027 王答ていひけるは活子を彼に與へよ必ず殺すなかれ彼は其母なるなりと 011 1KI 003 028 イスラエル皆王の審理し所の判決を聞て王を畏れたり其は神の智慧の彼の中にありて審理を爲しむるを見たればなり 011 1KI 004 001 ソロモン王はイスラエルの全地に王たり 011 1KI 004 002 其有る群卿は左の如しザドクの子アザリヤは相國 011 1KI 004 003 シシヤの子エリホレフとアヒヤは書記官アヒルデの子ヨシヤパテは史官 011 1KI 004 004 ヱホヤダの子ベナヤは軍の長ザドクとアビヤタルは祭司 011 1KI 004 005 ナタンの子アザリヤは代官の長ナタンの子ザブデは大臣にして王の友たり 011 1KI 004 006 アヒシヤルは宮内卿アブダの子アドニラムは徴募長なり 011 1KI 004 007 ソロモン又イスラエルの全地に十二の代官を置り其人々王と其家のために食物を備へたり即ち各一年に一月宛食物を備へたり 011 1KI 004 008 其名左のごとしエフライムの山地にはベンホル 011 1KI 004 009 マカヅとシヤラビムとベテシメシとエロンベテハナンにはベンデケル 011 1KI 004 010 アルポテにはベンヘセデありシヨコとヘベルの全地とは彼擔任り 011 1KI 004 011 ドルの高地の全部にはベンアヒナダブあり彼はソロモンの女タパテを妻とせり 011 1KI 004 012 アルヒデの子バアナはタアナクとメギドとヱズレルの下にザルタナの邊にあるベテシヤンの全地とを擔任てベテシヤンよりアベルメホラにいたりヨクネアムの外にまで及ぶ 011 1KI 004 013 ギレアデのラモテにはベンゲベルあり彼はギレアデにあるマナセの子ヤイルの諸村を擔任ち又バシヤンなるアルゴブの地にある石垣と銅の關を有る大なる城六十を擔任り 011 1KI 004 014 イドの子アヒナダブはマハナイムを擔任り 011 1KI 004 015 ナフタリにはアヒマアズあり彼もソロモンの女バスマテを妻に娶れり 011 1KI 004 016 アセルとアロテにはホシヤイの子バアナあり 011 1KI 004 017 イツサカルにはパルアの子ヨシヤパテあり 011 1KI 004 018 ベニヤミンにはエラの子シメイあり 011 1KI 004 019 アモリ人の王シホンの地およびバシヤンの王オグの地なるギレアデの地にはウリの子ゲベルあり其地にありし代官は唯彼一人のみ 011 1KI 004 020 ユダとイスラエルの人は多くして濱の沙の多きがごとくなりしが飮食して樂めり 011 1KI 004 021 ソロモンは河よりペリシテ人の地にいたるまでとエジプトの境に及ぶまでの諸國を治めたれば皆禮物を餽りてソロモンの一生の間事へたり 011 1KI 004 022 偖ソロモンの一日の食物は細麺三十石粗麺六十石 011 1KI 004 023 肥牛十牧場の牛二十羊一百其外に牡鹿羚羊小鹿および肥たる禽あり 011 1KI 004 024 其はソロモン河の此方をテフサよりガザまで盡く治めたればなり即ち河の此方の諸王を悉く統治たり彼は四方の臣僕より平安を得たりき 011 1KI 004 025 ソロモンの一生の間ユダとイスラエルはダンよりベエルシバに至るまで安然に各其葡萄樹の下と無花果樹の下に住り 011 1KI 004 026 ソロモン戰車の馬の厩四千騎兵一萬二千を有り 011 1KI 004 027 彼代官等各其月にソロモン王のためおよび總てソロモン王の席に來る者の爲に食を備へて缺るとこるなからしめたり 011 1KI 004 028 又彼等各其職に循ひて馬および疾足の馬に食する大麥と蒭蕘を其馬の在る處に携へ來れり 011 1KI 004 029 神ソロモンに智慧と聰明を甚だ多く賜ひ又廣大き心を賜ふ海濱の沙のごとし 011 1KI 004 030 ソロモンの智慧は東洋の人々の智慧とエジプトの諸の智慧よりも大なりき 011 1KI 004 031 彼は凡の人よりも賢くエズラ人エタンよりも又マホルの子なるヘマンとカルコルおよびダルダよりも賢くして其名四方の諸國に聞えたり 011 1KI 004 032 彼箴言三千を説り又其詩歌は一千五首あり 011 1KI 004 033 彼又草木の事を論じてレバノンの香柏より墻に生る苔に迄及べり彼亦獣と鳥と匐行物と魚の事を論じたり 011 1KI 004 034 諸の國の人々ソロモンの智慧を聽んとて來り天下の諸の王ソロモンの智慧を聞及びて人を遣はせり 011 1KI 005 001 ツロの王ヒラム、ソロモンの膏そそがれて其父にかはりて王となりしを聞て其臣僕をソロモンに遣せりヒラムは恒にダビデを愛したる者なりければなり 011 1KI 005 002 是に於てソロモン、ヒラムに言遣はしけるは 011 1KI 005 003 汝の知ごとく我父ダビデは其周圍にありし戰爭に因て其神ヱホバの名のために家を建ること能はずしてヱホバが彼等を其足の跖の下に置またふを待り 011 1KI 005 004 然るに今わが神ヱホバ我に四方の太平を賜ひて敵もなく殃もなければ 011 1KI 005 005 我はヱホバのわが父ダビデに語てわが汝の代に汝の位に上しむる汝の子其人はわが名のために家を建べしと言たまひしに循ひてわが神ヱホバの名のために家を建んとす 011 1KI 005 006 されば汝命じてわがためにレバノンより香柏を砍出さしめよわが僕汝の僕と共にあるべし又我は凡て汝の言ふごとく汝の僕の賃銀を汝に付すべし其は汝の知ごとく我儕の中にはシドン人の如く木を砍に巧みなる人なければなりと 011 1KI 005 007 ヒラム、ソロモンの言を聞て大に喜び言けるは今日ヱホバに稱譽あれヱホバ、ダビデに此夥多しき民を治むる賢き子を與たまへりと 011 1KI 005 008 かくてヒラム、ソロモンに言遣りけるは我汝が言ひ遣したる所の事を聽り我香柏の材木と松樹の材木とに付ては凡て汝の望むごとく爲すべし 011 1KI 005 009 わが僕レバノンより海に持下らんしかして我これを海より桴にくみて汝が我に言ひ遣す處におくり其處にて之をくづすべし汝之を受よ又汝はわが家のために食物を與へてわが望を成せと 011 1KI 005 010 斯てヒラムはソロモンに其凡て望むごとく香柏の材木と松の材木を與へたり 011 1KI 005 011 又ソロモンはヒラムに其家の食物として小麥二萬石を與へまた清油二十石をあたへたり斯ソロモン年々ヒラムに與へたり 011 1KI 005 012 ヱホバ其言たまひしごとくソロモンに智慧を賜へりまたヒラムとソロモンの間睦しくして二人偕に契約を結べり 011 1KI 005 013 爰にソロモン王イスラエルの全地に徴募人を興せり其徴募人の數は三萬人なり 011 1KI 005 014 ソロモンかれらを一月交代に一萬人づつレバノンに遣せり即ち彼等は一月レバノンに二月家にありアドニラムは徴募人の督者なりき 011 1KI 005 015 ソロモン負載者七萬人山に於て石を砍る者八萬人あり 011 1KI 005 016 外に又其工事の長なる官吏三千三百人ありて工事に作く民を統たり 011 1KI 005 017 かくて王命じて大なる石貴き石を鑿出さしめ琢石を以て家の基礎を築かしむ 011 1KI 005 018 ソロモンの建築者とヒラムの建築者およびゲバル人之を砍り斯彼等材木と石を家を建るに備へたり 011 1KI 006 001 イスラエルの子孫のエジプトの地を出たる後四百八十年ソロモンのイスラエルに王たる第四年ジフの月即ち二月にソロモン、ヱホバのために家を建ることを始めたり 011 1KI 006 002 ソロモン王のヱホバの爲に建たる家は長六十キユビト濶二十キユビト高三十キユビトなり 011 1KI 006 003 家の拝殿の廊は家の濶に循ひて長二十キユビト家の前の其濶十キユビトなり 011 1KI 006 004 彼家に造り附の格子ある窻を施たり 011 1KI 006 005 又家の墻壁に附て四周に連接屋を建て家の墻壁即ち拝殿と神殿の墻壁の周圍に環らせり又四周に旁房を造れり 011 1KI 006 006 下層の連接屋は濶五キユビト中層のは濶六キユビトを第三層のは濶七キユビトなり即ち家の外に階級を造り環らして何者をも家の墻壁に挿入ざらしむ 011 1KI 006 007 家は建る時に鑿石所にて鑿り預備たる石にて造りたれば造れる間に家の中には鎚も鑿も其外の鐵器も聞えざりき 011 1KI 006 008 中層の旁房の戸は家の右の方にあり螺旋梯より中層の房にのぼり中層の房より第三層の房にいたるべし 011 1KI 006 009 斯彼家を建終り香柏の橡と板をもて家を葺り 011 1KI 006 010 又家に附て五キユビトの高たる連接屋を建環し香柏をもて家に交接たり 011 1KI 006 011 爰にヱホバの言ソロモンに臨みて曰く 011 1KI 006 012 汝今此家を建つ若し汝わが法憲に歩みわが律例を行ひわが諸の誡命を守りて之にしたがひて歩まばわれはが汝の父ダビデに言し語を汝に固うすべし 011 1KI 006 013 我イスラエルの子孫の中に住わが民イスラエルを棄ざるべし 011 1KI 006 014 斯ソロモン家を建終れり 011 1KI 006 015 彼香柏の板を以て家の墻壁の裏面を作れり即ち家の牀板より頂格の墻壁まで木をもて其裏面をはりまた松の板をもて家の牀板をはれり 011 1KI 006 016 又家の奧に二十キユビトの室を牀板より墻壁まで香柏をもて造れり即ち家の内に至聖所なる神殿を造れり 011 1KI 006 017 家即ち前にある拝殿は四十キユビトなり 011 1KI 006 018 家の内の香柏は瓠と咲る花を雕刻める者なり皆香柏にして石は見えざりき 011 1KI 006 019 神殿は彼其處にヱホバの契約の櫃を置んとて家の内の中に設けたり 011 1KI 006 020 神殿の内は長二十キユビト濶二十キユビト高二十キユビトなり純金をもて之を蔽ひ又香柏の壇を覆へり 011 1KI 006 021 又ソロモン純金をもて家の内を蔽ひ神殿の前に金の鏈をもて間隔を造り金をもて之を蔽へり 011 1KI 006 022 又金をもて殘るところなく家を蔽ひ遂に家を飾ることを悉く終たりまた神殿の傍にある壇は皆金をもて蔽へり 011 1KI 006 023 神殿の内に橄欖の木をもて二のケルビムを造れり其高十キユビト 011 1KI 006 024 其ケルブの一の翼は五キユビト又其ケルブの他の翼も五キユビトなり一の翼の末より他の翼の末までは十キユビトあり 011 1KI 006 025 他のケルブも十キユビトなり其ケルビムは偕に同量同形なり 011 1KI 006 026 此ケルブの高十キユビト彼ケルブも亦しかり 011 1KI 006 027 ソロモン家の内の中にケルビムを置ゑケルビムの翼を展しければ此ケルブの翼は此墻壁に及び彼ケルブの翼は彼の墻壁に及びて其兩翼家の中にて相接れり 011 1KI 006 028 彼金をもてケルビムを蔽へり 011 1KI 006 029 家の周圍の墻壁には皆内外ともにケルビムと棕櫚と咲る花の形を雕み 011 1KI 006 030 家の牀板には内外ともに金を蔽へり 011 1KI 006 031 神殿の入口には橄欖の木の戸を造れり其木匡の門柱は五分の一なり 011 1KI 006 032 其二の扉も亦橄欖の木なりソロモン其上にケルビムと棕櫚と咲る花の形を雕刻み金をもて蔽へり即ちケルビムと棕櫚の上に金を鍍たり 011 1KI 006 033 斯ソロモン亦拝殿の戸のために橄欖の木の門柱を造れり即ち四分の一なり 011 1KI 006 034 其二の戸は松の木にして此戸の兩扉は摺むべく彼戸の兩扉も摺むべし 011 1KI 006 035 ソロモン其上にケルビムと棕櫚と咲る花を雕刻み金をもてこれを蔽ひて善く其雕工に適はしむ 011 1KI 006 036 また鑿石三層と香柏の厚板一層をもて内庭を造れり 011 1KI 006 037 第四年のジフの月にヱホバの家の基礎を築き 011 1KI 006 038 第十一年のブルの月即ち八月に凡て其箇條のごとく其定例のごとくに家成りぬ斯ソロモン之に建るに七年を渉れり 011 1KI 007 001 ソロモン己の家を建しが十三年を經て全く其家を建終たり 011 1KI 007 002 彼レバノン森の家を建たり其長は百キユビト其濶は五十キユビト其高は三十キユビトなり香柏の柱四行ありて柱の上に香柏の梁あり 011 1KI 007 003 四十五本の柱の上なる梁の上は香柏にて蓋へり柱は一行に十五本あり 011 1KI 007 004 また窻三行ありて牖と牖と三段に相對ふ 011 1KI 007 005 戸と戸柱は皆大木をもて角に造り牖と牖と三段に相對へり 011 1KI 007 006 又柱の廊を造れり其長五十キユビト其濶三十キユビトなり柱のまへに一の廊ありまた其柱のまへに柱と階あり 011 1KI 007 007 又ソロモン審判を爲すために位の廊即ち審判の廊を造り牀板より牀板まで香柏をもて蔽へり 011 1KI 007 008 ソロモンの居住る家は其廊の後の他の庭にありて其工作同じかりきソロモン亦其娶りたるパロの女のために家を建しが此廊に同じかりき 011 1KI 007 009 是等は内外とも基礎より檐にいたるまで又外面にては大庭にいたるまで皆鑿石の量にしたがひて鋸にて剖たる貴き石をもて造れるものなり 011 1KI 007 010 又基礎は貴き石大なる石即ち十キユビトの石八キユビトの石なり 011 1KI 007 011 其上には鑿石の量に循ひて貴き石と香柏あり 011 1KI 007 012 又大庭の周圍にに三層の鑿石と一層の香柏の厚板ありヱホバの家の内庭と家の廊におけるが如し 011 1KI 007 013 爰にソロモン人を遣はしてヒラムをツロより召び來れり 011 1KI 007 014 彼はナフタリの支派なる嫠婦の子にして其父はツロの人にて銅の細工人なりヒラムは銅の諸の細工を爲すの智慧と慧悟と知識の充ちたる者なりしがソロモン王の所に來りて其諸の細工を爲り 011 1KI 007 015 彼銅の柱二を鋳たり其高各十八キユビトにして各十二キユビトの繩を環らすべし 011 1KI 007 016 又銅を鎔して柱頭を鋳て柱の顛に置ゆ此の頭の高も五キユビト彼の頭の高も五キユビトなり 011 1KI 007 017 柱の上にある頭の爲に組物の網と鏈樣の槎物を造れり此頭に七つ彼頭に七つあり 011 1KI 007 018 又二行の石榴を一の網工の上の四周に造りて柱の上にある頭を蓋ふ他の頭をも亦然せり 011 1KI 007 019 柱の上にある頭は四キユビトの百合花の形にして廊におけるがごとし 011 1KI 007 020 二の柱の頭の上には亦網工の外なる腹の所に接きて石榴あり他の柱の四周にも石榴二百ありて相列べり 011 1KI 007 021 此柱を拝殿の廊に竪つ即ち右の柱を立て其名をヤキンと名け左の柱を竪て其名をボアズと名く 011 1KI 007 022 其柱の上に百合花の形あり斯其柱の作成り 011 1KI 007 023 又海を鋳なせり此邊より彼邊まで十キユビトにして其四周圓く其高五キユビトなり其四周は三十キユビトの繩を環らすべし 011 1KI 007 024 其邊の下には四周に匏瓜ありて之を環れり即ち一キユビトに十づつありて海の周圍を圍り其匏瓜は海を鋳たる時に二行に鋳たるなり 011 1KI 007 025 其海は十二の牛の上に立り其三は北に向ひ三は西に向ひ三は南に向ひ三は東に向ふ海其上にありて牛の後は皆内に向ふ 011 1KI 007 026 海の厚は手寛にして其邊は百合花にて杯の邊の如くに作れり海は二千斗を容たり 011 1KI 007 027 又銅の臺十を造れり一の臺の長四キユビト其濶四キユビト其高三キユビトなり 011 1KI 007 028 其臺の製作は左のごとし臺には嵌板あり嵌板は邊の中にあり 011 1KI 007 029 邊の中にある嵌板の上に獅子と牛とケルビムあり又邊の上に座あり獅子と牛の下に花飾の垂下物あり 011 1KI 007 030 其臺には各四の銅の輪と銅の軸あり其四の足には肩のごとき者あり其肩のごとき者は洗盤の下にありて凡の花飾の旁に鋳つけたり 011 1KI 007 031 其口は頭の内より上は一キユビトなり其口は圓く一キユビト半にして座の作の如し又其口には雕工あり其鏡板は四角にして圓からず 011 1KI 007 032 四の輪は鏡板の下にあり輪の手は臺の中にあり輪は各高一キュビト半 011 1KI 007 033 輪の工作は戰車の輪の工作の如し其手と縁と輻と轂とは皆鋳物なり 011 1KI 007 034 臺の四隅に四の肩の如き者あり其肩のごとき者は臺より出づ 011 1KI 007 035 臺の上の所の高半キユビトは其周圍圓し又臺の上の所の手と鏡板も臺より出づ 011 1KI 007 036 其手の板と鏡板には其各の隙處に循ひてケルビムと獅子と棕櫚を雕刻み又其四周に花飾を造れり 011 1KI 007 037 是のごとく十の臺を造れり其鋳法と量と形は皆同じ 011 1KI 007 038 又銅の洗盤十を造れり洗盤は各四十斗を容れ洗盤は各四キユビトなり十の臺の上には各一の洗盤あり 011 1KI 007 039 其臺五を家の右の旁に五を家の左の旁に置ゑ家の右の東南に其海を置り 011 1KI 007 040 ヒラム又鍋と火鏟と鉢とを造れり斯ヒラム、ヱホバの家の爲にソロモン王に爲る諸の細工を成終たり 011 1KI 007 041 即ち二の往と其柱の上なる頭の二の毬と柱の上なる其頭の二の毬を蓋ふ二の網工と 011 1KI 007 042 其二の網工の爲の石榴四百是は一の網工に石榴二行ありて柱の上なる二の毬を蓋ふ 011 1KI 007 043 又十の臺と其臺の上の十の洗盤と 011 1KI 007 044 一の海と其海の下の十二の牛 011 1KI 007 045 及び鍋と火鏟と鉢是也ヒラムがソロモン王にヱホバの家のために造りし此等の器は皆光明ある銅なりき 011 1KI 007 046 王ヨルダンの低地に於てスコテとザレタンの間の粘土の地にて之を鋳たり 011 1KI 007 047 ソロモン其器甚だしく多かりければ皆權ずに措り其銅の重しれざりき 011 1KI 007 048 又ソロモン、ヱホバの家の諸の器を造れり即ち金の壇と供前のパンを載る金の案 011 1KI 007 049 および純金の燈臺是は神殿のまへに五は右に五は左にあり又金の花と燈盞と燈鉗と 011 1KI 007 050 純金の盆と剪刀と鉢と皿と滅燈器と至聖所なる内の家の戸のため及び拝殿なる家の戸のためなる金の肘鈕是なり 011 1KI 007 051 斯ソロモン王のヱホバの家のために爲る諸の細工終れり是においてソロモン其父ダビデが奉納めたる物即ち金銀および器を携へいりてヱホバの家の寳物の中に置り 011 1KI 008 001 爰にソロモン、ヱホバの契約の櫃をダビデの城即ちシオンより舁上らんとてイスラエルの長老と諸の支派の首イスラエルの子孫の家の長等をエルサレムにてソロモン王の所に召集む 011 1KI 008 002 イスラエルの人皆エタニムの月即ち七月の節筵に當てソロモン王の所に集まれり 011 1KI 008 003 イスラエルの長老皆至り祭司櫃を執りあげて 011 1KI 008 004 ヱホバの櫃と集會の幕屋と幕屋にありし諸の聖き器を舁上れり即ち祭司とレビの人之を舁のぼれり 011 1KI 008 005 ソロモン王および其許に集れるイスラエルの會衆皆彼と偕に櫃の前にありて羊と牛を献げたりしが其數多くして書すことも數ふることも能はざりき 011 1KI 008 006 祭司ヱホバの契約の櫃を其處に舁いれたり即ち家の神殿なる至聖所の中のケルビムの翼の下に置めたり 011 1KI 008 007 ケルビムは翼を櫃の所に舒べ且ケルビム上より櫃と其棹を掩へり 011 1KI 008 008 杠長かりければ杠の末は神殿の前の聖所より見えたり然ども外には見えざりき其杠は今日まで彼處にあり 011 1KI 008 009 櫃の内には二の石牌の外何もあらざりき是はイスラエルの子孫のエジプトの地より出たる時ヱホバの彼等と契約を結たまへる時にモーセがホレブにて其處に置めたる者なり 011 1KI 008 010 斯て祭司聖所より出けるに雲ヱホバの家に盈たれば 011 1KI 008 011 祭司は雲のために立て供事ること能はざりき其はヱホバの榮光ヱホバの家に盈たればなり 011 1KI 008 012 是においてソロモンいひけるはヱホバは濃き雲の中に居んといひたまへり 011 1KI 008 013 我誠に汝のために住むべき家永久に居べき所を建たりと 011 1KI 008 014 王其面を轉てイスラエルの凡の會衆を祝せり時にイスラエルの會衆は皆立ゐたり 011 1KI 008 015 彼言けるはイスラエルの神ヱホバは譽べきかなヱホバは其口をもて吾父ダビデに言ひ其手をもて之を成し遂げたまへり 011 1KI 008 016 即ち我は吾民イスラエルをエジプトより導き出せし日より我名を置べき家を建しめんためにイスラエルの諸の支派の中より何れの城邑をも選みしことなし但ダビデを選みてわが民イスラエルの上に立しめたりと言たまへり 011 1KI 008 017 夫イスラエルの神ヱホバの名のために家を建ることはわが父ダビデの心にありき 011 1KI 008 018 しかるにヱホバわが父ダビデにいひたまひけるはわが名のために家を建ること汝の心にあり汝の心に此事あるは善し 011 1KI 008 019 然ども汝は其家を建べからず汝の腰より出る汝の子其人吾名のために家を建べしと 011 1KI 008 020 而してヱホバ其言たまひし言を行ひたまへり即ち我わが父ダビデに代りて立ちヱホバの言たまひし如くイスラエルの位に坐しイスラエルの神ヱホバの名のために家を建たり 011 1KI 008 021 我又其處にヱホバの契約を蔵めたる櫃のために一の所を設けたり即ち我儕の父祖をエジプトの地より導き出したまひし時に彼等に爲したまひし者なりと 011 1KI 008 022 ソロモン、イスラエルの凡の會衆の前にてヱホバの壇のまへに立ち其手を天に舒て 011 1KI 008 023 言けるはイスラエルの神ヱホバよ上の天にも下の地にも汝の如き神なし汝は契約を持ちたまひ心を全うして汝のまへに歩むところの汝の僕等に恩惠を施したまふ 011 1KI 008 024 汝は汝の僕わが父ダビデに語たまへる所を持ちたまへり汝は口をもて語ひ手をもて成し遂たまへること今日のごとし 011 1KI 008 025 イスラエルの神ヱホバよ然ば汝が僕わが父ダビデに語りて若し汝の子孫其道を愼みて汝がわが前に歩めるごとくわが前に歩まばイスラエルの位に坐する人わがまへにて汝に缺ること無るべしといひたまひし事をダビデのために持ちたまへ 011 1KI 008 026 然ばイスラエルの神よ爾が僕わが父ダビデに言たまへる爾の言に效驗あらしめたまへ 011 1KI 008 027 神果して地の上に住たまふや視よ天も諸の天の天も爾を容るに足ず况て我が建たる此家をや 011 1KI 008 028 然どもわが神ヱホバよ僕の祈祷と懇願を顧みて其號呼と僕が今日爾のまへに祈る祈祷を聽たまへ 011 1KI 008 029 願くは爾の目を夜晝此家に即ち爾が我名は彼處に在べしといひたまへる處に向ひて開きたまへ願くは僕の此處に向ひて祈らん祈祷を聽たまへ 011 1KI 008 030 願くは僕と爾の民イスラエルが此處に向ひて祈る時に爾其懇願を聽たまへ爾は爾の居處なる天において聽き聽て赦したまへ 011 1KI 008 031 若し人其隣人に對ひて犯せることありて其人誓をもて誓ふことを要られんに來りて此家において爾の壇のまへに誓ひなば 011 1KI 008 032 爾天において聽て行ひ爾の僕等を鞫き惡き者を罪して其道を其首に歸し義しき者を義として其義に循ひて之に報いたまへ 011 1KI 008 033 若爾の民イスラエル爾に罪を犯したるがために敵の前に敗られんに爾に歸りて爾の名を崇め此家にて爾に祈り願ひなば 011 1KI 008 034 爾天において聽き爾の民イスラエルの罪を赦して彼等を爾が其父祖に與へし地に歸らしめたまへ 011 1KI 008 035 若彼等が爾に罪を犯したるが爲に天閉て雨无らんに彼等若此處にむかひて祈り爾の名を崇め爾が彼等を苦めたまふときに其罪を離れなば 011 1KI 008 036 爾天において聽き爾の僕等爾の民イスラエルの罪を赦したまへ爾彼等に其歩むべき善道を敎へたまふ時は爾が爾の民に與へて產業となさしめたまひし爾の地に雨を降したまへ 011 1KI 008 037 若國に饑饉あるか若くは疫病枯死朽腐噬亡ぼす蝗蟲あるか若くは其敵國にいりて彼等を其門に圍むか如何なる災害如何なる病疾あるも 011 1KI 008 038 若一人か或は爾の民イスラエル皆各己の心の災を知て此家に向ひて手を舒なば其人如何なる祈祷如何なる懇願を爲とも 011 1KI 008 039 爾の居處なる天に於て聽て赦し行ひ各の人に其心を知給ふ如く其道々にしたがひて報い給へ其は爾のみ凡の人の心を知たまへばなり 011 1KI 008 040 爾かく彼等をして爾が彼等の父祖に與へたまへる地に居る日に常に爾を畏れしめたまへ 011 1KI 008 041 且又爾の民イスラエルの者にあらずして爾の名のために遠き國より來る異邦人は 011 1KI 008 042 (其は彼等爾の大なる名と強き手と伸たる腕を聞およぶべければなり)若來りて此家にむかひて祈らば 011 1KI 008 043 爾の居處なる天に於て聽き凡て異邦人の爾に龥求むる如く爲たまへ爾かく地の諸の民をして爾の名をしらしめ爾の民イスラエルのごとく爾を畏れしめ又我が建たる此家は爾の名をもて稱呼るるといふことを知しめ給へ 011 1KI 008 044 爾の民其敵と戰はんとて爾の遣はしたまふ所に出たる時彼等若爾が選みたまへる城とわが爾の名のために建たる家の方に向ひてヱホバに祈らば 011 1KI 008 045 爾天において彼等の祈祷と懇願を聽て彼等を助けたまへ 011 1KI 008 046 人は罪を犯さざる者なければ彼等爾に罪を犯すことありて爾彼等を怒り彼等を其敵に付し敵かれらを虜として遠近を諭ず敵の地に引ゆかん時は 011 1KI 008 047 若彼等虜れゆきし地において自ら顧みて悔い己を虜へゆきし者の地にて爾に願ひて我儕罪を犯し悖れる事を爲たり我儕惡を行ひたりと言ひ 011 1KI 008 048 己を虜ゆきし敵の地にて一心一念に爾に歸り爾が其父祖に與へたまへる地爾が選みたまへる城とわが爾の名のために建たる家の方に向ひて爾に祈らば 011 1KI 008 049 爾の居處なる天において爾彼等の祈祷と懇願を聽てかれらを助け 011 1KI 008 050 爾の民の爾に對て犯したる事と爾に對て過てる其凡の罪過を赦し彼等を虜ゆける者の前にて彼等に憐を得させ其人々をして彼等を憐ましめたまへ 011 1KI 008 051 其は彼等は爾がエジプトより即ち鐵の鑪の中よりいだしたまひし爾の民爾の產業なればなり 011 1KI 008 052 願くは僕の祈祷と爾の民イスラエルの祈願に爾の目を開きて凡て其爾に龥求むる所を聽たまへ 011 1KI 008 053 其は爾彼等を地の凡の民の中より別ちて爾の產業となしたまへばなり神ヱホバ爾が我儕の父祖をエジプトより導き出せし時モーセによりて言給ひし如し 011 1KI 008 054 ソロモン此祈祷と祈願を悉くヱホバに祈り終りし時其天にむかひて手を舒べ膝を屈居たるを止てヱホバの壇のまへより起あがり 011 1KI 008 055 立て大なる聲にてイスラエルの凡の會衆を祝して言けるは 011 1KI 008 056 ヱホバは譽べきかなヱホバは凡て其言たまひし如く其民イスラエルに太平を與へたまへり其僕モーセによりて言たまひし其善言は皆一も違はざりき 011 1KI 008 057 願くは我儕の神ヱホバ我儕の父祖と偕に在せしごとく我儕とともに在せ我儕を離れたまふなかれ我儕を棄たまふなかれ 011 1KI 008 058 願くは我儕の心をおのれに傾けたまひて其凡の道に歩ましめ其我儕の父祖に命じたまひし誡命と法憲と律例を守らしめたまへ 011 1KI 008 059 願くはヱホバの前にわが願し是等の言日夜われらの神ヱホバに近くあれ而してヱホバ日々の事に僕を助け其民イスラエルを助けたまへ 011 1KI 008 060 斯して地の諸の民にヱホバの神なることと他に神なきことを知しめたまへ 011 1KI 008 061 されば爾等我儕の神ヱホバとともにありて今日の如く爾らの心を完全しヱホバの法憲に歩み其誡命を守るべしと 011 1KI 008 062 斯て王および王と偕にありしイスラエル皆ヱホバのまへに犠牲を献たり 011 1KI 008 063 ソロモン酬恩祭の犠牲を献げたり即ち之をヱホバに献ぐ其牛二萬二千羊十二萬なりき斯王とイスラエルの子孫皆ヱホバの家を開けり 011 1KI 008 064 其日に王ヱホバの家の前なる庭の中を聖別め其處にて燔祭と禴祭と酬恩祭の脂とを献げたり是はヱホバの前なる銅の壇小くして燔祭と禴祭と酬恩祭の脂とを受るにたらざりしが故なり 011 1KI 008 065 其時ソロモン七日に七日合て十四日我儕の神ヱホバのまへに節筵を爲りイスラエルの大なる會衆ハマテの入處よりエジプトの河にいたるまで悉く彼と偕にありき 011 1KI 008 066 第八日にソロモン民を歸せり民は王を祝しヱホバが其僕ダビデと其民イスラエルに施したまひし諸の恩惠のために喜び且心に樂みて其天幕に往り 011 1KI 009 001 ソロモン、ヱホバの家と王の家を建る事を終へ且凡てソロモンが爲んと欲し望を遂し時 011 1KI 009 002 ヱホバ再ソロモンに甞てギベオンにて顯現たまひし如くあらはれたまひて 011 1KI 009 003 彼に言たまひけるは我は爾が我まへに願し祈祷と祈願を聽たり我爾が建たる此家を聖別てわが名を永く其處に置べし且わが目とわが心は恒に其處にあるべし 011 1KI 009 004 爾若爾の父ダビデの歩みし如く心を完うして正しく我前に歩みわが爾に命じたる如く凡て行ひてわが憲法と律例を守らば 011 1KI 009 005 我は爾の父ダビデに告てイスラエルの位に上る人爾に缺ること無るべしと言しごとく爾のイスラエルに王たる位を固うすべし 011 1KI 009 006 若爾等又は爾等の子孫全く轉きて我にしたがはずわが爾等のまへに置たるわが誡命と法憲を守らずして往て他の神に事へ之を拝まば 011 1KI 009 007 我イスラエルをわが與へたる地の面より絶ん又わが名のために我が聖別たる此家をば我わがまへより投げ棄んしかしてイスラエルは諸の民の中に諺語となり嘲笑となるべし 011 1KI 009 008 且又此家は高くあれども其傍を過る者は皆之に驚き嘶きて言んヱホバ何故に此地に此家に斯爲たまひしやと 011 1KI 009 009 人答へて彼等は己の父祖をエジプトの地より導き出せし其神ヱホバを棄て他の神に附從ひ之を拝み之に事へしに因てヱホバ此の凡の害惡を其上に降せるなりと言ん 011 1KI 009 010 ソロモン二十年を經て二の家即ちヱホバの家と王の家を建をはりヒウムにガリラヤの地の城邑二十を與へたり 011 1KI 009 011 其はツロの王ヒラムはソロモンに凡て其望に循ひて香柏と松の木と金を供給たればなり 011 1KI 009 012 ヒラム、ツロより出てソロモンが己に與へたる諸邑を見しに其目に善らざりければ 011 1KI 009 013 我兄第よ爾が我に與へたる此等の城邑は何なるやといひて之をカブルの地となづけたり其名今日までのこる 011 1KI 009 014 甞てヒラムは金百二十タラントを王に遣れり 011 1KI 009 015 ソロモン王の徴募人を興せし事は是なり即ちヱホバの家と自己の家とミロとエルサレムの石垣とハゾルとメギドンとゲゼルを建んが爲なりき 011 1KI 009 016 エジプトの王パロ嘗て上りてゲゼルを取り火を以て之を燬き其邑に住るカナン人を殺し之をソロモンの妻なる其女に與へて粧奩と爲り 011 1KI 009 017 ソロモン、ゲゼルと下ベテホロンと 011 1KI 009 018 バアラと國の野にあるタデモル 011 1KI 009 019 及びソロモンの有てる府庫の諸邑其戰車の諸邑其騎兵の諸邑並にソロモンがエルサレム、レバノンおよび其凡の領地に於て建んと欲し者を盡く建たり 011 1KI 009 020 凡てイスラエルの子孫に非るアモリ人ヘテ人ペリジ人ヒビ人ヱブス人の遺存る者 011 1KI 009 021 其地に在て彼等の後に遺存る子孫即ちイスラエルの子孫の滅し盡すことを得ざりし者にソロモン奴隸の徴募を行ひて今日に至る 011 1KI 009 022 然どもイステエルの子孫をばソロモン一人も奴隸と爲ざりき其は彼等は軍人彼の臣僕牧伯大將たり戰車と騎兵の長たればなり 011 1KI 009 023 ソロモンの工事を管理れる首なる官吏は五百五十人にして工事に働く民を治めたり 011 1KI 009 024 爰にパロの女ダビデの城より上りてソロモンが彼のために建たる家に至る其時にソロモン、ミロを建たり 011 1KI 009 025 ソロモン、ヱホバに築きたる壇の上に年に三次燔祭と酬恩祭を献げ又ヱホバの前なる壇に香を焚りソロモン斯家を全うせり 011 1KI 009 026 ソロモン王エドムの地紅海の濱に於てエラテの邊なるエジオンゲベルにて船數雙を造れり 011 1KI 009 027 ヒラム海の事を知れる舟人なる其僕をソロモンの僕と偕に其船にて遣せり 011 1KI 009 028 彼等オフルに至り其處より金四百二十タラントを取てこれをソロモン王の所に携來る 011 1KI 010 001 シバの女王ヱホバの名に關るソロモンの風聞を聞き及び難問を以てソロモンを試みんとて來れり 011 1KI 010 002 彼甚だ多くの部從香物と甚だ多くの金と寶石を負ふ駱駝を從へてエルサレムに至る彼ソロモンの許に來り其心にある所を悉く之に言たるに 011 1KI 010 003 ソロモン彼に其凡の事を告たり王の知ずして彼に告ざる事無りき 011 1KI 010 004 シバの女王ソロモンの諸の智慧と其建たる家と 011 1KI 010 005 其席の食物と其臣僕の列坐る事と其侍臣の伺候および彼等の衣服と其酒人と其ヱホバの家に上る階級とを見て全く其氣を奪はれたり 011 1KI 010 006 彼王にいひけるは我が自己の國にて爾の行爲と爾の智慧に付て聞たる言は眞實なりき 011 1KI 010 007 然ど我來りて目に見るまでは其言を信ぜざりしが今視るに其半も我に聞えざりしなり爾の智慧と昌盛はわが聞たる風聞に越ゆ 011 1KI 010 008 常に爾の前に立て爾の智慧を聽く是等の人爾の臣僕は幸福なるかな 011 1KI 010 009 爾の神ヱホバは讃べきかなヱホバ爾を悦び爾をイスラエルの位に上らせたまへりヱホバ永久にイスラエルを愛したまふに因て爾を王となして公道と義を行はしめたまふなりと 011 1KI 010 010 彼乃ち金百二十タラント及び甚だ多くの香物と寶石とを王に饋れりシバの女王のソロモン王に饋りたるが如き多くの香物は重て至ざりき 011 1KI 010 011 オフルより金を載來りたるヒラムの船は亦オフルより多くの白檀木と寶石とを運び來りければ 011 1KI 010 012 王白檀木を以てヱホバの家と王の家とに欄干を造り歌謡者のために琴と瑟を造れり是の如き白檀木は至らざりき亦今日までも見たることなし 011 1KI 010 013 ソロモン王王の例に循ひてシバの女王に物を饋りたる外に又彼が望に任せて凡て其求むる物を饋れり斯て彼其臣僕等とともに歸りて其國に往り 011 1KI 010 014 偖一年にソロモンの所に至れる金の重量は六百六十六タラントなり 011 1KI 010 015 外に又商買および商旅の交易並にアラビヤの王等と國の知事等よりも至れり 011 1KI 010 016 ソロモン王展金の大楯二百を造れり其大楯には各六百シケルの金を用ひたり 011 1KI 010 017 又展金の干三百を造れり一の干に三斤の金を用ひたり王是等をレバノン森林の家に置り 011 1KI 010 018 王又象牙をもて大なる寳座を造り純金を以て之を蔽へり 011 1KI 010 019 其寳座に六の階級あり寳座の後に圓き頭あり坐する處の兩旁に扶手ありて扶手の側に二の獅子立てり 011 1KI 010 020 又其六の階級に十二の獅子此旁彼旁に立り是の如き者を作れる國はあらざりき 011 1KI 010 021 ソロモン王の用ひて飮る器は皆金なり又レバノン森林の家の器も皆純金にして銀の物無りき銀はソロモンの世には貴まざりしなり 011 1KI 010 022 其は王海にタルシシの船を有てヒラムの船と供にあらしめタルシシの船をして三年に一度金銀象牙猿猴および孔雀を載て來らしめたればなり 011 1KI 010 023 抑ソロモン王は富有と智慧に於て天下の諸の王よりも大なりければ 011 1KI 010 024 天下皆神がソロモンの心に授けたまへる智慧を聽んとてソロモンの面を見んことを求めたり 011 1KI 010 025 人々各其禮物を携へ來る即ち銀の器金の器衣服甲冑香物馬騾毎歳定分ありき 011 1KI 010 026 ソロモン戰車と騎兵を集めたるに戰車千四百輛騎兵壱萬二千ありきソロモン之を戰車の城邑に置き或はエルサレムにて王の所に置り 011 1KI 010 027 王エルサレムに於て銀を石の如くに爲し香柏を平地の桑樹の如くに爲して多く用ひたり 011 1KI 010 028 ソロモンの馬を獲たるはエジプトとコアよりなり即ち王の商賣コアより價値を以て取り 011 1KI 010 029 エジプトより上り出る戰車一輛は銀六百にして馬は百五十なりき斯のごとくヘテ人の凡の王等およびスリアの王等のために其手をもて取出せり 011 1KI 011 001 ソロモン王パロの女の外に多の外國の婦を寵愛せり即ちモアブ人アンモニ人エドミ人シドン人ヘテ人の婦を寵愛せり 011 1KI 011 002 ヱホバ曾て是等の國民についてイスラエルの子孫に言たまひけらく爾等は彼等と交るべからず彼等も亦爾等と交るべからず彼等必ず爾等の心を轉して彼等の神々に從はしめんとしかるにソロモン彼等を愛して離れざりき 011 1KI 011 003 彼妃公主七百人嬪三百人あり其妃等彼の心を轉せり 011 1KI 011 004 ソロモンの年老たる時妃等其心を轉移して他の神に從はしめければ彼の心其父ダビデの心の如く其神ヱホバに全からざりき 011 1KI 011 005 其はソロモン、シドン人の神アシタロテに從ひアンモニ人の惡むべき者なるモロクに從ひたればなり 011 1KI 011 006 ソロモン斯ヱホバの目のまへに惡を行ひ其父ダビデの如く全くはヱホバに從はざりき 011 1KI 011 007 爰にソロモン、モアブの憎むべき者なるケモシの爲又アンモンの子孫の憎むべき者なるモロクのためにエルサレムの前なる山に崇邱を築けり 011 1KI 011 008 彼又其異邦の凡の妃の爲にも然せしかば彼等は香を焚て己々の神を祭れり 011 1KI 011 009 ソロモンの心轉りてイスラエルの神ヱホバを離れしによりてヱホバ彼を怒りたまふヱホバ嘗て兩次彼に顯れ 011 1KI 011 010 此事に付て彼に他の神に從ふべからずと命じたまひけるに彼ヱホバの命じたまひし事を守らざりしなり 011 1KI 011 011 ヱホバ、ソロモンに言たまひけるは此事爾にありしに因り又汝わが契約とわが爾に命じたる法憲を守らざりしに因て我必ず爾より國を裂きはなして之を爾の臣僕に與ふべし 011 1KI 011 012 然ど爾の父ダビデの爲に爾の世には之を爲ざるべし我爾の子の手より之を裂きはなさん 011 1KI 011 013 但し我は國を盡くは裂きはなさずしてわが僕ダビデのために又わが選みたるエルサレムのために一の支派を爾の子に與へんと 011 1KI 011 014 是に於てヱホバ、エドミ人ハダデを興してソロモンの敵と爲したまふ彼はエドム王の裔なり 011 1KI 011 015 曩にダビデ、エドムに事ありし時軍の長ヨアブ上りて其戰死せし者を葬りエドムの男を盡く撃殺しける時に方りて 011 1KI 011 016 (ヨアブはエドムの男を盡く絶までイスラエルの群衆と偕に六月其處に止れり) 011 1KI 011 017 ハダデ其父の僕なる數人のエドミ人と共に逃てエジブトに往んとせり時にハダデは尚小童子なりき 011 1KI 011 018 彼等ミデアンを起出てバランに至りパランより人を伴ひてエジプトに往きエジプトの王パロに詣るにバロ彼に家を與へ食糧を定め且土地を與へたり 011 1KI 011 019 ハダデ大にパロの心にかなひしかばパロ己の妻の妹即ち王妃タペネスの妹を彼に妻せり 011 1KI 011 020 タペネスの妹彼に男子ゲヌバテを生ければタペネス之をパロの家の中にて乳離せしむゲヌバテ、パロの家にてパロの子の中にありき 011 1KI 011 021 ハダデ、エジプトに在てダビデの其先祖と偕に寝りたると軍の長ヨアブの死たるを聞しかばハダデ、パロに言けるは我を去しめてわが國に往しめよと 011 1KI 011 022 パロ彼にいひけるは爾我とともにありて何の缺たる處ありてか爾の國に往ん事を求むる彼言ふ何も無し然どもねがはくは我を去しめよ去しめよ 011 1KI 011 023 神父エリアダの子レゾンを興してソロモンの敵となせり彼は其主人ゾバの王ハダデゼルの許を逃さりたる者なり 011 1KI 011 024 ダビデがゾバの人を殺したる時に彼人を自己に集めて一隊の首領となりしが彼等ダマスコに往て彼處に住みダマスコを治めたり 011 1KI 011 025 ハダデが爲たる害の外にレゾン、ソロモンの一生の間イスラエルの敵となれり彼イステエルを惡みてスリアに王たりき 011 1KI 011 026 ゼレダのヱフラタ人ネバテの子ヤラベアムはソロモンの僕なりしが其母の名はゼルヤと曰て嫠婦なりき彼も亦其手を擧て王に敵す 011 1KI 011 027 彼が手を擧て王に敵せし故は此なりソロモン、ミロを築き其父ダビデの城の損缺を塞ぎ居たり 011 1KI 011 028 其人ヤラベアムは大なる能力ある者なりしかばソロモン此少者が事に勤むるを見て之を立てヨセフの家の凡の役を督どらしむ 011 1KI 011 029 其頃ヤラベアム、エルサレムを出し時シロ人なる預言者アヒヤ路にて彼に遭へり彼は新しき衣服を著ゐたりしが彼等二人のみ野にありき 011 1KI 011 030 アヒヤ其著たる新しき衣服を執へて之を十二片に裂き 011 1KI 011 031 ヤラベアムに言けるは爾自ら十片を取れイスラエルの神ヱホバ斯言たまふ視よ我國をソロモンの手より裂きはなして爾に十の支派を與へん 011 1KI 011 032 (但し彼はわが僕ダビデの故に因り又わがイスラエルの凡の支派の中より選みたる城エルサレムの故に因りて一の支派を有つべし) 011 1KI 011 033 其は彼等我を棄てシドン人の神アシタロテとモアブの神ケモシとアンモンの子孫の神モロクを拝み其父ダビデの如くわが道に歩てわが目に適ふ事わが法ととわが律例を行はざればなり 011 1KI 011 034 然ども我は國を盡くは彼の手より取ざるべし我が選みたるわが僕ダビデわが命令とわが法憲を守りたるに因て我彼が爲にソロモンを一生の間主たらしむべし 011 1KI 011 035 然ど我其子の手より國を取て其十の支派を爾に與へん 011 1KI 011 036 其子には我一の支派を與へてわが僕ダビデをしてわが己の名を置んとてわがために擇みたる城エルサレムにてわが前に常に一の光明を有しめん 011 1KI 011 037 我爾を取ん爾は凡て爾の心の望む所を治めイスラエルの上に王となるべし 011 1KI 011 038 爾若わが爾に命ずる凡の事を聽て吾が道に歩みわが目に適ふ事を爲しわが僕ダビデが爲し如く我が法憲と誡命を守らば我爾と偕にありてわがダビデのために建しごとく爾のために鞏固き家を建てイスラエルを爾に與ふべし 011 1KI 011 039 我之がためにダビデの裔を苦めんされど永遠には非じと 011 1KI 011 040 ソロモン、ヤラベアムを殺さんと求めければヤラベアム起てエジプトに逃遁れエジプトの王シシヤクに至りてソロモンの死ぬるまでエジプトに居たり 011 1KI 011 041 ソロモンの其餘の行爲と凡て彼が爲たる事および其智慧はソロモンの行爲の書に記さるるにあらすや 011 1KI 011 042 ソロモンのエルサレムにてイスラエルの全地を治めたる日は四十年なりき 011 1KI 011 043 ソロモン其父祖と偕に寝りて其父ダビデの城に葬らる其子レハベアム之に代て王となれり 011 1KI 012 001 爰にレハベアム、シケムに往り其はイスラエル皆彼を王と爲んとてシケムに至りたればなり 011 1KI 012 002 ネバテの子ヤラベアム尚エジブトに在て聞りヤラベアムはソロモン王の面をさけて逃さりエジプトに住居たるなり 011 1KI 012 003 時に人衆人を遣はして彼を招けり斯てヤラベアムとイスラエルの會衆皆來りてレハベアムに告て言けるは 011 1KI 012 004 汝の父我儕の軛を難くせり然ども爾今爾の父の難き役と爾の父の我儕に蒙らせたる重き軛を軽くせよ然ば我儕爾に事へん 011 1KI 012 005 レハベアム彼等に言けるは去て三日を經て再び我に來れと民乃ち去り 011 1KI 012 006 レハベアム王其父ソロモンの生る間其前に立たる老人等と計りていひけるは爾等如何に敎へて此民に答へしむるや 011 1KI 012 007 彼等レハベアムに告て言けるは爾若今日此民の僕となり之に事へて之に答へ善き言を之に語らば彼等永く爾の僕となるべしと 011 1KI 012 008 然に彼老人の敎へし敎を棄て自己と倶に生長て己のまへに立つ少年等と計れり 011 1KI 012 009 即ち彼等に言けるは爾等何を敎へて我儕をして此我に告て爾の父の我儕に蒙むらせし軛を軽くせよと言ふ民に答へしむるやと 011 1KI 012 010 彼と偕に生長たる少年彼に告ていひけるは爾に告て爾の父我儕の軛を重くしたれど爾これを我儕のために軽くせよと言たる此民に爾斯言ベし我が小指はわが父の腰よりも太し 011 1KI 012 011 またわが父爾等に重き軛を負せたりしが我は更に爾等の軛を重くせん我父は鞭にて爾等を懲したれども我は蠍をもて爾等を懲んと爾斯彼等に告べしと 011 1KI 012 012 ヤラベアムと民皆王の告て第三日に再び我に來れと言しごとく第三日にレハベアムに詣りしに 011 1KI 012 013 王荒々しく民に答へ老人の敎へし敎を棄て 011 1KI 012 014 少年の敎の如く彼等に告て言けるは我父は爾等の軛を重くしたりしが我は更に爾等の軛を重くせん我父は鞭を以て爾等を懲したれども我は蠍をもて爾等を懲さんと 011 1KI 012 015 王斯民に聽ざりき此事はヱホバより出たる者なり是はヱホバその甞てシロ人アヒヤに由てネバテの子ヤラベアムに告し言をおこなはんとて爲たまへるなり 011 1KI 012 016 かくイスラエル皆王の己に聽ざるを見たり是において民王に答へて言けるは我儕ダビデの中に何の分あらんやヱサイの子の中に產業なしイスラエルよ爾等の天幕に歸れダビデよ今爾の家を視よと而してイスラエルは其天幕に去りゆけり 011 1KI 012 017 然どもユダの諸邑に住るイスラエルの子孫の上にはレハベアム其王となれり 011 1KI 012 018 レハベアム王徴募頭なるアドラムを遣はしけるにイスラエル皆石にて彼を撃て死しめたればレハベアム王急ぎて其車に登りエルサレムに逃たり 011 1KI 012 019 斯イスラエル、ダビデの家に背きて今日にいたる 011 1KI 012 020 爰にイスラエル皆ヤラベアムの歸りしを聞て人を遣して彼を集會に招き彼をイスラエルの全家の上に王と爲りユダの支派の外はダビデの家に從ふ者なし 011 1KI 012 021 ソロモンの子レハベアム、エルサレムに至りてユダの全家とベニヤミンの支派の者即ち壯年の武夫十八萬を集む斯してレハベアム國を己に皈さんがためにイスラエルの家と戰はんとせしが 011 1KI 012 022 神の言神の人シマヤに臨みて曰く 011 1KI 012 023 ソロモンの子ユダの王レハベアムおよびユダとベニヤミンの全家並に其餘の民に告て言べし 011 1KI 012 024 ヱホバ斯言ふ爾等上るべからず爾等の兄弟なるイスラエルの子孫と戰ふべからず各人其家に歸れ此事は我より出たるなりと彼等ヱホバの言を聽きヱホバの言に循ひて轉り去りぬ 011 1KI 012 025 ヤラベアムはエフライムの山地にシケムを建て其處に住み又其所より出てペヌエルを建たり 011 1KI 012 026 爰にヤラベアム其心に謂けるは國は今ダビデの家に歸らん 011 1KI 012 027 若此民エルサレムにあるヱホバの家に禮物を献げんとて上らば此民の心ユダの王なる其主レハベアムに歸りて我を殺しユダの王レハベアムに歸らんと 011 1KI 012 028 是に於て王計議て二の金の犢を造り人々に言けるは爾らのエルサレムに上ること旣に足りイスラエルよ爾をエジブトの地より導き上りし汝の神を視よと 011 1KI 012 029 而して彼一をベテルに安ゑ一をダンに置り 011 1KI 012 030 此事罪となれりそは民ダンに迄往て其一の前に詣たればなり 011 1KI 012 031 彼又崇邱の家を建てレビの子孫にあらざる凡民を祭司となせり 011 1KI 012 032 ヤラベアム八月に節期を定めたり即ち其月の十五日なりユダにある節期に等し而して壇の上に上りたりベテルにて彼斯爲し其作りたる犢に禮物を献げたり又彼其造りたる崇邱の祭司をベテルに立たり 011 1KI 012 033 かく彼其ベテルに造れる壇の上に八月の十五日に上れり是は彼が己の心より造り出したる月なり而してイスラエルの人々のために節期を定め壇の上にのぼりて香を焚り 011 1KI 013 001 視よ爰に神の人ヱホバの言に由てユダよりベテルに來れり時にヤラベアムは壇の上に立て香を焚ゐたり 011 1KI 013 002 神の人乃ちヱホバの言を以て壇に向ひて呼はり言けるは壇よ壇よヱホバ斯言たまふ視よダビデの家にヨシアと名くる一人の子生るべし彼爾の上に香を焚く所の崇邱の祭司を爾の上に献げん且人の骨爾の上に燒れんと 011 1KI 013 003 是日彼異蹟を示して言けるは是はヱホバの言たまへる事の異蹟なり視よ壇は裂け其上にある灰は傾出んと 011 1KI 013 004 ヤラベアム王神の人がベテルにある壇に向ひて呼はりたる言を聞る時其手を壇より伸し彼を執へよと言けるが其彼に向ひて伸したる手枯て再び屈縮ることを得ざりき 011 1KI 013 005 しかして神の人がヱホバの言を以て示したる異蹟の如く壇は裂け灰は壇より傾出たり 011 1KI 013 006 王答て神の人に言けるは請ふ爾の神ヱホバの面を和めわが爲に祈りてわが手を本に復しめよ神の人乃ちヱホバの面を和めければ王の手本に復りて前のごとくに成り 011 1KI 013 007 是において王神の人に言けるは我と與に家に來りて身を息めよ我爾に禮物を與へんと 011 1KI 013 008 神の人王に言けるは爾假令爾の家の半を我に與ふるも我は爾とともに入じ又此所にてパンを食ず水を飮ざるべし 011 1KI 013 009 其はヱホバの言我にパンを食ふなかれ水を飮なかれ又爾が往る途より歸るなかれと命じたればなりと 011 1KI 013 010 斯彼他途を往き自己がベテルに來れる途よりは歸らざりき 011 1KI 013 011 爰にベテルに一人の老たる預言者住ゐたりしが其子等來りて是日神の人がベテルにて爲たる諸事を彼に宣たり亦神の人の王に言たる言をも其父に宣たり 011 1KI 013 012 其父彼等に彼は何の途を往しやといふ其子等ユダより來りし神の人の往たる途を見たればなり 011 1KI 013 013 彼其子等に言けるは我ために驢馬に鞍おけと彼等驢馬に鞍おきければ彼之に乗り 011 1KI 013 014 神の人の後に往きて橡の樹の下に坐するを見之にいひけるは汝はユダより來れる神の人なるか其人然りと言ふ 011 1KI 013 015 彼其人にいひけるは我と偕に家に往てパンを食へ 011 1KI 013 016 其人いふ我は汝と偕に歸る能はず汝と偕に入あたはず又我は此處にて爾と偕にパンを食ず水を飮じ 011 1KI 013 017 其はヱホバの言我に爾彼處にてパンを食ふなかれ水を飮なかれ又爾が至れる所の途より歸り往なかれと言たればなりと 011 1KI 013 018 彼其人にいひけるは我も亦爾の如く預言者なるが天の使ヱホバの言を以て我に告て彼を爾と偕に爾の家に携かへり彼にパンを食はしめ水を飮しめよといへりと是其人を誑けるなり 011 1KI 013 019 是において其人彼と偕に歸り其家にてパンを食ひ水を飮り 011 1KI 013 020 彼等が席に坐せし時ヱホバの言其人を携歸し預言者に臨みければ 011 1KI 013 021 彼ユダより來れる神の人に向ひて呼はり言けるはヱホバ斯言たまふ爾ヱホバの口に違き爾の神ヱホバの爾に命じたまひし命令を守らずして歸り 011 1KI 013 022 ヱホバの爾にパンを食ふなかれ水を飮なかれと言たまひし處にてパンを食ひ水を飮たれば爾の屍は爾の父祖の墓に至らざるべしと 011 1KI 013 023 其人のパンを食ひ水を飮し後彼其人のため即ち己が携歸りたる預言者のために驢馬に鞍おけり 011 1KI 013 024 斯て其人往けるが獅子途にて之に遇ひて之を殺せり而して其屍は途に棄られ驢馬は其傍に立ち獅子も亦其屍の側に立り 011 1KI 013 025 人々經過て途に棄られたる屍と其屍の側に立る獅子を見て來り彼老たる預言者の住る邑にて語れり 011 1KI 013 026 彼人を途より携歸りたる預言者聞て言けるは其はヱホバの口に違きたる神の人なりヱホバの彼に言たまひし言の如くヱホバ彼を獅子に付したまひて獅子彼を裂き殺せりと 011 1KI 013 027 しかして其子等に語りて言けるは我ために驢馬に鞍おけと彼等鞍おきければ 011 1KI 013 028 彼往て其屍の途に棄られ驢馬と獅子の其屍の傍に立るを見たり獅子は屍を食はず驢馬をも裂ざりき 011 1KI 013 029 預言者乃ち神の人の屍を取あげて之を驢馬に載せて携歸れりしかして其老たる預言者邑に入り哀哭みて之を葬れり 011 1KI 013 030 即ち其屍を自己の墓に置め皆之がために嗚呼わが兄弟よといひて哀哭り 011 1KI 013 031 彼人を葬りし後彼其子等に語りて言けるは我が死たる時は神の人を葬りたる墓に我を葬りわが骨を彼の骨の側に置めよ 011 1KI 013 032 其は彼がヱホバの言を以てベテルにある壇にむかひ又サマリアの諸邑に在る崇邱の凡の家に向ひて呼はりたる言は必ず成べければなり 011 1KI 013 033 斯事の後ヤラベアム其惡き途を離れ歸ずして復凡の民を崇邱の祭司と爲り即ち誰にても好む者は之を立てければ其人は崇邱の祭司と爲り 011 1KI 013 034 此事ヤラベアムの家の罪戻となりて遂に之をして地の表面より消失せ滅亡に至らしむ 011 1KI 014 001 當時ヤラベアムの子アビヤ疾ゐたり 011 1KI 014 002 ヤラベアム其妻に言けるは請ふ起て装を改へ人をして汝がヤラベアムの妻なるを知しめずしてシロに往け彼處にわが此民の王となるべきを我に告たる預言者アヒヤをる 011 1KI 014 003 汝の手に十のパン及び菓子と一瓶の蜜を取て彼の所に往け彼汝に此子の如何になるかを示すべしと 011 1KI 014 004 ヤラベアムの妻是爲し起てシロに往きアヒヤの家に至りしがアヒヤは年齢のために其目凝て見ることを得ざりき 011 1KI 014 005 ヱホバ、アヒヤにいひたまひけるは視よヤラベアムの妻其子疾るに因て其に付て汝に一の事を諮んとて來る汝斯々彼に言べし其は彼入り來る時其身を他の人とすべければなり 011 1KI 014 006 彼が戸の所に入來れる時アヒヤ其履聲を聞て言けるはヤラベアムの妻入よ汝何ぞ其身を他の人とするや我汝に嚴酷き事を告るを命ぜらる 011 1KI 014 007 往てヤラベアムに告べしイスラエルの神ヱホバ斯言たまふ我汝を民の中より擧げ我民イスラエルの上に汝を君となし 011 1KI 014 008 國をダビデの家より裂き離して之を汝に與へたるに汝は我僕ダビデの我が命令を守りて一心に我に從ひ唯わが目に適ふ事のみを爲しが如くならずして 011 1KI 014 009 汝の前に在し凡の者よりも惡を爲し往て汝のために他の神と鋳たる像を造り我が怒を激し我を汝の背後に棄たり 011 1KI 014 010 是故に視よ我ヤラベアムの家に災害を下しヤラベアムに屬する男はイスラエルにありて繋がれたる者も繋がれざる者も盡く絶ち人の塵埃を殘りなく除くがごとくヤラベアムの家の後を除くべし 011 1KI 014 011 ヤラベアムに屬する者の邑に死るをば犬之を食ひ野に死ぬるをば天空の鳥之を食はんヱホバ之を語たまへばなり 011 1KI 014 012 爾起て爾の家に往け爾の足の邑に入る時子は死ぬべし 011 1KI 014 013 而してイスラエル皆彼のために哀みて彼を葬らんヤラベアムに屬する者は唯是のみ墓に入るべし其はヤラベアムの家の中にて彼はイスラエルの神ヱホバに向ひて善き意を懐けばなり 011 1KI 014 014 ヱホバ、イスラエル上に一人の王を興さん彼其日にヤラベアムの家を斷絶べし但し何れの時なるか今即ち是なり 011 1KI 014 015 又ヱホバ、イスラエルを撃て水に搖撼ぐ葦の如くになしたまひイスラエルを其父祖に賜ひし此善地より抜き去りて之を河の外に散したまはん彼等其アシラ像を造りてヱホバの怒を激したればなり 011 1KI 014 016 ヱホバ、ヤラベアムの罪の爲にイスラエルを棄たまふべし彼は罪を犯し又イスラエルに罪を犯さしめたりと 011 1KI 014 017 ヤラベアムの妻起て去テルザに至りて家の閾に臻れる時子は死り 011 1KI 014 018 イスラエル皆彼を葬り彼の爲に哀めりヱホバの其僕預言者アヒヤによりて言たまへる言の如し 011 1KI 014 019 ヤラベアムの其餘の行爲彼が如何に戰ひしか如何に世を治めしかは視よイスラエルの王の歴代志の書に記載る 011 1KI 014 020 ヤラベアムの王たりし日は二十二年なりき彼其父祖と偕に寝りて其子ナダブ之に代りて王となれり 011 1KI 014 021 ソロモンの子レハベアムはユダに王たりきレハベアムは王と成る時四十一歳なりしがヱホバの其名を置んとてイスラエルの諸の支派の中より選みたまひし邑なるエルサレムにて十七年王たりき其母の名はナアマといひてアンモニ人なり 011 1KI 014 022 ユダ其父祖の爲たる諸の事に超てヱホバの目の前に惡を爲し其犯したる罪に由てヱホバの震怒を激せり 011 1KI 014 023 其は彼等も諸の高山の上と諸の靑木の下に崇邱と碑とアシラ像を建たればなり 011 1KI 014 024 其國には亦男色を行ふ者ありぎ彼等はヱホバがイスラエルの子孫の前より逐攘ひたまひし國民の中にありし諸の憎むべき事を傚ひ行へり 011 1KI 014 025 レハベアム王の第五年にエジプトの王シシヤク、エルサレムに攻上り 011 1KI 014 026 ヱホバの家の寶物と王の家の寶物を奪ひたり即ち盡く之を奪ひ亦ソロモンの造りたる金の楯を皆奪ひたり 011 1KI 014 027 レハベアム王其代に銅の楯を造りて王の家の門を守る侍衛の長の手に付せり 011 1KI 014 028 王のヱホバの家に入る毎に侍衛之を負ひ復之を侍衛の房に携歸れり 011 1KI 014 029 レハベアムの其餘の行爲と其凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書に記さるるに非ずや 011 1KI 014 030 レハベアムとヤラベアムの間に戰爭ありき 011 1KI 014 031 レハベアム其父祖と偕に寝りて其父祖と共にダビデの城に葬らる其母のナアマといひてアンモニ人なり其子アビヤム之に代りて王と爲り 011 1KI 015 001 ネバテの子ヤラベアム王の第十八年にアビヤム、ユダの王となり 011 1KI 015 002 エルサレムにて三年世を治めたり其母の名はマアカといひてアブサロムの女なり 011 1KI 015 003 彼は其父が己のさきに爲たる諸の罪を行ひ其心其父ダビデの心の如く其神ヱホバに完全からざりき 011 1KI 015 004 然に其神ヱホバ、ダビデの爲にエルサレムに於て彼に一の燈明を與へ其子を其後に興しエルサレムを固く立しめ賜へり 011 1KI 015 005 其はダビデはヘテ人ウリヤの事の外は一生の間ヱホバの目に適ふ事を爲て其己に命じたまへる諸の事に背かざりければなり 011 1KI 015 006 レハベアムとヤラベアムの間には其一生の間戰爭ありき 011 1KI 015 007 アビヤムの其餘の行爲と凡て其爲たる事はユダの王の歴代志の書に記載さるるにあらずやアビヤムとヤラベアムの間に戰爭ありき 011 1KI 015 008 アビヤム其先祖と倶に寝りしかば之をダビデの城に葬りぬ其子アサ之に代りて王と爲り 011 1KI 015 009 イスラエルの王ヤラベアムの第二十年にアサ、ユダの王となり 011 1KI 015 010 エルサレムにて四十一年世を治めたり其母の名はマアカといひてアブサロムの女なり 011 1KI 015 011 アサは其父ダビデの如くヱホバの目に適ふ事を爲し 011 1KI 015 012 男色を行ふ者を國より逐ひ出し其父祖等の造りたる諸の偶像を除けり 011 1KI 015 013 彼は亦其母マアカのアシラの像を造りしがために之を貶して太后たらしめざりき而してアサ其像を毀ちてキデロンの谷に焚棄たり 011 1KI 015 014 但し崇邱は除かざりき然どアサの心は一生の間ヱホバに完全かりき 011 1KI 015 015 彼其父の献納めたる物と己のをさめたる物金銀器をヱホバの家に携へいりぬ 011 1KI 015 016 アサとイスラエルの王バアシヤの間に一生の間戰爭ありき 011 1KI 015 017 イスラエルの王バアシヤ、ユダに攻上りユダの王アサの所に誰をも往來せざらしめん爲にラマを築けり 011 1KI 015 018 是に於てアサ王ヱホバの家の府庫と王の家の府庫に殘れる所の金銀を盡く將て之を其臣僕の手に付し之をダマスコに住るスリアの王ヘジヨンの子タブリモンの子なるベネハダデに遣はして言けるは 011 1KI 015 019 わが父と爾の父の間の如く我と爾の間に約を立ん視よ我爾に金銀の禮物を餽れり往て爾とイスラエルの王バアシヤとの約を破り彼をして我を離れて上らしめよ 011 1KI 015 020 ベネハダデ、アサ王に聽きて自己の軍勢の長等を遣はしてイスラエルの諸邑を攻めイヨンとダンとアベルベテマアカおよびキンネレテの全地とナフタリの全地とを撃り 011 1KI 015 021 バアシヤ聞及びラマを築くことを罷てテルザに止り 011 1KI 015 022 是に於てアサ王令をユダ全國に降したり一人も免かれし者なし斯して即ちバアシヤが用ひてラマを築きたる石と材木を取きたらしめアサ王之を用てべニヤミンのゲバとミズパを築けり 011 1KI 015 023 アサの其餘の行爲と其諸の功業と凡て其爲たる事および其建たる城邑はユダの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや但し彼は年老るに及びて其足を病たり 011 1KI 015 024 アサ其父祖と時に寝りて其父ダビデの城に其父祖と偕に葬らる其子ヨシヤパテ之に代りて王と爲り 011 1KI 015 025 ユダの王アサの第二年にヤラベアムの子ナダブ、イスラエルの王と爲り二年イスラエルを治めたり 011 1KI 015 026 彼ヱホバの目のまへに惡を爲其父の道に歩行み其イスラエルに犯させたる罪を行へり 011 1KI 015 027 爰にイツサカルの家のアヒヤの子バアシヤ彼に敵して黨を結びペリシテ人に屬するギベトンにて彼を撃り其はナダブとイスラエル皆ギベトンを圍み居たればなり 011 1KI 015 028 ユダの王アサの第三年にバアシヤ彼を殺し彼に代りて王となれり 011 1KI 015 029 バアシヤ王となれる時ヤラベアムの全家を撃ち氣息ある者は一人もヤラベアムに殘さずして盡く之を滅せりヱホバの其僕シロ人アヒヤに由て言たまへる言の如し 011 1KI 015 030 是はヤラベアムが犯し又イスラエルに犯させたる罪の爲め又彼がイスラエルの神ヱホバの怒を惹き起したる事に因るなり 011 1KI 015 031 ナダブの其餘の行爲と凡て其爲たる事はイスラエルの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや 011 1KI 015 032 アサとイスラエルの王バアシヤの間に一生のあひだ戰爭ありき 011 1KI 015 033 ユダの王アサの第三年にアヒヤの子バアシヤ、テルザに於てイスラエルの全地の王となりて二十四年を經たり 011 1KI 015 034 彼ヱホバの目のまへに惡を爲しヤラベアムの道にあゆみ其イスラエルに犯させたる罪を行へり 011 1KI 016 001 爰にヱホバの言ハナニの子ヱヒウに臨みバアシヤを責て曰く 011 1KI 016 002 我爾を塵の中より擧て我民イスラエルの上に君となしたるに爾はヤラベアムの道に歩行みわが民イスラエルに罪を犯させて其罪をもて我怒を激したり 011 1KI 016 003 されば我バアシヤの後と其家の後を除き爾の家をしてネバテの子ヤラベアムの家の如くならしむべし 011 1KI 016 004 バアシヤに屬する者の城邑に死るをば犬之を食ひ彼に屬する者の野に死るをば天空の鳥これを食はんと 011 1KI 016 005 バアシヤの其餘の行爲と其爲たる事と其功績はイスラエルの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや 011 1KI 016 006 バアシヤ其父祖と倶に寝りてテルザに葬らる其子エラ之に代りて王となれり 011 1KI 016 007 ヱホバの言亦ハナニの子ヱヒウに由て臨みバアシヤと其家を責む是は彼がヱホバの目のまへに諸の惡事を行ひ其手の所爲を以てヱホバの怒を激してヤラベアムの家に傚たるに縁り又其ナダブを殺したるに縁てなり 011 1KI 016 008 ユダの王アサの第二十六年にバアシヤの子エラ、テルザに於てイスラエルの王となりて二年を經たり 011 1KI 016 009 彼がテルザにありてテルザの宮殿の宰アルザの家において飮み酔たる時其僕ジムリ戰車の半を督どる者之に敵して黨を結べり 011 1KI 016 010 即ちユダの王アサの第二十七年にジムリ入て彼を撃ち彼を殺し彼にかはりて王となれり 011 1KI 016 011 彼王となりて其位に上れる時バアシヤの全家を殺し男子は其親族にもあれ朋友にもあれ一人も之に遺さざりき 011 1KI 016 012 ジムリ斯バアシヤの全家を滅ぼせりヱホバが預言者ヱヒウに由てバアシヤを責て言たまへる言の如し 011 1KI 016 013 是はバアシヤの諸の罪と其子エラの罪のためなり彼等は罪を犯し又イスラエルをして罪を犯し其虚物を以てイスラエルの神ヱホバの怒を激さしめたり 011 1KI 016 014 エラの其餘の行爲と凡て其爲たる事はイスラエルの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや 011 1KI 016 015 ユダの王アサの第二十七年にジムリ、テルザにて七日の間王たりき民はペリシテ人に屬するギベトンに向ひて陣どり居たりしが 011 1KI 016 016 陣どれる民ジムリは黨を結び亦王を殺したりと言を聞り是に於てイスラエル皆其日陣營にて軍の長オムリをイスラエルの王となせり 011 1KI 016 017 オムリ乃ちイスラエルの衆と偕にギベトンより上りてテルザを圍り 011 1KI 016 018 ジムリ其邑の陷るを見て王の家の天守に入り王の家に火をかけて其中に死り 011 1KI 016 019 是は其犯したる罪によりてなり彼ヱホバの目のまへに惡を爲しヤラベアムの道にあゆみヤラベアムがイスラエルに罪を犯させて爲したるところの罪を行ひたり 011 1KI 016 020 ジムリの其餘の行爲と其なしたる徒黨はイスラエルの王の歴代志の書に記載るるにあらずや 011 1KI 016 021 其時にイスラエルの民二に分れ民の半はギナラの子テブニに從ひて之を王となさんとし半はオムリに從へり 011 1KI 016 022 オムリに從へる民ギナテの子テブニに從へる民に勝てテブニは死てオムリ王となれり 011 1KI 016 023 ユダの王アサの第三十一年にオムリ、イスラエルの王となりて十二年を經たり彼テルザにて六年王たりき 011 1KI 016 024 彼銀二タラントを以てセメルよりサマリア山を買ひ其上に邑を建て其建たる邑の名を其山の故主なりしセメルの名に循ひてサマリアと稱り 011 1KI 016 025 オムリ、ヱホバの目のまへに惡を爲し其先に在し凡の者よりも惡き事を行へり 011 1KI 016 026 彼はネバテの子ヤラベアムの凡の道にあゆみヤラベアムがイスラエルをして罪を犯し其虚物を以てイスラエルの神ヱホバの怒をおこさしめたる其罪を行へり 011 1KI 016 027 オムリの爲たる其餘の行爲と其なしたる功績はイスラエルの王の歴代志の書に記載るるにあらずや 011 1KI 016 028 オムリ其父祖と偕に寝りてサマリアに葬らる其子アハブ之に代りて王となれり 011 1KI 016 029 ユダの王アサの第三十八年にオムリの子アハブ、イスラエルの王となれりオムリの子アハブ、サマリアに於て二十二年イスラエルに王たりき 011 1KI 016 030 オムリの子アハブは其先に在し凡の者よりも多くヱホバの目のまへに惡を爲り 011 1KI 016 031 彼はネバテの子ヤラベアムの罪を行ふ事を軽き事となせしがシドン人の王エテバアルの女イゼベルを妻に娶り往てバアルに事へ之を拝めり 011 1KI 016 032 彼其サマリアに建たるバアルの家の中にバアルのために壇を築けり 011 1KI 016 033 アハブ又アシラ像を作れりアハブは其先にありしイスラエルの諸の王よりも甚だしくイスラエルの神ヱホバの怒を激すことを爲り 011 1KI 016 034 其代にベテル人ヒエル、ヱリコを建たり彼其基を置る時に長子アビラムを喪ひ其門を立る時に季子セグブを喪へりヌンの子ヨシユアによりてヱホバの言たまへるがごとし 011 1KI 017 001 ギレアデに居住れるテシベ人エリヤ、アハブに言ふ吾事ふるイスララエルの神ヱホバは活くわが言なき時は數年雨露あらざるべしと 011 1KI 017 002 ヱホバの言彼に臨みて曰く 011 1KI 017 003 爾此より往て東に赴きヨルダンの前にあるケリテ川に身を匿せ 011 1KI 017 004 爾其川の水を飮べし我鴉に命じて彼處にて爾を養はしむと 011 1KI 017 005 彼往てヱホバの言の如く爲り即ち往てヨルダンの前にあるケリテ川に住り 011 1KI 017 006 彼の所に鴉朝にパンと肉亦夕にパンと肉を運べり彼は川に飮り 011 1KI 017 007 しかるに國に雨なかりければ數日の後其川涸ぬ 011 1KI 017 008 ヱホバの言彼に臨みて曰 011 1KI 017 009 起てシドンに屬するザレバテに往て其處に住め視よ我彼處の嫠婦に命じて爾を養はしむと 011 1KI 017 010 彼起てザレパテに往けるが邑の門に至れる時一人の嫠婦の其處に薪を採ふを見たり乃ち之を呼て曰けるは請ふ器に少許の水を我に携來りて我に飮せよと 011 1KI 017 011 彼之を携きたらんとて往る時エリヤ彼を呼て言けるは請ふ爾の手に一口のパンを我に取きたれと 011 1KI 017 012 彼いひけるは爾の神ヱホバは活く我はパン無し只桶に一握の粉と瓶に少許の油あるのみ觀よ我は二の薪を採ふ我いりてわれとわが子のために調理て之をくらひて死んとす 011 1KI 017 013 エリヤ彼に言ふ懼るるなかれ往て汝がいへる如くせよ但し先其をもてわが爲に小きパン一を作りて我に携きたり其後爾のためと爾の子のために作るべし 011 1KI 017 014 其はヱホバの雨を地の面に降したまふ日までは其桶の粉は竭ず其瓶の油は絶ずとイスラエルの神ヱホバ言たまへばなりと 011 1KI 017 015 彼ゆきてエリヤの言るごとくなし彼と其家及びエリヤ久く食へり 011 1KI 017 016 ヱホバのエリヤに由て言たまひし言のごとく桶の粉は竭ず瓶の油は絶ざりき 011 1KI 017 017 是等の事の後其家の主母なる婦の子疾に罹しが其病甚だ劇くして氣息其中に絶て無きに至れり 011 1KI 017 018 婦エリアに言けるは神の人よ汝なんぞ吾事に關渉るべけんや汝はわが罪を憶ひ出さしめんため又わが子を死しめんために我に來れるか 011 1KI 017 019 エリヤ彼に爾の子を我に授せと言て之を其懐より取り之を己の居る桜に抱のぼりて己の牀に臥しめ 011 1KI 017 020 ヱホバに呼はりていひけるは吾神ヱホバよ爾は亦吾ともに宿る嫠に菑をくだして其子を死しめたまふやと 011 1KI 017 021 而して三度身を伸して其子の上に伏しヱホバに呼はりて言ふわが神ヱホバ願くは此子の魂を中に歸しめたまへと 011 1KI 017 022 ヱホバ、エリヤの聲を聽いれたまひしかば其子の魂中にかへりて生たり 011 1KI 017 023 エリヤ乃ち其子を取て之を桜より家に携くだり其母に與していひけるは視よ爾の子は生くと 011 1KI 017 024 婦エリヤにいひけるは此に縁て我は爾が神の人にして爾の口にあるヱホバの言は眞實なるを知ると 011 1KI 018 001 衆多の日を經たるのち第三年にヱホバの言エリヤに臨みて曰く往て爾の身をアハブに示せ我雨を地の面に降さんと 011 1KI 018 002 エリヤ其身をアハブに示さんとて往り時に饑饉サマリアに甚しかりき 011 1KI 018 003 茲にアハブ家宰なるオバデヤを召たり 011 1KI 018 004 (オバデヤは大にヱホバを畏みたる者にてイゼベルがヱホバの預言者を絶たる時にオバデヤ百人の預言者を取て之を五十人づつ洞穴に匿しパンと水をもて之を養へり) 011 1KI 018 005 アハブ、オバデヤにいひけるは國中の水の諸の源と諸の川に往け馬と騾を生活むる草を得ることあらん然ば我儕牲畜を盡くは失なふに至らじと 011 1KI 018 006 彼等巡るべき地を二人に分ちアハブは獨にて此途に往きオバデヤは獨にて彼途に往けり 011 1KI 018 007 オバデヤ途にありし時觀よエリヤ彼に遭り彼エリヤを識て伏て言けるは我主エリヤ汝は此に居たまふや 011 1KI 018 008 エリヤ彼に言けるは然り往て汝の主にエリヤは此にありと告よ 011 1KI 018 009 彼言けるは我何の罪を犯したれば汝僕をアハブの手に付して我を殺さしめんとする 011 1KI 018 010 汝の神ヱホバは生くわが主の人を遣はして汝を尋ねざる民はなく國はなし若しエリヤは在ずといふ時は其國其民をして汝を見ずといふ誓を爲しめたり 011 1KI 018 011 汝今言ふ往て汝の主にエリヤは此にありと告よと 011 1KI 018 012 然ど我汝をはなれて往ときヱホバの霊我しらざる處に汝を携へゆかん我至りてアハブに告て彼汝を尋獲ざる時は彼我を殺さん然ながら僕はわが幼少よりヱホバを畏むなり 011 1KI 018 013 イゼベルがヱホバの預言者を殺したる時に吾なしたる事即ち我がヱホバの預言者の中百人を五十人づつ洞穴に匿してパンと水を以て之を養ひし事は吾主に聞えざりしや 011 1KI 018 014 しかるに今汝言ふ往て汝の主にエリヤは此にありと告よと然らば彼我を殺すならん 011 1KI 018 015 エリヤいひけるは我が事ふる萬軍のヱホバは活く我は必ず今日わが身を彼に示すべしと 011 1KI 018 016 オバデヤ乃ち往てアハブに會ひ之に告ければアハブはエリヤに會んとて往きけるが 011 1KI 018 017 アハブ、エリヤを見し時アハブ、エリヤに言けるは汝イスラエルを惱ます者此にをるか 011 1KI 018 018 彼答へけるは我はイスラエルを惱さず但汝と汝の父の家之を惱すなり即ち汝等はヱホバの命令を棄て且汝はバアルに從ひたり 011 1KI 018 019 されば人を遣てイスラエルの諸の人およびバアルの預言者四百五十人並にアシラ像の預言者四百人イゼベルの席に食ふ者をカルメル山に集めて我に詣しめよと 011 1KI 018 020 是においてアハブ、イスラエルの都の子孫の中に人を遣り預言者をカルメル山に集めたり 011 1KI 018 021 時にエリヤ總の民に近づきて言けるは汝等何時まで二の物の間にまよふやヱホバ若し神ならば之に從へされどバアル若し神ならば之に從へと民は一言も彼に答ざりき 011 1KI 018 022 エリヤ民に言けるは惟我一人存りてヱホバの預言者たり然どバアルの預言者は四百五十人あり 011 1KI 018 023 然ば二の犢を我儕に與へよ彼等は其一の犢を選みて之を截り剖き薪の上に載せて火を縦たずに置べし我も其一の犢を調理へ薪の上に載せて火を縦ずに置べし 011 1KI 018 024 斯して汝等は汝等の神の名を龥べ我はヱホバの名を龥ん而して火をもて應る神を神と爲べしと民皆答て斯言は善と言り 011 1KI 018 025 エリヤ、バアルの預言者に言けるは汝等は多ければ一の犢を選みて最初に調理へ汝等の神の名を呼ぶべし但し火を縦なかれと 011 1KI 018 026 彼等乃ち其與られたる犢を取て調理へ朝より午にいたるまでバアルの名を龥てバアルよ我儕に應へたまへと言り然ど何の聲もなく又何の應る者もなかりければ彼等は其造りたる壇のまはりに踊れり 011 1KI 018 027 日中におよびてエリヤ彼等を嘲りていひけるは大聲をあげて呼べ彼は神なればなり彼は默想をるか他處に行しか又は旅にあるか或は假寐て醒さるべきかと 011 1KI 018 028 是において彼等は大聲に呼はり其例に循ひて刀劍と槍を以て其身を傷つけ血を其身に流すに至れり 011 1KI 018 029 斯して午時すぐるに至りしが彼等なほ預言を言ひて晩の祭物を献ぐる時にまで及べり然ども何の聲もなく又何の應ふる者も无く又何の顧る者もなかりき 011 1KI 018 030 時にエリヤ都の民にむかひて我に近よれと言ければ民皆彼に近よれり彼乃ち破壞たるヱホバの壇を修理ヘり 011 1KI 018 031 エリヤ、ヤコブの子等の支派の數に循ひて十二の石を取れり(ヱホバの言昔ヤコブに臨みてイスラエルを汝の名とすべしと言り) 011 1KI 018 032 彼其石にてヱホバの名を以て壇を築き壇の周圍に種子二セヤを容べき溝を作れり 011 1KI 018 033 又薪を陳列べ犢を截剖て薪の上に載せて言けるは四の桶に水を滿て燔祭と薪の上に沃げ 011 1KI 018 034 又いひけるは再び之を爲せと再びこれをなせしかば又言ふ三次これを爲せと三次これをなせり 011 1KI 018 035 水に壇の周廻に流るまた溝にも水をみたしたり 011 1KI 018 036 晩の祭物を献ぐる時に及て預言者エリヤ近よりて言けるはアブラハム、イサク、イスラエルの神ヱホバよ汝のイスラエルにおいて神なることおよび我が汝の僕にして汝の言に循ひて是等の諸の事を爲せることを今日知しめたまへ 011 1KI 018 037 ヱホバよ我に應へたまへ我に應へたまへ此民をして汝ヱホバは神なることおよび汝は彼等の心を翻へしたまふといふことを知しめたまへと 011 1KI 018 038 時にヱホバの火降りて燔祭と薪と石と塵とを焚つくせり亦溝の水を餂涸せり 011 1KI 018 039 民皆見て伏ていひけるはヱホバは神なりヱホバは神なり 011 1KI 018 040 エリヤ彼等に言けるはバアルの預言者を執へよ其一人をも逃遁しむる勿れと即ち之を執へたればエリヤ之をキシヨン川に曳下りて彼處に之を殺せり 011 1KI 018 041 斯てエリヤ、アハブにいひけるは大雨の聲あれば汝上りて食飮すべしと 011 1KI 018 042 アハブ乃ち食飮せんとて上れり然どエリヤはカルメルの嶺に登り地に伏て其面を膝の間に容ゐたりしが 011 1KI 018 043 其少者にいひけるは請ふ上りて海の方を望めと彼上り望みて何もなしといひければ再び往けといひて遂に七次に及べり 011 1KI 018 044 第七次に及びて彼いひけるは視よ海より人の手のごとく微の雲起るとエリヤいふ上りてアハブに雨に阻められざるやう車を備へて下りたまへと言ふべしと 011 1KI 018 045 驟に雲と風おこり霄漢黑くなりて大雨ありきアハブはヱズレルに乗り往り 011 1KI 018 046 ヱホバの能力エリヤに臨みて彼其腰を束帶びヱズレルの入口までアハブの前に趨りゆけり 011 1KI 019 001 アハブ、イゼベルにエリヤの凡て爲たる事及び其如何に諸の預言者を刀劍にて殺したるかを告しかば 011 1KI 019 002 イゼベル使をエリヤに遣はして言けるは神等斯なし復重て斯なしたまへ我必ず明日の今時分汝の命を彼人々の一人の生命のごとくせんと 011 1KI 019 003 かれ恐れて起ち其生命のために逃げ往てユダに屬するベエルシバに至り少者を其處に遺して 011 1KI 019 004 自ら一日程ほど曠野に入り往て金雀花の下に坐し其身の死んことを求めていふヱホバよ足り今わが生命を取たまへ我はわが父祖よりも善にはあらざるなりと 011 1KI 019 005 彼金雀花の下に伏して寝りしが天の使彼に捫り興て食へと言ければ 011 1KI 019 006 彼見しに其頭の側に炭に燒きたるパンと一瓶の水ありき乃ち食ひ飮て復偃臥たり 011 1KI 019 007 ヱホバの使者復再び來りて彼に捫りていひけるは興て食へ其は途長くして汝勝べからざればなりと 011 1KI 019 008 彼興て食ひ且飮み其食の力に仗て四十日四十夜行て神の山ホレブに至る 011 1KI 019 009 彼處にて彼洞穴に入りて其處に宿りしが主の言彼に臨みて彼に言けるはエリヤよ汝此にて何を爲や 011 1KI 019 010 彼いふ我は萬軍の神ヱホバのために甚だ熱心なり其はイスラエルの子孫汝の契約を棄て汝の壇を毀ち刀劍を以て汝の預言者を殺したればなり惟我一人存るに彼等我生命を取んことを求むと 011 1KI 019 011 ヱホバ言たまひけるは出てヱホバの前に山の上に立てと茲にヱホバ過ゆきたまふにヱホバのまへに當りて大なる強き風山を裂き岩石を碎しが風の中にはヱホバ在さざりき風の後に地震ありしが地震の中にはヱホバ在さざりき 011 1KI 019 012 又地震の後に火ありしが火の中にはヱホバ在さざりき火の後に靜なる細微き聲ありき 011 1KI 019 013 エリヤ聞て面を外套に蒙み出て洞穴の口に立ちけるに聲ありて彼に臨みエリヤよ汝此にて何をなすやといふ 011 1KI 019 014 かれいふ我は萬軍の神ヱホバの爲に甚だ熱心なり其はイスラエルの子孫汝の契約を棄て汝の壇を毀ち刀劍を以て汝の預言者を殺したればなり惟我一人存れるに彼等我が生命を取んことを求むと 011 1KI 019 015 ヱホバかれに言たまひけるは往て汝の途に返りダマスコの曠野に至り往てハザエルに膏を沃ぎてスリアの王となせ 011 1KI 019 016 又汝ニムシの子エヒウに膏を注ぎてイスラエルの王となすべし又アベルメホラのシヤパテの子エリシヤに膏をそそぎ爾に代りて預言者とならしむべし 011 1KI 019 017 ハザエルの刀劍を逃るる者をばエヒウ殺さんエヒウの刀劍を逃るる者をばエリシヤ殺さん 011 1KI 019 018 又我イスラエルの中に七千人を遺さん皆其膝をバアルに跼めず其口を之に接ざる者なりと 011 1KI 019 019 エリヤ彼處よりゆきてシヤパテの子エリシヤに遭ふ彼は十二軛の牛を其前に行しめて己は其第十二の牛と偕にありて耕し居たりエリヤ彼の所にわたりゆきて外套を其上にかけたれば 011 1KI 019 020 牛を棄てエリヤの後に趨ゆきて言けるは請ふ我をしてわが父母に接吻せしめよしかるのち我爾にしたがはんとエリヤかれに言けるは行け還れ我爾に何をなしたるやと 011 1KI 019 021 エリシヤ彼をはなれて還り一軛の牛をとりて之をころし牛の器具を焚て其肉を煮て民にあたへて食はしめ起て往きエリヤに從ひて之に事へたり 011 1KI 020 001 スリアの王ベネハダデ其軍勢を悉く集む王三十二人彼と偕にあり又馬と戰車とあり乃ち上りてサマリアを圍み之を攻む 011 1KI 020 002 彼使をイスラエルの王アハブに遣し邑に至りて彼に言しめけるはベネハダデ斯言ふ 011 1KI 020 003 爾の金銀は我の所有なり亦爾の妻等と爾の子等の美秀者は我の所有なり 011 1KI 020 004 イスラエルの王答へて言けるは王わが主よ爾の言の如く我と我が有つ者は皆爾の所有なり 011 1KI 020 005 使者再び來りて言けるはベネハダデ斯語て言ふ我爾に爾我に爾の金銀妻子を付すべしと言遣れり 011 1KI 020 006 然ど明日今頃我が僕を爾に遣さん彼等爾の家と爾の臣僕の家を探索りて凡て爾の日に好ましく見ゆる者を其手に置て取り去るべしと 011 1KI 020 007 是においてイスラエルの王國の長老を皆召て言けるは請ふ爾等見て此人の害をなさんと求るを知れ彼人を我に遣りて我が妻子とわが金銀を索めたり而るに我之を謝絶ざりしと 011 1KI 020 008 諸の長老および民皆彼に言けるは爾聽なかれ許すなかれと 011 1KI 020 009 是故に彼ベネハダデの使者に言けるは王わが主に告よ爾が最初に僕に言つかはしたる事は皆我爲べし然ど比事は我爲あたはずと使者往て反命をなせり 011 1KI 020 010 ベネハダデ彼に言つかはしけるは神等我に斯なし亦重て斯なしたまへサマリアの塵は我に從ふ諸の民の手に滿るに足ざるべしと 011 1KI 020 011 イスラエルの王答へて帶る者は解く者の如く誇るべからずと告よと言り 011 1KI 020 012 ベネハダデ天幕にありて王等と飮ゐたりしが此事を聞て其臣僕に言けるは爾等陣列を爲せと即ち邑に向ひて陣列をなせり 011 1KI 020 013 時に一人の預言者イスラエルの王アハブの許に至りて言けるはヱホバ斯言たまふ爾此諸の大軍を見るや視よ我今日之を爾の手に付さん爾は我がヱホバなるを知にいたらんと 011 1KI 020 014 アハブ言けるは誰を以てせんか彼いひけるはヱホバ斯いひたまふ諸省の牧伯の少者を以てすべしアハブ言ふ誰か戰爭を始むべき彼答けるは爾なりと 011 1KI 020 015 アハブ乃ち諸省の牧伯の少者を核るに二百三十二人あり次に凡の民即ちイスラエルの凡の子孫を核るに七千人あり 011 1KI 020 016 彼等日中出たちたりしがベネハダデは天幕にて王等即ち己を助る三十二人の王等とともに飮て酔居たり 011 1KI 020 017 諸省の牧伯の少者等先に出たりベネハダデ人を出すにサマリアより人衆出來ると彼に告ければ 011 1KI 020 018 彼言けるは和睦のために出來るも之を生擒べし又戰爭のために出來るも之を生擒べしと 011 1KI 020 019 諸省の牧伯の是等の少者および之に從ふ軍勢邑より出きたり 011 1KI 020 020 各其敵手を撃ち殺しければスリア人逃たりイスラエル之を追ふスリアの王ベネハダデは馬に乗り騎兵を從へて逃遁たり 011 1KI 020 021 イスラエルの王出て馬と戰車を撃ち又大にスリア人を撃殺せり 011 1KI 020 022 茲に彼預言者イスラエルの王の許に詣て彼に言けるは往て爾の力を養ひ爾の爲すべき事を知り辨ふべし年歸らばスリアの王爾に攻上るべければなりと 011 1KI 020 023 スリアの王の臣僕王に言けるは彼等の神等は山崗の神なるが故に彼等は我等よりも強かりしなり然ども我等若平地に於て彼等と戰はば必ず彼等よりも強かるべし 011 1KI 020 024 但し此事を爲せ即ち王等を除きて各其處を離しめ方伯を置て之に代べし 011 1KI 020 025 又爾の失ひたる軍勢に均き軍勢を爾のために備へ馬は馬戰車は戰車をもて補ふべし斯して我儕平地において彼等と戰はば必ず彼等よりも強かるべしと彼其言を聽いれて然なせり 011 1KI 020 026 年かへるに及びてベネハダデ、スリア人を核めてアペクに上りイスラエルと戰はんとす 011 1KI 020 027 イスラエルの子孫核められ兵糧を受て彼等に出會んとて往けりイスラエルの子孫は山羊の二の小群の如く彼等の前に陣どりしがスリア人は其地に充滿たり 011 1KI 020 028 時に神の人至りてイスラエルの王に告ていひけるはヱホバ斯言たまふスリア人ヱホバは山獄の神にして谿谷の神にあらずと言ふによりて我此諸の大軍を爾の手に付すべし爾等は我がヱホバなるを知に至らんと 011 1KI 020 029 彼等七日互に相對て陣どり第七日におよびて戰爭を交接しがイスラエルの子孫一日にスリア人の歩兵十萬人を殺しければ 011 1KI 020 030 其餘の者はアベクに逃て邑に入ぬ然るに其石垣崩れて其存れる二萬七千人の上にたふれたりベネハダデは逃て邑にいたり奧の間に入ぬ 011 1KI 020 031 其臣僕彼にいひけるは我儕イスラエルの家の王等は仁慈ある王なりと聞り請ふ我儕粗麻布を腰につけ繩を頭につけてイスラエルの王の所にいたらん彼爾の命を生むることあらんと 011 1KI 020 032 斯彼等粗麻布を腰にまき繩を頭にまきてイスラエルの王の所にいたりていひけるは爾の僕ベネハダデ請ふ我が生命を生しめたまへと言ふとアハブいひけるは彼は尚生をるや彼はわが兄弟なりと 011 1KI 020 033 其人々これを吉兆と爲し速に彼の言を承て爾の兄弟ベネハダデといへり彼言けるは爾等ゆきて彼を導ききたるべしと是においてベネハダデ彼の所に出來りしかば彼之を車に登しめたり 011 1KI 020 034 ベネハダデ彼に言けるは我父の爾の父より取たる諸邑は我返すべし又我が父のサマリアに造りたる如く爾ダマスコに於て爾のために街衢を作るべしアハブ言ふ我此契約を以て爾を歸さんと斯彼と契約を爲て彼を歸せり 011 1KI 020 035 爰に預言者の徒の一人ヱホバの言によりて其同儕に請我を撃てといひけるが其人彼を撃つことを肯ぜざりしかば 011 1KI 020 036 彼其人に言ふ汝ヱホバの言を聽ざりしによりて視よ汝の我をはなれて往く時獅子汝をころさんと其人彼の側を離れて往きけるに獅子之に遇て之を殺せり 011 1KI 020 037 彼また他の人に遭て請ふ我を撃といひければ其人之を撃ち撃て傷けたり 011 1KI 020 038 預言者往て王を途に待ち其目に掩巾をあてて儀容を變ゐたりしが 011 1KI 020 039 王の經過る時王に呼はりていひけるは僕戰爭の中に出しに人轉りて一箇の人を我の所に曳きたりて言けるは此人を守れ若彼失ゆく事あらば汝の生命を彼の生命に代べし或は爾銀一タラントを出すべしと 011 1KI 020 040 而るに僕此彼に事をなしゐたれば彼遂に失たりとイスラエルの王彼にいひけるは爾の擬定は然なるべし爾之を決めたり 011 1KI 020 041 彼急ぎて其目の掩巾を取除たればイスラエルの王彼が預言者の一人なるを識り 011 1KI 020 042 彼王に言けるはヱホバ斯言たまふ爾はわが殲滅んと定めたる人を爾の手より放ちたれば爾の命は彼の生命に代り爾の民は彼の民に代るべしと 011 1KI 020 043 イスラエルの王憂へ且怒て其家に赴きサマリアに至れり 011 1KI 021 001 是等の事の後ヱズレル人ナボテ、ヱズレルに葡萄園を有ちゐたりしがサマリアの王アハブの殿の側に在りければ 011 1KI 021 002 アハブ、ナボテに語て言けるは爾の葡萄園は近くわが家の側にあれば我に與へて蔬采の圃となさしめよ我之がために其よりも美き葡萄園を爾に與へん若し爾の心にかなはば其價を銀にて爾に予へんと 011 1KI 021 003 ナボテ、アハブに言けるはわが父祖の產業を爾に與ふる事は決て爲べからずヱホバ禁じたまふと 011 1KI 021 004 アハブはヱズレル人ナボテの己に言し言のために憂ひ且怒りて其家に入ぬ其は彼わが父祖の產業を爾に與へじと言たればなりアハブ床に臥し其面を轉けて食をなさざりき 011 1KI 021 005 其妻イゼベル彼の處にいりて彼に言けるは爾の心何を憂へて爾食を爲ざるや 011 1KI 021 006 彼之に言けるは我ヱズレル人ナボテに語りて爾の葡萄園を銀に易て我に與へよ若また爾好ば我其に易て葡萄園を爾に與へんと彼に言たるに彼答へて我が葡萄園を爾に與へじと言たればなりと 011 1KI 021 007 其妻イゼベル彼に言けるは爾今イステエルの國を治むることを爲すや興て食を爲し爾の心を樂ましめよ我ヱズレル人ナボテの葡萄園を爾に與へんと 011 1KI 021 008 彼アハブの名をもて書を書き彼の印を捺し其邑にナボテとともに住る長老と貴き人に其書をおくれり 011 1KI 021 009 彼其書にしるして曰ふ斷食を宣傳てナボテを民の中に高く坐せしめよ 011 1KI 021 010 又邪なる人二人を彼のまへに坐せしめ彼に對ひて證を爲して爾神と王を詛ひたりと言しめよ斯して彼を曳出し石にて撃て死しめよと 011 1KI 021 011 其邑の人即ち其邑に住る長老および貴き人等イゼベルが己に言つかはしたる如く即ち彼が己に遣りたる書に書したる如く爲り 011 1KI 021 012 彼等斷食を宣達てナボテを民の中に高く坐せしめたり 011 1KI 021 013 時に二人の邪なる人入來りて其前に坐し其邪なる人民のまへにてナボテに對て證をなして言ふナボテ神と王を詛ひたりと人衆彼を邑の外に曳出し石にて之を撃て死しめたり 011 1KI 021 014 斯てイゼベルにナボテ撃れて死たりと言遣れり 011 1KI 021 015 イゼベル、ナボタの撃れて死たるを聞しかばイゼベル、アハブに言けるは起て彼ヱズレル人ナボテが銀に易て爾に與ることを拒みし葡萄園を取べし其はナボテは生をらず死たればなりと 011 1KI 021 016 アハブ、ナボテの死たるを聞しかばアハブ起ちヱズレル人ナボテの葡萄園を取んとて之に下れり 011 1KI 021 017 時にヱホバの言テシベ人エリヤに臨みて曰ふ 011 1KI 021 018 起て下りサマリアにあるイスラエルの王アハブに會ふべし彼はナボテの葡萄園を取んとて彼處に下りをるなり 011 1KI 021 019 爾彼に告て言べしヱホバ斯言ふ爾は殺し亦取たるやと又爾彼に告て言ふべしヱホバ斯言ふ犬ナボテの血を銛し處にて犬爾の身の血を銛べしと 011 1KI 021 020 アハブ、エリヤに言けるは我敵よ爾我に遇や彼言ふ我遇ふ爾ヱホバの目の前に惡を爲す事に身を委しに縁り 011 1KI 021 021 我災害を爾に降し爾の後裔を除きアハブに屬する男はイスラエルにありて繋がれたる者も繋がれざる者も悉く絶ん 011 1KI 021 022 又爾の家をネバテの子ヤラベアムの家の如くなしアヒヤの子バアシヤの家のごとくなすべし是は爾我の怒を惹起しイスラエルをして罪を犯させたるに因てなり 011 1KI 021 023 イゼベルに關てヱホバ亦語て言給ふ犬ヱズレルの濠にてイゼベルを食はん 011 1KI 021 024 アハブに屬する者の邑に死るをば犬之を食ひ野に死るをば天空の鳥之を食はんと 011 1KI 021 025 誠にアハブの如くヱホバの目の前に惡をなす事に身をゆだねし者はあらざりき其妻イゼベル之を慫憊たるなり 011 1KI 021 026 彼はヱホバがイスラエルの子孫のまへより逐退けたまひしアモリ人の凡てなせし如く偶像に從ひて甚だ惡むべき事を爲り 011 1KI 021 027 アハブ此等の言を聞ける時其衣を裂き粗麻布を體にまとひ食を斷ち粗麻布に臥し遅々に歩行り 011 1KI 021 028 茲にヱホバの言テシベ人エリヤに臨みて言ふ 011 1KI 021 029 爾アハブの我前に卑下るを見るや彼わがまへに卑下るに縁て我災害を彼の世に降さずして其子の世に災害を彼の家に降すべし 011 1KI 022 001 スリアとイスラエルの間に戰爭なくして三年を經たり 011 1KI 022 002 第三年にユダの王ヨシヤパテ、イスラエルの王の所に降れり 011 1KI 022 003 イスラエルの王其臣僕に言けるはギレアデのラモテは我儕の所有なるを爾等知や然るに我儕はスリアの王の手より之を取ることをせずして默しをるなり 011 1KI 022 004 彼ヨシヤパテに言けるは爾我と共にギレアデのラモテに戰ひにゆくやヨシヤパテ、イスラエルの王にいひけるは我は爾のごとくわが民は爾の民の如くわが馬は爾の馬の如しと 011 1KI 022 005 ヨシヤパテ、イスラエルの王に言けるは請ふ今日ヱホバの言を問へ 011 1KI 022 006 是においてイスラエルの王預言者四百人許を集めて之に言けるは我ギレアデのラモテに戰ひにゆくべきや又は罷べきや彼等曰けるは上るべし主之を王の手に付したまふべしと 011 1KI 022 007 ヨシヤパテ曰けるは外に我儕の由て問べきヱホバの預言者此にあらざるや 011 1KI 022 008 イスラエルの王ヨシヤパテに言けるは外にイムラの子ミカヤ一人あり之に由てヱホバに問ふことを得ん然ど彼は我に關て善事を預言せず唯惡事のみを預言すれば我彼を惡むなりとヨシヤパテ曰けるは王然言たまふなかれと 011 1KI 022 009 是によりてイスラエルの王一箇の官吏を呼てイムラの子ミカヤを急ぎ來らしめよと言り 011 1KI 022 010 イスラエルの王およびユダの王ヨシヤパテ朝衣を著てサマリアの門の入口の廣場に各其位に坐しゐたり預言者は皆其前に預言せり 011 1KI 022 011 ケナアナの子ゼデキヤ鐵の角を造りて言けるはヱホバ斯言給ふ爾是等を以てスリア人を抵觸て之を盡すべしと 011 1KI 022 012 預言者皆斯預言して言ふギレアデのラモテに上りて勝利を獲たまへヱホバ之を王の手に付したまふべしと 011 1KI 022 013 茲にミカヤを召んとて往たる使者之に語りて言けるは預言者等の言一の口の如くにして王に善し請ふ汝の言を彼等の一人の言の如くならしめて善事を言へと 011 1KI 022 014 ミカヤ曰けるはヱホバは生くヱホバの我に言たまふ事は我之を言んと 011 1KI 022 015 かくて彼王に至るに王彼に言けるはミカヤよ我儕ギレアデのラモテに戰ひに往くべきや又は罷べきや彼王に言けるは上りて勝利を得たまへヱホバ之を王の手に付したまふべしと 011 1KI 022 016 王彼に言けるは我幾度汝を誓はせたらば汝ヱホバの名を以て唯眞實のみを我に告るや 011 1KI 022 017 彼言けるは我イスラエルの皆牧者なき羊のごとく山に散をるを見たるにヱホバ是等の者は主なし各安然に其家に歸るべしと言たまへりと 011 1KI 022 018 イスラエルの王ヨシヤパテに言けるは我汝に彼は我について善き事を預言せず唯惡き事のみを預言すと告たるにあらすやと 011 1KI 022 019 ミカヤ言けるは然ば汝ヱホバの言を聽べし我ヱホバの其位に坐しゐたまひて天の萬軍の其傍に右左に立つを見たるに 011 1KI 022 020 ヱホバ言たまひけるは誰かアハブを誘ひて彼をしてギレアデのラモテに上りて弊れしめんかと則ち一は此の如くせんと言ひ一は彼の如くせんといへり 011 1KI 022 021 遂に一の霊進み出てヱホバの前に立ち我彼を誘はんと言ければ 011 1KI 022 022 ヱホバ彼に何を以てするかと言たまふに我出て虚言を言ふ霊となりて其諸の預言者の口にあらんと言りヱホバ言たまひけるは汝は誘ひ亦之を成し遂ん出て然なすべしと 011 1KI 022 023 故に視よヱホバ虚言を言ふ霊を爾の此諸の預言者の口に入たまへり又ヱホバ爾に關て災禍あらんことを言たまへりと 011 1KI 022 024 ケナアナの子ゼデキヤ近よりてミカヤの頬を批て言けるはヱホバの霊何途より我を離れゆきて爾に語ふや 011 1KI 022 025 ミカヤいひけるは爾奧の間に入て身を匿す日に見るにいたらん 011 1KI 022 026 イスラエルの王言けるはミカヤを取て之を邑の宰アモンと王の子ヨアシに曳かへりて言ふべし 011 1KI 022 027 王斯言ふ此を牢に置れて苦惱のパンと苦惱の水を以て之を養ひ我が平安に來るを待てと 011 1KI 022 028 ミカヤ言けるは爾若眞に平安に歸るならばヱホバ我によりて言たまはざりしならん又曰けるは爾等民よ皆聽べし 011 1KI 022 029 かくてイスラエルの王とユダの王ヨシヤパテ、ギレアデのラモテに上れり 011 1KI 022 030 イスラエルの王ヨシヤパテに言けるは我装を改て戰陣の中に入らん然ど爾は王衣を衣るべしとイスラエルの王装を改て戰陣の中にいりぬ 011 1KI 022 031 スリアの王其戰車の長三十二人に命じて言けるは爾等小者とも大者とも戰ふなかれ惟イスラエルの王とのみ戰へと 011 1KI 022 032 戰車の長等ヨシヤパテを見て是必ずイスラエルの王ならんと言ひ身をめぐらして之と戰はんとしければヨシヤパテ號呼れり 011 1KI 022 033 戰車の長彼がイスラエルの王にあらざるを見しかば之を追ふことをやめて返れり 011 1KI 022 034 茲に一個の人偶然弓を挽てイスラエルの王の胸當と艸摺の間を射たりければ彼其御者に言けるは我傷を受たれば爾の手を旋して我を軍中より出すべしと 011 1KI 022 035 是日戰爭嚴くなりぬ王は車の中に扶持られて立ちスリア人に對ひをりしが晩景にいたりて死たり創の血車の中に流る 011 1KI 022 036 日の沒る頃軍中に呼はりて曰ふあり各其邑に各其郷に歸るべしと 011 1KI 022 037 王死て携へられてサマリアに至りたれば衆人王をサマリアに葬れり 011 1KI 022 038 又其車をサマリアの池に濯ひけるに犬其血を舐たり又遊女其所に身をあらへりヱホバの言たまへる言の如し 011 1KI 022 039 アハブの其餘の行爲と凡て其爲たる事と其建たる象牙の家と其建たる諸の邑はイスラエルの王の歴代志の書に記載るにあらずや 011 1KI 022 040 アハブ其父祖と共に寝りて其子アハジア之にかはりて王となれり 011 1KI 022 041 アサの子ヨシヤパテ、イスラエルの王アハブの第四年にユダの王となれり 011 1KI 022 042 ヨシヤパテ王となりし時三十五歳なりしがエルサレムにおいて二十五年王たりき其母の名はアズバといひてシルヒの女なり 011 1KI 022 043 ヨシヤパテ其父アサの諸の道に歩行み轉て之を離れずヱホバの目に適ふ事をなせり但し崇邱は除かざりき民尚崇邱に犠牲を献げ香を焚り 011 1KI 022 044 ヨシヤパテ、イスラエルの王と和好を結べり 011 1KI 022 045 ヨシヤパテの其餘の行爲と其なせる功績および如何に戰爭をなせしかはユダの王の歴代志の書に記載るにあらずや 011 1KI 022 046 彼其父アサの世に尚ほありし彼の男色を行ふ者の殘餘を國の中より逐はらへり 011 1KI 022 047 當時エドムには王なくして代官王たりき 011 1KI 022 048 ヨシヤパテ、タルシシの船を造りて金を取ためにオフルに往しめんとしたりしが其船エジオンゲベルに壞れたれば遂に往に至らざりき 011 1KI 022 049 是においてアハブの子アハジア、ヨシヤパテに言けるはわが僕をして爾の僕と偕に船にて往しめよと然どヨシヤパテ聽ざりき 011 1KI 022 050 ヨシヤパテ其父祖とともに寝りて其父ダビデの城邑に其父祖と共に葬らる其子ヨラム之に代て王となれり 011 1KI 022 051 アハブの子アハジア、ユダの王ヨシヤパテの第十七年にサマリアにてイスラエルの王となり二年イスラエルを治めたり 011 1KI 022 052 彼はヱホバの目のまへに惡をなし其父の道と其母の道および彼のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの道に歩行み 011 1KI 022 053 バアルに事へて之を拝みイスラエルの神ヱホバの怒を激せり其父の凡て行へるがごとし # # BOOK 012 2KI 2 Kings 列王記Ⅱ 012 2KI 001 001 アハブの死しのちモアブ、イスラエルにそむけり 012 2KI 001 002 アハジヤ、サマリヤにあるその樓の欄杆よりおちて病をおこせしかば使を遣さんとして之にいひけるは往てエクロンの神バアルゼブブにわがこの病の愈るや否を問べしと 012 2KI 001 003 時にヱホバの使テシベ人エリヤにいひけるは起てサマリヤ王の使にあひて之に言べし汝等がエクロンの神バアルゼブブに問んとてゆくはイスラエルに神なきがゆゑなるか 012 2KI 001 004 是によりてヱホバかくいふ汝はその登りし牀より下ることなかるべし汝かならず死んとエリヤ乃ち往り 012 2KI 001 005 使者たちアハジアに返りければアハジア彼等に何故に返りしやといふに 012 2KI 001 006 かれら之にいひけるは一箇の人上りきたりて我らに會ひわれらにいひけるは往てなんぢらを遣はせし王の所にかへり之にいふべしヱホバ斯いひたまふなんぢエクロンの神バアルゼブブに問んとて人を遣すはイスラエルに神なきがゆゑなるか然ば汝その登りし牀より下ることなかるべし汝かならず死んと 012 2KI 001 007 アハジア彼等にいひけるはそののぼりきたりて汝等に會ひ此等の言を汝らに告たる人の形状は如何なりしや 012 2KI 001 008 かれら對へていひけるはそれは毛深き人にして腰に革の帶をむすび居たり彼いひけるはその人はテシベ人エリヤなりと 012 2KI 001 009 是に於て王五十人の長とその五十人をエリヤの所に遣はせり彼エリヤの所に上りゆくに視よエリヤは山の嶺に坐し居たりかれエリヤにいひけるは神の人よ王いひたまふ下るべし 012 2KI 001 010 エリヤこたへて五十人の長にいひけるはわれもし神の人たらば火天より降りて汝と汝の五十人とを燒盡すべしと火すなはち天より降りて彼とその五十人とを燒盡せり 012 2KI 001 011 アハジアまた他の五十人の長とその五十人をエリヤに遣せりかれ上りてエリヤにいひけるは神の人よ王かく言たまふ速かに下るべし 012 2KI 001 012 エリヤ答て彼にいひけるはわれもし神の人たらば火天より降りて爾となんぢの五十人を燒盡すべしと神の火すなはち天より降りてかれとその五十人を燒盡せり 012 2KI 001 013 かれまた第三の五十人の長とその五十人を遣せり第三の五十人の長のぼりいたりてエリヤのまへに跪きこれに願ひていひけるは神の人よ願くはわが生命となんぢの僕なるこの五十人の生命をなんぢの目に貴重き者と見なしたまへ 012 2KI 001 014 視よ火天より降りて前の五十人の長二人とその五十人を燒盡せり然どわが生命をば汝の目に貴重き者となしたまへ 012 2KI 001 015 時にヱホバの使エリヤに云けるはかれとともに下れかれをおそるることなかれとエリヤすなはち起てかれとともに下り王の許に至り 012 2KI 001 016 之にいひけるはヱホバかくいひたまふ汝エクロンの神バアルゼブブに問んとて使者を遣るはイスラエルにその言を問ふべき神なきがゆゑなるか是によりて汝はその登し牀より下ることなかるべし汝かならず死んと 012 2KI 001 017 彼エリヤの言たるヱホバの言の如く死けるが彼に子なかりしかばヨラムこれに代りて王となれり是はユダの王ヨシヤパテの子ヨラムの二年にあたる 012 2KI 001 018 アハジヤのなしたる其餘の事業はイスラエルの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや 012 2KI 002 001 ヱホバ大風をもてエリヤを天に昇らしめんとしたまふ時エリヤはエリシヤとともにギルガルより出往り 012 2KI 002 002 エリヤ、エリシヤにいひけるは請ふここに止まれヱホバわれをベテルに遣はしたまふなりとエリシヤいひけるはヱホバは活く汝の霊魂は活く我なんぢをはなれじと彼等つひにベテルに下れり 012 2KI 002 003 ベテルに在る預言者の徒エリシヤの許に出きたりて之にいひけるはヱホバの今日なんぢの主をなんぢの首の上よりとらんとしたまふを汝知やかれいふ然りわれ知り汝等默すべし 012 2KI 002 004 エリヤかれにいひけるはエリシヤよ請ふ汝ここに止れヱホバわれをヱリコに遣したまふなりとエリシヤいふヱホバは活くなんぢの霊魂は活く我なんぢを離じとかれらヱリコにいたる 012 2KI 002 005 ヱリコに在る預言者の徒エリシヤに詣りて彼にいひけるはヱホバの今日なんぢの主をなんぢの首の上よりとらんとしたまふを汝知るやエリシヤ言ふ然り知り汝ら默すべしと 012 2KI 002 006 エリヤまたかれにいひけるは請ふここに止れヱホバわれをヨルダンにつかはしたまふなりとかれいふヱホバは活くなんぢの霊魂は活くわれ汝をはなれじと二人進ゆくに 012 2KI 002 007 預言者の徒五十人ゆきて遥に立て望めり彼ら二人はヨルダンの濱に立けるが 012 2KI 002 008 エリヤその外套をとりて之を巻き水をうちけるに此旁と彼旁にわかれたれば二人は乾ける土の上をわたれり 012 2KI 002 009 渉りける時エリヤ、エリシヤにいひけるは我が取れてなんぢを離るる前に汝わが汝になすべきことを求めよエリシヤいひけるはなんぢの霊の二の分の我にをらんことを願ふ 012 2KI 002 010 エリヤいひけるは汝難き事を求む汝もしわが取れてなんぢを離るるを見ばこの事なんぢにならんしからずば此事なんぢにならじ 012 2KI 002 011 彼ら進みながら語れる時火の車と火の馬あらはれて二人を隔てたりエリヤは大風にのりて天に昇れり 012 2KI 002 012 エリシヤ見てわが父わが父イスラエルの兵車よその騎兵よと叫びしが/再びかれを見ざりき是においてエリシヤその衣をとらへて之を二片に裂き 012 2KI 002 013 エリヤの身よりおちたるその外套をとりあげ返りてヨルダンの岸に立ち 012 2KI 002 014 エリヤの身よりおちたる外套をとりて水をうちエリヤの神ヱホバはいづくにいますやと言ひ而して己も水をうちけるに水此旁と彼旁に分れたればエリシヤすなはち渡れり 012 2KI 002 015 ヱリコにある預言者の徒對岸にありて彼を見て言けるはエリヤの霊エリシヤの上にとどまるとかれら來りてかれを迎へその前に地に伏て 012 2KI 002 016 かれにいひけるは僕等に勇力者五十人あり請ふかれらをして往てなんぢの主を尋ねしめよ恐くはヱホバの霊かれを曳あげてこれを或山か或谷に放ちしならんとエリシヤ遣すなかれと言けれども 012 2KI 002 017 かれら彼の愧るまでに強ければすなはち遣せといへり是に於てかれら五十人の者を遣しけるが三日の間たづねたれども彼を看いださざりしかば 012 2KI 002 018 エリシヤの尚ヱリコに止れる時かれら返りてかれの許にいたりしにエリシヤかれらに言けるはわれ往ことなかれと汝らにいひしにあらずやと 012 2KI 002 019 邑の人々エリシヤにいひけるは視よ吾主の見たまふごとく此邑の建る處は善しされど水あしくしてこの地流產をおこす 012 2KI 002 020 かれ言けるは新しき皿に鹽を盛て我に持ち來れよと乃ちもちきたりければ 012 2KI 002 021 彼いでて水の源に至り鹽を其處になげ入ていひけるはヱホバかくいひたまふわれこの水を愈す此處よりして重て死あるひは流產おこらじと 012 2KI 002 022 其水すなはちエリシヤのいひし如くに愈て今日にいたる 012 2KI 002 023 かれそこよりベテルに上りしが上りて途にありけるとき小童等邑よりいでて彼を嘲り彼にむかひて禿首よのぼれ禿首よのぼれといひければ 012 2KI 002 024 かれ回轉りてかれらをみヱホバの名をもてかれらを呪詛ひければ林の中より二頭の牝熊出てその兒子輩の中四十二人をさきたり 012 2KI 002 025 かれ彼處よりカルメル山にゆき其處よりサマリヤにかへれり 012 2KI 003 001 ユダの王ヨシヤパテの十八年にアハブの子ヨラム、サマリヤにありてイスラエルを治め十二年位にありき 012 2KI 003 002 かれはヱホバの目のまへに惡をなせしかどもその父母の如くはあらざりきそは彼その父の造りしバアルの像を除きたればなり 012 2KI 003 003 されど彼はかのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪を行ひつづけて之をはなれざりき 012 2KI 003 004 モアブの王メシヤは羊を有つ者にして十萬の羔と十萬の牡羊の毛とをイスラエルの王に納めをりしが 012 2KI 003 005 アハブの死しのちモアブの王はイスラエルの王にそむけり 012 2KI 003 006 是に於てヨラム王其時サマリヤを出てイスラエル人をことごとく集め 012 2KI 003 007 また往て人をユダの王ヨシヤパテに遣していはしむモアブの王われに背けり汝われとともにモアブに攻ゆくやと彼いひけるは我上らん我は汝の如くわが民はなんぢの民のごとくまたわが馬は汝の馬の如しと 012 2KI 003 008 ヨラムいひけるは我儕いづれの路より上らんかかれいふエドムの曠野の途よりせんと 012 2KI 003 009 イスラエルの王すなはちユダの王およびエドムの王と共に出ゆきけるが行めぐること七日路にして軍勢とこれにしたがふ家畜の飮むべき水なかりしかば 012 2KI 003 010 イスラエルの王いひけるは嗚呼ヱホバこの三人の王をモアブの手にわたさんと召し集めたまへりと 012 2KI 003 011 ヨシヤバテいひけるは我儕が由てヱホバに問ふべきヱホバの預言者此にあらざるやとイスラエルの王の臣僕の一人答へていふエリヤの手に水をそそぎたるシヤパテの子エリシヤ此にあり 012 2KI 003 012 ヨシヤパテいひけるはヱホバの言彼にありとかくてイスラエルの王およびヨシヤパテとエドムの王かれの許に下りゆきけるに 012 2KI 003 013 エリシヤ、イスラエルの王に言けるはわれ汝と何の干與あらんや汝の父の預言者と汝の母の預言者の所にゆくべしとイスラエルの王かれにいひけるは然ずそはヱホバこの三人の王をモアブの手に付さんとて召集めたまへばなり 012 2KI 003 014 エリシヤ言けるはわが事ふる萬軍のヱホバは活く我ユダの王ヨシヤパテのためにするにあらすばかならず汝を顧みず汝を見ざらんものを 012 2KI 003 015 今樂人をわれにつれ來れと而して樂人の樂をなすにおよびてヱホバの手かれに臨みて 012 2KI 003 016 彼いひけるはヱホバかくいひたまふ此谷に許多の溝を設けよ 012 2KI 003 017 それヱホバかく言ひたまふ汝ら風を見ず雨をも見ざるに此谷に水盈て汝等と汝等の家畜および汝らの獣飮ことを得ん 012 2KI 003 018 然るも是はヱホバの目には瑣細き事なりヱホバ、モアブ人をも汝らの手にわたしたまはん 012 2KI 003 019 汝等は保障ある諸の邑と諸の美しき邑とを撃ち諸の佳樹を斫倒し諸の水の井を塞ぎ石をもて諸の善地を壞ふにいたらん 012 2KI 003 020 かくて朝におよびて供物を献ぐる時に水エドムの途より流れきたりて水國に充つ 012 2KI 003 021 偖またモアブ人はみな王等の己に攻のぼれるを聞しかば甲を著ることを得る以上の者を盡く集めてその境に備へしが 012 2KI 003 022 朝はやく興いでしに水の上に日昇りゐて對面の水血の如くに赤かりければモアブ人これを見て 012 2KI 003 023 いひけるはこれ乃はち血なり王たち戰ひて死たるならん互に相撃たるなるべし然ばモアブよ掠取に行けと 012 2KI 003 024 而してモアブ人イスラエルの陣營に至るにイスラエル人起てこれを撃たればすなはちその前より逃はしれり是においてイスラエル人進みてモアブ人を撃てその國にいり 012 2KI 003 025 その邑々を撃圮し各石を諸の善地に投てこれに填し水の井をことごとく塞ぎ佳樹をことごとく斫たふし唯キルハラセテにその石をのこせしのみなるに至る但し石を投るもの周りあるきてこれを撃り 012 2KI 003 026 モアブ王戰闘の手いたくして當りがたきを見て劍を抜く者七百人をひきゐてエドム王の所にまで衝きいたらんとせしが遂に果さざりしかば 012 2KI 003 027 己の位を継べきその長子をとりてこれを石垣の上にささげて燔祭となしたり是に於てイスラエルに大なる憤怒おこりぬ彼等すなはちかれをすててその國に歸れり 012 2KI 004 001 預言者の徒の妻の中なる一人の婦人エリシヤに呼はりていひけるは汝の僕なるわが夫死りなんぢの僕のヱホバを畏れしことはなんぢの知るところなり今債主きたりてわが二人の子をとりて奴僕となさんとすと 012 2KI 004 002 エリシヤ之にいひけるはわれなんぢの爲に何をなすべきや汝の家に如何なる物あるかわれに告よ彼いひけるは僅少の油のほかは汝の婢の家に有ものなし 012 2KI 004 003 彼いひけるは往て外より鄰の人々より器を借よ空たる器を借るべし少許を借るなかれ 012 2KI 004 004 而してなんぢ入て汝の子等とともに戸の内に閉こもりそのすべての器に油をつぎてその盈るところの者をとりのけおくべし 012 2KI 004 005 婦人すなはち彼を離れて去りその子等とともに戸の内に閉こもり子等のもちきたる器に油をつぎたりしが 012 2KI 004 006 器のみな盈たるときその子にむかひ尚われに器をもちきたれといひけるに器はもはやあらずといひたればその油すなはち止る 012 2KI 004 007 是においてその婦神の人にいたりてかくと告ければかれいふ往て油をうりてその負債をつくのひその餘分をもて汝と汝の子等生計をなすべしと 012 2KI 004 008 一日エリシヤ、シユネムにゆきしに其所に一人の大なる婦人ありてしきりにこれに食をすすめたれば彼かしこを過る毎にそこに入て食をなせり 012 2KI 004 009 茲にその婦人夫にいひけるは視よ此つねにわれらを過る人は我これを見るに神の聖き人なり 012 2KI 004 010 請ふ小き室を石垣の上につくりそこに臥床と案と榻と燭臺をかれのために備へん彼われらに至る時はそこに入るべしと 012 2KI 004 011 かくてのちある日エリシヤそこに至りその室に入てそこに臥たりしが 012 2KI 004 012 その僕ゲハジにむかひ彼のシユナミ人を召きたれといへり彼かの婦人を召たればその前にきたりて立つに 012 2KI 004 013 エリシヤ、ゲハジにいひけるは彼にかく言へ汝かく懇に我らのために意を用ふ汝のために何をなすべきや王または軍勢の長に汝のことを告られんことを望むかと彼答へてわれはわが民の中にをるなりといふ 012 2KI 004 014 エリシヤいひけるは然ばかれのために何をなすべきやゲハジ答へけるは誠にかれは子なくその夫は老たりと 012 2KI 004 015 是においてエリシヤかれを召といひければこれを呼に來りて戸口に立たれば 012 2KI 004 016 エリシヤいふ明る年の今頃汝子を抱くあらん彼いひけるはいなわが主神の人よなんぢの婢をあざむきたまふなかれと 012 2KI 004 017 かくて婦つひに孕て明る年にいたりてエリシヤのいへるその頃に子を生り 012 2KI 004 018 その子育ちてある日刈獲人の所にいでゆきてその父にいたりしが 012 2KI 004 019 父にわが首わが首といひたれば父少者に彼を母のもとに負ゆけと言り 012 2KI 004 020 すなはちこれを負て母にいたりしに午まで母の膝に坐り居て遂に死たれば 012 2KI 004 021 母のぼりゆきてこれを神の人の臥床の上に置きこれをとぢこめて出で 012 2KI 004 022 その夫をよびていひけるは請ふ一人の僕と一頭の驢馬を我につかはせ我神の人の許にはせゆきて歸らんと 012 2KI 004 023 夫いふ何故に汝は今日かれにいたらんとするや今日は朔日にもあらず安息日にもあらざるなり彼いひけるは宜しと 012 2KI 004 024 婦すなはち驢馬に鞍おきてその僕にいひけるは驅て進め吾が命ずることなくば我が騎すすむることに緩漫あらしめざれと 012 2KI 004 025 つひにカルメル山にゆきて神の人にいたるに/神の人遥にかれの來るを見て僕ゲハジにいひけるは視よかしこにかのシユナミ人をる 012 2KI 004 026 請ふ汝はしりゆきて彼をむかへて言へなんぢは平安なるやなんぢの夫はやすらかなるやなんぢの子はやすらかなるやと彼こたへて平安なりといひ 012 2KI 004 027 遂に山にきたりて神の人にいたりその足を抱きたればゲハジこれを逐ひはらはんとて近よりしに神の人いひけるは容しおけ彼は心の中に苦あるなりまたヱホバその事を我にかくしていまだわれに告たまはざるなり 012 2KI 004 028 婦いひけるはわれわが主に子を求めしやわれをあざむきたまふなかれとわれは言ざりしや 012 2KI 004 029 エリシヤすなはちゲハジにいひけるはなんぢ腰をひきからげわが杖を手にもちて行け誰に逢も禮をなすべからず又なんぢに禮をなす者あるともそれに答ふることなかれわが杖をかの子の面の上におけよと 012 2KI 004 030 その子の母いひけるはヱホバは活くなんぢの霊魂は生く我は汝を離れじと是をもてエリシヤついに起て婦に從ひ行ぬ 012 2KI 004 031 ゲハジはかれらに先だちゆきて杖をかの子の面の上に置たるが聲もなく聞もせざりしかばかへりきたりてエリシヤに逢てこれに子いまだ目をさまさずと言ふ 012 2KI 004 032 エリシヤここにおいて家に入て視に子は死ておのれの臥床の上に臥てあれば 012 2KI 004 033 すなはち入り戸をとぢて二人内におりてヱホバに祈り 012 2KI 004 034 而してエリシヤ上りて子の上に伏し己が口をその口におのが目をその目に己が手をその手の上にあて身をもてその子を掩しに子の身體やうやく温まり來る 012 2KI 004 035 かくしてエリシヤかへり來て家の内に其處此處とあゆみをり又のぼりて身をもて子をおほひしに子七度嚏して目をひらきしかば 012 2KI 004 036 ゲハジを呼てかのシユナミ人をよべと言ければすなはちこれを呼り 012 2KI 004 037 彼入來りしかばエリシヤなんぢの子を取ゆけと言りかれすなはち入りてエリシヤの足下に伏し地に身をかがめて其子を取あげて出づ 012 2KI 004 038 斯てエリシヤまたギルガルにいたりしがその地に饑饉あり預言者の徒その前に坐しをる是において彼その僕にいひけるは大なる釜をすゑて預言者の徒のために羹を煮よと 012 2KI 004 039 時に一人田野にゆきて菜蔬を摘しが野籐のあるを見て其より野瓜を一風呂鋪摘きたりて羹の釜の中に截こみたり其は皆それをしらざればなり 012 2KI 004 040 斯てこれを盛て人々に食はせんとせしに彼等その羹を食はんとするにあたりて叫びて嗚呼神の人よ釜の中に死をきたらする者ありといひて得食はざりしかば 012 2KI 004 041 エリシヤさらば粉をもちきたれといひてこれを釜になげ入れ盛て人々に食しめよと言り釜の中にはすなはち害物あらずなりぬ 012 2KI 004 042 茲にバアルシヤリシヤより人來り初穂のパンと大麥のパン二十と圃の初物一袋とを神の人の許にもちいたりたればエリシヤ衆人にあたへて食はしめよと言ふに 012 2KI 004 043 その奴僕いひけるは如何にとや我これを百人の前にそなふべきかと然るに彼また言ふ衆人にあたへて食しめよ夫ヱホバかくいひたまふかれら食ふて尚あます所あらんと 012 2KI 004 044 すなはち之をその前にそなへたればみな食ふてなほ餘せりヱホバの言のごとし 012 2KI 005 001 スリア王の軍勢の長ナアマンはその主君のまへにありて大なる者にしてまた貴き者なりき是はヱホバ曾て彼をもてスリアに拯救をほどこしたまひしが故なり彼は大勇士なりしが癩病をわづらひ居る 012 2KI 005 002 昔にスリア人隊を組ていでたりし時にイスラエルの地より一人の小女を執へゆけり彼ナアマンの妻に事たりしが 012 2KI 005 003 その女主にむかひわが主サマリヤに居る預言者の前にいまさば善らん者をかれその癩病を痊すならんと言たれば 012 2KI 005 004 ナアマン入りてその主君に告てイスラエルの地よりきたれる女子斯々語りたりと言ふに 012 2KI 005 005 スリヤ王いひけるは往よ往よ我イスラエルの王に書をおくるべしと是において彼いでゆき銀十タラントと金六千および衣服十襲をたづさヘ 012 2KI 005 006 イスラエルの王にその書をもちゆけりその文に曰くこの書汝にいたらば視よ我わが臣ナアマンをなんぢに遣はせるなりこは汝にその癩病を痊されんがためなり 012 2KI 005 007 イスラエルの王その書を讀み衣を裂ていふ我神ならんや爭か殺すことをなし生すことをなしえん然るに此人なんぞ癩病の人を我に遣はしてこれを痊さしめんとするや然ば請ふ汝等彼が如何に我に爭を求むるかを見て知れと 012 2KI 005 008 茲に神の人エリシヤ、イスラエルの王がその衣を裂たることをきき王に言遣しけるは汝何とて汝の衣をさきしや彼をわがもとにいたらしめよ然ば彼イスラエルに預言者のあることを知にいたるべし 012 2KI 005 009 是においてナアマンその馬と車とをしたがへ來りてエリシヤの家の門に立けるに 012 2KI 005 010 エリシヤ使をこれに遣して言ふ汝ゆきて身をヨルダンに七たび洗へ然ば汝の肉本にかへりて汝は清く爲べしと 012 2KI 005 011 ナアマン怒りて去り言けるは我は彼かならず我もとにいできたりて立ちその神ヱホバの名を呼てその所の上に手を動して癩病を痊すならんと思へり 012 2KI 005 012 ダマスコの河アバナとパルパルはイスラエルのすべての河水にまさるにあらずや我これらに身を洗ふて清まることを得ざらんやと乃ち身をめぐらし怒りて去る 012 2KI 005 013 時にその僕等近よりてこれにいひけるは我父よ預言者なんぢに大なる事をなせと命ずるとも汝はそれを爲ざらんや况て彼なんぢに身を洗ひて清くなれといふをやと 012 2KI 005 014 是においてナアマン下りゆきて神の人の言のごとくに七たびヨルダンに身を洗ひしにその肉本にかへり嬰兒の肉の如くになりて清くなりぬ 012 2KI 005 015 かれすなはちその從者とともに神の人の許にかへりきたりてその前に立ていふ我いまイスラエルのほかは全地に神なしと知る然ば請ふ僕より禮物をうけよ 012 2KI 005 016 エリシヤいひけるはわが事へまつるヱホバは活く肯て禮物をうけじとかれ強て之を受しめんとしたれども遂にこれを辭したり 012 2KI 005 017 ナアマンいひけるは然ば請ふ騾馬に二駄の土を僕にとらせよ僕は今よりのち他の神には燔祭をも祭品をもささげずして只ヱホバにのみ献げんとす 012 2KI 005 018 ねがはくは主この事につきて僕をゆるしたまへ即ちわが主君リンモンの宮にいりそこにて崇拝をなしてわが手に倚ることありまた我リンモンの宮にありて身をかがむることあらんわがリンモンの宮において身をかがむる時に願くはヱホバその事につきて僕をゆるしたまへと 012 2KI 005 019 エリシヤ彼になんぢ安じて去れといひければ彼エリシヤをはなれて少しく進みゆきけるに 012 2KI 005 020 神の人エリシヤの僕ゲハジいいひけるは吾が主人は此スリア人ナアマンをいたはりて彼が手に携へきたれるものを受ざりしがヱホバは活くわれ彼のあとを追かけて彼より少く物をとらんと 012 2KI 005 021 ゲハジすなはちナアマンのあとをおひ行くにナアマンはおのれのあとに走り來る者あるを見て車より下りこれを迎へて皆平安やと言ふに 012 2KI 005 022 彼言けるは皆平安しわが主我を遣していはしむ只今エフライムの山より預言者の徒なる二人の少者わが許に來れり請ふ汝かれらに銀一タラントと衣二襲をあたへよと 012 2KI 005 023 ナアマンいひけるは望むらくは二タラントを取れとてかれを強ひ銀二タラントを二の袋にいれ衣二襲を添て二人の僕に負せたれば彼等これをゲハジの前に負きたりしが 012 2KI 005 024 彼岡に至りしとき之をかれらの手より取て室のうちにをさめかれらを放ちて去しめ 012 2KI 005 025 而して入てその主人のまへに立つにエリシヤこれにいひけるはゲハジよ何處より來りしや答へていふ僕は何處にもゆかず 012 2KI 005 026 エリシヤいひけるはその人が車をはなれ來りてなんぢを迎へし時にわが心其處にあらざりしや今は金をうけ衣をうけ橄欖園葡萄園羊牛僕婢をうくべき時ならんや 012 2KI 005 027 然ばナアマンの癩病はなんぢにつき汝の子孫におよびて限なからんと彼その前より退ぞくに癩病發して雪のごとくになりぬ 012 2KI 006 001 茲に預言者の徒エリシヤに言けるは視よ我儕が汝とともに住ふ所はわれらのために隘し 012 2KI 006 002 請ふ我儕をしてヨルダンに往しめよ我儕おのおの彼處より一の材木を取て其處に我儕の住べき處を設けんエリシヤ往よと言ふ 012 2KI 006 003 時にその一人希はくは汝も僕等と共に往けと言ければエリシヤ答へて我ゆかんと言ふ 012 2KI 006 004 エリシヤかく彼等とともに往り彼等すなはちヨルダンにいたりて樹を砍りたふしけるが 012 2KI 006 005 一人の材木を砍りたふすに方りてその斧水におちいりしかば叫びて嗚呼主よ是は乞得たる者なりと言ふ 012 2KI 006 006 神の人其は何處におちいりしやと言ふにその處をしらせしかば則ち枝を切おとして其處に投いれてその斧を浮ましめ 012 2KI 006 007 汝これを取れと言ければその人手を伸てこれを取り 012 2KI 006 008 茲にスリアの王イスラエルと戰ひをりその臣僕と評議して斯々の處に我陣を張んと言たれば 012 2KI 006 009 神の人イスラエルの王に言おくりけるは汝愼んで某の處を過るなかれ其はスリア人其處に下ればなりと 012 2KI 006 010 イスラエルの王是において神の人が己に告げ己に敎たる處に人を遣して其處に自防しこと一二回に止まらざりき 012 2KI 006 011 是をもてスリアの王是事のために心をなやましその臣僕を召て我儕の中誰がイスラエルの王と通じをるかを我に告ざるやと言ふに 012 2KI 006 012 その臣僕の一人言ふ王わが主よ然るにあらず但イスラエルの預言者エリシヤ汝が寝室にて語る所の言語をもイスラエルの王に告るなり 012 2KI 006 013 王いひけるは往て彼が安に居かを見よ我人をやりてこれを執へんと茲に彼はドタンに居ると王に告ていふ者ありければ 012 2KI 006 014 王そこに馬と車および大軍をつかはせり彼等すなはち夜の中に來りてその邑を取かこみけるが 012 2KI 006 015 神の人の從屬夙に興て出て見に軍勢馬と車をもて邑を取かこみ居ればその少者エリシヤに言けるは嗚呼わが主よ我儕如何にすべきや 012 2KI 006 016 エリシヤ答へけるは懼るなかれ我儕とともにある者は彼等とともにある者よりも多しと 012 2KI 006 017 ヱリシヤ祈りて願くはヱホバかれの目を開きて見させたまへと言ければヱホバその少者の眼を開きたまへり彼すなはち見るに火の馬と火の車山に盈てエリシヤの四面に在り 012 2KI 006 018 スリア人エリシヤの所に下りいたれる時エリシヤ、ヱホバに祈りて言ふ願くは此人々をして目昏しめたまへと即ちエリシヤの言のごとくにその目を昏しめたまへり 012 2KI 006 019 是においてエリシヤ彼らに言けるは是はその途にあらず是はその城にもあらず我に從ひて來れ我汝らを汝らが尋ぬる人の所に携ゆかんとて彼等をサマリヤにひき至れり 012 2KI 006 020 彼等がサマリヤに至りし時エリシヤ言けるはヱホバよ此人々の目をひらきて見させたまへと即ちヱホバかれらの目を開きたまひたれば彼等見るにその身はサマリヤの中にあり 012 2KI 006 021 イスラエルの王かれらを見てエリシヤに言けるはわが父よ我撃殺すべきや撃殺すべきや 012 2KI 006 022 エリシヤ答けるは撃殺すべからず汝劍と弓をもて擄にせる者等を撃殺すことを爲んやパンと水と彼らの前にそなへて食飮せしめてその主君に往しむべきなり 012 2KI 006 023 王すなはちかれらの爲に大なる饗宴をまうけ其食飮ををはるに及びてこれを去しめたればすなはち其主君に歸れり是をもてスリアの兵ふたたびイスラエルの地に入ざりき 012 2KI 006 024 此後スリアの王ベネハダデその全軍を集めて上りきたりてサマリヤを攻圍みければ 012 2KI 006 025 サマリヤ大に糧食に乏しくなれり即ちかれら之を攻かこみたれば遂に驢馬の頭一箇は銀八十枚にいたり鳩の糞一カブの四分の一は銀五枚にいたる 012 2KI 006 026 茲にイスラエルの王石垣の上を通りをる時一人の婦人かれに呼はりて我主王よ助けたまへと言ければ 012 2KI 006 027 彼言ふヱホバもし汝を助けたまはずば我何をもてか汝を助くることを得ん禾場の物をもてせんか酒榨の中の物をもてせんか 012 2KI 006 028 王すなはち婦に何事なるやと言ば答へて言ふ此婦人我にむかひ汝の子を與へよ我儕今日これを食ひて明日わが子を食ふべしと言り 012 2KI 006 029 斯われら吾子を煮てこれを食ひけるが我次の日にいたりて彼にむかひ汝の子を與へよ我儕これを食はんと言しに彼その子を隱したり 012 2KI 006 030 王その婦人の言を聞て衣を裂き而して石垣の上を通りをりしが民これを見るにその膚に麻布を著居たり 012 2KI 006 031 王言けるは今日シヤパテの子エリシヤの首その身の上にすわりをらば神われに斯なしまた重ねてかく成たまへ 012 2KI 006 032 時にエリシヤはその家に坐しをり長老等これと共に坐し居る王すなはち己の所より人を遣しけるがエリシヤはその使者の未だ己にいたらざる前に長老等に言ふ汝等この人を殺す者の子が我の首をとらんとて人を遣はすを見るや汝等觀てその使者至らば戸を閉てこれを戸の内にいるるなかれ彼の主君の足音その後にするにあらずやと 012 2KI 006 033 斯彼等と語をる間にその使者かれの許に來りしが王もつづいて來り言けるは此災はヱホバより出たるなり我なんぞ此上ヱホバを待べけんや 012 2KI 007 001 エリシヤ言けるは汝らヱホバの言を聽けヱホバかく言たまふ明日の今頃サマリヤの門にて麥粉一セアを一シケルに賣り大麥二セアを一シケルに賣にいたらん 012 2KI 007 002 時に一人の大將すなはち王のその手に依る者神の人に答へて言けるは由やヱホバ天に窓をひらきたまふも此事あるべけんやエリシヤいひけるは汝は汝の目をもて之を見ん然どこれを食ふことはあらじ 012 2KI 007 003 茲に城邑の門の入口に四人の癩病人をりしが互に言けるは我儕なんぞ此に坐して死るを待べけんや 012 2KI 007 004 我ら若邑にいらんと言ば邑には食物竭てあれば我ら其處に死んもし又此に坐しをらば同く死ん然ば我儕ゆきてスリアの軍勢の所にいたらん彼ら我らを生しおかば我儕生ん若われらを殺すも死るのみなりと 012 2KI 007 005 すなはちスリア人の陣營にいたらんとて黄昏に起あがりしがスリアの陣營の邊にいたりて視に一人も其處にをる者なし 012 2KI 007 006 是より先に主スリアの軍勢をして車の聲馬の聲大軍の聲を聞しめたまひしかば彼ら互に言けるは視よイスラエルの王われらに敵せんとてヘテ人の王等およびエジプトの王等を傭ひきたりて我らを襲はんとすと 012 2KI 007 007 すなはち黄昏に起て逃げその天幕と馬と驢馬とを棄て陣營をその儘になしおき生命を全うせんとて逃たり 012 2KI 007 008 かの癩病人等陣營の邊に至りしが遂に一の天幕にいりて食飮し其處より金銀衣服を持さりて往てこれを隱し又きたりて他の天幕にいり其處よりも持さりて往てこれを隱せり 012 2KI 007 009 かくて彼等互に言けるは我儕のなすところ善らず今日は好消息ある日なるに我儕は默し居る若夜明まで待ば菑害身におよばん然ば來れ往て王の眷屬に告んと 012 2KI 007 010 すなはち來りて邑の門を守る者を呼びこれに告て言けるは我儕スリア人の陣營にいたりて視に其處には一人も居る者なく亦人の聲もせず但馬のみ繋ぎてあり驢馬のみ繋ぎてあり天幕は其儘なりと 012 2KI 007 011 是において門を守る者呼はりてこれを王の家の中に報せたれば 012 2KI 007 012 王夜の中に興いでてその臣下に言けるは我スリア人が我儕になせる所の如何を汝等に示さん彼等はわれらの饑たるを知が故に陣營を去て野に隱る是はイスラエル人邑を出なば生擒て邑に推いらんと言て然せるなり 012 2KI 007 013 その臣下の一人對へて言けるは請ふ尚遺されて邑に存れる馬の中五匹を取しめよ我儕人を遣て窺はしめん視よ是等は邑の中に遺れるイスラエルの全群衆のごとし視よ是等は滅び亡たるイスラエルの全群衆のごとくなりと 012 2KI 007 014 是において二輛の戰車とその馬を取り王すなはち往て見よといひて人を遣はしてスリアの軍勢の跡を尾しめたれば 012 2KI 007 015 彼らその跡を尾てヨルダンにいたりしが途には凡てスリア人が狼狽逃る時に棄たる衣服と器具盈りその使者かへりてこれを王に告ければ 012 2KI 007 016 民いでてスリア人の陣營を掠めたり斯在しかば麥粉一セアは一シケルとなり大麥二セアは一シケルと成るヱホバの言のごとし 012 2KI 007 017 爰に王その手に依ところの彼大將を立て門を司らしめたるに民門にて彼を踐たれば死り即ち神の人が王のおのれに下り來し時に言たる言のごとし 012 2KI 007 018 又神の人が王につげて明日の今頃サマリヤの門にて大麥二セアを一シケルに賣り麥粉二セアを一シケルに賣にいたらんと言しごとくに成ぬ 012 2KI 007 019 彼大將その時に神の人にこたへてヱホバ天に窓をひらきたまふも此事あるべけんやと言たりしかば答へて汝目をもてこれを見べけれどもこれを食ふことはあらじと言たりしが 012 2KI 007 020 そのごとくになりぬ即ち民門にてかれを踐て死しめたり 012 2KI 008 001 エリシヤ甞てその子を甦へらせて與へし婦に言しことあり曰く汝起て汝の家族とともに往き汝の寄寓んとおもふ處に寄寓れ其はヱホバ饑饉を呼くだしたまひたれば七年の間この地に臨むべければなりと 012 2KI 008 002 是をもて婦起て神の人の言のごとくに爲しその家族とともに往てペリシテ人の地に七年寄寓ぬ 012 2KI 008 003 かくて七年を經て後婦人ペリシテ人の地より歸りしが自己の家と田畝のために王に呼もとめんとて往り 012 2KI 008 004 時に王は神の人の僕ゲハジにむかひ請ふエリシヤが爲し諸の大なる事等を我に告よと言てこれと談話をる 012 2KI 008 005 即ち彼エリシヤが死人を甦らせしことを王にものがたりをる時にその子を彼が甦らせし婦自己の家と田畝のために王に呼もとめければゲハジ言ふわが主王よ是すなはちその婦人なり是すなはちエリシヤが甦らせしその子なり 012 2KI 008 006 王すなはちその婦に尋ねけるにこれを陳たれば王彼のために一人の官吏を派出して言ふ凡て彼に屬する物並に彼がこの地を去し日より今にいたるまでの其田畝の產出物を悉く彼に還せよと 012 2KI 008 007 エリシヤ、ダマスコに至れる事あり時にスリアの王ベネハダデ病にかかりをりしがこれにつげて神の人此にきたると言ふ者ありければ 012 2KI 008 008 王ハザエルに言ふ汝手に禮物をとり往て神の人を迎へ彼によりてヱホバに吾この病は愈るやと言て問へ 012 2KI 008 009 是においてハザエルかれを迎へんとて出往きダマスコのもろもろの佳物駱駝に四十駄を禮物に携へて到りて彼の前に立ち曰けるは汝の子スリアの王ベネハダデ我を汝につかはして吾この病は愈るやと言しむ 012 2KI 008 010 エリシヤかれに言けるは往てかれに汝はかならず愈べしと告よ但しヱホバかれはかならず死んと我にしめしたまふなり 012 2KI 008 011 而して神の人瞳子をさだめて彼の羞るまでに見つめ乃て哭いでたれば 012 2KI 008 012 ハザエルわが主よ何て哭たまふやと言ふにエリシヤ答へけるは我汝がイスラエルの子孫になさんところの害惡を知ばなり即ち汝は彼等の城に火をかけ壯年の人を劍にころし子等を挫ぎ孕女を刳ん 012 2KI 008 013 ハザエル言けるは汝の僕は犬なるか何ぞ斯る大なる事をなさんエリシヤ答へけるはヱホバ我にしめしたまふ汝はスリアの王となるにいたらん 012 2KI 008 014 斯て彼エリシヤを離れて去てその主君にいたるにエリシヤは汝に何と言しやと尋ければ答へて彼汝はかならず愈るあらんと我に告たりと言ふ 012 2KI 008 015 翌日にいたりてハザエル粗き布をとりて水に浸しこれをもて王の面を覆ひたれば死りハザエルすなはち之にかはりて王となる 012 2KI 008 016 イスラエルの王アハブの子ヨラムの五年にはヨシヤパテ尚ユダの王たりき此年にユダの王ヨシヤバテの子ヨラム位に即り 012 2KI 008 017 彼は位に即し時三十二歳にして八年の間エルサレムにて世を治めたり 012 2KI 008 018 彼はアハブの家のなせるがごとくにイスラエルの王等の道を行へりアハブの女かれの妻なりければなり斯彼はヱホバの目の前に惡をなせしかども 012 2KI 008 019 ヱホバその僕ダビデのためにユダを滅すことを好みたまはざりき即ち彼にその子孫によりて恒に光明を與んと言たまひしがごとし 012 2KI 008 020 ヨラムの代にエドム叛きてユダの手に服せず自ら王を立たれば 012 2KI 008 021 ヨラムその一切の戰車をしたがへてザイルに渉りしが遂に夜の中に起あがりて自己を圍めるエドム人を撃ちその戰車の長等を撃り斯して民はその天幕に逃ゆきぬ 012 2KI 008 022 エドムは斯叛きてユダの手に服せずなりしが今日まで然り此時にあたりてリブナもまた叛けり 012 2KI 008 023 ヨラムのその餘の行爲およびその凡て爲たる事等はユダの王の歴代志の書に記さるるにあらずや 012 2KI 008 024 ヨラムその先祖等とともに寝りてダビデの邑にその先祖たちと同じく葬られその子アハジアこれに代りて王となれり 012 2KI 008 025 イスラエルの王アハブの子ヨラムの十二年にユダの王ヨラムの子アハジア位に即り 012 2KI 008 026 アハジアは位に即し時二十二歳にしてエルサレムにて一年世を治めたりその母はイスラエルの王オムリの孫女にして名をアタリヤといふ 012 2KI 008 027 アハジアはアハブの家の道にあゆみアハブの家のごとくにヱホバの目の前に惡をなせり是かれはアハブの家の婿なりければなり 012 2KI 008 028 茲にアハブの子ヨラム自身ゆきてスリアの王ハザエルとギレアデのラモテに戰ひけるがスリア人等ヨラムに傷を負せたり 012 2KI 008 029 是に於てヨラム王はそのスリアの王ハザエルと戰ふにあたりてラマに於てスリア人に負せられたるところの傷を療さんとてヱズレルに歸れりユダの王ヨラムの子アハジアはアハブの子ヨラムが病をるをもてヱズレルに下りて之を訪ふ 012 2KI 009 001 茲に預言者エリシヤ預言者の徒一人を呼てこれに言ふ汝腰をひきからげ此膏の瓶を手にとりてギレアデのラモテに往け 012 2KI 009 002 而して汝かしこに到らばニムシの子なるヨシヤパテの子ヱヒウを其處に尋獲て内に入り彼をその兄弟の中より起しめて奧の間につれゆき 012 2KI 009 003 膏の瓶をとりその首に灌ぎて言へヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてイスラエルの王となすと而して戸を開きて逃されよ止ること勿れ 012 2KI 009 004 是において預言者の僕なるその少者ギレアデのラモテに往けるが 012 2KI 009 005 到りて見るに軍勢の長等坐してをりければ將軍よ我汝に告べき事ありと言ふにヱヒウこたへて我儕諸人の中の誰にかと言たれば將軍よ汝にと言ふ 012 2KI 009 006 ヱヒウすなはち起て家にいりければ彼その首に膏をそそぎて之に言ふイスラエルの神ヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてヱホバの民イスラエルの王となす 012 2KI 009 007 汝はその主アハブの家を撃ほろぼすべし其によりて我わが僕なる預言者等の血とヱホバの諸の僕等の血をイゼベルの身に報いん 012 2KI 009 008 アハブの家は全く滅亡べしアハブに屬する男はイスラエルにありて繋がれたる者も繋がれざる者もともに之を絶べし 012 2KI 009 009 我アハブの家をネバテの子ヤラベアムの家のごとくに爲しアヒヤの子バアシヤの家のごとくになさん 012 2KI 009 010 ヱズレルの地において犬イゼベルを食ふべし亦これを葬るものあらじと而して戸を啓きて逃されり 012 2KI 009 011 かくてヱヒウその主の臣僕等の許にいできたりたれば一人之に言ふ平安なるやこの狂る者何のために汝にきたりしやヱヒウこたへて汝等はかの人を知りまたその言ところを知なりと言ふに 012 2KI 009 012 彼等言けらく謊なり其を我儕に告よと是においてヱヒウ言けるは彼斯々我につげて言りヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてイスラエルの王となすと 012 2KI 009 013 彼等すなはち急ぎて各人その衣服をとりこれを階の上ヱヒウの下に布き喇叭を吹てヱヒウは王たりと言り 012 2KI 009 014 ニムシの子なるヨシヤバテの子ヱヒウ斯ヨラムに叛けり(ヨラムはイスラエルを盡くひきゐてギレアデのラモテに於てスリアの王ハザエルを禦ぎたりしが 012 2KI 009 015 ヨラム王はそのスリアの王ハザエルと戰ふ時にスリア人に負せられたるところの傷を痊さんとてヱズレルに歸りてをる)ヱヒウ言けるは若なんぢらの心にかなはば一人もこの邑より走いでてこれをヱズレルに言ふ者なからしめよと 012 2KI 009 016 ヱヒウすなはちヱズレルをさして乗往りヨラムかしこに臥をればなりまたユダの王アハジアはヨラムを訪に下りてをる 012 2KI 009 017 ヱズレルの戌樓に一箇の守望者立をりしがヱヒウの群衆のきたるを見て我群衆を見るといひければヨラム言ふ一人を馬に乗て遣し其に會しめて平安なるやと言しめよと 012 2KI 009 018 是において一人馬にて行てこれに會ひ王かく宣まふ平安なるやと言ふにヱヒウ言けるは平安は汝の與るところならんや吾後にまはれと守望者また告て言ふ使者かれらの許に往たるが歸り來ずと 012 2KI 009 019 是をもて再び人を馬にて遣したればその人かれらに到りて王かく宣まふ何か變事あるやと言ふにヱヒウ答て平安は汝の與るところならんや吾後にまはれと言ふ 012 2KI 009 020 守望者また告て言ふ彼も彼等の所にまで到りしが歸り來ずその車を趨するはニムシの子ヱヒウが趨するに似狂ふて趨らせ來る 012 2KI 009 021 是においてヨラム車を整へよと言ひけるが車整ひたればイスラエルの王ヨラムとユダの王アハジアおのおのその車にて出たり即ちかれらヱヒウにむかひて出きたりヱズレル人ナボテの地にて之に會けるが 012 2KI 009 022 ヨラム、ヱヒウを見てヱヒウよ平安なるやといひたればヱヒウこたへて汝の母イゼベルの姦淫と魔術と斯多かれば何の平安あらんやと云り 012 2KI 009 023 ヨラムすなはち手をめぐらして逃げアハジアにむかひ反逆なりアハジアよと言ふに 012 2KI 009 024 ヱヒウ手に弓をひきしぼりてヨラムの肩の間を射たればその矢かれの心をいぬきて出で彼は車の中に偃ししづめり 012 2KI 009 025 ヱヒウその將ビデカルに言けるは彼をとりてヱズレル人ナボテの地の中に投すてよ其は汝憶ふべし甞て我と汝と二人ともに乗て彼の父アハブに從へる時にヱホバ斯かれの事を預言したまへり 012 2KI 009 026 曰くヱホバ言ふ誠に我昨日ナボテの血とその子等の血を見たりヱホバ言ふ我この地において汝にむくゆることあらんと然ば彼をとりてその地になげすててヱホバの言のごとくにせよ 012 2KI 009 027 ユダの王アハジアはこれを視て園の家の途より逃ゆきけるがヱヒウその後を追ひ彼をも車の中に撃ころせと言しかばイブレアムの邊なるグルの坂にてこれを撃たればメギドンまで逃ゆきて其處に死り 012 2KI 009 028 その臣僕等すなはち之を車にのせてエルサレムにたづさへゆきダビデの邑においてかれの墓にその先祖等とおなじくこれを葬れり 012 2KI 009 029 アハブの子ヨラムの十一年にアハジアはユダの王となりしなり 012 2KI 009 030 斯てヱヒウ、ヱズレルにきたりしかばイゼベル聞てその目を塗り髮をかざりて窓より望みけるが 012 2KI 009 031 ヱヒウ門に入きたりたればその主を弑せしジムリよ平安なるやと言り 012 2KI 009 032 ヱヒウすなはち面をあげて窓にむかひ誰か我に與ものあるや誰かあるやと言けるに二三の寺人ヱヒウを望みたれば 012 2KI 009 033 彼を投おとせと言りすなはち之を投おとしたればその血牆と馬とにほどばしりつけりヱヒウこれを踏とほれり 012 2KI 009 034 斯て彼内にいりて食飮をなし而して言けるは往てかの詛はれし婦を見これを葬れ彼は王の女子なればなりと 012 2KI 009 035 是をもて彼を葬らんとて往て見るにその頭骨と足と掌とありしのみなりければ 012 2KI 009 036 歸りで彼につぐるに彼言ふ是すなはちヱホバがその僕なるテシベ人エリヤをもて告たまひし言なり云くヱズレルの地において犬イゼベルの肉を食はん 012 2KI 009 037 イゼベルの屍骸はヱズレルの地に於て糞土のごとくに野の表にあるべし是をもて是はイゼベルなりと指て言ふこと能ざらん 012 2KI 010 001 アハブ、サマリヤに七十人の子あり茲にヱヒウ書をしたためてサマリヤにおくり邑の牧伯等と長老等とアハブの子等の師傳等とに傳へて云ふ 012 2KI 010 002 汝らの主の子等汝らとともにあり又汝等は車も馬も城もあり且武器もあれば此書汝らの許にいたらば 012 2KI 010 003 汝らの主の子等の中より最も優れる方正き者を選みだ出してその父の位に置ゑ汝等の主の家のために戰へよ 012 2KI 010 004 彼ら大に恐れて言ふ二人の王等すでに彼に當ることを得ざりしなれば我儕いかでか當ることを得んと 012 2KI 010 005 乃ち家宰邑宰長老師傳等ヱヒウに言おくりけるは我儕は汝の僕なり凡て汝が我儕に命ずる事を爲ん我儕は王を立るを好まず汝の目に善と見ゆる所を爲せ 012 2KI 010 006 是においてヱヒウ再度かれらに書をおくりて云ふ汝らもし我に與き我言にしたがふならば汝らの主の子なる人々の首をとりて明日の今頃ヱズレルにきたりて吾許にいたれと當時王の子七十人はその師傳なる邑の貴人等とともに居る 012 2KI 010 007 その書かれらに至りしかば彼等王の子等をとらへてその七十人をことごとく殺しその首を籃につめてこれをヱズレルのヱヒウの許につかはせり 012 2KI 010 008 すなはち使者いたりてヱヒウに告て人衆王の子等の首をたづさへ來れりと言ければ明朝までそれを門の入口に二山に積おけと言り 012 2KI 010 009 朝におよび彼出て立ちすべての民に言ふ汝等は義し我はわが主にそむきて之を弑したり然ど此すべての者等を殺せしは誰なるぞや 012 2KI 010 010 然ば汝等知れヱホバがアハブの家につきて告たまひしヱホバの言は一も地に隕ず即ちヱホバはその僕エリヤによりて告し事を成たまへりと 012 2KI 010 011 斯てヱヒウはアハブの家に屬する者のヱズレルに遺れるを盡く殺しまたその一切の重立たる者その親き者およびその祭司等を殺して彼に屬する者を一人も遺さざりき 012 2KI 010 012 ヱヒウすなはち起て往てサマリヤに至りしがヱヒウ途にある時牧者の集會所において 012 2KI 010 013 ユダの王アハジアの兄弟等に遇ひ汝等は何人なるやと言けるに我儕はアハジアの兄弟なるが王の子等と王母の子等の安否を問んとて下るなりと答へたれば 012 2KI 010 014 彼等を生擒れと言り即ちかれらを生擒りその集會所の穴の側にて彼等四十二人を盡く殺し一人をも遺さざりき 012 2KI 010 015 斯てヱヒウ其處より進みゆきしがレカブの子ヨナダブの己を迎にきたるに遭ければその安否をとふてこれに汝の心はわが心の汝の心と同一なるがごとくに眞實なるやと言けるにヨナダブ答へて眞實なりと言たれば然ば汝の手を我に伸よと言ひその手を伸ければ彼を挽て己の車に登らしめて 012 2KI 010 016 言ふ我とともに來りて我がヱホバに熱心なるを見よと斯かれを己の車に乗しめ 012 2KI 010 017 サマリヤにいたりてアハブに屬する者のサマリヤに遺れるを盡く殺して遂にその一族を滅せりヱホバのエリヤに告たまひし言語のごとし 012 2KI 010 018 茲にヱヒウ民をことごとく集てこれに言けるはアハブは少くバアルに事たるがヱヒウは大にこれに事へんとす 012 2KI 010 019 然ば今バアルの諸の預言者諸の臣僕諸の祭司等を我許に召せ一人も來らざる者なからしめよ我大なる祭祀をバアルのためになさんとするなり凡て來らざる者は生しおかじと但しヱヒウ、バアルの僕等を滅さんとて偽りて斯なせるなり 012 2KI 010 020 ヱヒウすなはちバアルの祭禮を設よと言ければ之を宣たり 012 2KI 010 021 是てヱヒウあまねくイスラエルに人をつかはしたればバアルの僕たる者皆きたれり一人も來らずして遺れるものはあらざりき彼等バアルの家にいりたればバアルの家は末より末まで充わたれり 012 2KI 010 022 時にヱヒウ衣裳を掌どる者てむかひ禮服をとりいだしてバアルの凡の僕等にあたへよといひければすなはち禮服をとりいだせり 012 2KI 010 023 斯ありてヱヒウはレカブの子ヨナダブとともにバアルの家にいりしがバアルの僕等に言ふ汝等尋ね見て此には只バアルの僕のみあらしめヱホバの僕を一人も汝らの中にあらしめざれと 012 2KI 010 024 彼等犠牲と燔祭を献げんとて入し時ヱヒウ八十人の者を外に置て言ふ凡てわがその手にわたすところの人を一人にても逃れしむる者は己の生命をもてその人の生命に代べしと 012 2KI 010 025 期て燔祭を献ぐることの終りし時ヱヒウその士卒と諸將に言ふ入てかれらを殺せ一人をも出すなかれとすなはち刃をもて彼等を撃ころせり而して士卒と諸將これを投いだしてバアルの家の内殿に入り 012 2KI 010 026 諸の像をバアルの家よりとりいだしてこれを燒り 012 2KI 010 027 即ちかれらバアルの像をこぼちバアルの家をこぼち其をもて厠を造りしが今日までのこる 012 2KI 010 028 ヱヒウかくイスラエルの中よりバアルを絶さりたりしかども 012 2KI 010 029 ヱヒウは尚かのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離るることをせざりき即ち彼なほベテルとダンにあるところの金の犢に事たり 012 2KI 010 030 ヱホバ、ヱヒウに言たまひけらく汝わが義と視るところの事を行ふにあたりて善く事をなしまたわが心にある諸の事をアハブの家になしたれば汝の子孫は四代までイスラエルの位に坐せんと 012 2KI 010 031 然るにヱヒウは心を盡してイスラエルの神ヱホバの律法をおこなはんとはせず尚かのイスラエルに罪を犯させたるヤラベアムの罪に離れざりき 012 2KI 010 032 是時にあたりてヱホバ、イスラエルを割くことを始めたまへりハザエルすなはちイスラエルの一切の邊境を侵し 012 2KI 010 033 ヨルダンの東においてギレアデの全地ガド人ルベン人マナセ人の地を侵しアルノン河の邊なるアロエルよりギレアデにいたりバシヤンにおよべり 012 2KI 010 034 ヱヒウのその餘の行爲とその凡て爲たる事むよびその大なる能はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるにあらずや 012 2KI 010 035 ヱヒウその先祖等とともに寝りたればこれをサマリヤに葬りぬその子ヱホアハズこれに代て王となれり 012 2KI 010 036 ヱヒウがサマリヤにをりてイスラエルに王たりし間は二十八年なりき 012 2KI 011 001 茲にアハジアの母アタリヤその子の死たるを見て起て王の種を盡く滅したりしが 012 2KI 011 002 ヨラム王の女にしてアハジアの姉妹なるヱホシバといふ者アハジアの子ヨアシを王の子等の殺さるる者の中より竊みとり彼とその乳母を夜着の室にいれて彼をアタリヤに匿したれば終にころされざりき 012 2KI 011 003 ヨアシは彼とともに六年ヱホバの家に隱れてをりアタリヤ國を治めたり 012 2KI 011 004 第七年にいたりヱホヤダ人を遣して近衛兵の大將等を招きよせヱホバの家にきたりて己に就しめ彼等と契約を結び彼らにヱホバの家にて誓をなさしめて王の子を見し 012 2KI 011 005 かれらに命じて言ふ汝等がなすべき事は是なり汝等安息日に入きたる者は三分の一は王の家をまもり 012 2KI 011 006 三分の一はスル門にをり三分の一は近衛兵の後の門にをるべし斯なんぢら宮殿をまもりて人をいるべからず 012 2KI 011 007 また凡て汝等安息日に出ゆく者はその二手ともにヱホバの家において王をまもるべし 012 2KI 011 008 すなはち汝らおのおの武器を手にとりて王を環て立べし凡てその列を侵す者をば殺すべし汝等又王の出る時にも入る時にも王とともにをるべし 012 2KI 011 009 是においてその將官等祭司ヱホヤダが凡て命ぜしごとくにおこなへり即ちかれらおのおの其手の人の安息日に入くべき者と安息日に出ゆくべき者とを率て祭司ヱホヤダに至りしかば 012 2KI 011 010 祭司はヱホバの殿にあるダビデ王の槍と楯を大將等にわたせり 012 2KI 011 011 近衛兵はおのおの手に武器をとりて王の四周にをり殿の右の端より左の端におよびて壇と殿にそひて立つ 012 2KI 011 012 ヱホヤダすなはち王子を進ませて之に冠冕をいただかせ律法をわたし之を王となして之に膏をそそぎければ人衆手を拍て王長壽かれと言り 012 2KI 011 013 茲にアタリヤ近衛兵と民の聲を聞きヱホバの殿にいりて民の所にいたり 012 2KI 011 014 見るに王は常例のごとくに高座の上に立ち其傍に大將等と喇叭手立をり又國の民みな喜びて喇叭を吹をりしかばアタリヤ其衣を裂て反逆なり反逆なりと叫べり 012 2KI 011 015 時に祭司ヱホヤダ大將等と軍勢の士官等に命じてこれに言ふ彼をして列の間をとほりて出しめよ彼に從がふ者をば劍をもて殺せと前にも祭司は彼をヱホバの家に殺すべからずと言おけり 012 2KI 011 016 是をもて彼のために路をひらきければ彼王の家の馬道をとほりゆきしが遂に其處に殺されぬ 012 2KI 011 017 斯てヱホヤダはヱホと王と民の間にその皆ヱホバの民とならんといふ契約を立しめたり亦王と民の間にもこれを立しめたり 012 2KI 011 018 是をもて國の民みなバアルの家にいりてこれを毀ちその壇とその像を全く打碎きバアルの祭司マツタンをその壇の前に殺せり而して祭司ヱホバの家に監督者を設けたり 012 2KI 011 019 ヱホヤダすなはち大將等と近衛兵と國の諸の民を率てヱホバの家より王をみちびき下り近衛兵の門の途よりして王の家にいたり王の位に坐せしめたり 012 2KI 011 020 斯有しかば國の民はみな喜びて邑は平穩なりきアタリヤは王の家に殺されぬ 012 2KI 011 021 ヨアシは位に即し時七歳なりき 012 2KI 012 001 ヨアシはヱヒウの七年に位に即きエルサレムにおいて四十年世を治めたりその母はベエルシバより出たるものにて名をヂビアといへり 012 2KI 012 002 ヨアシは祭司ヱホヤダの己を誨ふる間は恒にヱホバの善と視たまふ事をおこなへり 012 2KI 012 003 然ど崇邱は除かずしてあり民は尚その崇邱において犠牲をささげ香を焚り 012 2KI 012 004 茲にヨアシ祭司等に言けるは凡てヱホバの家に聖別て献納るところの金即ち核數らるる人の金估價にしたがひて出すところの身の代の金および人々が心より願てヱホバの家に持きたるところの金 012 2KI 012 005 これを祭司等おのおのその知人より受をさめ何處にても殿に破壞の見る時はこれをもてその破壞を修繕ふべしと 012 2KI 012 006 然るにヨアシ王の二十三年におよぶまで祭司等殿の破壞を修繕ふにいたらざりしかば 012 2KI 012 007 ヨアシ王祭司ヱホヤダおよびその他の祭司等を召てこれに言ふ汝等などて殿の破壞を修繕はざるや然ば今よりは汝等の知人より金を受て自己のためにすべからず唯殿の破壞の修理に其を供ふべしと 012 2KI 012 008 祭司等は重て民より自己のために金を受ず又殿の破壞を修理ふことをせじと約せり 012 2KI 012 009 斯て後祭司ヱホヤダ一箇の櫃をとりその蓋に孔を穿ちてこれをヱホバの家の入口の右において壇の傍に置り門守の祭司等すなはちヱホバの家に入きたるところの金をことごとくその中に入たり 012 2KI 012 010 爰にその櫃の中に金の多くあることを見たれば王の書記と祭司長と上り來りてそのヱホバの家に積りし金を包みてこれを數へ 012 2KI 012 011 その數へし金をこの工事をなす者に付せり即ちヱホバの家の監督者にこれを付しければ彼等またヱホバの家を修理ふところの木匠と建築師にこれを與へ 012 2KI 012 012 石工および琢石者に與へまたこれをもてヱホバの家の破壞を修繕ふ材木と琢石を買ひ殿を修理ふために用ふる諸の物のためにこれを費せり 012 2KI 012 013 但しヱホバの家にり來れるその金をもてヱホバの家のために銀の盂燈剪鉢喇叭金の器銀の器等を造ることはせざりき 012 2KI 012 014 唯これをその工事をなす者にわたして之をもてヱホバの家を修理はしめたり 012 2KI 012 015 またその金を手にわたして工人にはらはしめたる人々と計算をなすことをせざりき是は彼等忠厚に事をなしたればなり 012 2KI 012 016 愆金と罪金はヱホバの家にいらずして祭司に歸せり 012 2KI 012 017 當時スリアの王ハザエルのぼり來りてガテを攻てこれを取り而してハザエル、エルサレムに攻のぼらんとてその面をこれに向たり 012 2KI 012 018 是をもてユダの王ヨアシその先祖たるユダの王ヨシヤパテ、ヨラム、アハジア等が聖別て献げたる一切の物および自己が聖別て献げたる物ならびにヱホバの家の庫と王の家とにあるところの金を悉く取てこれをスリアの王ハザエルにおくりければ彼すなはちエルサレムを離れて去ぬ 012 2KI 012 019 ヨアシのその餘の行爲およびその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書に記さるるにあらずや 012 2KI 012 020 茲にヨアシの臣僕等おこりて黨をむすびシラに下るところのミロの家にてヨアシを弑せり 012 2KI 012 021 即ちその僕シメアテの子ヨザカルとシヨメルの子ヨザバデかれを弑して死しめたればその先祖とおなじくこれをダビデの邑に葬れりその子アマジヤこれに代りて王となる 012 2KI 013 001 ユダの王アハジアの子ヨアシの二十三年にヱヒウの子ヨハアズ、サマリヤにおいてイスラエルの王となり十七年位にありき 012 2KI 013 002 彼はヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪を行ひつづけて之に離れざりき 012 2KI 013 003 是においてヱホバ、イスラエルにむかひて怒を發しこれをその代のあひだ恒にスリアの王ハザエルの手にわたしおき又ハザエルの子ベネハダデの手に付し置たまひしが 012 2KI 013 004 ヨアハズ、ヱホバに請求めたればヱホバつひにこれを聽いれたまへり其はイスラエルの苦難を見そなはしたればなり即ちスリアの王これをなやませるなり 012 2KI 013 005 ヱホバつひに救者をイスラエルにたまひたればイスラエルの子孫はスリア人の手を脱れて疇昔の如くに己々の天幕に住にいたれり 012 2KI 013 006 但し彼等はイスラエルに罪を犯さしめたるヤラベアムの家の罪をはなれずして之をおこなひつづけたりサマリヤにも亦アシタロテの像たちをりぬ 012 2KI 013 007 嚮にスリアの王は民を滅し踐くだく塵のごとくに是をなして只騎兵五十人車十輌歩兵一萬人而巳をヨアハズに遺せり 012 2KI 013 008 ヨアハズのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびその能はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるに非ずや 012 2KI 013 009 ヨアハズその先祖等とともに寝りたればこれをサマリヤに葬れりその子ヨアシこれに代て王となる 012 2KI 013 010 ユダの王ヨアシの三十七年にヨアハズの子ヨアシ、サマリヤにおいてイスラエルの王となり十六年位にありき 012 2KI 013 011 彼ヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの諸の罪にはなれずしてこれを行ひつづけたり 012 2KI 013 012 ヨアシのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびそのユダの王アマジヤと戰ひし能はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるに非ずや 012 2KI 013 013 ヨアシその先祖等とともに寝りてヤラベアム位にのぼれりヨアシはイスラエルの王等とおなじくサマリヤに葬らる 012 2KI 013 014 茲にエリシヤ死病にかかりて疾をりしかばイスラエルの王ヨアシ彼の許にくだり來てその面の上に涙をこぼし吾父吾父イスラエルの兵車よその騎兵よと言り 012 2KI 013 015 エリシヤかれにむかひ弓矢をとれと言ければすなはち弓矢をとれり 012 2KI 013 016 エリシヤまたイスラエルの王に汝の手を弓にかけよと言ければすなはちその手をかけたり是においてエリシヤその手を王の手の上に按て 012 2KI 013 017 東向の窓を開けと言たれば之を開きけるにエリシヤまた射よと言り彼すなはち射たればエリシヤ言ふヱホバよりの拯救の矢スリアに對する拯救の矢汝必らずアベクにおいてスリア人を撃やぶりてこれを滅しつくすにいたらん 012 2KI 013 018 エリシヤまた矢を取れと言ければ取りエリシヤまたイスラエルの王に地を射よといひけるに三次射て止たれば 012 2KI 013 019 神の人怒て言ふ汝は五回も六回も射るべかりしなり然せしならば汝スリアを撃やぶりて之を滅しつくすことを得ん然ど今然せざれば汝がスリアを撃やぶることは三次のみなるべしと 012 2KI 013 020 エリシヤ終に死たればこれを葬りしが年の立かへるに及てモアブの賊黨國にいりきたれり 012 2KI 013 021 時に一箇の人を葬らんとする者ありしが賊黨を見たればその人をエリシヤの墓におしいれけるにその人いりてエリシヤの骨にふるるや生かへりて起あがれり 012 2KI 013 022 スリアの王ハザエルはヨアハズの一生の間イスラエルをなやましたりしが 012 2KI 013 023 ヱホバそのアブラハム、イサク、ヤコブと契約をむすびしがためにイスラエルをめぐみ之を憐みこれを眷みたまひ之を滅すことを好まず尚これをその前より棄はなちたまはざりき 012 2KI 013 024 スリアの王ハザエルつひに死てその子ベネハダデこれに代りて王となれり 012 2KI 013 025 是においてヨアズの子ヨアシはその父ヨアハズがハザエルに攻取れたる邑々をハザエルの子ベネハダデの手より取かへせり即ちヨアシは三次かれを敗りてイスラエルの邑々を取かへしぬ 012 2KI 014 001 イスラエルの王ヨアハズの子ヨアシの二年にユダの王ヨアシの子アマジヤ王となれり 012 2KI 014 002 彼は王となれる時二十五歳にして二十九年の間エルサレムにて世を治めたりその母はエルサレムの者にして名をヱホアダンと云り 012 2KI 014 003 アマジヤはヱホバの善と見たまふ事をなしたりしがその先祖ダビデのごとくはあらざりき彼は萬の事において其父ヨアシがなせしごとくに事をなせり 012 2KI 014 004 惟崇邱はのぞかずしてあり民はなほその崇邱において犠牲をささげ香を焚り 012 2KI 014 005 彼は國のその手に堅くたつにおよびてその父王を弑せし臣僕等を殺したりしが 012 2KI 014 006 その弑殺人の子女等は殺さざりき是はモーセの律法の書に記されたる所にしたがへるなり即ちヱホバ命じて言たまはく子女の故によりて父を殺すべからず父の故によりて子女を殺すべからず人はみなその身の罪によりて死べき者なりと 012 2KI 014 007 アマジヤまた鹽谷においてエドミ人一萬を殺せり亦セラを攻とりてその名をヨクテルとなづけしが今日まで然り 012 2KI 014 008 かくてアマジヤ使者をヱヒウの子ヨアハズの子なるイスラエルの王ヨアシにおくりて來れ我儕たがひに面をあはせんと言しめければ 012 2KI 014 009 イスラエルの王ヨアシ、ユダの王アマジヤに言おくりけるはレバノンの荊棘かつてレバノンの香柏に汝の女子をわが子の妻にあたへよと言おくりたることありしにレバノンの野獣とほりてその荊棘を踏たふせり 012 2KI 014 010 汝は大にエドムに勝たれば心に誇るその榮譽にやすんじて家に居れなんぞ禍を惹おこして自己もユダもともに亡んとするやと 012 2KI 014 011 然るにアマジヤ聽ことをせざりしかばイスラエルの王ヨアシのぼり來れり是において彼とユダの王アマジヤはユダのベテシメシにてたがひに面をあはせたりしが 012 2KI 014 012 ユダ、イスラエルに敗られて各人その天幕に逃かへりぬ 012 2KI 014 013 是においてイスラエルの王ヨアシはアジアの子ヨアシの子なるユダの王アマジヤをベテシメシに擒へ而してエルサレムにいたりてエルサレムの石垣をエフライムの門より隅の門まで凡そ四百キユビトを毀ち 012 2KI 014 014 またヱホバの家と王の家の庫とにあるところの金銀および諸の器をとりかつ人質をとりてサマリヤにかへれり 012 2KI 014 015 ヨアシがなしたるその餘の行爲とその能およびそのイスラエルの王アマジヤと戰ひし事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 014 016 ヨアシその先祖等とともに寝りてイスラエルの王等とともにサマリヤに葬られその子ヤラベアムこれに代りて王となれり 012 2KI 014 017 ヨアシの子なるユダの王アマジヤはヨアハズの子なるイスラエルの王ヨアシの死てより後なほ十五年生存へたり 012 2KI 014 018 アマジヤのその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 014 019 茲にエルサレムにおいて黨をむすびて彼に敵する者ありければ彼ラキシに逃ゆきけるにその人々ラキシに人をやりて彼を彼處に殺さしめたり 012 2KI 014 020 人衆かれを馬に負せてもちきたりエルサレムにおいてこれをその先祖等とともにダビデの邑に葬りぬ 012 2KI 014 021 ユダの民みなアザリヤをとりて王となしてその父アマジヤに代しめたり時に年十六なりき 012 2KI 014 022 彼エラテの邑を建てこれを再びユダに歸せしめたり是はかの王がその先祖等とともに寝りし後なりき 012 2KI 014 023 ユダの王ヨアシの子アマジヤの十五年にイスラエルの王ヨアシの子ヤラベアム、サマリヤにおいて王となり四十一年位にありき 012 2KI 014 024 彼はヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯さしめたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき 012 2KI 014 025 彼ハマテの入處よりアラバの海までイスラエルの邊境を恢復せりイスラエルの神ヱホバがガテヘペルのアミツタイの子なるその僕預言者ヨナによりて言たまひし言のごとし 012 2KI 014 026 ヱホバ、イスラエルの艱難を見たまふに其は甚だ苦かり即ち繋れたる者もあらず繋れざる者もあらず又イスラエルを助る者もあらず 012 2KI 014 027 ヱホバは我イスラエルの名を天下に塗抹んとすと言たまひしこと無し反てヨアシの子ヤラベアムの手をもてこれを拯ひたまへり 012 2KI 014 028 ヤラベアムのその餘の行爲とその凡てなしたる事およびその戰爭をなせし能その昔にユダに屬し居たることありしダマスコとハマテを再びイスラエルに歸せしめたる事はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるにあらずや 012 2KI 014 029 ヤラベアムその先祖たるイスラエルの王等とともに寝りその子ザカリヤこれに代りて王となれり 012 2KI 015 001 イスラエルの王ヤラベアムの二十七年にユダの王アマジヤの子アザリヤ王となれり 012 2KI 015 002 彼は王となれる時に十六歳なりしが五十二年の間エルサレムにおいて世を治めたりその母はエルサレムの者にして名をヱコリアと言ふ 012 2KI 015 003 彼はヱホバの善と見たまふ事をなし萬の事においてその父アマジヤがなしたるごとく行へり 012 2KI 015 004 惟崇邱は除かずしてあり民は尚その崇邱の上に犠牲をささげ香をたけり 012 2KI 015 005 ヱホバ王を撃たまひしかばその死る日まで癩病人となり別殿に居ぬその子ヨタム家の事を管理て國の民を審判り 012 2KI 015 006 アザリヤのその餘の行爲とその凡てなしたる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 015 007 アザリヤその先祖等とともに寝りたればこれをダビデの邑にその先祖等とともに葬れりその子ヨタムこれに代りて王となる 012 2KI 015 008 ユダの王アザリヤの三十八年にヤラベアムの子ザカリア、サマリヤにおいてイスラエルの王となれりその間は六月 012 2KI 015 009 彼その先祖等のなせしごとくヱホバの目の前に惡を爲し夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき 012 2KI 015 010 茲にヤベシの子シヤルム黨をむすびて之に敵し民の前にてこれを撃て弑しこれに代りて王となれり 012 2KI 015 011 ザカリヤのその餘の行爲はイスラエルの王の歴代志の書に記さる 012 2KI 015 012 ヱホバのヱヒウに告たまひし言は是なり云く汝の子孫は四代までイスラエルの位に坐せんと果して然り 012 2KI 015 013 ヤベシの子シヤルムはユダの王ウジヤの三十九年に王となりサマリヤにおいて一月の間王たりき 012 2KI 015 014 時にガデの子メナヘム、テルザより上りでサマリヤに來りヤベシの子シヤルムをサマリヤに撃てこれを殺し之にかはりて王となれり 012 2KI 015 015 シヤルムのその餘の行爲とその徒黨をむすびし事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる 012 2KI 015 016 その後メナヘム、テルザよりいたりてテフサとその中にあるところの者およびその四周の地を撃り即ちかれら己がために開くことをせざりしかばこれを撃てその中の孕婦をことごとく刳剔たり 012 2KI 015 017 ユダの王アザリヤの三十九年にガデの子メナヘム、イスラエルの王となりサマリヤにおいて十年の間世を治めたり 012 2KI 015 018 彼ヱホバの目の前に惡をなし彼のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に生涯離れざりき 012 2KI 015 019 茲にアツスリヤの王ブルその地に攻きたりければメナヘム銀一千タラントをブルにあたへたり是は彼をして己を助けしめ是によりて國を己の手に堅く立しめんとてなりき 012 2KI 015 020 即ちメナヘムその銀をイスラエルの諸の大富者に課しその人々に各々銀五十シケルを出さしめてこれをアツスリヤの王にあたへたり是をもてアツスリヤの王は歸りゆきて國に止ることをせざりき 012 2KI 015 021 メナヘムのその餘の行爲とその凡てなしたる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 015 022 メナヘムその先祖等とともに寝りその子ペカヒヤこれに代て王となれり 012 2KI 015 023 メナヘムの子ペカヒヤはユダの王アザリヤの五十年にサマリヤにおいてイスラエルの王となり二年のあひだ位にありき 012 2KI 015 024 彼ヱホバの目のまへに惡をなし彼のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき 012 2KI 015 025 茲にその將官なるレマリヤの子ペカ黨をむすびて彼に敵しサマリヤにおいて王の家の奧の室にこれを撃ころしアルゴブとアリエをもこれとともに殺せり時にギレアデ人五十人ペカとともにありきペカすなはち彼をころしかれに代て王となれり 012 2KI 015 026 ベカヒヤのその餘の行爲とその凡て爲たる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる 012 2KI 015 027 レマリヤの子ペカはユダの王アザリヤの五十二年にサマリヤに於てイスラエルの王となり二十年位にありき 012 2KI 015 028 彼ヱホバの目の前に惡をなし彼のイスラエルに罪ををかさせたるネバテの子ヤラベアムの罪にはなれざりき 012 2KI 015 029 イスラエルの王ペカの代にアツスリヤの王テグラテビレセル來りてイヨン、アベルベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾルおよびギレアデならびにナフタリの全地ガリラヤを取りその人々をアツスリヤに擄へうつせり 012 2KI 015 030 茲にエラの子ホセア黨をむすびてレマリヤの子ペカに敵しこれを撃て殺しこれに代て王となれり是はウジヤの子ヨタムの二十年にあたれり 012 2KI 015 031 ペカのその餘の行爲とその凡てなしたる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる 012 2KI 015 032 レマリヤの子イスラエルの王ペカの二年にウジヤの子ユダの王ヨタム王となれり 012 2KI 015 033 彼は王となれる時二十五歳なりしがヱルサレムにて十六年世を治めたり母はザドクの女にして名をヱルシヤといへり 012 2KI 015 034 彼はヱホバの目にかなふ事をなし凡てその父ウジヤのなしたるごとくにおこなへり 012 2KI 015 035 惟崇邱は除かずしてあり民なほその崇邱の上に犠牲をささげ香を焚り彼ヱホバの家の上の門を建たり 012 2KI 015 036 ヨタムのその餘の行爲とその凡てなしたる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 015 037 當時ヱホバ、スリアの王レヂンとレマリヤの子ペカをユダにせめきたらせたまへり 012 2KI 015 038 ヨタムその先祖等とともに寝りてその父ダビデの邑にその先祖等とともに葬られその子アハズこれに代りて王となれり 012 2KI 016 001 レマリヤの子ペカの十七年にユダの王ヨタムの子アハズ王となれり 012 2KI 016 002 アハズは王となれる時二十歳にしてエルサレムにおいて十六年世を治めたりしがその神ヱホバの善と見たまふ事をその父ダビデのごとくは行はざりき 012 2KI 016 003 彼はイスラエルの王等の道にあゆみまたその子に火の中を通らしめたり是はヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし異邦人のおこなふところの憎むべき事にしたがへるなり 012 2KI 016 004 彼は崇邱の上丘の上一切の靑木の下に犠牲をささげ香をたけり 012 2KI 016 005 この頃スリアの王レヂンおよびレマリヤの子なるイスラエルの王ペカ、エルサレムにせめのぼりてアハズを圍みけるが勝ことを得ざりき 012 2KI 016 006 この時にあたりてスリアの王レヂン復エラテをスリアに歸せしめユダヤ人をエラテより逐いだせり而してスリア人エラテにきたりて其處に住み今日にいたる 012 2KI 016 007 是においてアハズ使者をアツスリヤの王テグラテピレセルにつかはして言しめけるは我は汝の臣僕汝の子なりスリアの王とイスラエルの王と我に攻かかりをれば請ふ上りきたりてかれらの手より我を救ひいだしたまへと 012 2KI 016 008 アハズすなはちヱホバの家と王の家の庫とにあるところの銀と金をとりこれを禮物としてアツスリヤの王におくりしかば 012 2KI 016 009 アツスリヤの王かれの請を容たりアツスリヤの王すなはちダマスコに攻のぼりて之をとりその民をキルに擄うつしまたレヂンを殺せり 012 2KI 016 010 かくてアハズはアツスリヤの王テグラテピレセルに會んとてダマスコにゆきけるがダマスコにおいて一箇の祭壇を見たればアスス王その祭壇の工作にしたがひて委くこれが圖と式樣を制へて祭司ウリヤにこれをおくれり 012 2KI 016 011 是において祭司ウリヤはアハズ王がダマスコよりおくりたる所にてらして一箇の祭壇をつくりアハズ王がダマスコより來るまでにこれを作りおけり 012 2KI 016 012 茲に王ダマスコより歸りてその祭壇を見壇にちかよりてこれに上り 012 2KI 016 013 壇の上に燔祭と素祭を焚き灌祭をそそぎ酬恩祭の血を灑げり 012 2KI 016 014 彼またヱホバの前なる銅の壇を家の前より移せり即ちこれをかの新しき壇とヱホバの家の間より移してかの壇の北の方に置たり 012 2KI 016 015 而してアハズ王祭司ウリヤに命じて言ふ朝の燔祭夕の素祭および王の燔祭とその素祭ならびに國中の民の燔祭とその素祭および灌祭はこの大なる壇の上に焚べし又この上に燔祭の牲の血と犠牲の物の血をすべて灑ぐべし彼の銅の壇の事はなほ考ふるあらん 012 2KI 016 016 祭司ウリヤすなはちアハズ王のすべて命じたるごとくに然なせり 012 2KI 016 017 またアハズ王臺の邊を削りて洗盤をその上よりうつしまた海をその下なる銅の牛の上よりおろして石の座の上に置ゑ 012 2KI 016 018 また家に造りたる安息日用の遊廊および王の外の入口をアツスリヤの王のためにヱホバの家の中に變じたり 012 2KI 016 019 アハズのなしたるその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 016 020 アハズその先祖等とともに寝りてダビデの邑にその先祖等とともに葬られその子ヒゼキヤこれにかはりて王となれり 012 2KI 017 001 ユダの王アハズの十二年にエラの子ホセア王となりサマリヤにおいて九年イスラエルを治めたり 012 2KI 017 002 彼ヱホバの目の前に惡をなせしがその前にありしイスラエルの王等のごとくはあらざりき 012 2KI 017 003 アッスリヤの王シヤルマネセル攻のぼりたればホセアこれに臣服して貢を納たりしが 012 2KI 017 004 アッスリヤの王つひにホセアの己に叛けるを見たり其は彼使者をエジプトの王ソにおくり且前に歳々なせしごとくに貢をアッスリヤ王に納ざりければなり是においてアツスリヤの王かれを禁錮て獄におけり 012 2KI 017 005 すなはちアッスリヤの王せめ上りて國中を遍くゆきめぐりサマリヤにのぼりゆきて三年が間これをせめ圍みたりしが 012 2KI 017 006 ホセアの九年におよびてアッスリヤの王つひにサマリヤを取りイスラエルをアッスリヤに擄へゆきてこれをハラとハボルとゴザン河の邊とメデアの邑々とにおきぬ 012 2KI 017 007 此事ありしはイスラエルの子孫己をエジプトの地より導きのぼりてエジプトの王パロの手を脱しめたるその神ヱホバに對て罪を犯し他の神々を敬ひ 012 2KI 017 008 ヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし異邦人の法度にあゆみ又イスラエルの王等の設けし法度にあゆみたるに因てなり 012 2KI 017 009 イスラエルの子孫義からぬ事をもてその神ヱホバを掩ひかくしその邑々に崇邱をたてたり看守臺より城にいたるまで然り 012 2KI 017 010 彼等一切の高丘の上一切の靑樹の下に偶像とアシラ像を立て 012 2KI 017 011 ヱホバがかれらの前より移したまひし異邦人のなせしごとくにその崇邱に香を焚き又惡を行ひてヱホバを怒らせたり 012 2KI 017 012 ヱホバかれらに汝等これらの事を爲べからずと言おきたまひしに彼等偶像に事ふることを爲しなり 012 2KI 017 013 ヱホバ諸の預言者諸の先見者によりてイスラエルとユダに見證をたて汝等翻へりて汝らの惡き道を離れわが誡命わが法度をまもり我が汝等の先祖等に命じまたわが僕なる預言者等によりて汝等に傳へし法に率由ふやうにせよと言たまへり 012 2KI 017 014 然るに彼ら聽ことをせずしてその項を強くせり彼らの先祖等がその神ヱホバを信ぜずしてその項を強くしたるが如し 012 2KI 017 015 彼等はヱホバの法度を棄てヱホバがその先祖等と結びたまひし契約を棄てまたその彼等に見證したまひし證言を棄て且虚妄物にしたがひて虚浮なりまたその周圍なる異邦人の跡をふめり是はヱホバが是のごとくに事をなすべからずと彼らに命じ給ひし者なり 012 2KI 017 016 彼等その神ヱホバの諸の誡命を遺て己のために二の牛の像を鑄なし又アシラ像を造り天の衆群を拝み且バアルに事へ 012 2KI 017 017 またその子息息女に火の中を通らしめ卜筮および禁厭をなしヱホバの目の前に惡を爲ことに身を委ねてその怒を惹起せり 012 2KI 017 018 是をもてヱホバ大にイスラエルを怒りこれをその前より除きたまひたればユダの支派のほかは遺れる者なし 012 2KI 017 019 然るにユダもまたその神ヱホバの誡命を守ずしてイスラエルの立たる法度にあゆみたれば 012 2KI 017 020 ヱホバ、イスラエルの苗裔ぞことごとく棄これを苦しめこれをその掠むる者の手に付して遂にこれをその前より打すてたまへり 012 2KI 017 021 すなはちイスラエルをダビデの家より裂はなしたまひしかばイスラエル、ネバテの子ヤラベアムを王となせしにヤラベアム、イスラエルをしてヱホバにしたがふことを止しめてこれに大なる罪を犯さしめたりしが 012 2KI 017 022 イスラエルの子孫はヤラベアムのなせし諸の罪をおこなひつづけてこれに離るることなかりければ 012 2KI 017 023 遂にヱホバその僕なる諸の預言者をもて言たまひしごとくにイスラエルをその前より除きたまへりイスラエルはすなはちその國よりアッスリヤにうつされて今日にいたる 012 2KI 017 024 斯てアッスリヤの王バビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムより人をおくりてこれをイスラエルの子孫の代にサマリヤの邑々に置ければその人々サマリヤを有ちてその邑々に住しが 012 2KI 017 025 その彼處に始て住る時には彼等ヱホバを敬ふことをせざりしかばヱホバ獅子をかれらの中に送りたまひてその獅子かれら若干を殺せり 012 2KI 017 026 是によりてアッスリヤの王に告て言ふ汝が移てサマリヤの邑々におきたまひしかの國々の民はこの地の神の道を知ざるが故にその神獅子をかれらの中におくりて獅子かれらを殺せり是は彼等その國の神の道を知ざるに因てなり 012 2KI 017 027 アッスリヤの王すなはち命を下して言ふ汝等が彼處より曳きたりし祭司一人を彼處に携ゆけ即ち彼をして彼處にいたりて住しめその國の神の道をその人々に敎へしめよと 012 2KI 017 028 是に於てサマリヤより移れし祭司一人きたりてベテルに住みヱホバの敬ふべき事をかれらに敎へたり 012 2KI 017 029 その民はまた各々自分自分の神々を造りてこれをかのサマリア人が造りたる諸の崇邱に安置せり民みなその住る邑々において然なしぬ 012 2KI 017 030 即ちバビロンの人々はスコテペノテを作りクタの人々はネルガルを作りハマテの人々はアシマを作り 012 2KI 017 031 アビ人はニブハズとタルタクを作りセパルワイ人は其子女を火に焚てセパルワイムの神アデランメルクおよびアナンメルクに奉げたり 012 2KI 017 032 彼ら又ヱホバを敬ひ凡俗の民をもて崇邱の祭司となしたれば其人これがために崇邱に家々にて職務をなせり 012 2KI 017 033 斯その人々ヱホバを敬ひたりしが亦その携へ出されし國々の風俗にしたがひて自己自己の神々に事へたり 012 2KI 017 034 今日にいたるまで彼等は前の習俗にしたがひて事をなしヱホバを敬はず彼等の法度をも例典をも行はず又ヱホバがイスラエルを名けたまひしヤコブの子孫に命じたまひし律法をも誡命をも行はざるなり 012 2KI 017 035 昔ヱホバこれと契約をたてこれに命じて言たまひけらく汝等は他の神を敬ふべからずまたこれを拝みこれに事へこれに犠牲をささぐべからず 012 2KI 017 036 只大なる能をもて腕を伸て汝等をエジプトの地より導き上りしヱホバをのみ汝等敬ひこれを拝みこれにこれに犠牲をささぐべし 012 2KI 017 037 またその汝等のために録したまへる法度と例典と律法と誡命を汝等謹みて恒に守るべし他の神々を敬ふべからず 012 2KI 017 038 我が汝等とむすびし契約を汝等忘るべからず又他の神々を敬ふべからず 012 2KI 017 039 只汝らの神ヱホバを敬ふべし彼なんじらをその諸の敵の手より救ひいださん 012 2KI 017 040 然るに彼等は聽ことをせずしてなほ前の習俗にしたがひて事を行へり 012 2KI 017 041 偖この國々の民は斯ヱホバを敬ひまたその雕める像に事たりしがその子も孫も共に然りその先祖のなせしごとくに今日までも然なすなり 012 2KI 018 001 イスラエルの王エラの子ホセアの三年にユダの王アハズの子ヒゼキア王となれり 012 2KI 018 002 彼は王となれる時二十五歳にしてエルサレムにて二十九年世ををさめたりその母はザカリヤの女にして名をアビといへり 012 2KI 018 003 ヒゼキヤはその父ダビデの凡てなせしごとくヱホバの善と見たまふ事をなし 012 2KI 018 004 崇邱を除き偶像を毀ちアシラ像を斫たふしモーセの造りし銅の蛇を打碎けりこの時までイスラエルの子孫その蛇にむかひて香を焚たればなり人々これをネホシタン(銅物)と稱なせり 012 2KI 018 005 ヒゼキヤはイスラエルの神ヱホバを賴り是をもて彼の後にも彼の先にもユダの諸の王等の中に彼に如ものなかりき 012 2KI 018 006 即ち彼は固くヱホバに身をよせてこれに從ふことをやめずヱホバがモーセに命じたまひしその誡命を守れり 012 2KI 018 007 ヱホバ彼とともに在したれば彼はその往ところにて凡て利達を得たり彼はアッスリヤの王に叛きてこれに事へざりき 012 2KI 018 008 彼ペリシテ人を撃敗りてガザにいたりその境に達し看守臺より城にまで及べり 012 2KI 018 009 ヒゼキヤ王の四年すなはちイスラエルの王エラの子ホセアの七年にアッスリヤの王シヤルマネセル、サマリヤに攻のぼりてこれを圍みけるが 012 2KI 018 010 三年の後つひに之を取りサマリヤの取れしはヒゼキヤの六年にしてイスラエルの王ホセアの九年にあたる 012 2KI 018 011 アッスリヤの王イスラエルをアッスリヤに擄へゆきてこれをハラとゴザン河の邊とメデアの邑々におきぬ 012 2KI 018 012 是は彼等その神ヱホバの言に遵はずその契約を破りヱホバの僕モーセが凡て命じたる事をやぶりこれを聽ことも行ふこともせざるによりてなり 012 2KI 018 013 ヒゼキヤ王の十四年にアッスリヤの王セナケリブ攻のぼりてユダの諸の堅き邑を取ければ 012 2KI 018 014 ユダの王ヒゼキヤ人をラキシにつかはしてアッスリヤの王にいたらしめて言ふ我過てり我を離れて歸りたまへ汝が我に蒙らしむる者は我これを爲べしとアッスリヤの王すなはち銀三百タラント金三十タラントをユダの王ヒゼキヤに課したり 012 2KI 018 015 是においてヒゼキヤ、ヱホバの家と王の家の庫とにあるところの銀をことごとく彼に與へたり 012 2KI 018 016 此時ユダの王ヒゼキヤまた己が金を著たりしヱホバの宮の戸および柱を剥てこれをアッスリヤの王に與へたり 012 2KI 018 017 アッスリヤの王またタルタン、ラブサリスおよびラブシヤケをしてラキシより大軍をひきゐてエルサレムにむかひてヒゼキヤ王の所にいたらしめたればすなはち上りてエルサレムにきたれり彼等則ち上り來り漂布場の大路に沿るよの池塘の水道の邊にいたりて立り 012 2KI 018 018 而して彼等王を呼たればヒルキヤの子なる宮内卿エリアキム書記官セブナおよびアサフの子なる史官ヨア出きたりて彼等に詣りけるに 012 2KI 018 019 ラブシヤケこれに言けるは汝等ヒゼキヤに言べし大王アッスリヤの王かく言たまふ此汝が賴むところの者は何ぞや 012 2KI 018 020 汝戰爭をなすの謀計と勇力とを言も只これ口の先の言語たるのみ誰を恃みて我に叛くことをせしや 012 2KI 018 021 視よ汝は折かかれる葦の杖なるエジプトを賴む其は人の其に倚るあればすなはちその手を刺とほすなりエジプトの王パロは凡てこれを賴む者に斯あるなり 012 2KI 018 022 汝等あるひは我はわれらの神ヱホバを賴むと我に言ん彼はヒゼキヤがその崇邱と祭壇とを除きたる者にあらずやまた彼はユダとエルサレムに告て汝等はエルサレムに於てこの壇の前に祷拝をなすべしと言しにあらずや 012 2KI 018 023 然ば請ふわが主君アッスリヤの王に約をなせ汝もし人を乗しむることを得ば我馬二千匹を汝にあたへん 012 2KI 018 024 汝いかにしてか吾主君の諸臣の中の最も微き一將だにも退くることを得ん汝なんぞエジプトを賴みて兵車と騎兵をこれに仰がんとするや 012 2KI 018 025 また我とても今ヱホバの旨によらずして比處を滅しに上れるならんやヱホバ我に此處に攻のぼりてこれを滅せと言たり 012 2KI 018 026 時にヒルキヤの子エリアキムおよびセブナとヨア、ラダシヤケにいひけるは請ふスリアの語をもて僕等に語りたまへ我儕これを識なり石垣の上にをる民の聞るところにてユダヤ語をもて我儕に言談たまふなかれ 012 2KI 018 027 ラブシヤケかれらに言ふわが君唯我を汝の主と汝とにつかはして此言をのべしめたまふならんや亦石垣の上に坐する人々にも我を遣して彼等をして汝等とともに自己の便溺を食ひ且飮にいたらしめんとしたまふにあらずやと 012 2KI 018 028 而してラブシヤケ起あがりユダヤ語をもて大聲に呼はり言をいだして曰けるは汝等大王アッスリヤの王の言を聽け 012 2KI 018 029 王かく言たまふ汝等ヒゼキヤに欺かるるなかれ彼は汝等をわが手より救ひいだすことをえざるなり 012 2KI 018 030 ヒゼキヤがヱホバかならず我らを救ひたまはん此邑はアッスリヤの王の手に陷らじと言て汝らにヱホバを賴ましめんとするとも 012 2KI 018 031 汝等ヒゼキヤの言を聽なかれアッスリヤの王かく言たまふ汝等約をなして我に降れ而して各人おのれの葡萄の樹の果を食ひ各人おのれの無花果樹の果をくらひ各人おのれの井水を飮めよ 012 2KI 018 032 我來りて汝等を一の國に携ゆかん其は汝儕の國のごとき國穀と酒のある地パンと葡萄園のある地油の出る橄欖と蜜とのある地なり汝等は生ることを得ん死ることあらじヒゼキヤ、ヱホバ我儕を救ひたまはんと言て汝らを勸るともこれを聽なかれ 012 2KI 018 033 國々の神の中執かその國をアッスリヤの王の手より救ひたりしや 012 2KI 018 034 ハマテおよびアルパデの神々は何處にあるセパルワイム、ヘナおよびアワの神々は何處にあるやサマリヤをわが手より救ひ出せし神々あるや 012 2KI 018 035 國々の神の中にその國をわが手より救ひいだせし者ありしや然ばヱホバいかでかエルサレムをわが手より救ひいだすことを得んと 012 2KI 018 036 然ども民は默して一言もこれに應へざりき其は王命じてこれに應ふるなかれと言おきたればなり 012 2KI 018 037 かくてヒルキヤの子なる宮内卿エリアキム書記官セブナおよびアサの子なる史官ヨアその衣をさきてヒゼキヤの許にいたりラブシヤケの言をこれに告たり 012 2KI 019 001 ヒゼキヤ王これを聞てその衣を裂き麻布を身にまとひてヱホバの家に入り 012 2KI 019 002 宮内卿エリアキムと書記官セブナと祭司の中の長老等とに麻布を衣せてこれをアモツの子預言者イザヤに遣せり 012 2KI 019 003 彼等イザヤに言けるはヒゼキヤかく言ふ今日は艱難の日懲罰の日打棄らるる日なり嬰孩すでに產門にいたりて之を產いだす力なき也 012 2KI 019 004 ラブシヤケその主君なるアッスリヤの王に差遣れて來り活る神を謗る汝の神ヱホバあるひは彼の言を聞たまはん而して汝の神ヱホバその聞る言語を責罰たまふこともあらん然ば汝この遺る者の爲に祈祷をたてまつれと 012 2KI 019 005 ヒゼキヤ王の僕等すなはちイザヤの許にいたりければ 012 2KI 019 006 イザヤかれらに言けるは汝等の主君にかく言べしヱホバかく言たまふアッスリヤの王の臣僕等が我を謗るところの言を汝聞て懼るるなかれ 012 2KI 019 007 我かれの氣をうつして風聲を聞て己の國にかへるにいたらしめん我また彼をして自己の國に於て劍に斃れしむべしと 012 2KI 019 008 偖またラブシヤケは歸りゆきてアッスリヤの王がリブナに戰爭をなしをるとこるに至れり其は彼そのラキシを離れしを聞たればなり 012 2KI 019 009 茲にアッスリヤの王はエテオピアの王テルハカ汝に攻きたると言ふを聞てまた使者をヒゼキヤにつかはして言しむ 012 2KI 019 010 汝等ユダの王ヒゼキヤに告て言べし汝エルサレムはアッスリヤの王の手に陷らじと言て汝が賴むところの神に欺かるるなかれ 012 2KI 019 011 汝はアッスリヤの王等が萬の國々になしたるところの事を知る即ちこれを滅しつくせしなり然ば汝いかで救らんや 012 2KI 019 012 吾父等はゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルのエデンの人々等を滅ぼせしがその國々の神これを救ひたりしや 012 2KI 019 013 ハマテの王アルバデの王セバルワイムの邑およびヘナとアワの王等は何處にあるや 012 2KI 019 014 ヒゼキヤ使者の手より書を受てこれを讀みヱホバの家にのぼりゆきてヱホバの前にこれを展開げ 012 2KI 019 015 而してヒゼキヤ、ヱホバの前に祈りて言けるはケルビムの間にいますイスラエルの神ヱホバよ世の國々の中において只汝のみ神にいます也汝は天地を造りたまひし者にいます 012 2KI 019 016 ヱホバよ耳を傾けて聞たまへヱホバよ目を開きて見たまへセナケリブが活る神を謗りにおくれる言語を聞たまへ 012 2KI 019 017 ヱホバよ誠にアッスリヤの王等は諸の民とその國々を滅し 012 2KI 019 018 又その神々を火になげいれたり其等は神にあらず人の手の作れる者にして木石たればこれを滅せしなり 012 2KI 019 019 今われらの神ヱホバよ願くは我らをかれの手より拯ひいだしたまへ然ば世の國々皆汝ヱホバのみ神にいますことを知にいたらん 012 2KI 019 020 茲にアモツの子イザヤ、ヒゼキヤに言つかはしけるはイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝がセナケリブの事につきて我に祈るところの事は我これを聽り 012 2KI 019 021 ヱホバが彼の事につきて言ふところの言語は是のごとし云く處女なる女子シオンは汝を藐視じ汝を嘲る女子エルサレムは汝にむかひて頭を搖る 012 2KI 019 022 汝誰を謗りかつ罵詈しや汝誰にむかひて聲をあげしや汝はイスラエルの聖者にむかひて汝の目を高く擧たるなり 012 2KI 019 023 汝使者をもて主を謗て言ふ我夥多き兵車をひきゐて山々の嶺にのぼりレバノンの奧にいたり長高き香柏と美しき松樹を斫たふす我その境の休息所にいたりその園の林にいたる 012 2KI 019 024 我は外國の地をほりて水を飮む我は足の跖をもてエジプトの河々をことごとくふみ涸すなり 012 2KI 019 025 汝聞ずや昔われ之を作し古時よりわれ之を定めたり今われ之をおこなふ即ち堅き邑々は汝のために坵墟となるなり 012 2KI 019 026 是をもてそれらの中にすむ民は力弱かり懼れかつ驚くなり彼等は野の草のごとく靑菜のごとく屋蓋の草のごとく枯る苗のごとし 012 2KI 019 027 汝の止ると汝の出ると汝の入と汝の我にむかひて怒くるふとは我の知ところなり 012 2KI 019 028 汝の怒くるふ事と汝の傲慢ところの事上りてわが耳にいりたれば我圏を汝の鼻につけ轡を汝の唇にほどこして汝を元來し道へひきかへすべし 012 2KI 019 029 是は汝にあたふる徴なり即ち一年は穭を食ひ第二年には又その穭を食ふあらん第三年には汝ら稼ことをし穡ことをし又葡萄園をつくりてその果を食ふべし 012 2KI 019 030 ユダの家の逃れて遺れる者は復根を下に張り實を上に結ばん 012 2KI 019 031 即ち殘餘者エルサレムより出で逃避たる者シオン山より出きたらんヱホバの熱心これを爲べし 012 2KI 019 032 故にヱホバ、アッスリヤの王の事をかく言たまふ彼は此邑に入じ亦これに矢を發つことあらず楯を之にむかひて竪ることあらず亦壘をきづきてこれを攻ることあらじ 012 2KI 019 033 彼はその來し路より歸らん此邑にいることあらじヱホバこれを言ふ 012 2KI 019 034 我わが身のため又わが僕ダビデのためにこの邑を守りてこれを救ふべし 012 2KI 019 035 その夜ヱホバの使者いでてアッスリヤ人の陣營の者十八萬五千人を撃ころせり朝早く起いでて見るに皆死て屍となりをる 012 2KI 019 036 アッスリヤの王セナケリブすなはち起いで歸りゆきてニネベに居しが 012 2KI 019 037 その神ニスロクの家にありて禮拝をなしをる時にその子アデランメレクとシヤレゼル劍をもてこれを殺せり而して彼等はアララテの池に逃ゆけり是においてその子エサルハドンこれに代りて王となれり 012 2KI 020 001 當時ヒゼキヤ病て死なんとせしことありアモツの子預言者イザヤ彼の許にいたりて之にいひけるはヱホバかく言たまふ汝家の人に遺命をなせ汝は死ん生ることを得じと 012 2KI 020 002 是においてヒゼキヤその面を壁にむけてヱホバに祈り 012 2KI 020 003 嗚呼ヱホバよ願くは我が眞實と一心をもて汝の前にあゆみ汝の目に適ふことを行ひしを記憶たまへと言て痛く泣り 012 2KI 020 004 かくてイザヤ未だ中の邑を出はなれざる間にヱホバの言これに臨みて言ふ 012 2KI 020 005 汝還りてわが民の君ヒゼキヤに告よ汝の父ダビデの神ヱホバかく言ふ我汝の祈祷を聽り汝の涙を看たり然ば汝を愈すべし第三日には汝ヱホバの家に入ん 012 2KI 020 006 我汝の齢を十五年増べし我汝とこの邑とをアッスリヤの王の手より救ひ我名のため又わが僕ダビデのためにこの邑を守らんと 012 2KI 020 007 是に於てイザヤ乾無花果の団塊一箇を持きたれと言ければすなはち之を持きたりてその腫物に貼たればヒゼキヤ愈ぬ 012 2KI 020 008 ヒゼキヤ、イザヤに言けるはヱホバが我を愈したまふ事と第三日に我がヱホバの家にのぼりゆく事とにつきては何の徴あるや 012 2KI 020 009 イザヤ言けるはヱホバがその言しところを爲たまはん事につきては汝ヱホバよりこの徴を得ん日影進めること十度なり若日影十度退かば如何 012 2KI 020 010 ヒゼキヤ答へけるは日影の十度進むは易き事なり然せざれ日影を十度しりぞかしめよ 012 2KI 020 011 是において預言者イザヤ、ヱホバに龥はりければアハスの日晷の上に進みし日影を十度しりぞかしめたまへり 012 2KI 020 012 その頃バラダンの子なるバビロンの王メロダクバラダン書および禮物をヒゼキヤにおくれり是はヒゼキヤの疾をるを聞たればなり 012 2KI 020 013 ヒゼキヤこれがために喜びその寶物の庫金銀香物貴き膏および武器庫ならびにその府庫にあるところの一切の物を之に見せたりその家にある物もその國の中にある物も何一箇としてヒゼキヤが彼等に見せざる者はなかりき 012 2KI 020 014 茲に預言者イザヤ、ヒゼキヤ王のもとに來りてこれに言けるは夫の人々は何を言しや何處より來りしやヒゼキヤ言けるは彼等は遠き國より即ちバビロンより來れり 012 2KI 020 015 イザヤ言ふ彼等は汝の家にて何を見しやヒゼキヤ答へて云ふ吾家にある物は皆かれら之を見たり我庫の中には我がかれに見せざる者なきなり 012 2KI 020 016 イザヤすなはちヒゼキヤに言けるは汝ヱホバの言を聞け 012 2KI 020 017 ヱホバ言たまふ視よ日いたる凡て汝の家にある物および汝の先祖等が今日までに積蓄へたる物はバビロンに携ゆかれん遺る者なかるべし 012 2KI 020 018 汝の身より出る汝の生んところの子等の中を彼等携へ去ん其等はバビロンの王の殿において官吏となるべし 012 2KI 020 019 ヒゼキヤ、イザヤに言ふ汝が語れるヱホバの言は善し又いふ若わが世にある間に大平と眞實とあらば善にあらずや 012 2KI 020 020 ヒゼキヤのその餘の行爲その能およびその池塘と水道を作りて水を邑にひきし事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 020 021 ヒゼキヤその先祖等とともに寝りてその子マナセこれに代りて王となれり 012 2KI 021 001 マナセ十二歳にして王となり五十五年の間ヱルサレムにて世を治めたりその母の名はヘフジバといふ 012 2KI 021 002 マナセはヱホバの目の前に惡をなしヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし國々の人がなすところの憎むべき事に傚へり 012 2KI 021 003 彼はその父ヒゼキヤが毀たる崇邱を改め築き又イスラエルの王アハブのなせしごとくバアルのために祭壇を築きアシラ像を作り天の衆群を拝みてこれに事へ 012 2KI 021 004 またヱホバの家の中に數箇の祭壇を築けり是はヱホバがこれをさして我わが名をヱルサレムにおかんと言たまひし家なり 012 2KI 021 005 彼ヱホバの家の二の庭に祭壇を築き 012 2KI 021 006 またその子に火の中を通らしめ卜占をなし魔術をおこなひ口寄者と卜筮師を取もちひヱホバの目の前に衆多の惡を爲てその震怒を惹おこせり 012 2KI 021 007 彼はその作りしアシラの銅像を殿にたてたりヱホバこの殿につきてダビデとその子ソロモンに言たまひしことあり云く我この家と我がイスラエルの諸の支派の中より選みたるヱルサレムとに吾名を永久におかん 012 2KI 021 008 彼等もし我が凡てこれに命ぜし事わが僕モーセがこれに命ぜし一切の律法を謹みて行はば我これが足をしてわがその先祖等に與へし地より重てさまよひ出ることなからしむべしと 012 2KI 021 009 然るに彼等は聽ことをせざりきマナセが人々を誘ひて惡をなせしことはヱホバがイスラエルの子孫の前に滅したまひし國々の人よりも甚だしかりき 012 2KI 021 010 是においてヱホバその僕なる預言者等をもて語て言給はく 012 2KI 021 011 ユダの王マナセこれらの憎むべき事を行ひその前にありしアモリ人の凡て爲しところにも踰たる惡をなし亦ユダをしてその偶像をもて罪を犯させたれば 012 2KI 021 012 イスラエルの神ヱホバかく言ふ視よ我ヱルサレムとユダに災害をくだす是を聞く者はその耳ふたつながら鳴ん 012 2KI 021 013 我サマリヤを量りし繩とアハブの家にもちひし準縄をヱルサレムにほどこし人が皿を拭ひこれを拭ひて反覆がごとくにヱルサレムを拭ひさらん 012 2KI 021 014 我わが產業の民の殘餘を棄てこれをその敵の手に付さん彼等はその諸の敵の擄掠にあひ掠奪にあふべし 012 2KI 021 015 是は彼等その先祖等がエジプトより出し日より今日にいたるまで吾目の前に惡をおこなひて我を怒らするが故なり 012 2KI 021 016 マナセはヱホバの目の前に惡をおこなひてユダに罪を犯させたる上にまた無辜者の血を多く流してヱルサレムのこの極よりかの極にまで盈せり 012 2KI 021 017 マナセのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびその犯したる罪はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらすや 012 2KI 021 018 マナセその先祖等とともに寝りてその家の園すなはちウザの園に葬られその子アモンこれに代りて王となれり 012 2KI 021 019 アモンは王となれる時二十二歳にしてヱルサレムにおいて二年世を治めたりその母はヨテバのハルツの女にしてその名をメシユレメテと云ふ 012 2KI 021 020 アモンはその父マナセのなせしごとくヱホバの目の前に惡をなせり 012 2KI 021 021 すなはち彼は凡てその父のあゆみし道にあゆみその父の事へし偶像に事へてこれを拝み 012 2KI 021 022 その先祖等の神ヱホバを棄てヱホバの道にあゆまざりき 012 2KI 021 023 茲にアモンの臣僕等黨をむすびて王をその家に弑したりしが 012 2KI 021 024 國の民そのアモン王に敵して黨をむすびし者をことごとく撃ころせり而して國の民アモンの子ヨシアを王となしてそれに代らしむ 012 2KI 021 025 アモンのなしたるその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 021 026 アモンはウザの園にてその墓に葬られその子ヨシアこれに代りて王となれり 012 2KI 022 001 ヨシアは八歳にして王となりヱルサレムにおいて三十一年世を治めたり其母はボヅカテのアダヤの女にして名をヱデダと曰ふ 012 2KI 022 002 ヨシアはヱホバの目に適ふ事をなしその父ダビデの道にあゆみて右にも左にも轉らざりき 012 2KI 022 003 ヨシア王の十八年に王メシユラムの子アザリヤの子なる書記官シヤパンをヱホバの家に遣せり即ちこれに言けらく 012 2KI 022 004 汝祭司の長ヒルキヤの許にのぼり行てヱホバの家にいりし銀すなはち門守が民よりあつめし者を彼に計算しめ 012 2KI 022 005 工事を司どるヱホバの家の監督者の手にこれを付さしめ而してまた彼らをしてヱホの家にありて工事をなすところの者にこれを付さしめ殿の破壞を修理はしめよ 012 2KI 022 006 即ち工匠と建築者と石工にこれを付さしめ又これをもて殿を修理ふ材木と斫石を買しむべし 012 2KI 022 007 但し彼らは誠實に事をなせば彼らの手にわたすところの銀の計算をかれらとするには及ばざるなり 012 2KI 022 008 時に祭司の長ヒルキヤ書記官シヤパンに言けるは我ヱホバの家において律法の書を見いだせりとヒルキヤすなはちその書をシヤパンにわたしたれば彼これを讀り 012 2KI 022 009 かくて書記官シヤパン王の許にいたり王に返事まうして言ふ僕等殿にありし金を打あけてこれを工事を司どるヱホバの家の監督者の手に付せりと 012 2KI 022 010 書記官シヤパンまた王につげて祭司ヒルキヤ我に一書をわたせりと言ひシヤパン其を王の前に讀けるに 012 2KI 022 011 王その律法の書の言を聞やその衣を裂り 012 2KI 022 012 而して王祭司ヒルキヤとシヤパンの子アヒカムとミカヤの子アクボルと書記官シヤパンと王の内臣アサヤとに命じて言ふ 012 2KI 022 013 汝等往てこの見當し書の言につきて我のため民のためユダ全國のためにヱホバに問へ其は我儕の先祖等はこの書の言に聽したがひてその凡て我儕のために記されたるところを行ふことをせざりしに因てヱホバの我儕にむかひて怒を發したまふこと甚だしかるべければなり 012 2KI 022 014 是において祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シヤパンおよびアサヤ等シヤルムの妻なる女預言者ホルダの許にいたれりシヤルムはハルハスの子なるテクワの子にして衣裳の室を守る者なり時にホルダはヱルサレムの下邑に住をる彼等すなはちホルダに物語せしかば 012 2KI 022 015 ホルダかれらに言けるはイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝等を我につかはせる人に告よ 012 2KI 022 016 ヱホバかく言ふ我ユダの王が讀たるかの書の一切の言にしたがひて災害をこの處と此にすめる民に降さんとす 012 2KI 022 017 彼等はわれを棄て他の神に香を焚きその手に作れる諸の物をもて我を怒らするなり是故に我この處にむかひて怒の火を發す是は滅ざるべし 012 2KI 022 018 但し汝等をつかはして我に問しむるユダの王には汝等かく言べし汝が聞る言につきてイスラエルの神ヱホバかく言たまふ 012 2KI 022 019 汝はわが此處と此にすめる民にむかひて是は荒地となり呪詛とならんと言しを聞たる時に心柔にしてヱホバの前に身を卑し衣を裂て吾前に泣たれば我もまた聽ことをなすなりヱホバこれを言ふ 012 2KI 022 020 然ば視よ我なんぢを汝の先祖等に歸せしめん汝は安全に墓に歸することをうべし汝はわが此處にくだす諸の災害を目に見ることあらじと彼等すなはち王に返事まうしぬ 012 2KI 023 001 是において王人をつかはしてユダとヱルサレムの長老をことごとく集め 012 2KI 023 002 而して王ヱホバの家にのぼれりユダの諸の人々ヱルサレムの一切の民および祭司預言者ならびに大小の民みな之にしたがふ王すなはちヱホバの家に見あたりし契約の書の言をことごとくかれらの耳に讀きかせ 012 2KI 023 003 而して王高座の上に立てヱホバの前に契約をなしヱホバにしたがひて歩み心をつくし精神をつくしてその誡命と律法と法度を守り此書にしるされたる此契約の言をおこなはんと言り民みなその契約に加はりぬ 012 2KI 023 004 かくして王祭司の長ヒルキヤとその下にたつところの祭司等および門守等に命じてヱホバの家よりしてバアルとアシラと天の衆群との爲に作りたる諸の器と執いださしめヱルサレムの外にてキデロンの野にこれを燒きその灰をベテルに持ゆかしめ 012 2KI 023 005 又ユダの王等が立てダの邑々とヱルサレムの四圍なる崇邱に香をたかしめたる祭司等を廢しまたバアルと日月星宿と天の衆群とに香を焚く者等をも廢せり 012 2KI 023 006 彼またヱホバの家よりアシラ像をとりいだしヱルサレムの外に持ゆきてキデロン川にいたりキデロン川においてこれを燒きこれを打碎きて粉となしその粉を民の墓に散し 012 2KI 023 007 またヱホバの家の旁にある男娼の家を毀てり其處はまた婦人がアシラのために天幕を織ところなりき 012 2KI 023 008 彼またユダの邑々より祭司をことごとく召よせまた祭司が香をたきたる崇邱をばゲバよりベエルシバまでこれを汚しまた門にある崇邱を毀てり是等の崇邱は一は邑の宰ヨシユアの門の入口にあり一は邑の門にありて之に入る人の左にあたる 012 2KI 023 009 崇邱の祭司等はエルサレムにおいてヱホバの壇にのぼることをせざりき但し彼等はその兄弟の中にありて無酵パンを食へり 012 2KI 023 010 王また人がその子息息女に火の中を通らしめて之をモロクにささぐることなからんためにベンヒンノムの谷にあるトペテを汚し 012 2KI 023 011 またユダの王等が日のためにささげてヱホバの家の門における馬をうつせりこの馬はパルリムにある侍從ナタンメレクの室にをりしなり彼また日の車を皆火に焚り 012 2KI 023 012 またユダの王等がアハズの桜の屋背につくりたる祭壇とマナセがヱホバの家の兩の庭につくりたる祭壇とは王これを毀ちこれを其處より取くづしてその碎片をキデロン川になげ捨たり 012 2KI 023 013 またイスラエルの王ソロモンが昔シドン人の憎むべき者なるアシタロテとモアブ人の憎むべき者なるケモシとアンモンの子孫の憎むべき者なるモロクのためにヱルサレムの前において殲滅山の右に築きたる崇邱も王これを汚し 012 2KI 023 014 また諸の像をうち碎きアシラ像をきりたふし人の骨をもてその處々に充せり 012 2KI 023 015 またベテルにある壇かのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムが造りし崇邱すなはちその壇もその崇邱も彼これを毀ちその崇邱を焚てこれを粉にうち碎きかつアシラ像を焚り 012 2KI 023 016 茲にヨシア身をめぐらして山に墓のあるを見人をやりてその墓より骨をとりきたらしめ之をその壇の上に焚てそれを汚せり即ち神の人が宣たるヱホバの言のごとし昔神の人この言語を宣しことありしなり 012 2KI 023 017 ヨシアまた其處に見ゆる碑は何なるやと言しに邑の人々これに告て其は汝がベテルの壇にむかひて爲るこの事等をユダより來りて宣たる神の人の墓なりと言ければ 012 2KI 023 018 すなはち其には手をつくるなかれ誰もその骨を移すなかれと言り是をもてその骨とサマリヤより來りし預言者の骨には手をつけざりき 012 2KI 023 019 またイスラエルの王等がサマリヤの邑々に造りてヱホバを怒せし崇邱の家も皆ヨシアこれを取のぞき凡てそのベテルになせしごとくに之に事をなせり 012 2KI 023 020 彼また其處にある崇邱の祭司等を壇の上にころし人の骨を壇の上に焚てヱルサレムに歸りぬ 012 2KI 023 021 而して王一切の民に命じて言ふ汝らこの契約の書に記されたるごとくに汝らの神ヱホバに逾越の節を執行ふべしと 012 2KI 023 022 士師のイスラエルを治めし日より已來もまたユダの王等とイスラエルの王等の代にも斯のごとき逾越の節を守りしことはなかりしが 012 2KI 023 023 ヨシア王の十八年にいたりてヱルサレムにて斯逾越節をヱホバに守りしなり 012 2KI 023 024 ヨシアまた祭司ヒルキヤがヱホバの家にて見いだせし書に記されたる律法の言を世におこなはんために口寄者と卜筮師とテラピムと偶像およびユダの地とヱルサレムに見ゆる諸の憎むべき者を取のぞけり 012 2KI 023 025 ヨシアの如くに心を盡し精神を盡し力を盡してモーセの法に全くしたがひてヱホに歸向せし王はヨシアの先にはあらざりきまた彼の後にも彼のごとき者はなし 012 2KI 023 026 斯有しかどもヱホバはユダにむかひて怒を發したるその大いなる燃たつ震怒を息ることをしたまはざりき是はマナセ諸の憤らしき事をもてヱホバを怒らせしによるなり 012 2KI 023 027 ヱホバすなはち言たまはく我イスラエルを移せし如くにユダをもわが目の前より拂ひ移し我が選みし此ヱルサレムの邑と吾名をそこに置んといひしこの殿とを棄べしと 012 2KI 023 028 ヨシアのその餘の行爲とその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 023 029 ヨシアの代にエジプトの王パロネコ、アッスリヤの王と戰はんとてユフラテ河をさして上り來しがヨシア王これを防がんとて進みゆきければ彼これに出あひてメギドンにこれを殺せり 012 2KI 023 030 その僕等すなはちこれが死骸を車にのせてメギドンよりヱルサレムに持ゆきこれをその墓に葬れり國の民ここに於てヨシアの子ヱホアハズを取りこれに膏をそそぎて王となしてその父にかはらしめたり 012 2KI 023 031 ヱホアハズは王となれる時二十三歳にしてヱルサレムにて三月世を治めたりその母はリブナのエレミヤの女にして名をハムタルと云ふ 012 2KI 023 032 ヱホアハズはその先祖等が凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせしが 012 2KI 023 033 パロネコ彼をハマテの地のリブラに繋ぎおきてヱルサレムにおいて王となりをることを得ざらしめ且銀百タラント金一タラントの罰金を國に課したり 012 2KI 023 034 而してパロネコはヨシアの子エリアキムをしてその父ヨシアにかはりて王とならしめ彼の名をヱホヤキムと改めヱホアハズを曳て去ぬヱホアハズはエジプトにいたりて其處に死り 012 2KI 023 035 ヱホヤキムは金銀をパロにおくれり即ち彼國に課してパロの命のままに金を出さしめ國の民各人に割つけて金銀を征取りてこれをパロネコにおくれり 012 2KI 023 036 ヱホヤキムは二十五歳にして王となりヱルサレムにおいて十一年世を治めたりその母はルマのペダヤの女にして名をゼブタと云ふ 012 2KI 023 037 ヱホヤキムはその先祖等が凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり 012 2KI 024 001 ヱホヤキムの代にバビロンの王ネブカデネザル上り來りければヱホヤキムこれに臣服して三年をへたりしが遂にひるがへりて之に叛けり 012 2KI 024 002 ヱホバ、カルデヤの軍兵スリアの軍兵モアブの軍兵アンモンの軍兵をしてヱホヤキムの所に攻きたらしめたまへり即ちユダを滅さんがためにこれをユダに遣はしたまふヱホバがその僕なる預言者等によりて言たまひし言語のごとし 012 2KI 024 003 この事は全くヱホバの命によりてユダにのぞみし者にてユダをヱホバの目の前より拂ひ除かんがためなりき是はマナセがその凡てなす所において罪を犯したるにより 012 2KI 024 004 また無辜人の血をながし無辜人の血をヱルサレムに充したるによりてなりヱホバはその罪を赦すことをなしたまはざりき 012 2KI 024 005 ヱホヤキムのその餘の行爲とその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや 012 2KI 024 006 ヱホヤキムその先祖等とともに寝りその子ヱコニアこれに代りて王となれり 012 2KI 024 007 却説またエジプトの王は重てその國より出きたらざりき其はバビロンの王エジプトの河よりユフラテ河まで凡てエジプトの王に屬する者を悉く取たればなり 012 2KI 024 008 ヱコニアは王となれる時十八歳にしてヱルサレムにて三月世を治めたりその母はヱルサレムのエルナタンの女にして名をネホシタと云ふ 012 2KI 024 009 ヱコニアはその父の凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり 012 2KI 024 010 その頃バビロンの王ネブカデネザルの臣ヱルサレムに攻のぼりて邑を圍めり 012 2KI 024 011 即ちバビロンの王ネブカデネザル邑に攻來りてその臣にこれを攻惱さしめたれば 012 2KI 024 012 ユダの王ヱコニアその母その臣その牧伯等およびその侍從等とともに出てバビロンの王に降れりバビロンの王すなはち彼を執ふ是はその代の八年にあたれり 012 2KI 024 013 而して彼ヱホバの家の諸の寶物および王の家の寶物を其處より携へ去りイスラルの王ソロモンがヱホバの宮に造りたる諸の金の器を切はがせりヱホバの言たまひしごとし 012 2KI 024 014 彼またヱルサレムの一切の民および一切の牧伯等と一切の大なる能力ある者ならびに工匠と鍛冶とを一萬人擄へゆけり遺れる者は國の民の賤き者のみなりき 012 2KI 024 015 彼すなはちヱコニアをバビロンに擄へゆきまた王の母王の妻等および侍從と國の中の能力ある者をもエルサレムよりバビロンに擄へうつせり 012 2KI 024 016 凡て能力ある者七千人工匠と鍛冶一千人ならびに強壯して善戰ふ者是等をバビロンの王擄へてバビロンにうつせり 012 2KI 024 017 而してバビロンの王またヱコニアの父の兄弟マツタニヤを王となしてヱコニアに代へ其が名をゼデキヤと改めたり 012 2KI 024 018 ゼデキヤは二十一歳にして王となりヱルサレムにて十一年世を治めたりその母はリブナのヱレミヤの女にして名をハムタルと曰ふ 012 2KI 024 019 ゼデキヤはエホヤキムが凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり 012 2KI 024 020 ヱルサレムとユダに斯る事ありしはヱホバの震怒による者にしてヱホバつひにその人々を自己の前よりはらひ棄たまへり偖またゼデキヤはバビロンの王に叛けり 012 2KI 025 001 茲にゼデキヤの代の九年の十月十日にバビロンの王ネブカデネザルその諸軍勢を率てヱルサレムに攻きたりこれにむかひて陣を張り周圍に雲梯を建てこれを攻たり 012 2KI 025 002 かくこの邑攻かこまれてゼデキヤ王の十一年にまでおよびしが 012 2KI 025 003 その四月九日にいたりて城邑の中饑ること甚だしくなりその地の民食物を得ざりき 012 2KI 025 004 是をもて城邑つひに打破られければ兵卒はみな王の園の邊なる二箇の石垣の間の途より夜の中に逃いで皆平地の途にしたがひておちゆけり時にカルデア人は城邑を圍みをる 012 2KI 025 005 茲にカルデア人の軍勢王を追ゆきヱリコの平地にてこれに追つきけるにその軍勢みな彼を離れて散しかば 012 2KI 025 006 カルデア人王を執へてこれをリブラにをるバビロンの王の許に曳ゆきてその罪をさだめ 012 2KI 025 007 ゼデキヤの子等をゼデキヤの目の前に殺しゼデキヤの目を抉しこれを鋼索につなぎてバビロンにたづさへゆけり 012 2KI 025 008 バビロンの王ネブカデネザルの代の十九年の五月七日にバビロンの王の臣侍衛の長ネブザラダン、ヱルサレムにきたり 012 2KI 025 009 ヱホバの室と王の室を燒き火をもてヱルサレムのすべての室と一切の大なる室を燒り 012 2KI 025 010 また侍衛の長とともにありしカルデア人の軍勢ヱルサレムの四周の石垣を毀てり 012 2KI 025 011 侍衛の長ネブザラダンすなはち邑に遺されし殘餘の民およびバビロンの王に降りし降人と群衆の殘餘者を擄へうつせり 012 2KI 025 012 但し侍衛の長その地の或貧者をのこして葡萄をつくる者となし農夫となせり 012 2KI 025 013 カルデア人またヱホバの家の銅の柱と洗盤の臺と銅の海をくだきてその銅をバビロンに運び 012 2KI 025 014 また鍋と火鏟と燈剪と匙および凡て役事に用ふる銅の器を取り 012 2KI 025 015 侍衛の長また火盤と鉢など金銀にて作れる物を取り 012 2KI 025 016 またソロモンがヱホバの室に造しところの二の柱と一の海と臺とを取り此もろもろの銅の重は量るべからず 012 2KI 025 017 この柱は高さ十八キユビトにしてその上に銅の頂ありその頂の高は三キユビトその頂の四周に網子と石榴とありて皆銅なり他の柱とその網子もこれに同じ 012 2KI 025 018 侍衛の長は祭司の長セラヤと第二の祭司ゼパニヤと三人の門守を執へ 012 2KI 025 019 また兵卒を督どる一人の寺人と王の前にはべる者の中邑にて遇しところの者五人とその地の民を募る軍勢の長なる書記官と城邑の中にて遇しところの六十人の者を邑より擄へされり 012 2KI 025 020 侍衛の長ネブザラダンこれらを執へてリブラにをるバビロンの王の許にいたりければ 012 2KI 025 021 バビロンの王ハマテの地のリブラにてこれらを撃殺せりかくユダはおのれの地よりとらへ移されたり 012 2KI 025 022 かくてバビロンの王ネブカデネザルは自己が遺してユダの地に止らしめし民の上にシヤパンの子なるアヒカムの子ゲダリヤをたててこれをその督者となせり 012 2KI 025 023 茲に軍勢の長等およびこれに屬する人々みなバビロンの王がゲダリヤを督者となせしことを聞しかばすなはちネタニヤの子イシマエル、カレヤの子ヨナハン、ネトバ人タンホメテの子セラヤおよび或マアカ人の子ヤザニヤならびに彼らに屬する人々ミヅパにきたりてゲダリヤの許にいたれり 012 2KI 025 024 ゲダリヤすなはち彼等とかれらに屬する人々に誓ひてこれに言けるは汝等カルデア人の僕となることを恐るるなかれこの地に住てバビロンの王につかへなば汝等幸福ならんと 012 2KI 025 025 然るに七月に王の血統なるエリシヤマの子ネタニヤの子なるイシマエル十人の者とともに來りてゲダリヤを撃ころし又彼とともにミヅパにをりしユダヤ人とカルデア人を殺せり 012 2KI 025 026 是において大小の民および軍勢の長等みな起てエジプトにおもむけり是はカルデヤ人をおそれたればなり 012 2KI 025 027 ユダの王ヱホヤキムがとらへ移れたる後三十七年の十二月二十七日バビロンの王エビルメロダクその代の一年にユダの王ヱホヤキムを獄より出してその首をあげしめ 012 2KI 025 028 善言をもて彼をなぐさめその位をバビロンにともに居るところの王等の位よりも高くし 012 2KI 025 029 その獄の衣服を易しめたりヱホヤキムは一生のあひだつねに王の前に食をなせり 012 2KI 025 030 かれ一生のあひだたえず日々の分を王よりたまはりてその食物となせり # # BOOK 013 1CH 1 Chronicles 歴代誌Ⅰ 013 1CH 001 001 アダム、セツ、エノス 013 1CH 001 002 ケナン、マハラレル、ヤレド 013 1CH 001 003 エノク、メトセラ、ラメク 013 1CH 001 004 ノア、セム、ハム、ヤペテ 013 1CH 001 005 ヤベテの子等はゴメル、マゴグ、マデア、ヤワン、トバル、メセク、テラス 013 1CH 001 006 ゴメルの子等はアシケナズ、リパテ、トガルマ 013 1CH 001 007 ヤワンの子等はエリシヤ、タルシシ、キツテム、ドダニム 013 1CH 001 008 ハムの子等はクシ、ミツライム、プテ、カナン 013 1CH 001 009 クシの子等はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ、ラアマの子等はセバとデダン 013 1CH 001 010 クシ、ニムロデを生り彼はじめて世の權力ある者となれり 013 1CH 001 011 ミツライムはルデ族アナミ族レハビ族ナフト族 013 1CH 001 012 パテロス族カスル族カフトリ族を生りカスル族よりペリシテ族出たり 013 1CH 001 013 カナンその冢子シドンおよびヘテを生み 013 1CH 001 014 またヱブス族アモリ族ギルガシ族 013 1CH 001 015 ヒビ族アルキ族セニ族 013 1CH 001 016 アルワデ族ゼマリ族ハマテ族を生り 013 1CH 001 017 セムの子等はエラム、アシユル、アルバクサデ、ルデ、アラム、ウズ、ホル、ゲテル、メセク 013 1CH 001 018 アルバクサデ、シラを生みシラ、エベルを生り 013 1CH 001 019 エベルに二人の子生れたりその一人の名をベレグ(分)と曰ふ其は彼の代に地の人散り分れたればなりその弟の名をヨクタンと曰ふ 013 1CH 001 020 ヨクタンはアルモダデ、シヤレフ、ハザルマウテ、ヱラ 013 1CH 001 021 ハドラム、ウザル、デクラ 013 1CH 001 022 エバル、アビマエル、シバ 013 1CH 001 023 オフル、ハビラおよびヨハブを生り是等はみなヨクタンの子なり 013 1CH 001 024 セム、アルバクサデ、シラ 013 1CH 001 025 エベル、ベレグ、リウ 013 1CH 001 026 セルグ、ナホル、テラ 013 1CH 001 027 アブラム是すなはちアブラハムなり 013 1CH 001 028 アブラハムの子等はイサクおよびイシマエル 013 1CH 001 029 彼らの子孫は左のごとしイシマエルの冢子はネバヨテ次はケダル、アデビエル、ミブサム 013 1CH 001 030 ミシマ、ドマ、マツサ、ハダデ、テマ 013 1CH 001 031 ヱトル、ネフシ、ケデマ、イシマエルの子孫は是の如し 013 1CH 001 032 アブラハムの妾ケトラの生る子は左のごとし彼ジムラン、ヨクシヤン、メダン、ミデアン、イシバク、シユワを生りヨクシヤンの子等はシバおよびデダン 013 1CH 001 033 ミデアンの子等はエバ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダア是等はみなケトラの生る子なり 013 1CH 001 034 アブラハム、イサクを生りイザクの子等はヱサウとイスラエル 013 1CH 001 035 エサウの子等はエリバズ、リウエル、ヱウシ、ヤラム、コラ 013 1CH 001 036 エリバズの子等はテマン、オマル、ゼビ、ガタム、ケナズ、テムナ、アマレク 013 1CH 001 037 リウエルの子等はナハテ、ゼラ、シヤンマ、ミツザ 013 1CH 001 038 セイの子等はロタン、シヨバル、ヂベオン、アナ、デシヨン、エゼル、デシヤン 013 1CH 001 039 ロタンの子等はホリとホマム、ロタンの妹はテムナ 013 1CH 001 040 シヨバルの子等はアルヤン、マナハテ、エバル、シピ、オナム、ヂベオンの子等はアヤとアナ 013 1CH 001 041 アナの子等はデシヨン、デシヨンの子等はハムラム、エシバン、イテラン、ケラン、 013 1CH 001 042 エゼルの子等はビルハン、ザワン、ヤカン、デシヤンの子等はウズおよびアラン 013 1CH 001 043 イスラエルの子孫を治むる王いまだ有ざる前にエドムの地を治めたる王等は左のごとしベオルの子ベラその都城の名はデナバといふ 013 1CH 001 044 ベラ薨てボズラのゼラの子ヨバブこれに代りて王となり 013 1CH 001 045 ヨバブ薨てテマン人の地のホシヤムこれにかはりて王となり 013 1CH 001 046 ホシヤム薨てベダデの子ハダデこれにかはりて王となれり彼モアブの野にてミデアン人を撃りその都城の名はアビテといふ 013 1CH 001 047 ハダデ薨てマスレカのサムラこれに代りて王となり 013 1CH 001 048 サムラ薨て河の旁なるレホボテのサウルこれに代りて王となり 013 1CH 001 049 サウル薨てアクボルの子バアルハナンこれに代りて王となり 013 1CH 001 050 バアルハナン薨てハダデこれにかはりて王となれりその都城の名はパイといふその妻はマテレデの女子にして名をメヘタベルといへりマテレデはメザハブの女なり 013 1CH 001 051 ハダデも薨たり/エドムの諸侯は左のごとし、テムナ侯アルヤ侯ヱテテ侯 013 1CH 001 052 アホリバマ侯エラ侯ピノン侯 013 1CH 001 053 ケナズ侯テマン侯ミブザル侯 013 1CH 001 054 マグデエル侯イラム侯エドムの諸侯は是のごとし 013 1CH 002 001 イスラエルの子等は左のごとしルベン、シメオン、レビ、ユダ、イツサカル、ゼブルン 013 1CH 002 002 ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アセル 013 1CH 002 003 ユダの子等はエル、オナン、シラなり この三人はカナンの女バテシユアがユダによりて生たるなり ユダの長子エルはヱホバの前に惡き事をなしたれば之を殺したまへり 013 1CH 002 004 ユダの媳タマルはユダによりてペレヅとゼラとを生りユダの子等は都合五人なりき 013 1CH 002 005 ペレヅの子等はヘヅロンおよびハムル 013 1CH 002 006 ゼラの子等はジムリ、エタン、ヘマン、カルコル、ダラ都合五人 013 1CH 002 007 カルミの子はアカル、アカルは詛はれし物につきて罪を犯してイスラエルを惱ませし者なり 013 1CH 002 008 エタンの子はアザリヤ 013 1CH 002 009 ヘヅロンに生れたる子等はヱラメル、ラム、ケルバイ 013 1CH 002 010 ラム、アミナダブを生みアミナダブ、ナシヨンを生りナシヨンはユダの子孫の牧伯なり 013 1CH 002 011 ナシヨン、サルマを生みサルマ、ボアズを生み 013 1CH 002 012 ボアズ、オベデを生み、オベデ、ヱツサイを生り 013 1CH 002 013 ヱツサイの生る者は長子はエリアブ その次はアミナダブ その三はシヤンマ 013 1CH 002 014 その四はネタンエル その五はラダイ 013 1CH 002 015 その六はオゼム その七はダビデ 013 1CH 002 016 かれらの姉妹はゼルヤとアビガル、ゼルヤの產る子はアビシヤイ、ヨアブ、アサヘルあはせて三人 013 1CH 002 017 アビガルはアマサを產り アサの父はイシマエル人ヱテルといふ者なり 013 1CH 002 018 ヘヅロンの子カレブはその妻アズバによりまたヱリオテによりて子を擧けたりその產る子等は左のごとし ヱシル、シヨバブおよびアルドン 013 1CH 002 019 アズバ死たればカレブまたエフラタを娶れり エフラタ、カレブによりてホルを產り 013 1CH 002 020 ホル、ウリを生み ウリ、ベザレルを生り 013 1CH 002 021 その後ヘヅロンはギレアデの父マキルの女の所にいれりその之を娶れる時は六十歳なりき彼ヘヅロンによりてセグブを產り 013 1CH 002 022 セグブ、ヤイルを生りヤイルはギレアデの地に邑二十三を有り 013 1CH 002 023 然るにゲシユルおよびアラム彼等よりヤイルの邑々およびケナテとその郷里など都合六十の邑を取り是皆ギレアデの父マキルの子等なりき 013 1CH 002 024 ヘヅロン、カレブエフテタに死て後ヘヅロンの妻アビヤその子アシユルを生りアシユルはテコアの父なり 013 1CH 002 025 ヘヅロンの長子ヱラメルの子等は長子はラム 次はブナ、オレン、オゼム、アヒヤ 013 1CH 002 026 ヱラメルはまた他の妻をもてりその名をアタラといふ彼はオナムの母なり 013 1CH 002 027 ヱラメルの長子ラムの子等はマアツ、ヤミン、エケル 013 1CH 002 028 オナムの子等はシヤンマイ、ヤダ、シヤンマイの子等はナダブおよびアビシユル 013 1CH 002 029 アビシユルの妻の名はアビハイルといふ彼アバンおよびモリデを生り 013 1CH 002 030 ナダブの子等はセレデおよびアツパイム、セレデは子なくして死り 013 1CH 002 031 アツパイムの子はイシ、イシの子はセシヤン、セシヤンの子はアヘライ 013 1CH 002 032 シヤンマイの兄弟ヤダの子はヱテルおよびヨナタン、ヱテルは子なくして死り 013 1CH 002 033 ヨナタンの子等はペレテおよびザザ、ヱラメルの子孫は斯のごとし 013 1CH 002 034 セシヤンは男子なくして惟女子ありしのみなるがセシヤンにヤルハと名くるエジプトの僕ありければ 013 1CH 002 035 セシヤンその女をこの僕ヤルハに與へて妻となさしめたり彼ヤルハによりてアツタイを生り 013 1CH 002 036 アツタイ、ナタンを生みナタン、ザバデを生み 013 1CH 002 037 ザバデ、エフラルを生み エフラル、オベデを生み 013 1CH 002 038 オベデ、ヱヒウを生み ヱヒウ、アザリヤを生み 013 1CH 002 039 アザリヤ、ヘレヅを生み ヘレヅ、ヱレアサを生み 013 1CH 002 040 ヱレアサ、シスマイを生み シスマイ、シヤルムを生み 013 1CH 002 041 シヤルム、ヱカミヤを生み ヱカミヤ、エリシヤマを生り 013 1CH 002 042 ヱラメルの兄弟カレブの子等はその長子をメシヤといふ是はジフの父なり ジフの子はマレシヤ、マレシヤはヘブロンの父なり 013 1CH 002 043 ヘブロンの子等はコラ、タツプア、レケム、シマ 013 1CH 002 044 シマはラハムを生り ラハムはヨルカムの父なり レケムはシヤンマイを生り 013 1CH 002 045 シヤンマイの子はマオン、マオンはベテスルの父なり 013 1CH 002 046 カレブの妾エパでハラン、モザおよびガゼズを產り ハランはガゼズを生り 013 1CH 002 047 ヱダイの子等はレゲム、ヨタム、ゲシヤン、ペレテ、エバ、シヤフ 013 1CH 002 048 カレブの妾マアカはシベルおよびテルハナを生み 013 1CH 002 049 またマデマンナの父シヤフおよびマクベナとギベアの父シワを生り カレブの女子はアクサといふ 013 1CH 002 050 カレブの子孫は左のごとしエフラタの長子ホルの子はキリアテヤリムの父シヨバル 013 1CH 002 051 ベテレヘムの父サルマおよびベテカデルの父ハレフ 013 1CH 002 052 キリアタヤリムの父シヨバルの子等はハロエにメヌコテ人の半 013 1CH 002 053 またキリアテヤリムの宗族はイテリ族プヒ族シユマ族ミシラ族 是等よりザレア族およびエシタオル族出たり 013 1CH 002 054 サルマの子孫はベテレヘム、ネトバ族アタロテベテヨアブ、マナハテ族の半およびゾリ族 013 1CH 002 055 ならびにヤベヅに住る諸士の宗族すなはちテラテ族シメアテ族スカテ族是等はケニ人にしてレカブの家の先祖ハマテより出たる者なり 013 1CH 003 001 ヘブロンにて生れたるダビデの子等は左のごとし長子はアムノンといひてヱズレル人アヒノアムより生れ其次はダニエルといひてカルメル人アビガルより生る 013 1CH 003 002 その三はアブサロムといひてゲシユルの王タルマイの女マアカの生る子其四はアドニヤといひてハギテの生る子なり 013 1CH 003 003 その五はシバテヤといひてアビタルより生れ其六はイテレアムといひて妻エグラより生る 013 1CH 003 004 この六人ヘブロンにてかれに生れたりダビデ彼處にて王たりし事七年と六箇月またヱルサレムにて王たりし事三十三年 013 1CH 003 005 ヱルサレムにて生れたるその子等は左のごとしシメア、シヨバブ、ナタン、ソロモンこの四人はアンミエルの女バテシユアより生る 013 1CH 003 006 またイブハル、エリシヤマ、エリペレテ 013 1CH 003 007 ノガ、ネペグ、ヤピア 013 1CH 003 008 エリシヤマ、エリアダ、エリペレテの九人 013 1CH 003 009 是みなダビデの子なり此外にまた妾等の生る子等あり彼らの姉妹にタマルといふ者あり 013 1CH 003 010 ソロモンの子はレハベアムその子はアビヤその子はアサその子はヨシヤパテ 013 1CH 003 011 その子はヨラムその子はアハジアその子はヨアシ 013 1CH 003 012 その子はアマジヤその子はアザリヤモの子はヨタム 013 1CH 003 013 その子はアハズその子はヒゼキヤその子はマナセ 013 1CH 003 014 その子はアモンその子はヨシア 013 1CH 003 015 ヨシアの子等は長子はヨハナンその次はヱホヤキムその三はゼデキヤその四はシヤルム 013 1CH 003 016 ヱホヤキムの子等はその子はヱコニアその子はゼデキヤ 013 1CH 003 017 俘擄人ヱコニアの子等はその子シヤルテル 013 1CH 003 018 マルキラム、ペダヤ、セナザル、ヱカミア、ホシヤマ、ネダビヤ 013 1CH 003 019 ペダヤの子等はゼルバベルおよびシメイ、ゼルバベルの子等はメシユラムおよびハナニヤその姉妹にシロミテといふ者あり 013 1CH 003 020 またハシユバ、オヘル、ベレキヤ、ハサデヤ、ユサブヘセデの五人あり 013 1CH 003 021 ハナニヤの子等はベラテヤおよびヱサヤまたレバヤの子等アルナンの子等オバデヤの子等シカニヤの子等あり 013 1CH 003 022 シカニヤの子はシマヤ、シマヤの子等はハツトシ、イガル、バリア、ネアリア、シヤパテの六人 013 1CH 003 023 ネアリアの子等はエリヨエナイ、ヒゼキヤ、アズリカムの三人 013 1CH 003 024 エリヨエナイの子等はホダヤ、エリアシブ、ペラヤ、アツクブ、ヨハナン、デラヤ、アナニの七人 013 1CH 004 001 ユダの子等はペレヅ、ヘヅロン、カルミ、ホル、シヨバル 013 1CH 004 002 シヨバルの子レアヤ、ヤハテを生みヤハテ、アホマイおよびラハデを生り是等はザレア人の宗族なり 013 1CH 004 003 エタムの父の生る者は左のごとしヱズレル、イシマおよびイデバシその姉妹の名はハゼレルポニといふ 013 1CH 004 004 ゲドルの父ペヌエル、ホシヤの父エゼル是等はベテレヘムの父エフラタの長子ホルの子等なり 013 1CH 004 005 テコアの父アシユルは二人の妻を有り即ちヘラとナアラ 013 1CH 004 006 ナアラ、アシユルによりてアホザム、へペル、テメニおよびアハシタリを產り是等はナアラの產る子なり 013 1CH 004 007 ヘラの產る子はゼレテ、ヱゾアル、エテナン 013 1CH 004 008 ハツコヅはアヌブおよびゾベバを產り ハルムの子アハルヘルの宗族も彼より出づ 013 1CH 004 009 ヤベヅはその兄弟の中にて最も尊ばれたる者なりきその母我くるしみてこれを產たればといひてその名をヤベヅ(くるしみ)と名けたり 013 1CH 004 010 ヤベヅ、イスラエルの神に龥はり我を祝福に祝福て我境を擴め御手をもて我を助け我をして災難に罹りてくるしむこと無らしめたまへと言り神その求むる所を允したまふ 013 1CH 004 011 シユワの兄弟ケルブはメヒルを生りメヒルはエシトンの父なり 013 1CH 004 012 エシトンはベテラパ、パセアおよびイルハナシの父テヒンナを生り是等はレカの人なり 013 1CH 004 013 ケナズの子等はオテニエルおよびセラヤ、オテニエルの子はハタテ 013 1CH 004 014 メオノタイはオフラを生みセラヤはヨアブを生りヨアブはカラシム(工匠)谷の人々の父なり彼處のものは工匠なればかくいふ 013 1CH 004 015 ヱフンネの子カレブの子等はイル、エラおよびナアム、エラの子等およびケナズ 013 1CH 004 016 ヱハレレルの子等はジフ、ジバ、テリア、アサレル 013 1CH 004 017 エズラの子等はヱテル、メレデ、エペル、ヤロン、メレデの妻はミリアム、シヤンマイおよびイシバを產り イシバはエシテモアの父なり 013 1CH 004 018 そのユダヤ人なる妻はゲドルの父ヱレデとシヨコの父へベルとザノアの父ヱクテエルを產り是等はメレデが娶りたるパロの女ビテヤの生る子なり 013 1CH 004 019 ナハムの姉妹なるホデヤの妻の生める子等はガルミ人ケイラの父およびマアカ人エシテモアなり 013 1CH 004 020 シモンの子等はアムノン、リンナ、ベネハナン、テロン、イシの子等はゾヘテおよびべネゾヘテ 013 1CH 004 021 ユダの子シラの子等はレカの父エル、マレシヤの父ラダおよび織布者の家の宗族すなはちアシベアの家の者等 013 1CH 004 022 ならびにモアブに主たりしヨキム、コゼバの人々ヨアシおよびサラフ等なり またヤシユブ、レハムといふ者ありその記録は古し 013 1CH 004 023 是等の者は陶工にしてネタイムおよびゲデラに住み王の地に居りてその用をなせり 013 1CH 004 024 シメオンの子等はネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラ、シヤウル 013 1CH 004 025 シヤウルの子はシヤルム その子はミブサムその子はミシマ 013 1CH 004 026 ミシマの子はハムエル その子はザツクル その子はシメイ 013 1CH 004 027 シメイには男子十六人女子六人ありしがその兄弟等には多の子あらざりきまたその宗族の者は凡てユダの子孫ほどには殖増ざりき 013 1CH 004 028 彼らの住る處はベエルシバ、モラダ、ハザルシユアル 013 1CH 004 029 ビルハ、エゼム、トラデ 013 1CH 004 030 ベトエル、ホルマ、チクラグ 013 1CH 004 031 ベテマルカボテ、ハザルスシム、ベテビリ、シヤライム是等の邑はダビデの世にたるまで彼等の有たりき 013 1CH 004 032 その村郷はエタム、アイン、リンモン、トケン、アシヤンの五の邑なり 013 1CH 004 033 またこの邑々の周圍に衆多の村ありてバアルにまでおよべり彼らの住處は是のごとくにして彼ら各々系譜あり 013 1CH 004 034 メシヨバブ、ヤムレク、アマジヤの子ヨシヤ 013 1CH 004 035 ヨエル、アシエルの曾孫セラヤの孫ヨシビアの子ヱヒウ 013 1CH 004 036 ヱリオエナイ、ヤコバ、ヱシヨハヤ、アサヤ、アデヱル、ヱシミエル、ベナヤ 013 1CH 004 037 およびシピの子ジザ、シピはアロンの子 アロンはヱダヤの子 ヱダヤはシムリの子 シムリはシマヤの子なり 013 1CH 004 038 此に名を擧げたる者等はその宗族の中の長たる者にしてその宗家は大に蔓延り 013 1CH 004 039 彼等はその群のために牧場を求めんとてゲドルの西におもむき谷の東の方にいたり 013 1CH 004 040 つひに膏腴なる善き牧場を見いだせしがその地は廣く靜穩にして安寧なりき其は昔より其處に住たりし者はハム人なればなり 013 1CH 004 041 即ち上にその名を記したる者等ユダの王ヒゼキヤの代に往て彼らの幕屋を撃やぶり彼らと其處に居しメウニ人を盡く滅ぼし之に代りて其處に住て今日にいたる是はその群を牧べき牧場其處にありたればなり 013 1CH 004 042 またシメオンの子孫の者五百人許イシの子等ペラテア、ネアリア、レバヤ、ウジエルを長としてセイル山に攻ゆき 013 1CH 004 043 アマレキ人の逃れて遺れる者を撃ほろぼして今日まで其處に住り 013 1CH 005 001 イスラエルの長子ルベンの子等は左のごとしルベンは長子なりしがその父の床を瀆ししによりてその長子の權はイスラエルの子ヨセフの子等に與へらる然れども系譜は長子の權にしたがひて記すべきに非ず 013 1CH 005 002 そはユダその諸兄弟に勝る者となりて君たる者その中より出ればなり但し長子の權はヨセフに屬す 013 1CH 005 003 即ちイスラエルの長子ルベンの子等はハノク、パル、ヘヅロン、カルミ 013 1CH 005 004 ヨエルの子はシマヤ その子はゴグ その子はシメイ 013 1CH 005 005 その子はミカ その子はレアヤ その子はバアル 013 1CH 005 006 その子はベエラ このべエラはアッスリヤの王テルガテピルネセルに擄へられてゆけり彼はルベン人の中に牧伯たる者なりき 013 1CH 005 007 彼の兄弟等はその宗族に依りその歴代の系譜によれば左のごとし長ヱイエルおよびゼカリヤ 013 1CH 005 008 ベラ等なりベラはアザズの子シマの孫ヨエルの曾孫なりかれアロエルに住みて地をネボ、バアルメオンにまでおよぼししが 013 1CH 005 009 ギレアデの地にてその家畜殖増ければまた地を東の方ユフラテ河の此方なる荒野の極端にまでおよぼせり 013 1CH 005 010 またサウルの時にハガリ人と戰爭してこれを打破りギレアデの東の全部なる彼らの幕屋に住たり 013 1CH 005 011 ガドの子孫はこれと相對ひてバシヤンの地にすみて地をサルカにまで及ぼせり 013 1CH 005 012 長はヨエル次はシヤパム、ヤアナイ、シヤパテ共にバシヤンに居り 013 1CH 005 013 彼らの兄弟等はその宗家によればミカエル、メシユラム、シバ、ヨライ、ヤカン、ジア、ヘベル都合七人 013 1CH 005 014 是等はホリの子アビハイルの子等なり ホリはヤロアの子ヤロアはギレアデの子ギレアデはミカエルの子ミカエはヱシサイの子ヱシサイはヤドの子ヤドはブズの子 013 1CH 005 015 アヒはアブデルの子アブデルはグニの子グニは其宗家の長たり 013 1CH 005 016 彼らはギレアデとバシヤンと其郷里とシヤロンの諸郊地に住て地を其四方の境に及ぼせり 013 1CH 005 017 是等はみなユダの王ヨタムの世とイスラエルの王ヤラベアムの世に系譜に載たるなり 013 1CH 005 018 ルベンの子孫とガド人とマナセの半支派には出て戰ふべき者四萬四千七百六十人あり皆勇士にして能く楯と矛とを執り善く弓を彎きかつ善戰ふ者なり 013 1CH 005 019 彼等ハガリ人およびヱトル、ネフシ、ノダブ等と戰爭しけるが 013 1CH 005 020 助力をかうむりて攻撃たればハガリ人および之と偕なりし者等みな彼らの手におちいれり是は彼ら陣中にて神を呼びこれを賴みしによりて神これを聽いれたまひしが故なり 013 1CH 005 021 かくて彼らその家畜を奪ひとりしに駱駝五萬 羊二十五萬 驢馬二千あり人十萬ありき 013 1CH 005 022 またころされて倒れたる者衆しその戰爭神に由るがゆゑなり而して彼らはこれが地に代りて住その擄移さるる時におよべり 013 1CH 005 023 マナセの半支派の人々はこの地に住み殖蔓りてつひにバシヤンよりバアルヘルモン、セニルおよびヘルモン山まで地をおよぼせり 013 1CH 005 024 その宗家の長は左のごとし即ちエペル、イシ、エリエル、アズリエル、ヱレミヤ、ホダヤ、ヤデエル是みなその宗家の長にして名ある大勇士なりき 013 1CH 005 025 彼等その先祖等の神にむかひて罪を犯し曾て彼等の前に神の滅ぼしたまひし國の民等の神を慕ひてこれと姦淫したれば 013 1CH 005 026 イスラエルの神アッスリヤの王ブルの心を振興しまたアッスリヤの王テグラテビレセルの心を振興したまへり彼つひにルベン人とガド人とマナセの半支派とを擄へゆきこれをハウラとハボルとハラとゴザンの河の邊とに移せり彼等は今日まで其處にあり 013 1CH 006 001 レビの子等はゲルシヨン、コハテ、メラリ 013 1CH 006 002 コハテの子等はアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル 013 1CH 006 003 アムラムの子等はアロン、モーセ、ミリアム、アロンの子等はナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル 013 1CH 006 004 エレアザル、ピネハスを生み ピネハス、アビシユアを生み 013 1CH 006 005 アビシユア、ブツキを生み ブツキ、ウジを生み 013 1CH 006 006 ウジ、ゼラヒヤを生み ゼラヒヤ、メラヨテを生み 013 1CH 006 007 メラヨテ、アマリヤを生み アマリヤ、アヒトブを生み 013 1CH 006 008 アヒトブ、ザドクを生み ザドク、アヒマアズを生み 013 1CH 006 009 アヒマアズ、アザリヤを生み アザリヤ、ヨハナンを生み 013 1CH 006 010 ヨハナン、アザリヤを生り此アザリヤはヱルサレムなるソロモンの建たる宮にて祭司の職をなせし者なり 013 1CH 006 011 アザリヤ、アマリヤを生み アマリヤ、アヒトブを生み 013 1CH 006 012 アヒトブ、ザドクを生み ザドク、シヤルムを生み 013 1CH 006 013 シヤルム、ヒルキヤを生み ヒルキヤ、アザリヤを生み 013 1CH 006 014 アザリヤ、セラヤを生み セラヤ、ヨザダクを生む 013 1CH 006 015 ヨザダグはヱホバ、ネブカデネザルの手をもてユダおよびヱルサレムの人を擄へうつしたまひし時に擄へられて往り 013 1CH 006 016 レビの子等はゲルシヨン、コハテおよびメラリ 013 1CH 006 017 ゲルシヨンの子等の名は左のごとしリブニおよびシメイ 013 1CH 006 018 コハテの子等はアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル 013 1CH 006 019 メラリの子等はマヘリおよびムシ、レビ人の宗族はその宗家によれば是のごとし 013 1CH 006 020 ゲシヨンの子はリブニ その子はヤハテ その子はジンマ 013 1CH 006 021 その子はヨア その子はイド その子はゼラ その子はヤテライ 013 1CH 006 022 コハテの子はアミナダブ その子はコラ その子はアシル 013 1CH 006 023 その子はエルカナ その子はエビアサフ その子はアシル 013 1CH 006 024 その子はタハテ その子はウリエル その子はウジヤ その子はシヤウル 013 1CH 006 025 エルカナの子等はアマサイおよびアヒモテ 013 1CH 006 026 エルカナについてはエルカナの子はゾバイ その子はナハテ 013 1CH 006 027 その子はエリアブ その子はヱロハム その子はエルカナ 013 1CH 006 028 サムエルの子等は長子はヨエル 次はアビヤ 013 1CH 006 029 メラリの子はマヘリ その子はリブニ その子はシメイ その子はウザ 013 1CH 006 030 その子はシメア その子はハギヤ その子はアサヤなり 013 1CH 006 031 契約の櫃を安置せし後ダビデ左の人々を立てヱホバの家にて謳歌事を司どらせたり 013 1CH 006 032 彼等は集會の幕屋の住所の前にて謳歌事をおこなひ來りしがソロモン、ヱルサレムにヱホバの室を建るにおよびその次序に循ひてその職をつとめたり 013 1CH 006 033 立て奉事をなせるものおよびその子等は左のごとしコハテの子等の中ヘマンは謳歌師長たり ヘマンはヨルの子 ヨエルはサムエルの子 013 1CH 006 034 サムエルはエルカナの子 エルカナはヱロハムの子 ヱロハムはエリエルの子 エリエルはトアの子 013 1CH 006 035 トアはヅフの子 ヅフはエルカナの子 エルカナはマハテの子 マハテはアマサイの子 013 1CH 006 036 アマサイはヱルカナの子 エルカナはヨエルの子 ヨエルはアザリヤの子 アザリヤはゼパニヤの子 013 1CH 006 037 ゼパニヤはタハテの子 タハテはアシルの子 アシルはエビアサフの子 エビアサフはコラの子 013 1CH 006 038 コラはイヅハルの子 イヅハルはコハテの子 コハテはレビの子 レビはイスラエルの子なり 013 1CH 006 039 ヘマンの兄弟アサフ、ヘマンの右に立り アサフはベレキヤの子 ベレキヤはシメアの子 013 1CH 006 040 シメアはミカエルの子 ミカエルはバアセヤの子 バアセヤはマルキヤの子 013 1CH 006 041 マルキヤはエテニの子 エテニはゼラの子 ゼラはアダヤの子 013 1CH 006 042 アダヤはエタンの子 エタンはジンマの子 ジンマはシメイの子 013 1CH 006 043 シメイはヤハテの子 ヤハテはゲルシヨンの子 ゲルシヨンはレビの子なり 013 1CH 006 044 また彼らの兄弟なるメラリ人等その左に立り 其中のエタンはキシの子なり キシはアブデの子 アブデはマルクの子 013 1CH 006 045 マルクはハシヤビヤの子 ハシヤビヤはアマジヤの子 アマジヤはヒルキヤの子 013 1CH 006 046 ヒルキヤはアムジの子 アムジはバニの子 バニはセメルの子 013 1CH 006 047 セメルはマヘリの子 マヘリはムシの子 ムシはメラリの子 メラリはレビの子なり 013 1CH 006 048 彼らの兄弟なるレビ人等は神の室の幕屋の諸の職に任ぜられたり 013 1CH 006 049 アロンおよびその子等は燔祭の壇と香壇の上に物を献ぐることを司どりまた至聖所の諸の工をなし且イスラエルのために贖をなすことを司どれり凡て神の僕モーセの命じたるごとし 013 1CH 006 050 アロンの子孫は左のごとし アロンの子はエレアザル その子はピネハス その子はアビシユア 013 1CH 006 051 その子はブツキ その子はウジ その子はゼラヒヤ 013 1CH 006 052 その子はメラヨテ その子はアマリヤ その子はアヒトブ 013 1CH 006 053 その子はザドク その子はアヒマアズ 013 1CH 006 054 アロンの子孫の住處は四方の境の内にありその閭里に循ひていはば左の如し先コハテ人の宗族が籤によりて得たるところは是なり 013 1CH 006 055 すなはちユダの地の中よりはヘブロンとその周圍の郊地を得たり 013 1CH 006 056 但しその邑の田野と村々はヱフンネの子カレブに歸せり 013 1CH 006 057 すなはちアロンの子孫の得たる邑は逃遁邑なるヘブロン、リブナとその郊地 ヤツテルおよびエシテモアとそれらの郊地 013 1CH 006 058 ホロンとその郊地 デビルとその郊地 013 1CH 006 059 アシヤンとその郊地 ベテシメシとその郊地なり 013 1CH 006 060 またベニヤミンの支派の中よりはゲバとその郊地 アレメテとその郊地 アナトテとその郊地を得たり 彼らの邑はその宗族の中に都合十三ありき 013 1CH 006 061 またコハテの子孫の支派の中此他なる者はかの半支派の中即ちマナセの半支派の中より籤によりて十の邑を得たり 013 1CH 006 062 またゲルシヨンの子孫の宗族はイツサカルの支派アセルの支派ナフタリの支派及びバシヤンなるマナセの支派の中より十三の邑を得たり 013 1CH 006 063 またメラリの子孫の宗族はルベンの支派ガドの支派およびゼブルンの支派の中より籤によりて十二の邑を得たり 013 1CH 006 064 イスラエルの子孫は邑とその郊地とをレビ人に與へたり 013 1CH 006 065 即ちユダの子孫の支派とシメオンの子孫の支派とベニヤミンの子孫の支派の中よりして此に名を擧たる是等の邑を籤によりて之に與へたり 013 1CH 006 066 コハテの子孫の宗族はまたエフライムの支派の中よりも邑を得てその領地となせり 013 1CH 006 067 即ちその得たる逃遁邑はエフライム山のシケムとその郊地およびゲゼルとその郊地 013 1CH 006 068 ヨクメアムとその郊地 ベテホロンとその郊地 013 1CH 006 069 アヤロンとその郊地 ガテリンモンとその郊地なり 013 1CH 006 070 またマナセの半支派の中よりはアネルとその郊地 ビレアムとその郊地是みなコハテの子孫の遺れる宗族に歸せり 013 1CH 006 071 ゲルシヨンの子孫に歸せし者はマナセの半支派の宗族の中よりはバシヤンのゴランとその郊地 アシタロテとその郊地 013 1CH 006 072 イツサカルの支派の中よりはゲデシとその郊地 ダベラテとその郊地 013 1CH 006 073 ラモテとその郊地 アネムとその郊地 013 1CH 006 074 アセル支派の中よりはミシアルとその郊地 アブドンとその郊地 013 1CH 006 075 ホコクとその郊地レホブとその郊地 013 1CH 006 076 ナフタリの支派の中よりはガリラヤのゲデシとその郊地 ハンモンとその郊地 キリアタイムとその郊地 013 1CH 006 077 比外の者すなはちメラリの子孫に歸せし者はゼブルンの支派の中よりはリンモンとその郊地 タボルとその郊地 013 1CH 006 078 ヱリコに對するヨルダンの彼旁すなはちヨルダンの東においてルベンの支派の中よりは曠野のベゼルとその郊地 ヤザとその郊地 013 1CH 006 079 ケデモテとその郊地 メバアテとその郊地 013 1CH 006 080 ガドの支派の中よりはギレアデのラモテとその郊地 マハナイムとその郊地 013 1CH 006 081 ヘシボンとその郊地 ヤゼルとその郊地 013 1CH 007 001 イツサカルの子等はトラ、プワ、ヤシユブ、シムロムの四人 013 1CH 007 002 トラの子等はウジ、レバヤ、ヱリエル、ヤマイ、ヱブサム、サムエル是みなトラの子にして宗家の長なり其子孫の大勇士たる者はダビデの世にはその數二萬二千六百人なりき 013 1CH 007 003 ウジの子はイズラヒヤ、イズラヒヤの子等はミカエル、オバデヤ、ヨエル、イツシヤの五人是みな長たる者なりき 013 1CH 007 004 その宗家によればその子孫の中に軍旅の士卒三萬六千人ありき是は彼等妻子を衆く有たればなり 013 1CH 007 005 イツサカルの諸の宗族の中なるその兄弟等すなはち名簿に記載たる大勇士は都合八萬七千人 013 1CH 007 006 ベニヤミンの子等はベラ、ベケル、ヱデアエルの三人 013 1CH 007 007 ベラの子等はエヅボン、ウジ、ウジエル、ヱレモテ、イリの五人 皆その宗家の長なりその名簿に記載たる大勇士は二萬二千三十四人 013 1CH 007 008 ベケルの子等はセミラ、ヨアシ、エリエゼル、エリオエナイ、オムリ、ヱレモテ、アビヤ、アナトテ、アラメテ是みなベケルの子等にして宗家の長なり 013 1CH 007 009 その子孫の中名簿に記載たる大勇士は二萬二百人なりき 013 1CH 007 010 またヱデアエルの子はビルハン、ビルハンの子等はヱウシ、ベニヤミン、エホデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシ、アビシヤハル 013 1CH 007 011 是みなヱデアエルの子にして宗家の長たりきその子孫の中に能く陣にのぞみて戰ふ大勇士一萬七千二百人ありき 013 1CH 007 012 またイリの子等はシユパムおよびホパム、またアヘラの子はホシム 013 1CH 007 013 ナフタリの子等はヤジエル、グニ、ヱゼル、シヤルム是みなビルハの產る子なり 013 1CH 007 014 マナセの子等はその妻の產る者はアシリエルその妾なるスリアの女の產る者はギレアデの父マキル 013 1CH 007 015 マキルはホパムとシユバムの妹名はマアカとい者を妻に娶れりその次の者はゼロペハデといふゼロペハデには女子ありしのみ 013 1CH 007 016 マキルの妻マアカ男子を產てその名をペレシとよべりその弟の名はシヤレシ、シヤレシの子等はウラムおよびラケム 013 1CH 007 017 ウラムの子はベダン是等はマナセの子マキルの子なるギレアデの子等なり 013 1CH 007 018 その妹ハンモレケテはイシホデ、アビエゼル、マヘラを產り 013 1CH 007 019 セミダの子等はアヒアン、シケム、リキ、アニヤム 013 1CH 007 020 エフライムの子はシユテラ その子はベレデ その子はタハテ その子はエラダ その子はタハテ 013 1CH 007 021 その子はザバデ その子はシユテラ エゼルとエレアデはガテの土人等これを殺せり其は彼ら下りゆきてこれが家畜を奪はんとしたればなり 013 1CH 007 022 その父エフライムこれがために哀むこと日久しかりければその兄弟等きたりてこれを慰さめたり 013 1CH 007 023 かくて後エフライムその妻の所にいりけるに胎みて男子を生たればその名をベリア(災難)ごとなづけたりその家に災難ありたればなり 013 1CH 007 024 エフライムの女子セラは上下のベテホロンおよびウゼンセラを建たり 013 1CH 007 025 ベリアの子はレバおよびレセフ その子はテラ その子はタハン 013 1CH 007 026 その子はラダン その子はアミホデ その子はエリシヤマ 013 1CH 007 027 その子はヌン その子はヨシユア 013 1CH 007 028 エフライムの子孫の產業と住處はベテルとその郷里 また東の方にてはナアラン 西の方にてはゲゼルとその郷里 またシケムとその郷里 およびアワとその郷里 013 1CH 007 029 またマナセの子孫の國境に沿てはベテシヤンとその郷里 タアナクとその郷里 メギドンとその郷里 ドルとその郷里なり イスラエルの子ヨセフの子孫は是等の處に住り 013 1CH 007 030 アセルの子等はイムナ、イシワ、ヱスイ、ベリアおよびその姉妹セラ 013 1CH 007 031 ベリアの子等はヘベルおよびマルキエル、マルキエルはビルザヒテの父なり 013 1CH 007 032 ヘベルはヤフレテ、シヨメル、ホタムおよびその姉妹シユワを生り 013 1CH 007 033 ヤフレテの子等はバサク、ビムハル、アシワテ、ヤフレテの子等は是のごとし 013 1CH 007 034 シヨメルの子等はアヒ、ロガ、ホバおよびアラム 013 1CH 007 035 シヨメルの兄弟ヘレムの子等はゾバ、イムナ、シレン、アマル 013 1CH 007 036 ゾバの子等はスア、ハルネペル、シユアル、ベリ、イムラ 013 1CH 007 037 ベゼル、ホド、シヤンマ、シルシヤ、イテラン、ベエラ 013 1CH 007 038 ヱテルの子等はヱフンネ、ピスパおよびアラ 013 1CH 007 039 ウラの子等はアラ、ハニエルおよびリヂア 013 1CH 007 040 是みなアセルの子孫にして宗家の長たり挺出たる大勇士たり將官の長たりきその名簿に記載たる能く陣にのぞみて戰ふ者二萬六千人あり 013 1CH 008 001 ベニヤミンの生る者は長子はベラ その次はアシベル その三はアハラ 013 1CH 008 002 その四はアハ その五はラパ 013 1CH 008 003 ベラの子等はアダル、ゲラ、アビウデ 013 1CH 008 004 アビシユア、ナアマン、アホア 013 1CH 008 005 ゲラ、シフパム、ヒラム 013 1CH 008 006 エホデの子等は左のごとし是等はゲバの民の宗家の長なり是はマナハテに移されたり 013 1CH 008 007 すなはちナアマンおよびアヒヤとともにゲラこれを移せるなりエホデの子等はすなはちウザとアヒウデ是なり 013 1CH 008 008 シヤハライムはその妻ホシムとバアラを去し後モアブの國においてまた子等を擧けたり 013 1CH 008 009 彼がその妻ホデシによりて擧けたる子等はヨバブ、ヂビア、メシヤ、マルカム 013 1CH 008 010 ヱウツ、シヤキヤおよびミルマ是その子等にして宗家の長なり 013 1CH 008 011 彼またホシムによりてアビトブとエルパアルを擧けたり 013 1CH 008 012 エルパアルの子等はエベル、ミシヤムおよびシヤメル彼はオノとロドとその郷里を建たる者なり 013 1CH 008 013 またベリア、シマあり是等はアヤロンの民の宗家の長たる者にしてガテの民を逐はらへり 013 1CH 008 014 またアヒオ、シヤシヤク、エレモテ 013 1CH 008 015 ゼバデヤ、アラデ、アデル 013 1CH 008 016 ミカエル、イシパ、ヨハ是等はベリアの子等なり 013 1CH 008 017 ゼバデヤ、メシユラム、ヘゼキ、ヘベル 013 1CH 008 018 イシメライ、ヱズリア、ヨバブ是等はエルパアルの子等なり 013 1CH 008 019 ヤキン、ジクリ、ザベデ 013 1CH 008 020 エリエナイ、チルタイ、エリエル 013 1CH 008 021 アダヤ、ベラヤ、シムラテ是等はシマの子等なり 013 1CH 008 022 イシパン、へベル、エリエル 013 1CH 008 023 アブドン、ジクリ、ハナン 013 1CH 008 024 ハナニヤ、エラム、アントテヤ 013 1CH 008 025 イペデヤ、ペヌエル是等はシヤシヤタの子等なり 013 1CH 008 026 シヤムセライ、シハリア、アタリヤ 013 1CH 008 027 ヤレシヤ、エリヤ、ジクリ是等はヱロハムの子等なり 013 1CH 008 028 是等は歴代の宗家の長にして首たるものなり是らはエルサレムに住たり 013 1CH 008 029 ギベオンの祖はギベオンに住りその妻の名はマアカといふ 013 1CH 008 030 その長子はアブドン、次はツル、キシ、バアル、ナダブ 013 1CH 008 031 ゲドル、アヒオ、ザケル 013 1CH 008 032 ミクロテはシメアを生り是等も又その兄弟等とともにヱルサレムに住てこれに對ひ居り 013 1CH 008 033 ネル、キシを生み キシ、サウルを生みサウルはヨナタン、マルキシユア、アビナダプ、エシバアルを生り 013 1CH 008 034 ヨナタンの子はメリバアル、メリバアル、ミカを生り 013 1CH 008 035 ミカの子等はピトン、メレク、ダレア、アハズ 013 1CH 008 036 アハズはヱホアダを生み ヱホアダはアレメテ、アズマウテおよびジムリを生み ジムリはモザを生み 013 1CH 008 037 モザはビネアを生り その子はラパ その子はニレアサ その子はアゼル 013 1CH 008 038 アゼルには六人の子あり其名は左のごとしアズリカム、ボケル、イシマエル、シヤリヤ、オバデヤ、ハナン是みなアゼルの子なり 013 1CH 008 039 その兄弟エセクの子等の長子はウラムその次はヱウンその三はエリペレテ 013 1CH 008 040 ウラムの子等は大勇士にして善く弓を射る者なりき彼は孫子多くして百五十人もありき是みなベニヤミンの子孫なり 013 1CH 009 001 イスラエルの人は皆名簿に記載られたり視よ是は皆イスラエルの列王紀に録さるユダはその罪のためにバビロンに擄へられてゆけり 013 1CH 009 002 その產業の邑々に最初に住ひし者にイスラエル人 祭司等レビ人およびネテニ人等なり 013 1CH 009 003 またヱルサレムにはユダの子孫ベニヤミンの子孫およびエフライムとマナセの子孫等住り 013 1CH 009 004 即ちユダの子ペレヅの子孫の中にてはアミホデの子ウタイ、アミホデはオムリの子 オムリはイムリの子イムリはバニの子なり 013 1CH 009 005 シロ族の中にてはシロの長子アサヤおよびその他の子等 013 1CH 009 006 ゼラの子孫の中にてはユエルおよびその兄弟六百九十人 013 1CH 009 007 ベニヤミンの子孫の中にてけハセヌアの子ハダヤの子なるメシユラムの子サル 013 1CH 009 008 ヱロハムの子イブニヤ、ミクリの子なるウジの子エラおよびイブニヤの子リウエルの子なるシパテヤの子メシユラム 013 1CH 009 009 並に彼らの兄弟等その世系によれば合せて九百五十六人是みなその宗家の長たる人々なり 013 1CH 009 010 また祭司の中にてはヱダヤ、ヨアリブ、ヤキン 013 1CH 009 011 およびヒルキヤの子アザリヤ、ヒルキヤはメシユラムの子 メシユラムはザドクの子 ザドクはメラヨテの子 メラヨテはアヒトブの子なり アザリヤは神の室の宰たり 013 1CH 009 012 またヱロハムの子アダヤ、ヱロハムはバシユルの子 バシユルはマルキヤの子なり またアデエルの子マアセヤ、アデエルはヤゼラの子 ヤゼラはメシユラムの子 メシユラムはメシレモテの子 メシレモテはインメルの子なり 013 1CH 009 013 また彼らの兄弟等是等は宗家の長たる者にして合せて一千七百六十人あり皆神の室の奉事をなすの力あるものなり 013 1CH 009 014 レビ人の中にてはハシユブの子シマヤ、ハシユブはアズリカムの子 アズリカムはハシヤビヤの子 是はメラリの子孫なり 013 1CH 009 015 またバクバツカル、ヘレシ、ガラルおよびアサフの子ジクリの子なるミカの子マツタニヤ 013 1CH 009 016 ならびにヱドトンの子ガラルの子なるシマヤの子オバデヤおよびエルカナの子なるアサの子ベレキヤ、エルカナはネトバ人の郷里に住たる者なり 013 1CH 009 017 門を守る者はシヤルム、アツクブ、タルモン、アヒマンおよびその兄弟等にしてシヤレムその長たり 013 1CH 009 018 彼は今日まで東の方なる王の門を守りをる是等はレビの子孫の營の門を守る者なり 013 1CH 009 019 コラの子エビアサフの子なるコレの子シヤルムおよびその父の家の兄弟等などのコラ人は幕屋の門々を守る職務を主どれりその先祖等はヱホバの營の傍にありてその入口を守れり 013 1CH 009 020 エレアザルの子ピネハス昔彼らの主宰たりきヱホバ彼とともに在せり 013 1CH 009 021 メシレミヤの子ゼカリヤは集會の幕屋の門を守る者なりき 013 1CH 009 022 是みな選ばれて門を守る者にて合せて二百十二人ありき皆その村々の名簿に記載たる者なりしがダビデと先見者サムエルこれをその職に任じたり 013 1CH 009 023 彼等とその子孫は順番にヱホバの室すなはち幕屋の門を司どれり 013 1CH 009 024 門を守る者は西東北南の四方に居り 013 1CH 009 025 またその村々に居る兄弟等は七日ごとに迭り來りて彼らを助けたり 013 1CH 009 026 門を守る者の長たるこの四人のレビ人はその職にをりて神の室の諸の室と府庫とを司どれり 013 1CH 009 027 彼らは番守をなす身なるに因て神の室の四周に舎れり而して朝ごとにこれを開くことをせり 013 1CH 009 028 その中に奉事の器皿を司どる者あり是はその數を按べて携へいりそり數を按べて携へいだすべき者なり 013 1CH 009 029 またその他の器皿すなはち聖所の一切の器皿および麥粉 酒 油 乳香 香料を司どる者あり 013 1CH 009 030 また祭司の徒の中に香料をもて香膏を製る者あり 013 1CH 009 031 コラ人シヤルムの長子なるマツタテヤといふレビ人は鍋にて製るところの物を司どれり 013 1CH 009 032 またコハテ人の子孫たるその兄弟等の中に供前のパンを司どりて安息日ごとにこれを調ふる者等あり 013 1CH 009 033 レビ人の宗家の長たる是等の者は謳歌師にして殿の諸の室に居て他の職を爲ざりき其は日夜その職務にかかりをればなり 013 1CH 009 034 是等はレビ人の歴代の宗家の長にして首長たる者なり是等はヱルサレムに住り 013 1CH 009 035 ギベオンの祖ヱヒエルはギベオンに住りその妻の名はマアカといふ 013 1CH 009 036 その長子はアブドン次はツル、キシ、バアル、ネル、ナダブ 013 1CH 009 037 ゲドル、アヒオ、ゼカリヤ、ミクロテ 013 1CH 009 038 ミクロテ、シメアムを生り彼等もその兄弟等とともにヱルサレムに住てその兄弟等と相對ひ居り 013 1CH 009 039 ネルはキシを生み キシはサウルを生み サウルはヨナタン、マルキシユア、アビナダブおよびエシバアタを生り 013 1CH 009 040 ヨナタンの子はメリバアル、メリバアル、ミカを生り 013 1CH 009 041 ミカの子等はピトン、メレク、タレアおよびアハズ 013 1CH 009 042 アハズはヤラを生み ヤラはアレメテ、アズマウテおよびジムリを生み ジムリはモザを生み 013 1CH 009 043 モザはピネアを生り ピネアの子はレバヤ その子はエレアサ その子はアゼル 013 1CH 009 044 アゼルは六人の子ありきその名は左のごとしアズリカム、ボケル、イシマエル、シヤリヤ、オバデヤ、ハナン是等はアゼルの子なり 013 1CH 010 001 茲にペリシテ人イスラエルと戰ひけるがイスラエルの人々はペリシテ人の前より逃げギルボア山に殺されて倒れたり 013 1CH 010 002 ペリシテ人はサウルとその子等を追撃しかしてペリシテ人サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを殺せり 013 1CH 010 003 斯その戰闘烈しうしてサウルにおし迫り射手の者等つひにサウルに追つきければサウルは射手の者等のために惱めり 013 1CH 010 004 サウル是におひてその武器を執る者に言けるは汝の劍をぬき其をもて我を刺せ恐らくはこの割禮なき者等きたりて我を辱しめんと然るにその武器を執る者痛くおそれて肯はざりければサウルすなはちその劍をとりてその上に伏たり 013 1CH 010 005 武器を執る者サウルの死たるを見て己もまた劍の上に伏て死り 013 1CH 010 006 斯サウルとその三人の子等およびその家族みな共に死り 013 1CH 010 007 谷に居るイスラエルの人々みな彼らの逃るを見またサウルとその子等の死るを見てその邑々を棄て逃ければペリシテ人來りてその中に住り 013 1CH 010 008 明る日ペリシテ人殺されたる者を剥んとて來りサウルとその子等のギルボア山にたふれをるを見 013 1CH 010 009 すなはちサウルを剥てその首とその鎧甲を取りペリシテの國の四方に人を遣はしてこの事をその偶像と民に告しめ 013 1CH 010 010 しかしてかれが鎧甲をその神の室に蔵め彼が首をダゴンの宮に釘けたり 013 1CH 010 011 茲にペリシテ人がサウルになしたる事ことごとくヤベシギレアデ中に聞えければ 013 1CH 010 012 勇士等みな起りサウルの體とその子等の體とを奪ひ取てこれをヤベシに持きたりヤベシの橡樹の下にその骨を葬りて七日のあひだ斷食せり 013 1CH 010 013 斯サウルはヱホバにむかひて犯せし罪のために死たり即ち彼はヱホバの言を守らすまた憑鬼者に問ことを爲して 013 1CH 010 014 ヱホバに問ことをせざりしなり是をもてヱホバかれを殺しその國を移してヱツサイの子ダビデに與へたまへり 013 1CH 011 001 茲にイスラエルの人みなヘブロンに集まりてダビデの許に詣り言けるは我らは汝の骨肉なり 013 1CH 011 002 前にサウルが王たりし時にも汝はイスラエルを率ゐで出入する者なりき又なんぢの神ヱホバ汝にむかひて汝はわが民イスラエルを牧養ふ者となり我民イスラエルの君とならんと言たまへりと 013 1CH 011 003 斯イスラエルの長老みなヘブロンにきたりて王の許にいたりければダビデ、ヘブロンにてヱホバの前に彼らと契約をたてたり彼らすなはちダビデに膏をそそぎてイスラエルの王となしサムエルによりて傳はりしヱホバの言のごとくせり 013 1CH 011 004 かくてダビデはイスラエルの人々を率ゐてエルサレムに往りヱルサレムは即ちヱブスなりその國の土人ヱブス人其處に居り 013 1CH 011 005 是においてヱブスの民ダビデに言けるは汝は此に入べからずと然るにダビデはシオンの城を取り是すなはちダビデの邑なり 013 1CH 011 006 この時ダビデいひけるは誰にもあれ第一にエブス人を撃やぶる者を首となし將となさんと斯てゼルヤの子ヨアブ先登して首となれり 013 1CH 011 007 ダビデその城に住たればこれをダビデの邑と稱へたり 013 1CH 011 008 ダビデまたその邑の四方すなはちミロ(城塞)より内の四方に建築をなせり邑の中のその餘の處はヨアブこれを修理へり 013 1CH 011 009 斯てダビデはますます大になりゆけり萬軍のヱホバこれとともに在したればなり 013 1CH 011 010 ダビデが有る勇士の重なる者は左のごとし是等はイスラエルの一切の人とともにダビデに力をそへて國を得させ終にこれを王となしてヱホバがイスラエルにつきて宣ひし言を果せり 013 1CH 011 011 ダビデの有る勇士の數は是のごとし第一は三十人の長たるハクモニ人の子ヤシヨベアム彼は槍を揮ひて一時に三百人を衝殺せし事あり 013 1CH 011 012 彼の次はアホア人ドドの子エレアザルにして三勇士の中なり 013 1CH 011 013 彼ダビデとともにパスダミムに在けるにペリシテ人其處に集りきて戰へり其處に大麥の滿たる地一箇所あり時に民ペリシテ人の前より逃たりしが 013 1CH 011 014 彼その地所の中に踐とどまり之を護りてペリシテ人を殺せり而してヱホバ大なる拯救をほどこして之を救ひたまへり 013 1CH 011 015 三十人の長なる三人の者アドラムの洞穴に下り磐の處に往てダビデに詣りし事あり時にペリシテ人の軍兵はレパイムの谷に陣どれり 013 1CH 011 016 その時ダビデは砦に居りペリシテ人の鎮臺兵はベテレヘムにありけるが 013 1CH 011 017 ダビデ慕ひ望みて言けるは誰かベテレヘムの門にある井の水を持來りて我に飮せよかし 013 1CH 011 018 この三人すなはちペリシテ人の軍兵の中を衝とほりてベテレヘムの門にある井の水を汲取てダビデの許に携へきたれり然どダビデこれを飮ことをせす之をヱホバの前に灌ぎて 013 1CH 011 019 言けるは我神よ我決てこれを爲じ我いかで命をかけし此三人の血を飮べけんやと彼らその命をかけて之を携へきたりたればなり故にダビデこれを飮ことを爲ざりき此三勇士は是らの事を爲り 013 1CH 011 020 ヨアブの兄弟アビシヤイは三人の長たり彼は槍を揮ひて三百人を衝ころし三人の中に名を得たり 013 1CH 011 021 彼は第二の三人の中にて尤も貴くしてその首にせらる然ど第一の三人には及ばざりき 013 1CH 011 022 ヱホヤダの子カブジエルのベナヤは勇氣あり衆多の功績ありし者なり彼はモアブのアリエルの二人の子を撃殺せりまた雪の日に下りゆきて穴の中にて獅子一匹を撃殺せし事ありき 013 1CH 011 023 彼はまた長身五キユビト程なるエジプト人を殺せりそのエジプト人は機織の滕のごとき槍を手に執をりしに彼は杖をとりて之が許に下りゆきエジプト人の手よりその槍を捩とりてその槍をもて之を殺せり 013 1CH 011 024 ヱホヤダの子ベナヤ是等の事を爲し三勇士の中に名を得たり 013 1CH 011 025 彼は三十人の中にて尊かりしかども第一の三人には及ばざりきダビデかれを親兵の長となせり 013 1CH 011 026 軍兵の中の勇士はヨアブの兄弟アサヘル、ベテレヘムのドドの子エルハナン 013 1CH 011 027 ハロデ人シヤンマ、ペロニ人ヘレヅ 013 1CH 011 028 テコア人イツケシの子イラ、アナトテ人アビエゼル 013 1CH 011 029 ホシヤ人シベカイ、アホア人イライ 013 1CH 011 030 ネトパ人マハライ、ネトパ人バナアの子ヘレデ 013 1CH 011 031 ベニヤミンの子孫のギベアより出たるリバイの子イツタイ、ピラトン人ベナヤ 013 1CH 011 032 ガアシの谷のホライ、アルバテ人アビエル 013 1CH 011 033 バハルム人アズマウテ、シヤルボニ人エリヤバ 013 1CH 011 034 ギゾニ人ハセム、ハラリ人シヤゲの子ヨナタン 013 1CH 011 035 ハラリ人サカルの子アヒアム、ウルの子エリパル 013 1CH 011 036 メケラ人へペル、ペロニ人アヒヤ 013 1CH 011 037 カルメル人ヘヅライ、エズバイの子ナアライ 013 1CH 011 038 ナタンの兄弟ヨエル、ハグリの子ミブハル 013 1CH 011 039 アンモニ人ゼレク、ゼルヤの子ヨアブの武器を執る者なるベエロテ人ナハライ 013 1CH 011 040 エテリ人イラ、エテリ人ガレブ 013 1CH 011 041 ヘテ人ウリヤ、アヘライの子ザバデ 013 1CH 011 042 ルベン人シザの子アデナ是はルベン人の軍長の一人にして從者三十人を率ゐたり 013 1CH 011 043 マアカの子ハナン、ミテニ人ヨシヤバテ 013 1CH 011 044 アシテラ人ウジヤ、アロエル人ホタンの子等シヤマとヱイエル 013 1CH 011 045 デジ人シムリの子エデアエルおよびその兄弟ヨハ、 013 1CH 011 046 マハウ人エリエル、エルナアムの子等エリバイおよびヨシヤワヤ、モアブ人イテマ 013 1CH 011 047 エリエル、オベデ、ソメバ人ヤシエル 013 1CH 012 001 ダビデがキシの子サウルの故によりて尚チクラグに閉こもり居ける時に彼處にゆきてダビデに就し者は左のごとしその人々は勇士の中にしてダビデを助けて戰ひたる者 013 1CH 012 002 能く弓を彎き右左の手を用ゐて善く石を投げ弓矢を發つ者なりしが倶にベニヤミン人にしてサウルの宗族たり 013 1CH 012 003 首はアヒエゼル次はヨアシ是らはギベア人シマアの子等なり又ヱジエルおよびペレテ是らはアズマウラの子等なり又ベラカおよびアナトテ人ヱヒウ 013 1CH 012 004 またギベオン人イシマヤ彼は三十人の中の勇士にして三十人の首なり又エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ人ヨザバデ 013 1CH 012 005 エルザイ、エリモテ、ベアリヤ、シマリヤ、ハリフ人シバテヤ 013 1CH 012 006 エルカナ、エシヤ、アザリエル、ヨエゼル、ヤシヨベアム是等はコラ人なり 013 1CH 012 007 またゲドルのエロハムの子等たるヨエラおよひゼバデヤ 013 1CH 012 008 ガド人の中より曠野の砦に脱きたりてダビデに歸せし者あり是みな大勇士にして善戰かふ軍人能く楯と戈とをつかふ者にてその面は獅子の面のごとくその捷きことは山にをる鹿のごとくなりき 013 1CH 012 009 その首はエゼルその二はオバデヤその三はエリアブ 013 1CH 012 010 その四はミシマンナその五はヱレミヤ 013 1CH 012 011 その六はアツタイその六はエリエル 013 1CH 012 012 その八はヨハナンその九はエルザバデ 013 1CH 012 013 その十はヱレミヤその十一はマクバナイ 013 1CH 012 014 是等はガドの人々にして軍旅の長たりそ最も小き者は百人に當りその最も大なる者は千人に當れり 013 1CH 012 015 正月ヨルダンその全岸に溢れたる時に是らの者濟りゆきて谷々に居る者をことごとく東西に打奔らせたり 013 1CH 012 016 茲にベニヤミンとユダの子孫の中の人々砦に來りてダビデに就きけるに 013 1CH 012 017 ダビデこれを出むかへ應へて之に言けるは汝ら厚志をもて我を助けんとて來れるならば我心なんぢらと相結ばん然ど汝らもし我手に惡きこと有ざるに我を欺きて敵に付さんとせば我らの先祖の神ねがはくは之を監みて責たまへと 013 1CH 012 018 時に聖霊三十人の長アマサイに臨みて彼すなはち言けるはダビデよ我らは汝に屬すヱツサイの子よ我らは汝を助けん願くは平安あれ汝にも平安あれ汝を助くる者にも平安あれ汝の神汝を助けたまふなりと是においてダビデ彼らを接いれて軍旅の長となせり 013 1CH 012 019 前にダビデ、ペリシテ人とともにサウルと戰はんとて攻きたれる時マナセ人數人ダビデに屬り但しダビデ等は遂にペリシテ人を助けざりき其はペリシテ人の君等あひ謀り彼は我らの首級をもてその主君サウルに歸らんと言て彼を去しめたればなり 013 1CH 012 020 斯てダビデ、チクラグに往る時マナセ人アデナ、ヨザバデ、ヱデアエル、ミカエル、ヨザバデ、エリウ、ヂルタイこれに歸せり皆マナセ人の千人の長たる者なりき 013 1CH 012 021 彼等ダビデを助けて敵軍に當れり彼らは皆大勇士にして軍旅の長となれり 013 1CH 012 022 當時ダビデに歸して之を助くる者日々に加はりて終に大軍となり神の軍旅のごとくなれり 013 1CH 012 023 戰爭のために身をよろひヘブロンに來りてダビデに就きヱホバの言のごとくサウルの國をダビデに歸せしめんとしたる武士の數は左のごとし 013 1CH 012 024 ユダの子孫にして楯と戈とを執り戰爭のために身をよろへる者は六千八百人 013 1CH 012 025 シメオンの子孫にして善戰かふ大勇士は七千一百人 013 1CH 012 026 レビの子孫たる者は四千六百人 013 1CH 012 027 ヱホヤダ、アロン人を率ゐたり之に屬する者は三千七百人 013 1CH 012 028 またザドクといふ年若き勇士ありきその宗家の長たる者二十二人ありたり 013 1CH 012 029 サウルの宗族ベニヤミンの子孫たる者は三千人是ベニヤミン人は多くサウルの家に尚も忠義を盡しゐたればなり 013 1CH 012 030 エフライムの子孫たる者は二萬八百人皆大勇士にしてその宗家の名ある人々たり 013 1CH 012 031 マナセの半支派の者は一萬八千人皆名を録されたる者なるが來りてダビデを王にたてんとす 013 1CH 012 032 イツサカルの子孫たる者の中より善く時勢に通じイスラエルの爲べきことを知る者きたれりその首二百人ありその兄弟等は皆これが指揮にしたがへり 013 1CH 012 033 ゼブルンの者は五萬人皆よく身をよろひ各種の武器をもて善く戰闘をなし一心に行伍を守る者なりき 013 1CH 012 034 ナフタリの者は將たる者千人楯と戈とを執てこれに從ふ者三萬七千人 013 1CH 012 035 ダン人は二萬八千六百人にして皆そなへを守る者なりき 013 1CH 012 036 アセルの者は四萬人にして皆よく陣にのぞみ且行伍を守る者なりき 013 1CH 012 037 またヨルダンの彼旁なるルベン人とガド人とマナセの半支派の者は十二萬人みな各種の武器を執て戰爭にいづるに勝る者なりき 013 1CH 012 038 是等の行伍を守る軍人等眞實の心を懐きてヘブロンに來りダビデをもてイスラエル全國の王となさんとせり其餘のイスラエル人もまた心を一にしてダビデを王となさんとせり 013 1CH 012 039 彼ら彼處に三日をりてダビデとともに食ひかつ飮り其はその兄弟等これがために備をなしたればなり 013 1CH 012 040 また近處の者よりイツサカル、ゼブルンおよびナフタリの者に至るまでパンと麥粉の食物と乾無花果と乾葡萄と酒と油等を驢馬駱駝牛馬に載きたりかつ牛羊を多く携へいたれり是イスラエルみな喜びたればなり 013 1CH 013 001 茲にダビデ千人の長百人の長などの諸將とあひ議り 013 1CH 013 002 而してダビデ、イスラエルの全會衆に言けるは汝らもし之を善とし我らの神ヱホバこれを允したまはば我ら徧く人を遣してイスラエルの各地に留まれる我らの兄弟ならびにその諸郊地の邑々にをる祭司とレビ人とに至らせ之をして我らの所に集まらしめん 013 1CH 013 003 而して我らまた我らの神の契約の櫃を我らの所に移さんサウルの世には我ら之に就て詢ことをせざりしなりと 013 1CH 013 004 會衆みな然すべしと言り其は民みな此事を善と觀たればなり 013 1CH 013 005 是においてダピデはキリアテヤリムより神の契約の櫃を舁きたらんとてエジプトのジホルよりハマテの入口までのイスラエル人をことごとく召あつめ 013 1CH 013 006 而してダビデ、イスラエルの一切の人とともにバアラといふユダのキリアテヤリムに上り往きケルビムの上に坐したまふヱホバ神の名をもて稱らるる契約の櫃を其處より舁のぼらんとし 013 1CH 013 007 乃ち神の契約の櫃を新しき車に載てアビナダブの家より牽いだしウザとアヒオその車を御せり 013 1CH 013 008 ダビデおよびイスラエルの人はみな歌と琴と瑟と鼗鼓と鐃鈸と喇叭などを以て力をきはめ歌をうたひて神の前に踊れり 013 1CH 013 009 かくてキドンの禾場に至れる時ウザ手を神の契約の櫃に伸してこれを扶へたり其は牛これを振たればなり 013 1CH 013 010 ウザその手を伸て契約の櫃につけたるによりてヱホバこれに向ひて忿怒を發してこれを撃たまびければ其處にて神の前に死り 013 1CH 013 011 ヱホバ、ウザを撃たまひしに因てダビデ怒れり其處は今日までペレヅウザ(ウザ撃)と稱へらる 013 1CH 013 012 その日ダビデ神を畏れて言り我なんぞ神の契約の櫃を我所に舁ゆくべけんやと 013 1CH 013 013 ダビデその契約の櫃を己のところダビデの城邑にうつさず之を轉らしてガテ人オベデエドムの家に舁いらしめたり 013 1CH 013 014 神の契約の櫃オベデエドムの家にありて其家族とともにおかかるること三月なりきヱホバ、オベデエドムの家とその一切の所有を祝福たまへり 013 1CH 014 001 茲にツロの王ヒラム使者をダビデに遣はし之がために家を建させんとて香柏および木匠と石工をおくれり 013 1CH 014 002 ダビデはヱホバの固く己をたててイスラエルの王となしたまへるを暁れり其はその民イスラエルの故によりてその國振ひ興りたればなり 013 1CH 014 003 ダビデ、ヱルサレムにおいてまた妻妾を納たり而してダビデまた男子女子を得たり 013 1CH 014 004 そのヱルサレムにて得たる子等の名は左のごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン 013 1CH 014 005 イブハル、エリシユア、エルバレテ 013 1CH 014 006 ノガ、ネベグ、ヤピア 013 1CH 014 007 エリシヤマ、ベエリアダ、エリバレテ 013 1CH 014 008 茲にダビデの膏そそがれてイスラエル全國の王となれる事ペリシテ人に聞えければペリシテ人みなダビデを獲んとて上れりダビデは聞て之に當らんとて出たりしが 013 1CH 014 009 ペリシテ人すでに來りてレバイムの谷を侵したりき 013 1CH 014 010 時にダビデ神に問て言けるは我ペリシテ人にむかひて攻上るべきや汝彼らを吾手に付し給ふやヱホバ、ダビデに言たまひけるは攻上れ我かれらを汝の手に付さんと 013 1CH 014 011 是において皆バアルベラジムに上りゆきけるがダビデつひに彼處にて彼らを打敗り而してダビデ言り神水の破壞り出るごとくに我手をもてわが敵を敗りたまへりと是をもてその處の名をバアルペラジム(破壞の處)と呼ぶなり 013 1CH 014 012 彼ら其處にその神々を遺ゆきたればダビデ命じて火をもてこれを焚せたり 013 1CH 014 013 斯て後ペリシテ人復谷を侵しければ 013 1CH 014 014 ダビデまた神に問に神これに言たまひけるは彼らを追て上るべからず彼らを離れて回りベカの樹の方よりこれを襲へ 013 1CH 014 015 汝ベカの樹の上に進行の音あるを聞ば即ち進んで戰ふべし神汝のまへに進みいでペリシテ人の軍勢を撃たまふべければなりと 013 1CH 014 016 ダビデすなはち神の己に命じたまひし如くしてペリシテ人の軍勢を撃やぶりつつギベオンよりガゼルにまでいたれり 013 1CH 014 017 是においてダビデの名諸の國々に聞えわたりヱホバ諸の國人に彼を懼れしめたまへり 013 1CH 015 001 ダビデはダビデの邑の中に自己のために家を建て又神の契約の櫃のために處を備へてこれがために幕屋を張り 013 1CH 015 002 而してダビデ言けるは神の契約の櫃を舁べき者は只レビ人のみ其はヱホバ神の契約の櫃を舁しめまた己に永く事しめんとてレビ人を擇びたまひたればなりと 013 1CH 015 003 ダビデすなはちヱホバの契約の櫃をその之がために備へたる處に舁のぼらんとてイスラエルをことごとくエルサレムに召集めたり 013 1CH 015 004 ダビデまたアロンの子孫とレビ人を集めたり 013 1CH 015 005 即ちコハテの子孫の中よりはウリエルを長としてその兄弟百二十人 013 1CH 015 006 メラリの子孫の中よりはアサヤを長としてその兄弟二百二十人 013 1CH 015 007 ゲルシヨンの子孫の中よりはヨエルを長としてその兄弟百三十人 013 1CH 015 008 エリザバンの子孫の中よりはシマヤを長としてその兄弟二百人 013 1CH 015 009 ヘブロンの子孫の中よりはエリエルを長としてその兄弟八十人 013 1CH 015 010 ウジエルの子孫の中よりはアミナダブを長としてその兄弟百十二人 013 1CH 015 011 ダビデ祭司ザドクとアビヤタルおよびレビ人ウリエル、アサヤ、ヨエル、シマヤ、エリエル、アミナダブを召し 013 1CH 015 012 これに言けるは汝らはレビ人の宗家の長たり汝らと汝らの兄弟共に身を潔めイスラエルの神ヱホバの契約の櫃を我が其の爲に備へたる處に舁のぼれよ 013 1CH 015 013 前には之をかきしもの汝らにあらざりしに縁て我らの神ヱホバわれらを撃たまへり是は我らそのさだめにしたがひて之に求めざりしが故なりと 013 1CH 015 014 是において祭司等とレビ人等イスラエルの神ヱホバの契約の櫃を舁のぼらんと身を潔め 013 1CH 015 015 レビの子孫たる人々すなはちモーセがヱホバの言にしたがひて命じたるごとく神の契約の櫃をその貫ける枉によりて肩に負り 013 1CH 015 016 ダビデまたレビ人の長等に告げその兄弟等を選びて謳歌者となし瑟と琴と鐃鈸などの樂器をもちて打はやして歓喜の聲を擧しめよと言たれば 013 1CH 015 017 レビ人すなはちヨエルの子ヘマンとその兄弟ベレキヤの子アサフおよびメラリの子孫たる彼らの兄弟クシャヤの子エタンを選べり 013 1CH 015 018 また之に次るその兄弟等これと偕にあり即ちゼカリヤ、ベン、ヤジエル、セミラモテ、ヱイエル、ウンニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マツタテヤ、エリペレホ、ミクネヤおよび門を守る者なるオベデエドムとヱイエル 013 1CH 015 019 謳歌者ヘマン、アサフおよびエタンは銅の鐃鈸をもて打はやす者となり 013 1CH 015 020 ゼカリヤ、アジエル、セミラモテ、ヱイエル、ウンニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤは瑟をもて細き音を出し 013 1CH 015 021 マツタテヤ、エリペレテ、ミクネヤ、オベデエドム、ヱイエル、アザジヤは琴をもて太き音を出して拍子をとれり 013 1CH 015 022 ケナニヤはレビ人の長にして負舁事に通じをるによりて負舁事を指揮せり 013 1CH 015 023 またベレキヤとエルカナは契約の櫃の門を守り 013 1CH 015 024 祭司シバニヤ、ヨシヤパテ、ネタネル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、ヱリエゼル等は神の契約の櫃の前に進みて喇叭を吹きオベデエドムとヱヒアは契約の櫃の門を守れり 013 1CH 015 025 斯ダビデとイスラエルの長老および千人の長等は往てオベデエドムの家よりヱホバの契約の櫃を歓び勇みて舁のぼれり 013 1CH 015 026 神ヱホバの契約の櫃を舁ところのレビ人を助けたまひければ牡牛七匹牡羊七匹を献げたり 013 1CH 015 027 ダビデは細布の衣をまとへり又契約の櫃を舁ところの一切のレビ人と謳歌者および負舁事を主どれるケナニヤも然りダビデはまた白布のエポデを着居たり 013 1CH 015 028 斯てイスラエルみな聲を擧げ角を吹ならし喇叭と鐃鈸と瑟と琴とをもて打はやしてヱホバの契約の櫃を舁のぼれり 013 1CH 015 029 ヱホバの契約の櫃ダビデの邑にいりし時サウルの女ミカル窻より窺ひてダビデ王の舞躍るを見その心にこれを藐視めり 013 1CH 016 001 人々神の契約の櫃を舁いりて之をダビデがその爲に張たる幕屋の中に置ゑ而して燔祭と酬恩祭を神の前に献げたり 013 1CH 016 002 ダビデ燔祭と酬恩祭を献ぐることを終しかばヱホバの名をもて民を祝し 013 1CH 016 003 イスラエルの衆庶に男にも女にも都てパン一箇肉一片乾葡萄一塊を分ち與へたり 013 1CH 016 004 ダビデまたレビ人を立てヱホバの契約の櫃の前にて職事をなさしめ又イスラエルの神ヱホバを崇め讃めかつ頌へしめたり 013 1CH 016 005 伶長はアサフその次はゼカリヤ、ヱイエル、セミラモテ、ヱヒエル、マツタテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデエドム、ヱイエルこれは瑟と琴とを弾じアサフは鐃鈸を打鳴し 013 1CH 016 006 また祭司ベナヤとヤハジエルは喇叭をとりて恒に神の契約の櫃の前に侍れり 013 1CH 016 007 當日ダビデ始めてアサフとその兄弟等を立てヱホバを頌へしめたり其言に云く 013 1CH 016 008 ヱホバに感謝しその名をよびその作たまへることをもろもろの民輩の中にしらしめよ 013 1CH 016 009 ヱホバにむかひてうたへヱホバを讃うたへそのもろもろの奇しき跡をかたれ 013 1CH 016 010 そのきよき名をほこれヱホバをたづぬるものの心はよろこぶべし 013 1CH 016 011 ヱホバとその能力とをたづねよ恒にその聖顔をたづねよ 013 1CH 016 012 その僕イスラエルの裔よヤコダの子輩よそのえらびたまひし所のものよそのなしたまへる奇しき跡とその異事とその口のさばきとを心にとむれ 013 1CH 016 013 その僕イスラエルの裔よヤコダの子輩よそのえらびたまひし所のものよそのなしたまへる奇しき跡とその異事とその口のさばきとを心にとむれ 013 1CH 016 014 彼はわれらの神ヱホバなりそのおほくの審判は全地にあり 013 1CH 016 015 なんぢらたえずその契約をこころに記よ此はよろづ代に命じたまひし聖言なり 013 1CH 016 016 アブラハムとむすびたまひし契約イサクに與へたまひし誓なり 013 1CH 016 017 之をかたくしヤコブのために律法となしイスラエルのためにとこしへの契約となして 013 1CH 016 018 言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分となさん 013 1CH 016 019 この時なんぢらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり 013 1CH 016 020 この國よりかの國にゆきこの國よりほかの民にゆけり 013 1CH 016 021 人のかれらを虐ぐるをゆるしたまはずかれらの故によりて王たちを懲しめて 013 1CH 016 022 宣給くわが受膏者たちにふるるなかれわが預言者たちをそこなふなかれ 013 1CH 016 023 全地よヱホバにむかひて謳へ日ごとにその拯救をのべつたへよ 013 1CH 016 024 もろもろの國のなかにその榮光をあらはしもろもろの民のなかにその奇しきみわざを顯すべし 013 1CH 016 025 そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなりまたもろもろの神にまさりて畏るべきものなり 013 1CH 016 026 もろもろの民のすべての神はことごとく虚しされどヱホはもろもろの天をつくりたまへり 013 1CH 016 027 尊貴と稜威とはその前にあり能とよろこびとはその聖所にあり 013 1CH 016 028 もろもろのたみの諸族よ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ 013 1CH 016 029 その聖名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ献物をたづさへて其前にきたれきよき美はしき物をもてヱホバを拝め 013 1CH 016 030 全地よその前にをののけ世界もかたくたちて動かさるることなし 013 1CH 016 031 天はよろこび地はたのしむべしもろもろの國のなかにいへヱホバは統治たまふ 013 1CH 016 032 海とそのなかに盈るものとはなりどよみ田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし 013 1CH 016 033 かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前によろこびうたはんヱホバ地をさばかんとて來りたまふ 013 1CH 016 034 ヱホバに感謝せよそのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし 013 1CH 016 035 汝ら言へ我らの拯救の神よ我らを救ひ我らを取り集め列邦のなかより救ひいだしたまへ我らは聖名に謝しなんぢのほむべき事をほこらん 013 1CH 016 036 イスラエルの神ヱホバは窮なきより窮なきまでほむべきかなすべての民はアーメンととなへてヱホバを讃稱へたり 013 1CH 016 037 ダビデはアサフとその兄弟等をヱホバの契約の櫃の前に留めおきて契約の櫃の前に常に侍りて日々の事を執行なはせたり 013 1CH 016 038 オベデエドムとその兄弟等は合せて六十八人またヱドトンの子なるオベデエドムおよびホサは司門たり 013 1CH 016 039 祭司ザドクおよびその兄弟たる祭司等はギベオンなる崇邱においてヱホバの天幕の前に侍り 013 1CH 016 040 燔祭の壇の上にて朝夕斷ず燔祭をヱホバに献げ且ヱホバがイスラエルに命じたまひし律法に記されたる諸の事を行へり 013 1CH 016 041 またヘマン、ヱドトンおよびその餘の選ばれて名を記されたる者等彼らとともにありてヱホバの恩寵の世々限なきを讃まつれり 013 1CH 016 042 即ちヘマンおよびヱドトンかれらとともに居て喇叭鐃鈸など神の樂器を操て樂を奏せり又ヱドトンの子等は門を守れり 013 1CH 016 043 かくて民みな各々その家にかへれり又ダビデはその家族を祝せんとて還りゆけり 013 1CH 017 001 ダビデその家に住にいたりてダビデ預言者ナタンに言けるは觀よ我は香柏の家に住む然れどもヱホバの契約の櫃は幕の下にありと 013 1CH 017 002 ナタン、ダビデに言けるは神なんぢとともに在せば凡て汝の心にある所を爲せ 013 1CH 017 003 その夜神の言ナタンに臨みて曰く 013 1CH 017 004 往てわが僕ダビデに言へヱホバかく言ふ汝は我ために我の住べき家を建べからず 013 1CH 017 005 我はイスラエルを導びき上りし日より今日にいたるまで家に住しこと無して但幕屋より幕屋に移り天幕より天幕に遷れり 013 1CH 017 006 我イスラエルの人々と共に歩みたる處々にて我わが民を牧養ふことを命じたるイスラエルの士師の一人にもなんぢ何故に香柏の家を我ために建ざるやと一言にても言し事ありや 013 1CH 017 007 然ば汝わが僕ダビデに斯言べし萬軍のヱホバかく言ふ我なんぢを牧場より取り羊に隨がふ處より取て我民イスラエルの君長と爲し 013 1CH 017 008 汝が凡て往る處にて汝と偕にあり汝の諸の敵を汝の前より斷されり我また世の中の大なる人の名のごとき名を汝に得させん 013 1CH 017 009 かつ我わが民イスラエルのために處を定めて彼らを植つけ彼らをして自己の處に住て重て動くこと無らしめん 013 1CH 017 010 又惡人昔のごとく即ち我民イスラエルの上に士師を立たる時より已來のごとく重ねて彼らを荒すこと無るべし我汝の諸の敵を圧服ん且今我汝に告ぐヱホバまた汝のために家を建ん 013 1CH 017 011 汝の日の滿汝ゆきて先祖等と偕になる時は我汝の生る汝の子を汝の後に立て且その國を堅うせん 013 1CH 017 012 彼わが爲に家を建ん我ながく彼の位を堅うせん 013 1CH 017 013 我は彼の父となり彼はわが子となるべし我は汝の先にありし者より取たるごとくに彼よりは我恩惠を取さらじ 013 1CH 017 014 却て我かれを永く我家に我國に居置ん彼の位は何時までも堅く立べし 013 1CH 017 015 ナタン凡て是等の言のごとく凡てこの異象のごとくダビデに語りければ 013 1CH 017 016 ダビデ王入てヱホバの前に坐して言けるはヱホバ神よ我は誰わが家は何なれば汝此まで我を導きたまひしや 013 1CH 017 017 神よ是はなほ汝の目には小き事たりヱホバ神よ汝はまた僕の家の遥後の事を語り高き者のごとくに我を見俲たまへり 013 1CH 017 018 僕の名譽についてはダビデこの上何をか汝に望むべけん汝は僕を知たまふなり 013 1CH 017 019 ヱホバよ汝は僕のため又なんぢの心に循ひて此もろもろの大なる事を爲し此すべての大なる事を示たまへり 013 1CH 017 020 ヱホバよ我らが凡て耳に聞る所に依ば汝のごとき者は無くまた汝の外に神は無し 013 1CH 017 021 地の何の國か汝の民イスラエルに如ん是は在昔神の往て贖ひて己の民となして大なる畏るべき事を行なひて名を得たまひし者なり汝はそのエジプトより贖ひいだせし汝の民の前より國々の人を逐はらひたまへり 013 1CH 017 022 而して汝は汝の民イスラエルを永く汝の民となしたまふヱホバよ汝は彼らの神となりたまへり 013 1CH 017 023 然ばヱホバよ汝が僕とその家につきて宣まひし言を永く堅うして汝の言し如く爲たまへ 013 1CH 017 024 願くは汝の名の堅く立ち永久に崇められて萬軍のヱホバ、イスラエルの神はイスラエルに神たりと曰れんことを願くは僕ダビデの家の汝の前に堅く立んことを 013 1CH 017 025 我神よ汝は僕の耳に示して之が爲に家を建んと宣へり是によりて僕なんぢの前に祈る道を得たり 013 1CH 017 026 ヱホバよ汝は即ち神にましまし此恩典を僕に傳たまへり 013 1CH 017 027 願くは今僕の家を祝福て汝の前に永く在しめたまへ其はヱホバよ汝の祝福たまへる者は永く祝福を蒙ればなり 013 1CH 018 001 此後ダビデ、ベリシテ人を撃てこれを服し又ペリシテ人の手よりガテとその郷里を取り 013 1CH 018 002 彼またモアダを撃ければモアブ人はダビデの臣となりて貢を納たり 013 1CH 018 003 ダビデまたハマテの邊にてゾバの王ハダレゼルを撃り是は彼がユフラテ河の邊にてその權勢を振はんとて往る時なりき 013 1CH 018 004 而してダビデ彼より車千輛騎兵七千歩兵二萬を取りダビデまた一百の車の馬を存してその餘の車馬は皆その足の筋を切り 013 1CH 018 005 その時ダマスコのスリア人ゾバの王ハダレゼルを援けんとて來りければダビデそのスリア人二萬二千を殺せり 013 1CH 018 006 而してダビデ、ダマスコのスリアに鎮臺を置ぬスリア人は貢を納てダビデの臣となれりヱホバ、ダビデを凡てその往く處にて助たまへり 013 1CH 018 007 ダビデ、ハダレゼルの臣僕等の持る金の楯を奪ひて之をヱルサレムに持きたり 013 1CH 018 008 またハダレゼルの邑テブハテとクンより甚だ衆多の銅を取きたれりソロモンこれを用て銅の海と柱と銅の器具を造れり 013 1CH 018 009 時にハマテの王トイ、ダビデがゾバの王ハダレゼルの總の軍勢を撃破りしを聞て 013 1CH 018 010 その子ハドラムをダビデ王に遣し安否を問ひかつこれを賀せしむ其はハダレゼル曾てトイと戰闘をなしたるにダビデ、ハダレゼルと戰ひて之を撃やぶりたればなりハドラム金銀および銅の種々の器を携へきたりければ 013 1CH 018 011 ダビデ王そのエドム、モアブ、アンモンの子孫ペリシテ人アマレクなどの諸の國民の中より取きたりし金銀とともに是等をもヱホバに奉納たり 013 1CH 018 012 ゼルヤの子アビシヤイ鹽谷にてエドム人一萬八千を殺せり 013 1CH 018 013 斯てダビデ、エドムに鎮臺を置エドム人は皆ダビデの臣となりぬヱホバかくダビデを凡その往處にて助けたまへり 013 1CH 018 014 ダビデはイスラエルの全地を治めてその諸の民に公平と正義を行へり 013 1CH 018 015 ゼルヤの子ヨアブは軍旅の長アヒルデの子ヨシヤパテは史官 013 1CH 018 016 アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アビメレクは祭司シヤウシヤは書記官 013 1CH 018 017 ヱホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の長ダビデの子等は王の座側に侍る大臣なりき 013 1CH 019 001 此後アンモンの子孫の王ナハシ死ければその子これに代りて王となりたり 013 1CH 019 002 ダビデ言けるは我ナハシの子ヌンをねんごろに遇らはんかれが父われをねんごろにあしらひたればなりとダビデすなはち彼をその父の故によりて慰めんとて使者を遣はせりダビデの臣僕等アンモンの子孫の地に往きハヌンに詣りてこれを慰めけるに 013 1CH 019 003 アンモンの子孫の牧伯等ハヌンに言けるはダビデ慰籍者を汝につかはしたるに因て彼なんぢの父を尊ぶと汝の目に見ゆるや彼の臣僕等は此國を窺ひ探りて滅ぼさんとて來れるならずやと 013 1CH 019 004 是においてハヌン、ダビデの臣僕等を執へてその鬚を剃おとしその衣服を中より斷て腎までにして之を歸したりしが 013 1CH 019 005 或人きたりて此人々の爲られし事をダビデに告ければダビデ人をつかはして之を迎へしめたりその人々おほいに愧たればなり即ち王いひけるは汝ら鬚の長るまでヱリコに止まりて然る後かへるべしと 013 1CH 019 006 アンモンの子孫自己のダビデに惡まるる樣になれるを見しかばハヌンおよびアンモンの子孫すなはち銀一千タラントをおくりてメソポタミヤとスリアマアカおよびゾバより戰車と騎兵とを雇ひいれたり 013 1CH 019 007 即ち戰車三萬二千乗にマアカの王とその兵士を雇ひければ彼ら來りてメデバの前に陣を張り是においてアンモンの子孫その邑々より寄あつまりて戰はんとて來れり 013 1CH 019 008 ダビデ聞てヨアブと勇士の惣軍を遣しけるに 013 1CH 019 009 アンモンの子孫は出て邑の門の前に戰爭の陣列をなせり又援助に來れる王等は別に野に居り 013 1CH 019 010 時にヨアブ前後より敵の攻寄るを見てイスラエルの倔強の兵士の中を抽擢て之をしてスリア人にむかひて陣列しめ 013 1CH 019 011 その餘の民をばその兄弟アビシヤイの手に交してアンモンの子孫にむかひて陣列しめ 013 1CH 019 012 而して言けるはスリア人もし我に手強からば汝我を助けよアンモンの子孫もし汝に手強からば我なんぢを助けん 013 1CH 019 013 汝勇しくなれよ我儕の民のためと我らの神の諸邑のために我ら勇しく爲ん願くはヱホバその目に善と見ゆる所をなしたまへと 013 1CH 019 014 ヨアブ己に從へる民とともに進みよりてスリア人を攻撃けるにスリア人かれの前より潰奔れり 013 1CH 019 015 アンモンの子孫はスリア人の潰奔れるを見て自己等もまたその兄弟アビシヤイの前より逃奔りて城邑にいりぬ是においてヨアブはヱルサレムに歸れり 013 1CH 019 016 スリア人はそのイスラエルに撃やぶられたるを見て使者を遣はして河の彼旁なるスリア人を將ゐ出せりハダレゼルの軍旅の長シヨバクこれを率ゆ 013 1CH 019 017 その事ダビデに聞えければ彼イスラエルを悉く集めヨルダンを渡りて彼らの所に來り之にむかひて戰爭の陣列を立たりダビデかく彼らにむかひて戰爭の陣列を立たれば彼らこれと戰へり 013 1CH 019 018 然るにスリア人イスラエルの前に潰たればダビデ、スリアの兵車の人七千歩兵四萬を殺しまた軍旅の長シヨバクを殺せり 013 1CH 019 019 ハダレゼルの臣たる者等そのイスラエルに撃やぶられたるを見てダピデと和睦をなしてこれが臣となれりスリア人は此後ふたたびアンモンの子孫を助くることを爲ざりき 013 1CH 020 001 年かへりて王等の戰爭に出る時におよびてヨアブ軍勢を率ゐて出でアンモン人の地を打荒し往てラバを攻圍りされどダビデはヱルサレムに止まりたりヨアブつひにラバを撃壞りてこれを滅ぼせり 013 1CH 020 002 ダビデ彼らの王の冠冕をその首より取はなしたりしがその金の重を量り見るに一タラントありまたその中に寶石を嵌たるありき之をダビデの首に冠らせたり彼また甚だ衆多の掠取物をその邑より取り 013 1CH 020 003 而して彼またその中の民を曳いだし鋸と鐵の打車と斧とをもてこれを斬りダビデ、アンモンの子孫の一切の邑に斯く爲り而してダビデとその民はみなヱルサレムに歸りぬ 013 1CH 020 004 この後ゲゼルにおいてペリシテ人と戰爭おこりたりしがその時にホシヤ人シベカイ巨人の子孫の一人なるシバイを殺せり彼等つひに攻伏られき 013 1CH 020 005 復ペリシテ人と戰爭ありしがヤイルの子エルハナン、ガテのゴリアテの兄弟ラミを殺せりラミの槍の柄は機の滕の如くなりき 013 1CH 020 006 またガテに戰爭ありしが其處に一人の身長き人ありその手の指と足の趾は六宛にして合せて二十四あり彼も巨人の生る者なりき 013 1CH 020 007 彼イスラエルを挑みしかばダビデの兄弟シメアの子ヨナタンこれを殺せり 013 1CH 020 008 是等はガテにて巨人の生る者なりしがダビデの手とその臣僕の手に斃れたり 013 1CH 021 001 茲にサタン起りてイスラエルに敵しダビデを感動してイスラエルを核數しめんとせり 013 1CH 021 002 ダビデすなはちヨアブと民の牧伯等に言けるは汝等ゆきてベエルシバよりダンまでのイスラエル人を數へその數をとりきたりて我に知せよ 013 1CH 021 003 ヨアブ答へけるは幾何あるとも願くはヱホバその民を百倍に増たまへ然ながら王わが主よ是はみな我主の僕ならずや然に何とて我主この事を爲んと要たまふや何ぞイスラエルをして之によりて罪を獲せしむべけんやと 013 1CH 021 004 されど王つひにヨアブに言勝たればヨアブすなはち出ゆきイスラエルを徧く行めぐりてヱルサレムに還れり 013 1CH 021 005 而してヨアブ民の總數をダビデに告たり即ちイスラエルの中には劍を帶る者一百十萬人ありユダの中には劍を帶る者四十七萬人ありき 013 1CH 021 006 但しレビとベニヤミンとはその中に數へざりき其はヨアブ王の言を惡みたればなり 013 1CH 021 007 この事神の目に惡かりければイスラエルを撃なやましたまへり 013 1CH 021 008 ダビデ是において神に申しけるは我この事をなして大に罪を獲たり然ども今ねがはくは僕の罪を除きたまへ我はなはだ愚なる事をなせりと 013 1CH 021 009 時にヱホバ、ダビデの先見者ガデにきて言たまひけるは 013 1CH 021 010 往てダビデに告て言へヱホバかく言ふ我なんぢに三のものを示す汝その一を撰べ我それを汝に爲んと 013 1CH 021 011 ガデすなはちダビデの許に至り之に言けるはヱホバかく言たまふ汝擇べよ 013 1CH 021 012 即ち三年の饑饉か又は汝三月の間汝の敵の前に敗れて汝の仇の劍に追しかれんか又は三日の間ヱホバの劍すなはち疫病この國にありてヱホバの使者イスラエルの四方の境の中にて撃滅ぼすことをせんか我が如何なる答を我を遣せし者に爲べきかを汝決めよ 013 1CH 021 013 ダビデ、ガデに言けるは我おほいに苦む請ふ我はヱホバの手に陷らん其憐憫甚だおほいなればなり人の手には陷らじと 013 1CH 021 014 是においてヱホバ、イスラエルに疫病を降したまひければイスラエルの人七萬人斃れたり 013 1CH 021 015 神また使者をヱルサレムに遣してこれを滅ぼさんとしたまひしが其これを滅ぼすにあたりてヱホバ視てこの禍害をなせしを悔い其ほろぼす使者に言たまひけるは足り今なんぢの手を住めよと時にヱホバの使者はヱブス人オルナンの打場の傍に立をる 013 1CH 021 016 ダビデ目をあげて視るにヱホバの使者地と天の間に立て抜身の劍を手にとりてヱルサレムの方にこれを伸をりければダビデと長老等麻布を衣て俯伏り 013 1CH 021 017 而してダビデ神に申しけるは民を數へよと命ぜし者は我ならずや罪を犯し惡き事をなしたる者は我なり然れども是等の羊は何をなせしや我神ヱホバよ請ふ汝の手を我とわが父の家に加へたまへ惟汝の民に加へて之を疚めたまふ勿れと 013 1CH 021 018 時にヱホバの使者ガデに命じ汝ダビデに告てダビデをして上りゆきてヱブス人オルナンの打場にてヱホバのために一箇の壇を築しめよと言り 013 1CH 021 019 是においてダビデはガデがヱホバの名をもて告たる言にしたがひて上りゆけり 013 1CH 021 020 オルナンは麥を打ゐけるが回顧て天の使の居るを視その四人の子等とともに匿れたり 013 1CH 021 021 やがてダビデはオルナンの方に來りけるがオルナン望てダビデを見すなはち打場より出ゆきて面を地につけてダビデを拝せり 013 1CH 021 022 ダビデ、オルナンに言けるは此打場の處を我に與へよ我そこにてヱホバに一箇の壇を築かん汝その十分の値をとりて之を我にあたへ災害の民におよぶことを止めしめよ 013 1CH 021 023 オルナン、ダビデに言けるは請ふ之を取り王わが主の目に善と觀るところを爲たまへ我なんぢに献げて牛を燔祭の料とし打禾車を柴薪とし麥を素祭とせん我みなこれを奉呈ると 013 1CH 021 024 ダビデ王オルナンに言けるは然るべからず我かならず十分の値をはらひて之を買ん我は汝の物を取てヱホバに奉まつらじ又費なしに燔祭を献ぐることをせじと 013 1CH 021 025 ダビデすなはち其處のために金六百シケルを衡りてオルナンに與へたり 013 1CH 021 026 而してダビデ其處にてヱホバに一箇の祭壇を築き燔祭と酬恩祭を献げてヱホバを龥けるに天より燔祭の壇の上に火を降して之に應へたまへり 013 1CH 021 027 ヱホバすなはちその使者に命じたまひければ彼その劍を鞘に蔵めたり 013 1CH 021 028 その時ダビデはヱホバがヱブス人オルナンの打場において己に應へたまふを見たれば其處にて犠牲を献ぐることを爲り 013 1CH 021 029 モーセが荒野にて造りたるヱホバの幕屋と燔祭の壇とは當時ギベオンの崇邱にありけるが 013 1CH 021 030 ダビデはその前に進みゆきて神に求むることを得せざりき是は彼ヱホバの使者の劍のために懼れたるに因てなり 013 1CH 022 001 ダビデ言けるはヱホバ神の室は此なりイスラエルの燔祭の壇は此なりと 013 1CH 022 002 ダビデすなはち命じてイスラエルの地に居る異邦人を集めしめ又神の室を建るに用ふる石を琢ために石工を設けたり 013 1CH 022 003 ダビデまた門の扉の釘および鎹に用ふる鐵を夥しく備へたり又銅を數しれぬほどに夥しく備へたり 013 1CH 022 004 また香柏を備ふること數しれず是はシドン人およびツロの者夥多しく香柏をダビデの所に運びきたりたればなり 013 1CH 022 005 ダビデ言けるは我子ソロモンは少くして弱し又ヱホバのために建る室は極めて高大にして萬國に名を得榮を得る者たらざる可らず今我其がために準備をなさんとダビデその死る前に大に之が準備をなせり 013 1CH 022 006 而して彼その子ソロモンを召てイスラエルの神ヱホバのために家を建ることを之に命ぜり 013 1CH 022 007 即ちダビデ、ソロモンに言けるは我子よ我は我神ヱホバの名のために家を建る志ありき 013 1CH 022 008 然るにヱホバの言われに臨みて言り汝は多くの血を流し大なる戰爭を爲したり汝我前にて多の血を地に流したれば我名の爲に家を建べからず 013 1CH 022 009 視よ男子汝に生れん是は平安の人なるべし我これに平安を賜ひてその四周の諸の敵に煩はさるること無らしめん故に彼の名はソロモン(平安)といふべし彼の世に我平安と靜謐をイスラエルに賜はん 013 1CH 022 010 彼わが名のために家を建ん彼はわが子となり我は彼の父とならん我かれの國の祚を固うして永くイスラエルの上に立しめん 013 1CH 022 011 然ば我子よ願くはヱホバ汝とともに在し汝を盛ならしめ汝の神ヱホバの室を建させて其なんぢにつきて言たる如くしたまはんことを 013 1CH 022 012 惟ねがはくはヱホバ汝に智慧と穎悟を賜ひ汝をイスラエルの上に立て汝の神ヱホバの律法を汝に守らせたまはんことを 013 1CH 022 013 汝もしヱホバがイスラエルにつきてモーセに命じたまひし法度と例規を謹みて行はば汝旺盛になるべし心を強くしかつ勇め懼るる勿れ慄くなかれ 013 1CH 022 014 視よ我患難の中にてヱホバの室のために金十萬タラント銀百萬タラントを備へまた銅と鐵とを數しれぬほど夥多しく備へたり又材木と石をも備へたり汝また之に加ふべし 013 1CH 022 015 かつまた工人夥多しく汝の手にあり即ち石や木を琢刻む者および諸の工作を爲すところの工匠など都てあり 013 1CH 022 016 夫金銀銅鐵は數限りなし汝起て爲せ願くはヱホバ汝とともに在せと 013 1CH 022 017 ダビデまたイスラエルの一切の牧伯等にその子ソロモンを助くることを命じて云く 013 1CH 022 018 汝らの神ヱホバなんぢらと偕に在すならずや四方において泰平を汝らに賜へるならずや即ちこの地の民を我手に付したまひてこの地はヱホバの前とその民の前に服せり 013 1CH 022 019 然ば汝ら心をこめ精神をこめて汝らの神ヱホバを求めよ汝ら起てヱホバ神の聖所を建てヱホバの名のために建るその室にヱホバの契約の櫃と神の聖器を携さへいるべし 013 1CH 023 001 ダビデ老てその日滿ければその子ソロモンをイスラエルの王となせり 013 1CH 023 002 ダビデ、イスラエルの一切の牧伯および祭司とレビ人をあつめたり 013 1CH 023 003 レビ人の三十歳以上なる者を數へたるにその人々の頭數は三萬八千 013 1CH 023 004 その中二萬四千はヱホバの室の事幹を掌どり六千は有司および裁判人たり 013 1CH 023 005 四千は門を守る者たりまた四千はダビデが造れる讃美の樂器をとりてヱホバを頌ることをせり 013 1CH 023 006 ダビデ、レビの子孫を分ちて班列を立たり即ちゲルシヨン、コハテおよびメラリ 013 1CH 023 007 ゲルシヨン人たる者はラダンおよびシメイ 013 1CH 023 008 ラダンの子等は長エヒエルにゼタムとヨエル合せて三人 013 1CH 023 009 シメイの子等はシロミテ、ハジエル、ハランの三人是等はラダンの宗家の長たり 013 1CH 023 010 シメイの子等はヤハテ、ジナ、ヱウシ、ベリア この四人はシメイの子なり 013 1CH 023 011 ヤハデは長 ジナはその次 ヱウシ、ベリアは子多からざるが故に之をともに數へて一の宗家となせり 013 1CH 023 012 コハテの子等はアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルの四人 013 1CH 023 013 アムラムの子等はアロンとモーセ、アロンはその子等とともに永く區別れてその身を潔めて至聖者となりヱホバの前に香を焚き之に事へ恒にこれが名をもて祝することを爲り 013 1CH 023 014 神の人モーセの子等はレビの支派の中に數へいれらる 013 1CH 023 015 モーセの子等はゲルシヨンおよびエリエゼル 013 1CH 023 016 ゲルシヨンの子等は長はシブエル 013 1CH 023 017 エリエゼルの子等は長はレハビヤ、エリエゼルは此外に男子あらざりき但しレハビヤの子等は甚だ多かりき 013 1CH 023 018 イヅハルの子等は長はシロミテ 013 1CH 023 019 ヘブロンの子等は長子はヱリヤ その次はアマリヤ その三はヤハジエル その四はヱカメアム 013 1CH 023 020 ウジエルの子等は長子はミカ 次はヱシヤ 013 1CH 023 021 メラリの子等はマヘリおよびムシ、マヘリの子等はエレアザルおよびキシ 013 1CH 023 022 エレアザルは男子なくして死り惟女子ありし而已その女子等はキシの子たるその兄弟等これを娶れり 013 1CH 023 023 ムシの子等はマヘリ、エデル、ヱレモテの三人 013 1CH 023 024 レビの子孫をその宗家に循ひて言ば是のごとし是皆かの頭數を數へられその名を録されてヱホバの家の役事をなせる二十歳以上の者の宗家の長なり 013 1CH 023 025 ダビデ言けらくイスラエルの神ヱホバその民を安んじて永くヱルサレムに住たまふ 013 1CH 023 026 レビ人はまた重ねて幕屋およびその奉事の器具を舁ことあらずと 013 1CH 023 027 ダビデの最後の詞にしたがひてレビ人は二十歳以上よりして數へられたり 013 1CH 023 028 彼らの職はアロンの子孫等の手に屬して神の家の役事を爲し庭と諸の室の用を爲し一切の聖物を潔むるなど凡て神の家の役事を勤むるの事なりき 013 1CH 023 029 また供前のパン素祭の麥粉酵いれぬ菓子鍋にて製る者燒て製る者などを掌どりまた凡て容積と長短を量度ることを掌どり 013 1CH 023 030 また朝ごとに立てヱホバを頌へ讃ることを掌どれり夕もまた然り 013 1CH 023 031 又安息日と朔日と節會においてヱホバに諸の燔祭を献げ其命ぜられたる所に循ひて數のごとくに斷ずこれをヱホバの前にたてまつる事を掌どれり 013 1CH 023 032 是のごとく彼らは集會の幕屋の職守と聖所の職守とアロンの子孫たるその兄弟等の職守とを守りてヱホバの家の役事をおこなふ可りしなり 013 1CH 024 001 アロンの子孫の班列は左のごとしアロンの子等はナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル 013 1CH 024 002 ナダブとアビウはその父に先だちて死て子なかりければエレアザルとイタマル祭司となれり 013 1CH 024 003 ダビデ、エレアザルの子孫ザドクおよびイタマルの子孫アヒメレクとともに彼らを分ちて各その職と務に任じたり 013 1CH 024 004 エレアザルの子孫の中にはイタマルの子孫の中よりも長たる人多かりき是をもてその分かれし班列はエレアザルの子孫たる宗家の長には十六ありイタマルの子孫たる宗家の長には八あり 013 1CH 024 005 斯彼らは籤によりて分たる彼と此と相等し其は聖所の督者および神の督者はエレアザルの子孫の中よりも出でイタマルの子孫の中よりも出ればなり 013 1CH 024 006 レビ人ネタネルの子シマヤといふ書記王と牧伯等と祭司ザドクとアビヤタルの子アヒメレクと祭司およびレビ人の宗家の長の前にて之を書しるせり即ちエレアザルのために宗家一を取ばまたイタマルのために宗家一を取り 013 1CH 024 007 第一の籤はヨアリブに當り第二はヱダヤに當り 013 1CH 024 008 第三はハリムに當り第四はセオリムに當り 013 1CH 024 009 第五はマルキヤに當り第六はミヤミンに當り 013 1CH 024 010 第七はハツコヅに當り第八はアビアに當り 013 1CH 024 011 第九はヱシユアに當り第十はシカニヤに當り 013 1CH 024 012 第十一はヱリアシブに當り第十二はヤキンに當り 013 1CH 024 013 第十三はホツバに當り第十四はエシバブに當り 013 1CH 024 014 第十五はビルガに當り第十六はインメルに當り 013 1CH 024 015 第十七はヘジルに當り第十八はハビセツに當り 013 1CH 024 016 第十九はベタヒヤに當り第二十はエゼキエルに當り 013 1CH 024 017 第二十一はヤキンに當り第二十一はガムルに當り 013 1CH 024 018 第二十三はデラヤに當り第二十四はマアジアに當れり 013 1CH 024 019 是その職務の順序なり彼らは之にしたがひてヱホバの家にいり其先祖アロンより傳はりし例規によりて勤むべかりしなり即ちイスラエルの神ヱホバの彼に命じたまひしごとし 013 1CH 024 020 その餘のレビの子孫は左の如しアムラムの子等の中にてはシユバエル、シユバエルの子等の中にてはヱデヤ 013 1CH 024 021 レハビヤについてはレハビヤの子等の中にては長子イツシア 013 1CH 024 022 イヅハリ人の中にてはシロミテ、シロミテの子等の中にてはヤハテ 013 1CH 024 023 ヘブロンの子等の中にては長子ヱリヤ二子アマリヤ三子ヤハジエル四子ヱカメアム 013 1CH 024 024 ウジエルの子等の中にてはミカ、ミカの子等の中にてはシヤミル 013 1CH 024 025 ミカの兄弟をイツシアといふイツシアの子等の中にてはゼカリヤ 013 1CH 024 026 メラリの子等はマヘリおよびムシ、ヤジアの子等はベノ 013 1CH 024 027 メラリの子孫のヤジアより出たる者はベノ、シヨハム、ザツクル、イブリ 013 1CH 024 028 マヘリよりエレアザル出たりエレアザルは子等なかりき 013 1CH 024 029 キシについてはキシの子はヱラメル 013 1CH 024 030 ムシの子等はマヘリ、エデル、ヱリモテ是等はレビの子孫にしてその宗家にしたがひて言る者なり 013 1CH 024 031 是らの者もまたダビデ王とザドクとアヒメレクと祭司およびレビ人の宗家の長たる者等の前にてアロンの子孫たるその兄弟等のごとく籤を掣り兄の宗家も弟の宗家も異なること無りき 013 1CH 025 001 ダビデと軍旅の牧伯等またアサフ、ヘマンおよびヱドトンの子等を選びて職に任じ之をして琴と瑟と鐃鈸を執て預言せしむその職によれば伶人の數左のごとし 013 1CH 025 002 アサフの子等はザツクル、ヨセフ、ネタニア、アサレラ 皆アサフの子等にしてアサフの手に屬すアサフは王の手につきて預言す 013 1CH 025 003 ヱドトンについてはヱドトンの子等はゲダリア、ゼリ、ヱサヤ、ハシヤビヤ、マツタテヤの六人 皆琴を操てその父ヱドトンの手に屬すヱドトンはヱホバを讃めかつ頌へて預言す 013 1CH 025 004 ヘマンについてはヘマンの子等たる者はブツキヤ、マツタニヤ、ウジエル、シブエル、ヱレモテ、ハナニヤ、ハナニ、エリアタ、ギダルテ、ロマムテエゼル、ヨシベカシヤ、マロテ、ホテル、マハジオテ 013 1CH 025 005 是みな神の言をつたふる王の先見者ヘマンの子等にして角を擧ぐ 神ヘマンに男子十四人女子三人を賜へり 013 1CH 025 006 是等の者は皆その父の手に屬しヱホバの家において歌を謡ひ鐃鈸と瑟と琴をもて神の家の奉事をなせり アサフ、ヱドトンおよびヘマンは王の手につけり 013 1CH 025 007 彼等およびヱホバに歌を謡ふことを習へるその兄弟等即ち巧なる者の數は二百八十八人 013 1CH 025 008 彼ら大も小も巧なる者も習ふ者も皆ともにその職務の籤を掣けるが 013 1CH 025 009 第一の籤はアサフの家のヨセフに當り第二はゲダリアに當れり彼もその兄弟等および子等十二人 013 1CH 025 010 第三はザツクルに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 011 第四はイヅリに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 012 第五はネタニヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 013 第六はブツキアに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 014 第七はアサレラに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 015 第八はヱサヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 016 第九はマツタニヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 017 第十はシメイに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 018 第十一はアザリエルに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 019 第十二はハシヤビアに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 020 第十三はシユバエルに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 021 第十四はマツタテヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 022 第十五はヱレモテに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 023 第十六はハナニヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 024 第十七はヨシベカシヤに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 025 第十八はでハナニに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 026 第十九はマロテに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 027 第二十はエリアタに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 028 第二十一はホテルに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 029 第二十二はギダルテに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 030 第二十三はマハジオテに富れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 025 031 第二十四はロマムテエゼルに當れりその子等とその兄弟等十二人 013 1CH 026 001 門を守る者の班列は左のごとしコラ人の中にてはアサフの子コレの子なるメシレミヤ 013 1CH 026 002 メシレミヤの子等は長子はゼカリヤその次はヱデアエルその三はゼバデヤその四はヤテニエル 013 1CH 026 003 その五はエラムその六はヨハナンその七はエリヨエナイ 013 1CH 026 004 またオベデエドムの子等は長子はシマヤその次はヨザバデその三はヨアその四はサカルその五はネタネル 013 1CH 026 005 その六はアシミエルその七はイツサカルその八はピウレタイ是は神かれを祝福たまひしなり 013 1CH 026 006 また彼の子シマヤにも數人の子生れたりしがその子等は大勇士にしてその父の家の主たる者なりき 013 1CH 026 007 すなはちシマヤの子等はオテニ、レバエル、オベデ、エルザバデ、エルザバデの兄弟エリウとセマキヤは力ある人なりき 013 1CH 026 008 是みなオベデエドムの孫子なり彼らとその子等および其兄弟等は合せて六十二人皆力ある者にしてその職に堪ふ是みなオベデエドムに屬する者なり 013 1CH 026 009 メシレミヤも子等と兄弟等合せて十八人あり皆力ある者なりき 013 1CH 026 010 メラリの子孫ホサもまた子等ありき其長はシムリ是は長子ならざりしかどもその父これを長となせしなり 013 1CH 026 011 その次はヒルキヤその三はデバリヤその四はゼカリヤ、ホサの子等と兄弟等は合せて十三人 013 1CH 026 012 門を守るところの班列此長等の中より出でみなその兄弟と等く勤務をなしてヱホバの家に仕ふ 013 1CH 026 013 彼ら門々を分つために小も大もともにその宗家に循ひて籤を掣たりしが 013 1CH 026 014 東の方の籤はシレミヤに當れり又その子ゼカリヤのために籤を掣けるに北の方の籤これに當れりゼカリヤは智慧ある議士なりき 013 1CH 026 015 オベデエドムは南の方の籤に當りその子等は倉の籤に當れり 013 1CH 026 016 シユパムおよびホサは西の方の籤にあたり坂の大路にあるシヤレケテの門の傍に居り守者はみな相對ふ 013 1CH 026 017 東の方にはレビ人六人北の方には日々に四人南の方にも日々に四人倉のかたはらには二人に二人 013 1CH 026 018 西の方バルバルにおいては大路に四人バルバルに二人 013 1CH 026 019 門を守る者の班列は是のごとし皆コラの子孫とメラリの子孫なり 013 1CH 026 020 また神の府庫および聖物の府庫を司どれる彼らの兄弟なるレビ人は左のごとし 013 1CH 026 021 ラダンの子孫すなはちラダンより出たるゲルシヨン人にしてゲルシヨン人ラダンの宗家の長たる者の中にてはヱヒエリ 013 1CH 026 022 およびヱヒエリの子等ならびにその兄弟ゼタムとヨエル是らはヱホバの家の府庫を司どれり 013 1CH 026 023 アムラミ人イヅハリ人ヘブロン人ウジエリ人の中においては左のごとし 013 1CH 026 024 モーセの子ゲルシヨムの子なるシブエルは府庫の宰たり 013 1CH 026 025 その兄弟にしてエリエゼルより出たる者は即ちエリエゼルの子レハビヤその子ヱサヤその子ヨラムその子ジクリその子シロミテ 013 1CH 026 026 此シロミテとその兄弟等はすべての聖物の府庫を掌どれりその聖物はすなはちダビデ王宗家の長千人の長百人の長軍旅の長等などが奉納たる者なり 013 1CH 026 027 即ち戰爭において獲たる物および掠取物を奉納てヱホバの家の修繕に供へたるなり 013 1CH 026 028 凡て先見者サムエル、キシの子サウル、ネルの子アブネル、ゼルヤの子ヨアブ等が奉献たる物および其他の奉納物は皆シロミテとその兄弟等の手の下にありき 013 1CH 026 029 イヅハリ人の中にてはケナニヤとその子等イスラエルの外事を理め有司となり裁判人となれり 013 1CH 026 030 ヘブロン人の中にてはハシヤビアおよびその兄弟などの勇士一千七百人ありてヨルダンの此旁すなはち西の方にてイスラエルの監督者となりヱホバの一切の事を行ひ王の用を爲り 013 1CH 026 031 ヘブロン人の中にてはその系譜と宗家とに依ばヱリヤといふ者ヘブロン人の長なりダビデの治世の四十年に彼らを尋ね求めギレアデのヤゼルにおいて彼らの中より大勇士を得たり 013 1CH 026 032 ヱリヤの兄弟たる勇士は二千七百人にして皆宗家の長たりダビデ王かれらをしてルベン人ガド人およびマナセの半支派を監督しめ神につける事と王につける事とを宰どらせたり 013 1CH 027 001 イスラエルの子孫すなはち宗家の長千人の長百人の長およびその有司等は年の惣の月のあひだ月ごとに更り入り更り出で其班列の諸の事をつとめて王に事へたるが其數を按ふるに一班列に二萬四千人ありき 013 1CH 027 002 先第一の班列すなはち正月の分はザブデエルの子ヤシヨベアムこれを率ゆ其班列は二萬四千人 013 1CH 027 003 彼は正月の軍團の長等の首たる者にしてペレヅの子孫なり 013 1CH 027 004 二月の班列はアホア人ドダイその班列の者とともにこれを率ゆミクロテといふ宰あり其班列は二萬四千人 013 1CH 027 005 三月の軍團を統る第三の將は祭司の長ヱホヤダの子ベナヤその班列は二萬四千人 013 1CH 027 006 このベナヤはかの三十人の中の勇士にして三十人の上にたてり彼の子アミザバデその班列にあり 013 1CH 027 007 四月の分を統る第四の將はヨアブの弟アサヘルにしてその子ゼバデヤこれに次り其班列は二萬四千人 013 1CH 027 008 五月の分を統る第五の將はイズラヒ人シヤンモテその班列は二萬四千人 013 1CH 027 009 六月の分を統る第六の將はテコア人イツケシの子イラその班列は二萬四千人 013 1CH 027 010 七月の分を統る第七の將はエフライムの子孫たるペロニ人ヘレヅその班列は二萬四千人 013 1CH 027 011 八月の分を統る第八の將はゼラの子孫たるホシヤ人シベカイその班列は二萬四千人 013 1CH 027 012 九月の分をすぶる第九の將はベニヤミンの子孫たるアナトテ人アビエゼルその班列は二萬四千人 013 1CH 027 013 十月の分をすぶる第十の將はゼラの子孫たるネトパ人マハライその班列は二萬四千人 013 1CH 027 014 十一月の分をすぶる第十一の將はエフライムの子孫たるピラトン人ベナヤその班列は二萬四千人 013 1CH 027 015 十二月の分を統る第十二の將はオテニエルの子孫たるネトパ人ヘルダイその班列は二萬四千人 013 1CH 027 016 イスラエルの支派を治むる者は左のごとしルベン人の牧伯はヂクリの子エリエゼル、シメオンの牧伯はマアカの子シバテヤ 013 1CH 027 017 レビ人の牧伯はケムエルの子ハシヤビヤ、アロン人の牧伯はザドク 013 1CH 027 018 ユダの牧伯はダビデの兄弟エリウ、イツサカルの牧伯はミカエルの子オムリ 013 1CH 027 019 ゼブルンの牧伯はオバデヤの子イシマヤ、ナフタリの牧伯はアズリエルの子ヱレモテ 013 1CH 027 020 エフライムの子孫の牧伯はアザジヤの子ホセア、マナセの半支派の牧伯はペダヤの子ヨエル 013 1CH 027 021 ギレアデなるマナセのご半支派の牧伯はゼカリヤの子イド、ペニヤミンの牧伯はアブネルの子ヤシエル 013 1CH 027 022 ダンの牧伯はヱロハムの子アザリエル、イスラエルの支派の牧伯等は是のごとし 013 1CH 027 023 二十歳以下なる者はダビデこれを數へざりき其はヱホバかつてイスラエルを増て天空の星のごとくにせんと言たまひしことあればなり 013 1CH 027 024 ゼルヤの子ヨアブ數ふることを始めたりしがこれを爲をへざりきそのかぞふることによりて震怒イスラエルにおよべりその數はまたダビデ王の記録の籍に載ざりき 013 1CH 027 025 アデエルの子アズマウテは王の府庫を掌どりウジヤの子ヨナタンは田野邑々村々城などにある府庫を掌どり 013 1CH 027 026 ケルブの子エズリは地を耕す農業の人を掌どり 013 1CH 027 027 ラマテ人シメイは葡萄園を掌どりシフミ人ザブデはその葡萄園より取る葡萄酒の蔵を掌どり 013 1CH 027 028 ゲデラ人バアルハナンは平野なる橄欖樹と桑樹を掌どりヨアシは油の蔵を掌どり 013 1CH 027 029 シヤロン人シテナイはシヤロンにて牧ふ牛の群を掌どりアデライの子シヤバテは谷々にある牛の群を掌どり 013 1CH 027 030 イシマエル人オビルは駱駝を掌どりメロノテ人ヱデヤは驢馬を掌どり 013 1CH 027 031 ハガリ人ヤジズは羊の群を掌どれり是みなダビデ王の所有を掌どれる者なり 013 1CH 027 032 またダビデの叔父ヨナタンは議官たり彼は智慧あり學識ある者なり又ハクモニの子ヱヒエルは王の子等の補佐たり 013 1CH 027 033 アヒトペルは王の議官たりアルキ人ホシヤイは王の伴侶たり 013 1CH 027 034 アヒトペルに次ぐ者はベナヤの子ヱホヤダおよびアビヤタル王の軍旅の長はヨアブ 013 1CH 028 001 茲にダビデ、イスラエルの一切の長支派の長王に事ふる班列の長千人の長百人の長王とその子等の所有及び家畜を掌どる者閹官有力者諸勇士などを盡くヱルサレムに召集め 013 1CH 028 002 而してダビデ王その足にて起て言けるは我兄弟等我民よ我に聽け我はヱホバの契約の櫃のため我らの神の足臺のために安居の家を建んとの志ありて已にこれを建る準備をなせり 013 1CH 028 003 然るに神我に言たまへり汝は我名のために家を建べからず汝は軍人にして許多の血を流したればなりと 013 1CH 028 004 然りと雖もイスラエルの神ヱホバ我父の全家の中より我を選びて永くイスラエルに王たらしめたまふ即ちユダを選びて長となしユダの全家の中より我父の家を選び我父の子等の中にて我を悦びイスラエルの王とならしめたまふ 013 1CH 028 005 而してヱホバ我に衆多の子をたまひて其わが諸の子等の中より我子ソロモンを選び之をヱホバの國の位に坐せしめてイスラエルを治めしめんとしたまふ 013 1CH 028 006 ヱホバまた我に言たまひけるは汝の子ソロモンはわが家および我庭を作らん我かれを選びて吾子となせり我かれの父となるべし 013 1CH 028 007 彼もし今日のごとく我誡命と律法を堅く守り行はば我その國を永く堅うせんと 013 1CH 028 008 然ば今ヱホバの會衆たるイスラエルの全家の目の前および我らの神の聞しめす所にて汝らに勸む汝らその神ヱホバの一切の誡命を守りかつ之を追もとむべし然せば汝等この美地を保ちてこれを汝らの後の子孫に永く傳ふることを得ん 013 1CH 028 009 我子ソロモンよ汝の父の神を知り完全心をもて喜び勇んで之に事へよヱホバは一切の心を探り一切の思想を暁りたまふなり汝もし之を求めなば之に遇ん然ど汝もし之を棄なば永く汝を棄たまはん 013 1CH 028 010 然ば汝謹めよヱホバ汝を選びて聖所とすべき家を建させんと爲たまへば心を強くしてこれを爲べしと 013 1CH 028 011 而してダビデは殿の廊およびその家その府庫その上の室その内の室贖罪所の室などの式樣をその子ソロモンに授け 013 1CH 028 012 また其心に思ひはかれる一切の物すなはちヱホバの家の庭四周の諸の室神の家の府庫聖物の府庫などの式樣を授け 013 1CH 028 013 また祭司およびレビ人の班列とヱホバの家の諸の奉事の工とヱホバの家の諸の奉事の器皿とにつきて諭すところあり 013 1CH 028 014 また諸の奉事に用ふる金の器皿を作る金の重量を定め又諸の奉事の器に用ふる諸の銀の器皿の銀の重量を定む 013 1CH 028 015 即ち金の燈臺とその金の燈盞の重量を宣て一切の燈臺とその燈盞の重量を定め又銀の燈臺につきても各々の燈臺の用法にしたがひて燈臺とその燈盞の重量を定め 013 1CH 028 016 また供前のパンの案につきてはその各の案のために金の重量を定め又銀の案のためにも銀を定め 013 1CH 028 017 又肉鉤盂杓のために用ふる純金の重量を定め金の大斝につきてもまた各々の大斝のために重量を定め銀の一切の大斝のためにも重量を定め 013 1CH 028 018 また香壇のために用ふる精金の重量を定めかつ車なるケルビムの式樣の金を定む此ケルビムはその翼を展てヱホバの契約の櫃を覆ふ 013 1CH 028 019 而してダビデ言けらく此工事の式樣は皆ことごとくヱホバのその手を我上にくだして我を敎へて書せたまひし者なりと 013 1CH 028 020 かくてダビデその子ソロモンに言けるは汝心を強くし勇みてこれを爲せ懼るる勿れ慄くなかれヱホバ神我神汝とともに在さん彼かならず汝を離れず汝を棄ず汝をしてヱホバの家の奉事の諸の工を成終しめたまふべし 013 1CH 028 021 視よ神の家の諸の役事をなすためには祭司とレビ人の班列あり又諸の工と從事を悦こびて爲ところの諸の技巧者汝とともに在り且また牧伯等および一切の民汝の命ずるところを悉く行はん 013 1CH 029 001 ダビデ王また全會衆に言けるは我子ソロモンは神の惟獨選びたまへる者なるが少くして弱く此工事は大なり此殿は人のために非ずヱホバ神のためにする者なればなり 013 1CH 029 002 是をもて我力を盡して我神の家のために物を備へたり即ち金の物を作る金 銀の物の銀 銅の物の銅 鐵の物の鐵 木の物の木を備へたり又葱珩 嵌石 黑石火崗諸の寶石蝋石など夥多し 013 1CH 029 003 かつまた我わが神の家を悦ぶが故に聖所のために備へたる一切の物の外にまた自己の所有なる金銀をわが神の家に献ぐ 013 1CH 029 004 即ちオフルの金三千タラント精銀七千タラントを献げてその家々の壁を蔽ふに供ふ 013 1CH 029 005 金は金の物に銀は銀の物に凡て工人の手にて作るものに用ふべし誰か今日自ら進んでヱホバのためにその手に物を盈さんかと 013 1CH 029 006 是において宗家の長イスラエルの支派の牧伯等千人の長百人の長および王の工事を掌どる者等誠意より献物をなせり 013 1CH 029 007 その神の家の奉事のために献げたるものは金五千タラント一萬ダリク銀一萬タラント銅一萬八千タラント鐵十萬タラント 013 1CH 029 008 また寶石ある者はゲルシヨン人ヱヒエルの手に託て之を神の家の府庫に納めたり 013 1CH 029 009 彼ら斯誠意よりみづから進んでヱホバに献げたれば民その献ぐるを喜べりダビデ王もまた大に喜びぬ 013 1CH 029 010 茲にダビデ全會衆の前にてヱホバを頌へたりダビデの曰く我らの先祖イスラエルの神ヱホバよ汝は世々限なく頌へまつるべきなり 013 1CH 029 011 ヱホバよ權勢と能力と榮光と光輝と威光とは汝に屬す凡て天にある者地にある者はみな汝に屬すヱホバよ國もまた汝に屬す汝は萬有の首と崇られたまふ 013 1CH 029 012 富と貴とは共に汝より出づ汝は萬有を主宰たまふ汝の手には權勢と能力あり汝の手は能く一切をして大たらしめ又強くならしむるなり 013 1CH 029 013 然ば我儕の神よ我儕今なんぢに感謝し汝の尊き名を讃美す 013 1CH 029 014 但し我ら斯のごとく自ら進んで献ぐることを得たるも我は何ならんやまた我民は何ならんや萬の物は汝より出づ我らは只汝の手より受て汝に献げたるなり 013 1CH 029 015 汝の前にありては我らは先祖等のごとく旅客たり寄寓者たり我らの世にある日は影のごとし望む所ある無し 013 1CH 029 016 我らの神ヱホバよ汝の聖名のために汝に家を建んとて我らが備へたる此衆多の物は凡て汝の手より出づ亦皆なんぢの所有なり 013 1CH 029 017 我神よ我また知る汝は心を鑒みたまひ又正直を悦びたまふ我は正き心をもて眞實より此一切の物を献げたり今我また此にある汝の民が眞實より献物をするを見て喜悦にたへざるなり 013 1CH 029 018 我らの先祖アブラハム、イサク、イスラエルの神ヱホバよ汝の民をして此精神を何時までもその心の思念に保たしめその心を固く汝に歸せしめたまへ 013 1CH 029 019 又わが子ソロモンに完全心を與へ汝の誡命と汝の證言と汝の法度を守らせて之をことごとく行はせ我が備をなせるその殿を建させたまへ 013 1CH 029 020 ダビデまた全會衆にむかひて汝ら今なんぢらの神ヱホバを頌へよと言ければ全會衆その先祖等の神ヱホバを頌へ俯てヱホバと王とを拝せり 013 1CH 029 021 而して其翌日に至りてイスラエルの一切の人のためにヱホバに犠牲を献げヱホバに燔祭を献げたり其牡牛一千牡羊一千羔羊一千またその灌祭と祭物夥多しかりき 013 1CH 029 022 その日彼ら大に喜びてヱホバの前に食ひかつ飮み/さらに改めてダビデの子ソロモンを王となしヱホバの前にてこれに膏をそそぎて主君となし又ザドクを祭司となせり 013 1CH 029 023 かくてソロモンはヱホバの位に坐しその父ダビデに代りて王となりその繁榮を極むイスラエルみな之に從がふ 013 1CH 029 024 また一切の牧伯等勇士等およびダビデ王の諸の子等みなソロモン王に服事す 013 1CH 029 025 ヱホバ、イスラエルの目の前にてソロモンを甚だ大ならしめ彼より前のイスラエルの王の未だ得たること有ざる王威を之に賜へり 013 1CH 029 026 夫ヱツサイの子ダビデはイスラエルの全地を治めたり 013 1CH 029 027 そのイスラエルを治めし間は四十年なり即ちヘブロンにて七年世を治めヱルサレムにて三十三年世を治めたりき 013 1CH 029 028 遐齡にいたり年も富も尊貴も滿足て死り其子ソロモンこれに代りて王となる 013 1CH 029 029 ダビデ王が始より終まで爲たる事等は先見者サムエルの書預言者ナタンの書および先見者ガドの書に記さる 013 1CH 029 030 其中にはまた彼の政治とその能力および彼とイスラエルと國々の諸の民に臨みしところの事等を載す # # BOOK 014 2CH 2 Chronicles 歴代誌Ⅱ 014 2CH 001 001 ダビデの子ソロモン堅くその國にたてりその神ヱホバこれとともに在して之を甚だ大ならしめたまひき 014 2CH 001 002 茲にソロモン、イスラエルの一切の人々すなはち千人の長百人の長裁判人ならびにイスラエルの全地の諸の牧伯等宗家の長などに告る所あり 014 2CH 001 003 而してソロモンおよび全會衆ともにギベオンなる崇邱に往りヱホバの僕モーセが荒野にて作りたる神の集會の幕屋かしこにあればなり 014 2CH 001 004 されど神の契約の櫃はダビデすでにキリアテヤリムよりこれが爲に備へたる處に携へ上れりダビデ曩にヱルサレムにて之が爲に幕屋を張まうけたりき 014 2CH 001 005 またホルの子ウリの子なるベザレルが作りたる銅の壇彼處においてヱホバの幕屋の前にありソロモンおよび會衆これに就きて求む 014 2CH 001 006 即ちソロモン彼處に上りゆき集會の幕屋の中にあるヱホバの前なる銅の壇に就き燔祭一千を其上に献げたり 014 2CH 001 007 その夜神ソロモンに顯れてこれに言たまひけるは我なんぢに何を與ふべきか求めよ 014 2CH 001 008 ソロモン神に申しけるは汝は我父ダビデに大なる恩惠をほどこし又我をして彼に代りて王とならしめたまへり 014 2CH 001 009 今ヱホバ神よ願くは我父ダビデに宣ひし事を堅うしたまへ其は汝地の塵のごとき衆多の民の上に我を王となしたまへばなり 014 2CH 001 010 我が此民の前に出入することを得んために今我に智慧と智識とを與へたまへ斯のごとき大なる汝の民を誰か鞫きえんや 014 2CH 001 011 神ソロモンに言たまひけるは此事なんぢの心にあり汝は富有をも財寶をも尊貴をも汝を惡む者の生命をも求めずまた壽長からんことをも求めず惟智慧と智識とを己のためにもとめて我が汝を王となしたる我民を鞫かんとすれば 014 2CH 001 012 智慧と智識は已に汝に授かれり我また汝の前の王等の未だ得たること有ざる程の富有と財寳と尊貴とを汝に與へん汝の後の者もまた是のごときを得ざるべし 014 2CH 001 013 斯てソロモンはギベオンの崇邱を去り集會の幕屋の前を去りてヱルサレムに歸りイスラエルを治めたり 014 2CH 001 014 ソロモン戰車と騎兵とを集めしに戰車一千四百輛騎兵一萬二千人ありきソロモンこれを戰車の邑々に置き又ヱルサレムにて王の所に置り 014 2CH 001 015 王銀と金とを石のごとくヱルサレムに多からしめまた香柏を平野の桑樹のごとく多からしめたり 014 2CH 001 016 ソロモンの有る馬は皆エジプトよりひききたれり王の商買一群一群となして之を取いだし群ごとに價金をはらへり 014 2CH 001 017 エジプトより取いだして携へ上る戰車一輛は銀六百馬一匹は百五十なりき是のごとくヘテ人の諸の王等およびスリアの王等のためにもその手をもて取いだせり 014 2CH 002 001 茲にソロモン、ヱホバの名のために一の家を建てまた己の國のために一の家を建んとし 014 2CH 002 002 ソロモンすなはち荷を負べき者七萬人山において木や石を斫べき者八萬人是等を監督すべき者三千六百人を數へ出せり 014 2CH 002 003 ソロモンまづツロの王ヒラムに人を遣して言しめけるは汝はわが父ダビデにその住むべき家を建る香柏をおくれり請ふ彼になせしごとく亦我にもせよ 014 2CH 002 004 今我わが神ヱホバの名のために一の家を建て之を聖別て彼に奉つり彼の前に馨しき香を焚き常に供前のパンを供へ燔祭を朝夕に献げまた安息日月朔ならびに我らの神ヱホバの節期などに献げんとす是はイスラエルの永く行ふべき事なればなり 014 2CH 002 005 我建る家は大なり其は我らの神は諸の神よりも大なればなり 014 2CH 002 006 然ながら天も諸天の天も彼を容ること能はざれば誰か彼のために家を建ることを得んや我は何人ぞや爭か彼のために家を建ることを得ん唯彼の前に香を焚くためのみ 014 2CH 002 007 然ば請ふ今金銀銅鐵の細工および紫赤靑の製造に精しく雕刻の術に巧なる工人一箇を我に遣り我父ダビデが備へおきたるユダとヱルサレムのわが工人とともに操作しめよ 014 2CH 002 008 請ふ汝また香柏松木および白檀をレバノンより我におくれ我なんぢの僕等がレバノンにて木を斫ることを善するを知るなり我僕また汝の僕と共に操作べし 014 2CH 002 009 是のごとくして我ために材木を多く備へしめよ其は我が建んとする家は高大を極むる者なるべければなり 014 2CH 002 010 我は木を斫る汝の僕に搗麥二萬石大麥二萬石酒二萬バテ油二萬バテを與ふべしと 014 2CH 002 011 是においてツロの王ヒラム書をソロモンにおくりて之に答へて云ふヱホバその民を愛するが故に汝をもて之が王となせりと 014 2CH 002 012 ヒラムまた言けるは天地の造主なるイスラエルの神ヱホバは讃べきかな彼はダビデ王に賢き子を與へて之に分別と才智とを賦け之をしてヱホバのために家を建てまた己の國のために家を建ることを得せしむ 今我わが達人ヒラムといふ才智ある工人一人を汝におくる 014 2CH 002 014 彼はダンの子孫たる婦の產る者にて其父はツロの人なるが金銀銅鐵木石の細工および紫布靑布細布赤布の織法に精しく又能く各種の雕刻を爲し奇巧を凝して諸の工をなすなり然ば彼を用ひてなんぢの工人および汝の父わが主ダビデの工人とともに操作しめよ 014 2CH 002 015 是については我主の宣まへる小麥大麥油および酒をその僕等に遣りたまへ 014 2CH 002 016 汝の凡て需むるごとく我らレバノンより木を斫いだしこれを筏にくみて海よりヨツバにおくるべければ汝これをヱルサレムに運びのぼりたまへと 014 2CH 002 017 ここにおいてソロモンその父ダビデが核數しごとくイスラエルの國にをる異邦人をことごとく核數みるに合せて十五萬三千六百人ありければ 014 2CH 002 018 その七萬人をもて荷を負ふ者となし八萬人をもて山にて木や石を斫る者となし三千六百人をもて民を操作かしむる監督者となせり 014 2CH 003 001 ソロモン、ヱルサレムのモリア山にヱホバの家を建ることを始む彼處はその父ダビデにヱホバの顯はれたまひし所にて即ちヱブス人オルナンの打場の中にダピデが備へし處なり 014 2CH 003 002 之を建ることを始めたるはその治世の四年の二月二日なり 014 2CH 003 003 神の家を建るためにソロモンの置たる基は是のごとし長六十キユビト濶二十キユビト皆古の尺に循がふ 014 2CH 003 004 家の前の廊は家の濶にしたがひてその長二十キユビトまたその高は百二十キユビトその内は純金をもて蔽ふ 014 2CH 003 005 またその大殿は松の木をもて張つめ美金をもて之を蔽ひその上に棕櫚と鏈索の形を施こし 014 2CH 003 006 また寶石をもてその家を美しく飾るその金はパルワイムの金なり 014 2CH 003 007 彼また金をもてその家その樑その閾その壁およびその戸を蔽ひ壁の上にケルビムを刻つく 014 2CH 003 008 また至聖所の家を造りしがその長は家の濶にしたがひて二十キユビトその濶も二十キユビト、美金をもてこれを蔽ふその金六百タラント 014 2CH 003 009 その釘の金は重五十シケルまた上の室も金にて覆ふ 014 2CH 003 010 また至聖所の家の内に刻鐫めたる二のケルビムを造り金をこれに覆ふ 014 2CH 003 011 そのケルビムの翼は長二十キユビト此ケルブの一の翼は五キユビトにして家の壁に達しその他の翼も五キユビトにして彼のケルブの翼に達す 014 2CH 003 012 また彼ケルブの一の翼は五キユビトにして家の壁に達しその他の翼も五キユビトにして此ケルブの翼と相接はる 014 2CH 003 013 是等のケルビムの翼はその舒ひろがること二十キユビト共にその足にて立ちその面を家に向く 014 2CH 003 014 彼また靑紫赤の布および細布をもて障蔽の幕を作りケルビムをその上に繍ふ 014 2CH 003 015 また家の前に柱二本を作るその高は三十五キユビトその頂の頭は五キユビト 014 2CH 003 016 また環飾を造り鏈索を之に繞らしてこれを柱の頂に施こし石榴一百をつくりてその鏈索の上に施こす 014 2CH 003 017 この柱を拝殿の前に竪て一本を右に一本を左に置ゑ右なる者をヤキンと名け左なる者をボアズと名く 014 2CH 004 001 ソロモンまた銅の壇を作れりその長二十キユビト濶二十キユビトその高十キユビト 014 2CH 004 002 また海を鋳造れり此邊より彼邊まで十キユビトにしてその周圍は圓くその高は五キユビトその周圍には三十キユビトの繩をめぐらすべし 014 2CH 004 003 その下には牛の像ありてその周圍を繞る即ち一キユビトに十宛ありて海の周圍を繞れり此牛は二行にして海を鋳る時に鋳付たるなり 014 2CH 004 004 その海は十二の牛の上に立りその三は北にむかひ三は西にむかひ三は南にむかひ三は東にむかふ海はその上にありて牛の後はみな内にむかふ 014 2CH 004 005 その厚は手寛その邊は百合花形にして杯の邊の如くに作れり是は三千バテを受容る 014 2CH 004 006 彼また洗盤十箇を作りて五箇を右に五箇を左に置たり是はものを洗ふ所にして燔祭の品をその中にて灌ぐ海は祭司が其身を洗ふ處なり 014 2CH 004 007 また金の燈臺十をその例規に從ひて作り拝殿の中に五を右に五を左に置き 014 2CH 004 008 また案十を作りて拝殿の中に五を右に五を左に据ゆ又金の鉢一百を作れり 014 2CH 004 009 彼また祭司の庭と大庭および庭の戸を作り銅をもてその扉を覆ふ 014 2CH 004 010 海は東のかた右の方に置て南に向はしむ 014 2CH 004 011 ヒラムまた鍋と火鏟と鉢とを作れり/斯ヒラムはソロモン王のためになせる神の家の諸の工事を終たり 014 2CH 004 012 即ち二の柱と毬とその二の柱の頂の頭およびその柱の頂なる頭の二の毬を包む二の網工 014 2CH 004 013 ならびに其ふたつの網工の上にほどこす石榴四百この石榴は各々の網工の上に二行づつありて柱の頂なる頭の二の毬を包む 014 2CH 004 014 また臺を作り臺の上の洗盤を作れり 014 2CH 004 015 また一の海とその下なる十二の牛 014 2CH 004 016 および鍋火鏟肉叉などヱホバの家の諸の器具を達人ヒラム ソロモン王の爲に作りたり是みな磨銅なり 014 2CH 004 017 王ヨルダンの窪地に於てスコテとゼレダタの間の黏土の地にて是等を鋳させたり 014 2CH 004 018 是のごとくソロモン是らの諸の器皿を甚だ多く造りたればその銅の重は測られざりき 014 2CH 004 019 ソロモン神の家の一切の器皿を造れり即ち金の壇供前のパンを載る案 014 2CH 004 020 また定規のごとく神殿の前にて火をともすべき純金の燈臺およびその燈盞 014 2CH 004 021 その花その燈盞その燈鉗是等は金の純精なる者なり 014 2CH 004 022 また剪刀鉢匙火盤是等も純金なり又家の内の戸すなはち至聖所の戸および拝殿の戸の肘鈕是も金なり 014 2CH 005 001 斯ソロモンがヱホバの家のために爲る一切の工事をはれり是においてソロモンその父ダビデが奉納たる物なる金銀および諸の器皿を携へいりて神の家の府庫の中に置り 014 2CH 005 002 茲にソロモン、ヱホバの契約の櫃をダビデの邑シオンより舁のぼらんとてイスラエルの長老者と諸の支派の長等イスラエルの子孫の宗家の長をヱルサレムに召集めければ 014 2CH 005 003 イスラエルの人みな七月の節筵に當りて王の所に集まり 014 2CH 005 004 イスラエルの長老等みな至りレビ人契約の櫃を執あげ 014 2CH 005 005 その契約の櫃と集會の幕屋と幕屋にありし諸の聖器を舁のぼれり即ち祭司レビ人これを舁のぼりぬ 014 2CH 005 006 時にソロモン王および彼の許に集まれるイスラエルの會衆契約の櫃の前にありて羊と牛を献げたりしがその數多くして書すことも數ふることも能はざりき 014 2CH 005 007 かくて祭司等ヱホバの契約の櫃をその處に舁いれたり即ち室の神殿なる至聖所の中のケルビムの翼の下に舁いりぬ 014 2CH 005 008 ケルビムは翼を契約の櫃の所の上に舒べケルビム上より契約の櫃とその杠を掩ふ 014 2CH 005 009 杠長かりければ杠の末は神殿の前の契約の櫃より見えたり然れども外には見えざりき其は今日まで彼處にあり 014 2CH 005 010 契約の櫃の内には二枚の板の外何もあらず是はイスラエルの子孫のエジプトより出たる時ヱホバが彼らと契約を結びたまへる時にモーセがホレブにて蔵めたる者なり 014 2CH 005 011 斯て祭司等は聖所より出たり此にありし祭司はみな身を潔めその班列によらずして職務をなせり 014 2CH 005 012 またレビ人の謳歌者すなはちアサフ、ヘマン、ヱドトン及び彼らの子等と兄弟等はみな細布を纒ひ鐃鈸と瑟と琴とを操て壇の東に立りまた祭司百二十人彼らとともにありて喇叭を吹り 014 2CH 005 013 喇叭を吹く者と謳歌者とは一人のごとくに聲を斉うしてヱホバを讃かつ頌へたりしが彼ら喇叭鐃鈸等の樂器をもちて聲をふりたて善かなヱホバその矜憫は世々限なしと言てヱホバを讃ける時に雲その室すなはちヱホバの室に充り 014 2CH 005 014 祭司は雲の故をもて立て奉事をなすことを得ざりきヱホバの榮光神の室に充たればなり 014 2CH 006 001 是においてソロモン言けるはヱホバは濃き雲の中に居んと言たまひしが 014 2CH 006 002 我汝のために住むべき家永久に居べき所を建たりと 014 2CH 006 003 而して王その面をふりむけてイスラエルの全會衆を祝せり時にイスラエルの會衆は皆立をれり 014 2CH 006 004 彼いひけるはイスラエルの神ヱホバは讃べき哉ヱホバはその口をもて吾父ダビデに言ひその手をもて之を成とげたまへり 014 2CH 006 005 即ち言たまひけらく我はわが民をエジプトの地より導き出せし日より我名を置べき家を建しめんためにイスラエルの諸の支派の中より何の邑をも選みしこと無く又何人をも選みて我民イスラエルの君となせしこと無し 014 2CH 006 006 只我はわが名を置くためにヱルサレムを選みまた我民イスラエルを治めしむるためにダビデを選めり 014 2CH 006 007 夫イスラエルの神ヱホバの名のために家を建ることは我父ダビデの心にありき 014 2CH 006 008 然るにヱホバわが父ダビデに言たまひけるは我名のために家を建ること汝の心にあり汝の心にこの事あるは善し 014 2CH 006 009 然れども汝はその家を建べからず汝の腰より出る汝の子その人わが名のために家を建べしと 014 2CH 006 010 而してヱホバその言たまひし言をおこなひたまへり即ち我わが父ダビデに代りて立ちヱホバの言たまひしごとくイスラエルの位に坐しイスラエルの神ヱホバの名のために家を建て 014 2CH 006 011 その中にヱホバがイスラエルの子孫になしたまひし契約を容る櫃ををさめたりと 014 2CH 006 012 ソロモン、イスラエルの全會衆の前にてヱホバの壇の前に立てその手を舒ぶ 014 2CH 006 013 ソロモンさきに長五キユビト濶五キユビト高三キユビトの銅の臺を造りてこれを庭の眞中に据おきたりしが乃ちその上に立ちイスラエルの全會衆の前にて膝をかがめ其手を天に舒て 014 2CH 006 014 言けるはイスラエルの神ヱホバ天にも地にも汝のごとき神なし汝は契約を保ちたまひ心を全うして汝の前に歩むところの汝の僕等に恩惠を施こしたまふ 014 2CH 006 015 汝は汝の僕わが父ダビデにのたまひし所を保ちたまへり汝は口をもて言ひ手をもて成就たまへること今日のごとし 014 2CH 006 016 イスラエルの神ヱホバよ然ば汝が僕わが父ダビデに語りて若し汝の子孫その道を愼みて汝がわが前に歩めるごとくに我律法にあゆまばイスラエルの位に坐する人わが前にて汝に缺ること無るべしと言たまひし事をダビデのために保ちたまへ 014 2CH 006 017 然ばイスラエルの神ヱホバよ汝が僕ダビデに言たまへるなんぢの言に效驗あらしめたまへ 014 2CH 006 018 但し神果して地の上に人とともに居たまふや夫天も諸天の天も汝を容るに足ず况て我が建たる此家をや 014 2CH 006 019 然れども我神ヱホバよ僕の祈祷と懇願をかへりみて僕が今汝の前に祈るその號呼と祈祷を聽たまへ 014 2CH 006 020 願くは汝の目を夜晝此家の上即ち汝が其名を置んと言たまへる所の上に開きたまへ願くは僕がこの處にむかひて祈らん祈祷を聽たまへ 014 2CH 006 021 願くは僕と汝の民イスラエルがこの處にむかひて祈る時にその懇願を聽たまへ請ふ汝の住處なる天より聽き聽て赦したまへ 014 2CH 006 022 人その隣人にむかひて罪を犯せることありてその人誓をもて誓ふことを要められんに若し來りてこの家において汝の壇の前に誓ひなば 014 2CH 006 023 汝天より聽て行ひ汝の僕等を鞫き惡き者に返報をなしてその道をその首に歸し義者を義としてその義にしたがひて之を待ひたまへ 014 2CH 006 024 汝の民イスラエルなんぢに罪を犯したるがために敵の前に敗れんに若なんぢに歸りて汝の名を崇め此家にて汝の前に祈り願ひなば 014 2CH 006 025 汝天より聽て汝の民イスラエルの罪を赦し汝が彼等とその先祖に與へし地に彼等を歸らしめたまへ 014 2CH 006 026 彼らが汝に罪を犯したるがために天閉て雨なからんに彼ら若この處にむかひて祈り汝の名を崇め汝が彼らを苦しめたまふ時にその罪を離れなば 014 2CH 006 027 汝天より聽きて汝の僕等なんぢの民イスラエルの罪を赦したまへ汝旣にかれらにその歩むべき善道を敎へたまへり汝の民に與へて產業となさしめたまひし汝の地に雨を降したまへ 014 2CH 006 028 若くは國に饑饉あるか若くは疫病枯死朽腐蟊賊稲蠹あるか若くは其敵かれらをその國の邑に圍む等如何なる災禍如何なる疾病あるとも 014 2CH 006 029 もし一人或は汝の民イスラエルみな各々おのれの災禍と憂患を知てこの家にむかひて手を舒なば如何なる祈祷如何なる懇願をなすとも 014 2CH 006 030 汝の住處なる天より聽て赦し各々の人にその心を知たまふごとくその道々にしたがひて報いたまへ其は汝のみ人々の心を知たまへばなり 014 2CH 006 031 汝かく彼らをして汝が彼らの先祖に與へたまへる地に居る日の間つねに汝を畏れしめ汝の道に歩ましめたまへ 014 2CH 006 032 且汝の民イスラエルの者にあらずして汝の大なる名と強き手と伸たる腕とのために遠き國より來れる異邦人においてもまた若來りてこの家にむかひて祈らば 014 2CH 006 033 汝の住處なる天より聽き凡て異邦人の汝に龥もとむるごとく成たまへ汝かく地の諸の民をして汝の名を知らしめ汝の民イスラエルの爲ごとくに汝を畏れしめ又わが建たる此家は汝の名をもて稱らるるといふことを知しめたまへ 014 2CH 006 034 汝の民その敵と戰はんとて汝の遣はしたまふ道に進める時もし汝が選びたまへるこの邑およびわが汝の名のために建たる家にむかひて汝に祈らば 014 2CH 006 035 汝天より彼らの祈祷と懇願を聽て彼らを助けたまへ 014 2CH 006 036 人は罪を犯さざる者なければ彼ら汝に罪を犯すことありて汝かれらを怒り彼らをその敵に付したまひて敵かれらを虜として遠き地または近き地に曳ゆかん時 014 2CH 006 037 彼らその擄れゆきし地において自ら心に了るところあり其俘擄の地において翻へりて汝に祈り我らは罪を犯し悖れる事を爲し惡き事を行ひたりと言ひ 014 2CH 006 038 その擄へゆかれし俘擄の地にて一心一念に汝に立歸り汝がその先祖に與へたまへる地にむかひ汝が選びたまへる邑と我が汝の名のために建たる家にむかひて祈らば 014 2CH 006 039 汝の住處なる天より彼らの祈祷と懇願を聽て彼らを助け汝の民が汝にむかひて罪を犯したるを赦したまへ 014 2CH 006 040 然ば我神よ願くは此處にて爲す祈祷に汝の目を開き耳を傾むけたまヘ 014 2CH 006 041 ヱホバ神よ今汝および汝の力ある契約の櫃起て汝の安居の所にいりたまへヱホバ神よ願くは汝の祭司等に拯救の衣を纒はせ汝の聖徒等に恩惠を喜こばせたまヘ 014 2CH 006 042 ヱホバ神よ汝の膏そそぎし者の面を黜ぞけたまふ勿れ汝の僕ダビデの徳行を記念たまへ 014 2CH 007 001 ソロモン祈ることを終し時天より火くだりて燔祭と犠牲とを焚きヱホバの榮光その家に充り 014 2CH 007 002 ヱホバの榮光ヱホバの家に充しに因て祭司はヱホバの家に入ことを得ざりき 014 2CH 007 003 イスラエルの子孫は皆火の降れるを見またヱホバの榮光のその家にのぞめるを見て敷石の上にて地に俯伏て拝しヱホバを讃て云り善かなヱホバその恩惠は世々限なしと 014 2CH 007 004 斯て王および民みなヱホバの前に犠牲を献ぐ 014 2CH 007 005 ソロモン王の献げたる犠牲は牛二萬二千羊十二萬斯王と民みな神の家を開けり 014 2CH 007 006 祭司は立てその職をなしレビ人はヱホバの樂器を執て立つ其樂器はダビデ王彼らの手によりて讃美をなすに當り自ら作りてヱホバの恩惠は世々限なしと頌へしめし者なり祭司は彼らの前にありて喇叭を吹きイスラエルの人は皆立をる 014 2CH 007 007 ソロモンまたヱホバの家の前なる庭の中を聖め其處にて燔祭と酬恩祭の脂とを献げたり是はソロモンの造れる銅の壇その燔祭と素祭と脂とを受るに足ざりしが故なり 014 2CH 007 008 その時ソロモン七日の間節筵をなしけるがイスラエル全國の人々すなはちハマテの入口よりエジプトの河までの人々あつまりて彼とともにあり其會はなはだ大なりき 014 2CH 007 009 かくて第八日に聖會を開けり彼らは七日のあひだ壇奉納の禮をおこなひまた七日のあひだ節筵を守りけるが 014 2CH 007 010 七月の二十三日にいたりてソロモン民をその天幕に歸せり皆ヱホバがダビデ、ソロモンおよびその民イスラエルに施こしたまひし恩惠のために喜こび且心に樂しみて去り 014 2CH 007 011 ソロモン、ヱホバの家と王の家とを造了へヱホバの家と己の家とにつきて爲んと心に思ひし事を盡く成就たり 014 2CH 007 012 時にヱホバ夜ソロモンに顯れて之に言たまひけるは我すでに汝の祈祷を聽きまた此處をわがために選びて犠牲を献ぐる家となす 014 2CH 007 013 我天を閉て雨なからしめ又は蟊賊に命じて地の物を食はしめ又は疫病を我民の中におくらんに 014 2CH 007 014 我名をもて稱らるる我民もし自ら卑くし祈りてわが面を求めその惡き道を離れなば我天より聽てその罪を赦しその地を醫さん 014 2CH 007 015 今より我この處の祈祷に目を啓き耳を傾むけん 014 2CH 007 016 今我すでに此家を選びかつ聖別む我名は永く此にあるべしまた我目もわが心も恒に此にあるべし 014 2CH 007 017 汝もし汝の父ダビデの歩みしごとく我前に歩み我が汝に命じたるごとく凡て行ひてわが法度と律例を守らば 014 2CH 007 018 我は汝の父ダビデに契約してイスラエルを治むる人汝に缺ること無るべしと言しごとく汝の國の祚を堅うすべし 014 2CH 007 019 然ど汝ら若ひるがへり我が汝らの前に置たる法度と誡命を棄て往て他の神々に事へかつ之を拝まば 014 2CH 007 020 我かれらを我が與へたる地より抜さるべし又我名のために我が聖別たる此家は我これを我前より投棄て萬國の中に諺語となり嘲笑とならしめん 014 2CH 007 021 且又この家は高くあれども終にはその傍を過る者は皆これに驚きて言んヱホバ何故に此地に此家に斯なしたるやと 014 2CH 007 022 人これに答へて言ん彼ら己の先祖をエジプトの地より導き出ししその神ヱホバを棄て他の神々に附從がひ之を拝み之に事へしによりてなりヱホバ之がためにこの諸の災禍を彼らに降せりと 014 2CH 008 001 ソロモン二十年を經てヱホバの家と己の家を建をはりけるが 014 2CH 008 002 ヒラム邑幾何をソロモンに歸しければソロモンまた之を建なほしイスラエルの子孫をしてその中に住しむ 014 2CH 008 003 ソロモンまたハマテゾバに往て之に勝り 014 2CH 008 004 彼また曠野のタデモルを建てハマテの諸の府庫邑を建つ 014 2CH 008 005 また上ベテホロンおよび下ベテホロンを建つ是は堅固の邑にして石垣あり門あり關木あり 014 2CH 008 006 ソロモンまたバアラテとおのが有る府庫の邑々と戰車の諸の邑々と騎兵の邑々ならびにそのエルサレム、レバノンおよび己が治むるところの全地に建んと望みし者を盡く建つ 014 2CH 008 007 凡てイスラエルの子孫にあらざるヘテ人アモリ人ペリジ人ヒビ人ヱブス人の遺れる者 014 2CH 008 008 その地にありて彼らの後に遺れるその子孫即ちイスラエルの子孫の滅ぼし盡さざりし民はソロモンこれを使役して今日にいたる 014 2CH 008 009 然れどもイスラエルの子孫をばソロモン一人も奴隸となして其工事に使ふことをせざりき彼らは軍人となり軍旅の長となり戰車と騎兵の長となれり 014 2CH 008 010 ソロモン王の有司の首は二百五十人ありて民を統ぶ 014 2CH 008 011 ソロモン、パロの女をダビデの邑より携へのぼりて曩にこれがために建おきたる家にいたる彼すなはち言り我妻はイスラエルの王ダビデの家に居べからずヱホバの契約の櫃のいたれる處は皆聖ければなりと 014 2CH 008 012 茲にソロモン曩に廊の前に築きおきたるヱホバの壇の上にてヱホバに燔祭を献ぐることをせり 014 2CH 008 013 即ちモーセの命令にしたがひて毎日例のごとくに之を献げ安息日月朔および年に三次の節會すなはち酵いれぬパンの節と七週の節と結茅節とに之を献ぐ 014 2CH 008 014 ソロモンその父ダビデの定めたる所にしたがひて祭司の班列を定めてその職に任じ又レビ人をその勤務に任じて日々例のごとく祭司の前にて頌讃をなし奉事をなさしめ又門を守る者をしてその班列にしたがひて諸門を守らしむ神の人ダビデの命ぜしところ是の如くなりければなり 014 2CH 008 015 祭司とレビ人は諸の事につきまた府庫の事につきて王に命ぜられたる所に違ざりき 014 2CH 008 016 ソロモンはヱホバの家の基を置る日までにその工事の準備をことごとく爲しおきて遂に之を成をへたればヱホバの家は全備せり 014 2CH 008 017 茲にソロモン、ヱドムの地の海邊にあるエジオンゲベルおよびエロテに往り 014 2CH 008 018 時にヒラムその僕等の手に託て船を彼に遣りまた海の事を知る僕等を遣りけるが彼等すなはちソロモンの僕とともにオフルに往て彼處より金四百五十タラントを取てソロモン王の許に携へ來れり 014 2CH 009 001 茲にシバの女王ソロモンの風聞を聞および難問をもてソロモンを試みんとて甚だ衆多の部從をしたがへ香物と夥多き金と寶石とを駱駝に負せてヱルサレムに來りソロモンの許にいたりてその心にある所をことごとく之に陳けるに 014 2CH 009 002 ソロモンこれが問に盡く答へたりソロモンの知ずして答へざる事は無りき 014 2CH 009 003 シバの女王ソロモンの智慧とその建たる家を觀 014 2CH 009 004 またその席の食物とその諸臣の列坐る状とその侍臣の伺候状と彼らの衣服およびその酒人とその衣服ならびに彼がヱホバの家に上りゆく昇道を觀におよびて全くその氣を奪はれたり 014 2CH 009 005 是において彼王に言けるは我が自己の國にて汝の行爲と汝の智慧とにつきて聞およびたる言は眞實なりき 014 2CH 009 006 然るに我は來りて目に觀るまではその言を信ぜざりしが今視ば汝の智慧の大なる事我が聞たるはその半分にも及ばざりき汝は我が聞たる風聞に愈れり 014 2CH 009 007 汝の人々は幸福なるかな汝の前に常に立て汝の智慧を聽る此なんぢの臣僕等は幸福なるかな 014 2CH 009 008 汝の神ヱホバは讃べき哉彼なんぢを悦こびてその位に上らせ汝の神ヱホバの爲に汝を王となしたまへり汝の神イスラエルを愛して永く之を堅うせんとするが故に汝を之が王となして公平と正義を行はせたまふなりと 014 2CH 009 009 すなはち金百二十タラントおよび莫大の香物と寶石とを王に饋れりシバの女王がソロモン王に饋りたるが如き香物は未だ曾て有ざりしなり 014 2CH 009 010 (かのオフルより金を取きたりしヒラムの臣僕とソロモンの臣僕等また白檀木と寶石とをも携さへいたりければ 014 2CH 009 011 王その白檀木をもてヱホバの家と王の宮とに段階を作りまた謳歌者のために琴と瑟とを作れり是より前には是のごとき者ユダの地に見しこと無りき) 014 2CH 009 012 ソロモン王シバの女王に物を饋りてその携へきたれる所に報いたるが上にまた之が望にまかせて凡てその求むる者を與へたり斯て彼はその臣僕とともに去てその國に還りぬ 014 2CH 009 013 一年にソロモンの所に來れる金の重量は六百六十六タラントなり 014 2CH 009 014 この外にまた商賣および商旅の携へきたる者ありアラビアの一切の王等および國の知事等もまた金銀をソロモンに携へ至れり 014 2CH 009 015 ソロモン王展金の大楯二百を作れりその大楯一枚には展金六百シケルを用ふ 014 2CH 009 016 また展金の小干三百を作れり其小干一枚には金三百シケルを用ふ王これらをレバノン森の家に置り 014 2CH 009 017 王また象牙をもて大なる寳座一を造り純金をもて之を蔽へり 014 2CH 009 018 その寳座には六の階級あり又金の足臺ありて共にその寳座に連なりその坐する處の此旁彼旁に按手ありて按手の側に二頭の獅子立をり 014 2CH 009 019 その六の階級に十二の獅子ありて此旁彼旁に立り是のごとき者を作れる國は未だ曾て有ざりしなり 014 2CH 009 020 ソロモン王の用ゐる飮料の器は皆金なりまたレバノン森の家の器もことごとく精金なり銀はソロモンの世には何とも算ざりしなり 014 2CH 009 021 其は王の舟ヒラムの僕を乗てタルシシに往き三年毎に一回その舟タルシシより金銀象牙猿および孔雀を載て來りたればたり 014 2CH 009 022 ソロモン王は天下の諸王に勝りて富有と智慧とをもちたれば 014 2CH 009 023 天下の諸王みな神がソロモンの心に授けたまへる智慧を聽んとてソロモンの面を見んことを求め 014 2CH 009 024 各々その禮物を携さへ來る即ち銀の器金の器衣服甲冑香物馬騾など年々定分ありき 014 2CH 009 025 ソロモン戰車の馬四千厩騎兵一萬二千あり王これを戰車の邑々に置きまたヱルサレムにて自己の所に置り 014 2CH 009 026 彼は河よりペリシテの地とエジプトの界までの諸王を統治めたり 014 2CH 009 027 王は銀を石のごとくヱルサレムに多からしめまた香柏を平野の桑木のごとく多からしめたり 014 2CH 009 028 また人衆エジプトなどの諸國より馬をソロモンに率いたれり 014 2CH 009 029 ソロモンのその餘の始終の行爲は預言者ナタンの書とシロ人アヒヤの預言と先見者イドがネバテの子ヤラベアムにつきて述たる默旨の中に記さるるにあらずや 014 2CH 009 030 ソロモンはヱルサレムにて四十年の間イスラエルの全地を治めたり 014 2CH 009 031 ソロモンその先祖等と倶に寝りてその父ダビデの邑に葬られ其子レハベアムこれに代りて王となれり 014 2CH 010 001 爰にレハベアム、シケムに往り其はイスラエルみな彼を王となさんとてシケムに到りたればたり 014 2CH 010 002 ネバテの子ヤラベアムはさきにソロモン王の面を避てエジプトに逃れ居しがこのことを聞てエジプトより歸れり 014 2CH 010 003 人衆人を遣はして之を招きたるなり斯てヤラベアムとイスラエルの人みな來りてレハベアムに語りて言けるは 014 2CH 010 004 汝の父我らの軛を苦しくせり然ば汝今汝の父の苦しき役とその我らに蒙むらせたる重き軛を軽くしたまへ然れば我儕なんぢに事へん 014 2CH 010 005 レハベアムかれらに言けるは汝ら三日を經て再び我に來れと民すなはち去り 014 2CH 010 006 是においてレハベアム王その父ソロモンの生る間これが前に立たる老人等に計りて言けるは汝ら如何に敎へて此民に答へしむるや 014 2CH 010 007 彼らレハベアムに語りて言けるは汝もし此民を厚く待ひ之を悦こばせ善言を之に語らば永く汝の僕たらんと 014 2CH 010 008 然るに彼その老人等の敎へし敎を棄て自己とともに生長て己の前に立ところの少年等と計れり 014 2CH 010 009 即ち彼らに言けるは汝ら如何に敎へて我らをして此我に語りて汝の父の我らに蒙むらせし軛を軽くせよと言ふ民に答へしむるやと 014 2CH 010 010 彼とともに生長たる少年等かれに語りて言けるは汝に語りて汝の父我らの軛を重くしたれば汝これを我らのために軽くせよと言たる此民に汝かく答へ斯これに言べし吾小指は我父の腰よりも太し 014 2CH 010 011 我父は汝らに重き軛を負せたりしが我は更に汝らの軛を重くせん我父は鞭をもて汝らを懲せしが我は蠍をもて汝らを懲さんと 014 2CH 010 012 偖またヤラベアムと民等は皆王の告て第三日に再び我にきたれと言しごとく第三日にレハベアムに詣りしに 014 2CH 010 013 王荒々しく彼らに答へたり即ちレハベアム王老人の敎を棄て 014 2CH 010 014 少年の敎のごとく彼らに告て言けるは我父は汝らの軛を重くしたりしが我は更に之を重くせん我父は鞭をもて汝らを懲せしが我は蠍をもて汝らを懲さんと 014 2CH 010 015 王かく民に聽ことをせざりき此事は神より出たる者にしてその然るはヱホバかつてシロ人アヒヤによりてネバテの子ヤラベアムに告たる言を成就んがためなり 014 2CH 010 016 イスラエルの民みな王の己に聽ざるを見しかば王に答へて言けるは我らダビデの中に何の分あらんやヱッサイの子の中には所有なしイスラエルよ汝ら各々その天幕に歸れダビデ族よ今おのれの家を顧みよと斯イスラエルは皆その天幕に歸れり 014 2CH 010 017 但しユダの邑々に住るイスラエルの子孫の上にはレハベアムなほ王たりき 014 2CH 010 018 レハベアム王役夫の頭なるアドラムを遣はしけるにイスラエルの子孫石をもてこれを撃て死しめたればレハベアム王急ぎてその車に登りてエルサレムに逃かへれり 014 2CH 010 019 是のごとくイスラエルはダビデの家に背きて今日にいたる 014 2CH 011 001 茲にレハベアム、ヱルサレムに至りてユダとベニヤミンの家より倔強の武者十八萬を集め而してレハベアム國を己に歸さんためにイスラエルと戰はんとせしに 014 2CH 011 002 ヱホバの言神の人シマヤに臨みて云ふ 014 2CH 011 003 ソロモンの子ユダの王レハベアムおよびユダとベニヤミンにあるイスラエルの人々に告て言べし 014 2CH 011 004 ヱホバかく言ふ汝ら攻上るべからず又なんぢらの兄弟と戰ふべからず各々その家に歸れ此事は我より出たる者なりと彼ら乃はちヱホバの言にしたがひヤラベアムに攻ゆくことを止て歸れり 014 2CH 011 005 斯てレハベアム、ヱルサレムに居りユダに守衛の邑々を建たり 014 2CH 011 006 即ちその建たる者はベテレヘム、エタム、テコア 014 2CH 011 007 ベテズル`シヨコ、アドラム 014 2CH 011 008 ガテ、マレシヤ、ジフ 014 2CH 011 009 アドライム、ラキシ、アゼカ 014 2CH 011 010 ゾラ、アヤロン、ヘブロン是等はユダとベニヤミンにありて守衛の邑なり 014 2CH 011 011 彼その守衛の邑々を堅固にし之に軍長を置き糧食と油と酒とを貯はへ 014 2CH 011 012 またその一切の邑に盾と矛とを備へて之を甚だ強からしむユダとベニヤミンこれに附り 014 2CH 011 013 イスラエルの全地の祭司とレビ人は四方の境より來りてレハベアムに投ず 014 2CH 011 014 即ちレビ人はその郊地と產業とを離れてユダとヱルサレムに至れり是はヤラベアムとその子等かれらを廢して祭司の職をヱホバの前に爲しめざりし故なり 014 2CH 011 015 ヤラベアムは崇邱と牡山羊と己が作れる犢とのために自ら祭司を立つ 014 2CH 011 016 またイスラエルの一切の支派の中凡てその心を傾むけてイスラエルの神ヱホバを求むる者はその先祖の神ヱホバに禮物を献げんとてレビ人にしたがひてヱルサレムに至れり 014 2CH 011 017 是のごとく彼等ユダの國を固うしソロモンの子レハベアムをして三年の間強からしめたり即ち民は三年の間ダビデとソロモンの道に歩めり 014 2CH 011 018 レハベアムはダビデの子ヱレモテの女マハラテを妻に娶れりマハラテはヱッサイの子エリアブの女アビハイルの產し者なり 014 2CH 011 019 彼ヱウシ、シヤマリヤおよびザハムの三子を產む 014 2CH 011 020 また之が後にアブサロムの女マアカを娶れり彼アビヤ、アツタイ、ジザおよびシロミテを產む 014 2CH 011 021 レハベアムはアブサロムの女マアカをその一切の妻と妾とにまさりて愛せり彼は妻十八人妾六十人を取り男子二十八人女子六十人を擧く 014 2CH 011 022 レハベアム、マアカの子アビヤを王となさんと思ふが故に之を立て首となしその兄弟の長となせり 014 2CH 011 023 斯るが故に慧く取行ひ其男子等を盡くユダとベニヤミンの地なる守衛の邑々に散し置き之に糧食を多く與へかつ衆多の妻を求得させたり 014 2CH 012 001 レハベアムその國を固くしその身を強くするに及びてヱホバの律法を棄たりイスラエルみな之に傚ふ 014 2CH 012 002 彼ら斯ヱホバにむかひて罪を犯すによりてレハベアムの五年にエジプトの王シシヤク、ヱルサレムに攻のぼれり 014 2CH 012 003 その戰車は一千二百騎兵は六萬また彼に從がひてエジプトより來れる民ルビ人スキ人エテオピヤ人等は數しれず 014 2CH 012 004 彼すなはちユダの守衛の邑々を取り進てヱルサレムに至る 014 2CH 012 005 是においてレハベアムおよびユダの牧伯等シシヤクの故によりてヱルサレムに集まり居けるに預言者シマヤこれが許にいたりて之に言けるはヱホバかく言たまふ汝等は我を棄たれば我も汝らをシシヤクの手に遺おけりと 014 2CH 012 006 是をもてイスラエルの牧伯等および王は自ら卑くしてヱホバは義と言り 014 2CH 012 007 ヱホバかれらが自ら卑くするを見たまひければヱホバの言シマヤに臨みて言ふ彼等は自ら卑くしたれば我かれらを滅ぼさず少く拯救を彼らに施こさん我シシヤクの手をもて我忿怒をヱルサレムに洩さじ 014 2CH 012 008 然ながら彼等は之が臣とならん是彼らが我に事ふる事と國々の王等に事ふる事との辨をしらん爲なりと 014 2CH 012 009 エジプトの王シシヤクすなはちヱルサレムに攻のぼりヱホバの家の寶物と王の家の寶物とを奪ひて盡くこれを取り又ソロモンの作りたる金の楯を奪ひされり 014 2CH 012 010 是をもてレハベアム王その代に銅の楯を作り王の家の門を守る侍衛の長等の手にこれを交し置けるが 014 2CH 012 011 王ヱホバの家に入る時には侍衛きたりて之を負ひまた侍衛の房にこれを持かへれり 014 2CH 012 012 レハベアム自ら卑くしたればヱホバの忿怒かれを離れこれを盡く滅ぼさんとは爲たまはず又ユダにも善事ありき 014 2CH 012 013 レハベアム王はヱルサレムにありてその力を強くし世を治めたり即ちレハベアムは四十一歳のとき位に即き十七年の間ヱルサレムにて世を治む是すなはちヱホバがその名を置んとてイスラエルの一切の支派の中より選びたまへる邑なり彼の母はアンモニ人にしてその名をナアマといふ 014 2CH 012 014 レハベアムはヱホバを求むる事に心を傾けずして惡き事を行へり 014 2CH 012 015 レハベアムの始終の行爲は預言者シマヤの書および先見者イドの書の中に系圖の形に記さるるに非ずやレハベアムとヤラベアムの間には絶ず戰爭ありき 014 2CH 012 016 レハベアムその先祖等とともに寝りてダビデの邑に葬られ其子アビヤ之にかはりて王となれり 014 2CH 013 001 ヤラベアム王の十八年にアビヤ、ユダの王となり 014 2CH 013 002 ヱルサレムにて三年の間世を治めたり其母はギベアのウリエルの女にして名をミカヤといふ茲にアビヤとヤラベアムの間に戰爭あり 014 2CH 013 003 アビヤは四十萬の軍勢をもて戰闘に備ふ是みな倔強の猛き武夫なり又ヤラベアムは倔強の人八十萬をもて之にむかひて戰爭の行伍を立つ是また大勇士なり 014 2CH 013 004 時にアビヤ、エフライムの山地なるゼマライム山の上に立て言けるはヤラベアムおよびイスラエルの人々皆聽よ 014 2CH 013 005 汝ら知ずやイスラエルの神ヱホバ鹽の契約をもてイスラエルの國を永くダビデとその子孫に賜へり 014 2CH 013 006 然るにダビデの子ソロモンの臣たるネバテの子ヤラベアム興りてその主君に叛き 014 2CH 013 007 邪曲なる放蕩者これに集り附き自ら強くしてソロモンの子レハベアムに敵せしがレハベアムは少くまた心弱くして之に當る力なかりき 014 2CH 013 008 今またなんぢらはダビデの子孫の手にあるヱホバの國に敵對せんとす汝らは大軍なり又ヤラベアムが作りて汝らの神と爲たる金の犢なんぢらと偕にあり 014 2CH 013 009 汝らはアロンの子孫たるヱホバの祭司とレビ人とを逐放ち國々の民の爲がごとくに祭司を立るにあらずや即ち誰にもあれ少き牡牛一匹牡羊七匹を携へきたりて手に充す者は皆かの神ならぬ者の祭司となることを得るなり 014 2CH 013 010 然ど我儕に於てはヱホバ我儕の神にましまして我儕は之を棄ずまたヱホバに事ふる祭司はアロンの子孫にして役事をなす者はレビ人なり 014 2CH 013 011 彼ら朝ごと夕ごとにヱホバに燔祭を献げ香を焚くことを爲し又供前のパンを純精の案の上に供へまた金の燈臺とその燈盞を整へて夕ごとに點すなり斯われらは我らの神ヱホバの職守を守れども汝らは却て彼を棄たり 014 2CH 013 012 視よ神みづから我らとともに在して我らの大將となりたまふまた其祭司等は喇叭を吹ならして汝らを攻むイスラエルの子孫よ汝らの先祖の神ヱホバに敵して戰ふ勿れ汝ら利あらざるべければなりと 014 2CH 013 013 ヤラベアム伏兵を彼らの後に回らせたればイスラエルはユダの前にあり伏兵は其後にあり 014 2CH 013 014 ユダ後を顧みるに敵前後にありければヱホバにむかひて號呼り祭司等喇叭を吹り 014 2CH 013 015 ユダの人々すなはち吶喊を擧けるがユダの人々吶喊を擧るにあたりて神ヤラベアムとイスラエルの人々をアビヤとユダの前に打敗り給ひしかば 014 2CH 013 016 イスラエルの子孫はユダの前より逃はしれり神かく彼らを之が手に付したまひければ 014 2CH 013 017 アビヤとその民彼らを夥多く撃殺せりイスラエルの殺されて倒れし者は五十萬人みな倔強の人なりき 014 2CH 013 018 是時にはイスラエルの子孫打負されユダの子孫勝を得たり是は彼らその先祖の神ヱホバを賴みしが故なり 014 2CH 013 019 アビヤすなはちヤラベアムを追撃て邑數箇を彼より取れり即ちベテルとその郷里ヱシヤナとその郷里エフロンとその郷里是なり 014 2CH 013 020 ヤラベアムはアビヤの世に再び權勢を奮ふことを得ずヱホバに撃れて死り 014 2CH 013 021 然どアビヤは權勢を得妻十四人を娶り男子二十二人女子十六人を擧けたり 014 2CH 013 022 アビヤのその餘の作爲とその行爲とその言は預言者イドの註釋に記さる 014 2CH 014 001 アビヤその先祖等とともに寝りてダビデの邑に葬られその子アサこれに代りて王となれりアサの代になりて其國十年の間平穩なりき 014 2CH 014 002 アサはその神ヱホバの目に善と視正義と視たまふ事を行へり 014 2CH 014 003 即ち異なる祭壇を取のぞき諸の崇邱を毀ち柱像を打碎きアシラ像を斫倒し 014 2CH 014 004 ユダに命じてその先祖等の神ヱホバを求めしめその律法と誡命を行はしめ 014 2CH 014 005 ユダの一切の邑々より崇邱と日の像とを取除けり而して國は彼の前に平穩なりき 014 2CH 014 006 彼また守衛の邑數箇をユダに建たり是はその國平安を得て此年頃戰爭なかりしに因る即ちヱホバ彼に安息を賜ひしなり 014 2CH 014 007 彼すなはちユダに言けるは我儕是等の邑を建てその四周に石垣を築き戌樓を起し門と門閂とを設けん我儕の神ヱホバを我儕求めしに因て此國なほ我儕の前にあり我ら彼を求めたれば四方において我らに平安を賜へりと斯彼ら阻滞なく之を建了たり 014 2CH 014 008 アサの軍勢はユダより出たる者三十萬ありて楯と戈とを執りベニヤミンより出たる者二十八萬ありて小楯を執り弓を彎く是みな大勇士なり 014 2CH 014 009 茲にエテオピア人ゼラ軍勢百萬人戰車三百輌を率ゐて攻きたりマレシヤに至りければ 014 2CH 014 010 アサこれにむかひて進み出で共にマレシヤのゼパタの谷において戰爭の陣列を立つ 014 2CH 014 011 時にアサその神ヱホバにむかひて呼はりて言ふヱホバよ力ある者を助くるも力なき者を助くるも汝においては異ること無し我らの神ヱホバよ我らを助けたまへ我らは汝に倚賴み汝の名に託りて往て此群集に敵るヱホバよ汝は我らの神にましませり人をして汝に勝せたまふ勿れと 014 2CH 014 012 ヱホバすなはちアサの前とユダの前においてエテオピア人を撃敗りたまひしかばエテオピア人逃はしりけるに 014 2CH 014 013 アサと之に從がふ民かれらをゲラルまで追撃り斯エテオピア人は倒れて再び振ふことを得ざりき其は彼等ヱホバとその軍旅に打敗られたればなりユダの人々の得たる掠取物は甚だ多りき 014 2CH 014 014 かれらはまたゲラルの四周の邑々を盡く撃やぶれり是その邑々ヱホバを畏れたればなり是において彼らその一切の邑より物を掠めたりしがその中より得たる掠取物は夥多かりき 014 2CH 014 015 また家畜のをる天幕を襲ふて羊と駱駝を多く奪ひ取り而してヱルサレムに歸りぬ 014 2CH 015 001 茲に神の霊オデデの子アザリヤに臨みければ 014 2CH 015 002 彼出ゆきてアサを迎へ之に言けるはアサおよびユダとベニヤミンの人々よ我に聽け汝等がヱホバと偕にをる間はヱホバも汝らと偕に在すべし汝ら若かれを求めなば彼に遇ん然どかれを棄なば彼も汝らを棄たまはん 014 2CH 015 003 抑イスラエルには眞の神なく敎訓を施こす祭司なく律法なきこと日久しかりしが 014 2CH 015 004 患難の時にイスラエルの神ヱホバに立かへりて之を求めたれば即ちこれに遇り 014 2CH 015 005 當時は出る者にも入る者にも平安なく惟大なる苦患くにぐにの民に臨めり 014 2CH 015 006 國は國に邑は邑に撃碎かる其は神諸の患難をもて之を苦しめたまへばなり 014 2CH 015 007 然ば汝ら強かれよ汝らの手を弱くする勿れ汝らの行爲には賞賜あるべければなりと 014 2CH 015 008 アサこれらの言および預言者オデデの預言を聽て力を得憎むべき者をユダとベニヤミンの全地より除きまた其エフライムの山地に得たる邑々より除きヱホバの廊の前なるヱホバの壇を再興せり 014 2CH 015 009 彼またユダとベニヤミンの人々およびエフライム、マナセ、シメオンより來りて寄寓る者を集めたりイスラエルの人々の中ヱホバ神のアサと偕に在すを見てアサに降れる者夥多しかりしなり 014 2CH 015 010 彼等すなはちアサの治世の十五年の三月にヱルサレムに集り 014 2CH 015 011 其たづさへ來れる掠取物の中より牛七百羊七千をその日ヱホバに献げ 014 2CH 015 012 皆契約を結びて曰く心を盡し精神を盡して先祖の神ヱホバを求めん 014 2CH 015 013 凡てイスラエルの神ヱホバを求めざる者は大小男女の區別なく之を殺さんと 014 2CH 015 014 而して大聲を擧げ號呼をなし喇叭を吹き角を鳴してヱホバに誓を立て 014 2CH 015 015 ユダみなその誓を喜べり即ち彼ら一心をもて誓を立て一念にヱホバを求めたればヱホバこれに遇ひ四方において之に安息をたまへり 014 2CH 015 016 偖またアサ王の母マアカ、アシラ像を作りしこと有ければアサこれを貶して太后たらしめずその像を斫たふして粉々に碎きキデロン川にてこれを焚り 014 2CH 015 017 但し崇邱は尚イスラエルより除かざりき然どもアサの心は一生の間全かりしなり 014 2CH 015 018 彼はまたその父の納めたる物および己が納めたる物すなはち金銀ならびに器皿等をヱホバの家に携へいれり 014 2CH 015 019 アサの治世の三十五年までは再び戰爭あらざりき 014 2CH 016 001 アサの治世の三十六年にイスラエルの王バアシヤ、ユダに攻のぼりユダの王アサの所に誰をも往來せざらしめんとてラマを建たり 014 2CH 016 002 是においてアサ、ヱホバの家と王の家との府庫より金銀を取いだしダマスコに住るスリアの王ベネハダデに餽りて言けるは 014 2CH 016 003 我父と汝の父の間の如く我と汝の間に約を立ん視よ我今汝に金銀を餽れり往て汝とイスラエルの王バアシヤとの約を破り彼をして我を離れて去しめよ 014 2CH 016 004 ベネハダデすなはちアサ王に聽き自己の軍勢の長等をイスラエルの邑々に攻遣ければ彼等イヨン、ダン、アベルマイムおよびナフタリの一切の府庫の邑々を撃たり 014 2CH 016 005 バアシヤ聞てラマを建ることを罷めその工事を廢せり 014 2CH 016 006 是においてアサ王ユダ全國の人を率ゐバアシヤがラマを建るに用ひたる石と材木を運びきたらしめ之をもてゲバとミズパを建たり 014 2CH 016 007 その頃先見者ハナニ、ユダの王アサの許にいたりて之に言けるは汝はスリアの王に倚賴みて汝の神ヱホバに倚賴まざりしに因てスリア王の軍勢は汝の手を脱せり 014 2CH 016 008 かのエテオピア人とルビ人は大軍にして戰車および騎兵はなはだ多かりしにあらずや然るも汝ヱホバに倚賴みたればヱホバかれらを汝の手に付したまへり 014 2CH 016 009 ヱホバは全世界を徧く見そなはし己にむかひて心を全うする者のために力を顯したまふこの事において汝は愚なる事をなせり故に此後は汝に戰爭あるべしと 014 2CH 016 010 然るにアサその先見者を怒りて之を獄舎にいれたり其は烈しくこの事のために彼を怒りたればなりアサまた其頃民を虐げたる事ありき 014 2CH 016 011 アサの始終の行爲はユダとイスラエルの列王の書に記さる 014 2CH 016 012 アサはその治世の三十九年に足を病みその病患つひに劇しくなりしがその病患の時にもヱホバを求めずして醫師を求めたり 014 2CH 016 013 アサその先祖等と偕に寝りその治世の四十一年に死り 014 2CH 016 014 人衆これをその己のためにダビデの邑に堀おける墓に葬り製香の術をもて製したる種々の香物を盈せる床の上に置き之がために夥多しく焚物をなせり 014 2CH 017 001 アサの子ヨシヤパテ、アサに代りて王となりイスラエルにむかひて力を強くし 014 2CH 017 002 ユダの一切の堅固なる邑々に兵を置きユダの地およびその父アサが取たるエフライムの邑々に鎮臺を置く 014 2CH 017 003 ヱホバ、ヨシヤパテとともに在せり其は彼その父ダビデの最初の道に歩みてバアル等を求めず 014 2CH 017 004 その父の神を求めてその誡命に歩みイスラエルの行爲に傚はざればなり 014 2CH 017 005 このゆゑにヱホバ國を彼の手に堅く立たまへりまたユダの人衆みなヨシヤパテに禮物を餽れり彼は富と貴とを極めたり 014 2CH 017 006 是において彼ヱホバの道にその心を勵まし遂に崇邱とアシラ像とをユダより除けり 014 2CH 017 007 彼またその治世の三年にその牧伯ベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤを遣はしてユダの邑々にて敎誨をなさしめ 014 2CH 017 008 またレビ人の中よりシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤなどいふレビ人を遣して之と偕ならしめ且祭司エリシヤマとヨラムをも之と偕に遣はしけるが 014 2CH 017 009 彼らはヱホバの律法の書を携ヘユダにおいて敎誨をなしユダの邑々を盡く行めぐりて民を敎へたり。 014 2CH 017 010 是においてユダの周圍の地の國々みなヱホバを懼れてヨシヤパテを攻ることをせざりき 014 2CH 017 011 またペリシテ人の中に禮物および貢の銀をヨシヤパテに餽れる者あり且又アラビヤ人は家畜をこれに餽れり即ち牡羊七千七百牡山羊七千七百 014 2CH 017 012 ヨシヤパテは益々大になりゆきてユダに城および府庫邑を多く建て 014 2CH 017 013 ユダの邑々に多くの工事を爲し大勇士たる軍人をヱルサレムに置り 014 2CH 017 014 彼等を數ふるにその宗家に循へば左のごとしユダより出たる千人の長の中にはアデナといふ軍長あり大勇士三十萬これに從がふ 014 2CH 017 015 その次は軍長ヨハナン之に從ふ者は二十八萬人 014 2CH 017 016 その次はジクリの子アマシヤ彼は悦びてその身をヱホバに献げたり大勇士二十萬これに從がふ 014 2CH 017 017 ベニヤミンより出たる者の中にはエリアダといふ大勇士あり弓および楯を持もの二十萬これに從がふ 014 2CH 017 018 その次はヨザバデ戰門の準備をなせる者十八萬これに從がふ 014 2CH 017 019 是等は皆王に事ふる者等なり此外にまたユダ全國の堅固なる邑々に王の置る者あり 014 2CH 018 001 ヨシヤパテは富と貴とを極めアハブと縁を結べり 014 2CH 018 002 かれ數年の後サマリアに下りてアハブを訪ければアハブ彼およびその部從のために牛羊を多く宰りギレアデのラモテに倶に攻上らんことを彼に勸む 014 2CH 018 003 すなはちイスラエルの王アハブ、ユダの王ヨシヤパテに言けるは汝我とともにギレアデのラモテに攻ゆくやヨシヤパテこれに答へけるは我は汝のごとく我民は汝の民のごとし汝とともに戰門に臨まんと 014 2CH 018 004 ヨシヤパテまたイスラエルの王に言けるは請ふ今日ヱホバの言を問たまへと 014 2CH 018 005 是においてイスラエルの王預言者四百人を集めて之に言けるは我らギレアデのラモテに往て戰ふべきや又は罷べきや彼等いひけるは攻上りたまへ神これを王の手に付したまふべしと 014 2CH 018 006 ヨシヤパテいひけるは此外に我らの由て問べきヱホバの預言者此にあらざるや 014 2CH 018 007 イスラエルの王こたへてヨシヤパテに言けるは外になほ一人あり我ら之によりてヱホバに問ことを得ん然ど彼は今まで我につきて善事を預言せず恒に惡き事のみを預言すれば我彼を惡むなり其者は即ちイムラの子ミカヤなりと然るにヨシヤパテこたへて王しか宣ふ勿れと言ければ 014 2CH 018 008 イスラエルの王一人の官吏を呼てイムラの子ミカヤを急ぎ來らしめよと言り 014 2CH 018 009 イスラエルの王およびユダの王ヨシヤパテは朝衣を纏ひサマリアの門の入口の廣場にて各々その位に坐し居り預言者は皆その前に預言せり 014 2CH 018 010 時にケナアナの子ゼデキヤ鐵の角を造りて言けるはヱホバかく言たまふ汝是等をもてスリア人を衝て滅ぼし盡すべしと 014 2CH 018 011 預言者みな斯預言して云ふギレアデのラモテに攻上りて勝利を得たまへヱホバこれを王の手に付したまふべしと 014 2CH 018 012 茲にミカヤを召んとて往たる使者これに語りて言けるは預言者等の言は一の口より出るがごとくにして王に善し請ふ汝の言をも彼らの一人のごとくなして善事を言ヘ 014 2CH 018 013 ミカヤ言けるはヱホバは活く我神の宣ふ所を我は陳べんと 014 2CH 018 014 かくて王に至るに王彼に言けるはミカヤよ我らギレアデのラモテに往て戰かふべきや又は罷べきや彼言けるは上りゆきて利を得たまへ彼らは汝の手に付されんと 014 2CH 018 015 王かれに言けるは我幾度なんぢを誓はせたらば汝ヱホバの名をもて唯眞實のみを我に告るや 014 2CH 018 016 彼言けるは我イスラエルが皆牧者なき羊のごとく山に散をるを見たるがヱホバ是等の者は主なし各々やすらかに其家に歸るべしと言たまへり 014 2CH 018 017 イスラエルの王是においてヨシヤパテに言けるは我なんぢに告て彼は善事を我に預言せず只惡き事のみを預言せんと言しに非ずやと 014 2CH 018 018 ミカヤまた言けるは然ば汝らヱホバの言を聽べし我視しにヱホバその位に坐し居たまひて天の萬軍その傍に右左に立をりしが 014 2CH 018 019 ヱホバ言たまひけるは誰かイスラエルの王アハブを誘ひて彼をしてギレアデのラモテにのぼりゆきて彼處に斃れしめんかと即ち一は此ごとくせんと言ひ一は彼ごとくせんと言ければ 014 2CH 018 020 遂に一の霊すすみ出てヱホバの前に立ち我かれを誘はんと言たればヱホバ何をもてするかと之に問たまふに 014 2CH 018 021 我いでて虚言を言ふ霊となりてその諸の預言者の口にあらんと言りヱホバ言たまひけるは汝は誘なひ且これを成就ん出て然すべしと 014 2CH 018 022 故に視よヱホバ虚言を言ふ霊を汝のこの預言者等の口に入たまへり而してヱホバ汝に災禍を降さんと定めたまふと 014 2CH 018 023 時にケナアナの子ゼデキヤ近よりてミカヤの頬を批て言けるはヱホバの霊何の途より我を離れゆきて汝と言ふや 014 2CH 018 024 ミカヤ言けるは汝奧の室にいりて身を匿す日に見るべし 014 2CH 018 025 イスラエルの王いひけるはミカヤを取てこれを邑の宰アモンおよび王の子ヨアシに曳かへりて言べし 014 2CH 018 026 王かく言ふ我が安然に歸るまで比者を牢にいれて苦惱のパンを食せ苦惱の水を飮せよと 014 2CH 018 027 ミカヤ言けるは汝もし眞に平安に歸るならばヱホバ我によりて斯宣ひし事あらずと而してまた言り汝ら民よ皆聽べしと 014 2CH 018 028 かくてイスラエルの王およびユダの王ヨシヤパテはギレアデのラモテに上りゆけり 014 2CH 018 029 イスラエルの王時にヨシヤパテに言けるは我は服装を變て戰陣の中にいらん汝は朝衣を纒ひたまへとイスラエルの王すなはち服装を變へ二人倶に戰陣の中にいれり 014 2CH 018 030 スリアの王その戰車の長等にかねて命じおけり云く汝ら小き者とか大なる者とも戰ふなかれ惟イスラエルの王とのみ戰へと 014 2CH 018 031 戰車の長等ヨシヤパテを見て是はイスラエルの王ならんと言ひ身をめぐらして之と戰はんとせしがヨシヤパテ號呼ければヱホバこれを助けたまへり即ち神彼らを感動して之を離れしめたまふ 014 2CH 018 032 戰車の長等彼がイスラエルの王にあらざるを見しかば之を追ことをやめて引返せり 014 2CH 018 033 茲に一箇の人何心なく弓を彎てイスラエルの王の胸當と草摺の間に射あてたれば彼その御者に言けるは我傷を受たれば汝手を旋らして我を軍中より出せと 014 2CH 018 034 此日戰爭烈しくなりぬイスラエルの王は車の中に自ら扶持て立ち薄暮までスリア人をささへをりしが日の沒る頃にいたりて死り 014 2CH 019 001 ユダの王ヨシヤパテは恙なくヱルサレムに歸りてその家に至れり 014 2CH 019 002 時に先見者ハナニの子ヱヒウ、ヨシヤパテ王を出むかへて之に言けるは汝惡き者を助けヱホバを惡む者を愛して可らんや之がためにヱホバの前より震怒なんぢの上に臨む 014 2CH 019 003 然ながら善事もまた汝の身に見ゆ即ち汝はアシラ像を國中より除きかつ心を傾けて神を求むるなりと 014 2CH 019 004 ヨシヤパテはヱルサレムに住をりしが復出てベエルシバよりエフライムの山地まで民の間を行めぐりその先祖の神ヱホバにこれを導き歸せり 014 2CH 019 005 彼またユダの一切の堅固なる邑に裁判人を立つ國中の邑々みな然り 014 2CH 019 006 而して裁判人に言けるは汝等その爲ところを愼め汝らは人のために裁判するに非ずヱホバのために裁判するなり裁判する時にはヱホバ汝らと偕にいます 014 2CH 019 007 然ば汝らヱホバを畏れ愼みて事をなせ我らの神ヱホバは惡き事なく人を偏視ことなく賄賂を取こと無ればなり 014 2CH 019 008 ヨシヤパテまたレビ人祭司およびイスラエルの族長を選びてヱルサレムに置きヱホバの事および訴訟を審判しむ彼らはヱルサレムにかへれり 014 2CH 019 009 ヨシヤパテこれに命じて云く汝らヱホバを畏れ眞實と誠心をもて斯おこなふべし 014 2CH 019 010 凡てその邑々に住む汝らの兄弟血を相流せる事または律法と誡命法度と條例などの事につきて汝らに訴へ出ること有ばこれを諭してヱホバに罪を犯さざらしめよ恐らくは震怒なんぢと汝らの兄弟にのぞまん汝ら斯おこなはば愆なかるべし 014 2CH 019 011 視よ祭司の長アマリヤ汝らの上にありてヱホバの事を凡て司どりユダの家の宰イシマエルの子ゼバデヤ王の事を凡て司どる亦レビ人汝らの前にありて官吏とならん汝ら心を強くして事をなせヱホバ善人を祐けたまふべし 014 2CH 020 001 この後モアブの子孫アンモンの子孫およびマオニ人等ヨシヤパテと戰はんとて攻きたれり 014 2CH 020 002 時に或人きたりてヨシヤパテに告て云ふ海の彼旁スリアより大衆汝に攻きたる視よ今ハザゾンタマルにありとハザゾンタマルはすなはちエンゲデなり 014 2CH 020 003 是においてヨシヤパテ懼れ面をヱホバに向てその助を求めユダ全國に斷食を布令しめたれば 014 2CH 020 004 ユダ擧て集りヱホバの助を求めたり即ちユダの一切の邑より人々きたりてヱホバを求む 014 2CH 020 005 時にヨシヤパテ、ヱホバの室の新しき庭の前においてユダとヱルサレムの會衆の中に立ち 014 2CH 020 006 言けるは我らの先祖の神ヱホバよ汝は天の神にましますに非ずや異邦人の諸國を統たまふに非ずや汝の手には能力あり權勢ありて誰もなんぢを禦ぐこと能はざるに非ずや 014 2CH 020 007 我らの神よ汝は此國の民を汝の民イスラエルの前より逐はらひて汝の友アブラハムの子孫に之を永く與へたまひしに非ずや 014 2CH 020 008 彼らは此に住み汝の名のために此に聖所を建て言へり 014 2CH 020 009 刑罰の劍疫病饑饉などの災禍われらに臨まん時は我らこの家の前に立て汝の前にをりその苦難の中にて汝に呼號らんしかして汝聽て助けたまはん汝の名はこの家にあればなりと 014 2CH 020 010 今アンモン、モアブおよびセイル山の子孫を視たまへ在昔イスラエル、エジプトの國より出きたれる時汝イスラエルに是等を侵さしめたまはざりしかば之を離れさりて滅ぼさざりしなり 014 2CH 020 011 かれらが我らに報ゆる所を視たまへ彼らは汝がわれらに有たしめたまへる汝の產業より我らを逐はらはんとす 014 2CH 020 012 我らの神よ汝かれらを鞫きたまはざるや我らは此斯く攻よせたる此の大衆に當る能力なく又爲ところを知ず唯汝を仰ぎ望むのみと 014 2CH 020 013 ユダの人々はその小者および妻子とともに皆ヱホバの前に立をれり 014 2CH 020 014 時に會衆の中にてヱホバの霊アサフの子孫たるレビ人ヤハジエルに臨めりヤハジエルはゼカリヤの子ゼカリヤはベナヤの子ベナヤはヱイエルの子ヱイエルはマツタニヤの子なり 014 2CH 020 015 ヤハジエルすなはち言けるはユダの人衆およびヱルサレムの居民ならびにヨシヤパテ王よ聽べしヱホバかく汝らに言たまふ此大衆のために懼るる勿れ慄くなかれ汝らの戰に非ずヱホバの戰なればなり 014 2CH 020 016 なんぢら明日彼らの所に攻くだれ彼らはヂヅの坡より上り來る汝らヱルエルの野の前なる谷の口にて之に遇ん 014 2CH 020 017 この戰爭には汝ら戰ふにおよばずユダおよびヱルサレムよ汝ら惟進みいでて立ち汝らとともに在すヱホバの拯救を見よ懼る勿れ慄くなかれ明日彼らの所に攻いでよヱホバ汝らとともに在せばなりと 014 2CH 020 018 是においてヨシヤパテ首をさげて地に俯伏りユダの人衆およびヱルサレムの民もヱホバの前に伏てヱホバを拝す 014 2CH 020 019 時にコハテの子孫およびコラの子孫たるレビ人立あがり聲を高くあげてイスラエルの神ヱホバを讃美せり 014 2CH 020 020 かくて皆朝はやく起てテコアの野に出ゆけり其いづるに當りてヨシヤパテ立て言けるはユダの人衆およびヱルサレムの民よ我に聽け汝らの神ヱホバを信ぜよ然ば汝ら堅くあらんその預言者を信ぜよ然ば汝ら利あらん 014 2CH 020 021 彼また民と議りて人々を選び之をして聖き飾を著て軍勢の前に進ましめヱホバにむかひて歌をうたひ且これを讃美せしめヱホバに感謝せよ其恩惠は世々かぎりなしと言しむ 014 2CH 020 022 その歌を歌ひ讃美をなし始むるに當りてヱホバ伏兵を設けかのユダに攻きたれるアンモン、モアブ、セイル山の子孫をなやましたまひければ彼ら打敗られたり 014 2CH 020 023 即ちアンモンとモアブの子孫起てセイル山の民にむかひ盡くこれを殺して滅ししがセイルの民を殺し盡すに及びて彼らも亦力をいだして互に滅ぼしあへり 014 2CH 020 024 ユダの人々野の觀望所に至りてかの群衆を觀たりければ唯地に仆れたる死屍のみにして一人だに逃れし者なかりき 014 2CH 020 025 是においてヨシヤパテおよびその民彼らの物を奪はんとて來り觀にその死屍の間に財寳衣服および珠玉などおびただしく在たれば則ち各々これを剥とりけるが餘に多くして携さへ去こと能はざる程なりき其物多かりしに因て之を取に三日を費しけるが 014 2CH 020 026 第四日にベラカ(感謝)の谷に集り其處にてヱホバに感謝せり是をもてその處の名を今日までベラカ(感謝)の谷と呼ぶ 014 2CH 020 027 而してユダとヱルサレムの人々みな各々歸りきたりヨシヤパテの後にしたがひ歓びてヱルサレムに至れり其はヱホバ彼等をしてその敵の故によりて歓喜を得させたまひたればなり 014 2CH 020 028 即ち彼ら瑟と琴および喇叭を合奏してヱルサレムに往てヱホバの室にいたる 014 2CH 020 029 諸の國の民ヱホバがイスラエルの敵を攻撃たまひしことを聞て神を畏れたれば 014 2CH 020 030 ヨシヤパテの國は平穩なりき即ちその神四方において之に安息を賜へり 014 2CH 020 031 ヨシヤパテはユダの王となり三十五歳のときその位に即き二十五年の間ヱルサレムにて世を治めたり其母はシルヒの女にして名をアズバといふ 014 2CH 020 032 ヨシヤパテはその父アサの道にあゆみて之を離れずヱホバの目に善と觀たまふ事を行へり 014 2CH 020 033 然れども崇邱はいまだ除かず又民はいまだその先祖の神に心を傾けざりき 014 2CH 020 034 ヨシヤパテのその餘の始終の行爲はハナニの子ヱヒウの書に記さるヱヒウの事はイスラエルの列王の書に載す 014 2CH 020 035 ユダの王ヨシヤパテ後にイスラエルの王アハジアと相結べりアハジアは大に惡を行ふ者なりき 014 2CH 020 036 ヨシヤパテ、タルシシに遣る舟を造らんとて彼と相結びてエジオンゲベルにて共に舟數隻を造れり 014 2CH 020 037 時にマレシヤのドダワの子エリエゼル、ヨシヤパテにむかひて預言して云ふ汝アハジアと相結びたればヱホバなんぢの作りし者を毀ちたまふと即ちその舟は皆壞れてタルシシに往くことを得ざりき 014 2CH 021 001 ヨシヤパテその先祖等とともに寝りてダビデの邑にその先祖等とともに葬られその子ヨラムこれに代て王となる 014 2CH 021 002 ヨシヤパテの子たるその兄弟はアザリヤ、ヱヒエル、ゼカリヤ、アザリヤ、ミカエルおよびシバテヤ是みなイスラエルの王ヨシヤパテの子なり 014 2CH 021 003 その父彼らに金銀寶物の賜物を多く與へまたユダの守衛の邑々を與へけるが國はヨラムに與へたりヨラム長子なりければなり 014 2CH 021 004 ヨラムその父の位に登りて力つよくなりければその兄弟等をことごとく劍にかけて殺し又イスラエルの牧伯等數人を殺せり 014 2CH 021 005 ヨラムは三十二歳の時位に即ヱルサレムにて八年の間世を治めたり 014 2CH 021 006 彼はアハブの家のなせるごとくイスラエルの王等の道にあゆめりアハブの女を妻となしたればなり斯かれヱホバの目に惡と觀たまふ事をなせしかども 014 2CH 021 007 ヱホバ曩にダビデに契約をなし且彼とその子孫とに永遠に光明を與へんと言たまひし故によりてダビデの家を滅ぼすことを欲み給はざりき 014 2CH 021 008 ヨラムの世にエドム人叛きてユダの手に服せず自ら王を立たれば 014 2CH 021 009 ヨラム其牧伯等および一切の戰車をしたがへて渉りゆき夜の中に起いでて自己を圍めるエドム人を撃ちその戰車の長等を撃り 014 2CH 021 010 エドム人は斯叛きてユダの手に服せずなりしが今日まで然り此時にあたりてリブナもまた叛きてユダの手に服せずなりぬ是はヨラムその先祖の神ヱホバを棄たるに因てなり 014 2CH 021 011 彼またユダの山々に崇邱を作りてヱルサレムの民に姦淫をおこなはせユダを惑はせり 014 2CH 021 012 時に預言者エリヤの書ヨラムの許に達せり其言に云く汝の先祖ダビデの神ヱホバかく言たまふ汝はその父ヨシヤパテの道にあゆまずまたユダの王アサの道にあゆまずして 014 2CH 021 013 イスラエルの王等の道にあゆみユダの人とヱルサレムの民をしてアハブの家の姦淫をなせるごとくに姦淫を行はしめまた汝の父の家の者にて汝に愈れるところの汝の兄弟等を殺せり 014 2CH 021 014 故にヱホバ大なる災禍をもて汝の民汝の子女汝の妻等および汝の一切の所有を撃たまふべし 014 2CH 021 015 汝はまた臓腑の疾を得て大病になりその疾日々に重りて臓腑つひに墜んと 014 2CH 021 016 即ちヱホバ、ヨラムを攻させんとてエテオピアに近きところのペリシテ人とアラビヤ人の心を振起したまひければ 014 2CH 021 017 彼らユダに攻のぼりて之を侵し王の家に在ところの貨財を盡く奪ひ取りまたヨウムの子等と妻等をも携へ去れり是をもてその末子ヱホアハズの外には一人も遺れる者なかりき 014 2CH 021 018 此もろもろの事の後ヱホバ彼を撃て臓腑に愈ざる疾を生ぜしめたまひければ 014 2CH 021 019 月日を送り二年を經るにおよびてその臓腑疾のために墜ち重き病苦によりて死ねり民かれの先祖のために焚物をなせし如く彼のためには焚物をなさざりき 014 2CH 021 020 彼は三十二歳の時位に即き八年の間ヱルサレムにて世を治めて終に薨去れり之を惜む者なかりき人衆これをダビデの邑に葬れり但し王等の墓にはあらず 014 2CH 022 001 ヱルサレムの民ヨラムの季子アハジアを王となして之に継しむ其は曾てアラビヤ人とともに陣營に攻きたりし軍兵その長子をことごとく殺したればなり是をもてユダの王ヨラムの子アハジア王となれり 014 2CH 022 002 アハジアは四十二歳の時位に即きヱルサレムにて一年の間世を治めたりその母はオムリの女にして名をアタリヤといふ 014 2CH 022 003 アハジアもまたアハブの家の道に歩めり其母かれを敎へて惡をなさしめたるなり 014 2CH 022 004 即ち彼はアハブの家のごとくにヱホバの目の前に惡をおこなへり其父の死し後彼かくアハブの家の者の敎にしたがひたれば終に身を滅ぼすに至れり 014 2CH 022 005 アハジアまた彼らの敎にしたがひイスラエルの王アハブの子ヨラムとともにギレアデのラモテにゆきてスリアの王ハザエルと戰ひけるにスリア人ヨラムに傷を負せたり 014 2CH 022 006 是においてヨラムはそのスリアの王ハザエルと戰ふにあたりてラムにて負たる傷を療さんとてヱズレルに歸れりユダの王ヨラムの子アザリヤはアハブの子ヨラムが病をるをもてヱズレルに下りてこれを訪ふ 014 2CH 022 007 アハジアがヨラムを訪ふて害に遇しは神の然らしめたまへるなり即ちアハジアは來り居てヨラムとともに出てニムシの子ヱヒウを迎へたりヱヒウはヱホバが曩にアハブの家を絶去しめんとて膏を沃ぎたまひし者なり 014 2CH 022 008 ヱヒウ、アハブの家を罰するに方りてユダの牧伯等およびアハジアの兄弟等の子等がアハジアに奉へをるに遇て之を殺せり 014 2CH 022 009 アハジアはサマリヤに匿れたりしがヱヒウこれを探求めければ人々これを執ヘヱヒウの許に曳きたりて之を殺せり但し彼は心を盡してヱホバを求めたるヨシヤパテの子なればとてこれを葬れり斯りしかばアハジアの家は國を統治むる力なくなりぬ 014 2CH 022 010 茲にアハジアの母アタリヤその子の死たるを見て起てユダの家の王子をことごとく滅ぼしたりしが 014 2CH 022 011 王の女ヱホシバ、アハジアの子ヨアシを王の子等の殺さるる者の中より竊み取り彼とその乳媼を夜衣の室におきて彼をアタリヤに匿したればアタリヤかれを殺さざりきヱホシバはヨラム王の女アハジアの妹にして祭司ヱホヤダの妻なり 014 2CH 022 012 かくてヨアシはヱホバの家に匿れて彼らとともにをること六年アタリヤ國に王たりき 014 2CH 023 001 第七年にいたりヱホヤダ力を強してヱロハムの子アザリヤ、ヨハナンの子イシマエル、オベデの子アザリア、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エシヤパテなどいふ百人の長等を招きて己と契約を結ばしむ 014 2CH 023 002 是において彼らユダを行めぐりてユダの一切の邑よりレビ人を集めまたイスラエルの族長を集めてヱルサレムに歸り 014 2CH 023 003 而してその會衆みな神の家において王と契約を結べり時にヱホヤダかれらに言けるけるはダビデの子孫の事につきてヱホバの宣まひしごとく王の子位に即べきなり 014 2CH 023 004 然ば汝ら斯なすべし汝ら祭司およびレビ人の安息日に入きたる者は三分の一は門を守り 014 2CH 023 005 三分の一は王の家に居り三分の一は基礎の門に居り民はみなヱホバの室の庭に居べし 014 2CH 023 006 祭司と奉事をするレビ人の外は何人もヱホバの家に入べからず彼らは聖者なれば入ことを得るなり民はみなヱホバの殿を守るべし 014 2CH 023 007 レビ人はおのおの手に武器を執て王を繞りて立べし家に入る者をば凡て殺すべし汝らは王の出る時にも入る時にも王とともに居れと 014 2CH 023 008 是においてレビ人およびユダの人衆は祭司ヱホヤダが凡て命じたる如くに行ひ各々その手の人の安息日に入來べき者と安息日に出ゆくべき者とを率ゐ居れり祭司ヱホヤダ班列の者を去せざればなり 014 2CH 023 009 祭司ヱホヤダすなはち神の家にあるダビデ王の鎗および大楯小楯を百人の長等に交し 014 2CH 023 010 一切の民をして各々武器を手に執て王の四周に立ち殿の右の端より殿の左の端におよびて壇と殿にそふて居しむ 014 2CH 023 011 斯て人衆王の子を携へ出し之に冠冕を戴かせ證詞をわたして王となし祭司ヱホヤダおよびその子等これに膏をそそげり而して皆王長壽かれと言ふ 014 2CH 023 012 茲にアタリヤ民と近衛兵と王を讃る者との聲を聞きヱホバの室に入て民の所に至り 014 2CH 023 013 視に王は入口にてその柱の傍に立ち王の側に軍長と喇叭手立をり亦國の民みな喜びて喇叭を吹き謳歌者樂を奏し先だちて讃美を歌ひをりしかばアタリヤその衣を裂き叛逆なり叛逆なりと言り 014 2CH 023 014 時に祭司ヱホヤダ軍兵を統る百人の長等を呼出してこれに言ふ彼をして列の間を通りて出しめよ凡て彼に從がふ者をば劍をもて殺すべしと祭司は彼をヱホバの室に殺すべからずとて斯いへるなり 014 2CH 023 015 是をもて之がために路をひらき王の家の馬の門の入口まで往しめて其處にて之を殺せり 014 2CH 023 016 斯てヱホヤダ己と一切の民と王との間にわれらは皆ヱホバの民とならんことの契約を結べり 014 2CH 023 017 是において民みなバアルの室にゆきて之を毀ちその壇とその像を打碎きバアルの祭司マツタンを壇の前に殺せり 014 2CH 023 018 ヱホヤダまたヱホバの室の職事を祭司レビ人の手に委ぬ昔ダビデ、レビ人を班列にわかちてヱホバの室におきモーセの律法に記されたる所にしたがひて歓喜と謳歌とをもてヱホバの燔祭を献げしめたりき今このダビデの例に傚ふ 014 2CH 023 019 彼またヱホバの室の門々に看守者を立せ置き身の汚れたる者には何によりて汚れたるにもあれ凡て入ことを得ざらしむ 014 2CH 023 020 斯てヱホヤダ百人の長等と貴族と民の牧伯等および國の一切の民を率ゐてヱホバの家より王を導きくだり上の門よりして王の家にいり王を國の位に坐せしめたり 014 2CH 023 021 斯りしかば國の民みな喜こびて邑は平穩なりきアタリヤは劍にて殺さる 014 2CH 024 001 ヨアシは七歳の時位に即きヱルサレムにて四十年の間世を治めたりその母はベエルシバより出たる者にして名をヂビアといふ 014 2CH 024 002 ヨアシは祭司ヱホヤダの世にある日の間は恒にヱホバの善と觀たまふことを行へり 014 2CH 024 003 ヱホヤダ彼のために二人の妻を娶れり男子女子生る 014 2CH 024 004 此後ヨアシ、ヱホバの室を修繕んと志し 014 2CH 024 005 祭司とレビ人を集めて之に言けるは汝ら出てユダの邑々に往き汝らの神ヱホバの室を歳々修繕ふべき金子をイスラエルの人衆より聚むべし其事を亟にせよと然るにレビ人これを亟にせざりき 014 2CH 024 006 王ヱホヤダ長を召てこれに言けるは汝なんぞレビ人に求めてヱホバの僕モーセおよびイスラエルの會衆の古昔證詞の幕屋のために集めたるが如き税をユダとヱルサレムより取きたらせざるやと 014 2CH 024 007 かの惡き婦アタリヤの子等神の家を壞りかつヱホバの家の諸の奉納物をバアルに供へたり 014 2CH 024 008 是において王の命にしたがひて一箇の匱を作りヱホバの室の門の外にこれを置き 014 2CH 024 009 ユダとヱルサレムに宣布て汝ら神の僕モーセが荒野にてイスラエルに課したる如き税をヱホバに携へきたれと言けるに 014 2CH 024 010 一切の牧伯等および一切の民みな喜びて携へきたりその匱に投いれて遂に納めをはれり 014 2CH 024 011 レビ人その匱に金の多くあるを見てこれを王の廳に携へゆく時は王の書記と祭司の長の下役きたりてその匱を傾むけ復これを取て本の處に持ゆけり日々に斯のごとくして金を聚むること夥多し 014 2CH 024 012 而して王とヱホヤダこれをヱホバの家の工事を爲す者に付し石工および木匠を雇ひてヱホバの室を修繕はせまた鐵工および銅工を雇ひてヱホバの室を修復せしめけるが 014 2CH 024 013 工人動作てその工事を成をへ神の室を本の状に復してこれを堅固にす 014 2CH 024 014 その旣に成るにおよびて餘れる金を王とヱホヤダの前に持いたりければ其をもてヱホバの室のために器皿を作れり即ち奉事の器献祭の器および匙ならびに金銀の器を作れりヱホヤダが世に在る日の間はヱホバの室にて燔祭をささぐること絶ざりき 014 2CH 024 015 ヱホヤダは年邁み日滿て死りその死る時は百三十歳なりき 014 2CH 024 016 人衆ダビデの邑にて王等の中間にこれを葬むる其は彼イスラエルの中において神とその殿とにむかひて善事をおこなひたればなり 014 2CH 024 017 ヱホヤダの死たる後ユダの牧伯等きたりて王を拝す是において王これに聽したがふ 014 2CH 024 018 彼らその先祖の神ヱホバの室を棄てアシラ像および偶像に事へたればその愆のために震怒ユダとヱルサレムに臨めり 014 2CH 024 019 ヱホバかれらを己にひきかへさんとて預言者等を遣はし之にむかひて證をたてさせたまひしかども聽ことをせざりき 014 2CH 024 020 是において神の霊祭司ヱホヤダの子ゼカリヤに臨みければ彼民の前に高く起あがりて之に言けるは神かく宣ふ汝らヱホバの誡命を犯して災禍を招くは何ぞや汝らヱホバを棄たればヱホバも汝らを棄たまふと 014 2CH 024 021 然るに人衆かれを害せんと謀り王の命によりて石をもてこれをヱホバの室の庭にて撃殺せり 014 2CH 024 022 斯ヨアシ王はゼカリヤの父ヱホヤダが己にほどこせし恩を念ずしてその子を殺せり彼死る時にヱホバこれを顧みこれを問討したまへと言り 014 2CH 024 023 かくてその年の終るにおよびてスリアの軍勢かれにむかひて攻のぼりユダとヱルサレムにいたりて民の牧伯等をことごとく民の中より滅ぼし絶ちその掠取物を凡てダマスコの王に遣れり 014 2CH 024 024 この時スリアの軍勢は小勢にて來りけるにヱホバ大軍をこれが手に付したまへり是はその先祖の神ヱホバを棄たるが故なり斯かれらヨアシを罰せり 014 2CH 024 025 スリア人ヨアシに大傷をおはせて遺去けるがヨアシの臣僕等祭司ヱホヤダの子等の血のために黨をむすびて之に叛き之をその床の上に弑して死しめたり人衆これをダビデの邑に葬れり但し王の墓には葬らざりき 014 2CH 024 026 黨をむすびて之に叛きし者はアンモンの婦シメアテの子ザバデおよびモアブの婦シムリテの子ヨザバデなりき 014 2CH 024 027 ヨアシの子等の事ヨアシの告られし預言および神の室を修繕し事などは列王の書の註釋に記さるヨアシの子アマジヤこれに代りて王となれり 014 2CH 025 001 アマジヤは二十五歳の時位に即きヱルサレムにて二十九年の間世を治めたりその母はヱルサレムの者にして名をヱホアダンといふ 014 2CH 025 002 アマジヤはヱホバの善と視たまふ事を行なひしかども心を全うしてこれを爲ざりき 014 2CH 025 003 彼國のおのが手に堅く立つにおよびてその父王を弑せし臣僕等を殺せり 014 2CH 025 004 然どその子女等をば殺さずしてモーセの書の律法に記せるごとく爲り即ちヱホバ命じて言たまはく父はその子女の故によりて殺さるべからず子女はその父の故によりて殺さるべからず各々おのれの罪によりて殺さるべきなりと 014 2CH 025 005 アマジヤ、ユダの人を集めその父祖の家にしたがひて或は千人の長に附屬せしめ或に百人の長に附屬せしむユダとベニヤミンともに然り且二十歳以上の者を數へ戈と楯とを執て戰闘に臨む倔強の士三十萬を得 014 2CH 025 006 また銀百タラントをもてイスラエルより大勇士十萬を傭へり 014 2CH 025 007 時に神の人かれに詣りて言けるは王よイスラエルの軍勢をして汝とともに往しむる勿れヱホバはイスラエル人すなはちエフライムの子孫とは偕にいまさざるなり 014 2CH 025 008 汝もし往ば心を強くして戰闘を爲せ神なんぢをして敵の前に斃れしめたまはん神は助くる力ありまた倒す力あるなり 014 2CH 025 009 アマジヤ神の人にいひけるは然ば已にイスラエルの軍隊に與へたる百タラントを如何にすべきや神の人答へけるはヱホバは其よりも多き者を汝に賜ふことを得るなりと 014 2CH 025 010 是においてアマジヤかのエフライムより來りて己に就る軍隊を分離してその處に歸らしめければ彼らユダにむかひて烈しく怒を發し火のごとくに怒りてその處に歸れり 014 2CH 025 011 かくてアマジヤは力を強くしその民を率ゐて鹽の谷に往きセイル人一萬を撃殺せり 014 2CH 025 012 ユダの子孫またこの外に一萬人を生擒て磐の頂に曳ゆき磐の頂よりこれを投おとしければ皆微塵に碎けたり 014 2CH 025 013 前にアマジヤが己とともに戰闘に往べからずとして歸し遣たる軍卒等サマリアよりベテホロンまでのユダの邑々を襲ひ人三千を撃ころし物を多く奪ふ 014 2CH 025 014 アマジヤ、エドム人を戮して歸る時にセイル人の神々を携さへ來り之を安置して己の神となしその前に禮拝をなし之に香を焚り 014 2CH 025 015 是をもてヱホバ、アマジヤにむかひて怒を發し預言者をこれに遣はして言しめたまひけるは彼民の神々は己の民を汝の手より救ふことを得ざりし者なるに汝なにとて之を求むるや 014 2CH 025 016 彼かく王に語れる時王これにむかひ我儕汝を王の議官となせしや止よ汝なんぞ撃殺されんとするやと言ければ預言者すなはち止て言り我知る汝この事を行びて吾諌を聽いれざるによりて神なんぢを滅ぼさんと決めたまふと 014 2CH 025 017 斯てユダの王アマジヤ相議りて人をヱヒウの子ヱホアハズの子なるイスラエルの王ヨアシに遣し來れ我儕たがひに面をあはせんと言しめければ 014 2CH 025 018 イスラエルの王ヨアシ、ユダの王アマジヤに言おくりけるはレバノンの荊蕀かつてレバノンの香柏に汝の女子を我子の妻に與へよと言おくりたること有しにレバノンの野獣とほりてその荊蕀を踏たふせり 014 2CH 025 019 汝はエドム人を撃破れりと謂ひ心にたかぶりて誇る然ば汝家に安んじ居れ何ぞ禍を惹おこして自己もユダもともに亡びんとするやと 014 2CH 025 020 然るにアマジヤ聽ことをせざりき此事は神より出たる者にて彼らをその敵の手に付さんがためなり是は彼らエドムの神々を求めしに因る 014 2CH 025 021 是においてイスラエルの王ヨアシ上りきたりユダのベテシメシにてユダの王アマジヤと面をあはせたりしが 014 2CH 025 022 ユダ、イスラエルに撃敗られて各々その天幕に逃かへりぬ 014 2CH 025 023 時にイスラエルの王ヨアシはヱホアハズの子ヨアシの子なるユダの王アマジヤをベテシメシに執へてヱルサレムに携へゆきヱルサレムの石垣をエフライムの門より隅の門まで四百キユビト程を毀ち 014 2CH 025 024 また神の室の中にてオベデエドムが守り居る一切の金銀および諸の器皿ならびに王の家の財寳を取りかつ人質をとりてサマリアに歸れり 014 2CH 025 025 ユダの王ヨアシの子アマジヤはイスラエルの王ヱホアハズの子ヨアシの死てより後なほ十五年生存らへたり 014 2CH 025 026 アマジヤのその餘の始終の行爲はユダとイスラエルの列王の書に記さるるにあらずや 014 2CH 025 027 アマジヤ翻へりてヱホバに從がはずなりし後ヱルサレムにおいて黨を結びて彼に敵する者ありければ彼ラキシに逃ゆきけるにその人々ラキシに人をやりて彼を其處に殺さしめたり 014 2CH 025 028 人衆これを馬に負せてきたりユダの邑にてその先祖等とともにこれを葬りぬ 014 2CH 026 001 是においてユダの民みなウジヤをとりて王となしてその父アマジヤに代らしめたり時に年十六なりき 014 2CH 026 002 彼エラテの邑を建てこれを再びユダに歸せしむ是はかの王がその先祖等とともに寝りし後なりき 014 2CH 026 003 ウジヤは十六歳の時位に即きヱルサレムにて五十二年の間世を治めたりその母はヱルサレムの者にして名をヱコリアといふ 014 2CH 026 004 ウジヤはその父アマジヤが凡てなしたる如くヱホバの善と觀たまふ事を行ひ 014 2CH 026 005 神の默示に明なりしかのゼカリヤの世にある日の間心をこめてヱホバを求めたりそのヱホバを求むる間は神これをして幸福ならしめたまへり 014 2CH 026 006 彼いでてペリシテ人と戰ひガテの石垣ヤブネの石垣およびアシドドの石垣を圮しアシドドの地ならびにペリシテ人の中間に邑を建つ 014 2CH 026 007 神かれを助けてペリシテ人グルバアルに住むアラビヤ人およびメウニ人を攻撃しめたまへり 014 2CH 026 008 アンモニ人はまたウジヤに貢を納るウジヤの名つひにエジプトの入口までも廣まれり其は甚だ強くなりければなり 014 2CH 026 009 ウジヤ、ヱルサレムの隅の門谷の門および角隅に戌樓を建てこれを堅固にし 014 2CH 026 010 また荒野に戌樓を建て許多の水溜を掘り其は家畜を多く有たればなり亦平野にも平地にも家畜を有り又山々およびカルメルには農夫と葡萄を修る者を有り農事を好みたればなり 014 2CH 026 011 ウジヤ戰士一旅團あり書記ヱイエルと牧伯マアセヤの數調査によりて隊々にわかれて戰爭に出づ皆王の軍長ハナニヤの手に屬す 014 2CH 026 012 大勇士の族長の數は都合二千六百 014 2CH 026 013 その手に屬する軍勢は三十萬七千五百人みな大なる力をもて戰ひ王を助けて敵に當る 014 2CH 026 014 ウジヤその全軍のために楯戈兜鎧弓および投石器の石を備ふ 014 2CH 026 015 彼またヱルサレムにおいて工人に機械を案へ造らしめ之を戌樓および石垣に施こし之をもて矢ならびに大石を射出せり是においてその名遠く廣まれり其は非常の援助を蒙りて旺盛になりたればなり 014 2CH 026 016 然るに彼旺盛になるにおよびその心に高ぶりて惡き事を行なへり即ち彼その神ヱホバにむかひて罪を犯しヱホバの殿に入て香壇の上に香を焚んとせり 014 2CH 026 017 時に祭司アザリヤ、ヱホバの祭司たる勇者八十人を率ゐて彼の後にしたがひ入り 014 2CH 026 018 ウジヤ王を阻へてこれに言けるはウジヤよヱホバに香を焚ことは汝のなすべき所にあらずアロンの子孫にして香を焚ために潔められたる祭司等のなすべき所なり聖所より出よ汝は罪を犯せりヱホバ神なんぢに榮を加へたまはじと 014 2CH 026 019 是においてウジヤ怒を發し香爐を手にとりて香を焚んとせしがその祭司にむかひて怒を發しをる間に癩病その額に起れり時に彼はヱホバの室にて祭司等の前にあたりて香壇の側にをる 014 2CH 026 020 祭司の長アザリヤおよび一切の祭司等彼を見しに已にその額に癩病生じゐたれば彼を其處より速にいだせり彼もまたヱホバの己を撃たまへるを見て自ら急ぎて出去り 014 2CH 026 021 ウジヤ王はその死る日まで癩病人となり居しがその癩病人となるにおよびては別殿に住りヱホバの室より斷れたればなり其子ヨタム王の家を管理て國の民を審判り 014 2CH 026 022 ウジヤのその餘の始終の行爲はアモツの子預言者イザヤこれを書記したり 014 2CH 026 023 ウジヤその先祖等とともに寝りたれば彼は癩病人なりとて王等の墓に連接る地にこれを葬りてその先祖等とともならしむその子ヨタムこれに代りて王となれり 014 2CH 027 001 ヨタムは二十五歳の時位に即きヱルサレムにて十六年の間世を治めたり其母はザドクの女にして名をヱルシヤといふ 014 2CH 027 002 ヨタムはその父ウジヤの凡て爲たるごとくヱホバの善と視たまふ事をなせり但しヱホバの殿には入ざりき民は尚惡き事を爲り 014 2CH 027 003 彼ヱホバの家の上の門を建なほしオペルの石垣を多く築き増し 014 2CH 027 004 ユダの山地に數箇の邑を建て林の間に城および戌楼を築けり 014 2CH 027 005 彼アンモニ人の王と戰ひこれに勝り其年アンモンの子孫銀百タラント小麥一萬石大麥一萬石を彼におくれりアンモンの子孫は第二年にも第三年にも是のごとく彼に貢をいる 014 2CH 027 006 ヨタムその神ヱホバの前においてその行を堅うしたるに因て權能ある者となれり 014 2CH 027 007 ヨタムのその餘の行爲その一切の戰闘およびその行などはイスラエルとユダの列王の書に記さる 014 2CH 027 008 彼は二十五歳の時位に即きヱルサレムにて十六年の間世を治めたり 014 2CH 027 009 ヨタムその先祖等とともに寝りたればダビデの邑にこれを葬れりその子アハズこれに代りて王となる 014 2CH 028 001 アハズは二十歳の時位に即きヱルサレムにて十六年の間世を治めたりしがその父ダビデと異にしてヱホバの善と觀たまふ所を行はず 014 2CH 028 002 イスラエルの王等の道にあゆみ亦諸のバアルのために像を鋳造り 014 2CH 028 003 ベンヒンノムの谷にて香を焚きその子を火に燒きなどしてヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし異邦人の行ふところの憎むべき事に傚ひ 014 2CH 028 004 また崇邱の上丘の上一切の靑木の下にて犠牲をささげ香を焚り 014 2CH 028 005 是故にその神ヱホバかれをスリアの王の手に付したまひてスリア人つひに彼を撃破りその人々を衆く虜囚としてダマスコに曳ゆけり彼はまたイスラエルの王の手にも付されたればイスラエルの王かれを撃て大にその人を殺せり 014 2CH 028 006 すなはちレマリヤの子ペカ、ユダにおいて一日の中に十二萬人を殺せり皆勇士なりき是は彼らその先祖の神ヱホバを棄しによるなり 014 2CH 028 007 その時にエフライムの勇士ジクリといふ者王の子マアセヤ宮内卿アズリカムおよび王に亞ぐ人エルカナを殺せり 014 2CH 028 008 イスラエルの子孫つひにその兄弟の中より婦人ならびに男子女子など合せて二十萬人を俘擄にしまた衆多の掠取物を爲しその掠取物をサマリアに携へゆけり 014 2CH 028 009 時に彼處にヱホバの預言者ありその名をオデデといふ彼サマリアに歸れる軍勢の前に進みいでて之に言けるは汝らの先祖の神ヱホバ、ユダを怒りてこれを汝らの手に付したまひしが汝らは天に達するほどの忿怒をもて之を殺せり 014 2CH 028 010 然のみならず汝ら今ユダとヱルサレムの子孫を圧つけて己の奴婢となさんと思ふ然ども汝ら自身もまた汝らの神ヱホバに罪を獲たる身にあらずや 014 2CH 028 011 然ば今我に聽き汝らがその兄弟の中より擄へ來りし俘擄を放ち歸せヱホバの烈しき怒なんぢらの上に臨まんとすればなりと 014 2CH 028 012 是においてエフライム人の長たる人々すなはちヨハナンの子アザリヤ、メシレモテの子ベレキヤ、シヤルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサ等戰爭より歸れる者等の前に立ふさがりて 014 2CH 028 013 之にいひけるは汝ら俘擄を此に曳いるべからず汝らは我らをしてヱホバに愆を得せしめて更に我らの罪愆を増んとす我らの愆は大にして烈しき怒イスラエルにのぞまんとするなりと 014 2CH 028 014 是において兵卒等その俘擄と掠取物を牧伯等と全會衆の前に遺おきければ 014 2CH 028 015 上に名を擧げたる人々たちて俘擄を受取り掠取物の中より衣服を取てその裸なる者に着せ之に靴を穿せ食飮を爲しめ膏油を沃ぎ等しその弱き者をば盡く驢馬に乗せ斯して之を棕櫚の邑ヱリコに導きゆきてその兄弟に詣らしめ而してサマリアに歸れり 014 2CH 028 016 當時アハズ王人をアツスリヤの王等に遣はして援助を乞しむ 014 2CH 028 017 其はエドム人また來りてユダを攻撃ち民を擄へて去たればなり 014 2CH 028 018 ベリシテ人もまた平野の邑々およびユダの南の邑々を侵してベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびシヨコとその郷里テムナとその郷里ギムゾとその郷里を取て其處に住めり 014 2CH 028 019 イスラエルの王アハズの故をもてヱホバかくユダを卑くしたまふ其は彼ユダの中に淫逸なる事を行ひかつヱホバにむかひて大に罪を犯したればなり 014 2CH 028 020 アツスリヤの王テグラテピレセルは彼の所に來りしかども彼に力をそへずして反てこれを煩はせり 014 2CH 028 021 アハズ、ヱホバの家と王の家および牧伯等の家の物を取てアツスリヤの王に與へけれどもアハズを援くることをせざりき 014 2CH 028 022 このアハズ王はその困難の時に當りてますますヱホバに罪を犯せり 014 2CH 028 023 即ち彼おのれを撃るダマスコの神々に犠牲を献げて言ふスリアの王等の神々はその王等を助くれば我もこれに犠牲を献げん然ば彼ら我を助けんと然れども彼等はかへつてアハズとイスラエル全國を仆す者となれり 014 2CH 028 024 アハズ神の室の器皿を取聚めて神の室の器皿を切やぶりヱホバの室の戸を閉ぢヱルサレムの隅々に凡て祭壇を造り 014 2CH 028 025 ユダの一切の邑々に崇邱を造りて別神に香を焚き等してその先祖の神ヱホバの忿怒を惹おこせり 014 2CH 028 026 アハズのその餘の始終の行爲およびその一切の行跡はユダとイスラエルの列王の書に記さる 014 2CH 028 027 アハズその先祖等とともに寝りたればエルサレムの邑にこれを葬れり然どイスラエルの王等の墓にはこれを持ゆかざりき其子ヒゼキヤこれに代りて王となる 014 2CH 029 001 ヒゼキヤは二十五歳の時位に即きヱルサレムにて二十九年の間世を治めたりその母はゼカリヤの女にして名をアビヤといふ 014 2CH 029 002 ヒゼキヤはその父ダビデの凡てなしたる如くヱホバの目に善と視たまふ事をなせり 014 2CH 029 003 即ち彼その治世の第一年一月にヱホバの室の戸を開きかつ之を修繕ひ 014 2CH 029 004 祭司およびレビ人を携さへいりて東の廣場にこれを集め 014 2CH 029 005 而して之にいひけるはレビ人よ我に聽け汝等いま身を潔めて汝等の先祖の神ヱホバの室を潔め汚穢を聖所より除きされ 014 2CH 029 006 夫我らの先祖は罪を犯し我らの神ヱホバの目に惡しと見たまふことを行ひてヱホバを棄てヱホバの住所に面を背けて後をこれに向け 014 2CH 029 007 また廊の戸を閉ぢ燈火を消し聖所にてイスラエルの神に香を焚ず燔祭を献けざりし 014 2CH 029 008 是をもてヱホバの忿怒ユダとヱルサレムに臨みヱホバ彼等をして打ただよはされしめ詑異とならしめ胡盧とならしめたまへり汝らが目に覩るごとし 014 2CH 029 009 即ち我儕の父は劍に斃れ我らの男子女子及び妻等はこれがために俘擄となれり 014 2CH 029 010 今我イスラエルの神ヱホバと契約を結ばんとする意志ありその烈しき怒我らを離るることあらん 014 2CH 029 011 我子等よ今は怠たる勿れヱホバ汝らを擇びて己の前に立て事へしめ己に事ふる者となし香を焚く者となしたまひたればなりと 014 2CH 029 012 是においてレビ人起り即ちコハテの子孫の中にてはアマサイの子マハテおよびアザリヤの子ヨエル、メラリの子孫の中にてはアブデの子キシおよびヱハレレルの子アザリヤ、ゲルシヨン人の中にてはジンマの子ヨアおよびヨアの子エデン 014 2CH 029 013 エリザパンの子孫の中にてはシムリおよびヱイエル、アサフの子孫の中にてはゼカリヤおよびマツタニヤ 014 2CH 029 014 ヘマンの子孫の中にてはヱヒエルおよびシメイ、ヱドトンの子孫の中にてはシマヤおよびウジエル 014 2CH 029 015 かれらその兄弟を集へて身を潔めヱホバの言に依りて王の傳へし命令にしたがひてヱホバの室を潔めんとて入きたり 014 2CH 029 016 祭司等ヱホバの室の奧に入りてこれを潔めヱホバの殿にありし汚穢をことごとくヱホバの室の庭に携へいだせばレビ人それを受て外にいだしキデロン河に持いたる 014 2CH 029 017 彼ら正月の元日に潔むることを始めてその月の八日にヱホバの廊におよびまたヱホバの家を潔むるに八日を費し正月の十六日にいたりて之を終れり 014 2CH 029 018 かくて彼らヒゼキヤ王の處に入て言ふ我らヱホバの室をことごとく潔めまた燔祭の壇とその一切の器具および供前のパンの案とその一切の器皿とを潔めたり 014 2CH 029 019 またアハズ王がその治世に罪を犯して棄たりし一切の器皿をも整へてこれを潔めヱホバの壇の前にこれを据置りと 014 2CH 029 020 是においてヒゼキヤ王蚤に起いで邑の牧伯等をあつめてヱホバの家にのぼり往き 014 2CH 029 021 牡牛七匹牡羊七匹羔羊七匹牡山羊七匹を牽きたらしめ國と聖所とユダのためにこれを罪祭となしアロンの子孫たる祭司等に命じてこれをヱホバの壇の上に献げしむ 014 2CH 029 022 即ち牡牛を宰れば祭司等その血を受て壇に灑ぎまた牡羊を宰ればその血を壇に灑ぎまた羔羊を宰ればその血を壇に灑げり 014 2CH 029 023 かくて人々罪祭の牡山羊を王と會衆の前に牽きたりければ彼らその上に手を按り 014 2CH 029 024 而して祭司これを宰りその血を罪祭として壇の上に献げてイスラエル全國のために贖罪をなせり是は王イスラエル全國の爲に燔祭および罪祭を献ぐることを命じたるに因る 014 2CH 029 025 王レビ人をヱホバの室に置きダビデおよび王の先見者ガデと預言者ナタンの命令にしたがひて之に鐃鈸瑟および琴を執しむ是はヱホバがその預言者によりて命じたまひし所なり 014 2CH 029 026 是においてレビ人はダビデの樂器をとり祭司は喇叭をとりて立つ 014 2CH 029 027 時にヒゼキヤ燔祭を壇の上に献ぐることを命ぜり燔祭をささげ始むるときヱホバの歌をうたひ喇叭を吹きイスラエルの王ダビデの樂器をならしはじめたり 014 2CH 029 028 しかして會衆みな禮拝をなし謳歌者歌をうたひ喇叭手喇叭を吹ならし燔祭の終るまで凡て斯ありしが 014 2CH 029 029 献ぐる事の終るにおよびて王および之と偕に在る者皆身をかがめて禮拝をなせり 014 2CH 029 030 かくて又ヒゼキヤ王および牧伯等レビ人に命じダビデと先見者アサフの詞をもてヱホバを讃美せしむ彼等喜樂をもて讃美し首をさげて禮拝す 014 2CH 029 031 時にヒゼキヤこたへて言けるは汝らすでにヱホバに事へんために身を潔めたれば進みよりてヱホバの室に犠牲および感謝祭を携へきたれと會衆すなはち犠牲および感謝祭を携へきたる又志ある者はみな燔祭を携ふ 014 2CH 029 032 會衆の携へきたりし燔祭の數は牡牛七十牡羊一百羔羊二百是みなヱホバに燔祭として奉つる者なり 014 2CH 029 033 また奉納物は牛六百羊三千なりき 014 2CH 029 034 然るに祭司寡くしてその燔祭の物の皮を剥つくすこと能はざりければその兄弟たるレビ人これを助けてその工を終ふ斯る間に他の祭司等も身を潔むレビ人は祭司よりも心正しくして身を潔めたり 014 2CH 029 035 燔祭夥多しくあり酬恩祭の脂及びすべての燔祭の酒も然り斯ヱホバの室の奉事備はれり 014 2CH 029 036 この事俄なりしかども神かく民の爲に備をなしたまひしに因てヒゼキヤおよび一切の民喜べり 014 2CH 030 001 茲にヒゼキヤ、イスラエルとユダに遍ねく人を遣しまた書をエフライムとマナセに書おくりヱルサレムなるヱホバの室に來りてイスラエルの神ヱホバに逾越節を行はんことを勸む 014 2CH 030 002 王すでにその牧伯等およびヱルサレムにある會衆と議り二月をもて逾越節を行はんと定めたり 014 2CH 030 003 其は祭司の身を潔めし者足ず民またヱルサレムに集らざりしに因て彼時にこれを行ふことを得ざればなり 014 2CH 030 004 王も會衆もこの事を見て善となし 014 2CH 030 005 即ちこの事を定めてベエルシバよりダンまでイスラエルに遍ねく宣布しめしヱルサレムに來りてイスラエルの神ヱホバに逾越節を行はんことを勸む是はその録されたるごとくにこれを行ふ事久しく無りしが故なり 014 2CH 030 006 飛脚すなはち王とその牧伯等が授けし書をもちてイスラエルとユダを遍ねく行めぐり王の命を傳へて云ふイスラエルの子孫よ汝らアブラハム、イサク、イスラエルの神ヱホバに起歸れ然ばヱホバ、アツスリヤの王等の手より逃れて遺るところの汝らに歸りたまはん 014 2CH 030 007 汝らの父および兄弟の如くならざれ彼らその先祖の神ヱホバにむかひて罪を犯したればこれを滅亡に就しめたまへり汝らが見るごとし 014 2CH 030 008 然ば汝らの父のごとく汝ら項を強くせずしてヱホバに歸服しその永久に聖別たまひし聖所に入り汝らの神ヱホバに事へよ然ればその烈しき怒なんぢらを離れん 014 2CH 030 009 汝ら若ヱホバに歸らば汝らの兄弟および子女その己を擄へゆきし者の前に衿憫を得て遂にまた此國にかへらん汝らの神ヱホバは恩惠あり憐憫ある者にましませば汝らこれに起かへるにおいては面を汝らに背けたまはじと 014 2CH 030 010 かくのごとく飛脚エフライム、マナセの國にいりて邑より邑に行めぐりて遂にゼブルンまで至りしが人衆これを嘲り笑へり 014 2CH 030 011 但しアセル、マナセおよびゼブルンの中より身を卑くしてヱルサレムに來りし者もあり 014 2CH 030 012 またユダに於ては神その力をいだして人々に心を一にせしめ王と牧伯等がヱホバの言に依て傳へし命令を之に行はしむ 014 2CH 030 013 斯りしかば二月にいたりて民酵いれぬバンの節をおこなはんとて多くヱルサレムに來り集れりその會はなはだ大なりき 014 2CH 030 014 彼等すなはち起てヱルサレムにある諸の壇を取のぞきまた一切の香壇を取のぞきてこれをキデロン川に投すて 014 2CH 030 015 二月の十四日に逾越の物を宰れり是において祭司等およびレビ人は自ら恥ぢ身を潔めてヱホバの室に燧祭を携へきたり 014 2CH 030 016 神の人モーセの律法に循ひ例に依て各々その所に立ち而して祭司等レビ人の手より血を受て灑げり 014 2CH 030 017 時に會衆の中に未だ身を潔めざる者多かりければレビ人その潔からざる一切の人々に代りて逾越の物を宰りてヱホバに潔め献ぐ 014 2CH 030 018 また衆多の民すたはちエフライム、マナセ、イツサカル、ゼブルンより來りし衆多の者未だ身を潔むる事をせずその書録されし所に違ひて逾越の物を食へり是をもてヒゼキヤこれがために祈りて云ふ 014 2CH 030 019 惠ふかきヱホバよ凡そその心を傾けて神を求めその先祖の神ヱホバを求むる者は假令聖所の潔斎に循はざるとも願くは是を赦したまへと 014 2CH 030 020 ヱホバ、ヒゼキヤに聽て民を醫したまへり 014 2CH 030 021 ヱルサレムにきたれるイスラエルの子孫は大なる喜悦をいだきて七日の間酵いれぬパンの節をおこなへり又レビ人と祭司は日々にヱホバを讃美し高聲の樂を奏してヱホバを頌へたり 014 2CH 030 022 ヒゼキヤ、ヱホバの奉事に善通じをる一切のレビ人を深く勞らふ斯人衆酬恩祭を献げその先祖の神ヱホバに感謝して七日のあひだ節の物を食へり 014 2CH 030 023 かくて又全會あひ議りて更に七日を守らんと決め喜悦をいだきてまた七日を守れり 014 2CH 030 024 時にユダの王ヒゼキヤは牡牛一千羊七千を會衆に餽り又牧伯等は牡牛一千羊一萬を會衆に餽れり祭司もまた衆く身を潔めたり 014 2CH 030 025 ユダの全會衆および祭司レビ人ならびにイスラエルより來れる全會衆およびイスラエルの地より來れる異邦人とユダに住む異邦人みな喜べり 014 2CH 030 026 かくヱルサレムに大なる喜悦ありきイスラエルの王ダビデの子ソロモンの時より以來かくのごとき事ヱルサレムに在ざりしなり 014 2CH 030 027 この時祭司レビ人起て民を祝しけるにその言聽れその祈祷ヱホバの聖き住所なる天に達せり 014 2CH 031 001 この事すべて終りしかば其處に在しイスラエル人みなユダの邑々に出ゆき柱像を碎きアシラ像を斫たふしユダとベニヤミンの全地より崇邱と祭壇を崩し絶ちエフライム、マナセにも及ぼして遂にまつたく之を毀ち而してイスラエルの子孫おのおのその邑々に還りて己の產業にいたれり 014 2CH 031 002 ヒゼキヤ祭司およびレビ人の班列を定めその班列にしたがひて各々にその職を行はしむ即ち祭司とレビ人をして燔祭および酬恩祭を献げしめヱホバの營の門において奉事をなし感謝をなし讃美をなさしめ 014 2CH 031 003 また己の財產の中より王の分を出して燔祭のためにす即ち朝夕の燔祭および安息日朔日節會などの燔祭のために之を出してヱホバの律法に記さるる如くす 014 2CH 031 004 彼またヱルサレムに住む民に祭司とレビ人にその分を與へんことを命ず是かれらをしてヱホバの律法に身を委ねしめんとてなり 014 2CH 031 005 其命令の傳はるや否やイスラエルの子孫穀物酒油蜜ならびに田野の諸の產物の初を多く献げまた一切の物の什一を夥多しく携へきたる 014 2CH 031 006 ユダの邑々に住るイスラエルとユダの子孫もまた牛羊の什一ならびにその神ヱホバに納むべき聖物の什一を携へきたりてこれを積疊ぬ 014 2CH 031 007 三月に之を積疊ぬることを始め七月にいたりて之を終れり 014 2CH 031 008 ヒゼキヤおよび牧伯等きたりて其積疊ねたる物を見ヱホバとその民イスラエルを祝せり 014 2CH 031 009 ヒゼキヤその積疊ねたる物の事を祭司とレビ人に問尋ねければ 014 2CH 031 010 ザドクの家より出し祭司の長アザリヤ彼に應へて言けるは民ヱホバの室に禮物を携ふることを始めしより以來我儕飽までに食ひしがその餘れる所はなはだ多しヱホバその民をめぐみたまひたればなりその餘れる所かくのごとく夥多しと 014 2CH 031 011 ヒゼキヤ、ヱホバの家の内に室を設くることを命じければ則ちこれを設け 014 2CH 031 012 忠實にその禮物什一および奉納物を携へいれりレビ人コナニヤこれを主どりその兄弟シメイこれに副ふ 014 2CH 031 013 ヱヒエル、アザジヤ、ナハテ、アサヘル、ヱレモテ、ヨザバデ、ヱリエル、イスマキヤ、マハテ、ベナヤ等ヒゼキヤ王および神の室の宰アザリヤの命に依りコナニヤ及びその兄弟シメイの手下につきてこれが監督者となる 014 2CH 031 014 東の門を守る者レビ人ヱムナの子コレ神に献ぐる誠意よりの禮物を司どりてヱホバの献納物および至聖物を頒つ 014 2CH 031 015 その手につく者はエデン、ミニヤミン、ヱシユア、シマヤ、アマリヤおよびシカニヤみな祭司の邑々に居てその職を盡しその兄弟に班列に依て之を頒つ大小ともに均し 014 2CH 031 016 此外にまた凡て名簿に載たる男子三歳以上にしてヱホバの室に入りその班列にしたがひて日々の職分を盡し擔任の勤務を爲すところの者に之を頒つ 014 2CH 031 017 またその宗家にしたがひて名簿に載られその班列にしたがひて擔任の事を執行ふところの祭司および二十歳以上のレビ人 014 2CH 031 018 ならびに名簿に載たるその小き者その妻その男子その女子などに盡く之を頒つ會中すべて然り即ち彼等は潔白忠實にその職を盡せり 014 2CH 031 019 また邑々の郊地に居るアロンの子孫たる祭司等のためには邑ごとに人を名指し選び祭司の中の一切の男およびレビ人の中の名簿に載せたる一切の者にその分を予へしむ 014 2CH 031 020 ヒゼキヤ、ユダ全國に斯のごとく爲し善事正き事忠實なる事をその神ヱホバの前に行へり 014 2CH 031 021 凡てその神の室の職務につき律法につき誡命につきて行ひ始めてその神を求めし工は悉く心をつくして行ひてこれを成就たり 014 2CH 032 001 ヒゼキヤが此等の事を行ひ且つ忠實なりし後アツスリヤの王セナケリブ來りてユダに入り堅固なる邑々にむかひて陣を張り之を攻取んとす 014 2CH 032 002 ヒゼキヤ、セナケリブの旣に來りヱルサレムに攻むかはんとするを見 014 2CH 032 003 その牧伯等および勇士等と謀りて邑の外なる一切の泉水を塞がんとす彼等これを助く 014 2CH 032 004 衆多の民あつまりて一切の泉水および國の中を流れわたる渓河を塞ぎていひけるはアツスリヤの王等來りて水を多く得ば豈で可らんやと 014 2CH 032 005 ヒゼキヤまた力を強くし破れたる石垣をことごとく建なほして之を戌樓まで築き上げその外にまた石垣をめぐらしダビデの邑のミロを堅くし戈盾を多く造り 014 2CH 032 006 軍長を多く民の上に立て邑の門の廣場に民を集めてこれを努ひて言ふ 014 2CH 032 007 汝ら心を強くし且勇めアツスリヤの王のためにも彼とともなる群衆のためにも懼るる勿れ慄く勿れ我らとともなる者は彼とともになる者よりも多きぞかし 014 2CH 032 008 彼とともなる者は肉の腕なり然れども我らとともなる者は我らの神ヱホバにして我らを助け我らに代りて戰かひたまふべしと民はユダの王ヒゼキヤの言に安んず 014 2CH 032 009 此後アツスリヤの王セナケリブその全軍をもてラキシを攻圍み居りて臣僕をヱルサレムに遣はしてユダの王ヒゼキヤおよびヱルサレムにをる一切のユダ人に告しめて云く 014 2CH 032 010 アツスリヤの王セナケリブかく言ふ汝ら何を恃みてヱルサレムに閉籠りをるや 014 2CH 032 011 ヒゼキヤ我らの神ヱホバ、アツスリヤの王の手より我らを救ひ出したまはんと言て汝らを浚かし汝らをして饑渇て死しめんとするに非ずや 014 2CH 032 012 此ヒゼキヤはすなはちヱホバの諸の崇邱と祭壇を取のぞきユダとヱルサレムとに命じて汝らは唯一の壇の前にて崇拝を爲しその上に香を焚べしと言し者にあらずや 014 2CH 032 013 汝らは我およびわが先祖等が諸の國の民に爲したる所を知ざるか其等の國々の民の神少許にてもその國をわが手より救ひ取ることを得しや 014 2CH 032 014 わが先祖等の滅ぼし盡せし國民の諸の神の中誰か己の民をわが手より救ひ出すことを得し者あらんや然れば汝らの神いかでか汝らをわが手より救ひいだすことを得ん 014 2CH 032 015 然れば斯ヒゼキヤに欺かるる勿れ浚かさるる勿れまた彼を信ずる勿れ何の民何の國の神もその民を我手または我父祖の手より救ひ出すことを得ざりしなれば况て汝らの神いかでか我手より汝らを救ひ出すことを得んと 014 2CH 032 016 セナケリブの臣僕等この外にも多くヱホバ神およびその僕ヒゼキヤを誹れり 014 2CH 032 017 セナケリブまた書をかきおくりてイスラエルの神ヱホバを嘲りかつ誹り諸國の民の神々その民をわが手より救ひいださざりし如くヒゼキヤの神もその民をわが手より救ひ出さじと云ふ 014 2CH 032 018 彼ら遂に大聲を擧げユダヤ語をもて石垣の上なるヱルサレムの民に語ひ之を威しかつ擾せり是は邑を取んとてなり 014 2CH 032 019 斯かれらはヱルサレムの神を論ずること人の手の作なる地上の民の神々を論ずるがごとくせり 014 2CH 032 020 是によりてヒゼキヤ王およびアモツの子預言者イザヤともに祈祷て天に呼はりければ 014 2CH 032 021 ヱホバ天の使一箇を遣はしてアツスリヤ王の陣營にある一切の大勇士および將官軍長等を絶しめたまへり斯りしかば王面を赧らめて己の國に還りけるがその神の家にいりし時其身より出たる者等劍をもて之を其處に弑せり 014 2CH 032 022 是のごとくヱホバ、ヒゼキヤとヱルサレムの民をアツスリヤの王セナケリブの手および諸人の手より救ひいだし四方において之を守護たまへり 014 2CH 032 023 是において衆多の人献納物をヱルサレムに携へきたりてヱホバに奉りまた財寳をユダの王ヒゼキヤに餽れり此後ヒゼキヤは萬國の民に尊び見らる 014 2CH 032 024 當時ヒゼキヤ病て死んとせしがヱホバに祈りければヱホバこれに告をなし之に休徴を賜へり 014 2CH 032 025 然るにヒゼキヤその蒙むりし恩に酬ゆることをせずして心に高ぶりければ震怒これに臨まんとしまたユダとヱルサレムに臨まんとせしが 014 2CH 032 026 ヒゼキヤその心に高慢を悔て身を卑くしヱルサレムの民も同じく然なしたるに因てヒゼキヤの世にはヱホバの震怒かれらに臨まざりき 014 2CH 032 027 ヒゼキヤは富と貴を極め府庫を造りて金銀寶石香物楯および各種の寶貴き器物を蔵め 014 2CH 032 028 また倉廩を造りて穀物酒油などの產物を蔵め圈を造りて種々の家畜を置き牢を造りて羊の群を置き 014 2CH 032 029 また許多の邑を設けかつ牛羊を夥多しく有り是は神貨財を甚だ多くこれに賜ひしが故なり 014 2CH 032 030 このヒゼキヤまたギホンの水の上の源を塞ぎてこれを下より眞直にダビデの邑の西の方に引り斯ヒゼキヤはその一切の工を善なし就たり 014 2CH 032 031 但しバビロンの君等が使者を遣はしてこの國にありし奇蹟を問しめたる時には神かれを棄おきたまへり是その心に有ところの事を盡く知んがために之を試みたまへるなり 014 2CH 032 032 ヒゼキヤのその餘の行爲およびその徳行はユダとイスラエルの列王紀の書の中なるアモツの子預言者イザヤの默示の中に記さる 014 2CH 032 033 ヒゼキヤその先祖等と偕に寝りたればダビデの子孫の墓の中なる高き處にこれを葬りユダの人々およびヱルサレムの民みな厚くその死を送れり其子マナセこれに代りて王となる 014 2CH 033 001 マナセは十二歳の時位に即きヱルサレムにて五十五年の間世を治めたり 014 2CH 033 002 彼はヱホバの目に惡と觀たまふことを爲しイスラエルの子孫の前よりヱホバの逐はらひたまひし國人の行ふところの憎むべき事に傚へり 014 2CH 033 003 即ちその父ヒゼキヤの毀ちたりし崇邱を改ため築き諸のバアルのために壇を設けアシラ像を作り天の衆群を拝みて之に事へ 014 2CH 033 004 またヱホバが我名は永くヱルサレムに在べしと宣まひしヱホバの室の内に數箇の壇を築き 014 2CH 033 005 天の衆群のためにヱホバの室の兩の庭に壇を築き 014 2CH 033 006 またベンヒンノムの谷にてその子女に火の中を通らせかつ占卜を行ひ魔術をつかひ禁厭を爲し憑鬼者と卜筮師を取用ひなどしてヱホバの目に惡と視たまふ事を多く行ひてその震怒を惹起せり 014 2CH 033 007 彼またその作りし偶像を神の室に安置せり神此室につきてダビデとその子ソロモンに言たまひし事あり云く我この室と我がイスラエルの諸の支派の中より選びたるヱルサレムとに我名を永く置ん 014 2CH 033 008 彼らもし我が凡て命ぜし事すなはちモーセが傳へし一切の律法と法度と例典を謹みて行はば我が汝らの先祖のために定めし地より我これが足を重てうつさじと 014 2CH 033 009 マナセかくユダとヱルサレムの民とを迷はして惡を行はしめたり其状イスラエルの子孫の前にヱホバの滅ぼしたまひし異邦人よりも甚だし 014 2CH 033 010 ヱホバ、マナセおよびその民を諭したまひしかども聽ことをせざりき 014 2CH 033 011 是をもてヱホバ、アッスリヤの王の軍勢の諸將をこれに攻來らせたまひて彼等つひにマナセを鉤にて擄へ之を杻械に繋ぎてバビロンに曳ゆけり 014 2CH 033 012 然るに彼患難に罹るにおよびてその神ヱホバを和めその先祖の神の前に大に身を卑くして 014 2CH 033 013 神に祈りければその祈祷を容れその懇願を聽きこれをヱルサレムに携へかへりて再び國に莅ましめたまへり是によりてマナセ、ヱホバは誠に神にいますと知り 014 2CH 033 014 この後かれダビデの邑の外にてギホンの西の方なる谷の内に石垣を築き魚門の入口までに及ぼし又オベルに石垣を環らして甚だ高く之を築き上げユダの一切の堅固なる邑に軍長を置き 014 2CH 033 015 またヱホバの室より異邦の神々および偶像を取除きヱホバの室の山とヱルサレムとに自ら築きし一切の壇を取のぞきて邑の外に投すて 014 2CH 033 016 ヱホバの壇を修復ひて酬恩祭および感謝祭をその上に献げユダに命じてイスラエルの神ヱホバに事へしめたり 014 2CH 033 017 然れども民は猶崇邱にて犠牲を献ぐることなを爲り但しその神ヱホバに而已なりき 014 2CH 033 018 マナセのその餘の行爲その神になせし祈祷およびイスラエルの神ヱホバの名をもて彼を諭せし先見者等の言はイスラエルの列王の言行録に見ゆ 014 2CH 033 019 またその祈祷を爲たる事その聽れたる事その諸の罪愆その身を卑くする前に崇邱を築きてアシラ像および刻たる像を立たる處々などはホザイの言行録の中に記さる 014 2CH 033 020 マナセその先祖とともに寝りたれば之をその家に葬れり其子アモンこれに代りて王となる 014 2CH 033 021 アモンは二十二歳の時位に即きヱルサレムにて二年の間世を治めたり 014 2CH 033 022 彼は其父マナセの爲しごとくヱホバの目に惡と觀たまふ事を爲り即ちアモンその父マナセが作りたる諸の刻たる像に犠牲を献げてこれに事へ 014 2CH 033 023 その父マナセが身を卑くせしごとくヱホバの前に身を卑くすることを爲ざりき斯このアモン愈その愆を増たりしが 014 2CH 033 024 その臣僕黨を結びて之に叛きこれをその家の内に弑せり 014 2CH 033 025 然るに國の民その黨を結びてアモン王に叛きし者等を盡く誅し而して國の民その子ヨシアを王となしてその後を嗣しむ 014 2CH 034 001 ヨシアは八歳の時位に即きヱルサレムにて三十一年の間世を治めたり 014 2CH 034 002 彼はヱホバの善と觀たまふ事を爲しその父ダビデの道にあゆみて右にも左にも曲らざりき 014 2CH 034 003 即ち尚若かりしかどもその治世の八年にその父ダビデの神を求むる事を始めその十二年には崇邱アシラ像刻たる像鋳たる像などを除きてユダとヱルサレムを潔むることを始め 014 2CH 034 004 諸のバアルの壇を己の前にて毀たしめ其上に立る日の像を斫たふしアシラ像および雕像鋳像を打碎きて粉々にし是等に犠牲を献げし者等の墓の上に其を撒ちらし 014 2CH 034 005 祭司の骨をその諸の壇の上に焚き斯してユダとヱルサレムを潔めたり 014 2CH 034 006 またマナセ、エフライム、シメオンおよびナフタリの荒たる邑々にも斯なし 014 2CH 034 007 諸壇を毀ちアシラ像および諸の雕像を微塵に打碎きイスラエル全國の日の像を盡く斫たふしてヱルサレムに歸りぬ 014 2CH 034 008 ヨシアその治世の十八年にいたりて已に國と殿とを潔め了りその神ヱホバの家を修繕はしめんとてアザリヤの子シヤパン邑の知事マアセヤおよびヨアハズの子史官ヨアを遣せり 014 2CH 034 009 彼ら祭司の長ヒルキヤの許に至りてヱホバの室に入し金を交せり是は門守のレビ人がマナセ、エフライムおよび其餘の一切のイスラエル人ならびにユダとベニヤミンの人およびヱルサレムの民の手より斂めたる者なり 014 2CH 034 010 やがてヱホバの室を監督するところの工師等の手にこれを交しければ彼等ヱホバの室にて操作ところの工人にこれを交して室を繕ひ修めしむ 014 2CH 034 011 即ち木匠および建築者に之を交しユダの王等が壞りたる家々のために琢石および骨木を買しめ梁木をととのはしむ 014 2CH 034 012 その人々忠實に操作けりその監督者はメラリの子孫たるヤハテ、オバデヤおよびコハテの子孫たるゼカリヤ、メシユラムなどのレビ人なりき彼等すなはち之を主どる又樂器を弄ぶに精巧なるレビ人凡て之に伴なふ 014 2CH 034 013 彼等亦荷を負ものを監督し種々の工事に操作ところの諸の工人をつかさどれり別のレビ人書記となり役人となり門守となれり 014 2CH 034 014 ヱホバの室にいりし金を取いだすに當りて祭司ヒルキヤ、モーセの傳へしヱホバの律法の書を見いだせり 014 2CH 034 015 ヒルキヤ是において書記官シヤパンにきて言けるは我ヱホバの室にて律法の書を見いだせりと而してヒルキヤその書をシヤパンに付しければ 014 2CH 034 016 シヤパンその書を王の所に持ゆき王に復命まうして言ふ僕等その手に委ねられし所を盡く爲し 014 2CH 034 017 ヱホバの室にありし金を打あけて之を監督者の手および工人の手に交せりと 014 2CH 034 018 書記官シヤパン亦王に告て祭司ヒルキヤ我に一の書を交せりと言ひシヤパンそれを王の前に讀けるに 014 2CH 034 019 王その律法の言を聞て衣服を裂り 014 2CH 034 020 而して王ヒルキヤとシヤパンの子アヒカムとミカの子アブドンと書記官シヤパンと王の内臣アサヤとに命じて言ふ 014 2CH 034 021 汝ら往てこの見當りし書の言につきて我の爲またイスラエルとユダに遺れる者等のためにヱホバに問へ我らの先祖等はヱホバの言を守らず凡て此書に記されたる所を行ふことを爲ざりしに因てヱホバ我等に大なる怒を斟ぎ給ふべければなりと 014 2CH 034 022 是においてヒルキヤおよび王の人々シヤルムの妻なる女預言者ホルダの許に往りシヤルムはハルハスの子なるテクワの子にして衣裳を守る者なり時にホルダはヱルサレムの第二の邑に住をれり彼等すなはちホルダに斯と語りしかば 014 2CH 034 023 ホルダこれに答へけるはイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝らを我に遣はせる人に告よ 014 2CH 034 024 ヱホバかく言たまふユダの王の前に讀し書に記されたる諸の呪詛に循ひて我この處と此に住む者に災害を降さん 014 2CH 034 025 其は彼ら我を棄て他の神に香を焚きおのが手にて作れる諸の物をもて我怒を惹起さんとしたればなりこの故にわが震怒この處に斟ぎて滅ざるべし 014 2CH 034 026 されど汝らを遣はしてヱホバに問しむるユダの王には汝ら斯いふべしイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝が聞る言につきては 014 2CH 034 027 汝此處と此にすむ者を責る神の言を聞し時に心やさしくして神の前に於て身を卑くし我前に身を卑くし衣服を裂て我前に泣たれば我も汝に聽りとヱホバ宣まふ 014 2CH 034 028 然ば我汝をして汝の先祖等に列ならしめん汝は安然に墓に歸する事を得べし汝は我が此處と此に住む者に降すところの諸の災害を目に見る事あらじと彼等即ち王に復命まうしぬ 014 2CH 034 029 是において王人を遣はしてユダとヱルサレムの長老をことごとく集め 014 2CH 034 030 而して王ヱホバの室に上りゆけりユダの人々ヱルサレムの民祭司レビ人及び一切の民大より小にいたるまでことごとく之にともなふ王すなはちヱホバの室に見あたりし契約の書の言を盡く彼らの耳に讀聞せ 014 2CH 034 031 而して王己の所に立ちてヱホバの前に契約を立てヱホバにしたがひて歩み心を盡し精神を盡してその誡命と證詞と法度を守り此書にしるされたる契約の言を行はんと言ひ 014 2CH 034 032 ヱルサレムおよびベニヤミンの有ゆる人々をみな之に加はらしめたりヱルサレムの民すなはちその先祖の神にまします御神の契約にしたがひて行へり 014 2CH 034 033 かくてヨシア、イスラエルの子孫に屬する一切の地より憎むべき者を盡く取のぞきイスラエルの有ゆる人をしてその神ヱホバに事まつらしめたりヨシアの世にある日の間は彼らその先祖の神ヱホバに從ひて離れざりき 014 2CH 035 001 茲にヨシア、ヱルサレムにおいてヱホバに逾越節を行はんとし正月の十四日に逾越の物を宰らしめ 014 2CH 035 002 祭司をしてその職を執行はせ之を勵してヱホバの室の務をなさしめ 014 2CH 035 003 またヱホバの聖者となりてイスラエルの人衆を誨ふるレビ人に言ふ汝らイスラエルの王ダビデの子ソロモンが建たる家に聖契約の匱を放け再び肩に擔ふこと有ざるべし然ば今汝らの神ヱホバおよびその民イスラエルに事ふべし 014 2CH 035 004 汝らまたイスラエルの王ダビデの書およびその子ソロモンの書に本づきて父祖の家に循がひその班列に依て自ら準備をなし 014 2CH 035 005 汝らの兄弟なる民の人々の宗家の區分に循ひて聖所に立ち之にレビ人の宗族の分缺ること無らしむべし 014 2CH 035 006 汝ら逾越の物を宰り身を潔め汝らの兄弟のために準備をなしモーセが傳へしヱホバの言のごとく行ふべしと 014 2CH 035 007 ヨシアすなはち羔羊および羔山羊を民の人々に餽る其數三萬また牡牛三千を餽る是みな王の所有の中より出して其處に居る一切の人のために逾越の祭物となせるなり 014 2CH 035 008 その牧伯等も民と祭司とレビ人に誠意より與ふる所ありまた神の室の長等ヒルキヤ、ゼカリヤ、ヱヒエルも綿羊二千六百牛三百を祭司に與へて逾越の祭物と爲す 014 2CH 035 009 またレビ人の長たる人々すなはちコナニヤおよびその兄弟シマヤ、ネタンエル並にハシヤビヤ、ヱイエル、ヨザバデなども綿羊五千牛五百をレビ人に餽りて逾越の祭物となす 014 2CH 035 010 是のごとく献祭の事備はりぬれば王の命にしたがひて祭司等はその擔任場に立ちレビ人はその班列に循がひ居り 014 2CH 035 011 やがて逾越の物を宰りければ祭司その血をこれが手より受て洒げりレビ人その皮を剥り 014 2CH 035 012 かくて燔祭の物を移して民の人々の父祖の家の區分に付してヱホバに献げしむモーセの書に記されたるが如し其牛に行ふところも亦是のごとし 014 2CH 035 013 而して例規のごとくに逾越の物を火にて炙りその他の聖物を鍋釜鼎などに烹て一切の民の人々に奔配れり 014 2CH 035 014 かくて後かれら自身のためと祭司等のために備ふ其はアロンの子孫たる祭司等は燔祭と脂を献げて夜に入たればなり是に因て斯レビ人自分のためとアロンの子孫たる祭司等のために備ふるなり 014 2CH 035 015 アサフの子孫たる謳歌者等はダビデ、アサフ、ヘマンおよび王の先見者ヱドトンの命にしたがひてその擔任場に居り門を守る者等は門々に居てその職務を離るるに及ばざりき其はその兄弟たるレビ人これがために備へたればなり 014 2CH 035 016 斯のごとく其日ヱホバの献祭の事ことごとく備はりければヨシア王の命にしたがひて逾越節を行ひヱホバの壇に燔祭を献げたり 014 2CH 035 017 即ち其處に來れるイスラエルの子孫その時逾越節を行ひ七日の間酵いれぬパンの節を行へり 014 2CH 035 018 預言者サムエルの日より以來イスラエルにて是のごとくに逾越節を行ひし事なし又イスラエルの諸王の中にはヨシアが祭司レビ人ならびに來りあつまれるユダとイスラエルの諸人およびヱルサレムの民とともに行ひし如き逾越節を行ひし者一人もあらず 014 2CH 035 019 この逾越節はヨシアの治世の十八年に行ひしなり 014 2CH 035 020 是のごとくヨシア殿をととのへし後エジプトの王ネコ、ユフラテの邊なるカルケミシを攻撃んとて上り來りけるにヨシアこれを禦がんとて出往り 014 2CH 035 021 是においてネコ使者をかれに遣はして言ふユダの王よ是あに汝の與る所ならんや今日は汝を攻んとには非ず我敵の家を攻んとするなり神われに命じて急がしむ神われとともにあり汝神に逆ふことを罷よ恐らくは彼なんぢを滅ぼしたまはんと 014 2CH 035 022 然るにヨシア面を轉して去ことを肯はず却てこれと戰はんとて服装を變へ神の口より出しネコの言を聽いれずしてメギドンの谷に到りて戰ひけるが 014 2CH 035 023 射手の者等ヨシア王に射中たれば王その臣僕にむかひて我を扶け出せ我太痍を負ふと言り 014 2CH 035 024 是においてその臣僕等かれをその車より扶けおろし其引せたる次の車に乗てヱルサレムにつれゆきけるが遂に死たればその先祖の墓にこれを葬りぬユダとヱルサレムみなヨシアのために哀しめり 014 2CH 035 025 時にヱレミヤ、ヨシアのために哀歌を作れり謳歌男謳歌女今日にいたるまでその哀歌の中にヨシアの事を述べイスラエルの中に之を例となせりその詞は哀歌の中に書さる 014 2CH 035 026 ヨシアのその餘の行爲そのヱホバの律法に録されたる所にしたがひて爲し徳行 014 2CH 035 027 およびその始終の行爲などはイスラエルとユダの列王の書に記さる 014 2CH 036 001 是において國の民ヨシアの子ヱホアハズを取りヱルサレムにてその父にかはりて王とならしむ 014 2CH 036 002 ヱホアハズは二十三歳の時位に即きヱルサレムにて三月が間世を治めけるが 014 2CH 036 003 エジプトの王ヱルサレムにて彼を廢し且銀百タラント金一タラントの罰金を國に課せり 014 2CH 036 004 而してエジプトの王ネコ彼の兄弟エリアキムをもてユダとヱルサレムの王となして之が名をヱホヤキムと改めその兄弟ヱホアハズを執へてエジプトに曳ゆけり 014 2CH 036 005 ヱホヤキムは二十五歳の時位に即きヱルサレムにて十一年の間世を治めその神ヱホバの惡と視たまふことを爲り 014 2CH 036 006 彼の所にバビロンの王ネブカデネザル攻のぼりバビロンに曳ゆかんとて之を杻械に繋げり 014 2CH 036 007 ネブカデネザルまたヱホバの家の器具をバビロンに携へゆきてバビロンにあるその宮にこれを蔵めたり 014 2CH 036 008 ヱホヤキムのその餘の行爲その行ひし憎むべき事等およびその心に企みし事などはイスラエルとユダの列王の書に記さる其子ヱホヤキンこれに代りて王となる 014 2CH 036 009 ヱホヤキンは八歳の時位に即きヱルサレムにて三月と十日の間世を治めヱホバの惡と視たまふ事を爲けるが 014 2CH 036 010 歳の歸るにおよびてネブカデネザル王人を遣はして彼とヱホバの室の貴き器皿とをバビロンに携へいたらしめ之が兄弟ゼデキヤをもてユダとヱルサレムの王となせり 014 2CH 036 011 ゼデキヤは二十一歳の時位に即きヱルサレムにて十一年の間世を治めたり 014 2CH 036 012 彼はその神ヱホバの惡と視たまふ事を爲しヱホバの言を傳ふる預言者ヱレミヤの前に身を卑くせざりき 014 2CH 036 013 ネブカデネザル彼をして神を指て誓はしめたりしにまた之にも叛けり彼かくその項を強くしその心を剛愎にしてイスラエルの神ヱホバに立かへらざりき 014 2CH 036 014 祭司の長等および民もまた凡て異邦人の中にある諸の憎むべき事に傚ひて太甚しく大に罪を犯しヱホバのヱルサレムに聖め置たまへるその室を汚せり 014 2CH 036 015 其先祖の神ヱホバその民とその住所とを恤むが故に頻りにその使者を遣はして之を諭したまひしに 014 2CH 036 016 彼ら神の使者等を嘲けり其御言を軽んじその預言者等を罵りたればヱホバの怒その民にむかひて起り遂に救ふべからざるに至れり 014 2CH 036 017 即ちヱホバ、カルデヤ人の王を之に攻きたらせたまひければ彼その聖所の室にて劍をもて少者を殺し童男をも童女をも老人をも白髮の者をも憐まざりき皆ひとしく彼の手に付したまへり 014 2CH 036 018 神の室の諸の大小の器皿ヱホバの室の貨財王とその牧伯等の貨財など凡て之をバビロンに携へゆき 014 2CH 036 019 神の室を焚きヱルサレムの石垣を崩しその中の宮殿を盡く火にて焚きその中の貴き器を盡く壞なへり 014 2CH 036 020 また劍をのがれし者等はバビロンに擄れゆきて彼處にて彼とその子等の臣僕となりペルシヤの國の興るまで斯てありき 014 2CH 036 021 是ヱレミヤの口によりて傳はりしヱホバの言の應ぜんがためなりき斯この地遂にその安息を享たり即ち是はその荒をる間安息して終に七十年滿ぬ 014 2CH 036 022 ペルシヤ王クロスの元年に當りヱホバ曩にヱレミヤの口によりて傳へたまひしその聖言を成んとてペルシヤ王クロスの心を感動したまひければ王すなはち宣命をつたへ詔書を出して徧く國中に告示して云く 014 2CH 036 023 ペルシヤ王クロスかく言ふ天の神ヱホバ地上の諸國を我に賜へりその家をユダのエルサレムに建ることを我に命ず凡そ汝らの中もしその民たる者あらばその神ヱホバの助を得て上りゆけ # # BOOK 015 EZR Ezra エズラ記 015 EZR 001 001 ペルシヤ王クロスの元年に當りヱホバ曩にエレミヤの口によりて傳へたまひしその聖言を成んとてペルシヤ王クロスの心を感動したまひければ王すなはち宣命をつたへ詔書を出して徧く國中に告示して云く 015 EZR 001 002 ペルシヤ王クロスかく言ふ 天の神ヱホバ地上の諸國を我に賜へり その家をユダのヱルサレムに建ることを我に命ず 015 EZR 001 003 凡そ汝らの中もしその民たる者あらばその神の助を得てユダのヱルサレムに上りゆきヱルサレムなるイスラエルの神ヱホバの室を建ることをせよ 彼は神にましませり 015 EZR 001 004 その民にして生存れる者等の寓りをる處の人々は之に金銀貨財家畜を予へて助くべし その外にまたヱルサレムなる神の室のために物を誠意よりささぐべしと 015 EZR 001 005 是にユダとベニヤミンの宗家の長祭司レビ人など凡て神にその心を感動せられし者等ヱルサレムなるヱホバの室を建んとて起おこれり 015 EZR 001 006 その周圍の人々みな銀の器黄金貨財家畜および寳物を予へて之に力をそへこの外にまた各種の物を誠意より獻げたり 015 EZR 001 007 クロス王またネブカデネザルが前にヱルサレムより携へ出して己の神の室に納めたりしヱホバの室の器皿を取いだせり 015 EZR 001 008 即ちペルシヤ王クロス庫官ミテレダテの手をもて之を取いだしてユダの牧伯セシバザルに數へ交付せり 015 EZR 001 009 その數は是のごとし 金の盤三十 銀の盤一千 小刀二十九 015 EZR 001 010 金の大斝三十、二等の銀の大斝四百十 その他の器具一千 015 EZR 001 011 金銀の器皿は合せて五千四百ありしがセシバザル俘擄人等をバビロンよりヱルサレムに將て上りし時に之をことごとく携さへ上れり 015 EZR 002 001 往昔バビロンの王ネブカデネザルに擄へられバビロンに遷されたる者のうち俘囚をゆるされてヱルサレムおよびユダに上りおのおの己の邑に歸りし此州の者は左の如し 015 EZR 002 002 是皆ゼルバベル、ヱシユア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシヤン、ミスパル、ビグワイ、レホム、バアナ等に隨ひ來れり 其イスラエルの民の人數は是のごとし 015 EZR 002 003 パロシの子孫二千百七十二人 015 EZR 002 004 シパテヤの子孫三百七十二人 015 EZR 002 005 アラの子孫七百七十五人 015 EZR 002 006 ヱシユアとヨアブの族たるパハテモアブの子孫二千八百十二人 015 EZR 002 007 エラムの子孫千二百五十四人 015 EZR 002 008 ザツトの子孫九百四十五人 015 EZR 002 009 ザツカイの子孫七百六十人 015 EZR 002 010 バニの子孫六百四十二人 015 EZR 002 011 ベバイの子孫六百二十三人 015 EZR 002 012 アズガデの子孫千二百二十二人 015 EZR 002 013 アドニカムの子孫六百六十六人 015 EZR 002 014 ビグワイの子孫二千五十六人 015 EZR 002 015 アデンの子孫四百五十四人 015 EZR 002 016 ヒゼキヤの家のアテルの子孫九十八人 015 EZR 002 017 ベザイの子孫三百二十三人 015 EZR 002 018 ヨラの子孫百十二人 015 EZR 002 019 ハシユムの子孫二百二十三人 015 EZR 002 020 ギバルの子孫九十五人 015 EZR 002 021 ベテレヘムの子孫百二十三人 015 EZR 002 022 ネトパの人五十六人 015 EZR 002 023 アナトテの人百二十八人 015 EZR 002 024 アズマウテの民四十二人 015 EZR 002 025 キリアテヤリム、ケピラおよびベエロテの民七百四十三人 015 EZR 002 026 ラマおよびゲバの民六百二十一人 015 EZR 002 027 ミクマシの人百二十二人 015 EZR 002 028 ベテルおよびアイの人二百二十三人 015 EZR 002 029 ネボの民五十二人 015 EZR 002 030 マグビシの民百五十六人 015 EZR 002 031 他のエラムの民千二百五十四人 015 EZR 002 032 ハリムの民三百二十人 015 EZR 002 033 ロド、ハデデおよびオノの民七百二十五人 015 EZR 002 034 ヱリコの民三百四十五人 015 EZR 002 035 セナアの民三千六百三十人 015 EZR 002 036 祭司はヱシユアの家のヱダヤの子孫九百七十三人 015 EZR 002 037 インメルの子孫千五十二人 015 EZR 002 038 パシュルの子孫千二百四十七人 015 EZR 002 039 ハリムの子孫千十七人 015 EZR 002 040 レビ人はホダヤの子等ヱシユアとカデミエルの子孫七十四人 015 EZR 002 041 謳歌者はアサフの子孫百二十八人 015 EZR 002 042 門を守る者の子孫はシヤルムの子孫アテルの子孫タルモンの子孫アツクブの子孫ハテタの子孫シヨバイの子孫合せて百三十九人 015 EZR 002 043 ネテニ人はヂハの子孫ハスパの子孫タバオテの子孫 015 EZR 002 044 ケロスの子孫シアハの子孫パドンの子孫 015 EZR 002 045 レバナの子孫ハガバの子孫アツクブの子孫 015 EZR 002 046 ハガブの子孫シヤルマイの子孫ハナンの子孫 015 EZR 002 047 ギデルの子孫ガハルの子孫レアヤの子孫 015 EZR 002 048 レヂンの子孫ネコダの子孫ガザムの子孫 015 EZR 002 049 ウザの子孫パセアの子孫ベサイの子孫 015 EZR 002 050 アスナの子孫メウニムの子孫ネフシムの子孫 015 EZR 002 051 バクブクの子孫ハクパの子孫ハルホルの子孫 015 EZR 002 052 バヅリテの子孫メヒダの子孫ハルシヤの子孫 015 EZR 002 053 バルコスの子孫シセラの子孫テマの子孫 015 EZR 002 054 ネヂアの子孫ハテパの子孫等なり 015 EZR 002 055 ソロモンの僕たりし者等の子孫すなはちソタイの子孫ハッソペレテの子孫ペリダの子孫 015 EZR 002 056 ヤアラの子孫ダルコンの子孫ギデルの子孫 015 EZR 002 057 シパテヤの子孫ハッテルの子孫ポケレテハツゼバイムの子孫アミの子孫 015 EZR 002 058 ネテニ人とソロモンの僕たりし者等の子孫とは合せて三百九十二人 015 EZR 002 059 またテルメラ、テルハレサ、ケルブ、アダンおよびインメルより上り來れる者ありしがその宗家の長とその血統とを示してイスラエルの者なるを明かにすることを得ざりき 015 EZR 002 060 是すなはちデラヤの子孫トビヤの子孫ネコダの子孫にして合せて六百五十二人 015 EZR 002 061 祭司の子孫たる者の中にハバヤの子孫ハッコヅの子孫バルジライの子孫あり バルジライはギレアデ人バルジライの女を妻に娶りてその名を名りしなり 015 EZR 002 062 是等の者譜系に載たる者等の中におのが名を尋ねたれども在ざりき 是の故に汚れたる者として祭司の中より除かれたり 015 EZR 002 063 テルシヤタは之に告てウリムとトンミムを帶る祭司の興るまでは至聖物を食ふべからずと言り 015 EZR 002 064 會衆あはせて四萬二千三百六十人 015 EZR 002 065 この外にその僕婢七千三百三十七人 謳歌男女二百人あり 015 EZR 002 066 その馬七百三十六匹 その騾二百四十五匹 015 EZR 002 067 その駱駝四百三十五匹 驢馬六千七百二十匹 015 EZR 002 068 宗家の長數人ヱルサレムなるヱホバの室にいたるにおよびてヱホバの室をその本の處に建んとて物を誠意より獻げたり 015 EZR 002 069 即ちその力にしたがひて工事のために庫を納めし者は金六萬一千ダリク銀五千斤祭司の衣服百襲なりき 015 EZR 002 070 祭司レビ人民等謳歌者門を守る者およびネテニ人等その邑々に住み一切のイスラエル人その邑々に住り 015 EZR 003 001 イスラエルの子孫かくその邑々に住居しが七月に至りて民一人のごとくにヱルサレムに集まれり 015 EZR 003 002 是に於てヨザダクの子ヱシユアとその兄弟なる祭司等およびシヤルテルの子ゼルバベルとその兄弟等立おこりてイスラエルの神の壇を築けり 是神の人モーセの律法に記されたる所に循ひてその上に燔祭を獻げんとてなりき 015 EZR 003 003 彼等は壇をその本の處に設けたり 是國々の民を懼れしが故なり 而してその上にて燔祭をヱホバに獻げ朝夕にこれを獻ぐ 015 EZR 003 004 またその録されたる所に循ひて結茅節を行ひ毎日の分を按へて例に照し數のごとくに日々の燔祭を獻げたり 015 EZR 003 005 是より後は常の燔祭および月朔とヱホバの一切のきよき節會とに用ゐる供物ならびに人の誠意よりヱホバにたてまつる供物を獻ぐることをす 015 EZR 003 006 即ち七月の一日よりして燔祭をヱホバに獻ぐることを始めけるがヱホバの殿の基礎は未だ置ざりき 015 EZR 003 007 是において石工と木工に金を交付しまたシドンとツロの者に食物飮物および油を與へてペルシヤの王クロスの允准にしたがひてレバノンよりヨツパの海に香柏を運ばしめたり 015 EZR 003 008 斯てヱルサレムより神の室に歸りたる次の年の二月にシヤルテルの子ゼルバベル、ヨザダクの子ヱシユアおよびその兄弟たる他の祭司レビ人など凡て俘囚をゆるされてヱルサレムに歸りし者等を始め二十歳以上のレビ人を立てヱホバの室の工事を監督せしむ 015 EZR 003 009 是に於てユダの子等なるヱシユアとその子等および兄弟カデミエルとその子等齊しく立て神の家の工人を監督せり ヘナダデの子等およびその子等と兄弟等のレビ人も然り 015 EZR 003 010 かくて建築者ヱホバの殿の基礎を置る時祭司等禮服を衣て喇叭を執りアサフの子孫たるレビ人鐃鈸を執りイスラエルの王ダビデの例に循ひてヱホバを讃美す 015 EZR 003 011 彼等班列にしたがひて諸共に歌を謠ひてヱホバを讃めかつ頌へヱホバは恩ふかく其矜恤は永遠にたゆることなければなりと言り そのヱホバを讃美する時に民みな大聲をあげて呼はれり ヱホバの室の基礎を据ればなり 015 EZR 003 012 されど祭司レビ人宗家の長等の中に以前の室を見たりし老人ありけるが今この室の基礎をその目の前に置るを見て多く聲を放ちて泣り また喜悦のために聲をあげて呼はる者も多かりき 015 EZR 003 013 是をもて人衆民の歡こびて呼はる聲と民の泣く聲とを聞わくることを得ざりき そは民大聲に呼はり叫びければその聲遠くまで聞えわたりたればなり 015 EZR 004 001 茲にユダとベニヤミンの敵たる者等夫俘囚より歸り來りし人々イスラエルの神ヱホバのために殿を建ると聞き 015 EZR 004 002 乃ちゼルバベルと宗家の長等の許に至りて之に言けるは我儕をして汝等と共に之を建しめよ 我らは汝らと同じく汝らの神を求む アッスリヤの王エサルハドンが我儕を此に携へのぼりし日より以來我らはこれに犠牲を獻ぐるなりと 015 EZR 004 003 然るにゼルバベル、ヱシユアおよびその餘のイスラエルの宗家の長等これに言ふ 汝らは我らの神に室を建ることに與るべからず 我儕獨りみづからイスラエルの神ヱホバのために建ることを爲べし 是ペルシヤの王クロス王の我らに命ぜし所なりと 015 EZR 004 004 是に於てその地の民ユダの民の手を弱らせてその建築を妨げ 015 EZR 004 005 之が計る所を敗らんために議官に賄賂して之に敵せしむペルシヤ王クロスの世にある日よりペルシヤ王ダリヨスの治世まで常に然り 015 EZR 004 006 アハシユエロスの治世すなはち其治世の初に彼ら表を上りてユダとヱルサレムの民を誣訟へたり 015 EZR 004 007 またアルタシヤスタの世にビシラム、ミテレダテ、タビエルおよびその餘の同僚同じく表をペルシヤの王アルタシヤスタに上つれり その書の文はスリヤの文字にて書きスリヤ語にて陳述たる者なりき 015 EZR 004 008 方伯レホム書記官シムシヤイ書をアルタシヤスタ王に書おくりてヱルサレムを誣ゆ左のごとし 015 EZR 004 009 即ち方伯レホム書記官シムシヤイおよびその餘の同僚デナ人アパルサテカイ人タルペライ人アパルサイ人アルケロイ人バビロン人シユシヤン人デハウ人エラマイ人 015 EZR 004 010 ならびに其他の民すなはち大臣オスナパルが移してサマリアの邑および河外ふのその他の地に置し者等云々 015 EZR 004 011 其アルタシヤスタ王に上りし書の稿は是なく云く河外ふの汝の僕等云々 015 EZR 004 012 王知たまへ汝の所より上り來りしユダヤ人ヱルサレムに到りてわれらの中にいりかの背き悖る惡き邑を建なほし石垣を築きあげその基礎を固うせり 015 EZR 004 013 然ば王いま知たまへ 若この邑を建て石垣を築きあげなば彼ら必ず貢賦租税税金などを納じ 然すれば終に王等の不利とならん 015 EZR 004 014 そもそも我らは王の鹽を食む者なれば王の輕んぜらるるを見るに忍びず 茲に人を遣はし王に奏聞す 015 EZR 004 015 列祖の記録の書を稽へたまへ必ずその記録の書の中において此邑は背き悖る邑にして諸王と諸州とに害を加へし者なるを見その中に古來叛逆の事ありしを知たまふべし此邑の滅ぼされしは此故に縁るなり 015 EZR 004 016 我ら王に奏聞す 若この邑を建て石垣を築きあげなばなんぢは之がために河外ふの領分をうしなふなるべしと 015 EZR 004 017 王すなはち方伯レホム書記官シムシヤイこの餘サマリアおよび河外ふのほかの處に住る同僚に答書をおくりて云く平安あれ云々 015 EZR 004 018 汝らが我儕におくりし書をば我前に讀解しめたり 015 EZR 004 019 我やがて詔書を下して稽考しめしに此邑の古來起りて諸王に背きし事その中に反亂謀叛のありし事など詳悉なり 015 EZR 004 020 またヱルサレムには在昔大なる王等ありて河外ふをことごとく治め貢賦租税税金などを己に納しめたる事あり 015 EZR 004 021 然ば汝ら詔言を傳へて其人々を止め我が詔言を下すまで此邑を建ること無らしめよ 015 EZR 004 022 汝ら愼め 之を爲ことを忽にする勿れ 何ぞ損害を増て王に害を及ぼすべけんやと 015 EZR 004 023 アルタシヤスタ王の書の稿をレホム及び書記官シムシヤイとその同僚の前に讀あげければ彼等すなはちヱルサレムに奔ゆきてユダヤ人に就き腕力と權威とをもて之を止めたり 015 EZR 004 024 此をもてヱルサレムなる神の室の工事止みぬ 即ちペルシヤ王ダリヨスの治世の二年まで止みたりき 015 EZR 005 001 爰に預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの二人の預言者ユダとヱルサレムに居るユダヤ人に向ひてイスラエルの神の名をもて預言する所ありければ 015 EZR 005 002 シヤルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子ヱシユア起あがりてヱルサレムなる神の室を建ることを始む 神の預言者等これと共に在て之を助く 015 EZR 005 003 その時に河外の總督タテナイといふ者セタルボズナイおよびその同僚とともにその所に來り誰が汝らに此室を建て此石垣を築きあぐることを命ぜしやと斯言ひ 015 EZR 005 004 また此建物を建る人々の名は何といふやと斯これに問り 015 EZR 005 005 然るにユダヤ人の長老等の上にはその神の目そそぎゐたれば彼等これを止むること能はずして遂にその事をダリヨスに奏してその返答の來るを待り 015 EZR 005 006 河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚なる河外ふのアパルサカイ人がダリヨス王に上まつりし書の稿は左のごとし 015 EZR 005 007 即ち其上まつりし書の中に書しるしたる所は是のごとし 云く願くはダリヨス王に大なる平安あれ 015 EZR 005 008 王知たまへ我儕ユダヤ州に往てかの大神の室に至り視しに巨石をもて之を建て材木を組て壁を作り居り其工事おほいに捗どりてその手を下すところ成ざる無し 015 EZR 005 009 是に於て我儕その長老等に問てこれに斯いへり 誰が汝らに此室を建てこの石垣を築きあぐることを命ぜしやと 015 EZR 005 010 我儕またその首長たる人々の名を書しるして汝に奏聞せんがためにその名を問り 015 EZR 005 011 時に彼等かく我らに答へて言り 我儕は天地の神の僕にして年久しき昔に建おかれし殿を再び建るなり 是は素イスラエルの大なる王某の建築きたる者なしりが 015 EZR 005 012 我らの父等天の神の震怒を惹起せしに縁てつひに之をカルデヤ人バビロンの王ネブカデネザルの手に付したまひければ彼この殿を毀ち民をバビロンに擄へゆけり 015 EZR 005 013 然るにバビロンの王クロスの元年にクロス王神のこの室を建べしとの詔言を下したまへり 015 EZR 005 014 然のみならず ヱルサレムの殿よりネブカデネザルが取いだしてバビロンの殿に携へいれし神の室の金銀の器皿もクロス王これをバビロンの殿より取いだし其立たる總督セシバザルと名くる者に之を付し 015 EZR 005 015 而して彼に言けらく是等の器皿を取り往て之をヱルサレムの殿に携へいれ神の室をその本の處に建よと 015 EZR 005 016 是において其セシバザル來りてヱルサレムなる神の室の石礎を置たりき 其時よりして今に至るまで之を建つつありしが猶いまだ竣らざるなりと 015 EZR 005 017 然ば今王もし善となされなば請ふ御膝下バビロンにある所の王の寳蔵を査べたまひて神のこの室を建べしとの詔言のクロス王より出しや否を稽へ而して王此事につきて御旨を我らに諭したまえ 015 EZR 006 001 是に於てダリヨス王詔言を出しバビロンにて寳物を蔵むる所の文庫に就て査べ稽しめしに 015 EZR 006 002 メデア州の都城アクメタにて一の卷物を得たり その内に書しるせる記録は是のごとし 015 EZR 006 003 クロス王の元年にクロス王詔言を出せり云くヱルサレムなる神の室の事につきて諭す その犠牲を獻ぐる所なる殿を建てその石礎を堅く置ゑ其室の高を六十キユビトにし其濶を六十キユビトにし 015 EZR 006 004 巨石三行新木一行を以せよ 其費用は王の家より授くべし 015 EZR 006 005 またネブカデネザルがヱルサレムの殿より取いだしてバビロンに携へきたりし神の室の金銀の器皿は之を還してヱルサレムの殿に持ゆかしめ神の室に置てその故の所にあらしむべしと 015 EZR 006 006 然ば河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚なる河外ふのアパルサカイ人汝等これに遠ざかるべし 015 EZR 006 007 神のその室の工事を妨ぐる勿れ ユダヤ人の牧伯とユダヤ人の長老等に神のその家を故の處に建しめよ 015 EZR 006 008 我また詔言を出し其神の家を建ることにつきて汝らが此ユダヤ人の長老等に爲べきことを示す 王の財寳の中すなはち河外ふの租税の中より迅速に費用をその人々に與へよその工事を滯ほらしむる勿れ 015 EZR 006 009 又その需むる物即ち天の神にたてまつる燔祭の小牛牡羊および羔羊ならびに麥鹽酒油など凡てヱルサレムにをる祭司の定むる所に循ひて日々に怠慢なく彼等に與へ 015 EZR 006 010 彼らをして馨しき香の犠牲を天の神に獻ぐることを得せしめ王とその子女の生命のために祈ることを得せしめよ 015 EZR 006 011 かつ我詔言を出す誰にもせよ此言を易る者あらば其家の梁を抜きとり彼を擧て之に釘ん その家はまた之がために厠にせらるべし 015 EZR 006 012 凡そ之を易へまたヱルサレムなるその神の室を毀たんとて手を出す王あるひは民は彼處にその名を留め給ふ神ねがはくはこれを倒したまへ 我ダリヨス詔言を出せり 迅速に之を行なへ 015 EZR 006 013 ダリヨス王かく諭しければ河外ふの總督タテナイおよびセタルボズナイとその同僚迅速に之を行なへり 015 EZR 006 014 ユダヤ人の長老等すなはち之を建て預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの預言に由て之を成就たり 彼等イスラエルの神の命に循ひクロス、ダリヨスおよびペルシヤ王アルタシヤスタの詔言に依て之を建竣ぬ 015 EZR 006 015 ダリヨス王の治世の六年アダルの月の三日にこの室成り 015 EZR 006 016 是に於てイスラエルの子孫祭司レビ人およびその餘の俘擄人よろこびて神のこの室の落成禮を行なへり 015 EZR 006 017 即ち神のこの室の落成禮において牡牛一百牡羊二百 羔羊四百を獻げまたイスラエルの支派の數にしたがひて牡山羊十二を獻げてイスラエル全體のために罪祭となし 015 EZR 006 018 祭司をその分別にしたがひて立て レビ人をその班列にしたがひて立て ヱルサレムに於て神に事へしむ 凡てモーセの書に書しるしたるが如し 015 EZR 006 019 斯て俘囚より歸り來りし人々正月の十四日に逾越節を行へり 015 EZR 006 020 即ち祭司レビ人共に身を潔めて皆潔くなり一切俘囚より歸り來りし人々のため其兄弟たる祭司等のため又自己のために逾越の物を宰れり 015 EZR 006 021 擄はれゆきて歸り來しイスラエルの子孫および其國の異邦人の汚穢を棄て是等に附てイスラエルの神ヱホバを求むる者等すべて之を食ひ 015 EZR 006 022 喜びて七日の間酵いれぬパンの節を行へり 是はヱホバかれらを喜ばせアッスリヤの王の心を彼らに向はせ彼をしてイスラエルの神にまします神の家の工事を助けさせたまひしが故なり 015 EZR 007 001 是等の事の後ペルシヤ王アルタシヤスタの治世にエズラといふ者あり エズラはセラヤの子セラヤはアザリヤの子アザリヤはヒルキヤの子 015 EZR 007 002 ヒルキヤはシヤルムの子シヤルムはザドクの子ザドクはアヒトブの子 015 EZR 007 003 アヒトブはアマリヤの子アマリヤはアザリヤの子アザリヤはメラヨテの子 015 EZR 007 004 メラヨテはゼラヒヤの子ゼラヒヤはウジの子ウジはブツキの子 015 EZR 007 005 ブツキはアビシユアの子アビシユアはピネハスの子ピネハスはエレアザルの子エレアザルは祭司の長アロンの子なり 015 EZR 007 006 此エズラ、バビロンより上り來れり 彼はイスラエルの神ヱホバの授けたまひしモーセの律法に精しき學士なりき 其神ヱホバの手これが上にありしに因てその求むる所を王ことごとく許せり 015 EZR 007 007 アルタシヤスタ王の七年にイスラエルの子孫および祭司レビ人謳歌者門を守る者ネテニ人など多くヱルサレムに上れり 015 EZR 007 008 王の七年の五月にエズラ、ヱルサレムに到れり 015 EZR 007 009 即ち正月の一日にバビロンを出たちて五月の一日にヱルサレムに至る 其神のよき手これが上にありしに因てなり 015 EZR 007 010 エズラは心をこめてヱホバの律法を求め之を行ひてイスラエルの中に法度と例規とを敎へたりき 015 EZR 007 011 ヱホバの誡命の言に精しく且つイスラエルに賜ひし法度に明かなる學士にて祭司たるエズラにアルタシヤスタ王の與へし書の言は是のごとし 015 EZR 007 012 諸王の王アルタシヤスタ天の神の律法の學士なる祭司エズラに諭す 願くは全云々 015 EZR 007 013 我詔言を出す 我國の内にをるイスラエルの民およびその祭司レビ人の中凡てヱルサレムに往んと志す者は皆なんぢと偕に往べし 015 EZR 007 014 汝はおのが手にある汝の神の律法に照してユダとヱルサレムの模樣とを察せんために王および七人の議官に遣はされて往くなり 015 EZR 007 015 且汝は王とその議官がヱルサレムに宮居するところのイスラエルの神のために誠意よりささぐる金銀を携へ 015 EZR 007 016 またバビロン全州にて汝が獲る一切の金銀および民と祭司とがヱルサレムなる其神の室のために誠意よりする禮物を携さふ 015 EZR 007 017 然ば汝その金をもて牡牛牡羊羔羊およびその素祭と灌祭の品を速に買ひヱルサレムにある汝らの神の室の壇の上にこれを獻ぐべし 015 EZR 007 018 また汝と汝の兄弟等その餘れる金銀をもて爲んと欲する所あらば汝らの神の旨にしたがひて之を爲せ 015 EZR 007 019 また汝の神の室の奉事のために汝が賜はりし器皿は汝これをヱルサレムの神の前に納めよ 015 EZR 007 020 その外汝の神の室のために需むる所あらば汝の用ひんとする所の者をことごとく王の府庫より取て用ふべし 015 EZR 007 021 我や我アルタシヤスタ王 河外ふの一切の庫官に詔言を下して云ふ 天の神の律法の學士祭司エズラが汝らに需むる所は凡てこれを迅速に爲べし 015 EZR 007 022 即ち銀は百タラント小麥は百石酒は百バテ油は百バテ鹽は量なかるべし 015 EZR 007 023 天の神の室のために天の神の命ずる所は凡て謹んで之を行なへ しからずば王とその子等との國に恐くは震怒のぞまん 015 EZR 007 024 かつ我儕なんぢらに諭す 祭司レビ人謳歌者門を守る者ネテニ人および神のその室の役者などには貢賦租税税金などを課すべからず 015 EZR 007 025 汝エズラ汝の手にある汝の神の智慧にしたがひて有司および裁判人を立て河外ふの一切の民すなはち汝の神の律法を知る者等を盡く裁判しめよ 汝らまた之を知ざる者を敎へよ 015 EZR 007 026 凡そ汝の神の律法および王の律法を行はざる者をば迅速にその罪を定めて或は殺し或は追放ち或はその貨財を沒収し或は獄に繋ぐべし 015 EZR 007 027 我らの先祖の神ヱホバは讃べき哉 斯王の心にヱルサレムなるヱホバの室を飾る意を起させ 015 EZR 007 028 また王の前とその議官の前と王の大臣の前にて我に矜恤を得させたまへり 我神ヱホバの手わが上にありしに因て我は力を得 イスラエルの中より首領たる人々を集めて我とともに上らしむ 015 EZR 008 001 アルタシヤスタ王の治世に我とともにバビロンより上り來りし者等の宗家の長およびその系譜は左のごとし 015 EZR 008 002 ピネハスの子孫の中にてはゲルシヨム、イタマルの子孫の中にてはダニエル、ダビデの子孫の中にてはハットシ 015 EZR 008 003 シカニヤの子孫の中パロシの子孫の中にてはゼカリヤ彼と偕にありて名簿に載られたる男子百五十人 015 EZR 008 004 パハテモアブの子孫の中にてはゼラヒヤの子エリヨエナイ彼と偕なる男二百人 015 EZR 008 005 シカニヤの子孫の中にてはヤハジエルの子 彼と偕なる男三百人 015 EZR 008 006 アデンの子孫の中にてはヨナタンの子エベデ彼とともなる男五十人 015 EZR 008 007 エラムの子孫の中にてはアタリヤの子ヱサヤ彼と偕なる男七十人 015 EZR 008 008 シパテヤの子孫の中にてはミカエルの子ゼバデヤ彼とともなる男八十人 015 EZR 008 009 ヨハブの子孫の中にてはヱヒエルの子オバデヤ彼とともなる男二百十八人 015 EZR 008 010 シロミテの子孫の中にてはヨシピアの子 彼とともなる男百六十人 015 EZR 008 011 ベバイの子孫の中にてはベバイの子ゼカリヤ彼と偕なる男二十八人 015 EZR 008 012 アズガデの子孫の中にてはハッカタンの子ヨハナン彼とともなる男百十人 015 EZR 008 013 アドニカムの子孫の中の後なる者等あり 其名をエリペレテ、ユエル、シマヤといふ彼らと偕なる男六十人 015 EZR 008 014 ビグワイの子孫の中にてはウタイおよびザブデ彼等とともなる男七十人 015 EZR 008 015 我かれらをアハワに流るる所の河の邊に集めて三日が間かしこに天幕を張居たりしが我民と祭司とを閲せしにレビの子孫一人も其處に居ざりければ 015 EZR 008 016 すなはち人を遣てエリエゼル、アリエル、シマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシユラムなどいふ長たる人々を招きまた敎晦を施こす所のヨヤリブおよびエルナタンを招けり 015 EZR 008 017 而して我カシピアといふ處の長イドの許に彼らを出し遣せり 即ち我カシピアといふ處にをるイドとその兄弟なるネテニ人に告ぐべき詞を之が口に授け我等の神の室のために役者を我儕に携へ來れと言けるが 015 EZR 008 018 我らの神よく我儕を助けたまひて彼等つひにイスラエルの子レビの子マヘリの子孫イシケセルを我らに携さへ來り又セレビヤといふ者およびその子等と兄弟十八人 015 EZR 008 019 ハシヤビヤならびにメラリの子孫のヱサヤおよびその兄弟とその子等二十人を携へ 015 EZR 008 020 またネテニ人すなはちダビデとその牧伯等がレビ人に事へしむるために設けたりしネテニ人二百二十人を携へ來れり 此等の者は皆その名を掲げられたり 015 EZR 008 021 斯て我かしこなるアハワの河の邊にて斷食を宣傳へ我儕の神の前にて我儕身を卑し我らと我らの小き者と我らの諸の所有のために正しき途を示されんことを之に求む 015 EZR 008 022 其は我儕さきに王に告て我らの神は己を求むる者を凡て善く助けまた己を棄る者にはその權能と震怒とをあらはしたまふと言しに因て我道路の敵を防ぎて我儕を護るべき歩兵と騎兵とを王に請ふを羞ぢたればなり 015 EZR 008 023 かくてこのことを我ら斷食して我儕の神に求めけるに其祈禱を容たまへり 015 EZR 008 024 時に我祭司の長十二人即ちセレビヤ、ハシヤビヤおよびその兄弟十人を之とともに擇び 015 EZR 008 025 金銀および器皿すなはち王とその議官とその牧伯と彼處の一切のイスラエル人とが我らの神の室のために獻げたる奉納物を量りて彼らに付せり 015 EZR 008 026 その量りて彼らの手に付せし者は銀六百五十タラント銀の器百タラント金百タラントなりき 015 EZR 008 027 また金の大斝二十あり一千ダリクに當るまた光り輝く精銅の器二箇あり その貴きこと金のごとし 015 EZR 008 028 而して我かれらに言り汝等はヱホバの聖者なり 此器皿もまた聖し又この金銀は汝らの先祖の神ヱホバに奉まつりし誠意よりの禮物なり 015 EZR 008 029 汝等ヱルサレムに至りてヱホバの家の室に於て祭司レビ人の長等およびイスラエルの宗家の首等の前に量るまで之を伺ひ守るべしと 015 EZR 008 030 是に於て祭司およびレビ人その金銀および器皿をヱルサレムなる我らの神の室に携へゆかんとて其重にしたがひて之を受取れり 015 EZR 008 031 我ら正月の十二日にアハワの河邊を出たちてヱルサレム赴きけるが我らの神その手を我らの上におき我らを救ひて敵の手また路に伏て窺ふ者の手に陷らしめたまはざりき 015 EZR 008 032 我儕すなはちヱルサレムに至りて三日かしこに居しが 015 EZR 008 033 四日にいたりて我らの神の室においてその金銀および器皿をウリヤの子祭司メレモテの手に量り付せり ピネハスの子エレアザル彼に副ふ又ヱシユアの子ヨザバデおよびビンヌイの子ノアデヤの二人のレビ人かれらに副ふ 015 EZR 008 034 即ちその一々の重と數を査べ其重をことごとく其時かきとめたり 015 EZR 008 035 俘囚の人々のその俘囚をゆるされて歸り來し者イスラエルの神に燔祭を獻げたり 即ちイスラエル全體にあたる牡牛十二を獻げまた牡羊九十六羔羊七十七罪祭の牡山羊十二を獻げたり 是みなヱホバにたてまつりし燔祭なり 015 EZR 008 036 彼等王の勅諭を王の代官と河外ふの總督等に示しければその人々民を助けて神の室を建しむ 015 EZR 009 001 是等の事の成し後牧伯等我許にきたりて言ふ イスラエルの民祭司およびレビ人は諸國の民とはなれずしてカナン人ヘテ人ペリジ人エビス人アンモニ人モアブ人エジプト人アモリ人などの中なる憎むべき事を行へり 015 EZR 009 002 即ち彼等の女子を自ら娶りまたその男子に娶れば聖種諸國の民と相雜れり牧伯たる者 長たる者さきだちてこの愆を犯せりと 015 EZR 009 003 我この事を聞て我衣と袍を裂き頭髮と鬚を抜き驚き呆れて坐せり 015 EZR 009 004 イスラエルの神の言を戰慄おそるる者はみな俘囚より歸り來し者等の愆の故をもて我許に集まりしが我は晩の供物の時まで驚きつつ茫然として坐しぬ 015 EZR 009 005 晩の供物の時にいたり我その苦行より起て衣と袍とを裂たるまま膝を屈めてわが神ヱホバにむかひ手を舒て 015 EZR 009 006 言けるは我神よ我はわが神に向ひて面を擧るを羞て赧らむ 其は我らの罪積りて頭の上に出で我らの愆重りて天に達すればなり 015 EZR 009 007 我らの先祖の日より今日にいたるまで我らは大なる愆を身に負り 我らの罪の故によりて我儕と我らの王等および祭司たちは國々の王等の手に付され劍にかけられ擄へゆかれ掠められ面に恥をかうぶれり 今日のごとし 015 EZR 009 008 然るに今われらの神ヱホバ暫く恩典を施こして逃れ存すべき者を我らの中に殘し我らをしてその聖所にうちし釘のごとくならしめ斯して我らの神われらの目を明にし我らをして奴隸の中にありて少く生る心地せしめたまへり 015 EZR 009 009 そもそも我らは奴隸の身なるがその奴隸たる時にも我らの神われらを忘れず反てペルシヤの王等の目の前にて我らに憐憫を施こして我らに活る心地せしめ我らの神の室を建しめ其破壞を修理はしめユダとヱルサレムにて我らに石垣をたまふ 015 EZR 009 010 我らの神よ已に是のごとくなれば我ら今何と言のべんや 我儕はやくも汝の命令を棄たればなり 015 EZR 009 011 汝かつて汝の僕なる預言者等によりて命じて宣へり 云く汝らが往て獲んとする地はその各地の民の汚穢により其憎むべき事によりて汚れたる地にして此極より彼極までその汚穢盈わたるなり 015 EZR 009 012 然ば汝らの女子を彼らの男子に與ふる勿れ 彼らの女子をなんぢらの男子に娶る勿れ 又何時までもかれらの爲に平安をも福祿をも求むべからず 然すれば汝ら旺盛にしてその地の佳物を食ふことを得永くこれを汝らの子孫に傳へて產業となさしむることを得んと 015 EZR 009 013 我らの惡き行により我らの大なる愆によりて此事すべて我儕に臨みたりしが汝我らの神はわれらの罪よりも輕く我らを罰して我らの中に是のごとく人を遺したまひたれば 015 EZR 009 014 我儕再び汝の命令を破りて是等の憎むべき行ある民と縁を結ぶべけんや 汝我らを怒りて終に滅ぼし盡し遺る者も逃るる者も無にいたらしめたまはざらんや 015 EZR 009 015 イスラエルの神ヱホバよ汝は義し 即ち我ら逃れて遺ること今日のごとし 今我ら罪にまとはれて汝の前にあり 是がために一人として汝の前に立ことを得る者なきなり 015 EZR 010 001 エズラ神の室の前に泣伏して禱りかつ懺悔しをる時に男女および兒女はなはだし多くイスラエルの中より集ひて彼の許に聚り來れり すべての民はいたく泣かなしめり 015 EZR 010 002 時にエラムの子ヱヒエルの子シカニヤ答へてエズラに言ふ 我らはわれらの神に對ひて罪を犯し此地の民なる異邦人の婦女を娶れり 然ながら此事につきてはイスラエルに今なほ望あり 015 EZR 010 003 然ば我儕わが主の敎晦にしたがひ又我らの神の命令に戰慄く人々の敎晦にしたがひて斯る妻をことごとく出し之が產たる者を去んといふ契約を今われらの神に立てん 而して律法にしたがひて之を爲べし 015 EZR 010 004 起よ是事は汝の主どる所なり 我ら汝を助くべし心を強くして之を爲せと 015 EZR 010 005 エズラやがて起あがり祭司の長等レビ人およびイスラエルの人衆をして此言のごとく爲んと誓はしめたり 彼ら乃ち誓へり 015 EZR 010 006 かくてエズラ神の家の前より起いでてエリアシブの子ヨハナンの室に入しが彼處に至りてもパンを食ず水を飮ざりき 是は俘囚より歸り來りし者の愆を憂へたればなり 015 EZR 010 007 斯てユダおよびヱルサレムに遍ねく宣て俘囚の人々に盡く示して云ふ 汝ら皆ヱルサレムに集まるべし 015 EZR 010 008 凡そ牧伯等と長老等の諭言にしたがひて三日の内に來らざる者は皆その一切の所有を取あげられ俘擄人の會より黜けらるべしと 015 EZR 010 009 是においてユダとベニヤミンの人々みな三日の内にヱルサレムに集まれり 是は九月にして恰もその月の廿日なりき 民みな神の室の前なる廣塲に坐して此事のためまた大雨のために震ひ慄けり 015 EZR 010 010 時に祭司エズラ起て之に言けるは汝らは罪を犯し異邦の婦人を娶りてイスラエルの愆を増り 015 EZR 010 011 然ば今なんぢらのの先祖の神ヱホバに懺悔してその御旨を行へ 即ち汝等この地の民等および異邦の婦人とはなるべしと 015 EZR 010 012 會衆みな聲をあげて答へて言ふ 汝が我らに諭せるごとく我儕かならず爲べし 015 EZR 010 013 然ど民は衆し 又今は大雨の候なれば我儕外に立こと能はず 且これは一日二日の事業にあらず 其は我らこの事について大に罪を犯したればなり 015 EZR 010 014 然ば我らの牧伯等この全會衆のために立れよ 凡そ我儕の邑の内にもし異邦の婦人を娶りし者あらば皆定むる時に來るべし 又その各々の邑の長老および裁判人これに伴ふべし 斯して此事を成ば我らの神の烈しき怒つひに我らを離るるあらんと 015 EZR 010 015 その時立てこれに逆ひし者はアサヘルの子ヨナタンおよびテクワの子ヤハジア而已メシユラムおよびレビ人シヤベタイこれを贊く 015 EZR 010 016 俘囚より歸り來りし者つひに然なし 祭司エズラおよび宗家の長數人その宗家にしたがひて名指して撰ばれ十月の一日より共に坐してこの事を査べ 015 EZR 010 017 正月の一日に至りてやうやく異邦の婦人を娶りし人々を盡く査べ畢れり 015 EZR 010 018 祭司の徒の中にて異邦の婦人を娶りし者は即ちヨザダクの子ヱシユアの子等およびその兄弟マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダリヤ 015 EZR 010 019 彼らはその妻を出さんといふ誓をなし已に愆を獲たればとて牡羊一匹をその愆のために獻げたり 015 EZR 010 020 インメルの子孫ハナニおよびゼバデヤ 015 EZR 010 021 ハリムの子孫マアセヤ、エリヤ、シマヤ、ヱヒエル、ウジヤ 015 EZR 010 022 パシユルの子孫エリオエナイ、マアセヤ、イシマエル、ネタンエル、ヨザバデ、エラサ 015 EZR 010 023 レビ人の中にてはヨザバデ、シメイ、ケラヤ(即ちケリタ)ペタヒヤ、ユダ、エリエゼル 015 EZR 010 024 謳歌者の中にてはエリアシブ 門を守る者の中にてはシヤルム、テレムおよびウリ 015 EZR 010 025 イスラエルの中にてはパロシの子孫ラミヤ、エジア、マルキヤ、ミヤミン、エレアザル、マルキヤ、ベナヤ 015 EZR 010 026 エラムの子孫マッタニヤ、ゼカリヤ、ヱヒエル、アブデ、ヱレモテ、エリヤ 015 EZR 010 027 ザットの子孫エリオエナイ、エリアシブ、マッタニヤ、ヱレモテ、ザバデ、アジザ 015 EZR 010 028 ベバイの子孫ヨハナン、ハナニヤ、ザバイ、アテライ 015 EZR 010 029 バニの子孫メシユラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シヤル、ヱレモテ 015 EZR 010 030 パハテモアブの子孫アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マッタニヤ、ベザレル、ビンヌイ、マナセ 015 EZR 010 031 ハリムの子孫エリエゼル、ヱシヤ、マルキヤ、シマヤ、シメオン 015 EZR 010 032 ベニヤミン、マルク、シマリヤ 015 EZR 010 033 ハシュムの子孫マッテナイ、マツタタ、ザバデ、エリパレテ、ヱレマイ、マナセ、シメイ 015 EZR 010 034 バニの子孫マアダイ、アムラム、ウエル 015 EZR 010 035 ベナヤ、ベデヤ、ケルヒ 015 EZR 010 036 ワニヤ、メレモテ、エリアシブ 015 EZR 010 037 マッタニヤ、マッテナイ、ヤアス 015 EZR 010 038 バニ、ビンヌイ、シメイ 015 EZR 010 039 シレミヤ、ナタン、アダヤ 015 EZR 010 040 マクナデバイ、シヤシヤイ、シヤライ 015 EZR 010 041 アザリエル、シレミヤ、シマリヤ 015 EZR 010 042 シヤルム、アマリヤ、ヨセフ 015 EZR 010 043 ネボの子孫ヱイエル、マッタテヤ、ザバデ、ゼビナ、イド、ヨエル、ベナヤ 015 EZR 010 044 是みな異邦の婦人を娶りし者なり その婦人の中には子女を產し者もありき # # BOOK 016 NEH Nehemiah ネヘミヤ 記 016 NEH 001 001 ハカリヤの子ネヘミヤの言詞/第二十年キスレウの月我シユシヤンの都にありける時 016 NEH 001 002 わが兄弟の一人なるハナニ數人の者とともにユダより來りしかば我俘虜人の遺餘なる夫の逃れかへりしユダヤ人の事およびヱルサレムの事を問たづねしに 016 NEH 001 003 彼ら我に言けるは俘虜人の遺餘なる夫の州内の民は大なる患難に遭ひ凌辱に遭ふ又ヱルサレムの石垣は打崩され其門は火に焚たりと 016 NEH 001 004 我この言を聞坐りて泣き數日の間哀しみ斷食し天の神に祈りて言ふ 016 NEH 001 005 天の神ヱホバ大なる畏るべき神己を愛し己の誡命を守る者にむかひて契約を保ち恩惠を施こしたまふ者よ 016 NEH 001 006 ねがはくは耳を傾むけ目を開きて僕の祈祷を聽いれたまへ我いま汝の僕なるイスラエルの子孫のために日夜なんぢの前に祈り我儕イスラエルの子孫が汝にむかひて犯せし罪を懺悔す誠に我も我父の家も罪を犯せり 016 NEH 001 007 我らは汝にむかひて大に惡き事を行ひ汝の僕モーセに汝の命じたまひし誡命をも法度をも例規をも守らざりき 016 NEH 001 008 請ふ汝の僕モーセに命じたまひし言を憶ひたまへ其言に云く汝ら若罪を犯さば我汝らを國々に散さん 016 NEH 001 009 然れども汝らもし我にたちかへり我誡命を守りてこれを行なはば暇令逐れゆきて天の涯にをるとも我そこより汝等をあつめ我名を住はせんとて撰びし處にきたらしめんと 016 NEH 001 010 そもそも是等の者は汝が大なる能力と強き手をもて贖ひたまひし汝の僕なんぢの民なり 016 NEH 001 011 主よ請ふ僕の祈祷および汝の名を畏むことを悦こぶ汝の僕等の祈祷に耳を傾けたまへ願くは今日僕を助けて此人の目の前に憐憫を得させたまへこの時我は王の酒人なりき 016 NEH 002 001 茲にアルタシヤスタ王の二十年ニサンの月王の前に酒のいでし時我酒をつぎて王にたてまつれり我は今まで王の前にて憂色を帶しこと有ざりき 016 NEH 002 002 王われに言けるは汝は疾病も有ざるに何とて面に憂色を帶るや是他ならず心に憂ふる所あるなりと是において我甚だ大に懼れたりしが 016 NEH 002 003 遂に王に奏して曰ふ願くは王長壽かれ我が先祖の墓の地たるその邑は荒蕪その門は火にて焚たれば我いかで顔に憂色を帶ざるを得んやと 016 NEH 002 004 王われに向ひて然らば汝何をなさんと願ふやと言ければ我すなはち天の神に祈りて 016 NEH 002 005 王に言けるは王もし之を善としたまひ我もし汝の前に恩を得たる者なりせば願くはユダにあるわが先祖の墓の邑に我を遣はして我にこれを建起さしめたまへと 016 NEH 002 006 時に后妃も傍に坐しをりしが王われに言けるは汝が往てをる間は何程なるべきや何時頃歸りきたるやと王かく我を遣はすことを善としければ我期を定めて奏せり 016 NEH 002 007 而して我また王に言けるは王もし善としたまはば請ふ河外ふの總督等に與ふる書を我に賜ひ彼らをして我をユダまで通さしめたまへ 016 NEH 002 008 また王の山林を守るアサフに與ふる書をも賜ひ彼をして殿に屬する城の門を作り邑の石垣および我が入べき家に用ふる材木を我に授けしめたまへと我神善く我を助けたまひしに因て王これを我に允せり 016 NEH 002 009 是に於て我河外ふの總督等に詣りて王の書をこれに付せり王は軍長數人に騎兵をそへて我に伴なはせたり 016 NEH 002 010 時にホロニ人サンバラテおよびアンモニ人奴隸トビヤこれを聞きイスラエルの子孫の安寧を求むる人來れりとて大に憂ふ 016 NEH 002 011 我ついにヱルサレムに到りて彼處に三日居りける後 016 NEH 002 012 夜中に起いでたり數人の者われに伴なふ我はわが神がヱルサレムのために爲せんとて我心に入たまひし所の事を何人にも告しらせず亦我が乗る一匹の畜の外には畜を引つれざりき 016 NEH 002 013 我すなはち夜中に立いで谷の門を通り龍井の對面を經糞門に至りてヱルサレムの石垣を閲せしにその石垣は頽れをりその門は已に火に焚てありき 016 NEH 002 014 かくて又前みて泉の門にゆき王の池にいたりしに我が乗る畜の通るべき處なかりき 016 NEH 002 015 我亦その夜の中に渓川に沿て進みのぼりて石垣を觀めぐり頓て身を反して谷の門より歸りいりぬ 016 NEH 002 016 然るに牧伯等は我が何處に往しか何を爲しかを知ざりき我また未だこれをユダヤ人にも祭司にも貴き人にも方伯等にも其他の役人にも告しらせざりしが 016 NEH 002 017 遂に彼らに言けるは汝らの見るごとく我儕の境遇は惡くヱルサレムは荒はてその門は火に焚たり來れ我儕ヱルサレムの石垣を築きあげて再び世の凌辱をうくることなからんと 016 NEH 002 018 而して我わが神の善われを助けたまひし事を彼らに告げまた王の我に語りし言詞をも告しらせければ去來起て築かんと言ひ皆奮ひてこの美事を爲んとす 016 NEH 002 019 時にホロニ人サンバラテ、アンモニ人奴隸トビヤおよびアラビヤ人ガシムこれを聞て我らを嘲けり我儕を悔りて言ふ汝ら何事をなすや王に叛かんとするなるかと 016 NEH 002 020 我すなはち答へて彼らに言ふ天の神われらをして志を得させたまはん故に其僕たる我儕起て築くべし然ど汝らはヱルサレムに何の分もなく權理もなく記念もなしと 016 NEH 003 001 茲に祭司の長ヱリアシブその兄弟の祭司等とともに起て羊の門を建て之を聖別てその扉を設け尚も之を聖別てハンメアの戌樓に及ぼし又ハナネルの戌樓に及ぼせり 016 NEH 003 002 その次にはヱリコの人々を築き建て其次にはイムリの子ザツクル築き建たり 016 NEH 003 003 魚の門はハツセナアの子等これを建構へその扉を設けて之に鎖と閂を施こせり 016 NEH 003 004 その次にはハツコヅの子ウリヤの子メレモタ修繕をなし其次にはメシザベルの子ベレキヤの子メシユラム修繕をなしその次にはバアナの子ザドク修繕をなし 016 NEH 003 005 その次にはテコア人等修繕をなせり但しその貴き族はその主の工事に服せざりき 016 NEH 003 006 古門はパセアの子ヨイアダおよびベソデヤの子メシユラムこれを修繕ひ構へその扉を設けて之に鎖と閂を施せり 016 NEH 003 007 その次にはギベオン人メラテヤ、メロノテ人ヤドン河外ふの總督の管轄に屬するギベオンとミヅパの人々等修繕をなせり 016 NEH 003 008 その次にはハルハヤの子ウジエルなどの金工修繕をなし其次には製香者ハナニヤなど修繕をなしヱルサレムを堅うして石垣の廣き處にまで及べり 016 NEH 003 009 その次にはエルサレムの郡の半の知事ホルの子レパヤ修繕をなせり 016 NEH 003 010 その次にはハルマフの子ヱダヤ己の家と相對ふ處を修繕りその次にはハシヤブニヤの子ハツトシ修繕をなせり 016 NEH 003 011 ハリムの子マルキヤおよびバハテモアブの子ハシユブも一方を修繕ひまた爐戍樓を修繕へり 016 NEH 003 012 その次にはヱルサレムの郡の半の知事ハロヘシの子シヤルムその女子等とともに修繕をなせり 016 NEH 003 013 谷の門はハヌン、ザノアの民と偕に之を修繕ひ之を建なほしてその扉を設け之に鎖と閂を施しまた糞の門までの石垣一千キユビトを修繕り 016 NEH 003 014 糞の門はベテハケレムの郡の半の知事レカブの子マルキヤこれを修繕ひ之を建なほしてその扉を設け之に鎖と閂を施こせり 016 NEH 003 015 泉の門はミヅパの郡の知事コロホゼの子シヤルンこれを修繕ひ之を建なほして覆ひその扉を設け之に鎖と閂を施こしまた王の園の邊なるシラの池に沿る石垣を修繕てダビデの邑より下るところの階級にまで及ぼせり 016 NEH 003 016 その後にはベテズルの郡の半の知事アズブクの子ネヘミヤ修繕をなしてダビデの墓に對ふ處にまで及ぼし堀池に至り勇士宅に至れり 016 NEH 003 017 その後にはバニの子レホムなどのレビ人修繕をなし其次にはケイラの郡の半の知事ハシヤビヤその郡の爲に修繕をなせり 016 NEH 003 018 その後にはケイラの郡の半の知事ヘナダデの子バワイなどいふ其兄弟修繕をなし 016 NEH 003 019 その次にはヱシユアの子ミヅパの知事エゼル石垣の彎にある武器庫に上る所に對へる部分を修繕ひ 016 NEH 003 020 その後にはザバイの子バルク力を竭して石垣の彎より祭司の長エリアシブの家の門までの部分を修繕ひ 016 NEH 003 021 その次にはハツコヅの子ウリヤの子メレモテ、エリアシブの家の門よりエジアシブの家の極までの部分を修繕ひ 016 NEH 003 022 その次には窪地の人なる祭司等修繕をなし 016 NEH 003 023 その次にはベニヤミンおよびハシユブ己の家と相對ふ處を修繕ひ其次にはアナニヤの子マアセヤの子アザリヤ己の家に近き處を修繕ひ 016 NEH 003 024 その次にはヘナダデの子ビンヌイ、アザリヤの家より石垣の彎角までの部分を修繕へり 016 NEH 003 025 ウザイの子パラルは石垣の彎に對ふ處および王の上の家より聳え出たる戍樓に對ふ處を修繕り是は侍衛の廳に近し其次にはパロシの子ペダヤ修繕をなせり 016 NEH 003 026 時にネテニ人オペルに住をりて東の方水の門に對ふ處および聳え出たる戍樓に對ふ處まで及べり 016 NEH 003 027 その次にはテコア人聳出たる大戍樓に對ふところの部分を修繕てオペルの石垣に及ぼせり 016 NEH 003 028 馬の門より上は祭司等おのおのその己の家と相對ふ處を修繕り 016 NEH 003 029 その次にはインメルの子ザドク己の家と相對ふ處を修繕ひ其次にはシカニヤの子シマヤといふ東の門を守る者修繕をなし 016 NEH 003 030 その次にはシレミヤの子ハナニヤおよびザラフの第六の子ハヌン一方を修繕ひその後にはベレキヤの子メシユラム己の室と相對ふ處を修繕へり 016 NEH 003 031 その次には金工の一人マルキヤといふ者ハンミフカデの門と相對ふ處を修繕ひて隅の昇口に至りネテニ人および商人の家に及ぼせり 016 NEH 003 032 また隅の昇口と羊の門の間は金工および商人等これを修繕へり 016 NEH 004 001 茲にサンバラテわれらが石垣を築くを聞て怒り大に憤ほりてユダヤ人を罵れり 016 NEH 004 002 即ち彼その兄弟等およびサマリアの軍兵の前に語りて言ふ此軟弱しきユダヤ人何を爲や自ら強くせんとするか獻祭をなさんとするか一日に事を終んとするか塵堆の中の石は旣に燬たるに之を取出して活さんとするかと 016 NEH 004 003 時にアンモニ人トビヤその傍にありてまた言ふ彼らの築く石垣は狐上るも圮るべしと 016 NEH 004 004 我らの神よ聽たまへ我らは侮らる願くは彼らの出す凌辱をその身の首に歸し彼らを他國に擄はれしめ掠られしめたまへ 016 NEH 004 005 彼らの愆を蔽ひたまふ勿れ彼らの罪を汝の前より消去しめたまはざれ其は彼ら築建者の前にて汝の怒を惹おこしたればなり 016 NEH 004 006 斯われら石垣を築きけるが石垣はみな已に相連なりてその高さの半にまで及べり其は民心をこめて操作たればなり 016 NEH 004 007 然るにサンバラテ、トビヤ、アラビヤ人アンモニ人アシドド人等ヱルサレムの石垣改修れ其破壞も次第に塞がると聞て大に怒り 016 NEH 004 008 皆ともに相結びてヱルサレムに攻來らんとしその中に擾亂をおこさんとせり 016 NEH 004 009 是において我ら神に祈祷をなしかれらのために日夜守望者を置て之に備ふ 016 NEH 004 010 ユダ人は言り荷を負ふ者の力衰へしが上に灰土おびただしくして我ら石垣を築くこと能はずと 016 NEH 004 011 我らの敵は言り彼等が知ずまた見ざる間に我ら其中に入り之を殺してその工事を止めんと 016 NEH 004 012 又彼らの邊に住るユダヤ人來る時は我らに告て言ふ汝ら我らの所に歸らざるべからずと其事十次にも及べり 016 NEH 004 013 是に因て我石垣の後の顯露なる低き處に民を置き劍鎗または弓を持せてその宗族にしたがひて之をそなふ 016 NEH 004 014 我觀めぐり起て貴き人々および牧伯等ならびにその餘の民に告て云ふ汝ら彼等のために懼るる勿れ主の大にして畏るべきを憶ひ汝らの兄弟のため男子女子のため妻および家のために戰かへよと 016 NEH 004 015 我らの敵おのが事の我らに知れたるをききておのが謀計を神に破られたるを聞しによりて我ら皆石垣に歸り各々その工事をなせり 016 NEH 004 016 其時より後わが僕半は工事に操作き半は鎗楯弓などを持て鎧を着たり牧伯等はユダの全家の後にありき 016 NEH 004 017 石垣を築く者および荷を負ひはこぶ者は各々片手もて工事を爲し片手に武器を執り 016 NEH 004 018 築建者はおのおのその腰に劍を帶て築き建つ又喇叭を吹く者は我傍にあり 016 NEH 004 019 我貴き人々および牧伯等ならびにその餘の民に告て云ふ此工事は大にして廣ければ我儕石垣にありて彼此に相離ること遠し 016 NEH 004 020 何處にもあれ汝ら喇叭の音のきこゆるを聞ば其處に奔あつまりて我らに就け我らの神われらのために戰ひたまふべしと 016 NEH 004 021 我ら斯して工事をなしけるが半の者は東雲の出るより星の現はるるまで鎗を持をれり 016 NEH 004 022 當時われ亦民に言らく皆おのおのその僕とともにヱルサレムの中に宿り夜は我らの防守となり晝は工事をつとむべしと 016 NEH 004 023 而して我もわが兄弟等もわが僕も我に從がふ防守の人々もその衣服を脱ず水を汲に出るにも皆武器を執れり 016 NEH 005 001 茲に民その妻とともにその兄弟なるユダヤ人にむかひて大に叫べり 016 NEH 005 002 或人言ふ我儕および我らの男子女子は多し我ら穀物を得食ふて生ざるべからず 016 NEH 005 003 或人は言ふ我らは我らの田畑葡萄園および家をも質となすなり旣に饑に迫れば我らに穀物を獲させよ 016 NEH 005 004 或は言ふ我らは我らの田畝および葡萄園をもて金を貸て王の租税を納む 016 NEH 005 005 然ど我らの肉も我らの兄弟の肉と同じく我らの子女も彼らの子女と同じ視よ我らは男子女子を人に伏從はせて奴隸となす我らの女子の中すでに人に伏從せし者もあり如何とも爲ん方法なし其は我らの田畝および葡萄園は別の人の有となりたればなりと 016 NEH 005 006 我は彼らの叫および是等の言を聞て大に怒れり 016 NEH 005 007 是において我心に思ひ計り貴き人々および牧伯等を責てこれに言けるは汝らは各々その兄弟より利息を取るなりと而して我かれらの事につきて大會を開き 016 NEH 005 008 彼らに言けるは我らは異邦人の手に賣れたる我らの兄弟ユダヤ人を我らの力にしたがひて贖へり然るにまた汝等は己の兄弟を賣んとするやいかで之をわれらの手に賣るべけんやと彼らは默して言なかりき 016 NEH 005 009 我また言けるは汝らの爲すところ善らず汝らは我らの敵たる異邦人の誹謗をおもひて我儕の神を畏れつつ事をなすべきに非ずや 016 NEH 005 010 我もわが兄弟および僕等も同じく金と穀物とを貸て利息を取ことをなす願くは我らこの利息を廢ん 016 NEH 005 011 請ふ汝ら今日にも彼らの田畝葡萄園橄欖園および家を彼らに還しまた彼らに貸あたへて金穀物および酒油などの百分の一を取ることを廢よと 016 NEH 005 012 彼ら即ち言けるは我ら之を還すべし彼らに何をも要めざらん汝の言るごとく我ら然なすべしと是に於て我祭司を呼び彼らをして此言のごとく行なふといふ誓を立しめたり 016 NEH 005 013 而して我わが胸懐を打拂ひて言ふ此言を行はざる者をば願くは神是のごとく凡て打拂ひてその家およびその業を離れさせたまへ即ちその人は斯打拂はれて空しくなれかしと時に會衆みなアーメンと言てヱホバを讃美せり而して民はこの言のごとくに行へり 016 NEH 005 014 且また我がユダの地の總督に任ぜられし時より即ちアルタシヤユタ王の二十年より三十二年まで十二年の間は我もわが兄弟も總督の受べき禄を食ざりき 016 NEH 005 015 わが以前にありし舊の總督等は民に重荷を負せてパンと酒とを是より取り其外にまた銀四十シケルを取れり然のみならずその僕等も亦民を圧せり然ども我は神を畏るるに因て然せざりき 016 NEH 005 016 我は反てこの石垣の工事に身を委ね我儕は何の田地をも買しこと無し我僕は皆かしこに集りて工事をなせり 016 NEH 005 017 且また我席にはユダヤ人および牧伯等百五十人あり其外にまた我らの周圍の異邦人の中より我らに來れる者等もありき 016 NEH 005 018 是をもて一日に牛一匹肥たる羊六匹を備へ亦鶏をも許多備へ十日に一回種々の酒を多く備へたり是ありしかどもこの民の役おもきに因て我は總督の受くべき禄を要めざりき 016 NEH 005 019 わが神よ我が此民のために爲る一切の事を憶ひ仁慈をもて我をあしらひ給へ 016 NEH 006 001 サンバラテ、トビヤおよびアラビヤ人ガシムならびにその餘の我らの敵我が石垣を築き終りて一の破壞も遺らずと聞り(然どその時は未だ門に扉を設けざりしなり) 016 NEH 006 002 是においてサンバラテとガシム我に言つかはしけるは來れ我らオノの平野なる某の村にて相會せんとその實は我を害せんと思ひしなり 016 NEH 006 003 我すなはち使者を彼らに遣はして言らく我は大なる工事をなし居れば下りゆくことを得ずなんぞ工事を離れ汝らの所に下りゆきてその間工事を休ますべけんやと 016 NEH 006 004 彼ら四次まで是のごとく我に言遣はしけるが我は何時もかくのごとく之に答へたり 016 NEH 006 005 是においてサンバラテまた五次目にその僕を前のごとく我に遣はせり其手には封ぜざる書を携さふ 016 NEH 006 006 その文に云く國々にて言傳ふガシムもまた然いふ汝はユダヤ人とともに叛かんとして之がために石垣を築けり而して汝はその王とならんとすとその言ところ是のごとし 016 NEH 006 007 また汝は預言者を設けて汝の事をヱルサレムに宣しめユダに王ありと言しむといひ傳ふ恐くはその事この言のごとく王に聞えん然ば汝いま來れ我ら共に相議らんと 016 NEH 006 008 我すなはち彼に言つかはしけるは汝が言るごとき事を爲し事なし惟なんぢ之を己の心より作りいだせるなりと 016 NEH 006 009 彼らは皆われらを懼れしめんとせり彼ら謂らく斯なさば彼ら手弱りて工事を息べければ工事成ざるべしと今ねがはくは我手を強くしたまへ 016 NEH 006 010 かくて後我メヘタベルの子デラヤの子シマヤの家に往しに彼閉こもり居て言らく我ら神の室に到りて神殿の内に相會し神殿の戸を閉おかん彼ら汝を殺さんとて來るべければなり必ず夜のうちに汝を殺さんとて來るべしと 016 NEH 006 011 我言けるは我ごとき人いかで逃べけんや我ごとき身にして誰か神殿に入て生命を全うすることを爲んや我は入じと 016 NEH 006 012 我暁れるに神かれを遣はしたまひしに非ず彼が我にむかひて此預言を説しはトビヤとサンバラテ彼に賄賂したればなり 016 NEH 006 013 彼に賄賂せしは此事のためなり即ち我をして懼れて然なして罪を犯さしめ惡き名を我に負する種を得て我を辱しめんとてなりき 016 NEH 006 014 わが神よトビヤ、サンバラテおよび女預言者ノアデヤならびにその他の預言者など凡て我を懼れしめんとする者等を憶えてその行爲に報をなしたまへ 016 NEH 006 015 石垣は五十二日を歴てエルルの月の二十五日に成就せり 016 NEH 006 016 我らの敵皆これを聞ければ我らの周圍の異邦人は凡て怖れ大に面目をうしなへり其は彼等この工事は我らの神の爲たまひし者なりと暁りたればなり 016 NEH 006 017 其頃ユダの貴き人々しばしば書をトビヤにおくれりトビヤの書もまた彼らに來れり 016 NEH 006 018 トビヤはアラの子シカニヤの婿なるをもてユダの中に彼と盟を結べる者多かりしが故なりトビヤの子ヨハナンも亦ベレキヤの子メシユラムの女子を妻に娶りたり 016 NEH 006 019 彼らはトビヤの善行を我前に語りまた我言を彼に通ぜりトビヤは常に書をおくりて我を懼れしめんとせり 016 NEH 007 001 石垣を築き扉を設け門を守る者謳歌者およびレビ人を立るにおよびて 016 NEH 007 002 我わが兄弟ハナニおよび城の宰ハナニヤをしてヱルサレムを治めしむ彼は忠信なる人にして衆多の者に超りて神を畏るる者なり 016 NEH 007 003 我かれらに言ふ日の熱くなるまではヱルサレムの門を啓くべからず人々の立て守りをる間に門を閉させて汝らこれを堅うせよ汝らヱルサレムの民を番兵に立て各々にその所を守らしめ各々にその家と相對ふ處を守らしめよと 016 NEH 007 004 邑は廣くして大なりしかどもその内の民は寡くして家は未だ建ざりき 016 NEH 007 005 我神はわが心に貴き人々牧伯等および民を集めてその名簿をしらぶる思念を起さしめたまへり我最先に上り來りし者等の系圖の書を得て見にその中に書しるして曰く 016 NEH 007 006 往昔バビロンの王ネブカデネザルに擄へられバビロンに遷されたる者のうち俘囚をゆるされてヱルサレムおよびユダに上りおのおの己の邑に歸りし此州の者は左の如し 是皆ゼルバベル、ヱシユア、ネヘミヤ、アザリヤ、ラアミヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシヤン、ミスペレテ、ビグワイ、ネホム、バアナ等に隨ひ來れり 016 NEH 007 007 そのイスラエルの民の人數は是のごとし 016 NEH 007 008 パロシの子孫二千百七十二人 016 NEH 007 009 シパテヤの子孫三百七十二人 016 NEH 007 010 アラの子孫六百五十二人 016 NEH 007 011 ヱシユアとヨアブの族たるパハテモアブの子孫二千八百十八人 016 NEH 007 012 エラムの子孫千二百五十四人 016 NEH 007 013 ザツトの子孫八百四十五人 016 NEH 007 014 ザツカイの子孫七百六十人 016 NEH 007 015 ビンヌイの子孫六百四十八人 016 NEH 007 016 ベバイの子孫六百二十八人 016 NEH 007 017 アズガデの子孫二千三百二十二人 016 NEH 007 018 アドニカムの子孫六百六十七人 016 NEH 007 019 ビグワイの子孫二千六十七人 016 NEH 007 020 アデンの子孫六百五十五人 016 NEH 007 021 ヒゼキヤの家のアテルの子孫九十八人 016 NEH 007 022 ハシユムの子孫三百二十八人 016 NEH 007 023 ベザイの子孫三百二十四人 016 NEH 007 024 ハリフの子孫百十二人 016 NEH 007 025 ギベオンの子孫九十五人 016 NEH 007 026 ベテレヘムおよびネトパの人百八十八人 016 NEH 007 027 アナトテの人百二十八人 016 NEH 007 028 ベテアズマウテの人四十二人 016 NEH 007 029 キリアテヤリム、ケピラおよびベエロテの人七百四十三人 016 NEH 007 030 ラマおよびゲバの人六百二十一人 016 NEH 007 031 ミクマシの人百二十二人 016 NEH 007 032 ベテルおよびアイの人百二十三人 016 NEH 007 033 他のネボの人五十二人 016 NEH 007 034 他のエラムの民千二一百五十四人 016 NEH 007 035 ハリムの民三百二十人 016 NEH 007 036 ヱリコの民三百四十五人 016 NEH 007 037 ロド、ハデデおよびオノの民七百二十一人 016 NEH 007 038 セナアの子孫三千九百三十人 016 NEH 007 039 祭司はヱシユアの家のヱダヤの子孫九百七十三人 016 NEH 007 040 インメルの子孫千五十二人 016 NEH 007 041 パシユルの子孫一千二百四十七人 016 NEH 007 042 ハリムの子孫一千十七人 016 NEH 007 043 レビ人はホデワの子等ヱシユアとカデミエルの子孫七十四人 016 NEH 007 044 謳歌者はアサフの子孫百四十八人 016 NEH 007 045 門を守る者はシヤルムの子孫アテルの子孫タルモンの子孫アツクブの子孫ハテタの子孫シヨバイの子孫百三十八人 016 NEH 007 046 ネテニ人はジハの子孫ハスパの子孫タバオテの子孫 016 NEH 007 047 ケロスの子孫シアの子孫パドンの子孫 016 NEH 007 048 レバナの子孫ハガバの子孫サルマイの子孫 016 NEH 007 049 ハナンの子孫ギデルの子孫ガハルの子孫 016 NEH 007 050 レアヤの子孫レヂンの子孫ネコダの子孫 016 NEH 007 051 ガザムの子孫ウザの子孫パセアの子孫 016 NEH 007 052 ベサイの子孫メウニムの子孫ネフセシムの子孫 016 NEH 007 053 バクブクの子孫ハクパの子孫ハルホルの子孫 016 NEH 007 054 バヅリテの子孫メヒダの子孫ハルシヤの子孫 016 NEH 007 055 バルコスの子孫シセラの子孫テマの子孫 016 NEH 007 056 ネヂアの子孫ハテパの子孫等なり 016 NEH 007 057 ソロモンの僕たりし者等の子孫は即ちソタイの子孫ソペレテの子孫ペリダの子孫 016 NEH 007 058 ヤアラの子孫ダルコンの子孫ギデルの子孫 016 NEH 007 059 シパテヤの子孫ハツテルの子孫ポケレテハツゼバイムの子孫アモンの子孫 016 NEH 007 060 ネテニ人とソロモンの僕たりし者等の子孫とは合せて三百九十二人 016 NEH 007 061 またテルメラ、テルハレサ、ケルブ、アドンおよびインメルより上り來れる者ありしがその宗家とその血統とを示してイスラエルの者なるを明かにすることを得ざりき 016 NEH 007 062 是すなはちデラヤの子孫トビヤの子孫ネコダの子孫にして合せて六百四十二人 016 NEH 007 063 祭司の中にホバヤの子孫ハツコヅの子孫バルジライの子孫ありバルジライはギレアデ人バルジライの女を妻に娶りてその名を名りしなり 016 NEH 007 064 是等の者系圖に載る者等の中にその籍を尋ねたれども在ざりき是故に汚れたる者として祭司の中より除かれたり 016 NEH 007 065 テルシヤタ即ち之に告てウリムとトンミムを帶る祭司の興るまでは至聖物を食ふべからずと言り 016 NEH 007 066 會衆あはせて四萬二千三百六十人 016 NEH 007 067 この外にその僕婢七千三百三十七人謳歌男女二百四十五人あり 016 NEH 007 068 その馬七百三十六匹その騾二百四十五匹 016 NEH 007 069 駱駝四百三十五匹驢馬六千七百二十匹 016 NEH 007 070 宗家の長の中工事のために物を納めし人々ありテルシヤタは金一千ダリク鉢五十 祭司の衣服五百三十襲を施して庫に納む 016 NEH 007 071 また宗家の長數人は金二萬ダリク銀二千二百斤を工事のために庫に納む 016 NEH 007 072 その餘の民の納めし者は金二萬ダリク銀二千斤祭司の衣服六十七襲なりき 016 NEH 007 073 かくて祭司レビ人門を守る者謳歌者民等ネテニ人およびイスラエル人すべてその邑々に住り/イスラエルの子孫かくてその邑々に住みをりて七月にいたりぬ 016 NEH 008 001 茲に民みな一人のごとくになりて水の門の前なる廣場に集り學士エズラに請てヱホバのイスラエルに命じたまひしモーセの律法の書を携へきたらんことを求めたり 016 NEH 008 002 この日すなはち七月一日祭司エズラ律法を携へ來りてその集りをる男女および凡て聽て了ることを得るところの人々の前に至り 016 NEH 008 003 水の門の前なる廣場にて曙より日中まで男女および了り得る者等の前にこれを誦めり民みな律法の書に耳を傾く 016 NEH 008 004 學士エズラこの事のために預て設けたる木の臺の上に立たりしがその傍には右の方にマツタテヤ、シマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤおよびマアセヤ立をり左の方にペダヤ、ミサエル、マルキヤ、ハシユム、ハシバダナ、ゼカリヤおよびメシユラム立をる 016 NEH 008 005 エズラ一切の民の目の前にその書を開けり(彼一切の民より高きところに立たり)かれが開きたる時に民みな起あがれり 016 NEH 008 006 エズラすなはち大神ヱホバを祝しければ民みなその手を擧て應へてアーメン、アーメンと言ひ首を下げ地に俯伏てヱホバを拝めり 016 NEH 008 007 ヱシユア、バニ、セレビヤ、ヤミン、アツクブ、シヤベタイ、ホデヤ、マアセヤ、ケリタ、アザリヤ、ヨザバテ、ハナン、ペラヤおよびレビ人等民に律法を了らしめたり民はその所に立をる 016 NEH 008 008 彼等その書に就て神の律法を朗かに誦み且その意を解あかしてその誦ところを之に了らしむ 016 NEH 008 009 時にテルシヤタたるネヘミヤ祭司たる學士エズラおよび民を敎ふるレビ人等一切の民にむかひて此日は汝らの神ヱホバの聖日なり哭くなかれ泣なかれと言り其は民みな律法の言を聽て泣たればなり 016 NEH 008 010 而して彼らに言けるは汝ら去て肥たる者を食ひ甘き者を飮め而してその備をなし得ざる者に之を分ちおくれ此日は我らの主の聖日なり汝ら憂ふることをせざれヱホバを喜ぶ事は汝らの力なるぞかしと 016 NEH 008 011 レビ人も亦一切の民を靜めて言ふ汝ら默せよ此日は聖きぞかし憂ふる勿れと 016 NEH 008 012 一切の民すなはち去りて食ひかつ飮み又人に分ちおくりて大なる喜悦をなせり是はその誦きかされし言を了りしが故なり 016 NEH 008 013 その翌日一切の民の族長等祭司およびレビ人等律法の語を學ばんとて學士エズラの許に集り來り 016 NEH 008 014 律法を視るにヱホバのモーセによりて命じたまひし所を録して云く七月の節會にはイスラエルの子孫茅廬に居るべしと 016 NEH 008 015 又云く一切の邑々及びヱルサレムに布傳へて言べし汝ら山に出ゆき橄欖の枝油木の枝烏拈の枝棕櫚の枝および茂れる木の枝を取きたりて録されたるごとくに茅廬を造れと 016 NEH 008 016 是において民出ゆきて之を取きたり各々その家の屋背の上あるひはその庭あるひは神の室の庭あるひは水の門の廣場あるひはエフライムの門の廣場に茅廬を造れり 016 NEH 008 017 擄はれゆきて歸り來りし會衆みな斯茅廬を造りて茅廬に居りヌンの子ヨシユアの日より彼日までにイスラエルの子孫斯おこなひし事なし是をもてその喜悦はなはだ大なりき 016 NEH 008 018 初の日より終の日までエズラ日々に神の律法の書を誦り人衆七日の間節筵をおこなひ第八日にいたり例にしたがひて聖會を開けり 016 NEH 009 001 その月の二十四日にイスラエルの子孫あつまりて斷食し麻布を纒ひ土を蒙れり 016 NEH 009 002 イスラエルの裔たる者一切の異邦人とはなれ而して立て己の罪と先祖の愆とを懺悔し 016 NEH 009 003 皆おのおのがその處に立てこの日の四分の一をもてその神ヱホバの律法の書を誦み他の四分の一をもて懺悔をなしその神ヱホバを拝めり 016 NEH 009 004 時にヱシユア、バニ、カデミエル、シバニヤ、ブンニ、セレビヤ、バニ、ケナニ等レビ人の臺に立ち大聲を擧てその神ヱホバに呼はれり 016 NEH 009 005 斯てまたヱシユア、カデミエル、バニ、ハシヤブニヤ、セレビヤ、ホデヤ、セバニヤ、ペタヒヤなどのレビ人言けらく汝ら起あがり永遠より永遠にわたりて在す汝らの神ヱホバを讃よ汝の尊き御名は讃べきかな是は一切の讃にも崇にも遠く超るなり 016 NEH 009 006 汝は唯なんぢのみヱホバにまします汝は天と諸天の天およびその萬象地とその上の一切の物ならびに海とその中の一切の物を造り之をことごとく保存せたまふなり天軍なんぢを拝す 016 NEH 009 007 汝はヱホバ神にまします汝は在昔アブラムを撰みてカルデヤのウルより之を導きいだしアブラハムといふ名をこれにつけ 016 NEH 009 008 その心の汝の前に忠信なるを觀そなはし之に契約を立てカナン人ヘテ人アモリ人ペリジ人ヱブス人およびギルガシ人の地をこれに與へその子孫に授けんと宣まひて終に汝の言を成たまへり汝は實に義し 016 NEH 009 009 汝は我らの先祖がエジプトにて艱難を受るを鑒みその紅海の邊にて呼はり叫ぶを聽いれ 016 NEH 009 010 異兆と奇蹟とをあらはしてパロとその諸臣とその國の庶民とを攻たまへりそはかれらは傲りて我らの先祖等を攻しことを知たまへばなり而して汝の名を揚たまへること尚今日のごとし 016 NEH 009 011 汝はまた彼らの前にあたりて海を分ち彼らをして旱ける地を踏て海の中を通らしめ彼らを追ふ者をば石を大水に投いるるごとくに淵に投いれたまひ 016 NEH 009 012 また晝は雲の柱をもて彼らを導き夜は火の柱をもて其往べき路を照したまひき 016 NEH 009 013 汝はまたシナイ山の上に降り天より彼らと語ひ正しき例規および眞の律法善き法度および誡命を之に授け 016 NEH 009 014 汝の聖安息日を之に示し汝の僕モーセの手によりて誡命と法度と律法を之に命じ 016 NEH 009 015 天より食物を之に與へてその餓をとどめ磐より水を之がために出してその渇を濕し且この國をなんぢらに與へんと手を擧て誓ひ給ひしその國に入これを獲べきことをかれらに命じたまへり 016 NEH 009 016 然るに彼等すなはち我らの先祖みづから傲りその項を強くして汝の誡命に聽したがはず 016 NEH 009 017 聽從ふことを拒み亦なんぢが其中にて行ひたまひし奇蹟を憶はず還てその項を強くし悖りて自ら一人の首領を立てその奴隸たりし處に歸らんとせり然りと雖も汝は罪を赦す神にして恩惠あり憐憫あり怒ること遅く慈悲厚くましまして彼らを棄たまはざりき 016 NEH 009 018 また彼ら自ら一箇の犢を鋳造りて是は汝をエジプトより導き上りし汝の神なりと言て大に震怒をひきおこす事を行ひし時にすら 016 NEH 009 019 汝は重々も憐憫を垂て彼らを荒野に棄たまはず晝は雲の柱その上を離れずして之を途に導き夜は火の柱離れずして之を照しその行べき路を示したりき 016 NEH 009 020 汝はまた汝の善霊を賜ひて彼らを訓へ汝のマナを常に彼らの口にあたへまた水を彼らに與へてその渇をとどめ 016 NEH 009 021 四十年の間かれらを荒野に養ひたまたれば彼らは何の缺る所もなくその衣服も古びずその足も腫ざりき 016 NEH 009 022 而して汝諸國諸民を彼らにあたへて之を各々に分ち取しめ給へりかれらはシホンの地ヘシボンの王の地およびバシヤンの王オグの地を獲たり 016 NEH 009 023 斯てまた汝は彼らの子孫を増て空の星のごなくならしめ前にその先祖等に入て獲よと宣まひたる地に之を導きいりたまひしかば 016 NEH 009 024 則ちその子孫入てこの地を獲たり斯て汝この地にすめるカナン人をかれらの前に打伏せその王等およびその國の民をかれらの手に付して意のままに之を待はしめたまひき 016 NEH 009 025 斯りしかば彼ら堅固なる邑々および膏腴なる地を取り各種の美物の充る家鑿井葡萄園橄欖園および許多の菓の樹を獲乃はち食ひて飽き肥太り汝の大なる恩惠に沾ひて樂みたりしが 016 NEH 009 026 尚も悖りて汝に叛き汝の律法を後に抛擲ち己を戒しめて汝に歸らせんとしたる預言者等を殺し大に震怒を惹おこす事を行なへり 016 NEH 009 027 是に因て汝かれらをその敵の手に付して窘しめさせたまひしが彼らその艱難の時に汝に呼はりければ汝天より之を聽て重々も憐憫を加へ彼らに救ふ者を多く與へて彼らをその敵の手より救はせたまへり 016 NEH 009 028 然るに彼らは安を獲の後復も汝の前に惡き事を行ひしかば汝かれらをその敵の手に棄おきて敵にこれを治めしめたまひけるが彼ら復立歸りて汝に呼はりたれば汝天よりこれを聽き憐憫を加へてしばしば彼らを助け 016 NEH 009 029 彼らを汝の律法に引もどさんとして戒しめたまへり然りと雖も彼らは自ら傲りて汝の誡命に聽したがはず汝の例規(人のこれを行はば之によりて生べしといふ者)を犯し肩を聳かし項を強くして聽ことをせざりき 016 NEH 009 030 斯りしかど汝は年ひさしく彼らを容しおき汝の預言者等に由て汝の霊をもて彼らを戒めたまひしが彼等つひに耳を傾けざりしに因て彼らを國々の民等の手に付したまへり 016 NEH 009 031 されど汝は憐憫おほくして彼らを全くは絶さず亦彼らを棄たまふことをも爲たまはざりき汝は恩惠あり憐憫ある神にましませばなり 016 NEH 009 032 然ば我らの神大にして力強く且畏るべくして契約を保ち恩惠を施こしたまふ御神ねがはくはアッスリヤの王等の日より今日にいたるまで我儕の王等牧伯等祭司預言者我らの先祖汝の一切の民等に臨みし諸の苦難を小き事と觀たまはざれ 016 NEH 009 033 我らに臨みし諸の事につきては汝義く在せり汝の爲たまひし所は誠實にして我らの爲しところは惡かりしなり 016 NEH 009 034 我らの王等牧伯等祭司父祖等は汝の律法を行はず汝が用ひて彼らを戒しめたまひしその誡命と證詞に聽從はざりき 016 NEH 009 035 即ち彼らは己の國に居り汝の賜ふ大なる恩惠に沾ひ汝が與へてその前に置たまひし廣き膏腴なる地にありける時に汝に事ふることを爲ず又ひるがへりて自己の惡き業をやむる事もせざりしなり 016 NEH 009 036 鳴呼われらは今日奴隸たり汝が我らの先祖に與へてその中の產出物およびその中の佳物を食はせんとしたまひし地にて我らは奴隸となりをるこそはかなけれ 016 NEH 009 037 この地は汝が我らの罪の故によりて我らの上に立たまひし王等のために衆多の產物を出すなり且また彼らは我らの身をも我らの家畜をも意のままに左右することを得れば我らは大難の中にあるなり 016 NEH 009 038 此もろもろの事のために我ら今堅き契約を立てこれを書しるし我らの牧伯等我らのレビ人我らの祭司これに印す 016 NEH 010 001 印を捺る者はハカリヤの子テルシヤタ、ネヘミヤおよびゼデキヤ 016 NEH 010 002 セラヤ、アザリヤ、ヱレミヤ 016 NEH 010 003 パシユル、アマリヤ、マルキヤ、 016 NEH 010 004 ハツトシ、シバニヤ、マルク 016 NEH 010 005 ハリム、メレモテ、オバデヤ 016 NEH 010 006 ダニエル、ギンネトン、バルク 016 NEH 010 007 メシユラム、アビヤ、ミヤミン 016 NEH 010 008 マアジア、ビルガ、シマヤ是等は祭司なり 016 NEH 010 009 レビ人は即ちアザニヤの子ヱシユア 、ヘナダデの子ビンヌイ、カデミエル 016 NEH 010 010 ならびに其兄弟シバ二ヤ、ホデヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン 016 NEH 010 011 ミカ、レホブ、ハシヤビヤ 016 NEH 010 012 ザツクル、セレビヤ、シバ二ヤ 016 NEH 010 013 ホデヤ、バニ、ベニヌ 016 NEH 010 014 民の長たる者はパロシ、パハテモアブ、エラム、ザツト、バニ 016 NEH 010 015 ブンニ、アズカデ、ベバイ 016 NEH 010 016 アドニヤ、ビグワイ、アデン 016 NEH 010 017 アテル、ヒゼキヤ、アズル 016 NEH 010 018 ホデヤ、ハシユム、ベザイ 016 NEH 010 019 ハリフ、アナトテ、ノバイ 016 NEH 010 020 マグピアシ、メシユラム、ヘジル 016 NEH 010 021 メシザベル、ザドク、ヤドア 016 NEH 010 022 ペラテヤ、ハナン、アナニヤ 016 NEH 010 023 ホセア、ハナニヤ、ハシユブ 016 NEH 010 024 ハロヘシ、ピルハ、シヨベク 016 NEH 010 025 レホム、ハシヤブナ、マアセヤ 016 NEH 010 026 アヒヤ、ハナン、アナン 016 NEH 010 027 マルク、ハリム、バアナ 016 NEH 010 028 その餘の民祭司レビ人門をまもる者謳歌者ネテニ人ならびに都て國々の民等と離れて神の律法に附る者およびその妻その男子女子など凡そ事を知り辨まふる者は 016 NEH 010 029 皆その兄弟たる貴き人々に附したがひ呪詛に加はり誓を立て云く我ら神の僕モーセによりて傳はりし神の律法に歩み我らの主ヱホバの一切の誡命およびその例規と法度を守り行はん 016 NEH 010 030 我らは此地の民等に我らの女子を與へじ亦われらの男子のために彼らの女子を娶らじ 016 NEH 010 031 比地の民等たとひ貨物あるひは食物を安息日に携へ來りて賣んとするとも安息日または聖日には我儕これを取じ又七年ごとに耕作を廢め一切の負債を免さんと 016 NEH 010 032 我らまた自ら例を設けて年々にシケルの三分の一を出して我らの神の室の用となし 016 NEH 010 033 供物のパン常素祭常燔祭のため安息日月朔および節會の祭物のため聖物のためイスラエルの贖をなす罪祭および我らの神の家の諸の工のために之を用ゐることを定む 016 NEH 010 034 また我ら祭司レビ人および民籤を掣き律法に記されたるごとく我らの神ヱホバの壇の上に焚べき薪木の禮物を年々定まれる時にわれらの宗家にしたがひて我らの神の室に納むる者を定め 016 NEH 010 035 かつ誓ひて云ふ我らの產物の初および各種の樹の果の初を年々ヱホバの室に携へきたらん 016 NEH 010 036 また我らの子等および我らの獣畜の首出および我らの牛羊の首出を律法に記されたるごとく我らの神の室に携へ來りて我らの神の室に事ふる祭司に交し 016 NEH 010 037 我らの麥粉の初われらの擧祭の物各種の樹の果および洒油を祭司の許に携へ到りて我らの神の家の室に納め我らの產物の什一をレビ人に與へんレビ人は我らの一切の農作の邑においてその什一を受べき者なればなり 016 NEH 010 038 レビ人什一を受る時にはアロンの子孫たる祭司一人そのレビ人と偕にあるべし而してまたレビ人はその什一の十分の一を我らの神の家に携へ上りて府庫の諸室に納むべし 016 NEH 010 039 即ちイスラエルの子孫およびレビの子孫は穀物および酒油の擧祭を携さへいたり聖所の器皿および奉事をする祭司門を守る者謳歌者などが在るところの室に之を納むべし我らは我らの神の家を棄じ 016 NEH 011 001 民の牧伯等はヱルサレムに住りその餘の民もまた籤を掣き十人の中よりして一人宛を聖邑ヱルサレムに來りて住しめその九人を他の邑々に住しめたり 016 NEH 011 002 又すべて自ら進でヱルサレムに住んと言ふ人々は民これを祝せり 016 NEH 011 003 イスラエル祭司レビ人ネテニ人およびソロモンの臣僕たりし者等の子孫すべてユダの邑々にありておのおのその邑々なる自己の所有地に住をれり此州の貴き人々のヱルサレムに住をりし者は左のごとし 016 NEH 011 004 即ちユダの子孫およびベニヤミンの子孫のヱルサレムに住る者は是なりユダの子孫はウジヤの子アタヤ、ウジヤはゼカリヤの子ゼカリヤはアマリヤの子アマリヤはシパテヤの子シパテヤはマハラレルの子是はペレズの子孫なり 016 NEH 011 005 又バルクの子マアセヤといふ者ありバルクはコロホゼの子コロホゼはハザヤの子ハザヤはアダヤの子アダヤはヨヤリブの子ヨヤリブはゼカリヤの子ゼカリヤはシロニ人の子なり 016 NEH 011 006 ペレズの子孫のヱルサレムに住る者は合せて四百六十八人にして皆勇士なり 016 NEH 011 007 ベニヤミンの子孫は左のごとしメシユラムの子サル、メシユラムはヨエデの子ヨエデはペダヤの子ペダヤはコラヤの子コラヤはマアセヤの子マアセヤはイテエルの子イテエルはヱサヤの子なり 016 NEH 011 008 その次はガバイおよびサライなどにして合せて九百二十八人 016 NEH 011 009 ジクリの子ヨエルかれらの監督たりハツセヌアの子ユダこれに副ふて邑を治む 016 NEH 011 010 祭司はヨヤリブの子ヱダヤ、ヤキン 016 NEH 011 011 および神の室の宰セラヤ、セラヤはヒルヤキの子ヒルキヤはメシユラムの子メシユラムはザドクの子ザドクはメラヨテの子メラヨテはアヒトブの子なり 016 NEH 011 012 殿の職事をするその兄弟八百二十二人あり又アダヤといふ者ありアダヤはヱロハムの子ヱロハムはペラリヤの子ペラリヤはアムジの子アムジはゼカリヤの子ゼカリヤはパシホルの子パシホルはマルキヤの子なり 016 NEH 011 013 アダヤの兄弟たる宗家の長二百四十二人あり又アマシサイといふ者ありアマシサイはアザリエルの子アザリエルはアハザイの子アハザイはメシレモテの子メシレモテはイシメルの子なり 016 NEH 011 014 その兄弟たる勇士百二十八人ありハツゲドリムの子ザブデエル彼らの監督たり 016 NEH 011 015 レビ人はハシユブの子シマヤ、ハシユブはアズリカムの子アズリカムはハシヤビヤの子ハシヤビヤはブンニの子なり 016 NEH 011 016 またシヤベタイおよびヨザバデあり是等はレビ人の長にして神の室の外の事を掌どれり 016 NEH 011 017 またマツタニヤといふ者ありマツタニヤはミカの子ミカはザブデの子ザブデはアサフの子なりマツタニヤは祈祷の時に感謝の詞を唱へはじむる者なり彼の兄弟の中にてバクブキヤといふ者かれに次り又アブダといふ者ありアブダはシヤンマの子シヤンマはガラルの子ガラルはヱドトンの子なり 016 NEH 011 018 聖邑にあるレビ人は合せて二百八十四人 016 NEH 011 019 門を守る者アツクブ、タルモンおよびその兄弟等合せて百七十二人あり皆門々にありて伺守ることをせり 016 NEH 011 020 その餘のイスラエル人祭司およびレビ人は皆ユダの一切の邑々にありて各々おのれの產業に居り 016 NEH 011 021 但しネテニ人はオペルに居りヂハ及びギシパ、ネタニ人を統ぶ 016 NEH 011 022 ヱルサレムにをるレビ人の監督はウジといふ者なりウジはバニの子バニはハシヤビヤの子ハシヤビヤはマツタニヤの子マツタニヤはミカの子なり是は謳歌者なるアサフの子孫なりその職務は神の室の事にかかはる 016 NEH 011 023 王より命令ありて是らの事を定め謳歌者に日々の定まれる分を與へしむ 016 NEH 011 024 ユダの子ゼラの子孫メシザベルの子ペタヒヤといふ者王の手に屬して民に關る一切の事を取あつかへり 016 NEH 011 025 又村荘とその田圃につきてはユダの子孫の者キリアテアルバとその郷里デボンとその郷里およびヱカブジエルとその村荘に住み 016 NEH 011 026 ヱシユア、モラダおよびベテペレテに住み 016 NEH 011 027 ハザルシユアルおよびベエルシバとその郷里に住み 016 NEH 011 028 ヂクラグおよびメコナとその郷里に住み 016 NEH 011 029 エンリンモン、ザレア、ヤルムテに住み 016 NEH 011 030 ザノア、アドラムおよび其等の村荘ラキシとその田野およびアゼカとその郷里に住り斯かれらはベエルシバよりヒンノムの谷までに天幕を張り 016 NEH 011 031 ベニヤミンの子孫はまたゲバよりしてミクマシ、アヤおよびベテルとその郷里に住み 016 NEH 011 032 アナトテ、ノブ、アナニヤ 016 NEH 011 033 ハゾル、ラマ、ギツタイム 016 NEH 011 034 ハデデ、ゼボイム、ネバラテ 016 NEH 011 035 ロド、オノ工匠谷に住り 016 NEH 011 036 レビ人の班列のユダにある者の中ベニヤミンに合せし者もありき 016 NEH 012 001 シヤルテルの子ゼルバベルおよびヱシユアと偕に上りきたりし祭司とレビ人は左のごとしセラヤ、ヱレミヤ、エズラ 016 NEH 012 002 アマリヤ、マルク、ハツトシ 016 NEH 012 003 シカニヤ、レホム、メレモテ 016 NEH 012 004 イド、ギンネトイ、アビヤ 016 NEH 012 005 ミヤミン、マアデヤ、ビルガ 016 NEH 012 006 シマヤ、ヨヤリブ、ヱダヤ 016 NEH 012 007 サライ、アモク、ヒルキヤ、ヱダヤ是等の者はヱシユアの世に祭司およびその兄弟等の長たりき 016 NEH 012 008 またレビ人はヱシユア、ビンヌイ、カデミエル、セレビヤ、ユダ、マツタニヤ、マツタニヤはその兄弟とともに感謝の事を掌どれり 016 NEH 012 009 またその兄弟バクブキヤおよびウンノ之と相對ひて職務をなせり 016 NEH 012 010 ヱシユア、ヨアキムを生みヨアキム、エリアシブを生みエリアシブ、ヨイアダを生み 016 NEH 012 011 ヨイアダ、ヨナタンを生みヨナタン、ヤドアを生り 016 NEH 012 012 ヨアキムの日に祭司等の宗家の長たりし者はセラヤの族にてはメラヤ、ヱレミヤの族にてはハナニヤ 016 NEH 012 013 エズラの族にてはメシユラム、アマリヤの族にてはヨハナン 016 NEH 012 014 マルキの族にてはヨナタン、シバニヤの族にてはヨセフ 016 NEH 012 015 ハリムの族にてはアデナ、メラヨテの族にてはヘルカイ 016 NEH 012 016 イドの族にではゼカリヤ、ギンネトン膳良にてはメシユラム 016 NEH 012 017 アビヤの族にてはジクリ、ミニヤミンの族モアデヤの族にてはピルタイ 016 NEH 012 018 ビルガの族にてはシヤンマ、シマヤの族にてはヨナタン 016 NEH 012 019 ヨヤリブの族にてはマツテナイ、ヱダヤの族にてはウジ 016 NEH 012 020 サライの族にてはカライ、アモクの族にてはエベル 016 NEH 012 021 ヒルキヤの族にてはハシヤビヤ、ヱダヤの族にてはネタンエル 016 NEH 012 022 エリアシブ、ヨイアダ、ヨハナンおよびヤドアの日にレビ人の宗家の長等冊に録さる亦ペルシヤ王ダリヨスの治世に祭司等も然せらる 016 NEH 012 023 宗家の長たるレビ人はエリアシブの子ヨハナンの日まで凡て歴代志の書に記さる 016 NEH 012 024 レビ人の長はハシヤビヤ、セレビヤおよびカデミエルの子ヱシユアなりその兄弟等これと相對ひて居る即ち彼らは班列と班列とあひむかひ居り神の人ダビデの命令に本づきて讃美と感謝とをつとむ 016 NEH 012 025 マツタニヤ、バクブキヤ、オバデヤ、メシユラム、タルモン、アツクブは門を守る者にして門の内の府庫を伺ひ守れり 016 NEH 012 026 是等はヨザダクの子ヱシユアの子ヨアキムの日に在り總督ネヘミヤおよび學士たる祭司エズラの日に在りし者なり 016 NEH 012 027 ヱルサレムの石垣の落成せし節會に當りてレビ人をその一切の處より招きてヱルサレムに來らせ感謝と歌と鐃鈸と瑟と琴とをもて歓喜を盡してその落成の節會を行はんとす 016 NEH 012 028 是において謳歌ふ徒輩ヱルサレムの周圍の窪地およびネトパ人の村々より集り來り 016 NEH 012 029 またベテギルガルおよびゲバとアズマウテとの野より集り來れりこの謳歌者等はヱルサレムの周圍に己の村々を建たりき 016 NEH 012 030 茲に祭司およびレビ人身を潔めまた民および諸の門と石垣とを潔めければ 016 NEH 012 031 我すなはちユダの牧伯等をして石垣の上に上らしめ又二の大なる隊を作り設けて之に感謝の詞を唱へて並進ましむ即ちその一は糞の門を指て石垣の上を右に進めり 016 NEH 012 032 その後につきて進める者はホシヤヤおよびユダの牧伯の半 016 NEH 012 033 ならびにアザリヤ、エズラ、メシユラム 016 NEH 012 034 ユダ、ベニヤミン、シマヤ、ヱレミヤなりき 016 NEH 012 035 又祭司の徒數人喇叭を吹て伴ふあり即ちヨナタンの子ゼカリヤ、ヨナタンはシマヤの子シマヤはマツタニヤの子マツタニヤはミカヤの子ミカヤはザツクルの子ザツクルはアサフの子なり 016 NEH 012 036 またゼカリヤの兄弟シマヤ、アザリエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニ等ありて神の人ダビデの樂器を執り學士エズラこれに先だつ 016 NEH 012 037 而して彼ら泉の門を經ただちに進みて石垣の上口に於てダビデの城の段階より登りダビデの家の上を過て東の方水の門に至れり 016 NEH 012 038 また今一隊の感謝する者は彼らに對ひて進み我は民の半とともにその後に從がへり而して皆石垣の上を行き爐戌樓の上を過て石垣の廣き處にいたり 016 NEH 012 039 エフライムの門の上を通り舊門を過ぎ魚の門およびハナニエルの戌樓とハンメアの戌樓を過て羊の門に至り牢の門に立どまれり 016 NEH 012 040 かくて二隊の感謝する者神の室にいりて立り我もそこにたち牧伯等の半われと偕にありき 016 NEH 012 041 また祭司エリアキム、マアセヤ、ミニヤミン、ミカヤ、エリヨエナイ、ゼカリヤ、ハナニヤ等喇叭を執て居り 016 NEH 012 042 マアセヤ、シマヤ、エレアザル、ウジ、ヨナハン、マルキヤ、エラム、エゼル之と偕にあり謳歌ふ者聲高くうたへりヱズラヒヤはその監督なりき 016 NEH 012 043 斯してその日みな大なる犠牲を献げて喜悦を盡せり其は神かれらをして大に喜こび樂ませたまひたればなり婦女小兒までも喜悦り是をもてヱルサレムの喜悦の聲とほくまで聞えわたりぬ 016 NEH 012 044 その日府庫のすべての室を掌どるべき人々を撰びて擧祭の品初物および什一など律法に定むるところの祭司とレビ人との分を邑々の田圃に准ひて取あつめてすべての室にいるることを掌どらしむ是は祭司およびレビ人の立て奉ふるをユダ人喜こびたればなり 016 NEH 012 045 彼らは神の職守および潔齋の職守を勤む謳歌者および門を守る者も然り皆ダビデとその子ソロモンの命令に依る 016 NEH 012 046 在昔ダビデおよびアサフの日には謳歌者の長一人ありて神に讃美感謝をたてまつる事ありき 016 NEH 012 047 またゼルバベルの日およびネヘミヤの日にはイスラエル人みな謳歌者と門を守る者に日々の分を與へまたレビ人に物を聖別て與へレビ人またこれを聖別てアロンの子孫に與ふ 016 NEH 013 001 その日モーセの書を讀て民に聽しめけるに其中に録して云ふアンモニ人およびモアブ人は何時までも神の會に入べからず 016 NEH 013 002 是は彼らパンと水とをもてイスラエルの子孫を迎へずして還て之を詛はせんとてバラムを傭ひたりしが故なり斯りしかども我らの神はその呪詛を變て祝福となしたまへりと 016 NEH 013 003 衆人この律法を聞てのち雑りたる民を盡くイスラエルより分ち離てり 016 NEH 013 004 是より先我らの神の家の室を掌れる祭司エリアシブといふ者トビヤと近くなりたれば 016 NEH 013 005 彼のために大なる室を備ふ其室は元來素祭の物乳香器皿および例によりてレビ人謳歌者門を守る者等に與ふる穀物酒油の什一ならびに祭司に與ふる擧祭の物を置し處なり 016 NEH 013 006 當時は我ヱルサレムに居ざりき我はバビロンの王アルタシヤスタの三十二年に王の所に往たりしが數日の後王に暇を乞て 016 NEH 013 007 エルサレムに來りエリアシブがトビヤのために爲たる惡事すなはちかれがために神の家の庭に一の室を備へし事を詳悉にせり 016 NEH 013 008 我はなはだこれを憂ひてトビヤの家の器皿をことごとくその室より投いだし 016 NEH 013 009 頓て命じてすべての室を潔めさせ而して神の家の器皿および素祭乳香などを再び其處に携へいれたり 016 NEH 013 010 我また査べ觀しにレビ人そのうくべき分を與へられざりきこの故に其職務をなす所のレビ人および謳歌者等各々おのれの田に奔り歸りぬ 016 NEH 013 011 是において我何故に神の室を棄させしやと言て牧伯等を詰り頓てまたレビ人を招き集めてその故の所に立しめたり 016 NEH 013 012 斯りしかばユダ人みな穀物酒油の什一を府庫に携へ來れり 016 NEH 013 013 その時我祭司シレミヤ學士ザドクおよびレビ人ペダヤを府庫の有司とし之にマツタニヤの子ザツクルの子ハナンを副て庫をつかさどらしむ彼らは忠信なる者と思はれたればなり其職は兄弟等に分配るの事なりき 016 NEH 013 014 わが神よ此事のために我を記念たまへ我神の室とその職事のために我が行ひし善事を拭ひ去たまはざれ 016 NEH 013 015 當時われ觀しにユダの中にて安息日に酒榨を踏む者あり麥束を持きたりて驢馬に負するあり亦酒葡萄無花果および各種の荷を安息日にヱルサレムに携へいるるあり我かれらが食物を鬻ぎをる日に彼らを戒しめたり 016 NEH 013 016 彼處にまたツロの人々も住をりしが魚および各種の貨物を携へいりて安息日にユダの人々に之を鬻ぎかつヱルサレムにて商賣せり 016 NEH 013 017 是において我ユダの貴き人々を詰りて之に言ふ汝ら何ぞ此惡き事をなして安息日を瀆すや 016 NEH 013 018 汝らの先祖等も斯おこなはざりしや我らの神これが爲にこの一切の災禍を我らとこの邑とに降したまひしにあらずや然るに汝らは安息日を瀆して更に大なる震怒をイスラエルに招くなりと 016 NEH 013 019 而して安息日の前の日ヱルサレムの門々暗くならんとする頃ほひに我命じてその扉を閉させ安息日の過さるまで之を開くべからずと命じ我僕數人を門々に置て安息日に荷を携へいるる事なからしめたり 016 NEH 013 020 斯りしかば商賣および各種の品を賣る者等一二回ヱルサレムの外に宿れり 016 NEH 013 021 我これを戒めてこれに言ふ汝ら石垣の前に宿るは何ぞや汝等もし重ねて然なさば我なんぢらに手をかけんと其時より後は彼ら安息日には來らざりき 016 NEH 013 022 我またレビ人に命じてその身を潔めさせ來りて門を守らしめて安息日を聖くす我神よ我ために此事を記念し汝の大なる仁慈をもて我を憫みたまへ 016 NEH 013 023 當時われアシドド、アンモン、モアブなどの婦女を娶りしユダヤ人を見しに 016 NEH 013 024 その子女はアシドドの言語を半雑へて言ひユダヤの言語を言ことあたはず各國の言語を雑へ用ふ 016 NEH 013 025 我彼等を詰りまた詬りその中の數人を撻ちその毛を抜き神を指て誓はしめて言ふ汝らは彼らの男子におのが女子を與ふべからず又なんぢらの男子あるひはおのれ自身のために彼らの女子を娶るべからず 016 NEH 013 026 是らの事についてイスラエルの王ソロモンは罪を獲たるに非ずや彼がごとき王は衆多の國民の中にもあらずして神に愛せられし者なり神かれをイスラエル全國の王となしたまへり然るに尚ほ異邦の婦女等はこれに罪を犯さしめたり 016 NEH 013 027 然ば汝らが異邦の婦女を娶りこの一切の大惡をなして我らの神に罪を犯すを我儕聽し置べけんや 016 NEH 013 028 祭司の長エリアシブの子ヨイアダの一人の子はホロニ人サンバラテの婿なりければ我これを逐出して我を離れしむ 016 NEH 013 029 わが神よ彼らは祭司の職を汚し祭司およびレビ人の契約に背きたり彼らのことを忘れたまふ勿れ 016 NEH 013 030 我かく人衆を潔めて異邦の物を盡く棄しめ祭司およびレビ人の班列を立て各々その職務に服せしめ 016 NEH 013 031 また人衆をして薪柴の禮物をその定まる期に献げしめかつ初物を奉つらしむ我神よ我を憶ひ仁慈をもて我を待ひたまへ # # BOOK 017 EST Esther エステル 記 017 EST 001 001 アハシユエロスすなはち印度よりエテオピヤまで百二十七州を治めたるアハシユエロスの世 017 EST 001 002 アハシユエロス王シユシヤンの城にてその國の祚に坐しをりける当時 017 EST 001 003 その治世の第三年にその牧伯等および臣僕等のために酒宴を設けたり ペルシヤとメデアの武士および貴族と諸州の牧伯等その前にありき 017 EST 001 004 時に王その盛なる國の富有とその大なる威光の榮を示して衆多の日をわたり百八十日に及びぬ 017 EST 001 005 これらの日のをはりし時王また王の宮の園の庭にてシユシヤンに居る大小のすべての民のために七日の間酒宴を設けたり 017 EST 001 006 白緑靑の帳幔ありて細布と紫色の紐にて銀の環および蝋石の柱に繋がるまた牀榻は金銀にして赤白黄黑の蝋石の上に居らる 017 EST 001 007 金の酒盃にて酒を賜ふその酒盃は此と彼おのおの異なり王の用ゐる酒をたまふこと夥だし王の富有に適へり 017 EST 001 008 その飮むことは法にかなひて誰も強ることを爲ず 其は王人として各々おのれの好むごとく爲しむべしとその宮内のすべての有司に命じたればなり 017 EST 001 009 后ワシテもまたアハシユエロス王に屬する王宮の内にて婦女のために酒宴をまうけたり 017 EST 001 010 第七日にアハシユエロス王酒のために心樂み王の前に事ふる七人の侍從メホマン、ビスタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、セタルおよびカルカスに命じ 017 EST 001 011 后ワシテをして后の冠冕をかぶりて王の前に來らしめよと言り 是は彼觀に美しければその美麗を民等と牧伯等に見さんとてなりき 017 EST 001 012 しかるに后ワシテ侍從が傳へし王の命に從ひて來ることを肯はざりしかば王おほいに憤ほりて震怒その衷に燃ゆ 017 EST 001 013 是において王時を知る智者にむかひて言ふ(王はすべて法律と審理に明かなる者にむかひて是の如くするを常とせり 017 EST 001 014 時に彼の次にをりし者はペルシヤおよびメデアの七人の牧伯カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンなりき 是みな王の面を見る者にして國の第一に位せり) 017 EST 001 015 后ワシテ、アハシユエロス王が侍從をもて傳へし命を爲ざれば法律にしたがひて如何に彼になすべきや 017 EST 001 016 メムカン王と牧伯たちの前に答へて曰ふ 后ワシテは唯王にむかひて惡き事をなしたる而已ならず一切の牧伯たちおよびアハシユエロス王の各州のもろもろの民にむかひてもまた之を爲るなり 017 EST 001 017 后のこの事あまねく一切の婦女に聞えて彼らつひにその夫を藐め觀て言ん アハシユエロス王后ワシテに己のまへに來れと命じたりしに來らざりしと 017 EST 001 018 而して后の此所行を聞るペルシヤとメデアの諸夫人もまた今日王のすべての牧伯等に是のごとく言ん然すれば必らず藐視と忿怒多く起るべし 017 EST 001 019 王もし之を善としたまはばワシテは此後ふたたびアハシユエロス王の前に來るべからずといふ王命を下し之をペルシヤとメデアの律法の中に書いれて更ること無らしめ而してその后の位を彼に勝れる他の者に與へたまへ 017 EST 001 020 王の下したまはん御詔この大なる御國に徧ねく聞えわたる時は妻たる者ことごとくその夫を大小となく共に敬まふべしと 017 EST 001 021 王と牧伯等この言を善としければ王メムカンの言のごとく爲たり 017 EST 001 022 かくて王の諸州に徧ねく書をおくりもろもろの州にその文字にしたがひて書おくりもろもろの民にその言語にしたがひて書おくり凡て男子たる者はその家の主となるべくまたおのれの民の言を用ひてものいふべしと諭しぬ 017 EST 002 001 これらの事の後アハシユエロス王忿怒とけてワシテおよび彼が爲たる所またその彼にむかひて議定めしところの事を憶ひおこせり 017 EST 002 002 ここに王の前に事ふる僕等いひけるは請ふ美しき少き處女等を王のために尋もとめん 017 EST 002 003 願はくは王御國の各州において官吏を擇び之をして美はしき處女をことごとくシユシヤンの城に集めしめ婦人を管理る王の侍從ヘガイの手にわたして婦人の局に入らしめ而して潔淨の物をこれに與へたまへ 017 EST 002 004 斯して王の御意に適ふ女子を取りワシテに代りて后とならしめたまへと王この事を善として然なしぬ 017 EST 002 005 茲にシユシヤンの城に一人のユダヤ人ありその名をモルデカイと曰ひキシの曾孫シメイの孫ヤイルの子にしてベニヤミン人なり 017 EST 002 006 かれはバビロンの王ネブカデネザルが擄へゆきしユダのヱコニヤとともに擄はれ往る俘囚の中にありてヱサレムより移されたる者なり 017 EST 002 007 かれその叔父の女ハダツサすなはちエステルを養ひ育てたり 是は父も母もなかりければなり この女子顔貌勝れてうるはしかりしがその父母の死たる後モルデカイこれを取ておのれの女となせるなり 017 EST 002 008 王の命令と詔言の聞え傳はり衆多の女子シユシヤンの城にあつめられてヘガイの手にわたされし時エステルも亦王の家に携へられてゆき婦人を管理るヘガイの手に交されしが 017 EST 002 009 この女子ヘガイの意にかなひて之が惠を受たり即はちヘガイすみやかに之に潔淨の物およびその分を與へまた王の家の中より七人の侍女を擧てこれに附そはしめ彼とその侍女等を婦人の局の中なる最も佳き處に移しぬ 017 EST 002 010 エステルはおのれの民をもおのれの宗族をも顯はさざりき其はモルデカイこれを顯はすなかれと彼に言ふくめたればなり 017 EST 002 011 またモルデカイはエステルの模樣およびその如何になれるかを知んため日々に婦人の局の庭の前をあゆめり 017 EST 002 012 女子はおのおの婦人の則にしたがひて十二ヶ月を經しかる後順番にいりてアハシユエロス王にいたる是その潔淨の日を終るはかくのごとくなるが故なり 即ち沒薬の油を用ふること六ヶ月また各種の薫物および婦人の潔淨ごとにあつる物等を用ふること六ヶ月 017 EST 002 013 女子の王にいたるは是のごとしその婦人の局より出て王の家にゆく時には凡てその望む物をことごとく與へらる 017 EST 002 014 而して夕に往き朝におよびて婦人の第二の局に還り妃嬪をつかさどる王の侍從シヤシガスの手に屬す王これを喜こびて名をさして召すにあらざれば重ねて王にいたることなし 017 EST 002 015 ここにモルデカイの叔父アビハイルの女すなはちモルデカイが取ておのれの女となしたるエステル入て王にいたるべき順番にあたりけるが彼は婦人をつかさどる王の侍從ヘガイが言きかせたる事の外には何をももとめざりき エステルは凡て彼を見る者によろこばれたり 017 EST 002 016 かくエステルは王の家に召いれられてアハシユエロス王にいたれり是その治世の第七年十月即ちテベテの月なり 017 EST 002 017 王一切の婦人に超てエステルを愛しければエステルはすべての處女にまさりて王の前に恩寵と厚情を得たり 王つひに后の冕をかれの首に戴かせ彼をしてワシテにかはりて后とならしむ 017 EST 002 018 ここにおいて王おほいなる酒宴を設けてそのもろもろの牧伯と臣僕を饗す これをエステルの酒宴と稱ふまた諸州に租税をゆるし王の富有にかなひて物を賜ふ 017 EST 002 019 再度處女の集められし時モルデカイは王の門に坐しをりぬ 017 EST 002 020 エステルはモルデカイがかれに言ふくめたる如くして未だおのれの宗族をもおのれの民をも顯はさざりき エステルはモルデカイの言語にしたがふことその彼に養なひ育てられし時と異ならざりき 017 EST 002 021 當時モルデカイ王の門に坐し居ける時王の侍從にて戸を守る者の中ビグタンおよびテレシの二人怨むる事ありてアハシユエロス王を弑せんともとめたりしが 017 EST 002 022 その事モルデカイに知れければモルデカイこれを后エステルに告げエステルまたモルデカイの名をもてこれを王に告げたり 017 EST 002 023 ここにおいて此事をしらべさせしにその然ること顯はれければ彼ら二人は木にかけられその事は王の前なる日誌の書にかきしるさる 017 EST 003 001 これらの事の後アハシユエロス王アガグ人ハンメダタの子ハマンを貴びこれを高くして己とともにある一切の牧伯の上にその席を定めしむ 017 EST 003 002 王の門にある主の諸臣みな跪づきてハマンを拝せり 是は王斯かれになすことを命じたればなり 然れどもモルデカイは跪まづかず又これを拝せざりき 017 EST 003 003 ここをもて王の門にある王の諸臣モデカイにむかひて言ふ 汝いかなれば王の命に背くやと 017 EST 003 004 かれらモルデカイに日々かく言ふといへども聽ざりければその事の爲をふさるべきか否を見んとてハマンにこれを告たり 其はモルデカイおのれのユダヤ人なることを語りたればなり 017 EST 003 005 ハマン、モルデカイの跪づかずまた己を拝せざるを見たれば ハマン忿怒にたへざりしが 017 EST 003 006 ただモルデカイ一人を殺すは事小さしと思へり彼らモルデカイの屬する民をハマンに顯はしければハマンはアハシユエロスの國の中にある一切のユダヤ人すなはちモルデカイの屬する民をことごとく殺さんと謀れり 017 EST 003 007 アハシユエロス王の十二年正月即ちニサンの月にハマンの前にて十二月すなはちアダルの月まで一日一日のため一月一月のためにプルを投しむプルは即ち籤なり 017 EST 003 008 ハマンかくてアハシユエロス王に言けるは御國の各州にある諸民の中に散されて別れ別れになりをる一の民ありその律法は一切の民と異り また王の法律を守らずこの故にこれを容しおくは王の益にあらず 017 EST 003 009 王もしこれを善としたまはば願くは彼らを滅ぼせと書くだしたまへ さらば我王の事をつかさどる者等の手に銀一萬タラントを秤り交して王の府庫に入しめん 017 EST 003 010 王すなはち指環をその手より取はづしアガグ人ハンメダタの子ハマンすなはちユダヤ人の敵たる者に交し 017 EST 003 011 しかしてハマンに言けるはその銀はなんぢに與ふ その民もまた汝にあたふれば汝に善と見ゆるごとく爲よ 017 EST 003 012 ここにおいて正月の十三日に王の書記官を召あつめ王に屬する州牧各州の方伯およびもろもろの民の牧伯にハマンが命ぜんとする所をことごとく書しるさしむ 即ちもろもろの州におくるものは其文字をもちひ もろもろの民におくるものはその言語をもちひ おのおのアハシユエロス王の名をもてこれを書き王の指環をもてこれに印したり 017 EST 003 013 しかして驛卒をもて書を王の諸州におくり十二月すなはちアダルの月の十三日において一日の内に一切のユダヤ人を若き者老たる者小兒婦人の差別なくことごとく滅ぼし殺し絶しかつその所有物を奪ふべしと諭しぬ 017 EST 003 014 この詔旨を諸州に傳へてかの日のために準備をなさしめんとてその書る物の寫本を一切の民に開きて示せり 017 EST 003 015 驛卒王の命によりて急ぎて出ゆきぬ この詔書はシユシヤンの城に於て出されたり かくて王とハマンは坐して酒飮ゐたりしがシユシヤンの邑は惑ひわづらへり 017 EST 004 001 モルデカイ凡てこの爲れたる事を知しかばモルデカイ衣服を裂き麻布を纒ひ灰をかぶり邑の中に行て大に哭き痛く號び 017 EST 004 002 王の門の前までも斯して來れり 其は麻布をまとふては王の門の内に入ること能はざればなり 017 EST 004 003 すべて王の命とその詔書と到れる諸州にてはユダヤ人の中におほいなる哀みあり斷食哭泣號呼おこれり また麻布をまとふて灰の上に坐する者おほかりき 017 EST 004 004 ここにエステルの侍女およびその侍從等きたりてこれを告ければ后はなはだしく憂ひ衣服をおくり之をモルデカイにきせてその麻布を脱しめんとしたりしがうけざりき 017 EST 004 005 ここをもてエステルは王の侍從の一人すなはち王の命じて己に侍らしむるハタクといふ者を召しモルデカイの許に往きてその何事なるか何故なるかを知きたれと命ぜり 017 EST 004 006 ハタクいでて王の門の前なる邑の廣場にをるモルデカイにいたりしに 017 EST 004 007 モルデカイおのれの遇たるところを具にこれに語りかつハマンがユダヤ人を滅ぼす事のために王の府庫に秤りいれんと約したる銀の額を告げ 017 EST 004 008 またその彼等をほろぼさしむるためにシユシヤンにおいて書て與へられし詔書の寫本を彼にわたし之をエステルに見せかつ解あかし また彼に王の許にゆきてその民のためにこれに矜恤を請ひその前に願ふことを爲べしと言つたへよと言り 017 EST 004 009 ハタクかへり來りてモルデカイの言詞をエステルに告ければ 017 EST 004 010 エステル、ハタクに命じモルデカイに言をつたへしむ云く 017 EST 004 011 王の諸臣がよび王の諸州の民みな知る男にもあれ女にもあれ凡て召れずして内庭に入て王にいたる者は必ず殺さるべき一の法律あり されど王これに金圭を伸れば生るを得べし かくて我此三十日は王にいたるべき召をかうむらざるなり 017 EST 004 012 エステルの言をモルデカイに告げけるに 017 EST 004 013 モルデカイ命じてエステルに答へしめて曰く 汝王の家にあれば一切のユダヤ人の如くならずして免かるべしと心に思ふなかれ 017 EST 004 014 なんぢ若この時にあたりて默して言ずば他の處よりして助援と拯救ユダヤ人に興らんされど汝どなんぢの父の家は亡ぶべし 汝が后の位を得たるは此のごとき時のためなりしやも知るべからず 017 EST 004 015 エステルまたモルデカイに答へしめて曰く 017 EST 004 016 なんぢ往きシユシヤンにをるユダヤ人をことごとく集めてわがために斷食せよ 三日の間夜晝とも食ふことも飮むこともするなかれ 我とわが侍女等もおなじく斷食せん しかして我法律にそむく事なれども王にいたらん 我もし死べくば死べし 017 EST 004 017 ここにおいてモルデカイ往てエステルが凡ておのれに命じたるごとく行なへり 017 EST 005 001 第三日にエステル后の服を着王の家の内庭にいり王の家にむかひて立つ王は王宮の玉座に坐して王宮の戸口にむかひをりしが 017 EST 005 002 王后エステルが庭にたちをるを見てこれに恩をくはへ其手にある金圭をエステルの方に伸しければエステルすすみよりてその圭の頭にさはれり 017 EST 005 003 王かれに言けるは后エステルなんぢ何をもとむるやなんぢの願意は何なるや國の半分にいたるとも汝にあたふべし 017 EST 005 004 エステルいひけるは王もし善としたまはば願くは今日わが王のために設けたる酒宴に王とハマンと臨みたまへ 017 EST 005 005 ここに於て王ハマンを急がしめてエステルの言るごとくならしめよと命じ王とハマンやがてエステルが設けたる酒宴に臨めり 017 EST 005 006 酒宴の時王またエステルに言けるは汝の所求は何なるやかならずゆるさるべし なんぢの願意は何なるや國の半分にいたるとも成就らるべし 017 EST 005 007 エステル言けるは我が所求わが願意は是なり 017 EST 005 008 われもし王の目の前に恩を得 王もしわが所求をゆるしわが願意を成就しむることを善としたまはば願くは王とハマンまたわが設けんとする酒宴に臨みたまへ われ明日王の宣まへる言にしたがはん 017 EST 005 009 かくてハマンはその日よろこび心たのしみて出きたりけるがハマン、モルデカイが王の門に居て己にむかひて起もあがらず身動もせざるを見しかば 痛くモルデカイを怒れり 017 EST 005 010 されどもハマン耐忍びて家にかへりその朋友等および妻ゼレシをまねき來らしめ 017 EST 005 011 而してハマンその富の榮耀とその子の衆多ことと凡て王の己を貴とびし事また己をたかくして王の牧伯および臣僕の上にあらしむることを之に語れり 017 EST 005 012 しかしてハマンまた言けらく后エステル酒宴を設けたりしが我のほかは何人をも王とともに之に臨ましめず明日もまた我は王とともに后に招かれをるなり 017 EST 005 013 然れどユダヤ人モルデカイが王の門に坐しをるを見る間は是らの事も快樂からず 017 EST 005 014 時にその妻ゼレシとその一切の朋友かれに言けるは請ふ高五十キユビトの木を立しめ明日の朝モルデカイをその上に懸んことを王に奏せ而して王とともに樂しみてその酒宴におもむけとハマンこの事を善としてその木を立しめたり 017 EST 006 001 その夜王ねむること能はざりければ命じて日々の事を記せる記録の書を持きたらしめ王の前にこれを讀しめけるに 017 EST 006 002 モルデカイ曾て王の侍從の二人戸を守る者なるビグタンとテレシがアハシユエロス王を殺さんと謀れるを告たりと記せるに遇ふ 017 EST 006 003 王すなはち言けるは之がために何の榮譽と爵位をモルデカイにあたへしや 王に事ふる臣僕等こたへて何をも彼にあたへしこと無しといへり 017 EST 006 004 ここにおいて王誰ぞ庭にあるやと問ふ この時ハマンは己がモルデカイのために設けたる木にモルデカイを懸ることを王に奏せんとして已に王の家の外庭に來りて居る 017 EST 006 005 王の臣僕等王につげてハマン庭に立をると言ければ王かれをして入來らしめよと言ふ 017 EST 006 006 ハマンやがて入きたりしに王かれにいひけるは王の尊とばんと欲する人には如何になさば善らんかとハマン心におもひけるは王の尊ばんとずる者は我にあらずして誰ぞやと 017 EST 006 007 ハマンすなはち王にいひけるは王の尊ばんと欲する人のためには 017 EST 006 008 王の着たまへる衣服を携さへ來らしめかつ王の乗たまへる馬即ちその頭に王の冠冕を戴ける馬をひき來らしめ 017 EST 006 009 これを王の最も貴とき一人の牧伯の手にわたし王の尊ばんとする人に其衣服を衣せしめこれを馬にのせて邑の街衢をみちびき通り 王の尊とばんと欲する人には是のごとくなすべしと呼はらしむべし 017 EST 006 010 王ハマンに言けるは急ぎなんぢが言しごとくその衣服と馬とを取り王の門に坐するユダヤ人モルデカイに斯なせよ なんぢが言しところを一も缺こと無らしめよ 017 EST 006 011 ここにおいてハマン衣服と馬とを取りモルデカイにその衣服を着せ彼をして邑の街衢を乗とほらしめその前に呼はりて云ふ王の尊ばんと欲する人には是のごとくなすべしと 017 EST 006 012 かくてモルデカイは王の門にかへりたりしがハマンは愁へなやみ首をおほふておのれの家にはしりゆき 017 EST 006 013 しかしてハマンおのが遇る事をことごとくその妻ゼレシとその朋友等に告げるにその智者等およびその妻ゼレシかれに言けるは 彼のモルデカイすなはちなんぢがその前に敗れはじめたる者もしユダヤ人ならば汝これに勝ことを得じ必らずその前にやぶれんと 017 EST 006 014 かれら尚ハマンとものいひをる間に王の侍從きたりてハマンをうながしエステルが設けたる酒宴にのぞましむ 017 EST 007 001 王またハマンとともに后エステルと酒宴せんとて來れり 017 EST 007 002 この第二の酒宴の日に王またエステルに言けるは后エステルよなんぢのもとめは何なるや かならず許さるべし 汝のねがひは何なるや國の半分にいたるとも成就らるべし 017 EST 007 003 后エステルこたへて言けるは王よ我もし王の御目の前に恩を得王もし善と見たまはばわがもとめにしたがりこわが生命をわれに賜へ またわが願にしたがひてわが民を我に賜へ 017 EST 007 004 我とわが民は賣れて滅ぼされ殺され絶されんとす 我らもし奴婢に賣れたるならんには我默してはべらん 敵人は王の損害を償なふ事能はざるなり 017 EST 007 005 アハシユエロス王后エステルにこたへて言けるは之をなさんと心にたくめる者は誰また何處にをるや 017 EST 007 006 エステルいひけるはその敵その仇人は即ちこの惡きハマンなりと 是によりてハマンは王と后の前にありて懼れたり 017 EST 007 007 王怒り酒宴の席をたちて宮殿の園に往きければハマンたちあがりて后エステルに生命を乞り 其はかれ王のおのれに禍災をなさんと決めしを見たればなり 017 EST 007 008 王宮殿の園より歸りて酒宴の場にいたりしにエステルのをる牀榻の上にハマン俯伏ゐたれば王いひけるは彼はまた家の内にてわが前に后を辱しめんとするかと此ことば王の口より出るや人々ハマンの面をおほへり 017 EST 007 009 時に王の前にある一人の侍從ハルボナいひけるは王の爲に善き事を言たりしかのモルデカイを懸んとてハマンが作りたる五十キユビトの木ハマンの家に立をるなりと王いひけるは彼をその上に懸よ 017 EST 007 010 人々ハマンを其モルデカイをかけんとて設けし木の上に懸たり 王の震怒つひに解く 017 EST 008 001 その日アハシユエロス王ユダヤ人の敵ハマンの家を后エステルに賜ふ モダカイもまた王の前に來れり 是はエステル彼が己と何なる係りなるかを告たればなり 017 EST 008 002 王ハマンより取かへせし己の指環をはづしてモルデカイに與ふ 而してエステル、モルデカイをしてハマンの家をつかさどらしむ 017 EST 008 003 エステルふたたび王の前に奏してその足下にひれふしアガグ人ハマンがユダヤ人を害せんと謀りしその謀計を除かんことを涙ながらに乞求めたり 017 EST 008 004 王エステルにむかひて金圭を伸ければエステル起て王の前に立ち 017 EST 008 005 言けるは王もし之を善としたまひ我もし王の前に恩を得この事もし王に正と見え我もし御目にかなひたらば アガグ人ハンメダタの子ハマンが王の諸州にあるユダヤ人をほろぼさんと謀りて書おくりたる書をとりけすべき旨を書くだしたまへ 017 EST 008 006 われ豈わが民に臨まんとする禍害を見るに忍びんや 豈わが宗族のほろぶるを見るにしのびんや 017 EST 008 007 アハシユエロス王后エステルとユダヤ人モルデカイにいひけるはハマン、ユダヤ人を殺さんとしたれば我すでにハマンの家をエステルに與へまたハマンを木にかけたり 017 EST 008 008 なんぢらも亦おのれの好むごとく王の名をもて書をつくり王の指環をもてこれに印してユダヤ人につたへよ王の名をもて書き王の指環をもて印したる書は誰もとりけすこと能はざればなり 017 EST 008 009 ここをもてその時また王の書記官を召あつむ是三月すなはちシワンの月の二十三日なりきしかして印度よりエテオピアまでの百二十七州のユダヤ人州牧諸州の方伯牧伯等にモルデカイが命ぜんとするところを盡く書しるさしむ 即ちもろもろの州におくるものはその文字をもちひ諸の民におくるものはその言語をもちひて書おくりユダヤ人におくるものはその文字と言語をもちふ 017 EST 008 010 かれアハシユエロス王の名をもてこれをかき王の指環をもてこれに印し驛卒をして御厩にてそだてたる逸足の御用馬にのりてその書をおくりつたへしむ 017 EST 008 011 その中に云ふ王すべての邑にあるユダヤ人に許す彼らあひ集まり立ておのれの生命を保護しおのれを襲ふ諸國諸州の一切の兵民をその妻子もろともにほろぼし殺し絶し且その所有物を奪ふべし 017 EST 008 012 アハシユエロス王の諸州において十二月すなはちアダルの月の十三日一日の内かくのごとくするを許さる 017 EST 008 013 この詔旨を諸州につたへんがためまたユダヤ人をしてかの日のために準備してその敵に仇をかへさしめんがためにその書る物の寫本を一切の民に開きて示せり 017 EST 008 014 驛卒逸足の御用馬にのり王の命によりて急がせられせきたてられて出ゆけりこの詔書はシユシヤンの城において出されたり 017 EST 008 015 かくてモルデカイは藍と白の朝服を着大なる金の冠を戴き紫色の細布の外衣をまとひて王の前よりいできたれり シユシヤンの邑中聲をあげて喜びぬ 017 EST 008 016 ユダヤ人には光輝あり喜悦あり快樂あり尊榮ありき 017 EST 008 017 いづれの州にても何の邑にても凡て王の命令と詔書のいたるところにてはユダヤ人よろこぴ樂しみ酒宴をひらきて此日を吉日となせりしかして國の民おほくユダヤ人となれり是はユダヤ人を畏るる心おこりたればなり 017 EST 009 001 十二月すなはちアダルの月の十三日王の命令と詔書のおこなはるべき時いよいよ近づける時すなはちユダヤ人の敵ユダヤ人を打伏んとまちかまへたりしに却てユダヤ人おのれを惡む者を打ふする事となりける其日に 017 EST 009 002 ユダヤ人アハシユエロス王の各州にある己の邑々に相あつまりおのれを害せんとする者どもを殺さんとせり誰も彼らに敵ることを得る者なかりき 其は一切の民ユダヤ人を畏れたればなり 017 EST 009 003 諸州の牧伯州牧方伯など凡て王の事を辨理ふ者は皆ユダヤ人をたすけたり 是モルデカイを畏るるによりてたり 017 EST 009 004 モルデカイは王の家にて大なる者となりその名各州にきこえわたれり斯その人モルデカイはますます大になりゆきぬ 017 EST 009 005 ユダヤ人すなはち刀刃をもてその一切の敵を撃て殺し滅ぼしおのれを惡む者を意のままに爲したり 017 EST 009 006 ユダヤ人またシユシヤンの城においても五百人を殺しほろぼせり 017 EST 009 007 パルシヤンダタ、ダルポン、アスパタ 017 EST 009 008 ポラタ、アダリヤ、アリダタ 017 EST 009 009 パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ 017 EST 009 010 これらの者すなはちハンメダタの子ユダヤ人の敵たるハマンの十人の子をも彼ら殺せりされどその所有物には手をかけざりき 017 EST 009 011 シユシヤンの城の内にて殺されし者の數をその日王にまうしあげければ 017 EST 009 012 王きさきエステルにいひけるはユダヤ人シユシヤンの城の内にて五百人を殺しまたハマンの十人の子をころせり王のその餘の諸州においては幾何なりしぞや 汝また何か求むるところあるやかならず許さるべし尚何かねがふところあるや必らず成就らるべし 017 EST 009 013 エステルいひけるは王もし之を善としたまはば願くはシユシヤンにあるユダヤ人に允して明日も今日の詔旨のごとくなさしめ且ハマンの十人の子を木に懸しめたまへ 017 EST 009 014 王かく爲せと命じシユシヤンにおいて詔旨を出せりマンの十人の子は木に懸らる 017 EST 009 015 アダルの月の十四日にシユシヤンのユダヤ人また集まりシユシヤンの内にて三百人をころせり然れどもその所有物には手をかけざりき 017 EST 009 016 王の諸州にあるその餘のユダヤ人もまた相あつまり立ておのれの生命を保護しその敵に勝て安んじおのれを惡む者七萬五千人をころせり然れどもその所有には手をかけざりき 017 EST 009 017 アダルの月の十三日にこの事をおこなひ十四日にやすみてその日に酒宴をなして喜こべり 017 EST 009 018 されどシユシヤンにをるユダヤ人はその十三日と十四日とにあひ集まり十五日にやすみてその日に酒宴をなして喜こべり 017 EST 009 019 これによりて村々のユダヤ人すなはち石垣なき邑々にすめる者はアダルの月の十四日をもて喜樂の日酒宴の日吉日となして互に物をやりとりす 017 EST 009 020 モルデカイこれらの事を書しるしてアハシユエロス王の諸州にをるユダヤ人に遠きにも近きにも書をおくり 017 EST 009 021 アダルの月の十四日と十五日を年々にいはふことを命じ 017 EST 009 022 この兩の日にユダヤ人その敵に勝て休みこの月は彼のために憂愁より喜樂にかはり悲哀より吉日にかはりたれば是らの日に酒宴をなして喜びたがひに物をやりとりし貧しき者に施與をなすべしと諭しぬ 017 EST 009 023 ここをもてユダヤ人はその已にはじめたるごとくモルデカイがかれらに書おくりしごとく行なひつづけたり 017 EST 009 024 アガグ人ハンメダタの子ハマンすなはちすべてのユダヤ人の敵たる者ユダヤ人を滅ぼさんと謀りプルすなはち籤を投てこれを滅ぼし絶さんとしたりしが 017 EST 009 025 その事王の前に明かになりし時王書をおくりて命じハマンがユダヤ人を害せんとはかりしその惡き謀計をしてハマンのかうべに歸らしめ彼とその子等を木に懸しめたり 017 EST 009 026 このゆゑに此兩の日をそのプルの名にしたがひてプリムとなづけたり斯りしかばこの書のすべての詞によりこの事につきて見たるところ己の遇たるところに依て 017 EST 009 027 ユダヤ人あひ定め年々その書るところにしたがひその定めたる時にしたがひてこの兩の日をまもり己とおのれの子孫および凡て已につらなる者これを行ひつづけて廢すること無く 017 EST 009 028 この兩の日をもて代々家々州々邑々において必ず記念てまもるべき者となしこれらのプリムの日をしてユダヤ人の中に廢せらるること無らしめまたこの記念をしてその子孫の中に絶ること無らしむ 017 EST 009 029 かくてアビハイルの女なる后エステルとユダヤ人モルデカイおほいなる力をもて此プリムの第二の書を書おくりてこれを堅うす 017 EST 009 030 すなはちモルデカイ、アハシユエロスの國の百二十七州にある一切のユダヤ人に平和と眞實の言語をもて書をおくり 017 EST 009 031 斷食と悲哀のことにつきてプリムのこれらの日を堅うしてその定めたる時を守らしむすなはちユダヤ人モルデカイと后エステルが曾てかれらに命じたるごとくまたユダヤ人等が曾てみづから己のためおよびおのれの子孫のために定めたるがごとし 017 EST 009 032 エステルの語プリムにかかはる是等の事をかたうせり是は書にしるされたり 017 EST 010 001 アハシユエロス王國土および海の島々に貢をたてまつらしむ 017 EST 010 002 アハシユエロス王が權勢と能力をもて爲たる一切の事業および彼がモルデカイを高くして大いなる者とならしめたる事の委き話はメデアとペルシヤの列王の日誌の書に記さるるにあらずや 017 EST 010 003 ユダヤ人モルデカイはアハシユエロス王に次ぐ者となりユダヤ人の中にありて大なる者にしてその衆多の兄弟によろこばれたり彼はその民の福祉をもとめその一切の宗族に平和の言をのべたりき # # BOOK 018 JOB Job ヨブ 記 018 JOB 001 001 ウヅの地にヨブと名くる人あり 其人と爲完全かつ正くして神を畏れ惡に遠ざかる 018 JOB 001 002 その生る者は男の子七人女の子三人 018 JOB 001 003 その所有物は羊七千 駱駝三千 牛五百軛 牝驢馬五百 僕も夥多しくあり 此人は東の人の中にて最も大なる者なり 018 JOB 001 004 その子等おのおの己の家にて己の日に宴筵を設くる事を爲し その三人の姉妹をも招きて與に食飮せしむ 018 JOB 001 005 その宴筵の日はつる毎にヨブかならず彼らを召よせて潔む 即ち朝はやく興き彼ら一切の數にしたがひて燔祭を獻ぐ 是はヨブ我子ら罪を犯し心を神を忘れたらんも知べからずと謂てなり ヨブの爲ところ常に是のごとし 018 JOB 001 006 或日神の子等きたりてヱホバの前に立つ サタンも來りてその中にあり 018 JOB 001 007 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝何處より來りしや サタン、ヱホバに應へて言けるは地を行めぐり此彼經あるきて來れり 018 JOB 001 008 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝心をもちひてわが僕ヨブを觀しや 彼のごとく完全かつ正くして神を畏れ惡に遠ざかる人世にあらざるなり 018 JOB 001 009 サタン、ヱホバに應へて言けるはヨブあにもとむることなくして神を畏れんや 018 JOB 001 010 汝彼とその家およびその一切の所有物の周圍に藩屏を設けたまふにあらずや 汝かれが手に爲ところを盡く成就せしむるがゆゑにその所有物地に遍ねし 018 JOB 001 011 然ど汝の手を伸て彼の一切の所有物を撃たまへ 然ば必ず汝の面にむかひて汝を詛はん 018 JOB 001 012 ヱホバ、サタンに言たまひけるは視よ彼の一切の所有物を汝の手に任す 唯かれの身に汝の手をつくる勿れ サタンすなはちヱホバの前よりいでゆけり 018 JOB 001 013 或日ヨブの子女等その第一の兄の家にて物食ひ酒飮ゐたる時 018 JOB 001 014 使者ヨブの許に來りて言ふ 牛耕しをり牝驢馬その傍に草食をりしに 018 JOB 001 015 シバ人襲ひて之を奪ひ刄をもて少者を打殺せり 我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 016 彼なほ語ひをる中に又一人きたりて言ふ 神の火天より降りて羊および少者を焚て滅ぼせり 我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 017 彼なほ語ひをる中に又一人きたりて言ふ カルデヤ人三隊に分れ來て駱駝を襲ひてこれを奪ひ刄をもて少者を打殺せり我ただ一人のがれて汝に告んとて來れりと 018 JOB 001 018 彼なほ語ひをる中に又一人來りて言ふ汝の子女等その第一の兄の家にて物食ひ酒飮をりしに 018 JOB 001 019 荒野の方より大風ふき來て家の四隅を撃ければ夫の若き人々の上に潰れおちて皆しねり 我これを汝に告んとて只一人のがれ來れりと 018 JOB 001 020 是においてヨブ起あがり外衣を裂き髮を斬り地に伏して拜し 018 JOB 001 021 言ふ我裸にて母の胎を出たり 又裸にて彼處に歸らん ヱホバ與へヱホバ取たまふなり ヱホバの御名は讚べきかな 018 JOB 001 022 この事においてヨブは全く罪を犯さず神にむかひて愚なることを言ざりき 018 JOB 002 001 或日神の子等きたりてヱホバの前に立つ サタンも來りその中にありてヱホバの前に立つ 018 JOB 002 002 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝何處より來りしや サタン、ヱホバに應へて言けるは地を行めぐり此彼經あるきて來れり 018 JOB 002 003 ヱホバ、サタンに言たまひけるは汝心をもちひて我僕ヨブを見しや 彼のごとく完全かつ正くして神を畏れ惡に遠ざかる人世にあらざるなり 汝われを勸めて故なきに彼を打惱さしめしかど彼なほ己を完うして自ら堅くす 018 JOB 002 004 サタン、ヱホバに應へて言けるは皮をもて皮に換るなれば人はその一切の所有物をもて己の生命に換ふべし 018 JOB 002 005 然ど今なんぢの手を伸て彼の骨と肉とを撃たまへ 然ば必らず汝の面にむかひて汝を詛はん 018 JOB 002 006 ヱホバ、サタンに言たまひけるは彼を汝の手に任す 只かれの生命を害ふ勿れと 018 JOB 002 007 サタンやがてヱホバの前よりいでゆきヨブを撃てその足の跖より頂までに惡き腫物を生ぜしむ 018 JOB 002 008 ヨブ土瓦の碎片を取り其をもて身を掻き灰の中に坐りぬ 018 JOB 002 009 時にその妻かれに言けるは汝は尚も己を完たうして自ら堅くするや 神を詛ひて死るに如ずと 018 JOB 002 010 然るに彼はこれに言ふ汝の言ところは愚なる婦の言ところに似たり 我ら神より福祉を受るなれば災禍をも亦受ざるを得んやと 此事においてはヨブまつたくその唇をもて罪を犯さざりき 018 JOB 002 011 時にヨブの三人の友この一切の災禍の彼に臨めるを聞き各々おのれの處よりして來れり 即ちテマン人エリパズ、シユヒ人ビルダデおよびマアナ人ゾパル是なり 彼らヨブを弔りかつ慰めんとて互に約してきたりしが 018 JOB 002 012 目を擧て遙に觀しに其ヨブなるを見識がたき程なりければ齊く聲を擧て泣き 各おのれの外衣を裂き天にむかひて塵を撒て己の頭の上にちらし 018 JOB 002 013 乃ち七日七夜かれと偕に地に坐しゐて 一言も彼に言かくる者なかりき 彼が苦惱の甚だ大なるを見たればなり 018 JOB 003 001 斯て後ヨブ口を啓きて自己の日を詛へり 018 JOB 003 002 ヨブすなはち言詞を出して云く 018 JOB 003 003 我が生れし日亡びうせよ 男子胎にやどれりと言し夜も亦然あれ 018 JOB 003 004 その日は暗くなれ 神上よりこれを顧みたまはざれ 光これを照す勿れ 018 JOB 003 005 暗闇および死蔭これを取もどせ 雲これが上をおほえ 日を暗くする者これを懼しめよ 018 JOB 003 006 その夜は黑暗の執ふる所となれ 年の日の中に加はらざれ 月の數に入ざれ 018 JOB 003 007 その夜は孕むこと有ざれ 歡喜の聲その中に興らざれ 018 JOB 003 008 日を詛ふ者レビヤタンを激發すに巧なる者これを詛へ 018 JOB 003 009 その夜の晨星は暗かれ その夜には光明を望むも得ざらしめ 又東雲の眼蓋を見ざらしめよ 018 JOB 003 010 是は我母の胎の戸を闔ずまた我目に憂を見ること無らしめざりしによる 018 JOB 003 011 何とて我は胎より死て出ざりしや 何とて胎より出し時に氣息たえざりしや 018 JOB 003 012 如何なれば膝ありてわれを接しや 如何なれば乳房ありてわれを養ひしや 018 JOB 003 013 否らずば今は我偃て安んじかつ眠らん 然ばこの身やすらひをり 018 JOB 003 014 かの荒墟を自己のために築きたりし世の君等臣等と偕にあり 018 JOB 003 015 かの黄金を有ち白銀を家に充したりし牧伯等と偕にあらん 018 JOB 003 016 又人しれず墮る胎兒のごとくにして世に出ず また光を見ざる赤子のごとくならん 018 JOB 003 017 彼處にては惡き者 虐遇を息め倦憊たる者安息を得 018 JOB 003 018 彼處にては俘囚人みな共に安然に居りて驅使者の聲を聞ず 018 JOB 003 019 小き者も大なる者も同じく彼處にあり僕も主の手を離る 018 JOB 003 020 如何なれば艱難にをる者に光を賜ひ 心苦しむ者に生命をたまひしや 018 JOB 003 021 斯る者は死を望むなれどもきたらず これをもとむるは藏れたる寳を掘るよりも甚だし 018 JOB 003 022 もし墳墓を尋ねて獲ば大に喜こび樂しむなり 018 JOB 003 023 その道かくれ神に取籠られをる人に如何なれば光明を賜ふや 018 JOB 003 024 わが歎息はわが食物に代り我呻吟は水の流れそそぐに似たり 018 JOB 003 025 我が戰慄き懼れし者我に臨み我が怖懼れたる者この身に及べり 018 JOB 003 026 我は安然ならず穩ならず安息を得ず唯艱難のみきたる 018 JOB 004 001 時にテマン人エリパズ答へて曰く 018 JOB 004 002 人もし汝にむかひて言詞を出さば汝これを厭ふや 然ながら誰か言で忍ぶことを得んや 018 JOB 004 003 さきに汝は衆多の人を誨へ諭せり 手の埀たる者をばこれを強くし 018 JOB 004 004 つまづく者をば言をもて扶けおこし 膝の弱りたる者を強くせり 018 JOB 004 005 然るに今この事汝に臨めば汝悶え この事なんぢに加はれば汝おぢまどふ 018 JOB 004 006 汝は神を畏こめり 是なんぢの依賴む所ならずや 汝はその道を全うせり 是なんぢの望ならずや 018 JOB 004 007 請ふ想ひ見よ 誰か罪なくして亡びし者あらん 義者の絶れし事いづくに在や 018 JOB 004 008 我の觀る所によれば不義を耕へし惡を播く者はその穫る所も亦是のごとし 018 JOB 004 009 みな神の氣吹によりて滅びその鼻の息によりて消うす 018 JOB 004 010 獅子の吼 猛き獅子の聲ともに息み 少き獅子の牙折れ 018 JOB 004 011 大獅子獲物なくして亡び小獅子散失す 018 JOB 004 012 前に言の密に我に臨めるありて我その細聲を耳に聞得たり 018 JOB 004 013 即ち人の熟睡する頃我夜の異象によりて想ひ煩ひをりける時 018 JOB 004 014 身に恐懼をもよほして戰慄き 骨節ことごとく振ふ 018 JOB 004 015 時に靈ありて我面の前を過ければ我は身の毛よだちたり 018 JOB 004 016 その物立とまりしが我はその状を見わかつことえざりき 唯一の物の象わが目の前にあり 時に我しづかなる聲を聞けり云く 018 JOB 004 017 人いかで神より正義からんや 人いかでその造主より潔からんや 018 JOB 004 018 彼はその僕をさへに恃みたまはず 其使者をも足ぬ者と見做たまふ 018 JOB 004 019 况んや土の家に住をりて塵を基とし蜉蝣のごとく亡ぶる者をや 018 JOB 004 020 是は朝より夕までの間に亡びかへりみる者もなくして永く失逝る 018 JOB 004 021 その魂の緒あに絶ざらんや皆悟ること無して死うす 018 JOB 005 001 請ふなんぢ龥びて看よ 誰か汝に應ふる者ありや 聖者の中にて誰に汝むかはんとするや 018 JOB 005 002 夫愚なる者は憤恨のために身を殺し 癡き者は嫉媢のために己を死しむ 018 JOB 005 003 我みづから愚なる者のその根を張るを見たりしがすみやかにその家を詛へり 018 JOB 005 004 その子等は助援を獲ることなく 門にて惱まさる 之を救ふ者なし 018 JOB 005 005 その穡とれる物は饑たる人これを食ひ 荊棘の籬の中にありてもなほ之を奪ひいだし 羂をその所有物にむかひて口を張る 018 JOB 005 006 災禍は塵より起らず 艱難は土より出ず 018 JOB 005 007 人の生れて艱難をうくるは火の子の上に飛がごとし 018 JOB 005 008 もし我ならんには我は必らず神に告求め 我事を神に任せん 018 JOB 005 009 神は大にして測りがたき事を行ひたまふ 其不思議なる事を爲たまふこと數しれず 018 JOB 005 010 雨を地の上に降し 水を野に遣り 018 JOB 005 011 卑き者を高く擧げ 憂ふる者を引興して幸福ならしめたまふ 018 JOB 005 012 神は狡しき者の謀計を敗り 之をして何事をもその手に成就ること能はざらしめ 018 JOB 005 013 慧き者をその自分の詭計によりて執へ 邪なる者の謀計をして敗れしむ 018 JOB 005 014 彼らは晝も暗黑に遇ひ 卓午にも夜の如くに摸り惑はん 018 JOB 005 015 神は惱める者を救ひてかれらが口の劍を免かれしめ 強き者の手を免かれしめたまふ 018 JOB 005 016 是をもて弱き者望あり 惡き者口を閉づ 018 JOB 005 017 神の懲したまふ人は幸福なり 然ば汝全能者の儆責を輕んずる勿れ 018 JOB 005 018 神は傷け又裹み 撃ていため又その手をもて善醫したまふ 018 JOB 005 019 彼はなんぢを六の艱難の中にて救ひたまふ 七の中にても災禍なんぢにのぞまじ 018 JOB 005 020 饑饉の時にはなんぢを救ひて死を免れしめ 戰爭の時には劍の手を免れしめたまふ 018 JOB 005 021 汝は舌にて鞭たるる時にも隱るることを得 壞滅の來る時にも懼るること有じ 018 JOB 005 022 汝は壞滅と饑饉を笑ひ地の獸をも懼るること無るべし 018 JOB 005 023 田野の石なんぢと相結び野の獸なんぢと和がん 018 JOB 005 024 汝はおのが幕屋の安然なるを知ん 汝の住處を見まはるに缺たる者なからん 018 JOB 005 025 汝また汝の子等の多くなり 汝の裔の地の草の如くになるを知ん 018 JOB 005 026 汝は遐齡におよびて墓にいらん 宛然麥束を時にいたりて運びあぐるごとくなるべし 018 JOB 005 027 視よ我らが尋ね明めし所かくのごとし 汝これを聽て自ら知れよ 018 JOB 006 001 ヨブ應へて曰く 018 JOB 006 002 願はくは我憤恨の善く權られ 我懊惱の之とむかひて天秤に懸られんことを 018 JOB 006 003 然すれば是は海の沙よりも重からん 斯ればこそ我言躁妄なりけれ 018 JOB 006 004 それ全能者の箭わが身にいりわが魂神その毒を飮り 神の畏怖我を襲ひ攻む 018 JOB 006 005 野驢馬あに靑草あるに鳴んや 牛あに食物あるに吽らんや 018 JOB 006 006 淡き物あに鹽なくして食はれんや 蛋の白あに味あらんや 018 JOB 006 007 わが心の觸ることを嫌ふ物是は我が厭ふ所の食物のごとし 018 JOB 006 008 願はくは我求むる所を得んことを願はくは神わが希ふ所の物を我に賜はらんことを 018 JOB 006 009 願はくは神われを滅ぼすを善とし 御手を伸て我を絶たまはんことを 018 JOB 006 010 然るとも我は尚みづから慰むる所あり 烈しき苦痛の中にありて喜ばん 是は我聖者の言に悖りしことなければなり 018 JOB 006 011 我何の氣力ありてか尚俟ん 我の終いかなれば我なほ耐へ忍ばんや 018 JOB 006 012 わが氣力あに石の氣力のごとくならんや 我肉あに銅のごとくならんや 018 JOB 006 013 わが助われの中に無にあらずや 救拯我より逐はなされしにあらずや 018 JOB 006 014 憂患にしづむ者はその友これを憐れむべし 然らずば全能者を畏るることを廢ん 018 JOB 006 015 わが兄弟はわが望を充さざること溪川のごとく 溪川の流のごとくに過さる 018 JOB 006 016 是は氷のために黑くなり 雪その中に藏るれども 018 JOB 006 017 温暖になる時は消ゆき熱くなるに及てはその處に絶はつ 018 JOB 006 018 隊旅客身をめぐらして去り空曠處にいたりて亡ぶ 018 JOB 006 019 テマの隊旅客これを望みシバの旅客これを慕ふ 018 JOB 006 020 彼等これを望みしによりて愧恥を取り 彼處に至りてその面を赧くす 018 JOB 006 021 かく汝等も今は虚しき者なり 汝らは怖ろしき事を見れば則ち懼る 018 JOB 006 022 我あに汝等我に予へよと言しこと有んや 汝らの所有物の中より物を取て我ために饋れと言しこと有んや 018 JOB 006 023 また敵人の手より我を救ひ出せと言しことあらんや 虐ぐる者の手より我を贖へと言しことあらんや 018 JOB 006 024 我を敎へよ 然らば我默せん 請ふ我の過てる所を知せよ 018 JOB 006 025 正しき言は如何に力あるものぞ 然ながら汝らの規諫る所は何の規諫とならんや 018 JOB 006 026 汝らは言を規正んと想ふや 望の絶たる者の語る所は風のごときなり 018 JOB 006 027 汝らは孤子のために籤を掣き 汝らの友をも商貨にするならん 018 JOB 006 028 今ねがはくは我に向へ 我は汝らの面の前に僞はらず 018 JOB 006 029 請ふ再びせよ 不義あらしむる勿れ 請ふ再びせよ 此事においては我正義し 018 JOB 006 030 我舌に不義あらんや 我口惡き物を辨へざらんや 018 JOB 007 001 それ人の世にあるは戰鬪にあるがごとくならずや 又其日は傭人の日のごとくなるにあらずや 018 JOB 007 002 奴僕の暮を冀がふが如く傭人のその價を望むがごとく 018 JOB 007 003 我は苦しき月を得させられ 憂はしき夜をあたへらる 018 JOB 007 004 我臥ば乃はち言ふ何時夜あけて我おきいでんかと 曙まで頻に輾轉ぶ 018 JOB 007 005 わが肉は蟲と土塊とを衣服となし 我皮は愈てまた腐る 018 JOB 007 006 わが日は機の梭よりも迅速なり 我望む所なくし之を送る 018 JOB 007 007 想ひ見よ わが生命が氣息なる而已 我目は再び福祉を見ること有じ 018 JOB 007 008 我を見し者の眼かさねて我を見ざらん 汝目を我にむくるも我は已に在ざるべし 018 JOB 007 009 雲の消て逝がごとく陰府に下れる者は重ねて上りきたらじ 018 JOB 007 010 彼は再びその家に歸らず 彼の郷里も最早かれを認めじ 018 JOB 007 011 然ば我はわが口を禁めず 我心の痛によりて語ひ わが神魂の苦しきによりて歎かん 018 JOB 007 012 我あに海ならんや鰐ならんや 汝なにとて我を守らせおきたまふぞ 018 JOB 007 013 わが牀われを慰め わが寢床わが愁を解んと思ひをる時に 018 JOB 007 014 汝夢をもて我を驚かし 異象をもて我を懼れしめたまふ 018 JOB 007 015 是をもて我心は氣息の閉んことを願ひ我この骨よりも死を冀がふ 018 JOB 007 016 われ生命を厭ふ 我は永く生るをことを願はず 我を捨おきたまへ 我日は氣のごときなり 018 JOB 007 017 人を如何なる者として汝これを大にし 之を心に留 018 JOB 007 018 朝ごとに之を看そなはし 時わかず之を試みたまふや 018 JOB 007 019 何時まで汝われに目を離さず 我が津を咽む間も我を捨おきたまはざるや 018 JOB 007 020 人を鑒みたまふ者よ我罪を犯したりとて汝に何をか爲ん 何ぞ我を汝の的となして我にこの身を厭はしめたまふや 018 JOB 007 021 汝なんぞ我の愆を赦さず我罪を除きたまはざるや 我いま土の中に睡らん 汝我を尋ねたまふとも我は在ざるべし 018 JOB 008 001 時にシユヒ人ビルダデ答へて曰く 018 JOB 008 002 何時まで汝かかる事を言や 何時まで汝の口の言語を大風のごとくにするや 018 JOB 008 003 神あに審判を曲たまはんや 全能者あに公義を曲たまはんや 018 JOB 008 004 汝の子等かれに罪を獲たるにや之をその愆の手に付したまへり 018 JOB 008 005 汝もし神に求め 全能者に祈り 018 JOB 008 006 清くかつ正しうしてあらば必ず今汝を顧み汝の義き家を榮えしめたまはん 018 JOB 008 007 然らば汝の始は微小くあるとも汝の終は甚だ大ならん 018 JOB 008 008 請ふ汝過にし代の人に問へ 彼らの父祖の尋究めしところの事を學べ 018 JOB 008 009 (我らは昨日より有しのみにて何をも知ず 我らが世にある日は影のごとし) 018 JOB 008 010 彼等なんぢを敎へ汝を諭し 言をその心より出さざらんや 018 JOB 008 011 葦あに泥なくして長んや 萩あに水なくしてそだたんや 018 JOB 008 012 是はその靑くして未だ刈ざる時にも他の一切の草よりは早く槁る 018 JOB 008 013 神を忘るる者の道は凡て是のごとく 悖る者の望は空しくなる 018 JOB 008 014 その恃む所は絶れ その倚ところは蜘蛛網のごとし 018 JOB 008 015 その家に倚かからんとすれば家立ず 之に堅くとりすがるも保たじ 018 JOB 008 016 彼日の前に靑緑を呈はし その枝を園に蔓延らせ 018 JOB 008 017 その根を石堆に盤みて石の屋を眺むれども 018 JOB 008 018 若その處より取のぞかれなばその處これを認めずして我は汝を見たる事なしと言ん 018 JOB 008 019 視よその道の喜樂是のごとし 而してまた他の者地より生いでん 018 JOB 008 020 それ神は完全人を棄たまはず また惡き者の手を執りたまはず 018 JOB 008 021 遂に哂笑をもて汝の口に充し歡喜を汝の唇に置たまはん 018 JOB 008 022 汝を惡む者は羞恥を着せられ 惡き者の住所は無なるべし 018 JOB 009 001 ヨブこたへて言けるは 018 JOB 009 002 我まことに其事の然るを知り 人いかでか神の前に義かるべけん 018 JOB 009 003 よし人は神と辨爭はんとするとも千の一も答ふること能はざるべし 018 JOB 009 004 神は心慧く力強くましますなり 誰か神に逆ひてその身安からんや 018 JOB 009 005 彼山を移したまふに山しらず 彼震怒をもて之を飜倒したまふ 018 JOB 009 006 彼地を震ひてその所を離れしめたまへばその柱ゆるぐ 018 JOB 009 007 日に命じたまへば日いでず 又星辰を封じたまふ 018 JOB 009 008 唯かれ獨天を張り海の濤を覆たまふ 018 JOB 009 009 また北斗參宿昴宿および南方の密室を造りたまふ 018 JOB 009 010 大なる事を行ひたまふこと測られず奇しき業を爲たまふこと數しれず 018 JOB 009 011 視よ彼わが前を過たまふ 然るに我これを見ず彼すすみゆき賜ふ然るに我之を曉ず 018 JOB 009 012 彼奪ひ去賜ふ 誰か能之を沮まん 誰か之に汝何を爲やと言ことを得爲ん 018 JOB 009 013 神其震怒を息賜はず ラハブを助る者等之が下に屈む 018 JOB 009 014 然ば我爭か彼に回答を爲ことを得ん 爭われ言を選びて彼と論ふ事をえんや 018 JOB 009 015 假令われ義かるとも彼に回答をせじ 彼は我を審判く者なれば我彼に哀き求ん 018 JOB 009 016 假令我彼を呼て彼われに答たまふともわが言を聽いれ賜ひしとは我信ぜざるなり 018 JOB 009 017 彼は大風をもて我を撃碎き 故なくして我に衆多の傷を負せ 018 JOB 009 018 我に息をつかさしめず 苦き事をもて我身に充せ賜ふ 018 JOB 009 019 強き者の力量を言んか 視よ此にあり 審判の事ならんか 誰か我を喚出すことを得爲ん 018 JOB 009 020 假令われ義かるとも我口われを惡しと爲ん 假令われ完全かるとも尚われを罪ありとせん 018 JOB 009 021 我は全し 然ども我はわが心を知ず 我生命を賤む 018 JOB 009 022 皆同一なり 故に我は言ふ神は完全者と惡者とを等しく滅したまふと 018 JOB 009 023 災禍の俄然に人を誅す如き事あれば彼は辜なき者の苦痛を笑ひ見たまふ 018 JOB 009 024 世は惡き者の手に交されてあり 彼またその裁判人の面を蔽ひたまふ 若彼ならずば是誰の行爲なるや 018 JOB 009 025 わが日は驛使よりも迅く 徒に過さりて福祉を見ず 018 JOB 009 026 其はしること葦舟のごとく 物を攫まんとて飛かける鷲のごとし 018 JOB 009 027 たとひ我わが愁を忘れ面色を改めて笑ひをらんと思ふとも 018 JOB 009 028 尚この諸の苦痛のために戰慄くなり 我思ふに汝われを釋し放ちたまはざらん 018 JOB 009 029 我は罪ありとせらるるなれば何ぞ徒然に勞すべけんや 018 JOB 009 030 われ雪水をもて身を洗ひ 灰汁をもて手を潔むるとも 018 JOB 009 031 汝われを汚はしき穴の中に陷いれたまはん 而して我衣も我を厭ふにいたらん 018 JOB 009 032 神は我のごとく人にあらざれば我かれに答ふべからず 我ら二箇して共に裁判に臨むべからず 018 JOB 009 033 また我らの間には我ら二箇の上に手を置べき仲保あらず 018 JOB 009 034 願くは彼その杖を我より取はなし その震怒をもて我を懼れしめたまはざれ 018 JOB 009 035 然らば我 言語て彼を畏れざらん 其は我みづから斯る者と思はざればなり 018 JOB 010 001 わが心生命を厭ふ 然ば我わが憂愁を包まず言あらはし わが魂神の苦きによりて語はん 018 JOB 010 002 われ神に申さん 我を罪ありしとしたまふ勿れ 何故に我とあらそふかを我に示したまへ 018 JOB 010 003 なんぢ虐遇を爲し 汝の手の作を打棄て惡き者の謀計を照すことを善としたまふや 018 JOB 010 004 汝は肉眼を有たまふや 汝の觀たまふ所は人の觀るがごとくなるや 018 JOB 010 005 なんぢの日は人間の日のごとく 汝の年は人の日のごとくなるや 018 JOB 010 006 何とて汝わが愆を尋ねわが罪をしらべたまふや 018 JOB 010 007 されども汝はすでに我の罪なきを知たまふ また汝の手より救ひいだし得る者なし 018 JOB 010 008 汝の手われをいとなみ我をことごとく作れり 然るに汝今われを滅ぼしたまふなり 018 JOB 010 009 請ふ記念たまへ 汝は土塊をもてすてるがごとくに我を作りたまへり 然るに復われを塵に歸さんとしたまふや 018 JOB 010 010 汝は我を乳のごとく斟ぎ牛酪のごとくに凝しめたまひしに非ずや 018 JOB 010 011 汝は皮と肉とを我に着せ骨と筋とをもて我を編み 018 JOB 010 012 生命と恩惠とをわれに授け我を眷顧てわが魂神を守りたまへり 018 JOB 010 013 然はあれど汝これらの事を御心に藏しおきたまへり 我この事汝の心にあるを知る 018 JOB 010 014 我もし罪を犯さば汝われをみとめてわが罪を赦したまはじ 018 JOB 010 015 我もし行状あしからば禍あらん 假令われ義かるとも我頭を擧じ 其は我は衷に羞耻充ち 眼にわが患難を見ればなり 018 JOB 010 016 もし頭を擧なば獅子のごとくに汝われを追打ち 我身の上に復なんぢの奇しき能力をあらはしたまはん 018 JOB 010 017 汝はしばしば證する者を入かへて我を攻め 我にむかひて汝の震怒を増し新手に新手を加へて我を攻めたまふ 018 JOB 010 018 何とて汝われを胎より出したまひしや 然らずば我は息絶え目に見らるること無く 018 JOB 010 019 曾て有ざりし如くならん 即ち我は胎より墓に持ゆかれん 018 JOB 010 020 わが日は幾時も无きに非ずや 願くは彼姑らく息て我を離れ我をして少しく安んぜしめんことを 018 JOB 010 021 我が往て復返ることなきその先に斯あらしめよ 我は暗き地死の蔭の地に往ん 018 JOB 010 022 この地は暗くして晦冥に等しく死の蔭にして區分なし 彼處にては光明も黑暗のごとし 018 JOB 011 001 是においてナアマ人ゾパル答へて言けるは 018 JOB 011 002 言語多からば豈答へざるを得んや 口おほき人あに義とせられんや 018 JOB 011 003 汝も空しき言あに人をして口を閉しめんや 汝嘲らば人なんぢをして羞しめざらんや 018 JOB 011 004 汝は言ふ 我敎は正し 我は汝の目の前に潔しと 018 JOB 011 005 願くは神言を出し 汝にむかひて口を開き 018 JOB 011 006 智慧の秘密をなんぢに示してその知識の相倍するを顯したまはんことを 汝しれ神はなんぢの罪よりも輕くなんぢを處置したまふなり 018 JOB 011 007 なんぢ神の深事を窮むるを得んや 全能者を全く窮むることを得んや 018 JOB 011 008 その高きことは天のごとし 汝なにを爲し得んや 其深きことは陰府のごとし 汝なにを知えんや 018 JOB 011 009 その量は地よりも長く海よりも濶し 018 JOB 011 010 彼もし行めぐりて人を執へて召集めたまふ時は誰か能くこれを阻まんや 018 JOB 011 011 彼は僞る人を善く知りたまふ 又惡事は顧みること無して見知たまふなり 018 JOB 011 012 虚しき人は悟性なし その生るるよりして野驢馬の駒のごとし 018 JOB 011 013 汝もし彼にむかひて汝の心を定め 汝の手を舒べ 018 JOB 011 014 手に罪のあらんには之を遠く去れ 惡をなんぢの幕屋に留むる勿れ 018 JOB 011 015 然すれば汝 面を擧て玷なかるべく堅く 立て懼るる事なかるべし 018 JOB 011 016 すなはち汝憂愁を忘れん 汝のこれを憶ゆることは流れ去し水のごとくならん 018 JOB 011 017 なんぢの生存らふる日は眞晝よりも輝かん 假令暗き事あるとも是は平旦のごとくならん 018 JOB 011 018 なんぢは望あるに因て安んじ 汝の周圍を見めぐりて安然に寐るにいたらん 018 JOB 011 019 なんぢは何にも懼れさせらるること無して偃やまん 必ず衆多の者なんぢを悦こばせんと務むべし 018 JOB 011 020 然ど惡き者は目曚み逃遁處を失なはん 其望は氣の斷ると等しかるべし 018 JOB 012 001 ヨブこたへて言ふ 018 JOB 012 002 なんぢら而已まことに人なり 智慧は汝らと共に死ん 018 JOB 012 003 我もなんぢらと同じく心あり 我はなんぢらの下に立ず 誰か汝らの言し如き事を知ざらんや 018 JOB 012 004 我は神に龥はりて聽るる者なるに今その友に嘲けらるる者となれり 嗚呼正しくかつ完たき人あざけらる 018 JOB 012 005 安逸なる者は思ふ 輕侮は不幸なる者に附そひ足のよろめく者を俟と 018 JOB 012 006 掠奪ふ者の天幕は繁榮え 神を怒らせ自己の手に神を携ふる者は安泰なり 018 JOB 012 007 今請ふ獸に問へ然ば汝に敎へん 天空の鳥に問へ然ばなんぢに語らん 018 JOB 012 008 地に言へ然ばなんぢに敎へん 海の魚もまた汝に述べし 018 JOB 012 009 誰かこの一切の者に依てヱホバの手のこれを作りしなるを知ざらんや 018 JOB 012 010 一切の生物の生氣および一切の人の靈魂ともに彼の手の中にあり 018 JOB 012 011 耳は説話を辨へざらんや その状あたかも口の食物を味ふがごとし 018 JOB 012 012 老たる者の中には智慧あり 壽長者の中には穎悟あり 018 JOB 012 013 智慧と權能は神に在り 智謀と穎悟も彼に屬す 018 JOB 012 014 視よ彼毀てば再び建ること能はず 彼人を閉こむれば開き出すことを得ず 018 JOB 012 015 視よ彼水を止むれば則ち涸れ 水を出せば則ち地を滅ぼす 018 JOB 012 016 權能と穎悟は彼に在り 惑はさるる者も惑はす者も共に彼に屬す 018 JOB 012 017 彼は議士を裸體にして擄へゆき 審判人をして愚なる者とならしめ 018 JOB 012 018 王等の權威を解て反て之が腰に繩をかけ 018 JOB 012 019 祭司等を裸體にして擄へゆき 權力ある者を滅ぼし 018 JOB 012 020 言爽なる者の言語を取除き 老たる者の了知を奪ひ 018 JOB 012 021 侯伯たる者等に恥辱を蒙らせ 強き者の帶を解き 018 JOB 012 022 暗中より隱れたる事等を顯し 死の蔭を光明に出し 018 JOB 012 023 國々を大にしまた之を滅ぼし 國々を廣くしまた之を舊に歸し 018 JOB 012 024 地の民の長たる者等の了知を奪ひ これを路なき荒野に吟行はしむ 018 JOB 012 025 彼らは光明なき暗にたどる 彼また彼らを醉る人のごとくによろめかしむ 018 JOB 013 001 視よわが目これを盡く觀 わが耳これを聞て通逹れり 018 JOB 013 002 汝らが知るところは我もこれを知る 我は汝らに劣らず 018 JOB 013 003 然りと雖ども我は全能者に物言ん 我は神と論ぜんことをのぞむ 018 JOB 013 004 汝らは只謊言を造り設くる者 汝らは皆無用の醫師なり 018 JOB 013 005 願くは汝ら全く默せよ 然するは汝らの智慧なるべし 018 JOB 013 006 請ふわが論ずる所を聽き 我が唇にて辨爭ふ所を善く聽け 018 JOB 013 007 神のために汝ら惡き事を言や 又かれのために虚僞を述るや 018 JOB 013 008 汝ら神の爲に偏るや またかれのために爭はんとするや 018 JOB 013 009 神もし汝らを鑒察たまはば豈善らんや 汝等人を欺むくごとくに彼を欺むき得んや 018 JOB 013 010 汝等もし密に私しするあらば彼かならず汝らを責ん 018 JOB 013 011 その威光なんぢらを懼れしめざらんや 彼を懼るる畏懼なんぢらに臨まざらんや 018 JOB 013 012 なんぢらの諭言は灰に譬ふべし なんぢらの城は土の城となる 018 JOB 013 013 默して我にかかはらざれ 我言語んとす 何事にもあれ我に來らば來れ 018 JOB 013 014 我なんぞ我肉をわが齒の間に置き わが生命をわが手に置かんや 018 JOB 013 015 彼われを殺すとも我は彼に依賴まん 唯われは吾道を彼の前に明かにせんとす 018 JOB 013 016 彼また終に我救拯とならん 邪曲なる者は彼の前にいたること能はざればなり 018 JOB 013 017 なんぢら聽よ 我言を聽け我が述る所をなんぢらの耳に入しめよ 018 JOB 013 018 視よ我すでに吾事を言竝べたり 必ず義しとせられんと自ら知る 018 JOB 013 019 誰か能われと辨論ふ者あらん 若あらば我は口を緘て死ん 018 JOB 013 020 惟われに二の事を爲たまはざれ 然ば我なんぢの面をさけて隱れじ 018 JOB 013 021 なんぢの手を我より離したまへ 汝の威嚴をもて我を懼れしめたまはざれ 018 JOB 013 022 而して汝われを召たまへ 我こたへん 又われにも言はしめて汝われに答へたまへ 018 JOB 013 023 我の愆われの罪いくばくなるや 我の背反と罪とを我に知しめたまへ 018 JOB 013 024 何とて御顏を隱し我をもて汝の敵となしたまふや 018 JOB 013 025 なんぢは吹廻さるる木の葉を威し 干あがりたる籾殼を追たまふや 018 JOB 013 026 汝は我につきて苦き事等を書しるし 我をして我が幼稚時の罪を身に負しめ 018 JOB 013 027 わが足を足械にはめ 我すべての道を伺ひ 我足の周圍に限界をつけたまふ 018 JOB 013 028 我は腐れたる者のごとくに朽ゆき 蠹に食るる衣服に等し 018 JOB 014 001 婦の產む人はその日少なくして艱難多し 018 JOB 014 002 その來ること花のごとくにして散り 其馳ること影のごとくにして止まらず 018 JOB 014 003 なんぢ是のごとき者に汝の目を啓きたまふや 汝われを汝の前にひきて審判したまふや 018 JOB 014 004 誰か清き物を汚れたる物の中より出し得る者あらん 一人も無し 018 JOB 014 005 その日旣に定まり その月の數なんぢに由り 汝これが區域を立て越ざらしめたまふなれば 018 JOB 014 006 是に目を離して安息を得させ 之をして傭人のその日を樂しむがごとくならしめたまへ 018 JOB 014 007 それ木には望あり 假令砍るるとも復芽を出してその枝絶ず 018 JOB 014 008 たとひ其根地の中に老い 幹土に枯るとも 018 JOB 014 009 水の潤霑にあへば即ち芽をふき枝を出して若樹に異ならず 018 JOB 014 010 然ど人は死れば消うす 人氣絶なば安に在んや 018 JOB 014 011 水は海に竭き河は涸てかわく 018 JOB 014 012 是のごとく人も寢臥てまた興ず 天の盡るまで目覺ず睡眠を醒さざるなり 018 JOB 014 013 願はくは汝われを陰府に藏し 汝の震怒の息むまで我を掩ひ 我ために期を定め而して我を念ひたまへ 018 JOB 014 014 人もし死ばまた生んや 我はわが征戰の諸日の間望みをりて我が變更の來るを待ん 018 JOB 014 015 なんぢ我を呼たまはん 而して我こたへん 汝かならず汝の手の作を顧みたまはん 018 JOB 014 016 今なんぢは我に歩履を數へたまふ 我罪を汝うかがひたまはざらんや 018 JOB 014 017 わが愆は凡て嚢の中に封じてあり汝わが罪を縫こめたまふ 018 JOB 014 018 それ山も倒れて終に崩れ巖石も移りてその處を離る 018 JOB 014 019 水は石を鑿ち 浪は地の塵を押流す 汝は人の望を斷たまふ 018 JOB 014 020 なんぢは彼を永く攻なやまして去ゆかしめ 彼の面容の變らせて逐やりたまふ 018 JOB 014 021 その子尊貴なるも彼は之を知ず 卑賤なるもまた之を曉らざるなり 018 JOB 014 022 只己みづからその肉に痛苦を覺え己みづからその心に哀く而已 018 JOB 015 001 テマン人エリパズ答へて曰く 018 JOB 015 002 智者あに虚しき知識をもて答へんや豈東風をその腹に充さんや 018 JOB 015 003 あに裨なき談益なき詞をもて辨論はんや 018 JOB 015 004 まことに汝は神を畏るる事を棄て その前に祷ることを止む 018 JOB 015 005 なんぢの罪なんぢの口を敎ふ 汝はみづから擇びて狡猾人の舌を用ふ 018 JOB 015 006 なんぢの口みづから汝の罪を定む 我には非ず汝の唇なんぢの惡きを證す 018 JOB 015 007 汝あに最初に世に生れたる人ならんや 山よりも前に出來しならんや 018 JOB 015 008 神の御謀議を聞しならんや 智慧を獨にて藏めをらんや 018 JOB 015 009 なんぢが知る所は我らも知ざらんや 汝が曉るところは我らの心にも在ざらんや 018 JOB 015 010 我らの中には白髮の人および老たる人ありて汝の父よりも年高し 018 JOB 015 011 神の慰藉および夫の柔かき言詞を汝小しとするや 018 JOB 015 012 なんぢ何ぞかく心狂ふや 何ぞかく目をしばたたくや 018 JOB 015 013 なんぢ是のごとく神に對ひて氣をいらだて 斯る言詞をなんぢの口よりいだすは如何ぞや 018 JOB 015 014 人は如何なる者ぞ 如何してか潔からん 婦の產し者は如何なる者ぞ 如何してか義からん 018 JOB 015 015 それ神はその聖者にすら信を置たまはず 諸の天もその目の前には潔からざるなり 018 JOB 015 016 况んや罪を取ること水を飮がごとくする憎むべき穢れたる人をや 018 JOB 015 017 我なんぢに語る所あらん 聽よ 我見たる所を述ん 018 JOB 015 018 是すなはち智者等が父祖より受て隱すところ無く傳へ來し者なり 018 JOB 015 019 彼らに而已この地は授けられて外國人は彼等の中に往來せしこと無りき 018 JOB 015 020 惡き人はその生る日の間つねに悶へ苦しむ 強暴人の年は數へて定めおかる 018 JOB 015 021 その耳には常に懼怖しき音きこえ平安の時にも滅ぼす者これに臨む 018 JOB 015 022 彼は幽暗を出得るとは信ぜず 目ざされて劒に付さる 018 JOB 015 023 彼食物は何處にありやと言つつ尋ねありき 黑暗日の備へられて己の側にあるを知る 018 JOB 015 024 患難と苦痛とはかれを懼れしめ 戰鬪の準備をなせる王のごとくして彼に打勝ん 018 JOB 015 025 彼は手を伸て神に敵し 傲りて全能者に悖り 018 JOB 015 026 頸を強くし 厚き楯の面を向て之に馳かかり 018 JOB 015 027 面に肉を滿せ 腰に脂を凝し 018 JOB 015 028 荒されたる邑々に住居を設けて人の住べからざる家 石堆となるべき所に居る 018 JOB 015 029 是故に彼は富ず その貨物は永く保たず その所有物は地に蔓延ず 018 JOB 015 030 また自己は黑暗を出づるに至らず 火燄その枝葉を枯さん 而してその身は神の口の氣吹によりて亡ゆかん 018 JOB 015 031 彼は虚妄を恃みて自ら欺くべからず 其報は虚妄なるべければなり 018 JOB 015 032 彼の日の來らざる先に其事成べし 彼の枝は緑ならじ 018 JOB 015 033 彼は葡萄の樹のその熟せざる果を振落すがごとく 橄欖の樹のその花を落すがごとくなるべし 018 JOB 015 034 邪曲なる者の宗族は零落れ 賄賂の家は火に焚ん 018 JOB 015 035 彼等は惡念を孕み 虚妄を生み その胎にて詭計を調ふ 018 JOB 016 001 ヨブ答へて曰く 018 JOB 016 002 斯る事は我おほく聞り 汝らはみな人を慰めんとして却つて人を煩はす者なり 018 JOB 016 003 虚しき言語あに終極あらんや 汝なにに勵されて應答をなすや 018 JOB 016 004 我もまた汝らの如くに言ことを得 もし汝らの身わが身と處を換なば我は言語を練て汝らを攻め 汝らにむかひて首を搖ことを得 018 JOB 016 005 また口をもて汝らを強くし 唇の慰藉をもて汝らの憂愁を解ことを得るなり 018 JOB 016 006 たとひ我言を出すとも我憂愁は解ず 默するとても何ぞ我身の安くなること有んや 018 JOB 016 007 彼いま已に我を疲らしむ 汝わが宗族をことごとく荒せり 018 JOB 016 008 なんぢ我をして皺らしめたり 是われに向ひて見證をなすなり 又わが痩おとろへたる状貌わが面の前に現はれ立て我を攻む 018 JOB 016 009 かれ怒てわれを撕裂きかつ窘しめ 我にむかひて齒を噛鳴し我敵となり目を鋭して我を看る 018 JOB 016 010 彼ら我にむかひて口を張り 我を賤しめてわが頬を打ち 相集まりて我を攻む 018 JOB 016 011 神われを邪曲なる者に交し 惡き者の手に擲ちたまへり 018 JOB 016 012 我は安穩なる身なりしに彼いたく我を打惱まし 頸を執へて我をうちくだき遂に我を立て鵠となしたまひ 018 JOB 016 013 その射手われを遶り圍めり やがて情もなく我腰を射透し わが膽を地に流れ出しめたまふ 018 JOB 016 014 彼はわれを打敗りて破壞に破壞を加へ 勇士のごとく我に奔かかりたまふ 018 JOB 016 015 われ麻布をわが肌に縫つけ我角を塵にて汚せり 018 JOB 016 016 我面は泣て頳くなり 我目縁には死の蔭あり 018 JOB 016 017 然れども我手には不義あること無く わが祈祷は清し 018 JOB 016 018 地よ我血を掩ふなかれ 我號呼は休む處を得ざれ 018 JOB 016 019 視よ今にても我證となる者天にあり わが眞實を表明す者高き處にあり 018 JOB 016 020 わが朋友は我を嘲けれども我目は神にむかひて涙を注ぐ 018 JOB 016 021 願くは彼人のために神と論辨し 人の子のためにこれが朋友と論辨せんことを 018 JOB 016 022 數年すぎさらば我は還らぬ旅路に往べし 018 JOB 017 001 わが氣息は已にくさり 我日すでに盡なんとし墳墓われを待つ 018 JOB 017 002 まことに嘲弄者等わが傍に在り 我目は彼らの辨爭ふを常に見ざるを得ず 018 JOB 017 003 願くは質を賜ふて汝みづから我の保證となりたまへ 誰か他にわが手をうつ者あらんや 018 JOB 017 004 汝彼らの心を閉て悟るところ無らしめたまへり 必ず彼らをして愈らしめたまはじ 018 JOB 017 005 朋友を交付して掠奪に遭しむる者は其子等の目潰るべし 018 JOB 017 006 彼われを世の民の笑柄とならしめたまふ 我は面に唾せらるべき者となれり 018 JOB 017 007 かつまた我目は憂愁によりて昏み 肢體は凡て影のごとし 018 JOB 017 008 義しき者は之に驚き 無辜者は邪曲なる者を見て憤ほる 018 JOB 017 009 然ながら義しき者はその道を堅く持ち 手の潔淨き者はますます力を得るなり 018 JOB 017 010 請ふ汝ら皆ふたたび來れ 我は汝らの中に一人も智き者あるを見ざるなり 018 JOB 017 011 わが日は已に過ぎ わが計る所わが心に冀ふ所は已に敗れたり 018 JOB 017 012 彼ら夜を晝に變ふ 黑暗の前に光明ちかづく 018 JOB 017 013 我もし俟つところ有ば是わが家たるべき陰府なるのみ 我は黑暗にわが牀を展ぶ 018 JOB 017 014 われ朽腐に向ひては汝はわが父なりと言ひ 蛆に向ひては汝は我母わが姉妹なりと言ふ 018 JOB 017 015 然ばわが望はいづくにかある 我望は誰かこれを見る者あらん 018 JOB 017 016 是は下りて陰府の關に到らん 之と齊しく我身は塵の中に臥靜まるべし 018 JOB 018 001 シユヒ人ビルダデこたへて曰く 018 JOB 018 002 汝等いつまで言語を獵求むることをするや 汝ら先曉るべし 然る後われら辨論はん 018 JOB 018 003 われら何ぞ獸畜とおもはるべけんや 何ぞ汝らの目に汚穢たる者と見らるべけんや 018 JOB 018 004 なんぢ怒りて身を裂く者よ 汝のためとて地あに棄られんや 磐あに其處より移されんや 018 JOB 018 005 惡き者の光明は滅され 其火の焔は照じ 018 JOB 018 006 その天幕の内なる光明は暗くなり其が上の燈火は滅さるべし 018 JOB 018 007 またその強き歩履は狹まり 其計るところは自分を陷いる 018 JOB 018 008 すなはち其足に逐れて網に到り また陷阱の上を歩むに 018 JOB 018 009 索はその踵に纒り 羂これを執ふ 018 JOB 018 010 索かれを執ふるために地に隱しあり 羂かれを陷しいるるために路に設けあり 018 JOB 018 011 怖ろしき事四方において彼を懼れしめ 其足にしたがひて彼をおふ 018 JOB 018 012 その力は餓ゑ 其傍には災禍そなはり 018 JOB 018 013 その膚の肢は蝕壞らる 即ち死の初子これが肢を蝕壞るなり 018 JOB 018 014 やがて彼はその恃める天幕より曳離されて懼怖の王の許に驅やられん 018 JOB 018 015 彼に屬せざる者かれの天幕に住み 硫礦かれの家の上に降ん 018 JOB 018 016 下にてはその根枯れ 上にてはその枝砍る 018 JOB 018 017 彼の跡は地に絶え 彼の名は街衢に傳はらじ 018 JOB 018 018 彼は光明の中より黑暗に逐やられ 世の中より驅出されん 018 JOB 018 019 彼はその民の中に子も無く孫も有じ また彼の住所には一人も遺る者なからん 018 JOB 018 020 之が日を見るにおいて後に來る者は駭ろき 先に出し者は怖おそれん 018 JOB 018 021 かならず惡き人の住所は是のごとく 神を知ざる者の所は是のごとくなるべし 018 JOB 019 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 019 002 汝ら我心をなやまし 言語をもて我を打くだくこと何時までぞや 018 JOB 019 003 なんぢら已に十次も我を辱しめ我を惡く待ひてなほ愧るところ無し 018 JOB 019 004 假令われ眞に過ちたらんもその過は我の身に止れり 018 JOB 019 005 なんぢら眞に我に向ひて誇り我身に羞べき行爲ありと證するならば 018 JOB 019 006 神われを虐げその網羅をもて我を包みたまへりと知るべし 018 JOB 019 007 我虐げらるると叫べども答なく 呼はり求むれども審理なし 018 JOB 019 008 彼わが路の周圍に垣を結めぐらして逾る能はざらしめ 我が行く途に黑暗を蒙むらしめ 018 JOB 019 009 わが光榮を褫ぎ我冠冕を首より奪ひ 018 JOB 019 010 四方より我を毀ちて失しめ 我望を樹のごとくに根より拔き 018 JOB 019 011 我にむかひて震怒を燃し 我を敵の一人と見たまへり 018 JOB 019 012 その軍旅ひとしく進み途を高くして我に攻寄せ わが天幕の周圍に陣を張り 018 JOB 019 013 彼わが兄弟等をして遠くわれを離れしめたまへり 我を知る人々は全く我に疎くなりぬ 018 JOB 019 014 わが親戚は往來を休め わが朋友はわれを忘れ 018 JOB 019 015 わが家に寄寓る者およびわが婢等は我を見て外人のごとくす 我かれらの前にては異國人のごとし 018 JOB 019 016 われわが僕を喚どもこたへず 我口をもて彼に請はざるを得ざるなり 018 JOB 019 017 わが氣息はわが妻に厭はれ わが臭氣はわが同胎の子等に嫌はる 018 JOB 019 018 童子等さへも我を侮どり 我起あがれば即ち我を嘲ける 018 JOB 019 019 わが親しき友われを惡みわが愛したる人々ひるがへりてわが敵となれり 018 JOB 019 020 わが骨はわが皮と肉とに貼り 我は僅に齒の皮を全うして逃れしのみ 018 JOB 019 021 わが友よ汝等われを恤れめ 我を恤れめ 神の手われを撃り 018 JOB 019 022 汝らなにとて神のごとくして我を攻め わが肉に饜ことなきや 018 JOB 019 023 望むらくは我言の書留られんことを 望むらくは我言書に記されんことを 018 JOB 019 024 望むらくは鐡の筆と鉛とをもて之を永く磐石に鐫つけおかんことを 018 JOB 019 025 われ知る我を贖ふ者は活く 後の日に彼かならず地の上に立ん 018 JOB 019 026 わがこの皮この身の朽はてん後 われ肉を離れて神を見ん 018 JOB 019 027 我みづから彼を見たてまつらん 我目かれを見んに識らぬ者のごとくならじ 我が心これを望みて焦る 018 JOB 019 028 なんぢら若われら如何に彼を攻んかと言ひ また事の根われに在りと言ば 018 JOB 019 029 劍を懼れよ 忿怒は劍の罰をきたらす 斯なんぢら遂に審判のあるを知ん 018 JOB 020 001 ナアマ人ゾパルこたへて曰く 018 JOB 020 002 これに因てわれ答をなすの思念を起し心しきりに之がために急る 018 JOB 020 003 我を辱しむる警語を我聞ざるを得ず 然しながらわが了知の性われをして答ふることを得せしむ 018 JOB 020 004 なんぢ知ずや古昔より地に人の置れしより以來 018 JOB 020 005 惡き人の勝誇は暫時にして邪曲なる者の歡樂は時の間のみ 018 JOB 020 006 その高天に逹しその首雲に及ぶとも 018 JOB 020 007 終には己の糞のごとくに永く亡絶べし 彼を見識る者は言ん彼は何處にありやと 018 JOB 020 008 彼は夢の如く過さりて復見るべからず 夜の幻のごとく追はらはれん 018 JOB 020 009 彼を見たる目かさねてかれを見ることあらず 彼の住たる處も再びかれを見ること無らん 018 JOB 020 010 その子等は貧しき者に寛待を求めん 彼もまたその取し貨財を手づから償さん 018 JOB 020 011 その骨に少壯氣勢充り 然れどもその氣勢もまた塵の中に彼とおなじく臥ん 018 JOB 020 012 かれ惡を口に甘しとして舌の底に藏め 018 JOB 020 013 愛みて捨ず 之を口の中に含みをる 018 JOB 020 014 然どその食物膓の中にて變り 腹の内にて蝮の毒とならん 018 JOB 020 015 かれ貨財を呑たれども復之を吐いださん 神これを彼の腹より推いだしたまふべし 018 JOB 020 016 かれは蝮の毒を吸ひ 虺の舌に殺されん 018 JOB 020 017 かれは蜂蜜と牛酪の湧て流るる河川を視ざらん 018 JOB 020 018 その勞苦て獲たる物は之を償して自ら食はず 又それを求めたる所有よりは快樂を得じ 018 JOB 020 019 是は彼貧しき者を虐遇げて之を棄たればなり 假令家を奪ひとるとも之を改め作ることを得ざらん 018 JOB 020 020 かれはその腹に飽ことを知ざるが故に自己の深く喜ぶ物をも保つこと能はじ 018 JOB 020 021 かれが遺して食はざる物とては一も無し 是によりてその福祉は永く保たじ 018 JOB 020 022 その繁榮の眞盛において彼は艱難に迫られ 乏しき者すべて手をこれが上に置ん 018 JOB 020 023 かれ腹を充さんとすれば神烈しき震怒をその上に下し その食する時にこれをその上に降したまふ 018 JOB 020 024 かれ鐡の器を避れば銅の弓これを射透す 018 JOB 020 025 是に於て之をその身より拔ば閃く鏃その膽より出きたりて畏懼これに臨む 018 JOB 020 026 各種の黑暗これが寳物ををほろぼすために蓄へらる 又人の吹おこせしに非る火かれを焚き その天幕に遺りをる者をも焚ん 018 JOB 020 027 天かれの罪を顯はし 地興りて彼を攻ん 018 JOB 020 028 その家の儲蓄は亡て神の震怒の日に流れ去ん 018 JOB 020 029 是すなはち惡き人が神より受る分 神のこれに定めたまへる數なり 018 JOB 021 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 021 002 請ふ汝等わが言を謹んで聽き 之をもて汝らの慰藉に代よ 018 JOB 021 003 先われに容して言しめよ 我が言る後なんぢ嘲るも可し 018 JOB 021 004 わが怨言は世の人の上につきて起れる者ならんや 我なんぞ氣をいらだつ可らざらんや 018 JOB 021 005 なんぢら我を視て驚き手を口にあてよ 018 JOB 021 006 われ思ひまはせば畏しくなりて身體しきりに戰慄く 018 JOB 021 007 惡き人何とて生ながらへ 老かつ勢力強くなるや 018 JOB 021 008 その子等はその周圍にありてその前に堅く立ち その子孫もその目の前に堅く立べし 018 JOB 021 009 またその家は平安にして畏懼なく 神の杖その上に臨まじ 018 JOB 021 010 その牡牛は種を與へて過らず その牝牛は子を產てそこなふ事なし 018 JOB 021 011 彼等はその少き者等を外に出すこと群のごとし その子等は舞をどる 018 JOB 021 012 彼等は鼓と琴とをもて歌ひ 笛の音に由て樂み 018 JOB 021 013 その日を幸福に暮し まばたくまに陰府にくだる 018 JOB 021 014 然はあれども彼等は神に言らく我らを離れ賜へ 我らは汝の道をしることを好まず 018 JOB 021 015 全能者は何者なれば我らこれに事ふべき 我儕これに祈るとも何の益を得んやと 018 JOB 021 016 視よ彼らの福祿は彼らの力に由にあらざるなり 惡人の希圖は我の與する所にあらず 018 JOB 021 017 惡人のその燈火を滅るる事幾度ありしか その滅亡のこれに臨む事 神の怒りて之に艱苦を蒙らせたまふ事幾度有しか 018 JOB 021 018 かれら風の前の藁の如く 暴風に吹さらるる籾殼の如くなること幾度有しか 018 JOB 021 019 神かれの愆を積たくはへてその子孫に報いたまふか 之を彼自己の身に報い知しむるに如ず 018 JOB 021 020 かれをして自らその滅亡を目に視させ かつ全能者の震怒を飮しめよ 018 JOB 021 021 その月の數すでに盡るに於ては何ぞその後の家に關はる所あらん 018 JOB 021 022 神は天にある者等をさへ審判たまふなれば誰か能これに知識を敎へんや 018 JOB 021 023 或人は繁榮を極め全く平穩にかつ安康にして死に 018 JOB 021 024 その器に乳充ち その骨の髓は潤ほへり 018 JOB 021 025 また或人は心を苦しめて死し 終に福祉をあぢはふる事なし 018 JOB 021 026 是等は倶に齊しく塵に臥して蛆におほはる 018 JOB 021 027 我まことに汝らの思念を知り 汝らが我を攻撃んとするの計略を知る 018 JOB 021 028 なんぢらは言ふ王侯の家は何に在る 惡人の住所は何にあると 018 JOB 021 029 汝らは路往く人々に詢ざりしや 彼等の證據を曉らざるや 018 JOB 021 030 すなはち滅亡の日に惡人遺され 烈しき怒の日に惡人たづさへ出さる 018 JOB 021 031 誰か能かれに打向ひて彼の行爲を指示さんや 誰か能彼の爲たる所を彼に報ゆることを爲ん 018 JOB 021 032 彼は舁れて墓に到り 塚の上にて守護ることを爲す 018 JOB 021 033 谷の土塊も彼には快し 一切の人その後に從ふ 其前に行る者も數へがたし 018 JOB 021 034 旣に是の如くなるに汝等なんぞ徒に我を慰さめんとするや 汝らの答ふる所はただ虚僞のみ 018 JOB 022 001 是においてテマン人エリパズこたへて曰く 018 JOB 022 002 人神を益する事をえんや 智人も唯みづから益する而已なるぞかし 018 JOB 022 003 なんぢ義かるとも全能者に何の歡喜かあらん なんぢ行爲を全たふするとも彼に何の利益かあらん 018 JOB 022 004 彼汝の畏懼の故によりて汝を責め汝を鞫きたまはんや 018 JOB 022 005 なんぢの惡大なるにあらずや 汝の罪はきはまり無し 018 JOB 022 006 即はち汝は故なくその兄弟の物を抑へて質となし 裸なる者の衣服を剥て取り 018 JOB 022 007 渇く者に水を與へて飮しめず 饑る者に食物を施こさず 018 JOB 022 008 力ある者土地を得 貴き者その中に住む 018 JOB 022 009 なんぢは寡婦に手を空しうして去しむ 孤子の腕は折る 018 JOB 022 010 是をもて網羅なんぢを環り 畏懼にはかに汝を擾す 018 JOB 022 011 なんぢ黑暗を見ずや 洪水のなんぢを覆ふを見ずや 018 JOB 022 012 神は天の高に在すならずや 星辰の巓ああ如何に高きぞや 018 JOB 022 013 是によりて汝は言ふ 神なにをか知しめさん 豈よく黑雲の中より審判するを得たまはんや 018 JOB 022 014 濃雲かれを蔽へば彼は見たまふ所なし 唯天の蒼穹を歩みたまふ 018 JOB 022 015 なんぢ古昔の世の道を行なはんとするや 是あしき人の踐たりし者ならずや 018 JOB 022 016 彼等は時いまだ至らざるに打絶れ その根基は大水に押流されたり 018 JOB 022 017 彼ら神に言けらく我儕を離れたまへ 全能者われらのために何を爲ことを得んと 018 JOB 022 018 しかるに彼は却つて佳物を彼らの家に盈したまへり 但し惡人の計畫は我に與する所にあらず 018 JOB 022 019 義しき者は之を見て喜び 無辜者は彼らを笑ふ 018 JOB 022 020 曰く我らの仇は誠に滅ぼされ 其盈餘れる物は火にて焚つくさる 018 JOB 022 021 請ふ汝神と和らぎて平安を得よ 然らば福祿なんぢに來らん 018 JOB 022 022 請ふかれの口より敎晦を受け その言語をなんぢの心に藏めよ 018 JOB 022 023 なんぢもし全能者に歸向り且なんぢの家より惡を除き去ば 汝の身再び興されん 018 JOB 022 024 なんぢの寳を土の上に置き オフルの黄金を谿河の石の中に置け 018 JOB 022 025 然れば全能者なんぢの寳となり汝のために白銀となりたまふべし 018 JOB 022 026 而してなんぢは又全能者を喜び且神にむかひて面をあげん 018 JOB 022 027 なんぢ彼に祈らば彼なんぢに聽たまはん 而して汝その誓願をつくのひ果さん 018 JOB 022 028 なんぢ事を爲んと定めなばその事なんぢに成ん 汝の道には光照ん 018 JOB 022 029 其卑く降る時は汝いふ昇る哉と 彼は謙遜者を拯ひたまふべし 018 JOB 022 030 かれは罪なきに非ざる者をも拯ひたまはん 汝の手の潔淨によりて斯る者も拯はるべし 018 JOB 023 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 023 002 我は今日にても尚つぶやきて服せず わが禍災はわが嘆息よりも重し 018 JOB 023 003 ねがはくは神をたづねて何處にか遇まつるを知り其御座に參いたらんことを 018 JOB 023 004 我この愁訴をその御前に陳べ口を極めて辨論はん 018 JOB 023 005 我その我に答へたまふ言を知り また其われに言たまふ所を了らん 018 JOB 023 006 かれ大なる能をもて我と爭ひたまはんや 然らじ反つて我を眷みたまふべし 018 JOB 023 007 彼處にては正義人かれと辨爭ふことを得 斯せば我を鞫く者の手を永く免かるべし 018 JOB 023 008 しかるに我東に往くも彼いまさず 西に往くも亦見たてまつらず 018 JOB 023 009 北に工作きたまへども遇まつらず 南に隱れ居たまへば望むべからず 018 JOB 023 010 わが平生の道は彼知たまふ 彼われを試みたまはば我は金のごとくして出きたらん 018 JOB 023 011 わが足は彼の歩履に堅く隨がへり 我はかれの道を守りて離れざりき 018 JOB 023 012 我はかれの唇の命令に違はず 我が法よりも彼の口の言語を重ぜり 018 JOB 023 013 かれは一に居る者にまします 誰か能かれをして意を變しめん 彼はその心に慾する所をかならず爲たまふ 018 JOB 023 014 然ば我に向ひて定めし事を必らず成就たまはん 是のごとき事を多く彼は爲たまふなり 018 JOB 023 015 是故に我かれの前に慄ふ 我考ふれば彼を懼る 018 JOB 023 016 神わが心を弱くならしめ 全能者われをして懼れしめたまふ 018 JOB 023 017 かく我は暗の來らぬ先わが面を黑暗の覆ふ前に打絶れざりき 018 JOB 024 001 なにゆゑに全能者時期を定めおきたまはざるや 何故に彼を知る者その日を見ざるや 018 JOB 024 002 人ありて地界を侵し群畜を奪ひて牧ひ 018 JOB 024 003 孤子の驢馬を驅去り 寡婦の牛を取て質となし 018 JOB 024 004 貧しき者を路より推退け 世の受難者をして盡く身を匿さしむ 018 JOB 024 005 視よ彼らは荒野にをる野驢馬のごとく出て業を爲て食を求め 野原よりその子等のために食物を得 018 JOB 024 006 圃にて惡き者の麥を刈り またその葡萄の遺餘を摘む 018 JOB 024 007 かれらは衣服なく裸にして夜を明し 覆ふて寒氣を禦ぐべき物なし 018 JOB 024 008 山の暴風に濡れ 庇はるるところ無して岩を抱く 018 JOB 024 009 孤子を母の懷より奪ふ者あり 貧しき者の身につける物を取て質となす者あり 018 JOB 024 010 貧き者衣服なく裸にて歩き 饑つつ麥束を擔ふ 018 JOB 024 011 人の垣の内にて油を搾め また渇きつつ酒醡を踐む 018 JOB 024 012 邑の中より人々の呻吟たちのぼり 傷けられたる者の叫喚おこる 然れども神はその怪事を省みたまはず 018 JOB 024 013 また光明に背く者あり 光の道を知ず 光の路に止らず 018 JOB 024 014 人を殺す者昧爽に興いで 受難者や貧しき者を殺し 夜は盜賊のごとくす 018 JOB 024 015 姦淫する者は我を見る目はなからんと言てその目に昏暮をうかがひ待ち而してその面に覆ふ物を當つ 018 JOB 024 016 また夜分家を穿つ者あり 彼等は晝は閉こもり居て光明を知らず 018 JOB 024 017 彼らには晨は死の蔭のごとし 是死の蔭の怖ろしきを知ばなり 018 JOB 024 018 彼は水の面に疾ながるる物の如し その產業は世の中に詛はる その身重ねて葡萄圃の路に向はず 018 JOB 024 019 亢旱および炎熱は雪水を直に乾涸す 陰府が罪を犯せし者におけるも亦かくのごとし 018 JOB 024 020 これを宿せし腹これを忘れ 蛆これを好みて食ふ 彼は最早世におぼえらるること無く その惡は樹を折るが如くに折る 018 JOB 024 021 是すなはち孕まず產ざりし婦人をなやまし 寡婦を憐れまざる者なり 018 JOB 024 022 神はその權能をもて強き人々を保存へさせたまふ 彼らは生命あらじと思ふ時にも復興る 018 JOB 024 023 神かれらに安泰を賜へば彼らは安らかなり 而してその目をもて彼らの道を見そなはしたまふ 018 JOB 024 024 かれらは旺盛になり暫時が間に無なり卑くなりて一切の人のごとくに沒し麥の穗のごとくに斷る 018 JOB 024 025 すでに是のごとくなれば誰か我の謬まれるを示してわが言語を空しくすることを得ん 018 JOB 025 001 時にシユヒ人ビルダデこたへて曰く 018 JOB 025 002 神は大權を握りたまふ者 畏るべき者にましまし 高き處に平和を施したまふ 018 JOB 025 003 その軍旅數ふることを得んや 其光明なに物をか照さざらん 018 JOB 025 004 然ば誰か神の前に正義かるべき 婦人の產し者いかでか清かるべき 018 JOB 025 005 視よ月も輝かず 星も其目には清明ならず 018 JOB 025 006 いはんや蛆のごとき人 蟲のごとき人の子をや 018 JOB 026 001 ヨブこたへて曰く 018 JOB 026 002 なんぢ能力なき者を如何に助けしや 氣力なきものを如何に救ひしや 018 JOB 026 003 智慧なき者を如何に誨へしや 穎悟の道を如何に多く示ししや 018 JOB 026 004 なんぢ誰にむかひて言語を出ししや なんぢより出しは誰が靈なるや 018 JOB 026 005 陰靈水またその中に居る者の下に慄ふ 018 JOB 026 006 かれの御前には陰府も顯露なり 滅亡の坑も蔽ひ匿す所なし 018 JOB 026 007 彼は北の天を虚空に張り 地を物なき所に懸けたまふ 018 JOB 026 008 水を濃雲の中に包みたまふてその下の雲裂ず 018 JOB 026 009 御寳座の面を隱して雲をその上に展べ 018 JOB 026 010 水の面に界を設けて光と暗とに限を立たまふ 018 JOB 026 011 かれ叱咤たまへば天の柱震ひかつ怖る 018 JOB 026 012 その權能をもて海を靜め その智慧をもてラハブを撃碎き 018 JOB 026 013 その氣嘘をもて天を輝かせ 其手をもて逃る蛇を衝とほしたまふ 018 JOB 026 014 視よ是等はただその御工作の端なるのみ 我らが聞ところの者は如何にも微細なる耳語ならずや 然どその權能の雷轟に至りては誰かこれを曉らんや 018 JOB 027 001 ヨブまた語を繼ぎていはく 018 JOB 027 002 われに義しき審判を施したまはざる神 わが心魂をなやまし給ふ全能者此神は活く 018 JOB 027 003 (わが生命なほ全くわれの衷にあり 神の氣息なほわが鼻にあり) 018 JOB 027 004 わが口は惡を言ず わが舌は謊言を語らじ 018 JOB 027 005 我決めて汝等を是とせじ 我に死るまで我が罪なきを言ことを息じ 018 JOB 027 006 われ堅くわが正義を持ちて之を棄じ 我は今まで一日も心に責られし事なし 018 JOB 027 007 我に敵する者は惡き者と成り我を攻る者は義からざる者と成るべし 018 JOB 027 008 邪曲なる者もし神に絶れその魂神を脱とらるるに於ては何の望かあらん 018 JOB 027 009 かれ艱難に罹る時に神その呼號を聽いれたまはんや 018 JOB 027 010 かれ全能者を喜こばんや 常に神を龥んや 018 JOB 027 011 われ神の御手を汝等に敎へん 全能者の道を汝等に隱さじ 018 JOB 027 012 視よ汝等もみな自らこれを觀たり 然るに何ぞ斯愚蒙をきはむるや 018 JOB 027 013 惡き人の神に得る分 強暴の人の全能者より受る業は是なり 018 JOB 027 014 その子等蕃れば劍に殺さる その子孫は食物に飽ず 018 JOB 027 015 その遺れる者は疫病に斃れて埋められ その妻等は哀哭をなさず 018 JOB 027 016 かれ銀を積こと塵のごとく衣服を備ふること土のごとくなるとも 018 JOB 027 017 その備ふる者は義き人これを着ん またその銀は無辜者これを分ち取ん 018 JOB 027 018 その建る家は蟲の巣のごとく また番人の造る茅家のごとし 018 JOB 027 019 彼は富る身にて寢臥し重ねて興ること無し また目を開けば即ちその身きえ亡す 018 JOB 027 020 懼ろしき事大水のごとく彼に追及き 夜の暴風かれを奪ひ去る 018 JOB 027 021 東風かれを颺げて去り 彼をその處より吹はらふ 018 JOB 027 022 神かれを射て恤まず 彼その手より逃れんともがく 018 JOB 027 023 人かれに對ひて手を鳴し 嘲りわらひてその處をいでゆかしむ 018 JOB 028 001 白銀掘いだす坑あり 煉るところの黄金は出處あり 018 JOB 028 002 鐡は土より取り 銅は石より鎔して獲るなり 018 JOB 028 003 人すなはち黑暗を破り極より極まで尋ね窮めて黑暗および死蔭の石を求む 018 JOB 028 004 その穴を穿つこと深くして上に住む人と遠く相離れ その上を歩む者まつたく之を覺えず 是のごとく身を縋下げ 遙に人と隔りて空に懸る 018 JOB 028 005 地その上は食物を出し 其下は火に覆へさるるがごとく覆へる 018 JOB 028 006 その石の中には碧の玉のある處あり 黄金の沙またその内にあり 018 JOB 028 007 その逕は鷙鳥もこれを知ず 鷹の目もこれを看ず 018 JOB 028 008 鷙き獸も未だこれを踐ず 猛き獅子も未だこれを通らず 018 JOB 028 009 人堅き磐に手を加へまた山を根より倒し 018 JOB 028 010 岩に河を掘り各種の貴き物を目に見とめ 018 JOB 028 011 水路を塞ぎて漏ざらしめ隱れたる寳物を光明に取いだすなり 018 JOB 028 012 然ながら智慧は何處よりか覓め得ん 明哲の在る所は何處ぞや 018 JOB 028 013 人その價を知ず人のすめる地に獲べからず 018 JOB 028 014 淵は言ふ我の内に在ずと 海は言ふ我と偕ならずと 018 JOB 028 015 精金も之に換るに足ず 銀も秤りてその價となすを得ず 018 JOB 028 016 オフルの金にてもその價を量るべからず 貴き靑玉も碧玉もまた然り 018 JOB 028 017 黄金も玻璃もこれに並ぶ能はず 精金の器皿も之に換るに足ず 018 JOB 028 018 珊瑚も水晶も論にたらず 智慧を得るは眞珠を得るに勝る 018 JOB 028 019 エテオビアより出る黄玉もこれに並ぶあたはず 純金をもてするともその價を量るべからず 018 JOB 028 020 然ば智慧は何處より來るや 明哲の在る所は何處ぞや 018 JOB 028 021 是は一切の生物の目に隱れ 天空の鳥にも見えず 018 JOB 028 022 滅亡も死も言ふ 我等はその風聲を耳に聞し而已 018 JOB 028 023 神その道を曉り給ふ 彼その所を知りたまふ 018 JOB 028 024 そは彼は地の極までも觀そなはし天が下を看きはめたまへばなり 018 JOB 028 025 風にその重量を與へ 水を度りてその量を定めたまひし時 018 JOB 028 026 雨のために法を立て 雷霆の光のために途を設けたまひし時 018 JOB 028 027 智慧を見て之を顯はし之を立て試みたまへり 018 JOB 028 028 また人に言たまはく視よ主を畏るるは是智慧なり 惡を離るるは明哲なり 018 JOB 029 001 ヨブまた語をつぎて曰く 018 JOB 029 002 嗚呼過にし年月のごとくならまほし 神の我を護りたまへる日のごとくならまほし 018 JOB 029 003 かの時には彼の燈火わが首の上に輝やき彼の光明によりて我黑暗を歩めり 018 JOB 029 004 わが壯なりし日のごとくならまほし 彼時には神の恩惠わが幕屋の上にありき 018 JOB 029 005 かの時には全能者なほ我とともに在し わが子女われの周圍にありき 018 JOB 029 006 乳ながれてわが足跡を洗ひ 我が傍なる磐油を灌ぎいだせり 018 JOB 029 007 かの時には我いでて邑の門に上りゆき わが座を街衢に設けたり 018 JOB 029 008 少き者は我を見て隱れ 老たる者は起あがりて立ち 018 JOB 029 009 牧伯たる者も言談ずしてその口に手を當て 018 JOB 029 010 貴き者も聲ををさめてその舌を上顎に貼たりき 018 JOB 029 011 我事を耳に聞る者は我を幸福なりと呼び 我を目に見たる者はわがために證據をなしぬ 018 JOB 029 012 是は我助力を求むる貧しき者を拯ひ 孤子および助くる人なき者を拯ひたればなり 018 JOB 029 013 亡びんとせし者われを祝せり 我また寡婦の心をして喜び歌はしめたり 018 JOB 029 014 われ正義を衣また正義の衣る所となれり 我が公義は袍のごとく冠冕のごとし 018 JOB 029 015 われは盲目の目となり跛者の足となり 018 JOB 029 016 貧き者の父となり知ざる者の訴訟の由を究め 018 JOB 029 017 惡き者の牙を折り その齒の間より獲物を取いだせり 018 JOB 029 018 我すなはち言けらく 我はわが巣に死ん 我が日は砂の如く多からん 018 JOB 029 019 わが根は水の邊に蔓り 露わが枝に終夜おかん 018 JOB 029 020 わが榮光はわが身に新なるべくわが弓はわが手に何時も強からんと 018 JOB 029 021 人々われに聽き默して我が敎を俟ち 018 JOB 029 022 わが言し後は彼等言を出さず 我説ところは彼等に甘露のごとく 018 JOB 029 023 かれらは我を望み待つこと雨のごとく 口を開きて仰ぐこと春の雨のごとくなりき 018 JOB 029 024 われ彼等にむかひて笑ふとも彼等は敢て眞實とおもはず我面の光を彼等は除くことをせざりき 018 JOB 029 025 われは彼等のために道を擇び その首として座を占め 軍中の王のごとくして居り また哀哭者を慰さむる人のごとくなりき 018 JOB 030 001 然るに今は我よりも年少き者等われを笑ふ 彼等の父は我が賤しめて群の犬と並べ置くことをもせざりし者なり 018 JOB 030 002 またかれらの手の力もわれに何の用をかなさん 彼らは其氣力すでに衰へたる者なり 018 JOB 030 003 かれらは缺乏と饑とによりて痩おとろへ 荒かつ廢れたる暗き野にて乾ける地を咬む 018 JOB 030 004 すなはち灌木の中にて藜を摘み苕の根を食物となす 018 JOB 030 005 彼らは人の中より逐いださる 盜賊を追ふがごとくに人かれらを追て呼はる 018 JOB 030 006 彼等は懼ろしき谷に住み 土坑および磐穴に居り 018 JOB 030 007 灌木の中に嘶なき 荊棘の下に偃す 018 JOB 030 008 彼らは愚蠢なる者の子 卑むべき者の子にして國より撃いださる 018 JOB 030 009 しかるに今は我かれらの歌謠に成り 彼らの嘲哢となれり 018 JOB 030 010 かれら我を厭ふて遠く我を離れ またわが面に唾することを辭まず 018 JOB 030 011 神わが綱を解て我をなやましたまへば彼等もわが前にその韁を縱せり 018 JOB 030 012 この輩わが右に起あがり わが足を推のけ我にむかひて滅亡の路を築く 018 JOB 030 013 彼らは自ら便なき者なれども尚わが逕を毀ち わが滅亡を促す 018 JOB 030 014 かれらは石垣の大なる崩口より入がごとくに進み來り 破壞の中にてわが上に乗かかり 018 JOB 030 015 懼ろしき事わが身に臨み 風のごとくに我が尊榮を吹はらふ わが福祿は雲のごとくに消失す 018 JOB 030 016 今はわが心われの衷に鎔て流れ 患難の日かたく我を執ふ 018 JOB 030 017 夜にいれば我骨刺れて身を離る わが身を噬む者つひに休むこと無し 018 JOB 030 018 わが疾病の大なる能によりてわが衣服は醜き樣に變り 裏衣の襟の如くに我身に固く附く 018 JOB 030 019 神われを泥の中に投こみたまひて我は塵灰に等しくなれり 018 JOB 030 020 われ汝にむかひて呼はるに汝答へたまはず 我立をるに 汝只われをながめ居たまふ 018 JOB 030 021 なんぢは我にむかひて無情なりたまひ 御手の能力をもて我を攻撃たまふ 018 JOB 030 022 なんぢ我を擧げ風の上に乗て負去しめ 大風の音とともに消亡しめたまふ 018 JOB 030 023 われ知る汝はわれを死に歸らしめ一切の生物の終に集る家に歸らしめたまはん 018 JOB 030 024 かれは必ず荒垤にむかひて手を舒たまふこと有じ 假令人滅亡に陷るとも是等の事のために號呼ぶことをせん 018 JOB 030 025 苦みて日を送る者のために我哭ざりしや 貧しき者のために我心うれへざりしや 018 JOB 030 026 われ吉事を望みしに凶事きたり 光明を待しに黑暗きたれり 018 JOB 030 027 わが膓沸かへりて安からず 患難の日我に追及ぬ 018 JOB 030 028 われは日の光を蒙らずして哀しみつつ歩き 公會の中に立て助を呼もとむ 018 JOB 030 029 われは山犬の兄弟となり 駝鳥の友となれり 018 JOB 030 030 わが皮は黑くなりて剥落ち わが骨は熱によりて焚け 018 JOB 030 031 わが琴は哀の音となり わが笛は哭の聲となれり 018 JOB 031 001 我わが目と約を立たり 何ぞ小艾を慕はんや 018 JOB 031 002 然せば上より神の降し給ふ分は如何なるべきぞ 高處より全能者の與へ給ふ業は如何なるべきぞ 018 JOB 031 003 惡き人には滅亡きたらざらんや 善らぬ事を爲す者には常ならぬ災禍あらざらんや 018 JOB 031 004 彼わが道を見そなはし わが歩履をことごとく數へたまはざらんや 018 JOB 031 005 我虚誕とつれだちて歩みし事ありや わが足虚僞に奔從がひし事ありや 018 JOB 031 006 請ふ公平き權衡をもて我を稱れ 然ば神われの正しきを知たまはん 018 JOB 031 007 わが歩履もし道を離れ わが心もしわが目に隨がひて歩み わが手にもし汚のつきてあらば 018 JOB 031 008 我が播たるを人食ふも善し わが產物を根より拔るるも善し 018 JOB 031 009 われもし婦人のために心まよへる事あるか 又は我もしわが隣の門にありて伺ひし事あらば 018 JOB 031 010 わが妻ほかの人のために臼磨き ほかの人々かれの上に寢るも善し 018 JOB 031 011 其は是は重き罪にして裁判人に罰せらるべき惡事なればなり 018 JOB 031 012 是はすなはち滅亡にまでも燬いたる火にしてわが一切の產をことごとく絶さん 018 JOB 031 013 わが僕あるひは婢の我と辯爭ひし時に我もし之が權理を輕んぜし事あらば 018 JOB 031 014 神の起あがりたまふ時には如何せんや 神の臨みたまふ時には何と答へまつらんや 018 JOB 031 015 われを胎内に造りし者また彼をも造りたまひしならずや われらを腹の内に形造りたまひし者は唯一の者ならずや 018 JOB 031 016 我もし貧き者にその願ふところを獲しめず 寡婦をしてその目おとろへしめし事あるか 018 JOB 031 017 または我獨みづから食物を啖ひて孤子にこれを啖はしめざりしこと有るか 018 JOB 031 018 (却つて彼らは我が若き時より我に育てられしこと父におけるが如し 我は胎内を出てより以來寡を導びく事をせり) 018 JOB 031 019 われ衣服なくして死んとする者あるひは身を覆ふ物なくして居る人を見し時に 018 JOB 031 020 その腰もし我を祝せず また彼もしわが羊の毛にて温まらざりし事あるか 018 JOB 031 021 われを助くる者の門にをるを見て我みなしごに向ひて手を上し事あるか 018 JOB 031 022 然ありしならば肩骨よりしてわが肩おち骨とはなれてわが腕折よ 018 JOB 031 023 神より出る災禍は我これを懼る その威光の前には我 能力なし 018 JOB 031 024 我もし金をわが望となし 精金にむかひて汝わが所賴なりと言しこと有か 018 JOB 031 025 我もしわが富の大なるとわが手に物を多く獲たることを喜びしことあるか 018 JOB 031 026 われ日の輝くを見または月の輝わたりて歩むを見し時 018 JOB 031 027 心竊にまよひて手を口に接しことあるか 018 JOB 031 028 是もまた裁判人に罪せらるべき惡事なり 我もし斯なせし事あらば上なる神に背しなり 018 JOB 031 029 我もし我を惡む者の滅亡るを喜び 又は其災禍に罹るによりて自ら誇りし事あるか 018 JOB 031 030 (我は之が生命を呪ひ索めて我口に罪を犯さしめし如き事あらず) 018 JOB 031 031 わが天幕の人は言ずや彼の肉に飽ざる者いづこにか在んと 018 JOB 031 032 旅人は外に宿らず わが門を我は街衢にむけて啓けり 018 JOB 031 033 我もしアダムのごとくわが罪を蔽ひ わが惡事を胸に隱せしことあるか 018 JOB 031 034 すなはち大衆を懼れ宗族の輕蔑に怖ぢて口を閉ぢ門を出ざりしごとき事あるか 018 JOB 031 035 嗚呼われの言ところを聽わくる者あらまほし(我が花押ここに在り 願くは全能者われに答へたまへ)我を訴ふる者みづから訴訟状を書け 018 JOB 031 036 われ必らず之を肩に負ひ冠冕のごとくこれを首に結ばん 018 JOB 031 037 我わが歩履の數を彼に述ん 君王たる者のごとくして彼に近づかん 018 JOB 031 038 わが田圃號呼りて我を攻め その阡陌ことごとく泣さけぶあるか 018 JOB 031 039 若われ金を出さずしてその產物を食ひ またはその所有主をして生命を失はしめし事あらば 018 JOB 031 040 小麥の代に蒺藜生いで 大麥のかはりに雜草おひ出るとも善し ヨブの詞をはりぬ 018 JOB 032 001 ヨブみづから見て己の正義とするに因て此三人の者之に答ふる事を止む 018 JOB 032 002 時にラムの族ブジ人バラケルの子エリフ怒を發せり ヨブ神よりも己を正しとするに因て彼ヨブにむかひて怒を發せり 018 JOB 032 003 またヨブの三人の友答ふるに詞なくして猶ヨブを罪ありとせしによりて彼らにむかひて怒を發せり 018 JOB 032 004 エリフはヨブに言ふことをひかへて俟をりぬ 是は自己よりも彼等年老たればなり 018 JOB 032 005 茲にエリフこの三人の口に答ふる詞の有ざるを見て怒を發せり 018 JOB 032 006 ブジ人バラケルの子エリフすなはち答へて曰く 我は年少く汝等は年老たり是をもて我はばかりて我意見をなんぢらに陳ることを敢てせざりき 018 JOB 032 007 我意へらく日を重ねたる者宜しく言を出すべし 年を積たる者宜しく智慧を敎ふべしと 018 JOB 032 008 但し人の衷には靈あり 全能者の氣息人に聰明を與ふ 018 JOB 032 009 大なる人すべて智慧あるに非ず 老たる者すべて道理に明白なるに非ず 018 JOB 032 010 然ば我言ふ 我に聽け 我もわが意見を陳ん 018 JOB 032 011 視よ我は汝らの言語を俟ち なんぢらの辯論を聽き なんぢらが言ふべき言語を尋ね盡すを待り 018 JOB 032 012 われ細に汝らに聽しが汝らの中にヨブを駁折る者一人も無く また彼の言詞に答ふる者も無し 018 JOB 032 013 おそらくは汝等いはん 我ら智慧を見得たり 彼に勝つ者は唯神のみ 人は能はずと 018 JOB 032 014 彼はその言語を我に向て發さざりき 我はまた汝らの言ふ所をもて彼に答へじ 018 JOB 032 015 彼らは愕ろきて復答ふる所なく 言語かれらの衷に浮ばず 018 JOB 032 016 彼等ものいはず立とどまりて重ねて答へざればとて我あに俟をるべけんや 018 JOB 032 017 我も自らわが分を答へわが意見を吐露さん 018 JOB 032 018 われには言滿ち わが衷の心しきりに迫る 018 JOB 032 019 わが腹は口を啓かざる酒のごとし 新しき皮嚢のごとく今にも裂んとす 018 JOB 032 020 われ説いだして胸を安んぜんとす われ口を啓きて答へん 018 JOB 032 021 かならず我は人に偏らず 人に諂はじ 018 JOB 032 022 我は諂らふことを知ず もし諂らはば我の造化主ただちに我を絶たまふべし 018 JOB 033 001 然ばヨブよ請ふ我が言ふ事を聽け わが一切の言語に耳を傾むけよ 018 JOB 033 002 視よ我口を啓き 舌を口の中に動かす 018 JOB 033 003 わが言ふ所は正義き心より出づ わが唇あきらかにその知識を陳ん 018 JOB 033 004 神の靈われを造り 全能者の氣息われを活しむ 018 JOB 033 005 汝もし能せば我に答へよ わが前に言をいひつらねて立て 018 JOB 033 006 我も汝とおなじく神の者なり 我もまた土より取てつくられしなり 018 JOB 033 007 わが威嚴はなんぢを懼れしめず わが勢はなんぢを壓せず 018 JOB 033 008 汝わが聽くところにて言談り 我なんぢの言語の聲を聞けり云く 018 JOB 033 009 われは潔淨くして愆なし 我は辜なく惡き事わが身にあらず 018 JOB 033 010 視よ彼われを攻る釁隙を尋ね われを己の敵と算へ 018 JOB 033 011 わが脚を桎に夾めわが一切の擧動に目を着たまふと 018 JOB 033 012 視よ我なんぢに答へん なんぢ此事において正義からず 神は人よりも大なる者にいませり 018 JOB 033 013 彼その凡て行なふところの理由を示したまはずとて汝かれにむかひて辯爭そふは何ぞや 018 JOB 033 014 まことに神は一度二度と告示したまふなれど人これを曉らざるなり 018 JOB 033 015 人熟睡する時または床に睡る時に夢あるひは夜の間の異象の中にて 018 JOB 033 016 かれ人の耳をひらき その敎ふるところを印して堅うし 018 JOB 033 017 斯して人にその惡き業を離れしめ 傲慢を人の中より除き 018 JOB 033 018 人の魂靈を護りて墓に至らしめず 人の生命を護りて劍にほろびざらしめたまふ 018 JOB 033 019 人床にありて疼痛に攻られ その骨の中に絶ず戰鬪のあるあり 018 JOB 033 020 その氣食物を厭ひ その魂靈うまき物をも嫌ふ 018 JOB 033 021 その肉は痩おちて見えず その骨は見えざりし者までも顯露になり 018 JOB 033 022 その魂靈は墓に近より その生命は滅ぼす者に近づく 018 JOB 033 023 しかる時にもし彼とともに一箇の使者あり 千の中の一箇にして中保となり 正しき道を人に示さば 018 JOB 033 024 神かれを憫れみて言給はん彼を救ひて墓にくだること無らしめよ 我すでに收贖の物を得たりと 018 JOB 033 025 その肉は小兒の肉よりも瑞々しくなり その若き時の形状に歸らん 018 JOB 033 026 かれ若し神に祷らば神かれを顧りみ 彼をしてその御面を喜こび見ることを得せしめたまはん 神は人の正義に報をなしたまふべし 018 JOB 033 027 かれ人の前に歌ひて言ふ 我は罪を犯し正しきを抂たり 然ど報を蒙らず 018 JOB 033 028 神わが魂靈を贖ひて墓に下らしめず わが生命光明を見ん 018 JOB 033 029 そもそも神は是等のもろもろの事をしばしば人におこなひ 018 JOB 033 030 その魂靈を墓より牽かへし生命の光明をもて彼を照したまふ 018 JOB 033 031 ヨブよ耳を傾むけて我に聽け 請ふ默せよ 我かたらん 018 JOB 033 032 なんぢもし言ふべきことあらば我にこたへよ 請ふ語れ 我なんぢを義とせんと慾すればなり 018 JOB 033 033 もし無ば我に聽け 請ふ默せよ 我なんぢに智慧を敎へん 018 JOB 034 001 エリフまた答へて曰く 018 JOB 034 002 なんぢら智慧ある者よ我言を聽け 知識ある者よ我に耳を傾むけよ 018 JOB 034 003 口の食物を味はふごとく耳は言詞を辨まふ 018 JOB 034 004 われら自ら是非を究め われらもろともに善惡を明らかにせん 018 JOB 034 005 それヨブは言ふ我は義し 神われに正しき審判を施こしたまはず 018 JOB 034 006 われは義しかれども僞る者とせらる 我は愆なけれどもわが身の矢創愈がたしと 018 JOB 034 007 何人かヨブのごとくならん彼は罵言を水のごとくに飮み 018 JOB 034 008 惡き事を爲す者等と交はり 惡人とともに歩むなり 018 JOB 034 009 すなはち彼いへらく 人は神と親しむとも身に益なしと 018 JOB 034 010 然ばなんぢら心ある人々よ我に聽け 神は惡を爲すことを決めて無く 全能者は不義を行ふこと決めて無し 018 JOB 034 011 却つて人の所爲をその身に報い 人をしてその行爲にしたがひて獲るところあらしめたまふ 018 JOB 034 012 かならず神は惡き事をなしたまはず全能者は審判を抂たまはざるなり 018 JOB 034 013 たれかこの地を彼に委ねし者あらん 誰か全世界を定めし者あらん 018 JOB 034 014 神もしその心を己にのみ用ひ その靈と氣息とを己に收回したまはば 018 JOB 034 015 もろもろの血肉ことごとく亡び人も亦塵にかへるべし 018 JOB 034 016 なんぢもし曉ることを得ば請ふ我に聽けわが言詞の聲に耳を側だてよ 018 JOB 034 017 公義を惡む者あに世ををさむるを得んや なんぢあに至義き者を惡しとすべけんや 018 JOB 034 018 王たる者にむかひて汝は邪曲なりと言ひ 牧伯たる者にむかひて汝らは惡しといふべけんや 018 JOB 034 019 まして君王たる者をも偏視ず貧しき者に超て富る者をかへりみるごとき事をせざる者にむかひてをや 斯爲たまふは彼等みな同じくその御手の作るところなればなり 018 JOB 034 020 彼らは瞬く時間に死に 民は夜の間に滅びて消失せ 力ある者も人手によらずして除かる 018 JOB 034 021 それ神の目は人の道の上にあり 神は人の一切の歩履を見そなはす 018 JOB 034 022 惡を行なふ者の身を匿すべき黑暗も無く死蔭も无し 018 JOB 034 023 神は人をして審判を受しむるまでに長くその人を窺がふに及ばず 018 JOB 034 024 權勢ある者をも査ぶることを須ひずして打ほろぼし他の人々を立て之に替たまふ 018 JOB 034 025 かくの如く彼らの所爲を知り 夜の間に彼らを覆がへしたまへば彼らは乃て滅ぶ 018 JOB 034 026 人の觀るところにて彼等を惡人のごとく撃たまふ 018 JOB 034 027 是は彼ら背きて之に從はずその道を全たく顧みざるに因る 018 JOB 034 028 かれら是のごとくして遂に貧しき者の號呼を彼の許に逹らしめ患難者の號呼を彼に聽しむ 018 JOB 034 029 かれ平安を賜ふ時には誰か惡しと言ふことをえんや 彼面をかくしたまふ時には誰かこれを見るを得んや 一國におけるも一人におけるも凡て同じ 018 JOB 034 030 かくのごとく邪曲なる者をして世を治むること無らしめ 民の機檻となることなからしむ 018 JOB 034 031 人は宜しく神に申すべし 我は已に懲しめられたり再度惡き事を爲じ 018 JOB 034 032 わが見ざる所は請ふ我にをしへたまへ 我もし惡き事を爲たるならば重ねて之をなさじと 018 JOB 034 033 かれ豈なんぢの好むごとくに應報をなしたまはんや 然るに汝はこれを咎む 然ばなんぢ自ら之を選ぶべし 我は爲じ 汝の知るところを言へ 018 JOB 034 034 心ある人々は我に言ん 我に聽ところの智慧ある人々は言ん 018 JOB 034 035 ヨブの言ふ所は辨知なし その言詞は明哲からずと 018 JOB 034 036 ねがはくはヨブ終まで試みられんことを其は惡き人のごとくに應答をなせばなり 018 JOB 034 037 まことに彼は自己の罪に愆を加へわれらの中間にありて手を拍ちかつ言詞を繁くして神に逆らふ 018 JOB 035 001 エリフまた答へて曰く 018 JOB 035 002 なんぢは言ふ 我が義しきは神に愈れりと なんぢ之を正しとおもふや 018 JOB 035 003 すなはち汝いへらく 是は我に何の益あらんや 罪を犯すに較ぶれば何の愈るところか有んと 018 JOB 035 004 われ言詞をもて汝およびなんぢにそへる汝の友等に答へん 018 JOB 035 005 天を仰ぎて見よ 汝の上なる高き空を望め 018 JOB 035 006 なんぢ罪を犯すとも神に何の害か有ん 愆を熾んにするとも神に何を爲えんや 018 JOB 035 007 汝正義かるとも神に何を與るを得んや 神なんぢの手より何をか受たまはん 018 JOB 035 008 なんぢの惡は只なんぢに同じき人を損ぜん而已 なんぢの善は只人の子を益せんのみ 018 JOB 035 009 暴虐の甚だしきに因て叫び 權勢ある者の腕に壓れて呼はる人々あり 018 JOB 035 010 然れども一人として我を造れる神は何處にいますやといふ者なし 彼は人をして夜の中に歌を歌ふに至らしめ 018 JOB 035 011 地の獸畜よりも善くわれらを敎へ 空の鳥よりも我らを智からしめたまふ者なり 018 JOB 035 012 惡き者等の驕傲ぶるに因て斯のごとく人々叫べども應ふる者あらず 018 JOB 035 013 虚しき語は神かならず之を聽たまはず 全能者これを顧みたまはじ 018 JOB 035 014 汝は我かれを見たてまつらずと言といへども審判は神の前にあり この故に汝彼を待べきなり 018 JOB 035 015 今かれ震怒をもて罰することを爲ず 罪愆を深く心に留たまはざる(が如くなる)に因て 018 JOB 035 016 ヨブ口を啓きて虚しき事を述べ無知の言語を繁くす 018 JOB 036 001 エリフまた言詞を繼て曰く 018 JOB 036 002 暫らく我に容せ我なんぢに示すこと有ん 尚神のために言ふべき事あればなり 018 JOB 036 003 われ廣くわが知識を取り我の造化主に正義を歸せんとす 018 JOB 036 004 わが言語は眞實に虚僞ならず 知識の完全き者なんぢの前にあり 018 JOB 036 005 視よ神は權能ある者にましませども何をも藐視めたまはず その了知の能力は大なり 018 JOB 036 006 惡しき者を生し存ず 艱難者のために審判を行ひたまふ 018 JOB 036 007 義しき者に目を離さず 位にある王等とともに永遠に坐せしめて之を貴くしたまふ 018 JOB 036 008 もし彼ら鏈索に繋がれ 艱難の繩にかかる時は 018 JOB 036 009 彼らの所行と愆尤とを示してその驕れるを知せ 018 JOB 036 010 彼らの耳を開きて敎を容れしめ かつ惡を離れて歸れよと彼らに命じたまふ 018 JOB 036 011 もし彼ら聽したがひて之に事へなば繁昌てその日を送り 樂しくその年を渉らん 018 JOB 036 012 若かれら聽したがはずば刀劍にて亡び 知識を得ずして死なん 018 JOB 036 013 しかれども心の邪曲なる者等は忿怒を蓄はへ 神に縛しめらるるとも祈ることを爲ず 018 JOB 036 014 かれらは年わかくして死亡せ 男娼とその生命をひとしうせん 018 JOB 036 015 神は艱難者を艱難によりて救ひ 之が耳を虐遇によりて開きたまふ 018 JOB 036 016 然ば神また汝を狹きところより出して狹からぬ廣き所に移したまふあらん 而して汝の席に陳ぬる物は凡て肥たる物ならん 018 JOB 036 017 今は惡人の鞫罰なんぢの身に充り 審判と公義となんぢを執ふ 018 JOB 036 018 なんぢ忿怒に誘はれて嘲笑に陷いらざるやう愼しめよ 收贖の大なるが爲に自ら誤るなかれ 018 JOB 036 019 なんぢの號叫なんぢを艱難の中より出さんや 如何に力を盡すとも所益あらじ 018 JOB 036 020 世の人のその處より絶る其夜を慕ふなかれ 018 JOB 036 021 愼しみて惡に傾むくなかれ 汝は艱難よりも寧ろ之を取んとせり 018 JOB 036 022 それ神はその權能をもて大なる事を爲したまふ 誰か能く彼のごとくに敎晦を埀んや 018 JOB 036 023 たれか彼のためにその道を定めし者あらんや 誰かなんぢは惡き事をなせりと言ふことを得ん 018 JOB 036 024 なんぢ神の御所爲を讚歎ふることを忘れざれ これ世の人の歌ひ崇むる所なり 018 JOB 036 025 人みな之を仰ぎ觀る 遠き方より人これを視たてまつるなり 018 JOB 036 026 神は大なる者にいまして我儕かれを知たてまつらず その御年の數は計り知るべからず 018 JOB 036 027 かれ水を細にして引あげたまへば霧の中に滴り出て雨となるに 018 JOB 036 028 雲これを降せて人々の上に沛然に灌ぐなり 018 JOB 036 029 たれか能く雲の舒展る所以 またその幕屋の響く所以を了知んや 018 JOB 036 030 視よ彼その光明を自己の周圍に繞らし また海の底をも蔽ひたまひ 018 JOB 036 031 これらをもて民を鞫き また是等をもて食物を豐饒に賜ひ 018 JOB 036 032 電光をもてその兩手を包み その電光に命じて敵を撃しめたまふ 018 JOB 036 033 その鳴聲かれを顯はし 家畜すらも彼の來ますを知らすなり 018 JOB 037 001 之がためにわが心わななき その處を動き離る 018 JOB 037 002 神の聲の響およびその口より出る轟聲を善く聽け 018 JOB 037 003 これを天が下に放ち またその電光を地の極にまで至らせたまふ 018 JOB 037 004 その後聲ありて打響き 彼威光の聲を放ちて鳴わたりたまふ その御聲聞えしむるに當りては電光を押へおきたまはず 018 JOB 037 005 神奇しくも御聲を放ちて鳴わたり 我儕の知ざる大なる事を行ひたまふ 018 JOB 037 006 かれ雪にむかひて地に降れと命じたまふ 雨すなはちその權能の大雨にも亦しかり 018 JOB 037 007 斯かれ一切の人の手を封じたまふ 是すべての人にその御工作を知しめんがためなり 018 JOB 037 008 また獸は穴にいりてその洞に居る 018 JOB 037 009 南方の密室より暴風きたり 北より寒氣きたる 018 JOB 037 010 神の氣吹によりて氷いできたり 水の寛狹くせらる 018 JOB 037 011 かれ水をもて雲に搭載せまた電光の雲を遠く散したまふ 018 JOB 037 012 是は神の導引によりて週る 是は彼の命ずるところを盡く世界の表面に爲んがためなり 018 JOB 037 013 その之を來らせたまふは或は懲罰のため あるひはその地のため 或は恩惠のためなり 018 JOB 037 014 ヨブよ是を聽け 立ちて神の奇妙き工作を考がへよ 018 JOB 037 015 神いかに是等に命を傳へその雲の光明をして輝やかせたまふか汝これを知るや 018 JOB 037 016 なんぢ雲の平衡知識の全たき者の奇妙き工作を知るや 018 JOB 037 017 南風によりて地の穩かになる時なんぢの衣服は熱くなるなり 018 JOB 037 018 なんぢ彼とともに彼の堅くして鑄たる鏡のごとくなる蒼穹を張ることを能せんや 018 JOB 037 019 われらが彼に言ふべき事を我らに敎へよ 我らは暗昧して言詞を列ぬること能はざるなり 018 JOB 037 020 われ語ることありと彼に告ぐべけんや 人あに滅ぼさるることを望まんや 018 JOB 037 021 人いまは雲霄に輝やく光明を見ること能はず 然れど風きたりて之を吹清む 018 JOB 037 022 北より黄金いできたる 神には畏るべき威光あり 018 JOB 037 023 全能者はわれら測りきはむることを得ず 彼は能おほいなる者にいまし審判をも公義をも抂たまはざるなり 018 JOB 037 024 この故に人々かれを畏る 彼はみづから心に有智とする者をかへりみたまはざるなり 018 JOB 038 001 茲にヱホバ大風の中よりヨブに答へて宣まはく 018 JOB 038 002 無智の言詞をもて道を暗からしむる此者は誰ぞや 018 JOB 038 003 なんぢ腰ひきからげて丈夫のごとくせよ 我なんぢに問ん 汝われに答へよ 018 JOB 038 004 地の基を我が置たりし時なんぢは何處にありしや 汝もし穎悟あらば言へ 018 JOB 038 005 なんぢ若知んには誰が度量を定めたりしや 誰が準繩を地の上に張りたりしや 018 JOB 038 006 その基は何の上に奠れたりしや その隅石は誰が置たりしや 018 JOB 038 007 かの時には晨星あひともに歌ひ 神の子等みな歡びて呼はりぬ 018 JOB 038 008 海の水ながれ出で 胎内より涌いでし時誰が戸をもて之を閉こめたりしや 018 JOB 038 009 かの時我雲をもて之が衣服となし 黑暗をもて之が襁褓となし 018 JOB 038 010 これに我法度を定め關および門を設けて 018 JOB 038 011 曰く此までは來るべし此を越べからず 汝の高浪ここに止まるべしと 018 JOB 038 012 なんぢ生れし日より以來朝にむかひて命を下せし事ありや また黎明にその所を知しめ 018 JOB 038 013 これをして地の縁を取へて惡き者をその上より振落さしめたりしや 018 JOB 038 014 地は變りて土に印したるごとくに成り 諸の物は美はしき衣服のごとくに顯る 018 JOB 038 015 また惡人はその光明を奪はれ 高く擧たる手は折らる 018 JOB 038 016 なんぢ海の泉源にいたりしことありや 淵の底を歩みしことありや 018 JOB 038 017 死の門なんぢのために開けたりしや 汝死蔭の門を見たりしや 018 JOB 038 018 なんぢ地の廣を看きはめしや 若これを盡く知ば言へ 018 JOB 038 019 光明の在る所に往く路は孰ぞや 黑暗の在る所は何處ぞや 018 JOB 038 020 なんぢ之をその境に導びき得るや その家の路を知をるや 018 JOB 038 021 なんぢ之を知ならん汝はかの時すでに生れをり また汝の經たる日の數も多ければなり 018 JOB 038 022 なんぢ雪の庫にいりしや 雹の庫を見しや 018 JOB 038 023 これ我が艱難の時にために蓄はへ 戰爭および戰鬪の日のために蓄はへ置くものなり 018 JOB 038 024 光明の發散る道 東風の地に吹わたる所の路は何處ぞや 018 JOB 038 025 誰が大雨を灌ぐ水路を開き雷電の光の過る道を開き 018 JOB 038 026 人なき地にも人なき荒野にも雨を降し 018 JOB 038 027 荒かつ廢れたる處々を潤ほし かつ若菜蔬を生出しむるや 018 JOB 038 028 雨に父ありや 露の珠は誰が生る者なるや 018 JOB 038 029 氷は誰が胎より出るや 空の霜は誰が產むところなるや 018 JOB 038 030 水かたまりて石のごとくに成り 淵の面こほる 018 JOB 038 031 なんぢ昴宿の鏈索を結びうるや 參宿の繋繩を解うるや 018 JOB 038 032 なんぢ十二宮をその時にしたがひて引いだし得るや また北斗とその子星を導びき得るや 018 JOB 038 033 なんぢ天の常經を知るや 天をして其權力を地に施こさしむるや 018 JOB 038 034 なんぢ聲を雲に擧げ滂沛の水をして汝を掩はしむるを得るや 018 JOB 038 035 なんぢ閃電を遣はして往しめ なんぢに答へて我儕は此にありと言しめ得るや 018 JOB 038 036 胸の中の智慧は誰が與へし者ぞ 心の内の聰明は誰が授けし者ぞ 018 JOB 038 037 たれか能く智慧をもて雲を數へんや たれか能く天の瓶を傾むけ 018 JOB 038 038 塵をして一塊に流れあはしめ土塊をしてあひかたまらしめんや 018 JOB 038 039 なんぢ牝獅子のために食物を獵や また小獅子の食氣を滿すや 018 JOB 038 040 その洞穴に伏し 森の中に隱れ伺がふ時なんぢこの事を爲うるや 018 JOB 038 041 また鴉の子 神にむかひて呼はり 食物なくして徘徊る時 鴉に餌を與ふる者は誰ぞや 018 JOB 039 001 なんぢ岩間の山羊が子を產む時をしるや また麀鹿の產に臨むを見しや 018 JOB 039 002 なんぢ是等の在胎の月を數へうるや また是等が產む時を知るや 018 JOB 039 003 これらは身を鞠めて子を產みその痛苦を出す 018 JOB 039 004 またその子は強くなりて野に育ち 出ゆきて再たびその親にかへらず 018 JOB 039 005 誰が野驢馬を放ちて自由にせしや 誰が野驢馬の繋繩を解しや 018 JOB 039 006 われ野をその家となし 荒野をその住所となせり 018 JOB 039 007 是は邑の喧閙を賤しめ 馭者の號呼を聽いれず 018 JOB 039 008 山を走まはりて草を食ひ 各種の靑き物を尋ぬ 018 JOB 039 009 兕肯て汝に事へ なんぢの飼草槽の傍にとどまらんや 018 JOB 039 010 なんぢ兕に綱附て阡陌をあるかせ得んや 是あに汝にしたがひて谷に馬鈀を牽んや 018 JOB 039 011 その力おほいなればとて汝これに恃まんや またなんぢの工事をこれに任せんや 018 JOB 039 012 なんぢこれにたよりて己が穀物を運びかへらせ之を打禾塲にあつめしめんや 018 JOB 039 013 駝鳥は歡然にその翼を皷ふ 然どもその羽と毛とはあに鶴にしかんや 018 JOB 039 014 是はその卵を土の中に棄おき これを砂の中にて暖たまらしめ 018 JOB 039 015 足にてその潰さるべきと 野の獸のこれを踐むべきとを思はず 018 JOB 039 016 これはその子に情なくして宛然おのれの子ならざるが如くし その劬勞の空しくなるも繋念ところ無し 018 JOB 039 017 是は神これに智慧を授けず穎悟を與へざるが故なり 018 JOB 039 018 その身をおこして走るにおいては馬をもその騎手をも嘲けるべし 018 JOB 039 019 なんぢ馬に力を與へしや その頸に勇ましき鬣を粧ひしや 018 JOB 039 020 なんぢ之を蝗蟲のごとく飛しむるや その嘶なく聲の響は畏るべし 018 JOB 039 021 谷を踋爬て力に誇り 自ら進みて兵士に向ふ 018 JOB 039 022 懼るることを笑ひて驚ろくところ無く 劍にむかふとも退ぞかず 018 JOB 039 023 矢筒その上に鳴り 鎗に矛あひきらめく 018 JOB 039 024 猛りつ狂ひつ地を一呑にし 喇叭の聲鳴わたるも立どまる事なし 018 JOB 039 025 喇叭の鳴ごとにハーハーと言ひ遠方より戰鬪を嗅つけ 將帥の大聲および吶喊聲を聞しる 018 JOB 039 026 鷹の飛かけり その羽翼を舒て南に向ふは豈なんぢの智慧によるならんや 018 JOB 039 027 鷲の翔のぼり 高き處に巣を營なむは豈なんぢの命令に依んや 018 JOB 039 028 これは岩の上に住所を構へ 岩の尖所または峻險き所に居り 018 JOB 039 029 其處よりして攫むべき物をうかがふ その目のおよぶところ遠し 018 JOB 039 030 その子等もまた血を吸ふ 凡そ殺されし者のあるところには是そこに在り 018 JOB 040 001 ヱホバまたヨブに對へて言たまはく 018 JOB 040 002 非難する者ヱホバと爭はんとするや 神と論ずる者これに答ふべし 018 JOB 040 003 ヨブ是においてヱホバに答へて曰く 018 JOB 040 004 嗚呼われは賤しき者なり 何となんぢに答へまつらんや 唯手をわが口に當んのみ 018 JOB 040 005 われ已に一度言たり 復いはじ 已に再度せり 重ねて述じ 018 JOB 040 006 是に於てヱホバまた大風の中よりヨブに應へて言たまはく 018 JOB 040 007 なんぢ腰ひきからげて丈夫のごとくせよ 我なんぢに問ん なんぢ我にこたへよ 018 JOB 040 008 なんぢ我審判を廢んとするや 我を非として自身を是とせんとするや 018 JOB 040 009 なんぢ神のごとき腕ありや 神のごとき聲をもて轟きわたらんや 018 JOB 040 010 さればなんぢ威光と尊貴とをもて自ら飾り 榮光と華美とをもて身に纒へ 018 JOB 040 011 なんぢの溢るる震怒を洩し 高ぶる者を視とめて之をことごとく卑くせよ 018 JOB 040 012 すなはち高ぶる者を見てこれを盡く鞠ませ また惡人を立所に踐つけ 018 JOB 040 013 これを塵の中に埋め これが面を隱れたる處に閉こめよ 018 JOB 040 014 さらば我もなんぢを讚てなんぢの右の手なんぢを救ひ得ると爲ん 018 JOB 040 015 今なんぢ我がなんぢとともに造りたりし河馬を視よ 是は牛のごとく草を食ふ 018 JOB 040 016 觀よその力は腰にあり その勢力は腹の筋にあり 018 JOB 040 017 その尾の搖く樣は香柏のごとく その腿の筋は彼此に盤互ふ 018 JOB 040 018 その骨は銅の管ごとくその肋骨は鐡の棒のごとし 018 JOB 040 019 これは神の工の第一なる者にして之を造りし者これに劍を賦けたり 018 JOB 040 020 山もこれがために食物を產出し もろもろの野獸そこに遊ぶ 018 JOB 040 021 これは蓮の樹の下に臥し 葦蘆の中または沼の裏に隱れをる 018 JOB 040 022 蓮の樹その蔭をもてこれを覆ひ また河の柳これを環りかこむ 018 JOB 040 023 たとひ河荒くなるとも驚ろかず ヨルダンその口に注ぎかかるも惶てず 018 JOB 040 024 その目の前にて誰か之を執ふるを得ん 誰か羂をその鼻に貫ぬくを得ん 018 JOB 041 001 なんぢ鈎をもて鱷を釣いだすことを得んや その舌を糸にひきかくることを得んや 018 JOB 041 002 なんぢ葦の繩をその鼻に通し また鈎をその齶に衝とほし得んや 018 JOB 041 003 是あに頻になんぢに願ふことをせんや 柔かになんぢに言談んや 018 JOB 041 004 あに汝と契約を爲んや なんぢこれを執て永く僕と爲しおくを得んや 018 JOB 041 005 なんぢ鳥と戲むるる如くこれとたはむれ また汝の婦人等のために之を繋ぎおくを得んや 018 JOB 041 006 また漁夫の社會これを商貨と爲して商賣人の中間に分たんや 018 JOB 041 007 なんぢ漁叉をもてその皮に滿し 魚矛をもてその頭を衝とほし得んや 018 JOB 041 008 手をこれに下し見よ 然ばその戰鬪をおぼえて再びこれを爲ざるべし 018 JOB 041 009 視よその望は虚し 之を見てすら倒るるに非ずや 018 JOB 041 010 何人も之に激する勇氣あるなし 然ば誰かわが前に立うる者あらんや 018 JOB 041 011 誰か先に我に與へしところありて我をして之に酬いしめんとする者あらん 普天の下にある者はことごとく我有なり 018 JOB 041 012 我また彼者の肢體とその著るしき力とその美はしき身の構造とを言では措じ 018 JOB 041 013 誰かその外甲を剥ん 誰かその雙齶の間に入ん 018 JOB 041 014 誰かその面の戸を開きえんや その周圍の齒は畏るべし 018 JOB 041 015 その並列る鱗甲は之が誇るところ その相闔たる樣は堅く封じたるがごとく 018 JOB 041 016 此と彼とあひ接きて風もその中間にいるべからず 018 JOB 041 017 一々あひ連なり堅く膠て離すことを得ず 018 JOB 041 018 嚔すれば即はち光發す その目は曙光の眼瞼(を開く)に似たり 018 JOB 041 019 その口よりは炬火いで火花發し 018 JOB 041 020 その鼻の孔よりは煙いできたりて宛然葦を焚く釜のごとし 018 JOB 041 021 その氣息は炭火を爇し 火燄その口より出づ 018 JOB 041 022 力氣その頸に宿る 懼るる者その前に彷徨まよふ 018 JOB 041 023 その肉の片は密に相連なり 堅く身に着て動かす可らず 018 JOB 041 024 その心の堅硬こと石のごとく その堅硬こと下磨のごとし 018 JOB 041 025 その身を興す時は勇士も戰慄き 恐怖によりて狼狽まどふ 018 JOB 041 026 劍をもて之を撃とも利ず 鎗も矢も漁叉も用ふるところ無し 018 JOB 041 027 是は鐡を見ること稿のごとくし銅を見ること朽木のごとくす 018 JOB 041 028 弓箭もこれを逃しむること能はず 投石機の石も稿屑と見做る 018 JOB 041 029 棒も是には稿屑と見ゆ 鎗の閃めくを是は笑ふ 018 JOB 041 030 その下腹には瓦礫の碎片を連ね 泥の上に麥打車を引く 018 JOB 041 031 淵をして鼎のごとく沸かへらしめ 海をして香油の釜のごとくならしめ 018 JOB 041 032 己が後に光る道を遺せば淵は白髮をいただけるかと疑がはる 018 JOB 041 033 地の上には是と並ぶ者なし 是は恐怖なき身に造られたり 018 JOB 041 034 是は一切の高大なる者を輕視ず 誠に諸の誇り高ぶる者の王たるなり 018 JOB 042 001 ヨブ是に於てヱホバに答へて曰く 018 JOB 042 002 我知る汝は一切の事をなすを得たまふ また如何なる意志にても成あたはざる無し 018 JOB 042 003 無知をもて道を蔽ふ者は誰ぞや 斯われは自ら了解らざる事を言ひ 自ら知ざる測り難き事を述たり 018 JOB 042 004 請ふ聽たまへ 我言ふところあらん 我なんぢに問まつらん 我に答へたまへ 018 JOB 042 005 われ汝の事を耳にて聞ゐたりしが今は目をもて汝を見たてまつる 018 JOB 042 006 是をもて我みづから恨み 塵灰の中にて悔ゆ 018 JOB 042 007 ヱホバ是等の言語をヨブに語りたまひて後ヱホバ、テマン人エリパズに言たまひけるは我なんぢと汝の二人の友を怒る 其はなんぢらが我に關て言述べたるところはわが僕ヨブの言たることのごとく正當からざればなり 018 JOB 042 008 然ば汝ら牡牛七頭 牡羊七頭を取てわが僕ヨブに至り汝らの身のために燔祭を獻げよ わが僕ヨブなんぢらのために祈らん われかれを嘉納べければ之によりて汝らの愚を罰せざらん 汝らの我について言述たるところは我僕ヨブの言たることのごとく正當からざればなり 018 JOB 042 009 是においてテマン人エリパズ、シユヒ人ビルダデ、ナアマ人ゾパル往てヱホバの自己に宣まひしごとく爲ければヱホバすなはちヨブを嘉納たまへり 018 JOB 042 010 ヨブその友のために祈れる時 ヱホバ、ヨブの艱難をときて舊に復ししかしてヱホバつひにヨブの所有物を二倍に増たまへり 018 JOB 042 011 是において彼の諸の兄弟諸の姉妹およびその舊相識る者等ことごとく來りて彼とともにその家にて飮食を爲しかつヱホバの彼に降したまひし一切の災難につきて彼をいたはり慰さめ また各金一ケセタと金の環一箇を之に贈れり 018 JOB 042 012 ヱホバかくのごとくヨブをめぐみてその終を初よりも善したまへり 即ち彼は綿羊一萬四千匹 駱駝六千匹 牛一千軛 牝驢馬一千匹を有り 018 JOB 042 013 また男子七人 女子三人ありき 018 JOB 042 014 かれその第一の女をエミマと名け第二をケジアと名け 第三をケレンハツプクと名けたり 018 JOB 042 015 全國の中にてヨブの女子等ほど美しき婦人は見えざりき その父之にその兄弟等とおなじく產業をあたへたり 018 JOB 042 016 この後ヨブは百四十年いきながらへてその子その孫と四代までを見たり 018 JOB 042 017 かくヨブは年老い日滿て死たりき # # BOOK 019 PSA Psalms 詩篇 019 PSA 001 001 惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり 019 PSA 001 002 かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ 019 PSA 001 003 かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん 019 PSA 001 004 あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし 019 PSA 001 005 然ばあしきものは審判にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり 019 PSA 001 006 そはヱホバはただしきものの途をしりたまふ されど惡きものの途はほろびん 019 PSA 002 001 何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや 019 PSA 002 002 地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ 019 PSA 002 003 われらその械をこぼち その繩をすてんと 019 PSA 002 004 天に坐するもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし 019 PSA 002 005 かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ 019 PSA 002 006 しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと 019 PSA 002 007 われ詔命をのべんヱホバわれに宣まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り 019 PSA 002 008 われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ地の極をなんぢの有としてあたへん 019 PSA 002 009 汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打碎かんと 019 PSA 002 010 されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ 019 PSA 002 011 畏をもてヱホバにつかへ戰慄をもてよろこべ 019 PSA 002 012 子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依賴むものは福ひなり 019 PSA 003 001 ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからひて起りたつもの多し 019 PSA 003 002 わが霊魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほき (セラ) 019 PSA 003 003 されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり 019 PSA 003 004 われ聲をあげてヱホバによばはればその聖山より我にこたへたまふ (セラ) 019 PSA 003 005 われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり 019 PSA 003 006 われをかこみて立かまへたる千萬の人をも我はおそれじ 019 PSA 003 007 ヱホバよねがはくは起たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの歯ををりたまへり 019 PSA 003 008 救はヱホバにあり ねがはくは恩惠なんぢの民のうへに在んことを (セラ) 019 PSA 004 001 わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ 019 PSA 004 002 人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを經んとするか (セラ) 019 PSA 004 003 然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聽たまはん 019 PSA 004 004 なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて默せ (セラ) 019 PSA 004 005 なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依賴め 019 PSA 004 006 おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせたまへ 019 PSA 004 007 なんぢのわが心にあたへたまひし歓喜はかれらの穀物と酒との豊かなる時にまさりき 019 PSA 004 008 われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり 019 PSA 005 001 ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ 019 PSA 005 002 わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり 019 PSA 005 003 ヱホバよ朝になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望むべし 019 PSA 005 004 なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり 019 PSA 005 005 たかぶる者はなんぢの目前にたつをえず なんぢはすべて邪曲をおこなふものを憎みたまふ 019 PSA 005 006 なんぢは虚偽をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり 019 PSA 005 007 然どわれは豊かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖宮にむかひて拝まん 019 PSA 005 008 ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途をわが前になほくしたまへ 019 PSA 005 009 かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり 019 PSA 005 010 神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり 019 PSA 005 011 されど凡てなんぢに依賴む者をよろこばせ永遠によろこびよばはらせたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歓喜をえしめたまへ 019 PSA 005 012 ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩惠をもて之をかこみたまはん 019 PSA 006 001 ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ 019 PSA 006 002 ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ 019 PSA 006 003 わが霊魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや 019 PSA 006 004 ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ 019 PSA 006 005 そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん 019 PSA 006 006 われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ涙をもてわが衾をひたせり 019 PSA 006 007 わが目うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ 019 PSA 006 008 なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり 019 PSA 006 009 ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん 019 PSA 006 010 わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ 019 PSA 007 001 わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ 019 PSA 007 002 おそらくはかれ獅の如くわが霊魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん 019 PSA 007 003 わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纏りをらんには 019 PSA 007 004 故なく仇ずるものをさへ助けしに禍害をもてわが友にむくいしならんには 019 PSA 007 005 よし仇人わがたましひを逐とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよ (セラ) 019 PSA 007 006 ヱホバよなんぢの怒をもて起わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判をおほせ出したまへり 019 PSA 007 007 もろもろの國人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまへ 019 PSA 007 008 ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全とにしたがひて我をさばきたまへ 019 PSA 007 009 ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ 019 PSA 007 010 わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり 019 PSA 007 011 神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり 019 PSA 007 012 人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまへ 019 PSA 007 013 これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん 019 PSA 007 014 視よその人はよこしまを產んとしてくるしむ 殘害をはらみ虚偽をうむなり 019 PSA 007 015 また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり 019 PSA 007 016 その殘害はおのが首にかへり その強暴はおのが頭上にくだらん 019 PSA 007 017 われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん 019 PSA 008 001 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな その榮光を天におきたまへり 019 PSA 008 002 なんぢは嬰兒ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭靜めんがためなり 019 PSA 008 003 我なんぢの指のわざなる天を觀なんぢの設けたまへる月と星とをみるに 019 PSA 008 004 世人はいかなるものなればこれを聖念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧みたまふや 019 PSA 008 005 只すこしく人を神よりも卑つくりて榮と尊貴とをかうぶらせ 019 PSA 008 006 またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり 019 PSA 008 007 すべての羊うしまた野の獣 019 PSA 008 008 そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり 019 PSA 008 009 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな 019 PSA 009 001 われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん 019 PSA 009 002 われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん 019 PSA 009 003 わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前にほろぶ 019 PSA 009 004 なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判をしつつ寳座にすわりたまへり 019 PSA 009 005 またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり 019 PSA 009 006 仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし 019 PSA 009 007 ヱホバはとこしへに聖位にすわりたまふ 審判のためにその寳座をまうけたまひたり 019 PSA 009 008 ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判をおこなひたまはん 019 PSA 009 009 ヱホバは虐げらるるものの城また難みのときの城なり 019 PSA 009 010 聖名をしるものはなんぢに依賴ん そはヱホバよなんぢを尋るものの棄られしこと斷てなければなり 019 PSA 009 011 シオンに住たまふヱホバに對ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ 019 PSA 009 012 血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず 019 PSA 009 013 ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ 019 PSA 009 014 さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん 019 PSA 009 015 もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる 019 PSA 009 016 ヱホバは己をしらしめ審判をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン (セラ) 019 PSA 009 017 あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん 019 PSA 009 018 貧者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望はとこしへに滅ぶるにあらず 019 PSA 009 019 ヱホバよ起たまへ ねがはくは勝を人にえしめたまふなかれ御前にてもろもろのくにびとに審判をうけしめたまヘ 019 PSA 009 020 ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘ (セラ) 019 PSA 010 001 ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや 019 PSA 010 002 あしき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまへ 019 PSA 010 003 あしきひとは己がこころの欲望をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ 019 PSA 010 004 あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり 019 PSA 010 005 かれの途はつねに堅く なんぢの審判はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く 019 PSA 010 006 かくて己がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害なかるべしと 019 PSA 010 007 その口にはのろひと虚偽としへたげとみち その舌のしたには殘害とよこしまとあり 019 PSA 010 008 かれは村里のかくれたる處にをり隠やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ 019 PSA 010 009 窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧しきものをその網にひきいれてとらふ 019 PSA 010 010 また身をかがめて蹲まるその強勁によりて依仗なきものは仆る 019 PSA 010 011 かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと 019 PSA 010 012 ヱホバよ起たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ 019 PSA 010 013 いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや 019 PSA 010 014 なんぢは鍳たまへりその殘害と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり 019 PSA 010 015 ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまへ 019 PSA 010 016 ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の國より跡をたちたり 019 PSA 010 017 ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき 019 PSA 010 018 孤子と虐げらる者とのために審判をなし地につける人にふたたび恐嚇をもちひざらしめ給はん 019 PSA 011 001 われヱホバに依賴めり なんぢら何ぞわが霊魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや 019 PSA 011 002 視よあしきものは暗處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ 019 PSA 011 003 基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや 019 PSA 011 004 ヱホバはその聖宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ 019 PSA 011 005 ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと強暴をこのむ者とをにくみ 019 PSA 011 006 羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫磺ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり 019 PSA 011 007 ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖顔をあふぎみん 019 PSA 012 001 ああヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失るなり 019 PSA 012 002 人はみな虚偽をもてその隣とあひかたり滑なるくちびると貳心とをもてものいふ 019 PSA 012 003 ヱホバはすべての滑なるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん 019 PSA 012 004 かれらはいふ われら舌をもて勝をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと 019 PSA 012 005 ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧しきもの歎くがゆゑに我いま起てこれをその慕ひもとむる平安におかん 019 PSA 012 006 ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる爐にてねり七次きよめたる白銀のごとし 019 PSA 012 007 ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん 019 PSA 012 008 人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり 019 PSA 013 001 ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をわすれたまふや 聖顔をかくしていくそのときを歴たまふや 019 PSA 013 002 われ心のうちに終日かなしみをいだき籌畫をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか 019 PSA 013 003 わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん 019 PSA 013 004 おそらくはわが仇いはん 我かれに勝りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん 019 PSA 013 005 されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん 019 PSA 013 006 ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん 019 PSA 014 001 愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし 019 PSA 014 002 ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに 019 PSA 014 003 みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし 019 PSA 014 004 不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり 019 PSA 014 005 視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり 019 PSA 014 006 なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり 019 PSA 014 007 ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん 019 PSA 015 001 ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖山にすまはんものは誰ぞ 019 PSA 015 002 直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる 019 PSA 015 003 かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむる言をあげもちひず 019 PSA 015 004 惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害となるも變ることなし 019 PSA 015 005 貨をかして過たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠にうごかさるることなかるべし 019 PSA 016 001 神よねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依賴む 019 PSA 016 002 われヱホバにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと 019 PSA 016 003 地にある聖徒はわが極めてよろこぶ勝れしものなり 019 PSA 016 004 ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ 019 PSA 016 005 ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所領をまもりたまはん 019 PSA 016 006 準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな 019 PSA 016 007 われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ 019 PSA 016 008 われ常にヱホバをわが前におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし 019 PSA 016 009 このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平安にをらん 019 PSA 016 010 そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり 019 PSA 016 011 なんぢ生命の道をわれに示したまはん なんぢの前には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり 019 PSA 017 001 ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ 019 PSA 017 002 ねがはくはわが宣告みまへよりいでてなんぢの目公平をみたまはんことを 019 PSA 017 003 なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん 019 PSA 017 004 人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途をさけたり 019 PSA 017 005 わが歩はかたくなんぢの途にたちわが足はよろめくことなかりき 019 PSA 017 006 神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ 019 PSA 017 007 なんぢに依賴むものを右手をもて仇するものより救ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ 019 PSA 017 008 願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし 019 PSA 017 009 我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ 019 PSA 017 010 かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり 019 PSA 017 011 いづこにまれ往ところにてわれらを打圍み われらを地にたふさんと目をとむ 019 PSA 017 012 かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隠やかなるところに潜みまつ壯獅のごとし 019 PSA 017 013 ヱホバよ起たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが霊魂をすくひたまへ 019 PSA 017 014 ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺す 019 PSA 017 015 されどわれは義にありて聖顔をみ目さむるとき容光をもて飽足ることをえん 019 PSA 018 001 ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ 019 PSA 018 002 ヱホバはわが巌 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり 019 PSA 018 003 われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん 019 PSA 018 004 死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり 019 PSA 018 005 陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり 019 PSA 018 006 われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又わが神にさけびたり ヱホバはその宮よりわが聲をききたまふ その前にてわがよびし聲はその耳にいれり 019 PSA 018 007 このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり 019 PSA 018 008 烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり 019 PSA 018 009 ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし 019 PSA 018 010 かくてケルブに乗りてとび風のつばさにて翔り 019 PSA 018 011 闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり 019 PSA 018 012 そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり 019 PSA 018 013 ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり 019 PSA 018 014 ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり 019 PSA 018 015 ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり 019 PSA 018 016 ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ 019 PSA 018 017 わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最強かりき 019 PSA 018 018 かれらはわが災害の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき 019 PSA 018 019 ヱホバはわれを悦びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり 019 PSA 018 020 ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり 019 PSA 018 021 われヱホバの道をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり 019 PSA 018 022 そのすべての審判はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり 019 PSA 018 023 われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり 019 PSA 018 024 この故にヱホバはわがただしきとその目前にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり 019 PSA 018 025 なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全ものには全きものとなり 019 PSA 018 026 きよきものには潔きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ 019 PSA 018 027 そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり 019 PSA 018 028 なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗をてらしたまはん 019 PSA 018 029 我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ 019 PSA 018 030 神はしもその途またくヱホバの言はきよし ヱホバはすべて依賴むものの盾なり 019 PSA 018 031 そはヱホバのほかに神はたれぞや われらの神のほかに巌はたれぞや 019 PSA 018 032 神はちからをわれに帶しめ わが途を全きものとなしたまふ 019 PSA 018 033 神はわが足を麀のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ 019 PSA 018 034 神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ 019 PSA 018 035 又なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙卑われを大ならしめたまへり 019 PSA 018 036 なんぢわが歩むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき 019 PSA 018 037 われ仇をおひてこれに追及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ 019 PSA 018 038 われかれらを撃てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし 019 PSA 018 039 そはなんぢ戰爭のために力をわれに帶しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり 019 PSA 018 040 我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり 019 PSA 018 041 かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき 019 PSA 018 042 我かれらを風のまへの塵のごとくに搗碎き ちまたの坭のごとくに打棄たり 019 PSA 018 043 なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん 019 PSA 018 044 かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん 019 PSA 018 045 ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん 019 PSA 018 046 ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな 019 PSA 018 047 わがために讎をむくい異邦人をわれに服はせたまふはこの神なり 019 PSA 018 048 神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ 019 PSA 018 049 この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん 019 PSA 018 050 ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ 019 PSA 019 001 もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手のわざをしめす 019 PSA 019 002 この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる 019 PSA 019 003 語らずいはずその聲きこえざるに 019 PSA 019 004 そのひびきは全地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり 019 PSA 019 005 日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり 019 PSA 019 006 そのいでたつや天の涯よりし その運りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし 019 PSA 019 007 ヱホバの法はまたくして霊魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ 019 PSA 019 008 ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ 019 PSA 019 009 ヱホバを惶みおそるる道はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し 019 PSA 019 010 これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌増りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し 019 PSA 019 011 なんぢの僕はこれらによりて儆戒をうく これらをまもらば大なる報賞あらん 019 PSA 019 012 たれかおのれの過失をしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ 019 PSA 019 013 願くはなんぢの僕をひきとめて故意なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆をまぬかるるをえん 019 PSA 019 014 ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悦ばるることを得しめたまへ 019 PSA 020 001 ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ 019 PSA 020 002 聖所より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ 019 PSA 020 003 汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことを (セラ) 019 PSA 020 004 ねがはくはなんちがこころの願望をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂しめたまはんことを 019 PSA 020 005 我儕なんぢの救によりて歓びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを 019 PSA 020 006 われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右手なるすくひの力にてかれに應へたまはん 019 PSA 020 007 あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん 019 PSA 020 008 かれらは屈みまた仆るわれらは起てかたくたてり 019 PSA 020 009 ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ 019 PSA 021 001 ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歓喜をなさん 019 PSA 021 002 なんぢ彼がこころの願望をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりき (セラ) 019 PSA 021 003 そはよきたまものの惠をもてかれを迎へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり 019 PSA 021 004 かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齢の日を世々かぎりなからしめ給へり 019 PSA 021 005 なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊貴と稜威とをかれに衣せたまふ 019 PSA 021 006 そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖顔のまへの歓喜をもて樂しませたまへばなり 019 PSA 021 007 王はヱホバに依賴み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん 019 PSA 021 008 なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし 019 PSA 021 009 なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食つくさん 019 PSA 021 010 汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん 019 PSA 021 011 かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂がたき謀略をおもひまはせばなり 019 PSA 021 012 汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん 019 PSA 021 013 ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん 019 PSA 022 001 わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか 019 PSA 022 002 ああわが神われ晝よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平安をえず 019 PSA 022 003 然はあれイスラエルの讃美のなかに住たまふものよ汝はきよし 019 PSA 022 004 われらの列祖はなんぢに依賴めり かれら依賴みたればこれを助けたまへり 019 PSA 022 005 かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき 019 PSA 022 006 然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる 019 PSA 022 007 すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ 019 PSA 022 008 かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悦びたまふが故にたすくべしと 019 PSA 022 009 されど汝はわれを胎内よりいだし給へるものなり わが母のふところにありしとき旣になんぢに依賴ましめたまへり 019 PSA 022 010 我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり 019 PSA 022 011 われに遠ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又すくふものなければなり 019 PSA 022 012 おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり 019 PSA 022 013 かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし 019 PSA 022 014 われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり 019 PSA 022 015 わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり 019 PSA 022 016 そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり 019 PSA 022 017 わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる 019 PSA 022 018 かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを鬮にす 019 PSA 022 019 ヱホバよ遠くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速きたりてわれを授けたまへ 019 PSA 022 020 わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ 019 PSA 022 021 われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり 019 PSA 022 022 われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん 019 PSA 022 023 ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め 019 PSA 022 024 ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖顔をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり 019 PSA 022 025 大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん 019 PSA 022 026 謙遜者はくらひて飽ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを 019 PSA 022 027 地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前にふしをがむべし 019 PSA 022 028 國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ 019 PSA 022 029 地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくだるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拝跪かん 019 PSA 022 030 たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし 019 PSA 022 031 かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん 019 PSA 023 001 ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ 019 PSA 023 002 ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ 019 PSA 023 003 ヱホバはわが霊魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ 019 PSA 023 004 たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む 019 PSA 023 005 なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり 019 PSA 023 006 わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん 019 PSA 024 001 地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり 019 PSA 024 002 ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり 019 PSA 024 003 ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ 019 PSA 024 004 手きよく心いさぎよき者そのたましひ虚きことを仰ぎのぞまず偽りの誓をせざるものぞ その人なる 019 PSA 024 005 かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん 019 PSA 024 006 斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖顔をもとむる者なり (セラ) 019 PSA 024 007 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん 019 PSA 024 008 えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戰闘にたけきヱホバなり 019 PSA 024 009 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん 019 PSA 024 010 この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なる (セラ) 019 PSA 025 001 ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望む 019 PSA 025 002 わが神よわれなんぢに依賴めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝誇ることなからしめたまへ 019 PSA 025 003 實になんぢを俟望むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん 019 PSA 025 004 ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ 019 PSA 025 005 我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終日なんぢを俟望む 019 PSA 025 006 なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絶ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ 019 PSA 025 007 わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまへ 019 PSA 025 008 ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道をつみびとにをしへ 019 PSA 025 009 謙だるものを正義にみちびきたまはん その道をへりくだる者にしめしたまはん 019 PSA 025 010 ヱホバのもろもろの道はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり 019 PSA 025 011 わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまへ 019 PSA 025 012 ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道をしめしたまはん 019 PSA 025 013 かかる人のたましひは平安にすまひ その裔はくにをつぐべし 019 PSA 025 014 ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契約をかれらに示したまはん 019 PSA 025 015 わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり 019 PSA 025 016 ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり 019 PSA 025 017 願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ 019 PSA 025 018 わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ 019 PSA 025 019 わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情なき憾をもてわれをにくめり 019 PSA 025 020 わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依賴めばなり 019 PSA 025 021 われなんぢを挨望むねがはくは完全と正直とわれをまもれかし 019 PSA 025 022 神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ 019 PSA 026 001 ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依賴めり 019 PSA 026 002 ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを錬きよめたまへ 019 PSA 026 003 そは汝のいつくしみわが眼前にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり 019 PSA 026 004 われは虚しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ 019 PSA 026 005 惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ 019 PSA 026 006 われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり 019 PSA 026 007 感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん 019 PSA 026 008 ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとどまる處とをいつくしむ 019 PSA 026 009 願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ 019 PSA 026 010 かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ 019 PSA 026 011 されどわれはわが完全によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ 019 PSA 026 012 わがあしは平坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん 019 PSA 027 001 ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや 019 PSA 027 002 われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり 019 PSA 027 003 縦ひいくさびと營をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戰ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり 019 PSA 027 004 われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ 019 PSA 027 005 ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巌のうへに我をたかく置たまふべければなり 019 PSA 027 006 今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歓喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん 019 PSA 027 007 わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ 019 PSA 027 008 なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖顔をたづねんといへり 019 PSA 027 009 ねがはくは聖顔をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ 019 PSA 027 010 わが父母われをすつるともヱホバわれを迎へたまはん 019 PSA 027 011 ヱホバよなんぢの途をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途にみちびきたまへ 019 PSA 027 012 いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ 019 PSA 027 013 われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや 019 PSA 027 014 ヱホバを俟望ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ 019 PSA 028 001 ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗唖となりたまふなかれ なんぢ默したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん 019 PSA 028 002 われ汝にむかひてさけび聖所の奧にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ 019 PSA 028 003 あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には殘害をいだけり 019 PSA 028 004 その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與へこれにその受べきものを報いたまへ 019 PSA 028 005 かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん 019 PSA 028 006 ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをききたまひたり 019 PSA 028 007 ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依賴みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん 019 PSA 028 008 ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり 019 PSA 028 009 なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懐きたすけたまへ 019 PSA 029 001 なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ 019 PSA 029 002 その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拝みまつれ 019 PSA 029 003 ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり 019 PSA 029 004 ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり 019 PSA 029 005 ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ 019 PSA 029 006 これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ 019 PSA 029 007 ヱホバのみこゑは火焔をわかつ 019 PSA 029 008 ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ 019 PSA 029 009 ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ 019 PSA 029 010 ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠に王なり 019 PSA 029 011 ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平安をもてその民をさきはひたまはん 019 PSA 030 001 ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり 019 PSA 030 002 わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり 019 PSA 030 003 ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき 019 PSA 030 004 ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ 019 PSA 030 005 その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん 019 PSA 030 006 われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと 019 PSA 030 007 ヱホバよなんぢ惠をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり 019 PSA 030 008 ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり 019 PSA 030 009 われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや 019 PSA 030 010 ヱホバよ聽たまへ われを憐みたまへ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ 019 PSA 030 011 なんぢ踴躍をもてわが哀哭にかへわが麁服をとき歓喜をもてわが帶としたまへり 019 PSA 030 012 われ榮をもてほめうたひつつ默すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠になんぢに感謝せん 019 PSA 031 001 ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ 019 PSA 031 002 なんぢの耳をかたぶけて速かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ 019 PSA 031 003 なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導きたまへ 019 PSA 031 004 なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり 019 PSA 031 005 われ霊魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり 019 PSA 031 006 われはいつはりの虚きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり 019 PSA 031 007 我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害をしり 019 PSA 031 008 われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり 019 PSA 031 009 われ迫りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 霊魂も身もまた衰へぬ 019 PSA 031 010 わが生命はかなしみによりて消えゆき わが年華はなげきによりて消ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり 019 PSA 031 011 われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避てのがる 019 PSA 031 012 われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり 019 PSA 031 013 そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり 019 PSA 031 014 されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり 019 PSA 031 015 わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追迫るものより助けいだしたまへ 019 PSA 031 016 なんぢの僕のうへに聖顔をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまへ 019 PSA 031 017 ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ 019 PSA 031 018 傲慢と軽侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ 019 PSA 031 019 汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依賴むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな 019 PSA 031 020 汝かれらを御前なるひそかなる所にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん 019 PSA 031 021 讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顯したまへり 019 PSA 031 022 われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絶れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり 019 PSA 031 023 なんぢらもろもろの聖徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ 019 PSA 031 024 すべてヱホバを俟望むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ 019 PSA 032 001 その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり 019 PSA 032 002 不義をヱホバに負せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり 019 PSA 032 003 我いひあらはさざりしときは終日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり 019 PSA 032 004 なんぢの手はよるも晝もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれり (セラ) 019 PSA 032 005 斯てわれなんぢの前にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへり (セラ) 019 PSA 032 006 されば神をうやまふ者はなんぢに遇ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ 019 PSA 032 007 汝はわがかくるべき所なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはん (セラ) 019 PSA 032 008 われ汝ををしへ汝をあゆむべき途にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん 019 PSA 032 009 汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具をもてひきとめずば近づききたることなし 019 PSA 032 010 惡者はかなしみ多かれどヱホバに依賴むものは憐憫にてかこまれん 019 PSA 032 011 ただしき者よヱホバを喜びたのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし 019 PSA 033 001 ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適はしきなり 019 PSA 033 002 琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ 019 PSA 033 003 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歓喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ 019 PSA 033 004 ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり 019 PSA 033 005 ヱホバは義と公平とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ 019 PSA 033 006 もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり 019 PSA 033 007 ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ 019 PSA 033 008 全地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし 019 PSA 033 009 そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり 019 PSA 033 010 ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虚くし もろもろの民のおもひを徒勞にしたまふ 019 PSA 033 011 ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ 019 PSA 033 012 ヱホバをおのが神とする國はさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり 019 PSA 033 013 ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見 019 PSA 033 014 その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ 019 PSA 033 015 ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ 019 PSA 033 016 王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり 019 PSA 033 017 馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん 019 PSA 033 018 視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり 019 PSA 033 019 此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり 019 PSA 033 020 われらのたましひはヱホバを侯望めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり 019 PSA 033 021 われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん 019 PSA 033 022 ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ 019 PSA 034 001 われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ 019 PSA 034 002 わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙だるものは之をききてよろこばん 019 PSA 034 003 われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん 019 PSA 034 004 われヱホバを尋ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり 019 PSA 034 005 かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし 019 PSA 034 006 この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり 019 PSA 034 007 ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに營をつらねてこれを援く 019 PSA 034 008 なんぢらヱホバの恩惠ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり 019 PSA 034 009 ヱホバの聖徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり 019 PSA 034 010 わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ 019 PSA 034 011 子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん 019 PSA 034 012 福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや 019 PSA 034 013 なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虚偽をいはざらしめよ 019 PSA 034 014 惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ 019 PSA 034 015 ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの號呼にかたぶく 019 PSA 034 016 ヱホバの聖顔はあくをなす者にむかひてその跡を地より斷滅したまふ 019 PSA 034 017 義者さけびたればヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり 019 PSA 034 018 ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ 019 PSA 034 019 ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ 019 PSA 034 020 ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし 019 PSA 034 021 惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし 019 PSA 034 022 ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依賴むものは一人だにつみなはるることなからん 019 PSA 035 001 ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戰ひたまへ 019 PSA 035 002 干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ 019 PSA 035 003 戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途をふさぎ且わが霊魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ 019 PSA 035 004 願くはわが霊魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退けられて惶てふためかんことを 019 PSA 035 005 ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを 019 PSA 035 006 願くはかれらの途をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追ゆかしめたまはんことを 019 PSA 035 007 かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが霊魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり 019 PSA 035 008 願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを 019 PSA 035 009 然ときわが霊魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん 019 PSA 035 010 わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと 019 PSA 035 011 こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ 019 PSA 035 012 かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり 019 PSA 035 013 然どわれかれらが病しときには麁服をつけ糧をたちてわが霊魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり 019 PSA 035 014 わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり 019 PSA 035 015 然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき 019 PSA 035 016 かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて歯をかみならせり 019 PSA 035 017 主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ 019 PSA 035 018 われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん 019 PSA 035 019 虚偽をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ 019 PSA 035 020 かれらは平安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國内におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る 019 PSA 035 021 然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり 019 PSA 035 022 ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは默したまふなかれ主よわれに遠ざかりたまふなかれ 019 PSA 035 023 わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判をなしわが訟ををさめたまへ 019 PSA 035 024 わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜をえしめたまふなかれ 019 PSA 035 025 かれらにその心裡にて ああここちよきかな觀よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ 019 PSA 035 026 願くはわが害なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを 019 PSA 035 027 わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悦びたまふと恒にいはしめたまへ 019 PSA 035 028 わが舌は終日なんぢの義となんぢの譽とをかたらん 019 PSA 036 001 あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ 019 PSA 036 002 かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る 019 PSA 036 003 その口のことばは邪曲と虚偽となり智をこばみ善をおこなふことを息たり 019 PSA 036 004 かつその寝床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途にたちとまりて惡をきらはず 019 PSA 036 005 ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ 019 PSA 036 006 汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ 019 PSA 036 007 神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得 019 PSA 036 008 なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽ことをえん なんぢはその歓樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん 019 PSA 036 009 そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん 019 PSA 036 010 ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ 019 PSA 036 011 たかぶるものの足われをふみ惡きものの手われを逐去ふをゆるし給ふなかれ 019 PSA 036 012 邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起ことあたはざるべし 019 PSA 037 001 惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ 019 PSA 037 002 かれらはやがて草のごとくかりとられ靑菜のごとく打萎るべければなり 019 PSA 037 003 ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとどまり眞實をもて糧とせよ 019 PSA 037 004 ヱホバによりて歓喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん 019 PSA 037 005 なんぢの途をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ 019 PSA 037 006 光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん 019 PSA 037 007 なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍びてこれを俟望め おのが途をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ 019 PSA 037 008 怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん 019 PSA 037 009 そは惡をおこなふものは斷滅され ヱホバを俟望むものは國をつぐべければなり 019 PSA 037 010 あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん 019 PSA 037 011 されど謙だるものは國をつぎ また平安のゆたかなるを樂まん 019 PSA 037 012 惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切歯す 019 PSA 037 013 主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり 019 PSA 037 014 あしきものは劍をぬき弓をはりて苦しむものと貧しきものとをたふし行ひなほきものを殺さんとせり 019 PSA 037 015 されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし 019 PSA 037 016 義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豊かなるにまされり 019 PSA 037 017 そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり 019 PSA 037 018 ヱホバは完全もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん 019 PSA 037 019 かれらは禍害にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん 019 PSA 037 020 あしき者ははろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消ゆかん 019 PSA 037 021 あしき者はものかりて償はず 義きものは惠ありて施しあたふ 019 PSA 037 022 神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は斷滅さるべし 019 PSA 037 023 人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途をヱホバよろこびたまへり 019 PSA 037 024 縦ひその人たふるることありとも全くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへばなり 019 PSA 037 025 われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし 019 PSA 037 026 ただしきものは終日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり 019 PSA 037 027 惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住居とこしへならん 019 PSA 037 028 ヱホバは公平をこのみ その聖徒をすてたまはざればなり かれらは永遠にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは斷滅さるべし 019 PSA 037 029 ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん 019 PSA 037 030 ただしきものの口は智慧をかたり その舌は公平をのぶ 019 PSA 037 031 かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一歩だにすべることあらじ 019 PSA 037 032 あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる 019 PSA 037 033 ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判のときに罰ひたまふことなし 019 PSA 037 034 ヱホバを俟望みてその途をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん 019 PSA 037 035 我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし 019 PSA 037 036 然れどもかれは逝ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき 019 PSA 037 037 完人に目をそそぎ直人をみよ 和平なる人には後あれど 019 PSA 037 038 罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず斷るべければなり 019 PSA 037 039 ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり 019 PSA 037 040 ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避所とすればなり 019 PSA 038 001 ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給ふなかれ 019 PSA 038 002 なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり 019 PSA 038 003 なんぢの怒によりてわが肉には全きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし 019 PSA 038 004 わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負がたければなり 019 PSA 038 005 われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり 019 PSA 038 006 われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終日かなしみありく 019 PSA 038 007 わが腰はことごとく燒るがごとく肉に全きところなければなり 019 PSA 038 008 我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやすからざるによりて欷歔さけべり 019 PSA 038 009 ああ主よわがすべての願望はなんぢの前にあり わが嘆息はなんぢに隠るることなし 019 PSA 038 010 わが胸をどりわが力おとろへ わが眼のひかりも亦われをはなれたり 019 PSA 038 011 わが友わが親めるものはわが痍をみて遥にたち わが隣もまた遠かりてたてり 019 PSA 038 012 わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終日たばかりを謀る 019 PSA 038 013 然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ唖者のごとし 019 PSA 038 014 如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり 019 PSA 038 015 ヱホバよ我なんぢを俟望めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり 019 PSA 038 016 われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと 019 PSA 038 017 われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前にあり 019 PSA 038 018 そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり 019 PSA 038 019 わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし 019 PSA 038 020 惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり 019 PSA 038 021 ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠かりたまふなかれ 019 PSA 038 022 主わがすくひよ速きたりて我をたすけたまへ 019 PSA 039 001 われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと 019 PSA 039 002 われ默して唖となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり 019 PSA 039 003 わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく 019 PSA 039 004 ヱホバよ願くはわが終とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ 019 PSA 039 005 觀よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなし (セラ) 019 PSA 039 006 人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄ふるものはたが手にをさまるをしらず 019 PSA 039 007 主よわれ今なにをかまたん わが望はなんぢにあり 019 PSA 039 008 ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ 019 PSA 039 009 われは默して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なればなり 019 PSA 039 010 願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ 019 PSA 039 011 なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなし (セラ) 019 PSA 039 012 ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが涙をみて默したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列祖のごとく宿れるものなり 019 PSA 039 013 我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ 019 PSA 040 001 我たへしのびてヱホバを俟望みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり 019 PSA 040 002 また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが歩をかたくしたまへり 019 PSA 040 003 ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり おほくの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん 019 PSA 040 004 ヱホバをおのが賴となし高るものによらず虚偽にかたぶく者によらざる人はさいはひなり 019 PSA 040 005 わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず 019 PSA 040 006 なんぢ犠牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず 019 PSA 040 007 そのとき我いへらく 觀よわれきたらんわがことを書の巻にしるしたり 019 PSA 040 008 わが神よわれは聖意にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと 019 PSA 040 009 われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ 019 PSA 040 010 われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞實となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき 019 PSA 040 011 ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ 019 PSA 040 012 そはかぞへがたき禍害われをかこみ わが不義われに追及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髮にもまさり わが心きえうするばかりなればなり 019 PSA 040 013 ヱホバよ願くはわれをすくひたまへ ヱホバよ急ぎきたりて我をたすけたまへ 019 PSA 040 014 願くはわが霊魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを 019 PSA 040 015 われにむかひて ああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを 019 PSA 040 016 願くはなんぢを尋求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを 019 PSA 040 017 われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ 019 PSA 041 001 よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん 019 PSA 041 002 ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ 019 PSA 041 003 ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん 019 PSA 041 004 我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと 019 PSA 041 005 わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと 019 PSA 041 006 かれ又われを見んとてきたるときは虚偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ 019 PSA 041 007 すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る 019 PSA 041 008 かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたたび起ることなからんと 019 PSA 041 009 わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり 019 PSA 041 010 然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん 019 PSA 041 011 わが仇われに打勝てよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛いつくしみたまふを我しりぬ 019 PSA 041 012 わが事をいはば なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ 019 PSA 041 013 イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメン アーメン 019 PSA 042 001 ああ神よしかの渓水をしたひ喘ぐがごとく わが霊魂もなんぢをしたひあへぐなり 019 PSA 042 002 わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん 019 PSA 042 003 かれらが終日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが涙のみ晝夜そそぎてわが糧なりき 019 PSA 042 004 われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歓喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり 019 PSA 042 005 ああわが霊魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔のたすけありて我なほわが神をほめたたふべければなり 019 PSA 042 006 わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ 019 PSA 042 007 なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり 019 PSA 042 008 然はあれど晝はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり 019 PSA 042 009 われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや 019 PSA 042 010 わが骨もくだくるばかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひののしりつつ我をそしれり 019 PSA 042 011 ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尚わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり 019 PSA 043 001 神よねがはくは我をさばき 情しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭計おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ 019 PSA 043 002 なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐によりてかなしみありくや 019 PSA 043 003 願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖山とその帷幄とにゆかしめたまへ 019 PSA 043 004 さらばわれ神の祭壇にゆき又わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん 019 PSA 043 005 ああわが霊魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり 019 PSA 044 001 ああ神よむかしわれらの列祖の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列祖われらに語れり 019 PSA 044 002 なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列祖をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列祖をはびこらせたまひき 019 PSA 044 003 かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを惠みたまひたればなり 019 PSA 044 004 神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ 019 PSA 044 005 われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし 019 PSA 044 006 そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざればなり 019 PSA 044 007 なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり 019 PSA 044 008 われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠になんぢの名に感謝せん (セラ) 019 PSA 044 009 しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず 019 PSA 044 010 われらを敵のまへより退かしめたまへり われらを惡むものその任意にわれらを掠めうばへり 019 PSA 044 011 なんぢわれらを食にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし 019 PSA 044 012 得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき 019 PSA 044 013 汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり 019 PSA 044 014 又もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり 019 PSA 044 015 わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり 019 PSA 044 016 こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり 019 PSA 044 017 これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契約をいつはりまもらざりき 019 PSA 044 018 われらの心しりぞかずわれらの歩履なんぢの道をはなれず 019 PSA 044 019 然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり 019 PSA 044 020 われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには 019 PSA 044 021 神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隠れたることをも知たまふ 019 PSA 044 022 われらは終日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり 019 PSA 044 023 主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ 019 PSA 044 024 いかなれば聖顔をかくしてわれらがうくる苦難と虐待とをわすれたまふや 019 PSA 044 025 われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり 019 PSA 044 026 ねがはくは起てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ 019 PSA 045 001 わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり 019 PSA 045 002 なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり 019 PSA 045 003 英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし 019 PSA 045 004 なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝をえて乗すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん 019 PSA 045 005 なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる 019 PSA 045 006 神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平のつゑなり 019 PSA 045 007 なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり 019 PSA 045 008 なんぢの衣はみな沒薬蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の音ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこばしめたり 019 PSA 045 009 なんぢがたふとき婦のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ 019 PSA 045 010 女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父の家とをわすれよ 019 PSA 045 011 さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拝め 019 PSA 045 012 ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの惠をこひもとめん 019 PSA 045 013 王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり 019 PSA 045 014 かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん 019 PSA 045 015 かれらは歓喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん 019 PSA 045 016 なんぢの子らは列祖にかはりてたち なんぢはこれを全地に君となさん 019 PSA 045 017 我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし 019 PSA 046 001 神はわれらの避所また力なり なやめるときの最ちかき助なり 019 PSA 046 002 さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ 019 PSA 046 003 よしその水はなりとどろきてさわぐとも その溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらん (セラ) 019 PSA 046 004 河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ 019 PSA 046 005 神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝つとにこれを助けたまはん 019 PSA 046 006 もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その聲をいだしたまへば地はやがてとけぬ 019 PSA 046 007 萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なり (セラ) 019 PSA 046 008 きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり 019 PSA 046 009 ヱホバは地のはてまでも戰闘をやめしめ弓ををり戈をたち戰車を火にてやきたまふ 019 PSA 046 010 汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全地にあがめらるべし 019 PSA 046 011 萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなり (セラ) 019 PSA 047 001 もろもろのたみよ手をうち歓喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ 019 PSA 047 002 いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめす大なる王にてましませばなり 019 PSA 047 003 ヱホバはもろもろの民をわれらに服はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ 019 PSA 047 004 又そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選びたまはん (セラ) 019 PSA 047 005 神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり 019 PSA 047 006 ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ 019 PSA 047 007 かみは地にあまねく王なればなり 敎訓のうたをうたひてほめよ 019 PSA 047 008 神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ 019 PSA 047 009 もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 地のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし 019 PSA 048 001 ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし 019 PSA 048 002 シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悦を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり 019 PSA 048 003 そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり 019 PSA 048 004 みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ 019 PSA 048 005 かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり 019 PSA 048 006 戰慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦のごとし 019 PSA 048 007 なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ 019 PSA 048 008 曩にわれらが聞しごとく今われらは萬軍のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはん (セラ) 019 PSA 048 009 神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり 019 PSA 048 010 神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り 019 PSA 048 011 なんぢのもろもろの審判によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし 019 PSA 048 012 シオンの周圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ 019 PSA 048 013 その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり 019 PSA 048 014 そはこの神はいや遠長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん 019 PSA 049 001 もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ 019 PSA 049 002 もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ 019 PSA 049 003 わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん 019 PSA 049 004 われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん 019 PSA 049 005 わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの日もいかで懼るることあらんや 019 PSA 049 006 おのが富をたのみ財おほきを誇るもの 019 PSA 049 007 たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ 019 PSA 049 008 之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり) 019 PSA 049 009 之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり) 019 PSA 049 010 そは智きものも死 おろかものも獣心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり 019 PSA 049 011 かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり 019 PSA 049 012 されど人は譽のなかに永くとどまらず亡びうする獣のごとし 019 PSA 049 013 斯のごときは愚かなるものの途なり 然はあれど後人はその言をよしとせん (セラ) 019 PSA 049 014 かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし 019 PSA 049 015 されど神われを接たまふべければわが霊魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはん (セラ) 019 PSA 049 016 人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ 019 PSA 049 017 かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり 019 PSA 049 018 かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも 019 PSA 049 019 なんぢ列祖の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし 019 PSA 049 020 尊貴なかにありて暁らざる人はほろびうする獣のごとし 019 PSA 050 001 ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり 019 PSA 050 002 かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり 019 PSA 050 003 われらの神はきたりて默したまはじ火その前にものをやきつくし暴風その四周にふきあれん 019 PSA 050 004 神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり 019 PSA 050 005 いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖徒をわがもとに集めよと 019 PSA 050 006 もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなり (セラ) 019 PSA 050 007 わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり 019 PSA 050 008 わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前にあり 019 PSA 050 009 我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず 019 PSA 050 010 林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり 019 PSA 050 011 われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獣はみなわがものなり 019 PSA 050 012 世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縦ひわれ饑るともなんぢに告じ 019 PSA 050 013 われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや 019 PSA 050 014 感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ 019 PSA 050 015 なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし 019 PSA 050 016 然はあれど神あしきものに言給く なんぢは敎をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや 019 PSA 050 017 然はあれど神あしきものに言給く なんぢは敎をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや 019 PSA 050 018 なんぢ盗人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴侶となれり 019 PSA 050 019 なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は詭計をくみなせり 019 PSA 050 020 なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり 019 PSA 050 021 汝これらの事をなししをわれ默しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前につらぬべし 019 PSA 050 022 神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ 019 PSA 050 023 感謝のそなへものを献るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん 019 PSA 051 001 ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ 019 PSA 051 002 わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ 019 PSA 051 003 われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前にあり 019 PSA 051 004 我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖前にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ 019 PSA 051 005 視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき 019 PSA 051 006 なんぢ眞實をこころの衷にまでのぞみ わが隠れたるところに智慧をしらしめ給はん 019 PSA 051 007 なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ淨まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪よりも白からん 019 PSA 051 008 なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが碎きし骨をよろこばせたまへ 019 PSA 051 009 ねがはくは聖顔をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ 019 PSA 051 010 ああ神よわがために清心をつくり わが衷になほき霊をあらたにおこしたまへ 019 PSA 051 011 われを聖前より棄たまふなかれ 汝のきよき霊をわれより取りたまふなかれ 019 PSA 051 012 なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の霊をあたへて我をたもちたまへ 019 PSA 051 013 さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途ををしへん罪人はなんぢに歸りきたるべし 019 PSA 051 014 神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん 019 PSA 051 015 主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん 019 PSA 051 016 なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悦びたまはず 019 PSA 051 017 神のもとめたまふ祭物はくだけたる霊魂なり 神よなんぢは碎けたる悔しこころを藐しめたまふまじ 019 PSA 051 018 ねがはくは聖意にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ 019 PSA 051 019 その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全きはんさいとを悦びたまはん かくて人々なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし 019 PSA 052 001 猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり 019 PSA 052 002 なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ 019 PSA 052 003 なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虚偽をいふをこのむ (セラ) 019 PSA 052 004 たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ 019 PSA 052 005 されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはん (セラ) 019 PSA 052 006 義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん 019 PSA 052 007 神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと 019 PSA 052 008 然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依賴まん 019 PSA 052 009 なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖徒のまへにて聖名をまちのぞまん こは宜しきことなればなり 019 PSA 053 001 愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし 019 PSA 053 002 神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに 019 PSA 053 003 みな退ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし 019 PSA 053 004 不義をおこなふものは知覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり 019 PSA 053 005 かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて營をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり 019 PSA 053 006 願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん 019 PSA 054 001 神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ 019 PSA 054 002 神よわが祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ 019 PSA 054 003 そは外人はわれにさからひて起りたち強暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前におかざりき (セラ) 019 PSA 054 004 みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり 019 PSA 054 005 主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ 019 PSA 054 006 我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり 019 PSA 054 007 そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望をみたり 019 PSA 055 001 神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ 019 PSA 055 002 われに聖意をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり 019 PSA 055 003 これ仇のこゑと惡きものの暴虐とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負せ いきどほりて我におひせまるなり 019 PSA 055 004 わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり 019 PSA 055 005 おそれと戰慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり 019 PSA 055 006 われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平安をえん 019 PSA 055 007 みよ我はるかにのがれさりて野にすまん (セラ) 019 PSA 055 008 われ速かにのがれて暴風と狂風とをはなれん 019 PSA 055 009 われ都のうちに強暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ 019 PSA 055 010 彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり 019 PSA 055 011 また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし 019 PSA 055 012 われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尚しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨たりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし 019 PSA 055 013 されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり 019 PSA 055 014 われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき 019 PSA 055 015 死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その住處にありその中にあればなり 019 PSA 055 016 されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし 019 PSA 055 017 夕にあしたに晝にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし 019 PSA 055 018 ヱホバは我をせむる戰闘よりわが霊魂をあがなひいだして平安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり 019 PSA 055 019 太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべし (セラ) かれらには變ることなく神をおそるることなし 019 PSA 055 020 かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契約をけがしたり 019 PSA 055 021 その口はなめらかにして乳酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず 019 PSA 055 022 なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ 019 PSA 055 023 かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん 019 PSA 056 001 ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たたかひて我をしへたぐ 019 PSA 056 002 わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし 019 PSA 056 003 われおそるるときは汝によりたのまん 019 PSA 056 004 われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依賴みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや 019 PSA 056 005 かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす 019 PSA 056 006 かれらは群つどひて身をひそめ わが歩に目をとめてわが霊魂をうかがひもとむ 019 PSA 056 007 かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ 019 PSA 056 008 汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが涙をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや 019 PSA 056 009 わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る 019 PSA 056 010 われ神によりてその聖言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん 019 PSA 056 011 われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや 019 PSA 056 012 神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん 019 PSA 056 013 汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや 019 PSA 057 001 我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂はなんぢを避所とす われ禍害のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避所とせん 019 PSA 057 002 我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん 019 PSA 057 003 神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはん (セラ) 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん 019 PSA 057 004 わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ 019 PSA 057 005 神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに擧たまへ 019 PSA 057 006 かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが霊魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれり (セラ) 019 PSA 057 007 わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん 019 PSA 057 008 わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん 019 PSA 057 009 主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん 019 PSA 057 010 そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる 019 PSA 057 011 神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに擧たまへ 019 PSA 058 001 なんぢら默しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判をおこなふや 019 PSA 058 002 否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の強暴をこの地にはかりいだすなり 019 PSA 058 003 あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷ひていつはりをいふ 019 PSA 058 004 かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし 019 PSA 058 005 かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし 019 PSA 058 006 神よかれらの口の歯ををりたまヘ ヱホバよ壯獅の牙をぬきくだきたまへ 019 PSA 058 007 願くはかれらを流れゆく水のごとくに消失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを 019 PSA 058 008 また融てきえゆく蝸牛のごとく婦のときならず產たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ 019 PSA 058 009 なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに靑をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん 019 PSA 058 010 義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん 019 PSA 058 011 かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと 019 PSA 059 001 わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起立つものより脱かれしめたまへ 019 PSA 059 002 邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ 019 PSA 059 003 視よかれらは潜みかくれてわが霊魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず 019 PSA 059 004 かれら趨りまはりて過失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ 019 PSA 059 005 なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれ (セラ) 019 PSA 059 006 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく 019 PSA 059 007 視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと 019 PSA 059 008 されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん 019 PSA 059 009 わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり 019 PSA 059 010 憐憫をたまふ神はわれを迎へたまはん 神はわが仇につきての願望をわれに見させたまはん 019 PSA 059 011 願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ 019 PSA 059 012 かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虚偽とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ 019 PSA 059 013 忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまへ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまへ (セラ) 019 PSA 059 014 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし 019 PSA 059 015 かれらはゆききして食物をあさり もし飽ことなくば終夜とどまれり 019 PSA 059 016 されど我はなんぢの大能をうたひ清晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避所となりたまひたればなり 019 PSA 059 017 わがちからよ我なんぢにむかひて頌辭をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり 019 PSA 060 001 神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ 019 PSA 060 002 なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり 019 PSA 060 003 なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり 019 PSA 060 004 なんぢ眞理のために擧しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへり (セラ) 019 PSA 060 005 ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ 019 PSA 060 006 神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん 019 PSA 060 007 ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖 019 PSA 060 008 モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ベリシテよわが故によりて聲をあげよと 019 PSA 060 009 たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか 019 PSA 060 010 神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず 019 PSA 060 011 ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり 019 PSA 060 012 われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり 019 PSA 061 001 ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ 019 PSA 061 002 わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ 019 PSA 061 003 なんぢはわが避所われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり 019 PSA 061 004 われ永遠になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれん (セラ) 019 PSA 061 005 神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり 019 PSA 061 006 なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん 019 PSA 061 007 王はとこしへに神のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ 019 PSA 061 008 さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん 019 PSA 062 001 わがたましひは默してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり 019 PSA 062 002 神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ 019 PSA 062 003 なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく搖ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか 019 PSA 062 004 かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふ (セラ) 019 PSA 062 005 わがたましひよ默してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ 019 PSA 062 006 神こそはわが磐わがすくひなれ 又わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ 019 PSA 062 007 わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり 019 PSA 062 008 民よいかなる時にも神によりたのめ その前になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避所なり (セラ) 019 PSA 062 009 實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虚しきものよりも軽きなり 019 PSA 062 010 暴虐をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ 019 PSA 062 011 ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり 019 PSA 062 012 ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり 019 PSA 063 001 ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが霊魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ 019 PSA 063 002 曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき 019 PSA 063 003 なんぢの仁慈はいのちにも勝れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん 019 PSA 063 004 斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん 019 PSA 063 005 われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん 019 PSA 063 006 われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん 019 PSA 063 007 そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん 019 PSA 063 008 わがたましひはなんぢを慕追ふ みぎの手はわれを支ふるなり 019 PSA 063 009 然どわがたましひを滅さんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき 019 PSA 063 010 又つるぎの刃にわたされ野犬の獲るところとなるべし 019 PSA 063 011 しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虚偽をいふものの口はふさがるべければなり 019 PSA 064 001 神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ 019 PSA 064 002 ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ 019 PSA 064 003 かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち 019 PSA 064 004 隠れたるところにて全者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし 019 PSA 064 005 また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと 019 PSA 064 006 かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし 019 PSA 064 007 然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん 019 PSA 064 008 斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂にかれらは蹟かん これを見るものみな逃れさるべし 019 PSA 064 009 もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし 019 PSA 064 010 義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん 019 PSA 065 001 ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん 019 PSA 065 002 祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん 019 PSA 065 003 不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん 019 PSA 065 004 汝にえらばれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽ことをえん 019 PSA 065 005 われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん 019 PSA 065 006 かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ 019 PSA 065 007 海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎮めたまへり 019 PSA 065 008 されば極遠にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ 019 PSA 065 009 なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり 019 PSA 065 010 なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し 019 PSA 065 011 また恩惠をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途には膏したたれり 019 PSA 065 012 その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歓びにかこまる 019 PSA 065 013 牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ 019 PSA 066 001 全地よ神にむかひて歓びよばはれ 019 PSA 066 002 その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ 019 PSA 066 003 かみに告まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ 019 PSA 066 004 全地はなんぢを拝みてうたひ名をほめうたはんと (セラ) 019 PSA 066 005 來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな 019 PSA 066 006 神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと歩行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり 019 PSA 066 007 神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからず (セラ) 019 PSA 066 008 もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ 019 PSA 066 009 神はわれらの霊魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず 019 PSA 066 010 神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを錬たまひたればなり 019 PSA 066 011 汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき 019 PSA 066 012 人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豊盛なる處にいたらしめたまへり 019 PSA 066 013 われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん 019 PSA 066 014 われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん 019 PSA 066 015 われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらん (セラ) 019 PSA 066 016 神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん 019 PSA 066 017 われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ 019 PSA 066 018 然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ 019 PSA 066 019 されどまことに神はききたまへり聖意をわがいのりの聲にとめたまへり 019 PSA 066 020 神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき 019 PSA 067 001 ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔をわれらのうへに照したまはんことを (セラ) 019 PSA 067 002 此はなんぢの途のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり 019 PSA 067 003 かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん 019 PSA 067 004 もろもろの國はたのしみ又よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなり (セラ) 019 PSA 067 005 神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん 019 PSA 067 006 地は產物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん 019 PSA 067 007 神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん 019 PSA 068 001 ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前よりにげさらんことを 019 PSA 068 002 烟のおひやらるるごとくかれらを驅逐たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし 019 PSA 068 003 されど義きものには歓喜あり かれら神の前にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ばん 019 PSA 068 004 神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乗て野をすぐる者のために大道をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前によろこびをどれ 019 PSA 068 005 きよき住居にまします神はみなしごの父やもめの審士なり 019 PSA 068 006 神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆者はうるほひなき地にすめり 019 PSA 068 007 神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひき (セラ) 019 PSA 068 008 そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前にふるひうごけり 019 PSA 068 009 神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豊かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり 019 PSA 068 010 曩になんぢの公會はその中にとどまれり 神よなんぢは惠をもて貧きもののために預備をなしたまひき 019 PSA 068 011 主みことばを賜ふ その佳音をのぶる婦女はおほくして群をなせり 019 PSA 068 012 もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃去りたれば家なる婦女はその掠物をわかつ 019 PSA 068 013 なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし 019 PSA 068 014 全能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪ふりたるがごとくなりき 019 PSA 068 015 バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり 019 PSA 068 016 峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住所にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠にこの山にすみたまはん 019 PSA 068 017 神の戰車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖所にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし 019 PSA 068 018 なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ禮物を人のなかよりも叛逆者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住たまはんが爲なり 019 PSA 068 019 日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかな (セラ) 019 PSA 068 020 神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る 019 PSA 068 021 神はその仇のかうべを撃やぶりたまはん 愆のなかにとどまるものの髮おほき顱頂をうちやぶりたまはん 019 PSA 068 022 主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所よりたづさへ歸らん 019 PSA 068 023 斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん 019 PSA 068 024 神よすべての人はなんぢの進行きたまふをみたり わが神わが王の聖所にすすみゆきたまふを見たり 019 PSA 068 025 鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前にゆき琴ひくものは後にしたがへり 019 PSA 068 026 なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ 019 PSA 068 027 彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり 019 PSA 068 028 なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ 019 PSA 068 029 ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに禮物をささげん 019 PSA 068 030 ねがはくは葦間の獣むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服ふことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり 019 PSA 068 031 諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん 019 PSA 068 032 地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたへ (セラ) 019 PSA 068 033 上古よりの天の天にのりたま者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを發したまふ勢力ある聲をいだしたまふ 019 PSA 068 034 なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとどまり その大能は雲のなかにあり 019 PSA 068 035 神のおそるべき状はきよき所よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢力とをあたへたまふ 神はほむべきかな 019 PSA 069 001 神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり 019 PSA 069 002 われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ 019 PSA 069 003 われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ 019 PSA 069 004 故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髮よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも償はせらる 019 PSA 069 005 神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり 019 PSA 069 006 萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるることなからしめたまへ イスラエルの神よねがはくはなんぢを求むる者をわが故によりて恥をおはしめらるることなからしめたまへ 019 PSA 069 007 我はなんぢのために謗をおひ恥はわが面をおほひたればなり 019 PSA 069 008 われわが兄弟には旅人のごとく わが母の子には外人のごとくなれり 019 PSA 069 009 そはなんぢの家をおもふ熱心われをくらひ汝をそしるものの謗われにおよべり 019 PSA 069 010 われ涙をながして食をたち わが霊魂をなげかすれば反てこれによりて謗をうく 019 PSA 069 011 われ麁布をころもとなししにかれらが諺語となりぬ 019 PSA 069 012 門にすわる者はわがうへをかたる われは酔狂たるものに謳ひはやされたり 019 PSA 069 013 然はあれどヱホバよわれは惠のときに汝にいのる ねがはくは神よなんぢの憐憫のおほきによりて汝のすくひの眞實をもて我にこたへたまへ 019 PSA 069 014 ねがはくは泥のなかより我をたすけいだして沈ざらしめたまへ 我をにくむものより深水よりたすけいだしたまへ 019 PSA 069 015 大水われを淹ふことなく淵われをのむことなく坑その口をわがうへに閉ることなからしめたまへ 019 PSA 069 016 ヱホバよねがはくは我にこたへたまへ なんぢの仁慈うるはしければなり なんぢの憐憫はおほしわれに歸りきたりたまへ 019 PSA 069 017 面をなんぢの僕にかくしたまふなかれ われ迫りくるしめり ねがはくは速かに我にこたへたまへ 019 PSA 069 018 わがたましひに近くよりて之をあがなひわが仇のゆゑに我をすくひたまへ 019 PSA 069 019 汝はわがうくる謗とはぢと侮辱とをしりたまへり わが敵はみな汝のみまへにあり 019 PSA 069 020 譭謗わが心をくだきぬれば我いたくわづらへり われ憐憫をあたふる者をまちたれど一人だになく慰むるものを俟たれど一人をもみざりき 019 PSA 069 021 かれら苦草をわがくひものにあたへ わが渇けるときに醋をのませたり 019 PSA 069 022 ねがはくは彼等のまへなる筵は網となり そのたのむ安逸はつひに羂となれ 019 PSA 069 023 その目をくらくして見しめず その腰をつねにふるはしめたまへ 019 PSA 069 024 願くはなんぢの忿恚をかれらのうへにそそぎ汝のいかりの猛烈をかれらに追及せたまへ 019 PSA 069 025 かれらの屋をむなしくせよ その幕屋に人をすまはするなかれ 019 PSA 069 026 かれらはなんぢが撃たまひたる者をせめ なんぢが傷けたまひたるものの痛をかたりふるればなり 019 PSA 069 027 ねがはくはれらの不義に不義をくはへてなんぢの義にあづからせ給ふなかれ 019 PSA 069 028 かれらを生命の册よりけして義きものとともに記さるることなからしめたまへ 019 PSA 069 029 斯てわれはくるしみ且うれひあり 神よねがはくはなんぢの救われを高處におかんことを 019 PSA 069 030 われ歌をもて神の名をほめたたへ 感謝をもて神をあがめまつらん 019 PSA 069 031 此はをうしまたは角と蹄とある力つよき牡牛にまさりてヱホバよろこびたまはん 019 PSA 069 032 謙遜者はこれを見てよろこべり 神をしたふ者よなんぢらの心はいくべし 019 PSA 069 033 ヱホバは乏しきものの聲をきき その俘囚をかろしめたまはざればなり 019 PSA 069 034 天地はヱホバをほめ蒼海とその中にうごくあらゆるものとはヱホバを讃まつるべし 019 PSA 069 035 神はシオンをすくひユダのもろもろの邑を建たまふべければなり かれらは其處にすみ且これをおのが有とせん 019 PSA 069 036 その僕のすゑも亦これを嗣その名をいつくしむ者その中にすまん 019 PSA 070 001 神よねがはくは我をすくひたまヘ ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ 019 PSA 070 002 わが霊魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害はるるをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを 019 PSA 070 003 ああ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを 019 PSA 070 004 すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを 019 PSA 070 005 われは苦しみ且ともし神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ 019 PSA 071 001 ヱホバよ我なんぢに依賴む ねがはくは何の日までも恥うくることなからしめ給へ 019 PSA 071 002 なんぢの義をもて我をたすけ我をまぬかれしめたまへ なんぢの耳をわれに傾けて我をすくひたまへ 019 PSA 071 003 ねがはくは汝わがすまひの磐となりたまへ われ恒にそのところに往ことを得ん なんぢ我をすくはんとて勅命をいだしたまへり そは汝はわが磐わが城なり 019 PSA 071 004 わが神よあしきものの手より不義殘忍なる人のてより 我をまぬかれしめたまへ 019 PSA 071 005 主ヱホバよなんぢはわが望なり わが幼少よりの恃なり 019 PSA 071 006 われ胎をはなるるより汝にまもられ母の腹にありしときより汝にめぐまれたり 我つねに汝をほめたたへん 019 PSA 071 007 我おほくの人にあやしまるるごとき者となれり 然どなんぢはわが堅固なる避所なり 019 PSA 071 008 なんぢの頌辭となんぢの頌美とは終日わが口にみちん 019 PSA 071 009 わが年老ぬるとき我をすてたまふなかれ わが力おとろふるとき我をはなれたまなかれ 019 PSA 071 010 わが仇はわがことを論ひ ひわが霊魂をうかがふ者はたがひに議ていふ 019 PSA 071 011 神かれを離れたり彼をたすくる者なし かれを追てとらへよと 019 PSA 071 012 神よわれに遠ざかりたまふなかれ わが神よとく來りて我をたすけたまへ 019 PSA 071 013 わがたましひの敵ははぢ且おとろへ我をそこなはんとするものは謗と辱とにおほはれよ 019 PSA 071 014 されど我はたえず望をいだきていやますます汝をほめたたへん 019 PSA 071 015 わが口はひねもす汝の義となんぢの救とをかたらん われその數をしらざればなり 019 PSA 071 016 われは主ヱホバの大能の事跡をたづさへゆかん われは只なんぢの義のみをかたらん 019 PSA 071 017 神よなんぢわれを幼少より敎へたまへり われ今にいたるまで汝のくすしき事跡をのべつたへたり 019 PSA 071 018 神よねがはくはわれ老て頭髮しろくなるとも我がなんぢの力を次代にのべつたへ なんぢの大能を世にうまれいづる凡のものに宣傳ふるまで我をはなれ給ふなかれ 019 PSA 071 019 神よなんぢの義もまた甚たかし なんぢは大なることをなしたまへり 神よたれか汝にひとしき者あらんや 019 PSA 071 020 汝われらを多のおもき苦難にあはせたまへり なんぢ再びわれらを活しわれらを地の深所よりあげたまはん 019 PSA 071 021 ねがはくは我をいよいよ大ならしめ歸りきたりて我をなぐさめ給へ 019 PSA 071 022 わが神よさらばわれ筝をもて汝をほめ なんぢの眞實をほめたたへん イスラエルの聖者よわれ琴をもてなんぢを讃うたはん 019 PSA 071 023 われ聖前にうたときわが口唇よろこびなんぢの贖ひたまへるわが霊魂おほいに喜ばん 019 PSA 071 024 わが舌もまた終日なんぢの義をかたらん われを害はんとするもの愧惶つればなり 019 PSA 072 001 神よねがはくは汝のもろもろの審判を王にあたへ なんぢの義をわうの子にあたへたまへ 019 PSA 072 002 かれは義をもてなんぢの民をさばき公平をもて苦しむものを鞫かん 019 PSA 072 003 義によりて山と岡とは民に平康をあたふべし 019 PSA 072 004 かれは民のくるしむ者のために審判をなし乏しきものの子輩をすくひ虐ぐるものを壞きたまはん 019 PSA 072 005 かれらは日と月とのあらんかぎり世々おしなべて汝をおそるべし 019 PSA 072 006 かれは苅とれる牧にふる雨のごとく地をうるほす白雨のごとくのぞまん 019 PSA 072 007 かれの世にただしき者はさかえ平和は月のうするまで豊かならん 019 PSA 072 008 またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし 019 PSA 072 009 野にをる者はそのまへに屈み そり仇は塵をなめん 019 PSA 072 010 タルシシおよび島々の王たちは貢ををさめ シバとセバの王たちは禮物をささげん 019 PSA 072 011 もろもろの王はそのまへに俯伏し もろもろの國はかれにつかへん 019 PSA 072 012 かれは乏しき者をその叫ぶときにすくひ 助けなき苦しむ者をたすけ 019 PSA 072 013 弱きものと乏しき者とをあはれみ乏しきものの霊魂をすくひ 019 PSA 072 014 かれらのたましひを暴虐と強暴とよりあがなひたまふ その血はみまへに貴かるべし 019 PSA 072 015 かれらは存ふべし 人はシバの黄金をささげてかれのために恒にいのり終日かれをいははん 019 PSA 072 016 國のうち五穀ゆたかにしてその實はレバノンのごとく山のいただきにそよぎ 邑の人々は地の草のごとく榮ゆべし 019 PSA 072 017 かれの名はつねにたえず かれの名は日の久しきごとくに絶ることなし 人はかれによりて福祉をえん もろもろの國はかれをさいはひなる者ととなへん 019 PSA 072 018 ただイスラエルの神のみ奇しき事跡をなしたまへり 神ヱホバはほむべきかな 019 PSA 072 019 その榮光の名はよよにほむべきかな全地はその榮光にて滿べしアーメン アーメン 019 PSA 072 020 ヱッサイの子ダビデの祈はをはりぬ 019 PSA 073 001 神はイスラエルにむかひ心のきよきものに對ひてまことに惠あり 019 PSA 073 002 然はあれどわれはわが足つまづくばかりわが歩すべるばかりにてありき 019 PSA 073 003 こはわれ惡きものの榮ゆるを見てその誇れる者をねたみしによる 019 PSA 073 004 かれらは死るに苦しみなくそのちからは反てかたし 019 PSA 073 005 かれらは人のごとく憂にをらず人のごとく患難にあふことなし 019 PSA 073 006 このゆゑに傲慢は妝飾のごとくその頸をめぐり強暴はころものごとく彼等をおほへり 019 PSA 073 007 かれら肥ふとりてその目とびいで心の欲にまさりて物をうるなり 019 PSA 073 008 また嘲笑をなし惡をもて暴虐のことばをいだし高ぶりてものいふ 019 PSA 073 009 その口を天におきその舌を地にあまねく往しむ 019 PSA 073 010 このゆゑにかれの民はここにかへり水のみちたる杯をしぼりいだして 019 PSA 073 011 いへらく神いかで知たまはんや至上者に知識あらんやと 019 PSA 073 012 視よかれらは惡きものなるに常にやすらかにしてその富ましくははれり 019 PSA 073 013 誠に我はいたづらに心をきよめ罪ををかさずして手をあらひたり 019 PSA 073 014 そはわれ終日なやみにあひ朝ごとに責をうけしなり 019 PSA 073 015 われもし斯ることを述んといひしならば我なんぢが子輩の代をあやまらせしならん 019 PSA 073 016 われこれらの道理をしらんとして思ひめぐらししにわが眼いたく痛たり 019 PSA 073 017 われ神の聖所にゆきてかれらの結局をふかく思へるまでは然りき 019 PSA 073 018 誠になんぢはかれらを滑かなるところにおきかれらを滅亡におとしいれ給ふ 019 PSA 073 019 かれらは瞬間にやぶれたるかな彼等は恐怖をもてことごとく滅びたり 019 PSA 073 020 主よなんぢ目をさましてかれらが像をかろしめたまはんときは夢みし人の目さめたるがごとし 019 PSA 073 021 わが心はうれへ わが腎はさされたり 019 PSA 073 022 われおろかにして知覺なし聖前にありて獣にひとしかりき 019 PSA 073 023 されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり 019 PSA 073 024 なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん 019 PSA 073 025 汝のほかに我たれをか天にもたん地にはなんぢの他にわが慕ふものなし 019 PSA 073 026 わが身とわが心とはおとろふ されど神はわがこころの磐わがとこしへの嗣業なり 019 PSA 073 027 視よなんぢに遠きものは滅びん 汝をはなれて姦淫をおこなふ者はみななんぢ之をほろぼしたまひたり 019 PSA 073 028 神にちかづき奉るは我によきことなり われは主ヱホバを避所としてそのもろもろの事跡をのべつたへん 019 PSA 074 001 神よいかなれば汝われらをかぎりなく棄たまひしや 奈何ばなんぢの草苑の羊にみかいかりの煙あがれるや 019 PSA 074 002 ねがはくは往昔なんぢが買求めたまへる公會ゆづりの支派となさんとて贖ひたまへるものを思ひいでたまへ又なんぢが住たまふシオンの山をおもひいで給へ 019 PSA 074 003 とこしへの滅亡の跡にみあしを向たまへ仇は聖所にてもろもろの惡きわざをおこなへり 019 PSA 074 004 なんぢの敵はなんぢの集のなかに吼たけびおのが旗をたてて誌とせり 019 PSA 074 005 かれらは林のしげみにて斧をあぐる人の状にみゆ 019 PSA 074 006 いま鉞と鎚とをもて聖所のなかなる彫刻めるものをことごとく毀ちおとせり 019 PSA 074 007 かれらはなんぢの聖所に火をかけ名の居所をけがして地におとしたり 019 PSA 074 008 かれら心のうちにいふ われらことごとく之をこぼちあらさんと かくて國内なる神のもろもろの會堂をやきつくせり 019 PSA 074 009 われらの誌はみえず預言者も今はなし 斯ていくその時をかふべき われらのうちに知るものなし 019 PSA 074 010 神よ敵はいくその時をふるまでそしるや 仇はなんぢの名をとこしへに汚すならんか 019 PSA 074 011 いかなれば汝その手みぎの手をひきたまふや ねがはくは手をふところよりいだしてかれらを滅したまへ 019 PSA 074 012 神はいにしへよりわが王なり すくひを世の中におこなひたまへり 019 PSA 074 013 なんぢその力をもて海をわかち水のなかなる龍の首をくだき 019 PSA 074 014 鰐のかうべをうちくだき野にすめる民にあたへて食となしたまへり 019 PSA 074 015 なんぢは泉と水流とをひらき又もろもろの大河をからしたまへり 019 PSA 074 016 晝はなんぢのもの夜も又汝のものなり なんぢは光と日とをそなへ 019 PSA 074 017 あまねく地のもろもろの界をたて夏と冬とをつくりたまへり 019 PSA 074 018 ヱホバよ仇はなんぢをそしり愚かなる民はなんぢの名をけがせり この事をおもひいでたまへ 019 PSA 074 019 願くはなんぢの鴿のたましひを野のあらき獣にわたしたまふなかれ 苦しむものに命をとこしへに忘れたまふなかれ 019 PSA 074 020 契約をかへりみたまへ地のくらきところは強暴の宅にて充たればなり 019 PSA 074 021 ねがはくは虐げらるるものを慚退かしめ給ふなかれ 惱るものと苦しむものとに聖名をほめたたへしめたまへ 019 PSA 074 022 神よおきてなんぢの訟をあげつらひ愚かなるものの終日なんぢを謗れるをみこころに記たまへ 019 PSA 074 023 なんぢの敵の聲をわすれたまふなかれ 汝にさからひて起りたつ者のかしがましき聲はたえずあがれり 019 PSA 075 001 神よわれら汝にかんしやす われら感謝すなんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり 019 PSA 075 002 定りたる期いたらば我なほき審判をなさん 019 PSA 075 003 地とすべての之にすむものと消去しとき我そのもろもろの柱をたてたり (セラ) 019 PSA 075 004 われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり 019 PSA 075 005 なんぢらの角をたかく擧るなかれ頸をかたくして高りいふなかれ 019 PSA 075 006 擧ることは東よりにあらず西よりにあらずまた南よりにもあらざるなり 019 PSA 075 007 ただ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ 019 PSA 075 008 ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそそぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし 019 PSA 075 009 されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん 019 PSA 075 010 われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし 019 PSA 076 001 神はユダにしられたまへり その名はイスラエルに大なり 019 PSA 076 002 またサレムの中にその幕屋あり その居所はシオンにあり 019 PSA 076 003 彼所にてかれは弓の火矢ををり盾と劍と戰陣とをやぶりたまひき (セラ) 019 PSA 076 004 なんぢ榮光あり掠めうばふ山よりもたふとし 019 PSA 076 005 心のつよきものは掠めらる かれらは睡にしづみ勇ましきものは皆その手を見うしなへり 019 PSA 076 006 ヤコブの神よなんぢの叱咤によりて戰車と馬とともに深睡につけり 019 PSA 076 007 神よなんぢこそ懼るべきものなれ 一たび怒りたまふときは誰かみまへに立えんや 019 PSA 076 008 なんぢ天より宣告をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて默したり (セラ) 019 PSA 076 009 なんぢ天より宣告をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて默したり (セラ) 019 PSA 076 010 實に人のいかりは汝をほむべし 怒のあまりは汝おのれの帶としたまはん 019 PSA 076 011 なんぢの神ヱホバにちかひをたてて償へ そのまはりなるすべての者はおそるべきヱホバに禮物をささぐべし 019 PSA 076 012 ヱホバはもろもろの諸侯のたましひを絶たまはん ヱホバは地の王たちのおそるべき者なり 019 PSA 077 001 我わがこゑをあげて神によばはん われ聲を神にあげなばその耳をわれにかたぶけたまはん 019 PSA 077 002 わがなやみの日にわれ主をたづねまつれり 夜わが手をのべてゆるむることなかりき わがたましひは慰めらるるをいなみたり 019 PSA 077 003 われ神をおもひいでて打なやむ われ思ひなげきてわが霊魂おとろへぬ (セラ) 019 PSA 077 004 なんぢはわが眼をささへて閉がしめたまはず 我はものいふこと能はぬほどに惱みたり 019 PSA 077 005 われむかしの日いにしへの年をおもへり 019 PSA 077 006 われ夜わが歌をむもひいづ 我わが心にてふかくおもひわが霊魂はねもころに尋ねもとむ 019 PSA 077 007 主はとこしへに棄たまふや 再びめぐみを垂たまはざるや 019 PSA 077 008 その憐憫はのこりなく永遠にさり そのちかひは世々ながく廢れたるや 019 PSA 077 009 神は恩をほどこすことを忘れたまふや 怒をもてそのあはれみを絨たまふや (セラ) 019 PSA 077 010 斯るときに我いへらく此はただわが弱きがゆゑのみいで至上者のみぎの手のもろもろの年をおもひいでん 019 PSA 077 011 われヤハの作爲をのべとなへん われ往古よりありし汝がくすしきみわざを思ひいたさん 019 PSA 077 012 また我なんぢのすべての作爲をおもひいで汝のなしたまへることを深くおもはん 019 PSA 077 013 神よなんぢの途はいときよし 神のごとく大なる神はたれぞや 019 PSA 077 014 なんぢは奇きみわざをなしたまへる神なり もろもろの民のあひだにその大能をしめし 019 PSA 077 015 その臂をもてヤコブ、ヨセフの子輩なんぢの民をあがなひたまへり (セラ) 019 PSA 077 016 かみよ大水なんぢを見たり おほみづ汝をみてをののき淵もまたふるへり 019 PSA 077 017 雲はみづをそそぎいだし空はひびきをいだし なんぢの矢ははしりいでたり 019 PSA 077 018 なんぢの雷鳴のこゑは暴風のうちにありき 電光は世をてらし地はふるひうごけり 019 PSA 077 019 なんぢの大道は海のなかにあり なんぢの徑はおほみづの中にあり なんぢの蹤跡はたづねがたかりき 019 PSA 077 020 なんぢその民をモーセとアロンとの手によりて羊の群のごとくみちびきたまへり 019 PSA 078 001 わが民よわが敎訓をきき、わが口のことばになんぢらの耳をかたぶけよ 019 PSA 078 002 われ口をひらきて譬喩をまうけ いにしへの玄幽なる語をかたりいでん 019 PSA 078 003 是われらが曩にききしところ知しところ又われらが列祖のかたりつたへし所なり 019 PSA 078 004 われら之をその子孫にかくさずヱホバのもろもろの頌美と能力とそのなしたまへる奇しき事跡とをきたらんとする世につげん 019 PSA 078 005 そはヱホバ證詞をヤコブのうちにたて律法をイスラエルのうちに定めてその子孫にしらすべきことをわれらの列祖におほせたまひたればなり 019 PSA 078 006 これ來らんとする代のちに生るる子孫がこれを知みづから起りてそのまた子孫につたへ 019 PSA 078 007 かれらをして神によりたのみ神のみわざを忘れずその誡命をまもらしめん爲なり 019 PSA 078 008 またその列祖のごとく頑固にしてそむくものの類となり そのこころ修まらず そのたましひ神に忠ならざる類とならざらん爲なり 019 PSA 078 009 エフライムのこらは武具ととのへ弓をたづさへしに戰ひの日にうしろをそむけたり 019 PSA 078 010 かれら神のちかひをまもらず そのおきてを履ことをいなみ 019 PSA 078 011 ヱホバのなしたまへることとかれらに示したまへる奇しき事跡とをわすれたり 019 PSA 078 012 神はエジプトの國にてゾアンの野にて妙なる事をかれらの列祖のまへになしたまへり 019 PSA 078 013 すなはち海をさきてかれらを過ぎしめ水をつみて堆かくしたまへり 019 PSA 078 014 ひるは雲をもてかれらをみちびき夜はよもすがら火の光をもてこれを導きたまへり 019 PSA 078 015 神はあれのにて磐をさき大なる淵より汲がごとくにかれらに飮しめ 019 PSA 078 016 また磐より流をひきて河のごとくに水をながれしめたまへり 019 PSA 078 017 然るにかれら尚たえまなく罪ををかして神にさからひ荒野にて至上者にそむき 019 PSA 078 018 またおのが慾のために食をもとめてその心のうちに神をこころみたり 019 PSA 078 019 然のみならずかれらは神にさからひていへり 神は荒野にて筵をまうけたまふを得んや 019 PSA 078 020 みよ神いはを撃たまへば水ほどばしりいで流あぶれたり 糧をもあたへたまふを得んや神はその民のために肉をそなへたまはんやと 019 PSA 078 021 この故にヱホバこれを聞ていきどほりたまひき 火はヤコブにむかひてもえあがり怒はイスラエルにむかひて立騰れり 019 PSA 078 022 こはかれら神を信ぜずその救にたのまざりし故なり 019 PSA 078 023 されどなほ神はうへなる雲に命じて天の戸をひらき 019 PSA 078 024 彼等のうへにマナをふらせて食はしめ天の穀物をあたへたまへり 019 PSA 078 025 人みな勇士の糧をくらへり 神はかれらに食物をおくりて飽足らしめたまふ 019 PSA 078 026 神は天に東風をふかせ大能もて南の風をみちびきたまへり 019 PSA 078 027 神はかれらのうへに塵のごとく肉をふらせ海の沙のごとく翼ある鳥をふらせて 019 PSA 078 028 その營のなかその住所のまはりに落したまへり 019 PSA 078 029 斯てかれらは食ひて飽たりぬ 神はこれにその欲みしものを與へたまへり 019 PSA 078 030 かれらが未だその慾をはなれず食物のなほ口のうちにあるほどに 019 PSA 078 031 神のいかり旣にかれらに對ひてたちのぼり彼等のうちにて最もこえたる者をころしイスラエルのわかき男をうちたふしたまへり 019 PSA 078 032 これらの事ありしかど彼等はなほ罪ををかしてその奇しきみわざを信ぜざりしかば 019 PSA 078 033 神はかれらの日を空しくすぐさせ その年をおそれつつ過させたまへり 019 PSA 078 034 神かれらを殺したまへる時かれら神をたづね歸りきたりて懇ろに神をもとめたり 019 PSA 078 035 かくて神はおのれの磐いとたかき神はおのれの贖主なることをおもひいでたり 019 PSA 078 036 然はあれど彼等はただその口をもて神にへつらひその舌をもて神にいつはりをいひたりしのみ 019 PSA 078 037 そはかれらのこころは神にむかひて堅からず その契約をまもるに忠信ならざりき 019 PSA 078 038 されど神はあはれみに充たまへばかれらの不義をゆるして亡したまはず屡ばそのみいかりを轉してことごとくは忿恚をふりおこし給はざりき 019 PSA 078 039 又かれがただ肉にして過去ばふたたび歸りこぬ風なるをおもひいで給へり 019 PSA 078 040 かれらは野にて神にそむき荒野にて神をうれへしめしこと幾次ぞや 019 PSA 078 041 かれらかへすがへす神をこころみイスラエルの聖者をはづかしめたり 019 PSA 078 042 かれらは神の手をも敵より贖ひたまひし日をもおもひいでざりき 019 PSA 078 043 神はそのもろもろの豫兆をエジプトにあらはしその奇しき事をゾアンの野にあらはし 019 PSA 078 044 かれらの河を血にかはらせてその流を飮あたはざらしめ 019 PSA 078 045 また蝿の群をおくりてかれらをくはしめ蛙をおくりてかれらを亡させたまへり 019 PSA 078 046 神はかれらの田產を蟊賊にわたし かれらの勤勞を蝗にあたへたまへり 019 PSA 078 047 神は雹をもてかれらの葡萄の樹をからし霜をもてかれらの桑の樹をからし 019 PSA 078 048 その家畜をへうにわたしその群をもゆる閃電にわたし 019 PSA 078 049 かれらの上にはげしき怒といきどほりと怨恨となやみと禍害のつかひの群とをなげいだし給へり 019 PSA 078 050 神はその怒をもらす道をまうけ かれらのたましひを死よりまぬかれしめず そのいのちを疫癘にわたし 019 PSA 078 051 エジプトにてすべての初子をうちハムの幕屋にてかれらの力の始をうちたまへり 019 PSA 078 052 されどおのれの民を羊のごとくに引いだし かれらを曠野にてけだものの群のごとくにみちびき 019 PSA 078 053 かれらをともなひておそれなく安けからしめ給へり されど海はかれらの仇をおほへり 019 PSA 078 054 神はその聖所のさかひ その右の手にて購たまへるこの山に彼らを携へたまへり 019 PSA 078 055 又かれらの前にてもろもろの國人をおもひいだし準縄をもちゐ その地をわかちて嗣業となし イスラエルの族をかれらの幕屋にすまはせたまへり 019 PSA 078 056 然はあれど彼等はいとたかき神をこころみ之にそむきてそのもろもろの證詞をまもらず 019 PSA 078 057 叛きしりぞきてその列祖の如く眞實をうしなひ くるへる弓のごとくひるがへりて逸ゆけり 019 PSA 078 058 高處をまうけて神のいきどほりをひき刻める像にて神の嫉妬をおこしたり 019 PSA 078 059 神ききたまひて甚だしくいかり大にイスラエルを憎みたまひしかば 019 PSA 078 060 人々の間におきたまひし幕屋なるシロのあげばりを棄さり 019 PSA 078 061 その力をとりことならしめ その榮光を敵の手にわたし 019 PSA 078 062 その民を劍にあたへ その嗣業にむかひて甚だしく怒りたまへり 019 PSA 078 063 火はかれらのわかき男をやきつくし かれらの處女はその婚姻の歌によりて譽らるることなく 019 PSA 078 064 かれらの祭司はつるぎにて仆れ かれらの寡婦は喪のなげきだにせざりき 019 PSA 078 065 斯るときに主はねぶりし者のさめしごとく勇士の酒によりてさけぶがごとく目さめたまひて 019 PSA 078 066 その敵をうちしりぞけ とこしへの辱をかれらに負せたまへり 019 PSA 078 067 またヨセフの幕屋をいなみエフライムの族をえらばず 019 PSA 078 068 ユダの族そのいつくしみたまふシオンの山をえらびたまへり 019 PSA 078 069 その聖所を山のごとく永遠にさだめたまへる地のごとくに立たまへり 019 PSA 078 070 またその僕ダビデをえらびて羊の牢のなかよりとり 019 PSA 078 071 乳をあたふる牝羊にしたがひゆく勤のうちより携へきたりてその民ヤコブその嗣業イスラエルを牧はせたまへり 019 PSA 078 072 斯てダビデはそのこころの完全にしたがひてかれらを牧ひ その手のたくみをもて之をみちびけり 019 PSA 079 001 ああ神よもろもろの異邦人はなんぢの嗣業の地ををかし なんぢの聖宮をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆となし 019 PSA 079 002 なんぢの僕のしかばねをそらの鳥に與へて餌となし なんぢの聖徒の肉を地のけものにあたへ 019 PSA 079 003 その血をヱルサレムのめぐりに水のごとく流したりされど之をはうむる人なし 019 PSA 079 004 われらは隣人にそしられ四周のひとびとに侮られ嘲けらるるものとなれり 019 PSA 079 005 ヱホバよ斯て幾何時をへたまふや 汝とこしへに怒たまふや なんぢのねたみは火のごとく燃るか 019 PSA 079 006 願くはなんぢを識ざることくにびと聖名をよばざるもろもろの國のうへに烈怒をそそぎたまへ 019 PSA 079 007 かれらはヤコブを呑その住處をあらしたればなり 019 PSA 079 008 われらにむかひて先祖のよこしまなるわざを記念したまふなかれ願くはなんぢの憐憫をもて速かにわれらを迎へたまへ われらは貶されて甚だしく卑くなりたればなり 019 PSA 079 009 われらのすくひの神よ名のえいくわうのために我儕をたすけ名のためにわれらを救ひ われらの罪をのぞきたまへ 019 PSA 079 010 いかなれば異邦人はいふ かれらの神はいづくにありやと 願くはなんぢの僕等がながされし血の報をわれらの目前になして異邦人にしらしめたまへ 019 PSA 079 011 ねがはくは汝のみまへにとらはれびとの嘆息のとどかんことを なんぢの大なる能力により死にさだめられし者をまもりて存へしめたまへ 019 PSA 079 012 主よわれらの隣人のなんぢをそしりたる謗を七倍ましてその懐にむくいかへしたまへ 019 PSA 079 013 然ばわれらなんぢの民なんぢの草苑のひつじは永遠になんぢに感謝しその頌辭を世々あらはさん 019 PSA 080 001 イスラエルの牧者よひつじの群のごとくヨセフを導きたまものよ 耳をかたぶけたまへ ケルビムのうへに坐したまふものよ 光をはなちたまへ 019 PSA 080 002 エフライム、ベニヤミン、マナセの前になんぢの力をふりおこし來りてわれらを救ひたまへ 019 PSA 080 003 神よふたたびわれらを復し なんぢの聖顔のひかりをてらしたまへ 然ばわれら救をえん 019 PSA 080 004 ばんぐんの神ヱホバよなんぢその民の祈にむかひて何のときまで怒りたまふや 019 PSA 080 005 汝かれらになみだの糧をくらはせ涙を量器にみちみつるほどあたへて飮しめ給へり 019 PSA 080 006 汝われらを隣人のあひあらそふ種料となしたまふ われらの仇はたがひにあざわらへり 019 PSA 080 007 萬軍の神よふたたびわれらを復したまへ 汝のみかほの光をてらしたまへ さらばわれら救をえん 019 PSA 080 008 なんぢ葡萄の樹をエジプトより携へいだしもろもろの國人をおひしりぞけて之をうゑたまへり 019 PSA 080 009 汝そのまへに地をまうけたまひしかば深く根して國にはびこれり 019 PSA 080 010 その影はもろもろの山をおほひ そのえだは神の香柏のごとくにてありき 019 PSA 080 011 その樹はえだを海にまでのべ その若枝を河にまでのべたり 019 PSA 080 012 汝いかなればその垣をくづして路ゆくすべての人に嫡取らせたまふや 019 PSA 080 013 はやしの猪はこれをあらし野のあらき獣はこれをくらふ 019 PSA 080 014 ああ萬軍の神よねがはくは歸りたまへ 天より俯視てこの葡萄の樹をかへりみ 019 PSA 080 015 なんぢが右の手にてうゑたまへるもの自己のために強くなしたまへる枝をまもりたまへ 019 PSA 080 016 その樹は火にて燒れまた斫たふさる かれらは聖顔のいかりにて亡ぶ 019 PSA 080 017 ねがはくはなんぢの手をその右の手の人のうへにおき自己のためにつよくなしたまへる人の子のうへにおきたまへ 019 PSA 080 018 さらばわれら汝をしりぞき離るることなからん 願くはわれらを活したまへ われら名をよばん 019 PSA 080 019 ああ萬軍の神ヱホバよふたたび我儕をかへしたまへ なんぢの聖顔のひかりを照したまへ 然ばわれら救をえん 019 PSA 081 001 われらの力なる神にむかひて高らかにうたひヤコブの神にむかひてよろこびの聲をあげよ 019 PSA 081 002 歌をうたひ鼓とよき音のことと筝とをもちきたれ 019 PSA 081 003 新月と滿月とわれらの節會の日とにラッパをふきならせ 019 PSA 081 004 これイスラエルの律法ヤコブのかみの格なり 019 PSA 081 005 神さきにエジプトを攻たまひしときヨセフのなかに之をたてて證となしたまへり 我かしこにて未だしらざりし方言をきけり 019 PSA 081 006 われかれの肩より重荷をのぞき かれの手を籃よりまぬかれしめたり 019 PSA 081 007 汝なやめるとき呼しかば我なんぢをすくへり われ雷鳴のかくれたるところにて汝にこたへメリバの水のほとりにて汝をこころみたり (セラ) 019 PSA 081 008 わが民よきけ我なんぢに證せん イスラエルよ汝がわれに從はんことをもとむ 019 PSA 081 009 汝のうちに他神あるべからず なんぢ他神ををがむべからず 019 PSA 081 010 われはエジプトの國よりなんぢを携へいでたる汝の神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん 019 PSA 081 011 されどわが民はわか聲にしたがはず イスラエルは我をこのまず 019 PSA 081 012 このゆゑに我かれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意にゆくにまかせたり 019 PSA 081 013 われはわが民のわれに從ひイスフルのわが道にあゆまんことを求む 019 PSA 081 014 さらば我すみやかにかれらの仇をしたがへ わが手をかれらの敵にむけん 019 PSA 081 015 斯てヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつづかん 019 PSA 081 016 神はむぎの最嘉をもてかれらをやしなひ 磐よりいでたる蜜をもて汝をあかしむべし 019 PSA 082 001 かみは神のつどひの中にたちたまふ 神はもろもろの神のなかに審判をなしたまふ 019 PSA 082 002 なんぢらは正からざる審判をなし あしきものの身をかたよりみて幾何時をへんとするや (セラ) 019 PSA 082 003 よわきものと孤兒とのためにさばき苦しむものと乏しきものとのために公平をほどこせ 019 PSA 082 004 弱きものと貧しきものとをすくひ彼等をあしきものの手よりたすけいだせ 019 PSA 082 005 かれらは知ることなく悟ることなくして暗中をゆきめぐりぬ 地のもろもろの基はうごきたり 019 PSA 082 006 我いへらく なんぢらは神なりなんぢらはみな至上者の子なりと 019 PSA 082 007 然どなんぢらは人のごとくに死もろもろの侯のなかの一人のごとく仆れん 019 PSA 082 008 神よおきて全地をさばきたまへ 汝もろもろの國を嗣たまふべければなり 019 PSA 083 001 神よもだしたまふなかれ神よものいはで寂靜たまふなかれ 019 PSA 083 002 視よなんぢの仇はかしがきしき聲をあげ汝をにくむものは首をあげたり 019 PSA 083 003 かれらはたくみなる謀略をもてなんぢの民にむかひ相共にはかりて汝のかくれたる者にむかふ 019 PSA 083 004 かれらいひたりき 來かれらを斷滅してふたたび國をたつることを得ざらしめイスラエルの名をふたたび人にしられざらしめんと 019 PSA 083 005 かれらは心を一つにしてともにはかり互にちかひをなしてなんぢに逆ふ 019 PSA 083 006 こはエドムの幕屋にすめる人イシマエル人モアブ、ハガル人 019 PSA 083 007 ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテおよびツロの民などなり 019 PSA 083 008 アッスリヤも亦かれらにくみせり 斯てロトの子輩のたすけをなせり (セラ) 019 PSA 083 009 なんぢ曩にミデアンになしたまへる如くキションの河にてシセラとヤビンとに作たまへるごとく彼等にもなしたまへ 019 PSA 083 010 かれらはエンドルにてほろび地のために肥料となれり 019 PSA 083 011 かれらの貴人をオレブ、ゼエブのごとくそのもろもろの侯をゼバ、ザルムンナのごとくなしたまへ 019 PSA 083 012 かれらはいへり われら神の草苑をえてわが有とすべしと 019 PSA 083 013 わが神よかれらをまきあげらるる塵のごとく風のまへの藁のごとくならしめたまへ 019 PSA 083 014 林をやく火のごとく山をもやす熖のごとく 019 PSA 083 015 なんぢの暴風をもてかれらを追ひなんぢの旋風をもてかれらを怖れしめたまへ 019 PSA 083 016 かれらの面に恥をみたしめたまへ ヱホバよ然ばかれらなんぢの名をもとめん 019 PSA 083 017 かれらをとこしへに恥おそれしめ惶てまどひて亡びうせしめたまへ 019 PSA 083 018 然ばかれらはヱホバてふ名をもちたまふ汝のみ全地をしろしめす至上者なることを知るべし 019 PSA 084 001 萬軍のヱホバよなんぢの帷幄はいかに愛すべきかな 019 PSA 084 002 わが霊魂はたえいるばかりにヱホバの大庭をしたひ わが心わが身はいける神にむかひて呼ふ 019 PSA 084 003 誠やすずめは窩をえ燕子はその雛をいるる巣をえたり萬軍のヱホバわが王わが神よ これなんぢの祭壇なり 019 PSA 084 004 なんぢの家にすむものは福ひなり かかるひとはつねに汝をたたへまつらん (セラ) 019 PSA 084 005 その力なんぢにあり その心シオンの大路にある者はさいはひなり 019 PSA 084 006 かれらは涙の谷をすぐれども其處をおほくの泉あるところとなす また前の雨はもろもろの惠をもて之をおほへり 019 PSA 084 007 かれらは力より力にすすみ遂におのおのシオンにいたりて神にまみゆ 019 PSA 084 008 ばんぐんの神ヱホバよわが祈をききたまへ ヤコブの神よ耳をかたぶけたまへ (セラ) 019 PSA 084 009 われらの盾なる神よ みそなはして なんぢの受膏者の顔をかへりみたまへ 019 PSA 084 010 なんぢの大庭にすまふ一日は千日にもまされり われ惡の幕屋にをらんよりは 寧ろわが神のいへの門守とならんことを欲ふなり 019 PSA 084 011 そは神ヱホバは日なり盾なり ヱホバは恩とえいくわうとをあたへ直くあゆむものに善物をこばみたまふことなし 019 PSA 084 012 萬軍のヱホバよなんぢに依賴むものはさいはひなり 019 PSA 085 001 ヱホバよなんぢは御國にめぐみをそそぎたまへり なんぢヤコブの俘囚をかへしたまひき 019 PSA 085 002 なんぢおのが民の不義をゆるしそのもろもろの罪をおほひたまひき (セラ) 019 PSA 085 003 汝すべての怒をすてその烈しきいきどほりを遠けたまへり 019 PSA 085 004 われらのすくひの神よかへりきたり我儕にむかひて忿怒をやめたまへ 019 PSA 085 005 なんぢ永遠にわれらをいかり萬世にみいかりをひきのべたまふや 019 PSA 085 006 汝によりてなんぢの民の喜悦をえんが爲に我儕を活したまはざるか 019 PSA 085 007 ヱホバよなんぢの憐憫をわれらにしめし汝のすくひを我儕にあたへたまへ 019 PSA 085 008 わが神ヱホバのいたりたまふ事をきかん ヱホバはその民その聖徒に平和をかたりたまへばなり さればかれらは愚かなる行爲にふたたび歸るなかれ 019 PSA 085 009 實にそのすくひは神をおそるる者にちかし かくて榮光はわれらの國にとどまらん 019 PSA 085 010 あはれみと眞實とともにあひ義と平和とたがひに接吻せり 019 PSA 085 011 まことは地よりはえ義は天よりみおろせり 019 PSA 085 012 ヱホバ善物をあたへたまへばわれらの國は物產をいださん 019 PSA 085 013 義はヱホバのまへにゆきヱホバのあゆみたまふ跡をわれに踏しめん 019 PSA 086 001 ヱホバよなんぢ耳をかたぶけて我にこたへたまへ 我はくるしみかつ乏しければなり 019 PSA 086 002 ねがはくはわが霊魂をまもりたまへ われ神をうやまふ者なればなり わが神よなんぢに依賴める汝のしもべを救ひ給へ 019 PSA 086 003 主よわれを憐みたまへ われ終日なんぢによばふ 019 PSA 086 004 なんぢの僕のたましひを悦ばせたまへ 主よわが霊魂はなんぢを仰ぎのぞむ 019 PSA 086 005 主よなんぢは惠ふかくまた赦をこのみたまふ 汝によばふ凡てのものを豊かにあはれみたまふ 019 PSA 086 006 ヱホバよわがいのりに耳をかたぶけ わが懇求のこゑをききたまへ 019 PSA 086 007 われわが患難の日になんぢに呼はん なんぢは我にこたへたまふべし 019 PSA 086 008 主よもろもろの神のなかに汝にひとしきものはなく汝のみわざに侔しきものはなし 019 PSA 086 009 主よなんぢの造れるもろもろの國はなんぢの前にきたりて伏拝まん かれらは聖名をあがむべし 019 PSA 086 010 なんぢは大なり奇しき事跡をなしたまふ 唯なんぢのみ神にましませり 019 PSA 086 011 ヱホバよなんぢの道をわれに敎へたまへ我なんぢの眞理をあゆまん ねがはくは我をして心ひとつに聖名をおそれしめたまへ 019 PSA 086 012 主わが神よ我心をつくして汝をほめたたへ とこしへに聖名をあがめまつらん 019 PSA 086 013 そはなんぢの憐憫はわれに大なり わがたましひを陰府のふかき處より助けいだしたまへり 019 PSA 086 014 神よたかぶれるものは我にさからひて起りたち暴ぶる人の會はわがたましひをもとめ 斯てなんぢを己がまへに置ざりき 019 PSA 086 015 されど主よなんぢは憐憫とめぐみとにとみ怒をおそくし愛しみと眞實とにゆたかなる神にましませり 019 PSA 086 016 我をかへりみ我をあはれみたまへ ねがはくは汝のしもべに能力を與へ汝のはしための子をすくひたまへ 019 PSA 086 017 我にめぐみの憑據をあらはしたまへ 然ばわれをにくむ者これをみて恥をいだかん そはヱホバよなんぢ我をたすけ我をなぐさめたまへばなり 019 PSA 087 001 ヱホバの基はきよき山にあり 019 PSA 087 002 ヱホバはヤコブのすべての住居にまさりてシオンのもろもろの門を愛したまふ 019 PSA 087 003 神の都よなんぢにつきておほくの榮光のことを語りはやせり (セラ) 019 PSA 087 004 われはラハブ、バビロンをも我をしるものの中にあげん ペリシテ、ツロ、エテオピアを視よこの人はかしこに生れたりといはん 019 PSA 087 005 シオンにつきては如此いはん 此もの彼ものその中にうまれたり至上者みづからシオンを立たまはんと 019 PSA 087 006 ヱホバもろもろの民をしるしたまふ時このものは彼處にうまれたりと算へあげたまはん (セラ) 019 PSA 087 007 うたふもの踊るもの皆いはん わがもろもろの泉はなんぢの中にありと 019 PSA 088 001 わがすくひの神ヱホバよわれ晝も夜もなんぢの前にさけべり 019 PSA 088 002 願くはわが祈をみまへにいたらせ汝のみみをわが號呼のこゑにかたぶけたまへ 019 PSA 088 003 わがたましひは患難にてみち我がいのちは陰府にちかづけり 019 PSA 088 004 われは穴にいるものとともにかぞへられ依仗なき人のごとくなれり 019 PSA 088 005 われ墓のうちなる殺されしもののごとく死者のうちにすてらる汝かれらを再びこころに記たまはず かれらは御手より斷滅されしものなり 019 PSA 088 006 なんぢ我をいとふかき穴 くらき處 ふかき淵におきたまひき 019 PSA 088 007 なんぢの怒はいたくわれにせまれり なんぢそのもろもろの浪をもて我をくるしめ給へり (セラ) 019 PSA 088 008 わが相識ものを我よりとほざけ我をかれらに憎ませたまへり われは錮閉されていづることあたはず 019 PSA 088 009 わが眼はなやみの故をもておとろへぬ われ日ごとに汝をよべり ヱホバよなんぢに向ひてわが兩手をのべたり 019 PSA 088 010 なんぢ死者にくすしき事跡をあらはしたまはんや 亡にしもの立てなんぢを讃たたへんや (セラ) 019 PSA 088 011 汝のいつくしみは墓のうちに汝のまことは滅亡のなかに宣傳へられんや 019 PSA 088 012 汝のくすしきみわざは幽暗になんぢの義は忘失のくにに知るることあらんや 019 PSA 088 013 されどヱホバよ我なんぢに向ひてさけべり わがいのりは朝にみまへに達らん 019 PSA 088 014 ヱホバよなんぢ何なればわが霊魂をすてたまふや何なればわれに面をかくしたまふや 019 PSA 088 015 われ幼稚よりなやみて死るばかりなり我なんぢの恐嚇にあひてくるしみまどへり 019 PSA 088 016 汝のはげしき怒わがうへをすぐ汝のおびやかし我をほろぼせり 019 PSA 088 017 これらの事ひねもす大水のごとく我をめぐり ことごとく來りて我をかこみふさげり 019 PSA 088 018 なんぢ我をいつくしむ者とわが友とをとほざけ わが相識るものを幽暗にいれたまへり 019 PSA 089 001 われヱホバの憐憫をとこしへにうたはん われ口もてヱホバの眞實をよろづ代につげしらせん 019 PSA 089 002 われいふ あはれみは永遠にたてらる 汝はその眞實をかたく天にさだめたまはんと 019 PSA 089 003 われわが撰びたるものと契約をむすびわが僕ダビデにちかひたり 019 PSA 089 004 われなんぢの裔をとこしへに固うしなんぢの座位をたてて代々におよばしめん (セラ) 019 PSA 089 005 ヱホバよもろもろの天はなんぢの奇しき事跡をほめん なんぢの眞實もまた潔きものの會にてほめらるべし 019 PSA 089 006 蒼天にてたれかヱホバに類ふものあらんや 神の子のなかに誰かヱホバのごとき者あらんや 019 PSA 089 007 神はきよきものの公會のなかにて畏むべきものなり その四周にあるすべての者にまさりて懼るべきものなり 019 PSA 089 008 萬軍の神ヱホバよヤハよ汝のごとく大能あるものは誰ぞや なんぢの眞實はなんぢをめぐりたり 019 PSA 089 009 なんぢ海のあるるををさめ その浪のたちあがらんときは之をしづめたまふなり 019 PSA 089 010 なんぢラハブを殺されしもののごとく撃碎きおのれの仇どもを力ある腕をもて打散したまへり 019 PSA 089 011 もろもろの天はなんぢのもの地もまた汝のものなり世界とその中にみつるものとはなんぢの基したまへるなり 019 PSA 089 012 北と南はなんぢ造りたまへり タボル、ヘルモンはなんぢの名によりて歓びよばふ 019 PSA 089 013 なんぢは大能のみうでをもちたまふ なんぢの手はつよく汝のみぎの手はたかし 019 PSA 089 014 義と公平はなんぢの寳座のもとゐなり あはれみと眞實とは聖顔のまへにあらはれゆく 019 PSA 089 015 よろこびの音をしる民はさいはひなり ヱホバよかれらはみかほの光のなかをあゆめり 019 PSA 089 016 かれらは名によりて終日よろこび 汝の義によりて高くあげられたり 019 PSA 089 017 かれらの力の榮光はなんぢなり 汝の惠によりてわれらの角はたかくあげられん 019 PSA 089 018 そはわれらの盾はヱホバに屬われらの王はイスラエルの聖者につけり 019 PSA 089 019 そのとき異象をもてなんぢの聖徒につげたまはく われ佑助をちからあるものに委ねたり わが民のなかより一人をえらびて高くあげたり 019 PSA 089 020 われわが僕ダビデをえて之にわが聖膏をそそげり 019 PSA 089 021 わが手はかれとともに堅くわが臂はかれを強くせん 019 PSA 089 022 仇かれをしへたぐることなし惡の子かれを苦しむることなからん 019 PSA 089 023 われかれの前にそのもろもろの敵をたふし彼をにくめるものを撃ん 019 PSA 089 024 されどわが眞實とわが憐憫とはダビデとともに居り わが名によりてその角はたかくあげられん 019 PSA 089 025 われ亦かれの手を海のうへにおき そのみぎの手を河のうへにおかん 019 PSA 089 026 ダビデ我にむかひて汝はわが父わが神わがすくひの岩なりとよばん 019 PSA 089 027 われまた彼をわが初子となし地の王たちのうち最もたかき者となさん 019 PSA 089 028 われとこしへに憐憫をかれがためにたもち 之とたてし契約はかはることなかるべし 019 PSA 089 029 われまたその裔をとこしへに存へ そのくらゐを天の日數のごとくながらへしめん 019 PSA 089 030 もしその子わが法をはなれ わが審判にしたがひて歩まず 019 PSA 089 031 わが律法をやぶりわが誡命をまもらずば 019 PSA 089 032 われ杖をもてかれらの愆をただし鞭をもてその邪曲をただすべし 019 PSA 089 033 されど彼よりわが憐憫をことごとくはとりさらず わが眞實をおとろへしむることなからん 019 PSA 089 034 われおのれの契約をやぶらず己のくちびるより出しことをかへじ 019 PSA 089 035 われ曩にわが聖をさして誓へり われダビデに虚偽をいはじ 019 PSA 089 036 その裔はとこしへにつづきその座位は日のごとく恒にわが前にあらん 019 PSA 089 037 また月のごとく永遠にたてられん空にある證人はまことなり (セラ) 019 PSA 089 038 されどその受膏者をとほざけて棄たまへり なんぢ之をいきどほりたまへり 019 PSA 089 039 なんぢ己がしもべの契約をいみ 其かんむりをけがして地にまでおとし給へり 019 PSA 089 040 またその垣をことごとく倒し その保砦をあれすたれしめたまへり 019 PSA 089 041 その道をすぐるすべての者にかすめられ隣人にののしらる 019 PSA 089 042 なんぢかれが敵のみぎの手をたかく擧そのもろもろの仇をよろこばしめたまへり 019 PSA 089 043 なんぢかれの劍の刃をふりかへして戰闘にたつに堪へざらしめたまひき 019 PSA 089 044 またその光輝をけしその座位を地になげおとし 019 PSA 089 045 その年若き日をちぢめ恥をそのうへに覆たまへり (セラ) 019 PSA 089 046 ヱホバよかくて幾何時をへたまふや自己をとこしへに隠したまふや忿怒は火のもゆるごとくなるべきか 019 PSA 089 047 ねがはくはわが時のいかに短かきかを思ひたまへ 汝いたづらにすべての人の子をつくりたまはんや 019 PSA 089 048 誰かいきて死をみず又おのがたましひを陰府より救ひうるものあらんや (セラ) 019 PSA 089 049 主よなんぢが眞實をもてダビデに誓ひたまへる昔日のあはれみはいづこにありや 019 PSA 089 050 主よねがはくはなんぢの僕のうくる謗をみこころにとめたまへ ヱホバよ汝のもろもろの仇はわれをそしりなんぢの受膏者のあしあとをそしれり 我もろもろの民のそしりをわが懐中にいだく 019 PSA 089 051 主よねがはくはなんぢの僕のうくる謗をみこころにとめたまへ ヱホバよ汝のもろもろの仇はわれをそしりなんぢの受膏者のあしあとをそしれり 我もろもろの民のそしりをわが懐中にいだく 019 PSA 089 052 ヱホバは永遠にほむべきかな アーメン アーメン 019 PSA 090 001 主よなんぢは往古より世々われらの居所にてましませり 019 PSA 090 002 山いまだ生いでず汝いまだ地と世界とをつくりたまはざりしとき 永遠よりとこしへまでなんぢは神なり 019 PSA 090 003 なんぢ人を塵にかへらしめて宣はく 人の子よなんぢら歸れと 019 PSA 090 004 なんぢの目前には千年もすでにすぐる昨日のごとく また夜間のひとときにおなじ 019 PSA 090 005 なんぢこれらを大水のごとく流去らしめたまふ かれらは一夜の寝のごとく朝にはえいづる靑草のごとし 019 PSA 090 006 朝にはえいでてさかえ夕にはかられて枯るなり 019 PSA 090 007 われらはなんぢの怒によりて消うせ 汝のいきどほりによりて怖まどふ 019 PSA 090 008 汝われらの不義をみまへに置 われらの隠れたるつみを聖顔のひかりのなかにおきたまへり 019 PSA 090 009 われらのもろもろの日はなんぢの怒によりて過去り われらがすべての年のつくるは一息のごとし 019 PSA 090 010 われらが年をふる日は七十歳にすぎず あるひは壯やかにして八十歳にいたらん されどその誇るところはただ勤勞とかなしみとのみ その去ゆくこと速かにしてわれらもまた飛去れり 019 PSA 090 011 誰かなんぢの怒のちからを知らんや たれか汝をおそるる畏にたくらべて汝のいきどほりをしらんや 019 PSA 090 012 願くはわれらにおのが日をかぞふることををしへて智慧のこころを得しめたまへ 019 PSA 090 013 ヱホバよ歸りたまへ斯ていくそのときを歴たまふや ねがはくは汝のしもべらに係れるみこころを變へたまへ 019 PSA 090 014 ねがはくは朝にわれらを汝のあはれみにてあきたらしめ 世をはるまで喜びたのしませたまへ 019 PSA 090 015 汝がわれらを苦しめたまへるもろもろの日と われらが禍害にかかれるもろもろの年とにたくらべて我儕をたのしませたまへ 019 PSA 090 016 なんぢの作爲をなんぢの僕等に なんぢの榮光をその子等にあらはしたまへ 019 PSA 090 017 斯てわれらの神ヱホバの佳美をわれらのうへにのぞましめ われらの手のわざをわれらのうへに確からしめたまへ 願くはわれらの手のわざを確からしめたまへ 019 PSA 091 001 至上者のもとなる隠れたるところにすまふその人は全能者の蔭にやどらん 019 PSA 091 002 われヱホバのことを宣て ヱホバはわが避所わが城わがよりたのむ神なりといはん 019 PSA 091 003 そは神なんぢを狩人のわなと毒をながす疫癘よりたすけいだしたまふべければなり 019 PSA 091 004 かれその翮をもてなんぢを庇ひたまはん なんぢその翼の下にかくれん その眞實は盾なり干なり 019 PSA 091 005 夜はおどろくべきことあり晝はとびきたる矢あり 019 PSA 091 006 幽暗にはあゆむ疫癘あり日午にはそこなふ勵しき疾あり されどなんぢ畏るることあらじ 019 PSA 091 007 千人はなんぢの左にたふれ萬人はなんぢの右にたふる されどその災害はなんぢに近づくことなからん 019 PSA 091 008 なんぢの眼はただこの事をみるのみ なんぢ惡者のむくいを見ん 019 PSA 091 009 なんぢ曩にいへりヱホバはわが避所なりと なんぢ至上者をその住居となしたれば 019 PSA 091 010 災害なんぢにいたらず苦難なんぢの幕屋に近づかじ 019 PSA 091 011 そは至上者なんぢのためにその使者輩におほせて 汝があゆむもろもろの道になんぢを守らせ給へばなり 019 PSA 091 012 彼ら手にてなんぢの足の石にふれざらんために汝をささへん 019 PSA 091 013 なんぢは獅と蝮とをふみ壯獅と蛇とを足の下にふみにじらん 019 PSA 091 014 彼その愛をわれにそそげるがゆゑに我これを助けん かれわが名をしるがゆゑに我これを高處におかん 019 PSA 091 015 かれ我をよはば我こたへん 我その苦難のときに偕にをりて之をたすけ之をあがめん 019 PSA 091 016 われ長寿をもてかれを足はしめ且わが救をしめさん 019 PSA 092 001 いとたかき者よヱホバにかんしやし聖名をほめたたふるは善かな 019 PSA 092 002 あしたに汝のいつくしみをあらはし 夜々なんぢの眞實をあらはすに 019 PSA 092 003 十絃のなりものと筝とをもちゐ 琴の妙なる音をもちゐるはいと善かな 019 PSA 092 004 そはヱホバよ なんぢその作爲をもて我をたのしませたまへり 我なんぢの手のわざをよろこびほこらん 019 PSA 092 005 ヱホバよ汝のみわざは大なるかな汝のもろもろの思念はいとふかし 019 PSA 092 006 無知者はしることなく愚なるものは之をさとらず 019 PSA 092 007 惡きものは草のごとくもえいで 不義をおこなふ衆庶はさかゆるとも 遂にはとこしへにほろびん 019 PSA 092 008 されどヱホバよ汝はとこしへに高處にましませり 019 PSA 092 009 ヱホバよ吁なんぢの仇ああなんぢの仇はほろびん 不義をおこなふ者はことごとく散されん 019 PSA 092 010 されど汝わが角をたかくあげて 野の牛のつののごとくならしめたまへり 我はあたらしき膏をそそがれたり 019 PSA 092 011 又わが目はわが仇につきて願へることを見わが耳はわれにさからひておこりたつ惡をなすものにつきて願へることをききたり 019 PSA 092 012 義しきものは棕櫚の樹のごとく榮え レバノンの香柏のごとくそだつべし 019 PSA 092 013 ヱホバの宮にうゑられしものはわれらの神の大庭にさかえん 019 PSA 092 014 かれらは年老てなほ果をむすび豊かにうるほひ緑の色みちみちて 019 PSA 092 015 ヱホバの直きものなることを示すべし ヱホバはわが巌なりヱホバには不義なし 019 PSA 093 001 ヱホバは統治たまふ ヱホバは稜威をきたまへり ヱホバは能力をころもとなし帶となしたまへり さればまた世界もかたくたちて動かさるることなし 019 PSA 093 002 なんぢの寳座はいにしへより堅くたちぬ 汝はとこしへより在せり 019 PSA 093 003 大水はこゑをあげたり ヱホバよおほみづは聲をあげたり おほみづは浪をあぐ 019 PSA 093 004 ヱホバは高處にいましてその威力はおほくの水のこゑ海のさかまくにまさりて盛んなり 019 PSA 093 005 なんぢの證詞はいとかたし ヱホバよ聖潔はなんぢの家にとこしへまでも適應なり 019 PSA 094 001 ヱホバよ仇をかへすは汝にあり神よあたを報すはなんぢにあり ねがはくは光をはなちたまへ 019 PSA 094 002 世をさばきたまふものよ 願くは起てたかぶる者にそのうくべき報をなしたまへ 019 PSA 094 003 ヱホバよ惡きもの幾何のときを經んとするや あしきもの勝誇りていくそのとしを經るや 019 PSA 094 004 かれらはみだりに言をいだして誇りものいふ すべて不義をおこなふ者はみづから高ぶれり 019 PSA 094 005 ヱホバよ彼等はなんぢの民をうちくだき なんぢの業をそこなふ 019 PSA 094 006 かれらは嫠婦と旅人との生命をうしなひ孤子をころす 019 PSA 094 007 かれらはいふ ヤハは見ずヤコブの神はさとらざるべしと 019 PSA 094 008 民のなかなる無知よ なんぢらさとれ 愚かなる者よ いづれのときにか智からん 019 PSA 094 009 みみを植るものきくことをせざらんや 目をつくれるもの見ることをせざらんや 019 PSA 094 010 もろもろの國ををしふる者ただすことを爲ざらんや 人に知識をあたふる者しることなからんや 019 PSA 094 011 ヱホバは人の思念のむなしきを知りたまふ 019 PSA 094 012 ヤハよなんぢの懲めたまふ人なんぢの法ををしへらるる人は さいはひなるかな 019 PSA 094 013 かかる人をわざはひの日よりのがれしめ 惡きもののために坑のほらるるまで これに平安をあたへたまはん 019 PSA 094 014 そはヱホバその民をすてたまはず その嗣業をはなれたまはざるなり 019 PSA 094 015 審判はただしきにかへり心のなほき者はみなその後にしたがはん 019 PSA 094 016 誰かわがために起りたちて惡きものを責んや 誰か我がために立て不義をおこなふ者をせめんや 019 PSA 094 017 もしヱホバ我をたすけたまはざりせば わが霊魂はとくに幽寂ところに住ひしならん 019 PSA 094 018 されどわが足すべりぬといひしとき ヱホバよなんぢの憐憫われをささへたまへり 019 PSA 094 019 わがうちに憂慮のみつる時 なんぢの安慰わがたましひを喜ばせたまふ 019 PSA 094 020 律法をもて害ふことをはかる惡の位はなんぢに親むことを得んや 019 PSA 094 021 彼等はあひかたらひて義人のたましひをせめ罪なき血をつみに定む 019 PSA 094 022 然はあれどヱホバはわがたかき櫓 わが神はわが避所の磐なりき 019 PSA 094 023 神はかれらの邪曲をその身におはしめ かれらをその惡き事のなかに滅したまはん われらの神ヱホバはこれを滅したまはん 019 PSA 095 001 率われらヱホバにむかひてうたひ すくひの磐にむかひてよろこばしき聲をあげん 019 PSA 095 002 われら感謝をもてその前にゆき ヱホバにむかひ歌をもて歓ばしきこゑをあげん 019 PSA 095 003 そはヱホバは大なる神なり もろもろの神にまされる大なる王なり 019 PSA 095 004 地のふかき處みなその手にあり 山のいただきもまた神のものなり 019 PSA 095 005 うみは神のものその造りたまふところ旱ける地もまたその手にて造りたまへり 019 PSA 095 006 いざわれら拝みひれふし我儕をつくれる主ヱホバのみまへに曲跪くべし 019 PSA 095 007 彼はわれらの神なり われらはその草苑の民その手のひつじなり 今日なんぢらがその聲をきかんことをのぞむ 019 PSA 095 008 なんぢらメリバに在りしときのごとく 野なるマサにありし日の如く その心をかたくなにするなかれ 019 PSA 095 009 その時なんぢらの列祖われをこころみ我をためし 又わがわざをみたり 019 PSA 095 010 われその代のためにうれへて四十年を歴 われいへり かれらは心あやまれる民わが道を知ざりきと 019 PSA 095 011 このゆゑに我いきどほりて彼等はわが安息にいるべからずと誓ひたり 019 PSA 096 001 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ 全地よヱホバにむかひて謳ふべし 019 PSA 096 002 ヱホバに向ひてうたひその名をほめよ 日ごとにその救をのべつたへよ 019 PSA 096 003 もろもろの國のなかにその榮光をあらはし もろもろの民のなかにその奇しきみわざを顯すべし 019 PSA 096 004 そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなり もろもろの神にまさりて畏るべきものなり 019 PSA 096 005 もろもろの民のすべての神はことごとく虚し されどヱホバはもろもろの天をつくりたまへり 019 PSA 096 006 尊貴と稜威とはその前にあり能と善美とはその聖所にあり 019 PSA 096 007 もろもろの民のやからよ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ 019 PSA 096 008 その聖名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ 献物をたづさへてその大庭にきたれ 019 PSA 096 009 きよき美しきものをもてヱホバををがめ 全地よその前にをののけ 019 PSA 096 010 もろもろの國のなかにいへ ヱホバは統治たまふ世界もかたくたちて動かさるることなし ヱホバは正直をもてすべての民をさばきたまはんと 019 PSA 096 011 天はよろこび地はたのしみ海とそのなかに盈るものとはなりどよみ 019 PSA 096 012 田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前によろこびうたはん 019 PSA 096 013 ヱホバ來りたまふ地をさばかんとて來りたまふ 義をもて世界をさばきその眞實をもてもろもろの民をさばきたまはん 019 PSA 097 001 ヱホバは統治たまふ 全地はたのしみ多くの島々はよろこぶべし 019 PSA 097 002 雲とくらきとはそり周環にあり 義と公平とはその寳座のもとゐなり 019 PSA 097 003 火ありそのみまへにすすみ その四周の敵をやきつくす 019 PSA 097 004 ヱホバのいなびかりは世界をてらす 地これを見てふるへり 019 PSA 097 005 もろもろの山はヱホバのみまへ全地の主のみまへにて蝋のごとくとけぬ 019 PSA 097 006 もろもろの天はその義をあらはし よろづの民はその榮光をみたり 019 PSA 097 007 すべてきざめる像につかへ虚しきものによりてみづから誇るものは恥辱をうくべし もろもろの神よみなヱホバをふしをがめ 019 PSA 097 008 ヱホバよなんぢの審判のゆゑによりシオンはききてよろこびユダの女輩はみな樂しめり 019 PSA 097 009 ヱホバよなんぢ全地のうへにましまして至高く なんぢもろもろの神のうへにましまして至貴とし 019 PSA 097 010 ヱホバを愛しむものよ惡をにくめ ヱホバはその聖徒のたましひをまもり 之をあしきものの手より助けいだしたまふ 019 PSA 097 011 光はただしき人のためにまかれ 欣喜はこころ直きもののために播れたり 019 PSA 097 012 義人よヱホバにより喜べ そのきよき名に感謝せよ 019 PSA 098 001 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ そは妙なる事をおこなひその右の手そのきよき臂をもて 己のために救をなし畢たまへり 019 PSA 098 002 ヱホバはそのすくひを知しめ その義をもろもろの國人の目のまへにあらはし給へり 019 PSA 098 003 又その憐憫と眞實とをイスラエルの家にむかひて記念したまふ 地の極もことごとくわが神のすくひを見たり 019 PSA 098 004 全地よヱホバにむかひて歓ばしき聲をあげよ 聲をはなちてよろこびうたへ讃うたへ 019 PSA 098 005 琴をもてヱホバをほめうたへ 琴の音と歌のこゑとをもてせよ 019 PSA 098 006 ラッパと角笛をふきならし 王ヱホバのみまへによろこばしき聲をあげよ 019 PSA 098 007 海とそのなかに盈るもの 世界とせかいにすむものと鳴響むべし 019 PSA 098 008 大水はその手をうち もろもろの山はあひともにヱホバの前によろこびうたふべし 019 PSA 098 009 ヱホバ地をさばかんために來りたまへばなり ヱホバ義をもて世界をさばき 公平をもてもろもろの民をさばきたまはん 019 PSA 099 001 ヱホバは統治たまふ もろもろの民はをののくべし ヱホバはケルビムの間にいます 地ふるはん 019 PSA 099 002 ヱホバはシオンにましまして大なり もろもろの民にすぐれてたふとし 019 PSA 099 003 かれらは汝のおほいなる畏るべき名をほめたたふべし ヱホバは聖なるかな 019 PSA 099 004 王のちからは審判をこのみたまふ 汝はかたく公平をたてヤコブのなかに審判と公義とをおこなひたまふ 019 PSA 099 005 われらの神ヱホバをあがめ その承足のもとにて拝みまつれ ヱホバは聖なるかな 019 PSA 099 006 その祭司のなかにモーセとアロンとあり その名をよぶ者のなかにサムエルあり かれらヱホバをよびしに應へたまへり 019 PSA 099 007 ヱホバ雲の柱のうちにましましてかれらに語りたまへり かれらはその證詞とその賜はりたる律法とを守りたりき 019 PSA 099 008 われらの神ヱホバよなんぢ彼等にこたへたまへり かれらのなしし事にむくいたまひたれど また赦免をあたへたまへる神にてましませり 019 PSA 099 009 われらの神ヱホバを崇めそのきよき山にてをがみまつれ そはわれらの神ヱホバは聖なるなり 019 PSA 100 001 全地よヱホバにむかひて歡ばしき聲をあげよ 019 PSA 100 002 欣喜をいだきてヱホバに事へ うたひつつその前にきたれ 019 PSA 100 003 知れヱホバこそ神にますなれ われらを造りたまへるものはヱホバにましませば我儕はその屬なり われらはその民その草苑のひつじなり 019 PSA 100 004 感謝しつつその門にいり ほめたたへつつその大庭にいれ 感謝してその名をほめたたへよ 019 PSA 100 005 ヱホバはめぐみふかくその憐憫かぎりなく その眞實よろづ世におよぶべければなり 019 PSA 101 001 われ憐憫と審判とをうたはん ヱホバよ我なんぢを讃うたはん 019 PSA 101 002 われ心をさとくして全き道をまもらん なんぢいづれの時われにきたりたまふや 我なほき心をもてわが家のうちをありかん 019 PSA 101 003 われわが眼前にいやしき事をおかず われ叛くものの業をにくむ そのわざは我につかじ 019 PSA 101 004 僻めるこころは我よりはなれん 惡きものを知ることをこのまず 019 PSA 101 005 隠にその友をそしるものは我これをほろぼさん 高ぶる眼また驕れる心のものは我これをしのばじ 019 PSA 101 006 わが眼は國のうちの忠なる者をみて之をわれとともに住はせん 全き道をあゆむ人はわれに事へん 019 PSA 101 007 欺くことをなす者はわが家のうちに住むことをえず 虚偽をいふものはわが目前にたつことを得じ 019 PSA 101 008 われ朝な朝なこの國のあしき者をことごとく滅し ヱホバの邑より不義をおこなふ者をことごとく絶除かん 019 PSA 102 001 ヱホバよわが祈をききたまへ 願くはわが號呼のこゑの御前にいたらんことを 019 PSA 102 002 わが窮苦の日みかほを蔽ひたまふなかれ なんぢの耳をわれにかたぶけ 我がよぶ日にすみやかに我にこたへたまへ 019 PSA 102 003 わがもろもろの日は煙のごとくきえ わが骨はたきぎのごとく焚るるなり 019 PSA 102 004 わがこころは草のごとく撃れてしほれたり われ糧をくらふを忘れしによる 019 PSA 102 005 わが歎息のこゑによりてわが骨はわが肉につく 019 PSA 102 006 われは野の鸅鸕のごとく荒たる跡のふくろふのごとくになりぬ 019 PSA 102 007 われ醒てねぶらず ただ友なくして屋蓋にをる雀のごとくなれり 019 PSA 102 008 わが仇はひねもす我をそしる 猖狂ひて我をせむるもの我をさして誓ふ 019 PSA 102 009 われは糧をくらふごとくに灰をくらひ わが飮ものには涙をまじへたり 019 PSA 102 010 こは皆なんぢの怒と忿恚とによりてなり なんぢ我をもたげてなげすて給へり 019 PSA 102 011 わが齡はかたぶける日影のごとし またわれは草のごとく萎れたり 019 PSA 102 012 されどヱホバよなんぢは永遠にながらへ その名はよろづ世にながらへん 019 PSA 102 013 なんぢ起てシオンをあはれみたまはん そはシオンに恩惠をほどこしたまふときなり そのさだまれる期すでに來れり 019 PSA 102 014 なんぢの僕はシオンの石をもよろこび その塵をさへ愛しむ 019 PSA 102 015 もろもろの國はヱホバの名をおそれ 地のもろもろの王はその榮光をおそれん 019 PSA 102 016 ヱホバはシオンをきづき榮光をもてあらはれたまへり 019 PSA 102 017 ヱホバは乏しきものの祈をかへりみ彼等のいのりを藐しめたまはざりき 019 PSA 102 018 來らんとするのちの世のためにこの事をしるさん 新しくつくられたる民はヤハをほめたたふべし 019 PSA 102 019 ヱホバその聖所のたかき所よりみおろし天より地をみたまへり 019 PSA 102 020 こは俘囚のなげきをきき死にさだまれる者をときはなち 019 PSA 102 021 人々のシオンにてヱホバの名をあらはしヱルサレムにてその頌美をあらはさんが爲なり 019 PSA 102 022 かかる時にもろもろの民もろもろの國つどひあつまりてヱホバに事へまつらん 019 PSA 102 023 ヱホバはわがちからを途にておとろへしめ わが齢をみじかからしめ給へり 019 PSA 102 024 我いへりねがはくはわが神よわがすべての日のなかばにて我をとりさりたまふなかれ 汝のよはひは世々かぎりなし 019 PSA 102 025 汝いにしへ地の基をすゑたまへり 天もまたなんぢの手の工なり 019 PSA 102 026 これらは亡びん されど汝はつねに存らへたまはん これらはみな衣のごとくふるびん 汝これらを袍のごとく更たまはん されば彼等はかはらん 019 PSA 102 027 然れども汝はかはることなし なんぢの齢はをはらざるなり 019 PSA 102 028 汝のしもべの子輩はながらへん その裔はかたく前にたてらるべし 019 PSA 103 001 わが霊魂よヱホバをほめまつれ わが衷なるすべてのものよそのきよき名をほめまつれ 019 PSA 103 002 わがたましひよヱホバを讃まつれ そのすべての恩惠をわするるなかれ 019 PSA 103 003 ヱホバはなんぢがすべての不義をゆるし汝のすべての疾をいやし 019 PSA 103 004 なんぢの生命をほろびより贖ひいだし 仁慈と憐憫とを汝にかうぶらせ 019 PSA 103 005 なんぢの口を嘉物にてあかしめたまふ 斯てなんぢは壯ぎて鷲のごとく新になるなり 019 PSA 103 006 ヱホバはすべて虐げらるる者のために公義と審判とをおこなひたまふ 019 PSA 103 007 おのれの途をモーセにしらしめ おのれの作爲をイスラエルの子輩にしらしめ給へり 019 PSA 103 008 ヱホバはあはれみと恩惠にみちて怒りたまふことおそく仁慈ゆたかにましませり 019 PSA 103 009 恒にせむることをせず永遠にいかりを懐きたまはざるなり 019 PSA 103 010 ヱホバはわれらの罪の量にしたがひて我儕をあしらひたまはず われらの不義のかさにしたがひて報いたまはざりき 019 PSA 103 011 ヱホバをおそるるものにヱホバの賜ふそのあはれみは大にして 天の地よりも高きがごとし 019 PSA 103 012 そのわれらより愆をとほざけたまふことは東の西より遠きがごとし 019 PSA 103 013 ヱホバの己をおそるる者をあはれみたまふことは父がその子をあはれむが如し 019 PSA 103 014 ヱホバは我儕のつくられし状をしり われらの塵なることを念ひ給へばなり 019 PSA 103 015 人のよはひは草のごとく その榮はのの花のごとし 019 PSA 103 016 風すぐれば失てあとなくその生いでし處にとへど尚しらざるなり 019 PSA 103 017 然はあれどヱホバの憐憫はとこしへより永遠まで ヱホバをおそるるものにいたり その公義は子孫のまた子孫にいたらん 019 PSA 103 018 その契約をまもりその訓諭を心にとめて行ふものぞその人なる 019 PSA 103 019 ヱホバはその寳座をもろもろの天にかたく置たまへり その政權はよろづのもののうへにあり 019 PSA 103 020 ヱホバにつかふる使者よ ヱホバの聖言のこゑをきき その聖言をおこなふ勇士よ ヱホバをほめまつれ 019 PSA 103 021 その萬軍よ その聖旨をおこなふ僕等よ ヱホバをほめまつれ 019 PSA 103 022 その造りたまへる萬物よ ヱホバの政權の下なるすべての處にてヱホバをほめよ わがたましひよヱホバを讃まつれ 019 PSA 104 001 わが霊魂よヱホパをほめまつれ わが神ヱホバよなんぢは至大にして尊貴と稜威とを衣たまへり 019 PSA 104 002 なんぢ光をころものごとくにまとひ天を幕のごとくにはり 019 PSA 104 003 水のなかにおのれの殿の棟梁をおき 雲をおのれの車となし 風の翼にのりあるき 019 PSA 104 004 かぜを使者となし熖のいづる火を僕となしたまふ 019 PSA 104 005 ヱホバは地を基のうへにおきて 永遠にうごくことなからしめたまふ 019 PSA 104 006 衣にておほふがごとく大水にて地をおほひたまへり 水たたへて山のうへをこゆ 019 PSA 104 007 なんぢ叱咤すれば水しりぞき 汝いかづちの聲をはなてば水たちまち去ぬ 019 PSA 104 008 あるひは山にのぼり或ひは谷にくだりて 汝のさだめたまへる所にゆけり 019 PSA 104 009 なんぢ界をたてて之をこえしめず ふたたび地をおほふことなからしむ 019 PSA 104 010 ヱホバはいづみを谷にわきいだし給ふ その流は山のあひだにはしる 019 PSA 104 011 かくて野のもろもろの獣にのましむ 野の驢馬もその渇をやむ 019 PSA 104 012 空の鳥もそのほとりにすみ 樹梢の間よりさえづりうたふ 019 PSA 104 013 ヱホバはその殿よりもろもろの山に灌漑たまふ 地はなんぢのみわざの實によりて飽足ぬ 019 PSA 104 014 ヱホバは草をはえしめて家畜にあたへ 田產をはえしめて人の使用にそなへたまふ かく地より食物をいだしたまふ 019 PSA 104 015 人のこころを歓ばしむる葡萄酒 ひとの顔をつややかならしむるあぶら 人のこころを強からしむる糧どもなり 019 PSA 104 016 ヱホバの樹とその植たまへるレバノンの香柏とは飽足ぬべし 019 PSA 104 017 鳥はそのなかに巣をつくり鶴は松をその棲とせり 019 PSA 104 018 たかき山は山羊のすまひ磐石は山鼠のかくるる所なり 019 PSA 104 019 ヱホバは月をつくりて時をつかさどらせたまへり 日はその西にいることをしる 019 PSA 104 020 なんぢ黑暗をつくりたまへば夜あり そのとき林のけものは皆しのびしのびに出きたる 019 PSA 104 021 わかき獅ほえて餌をもとめ神にくひものをもとむ 019 PSA 104 022 日いづれば退きてその穴にふす 019 PSA 104 023 人はいでて工をとりその勤勞はゆふべにまでいたる 019 PSA 104 024 ヱホバよなんぢの事跡はいかに多なる これらは皆なんぢの智慧にてつくりたまへり 汝のもろもろの富は地にみつ 019 PSA 104 025 かしこに大なるひろき海あり そのなかに數しられぬ匍ふもの小なる大なる生るものあり 019 PSA 104 026 舟そのうへをはしり汝のつくりたまへる鰐そのうちにあそびたはぶる 019 PSA 104 027 彼ら皆なんぢを俟望む なんぢ宜時にくひものを之にあたへたまふ 019 PSA 104 028 彼等はなんぢの予へたまふ物をひろふ なんぢ手をひらきたまへばかれら嘉物にあきたりぬ 019 PSA 104 029 なんぢ面をおほひたまへば彼等はあわてふためく 汝かれらの氣息をとりたまへばかれらは死て塵にかへる 019 PSA 104 030 なんぢ霊をいだしたまへば百物みな造らるなんぢ地のおもてを新にしたまふ 019 PSA 104 031 願くはヱホバの榮光とこしへにあらんことを ヱホバそのみわざを喜びたまはんことを 019 PSA 104 032 ヱホバ地をみたまへば地ふるひ山にふれたまへば山は煙をいだす 019 PSA 104 033 生るかぎりはヱホバに向ひてうたひ 我ながらふるほどはわが神をほめうたはん 019 PSA 104 034 ヱホバをおもふわが思念はたのしみ深からん われヱホバによりて喜ぶべし 019 PSA 104 035 罪人は地より絶滅され あしきものは復あらざるべし わが霊魂よヱホバをほめまつれヱホバを讃稱へよ 019 PSA 105 001 ヱホバに感謝してその名をよび そのなしたまへる事をもろもろの民輩のなかにしらしめよ 019 PSA 105 002 ヱホバにむかひてうたへヱホバを讃うたへ そのもろもろの妙なる事跡をかたれ 019 PSA 105 003 そのきよき名をほこれ ヱホバをたづねもとむるものの心はよろこぶべし 019 PSA 105 004 ヱホバとその能力とをたづねもとめよ つねにその聖顔をたづねよ 019 PSA 105 005 その僕アブラムの裔よヤコブの子輩よ そのえらびたまひし所のものよ そのなしたまへる妙なるみわざと奇しき事跡とその口のさばきとを心にとむれ 019 PSA 105 006 その僕アブラムの裔よヤコブの子輩よ そのえらびたまひし所のものよ そのなしたまへる妙なるみわざと奇しき事跡とその口のさばきとを心にとむれ 019 PSA 105 007 彼はわれらの神ヱホバなり そのみさばきは全地にあり 019 PSA 105 008 ヱホバはたえずその契約をみこころに記たまへり 此はよろづ代に命じたまひし聖言なり 019 PSA 105 009 アブラハムとむすびたまひし契約イサクに與へたまひし誓なり 019 PSA 105 010 之をかたくしヤコブのために律法となし イスラエルのためにとこしへの契約となして 019 PSA 105 011 言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分となさん 019 PSA 105 012 この時かれらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり 019 PSA 105 013 この國よりかの國にゆき この國よりほかの民にゆけり 019 PSA 105 014 人のかれらを虐ぐるをゆるし給はず かれらの故によりて王たちを懲しめて 019 PSA 105 015 宣給くわが受膏者たちにふるるなかれ わが預言者たちをそこなふなかれ 019 PSA 105 016 ヱホバは饑饉たを地にまねき 人の杖とする糧をことごとく碎きたまへり 019 PSA 105 017 又かれらの前にひとりを遣したまへり ヨセフはうられて僕となりぬ 019 PSA 105 018 かれら足械をもてヨセフの足をそこなひ くろかねの鏈をもてその霊魂をつなげり 019 PSA 105 019 斯てそのことばの驗をうるまでに及ぶ ヱホバのみことば彼をこころみたまへり 019 PSA 105 020 王は人をつかはしてこれを解き もろもろの民の長はこれをゆるし 019 PSA 105 021 之をその家司となし その財寶をことごとく司どらせ 019 PSA 105 022 その心のままにかの國のきみたちを縛しめ 長老たちに智慧ををしへしむ 019 PSA 105 023 イスラエルも亦エジプトにゆき ヤコブはハムの地にやどれり 019 PSA 105 024 ヱホバはその民を大にましくはへ之をその敵よりも強くしたまへり 019 PSA 105 025 また敵のこころをかへておのれの民をにくましめ おのれの僕輩をあざむき待さしめたまへり 019 PSA 105 026 又そのしもべモーセとその選びたまへるアロンとを遣したまへり 019 PSA 105 027 かれらはヱホバの預兆をハムの地におこなひ またその國にくすしき事をおこなへり 019 PSA 105 028 ヱホバは闇をつかはして暗くしたまへり かれらその聖言にそむくことをせざりき 019 PSA 105 029 彼等のすべての水を血にかへてその魚をころしたまへり 019 PSA 105 030 かれらの國は蛙むれいでて王の殿のうちにまでみちふさがりぬ 019 PSA 105 031 ヱホバいひたまへば蝿むらがり蚤そのすべての境にいりきたりぬ 019 PSA 105 032 また雨にかへて霰をかれらに與へもゆる火をかれらの國にふらし 019 PSA 105 033 かれらの葡萄の樹といちじくの樹とをうちその境のもろちろの樹ををりくだきたまへり 019 PSA 105 034 ヱホバいひたまへば算しられぬ蝗と蟊賊きたり 019 PSA 105 035 かれらの國のすべての田產をはみつくしその地のすべての實を食つくせり 019 PSA 105 036 ヱホバはかれらの國のすべての首出者をうち かれらのすべての力の始をうちたまへり 019 PSA 105 037 しろかね黄金をたづさへて彼等をいでゆかしめたまへり その家族のうちに一人のよわき者もなかりき 019 PSA 105 038 エジプトはかれらの出るをよろこべり かれらをおそるるの念そのうちにおこりたればなり 019 PSA 105 039 ヱホバは雲をしきて蓋となし夜は火をもて照したまへり 019 PSA 105 040 又かれらの求によりて鶉をきたらしめ天の餅にてかれらを飽しめたまへり 019 PSA 105 041 磐をひらきたまへば水ほどばしりいで 潤ひなきところに川をなして流れいでたり 019 PSA 105 042 ヱホバそのきよき聖言とその僕アブラハムとをおもひいでたまひたればなり 019 PSA 105 043 その民をみちびきて歓びつついでしめ そのえらべる民をみちびきて謳ひつついでしめたまへり 019 PSA 105 044 もろもろの國人の地をかれらに與へたまひしかば 彼等もろもろのたみの勤勞をおのが有とせり 019 PSA 105 045 こは彼等がその律にしたがひその法をまもらんが爲なり ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 106 001 ヱホバをほめたたへヱホバに感謝せよ そのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし 019 PSA 106 002 たれかヱホバの力ある事跡をかたり その讃べきことを悉とくいひあらはし得んや 019 PSA 106 003 審判をまもる人々つねに正義をおこなふ者はさいはひなり 019 PSA 106 004 ヱホバよなんぢの民にたまふ惠をもて我をおぼえ なんぢの救をもてわれに臨みたまへ 019 PSA 106 005 さらば我なんぢの撰びたまへる者のさいはひを見 なんぢの國の歓喜をよろこび なんぢの嗣業とともに誇ることをせん 019 PSA 106 006 われら列祖とともに罪ををかせり 我儕よこしまをなし惡をおこなへり 019 PSA 106 007 われらの列祖はなんぢがエジプトにてなしたまへる奇しき事跡をさとらず 汝のあはれみの豊かなるを心にとめず 海のほとり即ち紅海のほとりにて逆きたり 019 PSA 106 008 されどヱホバはその名のゆゑをもて彼等をすくひたまへり こは大なる能力をしらしめんとてなり 019 PSA 106 009 また紅海を叱咤したまひたれば乾きたり かくて民をみちびきて野をゆくがごとくに淵をすぎしめ 019 PSA 106 010 恨むるものの手よりかれらをすくひ 仇の手よりかれらを贖ひたまへり 019 PSA 106 011 水その敵をおほひたればその一人だにのこりし者なかりき 019 PSA 106 012 このとき彼等そのみことばを信じその頌美をうたへり 019 PSA 106 013 彼等しばしがほどにその事跡をわすれその訓誨をまたず 019 PSA 106 014 野にていたくむさぼり荒野にて神をこころみたりき 019 PSA 106 015 ヱホバはかれらの願欲をかなへたまひしかど その霊魂をやせしめたまへり 019 PSA 106 016 たみは營のうちにてモーセを嫉みヱホパの聖者アロンをねたみしかば 019 PSA 106 017 地ひらけてダタンを呑みアビラムの黨類をおほひ 019 PSA 106 018 火はこのともがらの中にもえおこり熖はあしき者をやきつくせり 019 PSA 106 019 かれらはホレブの山にて犢をつくり鑄たる像ををがみたり 019 PSA 106 020 かくの如くおのが榮光をかへて草をくらふ牛のかたちに似す 019 PSA 106 021 救主なる神はエジプトにて大なるわざをなし 019 PSA 106 022 ハムの地にて奇しき事跡をなし紅海のほとりにて懼るべきことを爲たまへり かれは斯る神をわすれたり 019 PSA 106 023 この故にヱホバかれらを亡さんと宣まへり されど神のえらみたまへる者モーセやぶれの間隙にありてその前にたちその烈怒をひきかへして滅亡をまぬかれしめたり 019 PSA 106 024 かれら美しき地を蔑しそのみことばを信ぜず 019 PSA 106 025 剰さへその幕屋にてつぶやきヱホバの聲をもきかざりき 019 PSA 106 026 この故に手をあげて彼等にむかひたまへり これ野にてかれらを斃れしめんとし 019 PSA 106 027 又もろもろの國のうちにてその裔をたふれしめ もろもろの地にかれらを散さんとしたまへるなり 019 PSA 106 028 彼らはバアルベオルにつきて死るものの祭物をくらひたり 019 PSA 106 029 斯のごとくその行爲をもてヱホバの烈怒をひきいだしければえやみ侵しいりたり 019 PSA 106 030 そのときピネハスたちて裁判をなせり かくて疫癘はやみぬ 019 PSA 106 031 ピネハスは萬代までとこしへにこのことを義とせられたり 019 PSA 106 032 民メリバの水のほとりにてヱホバの烈怒をひきおこししかば かれらの故によりてモーセも禍害にあへり 019 PSA 106 033 かれら神の霊にそむきしかばモーセその口唇にて妄にものいひたればなり 019 PSA 106 034 かれらはヱホバの命じたまへる事にしたがはずしてもろもろの民をほろぼさず 019 PSA 106 035 反てもろもろの國人とまじりをりてその行爲にならひ 019 PSA 106 036 おのが羂となりしその偶像につかへたり 019 PSA 106 037 かれらはその子女を鬼にささぐ 019 PSA 106 038 罪なき血すなはちカナンの偶像にささげたる己がむすこむすめの血をながしぬ 斯てくには血にてけがされたり 019 PSA 106 039 またそのわざは自己をけがし そのおこなふところは姦淫なり 019 PSA 106 040 このゆゑにヱホバの怒その民にむかひて起り その嗣業をにくみて 019 PSA 106 041 かれらをもろもろの國の手にわたしたまへり 彼等はおのれを恨るものに制へられ 019 PSA 106 042 おのれの仇にしへたげられ その手の下にうちふせられたり 019 PSA 106 043 ヱホバはしばしば助けたまひしかどかれらは謀略をまうけて逆き そのよこしまに卑くせられたり 019 PSA 106 044 されどヱホバはかれらの哭聲をききたまひしとき その患難をかへりみ 019 PSA 106 045 その契約をかれらの爲におもひいだし その憐憫のゆたかなるにより聖意をかへさせ給ひて 019 PSA 106 046 かれらを己がとりこにせられたる者どもに憐まるることを得しめたまへり 019 PSA 106 047 われらの神ヱホバよ われらをすくひて列邦のなかより取集めたまへ われらは聖名に謝し なんぢのほむべき事をほこらん 019 PSA 106 048 イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな すべての民はアーメンととなふべし ヱホバを讃稱へよ 019 PSA 107 001 ヱホバに感謝せよ ヱホバは惠ふかくましましてその憐憫かぎりなし 019 PSA 107 002 ヱホバの救贖をかうぶる者はみな然いふべきなり 019 PSA 107 003 ヱホバは敵の手よりかれらを贖ひもろもろの地よ東西北南よりとりあつめたまへり 019 PSA 107 004 かれら野にてあれはてたる路にさまよひその住ふべき邑にあはざりき 019 PSA 107 005 かれら饑また渇きそのうちの霊魂おとろへたり 019 PSA 107 006 斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりたすけいだし 019 PSA 107 007 住ふべき邑にゆかしめんとて直き路にみちびきたまへり 019 PSA 107 008 願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを 019 PSA 107 009 ヱホバは渇きしたふ霊魂をたらはせ饑たるたましひを嘉物にてあかしめ給へばなり 019 PSA 107 010 くらきと死の蔭とに居るもの患難とくろがねとに縛しめらるるもの 019 PSA 107 011 神の言にそむき至高者のをしへを蔑しめければ 019 PSA 107 012 勤勞をもてその心をひくうしたまへり かれら仆れたれど助くるものもなかりき 019 PSA 107 013 斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりすくひ 019 PSA 107 014 くらきと死のかげより彼等をみちびき出してその械をこぼちたまへり 019 PSA 107 015 願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを 019 PSA 107 016 そはあかがねの門をこぼち くろがねの關木をたちきりたまへり 019 PSA 107 017 愚かなる者はおのが愆の道により己がよこしまによりて惱めり 019 PSA 107 018 かれらの霊魂はすべての食物をきらひて死の門にちかづく 019 PSA 107 019 かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりすくひたまふ 019 PSA 107 020 その聖言をつかはして之をいやし之をその滅亡よりたすけいだしたまふ 019 PSA 107 021 願くはすべての人ヱホバのめぐみにより人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを 019 PSA 107 022 かれらは感謝のそなへものをささげ喜びうたひてその事跡をいひあらはすべし 019 PSA 107 023 舟にて海にうかび大洋にて事をいとなむ者は 019 PSA 107 024 ヱホバのみわざを見また淵にてその奇しき事跡をみる 019 PSA 107 025 ヱホバ命じたまへばあらき風おこりてその浪をあぐ 019 PSA 107 026 かれら天にのぼりまた淵にくだり患難によりてその霊魂とけさり 019 PSA 107 027 左た右たにかたぶき酔たる者のごとく踉蹌てなす所をしらず 019 PSA 107 028 かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりたづさへいで 019 PSA 107 029 狂風をしづめて浪をおだやかになし給へり 019 PSA 107 030 かれらはおのが靜かなるをよろこぶ 斯てヱホバはかれらをその望むところの湊にみちびきたまふ 019 PSA 107 031 願くはすべての人ヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを 019 PSA 107 032 かれら民の會にてこれをあがめ長老の座にてこれを讃稱ふべし 019 PSA 107 033 ヱホバは河を野にかはらせ泉をかわける地に變らせ 019 PSA 107 034 また豊かなる地にすめる民の惡によりてそこを鹵の地にかはらせ給ふ 019 PSA 107 035 野を池にかはらせ乾ける地をいづみにかはらせ 019 PSA 107 036 ここに餓たるものを住はせたまふ されば彼らは己がすまひの邑をたて 019 PSA 107 037 畠にたねをまき葡萄園をまうけてそのむすべる實をえたり 019 PSA 107 038 ヱホバはかれらの甚くふえひろごれるまでに惠をあたへ その牲畜のへることをも許したまはず 019 PSA 107 039 されどまた虐待くるしみ悲哀によりて減ゆき且うなたれたり 019 PSA 107 040 ヱホバもろもろの君に侮辱をそそぎ道なき荒地にさまよはせたまふ 019 PSA 107 041 然はあれど貧しきものを患難のうちより擧てその家族をひつじの群のごとくならしめたまふ 019 PSA 107 042 直きものは之をみて喜びもろもろの不義はその口をふさがん 019 PSA 107 043 すべて慧者はこれらのことに心をよせヱホバの憐憫をさとるべし 019 PSA 108 001 神よわが心はさだまれり われ謳ひまつらん 稱まつらん わが榮をもてたたへまつらん 019 PSA 108 002 筝よ琴よさむべし われ黎明をよびさまさん 019 PSA 108 003 ヱホバよ我もろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにてなんぢをほめうたはん 019 PSA 108 004 そは汝のあはれみは大にして天のうへにあがり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ 019 PSA 108 005 神よねがはくはみづからを天よりもたかくし榮光を全地のうへに擧たまへ 019 PSA 108 006 ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ 019 PSA 108 007 神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん我シケムをわかちスコテの谷をはからん 019 PSA 108 008 ギレアデはわがものマナセはわが有なりエフライムも亦わが首のまもりなりユダはわが杖 019 PSA 108 009 モアブはわが足盥なりエドムにはわが履をなげんペリシテよわが故によりて聲をあげよと 019 PSA 108 010 誰かわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきしや 019 PSA 108 011 神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともに出ゆきたまはず 019 PSA 108 012 ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり 019 PSA 108 013 われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をふみたまふものは神なればなり 019 PSA 109 001 わが讃たたふる神よもだしたまふなかれ 019 PSA 109 002 かれらは惡の口とあざむきの口とをあけて我にむかひ いつはりの舌をもて我にかたり 019 PSA 109 003 うらみの言をもて我をかこみ ゆゑなく我をせめて闘ふことあればなり 019 PSA 109 004 われ愛するにかれら反りてわが敵となる われただ祈るなり 019 PSA 109 005 かれらは惡をもてわが善にむくい恨をもてわが愛にむくいたり 019 PSA 109 006 ねがはくは彼のうへに惡人をたてその右方に敵をたたしめたまへ 019 PSA 109 007 かれが鞫かるるときはその罪をあらはにせられ又そのいのりは罪となり 019 PSA 109 008 その日はすくなく その職はほかの人にえられ 019 PSA 109 009 その子輩はみなしごとなり その妻はやもめとなり 019 PSA 109 010 その子輩はさすらひて乞丐 そのあれたる處よりいできたりて食をもとむべし 019 PSA 109 011 彼のもてるすべてのものは債主にうばはれ かれの勤勞は外人にかすめらるべし 019 PSA 109 012 かれに惠をあたふる人ひとりだになく かれの孤子をあはれむ者もなく 019 PSA 109 013 その裔はたえその名はつぎの世にきえうすべし 019 PSA 109 014 その父等のよこしまはヱホバのみこころに記され その母のつみはきえざるべし 019 PSA 109 015 かれらは恒にヱホバの前におかれ その名は地より斷るべし 019 PSA 109 016 かかる人はあはれみを施すことをおもはず反りて貧しきもの乏しきもの心のいためる者をころさんとして攻たりき 019 PSA 109 017 かかる人は詛ふことをこのむ この故にのろひ己にいたる惠むことをたのしまず この故にめぐみ己にとほざかれり 019 PSA 109 018 かかる人はころものごとくに詛をきる この故にのろひ水のごとくにおのれの衷にいり油のごとくにおのれの骨にいれり 019 PSA 109 019 ねがはくは詛をおのれのきたる衣のごとく帶のごとくなして恒にみづから纏はんことを 019 PSA 109 020 これらの事はわが敵とわが霊魂にさからひて惡言をいふ者とにヱホバのあたへたまふ報なり 019 PSA 109 021 されど主ヱホバよなんぢの名のゆゑをもて我をかへりみたまへ なんぢの憐憫はいとふかし ねがはくは我をたすけたまへ 019 PSA 109 022 われは貧しくして乏し わが心うちにて傷をうく 019 PSA 109 023 わがゆく状はゆふ日の影のごとく また蝗のごとく吹さらるるなり 019 PSA 109 024 わが膝は斷食によりてよろめき わが肉はやせおとろふ 019 PSA 109 025 われは彼等にそしらるる者となれり かれら我をみるときは首をふる 019 PSA 109 026 わが神ヱホバよねがはくは我をたすけその憐憫にしたがひて我をすくひたまへ 019 PSA 109 027 ヱホバよこれらは皆なんぢの手よりいで 汝のなしたまへることなるを彼等にしらしめたまへ 019 PSA 109 028 かれらは詛へども汝はめぐみたまふ かれらの立ときは恥かしめらるれどもなんぢの僕はよろこばん 019 PSA 109 029 わがもろもろの敵はあなどりを衣おのが恥を外袍のごとくにまとふべし 019 PSA 109 030 われはわが口をもて大にヱホバに謝し おほくの人のなかにて讃まつらむ 019 PSA 109 031 ヱホバはまづしきものの右にたちてその霊魂を罪せんとする者より之をすくひたまへり 019 PSA 110 001 ヱホバわが主にのたまふ 我なんぢの仇をなんぢの承足とするまではわが右にざすべし 019 PSA 110 002 ヱホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん 汝はもろもろの仇のなかに王となるべし 019 PSA 110 003 なんぢのいきほひの日になんぢの民は聖なるうるはしき衣をつけ 心よりよろこびて己をささげん なんぢは朝の胎よりいづる壯きものの露をもてり 019 PSA 110 004 ヱホバ誓をたてて聖意をかへさせたまふことなし 汝はメルキセデクの状にひとしくとこしへに祭司たり 019 PSA 110 005 主はなんぢの右にありてそのいかりの日に王等をうちたまへり 019 PSA 110 006 主はもろもろの國のなかにて審判をおこなひたまはん 此處にも彼處にも屍をみたしめ 寛濶なる地をすぶる首領をうちたまへり 019 PSA 110 007 かれ道のほとりの川より汲てのみ斯てかうべを擧ん 019 PSA 111 001 ヱホバを讃たたへよ 我はなほきものの會あるひは公會にて心をつくしてヱホバに感謝せん 019 PSA 111 002 ヱホバのみわざは大なりすべてその事跡をしたふものは之をかんがへ究む 019 PSA 111 003 その行ひたまふところは榮光ありまた稜威あり その公義はとこしへに失することなし 019 PSA 111 004 ヱホバはその奇しきみわざを人のこころに記しめたまへり ヱホバはめぐみと憐憫とにて充たまふ 019 PSA 111 005 ヱホバは己をおそるるものに糧をあたへたまへり またその契約をとこしへに心にとめたまはん 019 PSA 111 006 ヱホバはもろもろの國の所領をおのれの民にあたへてその作爲のちからを之にあらはしたまへり 019 PSA 111 007 その手のみわざは眞實なり公義なり そのもろもろの訓諭はかたし 019 PSA 111 008 これらは世々かぎりなく堅くたち眞實と正直とにてなれり 019 PSA 111 009 ヱホバはそのたみに救贖をほどこし その契約をとこしへに立たまへり ヱホバの名は聖にしてあがむべきなり 019 PSA 111 010 ヱホバをおそるるは智慧のはじめなり これらを行ふものは皆あきらかなる聰ある人なり ヱホバの頌美はとこしへに失ることなし 019 PSA 112 001 ヱホバを讃まつれヱホバを畏れてそのもろもろの誡命をいたく喜ぶものはさいはひなり 019 PSA 112 002 かかる人のすゑは地にてつよく直きものの類はさいはひを得ん 019 PSA 112 003 富と財とはその家にあり その公義はとこしへにうすることなし 019 PSA 112 004 直き者のために暗きなかにも光あらはる 彼は惠ゆたかに憐憫にみつる義しきものなり 019 PSA 112 005 惠をほどこし貸ことをなす者はさいはひなり かかる人は審判をうくるときおのが訴をささへうべし 019 PSA 112 006 又とこしへまで動かさるることなからん義者はながく忘れらるることなかるべし 019 PSA 112 007 彼はあしき音信によりて畏れず その心ヱホバに依賴みてさだまれり 019 PSA 112 008 その心かたくたちて懼るることなく敵につきての願望をつひに見ん 019 PSA 112 009 彼はちらして貧者にあたふ その正義はとこしへにうすることなし その角はあがめをうけて擧られん 019 PSA 112 010 惡者はこれを見てうれへもだえ切歯しつつ消さらん また惡きものの願望はほろぶべし 019 PSA 113 001 ヱホバをほめまつれ汝等ヱホバの僕よほめまつれヱホバの名をほめまつれ 019 PSA 113 002 今より永遠にいたるまでヱホバの名はほむべきかな 019 PSA 113 003 日のいづる處より日のいる處までヱホバの名はほめらるべし 019 PSA 113 004 ヱホバはもろもろの國の上にありてたかく その榮光は天よりもたかし 019 PSA 113 005 われらの神ヱホバにたぐふべき者はたれぞや 寳座をその高處にすゑ己をひくくして天と地とをかへりみ給ふ 019 PSA 113 006 われらの神ヱホバにたぐふべき者はたれぞや 寳座をその高處にすゑ己をひくくして天と地とをかへりみ給ふ 019 PSA 113 007 まづしきものを塵よりあげ乏しきものを糞土よりあげて 019 PSA 113 008 もろもろの諸侯とともにすわらせ その民のきみたちと共にすわらせたまはん 019 PSA 113 009 又はらみなき婦に家をまもらせ おほくの子女のよろこばしき母たらしめたまふ ヱホバを讃まつれ 019 PSA 114 001 イスラエルの民エジプトをいで ヤコブのいへ異言の民をはなれしとき 019 PSA 114 002 ユダはヱホバの聖所となりイスラエルはヱホバの所領となれり 019 PSA 114 003 海はこれを見てにげヨルダンは後にしりぞき 019 PSA 114 004 山は牡羊のごとくをどり小山はこひつじのごとく躍れり 019 PSA 114 005 海よなんぢ何とてにぐるやヨルダンよなんぢ何とて後にしりぞくや 019 PSA 114 006 山よなにとて牡羊のごとくをどるや小山よなにとて小羊のごとく躍るや 019 PSA 114 007 地よ主のみまへヤコブの神の前にをののけ 019 PSA 114 008 主はいはを池にかはらせ石をいづみに變らせたまへり 019 PSA 115 001 ヱホバよ榮光をわれらに歸するなかれ われらに歸するなかれ なんぢのあはれみと汝のまこととの故によりてただ名にのみ歸したまへ 019 PSA 115 002 もろもろの國人はいかなればいふ 今かれらの神はいづくにありやと 019 PSA 115 003 然どわれらの神は天にいます 神はみこころのままにすべての事をおこなひ給へり 019 PSA 115 004 かれらの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり 019 PSA 115 005 その偶像は口あれどいはず目あれどみず 019 PSA 115 006 耳あれどきかず鼻あれどかがず 019 PSA 115 007 手あれどとらず脚あれどあゆまず喉より聲をいだすことなし 019 PSA 115 008 此をつくる者とこれに依賴むものとは皆これにひとしからん 019 PSA 115 009 イスラエルよなんぢヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり 019 PSA 115 010 アロンの家よなんぢらヱホバによりたのめ ヱホバはかれらの助かれらの盾なり 019 PSA 115 011 ヱホバを畏るるものよヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり 019 PSA 115 012 ヱホバは我儕をみこころに記たまへり われらを惠みイスラエルの家をめぐみアロンのいへをめぐみ 019 PSA 115 013 また小なるも大なるもヱホバをおそるる者をめぐみたまはん 019 PSA 115 014 願くはヱホバなんぢらを増加へ なんぢらとなんぢらの子孫とをましくはへ給はんことを 019 PSA 115 015 なんぢらは天地をつくりたまへるヱホバに惠まるる者なり 019 PSA 115 016 天はヱホバの天なり されど地は人の子にあたへたまへり 019 PSA 115 017 死人も幽寂ところに下れるものもヤハを讃稱ふることなし 019 PSA 115 018 然どわれらは今より永遠にいたるまでヱホバを讃まつらむ 汝等ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 116 001 われヱホバを愛しむ そはわが聲とわが願望とをききたまへばなり 019 PSA 116 002 ヱホバみみを我にかたぶけたまひしが故に われ世にあらんかぎりヱホバを呼まつらむ 019 PSA 116 003 死の繩われをまとひ陰府のくるしみ我にのぞめり われは患難とうれへとにあへり 019 PSA 116 004 その時われヱホバの名をよべり ヱホバよ願くはわが霊魂をすくひたまへと 019 PSA 116 005 ヱホバは恩惠ゆたかにして公義ましませり われらの神はあはれみ深し 019 PSA 116 006 ヱホバは愚かなるものを護りたまふ われ卑くせられしがヱホバ我をすくひたまへり 019 PSA 116 007 わが霊魂よなんぢの平安にかへれ ヱホバは豊かになんぢを待ひたまへばなり 019 PSA 116 008 汝はわがたましひを死より わが目をなみだより わが足を顛蹶よりたすけいだしたまひき 019 PSA 116 009 われは活るものの國にてヱホバの前にあゆまん 019 PSA 116 010 われ大になやめりといひつつもなほ信じたり 019 PSA 116 011 われ惶てしときに云らく すべての人はいつはりなりと 019 PSA 116 012 我いかにしてその賜へるもろもろの恩惠をヱホバにむくいんや 019 PSA 116 013 われ救のさかづきをとりてヱホバの名をよびまつらむ 019 PSA 116 014 我すべての民のまへにてヱホバにわが誓をつくのはん 019 PSA 116 015 ヱホバの聖徒の死はそのみまへにて貴とし 019 PSA 116 016 ヱホバよ誠にわれはなんぢの僕なり われはなんぢの婢女の子にして汝のしもべなり なんぢわが縲絏をときたまへり 019 PSA 116 017 われ感謝をそなへものとして汝にささげん われヱホバの名をよばん 019 PSA 116 018 我すべての民のまへにてヱホバにわがちかひを償はん 019 PSA 116 019 ヱルサレムよ汝のなかにてヱホバのいへの大庭のなかにて此をつくのふべし ヱホバを讃まつれ 019 PSA 117 001 もろもろの國よなんぢらヱホバを讃まつれ もろもろの民よなんぢらヱホバを稱へまつれ 019 PSA 117 002 そはわれらに賜ふその憐憫はおほいなり ヱホバの眞實はとこしへに絶ることなし ヱホバをほめまつれ 019 PSA 118 001 ヱホバに感謝せよヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし 019 PSA 118 002 イスラエルは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと 019 PSA 118 003 アロンの家はいざ言ふべし そのあはれみは永遠にたゆることなしと 019 PSA 118 004 ヱホバを畏るるものは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと 019 PSA 118 005 われ患難のなかよりヱホバをよべば ヱホバこたへて我をひろき處におきたまへり 019 PSA 118 006 ヱホバわが方にいませばわれにおそれなし 人われに何をなしえんや 019 PSA 118 007 ヱホバはわれを助くるものとともに我がかたに坐す この故にわれを憎むものにつきての願望をわれ見ることをえん 019 PSA 118 008 ヱホバに依賴むは人にたよるよりも勝りてよし 019 PSA 118 009 ヱホバによりたのむはもろもろの侯にたよるよりも勝りてよし 019 PSA 118 010 もろもろの國はわれを圍めり われヱホバの名によりて彼等をほろぼさん 019 PSA 118 011 かれらは我をかこめり我をかこめりヱホバの名によりて彼等をほろぼさん 019 PSA 118 012 かれらは蜂のごとく我をかこめり かれらは荊の火のごとく消たり われはヱホバの名によりてかれらを滅さん 019 PSA 118 013 汝われを倒さんとしていたく剌つれど ヱホバわれを助けたまへり 019 PSA 118 014 ヱホバはわが力わが歌にしてわが救となりたまへり 019 PSA 118 015 歓喜とすくひとの聲はただしきものの幕屋にあり ヱホバのみぎの手はいさましき動作をなしたまふ 019 PSA 118 016 ヱホバのみぎの手はたかくあがりヱホバの右の手はいさましき動作をなしたまふ 019 PSA 118 017 われは死ることなからん 存へてヤハの事跡をいひあらはさん 019 PSA 118 018 ヤハはいたく我をこらしたまひしかど死には付したまはざりき 019 PSA 118 019 わがために義の門をひらけ 我そのうちにいりてヤハに感謝せん 019 PSA 118 020 こはヱホバの門なりただしきものはその内にいるべし 019 PSA 118 021 われ汝に感謝せん なんぢ我にこたへてわが救となりたまへばなり 019 PSA 118 022 工師のすてたる石はすみの首石となれり 019 PSA 118 023 これヱホバの成たまへる事にしてわれらの目にあやしとする所なり 019 PSA 118 024 これヱホバの設けたまへる日なり われらはこの日によろこびたのしまん 019 PSA 118 025 ヱホバよねがはくはわれらを今すくひたまへ ヱホバよねがはくは我儕をいま榮えしめたまヘ 019 PSA 118 026 ヱホバの名によりて來るものは福ひなり われらヱホバの家よりなんぢらを祝せり 019 PSA 118 027 ヱホバは神なり われらに光をあたへたまへり 繩をもて祭壇の角にいけにへをつなげ 019 PSA 118 028 なんぢはわが神なり我なんぢに感謝せん なんぢはわが神なり我なんぢを崇めまつらん 019 PSA 118 029 ヱホバにかんしやせよ ヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし 019 PSA 119 001 おのが道をなほくしてヱホバの律法をあゆむ者はさいはひなり 019 PSA 119 002 ヱホバのもろもろの證詞をまもり 心をつくしてヱホバを尋求むるものは福ひなり 019 PSA 119 003 かかる人は不義をおこなはずしてヱホバの道をあゆむなり 019 PSA 119 004 ヱホバよなんぢ訓諭をわれらに命じてねんごろに守らせたまふ 019 PSA 119 005 なんぢわが道をかたくたててその律法をまもらせたまはんことを 019 PSA 119 006 われ汝のもろもろの誡命にこころをとむるときは恥ることあらじ 019 PSA 119 007 われ汝のただしき審判をまなばば 直き心をもてなんぢに感謝せん 019 PSA 119 008 われは律法をまもらん われを棄はてたまふなかれ 019 PSA 119 009 わかき人はなにによりてかその道をきよめん 聖言にしたがひて愼むのほかぞなき 019 PSA 119 010 われ心をつくして汝をたづねもとめたり 願くはなんぢの誡命より迷ひいださしめ給ふなかれ 019 PSA 119 011 われ汝にむかひて罪ををかすまじき爲になんぢの言をわが心のうちに蔵へたり 019 PSA 119 012 讃べきかなヱホバよねがはくは律法をわれに敎へたまへ 019 PSA 119 013 われわが口唇をもてなんぢの口よりいでしもろもろの審判をのべつたへたり 019 PSA 119 014 我もろもろの財貨をよろこぶごとくに汝のあかしの道をよろこべり 019 PSA 119 015 我なんぢの訓諭をおもひ汝のみちに心をとめん 019 PSA 119 016 われは律法をよろこび聖言をわするることなからん 019 PSA 119 017 ねがはくは汝のしもべを豊にあしらひて存へしめたまへ さらばわれ聖言をまもらん 019 PSA 119 018 なんぢわが眼をひらき なんぢの法のうちなる奇しきことを我にみせたまへ 019 PSA 119 019 われは世にある旅客なり 我になんぢの誡命をかくしたまふなかれ 019 PSA 119 020 斷るときなくなんぢの審判をしたふが故にわが霊魂はくだくるなり 019 PSA 119 021 汝はたかぶる者をせめたまへり なんぢの誡命よりまよひづる者はのろはる 019 PSA 119 022 我なんぢの證詞をまもりたり 我より謗とあなどりとを取去たまへ 019 PSA 119 023 又もろもろの侯は坐して相語りわれをそこなはんとせり 然はあれど汝のしもべは律法をふかく思へり 019 PSA 119 024 汝のもろもろの證詞はわれをよろこばせわれをさとす者なり 019 PSA 119 025 わが霊魂は塵につきぬ なんぢの言にしたがひて我をいかしたまへ 019 PSA 119 026 我わがふめる道をあらはししかば汝こたへを我になしたまへり なんぢの律法をわれに敎へたまへ 019 PSA 119 027 なんぢの訓諭のみちを我にわきまへしめたまへ われ汝のくすしき事跡をふかく思はん 019 PSA 119 028 わがたましひ痛めるによりてとけゆく ねがはくは聖言にしたがひて我にちからを予へたまへ 019 PSA 119 029 願くはいつはりの道をわれより遠ざけ なんぢの法をもて我をめぐみたまへ 019 PSA 119 030 われは眞實のみちをえらび 恒になんぢのもろもろの審判をわが前におけり 019 PSA 119 031 我なんぢの證詞をしたひて離れず ヱホバよねがはくは我をはづかしめ給ふなかれ 019 PSA 119 032 われ汝のいましめの道をはしらん その時なんぢわが心をひろく爲たまふべし 019 PSA 119 033 ヱホバよ願くはなんぢの律法のみちを我にをしへたまへ われ終にいたるまで之をまもらん 019 PSA 119 034 われに智慧をあたへ給へ さらば我なんぢの法をまもり心をつくして之にしたがはん 019 PSA 119 035 われに汝のいましめの道をふましめたまへ われその道をたのしめばなり 019 PSA 119 036 わが心をなんぢの證詞にかたぶかしめて 貪利にかたぶかしめ給ふなかれ 019 PSA 119 037 わが眼をほかにむけて虚しきことを見ざらしめ 我をなんぢの途にて活し給へ 019 PSA 119 038 ひたすらに汝をおそるる汝のしもべに 聖言をかたくしたまへ 019 PSA 119 039 わがおそるる謗をのぞきたまへ そはなんぢの審判はきはめて善し 019 PSA 119 040 我なんぢの訓諭をしたへり 願くはなんぢの義をもて我をいかしたまへ 019 PSA 119 041 ヱホバよ聖言にしたがひてなんぢの憐憫なんぢの拯救を我にのぞませたまへ 019 PSA 119 042 さらば我われを謗るものに答ふることをえん われ聖言によりたのめばなり 019 PSA 119 043 又わが口より眞理のことばをことごとく除き給ふなかれ われなんぢの審判をのぞみたればなり 019 PSA 119 044 われたえずいや永久になんぢの法をまもらん 019 PSA 119 045 われなんぢの訓諭をもとめたるにより障なくしてあゆまん 019 PSA 119 046 われまた王たちの前になんぢの證詞をかたりて恥ることあらじ 019 PSA 119 047 我わが愛するなんぢの誡命をもて己をたのしましめん 019 PSA 119 048 われ手をわがあいする汝のいましめに擧げ なんぢの律法をふかく思はん 019 PSA 119 049 ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言をおもひいだしたまへ 汝われに之をのぞましめ給へり 019 PSA 119 050 なんぢの聖言はわれを活ししがゆゑに 今もなほわが艱難のときの安慰なり 019 PSA 119 051 高ぶる者おほいに我をあざわらへり されど我なんぢの法をはなれざりき 019 PSA 119 052 ヱホバよわれ汝がふるき往昔よりの審判をおもひいだして自から慰めたり 019 PSA 119 053 なんぢの法をすつる惡者のゆゑによりて 我はげしき怒をおこしたり 019 PSA 119 054 なんぢの律法はわが旅の家にてわが歌となれり 019 PSA 119 055 ヱホバよわれ夜間になんぢの名をおもひいだして なんぢの法をまもれり 019 PSA 119 056 われ汝のさとしを守りしによりてこの事をえたるなり 019 PSA 119 057 ヱホバはわがうくべき有なり われ汝のもろもろの言をまもらんといへり 019 PSA 119 058 われ心をつくして汝のめぐみを請求めたり ねがはくは聖言にしたがひて我をあはれみたまへ 019 PSA 119 059 我わがすべての途をおもひ 足をかへしてなんぢの證詞にむけたり 019 PSA 119 060 我なんぢの誡命をまもるに速けくしてたゆたはざりき 019 PSA 119 061 惡きものの繩われに纏ひたれども 我なんぢの法をわすれざりき 019 PSA 119 062 我なんぢのただしき審判のゆゑに 夜半におきてなんぢに感謝せん 019 PSA 119 063 われは汝をおそるる者 またなんぢの訓諭をまもるものの侶なり 019 PSA 119 064 ヱホバよ汝のあはれみは地にみちたり 願くはなんぢの律法をわれにをしへたまへ 019 PSA 119 065 ヱホバよなんぢ聖言にしたがひ惠をもてその僕をあしらひたまへり 019 PSA 119 066 われ汝のいましめを信ず ねがはくはわれに聡明と智識とををしへたまへ 019 PSA 119 067 われ苦しまざる前にはまよひいでぬ されど今はわれ聖言をまもる 019 PSA 119 068 なんぢは善にして善をおこなひたまふ ねがはくは汝のおきてを我にをしへたまへ 019 PSA 119 069 高ぶるもの虚偽をくはだてて我にさからへり われ心をつくしてなんぢの訓諭をまもらん 019 PSA 119 070 かれらの心はこえふとりて脂のごとし されど我はなんぢの法をたのしむ 019 PSA 119 071 困苦にあひたりしは我によきことなり 此によりて我なんぢの律法をまなびえたり 019 PSA 119 072 なんぢの口の法はわがためには千々のこがね白銀にもまされり 019 PSA 119 073 なんぢの手はわれを造りわれを形づくれり ねがはくは智慧をあたへて我になんぢの誡命をまなばしめたまへ 019 PSA 119 074 なんぢを畏るるものは我をみて喜ばん われ聖言によりて望をいたきたればなり 019 PSA 119 075 ヱホバよ我はなんぢの審判のただしく又なんぢが眞實をもて我をくるしめたまひしを知る 019 PSA 119 076 ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言にしたがひて 汝の仁慈をわが安慰となしたまへ 019 PSA 119 077 なんぢの憐憫をわれに臨ませたまへ さらばわれ生ん なんぢの法はわが樂しめるところなり 019 PSA 119 078 高ぶるものに恥をかうぷらせたまへ かれらは虚偽をもて我をくつがへしたればなり されど我なんぢの訓諭をふかくおもはん 019 PSA 119 079 汝をおそるる者となんぢの證詞をしるものとを我にかへらしめたまへ 019 PSA 119 080 わがこころを全くして汝のおきてを守らしめたまへ さらばわれ恥をかうぶらじ 019 PSA 119 081 わが霊魂はなんぢの救をしたひてたえいるばかりなり 然どわれなほ聖言によりて望をいだく 019 PSA 119 082 なんぢ何のとき我をなぐさむるやといひつつ 我みことばを慕ふによりて眼おとろふ 019 PSA 119 083 我は煙のなかの革嚢のごとくなりぬれども 尚なんぢの律法をわすれず 019 PSA 119 084 汝のしもべの日は幾何ありや 汝いづれのとき我をせむるものに審判をおこなひたまふや 019 PSA 119 085 たかぶる者われを害はんとて阱をほれり かれらはなんぢの法にしたがはず 019 PSA 119 086 なんぢの誡命はみな眞實なり かれらは虚偽をもて我をせむ ねがはくは我をたすけたまへ 019 PSA 119 087 かれらは地にてほとんど我をほろぼせり されど我はなんぢの訓諭をすてざりき 019 PSA 119 088 願くはなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ 然ばわれ御口よりいづる證詞をまもらん 019 PSA 119 089 ヱホバよみことばは天にてとこしえに定まり 019 PSA 119 090 なんぢの眞實はよろづ世におよぶ なんぢ地をかたく立たまへば地はつねにあり 019 PSA 119 091 これらのものはなんぢの命令にしたがひ 恒にありて今日にいたる 萬のものは皆なんぢの僕なればなり 019 PSA 119 092 なんぢの法わがたのしみとならざりしならば我はつひに患難のうちに滅びたるならん 019 PSA 119 093 われ恒になんぢの訓諭をわすれじ 汝これをもて我をいかしたまへばなり 019 PSA 119 094 我はなんぢの有なりねがはくは我をすくひたまへ われ汝のさとしを求めたり 019 PSA 119 095 惡きものは我をほろぼさんとして窺ひぬ われは唯なんぢのもろもろの證詞をおもはん 019 PSA 119 096 我もろもろの純全に限あるをみたり されど汝のいましめはいと廣し 019 PSA 119 097 われなんぢの法をいつくしむこといかばかりぞや われ終日これを深くおもふ 019 PSA 119 098 なんぢの誡命はつねに我とともにありて 我をわが仇にまさりて慧からしむ 019 PSA 119 099 我はなんぢの證詞をふかくおもふが故に わがすべての師にまさりて智慧おほし 019 PSA 119 100 我はなんぢの訓諭をまもるがゆゑに 老たる者にまさりて事をわきまふるなり 019 PSA 119 101 われ聖言をまもらんために わが足をとどめてもろもろのあしき途にゆかしめず 019 PSA 119 102 なんぢ我ををしへたまひしによりて 我なんぢの審判をはなれざりき 019 PSA 119 103 みことばの滋味はわが腭にあまきこといかばかりぞや 蜜のわが口に甘きにまされり 019 PSA 119 104 我なんぢの訓諭によりて智慧をえたり このゆゑに虚偽のすべての途をにくむ 019 PSA 119 105 なんぢの聖言はわがあしの燈火わが路のひかりなり 019 PSA 119 106 われなんぢのただしき審判をまもらんことをちかひ且かたくせり 019 PSA 119 107 われ甚いたく苦しめり ヱホバよねがはくは聖言にしたがひて我をいかしたまヘ 019 PSA 119 108 ヱホバよねがはくは誠意よりするわが口の献物をうけて なんぢの審判ををしへたまへ 019 PSA 119 109 わが霊魂はつねに危険ををかす されど我なんぢの法をわすれず 019 PSA 119 110 あしき者わがために羂をまうけたり されどわれ汝のさとしより迷ひいでざりき 019 PSA 119 111 われ汝のもろもろの證詞をとこしへにわが嗣業とせり これらの證詞はわが心をよろこばしむ 019 PSA 119 112 われ汝のおきてを終までとこしへに守らんとて之にこころを傾けたり 019 PSA 119 113 われ二心のものをにくみ汝のおきてを愛しむ 019 PSA 119 114 なんぢはわが匿るべき所わが盾なり われ聖言によりて望をいだく 019 PSA 119 115 惡きをなすものよ我をはなれされ われわが神のいましめを守らん 019 PSA 119 116 聖言にしたがひ我をささへて生存しめたまへ わが望につきて恥なからしめたまへ 019 PSA 119 117 われを支へたまへ さらばわれ安けかるべし われ恒になんぢの律法にこころをそそがん 019 PSA 119 118 すべて律法よりまよひいづるものを汝かろしめたまへり かれらの欺詐はむなしければなり 019 PSA 119 119 なんぢは地のすべての惡きものを渣滓のごとく除きさりたまふ この故にわれ汝のあかしを愛す 019 PSA 119 120 わが肉體なんぢを懼るるによりてふるふ 我はなんぢの審判をおそる 019 PSA 119 121 われは審判と公義とをおこなふ 我をすてて虐ぐるものに委ねたまふなかれ 019 PSA 119 122 汝のしもべの中保となりて福祉をえしめたまへ 高ぶるものの我をしへたぐるを容したまふなかれ 019 PSA 119 123 わが眼はなんぢの救となんぢのただしき聖言とをしたふによりておとろふ 019 PSA 119 124 ねがはくはなんぢの憐憫にしたがひてなんぢの僕をあしらひ 我になんぢの律法ををしへたまへ 019 PSA 119 125 我はなんぢの僕なり われに智慧をあたへてなんぢの證詞をしらしめたまへ 019 PSA 119 126 彼等はなんぢの法をすてたり 今はヱホバのはたらきたまふべき時なり 019 PSA 119 127 この故にわれ金よりもまじりなき金よりもまさりて汝のいましめを愛す 019 PSA 119 128 この故にもろもろのことに係るなんぢの一切のさとしを正しとおもふ 我すべてのいつはりの途をにくむ 019 PSA 119 129 汝のあかしは妙なり かかるが故にわが霊魂これをまもる 019 PSA 119 130 聖言うちひらくれば光をはなちて 愚かなるものをさとからしむ 019 PSA 119 131 我なんぢの誡命をしたふが故に わが口をひろくあけて喘ぎもとめたり 019 PSA 119 132 ねがはくは聖名を愛するものに恒になしたまふごとく身をかへして我をあはれみたまへ 019 PSA 119 133 聖言をもてわが歩履をととのへ もろもろの邪曲をわれに主たらしめたまふなかれ 019 PSA 119 134 われを人のしへたげより贖ひたまへ さらばわれ訓諭をまもらん 019 PSA 119 135 ねがはくは聖顔をなんぢの僕のうへにてらし 汝のおきてを我にをしへ給へ 019 PSA 119 136 人なんぢの法をまもらざるによりて わが眼のなみだ河のごとくに流る 019 PSA 119 137 ヱホバよなんぢは義しくなんぢの審判はなほし 019 PSA 119 138 汝ただしきと此上なき眞實とをもて その證詞を命じ給へり 019 PSA 119 139 わが敵なんぢの聖言をわすれたるをもて わが熱心われをほろぼせり 019 PSA 119 140 なんぢの聖言はいときよし 此故になんぢの僕はこれを愛す 019 PSA 119 141 われは微なるものにて人にあなどらるれども汝のさとしを忘れず 019 PSA 119 142 なんぢの義はとこしへの義なり汝ののりは眞理なり 019 PSA 119 143 われ患難と憂とにかかれども 汝のいましめはわが喜樂なり 019 PSA 119 144 なんぢの證詞はとこしへに義し ねがはくはわれに智慧をたまへ 我ながらふることを得ん 019 PSA 119 145 われ心をつくしてよばはれり ヱホバよ我にこたへたまへ 我なんぢの律法をまもらん 019 PSA 119 146 われ汝をよばはれり ねがはくはわれを救ひ給へ 我なんぢの證詞をまもらん 019 PSA 119 147 われ詰朝おきいでて呼はれり われ聖言によりて望をいだけり 019 PSA 119 148 夜の更のきたらぬに先だち わが眼はさめて汝のみことばを深くおもふ 019 PSA 119 149 ねがはくはなんぢの仁慈にしたがひてわが聲をききたまへ ヱホバよなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ 019 PSA 119 150 惡をおひもとむるものは我にちかづけり 彼等はなんぢの法にとほくはなる 019 PSA 119 151 ヱホバよ汝はわれに近くましませり なんぢのすべての誡命はまことなり 019 PSA 119 152 われ早くよりなんぢの證詞によりて汝がこれを永遠にたてたまへることを知れり 019 PSA 119 153 ねがはくはわが患難をみて我をすくひたまへ 我なんぢの法をわすれざればなり 019 PSA 119 154 ねがはくはわが訟をあげつらひて我をあがなひ 聖言にしたがひて我をいかしたまへ 019 PSA 119 155 すくひは惡きものより遠くはなる かれらはなんぢの律法をもとめざればなり 019 PSA 119 156 ヱホバよなんぢの憐憫はおほいなり 願くはなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ 019 PSA 119 157 我をせむる者われに敵するものおほし 我なんぢの證詞をはなるることなかりき 019 PSA 119 158 虚偽をおこなふもの汝のみことばを守らざるにより 我かれらを見てうれへたり 019 PSA 119 159 ねがはくはわが汝のさとしを愛すること幾何なるをかへりみたまへ ヱホバよなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ 019 PSA 119 160 なんぢのみことばの總計はまことなり 汝のただしき審判はとこしへにいたるまで皆たゆることなし 019 PSA 119 161 もろもろの侯はゆゑなくして我をせむ 然どわが心はただ汝のみことばを畏る 019 PSA 119 162 われ人のおほいなる掠物をえたるごとくに 汝のみことばをよろこぶ 019 PSA 119 163 われ虚偽をにくみ之をいみきらへども 汝ののりを愛す 019 PSA 119 164 われ汝のただしき審判のゆゑをもて 一日に七次なんぢを讃稱ふ 019 PSA 119 165 なんぢの法をあいするものには大なる平安あり かれらには躓礙をあたふる者なし 019 PSA 119 166 ヱホバよ我なんぢの救をのぞみ汝のいましめをおこなへり 019 PSA 119 167 わが霊魂はなんぢの證詞をまもれり 我はいたく之をあいす 019 PSA 119 168 われなんぢの訓諭となんぢの證詞とをまもりぬ わがすべての道はみまへにあればなり 019 PSA 119 169 ヱホバよ願くはわがよぶ聲をみまへにちかづけ 聖言にしたがひて我にちゑをあたへたまへ 019 PSA 119 170 わが願をみまへにいたらせ 聖言にしたがひて我をたすけたまへ 019 PSA 119 171 わがくちびるは讃美をいだすべし 汝われに律法ををしへ給へばなり 019 PSA 119 172 わが舌はみことばを謳ふべし なんぢの一切のいましめは義なればなり 019 PSA 119 173 なんぢの手をつねにわが助となしたまへ われなんぢの訓諭をえらび用ゐたればなり 019 PSA 119 174 ヱホバよ我なんぢの救をしたへり なんぢの法はわがたのしみなり 019 PSA 119 175 願くはわが霊魂をながらへしめたまへ さらば汝をほめたたへん 汝のさばきの我をたすけんことを 019 PSA 119 176 われは亡はれたる羊のごとく迷ひいでぬ なんぢの僕をたづねたまへ われ汝のいましめを忘れざればなり 019 PSA 120 001 われ困苦にあひてヱホバをよびしかば我にこたへたまへり 019 PSA 120 002 ヱホバよねがはくは虚偽のくちびる欺詐の舌よりわが霊魂をたすけいだしたまへ 019 PSA 120 003 あざむきの舌よなんぢに何をあたへられ 何をくはへらるべきか 019 PSA 120 004 ますらをの利き箭と金萑花のあつき炭となり 019 PSA 120 005 わざはひなるかな我はメセクにやどりケダルの幕屋のかたはらに住めり 019 PSA 120 006 わがたましひは平安をにくむものと偕にすめり 019 PSA 120 007 われは平安をねがふ されど我ものいふときにかれら戰爭をこのむ 019 PSA 121 001 われ山にむかひて目をあぐ わが扶助はいづこよりきたるや 019 PSA 121 002 わがたすけは天地をつくりたまへるヱホバよりきたる 019 PSA 121 003 ヱホバはなんぢの足のうごかさるるを容したまはず 汝をまもるものは微睡たまふことなし 019 PSA 121 004 視よイスラエルを守りたまふものは微睡こともなく寝ることもなからん 019 PSA 121 005 ヱホバは汝をまもる者なり ヱホバはなんぢの右手をおほふ蔭なり 019 PSA 121 006 ひるは日なんぢをうたず夜は月なんぢを傷じ 019 PSA 121 007 ヱホバはなんぢを守りてもろもろの禍害をまぬかれしめ並なんぢの霊魂をまもりたまはん 019 PSA 121 008 ヱホバは今よりとこしへにいたるまで 汝のいづると入るとをまもりたまはん 019 PSA 122 001 人われにむかひて率ヱホバのいへにゆかんといへるとき我よろこべり 019 PSA 122 002 ヱルサレムよわれらの足はなんぢの門のうちにたてり 019 PSA 122 003 ヱルサレムよなんぢは稠くつらなりたる邑のごとく固くたてり 019 PSA 122 004 もろもろのやから即ちヤハの支派かしこに上りきたり イスラエルにむかひて證詞をなし またヱホバの名にかんしやをなす 019 PSA 122 005 彼處にさばきの寳座まうけらる これダビデの家のみくらなり 019 PSA 122 006 ヱルサレムのために平安をいのれ ヱルサレムを愛するものは榮ゆべし 019 PSA 122 007 ねがはくはなんぢの石垣のうちに平安あり なんぢの諸殿のうちに福祉あらんことを 019 PSA 122 008 わが兄弟のためわが侶のために われ今なんぢのなかに平安あれといはん 019 PSA 122 009 われらの神ヱホバのいへのために我なんぢの福祉をもとめん 019 PSA 123 001 天にいますものよ我なんぢにむかひて目をあぐ 019 PSA 123 002 みよ僕その主の手に目をそそぎ 婢女その主母の手に目をそそぐがごとく われらはわが神ヱホバに目をそそぎて そのわれを憐みたまはんことをまつ 019 PSA 123 003 ねがはくはわれらを憐みたまヘ ヱホバよわれらを憐みたまへ そはわれらに軽侮はみちあふれぬ 019 PSA 123 004 おもひわづらひなきものの凌辱と たかぶるものの軽侮とはわれらの霊魂にみちあふれぬ 019 PSA 124 001 今イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの方にいまさず 019 PSA 124 002 人々われらにさからひて起りたつとき ヱホバもし我儕のかたに在さざりしならんには 019 PSA 124 003 かれらの怒のわれらにむかひておこりし時 われらを生るままにて呑しならん 019 PSA 124 004 また水はわれらをおほひ 流はわれらの霊魂をうちこえ 019 PSA 124 005 高ぶる水はわれらの霊魂をうちこえしならん 019 PSA 124 006 ヱホバはほむべきかな我儕をかれらの歯にわたして噛くらはせたまはざりき 019 PSA 124 007 我儕のたましひは捕鳥者のわなをのがるる鳥のごとくにのがれたり 羅はやぶれてわれらはのがれたり 019 PSA 124 008 われらの助は天地をつくりたまへるヱホバの名にあり 019 PSA 125 001 ヱホバに依賴むものはシオンの山のうごかさるることなくして永遠にあるがごとし 019 PSA 125 002 ヱルサレムを山のかこめるごとくヱホバも今よりとこしへにその民をかこみたまはん 019 PSA 125 003 惡の杖はただしきものの所領にとどまることなかるべし斯てただしきものはその手を不義にのぶることあらじ 019 PSA 125 004 ヱホバよねがはくは善人とこころ直きものとに福祉をほどこしたまへ 019 PSA 125 005 されどヱホバは轉へりておのが曲れる道にいるものを惡きわざをなすものとともに去しめたまはん 平安はイスラエルのうへにあれ 019 PSA 126 001 ヱホバ、シオンの俘囚をかへしたまひし時 われらは夢みるもののごとくなりき 019 PSA 126 002 そのとき笑はわれらの口にみち歌はわれらの舌にみてり ヱホバかれらのために大なることを作たまへりといへる者もろもろの國のなかにありき 019 PSA 126 003 ヱホバわれらのために大なることをなしたまひたれば我儕はたのしめり 019 PSA 126 004 ヱホバよ願くはわれらの俘囚をみなみの川のごとくに歸したまへ 019 PSA 126 005 涙とともに播くものは歡喜とともに穫らん 019 PSA 126 006 その人は種をたづさへ涙をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん 019 PSA 127 001 ヱホバ家をたてたまふにあらずば 建るものの勤勞はむなしく ヱホバ城をまもりたまふにあらずば衛士のさめをるは徒勞なり 019 PSA 127 002 なんぢら早くおき遅くいねて辛苦の糧をくらふはむなしきなり 斯てヱホバその愛しみたまふものに寝をあたへたまふ 019 PSA 127 003 みよ子輩はヱホバのあたへたまふ嗣業にして 胎の實はその報のたまものなり 019 PSA 127 004 年壯きころほひの子はますらをの手にある矢のごとし 019 PSA 127 005 矢のみちたる箙をもつ人はさいはひなり かれら門にありて仇とものいふとき恥ることあらじ 019 PSA 128 001 ヱホバをおそれその道をあゆむものは皆さいはひなり 019 PSA 128 002 そはなんぢおのが手の勤勞をくらふべければなり なんぢは福祉をえまた安處にをるべし 019 PSA 128 003 なんぢの妻はいへの奧にをりておほくの實をむすぶ葡萄の樹のごとく汝の子輩はなんぢの筵に円居してかんらんの若樹のごとし 019 PSA 128 004 見よヱホバをおそるる者はかく福祉をえん 019 PSA 128 005 ヱホバはシオンより惠をなんぢに賜はん なんぢ世にあらんかぎりヱルサレムの福祉をみん 019 PSA 128 006 なんぢおのが子輩の子をみるべし 平安はイスラエルの上にあり 019 PSA 129 001 今イスラエルはいふべし彼等はしばしば我をわかきときより惱めたり 019 PSA 129 002 かれらはしばしば我をわかきときより惱めたり されどわれに勝ことを得ざりき 019 PSA 129 003 耕すものはわが背をたがへしてその畎をながくせり 019 PSA 129 004 ヱホバは義し あしきものの繩をたちたまへり 019 PSA 129 005 シオンをにくむ者はみな恥をおびてしりぞかせらるべし 019 PSA 129 006 かれらは長たざるさきにかるる屋上の草のごとし 019 PSA 129 007 これを刈るものはその手にみたず 之をつかぬるものはその束ふところに盈ざるなり 019 PSA 129 008 かたはらを過るものはヱホバの惠なんぢの上にあれといはず われらヱホバの名によりてなんぢらを祝すといはず 019 PSA 130 001 ああヱホバよわれふかき淵より汝をよべり 019 PSA 130 002 主よねがはくはわが聲をきき汝のみみをわが懇求のこゑにかたぶけたまへ 019 PSA 130 003 ヤハよ主よなんぢ若もろもろの不義に目をとめたまはば誰たれかよく立ことをえんや 019 PSA 130 004 されどなんぢに赦あれば人におそれかしこまれ給ふべし 019 PSA 130 005 我ヱホバを俟望む わが霊魂はまちのぞむ われはその聖言によりて望をいだく 019 PSA 130 006 わがたましひは衛士があしたを待にまさり 誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり 019 PSA 130 007 イスラエルよヱホバによりて望をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖あり 019 PSA 130 008 ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲よりあがなひたまはん 019 PSA 131 001 ヱホバよわが心おごらずわが目たかぶらず われは大なることと我におよばぬ奇しき事とをつとめざりき 019 PSA 131 002 われはわが霊魂をもださしめまた安からしめたり 乳をたちし嬰兒のその母にたよるごとく 我がたましひは乳をたちし嬰兒のごとくわれに恃れり 019 PSA 131 003 イスラエルよ今よりとこしへにヱホバにたよりて望をいだけ 019 PSA 132 001 ヱホバよねがはくはダビデの爲にそのもろもろの憂をこころに記たまへ 019 PSA 132 002 ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全能者にうけひていふ 019 PSA 132 003 われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと 019 PSA 132 004 われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと 019 PSA 132 005 われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと 019 PSA 132 006 われらエフラタにて之をききヤアルの野にて見とめたり 019 PSA 132 007 われらはその居所にゆきて その承足のまへに俯伏さん 019 PSA 132 008 ヱホバよねがはくは起きて なんぢの稜威の櫃とともになんぢの安居所にいりたまへ 019 PSA 132 009 なんぢの祭司たちは義を衣 なんぢの聖徒はみな歓びよばふべし 019 PSA 132 010 なんぢの僕ダビデのためになんぢの受膏者の面をしりぞけたまふなかれ 019 PSA 132 011 ヱホバ眞實をもてダビデに誓ひたまひたれば之にたがふことあらじ 曰くわれなんぢの身よりいでし者をなんぢの座位にざせしめん 019 PSA 132 012 なんぢの子輩もしわがをしふる契約と證詞とをまもらばかれらの子輩もまた永遠になんぢの座位にざすべしと 019 PSA 132 013 ヱホバはシオンを擇びておのが居所にせんとのぞみたまへり 019 PSA 132 014 曰くこれは永遠にわが安居處なり われここに住ん そはわれ之をのぞみたればなり 019 PSA 132 015 われシオンの糧をゆたかに祝し くひものをもてその貧者をあかしめん 019 PSA 132 016 われ救をもてその祭司たちに衣せん その聖徒はみな聲たからかによろこびよばふべし 019 PSA 132 017 われダビデのためにかしこに一つの角をはえしめん わが受膏者のために燈火をそなへたり 019 PSA 132 018 われかれの仇にはぢを衣せん されどかれはその冠弁さかゆべし 019 PSA 133 001 觀よはらから相睦てともにをるはいかに善いかに樂きかな 019 PSA 133 002 首にそそがれたる貴きあぶら鬚にながれ アロンの鬚にながれ その衣のすそにまで流れしたたるるがごとく 019 PSA 133 003 またヘルモンの露くだりてシオンの山にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉をくだし窮なき生命をさへあたへたまへり 019 PSA 134 001 夜間ヱホバの家にたちヱホバに事ふるもろもろの僕よ ヱホバをほめまつれ 019 PSA 134 002 なんぢら聖所にむかひ手をあげてヱホバをほめまつれ 019 PSA 134 003 ねがはくはヱホバ天地をつくりたまへるもの シオンより汝をめぐみたまはんことを 019 PSA 135 001 なんぢらヱホバを讃稱へよ ヱホバの名をほめたたへよ ヱホバの僕等ほめたたへよ 019 PSA 135 002 ヱホバの家われらの神のいへの大庭にたつものよ讃稱へよ 019 PSA 135 003 ヱホバは惠ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖名はうるはし讃うたへ 019 PSA 135 004 そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみてその珍寳となしたまへり 019 PSA 135 005 われヱホバの大なるとわれらの主のもろもろの神にまされるとをしれり 019 PSA 135 006 ヱホバその聖旨にかなふことを天にも地にも海にも淵にもみなことごとく行ひ給ふなり 019 PSA 135 007 ヱホバは地のはてより霧をのぼらせ 雨のために電光をつくりその庫より風をいだしたまふ 019 PSA 135 008 ヱホバは人より畜類にいたるまでエジプトの首出をうちたまへり 019 PSA 135 009 エジプトよヱホバはなんぢの中にしるしと奇しき事跡とをおくりて パロとその僕とに臨ませ給へり 019 PSA 135 010 ヱホバはおほくの國々をうち 又いきほひある王等をころし給へり 019 PSA 135 011 アモリ人のわうシホン、バシヤンの王オグならびにカナンの國々なり 019 PSA 135 012 かれらの地をゆづりとしその民イスフルの嗣業としてあたへ給へり 019 PSA 135 013 ヱホバよなんぢの名はとこしへに絶ることなし ヱホバよなんぢの記念はよろづ世におよばん 019 PSA 135 014 ヱホバはその民のために審判をなしその僕等にかかはれる聖意をかへたまふ可ればなり 019 PSA 135 015 もろもろのくにの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり 019 PSA 135 016 そのぐうざうは口あれどいはず目あれど見ず 019 PSA 135 017 耳あれどきかず またその口に氣息あることなし 019 PSA 135 018 これを造るものと之によりたのむものとは皆これにひとしからん 019 PSA 135 019 イスラエルの家よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ 019 PSA 135 020 レビの家よヱホバをほめまつれ ヱホバを畏るるものよヱホバをほめまつれ 019 PSA 135 021 ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて讃まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 136 001 ヱホバに感謝せよヱホバはめぐみふかし その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 002 もろもろの神の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 003 もろもろの主の主にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 004 ただ獨りおほいなる奇跡なしたまふものに感謝せよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 005 智慧をもてもろもろの天をつくりたまへるものに感謝せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 006 地を水のうへに布たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 007 巨大なる光をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 008 晝をつかさどらするために日をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 009 夜をつかさどらするために月ともろもろの星とをつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 010 もろもろの首出をうちてエジプトを責たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 011 イスラエルを率てエジプト人のなかより出したまへる者にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 012 臂をのばしつよき手をもて之をひきいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 013 紅海をふたつに分たまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 014 イスラエルをしてその中をわたらしめ給へるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 015 パロとその軍兵とを紅海のうちに仆したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 016 その民をみちびきて野をすぎしめたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 017 大なる王たちを撃たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 018 名ある王等をころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 019 アモリ人のわうシホンをころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 020 バシヤンのわうオグを誅したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 021 かれらの地を嗣業としてあたへたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり 019 PSA 136 022 その僕イスラエルにゆづりとして之をあたへたまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり 019 PSA 136 023 われらが微賤かりしときに記念したまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 024 わが敵よりわれらを助けいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 025 すべての生るものに食物をあたへたまふものに感謝せよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 136 026 天の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり 019 PSA 137 001 われらバビロンの河のほとりにすわり シオンをおもひいでて涙をながしぬ 019 PSA 137 002 われらそのあたりの柳にわが琴をかけたり 019 PSA 137 003 そはわれらを虜にせしものわれらに歌をもとめたり 我儕をくるしむる者われらにおのれを歓ばせんとて シオンのうた一つうたへといへり 019 PSA 137 004 われら外邦にありていかでヱホバの歌をうたはんや 019 PSA 137 005 エルサレムよもし我なんぢをわすれなばわが右の手にその巧をわすれしめたまへ 019 PSA 137 006 もしわれ汝を思ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歓喜の極となさずばわが舌をわが腭につかしめたまヘ 019 PSA 137 007 ヱホバよねがはくはヱルサレムの日にエドムの子輩がこれを掃除けその基までもはらひのぞけといへるを聖意にとめたまへ 019 PSA 137 008 ほろぼさるべきバビロンの女よ なんぢがわれらに作しごとく汝にむくゆる人はさいはひなるべし 019 PSA 137 009 なんぢの嬰兒をとりて岩のうへになげうつものは福ひなるべし 019 PSA 138 001 われはわが心をつくしてなんぢに感謝し もろもろの神のまへにて汝をほめうたはん 019 PSA 138 002 我なんぢのきよき宮にむかひて伏拝み なんぢの仁慈とまこととの故によりて聖名にかんしやせん そは汝そのみことばをもろもろの聖名にまさりて高くしたまひたればなり 019 PSA 138 003 汝わがよばはりし日にわれにこたへ わが霊魂にちからをあたへて雄々しからしめたまへり 019 PSA 138 004 ヱホバよ地のすべての王はなんぢに感謝せん かれらはなんぢの口のもろもろの言をききたればなり 019 PSA 138 005 かれらはヱホバのもろもろの途についてうたはん ヱホバの榮光おほいなればなり 019 PSA 138 006 ヱホバは高くましませども卑きものを顧みたまふ されど亦おごれるものを遠よりしりたまへり 019 PSA 138 007 縦ひわれ患難のなかを歩むとも汝われをふたたび活し その手をのばしてわが仇のいかりをふせぎ その右の手われをすくひたまふべし 019 PSA 138 008 ヱホバはわれに係れることを全うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫はとこしへにたゆることなし願くはなんぢの手のもろもろの事跡をすてたまふなかれ 019 PSA 139 001 ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり 019 PSA 139 002 なんぢはわが坐るをも立をもしり 又とほくよりわが念をわきまへたまふ 019 PSA 139 003 なんぢはわが歩むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途をことごとく知たまへり 019 PSA 139 004 そはわが舌に一言ありとも觀よヱホバよなんぢことごとく知たまふ 019 PSA 139 005 なんぢは前より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり 019 PSA 139 006 かかる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず 019 PSA 139 007 我いづこにゆきてなんぢの聖霊をはなれんや われいづこに往てなんぢの前をのがれんや 019 PSA 139 008 われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 觀よなんぢ彼處にいます 019 PSA 139 009 我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも 019 PSA 139 010 かしこにて尚なんぢの手われをみちびき汝のみぎの手われをたもちたまはん 019 PSA 139 011 暗はかならす我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも 019 PSA 139 012 汝のみまへには暗ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし 019 PSA 139 013 汝はわがはらわたをつくり 又わがははの胎にわれを組成たまひたり 019 PSA 139 014 われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが霊魂はいとつばらに之をしれり 019 PSA 139 015 われ隠れたるところにてつくられ地の底所にて妙につづりあはされしとき わが骨なんぢにかくるることなかりき 019 PSA 139 016 わが體いまだ全からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの冊にしるされたり 019 PSA 139 017 神よなんぢりもろもろの思念はわれに寶きこといかばかりぞや そのみおもひの總計はいかに多きかな 019 PSA 139 018 我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尚なんぢとともにをる 019 PSA 139 019 神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ 019 PSA 139 020 かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖名をとなふるなり 019 PSA 139 021 ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆ひておこりたつものを厭ふにあらずや 019 PSA 139 022 われ甚くかれらをにくみてわが仇とす 019 PSA 139 023 神よねがはくは我をさぐりてわが心をしり 我をこころみてわがもろもろの思念をしりたまへ 019 PSA 139 024 ねがはくは我によこしまなる途のありやなしやを見て われを永遠のみちに導きたまへ 019 PSA 140 001 ヱホバよねがはくは惡人よりわれを助けいだし 我をまもりて強暴人よりのがれしめたまへ 019 PSA 140 002 かれらは心のうちに殘害をくはだて たえず戰闘をおこす 019 PSA 140 003 かれらは蛇のごとくおのが舌を利す そのくちびるのうちに蝮の毒あり (セラ) 019 PSA 140 004 ヱホバよ願くはわれを保ちてあしきひとの手よりのがれしめ 我をまもりてわが足をつまづかせんと謀るあらぶる人よりのがれしめ給へ 019 PSA 140 005 高ぶるものはわがために羂と索とをふせ 路のほとりに網をはり かつ機をまうけたり (セラ) 019 PSA 140 006 われヱホバにいへらく汝はわが神なり ヱホバよねがはくはわが祈のこゑをきき給へ 019 PSA 140 007 わが救のちからなる主の神よ なんぢはたたかひの日にわが首をおほひたまへり 019 PSA 140 008 ヱホバよあしきひとの欲のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企圖をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等みづから誇らん (セラ) 019 PSA 140 009 われを圍むものの首はおのれのくちびるの殘害におほはるべし 019 PSA 140 010 もえたる炭はかれらのうへにおち かれらは火になげいれられ ふかき穴になげいれられて再びおきいづることあたはざるべし 019 PSA 140 011 惡言をいふものは世にたてられず 暴ぶるものはわざはひに追及れてたふさるべし 019 PSA 140 012 われは苦しむものの訴とまづしきものの義とをヱホバの守りたまふを知る 019 PSA 140 013 義者はかならず聖名にかんしやし直者はみまへに住ん 019 PSA 141 001 ヱホバよ我なんぢを呼ふ ねがはくは速かにわれにきたりたまへ われ汝をよばふときわが聲に耳をかたぶけたまへ 019 PSA 141 002 われは薫物のごとくにわが祈をみまへにささげ 夕のそなへものの如くにわが手をあげて聖前にささげんことをねがふ 019 PSA 141 003 ヱホバよねがはくはわが口に門守をおきて わがくちびるの戸をまもりたまへ 019 PSA 141 004 惡事にわがこころを傾かしめて邪曲をおこなふ者とともに惡きわざにあづからしめ給ふなかれ 又かれらの珍饈をくらはしめたまふなかれ 019 PSA 141 005 義者われをうつとも我はこれを愛しみとしその我をせむるを頭のあぶらとせん わが頭はこれを辭まず かれらが禍害にあふときもわが祈はたえじ 019 PSA 141 006 その審士ははほの崕になげられん かれらわがことばの甘美によりて聽ことをすべし 019 PSA 141 007 人つちを耕しうがつがごとく我儕のほねははかの口にちらさる 019 PSA 141 008 されど主ヱホバよわが目はなほ汝にむかふ 我なんぢに依賴めり ねがはくはわが霊魂をともしきままに捨おきたまなかれ 019 PSA 141 009 我をまもりてかれらがわがためにまうくる羂とよこしまを行ふものの機とをまぬかれしめたまへ 019 PSA 141 010 われは全くのがれん あしきものをおのれの網におちいらしめたまへ 019 PSA 142 001 われ聲をいだしてヱホバによばはり 聲をいだしてヱホバにこひもとむ 019 PSA 142 002 われはその聖前にわが歎息をそそぎいだし そのみまへにわが患難をあらはす 019 PSA 142 003 わが霊魂わがうちにきえうせんとするときも汝わがみちを識たまへり 人われをとらへんとてわがゆくみちに羂をかくせり 019 PSA 142 004 願くはわがみぎの手に目をそそぎて見たまへ 一人だに我をしるものなし われには避所なくまたわが霊魂をかへりみる人なし 019 PSA 142 005 ヱホバよわれ汝をよばふ 我いへらく汝はわがさけどころ有生の地にてわがうべき分なりと 019 PSA 142 006 ねがはくはわが號呼にみこころをとめたまへ われいたく卑くせられたればなり 我をせむる者より助けいだしたまへ 彼等はわれにまさりて強ければなり 019 PSA 142 007 願くはわがたましひを囹圄よりいだし われに聖名を感謝せしめたまへ なんぢ豊かにわれを待ひたまふべければ 義者われをめぐらん 019 PSA 143 001 ヱホバよねがはくはわが祈をきき わが懇求にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞實なんぢの公義をもて我にこたへたまへ 019 PSA 143 002 汝のしもべの審判にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人だにみまへに義とせらるるはなし 019 PSA 143 003 仇はわがたましひを迫めわが生命を地にうちすて 死てひさしく世を經たるもののごとく我をくらき所にすまはせたり 019 PSA 143 004 又わがたましひはわが衷にきえうせんとし わが心はわがうちに曠さびれたり 019 PSA 143 005 われはいにしへの日をおもひいで 汝のおこなひたまひし一切のことを考へ なんぢの手のみわざをおもふ 019 PSA 143 006 われ汝にむかひてわが手をのべ わがたましひは燥きおとろへたる地のごとく汝をしたへり (セラ) 019 PSA 143 007 ヱホバよ速かにわれにこたへたまへ わが霊魂はおとろふ われに聖顔をかくしたまふなかれ おそらくはわれ穴にくだるもののごとくならん 019 PSA 143 008 朝になんぢの仁慈をきかしめたまへ われ汝によりたのめばなり わが歩むべき途をしらせたまへ われわが霊魂をなんぢに擧ればなり 019 PSA 143 009 ヱホバよねがはくは我をわが仇よりたすけ出したまへ われ匿れんとして汝にはしりゆく 019 PSA 143 010 汝はわが神なり われに聖旨をおこなふことををしへたまへ 惠ふかき聖霊をもて我をたひらかなる國にみちびきたまへ 019 PSA 143 011 ヱホバよねがはくは聖名のために我をいかし なんぢの義によりてわがたましひを患難よりいだしたまへ 019 PSA 143 012 又なんぢの仁慈によりてわが仇をたち 霊魂をくるしむる者をことごとく滅したまへ そは我なんぢの僕なり 019 PSA 144 001 戰することをわが手にをしへ 闘ふことをわが指にをしへたまふ わが磐ヱホバはほむべきかな 019 PSA 144 002 ヱホバはわが仁慈わが城なり わがたかき櫓われをすくひたまふ者なり わが盾わが依賴むものなり ヱホバはわが民をわれにしたがはせたまふ 019 PSA 144 003 ヱホバよ人はいかなる者なれば之をしり 人の子はいかなる者なれば之をみこころに記たまふや 019 PSA 144 004 人は氣息にことならず その存らふる日はすぎゆく影にひとし 019 PSA 144 005 ヱホバよねがはくはなんぢの天をたれてくだり 手を山につけて煙をたたしめたまへ 019 PSA 144 006 電光をうちいだして彼等をちらし なんぢの矢をはなちてかれらを敗りたまへ 019 PSA 144 007 上より手をのべ我をすくひて 大水より外人の手よりたすけいだしたまへ 019 PSA 144 008 かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり 019 PSA 144 009 神よわれ汝にむかひて新らしき歌をうたひ 十絃の琴にあはせて汝をほめうたはん 019 PSA 144 010 なんぢは王たちに救をあたへ 僕ダビデをわざはひの劍よりすくひたまふ神なり 019 PSA 144 011 ねがはくは我をすくひて外人の手よりたすけいだしたまへ かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり 019 PSA 144 012 われらの男子はとしわかきとき育ちたる草木のごとくわれらの女子は宮のふりにならひて刻みいだしし隅の石のごとくならん 019 PSA 144 013 われらの倉はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの羊は野にて千萬の子をうみ 019 PSA 144 014 われらの牡牛はよく物をおひ われらの衢にはせめいることなく亦おしいづることなく叫ぶこともなからん 019 PSA 144 015 かかる状の民はさいはひなり ヱホバをおのが神とする民はさいはひなり 019 PSA 145 001 わがかみ王よわれ汝をあがめ 世かぎりなく聖名をほめまつらん 019 PSA 145 002 われ日ごとに汝をほめ世々かぎりなく聖名をはめたたへん 019 PSA 145 003 ヱホバは大にましませば最もほむべきかな その大なることは尋ねしることかたし 019 PSA 145 004 この代はかの代にむかひてなんぢの事跡をほめたたへ なんぢの大能のはたらきを宣つたへん 019 PSA 145 005 われ汝のほまれの榮光ある稜威となんぢの奇しきみわざとを深くおもはん 019 PSA 145 006 人はなんぢのおそるべき動作のいきほひをかたり 我はなんぢの大なることを宣つたへん 019 PSA 145 007 かれらはなんぢの大なる惠の跡をいひいで なんぢの義をほめうたはん 019 PSA 145 008 ヱホバは惠ふかく憐憫みち また怒りたまふことおそく憐憫おほいなり 019 PSA 145 009 ヱホバはよろづの者にめぐみあり そのふかき憐憫はみわざの上にあまねし 019 PSA 145 010 ヱホバよ汝のすべての事跡はなんぢに感謝し なんぢの聖徒はなんぢをほめん 019 PSA 145 011 かれらは御國のえいくわうをかたり汝のみちからを宣つたへて 019 PSA 145 012 その大能のはたらきとそのみくにの榮光あるみいづとを人の子輩にしらすべし 019 PSA 145 013 なんぢの國はとこしへの國なり なんぢの政治はよろづ代にたゆることなし 019 PSA 145 014 ヱホバはすべて倒れんとする者をささへ かがむものを直くたたしめたまふ 019 PSA 145 015 よろづのものの目はなんぢを待 なんぢは時にしたがひてかれらに糧をあたへ給ふ 019 PSA 145 016 なんぢ手をひらきてもろもろの生るものの願望をあかしめたまふ 019 PSA 145 017 ヱホバはそのすべての途にただしく そのすべての作爲にめぐみふかし 019 PSA 145 018 すべてヱホバをよぶもの 誠をもて之をよぶものに ヱホバは近くましますなり 019 PSA 145 019 ヱホバは己をおそるるものの願望をみちたらしめ その號呼をききて之をすくひたまふ 019 PSA 145 020 ヱホバはおのれを愛しむものをすべて守りたまへど 惡者をことごとく滅したまはん 019 PSA 145 021 わが口はヱホバの頌美をかたり よろづの民は世々かぎりなくそのきよき名をほめまつるべし 019 PSA 146 001 ヱホバを讃稱へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ 019 PSA 146 002 われ生るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが神をほめうたはん 019 PSA 146 003 もろもろの君によりたのむことなく 人の子によりたのむなかれ かれらに助あることなし 019 PSA 146 004 その氣息いでゆけばかれ土にかへる その日かれがもろもろの企圖はほろびん 019 PSA 146 005 ヤコブの神をおのが助としその望をおのが神ヱホバにおくものは福ひなり 019 PSA 146 006 此はあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造り とこしへに眞實をまもり 019 PSA 146 007 虐げらるるもののために審判をおこなひ 饑ゑたるものに食物をあたへたまふ神なり ヱホバはとらはれたる人をときはなちたまふ 019 PSA 146 008 ヱホバはめしひの目をひらき ヱホバは屈者をなほくたたせ ヱホバは義しきものを愛しみたまふ 019 PSA 146 009 ヱホバは他邦人をまもり 孤子と寡婦とをささへたまふ されど惡きものの徑はくつがへしたまふなり 019 PSA 146 010 ヱホバはとこしへに統治めたまはん シオンよなんぢの神はよろづ代まで統治めたまはん ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 147 001 ヱホバをほめたたへよ われらの神をほめうたふは善ことなり樂しきことなり 稱へまつるはよろしきに適へり 019 PSA 147 002 ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる者をあつめたまふ 019 PSA 147 003 ヱホバは心のくだけたるものを醫しその傷をつつみたまふ 019 PSA 147 004 ヱホバはもろもろの星の數をかぞへてすべてこれに名をあたへたまふ 019 PSA 147 005 われらの主はおほいなりその能力もまた大なりその智慧はきはまりなし 019 PSA 147 006 ヱホバは柔和なるものをささへ惡きものを地にひきおとし給ふ 019 PSA 147 007 ヱホバに感謝してうたへ琴にあはせてわれらの神をほめうたヘ 019 PSA 147 008 ヱホバは雲をもて天をおほひ地のために雨をそなへ もろもろの山に草をはえしめ 019 PSA 147 009 くひものを獣にあたへ並なく小鴉にあたへたまふ 019 PSA 147 010 ヱホバは馬のちからを喜びたまはず 人の足をよみしたまはず 019 PSA 147 011 ヱホバはおのれを畏るるものと おのれの憐憫をのぞむものとを好したまふ 019 PSA 147 012 ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの神をほめたたへよ 019 PSA 147 013 ヱホバはなんぢの門の關木をかたうし 汝のうちなる子輩をさきはひ給ひたればなり 019 PSA 147 014 ヱホバは汝のすべての境にやはらぎをあたへ いと嘉麥をもて汝をあかしめたまふ 019 PSA 147 015 ヱホバはそのいましめを地にくだしたまふ その聖言はいとすみやかにはしる 019 PSA 147 016 ヱホバは雪をひつじの毛のごとくふらせ霜を灰のごとくにまきたまふ 019 PSA 147 017 ヱホバは氷をつちくれのごとくに擲ちたまふ たれかその寒冷にたふることをえんや 019 PSA 147 018 ヱホバ聖言をくだしてこれを消し その風をふかしめたまへばもろもろの水はながる 019 PSA 147 019 ヱホバはそのみことばをヤコブに示し そのもろもろの律法とその審判とをイスラエルにしめしたまふ 019 PSA 147 020 ヱホバはいづれの國をも如此あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 001 ヱホバをほめたたへよ もろもろの天よりヱホバをほめたたへよ もろもろの高所にてヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 002 その天使よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍よみなヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 003 日よ月よヱホバをほめたたへよ ひかりの星よみなヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 004 もろもろの天のてんよ 天のうへなる水よ ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 005 これらはみなヱホバの聖名をほめたたふべし そはヱホバ命じたまひたればかれらは造られたり 019 PSA 148 006 ヱホバまた此等をいやとほながに立たまひたり 又すぎうすまじき詔命をくだしたまへり 019 PSA 148 007 龍よ すべての淵よ地よりヱホバをほめたたへよ 019 PSA 148 008 火よ霰よ雪よ霧よみことばにしたがふ狂風よ 019 PSA 148 009 もろもろの山もろもろのをか實をむすぶ樹すべての香柏よ 019 PSA 148 010 獣もろもろの牲畜はふもの翼ある鳥よ 019 PSA 148 011 地の王たち もろもろのたみ 地の諸侯よ 地のもろもろの審士よ 019 PSA 148 012 少きをのこ 若きをみな 老たる人 をさなきものよ 019 PSA 148 013 みなヱホバの聖名をほめたたふべし その聖名はたかくして類なく そのえいくわうは地よりも天よりもうへにあればなり 019 PSA 148 014 ヱホバはその民のために一つの角をあげたまへり こはそもろもろの聖徒のほまれ ヱホバにちかき民なるイスラエルの子輩のほまれなり ヱホバを讃稱へよ 019 PSA 149 001 ヱホバをほめたたへよ ヱホバに對ひてあたらしき歌をうたへ 聖徒のつどひにてヱホバの頌美をうたへ 019 PSA 149 002 イスラエルはおのれを造りたまひしものをよろこび シオンの子輩は己が王のゆゑによりて樂しむべし 019 PSA 149 003 かれらをどりつつその聖名をほめたたへ 琴鼓にてヱホバをほめうたべし 019 PSA 149 004 ヱホバはおのが民をよろこび 救にて柔和なるものを美しくしたまへばなり 019 PSA 149 005 聖徒はえいくわうの故によりてよろこび その寝牀にてよろこびうたふべし 019 PSA 149 006 その口に神をほむるうたあり その手にもろはの劍あり 019 PSA 149 007 こはもろもろの國に仇をかへし もろもろの民をつみなひ 019 PSA 149 008 かれらの王たちを鏈にてかれらの貴人をくろかねの械にていましめ 019 PSA 149 009 録したる審判をかれらに行ふべきためなり 斯るほまれはそのもろもろの聖徒にあり ヱホバをほめたたへよ 019 PSA 150 001 ヱホバをほめたたへよ その聖所にて神をほめたたへよ その能力のあらはるる穹蒼にて神をほめたたへよ 019 PSA 150 002 その大能のはたらきのゆゑをもて神をほめたたへよ その秀ておほいなることの故によりてヱホバをほめたたへよ 019 PSA 150 003 ラッパの聲をもて神をほめたたへよ 筝と琴とをもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 004 つづみと蹈舞とをもて神をほめたたへよ 絃簫をもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 005 音のたかき鐃鈸をもて神をほめたたへよ なりひびく鐃鈸をもて神をほめたたへよ 019 PSA 150 006 氣息あるものは皆ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ # # BOOK 020 PRO Proverbs 箴言 知恵の泉 020 PRO 001 001 ダビデの子イスラエルの王ソロモンの箴言 020 PRO 001 002 こは人に智慧と訓誨とをしらしめ哲言を暁らせ 020 PRO 001 003 さとき訓と公義と公平と正直とをえしめ 020 PRO 001 004 拙者にさとりを與へ少者に知識と謹愼とを得させん爲なり 020 PRO 001 005 智慧ある者は之を聞て學にすすみ 哲者は智略をうべし 020 PRO 001 006 人これによりて箴言と譬喩と智慧ある者の言とその隠語とを悟らん 020 PRO 001 007 ヱホバを畏るるは知識の本なり 愚なる者は智慧と訓誨とを軽んず 020 PRO 001 008 我が子よ汝の父の敎をきけ 汝の母の法を棄ることなかれ 020 PRO 001 009 これ汝の首の美しき冠となり 汝の項の妝飾とならん 020 PRO 001 010 わが子よ惡者なんぢ誘ふとも從ふことなかれ 020 PRO 001 011 彼等なんぢにむかひて請ふ われらと偕にきたれ 我儕まちぶせして人の血を流し 無辜ものを故なきに伏てねらひ 020 PRO 001 012 陰府のごとく彼等を活たるままにて呑み 壯健なる者を墳に下る者のごとくになさん 020 PRO 001 013 われら各樣のたふとき財貨をえ 奪ひ取たる物をもて我儕の家に盈さん 020 PRO 001 014 汝われらと偕に籤をひけ 我儕とともに一の金嚢を持べしと云とも 020 PRO 001 015 我が子よ彼等とともに途を歩むことなかれ 汝の足を禁めてその路にゆくこと勿れ 020 PRO 001 016 そは彼らの足は惡に趨り 血を流さんとて急げばなり 020 PRO 001 017 (すべて鳥の目の前にて羅を張は徒勞なり) 020 PRO 001 018 彼等はおのれの血のために埋伏し おのれの命をふしてねらふ 020 PRO 001 019 凡て利を貧る者の途はかくの如し 是その持主をして生命をうしなはしむるなり 020 PRO 001 020 智慧外に呼はり衢に其聲をあげ 020 PRO 001 021 熱閙しき所にさけび 城市の門の口邑の中にその言をのべていふ 020 PRO 001 022 なんぢら拙者のつたなきを愛し 嘲笑者のあざけりを樂しみ 愚なる者の知識を惡むは幾時までぞや 020 PRO 001 023 わが督斥にしたがひて心を改めよ 視よわれ我が霊を汝らにそそぎ 我が言をなんぢらに示さん 020 PRO 001 024 われ呼たれども汝らこたへず 手を伸たれども顧る者なく 020 PRO 001 025 かへつて我がすべての勸告をすて我が督斥を受ざりしに由り 020 PRO 001 026 われ汝らが禍災にあふとき之を笑ひ 汝らの恐懼きたらんとき嘲るべし 020 PRO 001 027 これは汝らのおそれ颶風の如くきたり 汝らのほろび颺風の如くきたり 艱難とかなしみと汝らにきたらん時なり 020 PRO 001 028 そのとき彼等われを呼ばん 然れどわれ應へじ 只管に我を求めん されど我に遇じ 020 PRO 001 029 かれら知識を憎み又ヱホバを畏るることを悦ばず 020 PRO 001 030 わが勸に從はず凡て我督斥をいやしめたるによりて 020 PRO 001 031 己の途の果を食ひおのれの策略に飽べし 020 PRO 001 032 拙者の違逆はおのれを殺し 愚なる者の幸福はおのれを滅さん 020 PRO 001 033 されど我に聞ものは平穩に住ひかつ禍害にあふ恐怖なくして安然ならん 020 PRO 002 001 我が子よ汝もし我が言をうけ 我が誡命を汝のこころに蔵め 020 PRO 002 002 斯て汝の耳を智慧に傾け汝の心をさとりにむけ 020 PRO 002 003 もし知識を呼求め聰明をえんと汝の聲をあげ 020 PRO 002 004 銀の如くこれを探り 秘れたる寳の如くこれを尋ねば 020 PRO 002 005 汝ヱホバを畏るることを暁り 神を知ることを得べし 020 PRO 002 006 そはヱホバは智慧をあたへ 知識と聰明とその口より出づればなり 020 PRO 002 007 かれは義人のために聰明をたくはへ 直く行む者の盾となる 020 PRO 002 008 そは公平の途をたもち その聖徒の途すぢを守りたまへばなり 020 PRO 002 009 斯て汝はつひに公義と公平と正直と一切の善道を暁らん 020 PRO 002 010 すなはち智慧なんぢの心にいり 知識なんぢの霊魂に樂しからん 020 PRO 002 011 謹愼なんぢを守り 聰明なんぢをたもちて 020 PRO 002 012 惡き途よりすくひ虚偽をかたる者より救はん 020 PRO 002 013 彼等は直き途をはなれて幽暗き路に行み 020 PRO 002 014 惡を行ふを樂しみ 惡者のいつはりを悦び 020 PRO 002 015 その途はまがり その行爲は邪曲なり 020 PRO 002 016 聰明はまた汝を妓女より救ひ 言をもて諂ふ婦より救はん 020 PRO 002 017 彼はわかき時の侶をすて その神に契約せしことを忘るるなり 020 PRO 002 018 その家は死に下り その途は陰府に赴く 020 PRO 002 019 凡てかれにゆく者は歸らず また生命の途に達らざるなり 020 PRO 002 020 聰明汝をたもちてよき途に行ませ 義人の途を守らしめん 020 PRO 002 021 そは義人は地にながらへをり 完全者は地に止らん 020 PRO 002 022 されど惡者は地より亡され悖逆者は地より抜さらるべし 020 PRO 003 001 我が子よわが法を忘るるなかれ 汝の心にわが誡命をまもれ 020 PRO 003 002 さらば此事は汝の日をながくし生命の年を延べ平康をなんぢに加ふべし 020 PRO 003 003 仁慈と眞實とを汝より離すことなかれ 之を汝の項にむすび これを汝の心の碑にしるせ 020 PRO 003 004 さらばなんぢ神と人との前に恩寵と好名とを得べし 020 PRO 003 005 汝こころを盡してヱホバに倚賴め おのれの聰明に倚ることなかれ 020 PRO 003 006 汝すべての途にてヱホバをみとめよ さらばなんぢの途を直くしたまふべし 020 PRO 003 007 自から看て聰明とする勿れ ヱホバを畏れて惡を離れよ 020 PRO 003 008 これ汝の身に良薬となり汝の骨に滋潤とならん 020 PRO 003 009 汝の貨財と汝がすべての產物の初生をもてヱホバをあがめよ 020 PRO 003 010 さらば汝の倉庫はみちて餘り 汝の酒醡は新しき酒にて溢れん 020 PRO 003 011 我子よ汝ヱホバの懲治をかろんずる勿れ その譴責を受くるを厭ふこと勿れ 020 PRO 003 012 それヱホバはその愛する者をいましめたまふ あたかも父のその愛する子を譴むるが如し 020 PRO 003 013 智慧を求め得る人および聰明をうる人は福なり 020 PRO 003 014 そは智慧を獲るは銀を獲るに愈りその利は精金よりも善ければなり 020 PRO 003 015 智慧は眞珠よりも尊し 汝の凡ての財貨も之と比ぶるに足らず 020 PRO 003 016 其右の手には長壽あり その左の手には富と尊貴とあり 020 PRO 003 017 その途は樂しき途なり その徑すぢは悉く平康し 020 PRO 003 018 これは執る者には生命の樹なり これ持ものは福なり 020 PRO 003 019 ヱホバ智慧をもて地をさだめ 聰明をもて天を置たまへり 020 PRO 003 020 その知識によりて海洋はわきいで 雲は露をそそぐなり 020 PRO 003 021 我が子よこれらを汝の眼より離す勿れ 聰明と謹愼とを守れ 020 PRO 003 022 然ばこれは汝の霊魂の生命となり汝の項の妝飾とならん 020 PRO 003 023 かくて汝やすらかに汝の途をゆかん 又なんぢの足つまづかじ 020 PRO 003 024 なんぢ臥とき怖るるところあらず 臥ときは酣く睡らん 020 PRO 003 025 なんぢ猝然なる恐懼をおそれず 惡者の滅亡きたる時も之を怖るまじ 020 PRO 003 026 そはヱホバは汝の倚賴むものにして汝の足を守りてとらはれしめたまはざるべければなり 020 PRO 003 027 汝の手善をなす力あらば之を爲すべき者に爲さざること勿れ 020 PRO 003 028 もし汝に物あらば汝の鄰に向ひ 去て復來れ明日われ汝に予へんといふなかれ 020 PRO 003 029 汝の鄰なんぢの傍に安らかに居らば之にむかひて惡を謀ること勿れ 020 PRO 003 030 人もし汝に惡を爲さずば故なく之と爭ふこと勿れ 020 PRO 003 031 暴虐人を羨むことなく そのすべての途を好とすることなかれ 020 PRO 003 032 そは邪曲なる者はヱホバに惡まるればなり されど義者はその親き者とせらるべし 020 PRO 003 033 ヱホバの呪詛は惡者の家にあり されど義者の室はかれにめぐまる 020 PRO 003 034 彼は嘲笑者をあざけり 謙る者に恩惠をあたへたまふ 020 PRO 003 035 智者は尊榮をえ 愚なる者は羞辱之をとりさるべし 020 PRO 004 001 小子等よ父の訓をきけ 聰明を知んために耳をかたむけよ 020 PRO 004 002 われ善敎を汝らにさづく わが律を棄つることなかれ 020 PRO 004 003 われも我が父には子にして 我が母の目には獨の愛子なりき 020 PRO 004 004 父われを敎へていへらく我が言を汝の心にとどめ わが誡命をまもれ 然らば生べし 020 PRO 004 005 智慧をえ聰明をえよ これを忘るるなかれ また我が口の言に身をそむくるなかれ 020 PRO 004 006 智慧をすつることなかれ彼なんぢを守らん 彼を愛せよ彼なんぢを保たん 020 PRO 004 007 智慧は第一なるものなり 智慧をえよ 凡て汝の得たる物をもて聰明をえよ 020 PRO 004 008 彼を尊べ さらば彼なんぢを高く擧げん もし彼を懐かば彼汝を尊榮からしめん 020 PRO 004 009 かれ美しき飾を汝の首に置き 榮の冠弁を汝に予へん 020 PRO 004 010 我が子よきけ 我が言を納れよ さらば汝の生命の年おほからん 020 PRO 004 011 われ智慧の道を汝に敎へ義しき徑筋に汝を導けり 020 PRO 004 012 歩くとき汝の歩は艱まず 趨るときも躓かじ 020 PRO 004 013 堅く訓誨を執りて離すこと勿れ これを守れ これは汝の生命なり 020 PRO 004 014 邪曲なる者の途に入ることなかれ 惡者の路をあやむこと勿れ 020 PRO 004 015 これを避よ 過ること勿れ 離れて去れ 020 PRO 004 016 そは彼等は惡を爲さざれば睡らず 人を躓かせざればいねず 020 PRO 004 017 不義のパンを食ひ暴虐の酒を飮めばなり 020 PRO 004 018 義者の途は旭光のごとし いよいよ光輝をまして晝の正午にいたる 020 PRO 004 019 惡者の途は幽冥のごとし 彼らはその蹟くもののなになるを知ざるなり 020 PRO 004 020 わが子よ我が言をきけ 我が語るところに汝の耳を傾けよ 020 PRO 004 021 之を汝の目より離すこと勿れ 汝の心のうちに守れ 020 PRO 004 022 是は之を得るものの生命にしてまたその全體の良薬なり 020 PRO 004 023 すべての操守べき物よりもまさりて汝の心を守れ そは生命の流これより出ればなり 020 PRO 004 024 虚偽の口を汝より棄さり 惡き口唇を汝より遠くはなせ 020 PRO 004 025 汝の目は正く視 汝の眼瞼は汝の前を眞直に視るべし 020 PRO 004 026 汝の足の徑をかんがへはかり 汝のすべての道を直くせよ 020 PRO 004 027 右にも左にも偏ること勿れ汝の足を惡より離れしめよ 020 PRO 005 001 我が子よわが智慧をきけ 汝の耳をわが聰明に傾け 020 PRO 005 002 しかしてなんぢ謹愼を守り汝の口唇に知識を保つべし 020 PRO 005 003 娼妓の口唇は蜜を滴らし 其口は脂よりも滑なり 020 PRO 005 004 されど其終は茵蔯の如くに苦く兩刃の劍の如くに利し 020 PRO 005 005 その足は死に下り その歩は陰府に趣く 020 PRO 005 006 彼は生命の途に入らず 其徑はさだかならねども自ら之を知ざるなり 020 PRO 005 007 小子等よいま我にきけ 我が口の言を棄つる勿れ 020 PRO 005 008 汝の途を彼より遠く離れしめよ 其家の門に近づくことなかれ 020 PRO 005 009 恐くは汝の榮を他人にわたし 汝の年を憐憫なき者にわたすにいたらん 020 PRO 005 010 恐くは他人なんぢの資財によりて盈され 汝の勞苦は他人の家にあらん 020 PRO 005 011 終にいたりて汝の身なんぢの體亡ぶる時なんぢ泣悲みていはん 020 PRO 005 012 われ敎をいとひ 心に譴責をかろんじ 020 PRO 005 013 我が師の聲をきかず 我を敎ふる者に耳を傾けず 020 PRO 005 014 あつまりの中會衆のうちにてほとんど諸の惡に陷れりと 020 PRO 005 015 汝おのれの水溜より水を飮み おのれの泉より流るる水をのめ 020 PRO 005 016 汝の流をほかに溢れしめ 汝の河の水を衢に流れしむべけんや 020 PRO 005 017 これを自己に歸せしめ 他人をして汝と偕にこに與らしむること勿れ 020 PRO 005 018 汝の泉に福祉を受しめ 汝の少き時の妻を樂しめ 020 PRO 005 019 彼は愛しき麀のごとく美しき鹿の如し その乳房をもて常にたれりとし その愛をもて常によろこべ 020 PRO 005 020 我子よ何なればあそびめをたのしみ 淫婦の胸を懐くや 020 PRO 005 021 それ人の途はヱホバの目の前にあり 彼はすべて其行爲を量りたまふ 020 PRO 005 022 惡者はおのれの愆にとらへられ その罪の繩に繋る 020 PRO 005 023 彼は訓誨なきによりて死 その多くの愚なることに由りて亡ぶべし 020 PRO 006 001 我子よ汝もし朋友のために保證をなし 他人のために汝の手を拍ば 020 PRO 006 002 汝その口の言によりてわなにかかり その口の言によりてとらへらるるなり 020 PRO 006 003 我子よ汝友の手に陷りしならば斯して自ら救へ すなはち往て自ら謙だり只管なんぢの友に求め 020 PRO 006 004 汝の目をして睡らしむることなく 汝の眼瞼をして閉しむること勿れ 020 PRO 006 005 かりうどの手より鹿ののがるるごとく 鳥とる者の手より鳥ののがるる如くして みづからを救へ 020 PRO 006 006 惰者よ蟻にゆき其爲すところを觀て智慧をえよ 020 PRO 006 007 蟻は首領なく有司なく君主なけれども 020 PRO 006 008 夏のうちに食をそなへ 収穫のときに糧を斂む 020 PRO 006 009 惰者よ汝いづれの時まで臥息むや いづれの時まで睡りて起ざるや 020 PRO 006 010 しばらく臥ししばらく睡り 手を叉きてまた片時やすむ 020 PRO 006 011 さらば汝の貧窮は盗人の如くきたり汝の缺乏は兵士の如くきたるべし 020 PRO 006 012 邪曲なる人あしき人は虚偽の言をもて事を行ふ 020 PRO 006 013 彼は眼をもて眴せし 脚をもてしらせ 指をもて示す 020 PRO 006 014 その心に虚偽をたもち 常に惡をはかり 爭端を起す 020 PRO 006 015 この故にその禍害にはかに來り 援助なくして立刻に敗らるべし 020 PRO 006 016 ヱホバの憎みたまふもの六あり 否その心に嫌ひたまふもの七あり 020 PRO 006 017 即ち驕る目いつはりをいふ舌 つみなき人の血を流す手 020 PRO 006 018 惡き謀計をめぐらす心 すみやかに惡に趨る足 020 PRO 006 019 詐僞をのぶる證人 および兄弟のうちに爭端をおこす者なり 020 PRO 006 020 我子よ汝の父の誡命を守り 汝の母の法を棄る勿れ 020 PRO 006 021 常にこれを汝の心にむす び之をなんぢの頸に佩よ 020 PRO 006 022 これは汝のゆくとき汝をみちびき 汝の寝るとき汝をまもり 汝の寤るとき汝とかたらん 020 PRO 006 023 それ誡命は燈火なり 法は光なり 敎訓の懲治は生命の道なり 020 PRO 006 024 これは汝をまもりて惡き婦よりまぬかれしめ 汝をたもちて淫婦の舌の諂媚にまどはされざらしめん 020 PRO 006 025 その艶美を心に戀ふことなかれ その眼瞼に捕へらるること勿れ 020 PRO 006 026 それ娼妓のために人はただ僅に一撮の糧をのこすのみにいたる 又淫婦は人の尊き生命を求むるなり 020 PRO 006 027 人は火を懐に抱きてその衣を焚れざらんや 020 PRO 006 028 人は熱火を踏て其足を焚れざらんや 020 PRO 006 029 その隣の妻と姦淫をおこなふ者もかくあるべし 凡て之に捫る者は罪なしとせられず 020 PRO 006 030 竊む者もし饑しときに其饑を充さん爲にぬすめるならば人これを藐ぜじ 020 PRO 006 031 もし捕へられなばその七倍を償ひ其家の所有をことごとく出さざるべからず 020 PRO 006 032 婦と姦淫をおこなふ者は智慧なきなり 之を行ふ者はおのれの霊魂を亡し 020 PRO 006 033 傷と陵辱とをうけて其恥を雪ぐこと能はず 020 PRO 006 034 妒忌その夫をして忿怒をもやさしむればその怨を報ゆるときかならず寛さじ 020 PRO 006 035 いかなる贖物をも顧みず 衆多の饋物をなすともやはらがざるべし 020 PRO 007 001 我子よわが言をまもり我が誡命を汝の心にたくはへよ 020 PRO 007 002 我が誡命をまもりで生命をえよ 我法を守ること汝の眸子を守るが如くせよ 020 PRO 007 003 これを汝の指にむすび これを汝の心の碑に銘せ 020 PRO 007 004 なんぢ智慧にむかひて汝はわが姉妹なりといひ 明理にむかひて汝はわが友なりといへ 020 PRO 007 005 さらば汝をまもりて淫婦にまよはざらしめ 言をもて媚る娼妓にとほざからしめん 020 PRO 007 006 われ我室の牖により檑子よりのぞきて 020 PRO 007 007 拙き者のうち幼弱者のうちに一人の智慧なき者あるを觀たり 020 PRO 007 008 彼衢をすぎ婦の門にちかづき其家の路にゆき 020 PRO 007 009 黄昏に半宵に夜半に黑暗の中にあるけり 020 PRO 007 010 時に娼妓の衣を着たる狡らなる婦かれにあふ 020 PRO 007 011 この婦は譁しくしてつつしみなく 其足は家に止らず 020 PRO 007 012 あるときは衢にあり 或時はひろばにあり すみずみにたちて人をうかがふ 020 PRO 007 013 この婦かれをひきて接吻し恥しらぬ面をもていひけるは 020 PRO 007 014 われ酬恩祭を献げ今日すでにわが誓願を償せり 020 PRO 007 015 これによりて我なんぢを迎へんとていで 汝の面をたづねて汝に逢へり 020 PRO 007 016 わが榻には美しき褥およびエジプトの文枲をしき 020 PRO 007 017 沒藥蘆薈桂皮をもて我が榻にそそげり 020 PRO 007 018 來れわれら詰朝まで情をつくし愛をかよはして相なぐさめん 020 PRO 007 019 そは夫は家にあらず遠く旅立して 020 PRO 007 020 手に金嚢をとれり 望月ならでは家に歸らじと 020 PRO 007 021 多の婉言をもて惑し口唇の諂媚をもて誘へば 020 PRO 007 022 わかき人ただちにこれに隨へり あだかも牛の宰地にゆくが如く 愚なる者の桎梏をかけらるる爲にゆくが如し 020 PRO 007 023 遂には矢その肝を刺さん 鳥の速かに羅にいりてその生命を喪ふに至るを知ざるがごとし 020 PRO 007 024 小子等よいま我にきけ 我が口の言に耳を傾けよ 020 PRO 007 025 なんぢの心を淫婦の道にかたむくること勿れ またこれが徑に迷ふこと勿れ 020 PRO 007 026 そは彼は多の人を傷つけて仆せり 彼に殺されたる者ぞ多かる 020 PRO 007 027 その家は陰府の途にして死の室に下りゆく 020 PRO 008 001 智慧は呼はらざるか 聰明は聲を出さざるか 020 PRO 008 002 彼は路のほとりの高處また街衢のなかに立ち 020 PRO 008 003 邑のもろもろの門 邑の口および門々の入口にて呼はりいふ 020 PRO 008 004 人々よわれ汝をよび 我が聲をもて人の子等をよぶ 020 PRO 008 005 拙き者よなんぢら聰明に明かなれ 愚なる者よ汝ら明かなる心を得よ 020 PRO 008 006 汝きけ われ善事をかたらん わが口唇をひらきて正事をいださん 020 PRO 008 007 我が口は眞實を述べ わが口唇はあしき事を憎むなり 020 PRO 008 008 わが口の言はみな義し そのうちに虚偽と奸邪とあることなし 020 PRO 008 009 是みな智者の明かにするところ 知識をうる者の正とするところなり 020 PRO 008 010 なんぢら銀をうくるよりは我が敎をうけよ 精金よりもむしろ知識をえよ 020 PRO 008 011 それ智慧は眞珠に愈れり 凡の寳も之に比ぶるに足らず 020 PRO 008 012 われ智慧は聰明をすみかとし 知識と謹愼にいたる 020 PRO 008 013 ヱホバを畏るるとは惡を憎むことなり 我は傲慢と驕奢 惡道と虚偽の口とを憎む 020 PRO 008 014 謀略と聰明は我にあり 我は了知なり 我は能力あり 020 PRO 008 015 我に由て王者は政をなし 君たる者は義しき律をたて 020 PRO 008 016 我によりて主たる者および牧伯たちなど凡て地の審判人は世ををさむ 020 PRO 008 017 われを愛する者は我これを愛す 我を切に求むるものは我に遇ん 020 PRO 008 018 富と榮とは我にあり 貴き寳と公義とも亦然り 020 PRO 008 019 わが果は金よりも精金よりも愈り わが利は精銀よりもよし 020 PRO 008 020 我は義しき道にあゆみ 公平なる路徑のなかを行む 020 PRO 008 021 これ我を愛する者に貨財をえさせ 又その庫を充しめん爲なり 020 PRO 008 022 ヱホバいにしへ其御わざをなしそめたまへる前に その道の始として我をつくりたまひき 020 PRO 008 023 永遠より元始より地の有ざりし前より我は立られ 020 PRO 008 024 いまだ海洋あらず いまだ大なるみづの泉あらざりしとき我すでに生れ 020 PRO 008 025 山いまださだめられず 陵いまだ有ざりし前に我すでに生れたり 020 PRO 008 026 即ち神いまだ地をも野をも地の塵の根元をも造り給はざりし時なり 020 PRO 008 027 かれ天をつくり海の面に穹蒼を張たまひしとき我かしこに在りき 020 PRO 008 028 彼うへに雲氣をかたく定め 淵の泉をつよくならしめ 020 PRO 008 029 海にその限界をたて 水をしてその岸を踰えざらしめ また地の基を定めたまへるとき 020 PRO 008 030 我はその傍にありて創造者となり 日々に欣び恒にその前に樂み 020 PRO 008 031 その地にて樂み又世の人を喜べり 020 PRO 008 032 されば小子等よ いま我にきけ わが道をまもる者は福ひなり 020 PRO 008 033 敎をききて智慧をえよ 之を棄ることなかれ 020 PRO 008 034 凡そ我にきき 日々わが門の傍にまち わが戸口の柱のわきにたつ人は福ひなり 020 PRO 008 035 そは我を得る者は生命をえ ヱホバより恩寵を獲ればなり 020 PRO 008 036 我を失ふものは自己の生命を害ふ すべて我を惡むものは死を愛するなり 020 PRO 009 001 智慧はその家を建て その七の柱を砍成し 020 PRO 009 002 その畜を宰り その酒を混和せ その筵をそなへ 020 PRO 009 003 その婢女をつかはして邑の高處に呼はりいはしむ 020 PRO 009 004 拙者よここに來れと また智慧なき者にいふ 020 PRO 009 005 汝等きたりて我が糧を食ひ わがまぜあはせたる酒をのみ 020 PRO 009 006 拙劣をすてて生命をえ 聰明のみちを行め 020 PRO 009 007 嘲笑者をいましむる者は恥を己にえ 惡人を責むる者は疵を己にえん 020 PRO 009 008 嘲笑者を責むることなかれ 恐くは彼なんぢを惡まん 智慧ある者をせめよ 彼なんぢを愛せん 020 PRO 009 009 智慧ある者に授けよ 彼はますます智慧をえん 義者を敎へよ 彼は知識に進まん 020 PRO 009 010 ヱホバを畏るることは智慧の根本なり 聖者を知るは聰明なり 020 PRO 009 011 我により汝の日は多くせられ 汝のいのちの年は増べし 020 PRO 009 012 汝もし智慧あらば自己のために智慧あるなり 汝もし嘲らば汝ひとり之を負ん 020 PRO 009 013 愚なる婦は嘩しく且つたなくして何事をも知らず 020 PRO 009 014 その家の門に坐し邑のたかき處にある座にすわり 020 PRO 009 015 道をますぐに過る往來の人を招きていふ 020 PRO 009 016 拙者よここに來れと また智慧なき人にむかひては之にいふ 020 PRO 009 017 竊みたる水は甘く密かに食ふ糧は美味ありと 020 PRO 009 018 彼處にある者は死し者その客は陰府のふかき處にあることを是等の人は知らざるなり 020 PRO 010 001 ソロモンの箴言 智慧ある子は父を欣ばす 愚なる子は母の憂なり 020 PRO 010 002 不義の財は益なし されど正義は救ひて死を脱かれしむ 020 PRO 010 003 ヱホバは義者の霊魂を餓ゑしめず 惡者にその欲するところを得ざらしむ 020 PRO 010 004 手をものうくして動くものは貧くなり 勤めはたらく者の手は富を得 020 PRO 010 005 夏のうちに斂むる者は智き子なり 収穫の時にねむる者は辱をきたす子なり 020 PRO 010 006 義者の首には福祉きたり 惡者の口は強暴を掩ふ 020 PRO 010 007 義者の名は讃られ 惡者の名は腐る 020 PRO 010 008 心の智き者は誡命を受く されど口の頑愚なる者は滅さる 020 PRO 010 009 直くあゆむ者はそのあゆむこと安し されどその途を曲ぐる者は知らるべし 020 PRO 010 010 眼をもて眴せする者は憂をおこし 口の頑愚なる者は亡さる 020 PRO 010 011 義者の口は生命の泉なり 惡者の口は強暴を掩ふ 020 PRO 010 012 怨恨は爭端をおこし 愛はすべての愆を掩ふ 020 PRO 010 013 哲者のくちびるには智慧あり 智慧なき者の背のためには鞭あり 020 PRO 010 014 智慧ある者は知識をたくはふ 愚かなる者の口はいまにも滅亡をきたらす 020 PRO 010 015 富者の資財はその堅き城なり 貧者のともしきはそのほろびなり 020 PRO 010 016 義者が動作は生命にいたり 惡者の利得は罪にいたる 020 PRO 010 017 敎をまもる者は生命の道にあり懲戒をすつる者はあやまりにおちいる 020 PRO 010 018 怨をかくす者には虚偽のくちびるあり 誹謗をいだす者は愚かなる者なり 020 PRO 010 019 言おほけれぼ罪なきことあたはず その口唇を禁むるものは智慧あり 020 PRO 010 020 義者の舌は精銀のごとし 惡者の心は値すくなし 020 PRO 010 021 義者の口唇はおほくの人をやしなひ 愚なる者は智慧なきに由て死ぬ 020 PRO 010 022 ヱホバの祝福は人を富す 人の勞苦はこれに加ふるところなし 020 PRO 010 023 愚かなる者は惡をなすを戯れごとのごとくす 智慧のさとかる人にとりても是のごとし 020 PRO 010 024 惡者の怖るるところは自己にきたり 義者のねがふところはあたへらる 020 PRO 010 025 狂風のすぐるとき惡者は無に歸せん 義者は窮なくたもつ基のごとし 020 PRO 010 026 惰る者のこれを遣すものに於るは酢の歯に於るが如く煙の目に於るが如し 020 PRO 010 027 ヱホバを畏るることは人の日を多くす されど惡者の年はちぢめらる 020 PRO 010 028 義者の望は喜悦にいたり惡者の望は絶べし 020 PRO 010 029 ヱホバの途は直者の城となり 惡を行ふものの滅亡となる 020 PRO 010 030 義者は何時までも動かされず 惡者は地に住むことを得じ 020 PRO 010 031 義者の口は智慧をいだすなり 虚偽の舌は抜るべし 020 PRO 010 032 義者のくちびるは喜ばるべきことをわきまへ 惡者の口はいつはりを語る 020 PRO 011 001 いつはりの權衝はヱホバに惡まれ 義しき法馬は彼に欣ばる 020 PRO 011 002 驕傲きたれば辱も亦きたる謙だる者には智慧あり 020 PRO 011 003 直者の端荘は己を導き悖逆者の邪曲は己を亡す 020 PRO 011 004 寳は震怒の日に益なし されど正義は救ふて死をまぬかれしむ 020 PRO 011 005 完全者はその正義によりてその途を直くせられ 惡者はその惡によりて跌るべし 020 PRO 011 006 直者はその正義によりて救はれ 悖逆者は自己の惡によりて執へらる 020 PRO 011 007 惡人は死るときにその望たえ 不義なる者の望もまた絶べし 020 PRO 011 008 義者は艱難より救はれ 惡者はこれに代る 020 PRO 011 009 邪曲なる者は口をもてその鄰を亡す されど義しき者はその知識によりて救はる 020 PRO 011 010 義しきもの幸福を受ればその城邑に歓喜あり 惡きもの亡さるれば歓喜の聲おこる 020 PRO 011 011 城邑は直者の祝ふに倚て高く擧られ 惡者の口によりて亡さる 020 PRO 011 012 その鄰を侮る者は智慧なし 聰明人はその口を噤む 020 PRO 011 013 往て人の是非をいふ者は密事を洩し 心の忠信なる者は事を隱す 020 PRO 011 014 はかりごとなければ民たふれ 議士多ければ平安なり 020 PRO 011 015 他人のために保證をなす者は苦難をうけ 保證を嫌ふ者は平安なり 020 PRO 011 016 柔順なる婦は榮譽をえ 強き男子は資財を得 020 PRO 011 017 慈悲ある者は己の霊魂に益をくはへ 殘忍者はおのれの身を擾はす 020 PRO 011 018 惡者の獲る報はむなしく 義を播くものの得る報賞は確し 020 PRO 011 019 堅く義をたもつ者は生命にいたり 惡を追もとむる者はおのれの死をまねく 020 PRO 011 020 心の戻れる者はヱホバに憎まれ 直く道を歩む者は彼に悦ばる 020 PRO 011 021 手に手をあはするとも惡人は罪をまぬかれず 義人の苗裔は救を得 020 PRO 011 022 美しき婦のつつしみなきは金の環の豕の鼻にあるが如し 020 PRO 011 023 義人のねがふところは凡て福祉にいたり 惡人ののぞむところは震怒にいたる 020 PRO 011 024 ほどこし散して反りて増ものあり 與ふべきを吝みてかへりて貧しきにいたる者あり 020 PRO 011 025 施與を好むものは肥え 人を潤ほす者はまた利潤をうく 020 PRO 011 026 穀物を蔵めて糶ざる者は民に詛はる 然れど售る者の首には祝福あり 020 PRO 011 027 善をもとむる者は恩惠をえん 惡をもとむる者には惡き事きたらん 020 PRO 011 028 おのれの富を恃むものは仆れん されど義者は樹の靑葉のごとくさかえん 020 PRO 011 029 おのれの家をくるしむるものは風をえて所有とせん 愚なる者は心の智きものの僕とならん 020 PRO 011 030 義人の果は生命の樹なり 智慧ある者は人を捕ふ 020 PRO 011 031 みよ義人すらも世にありて報をうくべし况て惡人と罪人とをや 020 PRO 012 001 訓誨を愛する者は知識を愛す 懲戒を惡むものは畜のごとし 020 PRO 012 002 善人はヱホバの恩寵をうけ 惡き謀略を設くる人はヱホバに罰せらる 020 PRO 012 003 人は惡をもて堅く立ことあたはず 義人の根は動くことなし 020 PRO 012 004 賢き婦はその夫の冠弁なり 辱をきたらする婦は夫をしてその骨に腐あるが如くならしむ 020 PRO 012 005 義者のおもひは直し 惡者の計るところは虚偽なり 020 PRO 012 006 惡者の言は人の血を流さんとて伺ふ されど直者の口は人を救ふなり 020 PRO 012 007 惡者はたふされて無ものとならん されど義者の家は立べし 020 PRO 012 008 人はその聰明にしたがひて譽られ 心の悖れる者は藐めらる 020 PRO 012 009 卑賤してしもべある者は自らたかぶりて食に乏き者に愈る 020 PRO 012 010 義者はその畜の生命を顧みる されど惡者は殘忍をもてその憐憫とす 020 PRO 012 011 おのれの田地を耕すものは食にあく 放蕩なる人にしたがふ者は智慧なし 020 PRO 012 012 惡者はあしき人の獲たる物をうらやみ 義者の根は芽をいだす 020 PRO 012 013 惡者はくちびるの愆によりて罟に陷る されど義者は患難の中よりまぬかれいでん 020 PRO 012 014 人はその口の徳によりて福祉に飽ん 人の手の行爲はその人の身にかへるべし 020 PRO 012 015 愚なる者はみづからその道を見て正しとす されど智慧ある者はすすめを容る 020 PRO 012 016 愚なる者はただちに怒をあらはし 智きものは恥をつつむ 020 PRO 012 017 眞實をいふものは正義を述べ いつはりの證人は虚偽をいふ 020 PRO 012 018 妄りに言をいだし劍をもて刺がごとくする者あり されど智慧ある者の舌は人をいやす 020 PRO 012 019 眞理をいふ口唇は何時までも存つ されど虚偽をいふ舌はただ瞬息のあひだのみなり 020 PRO 012 020 惡事をはかる者の心には欺詐あり 和平を謀る者には歓喜あり 020 PRO 012 021 義者には何の禍害も來らず 惡者はわざはひをもて充さる 020 PRO 012 022 いつはりの口唇はヱホバに憎まれ 眞實をおこなふ者は彼に悦ばる 020 PRO 012 023 賢人は知識をかくす されど愚なる者のこころは愚なる事を述ぶ 020 PRO 012 024 勤めはたらく者の手は人ををさむるにいたり惰者は人に服ふるにいたる 020 PRO 012 025 うれひ人の心にあれば之を屈ます されど善言はこれを樂します 020 PRO 012 026 義者はその友に道を示す されど惡者は自ら途にまよふ 020 PRO 012 027 惰者はおのれの猟獲たる物をも燔ず 勉めはたらくことは人の貴とき寳なり 020 PRO 012 028 義しき道には生命ありその道すぢには死なし 020 PRO 013 001 智慧ある子は父の敎訓をきき 戯謔者は懲治をきかず 020 PRO 013 002 人はその口の徳によりて福祉をくらひ悖逆者の霊魂は強暴をくらふ 020 PRO 013 003 その口を守る者はその生命を守る その口唇を大きくひらく者には滅亡きたる 020 PRO 013 004 惰る者はこころに慕へども得ることなし 勤めはたらく者の心は豊饒なり 020 PRO 013 005 義者は虚偽の言をにくみ 惡者ははぢをかうむらせ面を赤くせしむ 020 PRO 013 006 義は道を直くあゆむ者をまもり 惡は罪人を倒す 020 PRO 013 007 自ら富めりといひあらはして些少の所有もなき者あり 自ら貧しと稱へて資財おほき者あり 020 PRO 013 008 人の資財はその生命を贖ふものとなるあり 然ど貧者は威嚇をきくことあらず 020 PRO 013 009 義者の光は輝き惡者の燈火はけさる 020 PRO 013 010 驕傲はただ爭端を生ず 勸告をきく者は智慧あり 020 PRO 013 011 詭計をもて得たる資財は減る されど手をもて聚めたくはふる者はこれを増すことを得 020 PRO 013 012 望を得ること遅きときは心を疾しめ 願ふ所旣にとぐるときは生命の樹を得たるがごとし 020 PRO 013 013 御言をかろんずる者は亡され 誡命をおそるる者は報賞を得 020 PRO 013 014 智慧ある人の敎訓はいのちの泉なり 能く人をして死の罟を脱れしむ 020 PRO 013 015 善にして哲きものは恩を蒙る されど悖逆者の途は艱難なり 020 PRO 013 016 凡そ賢者は知識に由りて事をおこなひ 愚なる者はおのれの痴を顯す 020 PRO 013 017 惡き使者は災禍に陷る されど忠信なる使者は良薬の如し 020 PRO 013 018 貧乏と恥辱とは敎訓をすつる者にきたる されど譴責を守る者は尊まる 020 PRO 013 019 望を得れば心に甘し 愚なる者は惡を棄つることを嫌ふ 020 PRO 013 020 智慧ある者と偕にあゆむものは智慧をえ 愚なる者の友となる者はあしくなる 020 PRO 013 021 わざはひは罪人を追ひ 義者は善報をうく 020 PRO 013 022 善人はその產業を子孫に遺す されど罪人の資財は義者のために蓄へらる 020 PRO 013 023 貧しき者の新田にはおほくの糧あり されど不義によりて亡る者あり 020 PRO 013 024 鞭をくはへざる者はその子を憎むなり 子を愛する者はしきりに之をいましむ 020 PRO 013 025 義しき者は食をえて飽く されど惡者の腹は空し 020 PRO 014 001 智慧ある婦はその家をたて 愚なる婦はおのれの手をもて之を毀つ 020 PRO 014 002 直くあゆむ者はヱホバを畏れ 曲りてあゆむ者はこれを侮る 020 PRO 014 003 愚なる者の口にはその傲のために鞭笞あり 智者の口唇はおのれを守る 020 PRO 014 004 牛なければ飼蒭倉むなし牛の力によりて生產る物おほし 020 PRO 014 005 忠信の證人はいつはらず 虚偽のあかしびとは謊言を吐く 020 PRO 014 006 嘲笑者は智慧を求むれどもえず 哲者は知識を得ること容易し 020 PRO 014 007 汝おろかなる者の前を離れされ つひに知識の彼にあるを見ざるべし 020 PRO 014 008 賢者の智慧はおのれの道を暁るにあり 愚なる者の痴は欺くにあり 020 PRO 014 009 おろろかなる者は罪をかろんず されど義者の中には恩惠あり 020 PRO 014 010 心の苦みは心みづから知る其よろこびには他人あづからず 020 PRO 014 011 惡者の家は亡され 正直き者の幕屋はさかゆ 020 PRO 014 012 人のみづから見て正しとする途にしてその終はつひに死にいたる途となるものあり 020 PRO 014 013 笑ふ時にも心に悲あり 歓樂の終に憂あり 020 PRO 014 014 心の悖れる者はおのれの途に飽かん 善人もまた自己に飽かん 020 PRO 014 015 拙者はすべての言を信ず 賢者はその行を愼む 020 PRO 014 016 智慧ある者は怖れて惡をはなれ 愚なる者はたかぶりて怖れず 020 PRO 014 017 怒り易き者は愚なることを行ひ 惡き謀計を設くる者は惡まる 020 PRO 014 018 拙者は愚なる事を得て所有となし 賢者は知識をもて冠弁となす 020 PRO 014 019 惡者は善者の前に俯伏し 罪ある者は義者の門に俯伏す 020 PRO 014 020 貧者はその鄰にさへも惡まる されど富者を愛する者はおほし 020 PRO 014 021 その鄰を藐むる者は罪あり 困苦者を憐むものは幸福あり 020 PRO 014 022 惡を謀る者は自己をあやまるにあらずや 善を謀る者には憐憫と眞實とあり 020 PRO 014 023 すべての勤勞には利益あり されど口唇のことばは貧乏をきたらするのみなり 020 PRO 014 024 智慧ある者の財寳はその冠弁となる 愚なる者のおろかはただ痴なり 020 PRO 014 025 眞實の證人は人のいのちを救ふ 謊言を吐く者は偽人なり 020 PRO 014 026 ヱホバを畏るることは堅き依賴なり その兒輩は逃避場をうべし 020 PRO 014 027 ヱホバを畏るることは生命の泉なり 人を死の罟より脱れしむ 020 PRO 014 028 王の榮は民の多きにあり 牧伯の衰敗は民を失ふにあり 020 PRO 014 029 怒を遅くする者は大なる知識あり 氣の短き者は愚なることを顯す 020 PRO 014 030 心の安穩なるは身のいのちなり 娼嫉は骨の腐なり 020 PRO 014 031 貧者を虐ぐる者はその造主を侮るなり 彼をうやまふ者は貧者をあはれむ 020 PRO 014 032 惡者はその惡のうちにて亡され義者はその死ぬる時にも望あり 020 PRO 014 033 智慧は哲者の心にとどまり 愚なる者の衷にある事はあらはる 020 PRO 014 034 義は國を高くし罪は民を辱しむ 020 PRO 014 035 さとき僕は王の恩を蒙ぶり 辱をきたらす者はその震怒にあふ 020 PRO 015 001 柔和なる答は憤恨をとどめ厲しき言は怒を激す 020 PRO 015 002 智慧ある者の舌は知識を善きものとおもはしめ 愚なる者の口はおろかをはく 020 PRO 015 003 ヱホバの目は何處にもありて惡人と善人とを鑒みる 020 PRO 015 004 温柔き舌は生命の樹なり 悖れる舌は霊魂を傷ましむ 020 PRO 015 005 愚なる者はその父の訓をかろんず 誡命をまもる者は賢者なり 020 PRO 015 006 義者の家には多くの資財あり 惡者の利潤には擾累あり 020 PRO 015 007 智者のくちびるは知識をひろむ 愚なる者の心は定りなし 020 PRO 015 008 惡者の祭物はヱホバに憎まれ 直き人の祈は彼に悦ばる 020 PRO 015 009 惡者の道はヱホバに憎まれ 正義をもとむる者は彼に愛せらる 020 PRO 015 010 道をはなるる者には嚴しき懲治あり 譴責を惡む者は死ぬべし 020 PRO 015 011 陰府と沉淪とはヱホバの目の前にあり 况て人の心をや 020 PRO 015 012 嘲笑者は誡めらるることを好まず また智慧ある者に近づかず 020 PRO 015 013 心に喜樂あれば顔色よろこばし 心に憂苦あれば氣ふさぐ 020 PRO 015 014 哲者のこころは知識をたづね 愚なる者の口は愚をくらふ 020 PRO 015 015 艱難者の日はことごとく惡く 心の懽べる者は恒に酒宴にあり 020 PRO 015 016 すこしの物を有てヱホバを畏るるは多の寳をもちて擾煩あるに愈る 020 PRO 015 017 蔬菜をくらひて互に愛するは肥たる牛を食ひて互に恨むるに愈る 020 PRO 015 018 憤ほり易きものは爭端をおこし 怒をおそくする者は爭端をとどむ 020 PRO 015 019 惰者の道は棘の籬に似たり 直者の途は平坦なり 020 PRO 015 020 智慧ある子は父をよろこばせ 愚なる人はその母をかろんず 020 PRO 015 021 無知なる者は愚なる事をよろこび 哲者はその途を直くす 020 PRO 015 022 相議ることあらざれば謀計やぶる 議者おほければ謀計かならず成る 020 PRO 015 023 人はその口の答によりて喜樂をう 言語を出して時に適ふはいかに善らずや 020 PRO 015 024 智人の途は生命の路にして上へ昇りゆく これ下にあるところの陰府を離れんが爲なり 020 PRO 015 025 ヱホバはたかぶる者の家をほろぼし 寡婦の地界をさだめたまふ 020 PRO 015 026 あしき謀計はヱホバに憎まれ 温柔き言は潔白し 020 PRO 015 027 不義の利をむさぼる者はその家をわづらはせ 賄賂をにくむ者は活ながらふべし 020 PRO 015 028 義者の心は答ふべきことを考へ 惡者の口は惡を吐く 020 PRO 015 029 ヱホバは惡者に遠ざかり 義者の祈祷をききたまふ 020 PRO 015 030 目の光は心をよろこばせ 好音信は骨をうるほす 020 PRO 015 031 生命の誡命をきくところの耳は智慧ある者の中間に駐まる 020 PRO 015 032 敎をすつる者は自己の生命をかろんずるなり 懲治をきく者は聰明を得 020 PRO 015 033 ヱホバを畏るることは智慧の訓なり 謙遜は尊貴に先だつ 020 PRO 016 001 心に謀るところは人にあり 舌の答はヱホバより出づ 020 PRO 016 002 人の途はおのれの目にことごとく潔しと見ゆ 惟ヱホバ霊魂をはかりたまふ 020 PRO 016 003 なんぢの作爲をヱホバに託せよ さらば汝の謀るところ必ず成るべし 020 PRO 016 004 ヱホバはすべての物をおのおのその用のために造り 惡人をも惡き日のために造りたまへり 020 PRO 016 005 すべて心たかぶる者はヱホバに惡まれ 手に手をあはするとも罪をまぬかれじ 020 PRO 016 006 憐憫と眞實とによりて愆は贖はる ヱホバを畏るることによりて人惡を離る 020 PRO 016 007 ヱホバもし人の途を喜ばば その人の敵をも之と和がしむべし 020 PRO 016 008 義によりて得たるところの僅少なる物は不義によりて得たる多の資財にまさる 020 PRO 016 009 人は心におのれの途を考へはかる されどその歩履を導くものはヱホバなり 020 PRO 016 010 王のくちびるには神のさばきあり 審判するときその口あやまる可らず 020 PRO 016 011 公平の權衡と天秤とはヱホバのものなり 嚢にある法馬もことごとく彼の造りしものなり 020 PRO 016 012 惡をおこなふことは王の憎むところなり 是その位は公義によりて堅く立ばなり 020 PRO 016 013 義しき口唇は王によろこばる 彼等は正直をいふものを愛す 020 PRO 016 014 王の怒は死の使者のごとし 智慧ある人はこれをなだむ 020 PRO 016 015 王の面の光には生命あり その恩寵は春雨の雲のごとし 020 PRO 016 016 智慧を得るは金をうるよりも更に善らずや 聰明をうるは銀を得るよりも望まし 020 PRO 016 017 惡を離るるは直き人の路なり おのれの道を守るは霊魂を守るなり 020 PRO 016 018 驕傲は滅亡にさきだち誇る心は傾跌にさきだつ 020 PRO 016 019 卑き者に交りて謙だるは驕ぶる者と偕にありて贓物をわかつに愈る 020 PRO 016 020 愼みて御言をおこなふ者は益をうべし ヱホバに倚賴むものは福なり 020 PRO 016 021 心に智慧あれば哲者と稱へらる くちびる甘ければ人の知識をます 020 PRO 016 022 明哲はこれを持つものに生命の泉となる 愚なる者をいましむる者はおのれの痴是なり 020 PRO 016 023 智慧ある者の心はおのれの口ををしへ 又おのれの口唇に知識をます 020 PRO 016 024 こころよき言は蜂蜜のごとくにして 霊魂に甘く骨に良薬となる 020 PRO 016 025 人の自から見て正しとする途にして その終はつひに死にいたる途となるものあり 020 PRO 016 026 勞をるものは飮食のために骨をる 是その口おのれに迫ればなり 020 PRO 016 027 邪曲なる人は惡を掘る その口唇には烈しき火のごときものあり 020 PRO 016 028 いつはる者はあらそひを起し つけぐちする者は朋友を離れしむ 020 PRO 016 029 強暴人はその鄰をいざなひ 之を善らざる途にみちびく 020 PRO 016 030 その目を閉て惡を謀り その口唇を蹙めて惡事を成遂ぐ 020 PRO 016 031 白髮は榮の冠弁なり 義しき途にてこれを見ん 020 PRO 016 032 怒を遅くする者は勇士に愈り おのれの心を治むる者は城を攻取る者に愈る 020 PRO 016 033 人は籤をひく されど事をさだむるは全くヱホバにあり 020 PRO 017 001 睦じうして一塊の乾けるパンあるは あらそひありて宰れる畜の盈たる家に愈る 020 PRO 017 002 かしこき僕は恥をきたらする子ををさめ 且その子の兄弟の中にありて產業を分ち取る 020 PRO 017 003 銀を試むる者は坩堝 金を試むる者は鑢 人の心を試むる者はヱホバなり 020 PRO 017 004 惡を行ふものは虚偽のくちびるにきき 虚偽をいふ者はあしき舌に耳を傾ぶく 020 PRO 017 005 貧人を嘲るものはその造主をあなどるなり 人の災禍を喜ぶものは罪をまぬかれず 020 PRO 017 006 孫は老人の冠弁なり 父は子の榮なり 020 PRO 017 007 勝れたる事をいふは愚なる人に適はず 况て虚偽をいふ口唇は君たる者に適はんや 020 PRO 017 008 贈物はこれを受る者の目には貴き珠のごとし その向ふところにて凡て幸福を買ふ 020 PRO 017 009 愛を追求むる者は人の過失をおほふ 人の事を言ひふるる者は朋友をあひ離れしむ 020 PRO 017 010 一句の誡命の智人に徹るは百囘扑つことの愚なる人に徹るよりも深し 020 PRO 017 011 叛きもとる者はただ惡きことのみをもとむ 比故に彼にむかひて殘忍なる使者遣はさる 020 PRO 017 012 愚なる者の愚妄をなすにあはんよりは寧ろ子をとられたる牝熊にあへ 020 PRO 017 013 惡をもて善に報ゆる者は惡その家を離れじ 020 PRO 017 014 爭端の起源は堤より水をもらすに似たり この故にあらそひの起らざる先にこれを止むべし 020 PRO 017 015 惡者を義とし義者を惡しとするこの二の者はヱホバに憎まる 020 PRO 017 016 愚なる者はすでに心なし何ぞ智慧をかはんとて手にその價の金をもつや 020 PRO 017 017 朋友はいづれの時にも愛す 兄弟は危難の時のために生る 020 PRO 017 018 智慧なき人は手を拍てその友の前にて保證をなす 020 PRO 017 019 爭端をこのむ者は罪を好み その門を高くする者は敗壞を求む 020 PRO 017 020 邪曲なる心ある者はさいはひを得ず その舌をみだりにする者はわざはひに陷る 020 PRO 017 021 愚なる者を產むものは自己の憂を生じ 愚なる者の父は喜樂を得ず 020 PRO 017 022 心のたのしみは良薬なり 霊魂のうれひは骨を枯す 020 PRO 017 023 惡者は人の懐より賄賂をうけて審判の道をまぐ 020 PRO 017 024 智慧は哲者の面のまへにあり されど愚なる者は目を地の極にそそぐ 020 PRO 017 025 愚なる子は其父の憂となり 亦これを生る母の煩勞となる 020 PRO 017 026 義者を罰するは善らず 貴き者をその義きがために扑は善らず 020 PRO 017 027 言を寡くする者は知識あり 心の靜なる者は哲人なり 020 PRO 017 028 愚なる者も默するときは智慧ある者と思はれ その口唇を閉るときは哲者とおもはるべし 020 PRO 018 001 自己を人と異にする者はおのれの欲するところのみを求めてすべての善き考察にもとる 020 PRO 018 002 愚なる者は明哲を喜ばず 惟おのれの心意を顯すことを喜ぶ 020 PRO 018 003 惡者きたれば藐視したがひてきたり 恥きたれば凌辱もともに來る 020 PRO 018 004 人の口の言は深水の如し 湧てながるる川 智慧の泉なり 020 PRO 018 005 惡者を偏視るは善らず 審判をなして義者を惡しとするも亦善らず 020 PRO 018 006 愚なる者の口唇はあらそひを起し その口は打るることを招く 020 PRO 018 007 愚なる者の口はおのれの敗壞となり その口唇はおのれの霊魂の罟となる 020 PRO 018 008 人の是非をいふものの言はたはぶれのごとしといへども反つて腹の奧にいる 020 PRO 018 009 その行爲をおこたる者は滅すものの兄弟なり 020 PRO 018 010 ヱホバの名はかたき櫓のごとし 義者は之に走りいりて救を得 020 PRO 018 011 富者の資財はその堅き城なり これを高き石垣の如くに思ふ 020 PRO 018 012 人の心のたかぶりは滅亡に先だち 謙遜はたふとまるる事にさきだつ 020 PRO 018 013 いまだ事をきかざるさきに應ふる者は愚にして辱をかうぶる 020 PRO 018 014 人の心は尚其疾を忍ぶべし されど心の傷める時は誰かこれに耐んや 020 PRO 018 015 哲者の心は知識をえ 智慧ある者の耳は知識を求む 020 PRO 018 016 人の贈物はその人のために道をひらき かつ貴きものの前にこれを導く 020 PRO 018 017 先に訴訟の理由をのぶるものは正義に似たれども その鄰人きたり詰問ひてその事を明かにす 020 PRO 018 018 籤は爭端をとどめ且つよきものの間にへだてとなる 020 PRO 018 019 怒れる兄弟はかたき城にもまさりて説き伏せがたし 兄弟のあらそひは櫓の貫木のごとし 020 PRO 018 020 人は口の徳によりて腹をあかし その口唇の徳によりて自ら飽べし 020 PRO 018 021 死生は舌の權能にあり これを愛する者はその果を食はん 020 PRO 018 022 妻を得るものは美物を得るなり 且ヱホバより恩寵をあたへらる 020 PRO 018 023 貧者は哀なる言をもて乞ひ 富人は厲しき答をなす 020 PRO 018 024 多の友をまうくる人は遂にその身を亡す 但し兄弟よりもたのもしき知己もまたあり 020 PRO 019 001 ただしく歩むまづしき者は くちびるの悖れる愚なる者に愈る 020 PRO 019 002 心に思慮なければ善らず 足にて急ぐものは道にまよふ 020 PRO 019 003 人はおのれの痴によりて道につまづき 反て心にヱホバを怨む 020 PRO 019 004 資財はおほくの友をあつむ されど貧者はその友に疎まる 020 PRO 019 005 虚偽の證人は罰をまぬかれず 謊言をはくものは避るることをえず 020 PRO 019 006 君に媚る者はおほし 凡そ人は贈物を與ふる者の友となるなり 020 PRO 019 007 貧者はその兄弟すらも皆これをにくむ 况てその友これに遠ざからざらんや 言をはなちてこれを呼とも去てかへらざるなり 020 PRO 019 008 智慧を得る者はおのれの霊魂を愛す 聰明をたもつ者は善福を得ん 020 PRO 019 009 虚偽の證人は罰をまぬかれず 謊言をはく者はほろぶべし 020 PRO 019 010 愚なる者の驕奢に居るは適当からず 况て僕にして上に在る者を治むることをや 020 PRO 019 011 聰明は人に怒をしのばしむ 過失を宥すは人の榮譽なり 020 PRO 019 012 王の怒は獅の吼るが如く その恩典は草の上におく露のごとし 020 PRO 019 013 愚なる子はその父の災禍なり 妻の相爭そふは雨漏のたえぬにひとし 020 PRO 019 014 家と資財とは先祖より承嗣ぐもの 賢き妻はヱホバより賜ふものなり 020 PRO 019 015 懶惰は人を酣寐せしむ 懈怠人は饑べし 020 PRO 019 016 誡命を守るものは自己の霊魂を守るなり その道をかろむるものは死ぬべし 020 PRO 019 017 貧者をあはれむ者はヱホバに貸すなり その施濟はヱホバ償ひたまはん 020 PRO 019 018 望ある間に汝の子を打て これを殺すこころを起すなかれ 020 PRO 019 019 怒ることの烈しき者は罰をうく 汝もしこれを救ふともしばしば然せざるを得じ 020 PRO 019 020 なんぢ勸をきき訓をうけよ 然ばなんぢの終に智慧あらん 020 PRO 019 021 人の心には多くの計畫あり されど惟ヱホバの旨のみ立べし 020 PRO 019 022 人のよろこびは施濟をするにあり 貧者は謊人に愈る 020 PRO 019 023 ヱホバを畏るることは人をして生命にいたらしめ かつ恒に飽足りて災禍に遇ざらしむ 020 PRO 019 024 惰者はその手を盤にいるるも之をその口に擧ることをだにせず 020 PRO 019 025 嘲笑者を打て さらば拙者も愼まん 哲者を譴めよ さらばかれ知識を得ん 020 PRO 019 026 父を煩はし母を逐ふは羞赧をきたらし凌辱をまねく子なり 020 PRO 019 027 わが子よ哲言を離れしむる敎を聽くことを息めよ 020 PRO 019 028 惡き證人は審判を嘲り 惡者の口は惡を呑む 020 PRO 019 029 審判は嘲笑者のために備へられ 鞭は愚なる者の背のために備へらる 020 PRO 020 001 酒は人をして嘲らせ 濃酒は人をして騒がしむ 之に迷はさるる者は無智なり 020 PRO 020 002 王の震怒は獅の吼るがごとし 彼を怒らする者は自己のいのちを害ふ 020 PRO 020 003 穩かに居りて爭はざるは人の榮譽なりすべて愚なる者は怒り爭ふ 020 PRO 020 004 惰者は寒ければとて耕さず この故に収穫のときにおよびて求るとも得るところなし 020 PRO 020 005 人の心にある謀計は深き井の水のごとし 然れど哲人はこれを汲出す 020 PRO 020 006 凡そ人は各自おのれの善を誇る されど誰か忠信なる者に遇しぞ 020 PRO 020 007 身を正しくして歩履む義人はその後の子孫に福祉あるべし 020 PRO 020 008 審判の位に坐する王はその目をもてすべての惡を散す 020 PRO 020 009 たれか我わが心をきよめ わが罪を潔められたりといひ得るや 020 PRO 020 010 二種の權衡二種の斗量は等しくヱホバに憎まる 020 PRO 020 011 幼子といへどもその動作によりておのれの根性の清きか或は正しきかをあらはす 020 PRO 020 012 聽くところの耳と視るところの眼とはともにヱホバの造り給へるものなり 020 PRO 020 013 なんぢ睡眠を愛すること勿れ 恐くは貧窮にいたらん 汝の眼をひらけ 然らば糧に飽べし 020 PRO 020 014 買者はいふ惡し惡しと 然れど去りて後はみづから誇る 020 PRO 020 015 金もあり眞珠も多くあれど貴き器は知識のくちびるなり 020 PRO 020 016 人の保證をなす者よりは先その衣をとれ 他人の保證をなす者をばかたくとらへよ 020 PRO 020 017 欺きとりし糧は人に甜し されど後にはその口に沙を充されん 020 PRO 020 018 謀計は相議るによりて成る 戰はんとせば先よく議るべし 020 PRO 020 019 あるきめぐりて人の是非をいふ者は密事をもらす 口唇をひらきてあるくものと交ること勿れ 020 PRO 020 020 おのれの父母を罵るものはその燈火くらやみの中に消ゆべし 020 PRO 020 021 初に俄に得たる產業はその終さいはひならず 020 PRO 020 022 われ惡に報いんと言ふこと勿れ ヱホバを待て 彼なんぢを救はん 020 PRO 020 023 二種の法馬はヱホバに憎まる 虚偽の權衡は善らず 020 PRO 020 024 人の歩履はヱホバによる 人いかで自らその道を明かにせんや 020 PRO 020 025 漫に誓願をたつることは其人の罟となる誓願をたててのちに考ふることも亦然り 020 PRO 020 026 賢き王は箕をもて簸るごとく惡人を散し 車輪をもて碾すごとく之を罰す 020 PRO 020 027 人の霊魂はヱホバの燈火にして人の心の奧を窺ふ 020 PRO 020 028 王は仁慈と眞實をもて自らたもつ その位もまた恩惠のおこなひによりて堅くなる 020 PRO 020 029 少者の榮はその力 おいたる者の美しきは白髮なり 020 PRO 020 030 傷つくまでに打たば惡きところきよまり 打てる鞭は腹の底までもとほる 020 PRO 021 001 王の心はヱホバの手の中にありて恰かも水の流れのごとし 彼その聖旨のままに之を導きたまふ 020 PRO 021 002 人の道はおのれの目に正しとみゆ されどヱホバは人の心をはかりたまふ 020 PRO 021 003 正義と公平を行ふは犠牲よりも愈りてヱホバに悦ばる 020 PRO 021 004 高ぶる目と驕る心とは惡人の光にしてただ罪のみ 020 PRO 021 005 勤めはたらく者の圖るところは遂にその身を豊裕ならしめ 凡てさわがしく急ぐ者は貧乏をいたす 020 PRO 021 006 虚偽の舌をもて財を得るは吹はらはるる雲烟のごとし 之を求むる者は死を求むるなり 020 PRO 021 007 惡者の殘虐は自己を亡す これ義しきを行ふことを好まざればなり 020 PRO 021 008 罪人の道は曲り 潔者の行爲は直し 020 PRO 021 009 相爭ふ婦と偕に室に居らんよりは屋蓋の隅にをるはよし 020 PRO 021 010 惡者の霊魂は惡をねがふ その鄰も彼にあはれみ見られず 020 PRO 021 011 あざけるもの罰をうくれば拙者は智慧を得 ちゑあるもの敎をうくれば知識を得 020 PRO 021 012 義しき神は惡者の家をみとめて惡者を滅亡に投いれたまふ 020 PRO 021 013 耳を掩ひて貧者の呼ぶ聲をきかざる者は おのれ自ら呼ぶときもまた聽れざるべし 020 PRO 021 014 潜なる饋物は忿恨をなだめ 懐中の賄賂は烈しき瞋恚をやはらぐ 020 PRO 021 015 公義を行ふことは義者の喜樂にして 惡を行ふものの敗壞なり 020 PRO 021 016 さとりの道を離るる人は死し者の集會の中にをらん 020 PRO 021 017 宴樂を好むものは貧人となり 酒と膏とを好むものは富をいたさじ 020 PRO 021 018 惡者は義者のあがなひとなり 悖れる者は直き者に代る 020 PRO 021 019 爭ひ怒る婦と偕にをらんよりは荒野に居るはよし 020 PRO 021 020 智慧ある者の家には貴き寳と膏とあり 愚なる人は之を呑つくす 020 PRO 021 021 正義と憐憫と追求むる者は生命と正義と尊貴とを得べし 020 PRO 021 022 智慧ある者は強者の城にのぼりて その堅く賴むところを倒す 020 PRO 021 023 口と舌とを守る者はその霊魂を守りて患難に遇せじ 020 PRO 021 024 高ぶり驕る者を嘲笑者となづく これ驕奢を逞しくして行ふものなり 020 PRO 021 025 惰者の情慾はおのれの身を殺す 是はその手を肯て働かせざればなり 020 PRO 021 026 人は終日しきりに慾を圖る されど義者は與へて吝まず 020 PRO 021 027 惡者の献物は憎まる 况て惡き事のために献ぐる者をや 020 PRO 021 028 虚偽の證人は滅さる 然れど聽く人は恒にいふべし 020 PRO 021 029 惡人はその面を厚くし 義者はその道を謹む 020 PRO 021 030 ヱホバにむかひては智慧も明哲も謀略もなすところなし 020 PRO 021 031 戰闘の日のために馬を備ふ されど勝利はヱホバによる 020 PRO 022 001 嘉名は大なる富にまさり恩寵は銀また金よりも佳し 020 PRO 022 002 富者と貧者と偕に世にをる 凡て之を造りし者はヱホバなり 020 PRO 022 003 賢者は災禍を見てみづから避け 拙者はすすみて罰をうく 020 PRO 022 004 謙遜とヱホバを畏るる事との報は富と尊貴と生命となり 020 PRO 022 005 悖れる者の途には荊棘と罟とあり 霊魂を守る者は遠くこれを離れん 020 PRO 022 006 子をその道に從ひて敎へよ 然ばその老たる時も之を離れじ 020 PRO 022 007 富者は貧者を治め借者は貸人の僕となる 020 PRO 022 008 惡を播くものは禍害を穡り その怒の杖は廢るべし 020 PRO 022 009 人を見て惠む者はまた惠まる 此はその糧を貧者に與ふればなり 020 PRO 022 010 嘲笑者を逐へば爭論も亦さり 且闘諍も恥辱もやむ 020 PRO 022 011 心の潔きを愛する者はその口唇に憐憫をもてり 王その友とならん 020 PRO 022 012 ヱホバの目は知識ある者を守る 彼は悖れる者の言を敗りたまふ 020 PRO 022 013 惰者はいふ獅そとにあり われ衢にて殺されんと 020 PRO 022 014 妓婦の口は深き坑なり ヱホバに憎まるる者これに陷らん 020 PRO 022 015 痴なること子の心の中に繋がる 懲治の鞭これを逐いだす 020 PRO 022 016 貧者を虐げて自らを富さんとする者と富者に與ふる者とは遂にかならず貧しくなる 020 PRO 022 017 汝の耳を傾ぶけて智慧ある者の言をきき且なんぢの心をわが知識に用ゐよ 020 PRO 022 018 之を汝の腹にたもちて 盡くなんぢの口唇にそなはらしめば樂しかるべし 020 PRO 022 019 汝をしてヱホバに倚賴ましめんが爲にわれ今日これを汝に敎ふ 020 PRO 022 020 われ勸言と知識とをふくみたる勝れし言を汝の爲に録ししにあらずや 020 PRO 022 021 これ汝をして眞の言の確實なることを暁らしめ 且なんぢを遣しし者に眞の言を持歸らしめん爲なり 020 PRO 022 022 弱き者を弱きがために掠むることなかれ 艱難者を門にて壓つくること勿れ 020 PRO 022 023 そはヱホバその訴を糺し且かれらを害ふものの生命をそこなはん 020 PRO 022 024 怒る者と交ること勿れ 憤ほる人とともに往ことなかれ 020 PRO 022 025 恐くは汝その道に效ひてみづから罟に陷らん 020 PRO 022 026 なんぢ人と手をうつ者となることなかれ 人の負債の保證をなすこと勿れ 020 PRO 022 027 汝もし償ふべきものあらずば人なんぢの下なる臥牀までも奪ひ取ん 是豈よからんや 020 PRO 022 028 なんぢの先祖がたてし古き地界を移すこと勿れ 020 PRO 022 029 汝その業に巧なる人を見るか 斯る人は王の前に立ん かならず賤者の前にたたじ 020 PRO 023 001 なんぢ侯たる者とともに坐して食ふときは 愼みて汝の前にある者の誰なるかを思へ 020 PRO 023 002 汝もし食を嗜む者ならば汝の喉に刀をあてよ 020 PRO 023 003 その珍饈を貧り食ふこと勿れ これ迷惑の食物なればなり 020 PRO 023 004 富を得んと思煩らふこと勿れ 自己の明哲を恃むこと勿れ 020 PRO 023 005 なんぢ虚しきに歸すべき者に目をとむるか 富はかならず自ら翅を生じて鷲のごとく天に飛さらん 020 PRO 023 006 惡目をする者の糧をくらふことなく その珍饈をむさぼりねがふことなかれ 020 PRO 023 007 そはその心に思ふごとくその人となりも亦しかればなり 彼なんぢに食へ飮めといふこといへどもその心は汝に眞實ならず 020 PRO 023 008 汝つひにその食へる物を吐出すにいたり 且その出しし懇懃の言もむなしくならん 020 PRO 023 009 愚なる者の耳に語ること勿れ 彼なんぢが言の示す明哲を藐めん 020 PRO 023 010 古き地界を移すことなかれ 孤子の畑を侵すことなかれ 020 PRO 023 011 そはかれが贖者は強し 必ず汝に對らひて之が訴をのべん 020 PRO 023 012 汝の心を敎に用ゐ 汝の耳を知識の言に傾けよ 020 PRO 023 013 子を懲すことを爲ざるなかれ 鞭をもて彼を打とも死ることあらじ 020 PRO 023 014 もし鞭をもて彼をうたばその霊魂を陰府より救ふことをえん 020 PRO 023 015 わが子よもし汝のこころ智からば我が心もまた歓び 020 PRO 023 016 もし汝の口唇ただしき事をいはば我が腎腸も喜ぶべし 020 PRO 023 017 なんぢ心に罪人をうらやむ勿れ ただ終日ヱホバを畏れよ 020 PRO 023 018 そは必ず應報ありて汝の望は廢らざればなり 020 PRO 023 019 わが子よ 汝ききて智慧をえ かつ汝の心を道にかたぶけよ 020 PRO 023 020 酒にふけり肉をたしむものと交ること勿れ 020 PRO 023 021 それ酒にふける者と肉を嗜む者とは貧しくなり 睡眠を貧る者は敞れたる衣をきるにいたらん 020 PRO 023 022 汝を生る父にきけ 汝の老たる母を軽んずる勿れ 020 PRO 023 023 眞理を買へ これを售るなかれ 智慧と誡命と知識とまた然あれ 020 PRO 023 024 義き者の父は大によろこび 智慧ある子を生る者はこれがために樂しまん 020 PRO 023 025 汝の父母を樂しませ 汝を生る者を喜ばせよ 020 PRO 023 026 わが子よ汝の心を我にあたへ 汝の目にわが途を樂しめ 020 PRO 023 027 それ妓婦は深き坑のごとく 淫婦は狭き井のごとし 020 PRO 023 028 彼は盗賊のごとく人を窺ひ かつ世の人の中に悖れる者を増なり 020 PRO 023 029 禍害ある者は誰ぞ 憂愁ある者は誰ぞ 爭端をなす者は誰ぞ 煩慮ある者は誰ぞ 故なくして傷をうくる者は誰ぞ 赤目ある者は誰ぞ 020 PRO 023 030 是すなはち酒に夜をふかすもの 往て混和せたる酒を味ふる者なり 020 PRO 023 031 酒はあかく盃の中に泡だち滑かにくだる 汝これを見るなかれ 020 PRO 023 032 是は終に蛇のごとく噬み蝮の如く刺すべし 020 PRO 023 033 また汝の目は怪しきものを見 なんぢの心は諕言をいはん 020 PRO 023 034 汝は海のなかに偃すもののごとく帆桅の上に偃すもののごとし 020 PRO 023 035 汝いはん人われを撃ども我いたまず 我を拷けども我おぼえず 我さめなばまた酒を求めんと 020 PRO 024 001 なんぢ惡き人を羨むことなかれ 又これと偕に居らんことを願ふなかれ 020 PRO 024 002 そはその心に暴虐をはかり その口唇に人を害ふことをいへばなり 020 PRO 024 003 家は智慧によりて建られ 明哲によりて堅くせられ 020 PRO 024 004 また室は知識によりて各種の貴く美しき寳にて充されん 020 PRO 024 005 智慧ある者は強し 知識ある人は力をます 020 PRO 024 006 汝よき謀計をもて戰闘をなせ 勝利は議者の多きによる 020 PRO 024 007 智慧は高くして愚なる者の及ぶところにあらず 愚なる者は門にて口を啓くことをえず 020 PRO 024 008 惡をなさんと謀る者を邪曲なる者と稱ふ 020 PRO 024 009 愚なる者の謀るところは罪なり 嘲笑者は人に憎まる 020 PRO 024 010 汝もし患難の日に氣を挫かば汝の力は弱し 020 PRO 024 011 なんぢ死地に曳れゆく者を拯へ 滅亡によろめきゆく者をすくはざる勿れ 020 PRO 024 012 汝われら之を知らずといふとも心をはかる者これを暁らざらんや 汝の霊魂をまもる者これを知ざらんや 彼はおのおのの行爲によりて人に報ゆべし 020 PRO 024 013 わが子よ蜜を食へ 是は美ものなり また蜂のすの滴瀝を食へ 是はなんぢの口に甘し 020 PRO 024 014 智慧の汝の霊魂におけるも是の如しと知れ これを得ばかならず報いありて汝の望すたれじ 020 PRO 024 015 惡者よ義者の家を窺ふことなかれ その安居所を攻ること勿れ 020 PRO 024 016 そは義者は七次たふるるともまた起く されど惡者は禍災によりて亡ぶ 020 PRO 024 017 汝の仇たふるるとき樂しむこと勿れ 彼の亡ぶるときこころに喜ぶことなかれ 020 PRO 024 018 恐くはヱホバこれを見て惡しとし その震怒を彼より離れしめたまはん 020 PRO 024 019 なんぢ惡者を怒ることなかれ 邪曲なる者を羨むなかれ 020 PRO 024 020 それ惡者には後の善賚なし 邪曲なる者の燈火は滅されん 020 PRO 024 021 わが子よヱホバと王とを畏れよ 叛逆者に交ること勿れ 020 PRO 024 022 斯るものらの災禍は速におこる この兩者の滅亡はたれか知えんや 020 PRO 024 023 是等もまた智慧ある者の箴言なり 偏り鞫するは善らず 020 PRO 024 024 罪人に告て汝は義しといふものをは衆人これを詛ひ諸民これを惡まん 020 PRO 024 025 これを譴る者は恩をえん また福祉これにきたるべし 020 PRO 024 026 ほどよき應答をなす者は口唇に接吻するなり 020 PRO 024 027 外にて汝の工をととのへ田圃にてこれを自己のためにそなへ 然るのち汝の家を建よ 020 PRO 024 028 故なく汝の鄰に敵して證することなかれ 汝なんぞ口唇をもて欺くべけんや 020 PRO 024 029 彼の我に爲しし如く我も亦かれになすべし われ人の爲ししところに循ひてこれに報いんといふこと勿れ 020 PRO 024 030 われ曾て惰人の田圃と智慧なき人の葡萄園とをすぎて見しに 020 PRO 024 031 荊棘あまねく生え薊その地面を掩ひ その石垣くづれゐたり 020 PRO 024 032 我これをみて心をとどめ これを觀て敎をえたり 020 PRO 024 033 しばらく臥し 暫らく睡り 手を叉きて又しばらく休む 020 PRO 024 034 さらば汝の貧窮は盗人のごとく汝の缺乏は兵士の如くきたるべし 020 PRO 025 001 此等もまたソロモンの箴言なり ユダの王ヒゼキヤに屬せる人々これを輯めたり 020 PRO 025 002 事を隱すは神の榮譽なり 事を窮むるは王の榮譽なり 020 PRO 025 003 天の高さと地の深さと 王たる者の心とは測るべからず 020 PRO 025 004 銀より渣滓を除け さらば銀工の用ふべき器いでん 020 PRO 025 005 王の前より惡者をのぞけ 然ばその位義によりて堅く立ん 020 PRO 025 006 王の前に自ら高ぶることなかれ 貴人の場に立つことなかれ 020 PRO 025 007 なんぢが目に見る王の前にて下にさげらるるよりは ここに上れといはるること愈れり 020 PRO 025 008 汝かろがろしく出でて爭ふことなかれ 恐くは終にいたりて汝の鄰に辱しめられん その時なんぢ如何になさんとするか 020 PRO 025 009 なんぢ鄰と爭ふことあらば只これと爭へ 人の密事を洩すなかれ 020 PRO 025 010 恐くは聞者なんぢを卑しめん 汝そしられて止ざらん 020 PRO 025 011 機にかなひて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌たるが如し 020 PRO 025 012 智慧をもて譴むる者の之をきく者の耳におけることは 金の耳環と精金の飾のごとし 020 PRO 025 013 忠信なる使者は之を遣す者におけること穡收の日に冷かなる雪あるがごとし 能その主の心を喜ばしむ 020 PRO 025 014 おくりものすと偽りて誇る人は雨なき雲風の如し 020 PRO 025 015 怒を緩くすれば君も言を容る 柔かなる舌は骨を折く 020 PRO 025 016 なんぢ蜜を得るか 惟これを足る程に食へ 恐くは食ひ過して之を吐出さん 020 PRO 025 017 なんぢの足を鄰の家にしげくするなかれ 恐くは彼なんぢを厭ひ惡まん 020 PRO 025 018 その鄰に敵して虚偽の證をたつる人は斧刃または利き箭のごとし 020 PRO 025 019 艱難に遇ふとき忠實ならぬ者を賴むは惡しき歯または跛たる足を恃むがごとし 020 PRO 025 020 心の傷める人の前に歌をうたふは寒き日に衣をぬぐが如く 曹達のうへに酢を注ぐが如し 020 PRO 025 021 なんぢの仇もし饑ゑなば之に糧をくらはせ もし渇かば之に水を飮ませよ 020 PRO 025 022 なんぢ斯するは火をこれが首に積むなり ヱホバなんぢに報いたまふべし 020 PRO 025 023 北風は雨をおこし かげごとをいふ舌は人の顔をいからす 020 PRO 025 024 爭ふ婦と偕に室に居らんより屋蓋の隅にをるは宜し 020 PRO 025 025 遠き國よりきたる好き消息は渇きたる人における冷かなる水のごとし 020 PRO 025 026 義者の惡者の前に服するは井の濁れるがごとく泉の汚れたるがごとし 020 PRO 025 027 蜜をおほく食ふは善らず 人おのれの榮譽をもとむるは榮譽にあらず 020 PRO 025 028 おのれの心を制へざる人は石垣なき壞れたる城のごとし 020 PRO 026 001 榮譽の愚なる者に適はざるは夏の時に雪ふり 穡收の時に雨ふるがごとし 020 PRO 026 002 故なき詛は雀の翔り燕の飛ぶが如くにきたるものにあらず 020 PRO 026 003 馬の爲には策あり 驢馬の爲には銜あり 愚なる者の背のために杖あり 020 PRO 026 004 愚なる者の痴にしたがひて答ふること勿れ 恐くはおのれも是と同じからん 020 PRO 026 005 愚なる者の痴にしたがひて之に答へよ 恐くは彼おのれの目に自らを智者と見ん 020 PRO 026 006 愚なる者に托して事を言おくる者はおのれの足をきり身に害をうく 020 PRO 026 007 跛者の足は用なし 愚なる者の口の箴もかくのごとし 020 PRO 026 008 榮譽を愚なる者に與ふるは石を投石索に繋ぐが如し 020 PRO 026 009 愚なる者の口にたもつ箴言は酔へるものの刺ある杖を手にて擧ぐるがごとし 020 PRO 026 010 愚なる者を傭ひ流浪者を傭ふ者は すべての人を傷くる射手の如し 020 PRO 026 011 狗のかへり來りてその吐たる物を食ふがごとく 愚なる者は重ねてその痴なる事をおこなふ 020 PRO 026 012 汝おのれの目に自らを智慧ある者とする人を見るか 彼よりも却て愚なる人に望あり 020 PRO 026 013 惰者は途に獅あり 衢に獅ありといふ 020 PRO 026 014 戸の蝶鉸によりて轉るごとく惰者はその牀に輾轉す 020 PRO 026 015 惰者はその手を盤にいるるも之をその口に擧ることを厭ふ 020 PRO 026 016 惰者はおのれの目に自らを善く答ふる七人の者よりも智慧ありとなす 020 PRO 026 017 路をよぎり自己に關りなき爭擾にたづさはる者は狗の耳をとらふる者のごとし 020 PRO 026 018 旣にその鄰を欺くことをなして我はただ戯れしのみといふ者は 火箭または鎗または死を擲つ狂人のごとし 020 PRO 026 019 旣にその鄰を欺くことをなして我はただ戯れしのみといふ者は 火箭または鎗または死を擲つ狂人のごとし 020 PRO 026 020 薪なければ火はきえ 人の是非をいふ者なければ爭端はやむ 020 PRO 026 021 煨火に炭をつぎ火に薪をくぶるがごとく爭論を好む人は爭論を起す 020 PRO 026 022 人の是非をいふものの言はたはぶれのごとしと雖もかへつて腹の奧に入る 020 PRO 026 023 温かき口唇をもちて惡き心あるは銀の滓をきせたる瓦片のごとし 020 PRO 026 024 恨むる者は口唇をもて自ら飾れども 心の衷には虚偽をいだく 020 PRO 026 025 彼その聲を和らかにするとも之を信ずるなかれ その心に七の憎むべき者あればなり 020 PRO 026 026 たとひ虚偽をもてその恨をかくすとも その惡は會集の中に顯はる 020 PRO 026 027 坑を掘るものは自ら之に陷らん 石を轉ばしあぐる者の上にはその石まろびかへらん 020 PRO 026 028 虚偽の舌はおのれの害す者を憎み 諂ふ口は滅亡をきたらす 020 PRO 027 001 なんぢ明日のことを誇るなかれ そは一日の生ずるところの如何なるを知ざればなり 020 PRO 027 002 汝おのれの口をもて自ら讃むることなく人をして己を讃めしめよ 自己の口唇をもてせず 他人をして己をほめしめよ 020 PRO 027 003 石は重く沙は軽からず 然ど愚なる者の怒はこの二よりも重し 020 PRO 027 004 忿怒は猛く憤恨は烈し されど嫉妬の前には誰か立ことをを得ん 020 PRO 027 005 明白に譴むるに秘に愛するに愈る 020 PRO 027 006 愛する者の傷つくるは眞實よりし 敵の接吻するは偽詐よりするなり 020 PRO 027 007 飽るものは蜂の蜜をも踐つく されど饑たる者には苦き物さへもすべて甘し 020 PRO 027 008 その家を離れてさまよふ人は その巣を離れてさまよふ鳥のごとし 020 PRO 027 009 膏と香とは人の心をよろこばすなり 心よりして勸言を與ふる友の美しきもまた斯のごとし 020 PRO 027 010 なんぢの友と汝の父の友とを棄るなかれ なんぢ患難にあふ日に兄弟の家にいることなかれ 親しき隣は疏き兄弟に愈れり 020 PRO 027 011 わが子よ智慧を得てわが心を悦ばせよ 然ば我をそしる者に我こたふることを得ん 020 PRO 027 012 賢者は禍害を見てみづから避け 拙者はすすみて罰をうく 020 PRO 027 013 人の保證をなす者よりは先その衣をとれ 他人の保證をなす者をば固くとらへよ 020 PRO 027 014 晨はやく起て大聲にその鄰を祝すれば却て呪詛と見なされん 020 PRO 027 015 相爭ふ婦は雨ふる日に絶ずある雨漏のごとし 020 PRO 027 016 これを制ふるものは風をおさふるがごとく 右の手に膏をつかむがごとし 020 PRO 027 017 鐵は鐵をとぐ 斯のごとくその友の面を研なり 020 PRO 027 018 無花果の樹をまもる者はその果をくらふ 主を貴ぶものは譽を得 020 PRO 027 019 水に照せば面と面と相肖るがごとく 人の心は人の心に似たり 020 PRO 027 020 陰府と沈淪とは飽ことなく 人の目もまた飽ことなし 020 PRO 027 021 坩堝によりて銀をためし鑢によりて金をためし その讃らるる所によりて人をためす 020 PRO 027 022 なんぢ愚なる者を臼にいれ杵をもて麥と偕にこれを搗ともその愚は去らざるなり 020 PRO 027 023 なんぢの羊の情况をよく知り なんぢの群に心を留めよ 020 PRO 027 024 富は永く保つものにあらず いかで位は世々にたもたん 020 PRO 027 025 艸枯れ苗いで山の蔬菜あつめらる 020 PRO 027 026 羔羊はなんぢの衣服を出し 牝羊は田圃を買ふ價となり 020 PRO 027 027 牝羊の乳はおほくして汝となんぢの家人の糧となり汝の女をやしなふにたる 020 PRO 028 001 惡者は逐ふ者なけれども逃げ 義者は獅子のごとくに勇まし 020 PRO 028 002 國の罪によりて侯伯多くなり 智くして知識ある人によりて國は長く保つ 020 PRO 028 003 弱者を虐ぐる貧人は糧をのこさざる暴しき雨のごとし 020 PRO 028 004 律法を棄るものは惡者をほめ 律法を守る者はこれに敵す 020 PRO 028 005 惡人は義きことを覺らず ヱホバを求むる者は凡の事をさとる 020 PRO 028 006 義しくあゆむ貧者は曲れる路をあゆむ富者に愈る 020 PRO 028 007 律法を守る者は智子なり 放蕩なる者に交るものは父を辱かしむ 020 PRO 028 008 利息と高利とをもてその財產を増すものは貧人をめぐむ者のために之をたくはふるなり 020 PRO 028 009 耳をそむけて律法を聞ざる者はその祈すらも憎まる 020 PRO 028 010 義者を惡き道に惑す者はみづから自己の阱に陷らん されど質直なる者は福祉をつぐべし 020 PRO 028 011 富者はおのれの目に自らを智慧ある者となす されど聰明ある貧者は彼をはかり知る 020 PRO 028 012 義者の喜ぶときは大なる榮あり 惡者の起るときは民身を匿す 020 PRO 028 013 その罪を隱すものは榮ゆることなし 然ど認らはして之を離るる者は憐憫をうけん 020 PRO 028 014 恒に畏るる人は幸福なり その心を剛愎にする者は災禍に陷るべし 020 PRO 028 015 貧しき民を治むるあしき侯伯は吼る獅子あるひは饑たる熊のごとし 020 PRO 028 016 智からざる君はおほく暴虐をおこなふ 不義の利を惡む者は遐齢をうべし 020 PRO 028 017 人を殺してその血を心に負ふ者は墓に奔るなり 人これを阻むること勿れ 020 PRO 028 018 義く行む者は救をえ 曲れる路に行む者は直に跌れん 020 PRO 028 019 おのれの田地を耕す者は糧にあき 放蕩なる者に從ふものは貧乏に飽く 020 PRO 028 020 忠信なる人は多くの幸福をえ 速かに富を得んとする者は罪を免れず 020 PRO 028 021 人を偏視るはよからず 人はただ一片のパンのために愆を犯すなり 020 PRO 028 022 惡目をもつ者は財をえんとて急がはしく 却て貧窮のおのれに來るを知らず 020 PRO 028 023 人を譴むる者は舌をもて諂ふ者よりも大なる感謝をうく 020 PRO 028 024 父母の物を竊みて罪ならずといふ者は滅す者の友なり 020 PRO 028 025 心に貧る者は爭端を起し ヱホバに倚賴むものは豊饒になるべし 020 PRO 028 026 おのれの心を恃む者は愚なり 智慧をもて行む者は救をえん 020 PRO 028 027 貧者に賙すものは乏しからず その目を掩ふ者は詛を受ること多し 020 PRO 028 028 惡者の起るときは人匿れ その滅るときは義者ます 020 PRO 029 001 しばしば責られてもなほ強項なる者は救はるることなくして猝然に滅されん 020 PRO 029 002 義者ませば民よろこび 惡きもの權を掌らば民かなしむ 020 PRO 029 003 智慧を愛する人はその父を悦ばせ 妓婦に交る者はその財產を費す 020 PRO 029 004 王は公義をもて國を堅うす されど租税を征取る者はこれを滅す 020 PRO 029 005 その鄰に諂ふ者はかれの脚の前に羅を張る 020 PRO 029 006 惡人の罪の中には罟あり 然ど義者は歓び樂しむ 020 PRO 029 007 義きものは貧きものの訟をかへりみる 然ど惡人は之を知ることを願はず 020 PRO 029 008 嘲笑人は城邑を擾し 智慧ある者は怒をしづむ 020 PRO 029 009 智慧ある人おろかなる人と爭へば或は怒り或は笑ひて休むことなし 020 PRO 029 010 血をながす人は直き人を惡む されど義き者はその生命を救はんことを求む 020 PRO 029 011 愚なる者はその怒をことごとく露はし 智慧ある者は之を心に蔵む 020 PRO 029 012 君王もし虚偽の言を聽かばその臣みな惡し 020 PRO 029 013 貧者と苛酷者と偕に世にをる ヱホバは彼等の目に光をあたへ給ふ 020 PRO 029 014 眞實をもて弱者を審判する王はその位つねに堅く立つべし 020 PRO 029 015 鞭と譴責とは智慧をあたふ 任意になしおかれたる子はその母を辱しむ 020 PRO 029 016 惡きもの多ければ罪も亦おほし 義者は彼等の傾覆をみん 020 PRO 029 017 なんぢの子を懲せ さらば彼なんぢを安からしめ 又なんぢの心に喜樂を與へん 020 PRO 029 018 默示なければ民は放肆にす 律法を守るものは福ひなり 020 PRO 029 019 僕は言をもて譴むるとも改めず 彼は知れども從はざればなり 020 PRO 029 020 なんぢ言を謹まざる人を見しや 彼よりは却て愚なる者に望あり 020 PRO 029 021 僕をその幼なき時より柔かに育てなば終には子の如くならしめん 020 PRO 029 022 怒る人は爭端を起し憤る人は罪おほし 020 PRO 029 023 人の傲慢はおのれを卑くし 心に謙だる者は榮譽を得 020 PRO 029 024 盗人に黨する者はおのれの霊魂を惡むなり 彼は誓を聽けども説述べず 020 PRO 029 025 人を畏るれば罟におちいる ヱホバをたのむ者は護られん 020 PRO 029 026 君の慈悲を求むる者はおほし 然れど人の事を定むるはヱホバによる 020 PRO 029 027 不義をなす人は義者の惡むところ 義くあゆむ人は惡者の惡むところなり 020 PRO 030 001 ヤケの子アグルの語なる箴言 かれイテエルにむかひて之をいへり 即ちイテエルとウカルとにいへる所のものなり 020 PRO 030 002 我は人よりも愚なり 我には人の聰明あらず 020 PRO 030 003 我いまた智慧をならひ得ず またいまだ至聖きものを暁ることをえず 020 PRO 030 004 天に昇りまた降りし者は誰か 風をその掌中に聚めし者は誰か 水を衣につつみし者は誰か 地のすべての限界を定めし者は誰か その名は何ぞ その子の名は何ぞ 汝これを知るや 020 PRO 030 005 神の言はみな潔よし 神は彼を賴むものの盾なり 020 PRO 030 006 汝その言に加ふること勿れ 恐くは彼なんぢをせめ 又なんぢを謊る者となしたまはん 020 PRO 030 007 われ二の事をなんぢに求めたり 我が死ざる先にこれをたまへ 020 PRO 030 008 即ち虚假と謊言とを我より離れしめ 我をして貧からしめずまた富しめず 惟なくてならぬ糧をあたへ給へ 020 PRO 030 009 そは我あきて神を知ずといひヱホバは誰なりやといはんことを恐れ また貧くして窃盗をなし我が神の名を汚さんことを恐るればなり 020 PRO 030 010 なんぢ僕をその主に讒ることなかれ 恐くは彼なんぢを詛ひてなんぢ罪せられん 020 PRO 030 011 その父を詛ひその母を祝せざる世類あり 020 PRO 030 012 おのれの目に自らを潔者となして尚その汚穢を滌はれざる世類あり 020 PRO 030 013 また一の世類あり 嗚呼その眼はいかに高きぞや その瞼は昂れり 020 PRO 030 014 その歯は劍のごとく その牙は刃のごとき世類あり 彼等は貧き者を地より呑み 窮乏者を人の中より食ふ 020 PRO 030 015 蛭に二人の女あり 與ヘよ與へよと呼はる 飽ことを知ざるもの三あり 否な四あり皆たれりといはず 020 PRO 030 016 即ち陰府姙まざる胎水に滿されざる地 足りといはざる火これなり 020 PRO 030 017 おのれの父を嘲り母に從ふことをいやしとする眼は 谷の鴉これを抜いだし鷲の雛これを食はん 020 PRO 030 018 わが奇とするもの三あり否な四あり共にわが識ざる者なり 020 PRO 030 019 即ち空にとぷ鷲の路 磐の上にはふ蛇の路 海にはしる舟の路 男の女にあふの路これなり 020 PRO 030 020 淫婦の途も亦しかり 彼は食ひてその口を拭ひ われ惡きことを爲ざりきといふ 020 PRO 030 021 地は三の者によりて震ふ否な四の者によりて耐ることあたはざるなり 020 PRO 030 022 即ち僕たるもの王となるに因り愚なるもの糧に飽るにより 020 PRO 030 023 厭忌はれたる婦の嫁ぐにより婢女その主母に續に因りてなり 020 PRO 030 024 地に四の物あり微小といへども最智し 020 PRO 030 025 蟻は力なき者なれどもその糧を夏のうちに備ふ 020 PRO 030 026 山鼠ば強からざれどもその室を磐につくる 020 PRO 030 027 蝗は王なけれどもみな隊を立ていづ 020 PRO 030 028 守宮は手をもてつかまり王の宮にをる 020 PRO 030 029 善あゆむもの三あり否な四あり皆よく歩く 020 PRO 030 030 獣の中にて最も強くもろもろのものの前より退かざる獅子 020 PRO 030 031 肚帶せし戰馬 牡野羊 および當ること能はざる王これなり 020 PRO 030 032 汝もし愚にして自から高ぶり或は惡きことを計らば汝の手を口に當つべし 020 PRO 030 033 それ乳を搾れば乾酪いで鼻を搾れば血いで 怒を激ふれば爭端おこる 020 PRO 031 001 レムエル王のことば即ちその母の彼に敎へし箴言なり 020 PRO 031 002 わが子よ何を言んか わが胎の子よ何をいはんか 我が願ひて得たる子よ何をいはんか 020 PRO 031 003 なんぢの力を女につひやすなかれ 王を滅すものに汝の途をまかする勿れ 020 PRO 031 004 レムエルよ酒を飮は王の爲べき事に非ず 王の爲べき事にあらず 醇醪を求むるは牧伯の爲すべき事にあらず 020 PRO 031 005 恐くは酒を飮て律法をわすれ 且すべて惱まさるる者の審判を枉げん 020 PRO 031 006 醇醪を亡びんとする者にあたへ 酒を心の傷める者にあたへよ 020 PRO 031 007 かれ飮てその貧窮をわすれ 復その苦楚を憶はざるべし 020 PRO 031 008 なんぢ瘖者のため又すべての孤者の訟のために口をひらけ 020 PRO 031 009 なんぢ口をひらきて義しき審判をなし貧者と窮乏者の訟を糺せ 020 PRO 031 010 誰か賢き女を見出すことを得ん その價は眞珠よりも貴とし 020 PRO 031 011 その夫の心は彼を恃み その產業は乏しくならじ 020 PRO 031 012 彼が存命ふる間はその夫に善事をなして惡き事をなさず 020 PRO 031 013 彼は羊の毛と麻とを求め喜びて手から操き 020 PRO 031 014 商賈の舟のごとく遠き國よりその糧を運び 020 PRO 031 015 夜のあけぬ先に起てその家人に糧をあたへ その婢女に日用の分をあたふ 020 PRO 031 016 田畝をはかりて之を買ひ その手の操作をもて葡萄園を植ゑ 020 PRO 031 017 力をもて腰に帶し その手を強くす 020 PRO 031 018 彼はその利潤の益あるを知る その燈火は終夜きえず 020 PRO 031 019 かれ手を紡線車にのべ その指に紡錘をとり 020 PRO 031 020 手を貧者にのべ 手を困苦者に舒ぶ 020 PRO 031 021 彼は家人の爲に雪をおそれず 蓋その家人みな蕃紅の衣をきればなり 020 PRO 031 022 彼はおのれの爲に美しき褥子をつくり 細布と紫とをもてその衣とせり 020 PRO 031 023 その夫はその地の長老とともに邑の門に坐するによりて人に知るるなり 020 PRO 031 024 彼は細布の衣を製りてこれをうり 帶をつくりて商賈にあたふ 020 PRO 031 025 彼は筋力と尊貴とを衣とし且のちの日を笑ふ 020 PRO 031 026 彼は口を啓きて智慧をのぶ 仁愛の敎誨その舌にあり 020 PRO 031 027 かれはその家の事を鑒み 怠惰の糧を食はず 020 PRO 031 028 その衆子は起て彼を祝す その夫も彼を讃ていふ 020 PRO 031 029 賢く事をなす女子は多けれども 汝はすべての女子に愈れり 020 PRO 031 030 艶麗はいつはりなり 美色は呼吸のごとし 惟ヱホバを畏るる女は譽られん 020 PRO 031 031 その手の操作の果をこれにあたへ その行爲によりてこれを邑の門にほめよ # # BOOK 021 ECC Ecclesiastes 伝道者の書 021 ECC 001 001 ダビデの子 ヱルサレムの王 傳道者の言 021 ECC 001 002 傳道者言く 空の空 空の空なる哉 都て空なり 021 ECC 001 003 日の下に人の勞して爲ところの諸の動作はその身に何の益かあらん 021 ECC 001 004 世は去り世は來る 地は永久に長存なり 021 ECC 001 005 日は出で日は入り またその出し處に喘ぎゆくなり 021 ECC 001 006 風は南に行き又轉りて北にむかひ 旋轉に旋りて行き 風復その旋轉る處にかへる。 021 ECC 001 007 河はみな海に流れ入る 海は盈ること無し 河はその出きたれる處に復還りゆくなり 021 ECC 001 008 萬の物は勞苦す 人これを言つくすことあたはず 目は見に飽ことなく耳は聞に充ること無し 021 ECC 001 009 曩に有し者はまた後にあるべし 曩に成し事はまた後に成べし 日の下には新しき者あらざるなり 021 ECC 001 010 見よ是は新しき者なりと指て言べき物あるや 其は我等の前にありし世々に旣に久しくありたる者なり 021 ECC 001 011 己前のものの事はこれを記憶ることなし 以後のものの事もまた後に出る者これをおぼゆることあらじ 021 ECC 001 012 われ傳道者はヱルサレムにありてイスラエルの王たりき 021 ECC 001 013 我心を盡し智慧をもちひて天が下に行はるる諸の事を尋ねかつ考覈たり此苦しき事件は神が世の人にさづけて之に身を勞せしめたまふ者なり 021 ECC 001 014 我日の下に作ところの諸の行爲を見たり 嗚呼皆空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 001 015 曲れる者は直からしむるあたはず缺たる者は數をあはするあたはず 021 ECC 001 016 我心の中に語りて言ふ 嗚呼我は大なる者となれり 我より先にヱルサレムにをりしすべての者よりも我は多くの智慧を得たり 我心は智慧と知識を多く得たり 021 ECC 001 017 我心を盡して智慧を知んとし狂妄と愚癡を知んとしたりしが 是も亦風を捕ふるがごとくなるを暁れり 021 ECC 001 018 夫智慧多ければ憤激多し 知識を増す者は憂患を増す 021 ECC 002 001 我わが心に言けらく 來れ我試みに汝をよろこばせんとす 汝逸樂をきはめよと 嗚呼是もまた空なりき 021 ECC 002 002 我笑を論ふ是は狂なり 快樂を論ふ是何の爲ところあらんやと 021 ECC 002 003 我心に智慧を懐きて居つつ酒をもて肉身を肥さんと試みたり 又世の人は天が下において生涯如何なる事をなさば善らんかを知んために我は愚なる事を行ふことをせり 021 ECC 002 004 我は大なる事業をなせり 我はわが爲に家を建て葡萄園を設け 021 ECC 002 005 園をつくり囿をつくり 又菓のなる諸の樹を其處に植ゑ 021 ECC 002 006 また水の塘池をつくりて樹木の生茂れる林に其より水を灌がしめたり 021 ECC 002 007 我は僕婢を買得たり また家の子あり 我はまた凡て我より前にヱルサレムにをりし者よりも衆多の牛羊を有り 021 ECC 002 008 我は金銀を積み 王等と國々の財寶を積あげたり また歌詠之男女を得 世の人の樂なる妻妾を多くえたり 021 ECC 002 009 斯我は大なる者となり 我より前にヱルサレムにをりし諸の人よりも大になりぬ 吾智慧もまたわが身を離れざりき 021 ECC 002 010 凡そわが目の好む者は我これを禁ぜす 凡そわが心の悦ぶ者は我これを禁ぜざりき 即ち我はわが諸の勞苦によりて快樂を得たり 是は我が諸の勞苦によりて得たるところの分なり 021 ECC 002 011 我わが手にて爲たる諸の事業および我が勞して事を爲たる勞苦を顧みるに 皆空にして風を捕ふるが如くなりき 日の下には益となる者あらざるなり 021 ECC 002 012 我また身を轉らして智慧と狂妄と愚癡とを觀たり 抑王に嗣ぐところの人は如何なる事を爲うるや その旣になせしところの事に過ざるべし 021 ECC 002 013 光明の黑暗にまさるがごとく智慧は愚癡に勝るなり 我これを暁れり 021 ECC 002 014 智者の目はその頭にあり愚者は黑暗に歩む 然ど我しる其みな遇ふところの事は同一なり 021 ECC 002 015 我心に謂けらく 愚者の遇ふところの事に我もまた遇ふべければ 我なんぞ智慧のまさる所あらんや 我また心に謂り是も亦空なるのみと 021 ECC 002 016 夫智者も愚者と均しく永く世に記念らるることなし 來らん世にいたれば皆早く旣に忘らるるなり 嗚呼智者の愚者とおなじく死るは是如何なる事ぞや 021 ECC 002 017 是に於て我世にながらふることを厭へり 凡そ日の下に爲ところの事は我に惡く見ればなり 即ち皆空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 002 018 我は日の下にわが勞して諸の動作をなしたるを恨む其は我の後を嗣ぐ人にこれを遺さざるを得ざればなり 021 ECC 002 019 其人の智愚は誰かこれを知らん然るにその人は日の下に我が勞して爲し智慧をこめて爲たる諸の工作を管理るにいたらん是また空なり 021 ECC 002 020 我身をめぐらし日の下にわが勞して爲たる諸の動作のために望を失へり 021 ECC 002 021 今茲に人あり 智慧と知識と才能をもて勞して事をなさんに終には之がために勞せざる人に一切を遺してその所有となさしめざるを得ざるなり 是また空にして大に惡し 021 ECC 002 022 夫人はその日の下に勞して爲ところの諸の動作とその心勞によりて何の得ところ有るや 021 ECC 002 023 その世にある日には常に憂患あり その勞苦は苦し その心は夜の間も安んずることあらず 是また空なり 021 ECC 002 024 人の食飮をなしその勞苦によりて心を樂しましむるは幸福なる事にあらず 是もまた神の手より出るなり 我これを見る 021 ECC 002 025 誰かその食ふところその歓樂を極むるところに於て我にまさる者あらん 021 ECC 002 026 神はその心に適ふ人には智慧と知識と喜樂を賜ふ 然れども罪を犯す人には勞苦を賜ひて斂めかつ積ことを爲さしむ 是は其を神の心に適ふ人に與へたまはんためなり 是もまた空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 003 001 天が下の萬の事には期あり 萬の事務には時あり 021 ECC 003 002 生るるに時あり死るに時あり 植るに時あり植たる者を抜に時あり 021 ECC 003 003 殺すに時あり醫すに時あり 毀つに時あり建るに時あり 021 ECC 003 004 泣に時あり笑ふに時あり 悲むに時あり躍るに時あり 021 ECC 003 005 石を擲つに時あり石を斂むるに時あり 懐くに時あり懐くことをせざるに時あり 021 ECC 003 006 得に時あり失ふに時あり 保つに時あり棄るに時あり 021 ECC 003 007 裂に時あり縫に時あり 默すに時あり語るに時あり 021 ECC 003 008 愛しむに時あり惡むに時あり 戰ふに時あり和ぐに時あり 021 ECC 003 009 働く者はその勞して爲ところよりして何の益を得んや 021 ECC 003 010 我神が世の人にさづけて身をこれに勞せしめたまふところの事件を視たり 021 ECC 003 011 神の爲したまふところは皆その時に適ひて美麗しかり 神はまた人の心に永遠をおもふの思念を賦けたまへり 然ば人は神のなしたまふ作爲を始より終まで知明むることを得ざるなり 021 ECC 003 012 我知る人の中にはその世にある時に快樂をなし善をおこなふより外に善事はあらず 021 ECC 003 013 また人はみな食飮をなしその勞苦によりて逸樂を得べきなり 是すなはち神の賜物たり 021 ECC 003 014 我知る凡て神のなしたまふ事は限なく存せん 是は加ふべき所なく是は減すべきところ無し 神の之をなしたまふは人をしてその前に畏れしめんがためなり 021 ECC 003 015 昔ありたる者は今もあり 後にあらん者は旣にありし者なり 神はその遂やられし者を索めたまふ 021 ECC 003 016 我また日の下を見るに審判をおこなふ所に邪曲なる事あり 公義を行ふところに邪曲なる事あり 021 ECC 003 017 我すなはち心に謂けらく神は義者と惡者とを鞫きたまはん 彼處において萬の事と萬の所爲に時あるなり 021 ECC 003 018 我また心に謂けらく是事あるは是世の人のためなり 即ち神は斯世の人を撿して之にその獣のごとくなることを自ら暁らしめ給ふなり 021 ECC 003 019 世の人に臨むところの事はまた獣にも臨む この二者に臨むところの事は同一にして是も死ば彼も死るなり 皆同一の呼吸に依れり 人は獣にまさる所なし皆空なり 021 ECC 003 020 皆一の所に往く 皆塵より出で皆塵にかへるなり 021 ECC 003 021 誰か人の魂の上に昇り獣の魂の地にくだることを知ん 021 ECC 003 022 然ば人はその動作によりて逸樂をなすに如はなし 是その分なればなり 我これを見る その身の後の事は誰かこれを携へゆきて見さしむる者あらんや 021 ECC 004 001 茲に我身を轉して日の下に行はるる諸の虐遇を視たり 嗚呼虐げらる者の涙ながる 之を慰むる者あらざるなり また虐ぐる者の手には權力あり 彼等はこれを慰むる者あらざるなり 021 ECC 004 002 我は猶生る生者よりも旣に死たる死者をもて幸なりとす 021 ECC 004 003 またこの二者よりも幸なるは未だ世にあらずして日の下におこなはるる惡事を見ざる者なり 021 ECC 004 004 我また諸の勞苦と諸の工事の精巧とを觀るに 是は人のたがひに嫉みあひて成せる者たるなり 是も空にして風を捕ふるが如し 021 ECC 004 005 愚なる者は手を束ねてその身の肉を食ふ 021 ECC 004 006 片手に物を盈て平穩にあるは 兩手に物を盈て勞苦て風を捕ふるに愈れり 021 ECC 004 007 我また身をめぐらし日の下に空なる事のあるを見たり 021 ECC 004 008 茲に人あり只獨にして伴侶もなく子もなく兄弟もなし 然るにその勞苦は都て窮なくの目は富に飽ことなし 彼また言ず嗚呼我は誰がために勞するや何とて我は心を樂ませざるやと 是もまた空にして勞力の苦き者なり 021 ECC 004 009 二人は一人に愈る其はその勞苦のために善報を得ればなり 021 ECC 004 010 即ちその跌倒る時には一箇の人その伴侶を扶けおこすべし 然ど孤身にして跌倒る者は憐なるかな之を扶けおこす者なきなり 021 ECC 004 011 又二人ともに寝れば温暖なり一人ならば爭で温暖ならんや 021 ECC 004 012 人もしその一人を攻撃ば二人してこれに當るべし 三根の繩は容易く斷ざるなり 021 ECC 004 013 貧くして賢き童子は 老て愚にして諌を納れざる王に愈る 021 ECC 004 014 彼は牢獄より出て王となれり 然どその國に生れし時は貧かりき 021 ECC 004 015 我日の下にあゆむところの群生が彼王に続てこれに代りて立ところの童子とともにあるを觀たり 021 ECC 004 016 民はすべて際限なし その前にありし者みな然り 後にきたる者また彼を悦ばず 是も空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 005 001 汝ヱホバの室にいたる時にはその足を愼め 進みよりて聽聞は愚なる者の犠牲にまさる 彼等はその惡をおこなひをることを知ざるなり 021 ECC 005 002 汝神の前にありては軽々し口を開くなかれ 心を攝めて妄に言をいだすなかれ 其は神は天にいまし汝は地にをればなり 然ば汝の言詞を少からしめよ 021 ECC 005 003 夫夢は事の繁多によりて生じ 愚なる者の聲は言の衆多によりて識るなり 021 ECC 005 004 汝神に誓願をかけなば之を還すことを怠るなかれ 神は愚なる者を悦びたまはざるなり 汝はそのかけし誓願を還すべし 021 ECC 005 005 誓願をかけてこれを還さざるよりは寧ろ誓願をかけざるは汝に善し 021 ECC 005 006 汝の口をもて汝の身に罪を犯さしむるなかれ 亦使者の前に其は過誤なりといふべからず 恐くは神汝の言を怒り汝の手の所爲を滅したまはん 021 ECC 005 007 夫夢多ければ空なる事多し 言詞の多きもまた然り 汝ヱホバを畏め 021 ECC 005 008 汝國の中に貧き者を虐遇る事および公道と公義を枉ることあるを見るもその事あるを怪むなかれ 其はその位高き人よりも高き者ありてその人を伺へばなり又其等よりも高き者あるなり 021 ECC 005 009 國の利益は全く是にあり 即ち王者が農事に勤むるにあるなり 021 ECC 005 010 銀を好む者は銀に飽こと無し 豊富ならんことを好む者は得るところ有らず 是また空なり 021 ECC 005 011 貨財増せばこれを食む者も増すなり その所有主は唯目にこれを看るのみ その外に何の益かあらん 021 ECC 005 012 勞する者はその食ふところは多きも少きも快く睡るなり 然れども富者はその貨財の多きがために睡ることを得せず 021 ECC 005 013 我また日の下に患の大なる者あるを見たり すなはち財寶のこれを蓄ふる者の身に害をおよぼすことある是なり 021 ECC 005 014 その財寶はまた災難によりて失落ことあり 然ばその人子を擧ることあらんもその手には何物もあることなし 021 ECC 005 015 人は母の胎より出て來りしごとくにまた裸體にして皈りゆくべし その勞苦によりて得たる者を毫厘も手にとりて携へゆくことを得ざるなり 021 ECC 005 016 人は全くその來りしごとくにまた去ゆかざるを得ず 是また患の大なる者なり 抑風を追て勞する者何の益をうること有んや 021 ECC 005 017 人は生命の涯黑暗の中に食ふことを爲す また憂愁多かり 疾病身にあり 憤怒あり 021 ECC 005 018 視よ我は斯觀たり 人の身にとりて善かつ美なる者は 神にたまはるその生命の極食飮をなし 且その日の下に勞して働ける勞苦によりて得るところの福禄を身に享るの事なり是その分なればなり 021 ECC 005 019 何人によらず神がこれに富と財を與へてそれに食ことを得せしめ またその分を取りその勞苦によりて快樂を得ることをせさせたまふあれば その事は神の賜物たるなり 021 ECC 005 020 かかる人はその年齢の日を憶ゆること深からず 其は神これが心の喜ぶところにしたがひて應ることを爲したまへばなり 021 ECC 006 001 我觀るに日の下に一件の患あり是は人の間に恒なる者なり 021 ECC 006 002 すなはち神富と財と貴を人にあたへて その心に慕ふ者を一件もこれに缺ることなからしめたまひながらも 神またその人に之を食ふことを得せしめたまはずして 他人のこれを食ふことあり 是空なり惡き疾なり 021 ECC 006 003 假令人百人の子を擧けまた長壽してその年齢の日多からんも 若その心景福に滿足せざるか又は葬らるることを得ざるあれば 我言ふ流產の子はその人にまさるたり 021 ECC 006 004 夫流產の子はその來ること空しくして黑暗の中に去ゆきその名は黑暗の中にかくるるなり 021 ECC 006 005 又是は日を見ることなく物を知ることなければ彼よりも安泰なり 021 ECC 006 006 人の壽命千年に倍するとも福祉を蒙れるにはあらず 皆一所に往くにあらずや 021 ECC 006 007 人の勞苦は皆その口のためなり その心はなほも飽ざるところ有り 021 ECC 006 008 賢者なんぞ愚者に勝るところあらんや また世人の前に歩行ことを知ところの貧者も何の勝るところ有んや 021 ECC 006 009 目に觀る事物は心のさまよひ歩くに愈るなり 是また空にして風を捕ふるがごとし 021 ECC 006 010 嘗て在し者は久しき前にすでにその名を命られたり 即ち是は人なりと知る 然ば是はかの自己よりも力強き者と爭ふことを得ざるなり 021 ECC 006 011 衆多の言論ありて虚浮き事を増す然ど人に何の益あらんや 021 ECC 006 012 人はその虚空き生命の日を影のごとくに送るなり 誰かこの世において如何なる事か人のために善き者なるやを知ん 誰かその身の後に日の下にあらんところの事を人に告うる者あらんや 021 ECC 007 001 名は美膏に愈り 死る日は生るる日に愈る 021 ECC 007 002 哀傷の家に入は宴樂の家に入に愈る 其は一切の人の終かくのごとくなればなり 生る者またこれをその心にとむるあらん 021 ECC 007 003 悲哀は嬉笑に愈る 其は面に憂色を帶るなれば心も善にむかへばなり 021 ECC 007 004 賢き者の心は哀傷の家にあり 愚なる者の心は喜樂の家にあり 021 ECC 007 005 賢き者の勸責を聽は愚なる者の歌詠を聽に愈るなり 021 ECC 007 006 愚なる者の笑は釜の下に焚る荊棘の聲のごとし是また空なり 021 ECC 007 007 賢き人も虐待る事によりて狂するに至るあり賄賂は人の心を壞なふ 021 ECC 007 008 事の終はその始よりも善し 容忍心ある者は傲慢心ある者に勝る 021 ECC 007 009 汝氣を急くして怒るなかれ 怒は愚なる者の胸にやどるなり 021 ECC 007 010 昔の今にまさるは何故ぞやと汝言なかれ 汝の斯る問をなすは是智慧よりいづる者にあらざるなり 021 ECC 007 011 智慧の上に財產をかぬれば善し 然れば日を見る者等に利益おほかるべし 021 ECC 007 012 智慧も身の護庇となり銀子も身の護庇となる 然ど智惠はまたこれを有る者に生命を保しむ 是知識の殊勝たるところなり 021 ECC 007 013 汝神の作爲を考ふべし 神の曲たまひし者は誰かこれを直くすることを得ん 021 ECC 007 014 幸福ある日には樂め 禍患ある日には考へよ 神はこの二者をあひ交錯て降したまふ 是は人をしてその後の事を知ることなからしめんためなり 021 ECC 007 015 我この空の世にありて各樣の事を見たり 義人の義をおこなひて亡ぶるあり 惡人の惡をおこなひて長壽あり 021 ECC 007 016 汝義に過るなかれまた賢に過るなかれ 汝なんぞ身を滅すべけんや 021 ECC 007 017 汝惡に過るなかれまた愚なる勿れ 汝なんぞ時いたらざるに死べけんや 021 ECC 007 018 汝此を執は善しまた彼にも手を放すなかれ 神を畏む者はこの一切の者の中より逃れ出るなり 021 ECC 007 019 智慧の智者を幇くることは邑の豪雄者十人にまさるなり 021 ECC 007 020 正義して善をおこなひ罪を犯すことなき人は世にあることなし 021 ECC 007 021 人の言出す言詞には凡て心をとむる勿れ 恐くは汝の僕の汝を詛ふを聞こともあらん 021 ECC 007 022 汝も屡人を詛ふことあるは汝の心に知ところなり 021 ECC 007 023 我智慧をもてこの一切の事を試み我は智者とならんと謂たりしが遠くおよばざるなり 021 ECC 007 024 事物の理は遠くして甚だ深し 誰かこれを究むることを得ん 021 ECC 007 025 我は身をめぐらし心をもちひて物を知り事を探り 智慧と道理を索めんとし 又惡の愚たると愚癡の狂妄たるを知んとせり 021 ECC 007 026 我了れり 婦人のその心羅と網のごとくその手縲絏のごとくなる者は是死よりも苦き者なり 神の悦びたまふ者は之を避ることを得ん罪人は之に執らるべし 021 ECC 007 027 傳道者言ふ 視よ我その數を知んとして一々に算へてつひに此事を了る 021 ECC 007 028 我なほ尋ねて得ざる者は是なり 我千人の中には一箇の男子を得たれども その數の中には一箇の女子をも得ざるなり 021 ECC 007 029 我了れるところは唯是のみ 即ち神は人を正直者に造りたまひしに人衆多の計略を案出せしなり 021 ECC 008 001 誰か智者に如ん誰か事物の理を解ことを得ん 人の智慧はその人の面に光輝あらしむ 又その粗暴面も變改べし 021 ECC 008 002 我言ふ王の命を守るべし旣に神をさして誓ひしことあれば然るべきなり 021 ECC 008 003 早まりて王の前を去ることなかれ 惡き事につのること勿れ 其は彼は凡てその好むところを爲ばなり 021 ECC 008 004 王の言語には權力あり 然ば誰か之に汝何をなすやといふことを得ん 021 ECC 008 005 命令を守る者は禍患を受るに至らず 智者の心は時期と判斷を知なり 021 ECC 008 006 萬の事務には時あり判斷あり是をもて人大なる禍患をうくるに至るあり 021 ECC 008 007 人は後にあらんところの事を知ず また誰か如何なる事のあらんかを之に告る者あらん 021 ECC 008 008 霊魂を掌管て霊魂を留めうる人あらず 人はその死る日には權力あること旡し 此戰爭には釋放たるる者あらず 又罪惡はこれを行ふ者を救ふことを得せざるなり 021 ECC 008 009 我この一切の事を見また日の下におこなはるる諸の事に心を用ひたり時としては此人彼人を治めてこれに害を蒙らしむることあり 021 ECC 008 010 我見しに惡人の葬られて安息にいるあり また善をおこなふ者の聖所を離れてその邑に忘らるるに至るあり是また空なり 021 ECC 008 011 惡き事の報速にきたらざるが故に世人心を専にして惡をおこなふ 021 ECC 008 012 罪を犯す者百次惡をなして猶長命あれども 我知る神を畏みてその前に畏怖をいだく者には幸福あるべし 021 ECC 008 013 但し惡人には幸福あらず またその生命も長からずして影のごとし 其は神の前に畏怖をいだくことなければなり 021 ECC 008 014 我日の下に空なる事のおこなはるるを見たり 即ち義人にして惡人の遭べき所に遭ふ者あり 惡人にして義人の遭べきところに遭ふ者あり 我謂り是もまた空なり 021 ECC 008 015 是に於て我喜樂を讃む 其は食飮して樂むよりも好き事は日の下にあらざればなり 人の勞して得る物の中是こそはその日の下にて神にたまはる生命の日の間その身に離れざる者なれ 021 ECC 008 016 茲に我心をつくして智慧を知らんとし世に爲ところの事を究めんとしたり 人は夜も晝もその目をとぢて眠ることをせざるなり 021 ECC 008 017 我神の諸の作爲を見しが人は日の下におこなはるるところの事を究むるあたはざるなり 人これを究めんと勞するもこれを究むることを得ず 且又智者ありてこれを知ると思ふもこれを究むることあたはざるなり 021 ECC 009 001 我はこの一切の事に心を用ひてこの一切の事を明めんとせり 即ち義き者と賢き者およびかれらの爲ところは神の手にあるなるを明めんとせり 愛むや惡むやは人これを知ることなし一切の事はその前にあるなり 021 ECC 009 002 諸の人に臨む所は皆同じ 義き者にも惡き者にも善者にも 淨者にも穢れたる者にも 犠牲を献ぐる者にも犠牲を献げぬ者にもその臨むところの事は同一なり 善人も罪人に異ならず 誓をなす者も誓をなすことを畏るる者に異ならず 021 ECC 009 003 諸の人に臨むところの事の同一なるは是日の下におこなはるる事の中の惡き者たり 抑人の心には惡き事充をり その生る間は心に狂妄を懐くあり 後には死者の中に往くなり 021 ECC 009 004 凡活る者の中に列る者は望あり 其は生る犬は死る獅子に愈ればなり 021 ECC 009 005 生者はその死んことを知る 然ど死る者は何事をも知ずまた應報をうくることも重てあらず その記憶らるる事も遂に忘れらるるに至る 021 ECC 009 006 またその愛も惡も嫉も旣に消うせて彼等は日の下におこなはるる事に最早何時までも關係ことあらざるなり 021 ECC 009 007 汝往て喜悦をもて汝のパンを食ひ樂き心をも汝の酒を飮め 其は神久しく汝の行爲を嘉納たまへばなり 021 ECC 009 008 汝の衣服を常に白からしめよ 汝の頭に膏を絶しむるなかれ 021 ECC 009 009 日の下に汝が賜はるこの汝の空なる生命の日の間汝その愛する妻とともに喜びて度生せ 汝の空なる生命の日の間しかせよ 是は汝が世にありて受る分汝が日の下に働ける勞苦によりて得る者なり 021 ECC 009 010 凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを爲せ 其は汝の往んところの陰府には工作も計謀も知識も智慧もあることなければなり 021 ECC 009 011 我また身をめぐらして日の下を觀るに 迅速者走ることに勝にあらず強者戰爭に勝にあらず 智慧者食物を獲にあらず 明哲人財貨を得にあらず 知識人恩顧を得にあらず 凡て人に臨むところの事は時ある者偶然なる者なり 021 ECC 009 012 人はまたその時を知ず 魚の禍の網にかかり鳥の鳥羅にかかるが如くに世の人もまた禍患の時の計らざるに臨むに及びてその禍患にかかるなり 021 ECC 009 013 我日の下に是事を觀て智慧となし大なる事となせり 021 ECC 009 014 すなはち茲に一箇の小き邑ありて その中の人は鮮かりしが大なる王これに攻きたりてこれを圍みこれに向ひて大なる雲梯を建たり 021 ECC 009 015 時に邑の中に一人の智慧ある貧しき人ありてその智慧をもて邑を救へり 然るに誰ありてその貧しき人を記念もの無りし 021 ECC 009 016 是において我言り智慧は勇力に愈る者なりと 但しかの貧しき人の智慧は藐視られその言詞は聽れざりしなり 021 ECC 009 017 靜に聽る智者の言は愚者の君長たる者の號呼に愈る 021 ECC 009 018 智慧は軍の器に勝れり一人の惡人は許多の善事を壞ふなり 021 ECC 010 001 死し蝿は和香者の膏を臭くしこれを腐らす 少許の愚癡は智慧と尊榮よりも重し 021 ECC 010 002 智者の心はその右に愚者の心はその左に行くなり 021 ECC 010 003 愚者は出て途を行にあたりてその心たらず自己の愚なることを一切の人に告ぐ 021 ECC 010 004 君長たる者汝にむかひて腹たつとも汝の本處を離るる勿れ温順は大なる愆を生ぜしめざるなり 021 ECC 010 005 我日の下に一の患事あるを見たり是は君長たる者よりいづる過誤に似たり 021 ECC 010 006 すなはち愚なる者高き位に置かれ貴き者卑き處に坐る 021 ECC 010 007 我また僕たる者が馬に乗り王侯たる者が僕のごとく地の上に歩むを觀たり 021 ECC 010 008 坑を掘る者はみづから之におちいり石垣を毀つ者は蛇に咬れん 021 ECC 010 009 石を打くだく者はそれがために傷を受け木を割る者はそれがために危難に遭ん 021 ECC 010 010 鐵の鈍くなれるあらんにその刃を磨ざれば力を多く之にもちひざるを得ず 智慧は功を成に益あるなり 021 ECC 010 011 蛇もし呪術を聽ずして咬ば呪術師は用なし 021 ECC 010 012 智者の口の言語は恩徳あり 愚者の唇はその身を呑ほろぼす 021 ECC 010 013 愚者の口の言は始は愚なり またその言は終は狂妄にして惡し 021 ECC 010 014 愚者は言詞を衆くす 人は後に有ん事を知ず 誰かその身の後にあらんところの事を述るを得ん 021 ECC 010 015 愚者の勞苦はその身を疲らす彼は邑にいることをも知ざるなり 021 ECC 010 016 その王は童子にしてその侯伯は朝に食をなす國よ 汝は禍なるかな 021 ECC 010 017 その王は貴族の子またその侯伯は酔樂むためならず力を補ふために適宜き時に食をなす國よ 汝は福なるかな 021 ECC 010 018 懶惰ところよりして屋背は落ち 手を垂をるところよりして家屋は漏る 021 ECC 010 019 食事をもて笑ひ喜ぶの物となし酒をもて快樂を取れり 銀子は何事にも應ずるなり 021 ECC 010 020 汝心の中にても王たる者を詛ふなかれ また寝室にても富者を詛なかれ 天空の鳥その聲を傳へ羽翼ある者その事を布べければなり 021 ECC 011 001 汝の糧食を水の上に投げよ 多くの日の後に汝ふたたび之を得ん 021 ECC 011 002 汝一箇の分を七また八にわかて 其は汝如何なる災害の地にあらんかを知ざればなり 021 ECC 011 003 雲もし雨の充るあれば地に注ぐ また樹もし南か北に倒るるあればその樹は倒れたる處にあるべし 021 ECC 011 004 風を伺ふ者は種播ことを得ず 雲を望む者は刈ことを得ず 021 ECC 011 005 汝は風の道の如何なるを知ず また孕める婦の胎にて骨の如何に生長つを知ず 斯汝は萬事を爲たまふ神の作爲を知ことなし 021 ECC 011 006 汝朝に種を播け 夕にも手を歇るなかれ 其はその實る者は此なるか彼なるか又は二者ともに美なるや汝これを知ざればなり 021 ECC 011 007 夫光明は快き者なり 目に日を見るは樂し 021 ECC 011 008 人多くの年生ながらへてその中凡て幸福なるもなほ幽暗の日を憶ふべきなり 其はその數も多かるべければなり 凡て來らんところの事は皆空なり 021 ECC 011 009 少者よ汝の少き時に快樂をなせ 汝の少き日に汝の心を悦ばしめ汝の心の道に歩み汝の目に見るところを爲せよ 但しその諸の行爲のために神汝を鞫きたまはんと知べし 021 ECC 011 010 然ば汝の心より憂を去り 汝の身より惡き者を除け 少き時と壯なる時はともに空なればなり 021 ECC 012 001 汝の少き日に汝の造主を記えよ 即ち惡き日の來り年のよりて我は早何も樂むところ無しと言にいたらざる先 021 ECC 012 002 また日や光明や月や星の暗くならざる先 雨の後に雲の返らざる中に汝然せよ 021 ECC 012 003 その日いたる時は家を守る者は慄ひ 力ある人は屈み 磨碎者は寡きによりて息み 窓より窺ふ者は目昏むなり 021 ECC 012 004 磨こなす聲低くなれば衢の門は閉づ その人は鳥の聲に起あがり 歌の女子はみな身を卑くす 021 ECC 012 005 かかる人々は高き者を恐る畏しき者多く途にあり 巴旦杏は花咲くまた蝗もその身に重くその嗜欲は廢る 人永遠の家にいたらんとすれば哭婦衢にゆきかふ 021 ECC 012 006 然る時には銀の紐は解け金の盞は碎け吊瓶は泉の側に壞れ轆轤は井の傍に破ん 021 ECC 012 007 而して塵は本の如くに土に皈り 霊魂はこれを賦けし神にかへるべし 021 ECC 012 008 傳道者云ふ空の空なるかな皆空なり 021 ECC 012 009 また傳道者は智慧あるが故に恒に知識を民に敎へたり 彼は心をもちひて尋ね究め許多の箴言を作れり 021 ECC 012 010 傳道者は務めて佳美き言詞を求めたり その書しるしたる者は正直して眞實の言語なり 021 ECC 012 011 智者の言語は刺鞭のごとく 會衆の師の釘たる釘のごとくにして 一人の牧者より出し者なり 021 ECC 012 012 わが子よ是等より訓誡をうけよ 多く書をつくれば竟なし 多く學べば體疲る 021 ECC 012 013 事の全體の皈する所を聽べし 云く 神を畏れその誡命を守れ 是は諸の人の本分たり 021 ECC 012 014 神は一切の行爲ならびに一切の隠れたる事を善惡ともに審判たまふなり # # BOOK 022 SOL Song of Solomon 雅歌 022 SOL 001 001 これはソロモンの雅歌なり 022 SOL 001 002 ねがはしきは彼その口の接吻をもて我にくちつけせんことなり 汝の愛は酒よりもまさりぬ 022 SOL 001 003 なんぢの香膏は其香味たへに馨しくなんぢの名はそそがれたる香膏のごとし 是をもて女子等なんぢを愛す 022 SOL 001 004 われを引たまへ われら汝にしたがひて走らん 王われをたづさへてその後宮にいれたまへり 我らは汝によりて歡び樂しみ酒よりも勝りてなんぢの愛をほめたたふ 彼らは直きこころをもて汝を愛す 022 SOL 001 005 ヱルサレムの女子等よ われは黑けれどもなほ美はし ケダルの天幕のごとく またソロモンの帷帳に似たり 022 SOL 001 006 われ色くろきが故に日のわれを燒たるが故に我を視るなかれ わが母の子等われを怒りて我に葡萄園をまもらしめたり 我はおのが葡萄園をまもらざりき 022 SOL 001 007 わが心の愛する者よなんぢは何處にてなんぢの群を牧ひ 午時いづこにて之を息まするや請ふわれに告よ なんぞ面を覆へる者の如くしてなんぢが伴侶の群のかたはらにをるべけんや 022 SOL 001 008 婦女の最も美はしき者よ なんぢ若しらずば群の足跡にしたがひて出ゆき 牧羊者の天幕のかたはらにて汝の羔山羊を牧へ 022 SOL 001 009 わが佳耦よ 我なんぢをパロの車の馬に譬ふ 022 SOL 001 010 なんぢの臉には鏈索を垂れ なんぢの頭には珠玉を陳ねて至も美はし 022 SOL 001 011 われら白銀の星をつけたる黄金の鏈索をなんぢのために造らん 022 SOL 001 012 王其席につきたまふ時 わがナルダ其香味をいだせり 022 SOL 001 013 わが愛する者は我にとりてはわが胸のあひだにおきたる沒藥の袋のごとし 022 SOL 001 014 わが愛する者はわれにとりてはエンゲデの園にあるコペルの英華のごとし 022 SOL 001 015 ああ美はしきかな わが佳耦よ ああうるはしきかな なんぢの目は鴿のごとし 022 SOL 001 016 わが愛する者よ ああなんぢは美はしくまた樂しきかな われらの牀は靑緑なり 022 SOL 001 017 われらの家の棟梁は香柏 その垂木は松の木なり 022 SOL 002 001 われはシャロンの野花 谷の百合花なり 022 SOL 002 002 女子等の中にわが佳耦のあるは荊棘の中に百合花のあるがごとし 022 SOL 002 003 わが愛する者の男子等の中にあるは林の樹の中に林檎のあるがごとし 我ふかく喜びてその蔭にすわれり その實はわが口に甘かりき 022 SOL 002 004 彼われをたづさへて酒宴の室にいれたまへり その我上にひるがへしたる旗は愛なりき 022 SOL 002 005 請ふ なんぢら乾葡萄をもてわが力をおぎなへ 林檎をもて我に力をつけよ 我は愛によりて疾わづらふ 022 SOL 002 006 彼が左の手はわが頭の下にあり その右の手をもて我を抱く 022 SOL 002 007 ヱルサレムの女子等よ我なんぢらに獐と野の鹿とをさし誓ひて請ふ 愛のおのづから起るときまでは殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 002 008 わが愛する者の聲きこゆ 視よ 山をとび 岡を躍りこえて來る 022 SOL 002 009 わが愛する者は獐のごとくまた小鹿のごとし 視よ彼われらの壁のうしろに立ち 窓より覗き 格子より窺ふ 022 SOL 002 010 わが愛する者われに語りて言ふ わが佳耦よ わが美はしき者よ 起ていできたれ 022 SOL 002 011 視よ 冬すでに過ぎ 雨もやみてはやさりぬ 022 SOL 002 012 もろもろの花は地にあらはれ 鳥のさへづる時すでに至り 班鳩の聲われらの地にきこゆ 022 SOL 002 013 無花果樹はその靑き果を赤らめ 葡萄の樹は花さきてその馨はしき香氣をはなつ わが佳耦よ わが美しき者よ 起て出きたれ 022 SOL 002 014 磐間にをり 斷崖の匿處にをるわが鴿よ われに汝の面を見させよ なんぢの聲をきかしめよ なんぢの聲は愛らしく なんぢの面はうるはし 022 SOL 002 015 われらのために狐をとらへよ 彼の葡萄園をそこなふ小狐をとらへよ 我等の葡萄園は花盛なればなり 022 SOL 002 016 わが愛する者は我につき我はかれにつく 彼は百合花の中にてその群を牧ふ 022 SOL 002 017 わが愛する者よ 日の涼しくなるまで 影の消るまで身をかへして出ゆき 荒き山々の上にありて獐のごとく 小鹿のごとくせよ 022 SOL 003 001 夜われ床にありて我心の愛する者をたづねしが尋ねたれども得ず 022 SOL 003 002 我おもへらく今おきて邑をまはりありき わが心の愛する者を街衢あるひは大路にてたづねんと 乃ちこれを尋ねたれども得ざりき 022 SOL 003 003 邑をまはりありく夜巡者らわれに遇ければ 汝らわが心の愛する者を見しやと問ひ 022 SOL 003 004 これに別れて過ゆき間もなくわが心の愛する者の遇たれば 之をひきとめて放さず 遂にわが母の家にともなひゆき 我を產し者の室にいりぬ 022 SOL 003 005 ヱルサレムの女子等よ 我なんぢらに獐と野の鹿とをさし誓ひて請ふ 愛のおのづから起る時まで殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 003 006 この沒藥乳香など商人のもろもろの薫物をもて身をかをらせ 煙の柱のごとくして荒野より來る者は誰ぞや 022 SOL 003 007 視よ こはソロモンの乗輿にして 勇士六十人その周圍にあり イスラエルの勇士なり 022 SOL 003 008 みな刀劍を執り 戰鬪を善す 各人腰に刀劍を帶て夜の警誡に備ふ 022 SOL 003 009 ソロモン王レバノンの木をもて己のために輿をつくれり 022 SOL 003 010 その柱は白銀 その欄杆は黄金 その座は紫色にて作り その内部にはイスラエルの女子等が愛をもて繍たる物を張つく 022 SOL 003 011 シオンの女子等よ 出きたりてソロモン王を見よ かれは婚姻の日 心の喜べる日にその母の己にかうぶらしし冠冕を戴けり 022 SOL 004 001 ああなんぢ美はしきかな わが佳耦よ ああなんぢうるはしきかな なんぢの目は面帕のうしろにありて鴿のごとし なんぢの髮はギレアデ山の腰に臥たる山羊の群に似たり 022 SOL 004 002 なんぢの齒は毛を剪たる牝羊の浴塲より出たるがごとし おのおの雙子をうみてひとつも子なきものはなし 022 SOL 004 003 なんぢの唇は紅色の線維のごとく その口は美はし なんぢの頬は面帕のうしろにありて石榴の半片に似たり 022 SOL 004 004 なんぢの頸項は武器庫にとて建たるダビデの戍樓のごとし その上には一千の盾を懸け列ぬ みな勇士の大楯なり 022 SOL 004 005 なんぢの兩乳房は牝獐の雙子なる二箇の小鹿が百合花の中に草はみをるに似たり 022 SOL 004 006 日の涼しくなるまで 影の消るまでわれ沒藥の山また乳香の岡に行べし 022 SOL 004 007 わが佳耦よ なんぢはことごとくうるはしくしてすこしのきずもなし 022 SOL 004 008 新婦よ レバノンより我にともなへ レバノンより我とともに來れ アマナの巓セニルまたヘルモンの巓より望み 獅子の穴また豹の山より望め 022 SOL 004 009 わが妹わが新婦よ なんぢはわが心を奪へり なんぢは只一目をもてまた頸玉の一をもてわが心をうばへり 022 SOL 004 010 わが妹わが新婦よ なんぢの愛は樂しきかな なんぢの愛は酒よりも遙にすぐれ なんぢの香膏の馨は一切の香物よりもすぐれたり 022 SOL 004 011 新婦よ なんぢの唇は蜜を滴らす なんぢの舌の底には蜜と乳とあり なんぢの衣裳の香氣はレバノンの香氣のごとし 022 SOL 004 012 わが妹わがはなよめよ なんぢは閉たる園 閉たる水源 封じたる泉水のごとし 022 SOL 004 013 なんぢの園の中に生いづる者は石榴及びもろもろの佳果またコペル及びナルダの草 022 SOL 004 014 ナルダ 番紅花 菖蒲 桂枝さまざまの乳香の木および沒藥 蘆薈一切の貴とき香物なり 022 SOL 004 015 なんぢは園の泉水 活る水の井 レバノンよりいづる流水なり 022 SOL 004 016 北風よ起れ 南風よ來れ 我園を吹てその香氣を揚よ ねがはくはわが愛する者のおのが園にいりきたりてその佳き果を食はんことを 022 SOL 005 001 わが妹わがはなよめよ 我はわが園にいり わが沒藥と薫物とを採り わが蜜房と蜜とを食ひ わが酒とわが乳とを飮り わが伴侶等よ 請ふ食へ わが愛する人々よ 請ふ飮あけよ 022 SOL 005 002 われは睡りたれどもわが心は醒ゐたり 時にわが愛する者の聲あり 即はち門をたたきていふ わが妹わが佳耦 わが鴿 わが完きものよ われのために開け わが首には露滿ち わが髮の毛には夜の點滴みてりと 022 SOL 005 003 われすでにわが衣服を脱り いかでまた着るべき 已にわが足をあらへり いかでまた汚すべき 022 SOL 005 004 わが愛する者戸の穴より手をさしいれしかば わが心かれのためにうごきたり 022 SOL 005 005 やがて起いでてわが愛する者の爲に開かんとせしとき 沒藥わが手より沒藥の汁わが指よりながれて關木の把柄のうへにしたたれり 022 SOL 005 006 我わが愛する者の爲に開きしに わが愛する者は已に退き去りぬ さきにその物いひし時はわが心さわぎたり 我かれをたづねたれども遇ず 呼たれども答應なかりき 022 SOL 005 007 邑をまはりありく夜巡者等われを見てうちて傷つけ 石垣をまもる者らはわが上衣をはぎとれり 022 SOL 005 008 ヱルサレムの女子等よ 我なんぢらにかたく請ふ もしわが愛する者にあはば汝ら何とこれにつぐべきや 我愛によりて疾わづらふと告よ 022 SOL 005 009 なんぢの愛する者は別の人の愛する者に何の勝れるところありや 婦女の中のいと美はしき者よ なんぢが愛する者は別の人の愛する者に何の勝れるところありて斯われらに固く請ふや 022 SOL 005 010 わが愛する者は白くかつ紅にして萬人の上に越ゆ 022 SOL 005 011 その頭は純金のごとく その髮はふさやかにして黑きこと烏のごとし 022 SOL 005 012 その目は谷川の水のほとりにをる鴿のごとく 乳にて洗はれて美はしく嵌れり 022 SOL 005 013 その頬は馨しき花の床のごとく 香草の壇のごとし その唇は百合花のごとくにして沒藥の汁をしたたらす 022 SOL 005 014 その手はきばみたる碧玉を嵌し黄金の釧のごとく 其躰は靑玉をもておほひたる象牙の彫刻物のごとし 022 SOL 005 015 その脛は蝋石の柱を黄金の臺にてたてたるがごとく その相貌はレバノンのごとく その優れたるさまは香柏のごとし 022 SOL 005 016 その口ははなはだ甘く誠に彼には一つだにうつくしからぬ所なし ヱルサレムの女子等よ これぞわが愛する者 これぞわが伴侶なる 022 SOL 006 001 婦女のいと美はしきものよ 汝の愛する者は何處へゆきしや なんぢの愛する者はいづこへおもむきしや われら汝とともにたづねん 022 SOL 006 002 わが愛するものは己の園にくだり 香しき花の床にゆき 園の中にて群を牧ひ また百合花を採る 022 SOL 006 003 我はわが愛する者につき わが愛する者はわれにつく 彼は百合花の中にてその群を牧ふ 022 SOL 006 004 わが佳耦よ なんぢは美はしきことテルザのごとく 華やかなることヱルサレムのごとく 畏るべきこと旗をあげたる軍旅のごとし 022 SOL 006 005 なんぢの目は我をおそれしむ 請ふ我よりはなれしめよ なんぢの髮はギレアデ山の腰に臥たる山羊の群に似たり 022 SOL 006 006 なんぢの齒は毛を剪たる牝羊の浴塲より出たるがごとし おのおの雙子をうみてひとつも子なきものはなし 022 SOL 006 007 なんぢの頬は面帕の後にありて石榴の半片に似たり 022 SOL 006 008 后六十人 妃嬪八十人 數しられぬ處女あり 022 SOL 006 009 わが鴿わが完き者はただ一人のみ 彼はその母の獨子にして產たる者の喜ぶところの者なり 女子等は彼を見て幸福なる者ととなへ 后等妃嬪等は彼を見て讃む 022 SOL 006 010 この晨光のごとくに見えわたり 月のごとくに美はしく 日のごとくに輝やき 畏るべきこと旗をあげたる軍旅のごとき者は誰ぞや 022 SOL 006 011 われ胡桃の園にくだりゆき 谷の靑き草木を見 葡萄や芽しし石榴の花や咲しと見回しをりしに 022 SOL 006 012 意はず知ず我が心われをしてわが貴とき民の車の中間にあらしむ 022 SOL 006 013 歸れ歸れシユラミの婦よ 歸れ歸れ われら汝を觀んことをねがふ なんぢら何とてマハナイムの跳舞を觀るごとくにシユラミの婦を觀んとねがふや 022 SOL 007 001 君の女よ なんぢの足は鞋の中にありて如何に美はしきかな 汝の腿はまろらかにして玉のごとく 巧匠の手にて作りたるがごとし 022 SOL 007 002 なんぢの臍は美酒の缺ることあらざる圓き杯盤のごとく なんぢの腹は積かさねたる麥のまはりを百合花もてかこめるが如し 022 SOL 007 003 なんぢの兩乳房は牝鹿の雙子なる二の小鹿のごとし 022 SOL 007 004 なんぢの頸は象牙の戍樓の如く 汝の目はヘシボンにてバテラビムの門のほとりにある池のごとく なんぢの鼻はダマスコに對へるレバノンの戍樓のごとし 022 SOL 007 005 なんぢの頭はカルメルのごとく なんぢの頭の髮は紫花のごとし 王その垂たる髮につながれたり 022 SOL 007 006 ああ愛よ もろもろの快樂の中にありてなんぢは如何に美はしく如何に悦ばしき者なるかな 022 SOL 007 007 なんぢの身の長は棕櫚の樹に等しく なんぢの乳房は葡萄のふさのごとし 022 SOL 007 008 われ謂ふこの棕櫚の樹にのぼり その枝に執つかんと なんぢの乳房は葡萄のふさのごとく なんぢの鼻の氣息は林檎のごとく匂はん 022 SOL 007 009 なんぢの口は美酒のごとし わが愛する者のために滑かに流れくだり 睡れる者の口をして動かしむ 022 SOL 007 010 われはわが愛する者につき 彼はわれを戀したふ 022 SOL 007 011 わが愛する者よ われら田舍にくだり 村里に宿らん 022 SOL 007 012 われら夙におきて葡萄や芽しし莟やいでし石榴の花やさきし いざ葡萄園にゆきて見ん かしこにて我わが愛をなんぢにあたへん 022 SOL 007 013 戀茄かぐはしき香氣を發ち もろもろの佳き果物古き新らしき共にわが戸の上にあり わが愛する者よ我これをなんぢのためにたくはへたり 022 SOL 008 001 ねがはくは汝わが母の乳をのみしわが兄弟のごとくならんことを われ戸外にてなんぢに遇ふとき接吻せん 然するとも誰ありてわれをいやしむるものあらじ 022 SOL 008 002 われ汝をひきてわが母の家にいたり 汝より敎晦をうけん 我かぐはしき酒 石榴のあまき汁をなんぢに飮しめん 022 SOL 008 003 かれが左の手はわが頭の下にあり その右の手をもて我を抱く 022 SOL 008 004 ヱルサレムの女子等よ 我なんぢ等に誓ひて請ふ 愛のおのづから起る時まで殊更に喚起し且つ醒すなかれ 022 SOL 008 005 おのれの愛する者に倚かかりて荒野より上りきたる者は誰ぞや 林檎の樹の下にてわれなんぢを喚さませり なんぢの母かしこにて汝のために劬勞をなし なんぢを產し者かしこにて劬勞をなしぬ 022 SOL 008 006 われを汝の心におきて印のごとくし なんぢの腕におきて印のごとくせよ 其の愛は強くして死のごとく 嫉妬は堅くして陰府にひとし その熖は火のほのほのごとし いともはげしき熖なり 022 SOL 008 007 愛は大水も消ことあたはず 洪水も溺らすことあたはず 人その家の一切の物をことごとく與へて愛に換んとするとも尚いやしめらるべし 022 SOL 008 008 われら小さき妹子あり 未だ乳房あらず われらの妹子の問聘をうくる日には之に何をなしてあたへんや 022 SOL 008 009 かれもし石垣ならんには我ら白銀の城をその上にたてん 彼もし戸ならんには香柏の板をもてこれを圍まん 022 SOL 008 010 われは石垣わが乳房は戍樓のごとし 是をもてわれは情をかうむれる者のごとく彼の目の前にありき 022 SOL 008 011 バアルハモンにソロモンの葡萄園をもてり これをその守る者等にあづけおき 彼等をしておのおの銀一千をその果のために納めしむ 022 SOL 008 012 われ自らの有なる葡萄園われの手にあり ソロモンなんぢは一千を獲よ その果をまもる者も二百を獲べし 022 SOL 008 013 なんぢ園の中に住む者よ 伴侶等なんぢの聲に耳をかたむく 請ふ我にこれを聽しめよ 022 SOL 008 014 わが愛する者よ 請ふ急ぎはしれ 香はしき山々の上にありて獐のごとく 小鹿のごとくあれ # # BOOK 023 ISA Isaiah イザヤ書 023 ISA 001 001 アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤのときに示されたるユダとヱルサレムとに係る異象 023 ISA 001 002 天よきけ地よ耳をかたぶけよ ヱホバの語りたまふ言あり 曰く われ子をやしなひ育てしにかれらは我にそむけり 023 ISA 001 003 牛はその主をしり驢馬はそのあるじの厩をしる 然どイスラエルは識ず わが民はさとらず 023 ISA 001 004 ああ罪ををかせる國人よこしまを負ふたみ 惡をなす者のすゑ 壞りそこなふ種族 かれらはヱホバをすてイスラエルの聖者をあなどり之をうとみて退きたり 023 ISA 001 005 なんぢら何ぞかさねがさね悖りて猶撻れんとするか その頭はやまざる所なくその心はつかれはてたり 023 ISA 001 006 足のうらより頭にいたるまで全きところなくただ創痍と打傷と腫物とのみなり 而してこれを合すものなく包むものなく亦あぶらにて軟らぐる者もなし 023 ISA 001 007 なんぢらの國はあれすたれなんぢらの諸邑は火にてやかれなんぢらの田畑はその前にて外人にのまれ旣にあだし人にくつがへされて荒廢れたり 023 ISA 001 008 シオンの女はぶだうぞのの廬のごとく瓜田の假舎のごとくまた圍をうけたる城のごとく唯ひとり遺れり 023 ISA 001 009 萬軍のヱホバわれらに少しの遺をとどめ給ふことなくば我儕はソドムのごとく又ゴモラに同じかりしならん 023 ISA 001 010 なんぢらソドムの有司よヱホバの言をきけ なんぢらゴモラの民よ われらの神の律法に耳をかたぶけよ 023 ISA 001 011 ヱホバ言たまはくなんぢらが獻ぐるおほくの犠牲はわれに何の益あらんや 我はをひつじの燔祭とこえたるけものの膏とにあけり われは牡牛あるひは小羊あるひは牡山羊の血をよろこばず 023 ISA 001 012 なんぢらは我に見えんとてきたる このことを誰がなんぢらに要めしや 徒らにわが庭をふむのみなり 023 ISA 001 013 むなしき祭物をふたたび携ふることなかれ 燻物はわがにくむところ 新月および安息日また會衆をよびあつむることも我がにくむところなり なんぢらは聖會に惡を兼ぬ われ容すにたへず 023 ISA 001 014 わが心はなんぢらの新月と節會とをきらふ 是わが重荷なり われ負にうみたり 023 ISA 001 015 我なんぢらが手をのぶるとき目をおほひ 汝等がおほくの祈禱をなすときも聞ことをせじ なんぢらの手には血みちたり 023 ISA 001 016 なんぢら己をあらひ己をきよくしわが眼前よりその惡業をさり 惡をおこなふことを止め 023 ISA 001 017 善をおこなふことをならひ 公平をもとめ 虐げらるる者をたすけ 孤子に公平をおこなひ 寡婦の訟をあげつらへ 023 ISA 001 018 ヱホバいひたまはく 率われらともに論らはん なんぢらの罪は緋のごとくなるも雪のごとく白くなり紅のごとく赤くとも羊の毛のごとくにならん 023 ISA 001 019 若なんぢら肯ひしたがはば地の美產をくらふことを得べし 023 ISA 001 020 もし汝等こばみそむかば劍にのまるべし 此はヱホバその御口よりかたりたまへるなり 023 ISA 001 021 忠信なりし邑いかにして妓女とはなれる 昔しは公平にてみち正義その中にやどりしに今は人をころす者ばかりとなりぬ 023 ISA 001 022 なんぢの白銀は滓となり なんぢの葡萄酒は水をまじへ 023 ISA 001 023 なんぢの長輩はそむきて盗人の伴侶となり おのおの賄賂をよろこび 贓財をおひもとめ 孤子に公平をおこなはず 寡婦の訟はかれらの前にいづること能はず 023 ISA 001 024 このゆゑに主萬軍のヱホバ、イスラエルの全能者のたまはく 唉われ敵にむかひて念をはらし仇にむかひて報をすべし 023 ISA 001 025 我また手をなんぢの上にそへ なんぢの滓をことごとく淨くし なんぢの鉛をすべて取去り 023 ISA 001 026 なんぢの審士を舊のごとく なんぢの議官を始のごとくに復すべし 然るのちなんぢは正義の邑忠信の邑ととなへられん 023 ISA 001 027 シオンは公平をもてあがなはれ 歸來るものも正義をもて贖はるべし 023 ISA 001 028 されど愆ををかすものと罪人とはともに敗れ ヱホバをすつる者もまた亡びうせん 023 ISA 001 029 なんぢらはその喜びたる橿樹によりて恥をいだき そのえらびたる園によりて慙赧むべし 023 ISA 001 030 なんぢらは葉のかるる橿樹のごとく水なき園のごとくならん 023 ISA 001 031 權勢あるものは麻のごとく その工は火花のごとく 二つのもの一同もえてこれを撲滅すものなし 023 ISA 002 001 アモツの子イザヤが示されたるユダとヱルサレムとにかかる言 023 ISA 002 002 すゑの日にヱホバの家の山はもろもろの山のいただきに堅立ち もろもろの嶺よりもたかく擧り すべての國は流のごとく之につかん 023 ISA 002 003 おほくの民ゆきて相語いはん 率われらヱホバの山にのぼりヤコブの神の家にゆかん 神われらにその道ををしへ給はん われらその路をあゆむべしと そは律法はシオンよりいでヱホバの言はヱルサレムより出べければなり 023 ISA 002 004 ヱホバはもろもろの國のあひだを鞫き おほくの民をせめたまはん 斯てかれらはその劒をうちかへて鋤となし その鎗をうちかへて鎌となし 國は國にむかひて劍をあげず 戰鬪のことを再びまなばざるべし 023 ISA 002 005 ヤコブの家よきたれ 我儕ヱホバの光にあゆまん 023 ISA 002 006 主よなんぢはその民ヤコブの家をすてたまへり 此はかれらのなかに東のかたの風俗みち 皆ペリシテ人のごとく陰陽師となり 異邦人のともがらと手をうちて盟をたてしが故なり 023 ISA 002 007 かれらの國には黄金白銀みちて財寶の數かぎりなし かれらの國には馬みちて戰車のかず限りなし 023 ISA 002 008 かれらの國には偶像みち 皆おのが手の工その指のつくれる者ををがめり 023 ISA 002 009 賤しきものは屈められ尊きものは卑せらる かれらを容したまふなかれ 023 ISA 002 010 なんぢ岩間にいり また土にかくれて ヱホバの畏るべき容貌とその稜威の光輝とをさくべし 023 ISA 002 011 この日には目をあげて高ぶるもの卑せられ 驕る人かがめられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん 023 ISA 002 012 そは萬軍のヱホバの一の日あり すべて高ぶる者おごる者みづからを崇るものの上にのぞみて之をひくくし 023 ISA 002 013 またレバノンのたかく聳たるすべての香柏バシヤンのすべての橿樹 023 ISA 002 014 もろもろの高山もろもろの聳えたる嶺 023 ISA 002 015 すべてのたかき櫓すべての堅固なる石垣 023 ISA 002 016 およびタルシシのすべての舟すべての慕ふべき美はしきものに臨むべし 023 ISA 002 017 この日には高ぶる者はかがめられ 驕る人はひくくせられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん 023 ISA 002 018 かくて偶像はことごとく亡びうすべし 023 ISA 002 019 ヱホバたちて地を震動したまふとき人々そのおそるべき容貌とその稜威の光輝とをさけて巖の洞と地の穴とにいらん 023 ISA 002 020 その日人々おのが拜せんとて造れる白銀のぐうざうと黄金のぐうざうとを鼹鼠のあな蝙蝠の穴になげすて 023 ISA 002 021 岩々の隙けはしき山峽にいり ヱホバの起て地をふるひうごかしたまふその畏るべき容貌と稜威のかがやきとを避ん 023 ISA 002 022 なんぢら鼻より息のいでいりする人に倚ることをやめよ斯るものは何ぞかぞふるに足らん 023 ISA 003 001 みよ主ばんぐんのヱホバ、ヱルサレムおよびユダの賴むところ倚ところなる凡てその賴むところの糧 すべてその賴むところの水 023 ISA 003 002 勇士 戰士 審士 預言者 卜筮者 長老 023 ISA 003 003 五十人の首 貴顯者 議官 藝に長たる者および言語たくみなるものを除去りたまはん 023 ISA 003 004 われ童子をもてかれらの君とし嬰兒にかれらを治めしめん 023 ISA 003 005 民たがひに相虐げ 人おのおのその隣をしへたげ 童子は老たる者にむかひて高ぶり 賤しきものは貴きものに對ひてたかぶらん 023 ISA 003 006 そのとき人ちちの家にて兄弟にすがりていはん 汝なほ衣あり われらの有司となりてこの荒敗をその手にてをさめよと 023 ISA 003 007 その日かれ聲をあげていはん 我なんぢらを愈すものとなるを得じ わが家に糧なくまた衣なし 我をたてて民の有司とすることなかれと 023 ISA 003 008 是かれらの舌と行爲とはみなヱホバにそむきてその榮光の目ををかししが故に ヱルサレムは敗れユダは仆れたればなり 023 ISA 003 009 かれらの面色はその惡きことの證をなし ソドムのごとくその罪をあらはして隱すことをせざるなり かれらの靈魂はわざはひなるかな自らその惡の報をとれり 023 ISA 003 010 なんぢら義人にいへ かならず福祉をうけんと 彼等はそのおこなひの實をくらふべければなり 023 ISA 003 011 惡者はわざはひなる哉かならず災禍をうけん その手の報きたるべければなり 023 ISA 003 012 わが民はをさなごに虐げられ婦女にをさめらる 唉わが民よなんぢを導くものは反てなんぢを迷はせ汝のゆくべき途を絶つ 023 ISA 003 013 ヱホバ立いでて公理をのべ起てもろもろの民を審判し給ふ 023 ISA 003 014 ヱホバ來りておのが民の長老ともろもろの君とをさばきて言給はん なんぢらは葡萄園をくひあらせり 貧きものより掠めとりたる物はなんぢらの家にあり 023 ISA 003 015 いかなれば汝等わが民をふみにじり貧きものの面をすりくだくやと これ主萬軍のヱホバのみことばなり 023 ISA 003 016 ヱホバまた言給はくシォンの女輩はおごり 項をのばしてあるき 眼にて媚をおくり 徐々としてあゆみゆくその足にはりんりんと音あり 023 ISA 003 017 このゆゑに主シオンのむすめらの頭をかぶろにしヱホバ彼らの醜所をあらはし給はん 023 ISA 003 018 その日主かれらが足にかざれる美はしき釧をとり 瓔珞 半月飾 023 ISA 003 019 耳環 手釧 面帕 023 ISA 003 020 華冠 脛飾 紳 香盒 符嚢 023 ISA 003 021 指環 鼻環 023 ISA 003 022 公服 上衣 外帔 金嚢 023 ISA 003 023 鏡 細布の衣 首帕 被衣などを取除きたまはん 023 ISA 003 024 而して馨はしき香はかはりて臭穣となり 紳はかはりて繩となり 美はしく編たる髮はかぶろとなり 華かなる衣はかはりて麁布のころもとなり 麗顔はかはりて烙鐵せられたる痕とならん 023 ISA 003 025 なんぢの男はつるぎにたふれ なんぢの勇士はたたかひに仆るべし 023 ISA 003 026 その門はなげきかなしみ シオンは荒廢れて地にすわらん 023 ISA 004 001 その日七人のをんな一人の男にすがりていはん 我儕おのれの糧をくらひ己のころもを着るべし ただ我儕になんぢの名をとなふることを許してわれらの恥をとりのぞけと 023 ISA 004 002 その日ヱホバの枝はさかえて輝かん 地よりなりいづるものの實はすぐれ並うるはしくして逃れのこれるイスラエルの益となるべし 023 ISA 004 003 而してシオンに遣れるもの ヱルサレムにとどまれる者 すべて此等のヱルサレムに存ふる者のなかに録されたるものは聖ととなへられん 023 ISA 004 004 そは主さばきするみたまと燒つくす靈とをもてシオンのむすめらの汚をあらひ ヱルサレムの血をその中よりのぞきたまふ期きたるべければなり 023 ISA 004 005 爰にヱホバはシオンの山のすべての住所と もろもろの聚會とのうへに 晝は雲と煙とをつくり夜はほのほの光をつくり給はん あまねく榮のうへに覆庇あるべし 023 ISA 004 006 また一つの假廬ありて 晝はあつさをふせぐ陰となり 暴風と雨とをさけてかくるる所となるべし 023 ISA 005 001 われわが愛する者のために歌をつくり 我があいするものの葡萄園のことをうたはん わが愛するものは土肥たる山にひとつの葡萄園をもてり 023 ISA 005 002 彼その園をすきかへし石をのぞきて嘉ぶだうをうゑ そのなかに望樓をたて酒榨をほりて嘉葡萄のむすぶを望みまてり 然るに結びたるものは野葡萄なりき 023 ISA 005 003 さればヱルサレムに住るものとユダの人よ 請なんぢら我とわがぶだうぞのとの間をさばけ 023 ISA 005 004 わが葡萄園にわれの作たるほか何のなすべき事ありや 我はよきぶだうの結ぶをのぞみまちしに 何なれば野葡萄をむすびしや 023 ISA 005 005 然ばわれわが葡萄園になさんとすることを汝等につげん 我はぶだうぞのの籬芭をとりさりてその食あらさるるにまかせ その垣をこぼちてその踐あらさるるにまかせん 023 ISA 005 006 我これを荒してふたたび剪ことをせず耕すことをせず棘と荊とをはえいでしめん また雲に命せてそのうへに雨ふることなからしめん 023 ISA 005 007 それ萬軍のヱホバの葡萄園はイスラエルの家なり その喜びたまふところの植物はユダの人なり これに公平をのぞみたまひしに反りて血をながし これに正義をのぞみ給ひしにかへりて號呼あり 023 ISA 005 008 禍ひなるかな彼らは家に家をたてつらね 田圃に田圃をましくはへて 餘地をあまさず 己ひとり國のうちに住んとす 023 ISA 005 009 萬軍のヱホバ我耳につげて宣はく 實におほくの家はあれすたれ大にして美しき家は人のすむことなきにいたらん 023 ISA 005 010 十段のぶだうぞの僅かに一バテをみのり一ホメルの穀種はわづかに一エパを實るべし 023 ISA 005 011 禍ひなるかなかれらは朝つとにおきて濃酒をおひもとめ 夜のふくるまで止まりてのみ 酒にその身をやかるるなり 023 ISA 005 012 かれらの酒宴には琴あり 瑟あり 鼓あり 笛あり 葡萄酒あり されどヱホバの作爲をかへりみずその手のなしたまふところに目をとめず 023 ISA 005 013 斯るが故にわが民は無知にして虜にせられ その貴顯者はうゑ そのもろもろの民は渇によりて疲れはてん 023 ISA 005 014 また陰府はその欲望をひろくし その度られざる口をはる かれらの榮華 かれらの群衆 かれらの饒富 および喜びたのしめる人みなその中におつべし 023 ISA 005 015 賤しき者はかがめられ 貴きものは卑くせられ 目をあげて高ぶる者はひくくせらるべし 023 ISA 005 016 されど萬軍のヱホバは公平によりてあがめられ 聖なる神は正義によりて聖とせられ給ふべし 023 ISA 005 017 而して小羊おのが牧場にあるごとくに草をはみ 豐かなるものの田はあれて旅客にくらはれん 023 ISA 005 018 禍ひなるかな彼等はいつはりを繩となして惡をひき 索にて車をひくごとく罪をひけり 023 ISA 005 019 かれらは云 その成んとする事をいそぎて速かになせ 我儕これを見ん イスラエルの聖者のさだむることを逼來らせよ われらこれを知んと 023 ISA 005 020 禍ひなるかな かれらは惡をよびて善とし善をよびて惡とし 暗をもて光とし光をもて暗とし 苦をもて甘とし甘をもて苦とする者なり 023 ISA 005 021 わざはひなる哉 かれらは己をみて智しとし自らかへりみて聰とする者なり 023 ISA 005 022 禍ひなるかな かれらは葡萄酒をのむに丈夫なり 濃酒を和するに勇者なり 023 ISA 005 023 かれらは賄賂によりて惡きものを義となし 義人よりその義をうばふ 023 ISA 005 024 此によりて火舌の刈株をくらふがごとく また枯草の火焰のなかにおつるがごとく その根はくちはてその花は塵のごとくに飛さらん かれらは萬軍のヱホバの律法をすててイスラエルの聖者のことばを蔑したればなり 023 ISA 005 025 この故にヱホバその民にむかひて怒をはなち 手をのべてかれらを撃たまへり 山はふるひうごきかれらの屍は衢のなかにて糞土のごとくなれり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手を伸したまふ 023 ISA 005 026 かくて旗をたててとほき國々をまねき彼等をよびて地の極より來らしめたまはん 視よかれら趨りて速かにきたるべし 023 ISA 005 027 その中には疲れたふるるものなく眠りまたは寢るものなし その腰の帶はとけずその履の紐はきれず 023 ISA 005 028 その矢は鋭その弓はことごとく張り その馬のひづめは石のごとくその車の輪は疾風のごとしと稱へられん 023 ISA 005 029 その嘷ること獅のごとく また小獅のごとく嘷うなりつつ獲物をつかみて掠去れども之をすくふ者なし 023 ISA 005 030 その日かれらが嘯響めくこと海のなりどよめくがごとし もし地をのぞまば暗と難とありて光は黑雲のなかにくらくなりたるを見ん 023 ISA 006 001 ウジヤ王のしにたる年われ高くあがれる御座にヱホバの坐し給ふを見しにその衣裾は殿にみちたり 023 ISA 006 002 セラピムその上にたつ おのおの六の翼あり その二をもて面をおほひ その二をもて足をおほひ 其二をもて飛翔り 023 ISA 006 003 たがひに呼いひけるは聖なるかな聖なるかな聖なるかな萬軍のヱホバ その榮光は全地にみつ 023 ISA 006 004 斯よばはる者の聲によりて閾のもとゐ搖うごき家のうちに煙みちたり 023 ISA 006 005 このとき我いへり 禍ひなるかな我ほろびなん 我はけがれたる唇の民のなかにすみて穢たるくちびるの者なるに わが眼ばんぐんのヱホバにまします王を見まつればなりと 023 ISA 006 006 爰にかのセラピムのひとり鉗をもて壇の上よりとりたる熱炭を手にたづさへて我にとびきたり 023 ISA 006 007 わが口に觸ていひけるは 視よこの火なんぢの唇にふれたれば旣になんぢの惡はのぞかれ なんぢの罪はきよめられたりと 023 ISA 006 008 我またヱホバの聲をきく曰く われ誰をつかはさん誰かわれらのために往べきかと そのとき我いひけるはわれ此にあり我をつかはしたまへ 023 ISA 006 009 ヱホバいひたまはく往てこの民にかくのごとく告よ なんぢら聞てきけよ然どさとらざるべし 見てみよ然どしらざるべしと 023 ISA 006 010 なんぢこの民のこころを鈍くしその耳をものうくし その眼をおほへ 恐らくは彼らその眼にて見その耳にてきき その心にてさとり翻へりて醫さるることあらん 023 ISA 006 011 ここに我いひけるは 主よいつまで如此あらんか 主こたへたまはく 邑はあれすたれて住むものなく 家に人なく 邦ことごとく荒土となり 023 ISA 006 012 人々ヱホバに遠方までうつされ 廢りたるところ國中におほくならん時まで 如此あるべし 023 ISA 006 013 そのなかに十分の一のこる者あれども此もまた呑つくされん されど聖裔のこりてこの地の根となるべし彼のテレビントまたは橿樹がきらるることありともその根ののこるがごとし 023 ISA 007 001 ウジヤの子ヨタムその子ユダヤ王アハズのとき アラムの王レヂンとレマリヤの子イスラエル王ペカと上りきたりてヱルサレムを攻しがつひに勝ことあたはざりき 023 ISA 007 002 ここにアラムとエフライムと結合なりたりとダビデの家につぐる者ありければ 王のこころと民の心とは林木の風にうごかさるるが如くに動けり 023 ISA 007 003 その時ヱホバ、イザヤに言たまひけるは今なんぢと汝の子シヤルヤシユブと共にいでて布をさらす野の大路のかたはらなる上池の樋口にゆきてアハズを迎へ 023 ISA 007 004 これに告べし なんぢ 謹みて靜かなれ アラムのレヂン及びレマリヤの子はげしく怒るとも二の燼餘りたる煙れる片柴のごとし 懼るるなかれ心をよわくするなかれ 023 ISA 007 005 アラム、エフライム及びレマリヤの子なんぢにむかひて惡き謀ごとを企てていふ 023 ISA 007 006 われらユダに攻上りて之をおびやかし我儕のためにこれを破りとり タビエルの子をその中にたてて王とせんと 023 ISA 007 007 されど主ヱホバいひたまはく この事おこなはれずまた成ことなし 023 ISA 007 008 アラムの首はダマスコ、ダマスコの首はレヂンなり エフライムは六十五年のうちに敗れて國をなさざるべし 023 ISA 007 009 またエフライムの首はサマリヤ、サマリヤの首はレマリヤの子なり 若なんぢら信ぜずばかならず立ことを得じと 023 ISA 007 010 ヱホバ再びアハズに告ていひたまはく 023 ISA 007 011 なんぢの神ヱホバに一の豫兆をもとめよ 或はふかき處あるひは上のたかき處にもとめよ 023 ISA 007 012 アハズいひけるは我これを求めじ 我はヱホバを試むることをせざるべし 023 ISA 007 013 イザヤいひけるは ダビデのいへよ請なんぢら聞 なんぢら人をわづらはしこれを小事として亦わが神をも煩はさんとするか 023 ISA 007 014 この故に主みづから一の豫兆をなんぢらに賜ふべし 視よをとめ孕みて子をうまん その名をインマヌエルと稱ふべし 023 ISA 007 015 かれ惡をすて善をえらぶことを知ころほひにいたりて乳酥と蜂蜜とをくらはん 023 ISA 007 016 そはこの子いまだ惡をすて善をえらぶことを知ざるさきになんぢが忌きらふ兩の王の地はすてらるべし 023 ISA 007 017 ヱホバはエフライムがユダを離れし時よりこのかた臨みしことなき日を汝となんぢの民となんぢの父の家とにのぞませ給はん是アツスリヤの王なり 023 ISA 007 018 其日ヱホバ、エジプトなる河々のほとりの蠅をまねきアツスリヤの地の蜂をよびたまはん 023 ISA 007 019 皆きたりて荒たるたに岩穴すべての荊棘すべての牧場のうへに止まるべし 023 ISA 007 020 その日主はかはの外ふより雇へるアツスリヤの王を剃刀として首と足の毛とを剃たまはん また髯をも除きたまふべし 023 ISA 007 021 その日人わかき牝犢ひとつと羊ふたつとを飼をらん 023 ISA 007 022 その出すところの乳おほきによりて乳酥をくらふことを得ん すべて國のうちに遺れるものは乳酥と蜂蜜とをくらふべし 023 ISA 007 023 その日千株に銀一千の價をえたる葡萄ありし處もことごとく荊と棘はえいづべし 023 ISA 007 024 荊とおどろと地にあまねきがゆゑに人々矢と弓とをもて彼處にゆくなり 023 ISA 007 025 鋤をもて掘たがへしたる山々もいばらと棘のために人おそれてその中にゆくことを得じ その地はただ牛をはなち羊にふましむる處とならん 023 ISA 008 001 ヱホバ我にいひたまひけるは一の大なる牌をとり そのうへに平常の文字にてマヘル シャラル ハシ バズと録せ 023 ISA 008 002 われ信實の證者なる祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤをもてその證をなさしむ 023 ISA 008 003 われ預言者の妻にちかづきしとき彼はらみて子をうみければ ヱホバ我にいひたまはく その名をマヘル シャラル ハシ バズと稱へよ 023 ISA 008 004 そはこの子いまだ我が父わが母とよぶことを知らざるうちに ダマスコの富とサマリヤの財寳はうばはれてアツスリヤ王のまへに到るべければなり 023 ISA 008 005 ヱホバまた重て我につげたまへり云く 023 ISA 008 006 この民はゆるやかに流るるシロアの水をすててレヂンとレマリヤの子とをよろこぶ 023 ISA 008 007 此によりて主はいきほひ猛くみなぎりわたる大河の水をかれらのうへに堰入たまはん 是はアツスリヤ王とそのもろもろの威勢とにして 百の支流にはびこり もろもろの岸をこえ 023 ISA 008 008 ユダにながれいり 溢れひろごりてその項にまで及ばん インマヌエルよ そののぶる翼はあまねくなんぢの地にみちわたらん 023 ISA 008 009 もろもろの民よ さばめき騒げなんぢら摧かるべし 遠きくにぐにの者よ きけ 腰におびせよ 汝等くだかるべし 腰に帶せよ なんぢら摧かるべし 023 ISA 008 010 なんぢら互にはかれ つひに徒勞ならん なんぢら言をいだせ遂におこなはれじ そは神われらとともに在せばなり 023 ISA 008 011 ヱホバつよき手をもて此如われに示し この民の路にあゆまざらんことを我にさとして言給はく 023 ISA 008 012 此民のすべて叛逆ととなふるところの者をなんぢら叛逆ととなふるなかれ 彼等のおそるるところを汝等おそるるなかれ慴くなかれ 023 ISA 008 013 なんぢらはただ萬軍のヱホバを聖としてこれを畏みこれを恐るべし 023 ISA 008 014 然らばヱホバはきよき避所となりたまはん 然どイスラエルの兩の家には躓く石となり妨ぐる磐とならん ヱルサレムの民には網罟となり機濫とならん 023 ISA 008 015 おほくの人々これによりて蹶きかつ仆れやぶれ 網せられまた捕へらるべし 023 ISA 008 016 證詞をつかね律法をわが弟子のうちに封べし 023 ISA 008 017 いま面をおほひてヤコブの家をかへりみ給はずといへども 我そのヱホバを待そのヱホバを望みまつらん 023 ISA 008 018 視よわれとヱホバが我にたまひたる子輩とはイスラエルのうちの豫兆なり奇しき標なり 此はシオンの山にいます萬軍のヱホバの與へたまふ所なり 023 ISA 008 019 もし人なんぢらにつげて巫女および魔術者のさえづるがごとく細語がごとき者にもとめよといはば民はおのれの神にもとむべきにあらずや いかで活者のために死者にもとむることを爲んといへ 023 ISA 008 020 ただ律法と證詞とを求むべし 彼等のいふところ此言にかなはずば晨光あらじ 023 ISA 008 021 かれら國をへあるきて苦みうゑん その饑るとき怒をはなち己が王おのが神をさして誼ひかつその面をうへに向ん 023 ISA 008 022 また地をみれば艱難と幽暗とくるしみの闇とあり かれらは昏黑におひやられん 023 ISA 009 001 今くるしみを受れども後には闇なかるべし 昔しはゼブルンの地ナフタリの地をあなどられしめ給ひしかど 後には海にそひたる地ヨルダンの外の地 ことくに人のガリラヤに榮をうけしめ給へり 023 ISA 009 002 幽暗をあゆめる民は大なる光をみ 死蔭の地にすめる者のうへに光てらせり 023 ISA 009 003 なんぢ民をましその歡喜を大にしたまひければ かれらは收穫時によろこぶがごとく掠物をわかつときに樂むがごとく汝の前によろこべり 023 ISA 009 004 そは汝かれらがおへる軛とその肩の笞と虐ぐるものの杖とを折り これを折りてミデアンの日のごとくなし給ひたればなり 023 ISA 009 005 すべて亂れたたかふ兵士のよろひと血にまみれたる衣とはみな火のもえくさとなりて焚るべし 023 ISA 009 006 ひとりの嬰兒われらのために生れたり 我儕はひとりの子をあたへられたり 政事はその肩にあり その名は奇妙また議士 また大能の神とこしへのちち 平和の君ととなへられん 023 ISA 009 007 その政事と平和とはましくははりて窮りなし 且ダビデの位にすわりてその國ををさめ今よりのちとこしへに公平と正義とをもてこれを立これを保ちたまはん 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし 023 ISA 009 008 主一言をヤコブにおくり之をイスラエルの上にのぞませ給へり 023 ISA 009 009 すべてのこの民エフライムとサマリヤに居るものとは知ならん かれらは高ぶり誇る心をもていふ 023 ISA 009 010 瓦くづるるともわれら斫石をもて建 くはの木きらるるともわれら香柏をもて之にかへんと 023 ISA 009 011 この故にヱホバ、レヂンの敵をあげもちゐてイスラエルを攻しめ その仇をたけび勇しめたまはん 023 ISA 009 012 前にアラム人あり後にペシリテ人あり 口をはりてイスラエルを呑んとす 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 009 013 然どこの民はおのれをうつものに歸らず萬軍のヱホバを求めず 023 ISA 009 014 斯るゆゑにヱホバ一日のうちに首と尾と椶櫚のえだと葦とをイスラエルより斷切たまはん 023 ISA 009 015 その首とは老たるもの尊きもの その尾とは謊言をのぶる預言者をいふなり 023 ISA 009 016 この民をみちびく者はこれを迷はせその引導をうくる者はほろぶるなり 023 ISA 009 017 このゆゑに主はその少壯者をよろこびたまはず その孤兒と寡婦とを憐みたまはざるべし 是その民はことごとく邪まなり惡をおこなふ者なり おのおのの口は愚かなる言をかたればなり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 009 018 惡は火のごとくもえ棘と荊とを食つくし茂りあふ林をやくべければみな煙となりむらがりて上騰らん 023 ISA 009 019 萬軍のヱホバの怒によりて地はくろく燒 その民は火のもえくさとなり人々たがひに相憐むことなし 023 ISA 009 020 人みぎに攫めどもなほ饑 ひだりに食へども尚あかず おのおのその腕の肉をくらふべし 023 ISA 009 021 マナセはエフライムを エフライムはマナセをくらひ 又かれら相合てユダを攻めん 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ 023 ISA 010 001 不義のおきてをさだめ暴虐のことばを録すものは禍ひなるかな 023 ISA 010 002 かれらは乏きものの訴をうけず わが民のなかの貧しきものの權利をはぎ寡婦の資產をうばひ孤兒のものを掠む 023 ISA 010 003 なんぢら懲しめらるる日きたらば何をなさんとするか 敗壞とほきより來らんとき何をなさんとするか なんぢら逃れゆきて誰にすくひを求めんとするか また何處になんぢらの榮をのこさんとするか 023 ISA 010 004 ただ縛められたるものの下にかがみ 殺されたるもののしたに伏仆れんのみ 然はあれどヱホバのいかり止ずして尚ほその手をのばしたまふ 023 ISA 010 005 咄アツスリヤ人 なんぢはわが怒の杖なり その手の笞はわが忿恚なり 023 ISA 010 006 われ彼をつかはして邪曲なる國をせめ我かれに命じて我がいかれる民をせめてその所有をかすめその財寶をうばはしめ かれらを街の泥のごとくに蹂躪らしめん 023 ISA 010 007 されどアツスリヤ人のこころざしは斯のごとくならず その心の念もまた斯のごとくならず そのこころは敗壞をこのみ あまたの國をほろぼし絶ん 023 ISA 010 008 かれ云 わが諸侯はみな王にあらずや 023 ISA 010 009 カルノはカルケミシの如く ハマテはアルパデの如く サマリヤはダマスコの如きにあらずや 023 ISA 010 010 わが手は偶像につかふる國々を得たり その彫たる像はヱルサレムおよびサマリヤのものに勝れたり 023 ISA 010 011 われ旣にサマリヤとその偶像とに行へるごとく亦ヱルサレムとその偶像とにおこなはざる可んやと 023 ISA 010 012 このゆゑに主いひたまふ 我シオンの山とヱルサレムとに爲んとする事をことごとく遂をはらんとき 我アツスリヤ王のおごれる心の實とその高ぶり仰ぎたる眼とを罰すべし 023 ISA 010 013 そは彼いへらく われ手の力と智慧とによりて之をなせり 我はかしこし 國々の境をのぞき その獲たるものをうばひ 又われは丈夫にしてかの位に坐するものを下したり 023 ISA 010 014 わが手もろもろの民のたからを得たりしは巣をとるが如く また天が下を取收めたりしは遺しすてたる卵をとりあつむるが如くなりき あるひは翼をうごかし あるひは口をひらき あるひは喃々する者もなかりしなりと 023 ISA 010 015 斧はこれをもちゐて伐ものにむかひて己みづから誇ることをせんや 鋸は これを動かす者にむかひて己みづから高ぶることをせんや 此はあだかも笞がおのれを擧るものを動かし杖みづから木にあらざるものを擧んとするにひとし 023 ISA 010 016 このゆゑに主萬軍のヱホバは肥たるものを瘠しめ 且その榮光のしたに火のもゆるが如き火焰をおこし給はん 023 ISA 010 017 イスラエルの光は火のごとく その聖者はほのほの如くならん 斯て一日のうちに荊とおどろとを燒ほろぼし 023 ISA 010 018 又かの林と土肥たる田圃の榮をうせしめ 靈魂をも身をもうせしめて病るものの衰へたるが如くなさん 023 ISA 010 019 かつ林のうちに殘れる木わづかにして童子も算へうるが如くになるべし 023 ISA 010 020 その日イスラエルの遺れる者とヤコブの家ののがれたる者とは再びおのれを撃し者にたよらず誠意をもてイスラエルの聖者ヱホバにたよらん 023 ISA 010 021 その遺れるものヤコブの遺れるものは大能の神にかへるべし 023 ISA 010 022 ああイスラエルよ なんぢの民は海の沙のごとしといへども遺りて歸りきたる者はただ僅少ならん そは敗壞すでにさだまり義にて溢るべければなり 023 ISA 010 023 主萬軍のヱホバの定めたまへる敗壞はこれを徧く國内におこなひ給ふべし 023 ISA 010 024 このゆゑに主萬軍のヱホバいひたまはく シオンに住るわが民よアツスリヤ人エジプトの例にならひ笞をもて汝をうち杖をあげて汝をせむるとも懼るるなかれ 023 ISA 010 025 ただ頃刻にして忿恚はやまん 我がいかりは彼等をほろぼして息ん 023 ISA 010 026 萬軍のヱホバむかしミデアン人をオレブの巖のあたりにて撃たまひしごとくに禍害をおこして之をせめ 又その杖を海のうへに伸しエジプトの例にしたがひてこれを擧たまはん 023 ISA 010 027 その日かれの重荷はなんぢの肩より下 かれの軛はなんぢの頸よりはなれ その軛はあぶらの故をもて壞れん 023 ISA 010 028 かれアイにきたりミグロンを過ミクマシにてその輜重をとどめ 023 ISA 010 029 渡口をすぎてゲバに宿る ここに於てラマはをののきサウルギべア人は逃れはしれり 023 ISA 010 030 ガリムの女よなんぢ聲をあげて叫べ ライシよ耳をかたぶけて聽け アナトテよなんぢも聲をあげよ 023 ISA 010 031 マデメナはさすらひゲビムの民はのがれ走れり 023 ISA 010 032 この日かれノブに立とどまり シオンのむすめの山ヱルサレムの岡にむかひて手をふりたり 023 ISA 010 033 主ばんぐんのヱホバは雄々しくたけびてその枝を斷たまはん 丈高きものは伐おとされ聳えたる者はひくくせらるべし 023 ISA 010 034 また銕をもて茂りあふ林をきり給はん レバノンは能力あるものに倒さるべし 023 ISA 011 001 ヱツサイの株より一つの芽いで その根より一つの枝はえて實をむすばん 023 ISA 011 002 その上にヱホバの靈とどまらん これ智慧聰明の靈 謀略才能の靈 知識の靈 ヱホバをおそるるの靈なり 023 ISA 011 003 かれはヱホバを畏るるをもて歡樂とし また目みるところによりて審判をなさず 耳きくところによりて斷定をなさず 023 ISA 011 004 正義をもて貧しき者をさばき 公平をもて國のうちの卑しき者のために斷定をなし その口の杖をもて國をうちその口唇の氣息をもて惡人をころすべし 023 ISA 011 005 正義はその腰の帶となり 忠信はその身のおびとならん 023 ISA 011 006 おほかみは小羊とともにやどり 豹は小山羊とともにふし 犢 をじし 肥たる家畜ともに居てちひさき童子にみちびかれ 023 ISA 011 007 牝牛と熊とはくひものを同にし 熊の子と牛の子とともにふし 獅はうしのごとく藁をくらひ 023 ISA 011 008 乳兒は毒蛇のほらにたはふれ 乳ばなれの兒は手をまむしの穴にいれん 023 ISA 011 009 斯てわが聖山のいづこにても害ふことなく傷ることなからん そは水の海をおほへるごとくヱホバをしるの知識地にみつべければなり 023 ISA 011 010 その日ヱツサイの根たちてもろもろの民の旂となり もろもろの邦人はこれに服ひきたり榮光はそのとどまる所にあらん 023 ISA 011 011 その日主はまたふたたび手をのべてその民ののこれる僅かのものをアツスリヤ、エジプト、パテロス、エテオピア、エラム、シナル、ハマテおよび海のしまじまより贖ひたまふべし 023 ISA 011 012 ヱホバは國々の爲に旂をたててイスラエルの逐やられたる者をあつめ地の四極よりユダの散失たるものを集へたまはん 023 ISA 011 013 またエフライムの猜はうせ ユダを惱ますものは斷れ エフライムはユダをそねまず ユダはエフライムを惱ますことなかるべし 023 ISA 011 014 かれらは西なるペリシテ人の境にとびゆき相共にひがしの子輩をかすめ その手をエドムおよびモアブにのべアンモンの子孫をおのれに服はしめん 023 ISA 011 015 ヱホバ、エジプトの海汊をからし河のうへに手をふりて熱風をふかせ その河をうちて七の小流となし 履をはきて渉らしめたまはん 023 ISA 011 016 斯てその民ののこれる僅かのものの爲にアツスリヤより來るべき一つの大路あり 昔しイスラエルがエジプトの地よりいでし時のごとくなるべし 023 ISA 012 001 その日なんぢ言ん ヱホバよ我なんぢに感謝すべし 汝さきに我をいかり給ひしかどその怒はやみて我をなぐさめたまへり 023 ISA 012 002 視よ神はわが救なり われ依賴ておそるるところなし 主ヱホバはわが力わが歌なり ヱホバは亦わが救となりたまへりと 023 ISA 012 003 此故になんぢら欣喜をもて救の井より水をくむべし 023 ISA 012 004 その日なんぢらいはん ヱホバに感謝せよ その名をよべ その行爲をもろもろの民の中につたへよ その名のあがむべきことを語りつげよと 023 ISA 012 005 ヱホバを頌うたへ そのみわざは高くすぐれたればなり これを全地につたへよ 023 ISA 012 006 シオンに住るものよ聲をあげてよばはれ イスラエルの聖者はなんぢの中にて大なればなり 023 ISA 013 001 アモツの子イザヤが示されたるバビロンにかかる重負の預言 023 ISA 013 002 なんぢらかぶろの山に旂をたて聲をあげ手をふり彼等をまねきて貴族の門にいらしめよ 023 ISA 013 003 われ旣にきよめ別ちたるものに命じ わが丈夫ほこりかにいさめる者をよびて わが怒をもらさしむ 023 ISA 013 004 山におほくの人の聲きこゆ大なる民あるがごとし もろもろの國民のよりつどひて喧めく聲きこゆ これ萬軍のヱホバたたかひの軍兵を召したまふなり 023 ISA 013 005 かれらはとほき國より天の極よりきたる これヱホバとその忿恚をもらす器とともに全國をほろぼさんとて來るなり 023 ISA 013 006 なんぢら泣號ぶべしヱホバの日ちかづき全能者よりいづる敗亡きたるべければなり 023 ISA 013 007 この故にすべての手はたれ凡の人のこころは消ゆかん 023 ISA 013 008 かれら慴きおそれ艱難と憂とにせまられ 子をうまんとする婦のごとく苦しみ互におどろき 相みあひてその面は燄のごとくならん 023 ISA 013 009 視よヱホバの日苛くして忿恚とはげしき怒とをもて來り この國をあらしその中よりつみびとを絶滅さん 023 ISA 013 010 天のもろもろの星とほしの宿は光をはなたず 日はいでてくらく月は その光をかがやかさざるべし 023 ISA 013 011 われ惡ことのために世をつみし 不義のために惡きものをばつし 驕れるものの誇をとどめ 暴ぶるものの傲慢をひくくせん 023 ISA 013 012 われ人をして精金よりもすくなくオフルの黄金よりも少なからしめん 023 ISA 013 013 かくて亦われ萬軍のヱホバの忿恚のとき烈しき怒りの日に天をふるはせ地をうごかしてその處をうしなはしむべし 023 ISA 013 014 かれらは逐るる鹿のごとく集むるものなき羊のごとくなりて各自おのれの民にかへりおのれの國にのがれゆかん 023 ISA 013 015 すべて其處にあるもの見出さるれば 刺れ 拘留らるるものは劍にたふされ 023 ISA 013 016 彼等の嬰兒はその目前にてなげくだかれ その家財はかすめうばはれ その妻はけがさるべし 023 ISA 013 017 視よわれ白銀をもかへりみず黄金をもよろこばざるメデア人をおこして之にむかはしめん 023 ISA 013 018 かれらは弓をもて若きものを射くだき腹の實をあはれむことなく小子をみてをしむことなし 023 ISA 013 019 すべての國の中にてうるはしくカルデヤ人がほこり飾となせるバビロンはむかし神にほろぼされたるソドム、ゴモラのごとくならん 023 ISA 013 020 ここに住むもの永くたえ世々にいたるまで居ものなく アラビヤ人もかしこに幕屋をはらず牧人もまたかしこにはその群をふさすることなく 023 ISA 013 021 ただ猛獸かしこにふし 吼るものその家にみち 鴕鳥かしこにすみ 牡山羊かしこに躍らん 023 ISA 013 022 豺狼その城のなかになき野犬えいぐわの宮にさけばん その時のいたるは近きにあり その日は延ることなかるべし 023 ISA 014 001 ヱホバ、ヤコブを憐みイスラエルをふたたび撰びて之をおのれの地におきたまはん 異邦人これに加りてヤコブの家にむすびつらなるべし 023 ISA 014 002 もろもろの民はかれらをその處にたづさへいたらん而してイスラエルの家はヱホバの地にてこれを奴婢となし曩におのれを虜にしたるものを虜にし おのれを虐げたるものを治めん 023 ISA 014 003 ヱホバなんぢの憂と艱難とをのぞき 亦なんぢが勤むるからき役をのぞきて安息をたまふの日 023 ISA 014 004 なんぢこの歌をとなへバビロン王をせめていはん虐ぐる者いかにして息みしや 金をはたる者いかにして息みしやと 023 ISA 014 005 ヱホバあしきものの笞ともろもろの有司の杖とををりたまへり 023 ISA 014 006 かれらは怒をもてもろもろの民をたえず撃てはうち 忿恚をもてもろもろの國ををさむれど その暴虐をとどむる者なかりき 023 ISA 014 007 今は全地やすみを得おだやかを得 ことごとく聲をあげてうたふ 023 ISA 014 008 實にまつの樹およびレバノンの香柏さへもなんぢの故により歡びていふ 汝すでに仆たれば樵夫のぼりきたりてわれらを攻ることなしと 023 ISA 014 009 下の陰府はなんぢの故により動きて汝のきたるをむかへ世のもろもろの英雄の亡靈をおこし國々のもろもろの王をその位より起おこらしむ 023 ISA 014 010 かれらは皆なんぢに告ていはん 汝もわれらのごとく弱くなりしや 汝もわれらと同じくなりしやと 023 ISA 014 011 なんぢの榮華となんぢの琴の音はすでに陰府におちたり 蛆なんぢの下にしかれ蚯蚓なんぢをおほふ 023 ISA 014 012 あしたの子明星よいかにして天より隕しや もろもろの國をたふしし者よいかにして斫れて地にたふれしや 023 ISA 014 013 汝さきに心中におもへらく われ天にのぼり我くらゐを神の星のうへにあげ北の極なる集會の山にざし 023 ISA 014 014 たかき雲漢にのぼり至上者のごとくなるべしと 023 ISA 014 015 然どなんぢは陰府におとされ坑の最下にいれられん 023 ISA 014 016 なんぢを見るものは熟々なんぢを視なんぢに目をとめていはん この人は地をふるはせ列國をうごかし 023 ISA 014 017 世を荒野のごとくし もろもろの邑をこぼち 捕へたるものをその家にときかへさざりしものなるかと 023 ISA 014 018 もろもろの國の王たちはことごとく皆たふとき狀にておのおのその家にねぶる 023 ISA 014 019 然どなんぢは忌きらふべき枝のごとく おのが墓のそとにすてられその周圍には劍にて刺ころされ坑におろされ 石におほはれたる者ありて踐つけらるる屍にことならず 023 ISA 014 020 汝おのれの國をほろぼし おのれの民をころししが故に かれらとおなじく葬らるることあたはず それ惡をおこなふものの裔はとこしへに名をよばるることなかるべし 023 ISA 014 021 先祖のよこしまの故をもて その子孫のために戮場をそなへ 彼等をしてたちて地をとり世界のおもてに邑をみたすことなからしめよ 023 ISA 014 022 萬軍のヱホバのたまはく 我立てかれらを攻めバビロンよりその名と遺りたるものとを絶滅し その子その孫をたちほろぼさんと これヱホバの聖言なり 023 ISA 014 023 われバビロンを刺蝟のすみかとし沼とし且ほろびの箒をもてこれを掃除かんと これ萬軍のヱホバのみことばなり 023 ISA 014 024 萬軍のヱホバ誓をたてて言給はくわがおもひし事はかならず成 わがさだめし事はかならず立ん 023 ISA 014 025 われアツスリヤ人をわが地にてうちやぶり わが山々にてふみにじらん ここにおいて彼がおきし軛はイスラエル人よりはなれ 彼がおはせし重負はイスラエル人の肩よりはなるべし 023 ISA 014 026 これは全地のことにつきて定めたる謀略なり 是はもろもろの國のうへに伸したる手なり 023 ISA 014 027 萬軍のヱホバさだめたまへり誰かこれを破ることを得んや その手をのばしたまへり誰かこれを押返すことを得んや 023 ISA 014 028 アハズ王の死たる年おもにの預言ありき 023 ISA 014 029 曰く ペリシテの全地よなんぢをうちし杖をれたればとて喜ぶなかれ 蛇の根より蝮いでその果はとびかける巨蛇となるべければなり 023 ISA 014 030 いと貧しきものはものくひ乏しきものは安然にふさん われ饑饉をもてなんぢの根をしなせ汝がのこれる者をころすべし 023 ISA 014 031 門よなげけ邑よさけべ ペリシテよなんぢの全地きえうせたり そはけぶり北よりいできたり その軍兵の列におくるるものなし 023 ISA 014 032 その國の使者たちに何とこたふべきや 答へていはん ヱホバ、シオンの基をおきたまへり その民のなかの苦しむものは避所をこの中にえん 023 ISA 015 001 モアブにかかる重負のよげん 曰く/モアブのアルは一夜の間にあらされて亡びうせ モアブのキルは一夜のまに荒されてほろびうせん 023 ISA 015 002 かれバイテおよびデボンの高所にのぼりて哭き モアブはネボ及びメデバの上にてなげきさけぶ おのおのその頭を禿にしその鬚をことごとく剃たり 023 ISA 015 003 かれら麁服をきてその衢にあり 屋蓋または廣きところにて皆なきさけび悲しむこと甚だし 023 ISA 015 004 ヘシボンとエレアレと叫びてその聲ヤハズにまで聞ゆ この故にモアブの軍兵こゑをあげ その靈魂うちに在てをののけり 023 ISA 015 005 わが心モアブのために叫びよばはれり その貴族はゾアルおよびヱグラテシリシヤにのがれ 哭つつルヒテの坂をのぼり ホロナイムの途にて敗亡の聲をあぐ 023 ISA 015 006 ニムリムの水はかわき草はかれ苗はつきて緑蔬あらず 023 ISA 015 007 このゆゑに彼等はその獲たる富とその藏めたる物をたづさへて柳の河をわたらん 023 ISA 015 008 その泣號のこゑはモアブの境をめぐり 悲歎のこゑはエグライムにいたり なげきの聲はべエルエリムにいたる 023 ISA 015 009 デモンの水は血にて充 われデモンの上にひとしほ禍害をくはへ モアブの遁れたる者とこの地の遺りたるものとに獅をおくらん 023 ISA 016 001 なんぢら荒野のセラより羔羊をシオンの女の山におくりて國の首にをさむべし 023 ISA 016 002 モアブの女輩はアルノンの津にありてさまよふ鳥のごとく巣をおはれたる雛のごとくなるべし 023 ISA 016 003 相謀りて審判をおこなひ 亭午にもなんぢの蔭を夜のごとくならしめ 驅逐人をかくし 遁れきたるものを顯はすなかれ 023 ISA 016 004 わが驅逐人をなんぢとともに居しめ 汝モアブの避所となりて之をそこなふ者のまへより脱れしめよ 勒索者はうせ害ふものはたえ暴虐者は地より絶れん 023 ISA 016 005 ひとつの位あはれみをもて堅くたち眞實をおこなふ者そのうへに坐せん 彼ダビデの幕屋にをりて審判をなし公平をもとめて義をおこなふに速し 023 ISA 016 006 われらモアブの傲慢をきけり その高ぶること甚だし われらその誇とたかぶりと忿恚とをきけり その大言はむなし 023 ISA 016 007 この故にモアブはモアブの爲になきさけび民みな哭さけぶべし なんぢら必らず甚だしく心をいためてキルハレステの乾葡萄のためになげくべし 023 ISA 016 008 そはヘシボンの畑とシブマのぶだうの樹とは凋みおとろへたり その枝さきにはヤゼルにまでいたりて荒野にはびこりのびて海をわたりしが 國々のもろもろの主その美はしき枝ををりたり 023 ISA 016 009 この故にわれヤゼルの哭とひとしくシブマの葡萄の樹のためになかん ヘシボンよエレアレよわが涙なんぢをひたさん そは鬨聲なんぢが果物なんぢが收穫の實のうへにおちきたればなり 023 ISA 016 010 欣喜とたのしみとは土肥たる畑より取さられ 葡萄園には謳ふことなく歡呼ばふことなく酒榨にはふみて酒をしぼるものなし 我そのよろこびたつる聲をやめしめたり 023 ISA 016 011 このゆゑにわが心腸はモアブの故をもて琴のごとく鳴ひびき キルハレスの故をもてわが衷もまた然り 023 ISA 016 012 モアブは高處にいでて倦つかれその聖所にきたりて祈るべけれど驗あらじ 023 ISA 016 013 こはヱホバが曩にモアブに就てかたりたまへる聖言なり 023 ISA 016 014 されど今ヱホバかたりて言たまはくモアブの榮はその大なる群衆とともに傭人の期にひとしく 三年のうちに恥かしめをうけ 遺れる者はなはだ少なくして力なからん 023 ISA 017 001 ダマスコにかかはる重負の預言 いはく/視よダマスコは邑のすがたをうしなひて荒墟となるべし 023 ISA 017 002 アロエルの諸邑はすてられん獸畜のむれそこにすみてその伏やすめるをおびやかす者もなからん 023 ISA 017 003 エフライムの城はすたりダマスコの政治はやみ スリアの遺れる者はイスラエルの子輩のさかえのごとく消うせん 是は萬軍のヱホバの聖言なり 023 ISA 017 004 その日ヤコブの榮はおとろへその肥たる肉はやせて 023 ISA 017 005 あだかも收穫人の麥をかりあつめ腕をもて穂をかりたる後のごとくレパイムの谷に穂をひろひたるあとの如くならん 023 ISA 017 006 されど橄欖樹をうつとき二つ三の核を杪にのこし あるひは四つ五をみのりおほき樹の外面のえだに遺せるが如く採のこさるるものあるべし 是イスラエルの神ヱホバの聖言なり 023 ISA 017 007 その日人おのれを造れるものを仰ぎのぞみイスラエルの聖者に目をとめん 023 ISA 017 008 斯ておのれの手の工なる祭壇をあふぎ望まず おのれの指のつくりたるアシラの像と日の像とに目をとめじ 023 ISA 017 009 その日かれが堅固なるまちまちは 昔イスラエルの子輩をさけてすてさりたる森のなか嶺のうへに今のこれる荒跡のごとく荒地となるべし 023 ISA 017 010 そは汝おのがすくひの神をわすれ 己がちからとなるべき磐を心にとめざりしによる このゆゑになんぢ美くしき植物をうゑ異やうの枝をさし 023 ISA 017 011 かつ植たる日に籬をまはし朝に芽をいださしむれども 患難の日といたましき憂の日ときたりて收穫の果はとびさらん 023 ISA 017 012 唉おほくの民はなりどよめけり海のなりどよめく如くかれらも鳴動めけり もろもろの國はなりひびけり大水のなりひびくが如くかれらも鳴響けり 023 ISA 017 013 もろもろの國はおほくの水のなりひびくがごとく鳴響かん されど神かれらを攻たまふべし かれら遠くのがれて風にふきさらるる山のうへの粃糠のごとく また旋風にふきさらるる塵のごとくならん 023 ISA 017 014 視よゆふぐれに恐怖あり いまだ黎明にいたらずして彼等は亡たり これ我儕をかすむる者のうくべき報われらを奪ふもののひくべき鬮なり 023 ISA 018 001 唉エテオピアの河の彼方なるさやさやと羽音のきこゆる地 023 ISA 018 002 この地蒹のふねを水にうかべ海路より使者をつかはさんとてその使者にいへらく 疾走る使よなんぢら河々の流のわかるる國にゆけ丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人を踐にじる民にゆけ 023 ISA 018 003 すべて世にをるもの地にすむものよ 山のうへに旗のたつとき汝等これを見ラッパの鳴響くときなんぢら之をきけ 023 ISA 018 004 そはヱホバわれに如此いひ給へりいはく 空はれわたり日てり收穫の熱むしてつゆけき雲のたるる間 われわが居所にしづかに居てながめん 023 ISA 018 005 收穫のまへにその芽またく生その花ぶだうとなりて熟せんとするとき かれ鎌をもて蔓をかり枝をきり去ん 023 ISA 018 006 斯てみな山のたけきとりと地の獸とになげあたへらるべし 猛鳥そのうへにて夏をすごし地のけものその上にて冬をわたらん 023 ISA 018 007 そのとき河々の流のわかるる國の丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人をふみにじる民より 萬軍のヱホバにささぐる禮物をたづさへて 萬軍のヱホバの聖名のところシオンの山にきたるべし 023 ISA 019 001 エジプトにかかる重負のよげん いはく/ヱホバははやき雲にのりてエジプトに來りたまふ エジプトのもろもろの偶像はその前にふるひをののき エジプト人のこころはその衷にて消ゆかん 023 ISA 019 002 我エジプト人をたけび勇ましめてエジプト人を攻しめん斯てかれら各自その兄弟をせめおのおのその鄰をせめ 邑は邑をせめ國はくにを攻べし 023 ISA 019 003 エジプト人の靈魂うせてその中むなしくならん われその謀略をほろぼすべし かれらは偶像および呪文をとなふるもの巫女魔術者にもとむることを爲ん 023 ISA 019 004 われエジプト人を苛酷なる主人の手にわたさん あらあらしき王かれらを治むべし是主萬軍のヱホバの聖言なり 023 ISA 019 005 海の水はつき河もまた涸てかわかん 023 ISA 019 006 また河々はくさき臭をはなちエジプトの堭はみな漸次にへりてかわき葦と蘆とかれはてん 023 ISA 019 007 ナイルのほとりの草原ナイルの岸にほどちかき所すべてナイルの最寄にまきたる者はことごとく枯てちりうせん 023 ISA 019 008 漁者もまた歎き すべてナイルに釣をたるる者はかなしみ網を水のうへに施ものはおとろふべし 023 ISA 019 009 練たる麻にて物つくるもの白布を織ものは恥あわて 023 ISA 019 010 その柱はくだけ一切のやとはれたる者のこころ憂ひかなしまん 023 ISA 019 011 誠やゾアンの諸侯は愚なりパロの最もかしこき議官のはかりごとは癡鈍べし 然ばなんぢら何でパロにむかひて我はかしこきものの子 われは古への王の子なりといふを得んや 023 ISA 019 012 なんぢの智者いづくにありや 彼らもし萬軍のヱホバの定めたまひしエジプトに係はることを暁得ばこれをなんぢに告るこそよけれ 023 ISA 019 013 ゾアンのもろもろの諸侯は愚かなり ノフの諸侯は惑ひたり かれらはエジプトのもろもろの支派の隅石なるに却てエジプトをあやまらせたり 023 ISA 019 014 ヱホバ曲れる心をその中にまじへ給ひしにより 彼等はエジプトのすべて作ところを謬らせ恰かも酔る人の哇吐ときによろめくが如くならしめたり 023 ISA 019 015 エジプトにて或は首あるひは尾あるひは椶櫚のえだまたは葦すべてその作ところの工なかるべし 023 ISA 019 016 その日エジプトは婦女のごとくならん 萬軍のヱホバの動かしたまふ手のその上にうごくが故におそれをののくべし 023 ISA 019 017 ユダの地はエジプトに懼れらる この事をかたりつぐれば聽くもの皆おそる これ萬軍のヱホバ、エジプトに對ひて定めたまへる謀略の故によるなり 023 ISA 019 018 その日エジプトの地に五の邑あり カナンの方言をかたりまた萬軍のヱホバに誓ひをたてん その中のひとつは日邑ととなへらるべし 023 ISA 019 019 その日エジプトの地の中にヱホバをまつる一つの祭壇あり その境にヱホバをまつる一柱あらん 023 ISA 019 020 これエジプトの地にて萬軍のヱホバの徴となり證となるなり かれら暴虐者の故によりてヱホバに號求むべければ ヱホバは救ふもの護るものを遣してこれを助けたまはん 023 ISA 019 021 ヱホバおのれをエジプトに知せたまはん その日エジプト人はヱホバをしり犠牲と祭物とをもて之につかへん 誓願をヱホバにたてて成とぐべし 023 ISA 019 022 ヱホバ、エジプトを撃たまはん ヱホバこれを撃これを醫したまふ この故にかれらヱホバに歸らん ヱホバその懇求をいれて之をいやし給はん 023 ISA 019 023 その日エジプトよりアツスリヤにかよふ大路ありて アツスリヤ人はエジプトにきたり エジプト人はアツスリヤにゆき エジプト人とアツスリヤ人と相共につかふることをせん 023 ISA 019 024 その日イスラエルはエジプトとアツスリヤとを共にし三あひならび地のうへにて福祉をうくる者となるべし 023 ISA 019 025 萬軍のヱホバこれを祝して言たまはく わが民なるエジプトわが手の工なるアツスリヤわが產業なるイスラエルは福ひなるかな 023 ISA 020 001 アツスリヤのサルゴン王タルタンを遣してアシドドにゆかしむ 彼がアシドドを攻てとりし年にあたり 023 ISA 020 002 この時ヱホバ、アモツの子イザヤに托てかたりたまはく 往なんぢの腰よりあらたへの衣をとき汝の足より履をぬげ ここに於てかれその如くなし赤裸跣足にて歩めり 023 ISA 020 003 ヱホバ言給く わが僕イザヤは三年の間はだかはだしにてあゆみ エジプトとエテオピアとの豫兆となり奇しき標となりたり 023 ISA 020 004 斯のごとくエジプトの虜とエテオピアの俘囚とはアツスリヤの王にひきゆかれ その若きも老たるもみな赤裸跣足にて臀までもあらはしエジプトの恥をしめすべし 023 ISA 020 005 かれらはその恃とせるエテオピアその誇とせるエジプトのゆゑをもて懼れはぢん 023 ISA 020 006 その日この濱邊の民いはん 視よ われらの恃とせる國われらが遁れゆきて助をもとめアツスリヤ王の手より救出されんとせし國すでに斯のごとし 我儕はいかにして脱かるるを得んやと 023 ISA 021 001 うみべの荒野にかかる重負のよげん いはく/荒野よりおそるべき地より南のかたの暴風のふきすぐるが如くきたれり 023 ISA 021 002 われ苛き默示をしめされたり 欺騙者はあざむき荒すものはあらすべし エラムよ上れメデアよかこめ 我すでにすべての歎息をやめしめたり 023 ISA 021 003 この故にわが腰は甚だしくいたみ 產にのぞめる婦人の如き苦しみ我にせまれり われ悶へ苦しみて聞ことあたはず我をののきて見ことあたはず 023 ISA 021 004 わが心みだれまどひて慴き怖ること甚だし わが樂しめる夕はかはりて懼れとなりぬ 023 ISA 021 005 彼らは席をまうけ筵をしきてくひのみす もろもろの君よたちて盾にあぶらぬれ 023 ISA 021 006 ヱホバかく我にいひ給へり 汝ゆきて斥候をおきその見るところを告しめよ 023 ISA 021 007 かれ馬にのりて二列にならび來るものを見 また驢馬にのりたると駱駝にのりたるとをみば 耳をかたぶけて詳細にきくことをせしめよと 023 ISA 021 008 かれ獅の如く呼はりて曰けるは わが主よわれ終日やぐらに立よもすがら斥候の地にたつ 023 ISA 021 009 馬にのりて二列にならびたる者きたれり 彼こたへていはくバビロンは倒れたり 倒れたりそのもろもろの神の像はくだけて地にふしたり 023 ISA 021 010 蹂躙らるるわが民よわが打場のたなつものよ 我イスラエルの神萬軍のヱホバに聞るところのものを汝につげたり 023 ISA 021 011 ドマに係るおもにの預言 いはく/人ありセイルより我をよびていふ 斥候よ夜はなにのときぞ 斥候よ夜はなにの時ぞ 023 ISA 021 012 ものみ答へていふ 朝きたり夜またきたる 汝もしとはんとおもはば問 なんぢら歸りきたるべし 023 ISA 021 013 アラビヤにかかる重負のよげん 曰く/デダンの客商よなんぢらはアラビヤの林にやどらん 023 ISA 021 014 テマの地のたみよ水をたづさへて渇ける者をむかへ 糧をもて逃遁れたるものを迎へよ 023 ISA 021 015 かれらは刃をさけ 旣にぬきたる劍すでに張たる弓およびたたかひの艱難をさけて逃きたれり 023 ISA 021 016 そは主われにいひたまはく 傭人の期にひとしく一年のうちにケダルのすべての榮華はつきはてん 023 ISA 021 017 そののこれる弓士のかずとケダルの子孫のますらをとは少なかるべし 此はイスラエルの神ヱホバのかたり給へるなり 023 ISA 022 001 異象の谷にかかる重負のよげん 曰く/なんぢら何故にみな屋蓋にのぼれるか 023 ISA 022 002 汝はさわがしく喧すしき邑ほこりたのしむ邑 なんぢのうちの殺されたるものは劍をもて殺されしにあらず 亦たたかひにて死しにもあらず 023 ISA 022 003 なんぢの有司はみな共にのがれゆきしかど弓士にいましめられ 汝の民はとほくにげゆきしかど見出されて皆ともに縛められたり 023 ISA 022 004 この故にわれいふ回顧てわれを見るなかれ 我いたく哭かなしまん わが民のむすめの害はれたるによりて我をなぐさめんと勉むるなかれ 023 ISA 022 005 そは主萬軍のヱホバ異象のたにに騒亂ふみにじり惶惑の日をきたらせたまふ 垣はくづれ號呼のこゑは山々にきこゆ 023 ISA 022 006 エラムは箙をおひたり 歩兵と騎兵とありキルは盾をあらはせり 023 ISA 022 007 かくて戰車はなんぢの美しき谷にみち 騎兵はその門にむかひてつらなれり 023 ISA 022 008 ユダの庇護はのぞかる その日なんぢは林のいへの武具をあふぎのぞめり 023 ISA 022 009 なんぢらダビデのまちの壞おほきを見る なんぢら下のいけの水をあつめ 023 ISA 022 010 またヱルサレムの家をかぞへ且その家をこぼちて垣をかたくし 023 ISA 022 011 一つの水坑をかきとかきとの間につくりて古池の水をひけりされどこの事をなし給へるものを仰望まず この事をむかしより營みたまへる者をかへりみざりき 023 ISA 022 012 その日主萬軍のヱホバ命じて哭かなしみ首をかぶろにし麁服をまとへと仰せたまひしかど 023 ISA 022 013 なんぢらは喜びたのしみ牛をほふり羊をころし肉をくらひ酒をのみていふ 我儕くらひ且のむべし明日はしぬべければなりと 023 ISA 022 014 萬軍のヱホバ默示をわが耳にきかしめたまはく まことにこの邪曲はなんぢらが死にいたるまで除き清めらるるを得ずと これ主萬軍のヱホバのみことばなり 023 ISA 022 015 主ばんぐんのヱホバ如此のたまふ ゆけ宮ををさめ庫をつかさどるセブナにゆきていへ 023 ISA 022 016 なんぢここに何のかかはりありや また茲にいかなる人のありとして己がために墓をほりしや 彼はたかきところに墓をほり磐をうがちて己がために住所をつくれり 023 ISA 022 017 視よヱホバはつよき人のなげうつ如くに汝をなげうち給はん 023 ISA 022 018 なんぢを包みかためふりまはして闊かなる地に球のごとくなげいだしたまはん 主人のいへの恥となるものよ汝そこにて死そのえいぐわの車もそこにあらん 023 ISA 022 019 我なんぢをその職よりおひその位よりひきおとさん 023 ISA 022 020 その日われわが僕ヒルキヤの子エリアキムを召て 023 ISA 022 021 なんぢの衣をきせ汝の帶をもて固め なんぢの政權をその手にゆだぬべし 斯て彼ヱルサレムの民とユダの家とに父とならん 023 ISA 022 022 我またダビデのいへの鑰をその肩におかん 彼あくればとづるものなく彼とづればあくるものなし 023 ISA 022 023 我かれをたてて堅處にうちし釘のごとくすべし 而してかれはその父の家のさかえの位とならん 023 ISA 022 024 その父の家のもろもろの榮は彼がうへに懸る その子その孫およびすべての器のちひさきもの皿より瓶子にいたるまでも然らざるなし 023 ISA 022 025 萬軍のヱホバのたまはくその日かたき處にうちたる釘はぬけいで斫れておちん そのうへにかかれる負もまた絶るべし こはヱホバ語り給へるなり 023 ISA 023 001 ツロに係るおもにの預言 いはく/タルシシのもろもろの舟よなきさけべ ツロは荒廢れて屋なく入べきところなければなり かれら此事をキツテムの地にて告しらせらる 023 ISA 023 002 うみべの民よもだせ 曩には海をゆきかふシドンの商賣くさぐさの物をかしこに充せたり 023 ISA 023 003 ツロは大なる水をわたりくるシホルの種物とナイルがはの穀物とによりて収納をえたり ツロはもろもろの國のつどふ市なりき 023 ISA 023 004 シドンよはづべし そは海すなはち海城かくいへり曰く われ苦しまずうまず壯男をやしなはず處女をそだてざりきと 023 ISA 023 005 この音信のエジプトにいたるとき彼等ツロのおとづれによりて甚くうれふべし 023 ISA 023 006 なんぢらタルシシにわたれ 海邊のたみよ汝等なきさけぶべし 023 ISA 023 007 これは上れる世いにしへよりありし邑おのが足にてうつり遠くたびずまひせる邑なんぢらの樂しみの邑なりしや 023 ISA 023 008 斯のごとくツロに對ひてはかりしは誰なるか ツロは冕をさづけし邑 その中のあきうどは君 その中の貿易するものは地のたふとき者なりき 023 ISA 023 009 これ萬軍のヱホバの定め給ふところにして すべて華美にかざれる驕奢をけがし地のもろもろの貴者をひくくしたまはんが爲なり 023 ISA 023 010 タルシシの女よナイルのごとく己が地にあふれよ なんぢを結びかたむる帶ふたたびなかるべし 023 ISA 023 011 ヱホバその手を海の上にのべて國々をふるひうごかし給へり ヱホバ、カナンにつきて詔命をいだしその保砦をこぼたしめたまふ 023 ISA 023 012 彼いひたまはく虐げられたる處女シドンのむすめよ 汝ふたたびよろこぶことなかるべし 起てキツテムにわたれ彼處にてなんぢまた安息をえじ 023 ISA 023 013 カルデヤ人のくにを視よ この民はふたたびあることなし アツスリヤ人この國を野のけものの居所にさだめたり かれら櫓をたてもろもろの殿をこぼちて荒墟となせり 023 ISA 023 014 タルシシのもろもろの舟よなきさけべ なんぢの保砦はくだかれたり 023 ISA 023 015 その日ツロは七十年のあひだ忘れらるべし ひとりの王のながらふる日のかずなり七十年終りてのちツロは妓女のうたの如くならん 023 ISA 023 016 さきに忘れられたるうかれめよ琴をとりて城市をへめぐり 巧に弾じておほくの歌をうたひ人にふたたび記念らるべし 023 ISA 023 017 七十年をはりてヱホバまたツロを顧みたまはん ツロはふたたびその利潤をえて地のおもてにあるもろもろの國と淫をおこなふべし 023 ISA 023 018 その貿易とその獲たる利潤とはきよめてヱホバに獻ぐべければ之をたくはへず積ことをせざるなり その貿易はヱホバの前にをるものの用となり飽くらふ料となり華美なるころもの料とならん 023 ISA 024 001 視よヱホバこの地をむなしからしめ荒廢れしめこれを覆へしてその民をちらしたまふ 023 ISA 024 002 かくて民も祭司もひとしく 僕も主もひとしく 下婢も主婦もひとしく 買ものも賣ものもひとしく 貸ものも借ものもひとしく 利をはたるものも利をいだす者もひとしくこの事にあふべし 023 ISA 024 003 地はことごとく空しくことごとく掠められん こはヱホバの言たまへるなり 023 ISA 024 004 地はうれへおとろへ世は萎おとろへ地のたふときものも萎はてたり 023 ISA 024 005 民おきてにそむき法ををかし とこしへの契約をやぶりたるがゆゑに 地はその下にけがされたり 023 ISA 024 006 このゆゑに呪詛は地をのみつくしそこに住るものは罪をうけまた地の民はやかれて僅かばかり遺れり 023 ISA 024 007 あたらしき酒はうれへ葡萄はなえ 心たのしめるものはみな歎息せざるはなし 023 ISA 024 008 鼓のおとは寂まり歡ぶものの聲はやみ琴の音もまたしづまれり 023 ISA 024 009 彼等はふたたび歌うたひ酒のまず濃酒はこれをのむものに苦くなるべし 023 ISA 024 010 騒ぎみだれたる邑はすでにやぶられ毎家はことごとく閉て人のいるなし 023 ISA 024 011 街頭には酒の故によりて叫ぶこゑあり すべての歡喜はくらくなり地のたのしみは去ゆけり 023 ISA 024 012 邑はあれすたれたる所のみのこり その門もこぼたれて破れぬ 023 ISA 024 013 地のうちにてもろもろの民のなかにて遺るものは橄欖の樹のうたれしのちの果の如く葡萄の収穫はてしのちの實のごとし 023 ISA 024 014 これらのもの聲をあげてよばはん ヱホバの稜威のゆゑをもて海より歡びよばはん 023 ISA 024 015 この故になんぢら東にてヱホバをあがめ 海のしまじまにてイスラエルの神ヱホバの名をあがむべし 023 ISA 024 016 われら地の極より歌をきけり いはく榮光はただしきものに歸すと/われ云らく我やせおとろへたり我やせおとろへたり 我はわざはひなるかな 欺騙者はあざむき欺騙者はいつはりをもて欺むけり 023 ISA 024 017 地にすむものよ恐怖と陷阱と罟とはなんぢに臨めり 023 ISA 024 018 おそれの聲をのがるる者はおとしあなに陷り おとしあなの中よりいづるものは罟にかかるべし そは高處の窓ひらけ地の基ふるひうごけばなり 023 ISA 024 019 地は碎けにくだけ地はやぶれにやぶれ地は搖にゆれ 023 ISA 024 020 地はゑへる者のごとく蹌きによろめき假廬のごとくふりうごく その罪はそのうへにおもく遂にたふれて再びおくることなし 023 ISA 024 021 その日ヱホバはたかき處にて高きところの軍兵を征め 地にて地のもろもろの王を征めたまはん 023 ISA 024 022 かれらは囚人が阱にあつめらるるごとく集められて 獄中にとざされ多くの日をへてのち刑せらるべし 023 ISA 024 023 かくて萬軍のヱホバ、シオンの山およびヱルサレムにて統治め かつその長老たちのまへに榮光あるべければ 月は面あからみ日ははぢて色かはるべし 023 ISA 025 001 ヱホバよ汝はわが神なり 我なんぢを崇めなんぢの名をほめたたへん 汝さきに妙なる事をおこなひ 古時より定めたることを眞實をもて成たまひたればなり 023 ISA 025 002 なんぢ邑をかへて石堆となし 堅固なる城を荒墟となし 外人の京都を邑とならしめず永遠にたつることを得ざらしめたまへり 023 ISA 025 003 この故につよき民はなんぢをあがめ 暴びたる國々の城はなんぢをおそるべし 023 ISA 025 004 そはなんぢ弱きものの保砦となり 乏しきものの難のときの保砦となり 雨風のふききたりて垣をうつごとく暴ぶるものの荒きたるときの避所となり 熱をさくる蔭となりたまへり 023 ISA 025 005 なんぢ外人の喧嘩をおさへて旱ける地より熱をとりのぞく如くならしめ 暴ぶるものの凱歌をとどめて雪の陰をもて熱をとどむる如くならしめたまはん 023 ISA 025 006 萬軍のヱホバこの山にてもろもろの民のために肥たるものをもて宴をまうけ 久しくたくはへたる葡萄酒をもて宴をまうく 膸おほき肥たるもの久しくたくはへたる清るぶだう酒の宴なり 023 ISA 025 007 又この山にてもろもろの民のかぶれる面帕と もろもろの國のおほへる外帔をとりのぞき 023 ISA 025 008 とこしへまで死を呑たまはん 主ヱホバはすべての面より涙をぬぐひ 全地のうへよりその民の凌辱をのぞき給はん これはヱホバの語りたまへるなり 023 ISA 025 009 その日此如いはん これはわれらの神なり われら俟望めり 彼われらを救ひたまはん 是ヱホバなり われらまちのぞめり 我儕そのすくひを歡びたのしむべしと 023 ISA 025 010 ヱホバの手はこの山にとどまり モアブはその處にてあくたの水のなかにふまるる藁のごとく蹂躙られん 023 ISA 025 011 彼そのなかにて游者のおよがんとして手をのばすが如く己が手をのばさん 然どヱホバその手の脆計とともにその傲慢を伏たまはん 023 ISA 025 012 なんぢの垣たかき堅固なる城はヱホバかたぶけたふし 地におとして塵にまじへたまはん 023 ISA 026 001 その日ユダの國にてこの歌をうたはん われらに堅固なる邑あり 神すくひをもてその垣その藩となしたまふべし 023 ISA 026 002 なんぢら門をひらきて忠信を守るただしき國民をいれよ 023 ISA 026 003 なんぢは平康にやすきをもて心志かたき者をまもりたまふ 彼はなんぢに依賴めばなり 023 ISA 026 004 なんぢら常盤にヱホバによりたのめ 主ヱホバはとこしへの巌なり 023 ISA 026 005 たかきに居るものを仆し そびえたる城をふせしめ 地にふせしめて塵にまじへ給へり 023 ISA 026 006 かくて足これをふまん 苦しむものは足にて之をふみ 貧しき者はその上をあゆまん 023 ISA 026 007 義きものの道は直からざるなし なんぢ義きものの途を直く平らかにし給ふ 023 ISA 026 008 ヱホバよ審判をおこなひたまふ道にてわれら汝をまちのぞめり われらの心はなんぢの名となんぢの記念の名とをしたふなり 023 ISA 026 009 わがこころ夜なんぢを慕ひたり わがうちなる靈あしたに汝をもとめん そは汝のさばき地におこなはるるとき世にすめるもの正義をまなぶべし 023 ISA 026 010 惡者はめぐまるれども公義をまなばず 直き地にありてなほ不義をおこなひヱホバの稜威を見ることをこのまず 023 ISA 026 011 ヱホバよなんぢの手たかく擧れどもかれら顧みず 然どなんぢが民をすくひたまふ熱心を見ばはぢをいだかん 火なんぢの敵をやきつくすべし 023 ISA 026 012 ヱホバよ汝はわれらのために平和をまうけたまはん 我儕のおこなひしことは皆なんぢの成たまへるなり 023 ISA 026 013 ヱホバわれらの神よなんぢにあらぬ他の主ども曩にわれらを治めたり 然どわれらはただ汝によりて汝の名をかたりつげん 023 ISA 026 014 かれら死たればまたいきず 亡靈となりたればまた復らず なんぢかれらを糺してこれを滅ぼし その記念の名をさへ悉くうせしめたまへり 023 ISA 026 015 ヱホバよなんぢこの國民をましたまへり此くにびとを増たまへり なんぢは尊ばれたまふ なんぢ地の界をことごとく擴めたまへり 023 ISA 026 016 ヱホバよかれら苦難のときに汝をあふぎのぞめり 彼等なんぢの懲罰にあへるとき切になんぢに禱告せり 023 ISA 026 017 ヱホバよわれらは孕める婦のうむとき近づきてくるしみ その痛みによりて叫ぶがごとく汝のまへに然ありき 023 ISA 026 018 われらは孕みまた苦しみたれどその產るところは風ににたり われら救を地にほどこさず世にすむ者うまれいでざりき 023 ISA 026 019 なんぢの死者はいきわが民の屍はおきん 塵にふすものよ醒てうたうたふべし なんぢの露は草木をうるほす露のごとく地はなきたまをいださん 023 ISA 026 020 わが民よゆけ なんぢの室にいり汝のうしろの戸をとぢて忿恚のすぎゆくまで暫時かくるべし 023 ISA 026 021 視よヱホバはその處をいでて地にすむものの不義をただしたまはん 地はその上なる血をあらはにして殺されたるものをまた掩はざるべし 023 ISA 027 001 その日ヱホバは硬く大いなるつよき劍をもて 疾走るへびレビヤタン曲りうねる蛇レビヤタンを罰しまた海にある鱷をころし給ふべし 023 ISA 027 002 その日如此うたはん うるはしき葡萄園あり之をうたへよ 023 ISA 027 003 われヱホバこれを護り をりをり水そそぎ 夜も晝もまもりて害ふものあらざらしめん 023 ISA 027 004 我にいきどほりなし願はくは荊棘のわれと戰はんことを 然ばわれすすみ迎へて皆もろともに焚盡さん 023 ISA 027 005 寧ろわが力にたよりて我とやはらぎを結べ われと平和をむすぶべし 023 ISA 027 006 後にいたらばヤコブは根をはりイスラエルは芽をいだして花さきその實せかいの面にみちん 023 ISA 027 007 ヤコブ主にうたるるといへども彼をうちしものの主にうたるるが如きことあらんや ヤコブの殺さるるは彼をころししものの殺さるるが如きことあらんや 023 ISA 027 008 汝がヤコブを逐たまへる懲罰は度にかなひぬ 東風のふきし日なんぢあらき風をもてこれをうつし給へり 023 ISA 027 009 斯るがゆゑにヤコブの不義はこれによりて潔められん これに因てむすぶ果は罪をのぞくことをせん 彼は祭壇のもろもろの石を碎けたる石灰のごとくになし アシラの像と日の像とをふたたび建ることなからしめん 023 ISA 027 010 堅固なる邑はあれてすさまじく棄去れたる家のごとく また荒野のごとし 犢このところにて草をはみ此所にてふし 且そこなる樹のえだをくらはん 023 ISA 027 011 その枝かるるとき折とらる 婦人きたりてこれを燒ん これは無知の民なるが故に之をつくれる者あはれまず これを形づくれるもの惠まざるべし 023 ISA 027 012 その日なんぢらイスラエルの子輩よ ヱホバは打落したる果をあつむるごとく 大河の流よりエジプトの川にいたるまでなんぢらを一つ一つにあつめたまふべし 023 ISA 027 013 その日大なるラッパ鳴ひびきアツスリヤの地にさすらひたる者 エジプトの地におひやられたる者 きたりてヱルサレムの聖山にてヱホバを拜むべし 023 ISA 028 001 酔るものなるエフライム人よなんぢらの誇の冠はわざはひなるかな 酒におぼるるものよ肥たる谷の首にある凋んとする花のうるはしき飾はわざはひなるかな 023 ISA 028 002 みよ主はひとりの力ある强剛者をもち給へり それは雹をまじへたる暴風のごとく壞りそこなふ狂風のごとく大水のあぶれ漲るごとく烈しくかれを地になげうつべし 023 ISA 028 003 酔るものなるエフライム人のほこりの冠は足にて踐にじられん 023 ISA 028 004 肥たる谷のかしらにある凋んとする花のうるはしきかざりは 夏こぬに熟したる初結の無花果のごとし 見るものこれをみて取る手おそしと呑いるるなり 023 ISA 028 005 その日萬軍のヱホバその民ののこれる者のために榮のかんむりとなり美しき冠となり給はん 023 ISA 028 006 さばきの席にざするものには審判の靈をあたへ軍を門よりおひかへす者には力をあたへ給ふべし 023 ISA 028 007 然どかれらも酒によりてよろめき濃酒によりてよろぼひたり 祭司と預言者とは濃酒によりてよろめき 酒にのまれ濃酒によりてよろぼひ 而して默示をみるときにもよろめき審判をおこなふときにも躓けり 023 ISA 028 008 すべて膳には吐たるものと穢とみちて潔きところなし 023 ISA 028 009 かれは誰にをしへて知識をあたへんとするか 誰にしめして音信を暁らせんとするか 乳をたち懷をはなれたる者にするならんか 023 ISA 028 010 そは誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にもすこしく敎ふ 023 ISA 028 011 このゆゑに神あだし唇と異なる舌とをもてこの民にかたりたまはん 023 ISA 028 012 曩にかれらに言たまひけるは此は安息なり疲困者にやすみをあたへよ 此は安慰なりと されど彼らは聞ことをせざりき 023 ISA 028 013 斯るがゆゑにヱホバの言かれらにくだりて 誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にも少しくをしへん 之によりて彼等すすみてうしろに仆れそこなはれ罟にかかりて捕へらるべし 023 ISA 028 014 なんぢら此ヱルサレムにある民ををさむるところの輕慢者よヱホバの言をきけ 023 ISA 028 015 なんぢらは云り 我ら死と契約をたて陰府とちぎりをむすべり 漲りあふるる禍害のすぐるときわれらに來らじ そはわれら虛僞をもて避所となし欺詐をもて身をかくしたればなりと 023 ISA 028 016 このゆゑに神ヱホバかくいひ給ふ 視よわれシオンに一つの石をすゑてその基となせり これは試をへたる石たふとき隅石かたくすゑたる石なり これに依賴むものはあわつることなし 023 ISA 028 017 われ公平を準繩とし正義を錘とす 斯て雹はいつはりにてつくれる避所をのぞきさり水はその匿れたるところに漲りあふれん 023 ISA 028 018 汝らが死とたてし契約はきえうせ陰府とむすべるちぎりは成ことなし されば漲り溢るるわざはひのすぐるとき汝等はこれに踐たふさるべし 023 ISA 028 019 その過るごとになんぢらを捕へん 朝々にすぎ晝も夜もすぐ この音信をきき わきまふるのみにても慴きをるなり 023 ISA 028 020 その狀は床みじかくして身をのぶることあたはず 衾せまくして身をおほふこと能はざるが如し 023 ISA 028 021 そはヱホバ往昔ペラヂムの山にて起たまひしがごとくにたち ギベオンの谷にて忿恚をはなちたまひしが如くにいきどほり 而してその所爲をおこなひ給はん 奇しき所爲なり その工を成たまはん 異なる工なり 023 ISA 028 022 この故になんぢら侮るなかれ 恐くはなんぢらの縲絏きびしくならん 我すでに全地のうへにさだまれる敗亡あるよしを主萬軍のヱホバより聞たればなり 023 ISA 028 023 なんぢら耳をかたぶけてわが聲をきけ懇ろにわが言をきくべし 023 ISA 028 024 農夫たねをまかんに何で日々たがへし日々その地をすき その土塊をくだくことのみを爲んや 023 ISA 028 025 もし地の面をたひらかにせばいかで罌粟をまき 馬芹の種をおろし 小麥をうねにうゑ 大麥をさだめたる處にうゑ 粗麥を畔にうゑざらんや 023 ISA 028 026 斯のごときはかれの神これに智慧をあたへて敎へたまへるなり 023 ISA 028 027 けしは連耞にてうたず 馬芹はそのうへに車輪をきしらせず罌栗をうつには杖をもちひ 馬芹をうつには棒をもちふ 023 ISA 028 028 麥をくだくか否くるまにきしらせ馬にふませて落すことはすれども斷ずしかするにあらず これを碎くことをせざるべし 023 ISA 028 029 此もまた萬軍のヱホバよりいづ その謀略はくすしくその智慧はすぐれたり 023 ISA 029 001 ああアリエルよアリエルよ ああダビデの營をかまへたる邑よ としに年をくはへ節會まはりきたらば 023 ISA 029 002 われアリエルをなやまし之にかなしみと歎息とあらしめん 彼をアリエルのごとき者となすべし 023 ISA 029 003 われ汝のまはりに營をかまへ保砦をきづきて汝をかこみ櫓をたててなんぢを攻べし 023 ISA 029 004 かくてなんぢは卑くせられ 地にふしてものいひ塵のなかより低聲をいだしてかたらん 汝のこゑは巫女のこゑのごとく地よりいで汝のことばは塵のなかより囀づるがごとし 023 ISA 029 005 然どなんぢのあだの群衆はこまやかなる塵の如く あらぶるものの群衆はふきさらるる粃糠の如くならん 俄にまたたく間にこの事あるべし 023 ISA 029 006 萬軍のヱホバはいかづち 地震 おほごゑ 暴風 つむじかぜ及びやきつくす火の燄をもて臨みたまふべし 023 ISA 029 007 斯てアリエルを攻てたたかふ國々のもろもろ アリエルとその城とをせめたたかひて難ますものは みな夢のごとく夜のまぼろしの如くならん 023 ISA 029 008 饑たるものの食ふことを夢みて醒きたればその心なほ空しきがごとく 渇けるものの飮ことを夢みて醒きたれば疲れかつ頻にのまんことを欲するがごとく シオンの山をせめて戰ふくにぐにの群衆もまた然あらん 023 ISA 029 009 なんぢらためらへ而しておどろかん なんぢら放肆にせよ而して目くらまん かれらは酔りされど酒のゆゑにあらず かれらはよろめけりされど濃酒のゆゑにあらず 023 ISA 029 010 そはヱホバ酣睡の靈をなんぢらの上にそそぎ 而してなんぢらの目をとぢ なんぢらの面をおほひたまへり その目は預言者そのかほは先知者なり 023 ISA 029 011 かかるが故にすべての默示はなんぢらには封じたる書のことばのごとくなり 文字しれる人にわたして請これを讀といはんに答へて封じたるがゆゑによむこと能はずといはん 023 ISA 029 012 また文字しらぬ人にわたして請これをよめといはんにこたへて文字しらざるなりといはん 023 ISA 029 013 主いひ給はく この民は口をもて我にちかづき口唇をもてわれを敬へども その心はわれに遠かれり そのわれを畏みおそるるは人の誡命によりてをしへられしのみ 023 ISA 029 014 この故にわれこの民のなかにて再びくすしき事をおこなはん そのわざは奇しくしていとあやし かれらの中なる智者のちゑはうせ聰明者のさときはかくれん 023 ISA 029 015 己がはかりごとをヱホバに深くかくさんとする者はわざはひなるかな 暗中にありて事をおこなひていふ 誰かわれを見んや たれか我をしらんやと 023 ISA 029 016 なんぢらは曲れり いかで陶工をみて土塊のごとくおもふ可んや 造られし者おのれを作れるものをさして我をつくれるにあらずといふをえんや 形づくられたる器はかたちづくりし者をさして智慧なしといふを得んや 023 ISA 029 017 暫くしてレバノンはかはりて良田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたるならずや 023 ISA 029 018 その日聾者はこの書のことばをきき盲者の目はくらきより闇よりみることを得べし 023 ISA 029 019 謙だるものはヱホバによりてその歡喜をまし 人のなかの貧きものはイスラエルの聖者によりて快樂をうべし 023 ISA 029 020 暴るものはたえ 侮慢者はうせ 邪曲の機をうかがふ者はことごとく斷滅さるべければなり 023 ISA 029 021 かれらは訟をきく時まげて人をつみし 邑門にていさむるものを謀略におとしいれ 虛しき語をかまへて義人をしりぞく 023 ISA 029 022 この故にむかしアブラハムを贖ひたまひしヱホバはヤコブの家につきて如此いひたまふ ヤコブは今より恥をかうむらず その面はいまより色をうしなはず 023 ISA 029 023 かれの子孫はその中にわがおこなふ手のわざをみん その時わが名を聖としヤコブの聖者を聖としてイスラエルの神をおそるべし 023 ISA 029 024 心あやまれるものも知識をえ つぶやけるものも敎誨をまなばん 023 ISA 030 001 ヱホバのたまはく 悖るる子輩はわざはひなるかな かれら謀略をすれども我によりてせず 盟をむすべどもわが靈にしたがはず ますます罪につみをくはへん 023 ISA 030 002 かれらわが口にとはずしてエジプトに下りゆきパロの力をかりておのれを强くしエジプトの蔭によらん 023 ISA 030 003 パロのちからは反てなんぢらの恥となり エジプトの蔭によるは反てなんぢらの辱かしめとなるべし 023 ISA 030 004 かれの君たちはゾアンにあり かれの使者たちはハネスにきたれり 023 ISA 030 005 かれらは皆おのれを益することあたはざる民によりて恥をいだく かの民はたすけとならず益とならず かへりて恥となり謗となれり 023 ISA 030 006 南のかたの牲畜にかかる重負のよげん 曰く/かれらその財貨を若き驢馬のかたにおはせ その寳物を駱駝の背におはせて 牝獅 牡獅 まむし及びとびかける蛇のいづる苦しみと艱難との國をすぎて 己をえきすること能はざる民にゆかん 023 ISA 030 007 そのエジプトの助はいたづらにして虛し このゆゑに我はこれを休みをるラハブとよべり 023 ISA 030 008 いま往てこれをその前にて牌にしるし書にのせ 後の世に傳へてとこしへに證とすべし 023 ISA 030 009 これは悖れる民いつはりをいふ子輩ヱホバの律法をきくことをせざる子輩なり 023 ISA 030 010 かれら見るものに對ひていふ見るなかれと 默示をうる者にむかひていふ直きことを示すなかれ 滑かなることをかたれ虛僞をしめせ 023 ISA 030 011 なんぢら大道をさり逕をはなれ われらが前にイスラエルの聖者をあらしむるなかれと 023 ISA 030 012 此によりてイスラエルの聖者かくいひ給ふ なんぢらこの言をあなどり暴虐と邪曲とをたのみて之にたよれり 023 ISA 030 013 斯るがゆゑにこの不義なんぢらには凸出ておちんとするたかき垣のさけたるところのごとく その破壞にはかに暫しが間にきたらんと 023 ISA 030 014 主これを破りあだかも陶工の瓶をくだきやぶるがごとくして惜みたまはず その碎のなかに爐より火をとり池より水をくむほどの一片だに見出すことなからん 023 ISA 030 015 主ヱホバ、イスラエルの聖者かくいひたまへり なんぢら立かへりて靜かにせば救をえ 平穩にして依賴まば力をうべしと 然どなんぢらこの事をこのまざりき 023 ISA 030 016 なんぢら反ていへり 否われら馬にのりて逃走らんと この故になんぢら逃走らん 又いへりわれら疾きものに乗んと この故になんぢらを追もの疾かるべし 023 ISA 030 017 ひとり叱咤すれば千人にげはしり 五人しつたすればなんぢら逃走りて その遺るものは僅かに山嶺にある杆のごとく 岡のうへにある旗のごとくならん 023 ISA 030 018 ヱホバこれにより俟てのち恩惠を汝等にほどこし これにより上りてのちなんぢらを憐れみたまはん ヱホバは公平の神にましませり 凡てこれを俟望むものは福ひなり 023 ISA 030 019 シオンにをりヱルサレムにをる民よ なんぢは再びなくことあらじ そのよばはる聲に應じて必ずなんぢに惠をほどこしたまはん 主ききたまふとき直にこたへたまふべし 023 ISA 030 020 主はなんぢらになやみの糧とくるしみの水とをあたへ給はん なんぢを敎るもの再びかくれじ 汝の目はその敎るものを恒にみるべし 023 ISA 030 021 なんぢ右にゆくも左にゆくもその耳に これは道なりこれを歩むべしと後邊にてかたるをきかん 023 ISA 030 022 又なんぢら白銀をおほひし刻める像 こがねをはりし鑄たる像をけがれとし 穢物のごとく打棄ていはん 去れと 023 ISA 030 023 なんぢが地にまく種に主は雨をあたへ また地になりいづる糧をたまふ その土產こえて豐かならん その日なんぢの家畜はひろき牧場に草をはむべし 023 ISA 030 024 地をたがへす牛と驢馬とは團扇にてあふぎ箕にてとほし鹽をくはへたる飼料をくらはん 023 ISA 030 025 大なる殺戮の日やぐらのたふるる時もろもろのたかき山もろもろのそびえたる嶺に河とみづの流とあるべし 023 ISA 030 026 かくてヱホバその民のきずをつつみ そのうたれたる創痍をいやしたまふ日には月のひかりは日の光のごとく日のひかりは七倍をくはへて七の日のひかりの如くならん 023 ISA 030 027 視よヱホバの名はとほき所よりきたり そのはげしき怒はもえあがる焰のごとく その唇はいきどほりにてみち その舌はやきつくす火のごとく 023 ISA 030 028 その氣息はみなぎりて項にまでいたる流のごとし 且ほろびの篩にてもろもろの國をふるひ又まどはす韁をもろもろの民の口におきたまはん 023 ISA 030 029 なんぢらは歌うたはん節會をまもる夜のごとし なんぢらは心によろこばん笛をならしヱホバの山にきたりイスラエルの磐につくときの如し 023 ISA 030 030 ヱホバはその稜威のこゑをきかしめ 烈しき怒をはなちて燒つくす火のほのほと暴風と大雨と雹とをもて その臂のくだることを示したまはん 023 ISA 030 031 ヱホバのこゑによりてアツスリヤ人はくじけん 主はこれを笞にてうち給ふべし 023 ISA 030 032 ヱホバの豫じめさだめたまへる杖をアツスリヤのうへにくはへたまふごとに 鼓をならし琴をひかん 主はうごきふるふ戰闘をもてかれらとたたかひ給ふべし 023 ISA 030 033 トペテは往古よりまうけられ また王のために備へられたり これを深くしこれを廣くしここに火とおほくの薪とをつみおきたり ヱホバの氣息これを硫黄のながれのごとくに燃さん 023 ISA 031 001 助をえんとてエジプトにくだり馬によりたのむものは禍ひなるかな 戰車おほきが故にこれにたのみ騎兵はなはだ强きがゆゑに之にたのむ されどイスラエルの聖者をあふがずヱホバを求ることをせざるなり 023 ISA 031 002 然はあれどもヱホバもまた智慧あるべし かならず禍害をくだしてその言をひるがへしたまはず 起てあしきものの家をせめ また不義を行ふ者の助をせめ給はん 023 ISA 031 003 かのエジプト人は人にして神にあらずその馬は肉にして靈にあらず ヱホバその手をのばしたまはば助くるものも蹟き たすけらるる者もたふれてみなひとしく亡びん 023 ISA 031 004 ヱホバ如此われにいひたまふ 獅のほえ壯獅の獲物をつかみてほえたけれるとき 許多のひつじかひ相呼つどひてむかひゆくとも その聲によりて挫けずその喧譁しきによりて臆せざるごとく 萬軍のヱホバくだりてシオンの山およびその岡にて戰ひ給ふべし 023 ISA 031 005 鳥の雛をまもるがごとく萬軍のヱホバはヱルサレムをまもりたまはん これを護りてこれをすくひ踰越てこれを援けたまはん 023 ISA 031 006 イスラエルの子輩よなんぢらさきには甚だしく主にそむけり 今たちかへるべし 023 ISA 031 007 なんぢらおのが手につくりて罪ををかしし白銀のぐうざう黄金の偶像をその日おのおのなげすてん 023 ISA 031 008 爰にアツスリヤびとは劍にてたふれん されど人のつるぎにあらず 劍かれらをほろぼさん されど世の人のつるぎにあらず かれら劍のまへより逃はしりその壯きものは役丁とならん 023 ISA 031 009 かれらの磐はおそれによりて逝去り その君たちは旗をみてくじけん こはヱホバの御言なり ヱホバの火はシオンにありヱホバの爐はヱルサレムにあり 023 ISA 032 001 茲にひとりの王あり 正義をもて統治め その君たちは公平をもて宰さどらん 023 ISA 032 002 また人ありて風のさけどころ暴雨ののがれどころとなり 旱ける地にある水のながれのごとく 倦つかれたる地にある大なる岩陰の如くならん 023 ISA 032 003 見るものの目はくらまず 聞ものの耳はかたぶけきくをうべし 023 ISA 032 004 躁がしきものの心はさとりて知識をえ 吃者の舌はすみやけくあざやかに語るをうべし 023 ISA 032 005 愚かなる者はふたたび尊貴とよばるることなく 狡猾なる者はふたたび大人とよばるることなかるべし 023 ISA 032 006 そは愚なるものは愚なることをかたり その心に不義をかもし邪曲をおこなひ ヱホバにむかひて妄なることをかたり 饑たる者のこころを空しくし渇けるものの飮料をつきはてしむ 023 ISA 032 007 狡猾なるものの用ゐる器はあしし 彼あしき企圖をまうけ虛僞のことばをもて苦しむ者をそこなひ 乏しき者のかたること正理なるも尚これを害へり 023 ISA 032 008 たふとき人はたふとき謀略をまうけ恒にたふとき事をおこなふ 023 ISA 032 009 安逸にをる婦等よおきてわが聲をきけ 思煩ひなき女等よわが言に耳を傾けよ 023 ISA 032 010 思煩ひなきをんなたちよ一年あまりの日をすぎて摺きあわてん そは葡萄の収穫むなしく果ををさむる期きたるまじければなり 023 ISA 032 011 やすらかにをる婦等よふるひおそれよ おもひわづらひなき者よをののきあわてよ 衣をぬぎ裸體になりて腰に麁服をまとへ 023 ISA 032 012 かれら良田のため實りゆたかなる葡萄の樹のために胸をうたん 023 ISA 032 013 棘と荊わが民の地にはえ 樂みの邑なるよろこびの家々にもはえん 023 ISA 032 014 そは殿はすてられ にぎはひたる邑はあれすたれ オペルと櫓とはとこしへに洞穴となり 野の驢馬のたのしむところ羊のむれの草はむところとなるべし 023 ISA 032 015 されど遂には靈うへより我儕にそそぎて 荒野はよき田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたらん 023 ISA 032 016 そのとき公平はあれのにすみ 正義はよき田にをらん 023 ISA 032 017 かくて正義のいさをは平和 せいぎのむすぶ果はとこしへの平隱とやすきなり 023 ISA 032 018 わが民はへいわの家にをり 思ひわづらひなき住所にをり 安らかなる休息所にをらん 023 ISA 032 019 されどまづ雹ふりて林くだけ邑もことごとくたふるべし 023 ISA 032 020 なんぢらもろもろの水のほとりに種をおろし 牛および驢馬の足をはなちおく者はさいはひなり 023 ISA 033 001 禍ひなるかななんぢ害はれざるに人をそこなひ 欺かれざるに人をあざむけり なんぢが害ふこと終らば汝そこなはれ なんぢが欺くことはてなば汝あざむかるべし 023 ISA 033 002 ヱホバよわれらを惠み給へわれらなんぢを俟望めり なんぢ朝ごとにわれらの臂となり また患難のときにわれらの救となりたまへ 023 ISA 033 003 なりとどろく聲によりてもろもろの民にげはしり なんぢの起たまふによりてもろもろの國はちりうせぬ 023 ISA 033 004 蟊賊のものをはみつくすがごとく人なんぢらの財をとり盡さん また蝗のとびつどふがごとく人なんぢらの財にとびつどふべし 023 ISA 033 005 ヱホバは最たかし高處にすみたまふなり ヱホバはシオンに公正と正義とを充せたまひたり 023 ISA 033 006 なんぢの代はかたくたち 救と智惠と知識とはゆたかにあらん ヱホバをおそるるは國の寳なり 023 ISA 033 007 視よかれらの勇士は外にありてさけび 和をもとむる使者はいたく哭く 023 ISA 033 008 大路あれすたれて旅客たえ 敵は契約をやぶり諸邑をなみし人をもののかずとせず 023 ISA 033 009 地はうれへおとろへ レバノンは恥らひて枯れ シヤロンはアラバの如くなり バシヤンとカルメルとはその葉をおとす 023 ISA 033 010 ヱホバ言給はく われ今おきん今たたん 今みづからを高くせん 023 ISA 033 011 なんぢらの孕むところは枇糠のごとく なんぢらの生ところは藁のごとし なんぢらの氣息は火となりてなんぢらを食ひつくさん 023 ISA 033 012 もろもろの民はやかれて灰のごとくなり 荊のきられて火にもやされたるが如くならん 023 ISA 033 013 なんぢら遠にあるものよ わが行ひしことをきけ なんぢら近にあるものよ わが能力をしれ 023 ISA 033 014 シオンの罪人はおそる 戰慄はよこしまなる者にのぞめり われらの中たれか燒つくす火に止ることを得んや 我儕のうち誰かとこしへに燒るなかに止るをえんや 023 ISA 033 015 義をおこなふもの直をかたるもの虐げてえたる利をいとひすつるもの手をふりて賄賂をとらざるもの 耳をふさぎて血をながす謀略をきかざるもの 目をとぢて惡をみざる者 023 ISA 033 016 かかる人はたかき處にすみ かたき磐はその櫓となり その糧はあたへられその水はともしきことなからん 023 ISA 033 017 なんぢの目はうるはしき狀なる王を見 とほくひろき國をみるべし 023 ISA 033 018 汝の心はかの懼しかりしことどもを思ひいでん 會計せし者はいづくにありや 貢をはかりし者はいづくにありや 櫓をかぞへし者はいづくにありや 023 ISA 033 019 汝ふたたび暴民をみざるべし かの民の言語はふかくして悟りがたくその舌は異にして解がたし 023 ISA 033 020 われらの節會の邑シオンを見よ なんぢの目はやすらかなる居所となれるヱルサレムを見ん ヱルサレムはうつさるることなき幕屋にして その杙はとこしへにぬかれず その繩は一すぢだに斷れざるなり 023 ISA 033 021 ヱホバ我らとともに彼處にいまして稜威をあらはし給はん 斯てそのところはひろき川ひろき流あるところとなりて その中には漕舟もいらず巨艦もすぐることなかるべし 023 ISA 033 022 ヱホバはわれらを鞫きたまふもの ヱホバはわれらに律法をたてたまひし者 ヱホバはわれらの王にましまして我儕をすくひ給ふべければなり 023 ISA 033 023 なんぢの船纜はとけたり その桅杆のもとを結びかたむることあたはず 帆をあぐることあたはず その時おほくの財をわかち跛者までも掠物あらん 023 ISA 033 024 かしこに住るものの中われ病りといふ者なし彼處にをる民の咎はゆるされん 023 ISA 034 001 もろもろの國よちかづきてきけ もろもろの民よ耳をかたぶけよ 地と地にみつるもの世界とせかいより出るすべての者きけ 023 ISA 034 002 ヱホバはよろづの國にむかひて怒り そのよろづの軍にむかひて忿恚り かれらをことごとく滅し かれらを屠らしめたまふ 023 ISA 034 003 かれらは殺されて抛棄られ その屍の臭氣たちのぼり山はその血にて融されん 023 ISA 034 004 天の萬象はきえうせ もろもろの天は書巻のごとくにまかれん その萬象のおつるは葡萄の葉のおつるがごとく無花果のかれたる葉のおつるが如くならん 023 ISA 034 005 わが劍は天にてうるほひたり 視よエドムの上にくだり滅亡に定めたる民のうへにくだりて之をさばかん 023 ISA 034 006 ヱホバの劍は血にてみち脂にてこえ小羊と山羊との血 牡羊の腎のあぶらにて肥ゆ ヱホバはボズラにて牲のけものをころしエドムの地にて大にほふることをなし給へり 023 ISA 034 007 その屠場には野牛 こうし 牡牛もともに下る そのくには血にてうるほされ その塵はあぶらにて肥さるべし 023 ISA 034 008 こはヱホバの仇をかへしたまふ日にしてシオンの訟のために報をなしたまふ年なり 023 ISA 034 009 エドムのもろもろの河はかはりて樹脂となり その塵はかはりて硫磺となり その土はかはりてもゆる樹脂となり 023 ISA 034 010 晝も夜もきえずその烟つくる期なく上騰らん かくて世々あれすたれ永遠までもその所をすぐる者なかるべし 023 ISA 034 011 鵜と刺猬とそこを己がものとなし鷺と鴉とそこにすまん ヱホバそのうへに亂をおこす繩をはり空虛をきたらする錘をさげ給ふべし 023 ISA 034 012 國をつぐべき者をたてんとて貴者ふたたび呼集ることをせじ もろもろの諸侯はみな失てなくなるべし 023 ISA 034 013 その殿にはことごとく荊はえ 城にはことごとく刺草と薊とはえ 野犬のすみか駝鳥の場とならん 023 ISA 034 014 野のけものと豺狼とここにあひ 牡山羊その友をよび 鴟鴞もまた宿りてここを安所とせん 023 ISA 034 015 蛇ここに穴をつくり卵をうみてこれを孚しおのれの影の下に子をあつむ 鳶もまたその偶とともに此處にあつまらん 023 ISA 034 016 なんぢらヱホバの書をつまびらかにたづねて讀べし これらのもの一つも缺ることなく又ひとつもその偶をかくものあらじ そはヱホバの口このことを命じ その靈これらを集めたまふべければなり 023 ISA 034 017 ヱホバこれらのものに鬮をひかせ手づから繩をもて量り この地をわけあたへて永くかれらに保たしめ 世々にいたるまでここに住しめたまはん 023 ISA 035 001 荒野とうるほひなき地とはたのしみ 沙漠はよろこびて番紅の花のごとくに咲かがやかん 023 ISA 035 002 盛に咲かがやきてよろこび且よろこび且うたひ レバノンの榮をえカルメルおよびシヤロンの美しきを得ん かれらはヱホバのさかえを見われらの神のうるはしきを見るべし 023 ISA 035 003 なんぢら萎たる手をつよくし弱りたる膝をすこやかにせよ 023 ISA 035 004 心さわがしきものに對ていへ なんぢら雄々しかれ懼るるなかれ なんぢらの神をみよ 刑罰きたり神の報きたらん 神きたりてなんぢらを救ひたまふべし 023 ISA 035 005 そのとき瞽者の目はひらけ聾者の耳はあくことを得べし 023 ISA 035 006 そのとき跛者は鹿の如くにとびはしり唖者の舌はうたうたはん そは荒野に水わきいで沙漠に川ながるべければなり 023 ISA 035 007 やけたる沙は池となり うるほひなき地はみづの源となり 野犬のふしたるすみかは蘆葦のしげりあふ所となるべし 023 ISA 035 008 かしこに大路あり そのみちは聖道ととなへられん 穢れたるものはこれを過ることあたはず ただ主の民のために備へらる これを歩むものはおろかなりとも迷ふことなし 023 ISA 035 009 かしこに獅をらず あらき獸もその路にのぼることなし 然ばそこにて之にあふ事なかるべし ただ贖はれたる者のみそこを歩まん 023 ISA 035 010 ヱホバに贖ひすくはれし者うたうたひつつ歸てシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただき樂とよろこびとをえん 而して悲哀となげきとは逃さるべし 023 ISA 036 001 ヒゼキヤ王の十四年にアツスリヤの王セナケリブ上りきたりてユダのもろもろの堅固なる邑をせめとれり 023 ISA 036 002 アツスリヤ王ラキシよりラブシヤケをヱルサレムに遣はし大軍をひきゐてヒゼキヤ王のもとに往しむ ラブシヤケ漂工の野のおほぢの傍なる上の池の樋にそひてたてり 023 ISA 036 003 この時ヒゼキヤの子なる家司エリアキム 書記セブナ、アサフの子なる史官ヨア出てこれを迎ふ 023 ISA 036 004 ラブシヤケかれらにいひけるは なんぢら今ヒゼキヤにいへ大王アツスリヤの王かくいへり なんぢの恃とするその恃むところは何なるか 023 ISA 036 005 我いふ なんぢが説ところの軍のはかりごととその能力とはただ口唇のことばのみ 今なんぢ誰によりたのみて我にさかふことをなすや 023 ISA 036 006 視よなんぢエジプトに依賴めり これ傷める葦の杖によりたのめるがごとし もし人これに倚もたれなばその手をつきさされん エジプト王パロがすべて己によりたのむものに對するは斯のごとし 023 ISA 036 007 汝われらはわれらの神ヱホバに依賴めりと我にいはんかそは曩にヒゼキヤが高きところと祭壇とをみな取去てユダとヱルサレムとにむかひ汝等ここなる一つの祭壇のまへにて拜すべしといへる夫ならずや 023 ISA 036 008 いま請わが君アツスリヤ王に賭をせよ われ汝に二千の馬を與ふべければ汝よりこれに乗ものをいだせ 果して出しうべしや 023 ISA 036 009 然ばいかで我君のいとちひさき僕の長一人をだに退くることを得んや なんぞエジプトによりたのみて戰車と騎兵とをえんとするや 023 ISA 036 010 いま我のぼりきたりてこの國をせめほろぼすはヱホバの旨にあらざるべけんや ヱホバわれにいひたまはく のぼりゆきてこの國をせめぼろぼせと 023 ISA 036 011 爰にエリアキムとセブナとヨアと共にラブシヤケにいひけるは請スリアの方言にて僕輩にかたれ我儕これをさとりうるなり石垣のうへなる民のきくところにてはユダヤの方言をもてわれらに語るなかれ 023 ISA 036 012 ラブシヤケいひけるは わが君はこれらのことをなんぢの君となんぢとにのみ語らんために我をつかはししならんや なんぢらと共におのが糞をくらひおのが溺をのまんとする石垣のうへに坐する人々にも我をつかはししならずや 023 ISA 036 013 斯てラブシヤケたちてユダヤの方言もて大聲によばはりいひけるは なんぢら大王アツスリヤ王のことばをきくべし 023 ISA 036 014 王かくのたまへり なんぢらヒゼキヤに惑はさるるなかれ 彼なんぢらを救ふことあたはず 023 ISA 036 015 ヒゼキヤがなんぢらをヱホバに賴しめんとする言にしたがふなかれ 彼いへらく ヱホバかならず我儕をすくひこの邑はアツスリヤ王の手にわたさるることなしと 023 ISA 036 016 ヒゼキヤに聽從ふなかれ アツスリヤ王かくのたまへり なんぢらわれと親和をなし出できたりて我にくだれ おのおのその葡萄とその無花果とをくらひ かのおのその井の水をのむことを得べし 023 ISA 036 017 遂には我きたりて汝等をほかの國にたづさへゆかん その國はなんぢの國のごとき國にして 穀物 ぶだう酒 パンおよび葡萄園あり 023 ISA 036 018 おそらくはをヒゼキヤなんぢらに説てヱホバわれらを救ふべしといはん 然どももろもろの國の神等のなかにその國をアツスリヤ王の手より救へる者ありしや 023 ISA 036 019 ハマテ、アルバデの神等いづこにありや セバルワイムの神等いづこにありや 又わが手よりサマリヤを救出しし神ありや 023 ISA 036 020 これらの國のもろもろの神のなかに誰かその國をわが手よりすくひいだしし者ありや さればヱホバも何でわが手よりヱルサレムを救ひいだし得んと 023 ISA 036 021 如此ありければ民は默して一言をもこたへざりき そは之にこたふるなかれとの王のおほせありつればなり 023 ISA 036 022 そのときヒルキヤの子なる家司エリアキム書記セブナおよびアサフの子なる史官ヨアころもを裂てヒゼキヤにゆき之にラブシヤケの言をつげたり 023 ISA 037 001 ヒゼキヤ王これをききてその衣をさき麁衣をまとひてヱホバの家にゆき 023 ISA 037 002 家司エリアキム書記セブナおよび祭司のなかの長老等をして皆あらたへをまとはせてアモツの子預言者イザヤのもとにゆかしむ 023 ISA 037 003 かれらイザヤにいひけるは ヒゼキヤ如此いへり けふは患難と責と辱かしめの日なり そは子うまれんとして之をうみいだすの力なし 023 ISA 037 004 なんぢの神ヱホバあるひはラブシヤケがもろもろの言をききたまはん 彼はその君アツスリヤ王につかはされて活る神をそしれり なんぢの神ヱホバその言をききて或はせめたまふならん されば請なんぢこの遺れるもののために祈禱をささげよと 023 ISA 037 005 かくてヒゼキヤ王の諸僕イザヤにいたる 023 ISA 037 006 イザヤかれらに言けるは なんぢらの君につげよ ヱホバ斯いひたまへり曰く アツスリヤ王のしもべら我をののしりけがせり なんぢらその聞しことばによりて懼るるなかれ 023 ISA 037 007 視よわれかれが意をうごかすべければ 一つの風聲をききておのが國にかへらん かれをその國にて劍にたふれしむべし 023 ISA 037 008 爰にラブシヤケはアツスリヤ王がラキシを離れさりしとききて歸りけるとき際しも王はリブナを攻をれり 023 ISA 037 009 このときエテオピアの王テルハカの事についてきけり云く かれいでて汝とたたかふべしと このことをききて使者をヒゼキヤに遣していふ 023 ISA 037 010 なんぢらユダの王ヒゼキヤにつげて如此いへ なんぢが賴める神なんぢを欺きてヱルサレムはアツスリヤ王の手にわたされじといふを聽ことなかれ 023 ISA 037 011 視よアツスリヤの王等もろもろの國にいかなることをおこなひ如何してこれを悉くほろぼししかを汝ききしならん されば汝すくはるることを得んや 023 ISA 037 012 わが先祖たちの滅ぼししゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルなるエデンの族など此等のくにぐにの神はその國をすくひたりしや 023 ISA 037 013 ハマテの王アルバデの王セバルワイムの都の王ヘナの王およびイワの王はいづこにありやと 023 ISA 037 014 ヒゼキヤつかひの手より書をうけて之を讀り しかしてヒゼキヤ、ヱホバの宮にのぼりゆきヱホバの前にこのふみを展ぶ 023 ISA 037 015 ヒゼキヤ、ヱホバに祈ていひけるは 023 ISA 037 016 ケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバ、イスラエルの神よ ただ汝のみ地のうへなるよろづの國の神なり なんぢは天地をつくりたまへり 023 ISA 037 017 ヱホバよ耳をかたむけて聽たまへ ヱホバよ目をひらきて視たまへ セナケリブ使者して活る神をそしらしめし言をことごとくききたまへ 023 ISA 037 018 ヱホバよ實にアツスリヤの王等はもろもろの國民とその地とをあらし毀ち 023 ISA 037 019 かれらの神たちを火になげいれたり これらのものは神にあらず 人の手の工にして あるひは木あるひは石なり 斯るがゆゑに滅ぼされたり 023 ISA 037 020 さればわれらの神ヱホバよ 今われらをアツスリヤ王の手より救ひいだして 地のもろもろの國にただ汝のみヱホバなることを知しめたまへ 023 ISA 037 021 ここにアモツの子イザヤ人をつかはしてヒゼキヤにいはせけるは イスラエルの神ヱホバかくいひたまふ 汝はアツスリヤ王セナケリブのことにつきて我にいのれり 023 ISA 037 022 ヱホバが彼のことにつきて語り給へるみことばは是なり いはくシオンの處女はなんぢを侮りなんぢをあざけり ヱルサレムの女子はなんぢの背後より頭をふれり 023 ISA 037 023 汝がそしりかつ罵れるものは誰ぞ なんぢが聲をあげ目をたかく向てさからひたるものはたれぞ イスラエルの聖者ならずや 023 ISA 037 024 なんぢその使者によりて主をそしりていふ 我はおほくの戰車をひきゐて山々のいただきに登りレバノンの奧にまでいりぬ 我はたけたかき香柏とうるはしき松樹とをきり またその境なるたかき處にゆき腴たる地の林にゆかん 023 ISA 037 025 我は井をほりて水をのみたり われは足跖をもてエジプトの河々をからさんと 023 ISA 037 026 なんぢ聞ずや これらのことはわが昔よりなす所 いにしへの日よりさだめし所なり 今なんぢがこの堅城をこぼちあらして石堆となすも亦わがきたらしし所なり 023 ISA 037 027 そのなかの民はちから弱くをののきて恥をいだき 野草のごとく靑き菜のごとく屋蓋の草のごとく未だそだたざる苗のごとし 023 ISA 037 028 我なんぢが居ること出入すること又われにむかひて怒りさけべることをしる 023 ISA 037 029 なんぢが我にむかひて怒りさけべると汝がほこれる言とわが耳にいりたれば我なんぢの鼻に環をはめ汝のくちびるに鑣をつけて汝がきたれる路よりかへらしめん 023 ISA 037 030 ヒゼキヤよ我がなんぢにたまふ徴はこれなり なんぢら今年は落穂より生たるものを食ひ 明年は糵生より出たるものを食はん 三年にあたりては種ことをなし收ことをなし 葡萄ぞのを作りてその果を食ふべし 023 ISA 037 031 ユダの家ののがれて遺れる者はふたたび下は根をはり上は果を結ぶべし 023 ISA 037 032 そは遺るものはヱルサレムよりいで脱るるものはシオンの山よりいづるなり 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし 023 ISA 037 033 この故にヱホバ、アツスリヤの王については如此いひたまふ 彼はこの城にいらず ここに箭をはなたず盾を城のまへにならべず 壘をきづきて攻ることなし 023 ISA 037 034 かれはそのきたりし道よりかへりてこの城にいらず 023 ISA 037 035 我おのれの故によりて僕ダビデの故によりて この城をまもり この城をすくはん これヱホバ宣給るなり 023 ISA 037 036 ヱホバの使者いできたりアツスリヤの陣營のなかにて十八萬五千人をうちころせり早晨におきいでて見ればみな死てかばねとなれり 023 ISA 037 037 アツスリヤ王セナケリブ起てかへりゆきニネベにとどまる 023 ISA 037 038 一日おのが神ニスロクのみやにて禮拜をなし居しにその子アデランメレクとシヤレゼルと劍をもて彼をころし而してアララテの地ににげゆけり かれが子エサルハドンつぎて王となりぬ 023 ISA 038 001 そのころヒゼキヤやみて死んとせしにアモツの子預言者イザヤきたりて彼にいふ ヱホバ如此いひたまはく なんぢ家に遺言をとどめよ 汝しにて活ることあたはざればなり 023 ISA 038 002 爰にヒゼキヤ面を壁にむけてヱホバに祈りいひけるは 023 ISA 038 003 ああヱホバよ 願くはわがなんぢの前に眞實をもて一心をもてあゆみ なんぢの目によきことを行ひたるをおもひいでたまへ 斯てヒゼキヤ甚くなきぬ 023 ISA 038 004 ヱホバの言イザヤにのぞみて曰く 023 ISA 038 005 なんぢ往てヒゼキヤにいへ なんぢの祖ダビデの神ヱホバかくいひ給はく 我なんぢの禱告をききなんぢの涙をみたり 我なんぢの齢を十五年ましくはへ 023 ISA 038 006 且なんぢとこの城とを救ひてアツスリヤわうの手をのがれしめん又われこの城をまもるべし 023 ISA 038 007 ヱホバ語りたまひたる此事を成たまふ證にこの徴をなんぢに賜ふ 023 ISA 038 008 視よわれアハズの日晷にすすみたる日影を十度しりぞかしめんといひければ乃ちひばかりにすすみたる日影十度しりぞきぬ 023 ISA 038 009 ユダの王ヒゼキヤ病にかかりてその病のいえしのち記しし書は左のごとし 023 ISA 038 010 我いへり わが齢ひの全盛のとき陰府の門にいりわが餘年をうしなはんと 023 ISA 038 011 我いへり われ再びヱホバを見奉ることあらじ再びいけるものの地にてヱホバを見奉ることあらじ われは無ものの中にいりてふたたび人を見ることあらじ 023 ISA 038 012 わが住所はうつされて牧人の幕屋をとりさるごとくに我をはなる わがいのちは織工の布をまきをはりて機より翦はなすごとくならん なんぢ朝夕のあひだに我をたえしめたまはん 023 ISA 038 013 われは天明におよぶまで己をおさへてしづめたり 主は獅のごとくに我もろもろの骨を碎きたまふ なんぢ朝夕の間にわれを絶しめたまはん 023 ISA 038 014 われは燕のごとく鶴のごとくに哀みなき鳩のごとくにうめき わが眼はうへを視ておとろふ ヱホバよわれは迫りくるしめらる 願くはわが中保となりたまへ 023 ISA 038 015 主はわれとものいひ且そのごとくみづから成たまへり われ何をいふべきか わが世にある間わが靈魂の苦しめる故によりて愼みてゆかん 023 ISA 038 016 主よこれらの事によりて人は活るなり わが靈魂のいのちも全くこれらの事によるなり 願くはわれを醫しわれを活したまへ 023 ISA 038 017 視よわれに甚しき艱苦をあたへたまへるは我に平安をえしめんがためなり 汝わがたましひを愛して滅亡の穴をまぬかれしめ給へり そはわが罪をことごとく背後にすてたまへり 023 ISA 038 018 陰府はなんぢに感謝せず 死はなんぢを讃美せず 墓にくだる者はなんぢの誠實をのぞまず 023 ISA 038 019 唯いけるもののみ活るものこそ汝にかんしやするなれ わが今日かんしやするが如し 父はなんぢの誠實をその子にしらしめん 023 ISA 038 020 ヱホバ我を救ひたまはん われら世にあらんかぎりヱホバのいへにて琴をひきわが歌をうたはん 023 ISA 038 021 イザヤいへらく無花果の一團をとりきたりて腫物のうへにつけよ 王かならずいえん 023 ISA 038 022 ヒゼキヤも亦いへらく わがヱホバの家にのぼることにつきては何の兆あらんか 023 ISA 039 001 そのころバラダンの子バビロン王メロダクバラダン、ヒゼキヤが病をうれへて愈しことをききければ書と禮物とをおくれり 023 ISA 039 002 ヒゼキヤその使者のきたるによりて喜びこれに財物 金銀 香料 たふとき油ををさめたる家およびすべての軍器ををさめたる家また庫のなかなる物をことごとく見す おほよそヒゼキヤのいへの裏にあるものと全國のうちにあるものと 見せざるものは一もあらざりき 023 ISA 039 003 ここに預言者イザヤ、ヒゼキヤ王のもとに來りていひけるは この人々はなにをいひしや何處よりなんぢのもとに來りしや ヒゼキヤ曰けるは かれらはとほき國よりバビロンより我にきたれり 023 ISA 039 004 イザヤいふ 彼等はなんぢの家にてなにを見たりしや ヒゼキヤ答ふ かれらはわが家にあるものを皆みたり又わが庫のなかにあるものは一つをもかれらに見せざるものなかりき 023 ISA 039 005 イザヤ、ヒゼキヤにいふ なんぢ萬軍のヱホバの言をきけ 023 ISA 039 006 みよ日きたらん なんぢの家のものなんぢの列祖がけふまで蓄へたるものは皆バビロンにたづさへゆかれて遺るもの一もなかるべし 是はヱホバのみことばなり 023 ISA 039 007 なんぢの身より生れいでん者もとらはれ寺人とせられてバビロン王の宮のうちにあらん 023 ISA 039 008 ヒゼキヤ、イザヤにいひけるは 汝がかたるヱホバのみことばは善し また云 わが世にあるほどは太平と眞理とあるべしと 023 ISA 040 001 なんぢらの神いひたまはく なぐさめよ汝等わが民をなぐさめよ 023 ISA 040 002 懇ろにヱルサレムに語り之によばはり告よ その服役の期すでに終り その咎すでに赦されたり そのもろもろの罪によりてヱホバの手よりうけしところは倍したりと 023 ISA 040 003 よばはるものの聲きこゆ云く なんぢら野にてヱホバの途をそなへ沙漠にわれらの神の大路をなほくせよと 023 ISA 040 004 もろもろの谷はたかくもろもろの山と岡とはひくくせられ 曲りたるはなほく崎嶇はたひらかにせらるべし 023 ISA 040 005 斯てヱホバの榮光あらはれ人みな共にこれを見ん こはヱホバの口より語りたまへるなり 023 ISA 040 006 聲きこゆ云く よばはれ答へていふ何とよばはるべきか いはく人はみな草なり その榮華はすべて野の花のごとし 023 ISA 040 007 草はかれ花はしぼむ ヱホバの息そのうへに吹ければなり 實に民はくさなり 023 ISA 040 008 草はかれ花はしぼむ 然どわれらの神のことばは永遠にたたん 023 ISA 040 009 よき音信をシオンにつたふる者よ なんぢ高山にのぼれ 嘉おとづれをヱルサレムにつたふる者よ なんぢ強く聲をあげよ こゑを揚ておそるるなかれ ユダのもろもろの邑につけよ なんぢらの神きたり給へりと 023 ISA 040 010 みよ主ヱホバ能力をもちて來りたまはん その臂は統治めたまはん 賞賜はその手にあり はたらきの値はその前にあり 023 ISA 040 011 主は牧者のごとくその群をやしなひ その臂にて小羊をいだき之をその懷中にいれてたづさへ乳をふくまする者をやはらかに導きたまはん 023 ISA 040 012 たれか掌心をもてもろもろの水をはかり指をのばして天をはかり また地の塵を量器にもり天秤をもてもろもろの山をはかり權衡をもてもろもろの岡をはかりしや 023 ISA 040 013 誰かヱホバの靈をみちびきその議士となりて敎しや 023 ISA 040 014 ヱホバは誰とともに議りたまひしや たれかヱホバを聰くしこれに公平の道をまなばせ知識をあたへ明通のみちを示したりしや 023 ISA 040 015 視よもろもろの國民は桶のひとしづくのごとく 權衡のちりのごとくに思ひたまふ島々はたちのぼる塵埃のごとし 023 ISA 040 016 レバノンは柴にたらずそのなかの獸は燔祭にたらず 023 ISA 040 017 ヱホバの前にはもろもろの國民みななきにひとし ヱホバはかれらを無もののごとく空きもののごとく思ひたまふ 023 ISA 040 018 然ばなんぢら誰をもて神にくらべ いかなる肖像をもて神にたぐふか 023 ISA 040 019 偶像はたくみ鑄てつくり 金工こがねをもて之をおほひ白銀をもて之がために鏈をつくれり 023 ISA 040 020 かかる寳物をそなへえざる貧しきものは朽まじき木をえらみ良匠をもとめてうごくことなき像をたたしむ 023 ISA 040 021 なんぢら知ざるか なんぢら聞ざるか 始よりなんぢらに傳へざりしか なんぢらは地の基をおきしときより悟らざりしか 023 ISA 040 022 ヱホバは地のはるか上にすわり地にすむものを蝗のごとく視たまふ おほぞらを薄絹のごとく布き これを住ふべき幕屋のごとくはり給ふ 023 ISA 040 023 又もろもろの君をなくならしめ地の審士をむなしくせしむ 023 ISA 040 024 かれらは僅かに植られ僅かに播れ その幹わづかに地に根ざししに 神そのうへを吹たまへば即ちかれて藁のごとく暴風にまきさらるべし 023 ISA 040 025 聖者いひ給はく さらばなんぢら誰をもて我にくらべ我にたぐふか 023 ISA 040 026 なんぢら眼をあげて高をみよ たれか此等のものを創造せしやをおもへ 主は數をしらべてその萬象をひきいだしおのおのの名をよびたまふ 主のいきほひ大なり その力のつよきがゆゑに一も缺ることなし 023 ISA 040 027 ヤコブよなんぢ何故にわが途はヱホバにかくれたりといふや イスラエルよ汝なにゆゑにわが訟はわが神の前をすぎされりとかたるや 023 ISA 040 028 汝しらざるか聞ざるかヱホバはとこしへの神地のはての創造者にして倦たまふことなく また疲れたまふことなく その聰明こと測りがたし 023 ISA 040 029 疲れたるものには力をあたへ勢力なきものには強きをまし加へたまふ 023 ISA 040 030 年少きものもつかれてうみ壯んなるものも衰へおとろふ 023 ISA 040 031 然はあれどヱホバを俟望むものは新なる力をえん また鷲のごとく翼をはりてのぼらん 走れどもつかれず歩めども倦ざるべし 023 ISA 041 001 もろもろの島よわがまへに默せ もろもろの民よあらたなる力をえて近づききたれ 而して語れ われら寄集ひて諭らはん 023 ISA 041 002 たれか東より人をおこししや われは公義をもて之をわが足下に召し その前にもろもろの國を服せしめ また之にもろもろの王ををさめしめ かれらの劍をちりのごとくかれらの弓をふきさらるる藁のごとくならしむ 023 ISA 041 003 斯て彼はこれらのものを追 その足いまだ行ざる道をやすらかに過ゆけり 023 ISA 041 004 このことは誰がおこなひしや たが成しや たが太初より世々の人をよびいだししや われヱホバなり 我ははじめなり終なり 023 ISA 041 005 もろもろの島はこれを見ておそれ地の極はをののきて寄集ひきたれり 023 ISA 041 006 かれら互にその隣をたすけ その兄弟にいひけるは なんぢ雄々しかれ 023 ISA 041 007 木匠は鐵工をはげまし鎚をもて平らぐるものは鐵碪をうつものを勵ましていふ 接合せいとよしと また釘をもて堅うして搖くことなからしむ 023 ISA 041 008 然どわが僕イスラエルよ わが選めるヤコブわが友アブラハムの裔よ 023 ISA 041 009 われ地のはてより汝をたづさへきたり地のはしよりなんぢを召 かくて汝にいへり 汝はわが僕われ汝をえらみて棄ざりきと 023 ISA 041 010 おそるるなかれ 我なんぢとともにあり 驚くなかれ我なんぢの神なり われなんぢを強くせん 誠になんぢを助けん 誠にわがただしき右手なんぢを支へん 023 ISA 041 011 視よなんぢにむかひて怒るものはみな恥をえて惶てふためかん なんぢと爭ふものは無もののごとくなりて滅亡せん 023 ISA 041 012 なんぢ尋ぬるとも汝とたたかふ人々にあはざるべし 汝といくさする者はなきものの如くなりて虚しくなるべし 023 ISA 041 013 そは我ヱホバなんぢの神はなんぢの右手をとりて汝にいふ 懼るるなかれ我なんぢを助けんと 023 ISA 041 014 またヱホバ宣給ふ なんぢ虫にひとしきヤコブよイスラエルの人よ おそるるなかれ我なんぢをたすけん汝をあがなふものはイスラエルの聖者なり 023 ISA 041 015 視よわれ汝をおほくの鋭歯ある新しき打麥の器となさん なんぢ山をうちて細微にし岡を粃糠のごとくにすべし 023 ISA 041 016 なんぢ簸げば風これを巻さり 狂風これを吹ちらさん 汝はヱホバによりて喜びイスラエルの聖者によりて誇らん 023 ISA 041 017 貧しきものと乏しきものと水を求めて水なくその舌かわきて衰ふるとき われヱホバ聽てこたへん 我イスラエルの神かれらを棄ざるなり 023 ISA 041 018 われ河をかぶろの山にひらき泉を谷のなかにいだし また荒野を池となし乾ける地を水の源と變ん 023 ISA 041 019 我あれのに香柏 合歎樹 もちの樹 および油の樹をうゑ沙漠に松 杉 及び黄楊をともに置ん 023 ISA 041 020 かくて彼等これを見てヱホバの手の作たまふところイスラエルの聖者の造り給ふ所なるをしり且こころをとめ且ともどもにさとらん 023 ISA 041 021 ヱホバ言給く なんぢらの道理をとり出せ ヤコブの王いひたまはく 汝等のかたき證をもちきたれ 023 ISA 041 022 これを持來りてわれらに後ならんとする事をしめせ そのいやさきに成るべきことを示せ われら心をとめてその終をしらん 或はきたらんとする事をわれらに聞すべし 023 ISA 041 023 なんぢら後ならんとすることをしめせ我儕なんぢらが神なることを知らん なんぢら或はさいはひし或はわざはひせよ 我儕ともに見ておどろかん 023 ISA 041 024 視よなんぢらは無もののごとし なんぢらの事はむなし なんぢらを撰ぶものは憎むべきものなり 023 ISA 041 025 われ一人を起して北よりきたらせ我が名をよぶものを東よりきたらしむ 彼きたりもろもろの長をふみて泥のごとくにし陶工のつちくれを踐がごとくにせん 023 ISA 041 026 たれか初よりこれらの事をわれらに告てしらしめたりや たれか上古よりわれらに告てこは是なりといはしめたりや 一人だに告るものなし一人だに聞するものなし 一人だになんぢらの言をきくものなし 023 ISA 041 027 われ豫じめシオンにいはん なんぢ視よ かれらを見よと われ又よきおとづれを告るものをヱルサレムに予へん 023 ISA 041 028 われ見るに一人だになし かれらのなかに謀略をまうくるもの一人だになし 我かれらに問どこたふるもの一人だになし 023 ISA 041 029 かれらの爲はみな徒然にして無もののごとし その偶像は風なりまた空しきなり 023 ISA 042 001 わが扶くるわが僕わが心よろこぶわが撰人をみよ 我わが靈をかれにあたへたり かれ異邦人に道をしめすべし 023 ISA 042 002 かれは叫ぶことなく聲をあぐることなくその聲を街頭にきこえしめず 023 ISA 042 003 また傷める蘆ををることなくほのくらき燈火をけすことなく 眞理をもて道をしめさん 023 ISA 042 004 かれは衰へず喪膽せずして道を地にたてをはらん もろもろの島はその法言をまちのぞむべし 023 ISA 042 005 天をつくりてこれをのべ 地とそのうへの產物とをひらき そのうへの民に息をあたへ その中をあゆむものに靈をあたへたまふ神ヱホバかく言給ふ 023 ISA 042 006 云くわれヱホバ公義をもてなんぢを召たり われなんぢの手をとり汝をまもり なんぢを民の契約とし異邦人のひかりとなし 023 ISA 042 007 而して瞽の目を開き俘囚を獄よりいだし 暗にすめるものを檻のうちより出さしめん 023 ISA 042 008 われはヱホバなり是わが名なり 我はわが榮光をほかの者にあたへず わがほまれを偶像にあたへざるなり 023 ISA 042 009 さきに預言せるところはや成れり 我また新しきことをつげん 事いまだ兆さざるさきに我まづなんぢらに聞せんと 023 ISA 042 010 海にうかぶもの 海のなかに充るもの もろもろの島およびその民よ ヱホバにむかひて新しき歌をうたひ 地の極よりその頌美をたたへまつれ 023 ISA 042 011 荒野とその中のもろもろの邑とケダル人のすめるもろもろの村里はこゑをあげよ セラの民はうたひて山のいただきよりよばはれ 023 ISA 042 012 榮光をヱホバにかうぶらせ その頌美をもろもろの島にて語りつげよ 023 ISA 042 013 ヱホバ勇士のごとく出たまふ また戰士のごとく熱心をおこし 聲をあげてよばはり大能をあらはして仇をせめ給はん 023 ISA 042 014 われ久しく聲をいださず默して己をおさへたり 今われ子をうまんとする婦人のごとく叫ばん 我いきづかしくかつ喘がん 023 ISA 042 015 われ山と岡とをあらし且すべてその上の木草をからし もろもろの河を島としもろもろの池を涸さん 023 ISA 042 016 われ瞽者をその未だしらざる大路にゆかしめ その未だしらざる徑をふましめ 暗をその前に光となし 曲れるをその前になほくすべし 我これらの事をおこなひて彼らをすてじ 023 ISA 042 017 刻みたる偶像にたのみ鑄たる偶像にむかひて汝等はわれらの神なりといふものは退けられて大に恥をうけん 023 ISA 042 018 聾者よきけ 瞽者よ眼をそそぎてみよ 023 ISA 042 019 瞽者はたれぞ わが僕にあらずや 誰かわがつかはせる使者の如き瞽者あらんや 誰かわが友の如きめしひあらんや 誰かヱホバの僕のごときめしひあらんや 023 ISA 042 020 汝おほくのことを見れども顧みず 耳をひらけども聞ざるなり 023 ISA 042 021 ヱホバおのれ義なるがゆゑに大にしてたふとき律法をたまふをよろこび給へり 023 ISA 042 022 然るにこの民はかすめられ奪はれて みな穴中にとらはれ獄のなかに閉こめらる 斯てその掠めらるるを助くる者なく その奪はれたるを償へといふ者なし 023 ISA 042 023 なんぢらのうち誰かこのことに耳をかたぶけん たれか心をもちゐて後のために之をきかん 023 ISA 042 024 ヤコブを奪はせしものは誰ぞ かすむる者にイスラエルをわたしし者はたれぞ 是ヱホバにあらずや われらヱホバに罪ををかし その道をあゆまず その律法にしたがふことを好まざりき 023 ISA 042 025 この故にヱホバ烈しき怒をかたぶけ 猛きいくさをきたらせ その烈しきこと火の如く四圍にもゆれども彼しらず その身に焚せまれども心におかざりき 023 ISA 043 001 ヤコブよなんぢを創造せるヱホバいま如此いひ給ふ イスラエルよ汝をつくれるもの今かく言給ふ おそるるなかれ我なんぢを贖へり 我なんぢの名をよべり汝はわが有なり 023 ISA 043 002 なんぢ水中をすぐるときは我ともにあらん河のなかを過るときは水なんぢの上にあふれじ なんぢ火中をゆくとき焚るることなく火焰もまた燃つかじ 023 ISA 043 003 我はヱホバなんぢの神イスラエルの聖者 なんぢの救主なり われエジプトを予えてなんぢの贖代となし エテオピアとセバとをなんぢに代ふ 023 ISA 043 004 われ看てなんぢを寶とし尊きものとして亦なんぢを愛す この故にわれ人をもてなんぢにかへ 民をなんぢの命にかへん 023 ISA 043 005 懼るるなかれ我なんぢとともにあり 我なんぢの裔を東よりきたらせ西より汝をあつむべし 023 ISA 043 006 われ北にむかひて釋せといひ南にむかひて留るなかれといはん わが子輩を遠きよりきたらせ わが女らを地の極よりきたらせよ 023 ISA 043 007 すべてわが名をもて稱へらるる者をきたらせよ 我かれらをわが榮光のために創造せり われ曩にこれを造りかつ成をはれり 023 ISA 043 008 目あれども瞽者のごとく耳あれど聾者のごとき民をたづさへ出よ 023 ISA 043 009 國々はみな相集ひもろもろの民はあつまるべし 彼等のうち誰かいやさきに成るべきことをつげ之をわれらに聞することを得んや その證人をいだして己の是なるをあらはすべし 彼等ききて此はまことなりといはん 023 ISA 043 010 ヱホバ宣給くなんぢらはわが證人わがえらみし僕なり 然ばなんぢら知てわれを信じわが主なるをさとりうべし 我よりまへにつくられし神なく我よりのちにもあることなからん 023 ISA 043 011 ただ我のみ我はヱホバなり われの外にすくふ者あることなし 023 ISA 043 012 われ前につげまた救をほどこし また此事をきかせたり 汝等のうちには他神なかりき なんぢらはわが證人なり 我は神なり これヱホバ宣給るなり 023 ISA 043 013 今よりわれは主なりわが手より救ひいだし得るものなし われ行はば誰かとどむることを得んや 023 ISA 043 014 なんぢらを贖ふものイスラエルの聖者ヱホバかく言たまふ なんぢらの爲にわれ人をバビロンにつかはし彼處にあるカルデヤ人をことごとく下らせ その宴樂の船にのりてのがれしむ 023 ISA 043 015 われはヱホバなんぢらの聖者イスラエルを創造せしもの又なんぢらの王なり 023 ISA 043 016 ヱホバは海のなかに大路をまうけ大なる水のなかに徑をつくり 023 ISA 043 017 戰車および馬 軍兵 武士をいできたらせ ことごとく仆れて起ることあたはず 皆ほろびて燈火のきえうするが如くならしめ給へり 023 ISA 043 018 ヱホバ言給く なんぢら往昔のことを思ひいづるなかれ また上古のことをかんがふるなかれ 023 ISA 043 019 視よわれ新しき事をなさん頓ておこるべし なんぢら知ざるべけんや われ荒野に道をまうけ沙漠に河をつくらん 023 ISA 043 020 野の獸われを崇むべし 野犬および駝鳥もまた然り われ水を荒野にいだし河を沙漠にまうけてわが民わがえらびたる者にのましむべければなり 023 ISA 043 021 この民はわが頌美をのべしめんとて我おのれのために造れるなり 023 ISA 043 022 然るにヤコブよ汝われを呼たのまざりき イスラエルよ汝われを厭ひたり 023 ISA 043 023 なんぢ燔祭のひつじを我にもちきたらず犠牲をもて我をあがめざりき われ汝にそなへものの荷をおはせざりき また乳香をもて汝をわづらはせざりき 023 ISA 043 024 なんぢは銀貨をもて我がために菖蒲をかはず 犠牲のあぶらをもて我をあかしめず 反てなんぢの罪の荷をわれに負せ なんぢの邪曲にて我をわづらはせたり 023 ISA 043 025 われこそ我みづからの故によりてなんぢの咎をけし汝のつみを心にとめざるなれ 023 ISA 043 026 なんぢその是なるをあらはさんがために己が事をのべて我に記念せしめよ われら相共にあげつらふべし 023 ISA 043 027 なんぢの遠祖つみををかし汝のをしへの師われにそむけり 023 ISA 043 028 この故にわれ聖所の長たちを汚さしめヤコブを詛はしめイスラエルをののしらしめん 023 ISA 044 001 されどわが僕ヤコブよわが撰みたるイスラエルよ今きけ 023 ISA 044 002 なんぢを創造し なんぢを胎内につくり又なんぢを助くるヱホバ如此いひたまふ わがしもベヤコブよわが撰みたるヱシュルンよおそるるなかれ 023 ISA 044 003 われ渇けるものに水をそそぎ乾たる地に流をそそぎ わが靈をなんぢの子輩にそそぎ わが恩惠をなんぢの裔にあたふべければなり 023 ISA 044 004 斯てかれらは草のなかにて川のほとりの柳のごとく生そだつべし 023 ISA 044 005 ある人はいふ我はヱホバのものなりと ある人はヤコブの名をとなへん ある人はヱホバの有なりと手にしるしてイスラエルの名をなのらん 023 ISA 044 006 ヱホバ、イスラエルの王イスラエルをあがなふもの萬軍のヱホバ如此いひたまふ われは始なりわれは終なり われの外に神あることなし 023 ISA 044 007 我いにしへの民をまうけしより以來 たれかわれのごとく後事をしめし又つげ又わが前にいひつらねんや 試みに成んとすること來らんとすることを告よ 023 ISA 044 008 なんぢら懼るるなかれ慴くなかれ 我いにしへより聞せたるにあらずや告しにあらずや なんぢらはわが證人なり われのほか神あらんや 我のほかには磐あらず われその一つだに知ことなし 023 ISA 044 009 偶像をつくる者はみな空しく かれらが慕ふところのものは益なし その證を見るものは見ことなく知ことなし 斯るがゆゑに恥をうくべし 023 ISA 044 010 たれか神をつくり又えきなき偶像を鑄たりしや 023 ISA 044 011 視よその伴侶はみなはぢん その匠工らは人なり かれら皆あつまりて立ときはおそれてもろともに恥るなるべし 023 ISA 044 012 鐵匠は斧をつくるに炭の火をもてこれをやき鎚もてこれを鍛へつよき碗をもてこれをうちかたむ 饑れば力おとろへ水をのまざればつかれはつべし 023 ISA 044 013 木匠はすみなはをひきはり朱にてゑがき鐁にてけづり文回をもて畫き 之を人の形にかたどり人の美しき容にしたがひて造り 而して家のうちに安置す 023 ISA 044 014 あるひは香柏をきりあるひは槲をとり あるひは橿をとり 或ははやしの樹のなかにて一をえらび あるひは杉をうゑ雨をえて長たしむ 023 ISA 044 015 而して人これを薪となし之をもておのが身をあたため又これを燃してパンをやき又これを神につくりてをがみ偶像につくりてその前にひれふす 023 ISA 044 016 その半は火にもやしその半は肉をにて食ひ あるひは肉をあぶりてくひあき また身をあたためていふ ああ我あたたまれり われ熱きをおぼゆ 023 ISA 044 017 斯てその餘をもて神につくり偶像につくりてその前にひれふし之ををがみ之にいのりていふ なんぢは吾神なり我をすくへと 023 ISA 044 018 これらの人は知ことなく悟ることなし その眼ふさがりて見えず その心とぢてあきらかならず 023 ISA 044 019 心のうちに思ふことをせず智識なく明悟なきがゆゑに我そのなかばを火にもやしその炭火のうへにパンをやき肉をあぶりて食ひ その木のあまりをもて我いかで憎むべきものを作るべけんや 我いかで木のはしくれに俯伏すことをせんやといふ者もなし 023 ISA 044 020 かかる人は灰をくらひ 迷へる心にまどはされて己がたましひを救ふあたはず またわが右手にいつはりあるにあらずやとおもはざるなり 023 ISA 044 021 ヤコブよ イスラエルよ 此等のことを心にとめよ 汝はわが僕なり 我なんぢを造れり なんぢわが僕なり イスラエルよ我はなんぢを忘れじ 023 ISA 044 022 我なんぢの愆を雲のごとくに消し なんぢの罪を霧のごとくにちらせり なんぢ我にかへれ我なんぢを贖ひたればなり 023 ISA 044 023 天よ うたうたへヱホバこのことを成たまへり 下なる地よよばはれ もろもろの山よ林およびその中のもろもろの木よ こゑを發ちてうたふべし ヱホバはヤコブを贖へり イスラエルのうちに榮光をあらはし給はん 023 ISA 044 024 なんぢを贖ひなんぢを胎内につくれるヱホバかく言たまふ 我はヱホバなり我よろづのものを創造し ただ我のみ天をのべ みづから地をひらき 023 ISA 044 025 いつはるものの豫兆をむなしくし卜者をくるはせ智者をうしろに退けてその知識をおろかならしむ 023 ISA 044 026 われわが僕のことばを遂しめ わが使者のはかりごとを成しめ ヱルサレムについては民また住はんといひ ユダのもろもろの邑については重ねて建らるべし我その荒廢たるところを舊にかへさんといふ 023 ISA 044 027 また淵に命ず かわけ我なんぢのもろもろの川をほさんと 023 ISA 044 028 又クロスについては彼はわが牧者すべてわが好むところを成しむる者なりといひ ヱルサレムについてはかさねて建られその宮の基すゑられんといふ 023 ISA 045 001 われヱホバわが受膏者クロスの右手をとりてもろもろの國をそのまへに降らしめ もろもろの王の腰をとき扉をその前にひらかせて門をとづるものなからしめん 023 ISA 045 002 われ汝のまへにゆきて崎嶇をたひらかにし 銅の門をこぼち くろがねの關木をたちきるべし 023 ISA 045 003 われなんぢに暗ところの財貨とひそかなるところに藏せるたからとを予へ なんぢに我はヱホバなんぢの名をよべるイスラエルの神なるを知しめん 023 ISA 045 004 わが僕ヤコブわが撰みたるイスラエルのために我なんぢの名をよべり 汝われを知ずといへどわれ名をなんぢに賜ひたり 023 ISA 045 005 われはヱホバなり 我のほかに神なし 一人もなし 汝われをしらずといへども我なんぢを固うせん 023 ISA 045 006 而して日のいづるところより西のかたまで人々我のほかに神なしと知べし 我はヱホバなり他にひとりもなし 023 ISA 045 007 われは光をつくり又くらきを創造す われは平和をつくりまた禍害をさうざうす 我はヱホバなり 我すべてこれらの事をなすなり 023 ISA 045 008 天ようへより滴らすべし 雲よ義をふらすべし 地はひらけて救を生じ義をもともに萌いだすべし われヱホバ之を創造せり 023 ISA 045 009 世人はすゑものの中のひとつの陶器なるに己をつくれる者とあらそふはわざはひなるかな 泥塊はすゑものつくりにむかひて汝なにを作るかといふべけんや 又なんぢの造りたる者なんぢを手なしといふべけんや 023 ISA 045 010 父にむかひて汝なにゆゑに生むことをせしやといひ 婦にむかひて汝なにゆゑに產のくるしみをなししやといふ者はわざはひなるかな 023 ISA 045 011 ヱホバ、イスラエルの聖者イスラエルを造れるもの如此いひたまふ 後きたらんとすることを我にとへ またわが子女とわが手の工とにつきて汝等われに言せよ 023 ISA 045 012 われ地をつくりてそのうへに人を創造せり われ自らの手をもて天をのべ その萬象をさだめたり 023 ISA 045 013 われ義をもて彼のクロスを起せり われそのすべての道をなほくせん 彼はわが邑をたてわが俘囚を價のためならず報のためならずして釋すべし これ萬軍のヱホバの聖言なり 023 ISA 045 014 ヱホバ如此いひたまふ エジプトがはたらきて得しものとエテオピアがあきなひて得しものとはなんぢの有とならん また身のたけ高きセバ人きたりくだりて汝にしたがひ繩につながれて降り なんぢのまへに伏しなんぢに祈りていはん まことに神はなんぢの中にいませり このほかに神なし一人もなしと 023 ISA 045 015 救をほどこし給ふイスラエルの神よ まことに汝はかくれています神なり 023 ISA 045 016 偶像をつくる者はみな恥をいだき辱かしめをうけ諸共にはぢあわてて退かん 023 ISA 045 017 されどイスラエルはヱホバにすくはれて永遠の救をえん なんぢらは世々かぎりなく恥をいだかず辱かしめをうけじ 023 ISA 045 018 ヱホバは天を創造したまへる者にしてすなはち神なり また地をもつくり成てこれを堅くし徒然にこれを創造し給はず これを人の住所につくり給へり ヱホバかく宣給ふ われはヱホバなり我のほかに神あることなしと 023 ISA 045 019 われは隱れたるところ地のくらき所にてかたらず 我はヤコブの裔になんぢらが我をたづぬるは徒然なりといはず 我ヱホバはただしき事をかたり直きことを告ぐ 023 ISA 045 020 汝等もろもろの國より脱れきたれる者よ つどひあつまり共にすすみききたれ 木の像をになひ救ふことあたはざる神にいのりするものは無智なるなり 023 ISA 045 021 なんぢらその道理をもちきたりて述よ また共にはかれ 此事をたれか上古より示したりや 誰かむかしより告たりしや 此はわれヱホバならずや 我のほかに神あることなし われは義をおこなひ救をほどこす神にして我のほかに神あることなし 023 ISA 045 022 地の極なるもろもろの人よ なんぢら我をあふぎのぞめ然ばすくはれん われは神にして他に神なければなり 023 ISA 045 023 われは己をさして誓ひたり この言はただしき口よりいでたれば反ることなし すべての膝はわがまへに屈み すべての舌はわれに誓をたてん 023 ISA 045 024 人われに就ていはん正義と力とはヱホバにのみありと 人々ヱホバにきたらん すべてヱホバにむかひて怒るものは恥をいだくべし 023 ISA 045 025 イスラエルの裔はヱホバによりて義とせられ且ほこらん 023 ISA 046 001 ベルは伏しネボは屈む かれらの像はけものと家畜とのうへにあり なんぢらが擡げあるきしものは荷となりて疲れおとろへたるけものの負ところとなりぬ 023 ISA 046 002 かれらは屈みかれらは共にふし その荷となれる者をすくふこと能はずして己とらはれゆく 023 ISA 046 003 ヤコブの家よイスラエルのいへの遺れるものよ 腹をいでしより我におはれ胎をいでしより我にもたげられしものよ 皆われにきくべし 023 ISA 046 004 なんぢらの年老るまで我はかはらず白髮となるまで我なんぢらを負ん 我つくりたれば擡ぐべし我また負ひかつ救はん 023 ISA 046 005 なんぢら我をたれに比べ たれに配ひ たれに擬らへ かつ相くらぶべきか 023 ISA 046 006 人々ふくろより黄金をかたぶけいだし權衡をもて白銀をはかり金工をやとひてこれを神につくらせ之にひれふして拜む 023 ISA 046 007 彼等はこれをもたげて肩にのせ 負ひゆきてその處に安置す すなはち立てその處をはなれず 人これにむかひて呼はれども答ふること能はず 又これをすくひて苦難のうちより出すことあたはず 023 ISA 046 008 なんぢら此事をおもひいでて堅くたつべし 悖逆者よこのことを心にとめよ 023 ISA 046 009 汝等いにしへより以來のことをおもひいでよ われは神なり我のほかに神なし われは神なり我のごとき者なし 023 ISA 046 010 われは終のことを始よりつげ いまだ成ざることを昔よりつげ わが謀畧はかならず立つといひ すべて我がよろこぶことを成んといへり 023 ISA 046 011 われ東より鷲をまねき遠國よりわが定めおける人をまねかん 我このことを語りたれば必らず來らすべし 我このことを謀りたればかならず成すべし 023 ISA 046 012 なんぢら心かたくなにして義にとほざかるものよ我にきけ 023 ISA 046 013 われわが義をちかづかしむ可ればその來ること遠からず わが救おそからず 我すくひをシオンにあたへ わが榮光をイスラエルにあたへん 023 ISA 047 001 バビロンの處女よ くだりて塵のなかにすわれ カルデヤ人のむすめよ座にすわらずして地にすわれ 汝ふたたび婀娜にして嬌なりととなへらるることなからん 023 ISA 047 002 礱をとりて粉をひけ 面帕をとりさり袿をぬぎ髓をあらはして河をわたれ 023 ISA 047 003 なんぢの肌はあらはれなんぢの恥はみゆべし われ仇をむくいて人をかへりみず 023 ISA 047 004 われらを贖ひたまふ者はその名を萬軍のヱホバ、イスラエルの聖者といふ 023 ISA 047 005 カルデヤ人のむすめよ なんぢ口をつぐみてすわれ 又くらき所にいりてをれ 汝ふたたびもろもろの國の主母ととなへらるることなからん 023 ISA 047 006 われわが民をいきどほりわが產業をけがして之をなんぢの手にあたへたり 汝これに憐憫をほどこさず年老たるもののうへに甚だおもき軛をおきたり 023 ISA 047 007 汝いへらく我とこしへに主母たらんと 斯てこれらのことを心にとめず亦その終をおもはざりき 023 ISA 047 008 なんぢ歡樂にふけり安らかにをり 心のうちにただ我のみにして我のほかに誰もなく我はやもめとなりてをらず また子をうしなふことを知まじとおもへる者よなんぢ今きけ 023 ISA 047 009 子をうしなひ寡婦となるこの二つのこと一日のうちに俄になんぢに來らん汝おほく魔術をおこなひひろく呪詛をほどこすと雖もみちみちて汝にきたるべし 023 ISA 047 010 汝おのれの惡によりたのみていふ 我をみるものなしと なんぢの智慧となんぢの聰明とはなんぢを惑せたり なんぢ心のうちにおもへらくただ我のみにして我のほかに誰もなしと 023 ISA 047 011 この故にわざはひ汝にきたらん なんぢ呪ひてこれを除くことをしらず 艱難なんぢに落きたらん 汝これをはらふこと能はず なんぢの思ひよらざる荒廢にはかに汝にきたるべし 023 ISA 047 012 今なんぢわかきときより勤めおこなひたる呪詛とおほくの魔術とをもて立むかふべしあるひは益をうることあらん あるひは敵をおそれしむることあらん 023 ISA 047 013 なんぢは謀畧おほきによりて倦つかれたり かの天をうらなふもの星をみるもの新月をうらなふ者もし能はば いざたちて汝をきたらんとする事よりまぬかれしむることをせよ 023 ISA 047 014 彼らは藁のごとくなりて火にやかれん おのれの身をほのほの勢力よりすくひいだすこと能はず その火は身をあたたむべき炭火にあらず又その前にすわるべき火にもあらず 023 ISA 047 015 汝がつとめて行ひたる事は終にかくのごとくならん 汝のわかきときより汝とうりかひしたる者おのおのその所にさすらひゆきて一人だになんぢを救ふものなかるべし 023 ISA 048 001 ヤコブの家よなんぢら之をきけ 汝らはイスラエルの名をもて稱へられ ユダの根源よりいでヱホバの名によりて誓ひイスラエルの神をかたりつぐれども 眞實をもてせず正義をもてせざるなり 023 ISA 048 002 かれらはみづから聖京のものととなへイスラエルの神によりたのめり その名は萬軍のヱホバといふ 023 ISA 048 003 われ今よりさきに成しことを旣にいにしへより告たり われ口よりいだして旣にのべつたへたり 我にはかにこの事をおこなひ而して成ぬ 023 ISA 048 004 われ汝がかたくなにして項の筋はくろがねその額はあかがねなるを知れり 023 ISA 048 005 このゆゑに我はやくよりかの事をなんぢにつげ その成ざるさきに之をなんぢに聞しめたり 恐くはなんぢ云ん わが偶像これを成せり刻みたるざう鑄たる像これを命じたりと 023 ISA 048 006 なんぢ旣にきけり 凡てこれを視よ 汝ら之をのべつたへざるか われ今より新なる事なんぢが未だしらざりし秘事をなんぢに示さん 023 ISA 048 007 これらの事はいま創造せられしにて上古よりありしにあらず この日よりさきに汝これを聞ざりき 然らずば汝いはん視よわれこれを知れりと 023 ISA 048 008 汝これを聞こともなく知こともなく なんぢの耳はいにしへより開けざりき 我なんぢが欺きあざむきて生れながら悖逆者ととなへられしを知ればなり 023 ISA 048 009 わが名のゆゑによりて我いかりを遲くせん わが頌美のゆゑにより我しのびてなんぢを絶滅すことをせじ 023 ISA 048 010 視よわれなんぢを煉たり されど白銀の如くせずして患難の爐をもてこころみたり 023 ISA 048 011 われ己のため我おのれの爲にこれを成ん われ何でわが名をけがさしむべき 我わが榮光をほかの者にあたることをせじ 023 ISA 048 012 ヤコブよわが召たるイスラエルよ われにきけ われは是なり われは始また終なり 023 ISA 048 013 わが手は地のもとゐを置わが右の手は天をのべたり 我よべば彼等はもろともに立なり 023 ISA 048 014 汝ら皆あつまりてきけ ヱホバの愛するものヱホバの好みたまふ所をバビロンに成し その腎はカルデヤ人のうへにのぞまん 彼等のうち誰かこれらの事をのべつげしや 023 ISA 048 015 ただ我のみ我かたれり 我かれをめし我かれをきたらせたり その道さかゆべし 023 ISA 048 016 なんぢら我にちかよりて之をきけ 我はじめより之をひそかに語りしにあらず その成しときより我はかしこに在り いま主ヱホバわれとその靈とをつかはしたまへり 023 ISA 048 017 なんぢの贖主イスラエルの聖者ヱホバかく言給く われはなんぢの神ヱホバなり 我なんぢに益することを敎へ なんぢを導きてそのゆくべき道にゆかしむ 023 ISA 048 018 願くはなんぢわが命令にききしたがはんことを もし然らばなんぢの平安は河のごとく 汝の義はうみの波のごとく 023 ISA 048 019 なんぢの裔はすなのごとく 汝の體よりいづる者は細沙のごとくになりて その名はわがまへより絶るることなく亡さるることなからん 023 ISA 048 020 なんぢらバビロンより出てカルデヤ人よりのがれよ なんらぢ歡の聲をもてのべきかせ地のはてにいたるまで語りつたへ ヱホバはその僕ヤコブをあがなひ給へりといへ 023 ISA 048 021 ヱホバかれらをして沙漠をゆかしめ給へるとき彼等はかわきたることなかりき ヱホバ彼等のために磐より水をながれしめ また磐をさきたまへば水ほどばしりいでたり 023 ISA 048 022 ヱホバいひたまはく惡きものには平安あることなし 023 ISA 049 001 もろもろの島よ我にきけ 遠きところのもろもろの民よ耳をかたむけよ 我うまれいづるよりヱホバ我を召し われ母の胎をいづるよりヱホバわが名をかたりつげたまへり 023 ISA 049 002 ヱホバわが口を利劍となし我をその手のかげにかくし 我をとぎすましたる矢となして箙にをさめ給へり 023 ISA 049 003 また我にいひ給はく 汝はわが僕なり わが榮光のあらはるべきイスラエルなりと 023 ISA 049 004 されど我いへり われは徒然にはたらき益なくむなしく力をつひやしぬと 然はあれど誠にわが審判はヱホバにあり わが報はわが神にあり 023 ISA 049 005 ヤコブをふたたび己にかへらしめイスラエルを己のもとにあつまらせんとて 我をうまれいでしより立ておのれの僕となし給へるヱホバいひ給ふ(我はヱホバの前にたふとくせらる 又わが神はわが力となりたまへり) 023 ISA 049 006 その聖言にいはく なんぢわが僕となりてヤコブのもろもろの支派をおこし イスラエルのうちののこりて全うせしものを歸らしむることはいと輕し 我また汝をたてて異邦人の光となし 我がすくひを地のはてにまで到らしむ 023 ISA 049 007 ヱホバ、イスラエルの贖主イスラエルの聖者は人にあなどらるるもの 民にいみきらはるるもの 長たちに役せらるる者にむかひて如此いひたまふ もろもろの王は見てたちもろもろの君はみて拜すべし これ信實あるヱホバ、イスラエルの聖者なんぢを選びたまへるが故なり 023 ISA 049 008 ヱホバ如此いひたまふ われ惠のときに汝にこたへ救の日になんぢを助けたり われ汝をまもりて民の契約とし國をおこし荒すたれたる地をまた產業としてかれらにつがしめん 023 ISA 049 009 われ縛しめられたる者にいでよといひ暗にをるものに顯れよといはん かれら途すがら食ふことをなし もろもろの禿なる山にも牧草をうべし 023 ISA 049 010 かれらは饑ずかわかず 又やけたる砂もあつき日もうつことなし 彼等をあはれむもの之をみちびきて泉のほとりに和かにみちびき給ければなり 023 ISA 049 011 我わがもろもろの山を路とし わが大路をたかくせん 023 ISA 049 012 視よ人々あるひは遠きよりきたり あるひは北また西よりきたらん 或はまたシニムの地よりきたるべし 023 ISA 049 013 天ようたへ地よよろこべ もろもろの山よ聲をはなちてうたへ ヱホバはその民をなぐさめその苦むものを憐みたまへばなり 023 ISA 049 014 然どシオンはいへりヱホバ我をすて主われをわすれたまへりと 023 ISA 049 015 婦その乳兒をわすれて己がはらの子をあはれまざることあらんや 縦ひかれら忘るることありとも我はなんぢを忘るることなし 023 ISA 049 016 われ掌になんぢを彫刻めり なんぢの石垣はつねにわが前にあり 023 ISA 049 017 なんぢの子輩はいそぎ來り なんぢを毀つもの汝をあらす者は汝より出さらん 023 ISA 049 018 なんぢ目をあげて環視せよ これらのもの皆あひあつまりて汝がもとに來るべし ヱホバ宣給く われは活なんぢ此等をみな身によそほひて飾となし 新婦の帶のごとくに之をまとふべし 023 ISA 049 019 なんぢの荒かつ廢れたるところ毀たれたる地は こののち住ふもの多くして狹きをおぼえん なんぢを呑つくししもの遙にはなれ去るべし 023 ISA 049 020 むかし別れたりしなんぢの子輩はのちの日なんぢの耳のあたりにて語りあはん云く ここは我がために狹し なんぢ外にゆきて我にすむべき所をえしめよと 023 ISA 049 021 その時なんぢ心裏にいはん 誰かわがために此等のものを生しや われ子をうしなひて獨居りかつ俘れ且さすらひたり 誰かこれを育てしや 視よわれ一人のこされたり 此等はいづこに居しや 023 ISA 049 022 主ヱホバいひたまはく 視よわれ手をもろもろの國にむかひてあげ 旗をもろもろの民にむかひてたてん 斯てかれらはその懷中になんぢの子輩をたづさへ その肩になんぢの女輩をのせきたらん 023 ISA 049 023 もろもろの王はなんぢの養父となり その后妃はなんぢの乳母となり かれらはその面を地につけて汝にひれふし なんぢの足の塵をなめん 而して汝わがヱホバなるをしり われを俟望むものの恥をかうぶることなきを知るならん 023 ISA 049 024 勇士がうばひたる掠物をいかでとりかへし 強暴者がかすめたる虜をいかで救いだすことを得んや 023 ISA 049 025 されどヱホバ如此いひたまふ云く ますらをが掠めたる虜もとりかへされ 強暴者がうばひたる掠物もすくひいださるべし そは我なんぢを攻るものをせめてなんぢの子輩をすくふべければなり 023 ISA 049 026 我なんぢを虐ぐるものにその肉をくらはせ またその血をあたらしき酒のごとくにのませて酔しめん 而して萬民はわがヱホバにして汝をすくふ者なんぢを贖ふものヤコブの全能者なることを知るべし 023 ISA 050 001 ヱホバかくいひ給ふ わがなんぢらの母をさりたる離書はいづこにありや 我いづれの債主になんぢらを賣わたししや 視よなんぢらはその不義のために賣られ なんぢらの母は汝らの咎戻のために去られたり 023 ISA 050 002 わがきたりし時なにゆゑ一人もをらざりしや 我よびしとき何故ひとりも答ふるものなかりしや わが手みぢかくして贖ひえざるか われ救ふべき力なからんや 視よわれ叱咤すれば海はかれ河はあれのとなりそのなかの魚は水なきによりかわき死て臭氣をいだすなり 023 ISA 050 003 われ黑きころもを天にきせ麁布をもて蔽となす 023 ISA 050 004 主ヱホバは敎をうけしものの舌をわれにあたへ言をもて疲れたるものを扶支ふることを知得しめたまふ また朝ごとに醒しわが耳をさまして敎をうけし者のごとく聞ことを得しめたまふ 023 ISA 050 005 主ヱホバわが耳をひらき給へり われは逆ふことをせず退くことをせざりき 023 ISA 050 006 われを撻つものにわが背をまかせわが鬚をぬくものにわが頬をまかせ 恥と唾とをさくるために面をおほふことをせざりき 023 ISA 050 007 主ヱホバわれを助けたまはん この故にわれ恥ることなかるべし 我わが面を石の如くして恥しめらるることなきを知る 023 ISA 050 008 われを義とするもの近きにあり たれか我とあらそはんや われら相共にたつべし わが仇はたれぞや近づききたれ 023 ISA 050 009 主ヱホバわれを助け給はん 誰かわれを罪せんや 視よかれらはみな衣のごとくふるび蠧のためにくひつくされん 023 ISA 050 010 汝等のうちヱホバをおそれその僕の聲をきくものは誰ぞや 暗をあゆみて光をえざるともヱホバの名をたのみおのれの神にたよれ 023 ISA 050 011 火をおこし火把を帶るものよ汝等みなその火のほのほのなかをあゆめ 又なんぢらの燃したる火把のなかをあゆめ なんぢら斯のごとき事をわが手よりうけて悲みのうちに臥べし 023 ISA 051 001 義をおひ求めヱホバを尋ねもとむるものよ我にきけ なんぢらが斫出されたる磐となんぢらの掘出されたる穴とをおもひ見よ 023 ISA 051 002 なんぢらの父アブラハム及びなんぢらを生たるサラをおもひ見よ われ彼をその唯一人なりしときに召しこれを祝してその子孫をまし加へたり 023 ISA 051 003 そはヱホバ、シオンを慰め またその凡てあれたる所をなぐさめて その荒野をエデンのごとくその沙漠をヱホバの園のごとくなしたまへり 斯てその中によろこびと歡樂とあり感謝とうたうたふ聲とありてきこゆ 023 ISA 051 004 わが民よわが言にこころをとめよ わが國人よわれに耳をかたぶけよ 律法はわれより出づ われわが途をかたく定めてもろもろの民の光となさん 023 ISA 051 005 わが義はちかづきわが救はすでに出たり わが臂はもろもろの民をさばかん もろもろの島はわれを俟望み わがかひなに依賴ん 023 ISA 051 006 なんぢら目をあげて天を觀また下なる地をみよ 天は烟のごとくきえ地は衣のごとくふるびその中にすむ者これとひとしく死ん されどわが救はとこしへにながらへ わが義はくだくることなし 023 ISA 051 007 義をしるものよ心のうちにわが律法をたもつ民よ われにきけ 人のそしりをおそるるなかれ人のののしりに慴くなかれ 023 ISA 051 008 そはかれら衣のごとく蠧にはまれ羊の毛のごとく蟲にはまれん されどわが義はとこしへに存らへ わがすくひ萬代におよぶべし 023 ISA 051 009 さめよ醒よヱホバの臂よちからを着よ さめて古への時むかしの代にありし如くなれ ラハブをきりころし鱷をさしつらぬきたるは汝にあらずや 023 ISA 051 010 海をかわかし大なる淵の水をかわかし また海のふかきところを贖はれたる人のすぐべき路となししは汝にあらずや 023 ISA 051 011 ヱホバに贖ひすくはれしもの歌うたひつつ歸りてシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただきて快樂とよろこびとをえん 而してかなしみと歎息とはにげさるべし 023 ISA 051 012 我こそ我なんぢらを慰むれ 汝いかなる者なれば死べき人をおそれ草の如くなるべき人の子をおそるるか 023 ISA 051 013 いかなれば天をのべ地の基をすゑ汝をつくりたまへるヱホバを忘れしや 何なれば汝をほろぼさんとて豫備する虐ぐるものの憤れるをみて常にひねもす懼るるか 虐ぐるものの忿恚はいづこにありや 023 ISA 051 014 身をかがめゐる俘囚はすみやかに解れて 死ることなく穴にくだることなく その食はつくること無るべし 023 ISA 051 015 我は海をふるはせ波をなりどよめかする汝の神ヱホバなり その御名を萬軍のヱホバといふ 023 ISA 051 016 我わが言をなんぢの口におきわが手のかげにて汝をおほへり かくてわれ天をうゑ地の基をすゑ シオンにむかひて汝はわが民なりといはん 023 ISA 051 017 ヱルサレムよさめよさめよ起よ なんぢ前にヱホバの手よりその忿恚のさかづきをうけて飮み よろめかす大杯をのみ且すひほしたり 023 ISA 051 018 なんぢの生るもろもろの子のなかに汝をみちびく者なく 汝のそだてたるもろもろの子の中にてなんぢの手をたづさふる者なし 023 ISA 051 019 この二のこと汝にのぞめり誰かなんぢのために歎んや 荒廢の饑饉ほろびの劍なんぢに及べり我いかにして汝をなぐさめんや 023 ISA 051 020 なんぢの子らは息たえだえにして網にかかれる羚羊のごとくし街衢の口にふす ヱホバの忿恚となんぢの神のせめとはかれらに滿たり 023 ISA 051 021 このゆゑに苦しめるもの酒にあらで酔たるものよ之をきけ 023 ISA 051 022 なんぢの主ヱホバおのが民の訟をあげつらひ給ふ なんぢの神かくいひ給ふ 我よろめかす酒杯をなんぢの手より取除き わがいきどほりの大杯をとりのぞきたり 汝ふたたびこれを飮ことあらじ 023 ISA 051 023 我これを汝をなやますものの手にわたさん 彼らは曩になんぢの靈魂にむかひて云らく なんぢ伏せよわれら越ゆかんと 而してなんぢその背を地のごとくし衢のごとくし彼等のこえゆくに任せたり 023 ISA 052 001 シオンよ醒よさめよ汝の力を衣よ 聖都ヱルサレムよなんぢの美しき衣をつけよ 今より割禮をうけざる者および潔からざるものふたたび汝にいること無るべければなり 023 ISA 052 002 なんぢ身の塵をふりおとせ ヱルサレムよ起よすわれ 俘れたるシオンのむすめよ汝がうなじの繩をときすてよ 023 ISA 052 003 そはヱホバかく言給ふ なんぢらは價なくして賣られたり 金なくして贖はるべし 023 ISA 052 004 主ヱホバ如此いひ給ふ 曩にわが民エジプトにくだりゆきて彼處にとどまれり アツスリヤ人ゆゑなくして彼等をしへたげたり 023 ISA 052 005 ヱホバ宣給く わが民はゆゑなくして俘れたり されば我ここに何をなさん ヱホバのたまはく 彼等をつかさどる者さけびよばはり わが名はつねに終日けがさるるなり 023 ISA 052 006 この故にわが民はわが名をしらん このゆゑにその日には彼らこの言をかたるものの我なるをしらん 我ここに在り 023 ISA 052 007 よろこびの音信をつたへ平和をつげ 善おとづれをつたへ救をつげ シオンに向ひてなんぢの神はすべ治めたまふといふものの足は山上にありていかに美しきかな 023 ISA 052 008 なんぢが斥候の聲きこゆ かれらはヱホバのシオンに歸り給ふを目と目とあひあはせて視るが故にみな聲をあげてもろともにうたへり 023 ISA 052 009 ヱルサレムの荒廢れたるところよ聲をはなちて共にうたふべし ヱホバその民をなぐさめヱルサレムを贖ひたまひたればなり 023 ISA 052 010 ヱホバそのきよき手をもろもろの國人の目のまへにあらはしたまへり 地のもろもろの極までもわれらの神のすくひを見ん 023 ISA 052 011 なんぢら去よされよ 彼處をいでて汚れたるものに觸るなかれ その中をいでよ ヱホバの器をになふ者よ なんぢら潔くあれ 023 ISA 052 012 なんぢら急ぎいづるにあらず趨りゆくにあらず ヱホバはなんぢらの前にゆきイスラエルの神はなんぢらの軍後となり給ふべければなり 023 ISA 052 013 視よわがしもべ智慧をもておこなはん 上りのぼりて甚だたかくならん 023 ISA 052 014 曩にはおほくの人かれを見ておどろきたり(その面貌はそこなはれて人と異なりその形容はおとろへて人の子とことなれり) 023 ISA 052 015 後には彼おほく國民にそそがん 王たち彼によりて口を緘まん そはかれら未だつたへられざることを見いまだ聞ざることを悟るべければなり 023 ISA 053 001 われらが宣るところを信ぜしものは誰ぞや ヱホバの手はたれにあらはれしや 023 ISA 053 002 かれは主のまへに芽えのごとく 燥きたる土よりいづる樹株のごとくそだちたり われらが見るべきうるはしき容なく うつくしき貌はなく われらがしたふべき艶色なし 023 ISA 053 003 かれは侮られて人にすてられ 悲哀の人にして病患をしれり また面をおほひて避ることをせらるる者のごとく侮られたり われらも彼をたふとまざりき 023 ISA 053 004 まことに彼はわれらの病患をおひ我儕のかなしみを擔へり 然るにわれら思へらく彼はせめられ神にうたれ苦しめらるるなりと 023 ISA 053 005 彼はわれらの愆のために傷けられ われらの不義のために碎かれ みづから懲罰をうけてわれらに平安をあたふ そのうたれし痍によりてわれらは癒されたり 023 ISA 053 006 われらはみな羊のごとく迷ひておのおの己が道にむかひゆけり 然るにヱホバはわれら凡てのものの不義をかれのうへに置たまへり 023 ISA 053 007 彼はくるしめらるれどもみづから謙だりて口をひらかず 屠場にひかるる羔羊の如く毛をきる者のまへにもだす羊の如くしてその口をひらかざりき 023 ISA 053 008 かれは虐待と審判とによりて取去れたり その代の人のうち誰か彼が活るものの地より絶れしことを思ひたりしや 彼はわが民のとがの爲にうたれしなり 023 ISA 053 009 その墓はあしき者とともに設けられたれど 死るときは富るものとともになれり かれは暴をおこなはずその口には虚僞なかりき 023 ISA 053 010 されどヱホバはかれを碎くことをよろこびて之をなやましたまへり 斯てかれの靈魂とがの献物をなすにいたらば彼その末をみるを得その日は永からん かつヱホバの悦び給ふことは彼の手によりて榮ゆべし 023 ISA 053 011 かれは己がたましひの煩勞をみて心たらはん わが義しき僕はその知識によりておほくの人を義とし又かれらの不義をおはん 023 ISA 053 012 このゆゑに我かれをして大なるものとともに物をわかち取しめん かれは強きものとともに掠物をわかちとるべし 彼はおのが靈魂をかたぶけて死にいたらしめ愆あるものとともに數へられたればなり 彼はおほくの人の罪をおひ愆あるものの爲にとりなしをなせり 023 ISA 054 001 なんぢ孕まず子をうまざるものよ歌うたふべし 產のくるしみなきものよ聲をはなちて謳ひよばはれ 夫なきものの子はとつげるものの子よりおほしと 此はヱホバの聖言なり 023 ISA 054 002 汝が幕屋のうちを廣くし なんぢが住居のまくをはりひろげて吝むなかれ 汝の綱をながくしなんぢの杙をかたくせよ 023 ISA 054 003 そはなんぢが右に左にひろごり なんぢの裔はもろもろの國をえ 荒廢れたる邑をもすむべき所となさしむべし 023 ISA 054 004 懼るるなかれなんぢ恥ることなからん 惶てためくことなかれ汝はぢしめらるることなからん 若きときの恥をわすれ寡婦たりしときの恥辱をふたたび覺ることなからん 023 ISA 054 005 なんぢを造り給へる者はなんぢの夫なり その名は萬軍のヱホバ なんぢを贖ひ給ふものはイスラエルの聖者なり 全世界の神ととなへられ給ふべし 023 ISA 054 006 ヱホバ汝をまねきたまふ 棄られて心うれふる妻また若きとき嫁てさられたる妻をまねくがごとしと 此はなんぢの神のみことばなり 023 ISA 054 007 我しばし汝をすてたれど大なる憐憫をもて汝をあつめん 023 ISA 054 008 わが忿恚あふれて暫くわが面をなんぢに隱したれど 永遠のめぐみをもて汝をあはれまんと 此はなんぢをあがなひ給ふヱホバの聖言なり 023 ISA 054 009 このこと我にはノアの洪水のときのごとし 我むかしノアの洪水をふたたび地にあふれ流るることなからしめんと誓ひしが そのごとく我ふたたび汝をいきどほらず 再びなんぢを責じとちかひたり 023 ISA 054 010 山はうつり岡はうごくとも わが仁慈はなんぢよりうつらず 平安をあたふるわが契約はうごくことなからんと 此はなんぢを憐みたまふヱホバのみことばなり 023 ISA 054 011 なんぢ苦しみをうけ暴風にひるがへされ 安慰をえざるものよ 我うるはしき彩色をなしてなんぢの石をすゑ 靑き玉をもてなんぢの基をおき 023 ISA 054 012 くれなゐの玉をもてなんぢの櫓をつくり むらさきの玉をもてなんぢの門をつくり なんぢの境内はあまねく寳石にてつくるべし 023 ISA 054 013 又なんぢの子輩はみなヱホバに敎をうけ なんぢの子輩のやすきは大ならん 023 ISA 054 014 なんぢ義をもて堅くたち 虐待よりとほざかりて慴ることなく また恐懼よりとほざかるべし そは恐懼なんぢに近づくことなければなり 023 ISA 054 015 縦ひかれら群集ふとも我によるにあらず 凡てむれつどひて汝をせむる者はなんぢの故にたふるべし 023 ISA 054 016 みよ炭火をふきおこして用ゐべき器をいだす鐵工はわが創造するところ 又あらし滅ぼす者もわが創造するところなり 023 ISA 054 017 すべてなんぢを攻んとてつくられしうつはものは利あることなし 興起ちてなんぢとあらそひ訴ふる舌はなんぢに罪せらるべし これヱホバの僕等のうくる產業なり 是かれらが我よりうくる義なりとヱホバのたまへり 023 ISA 055 001 噫なんぢら渇ける者ことごとく水にきたれ 金なき者もきたるべし 汝等きたりてかひ求めてくらへ きたれ金なく價なくして葡萄酒と乳とをかへ 023 ISA 055 002 なにゆゑ糧にもあらぬ者のために金をいだし 飽ことを得ざるもののために勞するや われに聽從へ さらばなんぢら美物をくらふをえ脂をもてその靈魂をたのしまするを得ん 023 ISA 055 003 耳をかたぶけ我にきたりてきけ 汝等のたましひは活べし われ亦なんぢらととこしへの契約をなしてダビデに約せし變らざる惠をあたへん 023 ISA 055 004 視よわれ彼をたててもろもろの民の證とし又もろもろの民の君となし命令する者となせり 023 ISA 055 005 なんぢは知ざる國民をまねかん 汝をしらざる國民はなんぢのもとに走りきたらん 此はなんぢの神ヱホバ、イスラエルの聖者のゆゑによりてなり ヱホバなんぢを尊くしたまへり 023 ISA 055 006 なんぢら遇ことをうる間にヱホバを尋ねよ 近くゐたまふ間によびもとめよ 023 ISA 055 007 惡きものはその途をすて よこしまなる人はその思念をすててヱホバに反れ さらば憐憫をほどこしたまはん 我等の神にかへれ豐に赦をあたへ給はん 023 ISA 055 008 ヱホバ宣給くわが思はなんぢらの思とことなり わが道はなんぢらのみちと異なれり 023 ISA 055 009 天の地よりたかきがごとく わが道はなんぢらの道よりも高く わが思はなんぢらの思よりもたかし 023 ISA 055 010 天より雨くだり雪おちて復かへらず 地をうるほして物をはえしめ 萌をいださしめて播ものに種をあたへ 食ふものに糧をあたふ 023 ISA 055 011 如此わが口よりいづる言もむなしくは我にかへらず わが喜ぶところを成し わが命じ遣りし事をはたさん 023 ISA 055 012 なんぢらは喜びて出きたり平穩にみちびかれゆくべし山と岡とは聲をはなちて前にうたひ野にある樹はみな手をうたん 023 ISA 055 013 松樹はいばらにかはりてはえ岡拈樹は棘にかはりてはゆべし 此はヱホバの頌美となり並とこしへの徴となりて絶ることなからん 023 ISA 056 001 ヱホバ如此いひ給ふ なんぢら公平をまもり正義をおこなふべし わが救のきたるはちかく わが義のあらはるるは近ければなり 023 ISA 056 002 安息日をまもりて汚さず その手をおさへて惡きことをなさず 斯おこなふ人かく堅くまもる人の子はさいはひなり 023 ISA 056 003 ヱホバにつらなれる異邦人はいふなかれ ヱホバ必ず我をその民より分ち給はんと 寺人もまたいふなかれ われは枯たる樹なりと 023 ISA 056 004 ヱホバ如此いひたまふ わが安息日をまもり わが悦ぶことをえらみて我が契約を堅くまもる寺人には 023 ISA 056 005 我わが家のうちにてわが垣のうちにて子にも女にもまさる記念のしるしと名とをあたへ 並とこしへの名をたまふて絶ることなからしめん 023 ISA 056 006 またヱホバにつらなりこれに事へ ヱホバの名を愛しその僕となり 安息日をまもりて汚すことなく凡てわが契約をかたくまもる異邦人は 023 ISA 056 007 我これをわが聖山にきたらせ わが祈の家のうちにて樂ましめん かれらの燔祭と犠牲とはわが祭壇のうへに納めらるべし わが家はすべての民のいのりの家ととなへらるべければなり 023 ISA 056 008 イスラエルの放逐れたるものを集めたまふ主ヱホバのたまはく 我さらに人をあつめて旣にあつめられたる者にくはへん 023 ISA 056 009 野獸よみなきたりてくらへ 林にをるけものよ皆きたりてくらへ 023 ISA 056 010 斥候はみな瞽者にしてしることなし みな唖なる犬にして吠ることあたはず みな夢みるもの臥ゐるもの眠ることをこのむ者なり 023 ISA 056 011 この犬はむさぼること甚だしくして飽ことをしらず かれらは悟ることを得ざる牧者にして皆おのが道にむかひゆき 何れにをる者もおのおの己の利をおもふ 023 ISA 056 012 かれら互にいふ請われ酒をたづさへきたらん われら濃酒にのみあかん かくて明日もなほ今日のごとく大にみち足はせんと 023 ISA 057 001 義者ほろぶれども心にとむる人なく 愛しみ深き人々とりさらるれども義きものの禍害のまへより取去るるなるを悟るものなし 023 ISA 057 002 かれは平安にいり 直きをおこなふ者はその寐床にやすめり 023 ISA 057 003 なんぢら巫女の子 淫人また妓女の裔よ 近ききたれ 023 ISA 057 004 なんぢら誰にむかひて戯れをなすや 誰にむかひて口をひらき舌をのばすや なんぢらは悖逆の子輩いつはりの黨類にあらずや 023 ISA 057 005 なんぢらは橿樹のあひだ緑りなる木々のしたに心をこがし 谷のなか岩の狹間に子をころせり 023 ISA 057 006 なんぢは谷のなかの滑かなる石をうくべき嗣業とし これをなんぢが所有とす なんぢ亦これに灌祭をなし之にそなへものを献げたり われ之によりていかで心をなだむべしや 023 ISA 057 007 なんぢは高くそびえたる山の上になんぢの床をまうけ かつ其處にのぼりゆきて犠牲をささげたり 023 ISA 057 008 また戸および柱のうしろに汝の記念をおけり なんぢ我をはなれて他人に身をあらはし 登りゆきてその床をひろくし かれらと誓をなし 又かれらの床を愛し これがためにその所をえらびたり 023 ISA 057 009 なんぢ香膏とおほくの薫物とをたづさへて王にゆき 又なんぢの使者をとほきにつかはし陰府にまで己をひくくせり 023 ISA 057 010 なんぢ途のながきに疲れたれどなほ望なしといはず なんぢ力をいきかへされしによりて衰弱ざりき 023 ISA 057 011 なんぢ誰をおそれ誰のゆゑに慴きていつはりをいひ 我をおもはず亦そのことを心におかざりしや われ久しく默したれど汝かへりて我をおそれざりしにあらずや 023 ISA 057 012 我なんぢの義をつげしめさん なんぢの作はなんぢに益せじ 023 ISA 057 013 なんぢ呼るときその集めおきたるもの汝をすくへ 風はかれらを悉くあげさり 息はかれらを吹さらん 然どわれに依賴むものは地をつぎわが聖山をうべし 023 ISA 057 014 また人いはん 土をもり土をもりて途をそなへよ わが民のみちより躓礙をとりされと 023 ISA 057 015 至高く至上なる永遠にすめるもの聖者となづくるもの如此いひ給ふ 我はたかき所きよき所にすみ 亦こころ碎けてへりくだる者とともにすみ 謙だるものの靈をいかし碎けたるものの心をいかす 023 ISA 057 016 われ限なくは爭はじ我たえずは怒らじ 然らずば人のこころ我がまへにおとろへん わが造りたる靈はみな然らん 023 ISA 057 017 彼のむさぼりの罪により我いかりて之をうちまた面をおほひて怒りたり 然るになほ悖りて己がこころの途にゆけり 023 ISA 057 018 されど我その途をみたり 我かれを愈すべし 又かれを導きてふたたび安慰をかれとその中のかなしめる者とにかへすべし 023 ISA 057 019 我くちびるの果をつくれり 遠きものにも近きものにも平安あれ平安あれ 我かれをいやさん 此はヱホバのみことばなり 023 ISA 057 020 然はあれど惡者はなみだつ海のごとし 靜かなること能はずしてその水つねに濁と泥とをいだせり 023 ISA 057 021 わが神いひたまはく惡きものには平安あることなしと 023 ISA 058 001 大によばはりて聲ををしむなかれ 汝のこゑをラッパのごとくあげ わが民にその愆をつげヤコブの家にその罪をつげしめせ 023 ISA 058 002 かれらは日々われを尋求めわが途をしらんことをこのむ 義をおこなひ神の法をすてざる國のごとく義しき法をわれにもとめ神と相近づくことをこのめり 023 ISA 058 003 かれらはいふ われら斷食するになんぢ見たまはず われら心をくるしむるになんぢ知たまはざるは何ぞやと 視よなんぢらの斷食の日にはおのがこのむ作をなし その工人をことごとく惱めつかふ 023 ISA 058 004 視よなんぢら斷食するときは相あらそひ相きそひ惡の拳をもて人をうつ なんぢらの今のだんじきはその聲をうへに聞えしめんとにあらざるなり 023 ISA 058 005 斯のごとき斷食はわが悦ぶところのものならんや かくのごときは人その靈魂をなやますの日ならんや その首を葦のごとくにふし麁服と灰とをその下にしくをもて斷食の日またヱホバに納らるる日ととなふべけんや 023 ISA 058 006 わが悦ぶところの斷食はあくの繩をほどき 軛のつなをとき虐げらるるものを放ちさらしめ すべての軛ををるなどの事にあらずや 023 ISA 058 007 また饑たる者になんぢのパンを分ちあたへ さすらへる貧民をなんぢの家にいれ裸かなるものを見てこれに衣せ おのが骨肉に身をかくさざるなどの事にあらずや 023 ISA 058 008 しかる時はなんぢのひかり暁の如くにあらはれいで 汝すみやかに愈さるることを得 なんぢの義はなんぢの前にゆき ヱホバの榮光はなんぢの軍後となるべし 023 ISA 058 009 また汝よぶときはヱホバ答へたまはん なんぢ叫ぶときは我ここに在りといひ給はん/もし汝のなかより軛をのぞき指點をのぞき惡きことをかたるを除き 023 ISA 058 010 なんぢの靈魂の欲するものをも饑たる者にほどこし 苦しむものの心を滿足しめば なんぢの光くらきにてりいで なんぢの闇は晝のごとくならん 023 ISA 058 011 ヱホバは常になんぢをみちびき 乾けるところにても汝のこころを滿足しめ なんぢの骨をかたうし給はん なんぢは潤ひたる園のごとく水のたえざる泉のごとくなるべし 023 ISA 058 012 汝よりいづる者はひさしく荒廢れたる所をおこし なんぢは累代やぶれたる基をたてん 人なんぢをよびて破隙をおぎなふ者といひ 市街をつくろひてすむべき所となす者といふべし 023 ISA 058 013 もし安息日になんぢの歩行をとどめ 我聖日になんぢの好むわざをおこなはず 安息日をとなへて樂日となし ヱホバの聖日をとなへて尊むべき日となし 之をたふとみて己が道をおこなはず おのが好むわざをなさず おのが言をかたらずば 023 ISA 058 014 その時なんぢヱホバを樂しむべし ヱホバなんぢを地のたかき處にのらしめ なんぢが先祖ヤコブの產業をもて汝をやしなひ給はん こはヱホバ口より語りたまへるなり 023 ISA 059 001 ヱホバの手はみぢかくして救ひえざるにあらず その耳はにぶくして聞えざるにあらず 023 ISA 059 002 惟なんぢらの邪曲なる業なんぢらとなんぢらの神との間をへだてたり 又なんぢらの罪その面をおほひて聞えざらしめたり 023 ISA 059 003 そはなんぢらの手は血にてけがれ なんぢらの指はよこしまにて汚れ なんぢらのくちびるは虚僞をかたり なんぢらの舌は惡をささやき 023 ISA 059 004 その一人だに正義をもてうつたへ眞實をもて論らふものなし 彼らは虚浮をたのみ虚僞をかたり 惡しきくはだてをはらみ不義をうむ 023 ISA 059 005 かれらは蝮の卵をかへし蛛網をおる その卵をくらふものは死るなり 卵もし踐るればやぶれて毒蛇をいだす 023 ISA 059 006 その織るところは衣になすあたはず その工をもて身をおほふこと能はず かれらの工はよこしまの工なり かれらの手には暴虐のおこなひあり 023 ISA 059 007 かれらの足はあくにはしり罪なき血をながすに速し かれらの思念はよこしまの思念なり 殘害と滅亡とその路徑にのこれり 023 ISA 059 008 彼らは平穩なる道をしらず その過るところに公平なく又まがれる小徑をつくる 凡てこれを踐ものは平穩をしらず 023 ISA 059 009 このゆゑに公平はとほくわれらをはなれ正義はわれらに追及ず われら光をのぞめど暗をみ 光輝をのぞめど闇をゆく 023 ISA 059 010 われらは瞽者のごとく牆をさぐりゆき目なき者のごとく模りゆき正午にても日暮のごとくにつまづき 強壯なる者のなかにありても死るもののごとし 023 ISA 059 011 我儕はみな熊のごとくにほえ鴿のごとくに甚くうめき 審判をのぞめどもあることなく 救をのぞめども遠くわれらを離る 023 ISA 059 012 われらの愆はなんぢの前におほく われらのつみは證してわれらを訟へ われらのとがは我らとともに在り われらの邪曲なる業はわれら自らしれり 023 ISA 059 013 われら罪ををかしてヱホバを棄われらの神にはなれてしたがはず 暴虐と悖逆とをかたり虚僞のことばを心にはらみて説出すなり 023 ISA 059 014 公平はうしろに退けられ正義ははるかに立り そは 眞實は衢間にたふれ 正直はいることを得ざればなり 023 ISA 059 015 眞實はかけてなく惡をはなるるものは掠めうばはる/ヱホバこれを見てその公平のなかりしを悦びたまはざりき 023 ISA 059 016 ヱホバは人なきをみ中保なきを奇しみたまへり 斯てその臂をもてみづから助け その義をもてみづから支たまへり 023 ISA 059 017 ヱホバ義をまとひて護胸とし救をその頭にいただきて兜となし 仇をまとひて衣となし 熱心をきて外服となしたまへり 023 ISA 059 018 かれらの作にしたがひて報をなし敵にむかひていかり仇にむかひて報をなし また島々にむくいをなし給はん 023 ISA 059 019 西方にてヱホバの名をおそれ 日のいづる所にてその榮光をおそるべし ヱホバは堰ぎとめたる河のその氣息にふき潰えたるがごとくに來りたまふ可ればなり 023 ISA 059 020 ヱホバのたまはく贖者シオンにきたりヤコブのなかの愆をはなるる者につかんと 023 ISA 059 021 ヱホバいひ給く なんぢの上にあるわが靈なんぢの口におきたるわがことばは 今よりのち永遠になんぢの口よりなんぢの裔の口より汝のすゑの裔の口よりはなれざるべし わがかれらにたつる契約はこれなりと此はヱホバのみことばなり 023 ISA 060 001 起よひかりを發て なんぢの光きたりヱホバの榮光なんぢのうへに照出たればなり 023 ISA 060 002 視よくらきは地をおほひ闇はもろもろの民をおほはん されど汝の上にはヱホバ照出たまひてその榮光なんぢのうへに顯はるべし 023 ISA 060 003 もろもろの國はなんぢの光にゆき もろもろの王はてり出るなんぢが光輝にゆかん 023 ISA 060 004 なんぢの目をあげて環視せ かれらは皆つどひて汝にきたり 汝の子輩はとほきより來り なんぢの女輩はいだかれて來らん 023 ISA 060 005 そのときなんぢ視てよろこびの光をあらはし なんぢの心おどろきあやしみ且ひろらかになるべし そは海の富はうつりて汝につき もろもろの國の貨財はなんぢに來るべければなり 023 ISA 060 006 おほくの駱駝ミデアンおよびエバのわかき駱駝なんぢの中にあまねくみち シバのもろもろの人こがね乳香をたづさへきたりてヱホバの譽をのべつたへん 023 ISA 060 007 ケダルのひつじの群はみな汝にあつまりきたり ネバヨテの牡羊はなんぢに事へ わが祭壇のうへにのぼりて受納られん 斯てわれわが榮光の家をかがやかすべし 023 ISA 060 008 雲のごとくにとび鳩のその窠にとびかへるが如くしてきたる者はたれぞ 023 ISA 060 009 もろもろの島はわれを俟望み タルシシのふねは首先になんぢの子輩をとほきより載きたり 並かれらの金銀をともにのせきたりてなんぢの神ヱホバの名にささげ イスラエルの聖者にささげん ヱホバなんぢを輝かせたまひたればなり 023 ISA 060 010 異邦人はなんぢの石垣をきづき かれらの王等はなんぢに事へん そは我いかりて汝をうちしかどまた惠をもて汝を憐みたればなり 023 ISA 060 011 なんぢの門はつねに開きて夜も日もとざすことなし こは人もろもろの國の貨財をなんぢに携へきたり その王等をひきゐ來らんがためなり 023 ISA 060 012 なんぢに事へざる國と民とはほろび そのくにぐには全くあれすたるべし 023 ISA 060 013 レバノンの榮はなんぢにきたり 松 杉 黄楊はみな共にきたりて我が聖所をかがやかさん われ亦わが足をおく所をたふとくすべし 023 ISA 060 014 汝を苦しめたるものの子輩はかがみて汝にきたり 汝をさげしめたる者はことごとくなんぢの足下にふし 斯て汝をヱホバの都イスラエルの聖者のシオンととなへん 023 ISA 060 015 なんぢ前にはすてられ憎まれてその中をすぐる者もなかりしが 今はわれ汝をとこしへの華美よよの歡喜となさん 023 ISA 060 016 なんぢ亦もろもろの國の乳をすひ王たちの乳房をすひ 而して我ヱホバなんぢの救主なんぢの贖主ヤコブの全能者なるを知るべし 023 ISA 060 017 われ黄金をたづさへきたりて赤銅にかへ 白銀をたづさへきたりて鐵にかへ 赤銅を木にかへ鐵を石にかへ なんぢの施政者をおだやかにし なんぢを役するものを義うせん 023 ISA 060 018 強暴のこと再びなんぢの地にきこえず 殘害と敗壞とはふたたびなんぢの境にきこえず 汝その石垣をすくひととなへ その門を譽ととなへん 023 ISA 060 019 晝は日ふたたびなんぢの光とならず 月もまた輝きてなんぢを照さず ヱホバ永遠になんぢの光となり なんぢの神はなんぢの榮となり給はん 023 ISA 060 020 なんぢの日はふたたび落ず なんぢの月はかくることなかるべし そはヱホバ永遠になんぢの光となり 汝のかなしみの日畢るべければなり 023 ISA 060 021 汝の民はことごとく義者となりてとこしへに地を嗣ん かれはわが植たる樹株わが手の工わが榮光をあらはす者となるべし 023 ISA 060 022 その小きものは千となり その弱きものは強國となるべし われヱホバその時いたらば速かにこの事をなさん 023 ISA 061 001 主ヱホバの靈われに臨めり こはヱホバわれに膏をそそぎて貧きものに福音をのべ傳ふることをゆだね 我をつかはして心の傷める者をいやし俘囚にゆるしをつげ 縛められたるものに解放をつげ 023 ISA 061 002 ヱホバのめぐみの年とわれらの神の刑罰の日とを告しめ 又すべて哀むものをなぐさめ 023 ISA 061 003 灰にかへ冠をたまひてシオンの中のかなしむ者にあたへ 悲哀にかへて歡喜のあぶらを予へ うれひの心にかへて讃美の衣をかたへしめたまふなり かれらは義の樹 ヱホバの植たまふ者 その榮光をあらはす者ととなへられん 023 ISA 061 004 彼等はひさしく荒たる處をつくろひ 上古より廢れたる處をおこし 荒たる邑々をかされて新にし世々すたれたる處をふたたび建べし 023 ISA 061 005 外人はたちてなんぢらの群をかひ 異邦人はなんぢらの畑をたがへす者となり 葡萄をつくる者とならん 023 ISA 061 006 然どなんぢらはヱホバの祭司ととなへられ われらの神の役者とよばれ もろもろの國の富をくらひ かれらの榮をえて自らほこるべし 023 ISA 061 007 曩にうけし恥にかへ倍して賞賜をうけ凌辱にかへ嗣業をえて樂むべし 而してその地にありて倍したる賞賜をたもち永遠によろこびを得ん 023 ISA 061 008 われヱホバは公平をこのみ邪曲なるかすめごとをにくみ 眞實をもて彼等にむくいをあたへ 彼等ととこしへの契約をたつべければなり 023 ISA 061 009 かれらの裔はもろもろの國のなかに知れ かれらの子輩はもろもろの民のなかに知れん すべてこれを見るものはそのヱホバの祝したまへる裔なるを辨ふべし 023 ISA 061 010 われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり 023 ISA 061 011 地は芽をいだし畑はまけるものを生ずるがごとく 主ヱホバは義と譽とをもろもろの國のまへに生ぜしめ給ふべし 023 ISA 062 001 われシオンの義あさ日の光輝のごとくにいで ヱルサレムの救もゆる松火のごとくになるまではシオンのために默さずヱルサレムのために休まざるべし 023 ISA 062 002 もろもろの國はなんぢの義を見 もろもろの王はみななんぢの榮をみん 斯てなんぢはヱホバの口にて定め給ふ新しき名をもて稱へらるべし 023 ISA 062 003 また汝はうるはしき冠のごとくヱホバの手にあり 王の冕のごとくなんぢの神のたなごころにあらん 023 ISA 062 004 人ふたたび汝をすてられたる者といはず 再びなんぢの地をあれたる者といはじ 却てなんぢをヘフジバ(わが悦ぶところ)ととなへ なんぢの地をベウラ(配偶)ととなふべし そはヱホバなんぢをよろこびたまふ なんぢの地は配偶をえん 023 ISA 062 005 わかきものの處女をめとる如くなんぢの子輩はなんぢを娶らん 新郎の新婦をよろこぶごとくなんぢの神なんぢを喜びたまふべし 023 ISA 062 006 ヱルサレムよ我なんぢの石垣のうへに斥候をおきて終日終夜たえず默すことなからしむ なんぢらヱホバに記念したまはんことを求むるものよ 自らやすむなかれ 023 ISA 062 007 ヱホバ、ヱルサレムをたてて全地に譽をえしめ給ふまでは息め奉るなかれ 023 ISA 062 008 ヱホバその右手をさしその大能の臂をさし誓ひて宣給く われ再びなんぢの五穀をなんぢの敵にあたへて食はせず 異邦人はなんぢが勞したる酒をのまざるべし 023 ISA 062 009 収穫せしものは之をくらひてヱホバを讃たたへ 葡萄をあつめし者はわが聖所の庭にて之をのむべし 023 ISA 062 010 門よりすすみゆけ進みゆけ 民の途をそなへ土をもり土をもりて大路をまうけよ 石をとりのぞけ もろもろの民に旗をあげて示せ 023 ISA 062 011 ヱホバ地の極にまで告てのたまはく 汝等シオンの女にいへ 視よなんぢらの救きたる 視よ主の手にその恩賜あり はたらきの價はその前にあり 023 ISA 062 012 而してかれらはきよき民またヱホバにあがなはれたる者ととなへられん なんぢは人にもとめ尋らるるもの棄られざる邑ととなへらるべし 023 ISA 063 001 このエドムよりきたり緋衣をきてボヅラよりきたる者はたれぞ その服飾はなやかに大なる能力をもて嚴しく歩みきたる者はたれぞ これは義をもてかたり大にすくひをほどこす我なり 023 ISA 063 002 なんぢの服飾はなにゆゑに赤くなんぢの衣はなにゆゑに酒榨をふむ者とひとしきや 023 ISA 063 003 我はひとりにて酒榨をふめり もろもろの民のなかに我とともにする者なし われ怒によりて彼等をふみ忿恚によりてかれらを蹈にじりたれば かれらの血わが衣にそそぎわが服飾をことごとく汚したり 023 ISA 063 004 そは刑罰の日わが心の中にあり 救贖の歳すでにきたれり 023 ISA 063 005 われ見てたすくる者なく扶る者なきを奇しめり この故にわが臂われをすくひ我いきどほり我をささへたり 023 ISA 063 006 われ怒によりてもろもろの民をふみおさへ 忿恚によりてかれらを酔しめ かれらの血を地に流れしめたり 023 ISA 063 007 われはヱホバのわれらに施したまへる各種のめぐみとその譽とをかたりつげ 又その憐憫にしたがひ其おほくの恩惠にしたがひてイスラエルの家にほどこし給ひたる大なる恩寵をかたり告ん 023 ISA 063 008 ヱホバいひたまへり 誠にかれらはわが民なり 虚僞をせざる子輩なりと 斯てヱホバはかれらのために救主となりたまへり 023 ISA 063 009 かれらの艱難のときはヱホバもなやみ給ひてその面前の使をもて彼等をすくひ その愛とその憐憫とによりて彼等をあがなひ彼等をもたげ昔時の日つねに彼等をいだきたまへり 023 ISA 063 010 然るにかれらは悖りてその聖靈をうれへしめたる故にヱホバ翻然かれらの仇となりて自らこれを攻たまへり 023 ISA 063 011 爰にその民いにしへのモーセの日をおもひいでて曰けるは かれらとその群の牧者とを海より携へあげし者はいづこにありや 彼等のなかに聖靈をおきしものは何處にありや 023 ISA 063 012 榮光のかひなをモーセの右にゆかしめ 彼等のまへに水をさきて自らとこしへの名をつくり 023 ISA 063 013 彼等をみちびきて馬の野をはしるがごとく躓かで淵をすぎしめたりし者はいづこに在りや 023 ISA 063 014 谷にくだる家畜の如くにヱホバの靈かれらをいこはせ給へり 主よなんぢは斯おのれの民をみちびきて榮光の名をつくり給へり 023 ISA 063 015 ねがはくは天より俯觀なはし その榮光あるきよき居所より見たまへ なんぢの熱心となんぢの大能あるみわざとは今いづこにありや なんぢの切なる仁慈と憐憫とはおさへられて我にあらはれず 023 ISA 063 016 汝はわれらの父なり アブラハムわれらを知ず イスラエルわれらを認めず されどヱホバよ汝はわれらの父なり 上古よりなんぢの名をわれらの贖主といへり 023 ISA 063 017 ヱホバよ何故にわれらをなんぢの道より離れまどはしめ我儕のこころを頑固にして汝を畏れざらしめたまふや 願くはなんぢの僕等のためになんぢの產業なる支派のために歸りたまへ 023 ISA 063 018 汝のきよきたみ地をえて久しからざるにわれらの敵なんぢの聖所をふみにじれり 023 ISA 063 019 我儕はなんぢに上古より治められざる者のごとく なんぢの名をもて稱られざる者のごとくなりぬ 023 ISA 064 001 願くはなんぢ天を裂てくだり給へ なんぢのみまへに山々ふるひ動かんことを 023 ISA 064 002 火の柴をもやし火の水を沸すがごとくして降りたまへ かくて名をなんぢの敵にあらはし もろもろの國をなんぢのみまへに戰慄かしめたまへ 023 ISA 064 003 汝われらが逆料あたはざる懼るべき事をおこなひ給ひしときに降りたまへり 山々はその前にふるひうごけり 023 ISA 064 004 上古よりこのかた汝のほかに何なる神ありて俟望みたる者にかかる事をおこなひしや いまだ聽ず いまだ耳にいらず いまだ目にみしことなし 023 ISA 064 005 汝はよろこびて義をおこなひなんぢの途にありてなんぢを紀念するものを迎へたまふ 視よなんぢ怒りたまへり われらは罪ををかせり かかる狀なること旣にひさし 我儕いかで救はるるを得んや 023 ISA 064 006 我儕はみな潔からざる物のごとくなり われらの義はことごとく汚れたる衣のごとし 我儕はみな木葉のごとく枯れ われらのよこしまは暴風のごとく我らを吹去れり 023 ISA 064 007 なんぢの名をよぶ者なく みづから勵みて汝によりすがる者なし なんぢ面をおほひてわれらを顧みたまはず われらが邪曲をもてわれらを消失せしめたまへり 023 ISA 064 008 されどヱホバよ汝はわれらの父なり われらは泥塊にしてなんぢは陶工なり 我らは皆なんぢの御手のわざなり 023 ISA 064 009 ヱホバよいたく怒りたまふなかれ 永くよこしまを記念したまふなかれ 願くは顧みたまへ 我儕はみななんぢの民なり 023 ISA 064 010 汝のきよき諸邑は野となりシオンは野となりヱルサレムは荒廢れたり 023 ISA 064 011 我らの先祖が汝を讃たたへたる榮光ある我儕のきよき宮は火にやかれ 我儕のしたひたる處はことごとく荒はてたり 023 ISA 064 012 ヱホバよこれらの事あれども汝なほみづから制へたまふや なんぢなほ默してわれらに深くくるしみを受しめたまふや 023 ISA 065 001 我はわれを求めざりしものに問もとめられ 我をたづねざりしものに見出され わが名をよばざりし國にわれ曰らく われは此にあり我はここに在と 023 ISA 065 002 善らぬ途をあゆみおのが思念にしたがふ悖れる民をひねもす手をのべて招けり 023 ISA 065 003 この民はまのあたり恒にわが怒をひき 園のうちにて犠牲をささげ 瓦の壇にて香をたき 023 ISA 065 004 墓のあひだにすわり隱密なる處にやどり 猪の肉をくらひ憎むべきものの羹をその器皿にもりて 023 ISA 065 005 人にいふなんぢ其處にたちて我にちかづくなかれ そは我なんぢよりも聖しと 彼らはわが鼻のけぶり終日もゆる火なり 023 ISA 065 006 視よこの事わが前にしるされたり われ默さずして報いかへすべし 必ずかれらの懷中に報いかへすべし 023 ISA 065 007 ヱホバいひ給く なんぢらの邪曲となんぢらが列祖のよこしまとはともに報いかへすべし かれらは山上にて香をたき岡のうへにて我を汚ししがゆゑに 我まづその作をはかりてその懷中にかへすべし 023 ISA 065 008 ヱホバ如此いひたまふ 人ぶだうのなかに汁あるを見ばいはん これを壞るなかれ福祉その中にあればなりと 我わが僕等のために如此おこなひてことごとくは壞らじ 023 ISA 065 009 ヤコブより一裔をいだしユダよりわれ山々をうけつぐべき者をいださん わが撰みたる者はこれをうけつぎ我がしもべらは彼處にすむべし 023 ISA 065 010 シヤロンは羊のむれの牧場となりアコルの谷はうしの群のふす所となりて我をたづねもとめたるわが民の有とならん 023 ISA 065 011 然どなんぢらヱホバを棄わがきよき山をわすれ 机をガド(禍福の神)にそなへ雜合せたる酒をもりてメニ(運命の神)にささぐる者よ 023 ISA 065 012 われ汝らを劍にわたすべく定めたり なんぢらは皆かがみて屠らるべし 汝等はわが呼しときこたへず わが語りしとききかず わが目にあしき事をおこなひ わが好まざりし事をえらみたればなり 023 ISA 065 013 このゆゑに主ヱホバかく言給ふ わが僕等はくらへども汝等はうゑ わが僕等はのめども汝等はかわき 我しもべらは喜べどもなんぢらははぢ 023 ISA 065 014 わが僕等はこころ樂きによりて歌うたへども汝等はこころ哀きによりて叫び また靈魂うれふるによりて泣嗁ぶべし 023 ISA 065 015 なんぢらが遺名はわが撰みたるものの呪詛の料とならん 主ヱホバなんぢらを殺したまはん 然どおのれの僕等をほかの名をもて呼たまふべし 023 ISA 065 016 斯るがゆゑに地にありて己のために福祉をねがふものは眞實の神にむかひて福祉をもとめ 地にありて誓ふものは眞實の神をさして誓ふべし さきの困難は忘れられてわが目よりかくれ失たるに因る 023 ISA 065 017 視よわれ新しき天とあたらしき地とを創造す 人さきのものを記念することなく之をその心におもひ出ることなし 023 ISA 065 018 然どなんぢらわが創造する者によりて永遠にたのしみよろこべ 視よわれはヱルサレムを造りてよろこびとしその民を快樂とす 023 ISA 065 019 われヱルサレムを喜びわが民をたのしまん 而して泣聲とさけぶ聲とはふたたびその中にきこえざるべし 023 ISA 065 020 日數わづかにして死る嬰兒といのちの日をみたさざる老人とはその中にまたあることなかるべし 百歳にて死るものも尚わかしとせられ 百歳にて死るものを詛れたる罪人とすべし 023 ISA 065 021 かれら家をたてて之にすみ葡萄園をつくりてその果をくらふべし 023 ISA 065 022 かれらが建るところにほかの人すまず かれらが造るところの果はほかの人くらはず そはわが民のいのちは樹の命の如く 我がえらみたる者はその手の工ふるびうするとも存ふべければなり 023 ISA 065 023 かれらの勤勞はむなしからず その生ところの者はわざはひにかからず 彼等はヱホバの福祉をたまひしものの裔にしてその子輩もあひ共にをる可ればなり 023 ISA 065 024 かれらが呼ざるさきにわれこたへ 彼らが語りをへざるに我きかん 023 ISA 065 025 豺狼とこひつじと食物をともにし 獅は牛のごとく藁をくらひ 蛇はちりを糧とすべし 斯てわが聖山のいづこにても害ふことなく傷ることなからん これヱホバの聖言なり 023 ISA 066 001 ヱホバ如此いひたまふ 天はわが位地はわが足臺なり なんぢら我がために如何なる家をたてんとするか 又いかなる處かわが休憩の場とならん 023 ISA 066 002 ヱホバ宣給く 我手はあらゆる此等のものを造りてこれらの物ことごとく成れり 我はただ苦しみまた心をいため我がことばを畏れをののくものを顧みるなりと 023 ISA 066 003 牛をほふるものは人をころす者のごとく 羔を犠牲とするものは狗をくびりころす者のごとく 祭物をささぐるものは豕の血をささぐる者のごとく 香をたくものは偶像をほむる者のごとし 彼等はおのが途をえらみその心ににくむべき者をたのしみとせり 023 ISA 066 004 我もまた災禍をえらびて彼等にあたへ その懼るるところの事を彼らに臨ましめん そは我よびしとき應ふるものなく我かたりしとき聽ことをせざりき わが目にあしき事をおこなひわが好まざる事をえらみたればなり 023 ISA 066 005 なんぢらヱホバの言をおそれをののく者よヱホバの言をきけ なんぢらの兄弟なんぢらを憎みなんぢらをわが名のために逐出していふ 願くはヱホバその榮光をあらはして我儕になんぢらの歡喜を見せしめよと 然どかれらは恥をうけん 023 ISA 066 006 騒亂るこゑ邑よりきこえ聲ありて宮よりきこゆ 此はヱホバその仇にむくいをなしたまふ聲なり 023 ISA 066 007 シオンは產のなやみを知ざるさきに生 その劬勞きたらざるさきに男子をうみいだせり 023 ISA 066 008 誰がかかる事をききしや誰がかかる類をみしや 一の國はただ一日のくるしみにて成べけんや 一つの國民は一時にうまるべけんや 然どシオンはくるしむ間もなく直にその子輩をうめり 023 ISA 066 009 ヱホバ言給く われ產にのぞましめしに何でうまざらしめんや なんぢの神いひたまはく 我はうましむる者なるにいかで胎をとざさんや 023 ISA 066 010 ヱルサレムを愛するものよ皆かれとともに喜べ かれの故をもてたのしめ 彼のために悲めるものよ皆かれとともに喜びたのしめ 023 ISA 066 011 そはなんぢら乳をすふ如くヱルサレムの安慰をうけて飽ことを得ん また乳をしぼるごとくその豐なる榮をうけておのづから心さわやかならん 023 ISA 066 012 ヱホバ如此いひたまふ 視よわれ河のごとく彼に平康をあたへ 漲ぎる流のごとく彼にもろもろの國の榮をあたへん 而して汝等これをすひ背におはれ膝におかれて樂しむべし 023 ISA 066 013 母のその子をなぐさむるごとく我もなんぢらを慰めん なんぢらはヱルサレムにて安慰をうべし 023 ISA 066 014 なんぢら見て心よろこばん なんぢらの骨は若草のさかゆるごとくだるべし ヱホバの手はその僕等にあらはれ又その仇をはげしく怒りたまはん 023 ISA 066 015 視よヱホバは火中にあらはれて來りたまふその 車輦ははやちのごとし 烈しき威勢をもてその怒をもらし火のほのほをもてその譴をほどこし給はん 023 ISA 066 016 ヱホバは火をもて劍をもてよろづの人を刑ひたまはん ヱホバに刺殺さるるもの多かるべし 023 ISA 066 017 ヱホバ宣給く みづからを潔くしみづからを別ちて園にゆき その中にある木の像にしたがひ 豕の肉けがれたる物および鼠をくらふ者はみな共にたえうせん 023 ISA 066 018 我かれらの作爲とかれらの思念とをしれり 時きたらばもろもろの國民ともろもろの族とをあつめん 彼等きたりてわが榮光をみるべし 023 ISA 066 019 我かれらのなかに一つの休徴をたてて逃れたる者をもろもろの國すなはちタルシシよく弓をひくブル、ルデおよびトバル、ヤワン又わが聲名をきかずわが榮光をみざる遙かなる諸島につかはさん 彼等はわが榮光をもろもろの國にのべつたふべし 023 ISA 066 020 ヱホバいひ給ふ かれらはイスラエルの子輩がきよき器にそなへものをもりてヱホバの家にたづさへきたるが如く なんぢらの兄弟をもろもろの國の中よりたづさへて馬 車 轎 騾 駱駝にのらしめ わが聖山ヱルサレムにきたらせてヱホバの祭物とすべし 023 ISA 066 021 ヱホバいひ給ふ 我また彼等のうちより人をえらびて祭司としレビ人とせんと 023 ISA 066 022 ヱホバ宣給く わが造らんとする新しき天とあたらしき地とわが前にながくとどまる如く なんちの裔となんぢの名はながくとどまらん 023 ISA 066 023 ヱホバいひ給ふ新月ごとに安息日ごとによろづの人わが前にきたりて崇拜をなさん 023 ISA 066 024 かれら出てわれに逆きたる人の屍をみん その蛆しなずその火きえず よろづの人にいみきらはるべし # # BOOK 024 JER Jeremiah エレミヤ書 024 JER 001 001 こはベニヤミンの地アナトテの祭司の一人なるヒルキヤの子ヱレミヤの言なり 024 JER 001 002 アモンの子ユダの王ヨシヤの時すなはちその治世の十三年にヱホバの言ヱレミヤに臨めり 024 JER 001 003 その言またヨシヤの子ユダの王ヱホヤキムの時にものぞみてヨシヤの子ユダの王ゼデキヤの十一年のをはり即ちその年の五月ヱルサレムの民の移されたる時までにいたれり 024 JER 001 004 ヱホバの言我にのぞみて云ふ 024 JER 001 005 われ汝を腹につくらざりし先に汝をしり汝が胎をいでざりし先に汝を聖め汝をたてて萬國の預言者となせりと 024 JER 001 006 我こたへけるは噫主ヱホバよ視よわれは幼少により語ることを知らず 024 JER 001 007 ヱホバわれにいひたまひけるは汝われは幼少といふ勿れすべて我汝を遣すところにゆき我汝に命ずるすべてのことを語るべし 024 JER 001 008 なんぢ彼等の面を畏るる勿れ蓋われ汝と偕にありて汝をすくふべければなりとヱホバいひたまへり 024 JER 001 009 ヱホバ遂にその手をのべて我口につけヱホバ我にいひたまひけるは視よわれ我言を汝の口にいれたり 024 JER 001 010 みよ我けふ汝を萬民のうへと萬國のうへにたて汝をして或は抜き或は毀ち或は滅し或は覆し或は建て或は植しめん 024 JER 001 011 ヱホバの言また我に臨みていふヱレミヤよ汝何をみるや我こたへけるは巴旦杏の枝をみる 024 JER 001 012 ヱホバ我にいひたまひけるは汝善く見たりそはわれ速に我言をなさんとすればなり 024 JER 001 013 ヱホバの言ふたたび我に臨みていふ汝何をみるや我こたへけるは沸騰たる鑊をみるその面は北より此方に向ふ 024 JER 001 014 ヱホバ我にいひたまひけるは災北よりおこりてこの地に住るすべての者にきたらん 024 JER 001 015 ヱホバいひたまひけるはわれ北の國々のすべての族をよばん彼等きたりてヱルサレムの門の入口とその周圍のすべての石垣およびユダのすべての邑々に向ひておのおのその座を設けん 024 JER 001 016 われかれらの凡の惡事のために我鞫をかれにつげん是はかれら我をすてて別の神に香を焚きおのれの手にて作りし物を拝するによる 024 JER 001 017 汝腰に帶して起ちわが汝に命ずるすべての事を彼等につげよその面を畏るる勿れ否らざれば我かれらの前に汝を辱かしめん 024 JER 001 018 視よわれ今日この全國とユダの王とその牧伯とその祭司とその地の民の前に汝を堅き城 鐵の柱 銅の牆となせり 024 JER 001 019 彼等なんぢと戰はんとするも汝に勝ざるべしそはわれ汝とともにありて汝をすくふべければなりとヱホバいひたまへり 024 JER 002 001 ヱホバの言我にのぞみていふ 024 JER 002 002 ゆきてヱルサレムに住る者の耳につげよヱホバ斯くいふ我汝につきて汝の若き時の懇切なんぢが契をなせしときの愛曠野なる種播ぬ地にて我に從ひしことを憶ゆと 024 JER 002 003 イスラエルはヱホバの聖物にしてその初に結べる實なりすべて之を食ふものは罰せられ災にあふべしとヱホバ云ひたまへり 024 JER 002 004 ヤコブの家とイスラエルの家の諸の族よヱホバの言をきけ 024 JER 002 005 ヱホバかくいひたまふ汝等の先祖は我に何の惡事ありしを見て我に遠かり 虛しき物にしたがひて虛しくなりしや 024 JER 002 006 かれらは我儕をエジプトの地より導きいだし曠野なる岩穴ある荒たる地 旱きたる死の蔭の地 人の過ぎざる地 人の住はざる地を通らしめしヱホバはいづこにあるといはざりき 024 JER 002 007 われ汝等を導きて園のごとき地にいれ其實と佳物をくらはしめたり然ど汝等此處にいり我地を汚し我產業を憎むべきものとなせり 024 JER 002 008 祭司はヱホバは何處にいますといはず律法をあつかふ者は我を知らず牧者は我に背き預言者はバアルによりて預言し益なきものに從へり 024 JER 002 009 故にわれ尚汝等とあらそはん且汝の子孫とあらそふべしとヱホバいひたまふ 024 JER 002 010 汝等キッテムの諸島にわたりて觀よまた使者をケダルにつかはし斯のごとき事あるや否やを詳細に察せしめよ 024 JER 002 011 その神を神にあらざる者に易たる國ありや然るに我民はその榮を益なき物にかへたり 024 JER 002 012 天よこの事を驚け慄けいたく怖れよとヱホバいひたまふ 024 JER 002 013 蓋わが民はふたつの惡事をなせり即ち活る水の源なる我をすて自己水溜を掘れりすなはち壞れたる水溜にして水を有たざる者なり 024 JER 002 014 イスラエルはしもべなるか家にうまれし僕なるかいかにして擄掠となれるや 024 JER 002 015 わかき獅子かれにむかひて哮えその聲をあげてその地を荒せりその諸邑は焚れて住む人なし 024 JER 002 016 ノフとタパネスの諸子も汝の頭首の髮をくらはん 024 JER 002 017 汝の神ヱホバの汝を途にみちびきたまへる時に汝これを棄たるによりて此事汝におよぶにあらずや 024 JER 002 018 汝ナイルの水を飮んとてエジプトの路にあるは何ゆゑぞまた河の水を飮んとてアツスリヤの路にあるは何故ぞ 024 JER 002 019 汝の惡は汝をこらしめ汝の背は汝をせめん斯く汝が汝の神ヱホバをすてたると我を畏るることの汝の衷にあらざるとは惡く且つ苦きことなるを汝見てしるべしと主なる萬軍のヱホバいひ給ふ 024 JER 002 020 汝昔より汝の軛ををり汝の縛を截ちていひけるは我つかふることをせじと即ち汝すべての高山のうへと諸の靑木の下に妓女のごとく身をかがめたり 024 JER 002 021 われ汝を植て佳き葡萄の樹となし全き眞の種となせしにいかなれば汝われに向ひて異なる葡萄の樹の惡き枝にかはりしや 024 JER 002 022 たとひ嚥哘をもて自ら濯ひまたおほくの灰汁を加ふるも汝の惡はわが前に汚れたりと主ヱホバいひ給ふ 024 JER 002 023 汝いかで我は汚れずバアルに從はざりしといふことを得んや汝谷の中のおこなひを觀よ汝のなせしことを知れ汝は疾走るわかき牝の駱駝にしてその途にさまよへり 024 JER 002 024 汝は曠野になれたる野の牝驢馬なり其欲のために風にあへぐその欲のうごくときは誰かこれをとどめえん凡てこれを尋る者は自ら勞するにおよばすその月の中に之にあふべし 024 JER 002 025 汝足をつつしみて跣足にならざるやうにし喉をつつしみて渇かぬやうにせよしかるに汝いふ是は徒然なり然りわれ異なる國の者を愛してこれに從ふなりと 024 JER 002 026 盜人の執へられて恥辱をうくるがごとくイスラエルの家恥辱をうく彼等その王その牧伯その祭司その預言者みな然り 024 JER 002 027 彼等木にむかひて汝は我父なりといひまた石にむかひて汝は我を生みたりといふ彼等は背を我にむけて其面をわれに向けずされど彼等災にあふときは起てわれらを救ひ給へといふ 024 JER 002 028 汝がおのれの爲に造りし神はいづこにあるやもし汝が災にあふときかれら汝を救ふを得ば起つべきなりそはユダよ汝の神は汝の邑の數に同じければなり 024 JER 002 029 汝等なんぞ我とあらそふや汝らは皆我に背けりとヱホバいひ給ふ 024 JER 002 030 我が汝らの衆子を打しは益なかりき彼等は懲治をうけず汝等の劍は猛き獅子のごとく汝等の預言者を滅せり 024 JER 002 031 なんぢらこの世の人よヱホバの言をきけ我はイスラエルのために曠野となりしや暗き地となりしや何故にわが民はわれら徘徊りて復汝に來らじといふや 024 JER 002 032 それ處女はその飾物を忘れんや新婦はその帶をわすれんや然ど我民の我を忘れたる日は數へがたし 024 JER 002 033 汝愛を得んとて如何に汝の途を美くするぞよされば汝の行はあしき事を爲すに慣たり 024 JER 002 034 また汝の裾に辜なき貧者の生命の血ありわれ盜人の穿たる所にて之を見ずしてすべて此等の上にこれを見る 024 JER 002 035 されど汝いふわれは辜なし故にその怒はかならず我に臨まじとみよ汝われ罪を犯さざりしといふにより我汝とあらそふべし 024 JER 002 036 なんぢ何故にその途を易んとて迅くはしるや汝アツスリヤに恥辱をうけしごとくエジプトにも亦恥辱をうけん 024 JER 002 037 汝兩手を頭に置てかしこよりも出去らんそはヱホバ汝のたのむところの者を棄れば汝彼等によりて望を遂ること無るべければなり 024 JER 003 001 世にいへるあり人もしその妻をいださんに去りゆきてほかの人の妻とならば其夫ふたたび彼に歸るべけんやさすれば其地はおほいに汚れざらんや汝はおほくの者と姦淫を行へりされど汝われに皈れよとヱホバいひ給ふ 024 JER 003 002 汝目をあげてもろもろの童山をみよ姦淫を行はざる所はいづこにあるや汝は曠野にをるアラビヤ人の爲すがごとく路に坐して人をまてり汝は姦淫と惡をもて此地を汚せり 024 JER 003 003 この故に雨はとどめられ春の雨はふらざりし然れど汝娼妓の額あれば肯て恥ず 024 JER 003 004 汝いまより我を呼ていはざらんや我父よ汝はわが少時の交友なり 024 JER 003 005 窮なくその怒を含まんや恒に之を存たんやと視よ汝はかくいへど力をきはめて惡を爲すなり 024 JER 003 006 ヨシヤ王のときヱホバまた我にいひ給ひけるは汝そむけるイスラエルのなせしことを見しや彼はすべての高山にのぼりすべての靑木の下にゆきて其處に姦淫を行へり 024 JER 003 007 彼このすべての事を爲せしのち我かれに汝われに歸れと言しかどもわれに歸らざりき其悖れる姊妹なるユダ之を見たり 024 JER 003 008 我に背けるイスラエル姦淫をなせしにより我かれを出して離緣状をあたへたれどその悖れる姊妹なるユダは懼れずして往て姦淫を行ふ我これを見る 024 JER 003 009 また其姦淫の噪をもてこの地を汚し且石と木とに姦淫を行へり 024 JER 003 010 此諸の事あるも仍其悖れる姊妹なるユダは眞心をもて我にかへらず僞れるのみとヱホバいひたまふ 024 JER 003 011 ヱホバまた我にいひたまひけるは背けるイスラエルは悖れるユダよりも自己を義とす 024 JER 003 012 汝ゆきて北にむかひ此言を宣ていふべしヱホバいひたまふ背けるイスラエルよ歸れわれ怒の面を汝らにむけじわれは矜恤ある者なり怒を限なく含みをることあらじとヱホバいひたまふ 024 JER 003 013 汝ただ汝の罪を認はせそは汝の神ヱホバにそむき經めぐりてすべての靑木の下にて異邦人にゆき汝等わが聲をきかざればなりとヱホバいひ給ふ 024 JER 003 014 ヱホバいひたまふ背ける衆子よ我にかへれそはわれ汝等を娶ればなりわれ邑より一人支派より二人を取りて汝等をシオンにつれゆかん 024 JER 003 015 われ我心に合ふ牧者を汝等にあたへん彼等は知識と明哲をもて汝等を養ふべし 024 JER 003 016 ヱホバいひたまふ汝等地に增して多くならんときは人々復ヱホバの契約の櫃といはず之を想ひいでず之を憶えずこれを尋ねずこれを作らざるべし 024 JER 003 017 その時ヱルサレムはヱホバの座位と稱へられ萬國の民ここに集るべし即ちヱホバの名によりてヱルサレムに集り重て其惡き心の剛愎なるにしたがひて行まざるべし 024 JER 003 018 その時ユダの家はイスラエルの家とともに行みて北の地よりいで我汝らの先祖たちに與へて嗣しめし地に偕にきたるべし 024 JER 003 019 我いへり嗚呼われいかにして汝を諸子の中に置き萬國の中にて最も美しき產業なる此美地を汝にあたへんと我またいへり汝われを我父とよび亦我を離れざるべしと 024 JER 003 020 然にイスラエルの家よ妻の誓に違きてその夫を棄るがごとく汝等われに背けりとヱホバいひたまふ 024 JER 003 021 聲山のうへに聞ゆ是はイスラエルの民の悲み祈るなり蓋彼等まがれる途にあゆみ其神ヱホバを忘るればなり 024 JER 003 022 背ける諸子よ我に歸れわれ汝の退違をいやさん/視よ我儕なんぢに到る汝はわれらの神ヱホバなればなり 024 JER 003 023 信に諸の岡とおほくの山に救を望むはいたづらなり誠にイスラエルの救はわれらの神ヱホバにあり 024 JER 003 024 羞恥はわれらの幼時より我儕の先祖の產業すなはち其多の羊とそのおほくの牛および其子その女を呑盡せり 024 JER 003 025 われらは羞恥に臥し我らは恥辱に覆はるべしそは我儕とわれらの列祖は我らの幼時より今日にいたるまで罪をわれらの神ヱホバに犯し我儕の神ヱホバの聲に遵はざればなり 024 JER 004 001 ヱホバいひたまふイスラエルよ汝もし歸らば我に歸れ汝もし憎むべき者を我前より除かば流蕩はじ 024 JER 004 002 かつ汝は眞實と正直と公義とをもてヱホバは活くと誓はんさらば萬國の民は彼によりて福祉をうけ彼によりて誇るべし 024 JER 004 003 ヱホバ、ユダとヱルサレムの人々にかくいひ給ふ汝等の新田を耕せ荊棘の中に種くなかれ。 024 JER 004 004 ユダの人々とヱルサレムに住める者よ汝等みづから割禮をおこなひてヱホバに屬きおのれの心の前の皮を去れ然らざれば汝等の惡行のためわが怒火の如くに發して燃えんこれを滅すものなかるべし 024 JER 004 005 汝等ユダに告げヱルサレムに示していへ箛を國の中に吹けとまた大聲に呼はりていへ汝等あつまれ我儕堅き邑にゆくべしと 024 JER 004 006 シオンに指示す合圖の旗をたてよ逃よ留まる勿れそは我北より災とおほいなる敗壞をきたらすればなり 024 JER 004 007 獅子は其森よりいでて上り國々を滅すものは進みきたる彼汝の國を荒さんとて旣にその處よりいでたり汝の諸邑は滅されて住む者なきに至らん 024 JER 004 008 この故に汝等麻の衣を身にまとひて悲み哭けそはヱホバの烈しき怒いまだ我儕を離れざればなり 024 JER 004 009 ヱホバいひたまひけるはその日王と牧伯等はその心をうしなひ祭司は驚き預言者は異むべし 024 JER 004 010 我いひけるは嗚呼主ヱホバよ汝はまことに此民とヱルサレムを大にあざむきたまふすなはち汝はなんぢら安かるべしと云給ひしに劍命にまでおよべり 024 JER 004 011 その時この民とヱルサレムにいふものあらん熱き風 曠野の童山よりわが民の女にふききたると此は簸るためにあらず潔むる爲にもあらざるなり 024 JER 004 012 これよりも猶はげしき風われより來らん今我かれらに鞫を示さん 024 JER 004 013 みよ彼は雲のごとく上りきたらん其車は颶風のごとくにしてその馬は鷹よりも疾し嗚呼われらは禍なるかな我儕滅さるべし 024 JER 004 014 ヱルサレムよ汝の心の惡をあらひ潔めよ然ばすくはれん汝の惡き念いつまで汝のうちにあるや 024 JER 004 015 ダンより告ぐる聲ありエフライムの山より災を知するなり 024 JER 004 016 汝ら國々の民に告げまたヱルサレムに知らせよ攻めかこむ者遠き國より來りユダの諸邑にむかひて其聲を揚ぐと 024 JER 004 017 彼らは田圃をまもる者のごとくにこれを圍むこは我に從はざりしに由るとヱホバいひ給ふ 024 JER 004 018 汝の途と汝の行これを汝に招けりこれは汝の惡なり誠に苦くして汝の心におよぶ 024 JER 004 019 嗚呼わが腸よ我腸よ痛苦心の底におよびわが心胸とどろくわれ默しがたし我靈魂よ汝箛の聲と軍の鬨をきくなり 024 JER 004 020 敗滅に敗滅のしらせありこの地は皆荒されわが幕屋は頃刻にやぶられ我幕は忽ち破られたり 024 JER 004 021 我が旗をみ箛の聲をきくは何時までぞや 024 JER 004 022 それ我民は愚にして我を識らず拙き子等にして曉ることなし彼らは惡を行ふに智けれども善を行ふことを知ず 024 JER 004 023 われ地を見るに形なくして空くあり天を仰ぐに其處に光なし 024 JER 004 024 我山を見るに皆震へまた諸の丘も動けり 024 JER 004 025 我見に人あることなし天空の鳥も皆飛されり 024 JER 004 026 我みるに肥美なる地は沙漠となり且その諸の邑はヱホバの前にその烈しき怒の前に毀たれたり 024 JER 004 027 そはヱホバかくいひたまへりすべて此地は荒地とならんされど我ことごとくは之を滅さじ 024 JER 004 028 故に地は皆哀しみ上なる天は暗くならん我すでに之をいひ且これを定めて悔いずまた之をなす事を止ざればなり 024 JER 004 029 邑の人みな騎兵と射者の咄喊のために逃て叢林にいり又岩の上に升れり邑はみな棄られて其處に住む人なし 024 JER 004 030 滅されたる者よ汝何をなさんとするや設令汝くれなゐの衣をき金の飾物をもて身を粧ひ目をぬりて大くするとも汝が身を粧ふはいたづらなり汝の戀人らは汝をいやしめ汝のいのちを索るなり 024 JER 004 031 われ子をうむ婦のごとき聲首子をうむ者の苦むがごとき聲を聞く是れシオンの女の聲なりかれ自ら歎き手をのべていふ嗚呼われは禍なるかな我靈魂殺す者のために疲れはてぬ 024 JER 005 001 汝等ヱルサレムの邑をめぐりて視且察りその街を尋ねよ汝等もし一人の公義を行ひ眞理を求る者に逢はばわれ之(ヱルサレム)を赦すべし 024 JER 005 002 彼らヱホバは活くといふとも實は僞りて誓ふなり 024 JER 005 003 ヱホバよ汝の目は誠實を顧みるにあらずや汝彼らを撻どもかれら痛苦をおぼえず彼等を滅せどもかれら懲治をうけず其面を磐よりも硬くして歸ることを拒めり 024 JER 005 004 故に我いひけるは此輩は惟いやしき愚なる者なればヱホバの途と其神の鞫を知ざるなり 024 JER 005 005 われ貴人にゆきて之に語らんかれらはヱホバの途とその神の鞫を知るなり然に彼らも皆軛を折り縛を斷り 024 JER 005 006 故に林よりいづる獅子は彼らを殺しアラバの狼はかれらを滅し豹はその邑をねらふ此處よりいづる者は皆裂るべしそは其罪おほくその背違はなはだしければなり 024 JER 005 007 我なに故に汝をゆるすべきや汝の諸子われを棄て神にあらざる神を指して誓ふ我すでに彼らを誓はせたれど彼ら姦淫して娼妓の家に群集る 024 JER 005 008 彼らは肥たる牡馬のごとくに行めぐりおのおの嘶きて隣の妻を慕ふ 024 JER 005 009 ヱホバいひたまふ我これらの事のために彼らを罰せざらんや我心はかくの如き民に仇を復さざらんや 024 JER 005 010 汝等その石垣にのぼりて滅せされど悉くはこれを滅す勿れその枝を截除けヱホバのものに有ざればなり 024 JER 005 011 イスラエルの家とユダの家は大に我に悖るなりとヱホバいひたまふ 024 JER 005 012 彼等はヱホバを認ずしていふヱホバはある者にあらず災われらに來らじ我儕劍と饑饉をも見ざるべし 024 JER 005 013 預言者は風となり言はかれらの衷にあらず斯彼らになるべしと 024 JER 005 014 故に萬軍の神ヱホバかくいひたまふ汝等この言を語により視よわれ汝の口にある我言を火となし此民を薪となさんその火彼らを焚盡すべし 024 JER 005 015 ヱホバいひ給ふイスラエルの家よみよ我遠き國人をなんぢらに來らしめん其國は強くまた古き國なり汝等その言をしらず其語ることをも曉らざるなり 024 JER 005 016 その箙は啓きたる墓のごとし彼らはみな勇士なり 024 JER 005 017 彼らは汝の穡れたる物と汝の糧食を食ひ汝の子女を食ひ汝の羊と牛を食ひ汝の葡萄の樹と無花果の樹を食ひまた劍をもて汝の賴むところの堅き邑を滅さん 024 JER 005 018 されど其時われことごとくは汝を滅さじとヱホバいひたまふ 024 JER 005 019 汝等何ゆゑにわれらの神ヱホバ此等の諸のことを我儕になしたまふやといはば汝かれらに答ふべし汝ら我をすて汝らの地に於て異なる神に奉へしごとく汝らのものにあらざる地に於て異邦人につかふべしと 024 JER 005 020 汝これをヤコブの家にのべまたこれをユダに示していへ 024 JER 005 021 愚にして了知なく目あれども見えず耳あれども聞えざる民よこれをきけ 024 JER 005 022 ヱホバいひ給ふ汝等われを畏れざるか我前に戰慄かざるか我は沙を置て海の界となしこれを永遠の限界となし踰ることをえざらしむ其浪さかまきいたるも勝ことあたはず澎湃もこれを踰るあたはざるなり 024 JER 005 023 然るにこの民は背き且悖れる心あり旣に背きて去れり 024 JER 005 024 彼らはまた我儕に雨をあたへて秋の雨と春の雨を時にしたがひて下し我儕のために收穫の時節を定め給へる我神ヱホバを畏るべしと其心にいはざるなり 024 JER 005 025 汝等の愆はこれらの事を退け汝等の罪は嘉物を汝らに來らしめざりき 024 JER 005 026 我民のうちに惡者あり網を張る者のごとくに身をかがめてうかがひ罟を置て人をとらふ 024 JER 005 027 樊籠に鳥の盈るがごとく不義の財彼らの家に充つこの故に彼らは大なる者となり富る者となる 024 JER 005 028 彼らは肥て光澤あり其惡き行は甚し彼らは訟をたださず孤の訟を糺さずして利達をえ亦貧者の訴を鞫かず 024 JER 005 029 ヱホバいひ給ふわれかくのごときことを罰せざらんや我心は是のごとき民に仇を復さざらんや 024 JER 005 030 この地に驚くべき事と憎むべきこと行はる 024 JER 005 031 預言者は僞りて預言をなし祭司は彼らの手によりて治め我民は斯る事を愛すされど汝等その終に何をなさんとするや 024 JER 006 001 ベニヤミンの子等よヱルサレムの中より逃れテコアに箛をふきベテハケレムに合圖の火をあげよそは北より災と大なる敗壞のぞめばなり 024 JER 006 002 われ美しき窈窕なるシオンの女を滅さん 024 JER 006 003 牧者は其群を牽て此處にきたりその周圍に天幕をはらん群はおのおのその處にて草を食はん 024 JER 006 004 汝ら戰端を開きて之を攻べし起よわれら日午にのぼらん嗚呼惜かな日ははや昃き夕日の影長くなれり 024 JER 006 005 起よわれら夜の間にのぼりてその諸の殿舍を毀たん 024 JER 006 006 萬軍のヱホバかくいひたまへり汝ら樹をきりヱルサレムに向ひて壘を築けこれは罰すべき邑なりその中には唯暴逆のみあり 024 JER 006 007 源の水をいだすがごとく彼その惡を流すその中に暴逆と威虐きこゆ我前に憂と傷たえず 024 JER 006 008 ヱルサレムよ汝訓戒をうけよ然らざれば我心汝をはなれ汝を荒蕪となし住む人なき地となさん 024 JER 006 009 萬軍のヱホバかくいひたまふ彼らは葡萄の遺餘を摘みとるごとくイスラエルの遺れる者を摘とらん汝葡萄を摘取者のごとく屢手を筐に入るべし 024 JER 006 010 我たれに語り誰を警めてきかしめんや視よその耳は割禮をうけざるによりて聽えず彼らはヱホバの言を嘲りこれを悦ばず 024 JER 006 011 ヱホバの怒わが身に充つわれ忍ぶに倦むこれを衢街にある童子と集れる年少者とに泄すべし夫も婦も老たる者も年邁し者も執へらるるにいたらん 024 JER 006 012 その家と田地と妻はともに佗人にわたらん其はわれ手を擧てこの地に住る者を撃ばなりとヱホバいひたまふ 024 JER 006 013 夫彼らは少さき者より大なる者にいたるまで皆貪婪者なり又預言者より祭司にいたるまで皆詭詐をなす者なればなり 024 JER 006 014 かれら淺く我民の女の傷を醫し平康からざる時に平康平康といへり 024 JER 006 015 彼らは憎むべき事を爲て恥辱をうくれども毫も恥ずまた愧を知らずこの故に彼らは傾仆るる者と偕にたふれん我來るとき彼ら躓かんとヱホバいひたまふ 024 JER 006 016 ヱホバかくいひたまふ汝ら途に立て見古き徑に就て何か善道なるを尋ねて其途に行めさらば汝らの靈魂安を得ん然ど彼らこたへて我儕はそれに行まじといふ 024 JER 006 017 我また汝らの上に守望者をたて箛の聲をきけといへり然ど彼等こたへて我儕は聞じといふ 024 JER 006 018 故に萬國の民よきけ會衆よかれらの遇ところを知れ 024 JER 006 019 地よきけわれ災をこの民にくださんこは彼らの思の結ぶ果なりかれら我言とわが律法をきかずして之を棄るによる 024 JER 006 020 シバより我許に乳香きたり遠き國より菖蒲きたるは何のためぞやわれは汝らの燔祭をよろこばず汝らの犠牲を甘しとせず 024 JER 006 021 故にヱホバかくいひたまふみよ我この民の前に躓礙をおく父と子とそれに蹶き隣人とその友偕に滅ぶべし 024 JER 006 022 ヱホバかくいひたまふみよ民北の國よりきたる大なる民地の極より起る 024 JER 006 023 彼らは弓と槍をとる殘忍にして憫なしその聲は海の如く鳴るシオンの女よかれらは馬に乗り軍人のごとく身をよろひて汝を攻めん 024 JER 006 024 我儕その風聲をききたれば我儕の手弱り子をうむ婦のごとき苦痛と劬勞われらに迫る 024 JER 006 025 汝ら田地に出る勿れまた路に行むなかれ敵の劍と畏怖四方にあればなり 024 JER 006 026 我民の女よ麻衣を身にまとひ灰のうちにまろび獨子を喪ひしごとくに哀みていたく哭けそは毀滅者突然に我らに來るべければなり 024 JER 006 027 われ汝を民のうちに立て金を驗る者のごとくなし又城のごとくなすこは汝をしてその途を知しめまた試みしめんためなり 024 JER 006 028 彼らは皆いたく悖れる者なり歩行て人を謗る者なり彼らは銅のごとく鐵のごとし皆邪なる者なり 024 JER 006 029 韛は火に焚け鉛はつき鎔匠はいたづらに鎔す惡者いまだ除かれざればなり 024 JER 006 030 ヱホバ彼らを棄たまふによりて彼等は棄られたる銀と呼ばれん 024 JER 007 001 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言云ふ 024 JER 007 002 汝ヱホバの室の門にたち其處にてこの言を宣て言へヱホバを拜まんとてこの門にいりしユダのすべての人よヱホバの言をきけ 024 JER 007 003 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひ給ふ汝らの途と汝らの行を改めよさらばわれ汝等をこの地に住しめん 024 JER 007 004 汝ら是はヱホバの殿なりヱホバの殿なりヱホバの殿なりと云ふ僞の言をたのむ勿れ 024 JER 007 005 汝らもし全くその途と行を改め人と人との間を正しく鞫き 024 JER 007 006 異邦人と孤兒と寡を虐げず無辜者の血をこの處に流さず他の神に從ひて害をまねかずば 024 JER 007 007 我なんぢらを我汝等の先祖にあたへしこの地に永遠より永遠にいたるまで住しむべし 024 JER 007 008 みよ汝らは益なき僞の言を賴む 024 JER 007 009 汝等は盜み殺し姦淫し妄りて誓ひバアルに香を焚き汝らがしらざる他の神にしたがふなれど 024 JER 007 010 我名をもて稱へらるるこの室にきたりて我前にたち我らはこれらの憎むべきことを行ふとも救はるるなりといふは何にぞや 024 JER 007 011 わが名をもて稱へらるる此室は汝らの目には盜賊の巢と見ゆるや我も之をみたりとヱホバいひたまふ 024 JER 007 012 汝等わが初シロに於て我名を置し處にゆき我がイスラエルの民の惡のために其處になせしところのことをみよ 024 JER 007 013 ヱホバいひたまふ今汝ら此等のすべての事をなす又われ汝らに語り頻にかたりたれども聽かず汝らを呼びたれども答へざりき 024 JER 007 014 この故に我シロになせしごとく我名をもて稱へらるる此室になさんすなはち汝等が賴むところ我汝らと汝らの先祖にあたへし此處になすべし 024 JER 007 015 またわれ汝等のすべての兄弟すなはちエフライムのすべての裔を棄てしごとく我前より汝らをも棄つべし 024 JER 007 016 故に汝この民のために祈る勿れ彼らの爲に歎くなかれ求むるなかれ又我にとりなしをなす勿れわれ汝にきかじ 024 JER 007 017 汝かれらがユダの邑とヱルサレムの街になすところを見ざるか 024 JER 007 018 諸子は薪を拾め父は火を燃き婦は麺を搏ねパンをつくりて之を天后にそなふ又かれら他の神の前に酒をそそぎて我を怒らす 024 JER 007 019 ヱホバいひたまふ彼ら我を怒らするか是れおのが面を辱むるにあらずや 024 JER 007 020 是故に主ヱホバかくいひたまふ視よわが震怒とわが憤怒はこの處と人と獸と野の樹および地の果にそそがん且燃て滅ざるべし 024 JER 007 021 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝らの犠牲に燔祭の物をあはせて肉をくらへ 024 JER 007 022 そはわれ汝等の先祖をエジプトより導きいだせし日に燔祭と犠牲とに就てかたりしことなく又命ぜしことなし 024 JER 007 023 惟われこの事を彼等に命じ汝ら我聲を聽ばわれ汝らの神となり汝ら我民とならん且わが汝らに命ぜしすべての道を行みて福祉をうべしといへり 024 JER 007 024 されど彼らはきかず其耳を傾けずおのれの惡き心の謀と剛愎なるとにしたがひて行みまた後を我にむけて其面を向けざりき 024 JER 007 025 汝らの先祖がエジプトの地をいでし日より今日にいたるまでわれ我僕なる預言者を汝らにつかはし日々晨より之をつかはせり 024 JER 007 026 されど彼らは我にきかず耳を傾けずして其項を強くしその列祖よりも愈りて惡をなすなり 024 JER 007 027 汝彼らに此等のすべてのことばを語るとも汝にきかずかれらを呼ぶとも汝にこたへざるべし 024 JER 007 028 汝かく彼らに語れこれは其神ヱホバの聲を聽ずその訓を受ざる民なり眞實はうせてその口に絕たり 024 JER 007 029 (シオンの女よ)汝の髮を剃りてこれを棄て山の上に哀哭の聲をあげよヱホバその怒るところの世の人をすててこれを離れたまへばなり 024 JER 007 030 ヱホバいひたまふユダの民は我前に惡を行へり即ちその憎むべき者を我名をもて稱へらるる室に置てこれを汚せり 024 JER 007 031 又ベンヒンノムの谷に於てトペテの崇邱を築きてその子女を火に焚かんとせり我これを命ぜずまた斯ることを思はざりし 024 JER 007 032 ヱホバいひたまふ然ば視よ此處をトペテまたはベンヒンノムの谷と稱へずして殺戮の谷と稱ふる日きたらん其は葬るべき地所なきまでにトペテに葬るべければなり 024 JER 007 033 この民の屍は天空の鳥と地の獸の食物とならんこれを逐ふものなかるべし 024 JER 007 034 その時われユダの邑とヱルサレムの街に欣喜の聲 歡樂の聲 新婿の聲 新婦の聲なからしむべしこの地荒蕪ればなり 024 JER 008 001 ヱホバいひたまふその時人ユダの王等の骨とその牧伯等の骨と祭司の骨と預言者の骨とヱルサレムの民の骨をその墓よりほりいだし 024 JER 008 002 彼等の愛し奉へ從ひ求め且祭れるところの日と月と天の衆群の前にこれを曝すべし其骨はあつむる者なく葬る者なくして糞土のごとくに地の面にあらん 024 JER 008 003 この惡き民の中ののこれる餘遺の者すべてわが逐やりしところに餘れる者皆生るよりも死ぬることを願んと萬軍のヱホバ云たまふ 024 JER 008 004 汝また彼らにヱホバかくいふと語るべし人もし仆るれば起きかへるにあらずやもし離るれば歸り來るにあらずや 024 JER 008 005 何故にヱルサレムにをる此民は恒にわれを離れて歸らざるや彼らは詐僞をかたく執て歸ることを否めり 024 JER 008 006 われ耳を側てて聽に彼らは善ことを云ず一人もその惡を悔いてわがなせし事は何ぞやといふ者なし彼らはみな戰場に馳入る馬のごとくにその途に歸るなり 024 JER 008 007 天空の鶴はその定期を知り斑鳩と燕と鴈はそのきたる時を守るされど我民はヱホバの律法をしらざるなり 024 JER 008 008 汝いかで我ら智慧ありわれらにはヱホバの律法ありといふことをえんや視よまことに書記の僞の筆之を僞とせり 024 JER 008 009 智慧ある者は辱しめられまたあわてて執へらる視よ彼等ヱホバの言を棄たり彼ら何の智慧あらんや 024 JER 008 010 故にわれその妻を他人にあたへ其田圃を他人に嗣しめん彼らは小さき者より大なる者にいたるまで皆貪婪者また預言者より祭司にいたるまで皆詭詐をなす者なればなり 024 JER 008 011 彼ら我民の女の傷を淺く醫し平康からざる時に平康平康といへり 024 JER 008 012 彼ら憎むべき事をなして恥辱らる然れど毫も恥ずまた恥を知らずこの故に彼らは仆るる者と偕に仆れんわが彼らを罰するときかれら躓くべしとヱホバいひたまふ 024 JER 008 013 ヱホバいひたまふ我彼らをことごとく滅さん葡萄の樹に葡萄なく無花果の樹に無花果なしその葉も槁れたり故にわれ殲滅者を彼らにつかはす. 024 JER 008 014 我ら何ぞ此にとどまるやあつまれよ我ら堅き城邑にゆきて其處に滅ん我儕ヱホバに罪を犯せしによりて我らの神ヱホバ我らを滅し毒なる水を飮せたまへばなり 024 JER 008 015 われら平康を望めども善こと來らず慰めらるる時を望むにかへつて恐懼きたる 024 JER 008 016 その馬の嘶はダンよりきこえこの地みなその強き馬の聲によりて震ふ彼らきたりて此地とその上にある者および邑とその中に住る者を食ふ 024 JER 008 017 視よわれ呪詛のきかざる蛇蝮を汝らのうちに遣はさん是汝らを嚙べしとヱホバいひたまふ 024 JER 008 018 嗚呼われ憂ふいかにして慰藉をえんや我衷の心惱む 024 JER 008 019 みよ遠き國より我民の女の聲ありていふヱホバはシオンに在さざるか其王はその中に在ざるかと(ヱホバいひたまふ)彼らは何故にその偶像と異邦の虛き物をもて我を怒らせしやと 024 JER 008 020 收穫の時は過ぎ夏もはや畢りぬされど我らはいまだ救はれず 024 JER 008 021 我民の女の傷によりて我も傷み且悲しむ恐懼我に迫れり 024 JER 008 022 ギレアデに乳香あるにあらずや彼處に醫者あるにあらずやいかにして我民の女はいやされざるや 024 JER 009 001 ああ我わが首を水となし我目を涙の泉となすことをえんものを我民の女の殺されたる者の爲に晝夜哭かん 024 JER 009 002 嗚呼われ曠野に旅人の寓所をえんものを我民を離れてさりゆかん彼らはみな姦淫するもの悖れる者の族なればなり 024 JER 009 003 彼らは弓を援くがごとく其舌をもて僞をいだす彼らは此地において眞實のために強からず惡より惡にすすみまた我を知ざるなりとヱホバいひたまふ 024 JER 009 004 汝らおのおの其隣に心せよ何の兄弟をも信ずる勿れ兄弟はみな欺きをなし隣はみな讒りまはればなり 024 JER 009 005 彼らはおのおの其隣を欺きかつ眞實をいはず其舌に謊をかたることを敎へ惡をなすに勞る 024 JER 009 006 汝の住居は詭譎の中にあり彼らは詭譎のために我を識ことをいなめりとヱホバいひたまふ 024 JER 009 007 故に萬軍のヱホバかくいひたまへり視よ我かれらを鎔し試むべしわれ我民の女の事を如何になすべきや 024 JER 009 008 彼らの舌は殺す矢のごとしかれら詭をいふまた其口をもて隣におだやかにかたれども其心の中には害をはかるなり 024 JER 009 009 ヱホバいひたまふ我これらの事のために彼らを罰せざらんや我心はかくのごとき民に仇を復さざらんや 024 JER 009 010 われ山のために泣き咷び野の牧場のために悲むこれらは焚れて過る人なしまたここに牛羊の聲をきかず天空の鳥も獸も皆逃てさりぬ 024 JER 009 011 われヱルサレムを邱墟とし山犬の巢となさんまたユダの諸の邑々を荒して住む人なからしめん 024 JER 009 012 智慧ありてこの事を曉る人は誰ぞやヱホバの口の言を受てこれを示さん者は誰ぞやこの地滅されまた野のごとく焚れて過る者なきにいたりしは何故ぞ 024 JER 009 013 ヱホバいひたまふ是彼ら我その前に立しところの律法をすて我聲をきかず之に從はざるによりてなり 024 JER 009 014 彼らはその心の剛愎なるとその列祖たちがおのれに敎へしバアルとに從へり 024 JER 009 015 この故に萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よわれ彼等すなはち斯民に茵蔯を食はせ毒なる水を飮せ 024 JER 009 016 彼らもその先祖たちもしらざりし國人のうちに彼らを散しまた彼らを滅し盡すまで其後に劍をつかはさん 024 JER 009 017 萬軍のヱホバかくいひたまふ汝らよく考へ哭婦をよびきたれ又人を遣して智き婦をまねけよ 024 JER 009 018 彼らは速にきたりて我儕のために哭哀しみ我儕の目に涙をこぼさせ我儕の目蓋より水を溢れしめん 024 JER 009 019 シオンより哀の聲きこゆ云く嗚呼われら滅され我ら痛く辱めらる我らは其地を去り彼らはわが住家を毀ちたり 024 JER 009 020 婦たちよヱホバの言をきけ汝らの耳に其口の言をいれよ汝らの女に哭ことを敎へおのおのその隣に哀の歌を敎ふべし 024 JER 009 021 そは死のぼりてわれらの窓よりいり我らの殿舍に入り外にある諸子を絕し街にある壯年を殺さんとすればなり 024 JER 009 022 ヱホバかくいへりと汝云ふべし人の屍は糞土のごとく田野に墮ちんまた收穫者のうしろに殘りて斂めずにある把のごとくならんと 024 JER 009 023 ヱホバかくいひたまふ智慧ある者はその智慧に誇る勿れ力ある者は其力に誇るなかれ富者はその富に誇ること勿れ 024 JER 009 024 誇る者はこれをもて誇るべし即ち明哲して我を識る事とわがヱホバにして地に仁惠と公道と公義とを行ふ者なるを知る事是なり我これらを悦ぶなりとヱホバいひたまふ 024 JER 009 025 ヱホバいひたまひけるは視よわれすべて陽の皮に割禮をうけたる者すなはちエジプトとユダとエドムとアンモンの子孫とモアブと野にをりてその鬚を剃る者とを罰する日きたらんそはすべて異邦人は割禮をうけずまたイスラエルの家も心に割禮をうけざればなり 024 JER 009 026 ヱホバいひたまひけるは視よわれすべて陽の皮に割禮をうけたる者すなはちエジプトとユダとエドムとアンモンの子孫とモアブと野にをりてその鬚を剃る者とを罰する日きたらんそはすべて異邦人は割禮をうけずまたイスラエルの家も心に割禮をうけざればなり 024 JER 010 001 イスラエルの家よヱホバの汝らに語たまふ言をきけ 024 JER 010 002 ヱホバかくいひたまふ汝ら異邦人の途に效ふ勿れ異邦人は天にあらはるる徴を懼るるとも汝らはこれを懼るる勿れ 024 JER 010 003 異國人の風俗はむなしその崇むる者は林より斫たる木にして木匠の手に斧をもて作りし者なり 024 JER 010 004 彼らは銀と金をもてこれを飾り釘と鎚をもて之を堅めて搖動かざらしむ 024 JER 010 005 こは圓き柱のごとくにして言はずまた歩むこと能はざるによりて人にたづさへらる是は災害をくだし亦は福祉をくだすの權なきによりて汝らこれを畏るる勿れ 024 JER 010 006 ヱホバよ汝に比ふべき者なし汝は大なり汝の名は其權威のために大なり 024 JER 010 007 汝萬國の王たる者よ誰か汝を畏れざるべきや汝を畏るるは當然なりそは萬國のすべての博士たちのうちにもその諸國のうちにも汝に比ふべき者なければなり 024 JER 010 008 彼らはみな獸のことくまた痴愚なり虛しき者の敎は惟木のみ 024 JER 010 009 タルシシより携へ來し銀箔ウパズより携へ來し金は鍛冶と鑄匠の作りし物なり靑と紫をその衣となす是はすべて巧みなる細工人の工作なり 024 JER 010 010 ヱホバは眞の神なり彼は活る神なり永遠の王なり其怒によりて地は震ふ萬國はその憤怒にあたること能はず 024 JER 010 011 汝等かく彼らにいふべし天地を造らざりし諸神は地の上よりこの天の下より失さらんと 024 JER 010 012 ヱホバはその能をもて地をつくり其智慧をもて世界を建てその明哲をもて天を舒べたまへり 024 JER 010 013 かれ聲をいだせば天に衆の水ありかれ雲を地の極よりいだし電と雨をおこし風をその府庫よりいだす 024 JER 010 014 すべての人は獸の如くにして智なしすべての鑄匠はその作りし像のために辱をとる其鑄るところの像は僞物にしてその中に靈魂なければなり 024 JER 010 015 是らは虛き者にして迷妄の工作なりその罰せらるるときに滅ぶべし 024 JER 010 016 ヤコブの分は是のごとくならず彼は萬物の造化主なりイスラエルはその產業の杖なりその名は萬軍のヱホバといふなり 024 JER 010 017 圍の中に坐する者よ汝の包を地より取りあげよ 024 JER 010 018 ヱホバかくいひたまふみよ我この地にすめる者を此度擲たん且かれらをせめなやまして擄へられしむべし 024 JER 010 019 われ毀傷をうく嗚呼われは禍なるかな我傷は重し我いふこれまことにわが患難なりわれ之を忍べし 024 JER 010 020 わが幕屋はやぶれわが繩索は悉く斷れ我衆子は我をすてゆきて居ずなりぬ幕屋を張る者なくわが幃をかくる者なし 024 JER 010 021 牧者は愚にしてヱホバを求めず故に利達ずその群はみな散れり 024 JER 010 022 きけよ風聲あり北の國より大なる騒きたる是ユダの諸邑を荒して山犬の巢となさん 024 JER 010 023 ヱホバよわれ知る人の途は自己によらず且歩行む人は自らその歩履を定むること能はざるなり 024 JER 010 024 ヱホバよ我を懲したまへ但道にしたがひ怒らずして懲したまへおそらくは我無に歸せん 024 JER 010 025 汝を知ざる國人と汝の名を龥ざる族に汝の怒を斟ぎたまへ彼らはヤコブを噬ひ之をくらふて滅しその牧場を荒したればなり 024 JER 011 001 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言いふ 024 JER 011 002 汝らこの契約の言をききユダの人とヱルサレムにすめる者に告よ 024 JER 011 003 汝かれらに語れイスラエルの神ヱホバかくいひたまふこの契約の言に遵はざる人は詛はる 024 JER 011 004 この契約はわが汝らの先祖をエジプトの地鐵の爐の中より導き出せし日にかれらに命ぜしものなり即ち我いひけらく汝ら我聲をきき我汝らに命ぜし諸の事に從ひて行はば汝らは我民となり我は汝らの神とならん 024 JER 011 005 われ汝らの先祖に乳と蜜の流るる地を與へんと誓ひしことを成就んと即ち今日のごとしその時我こたへてアーメン、ヱホバといへり 024 JER 011 006 またヱホバ我にいひたまひけるは汝すべて此等の言をユダの諸邑とヱルサレムの衢にしめし汝ら此契約の言をききてこれを行へといふべし 024 JER 011 007 われ汝らの列祖をエジプトの地より導出せし日より今日にいたるまで切に彼らを戒め頻に戒めて汝ら我聲に遵へといへり 024 JER 011 008 然ど彼らは遵はずその耳を傾けずおのおの其惡き心の剛愎なるにしたがひて歩めり故にわれ此契約の言を彼等にきたらす是はわがかれらに之を行へと命ぜしかども彼等がおこなはざりし者なり 024 JER 011 009 またヱホバ我にいひたまひけるはユダの人々とヱルサレムに住る者の中に叛逆の事あり 024 JER 011 010 彼らは我言をきくことを好まざりしところのその先祖の罪にかへり亦他の神に從ひて之に奉へたりイスラエルの家とユダの家はわがその列祖たちと締たる契約をやぶれり 024 JER 011 011 この故にヱホバかくいひ給ふみよわれ災禍をかれらにくださん彼らこれを免かるることをえざるべし彼ら我をよぶとも我聽じ 024 JER 011 012 ユダの邑とヱルサレムに住る者はゆきてその香を焚し神を龥んされど是等はその災禍の時に絕てかれらを救ふことあらじ 024 JER 011 013 ユダよ汝の神の數は汝の邑の數のごとし且汝らヱルサレムの衢の數にしたがひて恥べき者に壇をたてたり即ちバアルに香を焚んとて壇をたつ 024 JER 011 014 故に汝この民の爲に祈る勿れ又その爲に泣きあるひは求る勿れ彼らがその災禍のために我を呼ときわれ彼らに聽ざるべし 024 JER 011 015 わが愛する者は我室にて何をなすや惡き謀をなすや願と聖き肉汝に災を脱れしむるやもし然らば汝よろこぶべし 024 JER 011 016 ヱホバ汝の名を嘉果ある美しき靑橄欖の樹と稱たまひしがおほいなる喧嚷の聲をもて之に火をかけ且その枝を折りたまふ 024 JER 011 017 汝を植し萬軍のヱホバ汝の災をさだめ給へりこれイスラエルの家とユダの家みづから害ふの惡をなしたるによるなり即ちバアルに香を焚きてわれを怒らせたり 024 JER 011 018 ヱホバ我に知せたまひければ我これを知るその時汝彼らの作爲を我にしめしたまへり 024 JER 011 019 我は牽れて宰られにゆく羔の如く彼らが我をそこなはんとて謀をなすを知ず彼らいふいざ我ら樹とその果とを共に滅さんかれを生る者の地より絕てその名を人に忘れしむべしと 024 JER 011 020 義き鞫をなし人の心腸を察りたまふ萬軍のヱホバよ我わが訴を汝にのべたればわれをして汝が彼らに仇を報すを見せしめたまへ 024 JER 011 021 是をもてヱホバ、アナトテの人々につきてかくいひたまふ彼等汝の生命を取んと索めて言ふ汝ヱホバの名をもて預言する勿れ恐らくは汝我らの手に死んと 024 JER 011 022 故に萬軍のヱホバかくいひ給ふみよ我かれらを罰すべし壯丁は劍に死にその子女は饑饉にて死なん 024 JER 011 023 餘る者なかるべし我災をアナトテの人々にきたらしめわが彼らを罰するの年をきたらしめん 024 JER 012 001 ヱホバよわが汝と爭ふ時に汝は義し惟われ鞫の事につきて汝と言ん惡人の途のさかえ悖れる者のみな福なるは何故ぞや 024 JER 012 002 汝かれらを植たり彼らは根づき成長て實を結べりその口は汝に近けどもその心は汝に遠ざかる 024 JER 012 003 ヱホバ汝われを知り我を見またわが心の汝にむかひて何なるかを試みたまふ羊を宰りに牽いだすがごとく彼らを牽いだし殺す日の爲にかれらをそなへたまへ 024 JER 012 004 いつまでこの地は哭きすべての畑の蔬菜は枯をるべけんやこの地に住る者の惡によりて畜獸と鳥は滅さる彼らいふ彼は我らの終をみざるべしと 024 JER 012 005 汝もし歩行者とともに趨てつかれなばいかで騎馬者と競はんや汝平安なる地を恃まばいかでヨルダンの傍の叢に居ることをえんや 024 JER 012 006 汝の兄弟と汝の父の家も汝を欺きまた大聲をあげて汝を追ふかれらしたしく汝に語るともこれを信ずる勿れ 024 JER 012 007 われ我家を離れわが產業をすて我靈魂の愛するところの者をその敵の手にわたせり 024 JER 012 008 わが產業は林の獅子のごとし我にむかひて其聲を揚ぐ故にわれ之を惡めり 024 JER 012 009 我產業は我におけること班駁ある鳥のごとくならずや鳥之を圍むにあらずや野のすべての獸きたりあつまれ來てこれを食へ 024 JER 012 010 衆の牧者わが葡萄園をほろぼしわが地を踐踏しわがうるはしき地を荒野となせり 024 JER 012 011 彼らこれを荒地となせりその荒地我にむかひて哭くなり一人もかへりみる者なければこの全地は荒たり 024 JER 012 012 毀滅者は野のすべての童山のうへに來れりヱホバの劍地のこの極よりかの極までを滅ぼすすべて血氣ある者は安をえず 024 JER 012 013 彼らは麥を播て荊棘をかる勞れども得るところなし汝らはその作物のために恥るにいたらん是ヱホバの烈き怒によりてなり 024 JER 012 014 わがイスラエルの民に嗣しむる產業をせむるところのすべてのわが惡き隣にむかひてヱホバかくいふみよわれ彼等をその地より拔出しまたユダの家を彼らの中より拔出すべし 024 JER 012 015 われ彼らを拔出せしのちまた彼らを恤みておのおのを其產業にかへし各人をその地に歸らしめん 024 JER 012 016 彼等もし我民の道をまなび我名をさしてヱホバは活くと誓ふこと嘗て我民を敎へてバアルを指て誓はしめし如くせば彼らはわが民の中に建らるべし 024 JER 012 017 されど彼らもし聽かざれば我かならずかかる民を全く拔出して滅すべしとヱホバいひたまふ 024 JER 013 001 ヱホバかくいひたまへり汝ゆきて麻の帶をかひ汝の腰にむすべ水に入る勿れ 024 JER 013 002 われすなはちヱホバの言に遵ひ帶をかひてわが腰にむすべり 024 JER 013 003 ヱホバの言ふたたび我にのぞみて云ふ 024 JER 013 004 汝が買て腰にむすべる帶を取り起てユフラテにゆき彼處にてこれを磐の穴にかくせと 024 JER 013 005 ここに於てわれヱホバの命じたまひし如く往てこれをユフラテの涯にかくせり 024 JER 013 006 おほくの日を經しのちヱホバ我にいひたまひけるは起てユフラテにゆきわが汝に命じて彼處にかくさしめし帶を取れと 024 JER 013 007 われすなはちユフラテにゆき帶を我隱せしところより掘取りしにその帶は朽て用ふるにたへず 024 JER 013 008 またヱホバの言われにのぞみて云ふ 024 JER 013 009 ヱホバかくいふ我かくの如くユダの驕傲とヱルサレムの大なる驕傲をやぶらん 024 JER 013 010 この惡き民はわが言を聽ことをこばみ己の心の剛愎なるにしたがひて行み且他の神に從ひてこれにつかへ之を拜す彼等は此帶の用ふるにたへざるが如くなるべし 024 JER 013 011 ヱホバいふ帶の人の腰に附がごとくわれイスラエルのすべての家とユダのすべての家を我に附しめ之を我民となし名となし譽となし榮となさんとせり然るに彼等はきかざりき 024 JER 013 012 故に汝この言を彼らに語るべしイスラエルの神ヱホバかくいふ酒壺には皆酒盈つと彼汝にこたへていはん我儕豈酒壺に酒の盈ることを知ざらんやと 024 JER 013 013 其時汝かれらにいふべしヱホバかくいふみよわれ此地に住るすべての者とダビデの位に坐する王等と祭司と預言者およびヱルサレムに住るすべての者に醉を盈せ 024 JER 013 014 彼らを此と彼と打あはせて碎かん父と子をも然すべしわれ彼らを恤まず惜まず憐まずして滅さん 024 JER 013 015 汝らきけ耳を傾けよ驕る勿れヱホバかたりたまふなり 024 JER 013 016 汝らの神ヱホバに其いまだ暗を起したまはざる先汝らの足のくらき山に躓かざる先に榮光を皈すべし汝ら光明を望まんにヱホバ之を死の蔭に變へ之を昏黑となしたまふにいたらん 024 JER 013 017 汝ら若これを聽ずば我靈魂は汝らの驕を隱なるところに悲まん又ヱホバの群の掠めらるるによりて我目いたく泣て涙をながすべし 024 JER 013 018 なんぢ王と大后につげよ汝ら自ら謙りて坐せそはなんぢらの美しき冕汝らの首より落べければなり 024 JER 013 019 南の諸邑は閉てこれを啓く人なしユダは皆擄移され盡くとらへ移さる 024 JER 013 020 汝ら目を擧げて北より來る者をみよ汝らが賜はりし群汝のうるはしき群はいづこにあるや 024 JER 013 021 かれ汝の親み馴たる者を汝の上にたてて首領となさんとき汝何のいふべきことあらんや汝の痛は子をうむ婦のごとくならざらんや 024 JER 013 022 汝心のうちに何故にこの事我にきたるやといふか汝の罪の重によりて汝の裾は掲げられなんぢの踵はあらはさるるなり 024 JER 013 023 エテオピア人その膚をかへうるか豹その斑駁をかへうるか若これを爲しえば惡に慣たる汝らも善をなし得べし 024 JER 013 024 故にわれ彼らを散して野の風に吹散さるる皮壳のごとくせん 024 JER 013 025 ヱホバいひたまふこは汝の得べき分わが量て汝にあたふる產業なり汝我をわすれて虛假を依賴ばなり 024 JER 013 026 故にわれ汝の前の裳を剥ぎて汝の羞恥をあらはさん 024 JER 013 027 われ汝の姦淫と汝の嘶と汝が岡のうへと野になせし汝の亂淫の罪と汝の憎むべき行をみたりヱルサレムよ汝は禍なるかな汝の潔くせらるるには尚いくばくの時を經べきや 024 JER 014 001 乾旱の事につきてヱレミヤにのぞみしヱホバの言は左のごとし 024 JER 014 002 ユダは悲むその門は傾き地にたふれて哭くヱルサレムの咷は上る 024 JER 014 003 その侯伯等は僕をつかはして水を汲しむ彼ら井にいたれども水を見ず空き器をもちて歸り恥かつ憂へてその首をおほふ 024 JER 014 004 地に雨ふらずして土燥裂たるにより農夫は恥て首を掩ふ 024 JER 014 005 また野にある麀は子をうみて之を棄つ草なければなり 024 JER 014 006 野の驢馬は童山のうへにたちて山犬のごとく喘ぎ草なきによりて目眩む 024 JER 014 007 ヱホバよ我儕の罪われらを訟へて證をなすとも願くは汝の名の爲に事をなし給へ我儕の違背はおほいなり我儕汝に罪を犯したり 024 JER 014 008 イスラエルの企望なる者その艱るときに救ひたまふ者よ汝いかなれば此地に於て他邦人のごとくし一夜寄宿の旅客のごとくしたまふや 024 JER 014 009 汝いかなれば呆てをる人のごとくし救をなすこと能はざる勇士のごとくしたまふやヱホバよ汝は我らの間にいます我儕は汝の名をもて稱へらるる者なり我らを棄たまふ勿れ 024 JER 014 010 ヱホバこの民にかくいひたまへり彼らかく好んでさまよひ其足を禁めざればヱホバ彼らを悦ばずいまその愆をおぼえ其罪を罰すべし 024 JER 014 011 ヱホバまた我にいひたまひけるは汝この民のために恩をいのる勿れ 024 JER 014 012 彼ら斷食するとも我その呼龥をきかず燔祭と素祭を献るとも我これをうけず却てわれ劍と饑饉と疫病をもて彼らを滅すべし 024 JER 014 013 われいひけるは嗚呼主ヱホバよみよ預言者たちはこの民にむかひ汝ら劍を見ざるべし饑饉は汝らにきたらじわれ此處に鞏固なる平安を汝らにあたへんといへり 024 JER 014 014 ヱホバ我にいひたまひけるは預言者等は我名をもて詭を預言せりわれ之を遣さず之に命ぜずまた之にいはず彼らは虛誕の默示と卜筮と虛きことと己の心の詐を汝らに預言せり 024 JER 014 015 この故にかの吾が遣さざるに我名をもて預言して劍と饑饉はこの地にきたらじといへる預言者等につきてヱホバかくいふこの預言者等は劍と饑饉に滅さるべし 024 JER 014 016 また彼等の預言をうけし民は饑饉と劍によりてヱルサレムの街に擲棄られんこれを葬る者なかるべし彼等とその妻および其子その女みな然りそはわれ彼らの惡をその上に斟げばなり 024 JER 014 017 汝この言を彼らに語るべしわが目は夜も晝もたえず涙を流さんそは我民の童女大なる滅と重き傷によりて亡さるればなり 024 JER 014 018 われ出て畑にゆくに劍に死る者あり我邑にいるに饑饉に艱むものあり預言者も祭司もみなその地にさまよひて知ところなし 024 JER 014 019 汝はユダを悉くすてたまふや汝の心はシオンをきらふや汝いかなれば我儕を撃て愈しめざるか我ら平安を望めども善ことあらず又醫さるる時を望むに却て驚懼あり 024 JER 014 020 ヱホバよ我らはおのれの惡と先祖の愆を知るわれら汝に罪を犯したり 024 JER 014 021 汝の名のために我らを棄たまふ勿れ汝の榮の位を辱めたまふ勿れ汝のわれらに立し契約をおぼえて毀りたまふなかれ 024 JER 014 022 異邦の虛き物の中に雨を降せうるものあるや天みづから白雨をくだすをえんや我らの神ヱホバ汝これを爲したまふにあらずや我ら汝を望むそは汝すべて此等を悉く作りたまひたればなり 024 JER 015 001 ヱホバ我にいひたまひけるはたとひモーセとサムエルわが前にたつとも我こころは斯民を顧ざるべしかれらを我前より逐ひていでさらしめよ 024 JER 015 002 彼らもし汝にわれら何處にいでさらんやといはば汝彼らにヱホバかくいへりといへ死に定められたる者は死にいたり劍に定められたる者は劍にいたり饑饉に定められたる者は饑饉にいたり虜に定められたる者は虜にいたるべしと 024 JER 015 003 ヱホバ云たまひけるはわれ四の物をもて彼らを罰せんすなはち劍をもて戮し犬をもて噬せ天空の鳥および地の獸をもて食ひ滅さしめん 024 JER 015 004 またユダの王ヒゼキヤの子マナセがヱルサレムになせし事によりわれ彼らをして地のすべての國に艱難をうけしめん 024 JER 015 005 ヱルサレムよ誰か汝を憐まんたれか汝のために嘆かん誰かちかづきて汝の安否を問はん 024 JER 015 006 ヱホバいひたまふ汝われをすてたり汝退けり故にわれ手を汝のうへに伸て汝を滅さんわれ憫に倦り 024 JER 015 007 われ風扇をもて我民をこの地の門に煽がんかれらは其途を離れざるによりて我その子を絕ち彼らを滅すべし 024 JER 015 008 彼らの寡婦はわが前に海濱の沙よりも多し晝われほろぼす者を携へきたりて彼らと壯者の母とをせめ驚駭と恐懼を突然にかれの上におこさん 024 JER 015 009 七人の子をうみし婦は衰へて氣たえ尚晝なるにその日は早く沒る彼は辱められて面をあからめん其餘れる者はわれ之をその敵の劍に付さんとヱホバいひたまふ 024 JER 015 010 嗚呼われは禍なるかな我母よ汝なに故に我を生しや全國の人我と爭ひ我を攻むわれ人に貸さず人また我に貸さず皆我を詛ふなり 024 JER 015 011 ヱホバいひたまひけるは我實に汝に益をえせしめんために汝を惱す我まことに敵をして其艱の時と災の時に汝に求むることをなさしめん 024 JER 015 012 鐵いかで北の鐵と銅を碎かんや 024 JER 015 013 われ汝の資產と汝の資財を擄掠物とならしめ價をうることなからしめん是汝のすべての罪によるなりすべて汝の境のうちにかくなさん 024 JER 015 014 われ汝の敵をして汝を汝の識ざる地にとらへ移さしめん夫我怒によりて火燃え汝を焚んとするなり 024 JER 015 015 ヱホバよ汝これを知りたまふ我を憶え我をかへりみたまへ我を迫害るものに仇を復したまへ汝の容忍によりて我をとらへられしむる勿れ我汝の爲に辱を受るを知りたまへ 024 JER 015 016 われ汝の言を得て之を食へり汝の言はわが心の欣喜快樂なり萬軍の神ヱホバよわれは汝の名をもて稱へらるるなり 024 JER 015 017 われ嬉笑者の會に坐せずまた喜ばずわれ汝の手によりて獨り坐す汝憤怒をもて我に充したまへり 024 JER 015 018 何故にわが痛は息ずわが傷は重くして愈ざるか汝はわれにおけること水をたもたずして人を欺く溪河のごとくなるや 024 JER 015 019 是をもてヱホバかくいひたまへり汝もし歸らば我また汝をかへらしめて我前に立しめん汝もし賤をすてて貴をいださば我口のごとくならん彼らは汝に歸らんされど汝は彼らにかへる勿れ 024 JER 015 020 われ汝をこの民の前に堅き銅の牆となさんかれら汝を攻るとも汝にかたざるべしそはわれ汝と偕にありて汝をたすけ汝を救へばなりとヱホバいひたまへり 024 JER 015 021 我汝を惡人の手より救ひとり汝を怖るべき者の手より放つべし 024 JER 016 001 ヱホバの言また我にのぞみていふ 024 JER 016 002 汝この處にて妻を娶るなかれ子女を得るなかれ 024 JER 016 003 此處に生るる子女とこの地に之を生む母と之を生む父とに就てヱホバかくいひたまふ 024 JER 016 004 彼らは慘しき病に死し哀まれず葬られずして糞土のごとくに田地の面にあらんまた劍と饑饉に滅されて其屍は天空の鳥と地の獸の食物とならん 024 JER 016 005 ヱホバかくいひたまへり喪ある家にいる勿れまた往て之を哀み嗟く勿れそはわれ我平安と恩寵と矜恤をこの民より取ばなりとヱホバいひたまへり 024 JER 016 006 大なる者も小さき者もこの地に死べし彼らは葬られずまた彼らのために哀む者なく自ら傷くる者なく髮をそる者なかるべし 024 JER 016 007 またその哀むときパンをさきて其死者のために之を慰むるものなく又父あるひは母のために慰藉の杯を彼らに飮しむる者なかるべし 024 JER 016 008 汝また筵宴の家にいりて偕に坐して食飮する勿れ 024 JER 016 009 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よ汝の目の前汝の世に在るときにわれ欣喜の聲と歡樂の聲と新娶者の聲と新婦の聲とを此處に絕しめん 024 JER 016 010 汝このすべての言を斯民に告るとき彼ら汝に問ふてヱホバわれらを責てこの大なる災を示したまふは何故ぞやまたわれらに何の惡事あるやわが神ヱホバに背きてわれらのなせし罪は何ぞやといはば 024 JER 016 011 汝かれらに答ふべしヱホバいひたまふ是汝らの先祖われを棄て他の神に從ひこれに奉へこれを拜しまた我をすてわが律法を守らざりしによる 024 JER 016 012 汝らは汝らの先祖よりも多く惡をなせりみよ汝らはおのおの自己の惡き心の剛愎なるにしたがひて我にきかず 024 JER 016 013 故にわれ汝らを此の地より逐ひて汝らと汝らの先祖の識ざる地にいたらしめん汝らかしこにて晝夜ほかの神に奉へん是わが汝らを憐まざるによるなりと 024 JER 016 014 ヱホバいひたまふ然ばみよ此後イスラエルの民をエジプトの地より導きいだせしヱホバは活くといふことなくして 024 JER 016 015 イスラエルの民を北の地とそのすべて逐やられし地より導出せしヱホバは活くといふ日きたらん我かれらを我その先祖に與へしかれらの地に導きかへるべし 024 JER 016 016 ヱホバいひたまふみよ我おほくの漁者をよび來りて彼らを漁らせまたその後おほくの獵者を呼來りて彼らを諸の山もろもろの岡および岩の穴より獵いださしめん 024 JER 016 017 我目はかれらの諸の途を鑒る皆我にかくるるところなし又その惡は我目に匿れざるなり 024 JER 016 018 われまづ倍して其惡とその罪に報いんそは彼らその汚れたる者の屍をもて我地を汚しその惡むべきものをもて我產業に充せばなり 024 JER 016 019 ヱホバ我の力 我の城 難の時の逃場よ萬國の民は地の極より汝にきたりわれらの先祖の嗣るところの者は惟謊と虛浮事と益なき物のみなりといはん 024 JER 016 020 人豈神にあらざる者をおのれの神となすべけんや 024 JER 016 021 故にみよわれ此度かれらに知らしむるところあらん即ち我手と我能をかれらに知らしめん彼らは我名のヱホバなるを知るべし 024 JER 017 001 ユダの罪は鐵の筆金剛石の尖をもてしるされその心の碑と汝らの祭壇の角に鐫らるるなり 024 JER 017 002 彼らはその子女をおもふが如くに靑木の下と高岡のうへなるその祭壇とアシラをおもふ 024 JER 017 003 われ野に在る我山と汝の資產と汝のもろもろの財產および汝の四方の境の内なる汝の罪を犯せる崇邱を擄掠物とならしめん 024 JER 017 004 わが汝にあたへし產業より汝手をはなさん又われ汝をして汝の識ざる地に於て汝の敵につかへしめんそは汝ら我をいからせて限なく燃る火を發したればなり 024 JER 017 005 ヱホバかくいひたまふおほよそ人を恃み肉をその臂とし心にヱホバを離るる人は詛るべし 024 JER 017 006 彼は荒野に棄られたる者のごとくならん彼は善事のきたるをみず荒野の燥きたる處鹽あるところ人の住ざる地に居らん 024 JER 017 007 おほよそヱホバをたのみヱホバを其恃とする人は福なり 024 JER 017 008 彼は水の旁に植たる樹の如くならん其根を河にのべ炎熱きたるも恐るるところなしその葉は靑く亢旱の年にも憂へずして絕ず果を結ぶべし 024 JER 017 009 心は萬物よりも僞る者にして甚だ惡し誰かこれを知るをえんや 024 JER 017 010 われヱホバは心腹を察り腎腸を試みおのおのに其途に順ひその行爲の果によりて報ゆべし 024 JER 017 011 鷓鴣のおのれの生ざる卵をいだくが如く不義をもて財を獲る者あり其人は命の半にてこれに離れその終に愚なる者とならん 024 JER 017 012 榮の位よ原始より高き者わが聖所たる者 024 JER 017 013 イスラエルの望なるヱホバよ凡て汝を離るる者は辱められん我を棄る者は土に錄されん此はいける水の源なるヱホバを離るるによる 024 JER 017 014 ヱホバよ我を醫し給へ然らばわれ愈んわれを救ひたまへさらば我救はれん汝はわが頌るものなり 024 JER 017 015 彼ら我にいふヱホバの言は何にあるやいま之をのぞましめよと 024 JER 017 016 われ牧者の職を退かずして汝にしたがひ又禍の日を願はざりき汝これを知りたまふ我唇よりいづる者は汝の面の前にあり 024 JER 017 017 汝我を懼れしむる者となり給ふ勿れ禍の時に汝は我避場なり 024 JER 017 018 我を攻る者を辱しめ給へ我を辱しむるなかれ彼らを怖れしめよ我を怖れしめ給ふなかれ禍の日を彼らに來らしめ滅亡を倍して之を滅し給へ 024 JER 017 019 ヱホバ我にかくいひ給へり汝ゆきてユダの王等の出入する民の門及びヱルサレムの諸の門に立て 024 JER 017 020 彼らにいへ此門より入る所のユダの王等とユダのすべての民とヱルサレムに住るすべての者よ汝らヱホバの言をきけ 024 JER 017 021 ヱホバかくいひたまふ汝ら自ら愼め安息日に荷をたづさへてヱルサレムの門にいる勿れ 024 JER 017 022 また安息日に汝らの家より荷を出す勿れ諸の工作をなす勿れ我汝らの先祖に命ぜしごとく安息日を聖くせよ 024 JER 017 023 されど彼らは遵はず耳を傾けずまたその項を強くして聽ず訓をうけざるなり 024 JER 017 024 ヱホバいひ給ふ汝らもし謹愼て我にきき安息日に荷をたづさへてこの邑の門にいらず安息日を聖くなして諸の工作をなさずば 024 JER 017 025 ダビデの位に坐する王等牧伯たちユダの民ヱルサレムに住る者車と馬に乗てこの邑の門よりいることをえんまた此邑には限なく人すまはん 024 JER 017 026 また人々ユダの邑とヱルサレムの四周およびベニヤミンの地と平地と山と南の方よりきたり燔祭 犠牲 素祭 馨香 謝祭を携へてヱホバの室にいらん 024 JER 017 027 されど汝らもし我に聽ずして安息日を聖くせず安息日に荷をたづさへてヱルサレムの門にいらばわれ火をその門の内に燃してヱルサレムの殿舍を燬んその火は滅ざるべし 024 JER 018 001 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言いふ 024 JER 018 002 汝起て陶人の屋にくだれ我かしこに於てわが言を汝に聞しめんと 024 JER 018 003 われすなはち陶人の屋にくだり視るに轆轤をもて物をつくりをりしが 024 JER 018 004 その泥をもて造れるところの器陶人の手のうちに傷ねたれば彼その心のままに之をもて別の器をつくれり 024 JER 018 005 時にヱホバの言我にのぞみていふ 024 JER 018 006 ヱホバいふイスラエルの家よこの陶人のなすが如くわれ汝になすことをえざるかイスラエルの家よ陶人の手に泥のあるごとく汝らはわが手にあり 024 JER 018 007 われ急に民あるひは國をぬくべし敗るべし滅すべしといふことあらんに 024 JER 018 008 もし我いひしところの國その惡を離れなば我之に災を降さんとおもひしことを悔ん 024 JER 018 009 我また急に民あるいは國を立べし植べしといふことあらんに 024 JER 018 010 もし其國わが目に惡く見ゆるところの事を行ひわが聲に遵はずば我これに福祉を錫へんといひしことを悔ん 024 JER 018 011 汝いまユダの人々とヱルサレムに住る者にいへヱホバかくいへり視よ我汝らに災をくださんと思ひめぐらし汝らをはかる計策を設く故に汝らおのおの其惡き途を離れ其途と行をあらためよと 024 JER 018 012 しかるに彼らいふ是は徒然なりわれらは自己の圖維ところにしたがひ各自その惡き心の剛愎なるを行はんと 024 JER 018 013 この故にヱホバかくいひたまふ汝ら異國のうちに問へ斯の如きことを聞し者ありやイスラエルの處女はいと驚くべきことをなせり 024 JER 018 014 レバノンの雪豈野の磐を離れんや遠方より流くる冷なる水豈涸かんや 024 JER 018 015 しかるに我民は我をわすれて虛き物に香を焚り是等の物彼らをその途すなはち古き途に蹶かせまた徑すなはち備なき道に行しめ 024 JER 018 016 その地を荒して恒に人の笑とならしめん凡て其處を過る者は驚きてその首を搖らん 024 JER 018 017 われ東風のごとくに彼らをその敵の前に散さん其滅亡の日にはわれ背を彼らに向て面をむけじ 024 JER 018 018 彼らいふ去來われら計策を設てヱレミヤをはからんそれ祭司には律法あり智慧ある者には謀畧あり預言者には言ありて失ざるべし去來われら舌をもて彼を撃ちその諸の言を聽ことをせざらんと 024 JER 018 019 ヱホバよ我にききたまへ又我と爭ふ者の聲をききたまへ 024 JER 018 020 惡をもて善に報ゆべきものならんや彼らはわが生命をとらん爲に坑を掘れりわが汝の前に立て彼らを善く言ひ汝の憤怒を止めんとせしを憶えたまへ 024 JER 018 021 さればかれらの子女を饑饉にあたへ彼らを劍の刃にわたしたまへ其妻は子を失ひ且寡となり其男は死をもて亡されその少者は劍をもて戰に殺されよかし 024 JER 018 022 汝突然に敵をかれらに臨ませたまふ時號呼をその家の内より聞えしめよそは彼ら坑を掘りて我を執へんとしまた機檻を置てわが足を執へんとすればなり 024 JER 018 023 ヱホバよ汝はかれらが我を殺さんとするすべての謀畧を知りたまふ其惡を赦すことなく其罪を汝の前より抹去りたまふなかれ彼らを汝の前に仆れしめよ汝の怒りたまふ時にかく彼らになしたまへ 024 JER 019 001 ヱホバかくいひたまふ往て陶人の瓦罇をかひ民の長老と祭司の長老の中より數人をともなひて 024 JER 019 002 陶人の門の前にあるベンヒンノムの谷にゆき彼處に於てわが汝に告んところの言を宣よ 024 JER 019 003 云くユダの王等とヱルサレムに住る者よヱホバの言をきけ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よ我災を此處にくだすべし凡そ之をきく者の耳はかならず鳴らん 024 JER 019 004 こは彼ら我を棄てこの處を瀆し此にて自己とその先祖およびユダの王等の知ざる他の神に香を焚き且辜なきものの血をこの處に盈せばなり 024 JER 019 005 又彼らはバアルの爲に崇邱を築き火をもて己の兒子を焚き燔祭となしてバアルにささげたり此わが命ぜしことにあらず我いひしことにあらず又我心に意はざりし事なり 024 JER 019 006 ヱホバいひたまふさればみよ此處をトペテまたはベンヒンノムの谷と稱ずして屠戮の谷と稱ふる日きたらん 024 JER 019 007 また我この處に於てユダとヱルサレムの謀をむなしうし劍をもて彼らを其敵の前とその生命を索る者の手に仆しまたその屍を天空の鳥と地の獸の食物となし 024 JER 019 008 かつ此邑を荒して人の胡盧とならしめん凡そここを過る者はその諸の災に驚きて笑ふべし 024 JER 019 009 また彼らがその敵とその生命を索る者とに圍みくるしめらるる時我彼らをして己の子の肉女の肉を食はせん又彼らは互にその友の肉を食ふべし 024 JER 019 010 汝ともに行く人の目の前にてその瓦罇を毀ちて彼らにいふべし 024 JER 019 011 萬軍のヱホバかくいひ給ふ一回毀てば復全うすること能はざる陶人の器を毀つが如くわれ此民とこの邑を毀たんまた彼らは葬るべき地なきによりてトペテに葬られん 024 JER 019 012 ヱホバいひ給ふ我この處とこの中に住る者とに斯なし此邑をトペテの如くなすべし 024 JER 019 013 且ヱルサレムの室とユダの王等の室はトペテの處のごとく汚れん其は彼らすべての室の屋蓋のうへにて天の衆群に香をたき他の神に酒をそそげばなり 024 JER 019 014 ヱレミヤ、ヱホバの己を遣はして預言せしめたまひしトペテより歸りきたりヱホバの室の庭に立ちすべての民に語りていひけるは 024 JER 019 015 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よわれ我いひし諸の災をこの邑とその諸の郷村にくださん彼らその項を強くして我言を聽ざればなり 024 JER 020 001 祭司インメルの子ヱホバの室の宰の長なるパシユル、ヱレミヤがこの言を預言するをきけり 024 JER 020 002 是に於てパシユル預言者ヱレミヤを打ちヱホバの室にある上のベニヤミンの門の桎梏に繋げり 024 JER 020 003 翌日パシユル、ヱレミヤを桎梏より釋はなちしにヱレミヤ彼にいひけるはヱホバ汝の名をパシユルと稱ずしてマゴルミッサビブ(驚懼周圍にあり)と稱び給ふ 024 JER 020 004 即ちヱホバかくいひたまふ視よわれ汝をして汝と汝のすべての友に恐怖をおこさしむる者となさん彼らはその敵の劍に仆れん汝の目はこれを見べし我またユダのすべての民をバビロン王の手に付さん彼は彼らをバビロンに移し劍をもて殺すべし 024 JER 020 005 我またこの邑のすべての貨財とその得たる諸の物とその諸の珍寶とユダの王等のすべての儲蓄を其敵の手に付さん彼らはこれを掠めまた民を擄へてバビロンに移すべし 024 JER 020 006 パシユルよ汝と汝の家にすめる者は悉く擄へ移されん汝はバビロンにいたりて彼處に死にかしこに葬られん汝も汝が僞りて預言せし言を聽し友もみな然らん 024 JER 020 007 ヱホバよ汝われを勸めたまひてわれ其勸に從へり汝我をとらへて我に勝給へりわれ日々に人の笑となり人皆我を嘲りぬ 024 JER 020 008 われ語り呼はるごとに暴逆殘虐の事をいふヱホバの言日々にわが身の恥辱となり嘲弄となるなり 024 JER 020 009 是をもて我かさねてヱホバの事を宣ず又その名をもてかたらじといへり然どヱホバのことば我心にありて火のわが骨の中に閉こもりて燃るがごとくなれば忍耐につかれて堪難し 024 JER 020 010 そは我おほくの人の讒をきく驚懼まはりにあり訴へよ彼を訴へん我親しき者はみな我蹶くことあらんかと窺ひて互にいふ彼誘はるることあらんしからば我儕彼に勝て仇を報ゆることをえんと 024 JER 020 011 然どヱホバは強き勇士のごとくにして我と偕にいます故に我を攻る者は蹶きて勝ことをえずそのなし遂ざるが爲に大なる恥辱を取ん其羞恥は何時迄も忘られざるべし 024 JER 020 012 義人を試み人の心膓を見たまふ萬軍のヱホバよ我汝に訴を申たれば我をして汝が彼らに仇を報すを見せしめよ 024 JER 020 013 ヱホバに歌を謠へよヱホバを頌めよそは貧者の生命を惡者の手より救ひ給へばなり 024 JER 020 014 ああ我生れし日は詛はれよ我母のわれを生し日は祝せられざれ 024 JER 020 015 わが父に男子汝に生れしと告て父を大に喜ばせし人は詛はれよ 024 JER 020 016 其人はヱホバの憫まずして滅したまひし邑のごとくなれよ彼をして朝に號呼をきかしめ午間に鬨聲をきかしめよ 024 JER 020 017 彼我を胎のうちに殺さず我母を我の墓となさず常にその胎を大ならしめざりしが故なり 024 JER 020 018 我何なれば胎をいでて艱難と憂患をかうむり恥辱をもて日を送るや 024 JER 021 001 ゼデキヤ王マルキヤの子パシユルと祭司マアセヤの子ゼパニヤをヱレミヤに遣し 024 JER 021 002 バビロンの王ネブカデネザル我らを攻むれば汝われらの爲にヱホバに求めよヱホバ恒のごとくそのもろもろの奇なる跡をもて我らを助けバビロンの王を我らより退かしめたまふことあらんと曰しむ其時ヱホバの言ヱレミヤに臨めり 024 JER 021 003 ヱレミヤ彼らにこたへけるは汝らゼデキヤにかく語ふべし 024 JER 021 004 イスラエルの神ヱホバかくいひたまふ視よわれ汝らがこの邑の外にありて汝らを攻め圍むところのバビロン王およびカルデヤ人とたたかひて手に持ところのその武器をかへし之を邑のうちに聚めん 024 JER 021 005 われ手を伸べ臂をつよくし震怒と憤恨と烈き怒をもて汝らをせむべし 024 JER 021 006 我また此邑にすめる人と畜を撃ん皆重き疫病によりて死べし 024 JER 021 007 ヱホバいひたまふ此後われユダの王ゼデキヤとその諸臣および民此邑に疫病と劍と饑饉をまぬかれて遺れる者をバビロンの王ネブカデネザルの手と其敵の手および凡そその生命を索る者の手に付さんバビロンの王は劍の刃をもて彼らを撃ちかれらを惜まず顧みず恤れまざるべし 024 JER 021 008 汝また此民にヱホバかくいふと語るべし視よわれ生命の道と死の道を汝らの前に置く 024 JER 021 009 この邑にとどまる者は劍と饑饉と疫病に死べしされど汝らを攻め圍むところのカルデヤ人に出降る者はいきん其命はおのれの掠取物となるべし 024 JER 021 010 ヱホバいひたまふ我この邑に面を向しは福をあたふる爲にあらず禍をあたへんが爲なりこの邑はバビロンの王の手に付されん彼火をもて之を焚くべし 024 JER 021 011 またユダの王の家に告べし汝らヱホバの言をきけ 024 JER 021 012 ダビデの家よヱホバかくいふ汝朝ごとに義く鞫をなし物を奪はるる人をその暴逆者の手より救へ否ざれば汝らの行の惡によりて我怒火のごとくに發で燃て滅ざるべし 024 JER 021 013 ヱホバいひたまふ谷と平原の磐とにすめる者よみよ我汝に敵す汝らは誰か降て我儕を攻んや誰かわれらの居處にいらんやといふ 024 JER 021 014 我汝らをその行の果によりて罰せん又其林に火を起し其四周をことごとく焚つくすべしとヱホバいひたまふ 024 JER 022 001 ヱホバかくいひたまへり汝ユダの王の室にくだり彼處にこの言をのべていへ 024 JER 022 002 ダビデの位に坐するユダの王よ汝と汝の臣および此門よりいる汝の民ヱホバの言をきけ 024 JER 022 003 ヱホバかくいふ汝ら公道と公義を行ひ物を奪はるる人をその暴虐者の手より救ひ異邦人と孤子と嫠婦をなやまし虐ぐる勿れまた此處に無辜の血を流す勿れ 024 JER 022 004 汝らもし此言を眞に行はばダビデの位に坐する王とその臣および其民は車と馬に乗てこの室の門にいることをえん 024 JER 022 005 然ど汝らもし此言を聽ずばわれ自己を指して誓ふ此室は荒地となるべしとヱホバいひたまふ 024 JER 022 006 ヱホバ、ユダの王の家につきてかく曰たまふ汝は我におけることギレアデのごとくレバノンの巓のごとし然どわれかならず汝を荒野となし人の住はざる邑となさん 024 JER 022 007 われ破壞者をまふけて汝を攻めしめん彼ら各人その武器を執り汝の美しき香柏を斫てこれを火に投いれん 024 JER 022 008 多の國の人此邑をすぎ互に語てヱホバ何なれば此大なる邑にかく爲せしやといはんに 024 JER 022 009 人こたへて是は彼等其神ヱホバの契約をすてて他の神を拜し之に奉へしに由なりといはん 024 JER 022 010 死者の爲に泣くことなくまた之が爲に嗟くこと勿れ寧擄へ移されし者の爲にいたく嗟くべし彼は再び歸てその故園を見ざるべければなり 024 JER 022 011 ユダの王ヨシヤの子シヤルム即ちその父に繼で王となりて遂に此處をいでたる者につきてヱホバかくいひたまへり彼は再び此處に歸らじ 024 JER 022 012 彼はその移されし處に死んふたたび此地を見ざるべし 024 JER 022 013 不義をもて其室をつくり不法をもて其樓を造り其隣人を傭て何をも與へず其價を拂はざる者は禍なるかな 024 JER 022 014 彼いふ我己の爲に廣厦と涼しき樓をつくり又己の爲に窓を造り香柏をもて之を蔽ひ赤く之を塗んと 024 JER 022 015 汝香柏を爭ひもちふるによりて王たるを得るか汝の父は食飮せざりしや公義と公道を行ひて福を得ざりしや 024 JER 022 016 彼は貧者と患艱者の訟を理して祥をえたりかく爲すは我を識ことに非ずやとヱホバいひ給ふ 024 JER 022 017 然ど汝の目と心は惟貪をなさんとし無辜の血を流さんとし虐遇と暴逆をなさんとするのみ 024 JER 022 018 故にヱホバ、ユダの王のヨシヤの子ヱホヤキムにつきてかく曰たまふ衆人は哀しいかな我兄かなしいかな我姊といひて嗟かず又哀しいかな主よ哀しいかな其榮と曰て嗟かじ 024 JER 022 019 彼は驢馬を埋るがごとく埋られん即ち曳れてヱルサレムの門の外に投棄らるべし 024 JER 022 020 汝レバノンに登りて呼ばはりバシヤンに汝の聲を揚げアバリムより呼はれ其は汝の愛する者悉く滅されたればなり 024 JER 022 021 汝の平康なる時我汝に語しかども汝は我にきかじといへり汝いとけなき時よりわが聲を聽ずこれ汝の故習なり 024 JER 022 022 汝の牧者はみな風に呑つくされ汝の愛する者はとらへ移されん其時汝はおのれの諸の惡のために痛く恥べし 024 JER 022 023 汝レバノンにすみ巢を香柏につくる者よ汝の劬勞子を產む婦の痛苦のごとくにきたらんとき汝の哀慘はいかにぞや 024 JER 022 024 ヱホバいひたまふ我は活くユダの王ヱホヤキムの子ヱコニヤは我右の手の指環なれども我これを拔ん 024 JER 022 025 われ汝の生命を索る者の手および汝が其面を畏るる者の手すなはちバビロンの王ネブカデネザルの手とカルデヤ人の手に汝を付さん 024 JER 022 026 われ汝と汝を生し母を汝等がうまれざりし他の地に逐やらん汝ら彼處に死べし 024 JER 022 027 彼らの靈魂のいたく歸らんことを願ふところの地に彼らは歸ることをえず 024 JER 022 028 この人ヱコニヤは賤しむべき壞れたる器ならんや好ましからざる器具ならんや如何なれば彼と其子孫は逐出されてその識ざる地に投やらるるや 024 JER 022 029 地よ地よ地よヱホバの言をきけ 024 JER 022 030 ヱホバかくいひたまふこの人を子なくして其生命の中に榮えざる人と錄せそはその子孫のうちに榮えてダビデの位に坐しユダを治る人かさねてなかるべければなり 024 JER 023 001 ヱホバいひ給ひけるは嗚呼わが養ふ群を滅し散す牧者は禍なるかな 024 JER 023 002 故にイスラエルの神ヱホバ我民を養ふ牧者につきて斯いふ汝らはわが群を散しこれを逐はなちて顧みざりき視よわれ汝らの惡き行によりて汝等に報ゆべしとヱホバいふ 024 JER 023 003 われ我群の遺餘たる者をその逐はなちたる諸の地より集め再びこれを其牢に歸さん彼らは子を產て多くなるべし 024 JER 023 004 我これを養ふ牧者をその上に立ん彼等はふたたび慄かず懼ずまた失じとヱホバいひたまふ 024 JER 023 005 ヱホバいひたまひけるは視よわがダビデに一の義き枝を起す日來らん彼王となりて世を治め榮え公道と公義を世に行ふべし 024 JER 023 006 其日ユダは救をえイスラエルは安に居らん其名はヱホバ我儕の義と稱らるべし 024 JER 023 007 この故にヱホバいひ給ふ視よイスラエルの民をエジプトの地より導出せしヱホバは活くと人衆復いはずして 024 JER 023 008 イスラエルの家の裔を北の地と其諸て逐やりし地より導出せしヱホバは活くといふ日來らん彼らは自己の地に居るべし 024 JER 023 009 預言者輩のために我心はわが衷に壞れわが骨は皆震ふ且ヱホバとその聖言のためにわれは醉る人のごとく酒に勝るる人のごとし 024 JER 023 010 この地は姦淫をなすもの盈ち地は呪詛によりて憂へ曠野の艸は枯る彼らの途はあしく其力は正しからず 024 JER 023 011 預言者と祭司は偕に邪惡なりわれ我家に於てすら彼等の惡を見たりとヱホバいひたまふ 024 JER 023 012 故にかれらの途は暗に在る滑なる途の如くならん彼等推れて其途に仆るべし我災をその上にのぞましめん是彼らが刑罰らるる年なりとヱホバいひたまふ 024 JER 023 013 われサマリヤの預言者の中に愚昧なる事あるをみたり彼等はバアルに託りて預言し我民イスラエルを惑はせり 024 JER 023 014 我ヱルサレムの預言者の中にも憎むべき事あるを見たり彼等は姦淫をなし詐僞をおこなひ惡人の手を堅くして人をその惡に離れざらしむ彼等みな我にはソドムのごとく其民はゴモラのごとし 024 JER 023 015 この故に萬軍のヱホバ預言者につきてかくいひたまふ視よわれ茵蔯を之に食はせ毒水をこれに飮せんそは邪惡ヱルサレムの預言者よりいでて此全地に及べばなり 024 JER 023 016 萬軍のヱホバかくいひたまふ汝等に預言する預言者の言を聽く勿れ彼等は汝らを欺きヱホバの口よりいでざるおのが心の默示を語るなり 024 JER 023 017 常に彼らは我を藐忽ずる者にむかひて汝等平安をえんとヱホバいひたまへりといひ又己が心の剛愎なるに循ひて行むところのすべての者に向ひて災汝らに來らじといへり 024 JER 023 018 誰かヱホバの議會に立て其言を見聞せし者あらんや誰か其耳を傾けて我言を聽し者あらんや 024 JER 023 019 みよヱホバの暴風あり怒と旋轉風いでて惡人の首をうたん 024 JER 023 020 ヱホバの怒はかれがその心の思を行ひてこれを遂げ給ふまでは息じ末の日に汝ら明にこれを曉らん 024 JER 023 021 預言者等はわが遣さざるに趨り我告ざるに預言せり 024 JER 023 022 彼らもし我議會に立ちしならば我民にわが言をきかしめて之をその惡き途とその惡き行に離れしめしならん 024 JER 023 023 ヱホバいひ給ふ我はただ近くにおいてのみ神たらんや遠くに於ても神たるにあらずや 024 JER 023 024 ヱホバいひたまふ人我に見られざる樣に密かなる處に身を匿し得るかヱホバいひたまふ我は天地に充るにあらずや 024 JER 023 025 われ我名をもて謊を預言する預言者等がわれ夢を見たりわれ夢を見たりと曰ふをきけり 024 JER 023 026 謊を預言する預言者等はいつまで此心をいだくや彼らは其心の詐僞を預言するなり 024 JER 023 027 彼らは其先祖がバアルによりて我名を忘れしごとく互に夢をかたりて我民にわが名を忘れしめんと思ふや 024 JER 023 028 夢をみし預言者は夢を語るべし我言を受し者は誠實をもて我言を語るべし糠いかで麥に比擬ことをえんやとヱホバいひたまふ 024 JER 023 029 ヱホバ言たまはく我言は火のごとくならずや又磐を打碎く槌の如くならずや 024 JER 023 030 故に視よわれ我言を相互に竊める預言者の敵となるとヱホバいひたまふ 024 JER 023 031 視よわれは彼いひたまへりと舌をもて語るところの預言者の敵となるとヱホバいひたまふ 024 JER 023 032 ヱホバいひたまひけるは視よわれ僞の夢を預言する者の敵となる彼らは之を語りまたその謊と其誇をもて我民を惑はす我かれらを遣さずかれらに命ぜざるなり故に彼らは斯民に益なしとヱホバいひ給ふ 024 JER 023 033 この民或は預言者又は祭司汝に問てヱホバの重負は何ぞやといはば汝彼等にこたへてヱホバの重負は我汝等を棄んとヱホバの云たまひし事是なりといふべし 024 JER 023 034 ヱホバの重負といふところの預言者と祭司と民には我その人と其家にこれを降さん 024 JER 023 035 汝らはおのおの斯互に言ひその兄弟にいふべしヱホバは何と應へたまひしやヱホバは何と云たまひしやと 024 JER 023 036 汝ら復びヱホバの重負といふべからず人の重負となる者は其人の言なるべし汝らは活る神萬軍のヱホバなる我らの神の言を枉るなり 024 JER 023 037 汝かく預言者にいふべしヱホバは汝に何と答へ給ひしやヱホバは何といひたまひしやと 024 JER 023 038 汝らもしヱホバの重負といはばヱホバそれにつきてかくいひたまふ我人を汝らに遣して汝等ヱホバの重負といふべからずといはしむるも汝らはヱホバの重負といふ此言をいふによりて 024 JER 023 039 われ必ず汝らを忘れ汝らと汝らの先祖にあたへし此邑と汝らとを我前より棄ん 024 JER 023 040 且われ永遠の辱と永遠なる忘らるることなき恥を汝らにかうむらしめん 024 JER 024 001 バビロンの王ネブカデネザル、ユダの王ヱホヤキムの子ヱコニヤおよびユダの牧伯等と木匠と鐵匠をヱルサレムよりバビロンに移せしのちヱホバ我にヱホバの殿の前に置れたる二筐の無花果を示したまへり 024 JER 024 002 その一の筐には始に熟せしがごとき至佳き無花果ありその一の筐にはいと惡くして食ひ得ざるほどなる惡き無花果あり 024 JER 024 003 ヱホバ我にいひ給ひけるはヱレミヤよ汝何を見しや我答へけるは無花果なりその佳き無花果はいと佳しその惡きものは至惡しくして食ひ得ざるほどに惡し 024 JER 024 004 ヱホバの言また我にのぞみていふ 024 JER 024 005 イスラエルの神ヱホバかくいふ我わが此處よりカルデヤ人の地に逐ひやりしユダの虜人を此佳き無花果のごとくに顧みて惠まん 024 JER 024 006 我彼等に目をかけて之をめぐみ彼らを此地にかへし彼等を建て仆さず植て拔じ 024 JER 024 007 我彼らに我のヱホバなるを識るの心をあたへん彼等我民となり我彼らの神とならん彼等は一心をもて我に歸るべし 024 JER 024 008 ヱホバかくいひたまへり我ユダの王ゼデキヤとその牧伯等およびヱルサレムの人の遺りて此地にをる者ならびにエジプトの地に住る者とを此惡くして食はれざる惡き無花果のごとくになさん 024 JER 024 009 我かれらをして地のもろもろの國にて虐遇と災害にあはしめん又彼らをしてわが逐やらん諸の處にて辱にあはせ諺となり嘲と詛に遭しめん 024 JER 024 010 われ劍と饑饉と疫病をかれらの間におくりて彼らをしてわが彼らとその先祖にあたへし地に絕るにいたらしめん 024 JER 025 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの四年バビロンの王ネブカデネザルの元年にユダのすべての民にかかはる言ヱレミヤにのぞめり 024 JER 025 002 預言者ヱレミヤこの言をユダのすべての民とヱルサレムにすめるすべての者に告ていひけるは 024 JER 025 003 ユダの王アモンの子ヨシヤの十三年より今日にいたるまで二十三年のあひだヱホバの言我にのぞめり我これを汝等に告げ頻にこれを語りしかども汝らきかざりし 024 JER 025 004 ヱホバその僕なる預言者を汝らに遣し頻に遣したまひけれども汝らはきかず又きかんとて耳を傾けざりき 024 JER 025 005 彼らいへり汝等おのおのいま其惡き途とその惡き行を棄よ然ばヱホバが汝らと汝らの先祖に與へたまひし地に永遠より永遠にいたるまで住ことをえん 024 JER 025 006 汝ら他の神に從ひこれに事へこれを拜み汝らの手にて作りし物をもて我を怒らする勿れ然ば我汝らを害はじ 024 JER 025 007 然ど汝らは我にきかず汝等の手にて作りし物をもて我を怒らせて自ら害へりとヱホバいひたまふ 024 JER 025 008 この故に萬軍のヱホバかく云たまふ汝ら我言を聽ざれば 024 JER 025 009 視よ我北の諸の族と我僕なるバビロンの王ネブカデネザルを招きよせ此地とその民と其四圍の諸國を攻滅さしめて之を詫異物となし人の嗤笑となし永遠の荒地となさんとヱホバいひたまふ 024 JER 025 010 またわれ欣喜の聲 歡樂の聲 新夫の聲 新婦の聲 磐磨の音および燈の光を彼らの中にたえしめん 024 JER 025 011 この地はみな空曠となり詫異物とならん又その諸國は七十年の間バビロンの王につかふべし 024 JER 025 012 ヱホバいひたまふ七十年のをはりし後我バビロンの王と其民とカルデヤの地をその罪のために罰し永遠の空曠となさん 024 JER 025 013 我かの地につきて我かたりし諸の言をその上に臨しめん是ヱレミヤが萬國の事につきて預言したる者にて皆この書に錄さるるなり 024 JER 025 014 多の國々と大なる王等は彼らをして己につかへしめん我かれらの行爲とその手の所作に循ひてこれに報いん 024 JER 025 015 イスラエルの神ヱホバかく我に云たまへり我手より此怒の杯をうけて我汝を遣はすところの國々の民に飮しめよ 024 JER 025 016 彼らは飮てよろめき狂はんこは我かれらの中に劍をつかはすによりてなり 024 JER 025 017 是に於てわれヱホバの手より杯をうけヱホバのわれを遣したまふところの國々の民に飮しめたり 024 JER 025 018 即ちヱルサレムとユダの諸の邑とその王等およびその牧伯等に飮せてこれをほろぼし詫異物となし人の嗤笑となし詛るる者となせり今日のごとし 024 JER 025 019 またエジプトの王パロと其臣僕その牧伯等その諸の民と 024 JER 025 020 諸の雜種の民およびウズの諸の王等およびペリシテ人の地の諸の王等アシケロン、ガザ、エクロン、アシドドの遺餘の者 024 JER 025 021 エドム、モアブ、アンモンの子孫 024 JER 025 022 ツロのすべての王等シドンのすべての王等海のかなたの島々の王等 024 JER 025 023 デダン、テマ、ブズおよびすべて鬚をそる者 024 JER 025 024 アラビヤのすべての王等曠野の雜種の民の諸の王等 024 JER 025 025 ジムリの諸の王等エラムの諸の王等メデアのすべての王等 024 JER 025 026 北のすべての王等その彼と此とにおいて或は遠者或は近きもの凡地の面にある世の國々の王等はこの杯を飮んセシヤク王はこれらの後に飮べし 024 JER 025 027 故に汝かれらに語ていへ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ我汝等の中に劍を遣すによりて汝らは飮みまた醉ひまた吐き又仆て再び起ざれと 024 JER 025 028 彼等もし汝の手より此杯を受て飮ずば汝彼らにいへ萬軍のヱホバかくいひたまふ汝ら必ず飮べし 024 JER 025 029 視よわれ我名をもて稱へらるるこの邑にすら災を降すなり汝らいかで罰を免るることをえんや汝らは罰を免れじ蓋われ劍をよびて地に住るすべての者を攻べければなりと萬軍のヱホバいひたまふ 024 JER 025 030 汝彼等にこの諸の言を預言していふべしヱホバ高き所より呼號り其聖宮より聲を出し己の住家に向てよばはり地に住る諸の者にむかひて葡萄を踐む者のごとく咷たまはん 024 JER 025 031 號咷地の極まで聞ゆ蓋ヱホバ列國と爭ひ萬民を審き惡人を劍に付せば也とヱホバ曰たまへり 024 JER 025 032 萬軍のヱホバかく曰たまふ視よ災いでて國より國にいたらん大なる暴風地の極よりおこるべし 024 JER 025 033 其日ヱホバの戮したまふ者は地の此極より地の彼の極に及ばん彼等は哀まれず殮められず葬られずして地の面に糞土とならん 024 JER 025 034 牧者よ哭き叫べ群の長等よ汝ら灰の中に轉ぶべし蓋汝らの屠らるる日滿れば也我汝らを散すべければ汝らは貴き器のごとく堕べし 024 JER 025 035 牧者は避場なく群の長等は逃る處なし 024 JER 025 036 牧者の呼號の聲と群の長等の哀哭きこゆ蓋ヱホバ其牧場を滅したまへば也 024 JER 025 037 ヱホバの烈き怒によりて平安なる牧場は滅さる 024 JER 025 038 彼は獅子の如く其巢を出たり滅す者の怒と其烈き忿によりて彼らの地は荒されたり 024 JER 026 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムが位に即し初のころヱホバより此言いでていふ 024 JER 026 002 ヱホバかくいふ汝ヱホバの室の庭に立我汝に命じていはしむる諸の言をユダの邑々より來りてヱホバの室に拜をする人々に告よ一言をも減す勿れ 024 JER 026 003 彼等聞ておのおの其惡き途を離るることあらん然ば我かれらの行の惡がために災を彼らに降さんとせることを悔べし 024 JER 026 004 汝彼等にヱホバかくいふといへ汝等もし我に聽ずわが汝らの前に置し律法を行はず 024 JER 026 005 我汝らに遣し切に遣せし我僕なる預言者の言を聽ずば(汝らは之をきかざりき) 024 JER 026 006 我この室をシロの如くになし又この邑を地の萬國に詛はるる者となすべし 024 JER 026 007 祭司と預言者及び民みなヱレミヤがヱホバの室に立てこの言をのぶるをきけり 024 JER 026 008 ヱレミヤ、ヱホバに命ぜられし諸の言を民に告畢りしとき祭司と預言者および諸の民彼を執へいひけるは汝は必ず死べし 024 JER 026 009 汝何故にヱホバの名をもて預言し此室はシロの如くになりこの邑は荒蕪となりて住む者なきにいたらんと云しやと民みなヱホバの室にあつまりてヱレミヤを攻む 024 JER 026 010 ユダの牧伯等この事をききて王の家をいでヱホバの室にのぼりてヱホバの家の新しき門の入口に坐せり 024 JER 026 011 祭司と預言者等牧伯等とすべての民に訴ていふ此人は死にあたる者なり是は汝らが耳に聽しごとくこの邑にむかひて惡き預言をなしたるなり 024 JER 026 012 是に於てヱレミヤ牧伯等とすべての民にいひけるはヱホバ我を遣し汝らが聽る諸の言をもて此宮とこの邑にむかひて預言せしめたまふ 024 JER 026 013 故に汝らいま汝らの途と行爲をあらためて汝らの神ヱホバの聲にしたがへ然ばヱホバ汝らに災を降さんとせしことを悔たまふべし 024 JER 026 014 みよ我は汝らの手にあり汝らの目に善とみゆるところ義とみゆることを我に行へ 024 JER 026 015 然ど汝ら善くこれを知れ汝らもし我を殺さば必ず無辜ものの血なんぢらの身とこの邑と其中に住る者に歸せんヱホバ我を遣してこの諸の言を汝らの耳につげしめたまひしなればなり 024 JER 026 016 牧伯等とすべての民すなはち祭司と預言者にいひけるは此人は死にあたる者にあらず是は我らの神ヱホバの名によりて我儕に語りしなりと 024 JER 026 017 時にこの地の長老數人立て民のすべての集れる者につげていひけるは 024 JER 026 018 ユダの王ヒゼキヤの代にモレシテ人ミカ、ユダの民に預言して云けらく萬軍のヱホバかくいひ給ふシオンは田地のごとく耕されヱルサレムは邱墟となり此室の山は樹深き崇邱とならんと 024 JER 026 019 ユダの王ヒゼキヤとすべてのユダ人は彼を殺さんとせしことありしやヒゼキヤ、ヱホバを畏れヱホバに求ければヱホバ彼らに降さんと告給ひし災を悔給ひしにあらずや我儕かく爲すは自己の靈魂をそこなふ大なる惡をなすなり 024 JER 026 020 又前にヱホバの名をもて預言せし人あり即ちキリヤテヤリムのシマヤの子ウリヤなり彼ヱレミヤの凡ていへるごとく此邑とこの地にむかひて預言せり 024 JER 026 021 ヱホヤキム王と其すべての勇士とすべての牧伯等その言を聽り是において王彼を殺さんと欲ひしがウリヤこれをきき懼てエジプトに逃ゆきしかば 024 JER 026 022 ヱホヤキム王人をエジプトに遣せり即ちアクボルの子エルナタンに數人をそへてエジプトにつかはしければ 024 JER 026 023 彼らウリヤをエジプトより引出しヱホヤキム王の許に携きたりしに王劍をもて之を殺し其屍骸を賤者の墓に棄させたりと 024 JER 026 024 時にシヤパンの子アヒカム、ヱレミヤをたすけこれを民の手にわたして殺さざらしむ 024 JER 027 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムが位に即し初のころヱホバより此言ヱレミヤに臨みていふ 024 JER 027 002 すなはちヱホバかく我に云たまへり汝索と軛をつくりて汝の項に置き 024 JER 027 003 之をヱルサレムにきたりてゼデキヤ王にいたるところの使臣等の手によりてエドムの王モアブの王アンモン人の王ツロの王シドンの王に送るべし 024 JER 027 004 汝彼らに命じて其主にいはしめよ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝ら其主にかく告べし 024 JER 027 005 われ我大なる能力と伸たる臂をもて地と地の上にをる人と獸とをつくり我心のままに地を人にあたへたり 024 JER 027 006 いま我この諸の地を我僕なるバビロンの王ネブカデネザルの手にあたへ又野の獸を彼にあたへてかれにつかへしむ 024 JER 027 007 かれの地の時期いたるまで萬國民は彼と其子とその孫につかへん其時いたらばおほくの國と大なる王は彼を己に事へしむべし 024 JER 027 008 バビロンの王ネブカデネザルに事へずバビロンの王の軛をその項に負ざる國と民は我彼の手をもて悉くこれを滅すまで劍と饑饉と疫病をもてこれを罰せんとヱホバいひたまふ 024 JER 027 009 故に汝らの預言者なんぢらの占筮師汝らの夢みる者汝らの法術士汝らの魔法士汝らに告て汝らはバビロンの王に事ふることあらじといふとも聽なかれ 024 JER 027 010 彼らは謊を汝らに預言して汝らをその國より遠く離れしめ且我をして汝らを逐しめ汝らを滅さしむるなり 024 JER 027 011 然どバビロンの王の軛をその項に負ふて彼に事ふる國々の人は我これをその故土に存し其處に耕し住しむべしとヱホバいひたまふ 024 JER 027 012 我この諸の言のごとくユダの王ゼデキヤに告ていひけるは汝らバビロンの王の軛を汝らの項に負ふて彼と其民につかへよ然ば生べし 024 JER 027 013 汝と汝の民なんぞヱホバがバビロンの王につかへざる國につきていひたまひし如く劍と饑饉と疫病に死ぬべけんや 024 JER 027 014 故に汝らはバビロンの王に事ふることあらじと汝等に告る預言者の言を聽なかれ彼らは謊を汝らに預言するなり 024 JER 027 015 ヱホバいひたまひけるは我彼らを遣さざるに彼らは我名をもて謊を預言す是をもて我汝らを逐はなち汝らと汝らに預言する預言者等を滅すにいたらん 024 JER 027 016 我また祭司とこのすべての民に語りていひけるはヱホバかくいひたまふ視よヱホバの室の器皿いま速にバビロンより持歸さるべしと汝らに預言する預言者の言をきく勿れそは彼ら謊を汝らに預言すればなり 024 JER 027 017 汝ら彼らに聽なかれバビロンの王に事へよ然ば生べしこの邑を何ぞ荒蕪となすべけんや 024 JER 027 018 もし彼ら預言者にしてヱホバの言かれらの衷にあらばヱホバの室とユダの王の家とヱルサレムとに餘れるところの器皿のバビロンに移されざることを萬軍のヱホバに求むべきなり 024 JER 027 019 萬軍のヱホバ柱と海と臺およびこの邑に餘れる器皿につきてかくいひたまふ 024 JER 027 020 是はバビロンの王ネブカデネザルがユダの王ヱホヤキムの子ヱコニヤおよびユダとヱルサレムのすべての牧伯等をヱルサレムよりバビロンにとらへ移せしときに掠ざりし器皿なり 024 JER 027 021 すなはち萬軍のヱホバ、イスラエルの神ヱホバの室とユダの王の室とヱルサレムとに餘れる器皿につきてかくいひたまふ 024 JER 027 022 これらはバビロンに携へゆかれ我これを顧る日まで彼處にあらん其後我これを此處にたづさへ歸らしめんとヱホバいひたまふ 024 JER 028 001 この年すなはちユダの王ゼデキヤが位に即し初その四年の五月ギベオンのアズルの子なる預言者ハナニヤ、ヱホバの室にて祭司と凡の民の前にて我に語りいひけるは 024 JER 028 002 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ我バビロンの王の軛を摧けり 024 JER 028 003 二年の内にバビロンの王ネブカデネザルがこの處より取てバビロンに携へゆきしヱホバの室の器皿を再び悉くこの處に歸らしめん 024 JER 028 004 我またユダの王ヱホヤキムの子ヱコニヤおよびバビロンに住しユダのすべての擄人をこの處に歸らしめんそは我バビロンの王の軛を摧くべければなりとヱホバいひたまふ 024 JER 028 005 是に於て預言者ヱレミヤ、ヱホバの家に立る祭司の前とすべての民の前にて預言者ハナニヤと語ふ 024 JER 028 006 預言者ヱレミヤすなはちいひけるはアーメン願くはヱホバかくなし給へ願くはバビロンに携へゆかれしヱホバの室の器皿及びすべて虜へうつされし者をヱホバ、バビロンより復びこの處に歸らしめたまはんと汝の預言せし言の成らんことを 024 JER 028 007 然ど汝いま我なんぢの耳と諸の民の耳に語らんとする此言をきけ 024 JER 028 008 我と汝の先にいでし預言者は古昔より多くの地と大なる國につきて戰鬪と災難と疫病の事を預言せり 024 JER 028 009 泰平を預言するところの預言者は若しその預言者の言とげなばその誠にヱホバの遣したまへる者なること知らるべし 024 JER 028 010 ここに於て預言者ハナニヤ預言者ヱレミヤの項より軛を取てこれを摧けり 024 JER 028 011 ハナニヤ諸の民の前にて語りヱホバかくいひたまふわれ二年のうちに是の如く萬國民の項よりバビロン王ネブカデネザルの軛を摧きはなさんといふ預言者ヱレミヤ遂に去りぬ 024 JER 028 012 預言者ハナニヤ預言者ヱレミヤの項より軛を摧きはなせし後ヱホバの言ヱレミヤに臨みていふ 024 JER 028 013 汝ゆきてハナニヤにヱホバかくいふと告よ汝木の軛を摧きたれども之に代て鐵の軛を作れり 024 JER 028 014 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ我鐵の軛をこの萬國民の項に置きてバビロンの王ネブカデネザルに事へしむ彼ら之につかへんわれ野の獸をもこれに與へたり 024 JER 028 015 また預言者ヱレミヤ預言者ハナニヤにいひけるはハナニヤよ請ふ聽けヱホバ汝を遣はし給はず汝はこの民に謊を信ぜしむるなり 024 JER 028 016 是故にヱホバいひ給ふ我汝を地の面よりのぞかん汝ヱホバに叛くことを敎ふるによりて今年死ぬべしと 024 JER 028 017 預言者ハナニヤはこの年の七月死ねり 024 JER 029 001 預言者ヱレミヤ、ヱルサレムより書をかの擄へうつされて餘れるところの長老および祭司と預言者ならびにネブカデネザルがヱルサレムよりバビロンに移したるすべての民に送れり 024 JER 029 002 是より先ヱコニヤ王と王后と寺人およびユダとヱルサレムの牧伯等および木匠と鐵匠はヱルサレムをされり 024 JER 029 003 ヱレミヤその書をシヤパンの子エラサおよびヒルキヤの子ゲマリヤ即ちユダの王ゼデキヤがバビロンにつかはしてバビロンの王ネブカデネザルにいたらしむる者の手によりて送れり其書にいはく 024 JER 029 004 萬軍のヱホバ、イスラエルの神すべて擄うつされし者即ち我ヱルサレムよりバビロンに移さしめし者にかくいふ 024 JER 029 005 汝ら屋を建てこれに住ひ圃をつくりてその果をくらへ 024 JER 029 006 妻を娶て子女をうみ又汝らの子に媳を娶り汝らの女を嫁がしめ彼らに子女を生しめよ此は汝等かしこに減ずして增んがためなり 024 JER 029 007 我汝らを擄移さしめしところの邑の安を求めこれが爲にヱホバにいのれその邑の安によりて汝らもまた安をうればなり 024 JER 029 008 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝らの中の預言者と卜筮士に惑はさるる勿れまた汝ら自ら作りしところの夢に聽したがふ勿れ 024 JER 029 009 そは彼ら我名をもて謊を汝らに預言すればなり我彼らを遣さずヱホバいひたまふ 024 JER 029 010 ヱホバかくいひたまふバビロンに於て七十年滿なばわれ汝らを眷み我嘉言を汝らになして汝らをこの處に歸らしめん 024 JER 029 011 ヱホバいひたまふ我が汝らにむかひて懷くところの念は我これを知るすなはち災をあたへんとにあらず平安を與へんとおもひ又汝らに後と望をあたへんとおもふなり 024 JER 029 012 汝らわれに龥はり往て我にいのらん我汝らに聽べし 024 JER 029 013 汝らもし一心をもて我を索めなば我に尋ね遇はん 024 JER 029 014 ヱホバいひたまふ我汝らの遇ところとならんわれ汝らの俘擄を解き汝らを萬國よりすべて我汝らを逐やりし處より集め且我汝らをして擄らはれて離れしめしその處に汝らをひき歸らんとヱホバいひたまふ 024 JER 029 015 ヱホバわれらの爲にバビロンに於て預言者を立たまひしと汝らはいふ 024 JER 029 016 ダビデの位に坐する王とこの邑に住るすべての民汝らと偕にとらへ移されざりし兄弟につきてヱホバかくいひたまふ 024 JER 029 017 萬軍のヱホバかくいふ視よわれ劍と饑饉と疫病を彼らにおくり彼らを惡くして食はれざる惡き無花果のごとくになさん 024 JER 029 018 われ劍と饑饉と疫病をもて彼らを逐ひまた彼らを地の萬國にわたして虐にあはしめ我彼らを逐やる諸國に於て呪詛となり詫異となり人の嗤笑となり恥辱とならしめん 024 JER 029 019 是彼ら我言を聽ざればなりとヱホバいひたまふ我この言を我僕なる預言者によりて遣り頻におくれども汝ら聽ざるなりとヱホバいひたまふ 024 JER 029 020 わがヱルサレムよりバビロンにおくりし諸の俘擄人よ汝らヱホバの言をきけ 024 JER 029 021 我名をもて謊を汝らに預言するコラヤの子アハブとマアセヤの子ゼデキヤにつきて萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ視よわれ彼らをバビロンの王ネブカデネザルの手に付さん彼これを汝らの目の前に殺すべし 024 JER 029 022 バビロンにあるユダの俘擄人は皆彼らをもて詛となし願くはヱホバ汝をバビロンの王が火にて焚しゼデキヤとアハブのごとき者となしたまはん事をといふ 024 JER 029 023 こは彼らイスラエルの中に惡をなし鄰の妻を犯し且我彼らに命ぜざる謊の言をわが名をもて語りしによる我これを知りまた證すとヱホバいひたまふ 024 JER 029 024 汝ネヘラミ人シマヤにかく語りいふべし 024 JER 029 025 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ汝おのれの名をもて書をヱルサレムにある諸の民と祭司マアセヤの子ゼパニヤおよび諸の祭司に送りていふ 024 JER 029 026 ヱホバ汝を祭司ヱホヤダに代て祭司となし汝らをヱホバの室の監督となしたまふ此すべて狂妄ひ且みづから預言者なりといふ者を獄と桎梏につながしめんためなり 024 JER 029 027 然るに汝いま何故に汝らにむかひてみづから預言者なりといふところのアナトテのヱレミヤを斥責めざるや 024 JER 029 028 そは彼バビロンにをる我儕に書を送り時尚長ければ汝ら家を建て之に住ひ圃をつくりてその實をくらへといへり 024 JER 029 029 祭司ゼパニヤこの書を預言者ヱレミヤに讀きかせたり 024 JER 029 030 時にヱホバの言ヱレミヤにのぞみていふ 024 JER 029 031 諸の俘擄人に書をおくりて云べしネヘラミ人シマヤの事につきてヱホバかくいふ我シマヤを遣さざるに彼汝らに預言し汝らに謊を信ぜしめしによりて 024 JER 029 032 ヱホバかくいふ視よ我ネヘラミ人シマヤと其子孫を罰すべし彼ヱホバに逆くことを敎へしによりて此民のうちに彼に屬する者一人も住ふことなからん且我民に吾がなさんとする善事をみざるべしとヱホバいひたまふ 024 JER 030 001 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言いふ 024 JER 030 002 イスラエルの神ヱホバかく告ていふ我汝に言し言をことごとく書に錄せ 024 JER 030 003 ヱホバいふわれ我民イスラエルとユダの俘囚人を返す日きたらんヱホバこれをいふ我彼らをその先祖にあたへし地にかへらしめん彼らは之をたもたん 024 JER 030 004 ヱホバのイスラエルとユダにつきていひたまひし言は是なり 024 JER 030 005 ヱホバかくいふ我ら戰慄の聲をきく驚懼あり平安あらず 024 JER 030 006 汝ら子を產む男あるやを尋ね觀よ我男が皆子を產む婦のごとく手をその腰におき且その面色皆靑く變るをみるこは何故ぞや 024 JER 030 007 哀しいかなその日は大にして之に擬ふべき日なし此はヤコブの患難の時なり然ど彼はこれより救出されん 024 JER 030 008 萬軍のヱホバいふ其日我なんぢの項よりその軛をくだきはなし汝の繩目をとかん異邦人は復彼を使役はざるべし 024 JER 030 009 彼らは其神ヱホバと我彼らの爲に立んところの其王ダビデにつかふべし 024 JER 030 010 ヱホバいふ我僕ヤコブよ懼るる勿れイスラエルよ驚く勿れ我汝を遠方より救ひかへし汝の子孫を其とらへ移されし地より救ひかへさんヤコブは歸りて平穩と寧靜をえん彼を畏れしむる者なかるべし 024 JER 030 011 ヱホバいふ我汝と偕にありて汝を救はん設令われ汝を散せし國々を悉く滅しつくすとも汝をば滅しつくさじされど我道をもて汝を懲さん汝を全たく罰せずにはおかざるべし 024 JER 030 012 ヱホバかくいふ汝の創は愈ず汝の傷は重し 024 JER 030 013 汝の訟を理す者なく汝の創を裹む膏藥あらず 024 JER 030 014 汝の愛する者は皆汝を忘れて汝を求めず是汝の愆の多きと罪の數多なるによりて我仇敵の撃がごとく汝を撃ち嚴く汝を懲せばなり 024 JER 030 015 何ぞ汝の創のために叫ぶや汝の患は愈ることなし汝の愆の多きと罪の數多なるによりて我これを汝になすなり 024 JER 030 016 然どすべて汝を食ふ者は食はれすべて汝を虐ぐる者は皆とらはれ汝を掠むる者は掠められん凡て汝の物を奪ふ者は我これをして奪はるる事にあはしむべし 024 JER 030 017 ヱホバいふ我汝に膏藥を貼り汝の傷を醫さんそは人汝を棄られし者とよび尋る者なきシオンといへばなり 024 JER 030 018 ヱホバかくいふ視よわれかの擄移されたるヤコブの天幕をかへし其住居をあはれまん斯邑はその故の丘垤に建られん城には宜き樣に人住はん 024 JER 030 019 感謝と歡樂者の聲とその中よりいでん我かれらを增ん彼ら少からじ我彼らを崇せん彼ら藐められじ 024 JER 030 020 其子は疇昔のごとくあらん其集會は我前に固く立ん凡かれを虐ぐる者は我これを罰せん 024 JER 030 021 其首領は本族よりいで其督者はその中よりいでん我彼をちかづけ彼に近かん誰かその生命を繋て我に近くものあらんやとヱホバいふ 024 JER 030 022 汝等は我民となり我は汝らの神とならん 024 JER 030 023 みよヱホバの暴風あり怒と旋轉風いでて惡人の首をうたん 024 JER 030 024 ヱホバの烈き忿はかれがその心の思を行ひてこれを遂るまでは息じ末の日に汝ら明にこれを曉らん 024 JER 031 001 ヱホバいひたまふ其時われはイスラエルの諸の族の神となり彼らは我民とならん 024 JER 031 002 ヱホバかくいひたまふ劍をのがれて遺りし民は曠野の中に恩を獲たりわれ往て彼イスラエルに安息をあたへん 024 JER 031 003 遠方よりヱホバ我に顯れていひたまふ我窮なき愛をもて汝を愛せり故にわれたえず汝をめぐむなり 024 JER 031 004 イスラエルの童女よわれ復び汝を建ん汝は建らるべし汝ふたたび鼗をもて身を飾り歡樂者の舞にいでん 024 JER 031 005 汝また葡萄の樹をサマリヤの山に植ん植る者は植てその果を食ふことをえん 024 JER 031 006 エフライムの山の上に守望者の立て呼はる日きたらんいはく汝ら起よ我らシオンにのぼりて我儕の神ヱホバにまうでんと 024 JER 031 007 ヱホバかくいひたまふ汝らヤコブの爲に歡びて呼はり萬國の首なる者のために叫べ汝ら示し且歌ひて言へヱホバよ願くはイスラエルの遺れる者汝の民を救ひたまへと 024 JER 031 008 みよ我彼らを北の地よりひきかへり彼らを地の極より集めん彼らの中には瞽者 跛者 孕める婦 子を產みし婦ともに居る彼らは大なる群をなして此處にかへらん 024 JER 031 009 彼ら悲泣來らん我かれらをして祈禱をもて來らしめ直くして蹶かざる途より水の流に歩みいたらしめん我はイスラエルの父にしてエフライムは我長子なればなり 024 JER 031 010 萬國の民よ汝らヱホバの言をきき之を遠き諸島に示していえへイスラエルを散せしものこれを聚め牧者のその群を守るが如く之を守らん 024 JER 031 011 すなはちヱホバ、ヤコブを贖ひ彼等よりも強き者の手よりかれを救出したまへり 024 JER 031 012 彼らは來てシオンの頂によばはりヱホバの賜ひし福なる麥と酒と油および若き羊と牛の爲に寄集はんその靈魂は灌ふ園のごとくならん彼らは重て愁ふること無るべし 024 JER 031 013 その時童女は舞てたのしみ壯者と老者もろともに樂しまん我かれらの悲をかへて喜となしかれらの愁をさりてこれを慰さめん 024 JER 031 014 われ膏をもて祭司の心を飫しめ我恩をもて我民に滿しめんとヱホバ言たまふ 024 JER 031 015 ヱホバかくいひたまふ歎き悲みいたく憂ふる聲ラマに聞ゆラケルその兒子のために歎きその兒子のあらずなりしによりて慰をえず 024 JER 031 016 ヱホバかくいひ給ふ汝の聲を禁て哭こと勿れ汝の目を禁て涙を流すこと勿れ汝の工に報あるべし彼らは其敵の地より歸らんとヱホバいひたまふ 024 JER 031 017 汝の後の日に望あり兒子等その境に歸らんとヱホバいひたまふ 024 JER 031 018 われ固にエフライムのみづから歎くをきけり云く汝は我を懲しめたまふ我は軛に馴ざる犢のごとくに懲治を受たりヱホバよ汝はわが神なれば我を牽轉したまへ然ば我轉るべし 024 JER 031 019 われ轉りし後に悔い敎を承しのちに我髀を撃つ我幼時の羞を身にもてば恥ぢかつ辱しめらるるなりと 024 JER 031 020 ヱホバいひたまふエフライムは我愛するところの子悦ぶところの子ならずや我彼にむかひてかたるごとに彼を念はざるを得ず是をもて我膓かれの爲に痛む我必ず彼を恤むべし 024 JER 031 021 汝のために指路號を置き汝のために柱をたてよ汝のゆける道なる大路に心をとめよイスラエルの童女よ歸れこの汝の邑々にかへれよ 024 JER 031 022 違ける女よ汝いつまで流蕩ふやヱホバ新しき事を地に創造らん女は男を抱くべし 024 JER 031 023 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひ給ふ我かの俘囚し者を返さん時人々復ユダの地とその邑々に於て此言をいはん義き居所よ聖き山よ願くはヱホバ汝を祝みたまへと 024 JER 031 024 ユダとその諸の邑々に農夫と群を牧ふもの偕に住はん 024 JER 031 025 われ疲れたる靈魂を飫しめすべての憂ふる靈魂をなぐさむるなり 024 JER 031 026 茲にわれ目を醒しみるに我眠は甘かりし 024 JER 031 027 ヱホバいひたまふ視よ我が人の種と畜の種とをイスラエルの家とユダの家とに播く日いたらん 024 JER 031 028 我彼らを拔き毀ち覆し滅し難さんとうかがひし如くまた彼らを建て植ゑんとうかがふべしとヱホバいひ給ふ 024 JER 031 029 その時彼らは父が酸き葡萄を食ひしによりて兒子の齒齪くと再びいはざるべし 024 JER 031 030 人はおのおの自己の惡によりて死なん凡そ酸き葡萄をくらふ人はその齒齪く 024 JER 031 031 ヱホバいひたまふみよ我イスラエルの家とユダの家とに新しき契約を立つる日きたらん 024 JER 031 032 この契約は我彼らの先祖の手をとりてエジプトの地よりこれを導きいだせし日に立しところの如きにあらず我かれらを娶りたれども彼らはその我契約を破れりとヱホバいひたまふ 024 JER 031 033 然どかの日の後に我イスラエルの家に立んところの契約は此なり即ちわれ我律法をかれらの衷におきその心の上に錄さん我は彼らの神となり彼らは我民となるべしとヱホバいひたまふ 024 JER 031 034 人おのおの其隣とその兄弟に敎へて汝ヱホバを識と復いはじそは小より大にいたるまで悉く我をしるべければなりとヱホバいひたまふ我彼らの不義を赦しその罪をまた思はざるべし 024 JER 031 035 ヱホバかく言すなはち是日をあたへて晝の光となし月と星をさだめて夜の光となし海を激してその濤を鳴しむる者その名は萬軍のヱホバと言なり 024 JER 031 036 ヱホバいひたまふもし此等の規律我前に廢らばイスラエルの子孫も我前に廢りて永遠も民たることを得ざるべし 024 JER 031 037 ヱホバかくいひたまふ若し上の天量ることを得下の地の基探ることをえば我またイスラエルのすべての子孫を其もろもろの行のために棄べしヱホバこれをいふ 024 JER 031 038 ヱホバいひたまふ視よ此邑ハナネルの塔より隅の門までヱホバの爲に建つ日きたらん 024 JER 031 039 量繩ふたたび直ちにガレブの岡をこえゴアテの方に轉るべし 024 JER 031 040 屍と灰の谷またケデロンの溪にいたるまでと東の方の馬の門の隅にいたるまでの諸の田地皆ヱホバの聖き處となり永遠におよぶまで再び拔れまた覆さるる事なかるべし 024 JER 032 001 ユダの王ゼデキヤの十年即ちネブカデネザルの十八年の頃ヱホバの言ヱレミヤにのぞめり 024 JER 032 002 その時バビロンの軍勢ヱルサレムを攻環み居て預言者ヱレミヤはユダの王の室にある獄の庭の内に禁錮られたり 024 JER 032 003 ユダの王ゼデキヤ彼を禁錮ていひけるは汝何故に預言してヱホバかく云たまふといふや云く視よ我この邑をバビロン王の手に付さん彼之を取るべし 024 JER 032 004 またユダの王ゼデキヤはカルデヤ人の手より脱れず必ずバビロン王の手に付され口と口とあひ語り目と目あひ觀るべし 024 JER 032 005 彼ゼデキヤをバビロンに携きゆかんゼデキヤはわが彼を顧る時まで彼處に居んとヱホバいひたまふ汝らカルデヤ人と戰ふとも勝ことを得じと 024 JER 032 006 ヱレミヤいふヱホバの言われに臨みていはく 024 JER 032 007 みよ汝の叔父シヤルムの子ハナメル汝にきたりていはん汝アナトテに在るわが田地を買へそは之を贖ふ事は汝の分なればなりと 024 JER 032 008 かくてヱホバの言のごとく我叔父の子ハナメル獄の庭にて我に來り云けるは願くは汝ベニヤミンの地のアナトテに在るわが田地を買へそは之を嗣ぎこれを贖ふことは汝の分なれば汝みつからこれを買ひとれとここに於てわれ此はヱホバの言なりと知りたれば 024 JER 032 009 我叔父の子ハナメルがアナトテにもてる田地をかひて彼に銀十七シケルを稱てあたふ 024 JER 032 010 すなはち我その契劵を書てこれに封印し證人をたて權衡をもて銀を稱て與ふ 024 JER 032 011 而してわれその約定をのするところの封印せし買劵とその開きたるものを取り 024 JER 032 012 わが叔父の子ハナメルと買劵に印せし證人の前および獄の庭に坐するユダ人の前にてその買劵をマアセヤの子なるネリヤの子バルクに與へ 024 JER 032 013 彼らの前にてわれバルクに命じていひけるは 024 JER 032 014 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かく云たまふ汝これらの契劵すなはち此買劵の封印せし者と開きたるものを取り之を瓦器の中に貯へて多くの日の間保たしめよ 024 JER 032 015 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふそは此地に於て人復屋と田地と葡萄園を買ふにいたらんと 024 JER 032 016 われ買契をネリヤの子バルクに付せしのちヱホバに祈りて云ひけるは 024 JER 032 017 嗚呼主ヱホバよ汝はその大なる能力と伸たる腕をもて天と地を造りたまへり汝には爲す能はざるところなし 024 JER 032 018 汝は恩寵を千萬人に施し又父の罪をその後の子孫の懷に報いたまふ汝は大なる全能の神にいまして其名は萬軍のヱホバとまうすなり 024 JER 032 019 汝の謀略は大なり汝は事をなすに能あり汝の目は人のこどもらの諸の途を鑒はしおのおのの行に循ひその行爲の果によりて之に報いたまふ 024 JER 032 020 汝休徴と奇跡をエジプトの地に行ひたまひて今日にまでいたるまたイスラエルと他の民の中にも然りかくして今日のごとくに汝の名を揚たまへり 024 JER 032 021 汝は休徴と奇跡と強き手と伸たる腕と大なる怖しき事をもて汝の民イスラエルをエジプトの地より導きいだし 024 JER 032 022 この地を彼らにたまへり是即ち汝がかれらの先祖等に與へんと誓ひたまひし乳と蜜の流るる地なり 024 JER 032 023 彼等すなはち入てこれを獲たりしかども汝の聲に遵はず汝の例典を行はず凡て汝がなせと命じたまひし事を爲ざりしによりて汝この災を其上にくだらしむ 024 JER 032 024 みよ壘成れり是この邑を取んとて來れるなり劍と饑饉と疫病のためにこの邑は之を攻むるカルデヤ人の手に付さる汝のいひたまひしことば旣に成れり汝之を見たまふなり 024 JER 032 025 主ヱホバよ汝われに銀をもて田地を買へ證人を立よといひたまへり然るにこの邑はカルデヤ人の手に付さる 024 JER 032 026 時にヱホバの言ヱレミヤに臨みていふ 024 JER 032 027 みよ我はヱホバなりすべて血氣ある者の神なり我に爲す能はざるところあらんや 024 JER 032 028 故にヱホバかくいふ視よわれ此邑をカルデヤ人の手とバビロンの王ネブカデネザルの手に付さん彼これを取るべし 024 JER 032 029 この邑を攻るところのカルデヤ人きたり火をこの邑に放ちて之を焚ん屋蓋のうへにて人がバアルに香を焚き他の神に酒をそそぎて我を怒らせしその屋をも彼ら亦焚ん 024 JER 032 030 そはイスラエルの子孫とユダの子孫はその幼少時よりわが前に惡き事のみをなしまたイスラエルの民はその手の作爲をもて我をいからする事のみをなしたればなりヱホバ之をいふ 024 JER 032 031 此邑はその建し日より今日にいたるまで我震怒を惹き我憤恨をおこすところの者なれば我前よりわれ之を除かんとするなり 024 JER 032 032 こはイスラエルの民とユダの民諸の惡を行ひて我を怒らせしによりてなり彼らその王等その牧伯等その祭司その預言者およびユダの人々とヱルサレムに住る者皆然なせり 024 JER 032 033 彼ら背を我にむけて面を我にむけずわれ彼らををしへ頻に敎ふれどもかれらは敎をきかずしてうけざるなり 024 JER 032 034 彼らは憎むべき物をわが名をもて稱へらるる室にたてて之を汚し 024 JER 032 035 又ベンヒンノムの谷にあるバアルの崇邱を築きその子女をモロクに献げたりわれは彼らにこの憎むべきことを行ひてユダに罪を犯さしむることを命ぜず斯る事は我心におこらざりしなり 024 JER 032 036 いまイスラエルの神ヱホバこの邑すなはち汝らが劍と饑饉と疫病のためにバビロン王の手に付されんといひしところの邑につきて斯いひたまふ 024 JER 032 037 みよわれ我震怒と憤恨と大なる怒をもて彼らを逐やりし諸の國より彼らを集め此處に導きかへりて安然に居らしめん 024 JER 032 038 彼らは我民となり我は彼らの神とならん 024 JER 032 039 われ彼らに一の心と一の途をあたへて常に我を畏れしめんこは彼らと其子孫とに福をえせしめん爲なり 024 JER 032 040 われ彼らを棄ずして恩を施すべしといふ永遠の契約をかれらにたて我を畏るるの畏をかれらの心におきて我を離れざらしめん 024 JER 032 041 われ悦びて彼らに恩を施し心を盡し精神をつくして誠に彼らを此地に植べし 024 JER 032 042 ヱホバかくいひたまふわれ此諸の大なる災をこの民に降せしごとくわがかれらに言し諸の福を彼等に降さん 024 JER 032 043 人衆この地に田野を買はん是汝等が荒て人も畜もなきにいたりカルデヤ人の手に付されしといへる地なり 024 JER 032 044 人衆ベニヤミンの地とヱルサレムの四周とユダの邑々と山の邑々と平地の邑々と南の方の邑々において銀をもて田野をかひ契劵を書きてこれに封印し又證人をたてんそは我かの俘囚者を歸らしむればなりとヱホバいひたまふ 024 JER 033 001 ヱレミヤ尚獄の庭に禁錮られてをる時ヱホバの言ふたたび彼に臨みていふ 024 JER 033 002 事をおこなふヱホバ事をなして之を成就るヱホバ其名をヱホバと名る者かく言ふ 024 JER 033 003 汝我に龢求めよわれ汝に應へん又汝が知ざる大なる事と秘密たる事とを汝に示さん 024 JER 033 004 イスラエルの神ヱホバ壘と劍によりて毀たれたる此邑の室とユダの王の室につきてかくいひ給ふ 024 JER 033 005 彼らカルデヤ人と戰はんとて來る是には我震怒と憤恨をもて殺すところの人々の屍體充るにいたらん我かれらの諸の惡のためにわが面をこの邑に蔽ひかくせり 024 JER 033 006 視よわれ卷布と良藥をこれに持きたりて人々を醫し平康と眞實の豐厚なるをこれに示さん 024 JER 033 007 我ユダの俘囚人とイスラエルの俘囚人を歸らしめ彼らを建て從前のごとくになすべし 024 JER 033 008 われ彼らが我にむかひて犯せし一切の罪を潔め彼らが我にむかひて犯し且行ひし一切の罪を赦さん 024 JER 033 009 此邑は地のもろもろの民の中において我がために欣喜の名となり頌美となり榮耀となるべし彼等はわが此民にほどこすところの諸の恩惠を聞ん而してわがこの邑にほどこすところの諸の恩惠と諸の福祿のために發振へ且身を動搖さん 024 JER 033 010 ヱホバかくいひ給へり汝らが荒れて人もなく畜もなしといひしこの處即ち荒れて人もなく住む者もなく畜もなきユダの邑とヱルサレムの街に 024 JER 033 011 再び欣喜の聲 歡樂の聲 新娶者の聲 新婦の聲および萬軍のヱホバをあがめよヱホバは善にしてその矜恤は窮なしといひて其感謝の祭物をヱホバの室に携ふる者の聲聞ゆべし蓋われこの地の俘囚人を返らしめて初のごとくになすべければなりヱホバ之をいひたまふ 024 JER 033 012 萬軍のヱホバかくいひたまふ荒れて人もなく畜もなきこの處と其すべての邑々に再び牧者のその群を伏しむる牧場あるにいたらん 024 JER 033 013 山の邑と平地の邑と南の方の邑とベニヤミンの地とヱルサレムの四周とユダの邑において群ふたたびその之を核ふる者の手の下を過らんとヱホバいひたまふ 024 JER 033 014 ヱホバ言たまはく視よ我イスラエルの家とユダの家に語りし善言を成就ぐる日きたらん 024 JER 033 015 その日その時にいたらばわれダビデの爲に一の義き枝を生ぜしめん彼は公道と公義を地に行ふべし 024 JER 033 016 その日ユダは救をえヱルサレムは安らかに居らんその名はヱホバ我儕の義と稱へらるべし 024 JER 033 017 ヱホバかくいひたまふイスラエルの家の位に坐する人ダビデに缺ることなかるべし 024 JER 033 018 また我前に燔祭をささげ素祭を燃し恒に犠牲を献ぐる人レビ人なる祭司に絕ざるべし 024 JER 033 019 ヱホバのことばヱレミヤに臨みていふ 024 JER 033 020 ヱホバかくいふ汝らもし我晝につきての契約と我夜につきての契約を破りてその時々に晝も夜もなからしむることをえば 024 JER 033 021 僕ダビデに吾が立し契約もまた破れその子はかれの位に坐して王となることをえざらんまたわが我に事ふるレビ人なる祭司に立し契約も破れん 024 JER 033 022 天の星は數へられず濱の沙は量られずわれその如く我僕ダビデの裔と我に事ふるレビ人を增ん 024 JER 033 023 ヱホバの言またヱレミヤに臨みていふ 024 JER 033 024 汝この民の語りてヱホバはその選みし二の族を棄たりといふを聞ざるか彼らはかく我民を藐じてその眼にこれを國と見なさざるなり 024 JER 033 025 ヱホバかくいひ給ふもしわれ晝と夜とについての契約を立ずまた天地の律法を定めずば 024 JER 033 026 われヤコブと我僕ダビデとの裔をすてて再びかれの裔の中よりアブラハム、イサク、ヤコブの裔を治むる者を取ざるべし我その俘囚し者を返らしめこれを恤れむべし 024 JER 034 001 バビロンの王ネブカデネザルその全軍および己の手の下に屬するところの地の列國の人および諸の民を率てヱルサレムとその諸邑を攻めて戰ふ時ヱホバの言ヱレミヤに臨みていふ 024 JER 034 002 イスラエルの神ヱホバかくいふ汝ゆきてユダの王ゼデキヤに告ていふべしヱホバかくいひたまふ視よわれ此邑をバビロン王の手に付さん彼火をもてこれを焚べし 024 JER 034 003 汝はその手を脱れず必ず擒へられてこれが手に付されん汝の目はバビロン王の目をみ又かれの口は汝の口と語ふべし汝はバビロンにゆくにいたらん 024 JER 034 004 然どユダの王ゼデキヤよヱホバの言をきけヱホバ汝の事につきてかくいひたまふ汝は劍に死じ 024 JER 034 005 汝は安らかに死なん民は汝の先祖たる汝の先の王等の爲に香を焚しごとく汝のためにも香を焚き且汝のために嘆て嗚呼主よといはん我この言をいふとヱホバいひたまふ 024 JER 034 006 預言者エレミヤすなはち此言をことごとくヱルサレムにてユダの王ゼデキヤにつげたり 024 JER 034 007 時にバビロン王の軍勢はヱルサレムおよび存れるユダの諸の邑を攻めラキシとアゼカを攻て戰ひをる其はユダの諸邑のうちに是等の城の邑尚存りゐたればなり 024 JER 034 008 ゼデキヤ王ヱルサレムに居る諸の民と契約を立てて彼らに釋放の事を宣示せし後ヱホバの言ヱレミヤに臨めり 024 JER 034 009 その契約はすなはち人をしておのおの其僕婢なるヘブルの男女を釋たしめその兄弟なるユダヤ人を奴隸となさざらしむる者なりき 024 JER 034 010 この契約をなせし牧伯等とすべての民は人おのおのその僕婢を釋ちて再び之を奴隸となすべからずといふをききて遂にそれに聽したがひてこれを釋ちしが 024 JER 034 011 後に心をひるがへしてその釋ちし僕婢をひきかへりて再び之を伏從はしめて僕婢となせり 024 JER 034 012 是故にヱホバの言ヱホバよりヱレミヤにのぞみて云 024 JER 034 013 イスラエルの神ヱホバかくいふ我汝らの先祖をエジプトの地その奴隸たりし宅より導きいだせし時彼らと契約を立ていひけらく 024 JER 034 014 汝らの兄弟なるヘブル人の身を汝らに賣たる者をば七年の終に汝らおのおのこれを釋つべし彼六年汝につかへたらば之を釋つべしと然るに汝らの先祖等は我に聽ず亦その耳を傾けざりし 024 JER 034 015 然ど汝らは今日心をあらためておのおの其鄰人に釋放の事を示してわが目に正とみゆる事を行ひ且我名をもて稱へらるる室に於て我前に契約を立たり 024 JER 034 016 然るに汝ら再び心をひるがへして我名を汚し各自釋ちて其心に任せしめたる僕婢をひき歸り再び之を伏從はしめて汝らの僕婢となせり 024 JER 034 017 この故にヱホバかくいひたまふ汝ら我に聽ておのおの其兄弟とその鄰に釋放の事を示さざりしによりて視よわれ汝らの爲に釋放を示して汝らを劍と饑饉と疫病にわたさん我汝らをして地の諸の國にて艱難をうけしむべし 024 JER 034 018 ヱホバこれを云ふ犢を兩にさきて其二個の間を過り我前に契約をたてて却つて其言に從はずわが契約をやぶる人々 024 JER 034 019 即ち兩に分ちし犢の間を過りしユダの牧伯等ヱルサレムの牧伯等と寺人と祭司とこの地のすべての民を 024 JER 034 020 われ其敵の手とその生命を索る者の手に付さんその屍體は天空の鳥と野の獸の食物となるべし 024 JER 034 021 且われユダの王ゼデキヤとその牧伯等をその敵の手其生命を索むる者の手汝らを離れて去しバビロン王の軍勢の手に付さん 024 JER 034 022 ヱホバいひたまふ視よ我彼らに命じて此邑に歸らしめん彼らこの邑を攻て戰ひ之を取り火をもて焚くべしわれユダの諸邑を住人なき荒地となさん 024 JER 035 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの時ヱレミヤにのぞみしヱホバの言いふ 024 JER 035 002 汝レカブ人の家に往て彼らとかたり彼らをヱホバの室の一房に携きたりて酒をのませよと 024 JER 035 003 是に於てわれハバジニヤの子なるヱレミヤの子ヤザニヤとその兄弟とその諸子およびレカブ人の全家を取り 024 JER 035 004 これをヱホバの室にあるハナンの諸子の房につれきたれりハナンはイグダリヤの子にして神の人なり其房は牧伯等の房の次にして門を守るシヤレムの子マアセヤの房のうへに在り 024 JER 035 005 我すなはちレカブ人の家の諸子の前に酒を滿したる壺と杯を置き彼らに告て汝ら酒を飮めといひければ 024 JER 035 006 彼らこたへけるは我儕は酒をのまず蓋レカブの子なる我らの先祖ヨナダブ我らに命じて汝等と汝らの子孫はいつまでも酒をのむべからず 024 JER 035 007 また汝ら屋を建ず種をまかず葡萄園を植ざれ亦これを有べからず汝らの生存ふるあひだ幕屋にをれ然らば汝らが寄寓ところの地に於て汝らの生命長からんと云たればなり 024 JER 035 008 斯我らはレカブの子なるわれらの先祖ヨナダブの凡て命ぜし言に遵ひて我儕とわれらの妻と子女は生存ふるあひだ酒を飮ず 024 JER 035 009 我らは住べき屋を建てず葡萄園も田野も種も有ずして 024 JER 035 010 幕屋にをりすべて我儕の先祖ヨナダブが我らに命ぜしごとく行へり 024 JER 035 011 然どバビロンの王ネブカデネザルがこの地に上り來りしとき我ら云けるは我らカルデヤ人の軍勢とスリア人の軍勢を畏るれば去來ヱルサレムにゆかんとすなはち我らはヱルサレムに住へり 024 JER 035 012 時にヱホバの言ヱレミヤにのぞみていふ 024 JER 035 013 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ汝ゆきてユダの人々とヱルサレムに住る者とに告よヱホバいひたまふ汝らは我言を聽て敎を受ざるか 024 JER 035 014 レカブの子ヨナダブがその子孫に酒をのむべからずと命ぜし言は行はる彼らは今日に至るまで酒をのまず其先祖の命令に遵ふなり然るに汝らは吾汝らに語り頻りに語れども我にきかざるなり 024 JER 035 015 我また我僕なる預言者たちを汝らに遣し頻りにこれを遣していはせけるは汝らいまおのおの其惡き道を離れて歸り汝らの行をあらためよ他の神に從ひて之に奉ふる勿れ然ば汝らはわが汝らと汝らの先祖に與へたるこの地に住ことをえんと然ど汝らは耳を傾けず我にきかざりき 024 JER 035 016 レカブの子ヨナダブの子孫はその先祖が彼らに命ぜしところの命令に遵ふなり然ど此民は我に聽ず 024 JER 035 017 この故に萬軍の神ヱホバ、イスラエルの神かくいふ視よわれユダとヱルサレムに住る者とに我彼らにつきていひし所の災を降さん我かれらに語れども聽ずかれらを召ども應へざればなり 024 JER 035 018 茲にヱレミヤ、レカブ人の家にいひけるは萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝らはその先祖ヨナダブの命に遵ひその凡の誡を守り彼が汝らに命ぜしことを行ふ 024 JER 035 019 是によりて萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふレカブの子ヨナダブには我前に立つ人いつまでも缺ることあらじ 024 JER 036 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの四年にこの言ヱホバよりヱレミヤに臨みていふ 024 JER 036 002 汝卷物をとり我汝に語りし日即ちヨシヤの日より今日に至るまでイスラエルとユダと萬國とにつきてわが汝に語りしすべての言を之に錄せ 024 JER 036 003 ユダの家わが降さんと擬るところの災をききて各自その惡き途をはなれて轉ることもあらん然ばわれ其愆とその罪を赦すべし 024 JER 036 004 是に於てヱレミヤ、ネリヤの子バルクを召べりバルクすなはちヱレミヤの口にしたがひヱホバの彼に告たまひし言をことごとく卷物に錄せり 024 JER 036 005 ヱレミヤ、バルクに云ひけるはわれは禁錮られたればヱホバの室に往くことを得ず 024 JER 036 006 故に汝ゆきて汝が我の口にしたがひて卷物に錄したるヱホバの言をよみ斷食の日にヱホバの室に於て民の耳にこれを聽しめよまた之を讀みてユダの人々のその邑々より來れる者の耳に聽しむべし 024 JER 036 007 彼らヱホバの前にその祈禱を献り各自其惡き途をはなれて轉ることもあらんヱホバの此民につきてのべたまひし怒と憤は大なり 024 JER 036 008 斯てネリヤの子バルクは凡て預言者ヱレミヤが己に命ぜしごとくヱホバの室にてその卷物よりヱホバの言を讀り 024 JER 036 009 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの五年九月ヱルサレムの諸の民およびユダの諸邑よりヱルサレムに來れる諸の民にヱホバの前に斷食を行ふべきこと宣示さる 024 JER 036 010 バルク、ヱホバの室の上庭に於てヱホバの室の新しき門の入口の旁にあるシヤパンの子なる書記ゲマリヤの房にてその書よりヱレミヤの言を民に讀きかせたり 024 JER 036 011 シヤパンの子なるゲマリヤの子ミカヤその書のヱホバの言を盡くききて 024 JER 036 012 王の宮にある書記の房にくだりいたるに諸の牧伯等即ち書記エリシヤマ、シマヤの子デラヤ、アカボルの子エルナタン、シヤパンの子ゲマリヤ、ハナニヤの子ゼデキヤおよび諸の牧伯等そこに坐せり 024 JER 036 013 ミカヤ、バルクが書を讀て民の耳に聽せしときに己が聽しところのすべての言を彼らに告ければ 024 JER 036 014 牧伯等クシの子シレミヤの子なるネタニヤの子エホデをバルクに遣はしていはせけるは汝が民に讀きかせしその卷物を手に取て來れとネリヤの子バルクすなはち手に卷物を取りて彼らの許にきたりたれば 024 JER 036 015 彼らバルクにいひけるは請ふ坐して之を我らに讀きかせよとバルクすなはち彼らに讀聞せたり 024 JER 036 016 彼らその諸の言をききて倶に懼れバルクにいひけるは我ら必ずこの諸の言を王に告んと 024 JER 036 017 またバルクに問ていひけるは請ふ汝いかにこの諸の言をかれの口にしたがひて錄せしや我らに告よ 024 JER 036 018 バルク答へけるは彼その口をもてこの諸の言を我に述べたればわれ墨をもて之を書に錄せり 024 JER 036 019 牧伯等バルクにいひけるは汝ゆきてヱレミヤとともに身を匿し在所を人に知しむべからずと 024 JER 036 020 すなはち卷物を書記エリシヤマの房に置きて庭にいり王に詣りてこの諸の言を王につげければ 024 JER 036 021 王その卷物を持來らせんとてヱホデを遣せりヱホデすなはち書記エリシヤマの房より卷物を取來りて之を王と王の側に立るすべての牧伯等に讀みきかせたり 024 JER 036 022 時は九月にして王冬の室に坐せり其前に火の燃る爐あり 024 JER 036 023 ヱホデ三枚か四枚を讀けるとき王小刀をもてその卷物を切割き爐の火に投いれて之を盡く爐の火に焚り 024 JER 036 024 王とその臣僕等はこの諸の言をきけども懼れず亦その衣を裂ざりき 024 JER 036 025 エルナタン、デラヤ、ゲマリヤ等王にその卷物を焚たまふ勿れと求めたれども聽ざりき 024 JER 036 026 王ハンメレクの子ヱラメルとアヅリエルの子セラヤとアブデルの子セレミヤに書記バルクと預言者ヱレミヤを執へよと命ぜしがヱホバかれらを匿したまへり 024 JER 036 027 王卷物およびバルクがヱレミヤの口にしたがひて記せし言を焚しのちヱホバの言ヱレミヤに臨みていふ 024 JER 036 028 汝また他の卷物をとりユダの王ヱホヤキムが焚しところの前の卷物の中の言をことごとく其に錄せ 024 JER 036 029 汝またユダの王ヱホヤキムに告よヱホバかくいふ汝かの卷物を焚ていへり汝何なれば此卷物に錄してバビロンの王必ず來りてこの地を滅し此に人と畜を絕さんと云しやと 024 JER 036 030 この故にヱホバ、ユダの王ヱホヤキムにつきてかくいひ給ふ彼にはダビデの位に坐する者無にいたらん且かれの屍は棄られて晝は熱氣にあひ夜は寒氣にあはん 024 JER 036 031 我また彼とその子孫とその臣僕等をその惡のために罰せんまた彼らとヱルサレムの民とユダの人々には我わが彼らにつきて語りしかども彼らが聽ことをせざりし所の禍を降すべし 024 JER 036 032 是に於てヱレミヤ他の卷物を取てネリヤの子書記バルクにあたふバルクすなはちユダの王ヱホヤキムが火に焚たるところの書の諸の言をヱレミヤの口にしたがひて之に錄し外にまた斯る言を多く之に加へたり 024 JER 037 001 ヨシヤの子ゼデキヤ、ヱホヤキムの子コニヤに代りて王となるバビロンの王ネブカデネザル彼をユダの地に王となせしなり 024 JER 037 002 彼もその臣僕等もその地の人々もヱホバが預言者ヱレミヤによりて示したまひし言を聽ざりき 024 JER 037 003 ゼデキヤ王シレミヤの子ユカルとマアセヤの子祭司ゼパニヤを預言者ヱレミヤに遣して請ふ汝我らの爲に我らの神ヱホバに祈れといはしむ 024 JER 037 004 ヱレミヤは民の中に出入せりそはいまだ獄に入られざればなり 024 JER 037 005 パロの軍勢のエジプトより來りしかばヱルサレムを攻圍みたるカルデヤ人は其音信をききてヱルサレムを退けり 024 JER 037 006 時にヱホバの言預言者ヱレミヤにのぞみていふ 024 JER 037 007 イスラエルの神ヱホバかくいふ汝らを遣して我に求めしユダの王にかくいへ汝らを救はんとて出きたりしパロの軍勢はおのれの地エジプトへ歸らん 024 JER 037 008 カルデヤ人再び來りてこの邑を攻て戰ひこれを取り火をもて焚べし 024 JER 037 009 ヱホバかくいふ汝らカルデヤ人は必ず我らをはなれて去んといひて自ら欺く勿れ彼らは去ざるべし 024 JER 037 010 設令汝らおのれを攻て戰ふところのカルデヤ人の軍勢を悉く撃ちやぶりてその中に負傷人のみを遺すとも彼らはおのおの其幕屋に起ちあがり火をもて此邑を焚かん 024 JER 037 011 茲にカルデヤ人の軍勢パロの軍勢を懼れてヱルサレムを退きければ 024 JER 037 012 ヱレミヤ、ベニヤミンの地にて民の中にその分を分ち取らんとてヱルサレムを出でてかの地に行きしが 024 JER 037 013 ベニヤミンの門にいりし時そこにハナニヤの子シレミヤの子なるイリヤと名くる門守をり預言者ヱレミヤを執へて汝はカルデヤ人に降るなりといふ 024 JER 037 014 ヱレミヤいひけるは詐なり我はカルデヤ人に降るにあらずと然どイリヤこれを聽ずヱレミヤを執へて侯伯等の許に引ゆけり 024 JER 037 015 侯伯等すなはち怒りてヱレミヤを撻ちこれを書記ヨナタンの室の獄にいれたり蓋この室を獄となしたればなり 024 JER 037 016 ヱレミヤ獄にいり土牢に入りてそこに多の日を送りしのち 024 JER 037 017 ゼデキヤ王人を遣して彼をひきいださしむ而して王室にて竊にかれにいひけるはヱホバより臨める言あるやとヱレミヤ答へていひけるは有り汝はバビロン王の手に付されん 024 JER 037 018 ヱレミヤまたゼデキヤ王にいひけるは我汝あるいは汝の臣僕或はこの民に何なる罪を犯したれば汝ら我を獄にいれしや 024 JER 037 019 汝らに預言してバビロンの王は汝らにも此地にも攻來らじといひし汝らの預言者はいま何處にあるや 024 JER 037 020 されば王わが君よ願くはいま我に聽たまへ請ふわが願望を受納れ給へ我を書記ヨナタンの家に歸らしめたまふなかれ恐らくは我彼處に死なんと 024 JER 037 021 是においてゼデキヤ王命じてヱレミヤを獄の庭にいれしめ且邑のパンの悉く盡るまでパンを製る者の街より日々に一片のパンを彼に與へしむ即ちヱレミヤは獄の庭にをる 024 JER 038 001 マツタンの子シパテヤ、パシユルの子ゲダリヤ、シレミヤの子ユカル、マルキヤの子パシユル、ヱレミヤがすべての民に告たるその言を聞り 024 JER 038 002 云くヱホバかくいひたまふこの邑に留まるものは劍と饑饉と疫病に死べし然どいでてカルデヤ人に降る者は生んすなはちその生命をおのれの掠取物となして生べし 024 JER 038 003 ヱホバかくいひたまふこの邑は必ずバビロン王の軍勢の手に付されん彼之を取べしと 024 JER 038 004 是をもてかの牧伯等王にいひけるは請ふこの人を殺したまへ彼はかくの如き言をのべて此邑に遺れる兵卒の手と民の手を弱くす夫人は民の安を求めずして其害を求むるなりと 024 JER 038 005 ゼデキヤ王いひけるは視よ彼は汝らの手にあり王は汝らに逆ふこと能はざるなりと 024 JER 038 006 彼らすなはちヱレミヤを取て獄の庭にあるハンメレクの子マルキヤの阱に投いる即ち索をもてヱレミヤを縋下せしがその阱は水なくして汚泥のみなりければヱレミヤは汚泥のなかに沈めり 024 JER 038 007 王の室の寺人エテオピア人エベデメレク彼らがヱレミヤを阱になげいれしを聞り時に王ベニヤミンの門に坐しゐたれば 024 JER 038 008 エベデメレク王の室よりいでゆきて王にいひけるは 024 JER 038 009 王わが君よかの人々が預言者ヱレミヤに行ひし事は皆好らず彼らこれを阱になげ入たり邑の中に食物なければ彼はその居るところに餓死せん 024 JER 038 010 王エテオピヤ人エベデメレクに命じていひけるは汝ここより三十人を携へゆきて預言者ヱレミヤをその死ざる先にを阱より曳あげよ 024 JER 038 011 エベデメレクすなはちその人々を携へて王の室の庫の下にいり其處より破れたる舊き衣の布片をとり索をもてこれをを阱にをるヱレミヤの所に縋下せり 024 JER 038 012 而してエテオピア人エベデメレク、ヱレミヤに告て汝この破れたる舊き衣の布片を汝の腋の下にはさみて索に當よと云ければヱレミヤ然なせり 024 JER 038 013 彼らすなはち索をもてヱレミヤを阱より曳あげたりヱレミヤは獄の庭にをる 024 JER 038 014 かくてゼデキヤ王人を遣はして預言者ヱレミヤをヱホバの室の第三の門につれきたらしめ王ヱレミヤにいひけるは我汝に問ことあり毫もわれに隱す勿れ 024 JER 038 015 ヱレミヤ、ゼデキヤにいひけるは我もし汝に示さば汝かならず我を殺さざらんや假令われ汝を勸むるとも汝われに聽じ 024 JER 038 016 ゼデキヤ王密にヱレミヤに誓ひていひけるは我らにこの靈魂を造りあたへしヱホバは活く我汝を殺さず汝の生命を索むる者の手に汝を付さじ 024 JER 038 017 ヱレミヤ、ゼデキヤにいひけるは萬軍の神イスラエルの神ヱホバかくいひたまふ汝もしまことにバビロン王の牧伯等に降らば汝の生命活んまた此邑は火にて焚れず汝と汝の家の者はいくべし 024 JER 038 018 然ど汝もし出てバビロンの王の牧伯等に降らずば此邑はカルデヤ人の手に付されん彼らは火をもて之を焚ん汝はその手を脱れざるべし 024 JER 038 019 ゼデキヤ王ヱレミヤに云けるは我カルデヤ人に降りしところのユダ人を恐る恐くはカルデヤ人我をかれらの手に付さん彼ら我を辱しめん 024 JER 038 020 ヱレミヤいひけるは彼らは汝を付さじ願くはわが汝に告しヱホバの聲に聽したがひたまへさらば汝祥をえん汝の生命いきん 024 JER 038 021 然ど汝もし降ることを否まばヱホバこの言を我に示し給ふ 024 JER 038 022 すなはちユダの王の室に遺れる婦は皆バビロンの王の牧伯等の所に曳いだされん其婦等いはん汝の朋友等は汝を誘ひて汝に勝り汝の足は泥に沈む彼らは退き去る 024 JER 038 023 汝の妻たちと汝の子女等はカルデヤ人の所に曳出されん汝は其手を脱れじバビロンの王の手に執へられん汝此邑をして火に焚しめん 024 JER 038 024 ゼデキヤ、ヱレミヤにいひけるは汝この事を人に知する勿れさらば汝殺されじ 024 JER 038 025 もし牧伯等わが汝と語りしことを我儕に告げよ我らに隱す勿れ然ば我ら汝を殺さじ又王の汝に語りしことを告よといはば 024 JER 038 026 汝彼らに答へて我王に求めて我をヨナタンの家に歸して彼處に死しむること勿れといへりといふべし 024 JER 038 027 かくて牧伯等ヱレミヤにきたりて問けるに彼王の命ぜし言のごとく彼らに告たればその事露はれざりき是をもて彼ら彼とものいふことを罷たり 024 JER 038 028 ヱレミヤはヱルサレムの取るる日まで獄の庭に居りしがヱルサレムの取れし時にも彼處にをれり 024 JER 039 001 ユダの王ゼデキヤの九年十月バビロンの王ネブカデネザルその全軍をひきゐヱルサレムにきたりて之を攻圍みけるが 024 JER 039 002 ゼデキヤの十一年四月九日にいたりて城邑破れたれば 024 JER 039 003 バビロンの王の牧伯等即ちネルガルシヤレゼル、サムガルネボ 寺人の長サルセキム 博士の長ネルガルシヤレゼルおよびバビロンの王のその外の牧伯等皆ともに入て中の門に坐せり 024 JER 039 004 ユダの王ゼデキヤおよび兵卒ども之を見て逃げ夜の中に王の園の途より兩の石垣の間の門より邑をいでてアラバの途にゆきしが 024 JER 039 005 カルデヤ人の軍勢これを追ひヱリコの平地にてゼデキヤにおひつき之を執へてハマテの地リブラにをるバビロンの王ネブカデネザルの許に曳ゆきければ王かしこにて彼の罪をさだめたり 024 JER 039 006 すなはちバビロンの王リブラにてゼデキヤの諸子をかれの目の前に殺せりバビロンの王またユダのすべての牧伯等を殺せり 024 JER 039 007 王またゼデキヤの目を抉さしめ彼をバビロンに曳ゆかんとて銅索に縛げり 024 JER 039 008 またカルデヤ人火をもて王の室と民の家をやき且ヱルサレムの石垣を毀てり 024 JER 039 009 かくて侍衞の長ネブザラダンは邑の中に餘れる民とおのれに降りし者およびその外の遺れる民をバビロンに移せり 024 JER 039 010 されど侍衞の長ネブザラダンはその時民の貧しくして所有なき者等をユダの地に遺し葡萄園と田地とをこれにあたへたり 024 JER 039 011 爰にバビロンの王ネブカデネザル、ヱレミヤの事につきて侍衞の長ネブザラダンに命じていひけるは 024 JER 039 012 彼を取りて善く待へよ害をくはふる勿れ彼が汝に云ふごとくなすべしと 024 JER 039 013 是をもて侍衞の長ネブザラダン寺人の長ネブシヤスバン博士の長ネルガルシヤレゼルおよびバビロンの王の牧伯等 024 JER 039 014 人を遣してヱレミヤを獄の庭よりたづさへ來らしめシヤパンの子アヒカムの子なるゲダリヤに付して之を家につれゆかしむ斯彼民の中に居る 024 JER 039 015 ヱレミヤ獄の庭に禁錮られをる時ヱホバの言彼にのぞみていふ 024 JER 039 016 汝ゆきてエテオピア人エベデメレクに告よ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふわれ我語しところの禍を此邑に降さん福はこれに降さじその日この事汝の目前にならん 024 JER 039 017 ヱホバいひたまふその日にはわれ汝を救はん汝はその畏るるところの人衆の手に付されじ 024 JER 039 018 われ必ず汝を救はん汝は劍をもて殺されじ汝の生命は汝の掠取物とならん汝われに倚賴めばなりとヱホバいひたまふ 024 JER 040 001 侍衞の長ネブザラダンかのバビロンにとらへ移さるるヱルサレムとユダの人々の中にヱレミヤを鏈につなぎおきてこれを執へゆきけるが遂にこれを放ちてラマを去しめたりその後ヱホバの言ヱレミヤにのぞめり 024 JER 040 002 茲に侍衞の長ヱレミヤを召てこれにいひけるは汝の神ヱホバ此處にこの災あらんことを言り 024 JER 040 003 ヱホバこれを降しその云し如く行へり汝らヱホバに罪を犯しその聲に聽したがはざりしによりてこの事汝らに來りしなり 024 JER 040 004 視よ我今日汝の手の鏈を解て汝を放つ汝もし我とともにバビロンにゆくことを善とせば來れわれ汝を善くあしらはん汝もし我と偕にバビロンにゆくを惡とせば留れ視よこの地は皆汝の前に在り汝の善とする所汝の心に合ふところに往べし 024 JER 040 005 ヱレミヤいまだ答へざるに彼またいひけるは汝バビロンの王がユダの諸邑の上にたてて有司となせしシヤパンの子アヒカムの子なるゲダリヤの許に歸り彼とともに民の中に居れ或は汝の善とおもふところにゆくべしと侍衞の長彼に食糧と禮物をとらせて去しめたり 024 JER 040 006 ヱレミヤすなはちミヅパに往きてアヒカムの子ゲダリヤに詣りその地に遺れる民のうちに彼と偕にをる 024 JER 040 007 茲に田舍にある軍勢の長等および彼らに屬する人々バビロンの王がアヒカムの子ゲダリヤを立てこの地の有司となし男女嬰孩および國の中のバビロンに移されざる貧者を彼にあづけたることをききしかば 024 JER 040 008 即ちネタニヤの子イシマエルとカレヤの子ヨハナンとヨナタンおよびタンホメテの子セラヤとネトパ人なるエパイの諸子と或マアカ人の子ヤザニヤおよび彼らに屬する人々ミヅパにゆきてゲダリヤの許にいたる 024 JER 040 009 シヤパンの子アヒカムの子なるゲダリヤ彼らと彼らに屬する人々に誓ひていひけるは汝らカルデヤ人に事ることを怖るる勿れこの地に住てバビロンの王に事へなば汝ら幸幅ならん 024 JER 040 010 我はミヅパに居り我らに來らんところのカルデヤ人に事へん汝らは葡萄酒と菓物と油とをあつめて之を器に蓄へ汝らが獲るところの諸邑に住めと 024 JER 040 011 又モアブとアンモン人の中およびエドムと諸の邦にをるところのユダヤ人はバビロンの王がユダに人を遺したるシヤパンの子アヒカムの子なるゲダリヤを立てこれが有司となしたることを聞り 024 JER 040 012 是においてそのユダヤ人皆その追やられし諸の處よりかへりてユダの地のミヅパに來りゲダリヤに詣れり而して多くの葡萄酒と菓物をあつむ 024 JER 040 013 又カレヤの子ヨハナンおよび田舍にをりし軍勢の長たちミヅパにきたりてゲダリヤの許にいたり 024 JER 040 014 彼にいひけるは汝アンモン人の王バアリスが汝を殺さんとてネタニヤの子イシマエルを遣せしを知るやと然どアヒカムの子ゲダリヤこれを信ぜざりしかば 024 JER 040 015 カレヤの子ヨハナン、ミヅパにて密にゲダリヤに語りて言けるは請ふわれゆきて人知ずにネタニヤの子イシマエルを殺さんいかで彼汝を殺し汝に集れるユダ人を散しユダの遺れる者を滅すべけんやと 024 JER 040 016 然るにアヒカムの子ゲダリヤ、カレヤの子ヨハナンにいひけるは汝この事をなすべからず汝イシマエルにつきて僞をいふなり 024 JER 041 001 七月ごろ王の血統なるエリシヤマの子ネタニヤの子イシマエル王の十人の牧伯等とともにミヅパにゆきてアヒカムの子ゲダリヤにいたりミヅパにて偕に食をなせしが 024 JER 041 002 ネタニヤの子イシマエルおよび偕にをりし十人の者起上りバビロンの王がこの地の有司となせしシヤパンの子アヒカムの子なるゲダリヤを刀にて殺せり 024 JER 041 003 イシマエルまたミヅパにゲダリヤと偕にをりし諸のユダヤ人と彼處にをりしカルデヤ人の兵卒を殺したり 024 JER 041 004 彼がゲダリヤを殺してより二日の後いまだ誰も之を知ざりし時 024 JER 041 005 ある人八十人その鬚を薙り衣を裂き身に傷つけ手に素祭の物と香を携へてシケム、シロ、サマリヤよりきたりてヱホバの室にいたらんとせしかば 024 JER 041 006 ネタニヤの子イシマエル、ミヅパよりいでて哭きつつ行て彼らを迎へ彼等に逢てアヒカムの子ゲダリヤの許に來れといへり 024 JER 041 007 而して彼ら邑の中に入しときネタニヤの子イシマエル己と偕にある人々とともに彼らを殺してその屍を阱に投いれたり 024 JER 041 008 但しその中の十人イシマエルにむかひ我らは田地に小麥 麰麥油および蜜を藏し有り我らをころすなかれと言たれば彼らをその兄弟と偕に殺さずして已ぬ 024 JER 041 009 イシマエルがゲダリヤの名をもて殺せし人の屍を投入れし阱はアサ王がイスラエルの王バアシヤを怖れて鑿し阱なりネタニヤの子イシマエルその殺せし人々を之に充せり 024 JER 041 010 イシマエルはミヅパに遺りをる諸の民即ち王の諸女と侍衞の長ネブザラダンがアヒカムの子ゲダリヤに交付しところのミヅパに遺れる諸の民とを擄にせりネタニヤの子イシマエルすなはち彼らを擄にしアンモン人に往んとて去れり 024 JER 041 011 カレヤの子ヨハナンおよび彼と偕に在る軍勢の長たちネタニヤの子イシマエルの爲し諸の惡事を聞ければ 024 JER 041 012 その衆卒を率てネタニヤの子イシマエルと戰はんとて出でギベオンの池の旁にて彼に遇ふ 024 JER 041 013 イシマエルと偕に在る人々はカレヤの子ヨハナンおよび彼とともに在る軍勢の長たちを見て欣べり 024 JER 041 014 是をもてイシマエルがミヅパより擄へきたりし所の人々身をめぐらしてカレヤの子ヨハナンの許にゆけり 024 JER 041 015 ネタニヤの子イシマエルは八人の者と偕にヨハナンを避け逃てアンモン人に往り 024 JER 041 016 カレヤの子ヨハナンおよび彼とともにある軍勢の長等はネタニヤの子イシマエルがアヒカムの子ゲダリヤを殺してミヅパより擄へゆけるところの彼遺れる民すなはち兵卒婦人兒女寺人等を其手より取りかへして之をギベオンより携かへりしが 024 JER 041 017 進てエジプトにいたらんとてベツレヘムの近傍にあるキムハムの住處に往て留れり 024 JER 041 018 こはネタニヤの子イシマエルがバビロンの王の此地の有司となしたるアヒカムの子ゲダリヤを殺せしによりカルデヤ人を懼たればなり 024 JER 042 001 茲に軍勢の長たちおよびカレヤの子ヨハナンとホシャヤの子ヱザニヤ並に民の至微者より至大者にいたるまで 024 JER 042 002 皆預言者ヱレミヤの許に來りて言けるは汝の前に我らの求の受納られんことを願ふ請ふ我ら遺れる者の爲に汝の神ヱホバに祈れ(今汝の目に見がごとく我らは衆多の中の遺れる者にして寡なり) 024 JER 042 003 さらば汝の神ヱホバ我らの行むべき途となすべき事を示したまはん 024 JER 042 004 預言者ヱレミヤ彼らに云けるは我汝らに聽り汝らの言に循ひて汝らの神ヱホバに祈らん凡そヱホバが汝らに應へたまふことはわれ隱す所なく汝らに告べし 024 JER 042 005 彼らヱレミヤにいひけるは願くはヱホバ我儕の間にありて眞實なる信ずべき證者となりたまへ我らは汝の神ヱホバの汝を遣して我らに告しめたまふ諸の事に遵ひて行ふべし 024 JER 042 006 我らは善にまれ惡きにまれ我らが汝を遣すところの我らの神ヱホバの聲に遵はん斯我らの神ヱホバの聲に遵ひてわれら福をうけん 024 JER 042 007 十日の後ヱホバの言ヱレミヤにのぞみしかば 024 JER 042 008 ヱレミヤ、カレヤの子ヨハナンおよび彼と偕に在る軍勢の長たち並に民の至微者より至大者までを悉く招きて 024 JER 042 009 これにいひけるは汝らが我を遣して汝らの祈を献げしめしところのイスラエルの神ヱホバかくいひ給ふ 024 JER 042 010 汝らもし信に此地に留らばわれ汝らを建てて倒さず汝らを植て拔じそは我汝らに災を降せしを悔ればなり 024 JER 042 011 ヱホバいひたまふ汝らが畏るるところのバビロンの王を畏るる勿れ彼をおそるる勿れわれ汝らとともにありて汝らを救ひ彼の手より汝らを拯ふべし 024 JER 042 012 われ汝らを恤みまた彼をして汝らを恤ませ汝らを故土に歸らしめん 024 JER 042 013 然ど汝らもし我らはこの地に留らじ汝らの神ヱホバの聲に遵はじと言ひ 024 JER 042 014 また然りわれらはかの戰爭を見ず箛の聲をきかず食物に乏しからざるエジプトの地にいたりて彼處に住はんといはば 024 JER 042 015 汝らユダの遺れる者よヱホバの言をきけ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝らもし強てエジプトにゆきて彼處に住はば 024 JER 042 016 汝らが懼るるところの劍エジプトの地にて汝らに臨み汝らが恐るるところの饑饉エジプトにて汝らにおよばん而して汝らは彼處に死べし 024 JER 042 017 凡そエジプトにおもむき至りて彼處に住はんとする人々は劍と饑饉と疫病に死べしその中には我彼らに降さんところの災を脱れて遺る者無るべし 024 JER 042 018 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ我震怒と憤恨のヱルサレムに住る者に注ぎし如くわが憤恨汝らがエジプトにいらん時に汝らに注がん汝らは呪詛となり詫異となり罵詈となり凌辱とならん汝らは再びこの處を見ざるべしと 024 JER 042 019 ユダの遺れる者よヱホバ汝らにつきていひたまへり汝らエジプトにゆく勿れと汝ら今日わが汝らを警めしことを確に知れ 024 JER 042 020 汝ら我を汝らの神ヱホバに遣して言へり我らの爲に我らの神ヱホバに祈り我らの神ヱホバの汝に示したまふ事をことごとく我らに告よ我ら之を行はんと斯なんぢら自ら欺けり 024 JER 042 021 われ今日汝らに告たれど汝らは汝らの神ヱホバの聲に遵はず汝らはヱホバが我を遣して命ぜしめたまひし事には都て遵はざりき 024 JER 042 022 然ば汝らはその往て住んとねがふ處にて劍と饑饉と疫病に死ることを今確に知るべし 024 JER 043 001 ヱレミヤ諸の民にむかひて其神ヱホバの言を盡く宣べその神ヱホバが己を遣して言しめたまへる其諸の言を宣をはりし時 024 JER 043 002 ホシャヤの子アザリヤ、カレヤの子ヨハナンおよび驕る人皆ヱレミヤに語りていひけるは汝は謊をいふ我らの神ヱホバはエジプトにゆきて彼處に住む勿れと汝をつかはして云せたまはざるなり 024 JER 043 003 ネリヤの子バルク汝を唆して我らに逆はしむ是我らをカルデヤ人の手に付して殺さしめバビロンに移さしめん爲なり 024 JER 043 004 斯カレヤの子ヨハナンと軍勢の長等および民皆ヱホバの聲に遵はずしてユダの地に住ことをせざりき 024 JER 043 005 斯てカレヤの子ヨハナンと軍勢の長等はユダに遺れる者即ちその逐やられし國々よりユダの地に住んとて皈りし者 024 JER 043 006 男女嬰孩王の女たちおよび凡て侍衞の長ネブザラダンがシヤパンの子なるアヒカムの子ゲダリヤに付し置し者並に預言者ヱレミヤとネリヤの子バルクを取て 024 JER 043 007 エジプトの地に至れり彼ら斯ヱホバの聲に遵はざりき而して遂にタパネスに至れり 024 JER 043 008 ヱホバの言タパネスにてヱレミヤに臨みていふ 024 JER 043 009 汝大なる石を手に取りユダの人々の目の前にてこれをタパネスに在るパロの室の入口の旁なる磚窰の泥土の中に藏して 024 JER 043 010 彼らにいへ萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よわれ使者を遣はしてわが僕なるバビロンの王ネブカデネザルを召きその位をこの藏したる石の上に置しめん彼錦繡をその上に敷べし 024 JER 043 011 かれ來りてエジプトの地を撃ち死に定まれる者を死しめ虜に定まれる者を虜にし劍に定まれる者を劍にかけん 024 JER 043 012 われエジプトの諸神の室に火を燃さんネブカデネザル之を焚きかれらを虜にせん而して羊を牧ふ者のその身に衣を纒ふがごとくエジプトの地をその身に纒はん彼安然に其處をさるべし 024 JER 043 013 彼はエジプトの地のベテシメシの偶像を毀ち火をもてエジプト人の諸神の室を焚べし 024 JER 044 001 エジプトの地に住るところのユダの人衆すなはちミグドル、タパネス、ノフ、パテロスの地に住る者の事につきてヱレミヤに臨みし言に曰く 024 JER 044 002 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ汝らは我ヱルサレムとユダの諸邑に降せしところの災をみたり視よこれらは今日すでに空曠となりて住む人なし 024 JER 044 003 こは彼ら惡をなして我を怒らせしによる即ちかれらは己も汝らも汝らの先祖等も識ざるところの他の神にゆきて香を焚き且これに奉へたり 024 JER 044 004 われ我僕なる預言者たちを汝らに遣し頻にこれを遣して請ふ汝らわが嫌ふところの此憎むべき事を行ふ勿れといはせけるに 024 JER 044 005 彼ら聽かず耳を傾けず他の神に香を焚きてその惡を離れざりし 024 JER 044 006 是によりて我震怒とわが憤恨ユダの諸邑とヱルサレムの街にそそぎて之を焚たれば其等は今日のごとく荒れかつ傾圮たり 024 JER 044 007 萬軍の神イスラエルの神ヱホバいまかくいふ汝ら何なれば大なる惡をなして己の靈魂を害しユダの中より汝らの男と女と孩童と乳哺子を絕て一人も遺らざらしめんとするや 024 JER 044 008 何なれば汝ら其手の行爲をもて我を怒らせ汝らが往て住ふところのエジプトの地に於て他の神に香を焚きて己の身を滅し地の萬國の中に呪詛となり凌辱とならんとするや 024 JER 044 009 ユダの地とヱルサレムの街にて行ひし汝らの先祖等の惡ユダの王等の惡其妻等の惡および汝らの身の惡汝らの妻等の惡を汝ら忘れしや 024 JER 044 010 彼らは今日にいたるまで悔いずまた畏れず汝らと汝らの先祖等の前に立たる我律法とわが典例に循ひて行まざるなり 024 JER 044 011 是故に萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいふ視よわれ面を汝らにむけて災を降しユダの人衆を悉く絕ん 024 JER 044 012 又われエジプトの地にすまんとてその面をこれにむけて往しところの彼ユダの遺れる者を取らん彼らは皆滅されてエジプトの地に仆れん彼らは劍と饑饉に滅され微者も大者も劍と饑饉によりて死べし而して呪詛となり詫異となり罵詈となり凌辱とならん 024 JER 044 013 われヱルサレムを罰せし如く劍と饑饉と疫病をもてエジプトに住る者を罰すべし 024 JER 044 014 是をもてエジプトの地に往て彼處に住るところのユダの遺れる者の中に一人も逃れまたは遺りてその心にしたひて歸り住はんとねがふところのユダの地に歸るもの無るべし逃るる者の外には歸る者無るべし 024 JER 044 015 是に於てその妻が香を他の神に焚しことを知れる人々および其處に立てる婦人等の大なる群衆並にエジプトの地のパテロスに住るところの民ヱレミヤに答へて云けるは 024 JER 044 016 汝がヱホバの名をもてわれらに述し言は我ら聽かじ 024 JER 044 017 我らは必ず我らの口より出る言を行ひ我らが素なせし如く香を天后に焚きまた酒をその前に灌ぐべし即ちユダの諸邑とヱルサレムの街にて我らと我らの先祖等および我らの王等と我らの牧伯等の行ひし如くせん當時われらは糧に飽き福をえて災に遇ざりし 024 JER 044 018 我ら天后に香を焚くことを止め酒をその前に灌がずなりし時より諸の物に乏しくなり劍と饑饉に滅されたり 024 JER 044 019 我らが天后に香を焚き酒をその前に灌ぐに方りて之に象りてパンを製り酒を灌ぎしは我らの夫等の許せし事にあらずや 024 JER 044 020 ヱレミヤ即ち男女の諸の人衆および此言をもて答へたる諸の民にいひけるは 024 JER 044 021 ユダの諸邑とヱルサレムの街にて汝らと汝らの先祖等および汝等の王等と汝らの牧伯等および其地の民の香を焚しことはヱホバ之を憶えまた心に思ひたまふにあらずや 024 JER 044 022 ヱホバは汝らの惡き爲のため汝らの憎むべき行の爲に再び忍ぶことをえせざりきこの故に汝らの地は今日のごとく荒地となり詫異となり呪詛となり住む人なき地となれり 024 JER 044 023 汝ら香を焚きヱホバに罪を犯しヱホバの聲に聽したがはずその律法と憲法と證詞に循ひて行まざりしに由て今日のごとく此災汝らにおよべり 024 JER 044 024 ヱレミヤまたすべての民と婦等にいひけるはエジプトの地に居るユダの子孫よヱホバの言をきけ 024 JER 044 025 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ汝らと汝らの妻等は口をもていひ手をもて成し我ら香を天后に焚き酒を灌ぎて立しところの誓を必ず成就んといふ汝ら必ず誓をたてかならず其誓を成就んとす 024 JER 044 026 この故にエジプトの地に住るユダの人々よヱホバの言をきけヱホバいひたまふわれ我大なる名を指て誓ふエジプトの全地にユダの人々一人もその口に主ヱホバは活くといひて再び我名を稱ふることなきにいたらん 024 JER 044 027 視よわれ彼らをうかがはん是福をあたふる爲にあらず禍をくださん爲なりエジプトの地に居るユダの人々は劍と饑饉に滅びて絕るにいたらん 024 JER 044 028 然ど劍を逃るる僅少の者はエジプトの地を出てユダの地に歸らん又エジプトの地にゆきて彼處に寄寓れるユダの遺れる者はその立ところの言は我のなるか彼らのなるかを知るにいたるべし 024 JER 044 029 ヱホバいひ給ふわがこの處にて汝らを罰する兆は是なり我かくして我汝らに禍をくださんといひし言の必ず立ことを知しめん 024 JER 044 030 すなはちヱホバかくいひたまふ視よわれユダの王ゼデキヤを其生命を索むる敵なるバビロンの王ネブカデネザルの手に付せしが如くエジプトの王パロホフラを其敵の手その生命を索むる者の手に付さん 024 JER 045 001 ユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの四年ネリヤの子バルクが此等の言をヱレミヤの口にしたがひて書に錄せしとき預言者ヱレミヤこれに語りていひけるは 024 JER 045 002 バルクよイスラエルの神ヱホバ汝にかくいひ給ふ 024 JER 045 003 汝曾ていへり嗚呼我は禍なるかなヱホバ我憂に悲を加へたまへり我は歎きて疲れ安きをえずと 024 JER 045 004 汝かく彼に語れヱホバかくいひたまふ視よわれ我建しところの者を毀ち我植しところの者を拔ん是この全地なり 024 JER 045 005 汝己れの爲に大なる事を求むるかこれを求むる勿れ視よわれ災をすべての民に降さん然ど汝の生命は我汝のゆかん諸の處にて汝の掠物とならしめんとヱホバいひたまふ 024 JER 046 001 茲にヱホバの言預言者ヱレミヤに臨みて諸國の事を論ふ 024 JER 046 002 先エジプトの事すなはちユフラテ河の邊なるカルケミシの近傍にをるところのエジプト王パロネコの軍勢の事を論ふ是はユダの王ヨシヤの子ヱホヤキムの四年にバビロンの王ネブカデネザルが撃やぶりし者なり其言にいはく 024 JER 046 003 汝ら大楯小干を備へて進み戰へ 024 JER 046 004 馬を車に繋ぎ馬に乗り盔を被りて立て戈を磨き甲を着よ 024 JER 046 005 われ見るに彼らは懼れて退きその勇士は打敗られ狼狽遁て後をかへりみず是何故ぞや畏懼かれらのまはりにありとヱホバいひたまふ 024 JER 046 006 快足なる者も逃えず強者も遁れえず皆北の方にてユフラテ河の旁に蹶き仆れん 024 JER 046 007 かのナイルのごとくに湧あがり河のごとくに其水さかまく者は誰ぞや 024 JER 046 008 エジプトはナイルの如くに湧あがりその水は河の如くに逆まくなり而していふ我上りて地を蔽ひ邑とその中に住る者とを滅さん 024 JER 046 009 汝等馬に乗り車を驅馳らせよ勇士よ盾を執るエテオピア人プテ人および弓を張り挽くルデ人よ進みいづべし 024 JER 046 010 此は主なる萬軍のヱホバの復仇の日即ちその敵に仇を復し給ふ日なり劍は食ひて飽きその血に醉はん主なる萬軍のヱホバ北の地にてユフラテ河の旁に宰ることをなし給へばなり 024 JER 046 011 處女よエジプトの女よギレアデに上りて乳香を取れ汝多くの藥を用ふるも益なし汝は愈ざるべし 024 JER 046 012 汝の恥辱は國々にきこえん汝の號泣は地に滿てり勇士は勇士にうち觸てともに仆る 024 JER 046 013 バビロンの王ネブカデネザルが來りてエジプトの地を撃んとする事につきてヱホバの預言者ヱレミヤに告たまひし言 024 JER 046 014 汝らエジプトに宣べミグドルに示し又ノフ、タパネスに示しいふべし汝ら堅く立ちて自ら備よ 劍なんぢの四周を食ひたればなり 024 JER 046 015 汝の力ある者いかにして拂ひ除かれしやその立ざるはヱホバこれを仆したまふに由るなり 024 JER 046 016 彼多の者を蹶かせたまふ人其友の上に仆れかさなり而していふ起よ我ら滅すところの劍を避けてわが國にかへり故土にいたらんと 024 JER 046 017 人彼處に叫びてエジプトの王パロは滅されたり彼は機會を失へりといふ 024 JER 046 018 萬軍のヱホバと名りたまふところの王いひたまふ我は活く彼は山々の中のタボルのごとく海の旁のカルメルのごとくに來らん 024 JER 046 019 エジプトに住る女よ汝移轉の器皿を備へよそはノフは荒蕪となり燒れて住む人なきにいたるべければなり 024 JER 046 020 エジプトは至美しき牝の犢のごとし蜚虻きたり北の方より來る 024 JER 046 021 また其中の傭人は肥たる犢のごとし彼ら轉向てともに逃げ立ことをせず是その滅さるる日いたり其罰せらるる時來りたればなり 024 JER 046 022 彼は蛇の如く聲をいだす彼ら軍勢を率ゐて來り樵夫の如く斧をもて之にのぞめり 024 JER 046 023 ヱホバいひ給ふ彼らは探りえざるに由りて彼の林を砍仆せり彼等は蝗蟲よりも多して數へがたし 024 JER 046 024 エジプトの女は辱められ北の民の手に付されん 024 JER 046 025 萬軍のヱホバ、イスラエルの神いひ給ふ視よわれノフのアモンとパロとエジプトとその諸神とその王等すなはちパロとかれを賴むものとを罰せん 024 JER 046 026 われ彼らを其生命を索むる者の手とバビロンの王ネブカデネザルの手とその臣僕の手に付すべしその後この地は昔のごとく人の住むところとならんとヱホバいひたまふ 024 JER 046 027 我僕ヤコブよ怖るる勿れイスラエルよ驚く勿れ視よわれ汝を遠方より救ひきたり汝の子孫をその擄移されたる地より救ひとるべしヤコブは歸りて平安と寧靜をえん彼を畏れしむる者なかるべし 024 JER 046 028 ヱホバいひたまふ我僕ヤコブよ汝怖るる勿れ我汝と偕にあればなり我汝を逐やりし國々を悉く滅すべけれど汝をば悉くは滅さじわれ道をもて汝を懲し汝を全くは罪なき者とせざるべし 024 JER 047 001 パロがガザを撃ざりし先にペリシテ人の事につきて預言者ヱレミヤに臨みしヱホバの言 024 JER 047 002 ヱホバかくいひたまふ視よ水北より起り溢れながれて此地と其中の諸の物とその邑と其中に住る者とに溢れかかるべしその時人衆は叫びこの地に住る者は皆哭くべし 024 JER 047 003 その逞しき馬の蹄の蹴たつる音のため其車の響のため其輪の轟のために父は手弱りて己の子女を顧みざるなり 024 JER 047 004 是ペリシテ人を滅しつくしツロとシドンにのこりて助力をなす者を悉く絕す日來ればなりヱホバ、カフトルの地に遺れるペリシテ人を滅したまふべし 024 JER 047 005 ガザには髮を剃るの事はじまるアシケロンと其剩餘の平地は滅ぼさる汝いつまで身に傷くるや 024 JER 047 006 ヱホバの劍よ汝いつまで息まざるや汝の鞘に歸りて息み靜まれ 024 JER 047 007 ヱホバこれに命じたるなればいかで息むことをえんやアシケロンと海邊を攻ることを定めたまへり 024 JER 048 001 萬軍のヱホバ、イスラエルの神モアブの事につきてかくいひたまふ嗚呼ネボは禍なるかな是滅されたりキリヤタイムは辱められて取られミスガブは辱められて毀たる 024 JER 048 002 モアブの榮譽は失さりぬヘシボンにて人衆モアブの害を謀り去來之を絕ちて國をなさざらしめんといふマデメンよ汝は滅されん劍汝を追はん 024 JER 048 003 ホロナイムより號咷の聲きこゆ毀敗と大なる滅亡あり 024 JER 048 004 モアブ滅されてその嬰孩等の號咷聞ゆ 024 JER 048 005 彼らは哭き哭きてルヒテの坂を登る敵はホロナイムの下り路にて滅亡の號咷をきけり 024 JER 048 006 逃て汝らの生命を救へ曠野に棄られたる者の如くなれ 024 JER 048 007 汝は汝の工作と財寶を賴むによりて汝も執へられん又ケモシは其祭司およびその牧伯等と偕に擄へうつさるべし 024 JER 048 008 殘害者諸の邑に來らん一の邑も免れざるべし谷は滅され平地は荒されんヱホバのいひたまひしがごとし 024 JER 048 009 翼をモアブに予へて飛さらしむ其諸邑は荒て住者なからん 024 JER 048 010 ヱホバの事を行ふて怠る者は詛はれ又その劍をおさへて血を流さざる者は詛はる 024 JER 048 011 モアブはその幼時より安然にして酒の其滓のうへにとざまりて此器よりかの器に斟うつされざるが如くなりき彼擄うつされざりしに由て其味尚存ちその香氣變らざるなり 024 JER 048 012 ヱホバいひたまふ此故にわがこれを傾くる者を遣はす日來らん彼らすなはち之を傾け其器をあけ其罇を碎くべし 024 JER 048 013 モアブはケモシのために羞をとらん是イスラエルの家がその恃めるところのベテルのために羞をとりしが如くなるべし 024 JER 048 014 汝ら何ぞ我らは勇士なり強き軍人なりといふや 024 JER 048 015 モアブはほろぼされその諸邑は騰りその選擇の壯者は下りて殺さる萬軍のヱホバと名る王これをいひ給ふ 024 JER 048 016 モアブの滅亡近けりその禍速に來る 024 JER 048 017 凡そ其四周にある者よ彼のために歎けその名を知る者よ強き竿美しき杖いかにして折しやといへ 024 JER 048 018 デボンに住る女よ榮をはなれて下り燥ける地に坐せよモアブを敗る者汝にきたりて汝の城を滅さん 024 JER 048 019 アロエルに住る婦よ道の側にたちて闥ひ逃きたる者と脱れいたる者に事いかんと問へ 024 JER 048 020 モアブは敗られて羞をとる汝ら呼はり咷びモアブは滅されたりとアルノンに告よ 024 JER 048 021 鞫災平地に臨みホロン、ヤハヅ、メパアテ 024 JER 048 022 デボン、ネボ、ベテデブラタイム 024 JER 048 023 キリヤタイム、ベテガムル、ベテメオン 024 JER 048 024 ケリオテ、ボズラ、モアブの地の諸邑の遠き者にも近き者にも臨めり 024 JER 048 025 モアブの角は碎け其臂は折たりとヱホバいひたまふ 024 JER 048 026 汝らモアブを醉はしめよ彼ヱホバにむかひて驕傲ればなりモアブは其吐たる物に轉びて笑柄とならん 024 JER 048 027 イスラエルは汝の笑柄にあらざりしや彼盜人の中にありしや汝彼の事を語るごとに首を搖たり 024 JER 048 028 モアブに住る者よ汝ら邑を離れて磐の間にすめ穴の口の側に巢を作る斑鳩の如くせよ 024 JER 048 029 われらモアブの驕傲をきけり其驕傲は甚だし即ち其驕慢矜高驕誇およびその心の自ら高くするを聞り 024 JER 048 030 ヱホバいひたまふ我モアブの驕傲とその言の虛きとを知る彼らは僞を行ふなり 024 JER 048 031 この故に我モアブの爲に咷びモアブの全地の爲に呼はるキルハレスの人々の爲に嗟歎あり 024 JER 048 032 シブマの葡萄の樹よわれヤゼルの哭泣にこえて汝の爲になげくべし汝の蔓は海を踰え延てヤゼルの海にまでいたる掠奪者來りて汝の果と葡萄をとらん 024 JER 048 033 欣喜と歡樂園とモアブの地をはなれ去る我酒醡に酒無からしめん呼はりて葡萄を踐もの無るべし其喚呼は葡萄をふむ喚呼にあらざらん 024 JER 048 034 ヘシボンよりエレアレとヤハヅにいたりゾアルよりホロナイムとエグラテシリシヤにいたるまで人聲を揚ぐそはニムリムの水までも絕たればなり 024 JER 048 035 ヱホバいひたまふ我祭物を崇邱に献げ香をその諸神に焚くところの者をモアブの中に滅さんと 024 JER 048 036 この故に我心はモアブの爲に簫のごとく歎き我心はキルハレスの人衆のために蕭のごとく歎く是其獲たるところの財うせたればなり 024 JER 048 037 人みなその髮を剃り皆その鬚をそり皆その手に傷け腰に麻布をまとはん 024 JER 048 038 モアブにては家蓋の上と街のうちに遍く悲哀ありそはわれ心に適ざる器のごとくにモアブを碎きたればなりとヱホバいひたまふ 024 JER 048 039 嗚呼モアブはほろびたり彼らは咷ぶ嗚呼モアブは羞て面を背けたりモアブはその四周の者の笑柄となり恐懼となれり 024 JER 048 040 ヱホバかくいひたまふ視よ敵鷲のごとくに飛來りて翼をモアブのうへに舒ん 024 JER 048 041 ケリオテは取られ城はみな奪はるその日にはモアブの勇士の心子を產む婦のごとくになるべし 024 JER 048 042 モアブはヱホバにむかひて傲りしゆゑに滅ぼされて再び國を成ざるべし 024 JER 048 043 ヱホバいひたまふモアブにすめる者よ恐怖と陷阱と罟汝に臨めり 024 JER 048 044 恐怖をさけて逃るものは陷阱におちいり陷阱より出るものは罟にとらへられん其はわれモアブにその罰をうくべき年をのぞましむればなりヱホバこれをいふ 024 JER 048 045 遁逃者は力なくしてヘシボンの蔭に立つ是は火ヘシボンより出で火焔シホンのうちより出てモアブの地および喧閙をなす者の首の頂を燒ばなり 024 JER 048 046 嗚呼禍なるかなモアブよケモシの民は亡びたり即ち汝の諸子は擄へうつされ汝の女等は執へゆかれたり 024 JER 048 047 然ど末の日に我モアブの擄移されたる者を返さんとヱホバいひ給ふ此まではモアブの鞫をいへる言なり 024 JER 049 001 アンモン人の事につきてヱホバかくいひたまふイスラエルに子なからんや嗣子なからんや何なれば彼らの王ガドを受嗣ぎ彼の民その邑々に住や 024 JER 049 002 ヱホバいひたまふ是故に視よわが戰鬪の號呼をアンモン人のラバに聞えしむる日いたらんラバは荒垤となりその女等は火に焚れんその時イスラエルはおのれの嗣者となりし者等の嗣者となるべしヱホバこれをいひたまふ 024 JER 049 003 ヘシボンよ咷べアイは滅びたりラバの女たちよ呼はれ麻布を身にまとひ嗟て籬のうちに走れマルカムとその祭司およびその牧伯等は偕に擄へ移されたり 024 JER 049 004 汝何なれば谷の事を誇るや背ける女よ汝の谷は流るるなり汝財貨に倚賴みていふ誰か我に來らんと 024 JER 049 005 主なる萬軍のヱホバいひたまふ視よ我畏懼を汝の四周の者より汝に來らしめん汝らおのおの逐れて直にすすまん逃る者を集むる人無るべし 024 JER 049 006 然ど後にいたりてわれアンモン人の擄移されたる者を返さんとヱホバいひたまふ 024 JER 049 007 エドムの事につきて萬軍のヱホバかくいひたまふテマンの中には智慧あることなきにいたりしや明哲者には謀略あらずなりしやその智慧は盡はてしや 024 JER 049 008 デダンに住る者よ逃よ遁れよ深く竄れよ我エサウの滅亡をかれの上にのぞませ彼を罰する時をきたらしむべし 024 JER 049 009 葡萄を斂むる者もし汝に來らば少許の果をも餘さざらんもし夜間盜人きたらばその飽まで滅さん 024 JER 049 010 われエサウを裸にし又その隱處を露にせん彼は身を匿すことをえざるべしその裔も兄弟も隣舍も滅されん而して彼は在ずなるべし 024 JER 049 011 汝の孤子を遺せわれ之を生存へしめん汝の嫠は我に倚賴むべし 024 JER 049 012 ヱホバかくいひ給ふ視よ杯を飮べきにあらざる者もこれを飮ざるをえざるなれば汝まつたく罰を免るることをえんや汝は罰を免れじ汝これを飮ざるべからず 024 JER 049 013 ヱホバいひたまふ我おのれを指して誓ふボズラは詫異となり羞辱となり荒地となり呪詛とならんその諸邑は永く荒地となるべし 024 JER 049 014 われヱホバより音信をきけり使者遣されて萬國にいたり汝ら集りて彼に攻めきたり起て戰へよといへり 024 JER 049 015 視よわれ汝を萬國の中に小者となし人々の中に藐めらるる者となせり 024 JER 049 016 磐の隱場にすみ山の高處を占る者よ汝の恐ろしき事と汝の心の驕傲汝を欺けり汝鷹のごとくに巢を高き處に作りたれどもわれ其處より汝を取り下さんとヱホバいひたまふ 024 JER 049 017 エドムは詫異とならん凡そ其處を過る者は驚きその災害のために笑ふべし 024 JER 049 018 ヱホバいひたまふソドムとゴモラとその隣の邑々の滅しがごとく其處に住む人なく其處に宿る人の子なかるべし 024 JER 049 019 視よ敵獅子のヨルダンの叢より上るがごとく堅き宅に攻めきたらんわれ直に彼を其處より逐奔らせわが選みたる者をその上に立てん誰か我のごとき者あらん誰か我爲に時期を定めんや孰の牧者か我前にたつことをえん 024 JER 049 020 さればエドムにつきてヱホバの謀りたまひし御謀とテマンに住る者につきて思ひたまひし思をきけ群の弱者はかならず曳ゆかれん彼かならずかれらの住宅を滅すべし 024 JER 049 021 その傾圮の響によりて地は震ふ號咷ありその聲紅海にきこゆ 024 JER 049 022 みよ彼鷹のごとくに上り飛びその翼をボズラの上に舒べんその日エドムの勇士の心は子を產む婦の心の如くならん 024 JER 049 023 ダマスコの事 ハマテとアルパデは羞づそは凶き音信をきけばなり彼らは心を喪へり海の上に恐懼あり安き者なし 024 JER 049 024 ダマスコは弱り身をめぐらして逃んとす恐懼これに及び憂愁と痛劬子を產む婦にあるごとくこれにおよぶ 024 JER 049 025 頌美ある邑我欣ぶところの邑を何なれば棄さらざるや 024 JER 049 026 さればその日に壯者は街に仆れ兵卒は悉く滅されんと萬軍のヱホバいひたまふ 024 JER 049 027 われ火をダマスコの石垣の上に燃しベネハダデの殿舍をことごとく焚くべし 024 JER 049 028 バビロンの王ネブカデネザルが攻め撃たるケダルとハゾルの諸國の事につきて/ヱホバかくいひたまふ汝ら起てケダルに上り東の衆人を滅せ 024 JER 049 029 その幕屋とその羊の群は彼等これを取りその幕とその諸の器と駱駝とは彼等これを奪ひとらん人これに向ひ惶懼四方にありと呼るべし 024 JER 049 030 ヱホバいひたまふハゾルに住る者よ逃よ急に走りゆき深き處に居れバビロンの王ネブカデネザル汝らをせむる謀略を運らし汝らをせむる術計を設けたればなり 024 JER 049 031 ヱホバいひ給ふ汝ら起て穩なる安かに住める民の所に攻め上れ彼らは門もなく關もなくして獨り居ふなり 024 JER 049 032 その駱駝は擄掠とせられその多の畜は奪はれん我かの毛の角を剪る者を四方に散しその滅亡を八方より來らせんとヱホバいひたまふ 024 JER 049 033 ハゾルは山犬の窟となり何までも荒蕪となりをらん彼處に住む人なく彼處に宿る人の子なかるべし 024 JER 049 034 ユダの王ゼデキヤが位に即し初のころヱホバの言預言者ヱレミヤに臨みてエラムの事をいふ 024 JER 049 035 萬軍のヱホバかくいひたまふ視よわれエラムが權能として賴むところの弓を折らん 024 JER 049 036 われ天の四方より四方の風をエラムに來らせ彼らを四方の風に散さんエラムより追出さるる者のいたらざる國はなかるべし 024 JER 049 037 ヱホバいひたまふわれエラムをしてその敵の前とその生命を索むるものの前に懼れしめん我災をくだし我烈しき怒をその上にいたらせんまたわれ劍をその後につかはしてこれを滅し盡すべし 024 JER 049 038 われ我位をエラムに居ゑ王と牧伯等を其處より滅したたんとヱホバいひたまふ 024 JER 049 039 然ど末の日にいたりてわれエラムの擄移されたる者を返すべしとヱホバいひたまふ 024 JER 050 001 ヱホバ預言者ヱレミヤによりてバビロンとカルデヤ人の地のことを語り給ひし言 024 JER 050 002 汝ら國々の中に告げまた宣示せ纛を樹よ隱すことなく宣示して言へバビロンは取られベルは辱められメロダクは碎かれ其像は辱められ其木像は碎かると 024 JER 050 003 そは北の方より一の國人きたりて之を攻めその地を荒して其處に住む者無らしむればなり人も畜も皆逃去れり 024 JER 050 004 ヱホバいひたまふその日その時イスラエルの子孫かへり來らん彼らと偕にユダの子孫かへり來るべし彼らは哭きつつ行てその神ヱホバに請求むべし 024 JER 050 005 彼ら面をシオンに向てその路を問ひ來れ我らは永遠わするることなき契約をもてヱホバにつらならんといふべし 024 JER 050 006 我民は迷へる羊の群なりその牧者之をいざなひて山にふみ迷はしめたれば山より岡とゆきめぐりて其休息所を忘れたり 024 JER 050 007 之に遇ふもの皆之を食ふその敵いへり我らは罪なし彼らヱホバすなはち義きの在所その先祖の望みしところなるヱホバに罪を犯したるなり 024 JER 050 008 汝らバビロンのうちより逃よカルデヤ人の地より出よ群の前にゆくところの牡山羊のごとくせよ 024 JER 050 009 視よわれ大なる國々より人を起しあつめて北の地よりバビロンに攻め來らしめん彼ら之にむかひて備をたてん是すなはち取るべし彼らの矢は空しく返らざる狡き勇士の矢のごとくなるべし 024 JER 050 010 カルデヤは人に掠められん之を掠むる者は皆飽ことをえんとヱホバ曰たまふ 024 JER 050 011 我產業を掠る者よ汝らは喜び樂み穀物を碾す犢のごとくに躍り牡馬のごとく嘶けども 024 JER 050 012 汝らの母は痛く辱められん汝らを生しものは恥べし視よ國々の中の終末の者荒野となり燥ける地となり沙漠とならん 024 JER 050 013 ヱホバの怒りの爲に之に住む者なくして悉く荒地となるべしバビロンを過る者は皆その禍に驚き且嗤はん 024 JER 050 014 凡そ弓を張る者よバビロンの四周に備をなして攻め矢を惜まずして之を射よそは彼ヱホバに罪を犯したればなり 024 JER 050 015 その四周に喊き叫びて攻めかかれ是手を伸ぶその城堞は倒れその石垣は崩る是ヱホバ仇を復したまふなり汝らこれに仇を復せ是の行ひしごとく是に行へ 024 JER 050 016 播種者および穡收時に鎌を執る者をバビロンに絕せその滅すところの劍を怖れて人おのおの其民に歸り各その故土に逃べし 024 JER 050 017 イスラエルは散されたる羊にして獅子之を追ふ初にアツスリヤの王之を食ひ後にこのバビロンの王ネブカデネザルその骨を碎けり 024 JER 050 018 この故に萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふ視よわれアツスリヤの王を罰せしごとくバビロンの王とその地を罰せん 024 JER 050 019 われイスラエルを再びその牧場に歸さん彼カルメルとバシヤンの上に草をくらはんまたエフライムとギレアデの山にてその心を飽すべし 024 JER 050 020 ヱホバいひたまふ其日その時にはイスラエルの愆を尋るも有らず又ユダの罪を尋るも遇じそはわれ我存せしところの者を赦すべければなり 024 JER 050 021 ヱホバいひたまふ汝ら上りて悖れる國罰を受べき民を攻めその後より之を荒し全くこれを滅せ我汝らに命ぜしごとく行ふべし 024 JER 050 022 その地に戰鬪の咷と大なる敗壤あり 024 JER 050 023 嗚呼全地を摧きし鎚折れ碎くるかな嗚呼バビロン國々の中に荒地となるかな 024 JER 050 024 バビロンよわれ汝をとるために罟を置けり汝は擒へらるれども知ず汝ヱホバに敵せしにより尋られて獲へらるるなり 024 JER 050 025 ヱホバ庫を啓きてその怒りの武器をいだしたまふ是主なる萬軍のヱホバ、カルデヤ人の地に事をなさんとしたまへばなり 024 JER 050 026 汝ら終の者にいたるまで來りてこれを攻めその庫を啓き之を積て塵垤のごとくせよ盡くこれを滅ぼして其處に遺る者なからしめよ 024 JER 050 027 その牡牛を悉く殺せこれを屠場にくだらしめよ其等は禍なるかな其日その罰を受べき時來れり 024 JER 050 028 バビロンの地より逃げて遁れ來し者の聲ありて我らの神ヱホバの仇復その殿の仇復をシオンに宣ぶ 024 JER 050 029 射者をバビロンに召集めよ凡そ弓を張る者よその四周に陣どりて之を攻め何人をも逃す勿れその作爲に循ひて之に報いそのすべて行ひし如くこれに行へそは彼イスラエルの聖者なるヱホバにむかひて驕りたればなり 024 JER 050 030 是故にその日壯者は衢に踣れその兵卒は悉く絕されんとヱホバいひたまふ 024 JER 050 031 主なる萬軍のヱホバいひたまふ驕傲者よ視よわれ汝の敵となる汝の日わが汝を罰する時きたれり 024 JER 050 032 驕傲者は蹶きて仆れん之を扶け起す者なかるべしわれ火をその諸邑に燃しその四周の者を燒盡さん 024 JER 050 033 萬軍のヱホバかくいひたまふイスラエルの民とユダの民は偕に虐げらる彼らを擄にせし者は皆固くこれを守りて釋たざるなり 024 JER 050 034 彼らを贖ふ者は強しその名は萬軍のヱホバなり彼必ずその訴を理してこの地に安を與へバビロンに住る者を戰慄しめ給はん 024 JER 050 035 ヱホバいひたまふカルデヤ人の上バビロンに住る者の上およびその牧伯等とその智者等の上に劍あり 024 JER 050 036 劍僞る者の上にあり彼ら愚なる者とならん劍その勇士の上にあり彼ら懼れん 024 JER 050 037 劍その馬の上にあり其車の上にあり又その中にあるすべての援兵の上にあり彼ら婦女のごとくにならん劍その寶の上にあり是掠めらるべし 024 JER 050 038 旱その水の上にあり是涸かん斯は偶像の地にして人々偶像に迷へばなり 024 JER 050 039 是故に野の獸彼處に山犬と偕に居り鴕鳥も彼處に棲べし何時までも其地に住む人なく世々ここに住む人なかるべし 024 JER 050 040 ヱホバいひたまふ神のソドム、ゴモラとその近隣の邑々を滅せしごとく彼處に住む人なく彼處に宿る人の子なかるべし 024 JER 050 041 視よ北の方より民きたるあらん大なる國の人とおほくの王たち地の極より起らん 024 JER 050 042 彼らは弓と槍をとる情なく矜恤なしその聲は海のごとくに鳴るバビロンの女よ彼らは馬に乗り戰士のごとくに備へて汝を攻ん 024 JER 050 043 バビロンの王その風聲をききしかば其手弱り苦痛と子を產む婦の如き劬勞彼に迫る 024 JER 050 044 視よ敵獅子のヨルダンの叢より上るが如く堅き宅に攻めきたらんわれ直に彼等を其處より逐奔らせわが選みたる者をその上に立ん誰か我のごとき者あらんや誰かわが爲に時期を定めんや何の牧者か我前に立ことをえん 024 JER 050 045 さればバビロンにつきてヱホバの謀りたまひし御謀とカルデヤ人の地につきて思ひたまひし思想をきけ群の弱者必ず曳ゆかれん彼必ずかれらの住居を滅すべし 024 JER 050 046 バビロンは取れたりとの聲によりて地震へその號咷國々の中に聞ゆ 024 JER 051 001 ヱホバかくいひたまふ視よわれ滅すところの風を起してバビロンを攻め我に悖る者の中に住む者を攻べし 024 JER 051 002 われ簸者をバビロンに遣さん彼らこれを簸てその地を空くせん彼らすなはちその禍の日にこれを四方より攻むべし 024 JER 051 003 弓を張る者に向ひまた鎧を被て立あがる者に向ひて射者の者其弓を張らん汝らその壯者を憫れまず其軍勢を悉く滅すべし 024 JER 051 004 然ば殺さるる者カルデヤ人の地に踣れ刺るる者その街に踣れん 024 JER 051 005 イスラエルとユダはその神萬軍のヱホバに棄てられず彼らの地にはイスラエルの至聖者にむかひて犯せるところの罪充つ 024 JER 051 006 汝らバビロンのうちより逃げいでておのおの其生命をすくへ其の罪のために滅さるる勿れ今はヱホバの仇をかへしたまふ時なれば報をそれになしたまふなり 024 JER 051 007 バビロンは金の杯にしてヱホバの手にあり諸の地を醉せたり國々その酒を飮めり是をもて國々狂へり 024 JER 051 008 バビロンは忽ち踣れて壞る之がために哭けその傷のために乳香をとれ是或は愈ん 024 JER 051 009 われらバビロンを醫さんとすれども愈ず我らこれをすてて各その國に歸るべしそはその罰天におよび雲にいたればなり 024 JER 051 010 ヱホバわれらの義をあらはしたまふ來れシオンに於て我らの神ヱホバの作爲をのべん 024 JER 051 011 矢を磨ぎ楯を取れヱホバ、メデア人の王等の心を激發したまふヱホバ、バビロンをせめんと謀り之を滅さんとしたまふ是ヱホバの復仇その殿の復仇たるなり 024 JER 051 012 バビロンの石垣に向ひて纛を樹て圍を堅くし番兵を設け伏兵をそなへよ蓋ヱホバ、バビロンに住める者をせめんとて謀りその言しごとく行ひたまへばなり 024 JER 051 013 おほくの水の傍に住み多くの財寶をもてる者よ汝の終汝の貧婪の限來れり 024 JER 051 014 萬軍のヱホバおのれを指して誓ひいひ給ふ我まことに人を蝗のごとくに汝の中に充さん彼ら汝に向ひて鯨波の聲を揚ぐべし 024 JER 051 015 ヱホバその能力をもて地をつくり其知慧をもて世界を建てその明哲をもて天を舒たまへり 024 JER 051 016 彼聲を發したまふ時は天に衆の水いづかれ雲を地の極より起らしめ電光と雨をおこし風をその庫よりいだしたまふ 024 JER 051 017 すべての人は獸のごとくにして智慧なし諸の鑄物師はその作りし像のために辱を取る其鑄るところの像は僞の者にしてその中に靈なし 024 JER 051 018 其等は空しき者にして迷妄の工作なりわが臨むとき其等は滅べし 024 JER 051 019 ヤコブの分は此の如くならず彼は萬物およびその產業の族の造化主なりその名は萬軍のヱホバといふ 024 JER 051 020 汝はわが鎚にして戰の器具なりわれ汝をもて諸の邦を碎き汝をもて萬國を滅さん 024 JER 051 021 われ汝をもて馬とその騎る者を摧き汝をもて車とその御する者を碎かん 024 JER 051 022 われ汝をもて男と女をくだき汝をもて老たる者と幼き者をくだき汝をもて壯者と童女をくだくべし 024 JER 051 023 われ汝をもて牧者とその群をくだき汝をもて農夫とその軛を負ふ牛をくだき汝をもて方伯等と督宰等をくだかん 024 JER 051 024 汝らの目の前にて我バビロンとカルデヤに住るすべての者がシオンになせし諸の惡きことに報いんとヱホバいひたまふ 024 JER 051 025 ヱホバ言ひたまはく全地を滅したる滅す山よ視よわれ汝の敵となるわれ手を汝の上に伸て汝を巖より轉ばし汝を焚山となすべし 024 JER 051 026 ヱホバいひたまふ人汝より石を取て隅石となすことあらじ亦汝より石を取りて基礎となすことあらじ汝はいつまでも荒地となりをらん 024 JER 051 027 纛を地に樹て箛を國々の中に吹き國々の民をあつめて之を攻めアララテ、ミンニ、アシケナズの諸國を招きて之を攻め軍長をたてて之を攻め恐しき蝗のごとくに馬をすすめよ 024 JER 051 028 國々の民をあつめて之を攻めメデア人の王等とその方伯等とその督宰等およびそのすべての領地の人をあつめて之を攻めよ 024 JER 051 029 地は震ひ搖かんそはヱホバその意旨をバビロンになしバビロンの地をして住む人なき荒地とならしめたまふべければなり 024 JER 051 030 バビロンの勇者は戰をやめて其城にこもりその力失せて婦のごとくにならん其宅は燒けその門閂は折れん 024 JER 051 031 馹は趨て馹にあひ使者は趨て使者にあひバビロンの王につげて邑は盡く取られ 024 JER 051 032 渡口は取られ沼は燒れ兵卒は怖るといはん 024 JER 051 033 萬軍のヱホバ、イスラエルの神かくいひたまふバビロンの女は禾場のごとしその踏るる時きたれり暫くありてその苅るる時いたらん 024 JER 051 034 バビロンの王ネブカデネザル我を食ひ我を滅し我を空き器のごとくなし龍の如くに我を呑みわが珍饈をもて其腹を充し我を逐出せり 024 JER 051 035 シオンに住る者いはんわがうけし虐遇と我肉はバビロンにかかるべしヱルサレムいはん我血はカルデヤに住める者にかかるべしと 024 JER 051 036 さればヱホバかくいひたまふ視よわれ汝の訟を理し汝の爲に仇を復さん我その海を涸かし其泉を乾かすべし 024 JER 051 037 バビロンは頽壘となり山犬の巢窟となり詫異となり嗤笑となり人なき所とならん 024 JER 051 038 彼らは獅子のごとく共に吼え小獅のごとくに吼ゆ 024 JER 051 039 彼らの慾の燃る時にわれ筵を設けてかれらを醉せ彼らをして喜ばしめながき寢にいりて目を醒すことなからしめんとヱホバいひたまふ 024 JER 051 040 われ屠る羔羊のごとく又牡羊と牡山羊のごとくにかれらをくだらしめん 024 JER 051 041 セシヤクいかにして取られしや全地の人の頌美者いかにして執へられしや國々の中にバビロンいかにして詫異となりしや 024 JER 051 042 海バビロンに溢れかかりその多くの波濤これを覆ふ 024 JER 051 043 その諸邑は荒れて燥ける地となり沙漠となり住む人なき地とならん人の子そこを過ることあらじ 024 JER 051 044 われベルをバビロンに罰しその呑みたる者を口より取出さん國々はまた川の如くに彼に來らじバビロンの石垣踣れん 024 JER 051 045 我民よ汝らその中よりいで各ヱホバの烈しき怒をまぬかれてその命を救へ 024 JER 051 046 汝ら心を弱くする勿れ此地にてきく所の浮言によりて畏るる勿れ浮言は此年も來り次の年も亦きたらん此地に强暴あり宰者と宰者とあひ攻むることあらん 024 JER 051 047 故に視よ我バビロンの偶像を罰する日來らんその全地は辱められ其殺さるる者は悉くその中に踣れん 024 JER 051 048 然して天と地とその中にあるところのすべての者はバビロンの事の爲に歡び歌はんそは敗壞者北の方より此處に來ればなりヱホバこれをいひたまふ 024 JER 051 049 バビロンがイスラエルの殺さるる者を踣せし如く全地の殺さるる者バビロンに踣るべし 024 JER 051 050 劍を逃るる者よ往け止る勿れ遠方よりヱホバを憶えヱルサレムを汝らの心に置くべし 024 JER 051 051 罵言をきくによりて我ら羞づ異邦人ヱホバの室の聖處にいるによりて我らの面には羞恥盈つ 024 JER 051 052 この故にヱホバいひたまふ視よわがその偶像を罰する日いたらん傷けられたる者はその全國に呻吟べし 024 JER 051 053 たとひバビロン天に昇るとも其城を高くして堅むるとも敗壞者我よりいでて彼らにいたらんとヱホバいひたまふ 024 JER 051 054 バビロンに號咷の聲ありカルデヤ人の地に大なる敗壞あり 024 JER 051 055 ヱホバ、バビロンをほろぼし其中に大なる聲を絕したまふ其波濤は巨水のごとくに鳴りその聲は響わたる 024 JER 051 056 破滅者これに臨みバビロンにいたる其勇士は執へられ其弓は折らるヱホバは施報をなす神なればかならず報いたまふなり 024 JER 051 057 われその牧伯等と博士等と督宰等と勇士とを醉せん彼らは永き寢にいりて目を醒すことあらじ萬軍のヱホバと名くる王これをいひ給ふ 024 JER 051 058 萬軍のヱホバかくいひたまふバビロンの闊き石垣は悉く毀たれその高き門は火に焚れん斯民の勞苦は徒となるべし民は火のために憊れん 024 JER 051 059 これマアセヤの子なるネリヤの子セラヤがユダの王ゼデキヤとともに其治世の四年にバビロンに往くときにあたりて豫言者ヱレミヤがこれに命ぜし言なりこのセラヤは侍從の長なり 024 JER 051 060 ヱレミヤ、バビロンにのぞまんとする諸の災を書にしるせり是即ちバビロンの事につきて錄せる此すべての言なり 024 JER 051 061 ヱレミヤ、セラヤにいひけるは汝バビロンに往しとき愼みてこの諸の言を讀め 024 JER 051 062 而して汝いふべしヱホバよ汝はこの處を滅し人と畜をいはず凡て此處に住む者なからしめて窮なくこれを荒地となさんと此處にむかひていひたまへり 024 JER 051 063 汝この書を讀畢りしとき之に石をむすびつけてユフラテの中に投いれよ 024 JER 051 064 而していふべしバビロンは我これに災菑をくだすによりて是しづみて復おこらざるべし彼らは絕はてんと/此まではヱレミヤの言なり 024 JER 052 001 ゼデキヤは位に即きしとき二十一歳なりしがヱルサレムに於て十一年世ををさめたりその母の名はハムタルといひてリブナのヱレミヤの女なり 024 JER 052 002 ゼデキヤはヱホヤキムが凡てなしたる如くヱホバの目の前に惡をなせり 024 JER 052 003 すなはちヱホバ、ヱルサレムとユダとを怒りて之をその前より棄てはなちたまふ/是に於てゼデキヤ、バビロンの王に叛けり 024 JER 052 004 ゼデキヤの世の九年十月十日にバビロンの王ネブカデネザルその軍勢をひきゐてヱルサレムに攻めきたり之に向ひて陣をはり四周に戌樓を建て之を攻めたり 024 JER 052 005 かくこの邑攻圍まれてゼデキヤ王の十一年にまでおよびしが 024 JER 052 006 その四月九日にいたりて城邑のうち饑ること甚だしくなり其地の民食物をえざりき 024 JER 052 007 是をもて城邑つひに打破られたれば兵卒は皆逃て夜の中に王の園の邊なる二個の石垣の間の門より城邑をぬけいで平地の途に循ひておちゆけり時にカルデヤ人は城邑を圍みをる 024 JER 052 008 茲にカルデヤ人の軍勢王を追ひゆきヱリコの平地にてゼデキヤに追付けるにその軍勢みな彼を離れて散りしかば 024 JER 052 009 カルデヤ人王を執へて之をハマテの地のリブラにをるバビロンの王の所に曳きゆきければ王彼の罪をさだめたり 024 JER 052 010 バビロンの王すなはちゼデキヤの子等をその目の前に殺さしめユダの牧伯等を悉くリブラに殺さしめ 024 JER 052 011 またゼデキヤの目を抉さしめたり斯てバビロンの王かれを銅索に繋ぎてバビロンに携へゆきその死る日まで獄に置けり 024 JER 052 012 バビロン王ネブカデネザルの世の十九年の五月十日バビロンの王の前につかふる侍衞の長ネブザラダン、ヱルサレムにきたり 024 JER 052 013 ヱホバの室と王の室を燒き火をもてヱルサレムのすべての室と大なる諸の室を燒けり 024 JER 052 014 また侍衞の長と偕にありしカルデヤ人の軍勢ヱルサレムの四周の石垣を悉く毀てり 024 JER 052 015 侍衞の長ネブザラダンすなはち民のうちの貧乏者城邑の中に餘れる者およびバビロンの王に降りし人と民の餘れる者を擄へ移せり 024 JER 052 016 但し侍衞の長ネブザラダンその地のある貧者を遺して葡萄を耕る者となし農夫となせり 024 JER 052 017 カルデヤ人またヱホバの室の銅の柱と洗盥の臺と銅の海を碎きてその銅を悉くバビロンに運び 024 JER 052 018 また鍋と火鑪と燭剪と鉢と匙およびすべて用ふるところの銅器を取れり 024 JER 052 019 侍衞の長もまた洗盥と火盤と鉢と鍋と燭臺と匙と斝など凡て金銀にて作れる者を取り 024 JER 052 020 またソロモン王がヱホバの室に造りしところの二つの柱と一の海と臺の下なる十二の銅の牛を取れりこのもろもろの銅の重は稱る可らず 024 JER 052 021 この柱は高さ十八キユビトなり又紐をもてその周圍を測るに十二キユビトあり指四本の厚にして空なり 024 JER 052 022 その上に銅の頂ありその頂の高さは五キユビトその周圍は銅の網子と石榴にて飾れり他の柱とその石榴も之におなじ 024 JER 052 023 その四方に九十六の石榴あり網子の上なるすべての石榴の數は百なり 024 JER 052 024 侍衞の長は祭司の長セラヤと第二の祭司ゼパニヤと三人の門守を執へ 024 JER 052 025 また兵卒を督る一人の寺人と王の前にはべるもののうち城邑にて遇しところの者七人とその地の民を募る軍勢の長なる書記と城邑の中にて遇しところの六十人の者を邑よりとらへされり 024 JER 052 026 侍衞の長ネブザラダンこれらを執へてリブラに居るバビロンの王の許にいたれり 024 JER 052 027 バビロンの王ハマテの地のリブラにこれを撃ち殺せりかくユダはおのれの地よりとらへ移されたり 024 JER 052 028 ネブカデネザルがとらへ移せし民は左の如し第七年にユダ人三千二十三人 024 JER 052 029 またネブカデネザルその十八年にヱルサレムより八百三十二人をとらへ移せり 024 JER 052 030 ネブカデネザルの二十三年に侍衞の長ネブザラダン、ユダ人七百四十五人をとらへ移したり其總ての數は四千六百人なりき 024 JER 052 031 ユダの王ヱホヤキンがとらへ移されたる後三十七年の十二月二十五日バビロンの王エビルメロダクその治世の一年にユダの王ヱホヤキンを獄よりいだしてその首をあげしめ 024 JER 052 032 善言をもて彼を慰めその位をバビロンに偕に居るところの王等の位よりもたかくし 024 JER 052 033 其獄の衣服を易へしむヱホヤキンは一生の間つねに王の前に食せり 024 JER 052 034 かれ其死る日まで一生の間たえず日々の分をバビロンの王よりたまはりて其食物となせり # # BOOK 025 LAM Lamentations 哀歌 025 LAM 001 001 ああ哀しいかな古昔は人のみちみちたりし此都邑 いまは凄しき樣にて坐し 寡婦のごとくになれり 嗟もろもろの民の中にて大いなりし者 もろもろの州の中に女王たりし者 いまはかへつて貢をいるる者となりぬ 025 LAM 001 002 彼よもすがら痛く泣きかなしみて涙面にながる その戀人の中にはこれを慰むる者ひとりだに無く その朋これに背きてその仇となれり 025 LAM 001 003 ユダは艱難の故によりまた大いなる苦役のゆゑによりて擄はれゆき もろもろの國に住ひて安息を得ず これを追ふものみな狭隘にてこれに追しきぬ 025 LAM 001 004 シオンの道路は節會の上り來る者なきがために哀しみ その門はことごとく荒れ その祭司は歎き その處女は憂へ シオンもまた自から苦しむ 025 LAM 001 005 その仇は首となり その敵は享ゆ その愆の多きによりてヱホバこれをなやませたまへるなり そのわかき子等は擄はれて仇の前にゆけり 025 LAM 001 006 シオンの女よりはその榮華ことごとく離れされり またその牧伯等は草を得ざる鹿のごとくに成り おのれを追ふものの前に力つかれて歩みゆけり 025 LAM 001 007 ヱルサレムはその艱難と窘迫の時むかしの代にありしもろもろの樂しき物を思ひ出づ その民仇の手におちいり誰もこれを助くるものなき時 仇人これを見てその荒はてたるを笑ふ 025 LAM 001 008 ヱルサレムははなはだしく罪ををかしたれば汚穢たる者のごとくになれり 前にこれを尊とびたる者もその裸體を見しによりて皆これをいやしむ 是もまたみづから嗟き身をそむけて退ぞけり 025 LAM 001 009 その汚穢これが裾にあり 彼その終局をおもはざりき 此故に驚ろくまでに零落たり 一人の慰さむる者だに無し ヱホバよわが艱難をかへりみたまへ 敵は勝ほこれり 025 LAM 001 010 敵すでに手を伸てその財寳をことごとく奪ひたり 汝さきに異邦人等はなんぢの公會にいるべからずと命じおきたまひしに 彼らが聖所を侵しいるをシオンは見たり 025 LAM 001 011 その民はみな哀きて食物をもとめ その生命を支へんがために財寳を出して食にかへたり ヱホバよ見そなはし我のいやしめらるるを顧りみたまへ 025 LAM 001 012 すべて行路人よ なんぢら何ともおもはざるか ヱホバその烈しき震怒の日に我をなやましてわれに降したまへるこの憂苦にひとしき憂苦また世にあるべきや考がへ見よ 025 LAM 001 013 ヱホバ上より火をくだしわが骨にいれて之を克服せしめ 網を張りわが足をとらへて我を後にむかしめ 我をして終日心さびしくかつ疾わづらはしめたまふ 025 LAM 001 014 わが愆尤の軛は主の御手にて結ばれ諸の愆あひ纒はりてわが項にのれり 是はわが力をしておとろへしむ 主われを敵たりがたき者の手にわたしたまへり 025 LAM 001 015 主われの中なる勇士をことごとく除き 節會をもよほして我を攻め わが少き人を打ほろぼしたまへり 主酒榨をふむがごとくにユダの處女をふみたまへり 025 LAM 001 016 これがために我なげく わが目やわが目には水ながる わがたましひを活すべき慰さむるものわれに遠ければなり わが子等は敵の勝るによりて滅びうせにき 025 LAM 001 017 シオンは手をのぶれども誰もこれを慰さむる者なし ヤコブにつきてはヱホバ命をくだしてその周圍の民をこれが敵とならしめたまふ ヱルサレムは彼らの中にありて汚れたる者のごとくなりぬ 025 LAM 001 018 ヱホバは正し 我その命令にそむきたるなり 一切の民よわれに聽け わが憂苦をかへりみよ わが處女もわかき男も俘囚て往り 025 LAM 001 019 われわが戀人を呼たれども彼らはわれを欺むけり わが祭司およびわが長老は生命を繋がんとて食物を求むる間に都邑の中にて氣息たえたり 025 LAM 001 020 ヱホバよかへりみたまへ 我はなやみてをり わが膓わきかへり わが心わが衷に顛倒す 我甚しく悖りたればなり 外には劍ありてわが子を殺し 内には死のごとき者あり 025 LAM 001 021 かれらはわが嗟歎をきけり 我をなぐさむるもの一人だに无し わが敵みなわが艱難をききおよび 汝のこれを爲たまひしを喜こべり 汝はさきに告しらせしその日を來らせたまはん 而して彼らもつひに我ごとくに成るべし 025 LAM 001 022 ねがはくは彼等が與へし艱難をことごとくなんぢの御前にあらはし 前にわがもろもろの罪愆のために我におこなひし如く彼らにも行ひたまへ わが嗟歎は多くわが心はうれひかなしむなり 025 LAM 002 001 ああヱホバ震怒をおこし 黑雲をもてシオンの女を蔽ひたまひ イスラエルの榮光を天より地におとし その震怒の日に己の足凳を心にとめたまはざりき 025 LAM 002 002 主ヤコブのすべての住居を呑つくしてあはれまず 震怒によりてユダの女の保砦を毀ち これを地にたふし その國とその牧伯等を辱かしめ 025 LAM 002 003 烈しき震怒をもてイスラエルのすべての角を絶ち 敵の前にて己の右の手をひきちぢめ 四面を焚きつくす燃る火のごとくヤコブを焚き 025 LAM 002 004 敵のごとく弓を張り 仇のごとく右の手を挺て立ち 凡て目に喜こばしきものを滅し シオンの女の幕屋に火のごとくその怒をそそぎたまへり 025 LAM 002 005 主敵のごとくに成たまひてイスラエルを呑ほろぼし その諸の殿を呑ほろぼし そのもろもろの保砦をこぼち ユダの女の上に憂愁と悲哀を増くはへ 025 LAM 002 006 園のごとく己の幕屋を荒し その集會の所をほろぼしたまへり ヱホバ節會と安息日とをシオンに忘れしめ 烈しき怒によりて王と祭司とをいやしめ棄たまへり 025 LAM 002 007 主その祭壇を忌棄て その聖所を嫌ひ憎みて その諸の殿の石垣を敵の手にわたしたまへり 彼らは節會の日のごとくヱホバの室にて聲をたつ 025 LAM 002 008 ヱホバ、シオンの女の石垣を毀たんと思ひさだめ 繩を張り こぼち進みてその手をひかず 壕と石垣とをして哀しましめたまふ 是らは共に憂ふ 025 LAM 002 009 その門は地に埋もれ ヱホバその關木をこぼちくだき その王ともろもろの牧伯は律法なき國人の中にあり その預言者はヱホバより異象を蒙らず 025 LAM 002 010 シオンの女の長老等は地に坐りて默し 首に灰をかむり 身に麻をまとふ ヱルサレムの處女は首を地に低る 025 LAM 002 011 わが目は涙の爲に潰れんとし わが膓は沸かへり わが肝は地に塗る わが民の女ほろぼされ 幼少ものや乳哺子は疲れはてて邑の街衢に氣息たへなんとすればなり 025 LAM 002 012 かれらは疵を負る者の如く邑のちまたにて氣息たえなんとし 母の懐にその靈魂をそそがんとし 母にむかひて言ふ 穀物と酒とはいづくにあるやと 025 LAM 002 013 ヱルサレムの女よ 我なにをもて汝にあかしし 何をもて汝にならべんや シオンの處女よ われ何をもて汝になぞらへて汝をなぐさめんや 汝のやぶれは海のごとく大なり 嗟たれか能く汝を醫さんや 025 LAM 002 014 なんぢの預言者は虚しき事と愚なることとなんぢに預言し かつて汝の不義をあらはしてその俘囚をまぬかれしめんとはせざりき その預言するところは唯むなしき重荷および追放たるる根本となるべき事のみ 025 LAM 002 015 すべて往來の人なんぢにむかひて手を拍ち ヱルサレムの女にむかひて嘲りわらひ かつ頭をふりて言ふ 美麗の極全地の欣喜ととなへたりし邑は是なるかと 025 LAM 002 016 なんぢのもろもろの敵はなんぢに對ひて口を開け あざけり笑ひて切齒をなす 斯て言ふわれら之を呑つくしたり 是われらが望みたりし日なり 我ら已に之にあへり 我らすでに之を見たりと 025 LAM 002 017 ヱホバはその定めたまへることを成し いにしへより其命じたまひし言を果したまへり ヱホバはほろぼして憐れまず 敵をして汝にかちほこらしめ汝の仇の角をたかくしたまへり 025 LAM 002 018 かれらの心は主にむかひて呼はれり シオンの女の墻垣よ なんぢ夜も晝も河の如く涙をながせ みづから安んずることをせず 汝の瞳子を休むることなかれ 025 LAM 002 019 なんぢ夜の初更に起いでて呼さけべ 主の御前に汝の心を水のごとく灌げ 街衢のほとりに饑たふるるなんぢの幼兒の生命のために主にむかひて兩手をあげよ 025 LAM 002 020 ヱホバよ視たまへ 汝これを誰におこなひしか 願はくは顧みたまへ 婦人おのが實なるその懷き育てし孩兒を食ふべけんや 祭司預言者等主の聖所において殺さるべけんや 025 LAM 002 021 をさなきも老たるも街衢にて地に臥し わが處女も若き男も刄にかかりて斃れたり なんぢはその震怒の日にこれを殺し これを屠りて恤れみたまはざりき 025 LAM 002 022 なんぢ節會の日のごとくわが懼るるところの者を四方より呼あつめたまへり ヱホバの震怒の日には遁れたる者なく又のこりたる者なかりき わが懷き育てし者はみなわが敵のためにほろぼされたり 025 LAM 003 001 我はかれの震怒の笞によりて艱難に遭たる人なり 025 LAM 003 002 かれは我をひきて黑暗をあゆませ光明にゆかしめたまはず 025 LAM 003 003 まことに屢々その手をむけて終日われを攻なやまし 025 LAM 003 004 わが肉と肌膚をおとろへしめ わが骨を摧き 025 LAM 003 005 われにむかひて患苦と艱難を築きこれをもて我を圍み 025 LAM 003 006 われをして長久に死し者のごとく暗き處に住しめ 025 LAM 003 007 我をかこみて出ること能はざらしめわが鏈索を重くしたまへり 025 LAM 003 008 我さけびて助をもとめしとき彼わが祈禱をふせぎ 025 LAM 003 009 斫たる石をもてわが道を塞ぎわが途をまげたまへり 025 LAM 003 010 その我に對することは伏て伺がふ熊のごとく潜みかくるる獅子のごとし 025 LAM 003 011 われに路を離れしめ 我をひきさきて獨くるしましめ 025 LAM 003 012 弓を張りてわれを矢先の的となし 025 LAM 003 013 矢筒の矢をもてわが腰を射ぬきたまへり 025 LAM 003 014 われはわがすべての民のあざけりとなり 終日うたひそしらる 025 LAM 003 015 かれ我をして苦き物に飽しめ茵蔯を飮しめ 025 LAM 003 016 小石をもてわが齒を摧き灰をもて我を蒙ひたまへり 025 LAM 003 017 なんぢわが靈魂をして平和を遠くはなれしめたまへば我は福祉をわすれたり 025 LAM 003 018 是において我みづから言り わが氣力うせゆきぬ ヱホバより何を望むべきところ無しと 025 LAM 003 019 ねがはくは我が艱難と苦楚茵蔯と膽汁とを心に記たまへ 025 LAM 003 020 わがたましひは今なほ是らの事を想ひてわが衷に鬱ぐ 025 LAM 003 021 われこの事を心におもひ起せり この故に望をいだくなり 025 LAM 003 022 われらの尚ほろびざるはヱホバの仁愛によりその憐憫の盡ざるに因る 025 LAM 003 023 これは朝ごとに新なり なんぢの誠實はおほいなるかな 025 LAM 003 024 わが靈魂は言ふ ヱホバはわが分なり このゆゑに我彼を待ち望まん 025 LAM 003 025 ヱホバはおのれを待ち望む者とおのれを尋ねもとむる人に恩惠をほどこしたまふ 025 LAM 003 026 ヱホバの救拯をのぞみて靜にこれを待は善し 025 LAM 003 027 人わかき時に軛を負は善し 025 LAM 003 028 ヱホバこれを負せたまふなれば獨坐して默すべし 025 LAM 003 029 口を塵につけよ あるひは望あらん 025 LAM 003 030 おのれを撃つ者に頬をむけ 充足れるまでに恥辱をうけよ 025 LAM 003 031 そは主は永久に棄ることを爲たまはざるべければなり 025 LAM 003 032 かれは患難を與へ給ふといへどもその慈悲おほいなればまた憐憫を加へたまふなり 025 LAM 003 033 心より世の人をなやましかつ苦しめ給ふにはあらざるなり 025 LAM 003 034 世のもろもろの俘囚人を脚の下にふみにじり 025 LAM 003 035 至高者の面の前にて人の理を抂げ 025 LAM 003 036 人の詞訟を屈むることは主のよろこび給はざるところなり 025 LAM 003 037 主の命じたまふにあらずば誰か事を述んにその事即ち成んや 025 LAM 003 038 禍も福もともに至高者の口より出るにあらずや 025 LAM 003 039 活る人なんぞ怨言べけんや 人おのれの罪の罰せらるるをつぶやくべけんや 025 LAM 003 040 我等みづからの行をしらべかつ省みてヱホバに歸るべし 025 LAM 003 041 我ら天にいます神にむかひて手とともに心をも擧べし 025 LAM 003 042 われらは罪ををかし我らは叛きたり なんぢこれを赦したまはざりき 025 LAM 003 043 なんぢ震怒をもてみづから蔽ひ 我らを追攻め殺してあはれまず 025 LAM 003 044 雲をもてみづから蔽ひ 祈禱をして通ぜざらしめ 025 LAM 003 045 もろもろの民の中にわれらを塵埃となしたまへり 025 LAM 003 046 敵は皆われらにむかひて口を張れり 025 LAM 003 047 恐懼と陷阱また暴行と滅亡我らに來れり 025 LAM 003 048 わが民の女の滅亡によりてわが眼には涙の河ながる 025 LAM 003 049 わが目は斷ず涙をそそぎて止ず 025 LAM 003 050 天よりヱホバの臨み見て顧みたまふ時にまで至らん 025 LAM 003 051 わが邑の一切の女等の故によりてわが眼はわが心をいたましむ 025 LAM 003 052 故なくして我に敵する者ども鳥を追ごとくにいたく我をおひ 025 LAM 003 053 わが生命を坑の中にほろぼし わが上に石を投かけ 025 LAM 003 054 また水わが頭の上に溢る 我みづから言り滅びうせぬと 025 LAM 003 055 ヱホバよ われ深き坑の底より汝の名を呼り 025 LAM 003 056 なんぢ我が聲を聽たまへり わが哀歎と祈求に耳をおほひたまふなかれ 025 LAM 003 057 わが汝を龥たりし時なんぢは近よりたまひて恐るるなかれと宣へり 025 LAM 003 058 主よなんぢはわが靈魂の訴を助け伸べ わが生命を贖ひ給へり 025 LAM 003 059 ヱホバよ なんぢは我がかうむりたる不義を見たまへり 願はくは我に正しき審判を與へたまへ 025 LAM 003 060 なんぢは彼らが我を怨み われを害せんとはかるを凡て見たまへり 025 LAM 003 061 ヱホバよなんぢは彼らが我を詈り 我を害せんとはかるを凡て聞たまへり 025 LAM 003 062 かの立て我に逆らふ者等の言語およびその終日われを攻んとて運らす謀計もまた汝これを聞たまへり 025 LAM 003 063 ねがはくは彼らの起居をかんがみたまへ 我はかれらに歌ひそしらる 025 LAM 003 064 ヱホバよ なんぢは彼らが手に爲すところに循がひて報をなし 025 LAM 003 065 かれらをして心くらからしめたまはん なんぢの呪詛かれらに歸せよ 025 LAM 003 066 なんぢは震怒をもてかれらを追ひ ヱホバの天の下よりかれらをほろぼし絶たまはん 025 LAM 004 001 ああ黄金は光をうしなひ純金は色を變じ 聖所の石はもろもろの街衢の口に投すてられたり 025 LAM 004 002 ああ精金にも比ぶべきシオンの愛子等は陶噐師の手の作なる土の器のごとくに見做る 025 LAM 004 003 山犬さへも乳房をたれてその子に乳を哺す 然るにわが民の女は殘忍荒野の鴕鳥のごとくなれり 025 LAM 004 004 乳哺兒の舌は渇きて上顎にひたと貼き 幼兒はパンをもとむるも擘てあたふる者なし 025 LAM 004 005 肥甘物をくらひ居りし者はおちぶれて街衢にあり 紅の衣服にて育てられし者も今は塵堆を抱く 025 LAM 004 006 今我民の女のうくる愆の罰はソドムの罪の罰よりもおほいなり ソドムは古昔人に手を加へらるることなくして瞬く間にほろぼされしなり 025 LAM 004 007 わが民の中なる貴き人は從前には雪よりも咬潔に乳よりも白く 珊瑚よりも躰紅色にしてその形貌のうるはしきこと藍玉のごとくなりしが 025 LAM 004 008 いまはその面くろきが上に黑く 街衢にあるとも人にしられず その皮は骨にひたと貼き 乾きて枯木のごとくなれり 025 LAM 004 009 劍にて死る者は饑て死る者よりもさいはひなり そは斯る者は田圃の產物の罄るによりて漸々におとろへゆき刺れし者のごとくに成ばなり 025 LAM 004 010 わが民の女のほろぶる時には情愛ふかき婦人等さへも手づから己の子等を煮て食となせり 025 LAM 004 011 ヱホバその憤恨をことごとく洩し 烈しき怒をそそぎ給ひ シオンに火をもやしてその基礎までも燒しめ給へり 025 LAM 004 012 地の諸王も世のもろもろの民もすべてヱルサレムの門に仇や敵の打いらんとは信ぜざりき 025 LAM 004 013 斯なりしはその預言者の罪によりその祭司の愆によれり かれらは即ち正しき者の血をその邑の中にながしたりき 025 LAM 004 014 今かれらは盲人のごとく街衢にさまよひ 身は血にて汚れをれば人その衣服にふるるあたはず 025 LAM 004 015 人かれらに向ひて呼はり言ふ 去れよ穢らはし 去れ去れ觸るなかれと 彼らはしり去りて流離ば異邦人の中間にても人々また言ふ 彼らは此に寓るべからずと 025 LAM 004 016 ヱホバ怒れる面をもてこれを散し給へり 再びこれを顧みたまはじ 人々祭司の面をも尊ばず長老をもあはれまざりき 025 LAM 004 017 われらは賴まれぬ救援を望みて目つかれおとろふ 我らは俟ゐたりしが救拯をなすこと能はざる國人を待をりぬ 025 LAM 004 018 敵われらの脚をうかがへば我らはおのれの街衢をも歩くことあたはず 我らの終ちかづけり 我らの日つきたり 即ち我らの終きたりぬ 025 LAM 004 019 我らを追ふものは天空ゆく鷲よりも迅し 山にて我らを追ひ 野に伏てわれらを伺ふ 025 LAM 004 020 かの我らが鼻の氣息たる者ヱホバに膏そそがれたるものは陷阱にて執へられにき 是はわれらが異邦にありてもこの蔭に住んとおもひたりし者なり 025 LAM 004 021 ウズの地に住むエドムの女よ悦び樂しめ 汝にもまたつひに杯めぐりゆかん なんぢも醉て裸になるべし 025 LAM 004 022 シオンの女よ なんぢが愆の罰はをはれり 重ねてなんぢを擄へゆきたまはじ エドムの女よ なんぢの愆を罰したまはん 汝の罪を露はしたまはん 025 LAM 005 001 ヱホバよ我らにありし所の事をおもひたまへ 我らの恥辱をかへりみ觀たまへ 025 LAM 005 002 われらの產業は外國人に歸し われらの家屋は他國人の有となれり 025 LAM 005 003 われらは孤子となりて父あらず われらの母は寡婦にひとし 025 LAM 005 004 われらは金を出して自己の水を飮み おのれの薪を得るにも價をはらふ 025 LAM 005 005 われらを追ふ者われらの頸に迫る 我らは疲れて休むことを得ず 025 LAM 005 006 食物を得て饑を凌がんとてエジプト人およびアッスリヤ人に手を與へたり 025 LAM 005 007 われらの父は罪ををかして已に世にあらず 我らその罪を負ふなり 025 LAM 005 008 奴僕等われらを制するに誰ありて我らを之が手よりすくひ出すものなし 025 LAM 005 009 荒野の刀兵の故によりて我ら死を冒して食物を得 025 LAM 005 010 饑饉の烈しき熱氣によりてわれらの皮膚は爐のごとく熱し 025 LAM 005 011 シオンにて婦人等をかされユダの邑々にて處女等けがさる 025 LAM 005 012 侯伯たる者も敵の手にて吊され 老たる者の面も尊とばれず 025 LAM 005 013 少き者は石磨を擔はせられ 童子は薪を負ふてよろめき 025 LAM 005 014 長老は門にあつまることを止め 少き者はその音樂を廢せり 025 LAM 005 015 我らが心の快樂はすでに罷み われらの跳舞はかはりて悲哀となり 025 LAM 005 016 われらの冠冕は首より落たり われら罪ををかしたれば禍なるかな 025 LAM 005 017 これが爲に我らの心うれへ これらのために我らが目くらくなれり 025 LAM 005 018 シオンの山は荒はて 山犬はその上を歩くなり 025 LAM 005 019 ヱホバよなんぢは永遠に在す なんぢの御位は世々かぎりなし 025 LAM 005 020 何とて我らを永く忘れ われらを斯ひさしく棄おきたまふや 025 LAM 005 021 ヱホバよねがはくは我らをして汝に歸らしめたまへ われら歸るべし 我らの日を新にして昔日の日のごとくならしめたまへ 025 LAM 005 022 さりとも汝まつたく我らを棄てたまひしや 痛くわれらを怒りゐたまふや # # BOOK 026 EZE Ezekiel エゼキエル書 026 EZE 001 001 第三十年四月の五日に我ケバル河の邊にてかの擄うつされたる者の中にをりしに天ひらけて我神の異象を見たり 026 EZE 001 002 是ヱコニヤ王の擄ゆかれしより第五年のその月の五日なりき 026 EZE 001 003 時にカルデヤ人の地に於てケバル河の邊にてヱホバの言祭司ブシの子エゼキエルに臨めりヱホバの手かしこにて彼の上にあり 026 EZE 001 004 我見しに視よ烈き風大なる雲および燃る火の團塊北より出きたる又雲の周圍に輝光ありその中よりして火の中より熱たる金族のごときもの出づ 026 EZE 001 005 其火の中に四箇の生物にて成る一箇の形あり其狀は是のごとし即ち人の象あり 026 EZE 001 006 各四の面あり各四の翼あり 026 EZE 001 007 その足は直なる足その足の跖は犢牛の足の跖のごとくにして磨ける銅のごとくに光れり 026 EZE 001 008 その生物の四方に翼の下に人の手ありこの四箇の物皆面と翼あり 026 EZE 001 009 その翼はたがひに相つらなれりその往ときに回轉ずして各その面の向ふところに行く 026 EZE 001 010 その面の形は人の面のごとし四箇の者右には獅子の面あり四箇の者左には牛の面あり又四箇の者鷲の面あり 026 EZE 001 011 その面とその翼は上にて分るその各箇の翼二箇は彼と此と相つらなり二箇はその身を覆ふ 026 EZE 001 012 各箇その面の向ふところへ行き靈のゆかんとする方に行く又行にまはることなし 026 EZE 001 013 その生物の形は爇る炭の火のごとく松明のごとし火生物の中に此彼に行き火輝きてその火の中より電光いづ 026 EZE 001 014 その生物奔りて電光の如くに往來す 026 EZE 001 015 我生物を觀しに生物の近邊にあたりてその四箇の面の前に地の上に輪あり 026 EZE 001 016 其輪の形と作は黄金色の玉のごとしその四箇の形は皆同じその形と作は輪の中に輪のあるがごとくなり 026 EZE 001 017 その行く時は四方に行く行にまはることなし 026 EZE 001 018 その輪輞は高くして畏懼かり輪輞は四箇ともに皆遍く目あり 026 EZE 001 019 生物の行く時は輪その傍に行き生物地をはなれて上る時は輪もまた上る 026 EZE 001 020 凡て靈のゆかんとする所には生物その靈のゆかんとする方に往く輪またその傍に上る是生物の靈輪の中にあればなり 026 EZE 001 021 此の行く時は彼もゆき此の止る時は彼も止り此地をはなれて上る時は輪も共にあがる是生物の靈輪の中にあればなり 026 EZE 001 022 生物の首の上に畏しき水晶のごとき穹蒼ありてその首の上に展開る 026 EZE 001 023 穹蒼の下に其翼直く開きて此と彼とあひ連る又各二箇の翼ありその各の二箇の翼此方彼方にありて身をおほふ 026 EZE 001 024 我その行く時の羽聲を聞に大水の聲のごとく全能者の聲のごとし其聲音の響は軍勢の聲のごとしその立どまる時は翼を垂る 026 EZE 001 025 その首の上なる穹蒼の上より聲ありその立どまる時は翼を垂る 026 EZE 001 026 首の上なる穹蒼の上に靑玉のごとき寶位の狀式ありその寶位の狀式の上に人のごとき者在す、 026 EZE 001 027 又われその中と周圍に磨きたる銅のごとく火のごとくなる者を見る其人の腰より上も腰より下も火のごとくに見ゆ其周圍に輝光あり 026 EZE 001 028 その周圍の輝光は雨の日に雲にあらはるる虹のごとしヱホバの榮光かくのごとく見ゆ我これを見て俯伏したるに語る者の聲あるを聞く 026 EZE 002 001 彼われに言たまひけるは人の子よ起あがれ我なんぢに語はんと 026 EZE 002 002 斯われに言給ひし時靈われにきたりて我を立あがらしむ爰に我その我に語りたまふを聞くに 026 EZE 002 003 われに言たまひけるは人の子よ我なんぢをイスラエルの子孫に遣すすなはち我に叛ける叛逆の民につかはさん彼等とその先祖我に悖りて今日にいたる 026 EZE 002 004 その子女等は厚顏にして心の剛愎なる者なり我汝をかれらに遣す汝かれらに主ヱホバかくいふと告べし 026 EZE 002 005 彼等は悖逆る族なり彼等は之を聽も之を拒むも預言者の己等の中にありしを知ん 026 EZE 002 006 汝人の子よたとひ薊と棘汝の周圍にあるとも亦汝蠍の中に住ともこれを懼るるなかれその言をおそるるなかれ夫かれらは悖逆る族なり汝その言をおそるるなかれ其面に慄くなかれ 026 EZE 002 007 彼等は悖逆る族なり彼らこれを聽もこれを拒むも汝吾言をかれらに告よ 026 EZE 002 008 人の子よわが汝に言ところを聽け汝かの悖逆る族のごとく悖るなかれ汝の口を開きてわが汝にあたふる者をくらふべし 026 EZE 002 009 時に我見に吾方に伸たる手ありて其中に卷物あり 026 EZE 002 010 彼これをわが前に開けり卷物は裏と表に文字ありて上に嗟嘆と悲哀と憂患とを錄す 026 EZE 003 001 彼また我に言たまひけるは人の子よ汝獲るところの者を食へ此卷物を食ひ往てイスラエルの家に告よ 026 EZE 003 002 是に於て我口をひらけばその卷物を我に食はしめて 026 EZE 003 003 我にいひ給ひけるは人の子よわが汝にあたふる此卷物をもて腹をやしなへ膓にみたせよと我すなはち之をくらふに其わが口に甘きこと蜜のごとくなりき 026 EZE 003 004 彼また我にいひたまひけるは人の子よイスラエルの家にゆきて吾言を之につげよ 026 EZE 003 005 我なんぢを唇の深き舌の重き民につかはすにあらずイスラエルの家につかはすなり 026 EZE 003 006 汝がその言語をしらざる唇の深き舌の重き多くの國人に汝をつかはすにあらず我もし汝を彼らに遣さば彼等汝に聽べし 026 EZE 003 007 然どイスラエルの家は我に聽ことを好まざれば汝に聽ことをせざるべしイスラエルの全家は厚顏にして心の剛愎なる者なればなり 026 EZE 003 008 視よ我かれらの面のごとく汝の面をかたくしかれらの額のごとく汝の額を堅くせり 026 EZE 003 009 我なんぢの額を金剛石のごとくし磐よりも堅くせり彼らは背逆る族なり汝かれらを懼るるなかれ彼らの面に戰慄くなかれ 026 EZE 003 010 又われに言たまひけるは人の子よわが汝にいふところの凡の言を汝の心にをさめ汝の耳にきけよ 026 EZE 003 011 往てかの擄へ移されたる汝の民の子孫にいたりこれに語りて主ヱホバかく言たまふと言へ彼ら聽も拒むも汝然すべし 026 EZE 003 012 時に靈われを上に擧しが我わが後に大なる響の音ありてヱホバの榮光のその處より出る者は讚べきかなと云ふを聞けり 026 EZE 003 013 また生物の互にあひ連る翼の聲とその傍にある輪の聲および大なる響の音を聞く 026 EZE 003 014 靈われを上にあげて携へゆけば我苦々しく思ひ心を熱くして往くヱホバの手強くわが上にあり 026 EZE 003 015 爰に我ケバル河の邊にてテラアビブに居るかの擄移れたる者に至り驚きあきれてその坐する所に七日俱に坐せり 026 EZE 003 016 七日すぎし後ヱホバの言われにのぞみて言ふ 026 EZE 003 017 人の子よ我なんぢを立てイスラエルの家の爲に守望者となす汝わが口より言を聽き我にかはりてこれを警むべし 026 EZE 003 018 我惡人に汝かならず死べしと言んに汝かれを警めず彼をいましめ語りその惡き道を離れしめて之が生命を救はずばその惡人はおのが惡のために死んされど其血をば我汝の手に要むべし 026 EZE 003 019 然ど汝惡人を警めんに彼その惡とその惡き道を離れずば彼はその惡の爲に死ん汝はおのれの靈魂を救ふなり 026 EZE 003 020 又義人その義事をすてて惡を行はんに我躓礙をその前におかば彼は死べし汝かれを警めざれば彼はその罪のために死てそのおこなひし義き事を記ゆる者なきにいたらん然ば我その血を汝の手に要むべし 026 EZE 003 021 然ど汝もし義き人をいましめ義き人に罪ををかさしめずして彼罪を犯すことをせずば彼は警戒をうけたるがためにかならずその生命をたもたん汝はおのれの靈魂を救ふなり 026 EZE 003 022 茲にヱホバの手かしこにてわが上にあり彼われに言たまひけるは起て平原にいでよ我そこにて汝にかたらん 026 EZE 003 023 我すなはち起て平原に往にヱホバの榮光わがケバル河の邊にて見し榮光のごとく其處に立ければ俯伏たり 026 EZE 003 024 時に靈われの中にいりて我を立あがらせ我にかたりていふ往て汝の家にこもれ 026 EZE 003 025 人の子よ彼等汝に繩をうちかけ其をもて汝を縛らん汝はかれらの中に出ゆくことを得ざるべし 026 EZE 003 026 我なんぢの舌を上咢に堅く着しめて汝を啞となし彼等を警めざらしむべし彼等は悖逆る族なればなり 026 EZE 003 027 然ど我汝に語る時は汝の口をひらかん汝彼らにいふべし主ヱホバかく言たまふ聽者は聽べし拒む者は拒むべし彼等は悖逆る族なり 026 EZE 004 001 人の子よ汝磚瓦をとりて汝の前に置きその上にヱルサレムの邑を畵け 026 EZE 004 002 而して之を取圍み之にむかひて雲梯を建て壘を築き陣營を張り邑の周圍に破城槌を備へて之を攻めよ 026 EZE 004 003 汝また鐵の鍋を取り汝と邑の間に置て鐵の石垣となし汝の面を之に向よ斯この邑圍まる汝之を圍むべし是すなはちイスラエルの家にあたふる徴なり 026 EZE 004 004 又汝左側を下にして臥しイスラエルの家の罪を其上に置よ汝が斯臥ところの日の數は是なんぢがその罪を負ふ者なり 026 EZE 004 005 我かれらが罪を犯せる年を算へて汝のために日の數となす即ち三百九十日の間汝イスラエルの家の罪を負ふべし 026 EZE 004 006 汝これを終なば復右側を下にして臥し四十日の間ユダの家の罪を負ふべし我汝のために一日を一年と算ふ 026 EZE 004 007 汝ヱルサレムの圍に面を向け腕を袒して其の事を預言すべし 026 EZE 004 008 視よ我索を汝にかけて汝の圍の日の終るまで右左に動くことを得ざらしめん 026 EZE 004 009 汝 小麥 大麥 豆 扁豆 粟および裸麥を取て之を一箇の器にいれ汝が横はる日の數にしたがひてこれを食とせよ即ち三百九十日の間これを食ふべし 026 EZE 004 010 汝食を權りて一日に二十シケルを食へ時々これを食ふべし 026 EZE 004 011 又汝水を量りて一ヒンの六分一を飮め時々これを飮むべし 026 EZE 004 012 汝大麥のパンの如くにして之を食へ即ち彼等の目のまへにて人の糞をもて之を烘べし 026 EZE 004 013 ヱホバいひ給ふ是のごとくイスラエルの民はわが追やらんところの國々においてその汚穢たるパンを食ふべし 026 EZE 004 014 是において我いふ嗚呼主ヱホバよわが魂は絕て汚れし事なし我は幼少時より今にいたるまで自ら死し者や裂殺れし者を食ひし事なし又絕て汚れたる肉わが口にいりしことなし 026 EZE 004 015 ヱホバ我にいひ給ふ我牛の糞をもて人の糞にかふることを汝にゆるす其をもて汝のパンを調ふべし 026 EZE 004 016 又われに言たまふ人の子よ視よ我ヱルサレムに於て人の杖とするパンを打碎かん彼等は食をはかりて惜みて食ひ水をはかりて驚きて飮まん 026 EZE 004 017 斯食と水と乏しくなりて彼ら互に面を見あはせて駭きその罪に亡びん 026 EZE 005 001 人の子よ汝利き刀を執り之を剃刀となして汝の頭と頷をそり權衡をとりてその毛を分てよ 026 EZE 005 002 而して圍城の日の終る時邑の中にて火をもて其三分の一を燒き又三分の一を取り刀をもて邑の周圍を撃ち三分の一を風に散すべし我刀をぬきて其後を追ん 026 EZE 005 003 汝その毛を少く取りて裾に包み 026 EZE 005 004 又その中を取りてこれを火の中になげいれ火をもて之をやくべし火その中より出てイスラエルの全家におよばん 026 EZE 005 005 主ヱホバかくいひ給ふ我このヱルサレムを萬國の中におき列邦をその四圍に置けり 026 EZE 005 006 ヱルサレムは異邦よりも惡くわが律法に悖り其四圍の國々よりもわが法憲に悖る即ち彼等はわが律法を蔑如にしわが法憲に歩行まざるなり 026 EZE 005 007 故に主ヱホバかくいひたまふ汝等はその周圍の異邦人よりも甚だしく噪ぎたち吾憲にあゆまず吾法をおこなはず又汝らの周圍なる異邦人の法のごとくに行ふことすらもせざるなり 026 EZE 005 008 是故に主ヱホバかくいひ給ふ視よ我 われは汝を攻め異邦人の目の前にて汝の中に鞫をおこなはん 026 EZE 005 009 なんぢの爲せし諸の惡むべき事のために我わが未だ爲ざりしところの事此後ふたたび其ごとく爲ざるべきところの事を汝になさん 026 EZE 005 010 是がために汝の中にて父たる者はその子を食ひ子たる者はその父を食はん我汝の中に鞫をおこなひ汝の中の餘れる者を盡く四方の風に散さん 026 EZE 005 011 是故に主ヱホバいひ給ふ我は活く汝その忌むべき物とその憎むべきところの事とをもてわが聖所を穢したれば我かならず汝を減さん我目なんぢを惜み見ず我なんぢを憐まざるべし 026 EZE 005 012 汝の三分の一は汝の中において疫病にて死に饑饉にて滅びん又三分の一は汝の四周にて刀に仆れん又三分の一をば我四方の風に散し刀をぬきて其後をおはん 026 EZE 005 013 斯我怒を洩し盡しわが憤を彼らの上にかうむらせて心を安んぜん我わが憤を彼らの上に洩し盡す時は彼ら我ヱホバの熱心をもてかたりたる事をしるに至らん 026 EZE 005 014 我汝を荒地となし汝の周圍の國々の中に汝を笑柄となし凡て往來の人の目に斯あらしむべし 026 EZE 005 015 我怒と憤と重き責をもて鞫を汝に行ふ時は汝はその周圍の邦々の笑柄となり嘲となり警戒となり驚懼とならん我ヱホバこれを言ふ 026 EZE 005 016 即ち我饑饉の惡き矢を彼等に放たん是は滅亡すための者なり我汝らを滅さんために之を放つべし我なんぢらの上に饑饉を増しくはへ汝らが杖とするところのパンを打碎かん 026 EZE 005 017 我饑饉と惡き獸を汝等におくらん是汝をして子なき者とならしめん又疫病と血なんぢの間に行わたらん我刀を汝にのぞましむべし我ヱホバこれを言ふ 026 EZE 006 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 006 002 人の子よ汝の面をイスラエルの山々にむけて預言して言ふべし 026 EZE 006 003 イスラエルの山よ主ヱホバの言を聽け主ヱホバ山と岡と谷と平原にむかひて斯いひたまふ視よ我劍を汝等に遣り汝らの崇邱を滅ぼす 026 EZE 006 004 汝等の壇は荒され日の像は毀たれん我汝らの中の殺さるる者をして汝らの偶像の前に仆れしむべし 026 EZE 006 005 我イスラエルの子孫の尸骸をその偶像の前に置ん汝らの骨をその壇の周圍に散さん 026 EZE 006 006 凡て汝らの住ところにて邑々は滅され崇邱は荒されん斯して汝らの壇は壞れて荒れ汝らの偶像は毀たれて滅び汝等の日の像は斫たふされ汝等の作りし者は絕されん 026 EZE 006 007 又殺さるる者なんぢらの中に仆れん汝等これに由て吾ヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 006 008 我或者を汝らにのこす即ち劍をのがれて異邦の中にをる者國々の中にちらさるる者是なり 026 EZE 006 009 汝等の中の逃れたる者はその擄ゆかれし國々において我を記念ふに至らん是は我かれらの我をはなれたるその姦淫をなすの心を挫き且かれらの姦淫を好みてその偶像を慕ふところの目を挫くに由てなり而して彼等はその諸の憎むべき者をもて爲たるところの惡のために自ら恨むべし 026 EZE 006 010 斯彼等はわがヱホバなるを知るにいたらん吾がこの災害をかれらになさんと語しことは徒然にならざるなり 026 EZE 006 011 主ヱホバかく言たまふ汝手をもて撃ち足を踏ならして言へ嗚呼凡てイスラエルの家の惡き憎むべき者は禍なるかな皆刀と饑饉と疫病に仆るべし 026 EZE 006 012 遠方にある者は疫病にて死に近方にある者は刀に仆れん又生存りて身を全うする者は饑饉に死ぬべし斯我わが憤怒を彼等に洩しつくすべし 026 EZE 006 013 彼等の殺さるる者その偶像の中にありその壇の周圍にあり諸の高岡にあり諸の山の頂にあり諸の靑樹の下にあり諸の茂れる橡樹の下にあり彼等が馨しき香をその諸の偶像にささげたる處にあらん其時汝等はわがヱホバなるを知るべし 026 EZE 006 014 我手をかれらの上に伸べ凡てかれらの住居ところにて其地を荒してデブラの野にもまさる荒地となすべし是によりて彼らはわがヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 007 001 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 007 002 汝人の子よ主ヱホバかくいふイスラエルの地の末期いたる此國の四方の境の末期來れり 026 EZE 007 003 今汝の末期いたる我わが忿怒を汝に洩らし汝の行にしたがひて汝を鞫き汝の諸の憎むべき物のために汝を罰せん 026 EZE 007 004 わが目は汝を惜み見ず我なんぢを憫まず汝の行の爲に汝を罰せん汝のなせし憎むべき事の報汝の中にあるべし是によりて汝等はわがヱホバなるを知らん 026 EZE 007 005 主ヱホバかくいひ給ふ視よ災禍あり非常災禍きたる 026 EZE 007 006 末期きたる其末期きたる是起りて汝に臨む視よ來る 026 EZE 007 007 此地の人よ汝の命數いたる時いたる日ちかし山々には擾亂のみありて喜樂の聲なし 026 EZE 007 008 今我すみやかに吾憤恨を汝に蒙らせわが怒氣を汝に洩しつくし汝の行爲にしたがひて汝を鞫き汝の諸の憎むべきところの事のために汝を罰せん 026 EZE 007 009 わが目は汝を惜み見ず我汝をあはれまず汝の行のために汝を罰せん汝の爲し憎むべき事の果報汝の中にあるべし是によりて汝等は我ヱホバの汝を撃なるを知ん 026 EZE 007 010 視よ日きたる視よ來れり命數いたりのぞむ杖花咲き驕傲茁す 026 EZE 007 011 暴逆おこりて惡の杖と成る彼等もその群衆もその驕奢も皆失んかれらの中には何も殘る者なきにいたるべし 026 EZE 007 012 時きたる日ちかづけり買者は喜ぶなかれ賣者は思ひわづらふなかれ怒その群衆におよぶべければなり 026 EZE 007 013 賣者は假令その生命ながらふるともその賣たる者に歸ることあたはじ此地の全の群衆をさすところの預言は廢らざるべければなり其惡の中にありて生命を全うする者なかるべし 026 EZE 007 014 人衆ラツパを吹て凡て預備をなせども戰にいづる者なし其はわが怒その全の群衆におよべばなり 026 EZE 007 015 外には劍あり内には疫病と饑饉あり田野にをる者は劍に死なん邑の中にをる者は饑饉と疫病これをほろぼすべし 026 EZE 007 016 その中の逃るる者は逃れて谷の鴿のごとくに山の上にをりて皆その罪のために悲しまん 026 EZE 007 017 手みな弱くなり膝みな水となるべし 026 EZE 007 018 彼等は麻の衣を身にまとはん恐懼かれらを蒙まん諸の面には羞あらはれ諸の首は髮をそりおとされん 026 EZE 007 019 彼等その銀を街にすてん其金はかれらに塵芥のごとくなるべしヱホバの怒の日にはその金銀もかれらを救ふことあたはざるなり是等はその心魂を滿足せしめず其腹を充さず唯彼等をつまづかせて惡におとしいるる者なり 026 EZE 007 020 彼の美しき飾物を彼等驕傲のために用ひ又これをもてその憎べき偶像その憎むべき物をつくれり是をもて我これを彼らに芥とならしむ 026 EZE 007 021 我これを外國人にわたして奪はしめ地の惡人にわたして掠めしめん彼等すなはちこれを汚すべし 026 EZE 007 022 我かれらにわが面を背くべければ彼等わが密たる所を汚さん強暴人其處にいりてこれを汚すべし 026 EZE 007 023 汝鏈索を作れよ死にあたる罪國に滿ち暴逆邑に充たり 026 EZE 007 024 我國々の中の惡き者等を招きて彼らの家を奪しめん我強者の驕傲を止めんその聖所は汚さるべし 026 EZE 007 025 滅亡きたれり彼等平安を求むれども得ざるなり 026 EZE 007 026 災害に災害くははり注進に注進くははる彼等預言者に默示を求めん律法は祭司の中に絕え謀略は長老の中に絕べし 026 EZE 007 027 王は哀き牧伯は驚惶を身に纏ひ國の民の手は慄へん我その行爲に循ひて彼らを處置ひその審判に循ひて彼らを罰せん彼等は我ヱホバなるを知にいたるべし 026 EZE 008 001 爰に六年の六月五日に我わが家に坐しをりユダの長老等わがまへに坐りゐし時主ヱホバの手われの上に降れり 026 EZE 008 002 我すなはち視しに火のごとくに見ゆる形象あり腰より下は火のごとく見ゆ腰より上は光輝て見え燒たる金屬の色のごとし 026 EZE 008 003 彼手のごとき者を伸て吾が頭髮を執りしかば靈われを地と天の間に曳あげ神の異象の中に我をヱルサレムに携へゆき北にむかへる内の門の口にいたらしむ其處に嫉妬をおこすところの嫉妬の像たてり 026 EZE 008 004 彼處にイスラエルの神の榮光あらはる吾が平原にて見たる異象のごとし 026 EZE 008 005 彼われに言たまふ人の子よ目をあげて北の方をのぞめと我すなはち目をあげて北の方を望むに視よ壇の門の北にあたりてその入口に此嫉妬の像あり 026 EZE 008 006 彼また我にいひたまふ人の子よ汝かれらが爲ところ即ちイスラエルの家が此にてなすところの大なる憎むべき事を見るや我これがために吾が聖所をはなれて遠くさるべし汝身を轉らせ復大なる憎むべき事等を見ん 026 EZE 008 007 斯て彼われを領て庭の門にいたりたまふ我見しに其壁に一の穴あり 026 EZE 008 008 彼われに言たまふ人の子よ壁を穿てよと我すなはち壁を鑿つに一箇の戸あるを視る 026 EZE 008 009 茲に彼われにいひ給ひけるは入て彼等が此になすところの惡き憎むべき事等を見よと 026 EZE 008 010 便ち入りて見るに諸の爬蟲と憎むべき獸畜の形およびイスラエルの家の諸の偶像その周圍の壁に畵きてあり 026 EZE 008 011 イスラエルの家の長老七十人その前に立てりシヤパンの子ヤザニヤもかれらの中に立ちてあり各手に香爐を執るその香の煙雲のごとくにのぼれり 026 EZE 008 012 彼われに言たまひけるは人の子よ汝イスラエルの家の長老等が暗におこなふ事即ちかれらが各人その偶像の間におこなふ事を見るや彼等いふヱホバは我儕を見ずヱホバこの地を棄てたりと 026 EZE 008 013 また我に言たまはく汝身を轉らせ復かれらが爲すところの大なる憎むべき事等を見ん 026 EZE 008 014 斯て彼我を携てヱホバの家の北の門の入口にいたるに其處に婦女等坐してタンムズのために哭をる 026 EZE 008 015 彼われに言たまふ人の子よ汝これを見るや又身を轉らせよ汝これよりも大なる憎むべき事等を見ん 026 EZE 008 016 彼また我を携てヱホバの家の内庭にいたるにヱホバの宮の入口にて廊と壇の間に二十五人ばかりの人その後をヱホバの宮にむけ面を東にむけ東にむかひて日の前に身を鞠めをる 026 EZE 008 017 彼われに言たまふ人の子よ汝これを見るやユダの家はその此におこなふところの憎むべき事等をもて瑣細き事となすにや亦暴逆を國に充して大に我を怒らす彼等は枝をその鼻につくるなり 026 EZE 008 018 然ば我また怒をもて事をなさん吾目はかれらを惜み見ず我かれらを憫まじ彼等大聲にわが耳に呼はるとも我かれらに聽じ 026 EZE 009 001 斯て彼大聲に吾耳に呼はりて言たまふ邑を主どる者等各々剪滅の器具を手にとりて前み來れと 026 EZE 009 002 即ち北にむかへる上の門の路より六人の者おのおの打壞る器具を手にとりて來る其中に一人布の衣を着筆記人の墨盂を腰におぶる者あり彼等來りて銅の壇の傍に立てり 026 EZE 009 003 爰にイスラエルの神の榮光その居るところのケルブの上より起あがりて家の閾にいたり彼の布の衣を着て腰に筆記人の墨盂をおぶる者を呼ぶ 026 EZE 009 004 時にヱホバかれに言たまひけるは邑の中ヱルサレムの中を巡れ而して邑の中に行はるるところの諸の憎むべき事のために歎き哀しむ人々の額に記號をつけよと 026 EZE 009 005 我聞に彼またその他の者等にいひたまふ彼にしたがひて邑を巡りて撃てよ汝等の目人を惜み見るべからず憐れむべからず 026 EZE 009 006 老人も少者も童女も孩子も婦人も悉く殺すべし然ど身に記號ある者には觸べからず先わが聖所より始めよと彼等すなはち家の前にをりし老人より始む 026 EZE 009 007 彼またかれらに言たまふ家を汚し死人をもて庭に充せよ汝等往けよと彼等すなはち出ゆきて邑の中に人を撃つ 026 EZE 009 008 彼等人を撃ちける時我遺されたれば俯伏て叫び言ふ嗚呼主ヱホバよ汝怒をヱルサレムにもらしてイスラエルの殘餘者を悉くほろぼしたまふや 026 EZE 009 009 彼われに言たまひけるはイスラエルとユダの家の罪甚だ大なり國には血盈ち邑には邪曲充つ即ち彼等いふヱホバは此地を棄てたりヱホバは見ざるなりと 026 EZE 009 010 然ば亦わが目かれらを惜み見ず我かれらを憐まじ彼らの行ふところを彼等の首に報いん 026 EZE 009 011 時にかの布の衣を着て腰に筆記人の墨盂をおぶる人復命まをして言ふ汝が我に命じたまひしごとく爲たりと 026 EZE 010 001 茲に我見しにケルビムの首の上なる穹蒼に靑玉のごとき者ありて寶位の形に見ゆ彼そのケルビムの上にあらはれたまひて 026 EZE 010 002 かの布の衣を着たる人に告て言たまひけるはケルビムの下なる輪の間に入りて汝の手にケルビムの間の炭火を盈し之を邑に散すべしとすなはち吾目の前にて其處に入しが 026 EZE 010 003 其人の入る時ケルビムは家の右に立をり雲その内庭に盈り 026 EZE 010 004 茲にヱホバの榮光ケルブの上より昇りて家の閾にいたる又家には雲滿ちその庭にはヱホバの榮光の輝光盈てり 026 EZE 010 005 時にケルビムの羽音外庭に聞ゆ全能の神の言語たまふ聲のごとし 026 EZE 010 006 彼布の衣を着たる人に命じて輪の間ケルビムの間より火を取れと言たまひければ即ち入りて輪の傍に立ちけるに 026 EZE 010 007 一のケルブその手をケルビムの間より伸てケルビムの間の火を取り之をかの布の衣を着たる人の手に置れたれば彼これを取りて出づ 026 EZE 010 008 ケルビムに人の手の形の者ありて其翼の下に見ゆ 026 EZE 010 009 我見しにケルビムの側に四箇の輪あり此ケルブにも一箇の輪あり彼ケルブにも一箇の輪あり輪の式は黄金色の玉のごとくに見ゆ 026 EZE 010 010 その式は四箇みな同じ形にして輪の中に輪のあるがごとし 026 EZE 010 011 その行ときは四方に行く行にまはることなし首の向ふところに從ひ行く行にまはることなし 026 EZE 010 012 その全身その脊その手その翼および輪には四周に徧く目ありその四箇みな輪あり 026 EZE 010 013 我聞に轉回れと輪にむかひてよばはるあり 026 EZE 010 014 其は各々四の面あり第一の面はケルブの面第二の面は人の面第三のは獅子の面第四のは鷲の面なり 026 EZE 010 015 ケルビムすなはち昇れり是わがケバル河の邊にて見たるところの生物なり 026 EZE 010 016 ケルビムの行く時は輪もその傍に行きケルビム翼をあげて地より飛上る時は輪またその傍を離れず 026 EZE 010 017 その立つときは立ちその上る時は俱に上れりその生物の靈は其等の中にあり 026 EZE 010 018 時にヱホバの榮光家の閾より出ゆきてケルビムの上に立ちければ 026 EZE 010 019 ケルビムすなはちその翼をあげ出ゆきてわが目の前にて地より飛のぼれり輪はその傍にあり而して遂にヱホバの家の東の門の入口にいたりて止るイスラエルの神の榮光その上にあり 026 EZE 010 020 是すなはち吾がケバル河の邊にてイスラエルの神の下に見たるところの生物なり吾そのケルビムなるを知れり 026 EZE 010 021 是等には各々四宛の面あり各箇四の翼あり又人の手のごとき物その翼の下にあり 026 EZE 010 022 その面の形は吾がケバル河の邊にて見たるところの面なりその姿も身も然り各箇その面にしたがひて行けり 026 EZE 011 001 茲に靈我を擧げてヱホバの室の東の門に我を携へゆけり門は東に向ふ視るにその門の入口に二十五人の人あり我その中にアズルの子ヤザニヤおよびベナヤの子ペラテヤ即ち民の牧伯等を見る 026 EZE 011 002 彼われに言たまひけるは人の子よ此邑において惡き事を考へ惡き計謀をめぐらす者は此人々なり 026 EZE 011 003 彼等いふ家を建ることは近からず此邑は鍋にして我儕は肉なりと 026 EZE 011 004 是故にかれらに預言せよ人の子よ預言すべし 026 EZE 011 005 時にヱホバの靈わが上に降りて我にいひ給ひけるはヱホバかく言ふと言べしイスラエルの家よ汝等は斯いへり汝等の心におこる所の事は我これを知るなり 026 EZE 011 006 汝等は此邑に殺さるる者を増し死人をもて街衢に充せり 026 EZE 011 007 是故に主ヱホバ斯いふ汝等が邑の中に置くところのその殺されし者はすなはち肉にして邑は鍋なり然ど人邑の中より汝等を曳いだすべし 026 EZE 011 008 汝等は刀劍を懼る我劍を汝等にのぞましめんと主ヱホバいひたまふ 026 EZE 011 009 我なんぢらを其中よりひき出し外國人の手に付して汝等に罰をかうむらすべし 026 EZE 011 010 汝等は劍に踣れん我イスラエルの境にて汝等を罰すべし汝等は是によりてわがヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 011 011 是は汝らの鍋とならず汝らはその中の肉たることを得ざるなりイスラエルの境にて我汝らに罰をかうむらすべし 026 EZE 011 012 汝ら即ちわがヱホバなるを知にいたらん汝らはわが憲法に遵はずわが律法を行はずしてその周圍の外國人の慣例のごとくに事をなせり 026 EZE 011 013 斯てわが預言しをる時にベナヤの子ペラテヤ死たれば我俯向に伏て大聲に叫び嗚呼主ヱホバよイスラエルの遺餘者を盡く滅ぼさんとしたまふやといふに 026 EZE 011 014 ヱホバの言われに臨みていふ 026 EZE 011 015 人の子よ汝の兄弟汝の兄弟たる者は汝の親族の人々にして即ちイスラエルの全家全躰なりヱルサレムに居る人々は是にむかひて汝等は遠くヱホバをはなれて居れ此地はわれらの所有としてあたへらると言ふ 026 EZE 011 016 是故に汝言ふべしヱホバかく言ひたまふ我かれらを遠く逐やりて國々に散したればその往る國々に於て暫時の間かれらの聖所となると 026 EZE 011 017 是故に言ふべし主ヱホバかく言たまふ我なんぢらを諸の民の中より集へ汝等をその散されたる國々より聚めてイスラエルの地を汝らに與へん 026 EZE 011 018 彼等は彼處に到りその諸の汚たる者とその諸の憎むべき者を彼處より取除かん 026 EZE 011 019 我かれらに唯一の心を與へ新しき靈を汝らの衷に賦けん我かれらの身の中より石の心を取さりて肉の心を與ヘ 026 EZE 011 020 彼らをしてわが憲法に遵はしめ吾律法を守りて之を行はしむべし彼らはわが民となり我はかれらの神とならん 026 EZE 011 021 然どその汚れたる者とその憎むべき者の心をもておのれの心となす者等は我これが行ふところをその首に報ゆべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 011 022 茲にケルビムその翼をあぐ輪その傍にありイスラエルの神の榮光その上に在す 026 EZE 011 023 ヱホバの榮光つひに邑の中より昇りて邑の東の山に立てり 026 EZE 011 024 時に靈われを擧げ神の靈に由りて異象の中に我をカルデヤに携へゆきて俘囚者の所にいたらしむ吾見たる異象すなはちわれを離れて昇れり 026 EZE 011 025 かくて我ヱホバの我にしめしたまひし言を盡く俘囚者に告たり 026 EZE 012 001 ヱホバの言また我にのぞみて云ふ 026 EZE 012 002 人の子よ汝は背戻る家の中に居る彼等は見る目あれども見ず聞く耳あれども聞ず背戻る家なり 026 EZE 012 003 然ば人の子よ移住の器具を備へかれらの目の前にて晝の中に移れ彼らの目の前にて汝の處より他の處に移るべし彼等は背戻る家なれども或は見て考ふることあらん 026 EZE 012 004 汝移住の器具のごとき器具を彼等の目の前にて晝の中に持いだせ而して移住者の出ゆくがごとく彼等の目の前にて宵の中に出ゆくべし 026 EZE 012 005 即ちかれらの目の前にて壁をやぶりて之を其處より持いだせ 026 EZE 012 006 彼らの目の前にてこれを肩に負ひ黑暗の中にこれを持いだすべし汝の面を掩へ地を見るなかれ我汝を豫兆となしてイスラエルの家に示すなり 026 EZE 012 007 我すなはち命ぜられしごとく爲し移住の器具のごとき器具を晝の中に持いだし又宵に手をもて壁をやぶり黑暗の中にこれを持いだし彼らの目の前にてこれを肩に負り 026 EZE 012 008 明旦におよびてヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 012 009 人の子よ背戻る家なるイスラエルの家汝にむかひて汝なにを爲やと言しにあらずや 026 EZE 012 010 汝かれらに言ふべし主ヱホバかく言たまふこの負荷はヱルサレムの君主および彼等の中なるイスラエルの全家に當るなり 026 EZE 012 011 汝また言ふべし我は汝等の豫兆なりわが爲るごとく彼等然なるべし彼等は擄へうつされん 026 EZE 012 012 彼らの中の君主たる者黑暗のうちに物を肩に載て出ゆかん彼等壁をやぶりて其處より物を持いだすべし彼はその面を覆ひて土地を目に見ざらん 026 EZE 012 013 我わが網を彼の上に打かけん彼はわが羅にかかるべし我かれをカルデヤ人の地に曳ゆきてバビロンにいたらしめん然れども彼はこれを見ずして其處に死べし 026 EZE 012 014 凡て彼の四周にありて彼を助くる者およびその軍兵は皆我これを四方に散し刀刃をぬきて其後をおふべし 026 EZE 012 015 吾がかれらを諸の民の中に散し國々に撒布さん時にいたりて彼らは我のヱホバなるをしるべし 026 EZE 012 016 但し我かれらの中に僅少の人を遺して劍と饑饉と疫病を免れしめ彼らをしてそのおこなひし諸の憎むべき事をその到るところの民の中に述しめん彼等はわがヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 012 017 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 012 018 人の子よ汝發震て食物を食ひ戰慄と恐懼をもて水を飮め 026 EZE 012 019 而してこの地の民に言べし主ヱホバ、ヱルサレムの民のイスラエルにをる者に斯いひたまふ彼等は懼れて食物を食ひ驚きて水を飮にいたるべし是はその地凡てその中に住る者の暴逆のために富饒をうしなひて荒地となるが故なり 026 EZE 012 020 人の住る邑々は荒はて國は滅亡ぶべし汝等すなはち我がヱホバなるを知ん 026 EZE 012 021 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 012 022 人の子よイスラエルの國の中に汝等いふ日は延び默示はみな空しくなれりと是何の言ぞや 026 EZE 012 023 是故に汝彼等に言べし主ヱホバかくいひ給ふ我この言を止め彼等をして再びこれをイスラエルの中に言ことなからしめん即ち汝かれらに言へ其日とその諸の默示の言は近づけりと 026 EZE 012 024 イスラエルの家には此後重ねて空浮き默示と虛僞の占卜あらざるべし 026 EZE 012 025 夫我はヱホバなり我わが言をいださん吾いふところは必ず成んかさねて延ることあらじ背戻る家よ汝等が世にある日に我言を發して之を成すべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 012 026 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 012 027 人の子よ視よイスラエルの家言ふ彼が見たる默示は許多の日の後の事にして彼は遙後の事を預言するのみと 026 EZE 012 028 是故にかれらに言ふべし主ヱホバかくいひたまふ我言はみな重ねて延ず吾がいへる言は成べしと主ヱホバこれを言ふなり 026 EZE 013 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 013 002 人の子よ預言を事とするイスラエルの預言者にむかひて預言せよ彼のおのれの心のままに預言する者等に言ふべし汝らヱホバの言を聽け 026 EZE 013 003 主ヱホバかくいひ給ふ彼の何をも見ずして己の心のままに行ふところの愚なる預言者は禍なるかな 026 EZE 013 004 イスラエルよ汝の預言者は荒墟にをる狐のごとくなり 026 EZE 013 005 汝等は破壞口を守らずまたイスラエルの家の四周に石垣を築きてヱホバの日に防ぎ戰はんともせざるなり 026 EZE 013 006 彼らは虛浮者および虛妄の占卜を見る彼等はヱホバいひたまふと言ふといへどもヱホバはかれらを遣さざるなり然るに彼らその言の成らんことを望む 026 EZE 013 007 汝らは空しき異象を見虛妄の占卜を宣べ吾が言ふことあらざるにヱホバいひ給ふと言ふにあらずや 026 EZE 013 008 是故に主ヱホバかくいひたまふ汝等空虛き事を言ひ虛僞の物を見るによりて我なんぢらを罰せん主ヱホバこれをいふ 026 EZE 013 009 我手はかの虛浮き事を見虛僞の事を卜ひいふところの預言者等に加はるべし彼等はわが民の會にをらずなりイスラエルの家の籍にしるされずイスラエルの地にいることをえざるべし汝等すなはち吾のヱホバなるをしるにいたらん 026 EZE 013 010 かれらは吾民を惑し平安あらざるに平安といふ又わが民の屏を築くにあたりて彼等灰砂をもて之を圬る 026 EZE 013 011 是故にその灰砂を圬る者に是は圮るべしと言へ大雨くだらん雹よ降れ大風よ吹べし 026 EZE 013 012 視よ屏は圮る然ば人々汝等が用ひて圬たる灰砂は何處にあるやと汝等に言ざらんや 026 EZE 013 013 即ち主ヱホバかく言たまふ我憤恨をもて大風を吹せ忿怒をもて大雨を注がせ憤恨をもて雹を降せてこれを毀つべし 026 EZE 013 014 我なんぢらが灰砂をもて圬たる屏を毀ちてこれを地に倒しその基礎を露にすべし是すなはち圮れん汝等はその中にほろびて吾のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 013 015 斯われその屏とこれを灰砂にてぬれる者とにむかひてわが憤恨を洩しつくして汝等にいふべし屏はあらずなり又灰砂にてこれを圬る者もあらずなれりと 026 EZE 013 016 是すなはちイスラエルの預言者等なり彼等はヱルサレムにむかひて預言をなし其處に平安のあらざるに平安の默示を見たりといへり主ヱホバこれをいふ 026 EZE 013 017 人の子よ汝の民の女等の其心のままに預言する者に汝の面をむけ之にむかひて預言し 026 EZE 013 018 言べし主ヱホバかくいひたまふ吾手の節々の上に小枕を縫つけ諸の大さの頭に帽子を造り蒙せて靈魂を獵んとする者は禍なるかな汝等はわが民の靈魂を獵て己の靈魂を生しめんとするなり 026 EZE 013 019 汝等小許の麥のため小許のパンのために吾民の前にて我を汚しかの僞言を聽いるる吾民に僞言を陳て死べからざる者を死しめ生べからざる者を生しむ 026 EZE 013 020 是故に主ヱホバかくいひたまふ我汝等が用ひて靈魂を獵ところの小枕を奪ひ靈魂を飛さらしめん我なんぢらの臀より小枕を裂とりて汝らが獵ところの靈魂を釋ち其靈魂を飛さらしむべし 026 EZE 013 021 我なんぢらの帽子を裂き吾民を汝らの手より救ひいださん彼等はふたたび汝等の手に陷りて獵れざるべし汝らは吾ヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 013 022 汝等虛僞をもて義者の心を憂へしむ我はこれを憂へしめざるなり又汝等惡者の手を強くし之をしてその惡き道を離れかへりて生命を保つことをなさしめず 026 EZE 013 023 是故に汝等は重ねて虛浮き物を見ることを得ず占卜をなすことを得ざるに至るべし我わが民を汝らの手より救ひいださん汝等すなはちわがヱホバなるを知にいたるべし 026 EZE 014 001 爰にイスラエルの長老の中の人々我にきたりて吾前に坐しけるに 026 EZE 014 002 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 014 003 人の子よこの人々はその偶像を心の中に立しめ罪に陷いるるところの障礙をその面の前に置なり我あに是等の者の求を容べけんや 026 EZE 014 004 然ば汝かれらに告げて言ふべし主ヱホバかくいひたまふ凡そイスラエルの家の人のその心の中に偶像を立しめその面のまへに罪に陷いるるところの障礙を置きて預言者に來る者には我ヱホバその偶像の多衆にしたがひて應をなすべし 026 EZE 014 005 斯して我イスラエルの家の人の心を執へん是かれら皆その偶像のために我を離れたればなり 026 EZE 014 006 是故にイスラエルの家に言ふべし主ヱホバかくいひたまふ汝等悔い汝らの偶像を棄てはなるべし汝等面を回らしてその諸の憎むべき物を離れよ 026 EZE 014 007 凡てイスラエルの家およびイスラエルに寓るところの外國人若われを離れてその偶像を心の中に立しめ其面の前に罪に陷るるところの障礙をおきて預言者に來りその心のままに我に求むる時は我ヱホバわが心のままにこれに應ふべし 026 EZE 014 008 即ち我面をその人にむけこれを滅して兆象となし諺語となし之をわが民の中より絕さるべし汝等これによりて我がヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 014 009 もし預言者欺かれて言を出すことあらば我ヱホバその預言者を欺けるなり我かれの上にわが手を伸べ吾民イスラエルの中より彼を絕さらん 026 EZE 014 010 彼等その罪を負ふべしその預言者の罪はかの問求むる者の罪のごとくなるべし 026 EZE 014 011 是イスラエルの民をして重ねて我を離れて迷はざらしめ重ねてその諸の愆に汚れざらしめんため又かれらの吾民となり我の彼らの神とならんためなり主ヱホバこれをいふ 026 EZE 014 012 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 014 013 人の子よ國もし悖れる事をおこなひて我に罪を犯すことあり我手をその上に伸て其杖とたのむところのパンを打碎き饑饉を之におくりて人と畜とをその中より絕ことある時には 026 EZE 014 014 其處にかのノア、ダニエル、ヨブの三人あるも只其義によりて己の生命を救ふことをうるのみなり主ヱホバこれをいふ 026 EZE 014 015 我もし惡き獸を國に行めぐらしめて之を子なき處となし荒野となして其獸のために其處を通る者なきに至らん時には 026 EZE 014 016 主ヱホバ言ふ我は活く此三人そこにをるもその子女を救ふことをえず只その身を救ふことを得るのみ國は荒野となるべし 026 EZE 014 017 又は我劍を國に臨ませて劍よ國を行めぐるべしと言ひ人と畜をそこより絕さらん時には 026 EZE 014 018 主ヱホバいふ我は活く此三人そこにをるもその子女をすくふことをえず只その身をすくふことを得るのみ 026 EZE 014 019 又われ疫病を國におくり血をもてわが怒をその上にそそぎ人と畜をそこより絕さらん時には 026 EZE 014 020 主ヱホバいふ我は活くノア、ダニエル、ヨブそこにをるもその子女を救ふことをえず只その義によりて己の生命を救ふことを得るのみ 026 EZE 014 021 主ヱホバかくいひたまふ然ばわが四箇の嚴しき罰すなはち劍と饑饉と惡き獸と疫病をヱルサレムにおくりて人と畜をそこより絕さらんとする時は如何にぞや 026 EZE 014 022 其中に逃れて遺るところの男子女子あり彼等携へ去らるべし彼ら出ゆきて汝等の所にいたらん汝らかれらの行爲と擧動を見ば吾がヱルサレムに災をくだせし事につきて心をやすむるにいたるべし 026 EZE 014 023 汝ら彼らの行爲と擧動を見ばこれがためにその心をやすむるにいたりわがこれに爲たる事は皆故なくして爲たるにあらざるなるをしるにいたらん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 015 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 015 002 人の子よ葡萄の樹森の中にあるところの葡萄の枝なんぞ他の樹に勝るところあらんや 026 EZE 015 003 其木物をつくるに用ふべけんや又人これを用ひて器をかくる木釘を造らんや 026 EZE 015 004 視よ是は火に投いれられて燃ゆ火もしその兩の端を燒くあり又その中間焦たらば爭でか物をつくるに勝べけんや 026 EZE 015 005 是はその全かる時すらも物を造るに用ふべからざれば况て火のこれを焚焦したる時には爭で物をつくるに用ふべけんや 026 EZE 015 006 是故に主ヱホバかく言たまふ我森の樹の中なる葡萄の樹を火になげいれて焚く如くにヱルサレムの民をも然するなり 026 EZE 015 007 我面をかれらに向けて攻む彼らは火の中より出たれども火なほこれを燒つくすべし我面をかれらにむけて攻むる時に汝らは我のヱホバなるをしらん 026 EZE 015 008 彼等悖逆る事をおこなひしに由て我かの地を荒地となすべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 016 001 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 016 002 人の子よヱルサレムに其憎むべき事等を示して 026 EZE 016 003 言ふべし主ヱホバ、ヱルサレムに斯いひたまふ汝の起本汝の誕生はカナンの地なり汝の父はアモリ人汝の母はヘテ人なり 026 EZE 016 004 汝の誕生を言んに汝の生れし日に汝の臍帶を斷ことなく又水にて汝を洗ひ潔むることなく鹽をもて汝を擦ることなく又布に裹むことなかりき 026 EZE 016 005 一人も汝を憐み見憫をもて是等の事の一をも汝になせし者なし汝の生れたる日に人汝の生命を忌て汝を野原に棄たり 026 EZE 016 006 我汝のかたはらを通りし時汝が血の中にをりて踐るるを見汝が血の中にある時汝に生よと言り即ち我なんぢが血の中にある時に汝に生よといへり 026 EZE 016 007 我野の百卉のごとくに汝を増して千萬となせり汝は生長て大きくなり美しき姿となるにいたり乳は堅くなり髮は長たりしが衣なくして裸なりき 026 EZE 016 008 茲に我汝の傍を通りて汝を見に今は汝の時汝の愛せらるべき時なりければ我衣服の裾をもて汝を覆ひ汝の恥るところを蔽し而して汝に誓ひ汝に契約をたてたり汝すなはち吾所屬となれり主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 016 009 斯て我水をもてなんぢを洗ひ汝の血を滌ぎおとして膏を汝にぬり 026 EZE 016 010 文繡あるものを着せ皮の鞋を穿たしめ細布を蒙らせ絹をもて汝の身を罩めり 026 EZE 016 011 而して飾物をもて汝をかざり腕環をなんぢの手にはめ金索を汝の項にかけしめ 026 EZE 016 012 鼻には鼻環 耳には耳環 首には華美なる冠冕をほどこせり 026 EZE 016 013 汝すなはち金銀をもて身を飾り細布と絹および文繡をその衣服となし麥粉と蜜と油とを食へり汝は甚だ美しくして遂に榮えて王の權勢に進みいたる 026 EZE 016 014 汝の美貌のために汝の名は國々にひろまれり是わが汝にほどこせしわれの飾物によりて汝の美麗極りたればなり主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 016 015 然るに汝その美麗を恃み汝の名によりて姦淫をおこなひ凡て其傍を過る者と縱恣に姦淫をなしたり是その人の所屬となる 026 EZE 016 016 汝おのれの衣服をとりて崇邱を彩り作りその上に姦淫をおこなへり是爲べからず有べからざる事なり 026 EZE 016 017 汝はわが汝にあたへし金銀の飾の品を取り男の像を造りて之と姦淫をおこなひ 026 EZE 016 018 汝の繡衣を取りて之に纒ひ吾の膏と香をその前に陳へ 026 EZE 016 019 亦わが汝にあたへし我の食物我が用ひて汝をやしなふところの麥粉油および蜜を其前に陳へて馨しき香氣となせり是事ありしと主ヱホバいひ給ふ 026 EZE 016 020 汝またおのれの我に生たる男子女子をとりてこれをその像にそなへて食はしむ汝が姦淫なほ小き事なるや 026 EZE 016 021 汝わが子等を殺し亦火の中を通らしめてこれに献ぐ 026 EZE 016 022 汝その諸の憎むべき事とその姦淫とをおこなふに當りて汝が若かりし日に衣なくして裸なりしことおよび汝が血のうちにをりて蹈れしことを想はざるなり 026 EZE 016 023 主ヱホバまた言たまふ汝は禍なるかな禍なるかな 026 EZE 016 024 汝その諸の惡をおこなひし後街衢街衢に樓をしつらひ臺を造り 026 EZE 016 025 また路の辻々に臺をつくりて汝の美麗を汚辱むることを爲し凡て傍を過るところの者に足をひらきて大に姦淫をおこなふ 026 EZE 016 026 汝かの肉の大なる汝の隣人エジプトの人々と姦淫をおこなひ大に姦淫をなして我を怒らせたれば 026 EZE 016 027 我手を汝の上にのべて汝のたまはる分を減し彼の汝を惡み汝の淫なる行爲を羞るところのペリシテ人の女等の心に汝をまかせたり 026 EZE 016 028 然るに汝は厭ことなければ亦アツスリヤの人々と姦淫をおこなひしが之と姦淫をおこなひたるも尚厭ことなかりき 026 EZE 016 029 汝また大に姦淫をおこなひてカナンの國カルデヤに迄およびしが是にても尚厭ことなし 026 EZE 016 030 主ヱホバいひたまふ汝の心如何に戀煩ふにや汝この諸の事を爲り是氣隨なる遊女の行爲なり 026 EZE 016 031 汝道の辻々に樓をしつらひ衢々に臺を造りしが金錢を輕んじたれば娼妓のごとくならざりき 026 EZE 016 032 夫淫婦はその夫のほかに他人と通ずるなり 026 EZE 016 033 人は凡て娼妓に物を贈るなるに汝はその諸の戀人に物をおくり且汝と姦淫せんとて四方より汝に來る者に報金を與ふ 026 EZE 016 034 汝は姦淫をおこなふに當りて他の婦と反す即ち人汝を戀求むるにあらざるなり汝金錢を人にあたへて人金錢を汝にあたへざるは是その相反するところなり 026 EZE 016 035 然ば娼妓よヱホバの言を聽け 026 EZE 016 036 主ヱホバかく言たまふ汝金銀を撒散し且汝の戀人と姦淫して汝の恥處を露したるに由り又汝の憎むべき諸の偶像と汝が之にささげたる汝の子等の血の故により 026 EZE 016 037 視よ我汝が交れる諸の戀人および凡て汝が戀たる者並に凡て汝が惡みたる者を集め四方よりかれらを汝の所に集め汝の恥處を彼らに現さん彼ら汝の恥處を悉く見るべし 026 EZE 016 038 我姦淫を爲せる婦および血をながせる婦を鞫くがごとくに汝を鞫き汝をして忿怒と嫉妬の血とならしむべし 026 EZE 016 039 我汝を彼等の手に付せば彼等汝の樓を毀ち汝の臺を倒しなんぢの衣服を褫取り汝の美しき飾を奪ひ汝をして衣服なからしめ裸にならしむべし 026 EZE 016 040 彼等群衆をひきゐて汝の所にのぼり石をもて汝を撃ち劍をもて汝を切さき 026 EZE 016 041 火をもて汝の家を焚き多くの婦女の目の前にて汝を鞫かん斯われ汝をして姦淫を止しむべし汝は亦ふたたび金錢をあたふることなからん 026 EZE 016 042 我ここに於て汝に對するわが怒を息め汝にかかはるわが嫉妬を去り心をやすんじて復怒らざらん 026 EZE 016 043 主ヱホバいひたまふ汝その若かりし日の事を記憶えずしてこの諸の事をもて我を怒らせたれば視よ我も汝の行ふところを汝の首に報ゆべし汝その諸の憎むべき事の上に此惡事をなしたるにあらざるなり 026 EZE 016 044 視よ諺語をもちふる者みな汝を指てこの諺を用ひ言ん母のごとくに女も然りと 026 EZE 016 045 汝の母はその夫と子女を棄たり汝はその女なり汝の姉妹はその夫と子女を棄たり汝はその姉妹なり汝の母はヘテ人汝の父はアモリ人なり 026 EZE 016 046 汝の姉はサマリヤなり彼その女子等とともに汝の左に住む汝の妹はソドムなり彼その女子等とともに汝の右に住む 026 EZE 016 047 汝は只少しく彼らの道に歩み彼らの憎むべきところの事等を行ひしのみにあらず汝の爲る事は皆かれらのよりも惡かりき 026 EZE 016 048 主ヱホバ言たまふ我は活く汝の妹ソドムと其女子らが爲しところは汝とその女子らが爲しところの如くはあらざりき 026 EZE 016 049 汝の妹ソドムの罪は是なり彼は傲り食物に飽きその女子らとともに安泰にをり而して難める者と貧しき者を助けざりき 026 EZE 016 050 かれらは傲りわが前に憎むべき事をなしたれば我見てかれらを掃ひ除けり 026 EZE 016 051 サマリヤは汝の罪の半分ほども罪を犯さざりき汝は憎むべき事等を彼らよりも多く行ひ増し汝の爲たる諸の憎むべき事のために汝の姉妹等をして義きが如くならしめたり 026 EZE 016 052 然ば汝が曾てその姉妹等の蒙るべき者と定めたるところの恥辱を汝もまた蒙れよ汝が彼等よりも多くの憎むべき事をなしたるその罪の爲に彼等は汝よりも義くなれり然ば汝も辱を受け恥を蒙れ是は汝その姉妹等を義き者となしたればなり 026 EZE 016 053 我ソドムとその女等の俘囚をかへしサマリヤとその女等の俘囚をかへさん時に其と同じ擄はれたる汝の俘囚人を歸し 026 EZE 016 054 汝をして恥を蒙らしめ汝が凡て爲たるところの事を羞しむべし汝かく彼らの慰とならん 026 EZE 016 055 汝の姉妹ソドムとその女子等は舊の樣に歸りサマリヤとその女子等は舊の樣に歸らん又汝と汝の女子等も舊の樣にかへるべし 026 EZE 016 056 汝はその驕傲れる日には汝の姉妹ソドムの事を口に述ざりき 026 EZE 016 057 汝の惡の露れし時まで即ちスリアの女子等と凡て汝の周圍の者ペリシテ人の女等が四方より汝を嬲りて辱しめし時まで汝は是のごとくなりき 026 EZE 016 058 ヱホバいひたまふ汝の淫なる行爲と汝のもろもろの憎むべき事とは汝みづからこれを身に負ふなり 026 EZE 016 059 主ヱホバかく言たまふ誓言を輕んじて契約をやぶりたるところの汝には我汝の爲るところにしたがひて爲べし 026 EZE 016 060 我汝の若かりし日に汝になせし契約を記憶え汝と限りなき契約をたてん 026 EZE 016 061 汝その姉妹の汝より大なる者と小き者とを得る時にはおのれの行爲をおぼえて羞ん彼等は汝の契約に屬する者にあらざれども我かれらを汝にあたへて女となさしむべし 026 EZE 016 062 我汝と契約をたてん汝すなはち吾のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 016 063 我なんぢの凡て行ひしところの事を赦す時には汝憶えて羞ぢその恥辱のために再び口を開くことなかるべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 017 001 爰にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 017 002 人の子よ汝イスラエルの家に謎をかけ譬言を語りて 026 EZE 017 003 言べし主ヱホバかく言たまふ大なる翼長き羽ありて種々の色の毛の滿たる大鷲レバノンに來りて香柏の梢を採り 026 EZE 017 004 其芽の巓を摘みカナンの地にこれを持きたりて商人の邑に置きけるが 026 EZE 017 005 又その地の種をとりて之を種田に播けりすなはち之を水の多き處にもちゆきて柳のごとくにこれを樹しに 026 EZE 017 006 成長ちて丈卑き垂さがりたる葡萄樹となり其枝は鷲にむかひその根は鷲の下にあり遂に葡萄樹となりて芽をふき葉を出す 026 EZE 017 007 此に又大なる翼多くの羽ある一箇の大鷲ありしがその葡萄樹根をこれにむかひて張り枝をこれにむかひて伸べ之をしてその植りたる地の外より水を灌がしめんとす 026 EZE 017 008 抑是を善き圃に多くの水の旁に植たるは根を張り實をむすびて盛なる葡萄樹とならしめんためなりき 026 EZE 017 009 なんぢ主ヱホバかく言ふといふべし是旺盛になるや鷲その根を拔きその果を絕ちて之を枯しめざらんや其芽の若葉は皆枯ん之を根より擧るには強き腕と多くの人を用ふるにおよばざるなり 026 EZE 017 010 是は樹られたれども旺盛にならんや東風これに當らば枯果ざらんや是その生たるところの地に枯べし 026 EZE 017 011 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 017 012 背ける家に言ふべし汝等此の何たるを知ざるかと又言へ視よバビロンの王ヱルサレムに來りその王とその牧伯等を執へてこれをバビロンに曳ゆけり 026 EZE 017 013 彼また王の族の一人を取てこれと契約を立て誓言をなさしめ又國の強き者等を執へゆけり 026 EZE 017 014 是この國を卑くして自ら立つことを得ざらしめその人をして契約を守りてこれを堅うせしめんがためなりき 026 EZE 017 015 然るに彼これに背きて使者をエジプトに遣し馬と多くの人を己におくらしめんとせり彼旺盛にならんや是を爲る者逃るることをえんや彼その契約をやぶりたり爭で逃るることを得んや 026 EZE 017 016 主ヱホバいひたまふ我は活く必ず彼は己を王となしたる彼王の處に偕にをりてバビロンに死べし彼その王の誓言を輕んじ其契約を破りたるなり 026 EZE 017 017 夫壘を築き雲梯を建てて衆多の人を殺さんとする時にはパロ大なる軍勢と衆多の人をもて彼のために戰爭をなさじ 026 EZE 017 018 彼は誓言を輕んじて契約を破る彼手を與へて却て此等の事をなしたれば逃るることを得ざるべし 026 EZE 017 019 故に主ヱホバかく言たまふ我は活く彼が我の誓言を輕んじ我の契約をやぶりたる事を必ずかれの首にむくいん 026 EZE 017 020 我わが網をかれの上にうちかけ彼をわが羅にとらへてバビロンに曳ゆき彼が我にむかひて爲しところの叛逆につきて彼を鞫くべし 026 EZE 017 021 彼の諸の軍隊の逃脱者は皆刀に仆れ生殘れる者は八方に散さるべし汝等は我ヱホバがこれを言しなるを知にいたらん 026 EZE 017 022 主ヱホバかく言たまふ我高き香柏の梢の一を取てこれを樹ゑその芽の巓より若芽を摘みとりて之を高き勝れたる山に樹べし 026 EZE 017 023 イスラエルの高山に我これを植ん是は枝を生じ果をむすびて榮華なる香柏となり諸の類の鳥皆その下に棲ひその枝の蔭に住はん 026 EZE 017 024 是に於て野の樹みな我ヱホバが高き樹を卑くし卑き樹を高くし綠なる樹を枯しめ枯木を綠ならしめしことを知ん我ヱホバこれを言ひ之を爲なり 026 EZE 018 001 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 018 002 汝等なんぞイスラエルの地に於て此諺語を用ひ父等酸き葡萄を食ひたれば子等の齒齼くと言ふや 026 EZE 018 003 主ヱホバいふ我は生く汝等ふたたびイスラエルに於てこの諺語をもちふることなかるべし 026 EZE 018 004 夫凡の靈魂は我に屬す父の靈魂も子の靈魂も我に屬するなり罪を犯せる靈魂は死べし 026 EZE 018 005 若人正義して公道と公義を行ひ 026 EZE 018 006 山の上に食をなさず目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず人の妻を犯さず穢れたる婦女に近づかず 026 EZE 018 007 何人をも虐げず質物を還し物を奪はずその食物を饑る者に與へ裸なる者に衣を着せ 026 EZE 018 008 利を取て貸さず息を取ず手をひきて惡を行はず眞實の判斷を人と人の間になし 026 EZE 018 009 わが法憲にあゆみ又吾が律例を守りて眞實をおこなはば是義者なり彼は生べし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 018 010 然ど彼子を生んにその子暴き者にして人の血をながし是の如き事の一箇を行ひ 026 EZE 018 011 是をば凡て行はずして山の上に食をなし人の妻を犯し 026 EZE 018 012 惱める者と貧しき者を虐げ物を奪ひ質物を還さず目をあげて偶像を仰ぎ憎むべき事をおこなひ 026 EZE 018 013 利をとりて貸し息を取ば彼は生べきや彼は生べからず彼この諸の憎むべき事をなしたれば必ず死べしその血はかれに歸せん 026 EZE 018 014 又子生れんに其子父のなせる諸の罪を視しかども視て斯有ことを行はず 026 EZE 018 015 山の上に食をなさず目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず人の妻を犯さず 026 EZE 018 016 何人をも虐げず質物を存留めず物を奪はず饑る者にその食物を與へ裸なる者に衣を着せ 026 EZE 018 017 その手をひきて惱める者を苦めず利と息を取ずわが律法を行ひわが法度に歩まば彼はその父の惡のために死ことあらじ必ず生べし 026 EZE 018 018 その父は甚だしく人を掠めその兄弟を痛く虐げその民の中に善らぬ事をなしたるに由てその惡のために死べし 026 EZE 018 019 しかるに汝等は子なんぞ父の惡を負ざるやと言ふ夫子は律法と公義を行ひわが凡ての法度を守りてこれを行ひたれば必ず生べし 026 EZE 018 020 罪を犯せる靈魂は死べし子は父の惡を負ず父は子の惡を負ざるなり義人の義はその人に歸し惡人の惡はその人に歸すべし 026 EZE 018 021 然ど惡人もしその凡て行ひしところの惡を離れわが諸の法度を守り律法と公義を行ひなばかならず生ん死ざるべし 026 EZE 018 022 その爲しところの咎は皆記念られざるべしその爲し義き事のために彼は生べし 026 EZE 018 023 主ヱホバ言たまふ我爭で惡人の死を好まんや寧彼がその道を離れて生んことを好まざらんや 026 EZE 018 024 若義人その義をはなれて惡を行ひ惡人の爲る諸の憎むべき事をなさば生べきや其なせし義き事は皆記念られざるべし彼はその爲る咎とその犯せる罪とのために死べし 026 EZE 018 025 然るに汝等主の道は正しからずと言ふ然ばイスラエルの家よ聽け吾道正しからざるやその正しからざる者は汝らの道にあらずや 026 EZE 018 026 若義人その義をはなれて惡を爲し其がために死ることあらば是その爲る惡のために死るなり 026 EZE 018 027 若惡人その爲る惡をはなれて律法と公義を行はばその靈魂を生しむることをえん 026 EZE 018 028 彼もし視てその行ひし諸の咎を離れなば必ず生ん死ざるべし 026 EZE 018 029 然るにイスラエルの家は主の道は正しからずといふイスラエルの家よわが道正しからざるやその正しからざる者は汝らの道にあらずや 026 EZE 018 030 主ヱホバいひ給ふ是故に我汝らをば各その道にしたがひて審くべし汝らその諸の咎を悔改めよ然らば惡汝らを躓かせて滅ぼすことなかるべし 026 EZE 018 031 汝等その行ひし諸の罪を棄去り新しき心と新しき靈魂を起すべしイスラエルの家よ汝らなんぞ死べけんや 026 EZE 018 032 我は死者の死を好まざるなり然ば汝ら悔て生よ主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 019 001 汝イスラエルの君等のために哀の詞をのべて 026 EZE 019 002 言ふべし汝の母なる牝獅は何故に牡獅の中に伏し小獅の中にその子を養ふや 026 EZE 019 003 彼その一の子を育てたれば小獅となりて食を攫ことを學ひ遂に人を食へり 026 EZE 019 004 國々の人これの事を聞きこれを陷阱にて執へ鼻環をほどこしてこれをエジプトの地にひきいたれり 026 EZE 019 005 牝獅姑く待しがその望を失ひしを見たれば又一個の子を取てこれを小獅とならしむ 026 EZE 019 006 是すなはち牝獅の中に歩みて小獅となり食を攫ことを學ひしが亦人を食ひ 026 EZE 019 007 其寡婦をしりその邑々を滅せりその咆哮聲によりてその地とその中に盈る者荒たり 026 EZE 019 008 是をもて四方の國人その國々より攻來り網をこれにうちかけ陷阱にてこれを執へ 026 EZE 019 009 鼻環をほどこして籠にいれ之をバビロンの王の許に曳いたりて城の中に携へ入れ其聲を再びイスラエルの山々に聞えざらしむ 026 EZE 019 010 汝の母は汝の血にして水の側に植たる葡萄樹のごとし水の多きがために結實多く蔓はびこれり 026 EZE 019 011 是に強き枝ありて君王等の杖となすべし是の長は雲に至りその衆多の枝のために高く聳えて見へたり 026 EZE 019 012 然るに是怒をもて拔れて地に擲たる東風その實を吹乾かしその強き枝は折れて枯れ火に焚る 026 EZE 019 013 今これは荒野にて乾ける水なき地に植りてあり 026 EZE 019 014 その枝の芽より火いでてその果を燒けば復強き枝の君王等の杖となるべき者其になし是哀の詞なり哀の詞となるべし 026 EZE 020 001 七年の五月十日にイスラエルの長老の中の人々ヱホバに問んとて來りてわが前に坐しけるに 026 EZE 020 002 ヱホバの言我にのぞみて云ふ 026 EZE 020 003 人の子よイスラエルの長老等に告て之にいふべし主ヱホバかく言ふ汝等我に問んとて來れるや主ヱホバいふ我は活く我汝らの問を容じと 026 EZE 020 004 汝かれらを鞫かんとするや人の子よ汝かれらを鞫かんとするや彼等の先祖等のなしたる憎むべき事等をかれらに知しめて 026 EZE 020 005 言べし主ヱホバかくいふ我イスラエルを選みヤコブの家の裔にむかひてわが手をあげエジプトの地にて我をかれらに知せかれらにむかひて吾手をあげて我は汝らの神ヱホバなりと言し日 026 EZE 020 006 その日に我かれらにむかひて吾手をあげエジプトの地よりかれらをいだし吾がかれらのために求め得たるその乳と蜜の流るる地に導かんとせり是諸の地の中の美しき者なり 026 EZE 020 007 而して我かれらに言けらく各人その目にあるところの憎むべき事等を棄てよエジプトの偶像をもてその身を汚すなかれ我は汝らの神ヱホバなりと 026 EZE 020 008 然るに彼らは我に背きて我に聽したがふことを好まざりき彼等一人もその目にあるところの憎むべき者を棄てずエジプトの偶像を棄てざりしかば我エジプトの地の中において吾憤恨をかれらに注ぎわが忿怒をかれらに洩さんと言り 026 EZE 020 009 然れども我わが名のために事をなして彼らをエジプトの地より導きいだせり是吾名の異邦人等の前に汚されざらんためなりその異邦人等の中に彼等居り又その前にて我おのれを彼等に知せたり 026 EZE 020 010 すなはち我エジプトの地より彼等を導き出して曠野に携ゆき 026 EZE 020 011 わが法憲をこれに授けわが律法をこれに示せり是は人の行ひて之に由て生べき者なり 026 EZE 020 012 我また彼らに安息日を與へて我と彼らの間の徴となしかれらをして吾ヱホバが彼らを聖別しを知しめんとせり 026 EZE 020 013 然るにイスラエルの家は曠野にて我に背き人の行ひて之によりて生べき者なるわが法度にあゆまず吾が律法を輕んじ大に吾が安息日を汚したれば曠野にてわが憤恨をかれらに注ぎてこれを滅さんと言ひたりしが 026 EZE 020 014 我わが名のために事をなせり是わが彼らを導きいだして見せしところの異邦人等の目のまへにわが名を汚されざらしめんためなりき 026 EZE 020 015 但し我曠野にて彼らにむかひて吾手をあげ彼らをわが與へしその乳と蜜の流るる地に導かじと誓へり是は諸の地の中の美しき者なり 026 EZE 020 016 是かれら心にその偶像を慕ひてわが律法を輕んじ棄てわが法憲にあゆまずわが安息日を汚したればなり 026 EZE 020 017 然りといへども吾かれらを惜み見てかれらを滅ぼさず曠野にて彼らを絕さざりき 026 EZE 020 018 我曠野にてかれらの子等に言り汝らの父の法度にあゆむなかれ汝らの律法を守るなかれ汝らの偶像をもて汝らの身を汚すなかれ 026 EZE 020 019 我は汝らの神ヱホバなり吾法度にあゆみ吾律法を守りてこれを行ひ 026 EZE 020 020 わが安息日を聖くせよ是は我と汝らの間の徴となりて汝らをして我が汝らの神ヱホバなるを知しめんと 026 EZE 020 021 然るにその子等我にそむき人の行ひてこれによりて活べき者なるわが法度にあゆまず吾律法をまもりて之をおこなはずわが安息日を汚したれば我わが憤恨を彼らにそそぎ曠野にてわが忿怒をかれらに洩さんと言たりしが 026 EZE 020 022 吾手を翻してわが名のために事をなせり是わが彼らを導き出して見せしところの異邦人等の目のまへにわが名を汚されざらしめんためなりき 026 EZE 020 023 但し我汝らを國々に散し處々に撒んと曠野にてかれらにむかひて我手を擧たり 026 EZE 020 024 是かれらわが律法を行はずわが法度を輕じわが安息日をけがしその父の偶像を目に慕ひたればなり 026 EZE 020 025 我かれらに善らぬ法度を與へかれらが由て活べからざる律法を與へ 026 EZE 020 026 彼らをしてその禮物によりて己の身を汚さしむ即ちかれらその長子をして火の中を通過しめたり是は我彼らを滅し彼らをして我のヱホバなるを知しめんためなり 026 EZE 020 027 然ば人の子よイスラエルの家につげて之にいふべし主ヱホバかくいひたまふ彼らの父等は更にまた不忠の罪ををかし我を瀆せり 026 EZE 020 028 我わが彼らに與へんと手をあげし此地にかれらを導きいれしに彼ら諸の高丘と諸の茂樹を尋ね得てその犠牲を其處に供へその憤らしき禮物をそこに獻げその馨しき佳氣をそこに奉つりその神酒をそこに灌げり 026 EZE 020 029 我かれらに言り汝らが往ところの崇き處は何なるやと其名は今日にいたるまでバマと言ふなり 026 EZE 020 030 この故にイスラエルの家に言ふべし主ヱホバかくいひたまふ汝らの先祖の途をもて汝らはその身を汚し彼等の憎むべき物をしたひてこれと姦淫を行ふにあらずや 026 EZE 020 031 汝等はその禮物を獻げその子女に火の中を通らしめて今日にいたるまで汝らの諸の偶像をもてその身を汚すなり然ばイスラエルの家よ我なんぢらの問を容るべけんや主ヱホバいふ我は活く我は汝らの問を容ざるなり 026 EZE 020 032 汝ら我儕は木と石に事へて異邦人の如くなり國々の宗族のごとくならんと言ば汝らの心に起るところの事は必ず成ざるべし 026 EZE 020 033 主ヱホバいふ我は生く我かならず強き手と伸たる腕をもて怒を注ぎて汝らを治めん 026 EZE 020 034 我強き手と伸たる腕をもて怒を注ぎて汝らを國々より曳いだし汝らが散れたる處々より汝らを集め 026 EZE 020 035 國々の曠野に汝らを導き其處にて面をあはせて汝らを鞫かん 026 EZE 020 036 主ヱホバいふ我エジプトの曠野にて汝らの先祖等を鞫きしごとくに汝らを鞫くべし 026 EZE 020 037 我なんぢらをして杖の下を通らしめ契約の索に汝らを入しめ 026 EZE 020 038 汝らの中より背ける者および我に悖れる者を別たんその寓れる地より我かれらをいだすべし彼らはイスラエルの地に來らざるべし汝らすなはち我のヱホバなるを知ん 026 EZE 020 039 然ばイスラエルの家よ主ヱホバかくいふ汝等おのおの往てその偶像に事へよ然ど後には汝らかならず我に聽て重てその禮物と偶像をもてわが名を汚さざるべし 026 EZE 020 040 主ヱホバいふ吾が聖山の上イスラエルの高山の上にてイスラエルの全家その地の者皆我に事へん其處にて我かれらを悦びて受納ん其處にて我なんぢらの獻物および初成の禮物すべて汝らが聖別たる者を求むべし 026 EZE 020 041 我汝らを國々より導き出し汝らが散されたる處々より汝らを集むる時馨しき香氣のごとくに汝らを悦びて受納れ汝らによりて異邦人等の目のまへに我の聖ことをあらはすべし 026 EZE 020 042 我が汝らをイスラエルの地すなはちわが汝らの先祖等にあたへんと手をあげしところの地にいたらしめん時に汝等は我のヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 020 043 汝らは其身を汚したるところの汝らの途と汝らのもろもろの行爲を彼處にて憶え其なしたる諸の惡き作爲のために自ら恨み視ん 026 EZE 020 044 イスラエルの家よ我汝らの惡き途によらず汝らの邪なる作爲によらずして吾名のために汝等を待はん時に汝らは我のヱホバなるを知るにいたらん主ヱホバこれを言ふなり 026 EZE 020 045 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 020 046 人の子よ汝の面を南方に向け南にむかひて言を垂れ南の野の森の事を預言せよ 026 EZE 020 047 すなはち南の森に言ふべしヱホバの言を聽け主ヱホバかく言ふ視よ我なんぢの中に火を燃さん是なんぢの中の諸の靑樹と諸の枯木を焚べしその烈しき火焰消ることなし南より北まで諸の面これがために燒ん 026 EZE 020 048 肉ある者みな我ヱホバのこれを燒しなるを見ん是は消ざるべし 026 EZE 020 049 我是において言り嗚呼主ヱホバよ人われを指て言ふ彼は譬言をもて語るにあらずやと 026 EZE 021 001 ヱホバの言われにのぞみて言ふ 026 EZE 021 002 人の子よ汝の面をヱルサレムに向け聖き處々にむかひて言を垂れイスラエルの地にむかひて預言し 026 EZE 021 003 イスラエルの地に言ふべしヱホバかく言ふ視よ我汝を責め吾刀を鞘より拔はなし義者と惡者とを汝の中より絕ん 026 EZE 021 004 我義者と惡者とを汝の中より絕んとすればわが刀鞘より脱出て南より北までの凡て肉ある者を責ん 026 EZE 021 005 肉ある者みな我ヱホバのその刀を鞘より拔はなちしを知らん是は歸りをさまらざるべし 026 EZE 021 006 人の子よ腰の碎くるまでに歎き彼らの目のまへにて痛く歎け 026 EZE 021 007 人汝に何て歎くやと言ば汝言べし來るところの風聞のためなり心みな鎔け手みな痿え魂みな弱り膝みな水とならん視よ事いたれりかならず成ん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 021 008 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 021 009 人の子よ預言して言ふべしヱホバかく言ふ劍あり研ぎ且磨きたる劍あり 026 EZE 021 010 是は大に殺す事をなさんがために研てあり光り閃かんがために磨きてあり我子の杖は萬の樹を藐視ずとて我等喜ぶべけんや 026 EZE 021 011 是を手に執んために與へて磨かしむ是劍は殺す者の手に付さんために之を研かつ磨かしむるなり 026 EZE 021 012 人の子よ叫び哭け其は是わが民の上に臨みイスラエルの諸の牧伯等の上に臨めばなり彼らはわが民とともに劍に仆る故に汝腿を撃べし 026 EZE 021 013 その試すでに成る若かの藐視ずるところの杖きたらずば如何ぞや主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 021 014 人の子よ汝預言し手を拍べし劍人を刺透すところの劍三倍に働かん是は人を刺透し大なる者を殺すところの劍にして彼らを責る者なり 026 EZE 021 015 彼らの心を鎔し礙く物を増んがために我拔身の劍をその諸の門に立つ嗚呼是は光ひらめき脱いでて人を殺さんとす 026 EZE 021 016 汝合して右に向へ進んで左に向へ汝の刃の向ふところに隨ヘ 026 EZE 021 017 我また吾手を拍ちわが怒を靜めん我ヱホバこれを言ふなり 026 EZE 021 018 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 021 019 人の子よバビロンの王の劍の由て來るべき二の途を設けよ其二の途を一の國より出しめて道標の記號を畵き邑の途の首處にこれを畵くべし 026 EZE 021 020 汝またアンモンの子孫のラバとユダの堅き城の邑ヱルサレムとに劍のきたるべき途を設けよ 026 EZE 021 021 バビロンの王その道の首處その途の岐處に止りて占卜をなし箭を搖りテラピムに問ひ肝を察べをるなり 026 EZE 021 022 彼の右にヱルサレムといふ占卜いづ云く破城槌を備へ口をひらきて喊き殺し聲をあげて吶喊を作り門にむかひて破城槌を備へ壘をきづき雲梯を建べしと 026 EZE 021 023 是はかれらの目には虛僞の占考と見ゆ聖き誓言かれらに在ばなり然れども彼罪を憶ひおこさしむ即ちかれらは取るべし 026 EZE 021 024 是故に主ヱホバかく言ふ汝ら旣にその罪を憶おこさしめて汝らの愆著明になりたれば汝らの罪その諸の行爲に顯る汝ら旣に憶いださるれば必ず手に執へらるべし 026 EZE 021 025 汝刺透さるる者罪人イスラエルの君主よ汝の罪その終を來らしめて汝の罰せらるる日至る 026 EZE 021 026 主ヱホバかく言ふ冕旒を去り冠冕を除り離せ是は是ならざるべし卑き者は高くせられ高き者は卑くせられん 026 EZE 021 027 我顚覆をなし顚覆をなし顚覆を爲ん權威を持べき者の來る時まで是は有ことなし彼に我之を與ふ 026 EZE 021 028 人の子よ汝預言して言べし主ヱホバ、アンモンの子孫とその嘲笑につきて斯言ふと即ち汝言べし劍あり劍あり是殺すことのために拔てあり滅すことのために磨きありて光ひらめくなり 026 EZE 021 029 人なんぢに虛淨を預言し汝に假僞の占考を示して汝をその殺さるる惡人の頸の上に置んとす彼らの罪その終を來らしめて彼らの罰せらるる日いたる 026 EZE 021 030 これをその鞘にかへし納めよ汝の造られし處なんぢの生れし地にて我汝を鞫き 026 EZE 021 031 わが怒を汝に斟ぎ吾憤恨の火を汝にむかひて燃し狂暴人滅すことに巧なる者の手に汝を付すべし 026 EZE 021 032 汝は火の薪となり汝の血は國の中にあらん汝は重ねて憶えらるることなかるべし我ヱホバこれを言ばなり 026 EZE 022 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 022 002 人の子よ汝鞫かんとするや此血を流すところの邑を鞫かんとするや汝これにその諸の憎むべき事を示して 026 EZE 022 003 言へ主ヱホバかく言ふ己の中に血を流してその罰せらるる時を來らせ己の中に偶像を作りてその身を汚すところの邑よ 026 EZE 022 004 汝はその流せる血によりて罪を得その作れる偶像をもて身を汚し汝の日を近づかせすでに汝の年にいたれり是故に我汝を國々の嘲とならしめ萬國の笑とならしむべし 026 EZE 022 005 汝に近き者も遠き者も汝が名の汚れたると混亂の多きとを笑はん 026 EZE 022 006 視よイスラエルの君等各その力にしたがひて血を流さんと汝の中にをる 026 EZE 022 007 彼ら汝の中にて父母を賤め汝の中にて他國の人を虐げ汝の中にて孤兒と寡婦を惱ますなり 026 EZE 022 008 汝わが聖き物を賤めわが安息日を汚す 026 EZE 022 009 人を譖づる者血を流さんと汝の中にあり人汝の中にて山の上に食をなし汝の中にて邪淫をおこなひ 026 EZE 022 010 汝の中にてその父の妻に交り汝の中にて月經のさはりに穢れたる婦女を犯す 026 EZE 022 011 又汝の中にその鄰の妻と憎むべき事をおこなふものあり邪淫をおこなひてその嫁を犯すものありその父の女なる己の姊妹を犯すものあり 026 EZE 022 012 人汝の中にて賄賂をうけて血を流すことをなすなり汝は利と息を取り汝の隣の物を掠め取り又我を忘る主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 022 013 見よ我汝が掠めとる事をなし且血を汝の中に流すによりて我手を拍つ 026 EZE 022 014 我が汝を攻る日には汝の心堅く立ち汝の手強くあることを得んや我ヱホバこれを言ひこれをなすなり 026 EZE 022 015 我汝を異邦の中に散し國々の中に播き全く汝の汚穢を取のぞくべし 026 EZE 022 016 汝は己の故によりて異邦人の目に汚れたる者と見えん而して汝我のヱホバなるを知べし 026 EZE 022 017 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 022 018 人の子よイスラエルの家は我に渣滓のごとくなれり彼等は凡て爐の中の銅錫鐵鉛のごとし彼らは銀の渣滓のごとく成れり 026 EZE 022 019 此故に主ヱホバかく言ふ汝らは皆渣滓となりたれば視よ我なんぢらをヱルサレムの中に集む 026 EZE 022 020 人の銀銅鐵鉛錫を爐の中に集め火を吹かけて鎔すが如く我怒と憤をもて汝らを集め入て鎔すべし 026 EZE 022 021 即ち我汝らを集め吾怒の火を汝らに吹かけん汝らはその中に鎔ん 026 EZE 022 022 銀の爐の中に鎔るがごとくに汝らはその中に鎔け我ヱホバが怒を汝らに斟ぎしを知にいたらん 026 EZE 022 023 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 022 024 人の子よ是に言ふべし汝は怒の日に日も照らず雨もふらざる地なり 026 EZE 022 025 預言者等の徒黨その中にありその食を撕くところの吼ゆる獅子のごとくに彼らは靈魂を呑み財寶と貴き物を取り寡婦をその中に多くす 026 EZE 022 026 その祭司等はわが法を犯しわが聖き物を汚し聖きと聖からざるとの區別をなさず潔きと穢たるとの差別を敎へずその目を掩ひてわが安息日を顧みず我はかれらの中に汚さる 026 EZE 022 027 その中にある公伯等は食を撕くところの豺狼のごとくにして血をながし靈魂を滅し物を掠めとらんとす 026 EZE 022 028 その預言者等は灰砂をもて是等を塗り虛浮物を見僞の占卜を人になしヱホバの告あらざるに主ヱホバかく言たまふと言ふなり 026 EZE 022 029 國の民は暴虐をおこなひ奪ふ事をなし難める者と貧き者を掠め道に反きて他國の人を虐ぐ 026 EZE 022 030 我一箇の人の國のために石垣を築き我前にあたりてその破壞處に立ち我をして之を滅さしめざるべき者を彼等の中に尋れども得ざるなり 026 EZE 022 031 主ヱホバいふ是故に我わが怒を彼らに斟ぎわが憤の火をもて彼らを滅し彼らの行爲をその首に報ゆ 026 EZE 023 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 023 002 人の子よ爰に二人の婦女あり一人の母の女子なり 026 EZE 023 003 彼等エジプトにおいて淫を行ひその少き時に淫を行へり即ち彼處において人かれらの乳を拈り彼處においてその處女の乳房に觸る 026 EZE 023 004 その名は姊はアホラ妹はアホリバと云ふ彼ら我に歸して男子女子を生り彼らの本名はアホラはサマリヤと言ひアホリバはヱルサレムと云ふなり 026 EZE 023 005 アホラは我有たる間に淫を行ひてその戀人等に焦れたり是すなはちその隣なるアツスリヤ人にして 026 EZE 023 006 紫の衣を着る者牧伯たる者督宰たる者なり是等は皆美麗き秀でたる人馬に乗る者なり 026 EZE 023 007 彼凡てアツスリヤの秀でたる者と淫を行ひ且その焦れたる諸の者すなはちその諸の偶像をもてその身を汚せり 026 EZE 023 008 彼またエジプトよりの淫行を捨ざりき即ち彼の少き時に彼ら彼と寢ねその處女の乳房にさはりその淫慾を彼の身の上に洩せり 026 EZE 023 009 是故に我彼をその戀人の手に付しその焦れたるアツスリヤの子孫の手に付せり 026 EZE 023 010 是に於て彼等かれの陰所を露しその子女を奪ひ劍をもて彼を殺して婦人の中にその名を聞えしめその身の上に鞫を行へり 026 EZE 023 011 彼の妹アホリバこれを見彼よりも甚だしくその慾を縱恣にしその姊の淫行よりもましたる淫行をなし 026 EZE 023 012 その隣なるアツスリヤの人々に戀焦れたり彼らはすなはち牧伯たる者 督宰たる者 華美に粧ひたる者 馬に騎る者にして皆美しき秀でたる者なり 026 EZE 023 013 我かれがその身を汚せしを見たり彼らは共に一の途をあゆめり 026 EZE 023 014 彼その淫行を増り彼壁に彫つけたる人々を見たり是すなはち朱をもて壁に彫つけたるカルデヤ人の像にして 026 EZE 023 015 腰には帶を結び首には垂さがれる帓巾を戴けり是等は皆君王たる者の形ありてその生れたる國なるカルデヤのバビロン人に似たり 026 EZE 023 016 彼その目に是等を見てこれに戀焦れ使者をカルデヤにおくりて之にいたらしむ 026 EZE 023 017 是に於てバビロンの人々彼の許にきたりて戀の床に就きその淫行をもて彼を汚したりしが彼らにその身を汚さるるにおよびて彼その心にかれらを疎んず 026 EZE 023 018 彼その淫行を露しその陰所を顯したれば我心彼を疎んず吾心かれの姊を疎んじたるがごとし 026 EZE 023 019 彼その淫行を増しその少き日にエジプトに於て淫をおこなひし事を憶え 026 EZE 023 020 彼らの戀人に焦るその人の肉は驢馬の肉のごとく其精は馬の精のごとし 026 EZE 023 021 汝は己の少き時にエジプト人が汝の處女の乳房のために汝の乳にさはりたる時の淫行を顧みるなり 026 EZE 023 022 この故に主ヱホバかく言ふアホリバよ我汝が心に疎んずるに至りしところの戀人等を激して汝を攻しめ彼らをして四方より汝に攻きたらしむべし 026 EZE 023 023 即ちバビロンの人々およびカルデヤの諸の人々ペコデ、シヨワ、コア並にアツスリヤの諸の人々美しき秀でたる人々牧伯等および督宰等 大君および名高き人 凡て馬に騎る者 026 EZE 023 024 鋒車および輪を持ち衆多の民をひきゐて汝に攻め來り大楯小楯および兜をそなへて四方より汝に攻かからん我裁判をかれらに委ぬべし彼らすなはち其律法によりて汝を鞫かん 026 EZE 023 025 我汝にむかひてわが嫉妬を發すれば彼ら怒をもて汝を待ひ汝の鼻と耳を切とるべし汝のうちの存れる者は劍に仆れん彼ら汝の子女を奪ふべし汝の中の殘れる者は火に燒ん 026 EZE 023 026 彼ら汝の衣を剝脱り汝の美しき妝飾を取べし 026 EZE 023 027 我汝の淫行を除き汝がエジプトの地より行ひ來れるところの邪淫を除き汝をして重て彼らに目をつけざらしめ再びエジプトの事を憶はざらしめん 026 EZE 023 028 主ヱホバかく言ふ視よ我汝が惡む者の手汝が心に疎ずる者の手に汝を付せば 026 EZE 023 029 彼ら怨憎をもて汝を待ひ汝の得たる物を盡く取り汝を赤裸に成おくべし是をもて汝が淫をおこなヘる陰所露にならん汝の淫行と邪淫もしかり 026 EZE 023 030 汝異邦人を慕ひて淫をおこなひ彼らの偶像をもて身を汚したるに由て是等の事汝におよぶなり 026 EZE 023 031 汝その姊の途に歩みたれば我かれの杯を汝の手に交す 026 EZE 023 032 主ヱホバかく言ふ汝その姊の深き大なる杯を飮べし是は笑と嘲を充す者なり 026 EZE 023 033 醉と憂汝に滿ちん汝の姊サマリヤの杯は駭異と滅亡の杯なり 026 EZE 023 034 汝これを飮み乾しこれを吸つくしその碎片を咬み汝の乳房を摘去ん我これを言ふと主ヱホバ言ふ 026 EZE 023 035 然ば主ヱホバかく言ふ汝我を忘れ我を後に棄たれば汝またその淫行と邪淫の罪を負べし 026 EZE 023 036 斯てヱホバ我にいひたまふ人の子よ汝アホラとアホリバを鞫かんとするや然らば彼らにその憎むべき事等を示せ 026 EZE 023 037 夫彼らは姦淫をおこなへり又血その手にあり彼らその偶像と姦淫をおこなひ又その我に生たる男子等に火の中をとほらしめてこれを燒り 026 EZE 023 038 加之また是をなせり即ち彼ら同日にわが聖處を汚しわが安息日を犯せり 026 EZE 023 039 彼らその偶像のために男子等を宰りしその日にわが聖處に來りてこれを汚し斯わが家の中に事をなせり 026 EZE 023 040 且又彼らは使者をやりて遠方より人を招きて至らしむ其人々のために汝身を洗ひ目を畵き妝飾を着け 026 EZE 023 041 華美なる床に坐し臺盤をその前に備へその上にわが香とわが膏を置り 026 EZE 023 042 斯て群衆の喧噪その中に靜りしがその多衆の人々の上にまた曠野よりサバ人を招き寄たり彼らは手に腕環をはめ首に美しき冠を戴けり 026 EZE 023 043 我かの姦淫のために衰弱たる女の事を云り今は早彼の姦淫その姦淫をなしをはらんかと 026 EZE 023 044 彼らは遊女の所にいるごとくに彼の所に入たり斯かれらすなはち淫婦アホラとアホリバの所に入ぬ 026 EZE 023 045 義人等姦婦の律法に照し故殺の律法に照して彼らを鞫かん彼らは姦婦にしてまたその手に血あればなり 026 EZE 023 046 主ヱホバかく言ふ我群衆を彼等に攻きたらしめ彼らを是に付して虐と掠にあはしめん 026 EZE 023 047 群衆かれらを石にて撃ち劍をもて斬りその子女を殺し火をもてその家を燒べし 026 EZE 023 048 斯我この地に邪淫を絕さん婦女みな自ら警めて汝らのごとくに邪淫をおこなはざるべし 026 EZE 023 049 彼ら汝らの邪淫の罪を汝らに報いん汝らはその偶像の罪を負ひ而して我の主ヱホバなるを知にいたるべし 026 EZE 024 001 九年の十月十日にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 024 002 人の子よ汝此日すなはち今日の名を書せバビロンの王今日ヱルサレムを攻をるなり 026 EZE 024 003 汝背ける家に譬喩をかたりて之に言へ主ヱホバかく言たまふ釜を居ゑ居ゑてこれに水を斟いれ 026 EZE 024 004 其肉の凡て佳き所を集めて股と肩とを之に入れ佳き骨をこれに充し 026 EZE 024 005 羊の選擇者を取れ亦薪一束を取り下に入れて骨を煮釜を善く煮たて亦その中の骨を煮よ 026 EZE 024 006 是故に主ヱホバかく言ふ禍なるかな血の流るる邑銹のつきたる釜 その銹これを離れざるなり肉を一箇一箇に取いだせ之がために籤を掣べからず 026 EZE 024 007 彼の血はその中にあり彼乾ける磐の上にこれを置りこれを土にそそぎて塵に覆はれしめず 026 EZE 024 008 我怒を來らせ仇を復さんがためにその血を乾ける磐の上に置て塵に覆はれざらしめたり 026 EZE 024 009 是故に主ヱホバかく言ふ禍なるかな血の流るる邑我またその薪の束を大にすべし 026 EZE 024 010 薪を積かさね火を燃し肉を善く煮てこれを煮つくしその骨をも燒しむべし 026 EZE 024 011 而して釜を空にして炭火の上に置きその銅をして熱くなりて燒しめ其汚穢をして中に鎔しめその銹を去しむべし 026 EZE 024 012 旣に手を盡したれどもその大なる銹さらざればその銹を火に投棄べし 026 EZE 024 013 汝の汚穢の中に淫行あり我汝を淨めんとしたれども汝淨まらざりしに因てわが怒を汝に洩しつくすまでは汝その汚穢をはなれて淨まることあらじ 026 EZE 024 014 我ヱホバこれを言り是至る我これを爲べし止ず惜まず悔ざるなり汝の道にしたがひ汝の行爲にしたがひて彼ら汝を鞫かん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 024 015 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 024 016 人の子よ我頓死をもて汝の目の喜ぶ者を取去ん汝哀かず泣ず涙をながすべからず 026 EZE 024 017 聲をたてずして哀け死人のために哀哭をなすなかれ冠物を戴き足に鞋を穿べし鬚を掩ふなかれ人のおくれる食物を食ふべからず 026 EZE 024 018 朝に我人々に語りしが夕にわが妻死ねり明朝におよびて我命ぜられしごとくなせり 026 EZE 024 019 茲に人々我に言けるは此汝がなすところの事は何の意なるや我らに告ざるや 026 EZE 024 020 我かれらに言けるはヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 024 021 イスラエルの家にいふべし主ヱホバかく言ふ視よ我汝らの勢力の榮汝らの目の喜愛汝らの心の望なるわが聖所を汚さん汝らが遺すところの子女等は劍に仆れん 026 EZE 024 022 汝らもわが爲るごとくなし鬚を覆はず人のおくれる食物を食はず 026 EZE 024 023 首に冠物を戴き足に履を穿き哀かず泣ずその罪の中に痩衰へて互に呻かん 026 EZE 024 024 斯エゼキエル汝らに兆とならん彼がなしたるごとく汝ら爲ん是事の至らん時に汝ら我の主ヱホバなるを知べし 026 EZE 024 025 人の子よわが彼らの力かれらの樂むところの榮その目の喜愛その心の望その子女を取去る日 026 EZE 024 026 その日に逃亡者汝の許に來り汝の耳に告ることあらん 026 EZE 024 027 その日に汝逃亡者にむかひて口を啓き語りて再び默せざらん斯汝かれらに兆となるべし彼らは遂に我のヱホバなるを知ん 026 EZE 025 001 ヱホバの言我に臨みて言ふ 026 EZE 025 002 人の子よ汝の面をアンモンの人々に向けこれに向ひて預言し 026 EZE 025 003 アンモンの人々に言べし汝ら主ヱホバの言を聽け主ヱホバかく言ひたまふ汝わが聖處の汚さるる事につきイスラエルの地の荒さるる事につき又ユダの家の擄へ移さるることにつきて嗚呼心地善しと言り 026 EZE 025 004 是故に視よ我汝を東方の人々に付して所有と爲さしめん彼等汝の中に畜圈を設け汝の中にその住宅を建て汝の作物を食ひ汝の乳を飮ん 026 EZE 025 005 ラバをば我駱駝を豢ふ地となしアンモンの人々の地をば羊の臥す所となすべし汝ら我のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 025 006 主ヱホバかく言たまふ汝イスラエルの地の事を見て手を拍ち足を蹈み傲慢を極めて心に喜べり 026 EZE 025 007 是故に視よ我わが手を汝に伸べ汝を國々に付して掠奪に遭しめ汝を國民の中より絕ち諸國に斷し滅すべし汝我のヱホバなるを知るにいたらん 026 EZE 025 008 主ヱホバかく言たまふモアブとセイル言ふユダの家は他の諸の國と同じと 026 EZE 025 009 是故に我モアブの肩を闢くべし即ちその邑々その最遠の邑にして國の莊嚴なるベテエシモテ、バアルメオンおよびキリヤタイムよりこれを闢き 026 EZE 025 010 之をアンモンの人々に添て東方の人々に與へその所有となさしめアンモンの人々をして國々の中に記憶らるること无しめん 026 EZE 025 011 我モアブに鞫を行ふべし彼ら我のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 025 012 主ヱホバかく言たまふエドムは怨恨をふくんでユダの家に事をなし且これに怨を復して大に罪を得たり 026 EZE 025 013 是故に主ヱホバかく言たまふ我エドムの上にわが手を伸して其中より人と畜を絕去り之をテマンより荒地となすべしデダンの者は劍に仆れん 026 EZE 025 014 我わが民イスラエルの手をもてエドムにわが仇を報いん彼らわが怒にしたがひわが憤にしたがひてエドムに行ふべしエドム人すなはち我が仇を復すなるを知ん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 025 015 主ヱホバかく言たまふペリシテ人は怨を含みて事をなし心に傲りて仇を復し舊き恨を懷きて滅すことをなせり 026 EZE 025 016 是故に主ヱホバかく言たまふ視よ我ペリシテ人の上に手を伸べケレテ人を絕ち海邊に遺れる者を滅すべし 026 EZE 025 017 我怒の罰をもて大なる復仇を彼らに爲ん我仇を彼らに復す時に彼らは我のヱホバなるを知べし 026 EZE 026 001 十一年の月の首の日にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 026 002 人の子よツロはヱルサレムの事につきて言り嗚呼心地よし諸の國民の門破る是我に移るならん我は豐滿になるべし彼は荒はてたりと 026 EZE 026 003 是故に主ヱホバかく言たまふツロよ我汝を攻め海のその波濤を起すが如く多くの國人を汝に攻きたらしむべし 026 EZE 026 004 彼らツロの石墻を毀ちその櫓を倒さん我その塵を拂ひ去りて是を乾ける磐と爲べし 026 EZE 026 005 是は海の中の網を張る處とならん我これを言ばなりと主ヱホバいひたまふ是は諸の國人に掠めらるべし 026 EZE 026 006 その野にをる女子等は劍に殺されん彼らすなはち我のヱホバなるを知べし 026 EZE 026 007 主ヱホバかく言たまふ視よ我王の王なるバビロンの王ネブカデネザルをして馬車騎兵群衆および多くの民を率て北よりツロに攻きたらしむべし 026 EZE 026 008 野にをる汝の女子等をば彼劍にかけて殺し又汝にむかひて雲梯を建て汝にむかひて壘を築き汝にむかひて干を備へ 026 EZE 026 009 破城槌を汝の石垣に向けその斧をもて汝の櫓を打碎かん 026 EZE 026 010 その衆多の馬の煙塵汝を覆はん彼等敝れたる城に入るごとくに汝の門々に入來らん時その騎兵と輪と車の聲のために汝の石垣震動べし 026 EZE 026 011 彼その馬の蹄をもて汝の諸の衢を踏あらし劍をもて汝の民を殺さん汝の榮光の柱地に仆るべし 026 EZE 026 012 彼ら汝の財寶を奪ひ汝の商貨を掠め汝の石垣を打崩し汝の樂き舘を毀ち汝の石と木と土を水に沈めん 026 EZE 026 013 我汝の歌の聲を止めん汝の琴の音は復聞えざるべし 026 EZE 026 014 我汝を乾ける磐となさん汝は網を張る處となり再び建ことなかるべし我ヱホバこれを言ふと主ヱホバ言たまふ 026 EZE 026 015 主ヱホバ、ツロにかく言たまふ島々汝の仆るる聲 手負の呻吟 および汝の中の殺戮によりて震動ざらんや 026 EZE 026 016 海の君主等皆その座を下り朝服を脱ぎ繡ある衣を去り恐懼を身に纏ひ地に坐し時となく怖れ汝の事を驚かん 026 EZE 026 017 彼ら汝の爲に哀の詞を擧て汝に言ふべし汝海より出たる住處名の高き邑自己もその居民も共に海に於て勢力ある者その凡の居民に己を恐れしむる者よ汝如何にして亡びたるや 026 EZE 026 018 それ島々は汝の仆るる日に震ひ海の島々は汝の亡ぶるに驚くなり 026 EZE 026 019 主ヱホバかく言たまふ我汝を荒たる邑となし人の住はざる邑々のごとく爲し洋海を沸あがらしめて大水に汝を掩沒しめん時 026 EZE 026 020 汝を墓に往る者等の所昔時の民の所に下し汝をして下の國に住しめ古昔よりの墟址に於て彼の墓に下れる者等とともに居しめ汝の中に復人の住こと无らしむべし而して我活る人の地に榮を創造いださん 026 EZE 026 021 我汝をもて人の戒懼となすべし汝は復有ることなし人汝を尋るも終に汝を看ざるべし主ヱホバこれを言ふなり 026 EZE 027 001 ヱホバの言また我に臨みて言ふ 026 EZE 027 002 人の子よ汝ツロのために哀の詞を宣べ 026 EZE 027 003 ツロに言べし汝海の口に居りて諸の國人の商人となり多衆の島々に通ふ者よ主ヱホバかく言たまふツロよ汝言ふ我の美は極れりと 026 EZE 027 004 汝の國は海の中にあり汝を建る者汝の美を盡せり 026 EZE 027 005 人セニルの樅をもて船板を作りレバノンより香柏を取て汝のために檣を作り 026 EZE 027 006 バシヤンの樫をもて汝の漿を作りキッテムの島より至れる黄楊に象牙を嵌て汝の坐板を作れり 026 EZE 027 007 汝の帆はエジプトより至れる文布にして旗に用ふべし汝の天遮はエリシヤの島より至れる藍と紫の布なり 026 EZE 027 008 汝の水手はシドンとアルワデの人なりツロよ汝の中にある賢き者汝の舵師となる 026 EZE 027 009 ゲバルの老人等およびその賢き者汝の中にをりて汝の漏を繕ひ海の諸の船およびその舟子汝の中にありて汝の貨物を交易す 026 EZE 027 010 ペルシヤ人ルデ人フテ人汝の軍にありて汝の戰士となる彼等汝の中に干と兜を懸け汝に光輝を與ふ 026 EZE 027 011 アルワデの人々および汝の軍勢汝の四周の石垣の上にあり勇士等汝の櫓にあり彼等汝の四周の石垣にその楯をかけ汝の美を盡せり 026 EZE 027 012 その諸の貨物に富るがためにタルシシ汝と商をなし銀 鐵 錫および鉛をもて汝と交易を爲り 026 EZE 027 013 ヤワン、トバルおよびメセクは汝の商賈にして人の身と銅の器をもて汝と貿易を行ふ 026 EZE 027 014 トガルマの族馬と騎馬および騾をもて汝と交易し 026 EZE 027 015 デダンの人々汝と商をなせり衆の島々汝の手にありて交易し象牙と黑檀をもて汝と貿易せり 026 EZE 027 016 汝の製造品の多がためにスリア汝と商をなし赤玉 紫貨 繡貨 細布 珊瑚および瑪瑙をもて汝と交易す 026 EZE 027 017 ユダとイスラエルの地汝に商をなしミンニテの麥と菓子と蜜と油と乳香をもて汝と交易す 026 EZE 027 018 汝の製造物の多がため諸の貨物の多きがためにダマスコ、ヘルボンの酒と曝毛をもて汝と交易せり 026 EZE 027 019 ウザルのベダンとヤワン熟鐵をもて汝と交易す肉桂と菖蒲汝の市にあり 026 EZE 027 020 デダン車の毛氈を汝に商へり 026 EZE 027 021 アラビヤとケダルの君等とは汝の手に在りて商をなし羔羊と牡羊と牡山羊をもて汝と交易す 026 EZE 027 022 シバとラアマの商人汝と商をなし諸の貴き香料と諸の寶石と金をもて汝と交易せり 026 EZE 027 023 ハランとカンネとエデンとシバの商賈とアツスリヤとキルマデ汝と商をなし 026 EZE 027 024 華美なる物と紫色なる繡の衣服と香柏の箱の綾を盛て紐にて結たる者とをもて汝の市にあり 026 EZE 027 025 タルシシの船汝のために往來して商賣を爲す汝は海の中にありて豐滿にして榮あり 026 EZE 027 026 水手汝を蕩て大水の中にいたるに海の中にて東風汝を打破る 026 EZE 027 027 汝の財寶汝の商貨物汝の交易の物汝の舟子汝の舵師汝の漏を繕ふ者汝の貨物を商ふ者汝の中にあるところの凡ての軍人並に汝の中の乗者みな汝の壞るる日に海の中に陷るべし 026 EZE 027 028 汝の舵師等の叫號の聲にその處々震ふ 026 EZE 027 029 凡て棹を執る者舟子および凡て海の舵師その船より下りて陸に立ち 026 EZE 027 030 汝のために聲を擧げて痛く哭き塵を首に蒙り灰の中に輾轉び 026 EZE 027 031 汝のために髮を剃り麻布を纏ひ汝のために心を痛めて泣き甚く哭くべし 026 EZE 027 032 彼等悲みて汝のために哀の詞を宣べ汝を弔ひて言ふ孰かツロの如くなる海の中に滅びたる者の如くなると 026 EZE 027 033 汝の商貨の海より出し時は汝衆多の國民を厭しめ汝の衆多の財寶と貨物をもて世の王等を富しめたりしが 026 EZE 027 034 汝海に壞れて深き水にあらん時は汝の貨物汝の乗人みな陷らん 026 EZE 027 035 島々に住る者皆汝に駭かんその君等大に恐れてその面を振はすべし 026 EZE 027 036 國々の商賈汝のために嘶かん汝は人の戒懼となり限りなく失果ん 026 EZE 028 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 028 002 人の子よツロの君に言ふべし主ヱホバかく言たまふ汝心に高ぶりて言ふ我は神なり神の座に坐りて海の中にありと汝は人にして神にあらず而して神の心のごとき心を懷くなり 026 EZE 028 003 夫汝はダニエルよりも賢かり隱れたる事として汝に明ならざるは无し 026 EZE 028 004 汝の智慧と明哲によりて汝富を獲金銀を汝の庫に收め 026 EZE 028 005 汝の大なる智慧と汝の貿易をもて汝の富有を増しその富有のために心に高ぶれり 026 EZE 028 006 是故に主ヱホバかく言ふ汝神の心のごとき心を懷くに因り 026 EZE 028 007 視よ我異國人を汝に攻きたらしめん是國々の暴き人々なり彼ら劍を拔きて汝が智慧をもて得たるところの美しき者に向ひ汝の美を汚し 026 EZE 028 008 汝を穴に投いれん汝は海の中にて殺さるる者のごとき死を遂べし 026 EZE 028 009 汝は人にして神にあらず汝を殺す者の手にあるも尚その己を殺す者の前に我は神なりと言んとするや 026 EZE 028 010 汝は割禮をうけざる者の死を異國人の手に遂べし我これを言ばなりとヱホバ言たまふ 026 EZE 028 011 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 028 012 人の子よツロの王のために哀の詞を述べこれに言べし主ヱホバかく言たまふ汝は全く整へたる者の印智慧の充ち美の極れる者なり 026 EZE 028 013 汝神の園エデンに在りき諸の寶石 赤玉 黄玉 金剛石 黄綠玉 葱垳 碧玉 靑玉 紅玉 瑪瑙および金汝を覆へり汝の立らるる日に手鼓と笛汝のために備へらる 026 EZE 028 014 汝は膏そそがれしケルブにして掩ふことを爲り我汝を斯なせしなり汝神の聖山に在り又火の石の間に歩めり 026 EZE 028 015 汝はその立られし日より終に汝の中に惡の見ゆるにいたるまでは其行全かりき 026 EZE 028 016 汝の交易の多きがために汝の中には暴逆滿ちて汝罪を犯せり是故に掩ふことを爲ところのケルブよ我神の山より汝を汚し出し火の石の間より汝を滅し去べし 026 EZE 028 017 汝その美麗のために心に高ぶり其榮耀のために汝の智慧を汚したれば我汝を地に擲ち汝を王等の前に置て觀物とならしむべし 026 EZE 028 018 汝正しからざる交易をなして犯したる多くの罪を以て汝の聖所を汚したれば我なんぢの中より火を出して汝を燒き凡て汝を見る者の目の前にて汝を地に灰となさん 026 EZE 028 019 國々の中にて汝を知る者は皆汝に驚かん汝は人の戒懼となり限なく失果てん 026 EZE 028 020 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 028 021 人の子よ汝の面をシドンに向けこれに向ひて預言し 026 EZE 028 022 言べし主ヱホバかく言たまふシドンよ視よ我汝の敵となる我汝の中において榮耀を得ん我彼らを鞫き我の聖き事を彼らに顯す時彼ら我のヱホバなるを知ん 026 EZE 028 023 われ疫病を是におくりその衢に血あらしめんその四方より是に來るところの劍に殺さるる者その中に仆るべし彼らすなはち我のヱホバなるを知ん 026 EZE 028 024 イスラエルの家にはその周圍にありて之を賤むる者の所より重て惡き荊棘苦き芒薊來ることなし彼らは我の主ヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 028 025 主ヱホバかく言ふ我イスラエルの家をその散されたる國々より集めん時彼らに由りて我の聖き事を異國人の目の前にあらはさん彼らはわが僕ヤコブに與へたるその地に住ん 026 EZE 028 026 彼ら彼處に安然に住み家を建て葡萄園を作らん彼らの周圍にありて彼らを藐視る者を悉く我が鞫かん時彼らは安然に住み我ヱホバの己の神なるを知らん 026 EZE 029 001 十年の十月の十二日にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 029 002 人の子よ汝の面をエジプトの王パロにむけ彼とエジプト全國にむかひて預言し 026 EZE 029 003 語りて言べし主ヱホバかく言たまふエジプトの王パロよ視よ我汝の敵となる汝その河に臥すところの鱷よ汝いふ河は我の所有なり我自己のためにこれを造れりと 026 EZE 029 004 我鉤を汝の腮に鉤け汝の河の魚をして汝の鱗に附しめ汝および汝の鱗に附る諸の魚を汝の河より曳いだし 026 EZE 029 005 汝と汝の河の諸の魚を曠野に投すてん汝は野の面に仆れん汝を取あぐる者なく集むる者なかるべし我汝を地の獸と天の鳥の餌に與へん 026 EZE 029 006 エジプトの人々皆我のヱホバなるを知ん彼等のイスラエルの家におけるは葦の杖のごとくなりき 026 EZE 029 007 イスラエル汝の手を執ば汝折れてその肩を盡く裂き又汝に倚ば汝破れてその腰を盡く振へしむ 026 EZE 029 008 是故に主ヱホバかく言ふ視よ我劍を汝に持きたり人と畜を汝の中より絕ん 026 EZE 029 009 エジプトの地は荒て空曠なるべし彼らすなはち我のヱホバなるを知ん彼河は我の有なり我これを作れりと言ふ 026 EZE 029 010 是故に我汝と汝の河々を罰しエジプトの地をミグドルよりスエネに至りエテオピアの境に至るまで盡く荒して空曠くせん 026 EZE 029 011 人の足此を渉らず獸の足此を渉らじ四十年の間此に人の住ことなかるべし 026 EZE 029 012 我エジプトの地を荒して荒たる國々の中にあらしめんその邑々は荒て四十年の間荒たる邑々の中にあるべし我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん 026 EZE 029 013 但し主ヱホバかく言たまふ四十年の後我エジプト人をその散されたる諸の民の中より集めん 026 EZE 029 014 即ちエジプトの俘囚人を歸しその生れし國なるバテロスの地にかへらしむべし彼らは其處に卑き國を成ん 026 EZE 029 015 是は諸の國よりも卑くして再び國々の上にいづることなかるべし我かれらを小くすれば彼らは重て國々を治むることなし 026 EZE 029 016 彼らは再びイスラエルの家の恃とならじイスラエルはこれに心をよせてその罪をおもひ出さしむることなかるべし彼らすなはち我の主ヱホバなるを知ん 026 EZE 029 017 茲に二十七年の一月の一日にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 029 018 人の子よバビロンの王ネブカデネザルその軍勢をしてツロにむかひて大に働かしむ皆首禿げ皆肩破る然るに彼もその軍勢もその爲るところの事業のためにツロよりその報を得ず 026 EZE 029 019 是故に主ヱホバかくいふ視よ我バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を與へん彼その衆多の財寳を取り物を掠め物を奪はん是その軍勢の報たらん 026 EZE 029 020 彼の勞動る値として我エジプトの地をかれに與ふ彼わがために之をなしたればなり主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 029 021 當日に我イスラエルの家に一の角を生ぜしめ汝をして彼らの中に口を啓くことを得せしめん彼等すなはち我がヱホバなるを知べし 026 EZE 030 001 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 030 002 人の子よ預言して言へ主ヱホバかく言たまふ汝ら叫べ其日は禍なるかな 026 EZE 030 003 その日近しヱホバの日近し是雲の日これ異邦人の時なり 026 EZE 030 004 劍エジプトに臨まん殺さるる者のエジプトに仆るる時エテオピアに痛苦あるべし敵その財寶を奪はんその基址は毀たるべし 026 EZE 030 005 エテオピア人フテ人ルデ人凡て加勢の兵およびクブ人ならびに同盟の國の人々彼らとともに劍にたふれん 026 EZE 030 006 ヱホバかく言ふエジプトを扶くる者は仆れ其驕るところの勢力は失せんミグドルよりスエネにいたるまで人劍によりて己の中に仆るべし主ヱホバこれを言なり 026 EZE 030 007 其は荒て荒地の中にあり其邑々は荒たる邑の中にあるべし 026 EZE 030 008 我火をエジプトに降さん時又是を助くる者の皆ほろびん時は彼等我のヱホバなるを知ん 026 EZE 030 009 その日には使者船にて我より出てかの心強きエテオピア人を懼れしめんエジプトの日にありし如く彼等の中に苦痛あるべし視よ是は至る 026 EZE 030 010 主ヱホバかく言たまふ我バビロンの王ネブカデネザルをもてエジプトの喧噪を止むべし 026 EZE 030 011 彼および彼にしたがふ民即ち國民の中の暴き者を召來りてその國を滅さん彼ら劍をぬきてエジプトを攻めその殺せる者を國に滿すべし 026 EZE 030 012 我その河々を涸し國を惡き人の手に賣り外國人の手をもて國とその中の物を荒すべし我ヱホバこれを言り 026 EZE 030 013 主ヱホバかく言たまふ我偶像を毀ち神々をノフに絕さんエジプトの國よりは再び君のいづることなかるべし我エジプトの國に畏怖を蒙らしめん 026 EZE 030 014 我バテロスを荒しゾアンに火を擧げノに鞫を行ひ 026 EZE 030 015 わが怒をエジプトの要害なるシンに洩しノの群衆を絕つべし 026 EZE 030 016 我火をエジプトに降さんシンは苦痛に悶えノは打破られノフは日中敵をうけん 026 EZE 030 017 アベンとピベセテの少者は劍に仆れ其中の人々は擄ゆかれん 026 EZE 030 018 テバネスに於ては吾がエジプトの軛を其處に摧く時に日暗くならんその誇るところの勢力は失せん雲これを覆はんその女子等は擄へゆかれん 026 EZE 030 019 かく我エジプトに鞫をおこなはん彼等すなはち我のヱホバなるを知べし 026 EZE 030 020 十一年の一月の七日にヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 030 021 人の子よ我エジプトの王パロの腕を折れり是は再び束へて藥を施し裹布を卷て之を裹み強く爲して劍を執にたへしむること能はざるなり 026 EZE 030 022 是故に主ヱホバかく言たまふ視よ我エジプトの王パロを罰し其強き腕と折たる腕とを俱に折り劍をその手より落しむべし 026 EZE 030 023 我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん 026 EZE 030 024 而してバビロンの王の腕を強くして我劍をこれに授けん然ど我パロの腕を折れば彼は刺透されたる者の呻くが如くにその前に呻かん 026 EZE 030 025 我バビロンの王の腕を強くせんパロの腕は弱くならん我わが劍をバビロンの王の手に授けて彼をしてエジプトにむかひて之を伸しむる時は人衆我のヱホバなるを知ん 026 EZE 030 026 我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん彼らすなはち我のヱホバなるを知るべし 026 EZE 031 001 十一年の三月の一日にヱホバの言我に臨みて云ふ 026 EZE 031 002 人の子よエジプトの王パロとその群衆に言へ汝はその大なること誰に似たるや 026 EZE 031 003 アツスリヤはレバノンの香柏のごとし其枝美しくして生茂りその丈高くして其巓雲に至る 026 EZE 031 004 水これを大ならしめ大水これを高からしむ其川々その植れる處を環りその流を野の諸の樹に及ぼせり 026 EZE 031 005 是によりてその長野の諸の樹よりも高くなりその生長にあたりて多の水のために枝葉茂りその枝長く伸たり 026 EZE 031 006 その枝葉に空の諸の鳥巢をくひ其枝の下に野の諸の獸子を生みその蔭に諸の國民住ふ 026 EZE 031 007 是はその大なるとその枝の長きとに由て美しかりき其根多くの水の傍にありたればなり 026 EZE 031 008 神の園の香柏これを蔽ふことあたはず樅もその枝葉に及ばず槻もその枝に如ず神の園の樹の中その美しき事これに如ものあらざりき 026 EZE 031 009 我これが枝を多してこれを美しくなせりエデンの樹の神の園にある者皆これを羨めり 026 EZE 031 010 是故に主ヱホバかく言ふ汝その長高くなれり是は其巓雲に至りその心高く驕れば 026 EZE 031 011 我これを萬國の君たる者の手に付さん彼これを處置せん其惡のために我これを打棄たり 026 EZE 031 012 他國人國々の暴き者これを截倒して棄つ其枝葉は山々に谷々に墮ち其枝は碎けて地の諸の谷川にあり地の萬民その蔭を離れてこれを遺つ 026 EZE 031 013 その倒れたる上に空の諸の鳥止まり其枝の上に野の諸の獸居る 026 EZE 031 014 是水の邊の樹その高のために誇ることなくその巓を雲に至らしむることなからんためまた水に濕ふ者の高らかに自ら立ことなからんためなり夫是等は皆死に付されて下の國に入り他の人々の中にあり墓に下る者等と偕なるべし 026 EZE 031 015 主ヱホバかく言たまふ彼が下の國に下れる日に我哀哭あらしめ之がために大水を蓋ひその川々をせきとめたれば大水止まれり我レバノンをして彼のために哭かしめ野の諸の樹をして彼のために痩衰へしむ 026 EZE 031 016 我かれを陰府に投くだして墓に下る者と共ならしむる時に國々をしてその墮る響に震動しめたり又エデンの諸の樹レバノンの勝れたる最美しき者凡て水に濕ふ者皆下の國に於て慰を得たり 026 EZE 031 017 彼等も彼とともに陰府に下り劍に刺れたる者の處にいたる是すなはちその助者となりてその蔭に坐し萬國民の中にをりし者なり 026 EZE 031 018 エデンの樹の中にありて汝は其榮とその大なること孰に似たるや汝は斯エデンの樹とともに下の國に投下され劍に刺透されたる者とともに割禮を受ざる者の中にあるべしパロとその群衆は是のごとし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 032 001 茲にまた十二年の十二月の一日にヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 032 002 人の子よエジプトの王パロのために哀の詞を述て彼に言ふべし汝は自ら萬國の中の獅子に擬へたるが汝は海の鱷の如くなり汝河の中に跳起き足をもて水を濁しその河々を蹈みだす 026 EZE 032 003 主ヱホバかく言たまふ我衆多の國民の中にてわが網を汝に打掛け彼らをしてわが網にて汝を引あげしめん 026 EZE 032 004 而して我汝を地上に投すて汝を野の面に擲ち空の諸の鳥をして汝の上に止らしめ全地の獸をして汝に飽しむべし 026 EZE 032 005 我汝の肉を山々に遺て汝の屍を堆くして谷々を埋むべし 026 EZE 032 006 我汝の溢るる血をもて地を濕し山にまで及ぼさん谷川には汝盈べし 026 EZE 032 007 我汝を滅する時は空を蔽ひその星を暗くし雲をもて日を掩はん月はその光を發たざるべし 026 EZE 032 008 我空の照る光明を盡く汝の上に暗くし汝の地を黑暗となすべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 032 009 我なんぢの滅亡を諸の民汝の知ざる國々の中に知しめて衆多の民をして心を傷ましめん 026 EZE 032 010 我衆多の民をして汝に驚かしめんその王等はわが其前にわれの劍を振ふ時に戰慄かん汝の仆るる日には彼ら各人その生命のために絕ず發振ん 026 EZE 032 011 即ち主ヱホバかく言たまふバビロンの王の劍汝に臨まん 026 EZE 032 012 我汝の群衆をして勇士の劍に仆れしめん彼等は皆國々の暴き者なり彼らエジプトの驕傲を絕さん其の群衆は皆ほろぼさるべし 026 EZE 032 013 我その家畜を盡く多の水の傍より絕去ん人の足再び之を濁すことなく家畜の蹄これを濁すことなかるべし 026 EZE 032 014 我すなはちその水を淸しめ其河々をして油のごとく流れしめん主ヱホバこれを云ふ 026 EZE 032 015 我エジプトの國を荒地となしてその國荒てこれが富を失ふ時また我その中に住る者を盡く撃つ時人々我のヱホバなるを知ん 026 EZE 032 016 是哀の詞なり人悲みてこれを唱へん國々の女等悲みて之を唱ふべし即ち彼等エジプトとその諸の群衆のために悲みて之を唱へん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 032 017 十二年の月の十五日にヱホバの言また我に臨みて言ふ 026 EZE 032 018 人の子よエジプトの群衆のために哀き是と大なる國々の女等とを下の國に投くだし墓にくだる者と共ならしめよ 026 EZE 032 019 汝美しき事誰に勝るや下りて割禮なき者とともに臥せよ 026 EZE 032 020 彼らは劍に殺さるる者の中に仆るべし劍已に付してあり是とその諸の群衆を曳下すべし 026 EZE 032 021 勇士の強き者陰府の中より彼にその助者と共に言ふ割禮を受ざる者劍に殺されたる者彼等下りて臥す 026 EZE 032 022 彼處にアツスリアとその凡の群衆をりその周圍に之が墓あり彼らは皆殺され劍に仆れたる者なり 026 EZE 032 023 かれの墓は穴の奧に設けてありその群衆墓の四周にあり是皆殺されて劍に仆れたる者生者の地に畏怖をおこせし者なり 026 EZE 032 024 彼處にエラムありその凡の群衆その墓の周圍にあり是皆ころされて劍に仆れ割禮を受ずして下の國に下りし者生者の地に畏怖をおこせし者にて夫穴に下れる者等とともに恥辱を蒙るなり 026 EZE 032 025 殺されたる者の中にその床を置きてその凡の群衆と共にすその墓周圍にあり彼等は皆割禮を受ざる者にして劍に殺さる彼ら生者の地に畏怖をおこしたれば穴に下れる者とともに恥辱を蒙るなり彼は殺されし者の中に置る 026 EZE 032 026 彼處にメセクとトバルおよびその凡の群衆ありその墓周圍にあり彼らは皆割禮を受ざる者にして劍に殺さる是生者の地に畏怖をおこしたればなり 026 EZE 032 027 彼らは割禮を受ずして仆れたる勇士とともに臥さず是等はその武器を持て陰府に下りその劍を枕にすその罪は骨にあり是生者の地に於て勇士を畏れしめたればなり 026 EZE 032 028 汝は割禮を受ざる者の中に打碎け劍に殺されたる者とともに臥ん 026 EZE 032 029 彼處にエドムとその王等とその諸の君等あり彼らは勇力をもちながら劍に殺さるる者の中に入り割禮なき者および穴に下れる者とともに臥すべし 026 EZE 032 030 彼處に北の君等皆あり又シドン人皆あり彼らは殺されし者等とともに下り人を怖れしむる勇力をもちて羞辱を受く彼處に彼らは割禮を受ずして劍に殺されたる者とともに臥し穴に下れる者とともに恥辱を蒙る 026 EZE 032 031 パロかれらを見その諸の群衆の事につきて心を安めんパロとその軍勢皆劍に殺さる主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 032 032 我かれをして生者の地に畏怖をおこさしめたりパロとその諸の群衆は割禮をうけざる者の中にありて劍に殺されし者とともに臥す主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 033 001 爰にヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 033 002 人の子よ汝の民の人々に告て之に言へ我劍を一の國に臨ましめん時その國の民おのれの國人の中より一人を選みて之を守望人となさんに 026 EZE 033 003 かれ國に劍の臨むを見ラッパを吹てその民を警むることあらん 026 EZE 033 004 然るに人ラッパの音を聞て自ら警めず劍つひに臨みて其人を失ふにいたらばその血はその人の首に歸すべし 026 EZE 033 005 彼ラッパの音を聞て自ら警むることを爲ざればその血は己に歸すべし然どもし自ら警むることを爲ばその生命を保つことを得ん 026 EZE 033 006 然れども守望者劍の臨むを見てラッパを吹ず民警戒をうけざるあらんに劍のぞみて其中の一人を失はば其人は己の罪に死るなれど我その血を守望者の手に討問めん 026 EZE 033 007 然ば人の子よ我汝を立てイスラエルの家の守望者となす汝わが口より言を聞き我にかはりて彼等を警むべし 026 EZE 033 008 我惡人に向ひて惡人よ汝死ざるべからずと言んに汝その惡人を警めてその途を離るるやうに語らずば惡人はその罪に死んなれどその血をば我汝の手に討問むべし 026 EZE 033 009 然ど汝もし惡人を警めて翻りてその途を離れしめんとしたるに彼その途を離れずば彼はその罪に死ん而して汝はおのれの生命を保つことを得ん 026 EZE 033 010 然ば人の子よイスラエルの家に言へ汝らは斯語りて言ふ我らの愆と罪は我らの身の上にあり我儕はその中にありて消失ん爭でか生ることを得んと 026 EZE 033 011 汝かれらに言べし主ヱホバ言たまふ我は活く我惡人の死るを悦ばず惡人のその途を離れて生るを悦ぶなり汝ら翻へり翻へりてその惡き道を離れよイスラエルの家よ汝等なんぞ死べけんや 026 EZE 033 012 人の子よ汝の民の人々に言べし義人の義はその人の罪を犯せる日にはその人を救ふことあたはず惡人はその惡を離れたる日にはその惡のために仆るることあらじ義人はその罪を犯せる日にはその義のために生ることを得じ 026 EZE 033 013 我義人に汝かならず生べしと言んに彼その義を恃みて罪ををかさばその義は悉く忘らるべし其をかせる罪のために彼は死べし 026 EZE 033 014 我惡人に汝かならず死べしと言んに彼その惡を離れ公道と公義を行ふことあらん 026 EZE 033 015 即ち惡人質物を歸しその奪ひし者を還し惡をなさずして生命の憲法にあゆみなば必ず生ん死ざるべし 026 EZE 033 016 その犯したる各種の罪は記憶らるることなかるべし彼すでに公道と公義を行ひたれば必ず生べし 026 EZE 033 017 汝の民の人々は主の道正しからずと言ふ然ど實は彼等の道の正しからざるなり 026 EZE 033 018 義人もしその義を離れて罪ををかさば是がために死べし 026 EZE 033 019 惡人もしその惡を離れて公道と公義を行ひなば是がために生べし 026 EZE 033 020 然るに汝らは主の道正しからずといふイスラエルの家よ我各人の行爲にしたがひて汝等を鞫くべし 026 EZE 033 021 我らが擄へうつされし後すなはち十二年の十月の五日にヱルサレムより脱逃者きたりて邑は撃敗られたりと言ふ 026 EZE 033 022 その逃亡者の來る前の夜ヱホバの手我に臨み彼が朝におよびて我に來るまでに我口を開けり斯わが口開けたれば我また默せざりき 026 EZE 033 023 即ちヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 033 024 人の子よイスラエルの地の彼の墟址に住る者語りて云ふアブラハムは一人にして此地を有てり我等は衆多し此地はわれらの所有に授かると 026 EZE 033 025 是故に汝かれらに言ふべし主ヱホバかく言ふ汝らは血のままに食ひ汝らの偶像を仰ぎ且血を流すなれば尚此地を有つべけんや 026 EZE 033 026 汝等は劍を恃み憎むべき事を行ひ各々人の妻を汚すなれば此地を有つべけんや 026 EZE 033 027 汝かれらに斯言べし主ヱホバかく言ふ我は活くかの荒場に居る者は劍に仆れん野の表にをる者をば我獸にあたへて噬はしめん要害と洞穴とにをる者は疫病に死ん 026 EZE 033 028 我この國を全く荒さん其誇るところの權勢は終に至らんイスラエルの山々は荒て通る者なかるべし 026 EZE 033 029 彼らが行ひたる諸の憎むべき事のために我その國を全く荒さん時に彼ら我のヱホバなるを知ん 026 EZE 033 030 人の子よ汝の民の人々垣の下家の門にて汝の事を論じ互に語りあひ各々その兄弟に言ふ去來われら如何なる言のヱホバより出るかを聽んと 026 EZE 033 031 彼ら民の集會のごとくに汝に來り吾民のごとくに汝の前に坐して汝の言を聞ん然ども之を行はじ彼らは口に悦ばしきところの事をなし其心は利にしたがふなり 026 EZE 033 032 彼等には汝悦ばしき歌美しき聲美く奏る者のごとし彼ら汝の言を聞ん然ど之をおこなはじ 026 EZE 033 033 視よその事至る其事のいたる時には彼らおのれの中に預言者あるを知べし 026 EZE 034 001 ヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 034 002 人の子よ汝イスラエルの牧者の事を預言せよ預言して彼ら牧者に言ふべし主ヱホバかく言ふ己を牧ふところのイスラエルの牧者は禍なるかな牧者は群を牧ふべき者ならずや 026 EZE 034 003 汝らは脂を食ひ毛を纏ひ肥たる物を屠りその群をば牧はざるなり 026 EZE 034 004 汝ら其弱き者を強くせずその病る者を醫さずその傷ける者を裹まず散されたる者をひきかへらず失たる者を尋ねず手荒に嚴刻く之を治む 026 EZE 034 005 是は牧者なきに因て散り失せ野の諸の獸の餌となりて散失するなり 026 EZE 034 006 我羊は諸の山々に諸の高丘に迷ふ我羊全地の表に散りをれど之を索す者なく尋ぬる者なし 026 EZE 034 007 是故に牧者よ汝らヱホバの言を聽け 026 EZE 034 008 主ヱホバ言たまふ我は活く我羊掠められわが羊野の諸の獸の餌となる又牧者あらず我牧者わが羊を尋ねず牧者己を牧ふてわが羊を牧はず 026 EZE 034 009 是故に牧者よ汝らヱホバの言を聞け 026 EZE 034 010 主ヱホバ斯言たまふ視よ我牧者等を罰し吾羊を彼らの手に討問め彼等をしてわが群を牧ふことを止しめて再び己を牧ふことなからしめ又わが羊をかれらの口より救とりてかれらの食とならざらしむべし 026 EZE 034 011 主ヱホバかく言たまふ我みづからわが群を索して之を守らん 026 EZE 034 012 牧者がその散たる羊の中にある日にその群を守るごとく我わが群を守り之がその雲深き暗き日に散たる諸の處よりこれを救ひとるべし 026 EZE 034 013 我かれらを諸の民の中より導き出し諸の國より集めてその國に携へいりイスラエルの山の上と谷の中および國の凡の住居處にて彼らを養はん 026 EZE 034 014 善き牧場にて我かれらを牧はんその休息處はイスラエルの高山にあるべし彼處にて彼らは善き休息所に臥しイスラエルの山々の上にて肥たる牧場に草を食はん 026 EZE 034 015 主ヱホバいひたまふ我みづから我群を牧ひ之を偃しむべし 026 EZE 034 016 亡たる者は我これを尋ね逐はなたれたる者はこれを引返り傷けられたる者はこれを裹み病る者はこれを強くせん然ど肥たる者と強き者は我これを滅さん我公道をもて之を牧ふべし 026 EZE 034 017 主ヱホバかく言たまふ汝等わが群よ我羊と羊の間および牡羊と牡山羊の間の審判をなさん 026 EZE 034 018 汝等は善き牧場に草食ひ足をもてその殘れる草を蹈あらし又淸たる水を飮み足をもてその殘餘を濁す是汝等にとりて小き事ならんや 026 EZE 034 019 わが群汝等が足にて蹈あらしたる者を食ひ汝等が足にて濁したる者を飮べけんや 026 EZE 034 020 是をもて主ヱホバ斯かれらに言たまふ視よ我肥たる羊と痩たる羊の間を審判くべし 026 EZE 034 021 汝等は脅と肩とをもて擠し角をもて弱き者を盡く衝て遂に之を外に逐散せり 026 EZE 034 022 是によりて我わが群を助けて再び掠められざらしめ又羊と羊の間をさばくべし 026 EZE 034 023 我かれらの上に一人の牧者をたてん其人かれらを牧ふべし是わが僕ダビデなり彼はかれらを牧ひ彼らの牧者となるべし 026 EZE 034 024 我ヱホバかれらの神とならん吾僕ダビデかれらの中に君たるべし我ヱホバこれを言ふ 026 EZE 034 025 我かれらと平和の契約を結び國の中より惡き獸を滅し絕つべし彼らすなはち安かに野に住み森に眠らん 026 EZE 034 026 我彼らおよび吾山の周圍の處々に福祉を下し時に隨ひて雨を降しめん是すなはち福祉の雨なるべし 026 EZE 034 027 野の樹はその實を結び地はその產物を出さん彼等は安然にその國にあるべし我がかれらの軛を碎き彼らをその僕となせる人の手より救ひいだす時に彼等は我のヱホバなるを知べし 026 EZE 034 028 彼等は重ねて國々の民に掠めらるる事なく野の獸かれらを食ふことなかるべし彼等は安然に住はん彼等を懼れしむる者なかるべし 026 EZE 034 029 我かれらのために一の栽植處を起してその名を聞えしめん彼等は重ねて國の饑饉に滅ぶることなく再び外邦人の凌辱を蒙ることなかるべし 026 EZE 034 030 彼らはその神なる我ヱホバが己と共にあるを知り自己イスラエルの家はわが民なることを知るべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 034 031 汝等はわが羊わが牧場の群なり汝等は人なり我は汝らの神なりと主ヱホバ言たまふ 026 EZE 035 001 爰にヱホバの言われに臨みて言ふ 026 EZE 035 002 人の子よ汝の面をセイル山にむけ之にむかひて預言し 026 EZE 035 003 之にいふべし主ヱホバかく言ふセイル山よ視よ我汝を罰し汝にむかひてわが手を伸べ汝を全く荒し 026 EZE 035 004 汝の邑々を滅すべし汝は荒はてん而して我のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 035 005 汝果しなき恨を懷きてイスラエルの人々をその艱難の時その終の罪の時に劍の手に付せり 026 EZE 035 006 是故に主ヱホバ言ふ我は活く我汝を血になさん血汝を追べし汝血を嫌はざれば血汝を追ん 026 EZE 035 007 我セイル山を全く荒し其處に往來する者を絕ち 026 EZE 035 008 殺されし者をその山々に滿すべし劍に殺されし者汝の岡々谷々および窪地窪地に仆れん 026 EZE 035 009 我汝を長に荒地となさん汝の邑々には人の住むことあらじ汝等すなはち我のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 035 010 汝言ふこの二箇の民二箇の國は我が所有なり我等これを獲んとヱホバ其處に居せしなり 026 EZE 035 011 是故に主ヱホバいふ我は活く汝が恨をもて彼らに示したる忿怒と嫉惡に循ひて我汝に事をなさん我汝を鞫くことを以て我を彼等に示すべし 026 EZE 035 012 汝は我ヱホバの汝がイスラエルの山々にむかひて是は荒はて我儕の食に授かるといひて吐たるところの諸の謗讟を聞たることを知にいたらん 026 EZE 035 013 汝等口をもて我にむかひて誇り我にむかひて汝等の言を多くせり我これを聞く 026 EZE 035 014 主ヱホバ斯いひたまふ全地の歡ぶ時に我汝を荒地となさん 026 EZE 035 015 汝イスラエルの家の產業の荒るを喜びたれば我汝をも然なすべしセイル山よ汝荒地とならんエドムも都て然るべし人衆すなはち我のヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 036 001 人の子よ汝イスラエルの山々に預言して言べしイスラエルの山々よヱホバの言を聽け 026 EZE 036 002 主ヱホバかく言たまふ敵汝等の事につきて言ふ嗚呼是等の舊き高處我儕の所有となると 026 EZE 036 003 是故に汝預言して言へ主ヱホバかく言ふ彼等汝らを荒し四方より汝らを呑り是をもて汝等は國民の中の殘餘者の所有となり亦人の口齒にかかりて噂せらる 026 EZE 036 004 然ばイスラエルの山々よ主ヱホバの言を聞け主ヱホバ山と岡と窪地と谷と滅びたる荒跡と人の棄たる邑々即ちその周圍に殘れる國民に掠められ嘲けらるる者にかく言たまふ 026 EZE 036 005 即ち主ヱホバかく言たまふ我まことに吾が嫉妬の火焰をもやして國民の殘餘者とエドム全國の事を言り是等は心に歡樂を極め心に誇りて吾地をおのれの所有となし之を奪ひ掠めし者なり 026 EZE 036 006 然ばイスラエルの國の事を預言し山と岡と窪地と谷とに言ふべし主ヱホバかく言たまふ汝等諸の國民の羞辱を蒙りしに因て我わが嫉妬と忿怒を發して語れり 026 EZE 036 007 是をもて主ヱホバかく言たまふ我わが手を擧ぐ汝の周圍の諸の國民は必ず自身羞辱を蒙るべし 026 EZE 036 008 然どイスラエルの山々よ汝等は枝を生じわが民イスラエルのために實を結ばん此事遠からず成ん 026 EZE 036 009 視よ我汝らに臨み汝らを眷みん汝らは耕されて種をまかるべし 026 EZE 036 010 我汝等の上に人を殖さん是皆悉くイスラエルの家の者なるべし邑々には人住み墟址は建直さるべし 026 EZE 036 011 我なんぢらの上に人と牲畜を殖さん是等は殖て多く子を生ん我汝らの上に昔時のごとくに人を住しめ汝らの初の時よりもまされる恩惠を汝等に施すべし汝等は我がヱホバなるを知にいたらん 026 EZE 036 012 我わが民イスラエルの人を汝らの上に歩ましめん彼等汝を有つべし汝はかれらの產業となり重ねて彼等に子なからしむることあらじ 026 EZE 036 013 主ヱホバかく言ひたまふ彼等汝らに向ひ汝は人を食ひなんぢの民をして子なからしめたりと言ふ 026 EZE 036 014 是故に主ヱホバ言たまふ汝ふたたび人を食ふべからず再び汝の民を躓かしむべからず 026 EZE 036 015 我汝をして重ねて國々の民の嘲笑を聞しめじ汝は重ねて國々の民の羞辱を蒙ることあらず汝の民を躓かしむることあらじ主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 036 016 ヱホバの言また我にのぞみて言ふ 026 EZE 036 017 人の子よ昔イスラエルの家その國に住み己の途と行爲とをもて之を汚せりその途は月穢ある婦の穢のごとくに我に見えたり 026 EZE 036 018 彼等國に血を流し且その偶像をもて國を汚したるに因て我わが怒を彼等に斟ぎ 026 EZE 036 019 彼らを諸の國の民の中に散したれば則ち諸の國に散ぬ我かれらの道と行爲とにしたがひて彼等を鞫けり 026 EZE 036 020 彼等その往ところの國々に至りしが遂にわが聖き名を汚せり即ち人かれらを見てこれはヱホバの民にしてかれの國より出來れる者なりと言り 026 EZE 036 021 是をもて我イスラエルの家がその至れる國々にて瀆せしわが聖き名を惜めり 026 EZE 036 022 此故に汝イスラエルの家に言べし主ヱホバかく言たまふイスラエルの家よ我汝らのために之をなすにあらず汝らがその至れる國々にて汚せしわが聖き名のためになすなり 026 EZE 036 023 我國々の民の中に汚されたるわが大なる名即ち汝らがかれらの中にありて汚したるところの者を聖くせん國々の民はわが汝らに由て我の聖き事をその目の前にあらはさん時我がヱホバなるを知ん 026 EZE 036 024 我汝等を諸の民の中より導き出し諸の國より集めて汝らの國に携いたり 026 EZE 036 025 淸き水を汝等に灑ぎて汝等を淸くならしめ汝等の諸の汚穢と諸の偶像を除きて汝らを淸むべし 026 EZE 036 026 我新しき心を汝等に賜ひ新しき靈魂を汝らの衷に賦け汝等の肉より石の心を除きて肉の心を汝らに與へ 026 EZE 036 027 吾靈を汝らの衷に置き汝らをして我が法度に歩ましめ吾律を守りて之を行はしむべし 026 EZE 036 028 汝等はわが汝らの先祖等に與へし地に住て吾民とならん我は汝らの神となるべし 026 EZE 036 029 我汝らを救ひてその諸の汚穢を離れしめ穀物を召て之を増し饑饉を汝らに臨ませず 026 EZE 036 030 樹の果と田野の作物を多くせん是をもて汝らは重て饑饉の羞を國々の民の中に蒙ることあらじ 026 EZE 036 031 汝らはその惡き途とその善らぬ行爲を憶えてその罪とその憎むべき事のために自ら恨みん 026 EZE 036 032 主ヱホバ言たまふ我が之を爲は汝らのためにあらず汝らこれを知れよイスラエルの家よ汝らの途を愧て悔むべし 026 EZE 036 033 主ヱホバかく言たまふ我汝らの諸の罪を淸むる日に邑々に人を住しめ墟址を再興しめん 026 EZE 036 034 荒たる地は前に往來の人々の目に荒地と見たるに引かへて耕さるるに至るべし 026 EZE 036 035 人すなはち言ん此荒たりし地はエデンの園のごとくに成り荒滅び圮れたりし邑々は堅固なりて人の住に至れりと 026 EZE 036 036 汝らの周圍に殘れる國々の民はすなはち我ヱホバが圮れし者を再興し荒たるところに栽植することを知にいたらん我ヱホバこれを言ふ之を爲ん 026 EZE 036 037 主ヱホバかく言たまふイスラエルの家我が是を彼らのために爲んことをまた我に求むべきなり我群のごとくに彼ら人々を殖さん 026 EZE 036 038 荒たる邑々には聖き群のごとくヱルサレムの節日の群のごとくに人の群滿ん人々すなはち我がヱホバなるを知べし 026 EZE 037 001 爰にヱホバの手我に臨みヱホバ我をして靈にて出行しめ谷の中に我を放賜ふ其處には骨充てり 026 EZE 037 002 彼その周圍に我をひきめぐりたまふに谷の表には骨はなはだ多くあり皆はなはだ枯たり 026 EZE 037 003 彼われに言たまひけるは人の子よ是等の骨は生るや我言ふ主ヱホバよ汝知たまふ 026 EZE 037 004 彼我に言たまふ是等の骨に預言し之に言べし枯たる骨よヱホバの言を聞け 026 EZE 037 005 主ヱホバ是らの骨に斯言たまふ視よ我汝らの中に氣息を入しめて汝等を生しめん 026 EZE 037 006 我筋を汝らの上に作り肉を汝らの上に生ぜしめ皮をもて汝らを蔽ひ氣息を汝らの中に與へて汝らを生しめん汝ら我がヱホバなるを知ん 026 EZE 037 007 我命ぜられしごとく預言しけるが我が預言する時に音あり骨うごきて骨と骨あひ聯る 026 EZE 037 008 我見しに筋その上に出きたり肉生じ皮上よりこれを蔽ひしが氣息その中にあらず 026 EZE 037 009 彼また我に言たまひけるは人の子よ氣息に預言せよ人の子よ預言して氣息に言へ主ヱホバかく言たまふ氣息よ汝四方の風より來り此殺されし者等の上に呼吸きて是を生しめよ 026 EZE 037 010 我命ぜられしごとく預言せしかば氣息これに入て皆生きその足に立ち甚だ多くの群衆となれり 026 EZE 037 011 斯て彼われに言たまふ人の子よ是等の骨はイスラエルの全家なり彼ら言ふ我らの骨は枯れ我らの望は竭く我儕絕はつるなりと 026 EZE 037 012 是故に預言して彼らに言へ主ヱホバかく言たまふ吾民よ我汝等の墓を啓き汝らをその墓より出きたらしめてイスラエルの地に至らしむべし 026 EZE 037 013 わが民よ我汝らの墓を開きて汝らを其墓より出きたらしむる時汝らは我のヱホバなるを知ん 026 EZE 037 014 我わが靈を汝らの中におきて汝らを生しめ汝らをその地に安んぜしめん汝等すなはち我ヱホバがこれを言ひ之を爲たることを知にいたるべし 026 EZE 037 015 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 037 016 人の子よ汝一片の木を取てその上にユダおよびその侶なるイスラエルの子孫と書き又一片の木をとりてその上にヨセフおよびその侶なるイスラエルの全家と書べし是はエフライムの木なり 026 EZE 037 017 而して汝これを俱にあはせて一の木となせ是汝の手の中にて相聯らん 026 EZE 037 018 汝の民の人々汝に是は何の意なるか我儕に示さざるやと言ふ時は 026 EZE 037 019 これに言ふべし主ヱホバかく言たまふ我エフライムの手にあるヨセフとその侶なるイスラエルの支派の木を取り之をユダの木に合せて一の木となしわが手にて一とならしめん 026 EZE 037 020 汝が書つけたるところの木を彼らの目のまへにて汝の手にあらしめ 026 EZE 037 021 かれらに言ふべし主ヱホバかく言たまふ我イスラエルの子孫をその往るところの國々より出し四方よりかれを集めてその地に導き 026 EZE 037 022 その地に於て汝らを一の民となしてイスラエルの山々にをらしめん一人の王彼等全體の王たるべし彼等は重て二の民となることあらず再び二の國に分れざるべし 026 EZE 037 023 彼等またその偶像とその憎むべき事等およびその諸の愆をもて身を汚すことあらじ我かれらをその罪を犯せし諸の住處より救ひ出してこれを淸むべし而して彼らはわが民となり我は彼らの神とならん 026 EZE 037 024 わが僕ダビデかれらの王とならん彼ら全體の者の牧者は一人なるべし彼らはわが律法にあゆみ吾法度をまもりてこれを行はん 026 EZE 037 025 彼らは我僕ヤコブに我が賜ひし地に住ん是其先祖等が住ひし所なり彼處に彼らとその子及びその子の子とこしなへに住はん吾僕ダビデ長久にかれらの君たるべし 026 EZE 037 026 我かれらと和平の契約を立ん是は彼らに永遠の契約となるべし我かれらを堅うし彼らを殖しわが聖所を長久にかれらの中におかん 026 EZE 037 027 我が住所は彼らの上にあるべし我かれらの神となり彼らわが民とならん 026 EZE 037 028 わが聖所長久にかれらの中にあるにいたらば國々の民は我のヱホバにしてイスラエルを淸むる者なるを知ん 026 EZE 038 001 ヱホバの言我にのぞみて言ふ 026 EZE 038 002 人の子よロシ、メセクおよびトバルの君たるマゴグの地の王ゴグに汝の面をむけ之にむかひて預言し 026 EZE 038 003 言べし主ヱホバかく言たまふロシ、メセク、トバルの君ゴグよ視よ我なんぢを罰せん 026 EZE 038 004 我汝をひきもどし汝の腮に鉤をほどこして汝および汝の諸の軍勢と馬とその騎者を曳いだすべし是みな其服粧に美を極め大楯小楯をもち凡て劍を執る者にして大軍なり 026 EZE 038 005 ペルシヤ、エテオピアおよびフテこれとともにあり皆楯と盔をもつ 026 EZE 038 006 ゴメルとその諸の軍隊北の極のトガルマの族とその諸の軍隊など衆多の民汝とともにあり 026 EZE 038 007 汝準備をなせ汝と汝にあつまれるところの軍隊みな備をせよ而して汝かれらの保護となれ 026 EZE 038 008 衆多の日の後なんぢ罰せられん末の年に汝かの劍をのがれてかへり衆多の民の中より集りきたれる者の地にいたり久しく荒ゐたるイスラエルの山々にいたらん是は國々より導きいだされて皆安然に住ふなり 026 EZE 038 009 汝その諸の軍隊および衆多の民をひきゐて上り暴風のごとく至り雲のごとく地を覆はん 026 EZE 038 010 主ヱホバかくいひたまふ其日に汝の心に思想おこり惡き謀計をくはだてて 026 EZE 038 011 言ん我平原の邑々にのぼり穩にして安然に住る者等にいたらん是みな石垣なくして居り關も門もあらざる者なりと 026 EZE 038 012 斯して汝物を奪ひ物を掠め汝の手をかへして彼の人の住むにいたれる墟址を攻め又かの國々より集りきたりて地の墺區にすみて群と財寶をもつところの民をせめんとす 026 EZE 038 013 シバ、デダン、タルシシの商賈およびその諸の小獅子汝に言ん汝物を奪はんとて來れるや汝物を掠めんために軍隊をあつめしや金銀をもちさり群と財寶を取り多くの物を奪はんとするやと 026 EZE 038 014 是故に人の子よ汝預言してゴグに言へ主ヱホバかくいひたまふ其日に汝わが民イスラエルの安然に住むを知ざらんや 026 EZE 038 015 汝すなはち北の極なる汝の處より來らん衆多の民汝とともにあり皆馬に乗る其軍隊は大にしてその軍勢は夥多し 026 EZE 038 016 而して汝わが民イスラエルに攻きたり雲のごとくに地を覆はんゴグよ末の日にこの事あらんすなはち我汝をわが地に攻きたらしめ汝をもて我の聖き事を國々の民の目のまへにあらはして彼らに我をしらしむべし 026 EZE 038 017 主ヱホバかく言たまふ我の昔日わが僕なるイスラエルの預言者等をもて語りし者は汝ならずや即ち彼ら其頃年ひさしく預言して我汝を彼らに攻きたらしめんと言り 026 EZE 038 018 主ヱホバいひたまふ其日すなはちゴグがイスラエルの地に攻來らん日にわが怒面にあらはるべし 026 EZE 038 019 我嫉妬と燃たつ怒をもて言ふ其日には必ずイスラエルの地に大なる震動あらん 026 EZE 038 020 海の魚空の鳥野の獣凡て地に匍ふところの昆蟲凡て地にある人わが前に震へん又山々崩れ嶄巌たふれ石垣みな地に仆れん 026 EZE 038 021 主ヱホバいひたまふ我劍をわが諸の山に召きたりて彼をせめしめん人々の劍その兄弟を撃べし 026 EZE 038 022 我疫病と血をもて彼の罪をたださん我漲ぎる雨と雹と火と硫磺を彼とその軍勢および彼とともなる多の民の上に降すべし 026 EZE 038 023 而して我わが大なることと聖きことを明かにし衆多の國民の目のまへに我を示さん彼らはすなはち我のヱホバなることをしるべし 026 EZE 039 001 人の子よゴグにむかひ預言して言へ主ヱホバかく言たまふロシ、メセク、トバルの君ゴグよ視よ我汝を罰せん 026 EZE 039 002 我汝をひきもどし汝をみちびき汝をして北の極より上りてイスラエルの山々にいたらしめ 026 EZE 039 003 汝の左の手より弓をうち落し右の手より矢を落しむべし 026 EZE 039 004 汝と汝の諸の軍勢および汝とともなる民はイスラエルの山々に仆れん我汝を諸の類の鷙鳥と野の獣にあたへて食しむべし 026 EZE 039 005 汝は野の表面に仆れん我これを言ばなりと主ヱホバ言たまふ 026 EZE 039 006 我マゴグと島々に安然に住る者とに火をおくり彼らをして我のヱホバなるを知しめん 026 EZE 039 007 我わが聖き名をわが民イスラエルの中に知しめ重てわが聖き名を汚さしめじ國々の民すなはち我がヱホバにしてイスラエルにありて聖者なることを知るにいたらん 026 EZE 039 008 主ヱホバいひたまふ視よ是は來れり成れり是わが言る日なり 026 EZE 039 009 茲にイスラエルの邑々に住る者出きたり甲冑 大楯 小楯 弓 矢 手鎗 手矛および槍を燃し焚き之をもて七年のあひだ火を燃さん 026 EZE 039 010 彼ら野より木をとりきたること無く林より木をきりとらずして甲冑をもて火を燃しまた己を掠めし者をかすめ己の物を奪ひし者の物を奪はん主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 039 011 其日に我イスラエルにおいて墓地をゴグに與へん是往來の人の谷にして海の東にあり是往來の人を礙げん其處に人ゴグとその群衆を埋めこれをゴグの群衆の谷となづけん 026 EZE 039 012 イスラエルの家之を埋めて地を淸むるに七月を費さん 026 EZE 039 013 國の民みなこれを埋め之によりて名をえん是我が榮光をあらはす日なり 026 EZE 039 014 彼等定れる人を選む其人國の中をゆきめぐりて往來の人とともにかの地の面に遺れる者を埋めてこれを淸む七月の終れる後かれら尋ぬることをなさん 026 EZE 039 015 國を行巡る者往來し人の骨あるを見るときはその傍に標をたつれば死人を埋むる者これをゴグの群衆の谷に埋む 026 EZE 039 016 邑の名もまた群衆ととなへられん斯かれら國を淸めん 026 EZE 039 017 人の子よ主ヱホバかく言ふ汝諸の類の鳥と野の諸の獸に言べし汝等集ひ來り我が汝らのために殺せるところの犧牲に四方より聚れ即ちイスラエルの山々の上なる大なる犠牲に臨み肉を食ひ血を飮め 026 EZE 039 018 汝ら勇士の肉を食ひ地の君等の血を飮め 牡羊 羔羊 牡山羊 牡牛など凡てバシヤンの肥たる畜を食ヘ 026 EZE 039 019 汝らわが汝らのために殺せるところの犠牲につきて飽まで脂を食ひ醉まで血を飮べし 026 EZE 039 020 汝らわが席につきて馬と騎者と勇士と諸の軍人に黶べしと主ヱホバいひたまふ 026 EZE 039 021 我わが榮光を國々の民にしめさん國々の民みな我がおこなふ審判を見我がかれらの上に加ふる手を見るべし 026 EZE 039 022 是日より後イスラエルの家我ヱホバの己の神なることを知ん 026 EZE 039 023 又國々の民イスラエルの家の擄へうつされしは其惡によりしなるを知べし彼等われに背きたるに因て我わが面を彼らに隱し彼らをその敵の手に付したれば皆劍に仆れたり 026 EZE 039 024 我かれらの汚穢と愆惡とにしたがひて彼らを待ひわが面を彼等に隱せり 026 EZE 039 025 然ば主ヱホバかく言たまふ我今ヤコブの俘擄人を歸しイスラエルの全家を憐れみ吾聖き名のために熱中せん 026 EZE 039 026 彼らその地に安然に住ひて誰も之を怖れしむる者なきに至る時はその我にむかひて爲たるところの諸の悖れる行爲のために愧べし 026 EZE 039 027 我かれらを國々より導きかへりその敵の國々より集め彼らをもて我の聖き事を衆多の國民にしめす時 026 EZE 039 028 彼等すなはち我ヱホバの己の神なるを知ん是は我かれらを國々に移し又その地にひき歸りて一人をも其處にのこさざればなり 026 EZE 039 029 我わが靈をイスラエルの家にそそぎたれば重て吾面を彼らに隱さじ主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 040 001 我らの擄へ移されてより二十五年邑の撃破られて後十四年その年の初の月の十日其日にヱホバの手われに臨み我を彼處に携へ往く 026 EZE 040 002 即ち神異象の中に我をイスラエルの地にたづさへゆきて甚だ高き山の上におろしたまふ其處に南の方にあたりて邑のごとき者建てり 026 EZE 040 003 彼我をひきて彼處にいたり給ふに一箇の人あるを見るその面容は銅のごとくにして手に麻の繩と間竿を執り門に立てり 026 EZE 040 004 其人われに言けるは人の子よ汝目をもて視耳をもて聞き我が汝にしめす諸の事に心をとめよ汝を此にたづさへしはこれを汝にしめさんためなり汝が見るところの事を盡くイスラエルの家に告よと 026 EZE 040 005 斯ありて視るに家の外の四周に墻垣ありその人の手に六キユビトの間竿ありそのキユビトは各一キユビトと一手濶なり彼その墻の厚を量るに一竿ありその高もまた一竿あり 026 EZE 040 006 彼東向の門にいたりその階をのぼりて門の閾を量るに其濶一竿あり即ち第一の閾の濶一竿なり 026 EZE 040 007 守房は長一竿廣一竿守房と守房の間は五キユビトあり内の門の廊の傍なる門の閾も一竿あり 026 EZE 040 008 内の門の廊を量るに一竿あり 026 EZE 040 009 又門の廊を量るに八キユビトありその柱は二キユビトなりその門の廊は内にあり 026 EZE 040 010 東向の門の守房は此旁に三箇彼處に三箇あり此三みな其寸尺おなじ柱もまた此處彼處ともにその寸尺おなじ 026 EZE 040 011 門の入口の廣をはかるに十キユビトあり門の長は十三キユビトなり 026 EZE 040 012 守房の前に一キユビトの界あり彼旁の界も一キユビトなり守房は此旁彼旁ともに六キユビトなり 026 EZE 040 013 彼また此守房の屋背より彼屋背まで門をはかるに入口より入口まで二十五キユビトあり 026 EZE 040 014 柱は六十キユビトに作れる者なり門のまはりに庭ありて柱にまでおよぶ 026 EZE 040 015 入口の門の前より内の門の廊の前にいたるまで五十キユビトあり 026 EZE 040 016 守房と門の内面の周圍の柱とに閉窓あり墻垣の差出たる處にもしかり内面の周圍には窓あり柱には棕櫚あり 026 EZE 040 017 彼また我を外庭に携ゆくに庭の周圍に設けたる室と鋪石あり鋪石の上に三十の室あり 026 EZE 040 018 鋪石は門の側にありて門の長におなじ是下鋪石なり 026 EZE 040 019 彼下の門の前より内庭の外の前までの廣を量るに東と北とに百キユビトあり 026 EZE 040 020 又外庭なる北向の門の長と寛をはかれり 026 EZE 040 021 守房その此旁に三箇彼旁に三箇あり柱および差出たる處もあり是は前の門の寸尺のごとく長五十キユビト濶二十五キユビトなり 026 EZE 040 022 その窓と差出たる處と棕櫚は東向の門にある者の寸尺と同じ七段の階級を經て上るに差出たる處その前にあり 026 EZE 040 023 内庭の門は北と東の門に向ふ彼門より門までを量るに百キユビトあり 026 EZE 040 024 彼また我を南に携ゆくに南向の門ありその柱と差出たる處をはかるに前の寸尺の如し 026 EZE 040 025 是とその差出たる處の周圍に窓あり彼窓のごとしその門は長五十キユビト濶二十五キユビトなり 026 EZE 040 026 七段の階級をへて登るべし差出たる處その前にありその柱の上には此旁に一箇彼旁に一箇の棕櫚あり 026 EZE 040 027 内庭に南向の門あり門より門まで南の方をはかるに百キユビトあり 026 EZE 040 028 彼我を携へて南の門より内庭に至る彼南の門をはかるにその寸尺前のごとし 026 EZE 040 029 その守房と柱と差出たる處は前の寸尺のごとしその門と差出たる處の周圍とに窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビトなり 026 EZE 040 030 差出たる處周圍にありその長二十五キユビト濶五キユビト 026 EZE 040 031 其差出たる處は外庭に出づその柱の上に棕櫚あり八段の階級をへて升るべし 026 EZE 040 032 彼また内庭の東の方に我をたづさへゆきて門をはかるに前の寸尺の如し 026 EZE 040 033 その守房と柱および差出たる處は寸尺前のごとしその門と差出たる處の周圍とに窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビト 026 EZE 040 034 その差出たる處は外庭にいづ柱の上には此旁彼旁に棕櫚あり八段の階級をへて升るべし 026 EZE 040 035 彼われを北の門にたづさへゆきてこれを量るに寸尺おなじ 026 EZE 040 036 その守房と柱と差出たる處ありその周園に窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビト 026 EZE 040 037 その柱は外庭に出づ柱の上に此旁彼旁に棕櫚あり八段の階をへて升るべし 026 EZE 040 038 門の柱の傍に戸のある室あり其處は燔祭の牲を洗ふところなり 026 EZE 040 039 門の廊に此旁に二の臺彼旁に二の臺あり其上に燔祭 罪祭 愆祭の牲畜を屠るべし 026 EZE 040 040 北の門の入口に升るに外面に於て門の廊の傍に二の臺あり亦他の旁にも二の臺あり 026 EZE 040 041 門の側に此旁に四の臺彼旁に四の臺ありて八なり其上に屠ることを爲す 026 EZE 040 042 升口に琢石の四の臺あり長一キユビト半廣一キユビト半高一キユビトなり燔祭および犠牲を宰るところの器具をその上に置く 026 EZE 040 043 内の周圍に一手寛の曲釘うちてあり犠牲の肉は臺の上におかる 026 EZE 040 044 内の門の外において内庭に謳歌人の室あり一は北の門の側にありて南にむかひ一は南の門の側にありて北にむかふ 026 EZE 040 045 彼われに言ふ此南にむかへる室は殿をまもる祭司のための者 026 EZE 040 046 北にむかへる室は壇をまもる祭司のための者なり彼等はレビの子孫の中なるザドクの後裔にしてヱホバに近よりて之に事ふるなり 026 EZE 040 047 而して彼庭をはかるに長百キユビト寛百キユビトにして四角なり殿の前に壇あり 026 EZE 040 048 彼殿の廊に我をひきゆきて廊の柱を量るに此旁も五キユビト彼方も五キユビトあり門の廣は此旁三キユビト彼旁三キユビトなり 026 EZE 040 049 廊の長は二十キユビト寛は十一キユビト階級によりて升るべし柱にそふて柱あり此旁に一箇彼旁に一箇 026 EZE 041 001 彼殿に我をひきゆきて柱を量るに此旁の寛六キユビト彼旁の寛六キユビト幕屋の寛なり 026 EZE 041 002 戸の寛は十キユビト戸の側柱は此旁も五キユビト彼旁も五キユビト彼量るに其長四十キユビト廣二十キユビトあり 026 EZE 041 003 内にいりて戸の柱を量るに二キユビトあり戸は六キユビト戸の濶は七キユビト 026 EZE 041 004 彼量るに其長二十キユビト廣二十キユビトにして殿に向ふ彼我に言けるは是至聖所なり 026 EZE 041 005 彼室の壁を量るに六キユビトあり室の周圍の連接屋の寛は四キユビトなり 026 EZE 041 006 連接屋は三階にして各三十の間あり室の壁周圍の連接屋の側にありて連接屋は之に連りて堅く立つ然れども室の壁に挿入て堅く立るにあらず 026 EZE 041 007 連接屋は上にいたるに隨ひて廣くなり行く即ち家の圍牆家の四周に高くのぼれば家は上廣くして下のより上のにのぼる樣は中の割合にしたがふなり 026 EZE 041 008 我室に高き處あるを見る連接屋の基は一竿に足てその連接る處まで六キユビトなり 026 EZE 041 009 連接屋にある外の壁の厚は五キユビト室の連接屋の傍の隙もまた然り 026 EZE 041 010 室の間にあたりて家の四周に廣二十キユビトの處あり 026 EZE 041 011 連接屋の戸は皆かの隙にむかふ一の戸は北にむかひ一の戸は南にむかふ其隙たる處は四周にありて廣五キユビトなり 026 EZE 041 012 西の方にあたる離處の前の建物は廣七十キユビトその建物の周圍の壁は厚五キユビト長九十キユビト 026 EZE 041 013 彼殿をはかるにその長百キユビトあり離處とその建物とその壁は長百キユビト 026 EZE 041 014 殿の面および離處の東面は廣百キユビトなり 026 EZE 041 015 彼後なる離處の前の建物の長を量れり其此旁彼旁の廊下は百キユビトありまた内殿と庭の廊を量り 026 EZE 041 016 彼の三にある處の閾と閉窓と周圍の廊下を量れり閾の對面に當りて周圍に嵌板あり窓まで地を量りしが窓は皆蔽ふてあり 026 EZE 041 017 戸の上なる處内室と外の處および内外の周圍の諸の壁まで量ることをなせり 026 EZE 041 018 ケルビムと棕櫚と造りてあり二のケルビムの間毎に一本の棕櫚ありケルブには二の面あり 026 EZE 041 019 此旁には人の面ありて棕櫚にむかひ彼旁には獅子の面ありて棕櫚にむかふ家の周圍に凡て是のごとく造りてあり 026 EZE 041 020 地より戸の上までケルビムと棕櫚の設あり殿の壁も然り 026 EZE 041 021 殿には四角の戸柱あり聖所の前にも同形の者あり 026 EZE 041 022 壇は木にして高三キユビト長二キユビトなり是に隅木ありその臺と其周圍も木なり彼われに言けるは是はヱホバの前の壇なり 026 EZE 041 023 殿と聖所とには二の戸あり 026 EZE 041 024 その戸に二の扉あり是二の開扉なり此戸に二箇彼戸に二箇の扉あり 026 EZE 041 025 殿の戸にケルビムと棕櫚つくりてあり壁におけるがごとし外の廊の前に木の段あり 026 EZE 041 026 廊の横壁と家の連接屋と段には此旁彼旁に閉窓と棕櫚あり 026 EZE 042 001 彼われを携へ出して北におもむく路よりして外庭にいたり我を室に導く是は北の方にありて離處に對ひ建物に對ひをる 026 EZE 042 002 その百キユビトの長ある所の前に至るに戸は北の方にあり寛は五十キユビト 026 EZE 042 003 内庭の二十キユビトなる處に對ひ外庭の鋪石に對ふ廊下の上に廊下ありて三なり 026 EZE 042 004 室の前に寛十キユビトの路あり又内庭にいたるところの百キユビトの路あり室の戸は北にむかふ 026 EZE 042 005 その建物の上の室は下のと中のとに比れば狹し是は廊下の爲に其場を削らるればなり 026 EZE 042 006 是等は三階にして庭の柱の如くは柱あらず是をもて上のは下のと中のよりもその場狹し 026 EZE 042 007 室の前にあたりて外に垣あり室にそひて外庭にいたる其長五十キユビト 026 EZE 042 008 外庭の室の長は五十キユビトにして殿に對ふ所は百キユビトあり 026 EZE 042 009 その下の方より是等の室いづ外庭よりこれに往ときは其入口東にあり 026 EZE 042 010 南の庭垣の廣き方にあたり離處とその建物にむかひて室あり 026 EZE 042 011 北の方なる室のごとく其前に路ありその長寛およびその出口その建築みな同じ 026 EZE 042 012 その入口のごとく南の方なる室の入口も然り路の頭に入口あり是は垣に連るところの路にて東より來る路なり 026 EZE 042 013 彼われに言けるは離處の前なる北の室と南の室は聖き室にしてヱホバに近くところの祭司の至聖き物を食ふべき所なり其處にかれら最聖き物 素祭 罪祭 愆祭の物を置べし其處は聖ければなり 026 EZE 042 014 祭司は入たるときは聖所より外庭に出べからず彼等職掌を行ふところの衣服を其處に置べし是聖ければなり而して他の衣を着て民に屬するの處に近くべし 026 EZE 042 015 彼内室を量ることを終て東向の門の路より我を携へ出して四方を量れり 026 EZE 042 016 彼間竿をもて東面を量るにその周圍 間竿五百竿あり 026 EZE 042 017 又北面をはかるにその周圍 間竿五百竿あり 026 EZE 042 018 また南面をはかるに間竿五百竿あり 026 EZE 042 019 また西面にまはりて量るに間竿五百竿あり 026 EZE 042 020 斯四方を量れり周圍に牆ありその長 五百竿 寛 五百竿 聖所と俗所とを區別つなり 026 EZE 043 001 彼われを携へて門にいたる其門は東に向ふ 026 EZE 043 002 時にイスラエルの神の榮光東よりきたりしがその聲大水の音のごとくにして地その榮光に照さる 026 EZE 043 003 其狀を見るに我がこの邑を滅しに來りし時に見たるところの狀の如くに見ゆ又ケバル河の邊にて我が見しところの形のごとき形の者あり我すなはち俯伏す 026 EZE 043 004 ヱホバの榮光東向の門よりきたりて室に入る 026 EZE 043 005 靈われを引あげて内庭にたづさへいるにヱホバの榮光室に充をる 026 EZE 043 006 我聽に室より我に語ふ者あり又人ありてわが傍に立つ 026 EZE 043 007 彼われに言たまひけるは人の子よ吾位のある所我脚の跖のふむ所此にて我長久にイスラエルの子孫の中に居んイスラエルの家とその王等再びその姦淫とその王等の屍骸およびその崇邱をもてわが聖き名を汚すことなかるべし 026 EZE 043 008 彼らその閾をわが閾の側に設け其門柱をわが門柱の傍に設けたれば我と其等との間には只壁一重ありしのみ而して彼ら憎むべき事等をおこなひて吾が聖名を汚したるが故に我怒りてかれらを滅したり 026 EZE 043 009 彼ら今はその姦淫とその王等の屍骸をわが前より除き去ん我また彼らの中に長久に居べし 026 EZE 043 010 人の子よ汝この室をイスラエルの家に示せ彼らその惡を愧ぢまたこの式樣を量らん 026 EZE 043 011 彼らその爲たる諸の事を愧なば彼らに此室の製法とその式樣その出口入口その一切の製法その一切の則その一切の製法その一切の法をしらしめよ是をかれらの目の前に書て彼らにその諸の製法とその一切の則を守りてこれを爲しむべし 026 EZE 043 012 室の法は是なり山の頂の上なるその地は四方みな最聖し是室の法なり 026 EZE 043 013 壇の寸尺はキユビトをもて言ば左のごとしそのキユビトは一キユビトと手寛あり壇の底は一キユビト寛一キユビトその周圍の邊は半キユビト是壇の臺なり 026 EZE 043 014 土に坐れる底座より下の層まで二キユビト寛一キユビト又小き層より大なる層まで四キユビト寛一キユビトなり 026 EZE 043 015 正壇は四キユビト壇の上の面に四の角あり 026 EZE 043 016 壇の上の面は長十二キユビト寛十二キユビトにしてその四面角なり 026 EZE 043 017 その層は四方とも長十四キユビト寛十四キユビトその四周の縁は半キユビトその底は四方一キユビトその階は東に向ふ 026 EZE 043 018 彼われに言けるは人の子よ主ヱホバかく言たまふ壇を建て其上に燔祭を献げ血を灑ぐ日には是をその則とすべし 026 EZE 043 019 主ヱホバかく言ふ汝レビの支派ザドクの裔にして我にちかづき事ふるところの祭司等に犢なる牡牛を罪祭として與ふべし 026 EZE 043 020 又その血を取てこれをその四の角と層の四隅と四周の邊に抹り斯して之を淸め潔ようすべし 026 EZE 043 021 汝罪祭の牛を取てこれを聖所の外にて殿の中の定まれる處に焚べし 026 EZE 043 022 第二日に汝全き牡山羊を罪祭に献ぐべし即ちかれら牡牛をもて淸めしごとく之をもて壇を淸むべし 026 EZE 043 023 汝潔禮を終たる時は犢なる牡牛の全き者および群の全き牡羊を献ぐべし 026 EZE 043 024 汝これをヱホバの前に持きたるべし祭司等これに鹽を撒かけ燔祭としてヱホバに献ぐべし 026 EZE 043 025 七日の間汝日々に牡山羊を罪祭に供ふべしまた彼ら犢なる牡牛と群の牡羊との全き者を供ふべし 026 EZE 043 026 七日の間かれら壇を潔ようしこれを淸めその手を滿すべし 026 EZE 043 027 是等の日滿て八日にいたりて後は祭司等汝らの燔祭と酬恩祭をその壇の上に奉へん我悦びて汝らを受納べし主ヱホバこれを言たまふ 026 EZE 044 001 斯て彼我を引て聖所の東向なる外の門の路にかへるに門は閉てあり 026 EZE 044 002 ヱホバすなはち我に言たまひけるは此門は閉おくべし開くべからず此より誰も入るべからずイスラエルの神ヱホバ此より入たれば是は閉おくべきなり 026 EZE 044 003 その君は君たるが故にこの内に坐してヱホバの前に食をなさん彼は門の廊の路より入りまたその路より出ん 026 EZE 044 004 彼また我をひきて北の門の路より家の前に至りしが視るにヱホバの榮光ヱホバの家に滿ゐたれば我俯伏けるに 026 EZE 044 005 ヱホバわれに言たまふ人の子よヱホバの家の諸の則とその諸の法につきて我が汝に告るところの諸の事に心を用ひ目を注ぎ耳を傾け又殿の入口と聖所の諸の出口に心を用ひよ 026 EZE 044 006 而して悖れる者なるイスラエルの家に言べし主ヱホバ斯いふイスラエルの家よ汝らその行ひし諸の憎むべき事等をもて足りとせよ 026 EZE 044 007 即ち汝等は心にも割禮をうけず肉にも割禮をうけざる外國人をひききたりて吾聖所にあらしめてわが家を汚し又わが食なる脂と血を獻ぐることを爲り斯汝らの諸の憎むべき事の上に彼等また吾契約を破れり 026 EZE 044 008 汝ら我が聖物を守る職守を怠り彼らをして我が聖所において汝らにかはりて我の職守を守らしめたり 026 EZE 044 009 主ヱホバかく言たまふイスラエルの子孫の中に居るところの諸の異邦人の中凡て心に割禮をうけず肉に割禮をうけざる異邦人はわが聖所に入るべからず 026 EZE 044 010 亦レビ人も迷へるイスラエルがその憎むべき偶像をしたひて我を棄て迷ひし時に我を棄ゆきたる者はその罪を蒙るべし 026 EZE 044 011 即ち彼らは吾が聖所にありて下僕となり家の門を守る者となり家にて下僕の業をなさん又彼ら民のために燔祭および犠牲の牲畜を殺し民のまへに立てこれに事へん 026 EZE 044 012 彼等その偶像の前にて民に事ヘイスラエルの家を礙かせて罪におちいらしめたるが故に主ヱホバ言ふ我手をあげて彼らを罰し彼らをしてその罪を蒙らしめたり 026 EZE 044 013 彼らは我に近づきて祭司の職をなすべからず至聖所にきたりわが諸の聖き物に近よるべからずその恥とその行ひし諸の憎むべき事等の報を蒙るべし 026 EZE 044 014 我かれらをして宮守の職務をおこなはしめ宮の諸の業および其中に行ふべき諸の事を爲しむべし 026 EZE 044 015 然どザドクの裔なるレビの祭司等すなはちイスラエルの子孫が我を棄て迷謬し時にわが聖所の職守を守りたる者等は我に近づきて事へ我まへに立ち脂と血をわれに獻げん主ヱホバこれを言ふなり 026 EZE 044 016 即ち彼等わが聖所にいり吾が臺にちかづきて我に事へわが職守を守るべし 026 EZE 044 017 彼等内庭の門にいる時は麻の衣を衣べし内庭の門および家において職をなす時は毛服を身につくべからず 026 EZE 044 018 首には麻の冠をいただき腰には麻の袴を穿つべし汗のいづるごとくに身をよそほふべからず 026 EZE 044 019 彼ら外庭にいづる時すなはち外庭にいでて民に就く時はその職をなせるところの衣服を脱てこれを聖き室に置き他の衣服をつくべし是その服をもて民を聖くすること無らんためなり 026 EZE 044 020 彼ら頭を剃べからず又髮を長く長すべからずその頭髮を剪るべし 026 EZE 044 021 祭司たる者は内庭に入ときに酒をのむべからず 026 EZE 044 022 又寡婦および去れたる婦を妻にめとるべからず唯イスラエルの家の出なる處女を娶るべし又は祭司の妻の寡となりし者を娶るべし 026 EZE 044 023 彼らわが民を敎へ聖き物と俗の物の區別および汚れたる物と潔き物の區別を之に知しむべし 026 EZE 044 024 爭論ある時は彼ら起ちて判决き吾定例にしたがひて斷决をなさん我が諸の節期において彼らわが法と憲を守るべく又わが安息日を聖くすべし 026 EZE 044 025 死人の許にいたりて身を汚すべからず只父のため母のため息子のため息女のため兄弟のため夫なき姉妹のためには身を汚すも宜し 026 EZE 044 026 斯る人にはその潔齋の後なほ七日を數へ加ふべし 026 EZE 044 027 彼聖所にいたり内庭にいり聖所にて職を執行ふ日には罪祭を獻ぐべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 044 028 彼らの產業は是なり即ち我これが產業たり汝らイスラエルの中にて彼らに所有を與ふべからず我すなはちこれが所有たるなり 026 EZE 044 029 祭物および罪祭愆祭の物是等を彼等食ふべし凡てイスラエルの中の奉納物は彼らに歸す 026 EZE 044 030 諸の物の初實の初および凡て汝らが献ぐる諸の献物みな祭司に歸すべし汝等その諸の麥粉の初を祭司に與ふべし是汝の家に幸福あらしめんためなり 026 EZE 044 031 鳥にもあれ獸にもあれ凡て自ら死にたる者又は裂ころされし者をば祭司たる者食ふべからず 026 EZE 045 001 汝ら籤をひき地をわかちて產業となす時は地の一分を取り聖き者となしてヱホバに献ぐべし其長は二萬五千寛は一萬なるべし是は其四方周圍凡て聖し 026 EZE 045 002 此中聖所に屬する者は長五百寛五百にして周圍四角なり又五十キユビトの隙地その周圍にあり 026 EZE 045 003 汝この量りたる處より長二萬五千寛一萬の場を度り取るべし此うちに聖所至聖所を設くべし 026 EZE 045 004 是は地の聖場なりヱホバに近づき事ふる聖所の役者なる祭司等に屬すべし是かれらの家を建てまた聖所を設くる聖地なり 026 EZE 045 005 又長二萬五千寛一萬の處家に事ふるレビ人に屬し其所有に二十の室あるべし 026 EZE 045 006 その献げたる聖地に並びて汝ら寛五千長二萬五千の處を分ち邑の所有となすべし是はイスラエルの全家に屬す 026 EZE 045 007 又君たる者の分はかの献げたる聖地と邑の所有の此處彼處にあり献げたる聖地に沿ひ邑の所有に沿ひ西は西にわたり東は東に渉るべし西の極より東の極まで其長は支派の分の一と等し 026 EZE 045 008 イスラエルの中に彼が有ところの者は地にあり吾君等は重てわが民を虐ぐることなくイスラエルの家にその支派にしたがひて地を與へおかん 026 EZE 045 009 主ヱホバかく言たまふイスラエルの君等よ汝ら足ことを知れ虐ぐることと掠むる事を止め公道と公義を行へ我民を逐放すことを止よ主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 045 010 汝ら公平き權衡公平きエパ公平きバテを用ふべし 026 EZE 045 011 エパとバテとはその量を同じうすべし即ちバテもホメルの十分一を容れエパもホメルの十分一を容るべしホメルに準じてその度量を定むべし 026 EZE 045 012 シケルは二十ゲラに當る二十シケル二十五シケル十五シケルを汝等マネとなすべし 026 EZE 045 013 汝らが献ぐべき献物は左のごとし一ホメルの小麥の中よりエパの六分一を献げ一ホメルの大麥の中よりエパの六分一を献ぐべし 026 EZE 045 014 油の例油のバテは是のごとし一コルの中よりバテの十分一を献ぐべしコルは十バテを容る者にて即ちホメルなり十バテ一ホメルとなればなり 026 EZE 045 015 又イスラエルの腴なる地より群二百ごとに一箇の羊を出して素祭および燔祭 酬恩祭の物に供へ民の罪を贖ふことに用ひしむべし主ヱホバこれを言ふ 026 EZE 045 016 國の民みなこの獻物をイスラエルの君にもちきたるべし 026 EZE 045 017 又君たる者は祭日朔日安息日およびイスラエルの家の諸の節期に燔祭 素祭 灌祭を奉ぐべし即ち彼イスラエルの家の贖罪をなすために罪祭 素祭 燔祭 酬恩祭を執行なふべし 026 EZE 045 018 主ヱホバかく言たまふ正月の元日に汝犢なる全き牡牛を取り聖所を淸むべし 026 EZE 045 019 又祭司は罪祭の牲の血を取りて殿の門柱にぬり壇の層の四隅と内庭の門の柱に塗べし 026 EZE 045 020 月の七日に汝等また迷ふ人および拙き者のために斯なして殿のために贖をなすべし 026 EZE 045 021 正月の十四日に汝ら逾越節を守り七日の間祝をなし無酵パンを食ふべし 026 EZE 045 022 その日に君は己のため又國の諸の民のために牡牛を備へて罪祭となし 026 EZE 045 023 七日の節筵の間七箇の牡牛と七箇の牡羊の全き者を日々に七日の間備へてヱホバに燔祭となし又牡山羊を日々に備へて罪祭となすべし 026 EZE 045 024 彼また素祭として一エパを牡牛のために一エパを牡山羊のために備へ油一ヒンをエパに加ふべし 026 EZE 045 025 七月の十五日の節筵に彼また罪祭 燔祭 素祭および油を是のごとく七日の間備ふべし 026 EZE 046 001 主ヱホバかく言たまふ内庭の東向の門は事務をなすところの六日の間は閉ぢ置き安息日にこれを開き又月朔にこれを開くべし 026 EZE 046 002 君たる者は外より門の廊の路をとほりて入り門の柱の傍に立つべし祭司等その時かれの爲に燔祭と酬恩祭を備ふべし彼は門の閾において禮拜をなして出べし但し門は暮まで閉べからず 026 EZE 046 003 國の民は安息日と月朔とにその門の入口においてヱホバの前に禮拜をなすべし 026 EZE 046 004 君が安息日にヱホバに獻ぐる燔祭には六の全き羔羊と一の全き牡羊を用ふべし 026 EZE 046 005 又素祭は牡羊のために一エパを用ふべし羔羊のために用ふる素祭はその手の出しうる程を以し一エパに油一ヒンを加ふべし 026 EZE 046 006 月朔には犢なる一頭の全き牡牛および六の羔羊と一の牡羊の全き者を用ふべし 026 EZE 046 007 素祭は牛のために一エパ牡羊のために一エパ羔羊のために其手のおよぶ程を備へ一エパに油一ヒンを加ふべし 026 EZE 046 008 君は來る時に門の廊の路より入りまたその路より出べし 026 EZE 046 009 國の民祭日にヱホバの前に來る時は北の門よりいりて禮拜をなせる者は南の門より出で南の門より入る者は北の門より出べし其入りたる門より歸るべからず眞直に進みて出べし 026 EZE 046 010 君彼らの中にありてその入る時に入りその出る時に出べし 026 EZE 046 011 祭日と祝日には素祭として牛のために一エパ牡羊のために一エパ羔羊のためにその手の出し得る程を備へ一エパに油一ヒンを加ふべし 026 EZE 046 012 君もし自ら好んでヱホバに燔祭を備へんとし又は自ら好んで酬恩祭を備へんとせば彼のために東向の門を開くべし彼は安息日に爲ごとくその燔祭と酬恩祭を備ふべし又彼が出たる時はその出たる後に門を閉べし 026 EZE 046 013 汝日々に一歳の全き羔羊一箇を燔祭としてヱホバに備ふべし即ち朝ごとにこれを備ふべし 026 EZE 046 014 汝朝ごとに素祭をこれに加ふべし即ち一エパの六分一と麥粉を濕す油一ヒンの三分一とを素祭としてヱホバに獻ぐべし是は長久に續くところの例典なり 026 EZE 046 015 即ち朝ごとに羔羊と素祭と油とを燔祭にそなへて止ことなかるべし 026 EZE 046 016 主ヱホバかく言たまふ君もし其子の一人に讓物をなす時は是その人の產業となりその子孫に傳はりて之が所有となるべし 026 EZE 046 017 然ど若その產業の中をその僕の一人に與ふる時は是は解放の年までその人に屬し居て遂に君にかへるべし彼の產業は只その子孫にのみ傳はるべきなり 026 EZE 046 018 君たる者は民の產業を取て民をその所有より逐放すべからず只己の所有の中をその子等に傳ふべし是わが民のその所有をはなれて散ことなからんためなり 026 EZE 046 019 斯て彼門の傍の入口より我をたづさへいりて北向なる祭司の聖き室にいたるに西の奧に一箇の處あり 026 EZE 046 020 彼われに言けるは是は祭司が愆祭および罪祭の物を烹 素祭の物を拷ところなり斯するはこれを外庭に携へいでて民を聖くすることなからんためなり 026 EZE 046 021 彼また我を外庭に携へいだして庭の四隅をとほらしむるに庭の隅々にまた庭あり 026 EZE 046 022 即ち庭の四隅に庭の設ありてその長四十キユビト廣三十キユビトなり四隅の處その寸尺みな同じ 026 EZE 046 023 凡てその四の周圍なるその建物の下に烹飪の處造りてあり 026 EZE 046 024 彼われに云けるは是等は家の役者等が民の犧牲の品を烹る厨房なり 026 EZE 047 001 斯てかれ我を室の門に携へかへりしが室の閾の下より水の東の方に流れ出るあり室の面は東にむかひをりその水下より出で室の右の方よりして壇の南より流れ下る 026 EZE 047 002 彼北の門の路より我を携へいだして外面をまはらしめ東にむかふ外の門にいたらしむるに水門の右の方より流れ出づ 026 EZE 047 003 その人東に進み手に度繩を持て一千キユビトを度り我に水をわたらしむるに水踝骨にまでおよぶ 026 EZE 047 004 彼また一千を度り我を渉らしむるに水膝にまでおよぶ而してまた一千を度り我を渉らしむるに水腰にまで及ぶ 026 EZE 047 005 彼また一千を度るに早わが渉るあたはざる河となり水高くして泅ぐほどの水となり徒渉すべからざる河とはなりぬ 026 EZE 047 006 彼われに言けるは人の子よ汝これを見とめたるやと乃ち河の岸に沿て我を將かへれり 026 EZE 047 007 我歸るに河の岸の此方彼方に甚だ衆多の樹々生ひ立るあり 026 EZE 047 008 彼われに言ふこの水東の境に流れゆきアラバにおち下りて海に入る是海に入ればその水すなはち醫ゆ 026 EZE 047 009 凡そ此河の往ところには諸の動くところの生物みな生ん又甚だ衆多の魚あるべし此水到るところにて醫すことをなせばなり此河のいたる處にては物みな生べきなり 026 EZE 047 010 漁者その傍に立んエンゲデよりエネグライムまでは網を張る處となるべしその魚はその類にしたがひて大海の魚のごとく甚だ多からん 026 EZE 047 011 但しその澤地と濕地とは愈ることあらずして鹽地となりをるべし 026 EZE 047 012 河の傍その岸の此旁彼旁に食はるる果を結ぶ諸の樹生そだたんその葉は枯ずその果は絕ず月々新しき果をむすぶべし是その水かの聖所より流れいづればなりその果は食となりその葉は藥とならん 026 EZE 047 013 主ヱホバかく言たまふ汝らイスラエルの十二の支派の中に地を分ちてその產業となさしむるにはその界を斯さだむべしヨセフは二分を得べきなり 026 EZE 047 014 汝ら各々均しく之を獲て產業とすべし是は我が手をあげて汝らの先祖等に與へし者なり斯この地汝らに歸して產業とならん 026 EZE 047 015 地の界は左のごとし北は大海よりヘテロンの路をへてゼダデの方にいたり 026 EZE 047 016 ハマテ、ベロクにいたりダマスコの界とハマテの界の間なるシブライムにいたりハウランの界なるハザルハテコンにいたる 026 EZE 047 017 海よりの界はダマスコの界のハザルエノンにいたる北の方においてはハマテその界たり北の方は是のごとし 026 EZE 047 018 東の方はハウラン、ダマスコ、ギレアデとイスラエルの地との間にヨルダンあり汝らかの界より東の海までを量るべし東の方は斯のごとし 026 EZE 047 019 南の方はタマルよりメリボテカデシにおよび河に沿て大海にいたる南の方は是のごとし 026 EZE 047 020 西の方は大海にしてこの界よりハマテにおよぶ西の方は是のごとし 026 EZE 047 021 汝らイスラエルの支派にしたがひて此地を汝らの中にわかつべし 026 EZE 047 022 汝ら籤をもて之を汝らの中に分ち又汝らの中にをりて汝らの中に子等を擧けたる異邦人の中に分ちて產業となすべし斯る人は汝らにおけることイスラエルの子孫の中に生れたる本國人のごとし彼らも汝らと共に籤をひきてイスラエルの支派の中に產業を得べし 026 EZE 047 023 異邦人にはその住ところの支派の中にて汝ら之に產業を與ふべし主ヱホバこれを言たまふ 026 EZE 048 001 支派の名は是のごとしダンの一分は北の極よりヘテロンの路の傍にいたりハマテにいたり北におもむきてダマスコの界なるハザルエノンにいたりハマテの傍におよぶ是その東の方と西の方なり 026 EZE 048 002 アセルの一分はダンの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 003 ナフタリの一分はアセルの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 004 マナセの一分はナフタリの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 005 エフライムの一分はマナセの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 006 ルペンの一分はエフライムの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 007 ユダの一分はルベンの界にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 008 ユダの界にそひて東の方より西の方にわたる處をもて汝らが献ぐるところの献納地となすべし其廣二萬五千其東の方より西の方にわたる長は他の一の分のごとし聖所はその中にあるべし 026 EZE 048 009 即ち汝らがヱホバに献ぐるところの献納地は長二萬五千廣一萬なるべし 026 EZE 048 010 この聖き献納地は祭司に屬し北は二萬五千西は廣一萬東は廣一萬南は長二萬五千ヱホバの聖所その中にあるべし 026 EZE 048 011 ザドクの子孫たる者すなはち我が職守をまもりイスラエルの子孫が迷謬し時にレビ人の迷ひしごとく迷はざりし者の中聖別られて祭司となれる者に是は屬すべし 026 EZE 048 012 その献げたる地の中より一分の至聖き献納地かれらに屬してレビの境界に沿ふ 026 EZE 048 013 レビ人の地は祭司の地にならびて其長二萬五千廣一萬なり即ちその都の長二萬五千その廣一萬なり 026 EZE 048 014 彼らこれを賣べからず換べからず又その地の初實は人にわたすべからず是ヱホバに屬する聖物なればなり 026 EZE 048 015 彼二萬五千の處に沿て殘れる廣五千の處は俗地にして邑を建て住家を設くべし又郊地となすべし邑その中にあるべし 026 EZE 048 016 その廣狹は左のごとし北の方四千五百南の方四千五百東の方四千五百西の方四千五百 026 EZE 048 017 邑の郊地は北二百五十南二百五十東二百五十西二百五十 026 EZE 048 018 聖き献納地にならびて餘れる處の長は東へ一萬西へ一萬なり是は聖き献納地に並びその產物は邑の役人の食物となるべし 026 EZE 048 019 邑の役人はイスラエルの諸の支派より出てその職をなすべし 026 EZE 048 020 その献納地の惣體は堅二萬五千横二萬五千なりこの聖き献納地の四分の一にあたる處を取て邑の所有となすべし 026 EZE 048 021 聖き献納地と邑の所有との此旁彼旁に餘れる處は君に屬すべし是はすなはち献納地の二萬五千なる所に沿て東の界にいたり西はかの二萬五千なる所にそひて西の界に至りて支派の分と相並ぶ是君に屬すべし聖き献納地と室の聖所とはその中間にあるべし 026 EZE 048 022 君に屬する所の中間にあるレビ人の所有と邑の所有の兩傍ユダの境とベニヤミンの境の間にある所は君の所有たり 026 EZE 048 023 その餘の支派はベニヤミンの一分東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 024 シメオンの一分はベニヤミンの境にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 025 イッサカルの一分はシメオンの境にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 026 ゼブルンの一分はイッサカルの境にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 027 ガドの一分はゼブルンの境にそひて東の方より西の方にわたる 026 EZE 048 028 南の方はその界ガドの境界にそひてタマルよりメリボテカデシにおよび河に沿て大海にいたる 026 EZE 048 029 是は汝らが籤をもてイスラエルの支派の中にわかちて產業となすべき地なりその分は斯のごとし主ヱホバこれを言たまふ 026 EZE 048 030 邑の出口は斯のごとしすなはち北の方の廣四千五百あり 026 EZE 048 031 邑の門はイスラエルの支流の名にしたがひ北に三あり即ちルベンの門一ユダの門一レビの門一 026 EZE 048 032 東の方も四千五百にして三の門あり即ちヨセフの門一ベニヤミンの門一ダンの門一 026 EZE 048 033 南の方も四千五百にして三の門ありすなはちシメオンの門一イツサカルの門一ゼブルンの門一 026 EZE 048 034 西の方も四千五百にしてその門三あり即ちガドの門一アセルの門一ナフタリの門一 026 EZE 048 035 四周は一萬八千あり邑の名は此日よりヱホバ此に在すと云ふ # # BOOK 027 DAN Daniel ダニエル書 027 DAN 001 001 ユダの王エホヤキムの治世の第三年にバビロンの王ネブカデネザル、ヱルサレムにきたりて之を攻圍みしに 027 DAN 001 002 主ユダの王ヱホヤキムと神の家の器具幾何とをかれの手にわたしたまひければ則ちこれをシナルの地に携へゆきて己の神の家にいたりその器具を己の神の庫に蔵めたり 027 DAN 001 003 茲に王寺人の長アシベナズに命じてイスラエルの子孫の中より王の血統の者と貴族たる者幾何を召寄しむ 027 DAN 001 004 即ち身に疵なく容貌美しくして一切の智慧の道に頴く知識ありて思慮深く王の宮に侍るに足る能幹ある少き者を召寄しめこれにカルデヤ人の文學と言語とを學ばせんとす 027 DAN 001 005 是をもて王は命を下して日々に王の用ゐる饌と王の飮む酒とを彼らに與へしめ三年の間かく彼らを養ひ育てしめんとす是その後に彼らをして王の前に立ことを得せしめんとてなり 027 DAN 001 006 是等の中にユダの人ダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤありしが 027 DAN 001 007 寺人の長かれらに名をあたへてダニエルをベルテシヤザルと名けハナニヤをシヤデラクと名けミシヤエルをメシヤクと名けアザリヤをアベデネゴと名く 027 DAN 001 008 然るにダニエルは王の用ゐる饌と王の飮む酒とをもて己の身を汚すまじと心に思ひさだめたれば己の身を汚さざらしめんことを寺人の長に求む 027 DAN 001 009 以前よりヱホバ、ダニエルをして寺人の長の慈悲と寵愛とを蒙らしめたまふ 027 DAN 001 010 是において寺人の長ダニエルに言けるは吾主なる王すでに命をくだして汝らの食物と汝らの飮物とを頒たしめたまへば我かれを畏る恐くは彼なんぢらの面の其同輩の少者等と異にして憂色あるを見ん然る時は汝らのために我首王の前に危からん 027 DAN 001 011 寺人の長はメルザル官をしてダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル及びアザリヤを監督らせ置たればダニエル之に言けるは 027 DAN 001 012 請ふ十日の間僕等を驗したまへ即ち我らには菜蔬を與へて食せ水を與へて飮せよ 027 DAN 001 013 而して我らの面と王の饌を食ふ少者どもの面とを較べ見汝の視るところにしたがひて僕等を待ひたまへと 027 DAN 001 014 是において彼この事を聽いれ十日のあひだ彼らを驗しけるが 027 DAN 001 015 十日の後にいたりて見るに王の饌を食へる諸の少者よりも彼らの面は美しくまた肥え膩つきてありければ 027 DAN 001 016 メルザル官すなはち彼らの分なる饌と彼らの飮べき酒とを撤きさりて菜蔬をこれに與へたり 027 DAN 001 017 この四人の少者には神知識を得させ諸の文學と智慧に頴からしめたまへりダニエはまた能く各諸の異象と夢兆を暁る 027 DAN 001 018 王かねて命をくだし少者どもを召いるる迄に經べき日を定めおきしがその日數も過たるに因て寺人の長かれらを引てネブカデザルの前にいたりければ 027 DAN 001 019 王かれらと言談へり彼ら一切の中にはダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤに比ぶ者あらざりければこの四人は王の前に侍れり 027 DAN 001 020 王かれらに諸の事を詢たづね見に彼らは智慧の學においてその全國の博士と法術士に愈ること十倍なり 027 DAN 001 021 ダニエルはクロス王の元年までありき 027 DAN 002 001 ネブカデネザルの治世の二年にネブカデネザル夢を見それがために心に思ひなやみて復睡ること能はざりき 027 DAN 002 002 是をもて王は命を下し王のためにその夢を解せんとて博士と法術士と魔術士とカルデヤ人とを召しめたれば彼ら來りて王の前に立つ 027 DAN 002 003 王すなはち彼らにむかひ我夢を見その夢の義を知んと心に思ひなやむと言ければ 027 DAN 002 004 カルデヤ人等スリア語をもて王に申しけるは願くは王長壽かれ請ふ僕等にその夢を語りたまへ我らその解明を進めたてまつらんと 027 DAN 002 005 王こたへてカルデヤ人に言けるは我すでに命を出せり汝等もしその夢とこれが解明とを我に示さざるにおいては汝らの身は切裂れ汝らの家は厠にせられん 027 DAN 002 006 又汝らもしその夢とこれが解明を示さば贐物と賞賚と大なる尊榮とを我より獲ん然ばその夢と之が解明を我に示せ 027 DAN 002 007 彼らまた對へて言けるは願くは王僕どもにその夢を語りたまへ然ば我らその解明を奏すべしと 027 DAN 002 008 王こたへて言けるは我あきらかに知る汝らは吾命の下りしを見るが故に時を延さんことを望むなり 027 DAN 002 009 汝らもしその夢を我に示さずば汝らを處置するの法は只一のみ汝らは相語らひて虚言と妄誕なる詞を我前にのべて時の變るを待んとするなり汝ら今先その夢を我に示せ然すれば汝らがその解明をも我にしめし得ることを我しらんと 027 DAN 002 010 カルデヤ人等こたへて王の前に申しけるは世の中には王のその事を示し得る人一箇もなし是をもて王たる者主たる者君たる者等の中に斯る事を博士または法術士またはカルデヤ人に問たづねし者絶てあらざるなり 027 DAN 002 011 王の問たまふその事は甚だ難し肉身なる者と共に居ざる神々を除きては王の前にこれを示すことを得る者無るべしと 027 DAN 002 012 斯りしかば王怒を發し大に憤りバビロンの智者をことごとく殺せと命じたり 027 DAN 002 013 即ち此命くだりければ智者等は殺されんとせり又ダニエルとその同僚をも殺さんともとめたり 027 DAN 002 014 茲に王の侍衛の長アリオク、バビロンの智者等を殺さんとて出きたりければダニエル遠慮と智慧とをもて之に應答せり 027 DAN 002 015 すなはち王の高官アリオクに對へて言けるは王なにとて斯すみやかにこの命を下したまひしやとアリオクその事をダニエルに告しらせたれば 027 DAN 002 016 ダニエルいりて王に乞求めて言ふ暫くの時日を賜へ然ばその解明を王に奏せんと 027 DAN 002 017 斯てダニエルその家にかへりその同僚ハナニヤ、ミシヤエルおよびアザリヤにこの事を告しらせ 027 DAN 002 018 共にこの秘密につき天の神の憐憫を乞ひダニエルとその同僚等をしてその他のバビロンの智者とともに滅びさらしめんことを求めたりしが 027 DAN 002 019 ダニエルつひに夜の異象の中にこの秘密を示されければダニエル天の神を稱賛ふ 027 DAN 002 020 即ちダニエル應へて言けるは永遠より永遠にいたるまでこの神の御名は讃まつるべきなり智慧と權能はこれが有なればなり 027 DAN 002 021 彼は時と期とを變じ王を廢し王を立て智者に智慧を與へ賢者に知識を賜ふ 027 DAN 002 022 彼は深妙秘密の事を顯し幽暗にあるところの者を知たまふまた光明彼の裏にあり 027 DAN 002 023 わが先祖等の神よ汝は我に智慧と權能を賜ひ今われらが汝に乞求めたるところの事を我にしめし給へば我感謝して汝を稱賛ふ即ち汝は王のかの事を我らに示したまへり 027 DAN 002 024 是においてダニエルは王がバビロンの智者等を殺すことを命じおけるアリオクの許にいたり即ちいりてこれに言けるはバビロンの智者等を殺す勿れ我を王の前に引いたれよ我その解明を王に奏上ぐべしと 027 DAN 002 025 アリオクすなはちダニエルを引て急ぎ王の前にいたり王にまうしけるは我ユダの俘囚人の中に一箇の人を得たり是者その解明を王にまうしあげん 027 DAN 002 026 王こたへてベルテシヤザルと名くるダニエルに言けるは汝は我が見たる夢とその解明とを我に知らすることを得るやと 027 DAN 002 027 ダニエルすなはち應へて王の前に言けるは王の問たまふ秘密は智者法術士博士卜筮師など之を王に奏上ぐることを得ず 027 DAN 002 028 然ど天に一の神ありて秘密をあらはし給ふ彼後の日に起らんところの事の如何なるかをネブカデネザル王にしらせたまふなり汝の夢汝が牀にありて想見たまひし汝の腦中の異象は是なり 027 DAN 002 029 王よ汝牀にいりし時將來の事の如何を想ひまはしたまひしが秘密を顯す者將來の事の如何を汝にしめし給へり 027 DAN 002 030 我がこの示現を蒙れるは凡の生る者にまさりて我に智慧あるに由にあらず唯その解明を王に知しむる事ありて王のつひにその心に想ひたまひし事を知にいたり給はんがためなり 027 DAN 002 031 王よ汝は一箇の巨なる像の汝の前に立るを見たまへり其像は大くしてその光輝は常ならずその形は畏ろしくあり 027 DAN 002 032 其像は頭は純金 胸と兩腕とは銀 腹と腿とは銅 027 DAN 002 033 脛は鐵 脚は一分は鐵一分は泥土なり 027 DAN 002 034 汝見て居たまひしに遂に一箇の石人手によらずして鑿れて出でその像の鐵と泥土との脚を撃てこれを碎けり 027 DAN 002 035 斯りしかばその鐵と泥土と銅と銀と金とは皆ともに碎けて夏の禾場の糠のごとくに成り風に吹はらはれて止るところ無りき而してその像を撃たる石は大なる山となりて全地に充り 027 DAN 002 036 是その夢なり我らその解明を王の前に陳ん 027 DAN 002 037 王よ汝は諸王の王にいませり即ち天の神汝に國と權威と能力と尊貴とを賜へり 027 DAN 002 038 また人の子等野の獣畜および天空の鳥は何處にをる者にもあれ皆これを汝の手に與へて汝にこれをことごとく治めしめたまふ汝はすなはち此金の頭なり 027 DAN 002 039 汝の後に汝に劣る一の國おこらんまた第三に銅の國おこりて全世界を治めん 027 DAN 002 040 第四の國は堅きこと鐵のごとくならん鐵は能く萬の物を毀ち碎くなり 鐵の是等をことごとく打碎くがごとく其國は毀ちかつ碎くことをせん 027 DAN 002 041 汝その足と足の趾を見たまひしに一分は陶人の泥土一分は鐵なりければその國は分裂たる者ならん又汝鐵と粘土との混和たるを見たまひたればその國は鐵のごとく強からん 027 DAN 002 042 その足の趾の一分は鐵一分は泥土なりしごとくその國は強きところもあり脆きところも有ん 027 DAN 002 043 汝が鐵と粘土との混りたるを見たまひしごとく其等は人草の種子と混らん然ど鐵と泥土との相合せざるごとく彼と此と相合すること有じ 027 DAN 002 044 この王等の日に天の神一の國を建たまはん是は何時までも滅ぶること無らん此國は他の民に歸せず却てこの諸の國を打破りてこれを滅せん是は立ちて永遠にいたらん 027 DAN 002 045 かの石の人手によらずして山より鑿れて出で鐵と銅と泥土と銀と金とを打碎きしを汝が見たまひしは即ちこの事なり大御神この後に起らんところの事を王にしらせたまへるなりその夢は眞にしてこの解明は確なり 027 DAN 002 046 是においてネブカデネザル王は俯伏てダニエルを拝し禮物と香をこれに献ぐることを命じたり 027 DAN 002 047 而して王こたへてダニエルに言けるは汝がこの秘密を明かに示すことを得たるを見れば誠に汝らの神は神等の神王等の主にして能く秘密を示す者なりと 027 DAN 002 048 かくて王はダこエルに高位を授け種々の大なる賜物を與へてこれをバビロン全州の總督となしまたバビロンの智者等を統る者の首長となせり 027 DAN 002 049 王またダニエルの願によりてシヤデラクとメシヤクとアベデネゴを擧てバビロン州の事務をつかさどらしめたりダニエルは王の宮にをる 027 DAN 003 001 茲にネブカデネザル王 一箇の金の像を造れりその高は六十キユビトその横の廣は六キユビトなりき即ちこれをバビロン州のドラの平野に立たり 027 DAN 003 002 而してネブカデネザル王は州牧將軍方伯刑官庫官法官士師および州郡の諸有司を召集めそのネブカデネザル王の立たる像の告成禮に臨ましめんとせり 027 DAN 003 003 是においてその州牧將軍方伯刑官庫官法官士師および州郡の諸有司等はネブカデネザル王の立たる像の告成禮に臨みそのネブカデネザル王の立たる像の前に立り 027 DAN 003 004 時に傳令者大聲に呼はりて言ふ諸民諸族諸音よ汝らは斯命ぜらる 027 DAN 003 005 汝ら喇叭簫琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く時は俯伏しネブカデネザル王の立たまへる金像を拝すべし 027 DAN 003 006 凡て俯伏て拝せざる者は即時に火の燃る爐の中に投こまるべしと 027 DAN 003 007 是をもて諸民等喇叭簫琵琶琴瑟などの諸の樂器の音を聞くや直に諸民諸族諸音みな俯伏しネブカデネザル王の立たる金像を拝したり 027 DAN 003 008 その時或カルデヤ人等進みきたりてユダヤ人を讒奏せり 027 DAN 003 009 即ち彼らネブカデネザル王に奏聞して言ふ願くは王長壽かれ 027 DAN 003 010 王よ汝は命を出して宣へり凡て喇叭簫琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く者はみな俯伏しこの金像を拝すべし 027 DAN 003 011 凡て俯伏し拝せざる者はみな火の燃る爐の中に投こまるべしと 027 DAN 003 012 此に汝が立てバビロン州の事務を司どらせ給へるユダヤ人シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴあり王よ此人々は汝を尊ばず汝の神々にも事へず汝の立たまへる金像をも拝せざるなりと 027 DAN 003 013 是においてネブカデネザル怒りかつ憤りてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを召寄よと命じければ即ちこの人々を王の前に引きたりしに 027 DAN 003 014 ネブカデネザルかれらに問て言けるはジヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ汝ら我神に事へずまた我が立たる金像を拝せざるは是故意にするなるか 027 DAN 003 015 汝らもし何の時にもあれ喇叭簫琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く時に俯伏し我が造れる像を拝することを爲ば可し然ど汝らもし拝することをせずば即時に火の燃る爐の中に投こまるべし何の神か能く汝らをわが手より救ひいだすことをせん 027 DAN 003 016 シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴ對へて王に言けるはネブカデネザルよこの事においては我ら汝に答ふるに及ばず 027 DAN 003 017 もし善らんには王よ我らの事ふる我らの神我らを救ふの能あり彼その火の燃る爐の中と汝の手の中より我らを救ひいださん 027 DAN 003 018 假令しからざるも王よ知たまへ我らは汝の神々に事へずまた汝の立たる金像を拝せじ 027 DAN 003 019 是においてネブカデネザル怒氣を充しシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴにむかひてその面の容を變へ即ち爐を常に熱くするよりも七倍熱くせよと命じ 027 DAN 003 020 またその軍勢の中の力強き人々を喚てシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを縛りてこれを火の燃る爐の中に投こめと命じたり 027 DAN 003 021 是をもて此人々はその褲子羽織外套およびその他の服装を着たるままにて縛られて火の燃る爐の中に投こまれたりしが 027 DAN 003 022 王の命はなはだ急にして爐は甚だしく熱しゐたれば彼のシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを引抱へゆける者等はその火焔に燒ころされたり 027 DAN 003 023 また此シヤデラク、メシヤク、デベデネゴの三人は縛られたるままにて燃る爐の中に落いりぬ 027 DAN 003 024 時にネブカデネザル王驚きて急忙しくたちあがり大臣等に言ふ我らは三人を縛りて火の中に投いれざりしや彼ら王にこたへて言ふ王よ然りと 027 DAN 003 025 王また應へて言ふ今我見るに四人の者縲絏解て火の中に歩みをり凡て何の害をも受ずまたその第四の者の容は神の子のごとしと 027 DAN 003 026 ネブカデネザルすなはちその火の燃る爐の口に進みよりて呼て言ふ至高神の僕シヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ汝ら出きたれと是においてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴその火の中より出きたりしかば 027 DAN 003 027 州牧將軍方伯および王の大臣等集りて比人々を見たり此人々の身は火もこれを害する力なかりきまたその頭の髮は燒けずその衣裳は傷ねず火の臭氣もこれに付ざりき 027 DAN 003 028 ネブカデネザルすなはち宣て曰くシヤデラク、メシヤク、アベデネゴの神は讃べき哉彼その使者を遣りて己を賴む僕を救へりまた彼らは自己の神の外には何の神にも事へずまた拝せざらんとて王の命をも用ひず自己の身をも捨んとせり 027 DAN 003 029 然ば我今命を下す諸民諸族諸音の中凡てシヤデラク、メシヤクおよびアベダネゴの神を詈る者あらばその身は切裂れその家は厠にせられん其は是のごとくに救を施す神他にあらざればなりと 027 DAN 003 030 かくて王またシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴの位をすすめてバビロン州にをらしむ 027 DAN 004 001 ネブカデネザル王全世界に住める諸民諸族諸音に諭す願くは大なる平安汝らにあれ 027 DAN 004 002 至高神我にむかひて徴證と奇蹟を行へり我これを知しむることを善と思ふ 027 DAN 004 003 嗚呼大なるかなその徴證嗚呼盛なるかなその奇蹟その國は永遠の國その權は世々限なし 027 DAN 004 004 我ネブカデネザルわが家に安然に居りわが宮に榮え居れり 027 DAN 004 005 我一の夢を見て之がために懼れ即ち床にありてその事を想ひめぐらしその我腦中の異象のために心をなやませり 027 DAN 004 006 是に於て我命を下しバビロンの智者をことごとく我前に召よせしめてその夢の解明を我にしめさせんと爲たれば 027 DAN 004 007 すなはち博士法術士カルデヤ人卜筮師等きたりしに囚て我その夢を彼らに語りけるに彼らはその解明を我にしめすことを得ざりき 027 DAN 004 008 かくて後ダニエルわが前に來れり彼の名は吾神の名にしたがひてベルテシヤザルと稱へられその裏には聖神の霊やどれり我その夢を彼の前に語りて曰けらく 027 DAN 004 009 博士の長ベルテシヤザルよ我しる汝の裏には聖神の霊やどれば如何なる秘密も汝には難き事なし我が夢に見たるところの事等を聞きその解明を我に告げよ 027 DAN 004 010 我が床にありて見たる吾腦中の異象は是のごとし我觀しに地の當中に一の樹ありてその丈高かりしが 027 DAN 004 011 その樹長じて強固なり天に達するほどの高となりて地の極までも見えわたり 027 DAN 004 012 その葉は美しくその菓は饒にして一切の者その中より食を得また野の獣その蔭に臥し空の鳥その枝に棲み凡て血氣ある者みな是によりて身を養ふ 027 DAN 004 013 我床にありて得たる腦中の異象の中に一箇の警寤者一箇の聖者の天より下るを見たりしが 027 DAN 004 014 彼聲高く呼はりて斯いへり此樹を伐たふしその枝を斫はなしその葉を搖おとしその果を打散し獣をしてその下より逃はしらせ鳥をしてその枝を飛さらしめよ 027 DAN 004 015 但しその根の上の斬株を地に遺しおき鐵と銅の索をかけて之を野の草の中にあらしめよ是は天よりくだる露に濕れまた地の草の中にて獣とその分を同じうせん 027 DAN 004 016 又その心は變りて人間の心のごとくならず獣の心を稟て七の時を經ん 027 DAN 004 017 この事は警寤者等の命によりこの事は聖者等の言による是至高者人間の國を治めて自己の意のままにこれを人に與へまた人の中の最も賤き者をその上に立たまふといふ事を一切の者に知しめんがためなり 027 DAN 004 018 我ネブカデネザル王この夢を見たりベルテシヤザルよ汝その解明を我に述よ我國の智者は執も皆その解明を我に示すことを得ざりしが汝は之を能せん其は汝の裏には聖神の霊やどればなりと 027 DAN 004 019 その時ダニエル又の名はベルテシヤザルとい者暫時の間驚き居り心に深く懼れたれば王これに告て言りベルテシヤザルよ汝この夢とその解明のために懼るるにおよばずとベルテシヤザルすなはち答へて言けらく我主よ願くはこの夢汝を惡む者の上にかからん事を願くは此解明汝の敵にのぞまんことを 027 DAN 004 020 汝が見たまひし樹すなはちその長じて強くなり天に達するほどの高となりて地の極までも見えわたり 027 DAN 004 021 その葉は美しくその果は饒にして一切の者その中より食を得またその下に野の獣臥しその枝に空の鳥棲たる者 027 DAN 004 022 王よ是はすなはち汝なり汝は長じて強くなり汝の勢ひは盛にして天におよび汝の權は地の極にまでおよべり 027 DAN 004 023 王また一箇の警寤者一箇の聖者の天より下りて斯言ふを見たまへり云くこの樹を伐たふして之をそこなへ但し其根の上の斬株を地に遺しおき鐵と銅の索をかけて之を野の草の中にあらしめよ是は天より下る露に濡れ野の獣とその分を同じうして七の時を經ん 027 DAN 004 024 王よその解明は是の如し是即ち至高者の命にして王我主に臨まんとする者なり 027 DAN 004 025 即ち汝は逐れて世の人と離れ野の獣とともに居り牛のごとくに草を食ひ天よりくだる露に濡れん是の如くにして七の時を經て汝つひに知ん至高者人間の國を治めて自己の意のままに之を人に與へ給ふと 027 DAN 004 026 又彼らその樹の根の上の斬株を遺しおけと言たれば汝の國は汝が天は主たりと知にいたる時まで汝を離れん 027 DAN 004 027 然ば王よ吾諌を容れ義をおこなひて罪を離れ貧者を憐みて惡を離れよ然らば汝の平安あるひは長く続かんと 027 DAN 004 028 この事みなネブカデネザル王に臨めり 027 DAN 004 029 十二箇月を經て後王バビロンの王宮の上に歩みをり 027 DAN 004 030 王すなはち語りて言ふ此大なるバビロンは我が大なる力をもて建て京城となし之をもてわが威光を耀かす者ならずや 027 DAN 004 031 その言なほ王の口にある中に天より聲降りて言ふネブカデネザル王よ汝に告ぐ汝は國の位を失はん 027 DAN 004 032 汝は逐れて世の人と離れ野の獣と共に居り牛のごとくに草を食はん斯の如くにして七の時を經て汝つひに知ん至高者人間の國を治めて己れの意のままにこれを人に與へたまふと 027 DAN 004 033 その時直にこの事ネブカデネザルに臨み彼は逐れて世の人に離れ牛のごとくに草を食ひてその身は天よりくだる露に濡れ終にその髮毛は鷲の羽のごとくになりその爪は鳥の爪のごとくになりぬ 027 DAN 004 034 斯てその日の滿たる後我ネブカデネザル目をあげて天を望みしにわが分別性我に歸りたれば我至高者に感謝しその永遠に生る者を讃かつ崇めたり彼の御宇は永遠の御宇彼の國は世々かぎり無し 027 DAN 004 035 地上の居民は凡て無き者のごとし天の衆群にも地の居民にも彼はその意のままに事をなしたまふ誰も彼の手をおさへて汝なんぞ然するやと言ことを得る者なし 027 DAN 004 036 この時わが分別性かく我に歸りたりしがわが國の榮光につきてはまた我の尊嚴と光耀我にかへれり且また大臣牧伯等我に請求めて我ふたたび國の祚を踐み前よりも著しく威光を増たり 027 DAN 004 037 是において我ネブカデネザル今は天の王を讃頌へかつ崇む彼の作爲は凡て眞實彼の道は正義自ら高ぶる者は彼能くこれを卑くしたまふ 027 DAN 005 001 ベルシヤザル王その大臣一千人のために酒宴を設けその一千人の者の前に酒を飮たりしが 027 DAN 005 002 酒の進むにいたりてベルシヤザルはその父ネブカデネザルがヱルサレムの宮より取きたりし金銀の器を携へいたれと命ぜり是王とその大臣および王の妻妾等みな之をもて酒を飮んとてなりき 027 DAN 005 003 是をもてそのヱルサレムなる神の宮の内院より取たりし金の器を携へいたりければ王とその大臣および王の妻妾等これをもて飮めり 027 DAN 005 004 すなはち彼らは酒をのみて金銀銅鐵木石などの神を讃たたへたりしが 027 DAN 005 005 その時に人の手の指あらはれて燭臺と相對する王の宮の粉壁に物書り王その物書る手の末を見たり 027 DAN 005 006 是において王の愉快なる顔色は變りその心は思ひなやみて安からず腿の關節はゆるみ膝はあひ撃り 027 DAN 005 007 王すなはち大聲に呼はりて法術士カルデヤ人卜筮師等を召きたらしめ而して王バビロンの智者等に告て言ふこの文字を讀みその解明を我に示す者には紫の衣を衣せ頸に金の鏈をかけさせて之を國の第三の牧伯となさんと 027 DAN 005 008 王の智者等は皆きたりしかどもその文字を讀こと能はずまたその解明を王にしめすこと能はざりければ 027 DAN 005 009 ベルシヤザル王おほいに思ひなやみてその顔色を失へりその大臣等もまた驚き懼れたり 027 DAN 005 010 時に大后王と大臣等の言を聞てその酒宴の室にいりきたり大后すなはち陳て言ふ願くは王長壽かれ汝心に思ひなやむ勿れまた顔色を失ふにおよばず 027 DAN 005 011 汝の國に聖神の霊のやどれる一箇の人あり汝の父の代に彼聰明了知および神の智慧のごとき智慧あることを顯せり汝の父ネブカデネザル王すなはち汝の父の王彼を立てて博士法術士カルデヤ人卜筮師等の長となせり 027 DAN 005 012 彼はダニエルといへる者なるが王これにベルテシヤザルといふ名を與へたり彼は心の殊勝たる者にて了知あり知識ありて能く夢を解き隠語を解き難問を解くなり然ばダニエルを召されよ彼その解明をしめさんと 027 DAN 005 013 是においてダニエル召れて王の前に至りければ王ダニエルに語りて言ふ汝は吾父の王がユダより曳きたりしユダの俘囚人なるそのダニエルなるか 027 DAN 005 014 我聞になんぢの裏には神の霊やどりをりて汝は聰明了知および非凡の智慧ありと云ふ 027 DAN 005 015 我智者法術士等を吾前に召よせてこの文字を讀しめその解明を我にしめさせんと爲たれども彼らはこの事の解明を我にしめすことを得ず 027 DAN 005 016 我聞に汝は能く物事の解明をなしかつ難問を解くと云ふ然ば汝もし能くこの文字を讀みその解明を我に示さば汝に紫の衣を衣せ金の索を汝の頸にかけさせて汝をこの國の第三の牧伯となさんと 027 DAN 005 017 ダニエルこたへて王に言けるは汝の賜物は汝みづからこれを取り汝の饒物はこれを他の人に與へたまへ然ながら我は王のためにその文字を讀みその解明をこれに知せたてまつらん 027 DAN 005 018 王よ至高神汝の父ネブカデネザルに國と權勢と榮光と尊貴を賜へり 027 DAN 005 019 彼に權勢を賜ひしによりて諸民諸族諸音みな彼の前に慄き畏れたり彼はその欲する者を殺しその欲する者を活しその欲する者を上げその欲する者を下ししなり 027 DAN 005 020 而して彼心に高ぶり氣を剛愎にして驕りしかばその國の位をすべりてその尊貴を失ひ 027 DAN 005 021 逐れて世の人と離れその心は獣のごとくに成りその住所は野馬の中にあり牛のごとくに草を食ひてその身は天よりの露に濡たり是のごとくにして終に彼は至高神の人間の國を治めてその意のままに人を立たまふといふことをしるにいたれり 027 DAN 005 022 ベルシヤザルよ汝は彼の子にして此事を盡く知るといへども猶その心を卑くせず 027 DAN 005 023 却つて天の主にむかひて自ら高ぶりその家の器皿を汝の前に持きたらしめて汝と汝の大臣と汝の妻妾等それをもて酒を飮み而して汝は見ことも聞ことも知こともあらぬ金銀銅鐵木石の神を讃頌ふることを爲し汝の生命をその手に握り汝の一切の道を主どりたまふ神を崇むることをせず 027 DAN 005 024 是をもて彼の前よりこの手の末いできたりてこの文字を書るなり 027 DAN 005 025 その書る文字は是のごとしメネ、メネ、テケル、ウバルシン 027 DAN 005 026 その言の解明は是のごとしメネ(數へたり)は神汝の治世を數へてこれをその終に至らせしを謂なり 027 DAN 005 027 テケル(秤れり)は汝が權衡にて秤られて汝の重の足らざることの顯れたるを謂なり 027 DAN 005 028 ペレス(分たれたり)は汝の國の分たれてメデアとペルシヤに與へらるるを謂なり 027 DAN 005 029 是においてベルシヤザル命を降してダニエルに紫の衣を着せしめ金の鏈をこれが頸にかけさせて彼は國の第三の牧伯なりと布告せり 027 DAN 005 030 カルデヤ人の王ベルシヤザルはその夜の中に殺され 027 DAN 005 031 メデア人ダリヨスその國を獲たり此時ダリヨスは六十二歳なりき 027 DAN 006 001 ダリヨスはその國に百二十人の牧伯を立ることを善とし即ちこれを立て全國を治理しめ 027 DAN 006 002 また彼らの上に監督三人を立たりダニエルはその一人なりき是その州牧をして此三人の前にその職を述しめて王に損失の及ぶこと無らしめんためなりき 027 DAN 006 003 ダニエルは心の殊勝たる者にしてその他の監督および州牧等に勝りたれば王かれを立て全國を治めしめんとせり 027 DAN 006 004 是においてその監督と州牧等國事につきてダエルを訟ふる隙を得んとしたりしが何の隙をも何の咎をも見いだすことを得ざりき其は彼は忠義なる者にてその身に何の咎もなく何の過失もなかりければなり 027 DAN 006 005 是においてその人々言けるはこのダニエルはその神の例典について之が隙を獲にあらざればついにこれを訟るに由なしと 027 DAN 006 006 すなはちその監督と州牧等王の許に集り來りて斯王に言りダリヨス王よ願くは長壽かれ 027 DAN 006 007 國の監督將軍州牧牧伯方伯等みな相議りて王に一の律法を立て一の禁令を定めたまはんことを求めんとす王よその事は是の如し即ち今より三十日の内は唯汝にのみ願事をなさしめ若汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡て獅子の穴に投いれんといふ是なり 027 DAN 006 008 然ば王よねがはくはその禁令を立てその詔書を認めメデアとペルシヤの廢ることなき律法のごとくに之をして變らざらしめたまへと 027 DAN 006 009 王すなはち詔書をしたためてその禁令を出せり 027 DAN 006 010 茲にダニエルはその詔書を認めたることを知りて家にかへりけるがその二階の窓のヱルサレムにむかひて開ける處にて一日に三度づつ膝をかがめて祷りその神に向て感謝せり是その時の前よりして斯なし居たればなり 027 DAN 006 011 斯りしかばその人々馳よりてダニエルがその神にむかひて祷りかつ求めをるを見あらはせり 027 DAN 006 012 而して彼ら進みきたり王の禁令の事につきて王に奏上して言けるは王よ汝は禁令をしたため出し今より三十日の内には只なんぢにのみ願事をなさしめ若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡てその者を獅子の穴に投いれんと定めたまへるならずやと王こたへて言ふ其事は眞實にしてメデアとペルシヤの律法のごとく廢べからざる者なり 027 DAN 006 013 彼らまた對へて王の前に言けるは王よユダの俘擄人なるダニエルは汝をも汝の認め出し給ひし禁令をも顧みずして一日に三度づつ祈祷をなすなりと 027 DAN 006 014 王この事を聞てこれがために大に愁ひダニエルを救はんと心を用ひ即ちこれを拯けんと力をつくして日の入る頃におよびければ 027 DAN 006 015 その人々また王の許に集ひきたりて王に言けるは王よ知りたまへメデアとペルシヤの律法によれば王の立たる禁令または法度は變べからざる者なりと 027 DAN 006 016 是において王命を下しければダニエルを曳きたりて獅子の穴に投いれたり王ダニエルに語りて言ふ願くは汝が恒に事ふる神汝を救はんことをと 027 DAN 006 017 時に石を持きたりてその穴の口を塞ぎければ王おのれの印と大臣等の印をもてこれに封印をなせり是ダニエルの處置をして變ることなからしめんためなりき 027 DAN 006 018 斯て後王はその宮にかへりけるがその夜は食をなさずまた嬪等を召よせずして全く寝ることをせざりき 027 DAN 006 019 而して王は朝まだきに起いでてその獅子の穴に急ぎいたりしが 027 DAN 006 020 穴にいたりける時哀しげなる聲をあげてダニエルを呼りすなはち王ダニエルに言けるは活神の僕ダニエルよ汝が恒に事ふる神汝を救ふて獅子の害を免れしむることを得しや 027 DAN 006 021 ダニエル王にいひけるは願くは王長壽かれ 027 DAN 006 022 吾神その使をおくりて獅子の口を閉させたまひたれば獅子は我を害せざりき其は我の辜なき事かれの前に明かなればなり王よ我は汝にも惡しき事をなさざりしなりと 027 DAN 006 023 是において王おほいに喜びダニエルを穴の中より出せと命じければダニルは穴の中より出されけるがその身に何の害をも受をらざりき是は彼おのれの神を賴みたるによりてなり 027 DAN 006 024 かくて王また命を下しかのダニエルを讒奏せし者等を曳きたらせて之をその妻子とともに獅子の穴に投いれしめたるにその穴の底につかざる内に獅子はやくも彼らを攫みてその骨までもことごとく咬碎けり 027 DAN 006 025 是においてダリヨス王全世界に住る諸民諸族諸音に詔書を頒てり云く願くは大なる平安なんぢらにあれ 027 DAN 006 026 今我詔命を出す我國の各州の人みなダニエルの神を畏れ敬ふべし是は活神にして永遠に立つ者またその國は亡びずその權は終極まで続くなり 027 DAN 006 027 是は救を施し拯をなし天においても地においても休徴をほどこし奇蹟をおこなふ者にてすなはちダニエルを救ひて獅子の力を免れしめたりと 027 DAN 006 028 このダニエルはダリヨスの世とペルシヤ人クロスの世においてその身榮えたり 027 DAN 007 001 バビロンの王ベルシヤザルの元年にダニエルその牀にありて夢を見 腦中に異象を得たりしが即ちその夢を記してその事の大意を述ぶ 027 DAN 007 002 ダニエル述て曰く我夜の異象の中に見てありしに四方の天風大海にむかひて烈しく吹きたり 027 DAN 007 003 四箇の大なる獣海より上りきたれりその形はおのおの異なり 027 DAN 007 004 第一のは獅子の如くにして鷲の翼ありけるが我見てをりしに是はその翼を抜とられまた地より起され人のごとく足にて立せられ且人の心を賜はれり 027 DAN 007 005 第二の獣は熊のごとくなりき是はその體の一方を擧げその口の歯の間に三の脇骨を啣へ居けるが之にむかひて言る者あり曰く起あがりて許多の肉を食へと 027 DAN 007 006 その後に我見しに豹のごとき獣いでたりしがその背には鳥の翼四ありこの獣はまた四の頭ありて統轄權をたまはれり 027 DAN 007 007 我夜の異象の中に見しにその後第四の獣いでたりしが是は畏しく猛く大に強くして大なる鐵の歯あり食ひかつ咬碎きてその殘餘をば足にて踏つけたり是はその前に出たる諸の獣とは異なりてまた十の角ありき 027 DAN 007 008 我その角を考へ觀つつありけるにその中にまた一箇の小き角出きたりしがこの小き角のために先の角三箇その根より抜おちたりこの小き角には人の目のごとき目ありまた大なる事を言ふ口あり 027 DAN 007 009 我觀つつありしに遂に寳座を置列ぶるありて日の老たる者座を占めたりしがその衣は雪のごとくに白くその髮毛は漂潔めたる羊の毛のごとし又その寳座は火の熖にしてその車輪は燃る火なり 027 DAN 007 010 而して彼の前より一道の火の流わきいづ彼に仕ふる者は千々彼の前に侍る者は萬々審判すなはち始りて書を開けり 027 DAN 007 011 その角の大なる事を言ふ聲によりて我觀つつありけるが我が見る間にその獣は終に殺され體を壞はれて燃る火に投いれられたり 027 DAN 007 012 またその餘の獣はその權威を奪はれたりしがその生命は時と期の至るまで延されたり 027 DAN 007 013 我また夜の異象の中に觀てありけるに人の子のごとき者雲に乗て來り日の老たる者の許に到りたればすなはちその前に導きけるに 027 DAN 007 014 之に權と榮と國とを賜ひて諸民諸族諸音をしてこれに事へしむその權は永遠の權にして移りさらず又その國は亡ぶることなし 027 DAN 007 015 是において我ダニエルその體の内の魂を憂へしめわが腦中の異象のために思ひなやみたれば 027 DAN 007 016 すなはち其處にたてる者の一箇に就てこの一切の事の眞意を問けるに其者われにこの事の解明を告しらせて云く 027 DAN 007 017 この四の大なる獣は地に興らんとする四人の王なり 027 DAN 007 018 然ど終には至高者の聖徒國を受け長久にその國を保ちて世々限りなからんと 027 DAN 007 019 是において我またその第四の獣の眞意を知んと欲せり此獣は他の獣と異なりて至畏ろしくその歯は鐵その爪は銅にして食ひかつ咬碎きてその殘餘を足にて踏つけたり 027 DAN 007 020 此獣の頭には十の角ありしが其他にまた一の角いできたりしかば之がために三の角抜おちたり此角には目ありまた大なる事を言ふ口ありてその状はその同類よりも強く見えたり我またこの事を知んと欲せり 027 DAN 007 021 我觀つつありけるに此角聖徒と戰ひてこれに勝たりしが 027 DAN 007 022 終に日の老たる者來りて至高者の聖徒のために公義をおこなへり而してその時いたりて聖徒國を獲たり 027 DAN 007 023 彼かく言り第四の獣は地上の第四の國なり是は一切の國と異なり全世界を并呑しこれを踏つけかつ打破らん 027 DAN 007 024 その十の角はこの國に興らんところの十人の王なり之が後にまた一人興るべし是は先の者と異なり且その王三人を倒すべし 027 DAN 007 025 かれ至高者に敵して言を出しかつ至高者の聖徒を惱まさん彼また時と法とを變んことを望まん聖徒は一時と二時と半時を經るまで彼の手に付されてあらん 027 DAN 007 026 斯て後審判はじまり彼はその權を奪はれて終極まで滅び亡ん 027 DAN 007 027 而して國と權と天下の國々の勢力とはみな至高者の聖徒たる民に歸せん至高者の國は永遠の國なり諸國の者みな彼に事へかつ順はんと 027 DAN 007 028 その事此にて終れり我ダニエルこれを思ひまはして大に憂へ顔色も變りぬ我この事を心に蔵む 027 DAN 008 001 我ダニエル前に異象を得たりしが後またベルシヤザルの第三年にいたりて異象を得たり 027 DAN 008 002 我異象を見たり我これを見たる時に吾身はエラム州なるシユシヤンの城にあり我が異象を見たるはウライ河の邊においてなりき 027 DAN 008 003 我目を擧て觀しに河の上に一匹の牡羊立をり之に二の角ありてその角共に長かりしが一の角はその他の角よりも長かりきその長き者は後に長たるなり 027 DAN 008 004 我觀しにその牡羊西北南にむかひて牴觸りけるが之に敵ることを得る獣一匹も無くまたその手より救ひいだすことを得る者絶てあらざりき是はその意にまかせて事をなしその勢威はなはだ盛なりき 027 DAN 008 005 我これを考へ見つつありけるにて一匹の牡山羊全地の上を飛わたりて西より來りしがその足は土を履ざりきこの牡山羊は目の間に著明しき一の角ありき 027 DAN 008 006 此者さきに我が河の上に立るを見たる彼の二の角ある牡羊に向ひ來り熾盛なる力をもて之の所に跑いたりけるが 027 DAN 008 007 我觀てあるに牡羊に近づくに至りて之にむかひて怒を發し牡羊を撃てその二の角を碎きたるに牡羊には之に敵る力なかりければこれを地に打倒して踏つけたり然るにその牡羊をこれが手より救ひ得る者あらざりき 027 DAN 008 008 而してその牡山羊甚だ大きくなりけるがその盛なる時にあたりてかの大なる角折れその代に四の著明しき角生じて天の四方に對へり 027 DAN 008 009 またその角の一よりして一の小き角いできたり南にむかひ東にむかひ美地にむかひて甚だ大きくなり 027 DAN 008 010 天軍におよぶまでに高くなりその軍と星數箇を地に投くだしてこれを踏つけ 027 DAN 008 011 また自ら高ぶりてその軍の主に敵しその常供の物を取のぞきかつその聖所を毀てり 027 DAN 008 012 一軍罪の故によりて常供の物とともに棄られたり彼者はまた眞理を地に擲ち事をなしてその意志を得たり 027 DAN 008 013 かくて我聞に一箇の聖者語ひをりしが又一箇の聖者ありてその語ひをる聖者にむかひて言ふ常供の物と荒廢を來らする罪とにつきて異象にあらはれたるところの事聖所とその軍との棄られて踏つけらるる事は何時まで斯てあるべきかと 027 DAN 008 014 彼すなはち我に言けるは二千三百の朝夕をかさぬるまで斯てあらん而して聖所は潔めらるべし 027 DAN 008 015 我ダニエルこの異象を見てその意義を知んと求めをりける時人のごとく見ゆる者わが前に立り 027 DAN 008 016 時に我聞にウライ河の兩岸の間より人の聲出て呼はりて言ふガブリエルよこの異象をその人に暁らしめよと 027 DAN 008 017 彼すなはち我の立る所にきたりしがその到れる時に我おそれて仆れ伏たるに彼われに言けるは人の子よ暁れ此異象は終の時にかかはる者なりと 027 DAN 008 018 彼の我に語ひける時我は氣を喪へる状にて地に俯伏をりしが彼我に手をつけて我を立せ言けるは 027 DAN 008 019 視よ我忿怒の終に起らんところの事を汝に知せん此事は終末の期におよびてあらん 027 DAN 008 020 汝が見たるかの二の角ある牡羊はメデアとペルシヤの王なり 027 DAN 008 021 またかの牡山羊はギリシヤの王その目の間の大なる角はその第一の王なり 027 DAN 008 022 またその角をれてその代に四の角生じたればその民よりして四の國おこらん然ど第一の者の權勢には及ばざるなり 027 DAN 008 023 彼らの國の末にいたり罪人の罪貫盈におよびて一人の王おこらんその顔は猛惡にして巧に詭譎を言ひ 027 DAN 008 024 その權勢は熾盛ならん但し自己の能力をもて之を致すに非ずその毀滅ことを爲は常ならず意志を得て事を爲し權能ある者等と聖民とを滅さん 027 DAN 008 025 彼は機巧をもて詭譎をその手に行ひ遂げ心にみづから高ぶり平和の時に衆多の人を打滅しまた君の君たる者に敵せん然ど終には人手によらずして滅されん 027 DAN 008 026 前に告たる朝夕の異象は眞實なり汝その異象の事を秘しおけ是は衆多の日の後に有べき事なり 027 DAN 008 027 是において我ダニエル疲れはてて數日の間病わづらひて後興いでて王の事務をおこなへり我はこの異象の事を案ひて駭けり人もまたこれを暁ることを得ざりき 027 DAN 009 001 メデア人アハシユエロスの子ダリヨスがカルデヤ人の王とせられしその元年 027 DAN 009 002 すなはちその世の元年に我ダニエル、ヱホバの言の預言者ヱレミヤにのぞみて告たるその年の數を書によりて暁れり即ちその言にヱルサレムは荒て七十年を經んとあり 027 DAN 009 003 是にかいて我面を主ヱホバに向け斷食をなし麻の衣を着灰を蒙り祈りかつ願ひて求むることをせり 027 DAN 009 004 即ち我わが神ヱホバに祷り懺悔して言り嗚呼大にして畏るべき神なる主自己を愛し自己の誡命を守る者のために契約を保ち之に恩惠を施したまふ者よ 027 DAN 009 005 我等は罪を犯し悖れる事を爲し惡を行ひ叛逆を爲して汝の誡命と律法を離れたり 027 DAN 009 006 我等はまた汝の僕なる預言者等が汝の名をもて我らの王等君等先祖等および全國の民に告たる所に聽したがはざりしなり 027 DAN 009 007 主よ公義は汝に歸し羞辱は我らに歸せりその状今日のごとし即ちユダの人々ヱルサレムの居民およびイスラエルの全家の者は近き者も遠き者も皆汝の逐やりたまひし諸の國々にて羞辱を蒙れり是は彼らが汝に背きて獲たる罪によりて然るなり 027 DAN 009 008 主よ羞辱は我儕に歸し我らの王等君等および先祖等に歸す是は我儕なんぢに向ひて罪を犯したればなり 027 DAN 009 009 憐憫と赦宥は主たる我らの神の裏にあり其は我らこれに叛きたればなり 027 DAN 009 010 我らはまた我らの神ヱホバの言に遵はずヱホバがその僕なる預言者等によりて我らの前に設けたまひし律法を行はざりしなり 027 DAN 009 011 抑イスラエルの人は皆汝の律法を犯し離れさりて汝の言に遵はざりき是をもて神の僕モーセの律法に記したる呪詛と誓詞我らの上に斟ぎかかれり是は我らこれに罪を獲たればなり 027 DAN 009 012 即ち神は大なる災害を我らに蒙らせたまひてその前に我らと我らを鞫ける士師とにむかひて宣ひし言を行ひとげたまへりかのエルサレムに臨みたる事の如きは普天の下に未だ曾て有ざりしなり 027 DAN 009 013 モーセの律法に記したる如くにこの災害すべて我らに臨みしかども我らはその神ヱホバの面を和めんとも爲ずその惡を離れて汝の眞理を暁らんとも爲ざりき 027 DAN 009 014 是をもてヱホバ心にかけて災害を我らに降したまへり我らの神ヱホバは何事をなしたまふも凡て公義いますなり然るに我らはその言に遵はざりき 027 DAN 009 015 主たる我らの神よ汝は強き手をもて汝の民をエジプトの地より導き出して今日のごとく汝の名を揚たまふ我らは罪を犯し惡き事を行へり 027 DAN 009 016 主よ願くは汝が是まで公義き御行爲を爲たまひし如く汝の邑ヱルサレム汝の聖山より汝の忿怒と憤恨を取離し給へ其は我らの罪と我らの先祖の惡のためにヱルサレムと汝の民は我らの周圍の者の笑柄となりたればなり 027 DAN 009 017 然ば我らの神よ僕の祷と願を聽たまへ汝は主にいませばかの荒をる汝の聖所に汝の面を耀かせたまへ 027 DAN 009 018 我神よ耳を傾けて聽たまへ目を啓きて我らの荒蕪たる状を觀汝の名をもて稱へらるる邑を觀たまへ我らが汝の前に祈祷をたてまつるは自己の公義によるに非ず唯なんぢの大なる憐憫によるなり 027 DAN 009 019 主よ聽いれたまへ主よ赦したまへ主よ聽いれて行ひたまへこの事を遅くしたまふなかれわが神よ汝みづからのために之をなしたまへ其は汝の邑と汝の民は汝の名をもて稱へらるればなり 027 DAN 009 020 我かく言て祈りかつわが罪とわが民イスラエルの罪を懺悔し我神の聖山の事につきてわが神ヱホバのまへに願をたてまつりをる時 027 DAN 009 021 即ち我祈祷の言をのべをる時我が初に異象の中に見たるかの人ガブリエル迅速に飛て晩の祭物を献ぐる頃我許に達し 027 DAN 009 022 我に告げ我に語りて言けるはダニエルよ今我なんぢを敎へて了解を得せしめんとて出きたれり 027 DAN 009 023 汝が祈祷を始むるに方りて我言を受たれば之を汝に示さんとて來れり汝は大に愛せらるる者なり此言を了りその現れたる事の義を暁れ 027 DAN 009 024 汝の民と汝の聖邑のために七十週を定めおかる而して惡を抑へ罪を封じ愆を贖ひ永遠の義を携へ入り異象と預言を封じ至聖者に膏を灌がん 027 DAN 009 025 汝暁り知べしヱルサレムを建なほせといふ命令の出づるよりメッシヤたる君の起るまでに七週と六十二週ありその街と石垣とは擾亂の間に建なほされん 027 DAN 009 026 その六十二週の後にメッシャ絶れん但し是は自己のために非ざるなりまた一人の君の民きたりて邑と聖所とを毀たんその終は洪水に由れる如くなるべし戰爭の終るまでに荒蕪すでに極る 027 DAN 009 027 彼一週の間衆多の者と固く契約を結ばん而して彼その週の半に犠牲と供物を廢せんまた殘暴可惡者羽翼の上に立たん斯てつひにその定まれる災害殘暴るる者の上に斟ぎくだらん 027 DAN 010 001 ペルシヤの王クロスの三年にベルテシヤザルといふダニエル一の事の默旨を得たるがその事は眞實にしてその戰爭は大なり彼その事を暁りその示現の義を暁れり 027 DAN 010 002 當時我ダニエル三七日の間哀めり 027 DAN 010 003 即ち三七日の全く滿るまでは旨き物を食ず肉と酒とを口にいれずまた身に膏油を抹ざりき 027 DAN 010 004 正月の二十四日に我ヒデケルといふ大河の邊に在り 027 DAN 010 005 目を擧て望觀しに一箇の人ありて布の衣を衣ウバズの金の帶を腰にしめをり 027 DAN 010 006 その體は黄金色の玉のごとくその面は電光の如くその目は火の熖のごとくその手とその足の色は磨ける銅のごとくその言ふ聲は群衆の聲の如し 027 DAN 010 007 この示現は唯我ダニエル一人これを觀たり我と偕なる人々はこの示現を見ざりしが何となくその身大に慄きて逃かくれたり 027 DAN 010 008 故に我ひとり遺りたるがこの大なる示現を觀るにおよびて力ぬけさり顔色まつたく變りて毫も力なかりき 027 DAN 010 009 我その語ふ聲を聞けるがその語ふ聲を聞る時我は氣を喪へる状にて俯伏し面を土につけゐたりしに 027 DAN 010 010 一の手ありて我に捫りければ我戰ひながら跪づきて手をつきたるに 027 DAN 010 011 彼われに言けるは愛せらるる人ダニエルよ我が汝に告る言を暁れよ汝まづ起あがれ我は今汝の許に遣されたるなりと彼がこの言を我に告る時に我は戰ひて立り 027 DAN 010 012 彼すなはち我に言けるはダニエルよ懼るる勿れ汝が心をこめて悟らんとし汝の神の前に身をなやませるその初の日よりして汝の言はすでに聽れたれば我汝の言によりて來れり 027 DAN 010 013 然るにペルシヤの國の君二十一日の間わが前に立塞がりけるが長たる君の一なるミカエル來りて我を助けたれば我勝留りてペルシヤの王等の傍にをる 027 DAN 010 014 我は末の日に汝の民に臨まんとするところの事を汝に暁らせんとて來れりまた後の日に關はる所の異象ありと 027 DAN 010 015 かれ是等の言を我に宣たる時に我は面を土につけて居り辭を措ところ無りしが 027 DAN 010 016 人の子のごとき者わが唇に捫りければ我すなはち口を開きわが前に立る者に陳て言り我主よこの示現によりて我は畏怖にたへず全く力を失へり 027 DAN 010 017 此わが主の僕いかでか此わが主と語ふことを得んとその時は我まつたく力を失ひて氣息も止らんばかりなりしが 027 DAN 010 018 人の形のごとき者ふたたび我に捫り我に力をつけて 027 DAN 010 019 言けるは愛せらるる人よ懼るる勿れ安んぜよ心強かれ心強かれと斯われに言ければ我力づきて曰り我主よ語りたまへ汝われに力をつけたまへりと 027 DAN 010 020 彼われに言けるは汝は我が何のために汝に臨めるかを知るや我今また歸りゆきてペルシヤの君と戰はんとす我が出行ん後にギリシヤの君きたらん 027 DAN 010 021 但し我まづ眞實の書に記されたる所を汝に示すべし我を助けて彼らに敵る者は汝らの君ミカエルのみ 027 DAN 011 001 我はまたメデア人ダリヨスの元年にかれを助け彼に力をそへたる事ありしなり 027 DAN 011 002 我いま眞實を汝に示さん視よ此後ペルシヤに三人の王興らんその第四の者は富ること一切の者に勝りその富強の大なるを恃みて一切を激發してギリシヤの國を攻ん 027 DAN 011 003 また一箇の強き王おこり大なる威權を振ふて世を治めその意のままに事を爲ん 027 DAN 011 004 但し彼の正に旺盛なる時にその國は破裂して天の四方に分れん其は彼の兒孫に歸せず又かれの振ひしほどの威權あらず即ち彼の國は抜とられて是等の外なる者等に歸せん 027 DAN 011 005 南の王は強からん然どその大臣の一人これに逾て強くなり威權を振はんその威權は大なる威權なるべし 027 DAN 011 006 年を經て後彼等相結ばん即ち南の王の女子北の王に適て和好を圖らん然どその腕には力なしまたその王およびその腕は立ことを得じこの女とこれを導ける者とこれを生せたる者とこれに力をつけたる者はみな時におよびて付されん 027 DAN 011 007 斯て後この女の根より出たる芽興りて之に代り北の王の軍勢にむかひて來りこれが城に打いりて之を攻て勝を得 027 DAN 011 008 之が神々鑄像および金銀の貴き器具をエジプトに携へさらん彼は北の王の上に立て年を重ねん 027 DAN 011 009 彼南の王の國に打入ことあらん然ど自己の國に退くべし 027 DAN 011 010 その子等また憤激して許多の大軍を聚め進みきたり溢れて往來しその城まで攻寄せん 027 DAN 011 011 是において南の王大に怒り出きたりて北の王と戰ふべし彼大軍を興してこれに當らん然れどもその軍兵はこれが手に付されん 027 DAN 011 012 大軍すなはち興りて彼心に高ぶり數萬人を仆さん然れどもその勢力はこれがために増さじ 027 DAN 011 013 また北の王は退きて初よりも大なる軍兵を興し或時すなはち或年數を經て後かならず大兵を率ゐ莫大の輜重を備へて攻來らん 027 DAN 011 014 是時にあたりて衆多の者興りて南の王に敵せん又なんぢの民の中の奸惡人等みづから高ぶりて事を爲しつひに預言をして應ぜしめん即ち彼らは自ら仆るべし 027 DAN 011 015 茲に北の王襲ひきたり壘を築きて堅城を攻おとさん南の王の腕はこれに當ることを得じ又その撰抜の民もこれに當る力なかるべし 027 DAN 011 016 之に攻きたる者はその意に任せて事をなさんその前に立ことを得る者なかるべし彼は美しき地に到らんその地はこれがために荒さるべし 027 DAN 011 017 彼その全國の力を盡して打入んとその面をこれに向べけれどまたこれと和好をなして婦人の女子を之に與へん然るにその婦人の女子は之がために身を滅すに至り何事をも成あたはす毫も彼のために益する所なかるべし 027 DAN 011 018 彼またその面を島々にむけて之を多く取らん茲に一人の大將ありて彼が與へたる恥辱を雪ぎその恥辱をかれの身に與へかへさん 027 DAN 011 019 かくて彼その面を自己の國の城々に向ん而して終に躓き仆れて亡ん 027 DAN 011 020 彼に代りて興る者は榮光の國に人を出して租税を征斂しめん但し彼は忿怒にも戰門にもよらずして數日の内に滅亡せん 027 DAN 011 021 また之にかはりて起る者は賤まるる者にして國の尊榮これに歸せざらん然れども彼不意に來り巧言をもて國を獲ん 027 DAN 011 022 洪水のごとき軍勢かれのために押流されて敗れん契約の君たる者も然らん 027 DAN 011 023 彼は之に契約をむすびて後詭計を行ひ上りきたりて僅少の民をもて勢を得ん 027 DAN 011 024 彼すなはち不意にきたりてその國の膏腴なる處に攻いりその父もその父の父も爲ざりしところの事を行はん彼はその奪ひたる物掠めたる物および財寳を衆人の中に散すべし彼は謀略をめぐらして堅固なる城々を攻取べし時の至るまで斯のごとくならん 027 DAN 011 025 彼はその勢力を奮ひ心を勵まし大軍を率ゐて南の王に攻よせん南の王もまた自ら奮ひ甚だ大なる強き軍勢をもて迎へ戰はん然ど謀略をめぐらして攻るが故にこれに當ることを得ざるべし 027 DAN 011 026 すなはち彼の珍膳に與り食ふ者彼を倒さんその軍兵溢れん打死する者衆かるべし 027 DAN 011 027 此二人の王は害をなさんと心にはかり同席に共に食して詭計を言ん然どもその志ならざるべし定まれる時のいたる迄は其事終らじ 027 DAN 011 028 彼は莫大の財寳をもちて自己の國に歸らん彼は聖約に敵する心を懐きて事をなし而してその國にかへらん 027 DAN 011 029 定まれる時にいたりて彼また進みて南に到らん然ど後の模樣は先の模樣のごとくならざらん 027 DAN 011 030 即ちキツテムの船かれに到るべければ彼力をおとして還り聖約にむかひて忿怒をもらして事をなさん而して彼歸りゆき聖約を棄る者と相謀らん 027 DAN 011 031 彼より腕おこりて聖所すなはち堅城を汚し常供の物を撤除かせかつ殘暴可惡者を立ん 027 DAN 011 032 彼はまた契約に關て罪を獲る者等を巧言をもて引誘して背かせん然どその神を知る人々は力ありて事をなさん 027 DAN 011 033 民の中の頴悟者ども衆多の人を敎ふるあらん然ながら彼らは暫時の間刃にかかり火にやかれ擄はれ掠められ等して仆れん 027 DAN 011 034 その仆るる時にあたりて彼らは少しく扶助を獲ん又衆多の人詐りて彼らに合せん 027 DAN 011 035 また穎悟者等の中にも仆るる者あらん斯のごとく彼らの中に試むる事淨むる事潔よくする事おこなはれて終の時にいたらん即ち定まれる時まで然るべし 027 DAN 011 036 此王その意のままに事をおこなひ萬の神に逾て自己を高くし自己を大にし神々の神たる者にむかひて大言を吐き等して忿怒の息む時までその志を得ん其はその定まれるところの事成ざるべからざればなり 027 DAN 011 037 彼はその先祖の神々を顧みず婦女の愉快を思はずまた何の神をも顧みざらん其は彼一切に逾て自己を大にすればなり 027 DAN 011 038 彼は之の代に軍神を崇め金銀珠玉および寳物をもてその先祖等の識ざりし神を崇めん 027 DAN 011 039 彼はこの異邦の神に由り要害の城々にむかひて事を爲ん凡て彼を尊ぶ者には彼加ふるに榮を以てし之をして衆多の人を治めしめ土地をこれに分ち與へて賞賜とせん 027 DAN 011 040 終の時にいたりて南の王彼と戰はん北の王は車と馬と衆多の船をもて大風のごとく之に攻寄せ國に打いりて潮のごとく溢れ渉らん 027 DAN 011 041 彼はまた美しき國に進み入ん彼のために亡ぶる者多かるべし然どエドム、モアブ、アンモン人の中の第一なる者などは彼の手を免かれん 027 DAN 011 042 彼國々にその手を伸さんエジプトの地も免かれがたし 027 DAN 011 043 彼は遂にエジプトの金銀財寳を手に入れんリブア人とエテオピア人は彼の後に從はん 027 DAN 011 044 彼東と北より報知を得て周章ふためき許多の人を滅し絶んと大に忿りて出ゆかん 027 DAN 011 045 彼は海の間において美しき聖山に天幕の宮殿をしつらはん然ど彼つひにその終にいたらん之を助くる者なかるべし 027 DAN 012 001 その時汝の民の人々のために立ところの大なる君ミカエル起あがらん是艱難の時なり國ありてより以來その時にいたるまで斯る艱難ありし事なかるべしその時汝の民は救はれん即ち書にしるされたる者はみな救はれん 027 DAN 012 002 また地の下に睡りをる者の中衆多の者目を醒さんその中永生を得る者ありまた恥辱を蒙りて限なく羞る者あるべし 027 DAN 012 003 穎悟者は空の光輝のごとくに耀かんまた衆多の人を義に導ける者は星のごとくなりて永遠にいたらん 027 DAN 012 004 ダニエルよ終末の時まで此言を秘し此書を封じおけ衆多の者跋渉らん而して知識増べしと 027 DAN 012 005 茲に我ダニエル觀に別にまた二箇の者ありて一箇は河の此旁の岸にあり一箇は河の彼旁の岸にありけるが 027 DAN 012 006 その一箇の者かの布の衣を衣て河の水の上に立る人にむかひて言り此奇跡は何の時にいたりて終るべきやと 027 DAN 012 007 我聞にかの布の衣を衣て河の水の上に立る人天にむかひてその右の手と左の手を擧げ永久に生る者を指て誓ひて言りその間は一時と二時と半時なり聖民の手の碎くること終らん時に是等の事みな終るべしと 027 DAN 012 008 我聞たれども暁ることを得ざりき我また言りわが主よ是等の事の終は何ぞやと 027 DAN 012 009 彼いひけるはダニエルよ往け此言は終極の時まで秘しかつ封じ置るべし 027 DAN 012 010 衆多の者淨められ潔よくせられ試みられん然ど惡き者は惡き事を行はん惡き者は一人も暁ること無るべし然ど頴悟者は暁るべし 027 DAN 012 011 常供の者を除き殘暴可惡者を立ん時よりして一千二百九十日あらん 027 DAN 012 012 待をりて一千三百三十五日に至る者は幸福なり 027 DAN 012 013 汝終りに進み行け汝は安息に入り日の終りに至り起て汝の分を享ん # # BOOK 028 HOS Hosea ホセア書 028 HOS 001 001 これユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世にベエリの子ホセアに臨めるヱホバの言なり 028 HOS 001 002 ヱホバはじめホセアによりて語りたまへる時ヱホバ、ホセアに宣はく汝ゆきて淫行の婦人を娶り淫行の子等を取れ この國ヱホバに遠ざかりてはなはだしき淫行をなせばなり 028 HOS 001 003 是において彼ゆきてデブライムの女子ゴメルを妻に娶りけるがその婦はらみて男子を產り 028 HOS 001 004 ヱホバまた彼にいひ給ひけるは汝その名をヱズレルと名くべし 暫時ありて我ヱズレルの血をヱヒウの家に報いイスラエルの家の國をほろぼすべければなり 028 HOS 001 005 その日われヱズレルの谷にてイスラエルの弓を折べしと 028 HOS 001 006 ゴメルまた孕みて女子を產ければヱホバ、ホセアに言たまひけるは汝その名をロルマハ(憐まれぬ者)と名くべしそは我もはやイスラエルの家をあはれみて赦すが如きことを爲ざるべければなり 028 HOS 001 007 然どわれユダの家をあはれまん その神ヱホバによりて之をすくはん 我は弓劍戰爭馬騎兵などによりてすくふことをせじ 028 HOS 001 008 ロルハマ乳をやめゴメルまた孕みて男子を產けるに 028 HOS 001 009 ヱホバ言たまひけるはその子の名をロアンミ(吾民に非ざる者)と名くべし 其は汝らは吾民にあらず我は汝らの神に非ざればなり 028 HOS 001 010 然どイスラエルの子孫の數は濱の沙石のごとくに成ゆきて量ることも數ふる事も爲しがたく前になんぢらわが民にあらずと言れしその處にて汝らは活神の子なりと言れんとす 028 HOS 001 011 斯てユダの子孫とイスラエルの子孫は共に集り一人の首をたててその地より上り來らん ヱズレルの日は大なるべし 028 HOS 002 001 汝らの兄弟に向ひてはアンミ(わが民)と言ひ汝らの姉妹にむかひてはルハマ(憐まるる者)と言へ 028 HOS 002 002 なんぢらの母とあげつらへ論辨ふことをせよ彼はわが妻にあらず我はかれの夫にあらざるなりなんぢら斯してかれにその面より淫行を除かせその乳房の間より姦淫をのぞかしめよ 028 HOS 002 003 然らざれば我かれを剥て赤體にしその生れいでたる日のごとくにしまた荒野のごとくならしめ潤ひなき地のごとくならしめ渇によりて死しめん 028 HOS 002 004 我その子等を憐まじ淫行の子等なればなり 028 HOS 002 005 かれらの母は淫行をなせりかれらを生る者は恥べき事をおこなへり蓋かれいへる言あり我はわが戀人等につきしたがはん彼らはわがパンわが水わが羊毛わが麻わが油わが飮物などを我に與ふるなりと 028 HOS 002 006 この故にわれ荊棘をもてなんぢの路をふさぎ垣をたてて彼にその徑をえざらしむべし 028 HOS 002 007 彼はその戀人たちの後をしたひゆけども追及ことなく之をたづぬれども遇ことなし是において彼いはん我ゆきてわが前の夫にかへるべしかのときのわが状態は今にまさりて善りきと 028 HOS 002 008 彼が得る穀物と酒と油はわが與ふるところ彼がバアルのために用ゐたる金銀はわが彼に増あたへたるところなるを彼はしらざるなり 028 HOS 002 009 これによりて我わが穀物をその時におよびて奪ひわが酒をその季にいたりてうばひ又かれの裸體をおほふに用ゆべきわが羊毛およびわが麻をとらん 028 HOS 002 010 今われかれの恥るところをその戀人等の目のまへに露すべし彼をわが手より救ふものあらじ 028 HOS 002 011 我かれがすべての喜樂すなはち祝筵新月のいはひ安息日および一切の節會をして息しめん 028 HOS 002 012 また彼の葡萄の樹と無花果樹をそこなはん彼さきに此等をさしてわが戀人の我にあたへし賞賜なりと言しがわれこれを林となし野の獣をしてくらはしめん 028 HOS 002 013 われかれが耳環頸玉などを掛てその戀人らをしたひゆき我をわすれ香をたきて事へしもろもろのバアルの日のゆゑをもてその罪を罰せんヱホバかく言たまふ 028 HOS 002 014 斯るがゆゑに我かれを誘ひて荒野にみちびきいり終にかれの心をなぐさめ 028 HOS 002 015 かしこを出るや直ちにわれかれにその葡萄園を與へアコル(艱難)の谷を望の門となしてあたへん彼はわかかりし時のごとくエジプトの國より上りきたりし時のごとくかしこにて歌うたはん 028 HOS 002 016 ヱホバ言たまふその日にはなんぢ我をふたたびバアリとよばずしてイシ(吾夫)とよばん 028 HOS 002 017 我もろもろのバアルの名をかれが口よりとりのぞき重ねてその名を世に記憶せらるること無らしめん 028 HOS 002 018 その日には我かれら(我民)のために野の獣そらの鳥および地の昆蟲と誓約をむすびまた弓箭ををり戰爭を全世界よりのぞき彼らをして安らかに居しむべし 028 HOS 002 019 われ汝をめとりて永遠にいたらん公義と公平と寵愛と憐憫とをもてなんぢを娶り 028 HOS 002 020 かはることなき眞實をもて汝をめとるべし汝ヱホバをしらん 028 HOS 002 021 ヱホバいひ給ふその日われ應へん我は天にこたへ天は地にこたへ 028 HOS 002 022 地は穀物と酒と油とに應へまた是等のものはヱズレルに應へん 028 HOS 002 023 我わがためにかれを地にまき憐まれざりし者をあはれみわが民ならざりし者にむかひて汝はわが民なりといはんかれらは我にむかひて汝はわが神なりといはん 028 HOS 003 001 ヱホバわれに言給ひけるは汝ふたたび往てヱホバに愛せらるれども轉りてほかのもろもろの神にむかひ葡萄の菓子を愛するイスラエルの子孫のごとく そのつれそふものに愛せらるれども姦淫をおこなふ婦人をあいせよ 028 HOS 003 002 われ銀十五枚おほむぎ一ホメル半をもてわが爲にその婦人をえたり 028 HOS 003 003 我これにいひけるは汝おほくの日わがためにとどまりて淫行をなすことなく他の人にゆくことなかれ 我もまた汝にむかひて然せん 028 HOS 003 004 イスラエルの子輩は多くの日王なく君なく犠牲なく表柱なくエボデなくテラビムなくして居らん 028 HOS 003 005 その後イスラエルの子輩はかへりてその神ヱホバとその王ダビデをたづねもとめ末日にをののきてヱホバとその恩惠とにむかひてゆかん 028 HOS 004 001 イスラエルの子輩よヱホバの言を聽けヱホバこの地に住る者と爭辨たまふ其は此地には誠實なく愛情なく神を知る事なければなり 028 HOS 004 002 ただ詛偽凶殺盗姦淫のみにして互に相襲ひ血血につづき流る 028 HOS 004 003 このゆゑにその地うれひにしづみ之にすむものはみな野のけもの空のとりとともにおとろへ海の魚もまた絶はてん 028 HOS 004 004 されど何人もあらそふべからずいましむ可らず汝の民は祭司と爭ふ者の如くなれり 028 HOS 004 005 汝は晝つまづき汝と偕なる預言者は夜つまづかん我なんぢの母を亡すべし 028 HOS 004 006 わが民は知識なきによりて亡さるなんぢ知識を棄つるによりて我もまた汝を棄ててわが祭司たらしめじ汝おのが神の律法を忘るるによりて我もなんぢの子等を忘れん 028 HOS 004 007 彼らは大なるにしたがひてますます我に罪を犯せば我かれらの榮を辱に變ん 028 HOS 004 008 彼らはわが民の罪をくらひ心をかたむけてその罪ををかすを願へり 028 HOS 004 009 このゆゑに民の遇ふところは祭司もまた同じわれその途をかれらにきたらせその行爲をもて之にむくゆべし 028 HOS 004 010 かれらは食へども飽ず淫行をなせどもその數まさずその心をヱホバにとむることを止ればなり 028 HOS 004 011 淫行と酒と新しき酒はその人の心をうばふ 028 HOS 004 012 わが民木にむかひて事をとふその杖かれらに事をしめす是かれら淫行の霊にまよはされその神の下を離れて淫行を爲すなり 028 HOS 004 013 彼らは山々の巓にて犠牲を献げ岡の上にて香を焚き橡樹 楊樹 栗樹の下にてこの事をおこなふ此はその樹蔭の美しきによりてなりここをもてなんぢらの女子は淫行をなしなんぢらの兒婦は姦淫をおこなふ 028 HOS 004 014 我なんぢらのむすめ淫行をなせども罰せずなんぢらの兒婦かんいんをおこなへども刑せじ其はなんぢらもみづから離れゆきて妓女とともに居り淫婦とともに献物をそなふればなり悟らざる民はほろぶべし 028 HOS 004 015 イスラエルよ汝淫行をなすともユダに罪を犯さする勿れギルガルに往なかれベテアベンに上るなかれヱホバは活くと曰て誓ふなかれ 028 HOS 004 016 イスラエルは頑強なる牛のごとくに頑強なり今ヱホバ恙羊をひろき野にはなてるが如くして之を牧はん 028 HOS 004 017 エフライムは偶像にむすびつらなれりその爲にまかせよ 028 HOS 004 018 かれらの酒はくされかれらの淫行はやまずかれらの楯となるべき者等は恥を愛しいたく之を愛せり 028 HOS 004 019 かれは風の翼につつまれかれらはその禮物によりて恥辱をかうむらん 028 HOS 005 001 祭司等よこれを聽けイスラエルの家よ耳をかたむけよ 王のいへよ之にこころを注よ さばきは汝等にのぞまん そは我らはミズパに設くる羂タボルに張れる網のごとくなればなり 028 HOS 005 002 悖逆者はふかく罪にしづみたり我かれらをことごとく懲しめん 028 HOS 005 003 我はエフライムを知る イスラエルはわれに隱るるところ無し エフライムよなんぢ今すでに淫行をなせりイスラエルはすでに汚れたり 028 HOS 005 004 かれらの行爲かれらをしてその神に歸ること能はざらしむ そは淫行の霊その衷にありてヱホバを知ることなければなり 028 HOS 005 005 イスラエルの驕傲はその面にむかひて證をなしその罪によりてイスラエルとエフライムは仆れユダもまた之とともにたふれん 028 HOS 005 006 かれらは羊のむれ牛の群をたづさへ往てヱホバを尋ね求めん然どあふことあらじヱホバ旣にかれらより離れ給ひたればなり 028 HOS 005 007 かれらヱホバにむかひ貞操を守らずして他人の子を產り新月かれらとその產業とをともに滅さん 028 HOS 005 008 なんぢらギベアにて角をふきラマにてラッパを吹ならしベテアベンにて呼はりて言へベニヤミンよなんぢの後にありと 028 HOS 005 009 罰せらるるの日にエフライムは荒廢れん我イスラエルの支派の中にかならず有るべきことを示せり 028 HOS 005 010 ユダの牧伯等は境界をうつすもののごとくなれり我わが震怒を水のごとくに彼らのうへに斟がん 028 HOS 005 011 エフライムは甘んじて人のさだめたるところに從ひあゆむがゆゑに鞫をうけて虐げられ圧られん 028 HOS 005 012 われエフライムには蠧のごとくユダの家には腐朽のごとし 028 HOS 005 013 エフライムおのれに病あるを見ユダおのれに傷あるをみたり斯てエフライムはアツスリヤに往きヤレブ王に人をつかはしたれど彼はなんぢらを醫すことをえず又なんぢらの傷をのぞきさることを得ざるべし 028 HOS 005 014 われエフライムには獅子のごとくユダの家にはわかき獅子のごとし我しも我は抓劈てさり掠めゆけども救ふ者なかるべし 028 HOS 005 015 我ふたたびわが處にかへりゆき彼らがその罪をくいてひたすらわが面をたづね求むるまで其處にをらん彼らは艱難によりて我をたづねもとむることをせん 028 HOS 006 001 來れわれらヱホバにかへるべし ヱホバわれらを抓劈たまひたれどもまた醫すことをなし我儕をうち給ひたれどもまたその傷をつつむことを爲したまふ可ればなり 028 HOS 006 002 ヱホバは二日ののちわれらむ活かへし三日にわれらを起せたまはん 我らその前にて生ん 028 HOS 006 003 この故にわれらヱホバをしるべし切にヱホバを知ることを求むべしヱホバは晨光のごとく必ずあらはれいで雨のごとくわれらにのぞみ後の雨のごとく地をうるほし給ふ 028 HOS 006 004 エフライムよ我なんぢに何をなさんやユダよ我なんぢに何をなさんやなんぢの愛情はあしたの雲のごとくまたただちにきゆる露のごとし 028 HOS 006 005 このゆゑにわれ預言者等をもてかれらを撃ちわが口の言をもてかれらえを殺せりわが審判はあらはれいづる光明のごとし 028 HOS 006 006 われは愛情をよろこびて犠牲をよろこばず神をしるを悦ぶこと燔祭にまされり 028 HOS 006 007 然るに彼らはアダムのごとく誓をやぶりかしこにて不義をわれにおこなへり 028 HOS 006 008 ギレアデは惡をおこなふものの邑にして血の足跡そのなかに徧し 028 HOS 006 009 祭司のともがらは山賊の群のごとく伏伺して人をそこなひシケムに往く大路にて人をころす彼等はかくのごとき惡きことをおこなへり 028 HOS 006 010 われイスラエルのいへに憎むべきことあるを見たりかの處にてエフライムは淫をおこなふイスフルは汚れたり 028 HOS 006 011 ユダよ我わが民の俘囚をかへさんときまた汝のためにも穫刈をそなへん 028 HOS 007 001 われイスラエルを醫さんときエフライムの愆とサマリヤのあしきわざと露るかれらは詐詭をおこなひ内には偸盗いるあり外には山賊のむれ掠めさるあり 028 HOS 007 002 かれら心にわがその一切の惡をしたためたることを思はず今その行爲はかれらを圍みふさぎて皆わが目前にあり 028 HOS 007 003 かれらはその惡をもて王を悦ばせその詐詭をもてもろもろの牧伯を悦ばせり 028 HOS 007 004 かれらはみな姦淫をおこなふ者にしてパンを作るものに燒るる爐のごとし揑粉をこねてその發酵ときまでしばらく火をおこすことをせざるのみなり 028 HOS 007 005 われらの王の日にもろもろの牧伯は酒の熱によりて疾し王は嘲るものとともに手を伸ぶ 028 HOS 007 006 かれら伏伺するほどに心を爐のごとくして備をなすそのパンを燒くものは終夜ねむりにつき朝におよべばまた焔のごとく燃ゆ 028 HOS 007 007 かれらはみな爐のごとくに熱してその審士をやくそのもろもろの王はみな仆るかれらの中には我をよぶもの一人だになし 028 HOS 007 008 エフライムは異邦人にいりまじるエフライムはかへさざる餹餅となれり 028 HOS 007 009 かれは他邦人らにその力をのまるれども之をしらず白髮その身に雑り生れどもこれをさとらず 028 HOS 007 010 イスラエルの驕傲はその面にむかひて證をなすかれらは此もろもろの事あれどもその神ヱホバに歸ることをせず又もとむることをせざるなり 028 HOS 007 011 エフライムは智慧なくして愚なる鴿のごとし彼等はエジプトにむかひて呼求めまたアツスリヤに往く 028 HOS 007 012 我かれらの往ときわが網をその上にはりて天空の鳥のごとくに引堕し前にその公會に告しごとくかれらを懲しめん 028 HOS 007 013 禍なるかなかれらは我をはなれて迷ひいでたり敗壞かれらにきたらんかれらは我にむかひて罪ををかしたり我かれらを贖はんとおもへどもかれら我にさからひて謊言をいへり 028 HOS 007 014 かれら誠心をもて我をよばず唯牀にありて哀號べりかれらは穀物とあたらしき酒のゆゑをもて相集りかつわれに逆らふ 028 HOS 007 015 我かれらを敎へその腕をつよくせしかども彼らはわれにもとりて惡きことを謀る 028 HOS 007 016 かれらは歸るされども至高者にかへらず彼らはたのみがたき弓のごとし彼らのもろもろの牧伯はその舌のあらき言によりて劍にたふれん彼らは之がためにエジプトの國にて嘲笑をうくべし 028 HOS 008 001 ラッパをなんぢの口にあてよ敵は鷲のごとくヱホバの家にのぞめりこの民わが契約をやぶりわが律法を犯ししによる 028 HOS 008 002 かれら我にむかひてわが神よわれらイスラエルはなんぢを知れりと叫ばん 028 HOS 008 003 イスラエルは善をいみきらへり敵これを追ん 028 HOS 008 004 かれら王をたてたり然れども我により立しにあらずかれら牧伯をたてたり然れども我がしらざるところなり彼らまたその金銀をもて己がために偶像をつくれりその造れるは毀ちすてられんが爲にせしにことならず 028 HOS 008 005 サマリヤよなんぢの犢は忌きらふべきものなりわが怒かれらにむかひて燃ゆかれら何れの時にか罪なきにいたらん 028 HOS 008 006 この犢はイスラエルより出づ匠人のつくれる者にして神にあらずサマリヤの犢はくだけて粉とならん 028 HOS 008 007 かれらは風をまきて狂風をかりとらん種ところは生長る穀物なくその穂はみのらざるべしたとひ實るとも他邦人これを呑ん 028 HOS 008 008 イスラエルは旣に呑れたり彼等いま列國の中において悦ばれざる器のごとく視做るるなり 028 HOS 008 009 彼らは獨ゐし野の驢馬のごとくアッスリヤにゆけりエフライムは物を餽りて戀人を得たり 028 HOS 008 010 かれら列國の民に物を餽りたりと雖も今われ彼等をつどへ集む彼らは諸侯伯の王に負せらるる重擔のために衰へ始めん 028 HOS 008 011 エフライムは多くの祭壇を造りて罪を犯すこの祭壇はかれらが罪に陷る階とはなれり 028 HOS 008 012 我かれらのために律法をしるして數件の箇條を示したれど彼らは反て之を異物とおもへり 028 HOS 008 013 かれらは我に献ふべき物を献ふれども只肉をそなへて己みづから之を食ふヱホバは之を納たまはず今かれらの愆を記え彼らの罪を罰したまはん彼らはエジプトに歸るべし 028 HOS 008 014 イスラエルは己が造主を忘れてもろもろの社廟を建てユダは塀をとりまはせる邑を多く増し加へたり然どわれ火をその邑々におくりて諸の城を燒亡さん 028 HOS 009 001 イスラエルよ異邦人のごとく喜びすさむ勿れなんぢ淫行をなして汝の神を離る汝すべての麥の打塲にて賜はる淫行の賞賜を愛せり 028 HOS 009 002 打場と酒榨とはかれらを養はじ亦あたらしき酒もむなしくならん 028 HOS 009 003 かれらはヱホバの地にとどまらずエフライムはエジプトに歸りアッスリヤにて汚穢たる物を食はん 028 HOS 009 004 彼等はヱホバにむかひて酒を灌ぐべき者にあらずその祭物はヱホバの悦びたまふ所にあらずかれらの犠牲は喪に居もののパンのごとし凡てこれを食ふものは汚るべし彼等のパンは只おのが食ふためにのみ用ゐべくしてヱホバの家に入るべきにあらず 028 HOS 009 005 なんぢら集會の日とヱホバの節會の日に何をなさんとするや 028 HOS 009 006 視よかれら滅亡の故によりて去ゆきぬエジプトかれらをあつめメンピスかれらを葬らん蒺藜かれらが銀の寳物を獲いばら彼らの天幕に蔓らん 028 HOS 009 007 刑罰の日きたり應報の日きたれりイスラエルこれを知ん預言者は愚なるもの霊に感じたるものは狂へるものなりこれ汝の惡おほく汝の怨恨おほいなるに因る 028 HOS 009 008 エフライムは我が神にならべて他の神をも佇望めり預言者の一切の途は鳥を捕ふる者の網のごとく且その神の室の中にて怨恨を懐けり 028 HOS 009 009 かれらはギベアの日のごとく甚だしく惡き事を行へりヱホバはその惡をこころに記てその罪を罰したまはん 028 HOS 009 010 在昔われイスラエルを見ること荒野の葡萄のごとく汝らの先祖等を看ること無花果樹の始にむすべる最先の果の如くなししに彼等はバアルペオルにゆきて身を恥辱にゆだねその愛する物とともに憎むべき者とはなれり 028 HOS 009 011 エフライムの榮光は鳥のごとく飛さらん即ち產ことも孕むことも妊娠こともなかるべし 028 HOS 009 012 假令かれら子等を育つるとも我その子を喪ひて遺る人なきにいたらしめん我が離るる時かれらの禍大なる哉 028 HOS 009 013 われエフライムを美地に植てツロのごとくなししかどもエフライムはその子等を携へいだして人を殺すに付さんとす 028 HOS 009 014 ヱホバよ彼らに與へたまへ汝なにを與へんとしたまふや孕まざる胎と乳なき乳房とを與へたまへ 028 HOS 009 015 かれらが凡の惡はギルガルにあり此故に我かしこにて之を惡めりその行爲あしければ我が家より逐いだし重て愛することをせじその牧伯等はみな悖れる者なり 028 HOS 009 016 エフライムは撃れその根はかれて果を結ぶまじ若し產ことあらば我その胎なる愛しむ實を殺さん 028 HOS 009 017 かれら聽從はざるによりて我が神これを棄たまふべしかれらは列國民のうちに流離人とならん 028 HOS 010 001 イスラエルは果をむすびて茂り榮る葡萄の樹その果の多くなるがままに祭壇をましその地の饒かなるがままに偶像を美しくせり 028 HOS 010 002 かれらは二心をいだけり今かれら罪せらるべし神はその祭壇を打毀ちその偶像を折棄てたまはん 028 HOS 010 003 かれら今いふべし我儕神を畏れざりしに因て我らに王なしこの王はわれらのために何をかなさんと 028 HOS 010 004 かれらは虚しき言をいだし偽の誓をなして約をたつ審判は畑の畝にもえいづる茵蔯のごとし 028 HOS 010 005 サマリヤの居民はベテアベンの犢の故によりて戰慄かんその民とこれを悦ぶ祭司等はその榮のうせたるが爲になげかん 028 HOS 010 006 犢はアッスリヤに携へられ禮物としてヤレブ王に献げらるべしエフライムは羞をかうむりイスラエルはおのが計議を恥ぢん 028 HOS 010 007 サマリヤはほろびその王は水のうへの木片のごとし 028 HOS 010 008 イスラエルの罪なるアベンの崇邱は荒はてて荊棘と蒺藜その壇のうへにはえ茂らんその時かれら山にむかひて我儕をおほへ陵にむかひて我儕のうへに倒れよといはん 028 HOS 010 009 イスラエルよ汝はギベアの日より罪ををかせり彼等はそこに立り邪惡のひとびとを攻たりし戰爭はギベアにてかれらに及ばざりき 028 HOS 010 010 我思ふままに彼等をいましめん彼等その二の罪につながれん時もろもろの民あつまりて之をせめん 028 HOS 010 011 エフライムは馴されたる牝牛のごとくにして穀をふむことを好むされどわれその美しき頸に物を負しむべし我エフライムに軛をかけんユダは耕しヤコブは土塊をくだかん 028 HOS 010 012 なんぢら義を生ずるために種をまき憐憫にしたがひてかりとり又新地をひらけ今はヱホバを求むべき時なり終にはヱホバきたりて義を雨のごとく汝等のうへに降せたまはん 028 HOS 010 013 なんぢらは惡をたがへし不義を穫をさめ虚偽の果をくらへりこは汝おのれの途をたのみ己が勇士の數衆きをたのめるに縁る 028 HOS 010 014 この故になんぢらの民のなかに擾亂おこりて汝らの城はことごとく打破られんシャルマンが戰門の日にベテアルベルを打破りしにことならず母その子とともに碎かれたり 028 HOS 010 015 なんぢらの大なる惡のゆゑによりてべテル如此なんぢらに行へるなりイスラエルの王はあしたに滅びん 028 HOS 011 001 イスラエルの幼かりしとき我これを愛しぬ我わが子をエジプトより呼いだしたり 028 HOS 011 002 かれらは呼るるに隨ひていよいよその呼者に遠ざかり且もろもろのバアルに犠牲をささげ雕たる偶像に香を焚り 028 HOS 011 003 われエフライムに歩むことををしへ彼等をわが腕にのせて抱けり然どかれらは我にいやされたるを知ず 028 HOS 011 004 われ人にもちゐる索すなはち愛のつなをもて彼等をひけり我がかれらを待ふは軛をその腮より擧のくるもののごとくにして彼等に食物をあたへたり 028 HOS 011 005 かれらはエジプトの地にかへらじ然どかれらがヱホバに歸らざるによりてアッスリヤ人その王とならん 028 HOS 011 006 劍かれらの諸邑にまはりゆきてその關門をこぼち彼らをその謀計の故によりて滅さん 028 HOS 011 007 わが民はともすれば我にはなれんとする心あり人これを招きて上に在るものに屬しめんとすれども身をおこすもの一人だになし 028 HOS 011 008 エフライムよ我いかで汝をすてんやイスラエルよ我いかで汝をわたさんや我いかで汝をアデマのごとくせんや爭でなんぢをゼボイムのごとく爲んやわが心わが衷にかはりて我の愛憐ことごとく燃おこれり 028 HOS 011 009 我わが烈しき震怒をほどこすことをせじ我かさねてエフライムを滅すことをせじ我は人にあらず神なればなり我は汝のうちにいます聖者なりいかりをもて臨まじ 028 HOS 011 010 かれらは獅子の吼るごとくに聲を出したまふヱホバに隨ひて歩まんヱホバ聲を出したまへば子等は西より急ぎ來らん 028 HOS 011 011 かれらエジプトより鳥のごとくアッスリヤより鴿のごとくに急ぎ來らん我かれらをその家々に住はしむべし是ヱホバの聖言なり 028 HOS 011 012 エフライムは謊言をもてイスラエルの家は詐僞をもて我を圍めりユダは神と信ある聖者とに屬きみつかずみ漂蕩をれり 028 HOS 012 001 エフライムは風をくらひ東風をおひ日々に詐僞と暴逆とを増くはへアッスリヤと契約を結び油をエジプトに餽れり 028 HOS 012 002 ヱホバはユダと爭辨をなしたまふヤコブをその途にしたがひて罰しその行爲にしたがひて報いたまふ 028 HOS 012 003 ヤコブは胎にゐし時その兄弟の踵をとらへまた己が力をもて神と角力あらそへり 028 HOS 012 004 かれは天の使と角力あらそひて勝ちなきて之に恩をもとめたり彼はベテルにて神にあへり其處にて神われらに語ひたまへり 028 HOS 012 005 これは萬軍の神ヱホバなりヱホバは其記念の名なり 028 HOS 012 006 然ばなんぢの神にかへり矜恤と公義とをまもり恒になんぢの神を仰ぐべし 028 HOS 012 007 彼はカナン人(商賈)なりその手に詭詐の權衡をもち好であざむき取ことをなす 028 HOS 012 008 エフライムはいふ誠にわれは富る者となれり我は身に財寳をえたり凡てわが勞したることの中に罪をうべき不義を見いだす者なかるべし 028 HOS 012 009 我ヱホバはエジプトの國をいでしより以來なんぢらの神なり我いまも尚なんぢを幕屋にすまはせて節會の日のごとくならしめん 028 HOS 012 010 我もろもろの預言者にかたり又これに益々おほく異象をしめしたり我もろもろの預言者に托して譬喩をまうく 028 HOS 012 011 ギレアデは不義なる者ならずや彼らは全く虚しかれらはギルガルにて牛を犠牲に献ぐかれらの祭壇は圃の畝につみたる石の如し 028 HOS 012 012 ヤコブはアラムの野ににげゆけりイスラエルは妻を得んために人に事へ妻を得んために羊を牧へり 028 HOS 012 013 ヱホバ一人の預言者をもてイスラエルをエジプトより導きいだし一人の預言者をもて之を護りたまへり 028 HOS 012 014 エフライムは怒を激ふること極てはなはだしその主かれが流しし血をかれが上にとどめその恥辱をかれに歸らせたまはん 028 HOS 013 001 エフライム言を出せば人をののけり彼はイスラエルのなかに己をたかうしバアルにより罪を犯して死たりしが 028 HOS 013 002 今も尚ますます罪を犯しその銀をもて己のために像を鋳その機巧にしたがひて偶像を作る是みな工人の作なるなり彼らは之につきていふ犠牲を献ぐる者はこの犢に吻を接べしと 028 HOS 013 003 是によりて彼らは朝の雲のごとく速にきえうする露のごとく打場より大風に吹散さるる穀殻のごとく窓より出ゆく煙のごとくならん 028 HOS 013 004 されど我はエジプトの國をいでてより以來なんぢの神ヱホバなり爾われの外に神を知ことなし我のほかに救者なし 028 HOS 013 005 我さきに荒野にて水なき地にて爾を顧みたり 028 HOS 013 006 かれらは秣場によりて食に飽き飽くによりてその心たかぶり是によりて我を忘れたり 028 HOS 013 007 斯るがゆゑに我かれらに對ひて獅子の如くなり途の傍にひそみうかがふ豹のごとくならん 028 HOS 013 008 われ子をうしなへる熊のごとく彼らに向ひてその心膜を裂き獅子の如くこれを食はん野の獣これを攫斷るべし 028 HOS 013 009 イスラエルよ汝の滅ぶるは我に背き汝を助くる者に背くが故なり 028 HOS 013 010 汝のもろもろの邑に汝を助くべき汝の王は今いづくにかあるなんぢらがその王と牧伯等とを我に與へよと言たりし士師等は今いづくにかある 028 HOS 013 011 われ忿怒をもて汝に王を與へ憤恨をもて之をうばひたり 028 HOS 013 012 エフライムの不義は包まれてありその罪はをさめたくはへられたり 028 HOS 013 013 劬勞にかかれる婦のかなしみ之に臨まん彼は愚なる子なり時に臨みてもなほ產門に入らず 028 HOS 013 014 我かれらを陰府の手より贖はん我かれらを死より贖はん死よなんぢの疫は何處にあるか陰府よなんぢの災は何處にあるか悔改はかくれて我が目にみえず 028 HOS 013 015 彼は兄弟のなかにて果を結ぶこと多けれども東風吹きたりヱホバの息荒野より吹おこらん之がためにその泉は乾その源は涸れんその積蓄へたるもろもろの賓貴器皿は掠め奪はるべし 028 HOS 013 016 サマリヤはその神にそむきたれば刑せられ劍に斃れんその嬰兒はなげくだかれその孕たる婦は剖れん 028 HOS 014 001 イスラエルよ汝の神ヱホバに歸れよ汝は不義のために仆れたり 028 HOS 014 002 汝ら言詞をたづさへ來りヱホバに歸りていへ諸の不義は赦して善ところを受納れたまへ斯て我らは唇をもて牛のごとくに汝に献げん 028 HOS 014 003 アッスリヤはわれらを授けじ我らは馬に騎らじまたふたたび我儕みづからの手にて作れる者にむかひわが神なりと言じ孤兒は爾によりて憐憫を得べければなりと 028 HOS 014 004 我かれらの反逆を醫し悦びて之を愛せん我が怒はかれを離れ去たり 028 HOS 014 005 我イスラエルに對しては露のごとくならん彼は百合花のごとく花さきレバノンのごとく根をはらん 028 HOS 014 006 その枝は茂りひろがり其美麗は橄欖の樹のごとくその芬芳はレバノンのごとくならん 028 HOS 014 007 その蔭に住む者かへり來らんかれらは穀物の如く活かへり葡萄樹のごとく花さきその馨香はレバノンの酒のごとくなるべし 028 HOS 014 008 エフライムはいふ我また偶像と何のあづかる所あらんやと我これに應へたり我かれを顧みん我は蒼翠の松のごとし汝われより果を得ん 028 HOS 014 009 誰か智慧ある者ぞその人はこの事を暁らん誰か頴悟ある者ぞその人は之を知んヱホバの道は凡て直し義者は之を歩む然ど罪人は之に躓かん # # BOOK 029 JOE Joel ヨエル書 029 JOE 001 001 ペトエルの子ヨエルに臨めるヱホバの言 029 JOE 001 002 老たる人よ汝ら是を聽け すべて此地に住む者汝ら耳を傾けよ 汝らの世あるは汝らの先祖の世にも是のごとき事ありしや 029 JOE 001 003 汝ら之を子に語り子はまた之をその子に語りその子之を後の代に語りつたへよ 029 JOE 001 004 噬くらふ蝗虫の遺せる者は群ゐる蝗虫のくらふ所となりその遺せる者はなめつくすおほねむしのくらふ所となりその遺せる者は喫ほろぼす蝗虫の食ふ所となれり 029 JOE 001 005 醉る者よ汝ら目を醒して泣け すべて酒をのむ者よ哭きさけべ あたらしき酒なんぢらの口に絶えたればなり 029 JOE 001 006 そはことなる民わが國に攻よすればなり その勢ひ強くその數はかられずその齒は獅子の齒のごとくその牙は牝獅子の牙のごとし 029 JOE 001 007 彼等わが葡萄の樹を荒しわが無花果の樹を折りその皮をはぎはだかにして之を棄つ その枝白くなれり 029 JOE 001 008 汝ら哀哭かなしめ 貞女その若かりしときの夫のゆゑに麻布を腰にまとひて哀哭かなしむがごとくせよ 029 JOE 001 009 素祭灌祭ともにヱホバの家に絶えヱホバに事ふる祭司等哀傷をなす 029 JOE 001 010 田は荒れ地は哀傷む 是穀物荒はて新しき酒つき油たえんとすればなり 029 JOE 001 011 こむぎ大むぎの故をもて農夫羞ぢよ 葡萄をつくり哭けよ 田の禾稼うせはてたればなり 029 JOE 001 012 葡萄樹は枯れ無花果樹は萎れ石榴椰子林檎および野の諸の樹は凋みたり 是をもて世の人の喜樂かれうせぬ 029 JOE 001 013 祭司よ汝ら麻布を腰にまとひてなきかなしめ 祭壇に事ふる者よ汝らなきさけべ 神に事ふる者よなんぢら來り麻布をまとひて夜をすごせ 其は素祭も灌祭も汝らの神の家に入ことあらざればなり 029 JOE 001 014 汝ら斷食を定め集會を設け長老等を集め國の居民をことごとく汝らの神ヱホバの家に集めヱホバにむかひて號呼れよ 029 JOE 001 015 ああその日は禍なるかな ヱホバの日近く暴風のごとくに全能者より來らん 029 JOE 001 016 我らがまのあたりに食物絶えしにあらずや 我らの神の家に歡喜と快樂絶しにあらずや 029 JOE 001 017 種は土の下に朽ち倉は壞れ廩は圯る そは穀物ほろぼされたればなり 029 JOE 001 018 いかに畜獸は哀み鳴くや 牛の群は亂れ迷ふ 草なければなり 羊の群もまた死喪ん 029 JOE 001 019 ヱホバよ我なんぢに向ひて呼はらん 荒野の諸の草は火にて燒け野の諸の樹は火熖にてやけつくればなり 029 JOE 001 020 野の獸もまた汝にむかひて呼はらん 其は水の流涸はて荒野の草火にてやけつくればなり 029 JOE 002 001 汝らシオンにて喇叭を吹け 我聖山にて音たかく之を吹鳴せ 國の民みな慄ひわななかん そはヱホバの日きたらんとすればなり すでに近づけり 029 JOE 002 002 この日は黑くをぐらき日雲むらがるまぐらき日にしてしののめの山々にたなびくが如し 數おほく勢さかんなる民むれいたらん かかる者はいにしへよりありしことなくのちの代々の年にもあることなかるべし 029 JOE 002 003 火彼らの前を焚き火熖かれらの後にもゆ その過さる前は地エデンのごとくその過しのちは荒はてたる野の如し 此をのがれうるもの一としてあることなし 029 JOE 002 004 彼らの状は馬のかたちのごとく其馳ありくことは軍馬のごとし 029 JOE 002 005 その山の嶺にとびをどる音は車の轟聲がごとし また火の稗株をやくおとの如くしてその樣強き民の行伍をたてて戰陣にのぞむに似たり 029 JOE 002 006 そのむかふところ諸民戰慄きその面みな色を失ふ 029 JOE 002 007 彼らは勇士の如くに趨あるき軍人のごとくに石垣に攀のぼる 彼ら各々おのが道を進みゆきてその列を亂さず 029 JOE 002 008 彼ら互に推あはず各々その道にしたがひて進み行く 彼らは刄に觸るとも身を害はず 029 JOE 002 009 彼らは邑をかけめぐり石垣の上に奔り家に攀登り盗賊のごとくに窓より入る 029 JOE 002 010 そのむかふところ地ゆるぎ天震ひ日も月も暗くなり星その光明を失ふ 029 JOE 002 011 ヱホバその軍勢の前にて聲をあげたまふ 其軍旅はなはだ大なればなり 其言を爲とぐる者は強し ヱホバの日は大にして甚だ畏るべきが故に誰かこれに耐ることを得んや 029 JOE 002 012 然どヱホバ言たまふ 今にても汝ら斷食と哭泣と悲哀とをなし心をつくして我に歸れ 029 JOE 002 013 汝ら衣を裂かずして心を裂き汝等の神ヱホバに歸るべし 彼は恩惠あり憐憫ありかつ怒ることゆるく愛憐大にして災害をなすを悔たまふなり 029 JOE 002 014 誰か彼のあるひは立歸り悔て祝福をその後にとめのこし汝らをして素祭と灌祭とをなんぢらの神ヱホバにささげしめたまはじと知んや 029 JOE 002 015 汝らシオンにて喇叭を吹きならし斷食を定め公會をよびつどへ 029 JOE 002 016 民を集めその會を潔くし老たる人をあつめ孩童と乳哺子を集め新郎をその室より呼いだし新婦をその密室より呼いだせ 029 JOE 002 017 而してヱホバに事ふる祭司等は廊と祭壇の間にて泣て言へ ヱホバよ汝の民を赦したまへ 汝の產業を恥辱しめらるるに任せ之を異邦人に治めさする勿れ 何ぞ異邦人をして彼らの神は何處にあると言しむべけんや 029 JOE 002 018 然せばヱホバ己の地にために嫉妬を起しその民を憐みたまはん 029 JOE 002 019 ヱホバ應へてその民に言たまはん 視よ我穀物とあたらしき酒と油を汝におくる 汝ら之に飽ん 我なんぢらをして重ねて異邦人の中に恥辱を蒙らしめじ 029 JOE 002 020 我北よりきたる軍を遠く汝らより離れしめうるほひなき荒地に逐やらん 其前軍を東の海にその後軍を西の海に入れん その臭味立ちその惡臭騰らん 是大なる事を爲たるに因る 029 JOE 002 021 地よ懼るる勿れ 喜び樂しめ ヱホバ大なる事を行ひたまふなり 029 JOE 002 022 野の獸よ懼るる勿れ あれ野の牧草はもえいで樹は果を結び無花果樹葡萄樹はその力をめざすなり 029 JOE 002 023 シオンの子等よ 汝らの神ヱホバによりて樂め喜べ ヱホバは秋の雨を適當なんぢらに賜ひまた前のごとく秋の雨と春の雨とを汝らの上に降せたまふ 029 JOE 002 024 打塲には穀物盈ち甕にはあたらしき酒と油溢れん 029 JOE 002 025 我が汝らに遣しし大軍すなはち群ゐる蝗なめつくす蝗喫ほろぼす蝗噬くらふ蝗の觸あらせる年をわれ汝らに賠はん 029 JOE 002 026 汝らは食ひ食ひて飽き よのつねならずなんぢらを待ひたまひし汝らの神ヱホバの名をほめ頌へん 我民はとこしへに辱しめらるることなかるべし 029 JOE 002 027 かくて汝らはイスラエルの中に我が居るを知り汝らの神ヱホバは我のみにて外に無きことを知らん 我民は永遠に辱かしめらるることなかるべし 029 JOE 002 028 その後われ吾靈を一切の人に注がん 汝らの男子女子は預言せん 汝らの老たる人は夢を見 汝らの少き人は異象を見ん 029 JOE 002 029 その日我またわが靈を僕婢に注がん 029 JOE 002 030 また天と地に徴證を顯さん 即ち血あり火あり煙の柱あるべし 029 JOE 002 031 ヱホバの大なる畏るべき日の來らん前に日は暗く月は血に變らん 029 JOE 002 032 凡てヱホバの名を龥ぶ者は救はるべし そはヱホバの宣ひし如くシオンの山とヱルサレムとに救はれし者あるべければなり 其遺れる者の中にヱホバの召し給へるものあらん 029 JOE 003 001 觀よ我ユダとヱルサレムの俘囚人を歸さん その日その時 029 JOE 003 002 萬國の民を集め之を携へてヨシヤパテの谷にくだりかしこにて我民我ゆづりの產なるイスラエルのために彼らをさばかん 彼らこれを國々に散してその地を分ち取りたればなり 029 JOE 003 003 彼らは籤をひきて我民を取り童子を娼妓に換へ童女を賣り酒に換て飮めり 029 JOE 003 004 ツロ、シドンよベリシテのすべての國よ 汝ら我と何のかかはりあらんや 汝ら我がなししことに返をなさんとするや 若し我に返報をなさんとならば我忽ち迅速に汝らがなししことをもてその首に歸らしめん 029 JOE 003 005 是は汝らは我の金銀を取り我のしたふべき寶を汝らの宮にたづさへゆき 029 JOE 003 006 またユダの人とヱルサレムの人をギリシヤ人に賣りてその本國より遠く離らせたればなり 029 JOE 003 007 視よ我かられを起して汝らが賣りたる處より出し汝らがなししことをもてその首にかへらしめん 029 JOE 003 008 我はなんぢらの男子女子をユダの人の手に賣り彼らは之を遠き民なるシバ人に賣らん ヱホバこれを言ふ 029 JOE 003 009 もろもろの國に宣つたへよ 戰爭の準備を爲し勇士をはげまし軍人をことごとくちかより來らしめよ 029 JOE 003 010 汝等の鋤を劍に打かへ汝らの鎌を鎗に打かへよ 弱き者も我は強しと言へ 029 JOE 003 011 四周の國々の民よ汝ら急ぎ上りて集れ ヱホバよ汝の勇士をかしこに降したまへ 029 JOE 003 012 國々の民よ起て上りヨシヤパテの谷に至れ 彼處に我座をしめて四周の國々の民をことごとく鞫かん 029 JOE 003 013 鎌をいれよ 穀物は熟せり 來り踏めよ酒榨は盈ち甕は溢る 彼らの惡大なればなりと 029 JOE 003 014 かまびすしきかな無數の民審判の谷にありてかまびすし ヱホバの日審判の谷に近づくが故なり 029 JOE 003 015 日も月も暗くなり星その光明を失ふ 029 JOE 003 016 ヱホバ、シオンよりよびとどろかしヱルサレムより聲をはなち天地を震ひうごかしたまふ 然れどヱホバはその民の避所イスラエルの子孫の城となりたまはん 029 JOE 003 017 かくて汝ら我はヱホバ汝等の神にして我聖山シオンに住むことをしるべし ヱルサレムは聖き所となり他國の人は重ねてその中をかよふまじ 029 JOE 003 018 その日山にあたらしき酒滴り岡に乳流れユダのもろもろの河に水流れヱホバの家より泉水流れいでてシッテムの谷に灌がん 029 JOE 003 019 エジプトは荒すたれエドムは荒野とならん 是はかれらユダの子孫を虐げ辜なき者の血をその國に流したればなり 029 JOE 003 020 されどユダは永久にすまひヱルサレムは世々に保たん 029 JOE 003 021 我さきにはかれらが流しし血の罪を報いざりしが今はこれをむくいん ヱホバ、シオンに住みたまはん # # BOOK 030 AMO Amos アモス書 030 AMO 001 001 テコアの牧者の中なるアモスの言 是はユダの王ウジヤの世 イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世 地震の二年前に彼が見されたる者にてイスラエルの事を論るなり 其言に云く 030 AMO 001 002 ヱホバ、シオンより呼號りエルサレムより聲を出したまふ 牧者の牧塲は哀きカルメルの巓は枯る 030 AMO 001 003 ヱホバかく言たまふ ダマスコは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは鐵の打禾車をもてギレアデを打り 030 AMO 001 004 我ハザエルの家に火を遣りベネハダデの宮殿を焚ん 030 AMO 001 005 我ダマスコの關を碎きアベンの谷の中よりその居民を絶のぞきベテエデンの中より王の杖を執る者を絶のぞかん スリアの民は擄へられてキルにゆかん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 001 006 ヱホバかく言たまふ ガザは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとく曳ゆきてこれをエドムに付せり 030 AMO 001 007 我ガザの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん 030 AMO 001 008 我アシドドの中よりその居民を絶のぞきアシケロンの中より王の杖を執る者を絶除かん 我また手を反してエクロンを撃ん ペリシテ人の遺れる者亡ぶべし 主ヱホバこれを言ふ 030 AMO 001 009 ヱホバかく言たまふ ツロは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとくエドムに付しまた兄弟の契約を忘れたり 030 AMO 001 010 我ツロの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん 030 AMO 001 011 ヱホバかく言たまふ エドムは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼は劍をもてその兄弟を追ひ全く憐憫の情を斷ち恒に怒りて人を害し永くその憤恨をたくはへたり 030 AMO 001 012 我テマンに火を遣りポヅラの一切の殿を焚ん 030 AMO 001 013 ヱホバかく言たまふ アンモンの人々は三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはその國境を廣めんとてギレアデの孕める婦を剖たり 030 AMO 001 014 我ラバの石垣の内に火を放ちその一切の殿を焚ん 是は戰鬪の日に吶喊の聲をもて爲され暴風の日に旋風をもて爲されん 030 AMO 001 015 彼らの王はその牧伯等と諸共に擄へられて往ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 002 001 ヱホバかく言たまふ モアブは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼はエドムの王の骨を燒て灰となせり 030 AMO 002 002 我モアブに火を遣りケリオテの一切の殿を焚ん モアブは噪擾と吶喊の聲と喇叭の音の中に死ん 030 AMO 002 003 我その中より審判長を絶除きその諸の牧伯を之とともに殺さん ヱホバはこれを言ふ 030 AMO 002 004 ヱホバかく言たまふ ユダは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはヱホバの律法を輕んじその法度を守らずその先祖等が從ひし僞の物に惑はさる 030 AMO 002 005 我ユダに火を遣りエルサレムの諸の殿を焚ん 030 AMO 002 006 ヱホバかく言たまふ イスラエルは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは義者を金のために賣り貧者を鞋一足のために賣る 030 AMO 002 007 彼らは弱き者の頭に地の塵のあらんことを喘ぎて求め柔かき者の道を曲げ又父子共に一人の女子に行て我聖名を汚す 030 AMO 002 008 彼らは質に取れる衣服を一切の壇の傍に敷きてその上に偃し罰金をもて得たる酒をその神の家に飮む 030 AMO 002 009 嚮に我はアモリ人を彼らの前に絶たり アモリ人はその高きこと香柏のごとくその強きこと橡の樹のごとくなりしが我その上の果と下の根とをほろぼしたり 030 AMO 002 010 我は汝らをエジプトの地より携へのぼり四十年のあひだ荒野において汝らを導き終にアモリ人の地を汝らに獲させたり 030 AMO 002 011 我は汝らの子等の中より預言者を興し汝らの少者の中よりナザレ人を興したり イスラエルの子孫よ然るにあらずや ヱホバこれを言ふ 030 AMO 002 012 然るに汝らはナザレ人に酒を飮ませ預言者に命じて預言するなかれと言り 030 AMO 002 013 視よ我麥束を積滿せる車の物を壓するがごとく汝らを壓せん 030 AMO 002 014 その時は疾走者も逃るに暇あらず 強き者もその力を施すを得ず 勇士も己の生命を救ふこと能はず 030 AMO 002 015 弓を執る者も立ことを得ず 足駛の者も自ら救ふ能はず 馬に騎れる者も己の生命を救ふこと能はず 030 AMO 002 016 勇士の中の心剛き者もその日には裸にて逃ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 003 001 イスラエルの子孫よヱホバが汝らにむかひて言ところ我がエジプトの地より導き上りし全家にむかひて言ところの此言を聽け 030 AMO 003 002 地の諸の族の中にて我ただ汝ら而已を知れり この故に我なんぢらの諸の罪のために汝らを罰せん 030 AMO 003 003 二人もし相會せずば爭で共に歩かんや 030 AMO 003 004 獅子もし獲物あらずば豈林の中に吼んや 猛獅子もし物を攫まずば豈その穴より聲を出さんや 030 AMO 003 005 もし羂の設なくば鳥あに地に張れる網にかからんや 網もし何の得るところも無くば豈地よりあがらんや 030 AMO 003 006 邑にて喇叭を吹かば民おどらかざらんや 邑に災禍のおこるはヱホバのこれを降し給ふならずや 030 AMO 003 007 夫主ヱホバはその隱れたる事をその僕なる預言者に傳へずしては何事をも爲たまはざるなり 030 AMO 003 008 獅子吼ゆ 誰か懼れざらんや 主ヱホバ言語たまふ 誰か預言せざらんや 030 AMO 003 009 アシドドの一切の殿に傳へエジプトの地の一切の殿に宣て言へ 汝等サマリヤの山々に集りその中にある大なる紛亂を觀その中間におこなはるる虐遇を觀よ 030 AMO 003 010 ヱホバいひたまふ 彼らは正義をおこなふことを知ず 虐げ取し物と奪ひたる物とをその宮殿に積蓄ふ 030 AMO 003 011 是故に主ヱホバかく言たまふ 敵ありて此國を攻かこみ汝の權力を汝より取下さん 汝の一切の殿は掠めらるべし 030 AMO 003 012 ヱホバかく言たまふ 牧羊者は獅子の口より羊の兩足あるひは片耳を取かへし得るのみ サマリヤに於て床の隅またはダマスコ錦の榻に坐するイスラエルの子孫もその救はるること是のごとくならん 030 AMO 003 013 萬軍の神 主ヱホバかく言たまふ 汝ら聽てヤコブの家に證せよ 030 AMO 003 014 我イスラエルの諸の罪を罰する日にはベテルの壇を罰せん 其壇の角は折て地に落べし 030 AMO 003 015 我また冬の家および夏の家をうたん 象牙の家ほろび大きなる家失ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 004 001 バシヤンの牝牛等よ汝ら此言を聽け 汝らはサマリヤの山に居り弱者を虐げ貧者を壓し又その主にむかひて此に持きたりて我らに飮せよと言ふ 030 AMO 004 002 主ヱホバ己の聖を指し誓ひて云ふ 視よ日汝らの上に臨む その日には人汝らを鈎にかけ汝等の遺餘者を釣魚鈎にかけて曳いださん 030 AMO 004 003 汝らは各々その前なる石垣の破壞たる處より奔出てハルモンに逃往ん ヱホバこれを言ふ 030 AMO 004 004 汝らベテルに往て罪を犯しギルガルに往て益々おほく罪を犯せ 朝ごとに汝らの犠牲を携へゆけ 三日ごとに汝らの什一を携へゆけ 030 AMO 004 005 酵いれたる者を感謝祭に獻げ願意よりする禮物を召てこれを告示せ イスラエルの子孫よ 汝らは斯するを好むなりと主ヱホバ言たまふ 030 AMO 004 006 また我汝らの一切の邑に於て汝らの齒を清からしめ汝らの一切の處において汝らの食を乏しからしめたり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言給ふ 030 AMO 004 007 また我収穫までには尚三月あるに雨をとどめて汝らに下さず かの邑には雨を降しこの邑には雨をふらさざりき 此田圃は雨を得 彼田圃は雨を得ずして枯れたり 030 AMO 004 008 二三の邑別の一の邑に躚めきゆきて水を飮ども飽ことあたはず 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 009 我枯死殻と朽腐穗とをもて汝等を撃なやませり また汝らの衆多の園と葡萄園と無花果樹と橄欖樹とは蝗これを食へり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 010 我なんぢらの中にエジプトに爲し如く疫病をおこし劍をもて汝らの少き人を殺し又汝らの馬を奪さり汝らの營の臭氣をして騰りて汝らの鼻を撲しめたり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバいひたまふ 030 AMO 004 011 我なんぢらの中の邑を滅すことソドム、ゴモラを神の滅したまひし如くしたれば汝らは熖の中より取いだしたる燃柴のごとくなれり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ 030 AMO 004 012 イスラエルよ然ば我かく汝に行はん 我是を汝に行ふべければイスラエルよ汝の神に會ふ準備をせよ 030 AMO 004 013 彼は即ち山を作りなし風を作り出し人の思想の如何なるをその人に示しまた晨光をかへて黑暗となし地の高處を踏む者なり その名を萬軍の神ヱホバといふ 030 AMO 005 001 イスラエルの家よ我が汝らに對ひて宣る此言を聽け 是は哀歎の歌なり 030 AMO 005 002 處女イスラエルは仆れて復起あがらず彼は己の地に扑倒さる 之を扶け起す者なし 030 AMO 005 003 主ヱホバかく言たまふ イスラエルの家においては前に千人出たる邑は只百人のみのこり前に百人出たる邑は只十人のみのこらん 030 AMO 005 004 ヱホバかくイスラエルの家に言たまふ 汝ら我を求めよ さらば生べし 030 AMO 005 005 ベテルを求むるなかれ ギルガルに往なかれ ベエルシバに赴く勿れ ギルガルは必ず擄へられゆきベテルは無に歸せん 030 AMO 005 006 汝らヱホバを求めよ 然ば生べし 恐くはヱホバ火のごとくにヨセフの家に落くだりたまひてその火これを燒ん ベテルのためにこれを熄す者一人もあらじ 030 AMO 005 007 汝ら公道を茵蔯に變じ正義を地に擲つる者よ 030 AMO 005 008 昴宿および參宿を造り死の蔭を變じて朝となし晝を暗くして夜となし海の水を呼て地の面に溢れさする者を求めよ 其名はヱホバといふ 030 AMO 005 009 彼は滅亡を忽然強者に臨ましむ 滅亡つひに城に臨む 030 AMO 005 010 彼らは門にありて勸戒る者を惡み正直を言ふ者を忌嫌ふ 030 AMO 005 011 汝らは貧き者を踐つけ麥の贐物を之より取る この故に汝らは鑿石の家を建しと雖どもその中に住ことあらじ 美しき葡萄園を作りしと雖どもその酒を飮ことあらじ 030 AMO 005 012 我知る汝らの愆は多く汝らの罪は大なり 汝らは義き者を虐げ賄賂を取り門において貧き者を推抂ぐ 030 AMO 005 013 是故に今の時は賢き者默す 是惡き時なればなり 030 AMO 005 014 汝ら善を求めよ 惡を求めざれ 然らば汝ら生べし また汝らが言ごとく萬軍の神ヱホバ汝らと偕に在さん 030 AMO 005 015 汝ら惡を惡み善を愛し門にて公義を立よ 萬軍の神ヱホバあるひはヨセフの遺れる者を憐れみたまはん 030 AMO 005 016 是故に主たる萬軍の神ヱホバかく言たまふ 諸の街衢にて啼ことあらん 諸の大路にて人哀哉哀哉と呼ん 又農夫を呼きたりて哀哭しめ啼女を招きて啼しめん 030 AMO 005 017 また諸の葡萄園にも啼こと有べし 其は我汝らの中を通るべければなり ヱホバこれを言たまふ 030 AMO 005 018 ヱホバの日を望む者は禍なるかな 汝ら何とてヱホバの日を望むや 是は昏くして光なし 030 AMO 005 019 人獅子の前を逃れて熊に遇ひ又家にいりてその手を壁に附て蛇に咬るるに宛も似たり 030 AMO 005 020 ヱホバの日は昏くして光なく暗にして耀なきに非ずや 030 AMO 005 021 我は汝らの節筵を惡みかつ藐視む また汝らの集會を悦ばじ 030 AMO 005 022 汝ら我に燔祭または素祭を獻ぐるとも我之を受納れじ 汝らの肥たる犢の感謝祭は我これを顧みじ 030 AMO 005 023 汝らの歌の聲を我前に絶て汝らの琴の音は我これを聽じ 030 AMO 005 024 公道を水のごとくに正義をつきざる河のごとくに流れしめよ 030 AMO 005 025 イスラエルの家よ汝らは四十年荒野に居し間犠牲と供物を我に獻げたりしや 030 AMO 005 026 かへつて汝らは汝らの王シクテを負ひ汝らの偶像キウンを負へり 是即ち汝らの神とする星にして汝らの自ら造り設けし者なり 030 AMO 005 027 然ば我汝らをダマスコの外に移さん 萬軍の神ととなふるヱホバこれを言たまふ 030 AMO 006 001 身を安くしてシオンに居る者思ひわづらはずしてサマリヤの山に居る者 諸の國にて勝れたる國の中なる聞高くしてイスラエルの家に就きしたがはるる者は禍なるかな 030 AMO 006 002 カルネに渉りゆき彼處より大ハマテに至りまたペリシテ人のガテに下りて視よ其等は此二國に愈るや 彼らの土地は汝らの土地よりも大なるや 030 AMO 006 003 汝等は災禍の日をもて尚遠しと爲し強暴の座を近づけ 030 AMO 006 004 自ら象牙の牀に臥し寢臺の上に身を伸し群の中より羔羊を取り圏の中より犢牛を取て食ひ 030 AMO 006 005 琴の音にあはせて唄ひ噪ぎダビデのごとくに樂器を製り出し 030 AMO 006 006 大斝をもて酒を飮み最も貴とき膏を身に抹りヨセフの艱難を憂へざるなり 030 AMO 006 007 是故に今彼等は擄はれて俘囚人の眞先に立て往んかの身を伸したる者等の嘈の聲止べし 030 AMO 006 008 萬軍の神ヱホバ言たまふ 主ヱホバ己を指て誓へり 我ヤコブが誇る所の物を忌嫌ひその宮殿を惡む 我この邑とその中に充る者とを付すべし 030 AMO 006 009 一の家に十人遺りをるとも皆死ん 030 AMO 006 010 而してその親戚すなはち之を焚く者その死骸を家より運びいださんとて之を取あげまたその家の奧に潛み居る者に向ひて他になほ汝とともに居る者あるやと言ふとき對へて一人も無しと言ん 此時かの人また言べし 默せよヱホバの名を口に擧ること有べからずと 030 AMO 006 011 視よヱホバ命を下し大なる家を撃て墟址とならしめ小き家を撃て微塵とならしめたまふ 030 AMO 006 012 馬あに能く岩の上を走らんや 人あに牛をもて岩を耕へすことを得んや 然るに汝らは公道を毒に變じ正義の果を茵蔯に變じたり 030 AMO 006 013 汝らは無物を喜び我儕は自分の力をもて角を得しにあらずやと言ふ 030 AMO 006 014 是をもて萬軍の神ヱホバ言たまふ イスラエルの家よ我一の國を起して汝らに敵せしめん 是はハマテの入口よりアラバの川までも汝らをなやまさん 030 AMO 007 001 主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち草の再び生ずる時にあたりて彼蝗を造りたまふ その草は王の刈たる後に生じたるものなり 030 AMO 007 002 その蝗地の靑物を食盡しし後我言り 主ヱホバよ願くは赦したまへ ヤコブは小し 爭でか立ことを得んと 030 AMO 007 003 ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これを爲じと言たまふ 030 AMO 007 004 主ヱホバの我に示したまへる所是のごとし 即ち主ヱホバ火をもて罰せんとて火を呼たまひければ火大淵を焚きまた產業の地を焚かんとす 030 AMO 007 005 時に我言り 主ヱホバよ願くは止みたまへ ヤコブは小し爭でか立ことを得んと 030 AMO 007 006 ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これをなさじと主ヱホバ言たまふ 030 AMO 007 007 また我に示したまへるところ是のごとし 即ち準縄をもて築ける石垣の上にヱホバ立ちその手に準縄を執たまふ 030 AMO 007 008 而してヱホバ我にむかひアモス汝何を見るやと言たまひければ準縄を見ると我答へしに主また言たまはく我準縄を我民イスラエルの中に設く 我再び彼らを見過しにせじ 030 AMO 007 009 イサクの崇邱は荒されイスラエルの聖所は毀たれん 我劍をもちてヤラベアムの家に起むかはん 030 AMO 007 010 時にベテルの祭司アマジヤ、イスラエルの王ヤラベアムに言遣しけるはイスラエルの家の眞中にてアモス汝に叛けり 彼の諸の言には此地も堪るあたはざるなり 030 AMO 007 011 即ちアモスかく言り ヤラベアムは劍によりて死ん イスラエルは必ず擄へられてゆきてその國を離れんと 030 AMO 007 012 而してアマジヤ、アモスに言けるは先見者よ 汝往てユダの地に逃れ彼處にて預言して汝の食物を得よ 030 AMO 007 013 然どベテルにては重ねて預言すべからず 是は王の聖所王の宮なればなり 030 AMO 007 014 アモス對へてアマジヤに言けるは我は預言者にあらず また預言者の子にも非ず 我は牧者なり 桑の樹を作る者なりと 030 AMO 007 015 然るにヱホバ羊に從ふ所より我を取り往て我民イスラエルに預言せよとヱホバわれに宣へり 030 AMO 007 016 今ヱホバの言を聽け 汝は言ふイスラエルにむかひて預言する勿れ イサクの家にむかひて言を出すなかれと 030 AMO 007 017 是故にヱホバかく言たまふ 汝の妻は邑の中にて妓婦となり汝の男子女子は劍に斃れ汝の地は繩をもて分たれん 而して汝は穢れたる地に死にイスラエルは擄られゆきてその國を離れん 030 AMO 008 001 主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち熟したる果物一筐あり 030 AMO 008 002 ヱホバわれにむかひてアモス汝何を見るやと言たまひければ熟したる果物一筐を見ると答へしにヱホバ我に言たまはく我民イスラエルの終いたれり 我ふたたび彼らを見過しにせじ 030 AMO 008 003 主ヱホバ言たまふ 其日には宮殿の歌は哀哭に變らん 死屍おびただしくあり 人これを遍き處に投棄ん 默せよ 030 AMO 008 004 汝ら喘ぎて貧しき者に迫り且地の困難者を滅す者よ之を聽け 030 AMO 008 005 汝らは言ふ月朔は何時過去んか 我等穀物を賣んとす 安息日は何時過去んか 我ら麥倉を開かんとす 我らエパを小くしシケルを大くし僞の權衡をもて欺く事をなし 030 AMO 008 006 銀をもて賤しき者を買ひ鞋一足をもて貧き者を買ひかつ屑麥を賣いださんと 030 AMO 008 007 ヱホバ、ヤコブの榮光を指て誓ひて言たまふ 我かならず彼等の一切の行爲を何時までも忘れじ 030 AMO 008 008 之がために地震はざらんや地に住る者みな哭かざらんや 地みな河のごとく噴あがらん エジプトの河のごとく湧あがり又沈まん 030 AMO 008 009 主ヱホバ言たまふ其日には我日をして眞晝に沒せしめ地をして白晝に暗くならしめ 030 AMO 008 010 汝らの節筵を悲傷に變らせ汝らの歌を盡く哀哭に變らせ一切の人に麻布を腰に纒はしめ一切の人に頂を剃しめ其日をして獨子を喪へる哀傷のごとくならしめ其終をして苦き日のごとくならしめん 030 AMO 008 011 主ヱホバ言たまふ 視よ日至らんとす その時我饑饉たを此國におくらん 是はパンに乏しきに非ず 水に渇くに非ず ヱホバの言を聽ことの饑饉なり 030 AMO 008 012 彼らは海より海とさまよひ歩き北より東と奔まはりてヱホバの言を求めん 然ど之を得ざるべし 030 AMO 008 013 その日には美しき處女も少き男もともに渇のために絶いらん 030 AMO 008 014 かのサマリヤの罪を指て誓ひダンよ汝の神は活くと言ひまたベエルシバの路は活くと言る者等は必ず仆れん 復興ることあらじ 030 AMO 009 001 我觀るに主壇の上に立て言たまはく柱の頭を撃て閾を震はせ之を打碎きて一切の人の首に落かからしめよ 其遺れる者をば我劍をもて殺さん 彼らの逃る者も逃おほすることを得ず 彼らの遁るる者もたすからじ 030 AMO 009 002 假令かれら陰府に掘くだるとも我手をもて之を其處より曳いださん 假令かれら天に攀のぼるとも我これを其處より曳おろさん 030 AMO 009 003 假令かれらカルメルの巓に匿るるとも我これを捜して其處より曳いださん 假令かれら海の底に匿れて我目を逃るるとも我蛇に命じて其處にて之を咬しめん 030 AMO 009 004 假令かれらその敵に擄はれゆくとも我劍に命じて其處にて之を殺さしめん 我かれらの上に我目を注ぎて災禍を降さん 福祉を降さじ 030 AMO 009 005 主たる萬軍のヱホバ地に捫れば地鎔けその中に住む者みな哀む 即ち全地は河のごとくに噴あがりエジプトの河のごとくにまた沈むなり 030 AMO 009 006 彼は樓閣を天に作り穹蒼の基を地の上に置ゑまた海の水を呼て地の面にこれを斟ぐなり 其名をヱホバといふ 030 AMO 009 007 ヱホバ言たまふ イスラエルの子孫よ 我は汝らを視ことエテオピア人を觀がごとくするにあらずや 我はイスラエルをエジプトの國よりペリシテ人をカフトルよりスリア人をキルより導き來りしにあらずや 030 AMO 009 008 視よ我主ヱホバその目を此罪を犯すところの國に注ぎ之を地の面より滅し絶ん 但し我はヤコブの家を盡くは滅さじ ヱホバこれを言ふ 030 AMO 009 009 我すなはち命を下し篩にて物を篩ふがごとくイスラエルの家を萬國の中にて篩はん 一粒も地に落ざるべし 030 AMO 009 010 我民の罪人即ち災禍われらに及ばず我らに降らじと言をる者等は皆劍によりて死ん 030 AMO 009 011 其日には我ダビデの倒れたる幕屋を興しその破壞を修繕ひその傾\圯たるを興し古代の日のごとくに之を建なほすべし 030 AMO 009 012 而して彼らはエドムの遺餘者および我名をもて稱へらるる一切の民を獲ん 此事を行ふ ヱホバかく言なり 030 AMO 009 013 ヱホバ言ふ 視よ日いたらんとす その時には耕者は刈者に相繼ぎ葡萄を踐む者は播種者に相繼がん また山々には酒滴り岡は皆鎔て流れん 030 AMO 009 014 我わが民イスラエルの俘囚を返さん 彼らは荒たる邑々を建なほして其處に住み葡萄園を作りてその酒を飮み園圃を作りてその果を食はん 030 AMO 009 015 我かれらをその地に植つけん 彼らは我がこれに與ふる地より重ねて抜とらるることあらじ 汝の神ヱホバこれを言ふ # # BOOK 031 OBA Obadiah オバデヤ書 031 OBA 001 001 オバデヤの預言 主ヱホバ、エドムにつきて斯いひたまふ 我らヱホバより出たる音信を聞けり 一人の使者國々の民の中に遣されて云ふ 起よ我儕起てエドムを攻撃んと 031 OBA 001 002 我汝をして國々の中において小き者たらしむ 汝は大に藐視らるるなり 031 OBA 001 003 山崖の巖屋に居り高き處に住む者よ 汝が心の傲慢なんぢを欺けり 汝心の中に謂ふ誰か我を地に曵くだすことを得んと 031 OBA 001 004 汝たとひ鷲のごとくに高く擧り星の間に巣を造るとも我そこより汝を曵くださん ヱホバこれを言たまふ 031 OBA 001 005 盜賊汝に來り 強盜夜なんぢに來り竊むともその心に滿るときは止ざらんや 嗚呼なんぢは滅されて絶ゆ 葡萄を摘む者汝にいたるも尚 幾何を遺さざらんや 031 OBA 001 006 嗚呼エサウは搜されその隱しおける物は探りいださる 031 OBA 001 007 汝と盟約を結べる人々はみな汝を國境に逐やり汝と和好をなせる人々はみな汝を欺きて汝に勝ち汝の食物を食ふ者等は汝の下に羂を設く 彼の中には穎悟あらず 031 OBA 001 008 ヱホバ言たまふ當日には我智慧ある者をヱドムより絶除き穎悟をエサウの山より絶除かざらんや 031 OBA 001 009 テマンよ汝の勇士は驚き懼れん 而して人みな終に殺されてエサウの山より絶除かるべし 031 OBA 001 010 汝はその兄弟ヤコブに暴虐を加へたるに因て恥辱なんぢを蒙はん 汝は永遠に至るまで絶るべし 031 OBA 001 011 汝が遠く離れて立をりし日即ち異邦人これが財寳を奪ひ他國人これが門に進み入りエルサレムのために籤を掣たる日には汝も彼らの一人のごとくなりき 031 OBA 001 012 汝は汝の兄弟の日すなはちその災禍の日を觀るべからず 又ユダの子孫の滅亡の日を喜ぶべからず その苦難の日には汝口を大きく開べからざるなり 031 OBA 001 013 我民の滅ぶる日には汝その門に入べからず其滅ぶる日には汝その患難を見べからず 又その滅ぶる日には汝その財寳に手をかく可らず 031 OBA 001 014 汝路の辻々に立て その逃亡者を斬べからず 其患難の日にこれが遺る者を付すべからず 031 OBA 001 015 ヱホバの日萬國に臨むこと邇し 汝の爲せるごとく汝も爲られ汝の應報なんぢの首に歸すべし 031 OBA 001 016 汝等のわが聖山にて飮しごとく萬國の民も恒に飮ん 即ちみな飮かつ啜りて從前より有ざりし者のごとく成ん 031 OBA 001 017 シオン山には救はるる者等をりてその山聖所とならん またヤコブの家はその產業を獲ん 031 OBA 001 018 ヤコブの家は火となりヨセフの家は火燄となりエサウの家は藁とならん 即ち彼等これが上に燃てこれを焚ん エサウの家には遺る者一人も無にいたるべし ヱホバこれを言なり 031 OBA 001 019 南の人はエサウの山を獲 平地の人はペリシテを獲ん 又彼らはエフライムの地およびサマリヤの地を獲 べニヤミンはギレアデを獲ん 031 OBA 001 020 かの擄はれゆきしイスラエルの軍旅はカナン人に屬する地をザレパテまで取ん セパラデにあるエルサレムの俘擄人は南の邑々を獲ん 031 OBA 001 021 然る時に救者シオンの山に上りてエサウの山を鞫かん而して國はヱホバに歸すべし # # BOOK 032 JON Jonah ヨナ書 032 JON 001 001 ヱホバの言アミタイの子ヨナに臨めりいはく 032 JON 001 002 起てかの大なる邑ニネベに往きこれを呼はり責めよ そは其惡わが前に上り來ればなりと 032 JON 001 003 然るにヨナはヱホバの面をさけてタルシシへ逃れんと起てヨツパに下り行けるが機しもタルシシへ往く舟に遇ければその價値を給へヱホバの面をさけて偕にタルシシへ行んとてその舟に乗れり 032 JON 001 004 時にヱホバ大風を海の上に起したまひて烈しき颺風海にありければ舟は幾んど破れんとせり 032 JON 001 005 かかりしかば船夫恐れて各おのれの神を呼び又舟を輕くせんとてその中なる載荷を海に投すてたり 然るにヨナは舟の奧に下りゐて臥て酣睡せり 032 JON 001 006 船長來りて彼に云けるは汝なんぞかく酣睡するや起て汝の神を呼べあるひは彼われらを眷顧て淪亡ざらしめんと 032 JON 001 007 かくて人衆互に云けるは此災の我儕にのぞめるは誰の故なるかを知んがため去來鬮を掣んと やがて鬮をひきしに鬮ヨナに當りければ 032 JON 001 008 みな彼に云けるはこの災禍なにゆゑに我らにのぞめるか請ふ告げよ 汝の業は何なるや 何處より來れるや 汝の國は何處ぞや 何處の民なるや 032 JON 001 009 ヨナ彼等にいひけるは我はヘブル人にして海と陸とを造りたまひし天の神ヱホバを畏るる者なり 032 JON 001 010 是に於て船夫甚だしく懼れて彼に云けるは汝なんぞ其事をなせしやと その人々は彼がヱホバの面をさけて逃れしなるを知れり 其はさきにヨナ彼等に告たればなり 032 JON 001 011 遂に船夫彼にいひけるは我儕のために海を靜かにせんには汝に如何がなすべきや 其は海いよいよ甚だしく狂蕩たればなり 032 JON 001 012 ヨナ彼等に曰けるはわれを取りて海に投いれよ さらば海は汝等の爲に靜かにならん そはこの大なる颺風の汝等にのぞめるはわが故なるを知ればなり 032 JON 001 013 されど船夫は陸に漕もどさんとつとめたりしが終にあたはざりき 其は海かれらにむかひていよいよ烈しく蕩たればなり 032 JON 001 014 ここにおいて彼等ヱホバに呼はりて曰けるはヱホバよこひねがはくは此人の命の爲に我儕を滅亡したまふ勿れ 又罪なきの血をわれらに歸し給ふなかれ そはヱホバよ汝聖意にかなふところを爲し給へるなればなりと 032 JON 001 015 すなわちヨナを取りて海に投入たり しかして海のあるることやみぬ 032 JON 001 016 かかりしかばその人々おほいにヱホバを畏れヱホバに犧牲を獻げ誓願を立たり 032 JON 001 017 さてヱホバすでに大なる魚を備へおきてヨナを呑しめたまへり ヨナは三日三夜魚の腹の中にありき 032 JON 002 001 ヨナ魚の腹の中よりその神ヱホバに祈祷て 032 JON 002 002 曰けるは われ患難の中よりヱホバを呼びしに彼われこたへたまへり われ陰府の腹の中より呼はりしに汝わが聲を聽たまへり 032 JON 002 003 汝我を淵のうち海の中心に投いれたまひて海の水我を環り汝の波濤と巨浪すべて我上にながる 032 JON 002 004 われ曰けるは我なんぢの目の前より逐れたれども復汝の聖殿を望まん 032 JON 002 005 水われを環りて 魂にも及ばんとし淵我をとりかこみ海草わが頭に纒へり 032 JON 002 006 われ山の根基にまで下れり 地の關木いつも我うしろにありき しかるに我神ヱホバよ汝はわが命を深き穴より救ひあげたまへり 032 JON 002 007 わが靈魂衷に弱りしとき我ヱホバをおもへり しかしてわが祈なんぢに至りなんぢの聖殿におよべり 032 JON 002 008 いつはりなる虚き者につかふるものは自己の恩たる者を棄つ 032 JON 002 009 されど我は感謝の聲をもて汝に獻祭をなし 又わが誓願をなんぢに償さん 救はヱホバより出るなりと 032 JON 002 010 ヱホバ其魚に命じたまひければヨナを陸に吐出せり 032 JON 003 001 ヱホバの言ふたたびヨナに臨めり 曰く 032 JON 003 002 起てかの大なる府ニネベに往きわが汝に命ずるところを宣よ 032 JON 003 003 ヨナすなはちヱホバの言に循ひて起てニネベに往り ニネベは甚だ大なる邑にしてこれをめぐるに三日を歴る程なり 032 JON 003 004 ヨナその邑に入はじめ一日路を行つつ呼はり曰けるは四十日を歴ばニネベは滅亡さるべし 032 JON 003 005 かかりしかばニネベの人々神を信じ斷食を宣れ大なる者より小き者に至るまでみな麻布を衣たり 032 JON 003 006 この言ニネベの王に聞えければ彼 位より起ち朝服を脱ぎ麻布を身に纒ふて灰の中に坐せり 032 JON 003 007 また王大臣とともに命をくだしてニネベ中に宣しめて曰く人も畜も牛も羊もともに何をも味ふべからず 又物をくらひ水を飮べからず 032 JON 003 008 人も畜も麻布をまとひ只管神に呼はり且おのおの其惡き途および其手に作す邪惡を離るべし 032 JON 003 009 或は神その聖旨をかへて悔い其烈しき怒を息てわれらを滅亡さざらん 誰かその然らざるを知んや 032 JON 003 010 神かれらの爲すところをかんがみ其あしき途を離るるを見そなはし彼等になさんと言し所の災禍を悔て之をなしたまはざりき 032 JON 004 001 ヨナこの事を甚だ惡しとして烈く怒り 032 JON 004 002 ヱホバに祈りて曰けるはヱホバよ我なほ本國にありし時斯あらんと曰しに非ずや さればこそ前にタルシシへ逃れたるなれ 其は我なんぢは矜恤ある神 憐憫あり 怒ること遲く慈悲深くして災禍を悔たまふものなりと知ばなり 032 JON 004 003 ヱホバよ願くは今わが命を取たまへ 其は生ることよりも死るかた我に善ればなり 032 JON 004 004 ヱホバ曰たまひけるは汝の怒る事いかで宜しからんや 032 JON 004 005 ヨナは邑より出てその東の方に居り己が爲に其處に一の小屋をしつらひその蔭の下に坐して府の如何に成行くかを見る 032 JON 004 006 ヱホバ神瓢を備へこれをして發生てヨナの上を覆はしめたり こはヨナの首の爲に庇蔭をまうけてその憂を慰めんが爲なりき ヨナはこの瓢の木によりて甚だ喜べり 032 JON 004 007 されど神あくる日の夜明に虫をそなへて其ひさごを噛せたまひければ瓢は枯たり 032 JON 004 008 かくて日の出し時神暑き東風を備へ給ひ又日ヨナの首を照しければ彼よわりて心の中に死ることを願ひて言ふ 生ることよりも死るかた我に善し 032 JON 004 009 神またヨナに曰たまひけるは瓢の爲に汝のいかる事いかで宜しからんや 彼曰けるはわれ怒りて死るともよろし 032 JON 004 010 ヱホバ曰たまひけるは汝は勞をくはへず生育ざる此の一夜に生じて一夜に亡びし瓢を惜めり 032 JON 004 011 まして十二萬餘の右左を辨へざる者と許多の家畜とあるこの大なる府ニネベをわれ惜まざらんや # # BOOK 033 MIC Micah ミカ書 033 MIC 001 001 ユダの王ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの代にモレシテ人ミカに臨めるヱホバの言是すなはちサマリアとエルサレムの事につきて彼が示されたる者なり 033 MIC 001 002 萬民よ聽け 地とその中の者よ耳を傾けよ 主ヱホバ汝らに對ひて證を立たまはん 即ち主その聖殿より之を立たまふべし 033 MIC 001 003 視よヱホバその處より出てくだり地の高處を踏たまはん 033 MIC 001 004 山は彼の下に融け谷は裂けたり 火の前なる蝋のごとく坡に流るる水の如し 033 MIC 001 005 是みなヤコブの咎の故イスラエルの家の罪のゆゑなり ヤコブの愆とは何か サマリヤにあらずや ユダの崇邱とは何か エルサレムにあらずや 033 MIC 001 006 是故に我サマリヤを野の石堆となし葡萄を植る處と爲し又その石を谷に投おとしその基を露さん 033 MIC 001 007 その石像はみな碎かれその獲たる價金はみな火にて焚れん 我その偶像をことごとく毀たん 彼妓女の價金よりこれを積たれば是はまた歸りて妓女の價金となるべし 033 MIC 001 008 我これがために哭き咷ばん 衣を脱ぎ裸體にて歩行ん 山犬のごとくに哭き駝鳥のごとくに啼ん 033 MIC 001 009 サマリヤの傷は醫すべからざる者にてすでにユダに至り我民の門エルサレムにまでおよべり 033 MIC 001 010 ガテに傳ふるなかれ 泣さけぶ勿れ ベテレアフラにて我塵の中に輾びたり 033 MIC 001 011 サピルに住る者よ 汝ら裸になり辱を蒙りて進みゆけ ザアナンに住る者は敢て出ず ベテエゼルのの哀哭によりて汝らは立處を得ず 033 MIC 001 012 マロテに住る者は己の幸福につきて思ひなやむ 其は災禍ヱホバより出てエルサレムの門に臨めばなり 033 MIC 001 013 ラキシに住る者よ馬に車をつなげ ラキシはシオンの女の罪の根本なり イスラエルの愆は汝の中に見ゆ 033 MIC 001 014 この故に汝モレセテガテに離別の饋物を與へよ アクジブの家々はイスラエルの王等におけること人を欺く溪川のごとくなるべし 033 MIC 001 015 マレシヤにすめる者よ 我また汝の地を獲べき者を汝に携へ往べし イスラエルの榮光アドラムに往ん 033 MIC 001 016 汝その悦ぶところの子等の故によりて汝の髮を剃おろせ 汝の首の剃し處を大きくして鷲のごとくにせよ 其は彼等擄へられて汝を離るればなり 033 MIC 002 001 その牀にありて不義を圖り惡事を工夫る者等には禍あるべし 彼らはその手に力あるが故に天亮におよべばこれを行ふ 033 MIC 002 002 彼らは田圃を貧りてこれを奪ひ家を貧りて是を取りまた人を虐げてその家を掠め人を虐げてその產業をかすむ 033 MIC 002 003 是故にヱホバかく言たまふ 視よ我此族にむかひて災禍を降さんと謀る 汝らはその頸を是より脱すること能はじ また首をあげて歩くこと能はざるべし 其時は災禍の時なればなり 033 MIC 002 004 その日には人汝らにつきて詩を作り悲哀の歌をもて悲哀て言ん 事旣にいたれり 我等は悉く滅さる 彼わが民の產業を人に與ふ 如何なれば我よりこれを離すや 我儕の田圃を違逆者に分ち與ふ 033 MIC 002 005 然ば汝らヱホバの會衆の中には籤によりて繩をうつ者一人も有じ 033 MIC 002 006 預言する勿れ 彼らは預言す 彼らは是等の者等にむかひて預言せじ 恥辱彼らを離れざるべし 033 MIC 002 007 汝ヤコブの家と稱へらるる者よ ヱホバの氣短からんや ヱホバの行爲是のごとくならんや 我言は品行正直者の益とならざらんや 033 MIC 002 008 然るに我民は近頃起りて敵となれり 汝らは夫の戰爭を避て心配なく過るところの者等に就てその衣服の外衣を奪ひ 033 MIC 002 009 我民の婦女をその悦ぶところの家より逐いだしその子等より我の妝飾を永く奪ふ 033 MIC 002 010 起て去れ 是は汝らの安息の地にあらず 是は已に汚れたれば必ず汝らを滅さん 其滅亡は劇かるべし 033 MIC 002 011 人もし風に歩み謊言を宣べ我葡萄酒と濃酒の事につきて汝に預言せんと言ことあらばその人はこの民の預言者とならん 033 MIC 002 012 ヤコブよ我かならず汝をことごとく集へ 必ずイスラエルの遺餘者を聚めん 而して我之を同一に置てボヅラの羊のごとく成しめん 彼らは人數衆きによりて牧塲の中なる群のごとくにその聲をたてん 033 MIC 002 013 打破者かれらに先だちて登彼ら遂に門を打敗り之を通りて出ゆかん 彼らの王その前にたちて進みヱホバその首に立たまふべし 033 MIC 003 001 我言ふヤコブの首領よイスラエルの家の侯伯よ 汝ら聽け公義は汝らの知べきことに非ずや 033 MIC 003 002 汝らは善を惡み惡を好み民の身より皮を剥ぎ骨より肉を剔り 033 MIC 003 003 我民の肉を食ひその皮を剥ぎその骨を碎きこれを切きざみて鍋に入る物のごとくし鼎の中にいるる肉のごとくす 033 MIC 003 004 然ば彼時に彼らヱホバに呼はるともヱホバかれらに應へたまはじ 却てその時には面を彼らに隱したまはん 彼らの行惡ければなり 033 MIC 003 005 我民を惑す預言者は齒にて噛べき物を受る時は平安あらんと呼はれども何をもその口に與へざる者にむかひては戰門の準備をなす ヱホバ彼らにつきて斯いひたまふ 033 MIC 003 006 然ば汝らは夜に遭べし 復異象を得じ 黑暗に遭べし 復卜兆を得じ 日はその預言者の上をはなれて沒りその上は晝も暗かるべし 033 MIC 003 007 見者は愧を抱き卜者は面を赧らめ皆共にその唇を掩はん 神の垂應あらざればなり 033 MIC 003 008 然れども我はヱホバの御靈によりて能力身に滿ち公義および勇氣衷に滿ればヤコブにその愆を示しイスラエルにその罪を示すことを得 033 MIC 003 009 ヤコブの家の首領等およびイスラエルの家の牧伯等公義を惡み一切の正直事を曲る者よ汝ら之を聽け 033 MIC 003 010 彼らは血をもてシオンを建て不義をもてエルサレムを建つ 033 MIC 003 011 その首領等は賄賂をとりて審判をなしその祭司等は値錢を取て敎晦をなす 又その預言者等は銀子を取て占卜を爲しヱホバに倚賴みて云ふヱホバわれらと偕に在すにあらずや 然ば災禍われらに降らじと 033 MIC 003 012 是によりてシオンは汝のゆゑに田圃となりて耕へされエルサレムは石堆となり宮の山は樹の生しげる高處とならん 033 MIC 004 001 末の日にいたりてヱホバの家の山諸の山の巓に立ち諸の嶺にこえて高く聳へ萬民河のごとく之に流れ歸せん 033 MIC 004 002 即ち衆多の民來りて言ん 去來我儕ヱホバの山に登ヤコブの神の家にゆかん ヱホバその道を我らに敎へて我らにその路を歩ましめたまはん 律法はシオンより出でヱホバの言はエルサレムより出べければなり 033 MIC 004 003 彼衆多の民の間を鞫き強き國を規戒め遠き處にまでも然したまふべし 彼らはその劍を鋤に打かへその鎗を鎌に打かへん 國と國とは劍を擧て相攻めず また重て戰爭を習はじ 033 MIC 004 004 皆その葡萄の樹の下に坐しその無花果樹の下に居ん 之を懼れしむる者なかるべし 萬軍のヱホバの口之を言ふ 033 MIC 004 005 一切の民はみな各々その神の名によりて歩む 然れども我らはわれらの神ヱホバの名によりて永遠に歩まん 033 MIC 004 006 ヱホバ言たまふ 其日には我かの足蹇たる者を集へかの散されし者および我が苦しめし者を聚め 033 MIC 004 007 その足蹇たる者をもて遺餘民となし遠く逐やられたりし者をもて強き民となさん 而してヱホバ、シオンの山において今より永遠にこれが王とならん 033 MIC 004 008 羊樓シオンの女の山よ最初の權汝に歸らん 即ちエルサレムの女の國祚なんぢに歸るべし 033 MIC 004 009 汝なにとて喚叫ぶや 汝の中に王なきや 汝の議者絶果しや 汝は產婦のごとくに痛苦を懷くなり 033 MIC 004 010 シオンの女よ產婦のごとく劬勞て產め 汝は今邑を出て野に宿りバビロンに往ざるを得ず 彼處にて汝救はれん ヱホバ汝を彼處にて汝の敵の手より贖ひ取り給ふべし 033 MIC 004 011 今許多の國民あつまりて汝におしよせて言ふ 願くはシオンの汚されんことを 我ら目にシオンを觀てなぐさまんと 033 MIC 004 012 然ながら彼らはヱホバの思念を知ずまたその御謀議を曉らず ヱホバ麥束を打塲にあつむるごとくに彼らを聚め給へり 033 MIC 004 013 シオンの女よ起てこなせ 我なんぢの角を鐵にし汝の蹄を銅にせん 汝許多の國民を打碎くべし 汝かれらの掠取物をヱホバに獻げ彼らの財產を全地の主に奉納べし 033 MIC 005 001 軍隊の女よ今なんぢ集りて隊をつくれ 敵われらを攻圍み杖をもてイスラエルの士師の頬を撃つ 033 MIC 005 002 ベテレヘム、エフラタ汝はユダの郡中にて小き者なり 然れどもイスラエルの君となる者汝の中より我ために出べし その出る事は古昔より永遠の日よりなり 033 MIC 005 003 是故に產婦の產おとすまで彼等を付しおきたまはん 然る後その遺れる兄弟イスラエルの子孫とともに歸るべし 033 MIC 005 004 彼はヱホバの力に由りその神ヱホバの名の威光によりて立てその群を牧ひ之をして安然に居しめん 今彼は大なる者となりて地の極にまでおよばん 033 MIC 005 005 彼は平和なり アッスリヤ人われらの國に入り我らの宮殿を踏あらさんとする時は我儕七人の牧者八人の人君を立てこれに當らん 033 MIC 005 006 彼ら劍をもてアッスリヤの地をほろぼしニムロデの地の邑々をほろぼさん アッスリヤの人我らの地に攻いり我らの境を踏あらす時には彼その手より我らを救はん 033 MIC 005 007 ヤコブの遺餘者は衆多の民の中に在こと人に賴ず世の人を俟ずしてヱホバより降る露の如く靑草の上にふりしく雨の如くならん 033 MIC 005 008 ヤコブの遺餘者の國々にをり衆多の民の中にをる樣は林の獸の中に獅子の居るごとく羊の群の中に猛き獅子の居るごとくならん その過るときは踏みかつ裂ことをなす救ふ者なし 033 MIC 005 009 望らくは汝の手汝が諸の敵の上にあげられ汝がもろもろの仇ことごとく絶れんことを 033 MIC 005 010 ヱホバ言たまふ其日には我なんぢの馬を汝の中より絶ち汝の車を毀ち 033 MIC 005 011 汝の國の邑々を絶し汝の一切の城をことごとく圮さん 033 MIC 005 012 我また汝の手より魔術を絶ん 汝の中に卜筮師無にいたるべし 033 MIC 005 013 我なんぢの彫像および柱像を汝の中より絶ん 汝の手にて作れる者を汝重て拜むこと無るべし 033 MIC 005 014 我また汝のアシラ像を汝の中より抜たふし汝の邑々を滅さん 033 MIC 005 015 而して我忿怒と憤恨をもてその聽從はざる國民に仇を報いん 033 MIC 006 001 請ふ汝らヱホバの宣まふところを聽け 汝起あがりて山の前に辨爭へ 崗に汝の聲を聽しめよ 033 MIC 006 002 山々よ地の易ることなき基よ 汝らヱホバの辨爭を聽け ヱホバその民と辨爭を爲しイスラエルと論ぜん 033 MIC 006 003 我民よ我何を汝になししや 何において汝を疲勞たるや 我にむかひて證せよ 033 MIC 006 004 我はエジプトの國より汝を導きのぼり奴隸の家より汝を贖ひいだしモーセ、アロンおよびミリアムを遣して汝に先だたしめたり 033 MIC 006 005 我民よ請ふモアブの王バラクが謀りし事およびベオルの子バラムがこれに應へし事を念ひシツテムよりギルガルにいたるまでの事等を念へ 然らば汝ヱホバの正義を知ん 033 MIC 006 006 我ヱホバの前に何をもちゆきて高き神を拜せん 燔祭の物および當歳の犢をもてその御前にいたるべきか 033 MIC 006 007 ヱホバ數千の牡羊萬流の油を悦びたまはんか 我愆のためにわが長子を獻げんか 我靈魂の罪のために我身の產を獻げんか 033 MIC 006 008 人よ彼さきに善事の何なるを汝に告たり ヱホバの汝に要めたまふ事は唯正義を行ひ憐憫を愛し謙遜りて汝の神とともに歩む事ならずや 033 MIC 006 009 ヱホバの聲邑にむかひて呼はる 智慧ある者はなんぢの名を仰がん 汝ら笞杖および之をおくらんと定めし者に聽け 033 MIC 006 010 惡人の家に猶惡財ありや 詛ふべき縮小たる升ありや 033 MIC 006 011 我もし正からざる權衡を用ひ袋に僞の碼子をいれおかば爭で潔からんや 033 MIC 006 012 その富る人は強暴にて充ち其居民は謊言を言ひその舌は口の中にて欺くことを爲す 033 MIC 006 013 是をもて我も汝を撃て重傷を負はせ汝の罪のために汝を滅す 033 MIC 006 014 汝は食ふとも飽ず腹はつねに空ならん 汝は移すともつひに拯ふことを得じ 汝が拯ひし者は我これを劍に付すべし 033 MIC 006 015 汝は種播とも刈ることあらず 橄欖を踐ともその油を身に抹ることあらず 葡萄を踐ともその酒を飮ことあらじ 033 MIC 006 016 汝らはオムリの法度を守りアハブの家の一切の行爲を行ひて彼等の謀計に遵ふ 是は我をして汝を荒さしめ且その居民を胡盧となさしめんが爲なり 汝らはわが民の恥辱を任べし 033 MIC 007 001 我は禍なるかな 我の景况は夏の菓物を採る時のごとく遺れる葡萄を斂むる時に似たり 食ふべき葡萄あること無く我が心に嗜む初結の無花果あること無し 033 MIC 007 002 善人地に絶ゆ 人の中に直き者なし 皆血を流さんと伏て伺ひ各々網をもてその兄弟を獵る 033 MIC 007 003 兩手は惡を善なすに急がし 牧伯は要求め裁判人は賄賂を取り力ある人はその心の惡き望を言あらはし斯共にその惡をあざなひ合す 033 MIC 007 004 彼らの最も善き者も荊棘のごとく最も直き者も刺ある樹の垣より惡し 汝の觀望人の日すなはち汝の刑罰の日いたる 彼らの中に今混亂あらん 033 MIC 007 005 汝ら伴侶を信ずる勿れ 朋友を恃むなかれ 汝の懐に寢る者にむかひても汝の口の戸を守れ 033 MIC 007 006 男子は父を藐視め女子は母の背き媳は姑に背かん 人の敵はその家の者なるべし 033 MIC 007 007 我はヱホバを仰ぎ望み我を救ふ神を望み俟つ 我神われに聽たまふべし 033 MIC 007 008 我敵人よ我につきて喜ぶなかれ 我仆るれば興あがる 幽暗に居ればヱホバ我の光となりたまふ 033 MIC 007 009 ヱホバわが訴訟を理し我ために審判をおこなひたまふまで我は忍びてその忿怒をかうむらん 其は我これに罪を得たればなり ヱホバつひに我を光明に携へいだし給はん 而して我ヱホバの正義を見ん 033 MIC 007 010 わが敵これを見ん 汝の神ヱホバは何處にをるやと我に言る者恥辱をかうむらん 我かれを目に見るべし 彼は街衢の泥のごとくに踏つけらるべし 033 MIC 007 011 汝の垣を築く日いたらん 其日には法度遠く徙るべし 033 MIC 007 012 その日にはアッスリヤよりエジプトの邑々より人々汝に來りエジプトより河まで海より海まで山より山までの人々汝に來り就ん 033 MIC 007 013 その日地はその居民の故によりて荒はつべし 是その行爲の果報なり 033 MIC 007 014 汝の杖をもて汝の民即ち獨離れてカルメルの中の林にをる汝の產業の羊を牧養ひ之をして古昔の日のごとくバシヤンおよびギレアデにおいて草を食はしめたまへ 033 MIC 007 015 汝がエジプトの國より出來し日のごとく我ふしぎなる事等を彼にしめさん 033 MIC 007 016 國々の民見てその一切の能力を恥ぢその手を口にあてん その耳は聾となるべし 033 MIC 007 017 彼らは蛇のごとくに塵を餂め地に匍ふ者の如くにその城より振ひて出で戰慄て我らの神ヱホバに詣り汝のために懼れん 033 MIC 007 018 何の神か汝に如ん 汝は罪を赦しその產業の遺餘者の愆を見過したまふなり 神は憐憫を悦ぶが故にその震怒を永く保ちたまはず 033 MIC 007 019 ふたたび顧みて我らを憐み我らの愆を踏つけ我らの諸の罪を海の底に投しづめたまはん 033 MIC 007 020 汝古昔の日われらの先祖に誓ひたりし其眞實をヤコブに賜ひ憐憫をアブラハムに賜はん # # BOOK 034 NAH Nahum ナホム書 034 NAH 001 001 ニネベに關る重き預言 エルコシ人ナホムの異象の書 034 NAH 001 002 ヱホバは妬みかつ仇を報ゆる神 ヱホバは仇を報ゆる者また忿怒の主 ヱホバは己に逆らふ者に仇を報い己に敵する者にむかひて憤恨を含む者なり 034 NAH 001 003 ヱホバは怒ることの遲く能力の大なる者 また罰すべき者をば必ず赦すことを爲ざる者 ヱホバの道は旋風に在り 大風に在り 雲はその足の塵なり 034 NAH 001 004 彼海を指斥て之を乾かし河々をしてことごとく涸しむ バシヤンおよびカルメルの草木は枯れレバノンの花は凋む 034 NAH 001 005 彼の前には山々ゆるぎ嶺々溶く 彼の前には地墳上り世界およびその中に住む者皆ふきあげらる 034 NAH 001 006 誰かその憤恨に當ることを得ん 誰かその燃る忿怒に堪ることを得ん 其震怒のそそぐこと火のごとし 巖も之がために裂く 034 NAH 001 007 ヱホバは善なる者にして患難の時の要害なり 彼は己に倚賴む者を善知たまふ 034 NAH 001 008 彼みなぎる洪水をもてその處を全く滅し己に敵する者を幽暗處に逐やりたまはん 034 NAH 001 009 汝らヱホバに對ひて何を謀るや 彼全く滅したまふべし 患難かさねて起らじ 034 NAH 001 010 彼等むすびからまれる荊棘のごとくなるとも酒に浸りをるとも乾ける藁のごとくに焚つくさるべし 034 NAH 001 011 ヱホバに對ひて惡事を謀る者一人汝の中より出て邪曲なる事を勸む 034 NAH 001 012 ヱホバかく言たまふ 彼等全くしてその數夥多しかるとも必ず芟たふされて皆絶ん 我前にはなんぢを苦めたれども重て汝を苦めじ 034 NAH 001 013 いま我かれが汝に負せし軛を碎き汝の縛を切はなすべし 034 NAH 001 014 ヱホバ汝の事につきて命令を下す 汝の名を負ふ者再び播るること有じ 汝の神々の室より我雕像および鑄像を除き絶べし 我汝の墓を備へん 汝輕ければなり 034 NAH 001 015 嘉音信を傳ふる者の脚山の上に見ゆ 彼平安を宣ぶ ユダよ汝の節筵を行ひ汝の誓願を果せ 邪曲なる者重て汝の中を通らざるべし 彼は全く絶る 034 NAH 002 001 撃破者攻のぼりて汝の前に至る 汝城を守り路を窺ひ腰を強くし汝の力を大に強くせよ 034 NAH 002 002 ヱホバはヤコブの榮を舊に復してイスラエルの榮のごとくしたまふ 其は掠奪者これを掠めその葡萄蔓を壞ひたればなり 034 NAH 002 003 その勇士は楯を紅にしその軍兵は紅に身を甲ふ 其行伍を立つる時には戰車の鐵灼燦て火のごとし 鎗また閃めきふるふ 034 NAH 002 004 戰車街衢に狂ひ奔り大路に推あふ 其形状火炬のごとく其疾く馳すること電光の如し 034 NAH 002 005 彼その將士を憶ひいだす 彼らはその途にて躓き仆れその石垣に奔ゆき大楯を備ふ 034 NAH 002 006 河々の門啓け宮消うせん 034 NAH 002 007 この事定まれり 彼は裸にせられて擄はれゆきその宮女胸を打て鴿のごとくに啼くべし 034 NAH 002 008 ニネベはその建し日より以來水の滿る池に似たりしがその民今は逃奔る 止れ止れと呼ども後を顧みる者なし 034 NAH 002 009 白銀を奪へよ 黄金を奪へよ その寳物限なく諸の貴とき噐用夥多し 034 NAH 002 010 滅亡たり 空虚なれり 荒果たり 心は消え膝は慄ひ腰には凡て劇しき痛あり 面はみな色を失ふ 034 NAH 002 011 獅子の穴は何處ぞや 少き獅子の物を食ふ處は何處ぞや 雄獅子雌獅子その小獅子とともに彼處に歩むに之を懼れしむる者なし 034 NAH 002 012 雄獅子は小獅子のために物を噛ころし雌獅子の爲に物をくびり殺しその掠獲たる物をもて穴に充しその裂殺しし物をもて住所に滿す 034 NAH 002 013 萬軍のヱホバ言たまふ 視よ我なんぢに臨む 我なんぢの戰車を焚て煙となすべし 汝の少き獅子はみな劍の殺す所とならん 我また汝の獲物を地より絶べし 汝の使者の聲かさねて聞ゆること無らん 034 NAH 003 001 禍なるかな血を流す邑 その中には全く詭譎および暴行充ち掠め取ること息まず 034 NAH 003 002 鞭の音あり輪の轟く音あり 馬は躍り跳ね車は輾り行く 034 NAH 003 003 騎兵馳のぼり劍きらめき鎗ひらめく 殺さるる者夥多しくして死屍山を爲し死骸限なし 皆死屍に躓きて倒る 034 NAH 003 004 是はかの魔術の主なる美しき妓女多く淫行を行ひその淫行をもて諸國を奪ひその魔術をもて諸族を惑したるに因てなり 034 NAH 003 005 萬軍のヱホバ言たまふ 視よ我なんぢに臨む 我なんぢの裳裾を掲げて面の上にまで及ぼし汝の陰所を諸民に見し汝の羞る所を諸國に見すべし 034 NAH 003 006 我また穢はしき物を汝の上に投かけて汝を辱しめ汝をして賽物とならしめん 034 NAH 003 007 凡て汝を見る者はみな汝を避て奔り去りニネベは亡びたりと言ん 誰か汝のために哀かんや 何處よりして我なんぢを弔ふ者を尋ね得んや 034 NAH 003 008 汝あにノアモンに愈らんや ノアモンは河々の間に立ち水をその周圍に環らし海をもて壕となし海をもて垣となせり 034 NAH 003 009 かつその勢力たる者はエテオピア人およびエジプト人などにして限あらず フテ人ルビ人等汝を助けたりき 034 NAH 003 010 然るに是も俘囚となりて擄はれてゆきその子女は一切の衢の隅々にて投付られて碎け又その尊貴者は籤にて分たれ其大なる者はみな鏈に繋がれたり 034 NAH 003 011 汝もまた酔せられて終に隱匿ん 汝もまた敵を避て逃るる處を尋ね求めん 034 NAH 003 012 汝の城々はみな初に結びし果のなれる無花果樹のごとし 之を撼がせばその果落て食はんとする者の口にいる 034 NAH 003 013 汝の中にある民は婦人のごとし 汝の地の門はみな汝の敵の前に廣く開きてあり 火なんぢの關を焚ん 034 NAH 003 014 汝水を汲て圍まるる時の用に備へ汝の城々を堅くし泥の中に入て踐て石灰を作りかつ瓦燒窰を修理へよ 034 NAH 003 015 其處にて火汝を燒き劍なんぢを斬ん 其なんぢを滅すこと吸蝗のごとくなるべし 汝吸蝗のごとく數多からば多かれ 汝群蝗のごとく數多からば多かれ 034 NAH 003 016 汝はおのれの商賣を空の星よりも多くせり 吸蝗掠めて飛さる 034 NAH 003 017 汝の重臣は群蝗のごとく汝の軍長は蝗の群のごとし 寒き日には垣に巣窟を構へ日出きたれば飛て去る その在る處を知る者なし 034 NAH 003 018 アッスリヤの王よ汝の牧者は睡り汝の貴族は臥す 又なんぢの民は山々に散さる 之を聚むる者なし 034 NAH 003 019 汝の傷は愈ること無し 汝の創は重し 汝の事を聞およぶ者はみな汝の故によりて手を拍ん 誰か汝の惡行を恒に身に受ざる者やある # # BOOK 035 HAB Habakkuk ハバクク書 035 HAB 001 001 預言者ハバククが示を蒙りし預言の重負 035 HAB 001 002 ヱホバよ我呼はるに汝の我に聽たまはざること何時までぞや 我なんぢにむかひて強暴を訴ふれども汝は助けたまはざるなり 035 HAB 001 003 汝なにとて我に害惡を見せたまふや 何とて艱難を瞻望居たまふや 奪掠および強暴わが前に行はる且爭論あり鬪諍おこる 035 HAB 001 004 是によりて律法弛み公義正しく行はれず惡き者義しき者を圍むが故に公義曲りて行はる 035 HAB 001 005 汝ら國々の民の中を望み觀おどろけ駭け 汝らの日に我一の事を爲ん 之を告る者あるとも汝ら信ぜざらん 035 HAB 001 006 視よ我カルデヤ人を興さんとす 是すなはち猛くまた荒き國人にして地を縦横に行めぐり 己の有ならざる住處を奪ふ者なり 035 HAB 001 007 是は懼るべく又驚くべし 其是非威光は己より出づ 035 HAB 001 008 その馬は豹よりも迅く夜求食する豺狼よりも疾し 其騎兵は跑まはる 即ちその騎兵は遠き處より來る 其飛ことは物を食はんと急ぐ鷲のごとし 035 HAB 001 009 是は全く強暴のために來り 其面を前にむけて頻に進むその俘虜を寄集むることは砂のごとし 035 HAB 001 010 是は王等を侮り君等を笑ひ諸の城々を笑ひ土を積あげてこれを取ん 035 HAB 001 011 斯て風のごとくに行めぐり進みわたりて罪を獲ん 是は己の力を神とす 035 HAB 001 012 ヱホバわが神わが聖者よ 汝は永遠より在すに非ずや 我らは死なじ ヱホバよ汝は是を審判のために設けたまへり 磐よ汝は是を懲戒のために立たまへり 035 HAB 001 013 汝は目清くして肯て惡を觀たまはざる者 肯て不義を視たまはざる者なるに何ゆゑ邪曲の者を觀すて置たまふや 惡き者を己にまさりて義しき者を呑噬ふに何ゆゑ汝默し居たまふや 035 HAB 001 014 汝は人をして海の魚のごとくならしめ君あらぬ昆蟲のごとくならしめたまふ 035 HAB 001 015 彼鈎をもて之を盡く釣あげ網をもて之を寄せ集め引網をもて之を捕ふるなり 是に因て彼歡び樂しむ 035 HAB 001 016 是故に彼その網に犠牲を獻げその引網に香を焚く 其は之がためにその分肥まさりその食饒になりたればなり 035 HAB 001 017 然ど彼はその網を傾けつつなほたえず國々の人を惜みなく殺すことをするならんか 035 HAB 002 001 我わが觀望所に立ち戍樓に身を置ん 而して我候ひ望みて其われに何と宣まふかを見 わが訴言に我みづから何と答ふべきかを見ん 035 HAB 002 002 ヱホバわれに答へて言たまはく 此默示を書しるして之を板の上に明白に鐫つけ奔りながらも之を讀むべからしめよ 035 HAB 002 003 この默示はなほ定まれる時を俟てその終を急ぐなり 僞ならず 若し遲くあらば待べし 必ず臨むべし 濡滯りはせじ 035 HAB 002 004 視よ彼の心は高ぶりその中にありて直からず 然ど義き者はその信仰によりて活べし 035 HAB 002 005 かの酒に耽る者は邪曲なる者なり 驕傲者にして安んぜず彼はその情慾を陰府のごとくに濶くす また彼は死のごとし 又足ことを知ず 萬國を集へて己に歸せしめ萬民を聚めて己に就しむ 035 HAB 002 006 其等の民みな諺語をもて彼を評し嘲弄の詩歌をもて彼を諷せざらんや 即ち言ん己に屬せざる物を積累ぬる者は禍なるかな 斯て何の時にまでおよばんや 嗟かの質物の重荷を身に負ふ者よ 035 HAB 002 007 汝を噬む者にはかに興らざらんや 汝を惱ます者醒出ざらんや 汝は之に掠めらるべし 035 HAB 002 008 汝衆多の國民を掠めしに因てその諸の民の遺れる者なんぢを掠めん 是人の血を流ししに因る また強暴を地上に行ひて邑とその内に住る一切の者とに及ぼせしに因るなり 035 HAB 002 009 災禍の手を免れんが爲に高き處に巣を構へんとして己の家に不義の利を取る者は禍なるかな 035 HAB 002 010 汝は事を圖りて己の家に恥辱を來らせ衆多の民を滅して自ら罪を取れり 035 HAB 002 011 石垣の石叫び建物の梁これに應へん 035 HAB 002 012 血をもて邑を建て惡をもて城を築く者は禍なるかな 035 HAB 002 013 諸の民は火のために勞し諸の國人は虚空事のために疲る 是は萬軍のヱホバより出る者ならずや 035 HAB 002 014 ヱホバの榮光を認むるの知識地上に充て宛然海を水の掩ふが如くならん 035 HAB 002 015 人に酒を飮せ己の忿怒を酌和へて之を酔せ而して之が陰所を見んとする者は禍なるかな 035 HAB 002 016 汝は榮譽に飽ずして羞辱に飽り 汝もまた飮て汝の不割禮を露はせ ヱホバの右の手の杯汝に巡り來るべし 汝は汚なき物を吐て榮耀を掩はん 035 HAB 002 017 汝がレバノンに爲たる強暴と獣を懼れしめしその殲滅とは汝の上に報いきたるべし 是人の血を流ししに因りまた強暴を地上に行ひて邑とその内に住る一切の者とに及ぼししに因るなり 035 HAB 002 018 雕像はその作者これを刻みたりとて何の益あらんや 又鑄像および僞師は語はぬ偶像なればその像の作者これを作りて賴むとも何の益あらんや 035 HAB 002 019 木にむかひて興ませと言ひ 語はぬ石にむかひて起たまへと言ふ者は禍なるかな 是あに敎晦を爲んや 視よ是は金銀に着せたる者にてその中には全く氣息なし 035 HAB 002 020 然りといへどもヱホバはその聖殿に在ますぞかし 全地その御前に默すべし 035 HAB 003 001 シギヨノテに合せて歌へる預言者ハバククの祈禱 035 HAB 003 002 ヱホバよ我なんぢの宣ふ所を聞て懼る ヱホバよこの諸の年の中間に汝の運動を活齑かせたまへ 此諸の年の間に之を顯現したまへ 怒る時にも憐憫を忘れ給はざれ 035 HAB 003 003 神テマンより來り聖者パラン山より臨みたまふ (セラ) 其榮光諸天を蔽ひ其讃美世界に徧ねし 035 HAB 003 004 その朗耀は日のごとく光線その手より出づ 彼處はその權能の隱るる所なり 035 HAB 003 005 疫病その前に先だち行き熱病その足下より出づ 035 HAB 003 006 彼立て地を震はせ觀まはして萬國を戰慄しめたまふ 永久の山は崩れ常磐の岡は陷る 彼の行ひたまふ道は永久なり 035 HAB 003 007 我觀るにクシヤンの天幕は艱難に罹りミデアンの地の幃幕は震ふ 035 HAB 003 008 ヱホバよ汝は馬を驅り汝の拯救の車に乗りたまふ 是河にむかひて怒りたまふなるか 河にむかひて汝の忿怒を發したまふなるか 海にむかひて汝の憤恨を洩し給ふなるか 035 HAB 003 009 汝の弓は全く嚢を出で杖は言をもて言かためらる (セラ) 汝は地を裂て河となし給ふ 035 HAB 003 010 山々汝を見て震ひ洪水溢れわたり淵聲を出してその手を高く擧ぐ 035 HAB 003 011 汝の奔る矢の光のため汝の鎗の電光のごとき閃燦のために日月その住處に立とどまる 035 HAB 003 012 汝は憤ほりて地を行めぐり 怒りて國民を踏つけ給ふ 035 HAB 003 013 汝は汝の民を救んとて出きたり 汝の膏沃げる者を救はんとて臨みたまふ 汝は惡き者の家の頭を碎きその石礎を露はして頸におよぼし給へり (セラ) 035 HAB 003 014 汝は彼の鎗をもてその將帥の首を刺とほし給ふ 彼らは我を散さんとて大風のごとくに進みきたる 彼らは貧き者を密に呑ほろぼす事をもてその樂とす 035 HAB 003 015 汝は汝の馬をもて海を乗とほり大水の逆卷ところを渉りたまふ 035 HAB 003 016 我聞て膓を斷つ 我唇その聲によりて震ふ 腐朽わが骨に入り我下體わななく 其は我患難の日の來るを待ばなり 其時には即ち此民に攻寄る者ありて之に押逼らん 035 HAB 003 017 その時には無花果の樹は花咲ず葡萄の樹には果ならず 橄欖の樹の產は空くなり 田圃は食糧を出さず圏には羊絶え小屋には牛なかるべし 035 HAB 003 018 然ながら我はヱホバによりて樂み わが拯救の神によりて喜ばん 035 HAB 003 019 主ヱホバは我力にして我足を鹿の如くならしめ 我をして我高き處を歩ましめ給ふ 伶長これを我琴にあはすべし # # BOOK 036 ZEP Zephaniah ゼパニヤ書 036 ZEP 001 001 アモンの子ユダの王ヨシヤの世にゼパニヤに臨めるヱホバの言 ゼパニヤはクシの子 クシはゲダリアの子 ゲダリアはアマリヤの子 アマリヤはヒゼキヤの子なり 036 ZEP 001 002 ヱホバ言たまふ われ地の面よりすべての物をはらひのぞかん 036 ZEP 001 003 われ人と獣畜をほろぼし空の鳥 海の魚および躓礙になる者と惡人とを滅さん 我かならず地の面より人をほろぼし絶ん ヱホバこれを言ふ 036 ZEP 001 004 我ユダとエルサレムの一切の居民との上に手を伸ん 我 この處よりかの漏のこれるバアルを絶ちケマリムの名を祭司と與に絶ち 036 ZEP 001 005 また屋上にて天の衆軍を拜む者ヱホバに誓を立てて拜みながらも亦おのれの王を指て誓ふことをする者 036 ZEP 001 006 ヱホバに悖り離るる者ヱホバを求めず尋ねざる者を絶ん 036 ZEP 001 007 汝 主ヱホバの前に默せよ そはヱホバの日近づきヱホバすでに犠牲を備へその招くべき者をさだめ給ひたればなり 036 ZEP 001 008 ヱホバの犠牲の日に我もろもろの牧伯と王の子等および凡て異邦の衣服を着る者を罰すべし 036 ZEP 001 009 その日には我また凡て閾をとびこえ強暴と詭譎をもて獲たる物をおのが主の家に滿す者等を罰せん 036 ZEP 001 010 ヱホバ曰たまはく その日には魚の門より號呼の聲おこり下邑より喚く聲おこり山々より大なる敗壞おこらん 036 ZEP 001 011 マクテシの民よ汝ら叫べ 其は商賣する民 悉くほろび銀を擔ふ者 悉く絶たればなり 036 ZEP 001 012 その時はわれ燈をもちてエルサレムの中を尋ねん 而して滓の上に居着て心の中にヱホバは福をもなさず災をもなさずといふものを罰すべし 036 ZEP 001 013 かれらの財寳は掠められ彼らの家は荒果ん かれら家を造るともその中に住ことを得ず 葡萄を植るともその葡萄酒を飮ことを得ざるべし 036 ZEP 001 014 ヱホバの大なる日近づけり 近づきて速かに來る 聽よ是ヱホバの日なるぞ 彼處に勇士のいたく叫ぶあり 036 ZEP 001 015 その日は忿怒の日 患難および痛苦の日 荒かつ亡ぶるの日 黑暗またをぐらき日 濃き雲および黑雲の日 036 ZEP 001 016 箛をふき鯨聲をつくり堅き城を攻め高き櫓を攻るの日なり 036 ZEP 001 017 われ人々に患難を蒙らせて盲者のごとくに惑ひあるかしめん 彼らヱホバにむかひて罪を犯したればなり 彼らの血は流されて塵のごとくになり彼らの肉は捨られて糞土のごとくなるべし 036 ZEP 001 018 かれらの銀も金もヱホバの烈き怒の日には彼らを救ふことあたはず 全地その嫉妬の火に呑るべし 即ちヱホバ地の民をことごとく滅したまはん 其事まことに速なるべし 036 ZEP 002 001 汝等羞恥を知ぬ民早く自ら内に省みよ 036 ZEP 002 002 夫日は糠粃の如く過ぎさる 然ば詔言のいまだ行はれざる先ヱホバの烈き怒のいまだ汝等に臨まざる先ヱホバの忿怒の日のいまだ汝等にきたらざるさきに自ら省みるべし 036 ZEP 002 003 すべてヱホバの律法を行ふ斯地の遜るものよ 汝等ヱホバを求め公義を求め謙遜を求めよ 然すれば汝等ヱホバの忿怒の日に或は匿さるることあらん 036 ZEP 002 004 夫ガザは棄られアシケロンは荒はてアシドドは白晝に逐はらはれエクロンは抜さらるべし 036 ZEP 002 005 海邊に住る者およびケレテの國民は禍なるかな ベリシテ人の國カナンよ ヱホバの言なんぢらを攻む 我なんぢを滅して住者なきに至らしむべし 036 ZEP 002 006 海邊は必ず牧塲となり牧者の洞および羊の牢そこに在ん 036 ZEP 002 007 此地はユダの家の殘餘れる者に歸せん 彼ら其處にて草飼ひ暮に至ればアシケロンの家に臥ん そは彼らの神ヱホバかれらを顧みその俘囚を歸したまふべければなり 036 ZEP 002 008 我すでにモアブの嘲弄とアンモンの子孫の罵言を聞けり 彼らはわが民を嘲り自ら誇りて之が境界を侵せしなり 036 ZEP 002 009 是故に萬軍のヱホバ、イスラエルの神 言たまふ 我は活く 必ずモアブはソドムのごとくになりアンモンの子孫はゴモラのごとくにならん 是は共に蕁麻の蔓延る處となり鹽坑の地となりて長久に荒はつべし 我民の遺れる者かれらを掠めわが國民の餘されたる者かれらを獲ん 036 ZEP 002 010 この事の彼らに臨むはその傲慢による 即ち彼ら萬軍のヱホバの民を嘲りて自ら誇りたればなり 036 ZEP 002 011 ヱホバは彼等に對ひては畏ろしくましまし地の諸の神や饑し滅したまふなり 諸の國の民おのおのその處より出てヱホバを拜まん 036 ZEP 002 012 エテオピア人よ汝等もまたわが劍にかかりて殺さる 036 ZEP 002 013 ヱホバ北に手を伸てアッスリヤを滅したまはん 亦ニネベを荒して荒野のごとき旱地となしたまはん 036 ZEP 002 014 而して畜の群もろもろの類の生物その中に伏し鸅鸕および刺猬其柱の頂に住み囀る者の聲窓の内にきこえ荒落たる物閾の上に積り香柏の板の細工露顯になるべし 036 ZEP 002 015 是邑は驕り傲ぶりて安泰に立をり 唯我あり 我の外には誰もなしと心の中に言つつありし者なるが斯も荒はてて畜獣の臥す處となる者かな 此を過る者はみな嘶きて手をふるはん 036 ZEP 003 001 此暴虐を行ふ悖りかつ汚れたる邑は禍なるかな 036 ZEP 003 002 是は聲を聽いれず敎晦を承ずヱホバに依賴まずおのれの神に近よらず 036 ZEP 003 003 その中にをる牧伯等は吼る獅子の如くその審士は明旦までに何をも遺さざる 夜求食する狼のごとし 036 ZEP 003 004 その預言者は傲りかつ詐る人なり その祭司は聖物を汚し律法を破ることをなせり 036 ZEP 003 005 その中にいますヱホバは義くして不義を行なひたまはず朝な朝な己の公義を顯して缺ることなし 然るに不義なる者は恥を知ず 036 ZEP 003 006 我國々の民を滅したればその櫓は凡て荒たり 我これが街を荒凉れしめたれば往來する者なし その邑々は滅びて人なく住む者なきに至れり 036 ZEP 003 007 われ前に言り 汝ただ我を畏れまた警敎を受べし 然らばその住家は我が凡て之につきて定めたる所の如くに滅されざるべしと 然るに彼等は夙に起て己の一切の行状を壞れり 036 ZEP 003 008 ヱホバ曰たまふ 是ゆゑに汝らわが起て獲物をする日いたるまで我を俟て 我もろもろの民を集へ諸の國を聚めてわが憤恨とわが烈き忿怒を盡くその上にそそがんと思ひ定む 全地はわが嫉妬の火に燒ほろぼさるべし 036 ZEP 003 009 その時われ國々の民に清き唇をあたへ彼らをして凡てヱホバの名を呼しめ心をあはせて之につかへしめん 036 ZEP 003 010 わが散せし者等の女即ち我を拜む者エテオピアの河々の彼旁よりもきたりて我に禮ものをささぐべし 036 ZEP 003 011 その日には汝われに對てをかしきたりし諸の行爲をもて羞を得ことなかるべし その時には我なんぢの中より高ぶり樂む者等を除けば汝かさねてわが聖山にて傲り高ぶることなければなり 036 ZEP 003 012 われ柔和にして貧き民をなんぢの中にのこさん 彼らはヱホバの名に依賴むべし 036 ZEP 003 013 イスラエルの遺れる者は惡を行はず 謊をいはず その口のうちには詐僞の舌なし 彼らは草食ひ臥やすまん 之を懼れしむる者なかるべし 036 ZEP 003 014 シオンの女よ歡喜の聲を擧よ イスラエルよ樂み呼はれ エルサレムの女よ心のかぎり喜び樂め 036 ZEP 003 015 ヱホバすでに汝の鞫を止め汝の敵を逐はらひたまへり イスラエルの王ヱホバ汝の中にいます 汝はかさねて災禍にあふことあらじ 036 ZEP 003 016 その日にはエルサレムに向ひて言あらん 懼るるなかれ シオンよ 汝の手をしなえ垂るるなかれと 036 ZEP 003 017 なんぢの神ヱホバなんぢの中にいます 彼は拯救を施す勇士なり 彼なんぢのために喜び樂み愛の餘りに默し汝のために喜びて呼はりたまふ 036 ZEP 003 018 われ節會のことにつきて憂ふるものを集めん 彼等は汝より出し者なり 恥辱かれらに蒙むること重負のごとし 036 ZEP 003 019 視よその時われ汝を虐遇る者を盡く處置し足蹇たるものを救ひ逐はなたれたる者を集め彼らをして其羞辱を蒙りし一切の國にて稱譽を得させ名を得さすべし 036 ZEP 003 020 その時われ汝らを携へその時われ汝らを集むべし 我なんぢらの目の前において汝らの俘囚をかへし汝らをして地上の萬國に名を得させ稱譽を得さすべし ヱホバこれを言ふ # # BOOK 037 HAG Haggai ハガイ書 037 HAG 001 001 ダリヨス王の二年六月其月の一日にヱホバの言預言者ハガイによりてシヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルおよびヨザダクの子 祭司の長ヨシユアに臨めりいはく 037 HAG 001 002 萬軍のヱホバかくいひたまふ是民はヱホバの殿を建べき時期未だ來らずといへり 037 HAG 001 003 ヱホバの言また預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 001 004 此殿かく毀壞をれば汝等板をもてはれる家に居るべき時ならんや 037 HAG 001 005 されば今萬軍のヱホバかく曰たまふ 汝等おのれの行爲を省察べし 037 HAG 001 006 汝らは多く播ども収入るところは少く食へども飽ことを得ず 飮ども滿足ことを得ず 衣れども暖きことを得ず 又工價を得るものは之を破れたる袋に入る 037 HAG 001 007 萬軍のヱホバまた曰たまふ 汝等おのれの行爲を省察べし 037 HAG 001 008 山に上り木を携へ來て殿を建てよ さすれば我これを悦び又榮光を受ん ヱホバこれを言ふ 037 HAG 001 009 なんぢら多く得んと望みたりしに反て少かりき 又汝等これを家に携へ歸りしとき我これを吹はらへり 萬軍のヱホバいひたまふ 是何故ぞや 是は我が殿破壞をるに汝等おのおの己の室に走り至ればなり 037 HAG 001 010 この故になんぢらの上の天は雨露を止め地はその產物を止めたり 037 HAG 001 011 且われ地にも山にも穀物にも新酒にも油にも地の生ずる物にも人にも家畜にも手のもろもろの工にもすべて毀壞を召きかうむらしめたり 037 HAG 001 012 シヤルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子祭司の長ヨシユアおよびその殘れるすべての民ともに其神ヱホバの聲と預言者ハガイの言に聽したがへり 是は其神ヱホバかれを遣したまひしに因る 民みなヱホバの前に敬畏たり 037 HAG 001 013 時にヱホバの使者ハガイ、ヱホバの命により民に告て曰けるは我なんぢらと偕に在りとヱホバ曰たまふと 037 HAG 001 014 ヱホバ、シヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルの心とヨザダクの子 祭司の長ヨシユアの心およびその殘れるすべての民の心をふりおこしたまひければ彼等來りて其神萬軍のヱホバの殿にて工作を爲り 037 HAG 001 015 これダリヨス王の二年六月二十四日なりき 037 HAG 002 001 七月其月の二十一日ヱホバの言預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 002 002 シヤルテルの子ユダの方伯ゼルバベルとヨザダクの子祭司の長ヨシユアおよびその殘れる一切の民に告よ 037 HAG 002 003 なんぢら遺れる者の中この殿の從前の榮光を見しものは誰ぞや 今これを如何に見るや かの殿にくらぶれば是は汝らの目に何もなきが如く見ゆるにあらずや 037 HAG 002 004 ヱホバ曰たまふゼルバベルよ自ら強くせよ ヨザダクの子祭司の長ヨシユアよ自ら強くせよ ヱホバ言たまふ この地の民よ自らつよくしてはたらけ 我なんぢらとともに在り 萬軍のヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 005 汝らがエジプトよりいでし時わがなんぢらに約せし言およびわが靈なほなんぢらの中に留れり 懼るるなかれ 037 HAG 002 006 萬軍のヱホバかくいひたまふ いま一度しばらくありてわれ天と地と海と陸とを震動はん 037 HAG 002 007 又われ萬國を震動はん また萬國の願ふところのもの來らん 又われ榮光をもてこの殿に充滿さん 萬軍のヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 008 銀も我ものなり 金もわが物なりと萬軍のヱホバいひたまふ 037 HAG 002 009 この殿の後の榮光は從前の榮光より大ならんと萬軍のヱホバいひたまふ この處においてわれ平康をあたへんと萬軍のヱホバいひたまふ 037 HAG 002 010 ダリヨスの二年九月二十四日ヱホバのことば預言者ハガイによりて臨めり曰く 037 HAG 002 011 萬軍のヱホバかく曰たまふ 律法につきて祭司に問ふて曰ふべし 037 HAG 002 012 人衣の裾にて聖肉を携へたらんにその裾もしパン或は羮あるひは酒あるひは油あるひは他の食物に捫らばそれらは聖ものとなるや 祭司たち答へて曰けるはしからず 037 HAG 002 013 ハガイまたいひけるは屍體に捫りて汚れしもの若これらの物にさはらば其ものはけがるべきや 祭司等こたへて曰けるは汚れん 037 HAG 002 014 ここに於てハガイ答へて曰けるはヱホバ曰たまふ 我前此民もかくの如くまた此國もかくの如し 又其手の一切のわざもかくのごとく彼等がその處に獻ぐるものもけがれたるものなり 037 HAG 002 015 また今われ汝らに乞 この日より以前すなはちヱホバの殿にて石の上に石の置れざりし時を憶念べし 037 HAG 002 016 かの時には二十舛もあるべき麥束につきてわづかに十を得 また酒榨につきて五十桶汲んとせしにただ二十を得たるのみ 037 HAG 002 017 汝が手をもて爲せる一切の事に於てわれ不實穗と朽腐穗と雹を以てなんぢらを撃り されど汝ら我にかへらざりき ヱホバこれを言ふ 037 HAG 002 018 なんぢらこの日より以前を憶念みよ 即ち九月二十四日よりヱホバの殿の基を置し日までをおもひ見よ 037 HAG 002 019 種子なほ倉にあるや 葡萄の樹 無花果の樹 石榴の樹 橄欖の樹もいまだ實を結ばざりき 此日よりのちわれ汝らを惠まん 037 HAG 002 020 此月の二十四日にヱホバのことば再びハガイに臨めり曰く 037 HAG 002 021 ユダの方伯ゼルバベルに告よ われ天地を震動ん 037 HAG 002 022 列國の位を倒さん また異邦の諸國の權勢を滅さん 又車および之に駕る者を倒さん 馬および之に騎る者もおのおの其伴侶の劍によりてたふれん 037 HAG 002 023 萬軍のヱホバ曰たまはくシヤルテルの子わが僕ゼルバベルよヱホバいふその日に我なんぢを取りなんぢを印の如くにせん そはわれ汝をえらびたればなり 萬軍のヱホバこれを言ふ # # BOOK 038 ZEC Zechariah ゼカリヤ書 038 ZEC 001 001 ダリヨスの二年八月のヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 001 002 ヱホバいたく汝らの父等を怒りたまへり 038 ZEC 001 003 萬軍のヱホバかく言ふと汝かれらに告よ萬軍のヱホバ言ふ汝ら我に歸れ萬軍のヱホバいふ我も汝らに歸らん 038 ZEC 001 004 汝らの父等のごとくならざれ前の預言者等かれらに向ひて呼はりて言り萬軍のヱホバかく言たまふ請ふ汝らその惡き道を離れその惡き行を棄てて歸れと然るに彼等は聽ず耳を我に傾けざりきヱホバこれを言ふ 038 ZEC 001 005 汝らの父等は何處にありや預言者たち永遠に生んや 038 ZEC 001 006 然ながら我僕なる預言者等に我が命じたる吾言とわが法度とは汝らの父等に追及たるに非ずや然ゆゑに彼らかへりて言り萬軍のヱホバ我らの道に循ひ我らの行に循ひて我らに爲んと思ひたまひし事を我らに爲たまへりと 038 ZEC 001 007 ダリヨスの二年十一月すなはちセバテといふ月の二十四日にヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 001 008 我夜觀しに一箇の人赤馬に乗て谷の裏なる鳥拈樹の中に立ちその後に赤馬駁馬白馬をる 038 ZEC 001 009 我わが主よ是等は何ぞやと問けるに我と語ふ天の使われにむかひて是等の何なるをわれ汝に示さんと言り 038 ZEC 001 010 鳥拈樹の中に立る人答へて言けるは是等は地上を遍く歩かしめんとてヱホバの遣したまひし者なりと 038 ZEC 001 011 彼ら答へて鳥拈樹の中に立るヱホバの使に言けるは我ら地上を行めぐり觀しに全地は穩にして安し 038 ZEC 001 012 ヱホバの使こたへて言ふ萬軍のヱホバよ汝いつまでヱルサレムとユダの邑々を恤みたまはざるか汝はこれを怒りたまひてすでに七十年になりぬと 038 ZEC 001 013 ヱホバ我と語ふ天の使に嘉事慰事をもて答へたまへり 038 ZEC 001 014 かくて我と語ふ天の使我に言けるは汝呼はりて言へ萬軍のヱホバかく言たまふ我ヱルサレムのためシオンのために甚だしく心を熱して嫉妬おもひ 038 ZEC 001 015 安居せる國々の民を太く怒る其は我すこしく怒りしに彼ら力を出して之に害を加へたればなり 038 ZEC 001 016 ヱホバかく言ふ是故に我憐憫をもてヱルサレムに歸る萬軍のヱホバのたまふ我室その中に建られ量繩ヱルサレムに張られん 038 ZEC 001 017 汝また呼はりて言へ萬軍のヱホバかく宣ふ我邑々には再び嘉物あふれんヱホバふたたびシオンを慰め再びヱルサレムを簡びたまふべしと 038 ZEC 001 018 かくて我目を擧て觀しに四の角ありければ 038 ZEC 001 019 我に語ふ天の使に是等は何なるやと問しに彼われに答へけるは是等はユダ、イスラエルおよびヱルサレムを散したる角なりと 038 ZEC 001 020 時にヱホバ四箇の鍛冶を我に見し給へり 038 ZEC 001 021 我是等は何を爲んとて來れるやと問しに斯こたへ給へり是等の角はユダを散して人にその頭を擧しめざりし者なるが今この四箇の者來りて之を威しかのユダの地にむかひて角を擧て之を散せし諸國の角を擲たんとす 038 ZEC 002 001 茲に我目を擧て觀しに一箇の人量繩を手に執居ければ 038 ZEC 002 002 汝は何處へ往くやと問しにヱルサレムを量りてその廣と長の幾何なるを觀んとすと我に答ふ 038 ZEC 002 003 時に我に語ふ天の使出行たりしが又一箇の天の使出きたりて之に會ひ 038 ZEC 002 004 之に言けるは走ゆきてこの少き人に告て言へヱルサレムはその中に人と畜と饒なるによりて野原のごとくに廣く亘るべし 038 ZEC 002 005 ヱホバ言たまふ我その四周にて火の垣となりその中にて榮光とならん 038 ZEC 002 006 ヱホバいひたまふ來れ來れ北の地より逃きたれ我なんぢらを四方の天風のごとくに行わたらしむればなりヱホバこれを言ふ 038 ZEC 002 007 來れバビロンの女子とともに居るシオンよ遁れ來れ 038 ZEC 002 008 萬軍のヱホバかく言たまふヱホバ汝等を擄へゆきし國々へ榮光のために我儕を遣したまふ汝らを打つ者は彼の目の珠を打なればなり 038 ZEC 002 009 即ち我手をかれらの上に搖ん彼らは己に事へし者の俘虜となるべし汝らは萬軍のヱホバの我を遣したまへるなるを知ん 038 ZEC 002 010 ヱホバ言たまふシオンの女子よ喜び樂め我きたりて汝の中に住ばなり 038 ZEC 002 011 その日には許多の民ヱホバに附て我民とならん我なんぢの中に住べし汝は萬軍のヱホバの我を遣したまへるなるを知ん 038 ZEC 002 012 ヱホバ聖地の中にてユダを取て己の分となし再びヱルサレムを簡びたまふべし 038 ZEC 002 013 ヱホバ起てその聖住所よりいでたまへば凡そ血肉ある者ヱホバの前に粛然たれ 038 ZEC 003 001 彼祭司の長ヨシユアがヱホバの使の前に立ちサタンのその右に立てこれに敵しをるを我に見す 038 ZEC 003 002 ヱホバ、サタンに言たまひけるはサタンよヱホバ汝をせむべし即ちヱルサレムを簡びしヱホバ汝をいましむ是は火の中より取いだしたる燃柴ならずやと 038 ZEC 003 003 ヨシユア汚なき衣服を衣て使の前に立をりしが 038 ZEC 003 004 ヱホバ己の前に立る者等に告て汚なき衣服を之に脱せよと宣ひまたヨシユアに向ひて觀よ我なんぢの罪を汝の身より取のぞけり汝に美服を衣すべしと宣へり 038 ZEC 003 005 我また潔き冠冕をその首に冠らせよと言り是において潔き冠冕をその首に冠らせ衣服をこれに衣すヱホバの使は立をる 038 ZEC 003 006 ヱホバの使證してヨシユアに言ふ 038 ZEC 003 007 萬軍のヱホバかく言たまふ汝もし我道を歩みわが職守を守らば我家を司どり我庭を守ることを得ん我また此に立る者等の中に往來する路を汝に與ふべし 038 ZEC 003 008 祭司の長ヨシユアよ請ふ汝と汝の前に坐する汝の同僚とともに聽べし彼らは即ち前表となるべき人なり我かならず我僕たる枝を來らすべし 038 ZEC 003 009 ヨシユアの前に我が立るところの石を視よ此一箇の石の上に七箇の目あり我自らその彫刻をなす萬軍のヱホバこれを言ふなり我この地の罪を一日の内に除くべし 038 ZEC 003 010 萬軍のヱホバ言たまふ其日には汝等おのおの互に相招きて葡萄の樹の下無花果の樹の下にあらん 038 ZEC 004 001 我に語へる天の使また來りて我を呼醒せり我は睡れる人の呼醒されしごとくなりき 038 ZEC 004 002 彼我にむかひて汝何を見るやと言ければ我いへり我觀に惣金の燈臺一箇ありてその頂に油を容る噐ありまた燈臺の上に七箇の燭盞ありその燭盞は燈臺の頂にありて之に各七本づつの管あり 038 ZEC 004 003 また燈臺の側に橄欖の樹二本ありて一は油を容る噐の右にあり一はその左にあり 038 ZEC 004 004 我答へて我と語ふ天の使の問言けるは我主よ是等は何ぞやと 038 ZEC 004 005 我と語ふ天の使我に答へて汝是等の何なるを知ざるかと言しにより我主よ知ずとわれ言り 038 ZEC 004 006 彼また答へて我に言けるはゼルバベルにヱホバの告たまふ言は是のごとし萬軍のヱホバ宣ふ是は權勢に由らず能力に由らず我靈に由るなり 038 ZEC 004 007 ゼルバベルの前にあたれる大山よ汝は何者ぞ汝は平地とならん彼は恩惠あれ之に恩惠あれと呼はる聲をたてて頭石を曳いださん 038 ZEC 004 008 ヱホバの言われに臨めり云く 038 ZEC 004 009 ゼルバベルの手この室の石礎を置たり彼の手これを成終ん汝しらん萬軍のヱホバ我を汝等に遣したまひしと 038 ZEC 004 010 誰か小き事の日を藐視むる者ぞ夫の七の者は遍く全地に往來するヱホバの目なり準繩のゼルバベルの手にあるを見て喜ばん 038 ZEC 004 011 我また彼に問て燈臺の右左にある此二本の橄欖の樹は何なるやと言ひ 038 ZEC 004 012 重ねてまた彼に問て此二本の金の管によりて金の油をその中より斟ぎ出す二枝の橄欖は何ぞやと言しに 038 ZEC 004 013 彼われに答へて汝是等の何なるを知ざるかと言ければ我主よ知ずと言けるに 038 ZEC 004 014 彼言らく是等は油の二箇の子にして全地の主の前に立つ者なり 038 ZEC 005 001 我また目を擧て觀しに卷物の飛あり 038 ZEC 005 002 彼われに汝何を見るやと言ければ我言ふ我卷物の飛ぶを見る其長は二十キユビトその寛は十キユビト 038 ZEC 005 003 彼またわれに言けるは是は全地の表面を往めぐる呪詛の言なり凡て竊む者は卷物のこの面に照して除かれ凡て誓ふ者は卷物の彼の面に照して除かるべし 038 ZEC 005 004 萬軍のヱホバのたまふ我これを出せり是は竊盗者の家に入りまた我名を指て僞り誓ふ者の家に入てその家の中に宿りその木と石とを並せて盡く之を燒べしと 038 ZEC 005 005 我に語へる天の使進み來りて我に言けるは請ふ目を擧てこの出きたれる物の何なるを見よ 038 ZEC 005 006 これは何なるやと我言ければ彼言ふ此出來れる者はエパ舛なり又言ふ全地において彼等の形状は是のごとしと 038 ZEC 005 007 かくて鉛の圓き蓋を取あぐれば一人の婦人エパ舛の中に坐し居る 038 ZEC 005 008 彼是は罪惡なりと言てその婦人をエパ舛の中に投いれ鉛の錘をその舛の口に投かぶらせたり 038 ZEC 005 009 我また目を擧て觀しに婦人二人出きたれり之に鶴の翼のごとき翼ありてその翼風を含む彼等そのエパ舛を天地の間に持擧ぐ 038 ZEC 005 010 我すなはち我に語ふ天の使にむかひて彼等エパ舛を何處へ携へゆくなるやと言けるに 038 ZEC 005 011 彼我に言ふシナルの地にて之がために家を建んとてなり是は彼處に置られてその臺の上に立ん 038 ZEC 006 001 我また目を擧て觀しに四輌の車二の山の間より出きたれりその山は銅の山なり 038 ZEC 006 002 第一の車には赤馬を着け第二の車には黑馬を着け 038 ZEC 006 003 第三の車には白馬を着け第四の車には白點なる強馬を着く 038 ZEC 006 004 我すなはち我に語ふ天の使に問て我主よ是等は何なるやと言けるに 038 ZEC 006 005 天の使こたへて我に言ふ是は四の天風にして全地の主の前より罷り出たる者なり 038 ZEC 006 006 黑馬は北の地をさして進み行き白馬その後に從ふ又白點馬は南の地をさして進みゆき 038 ZEC 006 007 強馬は進み出て地を徧く行めぐらんとす彼汝ら往き地を徧くめぐれと言たまひければ則ち地を行めぐれり 038 ZEC 006 008 彼われを呼て我に告て言ふこの北の地に往る者等は北の地にて我靈を安んず 038 ZEC 006 009 ヱホバの言われに臨めり曰く 038 ZEC 006 010 汝かの囚虜人の中の者ヘルダイ、トビヤおよびヱダヤより取ことをせよ即ちその日に汝かれらがバビロンより歸りて宿りをるゼパニヤの子ヨシヤの家に到り 038 ZEC 006 011 金銀を取て冠冕を造りヨザダクの子なる祭司の長ヨシユアの首にこれを冠らせ 038 ZEC 006 012 彼に語りて言べし萬軍のヱホバ斯言たまふ視よ人ありその名を枝といふ彼おのれの處より生いでてヱホバの宮を建ん 038 ZEC 006 013 即ち彼者ヱホバの宮を建て尊榮を帶びその位に坐して政事を施しその位にありて祭司とならん此二の者の間に平和の計議あるべし 038 ZEC 006 014 偖またその冠冕はヘレム、トビヤ、ユダヤおよびゼパニヤの子ヘンの記念のために之をヱホバの殿に納むべし 038 ZEC 006 015 遠き處の者等來りてヱホバの殿を建ん而して汝らは萬軍のヱホバの我を遣したまひしなるを知にいたらん汝らもし汝らの神ヱホバの聲に聽したがはば是のごとくなるべし 038 ZEC 007 001 ダリヨス王の四年の九月すなはちキスリウといふ月の四日にヱホバの言ゼカリヤに臨めり 038 ZEC 007 002 ベテルかの時シヤレゼル、レゲンメレクおよびその從者を遣してヱホバを和めさせ 038 ZEC 007 003 かつ萬軍のヱホバの室にをる祭司に問しめ且預言者に問しめて言けらく我今まで年久しく爲きたりしごとく尚五月をもて哭きかつ齋戒すべきやと 038 ZEC 007 004 ここにおいて萬軍のヱホバの言我に臨めり云く 038 ZEC 007 005 國の諸民および祭司に告て言へ汝らは七十年のあひだ五月と七月とに斷食しかつ哀哭せしがその斷食せし時果して我にむかひて斷食せしや 038 ZEC 007 006 汝ら食ひかつ飮は全く己のために食ひ己のために飮ならずや 038 ZEC 007 007 在昔ヱルサレムおよび周圍の邑々人の住ふありて平安なりし時南の地および平野にも人の住ひをりし時に已往の預言者によりてヱホバの宣ひたりし言を汝ら知ざるや 038 ZEC 007 008 ヱホバの言ゼカリヤに臨めり云く 038 ZEC 007 009 萬軍のヱホバかく宣へり云く正義き審判を行ひ互に相愛しみ相憐め 038 ZEC 007 010 寡婦孤兒旅客および貧者を虐ぐるなかれ人を害せんと心に圖る勿れと 038 ZEC 007 011 然るに彼等は肯て耳を傾けず背を向け耳を鈍くして聽ず 038 ZEC 007 012 且その心を金剛石のごとくし萬軍のヱホバがその御霊をもて已往の預言者に由て傳へたまひし律法と言詞に聽したがはざりき是をもて大なる怒萬軍のヱホバより出て臨めり 038 ZEC 007 013 彼かく呼はりたれども彼等聽ざりき其ごとく彼ら呼はるとも我聽じ萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 007 014 我かれらをその識ざる諸の國に吹散すべし其後にてこの地は荒て往來する者なきに至らん彼等かく美しき國を荒地となす 038 ZEC 008 001 萬軍のヱホバの言われに臨めり曰く 038 ZEC 008 002 萬軍のヱホバかく言たまふ我シオンのために甚だしく心を熱して妬く思ひ大なる忿怒を起して之がために妬く思ふ 038 ZEC 008 003 ヱホバかく言たまふ今我シオンに歸れり我ヱルサレムの中に住んヱルサレムは誠實ある邑と稱へられ萬軍のヱホバの山は聖山と稱へらるべし 038 ZEC 008 004 萬軍のヱホバかく言たまふヱルサレムの街衢には再び老たる男老たる女坐せん皆年高くして各々杖を手に持べし 038 ZEC 008 005 またその邑の街衢には男の兒女の兒滿て街衢に遊び戯れん 038 ZEC 008 006 萬軍のヱホバかく言たまふこの事その日には此民の遺餘者の目に奇といふとも我目に何の奇きこと有んや萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 008 007 萬軍のヱホバかく言たまふ視よ我わが民を日の出る國より日の入る國より救ひ出し 038 ZEC 008 008 かれらを携へ來りてヱルサレムの中に住しめん彼らは我民となり我は彼らの神となりて共に誠實と正義に居ん 038 ZEC 008 009 萬軍のヱホバかく言たまふ汝ら萬軍のヱホバの室なる殿を建んとて其基礎を置たる日に起りし預言者等の口の言詞を今日聞く者よ汝らの腕を強くせよ 038 ZEC 008 010 此日の先には人も工の價を得ず獸畜も工の價を得ず出者も入者も仇の故をもて安然ならざりき即ち我人々をして互に相攻しめたり 038 ZEC 008 011 然れども今は我此民の遺餘者に對すること曩の日の如くならずと萬軍のヱホバ言たまふ 038 ZEC 008 012 即ち平安の種子あるべし葡萄の樹は果を結び地は產物を出し天は露を與へん我この民の遺餘者にこれを盡く獲さすべし 038 ZEC 008 013 ユダの家およびイスラエルの家よ汝らが國々の中に呪詛となりしごとく此度は我なんぢらを救ふて祝言とならしめん懼るる勿れ汝らの腕を強くせよ 038 ZEC 008 014 萬軍のヱホバかく言たまふ在昔汝らの先祖我を怒らせし時に我これに災禍を降さんと思ひて之を悔ざりき萬軍のヱホバこれを言ふ 038 ZEC 008 015 是のごとく我また今日ヱルサレムとユダの家に福祉を降さんと思ふ汝ら懼るる勿れ 038 ZEC 008 016 汝らの爲べき事は是なり汝ら各々たがひに眞實を言べし又汝等の門にて審判する時は眞實を執て平和の審判を爲べし 038 ZEC 008 017 汝等すべて人の災害を心に圖る勿れ僞の誓を好む勿れ是等はみな我が惡む者なりとヱホバ言たまふ 038 ZEC 008 018 萬軍のヱホバの言われに臨めり云く 038 ZEC 008 019 萬軍のヱホバかく言たまふ四月の斷食五月の斷食七月の斷食十月の斷食かへつてユダの家の宴樂となり欣喜となり佳節となるべし惟なんぢら眞實と平和を愛すべし 038 ZEC 008 020 萬軍のヱホバかく言たまふ國々の民および衆多の邑の居民來り就ん 038 ZEC 008 021 即ちこの邑の居民往てかの邑の者に向ひ我儕すみやかに往てヱホバを和め萬軍のヱホバを求めんと言んに我も往べしと答へん 038 ZEC 008 022 衆多の民強き國民ヱルサレムに來りて萬軍のヱホバを求めヱホバを和めん 038 ZEC 008 023 萬軍のヱホバかく言たまふ其日には諸の國語の民十人にてユダヤ人一箇の裾を拉へん即ち之を拉へて言ん我ら汝らと與に往べし其は我ら神の汝らと偕にいますを聞たればなり 038 ZEC 009 001 ヱホバの言詞の重負ハデラクの地に臨むダマスコはその止る所なりヱホバ世の人を眷みイスラエルの一切の支派を眷みたまへばなり 038 ZEC 009 002 之に界するハマテも然りツロ、シドンも亦はなはだ怜悧ければ同じく然るべし 038 ZEC 009 003 ツロは自己のために城郭を構へ銀を塵のごとくに積み金を街衢の土のごとくに積めり 038 ZEC 009 004 視よ主これを攻取り海にて之が力を打ほろぼしたまふべし是は火にて焚うせん 038 ZEC 009 005 アシケロンこれを見て懼れガザもこれを見て太く慄ふエクロンもその望む所の者辱しめらるるに因て亦然りガザには王絶えアシケロンには住者なきに至らん 038 ZEC 009 006 アシドドにはまた雑種の民すまん我ペリシテ人が誇る所の者を絶べし 038 ZEC 009 007 我これが口より血を取除き之が齒の間より憎むべき物を取除かん是も遺りて我儕の神に歸しユダの牧伯のごとくに成べしまたエクロンはヱブス人のごとくになるべし 038 ZEC 009 008 我わが家のために陣を張て敵軍に當り之をして往來すること無らしめん虐遇者かさねて逼ること無るべし我いま我目をもて親ら見ればなり 038 ZEC 009 009 シオンの女よ大に喜べヱルサレムの女よ呼はれ視よ汝の王汝に來る彼は正義して拯救を賜り柔和にして驢馬に乗る即ち牝驢馬の子なる駒に乗るなり 038 ZEC 009 010 我エフライムより車を絶ちヱルサレムより馬を絶ん戰爭弓も絶るべし彼國々の民に平和を諭さん其政治は海より海に及び河より地の極におよぶべし 038 ZEC 009 011 汝についてはまた汝の契約の血のために我かの水なき坑より汝の被俘人を放ち出さん 038 ZEC 009 012 望を懷く被俘人よ汝等城に歸れ我今日もなほ告て言ふ我かならず倍して汝等に賚ふべし 038 ZEC 009 013 我ユダを張て弓となしエフライムを矢となして之につがへんシオンよ我汝の人々を振起してギリシヤの人々を攻しめ汝をして大丈夫の劍のごとくならしむべし 038 ZEC 009 014 ヱホバこれが上に顯れてその箭を電光のごとくに射いだしたまはん主ヱホバ喇叭を吹ならし南の暴風に乗て出來まさん 038 ZEC 009 015 萬軍のヱホバ彼らを護りたまはん彼等は食ふことを爲し投石器の石を踏つけん彼等は飮ことを爲し酒に醉るごとくに聲を擧ん其これに盈さるることは血を盛る鉢のごとく祭壇の隅のごとくなるべし 038 ZEC 009 016 彼らの神ヱホバ當日に彼らを救ひその民を羊のごとくに救ひたまはん彼等は冠冕の玉のごとくになりて其地に輝くべし 038 ZEC 009 017 その福祉は如何計ぞや其美麗は如何計ぞや穀物は童男を長ぜしめ新酒は童女を長ぜしむ 038 ZEC 010 001 汝ら春の雨の時に雨をヱホバに乞へヱホバは電光を造り大雨を人々に賜ひ田野において草蔬を各々に賜ふべし 038 ZEC 010 002 夫テラピムは空虚き事を言ひ卜筮師はその見る所眞實ならずして虚僞の夢を語る其慰むる所は徒然なり是をもて民は羊のごとくに迷ひ牧者なきに因て惱む 038 ZEC 010 003 我牧者にむかひて怒を發す我牡山羊を罰せん萬軍のヱホバその群なるユダの家を顧み之をしてその美しき軍馬のごとくならしめたまふ 038 ZEC 010 004 隅石彼より出で釘かれより出で軍弓かれより出で宰たる者みな齊く彼より出ん 038 ZEC 010 005 彼等戰ふ時は勇士のごとくにして街衢の泥の中に敵を蹂躙らんヱホバかれらとともに在せば彼ら戰はん馬に騎れる者等すなはち媿を抱くべし 038 ZEC 010 006 我ユダの家を強くしヨセフの家を救はん我かれらを恤むが故に彼らをして歸り住しめん彼らは我に棄られし事なきが如くなるべし我は彼らの神ヱホバなり我かれらに聽べし 038 ZEC 010 007 エフライム人は勇士に等しくして酒を飮たるごとく心に歡ばん其子等は見て喜びヱホバに因て心に樂しまん 038 ZEC 010 008 我かれらに向ひて嘯きて之を集めん其は我これを贖ひたればなり彼等は昔殖増たる如くに殖増ん 038 ZEC 010 009 我かれらを國々の民の中に捲ん彼等は遠き國において我をおぼへん彼らは其子等とともに生ながらへて歸り來るべし 038 ZEC 010 010 我かれらをエジプトの國より携へかへりアッスリヤより彼等を集めギレアデの地およびレバノンに彼らを携へゆかんその居處も無きほどなるべし 038 ZEC 010 011 彼艱難の海を通り海の浪を撃破りたまふナイルの淵は盡く涸るアッスリヤの傲慢は卑くせられエジプトの杖は移り去ん 038 ZEC 010 012 我彼らをしてヱホバに由て強くならしめん彼等はヱホバの名をもて歩まんヱホバこれを言たまふ 038 ZEC 011 001 レバノンよ汝の門を啓き火をして汝の香柏を焚しめよ 038 ZEC 011 002 松よ叫べ香柏は倒れ威嚴樹はそこなはれたりバシヤンの橡よ叫べ高らかなる林は倒れたり 038 ZEC 011 003 牧者の叫ぶ聲あり其榮そこなはれたればなり猛き獅子の吼る聲ありヨルダンの叢そこなはれたればなり 038 ZEC 011 004 我神ヱホバかく言たまふ宰らるべき羔を牧へ 038 ZEC 011 005 之を買ふ者は之を宰るとも罪なし之を賣る者は言ふ我富を得ればヱホバを祝すべしと其牧者もこれを惜まざるなり 038 ZEC 011 006 ヱホバ言たまふ我かさねて地の居民を惜まじ視よ我人を各々その隣人の手に付しその王の手に付さん彼ら地を荒すべし我これを彼らの手より救ひ出さじ 038 ZEC 011 007 我すなはち其宰らるべき羊を牧り是は最も憫然なる羊なり我みづから二本の杖を取り一を恩と名け一を結と名けてその羊を牧り 038 ZEC 011 008 我一月に牧者三人を絶り我心に彼らを厭ひしが彼等も心に我を惡めり 038 ZEC 011 009 我いへり我は汝らを飼はじ死る者は死に絶るる者は絶れ遺る者は互にその肉を食ひあふべし 038 ZEC 011 010 我恩といふ杖を取て之を折れり是諸の民に立し我契約を廢せんとてなりき 038 ZEC 011 011 是は其日に廢せられたり是に於てかの我に聽したがひし憫然なる羊は之をヱホバの言なりしと知れり 038 ZEC 011 012 我彼らに向ひて汝等もし善と視なば我價を我に授けよ若しからずば止めよと言ければ彼等すなはち銀三十を權りて我價とせり 038 ZEC 011 013 ヱホバ我に言たまひけるは彼等に我が估價せられしその善價を陶人に投あたへよと我すなはち銀三十を取てヱホバの室に投いれて陶人に歸せしむ 038 ZEC 011 014 我また結といふ杖を折れり是ユダとイスラエルの間の和好を絶んとてなりき 038 ZEC 011 015 ヱホバ我に言たまはく汝また愚なる牧者の器を取れ 038 ZEC 011 016 視よ我地に一人の牧者を興さん彼は亡ぶる者を顧みず迷へる者を尋ねず傷つける者を醫さず健剛なる者を飼はず肥たる者の肉を食ひ且その蹄を裂ん 038 ZEC 011 017 其羊の群を棄る惡き牧者は禍なるかな劍その腕に臨みその右の目に臨まん其腕は全く枯えその右の目は全く盲れん 038 ZEC 012 001 イスラエルにかかはるヱホバの言詞の重負 ヱホバ即ち天を舒べ地の基を置ゑ人のうちの靈魂を造る者言たまふ 038 ZEC 012 002 視よ我ヱルサレムをしてその周圍の國民を蹌踉はする杯とならしむべしヱルサレムの攻圍まるる時是はユダにも及ばん 038 ZEC 012 003 其日には我ヱルサレムをして諸の國民に對ひて重石とならしむべし之を持擧る者は大傷を受ん地上の諸國みな集りて之に攻寄べし 038 ZEC 012 004 ヱホバ言たまふ當日には我一切の馬を撃て駭かせその騎手を撃て狂はせん而して我ユダの家の上に我目を開き諸の國民の馬を撃て盲になすべし 038 ZEC 012 005 ユダの牧伯等その心の中に謂んヱルサレムの居民はその神萬軍のヱホバに由て我力となるべしと 038 ZEC 012 006 當日には我ユダの牧伯等をして薪の下にある火盤のごとく麥束の下にある炬火のごとくならしむべし彼等は右左にむかひその周圍の國民を盡く焚んヱルサレム人はなほヱルサレムにてその本の處に居ことを得べし 038 ZEC 012 007 ヱホバまづユダの幕屋を救ひたまはん是ダビデの家の榮およびヱルサレムの居民の榮のユダに勝ること無らんためたり 038 ZEC 012 008 當日ヱホバ、ヱルサレムの居民を護りたまはん彼らの中の弱き者もその日にはダビデのごとくなるべしまたダビデの家は神のごとく彼らに先だつヱホバの使のごとくなるべし 038 ZEC 012 009 その日には我ヱルサレムに攻きたる國民をことごとく滅すことを務むべし 038 ZEC 012 010 我ダビデの家およびヱルサレムの居民に恩惠と祈禱の靈をそそがん彼等はその刺たりし我を仰ぎ觀獨子のため哭くがごとく之がために哭き長子のために悲しむがごとく之がために痛く悲しまん 038 ZEC 012 011 その日にはヱルサレムに大なる哀哭あらん是はメギドンの谷なるハダデリンモンに在し哀哭のごとくなるべし 038 ZEC 012 012 國中の族おのおの別れ居て哀哭べし即ちダビデの族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きナタンの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭かん 038 ZEC 012 013 レビの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きシメイの族別れ居て哀哭きその妻等わかれ居て哀哭かん 038 ZEC 012 014 その他の族も凡て然りすなはち族おのおの別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭くべし 038 ZEC 013 001 その日罪と汚穢を清むる一の泉ダビデの家とヱルサレムの居民のために開くべし 038 ZEC 013 002 萬軍のヱホバ言たまふ其日には我地より偶像の名を絶のぞき重て人に記憶らるること無らしむべし我また預言者および汚穢の靈を地より去しむべし 038 ZEC 013 003 人もしなほ預言することあらば其生の父母これに言ん汝は生べからず汝はヱホバの名をもて虚僞を語るなりと而してその生の父母これが預言しをるを刺ん 038 ZEC 013 004 その日には預言者等預言するに方りてその異象を羞ん重て人を欺かんために毛衣を纒はじ 038 ZEC 013 005 彼言ん我は預言者にあらず地を耕へす者なり即ち我は若き時より人に買れたりと 038 ZEC 013 006 若これに向ひて然らば汝の兩手の間の傷は何ぞやと言あらば是は我が愛する者の家にて受たる傷なりと答へん 038 ZEC 013 007 萬軍のヱホバ言たまふ劍よ起て我牧者わが伴侶なる人を攻よ牧者を撃て然らばその羊散らん我また我手を小き者等の上に伸べし 038 ZEC 013 008 ヱホバ言たまふ全地の人二分は絶れて死に三分の一はその中に遺らん 038 ZEC 013 009 我その三分の一を携へて火にいれ銀を熬分るごとくに之を熬分け金を試むるごとくに之を試むべし彼らわが名を呼ん我これにこたへん我これは我民なりと言ん彼等またヱホバは我神なりと言ん 038 ZEC 014 001 視よヱホバの日來る汝の貨財奪はれて汝の中にて分たるべし 038 ZEC 014 002 我萬國の民を集めてヱルサレムを攻撃しめん邑は取られ家は掠められ婦女は犯され邑の人は半は擄へられてゆかん然どその餘の民は邑より絶れじ 038 ZEC 014 003 その時ヱホバ出きたりて其等の國人を攻撃たまはん在昔その軍陣の日に戰ひたまひしごとくなるべし 038 ZEC 014 004 其日にはヱルサレムの前に當りて東にあるところの橄欖山の上に彼の足立たん而して橄欖山その眞中より西東に裂て甚だ大なる谷を成しその山の半は北に半は南に移るべし 038 ZEC 014 005 汝らは我山の谷に逃いらん其山の谷はアザルにまで及ぶべし汝らはユダの王ウジヤの世に地震を避て逃しごとくに逃ん我神ヱホバ來りたまはん諸の聖者なんぢとともなるべし 038 ZEC 014 006 その日には光明なかるべく輝く者消うすべし 038 ZEC 014 007 茲に只一の日あるべしヱホバこれを知たまふ是は晝にもあらず夜にもあらず夕暮の頃に明くなるべし 038 ZEC 014 008 その日に活る水ヱルサレムより出でその半は東の海にその半は西の海に流れん夏も冬も然あるべし 038 ZEC 014 009 ヱホバ全地の王となりたまはん其日には只ヱホバのみ只その御名のみにならん 038 ZEC 014 010 全地はアラバのごとくなりてゲバよりヱルサレムの南のリンモンまでの間のごとくなるべし而してヱルサレムは高くなりてその故の處に立ちベニヤミンの門より第一の門の處に及び隅の門にいたりハナニエルの戍樓より王の酒榨倉までに渉るべし 038 ZEC 014 011 その中には人住ん重て呪詛あらじヱルサレムは安然に立べし 038 ZEC 014 012 ヱルサレムを攻撃し諸の民にヱホバ災禍を降してこれを撃なやましたまふこと是のごとくなるべし即ち彼らその足にて立をる中に肉腐れ目その孔の中にて腐れ舌その口の中にて腐れん 038 ZEC 014 013 その日にはヱホバかれらをして大に狼狽しめたまはん彼らは各々人の手を執へん此手と彼手撃あふべし 038 ZEC 014 014 ユダもまたヱルサレムに於て戰ふべしその四周の一切の國人の財寳金銀衣服など甚だ多く聚められん 038 ZEC 014 015 また馬騾駱駝驢馬およびその諸營の一切の家畜の蒙る災禍もこの災禍のごとくなるべし 038 ZEC 014 016 ヱルサレムに攻きたりし諸の國人の遺れる者はみな歳々に上りきてその王なる萬軍のヱホバを拜み結茅の節を守るにいたるべし 038 ZEC 014 017 地上の諸族の中その王なる萬軍のヱホバを拜みにヱルサレムに上らざる者の上には凡て雨ふらざるべし 038 ZEC 014 018 例ばエジプトの族もし上り來らざる時はその上に雨ふらじヱホバその結茅の節を守りに上らざる一切の國人を撃なやます災禍を之に降したまふべし 038 ZEC 014 019 エジプトの罪凡て結茅の節を守りに上り來らざる國人の罪是のごとくなるべし 038 ZEC 014 020 その日には馬の鈴にまでヱホバに聖としるさん又ヱホバの家の鍋は壇の前の鉢と等しかるべし 038 ZEC 014 021 ヱルサレムおよびユダの鍋は都て萬軍のヱホバの聖物となるべし凡そ犠牲を獻ぐる者は來りてこれを取り其中にて祭肉を煮ん其日には萬軍のヱホバの室に最早カナン人あらざるべし # # BOOK 039 MAL Malachi マラキ書 039 MAL 001 001 これマラキに托てイスラエルに臨めるヱホバの言の重負なり 039 MAL 001 002 ヱホバ曰たまふ我汝らを愛したり 然るに汝ら云ふ 汝いかに我儕を愛せしやと ヱホバいふエサウはヤコブの兄に非ずや されど我はヤコブを愛し 039 MAL 001 003 エサウを惡めり 且つわれ彼の山を荒し其嗣業を山犬にあたへたり 039 MAL 001 004 エドムは我儕ほろぼされたれども再び荒たる所を建んといふによりて萬軍のヱホバかく曰たまふ 彼等は建ん されど我これを倒さん 人は彼等を惡境とよび又ヱホバの恒に怒りたまふ人民と稱へん 039 MAL 001 005 汝らこれを目に見て云ん ヱホバはイスラエルの地に大なりと 039 MAL 001 006 子は其父を敬ひ僕はその主を敬ふ されば我もし父たらば我を敬ふこと安にあるや 我もし主たらば我をおそるること安にあるや なんぢら我が名を藐視る祭司よと萬軍のヱホバいひたまふ 然るに汝曹はいふ我儕何に汝の名を藐視りしやと 039 MAL 001 007 汝ら汚れたるパンをわが壇の上に獻げしかして言ふ我儕何に爾を汚せしやと 汝曹ヱホバの臺は卑しきなりと云しがゆゑなり 039 MAL 001 008 汝ら盲目なる者を犠牲に獻ぐるは惡に非ずや 又跛足なるものと病者を獻ぐるは惡に非ずや 今これを汝の方伯に獻げよ されば彼なんぢを悦ぶや 汝を受納るや 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 001 009 請ふ汝ら神に我らをあはれみ給はんことをもとめよ これらは凡て汝らの手になれり 彼なんぢらを納んや 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 001 010 汝らがわが壇の上にいたづらに火をたくこと無らんために汝らの中一人扉を閉づる者あらまほし われ汝らを悦ばず 又なんぢらの手より獻物を受じと萬軍のヱホバいひ給ふ 039 MAL 001 011 日の出る處より沒る處までの列國の中に我名は大ならん 又何處にても香と潔き獻物を我名に獻げん そはわが名列國の中に大なるべければなりと萬軍のヱホバいひ給ふ 039 MAL 001 012 しかるになんぢら之を褻したり そは爾曹はヱホバの臺は汚れたり また其果すなはちその食物は卑しと云ばなり 039 MAL 001 013 なんぢらは又如何に煩勞しきことにあらずやといひ且これを藐視たり 萬軍のヱホバこれをいふ 又なんぢらは奪ひし物跛足たる者病る者を携へ來れり 汝らかく獻物を携へ來ればわれ之を汝らの手より受べけんや ヱホバこれをいひ給へり 039 MAL 001 014 群の中に牡あるに誓を立てて疵あるものをヱホバに獻ぐる詐僞者は詛はるべし そは我は大なる王また我名は列國に畏れらるべきなればなり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 001 祭司等よ今この命令なんぢらにあたへらる 039 MAL 002 002 萬軍のヱホバいひたまふ汝等もし聽きしたがはず又これを心にとめず我名に榮光を歸せずばわれ汝らの上に詛を來らせん 又なんぢらの祝福を詛はん われすでに此等を詛へり 汝らこれを心にとめざりしに因てなり 039 MAL 002 003 視よ我なんぢらのために種をいましめん また糞すなはち汝らの犠牲の糞を汝らの面の上に撒さん 汝らこれとともに携へさられん 039 MAL 002 004 わが此命令をなんぢらに下し與ふるは我契約をしてレビに保たしめんためなるを汝ら知るべし 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 005 わが彼と結びし契約は生命と平安とにあり 我がこれを彼に與へしは彼に我を畏れしめんが爲なり 彼われを懼れわが名の前にをののけり 039 MAL 002 006 眞理の法彼の口に在て不義その口唇にあらず 彼平安と公義をとりて我とともにあゆみ又多の人を不義より立歸らせたりき 039 MAL 002 007 夫れ祭司の口唇に知識を持べく又人彼の口より法を諮詢べし そは祭司は萬軍のヱホバの使者なればなり 039 MAL 002 008 しかるに汝らは道を離れ衆多の人を法に躓礙かせレビの契約を壞りたり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 009 汝らは我道を守らず法をおこなふに當りて人に偏りし故にわれも汝らを一切の民の前に輕められまた賤められしむ 039 MAL 002 010 我儕の父は皆同一なるにあらずや われらを造りし神は同一なるにあらずや 我儕先祖等の契約を破りて各々おのれの兄弟にいつはりを行ふは何ぞ 039 MAL 002 011 ユダは誓約にそむけり イスラエル及びエルサレムの中には憎むべき事行はる すなはちユダはヱホバの愛したまふ聖所を褻して他神の女をめとれり 039 MAL 002 012 ヱホバこれをおこなふ人をば主なるものをも事ふる者をもヤコブの幕屋よりのぞきたまはん 萬軍のヱホバに獻物をささぐるものにてもまた然り 039 MAL 002 013 つぎに又なんぢらはこれをなせり 即ち涙と泣と歎とをもてヱホバの壇をおほはしめたり 故に彼もはや獻物を顧みずまたこれを汝らの手より悦び納たまはざるなり 039 MAL 002 014 汝らはなほ何故ぞやと言ふ そは是はヱホバ汝となんぢの若き時の妻の間にいりて證をなしたまへばなり 彼はなんぢの伴侶汝が契約をなせし妻なるに汝誓約に背きてこれを棄つ 039 MAL 002 015 ヱホバは只一を造りたまひしにあらずや されども彼にはなほ靈の餘ありき 何故にひとつのみなりしや 是は神を敬虔の裔を得んが爲なりき 故になんぢら心に謹みその若き時の妻を誓約にそむきて棄るなかれ 039 MAL 002 016 イスラエルの神ヱホバいひたまふ われは離縁を惡みまた虐遇をもて其衣を蔽ふ人を惡む 故に汝ら誓約にそむきて妻を待遇はざるやう心につつしむべし 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 002 017 なんぢらは言をもてヱホバを煩勞はせり されど汝ら言ふ 何にわづらはせしやと 如何となればなんぢら凡て惡をなすものはヱホバの目に善と見えかつ彼に悦ばると言ひ また審判の神は安にあるやといへばなり 039 MAL 003 001 視よ我わが使者を遣さん かれ我面の前に道を備へん また汝らが求むるところの主すなはち汝らの悦樂ぶ契約の使者忽然その殿に來らん 視よ彼來らんと萬軍のヱホバ云たまふ 039 MAL 003 002 されど其來る日には誰か堪えんや その顯著る時には誰か立えんや 彼は金をふきわくる者の火の如く布晒の灰汁のごとくならん 039 MAL 003 003 かれは銀をふきわけてこれを潔むる者のごとく坐せん 彼はレビの裔を潔め金銀の如くかれらをきよめん 而して彼等は義をもて獻物をヱホバにささげん 039 MAL 003 004 その時ユダとエルサレムの獻物はむかし日の如く又先の年のごとくヱホバに悦ばれん 039 MAL 003 005 われ汝らにちかづきて審判をなし巫術者にむかひ姦淫を行ふ者にむかひ僞の誓をなせる者にむかひ傭人の價金をかすめ寡婦と孤子をしへたげ異邦人を推抂げ我を畏れざるものどもにむかひて速に證をなさんと萬軍のヱホバ云たまふ 039 MAL 003 006 それわれヱホバは易らざる者なり 故にヤコブの子等よ汝らは亡されず 039 MAL 003 007 なんぢら其先祖等の日よりこのかたわが律例をはなれてこれを守らざりき 我にかへれ われ亦なんぢらに歸らん 萬軍のヱホバこれを言ふ 然るに汝らはわれら何においてかへるべきやと言り 039 MAL 003 008 ひと神の物をぬすむことをせんや されど汝らはわが物を盗めり 汝らは又何において汝の物をぬすみしやといへり 十分の一および獻物に於てなり 039 MAL 003 009 汝らは呪詛をもて詛はる またなんぢら一切の國人はわが物をぬすめり 039 MAL 003 010 わが殿に食物あらしめんために汝ら什一をすべて我倉にたづさへきたれ 而して是をもて我を試みわが天の窓をひらきて容べきところなきまでに恩澤を汝らにそそぐや否やを見るべし 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 003 011 我また噬食ふ者をなんぢらの爲に抑へてなんぢらの地の產物をやぶらざらしめん 又なんぢらの葡萄の樹をして時のいたらざる前にその實を圃におとさざらしめん 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 003 012 又萬國の人なんぢらを幸福なる者ととなへん そは汝ら樂しき地となるべければなり 萬軍のヱホバこれをいふ 039 MAL 003 013 ヱホバ云たまふ 汝らは言詞をはげしくして我に逆らへり しかるも汝らは我儕なんぢらにさからひて何をいひしやといへり 039 MAL 003 014 汝らは言らく神に服事ることは徒然なり われらその命令をまもりかつ萬軍のヱホバの前に悲みて歩みたりとて何の益あらんや 039 MAL 003 015 今われらは驕傲ものを幸福なりと稱ふ また惡をおこなふものも盛になり 神を試むるものすらも救はると 039 MAL 003 016 その時ヱホバをおそるる者互に相かたりヱホバ耳をかたむけてこれを聽たまへり またヱホバを畏るる者およびその名を記憶る者のためにヱホバの前に記念の書をかきしるせり 039 MAL 003 017 萬軍のヱホバいひたまふ 我わが設くる日にかれらをもて我寳となすべし また人の己につかふる子をあはれむがごとく我彼等をあはれまん 039 MAL 003 018 その時汝らは更にまた義者と惡きものと神に服事るものと事へざる者との區別をしらん 039 MAL 004 001 萬軍のヱホバいひたまふ 視よ爐のごとくに燒る日來らん すべて驕傲者と惡をおこなふ者は藁のごとくにならん 其きたらんとする日彼等を燒つくして根も枝ものこらざらしめん 039 MAL 004 002 されど我名をおそるる汝らには義の日いでて昇らん その翼には醫す能をそなへん 汝らは牢よりいでし犢の如く躍跳ん 039 MAL 004 003 又なんぢらは惡人を踐つけん 即ちわが設くる日にかれらは汝らの脚の掌の下にありて灰のごとくならん 萬軍のヱホバこれを言ふ 039 MAL 004 004 なんぢらわが僕モーセの律法をおぼえよ すなはち我がホレブにてイスラエル全體のために彼に命ぜし法度と誡命をおぼゆべし 039 MAL 004 005 視よヱホバの大なる畏るべき日の來るまへにわれ預言者エリヤを汝らにつかはさん 039 MAL 004 006 かれ父の心にその子女の心を慈はせ 子女の心にその父をおもはしめん 是は我が來りて詛をもて地を撃ことなからんためなり # # BOOK 040 MAT Matthew マタイの福音書 040 MAT 001 001 アブラハムの子、ダビデの子、イエス・キリストの系圖。 040 MAT 001 002 アブラハム、イサクを生み、イサク、ヤコブを生み、ヤコブ、ユダとその兄弟らとを生み、 040 MAT 001 003 ユダ、タマルによりてパレスとザラとを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み、 040 MAT 001 004 アラム、アミナダブを生み、アミナダブ、ナアソンを生み、ナアソン、サルモンを生み、 040 MAT 001 005 サルモン、ラハブによりてボアズを生み、ボアズ、ルツによりてオベデを生み、オベデ、エツサイを生み、 040 MAT 001 006 エツサイ、ダビデ王を生めり。ダビデ、ウリヤの妻たりし女によりてソロモンを生み、 040 MAT 001 007 ソロモン、レハベアムを生み、レハベアム、アビヤを生み、アビヤ、アサを生み、 040 MAT 001 008 アサ、ヨサパテを生み、ヨサパテ、ヨラムを生み、ヨラム、ウジヤを生み、 040 MAT 001 009 ウジヤ、ヨタムを生み、ヨタム、アハズを生み、アハズ、ヒゼキヤを生み、 040 MAT 001 010 ヒゼキヤ、マナセを生み、マナセ、アモンを生み、アモン、ヨシヤを生み、 040 MAT 001 011 バビロンに移さるる頃、ヨシヤ、エコニヤとその兄弟らとを生めり。 040 MAT 001 012 バビロンに移されて後、エコニヤ、サラテルを生み、サラテル、ゾロバベルを生み、 040 MAT 001 013 ゾロバベル、アビウデを生み、アビウデ、エリヤキムを生み、エリヤキム、アゾルを生み、 040 MAT 001 014 アゾル、サドクを生み、サドク、アキムを生み、アキム、エリウデを生み、 040 MAT 001 015 エリウデ、エレアザルを生み、エレアザル、マタンを生み、マタン、ヤコブを生み、 040 MAT 001 016 ヤコブ、マリヤの夫ヨセフを生めり。此のマリヤよりキリストと稱ふるイエス生れ給へり。 040 MAT 001 017 されば總て世をふる事、アブラハムよりダビデまで十四代、ダビデよりバビロンに移さるるまで十四代、バビロンに移されてよりキリストまで十四代なり。 040 MAT 001 018 イエス・キリストの誕生は左のごとし。その母マリヤ、ヨセフと許嫁したるのみにて、未だ偕にならざりしに、聖 靈によりて孕り、その孕りたること顯れたり。 040 MAT 001 019 夫ヨセフは正しき人にして、之を公然にするを好まず、私に離縁せんと思ふ。 040 MAT 001 020 かくて、これらの事を思ひ囘らしをるとき、視よ、主の使、夢に現れて言ふ『ダビデの子ヨセフよ、妻マリヤを納るる事を恐るな。その胎に宿る者は聖 靈によるなり。 040 MAT 001 021 かれ子を生まん、汝その名をイエスと名づくべし。己が民をその罪より救ひ給ふ故なり』 040 MAT 001 022 すべて此の事の起りしは、預言者によりて主の云ひ給ひし言の成就せん爲なり。曰く、 040 MAT 001 023 『視よ、處女みごもりて子を生まん。その名はインマヌエルと稱へられん』之を釋けば、神われらと偕に在すといふ意なり。 040 MAT 001 024 ヨセフ寐より起き、主の使の命ぜし如くして妻を納れたり。 040 MAT 001 025 されど子の生るるまでは、相 知る事なかりき。かくてその子をイエスと名づけたり。 040 MAT 002 001 イエスはヘロデ王の時、ユダヤのベツレヘムに生れ給ひしが、視よ、東の博士たちエルサレムに來りて言ふ、 040 MAT 002 002 『ユダヤ人の王とて生れ給へる者は、何處に在すか。我ら東にてその星を見たれば、拜せんために來れり』 040 MAT 002 003 ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆 然り。 040 MAT 002 004 王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處に生るべきを問ひ質す。 040 MAT 002 005 かれら言ふ『ユダヤのベツレヘムなり。それは預言者によりて、 040 MAT 002 006 「ユダの地ベツレヘムよ、汝はユダの長たちの中にて最 小き者にあらず、汝の中より一人の君いでて、わが民イスラエルを牧せん」と録されたるなり』 040 MAT 002 007 ここにヘロデ密に博士たちを招きて、星の現れし時を詳細にし、 040 MAT 002 008 彼らをベツレヘムに遣さんとして言ふ『往きて幼兒のことを細にたづね、之にあはば我に告げよ。我も往きて拜せん』 040 MAT 002 009 彼ら王の言をききて往きしに、視よ、前に東にて見し星、先だちゆきて、幼兒の在すところの上に止る。 040 MAT 002 010 かれら星を見て、歡喜に溢れつつ、 040 MAT 002 011 家に入りて、幼兒のその母マリヤと偕に在すを見、平伏して拜し、かつ寶の匣をあけて、黄金・乳香・沒藥など禮物を献げたり。 040 MAT 002 012 かくて夢にてヘロデの許に返るなとの御告を蒙り、ほかの路より己が國に去りゆきぬ。 040 MAT 002 013 その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索めて亡さんとするなり』 040 MAT 002 014 ヨセフ起きて、夜の間に幼兒とその母とを携へて、エジプトに去りゆき、 040 MAT 002 015 ヘロデの死ぬるまで彼處に留りぬ。これ主が預言者によりて『我エジプトより我が子を呼び出せり』と云ひ給ひし言の成就せん爲なり。 040 MAT 002 016 ここにヘロデ、博士たちに賺されたりと悟りて、甚だしく憤ほり、人を遣し、博士たちに由りて詳細にせし時を計り、ベツレヘム及び凡てその邊の地方なる、二 歳 以下の男の兒をことごとく殺せり。 040 MAT 002 017 ここに預言者エレミヤによりて云はれたる言は成就したり。曰く、 040 MAT 002 018 『聲ラマにありて聞ゆ、慟哭なり、いとどしき悲哀なり。ラケル己が子らを歎き、子 等のなき故に慰めらるるを厭ふ』 040 MAT 002 019 ヘロデ死にてのち、視よ、主の使、夢にてエジプトなるヨセフに現れて言ふ、 040 MAT 002 020 『起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地にゆけ。幼兒の生命を索めし者どもは死にたり』 040 MAT 002 021 ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに、 040 MAT 002 022 アケラオその父ヘロデに代りてユダヤを治むと聞き、彼處に往くことを恐る。また夢にて御告を蒙り、ガリラヤの地方に退き、 040 MAT 002 023 ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり。 040 MAT 003 001 その頃バプテスマのヨハネ來り、ユダヤの荒野にて教を宣べて言ふ 040 MAT 003 002 『なんぢら悔改めよ、天國は近づきたり』 040 MAT 003 003 これ預言者イザヤによりて、斯く云はれし人なり、曰く『荒野に呼はる者の聲す「主の道を備へ、その路すぢを直くせよ」』 040 MAT 003 004 このヨハネは駱駝の毛織衣をまとひ、腰に皮の帶をしめ、蝗と野蜜とを食とせり。 040 MAT 003 005 ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり、 040 MAT 003 006 罪を言ひ表し、ヨルダン川にてバプテスマを受けたり。 040 MAT 003 007 ヨハネ、パリサイ人およびサドカイ人のバプテスマを受けんとて、多く來るを見て、彼らに言ふ『蝮の裔よ、誰が汝らに、來らんとする御怒を避くべき事を示したるぞ。 040 MAT 003 008 さらば悔改に相應しき果を結べ。 040 MAT 003 009 汝ら「われらの父にアブラハムあり」と心のうちに言はんと思ふな。我なんぢらに告ぐ、神は此らの石よりアブラハムの子らを起し得給ふなり。 040 MAT 003 010 斧ははや樹の根に置かる。されば凡て善き果を結ばぬ樹は、伐られて火に投げ入れらるべし。 040 MAT 003 011 我は汝らの悔改のために、水にてバプテスマを施す。されど我より後にきたる者は、我よりも能力あり、我はその鞋をとるにも足らず、彼は聖 靈と火とにて汝らにバプテスマを施さん。 040 MAT 003 012 手には箕を持ちて禾場をきよめ、その麥は倉に納め、殼は消えぬ火にて燒きつくさん』 040 MAT 003 013 ここにイエス、ヨハネにバプテスマを受けんとて、ガリラヤよりヨルダンに來り給ふ。 040 MAT 003 014 ヨハネ之を止めんとして言ふ『われは汝にバプテスマを受くべき者なるに、反つて我に來り給ふか』 040 MAT 003 015 イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』ヨハネ乃ち許せり。 040 MAT 003 016 イエス、バプテスマを受けて直ちに水より上り給ひしとき、視よ、天ひらけ、神の御靈の、鴿のごとく降りて己が上にきたるを見 給ふ。 040 MAT 003 017 また天より聲あり、曰く『これは我が愛しむ子、わが悦ぶ者なり』 040 MAT 004 001 ここにイエス御靈によりて荒野に導かれ給ふ、惡魔に試みられんとするなり。 040 MAT 004 002 四十 日 四十 夜 斷食して、後に飢ゑたまふ。 040 MAT 004 003 試むる者きたりて言ふ『汝もし神の子ならば、命じて此 等の石をパンと爲らしめよ』 040 MAT 004 004 答へて言ひ給ふ『「人の生くるはパンのみに由るにあらず、神の口より出づる凡ての言に由る」と録されたり』 040 MAT 004 005 ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ、 040 MAT 004 006 『汝もし神の子ならば己が身を下に投げよ。それは「なんぢの爲に御使たちに命じ給はん。彼ら手にて汝を支へ、その足を石にうち當つること無からしめん」と録されたるなり』 040 MAT 004 007 イエス言ひたまふ『「主なる汝の神を試むべからず」と、また録されたり』 040 MAT 004 008 惡魔またイエスを最 高き山につれゆき、世のもろもろの國と、その榮華とを示して言ふ、 040 MAT 004 009 『汝もし平伏して我を拜せば、此 等を皆なんぢに與へん』 040 MAT 004 010 ここにイエス言ひ給ふ『サタンよ、退け「主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし」と録されたるなり』 040 MAT 004 011 ここに惡魔は離れ去り、視よ、御使たち來り事へぬ。 040 MAT 004 012 イエス、ヨハネの囚はれし事をききて、ガリラヤに退き、 040 MAT 004 013 後ナザレを去りて、ゼブルンとナフタリとの境なる、海邊のカペナウムに到りて住み給ふ。 040 MAT 004 014 これは預言者イザヤによりて云はれたる言の成就せん爲なり。曰く 040 MAT 004 015 『ゼブルンの地、ナフタリの地、海の邊、ヨルダンの彼方、異邦人のガリラヤ、 040 MAT 004 016 暗きに坐する民は、大なる光を見、死の地と死の蔭とに坐する者に、光のぼれり』 040 MAT 004 017 この時よりイエス教を宣べはじめて言ひ給ふ『なんぢら悔改めよ、天國は近づきたり』 040 MAT 004 018 かくて、ガリラヤの海邊をあゆみて、二人の兄弟ペテロといふシモンとその兄弟アンデレとが、海に網うちをるを見 給ふ、かれらは漁人なり。 040 MAT 004 019 これに言ひたまふ『我に從ひきたれ、さらば汝らを人を漁る者となさん』 040 MAT 004 020 かれら直ちに網をすてて從ふ。 040 MAT 004 021 更に進みゆきて、また二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイとともに舟にありて網を繕ひをるを見て呼び給へば、 040 MAT 004 022 直ちに舟と父とを置きて從ふ。 040 MAT 004 023 イエスあまねくガリラヤを巡り、會堂にて教をなし、御國の福音を宣べつたへ、民の中のもろもろの病、もろもろの疾患をいやし給ふ。 040 MAT 004 024 その噂あまねくシリヤに弘り、人々すべての惱めるもの、即ちさまざまの病と苦痛とに罹れるもの、惡鬼に憑かれたるもの、癲癇および中風の者などを連れ來りたれば、イエス之を醫したまふ。 040 MAT 004 025 ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの彼方より、大なる群衆きたり從へり。 040 MAT 005 001 イエス群衆を見て、山にのぼり、座し給へば、弟子たち御許にきたる。 040 MAT 005 002 イエス口をひらき、教へて言ひたまふ、 040 MAT 005 003 『幸福なるかな、心の貧しき者。天國はその人のものなり。 040 MAT 005 004 幸福なるかな、悲しむ者。その人は慰められん。 040 MAT 005 005 幸福なるかな、柔和なる者。その人は地を嗣がん。 040 MAT 005 006 幸福なるかな、義に飢ゑ渇く者。その人は飽くことを得ん。 040 MAT 005 007 幸福なるかな、憐憫ある者。その人は憐憫を得ん。 040 MAT 005 008 幸福なるかな、心の清き者。その人は神を見ん。 040 MAT 005 009 幸福なるかな、平和ならしむる者。その人は神の子と稱へられん。 040 MAT 005 010 幸福なるかな、義のために責められたる者。天國はその人のものなり。 040 MAT 005 011 我がために、人なんぢらを罵り、また責め、詐りて各樣の惡しきことを言ふときは、汝ら幸福なり。 040 MAT 005 012 喜びよろこべ、天にて汝らの報は大なり。汝 等より前にありし預言者たちをも、斯く責めたりき。 040 MAT 005 013 汝らは地の鹽なり、鹽もし效力を失はば、何をもてか之に鹽すべき。後は用なし、外にすてられて人に蹈まるるのみ。 040 MAT 005 014 汝らは世の光なり。山の上にある町は隱るることなし。 040 MAT 005 015 また人は燈火をともして升の下におかず、燈臺の上におく。かくて燈火は家にある凡ての物を照すなり。 040 MAT 005 016 かくのごとく汝らの光を人の前にかがやかせ。これ人の汝らが善き行爲を見て、天にいます汝らの父を崇めん爲なり。 040 MAT 005 017 われ律法また預言者を毀つために來れりと思ふな。毀たんとて來らず、反つて成就せん爲なり。 040 MAT 005 018 誠に汝らに告ぐ、天 地の過ぎ往かぬうちに、律法の一點、一畫も廢ることなく、ことごとく全うせらるべし。 040 MAT 005 019 この故にもし此 等のいと小き誡命の一つをやぶり、且その如く人に教ふる者は、天國にて最 小き者と稱へられ、之を行ひ、かつ人に教ふる者は、天國にて大なる者と稱へられん。 040 MAT 005 020 我なんぢらに告ぐ、汝らの義、學者・パリサイ人に勝らずば、天國に入ること能はず。 040 MAT 005 021 古への人に「殺すなかれ、殺す者は審判にあふべし」と云へることあるを汝 等きけり。 040 MAT 005 022 されど我は汝らに告ぐ、すべて兄弟を怒る者は、審判にあふべし。また兄弟に對ひて、愚 者よといふ者は、衆議にあふべし。また痴者よといふ者は、ゲヘナの火にあふべし。 040 MAT 005 023 この故に汝もし供物を祭壇にささぐる時、そこにて兄弟に怨まるる事あるを思ひ出さば、 040 MAT 005 024 供物を祭壇のまへに遺しおき、先づ往きて、その兄弟と和睦し、然るのち來りて、供物をささげよ。 040 MAT 005 025 なんぢを訴ふる者とともに途に在るうちに、早く和解せよ。恐らくは、訴ふる者なんぢを審判 人にわたし、審判 人は下役にわたし、遂になんぢは獄に入れられん。 040 MAT 005 026 まことに汝に告ぐ、一 厘ものこりなく償はずば、其處をいづること能はじ。 040 MAT 005 027 「姦淫するなかれ」と云へることあるを汝 等きけり。 040 MAT 005 028 されど我は汝らに告ぐ、すべて色情を懷きて女を見るものは、既に心のうち姦淫したるなり。 040 MAT 005 029 もし右の目なんぢを躓かせば、抉り出して棄てよ、五體の一つ亡びて、全身ゲヘナに投げ入れられぬは益なり。 040 MAT 005 030 もし右の手なんぢを躓かせば、切りて棄てよ、五體の一つ亡びて、全身ゲヘナに往かぬは益なり。 040 MAT 005 031 また「妻をいだす者は離縁状を與ふべし」と云へることあり。 040 MAT 005 032 されど我は汝らに告ぐ、淫行の故ならで其の妻をいだす者は、これに姦淫を行はしむるなり。また出されたる女を娶るものは、姦淫を行ふなり。 040 MAT 005 033 また古への人に「いつはり誓ふなかれ、なんぢの誓は主に果すべし」と云へる事あるを汝ら聞けり。 040 MAT 005 034 されど我は汝らに告ぐ、一切ちかふな、天を指して誓ふな、神の御座なればなり。 040 MAT 005 035 地を指して誓ふな、神の足臺なればなり。エルサレムを指して誓ふな、大君の都なればなり。 040 MAT 005 036 己が頭を指して誓ふな、なんぢ頭髮 一筋だに白くし、また黒くし能はねばなり。 040 MAT 005 037 ただ然り然り、否 否といへ、之に過ぐるは惡より出づるなり。 040 MAT 005 038 「目には目を、齒には齒を」と云へることあるを汝ら聞けり。 040 MAT 005 039 されど我は汝らに告ぐ、惡しき者に抵抗ふな。人もし汝の右の頬をうたば、左をも向けよ。 040 MAT 005 040 なんぢを訟へて下衣を取らんとする者には、上衣をも取らせよ。 040 MAT 005 041 人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ。 040 MAT 005 042 なんぢに請ふ者にあたへ、借らんとする者を拒むな。 040 MAT 005 043 「なんぢの隣を愛し、なんぢの仇を憎むべし」と云へることあるを汝 等きけり。 040 MAT 005 044 されど我は汝らに告ぐ、汝らの仇を愛し、汝らを責むる者のために祈れ。 040 MAT 005 045 これ天にいます汝らの父の子とならん爲なり。天の父は、その日を惡しき者のうへにも善き者のうへにも昇らせ、雨を正しき者にも正しからぬ者にも降らせ給ふなり。 040 MAT 005 046 なんぢら己を愛する者を愛すとも何の報をか得べき、取税人も然するにあらずや。 040 MAT 005 047 兄弟にのみ挨拶すとも何の勝ることかある、異邦人も然するにあらずや。 040 MAT 005 048 さらば汝らの天の父の全きが如く、汝らも全かれ。 040 MAT 006 001 汝ら見られんために己が義を人の前にて行はぬやうに心せよ。然らずば、天にいます汝らの父より報を得じ。 040 MAT 006 002 さらば施濟をなすとき、僞善者が人に崇められんとて會堂や街にて爲すごとく、己が前にラッパを鳴すな。誠に汝らに告ぐ、彼らは既にその報を得たり。 040 MAT 006 003 汝は施濟をなすとき、右の手のなすことを左の手に知らすな。 040 MAT 006 004 是はその施濟の隱れん爲なり。さらば隱れたるに見たまふ汝の父は報い給はん。 040 MAT 006 005 なんぢら祈るとき、僞善者の如くあらざれ。彼らは人に顯さんとて、會堂や大路の角に立ちて祈ることを好む。誠に汝らに告ぐ、かれらは既にその報を得たり。 040 MAT 006 006 なんぢは祈るとき、己が部屋にいり、戸を閉ぢて隱れたるに在す汝の父に祈れ。さらば隱れたるに見 給ふなんぢの父は報い給はん。 040 MAT 006 007 また祈るとき、異邦人の如くいたづらに言を反復すな。彼らは言 多きによりて聽かれんと思ふなり。 040 MAT 006 008 さらば彼らに效ふな、汝らの父は求めぬ前に、なんぢらの必要なる物を知りたまふ。 040 MAT 006 009 この故に汝らは斯く祈れ。「天にいます我らの父よ、願はくは御名の崇められん事を。 040 MAT 006 010 御國の來らんことを。御意の天のごとく地にも行はれん事を。 040 MAT 006 011 我らの日用の糧を今日もあたへ給へ。 040 MAT 006 012 我らに負債ある者を我らの免したる如く、我らの負債をも免し給へ。 040 MAT 006 013 我らを嘗試に遇はせず、惡より救ひ出したまへ」 040 MAT 006 014 汝 等もし人の過失を免さば、汝らの天の父も汝らを免し給はん。 040 MAT 006 015 もし人を免さずば、汝らの父も汝らの過失を免し給はじ。 040 MAT 006 016 なんぢら斷食するとき、僞善者のごとく、悲しき面容をすな。彼らは斷食することを人に顯さんとて、その顏 色を害ふなり。誠に汝らに告ぐ、彼らは既にその報を得たり。 040 MAT 006 017 なんぢは斷食するとき、頭に油をぬり、顏をあらへ。 040 MAT 006 018 これ斷食することの人に顯れずして、隱れたるに在す汝の父にあらはれん爲なり。さらば隱れたるに見たまふ汝の父は報い給はん。 040 MAT 006 019 なんぢら己がために財寶を地に積むな、ここは蟲と錆とが損ひ、盜人うがちて盜むなり。 040 MAT 006 020 なんぢら己がために財寶を天に積め、かしこは蟲と錆とが損はず、盜人うがちて盜まぬなり。 040 MAT 006 021 なんぢの財寶のある所には、なんぢの心もあるべし。 040 MAT 006 022 身の燈火は目なり。この故に汝の目ただしくば、全身あかるからん。 040 MAT 006 023 されど汝の目あしくば、全身くらからん。もし汝の内の光、闇ならば、その闇いかばかりぞや。 040 MAT 006 024 人は二人の主に兼ね事ふること能はず、或はこれを憎み彼を愛し、或はこれに親しみ彼を輕しむべければなり。汝ら神と富とに兼ね事ふること能はず。 040 MAT 006 025 この故に我なんぢらに告ぐ、何を食ひ、何を飮まんと生命のことを思ひ煩ひ、何を著んと體のことを思ひ煩ふな。生命は糧にまさり、體は衣に勝るならずや。 040 MAT 006 026 空の鳥を見よ、播かず、刈らず、倉に收めず、然るに汝らの天の父は、これを養ひたまふ。汝らは之よりも遙に優るる者ならずや。 040 MAT 006 027 汝らの中たれか思ひ煩ひて身の長 一尺を加へ得んや。 040 MAT 006 028 又なにゆゑ衣のことを思ひ煩ふや。野の百合は如何にして育つかを思へ、勞せず、紡がざるなり。 040 MAT 006 029 されど我なんぢらに告ぐ、榮華を極めたるソロモンだに、その服裝この花の一つにも及かざりき。 040 MAT 006 030 今日ありて明日 爐に投げ入れらるる野の草をも、神はかく裝ひ給へば、まして汝らをや、ああ信仰うすき者よ。 040 MAT 006 031 さらば何を食ひ、何を飮み、何を著んとて思ひ煩ふな。 040 MAT 006 032 是みな異邦人の切に求むる所なり。汝らの天の父は、凡てこれらの物の汝らに必要なるを知り給ふなり。 040 MAT 006 033 まづ神の國と神の義とを求めよ、さらば凡てこれらの物は汝らに加へらるべし。 040 MAT 006 034 この故に明日のことを思ひ煩ふな、明日は明日みづから思ひ煩はん。一日の苦勞は一日にて足れり。 040 MAT 007 001 なんぢら人を審くな、審かれざらん爲なり。 040 MAT 007 002 己がさばく審判にて己もさばかれ、己がはかる量にて己も量らるべし。 040 MAT 007 003 何ゆゑ兄弟の目にある塵を見て、おのが目にある梁木を認めぬか。 040 MAT 007 004 視よ、おのが目に梁木のあるに、いかで兄弟にむかひて、汝の目より塵をとり除かせよと言ひ得んや。 040 MAT 007 005 僞善者よ、まづ己が目より梁木をとり除け、さらば明かに見えて、兄弟の目より塵を取りのぞき得ん。 040 MAT 007 006 聖なる物を犬に與ふな。また眞珠を豚の前に投ぐな。恐らくは足にて蹈みつけ、向き返りて汝らを噛みやぶらん。 040 MAT 007 007 求めよ、さらば與へられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開かれん。 040 MAT 007 008 すべて求むる者は得、たづぬる者は見いだし、門をたたく者は開かるるなり。 040 MAT 007 009 汝 等のうち、誰かその子パンを求めんに石を與へ、 040 MAT 007 010 魚を求めんに蛇を與へんや。 040 MAT 007 011 さらば、汝ら惡しき者ながら、善き賜物をその子らに與ふるを知る。まして天にいます汝らの父は、求むる者に善き物を賜はざらんや。 040 MAT 007 012 さらば凡て人に爲られんと思ふことは、人にも亦その如くせよ。これは律法なり、預言者なり。 040 MAT 007 013 狹き門より入れ、滅にいたる門は大きく、その路は廣く、之より入る者おほし。 040 MAT 007 014 生命にいたる門は狹く、その路は細く、之を見 出す者すくなし。 040 MAT 007 015 僞 預言者に心せよ、羊の扮裝して來れども、内は奪ひ掠むる豺狼なり。 040 MAT 007 016 その果によりて彼らを知るべし。茨より葡萄を、薊より無花果をとる者あらんや。 040 MAT 007 017 斯く、すべて善き樹は善き果をむすび、惡しき樹は惡しき果をむすぶ。 040 MAT 007 018 善き樹は惡しき果を結ぶこと能はず、惡しき樹はよき果を結ぶこと能はず。 040 MAT 007 019 すべて善き果を結ばぬ樹は、伐られて火に投げ入れらる。 040 MAT 007 020 さらばその果によりて彼らを知るべし。 040 MAT 007 021 我に對ひて主よ主よといふ者、ことごとくは天國に入らず、ただ天にいます我が父の御意をおこなふ者のみ、之に入るべし。 040 MAT 007 022 その日おほくの者われに對ひて「主よ、主よ、我らは汝の名によりて預言し、汝の名によりて惡鬼を逐ひいだし、汝の名によりて多くの能力ある業を爲ししにあらずや」と言はん。 040 MAT 007 023 その時われ明白に告げん「われ斷えて汝らを知らず、不法をなす者よ、我を離れされ」と。 040 MAT 007 024 さらば凡て我がこれらの言をききて行ふ者を、磐の上に家をたてたる慧き人に擬へん。 040 MAT 007 025 雨ふり流みなぎり、風ふきてその家をうてど倒れず、これ磐の上に建てられたる故なり。 040 MAT 007 026 すべて我がこれらの言をききて行はぬ者を、沙の上に家を建てたる愚なる人に擬へん。 040 MAT 007 027 雨ふり流みなぎり、風ふきて其の家をうてば、倒れてその顛倒はなはだし』 040 MAT 007 028 イエスこれらの言を語りをへ給へるとき、群衆その教に驚きたり。 040 MAT 007 029 それは學者らの如くならず、權威ある者のごとく教へ給へる故なり。 040 MAT 008 001 イエス山を下り給ひしとき、大なる群衆これに從ふ。 040 MAT 008 002 視よ、一人の癩病人みもとに來り、拜して言ふ『主よ、御意ならば、我を潔くなし給ふを得ん』 040 MAT 008 003 イエス手をのべ、彼につけて『わが意なり、潔くなれ』と言ひ給へば、癩病ただちに潔れり。 040 MAT 008 004 イエス言ひ給ふ『つつしみて誰にも語るな、ただ往きて己を祭司に見せ、モーセが命じたる供物を献げて、人々に證せよ』 040 MAT 008 005 イエス、カペナウムに入り給ひしとき、百卒長きたり、 040 MAT 008 006 請ひていふ『主よ、わが僕、中風を病み、家に臥しゐて甚く苦しめり』 040 MAT 008 007 イエス言ひ給ふ『われ往きて醫さん』 040 MAT 008 008 百卒長こたへて言ふ『主よ、我は汝をわが屋根の下に入れまつるに足らぬ者なり。ただ御言のみを賜へ、さらば我が僕はいえん。 040 MAT 008 009 我みづから權威の下にある者なるに、我が下にまた兵卒ありて、此に「ゆけ」と言へば往き、彼に「きたれ」と言へば來り、わが僕に「これを爲せ」といへば爲すなり』 040 MAT 008 010 イエス聞きて怪しみ、從へる人々に言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、かかる篤き信仰はイスラエルの中の一人にだに見しことなし。 040 MAT 008 011 又なんぢらに告ぐ、多くの人、東より西より來り、アブラハム、イサク、ヤコブとともに天國の宴につき、 040 MAT 008 012 御國の子らは外の暗きに逐ひ出され、そこにて哀哭・切齒することあらん』 040 MAT 008 013 イエス百卒長に『ゆけ、汝の信ずるごとく汝になれ』と言ひ給へば、このとき僕いえたり。 040 MAT 008 014 イエス、ペテロの家に入り、その外姑の熱を病みて臥しをるを見、 040 MAT 008 015 その手に觸り給へば、熱 去り、女おきてイエスに事ふ。 040 MAT 008 016 夕になりて、人々、惡鬼に憑かれたる者をおほく御許につれ來りたれば、イエス言にて靈を逐ひいだし、病める者をことごとく醫し給へり。 040 MAT 008 017 これは預言者イザヤによりて『かれは自ら我らの疾患をうけ、我らの病を負ふ』と云はれし言の成就せん爲なり。 040 MAT 008 018 さてイエス群衆の己を環れるを見て、ともに彼方の岸に往かんことを弟子たちに命じ給ふ。 040 MAT 008 019 一人の學者きたりて言ふ『師よ、何處にゆき給ふとも、我は從はん』。 040 MAT 008 020 イエス言ひたまふ『狐は穴あり、空の鳥は塒あり、されど人の子は枕する所なし』 040 MAT 008 021 また弟子の一人いふ『主よ、先づ、往きて、我が父を葬ることを許したまへ』 040 MAT 008 022 イエス言ひたまふ『我に從へ、死にたる者にその死にたる者を葬らせよ』 040 MAT 008 023 かくて舟に乘り給へば、弟子たちも從ふ。 040 MAT 008 024 視よ、海に大なる暴風おこりて、舟 波に蔽はるるばかりなるに、イエスは眠りゐ給ふ。 040 MAT 008 025 弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』 040 MAT 008 026 彼らに言ひ給ふ『なにゆゑ臆するか、信仰うすき者よ』乃ち起きて、風と海とを禁め給へば、大なる凪となりぬ。 040 MAT 008 027 人々あやしみて言ふ『こは如何なる人ぞ、風も海も從ふとは』 040 MAT 008 028 イエス彼方にわたり、ガダラ人の地にゆき給ひしとき、惡鬼に憑かれたる二人のもの、墓より出できたりて之に遇ふ。その猛きこと甚だしく、其處の途を人の過ぎ得ぬほどなり。 040 MAT 008 029 視よ、かれら叫びて言ふ『神の子よ、われら汝と何の關係あらん、未だ時いたらぬに、我らを責めんとて此處にきたり給ふか』 040 MAT 008 030 遙にへだたりて多くの豚の一 群、食しゐたりしが、 040 MAT 008 031 惡鬼ども請ひて言ふ『もし我らを逐ひ出さんとならば、豚の群に遣したまへ』 040 MAT 008 032 彼らに言ひ給ふ『ゆけ』惡鬼いでて豚に入りたれば、視よ、その群みな崖より海に駈け下りて、水に死にたり。 040 MAT 008 033 飼ふ者ども逃げて町にゆき、すべての事と惡鬼に憑かれたりし者の事とを告げたれば、 040 MAT 008 034 視よ、町 人こぞりてイエスに逢はんとて出できたり、彼を見て、この地方より去り給はんことを請へり。 040 MAT 009 001 イエス舟にのり、渡りて己が町にきたり給ふ。 040 MAT 009 002 視よ、中風にて床に臥しをる者を、人々みもとに連れ來れり。イエス彼らの信仰を見て、中風の者に言ひたまふ『子よ、心 安かれ、汝の罪ゆるされたり』 040 MAT 009 003 視よ、或 學者ら心の中にいふ『この人は神を瀆すなり』 040 MAT 009 004 イエスその思を知りて言ひ給ふ『何ゆゑ心に惡しき事をおもふか。 040 MAT 009 005 汝の罪ゆるされたりと言ふと、起きて歩めと言ふと、孰か易き。 040 MAT 009 006 人の子 地にて罪を赦す權威あることを汝らに知らせん爲に』――ここに中風の者に言ひ給ふ――『起きよ、床をとりて汝の家にかへれ』 040 MAT 009 007 彼おきてその家にかへる。 040 MAT 009 008 群衆これを見ておそれ、かかる能力を人にあたへ給へる神を崇めたり。 040 MAT 009 009 イエス此處より進みて、マタイといふ人の收税所に坐しをるを見て『我に從へ』と言ひ給へば、立ちて從へり。 040 MAT 009 010 家にて食事の席につき居給ふとき、視よ、多くの取税人・罪人ら來りて、イエス及び弟子たちと共に列る。 040 MAT 009 011 パリサイ人これを見て弟子たちに言ふ『なに故なんぢらの師は、取税人・罪人らと共に食するか』 040 MAT 009 012 之を聞きて、言ひたまふ『健かなる者は醫者を要せず、ただ、病める者これを要す。 040 MAT 009 013 なんぢら往きて學べ「われ憐憫を好みて、犧牲を好まず」とは如何なる意ぞ。我は正しき者を招かんとにあらで、罪人を招かんとて來れり』 040 MAT 009 014 ここにヨハネの弟子たち御許にきたりて言ふ『われらとパリサイ人は斷食するに、何 故なんぢの弟子たちは斷食せぬか』 040 MAT 009 015 イエス言ひたまふ『新郎の友だち、新郎と偕にをる間は、悲しむことを得んや。されど新郎をとらるる日きたらん、その時には斷食せん。 040 MAT 009 016 誰も新しき布の裂を舊き衣につぐことは爲じ、補ひたる裂は、その衣をやぶりて、破綻さらに甚だしかるべし。 040 MAT 009 017 また新しき葡萄酒をふるき革嚢に入るることは爲じ。もし然せば、嚢はりさけ酒ほどばしり出でて、嚢もまた廢らん。新しき葡萄酒は新しき革嚢にいれ、かくて兩ながら保つなり』 040 MAT 009 018 イエス此 等のことを語りゐ給ふとき、視よ、一人の司きたり、拜して言ふ『わが娘いま死にたり。されど來りて御手を之におき給はば活きん』 040 MAT 009 019 イエス起ちて彼に伴ひ給ふに、弟子たちも從ふ。 040 MAT 009 020 視よ、十 二年 血漏を患ひゐたる女、イエスの後にきたりて、御衣の總にさはる。 040 MAT 009 021 それは、御衣にだに觸らば救はれんと心の中にいへるなり。 040 MAT 009 022 イエスふりかへり、女を見て言ひたまふ『娘よ、心 安かれ、汝の信仰なんぢを救へり』女この時より救はれたり。 040 MAT 009 023 かくてイエス司の家にいたり、笛ふく者と騷ぐ群衆とを見て言ひたまふ、 040 MAT 009 024 『退け、少女は死にたるにあらず、寐ねたるなり』人々イエスを嘲笑ふ。 040 MAT 009 025 群衆の出されし後、いりてその手をとり給へば、少女おきたり。 040 MAT 009 026 この聲聞あまねく其の地に弘りぬ。 040 MAT 009 027 イエス此處より進みたまふ時、ふたりの盲人さけびて『ダビデの子よ、我らを憫みたまへ』と言ひつつ從ふ。 040 MAT 009 028 イエス家にいたり給ひしに、盲人ども御許に來りたれば、之に言ひたまふ『我この事をなし得と信ずるか』彼 等いふ『主よ、然り』 040 MAT 009 029 爰にイエスかれらの目に觸りて言ひたまふ『なんぢらの信仰のごとく汝らに成れ』 040 MAT 009 030 乃ち彼らの目あきたり。イエス嚴しく戒めて言ひたまふ『愼みて誰にも知らすな』 040 MAT 009 031 されど彼ら出でて、あまねくその地にイエスの事をいひ弘めたり。 040 MAT 009 032 盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる。 040 MAT 009 033 惡鬼おひ出されて唖者ものいひたれば、群衆あやしみて言ふ『かかる事は未だイスラエルの中に顯れざりき』 040 MAT 009 034 然るにパリサイ人いふ『かれは惡鬼の首によりて惡鬼を逐ひ出すなり』 040 MAT 009 035 イエスあまねく町と村とを巡り、その會堂にて教へ、御國の福音を宣べつたへ、もろもろの病、もろもろの疾患をいやし給ふ。 040 MAT 009 036 また群衆を見て、その牧ふ者なき羊のごとく惱み、且たふるるを甚く憫み、 040 MAT 009 037 遂に弟子たちに言ひたまふ『收穫はおほく勞動人はすくなし。 040 MAT 009 038 この故に收穫の主に、勞動人をその收穫場に遣し給はんことを求めよ』 040 MAT 010 001 かくてイエスその十二 弟子を召し、穢れし靈を制する權威をあたへて、之を逐ひ出し、もろもろの病、もろもろの疾患を醫すことを得しめ給ふ。 040 MAT 010 002 十二 使徒の名は左のごとし。先づペテロといふシモン及びその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブ及びその兄弟ヨハネ、 040 MAT 010 003 ピリポ及びバルトロマイ、トマス及び取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブ及びタダイ、 040 MAT 010 004 熱心 黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり。 040 MAT 010 005 イエスこの十二 人を遣さんとて、命じて言ひたまふ。『異邦人の途にゆくな、又サマリヤ人の町に入るな。 040 MAT 010 006 むしろイスラエルの家の失せたる羊にゆけ。 040 MAT 010 007 往きて宣べつたへ「天國は近づけり」と言へ。 040 MAT 010 008 病める者をいやし、死にたる者を甦へらせ、癩病人をきよめ、惡鬼を逐ひいだせ。價なしに受けたれば價なしに與へよ。 040 MAT 010 009 帶のなかに金・銀または錢をもつな。 040 MAT 010 010 旅の嚢も、二 枚の下衣も、鞋も、杖ももつな。勞動人の、その食物を得るは相應しきなり。 040 MAT 010 011 いづれの町いづれの村に入るとも、その中にて相應しき者を尋ねいだして、立ち去るまでは其處に留れ。 040 MAT 010 012 人の家に入らば平安を祈れ。 040 MAT 010 013 その家もし之に相應しくば、汝らの祈る平安はその上に臨まん。もし相應しからずば、その平安はなんぢらに歸らん。 040 MAT 010 014 人もし汝らを受けず、汝らの言を聽かずば、その家その町を立ち去るとき、足の塵をはらへ。 040 MAT 010 015 まことに汝らに告ぐ、審判の日には、その町よりもソドム、ゴモラの地のかた耐へ易からん。 040 MAT 010 016 視よ、我なんぢらを遣すは、羊を豺狼のなかに入るるが如し。この故に蛇のごとく慧く、鴿のごとく素直なれ。 040 MAT 010 017 人々に心せよ、それは汝らを衆議所に付し、會堂にて鞭うたん。 040 MAT 010 018 また汝 等わが故によりて、司たち王たちの前に曳かれん。これは彼らと異邦人とに證をなさん爲なり。 040 MAT 010 019 かれら汝らを付さば、如何に何を言はんと思ひ煩ふな、言ふべき事は、その時さづけらるべし。 040 MAT 010 020 これ言ふものは汝 等にあらず、其の中にありて言ひたまふ汝らの父の靈なり。 040 MAT 010 021 兄弟は兄弟を、父は子を死に付し、子どもは親に逆ひて之を死なしめん。 040 MAT 010 022 又なんぢら我が名のために凡ての人に憎まれん。されど終まで耐へ忍ぶものは救はるべし。 040 MAT 010 023 この町にて責めらるる時は、かの町に逃れよ。誠に汝らに告ぐ、なんぢらイスラエルの町々を巡り盡さぬうちに人の子は來るべし。 040 MAT 010 024 弟子はその師にまさらず、僕はその主にまさらず、 040 MAT 010 025 弟子はその師のごとく、僕はその主の如くならば足れり。もし家主をベルゼブルと呼びたらんには、ましてその家の者をや。 040 MAT 010 026 この故に、彼らを懼るな。蔽はれたるものに露れぬはなく、隱れたるものに知られぬは無ければなり。 040 MAT 010 027 暗黒にて我が告ぐることを光明にて言へ。耳をあてて聽くことを屋の上にて宣べよ。 040 MAT 010 028 身を殺して靈魂をころし得ぬ者どもを懼るな、身と靈魂とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ。 040 MAT 010 029 二 羽の雀は一錢にて賣るにあらずや、然るに、汝らの父の許なくば、その一 羽も地に落つること無からん。 040 MAT 010 030 汝らの頭の髮までも皆かぞへらる。 040 MAT 010 031 この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり。 040 MAT 010 032 されど凡そ人の前にて我を言ひあらはす者を、我もまた天にいます我が父の前にて言ひ顯さん。 040 MAT 010 033 されど人の前にて我を否む者を、我もまた天にいます我が父の前にて否まん。 040 MAT 010 034 われ地に平和を投ぜんために來れりと思ふな。平和にあらず、反つて劍を投ぜん爲に來れり。 040 MAT 010 035 それ我が來れるは、人をその父より、娘をその母より、嫁をその姑嫜より分たん爲なり。 040 MAT 010 036 人の仇はその家の者なるべし。 040 MAT 010 037 我よりも父または母を愛する者は、我に相應しからず。我よりも息子または娘を愛する者は、我に相應しからず。 040 MAT 010 038 又おのが十字架をとりて我に從はぬ者は、我に相應しからず。 040 MAT 010 039 生命を得る者はこれを失ひ、我がために生命を失ふ者はこれを得べし。 040 MAT 010 040 汝らを受くる者は、我を受くるなり。我をうくる者は、我を遣し給ひし者を受くるなり。 040 MAT 010 041 預言者たる名の故に預言者をうくる者は、預言者の報をうけ、義人たる名のゆゑに義人をうくる者は、義人の報を受くべし。 040 MAT 010 042 凡そわが弟子たる名の故に、この小き者の一人に冷かなる水 一杯にても與ふる者は、まことに汝らに告ぐ、必ずその報を失はざるべし』 040 MAT 011 001 イエス十二 弟子に命じ終へてのち、町々にて教へ、かつ、宣傳へんとて、此處を去り給へり。 040 MAT 011 002 ヨハネ牢舍にてキリストの御業をきき、弟子たちを遣して、 040 MAT 011 003 イエスに言はしむ『來るべき者は汝なるか、或は、他に待つべきか』 040 MAT 011 004 答へて言ひたまふ『ゆきて、汝らが見 聞する所をヨハネに告げよ。 040 MAT 011 005 盲人は見、跛者はあゆみ、癩病人は潔められ、聾者はきき、死人は甦へらせられ、貧しき者は福音を聞かせらる。 040 MAT 011 006 おほよそ我に躓かぬ者は幸福なり』 040 MAT 011 007 彼らの歸りたるをり、ヨハネの事を群衆に言ひ出でたまふ『なんぢら何を眺めんとて野に出でし、風にそよぐ葦なるか。 040 MAT 011 008 さらば何を見んとて出でし、柔かき衣を著たる人なるか。視よ、やはらかき衣を著たる者は、王の家に在り。 040 MAT 011 009 さらば何のために出でし、預言者を見んとてか。然り、汝らに告ぐ、預言者よりも勝る者なり。 040 MAT 011 010 「視よ、わが使をなんぢの顏の前につかはす。彼はなんぢの前に、なんぢの道をそなへん」と録されたるは此の人なり。 040 MAT 011 011 誠に汝らに告ぐ、女の産みたる者のうち、バプテスマのヨハネより大なる者は起らざりき。されど天國にて小き者も、彼よりは大なり。 040 MAT 011 012 バプテスマのヨハネの時より今に至るまで、天國は烈しく攻めらる、烈しく攻むる者はこれを奪ふ。 040 MAT 011 013 凡ての預言者と律法との預言したるは、ヨハネの時までなり。 040 MAT 011 014 もし汝 等わが言をうけんことを願はば、來るべきエリヤは此の人なり、 040 MAT 011 015 耳ある者は聽くべし。 040 MAT 011 016 われ今の代を何に比へん、童子、市場に坐し、友を呼びて、 040 MAT 011 017 「われら汝 等のために笛 吹きたれど、汝ら踊らず、歎きたれど、汝ら胸うたざりき」と言ふに似たり。 040 MAT 011 018 それは、ヨハネ來りて飮食せざれば「惡鬼に憑かれたる者なり」といひ、 040 MAT 011 019 人の子 來りて飮食すれば、「視よ、食を貪り酒を好む人、また取税人・罪人の友なり」と言ふなり。されど智慧は己が業によりて正しとせらる』 040 MAT 011 020 爰にイエス多くの能力ある業を行ひ給へる町々の悔改めぬによりて、之を責めはじめ給ふ、 040 MAT 011 021 『禍害なる哉コラジンよ、禍害なる哉ベツサイダよ、汝らの中にて行ひたる能力ある業を、ツロとシドンとにて行ひしならば、彼らは早く荒布を著、灰の中にて悔改めしならん。 040 MAT 011 022 されば汝らに告ぐ、審判の日にはツロとシドンとのかた汝 等よりも耐へ易からん。 040 MAT 011 023 カペナウムよ、なんぢは天にまで擧げらるべきか、黄泉にまで下らん。汝のうちにて行ひたる能力ある業を、ソドムにて行ひしならば、今日までもかの町は遺りしならん。 040 MAT 011 024 されば汝らに告ぐ、審判の日にはソドムの地のかた汝よりも耐へ易からん』 040 MAT 011 025 その時イエス答へて言ひたまふ『天 地の主なる父よ、われ感謝す、此 等のことを智き者 慧き者にかくして、嬰兒に顯し給へり。 040 MAT 011 026 父よ、然り、かくの如きは御意に適へるなり。 040 MAT 011 027 すべての物は我わが父より委ねられたり。子を知る者は父の外になく、父をしる者は子または子の欲するままに顯すところの者の外になし。 040 MAT 011 028 凡て勞する者・重荷を負ふ者、われに來れ、われ汝らを休ません。 040 MAT 011 029 我は柔和にして心 卑ければ、我が軛を負ひて我に學べ、さらば靈魂に休息を得ん。 040 MAT 011 030 わが軛は易く、わが荷は輕ければなり』 040 MAT 012 001 その頃イエス安息 日に麥 畠をとほり給ひしに、弟子たち飢ゑて穗を摘み、食ひ始めたるを、 040 MAT 012 002 パリサイ人 見てイエスに言ふ『視よ、なんぢの弟子は安息 日に爲まじき事をなす』 040 MAT 012 003 彼らに言ひ給ふ『ダビデがその伴へる人々とともに飢ゑしとき、爲しし事を讀まぬか。 040 MAT 012 004 即ち神の家に入りて、祭司のほかは、己もその伴へる人々も食ふまじき供のパンを食へり。 040 MAT 012 005 また安息 日に祭司らは宮の内にて安息 日を犯せども、罪なきことを律法にて讀まぬか。 040 MAT 012 006 われ汝らに告ぐ、宮より大なる者ここに在り。 040 MAT 012 007 「われ憐憫を好みて犧牲を好まず」とは、如何なる意かを汝ら知りたらんには、罪なき者を罪せざりしならん。 040 MAT 012 008 それ人の子は安息 日の主たるなり』 040 MAT 012 009 イエス此處を去りて、彼らの會堂に入り給ひしに、 040 MAT 012 010 視よ、片手なえたる人あり。人々イエスを訴へんと思ひ、問ひていふ『安息 日に人を醫すことは善きか』 040 MAT 012 011 彼らに、言ひたまふ『汝 等のうち一匹の羊をもてる者あらんに、もし安息 日に穴に陷らば、之を取りあげぬか。 040 MAT 012 012 人は羊より優るること如何ばかりぞ。さらば安息 日に善をなすは可し』 040 MAT 012 013 ここにかの人に言ひ給ふ『なんぢの手を伸べよ』かれ伸べたれば、他の手のごとく癒ゆ。 040 MAT 012 014 パリサイ人いでていかにしてかイエスを亡さんと議る。 040 MAT 012 015 イエス之を知りて此處を去りたまふ。多くの人したがひ來りたれば、ことごとく之を醫し、 040 MAT 012 016 かつ我を人に知らすなと戒め給へり。 040 MAT 012 017 これ預言者イザヤによりて云はれたる言の成就せんためなり。曰く、 040 MAT 012 018 『視よ、わが選びたる我が僕、わが心の悦ぶ我が愛しむ者、我わが靈を彼に與へん、彼は異邦人に正義を告げ示さん。 040 MAT 012 019 彼は爭はず、叫ばず、その聲を大路にて聞く者なからん。 040 MAT 012 020 正義をして勝ち遂げしむるまでは、傷へる葦を折ることなく、煙れる亞麻を消すことなからん。 040 MAT 012 021 異邦人も彼の名に望をおかん』 040 MAT 012 022 ここに惡鬼に憑かれたる盲目の唖者を御許に連れ來りたれば、之を醫して、唖者の物 言ひ見ゆるやうに爲し給ひぬ。 040 MAT 012 023 群衆みな驚きて言ふ『これはダビデの子にあらぬか』 040 MAT 012 024 然るにパリサイ人ききて言ふ『この人、惡鬼の首ベルゼブルによらでは、惡鬼を逐ひ出すことなし』 040 MAT 012 025 イエス彼らの思を知りて言ひ給ふ『すべて分れ爭ふ國はほろび、分れ爭ふ町また家はたたず。 040 MAT 012 026 サタンもしサタンを逐ひ出さば、自ら分れ爭ふなり。さらばその國いかで立つべき。 040 MAT 012 027 我もしベルゼブルによりて惡鬼を逐ひ出さば、汝らの子は誰によりて之を逐ひ出すか。この故に彼らは汝らの審判 人となるべし。 040 MAT 012 028 されど我もし神の靈によりて惡鬼を逐ひ出さば、神の國は既に汝らに到れるなり。 040 MAT 012 029 人まづ強き者を縛らずば、いかで強き者の家に入りて、その家財を奪ふことを得ん、縛りて後その家を奪ふべし。 040 MAT 012 030 我と偕ならぬ者は我にそむき、我とともに集めぬ者は散すなり。 040 MAT 012 031 この故に汝らに告ぐ、人の凡ての罪と瀆とは赦されん、されど御靈を瀆すことは赦されじ。 040 MAT 012 032 誰にても言をもて人の子に逆ふ者は赦されん、されど言をもて聖 靈に逆ふ者は、この世にても後の世にても赦されじ。 040 MAT 012 033 或は樹をも善しとし、果をも善しとせよ。或は樹をも惡しとし、果をも惡しとせよ。樹は果によりて知らるるなり。 040 MAT 012 034 蝮の裔よ、なんぢら惡しき者なるに、爭で善きことを言ひ得んや。それ心に滿つるより口に言はるるなり。 040 MAT 012 035 善き人は善き倉より善き物をいだし、惡しき人は惡しき倉より惡しき物をいだす。 040 MAT 012 036 われ汝らに告ぐ、人の語る凡ての虚しき言は、審判の日に糺さるべし。 040 MAT 012 037 それは汝の言によりて義とせられ、汝の言によりて罪せらるるなり』 040 MAT 012 038 ここに或 學者・パリサイ人ら答へて言ふ『師よ、われら汝の徴を見んことを願ふ』 040 MAT 012 039 答へて言ひたまふ『邪曲にして不義なる代は徴を求む、されど預言者ヨナの徴のほかに徴は與へられじ。 040 MAT 012 040 即ち「ヨナが三日 三夜、大魚の腹の中に在りし」ごとく、人の子も三日 三夜、地の中に在るべきなり。 040 MAT 012 041 ニネベの人、審判のとき今の代の人とともに立ちて之が罪を定めん、彼らはヨナの宣ぶる言によりて悔改めたり。視よ、ヨナよりも勝るもの此處に在り。 040 MAT 012 042 南の女王、審判のとき今の代の人とともに起きて之が罪を定めん、彼はソロモンの智慧を聽かんとて地の極より來れり。視よ、ソロモンよりも勝る者ここに在り。 040 MAT 012 043 穢れし靈、人を出づるときは、水なき處を巡りて休を求む、而して得ず。 040 MAT 012 044 乃ち「わが出でし家に歸らん」といひ、歸りて、その家の空きて掃き淨められ、飾られたるを見、 040 MAT 012 045 遂に往きて己より惡しき他の七つの靈を連れきたり、共に入りて此處に住む。されば其の人の後の状は前よりも惡しくなるなり。邪曲なる此の代もまた斯くの如くならん』 040 MAT 012 046 イエスなほ群衆にかたり居給ふとき、視よ、その母と兄弟たちと、彼に物 言はんとて外に立つ。 040 MAT 012 047 或 人イエスに言ふ『視よ、なんぢの母と兄弟たちと、汝に物 言はんとて外に立てり』 040 MAT 012 048 イエス告げし者に答へて言ひたまふ『わが母とは誰ぞ、わが兄弟とは誰ぞ』 040 MAT 012 049 かくて手をのべ、弟子たちを指して言ひたまふ『視よ、これは我が母、わが兄弟なり。 040 MAT 012 050 誰にても天にいます我が父の御意をおこなふ者は、即ち我が兄弟、わが姉妹、わが母なり』 040 MAT 013 001 その日イエスは家を出でて、海邊に坐したまふ。 040 MAT 013 002 大なる群衆みもとに集りたれば、イエスは舟に乘りて坐したまひ、群衆はみな岸に立てり。 040 MAT 013 003 譬にて數多のことを語りて言ひたまふ、『視よ、種 播く者まかんとて出づ。 040 MAT 013 004 播くとき路の傍らに落ちし種あり、鳥きたりて啄む。 040 MAT 013 005 土うすき磽地に落ちし種あり、土 深からぬによりて速かに萠え出でたれど、 040 MAT 013 006 日の昇りし時やけて根なき故に枯る。 040 MAT 013 007 茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ。 040 MAT 013 008 良き地に落ちし種あり、あるひは百 倍、あるひは六十 倍、あるひは三十 倍の實を結べり。 040 MAT 013 009 耳ある者は聽くべし』 040 MAT 013 010 弟子たち御許に來りて言ふ『なにゆゑ譬にて彼らに語り給ふか』 040 MAT 013 011 答へて言ひ給ふ『なんぢらは天國の奧義を知ることを許されたれど、彼らは許されず。 040 MAT 013 012 それ誰にても、有てる人は與へられて愈々 豐ならん。されど有たぬ人は、その有てる物をも取らるべし。 040 MAT 013 013 この故に彼らには譬にて語る、これ彼らは見ゆれども見ず、聞ゆれども聽かず、また悟らぬ故なり、 040 MAT 013 014 かくてイザヤの預言は、彼らの上に成就す。曰く、「なんぢら聞きて聞けども悟らず、見て見れども認めず。 040 MAT 013 015 この民の心は鈍く、耳は聞くに懶く、目は閉ぢたればなり。これ目にて見、耳にて聽き、心にて悟り、飜へりて、我に醫さるる事なからん爲なり」 040 MAT 013 016 されど汝らの目なんぢらの耳は、見るゆゑに聞くゆゑに、幸福なり。 040 MAT 013 017 まことに汝らに告ぐ、多くの預言者・義人は、汝らが見る所を見んとせしが見ず、なんぢらが聞く所を聞かんとせしが聞かざりしなり。 040 MAT 013 018 されば汝ら種 播く者の譬を聽け。 040 MAT 013 019 誰にても天國の言をききて悟らぬときは、惡しき者きたりて、其の心に播かれたるものを奪ふ。路の傍らに播かれしとは斯かる人なり。 040 MAT 013 020 磽地に播かれしとは、御言をききて、直ちに喜び受くれども、 040 MAT 013 021 己に根なければ暫し耐ふるのみにて、御言のために艱難あるひは迫害の起るときは、直ちに躓くものなり。 040 MAT 013 022 茨の中に播かれしとは、御言をきけども、世の心勞と財貨の惑とに、御言を塞がれて實らぬものなり。 040 MAT 013 023 良き地に播かれしとは、御言をききて悟り、實を結びて、あるひは百 倍、あるひは六十 倍、あるひは三十 倍に至るものなり』 040 MAT 013 024 また他の譬を示して言ひたまふ『天國は良き種を畑にまく人のごとし。 040 MAT 013 025 人々の眠れる間に、仇きたりて麥のなかに毒 麥を播きて去りぬ。 040 MAT 013 026 苗はえ出でて實りたるとき、毒 麥もあらはる。 040 MAT 013 027 僕ども來りて家主にいふ「主よ、畑に播きしは良き種ならずや、然るに如何にして毒 麥あるか」 040 MAT 013 028 主人いふ「仇のなしたるなり」僕ども言ふ「さらば我らが往きて之を拔き集むるを欲するか」 040 MAT 013 029 主人いふ「いな、恐らくは毒 麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん。 040 MAT 013 030 兩ながら收穫まで育つに任せよ。收穫のとき我かる者に「まづ毒 麥を拔きあつめて、焚くために之を束ね、麥はあつめて我が倉に納れよ」と言はん」』 040 MAT 013 031 また他の譬を示して言ひたまふ『天國は一粒の芥種のごとし、人これを取りてその畑に播くときは、 040 MAT 013 032 萬の種よりも小けれど、育ちては他の野菜よりも大く、樹となりて、空の鳥きたり其の枝に宿るほどなり』 040 MAT 013 033 また他の譬を語りたまふ『天國はパンだねのごとし、女これを取りて、三 斗の粉の中に入るれば、ことごとく脹れいだすなり』 040 MAT 013 034 イエスすべて此 等のことを、譬にて群衆に語りたまふ、譬ならでは何事も語り給はず。 040 MAT 013 035 これ預言者によりて云はれたる言の成就せん爲なり。曰く、『われ譬を設けて口を開き、世の創より隱れたる事を言ひ出さん』 040 MAT 013 036 ここに群衆を去らしめて、家に入りたまふ。弟子たち御許に來りて言ふ『畑の毒 麥の譬を我らに解きたまへ』 040 MAT 013 037 答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり、 040 MAT 013 038 畑は世界なり、良き種は天國の子どもなり、毒 麥は惡しき者の子どもなり、 040 MAT 013 039 之を播きし仇は惡魔なり、收穫は世の終なり、刈る者は御使たちなり。 040 MAT 013 040 されば毒 麥の集められて火に焚かるる如く、世の終にも斯くあるべし。 040 MAT 013 041 人の子その使たちを遣さん。彼ら御國の中より凡ての顛躓となる物と不法をなす者とを集めて、 040 MAT 013 042 火の爐に投げ入るべし、其處にて哀哭・切齒することあらん。 040 MAT 013 043 其のとき義人は父の御國にて日のごとく輝かん。耳ある者は聽くべし。 040 MAT 013 044 天國は畑に隱れたる寶のごとし。人 見出さば、之を隱しおきて、喜びゆき、有てる物をことごとく賣りて其の畑を買ふなり。 040 MAT 013 045 また天國は良き眞珠を求むる商人のごとし。 040 MAT 013 046 價たかき眞珠 一つを見出さば、往きて有てる物をことごとく賣りて、之を買ふなり。 040 MAT 013 047 また天國は、海におろして各樣のものを集むる網のごとし。 040 MAT 013 048 充つれば岸にひきあげ、坐して良きものを器に入れ、惡しきものを棄つるなり。 040 MAT 013 049 世の終にも斯くあるべし。御使たち出でて、義人の中より惡人を分ちて、 040 MAT 013 050 之を火の爐に投げ入るべし。其處にて哀哭・切齒することあらん。 040 MAT 013 051 汝 等これらの事をみな悟りしか』彼 等いふ『然り』 040 MAT 013 052 また言ひ給ふ『この故に、天國のことを教へられたる凡ての學者は、新しき物と舊き物とをその倉より出す家主のごとし』 040 MAT 013 053 イエスこれらの譬を終へて此處を去りたまふ。 040 MAT 013 054 己が郷にいたり、會堂にて教へ給へば、人々おどろきて言ふ『この人はこの智慧と此 等の能力とを何處より得しぞ。 040 MAT 013 055 これ木匠の子にあらずや、其の母はマリヤ、其の兄弟はヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダにあらずや。 040 MAT 013 056 又その姉妹も皆われらと共にをるに非ずや。然るに此 等のすべての事は何處より得しぞ』 040 MAT 013 057 遂に人々かれに躓けり。イエス彼らに言ひたまふ『預言者は、おのが郷おのが家の外にて尊ばれざる事なし』 040 MAT 013 058 彼らの不 信仰によりて其處にては多くの能力ある業を爲し給はざりき。 040 MAT 014 001 そのころ、國守ヘロデ、イエスの噂をききて、 040 MAT 014 002 侍臣どもに言ふ『これバプテスマのヨハネなり。かれ死人の中より甦へりたり、さればこそ此 等の能力その内に働くなれ』 040 MAT 014 003 ヘロデ先に、己が兄弟ピリポの妻ヘロデヤの爲にヨハネを捕へ、縛りて獄に入れたり。 040 MAT 014 004 ヨハネ、ヘロデに『かの女を納るるは宜しからず』と言ひしに因る。 040 MAT 014 005 かくてヘロデ、ヨハネを殺さんと思へど、群衆を懼れたり。群衆ヨハネを預言者とすればなり。 040 MAT 014 006 然るにヘロデの誕生日に當り、ヘロデヤの娘その席上に舞をまひてヘロデを喜ばせたれば、 040 MAT 014 007 ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり。 040 MAT 014 008 娘その母に唆かされて言ふ『バプテスマのヨハネの首を盆に載せてここに賜はれ』 040 MAT 014 009 王 憂ひたれど、その誓と席に在る者とに對して、之を與ふることを命じ、 040 MAT 014 010 人を遣し獄にてヨハネの首を斬り、 040 MAT 014 011 その首を盆にのせて持ち來らしめ、之を少女に與ふ。少女はこれを母に捧ぐ。 040 MAT 014 012 ヨハネの弟子たち來り、屍體を取りて葬り、往きて、イエスに告ぐ。 040 MAT 014 013 イエス之を聞きて人を避け、其處より舟にのりて寂しき處に往き給ひしを群衆ききて町々より徒歩にて從ひゆく。 040 MAT 014 014 イエス出でて大なる群衆を見、これを憫みて、その病める者を醫し給へり。 040 MAT 014 015 夕になりたれば、弟子たち御許に來りて言ふ『ここは寂しき處、はや時も晩し、群衆を去らしめ、村々に往きて、己が爲に食物を買はせ給へ』 040 MAT 014 016 イエス言ひ給ふ『かれら往くに及ばず、汝ら之に食物を與へよ』 040 MAT 014 017 弟子たち言ふ『われらが此處にもてるは、唯 五つのパンと二つの魚とのみ』 040 MAT 014 018 イエス言ひ給ふ『それを我に持ちきたれ』 040 MAT 014 019 かくて群衆に命じて草の上に坐せしめ、五つのパンと二つの魚とを取り、天を仰ぎて祝し、パンを裂きて、弟子たちに與へ給へば、弟子たち之を群衆に與ふ。 040 MAT 014 020 凡ての人 食ひて飽く、裂きたる餘を集めしに十二の筐に滿ちたり。 040 MAT 014 021 食ひし者は、女と子供とを除きて凡そ五 千 人なりき。 040 MAT 014 022 イエス直ちに弟子たちを強ひて舟に乘らせ、自ら群衆をかへす間に、彼方の岸に先に往かしむ。 040 MAT 014 023 かくて群衆を去らしめてのち、祈らんとて竊に山に登り、夕になりて獨そこにゐ給ふ。 040 MAT 014 024 舟ははや陸より數丁はなれ、風 逆ふによりて波に難されゐたり。 040 MAT 014 025 夜明の四時ごろ、イエス海の上を歩みて、彼らに到り給ひしに、 040 MAT 014 026 弟子たち其の海の上を歩み給ふを見て心 騷ぎ、變化の者なりと言ひて懼れ叫ぶ。 040 MAT 014 027 イエス直ちに彼らに語りて言ひたまふ『心 安かれ、我なり、懼るな』 040 MAT 014 028 ペテロ答へて言ふ『主よ、もし汝ならば我に命じ、水を蹈みて御許に到らしめ給へ』 040 MAT 014 029 『來れ』と言ひ給へば、ペテロ舟より下り、水の上を歩みてイエスの許に往く。 040 MAT 014 030 然るに風を見て懼れ、沈みかかりければ、叫びて言ふ『主よ、我を救ひたまへ』 040 MAT 014 031 イエス直ちに御手を伸べ、これを捉へて言ひ給ふ『ああ信仰うすき者よ、何ぞ疑ふか』 040 MAT 014 032 相 共に舟に乘りしとき、風やみたり。 040 MAT 014 033 舟に居る者どもイエスを拜して言ふ『まことに汝は神の子なり』 040 MAT 014 034 遂に渡りてゲネサレの地に著きしに、 040 MAT 014 035 その處の人々イエスを認めて、あまねく四方に人をつかはし、又すべての病める者を連れきたり、 040 MAT 014 036 ただ御衣の總にだに觸らしめ給はんことを願ふ、觸りし者はみな醫されたり。 040 MAT 015 001 ここにパリサイ人・學者ら、エルサレムより來りてイエスに言ふ、 040 MAT 015 002 『なにゆゑ汝の弟子は、古への人の言傳を犯すか、食事のときに手を洗はぬなり』 040 MAT 015 003 答へて言ひ給ふ『なにゆゑ汝らは、また汝らの言傳によりて神の誡命を犯すか。 040 MAT 015 004 即ち神は「父 母を敬へ」と言ひ「父または母を罵る者は必ず殺さるべし」と言ひたまへり。 040 MAT 015 005 然るに汝らは「誰にても父または母に對ひて、我が負ふ所のものは供物となりたりと言はば、 040 MAT 015 006 父または母を敬ふに及ばず」と言ふ。斯くその言傳によりて神の言を空しうす。 040 MAT 015 007 僞善者よ、宜なる哉、イザヤは汝らに就きて能く預言せり。曰く、 040 MAT 015 008 「この民は口唇にて我を敬ふ、されど其の心は我に遠ざかる。 040 MAT 015 009 ただ徒らに我を拜む。人の訓誡を教とし教へて」』 040 MAT 015 010 かくて群衆を呼び寄せて言ひたまふ『聽きて悟れ。 040 MAT 015 011 口に入るものは人を汚さず、されど口より出づるものは、これ人を汚すなり』 040 MAT 015 012 ここに弟子たち御許に來りていふ『御言をききてパリサイ人の躓きたるを知り給ふか』 040 MAT 015 013 答へて言ひ給ふ『わが天の父の植ゑ給はぬものは、みな拔かれん。 040 MAT 015 014 彼らを捨ておけ、盲人を手引する盲人なり、盲人もし盲人を手引せば、二人とも穴に落ちん』 040 MAT 015 015 ペテロ答へて言ふ『その譬を我らに解き給へ』 040 MAT 015 016 イエス言ひ給ふ『なんぢらも今なほ悟りなきか。 040 MAT 015 017 凡て口に入るものは腹にゆき、遂に厠に棄てらるる事を悟らぬか。 040 MAT 015 018 されど口より出づるものは心より出づ、これ人を汚すものなり。 040 MAT 015 019 それ心より惡しき念いづ、すなはち殺人・姦淫・淫行・竊盜・僞證・誹謗、 040 MAT 015 020 これらは人を汚すものなり、されど洗はぬ手にて食する事は人を汚さず』 040 MAT 015 021 イエスここを去りてツロとシドンとの地方に往き給ふ。 040 MAT 015 022 視よ、カナンの女その邊より出できたり、叫びて『主よ、ダビデの子よ、我を憫み給へ、わが娘、惡鬼につかれて甚く苦しむ』と言ふ。 040 MAT 015 023 されどイエス一言も答へ給はず。弟子たち來り請ひて言ふ『女を歸したまへ、我らの後より叫ぶなり』 040 MAT 015 024 答へて言ひたまふ『我はイスラエルの家の失せたる羊のほかに遣されず』 040 MAT 015 025 女きたり拜して言ふ『主よ、我を助けたまへ』 040 MAT 015 026 答へて言ひたまふ『子供のパンをとりて小狗に投げ與ふるは善からず』 040 MAT 015 027 女いふ『然り、主よ、小狗も主人の食卓よりおつる食屑を食ふなり』 040 MAT 015 028 ここにイエス答へて言ひたまふ『をんなよ、汝の信仰は大なるかな、願のごとく汝になれ』娘この時より癒えたり。 040 MAT 015 029 イエス此處を去り、ガリラヤの海邊にいたり、而して山に登り、そこに坐し給ふ。 040 MAT 015 030 大なる群衆、跛者・不具・盲人・唖者および他の多くの者を連れ來りて、イエスの足下に置きたれば、醫し給へり。 040 MAT 015 031 群衆は、唖者の物いひ、不具の癒え、跛者の歩み、盲人の見えたるを見て之を怪しみ、イスラエルの神を崇めたり。 040 MAT 015 032 イエス弟子たちを召して言ひ給ふ『われ此の群衆をあはれむ、既に三日われと偕にをりて食ふべき物なし。飢ゑたるままにて歸らしむるを好まず、恐らくは途にて疲れ果てん』 040 MAT 015 033 弟子たち言ふ『この寂しき地にて、斯く大なる群衆を飽かしむべき多くのパンを、何處より得べき』 040 MAT 015 034 イエス言ひ給ふ『パン幾つあるか』彼らいふ『七つ、また小き魚すこしあり』 040 MAT 015 035 イエス群衆に命じて地に坐せしめ、 040 MAT 015 036 七つのパンと魚とを取り、謝して之をさき弟子たちに與へ給へば、弟子たちこれを群衆に與ふ。 040 MAT 015 037 凡ての人くらひて飽き、裂きたる餘を拾ひしに、七つの籃に滿ちたり。 040 MAT 015 038 食ひし者は、女と子供とを除きて四千 人なりき。 040 MAT 015 039 イエス群衆をかへし、舟に乘りてマガダンの地方に往き給へり。 040 MAT 016 001 パリサイ人とサドカイ人と來りてイエスを試み、天よりの徴を示さんことを請ふ。 040 MAT 016 002 答へて言ひたまふ『夕には汝ら「空あかき故に晴ならん」と言ひ、 040 MAT 016 003 また朝には「そら赤くして曇る故に、今日は風雨ならん」と言ふ。なんぢら空の氣色を見分くることを知りて、時の徴を見分くること能はぬか。 040 MAT 016 004 邪曲にして不義なる代は徴を求む、されどヨナの徴の外に徴は與へられじ』かくて彼らを離れて去り給ひぬ。 040 MAT 016 005 弟子たち彼方の岸に到りしに、パンを携ふることを忘れたり。 040 MAT 016 006 イエス言ひたまふ『愼みてパリサイ人とサドカイ人とのパン種に心せよ』 040 MAT 016 007 弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ。 040 MAT 016 008 イエス之を知りて言ひ給ふ『ああ信仰うすき者よ、何ぞパン無きことを語り合ふか。 040 MAT 016 009 未だ悟らぬか、五つのパンを五 千 人に分ちて、その餘を幾籃ひろひ、 040 MAT 016 010 また七つのパンを四千 人に分ちて、その餘を幾籃ひろひしかを覺えぬか。 040 MAT 016 011 我が言ひしはパンの事にあらぬを何ぞ悟らざる。唯パリサイ人とサドカイ人とのパンだねに心せよ』 040 MAT 016 012 ここに弟子たちイエスの心せよと言ひ給ひしは、パンの種にはあらで、パリサイ人とサドカイ人との教なることを悟れり。 040 MAT 016 013 イエス、ピリポ・カイザリヤの地方にいたり、弟子たちに問ひて言ひたまふ『人々は人の子を誰と言ふか』 040 MAT 016 014 彼 等いふ『或 人はバプテスマのヨハネ、或 人はエリヤ、或 人はエレミヤ、また預言者の一人』 040 MAT 016 015 彼らに言ひたまふ『なんぢらは我を誰と言ふか』 040 MAT 016 016 シモン・ペテロ答へて言ふ『なんぢはキリスト、活ける神の子なり』 040 MAT 016 017 イエス答へて言ひ給ふ『バルヨナ・シモン、汝は幸福なり、汝に之を示したるは血肉にあらず、天にいます我が父なり。 040 MAT 016 018 我はまた汝に告ぐ、汝はペテロなり、我この磐の上に我が教會を建てん、黄泉の門はこれに勝たざるべし。 040 MAT 016 019 われ天國の鍵を汝に與へん、凡そ汝が地にて縛ぐ所は天にても縛ぎ、地にて解く所は天にても解くなり』 040 MAT 016 020 ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり。 040 MAT 016 021 この時よりイエス・キリスト、弟子たちに、己のエルサレムに往きて、長老・祭司長・學者らより多くの苦難を受け、かつ殺され、三日めに甦へるべき事を示し始めたまふ。 040 MAT 016 022 ペテロ、イエスを傍にひき戒め出でて言ふ『主よ、然あらざれ、此の事なんぢに起らざるべし』 040 MAT 016 023 イエス振反りてペテロに言ひ給ふ『サタンよ、我が後に退け、汝はわが躓物なり、汝は神のことを思はず、反つて人のことを思ふ』 040 MAT 016 024 ここにイエス弟子たちに言ひたまふ『人もし我に從ひ來らんと思はば、己をすて、己が十字架を負ひて、我に從へ。 040 MAT 016 025 己が生命を救はんと思ふ者は、これを失ひ、我がために己が生命をうしなふ者は、之を得べし。 040 MAT 016 026 人、全世界を贏くとも、己が生命を損せば、何の益あらん、又その生命の代に何を與へんや。 040 MAT 016 027 人の子は父の榮光をもて、御使たちと共に來らん。その時おのおのの行爲に隨ひて報ゆべし。 040 MAT 016 028 まことに汝らに告ぐ、ここに立つ者のうちに、人の子のその國をもて來るを見るまでは、死を味はぬ者どもあり』 040 MAT 017 001 六日の後、イエス、ペテロ、ヤコブ及びヤコブの兄弟ヨハネを率きつれ、人を避けて高き山に登りたまふ。 040 MAT 017 002 かくて彼らの前にてその状かはり、其の顏は日のごとく輝き、その衣は光のごとく白くなりぬ。 040 MAT 017 003 視よ、モーセとエリヤとイエスに語りつつ彼らに現る。 040 MAT 017 004 ペテロ差出でてイエスに言ふ『主よ、我らの此處に居るは善し。御意ならば我ここに三つの廬を造り、一つを汝のため、一つをモーセのため、一つをエリヤの爲にせん』 040 MAT 017 005 彼なほ語りをるとき、視よ、光れる雲かれらを覆ふ。また雲より聲あり、曰く『これは我が愛しむ子、わが悦ぶ者なり、汝ら之に聽け』 040 MAT 017 006 弟子たち之を聞きて倒れ伏し、懼るること甚だし。 040 MAT 017 007 イエスその許にきたり之に觸りて『起きよ、懼るな』と言ひ給へば、 040 MAT 017 008 彼ら目を擧げしに、イエス一人の他は誰も見えざりき。 040 MAT 017 009 山を下るとき、イエス彼らに命じて言ひたまふ『人の子の死人の中より甦へるまでは、見たることを誰にも語るな』 040 MAT 017 010 弟子たち問ひて言ふ『さらばエリヤ先づ來るべしと學者らの言ふは何ぞ』 040 MAT 017 011 答へて言ひたまふ『實にエリヤ來りて萬の事をあらためん。 040 MAT 017 012 我なんぢらに告ぐ、エリヤは既に來れり。されど人々これを知らず、反つて心のままに待へり。かくのごとく人の子もまた人々より苦しめらるべし』 040 MAT 017 013 ここに弟子たちバプテスマのヨハネを指して言ひ給ひしなるを悟れり。 040 MAT 017 014 かれら群衆の許に到りしとき、或 人 御許にきたり跪づきて言ふ、 040 MAT 017 015 『主よ、わが子を憫みたまへ。癲癇にて難み、しばしば火の中に、しばしば水の中に倒るるなり。 040 MAT 017 016 之を御弟子たちに連れ來りしに、醫すこと能はざりき』 040 MAT 017 017 イエス答へて言ひ給ふ『ああ信なき曲れる代なるかな、我いつまで汝らと偕にをらん、何時まで汝らを忍ばん。その子を我に連れきたれ』 040 MAT 017 018 遂にイエスこれを禁め給へば、惡鬼いでてその子この時より癒えたり。 040 MAT 017 019 ここに弟子たち竊にイエスに來りて言ふ『われらは何 故に逐ひ出し得ざりしか』 040 MAT 017 020 彼らに言ひ給ふ『なんぢら信仰うすき故なり。まことに汝らに告ぐ、もし芥種 一粒ほどの信仰あらば、この山に「此處より彼處に移れ」と言ふとも移らん、かくて汝ら能はぬこと無かるべし』 040 MAT 017 021 [なし] 040 MAT 017 022 彼らガリラヤに集ひをる時、イエス言ひたまふ『人の子は人の手に付され、 040 MAT 017 023 人々は之を殺さん、かくて三日めに甦へるべし』弟子たち甚く悲しめり。 040 MAT 017 024 彼らカペナウムに到りしとき、納金を集むる者どもペテロに來りて言ふ『なんぢらの師は納金を納めぬか』 040 MAT 017 025 ペテロ『納む』と言ひ、やがて家に入りしに、逸速くイエス言ひ給ふ『シモンいかに思ふか、世の王たちは税または貢を誰より取るか、己が子よりか、他の者よりか』 040 MAT 017 026 ペテロ言ふ『ほかの者より』イエス言ひ給ふ『されば子は自由なり。 040 MAT 017 027 されど彼らを躓かせぬ爲に、海に往きて釣をたれ、初に上る魚をとれ、其の口をひらかば銀貨 一つを得ん、それを取りて我と汝との爲に納めよ』 040 MAT 018 001 そのとき弟子たちイエスに來りて言ふ『しからば天國にて大なるは誰か』 040 MAT 018 002 イエス幼兒を呼び、彼らの中に置きて言ひ給ふ 040 MAT 018 003 『まことに汝らに告ぐ、もし汝ら飜へりて幼兒の如くならずば、天國に入るを得じ。 040 MAT 018 004 されば誰にても此の幼兒のごとく己を卑うする者は、これ天國にて大なる者なり。 040 MAT 018 005 また我が名のために、かくのごとき一人の幼兒を受くる者は、我を受くるなり。 040 MAT 018 006 されど我を信ずる此の小き者の一人を躓かする者は、寧ろ大なる碾臼を頸に懸けられ、海の深處に沈められんかた益なり。 040 MAT 018 007 この世は躓物あるによりて禍害なるかな。躓物は必ず來らん、されど躓物を來らする人は禍害なるかな。 040 MAT 018 008 もし汝の手または足なんぢを躓かせば、切りて棄てよ。不具または蹇跛にて生命に入るは、兩手 兩足ありて永遠の火に投げ入れらるるよりも勝るなり。 040 MAT 018 009 もし汝の眼なんぢを躓かせば、拔きて棄てよ。片眼にて生命に入るは、兩眼ありて火のゲヘナに投げ入れらるるよりも勝るなり。 040 MAT 018 010 汝ら愼みて此の小き者の一人をも侮るな。我なんぢらに告ぐ、彼らの御使たちは天にありて、天にいます我が父の御顏を常に見るなり。 040 MAT 018 011 [なし] 040 MAT 018 012 汝 等いかに思ふか、百匹の羊を有てる人あらんに、若しその一匹まよはば、九 十 九 匹を山に遺しおき、往きて迷へるものを尋ねぬか。 040 MAT 018 013 もし之を見出さば、まことに汝らに告ぐ、迷はぬ九 十 九 匹に勝りて此の一匹を喜ばん。 040 MAT 018 014 かくのごとく此の小き者の一人の亡ぶるは、天にいます汝らの父の御意にあらず。 040 MAT 018 015 もし汝の兄弟 罪を犯さば、往きてただ彼とのみ相 對して諫めよ。もし聽かば其の兄弟を得たるなり。 040 MAT 018 016 もし聽かずば、一人・二人を伴ひ往け、これ二 三の證人の口に由りて、凡ての事の慥められん爲なり。 040 MAT 018 017 もし彼 等にも聽かずば、教會に告げよ。もし教會にも聽かずば、之を異邦人または取税人のごとき者とすべし。 040 MAT 018 018 まことに汝らに告ぐ、すべて汝らが地にて縛ぐ所は天にても縛ぎ、地にて解く所は天にても解くなり。 040 MAT 018 019 また誠に汝らに告ぐ、もし汝 等のうち二人、何にても求むる事につき地にて心を一つにせば、天にいます我が父は之を成し給ふべし。 040 MAT 018 020 二三人わが名によりて集る所には、我もその中に在るなり。 040 MAT 018 021 ここにペテロ御許に來りて言ふ『主よ、わが兄弟われに對して罪を犯さば幾たび赦すべきか、七度までか』 040 MAT 018 022 イエス言ひたまふ『否、われ「七度まで」とは言はず「七度を七 十 倍するまで」と言ふなり。 040 MAT 018 023 この故に、天國はその家來どもと計算をなさんとする王のごとし。 040 MAT 018 024 計算を始めしとき、一萬タラントの負債ある家來つれ來られしが、 040 MAT 018 025 償ひ方なかりしかば、其の主人、この者とその妻 子と凡ての所有とを賣りて償ふことを命じたるに、 040 MAT 018 026 その家來ひれ伏し拜して言ふ「寛くし給へ、さらば悉とく償はん」 040 MAT 018 027 その家來の主人あはれみて之を解き、その負債を免したり。 040 MAT 018 028 然るに其の家來いでて、己より百デナリを負ひたる一人の同僚にあひ、之をとらへ、喉を締めて言ふ「負債を償へ」 040 MAT 018 029 その同僚ひれ伏し、願ひて「寛くし給へ、さらば償はん」と言へど、 040 MAT 018 030 肯はずして往き、その負債を償ふまで之を獄に入れたり。 040 MAT 018 031 同僚ども有りし事を見て甚く悲しみ、往きて有りし凡ての事をその主人に告ぐ。 040 MAT 018 032 ここに主人かれを呼び出して言ふ「惡しき家來よ、なんぢ願ひしによりて、かの負債をことごとく免せり。 040 MAT 018 033 わが汝を憫みしごとく、汝もまた同僚を憫むべきにあらずや」 040 MAT 018 034 斯くその主人、怒りて、負債をことごとく償ふまで彼を獄卒に付せり。 040 MAT 018 035 もし汝 等おのおの心より兄弟を赦さずば、我が天の父も亦なんぢらに斯のごとく爲し給ふべし』 040 MAT 019 001 イエスこれらの言を語り終へて、ガリラヤを去り、ヨルダンの彼方なるユダヤの地方に來り給ひしに、 040 MAT 019 002 大なる群衆したがひたれば、此處にて彼らを醫し給へり。 040 MAT 019 003 パリサイ人ら來り、イエスを試みて言ふ『何の故にかかはらず、人その妻を出すは可きか』 040 MAT 019 004 答へて言ひたまふ『人を造り給ひしもの、元始より之を男と女とに造り、而して、 040 MAT 019 005 「かかる故に人は父 母を離れ、その妻に合ひて、二人のもの一體となるべし」と言ひ給ひしを未だ讀まぬか。 040 MAT 019 006 されば、はや二人にはあらず、一體なり。この故に神の合せ給ひし者は、人これを離すべからず』 040 MAT 019 007 彼らイエスに言ふ『さらば何 故モーセは離縁状を與へて出すことを命じたるか』 040 MAT 019 008 彼らに言ひ給ふ『モーセは汝の心つれなきによりて妻を出すことを許したり。されど元始より然にはあらぬなり。 040 MAT 019 009 われ汝らに告ぐ、おほよそ淫行の故ならで其の妻をいだし他に娶る者は、姦淫を行ふなり』 040 MAT 019 010 弟子たちイエスに言ふ『人もし妻のことに於てかくのごとくば、娶らざるに如かず』 040 MAT 019 011 彼らに言ひたまふ『凡ての人この言を受け容るるにはあらず、ただ授けられたる者のみなり。 040 MAT 019 012 それ生れながらの閹人あり、人に爲られたる閹人あり、また天國のために自らなりたる閹人あり、之を受け容れうる者は受け容るべし』 040 MAT 019 013 ここに人々イエスの手をおきて祈り給はんことを望みて、幼兒らを連れ來りしに、弟子たち禁めたれば、 040 MAT 019 014 イエス言ひたまふ『幼兒らを許せ、我に來るを止むな、天國はかくのごとき者の國なり』 040 MAT 019 015 かくて手を彼らの上におきて此處を去り給へり。 040 MAT 019 016 視よ、或 人みもとに來りて言ふ『師よ、われ永遠の生命をうる爲には、如何なる善き事を爲すべきか』 040 MAT 019 017 イエス言ひたまふ『善き事につきて何ぞ我に問ふか、善き者は唯ひとりのみ。汝もし生命に入らんと思はば誡命を守れ』 040 MAT 019 018 彼いふ『孰を』イエス言ひたまふ『「殺すなかれ」「姦淫するなかれ」「盜むなかれ」「僞證を立つる勿れ」 040 MAT 019 019 「父と母とを敬へ」また「己のごとく汝の隣を愛すべし」』 040 MAT 019 020 その若者いふ『我みな之を守れり、なほ何を缺くか』 040 MAT 019 021 イエス言ひたまふ『なんぢ若し全からんと思はば、往きて汝の所有を賣りて貧しき者に施せ、さらば財寶を天に得ん。かつ來りて我に從へ』 040 MAT 019 022 この言をききて、若者 悲しみつつ去りぬ。大なる資産を有てる故なり。 040 MAT 019 023 イエス弟子たちに言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、富める者の天國に入るは難し。 040 MAT 019 024 復なんぢらに告ぐ、富める者の神の國に入るよりは、駱駝の針の孔を通るかた反つて易し』 040 MAT 019 025 弟子たち之をきき、甚だしく驚きて言ふ『さらば誰か救はるることを得ん』 040 MAT 019 026 イエス彼らに目を注めて言ひ給ふ『これは人に能はねど、神は凡ての事をなし得るなり』 040 MAT 019 027 ここにペテロ答へて言ふ『視よ、われら一切をすてて汝に從へり、されば何を得べきか』 040 MAT 019 028 イエス彼らに言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、世あらたまりて人の子その榮光の座位に坐するとき、我に從へる汝 等もまた十二の座位に坐して、イスラエルの十二の族を審かん。 040 MAT 019 029 また凡そ我が名のために、或は家、あるひは兄弟、あるひは姉妹、あるひは父、あるひは母、あるひは子、あるひは田畑を棄つる者は、數倍を受け、また永遠の生命を嗣がん。 040 MAT 019 030 されど多くの先なる者 後に、後なる者 先になるべし。 040 MAT 020 001 天國は勞動人を葡萄園に雇ふために、朝 早く出でたる主人のごとし。 040 MAT 020 002 一日 一デナリの約束をなして、勞動人どもを葡萄園に遣す。 040 MAT 020 003 また九時ごろ出でて市場に空しく立つ者どもを見て、 040 MAT 020 004 「なんぢらも葡萄園に往け、相當のものを與へん」といへば、彼らも往く。 040 MAT 020 005 十二 時 頃と三時 頃とに復いでて前のごとくす。 040 MAT 020 006 五 時 頃また出でしに、なほ立つ者どものあるを見ていふ「何ゆゑ終日ここに空しく立つか」 040 MAT 020 007 かれら言ふ「たれも我らを雇はぬ故なり」主人いふ「なんぢらも葡萄園に往け」 040 MAT 020 008 夕になりて葡萄園の主人その家 司に言ふ「勞動人を呼びて、後の者より始め、先の者にまで賃銀をはらへ」 040 MAT 020 009 かくて五 時ごろに雇はれしもの來りて、おのおの一デナリを受く。 040 MAT 020 010 先の者きたりて、多く受くるならんと思ひしに、之も亦おのおの一デナリを受く。 040 MAT 020 011 受けしとき、家主にむかひ呟きて言ふ、 040 MAT 020 012 「この後の者どもは僅に一 時間はたらきたるに、汝は一日の勞と暑さとを忍びたる我らと均しく之を遇へり」 040 MAT 020 013 主人こたへて其の一人に言ふ「友よ、我なんぢに不正をなさず、汝は我と一デナリの約束をせしにあらずや。 040 MAT 020 014 己が物を取りて往け、この後の者に汝とひとしく與ふるは、我が意なり。 040 MAT 020 015 わが物を我が意のままにするは可からずや、我よきが故に汝の目あしきか」 040 MAT 020 016 かくのごとく後なる者は先に、先なる者は後になるべし』 040 MAT 020 017 イエス、エルサレムに上らんとし給ふとき、竊に十二 弟子を近づけて、途すがら言ひ給ふ、 040 MAT 020 018 『視よ、我らエルサレムに上る、人の子は祭司長・學者らに付されん。彼ら之を死に定め、 040 MAT 020 019 また嘲弄し、鞭うち、十字架につけん爲に異邦人に付さん、かくて彼は三日めに甦へるべし』 040 MAT 020 020 ここにゼベダイの子らの母、その子らと共に御許にきたり、拜して何事か求めんとしたるに、 040 MAT 020 021 イエス彼に言ひたまふ『何を望むか』かれ言ふ『この我が二人の子が汝の御國にて、一人は汝の右に、一人は左に坐せんことを命じ給へ』 040 MAT 020 022 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢらは求むる所を知らず、我が飮まんとする酒杯を飮み得るか』かれら言ふ『得るなり』 040 MAT 020 023 イエス言ひたまふ『實に汝らは我が酒杯を飮むべし、されど我が右 左に坐することは、これ我の與ふべきものならず、我が父より備へられたる人こそ與へらるるなれ』 040 MAT 020 024 十 人の弟子これを聞き、二人の兄弟の事によりて憤ほる。 040 MAT 020 025 イエス彼らを呼びて言ひたまふ『異邦人の君のその民を宰どり、大なる者の民の上に權を執ることは、汝らの知る所なり。 040 MAT 020 026 汝らの中にては然らず、汝らの中に大ならんと思ふ者は、汝らの役者となり、 040 MAT 020 027 首たらんと思ふ者は汝らの僕となるべし。 040 MAT 020 028 かくのごとく、人の子の來れるも事へらるる爲にあらず、反つて事ふることをなし、又おほくの人の贖償として己が生命を與へん爲なり』 040 MAT 020 029 彼らエリコを出づるとき、大なる群衆イエスに從へり。 040 MAT 020 030 視よ、二人の盲人、路の傍らに坐しをりしが、イエスの過ぎ給ふことを聞き、叫びて言ふ『主よ、ダビデの子よ、我らを憫みたまへ』 040 MAT 020 031 群衆かれらを禁めて默さしめんとしたれど、愈々 叫びて言ふ『主よ、ダビデの子よ、我らを憫み給へ』 040 MAT 020 032 イエス立ちどまり、彼らを呼びて言ひ給ふ『わが汝らに何を爲さんことを望むか』 040 MAT 020 033 彼ら言ふ『主よ、目の開かれんことなり』 040 MAT 020 034 イエスいたく憫みて彼らの目に觸り給へば、直ちに物 見ることを得て、イエスに從へり。 040 MAT 021 001 彼らエルサレムに近づき、オリブ山の邊なるベテパゲに到りし時、イエス二人の弟子を遣さんとして言ひ給ふ、 040 MAT 021 002 『向の村にゆけ、やがて繋ぎたる驢馬のその子とともに在るを見ん、解きて我に牽ききたれ。 040 MAT 021 003 誰かもし汝らに何とか言はば「主の用なり」と言へ、さらば直ちに之を遣さん』 040 MAT 021 004 此の事の起りしは、預言者によりて云はれたる言の成就せん爲なり。曰く、 040 MAT 021 005 『シオンの娘に告げよ、「視よ、汝の王、なんぢに來り給ふ。柔和にして驢馬に乘り、軛を負ふ驢馬の子に乘りて」』 040 MAT 021 006 弟子たち往きて、イエスの命じ給へる如くして、 040 MAT 021 007 驢馬とその子とを牽ききたり、己が衣をその上におきたれば、イエス之に乘りたまふ。 040 MAT 021 008 群衆の多くはその衣を途にしき、或 者は樹の枝を伐りて途に敷く。 040 MAT 021 009 かつ前にゆき後にしたがふ群衆よばはりて言ふ『ダビデの子にホサナ、讃むべきかな、主の御名によりて來る者。いと高き處にてホサナ』 040 MAT 021 010 遂にエルサレムに入り給へば、都 擧りて騷 立ちて言ふ『これは誰なるぞ』 040 MAT 021 011 群衆いふ『これガリラヤのナザレより出でたる預言者イエスなり』 040 MAT 021 012 イエス宮に入り、その内なる凡ての賣買する者を逐ひいだし、兩替する者の臺、鴿を賣る者の腰掛を倒して言ひ給ふ、 040 MAT 021 013 『「わが家は祈の家と稱へらるべし」と録されたるに、汝らは之を強盜の巣となす』 040 MAT 021 014 宮にて盲人・跛者ども御許に來りたれば、之を醫したまへり。 040 MAT 021 015 祭司長・學者らイエスの爲し給へる不思議なる業と、宮にて呼はり『ダビデの子にホサナ』と言ひをる子 等とを見、憤ほりて、 040 MAT 021 016 イエスに言ふ『なんぢ彼らの言ふところを聞くか』イエス言ひ給ふ『然り「嬰兒 乳兒の口に讃美を備へ給へり」とあるを未だ讀まぬか』 040 MAT 021 017 遂に彼らを離れ、都を出でてベタニヤにゆき、そこに宿り給ふ。 040 MAT 021 018 朝 早く都にかへる時、イエス飢ゑたまふ。 040 MAT 021 019 路の傍なる一もとの無花果の樹を見て、その下に到り給ひしに、葉のほかに何をも見出さず、之に對ひて『今より後いつまでも果を結ばざれ』と言ひ給へば、無花果の樹たちどころに枯れたり。 040 MAT 021 020 弟子たち之を見、怪しみて言ふ『無花果の樹の斯く立刻に枯れたるは何ぞや』 040 MAT 021 021 イエス答へて言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、もし汝ら信仰ありて疑はずば、啻に此の無花果の樹にありし如きことを爲し得るのみならず、此の山に「移りて海に入れ」と言ふとも亦 成るべし。 040 MAT 021 022 かつ祈のとき何にても信じて求めば、ことごとく得べし』 040 MAT 021 023 宮に到りて教へ給ふとき、祭司長・民の長老ら御許に來りて言ふ『何の權威をもて此 等の事をなすか、誰がこの權威を授けしか』 040 MAT 021 024 イエス答へて言ひたまふ『我も一言なんぢらに問はん、もし夫を告げなば、我もまた何の權威をもて此 等のことを爲すかを告げん。 040 MAT 021 025 ヨハネのバプテスマは何處よりぞ、天よりか、人よりか』かれら互に論じて言ふ『もし天よりと言はば「何 故かれを信ぜざりし」と言はん。 040 MAT 021 026 もし人よりと言はんか、人みなヨハネを預言者と認むれば、我らは群衆を恐る』 040 MAT 021 027 遂に答へて『知らず』と言へり。イエスもまた言ひたまふ『我も何の權威をもて此 等のことを爲すか汝らに告げじ。 040 MAT 021 028 なんぢら如何に思ふか、或 人ふたりの子ありしが、その兄にゆきて言ふ「子よ、今日、葡萄園に往きて働け」 040 MAT 021 029 答へて「主よ、我ゆかん」と言ひて終に往かず。 040 MAT 021 030 また弟にゆきて同じやうに言ひしに、答へて「往かじ」と言ひたれど、後くいて往きたり。 040 MAT 021 031 この二人のうち孰か父の意を爲しし』彼らいふ『後の者なり』イエス言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、取税人と遊女とは汝らに先だちて神の國に入るなり。 040 MAT 021 032 それヨハネ義の道をもて來りしに、汝らは彼を信ぜず、取税人と遊女とは信じたり。然るに汝らは之を見し後も、なほ悔改めずして信ぜざりき。 040 MAT 021 033 また一つの譬を聽け、ある家主、葡萄園をつくりて籬をめぐらし、中に酒槽を掘り、櫓を建て、農夫どもに貸して遠く旅立せり。 040 MAT 021 034 果期ちかづきたれば、その果を受取らんとて僕らを農夫どもの許に遣ししに、 040 MAT 021 035 農夫どもその僕らを執へて、一人を打ちたたき、一人をころし、一人を石にて撃てり。 040 MAT 021 036 復ほかの僕らを前よりも多く遣ししに、之をも同じやうに遇へり。 040 MAT 021 037 「わが子は敬ふならん」と言ひて、遂にその子を遣ししに、 040 MAT 021 038 農夫ども此の子を見て互に言ふ「これは世嗣なり、いざ殺して、その嗣業を取らん」 040 MAT 021 039 かくて之をとらへ、葡萄園の外に逐ひ出して殺せり。 040 MAT 021 040 さらば葡萄園の主人きたる時、この農夫どもに何を爲さんか』 040 MAT 021 041 かれら言ふ『その惡人どもを飽くまで滅し、果期におよびて果を納むる他の農夫どもに葡萄園を貸し與ふべし』 040 MAT 021 042 イエス言ひたまふ『聖書に、「造家者らの棄てたる石は、これぞ隅の首石となれる、これ主によりて成れるにて、我らの目には奇しきなり」とあるを汝ら未だ讀まぬか。 040 MAT 021 043 この故に汝らに告ぐ、汝らは神の國をとられ、其の果を結ぶ國人は、之を與へらるべし。 040 MAT 021 044 この石の上に倒るる者はくだけ、又この石、人のうへに倒るれば、其の人を微塵とせん』 040 MAT 021 045 祭司長・パリサイ人ら、イエスの譬をきき、己らを指して語り給へるを悟り、 040 MAT 021 046 イエスを執へんと思へど群衆を恐れたり、群衆かれを預言者とするに因る。 040 MAT 022 001 イエスまた譬をもて答へて言ひ給ふ 040 MAT 022 002 『天國は己が子のために婚筵を設くる王のごとし。 040 MAT 022 003 婚筵に招きおきたる人々を迎へんとて僕どもを遺ししに、來るを肯はず。 040 MAT 022 004 復ほかの僕どもを遣すとて言ふ「招きたる人々に告げよ、視よ、晝餐は既に備りたり。我が牛も肥えたる畜も屠られて、凡ての物 備りたれば、婚筵に來れと」 040 MAT 022 005 然るに人々 顧みずして、或 者は己が畑に、或 者は己が商賣に往けり。 040 MAT 022 006 また他の者は僕を執へて、辱しめかつ殺したれば、 040 MAT 022 007 王 怒りて軍勢を遣し、かの兇行者を滅して其の町を燒きたり。 040 MAT 022 008 かくて僕どもに言ふ「婚筵は既に備りたれど、招きたる者どもは相應しからず。 040 MAT 022 009 されば汝ら街に往きて、遇ふほどの者を婚筵に招け」 040 MAT 022 010 僕ども途に出でて、善きも惡しきも遇ふほどの者をみな集めたれば、婚禮の席は客にて滿てり。 040 MAT 022 011 王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て、 040 MAT 022 012 之に言ふ「友よ、如何なれば禮服を著けずして此處に入りたるか」かれ默しゐたり。 040 MAT 022 013 ここに王、侍者らに言ふ「その手 足を縛りて外の暗黒に投げいだせ、其處にて哀哭・切齒することあらん」 040 MAT 022 014 それ招かるる者は多かれど、選ばるる者は少し』 040 MAT 022 015 ここにパリサイ人ら出でて、如何にしてかイエスを言の羂に係けんと相 議り、 040 MAT 022 016 その弟子らをヘロデ黨の者どもと共に遺して言はしむ『師よ、我らは知る、なんじは眞にして、眞をもて神の道を教へ、かつ誰をも憚りたまふ事なし、人の外貌を見 給はぬ故なり。 040 MAT 022 017 されば我らに告げたまへ、貢をカイザルに納むるは可きか、惡しきか、如何に思ひたまふ』 040 MAT 022 018 イエスその邪曲なるを知りて言ひたまふ『僞善者よ、なんぞ我を試むるか。 040 MAT 022 019 貢の金を我に見せよ』彼らデナリ一つを持ち來る。 040 MAT 022 020 イエス言ひ給ふ『これは誰の像、たれの號なるか』 040 MAT 022 021 彼ら言ふ『カイザルのなり』ここに彼らに言ひ給ふ『さらばカイザルの物はカイザルに、神の物は神に納めよ』 040 MAT 022 022 彼ら之を聞きて怪しみ、イエスを離れて去り往けり。 040 MAT 022 023 復活なしといふサドカイ人ら、その日みもとに來り問ひて言ふ 040 MAT 022 024 『師よ、モーセは「人もし子なくして死なば、其の兄弟かれの妻を娶りて、兄弟のために世嗣を擧ぐべし」と云へり。 040 MAT 022 025 我らの中に七人の兄弟ありしが、兄めとりて死に、世嗣なくして其の妻を弟に遺したり。 040 MAT 022 026 その二その三より、その七まで皆かくの如く爲し、 040 MAT 022 027 最後にその女も死にたり。 040 MAT 022 028 されば復活の時、その女は七人のうち誰の妻たるべきか、彼ら皆これを妻としたればなり』 040 MAT 022 029 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢら聖書をも神の能力をも知らぬ故に誤れり。 040 MAT 022 030 それ人よみがへりの時は、娶らず嫁がず、天に在る御使たちの如し。 040 MAT 022 031 死人の復活に就きては、神なんぢらに告げて、 040 MAT 022 032 「我はアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神なり」と言ひ給へることを未だ讀まぬか。神は死にたる者の神にあらず、生ける者の神なり』 040 MAT 022 033 群衆これを聞きて其の教に驚けり。 040 MAT 022 034 パリサイ人ら、イエスのサドカイ人らを默さしめ給ひしことを聞きて相 集り、 040 MAT 022 035 その中なる一人の教法師、イエスを試むる爲に問ふ 040 MAT 022 036 『師よ、律法のうち孰の誡命が大なる』 040 MAT 022 037 イエス言ひ給ふ『「なんぢ心を盡し、精神を盡し、思を盡して主なる汝の神を愛すべし」 040 MAT 022 038 これは大にして第一の誡命なり。 040 MAT 022 039 第二もまた之にひとし「おのれの如くなんぢの隣を愛すべし」 040 MAT 022 040 律法 全體と預言者とは此の二つの誡命に據るなり』 040 MAT 022 041 パリサイ人らの集りたる時、イエス彼らに問ひて言ひ給ふ 040 MAT 022 042 『なんぢらはキリストに就きて如何に思ふか、誰の子なるか』かれら言ふ『ダビデの子なり』 040 MAT 022 043 イエス言ひ給ふ『さらばダビデ御靈に感じて何 故かれを主と稱ふるか。曰く 040 MAT 022 044 「主わが主に言ひ給ふ、われ汝の敵を汝の足の下に置くまでは、我が右に坐せよ」 040 MAT 022 045 斯くダビデ彼を主と稱ふれば、爭でその子ならんや』 040 MAT 022 046 誰も一言だに答ふること能はず、その日より敢へて復イエスに問ふ者なかりき。 040 MAT 023 001 ここにイエス群衆と弟子たちとに語りて言ひ給ふ、 040 MAT 023 002 『學者とパリサイ人とはモーセの座を占む。 040 MAT 023 003 されば凡てその言ふ所は守りて行へ、されどその所作には效ふな、彼らは言ふのみにて行はぬなり。 040 MAT 023 004 また重き荷を括りて人の肩にのせ、己は指にて之を動かさんともせず。 040 MAT 023 005 凡てその所作は人に見られん爲にするなり。即ちその經札を幅ひろくし、衣の總を大くし、 040 MAT 023 006 饗宴の上席、會堂の上座、 040 MAT 023 007 市場にての敬禮、また人にラビと呼ばるることを好む。 040 MAT 023 008 されど汝らはラビの稱を受くな、汝らの師は一人にして、汝 等はみな兄弟なり。 040 MAT 023 009 地にある者を父と呼ぶな、汝らの父は一人、すなはち天に在す者なり。 040 MAT 023 010 また導師の稱を受くな、汝らの導師はひとり、即ちキリストなり。 040 MAT 023 011 汝 等のうち大なる者は、汝らの役者とならん。 040 MAT 023 012 凡そおのれを高うする者は卑うせられ、己を卑うする者は高うせらるるなり。 040 MAT 023 013 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、なんぢらは人の前に天國を閉して自ら入らず、入らんとする人の入るをも許さぬなり。 040 MAT 023 014 [なし] 040 MAT 023 015 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、汝らは一人の改宗者を得んために海 陸を經めぐり、既に得れば、之を己に倍したるゲヘナの子となすなり。 040 MAT 023 016 禍害なるかな、盲目なる手引よ、なんぢらは言ふ「人もし宮を指して誓はば事なし、宮の黄金を指して誓はば果さざるべからず」と。 040 MAT 023 017 愚にして盲目なる者よ、黄金と黄金を聖ならしむる宮とは孰か貴き。 040 MAT 023 018 なんぢら又いふ「人もし祭壇を指して誓はば事なし、其の上の供物を指して誓はば果さざるべからず」と。 040 MAT 023 019 盲目なる者よ、供物と供物を聖ならしむる祭壇とは孰か貴き。 040 MAT 023 020 されば祭壇を指して誓ふ者は、祭壇とその上の凡ての物とを指して誓ふなり。 040 MAT 023 021 宮を指して誓ふ者は、宮とその内に住みたまふ者とを指して誓ふなり。 040 MAT 023 022 また天を指して誓ふ者は、神の御座とその上に坐したまふ者とを指して誓ふなり。 040 MAT 023 023 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、汝らは薄荷・蒔蘿・クミンの十分の一を納めて、律法の中にて尤も重き公平と憐憫と忠信とを等閑にす。されど之は行ふべきものなり、而して、彼もまた等閑にすべきものならず。 040 MAT 023 024 盲目なる手引よ、汝らは蚋を漉し出して駱駝を呑むなり。 040 MAT 023 025 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、汝らは酒杯と皿との外を潔くす、されど内は貪慾と放縱とにて滿つるなり。 040 MAT 023 026 盲目なるパリサイ人よ、汝まづ酒杯の内を潔めよ、さらば外も潔くなるべし。 040 MAT 023 027 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、汝らは白く塗りたる墓に似たり、外は美しく見ゆれども、内は死人の骨とさまざまの穢とにて滿つ。 040 MAT 023 028 かくのごとく汝らも外は人に正しく見ゆれども、内は僞善と不法とにて滿つるなり。 040 MAT 023 029 禍害なるかな、僞善なる學者、パリサイ人よ、汝らは預言者の墓をたて、義人の碑を飾りて言ふ、 040 MAT 023 030 「我らもし先祖の時にありしならば、預言者の血を流すことに與せざりしものを」と。 040 MAT 023 031 かく汝らは預言者を殺しし者の子たるを自ら證す。 040 MAT 023 032 なんぢら己が先祖の桝目を充せ。 040 MAT 023 033 蛇よ、蝮の裔よ、なんぢら爭でゲヘナの刑罰を避け得んや。 040 MAT 023 034 この故に視よ、我なんぢらに預言者・智者・學者らを遣さんに、其の中の或 者を殺し、十字架につけ、或 者を汝らの會堂にて鞭うち、町より町に逐ひ苦しめん。 040 MAT 023 035 之によりて義人アベルの血より、聖所と祭壇との間にて汝らが殺ししバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上にて流したる正しき血は、皆なんぢらに報い來らん。 040 MAT 023 036 まことに汝らに告ぐ、これらの事はみな今の代に報い來るべし。 040 MAT 023 037 ああエルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、遣されたる人々を石にて撃つ者よ、牝鷄のその雛を翼の下に集むるごとく、我なんぢの子どもを集めんとせしこと幾度ぞや、されど汝らは好まざりき。 040 MAT 023 038 視よ、汝らの家は廢てられて汝らに遺らん。 040 MAT 023 039 われ汝らに告ぐ「讃むべきかな、主の名によりて來る者」と、汝 等のいふ時の至るまでは、今より我を見ざるべし』 040 MAT 024 001 イエス宮を出でてゆき給ふとき、弟子たち宮の建造物を示さんとて御許に來りしに、 040 MAT 024 002 答へて言ひ給ふ『なんぢら此の一切の物を見ぬか。誠に汝らに告ぐ、此處に一つの石も崩されずしては石の上に遺らじ』 040 MAT 024 003 オリブ山に坐し給ひしとき、弟子たち竊に御許に來りて言ふ『われらに告げ給へ、これらの事は何時あるか、又なんぢの來り給ふと世の終とには、何の兆あるか』 040 MAT 024 004 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢら人に惑されぬやうに心せよ。 040 MAT 024 005 多くの者わが名を冒し來り「我はキリストなり」と言ひて多くの人を惑さん。 040 MAT 024 006 又なんぢら戰爭と戰爭の噂とを聞かん、愼みて懼るな。かかる事はあるべきなり、されど未だ終にはあらず。 040 MAT 024 007 即ち「民は民に、國は國に逆ひて起たん」また處々に饑饉と地震とあらん、 040 MAT 024 008 此 等はみな産の苦難の始なり。 040 MAT 024 009 そのとき人々なんぢらを患難に付し、また殺さん、汝 等わが名の爲に、もろもろの國人に憎まれん。 040 MAT 024 010 その時おほくの人つまづき、且たがひに付し、互に憎まん。 040 MAT 024 011 多くの僞 預言者おこりて、多くの人を惑さん。 040 MAT 024 012 また不法の増すによりて、多くの人の愛ひややかにならん。 040 MAT 024 013 されど終まで耐へしのぶ者は救はるべし。 040 MAT 024 014 御國のこの福音は、もろもろの國人に證をなさんため全世界に宣傅へられん、而してのち終は至るべし。 040 MAT 024 015 なんぢら預言者ダニエルによりて言はれたる「荒す惡むべき者」の聖なる處に立つを見ば(讀む者さとれ) 040 MAT 024 016 その時ユダヤに居る者どもは山に遁れよ。 040 MAT 024 017 屋の上に居る者はその家の物を取り出さんとして下るな。 040 MAT 024 018 畑にをる者は上衣を取らんとて歸るな。 040 MAT 024 019 その日には孕りたる者と乳を哺まする者とは禍害なるかな。 040 MAT 024 020 汝らの遁ぐることの冬または安息 日に起らぬように祈れ。 040 MAT 024 021 そのとき大なる患難あらん、世の創より今に至るまでかかる患難はなく、また後にも無からん。 040 MAT 024 022 その日もし少くせられずば、一人だに救はるる者なからん、されど選民の爲にその日 少くせらるべし。 040 MAT 024 023 その時あるひは「視よ、キリスト此處にあり」或は「此處にあり」と言ふ者ありとも信ずな。 040 MAT 024 024 僞キリスト・僞 預言者おこりて、大なる徴と不思議とを現し、爲し得べくば選民をも惑さんとするなり。 040 MAT 024 025 視よ、あらかじめ之を汝らに告げおくなり。 040 MAT 024 026 されば人もし汝らに「視よ、彼は荒野にあり」といふとも出で往くな「視よ、彼は部屋にあり」と言ふとも信ずな。 040 MAT 024 027 電光の東より出でて西にまで閃きわたる如く、人の子の來るも亦 然らん。 040 MAT 024 028 それ死骸のある處には鷲あつまらん。 040 MAT 024 029 これらの日の患難ののち直ちに日は暗く、月は光を發たず、星は空より隕ち、天の萬象ふるひ動かん。 040 MAT 024 030 そのとき人の子の兆、天に現れん。そのとき地上の諸族みな嘆き、かつ人の子の能力と大なる榮光とをもて、天の雲に乘り來るを見ん。 040 MAT 024 031 また彼は使たちを大なるラッパの聲とともに遣さん。使たちは天の此の極より彼の極まで、四方より選民を集めん。 040 MAT 024 032 無花果の樹よりの譬をまなべ、その枝すでに柔かくなりて葉 芽ぐめば、夏の近きを知る。 040 MAT 024 033 かくのごとく汝らも此 等のすべての事を見ば、人の子すでに近づきて門邊に到るを知れ。 040 MAT 024 034 誠に汝らに告ぐ、これらの事ことごとく成るまで、今の代は過ぎ往くまじ。 040 MAT 024 035 天 地は過ぎゆかん、されど我が言は過ぎ往くことなし。 040 MAT 024 036 その日その時を知る者なし、天の使たちも知らず、子も知らず、ただ父のみ知り給ふ。 040 MAT 024 037 ノアの時のごとく人の子の來るも然あるべし。 040 MAT 024 038 曾て洪水の前ノア方舟に入る日までは、人々 飮み食ひ、娶り嫁がせなどし、 040 MAT 024 039 洪水の來りて悉とく滅すまでは知らざりき、人の子の來るも然あるべし。 040 MAT 024 040 そのとき二人の男 畑にをらんに、一人は取られ一人は遺されん。 040 MAT 024 041 二人の女 磨ひき居らんに、一人は取られ一人は遺されん。 040 MAT 024 042 されば目を覺しをれ、汝らの主のきたるは、何れの日なるかを知らざればなり。 040 MAT 024 043 汝 等これを知れ、家主もし盜人いづれの時きたるかを知らば、目をさまし居て、その家を穿たすまじ。 040 MAT 024 044 この故に汝らも備へをれ、人の子は思はぬ時に來ればなり。 040 MAT 024 045 主人が時に及びて食物を與へさする爲に、家の者のうへに立てたる忠實にして慧き僕は誰なるか。 040 MAT 024 046 主人のきたる時、かく爲し居るを見らるる僕は幸福なり。 040 MAT 024 047 まことに汝らに告ぐ、主人すべての所有を彼に掌どらすべし。 040 MAT 024 048 もしその僕 惡しくして、心のうちに主人は遲しと思ひて、 040 MAT 024 049 その同輩を扑きはじめ、酒徒らと飮食を共にせば、 040 MAT 024 050 その僕の主人おもはぬ日しらぬ時に來りて、 040 MAT 024 051 之を烈しく笞うち、その報を僞善者と同じうせん。其處にて哀哭・切齒することあらん。 040 MAT 025 001 このとき天國は、燈火を執りて新郎を迎へに出づる、十 人の處女に比ふべし。 040 MAT 025 002 その中の五 人は愚にして五 人は慧し。 040 MAT 025 003 愚なる者は燈火をとりて油を携へず、 040 MAT 025 004 慧きものは油を器に入れて燈火とともに携へたり。 040 MAT 025 005 新郎 遲かりしかば、皆まどろみて寢ぬ。 040 MAT 025 006 夜半に「やよ、新郎なるぞ、出で迎へよ」と呼はる聲す。 040 MAT 025 007 ここに處女みな起きてその燈火を整へたるに、 040 MAT 025 008 愚なる者は慧きものに言ふ「なんぢらの油を分けあたへよ、我らの燈火きゆるなり」 040 MAT 025 009 慧きもの答へて言ふ「恐らくは我らと汝らとに足るまじ、寧ろ賣るものに往きて己がために買へ」 040 MAT 025 010 彼ら買はんとて往きたる間に新郎きたりたれば、備へをりし者どもは彼とともに婚筵にいり、而して門は閉されたり。 040 MAT 025 011 その後かの他の處女ども來りて「主よ、主よ、われらの爲にひらき給へ」と言ひしに、 040 MAT 025 012 答へて「まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず」と言へり。 040 MAT 025 013 されば目を覺しをれ、汝らは其の日その時を知らざるなり。 040 MAT 025 014 また或 人とほく旅立せんとして、其の僕どもを呼び、之に己が所有を預くるが如し。 040 MAT 025 015 各人の能力に應じて、或 者には五タラント、或 者には二タラント、或 者には一タラントを與へ置きて旅立せり。 040 MAT 025 016 五タラントを受けし者は、直ちに往き、之をはたらかせて他に五タラントを贏け、 040 MAT 025 017 二タラントを受けし者も同じく他に二タラントを贏く。 040 MAT 025 018 然るに一タラントを受けし者は、往きて地を掘り、その主人の銀をかくし置けり。 040 MAT 025 019 久しうして後この僕どもの主人きたりて彼らと計算したるに、 040 MAT 025 020 五タラントを受けし者は他に五タラントを持ちきたりて言ふ「主よ、なんぢ我に五タラントを預けたりしが、視よ、他に五タラントを贏けたり」 040 MAT 025 021 主人いふ「宜いかな、善かつ忠なる僕、なんぢは僅なる物に忠なりき。我なんぢに多くの物を掌どらせん、汝の主人の勸喜に入れ」 040 MAT 025 022 二タラントを受けし者も來りて言ふ「主よ、なんぢ我に二タラントを預けたりしが、視よ、他に二タラントを贏けたり」 040 MAT 025 023 主人いふ「宜いかな、善かつ忠なる僕、なんぢは僅なる物に忠なりき。我なんぢに多くの物を掌どらせん、汝の主人の勸喜にいれ」 040 MAT 025 024 また一タラントを受けし者もきたりて言ふ「主よ、我はなんぢの嚴しき人にて、播かぬ處より刈り、散らさぬ處より斂むることを知るゆゑに、 040 MAT 025 025 懼れてゆき、汝のタラントを地に藏しおけり。視よ、汝はなんぢの物を得たり」 040 MAT 025 026 主人こたへて言ふ「惡しくかつ惰れる僕、わが播かぬ處より刈り、散さぬ處より斂むることを知るか。 040 MAT 025 027 さらば我が銀を銀行にあづけ置くべかりしなり、我きたりて利子とともに我が物をうけ取りしものを。 040 MAT 025 028 されば彼のタラントを取りて十タラントを有てる人に與へよ。 040 MAT 025 029 すべて有てる人は、與へられて愈々 豐ならん。されど有たぬ者は、その有てる物をも取らるべし。 040 MAT 025 030 而して此の無 益なる僕を外の暗黒に逐ひいだせ、其處にて哀哭・切齒することあらん」 040 MAT 025 031 人の子その榮光をもて、もろもろの御使を率ゐきたる時、その榮光の座位に坐せん。 040 MAT 025 032 かくてその前にもろもろの國人あつめられん、之を別つこと牧羊者が羊と山羊とを別つ如くして、 040 MAT 025 033 羊をその右に、山羊をその左におかん。 040 MAT 025 034 ここに王その右にをる者どもに言はん「わが父に祝せられたる者よ、來りて世の創より汝 等のために備へられたる國を嗣げ。 040 MAT 025 035 なんぢら我が飢ゑしときに食はせ、渇きしときに飮ませ、旅人なりし時に宿らせ、 040 MAT 025 036 裸なりしときに衣せ、病みしときに訪ひ、獄に在りしときに來りたればなり」 040 MAT 025 037 ここに、正しき者ら答へて言はん「主よ、何時なんぢの飢ゑしを見て食はせ、渇きしを見て飮ませし。 040 MAT 025 038 何時なんぢの旅人なりしを見て宿らせ、裸なりしを見て衣せし。 040 MAT 025 039 何時なんぢの病みまた獄に在りしを見て、汝にいたりし」 040 MAT 025 040 王こたへて言はん「まことに汝らに告ぐ、わが兄弟なる此 等のいと小き者の一人になしたるは、即ち我に爲したるなり」 040 MAT 025 041 かくてまた左にをる者どもに言はん「詛はれたる者よ、我を離れて惡魔とその使らとのために備へられたる永遠の火に入れ。 040 MAT 025 042 なんぢら我が飢ゑしときに食はせず、渇きしときに飮ませず、 040 MAT 025 043 旅人なりしときに宿らせず、裸なりしときに衣せず、病みまた獄にありしときに訪はざればなり」 040 MAT 025 044 ここに彼らも答へて言はん「主よ、いつ汝の飢ゑ、或は渇き、或は旅人、あるひは裸、あるひは病み、或は獄に在りしを見て事へざりし」 040 MAT 025 045 ここに王こたへて言はん「誠になんぢらに告ぐ、此 等のいと小きものの一人に爲さざりしは、即ち我になさざりしなり」と。 040 MAT 025 046 かくて、これらの者は去りて永遠の刑罰にいり、正しき者は永遠の生命に入らん』 040 MAT 026 001 イエスこれらの言をみな語りをへて、弟子たちに言ひ給ふ 040 MAT 026 002 『なんぢらの知るごとく、二日の後は過越の祭なり、人の子は十字架につけられん爲に賣らるべし』 040 MAT 026 003 そのとき祭司長・民の長老ら、カヤパといふ大 祭司の中庭に集り、 040 MAT 026 004 詭計をもてイエスを捕へ、かつ殺さんと相 議りたれど、 040 MAT 026 005 又いふ『まつりの間は爲すべからず、恐らくは民の中に亂 起らん』 040 MAT 026 006 イエス、ベタニヤにて癩病人シモンの家に居給ふ時、 040 MAT 026 007 ある女、石膏の壺に入りたる貴き香 油を持ちて、近づき來り、食事の席に就き居給ふイエスの首に注げり。 040 MAT 026 008 弟子たち之を見て憤ほり言ふ『何 故かく濫なる費をなすか。 040 MAT 026 009 之を多くの金に賣りて、貧しき者に施すことを得たりしものを』 040 MAT 026 010 イエス之を知りて言ひたまふ『何ぞこの女を惱すか、我に善き事をなせるなり。 040 MAT 026 011 貧しき者は常に汝らと偕にをれど、我は常に偕に居らず。 040 MAT 026 012 この女の我が體に香 油を注ぎしは、わが葬りの備をなせるなり。 040 MAT 026 013 まことに汝らに告ぐ、全世界いずこにても、この福音の宣傅へらるる處には、この女のなしし事も記念として語らるべし』 040 MAT 026 014 ここに十二 弟子の一人イスカリオテのユダといふ者、祭司長らの許にゆきて言ふ 040 MAT 026 015 『なんぢらに彼を付さば、何ほど我に與へんとするか』彼ら銀 三十を量り出せり。 040 MAT 026 016 ユダこの時よりイエスを付さんと好き機を窺ふ。 040 MAT 026 017 除酵祭の初の日、弟子たちイエスに來りて言ふ『過越の食をなし給ふために、何處に我らが備ふる事を望み給ふか』 040 MAT 026 018 イエス言ひたまふ『都にゆき、某のもとに到りて「師いふ、わが時 近づけり。われ弟子たちと共に過越を汝の家にて守らん」と言へ』 040 MAT 026 019 弟子たちイエスの命じ給ひし如くして、過越の備をなせり。 040 MAT 026 020 日 暮れて十二 弟子とともに席に就きて、 040 MAT 026 021 食するとき言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、汝らの中の一人われを賣らん』 040 MAT 026 022 弟子たち甚く憂ひて、おのおの『主よ、我なるか』と言ひいでしに、 040 MAT 026 023 答へて言ひたまふ『我とともに手を鉢に入るる者われを賣らん。 040 MAT 026 024 人の子は己に就きて録されたる如く逝くなり。されど人の子を賣る者は禍害なるかな、その人は生れざりし方よかりしものを』 040 MAT 026 025 イエスを賣るユダ答へて言ふ『ラビ、我なるか』イエス言ひ給ふ『なんぢの言へる如し』 040 MAT 026 026 彼ら食しをる時、イエス、パンをとり、祝してさき、弟子たちに與へて言ひ給ふ『取りて食へ、これは我が體なり』 040 MAT 026 027 また酒杯をとりて謝し、彼らに與へて言ひ給ふ『なんぢら皆この酒杯より飮め。 040 MAT 026 028 これは契約のわが血なり、多くの人のために、罪の赦を得させんとて流す所のものなり。 040 MAT 026 029 われ汝らに告ぐ、わが父の國にて新しきものを汝らと共に飮む日までは、われ今より後この葡萄の果より成るものを飮まじ』 040 MAT 026 030 彼ら讃美を歌ひて後オリブ山に出でゆく。 040 MAT 026 031 ここにイエス弟子たちに言ひ給ふ『今宵なんぢら皆われに就きて躓かん「われ牧羊者を打たん、さらば群の羊 散るべし」と録されたるなり。 040 MAT 026 032 されど我よみがへりて後、なんぢらに先だちてガリラヤに往かん』 040 MAT 026 033 ペテロ答へて言ふ『假令みな汝に就きて躓くとも我はいつまでも躓かじ』 040 MAT 026 034 イエス言ひ給ふ『まことに汝に告ぐ、こよひ鷄 鳴く前に、なんぢ三たび我を否むべし』 040 MAT 026 035 ペテロ言ふ『我なんぢと共に死ぬべき事ありとも汝を否まず』弟子たち皆かく言へり。 040 MAT 026 036 ここにイエス彼らと共にゲツセマネといふ處にいたりて、弟子たちに言ひ給ふ『わが彼處にゆきて祈る間、なんぢら此處に坐せよ』 040 MAT 026 037 かくてペテロとゼベダイの子 二人とを伴ひゆき、憂ひ悲しみ出でて言ひ給ふ、 040 MAT 026 038 『わが心いたく憂ひて死ぬばかりなり。汝ら此處に止りて我と共に目を覺しをれ』 040 MAT 026 039 少し進みゆきて、平伏し祈りて言ひ給ふ『わが父よ、もし得べくば此の酒杯を我より過ぎ去らせ給へ。されど我が意の儘にとにはあらず、御意のままに爲し給へ』 040 MAT 026 040 弟子たちの許にきたり、その眠れるを見てペテロに言ひ給ふ『なんぢら斯く一 時も我と共に目を覺し居ること能はぬか。 040 MAT 026 041 誘惑に陷らぬやう、目を覺しかつ祈れ。實に心は熱すれども肉體よわきなり』 040 MAT 026 042 また二度ゆき祈りて言ひ給ふ『わが父よ、この酒杯もし我 飮までは過ぎ去りがたくば、御意のままに成し給へ』 040 MAT 026 043 復きたりて彼らの眠れるを見たまふ、是その目 疲れたるなり。 040 MAT 026 044 また離れゆきて、三たび同じ言にて祈り給ふ。 040 MAT 026 045 而して弟子たちの許に來りて言ひ給ふ『今は眠りて休め。視よ、時 近づけり、人の子は罪人らの手に付さるるなり。 040 MAT 026 046 起きよ、我ら往くべし。視よ、我を賣るもの近づけり』 040 MAT 026 047 なほ語り給ふほどに、視よ、十二 弟子の一人なるユダ來る、祭司長・民の長老らより遣されたる大なる群衆、劍と棒とをもちて之に伴ふ。 040 MAT 026 048 イエスを賣る者あらかじめ合圖を示して言ふ『わが接吻する者はそれなり、之を捕へよ』 040 MAT 026 049 かくて直ちにイエスに近づき『ラビ、安かれ』といひて接吻したれば、 040 MAT 026 050 イエス言ひたまふ『友よ、何とて來る』このとき人々すすみてイエスに手をかけて捕ふ。 040 MAT 026 051 視よ、イエスと偕にありし者のひとり、手をのべ劍を拔きて、大 祭司の僕をうちて、その耳を切り落せり。 040 MAT 026 052 ここにイエス彼に言ひ給ふ『なんぢの劍をもとに收めよ、すべて劍をとる者は劍にて亡ぶるなり。 040 MAT 026 053 我わが父に請ひて、十二 軍に餘る御使を今あたへらるること能はずと思ふか。 040 MAT 026 054 もし然せば、斯くあるべく録したる聖書はいかで成就すべき』 040 MAT 026 055 この時イエス群衆に言ひ給ふ『なんぢら強盜に向ふごとく劍と棒とをもち、我を捕へんとて出で來るか。我は日々 宮に坐して教へたりしに、汝ら我を捕へざりき。 040 MAT 026 056 されどかくの如くなるは、みな預言者たちの書の成就せん爲なり』ここに弟子たち皆イエスを棄てて逃げさりぬ。 040 MAT 026 057 イエスを捕へたる者ども、學者・長老らの集り居る大 祭司カヤパの許に曳きゆく。 040 MAT 026 058 ペテロ遠く離れ、イエスに從ひて大 祭司の中庭まで到り、その成行を見んとて、そこに入り下役どもと共に坐せり。 040 MAT 026 059 祭司長らと全 議會と、イエスを死に定めんとて、いつはりの證據を求めたるに、 040 MAT 026 060 多くの僞證者いでたれども得ず。後に二人の者いでて言ふ 040 MAT 026 061 『この人は「われ神の宮を毀ち三日にて建て得べし」と云へり』 040 MAT 026 062 大 祭司たちてイエスに言ふ『この人々が汝に對して立つる證據に何をも答へぬか』 040 MAT 026 063 されどイエス默し居給ひたれば、大 祭司いふ『われ汝に命ず、活ける神に誓ひて我らに告げよ、汝はキリスト、神の子なるか』 040 MAT 026 064 イエス言ひ給ふ『なんぢの言へる如し。かつ我なんぢらに告ぐ、今より後、なんぢら人の子の全能者の右に坐し、天の雲に乘りて來るを見ん』 040 MAT 026 065 ここに大 祭司おのが衣を裂きて言ふ『かれ瀆言をいへり、何ぞ他に證人を求めん。視よ、なんぢら今この瀆言をきけり。 040 MAT 026 066 いかに思ふか』答へて言ふ『かれは死に當れり』 040 MAT 026 067 ここに彼 等その御顏に唾し、拳にて搏ち、或 者どもは手掌にて批きて言ふ 040 MAT 026 068 『キリストよ、我らに預言せよ、汝をうちし者は誰なるか』 040 MAT 026 069 ペテロ外にて中庭に坐しゐたるに、一人の婢女きたりて言ふ『なんぢもガリラヤ人イエスと偕にゐたり』 040 MAT 026 070 かれ凡ての人の前に肯はずして言ふ『われは汝の言ふことを知らず』 040 MAT 026 071 かくて門まで出で往きたるとき、他の婢女かれを見て、其處にをる者どもに向ひて『この人はナザレ人イエスと偕にゐたり』と言へるに、 040 MAT 026 072 重ねて肯はず、契ひて『我はその人を知らず』といふ。 040 MAT 026 073 暫くして其處に立つ者ども近づきてペテロに言ふ『なんぢも慥にかの黨與なり、汝の國訛なんぢを表せり』 040 MAT 026 074 ここにペテロ盟ひかつ契ひて『我その人を知らず』と言ひ出づるをりしも、鷄 鳴きぬ。 040 MAT 026 075 ペテロ『にはとり鳴く前に、なんぢ三度われを否まん』と、イエスの言ひ給ひし御言を思ひだし、外に出でて甚く泣けり。 040 MAT 027 001 夜明けになりて、凡ての祭司長・民の長老ら、イエスを殺さんと相 議り、 040 MAT 027 002 遂に之を縛り、曳きゆきて總督ピラトに付せり。 040 MAT 027 003 ここにイエスを賣りしユダ、その死に定められ給ひしを見て悔い、祭司長・長老らに、かの三十の銀をかへして言ふ、 040 MAT 027 004 『われ罪なきの血を賣りて罪を犯したり』彼らいふ『われら何ぞ干らん、汝みづから當るべし』 040 MAT 027 005 彼その銀を聖所に投げすてて去り、ゆきて自ら縊れたり。 040 MAT 027 006 祭司長らその銀をとりて言ふ『これは血の價なれば、宮の庫に納むるは可からず』 040 MAT 027 007 かくて相 議り、その銀をもて陶工の畑を買ひ、旅人らの墓地とせり。 040 MAT 027 008 之によりて其の畑は、今に至るまで血の畑と稱へらる。 040 MAT 027 009 ここに預言者エレミヤによりて云はれたる言は成就したり。曰く『かくて彼ら値積られしもの、即ちイスラエルの子らが値積りし者の價の銀 三十をとりて、 040 MAT 027 010 陶工の畑の代に之を與へたり。主の我に命じ給ひし如し』 040 MAT 027 011 さてイエス、總督の前に立ち給ひしに、總督 問ひて言ふ『なんぢはユダヤ人の王なるか』イエス言ひ給ふ『なんぢの言ふが如し』 040 MAT 027 012 祭司長・長老ら訴ふれども、何をも答へ給はず。 040 MAT 027 013 ここにピラト彼に言ふ『聞かぬか、彼らが汝に對して如何におほくの證據を立つるを』 040 MAT 027 014 されど總督の甚く怪しむまで、一言をも答へ給はず。 040 MAT 027 015 祭の時には、總督 群衆の望にまかせて、囚人 一人を之に赦す例あり。 040 MAT 027 016 ここにバラバといふ隱れなき囚人あり。 040 MAT 027 017 されば人々の集れる時、ピラト言ふ『なんぢら我が誰を赦さんことを願ふか。バラバなるか、キリストと稱ふるイエスなるか』 040 MAT 027 018 これピラト彼らのイエスを付ししは嫉に因ると知る故なり。 040 MAT 027 019 彼なほ審判の座にをる時、その妻、人を遣して言はしむ『かの義人に係ることを爲な、我けふ夢の中にて彼の故にさまざま苦しめり』 040 MAT 027 020 祭司長・長老ら、群衆にバラバの赦されん事を請はしめ、イエスを亡さんことを勸む。 040 MAT 027 021 總督こたへて彼らに言ふ『二人の中いづれを我が赦さん事を願ふか』彼らいふ『バラバなり』 040 MAT 027 022 ピラト言ふ『さらばキリストと稱ふるイエスを我いかにすべきか』皆いふ『十字架につくべし』 040 MAT 027 023 ピラト言ふ『かれ何の惡事をなしたるか』彼ら烈しく叫びていふ『十字架につくべし』 040 MAT 027 024 ピラトは何の效なく反つて亂にならんとするを見て、水をとり群衆のまへに手を洗ひて言ふ『この人の血につきて我は罪なし、汝 等みづから當れ』 040 MAT 027 025 民みな答へて言ふ『其の血は、我らと我らの子孫とに歸すべし』 040 MAT 027 026 ここにピラト、バラバを彼らに赦し、イエスを鞭うちて、十字架につくる爲に付せり。 040 MAT 027 027 ここに總督の兵卒ども、イエスを官邸につれゆき、全 隊を御許に集め、 040 MAT 027 028 その衣をはぎて、緋色の上衣をきせ、 040 MAT 027 029 茨の冠冕を編みて、その首に冠らせ、葦を右の手にもたせ、且その前に跪づき、嘲弄して言ふ『ユダヤ人の王、安かれ』 040 MAT 027 030 また之に唾し、かの葦をとりて其の首を叩く。 040 MAT 027 031 かく嘲弄してのち、上衣を剥ぎて、故の衣をきせ、十字架につけんとて曳きゆく。 040 MAT 027 032 その出づる時、シモンといふクレネ人にあひしかば、強ひて之にイエスの十字架をおはしむ。 040 MAT 027 033 かくてゴルゴタといふ處、即ち髑髏の地にいたり、 040 MAT 027 034 苦味を混ぜたる葡萄酒を飮ませんとしたるに、嘗めて、飮まんとし給はず。 040 MAT 027 035 彼らイエスを十字架につけてのち、籤をひきて其の衣をわかち、 040 MAT 027 036 且そこに坐して、イエスを守る。 040 MAT 027 037 その首の上に『これはユダヤ人の王イエスなり』と記したる罪標を置きたり。 040 MAT 027 038 ここにイエスとともに二人の強盜、十字架につけられ、一人はその右に、一人はその左におかる。 040 MAT 027 039 往來の者どもイエスを譏り、首を振りていふ、 040 MAT 027 040 『宮を毀ちて三日のうちに建つる者よ、もし神の子ならば己を救へ、十字架より下りよ』 040 MAT 027 041 祭司長らもまた同じく、學者・長老らとともに嘲弄して言ふ、 040 MAT 027 042 『人を救ひて己を救ふこと能はず。彼はイスラエルの王なり、いま十字架より下りよかし、さらば我ら彼を信ぜん。 040 MAT 027 043 彼は神に依り頼めり、神かれを愛しまば今すくひ給ふべし「我は神の子なり」と云へり』 040 MAT 027 044 ともに十字架につけられたる強盜どもも、同じ事をもてイエスを罵れり。 040 MAT 027 045 晝の十二 時より地の上あまねく暗くなりて、三時に及ぶ。 040 MAT 027 046 三時ごろイエス大聲に叫びて『エリ、エリ、レマ、サバクタニ』と言ひ給ふ。わが神、わが神、なんぞ我を見 棄て給ひしとの意なり。 040 MAT 027 047 そこに立つ者のうち或 人々これを聞きて『彼はエリヤを呼ぶなり』と言ふ。 040 MAT 027 048 直ちにその中の一人はしりゆきて海綿をとり、酸き葡萄酒を含ませ、葦につけてイエスに飮ましむ。 040 MAT 027 049 その他の者ども言ふ『まて、エリヤ來りて彼を救ふや否や、我ら之を見ん』 040 MAT 027 050 イエス再び大聲に呼はりて息 絶えたまふ。 040 MAT 027 051 視よ、聖所の幕、上より下まで裂けて二つとなり、また地震ひ、磐さけ、 040 MAT 027 052 墓ひらけて、眠りたる聖徒の屍體おほく活きかへり、 040 MAT 027 053 イエスの復活ののち墓をいで、聖なる都に入りて、多くの人に現れたり。 040 MAT 027 054 百卒長および之と共にイエスを守りゐたる者ども、地震とその有りし事とを見て甚く懼れ『實に彼は神の子なりき』と言へり。 040 MAT 027 055 その處にて遙に望みゐたる多くの女あり、イエスに事へてガリラヤより從ひ來りし者どもなり。 040 MAT 027 056 その中には、マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、及びゼベダイの子らの母などもゐたり。 040 MAT 027 057 日 暮れて、ヨセフと云ふアリマタヤの富める人きたる。彼もイエスの弟子なるが、 040 MAT 027 058 ピラトに往きてイエスの屍體を請ふ。ここにピラト之を付すことを命ず。 040 MAT 027 059 ヨセフ屍體をとりて淨き亞麻 布につつみ、 040 MAT 027 060 岩にほりたる己が新しき墓に納め、墓の入口に大なる石を轉しおきて去りぬ。 040 MAT 027 061 其處にはマグダラのマリヤと他のマリヤと墓に向ひて坐しゐたり。 040 MAT 027 062 あくる日、即ち準備 日の翌日、祭司長らとパリサイ人らとピラトの許に集りて言ふ、 040 MAT 027 063 『主よ、かの惑すもの生き居りし時「われ三日の後に甦へらん」と言ひしを、我ら思ひいだせり。 040 MAT 027 064 されば命じて三日に至るまで墓を固めしめ給へ、恐らくはその弟子ら來りて之を盜み、「彼は死人の中より甦へれり」と民に言はん。然らば後の惑は前のよりも甚だしからん』 040 MAT 027 065 ピラト言ふ『なんぢらに番兵あり、往きて力 限り固めよ』 040 MAT 027 066 乃ち彼らゆきて石に封印し、番兵を置きて墓を固めたり。 040 MAT 028 001 さて安息 日をはりて、一週の初の日のほの明き頃、マグダラのマリヤと他のマリヤと墓を見んとて來りしに、 040 MAT 028 002 視よ、大なる地震あり、これ主の使、天より降り來りて、かの石を轉し退け、その上に坐したるなり。 040 MAT 028 003 その状は電光のごとく輝き、その衣は雪のごとく白し。 040 MAT 028 004 守の者ども彼を懼れたれば、戰きて死人の如くなりぬ。 040 MAT 028 005 御使こたへて女たちに言ふ『なんぢら懼るな、我なんぢらが十字架につけられ給ひしイエスを尋ぬるを知る。 040 MAT 028 006 此處には在さず、その言へる如く甦へり給へり。來りてその置かれ給ひし處を見よ。 040 MAT 028 007 かつ速かに往きて、その弟子たちに「彼は死人の中より甦へり給へり。視よ、汝らに先だちてガリラヤに往き給ふ、彼處にて謁ゆるを得ん」と告げよ。視よ、汝らに之を告げたり』 040 MAT 028 008 女たち懼と大なる歡喜とをもて、速かに墓を去り、弟子たちに知らせんとて走りゆく。 040 MAT 028 009 視よ、イエス彼らに遇ひて『安かれ』と言ひ給ひたれば、進みゆき、御足を抱きて拜す。 040 MAT 028 010 ここにイエス言ひたまふ『懼るな、往きて我が兄弟たちに、ガリラヤにゆき、彼處にて我を見るべきことを知らせよ』 040 MAT 028 011 女たちの往きたるとき、視よ、番兵のうちの數人、都にいたり、凡て有りし事どもを祭司長らに告ぐ。 040 MAT 028 012 祭司長ら、長老らと共に集りて相 議り、兵卒どもに多くの銀を與へて言ふ、 040 MAT 028 013 『なんぢら言へ「その弟子ら夜きたりて、我らの眠れる間に彼を盜めり」と。 040 MAT 028 014 この事もし總督に聞えなば、我ら彼を宥めて汝らに憂なからしめん』 040 MAT 028 015 彼ら銀をとりて言ひ含められたる如くしたれば、此の話ユダヤ人の中にひろまりて、今日に至れり。 040 MAT 028 016 十 一 弟子たちガリラヤに往きて、イエスの命じ給ひし山にのぼり、 040 MAT 028 017 遂に謁えて拜せり。されど疑ふ者もありき。 040 MAT 028 018 イエス進みきたり、彼らに語りて言ひたまふ『我は天にても地にても一切の權を與へられたり。 040 MAT 028 019 されば汝ら往きて、もろもろの國人を弟子となし、父と子と聖 靈との名によりてバプテスマを施し、 040 MAT 028 020 わが汝らに命ぜし凡ての事を守るべきを教へよ。視よ、我は世の終まで常に汝らと偕に在るなり』 # # BOOK 041 MAR Mark マルコの福音書 041 MAR 001 001 神の子イエス、キリストの福音の始。 041 MAR 001 002 預言者イザヤの書に、『視よ、我なんぢの顏の前に、わが使を遣す、彼なんぢの道を設くべし。 041 MAR 001 003 荒野に呼はる者の聲す、「主の道を備へ、その路すぢを直くせよ」』と録されたる如く、 041 MAR 001 004 バプテスマのヨハネ出で、荒野にて罪の赦を得さする悔改のバプテスマを宣傳ふ。 041 MAR 001 005 ユダヤ全國またエルサレムの人々、みな其の許に出で來りて罪を言ひあらはし、ヨルダン川にてバプテスマを受けたり。 041 MAR 001 006 ヨハネは駱駝の毛織を著、腰に皮の帶して、蝗と野蜜とを食へり。 041 MAR 001 007 かれ宣傳へて言ふ『我よりも力ある者、わが後に來る。我は屈みてその鞋の紐をとくにも足らず、 041 MAR 001 008 我は水にて汝らにバプテスマを施せり。されど彼は聖 靈にてバプテスマを施さん』 041 MAR 001 009 その頃イエス、ガリラヤのナザレより來り、ヨルダンにてヨハネよりバプテスマを受け給ふ。 041 MAR 001 010 かくて水より上るをりしも、天さけゆき、御靈、鴿のごとく己に降るを見 給ふ。 041 MAR 001 011 かつ天より聲 出づ『なんぢは我が愛しむ子なり、我なんぢを悦ぶ』 041 MAR 001 012 かくて御靈ただちにイエスを荒野に逐ひやる。 041 MAR 001 013 荒野にて四十 日の間サタンに試みられ、獸とともに居給ふ、御使たち之に事へぬ。 041 MAR 001 014 ヨハネの囚はれし後、イエス、ガリラヤに到り、神の福音を宣傳へて言ひ給ふ、 041 MAR 001 015 『時は滿てり、神の國は近づけり、汝ら悔改めて福音を信ぜよ』 041 MAR 001 016 イエス、ガリラヤの海にそひて歩みゆき、シモンと其の兄弟アンデレとが、海に網うちをるを見 給ふ。かれらは漁人なり。 041 MAR 001 017 イエス言ひ給ふ『われに從ひきたれ、汝 等をして人を漁る者とならしめん』 041 MAR 001 018 彼ら直ちに網をすてて從へり。 041 MAR 001 019 少し進みゆきて、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとを見 給ふ、彼らも舟にありて網を繕ひゐたり。 041 MAR 001 020 直ちに呼び給へば、父ゼベダイを雇人とともに舟に遺して從ひゆけり。 041 MAR 001 021 かくて彼らカペナウムに到る、イエス直ちに安息 日に會堂にいりて教へ給ふ。 041 MAR 001 022 人々その教に驚きあへり。それは學者の如くならず、權威ある者のごとく教へ給ふゆゑなり。 041 MAR 001 023 時にその會堂に、穢れし靈に憑かれたる人あり、叫びて言ふ 041 MAR 001 024 『ナザレのイエスよ、我らは汝と何の關係あらんや、汝は我らを亡さんとて來給ふ。われは汝の誰なるを知る、神の聖者なり』 041 MAR 001 025 イエス禁めて言ひ給ふ『默せ、その人を出でよ』 041 MAR 001 026 穢れし靈その人を痙攣けさせ、大聲をあげて出づ。 041 MAR 001 027 人々みな驚き相 問ひて言ふ『これ何事ぞ、權威ある新しき教なるかな、穢れし靈すら命ずれば從ふ』 041 MAR 001 028 ここにイエスの噂あまねくガリラヤの四方に弘りたり。 041 MAR 001 029 會堂をいで、直ちにヤコブとヨハネとを伴ひて、シモン及びアンデレの家に入り給ふ。 041 MAR 001 030 シモンの外姑、熱をやみて臥しゐたれば、人々ただちに之をイエスに告ぐ。 041 MAR 001 031 イエス往きて、その手をとり、起し給へば、熱さりて女かれらに事ふ。 041 MAR 001 032 夕となり、日いりてのち、人々すべての病ある者・惡鬼に憑かれたる者をイエスに連れ來り、 041 MAR 001 033 全町こぞりて門に集る。 041 MAR 001 034 イエスさまざまの病を患ふ多くの人をいやし、多くの惡鬼を逐ひいだし、之に物 言ふことを免し給はず、惡鬼イエスを知るに因りてなり。 041 MAR 001 035 朝まだき暗き程に、イエス起き出でて、寂しき處にゆき、其處にて祈りゐたまふ。 041 MAR 001 036 シモン及び之と偕にをる者ども、その跡を慕ひゆき、 041 MAR 001 037 イエスに遇ひて言ふ『人みな汝を尋ぬ』 041 MAR 001 038 イエス言ひ給ふ『いざ最寄の村々に往かん、われ彼處にも教を宣ぶべし、我はこの爲に出で來りしなり』 041 MAR 001 039 遂にゆきて、徧くガリラヤの會堂にて教を宣べ、かつ惡鬼を逐ひ出し給へり。 041 MAR 001 040 一人の癩病人みもとに來り、跪づき請ひて言ふ『御意ならば、我を潔くなし給ふを得ん』 041 MAR 001 041 イエス憫みて、手をのべ彼につけて『わが意なり、潔くなれ』と言ひ給へば、 041 MAR 001 042 直ちに癩病さりて、その人きよまれり。 041 MAR 001 043 やがて彼を去らしめんとて、嚴しく戒めて言ひ給ふ 041 MAR 001 044 『つつしみて誰にも語るな、唯ゆきて己を祭司に見せ、モーセが命じたる物を汝の潔のために献げて、人々に證せよ』 041 MAR 001 045 されど彼いでて此の事を大に述べつたへ、徧く弘め始めたれば、この後イエスあらはに町に入りがたく、外の寂しき處に留りたまふ。人々 四方より御許に來れり。 041 MAR 002 001 數日の後、またカペナウムに入り給ひしに、その家に在することを聞きて、 041 MAR 002 002 多くの人あつまり來り、門口すら隙間なき程なり。イエス彼らに御言を語り給ふ。 041 MAR 002 003 ここに四人に擔はれたる中風の者を人々つれ來る。 041 MAR 002 004 群衆によりて御許にゆくこと能はざれば、在す所の屋根を穿ちあけて、中風の者を床のまま縋り下せり。 041 MAR 002 005 イエス彼らの信仰を見て、中風の者に言ひたまふ『子よ、汝の罪ゆるされたり』 041 MAR 002 006 ある學者たち其處に坐しゐたるが、心の中に、 041 MAR 002 007 『この人なんぞ斯く言ふか、これは神を瀆すなり、神ひとりの外は誰か罪を赦すことを得べき』と論ぜしかば、 041 MAR 002 008 イエス直ちに彼 等がかく論ずるを心に悟りて言ひ給ふ『なにゆゑ斯かることを心に論ずるか、 041 MAR 002 009 中風の者に「なんぢの罪ゆるされたり」と言ふと「起きよ、床をとりて歩め」と言ふと、孰か易き。 041 MAR 002 010 人の子の地にて罪を赦す權威ある事を、汝らに知らせん爲に』――中風の者に言ひ給ふ―― 041 MAR 002 011 『なんぢに告ぐ、起きよ、床をとりて家に歸れ』 041 MAR 002 012 彼おきて直ちに床をとりあげ、人々の眼前いで往けば、皆おどろき、かつ神を崇めて言ふ『われら斯くの如きことは斷えて見ざりき』 041 MAR 002 013 イエスまた海邊に出でゆき給ひしに、群衆みもとに集ひ來りたれば、之を教へ給へり。 041 MAR 002 014 かくて過ぎ往くとき、アルパヨの子レビの收税所に坐しをるを見て『われに從へ』と言ひ給へば、立ちて從へり。 041 MAR 002 015 而して其の家にて食事の席につき居給ふとき、多くの取税人・罪人ら、イエス及び弟子たちと共に席に列る、これらの者おほく居て、イエスに從へるなり。 041 MAR 002 016 パリサイ人の學者ら、イエスの罪人・取税人とともに食し給ふを見て、その弟子たちに言ふ『なにゆゑ取税人・罪人とともに食するか』 041 MAR 002 017 イエス聞きて言ひ給ふ『健かなる者は醫者を要せず、ただ病ある者これを要す。我は正しき者を招かんとにあらで、罪人を招かんとて來れり』 041 MAR 002 018 ヨハネの弟子とパリサイ人とは、斷食しゐたり。人々イエスに來りて言ふ『なにゆゑヨハネの弟子とパリサイ人の弟子とは斷食して、汝の弟子は斷食せぬか』 041 MAR 002 019 イエス言ひ給ふ『新郎の友だち、新郎と偕にをるうちは斷食し得べきか、新郎と偕にをる間は、斷食するを得ず。 041 MAR 002 020 されど新郎をとらるる日きたらん、その日には斷食せん。 041 MAR 002 021 誰も新しき布の裂を舊き衣に縫ひつくることは爲じ。もし然せば、その補ひたる新しきものは、舊き物をやぶり、破綻さらに甚だしからん。 041 MAR 002 022 誰も新しき葡萄酒を、ふるき革嚢に入るることは爲じ。もし然せば、葡萄酒は嚢をはりさきて、葡萄酒も嚢も廢らん。新しき葡萄酒は、新しき革嚢に入るるなり』 041 MAR 002 023 イエス安息 日に麥 畠をとほり給ひしに、弟子たち歩みつつ穗を摘み始めたれば、 041 MAR 002 024 パリサイ人、イエスに言ふ『視よ、彼らは何ゆゑ安息 日に爲まじき事をするか』 041 MAR 002 025 答へ給ふ『ダビデその伴へる人々と共に乏しくして飢ゑしとき爲しし事を未だ讀まぬか。 041 MAR 002 026 即ち大 祭司アビアタルの時、ダビデ神の家に入りて、祭司のほかは食ふまじき供のパンを取りて食ひ、おのれと偕なる者にも與へたり』 041 MAR 002 027 また言ひたまふ『安息 日は人のために設けられて、人は安息 日のために設けられず。 041 MAR 002 028 されば人の子は安息 日にも主たるなり』 041 MAR 003 001 また會堂に入り給ひしに、片手なえたる人あり。 041 MAR 003 002 人々イエスを訴へんと思ひて、安息 日にかの人を醫すや否やと窺ふ。 041 MAR 003 003 イエス手なえたる人に『中に立て』といひ、 041 MAR 003 004 また人々に言ひたまふ『安息 日に善をなすと惡をなすと、生命を救ふと殺すと、孰かよき』彼ら默然たり。 041 MAR 003 005 イエスその心の頑固なるを憂ひて、怒り見囘して、手なえたる人に『手を伸べよ』と言ひ給ふ。かれ手を伸べたれば癒ゆ。 041 MAR 003 006 パリサイ人いでて、直ちにヘロデ黨の人とともに、如何にしてイエスを亡さんと議る。 041 MAR 003 007 イエスその弟子とともに海邊に退き給ひしに、ガリラヤより來れる夥多しき民衆も從ふ。又ユダヤ、 041 MAR 003 008 エルサレム、イドマヤ、ヨルダンの向の地、およびツロ、シドンの邊より夥多しき民衆その爲し給へる事を聞きて、御許に來る。 041 MAR 003 009 イエス群衆のおしなやますを逃れんとて、小舟を備へ置くことを弟子に命じ給ふ。 041 MAR 003 010 これ多くの人を醫し給ひたれば、凡て病に苦しむもの、御體に觸らんとて押迫る故なり。 041 MAR 003 011 また穢れし靈イエスを見る毎に、御前に平伏し、叫びて『なんぢは神の子なり』と言ひたれば、 041 MAR 003 012 我を顯すなとて、嚴しく戒め給ふ。 041 MAR 003 013 イエス山に登り、御意に適ふ者を召し給ひしに、彼ら御許に來る。 041 MAR 003 014 ここに十二 人を擧げたまふ。是かれらを御側におき、また教を宣べさせ、 041 MAR 003 015 惡鬼を逐ひ出す權威を用ひさする爲に、遣さんとてなり。 041 MAR 003 016 此の十二 人を擧げて、シモンにペテロといふ名をつけ、 041 MAR 003 017 ゼベダイの子ヤコブ、その兄弟ヨハネ、此の二人にボアネルゲ、即ち雷霆の子といふ名をつけ給ふ。 041 MAR 003 018 又アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心 黨のシモン、 041 MAR 003 019 及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りしなり。かくてイエス家に入り給ひしに、 041 MAR 003 020 群衆また集り來りたれば、食事する暇もなかりき。 041 MAR 003 021 その親族の者これを聞き、イエスを取押へんとて出で來る、イエスを狂へりと謂ひてなり。 041 MAR 003 022 又エルサレムより下れる學者たちも『彼はベルゼブルに憑かれたり』と言ひ、かつ『惡鬼の首によりて惡鬼を逐ひ出すなり』と言ふ。 041 MAR 003 023 イエス彼らを呼びよせ、譬にて言ひ給ふ『サタンはいかでサタンを逐ひ出し得んや。 041 MAR 003 024 もし國 分れ爭はば、其の國 立つこと能はず。 041 MAR 003 025 もし家 分れ爭はば、其の家 立つこと能はざるべし。 041 MAR 003 026 もしサタン己に逆ひて分れ爭はば、立つこと能はず、反つて亡び果てん。 041 MAR 003 027 誰にても先づ強き者を縛らずば、強き者の家に入りて其の家財を奪ふこと能はじ、縛りて後その家を奪ふべし。 041 MAR 003 028 まことに汝らに告ぐ、人の子らの凡ての罪と、けがす瀆とは赦されん。 041 MAR 003 029 されど聖 靈をけがす者は、永遠に赦されず、永遠の罪に定めらるべし』 041 MAR 003 030 これは彼らイエスを『穢れし靈に憑かれたり』と云へるが故なり。 041 MAR 003 031 ここにイエスの母と兄弟と來りて外に立ち、人を遣してイエスを呼ばしむ。 041 MAR 003 032 群衆イエスを環りて坐したりしが、或 者いふ『視よ、なんぢの母と兄弟 姉妹と外にありて汝を尋ぬ』 041 MAR 003 033 イエス答へて言ひ給ふ『わが母、わが兄弟とは誰ぞ』 041 MAR 003 034 かくて周圍に坐する人々を見囘して言ひたまふ『視よ、これは我が母、わが兄弟なり。 041 MAR 003 035 誰にても神の御意を行ふものは、是わが兄弟、わが姉妹、わが母なり』 041 MAR 004 001 イエスまた海邊にて教へ始めたまふ。夥多しき群衆、みもとに集りたれば、舟に乘り海に泛びて坐したまひ、群衆はみな海に沿ひて陸にあり。 041 MAR 004 002 譬にて數多の事ををしへ、教の中に言ひたまふ、 041 MAR 004 003 『聽け、種 播くもの、播かんとて出づ。 041 MAR 004 004 播くとき、路の傍らに落ちし種あり、鳥きたりて啄む。 041 MAR 004 005 土うすき磽地に落ちし種あり、土 深からぬによりて、速かに萠え出でたれど、 041 MAR 004 006 日 出でてやけ、根なき故に枯る。 041 MAR 004 007 茨の中に落ちし種あり、茨そだち塞ぎたれば、實を結ばず。 041 MAR 004 008 良き地に落ちし種あり、生え出でて茂り、實を結ぶこと、三十 倍、六十 倍、百 倍せり』 041 MAR 004 009 また言ひ給ふ『きく耳ある者は聽くべし』 041 MAR 004 010 イエス人々を離れ居給ふとき、御許にをる者ども、十二 弟子とともに、此 等の譬を問ふ。 041 MAR 004 011 イエス言ひ給ふ『なんぢらには神の國の奧義を與ふれど、外の者には、凡て譬にて教ふ。 041 MAR 004 012 これ「見るとき見ゆとも認めず、聽くとき聞ゆとも悟らず、飜へりて赦さるる事なからん」爲なり』 041 MAR 004 013 また言ひ給ふ『なんぢら此の譬を知らぬか、さらば爭でもろもろの譬を知り得んや。 041 MAR 004 014 播く者は御言を播くなり。 041 MAR 004 015 御言の播かれて路の傍らにありとは、かかる人をいふ、即ち聞くとき、直ちにサタン來りて、その播かれたる御言を奪ふなり。 041 MAR 004 016 同じく播かれて磽地にありとは、かかる人をいふ、即ち御言をききて、直ちに喜び受くれども、 041 MAR 004 017 その中に根なければ、ただ暫し保つのみ、御言のために患難また迫害にあふ時は、直ちに躓くなり。 041 MAR 004 018 また播かれて茨の中にありとは、かかる人をいふ、 041 MAR 004 019 すなはち御言をきけど、世の心勞、財貨の惑、さまざまの慾いりきたり、御言を塞ぐによりて、遂に實らざるなり。 041 MAR 004 020 播かれて良き地にありとは、かかる人をいふ、即ち御言を聽きて受け、三十 倍、六十 倍、百 倍の實を結ぶなり』 041 MAR 004 021 また言ひたまふ『升のした、寢臺の下におかんとて、燈火をもち來るか、燈臺の上におく爲ならずや。 041 MAR 004 022 それ顯るる爲ならで隱るるものなく、明かにせらるる爲ならで秘めらるるものなし。 041 MAR 004 023 聽く耳ある者は聽くべし』 041 MAR 004 024 また言ひ給ふ『なんぢら聽くことに心せよ、汝らが量る量にて量られ、更に増し加へらるべし。 041 MAR 004 025 それ有てる人は、なほ與へられ、有たぬ人は、有てる物をも取らるべし』 041 MAR 004 026 また言ひたまふ『神の國は、或 人たねを地に播くが如し、 041 MAR 004 027 日夜 起臥するほどに、種はえ出でて育てども、その故を知らず。 041 MAR 004 028 地はおのづから實を結ぶものにして、初には苗、つぎに穗、つひに穗の中に充ち足れる穀なる。 041 MAR 004 029 實みのれば直ちに鎌を入る、收穫時の到れるなり』 041 MAR 004 030 また言ひ給ふ『われら神の國を何になずらへ、如何なる譬をもて示さん。 041 MAR 004 031 一粒の芥種のごとし、地に播く時は、世にある萬の種よりも小けれど、 041 MAR 004 032 既に播きて生え出づれば、萬の野菜よりは大く、かつ大なる枝を出して、空の鳥その蔭に棲み得るほどになるなり』 041 MAR 004 033 かくのごとき數多の譬をもて、人々の聽きうる力に隨ひて、御言を語り、 041 MAR 004 034 譬ならでは語り給はず、弟子たちには、人なき時に凡ての事を釋き給へり。 041 MAR 004 035 その日、夕になりて言ひ給ふ『いざ彼方に往かん』 041 MAR 004 036 弟子たち群衆を離れ、イエスの舟にゐ給ふまま共に乘り出づ、他の舟も從ひゆく。 041 MAR 004 037 時に烈しき颶風おこり、浪うち込みて、舟に滿つるばかりなり。 041 MAR 004 038 イエスは艫の方に茵を枕として寢ねたまふ。弟子たち呼び起して言ふ『師よ、我らの亡ぶるを顧み給はぬか』 041 MAR 004 039 イエス起きて風をいましめ、海に言ひたまふ『默せ、鎭れ』乃ち風やみて、大なる凪となりぬ。 041 MAR 004 040 かくて弟子たちに言ひ給ふ『なに故かく臆するか、信仰なきは何ぞ』 041 MAR 004 041 かれら甚く懼れて互に言ふ『こは誰ぞ、風も海も順ふとは』 041 MAR 005 001 かくて海の彼方なるゲラセネ人の地に到る。 041 MAR 005 002 イエスの舟より上り給ふとき、穢れし靈に憑かれたる人、墓より出でて直ちに遇ふ。 041 MAR 005 003 この人、墓を住處とす、鏈にてすら今は誰も繋ぎ得ず。 041 MAR 005 004 彼はしばしば足械と鏈とにて繋がれたれど、鏈をちぎり、足械をくだきたり、誰も之を制する力なかりしなり。 041 MAR 005 005 夜も晝も、絶えず墓あるひは山にて叫び、己が身を石にて傷つけゐたり。 041 MAR 005 006 かれ遙にイエスを見て、走りきたり、御前に平伏し、 041 MAR 005 007 大聲に叫びて言ふ『いと高き神の子イエスよ、我は汝と何の關係あらん、神によりて願ふ、我を苦しめ給ふな』 041 MAR 005 008 これはイエス『穢れし靈よ、この人より出で往け』と言ひ給ひしに因るなり。 041 MAR 005 009 イエスまた『なんぢの名は何か』と問ひ給へば『わが名はレギオン、我ら多きが故なり』と答へ、 041 MAR 005 010 また己らを此の地の外に逐ひやり給はざらんことを切に求む。 041 MAR 005 011 彼處の山邊に豚の大なる群、食しゐたり。 041 MAR 005 012 惡鬼どもイエスに求めて言ふ『われらを遣して豚に入らしめ給へ』 041 MAR 005 013 イエス許したまふ。穢れし靈いでて、豚に入りたれば、二千 匹ばかりの群、海に向ひて崖を駈けくだり、海に溺れたり。 041 MAR 005 014 飼ふ者ども逃げ往きて、町にも里にも告げたれば、人々 何事の起りしかを見んとて出づ。 041 MAR 005 015 かくてイエスに來り、惡鬼に憑かれたりし者、即ちレギオンをもちたりし者の、衣服をつけ、慥なる心にて坐しをるを見て、懼れあへり。 041 MAR 005 016 かの惡鬼に憑かれたる者の上にありし事と、豚の事とを見し者ども、之を具に告げたれば、 041 MAR 005 017 人々イエスにその境を去り給はん事を求む。 041 MAR 005 018 イエス舟に乘らんとし給ふとき、惡鬼に憑かれたりしもの偕に在らん事を願ひたれど、 041 MAR 005 019 許さずして言ひ給ふ『なんぢの家に、親しき者に歸りて、主がいかに大なる事を汝に爲し、いかに汝を憫み給ひしかを告げよ』 041 MAR 005 020 彼ゆきて、イエスの如何に大なる事を己になし給ひしかを、デカポリスに言ひ弘めたれば、人々みな怪しめり。 041 MAR 005 021 イエス舟にて復かなたに渡り給ひしに、大なる群衆みもとに集る、イエス海邊に在せり。 041 MAR 005 022 會堂 司の一人、ヤイロという者きたり、イエスを見て、その足下に伏し、 041 MAR 005 023 切に願ひて言ふ『わが稚なき娘、いまはの際なり、來りて手をおき給へ、さらば救はれて活くべし』 041 MAR 005 024 イエス彼と共にゆき給へば、大なる群衆したがひつつ御許に押迫る。 041 MAR 005 025 ここに十 二年 血漏を患ひたる女あり。 041 MAR 005 026 多くの醫者に多く苦しめられ、有てる物をことごとく費したれど、何の效なく、反つて増々 惡しくなりたり。 041 MAR 005 027 イエスの事をききて、群衆にまじり、後に來りて、御衣にさはる、 041 MAR 005 028 『その衣にだに觸らば救はれん』と自ら謂へり。 041 MAR 005 029 かくて血の泉ただちに乾き、病のいえたるを身に覺えたり。 041 MAR 005 030 イエス直ちに能力の己より出でたるを自ら知り、群衆の中にて、振反り言ひたまふ『誰が我の衣に觸りしぞ』 041 MAR 005 031 弟子たち言ふ『群衆の押迫るを見て、誰が我に觸りしぞと言ひ給ふか』 041 MAR 005 032 イエスこの事を爲しし者を見んとて見囘し給ふ。 041 MAR 005 033 女おそれ戰き、己が身になりし事を知り、來りて御前に平伏し、ありしままを告ぐ。 041 MAR 005 034 イエス言ひ給ふ『娘よ、なんぢの信仰なんぢを救へり、安らかに往け、病いえて健かになれ』 041 MAR 005 035 かく語り給ふほどに、會堂 司の家より人々きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、爭でなほ師を煩はすべき』 041 MAR 005 036 イエス其の告ぐる言を傍より聞きて、會堂 司に言ひたまふ『懼るな、ただ信ぜよ』 041 MAR 005 037 かくてペテロ、ヤコブその兄弟ヨハネの他は、ともに往く事を誰にも許し給はず。 041 MAR 005 038 彼ら會堂 司の家に來る。イエス多くの人の、甚く泣きつ叫びつする騷を見、 041 MAR 005 039 入りて言ひ給ふ『なんぞ騷ぎかつ泣くか、幼兒は死にたるにあらず、寐ねたるなり』 041 MAR 005 040 人々イエスを嘲笑ふ。イエス彼 等をみな外に出し、幼兒の父と母と己に伴へる者とを率きつれて、幼兒のをる處に入り、 041 MAR 005 041 幼兒の手を執りて『タリタ、クミ』と言ひたまふ。少女よ、我なんぢに言ふ、起きよ、との意なり。 041 MAR 005 042 直ちに少女たちて歩む、その歳 十二なりければなり。彼ら直ちに甚く驚きおどろけり。 041 MAR 005 043 イエス此の事を誰にも知れぬやうにせよと、堅く彼らを戒め、また食物を娘に與ふることを命じ給ふ。 041 MAR 006 001 かくて其處をいで、己が郷に到り給ひしに、弟子たちも從へり。 041 MAR 006 002 安息 日になりて、會堂にて教へ始め給ひしに、聞きたる多くのもの驚きて言ふ『この人は此 等のことを何處より得しぞ、此の人の授けられたる智慧は何ぞ、その手にて爲すかくのごとき能力あるわざは何ぞ。 041 MAR 006 003 此の人は木匠にして、マリヤの子、またヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ならずや、其の姉妹も此處に我らと共にをるに非ずや』遂に彼に躓けり。 041 MAR 006 004 イエス彼らに言ひたまふ『預言者は、おのが郷、おのが親族、おのが家の外にて尊ばれざる事なし』 041 MAR 006 005 彼處にては、何の能力ある業をも行ひ給ふこと能はず、ただ少數の病める者に、手をおきて醫し給ひしのみ。 041 MAR 006 006 彼らの信仰なきを怪しみ給へり。かくて村々を歴 巡りて教へ給ふ。 041 MAR 006 007 また十二 弟子を召し、二人づつ遣しはじめ、穢れし靈を制する權威を與へ、 041 MAR 006 008 かつ旅のために、杖 一つの他は、何をも持たず、糧も嚢も帶の中に錢をも持たず、 041 MAR 006 009 ただ草鞋ばかりをはきて、二つの下衣をも著ざることを命じ給へり。 041 MAR 006 010 かくて言ひたまふ『何處にても人の家に入らば、その地を去るまで其處に留れ。 041 MAR 006 011 何地にても汝らを受けず、汝らに聽かずば、其處を出づるとき、證のために足の裏の塵を拂へ』 041 MAR 006 012 ここに弟子たち出で往きて、悔改むべきことを宣傅へ、 041 MAR 006 013 多くの惡鬼を逐ひいだし、多くの病める者に油をぬりて醫せり。 041 MAR 006 014 かくてイエスの名 顯れたれば、ヘロデ王ききて言ふ『バプテスマのヨハネ死人の中より甦へりたり。この故に此 等の能力その中に働くなり』 041 MAR 006 015 或 人は『エリヤなり』といひ、或 人は『預言者、いにしへの預言者のごとき者なり』といふ。 041 MAR 006 016 ヘロデ聞きて言ふ『わが首斬りしヨハネ、かれ甦へりたるなり』 041 MAR 006 017 ヘロデ先にその娶りたる己が兄弟ピリポの妻ヘロデヤの爲に、みづから人を遣し、ヨハネを捕へて獄に繋げり。 041 MAR 006 018 ヨハネ、ヘロデに『その兄弟の妻を納るるは宣しからず』と言へるに因る。 041 MAR 006 019 ヘロデヤ、ヨハネを怨みて殺さんと思へど能はず。 041 MAR 006 020 それはヘロデ、ヨハネの義にして聖なる人たるを知りて、之を畏れ、之を護り、且つその教をききて、大に惱みつつも、なほ喜びて聽きたる故なり。 041 MAR 006 021 然るに機よき日 來れり。ヘロデ己が誕生日に、大臣・將校・ガリラヤの貴人たちを招きて饗宴せしに、 041 MAR 006 022 かのヘロデヤの娘いり來りて、舞をまひ、ヘロデと其の席に列れる者とを喜ばしむ。王、少女に言ふ『何にても欲しく思ふものを求めよ、我あたへん』 041 MAR 006 023 また誓ひて言ふ『なんぢ求めば、我が國の半までも與へん』 041 MAR 006 024 娘いでて母にいふ『何を求むべきか』母いふ『バプテスマのヨハネの首を』 041 MAR 006 025 娘ただちに急ぎて王の許に入りきたり、求めて言ふ『ねがはくは、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて速かに賜はれ』 041 MAR 006 026 王いたく憂ひたれど、その誓と席に在る者とに對して拒むことを好まず、 041 MAR 006 027 直ちに衞兵を遣し、之にヨハネの首を持ち來ることを命ず、衞兵ゆきて、獄にてヨハネを首斬り、 041 MAR 006 028 その首を盆にのせ、持ち來りて少女に與ふ、少女これを母に與ふ。 041 MAR 006 029 ヨハネの弟子たち聞きて來り、その屍體を取りて墓に納めたり。 041 MAR 006 030 使徒たちイエスの許に集りて、その爲ししこと、教へし事をことごとく告ぐ。 041 MAR 006 031 イエス言ひ給ふ『なんぢら人を避け、寂しき處に、いざ來りて暫し息へ』これは往來の人おほくして、食する暇だになかりし故なり。 041 MAR 006 032 かくて人を避け、舟にて寂しき處にゆく。 041 MAR 006 033 其の往くを見て、多くの人それと知り、その處を指して、町々より徒歩にてともに走り、彼 等よりも先に往けり。 041 MAR 006 034 イエス出でて大なる群衆を見、その牧ふ者なき羊の如くなるを甚く憫みて、多くの事を教へはじめ給ふ。 041 MAR 006 035 時すでに晩くなりたれば、弟子たち御許に來りていふ『ここは寂しき處、はや時も晩し。 041 MAR 006 036 人々を去らしめ、周圍の里また村に往きて、己がために食物を買はせ給へ』 041 MAR 006 037 答へて言ひ給ふ『なんぢら食物を與へよ』弟子たち言ふ『われら往きて二 百デナリのパンを買ひ、これに與へて食はすべきか』 041 MAR 006 038 イエス言ひ給ふ『パン幾つあるか、往きて見よ』彼ら見ていふ『五つ、また魚 二つあり』 041 MAR 006 039 イエス凡ての人の組々となりて、青 草の上に坐することを命じ給へば、 041 MAR 006 040 或は百 人、あるひは五 十 人、畝のごとく列びて坐す。 041 MAR 006 041 かくてイエス五つのパンと二つの魚とを取り、天を仰ぎて祝し、パンをさき、弟子たちに付して人々の前に置かしめ、二つの魚をも人 毎に分け給ふ。 041 MAR 006 042 凡ての人 食ひて飽きたれば、 041 MAR 006 043 パンの餘、魚の殘を集めしに、十二の筐に滿ちたり。 041 MAR 006 044 パンを食ひたる男は五 千 人なりき。 041 MAR 006 045 イエス直ちに、弟子たちを強ひて舟に乘らせ、自ら群衆を返す間に、彼方なるベツサイダに先に往かしむ。 041 MAR 006 046 群衆に別れてのち、祈らんとて山にゆき給ふ。 041 MAR 006 047 夕になりて、舟は海の眞中にあり、イエスはひとり陸に在す。 041 MAR 006 048 風 逆ふに因りて、弟子たちの漕ぎ煩ふを見て、夜明の四時ごろ、海の上を歩み、その許に到りて、往き過ぎんとし給ふ。 041 MAR 006 049 弟子たち其の海の上を歩み給ふを見、變化の者ならんと思ひて叫ぶ。 041 MAR 006 050 皆これを見て心 騷ぎたるに因る。イエス直ちに彼らに語りて言ひ給ふ『心 安かれ、我なり、懼るな』 041 MAR 006 051 かくて弟子たちの許にゆき、舟に登り給へば、風やみたり。弟子たち心の中にて甚く驚く、 041 MAR 006 052 彼らは先のパンの事をさとらず、反つて其の心 鈍くなりしなり。 041 MAR 006 053 遂に渡りてゲネサレの地に著き、舟がかりす。 041 MAR 006 054 舟より上りしに、人々ただちにイエスを認めて、 041 MAR 006 055 徧くあたりを馳せまはり、その在すと聞く處々に、患ふ者を床のままつれ來る。 041 MAR 006 056 その到りたまふ處には、村にても、町にても、里にても、病める者を市場におきて、御衣の總にだに觸らしめ給はんことを願ふ。觸りし者は、みな醫されたり。 041 MAR 007 001 パリサイ人と或 學者らと、エルサレムより來りてイエスの許に集る。 041 MAR 007 002 而して、その弟子たちの中に、潔からぬ手、即ち洗はぬ手にて食事する者のあるを見たり。 041 MAR 007 003 パリサイ人および凡てのユダヤ人は、古への人の言傳を固く執りて、懇ろに手を洗はねば食はず。 041 MAR 007 004 また市場より歸りては、まず禊がざれば食はず。このほか酒杯・鉢・銅の器を濯ぐなど、多くの傳を承けて固く執りたり。 041 MAR 007 005 パリサイ人および學者らイエスに問ふ『なにゆゑ汝の弟子たちは、古への人の言傳に遵ひて歩まず、潔からぬ手にて食事するか』 041 MAR 007 006 イエス言ひ給ふ『イザヤは汝ら僞善者につきて能く預言せり。「この民は口唇にて我を敬ふ、されどその心は我に遠ざかる。 041 MAR 007 007 ただ徒らに我を拜む、人の訓誡を教とし教へて」と録したり。 041 MAR 007 008 なんぢらは神の誡命を離れて、人の言傳を固く執る』 041 MAR 007 009 また言ひたまふ『汝 等はおのれの言傳を守らんとて、能くも神の誡命を棄つ。 041 MAR 007 010 即ちモーセは「なんぢの父、なんぢの母を敬へ」といひ「父また母を詈る者は、必ず殺さるべし」といへり。 041 MAR 007 011 然るに汝らは「人もし父また母にむかひ、我が汝に對して負ふ所のものは、コルバン即ち供物なりと言はば可し」と言ひて、 041 MAR 007 012 そののち人をして、父また母に事ふること無からしむ。 041 MAR 007 013 かく汝らの傳へたる言傳によりて、神の言を空しうし、又おほく此の類の事をなしをるなり』 041 MAR 007 014 更に群衆を呼び寄せて言ひ給ふ『なんぢら皆われに聽きて悟れ。 041 MAR 007 015 外より人に入りて、人を汚し得るものなし、されど人より出づるものは、これ人を汚すなり』 041 MAR 007 016 [なし] 041 MAR 007 017 イエス群衆を離れて家に入り給ひしに、弟子たち其の譬を問ふ。 041 MAR 007 018 彼らに言ひ給ふ『なんぢらも然か悟なきか、外より人に入る物の、人を汚しえぬを悟らぬか、 041 MAR 007 019 これ心には入らず、腹に入りて厠におつるなり』かく凡ての食物を潔しとし給へり。 041 MAR 007 020 また言ひたまふ『人より出づるものは、これ人を汚すなり。 041 MAR 007 021 それ内より、人の心より、惡しき念いづ、即ち淫行・竊盜・殺人、 041 MAR 007 022 姦淫・慳貪・邪曲・詭計・好色・嫉妬・誹謗・傲慢・愚痴。 041 MAR 007 023 すべて此 等の惡しき事は、内より出でて人を汚すなり』 041 MAR 007 024 イエス起ちて此處を去り、ツロの地方に往き、家に入りて人に知られじとし給ひたれど、隱るること能はざりき。 041 MAR 007 025 ここに穢れし靈に憑かれたる稚なき娘をもてる女、ただちにイエスの事をきき、來りて御足の許に平伏す。 041 MAR 007 026 この女はギリシヤ人にて、スロ・フェニキヤの生なり。その娘より惡鬼を逐ひ出し給はんことを請ふ。 041 MAR 007 027 イエス言ひ給ふ『まづ子供に飽かしむべし、子供のパンをとりて小狗に投げ與ふるは善からず』 041 MAR 007 028 女こたへて言ふ『然り、主よ、食卓の下の小狗も子供の食屑を食ふなり』 041 MAR 007 029 イエス言ひ給ふ『なんぢ此の言によりて[安んじ]往け、惡鬼は既に娘より出でたり』 041 MAR 007 030 をんな家に歸りて見るに、子は寢臺の上に臥し、惡鬼は既に出でたり。 041 MAR 007 031 イエスまたツロの地方を去りて、シドンを過ぎ、デカポリスの地方を經て、ガリラヤの海に來り給ふ。 041 MAR 007 032 人々、耳聾にして物 言ふこと難き者を連れ來りて、之に手をおき給はんことを願ふ。 041 MAR 007 033 イエス群衆の中より、彼をひとり連れ出し、その兩耳に指をさし入れ、また唾して其の舌に觸り、 041 MAR 007 034 天を仰ぎて嘆じ、その人に對ひて『エパタ』と言ひ給ふ、ひらけよとの意なり。 041 MAR 007 035 かくてその耳ひらけ、舌の縺ただちに解け、正しく物いへり。 041 MAR 007 036 イエス誰にも告ぐなと人々を戒めたまふ。されど戒むるほど反つて愈々 言ひ弘めたり。 041 MAR 007 037 また甚だしく打驚きて言ふ『かれの爲しし事は皆よし、聾者をも聞えしめ、唖者をも物いはしむ』 041 MAR 008 001 その頃また大なる群衆にて食ふべき物なかりしかば、イエス弟子たちを召して言ひ給ふ、 041 MAR 008 002 『われ此の群衆を憫む、既に三日われと偕にをりて、食ふべき物なし。 041 MAR 008 003 飢ゑしままにて其の家に歸らしめば、途にて疲れ果てん。其の中には遠くより來れる者あり』 041 MAR 008 004 弟子たち答へて言ふ『この寂しき地にては、何處よりパンを得て、この人々を飽かしむべき』 041 MAR 008 005 イエス問ひ給ふ『パン幾つあるか』答へて『七つ』といふ。 041 MAR 008 006 イエス群衆に命じて地に坐せしめ、七つのパンを取り、謝して之を裂き、弟子たちに與へて群衆の前におかしむ。弟子たち乃ちその前におく。 041 MAR 008 007 また小き魚すこしばかりあり、祝して、之をもその前におけと言ひ給ふ。 041 MAR 008 008 人々 食ひて飽き、裂きたる餘を拾ひしに、七つの籃に滿ちたり。 041 MAR 008 009 その人おほよそ四千 人なりき。イエス彼らを歸し、 041 MAR 008 010 直ちに弟子たちと共に舟に乘りて、ダルマヌタの地方に往き給へり。 041 MAR 008 011 パリサイ人いで來りて、イエスと論じはじめ、之を試みて天よりの徴をもとむ。 041 MAR 008 012 イエス心に深く歎じて言ひ給ふ『なにゆゑ今の代は徴を求むるか、まことに汝らに告ぐ、徴は今の代に斷えて與へられじ』 041 MAR 008 013 かくて彼らを離れ、また舟に乘りて彼方に往き給ふ。 041 MAR 008 014 弟子たちパンを携ふることを忘れ、舟には唯一つの他パンなかりき。 041 MAR 008 015 イエス彼らを戒めて言ひたまふ『愼みて、パリサイ人のパンだねと、ヘロデのパンだねとに心せよ』 041 MAR 008 016 弟子たち互に、これはパン無き故ならんと語り合ふ。 041 MAR 008 017 イエス知りて言ひたまふ『何ぞパン無き故ならんと語り合ふか、未だ知らぬか、悟らぬか、汝らの心なほ鈍きか。 041 MAR 008 018 目ありて見ぬか、耳ありて聽かぬか。又なんぢら思ひ出でぬか、 041 MAR 008 019 五つのパンを裂きて、五 千 人に與へし時、その餘を幾筐ひろひしか』弟子たち言ふ『十二』 041 MAR 008 020 『七つのパンを裂きて四千 人に與へし時、その餘を幾籃ひろひしか』弟子たち言ふ『七つ』 041 MAR 008 021 イエス言ひたまふ『未だ悟らぬか』 041 MAR 008 022 彼ら遂にベツサイダに到る。人々、盲人をイエスに連れ來りて、觸り給はんことを願ふ。 041 MAR 008 023 イエス盲人の手をとりて、村の外に連れ往き、その目に唾し、御手をあてて『なにか見ゆるか』と問ひ給へば、 041 MAR 008 024 見 上げて言ふ『人を見る、それは樹の如き物の歩くが見ゆ』 041 MAR 008 025 また御手をその目にあて給へば、視凝めたるに、癒えて凡てのもの明かに見えたり。 041 MAR 008 026 かくて『村にも入るな』と言ひて、その家に歸し給へり。 041 MAR 008 027 イエス其の弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々に出でゆき、途にて弟子たちに問ひて言ひたまふ『人々は我を誰と言ふか』 041 MAR 008 028 答へて言ふ『バプテスマのヨハネ、或 人はエリヤ、或 人は預言者の一人』 041 MAR 008 029 また問ひ給ふ『なんぢらは我を誰と言ふか』ペテロ答へて言ふ『なんぢはキリストなり』 041 MAR 008 030 イエス己がことを誰にも告ぐなと、彼らを戒め給ふ。 041 MAR 008 031 かくて人の子の必ず多くの苦難をうけ、長老・祭司長・學者らに棄てられ、かつ殺され、三日の後に甦へるべき事を教へはじめ、 041 MAR 008 032 此の事をあらはに語り給ふ。ここにペテロ、イエスを傍にひきて戒め出でたれば、 041 MAR 008 033 イエス振反りて弟子たちを見、ペテロを戒めて言ひ給ふ『サタンよ、わが後に退け、汝は神のことを思はず、反つて人のことを思ふ』 041 MAR 008 034 かくて群衆を弟子たちと共に呼び寄せて言ひたまふ『人もし我に從ひ來らんと思はば、己をすて、己が十字架を負ひて我に從へ。 041 MAR 008 035 己が生命を救はんと思ふ者は、これを失ひ、我が爲また福音の爲に己が生命をうしなふ者は、之を救はん。 041 MAR 008 036 人、全世界を贏くとも、己が生命を損せば、何の益あらん、 041 MAR 008 037 人その生命の代に何を與へんや。 041 MAR 008 038 不義なる罪 深き今の代にて、我または我が言を恥づる者をば、人の子もまた、父の榮光をもて、聖なる御使たちと共に來らん時に恥づべし』 041 MAR 009 001 また言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、此處に立つ者のうちに、神の國の、權能をもて來るを見るまでは、死を味はぬ者どもあり』 041 MAR 009 002 六日の後、イエスただペテロ、ヤコブ、ヨハネのみを率きつれ、人を避けて高き山に登りたまふ。かくて彼らの前にて其の状かはり、 041 MAR 009 003 其の衣かがやきて甚だ白くなりぬ、世の晒布者を爲し得ぬほど白し。 041 MAR 009 004 エリヤ、モーセともに彼らに現れて、イエスと語りゐたり。 041 MAR 009 005 ペテロ差出でてイエスに言ふ『ラビ、我らの此處に居るは善し。われら三つの廬を造り、一つを汝のため、一つをモーセのため、一つをエリヤのためにせん』 041 MAR 009 006 彼 等いたく懼れたれば、ペテロ何と言ふべきかを知らざりしなり。 041 MAR 009 007 かくて雲おこり、彼らを覆ふ。雲より聲 出づ『これは我が愛しむ子なり、汝ら之に聽け』 041 MAR 009 008 弟子たち急ぎ見囘すに、イエスと己らとの他には、はや誰も見えざりき。 041 MAR 009 009 山をくだる時、イエス彼らに、人の子の、死人の中より甦へるまでは、見しことを誰にも語るなと戒め給ふ。 041 MAR 009 010 彼ら此の言を心にとめ『死人の中より甦へる』とは、如何なる事ぞと互に論じ合ふ。 041 MAR 009 011 かくてイエスに問ひて言ふ『學者たちは、何 故エリヤまづ來るべしと言ふか』 041 MAR 009 012 イエス言ひ給ふ『實にエリヤ先づ來りて、萬の事をあらたむ。さらば人の子につき、多くの苦難を受け、かつ蔑せらるる事の録されたるは何ぞや。 041 MAR 009 013 されど我なんぢらに告ぐ、エリヤは既に來れり。然るに彼に就きて録されたる如く、人々 心のままに之を待へり』 041 MAR 009 014 相 共に弟子たちの許に來りて、大なる群衆の之を環り、學者たちの之と論じゐたるを見 給ふ。 041 MAR 009 015 群衆みなイエスを見るや否や、いたく驚き、御許に走り往きて禮をなせり。 041 MAR 009 016 イエス問ひ給ふ『なんぢら何を彼らと論ずるか』 041 MAR 009 017 群衆のうちの一人こたふ『師よ、唖の靈に憑かれたる我が子を御許に連れ來れり。 041 MAR 009 018 靈いづこにても彼に憑けば、痙攣け泡をふき、齒をくひしばり、而して痩せ衰ふ。御弟子たちに之を逐ひ出すことを請ひたれど能はざりき』 041 MAR 009 019 ここに彼らに言ひ給ふ『ああ信なき代なるかな、我いつまで汝らと偕にをらん、何時まで汝らを忍ばん。その子を我が許に連れきたれ』 041 MAR 009 020 乃ち連れきたる。彼イエスを見しとき、靈ただちに之を痙攣けたれば、地に倒れ、泡をふきて轉び廻る。 041 MAR 009 021 イエスその父に問ひ給ふ『いつの頃より斯くなりしか』父いふ『をさなき時よりなり。 041 MAR 009 022 靈しばしば彼を火のなか水の中に投げ入れて亡さんとせり。されど汝なにか爲し得ば、我らを憫みて助け給へ』 041 MAR 009 023 イエス言ひたまふ『爲し得ばと言ふか、信ずる者には、凡ての事なし得らるるなり』 041 MAR 009 024 その子の父ただちに叫びて言ふ『われ信ず、信仰なき我を助け給へ』 041 MAR 009 025 イエス群衆の走り集るを見て、穢れし靈を禁めて言ひたまふ『唖にて耳聾なる靈よ、我なんぢに命ず、この子より出でよ、重ねて入るな』 041 MAR 009 026 靈さけびて甚だしく痙攣けさせて出でしに、その子、死人の如くなりたれば、多くの者これを死にたりと言ふ。 041 MAR 009 027 イエスその手を執りて起し給へば立てり。 041 MAR 009 028 イエス家に入り給ひしとき、弟子たち竊に問ふ『我等いかなれば逐ひ出し得ざりしか』 041 MAR 009 029 答へ給ふ『この類は祈に由らざれば、如何にすとも出でざるなり』 041 MAR 009 030 此處を去りてガリラヤを過ぐ。イエス人の此の事を知るを欲し給はず。 041 MAR 009 031 これは弟子たちに教をなし、かつ『人の子は人々の手にわたされ、人々これを殺し、殺されて三日ののち甦へるべし』と言ひ給ふが故なり。 041 MAR 009 032 弟子たちはその言を悟らず、また問ふ事を恐れたり。 041 MAR 009 033 かくてカペナウムに到る。イエス家に入りて弟子たちに問ひ給ふ『なんぢら途すがら何を論ぜしか』 041 MAR 009 034 弟子たち默然たり、これは途すがら、誰か大ならんと、互に爭ひたるに因る。 041 MAR 009 035 イエス坐して十二 弟子を呼び、之に言ひたまふ『人もし頭たらんと思はば、凡ての人の後となり、凡ての人の役者となるべし』 041 MAR 009 036 かくてイエス幼兒をとりて彼らの中におき、之を抱きて言ひ給ふ、 041 MAR 009 037 『おほよそ我が名のために斯かる幼兒の一人を受くる者は、我を受くるなり。我を受くる者は、我を受くるにあらず、我を遣しし者を受くるなり』 041 MAR 009 038 ヨハネ言ふ『師よ、我らに從はぬ者の、御名によりて惡鬼を逐ひ出すを見しが、我らに從はぬ故に、之を止めたり』 041 MAR 009 039 イエス言ひたまふ『止むな、我が名のために能力ある業をおこなひ、俄に我を譏り得る者なし。 041 MAR 009 040 我らに逆はぬ者は、我らに附く者なり。 041 MAR 009 041 キリストの者たるによりて、汝らに一杯の水を飮まする者は、我まことに汝らに告ぐ、必ずその報を失はざるべし。 041 MAR 009 042 また我を信ずる此の小き者の一人を躓かする者は、寧ろ大なる碾臼を頸に懸けられて、海に投げ入れられんかた勝れり。 041 MAR 009 043 もし汝の手なんぢを躓かせば、之を切り去れ、不具にて生命に入るは、兩手ありてゲヘナの消えぬ火に往くよりも勝るなり。 041 MAR 009 044 [なし] 041 MAR 009 045 もし汝の足なんぢを躓かせば、之を切り去れ、蹇跛にて生命に入るは、兩足ありてゲヘナに投げ入れらるるよりも勝るなり。 041 MAR 009 046 [なし] 041 MAR 009 047 もし汝の眼なんぢを躓かせば、之を拔き出せ、片眼にて神の國に入るは、兩眼ありてゲヘナに投げ入れらるるよりも勝るなり。 041 MAR 009 048 「彼處にては、その蛆つきず、火も消えぬなり」 041 MAR 009 049 それ人はみな火をもて鹽つけらるべし。 041 MAR 009 050 鹽は善きものなり、されど鹽もし其の鹽 氣を失はば、何をもて之に味つけん。汝ら心の中に鹽を保ち、かつ互に和ぐべし』 041 MAR 010 001 イエス此處をたちて、ユダヤの地方およびヨルダンの彼方に來り給ひしに、群衆またも御許に集ひたれば、常のごとく教へ給ふ。 041 MAR 010 002 時にパリサイ人ら來り試みて問ふ『人その妻を出すはよきか』 041 MAR 010 003 答へて言ひ給ふ『モーセは汝らに何と命ぜしか』 041 MAR 010 004 彼ら言ふ『モーセは離縁状を書きて出すことを許せり』 041 MAR 010 005 イエス言ひ給ふ『汝らの心つれなきによりて、此の誡命を録ししなり。 041 MAR 010 006 されど開闢の初より「人を男と女とに造り給へり」 041 MAR 010 007 「かかる故に人はその父 母を離れて、 041 MAR 010 008 二人のもの一體となるべし」さればはや二人にはあらず、一體なり。 041 MAR 010 009 この故に神の合せ給ふものは、人これを離すべからず』 041 MAR 010 010 家に入りて弟子たち復この事を問ふ。 041 MAR 010 011 イエス言ひ給ふ『おほよそ其の妻を出して他に娶る者は、その妻に對して姦淫を行ふなり。 041 MAR 010 012 また妻もし其の夫を棄てて他に嫁がば、姦淫を行ふなり』 041 MAR 010 013 イエスの觸り給はんことを望みて、人々 幼兒らを連れ來りしに、弟子たち禁めたれば、 041 MAR 010 014 イエス之を見、いきどほりて言ひたまふ『幼兒らの我に來るを許せ、止むな、神の國は斯くのごとき者の國なり。 041 MAR 010 015 まことに汝らに告ぐ、凡そ幼兒の如くに神の國をうくる者ならずば、之に入ること能はず』 041 MAR 010 016 かくて幼兒を抱き、手をその上におきて祝し給へり。 041 MAR 010 017 イエス途に出で給ひしに、一人はしり來り、跪づきて問ふ『善き師よ、永遠の生命を嗣ぐためには、我なにを爲すべきか』 041 MAR 010 018 イエス言ひ給ふ『なにゆゑ我を善しと言ふか、神ひとりの他に善き者なし。 041 MAR 010 019 誡命は汝が知るところなり「殺すなかれ」「姦淫するなかれ」「盜むなかれ」「僞證を立つるなかれ」「欺き取るなかれ」「汝の父と母とを敬へ」』 041 MAR 010 020 彼いふ『師よ、われ幼き時より皆これを守れり』 041 MAR 010 021 イエス彼に目をとめ、愛しみて言ひ給ふ『なんぢ尚ほ一つを缺く、往きて汝の有てる物をことごとく賣りて、貧しき者に施せ、さらば財寶を天に得ん。且きたりて我に從へ』 041 MAR 010 022 この言によりて、彼は憂を催し、悲しみつつ去りぬ、大なる資産をもてる故なり。 041 MAR 010 023 イエス見囘して弟子たちに言ひたまふ『富ある者の神の國に入るは如何に難いかな』 041 MAR 010 024 弟子たち此の御言に驚く。イエスまた答へて言ひ給ふ『子たちよ、神の國に入るは如何に難いかな、 041 MAR 010 025 富める者の神の國に入るよりは、駱駝の針の孔を通るかた反つて易し』 041 MAR 010 026 弟子たち甚く驚きて互に言ふ『さらば誰か救はるる事を得ん』 041 MAR 010 027 イエス彼らに目を注めて言ひたまふ『人には能はねど、神には然らず、夫れ神は凡ての事をなし得るなり』 041 MAR 010 028 ペテロ、イエスに對ひて『我らは一切をすてて汝に從ひたり』と言ひ出でたれば、 041 MAR 010 029 イエス言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、我がため、福音のために、或は兄弟、あるひは姉妹、或は父、或は母、或は子、或は田畑をすつる者は、 041 MAR 010 030 誰にても今、今の時に百 倍を受けぬはなし。即ち家・兄弟・姉妹・母・子・田畑を迫害と共に受け、また後の世にては、永遠の生命を受けぬはなし。 041 MAR 010 031 されど多くの先なる者は後に、後なる者は先になるべし』 041 MAR 010 032 エルサレムに上る途にて、イエス先だち往き給ひしかば、弟子たち驚き、隨ひ往く者ども懼れたり。イエス再び十二 弟子を近づけて、己が身に起らんとする事どもを語り出で給ふ 041 MAR 010 033 『視よ、我らエルサレムに上る。人の子は祭司長・學者らに付されん。彼ら死に定めて、異邦人に付さん。 041 MAR 010 034 異邦人は嘲弄し、唾し、鞭うち、遂に殺さん、かくて彼は三日の後に甦へるべし』 041 MAR 010 035 ここにゼベダイの子ヤコブ、ヨハネ御許に來りて言ふ『師よ、願はくは我らが何にても求むる所を爲したまへ』 041 MAR 010 036 イエス言ひ給ふ『わが汝らに何を爲さんことを望むか』 041 MAR 010 037 彼ら言ふ『なんぢの榮光の中にて、一人をその右に、一人をその左に坐せしめ給へ』 041 MAR 010 038 イエス言ひ給ふ『なんぢらは求むる所を知らず、汝 等わが飮む酒杯を飮み、我が受くるバプテスマを受け得るか』 041 MAR 010 039 彼 等いふ『得るなり』イエス言ひ給ふ『なんぢら我が飮む酒杯を飮み、また我が受くるバプテスマを受くべし。 041 MAR 010 040 されど我が右 左に坐することは、我の與ふべきものならず、ただ備へられたる人こそ與へらるるなれ』 041 MAR 010 041 十 人の弟子これを聞き、ヤコブとヨハネとの事により憤ほり出でたれば、 041 MAR 010 042 イエス彼らを呼びて言ひたまふ『異邦人の君と認めらるる者の、その民を宰どり、大なる者の、民の上に權を執ることは、汝らの知る所なり。 041 MAR 010 043 されど汝らの中にては然らず、反つて大ならんと思ふ者は、汝らの役者となり、 041 MAR 010 044 頭たらんと思ふ者は、凡ての者の僕となるべし。 041 MAR 010 045 人の子の來れるも、事へらるる爲にあらず、反つて事ふることをなし、又おほくの人の贖償として己が生命を與へん爲なり』 041 MAR 010 046 かくて彼らエリコに到る。イエスその弟子たち及び大なる群衆と共に、エリコを出でたまふ時、テマイの子バルテマイといふ盲目の乞食、路の傍に坐しをりしが、 041 MAR 010 047 ナザレのイエスなりと聞き、叫び出して言ふ『ダビデの子イエスよ、我を憫みたまへ』 041 MAR 010 048 多くの人かれを禁めて默さしめんとしたれど、ますます叫びて『ダビデの子よ、我を憫みたまへ』と言ふ。 041 MAR 010 049 イエス立ち止りて『かれを呼べ』と言ひ給へば、人々 盲人を呼びて言ふ『心 安かれ、起て、なんぢを呼びたまふ』 041 MAR 010 050 盲人うはぎを脱ぎ捨て、躍り上りて、イエスの許に來りしに、 041 MAR 010 051 イエス答へて言ひ給ふ『わが汝に何を爲さんことを望むか』盲人いふ『わが師よ、見えんことなり』 041 MAR 010 052 イエス彼に『ゆけ、汝の信仰なんぢを救へり』と言ひ給へば、直ちに見ることを得、イエスに從ひて途を往けり。 041 MAR 011 001 彼らエルサレムに近づき、オリブ山の麓なるベテパゲ及びベタニヤに到りし時、イエス二人の弟子を遣さんとして言ひ給ふ、 041 MAR 011 002 『むかひの村にゆけ、其處に入らば、やがて人の未だ乘りたることなき驢馬の子の繋ぎあるを見ん、それを解きて牽き來れ。 041 MAR 011 003 誰かもし汝らに「なにゆゑ然するか」と言はば「主の用なり、彼ただちに返さん」といへ』 041 MAR 011 004 弟子たち往きて、門の外の路に驢馬の子の繋ぎあるを見て解きたれば、 041 MAR 011 005 其處に立つ人々のうちの或 者『なんぢら驢馬の子を解きて何とするか』と言ふ。 041 MAR 011 006 弟子たちイエスの告げ給ひし如く言ひしに、彼ら許せり。 041 MAR 011 007 かくて弟子たち驢馬の子をイエスの許に牽ききたり、己が衣をその上に置きたれば、イエス之に乘り給ふ。 041 MAR 011 008 多くの人は己が衣を、或 人は野より伐り取りたる樹の枝を途に敷く。 041 MAR 011 009 かつ前に往き後に從ふ者ども呼はりて言ふ『「ホサナ、讃むべきかな、主の御名によりて來る者」 041 MAR 011 010 讃むべきかな、今し來る我らの父ダビデの國。「いと高き處にてホサナ」』 041 MAR 011 011 遂にエルサレムに到りて宮に入り、凡ての物を見囘し、時はや暮に及びたれば、十二 弟子と共にベタニヤに出で往きたまふ。 041 MAR 011 012 あくる日かれらベタニヤより出で來りし時、イエス飢ゑ給ふ。 041 MAR 011 013 遙に葉ある無花果の樹を見て、果をや得んと其のもとに到り給ひしに、葉のほかに何をも見出し給はず、是は無花果の時ならぬに因る。 041 MAR 011 014 イエスその樹に對ひて言ひたまふ『今より後いつまでも、人なんぢの果を食はざれ』弟子たち之を聞けり。 041 MAR 011 015 彼らエルサレムに到る。イエス宮に入り、その内にて賣買する者どもを逐ひ出し、兩替する者の臺、鴿を賣るものの腰掛を倒し、 041 MAR 011 016 また器物を持ちて宮の内を過ぐることを免し給はず。 041 MAR 011 017 かつ教へて言ひ給ふ『「わが家は、もろもろの國人の祈の家と稱へらるべし」と録されたるにあらずや、然るに汝らは之を「強盜の巣」となせり』 041 MAR 011 018 祭司長・學者ら之を聞き、如何にしてかイエスを亡さんと謀る、それは群衆みな其の教に驚きたれば、彼を懼れしなり。 041 MAR 011 019 夕になる毎に、イエス弟子たちと共に都を出でゆき給ふ。 041 MAR 011 020 彼ら朝 早く路をすぎしに、無花果の樹の根より枯れたるを見る。 041 MAR 011 021 ペテロ思ひ出してイエスに言ふ『ラビ、見 給へ、詛ひ給ひし無花果の樹は枯れたり』 041 MAR 011 022 イエス答へて言ひ給ふ『神を信ぜよ。 041 MAR 011 023 まことに汝らに告ぐ、人もし此の山に「移りて海に入れ」と言ふとも、其の言ふところ必ず成るべしと信じて、心に疑はずば、その如く成るべし。 041 MAR 011 024 この故に汝らに告ぐ、凡て祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ、さらば得べし。 041 MAR 011 025 また立ちて祈るとき、人を怨む事あらば免せ、これは天に在す汝らの父の、汝らの過失を免し給はん爲なり』 041 MAR 011 026 [なし] 041 MAR 011 027 かれら又エルサレムに到る。イエス宮の内を歩み給ふとき、祭司長・學者・長老たち御許に來りて、 041 MAR 011 028 『何の權威をもて此 等の事をなすか、誰が此 等の事を爲すべき權威を授けしか』と言ふ。 041 MAR 011 029 イエス言ひ給ふ『われ一言なんぢらに問はん、答へよ、さらば我も何の權威をもて、此 等の事を爲すかを告げん。 041 MAR 011 030 ヨハネのバプテスマは、天よりか、人よりか、我に答へよ』 041 MAR 011 031 彼ら互に論じて言ふ『もし天よりと言はば「何 故かれを信ぜざりし」と言はん。 041 MAR 011 032 されど人よりと言はんか……』彼ら群衆を恐れたり、人みなヨハネを實に預言者と認めたればなり。 041 MAR 011 033 遂にイエスに答へて『知らず』と言ふ。イエス言ひ給ふ『われも何の權威をもて此 等の事を爲すか、汝らに告げじ』 041 MAR 012 001 イエス譬をもて彼らに語り出で給ふ『ある人、葡萄園を造り、籬を環らし、酒槽の穴を掘り、櫓をたて、農夫どもに貸して、遠く旅立せり。 041 MAR 012 002 時いたりて農夫より葡萄園の所得を受取らんとて、僕をその許に遣ししに、 041 MAR 012 003 彼ら之を執へて打ちたたき、空手にて歸らしめたり。 041 MAR 012 004 又ほかの僕を遣ししに、その首に傷つけ、かつ辱しめたり。 041 MAR 012 005 また他の者を遣ししに、之を殺したり。又ほかの多くの僕をも、或は打ち或は殺したり。 041 MAR 012 006 なほ一人あり、即ち其の愛しむ子なり「わが子は敬ふならん」と言ひて、最後に之を遣ししに、 041 MAR 012 007 かの農夫ども互に言ふ「これは世嗣なり、いざ之を殺さん、さらばその嗣業は、我らのものとなるべし」 041 MAR 012 008 乃ち執へて之を殺し、葡萄園の外に投げ棄てたり。 041 MAR 012 009 さらば葡萄園の主、なにを爲さんか、來りて農夫どもを亡し、葡萄園を他の者どもに與ふべし。 041 MAR 012 010 汝ら聖書に「造家者らの棄てたる石は、これぞ隅の首石となれる。 041 MAR 012 011 これ主によりて成れるにて、我らの目には奇しきなり」とある句をすら讀まぬか』 041 MAR 012 012 ここに彼 等イエスを執へんと思ひたれど、群衆を恐れたり、この譬の己らを指して言ひ給へるを悟りしに因る。遂にイエスを離れて去り往けり。 041 MAR 012 013 かくて彼らイエスの言尾をとらへて陷入れん爲に、パリサイ人とヘロデ黨との中より、數人を御許に遣す。 041 MAR 012 014 その者ども來りて言ふ『師よ、我らは知る、汝は眞にして、誰をも憚りたまふ事なし、人の外貌を見ず、眞をもて神の道を教へ給へばなり。我ら貢をカイザルに納むるは、宜きか、惡しきか、納めんか、納めざらんか』 041 MAR 012 015 イエス其の詐僞なるを知りて『なんぞ我を試むるか、デナリを持ち來りて我に見せよ』と言ひ給へば、 041 MAR 012 016 彼ら持ち來る。イエス言ひ給ふ『これは誰の像、たれの號なるか』『カイザルのなり』と答ふ。 041 MAR 012 017 イエス言ひ給ふ『カイザルの物はカイザルに、神の物は神に納めよ』彼らイエスに就きて甚だ怪しめり。 041 MAR 012 018 また復活なしと云ふサドカイ人ら、イエスに來り問ひて言ふ 041 MAR 012 019 『師よ、モーセは、人の兄弟もし子なく妻を遺して死なば、その兄弟かれの妻を娶りて、兄弟のため嗣子を擧ぐべしと、我らに書き遺したり。 041 MAR 012 020 ここに七人の兄弟ありて、兄 妻を娶り、嗣子なくして死に、 041 MAR 012 021 第二の者その女を娶り、また嗣子なくして死に、第三の者もまた然なし、 041 MAR 012 022 七人とも嗣子なくして死に、終には其の女も死にたり。 041 MAR 012 023 復活のとき彼らみな甦へらんに、この女は誰の妻たるべきか、七人これを妻としたればなり』 041 MAR 012 024 イエス言ひ給ふ『なんぢらの誤れるは、聖書をも神の能力をも知らぬ故ならずや。 041 MAR 012 025 人、死人の中より甦へる時は、娶らず、嫁がず、天に在る御使たちの如くなるなり。 041 MAR 012 026 死にたる者の甦へる事に就きては、モーセの書の中なる柴の條に、神モーセに「われはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神なり」と告げ給ひし事あるを、未だ讀まぬか。 041 MAR 012 027 神は死にたる者の神にあらず、生ける者の神なり。なんぢら大に誤れり』 041 MAR 012 028 學者の一人、かれらの論じをるを聞き、イエスの善く答へ給へるを知り、進み出でて問ふ『すべての誡命のうち、何か第一なる』 041 MAR 012 029 イエス答へたまふ『第一は是なり「イスラエルよ聽け、主なる我らの神は唯一の主なり。 041 MAR 012 030 なんぢ心を盡し、精神を盡し、思を盡し、力を盡して、主なる汝の神を愛すべし」 041 MAR 012 031 第二は是なり「おのれの如く汝の隣を愛すべし」此の二つより大なる誡命はなし』 041 MAR 012 032 學者いふ『善きかな師よ「神は唯一にして他に神なし」と言ひ給へるは眞なり。 041 MAR 012 033 「こころを盡し、知慧を盡し、力を盡して神を愛し、また己のごとく隣を愛する」は、もろもろの燔祭および犧牲に勝るなり』 041 MAR 012 034 イエスその聰く答へしを見て言ひ給ふ『なんぢ神の國に遠からず』此の後たれも敢へてイエスに問ふ者なかりき。 041 MAR 012 035 イエス宮にて教ふるとき、答へて言ひ給ふ『なにゆゑ學者らはキリストをダビデの子と言ふか。 041 MAR 012 036 ダビデ聖 靈に感じて自らいへり「主わが主に言ひ給ふ、我なんぢの敵を汝の足の下に置くまでは、我が右に坐せよ」と。 041 MAR 012 037 ダビデ自ら彼を主と言ふ、されば爭でその子ならんや』大なる群衆は喜びてイエスに聽きたり。 041 MAR 012 038 イエスその教のうちに言ひたまふ『學者らに心せよ、彼らは長き衣を著て歩むこと、市場にての敬禮、 041 MAR 012 039 會堂の上座、饗宴の上席を好み、 041 MAR 012 040 また寡婦らの家を呑み、外見をつくりて長き祈をなす。その受くる審判は更に嚴しからん』 041 MAR 012 041 イエス賽錢函に對ひて坐し、群衆の錢を賽錢函に投げ入るるを見 給ふ。富める多くの者は、多く投げ入れしが、 041 MAR 012 042 一人の貧しき寡婦きたりて、レプタ二つを投げ入れたり、即ち五 厘ほどなり。 041 MAR 012 043 イエス弟子たちを呼び寄せて言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、この貧しき寡婦は、賽錢函に投げ入るる凡ての人よりも多く投げ入れたり。 041 MAR 012 044 凡ての者は、その豐なる内よりなげ入れ、この寡婦は其の乏しき中より、凡ての所有、即ち己が生命の料をことごとく投げ入れたればなり』 041 MAR 013 001 イエス宮を出で給ふとき、弟子の一人いふ『師よ、見 給へ、これらの石、これらの建造物、いかに盛ならずや』 041 MAR 013 002 イエス言ひ給ふ『なんぢ此 等の大なる建造物を見るか、一つの石も崩されずしては石の上に殘らじ』 041 MAR 013 003 オリブ山にて宮の方に對ひて坐し給へるに、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレ竊に問ふ 041 MAR 013 004 『われらに告げ給へ、これらの事は何時あるか、又すべて此 等の事の成し遂げられんとする時は、如何なる兆あるか』 041 MAR 013 005 イエス語り出で給ふ『なんぢら人に惑されぬやうに心せよ。 041 MAR 013 006 多くの者わが名を冒し來り「われは夫なり」と言ひて多くの人を惑さん。 041 MAR 013 007 戰爭と戰爭の噂とを聞くとき懼るな、かかる事はあるべきなり、されど未だ終にはあらず。 041 MAR 013 008 即ち「民は民に、國は國に逆ひて起たん」また處々に地震あり、饑饉あらん、これらは産の苦難の始なり。 041 MAR 013 009 汝 等みづから心せよ、人々なんぢらを衆議所に付さん。なんぢら會堂に曳かれて打たれ、且わが故によりて、司たち及び王たちの前に立てられん、これは證をなさん爲なり。 041 MAR 013 010 かくて福音は先づもろもろの國人に宣傳へらるべし。 041 MAR 013 011 人々なんぢらを曳きて付さんとき、何を言はんと預じめ思ひ煩ふな、唯そのとき授けらるることを言へ、これ言ふ者は汝 等にあらず、聖 靈なり。 041 MAR 013 012 兄弟は兄弟を、父は子を死にわたし、子らは親たちに逆ひ立ちて死なしめん。 041 MAR 013 013 又なんぢら我が名の故に凡ての人に憎まれん、されど終まで耐へ忍ぶ者は救はるべし。 041 MAR 013 014 「荒す惡むべき者」の立つべからざる所に立つを見ば(讀むもの悟れ)その時ユダヤにをる者どもは、山に遁れよ。 041 MAR 013 015 屋の上にをる者は、内に下るな。また家の物を取り出さんとて内に入るな。 041 MAR 013 016 畑にをる者は上衣を取らんとて歸るな。 041 MAR 013 017 其の日には孕りたる女と、乳を哺まする女とは禍害なるかな。 041 MAR 013 018 この事の冬おこらぬやうに祈れ、 041 MAR 013 019 その日は患難の日なればなり。神の萬物を造り給ひし開闢より今に至るまで、かかる患難はなく、また後にもなからん。 041 MAR 013 020 主その日を少くし給はずば、救はるる者 一人だになからん。されど其の選び給ひし選民の爲に、その日を少くし給へり。 041 MAR 013 021 其の時なんぢらに「視よ、キリスト此處にあり」「視よ、彼處にあり」と言ふ者ありとも信ずな。 041 MAR 013 022 僞キリスト・僞 預言者ら起りて、徴と不思議とを行ひ、爲し得べくは、選民をも惑さんとするなり。 041 MAR 013 023 汝らは心せよ、あらかじめ之を皆なんぢらに告げおくなり。 041 MAR 013 024 其の時、その患難ののち、日は暗く、月は光を發たず。 041 MAR 013 025 星は空より隕ち、天にある萬象ふるひ動かん。 041 MAR 013 026 其のとき人々、人の子の大なる能力と榮光とをもて、雲に乘り來るを見ん。 041 MAR 013 027 その時かれは使者たちを遣して、地の極より天の極まで、四方より其の選民をあつめん。 041 MAR 013 028 無花果の樹よりの譬を學べ、その枝すでに柔かくなりて葉 芽ぐめば、夏の近きを知る。 041 MAR 013 029 かくの如く此 等のことの起るを見ば、人の子すでに近づきて門邊にいたるを知れ。 041 MAR 013 030 まことに汝らに告ぐ、これらの事ことごとく成るまで、今の代は過ぎ逝くことなし。 041 MAR 013 031 天 地は過ぎゆかん、されど我が言は過ぎ逝くことなし。 041 MAR 013 032 その日その時を知る者なし。天にある使者たちも知らず、子も知らず、ただ父のみ知り給ふ。 041 MAR 013 033 心して目を覺しをれ、汝 等その時の何時なるかを知らぬ故なり。 041 MAR 013 034 例へば家を出づる時、その僕どもに權を委ねて、各自の務を定め、更に門守に、目を覺しをれと命じ置きて、遠く旅立したる人のごとし。 041 MAR 013 035 この故に目を覺しをれ、家の主人の歸るは、夕か、夜半か、鷄 鳴くころか、夜明か、いづれの時なるかを知らねばなり。 041 MAR 013 036 恐らくは俄に歸りて、汝らの眠れるを見ん。 041 MAR 013 037 わが汝らに告ぐるは、凡ての人に告ぐるなり。目を覺しをれ』 041 MAR 014 001 さて過越と除酵との祭の二日 前となりぬ。祭司長・學者ら詭計をもてイエスを捕へ、かつ殺さんと企てて言ふ 041 MAR 014 002 『祭の間は爲すべからず、恐らくは民の亂あるべし』 041 MAR 014 003 イエス、ベタニヤに在して、癩病人シモンの家にて食事の席につき居給ふとき、或 女、價 高き混なきナルドの香 油の入りたる石膏の壺を持ち來り、その壺を毀ちてイエスの首に注ぎたり。 041 MAR 014 004 ある人々、憤ほりて互に言ふ『なに故かく濫に油を費すか、 041 MAR 014 005 この油を三 百デナリ餘に賣りて、貧しき者に施すことを得たりしものを』而して甚く女を咎む。 041 MAR 014 006 イエス言ひ給ふ『その爲すに任せよ、何ぞこの女を惱すか、我に善き事をなせり。 041 MAR 014 007 貧しき者は常に汝らと偕にをれば、何時にても心のままに助け得べし、されど我は常に汝らと偕にをらず。 041 MAR 014 008 此の女は、なし得る限をなして、我が體に香 油をそそぎ、あらかじめ葬りの備をなせり。 041 MAR 014 009 まことに汝らに告ぐ、全世界いづこにても、福音の宣傅へらるる處には、この女の爲しし事も記念として語らるべし』 041 MAR 014 010 ここに十二 弟子の一人なるイスカリオテのユダ、イエスを賣らんとて祭司長の許にゆく。 041 MAR 014 011 彼 等これを聞きて喜び、銀を與へんと約したれば、ユダ如何にしてか機 好くイエスを付さんと謀る。 041 MAR 014 012 除酵祭の初の日、即ち過越の羔羊を屠るべき日、弟子たちイエスに言ふ『過越の食をなし給ふために、我らが何處に往きて備ふることを望み給ふか』 041 MAR 014 013 イエス二人の弟子を遣さんとして言ひたまふ『都に往け、然らば水をいれたる瓶を持つ人、なんぢらに遇ふべし。之に從ひ往き、 041 MAR 014 014 その入る所の家主に「師いふ、われ弟子らと共に過越の食をなすべき座敷は何處なるか」と言へ。 041 MAR 014 015 さらば調へ備へたる大なる二階 座敷を見すべし。其處に我らのために備へよ』 041 MAR 014 016 弟子たち出で往きて都に入り、イエスの言ひ給ひし如くなるを見て、過越の設備をなせり。 041 MAR 014 017 日 暮れてイエス十二 弟子とともに往き、 041 MAR 014 018 みな席に就きて食するとき言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、我と共に食する汝らの中の一人、われを賣らん』 041 MAR 014 019 弟子たち憂ひて一人 一人『われなるか』と言ひ出でしに、 041 MAR 014 020 イエス言ひたまふ『十二のうちの一人にて、我と共にパンを鉢に浸す者は夫なり。 041 MAR 014 021 實に人の子は己に就きて録されたる如く逝くなり。されど人の子を賣る者は禍害なるかな、その人は生れざりし方よかりしものを』 041 MAR 014 022 彼ら食しをる時、イエス、パンを取り、祝してさき、弟子たちに與へて言ひたまふ『取れ、これは我が體なり』 041 MAR 014 023 また酒杯を取り、謝して彼らに與へ給へば、皆この酒杯より飮めり。 041 MAR 014 024 また言ひ給ふ『これは契約の我が血、おほくの人の爲に流す所のものなり。 041 MAR 014 025 まことに汝らに告ぐ、神の國にて新しきものを飮む日までは、われ葡萄の果より成るものを飮まじ』 041 MAR 014 026 かれら讃美をうたひて後、オリブ山に出でゆく。 041 MAR 014 027 イエス弟子たちに言ひ給ふ『なんぢら皆 躓かん、それは「われ牧羊者を打たん、さらば羊 散るべし」と録されたるなり。 041 MAR 014 028 されど我よみがへりて後、なんぢらに先だちてガリラヤに往かん』 041 MAR 014 029 時にペテロ、イエスに言ふ『假令みな躓くとも、我は然らじ』 041 MAR 014 030 イエス言ひ給ふ『まことに汝に告ぐ、今日この夜、鷄ふたたび鳴く前に、なんぢ三たび我を否むべし』 041 MAR 014 031 ペテロ力をこめて言ふ『われ汝とともに死ぬべき事ありとも、汝を否まず』弟子たち皆かく言へり。 041 MAR 014 032 彼らゲツセマネと名づくる處に到りし時、イエス弟子たちに言ひ給ふ『わが祈る間、ここに座せよ』 041 MAR 014 033 かくてペテロ、ヤコブ、ヨハネを伴ひゆき、甚く驚き、かつ悲しみ出でて言ひ給ふ 041 MAR 014 034 『わが心いたく憂ひて死ぬばかりなり、汝ら此處に留りて目を覺しをれ』 041 MAR 014 035 少し進みゆきて、地に平伏し、若しも得べくば此の時の己より過ぎ往かんことを祈りて言ひ給ふ 041 MAR 014 036 『アバ父よ、父には能はぬ事なし、此の酒杯を我より取り去り給へ。されど我が意のままを成さんとにあらず、御意のままを成し給へ』 041 MAR 014 037 來りて、その眠れるを見、ペテロに言ひ給ふ『シモンよ、なんぢ眠るか、一 時も目を覺しをること能はぬか。 041 MAR 014 038 なんぢら誘惑に陷らぬやう、目を覺しかつ祈れ。實に心は熱すれども肉體よわきなり』 041 MAR 014 039 再びゆき、同じ言にて祈り給ふ。 041 MAR 014 040 また來りて彼らの眠れるを見たまふ、是その目いたく疲れたるなり、彼ら何と答ふべきかを知らざりき。 041 MAR 014 041 三度 來りて言ひたまふ『今は眠りて休め、足れり、時きたれり、視よ、人の子は罪人らの手に付さるるなり。 041 MAR 014 042 起て、われらは往くべし。視よ、我を賣る者ちかづけり』 041 MAR 014 043 なほ語りゐ給ふほどに、十二 弟子の一人なるユダ、やがて近づき來る、祭司長・學者・長老らより遣されたる群衆、劍と棒とを持ちて之に伴ふ。 041 MAR 014 044 イエスを賣るもの、あらかじめ合圖を示して言ふ『わが接吻する者はそれなり、之を捕へて確と引きゆけ』 041 MAR 014 045 かくて來りて直ちに御許に往き『ラビ』と言ひて接吻したれば、 041 MAR 014 046 人々イエスに手をかけて捕ふ。 041 MAR 014 047 傍らに立つ者のひとり、劍を拔き、大 祭司の僕を撃ちて、耳を切り落せり。 041 MAR 014 048 イエス人々に對ひて言ひ給ふ『なんぢら強盜にむかふ如く、劍と棒とを持ち、我を捕へんとて出で來るか。 041 MAR 014 049 我は日々なんぢらと偕に宮にありて教へたりしに、我を執へざりき、されど是は聖書の言の成就せん爲なり』 041 MAR 014 050 其のとき弟子みなイエスを棄てて逃げ去る。 041 MAR 014 051 ある若者、素肌に亞麻 布を纏ひて、イエスに從ひたりしに、人々これを捕へければ、 041 MAR 014 052 亞麻 布を棄て裸にて逃げ去れり。 041 MAR 014 053 人々イエスを大 祭司の許に曳き往きたれば、祭司長・長老・學者ら皆あつまる。 041 MAR 014 054 ペテロ遠く離れてイエスに從ひ、大 祭司の中庭まで入り、下役どもと共に坐して火に煖まりゐたり。 041 MAR 014 055 さて祭司長ら及び全 議會、イエスを死に定めんとて、證據を求むれども得ず。 041 MAR 014 056 それはイエスに對して僞證する者 多くあれども、其の證據あはざりしなり。 041 MAR 014 057 遂に或 者ども起ちて僞證して言ふ 041 MAR 014 058 『われら此の人の「われは手にて造りたる此の宮を毀ち、手にて造らぬ他の宮を三日にて建つべし」と云へるを聞けり』 041 MAR 014 059 然れど尚この證據もあはざりき。 041 MAR 014 060 ここに大 祭司、中に立ちイエスに問ひて言ふ『なんぢ何をも答へぬか、此の人々の立つる證據は如何に』 041 MAR 014 061 されどイエス默して何をも答へ給はず。大 祭司ふたたび問ひて言ふ『なんぢは頌むべきものの子キリストなるか』 041 MAR 014 062 イエス言ひ給ふ『われは夫なり、汝ら、人の子の全能者の右に坐し、天の雲の中にありて來るを見ん』 041 MAR 014 063 此のとき大 祭司おのが衣を裂きて言ふ『なんぞ他に證人を求めん。 041 MAR 014 064 なんぢら此の瀆言を聞けり、如何に思ふか』かれら擧りてイエスを死に當るべきものと定む。 041 MAR 014 065 而して或 者どもはイエスに唾し、又その顏を蔽ひ、拳にて搏ちなど爲始めて言ふ『預言せよ』下役どもイエスを受け、手掌にてうてり。 041 MAR 014 066 ペテロ下にて中庭にをりしに、大 祭司の婢女の一人きたりて、 041 MAR 014 067 ペテロの火に煖まりをるを見、これに目を注めて『汝もかのナザレ人イエスと偕に居たり』と言ふ。 041 MAR 014 068 ペテロ肯はずして『われは汝の言ふことを知らず、又その意をも悟らず』と言ひて庭 口に出でたり。 041 MAR 014 069 婢女かれを見て、また傍らに立つ者どもに『この人はかの黨與なり』と言ひ出でしに、 041 MAR 014 070 ペテロ重ねて肯はず、暫くしてまた傍らに立つ者どもペテロに言ふ『なんぢは慥にかの黨與なり、汝もガリラヤ人なり』 041 MAR 014 071 此の時ペテロ盟ひかつ誓ひて『われは汝らの言ふ其の人を知らず』と言ひ出づ。 041 MAR 014 072 その折しも、また鷄なきぬ。ペテロ『にはとり二度なく前に、なんぢ三度われを否まん』とイエスの言ひ給ひし御言を思ひいだし、思ひ反して泣きたり。 041 MAR 015 001 夜 明るや直ちに、祭司長・長老・學者ら、即ち全 議會ともに相 議りて、イエスを縛り、曳きゆきてピラトに付す。 041 MAR 015 002 ピラト、イエスに問ひて言ふ『なんぢはユダヤ人の王なるか』答へて言ひ給ふ『なんぢの言ふが如し』 041 MAR 015 003 祭司長らさまざまに訴ふれば、 041 MAR 015 004 ピラトまた問ひて言ふ『なにも答へぬか、視よ、如何に多くの事をもて訴ふるか』 041 MAR 015 005 されどピラトの怪しむばかり、イエス更に何をも答へ給はず。 041 MAR 015 006 さて祭の時には、ピラト民の願に任せて、囚人ひとりを赦す例なるが、 041 MAR 015 007 ここに一揆を起し、人を殺して繋がれをる者の中に、バラバといふ者あり。 041 MAR 015 008 群衆すすみ來りて、例の如くせんことを願ひ出でたれば、 041 MAR 015 009 ピラト答へて言ふ『ユダヤ人の王を赦さんことを願ふか』 041 MAR 015 010 これピラト、祭司長らのイエスを付ししは、嫉に因ると知る故なり。 041 MAR 015 011 されど祭司長ら群衆を唆かし、反つてバラバを赦さんことを願はしむ。 041 MAR 015 012 ピラトまた答へて言ふ『さらば汝らがユダヤ人の王と稱ふる者をわれ如何にすべきか』 041 MAR 015 013 人々また叫びて言ふ『十字架につけよ』 041 MAR 015 014 ピラト言ふ『そも彼は何の惡事を爲したるか』かれら烈しく叫びて『十字架につけよ』と言ふ。 041 MAR 015 015 ピラト群衆の望を滿さんとて、バラバを釋し、イエスを鞭うちたるのち、十字架につくる爲にわたせり。 041 MAR 015 016 兵卒どもイエスを官邸の中庭に連れゆき、全 隊を呼び集めて、 041 MAR 015 017 彼に紫色の衣を著せ、茨の冠冕を編みて冠らせ、 041 MAR 015 018 『ユダヤ人の王、安かれ』と禮をなし始め、 041 MAR 015 019 また葦にて其の首をたたき、唾し、跪づきて拜せり。 041 MAR 015 020 かく嘲弄してのち、紫色の衣を剥ぎ、故の衣を著せ、十字架につけんとて曳き出せり。 041 MAR 015 021 時にアレキサンデルとルポスとの父シモンといふクレネ人、田舍より來りて通りかかりしに、強ひてイエスの十字架を負はせ、 041 MAR 015 022 イエスをゴルゴダ、釋けば髑髏といふ處に連れ往けり。 041 MAR 015 023 かくて沒藥を混ぜたる葡萄酒を與へたれど、受け給はず。 041 MAR 015 024 彼らイエスを十字架につけ、而して誰が何を取るべきと、鬮を引きて其の衣を分つ、 041 MAR 015 025 イエスを十字架につけしは、朝の九時 頃なりき。 041 MAR 015 026 その罪標には『ユダヤ人の王』と書せり。 041 MAR 015 027 イエスと共に、二人の強盜を十字架につけ、一人をその右に、一人をその左に置く。 041 MAR 015 028 [なし] 041 MAR 015 029 往來の者どもイエスを譏り、首を振りて言ふ『ああ、宮を毀ちて三日のうちに建つる者よ、 041 MAR 015 030 十字架より下りて己を救へ』 041 MAR 015 031 祭司長らも亦 同じく、學者らと共に嘲弄して互に言ふ『人を救ひて、己を救ふこと能はず、 041 MAR 015 032 イスラエルの王キリスト、いま十字架より下りよかし、さらば我ら見て信ぜん』共に十字架につけられたる者どもも、イエスを罵りたり。 041 MAR 015 033 晝の十二 時に、地のうへ徧く暗くなりて、三時に及ぶ。 041 MAR 015 034 三時にイエス大聲に『エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ』と呼はり給ふ。之を釋けば、わが神、わが神、なんぞ我を見 棄て給ひし、との意なり。 041 MAR 015 035 傍らに立つ者のうち或 人々これを聞きて言ふ『視よ、エリヤを呼ぶなり』 041 MAR 015 036 一人はしり往きて、海綿に酸き葡萄酒を含ませて葦につけ、イエスに飮ましめて言ふ『待て、エリヤ來りて、彼を下すや否や、我ら之を見ん』 041 MAR 015 037 イエス大聲を出して息 絶え給ふ。 041 MAR 015 038 聖所の幕、上より下まで裂けて二つとなりたり。 041 MAR 015 039 イエスに向ひて立てる百卒長、かかる樣にて息 絶え給ひしを見て言ふ『實にこの人は神の子なりき』 041 MAR 015 040 また遙に望み居たる女たちあり、その中にはマグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、及びサロメなども居たり。 041 MAR 015 041 彼らはイエスのガリラヤに居給ひしとき、從ひ事へし者どもなり。此の他イエスと共にエルサレムに上りし多くの女もありき。 041 MAR 015 042 日 既に暮れて、準備 日すなはち安息 日の前の日となりたれば、 041 MAR 015 043 貴き議員にして、神の國を待ち望める、アリマタヤのヨセフ來りて、憚らずピラトの許に往き、イエスの屍體を乞ふ。 041 MAR 015 044 ピラト、イエスは早や死にしかと訝り、百卒長を呼びて、その死にしより時 經しや否やを問ひ、 041 MAR 015 045 既に死にたる事を百卒長より聞き知りて、屍體をヨセフに與ふ。 041 MAR 015 046 ヨセフ亞麻 布を買ひ、イエスを取下して之に包み、岩に鑿りたる墓に納め、墓の入口に石を轉し置く。 041 MAR 015 047 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤと、イエスを納めし處を見ゐたり。 041 MAR 016 001 安息 日 終りし時、マグダラのマリヤ、ヤコブの母マリヤ及びサロメ、往きてイエスに抹らんとて香料を買ひ、 041 MAR 016 002 一週の首の日、日の出でたる頃いと早く墓にゆく。 041 MAR 016 003 誰か我らの爲に墓の入口より石を轉すべきと語り合ひしに、 041 MAR 016 004 目を擧ぐれば、石の既に轉しあるを見る。この石は甚だ大なりき。 041 MAR 016 005 墓に入り、右の方に白き衣を著たる若者の坐するを見て甚く驚く。 041 MAR 016 006 若者いふ『おどろくな、汝らは十字架につけられ給ひしナザレのイエスを尋ぬれど、既に甦へりて、此處に在さず。視よ、納めし處は此處なり。 041 MAR 016 007 されど往きて弟子たちとペテロとに告げよ「汝らに先だちてガリラヤに往き給ふ、彼處にて謁ゆるを得ん、曾て汝らに言ひ給ひしが如し」』 041 MAR 016 008 女たち甚く驚きをののき、墓より逃げ出でしが、懼れたれば一言をも人に語らざりき。 041 MAR 016 009 (note: The most reliable and earliest manuscripts do not include Mark 16:9-20.) [一週の首の日の拂曉、イエス甦へりて先づマグダラのマリヤに現れたまふ、前にイエスが七つの惡鬼を逐ひいだし給ひし女なり。 041 MAR 016 010 マリヤ往きて、イエスと偕にありし人々の、泣き悲しみ居るときに之を告ぐ。 041 MAR 016 011 彼らイエスの活き給へる事と、マリヤに見え給ひし事とを聞けども信ぜざりき。 041 MAR 016 012 此の後その中の二人、田舍に往く途を歩むほどに、イエス異なりたる姿にて現れ給ふ。 041 MAR 016 013 此の二人ゆきて、他の弟子たちに之を告げたれど、なほ信ぜざりき。 041 MAR 016 014 其ののち十 一 弟子の食しをる時に、イエス現れて、己が甦へりたるを見し者どもの言を信ぜざりしにより、其の信仰なきと、其の心の頑固なるとを責め給ふ。 041 MAR 016 015 かくて彼らに言ひたまふ『全世界を巡りて凡ての造られしものに福音を宣傳へよ。 041 MAR 016 016 信じてバプテスマを受くる者は救はるべし、然れど信ぜぬ者は罪に定めらるべし。 041 MAR 016 017 信ずる者には此 等の徴ともなはん。即ち我が名によりて惡鬼を逐ひいだし、新しき言をかたり、 041 MAR 016 018 蛇を握るとも、毒を飮むとも、害を受けず、病める者に手をつけなば癒えん』 041 MAR 016 019 語り終へてのち、主イエスは天に擧げられ、神の右に坐し給ふ。 041 MAR 016 020 弟子たち出でて、あまねく福音を宣傳へ、主も亦ともに働き、伴ふところの徴をもて、御言を確うし給へり〕 # # BOOK 042 LUK Luke ルカの福音書 042 LUK 001 001 我らの中に成りし事の物語につき、始よりの目撃者にして、 042 LUK 001 002 御言の役者となりたる人々の、我らに傳へし其のままを書き列ねんと、手を著けし者あまたある故に、 042 LUK 001 003 我も凡ての事を最初より詳細に推し尋ねたれば、 042 LUK 001 004 テオピロ閣下よ、汝の教へられたる事の慥なるを悟らせん爲に、これが序を正して書き贈るは善き事と思はるるなり。 042 LUK 001 005 ユダヤの王ヘロデの時、アビヤの組の祭司に、ザカリヤという人あり。その妻はアロンの裔にて、名をエリサベツといふ。 042 LUK 001 006 二人ながら神の前に正しくして、主の誡命と定規とを、みな缺なく行へり。 042 LUK 001 007 エリサベツ石女なれば、彼らに子なし、また二人とも年 邁みぬ。 042 LUK 001 008 さてザカリヤその組の順番に當りて、神の前に祭司の務を行ふとき、 042 LUK 001 009 祭司の慣例にしたがひて、籤をひき主の聖所に入りて、香を燒くこととなりぬ。 042 LUK 001 010 香を燒くとき、民の群みな外にありて祈りゐたり。 042 LUK 001 011 時に主の使あらはれて、香壇の右に立ちたれば、 042 LUK 001 012 ザカリヤ之を見て、心さわぎ懼を生ず。 042 LUK 001 013 御使いふ『ザカリヤよ、懼るな、汝の願は聽かれたり。汝の妻エリサベツ男子を生まん、汝その名をヨハネと名づくべし。 042 LUK 001 014 なんぢに喜悦と歡樂とあらん、又おほくの人もその生るるを喜ぶべし。 042 LUK 001 015 この子、主の前に大ならん、また葡萄酒と濃き酒とを飮まず、母の胎を出づるや聖 靈にて滿されん。 042 LUK 001 016 また多くのイスラエルの子らを、主なる彼らの神に歸らしめ、 042 LUK 001 017 且エリヤの靈と能力とをもて、主の前に往かん。これ父の心を子に、戻れる者を義人の聰明に歸らせて、整へたる民を主のために備へんとてなり』 042 LUK 001 018 ザカリヤ御使にいふ『何に據りてか此の事あるを知らん。我は老人にて、妻もまた年 邁みたり』 042 LUK 001 019 御使こたへて言ふ『われは神の御前に立つガブリエルなり、汝に語りてこの嘉き音信を告げん爲に遣さる。 042 LUK 001 020 視よ、時いたらば必ず成就すべき我が言を信ぜぬに因り、なんぢ物 言へずなりて、此らの事の成る日までは語ること能はじ』 042 LUK 001 021 民はザカリヤを俟ちゐて、其の聖所の内に久しく留るを怪しむ。 042 LUK 001 022 遂に出で來りたれど語ること能はねば、彼らその聖所の内にて異象を見たることを悟る。ザカリヤは、ただ首にて示すのみ、なほ唖なりき。 042 LUK 001 023 かくて務の日 滿ちたれば、家に歸りぬ。 042 LUK 001 024 此の後その妻エリサベツ孕りて、五月ほど隱れをりて言ふ、 042 LUK 001 025 『主わが恥を人の中に雪がせんとて、我を顧み給ふときは、斯く爲し給ふなり』 042 LUK 001 026 その六月めに、御使ガブリエル、ナザレといふガリラヤの町にをる處女のもとに、神より遣さる。 042 LUK 001 027 この處女はダビデの家のヨセフといふ人と許嫁せし者にて、其の名をマリヤと云ふ。 042 LUK 001 028 御使、處女の許にきたりて言ふ『めでたし、惠まるる者よ、主なんぢと偕に在せり』 042 LUK 001 029 マリヤこの言によりて心いたく騷ぎ、斯かる挨拶は如何なる事ぞと思ひ廻らしたるに、 042 LUK 001 030 御使いふ『マリヤよ、懼るな、汝は神の御前に惠を得たり。 042 LUK 001 031 視よ、なんぢ孕りて男子を生まん、其の名をイエスと名づくべし。 042 LUK 001 032 彼は大ならん、至高者の子と稱へられん。また主たる神、これに其の父ダビデの座位をあたへ給へば、 042 LUK 001 033 ヤコブの家を永遠に治めん。その國は終ることなかるべし』 042 LUK 001 034 マリヤ御使に言ふ『われ未だ人を知らぬに、如何にして此の事のあるべき』 042 LUK 001 035 御使こたへて言ふ『聖 靈なんぢに臨み、至高者の能力なんぢを被はん。此の故に汝が生むところの聖なる者は、神の子と稱へらるべし。 042 LUK 001 036 視よ、なんぢの親族エリサベツも、年 老いたれど、男子を孕めり。石女といはれたる者なるに、今は孕りてはや六月になりぬ。 042 LUK 001 037 それ神の言には能はぬ所なし』 042 LUK 001 038 マリヤ言ふ『視よ、われは主の婢女なり。汝の言のごとく、我に成れかし』つひに御使はなれ去りぬ。 042 LUK 001 039 その頃マリヤ立ちて山里に急ぎ往き、ユダの町にいたり、 042 LUK 001 040 ザカリヤの家に入りてエリサベツに挨拶せしに、 042 LUK 001 041 エリサベツその挨拶を聞くや、兒は胎内にて躍れり。エリサベツ聖 靈にて滿され、 042 LUK 001 042 聲 高らかに呼はりて言ふ『をんなの中にて汝は祝福せられ、その胎の實もまた祝福せられたり。 042 LUK 001 043 わが主の母われに來る、われ何によりてか之を得し。 042 LUK 001 044 視よ、なんぢの挨拶の聲、わが耳に入るや、我が兒、胎内にて喜びをどれり。 042 LUK 001 045 信ぜし者は幸福なるかな、主の語り給ふことは必ず成就すべければなり』 042 LUK 001 046 マリヤ言ふ、『わがこころ主をあがめ、 042 LUK 001 047 わが靈はわが救主なる神を喜びまつる。 042 LUK 001 048 その婢女の卑しきをも顧み給へばなり。視よ、今よりのち萬 世の人われを幸福とせん。 042 LUK 001 049 全能者われに大なる事を爲したまへばなり。その御名は聖なり、 042 LUK 001 050 そのあはれみは代々かしこみ恐るる者に臨むなり。 042 LUK 001 051 神は御腕にて權力をあらはし、心の念に高ぶる者を散し、 042 LUK 001 052 權勢ある者を座位より下し、いやしき者を高うし、 042 LUK 001 053 飢ゑたる者を善き物に飽かせ、富める者を空しく去らせ給ふ。 042 LUK 001 054 また我らの先祖に告げ給ひし如く、 042 LUK 001 055 アブラハムとその裔とに對するあはれみを永遠に忘れじとて、僕イスラエルを助けたまへり』 042 LUK 001 056 かくてマリヤは、三月ばかりエルザベツと偕に居りて、己が家に歸れり。 042 LUK 001 057 さてエリサベツ産む期みちて男子を生みたれば、 042 LUK 001 058 その最寄のもの親族の者ども、主の大なる憐憫をエリサベツに垂れ給ひしことを聞きて、彼とともに喜ぶ。 042 LUK 001 059 八日めになりて、其の子に割禮を行はんとて人々きたり、父の名に因みてザカリヤと名づけんとせしに、 042 LUK 001 060 母こたへて言ふ『否、ヨハネと名づくべし』 042 LUK 001 061 かれら言ふ『なんぢの親族の中には此の名をつけたる者なし』 042 LUK 001 062 而して父に首にて示し、いかに名づけんと思ふか、問ひたるに、 042 LUK 001 063 ザカリヤ書板を求めて『その名はヨハネなり』と書きしかば、みな怪しむ。 042 LUK 001 064 ザカリヤの口たちどころに開け、舌ゆるみ、物いひて神を讃めたり。 042 LUK 001 065 最寄に住む者みな懼をいだき、又すべて此 等のこと徧くユダヤの山里に言ひ囃されたれば、 042 LUK 001 066 聞く者みな之を心にとめて言ふ『この子は如何なる者にか成らん』主の手かれと偕に在りしなり。 042 LUK 001 067 かくて父ザカリヤ聖 靈にて滿され預言して言ふ、 042 LUK 001 068 『讃むべきかな、主イスラエルの神、その民をかへりみて贖罪をなし、 042 LUK 001 069 我らのために救の角を、その僕ダビデの家に立て給へり。 042 LUK 001 070 これぞ古へより聖 預言者の口をもて言ひ給ひし如く、 042 LUK 001 071 我らを仇より、凡て我らを憎む者の手より、取り出したまふ救なる。 042 LUK 001 072 我らの先祖に憐憫を垂れ、その聖なる契約を思し、 042 LUK 001 073 我らの先祖アブラハムに立て給ひし御誓を忘れずして、 042 LUK 001 074 我らを仇の手より救ひ、生涯、主の御前に、 042 LUK 001 075 聖と義とをもて懼なく事へしめたまふなり。 042 LUK 001 076 幼兒よ、なんぢは至高者の預言者と稱へられん。これ主の御前に先だちゆきて、其の道を備へ、 042 LUK 001 077 主の民に罪の赦による救を知らしむればなり。 042 LUK 001 078 これ我らの神の深き憐憫によるなり。この憐憫によりて朝のひかり、上より臨み、 042 LUK 001 079 暗黒と死の蔭とに坐する者をてらし、我らの足を平和の路にみちびかん』 042 LUK 001 080 かくて幼兒は漸に成長し、その靈 強くなり、イスラエルに現るる日まで荒野にゐたり。 042 LUK 002 001 その頃、天下の人を戸籍に著かすべき詔令、カイザル・アウグストより出づ。 042 LUK 002 002 この戸籍 登録は、クレニオ、シリヤの總督たりし時に行はれし初のものなり。 042 LUK 002 003 さて人みな戸籍に著かんとて、各自その故郷に歸る。 042 LUK 002 004 ヨセフもダビデの家系また血統なれば、既に孕める許嫁の妻マリヤとともに、戸籍に著かんとて、ガリラヤの町ナザレを出でてユダヤに上り、ダビデの町ベツレヘムといふ處に到りぬ。 042 LUK 002 005 ヨセフもダビデの家系また血統なれば、既に孕める許嫁の妻マリヤとともに、戸籍に著かんとて、ガリラヤの町ナザレを出でてユダヤに上り、ダビデの町ベツレヘムといふ處に到りぬ。 042 LUK 002 006 此處に居るほどに、マリヤ月 滿ちて、 042 LUK 002 007 初子をうみ、之を布に包みて馬槽に臥させたり。旅舍にをる處なかりし故なり。 042 LUK 002 008 この地に野宿して、夜 群を守りをる牧者ありしが、 042 LUK 002 009 主の使その傍らに立ち、主の榮光その周圍を照したれば、甚く懼る。 042 LUK 002 010 御使かれらに言ふ『懼るな、視よ、この民 一般に及ぶべき、大なる歡喜の音信を我なんぢらに告ぐ。 042 LUK 002 011 今日ダビデの町にて汝らの爲に救主うまれ給へり、これ主キリストなり。 042 LUK 002 012 なんぢら布にて包まれ、馬槽に臥しをる嬰兒を見ん、是その徴なり』 042 LUK 002 013 忽ちあまたの天の軍勢、御使に加はり、神を讃美して言ふ、 042 LUK 002 014 『いと高き處には榮光、神にあれ。地には平和、主の悦び給ふ人にあれ』 042 LUK 002 015 御使 等さりて天に往きしとき、牧者たがひに語る『いざ、ベツレヘムにいたり、主の示し給ひし起れる事を見ん』 042 LUK 002 016 乃ち急ぎ往きて、マリヤとヨセフと、馬槽に臥したる嬰兒とに尋ねあふ。 042 LUK 002 017 既に見て、この子につき御使の語りしことを告げたれば、 042 LUK 002 018 聞く者はみな牧者の語りしことを怪しみたり。 042 LUK 002 019 而してマリヤは凡て此 等のことを心に留めて思ひ囘せり。 042 LUK 002 020 牧者は御使の語りしごとく凡ての事を見 聞せしによりて、神を崇めかつ讃美しつつ歸れり。 042 LUK 002 021 八日みちて幼兒に割禮を施すべき日となりたれば、未だ胎内に宿らぬ先に御使の名づけし如く、その名をイエスと名づけたり。 042 LUK 002 022 モーセの律法に定めたる潔の日 滿ちたれば、彼ら幼兒を携へてエルサレムに上る。 042 LUK 002 023 これは主の律法に『すべて初子に生るる男子は、主につける聖なる者と稱へらるべし』と録されたる如く、幼兒を主に献げ、 042 LUK 002 024 また主の律法に『山鳩 一つがひ或は家 鴿の雛 二 羽』と云ひたるに遵ひて、犧牲を供へん爲なり。 042 LUK 002 025 視よ、エルサレムにシメオンといふ人あり。この人は義かつ敬虔にして、イスラエルの慰められんことを待ち望む。聖 靈その上に在す。 042 LUK 002 026 また聖 靈に、主のキリストを見ぬうちは死を見ずと示されたれしが、 042 LUK 002 027 此とき御靈に感じて宮に入る。兩親その子イエスを携へ、この子のために律法の慣例に遵ひて行はんとて來りたれば、 042 LUK 002 028 シメオン、イエスを取りいだき、神を讃めて言ふ、 042 LUK 002 029 『主よ、今こそ御言に循ひて、僕を安らかに逝かしめ給ふなれ。 042 LUK 002 030 わが目は、はや主の救を見たり。 042 LUK 002 031 是もろもろの民の前に備へ給ひし者、 042 LUK 002 032 異邦人をてらす光、御民イスラエルの榮光なり』 042 LUK 002 033 かく幼兒に就きて語ることを、其の父 母あやしみ居たれば、 042 LUK 002 034 シメオン彼らを祝して母マリヤに言ふ『視よ、この幼兒は、イスラエルの多くの人の或は倒れ、或は起たん爲に、また言ひ逆ひを受くる徴のために置かる。 042 LUK 002 035 ――劍なんぢの心をも刺し貫くべし――これは多くの人の心の念の顯れん爲なり』 042 LUK 002 036 ここにアセルの族パヌエルの娘に、アンナといふ預言者あり、年いたく老ゆ。處女のとき、夫に適きて七 年ともに居り、 042 LUK 002 037 八 十四年 寡婦たり。宮を離れず、夜も晝も斷食と祈祷とを爲して神に事ふ。 042 LUK 002 038 この時すすみ寄りて神に感謝し、また凡てエルサレムの拯贖を待ちのぞむ人に、幼兒のことを語れり。 042 LUK 002 039 さて主の律法に遵ひて、凡ての事を果したれば、ガリラヤに歸り、己が町ナザレに到れり。 042 LUK 002 040 幼兒は漸に成長して健かになり、智慧みち、かつ神の惠その上にありき。 042 LUK 002 041 かくてその兩親、過越の祭には年毎にエルサレムに往きぬ。 042 LUK 002 042 イエスの十二 歳のとき、祭の慣例に遵ひて上りゆき、 042 LUK 002 043 祭の日 終りて歸る時、その子イエスはエルサレムに止りたまふ。兩親は之を知らずして、 042 LUK 002 044 道伴のうちに居るならんと思ひ、一日 路ゆきて、親族・知邊のうちを尋ぬれど、 042 LUK 002 045 遇はぬに因りて復たづねつつエルサレムに歸り、 042 LUK 002 046 三日ののち、宮にて教師のなかに坐し、かつ聽き、かつ問ひゐ給ふに遇ふ。 042 LUK 002 047 聞く者は皆その聰と答とを怪しむ。 042 LUK 002 048 兩親イエスを見て、いたく驚き、母は言ふ『兒よ、何 故かかる事を我らに爲しぞ、視よ、汝の父と我と憂ひて尋ねたり』 042 LUK 002 049 イエス言ひたまふ『何 故われを尋ねたるか、我はわが父の家に居るべきを知らぬか』 042 LUK 002 050 兩親はその語りたまふ事を悟らず。 042 LUK 002 051 かくてイエス彼 等とともに下り、ナザレに往きて順ひ事へたまふ。其の母これらの事をことごとく心に藏む。 042 LUK 002 052 イエス智慧も身のたけも彌まさり、神と人とにますます愛せられ給ふ。 042 LUK 003 001 テベリオ・カイザル在位の十 五 年、ポンテオ・ピラトはユダヤの總督、ヘロデはガリラヤ分封の國守、その兄弟ピリポはイツリヤ及びテラコニテの地の分封の國守、ルサニヤはアビレネ分封の國守たり、 042 LUK 003 002 アンナスとカヤパとは大 祭司たりしとき、神の言、荒野にてザカリヤの子ヨハネに臨む。 042 LUK 003 003 かくてヨルダン河の邊なる四方の地にゆき、罪の赦を得さする悔改のバプテスマを宣傳ふ。 042 LUK 003 004 預言者イザヤの言の書に『荒野に呼はる者の聲す。「主の道を備へ、その路すじを直くせよ。 042 LUK 003 005 諸の谷は埋められ、諸の山と岡とは平げられ、曲りたるは直く、嶮しきは坦かなる路となり、 042 LUK 003 006 人みな神の救を見ん」』と録されたるが如し。 042 LUK 003 007 さてヨハネ、バプテスマを受けんとて出できたる群衆にいふ『蝮の裔よ、誰が汝らに、來らんとする御怒を避くべき事を示したるぞ。 042 LUK 003 008 さらば悔改に相應しき果を結べ。なんぢら「我らの父にアブラハムあり」と心のうちに言ひ始むな。我なんぢらに告ぐ、神はよく此らの石よりアブラハムの子 等を起し得給ふなり。 042 LUK 003 009 斧ははや樹の根に置かる。されば凡て善き果を結ばぬ樹は、伐られて火に投げ入れらるべし』 042 LUK 003 010 群衆ヨハネに問ひて言ふ『さらば我ら何を爲すべきか』 042 LUK 003 011 答へて言ふ『二つの下衣をもつ者は、有たぬ者に分け與へよ。食物を有つ者もまた然せよ』 042 LUK 003 012 取税人もバプテスマを受けんとて來りて言ふ『師よ、我ら何を爲すべきか』 042 LUK 003 013 答へて言ふ『定りたるものの外、なにをも促るな』 042 LUK 003 014 兵卒もまた問ひて言ふ『我らは何を爲すべきか』答へて言ふ『人を劫かし、また誣ひ訴ふな、己が給料をもて足れりとせよ』 042 LUK 003 015 民、待ち望みゐたれば、みな心の中にヨハネをキリストならんかと論ぜしに、 042 LUK 003 016 ヨハネ凡ての人に答へて言ふ『我は水にて汝らにバプテスマを施す、されど我よりも能力ある者きたらん、我はその鞋の紐を解くにも足らず。彼は聖 靈と火とにて汝らにバプテスマを施さん。 042 LUK 003 017 手には箕を持ちたまふ。禾場をきよめ、麥を倉に納めんとてなり。而して殼は消えぬ火にて焚きつくさん』 042 LUK 003 018 ヨハネこの他なほ、さまざまの勸をなして、民に福音を宣傳ふ。 042 LUK 003 019 然るに國守ヘロデ、その兄弟の妻ヘロデヤの事につき、又その行ひたる凡ての惡しき事につきて、ヨハネに責められたれば、 042 LUK 003 020 更に復 一つの惡しき事を加へて、ヨハネを獄に閉ぢこめたり。 042 LUK 003 021 民みなバプテスマを受けし時、イエスもバプテスマを受けて祈りゐ給へば、天ひらけ、 042 LUK 003 022 聖 靈、形をなして鴿のごとく其の上に降り、かつ天より聲あり、曰く『なんぢは我が愛しむ子なり、我なんぢを悦ぶ』 042 LUK 003 023 イエスの、教を宣べ始め給ひしは、年おほよそ三十の時なりき。人にはヨセフの子と思はれ給へり。ヨセフの父はヘリ、 042 LUK 003 024 その先はマタテ、レビ、メルキ、ヤンナイ、ヨセフ、 042 LUK 003 025 マタテヤ、アモス、ナホム、エスリ、ナンガイ、 042 LUK 003 026 マハテ、マタテヤ、シメイ、ヨセク、ヨダ、 042 LUK 003 027 ヨハナン、レサ、ゾロバベル、サラテル、ネリ、 042 LUK 003 028 メルキ、アデイ、コサム、エルマダム、エル、 042 LUK 003 029 ヨセ、エリエゼル、ヨリム、マタテ、レビ、 042 LUK 003 030 シメオン、ユダ、ヨセフ、ヨナム、エリヤキム、 042 LUK 003 031 メレヤ、メナ、マタタ、ナタン、ダビデ、 042 LUK 003 032 エツサイ、オベデ、ボアズ、サラ、ナアソン、 042 LUK 003 033 アミナダブ、アデミン、アルニ、エスロン、パレス、ユダ、 042 LUK 003 034 ヤコブ、イサク、アブラハム、テラ、ナホル、 042 LUK 003 035 セルグ、レウ、ペレグ、エベル、サラ、 042 LUK 003 036 カイナン、アルパクサデ、セム、ノア、ラメク、 042 LUK 003 037 メトセラ、エノク、ヤレデ、マハラレル、カイナン、 042 LUK 003 038 エノス、セツ、アダムに至る。アダムは神の子なり。 042 LUK 004 001 さてイエス聖 靈にて滿ち、ヨルダン河より歸り、荒野にて四十 日のあひだ御靈に導かれ、 042 LUK 004 002 惡魔に試みられ給ふ。この間なにをも食はず、日 數 滿ちてのち餓ゑ給ひたれば、 042 LUK 004 003 惡魔いふ『なんぢ若し神の子ならば、此の石に命じてパンと爲らしめよ』 042 LUK 004 004 イエス答へたまふ『「人の生くるはパンのみに由るにあらず」と録されたり』 042 LUK 004 005 惡魔またイエスを携へのぼりて、瞬間に天下のもろもろの國を示して言ふ、 042 LUK 004 006 『この凡ての權威と國々の榮華とを汝に與へん。我これを委ねられたれば、我が欲する者に與ふるなり。 042 LUK 004 007 この故にもし我が前に拜せば、ことごとく汝の有となるべし』 042 LUK 004 008 イエス答へて言ひたまふ『「主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事ふべし」と録されたり』 042 LUK 004 009 惡魔またイエスをエルサレムに連れゆき、宮の頂上に立たせて言ふ『なんぢ若し神の子ならば、此處より己が身を下に投げよ。 042 LUK 004 010 それは「なんぢの爲に御使たちに命じて守らしめ給はん」 042 LUK 004 011 「かれら手にて汝をささへ、その足を石に打當つる事なからしめん」と録されたるなり』 042 LUK 004 012 イエス答へて言ひたまふ『「主なる汝の神を試むべからず」と云ひてあり』 042 LUK 004 013 惡魔あらゆる嘗試を盡してのち、暫くイエスを離れたり。 042 LUK 004 014 イエス御靈の能力をもてガリラヤに歸り給へば、その聲聞あまねく四方の地に弘る。 042 LUK 004 015 かくて諸 會堂にて教をなし、凡ての人に崇められ給ふ。 042 LUK 004 016 偖その育てられ給ひし處のナザレに到り、例のごとく安息 日に會堂に入りて、聖書を讀まんとて立ち給ひしに、 042 LUK 004 017 預言者イザヤの書を與へたれば、其の書を繙きて、かく録されたる所を見出し給ふ。 042 LUK 004 018 『主の御靈われに在す。これ我に油を注ぎて貧しき者に福音を宣べしめ、我をつかはして囚人に赦を得ることと、盲人に見ゆることとを告げしめ、壓へらるる者を放ちて自由を與へしめ、 042 LUK 004 019 主の喜ばしき年を宣傳へしめ給ふなり』 042 LUK 004 020 イエス書を卷き、係の者に返して坐し給へば、會堂に居る者みな之に目を注ぐ。 042 LUK 004 021 イエス言ひ出でたまふ『この聖書は今日なんぢらの耳に成就したり』 042 LUK 004 022 人々みなイエスを譽め、又その口より出づる惠の言を怪しみて言ふ『これヨセフの子ならずや』 042 LUK 004 023 イエス言ひ給ふ『なんぢら必ず我に俚諺を引きて「醫者よ、みづから己を醫せ、カペナウムにて有りしといふ我らが聞ける事どもを、己が郷なる此の地にても爲せ」と言はん』 042 LUK 004 024 また言ひ給ふ『われ誠に汝らに告ぐ、預言者は己が郷にて喜ばるることなし。 042 LUK 004 025 われ實をもて汝らに告ぐ、エリヤのとき三年 六个月、天とぢて、全地 大なる饑饉なりしが、イスラエルの中に多くの寡婦ありたれど、 042 LUK 004 026 エリヤは其の一人にすら遣されず、唯シドンなるサレプタの一人の寡婦にのみ遣されたり。 042 LUK 004 027 また預言者エリシヤの時、イスラエルの中に多くの癩病人ありしが、其の一人だに潔められず、唯シリヤのナアマンのみ潔められたり』 042 LUK 004 028 會堂にをる者みな之を聞きて憤恚に滿ち、 042 LUK 004 029 起ちてイエスを町より逐ひ出し、その町の建ちたる山の崖に引き往きて、投げ落さんとせしに、 042 LUK 004 030 イエスその中を通りて去り給ふ。 042 LUK 004 031 かくてガリラヤの町カペナウムに下りて、安息 日ごとに人を教へ給へば、 042 LUK 004 032 人々その教に驚きあへり。その言、權威ありたるに因る。 042 LUK 004 033 會堂に穢れし惡鬼の靈に憑かれたる人あり、大聲に叫びて言ふ、 042 LUK 004 034 『ああ、ナザレのイエスよ、我らは汝となにの關係あらんや。我らを亡さんとて來給ふか。我はなんぢの誰なるを知る、神の聖者なり』 042 LUK 004 035 イエス之を禁めて言ひ給ふ『默せ、その人より出でよ』惡鬼その人を人々の中に倒し、傷つけずして出づ。 042 LUK 004 036 みな驚き語り合ひて言ふ『これ如何なる言ぞ、權威と能力とをもて命ずれば、穢れし惡鬼すら出で去る』 042 LUK 004 037 ここにイエスの噂あまねく四方の地に弘りたり。 042 LUK 004 038 イエス會堂を立ち出でて、シモンの家に入り給ふ。シモンの外姑おもき熱を患ひ居たれば、人々これが爲にイエスに願ふ。 042 LUK 004 039 その傍らに立ちて熱を責めたまへば、熱 去りて女たちどころに起きて彼らに事ふ。 042 LUK 004 040 日のいる時、さまざまの病を患ふ者をもつ人、みな之をイエスに連れ來れば、一々その上に手を置きて醫し給ふ。 042 LUK 004 041 惡鬼もまた多くの人より出でて叫びつつ言ふ『なんぢは神の子なり』之を責めて物 言ふことを免し給はず、惡鬼そのキリストなるを知るに因りてなり。 042 LUK 004 042 明くる朝イエス出でて寂しき處にゆき給ひしが、群衆たづねて御許に到り、その去り往くことを止めんとせしに、 042 LUK 004 043 イエス言ひ給ふ『われ又ほかの町々にも神の國の福音を宣傳へざるを得ず、わが遣されしは之が爲なり』 042 LUK 004 044 かくてユダヤの諸 會堂にて教を宣べたまふ。 042 LUK 005 001 群衆おし迫りて神の言を聽きをる時、イエス、ゲネサレの湖のほとりに立ちて、 042 LUK 005 002 渚に二 艘の舟の寄せあるを見たまふ、漁人は舟をいでて網を洗ひ居たり。 042 LUK 005 003 イエスその一艘なるシモンの舟に乘り、彼に請ひて陸より少しく押し出さしめ、坐して舟の中より群衆を教へたまふ。 042 LUK 005 004 語り終へてシモンに言ひたまふ『深處に乘りいだし、網を下して漁れ』 042 LUK 005 005 シモン答へて言ふ『君よ、われら終夜 勞したるに、何をも得ざりき、されど御言に隨ひて網を下さん』 042 LUK 005 006 かくて然せしに、魚の夥多しき群を圍みて、網 裂けかかりたれば、 042 LUK 005 007 他の一艘の舟にをる組の者を差招きて來り助けしむ。來りて魚を二 艘の舟に滿したれば、舟 沈まんばかりになりぬ。 042 LUK 005 008 シモン・ペテロ之を見て、イエスの膝 下に平伏して言ふ『主よ、我を去りたまへ。我は罪ある者なり』 042 LUK 005 009 これはシモンも偕に居る者もみな、漁りし魚の夥多しきに驚きたるなり。 042 LUK 005 010 ゼベダイの子にしてシモンの侶なるヤコブもヨハネも同じく驚けり。イエス、シモンに言ひたまふ『懼るな、なんぢ今よりのち人を漁らん』 042 LUK 005 011 かれら舟を陸につけ、一切を棄ててイエスに從へり。 042 LUK 005 012 イエス或 町に居給ふとき、視よ、全身 癩病をわづらふ者あり。イエスを見て平伏し、願ひて言ふ『主よ、御意ならば、我を潔くなし給ふを得ん』 042 LUK 005 013 イエス手をのべ彼につけて『わが意なり、潔くなれ』と言ひ給へば、直ちに癩病されり。 042 LUK 005 014 イエス之を誰にも語らぬやうに命じ、かつ言ひ給ふ『ただ往きて己を祭司に見せ、モーセが命じたるごとく汝の潔のために献物して、人々に證せよ』 042 LUK 005 015 されど彌 増々イエスの事ひろまりて、大なる群衆、あるひは教を聽かんとし、或は病を醫されんとして集り來りしが、 042 LUK 005 016 イエス寂しき處に退きて祈り給ふ。 042 LUK 005 017 或 日イエス教をなし給ふとき、ガリラヤの村々、ユダヤ及びエルサレムより來りしパリサイ人、教法 學者ら、そこに坐しゐたり。病を醫すべき主の能力イエスと偕にありき。 042 LUK 005 018 視よ、人々、中風を病める者を、床にのせて擔ひきたり、之を家に入れて、イエスの前に置かんとすれど、 042 LUK 005 019 群衆によりて擔ひ入るべき道を得ざれば、屋根にのぼり、瓦を取り除けて、床のまま人々の中に、イエスの前につり縋り下せり。 042 LUK 005 020 イエス彼らの信仰を見て言ひたまふ『人よ、汝の罪ゆるされたり』 042 LUK 005 021 ここに學者・パリサイ人ら論じ出でて言ふ『瀆言をいふ此の人は誰ぞ、神より他に誰か罪を赦すことを得べき』 042 LUK 005 022 イエス彼らの論ずる事をさとり、答へて言ひ給ふ『なにを心のうちに論ずるか。 042 LUK 005 023 「なんぢの罪ゆるされたり」と言ふと「起きて歩め」と言ふと孰か易き、 042 LUK 005 024 人の子の地にて罪をゆるす權威あることを汝らに知らせん爲に』――中風を病める者に言ひ給ふ――『なんぢに告ぐ、起きよ、床をとりて家に往け』 042 LUK 005 025 かれ立刻に人々の前にて起きあがり、臥しゐたる床をとりあげ、神を崇めつつ己が家に歸りたり。 042 LUK 005 026 人々みな甚く驚きて神をあがめ懼に滿ちて言ふ『今日われら珍しき事を見たり』 042 LUK 005 027 この事の後イエス出でて、レビといふ取税人の收税所に坐しをるを見て『われに從へ』と言ひ給へば、 042 LUK 005 028 一切を棄ておき、起ちて從へり。 042 LUK 005 029 レビ己が家にて、イエスの爲に大なる饗宴を設けしに、取税人および他の人々も多く食事の席に列りゐたれば、 042 LUK 005 030 パリサイ人および其の曹輩の學者ら、イエスの弟子たちに向ひ、呟きて言ふ『なにゆゑ汝らは取税人・罪人らと共に飮食するか』 042 LUK 005 031 イエス答へて言ひたまふ『健康なる者は醫者を要せず、ただ病ある者これを要す。 042 LUK 005 032 我は正しき者を招かんとにあらで、罪人を招きて悔改めさせんとて來れり』 042 LUK 005 033 彼らイエスに言ふ『ヨハネの弟子たちは、しばしば斷食し祈祷し、パリサイ人の弟子たちも亦 然するに、汝の弟子たちは飮食するなり』 042 LUK 005 034 イエス言ひたまふ『新郎の友だち新郎と偕にをるうちは、彼らに斷食せしめ得んや。 042 LUK 005 035 されど日 來りて新郎をとられん、その日には斷食せん』 042 LUK 005 036 イエスまた譬を言ひ給ふ『たれも新しき衣を切り取りて、舊き衣を繕ふ者はあらじ。もし然せば、新しきものも破れ、かつ新しきものより取りたる裂も舊きものに合はじ。 042 LUK 005 037 誰も新しき葡萄酒を、ふるき革嚢に入るることは爲じ。もし然せば、葡萄酒は嚢をはりさき漏れ出でて、嚢も廢らん。 042 LUK 005 038 新しき葡萄酒は、新しき革嚢に入るべきなり。 042 LUK 005 039 誰も舊き葡萄酒を飮みてのち、新しき葡萄酒を望む者はあらじ。「舊きは善し」と云へばなり』 042 LUK 006 001 イエス安息 日に麥 畠を過ぎ給ふとき、弟子たち穗を摘み、手にて揉みつつ食ひたれば、 042 LUK 006 002 パリサイ人のうち或 者ども言ふ『なんぢらは何ゆゑ安息 日に爲まじき事をするか』 042 LUK 006 003 イエス答へて言ひ給ふ『ダビデその伴へる人々とともに飢ゑしとき、爲しし事をすら讀まぬか。 042 LUK 006 004 即ち神の家に入りて、祭司の他は食ふまじき供のパンを取りて食ひ、己と偕なる者にも與へたり』 042 LUK 006 005 また言ひたまふ『人の子は安息 日の主たるなり』 042 LUK 006 006 又ほかの安息 日に、イエス會堂に入りて教をなし給ひしに、此處に人あり、其の右の手なえたり。 042 LUK 006 007 學者・パリサイ人ら、イエスを訴ふる廉を見出さんと思ひて、安息 日に人を醫すや否やを窺ふ。 042 LUK 006 008 イエス彼らの念を知りて、手なえたる人に『起きて中に立て』と言ひ給へば、起きて立てり。 042 LUK 006 009 イエス彼らに言ひ給ふ『われ汝らに問はん、安息 日に善をなすと惡をなすと、生命を救ふと亡すと、孰かよき』 042 LUK 006 010 かくて一同を見まはして、手なえたる人に『なんぢの手を伸べよ』と言ひ給ふ。かれ然なしたれば、その手 癒ゆ。 042 LUK 006 011 然るに彼ら狂氣の如くなりて、イエスに何をなさんと語り合へり。 042 LUK 006 012 その頃イエス祈らんとて山にゆき、神に祈りつつ夜を明したまふ。 042 LUK 006 013 夜明になりて弟子たちを呼び寄せ、その中より十二 人を選びて、之を使徒と名づけたまふ。 042 LUK 006 014 即ちペテロと名づけ給ひしシモンと其の兄弟アンデレと、ヤコブとヨハネと、ピリポとバルトロマイと、 042 LUK 006 015 マタイとトマスと、アルパヨの子ヤコブと熱心 黨と呼ばるるシモンと、 042 LUK 006 016 ヤコブの子ユダとイスカリオテのユダとなり。このユダはイエスを賣る者となりたり。 042 LUK 006 017 イエス此 等とともに下りて、平かなる處に立ち給ひしに、弟子の大なる群衆、およびユダヤ全國、エルサレム又ツロ、シドンの海邊より來りて、或は教を聽かんとし、或は病を醫されんとする民の大なる群も、そこにあり。 042 LUK 006 018 穢れし靈に惱されたる者も醫される。 042 LUK 006 019 能力イエスより出でて、凡ての人を醫せば、群衆みなイエスに觸らん事を求む。 042 LUK 006 020 イエス目をあげ弟子たちを見て言ひたまふ『幸福なるかな、貧しき者よ、神の國は汝らの有なり。 042 LUK 006 021 幸福なる哉、いま飢うる者よ、汝ら飽くことを得ん。幸福なる哉、いま泣く者よ、汝ら笑ふことを得ん。 042 LUK 006 022 人なんぢらを憎み、人の子のために遠ざけ、謗り、汝らの名を惡しとして棄てなば、汝ら幸福なり。 042 LUK 006 023 その日には喜び躍れ。視よ、天にて汝らの報は大なり、彼らの先祖が預言者たちに爲ししも斯くありき。 042 LUK 006 024 されど禍害なるかな、富む者よ、汝らは既にその慰安を受けたり。 042 LUK 006 025 禍害なる哉、いま飽く者よ、汝らは飢ゑん。禍害なる哉、いま笑ふ者よ、汝らは、悲しみ泣かん。 042 LUK 006 026 凡ての人、なんぢらを譽めなば、汝ら禍害なり。彼らの先祖が虚僞の預言者たちに爲ししも斯くありき。 042 LUK 006 027 われ更に汝ら聽くものに告ぐ、なんじらの仇を愛し、汝らを憎む者を善くし、 042 LUK 006 028 汝らを詛ふ者を祝し、汝らを辱しむる者のために祈れ。 042 LUK 006 029 なんぢの頬を打つ者には、他の頬をも向けよ。なんぢの上衣を取る者には下衣をも拒むな。 042 LUK 006 030 すべて求むる者に與へ、なんぢの物を奪ふ者に復 索むな。 042 LUK 006 031 なんぢら人に爲られんと思ふごとく、人にも然せよ。 042 LUK 006 032 なんぢら己を愛する者を愛せばとて、何の嘉すべき事あらん、罪人にても己を愛する者を愛するなり。 042 LUK 006 033 汝 等おのれに善をなす者に善を爲すとも、何の嘉すべき事あらん、罪人にても然するなり。 042 LUK 006 034 なんぢら得る事あらんと思ひて人に貸すとも、何の嘉すべき事あらん、罪人にても均しきものを受けんとて罪人に貸すなり。 042 LUK 006 035 汝らは仇を愛し、善をなし、何をも求めずして貸せ、さらば、その報は大ならん。かつ至高者の子たるべし。至高者は、恩を知らぬもの惡しき者にも、仁慈あるなり。 042 LUK 006 036 汝らの父の慈悲なるごとく、汝らも慈悲なれ。 042 LUK 006 037 人を審くな、さらば汝らも審かるる事あらじ。人を罪に定むな、さらば、汝らも罪に定めらるる事あらじ。人を赦せ、さらば汝らも赦されん。 042 LUK 006 038 人に與へよ、さらば汝らも與へられん。人は量をよくし、押し入れ、搖り入れ、溢るるまでにして、汝らの懷中に入れん。汝 等おのが量る量にて量らるべし』 042 LUK 006 039 また譬にて言ひたまふ『盲人は盲人を手引するを得んや。二人とも穴に落ちざらんや。 042 LUK 006 040 弟子はその師に勝らず、凡そ全うせられたる者は、その師の如くならん。 042 LUK 006 041 何ゆゑ兄弟の目にある塵を見て、己が目にある梁木を認めぬか。 042 LUK 006 042 おのが目にある梁木を見ずして、爭で兄弟に向ひて「兄弟よ、汝の目にある塵を取り除かせよ」といふを得んや。僞善者よ、先づ己が目より梁木を取り除け。さらば明かに見えて、兄弟の目にある塵を取りのぞき得ん。 042 LUK 006 043 惡しき果を結ぶ善き樹はなく、また善き果を結ぶ惡しき樹はなし。 042 LUK 006 044 樹はおのおの其の果によりて知らる。茨より無花果を取らず、野荊より葡萄を收めざるなり。 042 LUK 006 045 善き人は心の善き倉より善きものを出し、惡しき人は惡しき倉より惡しき物を出す。それ心に滿つるより、口は物 言ふなり。 042 LUK 006 046 なんぢら我を「主よ主よ」と呼びつつ、何ぞ我が言ふことを行はぬか。 042 LUK 006 047 凡そ我にきたり我が言を聽きて行ふ者は、如何なる人に似たるかを示さん。 042 LUK 006 048 即ち家を建つるに、地を深く掘り岩の上に基を据ゑたる人のごとし。洪水いでて流その家を衝けども動かすこと能はず、これ固く建てられたる故なり。 042 LUK 006 049 されど聽きて行はぬ者は、基なくして家を土の上に建てたる人のごとし。流その家を衝けば、直ちに崩れて、その破壞はなはだし』 042 LUK 007 001 イエス凡て此らの言を民に聞かせ終へて後、カペナウムに入り給ふ。 042 LUK 007 002 時に或 百卒長、その重んずる僕やみて死ぬばかりなりしかば、 042 LUK 007 003 イエスの事を聽きて、ユダヤ人の長老たちを遣し、來りて僕を救ひ給はんことを願ふ。 042 LUK 007 004 彼らイエスの許にいたり、切に請ひて言ふ『かの人は此の事を爲らるるに相應し。 042 LUK 007 005 わが國人を愛し、我らのために會堂を建てたり』 042 LUK 007 006 イエス共に往き給ひて、その家はや程 近くなりしとき、百卒長、數人の友を遣して言はしむ『主よ、自らを煩はし給ふな。我は汝をわが屋根の下に入れまつるに足らぬ者なり。 042 LUK 007 007 されば御前に出づるにも相應しからずと思へり、ただ御言を賜ひて我が僕をいやし給へ。 042 LUK 007 008 我みづから權威の下に置かるる者なるに、我が下にまた兵卒ありて、此に「往け」と言へば往き、彼に「來れ」と言へば來り、わが僕に「これを爲せ」と言へば爲すなり』 042 LUK 007 009 イエス聞きて彼を怪しみ、振反りて從ふ群衆に言ひ給ふ『われ汝らに告ぐ、イスラエルの中にだに斯かるあつき信仰は見しことなし』 042 LUK 007 010 遣されたる者ども家に歸りて僕を見れば、既に健康となれり。 042 LUK 007 011 その後イエス、ナインといふ町にゆき給ひしに、弟子たち及び大なる群衆も共に往く。 042 LUK 007 012 町の門に近づき給ふとき、視よ、舁き出さるる死人あり。これは獨 息子にて母は寡婦なり、町の多くの人々これに伴ふ。 042 LUK 007 013 主、寡婦を見て憫み『泣くな』と言ひて、 042 LUK 007 014 近より、柩に手をつけ給へば、舁くもの立ち止る。イエス言ひたまふ『若者よ、我なんぢに言ふ、起きよ』 042 LUK 007 015 死人、起きかへりて物 言ひ始む。イエス之を母に付したまふ。 042 LUK 007 016 人々みな懼をいだき、神を崇めて言ふ『大なる預言者われらの中に興れり』また言ふ『神その民を顧み給へり』 042 LUK 007 017 この事ユダヤ全國および最寄の地に徧くひろまりぬ。 042 LUK 007 018 偖ヨハネの弟子たち、凡て此 等のことを告げたれば、 042 LUK 007 019 ヨハネ兩 三人の弟子を呼び、主に遣して言はしむ『來るべき者は汝なるか、或は他に待つべきか』 042 LUK 007 020 彼ら御許に到りて言ふ『バプテスマのヨハネ、我らを遣して言はしむ「來るべき者は汝なるか、或は他に待つべきか」』 042 LUK 007 021 この時イエス多くの者の病・疾患を醫し、惡しき靈を逐ひいだし、又おほくの盲人に見ることを得しめ給ひしが、 042 LUK 007 022 答へて言ひたまふ『往きて汝らが見 聞せし所をヨハネに告げよ。盲人は見、跛者はあゆみ、癩病人は潔められ、聾者はきき、死人は甦へらせられ、貧しき者は福音を聞かせらる。 042 LUK 007 023 おほよそ我に躓かぬ者は幸福なり』 042 LUK 007 024 ヨハネの使の去りたる後、ヨハネの事を群衆に言ひいで給ふ『なんぢら何を眺めんとて野に出でし、風にそよぐ葦なるか。 042 LUK 007 025 さらば何を見んとて出でし、柔かき衣を著たる人なるか。視よ、華美なる衣をきて奢り暮す者は王宮に在り。 042 LUK 007 026 さらば何を見んとて出でし、預言者なるか。然り、我なんぢらに告ぐ、預言者よりも勝る者なり。 042 LUK 007 027 「視よ、わが使を汝の顏の前につかはす。かれは汝の前になんじの道をそなへん」と録されたるは此の人なり。 042 LUK 007 028 われ汝らに告ぐ、女の産みたる者の中、ヨハネより大なる者はなし。されど神の國にて小き者も、彼よりは大なり。 042 LUK 007 029 (凡ての民これを聞きて、取税人までも神を正しとせり。ヨハネのバプテスマを受けたるによる。 042 LUK 007 030 されどパリサイ人・教法師らは、其のバプテスマを受けざりしにより、各自にかかはる神の御旨をこばみたり) 042 LUK 007 031 さればわれ今の代の人を何に比へん。彼らは何に似たるか。 042 LUK 007 032 彼らは、童 市場に坐し、たがひに呼びて「われら汝らの爲に笛 吹きたれど、汝ら躍らず。歎きたれど、汝ら泣かざりき」と云ふに似たり。 042 LUK 007 033 それはバプテスマのヨハネ來りて、パンをも食はず葡萄酒をも飮まねば、「惡鬼に憑かれたる者なり」と汝ら言ひ、 042 LUK 007 034 人の子きたりて飮食すれば「視よ、食を貪り、酒を好む人、また取税人・罪人の友なり」と汝ら言ふなり。 042 LUK 007 035 されど智慧は己が凡ての子によりて正しとせらる』 042 LUK 007 036 ここに或パリサイ人ともに食せん事をイエスに請ひたれば、パリサイ人の家に入りて、席につき給ふ。 042 LUK 007 037 視よ、この町に罪ある一人の女あり。イエスのパリサイ人の家にて食事の席にゐ給ふを知り、香 油の入りたる石膏の壺を持ちきたり、 042 LUK 007 038 泣きつつ御足 近く後にたち、涙にて御足をうるほし、頭の髮にて之を拭ひ、また御足に接吻して香 油を抹れり。 042 LUK 007 039 イエスを招きたるパリサイ人これを見て、心のうちに言ふ『この人もし預言者ならば、觸る者の誰、如何なる女なるかを知らん、彼は罪人なるに』 042 LUK 007 040 イエス答へて言ひ給ふ『シモン、我なんぢに言ふことあり』シモンいふ『師よ、言ひたまへ』 042 LUK 007 041 『或 債主に二人の負債者ありて、一人はデナリ五 百、一人は五 十の負債せしに、 042 LUK 007 042 償ひかたなければ、債主この二人を共に免せり。されば二人のうち債主を愛すること孰か多き』 042 LUK 007 043 シモン答へて言ふ『われ思ふに、多く免されたる者ならん』イエス言ひ給ふ『なんぢの判斷は當れり』 042 LUK 007 044 かくて女の方に振向きてシモンに言ひ給ふ『この女を見るか。我なんぢの家に入りしに、なんぢは我に足の水を與へず、此の女は涙にて我 足を濡し、頭髮にて拭へり。 042 LUK 007 045 なんぢは我に接吻せず、此の女は我が入りし時より、我が足に接吻して止まず。 042 LUK 007 046 なんぢは我が頭に油を抹らず、此の女は我が足に香 油を抹れり。 042 LUK 007 047 この故に我なんぢに告ぐ、この女の多くの罪は赦されたり。その愛すること大なればなり。赦さるる事の少き者は、その愛する事もまた少し』 042 LUK 007 048 遂に女に言ひ給ふ『なんぢの罪は赦されたり』 042 LUK 007 049 同席の者ども心の内に『罪をも赦す此の人は誰なるか』と言ひ出づ。 042 LUK 007 050 ここにイエス女に言ひ給ふ『なんぢの信仰なんぢを救へり、安らかに往け』 042 LUK 008 001 この後イエス教を宣べ、神の國の福音を傳へつつ、町々 村々を廻り給ひしに、十二 弟子も伴ふ。 042 LUK 008 002 また前に惡しき靈を逐ひ出され、病を醫されなどせし女たち、即ち七つの惡鬼のいでしマグラダと呼ばるるマリヤ、 042 LUK 008 003 ヘロデの家 司クーザの妻ヨハンナ及びスザンナ、此の他にも多くの女ともなひゐて、其の財産をもて彼らに事へたり。 042 LUK 008 004 大なる群衆むらがり、町々の人みもとに寄り集ひたれば、譬をもて言ひたまふ、 042 LUK 008 005 『種 播く者その種を播かんとて出づ。播くとき路の傍らに落ちし種あり、踏みつけられ、また空の鳥これを啄む。 042 LUK 008 006 岩の上に落ちし種あり、生え出でたれど潤澤なきによりて枯る。 042 LUK 008 007 茨の中に落ちし種あり、茨も共に生え出でて之を塞ぐ。 042 LUK 008 008 良き地に落ちし種あり、生え出でて百 倍の實を結べり』これらの事を言ひて呼はり給ふ『きく耳ある者は聽くべし』 042 LUK 008 009 弟子たち此の譬の如何なる意なるかを問ひたるに、 042 LUK 008 010 イエス言ひ給ふ『なんぢらは神の國の奧義を知ることを許されたれど、他の者は譬にてせらる。彼らの見て見ず、聞きて悟らぬ爲なり。 042 LUK 008 011 譬の意は是なり。種は神の言なり。 042 LUK 008 012 路の傍らなるは、聽きたるのち、惡魔きたり、信じて救はるる事のなからんために、御言をその心より奪ふ所の人なり。 042 LUK 008 013 岩の上なるは、聽きて御言を喜び受くれども、根なければ、暫く信じて嘗試のときに退く所の人なり。 042 LUK 008 014 茨の中に落ちしは、聽きてのち過ぐるほどに、世の心勞と財貨と快樂とに塞がれて實らぬ所の人なり。 042 LUK 008 015 良き地なるは、御言を聽き、正しく善き心にて之を守り、忍びて實を結ぶ所の人なり。 042 LUK 008 016 誰も燈火をともし器にて覆ひ、または寢臺の下におく者なし、入り來る者のその光を見んために、之を燈臺の上に置くなり。 042 LUK 008 017 それ隱れたるものの顯れぬはなく、秘めたるものの知られぬはなく、明かにならぬはなし。 042 LUK 008 018 されば汝ら聽くこと如何にと心せよ、誰にても有てる人はなほ與へられ、有たぬ人はその有てりと思ふ物をも取らるべし』 042 LUK 008 019 さてイエスの母と兄弟と來りたれど、群衆によりて近づくこと能はず。 042 LUK 008 020 或 人イエスに『なんぢの母と兄弟と、汝に逢はんとて外に立つ』と告げたれば、 042 LUK 008 021 答へて言ひたまふ『わが母わが兄弟は、神の言を聽き、かつ行ふ此らの者なり』 042 LUK 008 022 或 日イエス弟子たちと共に舟に乘りて『みづうみの彼方にゆかん』と言ひ給へば、乃ち船出す。 042 LUK 008 023 渡るほどにイエス眠りたまふ。颶風みづうみに吹き下し、舟に水 滿ちんとして危かりしかば、 042 LUK 008 024 弟子たち御側により、呼び起して言ふ『君よ、君よ、我らは亡ぶ』イエス起きて風と浪とを禁め給へば、ともに鎭りて凪となりぬ。 042 LUK 008 025 かくて弟子たちに言ひ給ふ『なんぢらの信仰いづこに在るか』かれら懼れ怪しみて互に言ふ『こは誰ぞ、風と水とに命じ給へば順ふとは』 042 LUK 008 026 遂にガリラヤに對へるゲラセネ人の地に著く。 042 LUK 008 027 陸に上りたまふ時、その町の人にて惡鬼に憑かれたる者きたり遇ふ。この人は久しきあひだ衣を著ず、また家に住まずして墓の中にゐたり。 042 LUK 008 028 イエスを見てさけび、御前に平伏して大聲にいふ『至高き神の子イエスよ、我は汝と何の關係あらん、願はくは我を苦しめ給ふな』 042 LUK 008 029 これはイエス穢れし靈に、この人より出で往かんことを命じ給ひしに因る。この人けがれし靈にしばしば拘へられ、鏈と足械とにて繋ぎ守られたれど、その繋をやぶり、惡鬼に逐はれて荒野に往けり。 042 LUK 008 030 イエス之に『なんぢの名は何か』と問ひ給へば『レギオン』と答ふ、多くの惡鬼その中に入りたる故なり。 042 LUK 008 031 彼らイエスに、底なき所に往くを命じ給はざらんことを請ふ。 042 LUK 008 032 彼處の山に、多くの豚の一 群、食し居たりしが、惡鬼ども其の豚に入るを許し給はんことを請ひたれば、イエス許し給ふ。 042 LUK 008 033 惡鬼、人を出でて豚に入りたれば、その群、崖より湖水に駈け下りて溺れたり。 042 LUK 008 034 飼ふ者ども此の起りし事を見て、逃げ往きて、町にも里にも告げたれば、 042 LUK 008 035 人々ありし事を見んとて出で、イエスに來りて、惡鬼の出でたる人の、衣服をつけ慥なる心にて、イエスの足下に坐しをるを見て懼れあへり。 042 LUK 008 036 かの惡鬼に憑かれたる人の救はれし事柄を見し者ども、之を彼らに告げたれば、 042 LUK 008 037 ゲラセネ地方の民衆、みなイエスに出で去り給はんことを請ふ。これ大に懼れたるなり。ここにイエス舟に乘りて歸り給ふ。 042 LUK 008 038 時に惡鬼の出でたる人、ともに在らんことを願ひたれど、之を去らしめんとて、 042 LUK 008 039 言ひ給ふ『なんぢの家に歸りて、神が如何に大なる事を汝になし給ひしかを具に告げよ』彼ゆきて、イエスの如何に大なる事を己になし給ひしかを、徧くその町に言ひ弘めたり。 042 LUK 008 040 かくてイエスの歸り給ひしとき、群衆これを迎ふ、みな待ちゐたるなり。 042 LUK 008 041 視よ、會堂 司にてヤイロといふ者あり、來りてイエスの足下に伏し、その家にきたり給はんことを願ふ。 042 LUK 008 042 おほよそ十二 歳ほどの一人 娘ありて、死ぬばかりなる故なり。イエスの往き給ふとき、群衆かこみ塞がる。 042 LUK 008 043 ここに十 二年このかた血漏を患ひて、醫者の爲に己が身代をことごとく費したれども、誰にも癒され得ざりし女あり。 042 LUK 008 044 イエスの後に來りて、御衣の總にさはりたれば、血の出づること立刻に止みたり。 042 LUK 008 045 イエス言ひ給ふ『我に觸りしは誰ぞ』人みな否みたれば、ペテロ及び共にをる者ども言ふ『君よ、群衆なんぢを圍みて押迫るなり』 042 LUK 008 046 イエス言ひ給ふ『われに觸りし者あり、能力の我より出でたるを知る』 042 LUK 008 047 女おのれが隱れ得ぬことを知り、戰き來りて御前に平伏し、觸りし故と立刻に癒えたる事を、人々の前にて告ぐ。 042 LUK 008 048 イエス言ひ給ふ『むすめよ、汝の信仰なんぢを救へり、安らかに往け』 042 LUK 008 049 かく語り給ふほどに、會堂 司の家より人きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、師を煩はすな』 042 LUK 008 050 イエス之を聞きて會堂 司に答へたまふ『懼るな、ただ信ぜよ。さらば娘は救はれん』 042 LUK 008 051 イエス家に到りて、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ及び子の父 母の他は、ともに入ることを誰にも許し給はず。 042 LUK 008 052 人みな泣き、かつ子のために歎き居たりしが、イエス言ひたまふ『泣くな、死にたるにあらず、寢ねたるなり』 042 LUK 008 053 人々その死にたるを知れば、イエスを嘲笑ふ。 042 LUK 008 054 然るにイエス子の手をとり、呼びて『子よ、起きよ』と言ひ給へば、 042 LUK 008 055 その靈かへりて立刻に起く。イエス食物を之に與ふることを命じ給ふ。 042 LUK 008 056 その兩親おどろきたり。イエス此の有りし事を誰にも語らぬやうに命じ給ふ。 042 LUK 009 001 イエス十二 弟子を召し寄せて、もろもろの惡鬼を制し、病をいやす能力と權威とを與へ、 042 LUK 009 002 また神の國を宣傳へしめ、人を醫さしむる爲に、之を遣さんとして言ひ給ふ、 042 LUK 009 003 『旅のために何をも持つな、杖も袋も糧も銀も、また二つの下衣をも持つな。 042 LUK 009 004 いづれの家に入るとも、其處に留れ、而して其處より立ち去れ。 042 LUK 009 005 人もし汝らを受けずば、その町を立ち去るとき、證のために足の塵を拂へ』 042 LUK 009 006 ここに弟子たち出でて村々を歴 巡り、あまねく福音を宣傳へ、醫すことを爲せり。 042 LUK 009 007 さて國守ヘロデ、ありし凡ての事をききて周章てまどふ。或 人はヨハネ死人の中より甦へりたりといひ、 042 LUK 009 008 或 人はエリヤ現れたりといひ、また或 人は、古への預言者の一人よみがへりたりと言へばなり。 042 LUK 009 009 ヘロデ言ふ『ヨハネは我すでに首斬りたり、然るに斯かる事のきこゆる此の人は誰なるか』かくてイエスを見んことを求めゐたり。 042 LUK 009 010 使徒たち歸りきて、其の爲しし事を具にイエスに告ぐ。イエス彼らを携へて竊にベツサイダといふ町に退きたまふ。 042 LUK 009 011 されど群衆これを知りて從ひ來りたれば、彼らを接けて、神の國の事を語り、かつ治療を要する人々を醫したまふ。 042 LUK 009 012 日 傾きたれば、十二 弟子きたりて言ふ『群衆を去らしめ、周圍の村また里にゆき、宿をとりて食物を求めさせ給へ。我らは斯かる寂しき所に居るなり』 042 LUK 009 013 イエス言ひ給ふ『なんぢら食物を與へよ』弟子たち言ふ『我らただ五つのパンと二つの魚とあるのみ、此の多くの人のために、往きて買はねば他に食物なし』 042 LUK 009 014 男おほよそ五 千 人ゐたればなり。イエス弟子たちに言ひたまふ『人々を組にして五 十 人づつ坐せしめよ』 042 LUK 009 015 彼 等その如くなして、人々をみな坐せしむ。 042 LUK 009 016 かくてイエス五つのパンと二つの魚とを取り、天を仰ぎて祝し、擘きて弟子たちに付し、群衆のまへに置かしめ給ふ。 042 LUK 009 017 彼らは食ひて皆 飽く。擘きたる餘を集めしに十二 筐ほどありき。 042 LUK 009 018 イエス人々を離れて祈り居給ふとき、弟子たち偕にをりしに、問ひて言ひたまふ『群衆は我を誰といふか』 042 LUK 009 019 答へて言ふ『バプテスマのヨハネ、或 人はエリヤ、或 人は古への預言者の一人よみがへりたりと言ふ』 042 LUK 009 020 イエス言ひ給ふ『なんぢらは我を誰と言ふか』ペテロ答へて言ふ『神のキリストなり』 042 LUK 009 021 イエス彼らを戒めて、之を誰にも告げぬやうに命じ、かつ言ひ給ふ 042 LUK 009 022 『人の子は必ず多くの苦難をうけ、長老・祭司長・學者らに棄てられ、かつ殺され、三日めに甦へるべし』 042 LUK 009 023 また一同の者に言ひたまふ『人もし我に從ひ來らんと思はば、己をすて、日々おのが十字架を負ひて我に從へ。 042 LUK 009 024 己が生命を救はんと思ふ者は之を失ひ、我がために己が生命を失ふその人は之を救はん。 042 LUK 009 025 人、全世界を贏くとも、己をうしなひ己を損せば、何の益あらんや。 042 LUK 009 026 我と我が言とを恥づる者をば、人の子もまた、己と父と聖なる御使たちとの榮光をもて來らん時に恥づべし。 042 LUK 009 027 われ實をもて汝らに告ぐ、此處に立つ者のうちに、神の國を見るまでは死を味はぬ者どもあり』 042 LUK 009 028 これらの言をいひ給ひしのち八日ばかり過ぎて、ペテロ、ヨハネ、ヤコブを率きつれ、祈らんとて山に登り給ふ。 042 LUK 009 029 かくて祈り給ふほどに、御顏の状かはり、其の衣 白くなりて輝けり。 042 LUK 009 030 視よ、二人の人ありてイエスと共に語る。これはモーセとエリヤとにて、 042 LUK 009 031 榮光のうちに現れ、イエスのエルサレムにて遂げんとする逝去のことを言ひゐたるなり。 042 LUK 009 032 ペテロ及び共にをる者いたく睡氣ざしたれど、目を覺してイエスの榮光および偕に立つ二人を見たり。 042 LUK 009 033 二人の者イエスと別れんとする時、ペテロ、イエスに言ふ『君よ、我らの此處に居るは善し、我ら三つの廬を造り、一つを汝のため、一つをモーセのため、一つをエリヤの爲にせん』彼は言ふ所を知らざりき。 042 LUK 009 034 この事を言ひ居るほどに、雲おこりて彼らを覆ふ。雲の中に入りしとき、弟子たち懼れたり。 042 LUK 009 035 雲より聲 出でて言ふ『これは我が選びたる子なり、汝ら之に聽け』 042 LUK 009 036 聲 出でしとき、唯イエスひとり見え給ふ。弟子たち默して、見し事を何 一つ其の頃たれにも告げざりき。 042 LUK 009 037 次の日、山より下りたるに、大なる群衆イエスを迎ふ。 042 LUK 009 038 視よ、群衆のうちの或 人さけびて言ふ『師よ、願はくは我が子を顧みたまへ、之は我が獨子なり。 042 LUK 009 039 視よ、靈の憑くときは俄に叫ぶ、痙攣けて沫をふかせ、甚く害ひ、漸くにして離るるなり。 042 LUK 009 040 御弟子たちに之を逐ひ出すことを請ひたれど、能はざりき』 042 LUK 009 041 イエス答へて言ひ給ふ『ああ信なき曲れる代なる哉、われ何時まで汝らと偕にをりて、汝らを忍ばん。汝の子をここに連れ來れ』 042 LUK 009 042 乃ち來るとき、惡鬼これを打ち倒し、甚く痙攣けさせたり。イエス穢れし靈を禁め、子を醫して、その父に付したまふ。 042 LUK 009 043 人々みな神の稜威に驚きあへり。人々みなイエスの爲し給ひし凡ての事を怪しめる時、イエス弟子たちに言ひ給ふ、 042 LUK 009 044 『これらの言を汝らの耳にをさめよ。人の子は人々の手に付さるべし』 042 LUK 009 045 かれら此の言を悟らず、辨へぬやうに隱されたるなり。また此の言につきて問ふことを懼れたり。 042 LUK 009 046 ここに弟子たちの中に、誰か大ならんとの爭論おこりたれば、 042 LUK 009 047 イエスその心の爭論を知りて、幼兒をとり御側に置きて言ひ給ふ、 042 LUK 009 048 『おほよそ我が名のために此の幼兒を受くる者は、我を受くるなり。我を受くる者は、我を遣しし者を受くるなり。汝らの中にて最も小き者は、これ大なるなり』 042 LUK 009 049 ヨハネ答へて言ふ『君よ、御名によりて惡鬼を逐ひいだす者を見しが、我等とともに從はぬ故に、之を止めたり』 042 LUK 009 050 イエス言ひ給ふ『止むな。汝らに逆はぬ者は、汝らに附く者なり』 042 LUK 009 051 イエス天に擧げらるる時 滿ちんとしたれば、御顏を堅くエルサレムに向けて進まんとし、 042 LUK 009 052 己に先だちて使を遣したまふ。彼ら往きてイエスの爲に備をなさんとて、サマリヤ人の或 村に入りしに、 042 LUK 009 053 村 人そのエルサレムに向ひて往き給ふさまなるが故に、イエスを受けず、 042 LUK 009 054 弟子のヤコブ、ヨハネ、これを見て言ふ『主よ、我らが天より火を呼び下して彼らを滅すことを欲し給ふか』 042 LUK 009 055 イエス顧みて彼らを戒め、 042 LUK 009 056 遂に相 共に他の村に往きたまふ。 042 LUK 009 057 途を往くとき、或 人イエスに言ふ『何處に往き給ふとも我は從はん』 042 LUK 009 058 イエス言ひたまふ『狐は穴あり、空の鳥は塒あり、されど人の子は枕する所なし』 042 LUK 009 059 また或 人に言ひたまふ『我に從へ』かれ言ふ『まづ往きて我が父を葬ることを許し給へ』 042 LUK 009 060 イエス言ひたまふ『死にたる者に、その死にたる者を葬らせ、汝は往きて神の國を言ひ弘めよ』 042 LUK 009 061 また或 人いふ『主よ、我なんぢに從はん、されど先づ家の者に別を告ぐることを許し給へ』 042 LUK 009 062 イエス言ひたまふ『手を鋤につけてのち後を顧みる者は、神の國に適ふ者にあらず』 042 LUK 010 001 この事ののち、主、ほかに七 十 人をあげて、自ら往かんとする町々 處々へ、おのれに先だち二人づつを遣さんとして言ひ給ふ、 042 LUK 010 002 『收穫はおほく、勞働人は少し。この故に收穫の主に、勞働人をその收穫場に遣し給はんことを求めよ。 042 LUK 010 003 往け、視よ、我なんぢらを遣すは、羔羊を豺狼のなかに入るるが如し。 042 LUK 010 004 財布も袋も鞋も携ふな。また途にて誰にも挨拶すな。 042 LUK 010 005 孰の家に入るとも、先づ平安この家にあれと言へ。 042 LUK 010 006 もし平安の子そこに居らば、汝らの祝する平安はその上に留らん。もし然らずば、其の平安は汝らに歸らん。 042 LUK 010 007 その家にとどまりて、與ふる物を食ひ飮みせよ。勞働人のその値を得るは相應しきなり。家より家に移るな。 042 LUK 010 008 孰の町に入るとも、人々なんぢらを受けなば、汝らの前に供ふる物を食し、 042 LUK 010 009 其處にをる病のものを醫し、また「神の國は汝らに近づけり」と言へ。 042 LUK 010 010 孰の町に入るとも、人々なんじらを受けずば、大路に出でて、 042 LUK 010 011 「我らの足につきたる汝らの町の塵をも、汝らに對して拂ひ棄つ、されど神の國の近づけるを知れ」と言へ。 042 LUK 010 012 われ汝らに告ぐ、かの日にはソドムの方その町よりも耐へ易からん。 042 LUK 010 013 禍害なる哉、コラジンよ、禍害なる哉、ベツサイダよ、汝らの中にて行ひたる能力ある業を、ツロとシドンとにて行ひしならば、彼らは早く荒布をき、灰のなかに坐して、悔改めしならん。 042 LUK 010 014 されば審判には、ツロとシドンとのかた汝 等よりも耐へ易からん。 042 LUK 010 015 カペナウムよ、汝は天にまで擧げらるべきか、黄泉にまで下らん。 042 LUK 010 016 汝 等に聽く者は我に聽くなり、汝らを棄つる者は我を棄つるなり。我を棄つる者は我を遣し給ひし者を棄つるなり』 042 LUK 010 017 七 十 人よろこび歸りて言ふ『主よ、汝の名によりて惡鬼すら我らに服す』 042 LUK 010 018 イエス彼らに言ひ給ふ『われ天より閃く電光のごとくサタンの落ちしを見たり。 042 LUK 010 019 視よ、われ汝らに蛇・蠍を踏み、仇の凡ての力を抑ふる權威を授けたれば、汝らを害ふもの斷えてなからん。 042 LUK 010 020 されど靈の汝らに服するを喜ぶな、汝らの名の天に録されたるを喜べ』 042 LUK 010 021 その時イエス聖 靈により喜びて言ひたまふ『天 地の主なる父よ、われ感謝す、此 等のことを智きもの慧き者に隱して、嬰兒に顯したまへり。父よ、然り、此のごときは御意に適へるなり。 042 LUK 010 022 凡ての物は我わが父より委ねられたり。子の誰なるを知る者は、父の外になく、父の誰なるを知る者は、子また子の欲するままに顯すところの者の外になし』 042 LUK 010 023 かくて弟子たちを顧み竊に言ひ給ふ『なんぢらの見る所を見る眼は幸福なり。 042 LUK 010 024 われ汝らに告ぐ、多くの預言者も、王も、汝らの見るところを見んと欲したれど見ず、汝らの聞く所を聞かんと欲したれど聞かざりき』 042 LUK 010 025 視よ、或 教法師、立ちてイエスを試みて言ふ『師よ、われ永遠の生命を嗣ぐためには何をなすべきか』 042 LUK 010 026 イエス言ひたまふ『律法に何と録したるか、汝いかに讀むか』 042 LUK 010 027 答へて言ふ『なんぢ心を盡し精神を盡し、力を盡し、思を盡して、主たる汝の神を愛すべし。また己のごとく汝の隣を愛すべし』 042 LUK 010 028 イエス言ひ給ふ『なんぢの答は正し。之を行へ、さらば生くべし』 042 LUK 010 029 彼おのれを義とせんとしてイエスに言ふ『わが隣とは誰なるか』 042 LUK 010 030 イエス答へて言ひたまふ『或 人エルサレムよりエリコに下るとき強盜にあひしが、強盜どもその衣を剥ぎ、傷を負はせ、半死半生にして棄て去りぬ。 042 LUK 010 031 或 祭司たまたま此の途より下り、之を見てかなたを過ぎ往けり。 042 LUK 010 032 又レビ人も此處にきたり、之を見て同じく彼方を過ぎ往けり 042 LUK 010 033 然るに或るサマリヤ人、旅して其の許にきたり、之を見て憫み、 042 LUK 010 034 近寄りて油と葡萄酒とを注ぎ、傷を包みて己が畜にのせ、旅舍に連れゆきて介抱し、 042 LUK 010 035 あくる日デナリ二つを出し、主人に與へて「この人を介抱せよ。費もし増さば、我が歸りくる時に償はん」と言へり。 042 LUK 010 036 汝いかに思ふか、此の三人のうち、孰か強盜にあひし者の隣となりしぞ』 042 LUK 010 037 かれ言ふ『その人に憐憫を施したる者なり』イエス言ひ給ふ『なんぢも往きて其の如くせよ』 042 LUK 010 038 かくて彼ら進みゆく間に、イエス或 村に入り給へば、マルタと名づくる女おのが家に迎へ入る。 042 LUK 010 039 その姉妹にマリヤといふ者ありて、イエスの足下に坐し、御言を聽きをりしが、 042 LUK 010 040 マルタ饗應のこと多くして心いりみだれ、御許に進みよりて言ふ『主よ、わが姉妹われを一人のこして働かするを、何とも思ひ給はぬか、彼に命じて我を助けしめ給へ』 042 LUK 010 041 主、答へて言ひ給ふ『マルタよ、マルタよ、汝さまざまの事により、思ひ煩ひて心勞す。 042 LUK 010 042 されど無くてならぬものは多からず、唯一つのみ、マリヤは善きかたを選びたり。此は彼より奪ふべからざるものなり』 042 LUK 011 001 イエス或 處にて祈り居給ひしが、その終りしとき、弟子の一人いふ『主よ、ヨハネの其の弟子に教へし如く、祈ることを我らに教へ給へ』 042 LUK 011 002 イエス言ひ給ふ『なんぢら祈るときに斯く言へ「父よ、願はくは御名の崇められん事を。御國の來らん事を。 042 LUK 011 003 我らの日用の糧を日毎に與へ給へ。 042 LUK 011 004 我らに負債ある凡ての者を我ら免せば、我らの罪をも免し給へ。我らを嘗試にあはせ給ふな」』 042 LUK 011 005 また言ひ給ふ『なんぢらの中たれか友あらんに、夜半にその許に往きて「友よ、我に三つのパンを貸せ。 042 LUK 011 006 わが友、旅より來りしに、之に供ふべき物なし」と言ふ時、 042 LUK 011 007 かれ内より答へて「われを煩はすな、戸ははや閉ぢ、子らは我と共に臥所にあり、起ちて與へ難し」といふ事ありとも、 042 LUK 011 008 われ汝らに告ぐ、友なるによりては起ちて與へねど、求の切なるにより、起きて其の要する程のものを與へん。 042 LUK 011 009 われ汝らに告ぐ、求めよ、さらば與へられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開かれん。 042 LUK 011 010 すべて求むる者は得、尋ぬる者は見出し、門を叩く者は開かるるなり。 042 LUK 011 011 汝 等のうち父たる者、たれか其の子 魚を求めんに、魚の代に蛇を與へ、 042 LUK 011 012 卵を求めんに蠍を與へんや。 042 LUK 011 013 さらば汝ら惡しき者ながら、善き賜物をその子らに與ふるを知る。まして天の父は、求むる者に聖 靈を賜はざらんや』 042 LUK 011 014 さてイエス唖の惡鬼を逐ひいだし給へば、惡鬼いでて唖もの言ひしにより、群衆あやしめり。 042 LUK 011 015 其の中の或 者ども言ふ『かれは惡鬼の首ベルゼブルによりて惡鬼を逐ひ出すなり』 042 LUK 011 016 また或 者どもは、イエスを試みんとて天よりの徴を求む。 042 LUK 011 017 イエスその思を知りて言ひ給ふ『すべて分れ爭ふ國は亡び、分れ爭ふ家は倒る。 042 LUK 011 018 サタンもし分れ爭はば、その國いかで立つべき。汝 等わが惡鬼を逐ひ出すを、ベルゼブルに由ると言へばなり。 042 LUK 011 019 我もしベルゼブルによりて惡鬼を逐ひ出さば、汝らの子は誰によりて之を逐ひ出すか。この故に彼らは汝らの審判 人となるべし。 042 LUK 011 020 されど我もし神の指によりて惡鬼を逐ひ出さば、神の國は既に汝らに到れるなり。 042 LUK 011 021 強きもの武具をよろひて己が屋敷を守るときは、其の所有 安全なり。 042 LUK 011 022 されど更に強きもの來りて之に勝つときは、恃とする武具をことごとく奪ひて、分捕物を分たん。 042 LUK 011 023 我と偕ならぬ者は我にそむき、我と共に集めぬ者は散すなり。 042 LUK 011 024 穢れし靈、人を出づる時は、水なき處を巡りて休を求む。されど得ずして言ふ「わが出でし家に歸らん」 042 LUK 011 025 歸りて其の家の掃き淨められ、飾られたるを見、 042 LUK 011 026 遂に往きて己よりも惡しき他の七つの靈を連れきたり、共に入りて此處に住む。さればその人の後の状は、前よりも惡しくなるなり』 042 LUK 011 027 此 等のことを言ひ給ふとき、群衆の中より或 女、聲をあげて言ふ『幸福なるかな、汝を宿しし胎、なんぢの哺ひし乳房は』 042 LUK 011 028 イエス言ひたまふ『更に幸福なるかな、神の言を聽きて之を守る人は』 042 LUK 011 029 群衆おし集れる時、イエス言ひ出でたまふ『今の世は邪曲なる代にして徴を求む。されどヨナの徴のほかに徴は與へられじ。 042 LUK 011 030 ヨナがニネベの人に徴となりし如く、人の子もまた今の代に然らん。 042 LUK 011 031 南の女王、審判のとき、今の代の人と共に起きて之が罪を定めん。彼はソロモンの智慧を聽かんとて地の極より來れり。視よ、ソロモンよりも勝るもの此處にあり。 042 LUK 011 032 ニネベの人、審判のとき、今の代の人と共に立ちて之が罪を定めん。彼らはヨナの宣ぶる言によりて悔改めたり。視よ、ヨナよりも勝るもの此處に在り。 042 LUK 011 033 誰も燈火をともして、穴藏の中または升の下におく者なし。入り來る者の光を見んために、燈臺の上に置くなり。 042 LUK 011 034 汝の身の燈火は目なり、汝の目 正しき時は、全身 明るからん。されど惡しき時は、身もまた暗からん。 042 LUK 011 035 この故に汝の内の光、闇にはあらぬか、省みよ。 042 LUK 011 036 もし汝の全身 明るくして暗き所なくば、輝ける燈火に照さるる如く、その身 全く明るからん』 042 LUK 011 037 イエスの語り給へるとき、或パリサイ人その家にて食事し給はん事を請ひたれば、入りて席に著きたまふ。 042 LUK 011 038 食事 前に手を洗ひ給はぬを、此のパリサイ人 見て怪しみたれば、 042 LUK 011 039 主これに言ひたまふ『今や汝らパリサイ人は、酒杯と盆との外を潔くす、されど汝らの内は貪慾と惡とにて滿つるなり。 042 LUK 011 040 愚なる者よ、外を造りし者は、内をも造りしならずや。 042 LUK 011 041 唯その内にある物を施せ。さらば一切の物なんぢらの爲に潔くなるなり。 042 LUK 011 042 禍害なるかな、パリサイ人よ、汝らは薄荷・芸香その他あらゆる野菜の十分の一を納めて、公平と神に對する愛とを等閑にす、されど之は行ふべきものなり。而して彼もまた等閑にすべきものならず。 042 LUK 011 043 禍害なるかな、パリサイ人よ、汝らは會堂の上座、市場にての敬禮を喜ぶ。 042 LUK 011 044 禍害なるかな、汝らは露れぬ墓のごとし。其の上を歩む人これを知らぬなり』 042 LUK 011 045 教法師の一人、答へて言ふ『師よ、斯かることを言ふは、我らをも辱しむるなり』 042 LUK 011 046 イエス言ひ給ふ『なんぢら教法師も禍害なる哉。なんぢら擔ひ難き荷を人に負せて、自ら指 一つだに其の荷につけぬなり。 042 LUK 011 047 禍害なるかな、汝らは預言者たちの墓を建つ、之を殺しし者は汝らの先祖なり。 042 LUK 011 048 げに汝らは先祖の所作を可しとする證人ぞ。それは彼らは之を殺し、汝らは其の墓を建つればなり。 042 LUK 011 049 この故に神の智慧いへる言あり、われ預言者と使徒とを彼らに遣さんに、その中の或 者を殺し、また逐ひ苦しめん。 042 LUK 011 050 世の創より流されたる凡ての預言者の血、 042 LUK 011 051 即ちアベルの血より、祭壇と聖所との間にて殺されたるザカリヤの血に至るまでを、今の代に糺すべきなり。然り、われ汝らに告ぐ、今の代は糺さるべし。 042 LUK 011 052 禍害なるかな教法師よ、なんぢらは知識の鍵を取り去りて自ら入らず、入らんとする人をも止めしなり』 042 LUK 011 053 此處より出で給へば、學者・パリサイ人ら烈しく詰め寄せて、樣々のことを詰りはじめ、 042 LUK 011 054 その口より何事をか捉へんと待構へたり。 042 LUK 012 001 その時、無數の人あつまりて、群衆ふみ合ふばかりなり。イエスまづ弟子たちに言ひ出で給ふ『なんぢら、パリサイ人のパンだねに心せよ、これ僞善なり。 042 LUK 012 002 蔽はれたるものに露れぬはなく、隱れたるものに知られぬはなし。 042 LUK 012 003 この故に汝らが暗きにて言ふことは、明るきにて聞え、部屋の内にて耳によりて語りしことは、屋の上にて宣べらるべし。 042 LUK 012 004 我が友たる汝らに告ぐ。身を殺して後に何をも爲し得ぬ者どもを懼るな。 042 LUK 012 005 懼るべきものを汝らに示さん。殺したる後ゲヘナに投げ入るる權威ある者を懼れよ。われ汝らに告ぐ、げに之を懼れよ。 042 LUK 012 006 五 羽の雀は二錢にて賣るにあらずや、然るに其の一 羽だに神の前に忘れらるる事なし。 042 LUK 012 007 汝らの頭の髮までもみな數へらる。懼るな、汝らは多くの雀よりも優るるなり。 042 LUK 012 008 われ汝らに告ぐ、凡そ人の前に我を言ひあらはす者を、人の子もまた神の使たちの前にて言ひあらはさん。 042 LUK 012 009 されど人の前にて我を否む者は、神の使たちの前にて否まれん。 042 LUK 012 010 凡そ言をもて人の子に逆ふ者は赦されん。されど聖 靈を瀆すものは赦されじ。 042 LUK 012 011 人なんぢらを會堂、或は司、あるひは權威ある者の前に引きゆかん時、いかに何を答へ、または何を言はんと思ひ煩ふな。 042 LUK 012 012 聖 靈そのとき言ふべきことを教へ給はん』 042 LUK 012 013 群衆のうちの或 人いふ『師よ、わが兄弟に命じて、嗣業を我に分たしめ給へ』 042 LUK 012 014 之に言ひたまふ『人よ、誰が我を立てて汝らの裁判人また分配 者とせしぞ』 042 LUK 012 015 かくて人々に言ひたまふ『愼みて凡ての慳貪をふせげ、人の生命は所有の豐なるには因らぬなり』 042 LUK 012 016 また譬を語りて言ひ給ふ『ある富める人、その畑 豐に實りたれば、 042 LUK 012 017 心の中に議りて言ふ「われ如何にせん、我が作物を藏めおく處なし」 042 LUK 012 018 遂に言ふ「われ斯く爲さん、わが倉を毀ち、更に大なるものを建てて、其處にわが穀物および善き物をことごとく藏めん。 042 LUK 012 019 かくてわが靈魂に言はん、靈魂よ、多年を過すに足る多くの善き物を貯へたれば、安んぜよ、飮食せよ、樂しめよ」 042 LUK 012 020 然るに神かれに「愚なる者よ、今宵なんぢの靈魂とらるべし、さらば汝の備へたる物は、誰がものとなるべきぞ」と言ひ給へり。 042 LUK 012 021 己のために財を貯へ、神に對して富まぬ者は斯くのごとし』 042 LUK 012 022 また弟子たちに言ひ給ふ『この故にわれ汝らに告ぐ、何を食はんと生命のことを思ひ煩ひ、何を著んと體のことを思ひ煩ふな。 042 LUK 012 023 生命は糧にまさり、體は衣に勝るなり。 042 LUK 012 024 鴉を思ひ見よ、播かず、刈らず、納屋も倉もなし。然るに神は之を養ひたまふ、汝ら鳥に優るること幾許ぞや。 042 LUK 012 025 汝らの中たれか思ひ煩ひて、身の長 一尺を加へ得んや。 042 LUK 012 026 されば最 小き事すら能はぬに、何ぞ他のことを思ひ煩ふか。 042 LUK 012 027 百合を思ひ見よ、紡がず、織らざるなり。されど我なんぢらに告ぐ、榮華を極めたるソロモンだに、其の服裝この花の一つにも及かざりき。 042 LUK 012 028 今日ありて、明日 爐に投げ入れらるる野の草をも、神は斯く裝ひ給へば、況て汝らをや、ああ信仰うすき者よ、 042 LUK 012 029 なんぢら何を食ひ何を飮まんと求むな、また心を動かすな。 042 LUK 012 030 是みな世の異邦人の切に求むる所なれど、汝らの父は、此 等の物のなんぢらに必要なるを知り給へばなり。 042 LUK 012 031 ただ父の御國を求めよ。さらば此 等の物は、なんぢらに加へらるべし。 042 LUK 012 032 懼るな、小き群よ、なんぢらに御國を賜ふことは、汝らの父の御意なり。 042 LUK 012 033 汝らの所有を賣りて施濟をなせ。己がために舊びぬ財布をつくり、盡きぬ財寶を天に貯へよ。かしこは盜人も近づかず、蟲も壞らぬなり、 042 LUK 012 034 汝らの財寶のある所には、汝らの心もあるべし。 042 LUK 012 035 なんぢら腰に帶し、燈火をともして居れ。 042 LUK 012 036 主人、婚筵より歸り來りて戸を叩かば、直ちに開くために待つ人のごとくなれ。 042 LUK 012 037 主人の來るとき、目を覺しをるを見らるる僕どもは幸福なるかな。われ誠に汝らに告ぐ、主人 帶して其の僕どもを食事の席に就かせ、進みて給仕すべし。 042 LUK 012 038 主人、夜の半ごろ若くは夜の明くる頃に來るとも、かくの如くなるを見らるる僕どもは幸福なり。 042 LUK 012 039 なんぢら之を知れ、家主もし盜人いづれの時 來るかを知らば、その家を穿たすまじ。 042 LUK 012 040 汝らも備へをれ。人の子は思はぬ時に來ればなり』 042 LUK 012 041 ペテロ言ふ『主よ、この譬を言ひ給ふは我らにか、また凡ての人にか』 042 LUK 012 042 主いひ給ふ『主人が時に及びて僕どもに定の糧を與へさする爲に、その僕どもの上に立つる忠實にして慧き支配人は誰なるか、 042 LUK 012 043 主人のきたる時、かく爲し居るを見らるる僕は幸福なるかな。 042 LUK 012 044 われ實をもて汝らに告ぐ、主人すべての所有を彼に掌どらすべし。 042 LUK 012 045 若しその僕、心のうちに、主人の來るは遲しと思ひ、僕・婢女をたたき、飮食して醉ひ始めなば、 042 LUK 012 046 その僕の主人、おもはぬ日 知らぬ時に來りて、之を烈しく笞うち、その報を不 忠 者と同じうせん。 042 LUK 012 047 主人の意を知りながら用意せず、又その意に從はぬ僕は、笞うたるること多からん。 042 LUK 012 048 されど知らずして打たるべき事をなす者は、笞うたるること少からん。多く與へらるる者は、多く求められん。多く人に托くれば、更に多くその人より請ひ求むべし。 042 LUK 012 049 我は火を地に投ぜんとて來れり。此の火すでに燃えたらんには、我また何をか望まん。 042 LUK 012 050 されど我には受くべきバプテスマあり。その成し遂げらるるまでは、思ひ逼ること如何ばかりぞや。 042 LUK 012 051 われ地に平和を與へんために來ると思ふか。われ汝らに告ぐ、然らず、反つて分爭なり。 042 LUK 012 052 今よりのち一家に五 人あらば、三人は二人に、二人は三人に分れ爭はん。 042 LUK 012 053 父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に、姑姆は嫁に、嫁は姑姆に分れ爭はん』 042 LUK 012 054 イエスまた群衆に言ひ給ふ『なんぢら雲の西より起るを見れば、直ちに言ふ「急雨きたらん」と、果して然り。 042 LUK 012 055 また南 風ふけば、汝 等いふ「強き暑あらん」と、果して然り。 042 LUK 012 056 僞善者よ、汝ら天 地の氣色を辨ふることを知りて、今の時を辨ふること能はぬは何ぞや。 042 LUK 012 057 また何 故みづから正しき事を定めぬか。 042 LUK 012 058 なんぢ訴ふる者とともに司に往くとき、途にて和解せんことを力めよ。恐らくは訴ふる者なんぢを審判 人に引きゆき、審判 人なんぢを下役にわたし、下役なんぢを獄に投げ入れん。 042 LUK 012 059 われ汝に告ぐ、一レプタも殘りなく償はずば、其處に出づること能はじ』 042 LUK 013 001 その折しも或 人々きたりて、ピラトがガリラヤ人らの血を彼らの犧牲にまじへたりし事をイエスに告げたれば、 042 LUK 013 002 答へて言ひ給ふ『かのガリラヤ人は斯かることに遭ひたる故に、凡てのガリラヤ人に勝れる罪人なりしと思ふか。 042 LUK 013 003 われ汝らに告ぐ、然らず、汝らも悔改めずば皆おなじく亡ぶべし。 042 LUK 013 004 又シロアムの櫓たふれて、壓し殺されし十 八人は、エルサレムに住める凡ての人に勝りて、罪の負債ある者なりしと思ふか。 042 LUK 013 005 われ汝らに告ぐ、然らず、汝らも悔改めずば、みな斯くのごとく亡ぶべし』 042 LUK 013 006 又この譬を語りたまふ『或 人おのが葡萄園に植ゑありし無花果の樹に來りて、果を求むれども得ずして、 042 LUK 013 007 園丁に言ふ「視よ、われ三年きたりて此の無花果の樹に果を求むれども得ず。これを伐り倒せ、何ぞ徒らに地を塞ぐか」 042 LUK 013 008 答へて言ふ「主よ、今年も容したまへ、我その周圍を掘りて肥料せん。 042 LUK 013 009 そののち果を結ばば善し、もし結ばずば伐り倒したまへ」』 042 LUK 013 010 イエス安息 日に或 會堂にて教えたまふ時、 042 LUK 013 011 視よ、十 八 年のあひだ病の靈に憑かれたる女あり、屈まりて少しも伸ぶること能はず。 042 LUK 013 012 イエスこの女を見、呼び寄せて『女よ、なんぢは病より解かれたり』と言ひ、 042 LUK 013 013 之に手を按きたまへば、立刻に身を直にして神を崇めたり。 042 LUK 013 014 會堂 司イエスの安息 日に病を醫し給ひしことを憤ほり、答へて群衆に言ふ『働くべき日は六日あり、その間に來りて醫されよ。安息 日には爲ざれ』 042 LUK 013 015 主こたへて言ひたまふ『僞善者らよ、汝 等おのおの安息 日には、己が牛または驢馬を小屋より解きいだし、水 飼はんとて牽き往かぬか。 042 LUK 013 016 さらば長き十 八 年の間サタンに縛られたるアブラハムの娘なる此の女は、安息 日にその繋より解かるべきならずや』 042 LUK 013 017 イエス此 等のことを言ひ給へば、逆ふ者はみな恥ぢ、群衆は擧りてその爲し給へる榮光ある凡ての業を喜べり。 042 LUK 013 018 かくてイエス言ひたまふ『神の國は何に似たるか、我これを何に擬へん、 042 LUK 013 019 一粒の芥種のごとし。人これを取りて己の園に播きたれば、育ちて樹となり、空の鳥その枝に宿れり』 042 LUK 013 020 また言ひたまふ『神の國を何に擬へんか、 042 LUK 013 021 パン種のごとし。女これを取りて、三 斗の粉の中に入るれば、ことごとく脹れいだすなり』 042 LUK 013 022 イエス教へつつ町々 村々を過ぎて、エルサレムに旅し給ふとき、 042 LUK 013 023 或 人いふ『主よ、救はるる者は少きか』 042 LUK 013 024 イエス人々に言ひたまふ『力を盡して狭き門より入れ。我なんぢらに告ぐ、入らん事を求めて入り能はぬ者おほからん。 042 LUK 013 025 家主おきて門を閉ぢたる後、なんぢら外に立ちて「主よ、我らに開き給へ」と言ひつつ門を叩き始めんに、主人こたへて「われ汝らが何處の者なるかを知らず」と言はん。 042 LUK 013 026 その時「われらは御前にて飮食し、なんぢは、我らの町の大路にて教へ給へり」と言ひ出でんに、 042 LUK 013 027 主人こたへて「われ汝らが何處の者なるかを知らず、惡をなす者どもよ、皆われを離れ去れ」と言はん。 042 LUK 013 028 汝らアブラハム、イサク、ヤコブ及び凡ての預言者の、神の國に居り、己らの逐ひ出さるるを見ば、其處にて哀哭・切齒する事あらん。 042 LUK 013 029 また人々、東より西より南より北より來りて、神の國の宴に就くべし。 042 LUK 013 030 視よ、後なる者の先になり、先なる者の後になる事あらん』 042 LUK 013 031 そのとき或パリサイ人らイエスに來りて言ふ『いでて此處を去り給へ、ヘロデ汝を殺さんとす』 042 LUK 013 032 答へて言ひ給ふ『往きてかの狐に言へ。視よ、われ今日 明日、惡鬼を逐ひ出し、病を醫し、而して三日めに全うせられん。 042 LUK 013 033 されど今日も明日も次の日も我は進み往くべし。それ預言者のエルサレムの外にて死ぬることは有るまじきなり。 042 LUK 013 034 噫エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、遣されたる人々を石にて撃つ者よ、牝鷄の己が雛を翼のうちに集むるごとく、我なんぢの子どもを集めんとせしこと幾度ぞや。されど汝らは好まざりき。 042 LUK 013 035 視よ、汝らの家は棄てられて汝らに遺らん。我なんぢらに告ぐ、「讃むべきかな、主の名によりて來る者」と、汝らの言ふ時の至るまでは、我を見ざるべし』 042 LUK 014 001 イエス安息 日に食事せんとて、或パリサイ人の頭の家に入り給へば、人々これを窺ふ。 042 LUK 014 002 視よ、御前に水腫をわづらふ人ゐたれば、 042 LUK 014 003 イエス答へて教法師とパリサイ人とに言ひたまふ『安息 日に人を醫すことは善しや、否や』 042 LUK 014 004 かれら默然たり。イエスその人を執り、醫して去らしめ、 042 LUK 014 005 且かれらに言ひ給ふ『なんぢらの中その子あるひは其の牛、井に陷らんに、安息 日には直ちに之を引揚げぬ者あるか』 042 LUK 014 006 彼 等これに對して物 言ふこと能はず。 042 LUK 014 007 イエス招かれたる者の上席をえらぶを見、譬をかたりて言ひ給ふ、 042 LUK 014 008 『なんぢ婚筵に招かるるとき、上席に著くな。恐らくは汝よりも貴き人の招かれんに、 042 LUK 014 009 汝と彼とを招きたる者きたりて「この人に席を讓れ」と言はん。さらば其の時なんぢ恥ぢて末席に往きはじめん。 042 LUK 014 010 招かるるとき、寧ろ往きて末席に著け、さらば招きたる者きたりて「友よ、上に進め」と言はん。その時なんぢ同席の者の前に譽あるべし。 042 LUK 014 011 凡そおのれを高うする者は卑うせられ、己を卑うする者は高うせらるるなり』 042 LUK 014 012 また己を招きたる者にも言ひ給ふ『なんぢ晝餐または夕餐を設くるとき、朋友・兄弟・親族・富める隣 人などをよぶな。恐らくは彼らも亦なんぢを招きて報をなさん。 042 LUK 014 013 饗宴を設くる時は、寧ろ貧しき者・不具・跛者・盲人などを招け。 042 LUK 014 014 彼らは報ゆること能はぬ故に、なんぢ幸福なるべし。正しき者の復活の時に報いらるるなり』 042 LUK 014 015 同席の者の一人これらの事を聞きてイエスに言ふ『おほよそ神の國にて食事する者は幸福なり』 042 LUK 014 016 之に言ひたまふ『或 人、盛なる夕餐を設けて、多くの人を招く。 042 LUK 014 017 夕餐の時いたりて、招きおきたる者の許に僕を遣して「來れ、既に備りたり」と言はしめたるに、 042 LUK 014 018 皆ひとしく辭りはじむ。初の者いふ「われ田地を買へり。往きて見ざるを得ず。請ふ、許されんことを」 042 LUK 014 019 他の者いふ「われ五 耜の牛を買へり、之を驗すために往くなり。請ふ、許されんことを」 042 LUK 014 020 また他も者いふ「われ妻を娶れり、此の故に往くこと能はず」 042 LUK 014 021 僕かへりて此 等の事をその主人に告ぐ、家主いかりて僕に言ふ「とく町の大路と小路とに往きて、貧しき者・不具 者・盲人・跛者などを此處に連れきたれ」 042 LUK 014 022 僕いふ「主よ、仰のごとく爲したれど、尚ほ餘の席あり」 042 LUK 014 023 主人、僕に言ふ「道や籬の邊にゆき、人々を強ひて連れきたり、我が家に充たしめよ。 042 LUK 014 024 われ汝らに告ぐ、かの招きおきたる者のうち、一人だに我が夕餐を味ひ得る者なし」』 042 LUK 014 025 さて大なる群衆イエスに伴ひゆきたれば、顧みて之に言ひたまふ、 042 LUK 014 026 『人もし我に來りて、その父 母・妻 子・兄弟・姉妹・己が生命までも憎まずば、我が弟子となるを得ず。 042 LUK 014 027 また己が十字架を負ひて我に從ふ者ならでは、我が弟子となるを得ず。 042 LUK 014 028 汝らの中たれか櫓を築かんと思はば、先づ坐して其の費をかぞへ、己が所有、竣工までに足るか否かを計らざらんや。 042 LUK 014 029 然らずして基を据ゑ、もし成就すること能はずば、見る者みな嘲笑ひて、 042 LUK 014 030 「この人は築きかけて成就すること能はざりき」と言はん。 042 LUK 014 031 又いづれの王か出でて他の王と戰爭をせんに、先づ坐して、此の一萬 人をもて、かの二萬 人を率ゐきたる者に對ひ得るか否か籌らざらんや。 042 LUK 014 032 もし及かずば、敵なほ遠く隔るうちに、使を遣して和睦を請ふべし。 042 LUK 014 033 かくのごとく、汝らの中その一切の所有を退くる者ならでは、我が弟子となるを得ず。 042 LUK 014 034 鹽は善きものなり、然れど鹽もし效力を失はば、何によりてか味つけられん。 042 LUK 014 035 土にも肥料にも適せず、外に棄てらるるなり。聽く耳ある者は聽くべし』 042 LUK 015 001 取税人、罪人ども、みな御言を聽かんとて近寄りたれば、 042 LUK 015 002 パリサイ人・學者ら呟きて言ふ、『この人は罪人を迎へて食を共にす』 042 LUK 015 003 イエス之に譬を語りて言ひ給ふ、 042 LUK 015 004 『なんぢらの中たれか百匹の羊を有たんに、若その一匹を失はば、九 十 九 匹を野におき、往きて失せたる者を見 出すまでは尋ねざらんや。 042 LUK 015 005 遂に見出さば、喜びて之を己が肩にかけ、 042 LUK 015 006 家に歸りて其の友と隣 人とを呼び集めて言はん「我とともに喜べ、失せたる我が羊を見出せり」 042 LUK 015 007 われ汝らに告ぐ、かくのごとく悔改むる一人の罪人のためには、悔改の必要なき九 十 九 人の正しき者にも勝りて、天に歡喜あるべし。 042 LUK 015 008 又いづれの女か銀貨 十 枚を有たんに、若しその一 枚を失はば、燈火をともし、家を掃きて見 出すまでは懇ろに尋ねざらんや。 042 LUK 015 009 遂に見出さば、其の友と隣 人とを呼び集めて言はん、「我とともに喜べ、わが失ひたる銀貨を見出せり」 042 LUK 015 010 われ汝らに告ぐ、かくのごとく悔改むる一人の罪人のために、神の使たちの前に歡喜あるべし』 042 LUK 015 011 また言ひたまふ『或 人に二人の息子あり、 042 LUK 015 012 弟、父に言ふ「父よ、財産のうち我が受くべき分を我にあたへよ」父その身代を二人に分けあたふ。 042 LUK 015 013 幾日も經ぬに、弟おのが物をことごとく集めて、遠國にゆき、其處にて放蕩にその財産を散せり。 042 LUK 015 014 ことごとく費したる後、その國に大なる饑饉おこり、自ら乏しくなり始めたれば、 042 LUK 015 015 往きて其の地の或 人に依附りしに、其の人かれを畑に遣して豚を飼はしむ。 042 LUK 015 016 かれ豚の食ふ蝗 豆にて、己が腹を充さんと思ふ程なれど、何をも與ふる人なかりき。 042 LUK 015 017 此のとき我に反りて言ふ『わが父の許には食物あまれる雇人いくばくぞや、然るに我は飢ゑてこの處に死なんとす。 042 LUK 015 018 起ちて我が父にゆき「父よ、われは天に對し、また汝の前に罪を犯したり。 042 LUK 015 019 今より汝の子と稱へらるるに相應しからず、雇人の一人のごとく爲し給へ』と言はん」 042 LUK 015 020 乃ち起ちて其の父のもとに往く。なほ遠く隔りたるに、父これを見て憫み、走りゆき、其の頸を抱きて接吻せり。 042 LUK 015 021 子、父にいふ「父よ、我は天に對し又なんぢの前に罪を犯したり。今より汝の子と稱へらるるに相應しからず」 042 LUK 015 022 されど父、僕どもに言ふ「とくとく最上の衣を持ち來りて之に著せ、その手に指輪をはめ、其の足に鞋をはかせよ。 042 LUK 015 023 また肥えたる犢を牽ききたりて屠れ、我ら食して樂しまん。 042 LUK 015 024 この我が子、死にて復 生き、失せて復 得られたり」かくて彼ら樂しみ始む。 042 LUK 015 025 然るに其の兄、畑にありしが、歸りて家に近づきたるとき、音樂と舞踏との音を聞き、 042 LUK 015 026 僕の一人を呼びてその何事なるかを問ふ。 042 LUK 015 027 答へて言ふ「なんぢの兄弟 歸りたり、その恙なきを迎へたれば、汝の父 肥えたる犢を屠れるなり」 042 LUK 015 028 兄 怒りて内に入ることを好まざりしかば、父いでて勸めしに、 042 LUK 015 029 答へて父に言ふ「視よ、我は幾歳もなんぢに仕へて、未だ汝の命令に背きし事なきに、我には小 山羊 一匹だに與へて友と樂しましめし事なし。 042 LUK 015 030 然るに遊女らと共に、汝の身代を食ひ盡したる此の汝の子 歸り來れば、之がために肥えたる犢を屠れり」 042 LUK 015 031 父いふ「子よ、なんぢは常に我とともに在り、わが物は皆なんぢの物なり。 042 LUK 015 032 されど此の汝の兄弟は死にて復 生き、失せて復 得られたれば、我らの樂しみ喜ぶは當然なり」』 042 LUK 016 001 イエスまた弟子たちに言ひ給ふ『或 富める人に一人の支配人あり、主人の所有を費しをりと訴へられたれば、 042 LUK 016 002 主人かれを呼びて言ふ「わが汝につきて聞く所は、これ何事ぞ、務の報告をいだせ、汝こののち支配人たるを得じ」 042 LUK 016 003 支配人 心のうちに言ふ「如何にせん、主人わが職を奪ふ。われ土 掘るには力なく、物 乞ふは恥かし。 042 LUK 016 004 我なすべき事こそ知りたれ、斯く爲ば職を罷めらるるとき、人々その家に我を迎ふるならん」とて、 042 LUK 016 005 主人の負債者を一人 一人 呼びよせて、初の者に言ふ「なんぢ我が主人より負ふところ何 程あるか」 042 LUK 016 006 答へて言ふ「油、百 樽」支配人いふ「なんぢの證書をとり、早く坐して五 十と書け」 042 LUK 016 007 又ほかの者に言ふ「負ふところ何 程あるか」答へて言ふ「麥、百 石」支配人いふ「なんぢの證書をとりて八 十と書け」 042 LUK 016 008 ここに主人、不義なる支配人の爲しし事の巧なるによりて、彼を譽めたり。この世の子らは、己が時代の事には光の子らよりも巧なり。 042 LUK 016 009 われ汝らに告ぐ、不義の富をもて、己がために友をつくれ。さらば富の失する時、その友なんぢらを永遠の住居に迎へん。 042 LUK 016 010 小事に忠なる者は大事にも忠なり。小事に不 忠なる者は大事にも不 忠なり。 042 LUK 016 011 さらば汝 等もし不義の富に忠ならずば、誰か眞の富を汝らに任すべき。 042 LUK 016 012 また汝 等もし人のものに忠ならずば、誰か汝 等のものを汝らに與ふべき。 042 LUK 016 013 僕は二人の主に兼ね事ふること能はず、或は之を憎み彼を愛し、或は之に親しみ彼を輕しむべければなり。汝ら神と富とに兼ね事ふること能はず』 042 LUK 016 014 ここに慾 深きパリサイ人ら、この凡ての事を聞きてイエスを嘲笑ふ。 042 LUK 016 015 イエス彼らに言ひ給ふ『なんぢらは人のまへに己を義とする者なり。されど神は汝らの心を知りたまふ。人のなかに尊ばるる者は、神のまへに憎まるる者なり。 042 LUK 016 016 律法と預言者とはヨハネまでなり、その時より神の國は宣傳へられ、人みな烈しく攻めて之に入る。 042 LUK 016 017 されど律法の一畫の落つるよりも、天 地の過ぎ往くは易し。 042 LUK 016 018 凡てその妻を出して、他に娶る者は、姦淫を行ふなり。また夫より出されたる女を娶る者も、姦淫を行ふなり。 042 LUK 016 019 或 富める人あり、紫色の衣と細布とを著て、日々 奢り樂しめり。 042 LUK 016 020 又ラザロといふ貧しき者あり、腫物にて腫れただれ、富める人の門に置かれ、 042 LUK 016 021 その食卓より落つる物にて飽かんと思ふ。而して犬ども來りて其の腫物を舐れり。 042 LUK 016 022 遂にこの貧しきもの死に、御使たちに携へられてアブラハムの懷裏に入れり。富める人もまた死にて葬られしが、 042 LUK 016 023 黄泉にて苦惱の中より目を擧げて、遙にアブラハムと其の懷裏にをるラザロとを見る。 042 LUK 016 024 乃ち呼びて言ふ「父アブラハムよ、我を憐みて、ラザロを遣し、その指の先を水に浸して我が舌を冷させ給へ、我はこの焔のなかに悶ゆるなり」 042 LUK 016 025 アブラハム言ふ「子よ、憶へ、なんぢは生ける間なんぢの善き物を受け、ラザロは惡しき物を受けたり。今ここにて彼は慰められ、汝は悶ゆるなり。 042 LUK 016 026 然のみならず、此處より汝らに渡り往かんとすとも得ず、其處より我らに來り得ぬために、我らと汝らとの間に大なる淵 定めおかれたり」 042 LUK 016 027 富める人また言ふ「さらば父よ、願はくは我が父の家にラザロを遣したまへ。 042 LUK 016 028 我に五 人の兄弟あり、この苦痛のところに來らぬよう、彼らに證せしめ給へ」 042 LUK 016 029 アブラハム言ふ「彼らにはモーセと預言者とあり、之に聽くべし」 042 LUK 016 030 富める人いふ「いな、父アブラハムよ、もし死人の中より彼らに往く者あらば、悔改めん」 042 LUK 016 031 アブラハム言ふ「もしモーセと預言者とに聽かずば、たとひ死人の中より甦へる者ありとも、其の勸を納れざるべし」』 042 LUK 017 001 イエス弟子たちに言ひ給ふ『躓物は必ず來らざるを得ず、されど之を來らす者は禍害なるかな。 042 LUK 017 002 この小き者の一人を躓かするよりは、寧ろ碾臼の石を頸に懸けられて、海に投げ入れられんかた善きなり。 042 LUK 017 003 汝 等みづから心せよ。もし汝の兄弟 罪を犯さば、これを戒めよ。もし悔改めなば之をゆるせ。 042 LUK 017 004 もし一日に七度なんぢに罪を犯し、七たび「悔改む」と言ひて、汝に歸らば之をゆるせ』 042 LUK 017 005 使徒たち主に言ふ『われらの信仰を増したまへ』 042 LUK 017 006 主いひ給ふ『もし芥種 一粒ほどの信仰あらば、此の桑の樹に「拔けて海に植れ」と言ふとも汝らに從ふべし。 042 LUK 017 007 汝 等のうち誰か或は耕し、或は牧する僕を有たんに、その僕 畑より歸りたる時、これに對ひて「直ちに來り食に就け」と言ふ者あらんや。 042 LUK 017 008 反つて「わが夕餐の備をなし、我が飮食するあひだ、帶して給仕せよ、然る後に、なんぢ飮食すべし」と言ふにあらずや。 042 LUK 017 009 僕、命ぜられし事を爲したればとて、主人これに謝すべきか。 042 LUK 017 010 かくのごとく汝らも命ぜられし事をことごとく爲したる時「われらは無 益なる僕なり、爲すべき事を爲したるのみ」と言へ』 042 LUK 017 011 イエス、エルサレムに往かんとて、サマリヤとガリラヤとの間をとほり、 042 LUK 017 012 或 村に入り給ふとき、十 人の癩病人これに遇ひて、遙に立ち止り、 042 LUK 017 013 聲を揚げて言ふ『君イエスよ、我らを憫みたまへ』 042 LUK 017 014 イエス之を見て言ひたまふ『なんぢら往きて身を祭司らに見せよ』彼ら往く間に潔められたり。 042 LUK 017 015 その中の一人、おのが醫されたるを見て、大聲に神を崇めつつ歸りきたり、 042 LUK 017 016 イエスの足下に平伏して謝す。これはサマリヤ人なり。 042 LUK 017 017 イエス答へて言ひたまふ『十 人みな潔められしならずや、九 人は何處に在るか。 042 LUK 017 018 この他國人のほかは、神に榮光を歸せんとて歸りきたる者なきか』 042 LUK 017 019 かくて之に言ひたまふ『起ちて往け、なんぢの信仰なんぢを救へり』 042 LUK 017 020 神の國の何時きたるべきかをパリサイ人に問はれし時、イエス答へて言ひたまふ『神の國は見ゆべき状にて來らず。 042 LUK 017 021 また「視よ、此處に在り」「彼處に在り」と人々 言はざるべし。視よ、神の國は汝らの中に在るなり』 042 LUK 017 022 かくて弟子たちに言ひ給ふ『なんぢら人の子の日の一日を見んと思ふ日きたらん、されど見ることを得じ。 042 LUK 017 023 そのとき人々なんぢらに「見よ彼處に、見よ此處に」と言はん、されど往くな、從ふな。 042 LUK 017 024 それ電光の天の彼方より閃きて、天の此方に輝くごとく、人の子もその日には然あるべし。 042 LUK 017 025 されど人の子は先づ多くの苦難を受け、かつ今の代に棄てらるべきなり。 042 LUK 017 026 ノアの日にありし如く、人の子の日にも然あるべし。 042 LUK 017 027 ノア方舟に入る日までは、人々 飮み食ひ娶り嫁ぎなど爲たりしが、洪水きたりて彼 等をことごとく滅せり。 042 LUK 017 028 ロトの日にも斯くのごとく、人々 飮み食ひ、賣り買ひ、植ゑつけ、家 造りなど爲たりしが、 042 LUK 017 029 ロトのソドムを出でし日に、天より火と硫黄と降りて、彼 等をことごとく滅せり。 042 LUK 017 030 人の子の顯るる日にも、その如くなるべし。 042 LUK 017 031 その日には、人もし屋の上にをりて、器 物 家の内にあらば、之を取らんとて下るな。畑にをる者も同じく歸るな。 042 LUK 017 032 ロトの妻を憶へ。 042 LUK 017 033 おほよそ己が生命を全うせんとする者はこれを失ひ、失ふ者はこれを保つべし。 042 LUK 017 034 われ汝らに告ぐ、その夜ふたりの男、一つ寢臺に居らんに、一人は取られ一人は遣されん。 042 LUK 017 035 二人の女ともに臼ひき居らんに、一人は取られ一人は遣されん』 042 LUK 017 036 [なし] 042 LUK 017 037 弟子たち答へて言ふ『主よ、それは何處ぞ』イエス言ひたまふ『屍體のある處には鷲も亦あつまらん』 042 LUK 018 001 また彼らに、落膽せずして常に祈るべきことを、譬にて語り言ひ給ふ 042 LUK 018 002 『或 町に、神を畏れず人を顧みぬ裁判人あり。 042 LUK 018 003 その町に寡婦ありて、屡次その許にゆき「我がために仇を審きたまへ」と言ふ。 042 LUK 018 004 かれ久しく聽き入れざりしが、其ののち心の中に言ふ「われ神を畏れず、人を顧みねど、 042 LUK 018 005 此の寡婦われを煩はせば、我かれが爲に審かん、然らずば絶えず來りて我を惱さん」と』 042 LUK 018 006 主いひ給ふ『不義なる裁判人の言ふことを聽け、 042 LUK 018 007 まして神は夜晝よばはる選民のために、たとひ遲くとも遂に審き給はざらんや。 042 LUK 018 008 我なんぢらに告ぐ、速かに審き給はん。されど人の子の來るとき地上に信仰を見んや』 042 LUK 018 009 また己を義と信じ、他人を輕しむる者どもに、此の譬を言ひたまふ、 042 LUK 018 010 『二人のもの祈らんとて宮にのぼる、一人はパリサイ人、一人は取税人なり。 042 LUK 018 011 パリサイ人たちて心の中に斯く祈る「神よ、我はほかの人の、強奪・不義・姦淫するが如き者ならず、又この取税人の如くならぬを感謝す。 042 LUK 018 012 我は一週のうちに二度 斷食し、凡て得るものの十分の一を献ぐ」 042 LUK 018 013 然るに取税人は遙に立ちて、目を天に向くる事だにせず、胸を打ちて言ふ「神よ、罪人なる我を憫みたまへ」 042 LUK 018 014 われ汝らに告ぐ、この人は、かの人よりも義とせられて、己が家に下り往けり。おほよそ己を高うする者は卑うせられ、己を卑うする者は高うせらるるなり』 042 LUK 018 015 イエスの觸り給はんことを望みて、人々 嬰兒らを連れ來りしに、弟子たち之を見て禁めたれば、 042 LUK 018 016 イエス幼兒らを呼びよせて言ひたまふ『幼兒らの我に來るを許して止むな、神の國はかくのごとき者の國なり。 042 LUK 018 017 われ誠に汝らに告ぐ、おほよそ幼兒のごとくに神の國をうくる者ならずば、之に入ることは能はず』 042 LUK 018 018 或 司 問ひて言ふ『善き師よ、われ何をなして永遠の生命を嗣ぐべきか』 042 LUK 018 019 イエス言ひ給ふ『なにゆゑ我を善しと言ふか、神ひとりの他に善き者なし。 042 LUK 018 020 誡命はなんぢが知る所なり「姦淫するなかれ」「殺すなかれ」「盜むなかれ」「僞證を立つる勿れ」「なんぢの父と母とを敬へ」』 042 LUK 018 021 彼いふ『われ幼き時より皆これを守れり』 042 LUK 018 022 イエス之をききて言ひたまふ『なんぢなほ足らぬこと一つあり、汝の有てる物をことごとく賣りて、貧しき者に分ち與へよ、然らば財寶を天に得ん。かつ來りて我に從へ』 042 LUK 018 023 彼は之をききて甚く悲しめり、大に富める者なればなり。 042 LUK 018 024 イエス之を見て言ひたまふ『富める者の神の國に入るは如何に難いかな。 042 LUK 018 025 富める者の神の國に入るよりは、駱駝の針の穴をとほるは反つて易し』 042 LUK 018 026 之をきく人々いふ『さらば誰か救はるる事を得ん』 042 LUK 018 027 イエス言ひたまふ『人のなし得ぬところは、神のなし得る所なり』 042 LUK 018 028 ペテロ言ふ『視よ、我等わが物をすてて汝に從へり』 042 LUK 018 029 イエス言ひ給ふ『われ誠に汝らに告ぐ、神の國のために、或は家、或は妻、或は兄弟、あるひは兩親、あるひは子を棄つる者は、誰にても、 042 LUK 018 030 今の時に數倍を受け、また後の世にて永遠の生命を受けぬはなし』 042 LUK 018 031 イエス十二 弟子を近づけて言ひたまふ『視よ、我らエルサレムに上る。人の子につき預言者たちによりて録されたる凡ての事は、成し遂げらるべし。 042 LUK 018 032 人の子は異邦人に付され、嘲弄せられ、辱しめられ、唾せられん。 042 LUK 018 033 彼 等これを鞭うち、かつ殺さん。かくて彼は三日めに甦へるべし』 042 LUK 018 034 弟子たち此 等のことを一つだに悟らず、此の言かれらに隱れたれば、その言ひ給ひしことを知らざりき。 042 LUK 018 035 イエス、エリコに近づき給ふとき、一人の盲人、路の傍らに坐して、物 乞ひ居たりしが、 042 LUK 018 036 群衆の過ぐるを聞きて、その何事なるかを問ふ。 042 LUK 018 037 人々ナザレのイエスの過ぎたまふ由を告げたれば、 042 LUK 018 038 盲人よばはりて言ふ『ダビデの子イエスよ、我を憫みたまへ』 042 LUK 018 039 先だち往く者ども、彼を禁めて默さしめんと爲たれど、増々さけびて言ふ『ダビデの子よ、我を憫みたまへ』 042 LUK 018 040 イエス立ち止り、盲人を連れ來るべきことを命じ給ふ。かれ近づきたれば、 042 LUK 018 041 イエス問ひ給ふ『わが汝に何を爲さんことを望むか』彼いふ『主よ、見えんことなり』 042 LUK 018 042 イエス彼に『見ることを得よ、なんぢの信仰なんぢを救へり』と言ひ給へば、 042 LUK 018 043 立刻に見ることを得、神を崇めてイエスに從ふ。民みな之を見て神を讃美せり。 042 LUK 019 001 エリコに入りて過ぎゆき給ふとき、 042 LUK 019 002 視よ、名をザアカイといふ人あり、取税人の長にて富める者なり。 042 LUK 019 003 イエスの如何なる人なるかを見んと思へど、丈 矮うして群衆のために見ること能はず、 042 LUK 019 004 前に走りゆき、桑の樹にのぼる。イエスその路を過ぎんとし給ふ故なり。 042 LUK 019 005 イエス此處に至りしとき、仰ぎ見て言ひたまふ『ザアカイ、急ぎおりよ、今日われ汝の家に宿るべし』 042 LUK 019 006 ザアカイ急ぎおり、喜びてイエスを迎ふ。 042 LUK 019 007 人々みな之を見て呟きて言ふ『かれは罪人の家に入りて客となれり』 042 LUK 019 008 ザアカイ立ちて主に言ふ『主、視よ、わが所有の半を貧しき者に施さん、若しわれ誣ひ訴へて人より取りたる所あらば、四 倍にして償はん』 042 LUK 019 009 イエス言ひ給ふ『けふ救はこの家に來れり、此の人もアブラハムの子なればなり。 042 LUK 019 010 それ人の子の來れるは、失せたる者を尋ねて救はん爲なり』 042 LUK 019 011 人々これらの事を聽きゐたるとき、譬を加へて言ひ給ふ。これはイエス、エルサレムに近づき給ひ、神の國たちどころに現るべしと彼らが思ふ故なり。 042 LUK 019 012 乃ち言ひたまふ『或 貴人、王の權を受けて歸らんとて遠き國へ往くとき、 042 LUK 019 013 十 人の僕をよび、之に金 十ミナを付して言ふ「わが歸るまで商賣せよ」 042 LUK 019 014 然るに其の地の民かれを憎み、後より使を遣して「我らは此の人の我らの王となることを欲せず」と言はしむ。 042 LUK 019 015 貴人、王の權をうけて歸り來りしとき、銀を付し置きたる僕どもの、如何に商賣せしかを知らんとて彼らを呼ばしむ。 042 LUK 019 016 初のもの進み出でて言ふ「主よ、なんぢの一ミナは十ミナを贏けたり」 042 LUK 019 017 王いふ「善いかな、良き僕、なんぢは小事に忠なりしゆゑ、十の町を司どるべし」 042 LUK 019 018 次の者きたりて言ふ「主よ、なんぢの一ミナは五ミナを贏けたり」 042 LUK 019 019 王また言ふ「なんぢも五つの町を司どるべし」 042 LUK 019 020 また一人きたりて言ふ「主、視よ、なんぢの一ミナは此處に在り。我これを袱紗に包みて藏め置きたり。 042 LUK 019 021 これ汝の嚴しき人なるを懼れたるに因る。なんぢは置かぬものを取り、播かぬものを刈るなり」 042 LUK 019 022 王いふ「惡しき僕、われ汝の口によりて汝を審かん。我の嚴しき人にて、置かぬものを取り、播かぬものを刈るを知るか。 042 LUK 019 023 何ぞわが金を銀行に預けざりし、さらば我きたりて元金と利子とを請求せしものを」 042 LUK 019 024 かくて傍らに立つ者どもに言ふ「かれの一ミナを取りて十ミナを有てる人に付せ」 042 LUK 019 025 彼 等いふ「主よ、かれは既に十ミナを有てり」 042 LUK 019 026 「われ汝らに告ぐ、凡て有てる人はなほ與へられ、有たぬ人は有てるものをも取らるべし。 042 LUK 019 027 而して我が王たる事を欲せぬ、かの仇どもを此處に連れきたり、我が前にて殺せ」』 042 LUK 019 028 イエス此 等のことを言ひてのち、先だち進みてエルサレムに上り給ふ。 042 LUK 019 029 オリブといふ山の麓なるベテパゲ及びベタニヤに近づきし時、イエス二人の弟子を遣さんとして言ひ給ふ、 042 LUK 019 030 『向の山にゆけ、其處に入らば、一度も人の乘りたる事なき驢馬の子の繋ぎあるを見ん、それを解きて牽ききたれ。 042 LUK 019 031 誰かもし汝らに「なにゆゑ解くか」と問はば、斯く言ふべし「主の用なり」と』 042 LUK 019 032 遣されたる者ゆきたれば、果して言ひ給ひし如くなるを見る。 042 LUK 019 033 かれら驢馬の子をとく時、その持主ども言ふ『なにゆゑ驢馬の子を解くか』 042 LUK 019 034 答へて言ふ『主の用なり』 042 LUK 019 035 かくて驢馬の子をイエスの許に牽ききたり、己が衣をその上にかけて、イエスを乘せたり。 042 LUK 019 036 その往き給ふとき、人々おのが衣を途に敷く。 042 LUK 019 037 オリブ山の下りあたりまで近づき來り給へば、群れゐる弟子たち皆 喜びて、その見しところの能力ある御業につき、聲 高らかに神を讃美して言ひ始む、 042 LUK 019 038 『讃むべきかな、主の名によりて來る王。天には平和、至高き處には榮光あれ』 042 LUK 019 039 群衆のうちの或パリサイ人ら、イエスに言ふ『師よ、なんぢの弟子たちを禁めよ』 042 LUK 019 040 答へて言ひ給ふ『われ汝らに告ぐ、此のともがら默さば、石 叫ぶべし』 042 LUK 019 041 既に近づきたるとき、都を見やり、之がために泣きて言ひ給ふ、 042 LUK 019 042 『ああ汝、なんぢも若しこの日の間に、平和にかかはる事を知りたらんには――されど今なんぢの目に隱れたり。 042 LUK 019 043 日きたりて敵なんぢの周圍に壘をきづき、汝を取圍みて四方より攻め、 042 LUK 019 044 汝とその内にある子らとを地に打倒し、一つの石をも石の上に遺さざるべし。なんぢ眷顧の時を知らざりしに因る』 042 LUK 019 045 かくて宮に入り、商ひする者どもを逐ひ出しはじめ、 042 LUK 019 046 之に言ひたまふ『「わが家は祈の家たるべし」と録されたるに、汝らは之を強盜の巣となせり』 042 LUK 019 047 イエス日々 宮にて教へたまふ。祭司長・學者ら及び民の重立ちたる者ども、之を殺さんと思ひたれど、 042 LUK 019 048 民みな耳を傾けてイエスに聽きたれば、爲すべき方を知らざりき。 042 LUK 020 001 或 日イエス宮にて民を教へ、福音を宣べゐ給ふとき、祭司長・學者らは、長老どもと共に近づき來り、 042 LUK 020 002 イエスに語りて言ふ『なにの權威をもて此 等の事をなすか、此の權威を授けし者は誰か、我らに告げよ』 042 LUK 020 003 答へて言ひ給ふ『われも一言なんぢらに問はん、答へよ。 042 LUK 020 004 ヨハネのバプテスマは天よりか、人よりか』 042 LUK 020 005 彼ら互に論じて言ふ『もし「天より」と言はば「なに故かれを信ぜざりし」と言はん。 042 LUK 020 006 もし「人より」と言はんか、民みなヨハネを預言者と信ずるによりて、我らを石にて撃たん』 042 LUK 020 007 遂に何處よりか知らぬ由を答ふ。 042 LUK 020 008 イエス言ひたまふ『われも何の權威をもて此 等の事をなすか、汝らに告げじ』 042 LUK 020 009 かくて次の譬を民に語りいで給ふ『ある人、葡萄園を造りて農夫どもに貸し、遠く旅立して久しくなりぬ。 042 LUK 020 010 時 至りて、葡萄園の所得を納めしめんとて、一人の僕を農夫の許に遣ししに、農夫ども之を打ちたたき、空手にて歸らしめたり。 042 LUK 020 011 又ほかの僕を遣ししに、之をも打ちたたき、辱しめ、空手にて歸らしめたり。 042 LUK 020 012 なほ三度めの者を遣ししに、之をも傷つけて逐ひ出したり。 042 LUK 020 013 葡萄園の主いふ「われ何を爲さんか。我が愛しむ子を遣さん、或は之を敬ふなるべし」 042 LUK 020 014 農夫ども之を見て互に論じて言ふ「これは世嗣なり。いざ殺して其の嗣業を我らの物とせん」 042 LUK 020 015 かくてこれを葡萄園の外に逐ひ出して殺せり。さらば葡萄園の主かれらに何を爲さんか、 042 LUK 020 016 來りてかの農夫どもを亡し、葡萄園を他の者どもに與ふべし』人々これを聽きて言ふ『然はあらざれ』 042 LUK 020 017 イエス彼らに目を注めて言ひ給ふ『されば「造家者らの棄てる石は、これぞ隅の首石となれる」と録されたるは何ぞや。 042 LUK 020 018 凡そその石の上に倒るる者は碎け、又その石、人の上に倒るれば、その人を微塵にせん』 042 LUK 020 019 此のとき學者・祭司長ら、イエスに手をかけんと思ひたれど、民を恐れたり。この譬の己どもを指して言ひ給へるを悟りしに因る。 042 LUK 020 020 かくて彼ら機を窺ひ、イエスを司の支配と權威との下に付さんとて、その言を捉ふるために、義人の樣したる間諜どもを遣したれば、 042 LUK 020 021 其の者どもイエスに問ひて言ふ『師よ、我らは汝の正しく語り、かつ教へ、外貌を取らず、眞をもて神の道を教へ給ふを知る。 042 LUK 020 022 われら貢をカイザルに納むるは、善きか、惡しきか』 042 LUK 020 023 イエスその惡巧を知りて言ひ給ふ、 042 LUK 020 024 『デナリを我に見せよ。これは誰の像、たれの號なるか』『カイザルのなり』と答ふ。 042 LUK 020 025 イエス言ひ給ふ『さらばカイザルの物はカイザルに、神の物は神に納めよ』 042 LUK 020 026 かれら民の前にて其の言をとらへ得ず、且その答を怪しみて默したり。 042 LUK 020 027 また復活なしと言張るサドカイ人の或 者ども、イエスに來り問ひて言ふ、 042 LUK 020 028 『師よ、モーセは、人の兄弟もし妻あり子なくして死なば、其の兄弟かれの妻を娶りて、兄弟のために嗣子を擧ぐべしと、我らに書き遣したり。 042 LUK 020 029 さて茲に七人の兄弟ありて、兄、妻を娶り、子なくして死に、 042 LUK 020 030 第二、第三の者も之を娶り、 042 LUK 020 031 七人みな同じく子を殘さずして死に、 042 LUK 020 032 後には其の女も死にたり。 042 LUK 020 033 されば復活の時、この女は誰の妻たるべきか、七人これを妻としたればなり』 042 LUK 020 034 イエス言ひ給ふ『この世の子らは娶り嫁ぎすれど、 042 LUK 020 035 かの世に入るに、死人の中より甦へるに相應しとせらるる者は、娶り嫁ぎすることなし。 042 LUK 020 036 彼 等ははや死ぬること能はざればなり。御使たちに等しく、また復活の子どもにして、神の子供たるなり。 042 LUK 020 037 死にたる者の甦へる事は、モーセも柴の條に、主を「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」と呼びて之を示せり。 042 LUK 020 038 神は死にたる者の神にあらず、生ける者の神なり。それ神の前には皆 生けるなり』 042 LUK 020 039 學者のうちの或 者ども答へて『師よ、善く言ひ給へり』と言ふ。 042 LUK 020 040 彼 等ははや何事をも問ひ得ざりし故なり。 042 LUK 020 041 イエス彼らに言ひたまふ『如何なれば人々、キリストをダビデの子と言ふか。 042 LUK 020 042 ダビデ自ら詩 篇に言ふ「主わが主に言ひたまふ、 042 LUK 020 043 われ汝の敵を汝の足臺となすまでは、わが右に坐せよ」 042 LUK 020 044 ダビデ斯く彼を主と稱ふれば、爭でその子ならんや』 042 LUK 020 045 民の皆ききをる中にて、イエス弟子たちに言ひ給ふ、 042 LUK 020 046 『學者らに心せよ。彼らは長き衣を著て歩むことを好み、市場にての敬禮、會堂の上座、饗宴の上席を喜び、 042 LUK 020 047 また寡婦らの家を呑み、外見をつくりて長き祈をなす。其の受くる審判は更に嚴しからん』 042 LUK 021 001 イエス目を擧げて、富める人々の納物を賽錢函に投げ入るるを見、 042 LUK 021 002 また或 貧しき寡婦のレプタ二つを投げ入るるを見て言ひ給ふ、 042 LUK 021 003 『われ實をもて汝らに告ぐ、この貧しき寡婦は、凡ての人よりも多く投げ入れたり。 042 LUK 021 004 彼らは皆その豐なる内より納物の中に投げ入れ、この寡婦はその乏しき中より、己が有てる生命の料をことごとく投げ入れたればなり』 042 LUK 021 005 或 人々、美麗なる石と献物とにて宮の飾られたる事を語りしに、イエス言ひ給ふ、 042 LUK 021 006 『なんぢらが見る此 等の物は、一つの石も崩されずして石の上に殘らぬ日きたらん』 042 LUK 021 007 彼ら問ひて言ふ『師よ、さらば此 等のことは何時あるか、又これらの事の成らんとする時は如何なる兆あるか』 042 LUK 021 008 イエス言ひ給ふ『なんぢら惑されぬように心せよ、多くの者わが名を冒し來り「われは夫なり」と言ひ「時は近づけり」と言はん、彼らに從ふな。 042 LUK 021 009 戰爭と騷亂との事を聞くとき、怖づな。斯かることは先づあるべきなり。然れど終は直ちに來らず』 042 LUK 021 010 また言ひたまふ『「民は民に、國は國に逆ひて起たん」 042 LUK 021 011 かつ大なる地震あり、處々に疫病・饑饉あらん。懼るべき事と天よりの大なる兆とあらん。 042 LUK 021 012 すべて此 等のことに先だちて、人々なんぢらに手をくだし、汝らを責めん、即ち汝らを會堂および獄に付し、わが名のために王たち司たちの前に曳きゆかん。 042 LUK 021 013 これは汝らに證の機とならん。 042 LUK 021 014 されば汝ら如何に答へんと預じめ思慮るまじき事を心に定めよ。 042 LUK 021 015 われ汝らに、凡て逆ふ者の言ひ逆ひ言ひ消すことをなし得ざる、口と智慧とを與ふべければなり。 042 LUK 021 016 汝らは兩親・兄弟・親族・朋友にさへ付されん。又かれらは汝らの中の或 者を殺さん。 042 LUK 021 017 汝 等わが名の故に凡ての人に憎まるべし。 042 LUK 021 018 然れど汝らの頭の髮 一すぢだに失せじ。 042 LUK 021 019 汝らは忍耐によりて其の靈魂を得べし。 042 LUK 021 020 汝らエルサレムが軍勢に圍まるるを見ば、其の亡 近づけりと知れ。 042 LUK 021 021 その時ユダヤに居る者どもは山に遁れよ、都の中にをる者どもは出でよ、田舍にをる者どもは都に入るな、 042 LUK 021 022 これ録されたる凡ての事の遂げらるべき刑罰の日なり。 042 LUK 021 023 その日には孕りたる者と、乳を哺まする者とは禍害なるかな。地に大なる艱難ありて、御怒この民に臨み、 042 LUK 021 024 彼らは劍の刃に斃れ、又は捕はれて諸國に曳かれん。而してエルサレムは異邦人の時 滿つるまで、異邦人に蹂躙らるべし。 042 LUK 021 025 また日・月・星に兆あらん。地にては國々の民なやみ、海と濤との鳴り轟くによりて狼狽へ、 042 LUK 021 026 人々おそれ、かつ世界に來らんとする事を思ひて膽を失はん。これ天の萬象ふるひ動けばなり。 042 LUK 021 027 其のとき人々、人の子の能力と大なる榮光とをもて、雲に乘りきたるを見ん。 042 LUK 021 028 これらの事 起り始めなば、仰ぎて首を擧げよ。汝らの贖罪 近づけるなり』 042 LUK 021 029 また譬を言ひたまふ『無花果の樹また凡ての樹を見よ、 042 LUK 021 030 既に芽ざせば、汝 等これを見てみづから夏の近きを知る。 042 LUK 021 031 斯くのごとく此 等のことの起るを見ば、神の國の近きを知れ。 042 LUK 021 032 われ誠に汝らに告ぐ、これらの事ことごとく成るまで、今の代は過ぎゆくことなし。 042 LUK 021 033 天 地は過ぎゆかん、されど我が言は過ぎゆくことなし。 042 LUK 021 034 汝 等みづから心せよ、恐らくは飮食にふけり、世の煩勞にまとはれて心 鈍り、思ひがけぬ時、かの日 羂のごとく來らん。 042 LUK 021 035 これは徧く地の面に住める凡ての人に臨むべきなり。 042 LUK 021 036 この起るべき凡ての事をのがれ、人の子のまへに立ち得るやう、常に祈りつつ目を覺しをれ』 042 LUK 021 037 イエス晝は宮にて教へ、夜は出でてオリブといふ山に宿りたまふ。 042 LUK 021 038 民はみな御教を聽かんとて、朝とく宮にゆき、御許に集れり。 042 LUK 022 001 さて過越といふ除酵祭 近づけり。 042 LUK 022 002 祭司長・學者らイエスを殺さんとし、その手段いかにと求む、民を懼れたればなり。 042 LUK 022 003 時にサタン、十二の一人なるイスカリオテと稱ふるユダに入る。 042 LUK 022 004 ユダ乃ち祭司長・宮守頭どもに往きて、イエスを如何にして付さんと議りたれば、 042 LUK 022 005 彼ら喜びて銀を與へんと約す。 042 LUK 022 006 ユダ諾ひて、群衆の居らぬ時にイエスを付さんと好き機をうかがふ。 042 LUK 022 007 過越の羔羊を屠るべき除酵祭の日 來りたれば、 042 LUK 022 008 イエス、ペテロとヨハネとを遣さんとして言ひたまふ『往きて我らの食せん爲に過越の備をなせ』 042 LUK 022 009 彼ら言ふ『何處に備ふることを望み給ふか』 042 LUK 022 010 イエス言ひたまふ『視よ、都に入らば、水をいれたる瓶を持つ人なんぢらに遇ふべし、之に從ひゆき、その入る所の家にいりて、 042 LUK 022 011 家の主人に「師なんぢに言ふ、われ弟子らと共に過越の食をなすべき座敷は何處なるか」と言へ。 042 LUK 022 012 さらば調へたる大なる二階 座敷を見すべし。其處に備へよ』 042 LUK 022 013 かれら出で往きて、イエスの言ひ給ひし如くなるを見て、過越の設備をなせり。 042 LUK 022 014 時いたりてイエス席に著きたまひ、使徒たちも共に著く。 042 LUK 022 015 かくて彼らに言ひ給ふ『われ苦難の前に、なんぢらと共にこの過越の食をなすことを望みに望みたり。 042 LUK 022 016 われ汝らに告ぐ、神の國にて過越の成就するまでは、我 復これを食せざるべし』 042 LUK 022 017 かくて酒杯を受け、かつ謝して言ひ給ふ『これを取りて互に分ち飮め。 042 LUK 022 018 われ汝らに告ぐ、神の國の來るまでは、われ今よりのち葡萄の果より成るものを飮まじ』 042 LUK 022 019 またパンを取り謝してさき、弟子たちに與へて言ひ給ふ『これは汝らの爲に與ふる我が體なり。我が記念として之を行へ』 042 LUK 022 020 夕餐ののち酒杯をも然して言ひ給ふ『この酒杯は、汝らの爲に流す我が血によりて立つる新しき契約なり。 042 LUK 022 021 されど視よ、我を賣る者の手、われと共に食卓の上にあり、 042 LUK 022 022 實に人の子は定められたる如く逝くなり。されど之を賣る者は禍害なるかな』 042 LUK 022 023 弟子たち己らの中にて此の事をなす者は、誰ならんと互に問ひ始む。 042 LUK 022 024 また彼らの間に、己らの中たれか大ならんとの爭論おこりたれば、 042 LUK 022 025 イエス言ひたまふ『異邦人の王はその民を宰どり、また民を支配する者は恩人と稱へらる。 042 LUK 022 026 されど汝らは然あらざれ、汝 等のうち大なる者は若き者のごとく、頭たる者は事ふる者の如くなれ。 042 LUK 022 027 食事の席に著く者と事ふる者とは、何れか大なる。食事の席に著く者ならずや、されど我は汝らの中にて事ふる者のごとし。 042 LUK 022 028 汝らは我が嘗試のうちに絶えず我とともに居りし者なれば、 042 LUK 022 029 わが父の我に任じ給へるごとく、我も亦なんぢらに國を任ず。 042 LUK 022 030 これ汝らの我が國にて我が食卓に飮食し、かつ座位に坐してイスラエルの十二の族を審かん爲なり。 042 LUK 022 031 シモン、シモン、視よ、サタン汝らを麥のごとく篩はんとて請ひ得たり。 042 LUK 022 032 されど我なんぢの爲に、その信仰の失せぬやうに祈りたり、なんぢ立ち歸りてのち兄弟たちを堅うせよ』 042 LUK 022 033 シモン言ふ『主よ、我は汝とともに獄にまでも、死にまでも往かんと覺悟せり』 042 LUK 022 034 イエス言ひ給ふ『ペテロよ、我なんぢに告ぐ、今日なんぢ三度われを知らずと否むまでは、鷄 鳴かざるべし』 042 LUK 022 035 かくて弟子たちに言ひ給ふ『財布・嚢・鞋をも持たせずして汝らを遣ししとき、缺けたる所ありしや』彼ら言ふ『無かりき』 042 LUK 022 036 イエス言ひ給ふ『されど今は財布ある者は之を取れ、嚢ある者も然すべし。また劍なき者は衣を賣りて劍を買へ。 042 LUK 022 037 われ汝らに告ぐ「かれは愆人と共に數へられたり」と録されたるは、我が身に成し遂げらるべし。凡そ我に係る事は成し遂げらるればなり』 042 LUK 022 038 弟子たち言ふ『主、見たまへ、茲に劍 二振あり』イエス言ひたまふ『足れり』 042 LUK 022 039 遂に出でて、常のごとくオリブ山に往き給へば、弟子たちも從ふ。 042 LUK 022 040 其處に至りて彼らに言ひたまふ『誘惑に入らぬやうに祈れ』 042 LUK 022 041 かくて自らは石の投げらるる程かれらより隔り、跪づきて祈り言ひたまふ、 042 LUK 022 042 『父よ、御旨ならば、此の酒杯を我より取り去りたまへ、されど我が意にあらずして御意の成らんことを願ふ』 042 LUK 022 043 時に天より御使あらはれて、イエスに力を添ふ。 042 LUK 022 044 イエス悲しみ迫り、いよいよ切に祈り給へば、汗は地上に落つる血の雫の如し。 042 LUK 022 045 祈を了へ、起ちて弟子たちの許にきたり、その憂によりて眠れるを見て言ひたまふ、 042 LUK 022 046 『なんぞ眠るか、起て、誘惑に入らぬやうに祈れ』 042 LUK 022 047 なほ語りゐ給ふとき、視よ、群衆あらはれ、十二の一人なるユダ先だち來り、イエスに接吻せんとて近寄りたれば、 042 LUK 022 048 イエス言ひ給ふ『ユダ、なんぢは接吻をもて人の子を賣るか』 042 LUK 022 049 御側に居る者ども事の及ばんとするを見て言ふ『主よ、われら劍をもて撃つべきか』 042 LUK 022 050 その中の一人、大 祭司の僕を撃ちて、右の耳を切り落せり。 042 LUK 022 051 イエス答へて言ひたまふ『之にてゆるせ』而して僕の耳に手をつけて醫し給ふ。 042 LUK 022 052 かくて己に向ひて來れる祭司長・宮守頭・長老らに言ひ給ふ『なんぢら強盜に向ふごとく、劍と棒とを持ちて出できたるか。 042 LUK 022 053 我は日々なんぢらと共に宮に居りしに、我が上に手を伸べざりき。されど今は汝らの時、また暗黒の權威なり』 042 LUK 022 054 遂に人々イエスを捕へて、大 祭司の家に曳きゆく。ペテロ遠く離れて從ふ。 042 LUK 022 055 人々、中庭のうちに火を焚きて、諸共に坐したれば、ペテロもその中に坐す。 042 LUK 022 056 或 婢女ペテロの火の光を受けて坐し居るを見、これに目を注ぎて言ふ『この人も彼と偕にゐたり』 042 LUK 022 057 ペテロ肯はずして言ふ『をんなよ、我は彼を知らず』 042 LUK 022 058 暫くして他の者ペテロを見て言ふ『なんぢも彼の黨與なり』ペテロ言ふ『人よ、然らず』 042 LUK 022 059 一 時ばかりして又ほかの男、言張りて言ふ『まさしく此の人も彼とともに在りき、是ガリラヤ人なり』 042 LUK 022 060 ペテロ言ふ『人よ、我なんぢの言ふことを知らず』なほ言ひ終へぬに、やがて鷄 鳴きぬ。 042 LUK 022 061 主、振反りてペテロに目をとめ給ふ。ここにペテロ、主の『今日にはとり鳴く前に、なんぢ三度われを否まん』と言ひ給ひし御言を憶ひいだし、 042 LUK 022 062 外に出でて甚く泣けり。 042 LUK 022 063 守る者どもイエスを嘲弄し、之を打ち、 042 LUK 022 064 その目を蔽ひ問ひて言ふ『預言せよ、汝を撃ちし者は誰なるか』 042 LUK 022 065 この他なほ多くのことを言ひて譏れり。 042 LUK 022 066 夜明になりて、民の長老・祭司長・學者ら相 集り、イエスをその議會に曳き出して言ふ、 042 LUK 022 067 『なんぢ若しキリストならば、我らに言へ』イエス言ひ給ふ『われ言ふとも汝ら信ぜじ、 042 LUK 022 068 又われ問ふとも汝ら答へじ。 042 LUK 022 069 されど人の子は今よりのち神の能力の右に坐せん』 042 LUK 022 070 皆いふ『されば汝は神の子なるか』答へ給ふ『なんぢらの言ふごとく我はそれなり』 042 LUK 022 071 彼ら言ふ『何ぞなほ他に證據を求めんや。我ら自らその口より聞けり』 042 LUK 023 001 民衆みな起ちて、イエスをピラトの前に曳きゆき、 042 LUK 023 002 訴へ出でて言ふ『われら此の人が、わが國の民を惑し、貢をカイザルに納むるを禁じ、かつ自ら王なるキリストと稱ふるを認めたり』 042 LUK 023 003 ピラト、イエスに問ひて言ふ『なんぢはユダヤ人の王なるか』答へて言ひ給ふ『なんぢの言ふが如し』 042 LUK 023 004 ピラト祭司長らと群衆とに言ふ『われ此の人に愆あるを見ず』 042 LUK 023 005 彼 等ますます言ひ募り『かれはユダヤ全國に教をなして民を騷がし、ガリラヤより始めて、此處に至る』と言ふ。 042 LUK 023 006 ピラト之を聞き、そのガリラヤ人なるかを問ひて、 042 LUK 023 007 ヘロデの權下の者なるを知り、ヘロデ此の頃エルサレムに居たれば、イエスをその許に送れり。 042 LUK 023 008 ヘロデ、イエスを見て甚く喜ぶ。これは彼に就きて聞く所ありたれば、久しく逢はんことを欲し、何をか徴を行ふを見んと望み居たる故なり。 042 LUK 023 009 かくて多くの言をもて問ひたれど、イエス何をも答へ給はず。 042 LUK 023 010 祭司長・學者ら起ちて激甚くイエスを訴ふ。 042 LUK 023 011 ヘロデその兵卒と共にイエスを侮り、かつ嘲弄し、華美なる衣を著せて、ピラトに返す。 042 LUK 023 012 ヘロデとピラトと前には仇たりしが、此の日たがひに親しくなれり。 042 LUK 023 013 ピラト、祭司長らと司らと民とを呼び集めて言ふ、 042 LUK 023 014 『汝らこの人を民を惑す者として曳き來れり。視よ、われ汝らの前にて訊したれど、其の訴ふる所に就きて、この人に愆あるを見ず。 042 LUK 023 015 ヘロデも亦 然り、彼を我らに返したり。視よ、彼は死に當るべき業を爲さざりき。 042 LUK 023 016 されば懲しめて之を赦さん』 042 LUK 023 017 [なし] 042 LUK 023 018 民衆ともに叫びて言ふ『この人を除け、我らにバラバを赦せ』 042 LUK 023 019 此のバラバは、都に起りし一揆と殺人との故によりて、獄に入れられたる者なり。 042 LUK 023 020 ピラトはイエスを赦さんと欲して、再び彼らに告げたれど、 042 LUK 023 021 彼ら叫びて『十字架につけよ、十字架につけよ』と言ふ。 042 LUK 023 022 ピラト三度まで『彼は何の惡事を爲ししか、我その死に當るべき業を見ず、故に懲しめて赦さん』と言ふ。 042 LUK 023 023 されど人々、大聲をあげ迫りて、十字架につけんことを求めたれば、遂にその聲 勝てり。 042 LUK 023 024 ここにピラトその求の如くすべしと言渡し、 042 LUK 023 025 その求むるままに、かの一揆と殺人との故によりて獄に入れられたる者を赦し、イエスを付して彼らの心の隨ならしめたり。 042 LUK 023 026 人々イエスを曳きゆく時、シモンといふクレネ人の田舍より來るを執へ、十字架を負はせてイエスの後に從はしむ。 042 LUK 023 027 民の大なる群と、歎き悲しめる女たちの群と之に從ふ。 042 LUK 023 028 イエス振反りて女たちに言ひ給ふ『エルサレムの娘よ、わが爲に泣くな、ただ己がため、己が子のために泣け。 042 LUK 023 029 視よ「石婦、兒 産まぬ腹、哺ませぬ乳は幸福なり」と言ふ日きたらん。 042 LUK 023 030 その時ひとびと「山に向ひて我らの上に倒れよ、岡に向ひて我らを掩へ」と言ひ出でん。 042 LUK 023 031 もし青 樹に斯く爲さば、枯樹は如何にせられん』 042 LUK 023 032 また他に二人の惡人をも、死罪に行はんとてイエスと共に曳きゆく。 042 LUK 023 033 髑髏といふ處に到りて、イエスを十字架につけ、また惡人の一人をその右、一人をその左に十字架につく。 042 LUK 023 034 かくてイエス言ひたまふ『父よ、彼らを赦し給へ、その爲す所を知らざればなり』彼らイエスの衣を分ちて鬮取にせり、 042 LUK 023 035 民は立ちて見ゐたり。司たちも嘲りて言ふ『かれは他人を救へり、もし神の選び給ひしキリストならば、己をも救へかし』 042 LUK 023 036 兵卒どもも嘲弄しつつ、近よりて酸き葡萄酒をさし出して言ふ、 042 LUK 023 037 『なんぢ若しユダヤ人の王ならば、己を救へ』 042 LUK 023 038 又イエスの上には『これはユダヤ人の王なり』との罪標あり。 042 LUK 023 039 十字架に懸けられたる惡人の一人、イエスを譏りて言ふ『なんぢはキリストならずや、己と我らとを救へ』 042 LUK 023 040 他の者これに答へ禁めて言ふ『なんぢ同じく罪に定められながら、神を畏れぬか。 042 LUK 023 041 我らは爲しし事の報を受くるなれば當然なり。されど此の人は何の不 善をも爲さざりき』 042 LUK 023 042 また言ふ『イエスよ、御國に入り給ふとき、我を憶えたまえ』 042 LUK 023 043 イエス言ひ給ふ『われ誠に汝に告ぐ、今日なんぢは我と偕にパラダイスに在るべし』 042 LUK 023 044 晝の十二 時ごろ、日、光をうしなひ、地のうへ徧く暗くなりて、三時に及び、 042 LUK 023 045 聖所の幕、眞中より裂けたり。 042 LUK 023 046 イエス大聲に呼はりて言ひたまふ『父よ、わが靈を御手にゆだぬ』斯く言ひて息 絶えたまふ。 042 LUK 023 047 百卒長この有りし事を見て、神を崇めて言ふ『實にこの人は義人なりき』 042 LUK 023 048 これを見んとて集りたる群衆も、ありし事どもを見て、みな胸を打ちつつ歸れり。 042 LUK 023 049 凡てイエスの相識の者およびガリラヤより從ひ來れる女たちも、遙に立ちて此 等のことを見たり。 042 LUK 023 050 議員にして善かつ義なるヨセフといふ人あり。 042 LUK 023 051 ――この人はかの評議と仕業とに與せざりき――ユダヤの町なるアリマタヤの者にて、神の國を待ちのぞめり。 042 LUK 023 052 此の人ピラトの許にゆき、イエスの屍體を乞ひ、 042 LUK 023 053 これを取りおろし、亞麻 布にて包み、巖に鑿りたる未だ人を葬りし事なき墓に納めたり。 042 LUK 023 054 この日は準備 日なり、かつ安息 日 近づきぬ。 042 LUK 023 055 ガリラヤよりイエスと共に來りし女たち後に從ひ、その墓と屍體の納められたる樣とを見、 042 LUK 023 056 歸りて香料と香 油とを備ふ。かくて誡命に遵ひて、安息 日を休みたり。 042 LUK 024 001 一週の初の日、朝まだき、女たち備へたる香料を携へて墓にゆく。 042 LUK 024 002 然るに石の既に墓より轉し除けあるを見、 042 LUK 024 003 内に入りたるに、主イエスの屍體を見ず、 042 LUK 024 004 これが爲に狼狽へをりしに、視よ、輝ける衣を著たる二人の人その傍らに立てり。 042 LUK 024 005 女たち懼れて面を地に伏せたれば、その二人の者いふ『なんぞ死にし者どもの中に生ける者を尋ぬるか。 042 LUK 024 006 彼は此處に在さず、甦へり給へり。尚ガリラヤに居給へるとき、如何に語り給ひしかを憶ひ出でよ。 042 LUK 024 007 即ち「人の子は必ず罪ある人の手に付され、十字架につけられ、かつ三日めに甦へるべし」と言ひ給へり』 042 LUK 024 008 ここに彼らその御言を憶ひ出で、 042 LUK 024 009 墓より歸りて、凡て此 等のことを十 一 弟子および凡て他の弟子たちに告ぐ。 042 LUK 024 010 この女たちはマグダラのマリヤ、ヨハンナ及びヤコブの母マリヤなり、而して彼らと共に在りし他の女たちも、之を使徒たちに告げたり。 042 LUK 024 011 使徒たちは其の言を妄語と思ひて信ぜず。 042 LUK 024 012 [ペテロは起ちて墓に走りゆき、屈みて布のみあるを見、ありし事を怪しみつつ歸れり] 042 LUK 024 013 視よ、この日 二人の弟子、エルサレムより三里ばかり隔りたるエマオといふ村に往きつつ、 042 LUK 024 014 凡て有りし事どもを互に語りあふ。 042 LUK 024 015 語りかつ論じあふ程に、イエス自ら近づきて共に往き給ふ。 042 LUK 024 016 されど彼らの目 遮へられて、イエスたるを認むること能はず。 042 LUK 024 017 イエス彼らに言ひ給ふ『なんぢら歩みつつ互に語りあふ言は何ぞや』かれら悲しげなる状にて立ち止り、 042 LUK 024 018 その一人なるクレオパと名づくるもの答へて言ふ『なんぢエルサレムに寓り居て、獨り此の頃かしこに起りし事どもを知らぬか』 042 LUK 024 019 イエス言ひ給ふ『如何なる事ぞ』答へて言ふ『ナザレのイエスの事なり、彼は神と凡ての民との前にて、業にも言にも能力ある預言者なりしに、 042 LUK 024 020 祭司長ら及び我が司らは、死罪に定めんとて之を付し遂に十字架につけたり。 042 LUK 024 021 我らはイスラエルを贖ふべき者は、この人なりと望みゐたり、然のみならず、此の事の有りしより今日ははや三日めなるが、 042 LUK 024 022 なほ我等のうちの或 女たち、我らを驚かせり、即ち彼ら朝 夙く墓に往きたるに、 042 LUK 024 023 屍體を見ずして歸り、かつ御使たち現れて、イエスは活き給ふと告げたりと言ふ。 042 LUK 024 024 我らの朋輩の數人もまた墓に往きて見れば、正しく女たちの言ひし如くにしてイエスを見ざりき』 042 LUK 024 025 イエス言ひ給ふ『ああ愚にして預言者たちの語りたる凡てのことを信ずるに心 鈍き者よ。 042 LUK 024 026 キリストは必ず此らの苦難を受けて、其の榮光に入るべきならずや』 042 LUK 024 027 かくてモーセ及び凡ての預言者をはじめ、己に就きて凡ての聖書に録したる所を説き示したまふ。 042 LUK 024 028 遂に往く所の村に近づきしに、イエスなほ進みゆく樣なれば、 042 LUK 024 029 強ひて止めて言ふ『我らと共に留れ、時 夕に及びて、日も早や暮れんとす』乃ち留らんとて入りたまふ。 042 LUK 024 030 共に食事の席に著きたまふ時、パンを取りて祝し、擘きて與へ給へば、 042 LUK 024 031 彼らの目 開けてイエスなるを認む、而してイエス見えずなり給ふ。 042 LUK 024 032 かれら互に言ふ『途にて我らと語り、我らに聖書を説明し給へるとき、我らの心、内に燃えしならずや』 042 LUK 024 033 かくて直ちに立ちエルサレムに歸りて見れば、十 一 弟子および之と偕なる者あつまり居て言ふ、 042 LUK 024 034 『主は實に甦へりて、シモンに現れ給へり』 042 LUK 024 035 二人の者もまた途にて有りし事と、パンを擘き給ふによりてイエスを認めし事とを述ぶ。 042 LUK 024 036 此 等のことを語る程に、イエスその中に立ち[『平安なんぢらに在れ』と言ひ]給ふ。 042 LUK 024 037 かれら怖ぢ懼れて、見る所のものを靈ならんと思ひしに、 042 LUK 024 038 イエス言ひ給ふ『なんぢら何ぞ心 騷ぐか、何ゆゑ心に疑惑おこるか、 042 LUK 024 039 我が手わが足を見よ、これ我なり。我を撫でて見よ、靈には肉と骨となし、我にはあり、汝らの見るごとし』 042 LUK 024 040 [斯く言ひて手と足とを示し給ふ] 042 LUK 024 041 かれら歡喜の餘に信ぜずして怪しめる時、イエス言ひたまふ『此處に何か食物あるか』 042 LUK 024 042 かれら炙りたる魚 一片を捧げたれば、 042 LUK 024 043 之を取り、その前にて食し給へり。 042 LUK 024 044 また言ひ給ふ『これらの事は、我がなほ汝らと偕に在りし時に語りて、我に就きモーセの律法・預言者および詩 篇に録されたる凡ての事は、必ず遂げらるべしと言ひし所なり』 042 LUK 024 045 ここに聖書を悟らしめんとて、彼らの心を開きて言ひ給ふ、 042 LUK 024 046 『かく録されたり、キリストは苦難を受けて、三日めに死人の中より甦へり、 042 LUK 024 047 且その名によりて罪の赦を得さする悔改は、エルサレムより始りて、もろもろの國人に宣傳へらるべしと。 042 LUK 024 048 汝らは此 等のことの證人なり。 042 LUK 024 049 視よ、我は父の約し給へるものを汝らに贈る。汝ら上より能力を著せらるるまでは都に留れ』 042 LUK 024 050 遂にイエス彼らをベタニヤに連れゆき、手を擧げて之を祝したまふ。 042 LUK 024 051 祝する間に、彼らを離れ[天に擧げられ]給ふ。 042 LUK 024 052 彼ら[之を拜し]大なる歡喜をもてエルサレムに歸り、 042 LUK 024 053 常に宮に在りて、神を讃めゐたり。 # # BOOK 043 JOH John ヨハネの福音書 043 JOH 001 001 太初に言あり、言は神と偕にあり、言は神なりき。 043 JOH 001 002 この言は太初に神とともに在り、 043 JOH 001 003 萬の物これに由りて成り、成りたる物に一つとして之によらで成りたるはなし。 043 JOH 001 004 之に生命あり、この生命は人の光なりき。 043 JOH 001 005 光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。 043 JOH 001 006 神より遣されたる人いでたり、その名をヨハネといふ。 043 JOH 001 007 この人は證のために來れり、光に就きて證をなし、また凡ての人の彼によりて信ぜん爲なり。 043 JOH 001 008 彼は光にあらず、光に就きて證せん爲に來れるなり。 043 JOH 001 009 もろもろの人をてらす眞の光ありて、世にきたれり。 043 JOH 001 010 彼は世にあり、世は彼に由りて成りたるに、世は彼を知らざりき。 043 JOH 001 011 かれは己の國にきたりしに、己の民は之を受けざりき。 043 JOH 001 012 されど之を受けし者、即ちその名を信ぜし者には、神の子となる權をあたへ給へり。 043 JOH 001 013 かかる人は血脈によらず、肉の欲によらず、人の欲によらず、ただ、神によりて生れしなり。 043 JOH 001 014 言は肉體となりて我らの中に宿りたまへり、我らその榮光を見たり、實に父の獨子の榮光にして、恩惠と眞理とにて滿てり。 043 JOH 001 015 ヨハネ彼につきて證をなし、呼はりて言ふ『「わが後にきたる者は我に勝れり、我より前にありし故なり」と、我が曾ていへるは此の人なり』 043 JOH 001 016 我らは皆その充ち滿ちたる中より受けて、恩惠に恩惠を加へらる。 043 JOH 001 017 律法はモーセによりて與へられ、恩惠と眞理とはイエス・キリストによりて來れるなり。 043 JOH 001 018 未だ神を見し者なし、ただ父の懷裡にいます獨子の神のみ之を顯し給へり。 043 JOH 001 019 さてユダヤ人、エルサレムより祭司とレビ人とをヨハネの許に遣して『なんぢは誰なるか』と問はせし時、ヨハネの證はかくのごとし。 043 JOH 001 020 乃ち言ひあらはして諱まず『我はキリストにあらず』と言ひあらはせり。 043 JOH 001 021 また問ふ『さらば何、エリヤなるか』答ふ『然らず』問ふ『かの預言者なるか』答ふ『いな』 043 JOH 001 022 ここに彼ら言ふ『なんぢは誰なるか、我らを遣しし人々に答へ得るやうにせよ、なんぢ己につきて何と言ふか』 043 JOH 001 023 答へて言ふ『我は預言者イザヤの云へるが如く「主の道を直くせよと、荒野に呼はる者の聲」なり』 043 JOH 001 024 かの遣されたる者はパリサイ人なりき。 043 JOH 001 025 また問ひて言ふ『なんぢ若しキリストに非ず、またエリヤにも、かの預言者にも非ずば、何 故バプテスマを施すか』 043 JOH 001 026 ヨハネ答へて言ふ『我は水にてバプテスマを施す。なんじらの中に汝らの知らぬもの一人たてり。 043 JOH 001 027 即ち我が後にきたる者なり、我はその鞋の紐を解くにも足らず』 043 JOH 001 028 これらの事は、ヨハネのバプテスマを施しゐたりしヨルダンの向なるベタニヤにてありしなり。 043 JOH 001 029 明くる日ヨハネ、イエスの己が許にきたり給ふを見ていふ『視よ、これぞ世の罪を除く神の羔羊。 043 JOH 001 030 われ曾て「わが後に來る人あり、我にまされり、我より前にありし故なり」と云ひしは此の人なり。 043 JOH 001 031 我もと彼を知らざりき。然れど彼のイスラエルに顯れんために、我きたりて水にてバプテスマを施すなり』 043 JOH 001 032 ヨハネまた證をなして言ふ『われ見しに、御靈 鴿のごとく天より降りて、その上に止れり。 043 JOH 001 033 我もと彼を知らざりき。されど我を遣し水にてバプテスマを施させ給ふもの、我に告げて「なんぢ御靈くだりて或 人の上に止るを見ん、これぞ聖 靈にてバプテスマを施す者なる」といひ給へり。 043 JOH 001 034 われ之を見て、その神の子たるを證せしなり』 043 JOH 001 035 明くる日ヨハネまた二人の弟子とともに立ちて、 043 JOH 001 036 イエスの歩み給ふを見ていふ『視よ、これぞ神の羔羊』 043 JOH 001 037 かく語るをききて、二人の弟子イエスに從ひゆきたれば、 043 JOH 001 038 イエス振反りて、その從ひきたるを見て言ひたまふ『何を求むるか』彼 等いふ『ラビ(釋きていへば師)いづこに留り給ふか』 043 JOH 001 039 イエス言ひ給ふ『きたれ、さらば見ん』彼ら往きてその留りたまふ所を見、この日ともに留れり、時は第十時ごろなりき。 043 JOH 001 040 ヨハネより聞きてイエスに從ひし二人のうち一人は、シモン・ペテロの兄弟アンデレなり。 043 JOH 001 041 この人まづ其の兄弟シモンに遇ひ『われらメシヤ(釋けばキリスト)に遇へり』と言ひて、 043 JOH 001 042 彼をイエスの許に連れきたれり。イエス之に目を注めて言ひ給ふ『なんぢはヨハネの子シモンなり、汝ケパ(釋けばペテロ)と稱へらるべし』 043 JOH 001 043 明くる日イエス、ガリラヤに往かんとし、ピリポにあひて言ひ給ふ『われに從へ』 043 JOH 001 044 ピリポはアンデレとペテロとの町なるベツサイダの人なり。 043 JOH 001 045 ピリポ、ナタナエルに遇ひて言ふ『我らはモーセが律法に録ししところ、預言者たちが録しし所の者に遇へり、ヨセフの子ナザレのイエスなり』 043 JOH 001 046 ナタナエル言ふ『ナザレより何の善き者か出づべき』ピリポいふ『來りて見よ』 043 JOH 001 047 イエス、ナタナエルの己が許にきたるを見、これを指して言ひたまふ『視よ、これ眞にイスラエル人なり、その衷に虚僞なし』 043 JOH 001 048 ナタナエル言ふ『如何にして我を知り給ふか』イエス答えて言ひたまふ『ピリポの汝を呼ぶまへに、我なんぢが無花果の樹の下に居るを見たり』 043 JOH 001 049 ナタナエル答ふ『ラビ、なんぢは神の子なり、汝はイスラエルの王なり』 043 JOH 001 050 イエス答へて言ひ給ふ『われ汝が無花果の樹の下にをるを見たりと言ひしに因りて信ずるか、汝これよりも更に大なる事を見ん』 043 JOH 001 051 また言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、天ひらけて、人の子のうへに神の使たちの昇り降りするを汝ら見るべし』 043 JOH 002 001 三日めにガリラヤのカナに婚禮ありて、イエスの母そこに居り、 043 JOH 002 002 イエスも弟子たちと共に婚禮に招かれ給ふ。 043 JOH 002 003 葡萄酒つきたれば、母イエスに言ふ『かれらに葡萄酒なし』 043 JOH 002 004 イエス言ひ給ふ『をんなよ、我と汝となにの關係あらんや、我が時は未だ來らず』 043 JOH 002 005 母 僕どもに『何にても其の命ずる如くせよ』と言ひおく。 043 JOH 002 006 彼處にユダヤ人の潔の例にしたがひて、四 五 斗 入りの石甕 六個ならべあり。 043 JOH 002 007 イエス僕に『水を甕に滿せ』といひ給へば、口まで滿す。 043 JOH 002 008 また言ひ給ふ『いま汲み取りて饗宴 長に持ちゆけ』乃ち持ちゆけり。 043 JOH 002 009 饗宴 長、葡萄酒になりたる水を嘗めて、その何處より來りしかを知らざれば(水を汲みし僕どもは知れり)新郎を呼びて言ふ、 043 JOH 002 010 『おほよそ人は先よき葡萄酒を出し、醉のまはる頃ほひ劣れるものを出すに、汝はよき葡萄酒を今まで留め置きたり』 043 JOH 002 011 イエス此の第一の徴をガリラヤのカナにて行ひ、その榮光を顯し給ひたれば、弟子たち彼を信じたり。 043 JOH 002 012 この後イエス及びその母・兄弟・弟子たちカペナウムに下りて、そこに數日 留りたり。 043 JOH 002 013 かくてユダヤ人の過越の祭ちかづきたれば、イエス、エルサレムに上り給ふ。 043 JOH 002 014 宮の内に牛・羊・鴿を賣るもの、兩替する者の坐するを見て、 043 JOH 002 015 繩を鞭につくり、羊をも牛をもみな宮より逐ひ出し、兩替する者の金を散し、その臺を倒し、 043 JOH 002 016 鴿をうる者に言ひ給ふ『これらの物を此處より取り去れ、わが父の家を商賣の家とすな』 043 JOH 002 017 弟子たち『なんじの家をおもふ熱心われを食はん』と録されたるを憶ひ出せり。 043 JOH 002 018 ここにユダヤ人こたへてイエスに言ふ『なんぢ此 等の事をなすからには、我らに何の徴を示すか』 043 JOH 002 019 答へて言ひ給ふ『なんぢら此の宮をこぼて、われ三日の間に之を起さん』 043 JOH 002 020 ユダヤ人いふ『この宮を建つるには四十 六 年を經たり、なんぢは三日のうちに之を起すか』 043 JOH 002 021 これはイエス己が體の宮をさして言ひ給へるなり。 043 JOH 002 022 然れば死人の中より甦へり給ひしのち、弟子たち斯く言ひ給ひしことを憶ひ出して、聖書とイエスの言ひ給ひし言とを信じたり。 043 JOH 002 023 過越のまつりの間、イエス、エルサレムに在すほどに、多くの人々その爲し給へる徴を見て御名を信じたり。 043 JOH 002 024 されどイエス己を彼らに任せ給はざりき。それは凡ての人を知り、 043 JOH 002 025 また人の衷にある事を知りたまへば、人に就きて證する者を要せざる故なり。 043 JOH 003 001 ここにパリサイ人にて名をニコデモといふ人あり、ユダヤ人の宰なり。 043 JOH 003 002 夜イエスの許に來りて言ふ『ラビ、我らは汝の神より來る師なるを知る。神もし偕に在さずば、汝が行ふこれらの徴は誰もなし能はぬなり』 043 JOH 003 003 イエス答へて言ひ給ふ『まことに誠に汝に告ぐ、人あらたに生れずば、神の國を見ること能はず』 043 JOH 003 004 ニコデモ言ふ『人はや老いぬれば、爭で生るる事を得んや、再び母の胎に入りて生るることを得んや』 043 JOH 003 005 イエス答へ給ふ『まことに誠に汝に告ぐ、人は水と靈とによりて生れずば、神の國に入ること能はず、 043 JOH 003 006 肉によりて生るる者は肉なり、靈によりて生るる者は靈なり。 043 JOH 003 007 なんぢら新に生るべしと我が汝に言ひしを怪しむな。 043 JOH 003 008 風は己が好むところに吹く、汝その聲を聞けども、何處より來り何處へ往くを知らず。すべて靈によりて生るる者も斯くのごとし』 043 JOH 003 009 ニコデモ答へて言ふ『いかで斯かる事どものあり得べき』 043 JOH 003 010 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢはイスラエルの師にして、猶かかる事どもを知らぬか。 043 JOH 003 011 誠にまことに汝に告ぐ、我ら知ることを語り、また見しことを證す、然るに汝らその證を受けず。 043 JOH 003 012 われ地のことを言ふに汝ら信ぜずば、天のことを言はんには爭で信ぜんや。 043 JOH 003 013 天より降りし者、即ち人の子の他には、天に昇りしものなし。 043 JOH 003 014 モーセ荒野にて蛇を擧げしごとく、人の子もまた必ず擧げらるべし。 043 JOH 003 015 すべて信ずる者の彼によりて永遠の生命を得ん爲なり』 043 JOH 003 016 それ神はその獨子を賜ふほどに世を愛し給へり、すべて彼を信ずる者の亡びずして、永遠の生命を得んためなり。 043 JOH 003 017 神その子を世に遣したまへるは、世を審かん爲にあらず、彼によりて世の救はれん爲なり。 043 JOH 003 018 彼を信ずる者は審かれず、信ぜぬ者は既に審かれたり。神の獨子の名を信ぜざりしが故なり。 043 JOH 003 019 その審判は是なり。光、世にきたりしに、人その行爲の惡しきによりて、光よりも暗黒を愛したり。 043 JOH 003 020 すべて惡を行ふ者は光をにくみて光に來らず、その行爲の責められざらん爲なり。 043 JOH 003 021 眞をおこなふ者は光にきたる、その行爲の神によりて行ひたることの顯れん爲なり。 043 JOH 003 022 この後イエス、弟子たちとユダヤの地にゆき、其處にともに留りてバプテスマを施し給ふ。 043 JOH 003 023 ヨハネもサリムに近きアイノンにてバプテスマを施しゐたり、其處に水おほくある故なり。人々つどひ來りてバプテスマを受く。 043 JOH 003 024 ヨハネは未だ獄に入れられざりしなり。 043 JOH 003 025 ここにヨハネの弟子たちと一人のユダヤ人との間に、潔につきて論 起りたれば、 043 JOH 003 026 彼らヨハネの許に來りて言ふ『ラビ、視よ、汝とともにヨルダンの彼方にありし者、なんぢが證せし者、バプテスマを施し、人みなその許に往くなり』 043 JOH 003 027 ヨハネ答へて言ふ『人は天より與へられずば、何をも受くること能はず。 043 JOH 003 028 「我はキリストにあらず」唯「その前に遣されたる者なり」と我が言ひしことに就きて證する者は汝らなり。 043 JOH 003 029 新婦をもつ者は新郎なり、新郎の友は、立ちて新郎の聲をきくとき大に喜ぶ、この我が勸喜いま滿ちたり。 043 JOH 003 030 彼は必ず盛になり、我は衰ふべし』 043 JOH 003 031 上より來るものは凡ての物の上にあり、地より出づるものは地の者にして、その語ることも地の事なり。天より來るものは凡ての物の上にあり。 043 JOH 003 032 彼その見しところ聞きしところを證したまふに、誰もその證を受けず。 043 JOH 003 033 その證を受くる者は、印して神を眞なりとす。 043 JOH 003 034 神の遣し給ひし者は神の言をかたる、神、御靈を賜ひて量りなければなり。 043 JOH 003 035 父は御子を愛し、萬物をその手に委ね給へり。 043 JOH 003 036 御子を信ずる者は永遠の生命をもち、御子に從はぬ者は生命を見ず、反つて神の怒その上に止るなり。 043 JOH 004 001 主、おのれの弟子を造り、之にバプテスマを施すこと、ヨハネよりも多しと、パリサイ人に聞えたるを知り給ひし時、 043 JOH 004 002 (その實イエス自らバプテスマを施ししにあらず、その弟子たちなり) 043 JOH 004 003 ユダヤを去りて復ガリラヤに往き給ふ。 043 JOH 004 004 サマリヤを經ざるを得ず。 043 JOH 004 005 サマリヤのスカルといふ町にいたり給へるが、この町はヤコブその子ヨセフに與へし土地に近くして、 043 JOH 004 006 此處にヤコブの泉あり。イエス旅路に疲れて泉の傍らに坐し給ふ、時は第六 時 頃なりき。 043 JOH 004 007 サマリヤの或 女、水を汲まんとて來りたれば、イエス之に『われに飮ませよ』と言ひたまふ。 043 JOH 004 008 弟子たちは食物を買はんとて町にゆきしなり。 043 JOH 004 009 サマリヤの女いふ『なんぢはユダヤ人なるに、如何なればサマリヤの女なる我に、飮むことを求むるか』これはユダヤ人とサマリヤ人とは交りせぬ故なり。 043 JOH 004 010 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢ若し神の賜物を知り、また「我に飮ませよ」といふ者の誰なるを知りたらんには、之に求めしならん、さらば汝に活ける水を與へしものを』 043 JOH 004 011 女いふ『主よ、なんぢは汲む物を持たず、井は深し、その活ける水は何處より得しぞ。 043 JOH 004 012 汝はこの井を我らに與へし我らの父ヤコブよりも大なるか、彼も、その子らも、その家畜も、これより飮みたり』 043 JOH 004 013 イエス答へて言ひ給ふ『すべて此の水をのむ者は、また渇かん。 043 JOH 004 014 されど我があたふる水を飮む者は、永遠に渇くことなし。わが與ふる水は彼の中にて泉となり、永遠の生命の水 湧きいづべし』 043 JOH 004 015 女いふ『主よ、わが渇くことなく、又ここに汲みに來ぬために、その水を我にあたへよ』 043 JOH 004 016 イエス言ひ給ふ『ゆきて夫をここに呼びきたれ』 043 JOH 004 017 女こたへて言ふ『われに夫なし』イエス言ひ給ふ『夫なしといふは宜なり。 043 JOH 004 018 夫は五 人までありしが、今ある者はなんぢの夫にあらず。無しと云へるは眞なり』 043 JOH 004 019 女いふ『主よ、我なんぢを預言者とみとむ。 043 JOH 004 020 我らの先祖たちは此の山にて拜したるに、汝らは拜すべき處をエルサレムなりと言ふ』 043 JOH 004 021 イエス言ひ給ふ『をんなよ、我が言ふことを信ぜよ、此の山にもエルサレムにもあらで、汝ら父を拜する時きたるなり。 043 JOH 004 022 汝らは知らぬ者を拜し、我らは知る者を拜す、救はユダヤ人より出づればなり。 043 JOH 004 023 されど眞の禮拜者の、靈と眞とをもて父を拜する時きたらん、今すでに來れり。父はかくのごとく拜する者を求めたまふ。 043 JOH 004 024 神は靈なれば、拜する者も靈と眞とをもて拜すべきなり』 043 JOH 004 025 女いふ『我はキリストと稱ふるメシヤの來ることを知る、彼きたらば諸般のことを我らに告げん』 043 JOH 004 026 イエス言ひ給ふ『なんぢと語る我はそれなり』 043 JOH 004 027 時に弟子たち歸りきたりて、女と語り給ふを怪しみたれど、何を求め給ふか、何 故かれと語り給ふかと問ふもの誰もなし。 043 JOH 004 028 ここに女その水瓶を遺しおき、町にゆきて人々にいふ、 043 JOH 004 029 『來りて見よ、わが爲しし事をことごとく我に告げし人を。この人あるいはキリストならんか』 043 JOH 004 030 人々 町を出でてイエスの許にゆく。 043 JOH 004 031 この間に弟子たち請ひて言ふ『ラビ、食し給へ』 043 JOH 004 032 イエス言ひたまふ『我には汝らの知らぬ我が食する食物あり』 043 JOH 004 033 弟子たち互にいふ『たれか食する物を持ち來りしか』 043 JOH 004 034 イエス言ひ給ふ『われを遣し給へる物の御意を行ひ、その御業をなし遂ぐるは、是わが食物なり。 043 JOH 004 035 なんぢら收穫時の來るには、なほ四月ありと言はずや。我なんぢらに告ぐ、目をあげて畑を見よ、はや黄ばみて收穫時になれり。 043 JOH 004 036 刈る者は價を受けて永遠の生命の實を集む。播く者と刈る者とともに喜ばん爲なり。 043 JOH 004 037 俚諺に、彼は播き此は刈るといへるは、斯において眞なり。 043 JOH 004 038 我なんぢらを遣して、勞せざりしものを刈らしむ。他の人々さきに勞し、汝らはその勞を收むるなり』 043 JOH 004 039 此の町の多くのサマリヤ人、女の『わが爲しし事をことごとく告げし』と證したる言によりてイエスを信じたり。 043 JOH 004 040 かくてサマリヤ人 御許にきたりて、此の町に留らんことを請ひたれば、此處に二日とどまり給ふ。 043 JOH 004 041 御言によりて猶もおほくの人 信じたり。 043 JOH 004 042 かくて女に言ふ『今われらの信ずるは、汝のかたる言によるにあらず、親しく聽きて、これは眞に世の救主なりと知りたる故なり』 043 JOH 004 043 二日の後、イエスここを去りてガリラヤに往き給ふ。 043 JOH 004 044 イエス自ら證して、預言者は己が郷にて尊ばるる事なしと言ひ給へり。 043 JOH 004 045 かくてガリラヤに往き給へば、ガリラヤ人これを迎へたり。前に彼らも祭に上り、その祭の時にエルサレムにて行ひ給ひし事を見たる故なり。 043 JOH 004 046 イエス復ガリラヤのカナに往き給ふ、ここは前に水を葡萄酒になし給ひし處なり。時に王の近臣あり、その子カペナウムにて病みゐたれば、 043 JOH 004 047 イエスのユダヤよりガリラヤに來り給へるを聞き、御許にゆきて、カペナウムに下りその子を醫し給はんことを請ふ、子は死ぬばかりなりしなり。 043 JOH 004 048 ここにイエス言ひ給ふ『なんぢら徴と不思議とを見ずば、信ぜじ』 043 JOH 004 049 近臣いふ『主よ、わが子の死なぬ間に下り給へ』 043 JOH 004 050 イエス言ひ給ふ『かへれ、汝の子は生くるなり』彼はイエスの言ひ給ひしことを信じて歸りしが、 043 JOH 004 051 下る途中、僕ども往き遇ひて、その子の生きたることを告ぐ。 043 JOH 004 052 その癒えはじめし時を問ひしに『昨日の第七 時に熱 去れり』といふ。 043 JOH 004 053 父その時の、イエスが『なんぢの子は生くるなり』と言ひ給ひし時と同じきを知り、而して己も家の者もみな信じたり。 043 JOH 004 054 是はイエス、ユダヤよりガリラヤに往きて爲し給へる第二の徴なり。 043 JOH 005 001 この後ユダヤ人の祭ありて、イエス、エルサレムに上り給ふ。 043 JOH 005 002 エルサレムにある羊 門のほとりに、ヘブル語にてベテスダといふ池あり、之にそひて五つの廊あり。 043 JOH 005 003 その内に病める者、盲人、跛者、痩せ衰へたる者ども夥多しく臥しゐたり。(水の動くを待てるなり。 043 JOH 005 004 それは御使のをりをり降りて水を動かすことあれば、その動きたるのち最先に池にいる者は、如何なる病にても癒ゆる故なり) 043 JOH 005 005 爰に三十 八 年 病になやむ人ありしが、 043 JOH 005 006 イエスその臥し居るを見、かつその病の久しきを知り、之に『なんぢ癒えんことを願ふか』と言ひ給へば、 043 JOH 005 007 病める者こたふ『主よ、水の動くとき、我を池に入るる者なし、我が往くほどに、他の人さきだち下るなり』 043 JOH 005 008 イエス言ひ給ふ『起きよ、床を取りあげて歩め』 043 JOH 005 009 この人ただちに癒え、床を取りあげて歩めり。その日は安息 日に當りたれば、 043 JOH 005 010 ユダヤ人 醫されたる人にいふ『安息 日なり、床を取りあぐるは宜しからず』 043 JOH 005 011 答ふ『われを醫ししその人「床を取りあげて歩め」と云へり』 043 JOH 005 012 かれら問ふ『「取りあげて歩め」と言ひし人は誰なるか』 043 JOH 005 013 されど醫されし者は、その誰なるを知らざりき、そこに群衆ゐたればイエス退き給ひしに因る。 043 JOH 005 014 この後イエス宮にて彼に遇ひて言ひたまふ『視よ、なんぢ癒えたり。再び罪を犯すな、恐らくは更に大なる惡しきこと汝に起らん』 043 JOH 005 015 この人ゆきてユダヤ人に、おのれを醫したる者のイエスなるを告ぐ。 043 JOH 005 016 ここにユダヤ人、かかる事を安息 日になすとて、イエスを責めたれば、 043 JOH 005 017 イエス答へ給ふ『わが父は今にいたるまで働き給ふ、我もまた働くなり』 043 JOH 005 018 此に由りてユダヤ人いよいよイエスを殺さんと思ふ。それは安息 日を破るのみならず、神を我が父といひて、己を神と等しき者になし給ひし故なり。 043 JOH 005 019 イエス答へて言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、子は父のなし給ふことを見て行ふほかは、自ら何事をも爲し得ず、父のなし給ふことは子もまた同じく爲すなり。 043 JOH 005 020 父は子を愛して、その爲す所をことごとく子に示したまふ。また更に大なる業を示し給はん、汝 等をして怪しましめん爲なり。 043 JOH 005 021 父の死にし者を起して活し給ふごとく、子もまた己が欲する者を活すなり。 043 JOH 005 022 父は誰をも審き給はず、審判をさへみな子に委ね給へり。 043 JOH 005 023 これ凡ての人の父を敬ふごとくに子を敬はん爲なり。子を敬はぬ者は、之を遣し給ひし父をも敬はぬなり。 043 JOH 005 024 誠にまことに汝らに告ぐ、わが言をききて我を遣し給ひし者を信ずる人は、永遠の生命をもち、かつ審判に至らず、死より生命に移れるなり。 043 JOH 005 025 誠にまことに汝らに告ぐ、死にし人、神の子の聲をきく時きたらん、今すでに來れり、而して聞く人は活くべし。 043 JOH 005 026 これ父みづから生命を有ち給ふごとく、子にも自ら生命を有つことを得させ、 043 JOH 005 027 また人の子たるに因りて、審判する權を與へ給ひしなり。 043 JOH 005 028 汝ら之を怪しむな、墓にある者みな神の子の聲をききて出づる時きたらん。 043 JOH 005 029 善をなしし者は生命に甦へり、惡を行ひし者は審判に甦へるべし。 043 JOH 005 030 我みづから何事もなし能はず、ただ聞くままに審くなり。わが審判は正し、それは我が意を求めずして、我を遣し給ひし者の御意を求むるに因る。 043 JOH 005 031 我もし己につきて證せば、我が證は眞ならず。 043 JOH 005 032 我につきて證する者は他にあり、その我につきて證する證の眞なるを我は知る。 043 JOH 005 033 なんぢら前に人をヨハネに遣ししに、彼は眞につきて證せり。 043 JOH 005 034 我は人よりの證を受くる事をせねど、唯なんぢらの救はれん爲に之を言ふ。 043 JOH 005 035 かれは燃えて輝く燈火なりしが、汝 等その光にありて暫時よろこぶ事をせり。 043 JOH 005 036 されど我にはヨハネの證よりも大なる證あり。父の我にあたへて成し遂げしめ給ふわざ、即ち我がおこなふ業は、我につきて父の我を遣し給ひたるを證し、 043 JOH 005 037 また我をおくり給ひし父も、我につきて證し給へり。汝らは未だその御聲を聞きし事なく、その御形を見し事なし。 043 JOH 005 038 その御言は汝らの衷にとどまらず、その遣し給ひし者を信ぜぬに因りて知らるるなり。 043 JOH 005 039 汝らは聖書に永遠の生命ありと思ひて之を査ぶ、されどこの聖書は我につきて證するものなり。 043 JOH 005 040 然るに汝ら生命を得んために我に來るを欲せず。 043 JOH 005 041 我は人よりの譽をうくる事をせず、 043 JOH 005 042 ただ汝らの衷に神を愛する事なきを知る。 043 JOH 005 043 我はわが父の名によりて來りしに、汝 等われを受けず、もし他の人おのれの名によりて來らば之を受けん。 043 JOH 005 044 互に譽をうけて、唯一の神よりの譽を求めぬ汝らは、爭で信ずることを得んや。 043 JOH 005 045 われ父に汝らを訴へんとすと思ふな、訴ふるもの一人あり、汝らが頼とするモーセなり。 043 JOH 005 046 若しモーセを信ぜしならば、我を信ぜしならん、彼は我につきて録したればなり。 043 JOH 005 047 されど彼の書を信ぜずば、爭で我が言を信ぜんや』 043 JOH 006 001 この後イエス、ガリラヤの海、即ちテベリヤの海の彼方にゆき給へば、 043 JOH 006 002 大なる群衆これに從ふ、これは病みたる者に行ひたまへる徴を見し故なり。 043 JOH 006 003 イエス山に登りて、弟子たちと共にそこに坐し給ふ。 043 JOH 006 004 時はユダヤ人の祭なる過越に近し。 043 JOH 006 005 イエス眼をあげて大なる群衆のきたるを見て、ピリポに言ひ給ふ『われら何處よりパンを買ひて、此の人々に食はすべきか』 043 JOH 006 006 かく言ひ給ふはピリポを試むるためにて、自ら爲さんとする事を知り給ふなり。 043 JOH 006 007 ピリポ答へて言ふ『二 百デナリのパンありとも、人々すこしづつ受くるになほ足らじ』 043 JOH 006 008 弟子の一人にてシモン・ペテロの兄弟なるアンデレ言ふ 043 JOH 006 009 『ここに一人の童子あり、大麥のパン五つと小き肴 二つとをもてり、されど此の多くの人には何にかならん』 043 JOH 006 010 イエス言ひたまふ『人々を坐せしめよ』その處に多くの草ありて人々 坐せしが、その數おほよそ五 千 人なりき。 043 JOH 006 011 ここにイエス、パンを取りて謝し、坐したる人々に分ちあたへ、また肴をも然なして、その欲するほど與へ給ふ。 043 JOH 006 012 人々の飽きたるのち弟子たちに言ひたまふ『廢るもののなきように擘きたる餘をあつめよ』 043 JOH 006 013 乃ち集めたるに、五つの大麥のパンの擘きたるを食ひしものの餘、十二の筐に滿ちたり。 043 JOH 006 014 人々その爲し給ひし徴を見ていふ『實にこれは世に來るべき預言者なり』 043 JOH 006 015 イエス彼らが來りて己をとらへ、王となさんとするを知り、復ひとりにて山に遁れたまふ。 043 JOH 006 016 夕になりて弟子たち海にくだり、 043 JOH 006 017 船にのり海を渡りて、カペナウムに往かんとす。既に暗くなりたるに、イエス未だ來りたまはず。 043 JOH 006 018 大風ふきて海ややに荒出づ。 043 JOH 006 019 かくて四 五 十 丁こぎ出でしに、イエスの海の上をあゆみ、船に近づき給ふを見て懼れたれば、 043 JOH 006 020 イエス言ひたまふ『我なり、懼るな』 043 JOH 006 021 乃ちイエスを船に歓び迎へしに、船は直ちに往かんとする地に著けり。 043 JOH 006 022 明くる日、海のかなたに立てる群衆は、一艘のほかに船なく、又イエスは弟子たちと共に乘りたまはず、弟子たちのみ出でゆきしを見たり。 043 JOH 006 023 (時にテベリヤより數艘の船、主の謝して人々にパンを食はせ給ひし處の近くに來る) 043 JOH 006 024 ここに群衆はイエスも居給はず、弟子たちも居らぬを見て、その船に乘り、イエスを尋ねてカペナウムに往けり。 043 JOH 006 025 遂に海の彼方にてイエスに遇ひて言ふ『ラビ、何時ここに來り給ひしか』 043 JOH 006 026 イエス答へて言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、汝らが我を尋ぬるは、徴を見し故ならで、パンを食ひて飽きたる故なり。 043 JOH 006 027 朽ちる糧のためならで、永遠の生命にまで至る糧のために働け。これは人の子の汝らに與へんとするものなり、父なる神は印して彼を證し給ひたるに因る』 043 JOH 006 028 ここに彼ら言ふ『われら神の業を行はんには何をなすべきか』 043 JOH 006 029 イエス答へて言ひたまふ『神の業はその遣し給へる者を信ずる是なり』 043 JOH 006 030 彼ら言ふ『さらば我らが見て汝を信ぜしために、何の徴をなすか、何を行ふか。 043 JOH 006 031 我らの先祖は荒野にてマナを食へり、録して「天よりパンを彼らに與へて食はしめたり」と云へるが如し』 043 JOH 006 032 イエス言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、モーセは天よりのパンを汝らに與へしにあらず、されど我が父は天よりの眞のパンを與へたまふ。 043 JOH 006 033 神のパンは天より降りて生命を世に與ふるものなり』 043 JOH 006 034 彼 等いふ『主よ、そのパンを常に與へよ』 043 JOH 006 035 イエス言ひ給ふ『われは生命のパンなり、我にきたる者は飢ゑず、我を信ずる者はいつまでも渇くことなからん。 043 JOH 006 036 されど汝らは我を見てなほ信ぜず、我さきに之を告げたり。 043 JOH 006 037 父の我に賜ふものは皆われに來らん、我にきたる者は我これを退けず。 043 JOH 006 038 夫わが天より降りしは、我が意をなさん爲にあらず、我を遣し給ひし者の御意をなさん爲なり。 043 JOH 006 039 我を遣し給ひし者の御意は、すべて我に賜ひし者を、我その一つをも失はずして、終の日に甦へらする是なり。 043 JOH 006 040 わが父の御意は、すべて子を見て信ずる者の永遠の生命を得る是なり。われ終の日にこれを甦へらすべし』 043 JOH 006 041 ここにユダヤ人ら、イエスの『われは天より降りしパンなり』と言ひ給ひしにより、 043 JOH 006 042 呟きて言ふ『これはヨセフの子イエスならずや、我等はその父 母を知る、何ぞ今「われは天より降れり」と言ふか』 043 JOH 006 043 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢら呟き合ふな、 043 JOH 006 044 我を遣しし父ひき給はずば、誰も我に來ること能はず、我これを終の日に甦へらすべし。 043 JOH 006 045 預言者たちの書に「彼らみな神に教へられん」と録されたり。すべて父より聽きて學びし者は我にきたる。 043 JOH 006 046 これは父を見し者ありとにあらず、ただ神よりの者のみ父を見たり。 043 JOH 006 047 まことに誠になんぢらに告ぐ、信ずる者は永遠の生命をもつ。 043 JOH 006 048 我は生命のパンなり。 043 JOH 006 049 汝らの先祖は、荒野にてマナを食ひしが死にたり。 043 JOH 006 050 天より降るパンは、食ふ者をして死ぬる事なからしむるなり。 043 JOH 006 051 我は天より降りし活けるパンなり、人このパンを食はば永遠に活くべし。我が與ふるパンは我が肉なり、世の生命のために之を與へん』 043 JOH 006 052 ここにユダヤ人たがひに爭ひて言ふ『この人はいかで己が肉を我らに與へて食はしむることを得ん』 043 JOH 006 053 イエス言ひ給ふ『まことに誠になんぢらに告ぐ、人の子の肉を食はず、その血を飮まずば、汝らに生命なし。 043 JOH 006 054 わが肉をくらひ、我が血をのむ者は、永遠の生命をもつ、われ終の日にこれを甦へらすべし。 043 JOH 006 055 夫わが肉は眞の食物、わが血は眞の飮物なり。 043 JOH 006 056 わが肉をくらひ我が血をのむ者は、我に居り、我もまた彼に居る。 043 JOH 006 057 活ける父の我をつかはし、我の父によりて活くるごとく、我をくらふ者も我によりて活くべし。 043 JOH 006 058 天より降りしパンは、先祖たちが食ひてなほ死にし如きものにあらず、此のパンを食ふものは永遠に活きん』 043 JOH 006 059 此 等のことはイエス、カペナウムにて教ふるとき、會堂にて言ひ給ひしなり。 043 JOH 006 060 弟子たちの中おほくの者これを聞きて言ふ『こは甚だしき言なるかな、誰か能く聽き得べき』 043 JOH 006 061 イエス弟子たちの之に就きて呟くを自ら知りて言ひ給ふ『このことは汝らを躓かするか。 043 JOH 006 062 さらば人の子のもと居りし處に昇るを見ば如何に。 043 JOH 006 063 活すものは靈なり、肉は益する所なし、わが汝らに語りし言は、靈なり、生命なり。 043 JOH 006 064 されど汝らの中に信ぜぬ者どもあり』イエス初より、信ぜぬ者どもは誰、おのれを賣る者は誰なるかを知り給へるなり。 043 JOH 006 065 かくて言ひたまふ『この故に我さきに汝らに告げて、父より賜はりたる者ならずば我に來るを得ずと言ひしなり』 043 JOH 006 066 ここにおいて、弟子たちのうち多くの者かへり去りて、復イエスと共に歩まざりき。 043 JOH 006 067 イエス十二 弟子に言ひ給ふ『なんじらも去らんとするか』 043 JOH 006 068 シモン・ペテロ答ふ『主よ、われら誰にゆかん、永遠の生命の言は汝にあり。 043 JOH 006 069 又われらは信じかつ知る、なんぢは神の聖者なり』 043 JOH 006 070 イエス答へ給ふ『われ汝ら十二 人を選びしにあらずや、然るに汝らの中の一人は惡魔なり』 043 JOH 006 071 イスカリオテのシモンの子ユダを指して言ひ給へるなり、彼は十二 弟子の一人なれど、イエスを賣らんとする者なり。 043 JOH 007 001 この後イエス、ガリラヤのうちを巡りゐ給ふ、ユダヤ人の殺さんとするに因りて、ユダヤのうちを巡ることを欲し給はぬなり。 043 JOH 007 002 ユダヤ人の假廬の祭ちかづきたれば、 043 JOH 007 003 兄弟たちイエスに言ふ『なんぢの行ふ業を弟子たちにも見せんために、此處を去りてユダヤに往け。 043 JOH 007 004 誰にても自ら顯れんことを求めて、隱に業をなす者なし。汝これらの事を爲すからには、己を世にあらはせ』 043 JOH 007 005 是その兄弟たちもイエスを信ぜぬ故なり。 043 JOH 007 006 ここにイエス言ひ給ふ『わが時はいまだ到らず、汝らの時は常に備れり。 043 JOH 007 007 世は汝らを憎むこと能はねど我を憎む、我は世の所作の惡しきを證すればなり。 043 JOH 007 008 なんぢら祭に上れ、わが時いまだ滿たねば、我は今この祭にのぼらず』 043 JOH 007 009 かく言ひて尚ガリラヤに留り給ふ。 043 JOH 007 010 而して兄弟たちの祭にのぼりたる後、あらはならで潜びやかに上り給ふ。 043 JOH 007 011 祭にあたりユダヤ人らイエスを尋ねて『かれは何處に居るか』と言ふ。 043 JOH 007 012 また群衆のうちに囁く者おほくありて、或は『イエスは善き人なり』といひ、或は『いな、群衆を惑すなり』と言ふ。 043 JOH 007 013 されどユダヤ人を懼るるに因りて、誰もイエスのことを公然に言はず。 043 JOH 007 014 祭も、はや半となりし頃、イエス宮にのぼりて教へ給へば、 043 JOH 007 015 ユダヤ人あやしみて言ふ『この人は學びし事なきに、如何にして書を知るか』 043 JOH 007 016 イエス答へて言ひ給ふ『わが教はわが教にあらず、我を遣し給ひし者の教なり。 043 JOH 007 017 人もし御意を行はんと欲せば、此の教の神よりか、我が己より語るかを知らん。 043 JOH 007 018 己より語るものは己の榮光をもとむ、己を遣しし者の榮光を求むる者は眞なり、その中に不義なし。 043 JOH 007 019 モーセは汝らに律法を與へしにあらずや、されど汝 等のうちに律法を守る者なし。汝ら何ゆゑ我を殺さんとするか』 043 JOH 007 020 群衆こたふ『なんぢは惡鬼に憑かれたり、誰が汝を殺さんとするぞ』 043 JOH 007 021 イエス答へて言ひ給ふ『われ一つの業をなしたれば、汝 等みな怪しめり。 043 JOH 007 022 モーセは汝らに割禮を命じたり(これはモーセより起りしとにあらず、先祖より起りしなり)この故に汝ら安息 日にも人に割禮を施す。 043 JOH 007 023 モーセの律法の廢らぬために、安息 日に人の割禮を受くる事あらば、何ぞ安息 日に人の全身を健かにせしとて我を怒るか。 043 JOH 007 024 外貌によりて裁くな、正しき審判にて審け』 043 JOH 007 025 ここにエルサレムの或 人々いふ『これは人々の殺さんとする者ならずや。 043 JOH 007 026 視よ、公然に語るに、之に對して何をも言ふ者なし、司たちは此の人のキリストたるを眞に認めしならんか。 043 JOH 007 027 されど我らは此の人の何處よりかを知る、キリストの來る時には、その何處よりかを知る者なし』 043 JOH 007 028 ここにイエス宮にて教へつつ呼はりて言ひ給ふ『なんぢら我を知り、亦わが何處よりかを知る。されど我は己より來るにあらず、眞の者ありて我を遣し給へり。汝らは彼を知らず、 043 JOH 007 029 我は彼を知る。我は彼より出で、彼は我を遣し給ひしに因りてなり』 043 JOH 007 030 ここに人々イエスを捕へんと謀りたれど、彼の時いまだ到らぬ故に手出する者なかりき。 043 JOH 007 031 かくて群衆のうち多くの人々イエスを信じて『キリスト來るとも、此の人の行ひしより多く徴を行はんや』と言ふ。 043 JOH 007 032 イエスにつきて群衆のかく囁くことパリサイ人の耳に入りたれば、祭司長・パリサイ人ら彼を捕へんとて下役どもを遣ししに、 043 JOH 007 033 イエス言ひ給ふ『我なほ暫く汝らと偕に居り、而してのち我を遣し給ひし者の御許に往く。 043 JOH 007 034 汝ら我を尋ねん、されど逢はざるべし、汝 等わが居る處に往くこと能はず』 043 JOH 007 035 ここにユダヤ人ら互に云ふ『この人われらの逢ひ得ぬいづこに往かんとするか、ギリシヤ人のうちに散りをる者に往きて、ギリシヤ人を教へんとするか。 043 JOH 007 036 その言に「なんぢら我を尋ねん、然れど逢はざるべし、汝ら我がをる處に往くこと能はず」と云へるは何ぞや』 043 JOH 007 037 祭の終の大なる日に、イエス立ちて呼はりて言ひたまふ『人もし渇かば我に來りて飮め。 043 JOH 007 038 我を信ずる者は、聖書に云へるごとく、その腹より活ける水、川となりて流れ出づべし』 043 JOH 007 039 これは彼を信ずる者の受けんとする御靈を指して言ひ給ひしなり。イエス未だ榮光を受け給はざれば、御靈いまだ降らざりしなり。 043 JOH 007 040 此 等の言をききて群衆のうちの或 人は『これ眞にかの預言者なり』といひ、 043 JOH 007 041 或 人は『これキリストなり』と言ひ、又ある人は『キリストいかでガリラヤより出でんや、 043 JOH 007 042 聖書に、キリストはダビデの裔またダビデの居りし村ベツレヘムより出づと云へるならずや』と言ふ。 043 JOH 007 043 斯くイエスの事によりて、群衆のうちに紛爭おこりたり。 043 JOH 007 044 その中には、イエスを捕へんと欲する者もありしが、手出する者なかりき。 043 JOH 007 045 而して下役ども、祭司長・パリサイ人らの許に歸りたれば、彼ら問ふ『なに故かれを曳き來らぬか』 043 JOH 007 046 下役ども答ふ『この人の語るごとく語りし人は未だなし』 043 JOH 007 047 パリサイ人 等これに答ふ『なんぢらも惑されしか、 043 JOH 007 048 司たち又はパリサイ人のうちに、一人だに彼を信ぜし者ありや、 043 JOH 007 049 律法を知らぬこの群衆は詛はれたる者なり』 043 JOH 007 050 彼 等のうちの一人にてさきにイエスの許に來りしニコデモ言ふ、 043 JOH 007 051 『われらの律法は、先その人に聽き、その爲すところを知るにあらずば、審く事をせんや』 043 JOH 007 052 かれら答へて言ふ『なんぢもガリラヤより出でしか、査べ見よ、預言者はガリラヤより起る事なし』 043 JOH 007 053 [斯くておのおの己が家に歸れり。 043 JOH 008 001 イエス、オリブ山にゆき給ふ。 043 JOH 008 002 夜明ごろ、また宮に入りしに、民みな御許に來りたれば、坐して教へ給ふ。 043 JOH 008 003 ここに學者・パリサイ人ら、姦淫のとき捕へられたる女を連れきたり、眞中に立ててイエスに言ふ、 043 JOH 008 004 『師よ、この女は姦淫のをり、そのまま捕へられたるなり。 043 JOH 008 005 モーセは律法に、斯かる者を石にて撃つべき事を我らに命じたるが、汝は如何に言ふか』 043 JOH 008 006 かく云へるは、イエスを試みて、訴ふる種を得んとてなり。イエス身を屈め、指にて地に物 書き給ふ。 043 JOH 008 007 かれら問ひて止まざれば、イエス身を起して『なんぢらの中、罪なき者まづ石を擲て』と言ひ、 043 JOH 008 008 また身を屈めて地に物 書きたまふ。 043 JOH 008 009 彼 等これを聞きて良心に責められ、老人をはじめ若き者まで一人 一人いでゆき、唯イエスと中に立てる女とのみ遺れり。 043 JOH 008 010 イエス身を起して、女のほかに誰も居らぬを見て言ひ給ふ『をんなよ、汝を訴へたる者どもは何處にをるぞ、汝を罪する者なきか』 043 JOH 008 011 女いふ『主よ、誰もなし』イエス言ひ給ふ『われも汝を罪せじ、往け、この後ふたたび罪を犯すな』] 043 JOH 008 012 かくてイエスまた人々に語りて言ひ給ふ『われは世の光なり、我に從ふ者は暗き中を歩まず、生命の光を得べし』 043 JOH 008 013 パリサイ人ら言ふ『なんぢは己につきて證す、なんぢの證は眞ならず』 043 JOH 008 014 イエス答へて言ひ給ふ『われ自ら己につきて證すとも、我が證は眞なり、我は何處より來り何處に往くを知る故なり。汝らは我が何處より來り、何處に往くを知らず、 043 JOH 008 015 なんぢらは肉によりて審く、我は誰をも審かず。 043 JOH 008 016 されど我もし審かば、我が審判は眞なり、我は一人ならず、我と我を遣し給ひし者と偕なるに因る。 043 JOH 008 017 また汝らの律法に、二人の證は眞なりと録されたり。 043 JOH 008 018 我みづから己につきて證をなし、我を遣し給ひし父も我につきて證をなし給ふ』 043 JOH 008 019 ここに彼ら言ふ『なんぢの父は何處にあるか』イエス答へ給ふ『なんぢらは我をも我が父をも知らず、我を知りしならば、我が父をも知りしならん』 043 JOH 008 020 イエス宮の内にて教へし時、これらの事を賽錢函の傍らにて語り給ひしが、彼の時いまだ到らぬ故に、誰も捕ふる者なかりき。 043 JOH 008 021 かくてまた人々に言ひ給ふ『われ往く、なんぢら我を尋ねん。されど己が罪のうちに死なん、わが往くところに汝ら來ること能はず』 043 JOH 008 022 ユダヤ人ら言ふ『「わが往く處に汝ら來ること能はず」と云へるは、自殺せんとてか』 043 JOH 008 023 イエス言ひ給ふ『なんぢらは下より出で、我は上より出づ、汝らは此の世より出で、我は此の世より出でず。 043 JOH 008 024 之によりて我なんぢらは己が罪のうちに死なんと云へるなり。汝 等もし我の夫なるを信ぜずば、罪のうちに死ぬべし』 043 JOH 008 025 彼ら言ふ『なんぢは誰なるか』イエス言ひ給ふ『われは正しく汝らに告げ來りし所の者なり。 043 JOH 008 026 われ汝らに就きて語るべきこと審くべきこと多し、而して我を遣し給ひし者は眞なり、我は彼に聽きしその事を世に告ぐるなり』 043 JOH 008 027 これは父をさして言ひ給へるを、彼らは悟らざりき。 043 JOH 008 028 ここにイエス言ひ給ふ『なんぢら人の子を擧げしのち、我の夫なるを知り、又わが己によりて何事をも爲さず、ただ父の我に教へ給ひしごとく、此 等のことを語りたるを知らん。 043 JOH 008 029 我を遣し給ひし者は、我とともに在す。我つねに御意に適ふことを行ふによりて、我を獨おき給はず』 043 JOH 008 030 此 等のことを語り給へるとき、多くの人々イエスを信じたり。 043 JOH 008 031 ここにイエス己を信じたるユダヤ人に言ひたまふ『汝 等もし常に我が言に居らば、眞にわが弟子なり。 043 JOH 008 032 また眞理を知らん、而して眞理は汝らに自由を得さすべし』 043 JOH 008 033 かれら答ふ『われはアブラハムの裔にして、未だ人の奴隷となりし事なし。如何なれば「なんぢら自由を得べし」と言ふか』 043 JOH 008 034 イエス答へ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、すべて罪を犯す者は罪の奴隷なり。 043 JOH 008 035 奴隷はとこしへに家に居らず、子は永遠に居るなり。 043 JOH 008 036 この故に子もし汝らに自由を得させば、汝ら實に自由とならん。 043 JOH 008 037 我は汝らがアブラハムの裔なるを知る、されど我が言なんぢらの衷に留らぬ故に、我を殺さんと謀る。 043 JOH 008 038 我はわが父の許にて見しことを語り、汝らは又なんぢらの父より聞きしことを行ふ』 043 JOH 008 039 かれら答へて言ふ『われらの父はアブラハムなり』イエス言ひ給ふ『もしアブラハムの子ならば、アブラハムの業をなさん。 043 JOH 008 040 然るに汝らは今、神より聽きたる眞理を汝らに告ぐる者なる我を殺さんと謀る。アブラハムは斯かることを爲さざりき。 043 JOH 008 041 汝らは汝らの父の業を爲すなり』かれら言ふ『われら淫行によりて生れず、我らの父はただ一人、即ち神なり』 043 JOH 008 042 イエス言ひたまふ『神もし汝らの父ならば、汝ら我を愛せん、われ神より出でて來ればなり。我は己より來るにあらず、神われを遣し給へり。 043 JOH 008 043 何 故わが語ることを悟らぬか、是わが言をきくこと能はぬに因る。 043 JOH 008 044 汝らは己が父 惡魔より出でて、己が父の慾を行はんことを望む。彼は最初より人殺なり、また眞その中になき故に眞に立たず、彼は虚僞をかたる毎に己より語る、それは虚僞 者にして虚僞の父なればなり。 043 JOH 008 045 然るに我は眞を告ぐるによりて、汝ら我を信ぜず、 043 JOH 008 046 汝 等のうち誰か我を罪ありとして責め得る。われ眞を告ぐるに、我を信ぜぬは何 故ぞ。 043 JOH 008 047 神より出づる者は神の言をきく、汝らの聽かぬは神より出でぬに因る』 043 JOH 008 048 ユダヤ人こたへて言ふ『なんぢはサマリヤ人にて惡鬼に憑かれたる者なりと、我らが云へるは宜ならずや』 043 JOH 008 049 イエス答へ給ふ『われは惡鬼に憑かれず、反つて我が父を敬ふ、なんぢらは我を輕んず。 043 JOH 008 050 我はおのれの榮光を求めず、之を求めかつ審判し給ふ者あり。 043 JOH 008 051 誠にまことに汝らに告ぐ、人もし我が言を守らば、永遠に死を見ざるべし』 043 JOH 008 052 ユダヤ人いふ『今ぞなんぢが惡鬼に憑かれたるを知る。アブラハムも預言者たちも死にたり、然るに汝は「人もし我が言を守らば、永遠に死を味はざるべし」と云ふ。 043 JOH 008 053 汝われらの父アブラハムよりも大なるか、彼は死に、預言者たちも死にたり、汝はおのれを誰とするか』 043 JOH 008 054 イエス答へたまふ『我もし己に榮光を歸せば、我が榮光は空し。我に榮光を歸する者は我が父なり、即ち汝らが己の神と稱ふる者なり。 043 JOH 008 055 然るに汝らは彼を知らず、我は彼を知る。もし彼を知らずと言はば、汝らの如く僞 者たるべし。されど我は彼を知り、且その御言を守る。 043 JOH 008 056 汝らの父アブラハムは、我が日を見んとて樂しみ且これを見て喜べり』 043 JOH 008 057 ユダヤ人いふ『なんぢ未だ五十歳にもならぬにアブラハムを見しか』 043 JOH 008 058 イエス言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、アブラハムの生れいでぬ前より我は在るなり』 043 JOH 008 059 ここに彼ら石をとりてイエスに擲たんとしたるに、イエス隱れて宮を出で給へり。 043 JOH 009 001 イエス途 往くとき、生れながらの盲人を見 給ひたれば、 043 JOH 009 002 弟子たち問ひて言ふ『ラビ、この人の盲目にて生れしは、誰の罪によるぞ、己のか、親のか』 043 JOH 009 003 イエス答へ給ふ『この人の罪にも親の罪にもあらず、ただ彼の上に神の業の顯れん爲なり。 043 JOH 009 004 我を遣し給ひし者の業を我ら晝の間になさざる可からず。夜きたらん、その時は誰も働くこと能はず。 043 JOH 009 005 われ世にをる間は世の光なり』 043 JOH 009 006 かく言ひて地に唾し、唾にて泥をつくり、之を盲人の目にぬりて言ひ給ふ、 043 JOH 009 007 『ゆきてシロアム(釋けば遣されたる者)の池にて洗へ』乃ちゆきて洗ひたれば、見ゆることを得て歸れり。 043 JOH 009 008 ここに隣 人および前に彼の乞食なるを見し者ども言ふ『この人は坐して物 乞ひゐたるにあらずや』 043 JOH 009 009 或 人は『夫なり』といひ、或 人は『否、ただ似たるなり』といふ。かの者『われは夫なり』と言ひたれば、 043 JOH 009 010 人々いふ『さらば汝の目は如何にして開きたるか』 043 JOH 009 011 答ふ『イエスといふ人、泥をつくり我が目に塗りて言ふ「シロアムに往きて洗へ」と、乃ち往きて洗ひたれば、物 見ることを得たり』 043 JOH 009 012 彼ら『その人は何處に居るか』と言へば『知らず』と答ふ。 043 JOH 009 013 人々さきに盲目なりし者をパリサイ人らの許に連れきたる。 043 JOH 009 014 イエスの泥をつくりて其の人の目をあけし日は安息 日なりき。 043 JOH 009 015 パリサイ人らも亦いかにして物 見ることを得しかと問ひたれば、彼いふ『かの人わが目に泥をぬり、我これを洗ひて見ゆることを得たり』 043 JOH 009 016 パリサイ人の中なる或 人は『かの人、安息 日を守らぬ故に、神より出でし者にあらず』と言ひ、或 人は『罪ある人いかで斯かる徴をなし得んや』と言ひて互に相 爭ひたり。 043 JOH 009 017 ここにまた盲目なりし人に言ふ『なんぢの目をあけしに因り、汝は彼に就きて如何にいふか』彼いふ『預言者なり』 043 JOH 009 018 ユダヤ人ら、彼が盲目なりしに見ゆるやうになりしことを、未だ信ぜずして、目の開きたる人の兩親を呼び、 043 JOH 009 019 問ひて言ふ『これは盲目にて生れしと言ふ汝らの子なりや、さらば今いかにして見ゆるか』 043 JOH 009 020 兩親こたへて言ふ『かれの我が子なることと、盲目にて生れたる事とを知る。 043 JOH 009 021 されど今いかにして見ゆるかを知らず、又その目をあけしは誰なるか、我らは知らず、彼に問へ、年 長けたれば自ら己がことを語らん』 043 JOH 009 022 兩親のかく言ひしはユダヤ人を懼れたるなり。ユダヤ人ら相 議りて『若しイエスをキリストと言ひ顯す者あらば、除名すべし』と定めたるに因る。 043 JOH 009 023 兩親の『かれ年 長けたれば彼に問へ』と云へるは此の故なり。 043 JOH 009 024 かれら盲目なりし人を再び呼びて言ふ『神に榮光を歸せよ、我等はかの人の罪人たるを知る』 043 JOH 009 025 答ふ『かれ罪人なるか、我は知らず、ただ一つの事をしる、即ち我さきに盲目たりしが、今 見ゆることを得たる是なり』 043 JOH 009 026 彼ら言ふ『かれは汝に何をなししか、如何にして目をあけしか』 043 JOH 009 027 答ふ『われ既に汝らに告げたれど聽かざりき。何ぞまた聽かんとするか、汝らもその弟子とならんことを望むか』 043 JOH 009 028 かれら罵りて言ふ『なんぢは其の弟子なり、我等モーセの弟子なり。 043 JOH 009 029 モーセに神の語り給ひしことを知れど、此の人の何處よりかを知らず』 043 JOH 009 030 答へて言ふ『その何處よりかを知らずとは怪しき事なり、彼わが目をあけしに。 043 JOH 009 031 神は罪人に聽き給はねど、敬虔にして御意をおこなふ人に聽き給ふことを我らは知る。 043 JOH 009 032 世の太初より、盲目にて生れし者の目をあけし人あるを聞きし事なし。 043 JOH 009 033 かの人もし神より出でずば、何事をも爲し得ざらん』 043 JOH 009 034 かれら答へて『なんぢ全く罪のうちに生れながら、我らを教ふるか』と言ひて、遂に彼を追ひ出せり。 043 JOH 009 035 イエスその追ひ出されしことを聞き、彼に逢ひて言ひ給ふ『なんぢ人の子を信ずるか』 043 JOH 009 036 答へて言ふ『主よ、それは誰なる乎、われ信ぜまほし』 043 JOH 009 037 イエス言ひ給ふ『なんぢ彼を見たり、汝と語る者は夫なり』 043 JOH 009 038 ここに彼『主よ、我は信ず』といひて拜せり。 043 JOH 009 039 イエス言ひ給ふ『われ審判の爲にこの世に來れり。見えぬ人は見え、見ゆる人は盲目とならん爲なり』 043 JOH 009 040 パリサイ人の中イエスと共に居りし者、これを聞きて言ふ『我らも盲目なるか』 043 JOH 009 041 イエス言ひ給ふ『もし盲目なりしならば、罪なかりしならん、されど見ゆと言ふ汝らの罪は遺れり』 043 JOH 010 001 『まことに誠に汝らに告ぐ、羊の檻に門より入らずして、他より越ゆる者は、盜人なり、強盜なり。 043 JOH 010 002 門より入る者は、羊の牧者なり。 043 JOH 010 003 門守は彼のために開き、羊はその聲をきき、彼は己の羊の名を呼びて牽きいだす。 043 JOH 010 004 悉とく其の羊をいだしし時、これに先だちゆく、羊その聲を知るによりて從ふなり。 043 JOH 010 005 他の者には從はず、反つて逃ぐ、他の者どもの聲を知らぬ故なり』 043 JOH 010 006 イエスこの譬を言ひ給へど、彼らその何事をかたり給ふかを知らざりき。 043 JOH 010 007 この故にイエス復いひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、我は羊の門なり。 043 JOH 010 008 すべて我より前に來りし者は、盜人なり、強盜なり、羊は之に聽かざりき。 043 JOH 010 009 我は門なり、おほよそ我によりて入る者は救はれ、かつ出入をなし、草を得べし。 043 JOH 010 010 盜人のきたるは盜み、殺し、亡さんとするの他なし。わが來るは羊に生命を得しめ、かつ豐に得しめん爲なり。 043 JOH 010 011 我は善き牧者なり、善き牧者は羊のために生命を捨つ。 043 JOH 010 012 牧者ならず、羊も己がものならぬ雇人は、豺狼のきたるを見れば羊を棄てて逃ぐ、――豺狼は羊をうばひ且ちらす―― 043 JOH 010 013 彼は雇人にて、その羊を顧みぬ故なり。 043 JOH 010 014 我は善き牧者にして、我がものを知り、我がものは我を知る、 043 JOH 010 015 父の我を知り、我の父を知るが如し、我は羊のために生命を捨つ。 043 JOH 010 016 我には亦この檻のものならぬ他の羊あり、之をも導かざるを得ず、彼らは我が聲をきかん、遂に一つの群ひとりの牧者となるべし。 043 JOH 010 017 之によりて父は我を愛し給ふ、それは我ふたたび生命を得んために生命を捨つる故なり。 043 JOH 010 018 人これを我より取るにあらず、我みづから捨つるなり。我は之をすつる權あり、復これを得る權あり、我この命令をわが父より受けたり』 043 JOH 010 019 これらの言によりて復ユダヤ人のうちに紛爭おこり、 043 JOH 010 020 その中なる多くの者いふ『かれは惡鬼に憑かれて氣 狂へり、何ぞ之にきくか』 043 JOH 010 021 他の者ども言ふ『これは惡鬼に憑かれたる者の言にあらず、惡鬼は盲人の目をあけ得んや』 043 JOH 010 022 その頃エルサレムに宮 潔の祭あり、時は冬なり。 043 JOH 010 023 イエス宮の内、ソロモンの廊を歩みたまふに、 043 JOH 010 024 ユダヤ人ら之を取圍みて言ふ『何時まで我らの心を惑しむるか、汝キリストならば明白に告げよ』 043 JOH 010 025 イエス答へ給ふ『われ既に告げたれど汝ら信ぜず、わが父の名によりて行ふわざは、我に就きて證す。 043 JOH 010 026 されど汝らは信ぜず、我が羊ならぬ故なり。 043 JOH 010 027 わが羊はわが聲をきき、我は彼らを知り、彼らは我に從ふ。 043 JOH 010 028 我かれらに永遠の生命を與ふれば、彼らは永遠に亡ぶることなく、又かれらを我が手より奪ふ者あらじ。 043 JOH 010 029 彼らを我にあたへ給ひし我が父は、一切のものよりも大なれば、誰にても父の御手よりは奪ふこと能はず。 043 JOH 010 030 我と父とは一つなり』 043 JOH 010 031 ユダヤ人また石を取りあげてイエスを撃たんとす。 043 JOH 010 032 イエス答へ給ふ『われは父によりて多くの善き業を汝らに示したり、その孰の業ゆゑに我を石にて撃たんとするか』 043 JOH 010 033 ユダヤ人こたふ『なんぢを石にて撃つは善きわざの故ならず、瀆言の故にして、なんぢ人なるに、己を神とする故なり』 043 JOH 010 034 イエス答へ給ふ『なんぢらの律法に「われ言ふ、汝らは神なり」と録されたるに非ずや。 043 JOH 010 035 かく神の言を賜はりし人々を神と云へり。聖書は廢るべきにあらず、 043 JOH 010 036 然るに父の潔め別ちて世に遣し給ひし者が「われは神の子なり」と言へばとて、何ぞ「瀆言を言ふ」といふか。 043 JOH 010 037 我もし我が父のわざを行はずば、我を信ずな、 043 JOH 010 038 もし行はば、假令われを信ぜずとも、その業を信ぜよ。さらば父の我にをり、我の父に居ることを知りて悟らん』 043 JOH 010 039 かれら復イエスを捕へんとせしが、その手より脱れて去り給へり。 043 JOH 010 040 かくてイエス復ヨルダンの彼方、ヨハネの最初にバプテスマを施したる處にいたり、其處にとどまり給ひしが、 043 JOH 010 041 多くの人みもとに來りて『ヨハネは何の徴をも行はざりしかど、この人に就きてヨハネの言ひし事は、ことごとく眞なりき』と言ふ。 043 JOH 010 042 而して多くの人かしこにてイエスを信じたり。 043 JOH 011 001 ここに病める者あり、ラザロと云ふ、マリヤとその姉妹マルタとの村ベタニヤの人なり。 043 JOH 011 002 此のマリヤは、主に香 油をぬり、頭髮にて御足を拭ひし者にして、病めるラザロはその兄弟なり。 043 JOH 011 003 姉妹ら人をイエスに遣して『主、視よ、なんぢの愛し給ふもの病めり』と言はしむ。 043 JOH 011 004 之を聞きてイエス言ひ給ふ『この病は死に至らず、神の榮光のため、神の子のこれに由りて榮光を受けんためなり』 043 JOH 011 005 イエスはマルタと、その姉妹と、ラザロとを愛し給へり。 043 JOH 011 006 ラザロの病みたるを聞きて、その居給ひし處になほ二日とどまり、 043 JOH 011 007 而してのち弟子たちに言ひ給ふ『われら復ユダヤに往くべし』 043 JOH 011 008 弟子たち言ふ『ラビ、この程もユダヤ人、なんぢを石にて撃たんとせしに、復かしこに往き給ふか』 043 JOH 011 009 イエス答へたまふ『一日に十二 時あるならずや、人もし晝あるかば、此の世の光を見るゆゑに躓くことなし。 043 JOH 011 010 夜あるかば、光その人になき故に躓くなり』 043 JOH 011 011 かく言ひて復その後いひ給ふ『われらの友ラザロ眠れり、されど我よび起さん爲に往くなり』 043 JOH 011 012 弟子たち言ふ『主よ、眠れるならば癒ゆべし』 043 JOH 011 013 イエスは彼が死にたることを言ひ給ひしなれど、弟子たちは寢ねて眠れるを言ひ給ふと思へるなり。 043 JOH 011 014 ここにイエス明白に言ひ給ふ『ラザロは死にたり。 043 JOH 011 015 我かしこに居らざりし事を汝 等のために喜ぶ、汝 等をして信ぜしめんとてなり。されど我ら今その許に往くべし』 043 JOH 011 016 デドモと稱ふるトマス、他の弟子たちに言ふ『われらも往きて彼と共に死ぬべし』 043 JOH 011 017 さてイエス來り見 給へば、ラザロの墓にあること既に四日なりき。 043 JOH 011 018 ベタニヤはエルサレムに近くして、二 十 五 丁ばかりの距離なるが、 043 JOH 011 019 數多のユダヤ人、マルタとマリヤとをその兄弟の事につき慰めんとて來れり。 043 JOH 011 020 マルタはイエス來給ふと聞きて出で迎へたれど、マリヤはなほ家に坐し居たり。 043 JOH 011 021 マルタ、イエスに言ふ『主よ、もし此處に在ししならば、我が兄弟は死なざりしものを。 043 JOH 011 022 されど今にても我は知る、何事を神に願ひ給ふとも、神は與へ給はん』 043 JOH 011 023 イエス言ひ給ふ『なんぢの兄弟は甦へるべし』 043 JOH 011 024 マルタ言ふ『をはりの日、復活のときに甦へるべきを知る』 043 JOH 011 025 イエス言ひ給ふ『我は復活なり、生命なり、我を信ずる者は死ぬとも生きん。 043 JOH 011 026 凡そ生きて我を信ずる者は、永遠に死なざるべし。汝これを信ずるか』 043 JOH 011 027 彼いふ『主よ然り、我なんぢは世に來るべきキリスト、神の子なりと信ず』 043 JOH 011 028 かく言ひて後、ゆきて竊にその姉妹マリヤを呼びて『師きたりて汝を呼びたまふ』と言ふ。 043 JOH 011 029 マリヤ之をきき、急ぎ起ちて御許に往けり。 043 JOH 011 030 イエスは未だ村に入らず、尚マルタの迎へし處に居給ふ。 043 JOH 011 031 マリヤと共に家に居りて慰め居たるユダヤ人、その急ぎ立ちて出でゆくを見、かれは歎かんとて墓に往くと思ひて後に隨へり。 043 JOH 011 032 かくてマリヤ、イエスの居給ふ處にいたり、之を見てその足下に伏し『主よ、もし此處に在ししならば、我が兄弟は死なざりしものを』と言ふ。 043 JOH 011 033 イエスかれが泣き居り、共に來りしユダヤ人も泣き居るを見て、心を傷め悲しみて言ひ給ふ、 043 JOH 011 034 『かれを何處に置きしか』彼ら言ふ『主よ、來りて見 給へ』 043 JOH 011 035 イエス涙をながし給ふ。 043 JOH 011 036 ここにユダヤ人ら言ふ『視よ、いかばかり彼を愛せしぞや』 043 JOH 011 037 その中の或 者ども言ふ『盲人の目をあけし此の人にして、彼を死なざらしむること能はざりしか』 043 JOH 011 038 イエスまた心を傷めつつ墓にいたり給ふ。墓は洞にして石を置きて塞げり。 043 JOH 011 039 イエス言ひ給ふ『石を除けよ』死にし人の姉妹マルタ言ふ『主よ、彼ははや臭し、四日を經たればなり』 043 JOH 011 040 イエス言ひ給ふ『われ汝に、もし信ぜば神の榮光を見んと言ひしにあらずや』 043 JOH 011 041 ここに人々 石を除けたり。イエス目を擧げて言ひたまふ『父よ、我にきき給ひしを謝す。 043 JOH 011 042 常にきき給ふを我は知る。然るに斯く言ふは、傍らに立つ群衆の爲にして、汝の我を遣し給ひしことを之に信ぜしめんとてなり』 043 JOH 011 043 斯く言ひてのち、聲 高く『ラザロよ、出で來れ』と呼はり給へば、 043 JOH 011 044 死にしもの布にて足と手とを卷かれたるまま出で來る、顏も手拭にて包まれたり。イエス『これを解きて往かしめよ』と言ひ給ふ。 043 JOH 011 045 かくてマリヤの許に來りて、イエスの爲し給ひし事を見たる多くのユダヤ人、かれを信じたりしが、 043 JOH 011 046 或 者はパリサイ人に往きて、イエスの爲し給ひし事を告げたり。 043 JOH 011 047 ここに祭司長・パリサイ人ら議會を開きて言ふ『われら如何に爲すべきか、此の人おほくの徴を行ふなり。 043 JOH 011 048 もし彼をこのまま捨ておかば、人々みな彼を信ぜん、而してロマ人きたりて、我らの土地と國人とを奪はん』 043 JOH 011 049 その中の一人にて此の年の大 祭司なるカヤパ言ふ『なんぢら何をも知らず。 043 JOH 011 050 ひとりの人、民のために死にて、國人すべての滅びぬは、汝らの益なるを思はぬなり』 043 JOH 011 051 これは己より云へるに非ず、この年の大 祭司なれば、イエスの國人のため、 043 JOH 011 052 又ただに國人の爲のみならず、散りたる神の子らを一つに集めん爲に死に給ふことを預言したるなり。 043 JOH 011 053 彼 等この日よりイエスを殺さんと議れり。 043 JOH 011 054 されば此の後イエス顯にユダヤ人のなかを歩み給はず、此處を去りて、荒野にちかき處なるエフライムといふ町に往き、弟子たちと偕に其處に留りたまふ。 043 JOH 011 055 ユダヤ人の過越の祭 近づきたれば、多くの人々 身を潔めんとて、祭のまへに田舍よりエルサレムに上れり。 043 JOH 011 056 彼らイエスをたづね、宮に立ちて互に言ふ『なんぢら如何に思ふか、彼は祭に來らぬか』 043 JOH 011 057 祭司長・パリサイ人らは、イエスを捕へんとて、その在處を知る者あらば、告げ出づべく預て命令したりしなり。 043 JOH 012 001 過越の祭の六日 前に、イエス、ベタニヤに來り給ふ、ここは死人の中より甦へらせ給ひしラザロの居る處なり。 043 JOH 012 002 此處にてイエスのために饗宴を設け、マルタは事へ、ラザロはイエスと共に席に著ける者の中にあり。 043 JOH 012 003 マリヤは價 高き混りなきナルドの香 油 一斤を持ち來りて、イエスの御足にぬり、己が頭髮にて御足を拭ひしに、香 油のかをり家に滿ちたり。 043 JOH 012 004 御弟子の一人にて、イエスを賣らんとするイスカリオテのユダ言ふ、 043 JOH 012 005 『何ぞこの香 油を三 百デナリに賣りて、貧しき者に施さざる』 043 JOH 012 006 かく云へるは貧しき者を思ふ故にあらず、おのれ盜人にして、財嚢を預り、その中に納むる物を掠めゐたればなり。 043 JOH 012 007 イエス言ひ給ふ『この女の爲すに任せよ、我が葬りの日のために之を貯へたるなり。 043 JOH 012 008 貧しき者は常に汝らと偕に居れども、我は常に居らぬなり』 043 JOH 012 009 ユダヤの多くの民ども、イエスの此處に居給ふことを知りて來る、これはイエスの爲のみにあらず、死人の中より甦へらせ給ひしラザロを見んとてなり。 043 JOH 012 010 かくて祭司長ら、ラザロをも殺さんと議る。 043 JOH 012 011 彼のために多くのユダヤ人さり往きてイエスを信ぜし故なり。 043 JOH 012 012 明くる日、祭に來りし多くの民ども、イエスのエルサレムに來り給ふをきき、 043 JOH 012 013 棕梠の枝をとりて出で迎へ、『「ホサナ、讃むべきかな、主の御名によりて來る者」イスラエルの王』と呼はる。 043 JOH 012 014 イエスは小驢馬を得て之に乘り給ふ。これは録して、 043 JOH 012 015 『シオンの娘よ、懼るな。視よ、なんぢの王は驢馬の子に乘りて來り給ふ』と有るが如し。 043 JOH 012 016 弟子たちは最初これらの事を悟らざりしが、イエスの榮光を受け給ひし後に、これらの事のイエスに就きて録されたると、人々が斯く爲ししとを思ひ出せり。 043 JOH 012 017 ラザロを墓より呼び起し、死人の中より甦へらせ給ひし時に、イエスと偕に居りし群衆、證をなせり。 043 JOH 012 018 群衆のイエスを迎へたるは、かかる徴を行ひ給ひしことを聞きたるに因りてなり。 043 JOH 012 019 パリサイ人ら互に言ふ『見るべし、汝らの謀ることの益なきを。視よ、世は彼に從へり』 043 JOH 012 020 禮拜せんとて祭に上りたる者の中に、ギリシヤ人 數人ありしが、 043 JOH 012 021 ガリラヤなるベツサイダのピリポに來り、請ひて言ふ『君よ、われらイエスに謁えんことを願ふ』 043 JOH 012 022 ピリポ往きてアンデレに告げ、アンデレとピリポと共に往きてイエスに告ぐ。 043 JOH 012 023 イエス答へて言ひ給ふ『人の子の榮光を受くべき時きたれり。 043 JOH 012 024 誠にまことに汝らに告ぐ、一粒の麥、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの果を結ぶべし。 043 JOH 012 025 己が生命を愛する者は、これを失ひ、この世にてその生命を憎む者は、之を保ちて永遠の生命に至るべし。 043 JOH 012 026 人もし我に事へんとせば、我に從へ、わが居る處に我に事ふる者もまた居るべし。人もし我に事ふることをせば、我が父これを貴び給はん。 043 JOH 012 027 今わが心さわぐ、われ何を言ふべきか。父よ、この時より我を救ひ給へ、されど我この爲にこの時に到れり。 043 JOH 012 028 父よ、御名の榮光をあらはし給へ』ここに天より聲いでて言ふ『われ既に榮光をあらはしたり、復さらに顯さん』 043 JOH 012 029 傍らに立てる群衆これを聞きて『雷霆 鳴れり』と言ひ、ある人々は『御使かれに語れるなり』と言ふ。 043 JOH 012 030 イエス答へて言ひ給ふ『この聲の來りしは、我が爲にあらず、汝らの爲なり。 043 JOH 012 031 今この世の審判は來れり、今この世の君は逐ひ出さるべし。 043 JOH 012 032 我もし地より擧げられなば、凡ての人をわが許に引きよせん』 043 JOH 012 033 かく言ひて、己が如何なる死にて死ぬるかを示し給へり。 043 JOH 012 034 群衆こたふ『われら律法によりて、キリストは永遠に存へ給ふと聞きたるに、汝いかなれば人の子は擧げらるべしと言ふか、その人の子とは誰なるか』 043 JOH 012 035 イエス言ひ給ふ『なほ暫し光は汝らの中にあり、光のある間に歩みて、暗黒に追及かれぬやうにせよ、暗き中を歩む者は往方を知らず。 043 JOH 012 036 光の子とならんために、光のある間に光を信ぜよ』イエス此 等のことを語りてのち、彼らを避けて隱れ給へり。 043 JOH 012 037 かく多くの徴を人々の前におこなひ給ひたれど、なほ彼を信ぜざりき。 043 JOH 012 038 これ預言者イザヤの言の成就せん爲なり。曰く『主よ、我らに聞きたる言を誰か信ぜし。主の御腕は誰にあらはれし』 043 JOH 012 039 彼らが信じ得ざりしは此の故なり。即ちイザヤまた云へらく、 043 JOH 012 040 『彼らの眼を暗くし、心を頑固にし給へり。これ目にて見、心にて悟り、ひるがへりて、我に醫さるる事なからん爲なり』 043 JOH 012 041 イザヤの斯く云へるは、その榮光を見し故にて、イエスに就きて語りしなり。 043 JOH 012 042 されど司たちの中にもイエスを信じたるもの多かりしが、パリサイ人の故によりて言ひ顯すことをせざりき、除名せられん事を恐れたるなり。 043 JOH 012 043 彼らは神の譽よりも人の譽を愛でしなり。 043 JOH 012 044 イエス呼はりて言ひ給ふ『われを信ずる者は我を信ずるにあらず、我を遣し給ひし者を信じ、 043 JOH 012 045 我を見る者は我を遣し給ひし者を見るなり。 043 JOH 012 046 我は光として世に來れり、すべて我を信ずる者の暗黒に居らざらん爲なり。 043 JOH 012 047 人たとひ我が言をききて守らずとも、我は之を審かず。夫わが來りしは世を審かん爲にあらず、世を救はん爲なり。 043 JOH 012 048 我を棄て我が言を受けぬ者を審く者あり、わが語れる言こそ終の日に之を審くなれ。 043 JOH 012 049 我はおのれに由りて語れるにあらず、我を遣し給ひし父みづから、我が言ふべきこと語るべきことを命じ給ひし故なり。 043 JOH 012 050 我その命令の永遠の生命たるを知る。されば我は語るに我が父の我に言ひ給ふままを語るなり』 043 JOH 013 001 過越のまつりの前に、イエスこの世を去りて父に往くべき己が時の來れるを知り、世に在る己の者を愛して、極まで之を愛し給へり。 043 JOH 013 002 夕餐のとき、惡魔 早くもシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを賣らんとする思を入れたるが、 043 JOH 013 003 イエス父が萬物をおのが手にゆだね給ひしことと、己の神より出でて神に到ることを知り、 043 JOH 013 004 夕餐より起ちて上衣をぬぎ、手巾をとりて腰にまとひ、 043 JOH 013 005 尋で盥に水をいれて、弟子たちの足をあらひ、纏ひたる手巾にて之を拭ひはじめ給ふ。 043 JOH 013 006 かくてシモン・ペテロに至り給へば、彼いふ『主よ、汝わが足を洗ひ給ふか』 043 JOH 013 007 イエス答へて言ひ給ふ『わが爲すことを汝いまは知らず、後に悟るべし』 043 JOH 013 008 ペテロ言ふ『永遠に我が足をあらひ給はざれ』イエス答へ給ふ『我もし汝を洗はずば、汝われと關係なし』 043 JOH 013 009 シモン・ペテロ言ふ『主よ、わが足のみならず、手をも頭をも』 043 JOH 013 010 イエス言ひ給ふ『すでに浴したる者は足のほか洗ふを要せず、全身きよきなり。斯く汝らは潔し、されど悉とくは然らず』 043 JOH 013 011 これ己を賣る者の誰なるを知りたまふ故に『ことごとくは潔からず』と言ひ給ひしなり。 043 JOH 013 012 彼らの足をあらひ、己が上衣をとり、再び席につきて後いひ給ふ『わが汝らに爲したることを知るか。 043 JOH 013 013 なんぢら我を師また主ととなふ、然か言ふは宜なり、我は是なり。 043 JOH 013 014 我は主また師なるに、尚なんぢらの足を洗ひたれば、汝らも互に足を洗ふべきなり。 043 JOH 013 015 われ汝らに模範を示せり、わが爲ししごとく汝らも爲さんためなり。 043 JOH 013 016 誠にまことに汝らに告ぐ、僕はその主よりも大ならず。遣されたる者は之を遣す者よりも大ならず。 043 JOH 013 017 汝 等これらの事を知りて之を行はば幸福なり。 043 JOH 013 018 これ汝ら凡ての者につきて言ふにあらず、我はわが選びたる者どもを知る。されど聖書に「我とともにパンを食ふ者、われに向ひて踵を擧げたり」と云へることは、必ず成就すべきなり。 043 JOH 013 019 今その事の成らぬ前に之を汝らに告ぐ、事の成らん時、わが夫なるを汝らの信ぜんためなり。 043 JOH 013 020 誠にまことに汝らに告ぐ、わが遣す者を受くる者は我をうくるなり。我を受くる者は我を遣し給ひし者を受くるなり』 043 JOH 013 021 イエス此 等のことを言ひ終へて、心さわぎ證をなして言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、汝らの中の一人われを賣らん』 043 JOH 013 022 弟子たち互に顏を見 合せ、誰につきて言ひ給ふかを訝る。 043 JOH 013 023 イエスの愛したまふ一人の弟子、イエスの御胸によりそひ居たれば、 043 JOH 013 024 シモン・ペテロ首にて示し『誰のことを言ひ給ふか、告げよ』といふ。 043 JOH 013 025 彼そのまま御胸によりかかりて『主よ、誰なるか』と言ひしに、 043 JOH 013 026 イエス答へ給ふ『わが一撮の食物を浸して與ふる者は夫なり』かくて一撮の食物を浸して、シモンの子イスカリオテのユダに與へたまふ。 043 JOH 013 027 ユダ一撮の食物を受くるや、惡魔かれに入りたり。イエス彼に言ひたまふ『なんぢが爲すことを速かに爲せ』 043 JOH 013 028 席に著きゐたる者は一人として、何 故かく言ひ給ふかを知らず。 043 JOH 013 029 ある人々は、ユダが財嚢を預るによりて『祭のために要する物を買へ』とイエスの言ひ給へるか、また貧しき者に何か施さしめ給ふならんと思へり。 043 JOH 013 030 ユダ一撮の食物を受くるや、直ちに出づ、時は夜なりき。 043 JOH 013 031 ユダの出でし後、イエス言ひ給ふ『今や人の子、榮光をうく、神も彼によりて榮光をうけ給ふ。 043 JOH 013 032 神かれに由りて榮光をうけ給はば、神も己によりて彼に榮光を與へ給はん、直ちに與へ給ふべし。 043 JOH 013 033 若子よ、我なほ暫く汝らと偕にあり、汝らは我を尋ねん、されど曾てユダヤ人に「なんぢらは我が往く處に來ること能はず」と言ひし如く、今 汝らにも然か言ふなり。 043 JOH 013 034 われ新しき誡命を汝らに與ふ、なんぢら相 愛すべし。わが汝らを愛せしごとく、汝らも相 愛すべし。 043 JOH 013 035 互に相 愛する事をせば、之によりて人みな汝らの我が弟子たるを知らん』 043 JOH 013 036 シモン・ペテロ言ふ『主よ、何處にゆき給ふか』イエス答へ給ふ『わが往く處に、なんぢ今は從ふこと能はず。されど後に從はん』 043 JOH 013 037 ペテロ言ふ『主よ、いま從ふこと能はぬは何 故ぞ、我は汝のために生命を棄てん』 043 JOH 013 038 イエス答へ給ふ『なんぢ我がために生命を棄つるか、誠にまことに汝に告ぐ、なんぢ三度われを否むまでは、鷄 鳴かざるべし』 043 JOH 014 001 『なんぢら心を騷がすな、神を信じ、また我を信ぜよ。 043 JOH 014 002 わが父の家には住處おほし、然らずば我かねて汝らに告げしならん。われ汝 等のために處を備へに往く。 043 JOH 014 003 もし往きて汝らの爲に處を備へば、復きたりて汝らを我がもとに迎へん、わが居るところに汝らも居らん爲なり。 043 JOH 014 004 汝らは我が往くところに至る道を知る』 043 JOH 014 005 トマス言ふ『主よ、何處にゆき給ふかを知らず、いかでその道を知らんや』 043 JOH 014 006 イエス彼に言ひ給ふ『われは道なり、眞理なり、生命なり、我に由らでは誰にても父の御許にいたる者なし。 043 JOH 014 007 汝 等もし我を知りたらば、我が父をも知りしならん。今より汝ら之を知る、既に之を見たり』 043 JOH 014 008 ピリポ言ふ『主よ、父を我らに示し給へ、さらば足れり』 043 JOH 014 009 イエス言ひ給ふ『ピリポ、我かく久しく汝らと偕に居りしに、我を知らぬか。我を見し者は父を見しなり、如何なれば「我らに父を示せ」と言ふか。 043 JOH 014 010 我の父に居り、父の我に居給ふことを信ぜぬか。わが汝 等にいふ言は、己によりて語るにあらず、父われに在して御業をおこなひ給ふなり。 043 JOH 014 011 わが言ふことを信ぜよ、我は父にをり、父は我に居給ふなり。もし信ぜずば、我が業によりて信ぜよ。 043 JOH 014 012 誠にまことに汝らに告ぐ、我を信ずる者は我がなす業をなさん、かつ之よりも大なる業をなすべし、われ父に往けばなり。 043 JOH 014 013 汝らが我が名によりて願ふことは、我みな之を爲さん、父、子によりて榮光を受け給はんためなり。 043 JOH 014 014 何事にても我が名によりて我に願はば、我これを成すべし。 043 JOH 014 015 汝 等もし我を愛せば、我が誡命を守らん。 043 JOH 014 016 われ父に請はん、父は他に助主をあたへて、永遠に汝らと偕に居らしめ給ふべし。 043 JOH 014 017 これは眞理の御靈なり、世はこれを受くること能はず、これを見ず、また知らぬに因る。なんぢらは之を知る、彼は汝らと偕に居り、また汝らの中に居給ふべければなり。 043 JOH 014 018 我なんぢらを遣して孤兒とはせず、汝らに來るなり。 043 JOH 014 019 暫くせば世は復われを見ず、されど汝らは我を見る、われ活くれば汝らも活くべければなり。 043 JOH 014 020 その日には、我わが父に居り、なんぢら我に居り、われ汝らに居ることを汝ら知らん。 043 JOH 014 021 わが誡命を保ちて之を守るものは、即ち我を愛する者なり。我を愛する者は我が父に愛せられん、我も之を愛し、之に己を顯すべし』 043 JOH 014 022 イスカリオテならぬユダ言ふ『主よ、何 故おのれを我らに顯して、世には顯し給はぬか』 043 JOH 014 023 イエス答へて言ひ給ふ『人もし我を愛せば、わが言を守らん、わが父これを愛し、かつ我等その許に來りて住處を之とともにせん。 043 JOH 014 024 我を愛せぬ者は、わが言を守らず。汝らが聞くところの言は、わが言にあらず、我を遣し給ひし父の言なり。 043 JOH 014 025 此 等のことは我なんぢらと偕にありて語りしが、 043 JOH 014 026 助主すなはちわが名によりて父の遣したまふ聖 靈は、汝らに萬の事ををしへ、又すべて我が汝らに言ひしことを思ひ出さしむべし。 043 JOH 014 027 われ平安を汝らに遺す、わが平安を汝らに與ふ。わが與ふるは世の與ふる如くならず、なんぢら心を騷がすな、また懼るな。 043 JOH 014 028 「われ往きて汝らに來るなり」と云ひしを汝ら既に聞けり。もし我を愛せば、父にわが往くを喜ぶべきなり、父は我よりも大なるに因る。 043 JOH 014 029 今その事の成らぬ前に、これを汝らに告げたり、事の成らんとき汝らの信ぜんためなり。 043 JOH 014 030 今より後われ汝らと多く語らじ、この世の君きたる故なり。彼は我に對して何の權もなし、 043 JOH 014 031 されど斯くなるは、我の、父を愛し、父の命じ給ふところに遵ひて行ふことを、世の知らん爲なり。起きよ、いざ此處を去るべし。 043 JOH 015 001 我は眞の葡萄の樹、わが父は農夫なり。 043 JOH 015 002 おほよそ我にありて果を結ばぬ枝は、父これを除き、果を結ぶものは、いよいよ果を結ばせん爲に之を潔めたまふ。 043 JOH 015 003 汝らは既に潔し、わが語りたる言に因りてなり。 043 JOH 015 004 我に居れ、さらば我なんぢらに居らん。枝もし樹に居らずば、自ら果を結ぶこと能はぬごとく、汝らも我に居らずば亦 然り。 043 JOH 015 005 我は葡萄の樹、なんぢらは枝なり。人もし我にをり、我また彼にをらば、多くの果を結ぶべし。汝ら我を離るれば、何事をも爲し能はず。 043 JOH 015 006 人もし我に居らずば、枝のごとく外に棄てられて枯る、人々これを集め火に投げ入れて燒くなり。 043 JOH 015 007 汝 等もし我に居り、わが言なんぢらに居らば、何にても望に隨ひて求めよ、さらば成らん。 043 JOH 015 008 なんぢら多くの果を結ばば、わが父は榮光を受け給ふべし、而して汝 等わが弟子とならん。 043 JOH 015 009 父の我を愛し給ひしごとく、我も汝らを愛したり、わが愛に居れ。 043 JOH 015 010 なんぢら若しわが誡命をまもらば、我が愛にをらん、我わが父の誡命を守りて、その愛に居るがごとし。 043 JOH 015 011 我これらの事を語りたるは、我が喜悦の汝らに在り、かつ汝らの喜悦の滿されん爲なり。 043 JOH 015 012 わが誡命は是なり、わが汝らを愛せしごとく互に相 愛せよ。 043 JOH 015 013 人その友のために己の生命を棄つる、之より大なる愛はなし。 043 JOH 015 014 汝 等もし我が命ずる事をおこなはば、我が友なり。 043 JOH 015 015 今よりのち我なんぢらを僕といはず、僕は主人のなす事を知らざるなり。我なんぢらを友と呼べり、我が父に聽きし凡てのことを汝らに知らせたればなり。 043 JOH 015 016 汝ら我を選びしにあらず、我なんぢらを選べり。而して汝らの往きて果を結び、且その果の殘らんために、又おほよそ我が名によりて父に求むるものを、父の賜はんために汝らを立てたり。 043 JOH 015 017 これらの事を命ずるは、汝らの互に相 愛せん爲なり。 043 JOH 015 018 世もし汝らを憎まば、汝 等より先に我を憎みたることを知れ。 043 JOH 015 019 汝 等もし世のものならば、世は己がものを愛するならん。汝らは世のものならず、我なんぢらを世より選びたり。この故に世は汝らを憎む。 043 JOH 015 020 わが汝らに「僕はその主人より大ならず」と告げし言をおぼえよ。人もし我を責めしならば、汝 等をも責め、わが言を守りしならば、汝らの言をも守らん。 043 JOH 015 021 すべて此 等のことを我が名の故に汝らに爲さん、それは我を遣し給ひし者を知らぬに因る。 043 JOH 015 022 われ來りて語らざりしならば、彼ら罪なかりしならん。されど今はその罪いひのがるべき樣なし。 043 JOH 015 023 我を憎むものは我が父をも憎むなり。 043 JOH 015 024 我もし誰もいまだ行はぬ事を彼らの中に行はざりしならば、彼ら罪なかりしならん。されど今ははや我をも我が父をも見たり、また憎みたり。 043 JOH 015 025 これは彼らの律法に「ひとびと故なくして我を憎めり」と録したる言の成就せん爲なり。 043 JOH 015 026 父の許より我が遣さんとする助主、すなはち父より出づる眞理の御靈のきたらんとき、我につきて證せん。 043 JOH 015 027 汝 等もまた初より我とともに在りたれば證するなり。 043 JOH 016 001 我これらの事を語りたるは、汝らの躓かざらん爲なり。 043 JOH 016 002 人なんぢらを除名すべし、然のみならず、汝らを殺す者みな自ら神に事ふと思ふとき來らん。 043 JOH 016 003 これらの事をなすは、父と我とを知らぬ故なり。 043 JOH 016 004 我これらの事を語りたるは、時いたりて我が斯く言ひしことを汝らの思ひいでん爲なり。初より此 等のことを言はざりしは、我なんぢらと偕に在りし故なり。 043 JOH 016 005 今われを遣し給ひし者にゆく、然るに汝らの中、たれも我に「何處にゆく」と問ふ者なし。 043 JOH 016 006 唯これらの事を語りしによりて、憂なんぢらの心にみてり。 043 JOH 016 007 されど、われ實を汝らに告ぐ、わが去るは汝らの益なり。我さらずば助主なんぢらに來らじ、我ゆかば之を汝らに遣さん。 043 JOH 016 008 かれ來らんとき、世をして罪につき、義につき、審判につきて、過てるを認めしめん。 043 JOH 016 009 罪に就きてとは、彼ら我を信ぜぬに因りてなり。 043 JOH 016 010 義に就きてとは、われ父にゆき、汝ら今より我を見ぬに因りてなり。 043 JOH 016 011 審判に就きてとは、此の世の君さばかるるに因りてなり。 043 JOH 016 012 我なほ汝らに告ぐべき事あまたあれど、今なんぢら得 耐へず。 043 JOH 016 013 されど彼すなはち眞理の御靈きたらん時、なんぢらを導きて眞理をことごとく悟らしめん。かれ己より語るにあらず、凡そ聞くところの事を語り、かつ來らんとする事どもを汝らに示さん。 043 JOH 016 014 彼はわが榮光を顯さん、それは我がものを受けて汝らに示すべければなり。 043 JOH 016 015 すべて父の有ち給ふものは我がものなり、此の故に我がものを受けて汝らに示さんと云へるなり。 043 JOH 016 016 暫くせば汝ら我を見ず、また暫くして我を見るべし』 043 JOH 016 017 ここに弟子たちのうち或 者たがひに言ふ『「暫くせば我を見ず、また暫くして我を見るべし」と言ひ、かつ「父に往くによりて」と言ひ給へるは、如何なることぞ』 043 JOH 016 018 復いふ『この暫くとは如何なることぞ、我等その言ひ給ふところを知らず』 043 JOH 016 019 イエスその問はんと思へるを知りて言ひ給ふ『なんぢら「暫くせば我を見ず、また暫くして我を見るべし」と我が言ひしを尋ねあふか。 043 JOH 016 020 誠にまことに汝らに告ぐ、なんぢらは泣き悲しみ、世は喜ばん。汝ら憂ふべし、然れどその憂は喜悦とならん。 043 JOH 016 021 をんな産まんとする時は憂あり、その期いたるに因りてなり。子を産みてのちは苦痛をおぼえず、世に人の生れたる喜悦によりてなり。 043 JOH 016 022 斯く汝らも今は憂あり、されど我ふたたび汝らを見ん、その時なんぢらの心よろこぶべし、その喜悦を奪ふ者なし。 043 JOH 016 023 かの日には汝ら何事をも我に問ふまじ。誠にまことに汝らに告ぐ、汝 等のすべて父に求むる物をば、我が名によりて賜ふべし。 043 JOH 016 024 なんぢら今までは何をも我が名によりて求めたることなし。求めよ、然らば受けん、而して汝らの喜悦みたさるべし。 043 JOH 016 025 我これらの事を譬にて語りたりしが、また譬にて語らず、明白に父のことを汝らに告ぐるとき來らん。 043 JOH 016 026 その日には汝 等わが名によりて求めん。我は汝らの爲に父に請ふと言はず、 043 JOH 016 027 父みづから汝らを愛し給へばなり。これ汝 等われを愛し、また我の父より出で來りしことを信じたるに因る。 043 JOH 016 028 われ父より出でて世にきたれり、また世を離れて父に往くなり』 043 JOH 016 029 弟子たち言ふ『視よ、今は明白に語りて聊かも譬をいひ給はず。 043 JOH 016 030 我ら今なんぢの知り給はぬ所なく、また人の汝に問ふを待ち給はぬことを知る。之によりて汝の神より出できたり給ひしことを信ず』 043 JOH 016 031 イエス答へ給ふ『なんぢら今、信ずるか。 043 JOH 016 032 視よ、なんぢら散されて各自おのが處にゆき、我をひとり遺すとき到らん、否すでに到れり。然れど我ひとり居るにあらず、父われと偕に在すなり。 043 JOH 016 033 此 等のことを汝らに語りたるは、汝ら我に在りて平安を得んが爲なり。なんぢら世にありては患難あり、されど雄々しかれ。我すでに世に勝てり』 043 JOH 017 001 イエスこれらの事を語りはて、目を擧げ天を仰ぎて言ひ給ふ『父よ、時 來れり、子が汝の榮光を顯さんために、汝の子の榮光を顯したまへ。 043 JOH 017 002 汝より賜はりし凡ての者に、永遠の生命を與へしめんとて、萬民を治むる權威を子に賜ひたればなり。 043 JOH 017 003 永遠の生命は、唯一の眞の神にいます汝と、なんぢの遣し給ひしイエス・キリストとを知るにあり。 043 JOH 017 004 我に成さしめんとて汝の賜ひし業を成し遂げて、我は地上に汝の榮光をあらはせり。 043 JOH 017 005 父よ、まだ世のあらぬ前に、わが汝と偕にもちたりし榮光をもて、今 御前にて我に榮光あらしめ給へ。 043 JOH 017 006 世の中より我に賜ひし人々に、われ御名をあらはせり。彼らは汝の有なるを我に賜へり、而して彼らは汝の言を守りたり。 043 JOH 017 007 今かれらは、凡て我に賜ひしものの汝より出づるを知る。 043 JOH 017 008 我は我に賜ひし言を彼らに與へ、彼らは之を受け、わが汝より出でたるを眞に知り、なんぢの我を遣し給ひしことを信じたるなり。 043 JOH 017 009 我かれらの爲に願ふ、わが願ふは世のためにあらず、汝の我に賜ひたる者のためなり、彼らは即ち汝のものなり。 043 JOH 017 010 我がものは皆なんぢの有、なんぢの有は我がものなり、我かれらより榮光を受けたり。 043 JOH 017 011 今より我は世に居らず、彼らは世に居り、我は汝にゆく。聖なる父よ、我に賜ひたる汝の御名の中に彼らを守りたまへ。これ我等のごとく、彼らの一つとならん爲なり。 043 JOH 017 012 我かれらと偕にをる間、われに賜ひたる汝の御名の中に彼らを守り、かつ保護したり。其のうち一人だに亡びず、ただ亡の子のみ亡びたり、聖書の成就せん爲なり。 043 JOH 017 013 今は我なんぢに往く、而して此 等のことを世に在りて語るは、我が喜悦を彼らに全からしめん爲なり。 043 JOH 017 014 我は御言を彼らに與へたり、而して世は彼らを憎めり、我の世のものならぬごとく、彼らも世のものならぬに因りてなり。 043 JOH 017 015 わが願ふは、彼らを世より取り給はんことならず、惡より免れさらせ給はんことなり。 043 JOH 017 016 我の世のものならぬ如く、彼らも世のものならず。 043 JOH 017 017 眞理にて彼らを潔め別ちたまへ、汝の御言は眞理なり。 043 JOH 017 018 汝われを世に遣し給ひし如く、我も彼らを世に遣せり。 043 JOH 017 019 また彼 等のために我は己を潔めわかつ、これ眞理にて彼らも潔め別たれん爲なり。 043 JOH 017 020 我かれらの爲のみならず、その言によりて我を信ずる者のためにも願ふ。 043 JOH 017 021 これ皆 一つとならん爲なり。父よ、なんぢ我に在し、我なんぢに居るごとく、彼らも我らに居らん爲なり、是なんぢの我を遣し給ひしことを世の信ぜん爲なり。 043 JOH 017 022 我は汝の我に賜ひし榮光を彼らに與へたり、是われらの一つなる如く、彼らも一つとならん爲なり。 043 JOH 017 023 即ち我かれらに居り、汝われに在し、彼ら一つとなりて全くせられん爲なり、是なんぢの我を遣し給ひしことと、我を愛し給ふごとく彼らをも愛し給ふこととを、世の知らん爲なり。 043 JOH 017 024 父よ、望むらくは、我に賜ひたる人々の我が居るところに我と偕にをり、世の創の前より我を愛し給ひしによりて、汝の我に賜ひたる我が榮光を見んことを。 043 JOH 017 025 正しき父よ、げに世は汝を知らず、されど我は汝を知り、この者どもも汝の我を遣し給ひしことを知れり。 043 JOH 017 026 われ御名を彼らに知らしめたり、復これを知らしめん。これ我を愛し給ひたる愛の、彼らに在りて、我も彼らに居らん爲なり』 043 JOH 018 001 此 等のことを言ひ終へて、イエス弟子たちと偕にケデロンの小川の彼方に出でたまふ。彼処に園あり、イエス弟子たちとともども入り給ふ。 043 JOH 018 002 ここは弟子たちと屡々あつまり給ふ處なれば、イエスを賣るユダもこの處を知れり。 043 JOH 018 003 かくてユダは一組の兵隊と祭司長・パリサイ人 等よりの下役どもとを受けて、炬火・燈火・武器を携へて此處にきたる。 043 JOH 018 004 イエス己に臨まんとする事をことごとく知り、進みいでて彼らに言ひたまふ『誰を尋ぬるか』 043 JOH 018 005 答ふ『ナザレのイエスを』イエス言ひたまふ『我はそれなり』イエスを賣るユダも彼らと共に立てり。 043 JOH 018 006 『我はそれなり』と言ひ給ひし時、かれら後退して地に倒れたり。 043 JOH 018 007 ここに再び『たれを尋ぬるか』と問ひ給へば『ナザレのイエスを』と言ふ。 043 JOH 018 008 イエス答へ給ふ『われは夫なりと既に告げたり、我を尋ぬるならば此の人々の去るを容せ』 043 JOH 018 009 これさきに『なんぢの我に賜ひし者の中より、われ一人をも失はず』と言ひ給ひし言の成就せん爲なり。 043 JOH 018 010 シモン・ペテロ劍をもちたるが、之を拔き大 祭司の僕を撃ちて、その右の耳を斬り落す、僕の名はマルコスと云ふ。 043 JOH 018 011 イエス、ペテロに言ひたまふ『劍を鞘に收めよ、父の我に賜ひたる酒杯は、われ飮まざらんや』 043 JOH 018 012 ここにかの兵隊・千卒長・ユダヤ人の下役ども、イエスを捕へて縛り、 043 JOH 018 013 先づアンナスの許に曳き往く、アンナスはその年の大 祭司なるカヤパの舅なり。 043 JOH 018 014 カヤパはさきにユダヤ人に、一人、民のために死ぬるは益なる事を勸めし者なり。 043 JOH 018 015 シモン・ペテロ及び他の一人の弟子、イエスに從ふ。この弟子は大 祭司に知られたる者なれば、イエスと共に大 祭司の庭に入りしが、 043 JOH 018 016 ペテロは門の外に立てり。ここに大 祭司に知られたる彼の弟子いでて、門を守る女に物 言ひてペテロを連れ入れしに、 043 JOH 018 017 門を守る婢女、ペテロに言ふ『なんぢも彼の人の弟子の一人なるか』かれ言ふ『然らず』 043 JOH 018 018 時 寒くして僕・下役ども炭火を熾し、その傍らに立ちて煖まり居りしに、ペテロも共に立ちて煖まりゐたり。 043 JOH 018 019 ここに大 祭司、イエスにその弟子とその教とにつきて問ひたれば、 043 JOH 018 020 イエス答へ給ふ『われ公然に世に語れり、凡てのユダヤ人の相 集ふ會堂と宮とにて常に教へ、密には何をも語りし事なし。 043 JOH 018 021 何ゆゑ我に問ふか、我が語れることは聽きたる人々に問へ。視よ、彼らは我が言ひしことを知るなり』 043 JOH 018 022 かく言ひ給ふとき、傍らに立つ下役の一人、手掌にてイエスを打ちて言ふ『かくも大 祭司に答ふるか』 043 JOH 018 023 イエス答へ給ふ『わが語りし言もし惡しくば、その惡しき故を證せよ。善くば何とて打つぞ』 043 JOH 018 024 ここにアンナス、イエスを縛りたるままにて、大 祭司カヤパの許に送れり。 043 JOH 018 025 シモン・ペテロ立ちて煖まり居たるに、人々いふ『なんぢも彼が弟子の一人なるか』否みて言ふ『然らず』 043 JOH 018 026 大 祭司の僕の一人にて、ペテロに耳を斬り落されし者の親族なるが言ふ『われ汝が園にて彼と偕なるを見しならずや』 043 JOH 018 027 ペテロまた否む折しも鷄 鳴きぬ。 043 JOH 018 028 かくて人々イエスをカヤパの許より官邸にひきゆく、時は夜明なり。彼ら過越の食をなさんために、汚穢を受けじとて己らは官邸に入らず。 043 JOH 018 029 ここにピラト彼らの前に出でゆきて言ふ『この人に對して如何なる訴訟をなすか』 043 JOH 018 030 答へて言ふ『もし惡をなしたる者ならずば汝に付さじ』 043 JOH 018 031 ピラト言ふ『なんぢら彼を引取り、おのが律法に循ひて審け』ユダヤ人いふ『我らに人を殺す權威なし』 043 JOH 018 032 これイエス、己が如何なる死にて死ぬるかを示して、言ひ給ひし御言の成就せん爲なり。 043 JOH 018 033 ここにピラトまた官邸に入り、イエスを呼び出して言ふ『なんぢはユダヤ人の王なるか』 043 JOH 018 034 イエス答へ給ふ『これは汝おのれより言ふか、將わが事を人の汝に告げたるか』 043 JOH 018 035 ピラト答ふ『我はユダヤ人ならんや、汝の國人・祭司長ら汝を我に付したり、汝なにを爲ししぞ』 043 JOH 018 036 イエス答へ給ふ『わが國はこの世のものならず、若し我が國この世のものならば、我が僕ら我をユダヤ人に付さじと戰ひしならん。然れど我が國は此の世よりのものならず』 043 JOH 018 037 ここにピラト言ふ『されば汝は王なるか』イエス答へ給ふ『われの王たることは汝の言へるごとし。我は之がために生れ、之がために世に來れり、即ち眞理につきて證せん爲なり。凡て眞理に屬する者は我が聲をきく』 043 JOH 018 038 ピラト言ふ『眞理とは何ぞ』かく言ひて再びユダヤ人の前に出でて言ふ『我この人に何の罪あるをも見ず。 043 JOH 018 039 過越のとき我なんぢらに一人の囚人を赦す例あり、されば汝らユダヤ人の王をわが赦さんことを望むか』 043 JOH 018 040 彼らまた叫びて『この人ならず、バラバを』と言ふ、バラバは強盜なり。 043 JOH 019 001 ここにピラト、イエスをとりて鞭うつ。 043 JOH 019 002 兵卒ども茨にて冠冕をあみ、その首にかむらせ、紫色の上衣をきせ、 043 JOH 019 003 御許に進みて言ふ『ユダヤ人の王やすかれ』而して手掌にて打てり。 043 JOH 019 004 ピラト再び出でて人々にいふ『視よ、この人を汝らに引 出す、これは何の罪あるをも我が見ぬことを汝らの知らん爲なり』 043 JOH 019 005 ここにイエス茨の冠冕をかむり、紫色の上衣をきて出で給へば、ピラト言ふ『視よ、この人なり』 043 JOH 019 006 祭司長・下役どもイエスを見て叫びいふ『十字架につけよ、十字架につけよ』ピラト言ふ『なんぢら自らとりて十字架につけよ、我は彼に罪あるを見ず』 043 JOH 019 007 ユダヤ人こたふ『我らに律法あり、その律法によれば死に當るべき者なり、彼はおのれを神の子となせり』 043 JOH 019 008 ピラトこの言をききて増々おそれ、 043 JOH 019 009 再び官邸に入りてイエスに言ふ『なんぢは何處よりぞ』イエス答をなし給はず。 043 JOH 019 010 ピラト言ふ『われに語らぬか、我になんぢを赦す權威あり、また十字架につくる權威あるを知らぬか』 043 JOH 019 011 イエス答へ給ふ『なんぢ上より賜はらずば、我に對して何の權威もなし。この故に我をなんぢに付しし者の罪は更に大なり』 043 JOH 019 012 ここにおいてピラト、イエスを赦さんことを力む。されどユダヤ人さけびて言ふ『なんぢ若しこの人を赦さば、カイザルの忠臣にあらず、凡そおのれを王となす者はカイザルに叛くなり』 043 JOH 019 013 ピラトこれらの言をききて、イエスを外にひきゆき、敷石(ヘブル語にてガバタ)といふ處にて審判の座につく。 043 JOH 019 014 この日は過越の準備 日にて、時は第六時ごろなりき。ピラト、ユダヤ人にいふ『視よ、なんぢらの王なり』 043 JOH 019 015 かれら叫びていふ『除け、除け、十字架につけよ』ピラト言ふ『われ汝らの王を十字架につくべけんや』祭司長ら答ふ『カイザルの他われらに王なし』 043 JOH 019 016 ここにピラト、イエスを十字架に釘くるために彼らに付せり。彼らイエスを受取りたれば、 043 JOH 019 017 イエス己に十字架を負ひて、髑髏(ヘブル語にてゴルゴダ)といふ處に出でゆき給ふ。 043 JOH 019 018 其處にて彼らイエスを十字架につく。又ほかに二人の者をともに十字架につけ、一人を右に、一人を左に、イエスを眞中に置けり。 043 JOH 019 019 ピラト罪標を書きて十字架の上に掲ぐ『ユダヤ人の王、ナザレのイエス』と記したり。 043 JOH 019 020 イエスを十字架につけし處は都に近ければ、多くのユダヤ人この標を讀む、標はヘブル、ロマ、ギリシヤの語にて記したり。 043 JOH 019 021 ここにユダヤ人の祭司長らピラトに言ふ『ユダヤ人の王と記さず、我はユダヤ人の王なりと自稱せりと記せ』 043 JOH 019 022 ピラト答ふ『わが記したることは記したるままに』 043 JOH 019 023 兵卒どもイエスを十字架につけし後、その衣をとりて四つに分け、おのおの其の一つを得たり。また下衣を取りしが、下衣は縫目なく、上より惣て織りたる物なれば、 043 JOH 019 024 兵卒ども互にいふ『これを裂くな、誰がうるか鬮にすべし』これは聖書の成就せん爲なり。曰く『かれら互にわが衣をわけ、わが衣を鬮にせり』兵卒ども斯くなしたり。 043 JOH 019 025 さてイエスの十字架の傍らには、その母と母の姉妹と、クロパの妻マリヤとマグダラのマリヤと立てり。 043 JOH 019 026 イエスその母とその愛する弟子との近く立てるを見て、母に言ひ給ふ『をんなよ、視よ、なんぢの子なり』 043 JOH 019 027 また弟子に言ひたまふ『視よ、なんぢの母なり』この時より、その弟子かれを己が家に接けたり。 043 JOH 019 028 この後イエス萬の事の終りたるを知りて、――聖書の全うせられん爲に――『われ渇く』と言ひ給ふ。 043 JOH 019 029 ここに酸き葡萄酒の滿ちたる器あり、その葡萄酒のふくみたる海綿をヒソプに著けてイエスの口に差附く。 043 JOH 019 030 イエスその葡萄酒をうけて後いひ給ふ『事 畢りぬ』遂に首をたれて靈をわたし給ふ。 043 JOH 019 031 この日は準備 日なれば、ユダヤ人、安息 日に屍體を十字架のうへに留めおかじとて(殊にこの度の安息 日は大なる日なるにより)ピラトに、彼らの脛ををりて屍體を取除かんことを請ふ。 043 JOH 019 032 ここに兵卒ども來りて、イエスとともに十字架に釘けられたる第一の者と他のものとの脛を折り、 043 JOH 019 033 而してイエスに來りしに、はや死に給ふを見て、その脛を折らず。 043 JOH 019 034 然るに一人の兵卒、鎗にてその脅をつきたれば、直ちに血と水と流れいづ。 043 JOH 019 035 之を見しもの證をなす、其の證は眞なり、彼はその言ふことの眞なるを知る、これ汝 等にも信ぜしめん爲なり。 043 JOH 019 036 此 等のことの成りたるは『その骨くだかれず』とある聖 句の成就せん爲なり。 043 JOH 019 037 また他に『かれら己が刺したる者を見るべし』と云へる聖 句あり。 043 JOH 019 038 この後、アリマタヤのヨセフとて、ユダヤ人を懼れ密にイエスの弟子たりし者、イエスの屍體を引 取らんことをピラトに請ひたれば、ピラト許せり、乃ち往きてその屍體を引取る。 043 JOH 019 039 また曾て夜 御許に來りしニコデモも、沒藥・沈香の混和物を百 斤ばかり携へて來る。 043 JOH 019 040 ここに彼らイエスの屍體をとり、ユダヤ人の葬りの習慣にしたがひて、香料とともに布にて卷けり。 043 JOH 019 041 イエスの十字架につけられ給ひし處に園あり、園の中にいまだ人を葬りしことなき新しき墓あり。 043 JOH 019 042 ユダヤ人の準備 日なれば、この墓の近きままに其處にイエスを納めたり。 043 JOH 020 001 一週のはじめの日、朝まだき暗きうちに、マグダラのマリヤ墓にきたりて、墓より石の取除けあるを見る。 043 JOH 020 002 乃ち走りゆき、シモン・ペテロとイエスの愛し給ひしかの弟子との許に到りて言ふ『たれか主を墓より取去れり、何處に置きしか我ら知らず』 043 JOH 020 003 ペテロと、かの弟子といでて墓にゆく。 043 JOH 020 004 二人ともに走りたれど、かの弟子ペテロより疾く走りて先に墓にいたり、 043 JOH 020 005 屈みて布の置きたるを見れど、内には入らず。 043 JOH 020 006 シモン・ペテロ後れ來り、墓に入りて布の置きたるを視、 043 JOH 020 007 また首を包みし手拭は布とともに在らず、他のところに卷きてあるを見る。 043 JOH 020 008 先に墓にきたれる彼の弟子もまた入り、之を見て信ず。 043 JOH 020 009 彼らは聖書に録したる、死人の中よりその甦へり給ふべきことを未だ悟らざりしなり。 043 JOH 020 010 遂に二人の弟子おのが家にかへれり。 043 JOH 020 011 然れどマリヤは墓の外に立ちて泣き居りしが、泣きつつ屈みて墓の内を見るに、 043 JOH 020 012 イエスの屍體の置かれし處に、白き衣をきたる二人の御使、首の方にひとり足の方にひとり坐しゐたり。 043 JOH 020 013 而してマリヤに言ふ『をんなよ、何ぞ泣くか』マリヤ言ふ『誰かわが主を取去れり、何處に置きしか我しらず』 043 JOH 020 014 かく言ひて後に振反れば、イエスの立ち居給ふを見る、されどイエスたるを知らず。 043 JOH 020 015 イエス言ひ給ふ『をんなよ、何ぞ泣く、誰を尋ぬるか』マリヤは園守ならんと思ひて言ふ『君よ、汝もし彼を取去りしならば、何處に置きしかを告げよ、われ引取るべし』 043 JOH 020 016 イエス『マリヤよ』と言ひ給ふ。マリヤ振反りて『ラボニ』(釋けば師よ)と言ふ。 043 JOH 020 017 イエス言ひ給ふ『われに觸るな、我いまだ父の許に昇らぬ故なり。我が兄弟たちに往きて「我はわが父すなはち汝らの父、わが神すなはち汝らの神に昇る」といへ』 043 JOH 020 018 マグダラのマリヤ往きて弟子たちに『われは主を見たり』と告げ、また云々の事を言ひ給ひしと告げたり。 043 JOH 020 019 この日すなはち一週のはじめの日の夕、弟子たちユダヤ人を懼るるに因りて、居るところの戸を閉ぢおきしに、イエスきたり彼らの中に立ちて言ひたまふ『平安なんぢらに在れ』 043 JOH 020 020 斯く言ひてその手と脅とを見せたまふ、弟子たち主を見て喜べり。 043 JOH 020 021 イエスまた言ひたまふ『平安なんぢらに在れ、父の我を遣し給へるごとく、我も亦なんぢらを遣す』 043 JOH 020 022 斯く言ひて、息を吹きかけ言ひたまふ『聖 靈をうけよ。 043 JOH 020 023 なんじら誰の罪を赦すとも其の罪ゆるされ、誰の罪を留むるとも其の罪とどめらるべし』 043 JOH 020 024 イエス來り給ひしとき、十二 弟子の一人デドモと稱ふるトマスともに居らざりしかば、 043 JOH 020 025 他の弟子これに言ふ『われら主を見たり』トマスいふ『我はその手に釘の痕を見、わが指を釘の痕にさし入れ、わが手をその脅に差入るるにあらずば信ぜじ』 043 JOH 020 026 八日ののち弟子たちまた家にをり、トマスも偕に居りて戸を閉ぢおきしに、イエス來り、彼らの中に立ちて言ひたまふ『平安なんぢらに在れ』 043 JOH 020 027 またトマスに言ひ給ふ『なんぢの指をここに伸べて、わが手を見よ、汝の手をのべて、我が脅にさしいれよ、信ぜぬ者とならで信ずる者となれ』 043 JOH 020 028 トマス答へて言ふ『わが主よ、わが神よ』 043 JOH 020 029 イエス言ひ給ふ『なんぢ我を見しによりて信じたり、見ずして信ずる者は幸福なり』 043 JOH 020 030 この書に録さざる外の多くの徴を、イエス弟子たちの前にて行ひ給へり。 043 JOH 020 031 されど此 等の事を録ししは、汝 等をしてイエスの神の子キリストたることを信ぜしめ、信じて御名により生命を得しめんが爲なり。 043 JOH 021 001 この後、イエス復テベリヤの海邊にて己を弟子たちに現し給ふ、その現れ給ひしこと左のごとし。 043 JOH 021 002 シモン・ペテロ、デドモと稱ふるトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子ら及びほかの弟子 二人もともに居りしに、 043 JOH 021 003 シモン・ペテロ『われ漁獵にゆく』と言へば、彼ら『われらも共に往かん』と言ひ、皆いでて舟に乘りしが、その夜は何をも得ざりき。 043 JOH 021 004 夜明の頃イエス岸に立ち給ふに、弟子たち其のイエスなるを知らず。 043 JOH 021 005 イエス言ひ給ふ『子どもよ、獲 物ありしか』彼ら『なし』と答ふ。 043 JOH 021 006 イエス言ひたまふ『舟の右のかたに網をおろせ、然らば獲 物あらん』乃ち網を下したるに、魚おびただしくして、網を曳き上ぐること能はざりしかば、 043 JOH 021 007 イエスの愛し給ひし弟子、ペテロに言ふ『主なり』シモン・ペテロ『主なり』と聞きて、裸なりしを上衣をまとひて海に飛びいれり。 043 JOH 021 008 他の弟子たちは陸を離るること遠からず、僅に五十間ばかりなりしかば、魚の入りたる網を小舟にて曳き來り、 043 JOH 021 009 陸に上りて見れば、炭火ありてその上に肴あり、又パンあり。 043 JOH 021 010 イエス言ひ給ふ『なんぢらの今とりたる肴を少し持ちきたれ』 043 JOH 021 011 シモン・ペテロ舟に往きて網を陸に曳き上げしに、百 五 十 三 尾の大なる魚 滿ちたり、斯く多かりしが網は裂けざりき。 043 JOH 021 012 イエス言ひ給ふ『きたりて食せよ』弟子たちその主なるを知れば『なんぢは誰ぞ』と敢へて問ふ者もなし。 043 JOH 021 013 イエス進みてパンをとり彼らに與へ、肴をも然なし給ふ。 043 JOH 021 014 イエス死人の中より甦へりてのち、弟子たちに現れ給ひし事、これにて三度なり。 043 JOH 021 015 かくて食したる後、イエス、シモン・ペテロに言ひ給ふ『ヨハネの子シモンよ、汝この者どもに勝りて我を愛するか』ペテロいふ『主よ、然り、わが汝を愛する事は、なんぢ知り給ふ』イエス言ひ給ふ『わが羔羊を養へ』 043 JOH 021 016 また二度いひ給ふ『ヨハネの子シモンよ、我を愛するか』ペテロ言ふ『主よ、然り、わが汝を愛する事は、なんぢ、知り給ふ』イエス言ひ給ふ『わが羊を牧へ』 043 JOH 021 017 三度いひ給ふ『ヨハネの子シモンよ、我を愛するか』ペテロ三度『われを愛するか』と言ひ給ふを憂ひて言ふ『主よ、知りたまはぬ處なし、わが汝を愛する事は、なんぢ識りたまふ』イエス言ひ給ふ『わが羊をやしなへ。 043 JOH 021 018 まことに誠になんぢに告ぐ、なんぢ若かりし時は自ら帶して欲する處を歩めり、されど老いては手を伸べて他の人に帶せられ、汝の欲せぬ處に連れゆかれん』 043 JOH 021 019 これペテロが如何なる死にて神の榮光を顯すかを示して言ひ給ひしなり。斯く言ひて後かれに言ひ給ふ『われに從へ』 043 JOH 021 020 ペテロ振反りて、イエスの愛したまひし弟子の從ふを見る。これはさきに夕餐のとき御胸に倚りかかりて『主よ、汝を賣る者は誰か』と問ひし弟子なり。 043 JOH 021 021 ペテロこの人を見てイエスに言ふ『主よ、この人は如何に』 043 JOH 021 022 イエス言ひ給ふ『よしや我、かれが我の來るまで留るを欲すとも、汝になにの關係あらんや、汝は我に從へ』 043 JOH 021 023 ここに兄弟たちの中に、この弟子 死なずと云ふ話つたはりたり。されどイエスは死なずと言ひ給ひしにあらず『よしや我、かれが我の來るまで留るを欲すとも、汝になにの關係あらんや』と言ひ給ひしなり。 043 JOH 021 024 これらの事につきて、證をなし、又これを録しし者は、この弟子なり、我等はその證の眞なるを知る。 043 JOH 021 025 イエスの行ひ給ひし事は、この外なほ多し、もし一つ一つ録さば、我おもふに世界もその録すところの書を載するに耐へざらん。 # # BOOK 044 ACT Acts 使徒の働き 044 ACT 001 001 テオピロよ、我さきに前の書をつくりて、凡そイエスの行ひはじめ教へはじめ給ひしより、 044 ACT 001 002 その選び給へる使徒たちに、聖 靈によりて命じたるのち、擧げられ給ひし日に至るまでの事を記せり。 044 ACT 001 003 イエスは苦難をうけしのち、多くの慥なる證をもて、己の活きたることを使徒たちに示し、四十 日の間、しばしば彼らに現れて、神の國のことを語り、 044 ACT 001 004 また彼 等とともに集りゐて命じたまふ『エルサレムを離れずして、我より聞きし父の約束を待て。 044 ACT 001 005 ヨハネは水にてバプテスマを施ししが、汝らは日ならずして聖 靈にてバプテスマを施されん』 044 ACT 001 006 弟子たち集れるとき問ひて言ふ『主よ、イスラエルの國を囘復し給ふは此の時なるか』 044 ACT 001 007 イエス言ひたまふ『時また期は父おのれの權威のうちに置き給へば、汝らの知るべきにあらず。 044 ACT 001 008 然れど聖 靈なんぢらの上に臨むとき、汝ら能力をうけん、而してエルサレム、ユダヤ全國、サマリヤ、及び地の極にまで我が證人とならん』 044 ACT 001 009 此 等のことを言ひ終りて、彼らの見るがうちに擧げられ給ふ。雲これを受けて見えざらしめたり。 044 ACT 001 010 その昇りゆき給ふとき、彼ら天に目を注ぎゐたりしに、視よ、白き衣を著たる二人の人かたはらに立ちて言ふ、 044 ACT 001 011 『ガリラヤの人々よ、何ゆゑ天を仰ぎて立つか、汝らを離れて天に擧げられ給ひし此のイエスは、汝らが天に昇りゆくを見たるその如く復きたり給はん』 044 ACT 001 012 ここに彼 等オリブといふ山よりエルサレムに歸る。この山はエルサレムに近く、安息 日の道程なり。 044 ACT 001 013 既に入りてその留りをる高樓に登る。ペテロ、ヨハネ、ヤコブ及びアンデレ、ピリポ及びトマス、バルトロマイ及びマタイ、アルパヨの子ヤコブ、熱心 黨のシモン及びヤコブの子ユダなり。 044 ACT 001 014 この人々はみな女たち及びイエスの母マリヤ、イエスの兄弟たちと共に、心を一つにして只管いのりを務めゐたり。 044 ACT 001 015 その頃ペテロ、百二十 名ばかり共に集りて群をなせる兄弟たちの中に立ちて言ふ、 044 ACT 001 016 『兄弟たちよ、イエスを捕ふる者どもの手引となりしユダにつきて、聖 靈ダビデの口によりて預じめ言ひ給ひし聖書は、かならず成就せざるを得ざりしなり。 044 ACT 001 017 彼は我らの中に數へられ、此の務に與りたればなり。 044 ACT 001 018 (この人は、かの不義の價をもて地所を得、また俯伏に墜ちて直中より裂けて臓腑みな流れ出でたり。 044 ACT 001 019 この事エルサレムに住む凡ての人に知られて、その地所は國語にてアケルダマと稱へらる、血の地所との義なり) 044 ACT 001 020 それは詩 篇に録して「彼の住處は荒れ果てよ、人その中に住はざれ」と云ひ、又「その職はほかの人に得させよ」と云ひたり。 044 ACT 001 021 然れば主イエス我等のうちに往來し給ひし間、 044 ACT 001 022 即ちヨハネのバプテスマより始り、我らを離れて擧げられ給ひし日に至るまで、常に我らと偕に在りし此の人々のうち一人、われらと共に主の復活の證人となるべきなり』 044 ACT 001 023 ここにバルサバと稱へられ、またの名をユストと呼ばるるヨセフ及びマツテヤの二人をあげ、 044 ACT 001 024 祈りて言ふ『凡ての人の心を知りたまふ主よ、ユダ己が所に往かんとて此の務と使徒の職とより墮ちたれば、その後を繼がするに、此の二人のうち孰を選び給ふか示したまへ』 044 ACT 001 025 祈りて言ふ『凡ての人の心を知りたまふ主よ、ユダ己が所に往かんとて此の務と使徒の職とより墮ちたれば、その後を繼がするに、此の二人のうち孰を選び給ふか示したまへ』 044 ACT 001 026 かくて鬮せしに、鬮はマツテヤに當りたれば、彼は十 一の使徒に加へられたり。 044 ACT 002 001 五旬節の日となり、彼らみな一處に集ひ居りしに、 044 ACT 002 002 烈しき風の吹ききたるごとき響、にはかに天より起りて、その坐する所の家に滿ち、 044 ACT 002 003 また火の如きもの舌のやうに現れ、分れて各人の上にとどまる。 044 ACT 002 004 彼らみな聖 靈にて滿され、御靈の宣べしむるままに異邦の言にて語りはじむ。 044 ACT 002 005 時に敬虔なるユダヤ人ら、天下の國々より來りてエルサレムに住み居りしが、 044 ACT 002 006 この音おこりたれば群衆あつまり來り、おのおの己が國語にて使徒たちの語るを聞きて騷ぎ合ひ、 044 ACT 002 007 かつ驚き怪しみて言ふ『視よ、この語る者は皆ガリラヤ人ならずや、 044 ACT 002 008 如何にして我等おのおのの生れし國の言をきくか。 044 ACT 002 009 我等はパルテヤ人、メヂヤ人、エラム人、またメソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポント、アジヤ、 044 ACT 002 010 フルギヤ、パンフリヤ、エジプト、リビヤのクレネに近き地方などに住む者、ロマよりの旅人――ユダヤ人および改宗者―― 044 ACT 002 011 クレテ人およびアラビヤ人なるに、我が國語にて彼らが神の大なる御業をかたるを聞かんとは』 044 ACT 002 012 みな驚き惑ひて互に言ふ『これ何事ぞ』 044 ACT 002 013 或 者どもは嘲りて言ふ『かれらは甘き葡萄酒にて滿されたり』 044 ACT 002 014 ここにペテロ十 一の使徒とともに立ち、聲を揚げ宣べて言ふ『ユダヤの人々および凡てエルサレムに住める者よ、汝 等わが言に耳を傾けて、この事を知れ。 044 ACT 002 015 今は朝の九時なれば、汝らの思ふごとく彼らは醉ひたるに非ず、 044 ACT 002 016 これは預言者ヨエルによりて言はれたる所なり。 044 ACT 002 017 「神いひ給はく、末の世に至りて、我が靈を凡ての人に注がん。汝らの子 女は預言し、汝らの若者は幻影を見、なんぢらの老人は夢を見るべし。 044 ACT 002 018 その世に至りて、わが僕・婢女にわが靈を注がん、彼らは預言すべし。 044 ACT 002 019 われ上は天に不思議を、下は地に徴をあらはさん、即ち血と火と煙の氣とあるべし。 044 ACT 002 020 主の大なる顯著しき日のきたる前に、日は闇に月は血に變らん。 044 ACT 002 021 すべて主の御名を呼び頼む者は救はれん」 044 ACT 002 022 イスラエルの人々よ、これらの言を聽け。ナザレのイエスは、汝らの知るごとく、神かれに由りて汝らの中に行ひ給ひし能力ある業と不思議と徴とをもて、汝らに證し給へる人なり。 044 ACT 002 023 この人は神の定め給ひし御旨と、預じめ知り給ふ所とによりて付されしが、汝ら不法の人の手をもて釘磔にして殺せり。 044 ACT 002 024 然れど神は死の苦難を解きて之を甦へらせ給へり。彼は死に繋がれをるべき者ならざりしなり。 044 ACT 002 025 ダビデ彼につきて言ふ「われ常に我が前に主を見たり、我が動かされぬ爲に我が右に在せばなり。 044 ACT 002 026 この故に我が心は樂しみ、我が舌は喜べり、かつ我が肉體もまた望の中に宿らん。 044 ACT 002 027 汝わが靈魂を黄泉に棄て置かず、汝の聖者の朽果つることを許し給はざればなり。 044 ACT 002 028 汝は生命の道を我に示し給へり、御顏の前にて我に勸喜を滿し給はん」 044 ACT 002 029 兄弟たちよ、先祖ダビデに就きて、われ憚らず汝らに言ふを得べし、彼は死にて葬られ、その墓は今日に至るまで我らの中にあり。 044 ACT 002 030 即ち彼は預言者にして、己の身より出づる者をおのれの座位に坐せしむることを、誓をもて神の約し給ひしを知り、 044 ACT 002 031 先見して、キリストの復活に就きて語り、その黄泉に棄て置かれず、その肉體の朽果てぬことを言へるなり。 044 ACT 002 032 神はこのイエスを甦へらせ給へり、我らは皆その證人なり。 044 ACT 002 033 イエスは神の右に擧げられ、約束の聖 靈を父より受けて、汝らの見 聞する此のものを注ぎ給ひしなり。 044 ACT 002 034 それダビデは天に昇りしことなし、然れど自ら言ふ「主わが主に言ひ給ふ、 044 ACT 002 035 我なんぢの敵を汝の足臺となすまでは、わが右に坐せよ」と。 044 ACT 002 036 然ればイスラエルの全家は確と知るべきなり。汝らが十字架に釘けし此のイエスを、神は立てて主となし、キリストとなし給へり』 044 ACT 002 037 人々これを聞きて心を刺され、ペテロと他の使徒たちとに言ふ『兄弟たちよ、我ら何をなすべきか』 044 ACT 002 038 ペテロ答ふ『なんぢら悔改めて、おのおの罪の赦を得んために、イエス・キリストの名によりてバプテスマを受けよ、然らば聖 靈の賜物を受けん。 044 ACT 002 039 この約束は汝らと汝らの子らと、凡ての遠き者すなはち主なる我らの神の召し給ふ者とに屬くなり』 044 ACT 002 040 この他なほ多くの言をもて證し、かつ勸めて『この曲れる代より救ひ出されよ』と言へり。 044 ACT 002 041 かくてペテロの言を聽納れし者はバプテスマを受く。この日、弟子に加はりたる者、おほよそ三 千 人なり。 044 ACT 002 042 彼らは使徒たちの教を受け、交際をなし、パンを擘き、祈祷をなすことを只管つとむ。 044 ACT 002 043 ここに人みな敬畏を生じ、多くの不思議と徴とは使徒たちに由りて行はれたり。 044 ACT 002 044 信じたる者はみな偕に居りて諸般の物を共にし、 044 ACT 002 045 資産と所有とを賣り、各人の用に從ひて分け與へ、 044 ACT 002 046 日々、心を一つにして弛みなく宮に居り、家にてパンをさき、勸喜と眞心とをもて食事をなし、 044 ACT 002 047 神を讃美して一般の民に悦ばる。かくて主は救はるる者を日々かれらの中に加へ給へり。 044 ACT 003 001 晝の三時いのりの時に、ペテロとヨハネと宮に上りしが、 044 ACT 003 002 ここに生れながらの跛者かかれて來る。宮に入る人より施濟を乞ふために、日々 宮の美麗といふ門に置かるるなり。 044 ACT 003 003 ペテロとヨハネとの宮に入らんとするを見て施濟を乞ひたれば、 044 ACT 003 004 ペテロ、ヨハネと共に目を注めて『我らを見よ』と言ふ。 044 ACT 003 005 かれ何をか受くるならんと、彼らを見つめたるに、 044 ACT 003 006 ペテロ言ふ『金 銀は我になし、然れど我に有るものを汝に與ふ、ナザレのイエス・キリストの名によりて歩め』 044 ACT 003 007 乃ち右の手を執りて起ししに、足の甲と踝骨とたちどころに強くなりて、 044 ACT 003 008 躍り立ち歩み出して、且あゆみ且をどり、神を讃美しつつ彼らと共に宮に入れり。 044 ACT 003 009 民みな其の歩み、また神を讃美するを見て、 044 ACT 003 010 彼が前に乞食にて宮の美麗 門に坐しゐたるを知れば、この起りし事に就きて驚駭と奇異とに充ちたり。 044 ACT 003 011 かくて彼がペテロとヨハネとに取りすがり居るほどに、民みな甚だしく驚きてソロモンの廊と稱ふる廊に馳せつどふ。 044 ACT 003 012 ペテロこれを見て民に答ふ『イスラエルの人々よ、何ぞ此の事を怪しむか、何ぞ我らが己の能力と敬虔とによりて此の人を歩ませしごとく、我らを見つむるか。 044 ACT 003 013 アブラハム、イサク、ヤコブの神、われらの先祖の神は、その僕イエスに榮光あらしめ給へり。汝 等このイエスを付し、ピラトの之を釋さんと定めしを、其の前にて否みたり。 044 ACT 003 014 汝らは、この聖者・義人を否みて、殺人者を釋さんことを求め、 044 ACT 003 015 生命の君を殺したれど、神はこれを死人の中より甦へらせ給へり、我らは其の證人なり。 044 ACT 003 016 斯くてその御名を信ずるに因りてその御名は、汝らの見るところ識るところの此の人を健くしたり。イエスによる信仰は、汝 等もろもろの前にて斯かる全癒を得させたり。 044 ACT 003 017 兄弟よ、われ知る、汝らが、かの事を爲ししは知らぬに因りてなり。汝らの司たちも亦 然り。 044 ACT 003 018 然れど神は凡ての預言者の口をもて、キリストの苦難を受くべきことを預じめ告げ給ひしを、斯くは成就し給ひしなり。 044 ACT 003 019 然れば汝ら罪を消されん爲に、悔改めて心を轉ぜよ。 044 ACT 003 020 これ主の御前より慰安の時きたり、汝らの爲に預じめ定め給へるキリスト・イエスを遣し給はんとてなり。 044 ACT 003 021 古へより神が、その聖なる預言者の口によりて語り給ひし、萬物の革まる時まで、天は必ずイエスを受けおくべし。 044 ACT 003 022 モーセ云へらく「主なる神は汝らの兄弟の中より我がごとき預言者を起し給はん。その語る所のことは汝 等ことごとく聽くべし。 044 ACT 003 023 凡てこの預言者に聽かぬ者は民の中より滅し盡さるべし」 044 ACT 003 024 又サムエル以來かたりし預言者も、皆この時につきて宣傳へたり。 044 ACT 003 025 汝らは預言者たちの子孫なり、又なんぢらの先祖たちに神の立て給ひし契約の子孫なり、即ち神アブラハムに告げ給はく「なんぢの裔によりて地の諸族はみな祝福せらるべし」 044 ACT 003 026 神はその僕を甦へらせ、まづ汝らに遣し給へり、これ汝ら各人を、その罪より呼びかへして祝福せん爲なり』 044 ACT 004 001 かれら民に語り居るとき、祭司ら・宮守頭およびサドカイ人ら近づき來りて、 044 ACT 004 002 その民を教へ、又イエスの事を引きて死人の中よりの復活を宣ぶるを憂ひ、 044 ACT 004 003 手をかけて之を捕へしに、はや夕になりたれば、明くる日まで留置場に入れたり。 044 ACT 004 004 然れど、その言を聽きたる人々の中にも信ぜし者おほくありて、男の數おほよそ五 千 人となりたり。 044 ACT 004 005 明くる日、司・長老・學者らエルサレムに會し、 044 ACT 004 006 大 祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル及び大 祭司の一族みな集ひて、 044 ACT 004 007 その中にかの二人を立てて問ふ『如何なる能力いかなる名によりて此の事を行ひしぞ』 044 ACT 004 008 この時ペテロ聖 靈にて滿され、彼らに言ふ『民の司たち及び長老たちよ、 044 ACT 004 009 我らが病める者になしし善き業に就き、その如何にして救はれしかを今日もし訊さるるならば、 044 ACT 004 010 汝ら一同およびイスラエルの民みな知れ、この人の健かになりて汝らの前に立つは、ナザレのイエス・キリスト、即ち汝らが十字架に釘け、神が死人の中より甦へらせ給ひし者の名に頼ることを。 044 ACT 004 011 このイエスは汝ら造家者に輕しめられし石にして、隅の首石となりたるなり。 044 ACT 004 012 他の者によりては救を得ることなし、天の下には我らの頼りて救はるべき他の名を、人に賜ひし事なければなり』 044 ACT 004 013 彼らはペテロとヨハネとの臆することなきを見、その無學の凡人なるを知りたれば、之を怪しみ、且そのイエスと偕にありし事を認む。 044 ACT 004 014 また醫されたる人の之とともに立つを見るによりて、更に言ひ消す辭なし。 044 ACT 004 015 ここに、命じて彼らを衆議所より退け、相 共に議りて言ふ、 044 ACT 004 016 『この人々を如何にすべきぞ。彼 等によりて顯著しき徴の行はれし事は、凡てエルサレムに住む者に知られ、我ら之を否むこと能はねばなり。 044 ACT 004 017 然れど愈々ひろく民の中に言ひ弘らぬやうに、彼らを脅かして、今より後かの名によりて誰にも語る事なからしめん』 044 ACT 004 018 乃ち彼らを呼び、一切イエスの名によりて語り、また教へざらんことを命じたり。 044 ACT 004 019 ペテロとヨハネと答へていふ『神に聽くよりも汝らに聽くは、神の御前に正しきか、汝ら之を審け。 044 ACT 004 020 我らは見しこと聽きしことを語らざるを得ず』 044 ACT 004 021 民みな此の有りし事に就きて神を崇めたれば、彼らを罰するに由なく、更にまた脅かして釋せり。 044 ACT 004 022 かの徴によりて醫されし人は四十歳 餘なりしなり。 044 ACT 004 023 彼ら釋されて、その友の許にゆき、祭司長・長老らの言ひし凡てのことを告げたれば、 044 ACT 004 024 之を聞きて皆 心を一つにし、神に對ひ、聲を揚げて言ふ『主よ、汝は天と地と海と、其の中のあらゆる物とを造り給へり。 044 ACT 004 025 曾て聖 靈によりて、汝の僕われらの先祖ダビデでの口をもて「何ゆゑ異邦人は騷ぎ立ち、民らは空しき事を謀るぞ。 044 ACT 004 026 世の王たちは共に立ち、司らは一つにあつまりて、主および其のキリストに逆ふ」と宣給へり。 044 ACT 004 027 果してヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人およびイスラエルの民 等とともに、汝の油そそぎ給ひし聖なる僕イエスに逆ひて、此の都にあつまり、 044 ACT 004 028 御手と御旨とにて、斯く成るべしと預じめ定め給ひし事をなせり。 044 ACT 004 029 主よ、今かれらの脅喝を御覽し、僕らに御言を聊かも臆することなく語らせ、 044 ACT 004 030 御手をのべて醫を施させ、汝の聖なる僕イエスの名によりて、徴と不思議とを行はせ給へ』 044 ACT 004 031 祈り終へしとき、其の集りをる處ふるひ動き、みな聖 靈にて滿され、臆することなく神の御言を語れり。 044 ACT 004 032 信じたる者の群は、おなじ心おなじ思となり、誰 一人その所有を己が者と謂はず、凡ての物を共にせり。 044 ACT 004 033 かくて使徒たちは大なる能力をもて、主イエスの復活の證をなし、みな大なる恩惠を蒙りたり。 044 ACT 004 034 彼らの中には一人の乏しき者もなかりき。これ地所あるいは家屋を有てる者、これを賣り、その賣りたる物の價を持ち來りて、 044 ACT 004 035 使徒たちの足下に置きしを、各人その用に隨ひて分け與へられたればなり。 044 ACT 004 036 ここにクプロに生れたるレビ人にて、使徒たちにバルナバ(釋けば慰籍の子)と稱へらるるヨセフ、 044 ACT 004 037 畑ありしを賣りて其の金を持ちきたり、使徒たちの足下に置けり。 044 ACT 005 001 然るにアナニヤと云ふ人、その妻サツピラと共に資産を賣り、 044 ACT 005 002 その價の幾分を匿しおき、殘る幾分を持ちきたりて使徒たちの足下に置きしが、妻も之を與れり。 044 ACT 005 003 ここにペテロ言ふ『アナニヤよ、何 故なんぢの心サタンに滿ち、聖 靈に對し詐りて、地所の價の幾分を匿したるぞ。 044 ACT 005 004 有りし時は汝の物なり、賣りて後も汝の權の内にあるに非ずや、何とて斯ることを心に企てし。なんぢ人に對してにあらず、神に對して詐りしなり』 044 ACT 005 005 アナニヤこの言をきき、倒れて息 絶ゆ。これを聞く者みな大なる懼を懷く。 044 ACT 005 006 若者ども立ちて彼を包み、舁き出して葬れり。 044 ACT 005 007 凡そ三 時間を經て、その妻この有りし事を知らずして入り來りしに、 044 ACT 005 008 ペテロ之に向ひて言ふ『なんぢら此 程の價にてかの地所を賣りしか、我に告げよ』女いふ『然り、此 程なり』 044 ACT 005 009 ペテロ言ふ『なんぢら何ぞ心を合せて主の御靈を試みんとせしか、視よ、なんぢの夫を葬りし者の足は門口にあり、汝をもまた舁き出すべし』 044 ACT 005 010 をんな立刻にペテロの足下に倒れて息 絶ゆ。若者ども入り來りて、その死にたるを見、これを舁き出して夫の傍らに葬れり。 044 ACT 005 011 ここに全 教會および此 等のことを聞く者みな大なる懼を懷けり。 044 ACT 005 012 使徒たちの手によりて多くの徴と不思議と民の中に行はれたり。彼 等はみな心を一つにして、ソロモンの廊にあり。 044 ACT 005 013 他の者どもは敢へて近づかず、民は彼らを崇めたり。 044 ACT 005 014 信ずるもの男女とも増々おほく主に屬けり。 044 ACT 005 015 終には人々、病める者を大路に舁ききたり、寢臺または床の上におく。此 等のうち誰にもせよ、ペテロの過ぎん時、その影になりと庇はれんとてなり。 044 ACT 005 016 又エルサレムの周圍の町々より多くの人々、病める者・穢れし靈に惱されたる者を携へきたりて集ひたりしが、みな醫されたり。 044 ACT 005 017 ここに大 祭司および之と偕なる者、即ちサドカイ派の人々、みな嫉に滿されて立ち、 044 ACT 005 018 使徒たちに手をかけて之を留置場に入る。 044 ACT 005 019 然るに主の使、夜、獄の戸をひらき、彼らを連れ出して言ふ、 044 ACT 005 020 『往きて宮に立ち、この生命の言をことごとく民に語れ』 044 ACT 005 021 かれら之を聞き、夜明がた宮に入りて教ふ。大 祭司および之と偕なる者ども集ひきたりて、議會とイスラエル人の元老とを呼びあつめ、使徒たちを曳き來らせんとて人を牢舍に遣したり。 044 ACT 005 022 下役ども往きしに、獄のうちに彼らの居らぬを見て、歸りきたり告げて言ふ、 044 ACT 005 023 『われら牢舍の堅く閉ぢられて、戸の前に牢番の立ちたるを見しに、開きて見れば、内には誰も居らざりき』 044 ACT 005 024 宮守頭および祭司長らこの言を聞きて、如何になりゆくべきかと惑ひいたるに、 044 ACT 005 025 或 人きたり告げて言ふ『視よ、汝らの獄に入れし人は、宮に立ちて民を教へ居るなり』 044 ACT 005 026 ここに宮守頭、下役を伴ひて出でゆき、彼らを曳き來る。されど手暴きことをせざりき、これ民より石にて打たれんことを恐れたるなり。 044 ACT 005 027 彼らを連れ來りて議會の中に立てたれば、大 祭司 問ひて言ふ、 044 ACT 005 028 『我等かの名によりて教ふることを堅く禁ぜしに、視よ、汝らは其の教をエルサレムに滿し、かの人の血を我らに負はせんとす』 044 ACT 005 029 ペテロ及び他の使徒たち答へて言ふ『人に從はんよりは神に從ふべきなり。 044 ACT 005 030 我らの先祖の神はイエスを起し給ひしに、汝らは之を木に懸けて殺したり。 044 ACT 005 031 神は彼を君とし救主として己が右にあげ、悔改と罪の赦とをイスラエルに與へしめ給ふ。 044 ACT 005 032 我らは此の事の證人なり。神のおのれに從ふ者に賜ふ聖 靈もまた然り』 044 ACT 005 033 かれら之をききて怒に滿ち、使徒たちを殺さんと思へり。 044 ACT 005 034 然るにパリサイ人にて凡ての民に尊ばるる教法 學者ガマリエルと云ふもの、議會の中に立ち、命じて使徒たちを暫く外に出さしめ、議員らに向ひて言ふ、 044 ACT 005 035 『イスラエルの人よ、汝らが此の人々に爲さんとする事につきて心せよ。 044 ACT 005 036 前にチウダ起りて、自ら大なりと稱し、之に附 隨ふ者の數おほよそ四 百 人なりしが、彼は殺され、從へる者はみな散されて跡なきに至れり。 044 ACT 005 037 そののち戸籍 登録のときガリラヤのユダ起りて、多くの民を誘ひおのれに從はしめしが、彼も亡び從へる者もことごとく散されたり。 044 ACT 005 038 然れば今なんぢらに言ふ、この人々より離れて、その爲すに任せよ。若しその企圖その所作、人より出でたらんにはおのづから壞れん。 044 ACT 005 039 もし神より出でたらんには彼らを壞ること能はず、恐らくは汝ら神に敵する者とならん』 044 ACT 005 040 彼 等その勸告にしたがひ、遂に使徒たちを呼び出して之を鞭うち、イエスの名によりて語ることを堅く禁じて釋せり。 044 ACT 005 041 使徒たちは御名のために辱しめらるるに相應しき者とせられたるを喜びつつ、議員らの前を出で去れり。 044 ACT 005 042 かくて日毎に宮また家にて教をなし、イエスのキリストなる事を宣傳へて止まざりき。 044 ACT 006 001 そのころ弟子のかず増 加はり、ギリシヤ語のユダヤ人、その寡婦らが日々の施濟に漏されたれば、ヘブル語のユダヤ人に對して呟く事あり。 044 ACT 006 002 ここに十二 使徒すべての弟子を呼び集めて言ふ『われら神の言を差措きて、食卓に事ふるは宣しからず。 044 ACT 006 003 然れば兄弟よ、汝らの中より御靈と智慧とにて滿ちたる令聞ある者 七人を見出せ、それに此の事を掌どらせん。 044 ACT 006 004 我らは專ら祈をなすことと、御言に事ふることとを務めん』 044 ACT 006 005 集れる凡ての者この言を善しとし、信仰と聖 靈とにて滿ちたるステパノ及びピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、またアンテオケの改宗者ニコラオを選びて、 044 ACT 006 006 使徒たちの前に立てたれば、使徒たち祈りて手をその上に按けり。 044 ACT 006 007 かくて神の言ますます弘り、弟子の數エルサレムにて甚だ多くなり、祭司の中にも信仰の道に從へるもの多かりき。 044 ACT 006 008 さてステパノは恩惠と能力とにて滿ち、民の中に大なる不思議と徴とを行へり。 044 ACT 006 009 ここに世に稱ふるリベルテンの會堂およびクレネ人、アレキサンデリヤ人、またキリキヤとアジヤとの人の諸 會堂より、人々 起ちてステパノと論ぜしが、 044 ACT 006 010 その語るところの智慧と御靈とに敵すること能はず。 044 ACT 006 011 乃ち或 者どもを唆かして『我らはステパノが、モーセと神とを瀆す言をいふを聞けり』と言はしめ、 044 ACT 006 012 民および長老・學者らを煽動し、俄に來りてステパノを捕へ、議會に曳きゆき、 044 ACT 006 013 僞證者を立てて言はしむ『この人はこの聖なる所と律法とに逆ふ言を語りて止まず、 044 ACT 006 014 即ち、かのナザレのイエスは此の所を毀ち、かつモーセの傳へし例を變ふべしと、彼が云へるを聞けり』と。 044 ACT 006 015 ここに議會に坐したる者みな目を注ぎてステパノを見しに、その顏は御使の顏の如くなりき。 044 ACT 007 001 かくて大 祭司いふ『此 等のこと果してかくの如きか』 044 ACT 007 002 ステパノ言ふ『兄弟たち親たちよ、聽け、我らの先祖アブラハム未だカランに住まずして尚メソポタミヤに居りしとき、榮光の神あらはれて、 044 ACT 007 003 「なんぢの土地、なんぢの親族を離れて、我が示さんとする地に往け」と言ひ給へり。 044 ACT 007 004 ここにカルデヤの地に出でてカランに住みたりしが、その父の死にしのち、神は彼を彼處より汝らの今 住める此の地に移らしめ、 044 ACT 007 005 此處にて足、蹈立つる程の地をも嗣業に與へ給はざりき。然るに、その地を未だ子なかりし彼と彼の裔とに所有として與へんと約し給へり。 044 ACT 007 006 神また其の裔は他の國に寄寓人となり、その國人は之を四百年のあひだ奴隷となして苦しめん事を告げ給へり。 044 ACT 007 007 神いひ給ふ「われは彼らを奴隷とする國人を審かん、然るのち彼 等その國を出で、この處にて我に事へん」 044 ACT 007 008 神また割禮の契約をアブラハムに與へ給ひたれば、イサクを生みて八日めに之に割禮を行へり。イサクはヤコブを、ヤコブは十二の先祖を生めり。 044 ACT 007 009 先祖たちヨセフを嫉みてエジプトに賣りしに、神は彼と偕に在して、 044 ACT 007 010 凡ての患難より之を救ひ出し、エジプトの王パロの前にて寵愛を得させ、また智慧を與へ給ひたれば、パロ之を立ててエジプトと己が全家との宰となせり。 044 ACT 007 011 時にエジプトとカナンの全地とに飢饉ありて大なる患難おこり、我らの先祖たち糧を求め得ざりしが、 044 ACT 007 012 ヤコブ、エジプトに穀物あるを聞きて、先づ我らの先祖たちを遣す。 044 ACT 007 013 二度めの時ヨセフその兄弟たちに知られ、ヨセフの氏族パロに明かになれり。 044 ACT 007 014 ヨセフ言ひ遣して己が父ヤコブと凡ての親族と七 十 五 人を招きたれば、 044 ACT 007 015 ヤコブ、エジプトに下り、彼處にて己も我らの先祖たちも死にたり。 044 ACT 007 016 彼 等シケムに送られ、曾てアブラハムがシケムにてハモルの子 等より銀をもて買ひ置きし墓に葬られたり。 044 ACT 007 017 かくて神のアブラハムに語り給ひし約束の時 近づくに隨ひて、民はエジプトに蕃えひろがり、 044 ACT 007 018 ヨセフを知らぬ他の王、エジプトに起るに及べり。 044 ACT 007 019 王は惡計をもて我らの同族にあたり、我らの先祖たちを苦しめて、其の嬰兒の生存ふる事なからんやう、之を棄つるに至らしめたり。 044 ACT 007 020 その頃モーセ生れて甚うるはしくして三月のあいだ父の家に育てられ、 044 ACT 007 021 遂に棄てられしを、パロの娘ひき上げて己が子として育てたり。 044 ACT 007 022 かくてモーセはエジプト人の凡ての學術を教へられ、言と業とに能力あり。 044 ACT 007 023 年齡 四十になりたる時、おのが兄弟たるイスラエルの子孫を顧みる心おこり、 044 ACT 007 024 一人の害はるるを見て之を護り、エジプト人を撃ちて、虐げらるる者の仇を復せり。 044 ACT 007 025 彼は己の手によりて神が救を與へんとし給ふことを、兄弟たち悟りしならんと思ひたるに、悟らざりき。 044 ACT 007 026 翌日かれらの相 爭ふところに現れて和睦を勸めて言ふ「人々よ、汝らは兄弟なるに、何ぞ互に害ふか」 044 ACT 007 027 隣を害ふ者モーセを押退けて言ふ「誰が汝を立てて我らの司また審判 人とせしぞ、 044 ACT 007 028 昨日エジプト人を殺したる如く、我をも殺さんとするか」 044 ACT 007 029 この言により、モーセ遁れてミデアンの地の寄寓人となり、彼處にて二人の子を儲けたり。 044 ACT 007 030 四十 年を歴て後シナイ山の荒野にて、御使、柴の焔のなかに現れたれば、 044 ACT 007 031 モーセ之を見て視るところを怪しみ、認めんとして近づきしとき、主の聲あり。曰く、 044 ACT 007 032 「我は汝の先祖たちの神、即ちアブラハム、イサク、ヤコブの神なり」モーセ戰慄き敢へて認むることを爲ず。 044 ACT 007 033 主いひ給ふ「なんぢの足の鞋を脱げ、なんぢの立つところは聖なる地なり。 044 ACT 007 034 我エジプトに居る我が民の苦難を見、その歎息をききて之を救はん爲に降れり。いで我なんぢをエジプトに遣さん」 044 ACT 007 035 斯く彼らが「誰が汝を立てて司また審判 人とせしぞ」と言ひて拒みし此のモーセを、神は柴のなかに現れたる御使の手により、司また救人として遣し給へり。 044 ACT 007 036 この人かれらを導き出し、エジプトの地にても、また紅海および四十 年のあひだ荒野にても、不思議と徴とを行ひたり。 044 ACT 007 037 イスラエルの子らに「神は汝らの兄弟の中より、我がごとき預言者を起し給はん」と云ひしは此のモーセなり。 044 ACT 007 038 彼はシナイ山にて語りし御使および我らの先祖たちと偕に荒野なる集會に在りて汝らに與へん爲に生ける御言を授りし人なり。 044 ACT 007 039 然るに我らの先祖たちは此の人に從ふことを好まず、反つて之を押退け、その心エジプトに還りて、 044 ACT 007 040 アロンに言ふ「我らに先だち往くべき神々を造れ、我らをエジプトの地より導き出しし、かのモーセの如何になりしかを知らざればなり」 044 ACT 007 041 その頃かれら犢を造り、その偶像に犧牲をささげて己が手の所作を喜べり。 044 ACT 007 042 爰に神は彼らを離れ、その天の軍勢に事ふるに任せ給へり。これは預言者たちの書に「イスラエルの家よ、なんぢら荒野にて四十 年の間、屠りし畜と犧牲とを我に献げしや。 044 ACT 007 043 汝らは拜せんとして造れる像、すなはちモロクの幕屋と神ロンパの星とを舁きたり。われ汝らをバビロンの彼方に移さん」と録されたるが如し。 044 ACT 007 044 我らの先祖たちは荒野にて證の幕屋を有てり、モーセに語り給ひし者の、彼が見し式に循ひて造れと命じ給ひしままなり。 044 ACT 007 045 我らの先祖たちは之を承け繼ぎ、先祖たちの前より神の逐ひいだし給ひし異邦人の領地を收めし時、ヨシユアとともに携へ來りてダビデの日に及べり。 044 ACT 007 046 ダビデ神の前に恩惠を得て、ヤコブの神のために住處を設けんと求めたり。 044 ACT 007 047 而して、その家を建てたるはソロモンなりき。 044 ACT 007 048 されど至高者は手にて造れる所に住み給はず、即ち預言者の 044 ACT 007 049 「主のたまはく、天は我が座位、地は我が足臺なり。汝 等わが爲に如何なる家をか建てん、わが休息のところは何處なるぞ。 044 ACT 007 050 わが手は凡て此 等の物を造りしにあらずや」と云へるが如し。 044 ACT 007 051 項強くして心と耳とに割禮なき者よ、汝らは常に聖 靈に逆ふ、その先祖たちの如く汝らも然り。 044 ACT 007 052 汝らの先祖たちは預言者のうちの誰をか迫害せざりし。彼らは義人の來るを預じめ告げし者を殺し、汝らは今この義人を賣り、かつ殺す者となれり。 044 ACT 007 053 なんぢら、御使たちの傳へし律法を受けて、尚これを守らざりき』 044 ACT 007 054 人々これらの言を聞きて、心いかりに滿ち切齒しつつステパノに向ふ。 044 ACT 007 055 ステパノは聖 靈にて滿ち、天に目を注ぎ、神の榮光およびイエスの神の右に立ちたまふを見て言ふ、 044 ACT 007 056 『視よ、われ天 開けて人の子の神の右に立ち給ふを見る』 044 ACT 007 057 ここに彼ら大聲に叫びつつ、耳を掩ひ心を一つにして驅け寄り、 044 ACT 007 058 ステパノを町より逐ひいだし、石にて撃てり。證人らその衣をサウロといふ若者の足下に置けり。 044 ACT 007 059 かくて彼 等がステパノを石にて撃てるとき、ステパノ呼びて言ふ『主イエスよ、我が靈を受けたまへ』 044 ACT 007 060 また跪づきて大聲に『主よ、この罪を彼らの負はせ給ふな』と呼はる。斯く言ひて眠に就けり。 044 ACT 008 001 サウロは彼の殺さるるを可しとせり。その日エルサレムに在る教會に對ひて大なる迫害おこり、使徒たちの他は皆ユダヤ及びサマリヤの地方に散さる。 044 ACT 008 002 敬虔なる人々ステパノを葬り、彼のために大に胸 打てり。 044 ACT 008 003 サウロは教會をあらし、家々に入り男女を引出して獄に付せり。 044 ACT 008 004 ここに散されたる者ども歴 巡りて御言を宣べしが、 044 ACT 008 005 ピリポはサマリヤの町に下りてキリストの事を傳ふ。 044 ACT 008 006 群衆ピリポの行ふ徴を見 聞して、心を一つにし、謹みて其の語る事どもを聽けり。 044 ACT 008 007 これ多くの人より、之に憑きたる穢れし靈、大聲に叫びて出で、また中風の者と跛者と多く醫されたるに因る。 044 ACT 008 008 この故にその町に大なる勸喜おこれり。 044 ACT 008 009 ここにシモンといふ人あり、前にその町にて魔術を行ひ、サマリヤ人を驚かして自ら大なる者と稱へたり。 044 ACT 008 010 小より大に至る凡ての人つつしみて之に聽き『この人は、いわゆる神の大能なり』といふ。 044 ACT 008 011 かく謹みて聽けるは、久しき間その魔術に驚かされし故なり。 044 ACT 008 012 然るにピリポが、神の國とイエス・キリストの御名とに就きて宣傳ふるを人々 信じたれば、男女ともにバプテスマを受く。 044 ACT 008 013 シモンも亦みづから信じ、バプテスマを受けて、常にピリポと偕に居り、その行ふ徴と、大なる能力とを見て驚けり。 044 ACT 008 014 エルサレムに居る使徒たちは、サマリヤ人、神の御言を受けたりと聞きて、ペテロとヨハネとを遣したれば、 044 ACT 008 015 彼ら下りて人々の聖 靈を受けんことを祈れり。 044 ACT 008 016 これ主イエスの名によりてバプテスマを受けしのみにて、聖 靈いまだ其の一人にだに降らざりしなり。 044 ACT 008 017 ここに二人のもの彼らの上に手を按きたれば、みな聖 靈を受けたり。 044 ACT 008 018 使徒たちの按手によりて其の御靈を與へられしを見て、シモン金を持ち來りて言ふ、 044 ACT 008 019 『わが手を按くすべての人の聖 靈を受くるやうに、此の權威を我にも與へよ』 044 ACT 008 020 ペテロ彼に言ふ『なんぢの銀は汝とともに亡ぶべし、なんぢ金をもて神の賜物を得んと思へばなり。 044 ACT 008 021 なんぢは此の事に關係なく干與なし、なんぢの心、神の前に正しからず。 044 ACT 008 022 然ればこの惡を悔改めて主に祈れ、なんぢが心の念あるひは赦されん。 044 ACT 008 023 我なんぢが苦き膽汁と不義の繋とに居るを見るなり』 044 ACT 008 024 シモン答へて言ふ『なんぢらの言ふ所のこと一つも我に來らぬやう、汝ら我がために主に祈れ』 044 ACT 008 025 かくて使徒たちは證をなし、主の御言を語りて後、サマリヤ人の多くの村に福音を宣傳へつつエルサレムに歸れり。 044 ACT 008 026 然るに主の使ピリポに語りて言ふ『なんぢ起ちて南に向ひエルサレムよりガザに下る道に往け。そこは荒野なり』 044 ACT 008 027 ピリポ起ちて往きたれば、視よ、エテオピヤの女王カンダケの權官にして、凡ての寳物を掌どる閹人エテオピヤ人あり、禮拜の爲にエルサレムに上りしが、 044 ACT 008 028 歸る途すがら馬車に坐して預言者イザヤの書を讀みゐたり。 044 ACT 008 029 御靈ピリポに言ひ給ふ『ゆきて此の馬車に近寄れ』 044 ACT 008 030 ピリポ走り寄りて、その預言者イザヤの書を讀むを聽きて言ふ『なんぢ其の讀むところを悟るか』 044 ACT 008 031 閹人いふ『導く者なくば、いかで悟り得ん』而してピリポに、乘りて共に坐せんことを請ふ。 044 ACT 008 032 その讀むところの聖書の文は是なり『彼は羊の屠場に就くが如く曳かれ、羔羊のその毛を剪る者のまへに默すがごとく口を開かず。 044 ACT 008 033 卑しめられて審判を奪はれたり、誰かその代の状を述べ得んや。その生命 地上より取られたればなり』 044 ACT 008 034 閹人こたへてピリポに言ふ『預言者は誰に就きて斯く云へるぞ、己に就きてか、人に就きてか、請ふ示せ』 044 ACT 008 035 ピリポ口を開き、この聖 句を始としてイエスの福音を宣傳ふ。 044 ACT 008 036 途を進むる程に水ある所に來りたれば、閹人いふ『視よ、水あり、我がバプテスマを受くるに何の障りかある』 044 ACT 008 037 [なし] 044 ACT 008 038 乃ち命じて馬車を止め、ピリポと閹人と二人ともに水に下りて、ピリポ閹人にバプテスマを授く。 044 ACT 008 039 彼ら水より上りしとき、主の靈ピリポを取去りたれば、閹人ふたたび彼を見ざりしが、喜びつつ其の途に進み往けり。 044 ACT 008 040 かくてピリポはアゾトに現れ、町々を經て福音を宣傳へつつカイザリヤに到れり。 044 ACT 009 001 サウロは主の弟子たちに對して、なほ恐喝と殺害との氣を充し、大 祭司にいたりて、 044 ACT 009 002 ダマスコにある諸 教會への添書を請ふ。この道の者を見出さば、男女にかかはらず縛りてエルサレムに曳かん爲なり。 044 ACT 009 003 往きてダマスコに近づきたるとき、忽ち天より光いでて、彼を環り照したれば、 044 ACT 009 004 かれ地に倒れて『サウロ、サウロ、何ぞ我を迫害するか』といふ聲をきく。 044 ACT 009 005 彼いふ『主よ、なんぢは誰ぞ』答へたまふ『われは汝が迫害するイエスなり。 044 ACT 009 006 起きて町に入れ、さらば汝なすべき事を告げらるべし』 044 ACT 009 007 同行の人々、物 言ふこと能はずして立ちたりしが、聲は聞けども誰をも見ざりき。 044 ACT 009 008 サウロ地より起きて目をあけたれど何も見えざれば、人その手をひきてダマスコに導きゆきしに、 044 ACT 009 009 三日のあひだ見えず、また飮食せざりき。 044 ACT 009 010 さてダマスコにアナニヤといふ一人の弟子あり、幻影のうちに主いひ給ふ『アナニヤよ』答ふ『主よ、我ここに在り』 044 ACT 009 011 主いひ給ふ『起きて直といふ街にゆき、ユダの家にてサウロといふタルソ人を尋ねよ。視よ、彼は祈りをるなり。 044 ACT 009 012 又アナニアといふ人の入り來りて、再び見ゆることを得しめんために、手を己がうへに按くを見たり』 044 ACT 009 013 アナニヤ答ふ『主よ、われ多くの人より此の人に就きて聞きしに、彼がエルサレムにて汝の聖徒に害を加へしこと如何ばかりぞや。 044 ACT 009 014 また此處にても、凡て汝の御名をよぶ者を縛る權を祭司長らより受けをるなり』 044 ACT 009 015 主いひ給ふ『往け、この人は異邦人・王たち・イスラエルの子孫のまへに、我が名を持ちゆく我が選の器なり。 044 ACT 009 016 我かれに我が名のために如何に多くの苦難を受くるかを示さん』 044 ACT 009 017 ここにアナニヤ往きて其の家にいり、彼の上に手をおきて言ふ『兄弟サウロよ、主すなはち汝が來る途にて現れ給ひしイエス、われを遣し給へり。なんぢが再び見ることを得、かつ聖 靈にて滿されん爲なり』 044 ACT 009 018 直ちに彼の目より鱗のごときもの落ちて見ることを得、すなはち起きてバプテスマを受け、 044 ACT 009 019 かつ食事して力づきたり。サウロは數日の間ダマスコの弟子たちと偕にをり、 044 ACT 009 020 直ちに諸 會堂にて、イエスの神の子なることを宣べたり。 044 ACT 009 021 聞く者みな驚きて言ふ『こはエルサレムにて此の名をよぶ者を害ひし人ならずや、又ここに來りしも、之を縛りて祭司長らの許に曳きゆかんが爲ならずや』 044 ACT 009 022 サウロますます能力くははり、イエスのキリストなることを論證して、ダマスコに住むユダヤ人を言ひ伏せたり。 044 ACT 009 023 日を經ること久しくして後、ユダヤ人かれを殺さんと相 謀りたれど、 044 ACT 009 024 その計畧サウロに知らる。かくて彼らはサウロを殺さんとて、晝も夜も町の門を守りしに、 044 ACT 009 025 その弟子ら夜中かれを籃にて石垣より縋り下せり。 044 ACT 009 026 ここにサウロ、エルサレムに到りて弟子たちの中に列らんとすれど、皆かれが弟子たるを信ぜずして懼れたり。 044 ACT 009 027 然るにバルナバ彼を迎へて、使徒たちの許に伴ひゆき、その途にて主を見しこと、主の之に物 言ひ給ひしこと、又ダマスコにてイエスの名のために臆せず語りし事などを具に告ぐ。 044 ACT 009 028 ここにサウロはエルサレムにて弟子たちと共に出入し、 044 ACT 009 029 主の御名のために臆せず語り、又ギリシヤ語のユダヤ人と、かつ語りかつ論じたれば、彼 等これを殺さんと謀りしに、 044 ACT 009 030 兄弟たち知りて彼をカイザリヤに伴ひ下り、タルソに往かしめたり。 044 ACT 009 031 かくてユダヤ、ガリラヤ及びサマリヤを通じて、教會は平安を得、ややに堅立し、主を畏れて歩み、聖 靈の祐助によりて人數いや増せり。 044 ACT 009 032 ペテロは徧く四方をめぐりてルダに住む聖徒の許にいたり、 044 ACT 009 033 彼處にてアイネヤといふ人の中風を患ひて八 年のあひだ牀に臥し居るに遇ふ。 044 ACT 009 034 かくてペテロ之に『アイネヤよ、イエス・キリスト汝を醫したまふ、起きて牀を收めよ』と言ひたれば、直ちに起きたり。 044 ACT 009 035 ここにルダ及びサロンに住む者みな之を見て主に歸依せり。 044 ACT 009 036 ヨツパにタビタと云ふ女の弟子あり、その名を譯すればドルカスなり。此の女は、ひたすら善き業と施濟とをなせり。 044 ACT 009 037 彼そのころ病みて死にたれば、之を洗ひて高樓に置く。 044 ACT 009 038 ルダはヨツパに近ければ、弟子たちペテロの彼處に居るを聞きて、二人の者を遣し『ためらはで我らに來れ』と請はしむ。 044 ACT 009 039 ペテロ起ちてともに往き、遂に到れば、彼を高樓に伴れてのぼりしに、寡婦らみな之をかこみて泣きつつ、ドルカスが偕に居りしほどに製りし下衣・上衣を見せたり。 044 ACT 009 040 ペテロ彼 等をみな外に出し、跪づきて祈りし後、ふりかへり屍體に向ひて『タビタ、起きよ』と言ひたれば、かれ目を開き、ペテロを見て起反れり。 044 ACT 009 041 ペテロ手をあたへ、起して聖徒と寡婦とを呼び、タビタを活きたるままにて見す。 044 ACT 009 042 この事ヨツパ中に知られたれば、多くの人、主を信じたり。 044 ACT 009 043 ペテロ皮工シモンの家にありて日 久しくヨツパに留れり。 044 ACT 010 001 ここにカイザリヤにコルネリオといふ人あり、イタリヤ隊と稱ふる軍隊の百卒長なるが、 044 ACT 010 002 敬虔にして全家族とともに神を畏れ、かつ民に多くの施濟をなし、常に神に祈れり。 044 ACT 010 003 或 日の午後 三時ごろ幻影のうちに神の使きたりて『コルネリオよ』と言ふを明かに見たれば、 044 ACT 010 004 之に目をそそぎ怖れて言ふ『主よ、何事ぞ』御使いふ『なんぢの祈と施濟とは、神の前に上りて記念とせらる。 044 ACT 010 005 今ヨツパに人を遣してペテロと稱ふるシモンを招け、 044 ACT 010 006 彼は皮工シモンの家に宿る。その家は海邊にあり』 044 ACT 010 007 斯く語れる御使の去りし後、コルネリオ己が僕 二人と從卒中の敬虔なる者 一人とを呼び、 044 ACT 010 008 凡ての事を告げてヨツパに遣せり。 044 ACT 010 009 明くる日かれらなほ途中にあり、既に町に近づかんとする頃ほひ、ペテロ祈らんとて屋の上に登る、時は晝の十二 時ごろなりき。 044 ACT 010 010 飢ゑて物欲しくなり、人の食を調ふるほどに我を忘れし心地して、 044 ACT 010 011 天 開け、器のくだるを見る、大なる布のごとき物にして、四隅もて地に縋り下されたり。 044 ACT 010 012 その中には諸種の四 足のもの、地を匐ふもの、空の鳥あり。 044 ACT 010 013 また聲ありて言ふ『ペテロ、立て、屠りて食せよ』 044 ACT 010 014 ペテロ言ふ『主よ、可からじ、我いまだ潔からぬもの穢れたる物を食せし事なし』 044 ACT 010 015 聲 再びありて言ふ『神の潔め給ひし物を、なんぢ潔からずとすな』 044 ACT 010 016 かくの如きこと三度にして、器は直ちに天に上げられたり。 044 ACT 010 017 ペテロその見し幻影の何の意なるか、心に惑ふほどに、視よ、コルネリオより遣されたる人、シモンの家を尋ねて門の前に立ち、 044 ACT 010 018 訪ひて、ペテロと稱ふるシモンの此處に宿るかを問ふ。 044 ACT 010 019 ペテロなほ幻影に就きて打案じゐたるに、御靈いひ給ふ『視よ、三人なんぢを尋ぬ。 044 ACT 010 020 起ちて下り疑はずして共に往け、彼らを遣したるは我なり』 044 ACT 010 021 ペテロ下りて、かの人たちに言ふ『視よ、我は汝らの尋ぬる者なり、何の故ありて來るか』 044 ACT 010 022 かれら言ふ『義人にして神を畏れ、ユダヤの國人の中に令聞ある百卒長コルネリオ、聖なる御使より、汝を家に招きて、その語ることを聽けとの告を受けたり』 044 ACT 010 023 ここにペテロ彼らを迎へ入れて宿らす。明くる日たちて彼らと共に出でゆきしが、ヨツパの兄弟も數人ともに往けり。 044 ACT 010 024 明くる日カイザリヤに入りし時、コルネリオは親族および親しき朋友を呼び集めて彼らを待ちゐたり。 044 ACT 010 025 ペテロ入り來れば、コルネリオ之を迎へ、その足下に伏して拜す。 044 ACT 010 026 ペテロ彼を起して言ふ『立て、我も人なり』 044 ACT 010 027 かくて相 語りつつ内に入り、多くの人の集れるを見て、ペテロ之に言ふ、 044 ACT 010 028 『なんぢらの知る如く、ユダヤ人たる者の外の國人と交りまた近づくことは、律法に適はぬ所なり、然れど神は、何 人をも穢れたるもの潔からぬ者と言ふまじきことを我に示したまへり。 044 ACT 010 029 この故に、われ招かるるや躊躇はずして來れり。然れば問ふ、汝らは何の故に我をまねきしか』 044 ACT 010 030 コルネリオ言ふ『われ四日 前に我が家にて午後 三時の祈をなし、此の時刻に至りしに、視よ、輝く衣を著たる人、わが前に立ちて、 044 ACT 010 031 「コルネリオよ、汝の祈は聽かれ、なんぢの施濟は神の前に憶えられたり。 044 ACT 010 032 人をヨツパに送りてペテロと稱ふるシモンを招け、かれは海邊なる皮工シモンの家に宿るなり」と云へり。 044 ACT 010 033 われ速かに人を汝に遣したるに、汝の來れるは忝けなし。いま我等はみな、主の汝に命じ給ひし凡てのことを聽かんとて、神の前に在り』 044 ACT 010 034 ペテロ口を開きて言ふ、『われ今まことに知る、神は偏ることをせず、 044 ACT 010 035 何れの國の人にても神を敬ひて義をおこなふ者を容れ給ふことを。 044 ACT 010 036 神はイエス・キリスト(これ萬民の主)によりて平和の福音をのべ、イスラエルの子孫に言をおくり給へり。 044 ACT 010 037 即ちヨハネの傳へしバプテスマの後、ガリラヤより始り、ユダヤ全國に弘りし言なるは汝らの知る所なり。 044 ACT 010 038 これは神が聖 靈と能力とを注ぎ給ひしナザレのイエスの事にして、彼は徧くめぐりて善き事をおこなひ、凡て惡魔に制せらるる者を醫せり、神これと偕に在したればなり。 044 ACT 010 039 我等はユダヤの地およびエルサレムにて、イエスの行ひ給ひし諸般のことの證人なり、人々は彼を木にかけて殺せり。 044 ACT 010 040 神は之を三日めに甦へらせ、かつ明かに現したまへり。 044 ACT 010 041 然れど凡ての民にはあらで、神の預じめ選び給へる證人、即ちイエスの死人の中より甦へり給ひし後、これと共に飮食せし我らに現し給ひしなり。 044 ACT 010 042 イエスは己の生ける者と死にたる者との審判 主に、神より定められしを證することと、民どもに宣傳ふる事とを我らに命じ給ふ。 044 ACT 010 043 彼につきては預言者たちも皆、おほよそ彼を信ずる者の、その名によりて罪の赦を得べきことを證す』 044 ACT 010 044 ペテロ尚これらの言を語りをる間に、聖 靈、御言をきく凡ての者に降りたまふ。 044 ACT 010 045 ペテロと共に來りし割禮ある信者は、異邦人にも聖 靈の賜物のそそがれしに驚けり。 044 ACT 010 046 そは彼らが異言をかたり、神を崇むるを聞きたるに因る。 044 ACT 010 047 ここにペテロ答へて言ふ『この人々われらの如く聖 靈をうけたれば、誰か水を禁じて其のバプテスマを受くることを拒み得んや』 044 ACT 010 048 遂にイエス・キリストの御名によりてバプテスマを授けられんことを命じたり。ここに彼らペテロに數日とどまらんことを請へり。 044 ACT 011 001 使徒たち及びユダヤに居る兄弟たちは、異邦人も神の言を受けたりと聞く。 044 ACT 011 002 かくてペテロのエルサレムに上りしとき、割禮ある者ども彼を詰りて言ふ、 044 ACT 011 003 『なんぢ割禮なき者の内に入りて之と共に食せり』 044 ACT 011 004 ペテロ有りし事を序 正しく説き出して言ふ、 044 ACT 011 005 『われヨツパの町にて祈り居るとき、我を忘れし心地し、幻影にて器のくだるを見る、大なる布のごとき物にして、四隅もて天より縋り下され我が許にきたる。 044 ACT 011 006 われ目を注めて之を視るに、地の四 足のもの、野の獸、匐ふもの、空の鳥を見たり。 044 ACT 011 007 また「ペテロ、立て、屠りて食せよ」といふ聲を聞けり。 044 ACT 011 008 我いふ「主よ、可からじ、潔からぬもの穢れたる物は、曾て我が口に入りしことなし」 044 ACT 011 009 再び天より聲ありて答ふ「神の潔め給ひし物を、なんぢ潔からずと爲な」 044 ACT 011 010 かくの如きこと三度にして、終にはみな天に引上げられたり。 044 ACT 011 011 視よ、三人の者カイザリヤより我に遣されて、はや我らの居る家の前に立てり。 044 ACT 011 012 御靈われに、疑はずして彼らと共に往くことを告げ給ひたれば、此の六 人の兄弟も我とともに往きて、かの人の家に入れり。 044 ACT 011 013 彼はおのが家に御使の立ちて「人をヨツパに遣し、ペテロと稱ふるシモンを招け、 044 ACT 011 014 その人、なんぢと汝の全家族との救はるべき言を語らん」と言ふを、見しことを我らに告げたり。 044 ACT 011 015 ここに、われ語り出づるや、聖 靈かれらの上に降りたまふ、初め我らの上に降りし如し。 044 ACT 011 016 われ主の曾て「ヨハネは水にてバプテスマを施ししが、汝らは聖 靈にてバプテスマを施されん」と宣給ひし御言を思ひ出せり。 044 ACT 011 017 神われらが主イエス・キリストを信ぜしときに賜ひしと同じ賜物を彼らにも賜ひたるに、われ何 者なれば神を阻み得ん』 044 ACT 011 018 人々これを聞きて默然たりしが、頓て神を崇めて言ふ『されば神は異邦人にも生命を得さする悔改を與へ給ひしなり』 044 ACT 011 019 かくてステパノによりて起りし迫害のために散されたる者ども、ピニケ、クブロ、アンテオケまで到り、ただユダヤ人にのみ御言を語りたるに、 044 ACT 011 020 その中にクブロ及びクレネの人、數人ありて、アンテオケに來りし時、ギリシヤ人にも語りて主イエスの福音を宣傳ふ。 044 ACT 011 021 主の手かれらと偕にありたれば、數多の人、信じて主に歸依せり。 044 ACT 011 022 この事エルサレムに在る教會に聞えたれば、バルナバをアンテオケに遣す。 044 ACT 011 023 かれ來りて、神の恩惠を見てよろこび、彼 等に、みな心を堅くして主にをらんことを勸む。 044 ACT 011 024 彼は聖 靈と信仰とにて滿ちたる善き人なればなり。ここに多くの人々、主に加はりたり。 044 ACT 011 025 かくてバルナバはサウロを尋ねんとてタルソに往き、 044 ACT 011 026 彼に逢ひてアンテオケに伴ひきたり、二人ともに一年の間かしこの教會の集會に出でて多くの人を教ふ。弟子たちのキリステアンと稱へらるる事はアンテオケより始れり。 044 ACT 011 027 その頃エルサレムより預言者たちアンテオケに下る。 044 ACT 011 028 その中の一人アガボと云ふもの起ちて、大なる飢饉の全世界にあるべきことを御靈によりて示せるが、果してクラウデオの時に起れり。 044 ACT 011 029 ここに弟子たち各々の力に應じてユダヤに住む兄弟たちに扶助をおくらん事をさだめ、 044 ACT 011 030 遂に之をおこなひ、バルナバ及びサウロの手に托して長老たちに贈れり。 044 ACT 012 001 その頃ヘロデ王、教會のうちの或 人どもを苦しめんとて手を下し、 044 ACT 012 002 劍をもてヨハネの兄弟ヤコブを殺せり。 044 ACT 012 003 この事ユダヤ人の心に適ひたるを見て、またペテロをも捕ふ、頃は除酵祭の時なりき。 044 ACT 012 004 すでに執りて獄に入れ、過越の後に民のまへに曳き出さんとの心構にて、四人 一組なる四組の兵卒に付して之を守らせたり。 044 ACT 012 005 かくてペテロは獄のなかに因はれ、教會は熱心に彼のために神に祈をなせり。 044 ACT 012 006 ヘロデこれを曳き出さんとする其の前の夜、ペテロは二つの鏈にて繋がれ、二人の兵卒のあひだに睡り、番兵らは門口にゐて獄を守りたるに、 044 ACT 012 007 視よ、主の使ペテロの傍らに立ちて、光明 室内にかがやく。御使かれの脇をたたき、覺していふ『疾く起きよ』かくて鏈その手より落ちたり。 044 ACT 012 008 御使いふ『帶をしめ、鞋をはけ』彼その如く爲たれば、又いふ『上衣をまとひて我に從へ』 044 ACT 012 009 ペテロ出でて隨ひしが、御使のする事の眞なるを知らず、幻影を見るならんと思ふ。 044 ACT 012 010 かくて第一・第二の警固を過ぎて町に入るところの鐵の門に到れば、門おのづから彼 等のために開け、相 共にいでて一つの街を過ぎしとき、直ちに御使はなれたり。 044 ACT 012 011 ペテロ我に反りて言ふ『われ今まことに知る、主その使を遣して、ヘロデの手およびユダヤの民の凡て思ひ設けし事より、我を救ひ出し給ひしを』 044 ACT 012 012 斯く悟りてマルコと稱ふるヨハネの母マリヤの家に往きしが、其處には數多のもの集りて祈りゐたり。 044 ACT 012 013 ペテロ門の戸を叩きたれば、ロダといふ婢女ききに出できたり、 044 ACT 012 014 ペテロの聲なるを知りて、勸喜のあまりに門を開けずして走り入り、ペテロの門の前に立てることを告げたれば、 044 ACT 012 015 彼ら『なんぢは氣 狂へり』と言ふ。然れどロダは夫なりと言張る。かれら言ふ『それはペテロの御使ならん』 044 ACT 012 016 然るにペテロなほ叩きて止まざれば、かれら門をひらき之を見て驚けり。 044 ACT 012 017 かれ手を搖かして人々を鎭め、主の己を獄より導きいだし給ひしことを具に語り『これをヤコブと兄弟たちとに告げよ』と言ひて他の處に出で往けり。 044 ACT 012 018 夜明になりて、ペテロは如何にせしとて兵卒の中の騷 一方ならず。 044 ACT 012 019 ヘロデ之を索むれど見出さず、遂に守卒を訊して死罪を命じ、而してユダヤよりカイザリヤに下りて留れり。 044 ACT 012 020 偖ヘロデ、ツロとシドンとの人々を甚く怒りたれば、其の民ども心を一つにして彼の許にいたり、王の内侍の臣ブラストに取 入りて和諧を求む。かれらの地方は王の國より食品を得るに因りてなり。 044 ACT 012 021 ヘロデ定めたる日に及びて王の服を著け高座に坐して言を宣べたれば、 044 ACT 012 022 集民よばはりて『これ神の聲なり、人の聲にあらず』と言ふ。 044 ACT 012 023 ヘロデ神に榮光を歸せぬに因りて、主の使たちどころに彼を撃ちたれば、蟲に噛まれて息 絶えたり。 044 ACT 012 024 かくて主の御言いよいよ増々ひろまる。 044 ACT 012 025 バルナバ、サウロはその職務を果し、マルコと稱ふるヨハネを伴ひてエルサレムより歸れり。 044 ACT 013 001 アンテオケの教會にバルナバ、ニゲルと稱ふるシメオン、クレネ人ルキオ、國守ヘロデの乳 兄弟マナエン及びサウロなどいふ預言者と教師とあり。 044 ACT 013 002 彼らが主に事へ斷食したるとき、聖 靈いひ給ふ『わが召して行はせんとする業の爲に、バルナバとサウロとを選び、別て』 044 ACT 013 003 ここに彼ら斷食し、祈りて二人の上に手を按きて往かしむ。 044 ACT 013 004 この二人、聖 靈に遣されてセルキヤに下り、彼處より船にてクプロに渡り、 044 ACT 013 005 サラミスに著きてユダヤ人の諸 會堂にて神の言を宣傳へ、またヨハネを助人として伴ふ。 044 ACT 013 006 徧くこの島を經 行きてパポスに到り、バルイエスといふユダヤ人にて僞 預言者たる魔術 者に遇ふ。 044 ACT 013 007 彼は地方 總督なる慧き人セルギオ・パウロと偕にありき。總督はバルナバとサウロとを招き神の言を聽かんとしたるに、 044 ACT 013 008 かの魔術 者エルマ(この名を釋けば魔術 者)二人に敵 對して總督を信仰の道より離れしめんとせり。 044 ACT 013 009 サウロ又の名はパウロ、聖 靈に滿され、彼に目を注めて言ふ、 044 ACT 013 010 『ああ有らゆる詭計と奸惡とにて滿ちたる者、惡魔の子、すべての義の敵よ、なんぢ主の直き道を曲げて止まぬか。 044 ACT 013 011 視よ、いま主の御手なんぢの上にあり、なんぢ盲目となりて暫く日を見ざるべし』かくて立刻に朦と闇とその目を掩ひたれば、探り囘りて導きくるる者を求む。 044 ACT 013 012 ここに總督この有りし事を見て、主の教に驚きて信じたり。 044 ACT 013 013 さてパウロ及び之に伴ふ人々、パポスより船出してパンフリヤのペルガに到り、ヨハネは離れてエルサレムに歸れり。 044 ACT 013 014 彼らはペルガより進み往きてピシデヤのアンテオケに到り、安息 日に會堂に入りて坐せり。 044 ACT 013 015 律法および預言者の書の朗讀ありしのち、會堂 司たち人を彼らに遣し『兄弟たちよ、もし民に勸の言あらば言へ』と言はしめたれば、 044 ACT 013 016 パウロ起ちて手を搖かして言ふ、『イスラエルの人々および神を畏るる者よ、聽け。 044 ACT 013 017 このイスラエルの民の神は、我らの先祖を選び、そのエジプトの地に寄寓せし時、わが民をおこし、強き御腕にて之を導きいだし、 044 ACT 013 018 おほよそ四十 年のあひだ、荒野にて彼らの所作を忍び、 044 ACT 013 019 カナンの地にて七つの民族をほろぼし、その地を彼らに嗣がしめて、 044 ACT 013 020 凡そ四 百 五 十 年を經たり。此ののち預言者サムエルの時代まで審判 人を賜ひしを、 044 ACT 013 021 後に至りて彼ら王を求めたれば、神は之にキスの子サウロと云ふベニヤミンの族の人を四十 年のあひだ賜ひ、 044 ACT 013 022 之を退けて後、ダビデを擧げて王となし、且これを證して「我エッサイの子ダビデといふ我が心に適ふ者を見出せり、彼わが意をことごとく行はん」と宣給へり。 044 ACT 013 023 神は約束に隨ひて此の人の裔より、イスラエルの爲に救主イエスを興し給ひしが、 044 ACT 013 024 その來る前にヨハネ預じめイスラエルの凡ての民に悔改のバプテスマを宣傳へたり。 044 ACT 013 025 かくてヨハネ己が走るべき道程を終へんとする時「なんぢら我を誰と思ふか、我はかの人にあらず、視よ、我に後れて來る者あり、我はその鞋の紐を解くにも足らず」と云へり。 044 ACT 013 026 兄弟たち、アブラハムの血統の子ら及び汝 等のうち神を畏るる者よ、この救の言は我らに贈られたり。 044 ACT 013 027 それエルサレムに住める者および其の司らは、彼をも安息 日ごとに讀むところの預言者たちの言をも知らず、彼を刑ひて預言を成就せしめたり。 044 ACT 013 028 その死に當るべき故を得ざりしかど、ピラトに殺さんことを求め、 044 ACT 013 029 彼につきて記されたる事をことごとく成しをへ、彼を木より下して墓に納めたり。 044 ACT 013 030 されど神は彼を死人の中より甦へらせ給へり。 044 ACT 013 031 かくてイエスは己と偕にガリラヤよりエルサレムに上りし者に多くの日のあひだ現れ給へり。その人々は今、民の前にイエスの證人たるなり。 044 ACT 013 032 我らも先祖たちが與へられし約束につきて喜ばしき音信を汝らに告ぐ、 044 ACT 013 033 神はイエスを甦へらせて、その約束を我らの子孫に成就したまへり。即ち詩の第二 篇に「なんぢは我が子なり、われ今日なんぢを生めり」と録されたるが如し。 044 ACT 013 034 また朽腐に歸せざる状に彼を死人の中より甦へらせ給ひし事に就きては、斯く宣給へり。曰く「われダビデに約せし確き聖なる恩惠を汝らに與へん」 044 ACT 013 035 そは他の篇に「なんぢは汝の聖者を朽腐に歸せざらしむべし」と云へり。 044 ACT 013 036 それダビデは、その代にて神の御旨を行ひ、終に眠りて先祖たちと共に置かれ、かつ朽腐に歸したり。 044 ACT 013 037 然れど神の甦へらせ給ひし者は朽腐に歸せざりき。 044 ACT 013 038 この故に兄弟たちよ、汝ら知れ。この人によりて罪の赦のなんぢらに傳へらるることを。 044 ACT 013 039 汝らモーセの律法によりて義とせられ得ざりし凡ての事も、信ずる者は皆この人によりて義とせらるる事を。 044 ACT 013 040 然れば汝ら心せよ、恐らくは預言者たちの書に云ひたること來らん、 044 ACT 013 041 曰く「あなどる者よ、なんぢら視よ、おどろけ、亡びよ、われ汝らの日に一つの事を行はん。これを汝らに具に告ぐる者ありとも信ぜざる程の事なり」』 044 ACT 013 042 彼らが會堂を出づるとき、人々これらの言を次の安息 日にも語らんことを請ふ。 044 ACT 013 043 集會の散ぜし後、ユダヤ人および敬虔なる改宗者おほくパウロとバルナバとに從ひ往きたれば、彼らに語りて神の恩惠に止らんことを勸めたり。 044 ACT 013 044 次の安息 日には、神の言を聽かんとて殆ど町 擧りて集りたり。 044 ACT 013 045 されどユダヤ人はその群衆を見て嫉に滿され、パウロの語ることに言ひ逆ひて罵れり。 044 ACT 013 046 パウロとバルナバとは臆せずして言ふ『神の言を先づ汝らに語るべかりしを、汝 等これを斥けて己を永遠の生命に相應しからぬ者と自ら定むるによりて、視よ、我ら轉じて異邦人に向はん。 044 ACT 013 047 それ主は斯く我らに命じ給へり。曰く「われ汝を立てて異邦人の光とせり。地の極にまで救とならしめん爲なり」』 044 ACT 013 048 異邦人は之を聽きて喜び、主の言をあがめ、又とこしへの生命に定められたる者はみな信じ、 044 ACT 013 049 主の言この地に徧く弘りたり。 044 ACT 013 050 然るにユダヤ人ら、敬虔なる貴女たち及び町の重立ちたる人々を唆かして、パウロとバルナバとに迫害をくはへ、遂に彼らを其の境より逐ひ出せり。 044 ACT 013 051 二人は彼らに對ひて足の塵をはらひ、イコニオムに往く。 044 ACT 013 052 弟子たちは喜悦と聖 靈とにて滿され居たり。 044 ACT 014 001 二人はイコニオムにて相 共にユダヤ人の會堂に入りて語りたれば、之に由りてユダヤ人およびギリシヤ人あまた信じたり。 044 ACT 014 002 然るに從はぬユダヤ人ら異邦人を唆かし、兄弟たちに對して惡意を懷かしむ。 044 ACT 014 003 二人は久しく留り、主によりて臆せずして語り、主は彼らの手により、徴と不思議とを行ひて惠の御言を證したまふ。 044 ACT 014 004 ここに町の人々 相 分れて、或 者はユダヤ人に黨し、或 者は使徒たちに黨せり。 044 ACT 014 005 異邦人ユダヤ人および其の司ら相 共に使徒たちを辱しめ、石にて撃たんと企てしに、 044 ACT 014 006 彼ら悟りてルカオニヤの町なるルステラ、デルベ及びその邊の地にのがれ、 044 ACT 014 007 彼處にて福音を宣傳ふ。 044 ACT 014 008 ルステラに足 弱き人ありて坐しゐたり、生れながらの跛者にて曾て歩みたる事なし。 044 ACT 014 009 この人パウロの語るを聽きゐたるが、パウロ之に目をとめ、救はるべき信仰あるを見て、 044 ACT 014 010 大聲に『なんぢの足にて眞直に起て』と言ひたれば、かれ躍り上りて歩めり。 044 ACT 014 011 群衆、パウロの爲ししことを見て聲を揚げ、ルカオニヤの國語にて『神たち人の形をかりて我らに降り給へり』と言ひ、 044 ACT 014 012 バルナバをゼウスと稱へ、パウロを宗と語る人なる故にヘルメスと稱ふ。 044 ACT 014 013 而して町の外なるゼウスの宮の祭司、數匹の牛と花 飾とを門の前に携へきたりて、群衆とともに犧牲を献げんとせり。 044 ACT 014 014 使徒たち、即ちバルナバとパウロと之を聞きて、己が衣をさき群衆のなかに馳せ入り、 044 ACT 014 015 呼はりて言ふ『人々よ、なんぞ斯かる事をなすか、我らも汝らと同じ情を有てる人なり、汝らに福音を宣べて斯かる虚しき者より離れ、天と地と海とその中にある有らゆる物とを造り給ひし活ける神に歸らしめんとするなり。 044 ACT 014 016 過ぎし時代には神、すべての國人の己が道々を歩むに任せ給ひしかど、 044 ACT 014 017 また自己を證し給はざりし事なし。即ち善き事をなし、天より雨を賜ひ、豐穰の時をあたへ、食物と勸喜とをもて汝らの心を滿ち足らはせ給ひしなり』 044 ACT 014 018 斯く言ひて辛うじて群衆の己らに犧牲を献げんとするを止めたり。 044 ACT 014 019 然るに數人のユダヤ人、アンテオケ及びイコニオムより來り、群衆を勸め、而してパウロを石にて撃ち、既に死にたりと思ひて町の外に曳き出せり。 044 ACT 014 020 弟子たち之を立 圍みゐたるに、パウロ起きて町に入る。明くる日バルナバと共にデルベに出で往き、 044 ACT 014 021 その町に福音を宣傳へ、多くの人を弟子として後、ルステラ、イコニオム、アンテオケに還り、 044 ACT 014 022 弟子たちの心を堅うし信仰に止らんことを勸め、また我らが多くの艱難を歴て神の國に入るべきことを教ふ。 044 ACT 014 023 また教會 毎に長老をえらび、斷食して祈り、弟子たちを其の信ずる所の主に委ぬ。 044 ACT 014 024 かくてピシデヤを經てパンフリヤに到り、 044 ACT 014 025 ペルガにて御言を語りて後アタリヤに下り、 044 ACT 014 026 彼處より船出して、その成し果てたる務のために神の惠みに委ねられし處なるアンテオケに往けり。 044 ACT 014 027 既に到りて教會の人々を集めたれば、神が己らと偕に在して成し給ひし凡てのこと、竝に信仰の門を異邦人にひらき給ひしことを述ぶ。 044 ACT 014 028 かくて久しく留りて弟子たちと偕にゐたり。 044 ACT 015 001 或 人々ユダヤより下りて、兄弟たちに『なんぢらモーセの例に遵ひて割禮を受けずば救はるるを得ず』と教ふ。 044 ACT 015 002 ここに彼らとパウロ及びバルナバとの間に、大なる紛爭と議論と起りたれば、兄弟たちはパウロ、バルナバ及びその中の數人をエルサレムに上らせ、此の問題につきて使徒・長老たちに問はしめんと定む。 044 ACT 015 003 かれら教會の人々に見 送られて、ピニケ及びサマリヤを經、異邦人の改宗せしことを具に告げて、凡ての兄弟に大なる喜悦を得させたり。 044 ACT 015 004 エルサレムに到り、教會と使徒と長老とに迎へられ、神が己らと偕に在して爲し給ひし凡ての事を述べたるに、 044 ACT 015 005 信者となりたるパリサイ派の或 人々 立ちて『異邦人にも割禮を施し、モーセの律法を守ることを命ぜざる可からず』と言ふ。 044 ACT 015 006 ここに使徒・長老たち此の事につきて協議せんとて集る。 044 ACT 015 007 多くの議論ありし後、ペテロ起ちて言ふ『兄弟たちよ、汝らの知るごとく、久しき前に神は、なんぢらの中より我を選び、わが口より異邦人に福音の言を聞かせ、之を信ぜしめんとし給へり。 044 ACT 015 008 人の心を知りたまふ神は、我らと同じく、彼 等にも聖 靈を與へて證をなし、 044 ACT 015 009 かつ信仰によりて彼らの心をきよめ、我らと彼らとの間に隔を置き給はざりき。 044 ACT 015 010 然るに何ぞ神を試みて、弟子たちの頸に我らの先祖も我らも負ひ能はざりし軛をかけんとするか。 044 ACT 015 011 然らず、我らの救はるるも彼らと均しく主イエスの恩惠に由ることを我らは信ず』 044 ACT 015 012 ここに會衆みな默して、バルナバとパウロとの、己 等によりて神が異邦人のうちに爲し給ひし多くの徴と不思議とを述ぶるを聽く。 044 ACT 015 013 彼らの語り終へし後、ヤコブ答へて言ふ『兄弟たちよ、我に聽け、 044 ACT 015 014 シメオン既に神の初めて異邦人を顧み、その中より御名を負ふべき民を取り給ひしことを述べしが、 044 ACT 015 015 預言者たちの言もこれと合へり。 044 ACT 015 016 録して「こののち我かへりて、倒れたるダビデの幕屋を再び造り、その頽れし所をふたたび造り、而して之を立てん。 044 ACT 015 017 これ殘餘の人々、主を尋ね求め、凡て我が名をもて稱へらるる異邦人もまた然せん爲なり。 044 ACT 015 018 古へより此 等のことを知らしめ給ふ主、これを言ひ給ふ」とあるが如し。 044 ACT 015 019 之によりて我は判斷す、異邦人の中より神に歸依する人を煩はすべきにあらず。 044 ACT 015 020 ただ書き贈りて、偶像に穢されたる物と、淫行と、絞殺したる物と、血とを避けしむべし。 044 ACT 015 021 昔より、いづれの町にもモーセを宣ぶる者ありて、安息 日 毎に諸 會堂にてその書を讀めばなり』 044 ACT 015 022 ここに使徒・長老たち及び全 教會は、その中より人を選びてパウロ、バルナバと共にアンテオケに送ることを可しとせり。選ばれたるは、バルサバと稱ふるユダとシラスとにて、兄弟たちの中の重立ちたる者なり。 044 ACT 015 023 之に托したる書にいふ『使徒および長老たる兄弟ら、アンテオケ、シリヤ、キリキヤに在る異邦人の兄弟たちの平安を祈る。 044 ACT 015 024 我等のうちの或 人々われらが命じもせぬに、言をもて汝らを煩はし、汝らの心を亂したりと聞きたれば、 044 ACT 015 025 我ら心を一つにして人を選びて、 044 ACT 015 026 我らの主イエス・キリストの名のために生命を惜まざりし者なる、我らの愛するバルナバ、パウロと共に汝らに遣すことを可しとせり。 044 ACT 015 027 之によりて我らユダとシラスとを遣す、かれらも口づから此 等のことを述べん。 044 ACT 015 028 聖 靈と我らとは左の肝要なるものの他に何をも汝らに負はせぬを可しとするなり。 044 ACT 015 029 即ち偶像に献げたる物と、血と、絞殺したる物と、淫行とを避くべき事なり、汝 等これを愼まば善し。なんぢら健かなれ』 044 ACT 015 030 かれら別を告げてアンテオケに下り、人々を集めて書を付す。 044 ACT 015 031 人々これを讀み慰安を得て喜べり。 044 ACT 015 032 ユダもシラスもまた預言者なれば、多くの言をもて兄弟たちを勸めて彼らを堅うし、 044 ACT 015 033 暫く留りてのち、兄弟たちに平安を祝せられ、別を告げて、己らを遣しし者に歸れり。 044 ACT 015 034 [なし] 044 ACT 015 035 斯てパウロとバルナバとは尚アンテオケに留りて多くの人とともに主の御言を教へ、かつ宣傳へたり。 044 ACT 015 036 數日の後パウロはバルナバに言ふ『いざ、我ら曩に主の御言を傳へし凡ての町にまた往きて、兄弟たちを訪ひ、その安否を尋ねん』 044 ACT 015 037 バルナバはマルコと稱ふるヨハネを伴はんと望み、 044 ACT 015 038 パウロは彼が曾てパンフリヤより離れ去りて、勤勞のために共に往かざりしをもて、伴ふは宣しからずと思ひ、 044 ACT 015 039 激しき爭論となりて遂に二人 相 別れ、バルナバはマルコを伴ひ、舟にてクプロに渡り、 044 ACT 015 040 パウロはシラスを選び、兄弟たちより主の恩惠に委ねられて出で立ち、 044 ACT 015 041 シリヤ、キリキヤを經て諸 教會を堅うせり。 044 ACT 016 001 かくてパウロ、デルベとルステラとに到りたるに、視よ、彼處にテモテと云ふ弟子あり、その母は信者なるユダヤ人にて、父はギリシヤ人なり。 044 ACT 016 002 彼はルステラ、イコニオムの兄弟たちの中に令聞ある者なり。 044 ACT 016 003 パウロかれの共に出で立つことを欲したれば、その邊に居るユダヤ人のために之に割禮を行へり、その父のギリシヤ人たるを凡ての人の知る故なり。 044 ACT 016 004 かくて町々を經ゆきて、エルサレムに居る使徒・長老たちの定めし規を守らせんとて、之を人々に授けたり。 044 ACT 016 005 ここに諸 教會はその信仰を堅うせられ、人員 日毎にいや増せり。 044 ACT 016 006 彼らアジヤにて御言を語ることを聖 靈に禁ぜられたれば、フルギヤ及びガラテヤの地を經ゆきて、 044 ACT 016 007 ムシヤに近づき、ビテニヤに往かんと試みたれど、イエスの御靈ゆるし給はず、 044 ACT 016 008 遂にムシヤを過ぎてトロアスに下れり。 044 ACT 016 009 パウロ夜、幻影を見たるに、一人のマケドニヤ人あり、立ちて己を招き『マケドニヤに渡りて我らを助けよ』と言ふ。 044 ACT 016 010 パウロこの幻影を見たれば、我らは神のマケドニヤ人に福音を宣傳へしむる爲に、我らを召し給ふことと思ひ定めて、直ちにマケドニヤに赴かんとせり。 044 ACT 016 011 さてトロアスより船出して、眞直にはせてサモトラケにいたり、次の日ネアポリスにつき、 044 ACT 016 012 彼處よりピリピにゆく。ここはマケドニヤの中にて、この邊の第一の町にして殖民地なり、われら數日の間この町に留る。 044 ACT 016 013 安息 日に町の門を出でて、祈場あらんと思はるる河のほとりに往き、其處に坐して、集れる女たちに語りたれば、 044 ACT 016 014 テアテラの町の紫 布の商人にして、神を敬ふルデヤと云ふ女きき居りしが、主その心をひらき、謹みてパウロの語る言をきかしめ給ふ。 044 ACT 016 015 彼は己も家族もバプテスマを受けてのち、我らに勸めて言ふ『なんぢら我を主の信者なりとせば、我が家に來りて留れ』斯く強ひて我らを留めたり。 044 ACT 016 016 われら祈場に往く途中、卜筮の靈に憑れて卜筮をなし、其の主人らに多くの利を得さする婢女、われらに遇ふ。 044 ACT 016 017 彼はパウロ及び我らの後に從ひつつ叫びて言ふ『この人たちは至高き神の僕にて、汝らに救の道を教ふる者なり』 044 ACT 016 018 幾日も斯くするをパウロ憂ひて、振反りその靈に言ふ『イエス・キリストの名によりて、汝にこの女より出でん事を命ず』靈ただちに出でたり。 044 ACT 016 019 然るにこの女の主人ら利を得る望のなくなりたるをみて、パウロとシラスとを捕へ、市場に曳きて司たちに往き、 044 ACT 016 020 之を上役らに出して言ふ『この人々はユダヤ人にて、我らの町を甚く騷がし、 044 ACT 016 021 我らロマ人たる者の受くまじく行ふまじき習慣を傳ふるなり』 044 ACT 016 022 群衆も齊しく起り立ちたれば、上役ら命じて其の衣を褫ぎ、かつ笞にて打たしむ。 044 ACT 016 023 多く打ちてのち獄に入れ、獄守に固く守るべきことを命ず。 044 ACT 016 024 獄守この命令を受けて二人を奧の獄に入れ、桎にてその足を締め置きたり。 044 ACT 016 025 夜半ごろパウロとシラスと祈りて神を讃美する囚人ら聞きゐたるに、 044 ACT 016 026 俄に大なる地震おこりて牢舍の基ふるひ動き、その戸たちどころに皆ひらけ、凡ての囚人の縲絏とけたり。 044 ACT 016 027 獄守、目さめ獄の戸の開けたるを見て、囚人にげ去れりと思ひ、刀を拔きて自殺せんとしたるに、 044 ACT 016 028 パウロ大聲に呼はりて言ふ『みづから害ふな、我ら皆ここに在り』 044 ACT 016 029 獄守、燈火を求め、駈け入りて戰きつつパウロとシラスとの前に平伏し、 044 ACT 016 030 之を連れ出して言ふ『君たちよ、われ救はれん爲に何をなすべきか』 044 ACT 016 031 二人は言ふ『主イエスを信ぜよ、然らば汝も汝の家族も救はれん』 044 ACT 016 032 かくて神の言を獄守とその家に居る凡ての人々に語れり。 044 ACT 016 033 この夜、即時に獄守かれらを引取りて、その打傷を洗ひ、遂に己も己に屬する者もみな直ちにバプテスマを受け、 044 ACT 016 034 かつ二人を自宅に伴ひて食事をそなへ、全家とともに神を信じて喜べり。 044 ACT 016 035 夜明になりて上役らは警吏どもを遣して『かの人々を釋せ』と言はせたれば、 044 ACT 016 036 獄守これらの言をパウロに告げて言ふ『上役、人を遣して汝らを釋さんとす。然れば今いでて安らかに往け』 044 ACT 016 037 ここにパウロ警吏に言ふ『我らはロマ人たるに罪を定めずして公然に鞭うち、獄に投げ入れたり。然るに今ひそかに我らを出さんと爲るか。然るべからず、彼 等みづから來りて我らを連れ出すべし』 044 ACT 016 038 警吏これらの言を上役に告げたれば、其のロマ人たるを聞きて懼れ、 044 ACT 016 039 來り宥めて、二人を連れ出し、かつ町を去らんことを請ふ。 044 ACT 016 040 二人は獄を出でてルデヤの家に入り、兄弟たちに逢ひ、勸をなして出で往けり。 044 ACT 017 001 かくてアムピポリス及びアポロニヤを經てテサロニケに到る。此處にユダヤ人の會堂ありたれば、 044 ACT 017 002 パウロは例のごとく彼らの中に入り、三つの安息 日にわたり、聖書に基きて論じ、かつ解き明して、 044 ACT 017 003 キリストの必ず苦難をうけ、死人の中より甦へるべきことを述べ『わが汝らに傳ふる此のイエスはキリストなり』と證せり。 044 ACT 017 004 その中のある人々および敬虔なる數多のギリシヤ人、また多くの重立ちたる女も信じてパウロとシラスとに從へり。 044 ACT 017 005 ここにユダヤ人ら嫉を起して市の無頼者をかたらひ、群衆を集めて町を騷がし、又ふたりを集民の前に曳き出さんとしてヤソンの家を圍みしが、 044 ACT 017 006 見出さざれば、ヤソンと數人の兄弟とを町 司たちの前に曳ききたり、呼はりて言ふ『天下を顛覆したる彼の者ども此處にまで來れるを、 044 ACT 017 007 ヤソン迎へ入れたり。この曹輩は皆カイザルの詔勅にそむき、他にイエスと云ふ王ありと言ふ』 044 ACT 017 008 之をききて群衆と町 司たちと心をさわがし、 044 ACT 017 009 保證を取りてヤソンと他の人々とを釋せり。 044 ACT 017 010 兄弟たち直ちに夜の間にパウロとシラスとをベレヤに送りいだす。二人は彼處につきてユダヤ人の會堂にいたる。 044 ACT 017 011 此處の人々はテサロニケに居る人よりも善良にして、心より御言をうけ、この事 正しく然るか然らぬか、日々 聖書をしらぶ。 044 ACT 017 012 この故にその中の多くのもの信じたり、又ギリシヤの貴女、男子にして信じたる者も少からざりき。 044 ACT 017 013 然るにテサロニケのユダヤ人ら、パウロがベレヤにも神の言を傳ふることを聞きたれば、此處にも來りて群衆を動かし、かつ騷がしたり。 044 ACT 017 014 ここに兄弟たち直ちにパウロを送り出して海邊に往かしめ、シラスとテモテとは尚ベレヤに留れり。 044 ACT 017 015 パウロを導ける人々はアテネまで伴ひ往き、パウロよりシラスとテモテとに、疾く我に來れとの命を受けて立ち去れり。 044 ACT 017 016 パウロ、アテネにて彼らを待ちをる間に、町に偶像の滿ちたるを見て、その心に憤慨を懷く。 044 ACT 017 017 されば會堂にてはユダヤ人および敬虔なる人々と論じ、市場にては日々 逢ふところの者と論じたり。 044 ACT 017 018 斯てエピクロス派ならびにストア派の哲學者 數人これと論じあひ、或 者らは言ふ『この囀る者なにを言はんとするか』或 者らは言ふ『かれは異なる神々を傳ふる者の如し』是はパウロがイエスと復活とを宣べたる故なり。 044 ACT 017 019 遂にパウロをアレオパゴスに連れ往きて言ふ『なんぢが語るこの新しき教の如何なるものなるを、我ら知り得べきか。 044 ACT 017 020 なんぢ異なる事を我らの耳に入るるが故に、我らその何事たるを知らんと思ふなり』 044 ACT 017 021 アテネ人も、彼處に住む旅人も、皆ただ新しき事を或は語り、或は聞きてのみ日を送りゐたり。 044 ACT 017 022 パウロ、アレオパゴスの中に立ちて言ふ『アテネ人よ、我すべての事に就きて汝らが神々を敬ふ心の篤きを見る。 044 ACT 017 023 われ汝らが拜むものを見つつ道を過ぐるほどに「知らざる神に」と記したる一つの祭壇を見出したり。然れば我なんぢらが知らずして拜む所のものを汝らに示さん。 044 ACT 017 024 世界とその中のあらゆる物とを造り給ひし神は、天 地の主にましませば、手にて造れる宮に住み給はず。 044 ACT 017 025 みづから凡ての人に生命と息と萬の物とを與へ給へば、物に乏しき所あるが如く、人の手にて事ふることを要し給はず。 044 ACT 017 026 一人よりして諸種の國人を造りいだし、之を地の全面に住ましめ、時期の限と住居の界とを定め給へり。 044 ACT 017 027 これ人をして神を尋ねしめ、或は探りて見 出す事あらしめん爲なり。されど神は我等おのおのを離れ給ふこと遠からず、 044 ACT 017 028 我らは神の中に生き、動きまた在るなり。汝らの詩人の中の或 者どもも「我らは又その裔なり」と云へる如し。 044 ACT 017 029 かく神の裔なれば、神を金・銀・石など人の工と思考とにて刻める物と等しく思ふべきにあらず。 044 ACT 017 030 神はかかる無知の時代を見 過しにし給ひしが、今は何處にても凡ての人に悔改むべきことを告げたまふ。 044 ACT 017 031 曩に立て給ひし一人によりて、義をもて世界を審かんために日をさだめ、彼を死人の中より甦へらせて保證を萬人に與へ給へり』 044 ACT 017 032 人々、死人の復活をききて、或 者は嘲笑ひしが、或 者は『われら復この事を汝に聞かん』と言へり。 044 ACT 017 033 ここにパウロ人々のなかを出で去る。 044 ACT 017 034 されど彼に附隨ひて信じたるもの數人あり。其の中にアレオパゴスの裁判人デオヌシオ及びダマリスと名づくる女あり、尚その他にもありき。 044 ACT 018 001 この後パウロ、アテネを離れてコリントに到り、 044 ACT 018 002 アクラと云ふポントに生れたるユダヤ人に遇ふ。クラウデオ、ユダヤ人にことごとくロマを退くべき命を下したるによりて、近頃その妻プリスキラと共にイタリヤより來りし者なり。 044 ACT 018 003 パウロ其の許に到りしに、同業なりしかば偕に居りて工をなせり。彼らの業は幕屋 製造なり。 044 ACT 018 004 かくて安息 日 毎に會堂にて論じ、ユダヤ人とギリシヤ人とを勸む。 044 ACT 018 005 シラスとテモテとマケドニヤより來りて後は、パウロ專ら御言を宣ぶることに力め、イエスのキリストたることをユダヤ人に證せり。 044 ACT 018 006 然るに、彼ら之に逆ひかつ罵りたれば、パウロ衣を拂ひて言ふ『なんぢらの血は汝らの首に歸すべし、我はいさぎよし、今より異邦人に往かん』 044 ACT 018 007 遂に此處を去りて、神を敬ふテテオ・ユストと云ふ人の家に到る。この家は會堂に隣れり。 044 ACT 018 008 會堂 司クリスポその家族 一同と共に主を信じ、また多くのコリント人も聽きて信じ、かつバプテスマを受けたり。 044 ACT 018 009 主は夜まぼろしの中にパウロに言ひ給ふ『おそるな、語れ、默すな、 044 ACT 018 010 我なんぢと偕にあり、誰も汝を攻めて害ふ者なからん。此の町には多くの我が民あり』 044 ACT 018 011 かくてパウロ一年 六个月ここに留りて神の言を教へたり。 044 ACT 018 012 ガリオ、アカヤの總督たる時、ユダヤ人、心を一つにしてパウロを攻め、審判の座に曳きゆき、 044 ACT 018 013 『この人は律法にかなはぬ仕方にて神を拜むことを人に勸む』と言ひたれば、 044 ACT 018 014 パウロ口を開かんとせしに、ガリオ、ユダヤ人に言ふ『ユダヤ人よ、不正または奸惡の事ならば、我が汝らに聽くは道理なれど、 044 ACT 018 015 もし言・名あるいは汝らの律法にかかはる問題ならば、汝 等みづから理むべし。我かかる事の審判 人となるを好まず』 044 ACT 018 016 かくて彼らを審判の座より逐ひいだす。 044 ACT 018 017 ここに人々みな會堂 司ソステネを執へ、審判の座の前にて打ち抃きたり。ガリオは凡て此らの事を意とせざりき。 044 ACT 018 018 パウロなほ久しく留りてのち、兄弟たちに別を告げ、プリスキラとアクラとを伴ひ、シリヤに向ひて船出す。早くより誓願ありたれば、ケンクレヤにて髮を剃れり。 044 ACT 018 019 かくてエペソに著き、其處にこの二人を留めおき、自らは會堂に入りてユダヤ人と論ず。 044 ACT 018 020 人々かれに今しばらく居らんことを請ひたれど、肯んぜずして、 044 ACT 018 021 別を告げ『神の御意ならば復なんぢらに返らん』と言ひてエペソより船出し、 044 ACT 018 022 カイザリヤにつき、而してエルサレムに上り、教會の安否を問ひてアンテオケに下り、 044 ACT 018 023 此處に暫く留りて後、また去りてガラテヤ、フルギヤの地を次々に經て凡ての弟子を堅うせり。 044 ACT 018 024 時にアレキサンデリヤ生れのユダヤ人にて、聖書に通達したるアポロと云ふ能辯なる者エペソに下る。 044 ACT 018 025 この人は曩に主の道を教へられ、ただヨハネのバプテスマを知るのみなれど、熱心にして詳細にイエスの事を語り、かつ教へたり。 044 ACT 018 026 かれ會堂にて臆せずして語り始めしを、プリスキラとアクラと聞きゐて之を迎へ入れ、なほも詳細に神の道を解き明せり。 044 ACT 018 027 アポロ遂にアカヤに渡らんとしたれば、兄弟たち之を勵まし、かつ弟子たちに彼を受け容るるやうに書き贈れり。彼かしこに往き、既に恩惠によりて信じたる者に多くの益を與ふ。 044 ACT 018 028 即ち聖書に基き、イエスのキリストたる事を示して、激甚くかつ公然にユダヤ人を言ひ伏せたるなり。 044 ACT 019 001 かくてアポロ、コリントに居りし時、パウロ東の地方を經てエペソに到り、或 弟子たちに逢ひて、 044 ACT 019 002 『なんぢら信者となりしとき聖 靈を受けしか』と言ひたれば、彼 等いふ『いな、我らは聖 靈の有ることすら聞かず』 044 ACT 019 003 パウロ言ふ『されば何によりてバプテスマを受けしか』彼 等いふ『ヨハネのバプテスマなり』 044 ACT 019 004 パウロ言ふ『ヨハネは悔改のバプテスマを授けて、己に後れて來るもの(即ちイエス)を信ずべきことを民に云へるなり』 044 ACT 019 005 彼 等これを聞きて主イエスの名によりてバプテスマを受く。 044 ACT 019 006 パウロ手を彼らの上に按きしとき、聖 靈その上に望みたれば、彼ら異言を語り、かつ預言せり。 044 ACT 019 007 この人々は凡て十二 人ほどなり。 044 ACT 019 008 ここにパウロ會堂に入りて、三个月のあひだ臆せずして神の國に就きて論じ、かつ勸めたり。 044 ACT 019 009 然るに或 者ども頑固になりて從はず、會衆の前に神の道を譏りたれば、パウロ彼らを離れ、弟子たちをも退かしめ、日毎にツラノの會堂にて論ず。 044 ACT 019 010 斯くすること二年の間なりしかば、アジヤに住む者は、ユダヤ人もギリシヤ人もみな主の言を聞けり。 044 ACT 019 011 而して神はパウロの手によりて尋常ならぬ能力ある業を行ひたまふ。 044 ACT 019 012 即ち人々かれの身より或は手拭あるひは前垂をとりて病める者に著くれば、病は去り惡 靈は出でたり。 044 ACT 019 013 ここに諸國 遍歴の咒文 師なるユダヤ人 數人あり、試みに惡 靈に憑かれたる者に對して、主イエスの名を呼び『われパウロの宣ぶるイエスによりて、汝らに命ず』と言へり。 044 ACT 019 014 斯くなせる者の中に、ユダヤの祭司長スケワの七人の子もありき。 044 ACT 019 015 惡 靈こたへて言ふ『われイエスを知り、又パウロを知る。然れど汝らは誰ぞ』 044 ACT 019 016 かくて惡 靈の入りたる人、かれらに跳びかかりて二人に勝ち、これを打拉ぎたれば、彼ら裸體になり傷を受けてその家を逃げ出でたり。 044 ACT 019 017 此の事エペソに住む凡てのユダヤ人とギリシヤ人とに知れたれば、懼かれら一同のあひだに生じ、主イエスの名 崇めらる。 044 ACT 019 018 信者となりし者おほく來り、懴悔して自らの行爲を告ぐ。 044 ACT 019 019 また魔術を行ひし多くの者ども、その書物を持ちきたり、衆人の前にて焚きたるが、其の價を算ふれば銀 五 萬ほどなりき。 044 ACT 019 020 主の言、大に弘りて權力を得しこと斯くの如し。 044 ACT 019 021 此 等の事のありし後、パウロ、マケドニヤ、アカヤを經てエルサレムに往かんと心を決めて言ふ『われ彼處に到りてのち必ずロマをも見るべし』 044 ACT 019 022 かくて己に事ふる者の中にてテモテとエラストとの二人をマケドニヤに遣し、自己はアジヤに暫く留る。 044 ACT 019 023 その頃この道に就きて一方ならぬ騷擾おこれり。 044 ACT 019 024 デメテリオと云ふ銀 細工人ありしが、アルテミスの銀の小宮を造りて細工人らに多くの業を得させたり。 044 ACT 019 025 それらの者および同じ類の職業 者を集めて言ふ『人々よ、われらが此の業に頼りて利 益を得ることは、汝らの知る所なり。 044 ACT 019 026 然るに、かのパウロは手にて造れる物は神にあらずと云ひて、唯にエペソのみならず、殆ど全アジヤにわたり、多くの人々を説き勸めて惑したり、これ亦なんぢらの見 聞する所なり。 044 ACT 019 027 かくては啻に我らの職業の輕しめらるる恐あるのみならず、また大女神アルテミスの宮も蔑せられ、全アジヤ全世界のをがむ大女神の稜威も滅ぶるに至らん』 044 ACT 019 028 彼 等これを聞きて憤恚に滿され、叫びて言ふ『大なる哉、エペソ人のアルテミス』 044 ACT 019 029 かくて町 擧りて騷ぎ立ち、人々パウロの同行 者なるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコとを捕へ、心を一つにして劇場に押入りたり。 044 ACT 019 030 パウロ集民のなかに入らんとしたれど、弟子たち許さず。 044 ACT 019 031 又アジヤの祭の司のうちの或 者どもも彼と親しかりしかば、人を遣して劇場に入らぬやうにと勸めたり。 044 ACT 019 032 ここに會衆おほいに亂れ、大方はその何のために集りたるかを知らずして、或 者はこの事を、或 者はかの事を叫びたり。 044 ACT 019 033 遂に群衆の或 者ども、ユダヤ人の推し出したるアレキサンデルに勸めたれば、かれ手を搖かして集民に辯明をなさんとすれど、 044 ACT 019 034 其のユダヤ人たるを知り、みな同音に『おほいなる哉、エペソ人のアルテミス』と呼はりて二 時間ばかりに及ぶ。 044 ACT 019 035 時に書記役、群衆を鎭めおきて言ふ『さてエペソ人よ、誰かエペソの町が大女神アルテミス及び天より降りし像の宮守なることを知らざる者あらんや。 044 ACT 019 036 これは言ひ消し難きことなれば、なんぢら靜なるべし、妄なる事を爲すべからず。 044 ACT 019 037 この人々は宮の物を盜む者にあらず、我らの女 神を謗る者にもあらず、然るに汝ら之を曳き來れり。 044 ACT 019 038 もしデメテリオ及び偕にをる細工人ら、人に就きて訴ふべき事あらば、裁判の日あり、かつ司あり、彼 等おのおの訴ふべし。 044 ACT 019 039 もし又ほかの事につきて議する所あらば、正式の議會にて決すべし。 044 ACT 019 040 我ら今日の騷擾につきては、何の理由もなきにより咎を受くる恐あり。この會合につきて言ひひらくこと能はねばなり』 044 ACT 019 041 斯く言ひて集會を散じたり。 044 ACT 020 001 騷亂のやみし後、パウロ弟子たちを招きて勸をなし、之に別を告げ、マケドニヤに往かんとて出で立つ。 044 ACT 020 002 而して、かの地方を巡り多くの言をもて弟子たちを勸めし後、ギリシヤに到る。 044 ACT 020 003 そこに留ること三个月にして、シリヤに向ひて船出せんとする時、おのれを害はんとするユダヤ人らの計略に遭ひたれば、マケドニヤを經て歸らんと心を決む。 044 ACT 020 004 之に伴へる人々はベレア人にしてプロの子なるソパテロ、テサロニケ人アリスタルコ及びセクンド、デルベ人ガイオ及びテモテ、アジヤ人テキコ及びトロピモなり。 044 ACT 020 005 彼らは先だちゆき、トロアスにて我らを待てり。 044 ACT 020 006 我らは除酵祭の後ピリピより船出し、五日にしてトロアスに著き、彼らの許に到りて七日のあひだ留れり。 044 ACT 020 007 一週の首の日われらパンを擘かんとて集りしが、パウロ明日いで立たんとて彼 等とかたり、夜半まで語り續けたり。 044 ACT 020 008 集りたる高樓には多くの燈火ありき。 044 ACT 020 009 ここにユテコといふ若者 窓に倚りて坐しゐたるが、甚く眠氣ざすほどに、パウロの語ること愈々 久しくなりたれば、遂に熟睡して三階より落つ。これを扶け起したるに、はや死にたり。 044 ACT 020 010 パウロ降りて其の上に伏し、かき抱きて言ふ『なんぢら騷ぐな、生命はなほ内にあり』 044 ACT 020 011 乃ち復のぼりてパンを擘き、食してのち久しく語りあひ、夜明に至り遂に出でたてり。 044 ACT 020 012 人々かの若者の活きたるを連れきたり、甚く慰藉を得たり。 044 ACT 020 013 かくて我らは先だちて船に乘り、アソスにてパウロを載せんとして彼處に船出せり。彼は徒歩にて往かんとて斯くは定めたるなり。 044 ACT 020 014 我らアソスにてパウロを待ち迎へ、これを載せてミテレネに渡り、 044 ACT 020 015 また彼處より船出して翌日キヨスの彼方にいたり、次の日サモスに立ち寄り、その次の日ミレトに著く。 044 ACT 020 016 パウロ、アジヤにて時を費さぬ爲に、エペソには船を寄せずして過ぐることに定めしなり。これは成るべく五旬節の日エルサレムに在ることを得んとて急ぎしに因る。 044 ACT 020 017 而してパウロ、ミレトより人をエペソに遣し、教會の長老たちを呼びて、 044 ACT 020 018 その來りし時かれらに言ふ『わがアジヤに來りし初の日より、如何なる状にて常に汝らと偕に居りしかは、汝らの知る所なり。 044 ACT 020 019 即ち謙遜の限をつくし、涙を流し、ユダヤ人の計略によりて迫り來し艱難に耐へて主につかへ、 044 ACT 020 020 益となる事は何くれとなく憚らずして告げ、公然にても家々にても汝らを教へ、 044 ACT 020 021 ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に對して悔改め、われらの主イエスに對して信仰すべきことを證せり。 044 ACT 020 022 視よ、今われは心 搦められてエルサレムに往く。彼處にて如何なる事の我に及ぶかを知らず。 044 ACT 020 023 ただ聖 靈いづれの町にても我に證して、縲絏と患難と我を待てりと告げたまふ。 044 ACT 020 024 然れど我わが走るべき道程と、主イエスより承けし職、すなわち神の惠の福音を證する事とを果さん爲には、固より生命をも重んぜざるなり。 044 ACT 020 025 視よ、今われは知る、前に汝らの中を歴 巡りて御國を宣傳へし我が顏を、汝ら皆ふたたび見ざるべきを。 044 ACT 020 026 この故に、われ今日なんぢらに證す、われは凡ての人の血につきていさぎよし。 044 ACT 020 027 我は憚らずして神の御旨をことごとく汝らに告げしなり。 044 ACT 020 028 汝 等みづから心せよ、又すべての群に心せよ、聖 靈は汝 等を群のなかに立てて監督となし、神の己の血をもて買ひ給ひし教會を牧せしめ給ふ。 044 ACT 020 029 われ知る、わが出で去るのち、暴き豺狼なんぢらの中に入りきたりて、群を惜まず、 044 ACT 020 030 又なんぢらの中よりも、弟子たちを己が方に引き入れんとて、曲れることを語るもの起らん。 044 ACT 020 031 されば汝ら目を覺しをれ。三年の間わが夜も晝も休まず、涙をもて汝 等おのおのを訓戒せしことを憶えよ。 044 ACT 020 032 われ今なんぢらを、主および其の惠の御言に委ぬ。御言は汝らの徳を建て、すべての潔められたる者とともに嗣業を受けしめ得るなり。 044 ACT 020 033 我は人の金 銀・衣服を貪りし事なし。 044 ACT 020 034 この手は我が必要に供へ、また我と偕なる者に供へしことを汝 等みづから知る。 044 ACT 020 035 我すべての事に於て例を示せり、即ち汝らも斯く働きて、弱き者を助け、また主イエスの自ら言ひ給ひし「與ふるは受くるよりも幸福なり」との御言を記憶すべきなり』 044 ACT 020 036 斯く言ひて後、パウロ跪づきて一同とともに祈れり。 044 ACT 020 037 みな大に歎きパウロの頸を抱きて接吻し、 044 ACT 020 038 そのふたたび我が顏を見ざるべしと云ひし言によりて特に憂ひ、遂に彼を船まで送りゆけり。 044 ACT 021 001 ここに我ら人々と別れて船出をなし、眞直にはせてコスに到り、次の日ロドスにつき、彼處よりパタラにわたる。 044 ACT 021 002 此の處にてピニケにゆく船に遇ひ、これに乘りて船出す。 044 ACT 021 003 クプロを望み、之を左にして過ぎ、シリヤに向ひて進み、ツロに著きたり、此處にて船 荷を卸さんとすればなり。 044 ACT 021 004 かくて弟子たちに尋ね逢ひて七日 留れり。かれら御靈によりてパウロに、エルサレムに上るまじき事を云へり。 044 ACT 021 005 然るに我ら七日 終りて後、いでて旅立ちたれば、彼 等みな妻 子とともに町の外まで送りきたり、諸共に濱邊に跪づきて祈り、 044 ACT 021 006 相 互に別を告げて我らは船に乘り、彼らは家に歸れり。 044 ACT 021 007 ツロをいでトレマイに到りて船路つきたり。此處にて兄弟たちの安否を訪ひ、かれらの許に一日 留り、 044 ACT 021 008 明くる日ここを去りてカイザリヤにいたり、傳道者ピリポの家に入りて留る、彼はかの七人の一人なり。 044 ACT 021 009 この人に預言する四人の娘ありて、處女なりき。 044 ACT 021 010 我ら數日 留り居るうちに、アガボと云ふ預言者ユダヤより下り、 044 ACT 021 011 我らの許に來りてパウロの帶をとり、己が足と手とを縛りて言ふ『聖 靈かく言ひ給ふ「エルサレムにて、ユダヤ人この帶の主を斯くの如く縛りて異邦人の手に付さん」と』 044 ACT 021 012 われら之を聞きて此の地の人々とともにパウロに、エルサレムに上らざらんことを勸む。 044 ACT 021 013 その時パウロ答ふ『なんぢら何ぞ歎きて我が心を挫くか、我エルサレムにて、主イエスの名のために、唯に縛らるるのみかは、死ぬることをも覺悟せり』 044 ACT 021 014 斯く我らの勸告を納れるによりて『主の御意の如くなれかし』と言ひて止む。 044 ACT 021 015 この後われら行李を整へてエルサレムに上る。 044 ACT 021 016 カイザリヤに居る弟子も數人ともに往き、我らの宿らんとするクプロ人マナソンといふ舊き弟子のもとに案内したり。 044 ACT 021 017 エルサレムに到りたれば、兄弟たち歡びて我らを迎へたり。 044 ACT 021 018 翌日パウロ我らと共にヤコブの許に往きしに、長老たちみなあつまり居たり。 044 ACT 021 019 パウロその安否を問ひて後、おのが勤勞によりて異邦人のうちに神の行ひ給ひしことを、一々 告げたれば、 044 ACT 021 020 彼ら聞きて神を崇め、またパウロに言ふ『兄弟よ、なんぢの見るごとく、ユダヤ人のうち、信者となりたるもの數萬人あり、みな律法に對して熱心なる者なり。 044 ACT 021 021 彼らは、汝が異邦人のうちに居る凡てのユダヤ人に對ひて、その兒らに割禮を施すな、習慣に從ふなと云ひて、モーセに遠ざかることを教ふと聞けり。 044 ACT 021 022 如何にすべきか、彼らは必ず汝の來りたるを聞かん。 044 ACT 021 023 されば汝われらの言ふ如くせよ、我らの中に誓願あるもの四人あり、 044 ACT 021 024 汝かれらと組みて之とともに潔をなし、彼 等のために費を出して髮を剃らしめよ。さらば人々みな汝につきて聞きたることの虚僞にして、汝も律法を守りて正しく歩み居ることを知らん。 044 ACT 021 025 異邦人の信者となりたる者につきては、我ら既に書き贈りて、偶像に献げたる物と、血と、絞殺したる物と、淫行とに遠ざかるべき事を定めたり』 044 ACT 021 026 ここにパウロその人々と組みて、次の日ともどもに潔をなして宮に入り、潔の期 滿ちて各人のために献物をささぐべき日を告げたり。 044 ACT 021 027 かくて七日の終らんとする時、アジヤより來りしユダヤ人ら、宮の内にパウロの居るを見て、群衆を騷がし、かれに手をかけ叫びて言ふ、 044 ACT 021 028 『イスラエルの人々 助けよ、この人はいたる處にて民と律法と此の所とに悖れることを人々に教ふる者なり、然のみならず、ギリシヤ人を宮に率き入れて、此の聖なる所をも汚したり』 044 ACT 021 029 からら曩にエペソ人トロピモがパウロとともに市中にゐたるを見て、パウロ之を宮に率き入れしと思ひしなり。 044 ACT 021 030 ここに市中みな騷ぎたち、民ども馳せ集り、パウロを捕へて宮の外に曳き出せり、かくて門は直ちに鎖されたり。 044 ACT 021 031 彼らパウロを殺さんとせしとき、軍隊の千卒長に、エルサレム中さわぎ立てりとの事きこえたれば、 044 ACT 021 032 かれ速かに兵卒および百卒長らを率ゐて馳せ下る。かれら千卒長と兵卒とを見て、パウロを打つことを止む。 044 ACT 021 033 千卒長、近よりてパウロを執へ、命じて二つの鏈にて繋がせ、その何 人なるか、何事をなしたるかを尋ぬるに、 044 ACT 021 034 群衆の中にて或 者はこの事を、或 者はかの事を呼はり、騷亂のために確なる事を知るに由なく、命じて陣營に曳き來らしめたり。 044 ACT 021 035 階段に至れるに、群衆の手暴きによりて、兵卒パウロを負ひたり。 044 ACT 021 036 これ群れる民ども『彼を除け』と叫びつつ隨ひ迫れる故なり。 044 ACT 021 037 パウロ陣營に曳き入れられんとするとき、千卒長に言ふ『われ汝に語りて可きか』かれ言ふ『なんぢギリシヤ語を知るか。 044 ACT 021 038 汝はかのエジプト人にして、曩に亂を起して四千 人の刺客を荒野に率ゐ出でし者ならずや』 044 ACT 021 039 パウロ言ふ『我はキリキヤなるタルソのユダヤ人、鄙しからぬ市の市民なり。請ふ民に語るを許せ』 044 ACT 021 040 之を許したれば、パウロ階段の上に立ち、民に對ひて手を搖かし、大に靜まれる時、ヘブルの語にて語りて言ふ、 044 ACT 022 001 『兄弟たち親たちよ、今なんぢらに對する辯明を聽け』 044 ACT 022 002 人々そのヘブルの語を語るを聞きてますます靜になりたれば、又いふ、 044 ACT 022 003 『我はユダヤ人にてキリキヤのタルソに生れしが、此の都にて育てられ、ガマリエルの足下にて先祖たちの律法の嚴しき方に遵ひて教へられ、今日の汝らのごとく神に對して熱心なる者なりき。 044 ACT 022 004 我この道を迫害し、男女を縛りて獄に入れ、死にまで至らしめしことは、 044 ACT 022 005 大 祭司も凡ての長老も我に就きて證するなり。我は彼 等より兄弟たちへの書を受けて、ダマスコに寓り居る者どもを縛り、エルサレムに曳き來りて罰を受けしめんとて彼處にゆけり。 044 ACT 022 006 往きてダマスコに近づきたるに、正午ごろ忽ち大なる光、天より出でて我を環り照せり。 044 ACT 022 007 その時われ地に倒れ、かつ我に語りて「サウロ、サウロ、何ぞ我を迫害するか」といふ聲を聞き、 044 ACT 022 008 「主よ、なんぢは誰ぞ」と答へしに「われは汝が迫害するナザレのイエスなり」と言ひ給へり。 044 ACT 022 009 偕に居る者ども光は見しが、我に語る者の聲は聞かざりき。 044 ACT 022 010 われ復いふ「主よ、我なにを爲すべきか」主いひ給ふ「起ちてダマスコに往け、なんぢの爲すべき定りたる事は彼處にて悉とく告げらるべし」 044 ACT 022 011 我は、かの光の晃耀にて目 見えずなりたれば、偕にをる者に手を引かれてダマスコに入りたり。 044 ACT 022 012 ここに律法に據れる敬虔の人にして、其の町に住む凡てのユダヤ人に令聞あるアナニヤという者あり。 044 ACT 022 013 彼われに來り傍らに立ちて「兄弟サウロよ、見ることを得よ」と言ひたれば、その時、仰ぎて彼を見たり。 044 ACT 022 014 かれ又いふ「我らの先祖の神は、なんぢを選びて御意を知らしめ、又かの義人を見、その御口の聲を聞かしめんとし給へり。 044 ACT 022 015 これは汝の見 聞したる事につきて、凡ての人に對し彼の證人とならん爲なり。 044 ACT 022 016 今なんぞ躊躇ふか、起て、その御名を呼び、バプテスマを受けて汝の罪を洗ひ去れ」 044 ACT 022 017 かくて我エルサレムに歸り、宮にて祈りをるとき、我を忘れし心地して主を見 奉るに、我に斯く言ひ給ふ、 044 ACT 022 018 「なんぢ急げ、早くエルサレムを去れ、人々われに係る汝の證を受けぬ故なり」 044 ACT 022 019 我いふ「主よ、我さきに汝を信ずる者を獄に入れ、諸 會堂にて之を扑ち、 044 ACT 022 020 又なんぢの證人ステパノの血の流されしとき、我もその傍らに立ちて之を可しとし、殺す者どもの衣を守りしことは、彼らの知る所なり」 044 ACT 022 021 われに言ひ給ふ「往け、我なんぢを遠く異邦人に遣すなり」と』 044 ACT 022 022 人々きき居たりしが、此の言に及び、聲を揚げて言ふ『斯くのごとき者をば地より除け、生かしおくべき者ならず』 044 ACT 022 023 斯く叫びつつ其の衣を脱ぎすて、塵を空中に撒きたれば、 044 ACT 022 024 千卒長、人々が何 故パウロにむかひて斯く叫び呼はるかを知らんとし、鞭うちて訊ぶることを命じて、彼を陣營に曳き入れしむ。 044 ACT 022 025 革鞭をあてんとてパウロを引き張りし時、かれ傍らに立つ百卒長に言ふ『ロマ人たる者を罪も定めずして鞭うつは可きか』 044 ACT 022 026 百卒長これを聞きて千卒長に往き、告げて言ふ『なんぢ何をなさんとするか、此の人はロマ人なり』 044 ACT 022 027 千卒長きたりて言ふ『なんぢはロマ人なるか、我に告げよ』かれ言ふ『然り』 044 ACT 022 028 千卒長こたふ『我は多くの金をもて此の民 籍を得たり』パウロ言ふ『我は生れながらなり』 044 ACT 022 029 ここに訊べんとせし者どもは直ちに去り、千卒長はそのロマ人なるを知り、之を縛りしことを懼れたり。 044 ACT 022 030 明くる日、千卒長かれが何 故ユダヤ人に訴へられしか、確なる事を知らんと欲して、彼の縛を解き、命じて祭司長らと全 議會とを呼び集め、パウロを曳き出して其の前に立たしめたり。 044 ACT 023 001 パウロ議會に目を注ぎて言ふ『兄弟たちよ、我は今日に至るまで事 毎に良心に從ひて神に事へたり』 044 ACT 023 002 大 祭司アナニヤ傍らに立つ者どもに、彼の口を撃つことを命ず。 044 ACT 023 003 ここにパウロ言ふ『白く塗りたる壁よ、神なんぢを撃ち給はん、なんぢ律法によりて我を審くために坐しながら、律法に悖りて我を撃つことを命ずるか』 044 ACT 023 004 傍らに立つ者いふ『なんぢ神の大 祭司を罵るか』 044 ACT 023 005 パウロ言ふ『兄弟たちよ、我その大 祭司たることを知らざりき。録して「なんぢの民の司をそしる可からず」とあればなり』 044 ACT 023 006 かくてパウロ、その一部はサドカイ人、その一部はパリサイ人たるを知りて、議會のうちに呼はりて言ふ『兄弟たちよ、我はパリサイ人にしてパリサイ人の子なり、我は死人の甦へることの希望につきて審かるるなり』 044 ACT 023 007 斯く言ひしに因りて、パリサイ人とサドカイ人との間に紛爭おこりて、會衆 相 分れたり。 044 ACT 023 008 サドカイ人は復活もなく御使も靈もなしと言ひ、パリサイ人は兩ながらありと云ふ。 044 ACT 023 009 遂に大なる喧噪となりて、パリサイ人の中の學者 數人たちて爭ひて言ふ『われら此の人に惡しき事あるを見ず、もし靈または御使かれに語りたるならば如何』 044 ACT 023 010 紛爭いよいよ激しくなりたれば、千卒長、パウロの彼らに引 裂かれんことを恐れ、兵卒どもに命じて下りゆかしめ、彼らの中より引取りて陣營に連れ來らしめたり。 044 ACT 023 011 その夜、主パウロの傍らに立ちて言ひ給ふ『雄々しかれ、汝エルサレムにて我につきて證をなしたる如く、ロマにても證をなすべし』 044 ACT 023 012 夜明になりてユダヤ人、徒黨を組み盟約を立てて、パウロを殺すまでは飮食せじと言ふ。 044 ACT 023 013 この徒黨を結びたる者は四十 人 餘なり。 044 ACT 023 014 彼らは祭司長・長老らに往きて言ふ『われらパウロを殺すまでは何をも味ふまじと堅く盟約を立てたり。 044 ACT 023 015 されば汝 等なほ詳細に訊べんとする状して、彼を汝らの許に連れ下らすることを、議會とともに千卒長に訴へよ。我等その近くならぬ間に殺す準備をなせり』 044 ACT 023 016 パウロの姉妹の子この待伏の事をきき、往きて陣營に入りパウロに告げたれば、 044 ACT 023 017 パウロ百卒長の一人を呼びて言ふ『この若者を千卒長につれ往け、告ぐる事あり』 044 ACT 023 018 百卒長これを携へ、千卒長に至りて言ふ『囚人パウロ我を呼びて、この若者なんぢに言ふべき事ありとて、汝に連れ往くことを請へり』 044 ACT 023 019 千卒長その手を執り退きて、私に問ふ『われに告ぐる事とは何ぞ』 044 ACT 023 020 若者いふ『ユダヤ人は、汝がパウロの事をなほ詳細に訊ぶる爲にとて、明日かれを議會に連れ下ることを汝に請はんと申合せたり。 044 ACT 023 021 汝その請に從ふな、彼らの中にて四十 人 餘の者、パウロを待伏せ、之を殺すまでは飮食せじと盟約を立て、今その準備をなして汝の許諾を待てり』 044 ACT 023 022 ここに千卒長、若者に『これらの事を我に訴へたりと誰にも語るな』と命じて歸せり。 044 ACT 023 023 さて百卒長を兩 三人よびて言ふ『今夜 九時ごろカイザリヤに向けて往くために、兵卒 二 百、騎兵 七 十、槍をとる者 二 百を整へよ』 044 ACT 023 024 また畜を備へ、パウロを乘せて安全に總督ペリクスの許に護送することを命じ、 044 ACT 023 025 かつ左のごとき書をかき贈る。 044 ACT 023 026 『クラウデオ・ルシヤ謹みて總督ペリクス閣下の平安を祈る。 044 ACT 023 027 この人はユダヤ人に捕へられて殺されんとせしを、我そのロマ人なるを聞き、兵卒どもを率ゐ往きて救へり。 044 ACT 023 028 ユダヤ人の彼を訴ふる理由を知らんと欲して、その議會に引き往きたるに、 044 ACT 023 029 彼らの律法の問題につき訴へられたるにて、死もしくは縛に當る罪の訴訟にあらざるを知りたり。 044 ACT 023 030 又この人を害せんとする謀計ありと我に聞えたれば、われ俄にこれを汝のもとに送り、これを訴ふる者に、なんぢの前にて彼を訴へんことを命じたり』 044 ACT 023 031 ここに兵卒ども命ぜられたる如くパウロを受けとりて、夜中アンテパトリスまで連れてゆき、 044 ACT 023 032 翌日これを騎兵に委ね、ともに往かしめて陣營に歸れり。 044 ACT 023 033 騎兵はカイザリヤに入り、總督に書をわたし、パウロを其の前に立たしむ。 044 ACT 023 034 總督、書を讀みて、パウロのいづこの國の者なるかを問ひ、そのキリキヤ人なるを知りて、 044 ACT 023 035 『汝を訴ふる者の來らんとき、尚つまびらかに汝のことを聽かん』と言ひ、かつ命じて、ヘロデでの官邸に之を守らしめたり。 044 ACT 024 001 五日ののち、大 祭司アナニヤ數人の長老およびテルトロと云ふ辯護士とともに下りて、パウロを總督に訴ふ。 044 ACT 024 002 パウロ呼び出されたれば、テルトロ訴へ出でて言ふ『ペリクス閣下よ、われらは汝によりて太平を樂しみ、 044 ACT 024 003 なんぢの先見によりて、此の國人のために時に隨ひ處に隨ひて、惡しき事の改められたるを感謝して罷まず。 044 ACT 024 004 ここに喃々しく陳べて汝を妨ぐまじ、願はくは寛容をもて我が少しの言を聽け。 044 ACT 024 005 我等この人を見るに、恰も疫病のごとくにて、全世界のユダヤ人のあひだに騷擾をおこし、且ナザレ人の異端の首にして、 044 ACT 024 006 宮をさへ瀆さんとしたれば、之を捕へたり。 044 ACT 024 007 [なし] 044 ACT 024 008 汝この人に就きて訊さば、我らの訴ふる所をことごとく知り得べし』 044 ACT 024 009 ユダヤ人も之に加へて、誠にその如くなりと主張す。 044 ACT 024 010 總督、首にて示しパウロに言はしめたれば、答ふ『なんぢが年 久しくこの國人の審判 人たることを我は知るゆゑに、喜びて我が辯明をなさん。 044 ACT 024 011 なんぢ知り得べし、我が禮拜のためにエルサレムに上りてより僅か十二 日に過ぎず、 044 ACT 024 012 また彼らは、我が宮にても會堂にても市中にても、人と爭ひ群衆を騷がしたるを見ず、 044 ACT 024 013 いま訴へたる我が事につきても證明すること能はざるなり。 044 ACT 024 014 我ただ此の一事を汝に言ひあらはさん、即ち我は彼らが異端と稱ふる道に循ひて、我が先祖たちの神につかへ、律法と預言者の書とに録したる事をことごとく信じ、 044 ACT 024 015 かれら自らも待てるごとく、義者と不義者との復活あるべしと、神を仰ぎて望を懷くなり。 044 ACT 024 016 この故に、われ常に神と人とに對して良心の責なからんことを勉む。 044 ACT 024 017 我は多くの年を經てのち歸りきたり、我が民に施濟をなし、また献物をささげゐたりしが、 044 ACT 024 018 その時かれらは我が潔をなして宮にをるを見たるのみにて、群衆もなく騷擾もなかりしなり。 044 ACT 024 019 然るにアジアより來れる數人のユダヤ人ありて――もし我に咎むべき事あらば、彼らが汝の前に出でて訴ふることを爲べきなり。 044 ACT 024 020 或はまた此處なる人々、わが先に議會に立ちしとき、我に何の不義を認めしか言へ。 044 ACT 024 021 唯われ彼らの中に立ちて「死人の甦へる事につきて我けふ汝らの前にて審かる」と呼はりし一言の他には何もなかるべし』 044 ACT 024 022 ペリクスこの道のことを詳しく知りたれば、審判を延して言ふ『千卒長ルシヤの下るを待ちて汝らの事を定むべし』 044 ACT 024 023 かくて百卒長に命じパウロを守らせ、寛かならしめ、かつ友の之に事ふるをも禁ぜざらしむ。 044 ACT 024 024 數日の後ペリクス、その妻なるユダヤ人の女ドルシラとともに來り、パウロを呼びよせてキリスト・イエスに對する信仰のことを聽き、 044 ACT 024 025 パウロが正義と節制と來らんとする審判とにつきて論じたる時、ペリクス懼れて答ふ『今は去れ、よき機を得てまた招かん』 044 ACT 024 026 かくてパウロより金を與へられんことを望みて、尚しばしば彼を呼びよせては語れり。 044 ACT 024 027 二年を經てポルシオ・フェスト、ペリクスの任に代りしが、ペリクス、ユダヤ人の意を迎へんとして、パウロを繋ぎたるままに差措けり。 044 ACT 025 001 フェスト任國にいたりて三日の後、カイザリヤよりエルサレムに上りたれば、 044 ACT 025 002 祭司長ら及びユダヤ人の重立ちたる者ども、パウロを訴へ之を害はんとして、 044 ACT 025 003 フェストの好意にて彼をエルサレムに召し出されんことを願ふ。斯くして道に待伏し、之を殺さんと思へるなり。 044 ACT 025 004 然るにフェスト答へて、パウロのカイザリヤに囚はれ在ることと、己が程なく歸るべき事とを告げ、 044 ACT 025 005 『もし彼に不 善あらんには、汝 等のうち然るべき者ども我とともに下りて訴ふべし』と言ふ。 044 ACT 025 006 かくて彼處に八日 十日ばかり居りてカイザリヤに下り、明くる日、審判の座に坐し、命じてパウロを引出さしむ。 044 ACT 025 007 その出で來りし時、エルサレムより下りしユダヤ人ら、これを取圍みて樣々の重き罪を言ひ立てて訴ふれども、證すること能はず。 044 ACT 025 008 パウロは辯明して言ふ『我はユダヤ人の律法に對しても、宮に對しても、カイザルに對しても、罪を犯したる事なし』 044 ACT 025 009 フェスト、ユダヤ人の意を迎へんとしてパウロに答へて言ふ『なんぢエルサレムに上り、彼處にて我が前に審かるることを諾ふか』 044 ACT 025 010 パウロ言ふ『我はわが審かるべきカイザルの審判の座の前に立ちをるなり。汝の能く知るごとく、我はユダヤ人を害ひしことなし。 044 ACT 025 011 若しも罪を犯して死に當るべき事をなしたらんには、死ぬるを厭はじ。然れど此の人々の訴ふること實ならずば、誰も我を彼らに付すことを得じ、我はカイザルに上訴せん』 044 ACT 025 012 ここにフェスト陪席の者と相 議りて答ふ『なんぢカイザルに上訴せんとす、カイザルの許に往くべし』 044 ACT 025 013 數日を經て後、アグリッパ王とベルニケとカイザリヤに到りてフェストの安否を問ふ。 044 ACT 025 014 多くの日 留りゐたれば、フェスト、パウロのことを王に告げて言ふ『ここにペリクスが囚人として遺しおきたる一人の人あり、 044 ACT 025 015 我エルサレムに居りしとき、ユダヤ人の祭司長・長老ら之を訴へて罪に定めんことを願ひしが、 044 ACT 025 016 我は答へて、訴へらるる者の未だ訴ふる者の面前にて辯明する機を與へられぬ前に付すは、ロマ人の慣例にあらぬ事を告げたり。 044 ACT 025 017 この故に彼 等ここに集りたれば、時を延さず次の日 審判の座に坐し、命じてかの者を引出さしむ。 044 ACT 025 018 訴ふる者かれを圍みて立ちしが、思ひしごとき惡しき事は一つも陳ぶる所なし。 044 ACT 025 019 ただ己らの宗教、またはイエスと云ふ者の死にたるを活きたりと、パウロが主張するなどに關する問題のみなれば、 044 ACT 025 020 かかる審理には我も當惑せし故、かの人に「なんぢエルサレムに往き彼處にて審かるる事を好むか」と問ひしに、 044 ACT 025 021 パウロは上訴して皇帝の判決を受けん爲に守られんことを願ひしにより、命じて之をカイザルに送るまで守らせ置けり』 044 ACT 025 022 アグリッパ、フェストに言ふ『我もその人に聽かんと欲す』フェスト言ふ『なんぢ明日かれに聽くべし』 044 ACT 025 023 明くる日アグリッパとベルニケと大に威儀を整へてきたり、千卒長ら及び市の重立ちたる者どもと共に訊問所に入りたれば、フェストの命によりてパウロ引出さる。 044 ACT 025 024 フェスト言ふ『アグリッパ王、竝びに此處に居る凡ての者よ、汝らの見るこの人は、ユダヤの民衆が擧りて生かしおくべきにあらずと呼はりて、エルサレムにても此處にても我に訴へし者なり。 044 ACT 025 025 然るに我はその死に當るべき惡しき事を一つだに犯したるを認めねば、彼の自ら皇帝に上訴せんとする隨にその許に送らんと決めたり。 044 ACT 025 026 而して彼につきて我が主に上書すべき實 情を得ず。この故に汝 等のまへ、特にアグリッパ王よ、なんぢの前に引出し、訊問をなしてのち、上書すべき箇條を得んと思へり。 044 ACT 025 027 囚人を送るに訴訟の次第を陳べざるは道理ならずと思ふ故なり』 044 ACT 026 001 アグリッパ、パウロに言ふ『なんぢは自己のために陳ぶることを許されたり』ここにパウロ手を伸べ、辯明して言ふ、 044 ACT 026 002 『アグリッパ王よ、我ユダヤ人より訴へられし凡ての事につきて、今日なんぢらの前に辯明するを我が幸福とす。 044 ACT 026 003 汝がユダヤ人の凡ての習慣と問題とを知るによりて殊に然りとす。されば請ふ、忍びて我に聽け。 044 ACT 026 004 わが始より國人のうちに又エルサレムに於ける幼き時よりの生活の状は、ユダヤ人のみな知る所なり。 044 ACT 026 005 彼 等もし證せんと思はば、わが我らの宗教の最も嚴しき派に從ひて、パリサイ人の生活をなしし事を始より知れり。 044 ACT 026 006 今わが立ちて審かるるは、神が我らの先祖たちに約束し給ひしことの希望に因りてなり。 044 ACT 026 007 之を得んことを望みて、我が十二の族は夜も晝も熱心に神に事ふるなり。王よ、この希望につきて、我はユダヤ人に訴へられたり。 044 ACT 026 008 神は死人を甦へらせ給ふとも、汝 等なんぞ信じ難しとするか。 044 ACT 026 009 我も曩にはナザレ人イエスの名に逆ひて樣々の事をなすを宜きことと自ら思へり。 044 ACT 026 010 我エルサレムにて之をおこなひ、祭司長らより權威を受けて多くの聖徒を獄にいれ、彼らの殺されし時これに同意し、 044 ACT 026 011 諸 教會堂にてしばしば彼らを罰し、強ひて瀆言を言はしめんとし、甚だしく狂ひ、迫害して外國の町にまで至れり。 044 ACT 026 012 此のとき祭司長らより權威と委任とを受けてダマスコに赴きしが、 044 ACT 026 013 王よ、その途にて正午ごろ天よりの光を見たり、日にも勝りて輝き、我と伴侶とを圍み照せり。 044 ACT 026 014 我等みな地に倒れたるに、ヘブルの語にて「サウロ、サウロ、何ぞ我を迫害するか、刺ある策を蹴るは難し」といふ聲を我きけり。 044 ACT 026 015 われ言ふ「主よ、なんぢは誰ぞ」主いひ給ふ「われは汝が迫害するイエスなり。 044 ACT 026 016 起きて汝の足にて立て、わが汝に現れしは、汝をたてて其の見しことと我が汝に現れて示さんとする事との役者また證人たらしめん爲なり。 044 ACT 026 017 我なんぢを此の民および異邦人より救はん、又なんぢを彼らに遣し、 044 ACT 026 018 その目をひらきて暗より光に、サタンの權威より神に立ち歸らせ、我に對する信仰によりて罪の赦と潔められたる者のうちの嗣業とを得しめん」と。 044 ACT 026 019 この故にアグリッパ王よ、われは天よりの顯示に背かずして、 044 ACT 026 020 先づダマスコに居るもの、次にエルサレム及びユダヤ全國、また異邦人にまで、悔改めて神に立ちかへり、其の悔改にかなふ業をなすべきことを宣傅へたり。 044 ACT 026 021 之がためにユダヤ人われを宮にて捕へ、かつ殺さんとせり。 044 ACT 026 022 然るに神の祐によりて今日に至るまで尚 存へて、小なる人にも大なる人にも證をなし、言ふところは預言者およびモーセが必ず來るべしと語りしことの外ならず。 044 ACT 026 023 即ちキリストの苦難を受くべきこと、最先に死人の中より甦へる事によりて、民と異邦人とに光を傳ふべきこと是なり』 044 ACT 026 024 パウロ斯く辯明しつつある時、フェスト大聲に言ふ『パウロよ、なんぢ狂氣せり、博學なんぢを狂氣せしめたり』 044 ACT 026 025 パウロ言ふ『フェスト閣下よ、我は狂氣せず、宣ぶる所は眞にして慥なる言なり。 044 ACT 026 026 王は此 等のことを知るゆゑに、我その前に憚らずして語る。これらの事は片隅に行はれたるにあらねば、一つとして王の眼に隱れたるはなしと信ずるに因る。 044 ACT 026 027 アグリッパ王よ、なんぢ預言者の書を信ずるか、我なんぢの信ずることを知る』 044 ACT 026 028 アグリッパ、パウロに言ふ『なんぢ説くこと僅にして我をキリステアンたらしめんとするか』 044 ACT 026 029 パウロ言ふ『説くことの僅なるにもせよ、多きにもせよ、神に願ふは、啻に汝のみならず、凡て今日われに聽ける者の、この縲絏なくして我がごとき者とならんことなり』 044 ACT 026 030 ここに王も總督もベルニケも、列座の者どもも皆ともに立つ、 044 ACT 026 031 退きてのち相 語りて言ふ『この人は死罪または縲絏に當るべき事をなさず』 044 ACT 026 032 アグリッパ、フェストに言ふ『この人カイザルに上訴せざりしならば釋さるべかりしなり』 044 ACT 027 001 すでに我等をイタリヤに渡らしむること決りたれば、パウロ及びその他 數人の囚人を、近衞 隊の百卒長ユリアスと云ふ人に付せり。 044 ACT 027 002 ここに我らアジヤの海邊なる各處に寄せゆくアドラミテオの船の出帆せんとするに乘りて出づ。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも我らと共にありき。 044 ACT 027 003 次の日シドンに著きたれば、ユリアス懇切にパウロを遇ひ、その友らの許にゆきて歡待を受くることを許せり。 044 ACT 027 004 かくて此處より船出せしが、風の逆ふによりてクプロの風下の方をはせ、 044 ACT 027 005 キリキヤ及びパンフリヤの沖を過ぎてルキヤのミラに著く。 044 ACT 027 006 彼處にてイタリヤにゆくアレキサンデリヤの船に遇ひたれば、百卒長われらを之に乘らしむ。 044 ACT 027 007 多くの日のあひだ船の進み遲く、辛うじてクニドに對へる處に到りしが、風に阻へられてサルモネの沖を過ぎ、クレテの風下の方をはせ、 044 ACT 027 008 陸に沿ひ辛うじて良き港といふ處につく。その近き處にラサヤの町あり。 044 ACT 027 009 船路 久しきを歴て、斷食の期節も既に過ぎたれば、航海 危きにより、パウロ人々に勸めて言ふ、 044 ACT 027 010 『人々よ、我この航海の害あり損 多くして、ただ積荷と船とのみならず、我らの生命にも及ぶべきを認む』 044 ACT 027 011 されど百卒長は、パウロの言ふ所よりも船 長と船 主との言を重んじたり。 044 ACT 027 012 且この港は冬を過すに不便なるより、多數の者も、なし得んにはピニクスに到り、彼處にて冬を過さんとて、此處を船出するを可しとせり。ピニクスはクレテの港にて東 北と東 南とに向ふ。 044 ACT 027 013 南 風おもむろに吹きたれば、彼ら志望を得たりとして錨をあげ、クレテの岸邊に沿ひて進みたり。 044 ACT 027 014 幾程もなくユーラクロンといふ疾風その島より吹きおろし、 044 ACT 027 015 之がために船は吹き流され、風に向ひて進むこと能はねば、船は風の追ふに任す。 044 ACT 027 016 クラウダといふ小島の風下の方にいたり、辛うじて小艇を收め、 044 ACT 027 017 これを船に引上げてのち、備綱にて船體を卷き縛り、またスルテスの洲に乘りかけんことを恐れ、帆を下して流る。 044 ACT 027 018 いたく暴風に惱され、次の日、船の者ども積荷を投げすて、 044 ACT 027 019 三日めに手づから船具を棄てたり。 044 ACT 027 020 數日のあひだ日も星も見えず、暴風はげしく吹き荒びて、我らの救はるべき望ついに絶え果てたり。 044 ACT 027 021 人々の食せぬこと久しくなりたる時、パウロその中に立ちて言ふ『人々よ、なんぢら前に我が勸をきき、クレテより船出せずして、この害と損とを受けずあるべき筈なりき。 044 ACT 027 022 いま我なんぢらに勸む、心 安かれ、汝 等のうち一人だに生命をうしなふ者なし、ただ船を失はん。 044 ACT 027 023 わが屬するところ我が事ふる所の神の使、昨夜わが傍らに立ちて、 044 ACT 027 024 「パウロよ、懼るな、なんぢ必ずカイザルの前に立たん、視よ、神は汝と同船する者をことごとく汝に賜へり」と云ひたればなり。 044 ACT 027 025 この故に人々よ、心 安かれ、我はその我に語り給ひしごとく必ず成るべしと神を信ず。 044 ACT 027 026 而して我らは或 島に推上げらるべし』 044 ACT 027 027 かくて十 四日めの夜に至りて、アドリヤの海を漂ひゆきたるに、夜半ごろ水夫ら陸に近づきたりと思ひて、 044 ACT 027 028 水を測りたれば、二 十 尋なるを知り、少しく進みてまた測りたれば、十 五 尋なるを知り、 044 ACT 027 029 岩に乘り上げんことを恐れて、艫より錨を四つ投して夜明を待ちわぶ。 044 ACT 027 030 然るに水夫ら船より逃れ去らんと欲し、舳より錨を曳きゆくに言 寄せて小艇を海に下したれば、 044 ACT 027 031 パウロ、百卒長と兵卒らとに言ふ『この者ども若し船に留らずば、汝ら救はるること能はず』 044 ACT 027 032 ここに兵卒ら小艇の綱を斷切りて、その流れゆくに任す。 044 ACT 027 033 夜の明けんとする頃、パウロ凡ての人に食せんことを勸めて言ふ『なんぢら待ち待ちて食事せぬこと今日にて十 四日なり。 044 ACT 027 034 されば汝らに食せんことを勸む、これ汝らが救のためなり、汝らの頭髮 一筋だに首より落つる事なし』 044 ACT 027 035 斯く言ひて後みづからパンを取り、一同の前にて神に謝し、擘きて食し始めたれば、 044 ACT 027 036 人々もみな心を安んじて食したり。 044 ACT 027 037 船に居る我らは凡て二 百 七 十 六 人なりき。 044 ACT 027 038 人々 食し飽きてのち、穀物を海に投げ棄てて船を輕くせり。 044 ACT 027 039 夜明になりて、孰の土地かは知らねど、砂濱の入江を見出し、なし得べくば此處に船を寄せんと相 議り、 044 ACT 027 040 錨を斷ちて海に棄つるとともに、舵纜をゆるめ舳の帆を揚げて、風にまかせつつ砂濱さして進む。 044 ACT 027 041 然るに潮の流れあふ處にいたりて船を淺瀬に乘り上げたれば、舳 膠著きて動かず、艫は浪の激しきに破れたり。 044 ACT 027 042 兵卒らは囚人の泳ぎて逃れ去らんことを恐れ、これを殺さんと議りしに、 044 ACT 027 043 百卒長パウロを救はんと欲して、その議るところを阻み、泳ぎうる者に命じ、海に跳び入りてまず上陸せしめ、 044 ACT 027 044 その他の者をば或は板あるひは船の碎片に乘らしむ。斯くしてみな上陸して救はるるを得たり。 044 ACT 028 001 われら救はれて後、この島のマルタと稱ふるを知れり。 044 ACT 028 002 土人ら一方ならぬ情を我らに表し、降りしきる雨と寒氣とのために、火を焚きて我ら一同を待遇せり。 044 ACT 028 003 パウロ柴を束ねて火にくべたれば、熱によりて蝮いでて其の手につく。 044 ACT 028 004 蛇のその手に懸りたるを土人ら見て互に言ふ『この人は必ず殺人者なるべし、海より救はれしも、天道はその生くるを容さぬなり』 044 ACT 028 005 パウロ蛇を火のなかに振り落して何の害をも受けざりき。 044 ACT 028 006 人々は彼が腫れ出づるか、または忽ち倒れ死ぬるならんと候ふ。久しく窺ひたれど、聊かも害を受けぬを見て、思を變へて、此は神なりと言ふ。 044 ACT 028 007 この處の邊に島司のもてる土地あり、島司の名はポプリオといふ。此の人われらを迎へて懇切に三日の間もてなせり。 044 ACT 028 008 ポプリオの父、熱と痢病とに罹りて臥し居たれば、パウロその許にいたり、祈りかつ手を按きて醫せり。 044 ACT 028 009 この事ありてより、島の病める人々みな來りて醫されたれば、 044 ACT 028 010 禮を厚くして我らを敬ひ、また船出の時には必要なる品々を贈りたり。 044 ACT 028 011 三月の後、われらはこの島に冬籠せしデオスクリの號あるアレキサンデリヤの船にて出で、 044 ACT 028 012 シラクサにつきて三日とまり、 044 ACT 028 013 此處より繞りてレギオンにいたり、一日を過ぎて南 風ふき起りたれば、我ら二日めにポテオリに著き、 044 ACT 028 014 此處にて兄弟たちに逢ひ、その勸によりて七日のあひだ留り、而して遂にロマに往く。 044 ACT 028 015 かしこの兄弟たち我らの事をききて、アピオポロおよびトレスタベルネまで來りて我らを迎ふ。パウロこれを見て神に感謝し、その心 勇みたり。 044 ACT 028 016 我らロマに入りて後、パウロは己を守る一人の兵卒とともに別に住むことを許さる。 044 ACT 028 017 三日すぎてパウロ、ユダヤ人の重立ちたる者を呼び集む。その集りたる時これに言ふ『兄弟たちよ、我はわが民わが先祖たちの慣例に悖ることを一つも爲さざりしに、エルサレムより囚人となりて、ロマ人の手に付されたり。 044 ACT 028 018 かれら我を審きて死に當ることなき故に、我を釋さんと思ひしに、 044 ACT 028 019 ユダヤ人さからひたれば、餘義なくカイザルに上訴せり。然れど我が國人を訴へんとせしにあらず。 044 ACT 028 020 この故に我なんぢらに會ひ、かつ共に語らんことを願へり、我はイスラエルの懷く希望の爲にこの鎖に繋がれたり』 044 ACT 028 021 かれら言ふ『われら汝につきてユダヤより書を受けず、また兄弟たちの中より來りて、汝の善からぬ事を告げたる者も、語りたる者もなし。 044 ACT 028 022 ただ我らは汝の思ふところを聞かんと欲するなり。それは此の宗旨の到る處にて非 難せらるるを知ればなり』 044 ACT 028 023 ここに日を定めて多くの人パウロの宿に來りたれば、パウロ朝より夕まで神の國のことを説明して證をなし、かつモーセの律法と預言者の書とを引きてイエスのことを勸めたり。 044 ACT 028 024 パウロのいふ言を或 者は信じ、或 者は信ぜず。 044 ACT 028 025 互に相 合はずして退かんとしたるに、パウロ一言を述べて言ふ『宜なるかな、聖 靈は預言者イザヤによりて汝らの先祖たちに語り給へり。曰く、 044 ACT 028 026 「なんぢらこの民に往きて言へ、なんぢら聞きて聞けども悟らず、見て見れども認めず、 044 ACT 028 027 この民の心はにぶく、耳は聞くにものうく、目は閉ぢたればなり。これ目にて見、耳にて聞き、心にてさとり、ひるがへりて我に醫さるることなからん爲なり」 044 ACT 028 028 然れば汝ら知れ、神のこの救は異邦人に遣されたり、彼らは之を聽くべし』 044 ACT 028 029 [なし] 044 ACT 028 030 パウロは滿 二年のあひだ、己が借り受けたる家に留り、その許にきたる凡ての者を迎へて、 044 ACT 028 031 更に臆せずまた妨げられずして、神の國をのべ、主イエス・キリストの事を教へたり。 # # BOOK 045 ROM Romans ローマ人への手紙 045 ROM 001 001 キリスト・イエスの僕、召されて使徒となり、神の福音のために選び別たれたるパウロ―― 045 ROM 001 002 この福音は神その預言者たちにより、聖書の中に預じめ御子に就きて約し給ひしものなり。 045 ROM 001 003 御子は肉によれば、ダビデの裔より生れ、 045 ROM 001 004 潔き靈によれば、死人の復活により大能をもて神の子と定められ給へり、即ち我らの主イエス・キリストなり。 045 ROM 001 005 我等その御名の爲にもろもろの國人を信仰に從順ならしめんとて、彼より恩惠と使徒の職とを受けたり。 045 ROM 001 006 汝 等もその中にあり、てイエス・キリストの有とならん爲に召されたるなり。―― 045 ROM 001 007 われ書をロマに在りて神に愛せられ、召されて聖徒となりたる凡ての者に贈る。願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 045 ROM 001 008 汝らの信仰、全世界に言ひ傳へられたれば、我まづ汝ら一同の爲にイエス・キリストによりて我が神に感謝す。 045 ROM 001 009 その御子の福音に於て我が靈をもて事ふる神は、わが絶えず祈のうちに汝らを覺え、 045 ROM 001 010 如何にしてか御意に適ひ、いつか汝らに到るべき途を得んと、常に冀がふことを我がために證し給ふなり。 045 ROM 001 011 われ汝らを見んことを切に望むは、汝らの堅うせられん爲に靈の賜物を分け與へんとてなり。 045 ROM 001 012 即ち我なんぢらの中にありて、互の信仰により相 共に慰められん爲なり。 045 ROM 001 013 兄弟よ、我ほかの異邦人の中より得しごとく、汝らの中よりも實を得んとて、屡次なんぢらに往かんとしたれど、今に至りてなほ妨げらる、此の事を汝らの知らざるを欲せず。 045 ROM 001 014 我はギリシヤ人にも夷人にも、智き者にも愚なる者にも負債あり。 045 ROM 001 015 この故に我はロマに在る汝らにも福音を宣傳へんことを頻りに願ふなり。 045 ROM 001 016 我は福音を恥とせず、この福音はユダヤ人を始めギリシヤ人にも、凡て信ずる者に救を得さする神の力たればなり。 045 ROM 001 017 神の義はその福音のうちに顯れ、信仰より出でて信仰に進ましむ。録して『義人は信仰によりて生くべし』とある如し。 045 ROM 001 018 それ神の怒は、不義をもて眞理を阻む人の、もろもろの不虔と不義とに對ひて天より顯る。 045 ROM 001 019 その故は、神につきて知り得べきことは彼らに顯著なればなり、神これを顯し給へり。 045 ROM 001 020 それ神の見るべからざる永遠の能力と神性とは、造られたる物により世の創より悟りえて明かに見るべければ、彼ら言ひ遁るる術なし。 045 ROM 001 021 神を知りつつも尚これを神として崇めず、感謝せず、その念は虚しく、その愚なる心は暗くなれり。 045 ROM 001 022 自ら智しと稱へて愚となり、 045 ROM 001 023 朽つることなき神の榮光を易へて、朽つべき人および禽獸・匍ふ物に似たる像となす。 045 ROM 001 024 この故に神は彼らを其の心の慾にまかせて、互にその身を辱しむる汚穢に付し給へり。 045 ROM 001 025 彼らは神の眞を易へて虚僞となし、造物主を措きて造られたる物を拜し、且これに事ふ、造物主は永遠に讃むべき者なり、アァメン。 045 ROM 001 026 之によりて神は彼らを恥づべき慾に付し給へり。即ち女は順性の用を易へて逆性の用となし、 045 ROM 001 027 男もまた同じく女の順性の用を棄てて互に情 慾を熾し、男と男と恥づることを行ひて、その迷に値すべき報を己が身に受けたり。 045 ROM 001 028 また神を心に存むるを善しとせざれば、神もその邪曲なる心の隨に爲まじき事をするに任せ給へり。 045 ROM 001 029 即ちもろもろの不義・惡・慳貪・惡意にて滿つる者、また嫉妬・殺意・紛爭・詭計・惡念の溢るる者、 045 ROM 001 030 讒言する者・謗る者・神に憎まるる者・侮る者・高ぶる者・誇る者・惡事を企つる者・父母に逆ふ者、 045 ROM 001 031 無知・違約・無情・無 慈悲なる者にして、 045 ROM 001 032 かかる事どもを行ふ者の死罪に當るべき神の定を知りながら、啻に自己これらの事を行ふのみならず、また人の之を行ふを可しとせり。 045 ROM 002 001 されば凡て人を審く者よ、なんぢ言ひ遁るる術なし、他の人を審くは、正しく己を罪するなり。人をさばく汝もみづから同じ事を行へばなり。 045 ROM 002 002 かかる事をおこなふ者を罪する神の審判は眞理に合へりと我らは知る。 045 ROM 002 003 かかる事をおこなふ者を審きて自己これを行ふ人よ、なんぢ神の審判を遁れんと思ふか。 045 ROM 002 004 神の仁慈なんぢを悔改に導くを知らずして、その仁慈と忍耐と寛容との豐なるを輕んずるか。 045 ROM 002 005 なんぢ頑固と悔改めぬ心とにより、己のために神の怒を積みて、その正しき審判の顯るる怒の日に及ぶなり。 045 ROM 002 006 神はおのおのの所作に隨ひて報い、 045 ROM 002 007 耐へ忍びて善をおこない光榮と尊貴と朽ちざる事とを求むる者には、永遠の生命をもて報い、 045 ROM 002 008 徒黨により眞理に從はずして不義にしたがう者には、怒と憤恚とをもて報い給はん。 045 ROM 002 009 すべて惡をおこなふ人には、ユダヤ人を始めギリシヤ人にも患難と苦難とあり。 045 ROM 002 010 凡て善をおこなふ人には、ユダヤ人を始めギリシヤ人にも光榮と尊貴と平安とあらん。 045 ROM 002 011 そは神には偏り視 給ふこと無ければなり。 045 ROM 002 012 凡そ律法なくして罪を犯したる者は律法なくして滅び、律法ありて罪を犯したる者は律法によりて審かるべし。 045 ROM 002 013 律法を聞くもの神の前に義たるにあらず、律法をおこなふ者のみ義とせらるべし。―― 045 ROM 002 014 律法を有たぬ異邦人、もし本性のまま律法に載せたる所をおこなふ時は、律法を有たずともおのづから己が律法たるなり。 045 ROM 002 015 即ち律法の命ずる所のその心に録されたるを顯し、おのが良心もこれを證をなして、その念、たがひに或は訴へ或は辯明す。―― 045 ROM 002 016 是わが福音に云へる如く、神のキリスト・イエスによりて人々の隱れたる事を審きたまふ日に成るべし。 045 ROM 002 017 汝ユダヤ人と稱へられ、律法に安んじ、神を誇り、 045 ROM 002 018 その御意を知り、律法に教へられて善惡を辨へ、 045 ROM 002 019 また律法のうちに知識と眞理との式を有てりとして、盲人の手引、暗黒にをる者の光明、 045 ROM 002 020 愚なる者の守役、幼兒の教師なりと自ら信ずる者よ、 045 ROM 002 021 何ゆゑ人に教へて己を教へぬか、竊む勿れと宣べて自ら竊むか、 045 ROM 002 022 姦淫する勿れと言ひて姦淫するか、偶像を惡みて宮の物を奪ふか、 045 ROM 002 023 律法に誇りて律法を破り神を輕んずるか。 045 ROM 002 024 録して『神の名は汝らの故によりて異邦人の中に涜さる』とあるが如し。 045 ROM 002 025 なんぢ律法を守らば割禮は益あり、律法を破らば汝の割禮は無 割禮となるなり。 045 ROM 002 026 割禮なき者も律法の義を守らば、その無 割禮は割禮とせらるるにあらずや。 045 ROM 002 027 本性のまま割禮なくして律法を全うする者は、儀文と割禮とありてなほ律法をやぶる汝を審かん。 045 ROM 002 028 それ表面のユダヤ人はユダヤ人たるにあらず、肉に在る表面の割禮は割禮たるにあらず。 045 ROM 002 029 隱なるユダヤ人はユダヤ人なり、儀文によらず、靈による心の割禮は割禮なり、その譽は人よりにあらず、神より來るなり。 045 ROM 003 001 さらばユダヤ人に何の優るる所ありや、また割禮に何の益ありや。 045 ROM 003 002 凡ての事に益おほし、先づ第一に彼らは神の言を委ねられたり。 045 ROM 003 003 されど如何ん、ここに信ぜざる者ありとも、その不 信は神の眞實を廢つべきか。 045 ROM 003 004 決して然らず、人をみな虚僞 者とすとも神を誠實とすべし。録して『なんぢは其の言にて義とせられ、審かるるとき勝を得給はん爲なり』とあるが如し。 045 ROM 003 005 然れど若し我らの不義は神の義を顯すとせば何と言はんか、怒を加へたまふ神は不義なるか(こは人の言ふごとく言ふなり) 045 ROM 003 006 決して然らず、若し然あらば神は如何にして世を審き給ふべき。 045 ROM 003 007 わが虚僞によりて神の誠實いよいよ顯れ、その榮光とならんには、いかで我なほ罪人として審かるる事あらん。 045 ROM 003 008 また『善を來らせん爲に惡をなすは可からずや』(或 者われらを譏りて之を我らの言なりといふ)かかる人の罪に定めらるるは正し。 045 ROM 003 009 さらば如何ん、我らの勝る所ありや、有ることなし。我ら既にユダヤ人もギリシヤ人もみな罪の下に在りと告げたり。 045 ROM 003 010 録して『義人なし、一人だになし、 045 ROM 003 011 聰き者なく、神を求むる者なし。 045 ROM 003 012 みな迷ひて相 共に空しくなれり、善をなす者なし、一人だになし。 045 ROM 003 013 彼らの咽は開きたる墓なり、舌には詭計あり、口唇のうちには蝮の毒あり、 045 ROM 003 014 その口は詛と苦とにて滿つ。 045 ROM 003 015 その足は血を流すに速し、 045 ROM 003 016 破壞と艱難とその道にあり、 045 ROM 003 017 彼らは平和の道を知らず。 045 ROM 003 018 その眼前に神をおそるる畏なし』とあるが如し。 045 ROM 003 019 それ律法の言ふところは律法の下にある者に語ると我らは知る、これは凡ての口ふさがり、神の審判に全世界の服せん爲なり。 045 ROM 003 020 律法の行爲によりては、一人だに神のまへに義とせられず、律法によりて罪は知らるるなり。 045 ROM 003 021 然るに今や律法の外に神の義は顯れたり、これ律法と預言者とに由りて證せられ、 045 ROM 003 022 イエス・キリストを信ずるに由りて凡て信ずる者に與へたまふ神の義なり。之には何 等の差別あるなし。 045 ROM 003 023 凡ての人、罪を犯したれば神の榮光を受くるに足らず、 045 ROM 003 024 功なくして神の恩惠により、キリスト・イエスにある贖罪によりて義とせらるるなり。 045 ROM 003 025 即ち神は忍耐をもて過來しかたの罪を見遁し給ひしが、己の義を顯さんとて、キリストを立て、その血によりて信仰によれる宥の供物となし給へり。 045 ROM 003 026 これ今おのれの義を顯して、自ら義たらん爲、またイエスを信ずる者を義とし給はん爲なり。 045 ROM 003 027 さらば誇るところ何處にあるか。既に除かれたり、何の律法に由りてか、行爲の律法か、然らず、信仰の律法に由りてなり。 045 ROM 003 028 我らは思ふ、人の義とせらるるは、律法の行爲によらず、信仰に由るなり。 045 ROM 003 029 神はただユダヤ人のみの神なるか、また異邦人の神ならずや、然り、また異邦人の神なり。 045 ROM 003 030 神は唯一にして、割禮ある者を信仰によりて義とし、割禮なき者をも信仰によりて義とし給へばなり。 045 ROM 003 031 然らば我ら信仰をもて律法を空しくするか、決して然らず、反つて律法を堅うするなり。 045 ROM 004 001 さらば我らの先祖アブラハムは肉につきて何を得たりと言はんか。 045 ROM 004 002 アブラハム若し行爲によりて義とせられたらんには誇るべき所あり、然れど神の前には有ることなし。 045 ROM 004 003 聖書に何と云へるか『アブラハム神を信ず、その信仰を義と認められたり』と。 045 ROM 004 004 それ働く者への報酬は恩惠といはず、負債と認めらる。 045 ROM 004 005 されど働く事なくとも、敬虔ならぬ者を義としたまふ神を信ずる者は、その信仰を義と認めらるるなり。 045 ROM 004 006 ダビデもまた行爲なくして神に義と認めらるる人の幸福につきて斯く云へり。曰く、 045 ROM 004 007 『不法を免され、罪を蔽はれたる者は幸福なるかな、 045 ROM 004 008 主が罪を認め給はぬ人は幸福なるかな』 045 ROM 004 009 されば此の幸福はただ割禮ある者にのみあるか、また割禮なき者にもあるか、我らは言ふ『アブラハムはその信仰を義と認められたり』と。 045 ROM 004 010 如何なるときに義と認められたるか、割禮ののちか、無 割禮のときか、割禮の後ならず、無 割禮の時なり。 045 ROM 004 011 而して無 割禮のときの信仰によれる義の印として割禮の徽を受けたり、これ無 割禮にして信ずる凡ての者の義と認められん爲に、その父となり、 045 ROM 004 012 また割禮のみに由らず、我らの父アブラハムの無 割禮のときの信仰の跡をふむ割禮ある者の父とならん爲なり。 045 ROM 004 013 アブラハム世界の世嗣たるべしとの約束を、アブラハムとその裔との與へられしは、律法に由らず、信仰の義に由れるなり。 045 ROM 004 014 もし律法による者ども世嗣たらば、信仰は空しく約束は廢るなり。 045 ROM 004 015 それ律法は怒を招く、律法なき所には罪を犯すこともなし。 045 ROM 004 016 この故に世嗣たることの恩惠に干らんために信仰に由るなり、是かの約束のアブラハムの凡ての裔、すなわち律法による裔のみならず、彼の信仰に效ふ裔にも堅うせられん爲なり。 045 ROM 004 017 彼はその信じたる所の神、すなはち死人を活し、無きものを有るものの如く呼びたまふ神の前にて、我等すべての者の父たるなり。録して『われ汝を立てて多くの國人の父とせり』とあるが如し。 045 ROM 004 018 彼は望むべくもあらぬ時になほ望みて信じたり、是なんぢの裔はかくの如くなるべしと言ひ給ひしに隨ひて、多くの國人の父とならん爲なりき。 045 ROM 004 019 かくて凡そ百歳に及びて己が身の死にたるがごとき状なると、サラの胎の死にたるが如きとを認むれども、その信仰よわらず、 045 ROM 004 020 不 信をもて神の約束を疑はず、信仰により強くなりて神に榮光を歸し、 045 ROM 004 021 その約し給へることを、成し得給ふと確信せり。 045 ROM 004 022 之に由りて其の信仰を義と認められたり。 045 ROM 004 023 斯く『義と認められたり』と録したるは、アブラハムの爲のみならず、また我らの爲なり。 045 ROM 004 024 我らの主イエスを死人の中より甦へらせ給ひし者を信ずる我らも、その信仰を義と認められん。 045 ROM 004 025 主は我らの罪のために付され、我らの義とせられん爲に甦へらせられ給へるなり。 045 ROM 005 001 斯く我ら信仰によりて義とせられたれば、我らの主イエス・キリストに頼り、神に對して平和を得たり。 045 ROM 005 002 また彼により信仰によりて、今 立つところの恩惠に入ることを得、神の榮光を望みて喜ぶなり。 045 ROM 005 003 然のみならず患難をも喜ぶ、そは患難は忍耐を生じ、 045 ROM 005 004 忍耐は練達を生じ、練達は希望を生ずと知ればなり。 045 ROM 005 005 希望は恥を來らせず、我らに賜ひたる聖 靈によりて神の愛われらの心に注げばなり。 045 ROM 005 006 我等のなほ弱かりし時、キリスト定りたる日に及びて、敬虔ならぬ者のために死に給へり。 045 ROM 005 007 それ義人のために死ぬるもの殆どなし、仁者のためには死ぬることを厭はぬ者もやあらん。 045 ROM 005 008 然れど我等がなほ罪人たりし時、キリスト我等のために死に給ひしに由りて、神は我らに對する愛をあらはし給へり。 045 ROM 005 009 斯く今その血に頼りて我ら義とせられたらんには、まして彼によりて怒より救はれざらんや。 045 ROM 005 010 我等もし敵たりしとき御子の死に頼りて神と和ぐことを得たらんには、まして和ぎて後その生命によりて救はれざらんや。 045 ROM 005 011 然のみならず今われらに和睦を得させ給へる我らの主イエス・キリストに頼りて神を喜ぶなり。 045 ROM 005 012 それ一人の人によりて罪は世に入り、また罪によりて死は世に入り、凡ての人 罪を犯しし故に、死は凡ての人に及べり。 045 ROM 005 013 律法のきたる前にも罪は世にありき、されど律法なくば罪は認めらるること無し。 045 ROM 005 014 然るにアダムよりモーセに至るまで、アダムの咎と等しき罪を犯さぬ者の上にも死は王たりき。アダムは來らんとする者の型なり。 045 ROM 005 015 されど恩惠の賜物は、かの咎の如きにあらず、一人の咎によりて多くの人の死にたらんには、まして神の恩惠と一人の人イエス・キリストによる恩惠の賜物とは、多くの人に溢れざらんや。 045 ROM 005 016 又この賜物は罪を犯しし一人より來れるものの如きにあらず、審判は一人よりして罪を定むるに至りしが、恩惠の賜物は多くの咎よりして義とするに至るなり。 045 ROM 005 017 もし一人の咎のために一人によりて死は王となりたらんには、まして恩惠と義の賜物とを豐に受くる者は、一人のイエス・キリストにより生命に在りて王たらざらんや。 045 ROM 005 018 されば一つの咎によりて罪を定むることの凡ての人に及びしごとく、一つの正しき行爲によりて義とせられ生命を得るに至ることも、凡ての人に及べり。 045 ROM 005 019 それは一人の不 從順によりて多くの人の罪人とせられし如く、一人の從順によりて多くの人、義人とせらるるなり。 045 ROM 005 020 律法の來りしは咎の増さんためなり。されど罪の増すところには恩惠も彌増せり。 045 ROM 005 021 これ罪の死によりて王たりし如く、恩惠も義によりて王となり、我らの主イエス・キリストに由りて永遠の生命に至らん爲なり。 045 ROM 006 001 されば何をか言はん、恩惠の増さんために罪のうちに止るべきか、 045 ROM 006 002 決して然らず、罪に就きて死にたる我らは爭で尚その中に生きんや。 045 ROM 006 003 なんじら知らぬか、凡そキリスト・イエスに合ふバプテスマを受けたる我らは、その死に合ふバプテスマを受けしを。 045 ROM 006 004 我らはバプテスマによりて彼とともに葬られ、その死に合せられたり。これキリスト父の榮光によりて死人の中より甦へらせられ給ひしごとく、我らも新しき生命に歩まんためなり。 045 ROM 006 005 我らキリストに接がれて、その死の状にひとしくば、その復活にも等しかるべし。 045 ROM 006 006 我らは知る、われらの舊き人、キリストと共に十字架につけられたるは、罪の體ほろびて、此ののち罪に事へざらん爲なるを。 045 ROM 006 007 そは死にし者は罪より脱るるなり。 045 ROM 006 008 我等もしキリストと共に死にしならば、また彼とともに活きんことを信ず。 045 ROM 006 009 キリスト死人の中より甦へりて復 死に給はず、死もまた彼に主とならぬを我ら知ればなり。 045 ROM 006 010 その死に給へるは罪につきて一たび死に給へるにて、その活き給へるは神につきて活き給へるなり。 045 ROM 006 011 斯くのごとく汝らも己を罪につきては死にたるもの、神につきては、キリスト・イエスに在りて活きたる者と思ふべし。 045 ROM 006 012 されば罪を汝らの死ぬべき體に王たらしめて其の慾に從ふことなく、 045 ROM 006 013 汝らの肢體を罪に献げて不義の器となさず、反つて死人の中より活き返りたる者のごとく己を神にささげ、その肢體を義の器として神に献げよ。 045 ROM 006 014 汝らは律法の下にあらずして恩惠の下にあれば、罪は汝らに主となる事なきなり。 045 ROM 006 015 然らば如何に、我らは律法の下にあらず、恩惠の下にあるが故に、罪を犯すべきか、決して然らず。 045 ROM 006 016 なんぢら知らぬか、己を献げ僕となりて、誰に從ふとも其の僕たることを。或は罪の僕となりて死に至り、或は從順の僕となりて義に至る。 045 ROM 006 017 然れど神に感謝す、汝 等はもと罪の僕なりしが、傳へられし教の範に心より從ひ、 045 ROM 006 018 罪より解放されて義の僕となりたり。 045 ROM 006 019 斯く人の事をかりて言ふは、汝らの肉よわき故なり。なんぢら舊その肢體をささげ、穢と不法との僕となりて不法に到りしごとく、今その肢體をささげ、義の僕となりて潔に到れ。 045 ROM 006 020 なんぢら罪の僕たりしときは義に對して自由なりき。 045 ROM 006 021 その時に今は恥とする所の事によりて何の實を得しか、これらの事の極は死なり。 045 ROM 006 022 然れど今は罪より解放されて神の僕となりたれば、潔にいたる實を得たり、その極は永遠の生命なり。 045 ROM 006 023 それ罪の拂ふ價は死なり、然れど神の賜物は我らの主キリスト・イエスにありて受くる永遠の生命なり。 045 ROM 007 001 兄弟よ、なんぢら知らぬか、(われ律法を知る者に語る)律法は人の生ける間のみ之に主たるなり。 045 ROM 007 002 夫ある婦は律法によりて夫の生ける中は之に縛らる。然れど夫 死なば夫の律法より解かるるなり。 045 ROM 007 003 されば夫の生ける中に他の人に適かば淫婦と稱へらるれど、夫 死なばその律法より解放さるる故に、他の人に適くとも淫婦とはならぬなり。 045 ROM 007 004 わが兄弟よ、斯くのごとく汝 等もキリストの體により律法に就きて死にたり。これ他の者、すなはち死人の中より甦へらせられ給ひし者に適き、神のために實を結ばん爲なり。 045 ROM 007 005 われら肉に在りしとき、律法に由れる罪の情は我らの肢體のうちに働きて、死のために實を結ばせたり。 045 ROM 007 006 されど縛られたる所に就きて我等いま死にて律法より解かれたれば、儀文の舊きによらず、靈の新しきに從ひて事ふることを得るなり。 045 ROM 007 007 さらば何をか言はん、律法は罪なるか、決して然らず、律法に由らでは、われ罪を知らず、律法に『貪る勿れ』と言はずば、慳貪を知らざりき。 045 ROM 007 008 されど罪は機に乘じ誡命によりて各樣の慳貪を我がうちに起せり、律法なくば罪は死にたるものなり。 045 ROM 007 009 われ曾て律法なくして生きたれど、誡命きたりし時に罪は生き、我は死にたり。 045 ROM 007 010 而して我は生命にいたるべき誡命の反つて死に到らしむるを見出せり。 045 ROM 007 011 これ罪は機に乘じ誡命によりて我を欺き、かつ之によりて我を殺せり。 045 ROM 007 012 それ律法は聖なり、誡命もまた聖にして正しく、かつ善なり。 045 ROM 007 013 されば善なるもの我に死となりたるか。決して然らず、罪は罪たることの現れんために、善なる者によりて我が内に死を來らせたるなり。これ誡命によりて罪の甚だしき惡とならん爲なり。 045 ROM 007 014 われら律法は靈なるものと知る、されど我は肉なる者にて罪の下に賣られたり。 045 ROM 007 015 わが行ふことは我しらず、我が欲する所は之をなさず、反つて我が憎むところは之を爲すなり。 045 ROM 007 016 わが欲せぬ所を爲すときは律法の善なるを認む。 045 ROM 007 017 然れば之を行ふは我にあらず、我が中に宿る罪なり。 045 ROM 007 018 我はわが中、すなわち我が肉のうちに善の宿らぬを知る、善を欲すること我にあれど、之を行ふ事なければなり。 045 ROM 007 019 わが欲する所の善は之をなさず、反つて欲せぬ所の惡は之をなすなり。 045 ROM 007 020 我もし欲せぬ所の事をなさば、之を行ふは我にあらず、我が中に宿る罪なり。 045 ROM 007 021 然れば善をなさんと欲する我に惡ありとの法を、われ見出せり。 045 ROM 007 022 われ中なる人にては神の律法を悦べど、 045 ROM 007 023 わが肢體のうちに他の法ありて、我が心の法と戰ひ、我を肢體の中にある罪の法の下に虜とするを見る。 045 ROM 007 024 噫われ惱める人なるかな、此の死の體より我を救はん者は誰ぞ。 045 ROM 007 025 我らの主イエス・キリストに頼りて神に感謝す、然れば我みづから心にては神の律法につかへ、内にては罪の法に事ふるなり。 045 ROM 008 001 この故に今やキリスト・イエスに在る者は罪の定めらるることなし。 045 ROM 008 002 キリスト・イエスに在る生命の御靈の法は、なんじを罪と死との法より解放したればなり。 045 ROM 008 003 肉によりて弱くなれる律法の成し能はぬ所を神は爲し給へり、即ち己の子を罪ある肉の形にて罪のために遣し、肉に於て罪を定めたまへり。 045 ROM 008 004 これ肉に從はず靈に從ひて歩む我らの中に、律法の義の完うせられん爲なり。 045 ROM 008 005 肉にしたがふ者は肉の事をおもひ、靈にしたがふ者は靈の事をおもふ。 045 ROM 008 006 肉の念は死なり、靈の念は生命なり、平安なり。 045 ROM 008 007 肉の念は神に逆ふ、それは神の律法に服はず、否したがふこと能はず、 045 ROM 008 008 また肉に居る者は神を悦ばすこと能はざるなり。 045 ROM 008 009 然れど神の御靈なんぢらの中に宿り給はば、汝らは肉に居らで靈に居らん、キリストの御靈なき者はキリストに屬する者にあらず。 045 ROM 008 010 若しキリスト汝らに在さば、體は罪によりて死にたる者なれど、靈は義によりて生命に在らん。 045 ROM 008 011 若しイエスを死人の中より甦へらせ給ひし者の御靈なんぢらの中に宿り給はば、キリスト・イエスを死人の中より甦へらせ給ひし者は、汝らの中に宿りたまふ御靈によりて、汝らの死ぬべき體をも活し給はん。 045 ROM 008 012 されば兄弟よ、われらは負債あれど、肉に負ふ者ならねば、肉に從ひて活くべきにあらず。 045 ROM 008 013 汝 等もし肉に從ひて活きなば、死なん。もし靈によりて體の行爲を殺さば活くべし。 045 ROM 008 014 すべて神の御靈に導かるる者は、これ神の子なり。 045 ROM 008 015 汝らは再び懼を懷くために僕たる靈を受けしにあらず、子とせられたる者の靈を受けたり、之によりて我らはアバ父と呼ぶなり。 045 ROM 008 016 御靈みづから我らの靈とともに我らが神の子たることを證す。 045 ROM 008 017 もし子たらば世嗣たらん、神の嗣子にしてキリストと共に世嗣たるなり。これはキリストとともに榮光を受けん爲に、その苦難をも共に受くるに因る。 045 ROM 008 018 われ思うに、今の時の苦難は、われらの上に顯れんとする榮光にくらぶるに足らず。 045 ROM 008 019 それ造られたる者は、切に慕ひて神の子たちの現れんことを待つ。 045 ROM 008 020 造られたるものの虚無に服せしは、己が願によるにあらず、服せしめ給ひし者によるなり。 045 ROM 008 021 然れどなほ造られたる者にも滅亡の僕たる状より解かれて、神の子たちの光榮の自由に入る望は存れり。 045 ROM 008 022 我らは知る、すべて造られたるものの今に至るまで共に嘆き、ともに苦しむことを。 045 ROM 008 023 然のみならず、御靈の初の實をもつ我らも自ら心のうちに嘆きて、子とせられんこと、即ちおのが軆の贖はれんことを待つなり。 045 ROM 008 024 我らは望によりて救はれたり、眼に見ゆる望は望にあらず、人その見るところを爭でなほ望まんや。 045 ROM 008 025 我等もし其の見ぬところを望まば、忍耐をもて之を待たん。 045 ROM 008 026 斯くのごとく御靈も我らの弱を助けたまふ。我らは如何に祈るべきかを知らざれども、御靈みづから言ひ難き歎をもて執成し給ふ。 045 ROM 008 027 また人の心を極めたまふ者は御靈の念をも知りたまふ。御靈は神の御意に適ひて聖徒のために執成し給へばなり。 045 ROM 008 028 神を愛する者、すなはち御旨によりて召されたる者の爲には、凡てのこと相 働きて益となるを我らは知る。 045 ROM 008 029 神は預じめ知りたまふ者を御子の像に象らせんと預じめ定め給へり。これ多くの兄弟のうちに、御子を嫡子たらせんが爲なり。 045 ROM 008 030 又その預じめ定めたる者を召し、召したる者を義とし、義としたる者には光榮を得させ給ふ。 045 ROM 008 031 然れば此 等の事につきて何をか言はん、神もし我らの味方ならば、誰か我らに敵せんや。 045 ROM 008 032 己の御子を惜まずして我ら衆のために付し給ひし者は、などか之にそへて萬物を我らに賜はざらんや。 045 ROM 008 033 誰か神の選び給へる者を訴へん、神は之を義とし給ふ。 045 ROM 008 034 誰か之を罪に定めん、死にて甦へり給ひしキリスト・イエスは神の右に在して、我らの爲に執成し給ふなり。 045 ROM 008 035 我等をキリストの愛より離れしむる者は誰ぞ、患難か、苦難か、迫害か、飢か、裸か、危險か、劍か。 045 ROM 008 036 録して『汝のために我らは、終日ころされて屠らるべき羊の如きものとせられたり』とあるが如し。 045 ROM 008 037 されど凡てこれらの事の中にありても、我らを愛したまふ者に頼り、勝ち得て餘あり。 045 ROM 008 038 われ確く信ず、死も生命も、御使も、權威ある者も、今ある者も後あらん者も、力ある者も、 045 ROM 008 039 高きも深きも、此の他の造られたるものも、我らの主キリスト・イエスにある神の愛より、我らを離れしむるを得ざることを。 045 ROM 009 001 我キリストに在りて眞をいひ虚僞を言はず、 045 ROM 009 002 我に大なる憂あることと心に絶えざる痛あることとを、我が良心も聖 靈によりて證す。 045 ROM 009 003 もし我が兄弟わが骨肉の爲にならんには、我みづから詛はれてキリストに棄てらるるも亦ねがふ所なり。 045 ROM 009 004 彼 等はイスラエル人にして、彼らには神の子とせられたることと、榮光と、もろもろの契約と、授けられたる律法と、禮拜と、もろもろの約束とあり。 045 ROM 009 005 先祖たちも彼 等のものなり、肉によれば、キリストも彼 等より出で給ひたり。キリストは萬物の上にあり、永遠に讃むべき神なり、アァメン。 045 ROM 009 006 それ神の言は廢りたるに非ず。イスラエルより出づる者みなイスラエルなるに非ず。 045 ROM 009 007 また彼 等はアブラハムの裔なればとて皆その子たるに非ず『イサクより出づる者は、なんぢの裔と稱へらるべし』とあり。 045 ROM 009 008 即ち肉の子らは神の子らにあらず、ただ約束の子 等のみ其の裔と認めらるるなり。 045 ROM 009 009 約束の御言は是なり、曰く『時ふたたび巡り來らば、我きたりてサラに男子あらん』と。 045 ROM 009 010 然のみならず、レベカも我らの先祖イサク一人によりて孕りたる時、 045 ROM 009 011 その子いまだ生れず、善も惡もなさぬ間に、神の選の御旨は動かず、 045 ROM 009 012 行爲によらで召す者によらん爲に『兄は次弟に事ふべし』とレベカに宣へり。 045 ROM 009 013 『われヤコブを愛しエザウを憎めり』と録されたる如し。 045 ROM 009 014 さらば何をか言はん、神には不義あるか。決して然らず。 045 ROM 009 015 モーセに言ひ給ふ『われ憐まんとする者をあはれみ、慈悲を施さんとする者に慈悲を施すべし』と。 045 ROM 009 016 されば欲する者にも由らず、走る者にも由らず、ただ憐みたまふ神に由るなり。 045 ROM 009 017 パロにつきて聖書に言ひ給ふ『わが汝を起したるは此の爲なり、即ち我が能力を汝によりて顯し、且わが名の全世界に傳へられん爲なり』と。 045 ROM 009 018 されば神はその憐まんと欲する者を憐み、その頑固にせんと欲する者を頑固にし給ふなり。 045 ROM 009 019 さらば汝あるいは我に言はん『神なんぞなほ人を咎め給ふか、誰かその御定に悖る者あらん』 045 ROM 009 020 ああ人よ、なんぢ誰なれば神に言ひ逆ふか、造られしもの造りたる者に對ひて『なんぢ何ぞ我を斯く造りし』と言ふべきか。 045 ROM 009 021 陶工は同じ土塊をもて、此を貴きに用ふる器とし、彼を賤しきに用ふる器とするの權なからんや。 045 ROM 009 022 もし神、怒をあらはし權力を示さんと思しつつも、なほ大なる寛容をもて、滅亡に備れる怒の器を忍び、 045 ROM 009 023 また光榮のために預じめ備へ給ひし憐憫の器に對ひて、その榮光の富を示さんとし給ひしならば如何に。 045 ROM 009 024 この憐憫の器は我等にして、ユダヤ人の中よりのみならず、異邦人の中よりも召し給ひしものなり。 045 ROM 009 025 ホゼヤの書に『我わが民たらざる者を我が民と呼び、愛せられざる者を愛せらるる者と呼ばん、 045 ROM 009 026 「なんぢら我が民にあらず」と言ひし處にて、彼らは活ける神の子と呼ばるべし』と宣へる如し。 045 ROM 009 027 イザヤもイスラエルに就きて叫べり『イスラエルの子孫の數は海の砂のごとくなりとも、救はるるはただ殘の者のみならん。 045 ROM 009 028 主、地の上に御言をなし了へ、これを遂げ、これを速かにし給はん』 045 ROM 009 029 また『萬軍の主われらに裔を遺し給はずば、我等ソドムの如くになり、ゴモラと等しかりしならん』とイザヤの預言せしが如し。 045 ROM 009 030 然らば何をか言はん、義を追ひ求めざりし異邦人は義を得たり、即ち信仰による義なり。 045 ROM 009 031 イスラエルは義の律法を追ひ求めたれど、その律法に到らざりき。 045 ROM 009 032 何の故か、かれらは信仰によらず、行爲によりて追ひ求めたる故なり。彼らは躓く石に躓きたり。 045 ROM 009 033 録して『視よ、我つまづく石さまたぐる岩をシオンに置く、之に依頼む者は辱しめられじ』とあるが如し。 045 ROM 010 001 兄弟よ、わが心のねがひ、神に對する祈は、彼らの救はれんことなり。 045 ROM 010 002 われ彼らが神のために熱心なることを證す、されど其の熱心は知識によらざるなり。 045 ROM 010 003 それは神の義を知らず、己の義を立てんとして、神の義に服はざればなり。 045 ROM 010 004 キリストは凡て信ずる者の義とせられん爲に律法の終となり給へり。 045 ROM 010 005 モーセは、律法による義をおこなふ人は之によりて生くべしと録したり。 045 ROM 010 006 されど信仰による義は斯くいふ『なんぢ心に「誰か天に昇らん」と言ふなかれ』と。 045 ROM 010 007 これキリストを引下さんとするなり『また「たれか底なき所に下らん」と言ふなかれ』と。是キリストを死人の中より引上げんとするなり。 045 ROM 010 008 さらば何と言ふか『御言はなんぢに近し、なんぢの口にあり、汝の心にあり』と。これ我らが宣ぶる信仰の言なり。 045 ROM 010 009 即ち、なんぢ口にてイエスを主と言ひあらはし、心にて神の之を死人の中より甦へらせ給ひしことを信ぜば、救はるべし。 045 ROM 010 010 それ人は心に信じて義とせられ、口に言ひあらはして救はるるなり。 045 ROM 010 011 聖書にいふ『すべて彼を信ずる者は辱しめられじ』と。 045 ROM 010 012 ユダヤ人とギリシヤ人との區別なし、同一の主は萬民の主にましまして、凡て呼び求むる者に對して豐なり。 045 ROM 010 013 『すべて主の御名を呼び求むる者は救はるべし』とあればなり。 045 ROM 010 014 然れど未だ信ぜぬ者を爭で呼び求むることをせん、未だ聽かぬ者を爭で信ずることをせん、宣傳ふる者なくば爭で聽くことをせん。 045 ROM 010 015 遣されずば爭で宣傳ふることをせん『ああ美しきかな、善き事を告ぐる者の足よ』と録されたる如し。 045 ROM 010 016 されど、みな福音に從ひしにはあらず、イザヤいふ『主よ、われらに聞きたる言を誰か信ぜし』 045 ROM 010 017 斯く信仰は聞くにより、聞くはキリストの言による。 045 ROM 010 018 されど我いふ、彼ら聞えざりしか、然らず『その聲は全地にゆきわたり、其の言は世界の極にまで及べり』 045 ROM 010 019 我また言ふ、イスラエルは知らざりしか、先づモーセ言ふ『われ民ならぬ者をもて汝らに嫉を起させ、愚なる民をもて汝らを怒らせん』 045 ROM 010 020 またイザヤ憚らずして言ふ『我を求めざる者に、われ見出され、我を尋ねざる者に我あらはれたり』 045 ROM 010 021 更にイスラエルに就きては『われ服はずして言ひさからふ民に、終日 手を伸べたり』と云へり。 045 ROM 011 001 されば我いふ、神はその民を棄て給ひしか。決して然らず。我もイスラエル人にしてアブラハムの裔ベニヤミンの族の者なり。 045 ROM 011 002 神はその預じめ知り給ひし民を棄て給ひしにあらず。汝らエリヤに就きて聖書に云へることを知らぬか、彼イスラエルを神に訴へて言ふ、 045 ROM 011 003 『主よ、彼らは汝の預言者たちを殺し、なんぢの祭壇を毀ち、我ひとり遺りたるに、亦わが生命をも求めんとするなり』と。 045 ROM 011 004 然るに御答は何と云へるか『われバアルに膝を屈めぬ者、七 千 人を我がために遺し置けり』と。 045 ROM 011 005 斯くのごとく今もなほ恩惠の選によりて遺れる者あり。 045 ROM 011 006 もし恩惠によるとせば、もはや行爲によるにあらず。然らずば恩惠はもはや恩惠たらざるべし。 045 ROM 011 007 さらば如何に、イスラエルはその求むる所を得ず、選ばれたる者は之を得たり、その他の者は鈍くせられたり。 045 ROM 011 008 『神は今日に至るまで、彼らに眠れる心、見えぬ目、聞えぬ耳を與へ給へり』と録されたるが如し。 045 ROM 011 009 ダビデも亦いふ『かれらの食卓は羂となれ、網となれ、つまづきとなれ、報となれ、 045 ROM 011 010 その眼は眩みて見えずなれ、常にその背を屈めしめ給へ』 045 ROM 011 011 されば我いふ、彼らの躓きしは倒れんが爲なりや。決して然らず、反つて其の落度によりて救は異邦人に及べり、これイスラエルを勵まさん爲なり。 045 ROM 011 012 もし彼らの落度、世の富となり、その衰微、異邦人の富となりたらんには、まして彼らの數 滿つるに於てをや。 045 ROM 011 013 われ異邦人なる汝 等にいふ、我は異邦人の使徒たるによりて己が職を重んず。 045 ROM 011 014 これ或は我が骨肉の者を勵まし、その中の幾許かを救はん爲なり。 045 ROM 011 015 もし彼らの棄てらるること世の平和となりたらんには、其の受け納れらるるは、死人の中より活くると等しからずや。 045 ROM 011 016 もし初穗の粉 潔くば、パンの團塊も潔く、樹の根 潔くば、其の枝も潔からん。 045 ROM 011 017 若しオリブの幾許の枝きり落されて野のオリブなる汝、その中に接がれ、共にその樹の液汁ある根に與らば、 045 ROM 011 018 かの枝に對ひて誇るな、たとひ誇るとも汝は根を支へず、根は反つて汝を支ふるなり。 045 ROM 011 019 なんぢ或は言はん『枝の折られしは我が接がれん爲なり』と。 045 ROM 011 020 實に然り、彼らは不 信によりて折られ、汝は信仰によりて立てるなり、高ぶりたる思をもたず、反つて懼れよ。 045 ROM 011 021 もし神、原 樹の枝を惜み給はざりしならば、汝をも惜み給はじ。 045 ROM 011 022 神の仁慈と、その嚴肅とを見よ。嚴肅は倒れし者にあり、仁慈はその仁慈に止る汝にあり、若しその仁慈に止らずば、汝も切り取らるべし。 045 ROM 011 023 彼らも若し不 信に止らずば、接がるることあらん、神は再び彼らを接ぎ得給ふなり。 045 ROM 011 024 なんぢ生來の野のオリブより切り取られ、その生來に悖りて善きオリブに接がれたらんには、まして原 樹のままなる枝は己がオリブに接がれざらんや。 045 ROM 011 025 兄弟よ、われ汝らが自己を聰しとする事なからん爲に、この奧義を知らざるを欲せず、即ち幾許のイスラエルの鈍くなれるは、異邦人の入り來りて數 滿つるに及ぶ時までなり。 045 ROM 011 026 かくしてイスラエルは悉とく救はれん。録して『救ふ者シオンより出で來りて、ヤコブより不虔を取り除かん、 045 ROM 011 027 われその罪を除くときに彼らに立つる我が契約は是なり』とあるが如し。 045 ROM 011 028 福音につきて云へば、汝 等のために彼らは敵とせられ、選につきて云へば、先祖たちの爲に彼らは愛せらるるなり。 045 ROM 011 029 それ神の賜物と召とは變ることなし。 045 ROM 011 030 汝ら前には神に從はざりしが、今は彼らの不順によりて憐まれたる如く、 045 ROM 011 031 彼らも汝らの受くる憐憫によりて憐まれん爲に、今は從はざるなり。 045 ROM 011 032 神は凡ての人を憐まんために、凡ての人を不順の中に取籠め給ひたり。 045 ROM 011 033 ああ神の智慧と知識との富は深いかな、その審判は測り難く、その途は尋ね難し。 045 ROM 011 034 『たれか主の心を知りし、誰かその議士となりし。 045 ROM 011 035 たれか先づ主に與へて其の報を受けんや』 045 ROM 011 036 これ凡ての物は神より出で、神によりて成り、神に歸すればなり、榮光とこしへに神にあれ。アァメン。 045 ROM 012 001 されば兄弟よ、われ神のもろもろの慈悲によりて汝らに勸む、己が身を神の悦びたまふ潔き活ける供物として献げよ、これ靈の祭なり。 045 ROM 012 002 又この世に效ふな、神の御意の善にして悦ぶべく、かつ全きことを辨へ知らんために、心を更へて新にせよ。 045 ROM 012 003 われ與へられし恩惠によりて汝 等おのおのに告ぐ、思ふべき所を超えて自己を高しとすな。神のおのおのに分ち給ひし信仰の量にしたがひ愼みて思ふべし。 045 ROM 012 004 人は一つ體におほくの肢あれども、凡ての肢その運用を同じうせぬ如く、 045 ROM 012 005 我らも多くあれど、キリストに在りて一つ體にして、各人たがひに肢たるなり。 045 ROM 012 006 われらが有てる賜物はおのおの與へられし恩惠によりて異なる故に、或は預言あらば信仰の量にしたがひて預言をなし、 045 ROM 012 007 或は務あらば務をなし、或は教をなす者は教をなし、 045 ROM 012 008 或は勸をなす者は勸をなし、施す者はをしみなく施し、治むる者は心を盡して治め、憐憫をなす者は喜びて憐憫をなすべし。 045 ROM 012 009 愛には虚僞あらざれ、惡はにくみ、善はしたしみ、 045 ROM 012 010 兄弟の愛をもて互に愛しみ、禮儀をもて相 讓り、 045 ROM 012 011 勤めて怠らず、心を熱くし、主につかへ、 045 ROM 012 012 望みて喜び、患難にたへ、祈を恆にし、 045 ROM 012 013 聖徒の缺乏を賑し、旅人を懇ろに待せ、 045 ROM 012 014 汝らを責むる者を祝し、これを祝して詛ふな。 045 ROM 012 015 喜ぶ者と共によろこび、泣く者と共になけ。 045 ROM 012 016 相 互に心を同じうし、高ぶりたる思をなさず、反つて卑きに附け。なんぢら己を聰しとすな。 045 ROM 012 017 惡をもて惡に報いず、凡ての人のまへに善からんことを圖り、 045 ROM 012 018 汝らの爲し得るかぎり力めて凡ての人と相 和げ。 045 ROM 012 019 愛する者よ、自ら復讐すな、ただ神の怒に任せまつれ。録して『主いひ給ふ、復讐するは我にあり、我これに報いん』とあり。 045 ROM 012 020 『もし汝の仇 飢ゑなば之に食はせ、渇かば之に飮ませよ、なんぢ斯するは熱き火を彼の頭に積むなり』 045 ROM 012 021 惡に勝たるることなく、善をもて惡に勝て。 045 ROM 013 001 凡ての人、上にある權威に服ふべし。そは神によらぬ權威なく、あらゆる權威は神によりて立てらる。 045 ROM 013 002 この故に權威にさからふ者は神の定に悖るなり、悖る者は自らその審判を招かん。 045 ROM 013 003 長たる者は善き業の懼にあらず、惡しき業の懼なり、なんぢ權威を懼れざらんとするか、善をなせ、然らば彼より譽を得ん。 045 ROM 013 004 かれは汝を益せんための神の役者なり。然れど惡をなさば懼れよ、彼は徒らに劍をおびず、神の役者にして、惡をなす者に怒をもて報ゆるなり。 045 ROM 013 005 然れば服はざるべからず、啻に怒の爲のみならず、良心のためなり。 045 ROM 013 006 また之がために汝ら貢を納む、彼らは神の仕人にして此の職に勵むなり。 045 ROM 013 007 汝 等その負債をおのおのに償へ、貢を受くべき者に貢ををさめ、税を受くべき者に税ををさめ、畏るべき者をおそれ、尊ぶべき者をたふとべ。 045 ROM 013 008 汝 等たがひに愛を負ふのほか何をも人に負ふな。人を愛する者は律法を全うするなり。 045 ROM 013 009 それ『姦淫する勿れ、殺すなかれ、盜むなかれ、貪るなかれ』と云へるこの他なほ誡命ありとも『おのれの如く隣を愛すべし』といふ言の中にみな籠るなり。 045 ROM 013 010 愛は隣を害はず、この故に愛は律法の完全なり。 045 ROM 013 011 なんぢら時を知る故に、いよいよ然なすべし。今は眠より覺むべき時なり。始めて信ぜし時よりも今は我らの救 近ければなり。 045 ROM 013 012 夜ふけて日 近づきぬ、然れば我ら暗黒の業をすてて光明の甲を著るべし。 045 ROM 013 013 晝のごとく正しく歩みて宴樂・醉酒に、淫樂・好色に、爭鬪・嫉妬に歩むべきに非ず。 045 ROM 013 014 ただ汝ら主イエス・キリストを衣よ、肉の慾のために備すな。 045 ROM 014 001 なんぢら信仰の弱き者を容れよ、その思ふところを詰るな。 045 ROM 014 002 或 人は凡ての物を食ふを可しと信じ、弱き人はただ野菜を食ふ。 045 ROM 014 003 食ふ者は食はぬ者を蔑すべからず、食はぬ者は食ふ者を審くべからず、神は彼を容れ給へばなり。 045 ROM 014 004 なんぢ如何なる者なれば、他人の僕を審くか、彼が立つも倒るるも其の主人に由れり。彼は必ず立てられん、主は能く之を立たせ給ふべし。 045 ROM 014 005 或 人は此の日を彼の日に勝ると思ひ、或 人は凡ての日を等しとおもふ、各人おのが心の中に確く定むべし。 045 ROM 014 006 日を重んずる者は主のために之を重んず。食ふ者は主のために食ふ、これ神に感謝すればなり。食はぬ者も主のために食はず、かつ神に感謝するなり。 045 ROM 014 007 我等のうち己のために生ける者なく、己のために死ぬる者なし。 045 ROM 014 008 われら生くるも主のために生き、死ぬるも主のために死ぬ。然れば生くるも死ぬるも我らは主の有なり。 045 ROM 014 009 それキリストの死にて復 生き給ひしは、死にたる者と生ける者との主とならん爲なり。 045 ROM 014 010 なんぢ何ぞその兄弟を審くか、汝なんぞ其の兄弟を蔑するか、我等はみな神の審判の座の前に立つべし。 045 ROM 014 011 録して『主いひ給ふ、我は生くるなり、凡ての膝はわが前に屈み、凡ての舌は神を讃め稱へん』とあり。 045 ROM 014 012 我等おのおの神のまへに己の事を陳ぶべし。 045 ROM 014 013 されば今より後、われら互に審くべからず、むしろ兄弟のまへに妨碍または躓物を置かぬように心を決めよ。 045 ROM 014 014 われ如何なる物も自ら潔からぬ事なきを主イエスに在りて知り、かつ確く信ず。ただ潔からずと思ふ人にのみ潔からぬなり。 045 ROM 014 015 もし食物によりて兄弟を憂ひしめば、汝は愛によりて歩まざるなり、キリストの代りて死に給ひし人を、汝の食物によりて亡すな。 045 ROM 014 016 汝らの善きことの譏られぬようにせよ。 045 ROM 014 017 それ神の國は飮食にあらず、義と平和と聖 靈によれる歡喜とに在るなり。 045 ROM 014 018 かくしてキリストに事ふる者は神に悦ばれ、人々に善しとせらるるなり。 045 ROM 014 019 されば我ら平和のことと互に徳を建つる事とを追ひ求むべし。 045 ROM 014 020 なんぢ食物のために神の御業を毀つな。凡ての物は潔し、されど之を食ひて人を躓かする者には惡とならん。 045 ROM 014 021 肉を食はず、葡萄酒を飮まず、その他なんぢの兄弟を躓かする事をせぬは善し。 045 ROM 014 022 なんぢの有てる信仰を己みづから神の前に保て。善しとする所につきて自ら咎めなき者は幸福なり。 045 ROM 014 023 疑ひつつ食ふ者は罪せらる。これ信仰によらぬ故なり、凡て信仰によらぬ事は罪なり。 045 ROM 015 001 われら強き者はおのれを喜ばせずして、力なき者の弱を負ふべし。 045 ROM 015 002 おのおの隣 人の徳を建てん爲に、その益を圖りて之を喜ばすべし。 045 ROM 015 003 キリストだに己を喜ばせ給はざりき。録して『なんぢを謗る者の謗は我に及べり』とあるが如し。 045 ROM 015 004 夙くより録されたる所は、みな我らの教訓のために録ししものにして、聖書の忍耐と慰安とによりて希望を保たせんとてなり。 045 ROM 015 005 願はくは忍耐と慰安との神、なんぢらをしてキリスト・イエスに效ひ、互に思を同じうせしめ給はん事を。 045 ROM 015 006 これ汝らが心を一つにし口を一つにして、我らの主イエス・キリストの父なる神を崇めん爲なり。 045 ROM 015 007 此の故にキリスト汝らを容れ給ひしごとく、汝らも互に相 容れて神の榮光を彰すべし。 045 ROM 015 008 われ言ふ、キリストは神の眞理のために割禮の役者となり給へり。これ先祖たちの蒙りし約束を堅うし給はん爲、 045 ROM 015 009 また異邦人も憐憫によりて神を崇めんためなり。録して『この故に、われ異邦人の中にて汝を讃めたたへ、又なんぢの名を謳はん』とあるが如し。 045 ROM 015 010 また曰く『異邦人よ、主の民と共に喜べ』 045 ROM 015 011 又いはく『もろもろの國人よ、主を讃め奉れ、もろもろの民よ、主を稱へ奉れ』 045 ROM 015 012 又イザヤ言ふ『エツサイの萠薛 生じ、異邦人を治むるもの興らん。異邦人は彼に望をおかん』 045 ROM 015 013 願はくは希望の神、信仰より出づる凡ての喜悦と平安とを汝らに滿たしめ、聖 靈の能力によりて希望を豐ならしめ給はんことを。 045 ROM 015 014 わが兄弟よ、われは汝らが自ら善に滿ち、もろもろの知識に滿ちて互に訓戒し得ることを確く信ず。 045 ROM 015 015 されど我なほ汝らに憶ひ出させん爲に、ここかしこ少しく憚らずして書きたる所あり、これ神の我に賜ひたる恩惠に因る。 045 ROM 015 016 即ち異邦人のためにキリスト・イエスの仕人となり、神の福音につきて祭司の職をなす。これ異邦人の聖 靈によりて潔められ、御心に適ふ献物とならん爲なり。 045 ROM 015 017 されば、われ神の事につきては、キリスト・イエスによりて誇る所あり。 045 ROM 015 018 我は、キリストの異邦人を服はせん爲に我を用ひて、言と業と、 045 ROM 015 019 また徴と不思議との能力、および聖 靈の能力にて働き給ひし事のほかは敢へて語らず、エルサレムよりイルリコの地方に到るまで、徧くキリストの福音を充たせり。 045 ROM 015 020 我は努めて他人の置ゑたる基礎のうへに建てじとて、未だキリストの御名の稱へられぬ所にのみ福音を宣傅へり。 045 ROM 015 021 録して『未だ彼のことを傳へられざりし者は見、いまだ聞かざりし者は悟るべし』とあるが如し。 045 ROM 015 022 この故に、われ汝らに往かんとせしが、しばしば妨げられたり。 045 ROM 015 023 されど今は此の地方に働くべき處なく、且なんぢらに往かんことを多年 切に望みゐたれば、 045 ROM 015 024 イスパニヤに赴かんとき立寄りて汝らを見、ほぼ意に滿つるを得てのち汝らに送られんとを望むなり。 045 ROM 015 025 されど今、聖徒に事へん爲にエルサレムに往かんとす。 045 ROM 015 026 マケドニアとアカヤとの人々は、エルサレムに在る聖徒の貧しき者に幾許かの施與をするを善しとせり。 045 ROM 015 027 實に之を善しとせり、また聖徒に對して斯くする負債あり。異邦人もし彼らの靈の物に與りたらんには、肉の物をもて彼らに事ふべきなり。 045 ROM 015 028 されば此の事を成し了へ、この果を付してのち、汝らを歴てイスパニヤに往かん。 045 ROM 015 029 われ汝らに到るときは、キリストの滿ち足れる祝福をもて到らんことを知る。 045 ROM 015 030 兄弟よ、我らの主イエス・キリストにより、また御靈の愛によりて汝らに勸む、なんぢらの祈のうちに、我とともに力を盡して我がために神に祈れ。 045 ROM 015 031 これユダヤにをる從はぬ者の中より我が救はれ、又エルサレムに對する我が務の聖徒の心に適ひ、 045 ROM 015 032 かつ神の御意により、歡喜をもて汝 等にいたり、共に安んぜん爲なり。 045 ROM 015 033 願はくは平和の神なんぢら衆と偕に在さんことを、アァメン。 045 ROM 016 001 我ケンクレヤの教會の執事なる我らの姉妹フィベを汝らに薦む。 045 ROM 016 002 なんぢら主にありて聖徒たるに相應しく彼を容れ、何にても其の要する所を助けよ、彼は夙くより多くの人の保護者また我が保護者たり。 045 ROM 016 003 プリスカとアクラとに安否を問へ、彼らはキリスト・イエスに在る我が同勞者にして、 045 ROM 016 004 わが生命のために己の首をも惜まざりき。彼らに感謝するは、ただ我のみならず、異邦人の諸 教會もまた然り。 045 ROM 016 005 又その家にある教會にも安否を問へ。又わが愛するエパネトに安否を問へ。彼はアジヤにて結べるキリストの初の實なり。 045 ROM 016 006 汝 等のために甚く勞せしマリヤに安否を問へ。 045 ROM 016 007 我とともに囚人たりし我が同族アンデロニコとユニアスとに安否を問へ、彼らは使徒たちの中に名聲あり、かつ我に先だちてキリストに歸せし者なり。 045 ROM 016 008 主にありて我が愛するアンプリヤに安否を問へ。 045 ROM 016 009 キリストにある我らの同勞者ウルパノと我が愛するスタキスとに安否を問へ。 045 ROM 016 010 キリストに在りて錬達せるアペレに安否を問へ。アリストブロの家の者に安否を問へ。 045 ROM 016 011 わが同族ヘロデオンに安否を問へ。ナルキソの家なる主に在る者に安否を問へ。 045 ROM 016 012 主に在りて勞せしツルパナとツルポサとに安否を問へ。主に在りて甚く勞せし愛するペルシスに安否を問へ。 045 ROM 016 013 主に在りて選ばれたるルポスと其の母とに安否を問へ、彼の母は我にもまた母なり。 045 ROM 016 014 アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス及び彼らと偕に在る兄弟たちに安否を問へ。 045 ROM 016 015 ピロロゴ及びユリヤ、ネレオ及びその姉妹、またオルンパ及び彼らと偕に在る凡ての聖徒に安否を問へ。 045 ROM 016 016 潔き接吻をもて互に安否を問へ。キリストの諸 教會みな汝らに安否を問ふ。 045 ROM 016 017 兄弟よ、われ汝らに勸む、おほよそ汝らの學びし教に背きて分離を生じ、顛躓をおこす者に心して之に遠ざかれ。 045 ROM 016 018 かかる者は我らの主キリストに事へず、反つて己が腹に事へ、また甘き言と媚諂とをもて質朴なる人の心を欺くなり。 045 ROM 016 019 汝らの從順は凡ての人に聞えたれば、我なんぢらの爲に喜べり。而して我が欲する所は、汝らが善に智く、惡に疏からんことなり。 045 ROM 016 020 平和の神は速かにサタンを汝らの足の下に碎き給ふべし。願はくは我らの主イエスの恩惠、なんぢらと偕に在らんことを。 045 ROM 016 021 わが同勞者テモテ及び我が同族ルキオ、ヤソン、ソシパテロ汝らに安否を問ふ。 045 ROM 016 022 この書を書ける我テルテオも主にありて汝らに安否を問ふ。 045 ROM 016 023 我と全 教會との家主ガイオ汝らに安否を問ふ。町の庫司エラストと兄弟クワルトと汝らに安否を問ふ。 045 ROM 016 024 [なし] 045 ROM 016 025 願はくは長き世のあひだ隱れたれども、 045 ROM 016 026 今 顯れて、永遠の神の命にしたがひ、預言者たちの書によりて信仰の從順を得しめん爲に、もろもろの國人に示されたる奧義の默示に循へる我が福音と、イエス・キリストを宣ぶる事とによりて、汝らを堅うし得る、 045 ROM 016 027 唯一の智き神に、榮光 世々 限りなくイエス・キリストに由りて在らんことを、アァメン。 # # BOOK 046 1CO 1 Corinthians コリント人への手紙第一 046 1CO 001 001 神の御意により召されてイエス・キリストの使徒となれるパウロ及び兄弟ソステネ、 046 1CO 001 002 書をコリントに在る神の教會、即ちいづれの處にありても、我らの主、ただに我等のみならず彼らの主なるイエス・キリストの名を呼び求むる者とともに、聖徒となるべき召を蒙り、キリスト・イエスに在りて潔められたる汝らに贈る。 046 1CO 001 003 願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 046 1CO 001 004 われ汝らがキリスト・イエスに在りて神より賜はりし恩惠に就きて、常に神に感謝す。 046 1CO 001 005 汝らはキリストに在りて、諸般のこと即ち凡ての言と凡ての悟とに富みたればなり。 046 1CO 001 006 これキリストの證なんぢらの中に堅うせられたるに因る。 046 1CO 001 007 斯く汝らは凡ての賜物に缺くる所なくして、我らの主イエス・キリストの現れ給ふを待てり。 046 1CO 001 008 彼は汝らを終まで堅うして、我らの主イエス・キリストの日に責むべき所なからしめ給はん。 046 1CO 001 009 汝らを召して其の子われらの主イエス・キリストの交際に入らしめ給ふ神は眞實なる哉。 046 1CO 001 010 兄弟よ、我らの主イエス・キリストの名に頼りて汝らに勸む、おのおの語るところを同じうし、分爭する事なく、同じ心おなじ念にて全く一つになるべし。 046 1CO 001 011 わが兄弟よ、クロエの家の者、なんぢらの中に紛爭あることを我に知らせたり。 046 1CO 001 012 即ち汝 等おのおの『我はパウロに屬す』『われはアポロに』『我はケパに』『我はキリストに』と言ふこれなり。 046 1CO 001 013 キリストは分たるる者ならんや、パウロは汝らの爲に十字架につけられしや、汝らパウロの名に頼りてバプテスマを受けしや。 046 1CO 001 014 我は感謝す、クリスポとガイオとの他には、我なんぢらの中の一人にもバプテスマを施さざりしを。 046 1CO 001 015 是わが名に頼りて汝らがバプテスマを受けしと人の言ふ事なからん爲なり。 046 1CO 001 016 またステパノの家族にバプテスマを施しし事あり、此の他には我バプテスマを施しし事ありや知らざるなり。 046 1CO 001 017 そはキリストの我を遣し給へるはバプテスマを施させん爲にあらず、福音を宣傳へしめんとてなり。而して言の智慧をもつてせず、是キリストの十字架の虚しくならざらん爲なり。 046 1CO 001 018 それ十字架の言は亡ぶる者には愚なれど、救はるる我らには神の能力なり。 046 1CO 001 019 録して、『われ智者の智慧をほろぼし、慧き者のさときを空しうせん』とあればなり。 046 1CO 001 020 智者いづこにか在る、學者いづこにか在る、この世の論者いづこにか在る、神は世の智慧をして愚ならしめ給へるにあらずや。 046 1CO 001 021 世は己の智慧をもて神を知らず(これ神の智慧に適へるなり)この故に神は宣教の愚をもて、信ずる者を救ふを善しとし給へり。 046 1CO 001 022 ユダヤ人は徴を請ひ、ギリシヤ人は智慧を求む。 046 1CO 001 023 されど我らは十字架に釘けられ給ひしキリストを宣傳ふ。これはユダヤ人に躓物となり、異邦人に愚となれど、 046 1CO 001 024 召されたる者にはユダヤ人にもギリシヤ人にも、神の能力また神の智慧たるキリストなり。 046 1CO 001 025 神の愚は人よりも智く、神の弱は人よりも強ければなり。 046 1CO 001 026 兄弟よ、召を蒙れる汝らを見よ、肉によれる智き者おほからず、能力ある者おほからず、貴きもの多からず。 046 1CO 001 027 されど神は智き者を辱しめんとて世の愚なる者を選び、強き者を辱しめんとて弱き者を選び、 046 1CO 001 028 有る者を亡さんとて世の卑しきもの、輕んぜらるる者、すなわち無きが如き者を選び給へり。 046 1CO 001 029 これ神の前に人の誇る事なからん爲なり。 046 1CO 001 030 汝らは神に頼りてキリスト・イエスに在り、彼は神に立てられて我らの智慧と義と聖と救贖とになり給へり。 046 1CO 001 031 これ『誇る者は主に頼りて誇るべし』と録されたる如くならん爲なり。 046 1CO 002 001 兄弟よ、われ曩に汝らに到りしとき、神の證を傳ふるに言と智慧との優れたるを用ひざりき。 046 1CO 002 002 イエス・キリスト及びその十字架に釘けられ給ひし事のほかは、汝らの中にありて何をも知るまじと心を定めたればなり。 046 1CO 002 003 我なんぢらと偕に居りし時に、弱くかつ懼れ、甚く戰けり。 046 1CO 002 004 わが談話も、宣教も、智慧の美しき言によらずして、御靈と能力との證明によりたり。 046 1CO 002 005 これ汝らの信仰の、人の智慧によらず、神の能力に頼らん爲なり。 046 1CO 002 006 されど我らは成人したる者の中にて智慧を語る。これ此の世の智慧にあらず、又この世の廢らんとする司たちの智慧にあらず、 046 1CO 002 007 我らは奧義を解きて神の智慧を語る、即ち隱れたる智慧にして、神われらの光榮のために、世の創の先より預じめ定め給ひしものなり。 046 1CO 002 008 この世の司には之を知る者なかりき、もし知らば榮光の主を十字架に釘けざりしならん。 046 1CO 002 009 録して『神のおのれを愛する者のために備へ給ひし事は、眼いまだ見ず、耳いまだ聞かず、人の心いまだ思はざりし所なり』と有るが如し。 046 1CO 002 010 されど我らには神これを御靈によりて顯し給へり。御靈はすべての事を究め、神の深き所まで究むればなり。 046 1CO 002 011 それ人のことは己が中にある靈のほかに誰か知る人あらん、斯くのごとく神のことは神の御靈のほかに知る者なし。 046 1CO 002 012 我らの受けし靈は世の靈にあらず、神より出づる靈なり、是われらに神の賜ひしものを知らんためなり。 046 1CO 002 013 又われら之を語るに人の智慧の教ふる言を用ひず、御靈の教ふる言を用ふ、即ち靈の事に靈の言を當つるなり。 046 1CO 002 014 性來のままなる人は神の御靈のことを受けず、彼には愚なる者と見ゆればなり。また之を悟ること能はず、御靈のことは靈によりて辨ふべき者なるが故なり。 046 1CO 002 015 されど靈に屬する者は、すべての事をわきまふ、而して己は人に辨へらるる事なし。 046 1CO 002 016 誰か主の心を知りて主を教ふる者あらんや。然れど我らはキリストの心を有てり。 046 1CO 003 001 兄弟よ、われ靈に屬する者に對する如く汝らに語ること能はず、反つて肉に屬するもの、即ちキリストに在る幼兒に對する如く語れり。 046 1CO 003 002 われ汝らに乳のみ飮ませて堅き食物を與へざりき。汝 等そのとき食ふこと能はざりし故なり。 046 1CO 003 003 今もなほ食ふこと能はず、今もなほ肉に屬する者なればなり。汝らの中に嫉妬と紛爭とあるは、これ肉に屬する者にして世の人の如くに歩むならずや。 046 1CO 003 004 或 者は『われパウロに屬す』といひ、或 者は『われアポロに屬す』と言ふ、これ世の人の如くなるにあらずや。 046 1CO 003 005 アポロは何 者ぞ、パウロは何 者ぞ、彼 等はおのおの主の賜ふところに隨ひ、汝らをして信ぜしめたる役者に過ぎざるなり。 046 1CO 003 006 我は植ゑ、アポロは水 灌げり、されど育てたるは神なり。 046 1CO 003 007 されば種うる者も、水 灌ぐ者も數ふるに足らず、ただ尊きは育てたまふ神なり。 046 1CO 003 008 種うる者も、水 灌ぐ者も歸する所は一つなれど、各自おのが勞に隨ひて其の値を得べし。 046 1CO 003 009 我らは神と共に働く者なり。汝らは神の畠なり、また神の建築物なり。 046 1CO 003 010 我は神の賜ひたる恩惠に隨ひて、熟錬なる建築師のごとく基を据ゑたり、而して他の人その上に建つるなり。然れど如何にして建つべきか、おのおの心して爲すべし、 046 1CO 003 011 既に置きたる基のほかは誰も据うること能はず、この基は即ちイエス・キリストなり。 046 1CO 003 012 人もし此の基の上に金・銀・寳石・木・草・藁をもつて建てなば、 046 1CO 003 013 各人の工は顯るべし。かの日これを明かにせん、かの日は火をもつて顯れ、その火おのおのの工の如何を驗すべければなり。 046 1CO 003 014 その建つる所の工、もし保たば値を得、 046 1CO 003 015 もし其の工 燒けなば損すべし。然れど己は火より脱れ出づる如くして救はれん。 046 1CO 003 016 汝ら知らずや、汝らは神の宮にして、神の御靈なんぢらの中に住み給ふを。 046 1CO 003 017 人もし神の宮を毀たば神かれを毀ち給はん。それ神の宮は聖なり、汝らも亦かくの如し。 046 1CO 003 018 誰も自ら欺くな。汝 等のうち此の世にて自ら智しと思ふ者は、智くならんために愚なる者となれ。 046 1CO 003 019 そは此の世の智慧は神の前に愚なればなり。録して『彼は智者をその惡巧によりて捕へ給ふ』 046 1CO 003 020 また『主は智者の念の虚しきを知り給ふ』とあるが如し。 046 1CO 003 021 さらば誰も人を誇とすな、萬の物は汝らの有なればなり。 046 1CO 003 022 或はパウロ、或はアポロ、或はケパ、或は世界、あるひは生、あるひは死、あるひは現在のもの、或は未來のもの、皆なんぢらの有なり。 046 1CO 003 023 汝 等はキリストの有、キリストは神のものなり。 046 1CO 004 001 人よろしく我らをキリストの役者また神の奧義を掌どる家 司のごとく思ふべし。 046 1CO 004 002 さて家 司に求むべきは忠實ならん事なり。 046 1CO 004 003 我は汝らに審かれ、或は人の審判によりて審かるることを最 小き事とし、また自らも己を審かず。 046 1CO 004 004 我みづから責むべき所あるを覺えねど、之に由りて義とせらるる事なければなり。我を審きたまふ者は主なり。 046 1CO 004 005 然れば主の來り給ふまでは時に先だちて審判すな。主は暗にある隱れたる事を明かにし、心の謀計をあらはし給はん。その時おのおの神より其の譽を得べし。 046 1CO 004 006 兄弟よ、われ汝 等のために此 等のことを我とアポロとの上に當てて言へり。これ汝らが『録されたる所を踰ゆまじき』を我らの事によりて學び、この人をあげ、かの人を貶して誇らざらん爲なり。 046 1CO 004 007 汝をして人と異ならしむる者は誰ぞ、なんぢの有てる物に何か受けぬ物あるか。もし受けしならば、何ぞ受けぬごとく誇るか。 046 1CO 004 008 なんぢら既に飽き、既に富めり、我らを差措きて王となれり。われ實に汝らが王たらんことを願ふ、われらも共に王たることを得んが爲なり。 046 1CO 004 009 我おもふ、神は使徒たる我らを死に定められし者のごとく、後の者として見せ給へり。實に我らは宇宙のもの、即ち御使にも、衆人にも、觀物にせられたるなり。 046 1CO 004 010 我らはキリストのために愚なる者となり、汝らはキリストに在りて慧き者となれり。我等は弱く汝らは強し、汝らは尊く我らは卑し。 046 1CO 004 011 今の時にいたるまで我らは飢ゑ、渇き、また裸となり、また打たれ、定れる住家なく、 046 1CO 004 012 手づから働きて勞し、罵らるるときは祝し、責めらるるときは忍び、 046 1CO 004 013 譏らるるときは勸をなせり。我らは今に至るまで世の塵芥のごとく、萬の物の垢のごとくせられたり。 046 1CO 004 014 わが斯く書すは汝らを辱しめんとにあらず、我が愛する子として訓戒せんためなり。 046 1CO 004 015 汝 等にはキリストに於ける守役 一萬ありとも、父は多くあることなし。そはキリスト・イエスに在りて福音により汝らを生みたるは、我なればなり。 046 1CO 004 016 この故に汝らに勸む、我に效ふ者とならんことを。 046 1CO 004 017 之がために主にありて忠實なる我が愛子テモテを汝らに遣せり。彼は我がキリストにありて行ふところ、即ち常に各地の教會に教ふる所を、汝らに思ひ出さしむべし。 046 1CO 004 018 わが汝らに到ること無しとして誇る者あり。 046 1CO 004 019 されど主の御意ならば速かに汝 等にいたり、誇る者の言にはあらで、その能力を知らんとす。 046 1CO 004 020 神の國は言にあらず、能力にあればなり。 046 1CO 004 021 汝ら何を欲するか、われ笞をもて到らんか、愛と柔和の心とをもて到らんか。 046 1CO 005 001 現に聞く所によれば、汝らの中に淫行ありと、而してその淫行は異邦人の中にもなき程にして、或 人その父の妻を有てりと云ふ。 046 1CO 005 002 斯くてもなほ汝ら誇ることをなし、かかる行爲をなしし者の除かれんことを願ひて悲しまざるか。 046 1CO 005 003 われ身は汝らを離れ居れども、心は偕に在りて其處に居るごとく、かかる事を行ひし者を既に審きたり。 046 1CO 005 004 すなはち汝ら及び我が靈の、我らの主イエスの能力をもて偕に集らんとき、主イエスの名によりて、 046 1CO 005 005 斯くのごとき者をサタンに付さんとす、是その肉は亡されて、其の靈は主イエスの日に救はれん爲なり。 046 1CO 005 006 汝らの誇は善からず。少しのパン種の、粉の團塊をみな膨れしむるを知らぬか。 046 1CO 005 007 なんぢら新しき團塊とならんために舊きパン種を取り除け、汝らはパン種なき者なればなり。夫われらの過越の羔羊すなはちキリスト既に屠られ給へり、 046 1CO 005 008 されば我らは舊きパン種を用ひず、また惡と邪曲とのパン種を用ひず、眞實と眞との種なしパンを用ひて祭を行ふべし。 046 1CO 005 009 われ前の書にて淫行の者と交るなと書き贈りしは、 046 1CO 005 010 此の世の淫行の者、または貪欲のもの、奪ふ者、または偶像を拜む者と更に交るなと言ふにあらず(もし然せば世を離れざるを得ず) 046 1CO 005 011 ただ兄弟と稱ふる者の中に、或は淫行のもの、或は貪欲のもの、或は偶像を拜む者、あるひは罵るもの、或は酒に醉ふもの、或は奪ふ者あらば、斯かる人と交ることなく、共に食する事だにすなとの意なり。 046 1CO 005 012 外の者を審くことは我の干る所ならんや、汝らの審くは、ただ内の者ならずや。 046 1CO 005 013 外にある者は神これを審き給ふ。かの惡しき者を汝らの中より退けよ。 046 1CO 006 001 汝 等のうち互に事あるとき、之を聖徒の前に訴へずして、正しからぬ者の前に訴ふることを敢へてする者あらんや。 046 1CO 006 002 汝ら知らぬか、聖徒は世を審くべき者なるを。世もし汝らに審かれんには、汝ら最 小き事を審くに足らぬ者ならんや。 046 1CO 006 003 なんぢら知らぬか、我らは御使を審くべき者なるを、ましてこの世の事をや。 046 1CO 006 004 然るに汝ら審くべき此の世の事のあるとき、教會にて輕しむる所の者を審判の座に坐らしむるか。 046 1CO 006 005 わが斯く言ふは汝らを辱しめんとてなり。汝 等のうちに兄弟の間のことを審き得る智きもの一人だになく、 046 1CO 006 006 兄弟は兄弟を、而も不 信者の前に訴ふるか。 046 1CO 006 007 互に相 訴ふるは既に當しく汝らの失態なり。何 故むしろ不義を受けぬか、何 故むしろ欺かれぬか。 046 1CO 006 008 然るに汝ら不義をなし、詐欺をなし、兄弟にも之を爲す。 046 1CO 006 009 汝ら知らぬか、正しからぬ者の神の國を嗣ぐことなきを。自ら欺くな、淫行のもの、偶像を拜むもの、姦淫をなすもの、男娼となるもの、男色を行ふ者、 046 1CO 006 010 盜するもの、貪欲のもの、酒に醉ふもの、罵るもの、奪ふ者などは、みな神の國を嗣ぐことなきなり。 046 1CO 006 011 汝 等のうち曩には斯くのごとき者ありしかど、主イエス・キリストの名により、我らの神の御靈によりて、己を洗ひかつ潔められ、かつ義とせらるることを得たり。 046 1CO 006 012 一切のもの我に可からざるなし、然れど一切のもの益あるにあらず。一切のもの我に可からざるなし、されど我は何 物にも支配せられず、 046 1CO 006 013 食物は腹のため、腹は食物のためなり。されど神は之をも彼をも亡し給はん。身は淫行をなさん爲にあらず、主の爲なり、主はまた身の爲なり。 046 1CO 006 014 神は既に主を甦へらせ給へり、又その能力をもて我等をも甦へらせ給はん。 046 1CO 006 015 汝らの身はキリストの肢體なるを知らぬか、然らばキリストの肢體をとりて遊女の肢體となすべきか、決して然すべからず。 046 1CO 006 016 遊女につく者は彼と一つ體となることを知らぬか『二人のもの一體となるべし』と言ひ給へり。 046 1CO 006 017 主につく者は之と一つ靈となるなり。 046 1CO 006 018 淫行を避けよ。人のをかす罪はみな身の外にあり、されど淫行をなす者は己が身を犯すなり。 046 1CO 006 019 汝らの身は、その内にある神より受けたる聖 靈の宮にして、汝らは己の者にあらざるを知らぬか。 046 1CO 006 020 汝らは價をもて買はれたる者なり、然らばその身をもて神の榮光を顯せ。 046 1CO 007 001 汝らが我に書きおくりし事に就きては、男の女に觸れぬを善しとす。 046 1CO 007 002 然れど淫行を免れんために、男はおのおの其の妻をもち、女はおのおの其の夫を有つべし。 046 1CO 007 003 夫はその分を妻に盡し、妻もまた夫に然すべし。 046 1CO 007 004 妻は己が身を支配する權をもたず、之を持つ者は夫なり。斯くのごとく夫も己が身を支配する權を有たず、之を有つ者は妻なり。 046 1CO 007 005 相 共に拒むな、ただ祈に身を委ぬるため合意にて暫く相 別れ、後また偕になるは善し。これ汝らが情の禁じがたきに乘じてサタンの誘ふことなからん爲なり。 046 1CO 007 006 されど我が斯くいふは命ずるにあらず、許すなり。 046 1CO 007 007 わが欲する所は、すべての人の我が如くならん事なり。然れど神より各自おのが賜物を受く、此は此のごとく、彼は彼のごとし。 046 1CO 007 008 我は婚姻せぬ者および寡婦に言ふ。もし我が如くにして居らば、彼 等のために善し。 046 1CO 007 009 もし自ら制すること能はずば婚姻すべし、婚姻するは胸の燃ゆるよりも勝ればなり。 046 1CO 007 010 われ婚姻したる者に命ず(命ずる者は我にあらず、主なり)妻は夫と別るべからず。 046 1CO 007 011 もし別るる事あらば、嫁がずして居るか、又は夫と和げ。夫もまた妻を去るべからず。 046 1CO 007 012 その外の人に我いふ(主の言ひ給ふにあらず)もし或 兄弟に不 信者なる妻ありて偕に居ることを可しとせば、之を去るな。 046 1CO 007 013 また女に不 信者なる夫ありて偕に居ることを可しとせば、夫を去るな。 046 1CO 007 014 そは不 信者なる夫は妻によりて潔くなり、不 信者なる妻は夫によりて潔くなりたればなり。然なくば汝らの子供は潔からず、されど今は潔き者なり。 046 1CO 007 015 不 信者みづから離れ去らば、その離るるに任せよ。斯くのごとき事あらば、兄弟または姉妹、もはや繋がるる所なし。神の汝らを召し給へるは平和を得させん爲なり。 046 1CO 007 016 妻よ、汝いかで夫を救ひ得るや否やを知らん。夫よ、汝いかで妻を救ひ得るや否やを知らん。 046 1CO 007 017 唯おのおの主の分ち賜ふところ、神の召し給ふところに循ひて歩むべし。凡ての教會に我が命ずるは斯くのごとし。 046 1CO 007 018 割禮ありて召されし者あらんか、その人、割禮を廢つべからず。割禮なくして召されし者あらんか、その人、割禮を受くべからず。 046 1CO 007 019 割禮を受くるも受けぬも數ふるに足らず、ただ貴きは神の誡命を守ることなり。 046 1CO 007 020 各人その召されし時の状に止るべし。 046 1CO 007 021 なんぢ奴隷にて召されたるか、之を思ひ煩ふな(もし釋さるることを得ばゆるされよ) 046 1CO 007 022 召されて主にある奴隷は、主につける自主の人なり。斯くのごとく自主にして召されたる者は、キリストの奴隷なり。 046 1CO 007 023 汝らは價をもて買はれたる者なり。人の奴隷となるな。 046 1CO 007 024 兄弟よ、おのおの召されし時の状に止りて神と偕に居るべし。 046 1CO 007 025 處女のことに就きては主の命を受けず、然れど主の憐憫によりて忠實の者となりたれば、我が意見を告ぐべし。 046 1CO 007 026 われ思ふに、目前の患難のためには、人その在るが隨にて止るぞ善き。 046 1CO 007 027 なんぢ妻に繋がるる者なるか、釋くことを求むな。妻に繋がれぬ者なるか、妻を求むな。 046 1CO 007 028 たとひ妻を娶るとも罪を犯すにはあらず。處女もし嫁ぐとも罪を犯すにあらず。然れどかかる者はその身、苦難に遭はん、我なんぢらを苦難に遭はすに忍びず。 046 1CO 007 029 兄弟よ、われ之を言はん、時は縮れり。されば此よりのち妻を有てる者は有たぬが如く、 046 1CO 007 030 泣く者は泣かぬが如く、喜ぶ者は喜ばぬが如く、買ふ者は有たぬが如く、 046 1CO 007 031 世を用ふる者は用ひ盡さぬが如くすべし。此の世の状態は過ぎ往くべければなり。 046 1CO 007 032 わが欲する所は汝らが思ひ煩はざらん事なり。婚姻せぬ者は如何にして主を喜ばせんと主のことを慮ぱかり、 046 1CO 007 033 婚姻せし者は如何にして妻を喜ばせんと、世のことを慮ぱかりて心を分つなり。 046 1CO 007 034 婚姻せぬ女と處女とは身も靈も潔くならんために主のことを慮ぱかり、婚姻せし者は如何にしてその夫を喜ばせんと世のことを慮ぱかるなり。 046 1CO 007 035 わが之を言ふは汝らを益せん爲にして、汝らに絆を置かんとするにあらず、寧ろ汝らを宣しきに適はせ、餘念なく只管、主に事へしめんとてなり。 046 1CO 007 036 人もし處女たる己が娘に對すること宣しきに適はずと思ひ、年の頃もまた過ぎんとし、かつ然せざるを得ずば、心のままに行ふべし。これ罪を犯すにあらず、婚姻せさすべし。 046 1CO 007 037 されど人もし其の心を堅くし、止むを得ざる事もなく、又おのが心の隨になすを得て、その娘を留め置かんと心のうちに定めたらば、然するは善きなり。 046 1CO 007 038 されば其の娘を嫁がする者の行爲は善し。されど之を嫁がせぬ者の行爲は更に善し。 046 1CO 007 039 妻は夫の生ける間は繋がるるなり。然れど夫もし死なば、欲するままに嫁ぐ自由を得べし、また主にある者にのみ適くべし。 046 1CO 007 040 然れど我が意見にては、その儘に止らば殊に幸福なり。我もまた神の御靈に感じたりと思ふ。 046 1CO 008 001 偶像の供物に就きては我等みな知識あることを知る。知識は人を誇らしめ、愛は徳を建つ。 046 1CO 008 002 もし人みづから知れりと思はば、知るべき程の事をも知らぬなり。 046 1CO 008 003 されど人もし神を愛せば、その人、神に知られたるなり。 046 1CO 008 004 偶像の供物を食ふことに就きては、我ら偶像の世になき者なるを知り、また唯一の神の外には神なきを知る。 046 1CO 008 005 神と稱ふるもの、或は天に或は地にありて、多くの神、おほくの主あるが如くなれど、 046 1CO 008 006 我らには父なる唯一の神あるのみ、萬物これより出で、我らも亦これに歸す。また唯一の主イエス・キリストあるのみ、萬物これに由り、我らも亦これに由れり。 046 1CO 008 007 されど人みな此の知識あるにあらず、或 人は今もなほ偶像に慣れ、偶像の献物として食する故に、その良心よわくして汚さるるなり。 046 1CO 008 008 我らを神の前に立たしむるものは食物にあらず、されば食するも益なく、食せざるも損なし。 046 1CO 008 009 されど心して汝らの有てる此の自由を弱き者の躓物とすな。 046 1CO 008 010 人もし知識ある汝が偶像の宮にて食事するを見んに、その人 弱きときは良心そそのかされて偶像の献物を食せざらんや。 046 1CO 008 011 さらばキリストの代りて死に給ひし弱き兄弟は、汝の知識によりて亡ぶべし。 046 1CO 008 012 斯くのごとく汝ら兄弟に對して罪を犯し、その弱き良心を傷めしむるは、キリストに對して罪を犯すなり。 046 1CO 008 013 この故に、もし食物わが兄弟を躓かせんには、兄弟を躓かせぬ爲に、我は何時までも肉を食はじ。 046 1CO 009 001 我は自主の者ならずや、使徒にあらずや、我らの主イエスを見しにあらずや、汝らは主に在りて我が業ならずや。 046 1CO 009 002 われ他の人には使徒ならずとも汝らには使徒なり。汝らは主にありて我が使徒たる職の印なればなり。 046 1CO 009 003 われを審く者に對する我が辯明は斯くのごとし。 046 1CO 009 004 我らは飮食する權なきか。 046 1CO 009 005 我らは他の使徒たち主の兄弟たち及びケパのごとく、姉妹たる妻を携ふる權なきか。 046 1CO 009 006 ただ我とバルナバとのみ工を止むる權なきか。 046 1CO 009 007 誰か己の財にて兵卒を務むる者あらんや。誰か葡萄畑を作りてその果を食はぬ者あらんや。誰か群を牧ひてその乳を飮まぬ者あらんや。 046 1CO 009 008 我ただ人の思にのみ由りて此 等のことを言はんや、律法も亦かく言ふにあらずや。 046 1CO 009 009 モーセの律法に『穀物を碾す牛には口籠を繋くべからず』と録したり。神は牛のために慮ぱかり給へるか、 046 1CO 009 010 また專ら我等のために之を言ひ給ひしか、然り、我らのために録されたり。それ耕す者は望をもて耕し、穀物をこなす者は之に與る望をもて碾すべきなり。 046 1CO 009 011 もし我ら靈の物を汝らに蒔きしならば、汝らの肉の物を刈り取るは過分ならんや。 046 1CO 009 012 もし他の人なんぢらに對してこの權あらんには、まして我らをや。然れど我等はこの權を用ひざりき。唯キリストの福音に障碍なきやうに一切のことを忍ぶなり。 046 1CO 009 013 なんぢら知らぬか、聖なる事を務むる者は宮のものを食し、祭壇に事ふる者は祭壇のものに與るを。 046 1CO 009 014 斯くのごとく主もまた福音を宣傳ふる者の福音によりて生活すべきことを定め給へり。 046 1CO 009 015 されど我は此 等のことを一つだに用ひし事なし、また自ら斯くせられんために之を書き贈るにあらず、斯くせられんよりは寧ろ死ぬるを善しとすればなり。誰もわが誇を空しくせざるべし。 046 1CO 009 016 われ福音を宣傳ふとも誇るべき所なし、已むを得ざるなり。もし福音を宣傳へずば、我は禍害なるかな。 046 1CO 009 017 若しわれ心より之をなさば報を得ん、たとひ心ならずとも我はその務を委ねられたり。 046 1CO 009 018 然らば我が報は何ぞ、福音を宣傳ふるに、人をして費なく福音を得しめ、而も福音によりて我が有てる權を用ひ盡さぬこと是なり。 046 1CO 009 019 われ凡ての人に對して自主の者なれど、更に多くの人を得んために、自ら凡ての人の奴隷となれり。 046 1CO 009 020 我ユダヤ人にはユダヤ人の如くなれり、これユダヤ人を得んが爲なり。律法の下にある者には――律法の下に我はあらねど――律法の下にある者の如くなれり。これ律法の下にある者を得んが爲なり。 046 1CO 009 021 律法なき者には――われ神に向ひて律法なきにあらず、反つてキリストの律法の下にあれど――律法なき者の如くなれり、これ律法なき者を得んがためなり。 046 1CO 009 022 弱き者には弱き者となれり、これ弱き者を得んためなり。我すべての人には凡ての人の状に從へり、これ如何にもして幾許かの人を救はんためなり。 046 1CO 009 023 われ福音のために凡ての事をなす、これ我も共に福音に與らん爲なり。 046 1CO 009 024 なんぢら知らぬか、馳場を走る者はみな走れども、褒美を得る者の、ただ一人なるを。汝らも得んために斯く走れ。 046 1CO 009 025 すべて勝を爭ふ者は何事をも節し愼む、彼らは朽つる冠冕を得んが爲なれど、我らは朽ちぬ冠冕を得んがために之をなすなり。 046 1CO 009 026 斯く我が走るは目標なきが如きにあらず、我が拳鬪するは空を撃つが如きにあらず。 046 1CO 009 027 わが體を打ち擲きて之を服從せしむ。恐らくは他人に宣傳へて自ら棄てらるる事あらん。 046 1CO 010 001 兄弟よ、我なんぢらが之を知らぬを好まず。即ち我らの先祖はみな雲の下にあり、みな海をとほり、 046 1CO 010 002 みな雲と海とにてバプテスマを受けてモーセにつけり。 046 1CO 010 003 而して皆おなじく靈なる食物を食し、 046 1CO 010 004 みな同じく靈なる飮物を飮めり。これ彼らに隨ひし靈なる岩より飮みたるなり、その岩は即ちキリストなりき。 046 1CO 010 005 然れど彼らのうち多くは神の御意に適はず、荒野にて亡されたり。 046 1CO 010 006 此 等のことは我らの鑑にして、彼らが貪りし如く惡を貪らざらん爲なり。 046 1CO 010 007 彼らの中の或 者に效ひて偶像を拜する者となるな、即ち『民は坐して飮食し立ちて戯る』と録されたり。 046 1CO 010 008 又かれらの中の或 者に效ひて我ら姦淫すべからず、姦淫を行ひしもの一日に二萬 三 千 人 死にたり。 046 1CO 010 009 また彼 等のうちの或 者に效ひて我ら主を試むべからず、主を試みしもの蛇に亡されたり、 046 1CO 010 010 又かれらの中の或 者に效ひて呟くな、呟きしもの亡す者に亡されたり。 046 1CO 010 011 彼らが遭へる此 等のことは鑑となれり、かつ末の世に遭へる我らの訓戒のために録されたり。 046 1CO 010 012 さらば自ら立てりと思ふ者は倒れぬやうに心せよ。 046 1CO 010 013 汝らが遭ひし試煉は人の常ならぬはなし。神は眞實なれば、汝らを耐へ忍ぶこと能はぬほどの試煉に遭はせ給はず。汝らが試煉を耐へ忍ぶことを得んために之と共に遁るべき道を備へ給はん。 046 1CO 010 014 さらば我が愛する者よ、偶像を拜することを避けよ。 046 1CO 010 015 され慧き者に言ふごとく言はん、我が言ふところを判斷せよ。 046 1CO 010 016 我らが祝ふところの祝の酒杯は、これキリストの血に與るにあらずや。我らが擘く所のパンは、これキリストの體に與るにあらずや。 046 1CO 010 017 パンは一つなれば、多くの我らも一體なり、皆ともに一つのパンに與るに因る。 046 1CO 010 018 肉によるイスラエルを視よ、供物を食ふ者は祭壇に與るにあらずや。 046 1CO 010 019 さらば我が言ふところは何ぞ、偶像の供物はあるものと言ふか、また、偶像はあるものと言ふか。 046 1CO 010 020 否、我は言ふ、異邦人の供ふる物は神に供ふるにあらず、惡鬼に供ふるなりと。我なんぢらが惡鬼と交るを欲せず。 046 1CO 010 021 なんぢら主の酒杯と惡鬼の酒杯とを兼ね飮むこと能はず。主の食卓と惡鬼の食卓とに兼ね與ること能はず。 046 1CO 010 022 われら主の妬を惹起さんとするか、我らは主よりも強き者ならんや。 046 1CO 010 023 一切のもの可からざるなし、然れど一切のもの益あるにあらず、一切のもの可からざるなし、されど、一切のもの徳を建つるにあらず。 046 1CO 010 024 各人おのが益を求むることなく、人の益を求めよ。 046 1CO 010 025 すべて市場にて賣る物は、良心のために何をも問はずして食せよ。 046 1CO 010 026 そは地と之に滿つる物とは主の物なればなり。 046 1CO 010 027 もし不 信者に招かれて往かんとせば、凡て汝らの前に置く物を、良心のために何をも問はずして食せよ。 046 1CO 010 028 人もし此は犧牲にせし肉なりと言はば、告げし者のため、また良心のために食すな。 046 1CO 010 029 良心とは汝の良心にあらず、かの人の良心を言ふなり。何ぞわが自由を他の人の良心によりて審かるる事をせん。 046 1CO 010 030 もし感謝して食する事をせば、何ぞわが感謝する所のものに就きて譏らるる事をせん。 046 1CO 010 031 さらば食ふにも飮むにも何事をなすにも、凡て神の榮光を顯すやうにせよ。 046 1CO 010 032 ユダヤ人にもギリシヤ人にも、また、神の教會にも躓物となるな。 046 1CO 010 033 我も凡ての事を凡ての人の心に適ふやうに力め、人々の救はれんために、己の益を求めずして多くの人の益を求むるなり。 046 1CO 011 001 我がキリストに效ふ者なる如く、なんぢら我に效ふ者となれ。 046 1CO 011 002 汝らは凡ての事につきて我を憶え、且わが傳へし所をそのまま守るに因りて、我なんぢらを譽む。 046 1CO 011 003 されど我なんぢらが之を知らんことを願ふ。凡ての男の頭はキリストなり、女の頭は男なり、キリストの頭は神なり。 046 1CO 011 004 すべて男は祈をなし、預言をなすとき、頭に物を被るは其の頭を辱しむるなり。 046 1CO 011 005 すべて女は祈をなし、預言をなすとき、頭に物を被らぬは其の頭を辱しむるなり。これ薙髮と異なる事なし。 046 1CO 011 006 女もし物を被らずば、髮をも剪るべし。されど髮を剪り或は薙ることを女の恥とせば、物を被るべし。 046 1CO 011 007 男は神の像、神の榮光なれば、頭に物を被るべきにあらず、されど女は男の光榮なり。 046 1CO 011 008 男は女より出でずして、女は男より出で、 046 1CO 011 009 男は女のために造られずして、女は男のために造られたればなり。 046 1CO 011 010 この故に女は御使たちの故によりて頭に權の徽を戴くべきなり。 046 1CO 011 011 されど主に在りては、女は男に由らざるなく、男は女に由らざるなし。 046 1CO 011 012 女の男より出でしごとく、男は女によりて出づ。而して萬物はみな神より出づるなり。 046 1CO 011 013 汝 等みづから判斷せよ、女の物を被らずして神に祈るは宣しき事なるか。 046 1CO 011 014 なんぢら自然に知るにあらずや、男もし長き髮の毛あらば恥づべきことにして、 046 1CO 011 015 女もし長き髮の毛あらばその光榮なるを。それ女の髮の毛は被物として賜はりたるなり。 046 1CO 011 016 假令これを坑辯ふ者ありとも、斯くのごとき例は我らにも神の諸 教會にもある事なし。 046 1CO 011 017 我これらの事を命じて汝らを譽めず。汝らの集ること益を受けずして損を招けばなり。 046 1CO 011 018 先づ汝らが教會に集るとき分爭ありと聞く、われ略これを信ず。 046 1CO 011 019 それは汝 等のうちに是とせらるべき者の現れんために黨派も必ず起るべければなり。 046 1CO 011 020 なんぢら一處に集るとき、主の晩餐を食すること能はず。 046 1CO 011 021 食する時おのおの人に先だちて己の晩餐を食するにより、饑うる者あり、醉ひ飽ける者あればなり。 046 1CO 011 022 汝ら飮食すべき家なきか、神の教會を輕んじ、また乏しき者を辱しめんとするか、我なにを言ふべきか、汝らを譽むべきか、之に就きては譽めぬなり。 046 1CO 011 023 わが汝らに傳へしことは主より授けられたるなり。即ち主イエス付され給ふ夜、パンを取り、 046 1CO 011 024 祝して之を擘き、而して言ひ給ふ『これは汝 等のための我が體なり。我が記念として之を行へ』 046 1CO 011 025 夕餐ののち酒杯をも前の如くして言ひたまふ『この酒杯は我が血によれる新しき契約なり。飮むごとに我が記念として之をおこなへ』 046 1CO 011 026 汝 等このパンを食し、この酒杯を飮むごとに、主の死を示して其の來りたまふ時にまで及ぶなり。 046 1CO 011 027 されば宣しきに適はずして主のパンを食し、主の酒杯を飮む者は、主の體と血とを犯すなり。 046 1CO 011 028 人みづから省みて後、そのパンを食し、その酒杯を飮むべし。 046 1CO 011 029 御體を辨へずして飮食する者は、その飮食によりて自ら審判を招くべければなり。 046 1CO 011 030 この故に汝 等のうちに弱きもの病めるもの多くあり、また眠に就きたる者も少からず。 046 1CO 011 031 我等もし自ら己を辨へなば審かるる事なからん。 046 1CO 011 032 されど審かるる事のあるは、我らを世の人とともに罪に定めじとて、主の懲しめ給ふなり。 046 1CO 011 033 この故に、わが兄弟よ、食せんとて集るときは互に待ち合せよ。 046 1CO 011 034 もし飢うる者あらば、汝らの集會の審判を招くこと無からん爲に、己が家にて食すべし。その他のことは我いたらん時これを定めん。 046 1CO 012 001 兄弟よ、靈の賜物に就きては、我なんぢらが知らぬを好まず。 046 1CO 012 002 なんぢら異邦人なりしとき、誘はるるままに物を言はぬ偶像のもとに導き往かれしは、汝らの知る所なり。 046 1CO 012 003 然れば我なんぢらに示さん、神の御靈に感じて語る者は、誰も『イエスは詛はるべき者なり』と言はず、また聖 靈に感ぜざれば、誰も『イエスは主なり』と言ふ能はず。 046 1CO 012 004 賜物は殊なれども、御靈は同じ。 046 1CO 012 005 務は殊なれども、主は同じ。 046 1CO 012 006 活動は殊なれども、凡ての人のうちに凡ての活動を爲したまふ神は同じ。 046 1CO 012 007 御靈の顯現をおのおのに賜ひたるは、益を得させんためなり。 046 1CO 012 008 或 人は御靈によりて智慧の言を賜はり、或 人は同じ御靈によりて知識の言、 046 1CO 012 009 或 人は同じ御靈によりて信仰、ある人は一つ御靈によりて病を醫す賜物、 046 1CO 012 010 或 人は異能ある業、ある人は預言、ある人は靈を辨へ、或 人は異言を言ひ、或 人は異言を釋く能力を賜はる。 046 1CO 012 011 凡て此 等のことは同じ一つの御靈の活動にして、御靈その心に隨ひて各人に分け與へたまふなり。 046 1CO 012 012 體は一つにして肢は多し、體の肢は多くとも一つの體なるが如く、キリストも亦 然り。 046 1CO 012 013 我らはユダヤ人・ギリシヤ人・奴隷・自主の別なく、一體とならん爲に、みな一つ御靈にてバプテスマを受けたり。而してみな一つ御靈を飮めり。 046 1CO 012 014 體は一 肢より成らず、多くの肢より成るなり。 046 1CO 012 015 足もし『我は手にあらぬ故に體に屬せず』と云ふとも、之によりて體に屬せぬにあらず。 046 1CO 012 016 耳もし『それは眼にあらぬ故に體に屬せず』と云ふとも、之によりて體に屬せぬにあらず。 046 1CO 012 017 もし全身、眼ならば、聽くところ何れか。もし全身、聽く所ならば、臭ぐところ何れか。 046 1CO 012 018 げに神は御意のままに肢をおのおの體に置き給へり。 046 1CO 012 019 若しみな一 肢ならば、體は何れか。 046 1CO 012 020 げに肢は多くあれど、體は一つなり。 046 1CO 012 021 眼は手に對ひて『われ汝を要せず』と言ひ、頭は足に對ひて『われ汝を要せず』と言ふこと能はず。 046 1CO 012 022 否、からだの中にて最も弱しと見ゆる肢は、反つて必要なり。 046 1CO 012 023 體のうちにて尊からずと思はるる所に、物を纏ひて殊に之を尊ぶ。斯く我らの美しからぬ所は、一層すぐれて美しくすれども、 046 1CO 012 024 美しき所には、物を纏ふの要なし。神は劣れる所に殊に尊榮を加へて、人の體を調和したまへり。 046 1CO 012 025 これ體のうちに分爭なく、肢々 一致して互に相 顧みんためなり。 046 1CO 012 026 もし一つの肢 苦しまば、もろもろの肢ともに苦しみ、一つの肢 尊ばれなば、もろもろの肢ともに喜ぶなり。 046 1CO 012 027 乃ち汝らはキリストの體にして各自その肢なり。 046 1CO 012 028 神は第一に使徒、第二に預言者、第三に教師、その次に異能ある業、次に病を醫す賜物、補助をなす者、治むる者、異言などを教會に置きたまへり。 046 1CO 012 029 是みな使徒ならんや、みな預言者ならんや、みな教師ならんや、みな異能ある業を行ふ者ならんや。 046 1CO 012 030 みな病を醫す賜物を有てる者ならんや、みな異言を語る者ならんや、みな異言を釋く者ならんや。 046 1CO 012 031 なんぢら優れたる賜物を慕へ、而して我さらに善き道を示さん。 046 1CO 013 001 たとひ我もろもろの國人の言および御使の言を語るとも、愛なくば鳴る鐘や響く鐃鈸の如し。 046 1CO 013 002 假令われ預言する能力あり、又すべての奧義と凡ての知識とに達し、また山を移すほどの大なる信仰ありとも、愛なくば數ふるに足らず。 046 1CO 013 003 たとひ我わが財産をことごとく施し、又わが體を燒かるる爲に付すとも、愛なくば我に益なし。 046 1CO 013 004 愛は寛容にして慈悲あり。愛は妬まず、愛は誇らず、驕らず、 046 1CO 013 005 非禮を行はず、己の利を求めず、憤ほらず、人の惡を念はず、 046 1CO 013 006 不義を喜ばずして、眞理の喜ぶところを喜び、 046 1CO 013 007 凡そ事 忍び、おほよそ事 信じ、おほよそ事 望み、おほよそ事 耐ふるなり。 046 1CO 013 008 愛は長久までも絶ゆることなし。然れど預言は廢れ、異言は止み、知識もまた廢らん。 046 1CO 013 009 それ我らの知るところ全からず、我らの預言も全からず。 046 1CO 013 010 全き者の來らん時は全からぬもの廢らん。 046 1CO 013 011 われ童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずる事も童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。 046 1CO 013 012 今われらは鏡をもて見るごとく見るところ朧なり。然れど、かの時には顏を對せて相 見ん。今わが知るところ全からず、然れど、かの時には我が知られたる如く全く知るべし。 046 1CO 013 013 げに信仰と希望と愛と此の三つの者は限りなく存らん、而して其のうち最も大なるは愛なり。 046 1CO 014 001 愛を追ひ求めよ、また靈の賜物、ことに預言する能力を慕へ。 046 1CO 014 002 異言を語る者は人に語るにあらずして神に語るなり。そは靈にて奧義を語るとも、誰も悟る者なければなり。 046 1CO 014 003 されど預言する者は人に語りて其の徳を建て、勸をなし、慰安を與ふるなり。 046 1CO 014 004 異言を語る者は己の徳を建て、預言する者は教會の徳を建つ。 046 1CO 014 005 われ汝 等がみな異言を語らんことを欲すれど、殊に欲するは預言せん事なり。異言を語る者、もし釋きて教會の徳を建つるにあらずば、預言する者のかた勝るなり。 046 1CO 014 006 然らば兄弟よ、我もし汝らに到りて異言をかたり、或は默示、あるいは知識、あるいは預言、あるいは教をもて語らずば、何の益かあらん。 046 1CO 014 007 生命なくして聲を出すもの、或は笛、あるいは立琴、その音もし差別なくば、爭で吹くところ彈くところの何たるを知らん。 046 1CO 014 008 ラッパ若し定りなき音を出さば、誰か戰鬪の備をなさん。 046 1CO 014 009 斯くのごとく汝らも舌をもて明かなる言を出さずば、いかで語るところの何たるを知らん、これ汝 等ただ空氣に語るのみ。 046 1CO 014 010 世には國語の類おほかれど、一つとして意義あらぬはなし。 046 1CO 014 011 我もし國語の意義を知らずば、語る者に對して夷人となり、語る者も我に對して夷人とならん、 046 1CO 014 012 然らば汝らも靈の賜物を慕ふ者なれば、教會の徳を建つる目的にて賜物の豐ならん事を求めよ。 046 1CO 014 013 この故に異言を語る者は自ら釋き得んことをも祈るべし。 046 1CO 014 014 我もし異言をもて祈らば、我が靈は祈るなれど、我が心は果を結ばず。 046 1CO 014 015 然らば如何にすべきか、我は靈をもて祈り、また心をもて祈らん。我は靈をもて謳ひ、また心をもて謳はん。 046 1CO 014 016 汝もし然せずば、靈をもて祝するとき、凡人は汝の語ることを知らねば、その感謝に對し如何にしてアァメンと言はんや。 046 1CO 014 017 なんぢの感謝はよし、然れど、その人の徳を建つることなし。 046 1CO 014 018 我なんぢら衆の者よりも多く異言を語ることを神に感謝す。 046 1CO 014 019 然れど我は教會にて異言をもて一萬 言を語るよりも、寧ろ人を教へんために我が心をもて五言を語らんことを欲するなり。 046 1CO 014 020 兄弟よ、智慧に於ては子供となるな、惡に於ては幼兒となり、智慧に於ては成人となれ。 046 1CO 014 021 律法に録して『主、宣はく、他し言の民により、他し國人の口唇をもて此の民に語らん、然れど尚かれらは我に聽かじ』とあり。 046 1CO 014 022 されば異言は、信者の爲ならで不 信者のための徴なり。預言は、不 信者の爲ならで信者のためなり。 046 1CO 014 023 もし全 教會 一處に集れる時、みな異言にて語らば、凡人または不 信者いり來らんに、汝らを狂へる者と言はざらんや。 046 1CO 014 024 然れど若しみな預言せば、不 信者または凡人の入りきたるとき、會衆のために自ら責められ、會衆のために是非せられ、 046 1CO 014 025 その心の秘密あらはるる故に、伏して神を拜し『神は實に汝らの中に在す』と言はん。 046 1CO 014 026 兄弟よ、さらば如何にすべきか、汝らの集る時はおのおの聖歌あり、教あり、默示あり、異言あり、釋く能力あり、みな徳を建てん爲にすべし。 046 1CO 014 027 もし異言を語る者あらば、二人、多くとも三人、順次に語りて一人これを釋くべし。 046 1CO 014 028 もし釋く者なき時は、教會にては默し、而して己に語り、また神に語るべし。 046 1CO 014 029 預言者は二人もしくは三人かたり、その他の者はこれを辨ふべし。 046 1CO 014 030 もし坐しをる、他のもの默示を蒙らば、先のもの默すべし。 046 1CO 014 031 汝らは皆すべての人に學ばせ勸を受けしめんために、一人 一人 預言することを得べければなり。 046 1CO 014 032 また預言者の靈は預言者に制せらる。 046 1CO 014 033 それ神は亂の神にあらず、平和の神なり。 046 1CO 014 034 聖徒の諸 教會のするごとく、女は教會にて默すべし。彼らは語ることを許されず。律法に云へるごとく順ふべき者なり。 046 1CO 014 035 何事か學ばんとする事あらば、家にて己が夫に問ふべし、女の教會にて語るは恥づべき事なればなり。 046 1CO 014 036 神の言は汝 等より出でしか、また汝 等にのみ來りしか。 046 1CO 014 037 人もし自己を預言者とし、或は御靈に感じたる者と思はば、わが汝らに書きおくる言を主の命なりと知れ。 046 1CO 014 038 もし知らずば其の知らざるに任せよ。 046 1CO 014 039 されば我が兄弟よ、預言することを慕ひ、また異言を語ることを禁ずな。 046 1CO 014 040 凡ての事、宣しきに適ひ、かつ秩序を守りて行へ。 046 1CO 015 001 兄弟よ、曩にわが傳へし福音を更に復なんぢらに示す。汝らは之を受け、之に頼りて立ちたり。 046 1CO 015 002 なんぢら徒らに信ぜずして、我が傳へしままを堅く守らば、この福音に由りて救はれん。 046 1CO 015 003 わが第一に汝らに傳へしは、我が受けし所にして、キリスト聖書に應じて我らの罪のために死に、 046 1CO 015 004 また葬られ、聖書に應じて三日めに甦へり、 046 1CO 015 005 ケパに現れ、後に十二 弟子に現れ給ひし事なり。 046 1CO 015 006 次に五 百 人 以上の兄弟に同時にあらはれ給へり。その中には既に眠りたる者もあれど、多くは今なほ世にあり。 046 1CO 015 007 次にヤコブに現れ、次にすべての使徒に現れ、 046 1CO 015 008 最終には月 足らぬ者のごとき我にも現れ給へり。 046 1CO 015 009 我は神の教會を迫害したれば、使徒と稱へらるるに足らぬ者にて、使徒のうち最 小き者なり。 046 1CO 015 010 然るに我が今の如くなるは、神の恩惠に由るなり。斯くてその賜はりし御惠は空しくならずして、凡ての使徒よりも我は多く働けり。これ我にあらず、我と偕にある神の恩惠なり。 046 1CO 015 011 されば我にもせよ、彼 等にもせよ、宣傳ふる所はかくの如くにして、汝らは斯くのごとく信じたるなり。 046 1CO 015 012 キリストは死人の中より甦へり給へりと宣傳ふるに、汝 等のうちに、死人の復活なしと云ふ者のあるは何ぞや。 046 1CO 015 013 もし死人の復活なくば、キリストもまた甦へり給はざりしならん。 046 1CO 015 014 もしキリスト甦へり給はざりしならば、我らの宣教も空しく、汝らの信仰もまた空しからん、 046 1CO 015 015 かつ我らは神の僞證 人と認められん。我ら神はキリストを甦へらせ給へりと證したればなり。もし死人の甦へることなくば、神はキリストを甦へらせ給はざりしならん。 046 1CO 015 016 もし死人の甦へる事なくば、キリストも甦へり給はざりしならん。 046 1CO 015 017 若しキリスト甦へり給はざりしならば、汝らの信仰は空しく、汝 等なほ罪に居らん。 046 1CO 015 018 然ればキリストに在りて眠りたる者も亡びしならん。 046 1CO 015 019 我等この世にあり、キリストに頼りて空しき望みを懷くに過ぎずば、我らは凡ての人の中にて最も憫むべき者なり。 046 1CO 015 020 然れど正しくキリストは死人の中より甦へり、眠りたる者の初穗となり給へり。 046 1CO 015 021 それ人によりて死の來りし如く、死人の復活もまた人に由りて來れり。 046 1CO 015 022 凡ての人、アダムに由りて死ぬるごとく、凡ての人、キリストに由りて生くべし。 046 1CO 015 023 而して各人その順序に隨ふ。まづ初穗なるキリスト、次はその來り給ふときキリストに屬する者なり。 046 1CO 015 024 次には終きたらん、その時キリストは、もろもろの權能・權威・權力を亡して國を父なる神に付し給ふべし。 046 1CO 015 025 彼は凡ての敵をその足の下に置き給ふまで、王たらざるを得ざるなり。 046 1CO 015 026 最後の敵なる死もまた亡されん。 046 1CO 015 027 『神は萬の物を彼の足の下に服はせ給ひ』たればなり。萬の物を彼に服はせたりと宣ふときは、萬の物を服はせ給ひし者のその中になきこと明かなり。 046 1CO 015 028 萬の物かれに服ふときは、子も亦みづから萬の物を己に服はせ給ひし者に服はん。これ神は萬の物に於て萬の事となり給はん爲なり。 046 1CO 015 029 もし復活なくば、死人の爲にバプテスマを受くるもの何をなすか、死人の甦へること全くなくば、死人のためにバプテスマを受くるは何の爲ぞ。 046 1CO 015 030 また我らが何時も危険を冒すは何の爲ぞ。 046 1CO 015 031 兄弟よ、われらの主イエス・キリストに在りて、汝 等につき我が有てる誇によりて誓ひ、我は日々に死すと言ふ。 046 1CO 015 032 我がエペソにて獸と鬪ひしこと、若し人のごとき思にて爲ししならば、何の益あらんや。死人もし甦へる事なくば『我等いざ飮食せん、明日 死ぬべければなり』 046 1CO 015 033 なんぢら欺かるな、惡しき交際は善き風儀を害ふなり。 046 1CO 015 034 なんぢら醒めて正しうせよ、罪を犯すな。汝 等のうちに神を知らぬ者あり、我が斯く言ふは汝 等を辱しめんとてなり。 046 1CO 015 035 されど人あるひは言はん、死人いかにして甦へるべきか、如何なる體をもて來るべきかと。 046 1CO 015 036 愚なる者よ、なんぢの播く所のもの先づ死なずば生きず。 046 1CO 015 037 又その播く所のものは後に成るべき體を播くにあらず、麥にても他の穀にても、ただ種粒のみ。 046 1CO 015 038 然るに神は御意に隨ひて之に體を予へ、おのおのの種にその體を予へたまふ。 046 1CO 015 039 凡ての肉、おなじ肉にあらず、人の肉あり、獸の肉あり、鳥の肉あり、魚の肉あり。 046 1CO 015 040 天上の體あり、地上の體あり、されど天上の物の光榮は地上の物と異なり。 046 1CO 015 041 日の光榮あり、月の光榮あり、星の光榮あり、此の星は彼の星と光榮を異にす。 046 1CO 015 042 死人の復活もまた斯くのごとし。朽つる物にて播かれ、朽ちぬものに甦へらせられ、 046 1CO 015 043 卑しき物にて播かれ、光榮あるものに甦へらせられ、弱きものにて播かれ、強きものに甦へらせられ、 046 1CO 015 044 血氣の體にて播かれ、靈の體に甦へらせられん。血氣の體ある如く、また靈の體あり。 046 1CO 015 045 録して、始の人アダムは、活ける者となれるとあるが如し。而して終のアダムは、生命を與ふる靈となれり。 046 1CO 015 046 靈のものは前にあらず、反つて血氣のもの前にありて靈のもの後にあり。 046 1CO 015 047 第一の人は地より出でて土に屬し、第二の人は天より出でたる者なり。 046 1CO 015 048 この土に屬する者に、すべて土に屬する者は似、この天に屬する者に、すべて天に屬する者は似るなり。 046 1CO 015 049 我ら土に屬する者の形を有てるごとく、天に屬する者の形をも有つべし。 046 1CO 015 050 兄弟よ、われ之を言はん、血肉は神の國を嗣ぐこと能はず、朽つるものは朽ちぬものを嗣ぐことなし。 046 1CO 015 051 視よ、われ汝らに奧義を告げん、我らは悉とく眠るにはあらず、 046 1CO 015 052 終のラッパの鳴らん時みな忽ち瞬間に化せん。ラッパ鳴りて死人は朽ちぬ者に甦へり、我らは化するなり。 046 1CO 015 053 そは此の朽つる者は朽ちぬものを著、この死ぬる者は死なぬものを著るべければなり。 046 1CO 015 054 此の朽つるものは朽ちぬものを著、この死ぬる者は死なぬものを著んとき『死は勝に呑まれたり』と録されたる言は成就すべし。 046 1CO 015 055 『死よ、なんぢの勝は何處にかある。死よ、なんぢの刺は何處にかある』 046 1CO 015 056 死の刺は罪なり、罪の力は律法なり。 046 1CO 015 057 されど感謝すべきかな、神は我らの主イエス・キリストによりて勝を與へたまふ。 046 1CO 015 058 然れば我が愛する兄弟よ、確くして搖くことなく、常に勵みて主の事を務めよ、汝 等その勞の、主にありて空しからぬを知ればなり。 046 1CO 016 001 聖徒たちの爲にする寄附の事に就きては、汝らも我がガラテヤの諸 教會に命ぜしごとくせよ。 046 1CO 016 002 一週の首の日ごとに、各人その得る所にしたがひて己が家に貯へ置け、これ我が到らんとき始めて寄附を集むる事なからん爲なり。 046 1CO 016 003 われ到らば、汝らが選ぶところの人々に添書をあたへ、汝らの惠む物をエルサレムに携へ往かしめん。 046 1CO 016 004 もし我も往くべきならば、彼らは我と共に往くべし。 046 1CO 016 005 我マケドニヤを通らんとすれば、マケドニヤを過ぎて後に汝らの許にゆかん。 046 1CO 016 006 かくて汝らの中に留りゐて、或は冬を過すこともあらん、是わが何處に往くも汝らに送られん爲なり。 046 1CO 016 007 我は今なんぢらを途の次に見ることを欲せず、主ゆるし給はば、暫く汝らと偕に留らんことを望む。 046 1CO 016 008 われ五旬節まではエペソに留らんとす。 046 1CO 016 009 そは活動のために大なる門わが前にひらけ、また逆ふ者も多ければなり。 046 1CO 016 010 テモテもし到らば、愼みて汝 等のうちに懼なく居らしめよ、彼は我と同じく主の業を務むる者なり。 046 1CO 016 011 されば誰も之を卑しむることなく、安らかに送りて我が許に來らしめよ、我かれが兄弟たちと共に來るを待てるなり。 046 1CO 016 012 兄弟アポロに就きては、我かれに兄弟たちと共に汝らに到らんことを懇ろに勸めたりしが、今は往くことを更に欲せず、されど好き機を得ば往くべし。 046 1CO 016 013 目を覺し、堅く信仰に立ち、雄々しく、かつ剛かれ。 046 1CO 016 014 一切のこと愛をもて行へ。 046 1CO 016 015 兄弟よ、ステパナの家はアカヤの初穗にして、彼らが身を委ねて聖徒に事へたることは、汝らの知る所なり。 046 1CO 016 016 われ汝らに勸む、斯くのごとき人々また凡て之とともに働きて勞する者に服せよ。 046 1CO 016 017 我ステパナとポルトナトとアカイコとの來るを喜ぶ。かれらは汝らの居らぬを補ひたればなり。 046 1CO 016 018 彼らは我が心と汝らの心とを安んじたり、斯くのどとき者を認めよ。 046 1CO 016 019 アジヤの諸 教會なんぢらに安否を問ふ。アクラとプリスカ及びその家の教會、主に在りて懇ろに汝らに安否を問ふ。 046 1CO 016 020 すべての兄弟なんぢらに安否を問ふ。なんぢら潔き接吻をもて互に安否を問へ。 046 1CO 016 021 我パウロ自筆をもて汝らに安否を問ふ。 046 1CO 016 022 もし人、主を愛せずば詛はるべし、我らの主きたり給ふ。 046 1CO 016 023 願はくは主イエスの恩惠なんぢらと偕にあらんことを。 046 1CO 016 024 わが愛はキリスト・イエスに在りて汝 等すべての者とともに在るなり。 # # BOOK 047 2CO 2 Corinthians コリント人への手紙第二 047 2CO 001 001 神の御意によりてイエス・キリストの使徒となれるパウロ及び兄弟テモテ、書をコリントに在る神の教會、ならびにアカヤ全國に在る凡ての聖徒に贈る。 047 2CO 001 002 願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 047 2CO 001 003 讃むべき哉、われらの主イエス・キリストの父なる神、即ちもろもろの慈悲の父、一切の慰安の神、 047 2CO 001 004 われらを凡ての患難のうちに慰め、我等をして自ら神に慰めらるる慰安をもて、諸般の患難に居る者を慰むることを得しめ給ふ。 047 2CO 001 005 そはキリストの苦難われらに溢るる如く、我らの慰安も亦キリストによりて溢るればなり。 047 2CO 001 006 我ら或は患難を受くるも汝らの慰安と救とのため、或は慰安を受くるも汝らの慰安の爲にして、その慰安は汝らの中に働きて、我らが受くる如き苦難を忍ぶことを得しむるなり。 047 2CO 001 007 かくて汝らが苦難に與るごとく、また慰安にも與ることを知れば、汝らに對する我らの望は堅し。 047 2CO 001 008 兄弟よ、我らがアジヤにて遭ひし患難を汝らの知らざるを好まず、すなはち壓せらるること甚だしく、力 耐へがたくして、生くる望を失ひ、 047 2CO 001 009 心のうちに死を期するに至れり。これ己を頼まずして、死人を甦へらせ給ふ神を頼まん爲なり。 047 2CO 001 010 神は斯かる死より我らを救ひ給へり、また救ひ給はん。我らは後もなほ救ひ給はんことを望みて神を頼み、 047 2CO 001 011 汝らも我らの爲に祈をもて助く。これ多くの人の願望によりて賜はる恩惠を、多くの人の感謝するに至らん爲なり。 047 2CO 001 012 われら世に在りて殊に汝らに對し、神の清淨と眞實とをもて、また肉の智慧によらず、神の恩惠によりて行ひし事は、我らの良心の證する所にして、我らの誇なり。 047 2CO 001 013 我らの書き贈ることは、汝らの讀むところ知る所の他ならず。 047 2CO 001 014 而して我は汝 等のうち或 者の既に知れる如く、我らの主イエスの日に我らが汝らの誇、なんぢらが我らの誇たるを終まで知らんことを望む。 047 2CO 001 015 この確信をもて先づ汝らに到り、再び益を得させ、 047 2CO 001 016 かくて汝らを經てマケドニアに往き、マケドニアより更に復なんぢらに到り、而して汝らに送られてユダヤに往かんことを定めたり。 047 2CO 001 017 かく定めたるは浮きたる事ならんや。わが定むるところ肉によりて定め、然り然り、否 々と言ふが如きこと有らんや。 047 2CO 001 018 神は眞實にて在せば、我らが汝らに對する言も、然りまた否と言ふが如きにあらず。 047 2CO 001 019 我ら即ちパウロ、シルワノ、テモテが汝らの中に傳へたる神の子キリスト・イエスは、然りまた否と言ふが如き者にあらず、然りと言ふことは彼によりて成りたるなり。 047 2CO 001 020 神の約束は多くありとも、然りと言ふことは彼によりて成りたれば、彼によりてアァメンあり、我ら神に榮光を歸するに至る。 047 2CO 001 021 汝らと共に我らをキリストに堅くし、且われらに膏を注ぎ給ひし者は神なり。 047 2CO 001 022 神はまた我らに印し、保證として御靈を我らの心に賜へり。 047 2CO 001 023 我わが靈魂を賭けて神の證を求む、我がコリントに往くことの遲きは、汝らを寛うせん爲なり。 047 2CO 001 024 されど我らは汝らの信仰を掌どる者にあらず、汝らの喜悦を助くる者なり、汝らは信仰によりて立てばなり。 047 2CO 002 001 われ再び憂をもて汝らに到らじと自ら定めたり。 047 2CO 002 002 我もし汝らを憂ひしめば、我が憂ひしむる者のほかに誰か我を喜ばせんや。 047 2CO 002 003 われ前に此の事を書き贈りしは、我が到らんとき、我を喜ばすべきもの、反つて我を憂ひしむる事のなからん爲にして、汝らは皆わが喜悦を喜悦とするを信ずるに因りてなり。 047 2CO 002 004 われ大なる患難と心の悲哀とにより、多くの涙をもて汝らに書き贈れり。これ汝らを憂ひしめんとにあらず、我が汝らに對する愛の溢るるばかりなるを知らしめん爲なり。 047 2CO 002 005 もし憂ひしむる人あらば、我を憂ひしむるにあらず、幾許か汝ら衆を憂ひしむるなり。(幾許かと云へるは、われ激しく責むるを好まぬ故なり) 047 2CO 002 006 かかる人の多數の者より受けたる懲罰は足れり。 047 2CO 002 007 されば汝ら寧ろ彼を恕し、かつ慰めよ、恐らくは其の人、甚だしき愁に沈まん。 047 2CO 002 008 この故に我なんぢらの愛を彼に顯さんことを勸む。 047 2CO 002 009 前に書き贈りしは、凡ての事につきて汝らが從順なりや否やをも試み知らん爲なり。 047 2CO 002 010 なんぢら何事にても人を恕さば、我も亦これを恕さん、われ恕したる事あらば、汝らの爲にキリストの前に恕したるなり。 047 2CO 002 011 これサタンに欺かれざらん爲なり、我等はその詭謀を知らざるにあらず。 047 2CO 002 012 我キリストの福音の爲にトロアスに到り、主われに門を開き給ひたれど、 047 2CO 002 013 我が兄弟テトスに逢はぬによりて心に平安をえず、彼處の者に別を告げてマケドニヤに往けり。 047 2CO 002 014 感謝すべきかな、神は何時にてもキリストにより、我らを執へて凱旋し、何處にても我等によりてキリストを知る知識の馨をあらはし給ふ。 047 2CO 002 015 救はるる者にも亡ぶる者にも、我らは神に對してキリストの香しき馨なり。 047 2CO 002 016 この人には死よりいづる馨となりて死に至らしめ、かの人には生命より出づる馨となりて生命に至らしむ。誰か此の任に耐へんや。 047 2CO 002 017 我らは多くの人のごとく神の言を曲げず、眞實により神による者のごとく、神の前にキリストに在りて語るなり。 047 2CO 003 001 我等ふたたび己を薦め始めんや、また或 人のごとく人の推薦の書を汝らに齎し、また汝 等より受くることを要せんや。 047 2CO 003 002 汝らは即ち我らの書にして我らの心に録され、又すべての人に知られ、かつ讀まるるなり。 047 2CO 003 003 汝らは明かに我らの職によりて書かれたるキリストの書なり。而も墨にあらで活ける神の御靈にて録され、石碑にあらで心の肉碑に録されたるなり。 047 2CO 003 004 我らはキリストにより、神に對して斯かる確信あり。 047 2CO 003 005 されど己は何事をも自ら定むるに足らず、定むるに足るは神によるなり。 047 2CO 003 006 神は我らを新約の役者となるに足らしめ給へり、儀文の役者にあらず、靈の役者なり。そは儀文は殺し、靈は活せばなり。 047 2CO 003 007 石に彫り書されたる死の法の職にも光榮ありて、イスラエルの子 等はそのやがて消ゆべきモーセの顏の光榮を見つめ得ざりし程ならんには、 047 2CO 003 008 まして靈の職は光榮なからんや。 047 2CO 003 009 罪を定むる職もし光榮あらんには、まして義とする職は光榮に溢れざらんや。 047 2CO 003 010 もと光榮ありし者も更に勝れる光榮に比ぶれば、光榮なき者となれり。 047 2CO 003 011 もし消ゆべき者に光榮ありしならんには、まして永存ふるものに光榮なからんや。 047 2CO 003 012 我らは斯くのごとき希望を有つゆゑに、更に臆せずして言ひ、 047 2CO 003 013 又モーセの如くせざるなり。彼は消ゆべき者の消えゆくをイスラエルの子らに見せぬために、面帕を顏におほひたり。 047 2CO 003 014 然れど彼らの心 鈍くなれり。キリストによりて面帕の廢るべきを悟らねば、今日に至るまで舊約を讀む時その面帕なほ存れり。 047 2CO 003 015 今日に至るまでモーセの書を讀むとき、面帕は彼らの心のうへに置かれたり。 047 2CO 003 016 然れど主に歸する時、その面帕は取り除かるべし。 047 2CO 003 017 主は即ち御靈なり、主の御靈のある所には自由あり。 047 2CO 003 018 我等はみな面帕なくして、鏡に映るごとく主の榮光を見、榮光より榮光にすすみ、主たる御靈によりて主と同じ像に化するなり。 047 2CO 004 001 この故に我ら憐憫を蒙りて此の職を受けたれば、落膽せず、 047 2CO 004 002 恥づべき隱れたる事をすて、惡巧に歩まず、神の言をみださず、眞理を顯して神の前に己を凡ての人の良心に薦むるなり。 047 2CO 004 003 もし我らの福音おほはれ居らば、亡ぶる者に覆はれをるなり。 047 2CO 004 004 この世の神は此 等の不 信者の心を暗まして、神の像なるキリストの榮光の福音の光を照さざらしめたり。 047 2CO 004 005 我らは己の事を宣べず、ただキリスト・イエスの主たる事と、我らがイエスのために汝らの僕たる事とを宣ぶ。 047 2CO 004 006 光、暗より照り出でよと宣ひし神は、イエス・キリストの顏にある神の榮光を知る知識を輝かしめんために、我らの心を照し給へるなり。 047 2CO 004 007 我等この寶を土の器に有てり、これ優れて大なる能力の我等より出でずして、神より出づることの顯れんためなり。 047 2CO 004 008 われら四方より患難を受くれども窮せず、爲ん方つくれども希望を失はず、 047 2CO 004 009 責めらるれども棄てられず、倒さるれども亡びず、 047 2CO 004 010 常にイエスの死を我らの身に負ふ。これイエスの生命の我らの身にあらはれん爲なり。 047 2CO 004 011 それ我ら生ける者の常にイエスのため死に付さるるは、イエスの生命の我らの死ぬべき肉體にあらはれん爲なり。 047 2CO 004 012 さらば死は我等のうちに働き、生命は汝 等のうちに働くなり。 047 2CO 004 013 録して『われ信ずるによりて語れり』とあるごとく、我等にも同じ信仰の靈あり、信ずるに因りて語るなり。 047 2CO 004 014 これ主イエスを甦へらせ給ひし者の我等をもイエスと共に甦へらせ、汝らと共に立たしめ給ふことを我ら知ればなり。 047 2CO 004 015 凡ての事は汝らの益なり。これ多くの人によりて御惠の増し加はり、感謝いや増りて神の榮光の顯れん爲なり。 047 2CO 004 016 この故に我らは落膽せず、我らが外なる人は壞るれども、内なる人は日々に新なり。 047 2CO 004 017 それ我らが受くる暫くの輕き患難は、極めて大なる永遠の重き光榮を得しむるなり。 047 2CO 004 018 我らの顧みる所は見ゆるものにあらで見えぬものなればなり。見ゆるものは暫時にして、見えぬものは永遠に至るなり。 047 2CO 005 001 我らは知る、我らの幕屋なる地上の家、壞るれば、神の賜ふ建造物、すなはち天にある、手にて造らぬ、永遠の家あることを。 047 2CO 005 002 我等はその幕屋にありて歎き、天より賜ふ住所をこの上に著んことを切に望む。 047 2CO 005 003 之を著るときは裸にてある事なからん。 047 2CO 005 004 我等この幕屋にありて重荷を負へる如くに歎く、之を脱がんとにあらで、此の上に著んことを欲すればなり。これ死ぬべき者の生命に呑まれん爲なり。 047 2CO 005 005 我らを此の事に適ふものとなし、その證として御靈を賜ひし者は神なり。 047 2CO 005 006 この故に我らは常に心 強し、かつ身に居るうちは主より離れ居るを知る、 047 2CO 005 007 見ゆる所によらず、信仰によりて歩めばなり。 047 2CO 005 008 斯く心 強し、願ふところは寧ろ身を離れて主と偕に居らんことなり。 047 2CO 005 009 然れば身に居るも身を離るるも、ただ御心に適はんことを力む。 047 2CO 005 010 我等はみな必ずキリストの審判の座の前にあらはれ、善にもあれ惡にもあれ、各人その身になしたる事に隨ひて報を受くべければなり。 047 2CO 005 011 斯く主の畏るべきを知るによりて人々に説き勸む。われら既に神に知られたり、亦なんぢらの良心にも知られたりと思ふ。 047 2CO 005 012 我等は再び己を汝らに薦むるにあらず、ただ我等をもて誇とする機を汝らに與へ、心によらず外貌によりて誇る人々に答ふることを得させんとするなり。 047 2CO 005 013 我等もし心 狂へるならば、神の爲なり、心 慥ならば、汝らの爲なり。 047 2CO 005 014 キリストの愛われらに迫れり。我ら思ふに、一人すべての人に代りて死にたれば、凡ての人すでに死にたるなり。 047 2CO 005 015 その凡ての人に代りて死に給ひしは、生ける人の最早おのれの爲に生きず、己に代り死にて甦へり給ひし者のために、生きん爲なり。 047 2CO 005 016 されば今より後われ肉によりて人を知るまじ、曾て肉によりてキリストを知りしが、今より後は斯くの如くに知ることをせじ。 047 2CO 005 017 人もしキリストに在らば新に造られたる者なり、古きは既に過ぎ去り、視よ、新しくなりたり。 047 2CO 005 018 これらの事はみな神より出づ、神はキリストによりて我らを己と和がしめ、かつ和がしむる職を我らに授け給へり。 047 2CO 005 019 即ち神はキリストに在りて世を己と和がしめ、その罪を之に負はせず、かつ和がしむる言を我らに委ね給へり。 047 2CO 005 020 されば我等はキリストの使者たり、恰も神の我等によりて汝らを勸め給ふがごとし。我等キリストに代りて願ふ、なんぢら神を和げ。 047 2CO 005 021 神は罪を知り給はざりし者を我らの代に罪となし給へり、これ我らが彼に在りて神の義となるを得んためなり。 047 2CO 006 001 我らは神とともに働く者なれば、神の恩惠を汝らが徒らに受けざらんことを更に勸む。 047 2CO 006 002 (神いひ給ふ『われ惠の時に汝に聽き、救の日に汝を助けたり』と。視よ、今は惠のとき、視よ、今は救の日なり) 047 2CO 006 003 我等この職の謗られぬ爲に何事にも人を躓かせず。 047 2CO 006 004 反つて凡ての事において神の役者のごとく己をあらはす、即ち患難にも、窮乏にも、苦難にも、 047 2CO 006 005 打たるるにも、獄に入るにも、騷擾にも、勞動にも、眠らぬにも、斷食にも、大なる忍耐を用ひ、 047 2CO 006 006 また廉潔と知識と寛容と仁慈と聖 靈と虚僞なき愛と、 047 2CO 006 007 眞の言と神の能力と左右に持ちたる義の武器とにより、 047 2CO 006 008 また光榮と恥辱と惡名と美名とによりて表す。我らは人を惑す者の如くなれども眞、 047 2CO 006 009 人に知られぬ者の如くなれども人に知られ、死なんとする者の如くなれども、視よ、生ける者、懲さるる者の如くなれども殺されず、 047 2CO 006 010 憂ふる者の如くなれども常に喜び、貧しき者の如くなれども多くの人を富ませ、何も有たぬ者の如くなれども凡ての物を有てり。 047 2CO 006 011 コリント人よ、我らの口は汝らに向ひて開け、我らの心は廣くなれり。 047 2CO 006 012 汝らの狹くせらるるは我らに因るにあらず、反つて己が心に因るなり。 047 2CO 006 013 汝らも心を廣くして我に報をせよ。(我わが子に對する如く言ふなり) 047 2CO 006 014 不 信者と軛を同じうすな、釣合はぬなり、義と不義と何の干與かあらん、光と暗と何の交際かあらん。 047 2CO 006 015 キリストとベリアルと何の調和かあらん、信者と不 信者と何の關係かあらん。 047 2CO 006 016 神の宮と偶像と何の一致かあらん、我らは活ける神の宮なり、即ち神の言ひ給ひしが如し。曰く『われ彼らの中に住み、また歩まん。我かれらの神となり、彼 等わが民とならん』と。 047 2CO 006 017 この故に『主いひ給ふ、「汝 等かれらの中より出で、之を離れ、穢れたる者に觸るなかれ」と。「さらば我なんぢらを受け、 047 2CO 006 018 われ汝らの父となり、汝 等わが息子むすめとならん」と、全能の主いひ給ふ』とあるなり。 047 2CO 007 001 されば愛する者よ、我らかかる約束を得たれば、肉と靈との汚穢より全く己を潔め、神を畏れてその清潔を成就すべし。 047 2CO 007 002 我らを受け容れよ、われら誰にも不義をなしし事なく、誰をも害ひし事なく、誰をも掠めし事なし。 047 2CO 007 003 わが斯く言ふは、汝らを咎めんとにあらず、そは我が既に言へる如く、汝らは我らの心にありて、共に死に共に生くればなり。 047 2CO 007 004 我なんぢらを信ずること大なり、また汝 等をもて誇とすること大なり、我は慰安にみち、凡ての患難の中にも喜悦あふるるなり。 047 2CO 007 005 マケドニヤに到りしとき、我らの身はなほ聊かも平安を得ずして、樣々の患難に遭ひ、外には分爭、内には恐懼ありき。 047 2CO 007 006 然れど哀なる者を慰むる神は、テトスの來るによりて我らを慰め給へり。 047 2CO 007 007 唯その來るに因りてのみならず、彼が汝らによりて得たる慰安をもて慰め給へり。即ち汝らの我を慕ふこと、歎くこと、我に對して熱心なることを我らに告ぐるによりて、我ますます喜べり。 047 2CO 007 008 われ書をもて汝らを憂ひしめたれども悔いず、その書の汝らを暫く憂ひしめしを見て、前には悔いたれども今は喜ぶ。 047 2CO 007 009 わが喜ぶは汝らの憂ひしが故にあらず、憂ひて悔改に至りし故なり。汝らは神に從ひて憂ひたれば、我等より聊かも損を受けざりき。 047 2CO 007 010 それ神にしたがふ憂は、悔なきの救を得るの悔改を生じ、世の憂は死を生ず。 047 2CO 007 011 視よ、汝らが神に從ひて憂ひしことは、如何ばかりの奮勵・辯明・憤激・恐懼・愛慕・熱心・罪を責むる心などを汝らの中に生じたりしかを。汝 等かの事に就きては全く潔きことを表せり。 047 2CO 007 012 されば前に書を汝らに書き贈りしも、不義をなしたる人の爲にあらず、また不義を受けたり人の爲にあらず、我らに對する汝らの奮勵の、神の前にて汝らに顯れん爲なり。 047 2CO 007 013 この故に我らは慰安を得たり。慰安を得たる上にテトスの喜悦によりて更に喜べり。そは彼の心なんぢら一同によりて安んぜられたればなり。 047 2CO 007 014 われ曩に彼の前に汝らに就きて誇りたれど恥づることなし、我らが汝らに語りし事のみな誠實なりし如く、テトスの前に誇りし事もまた誠實となれり。 047 2CO 007 015 彼は汝 等みな從順にして畏れ戰き、己を迎へしことを思ひ出して、心を汝らに寄すること増々 深し。 047 2CO 007 016 われ凡ての事に汝らに就きて心 強きを喜ぶ。 047 2CO 008 001 兄弟よ、我らマケドニヤの諸 教會に賜ひたる神の恩惠を汝らに知らす。 047 2CO 008 002 即ち患難の大なる試練のうちに彼らの喜悦あふれ、又その甚だしき貧窮は吝みなく施す富の溢るるに至れり。 047 2CO 008 003 われ證す、彼らは聖徒に事ふることに與る惠を切に我らに請ひ求め、みづから進みて、力に應じ、否これに過ぎて施濟をなせり。 047 2CO 008 004 われ證す、彼らは聖徒に事ふることに與る惠を切に我らに請ひ求め、みづから進みて、力に應じ、否これに過ぎて施濟をなせり。 047 2CO 008 005 我らの望のほかに先づ己を主にささげ、神の御意によりて我らにも身を委ねたり。 047 2CO 008 006 されば我らはテトスが前に此の慈惠のことを汝らの中に始めたれば、又これを成就せんことを勸めたり。 047 2CO 008 007 汝 等もろもろの事、すなはち信仰に、言に、知識に、凡ての奮勵に、また我らに對する愛に富めるごとく、此の慈惠にも富むべし。 047 2CO 008 008 われ斯く言ふは汝らに命ずるにあらず、ただ他の人の奮勵によりて、汝らの愛の眞實を試みん爲なり。 047 2CO 008 009 汝らは我らの主イエス・キリストの恩惠を知る。即ち富める者にて在したれど、汝 等のために貧しき者となり給へり。これ汝らが彼の貧窮によりて富める者とならん爲なり。 047 2CO 008 010 施濟のことに就きて我ただ意見を述ぶ、これは汝らの益なり。汝らは此の事をただに一年 前より人に先だちて行ひしのみならず、又これを願い始めし事なれば、 047 2CO 008 011 今これを成し遂げよ、汝らが心より願ひしごとく、所有に應じて成し遂げよ。 047 2CO 008 012 人もし志望あらば、其の有たぬ所に由るにあらず、其の有つ所に由りて嘉納せらるるなり。 047 2CO 008 013 これ他の人を安くして汝らを苦しめんとにあらず、均しくせんとするなり。 047 2CO 008 014 すなはち今なんぢらの餘るところは彼らの足らざるを補ひ、後また彼らの餘る所は汝らの足らざるを補ひて、均しくなるに至らんためなり。 047 2CO 008 015 録して『多く集めし者にも餘る所なく、少く集めし者にも足らざる所なかりき』とあるが如し。 047 2CO 008 016 汝らに對する同じ熱心をテトスの心にも賜へる神に感謝す。 047 2CO 008 017 彼はただに勸を容れしのみならず、甚だ熱心にして、自ら進んで汝らに往くなり。 047 2CO 008 018 我等また彼とともに一人の兄弟を遣す。この人は福音をもて諸 教會のうちに譽を得たる上に、 047 2CO 008 019 主の榮光と我らの志望とを顯さんがために、掌どれる此の慈惠に就きて、諸 教會より我らの道伴として選ばれたる者なり。 047 2CO 008 020 彼を遣すは、此の大なる醵金を掌どるに、人に咎めらるる事を避けんためなり。 047 2CO 008 021 そは主の前のみならず、人の前にも善からんことを慮ぱかりてなり。 047 2CO 008 022 また一人の兄弟を彼らと共につかはす、我らは多くの事につきて屡次かれの熱心なるを認めたり。而して今は彼が汝らを深く信ずるに因りて、その熱心の更に加はるを認む。 047 2CO 008 023 テトスのことを言へば、我が友なり、汝らに對して我が同勞者なり。この兄弟たちの事をいへば、彼らは諸 教會の使なり、キリストの榮光なり。 047 2CO 008 024 されば汝らの愛と我らが汝らに就きて誇れる事との證を、諸 教會の前にて彼らに顯せ。 047 2CO 009 001 聖徒に施すことに就きては汝らに書きおくるに及ばず、 047 2CO 009 002 我なんぢらの志望あるを知ればなり。その志望につき汝らの事をマケドニヤ人に誇りて、アカヤは既に一年 前に準備をなせりと云へり。かくて汝らの熱心は多くの人を勵ましたり。 047 2CO 009 003 されどわれ兄弟たちを遣すは、我が言ひしごとく汝らに準備をなさしめ、之につきて我らの誇りし事の空しくならざらん爲なり。 047 2CO 009 004 もしマケドニヤ人われと共に來りて汝らの準備なきを見ば、汝らは言ふに及ばず、我らも確信せしによりて恐らくは恥を受けん。 047 2CO 009 005 この故に兄弟たちを勸めて、先づ汝らに往かしめ、曩に汝らが約束したる慈惠を、吝むが如くせずして、惠む心よりせん爲に預じめ調へしむるは、必要のことと思へり。 047 2CO 009 006 それ少く播く者は少く刈り、多く播く者は多く刈るべし。 047 2CO 009 007 おのおの吝むことなく、強ひてすることなく、その心に定めし如くせよ。神は喜びて與ふる人を愛し給へばなり。 047 2CO 009 008 神は汝 等をして常に凡ての物に足らざることなく、凡ての善き業に溢れしめんために、凡ての恩惠を溢るるばかり與ふることを得給ふなり。 047 2CO 009 009 録して『彼は散して貧しき者に與へたり。その正義は永遠に存らん』とある如し。 047 2CO 009 010 播く人に種と食するパンとを與ふる者は、汝らにも種をあたへ、且これを殖し、また汝らの義の果を増し給ふべし。 047 2CO 009 011 汝らは一切に富みて吝みなく施すことを得、かくて我らの事により、人々 神に感謝するに至るなり。 047 2CO 009 012 此の施濟の務は、ただに聖徒の窮乏を補ふのみならず、充ち溢れて神に對する感謝を多からしむ。 047 2CO 009 013 即ち彼らは此の務を證據として、汝らがキリストの福音に對する言明に順ふことと、彼らにも凡ての人にも吝みなく施すこととに就きて、神に榮光を歸し、 047 2CO 009 014 かつ神の汝らに給ひし優れたる恩惠により、汝らを慕ひて汝 等のために祈らん。 047 2CO 009 015 言ひ盡しがたき神の賜物につきて感謝す。 047 2CO 010 001 汝らに對し面前にては謙だり、離れゐては勇ましき我パウロ、自らキリストの柔和と寛容とをもて汝らに勸む。 047 2CO 010 002 我らを肉に從ひて歩むごとく思ふ者あれば、斯かる者に對しては雄々しくせんと思へど、願ふ所は我が汝らに逢ふとき斯く勇ましくせざらん事なり。 047 2CO 010 003 我らは肉にありて歩めども、肉に從ひて戰はず。 047 2CO 010 004 それ我らの戰爭の武器は肉に屬するにあらず、神の前には城砦を破るほどの能力あり、我等はもろもろの論説を破り、 047 2CO 010 005 神の示教に逆ひて建てたる凡ての櫓を毀ち、凡ての念を虜にしてキリストに服はしむ。 047 2CO 010 006 且なんぢらの從順の全くならん時、すべての不 從順を罰せんと覺悟せり。 047 2CO 010 007 汝らは外貌のみを見る、若し人みづからキリストに屬する者と信ぜば、己がキリストに屬する如く、我らも亦キリストに屬する者なることを更に考ふべし。 047 2CO 010 008 假令われ汝らを破る爲ならずして建つる爲に、主が我らに賜ひたる權威につきて誇ること稍 過ぐとも恥とはならじ。 047 2CO 010 009 われ書をもて汝らを嚇すと思はざれ。 047 2CO 010 010 彼らは言ふ『その書は重くかつ強し、その逢ふときの容貌は弱く、言は鄙し』と。 047 2CO 010 011 斯くのごとき人は思ふべし。我らが離れをる時おくる書の言のごとく、逢ふときの行爲も亦 然るを。 047 2CO 010 012 我らは己を譽むる人と敢へて竝び、また較ぶる事をせず、彼らは己によりて己を度り、己をもて己に較ぶれば智なき者なり。 047 2CO 010 013 我らは範圍を踰えて誇らず、神の我らに分ち賜ひたる範圍にしたがひて誇らん。その範圍は汝らに及べり。 047 2CO 010 014 汝らに及ばぬ者のごとく範圍を踰えて身を延すに非ず、キリストの福音を傳へて汝らにまで到れるなり。 047 2CO 010 015 我らは己が範圍を踰えて他の人の勞を誇らず、唯なんぢらの信仰の彌増すにより、我らの範圍に循ひて汝らのうちに更に大ならんことを望む。 047 2CO 010 016 これ他の人の範圍に既に備りたるものを誇らず、汝らを踰えて外の處に福音を宣傳へん爲なり。 047 2CO 010 017 誇る者は主によりて誇るべし。 047 2CO 010 018 そは是とせらるるは己を譽むる者にあらず、主の譽め給ふ者なればなり。 047 2CO 011 001 願はくは汝 等わが少しの愚を忍ばんことを。請ふ我を忍べ。 047 2CO 011 002 われ神の熱心をもて汝らを慕ふ、われ汝らを潔き處女として一人の夫なるキリストに献げんとて、之に許嫁したればなり。 047 2CO 011 003 されど我が恐るるは、蛇の惡巧によりてエバの惑されし如く、汝らの心 害はれてキリストに對する眞心と貞操とを失はん事なり。 047 2CO 011 004 もし人きたりて我らの未だ宣べざる他のイエスを宣ぶる時、また汝らが未だ受けざる他の靈を受け、未だ受け容れざる他の福音を受くるときは、汝ら能く之を忍ばん。 047 2CO 011 005 我は何事にもかの大使徒たちに劣らずと思ふ。 047 2CO 011 006 われ言に拙けれども知識には然らず、凡ての事にて全く之を汝らに顯せり。 047 2CO 011 007 われ汝らを高うせんために自己を卑うし、價なくして神の福音を傳へたるは罪なりや。 047 2CO 011 008 我は他の教會より奪ひ取り、その俸給をもて汝らに事へたり。 047 2CO 011 009 又なんぢらの中に在りて乏しかりしとき、誰をも煩はさず、マケドニヤより來りし兄弟たち我が窮乏を補へり。斯く凡ての事に汝らを煩はすまじと愼みたるが、此の後もなほ愼まん。 047 2CO 011 010 我に在るキリストの誠實によりて言ふ、我この誇をアカヤの地方にて阻まるる事あらじ。 047 2CO 011 011 これ何 故ぞ、汝らを愛せぬに因るか、神は知りたまふ。 047 2CO 011 012 我わが行ふ所をなほ行はん、これ機會をうかがふ者の機會を斷ち、彼 等をしてその誇る所につき我らの如くならしめん爲なり。 047 2CO 011 013 かくの如きは僞 使徒また詭計の勞動人にして、己をキリストの使徒に扮へる者どもなり。 047 2CO 011 014 これ珍しき事にあらず、サタンも己を光の御使に扮へば、 047 2CO 011 015 その役者らが義の役者のごとく扮ふは大事にはあらず、彼 等の終局はその業に適ふべし。 047 2CO 011 016 われ復いはん、誰も我を愚と思ふな。もし然おもふとも、少しく誇る機を我にも得させん爲に、愚なる者として受け容れよ。 047 2CO 011 017 今いふ所は主によりて言ふにあらず、愚なる者として大膽に誇りて言ふなり。 047 2CO 011 018 多くの人、肉によりて誇れば、我も誇るべし。 047 2CO 011 019 汝らは智き者なれば喜びて愚なる者を忍ぶなり。 047 2CO 011 020 人もし汝らを奴隷とすとも、食ひ盡すとも、掠めとるとも、驕るとも、顏を打つとも、汝らは之を忍ぶ。 047 2CO 011 021 われ恥ぢて言ふ、我らは弱き者の如くなりき。されど人の雄々しき所は我もまた雄々し、われ愚にも斯く言ふなり。 047 2CO 011 022 彼らヘブル人なるか、我も然り、彼らイスラエル人なるか、我も然り、彼らアブラハムの裔なるか、我も然り。 047 2CO 011 023 彼らキリストの役者なるか、われ狂へる如く言ふ、我はなほ勝れり。わが勞は更におほく、獄に入れられしこと更に多く、鞭うたれしこと更に夥だしく、死に瀕みたりしこと屡次なりき。 047 2CO 011 024 ユダヤ人より四十に一つ足らぬ鞭を受けしこと五度、 047 2CO 011 025 笞にて打たれしこと三たび、石にて打たれしこと一たび、破船に遭ひしこと三度にして、一晝夜 海にありき。 047 2CO 011 026 しばしば旅行して河の難、盜賊の難、同族の難、異邦人の難、市中の難、荒野の難、海上の難、僞 兄弟の難にあひ、 047 2CO 011 027 勞し、苦しみ、しばしば眠らず、飢ゑ渇き、しばしば斷食し、凍え、裸なりき。 047 2CO 011 028 ここに擧げざる事もあるに、なほ日々われに迫る諸 教會の心勞あり。 047 2CO 011 029 誰か弱りて我 弱らざらんや、誰か躓きて我 燃えざらんや。 047 2CO 011 030 もし誇るべくは、我が弱き所につきて誇らん。 047 2CO 011 031 永遠に讃むべき者、すなはち主イエスの神また父は、我が僞らざるを知り給ふ。 047 2CO 011 032 ダマスコにてアレタ王の下にある總督、われを捕へんとてダマスコ人の町を守りたれば、 047 2CO 011 033 我は籠にて窓より石垣傳ひに縋り下されて其の手を脱れたり。 047 2CO 012 001 わが誇るは益なしと雖も止むを得ざるなり、茲に主の顯示と默示とに及ばん。 047 2CO 012 002 我はキリストにある一人の人を知る。この人、十四年 前に第三の天にまで取去られたり(肉體にてか、われ知らず、肉體を離れてか、われ知らず、神しり給ふ) 047 2CO 012 003 われ斯くのごとき人を知る(肉體にてか、肉體の外にてか、われ知らず、神しり給ふ) 047 2CO 012 004 かれパラダイスに取去られて、言ひ得ざる言、人の語るまじき言を聞けり。 047 2CO 012 005 われ斯くのごとき人のために誇らん、されど我が爲には弱き事のほか誇るまじ。 047 2CO 012 006 もし自ら誇るとも我が言ふところ誠實なれば、愚なる者とならじ。されど之を罷めん。恐らくは人の我を見われに聞くところに過ぎて、我を思ふことあらん。 047 2CO 012 007 我は我が蒙りたる默示の鴻大なるによりて高ぶることのなからん爲に、肉體に一つの刺を與へらる、即ち高ぶることなからん爲に我を撃つサタンの使なり。 047 2CO 012 008 われ之がために三度まで之を去らしめ給はんことを主に求めたるに、 047 2CO 012 009 言ひたまふ『わが恩惠なんぢに足れり、わが能力は弱きうちに全うせらるればなり』さればキリストの能力の我を庇はんために、寧ろ大に喜びて我が微弱を誇らん。 047 2CO 012 010 この故に我はキリストの爲に微弱・恥辱・艱難・迫害・苦難に遭ふことを喜ぶ、そは我よわき時に強ければなり。 047 2CO 012 011 われ汝らに強ひられて愚になれり、我は汝らに譽めらるべかりしなり。我は數ふるに足らぬ者なれども、何事にもかの大使徒たちに劣らざりしなり。 047 2CO 012 012 我は徴と不思議と能力ある業とを行ひ、大なる忍耐を用ひて汝 等のうちに使徒の徴をなせり。 047 2CO 012 013 なんぢら他の教會に何の劣る所かある、唯わが汝らを煩はさざりし事のみならずや、此の不義は請ふ我に恕せ。 047 2CO 012 014 視よ、茲に三度なんぢらに到らんとして準備したれど、尚なんぢらを煩はすまじ。我は汝らの所有を求めず、ただ汝らを求む。それ子は親のために貯ふべきにあらず、親は子のために貯ふべきなり。 047 2CO 012 015 我は大に喜びて汝らの靈魂のために物を費し、また身をも費さん。我なんぢらを多く愛するによりて、汝ら我を少く愛するか。 047 2CO 012 016 或 人いはん、我なんぢらを煩はさざりしも、狡猾にして詭計をもて取りしなりと。 047 2CO 012 017 然れど我なんぢらに遣しし者のうちの誰によりて汝らを掠めしや。 047 2CO 012 018 我テトスを勸めて汝らに遣し、これと共にかの兄弟を遣せり、テトスは汝らを掠めしや。我らは同じ御靈によりて歩み、同じ足跡を蹈みしにあらずや。 047 2CO 012 019 汝らは夙くより我等なんぢらに對して辯明すと思ひしならん。されど我らはキリストに在りて神の前にて語る。愛する者よ、これ皆なんぢらの徳を建てん爲なり。 047 2CO 012 020 わが到りて汝らを見ん時、わが望の如くならず、汝らが我を見んとき、亦なんぢらの望の如くならざらんことを恐れ、かつ分爭・嫉妬・憤恚・徒黨・誹謗・讒言・驕傲・騷亂などの有らんことを恐る。 047 2CO 012 021 また重ねて到らん時、わが神われを汝 等のまへにて辱しめ、且おほくの人の、前に罪を犯して行ひし不潔と姦淫と好色とを悔改めざるを悲しましめ給ふことあらん乎と恐る。 047 2CO 013 001 今われ三度なんぢらに到らんとす、二 三の證人の口によりて凡てのこと慥めらるべし。 047 2CO 013 002 われ既に告げたれど、今 離れをりて、二度なんぢらに逢ひし時のごとく、前に罪を犯したる者とその他の凡ての人々とに預じめ告ぐ、われ復いたらば決して宥さじ。 047 2CO 013 003 汝らはキリストの我にありて語りたまふ證據を求むればなり。キリストは汝らに對ひて弱からず、汝 等のうちに強し。 047 2CO 013 004 微弱によりて十字架に釘けられ給ひたれど、神の能力によりて生き給へばなり。我らもキリストに在りて弱き者なれど、汝らに向ふ神の能力によりて彼と共に生きん。 047 2CO 013 005 なんぢら信仰に居るや否や、みづから試み自ら驗しみよ。汝らみづから知らざらんや、若し棄てらるる者ならずば、イエス・キリストの汝らの中に在す事を、 047 2CO 013 006 我は我らの棄てらるる者ならぬを汝らの知らんことを望む。 047 2CO 013 007 我らは汝らの少しにても惡を行はざらんことを神に祈る。これ我らの是とせらるるを顯さん爲にあらず、よし我らは棄てらるる者の如くなるとも、汝らの善を行はん爲なり。 047 2CO 013 008 我らは眞理に逆ひて能力なく、眞理のためには能力あり。 047 2CO 013 009 われら弱くして汝らの強きことを喜ぶ、また之に就きて祈るは、汝らの全くならん事なり。 047 2CO 013 010 われ離れ居りて此 等のことを書き贈るは、汝らに逢ふとき、主の破る爲ならずして建つる爲に我に賜ひたる權威に隨ひて嚴しくせざらん爲なり。 047 2CO 013 011 終に言はん、兄弟よ、汝ら喜べ、全くなれ、慰安を受けよ、心を一つにせよ、睦み親しめ、然らば愛と平和との神なんぢらと偕に在さん。 047 2CO 013 012 潔き接吻をもて相 互に安否を問へ、 047 2CO 013 013 凡ての聖徒なんぢらに安否を問ふ。 047 2CO 013 014 願はくは主イエス・キリストの恩惠・神の愛・聖 靈の交感、なんぢら凡ての者と偕にあらんことを。 # # BOOK 048 GAL Galatians ガラテヤ人への手紙 048 GAL 001 001 人よりに非ず、人に由るにも非ず、イエス・キリスト及び之を死人の中より甦へらせ給ひし父なる神に由りて使徒となれるパウロ、 048 GAL 001 002 及び我と偕にある凡ての兄弟、書をガラテヤの諸 教會に贈る。 048 GAL 001 003 願はくは、我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 048 GAL 001 004 主は我らの父なる神の御意に隨ひて、我らを今の惡しき世より救ひ出さんとて、己が身を我らの罪のために與へたまへり。 048 GAL 001 005 願はくは榮光、世々 限りなく神にあらん事を、アァメン。 048 GAL 001 006 我は汝らが斯くも速かにキリストの恩惠をもて召し給ひし者より離れて、異なる福音に移りゆくを怪しむ。 048 GAL 001 007 此は福音と言ふべき者にあらず、ただ或 人々が汝らを擾してキリストの福音を變へんとするなり。 048 GAL 001 008 されど我等にもせよ、天よりの御使にもせよ、我らの曾て宣傳へたる所に背きたる福音を汝らに宣傳ふる者あらば詛はるべし。 048 GAL 001 009 われら前に言ひし如く今また言はん、汝らの受けし所に背きたる福音を宣傳ふる者あらば詛はるべし。 048 GAL 001 010 我いま人に喜ばれんとするか、或は神に喜ばれんとするか、抑もまた人を喜ばせんことを求むるか。もし我なほ人を喜ばせをらば、キリストの僕にあらじ。 048 GAL 001 011 兄弟よ、われ汝らに示す、わが傳へたる福音は、人に由れるものにあらず。 048 GAL 001 012 我は人より之を受けず、また教へられず、唯イエス・キリストの默示に由れるなり。 048 GAL 001 013 我がユダヤ教に於ける曩の日の擧動は、なんぢら既に聞けり、即ち烈しく神の教會を責め、かつ暴したり。 048 GAL 001 014 又わが國人のうち、我と同じ年輩なる多くの者にも勝りてユダヤ教に進み、わが先祖たちの言傳に對して甚だ熱心なりき。 048 GAL 001 015 されど母の胎を出でしより我を選び別ち、その恩惠をもて召し給へる者 048 GAL 001 016 御子を我が内に顯して其の福音を異邦人に宣傳へしむるを可しとし給へる時、われ直ちに血肉と謀らず、 048 GAL 001 017 我より前に使徒となりし人々に逢はんとてエルサレムにも上らず、アラビヤに出で往きて遂にまたダマスコに返れり。 048 GAL 001 018 その後 三年を歴て、ケパを尋ねんとエルサレムに上り、十 五 日の間かれと偕に留りしが、 048 GAL 001 019 主の兄弟ヤコブのほか孰の使徒にも逢はざりき。 048 GAL 001 020 (茲に書きおくる事は、視よ、神の前にて僞らざるなり) 048 GAL 001 021 その後シリヤ、キリキヤの地方に往けり。 048 GAL 001 022 キリストにあるユダヤの諸 教會は我が顏を知らざりしかど、 048 GAL 001 023 ただ人々の『われらを前に責めし者、曾て暴したる信仰の道を今は傳ふ』といふを聞き、 048 GAL 001 024 わが事によりて神を崇めたり。 048 GAL 002 001 その後 十四年を歴て、バルナバと共にテトスをも連れて、復エルサレムに上れり。 048 GAL 002 002 我が上りしは默示に因りてなり。かくて異邦人の中に宣ぶる福音を彼らに告げ、また名ある者どもに私に告げたり、これは我が走ること、又すでに走りしことの空しからざらん爲なり。 048 GAL 002 003 而して我と偕なるギリシヤ人テトスすら割禮を強ひられざりき。 048 GAL 002 004 これ私に入りたる僞 兄弟あるに因りてなり。彼らの忍び入りたるは、我らがキリスト・イエスに在りて有てる自由を窺ひ、且われらを奴隷とせん爲なり。 048 GAL 002 005 然れど福音の眞理の汝らの中に留らんために、我ら一 時も彼らに讓り從はざりき。 048 GAL 002 006 然るに、かの名ある者どもより――彼らは如何なる人なるにもせよ、我には關係なし、神は人の外面を取り給はず――實にかの名ある者どもは我に何をも加へず、 048 GAL 002 007 反つてペテロが割禮ある者に對する福音を委ねられたる如く、我が割禮なき者に對する福音を委ねられたるを認め、 048 GAL 002 008 (ペテロに能力を與へて割禮ある者の使徒となし給ひし者は、我にも異邦人のために能力を與へ給へり) 048 GAL 002 009 また我に賜はりたる恩惠をさとりて、柱と思はるるヤコブ、ケパ、ヨハネは、交誼の印として我とバルナバとに握手せり。これは我らが異邦人にゆき、彼らが割禮ある者に往かん爲なり。 048 GAL 002 010 唯その願ふところは我らが貧しき者を顧みんことなり、我も固より此の事を勵みて行へり。 048 GAL 002 011 されどケパがアンテオケに來りしとき、責むべき事のありしをもて面前これと諍ひたり。 048 GAL 002 012 その故はある人々のヤコブの許より來るまでは、かれ異邦人と共に食しゐたるに、かの人々の來りてよりは、割禮ある者どもを恐れ、退きて異邦人と別れたり。 048 GAL 002 013 他のユダヤ人も彼とともに僞行をなし、バルナバまでもその僞行に誘はれゆけり。 048 GAL 002 014 されど我かれらが福音の眞理に循ひて正しく歩まざるを見て、會衆の前にてケパに言ふ『なんぢユダヤ人なるにユダヤ人の如くせず、異邦人のごとく生活せば、何ぞ強ひて異邦人をユダヤ人の如くならしめんとするか』 048 GAL 002 015 我らは生來のユダヤ人にして、罪人なる異邦人にあらざれども、 048 GAL 002 016 人の義とせらるるは律法の行爲に由らず、唯キリスト・イエスを信ずる信仰に由るを知りて、キリスト・イエスを信じたり。これ律法の行爲に由らず、キリストを信ずる信仰によりて義とせられん爲なり。律法の行爲によりては義とせらるる者 一人だになし。 048 GAL 002 017 若しキリストに在りて義とせららんことを求めて、なほ罪人と認められなば、キリストは罪の役者なるか、決して然らず。 048 GAL 002 018 我もし前に毀ちしものを再び建てなば、己みづから犯罪者たるを表す。 048 GAL 002 019 我は神に生きんために、律法によりて律法に死にたり。 048 GAL 002 020 我キリストと偕に十字架につけられたり。最早われ生くるにあらず、キリスト我が内に在りて生くるなり。今われ肉體に在りて生くるは、我を愛して我がために己が身を捨て給ひし神の子を信ずるに由りて生くるなり。 048 GAL 002 021 我は神の恩惠を空しくせず、もし義とせらるること律法に由らば、キリストの死に給へるは徒然なり。 048 GAL 003 001 愚なる哉、ガラテヤ人よ、十字架につけられ給ひしままなるイエス・キリスト、汝らの眼前に顯されたるに、誰が汝らを誑かししぞ。 048 GAL 003 002 我は汝 等より唯この事を聞かんと欲す。汝らが御靈を受けしは律法の行爲に由るか、聽きて信じたるに由るか。 048 GAL 003 003 汝らは斯くも愚なるか、御靈によりて始りしに、今 肉によりて全うせらるるか。 048 GAL 003 004 斯程まで多くの苦難を受けしことは徒然なるか、徒然にはあるまじ。 048 GAL 003 005 然らば汝らに御靈を賜ひて汝らの中に能力ある業を行ひ給へるは、律法の行爲に由るか、聽きて信ずるに由るか。 048 GAL 003 006 録して『アブラハム神を信じ、その信仰を義とせられたり』とあるが如し。 048 GAL 003 007 されば知れ、信仰に由る者は是アブラハムの子なるを。 048 GAL 003 008 聖書は神が異邦人を信仰に由りて義とし給ふことを知りて、預じめ福音をアブラハムに傳へて言ふ『なんぢに由りてもろもろの國人は祝福せられん』と。 048 GAL 003 009 この故に信仰による者は、信仰ありしアブラハムと共に祝福せらる。 048 GAL 003 010 されど凡て律法の行爲による者は詛の下にあり。録して『律法の書に記されたる凡ての事を常に行はぬ者はみな詛はるべし』とあればなり。 048 GAL 003 011 律法に由りて神の前に義とせらるる事なきは明かなり『義人は信仰によりて生くべし』とあればなり。 048 GAL 003 012 律法は信仰に由るにあらず、反つて『律法を行ふ者は之に由りて生くべし』と云へり。 048 GAL 003 013 キリストは我等のために詛はるる者となりて、律法の詛より我らを贖ひ出し給へり。録して『木に懸けらるる者は凡て詛はるべし』と云へばなり。 048 GAL 003 014 これアブラハムの受けたる祝福の、イエス・キリストによりて異邦人におよび、且われらが信仰に由りて約束の御靈を受けん爲なり。 048 GAL 003 015 兄弟よ、われ人の事を藉りて言はん、人の契約すら既に定むれば、之を廢しまた加ふる者なし。 048 GAL 003 016 かの約束はアブラハムと其の裔とに與へ給ひし者なり。多くの者を指すごとく『裔々に』とは云はず、一人を指すごとく『なんぢの裔に』と云へり、これ即ちキリストなり。 048 GAL 003 017 然れば我いはん、神の預じめ定め給ひし契約は、その後 四百三十年を歴て起りし律法に廢せらるることなく、その約束も空しくせらるる事なし。 048 GAL 003 018 もし嗣業を受くること律法に由らば、もはや約束には由らず、然るに神は約束に由りて之をアブラハムに賜ひたり。 048 GAL 003 019 然れば律法は何のためぞ。これ罪の爲に加へ給ひしものにて、御使たちを經て中保の手によりて立てられ、約束を與へられたる裔の來らん時にまで及ぶなり。 048 GAL 003 020 (中保は一方のみの者にあらず、然れど神は唯一に在せり) 048 GAL 003 021 さらば律法は神の約束に悖るか、決して然らず。もし人を生かすべき律法を與へられたらんには、實に義とせらるるは律法に由りしならん。 048 GAL 003 022 されど聖書は凡ての者を罪の下に閉ぢ籠めたり。これ信ずる者のイエス・キリストに對する信仰に由れる約束を與へられん爲なり。 048 GAL 003 023 信仰の出で來らぬ前は、われら律法の下に守られて、後に顯れんとする信仰の時まで閉ぢ籠められたり。 048 GAL 003 024 かく信仰によりて我らの義とせられん爲に、律法は我らをキリストに導く守役となれり。 048 GAL 003 025 されど信仰の出で來りし後は、我等もはや守役の下に居らず。 048 GAL 003 026 汝らは信仰によりキリスト・イエスに在りて、みな神の子たり。 048 GAL 003 027 凡そバプテスマに由りてキリストに合ひし汝らは、キリストを衣たるなり。 048 GAL 003 028 今はユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自主もなく、男も女もなし、汝らは皆キリスト・イエスに在りて一體なり。 048 GAL 003 029 汝 等もしキリストのものならば、アブラハムの裔にして約束に循へる世嗣たるなり。 048 GAL 004 001 われ言ふ、世嗣は全業の主なれども、成人とならぬ間は僕と異なることなく、 048 GAL 004 002 父の定めし時の至るまでは後見者と家令との下にあり。 048 GAL 004 003 斯くのごとく我らも成人とならぬほどは、世の小學の下にありて僕たりしなり。 048 GAL 004 004 されど時 滿つるに及びては、神その御子を遣し、これを女より生れしめ、律法の下に生れしめ給へり。 048 GAL 004 005 これ律法の下にある者をあがなひ、我等をして子たることを得しめん爲なり。 048 GAL 004 006 かく汝ら神の子たる故に、神は御子の御靈を我らの心に遣して『アバ、父』と呼ばしめ給ふ。 048 GAL 004 007 されば最早なんぢは僕にあらず、子たるなり、既に子たらば亦 神に由りて世嗣たるなり。 048 GAL 004 008 されど汝ら神を知らざりし時は、その實 神にあらざる神々に事へたり。 048 GAL 004 009 今は神を知り、むしろ神に知られたるに、何ぞ復かの弱くして賤しき小學に還りて、再びその僕たらんとするか。 048 GAL 004 010 汝らは日と月と季節と年とを守る。 048 GAL 004 011 我は汝らの爲に働きし事の或は無 益にならんことを恐る。 048 GAL 004 012 兄弟よ、我なんぢらに請ふ、われ汝 等のごとく成りたれば、汝ら我がごとく成れ。汝ら何事にも我を害ひしことなし。 048 GAL 004 013 わが初め汝らに福音を傳へしは、肉體の弱かりし故なるを汝ら知る。 048 GAL 004 014 わが肉體に汝らの試錬となる者ありたれど汝ら之を卑しめず、又きらはず、反つて我を神の使の如く、キリスト・イエスの如く迎へたり。 048 GAL 004 015 汝らの其の時の幸福はいま何處に在るか。我なんぢらに就きて證す、もし爲し得べくば己が目を抉りて我に與へんとまで思ひしを。 048 GAL 004 016 然るに我なんぢらに眞を言ふによりて仇となりたるか。 048 GAL 004 017 かの人々の汝らに熱心なるは善き心にあらず、汝らを我らより離して己らに熱心ならしめんとてなり。 048 GAL 004 018 善き心より熱心に慕はるるは、啻に我が汝らと偕にをる時のみならず、何時にても宜しき事なり。 048 GAL 004 019 わが幼兒よ、汝らの衷にキリストの形 成るまでは、我ふたたび産の苦痛をなす。 048 GAL 004 020 今なんぢらに到りて我が聲を易へんことを願ふ、汝らに就きて惑へばなり。 048 GAL 004 021 律法の下にあらんと願ふ者よ、我にいへ、汝ら律法をきかぬか。 048 GAL 004 022 即ちアブラハムに子 二人あり、一人は婢女より、一人は自主の女より生れたりと録されたり。 048 GAL 004 023 婢女よりの子は肉によりて生れ、自主の女よりの子は約束による。 048 GAL 004 024 この中に譬あり、二人の女は二つの契約なり、その一つはシナイ山より出でて、奴隷たる子を生む、これハガルなり。 048 GAL 004 025 このハガルはアラビヤに在るシナイ山にして今のエルサレムに當る。エルサレムはその子らとともに奴隷たるなり。 048 GAL 004 026 されど上なるエルサレムは、自主にして我らの母なり。 048 GAL 004 027 録していふ『石女にして産まぬものよ、喜べ。産の苦痛せぬ者よ、聲をあげて呼はれ。獨住の女の子は多し、夫ある者の子よりも多し』とあり。 048 GAL 004 028 兄弟よ、なんぢらはイサクのごとく約束の子なり。 048 GAL 004 029 然るに其の時、肉によりて生れし者 御靈によりて生れし者を責めしごとく、今なほ然り。 048 GAL 004 030 されど聖書は何と云へるか『婢女とその子とを逐ひいだせ、婢女の子は自主の女の子と共に業を嗣ぐべからず』とあり。 048 GAL 004 031 されば兄弟よ、われらは婢女の子ならず、自主の女の子なり。 048 GAL 005 001 キリストは自由を得させん爲に我らを釋き放ちたまへり。されば堅く立ちて再び奴隷の軛に繋がるな。 048 GAL 005 002 視よ、我パウロ汝らに言ふ、もし割禮を受けば、キリストは汝らに益なし。 048 GAL 005 003 又さらに凡て割禮を受くる人に證す、かれは律法の全體を行ふべき負債あり。 048 GAL 005 004 律法に由りて義とせられんと思ふ汝らは、キリストより離れたり、恩惠より墮ちたり。 048 GAL 005 005 我らは御靈により、信仰によりて希望をいだき、義とせらるることを待てるなり。 048 GAL 005 006 キリスト・イエスに在りては、割禮を受くるも割禮を受けぬも益なく、ただ愛に由りてはたらく信仰のみ益あり。 048 GAL 005 007 なんぢら前には善く走りたるに、誰が汝らの眞理に從ふを阻みしか。 048 GAL 005 008 かかる勸は汝らを召したまふ者より出づるにあらず。 048 GAL 005 009 少しのパン種は粉の團塊をみな膨れしむ。 048 GAL 005 010 われ汝らに就きては、その聊かも異念を懷かぬことを主によりて信ず。されど汝らを擾す者は、誰にもあれ審判を受けん。 048 GAL 005 011 兄弟よ、我もし今も割禮を宣傳へば、何ぞなほ迫害せられんや。もし然せば十字架の顛躓も止みしならん。 048 GAL 005 012 願はくは汝らを亂す者どもの自己を不具にせんことを。 048 GAL 005 013 兄弟よ、汝らの召されたるは自由を與へられん爲なり。ただ其の自由を肉に從ふ機會となさず、反つて愛をもて互に事へよ。 048 GAL 005 014 それ律法の全體は『おのれの如くなんぢの隣を愛すべし』との一言にて全うせらるるなり。 048 GAL 005 015 心せよ、若し互に咬み食はば相 共に亡されん。 048 GAL 005 016 我いふ、御靈によりて歩め、さらば肉の慾を遂げざるべし。 048 GAL 005 017 肉の望むところは御靈にさからひ、御靈の望むところは肉にさからひて互に相 戻ればなり。これ汝らの欲する所をなし得ざらしめん爲なり。 048 GAL 005 018 汝 等もし御靈に導かれなば、律法の下にあらじ。 048 GAL 005 019 それ肉の行爲はあらはなり。即ち淫行・汚穢・好色・ 048 GAL 005 020 偶像 崇拜・呪術・怨恨・紛爭・嫉妬・憤恚・徒黨・分離・異端・ 048 GAL 005 021 猜忌・醉酒・宴樂などの如し。我すでに警めたるごとく、今また警む。斯かることを行ふ者は神の國を嗣ぐことなし。 048 GAL 005 022 されど御靈の果は愛・喜悦・平和・寛容・仁慈・善良・忠信・ 048 GAL 005 023 柔和・節制なり。斯かるものを禁ずる律法はあらず。 048 GAL 005 024 キリスト・イエスに屬する者は、肉とともに其の情と慾とを十字架につけたり。 048 GAL 005 025 もし我ら御靈に由りて生きなば、御靈に由りて歩むべし。 048 GAL 005 026 互に挑み互に妬みて、虚しき譽を求むることを爲な。 048 GAL 006 001 兄弟よ、もし人の罪を認むることあらば、御靈に感じたる者、柔和なる心をもて之を正すべし、且おのおの自ら省みよ、恐らくは己も誘はるる事あらん。 048 GAL 006 002 なんぢら互に重を負へ、而してキリストの律法を全うせよ。 048 GAL 006 003 人もし有ること無くして自ら有りとせば、是みづから欺くなり。 048 GAL 006 004 各自おのが行爲を驗し見よ、さらば誇るところは他にあらで、ただ己にあらん。 048 GAL 006 005 各自おのが荷を負ふべければなり。 048 GAL 006 006 御言を教へらるる人は、教ふる人と凡ての善き物を共にせよ。 048 GAL 006 007 自ら欺くな、神は侮るべき者にあらず、人の播く所は、その刈る所とならん。 048 GAL 006 008 己が肉のために播く者は肉によりて滅亡を刈りとり、御靈のために播く者は御靈によりて永遠の生命を刈りとらん。 048 GAL 006 009 われら善をなすに倦まざれ、もし撓まずば、時いたりて刈り取るべし。 048 GAL 006 010 この故に機に隨ひて、凡ての人、殊に信仰の家族に善をおこなへ。 048 GAL 006 011 視よ、われ手づから如何に大なる文字にて汝らに書き贈るかを。 048 GAL 006 012 凡そ肉において美しき外觀をなさんと欲する者は、汝らに割禮を強ふ。これ唯キリストの十字架の故によりて責められざらん爲のみ。 048 GAL 006 013 そは割禮をうくる者すら自ら律法を守らず、而も汝らに割禮をうけしめんと欲するは、汝らの肉につきて誇らんが爲なり。 048 GAL 006 014 されど我には、我らの主イエス・キリストの十字架のほかに誇る所あらざれ。之によりて世は我に對して十字架につけられたり、我が世に對するも亦 然り。 048 GAL 006 015 それ割禮を受くるも受けぬも、共に數ふるに足らず、ただ貴きは新に造らるる事なり。 048 GAL 006 016 此の法に循ひて歩む凡ての者の上に、神のイスラエルの上に、平安と憐憫とあれ。 048 GAL 006 017 今よりのち誰も我を煩はすな、我はイエスの印を身に佩びたるなり。 048 GAL 006 018 兄弟よ、願はくは我らの主イエス・キリストの恩惠、なんぢらの靈とともに在らんことを、アァメン。 # # BOOK 049 EPH Ephesians エペソ人への手紙 049 EPH 001 001 神の御意によりてキリスト・イエスの使徒となれるパウロ、書をエペソに居る聖徒、キリストに在りて忠實なる者に贈る。 049 EPH 001 002 願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 049 EPH 001 003 讃むべきかな、我らの主イエス・キリストの父なる神、かれはキリストに由りて靈のもろもろの祝福をもて天の處にて我らを祝し、 049 EPH 001 004 御前にて潔く瑕なからしめん爲に、世の創の前より我等をキリストの中に選び、 049 EPH 001 005 御意のままにイエス・キリストに由り愛をもて己が子となさんことを定め給へり。 049 EPH 001 006 是その愛しみ給ふ者によりて我らに賜ひたる恩惠の榮光に譽あらん爲なり。 049 EPH 001 007 我らは彼にありて恩惠の富に隨ひ、その血に頼りて贖罪、すなはち罪の赦を得たり。 049 EPH 001 008 神は我らに諸般の知慧と聰明とを與へてその恩惠を充しめ、 049 EPH 001 009 御意の奧義を御意のままに示し給へり。 049 EPH 001 010 即ち時 滿ちて經綸にしたがひ、天に在るもの地にあるものを、悉とくキリストに在りて一つに歸せしめ給ふ。これ自ら定め給ひし所なり。 049 EPH 001 011 我らは、凡ての事を御意の思慮のままに行ひたまふ者の御旨によりて預じめ定められ、キリストに在りて神の産業とせられたり。 049 EPH 001 012 これ夙くよりキリストに希望を置きし我らが、神の榮光の譽とならん爲なり。 049 EPH 001 013 汝 等もキリストに在りて、眞の言すなはち汝らの救の福音をきき、彼を信じて約束の聖 靈にて印せられたり。 049 EPH 001 014 これは我らが受くべき嗣業の保證にして、神に屬けるものの贖はれ、かつ神の榮光に譽あらん爲なり。 049 EPH 001 015 この故に我も汝らが主イエスに對する信仰と凡ての聖徒に對する愛とを聞きて、 049 EPH 001 016 絶えず汝らのために感謝し、わが祈のうちに汝らを憶え、 049 EPH 001 017 我らの主イエス・キリストの神、榮光の父、なんぢらに智慧と默示との靈を與へて、神を知らしめ、 049 EPH 001 018 汝らの心の眼を明かにし、神の召にかかはる望と、聖徒にある神の嗣業の榮光の富と、 049 EPH 001 019 神の大能の勢威の活動によりて信ずる我らに對する能力の極めて大なるとを知らしめ給はんことを願ふ。 049 EPH 001 020 神はその大能をキリストのうちに働かせて、之を死人の中より甦へらせ、天の所にて己の右に坐せしめ、 049 EPH 001 021 もろもろの政治・權威・能力・支配、また啻に此の世のみならず、來らんとする世にも稱ふる凡ての名の上に置き、 049 EPH 001 022 萬の物をその足の下に服はせ、彼を萬の物の上に首として教會に與へ給へり。 049 EPH 001 023 この教會は彼の體にして、萬の物をもて萬の物に滿し給ふ者の滿つる所なり。 049 EPH 002 001 汝ら前には咎と罪とによりて死にたる者にして、 049 EPH 002 002 この世の習慣に從ひ、空中の權を執る宰、すなはち不 從順の子らの中に今なほ働く靈の宰にしたがひて歩めり。 049 EPH 002 003 我等もみな前には彼らの中にをり、肉の慾に從ひて日をおくり、肉と心との欲する隨をなし、他の者のごとく生れながら怒の子なりき。 049 EPH 002 004 されど神は憐憫に富み給ふが故に、我らを愛する大なる愛をもて、 049 EPH 002 005 咎によりて死にたる我等をすら、キリスト・イエスに由りてキリストと共に活し、(汝らの救はれしは恩惠によれり) 049 EPH 002 006 共に甦へらせ、共に天の處に坐せしめ給へり。 049 EPH 002 007 これキリスト・イエスに由りて我らに施したまふ仁慈をもて、其の恩惠の極めて大なる富を、來らんとする後の世々に顯さんとてなり。 049 EPH 002 008 汝らは恩惠により、信仰によりて救はれたり、是おのれに由るにあらず、神の賜物なり。 049 EPH 002 009 行爲に由るにあらず、これ誇る者のなからん爲なり。 049 EPH 002 010 我らは神に造られたる者にして、神の預じめ備へ給ひし善き業に歩むべく、キリスト・イエスの中に造られたるなり。 049 EPH 002 011 されば記憶せよ、肉によりては異邦人にして、手にて肉に行ひたるかの割禮ありと稱ふる者に無 割禮と稱へらるる汝ら、 049 EPH 002 012 曩にはキリストなく、イスラエルの民 籍に遠く、約束に屬する諸般の契約に與りなく、世に在りて希望なく、神なき者なりき。 049 EPH 002 013 されど前に遠かりし汝ら今キリスト・イエスに在りて、キリストの血によりて近づくことを得たり。 049 EPH 002 014 彼は我らの平和にして、己が肉により、樣々の誡命の規より成る律法を廢して、二つのものを一つとなし、怨なる隔の中籬を毀ち給へり。これは二つのものを己に於て一つの新しき人に造りて平和をなし、 049 EPH 002 015 彼は我らの平和にして、己が肉により、樣々の誡命の規より成る律法を廢して、二つのものを一つとなし、怨なる隔の中籬を毀ち給へり。これは二つのものを己に於て一つの新しき人に造りて平和をなし、 049 EPH 002 016 十字架によりて怨を滅し、また之によりて二つのものを一つの體となして神と和がしめん爲なり。 049 EPH 002 017 かつ來りて、遠かりし汝 等にも平和を宣べ、近きものにも平和を宣べ給へり。 049 EPH 002 018 そはキリストによりて我ら二つのもの一つ御靈にありて父に近づくことを得たればなり。 049 EPH 002 019 されば汝 等はもはや旅人また寄寓人にあらず、聖徒と同じ國人また神の家族なり。 049 EPH 002 020 汝らは使徒と預言者との基の上に建てられたる者にして、キリスト・イエス自らその隅の首石たり。 049 EPH 002 021 おのおのの建造物、かれに在りて建て合せられ、彌増に聖なる宮、主のうちに成るなり。 049 EPH 002 022 汝 等もキリストに在りて共に建てられ、御靈によりて神の御住となるなり。 049 EPH 003 001 この故に汝ら異邦人のためにキリスト・イエスの囚人となれる我パウロ―― 049 EPH 003 002 汝 等のために我に賜ひたる神の恩惠の經綸は汝ら聞きしならん、 049 EPH 003 003 即ち我まへに簡單に書きおくりし如く、この奧義は默示にて我に示されたり。 049 EPH 003 004 汝 等これを讀みてキリストの奧義にかかはる我が悟を知ることを得べし。 049 EPH 003 005 この奧義は、いま御靈によりて聖 使徒と聖 預言者とに顯されし如くに、前代には人の子らに示されざりき。 049 EPH 003 006 即ち異邦人が福音によりキリスト・イエスに在りて共に世嗣となり、共に一體となり、共に約束に與る者となる事なり。 049 EPH 003 007 我はその福音の役者とせらる。これ神の能力の活動に隨ひて我に賜ふ惠の賜物によるなり。 049 EPH 003 008 我は凡ての聖徒のうちの最 小き者よりも小き者なるに、キリストの測るべからざる富を異邦人に傳へ、 049 EPH 003 009 また萬物を造り給ひし神のうちに、世々 隱れたる奧義の經綸の如何なるもの乎をあらはす恩惠を賜はりたり。 049 EPH 003 010 いま教會によりて神の豐なる知慧を、天の處にある政治と權威とに知らしめん爲なり。 049 EPH 003 011 これは永遠より我らの主キリスト・イエスの中に、神の定め給ひし御旨によるなり。 049 EPH 003 012 我らは彼に在りて彼を信ずる信仰により、臆せず疑はずして神に近づくことを得るなり。 049 EPH 003 013 されば汝らに請ふ、わが汝 等のために受くる患難に就きて落膽すな、是なんぢらの譽なり。 049 EPH 003 014 この故に我は天と地とに在る諸族の名の起るところの父に跪づきて願ふ。 049 EPH 003 015 この故に我は天と地とに在る諸族の名の起るところの父に跪づきて願ふ。 049 EPH 003 016 父その榮光の富にしたがひて、御靈により力をもて汝らの内なる人を強くし、 049 EPH 003 017 信仰によりてキリストを汝らの心に住はせ、汝らをして愛に根ざし、愛を基とし、 049 EPH 003 018 凡ての聖徒とともにキリストの愛の廣さ・長さ・高さ・深さの如何ばかりなるかを悟り、 049 EPH 003 019 その測り知るべからざる愛を知ることを得しめ、凡て神に滿てる者を汝らに滿しめ給はん事を。 049 EPH 003 020 願はくは我らの中にはたらく能力に隨ひて、我らの凡て求むる所、すべて思ふ所よりも甚く勝る事をなし得る者に、 049 EPH 003 021 榮光 世々 限りなく教會によりて、又キリスト・イエスによりて在らんことを、アァメン。 049 EPH 004 001 されば主に在りて囚人たる我なんぢらに勸む。汝ら召されたる召に適ひて歩み、 049 EPH 004 002 事 毎に謙遜と柔和と寛容とを用ひ、愛をもて互に忍び、 049 EPH 004 003 平和の繋のうちに勉めて御靈の賜ふ一致を守れ。 049 EPH 004 004 體は一つ、御靈は一つなり。汝らが召にかかはる一つ望をもて召されたるが如し。 049 EPH 004 005 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つ、 049 EPH 004 006 凡ての者の父なる神は一つなり。神は凡てのものの上に在し、凡てのものを貫き、凡てのものの内に在したまふ。 049 EPH 004 007 我等はキリストの賜物の量に隨ひて、おのおの恩惠を賜はりたり。 049 EPH 004 008 されば云へることあり『かれ高きところに昇りしとき、多くの虜をひきゐ、人々に賜物を賜へり』と。 049 EPH 004 009 既に昇りしと云へば、まづ地の低き處まで降りしにあらずや。 049 EPH 004 010 降りし者は即ち萬の物に滿たん爲に、もろもろの天の上に昇りし者なり。 049 EPH 004 011 彼は或 人を使徒とし、或 人を預言者とし、或 人を傳道者とし、或 人を牧師・教師として與へ給へり。 049 EPH 004 012 これ聖徒を全うして職を行はせ、キリストの體を建て、 049 EPH 004 013 我等をしてみな信仰と神の子を知る知識とに一致せしめ、全き人、すなはちキリストの滿ち足れるほどに至らせ、 049 EPH 004 014 また我等はもはや幼童ならず、人の欺騙と誘惑の術たる惡巧とより起る樣々の教の風に吹きまはされず、 049 EPH 004 015 ただ愛をもて眞を保ち、育ちて凡てのこと首なるキリストに達せん爲なり。 049 EPH 004 016 彼を本とし全身は凡ての節々の助にて整ひ、かつ聯り、肢體おのおの量に應じて働くにより、その體 成長し、自ら愛によりて建てらるるなり。 049 EPH 004 017 されば我これを言ひ、主に在りて證す、なんぢら今よりのち、異邦人のその心の虚無に任せて歩むが如く歩むな。 049 EPH 004 018 彼らは念 暗くなりて、其の内なる無知により、心の頑固によりて神の生命に遠ざかり、 049 EPH 004 019 恥を知らず、放縱に凡ての汚穢を行はんとて己を好色に付せり。 049 EPH 004 020 されど汝らはかくの如くならん爲にキリストを學べるにあらず。 049 EPH 004 021 汝らは彼に聞き、彼に在りてイエスにある眞理に循ひて教へられしならん。 049 EPH 004 022 即ち汝ら誘惑の慾のために亡ぶべき前の動作に屬ける舊き人を脱ぎすて、 049 EPH 004 023 心の靈を新にし、 049 EPH 004 024 眞理より出づる義と聖とにて、神に象り造られたる新しき人を著るべきことなり。 049 EPH 004 025 されば虚僞をすてて各自その隣に實をかたれ、我ら互に肢なればなり。 049 EPH 004 026 汝ら怒るとも罪を犯すな、憤恚を日の入るまで續くな。 049 EPH 004 027 惡魔に機會を得さすな。 049 EPH 004 028 盜する者は今よりのち盜すな、むしろ貧しき者に分け與へ得るために手づから働きて善き業をなせ。 049 EPH 004 029 惡しき言を一切なんぢらの口より出すな、ただ時に隨ひて人の徳を建つべき善き言を出して、聽く者に益を得させよ。 049 EPH 004 030 神の聖 靈を憂ひしむな、汝らは贖罪の日のために聖 靈にて印せられたるなり。 049 EPH 004 031 凡ての苦・憤恚・怒・喧噪・誹謗、および凡ての惡意を汝 等より棄てよ。 049 EPH 004 032 互に仁慈と憐憫とあれ、キリストに在りて神の汝らを赦し給ひしごとく、汝らも互に赦せ。 049 EPH 005 001 されば汝ら愛せらるる子供のごとく、神に效ふ者となれ。 049 EPH 005 002 又キリストの汝らを愛し、我らのために己を馨しき香の献物とし犧牲として、神に献げ給ひし如く、愛の中をあゆめ。 049 EPH 005 003 聖徒たるに適ふごとく、淫行、もろもろの汚穢、また慳貪を汝らの間にて稱ふる事だに爲な。 049 EPH 005 004 また恥づべき言・愚なる話・戯言を言ふな、これ宜しからぬ事なり、寧ろ感謝せよ。 049 EPH 005 005 凡て淫行のもの、汚れたるもの、貪るもの、即ち偶像を拜む者どもの、キリストと神との國の世嗣たることを得ざるは、汝らの確く知る所なり。 049 EPH 005 006 汝ら人の虚しき言に欺かるな、神の怒はこれらの事によりて不 從順の子らに及ぶなり。 049 EPH 005 007 この故に彼らに與する者となるな。 049 EPH 005 008 汝ら舊は闇なりしが、今は主に在りて光となれり、光の子供のごとく歩め。 049 EPH 005 009 (光の結ぶ實はもろもろの善と正義と誠實となり) 049 EPH 005 010 主の喜び給ふところの如何なるかを辨へ知れ。 049 EPH 005 011 實を結ばぬ暗き業に與する事なく、反つて之を責めよ。 049 EPH 005 012 彼らが隱れて行ふことは之を言ふだに恥づべき事なり。 049 EPH 005 013 凡てかかる事は、責めらるるとき光にて顯さる、顯さるる者はみな光となるなり。 049 EPH 005 014 この故に言ひ給ふ『眠れる者よ、起きよ、死人の中より立ち上れ。さらばキリスト汝を照し給はん』 049 EPH 005 015 されば愼みてその歩むところに心せよ、智からぬ者の如くせず、智き者の如くし、 049 EPH 005 016 また機會をうかがへ、そは時 惡しければなり。 049 EPH 005 017 この故に愚とならず、主の御意の如何を悟れ。 049 EPH 005 018 酒に醉ふな、放蕩はその中にあり、むしろ御靈にて滿され、 049 EPH 005 019 詩と讃美と靈の歌とをもて語り合ひ、また主に向ひて心より且うたひ、かつ讃美せよ。 049 EPH 005 020 凡ての事に就きて常に我らの主イエス・キリストの名によりて父なる神に感謝し、 049 EPH 005 021 キリストを畏みて互に服へ。 049 EPH 005 022 妻たる者よ、主に服ふごとく己の夫に服へ。 049 EPH 005 023 キリストは自ら體の救主にして教會の首なるごとく、夫は妻の首なればなり。 049 EPH 005 024 教會のキリストに服ふごとく、妻も凡てのこと夫に服へ。 049 EPH 005 025 夫たる者よ、キリストの教會を愛し、之がために己を捨て給ひしごとく、汝らも妻を愛せよ。 049 EPH 005 026 キリストの己を捨て給ひしは、水の洗をもて言によりて教會を潔め、これを聖なる者として、 049 EPH 005 027 汚點なく皺なく、凡て斯くのごとき類なく、潔き瑕なき尊き教會を、おのれの前に建てん爲なり。 049 EPH 005 028 斯くのごとく夫はその妻を己の體のごとく愛すべし。妻を愛するは己を愛するなり。 049 EPH 005 029 己の身を憎む者は曾てあることなし、皆これを育て養ふ、キリストの教會に於けるも亦かくの如し。 049 EPH 005 030 我らは彼の體の肢なり、 049 EPH 005 031 『この故に人は父 母を離れ、その妻に合ひて二人のもの一體となるべし』 049 EPH 005 032 この奧義は大なり、わが言ふ所はキリストと教會とを指せるなり。 049 EPH 005 033 汝 等おのおの己のごとく其の妻を愛せよ、妻も亦その夫を敬ふべし。 049 EPH 006 001 子たる者よ、なんぢら主にありて兩親に順へ、これ正しき事なり。 049 EPH 006 002 『なんぢの父 母を敬へ(これ約束を加へたる誡命の首なり) 049 EPH 006 003 さらばなんぢ幸福を得、また地の上に壽 長からん』 049 EPH 006 004 父たる者よ、汝らの子供を怒らすな、ただ主の薫陶と訓戒とをもて育てよ。 049 EPH 006 005 僕たる者よ、キリストに從ふごとく畏れをののき、眞心をもて肉につける主人に從へ。 049 EPH 006 006 人を喜ばする者の如く、ただ目の前の事のみを勤めず、キリストの僕のごとく心より神の御旨をおこなひ、 049 EPH 006 007 人に事ふる如くせず、主に事ふるごとく快くつかへよ。 049 EPH 006 008 そは奴隷にもあれ、自主にもあれ、各自おこなふ善き業によりて主より其の報を受くることを汝ら知ればなり。 049 EPH 006 009 主人たる者よ、汝らも僕に對し斯く行ひて威嚇を止めよ、そは彼らと汝らとの主は天に在して、偏り視たまふことなきを汝ら知ればなり。 049 EPH 006 010 終に言はん、汝ら主にありて其の大能の勢威に頼りて強かれ。 049 EPH 006 011 惡魔の術に向ひて立ち得んために、神の武具をもて鎧ふべし。 049 EPH 006 012 我らは血肉と戰ふにあらず、政治・權威、この世の暗黒を掌どるもの、天の處にある惡の靈と戰ふなり。 049 EPH 006 013 この故に神の武具を執れ、汝ら惡しき日に遭ひて仇に立ちむかひ、凡ての事を成就して立ち得んためなり。 049 EPH 006 014 汝ら立つに誠を帶として腰に結び、正義を胸當として胸に當て、 049 EPH 006 015 平和の福音の備を靴として足に穿け。 049 EPH 006 016 この他なほ信仰の盾を執れ、之をもて惡しき者の凡ての火矢を消すことを得ん。 049 EPH 006 017 また救の冑および御靈の劍、すなはち神の言を執れ。 049 EPH 006 018 常にさまざまの祈と願とをなし、御靈によりて祈り、また目を覺して凡ての聖徒のためにも願ひて倦まざれ。 049 EPH 006 019 又わが口を開くとき言を賜はり、憚らずして福音の奧義を示し、 049 EPH 006 020 語るべき所を憚らず語り得るように、我がためにも祈れ、我はこの福音のために使者となりて鎖に繋がれたり。 049 EPH 006 021 愛する兄弟、主に在りて忠實なる役者テキコ、我が情況わが爲す所のことを、具に汝らに知らせん。 049 EPH 006 022 われ彼を遣すは、我が事を汝らに知らせて、汝らの心を慰めしめん爲なり。 049 EPH 006 023 願はくは父なる神および主イエス・キリストより賜ふ平安と、信仰に伴へる愛と、兄弟たちに在らんことを。 049 EPH 006 024 願はくは朽ちぬ愛をもて我らの主イエス・キリストを愛する凡ての者に御惠あらんことを。 # # BOOK 050 PHI Philippians ピリピ人への手紙 050 PHI 001 001 キリスト・イエスの僕たる我ら、パウロとテモテと、書をピリピにをるキリスト・イエスに在る凡ての聖徒、および監督たちと執事たちとに贈る。 050 PHI 001 002 願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 050 PHI 001 003 われ汝らを憶ふごとに、我が神に感謝し、 050 PHI 001 004 常に汝ら衆のために、願のつどつど喜びて願をなす。 050 PHI 001 005 是なんぢら初の日より今に至るまで、福音を弘むることに與るが故なり。 050 PHI 001 006 我は汝らの衷に善き業を始め給ひし者の、キリスト・イエスの日まで之を全うし給ふべきことを確信す。 050 PHI 001 007 わが斯くも汝ら衆を思ふは當然の事なり、我が縲絏にある時にも、福音を辯明して之を堅うする時にも、汝らは皆われと共に恩惠に與るによりて、我が心にあればなり。 050 PHI 001 008 我いかにキリスト・イエスの心をもて汝ら衆を戀ひ慕ふか、その證をなし給ふ者は神なり。 050 PHI 001 009 我は祈る、汝らの愛、知識ともろもろの悟とによりて彌が上にも増し加はり、 050 PHI 001 010 善惡を辨へ知り、キリストの日に至るまで潔よくして躓くことなく、 050 PHI 001 011 イエス・キリストによる義の果を充して、神の榮光と譽とを顯さん事を。 050 PHI 001 012 兄弟よ、我はわが身にありし事の反つて福音の進歩の助となりしを汝らが知らんことを欲するなり。 050 PHI 001 013 即ち我が縲絏のキリストの爲なることは、近衞の全營にも、他の凡ての人にも顯れ、 050 PHI 001 014 かつ兄弟のうちの多くの者は、わが縲絏によりて主を信ずる心を厚くし、懼るる事なく、ますます勇みて神の言を語るに至れり。 050 PHI 001 015 或 者は嫉妬と分爭とによりてキリストを宣傳へ、あるものは善き心によりて之を宣傳ふ。 050 PHI 001 016 これは福音を辯明するために我が立てられたることを知り、愛によりてキリストを宣べ、 050 PHI 001 017 かれは我が縲絏に患難を加へんと思ひ、誠意によらず、徒黨によりて之を宣ぶ。 050 PHI 001 018 さらば如何、外貌にもあれ、眞にもあれ、孰も宣ぶる所はキリストなれば、我これを喜ぶ、また之を喜ばん。 050 PHI 001 019 そは此のことの汝らの祈とイエス・キリストの御靈の賜物とによりて、我が救となるべきを知ればなり。 050 PHI 001 020 これは我が何事をも恥ぢずして、今も常のごとく聊かも臆することなく、生くるにも、死ぬるにも、我が身によりてキリストの崇められ給はんことを切に願ひ、また望むところに適へるなり。 050 PHI 001 021 我にとりて、生くるはキリストなり、死ぬるもまた益なり。 050 PHI 001 022 されど若し肉體にて生くる事わが勤勞の果となるならば、孰を選ぶべきか、我これを知らず。 050 PHI 001 023 我はこの二つの間に介まれたり。わが願は世を去りてキリストと偕に居らんことなり、これ遙に勝るなり。 050 PHI 001 024 されど我なほ肉體に留るは汝らの爲に必要なり。 050 PHI 001 025 我これを確信する故に、なほ存へて汝らの信仰の進歩と喜悦とのために、汝 等すべての者と偕に留らんことを知る。 050 PHI 001 026 これは我が再び汝らに到ることにより、汝らキリスト・イエスに在りて我にかかはる誇を増さん爲なり。 050 PHI 001 027 汝 等ただキリストの福音に相應しく日を過せ、さらば我が往きて汝らを見るも、離れゐて汝らの事をきくも、汝らが靈を一つにして堅く立ち、心を一つにして福音の信仰のために共に戰ひ、 050 PHI 001 028 凡ての事において逆ふ者に驚かされぬを知ることを得ん。その驚かされぬは、彼らには亡の兆、なんぢらには救の兆にて、此は神より出づるなり。 050 PHI 001 029 汝 等はキリストのために啻に彼を信ずる事のみならず、また彼のために苦しむ事をも賜はりたればなり。 050 PHI 001 030 汝らが遭ふ戰鬪は、曩に我の上に見しところ、今また我に就きて聞くところに同じ。 050 PHI 002 001 この故に若しキリストによる勸、愛による慰安、御靈の交際、また憐憫と慈悲とあらば、 050 PHI 002 002 なんぢら念を同じうし、愛を同じうし、心を合せ、思ふことを一つにして、我が喜悦を充しめよ。 050 PHI 002 003 何事にまれ、徒黨また虚榮のためにすな、おのおの謙遜をもて互に人を己に勝れりとせよ。 050 PHI 002 004 おのおの己が事のみを顧みず、人の事をも顧みよ。 050 PHI 002 005 汝らキリスト・イエスの心を心とせよ。 050 PHI 002 006 即ち彼は神の貌にて居給ひしが、神と等しくある事を固く保たんとは思はず、 050 PHI 002 007 反つて己を空しうし、僕の貌をとりて人の如くなれり。 050 PHI 002 008 既に人の状にて現れ、己を卑うして死に至るまで、十字架の死に至るまで順ひ給へり。 050 PHI 002 009 この故に神は彼を高く上げて、之に諸般の名にまさる名を賜ひたり。 050 PHI 002 010 これ天に在るもの、地に在るもの、地の下にあるもの、悉とくイエスの名によりて膝を屈め、 050 PHI 002 011 且もろもろの舌の『イエス・キリストは主なり』と言ひあらはして、榮光を父なる神に歸せん爲なり。 050 PHI 002 012 されば我が愛する者よ、なんぢら常に服ひしごとく、我が居る時のみならず、我が居らぬ今もますます服ひ、畏れ戰きて己が救を全うせよ。 050 PHI 002 013 神は御意を成さんために汝らの衷にはたらき、汝 等をして志望をたて、業を行はしめ給へばなり。 050 PHI 002 014 なんぢら呟かず疑はずして、凡ての事をおこなへ。 050 PHI 002 015 是なんぢら責むべき所なく素直にして、此の曲れる邪惡なる時代に在りて神の瑕なき子とならん爲なり。汝らは生命の言を保ちて、世の光のごとく此の時代に輝く。 050 PHI 002 016 かくて我が走りしところ勞せしところ空しからず、キリストの日にわれ誇ることを得ん。 050 PHI 002 017 さらば汝らの信仰の供物と祭とに加へて、我が血を灌ぐとも我は喜ばん、なんぢら衆と共に喜ばん。 050 PHI 002 018 かく汝 等もよろこべ、我とともに喜べ。 050 PHI 002 019 われ汝らの事を知りて慰安を得んとて、速かにテモテを汝らに遣さんことを主イエスに頼りて望む。 050 PHI 002 020 そは彼のほかに我と同じ心をもて眞實に汝らのことを慮ぱかる者なければなり。 050 PHI 002 021 人は皆イエス・キリストの事を求めず、唯おのれの事のみを求む。 050 PHI 002 022 されどテモテの錬達なるは汝らの知る所なり、即ち子の父に於ける如く我とともに福音のために勤めたり。 050 PHI 002 023 この故に我わが身の成行を見ば、直ちに彼を遣さんことを望む。 050 PHI 002 024 我もまた速かに往くべきを主によりて確信す。 050 PHI 002 025 されど今は先われと共に働き共に戰ひし兄弟、すなはち汝らの使として我が窮乏を補ひしエパフロデトを、汝らに遣すを必要のことと思ふ。 050 PHI 002 026 彼は汝 等すべての者を戀ひしたひ、又おのが病みたることの汝らに聞えしを以て悲しみ居るに因りてなり。 050 PHI 002 027 彼は實に病にかかりて死ぬばかりなりしが、神は彼を憐みたまへり、啻に彼のみならず、我をも憐み、憂に憂を重ねしめ給はざりき。 050 PHI 002 028 この故に急ぎて彼を遣す、なんぢらが再び彼を見て喜ばん爲なり。又わが憂を少うせん爲なり。 050 PHI 002 029 されば汝ら主にありて歡喜を盡して彼を迎へ、かつ斯くのごとき人を尊べ。 050 PHI 002 030 彼は汝らが我を助くるに當り、汝らの居らぬを補はんとて、己が生命を賭け、キリストの事業のために死ぬばかりになりたればなり。 050 PHI 003 001 終に言はん、我が兄弟よ、なんぢら主に在りて喜べ。なんぢらに同じことを書きおくるは、我に煩はしきことなく、汝 等には安然なり。 050 PHI 003 002 なんぢら犬に心せよ、惡しき勞動人に心せよ、肉の割禮ある者に心せよ。 050 PHI 003 003 神の御靈によりて禮拜をなし、キリスト・イエスによりて誇り、肉を恃まぬ我らは眞の割禮ある者なり。 050 PHI 003 004 されど我は肉にも恃むことを得るなり。もし他の人、肉に恃むところありと思はば、我は更に恃む所あり。 050 PHI 003 005 我は八日めに割禮を受けたる者にして、イスラエルの血統、ベニヤミンの族、ヘブル人より出でたるヘブル人なり。律法に就きてはパリサイ人、 050 PHI 003 006 熱心につきては教會を迫害したるもの、律法によれる義に就きては責むべき所なかりし者なり。 050 PHI 003 007 されど曩に我が益たりし事はキリストのために損と思ふに至れり。 050 PHI 003 008 然り、我はわが主キリスト・イエスを知ることの優れたるために、凡ての物を損なりと思ひ、彼のために既に凡ての物を損せしが、之を塵芥のごとく思ふ。 050 PHI 003 009 これキリストを獲、かつ律法による己が義ならで、唯キリストを信ずる信仰による義、すなはち信仰に基きて神より賜はる義を保ち、キリストに在るを認められ、 050 PHI 003 010 キリストとその復活の力とを知り、又その死に效ひて彼の苦難にあづかり、 050 PHI 003 011 如何にもして死人の中より甦へることを得んが爲なり。 050 PHI 003 012 われ既に取れり、既に全うせられたりと言ふにあらず、唯これを捉へんとて追ひ求む。キリストは之を得させんとて我を捉へたまへり。 050 PHI 003 013 兄弟よ、われは既に捉へたりと思はず、唯この一事を務む、即ち後のものを忘れ、前のものに向ひて勵み、 050 PHI 003 014 標準を指して進み、神のキリスト・イエスに由りて上に召したまふ召にかかはる褒美を得んとて之を追ひ求む。 050 PHI 003 015 されば我等のうち成人したる者は、みな斯くのごとき思を懷くべし、汝 等もし何事にても異なる思を懷き居らば、神これをも示し給はん。 050 PHI 003 016 ただ我等はその至れる所に隨ひて歩むべし。 050 PHI 003 017 兄弟よ、なんぢら諸共に我に效ふものとなれ、且なんぢらの模範となる我らに循ひて歩むものを視よ。 050 PHI 003 018 そは我しばしば汝らに告げ、今また涙を流して告ぐる如く、キリストの十字架に敵して歩む者おほければなり。 050 PHI 003 019 彼らの終は滅亡なり。おのが腹を神となし、己が恥を光榮となし、ただ地の事のみを念ふ。 050 PHI 003 020 されど我らの國籍は天に在り、我らは主イエス・キリストの救主として其の處より來りたまふを待つ。 050 PHI 003 021 彼は萬物を己に服はせ得る能力によりて、我らの卑しき状の體を化へて、己が榮光の體に象らせ給はん。 050 PHI 004 001 この故に我が愛するところ慕ふところの兄弟、われの喜悦われの冠冕たる愛する者よ、斯くのごとく主にありて堅く立て。 050 PHI 004 002 我ユウオデヤに勸めスントケに勸む、主にありて心を同じうせんことを。 050 PHI 004 003 また眞實に我と軛を共にする者よ、なんぢに求む。この二人の女を助けよ。彼らはクレメンス其のほか生命の書に名を録されたる我が同勞者と同じく、福音のために我とともに勤めたり。 050 PHI 004 004 汝ら常に主にありて喜べ、我また言ふ、なんぢら喜べ。 050 PHI 004 005 凡ての人に汝らの寛容を知らしめよ、主は近し。 050 PHI 004 006 何事をも思ひ煩ふな、ただ事ごとに祈をなし、願をなし、感謝して汝らの求を神に告げよ。 050 PHI 004 007 さらば凡て人の思にすぐる神の平安は、汝らの心と思とをキリスト・イエスによりて守らん。 050 PHI 004 008 終に言はん、兄弟よ、凡そ眞なること、凡そ尊ぶべきこと、凡そ正しきこと、凡そ潔よきこと、凡そ愛すべきこと、凡そ令聞あること、如何なる徳いかなる譽にても、汝 等これを念へ。 050 PHI 004 009 なんぢら我に學びしところ、受けしところ、聞きしところ、見し所を皆おこなへ、さらば平和の神なんぢらと偕に在さん。 050 PHI 004 010 汝らが我を思ふ心の今また萠したるを、われ主にありて甚く喜ぶ。汝らは固より我を思ひゐたるなれど、機を得ざりしなり。 050 PHI 004 011 われ窮乏によりて之を言ふにあらず、我は如何なる状に居るとも、足ることを學びたればなり。 050 PHI 004 012 我は卑賤にをる道を知り、富にをる道を知る。また飽くことにも、飢うることにも、富むことにも、乏しき事にも、一切の秘訣を得たり。 050 PHI 004 013 我を強くし給ふ者によりて、凡ての事をなし得るなり。 050 PHI 004 014 されど汝らが我が患難に與りしは善き事なり。 050 PHI 004 015 ピリピ人よ、汝らも知る、わが汝らに福音を傳ふる始、マケドニヤを離れ去るとき、授受して我が事に與りしは、汝 等のみにして、他の教會には無かりき。 050 PHI 004 016 汝らは我がテサロニケに居りし時に、一度ならず二度までも我が窮乏に物 贈れり。 050 PHI 004 017 これ贈物を求むるにあらず、唯なんぢらの益となる實の繁からんことを求むるなり。 050 PHI 004 018 我には凡ての物そなはりて餘あり、既にエパフロデトより汝らの贈物を受けたれば、飽き足れり。これは馨しき香にして神の享け給ふところ、喜びたまふ所の供物なり。 050 PHI 004 019 かくてわが神は己の富に隨ひ、キリスト・イエスによりて汝らの凡ての窮乏を榮光のうちに補ひ給はん。 050 PHI 004 020 願はくは榮光 世々 限りなく、我らの父なる神にあれ、アァメン。 050 PHI 004 021 汝らキリスト・イエスに在りて聖徒おのおのに安否を問へ、我と偕にある兄弟たち汝らに安否を問ふ。 050 PHI 004 022 凡ての聖徒、殊にカイザルの家のもの、汝らに安否を問ふ。 050 PHI 004 023 願はくは主イエス・キリストの恩惠、なんぢらの靈と偕に在らんことを。 # # BOOK 051 COL Colossians コロサイ人への手紙 051 COL 001 001 神の御心によりてキリスト・イエスの使徒となれるパウロ及び兄弟テモテ、 051 COL 001 002 書をコロサイに居る聖徒、キリストにありて忠實なる兄弟に贈る。願はくは我らの父なる神より賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 051 COL 001 003 我らは常に汝らの爲に祈りて、我らの主イエス・キリストの父なる神に感謝す。 051 COL 001 004 これキリスト・イエスを信ずる汝らの信仰と、凡ての聖徒に對する汝らの愛とにつきて聞きたればなり。 051 COL 001 005 かく聖徒を愛するは、汝らの爲に天に蓄へあるものを望むに因る。この望のことは汝らに及べる福音の眞の言によりて汝らが曾て聞きし所なり。 051 COL 001 006 この福音は全世界にも及び、果を結びて増々 大になれり。汝らが神の恩惠をききて眞に之を知りし日より、汝らの中に然りしが如し。 051 COL 001 007 汝らが、我らと共に僕たる愛するエパフラスより學びたるは、この福音なり。彼は汝らの爲にキリストの忠實なる役者にして、 051 COL 001 008 汝らが御靈によりて懷ける愛を我らに告げたり。 051 COL 001 009 この故に我らこの事を聞きし日より、汝 等のために絶えず祈りかつ求むるは、汝ら靈のもろもろの知慧と穎悟とをもて神の御意を具に知り、 051 COL 001 010 凡てのこと主を悦ばせんが爲に、その御意に從ひて歩み、凡ての善き業によりて果を結び、いよいよ神を知り、 051 COL 001 011 また神の榮光の勢威に隨ひて賜ふもろもろの力によりて強くなり、凡ての事よろこびて忍び、かつ耐へ、 051 COL 001 012 而して我らを光にある聖徒の嗣業に與るに足る者とし給ひし父に感謝せん事なり。 051 COL 001 013 父は我らを暗黒の權威より救ひ出して、その愛しみ給ふ御子の國に遷したまへり。 051 COL 001 014 我らは御子に在りて贖罪すなはち罪の赦を得るなり。 051 COL 001 015 彼は見 得べからざる神の像にして、萬の造られし物の先に生れ給へる者なり。 051 COL 001 016 萬の物は彼によりて造らる、天に在るもの、地に在るもの、見ゆるもの、見えぬもの、或は位、あるひは支配、あるひは政治、あるひは權威、みな彼によりて造られ、彼のために造られたればなり。 051 COL 001 017 彼は萬の物より先にあり、萬の物は彼によりて保つことを得るなり。 051 COL 001 018 而して彼はその體なる教會の首なり、彼は始にして死人の中より最先に生れ給ひし者なり。これ凡ての事に就きて長とならん爲なり。 051 COL 001 019 神は凡ての滿ち足れる徳を彼に宿して、 051 COL 001 020 その十字架の血によりて平和をなし、或は地にあるもの、或は天にあるもの、萬の物をして己と和がしむるを善しとし給ひたればなり。 051 COL 001 021 汝 等もとは惡しき業を行ひて神に遠ざかり、心にて其の敵となりしが、 051 COL 001 022 今は神キリストの肉の體をもて、其の死により汝 等をして己と和がしめ、潔く瑕なく責むべき所なくして、己の前に立たしめんし給ふなり。 051 COL 001 023 汝 等もし信仰に止り、之に基きて堅く立ち、福音の望より移らずば、斯くせらるることを得べし。此の福音は汝らの聞きし所、また天の下なる凡ての造られし物に宣傳へられたるものにして、我パウロはその役者となれり。 051 COL 001 024 われ今なんぢらの爲に受くる苦難を喜び、又キリストの體なる教會のために、我が身をもてキリストの患難の缺けたるを補ふ。 051 COL 001 025 われ神より汝 等のために與へられたる職に隨ひて教會の役者となれり。 051 COL 001 026 これ神の言、すなはち歴世 歴代かくれて、今 神の聖徒に顯れたる奧義を宣傳へんとてなり。 051 COL 001 027 神は聖徒をして異邦人の中なるこの奧義の榮光の富の如何ばかりなるかを知らしめんと欲し給へり、此の奧義は汝らの中に在すキリストにして榮光の望なり。 051 COL 001 028 我らは此のキリストを傳へ、知慧を盡して凡ての人を訓戒し、凡ての人を教ふ。これ凡ての人をしてキリストに在り、全くなりて神の前に立つことを得しめん爲なり。 051 COL 001 029 われ之がために我が衷に能力をもて働き給ふものの活動にしたがひ、力を盡して勞するなり。 051 COL 002 001 我なんぢら及びラオデキヤに居る人々、その他すべて我が肉體の顏をまだ見ぬ人のために、如何に苦心するかを汝らの知らんことを欲す。 051 COL 002 002 かく苦心するは、彼らが心 慰められ、愛をもて相 列り、全き穎悟の凡ての富を得て、神の奧義なるキリストを知らん爲なり。 051 COL 002 003 キリストには知慧と知識との凡ての寶 藏れあり。 051 COL 002 004 我これを言ふは、巧なる言をもて人の汝らを欺くこと勿らん爲なり。 051 COL 002 005 われ肉體にては汝らと離れ居れど、靈にては汝らと偕に居りて喜び、また汝らの秩序あるとキリストに對する信仰の堅きとを見るなり。 051 COL 002 006 汝らキリスト・イエスを主として受けたるにより、其のごとく彼に在りて歩め。 051 COL 002 007 また彼に根ざしてその上に建てられ、かつ教へられし如く信仰を堅くし、溢るるばかり感謝せよ。 051 COL 002 008 なんぢら心すべし、恐らくはキリストに從はずして人の言傳と世の小學とに從ひ、人を惑す虚しき哲學をもて汝らを奪ひ去る者あらん。 051 COL 002 009 それ神の滿ち足れる徳はことごとく形體をなしてキリストに宿れり。 051 COL 002 010 汝らは彼に在りて滿ち足れるなり。彼は凡ての政治と權威との首なり。 051 COL 002 011 汝らまた彼に在りて手をもてせざる割禮を受けたり、即ち肉の體を脱ぎ去るものにして、キリストの割禮なり。 051 COL 002 012 汝らバプテスマを受けしとき、彼とともに葬られ、又かれを死人の中より甦へらせ給ひし神の活動を信ずるによりて、彼と共に甦へらせられたり。 051 COL 002 013 汝ら前には諸般の咎と肉の割禮なきとに因りて死にたる者なりしが、神は汝らを彼と共に生かし、我らの凡ての咎を赦し、 051 COL 002 014 かつ我らを責むる規の證書、すなはち我らに逆ふ證書を塗抹し、これを中間より取り去りて十字架につけ、 051 COL 002 015 政治と權威とを褫ぎて之を公然に示し、十字架によりて凱旋し給へり。 051 COL 002 016 然れば汝ら食物あるひは飮物につき、祭あるいは月朔あるいは安息 日の事につきて、誰にも審かるな。 051 COL 002 017 此 等はみな來らんとする者の影にして、其の本體はキリストに屬けり。 051 COL 002 018 殊更に謙遜をよそほひ御使を拜する者に、汝らの褒美を奪はるな。かかる者は見し所のものに基き、肉の念に隨ひて徒らに誇り、 051 COL 002 019 首に屬くことをせざるなり。全體は、この首によりて節々 維々に助けられ、相 聯り、神の育にて生長するなり。 051 COL 002 020 汝 等もしキリストと共に死にて此の世の小學を離れしならば、何ぞなほ世に生ける者のごとく人の誡命と教とに循ひて 051 COL 002 021 『捫るな、味ふな、觸るな』と云ふ規の下に在るか。 051 COL 002 022 (此 等はみな用ふれば盡くる物なり) 051 COL 002 023 これらの誡命は、みづから定めたる禮拜と謙遜と身を惜まぬ事とによりて知慧あるごとく見ゆれど、實は肉 慾の放縱を防ぐ力なし。 051 COL 003 001 汝 等もしキリストと共に甦へらせられしならば、上にあるものを求めよ、キリスト彼處に在りて神の右に坐し給ふなり。 051 COL 003 002 汝ら上にあるものを念ひ、地に在るものを念ふな、 051 COL 003 003 汝らは死にたる者にして、其の生命はキリストとともに神の中に隱れ在ればなり。 051 COL 003 004 我らの生命なるキリストの現れ給ふとき、汝らも之とともに榮光のうちに現れん。 051 COL 003 005 されば地にある肢體、すなはち淫行・汚穢・情 慾・惡 慾・また慳貪を殺せ、慳貪は偶像 崇拜なり。 051 COL 003 006 神の怒は、これらの事によりて不 從順の子らに來るなり。 051 COL 003 007 汝らもかかる人の中に日を送りし時は、これらの惡しき事に歩めり。 051 COL 003 008 されど今は凡て此 等のこと及び怒・憤恚・惡意を棄て、譏と恥づべき言とを汝らの口より棄てよ。 051 COL 003 009 互に虚言をいふな、汝らは既に舊き人とその行爲とを脱ぎて、 051 COL 003 010 新しき人を著たればなり。この新しき人は、これを造り給ひしものの像に循ひ、いよいよ新になりて知識に至るなり。 051 COL 003 011 かくてギリシヤ人とユダヤ人、割禮と無 割禮、あるひは夷狄、スクテヤ人・奴隷・自主の別ある事なし、それキリストは萬の物なり、萬のものの中にあり。 051 COL 003 012 この故に汝らは神の選民にして聖なる者また愛せらるる者なれば、慈悲の心・仁慈・謙遜・柔和・寛容を著よ。 051 COL 003 013 また互に忍びあひ、若し人に責むべき事あらば互に恕せ、主の汝らを恕し給へる如く汝らも然すべし。 051 COL 003 014 凡て此 等のものの上に愛を加へよ、愛は徳を全うする帶なり。 051 COL 003 015 キリストの平和をして汝らの心を掌どらしめよ、汝らの召されて一體となりたるはこれが爲なり、汝ら感謝の心を懷け。 051 COL 003 016 キリストの言をして豐に汝らの衷に住ましめ、凡ての知慧によりて、詩と讃美と靈の歌とをもて、互に教へ互に訓戒し、恩惠に感じて心のうちに神を讃美せよ。 051 COL 003 017 また爲す所の凡ての事、あるひは言あるひは行爲、みな主イエスの名に頼りて爲し、彼によりて父なる神に感謝せよ。 051 COL 003 018 妻たる者よ、その夫に服へ、これ主にある者のなすべき事なり。 051 COL 003 019 夫たる者よ、その妻を愛せよ、苦をもて之を待ふな。 051 COL 003 020 子たる者よ、凡ての事みな兩親に順へ、これ主の喜びたまふ所なり。 051 COL 003 021 父たる者よ、汝らの子供を怒らすな、或は落膽することあらん。 051 COL 003 022 僕たる者よ、凡ての事みな肉につける主人にしたがへ、人を喜ばする者の如く、ただ眼の前の事のみを勤めず、主を畏れ、眞心をもて從へ。 051 COL 003 023 汝ら何事をなすにも人に事ふる如くせず、主に事ふる如く心より行へ。 051 COL 003 024 汝らは主より報として嗣業を受くることを知ればなり。汝らは主キリストに事ふる者なり。 051 COL 003 025 不義を行ふ者はその不義の報を受けん、主は偏り視 給ふことなし。 051 COL 004 001 主人たる者よ、汝らも天に主あるを知れば、義と公平とをもて其の僕をあしらへ。 051 COL 004 002 汝ら感謝しつつ目を覺して祈を常にせよ。 051 COL 004 003 また我らの爲にも祈りて、神の我らに御言を傳ふる門をひらき、我等をしてキリストの奧義を語らしめ、 051 COL 004 004 之を我が語るべき如く顯させ給はんことを願へ、我はこの奧義のために繋がれたり。 051 COL 004 005 なんぢら機をうかがひ、外の人に對し知慧をもて行へ。 051 COL 004 006 汝らの言は常に惠を用ひ、鹽にて味つけよ。然らば如何にして各人に答ふべきかを知らん。 051 COL 004 007 愛する兄弟、忠實なる役者、主にありて我とともに僕たるテキコ、我がことを具に汝らに知らせん。 051 COL 004 008 われ殊に彼を汝らに遣すは、我らの事を知らしめ、又なんぢらの心を慰めしめん爲なり。 051 COL 004 009 汝らの中の一人、忠實なる愛する兄弟オネシモを彼と共につかはす、彼 等この處の事を具に汝らに知らせん。 051 COL 004 010 我と共に囚人となれるアリスタルコ及びバルナバの從弟なるマルコ、汝らに安否を問ふ。此のマルコに就きては汝ら既に命を受けたり、彼もし汝らに到らば之を接けよ。 051 COL 004 011 またユストと云へるイエス汝らに安否を問ふ。割禮の者の中ただ此の三人のみ、神の國のために働く我が同勞者にして我が慰安となりたる者なり。 051 COL 004 012 汝らの中の一人にてキリスト・イエスの僕なるエパフラス汝らに安否を問ふ。彼は常に汝らの爲に力を盡して祈をなし、汝らが全くなり、凡て神の御意を確信して立たんことを願ふ。 051 COL 004 013 我かれが汝らとラオデキヤ及びヒエラポリスに在る者との爲に甚く心を勞することを證す。 051 COL 004 014 愛する醫者ルカ及びデマス汝らに安否を問ふ。 051 COL 004 015 汝らラオデキヤにある兄弟とヌンパ及びその家にある教會とに安否を問へ。 051 COL 004 016 この書を汝らの中にて讀みたらば、之をラオデキヤ人の教會にも讀ませ、汝 等はまたラオデキヤより來る書を讀め。 051 COL 004 017 アルキポに言へ『主にありて受けし職を愼みて盡せ』と。 051 COL 004 018 我パウロ手づから安否を問ふ。わが縲絏を記憶せよ。願はくは御惠なんぢらと偕に在らんことを。 # # BOOK 052 1TH 1 Thessalonians テサロニケ人への手紙第一 052 1TH 001 001 パウロ、シルワノ、テモテ、書を父なる神および主イエス・キリストにあるテサロニケ人の教會に贈る。願はくは恩惠と平安と汝らに在らんことを。 052 1TH 001 002 われら祈のときに汝らを憶えて、常に汝ら衆人のために神に感謝す。 052 1TH 001 003 これ汝らが信仰のはたらき、愛の勞苦、主イエス・キリストに對する望の忍耐を、我らの父なる神の前に絶えず念ふに因りてなり。 052 1TH 001 004 神に愛せらるる兄弟よ、また汝らの選ばれたることを知るに因りてなり。 052 1TH 001 005 それ我らの福音の汝らに至りしは、言にのみ由らず、能力と聖 靈と大なる確信とに由れり。且われらが汝らの中にありて汝らの爲に如何なる行爲をなししかは、汝らの知る所なり。 052 1TH 001 006 かくて汝らは大なる患難のうちにも、聖 靈による喜悦をもて御言をうけ、我ら及び主に效ふ者となり、 052 1TH 001 007 而してマケドニヤ及びアカヤに在る凡ての信者の模範となれり。 052 1TH 001 008 それは主のことば汝 等より出でて、啻にマケドニヤ及びアカヤに響きしのみならず、神に對する汝らの信仰のことは諸方に弘りたるなり。されば之に就きては何をも語るに及ばず。 052 1TH 001 009 人々 親しく我らが汝らの中に入りし状を告げ、また汝らが偶像を棄てて神に歸し、活ける眞の神に事へ、 052 1TH 001 010 神の死人の中より甦へらせ給ひし御子、すなはち我らを來らんとする怒より救ひ出すイエスの、天より降りたまふを待ち望むことを告ぐればなり。 052 1TH 002 001 兄弟よ、我らの汝らに到りしことの空しからざりしは、汝ら自ら知る。 052 1TH 002 002 前に我らは汝らの知るごとく、ピリピにて苦難と侮辱とを受けたれど、我らの神に頼りて大なる紛爭のうちに、憚らず神の福音を汝らに語れり。 052 1TH 002 003 我らの勸は、迷より出でず、汚穢より出でず、詭計を用ひず、 052 1TH 002 004 神に嘉せられて福音を委ねられたる者なれば、人を喜ばせんとせず、我らの心を鑒たまふ神を喜ばせ奉つらんとして語るなり。 052 1TH 002 005 我らは汝らの知るごとく何時にても諂諛の言を用ひず、事によせて慳貪をなさず(神これを證し給ふ) 052 1TH 002 006 キリストの使徒として重んぜらるべき者なれども、汝らにも他の者にも人よりは譽を求めず、 052 1TH 002 007 汝らの中にありて優しきこと、母の己が子を育てやしなふ如くなりき。 052 1TH 002 008 かく我らは汝らを戀ひ慕ひ、なんぢらは我らの愛する者となりたれば、啻に神の福音のみならず、我らの生命をも與へんと願へり。 052 1TH 002 009 兄弟よ、なんぢらは我らの勞と苦難とを記憶す、われらは汝らの中の一人をも累はすまじとて、夜晝 工をなし、勞しつつ福音を宣傳へたり。 052 1TH 002 010 また信じたる汝 等にむかひて、如何に潔く正しく責むべき所なく行ひしかは、汝らも證し神も證し給ふなり。 052 1TH 002 011 汝らは知る、我らが父のその子に對するごとく各人に對し、 052 1TH 002 012 御國と榮光とに招きたまふ神の心に適ひて歩むべきことを勸め、また勵まし、また諭したるを。 052 1TH 002 013 かくてなほ我ら神に感謝して巳まざるは、汝らが神の言を我らより聞きし時、これを人の言とせず、神の言として受けし事なり。これは誠に神の言にして、汝ら信ずる者のうちに働くなり。 052 1TH 002 014 兄弟よ、汝らはユダヤに於けるキリスト・イエスにある神の教會に效ふ者となれり、彼らのユダヤ人に苦しめられたる如く、汝らも己が國人に苦しめられたるなり。 052 1TH 002 015 ユダヤ人は主イエスをも預言者をも殺し、我らを追ひ出し、 052 1TH 002 016 我らが異邦人に語りて救を得させんとするを拒み、神を悦ばせず、かつ萬民に逆ひ、かくして常に己が罪を充すなり。而して神の怒はかれらに臨みてその極に至れり。 052 1TH 002 017 兄弟よ、われら心は離れねど、顏にて暫時なんぢらと離れ居れば、汝らの顏を見んことを愈々 切に願ひて、 052 1TH 002 018 (我パウロは一度ならず再度までも)なんぢらに到らんと爲たれど、サタンに妨げられたり。 052 1TH 002 019 我らの主イエスの來り給ふとき、御前における我らの希望、また喜悦、また誇の冠冕は誰ぞ、汝らならずや。 052 1TH 002 020 實に汝らは我らの光榮、我らの喜悦なり。 052 1TH 003 001 この故に、もはや忍ぶこと能はず、我等のみアテネに留ることに決し、 052 1TH 003 002 キリストの福音において神の役者たる我らの兄弟テモテを汝らに遣せり。これは汝らを堅うし、また信仰につきて勸め、 052 1TH 003 003 この患難によりて動かさるる者の無からん爲なり。患難に遭ふことの我らに定りたるは、汝 等みづから知る所なり。 052 1TH 003 004 我らが患難に遭ふべきことは、汝らと偕に在りしとき預じめ告げたるが、今 果して汝らの知るごとく然か成れり。 052 1TH 003 005 この故に最早われ忍ぶこと能はず、試むる者の汝らを試みて、我らの勞の空しくならんことを恐れ、なんぢらの信仰を知らんとて人を遣せり。 052 1TH 003 006 然るに今テモテ汝らより歸りて、汝らの信仰と愛とにつきて喜ばしき音信を聞かせ、又なんぢら常に我らを懇ろに念ひ、我らに逢はんことを切に望み居るは、我らが汝らに逢はんことを望むに等しと告げたるによりて、 052 1TH 003 007 兄弟よ、われらは諸般の苦難と患難との中にも、汝らの信仰によりて慰安を得たり。 052 1TH 003 008 汝 等もし主に在りて堅く立たば我らは生くるなり。 052 1TH 003 009 汝 等につきて我らの神の前によろこぶ大なる喜悦のために、如何なる感謝をか神に献ぐべき。 052 1TH 003 010 我らは夜晝 祈りて、汝らの顏を見んことと、汝らの信仰の足らぬ所を補はんこととを切に願ふ。 052 1TH 003 011 願はくは我らの父なる神みづからと我らの主なるイエスと、我らを導きて汝らに到らせ給はんことを。 052 1TH 003 012 願はくは主、なんぢら相 互の愛および凡ての人に對する愛を増し、かつ豐にして、我らが汝らを愛する如くならしめ、 052 1TH 003 013 かくして汝らの心を堅うし、我らの主イエスの、凡ての聖徒と偕に來りたまふ時、われらの父なる神の前に潔くして責むべき所なからしめ給はんことを。 052 1TH 004 001 されば兄弟よ、終に我ら主イエスによりて汝らに求め、かつ勸む。なんぢら如何に歩みて神を悦ばすべきかを我等より學びし如く、また歩みをる如くに増々 進まんことを。 052 1TH 004 002 我らが主イエスに頼りて如何なる命令を與へしかは、汝らの知る所なり。 052 1TH 004 003 それ神の御旨は、なんぢらの潔からんことにして、即ち淫行をつつしみ、 052 1TH 004 004 各人おのが妻を得て、潔くかつ貴くし、 052 1TH 004 005 神を知らぬ異邦人のごとく情 慾を放縱にすまじきを知り、 052 1TH 004 006 かかる事によりて兄弟を欺き、また掠めざらんことなり。凡て此 等のことを行ふ者に主の報し給ふは、わが既に汝らに告げ、かつ證せしごとし。 052 1TH 004 007 神の我らを招き給ひしは、汚穢を行はしめん爲にあらず、潔からしめん爲なり。 052 1TH 004 008 この故に之を拒む者は人を拒むにあらず、汝らに聖 靈を與へたまふ神を拒むなり。 052 1TH 004 009 兄弟の愛につきては汝らに書きおくるに及ばず。汝らは互に相 愛する事を親しく神に教へられ、 052 1TH 004 010 また既にマケドニヤ全國に在るすべての兄弟を愛するに因りてなり。されど兄弟よ、なんぢらに勸む。ますます之を行ひ、 052 1TH 004 011 我らが前に命ぜしことく力めて安靜にし、己の業をなし、手づから働け。 052 1TH 004 012 これ外の人に對して正しく行ひ、また自ら乏しきことなからん爲なり。 052 1TH 004 013 兄弟よ、既に眠れる者のことに就きては、汝らの知らざるを好まず、希望なき他の人のごとく歎かざらん爲なり。 052 1TH 004 014 我らの信ずる如く、イエスもし死にて甦へり給ひしならば、神はイエスによりて眠に就きたる者を、イエスと共に連れきたり給ふべきなり。 052 1TH 004 015 われら主の言をもて汝らに言はん、我等のうち主の來りたまふ時に至るまで生きて存れる者は、既に眠れる者に決して先だたじ。 052 1TH 004 016 それ主は、號令と御使の長の聲と神のラッパと共に、みづから天より降り給はん。その時キリストにある死人まづ甦へり、 052 1TH 004 017 後に生きて存れる我らは、彼らと共に雲のうちに取り去られ、空中にて主を迎へ、斯くていつまでも主と偕に居るべし。 052 1TH 004 018 されば此 等の言をもて互に相 慰めよ。 052 1TH 005 001 兄弟よ、時と期とに就きては汝らに書きおくるに及ばず。 052 1TH 005 002 汝らは主の日の盜人の夜きたるが如くに來ることを、自ら詳細に知ればなり。 052 1TH 005 003 人々の平和 無事なりと言ふほどに、滅亡にはかに彼らの上に來らん、妊める婦に産の苦痛の臨むがごとし、必ず遁るることを得じ。 052 1TH 005 004 されど兄弟よ、汝らは暗に居らざれば、盜人の來るごとく其の日なんぢらに追及くことなし。 052 1TH 005 005 それ汝 等はみな光の子ども晝の子供なり。我らは夜に屬く者にあらず、暗に屬く者にあらず。 052 1TH 005 006 されば他の人のごとく眠るべからず、目を覺して愼むべし。 052 1TH 005 007 眠る者は夜 眠り、酒に醉ふ者は夜 醉ふなり。 052 1TH 005 008 されど我らは晝に屬く者なれば、信仰と愛との胸當を著け、救の望の兜をかむりて愼むべし。 052 1TH 005 009 それ神は我らを怒に遭はせんとにあらず、主イエス・キリストに頼りて救を得させんと定め給へるなり。 052 1TH 005 010 主の我等のために死に給へるは、我等をして寤めをるとも眠りをるとも己と共に生くることを得しめん爲なり。 052 1TH 005 011 此の故に互に勸めて各自の徳を建つべし、これ汝らが常に爲す所なり。 052 1TH 005 012 兄弟よ、汝らに求む。なんぢらの中に勞し、主にありて汝らを治め、汝らを訓戒する者を重んじ、 052 1TH 005 013 その勤勞によりて厚く之を愛し敬へ。また互に相 和ぐべし。 052 1TH 005 014 兄弟よ、汝らに勸む、妄なる者を訓戒し、落膽せし者を勵まし、弱き者を扶け、凡ての人に對して寛容なれ。 052 1TH 005 015 誰も人に對し惡をもて惡に報いぬやう愼め。ただ相 互に、また凡ての人に對して常に善を追ひ求めよ。 052 1TH 005 016 常に喜べ、 052 1TH 005 017 絶えず祈れ、 052 1TH 005 018 凡てのことを感謝せよ、これキリスト・イエスに由りて神の汝らに求め給ふ所なり。 052 1TH 005 019 御靈を熄すな、 052 1TH 005 020 預言を蔑すな、 052 1TH 005 021 凡てのこと試みて善きものを守り、 052 1TH 005 022 凡て惡の類に遠ざかれ。 052 1TH 005 023 願はくは平和の神、みづから汝らを全く潔くし、汝らの靈と心と體とを全く守りて、我らの主イエス・キリストの來り給ふとき責むべき所なからしめ給はん事を。 052 1TH 005 024 汝らを召したまふ者は眞實なれば、之を成し給ふべし。 052 1TH 005 025 兄弟よ、我らのために祈れ。 052 1TH 005 026 きよき接吻をもて凡ての兄弟の安否を問へ。 052 1TH 005 027 主によりて汝らに命ず、この書を凡ての兄弟に讀み聞かせよ。 052 1TH 005 028 願はくは主イエス・キリストの恩惠、なんぢらと偕に在らんことを。 # # BOOK 053 2TH 2 Thessalonians テサロニケ人への手紙第二 053 2TH 001 001 パウロ、シルワノ、テモテ、書を我らの父なる神および主イエス・キリストに在るテサロニケ人の教會に贈る。 053 2TH 001 002 願はくは父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。 053 2TH 001 003 兄弟よ、われら汝 等につきて常に神に感謝せざるを得ず、これ當然の事なり。そは汝らの信仰おほいに加はり、各自みな互の愛を厚くしたればなり。 053 2TH 001 004 されば我らは、汝らが忍べる凡ての迫害と患難との中にありて保ちたる忍耐と信仰とを、神の諸 教會の間に誇る。 053 2TH 001 005 これ神の正しき審判の兆にして、汝らが神の國に相應しき者とならん爲なり。今その御國のために苦難を受く。 053 2TH 001 006 汝らに患難を加ふる者に患難をもて報い、患難を受くる汝らに、我らと共に安息をもて報い給ふは、神の正しき事なり。 053 2TH 001 007 即ち主イエス焔の中にその能力の御使たちと共に天より顯れ、 053 2TH 001 008 神を知らぬ者と我らの主イエスの福音に服はぬ者とに報いをなし給ふとき、 053 2TH 001 009 かかる者どもは主の顏とその能力の榮光とを離れて、限りなき滅亡の刑罰を受くべし。 053 2TH 001 010 その時は主おのが聖徒によりて崇められ、凡ての信ずる者(なんぢらも我らの證を信じたる者なり)によりて讃められんとて來りたまふ日なり。 053 2TH 001 011 これに就きて我ら常に汝らのために祈るは、我らの神の汝 等をして召に適ふ者となし、能力をもて汝らの凡て善に就ける願と信仰の業とを成就せしめ給はんことなり。 053 2TH 001 012 これ我らの神および主イエス・キリストの惠によりて、我らの主イエスの御名の汝らの中に崇められ、又なんぢらも彼に在りて崇められん爲なり。 053 2TH 002 001 兄弟よ、我らの主イエス・キリストの來り給ふこと、又われらが主の許に集ふことに就きては、汝らに求む。 053 2TH 002 002 或は靈により、或は言により、或は我等より出でし如き書により、主の日すでに來れりとて、容易く心を動かしかつ驚かざらん事を。 053 2TH 002 003 誰が如何にすとも、それに欺かるな。その日の前に背教の事あり、不法の人すなはち滅亡の子あらはれざるを得ず、 053 2TH 002 004 彼はすべて神と稱ふる者および人の拜む者に逆ひ、此 等よりも己を高くし、遂に神の聖所に坐し己を神として見する者なり。 053 2TH 002 005 われ汝らと偕に在りし時、これらの事を告げしを汝ら憶えぬか。 053 2TH 002 006 彼をして己が時に至りて顯れしめんために、彼を阻めをる者を汝らは知る。 053 2TH 002 007 不法の秘密は既に働けり、然れど此はただ阻めをる者の除かるるまでなり。 053 2TH 002 008 かくて其のとき不法の者あらはれん、而して主イエス御口の氣息をもて彼を殺し、降臨の輝耀をもて彼を亡し給はん。 053 2TH 002 009 彼はサタンの活動に從ひて來り、もろもろの虚僞なる力と徴と不思議と、 053 2TH 002 010 不義のもろもろの誑惑とを行ひて、亡ぶる者どもに向はん、彼らは眞理を愛する愛を受けずして、救はるることを爲ざればなり。 053 2TH 002 011 この故に神は、彼らが虚僞を信ぜんために惑をその中に働かせ給ふ。 053 2TH 002 012 これ眞理を信ぜず不義を喜ぶ者の、みな審かれん爲なり。 053 2TH 002 013 されど主に愛せらるる兄弟よ、われら常に汝 等のために神に感謝せざるを得ず。神は御靈によれる潔と眞理に對する信仰とをもて、始より汝らを救に選び、 053 2TH 002 014 また我らの主イエス・キリストの榮光を得させんとて、我らの福音をもて汝らを招き給へばなり。 053 2TH 002 015 されば兄弟よ、堅く立ちて我らの言あるひは書に由りて教へられたる傳を守れ。 053 2TH 002 016 我らの主イエス・キリスト、及び我らを愛し恩惠をもて永遠の慰安と善き望とを與へ給ふ我らの父なる神、 053 2TH 002 017 願はくは汝らの心を慰めて、凡ての善き業と言とに堅うし給はんことを。 053 2TH 003 001 終に言はん、兄弟よ、我らの爲に祈れ、主の言の汝らの中における如く、疾く弘りて崇められん事と、 053 2TH 003 002 われらが無法なる惡人より救はれんこととを祈れ。そは人みな信仰あるに非ざればなり。 053 2TH 003 003 されど神は眞實なれば、汝らを堅うし汝らを護りて、惡しき者より救ひ給はん。 053 2TH 003 004 かくて我らの命ずることを汝らが今も行ひ、後もまた行はんことを主によりて信ずるなり。 053 2TH 003 005 願はくは主なんぢらの心を、神の愛とキリストの忍耐とに導き給はんことを。 053 2TH 003 006 兄弟よ、我らの主イエス・キリストの名によりて汝らに命ず、我等より受けし傳に從はずして妄に歩む凡ての兄弟に遠ざかれ。 053 2TH 003 007 如何にして我らに效ふべきかは、汝らの自ら知る所なり。我らは汝らの中にありて妄なる事をせず、 053 2TH 003 008 價なしに人のパンを食せず、反つて汝 等のうち一人をも累はさざらんために勞と苦難とをもて、夜晝はたらけり。 053 2TH 003 009 これは權 利なき故にあらず、汝 等をして我らに效はしめん爲に、自ら模範となりたるなり。 053 2TH 003 010 また汝らと偕に在りしとき、人もし働くことを欲せずば食すべからずと命じたりき。 053 2TH 003 011 聞く所によれば、汝 等のうちに妄に歩みて何の業をもなさず、徒事にたづさはる者ありと。 053 2TH 003 012 我ら斯くのごとき人に、靜に業をなして己のパンを食せんことを、我らの主イエス・キリストに由りて命じかつ勸む。 053 2TH 003 013 兄弟よ、なんぢら善を行ひて倦むな。 053 2TH 003 014 もし此の書にいへる我らの言に從はぬ者あらば、その人を認めて交ることをすな、彼みづから恥ぢんためなり。 053 2TH 003 015 然れど彼を仇の如くせず、兄弟として訓戒せよ。 053 2TH 003 016 願はくは平和の主、みづから何時にても凡ての事に平和を汝らに與へ給はんことを。願はくは主なんぢら凡ての者と偕に在さん事を。 053 2TH 003 017 我パウロ手づから筆を執りて汝らの安否を問ふ。これ我がすべての書の記章なり。わが書けるものは斯くの如し。 053 2TH 003 018 願はくは我らの主イエス・キリストの恩惠なんぢら凡ての者と偕ならんことを。 # # BOOK 054 1TI 1 Timothy テモテへの手紙第一 054 1TI 001 001 我らの救主なる神と我らの希望なるキリスト・イエスとの命によりて、キリスト・イエスの使徒となれるパウロ、 054 1TI 001 002 書を信仰に由りて我が眞實の子たるテモテに贈る。願はくは父なる神および我らの主キリスト・イエスより賜ふ恩惠と憐憫と平安と、汝に在らんことを。 054 1TI 001 003 我マケドニヤに往きしとき汝に勸めし如く、汝なほエペソに留まり、ある人々に命じて、異なる教を傳ふることなく、 054 1TI 001 004 昔話と窮りなき系圖とに心を寄する事なからしめよ。此 等のことは信仰に基ける神の經綸の助とならず、反つて議論を生ずるなり。 054 1TI 001 005 命令の目的は清き心と善き良心と僞りなき信仰とより出づる愛にあり。 054 1TI 001 006 ある人々これらの事より外れて虚しき物語にうつり、 054 1TI 001 007 律法の教師たらんと欲して、反つて其の言ふ所その確證する所を自ら悟らず。 054 1TI 001 008 律法は道理に循ひて之を用ひば善き者なるを我らは知る。 054 1TI 001 009 律法を用ふる者は、律法の正しき人の爲にあらずして、不法のもの、服從せぬもの、敬虔ならぬもの、罪あるもの、潔からぬもの、妄なるもの、父を撃つもの、母を撃つもの、人を殺す者、 054 1TI 001 010 淫行のもの、男色を行ふもの、人を誘拐すもの、僞るもの、いつはり誓ふ者の爲、そのほか健全なる教に逆ふ凡ての事のために設けられたるを知るべし。 054 1TI 001 011 これは我に委ね給ひし幸福なる神の榮光の福音に循へるなり。 054 1TI 001 012 我に能力を賜ふ我らの主キリスト・イエスに感謝す。 054 1TI 001 013 われ曩には涜す者、迫害する者、暴行の者なりしに、我を忠實なる者として、この職に任じ給ひたればなり。われ信ぜぬ時に知らずして行ひし故に憐憫を蒙れり。 054 1TI 001 014 而して我らの主の恩惠は、キリスト・イエスに由れる信仰および愛とともに溢るるばかり彌増せり。 054 1TI 001 015 『キリスト・イエス罪人を救はん爲に世に來り給へり』とは、信ずべく正しく受くべき言なり、其の罪人の中にて我は首なり。 054 1TI 001 016 然るに我が憐憫を蒙りしは、キリスト・イエス我を首に寛容をことごとく顯し、この後、かれを信じて永遠の生命を受けんとする者の模範となし給はん爲なり。 054 1TI 001 017 願はくは萬世の王、すなはち朽ちず見えざる唯一の神に、世々 限りなく尊貴と榮光とあらん事を、アァメン。 054 1TI 001 018 わが子テモテよ、汝を指したる凡ての預言に循ひて、我この命令を汝に委ぬ。これ汝がその預言により、信仰と善き良心とを保ちて、善き戰鬪を戰はん爲なり。 054 1TI 001 019 或 人よき良心を棄てて信仰の破船をなせり。 054 1TI 001 020 その中にヒメナオとアレキサンデルとあり、彼らに涜すまじきことを學ばせんとて、我これをサタンに付せり。 054 1TI 002 001 さればわれ第一に勸む、凡ての人のため、王たち及び凡て權を有つものの爲に、おのおの願・祈祷・とりなし・感謝せよ。 054 1TI 002 002 是われら敬虔と謹嚴とを盡して、安らかに靜に一生を過さん爲なり。 054 1TI 002 003 斯くするは美事にして、我らの救主なる神の御意に適ふことなり。 054 1TI 002 004 神は凡ての人の救はれて、眞理を悟るに至らんことを欲し給ふ。 054 1TI 002 005 それ神は唯一なり、また神と人との間の中保も唯一にして、人なるキリスト・イエス是なり。 054 1TI 002 006 彼は己を與へて凡ての人の贖價となり給へり、時 至りて證せらる。 054 1TI 002 007 我これが爲に立てられて宣傳者となり、使徒となり(我は眞を言ひて虚僞を言はず)また信仰と眞とをもて異邦人を教ふる教師となれり。 054 1TI 002 008 これ故にわれ望む、男は怒らず爭はず、何れの處にても潔き手をあげて祈らんことを。 054 1TI 002 009 また女は恥を知り、愼みて宜しきに合ふ衣にて己を飾り、編みたる頭髮と金と眞珠と價 貴き衣とを飾とせず、 054 1TI 002 010 善き業をもて飾とせんことを。これ神を敬はんと公言する女に適へる事なり。 054 1TI 002 011 女は凡てのこと從順にして靜に道を學ぶべし。 054 1TI 002 012 われ女の教ふることと男の上に權を執ることとを許さず、ただ靜にすべし。 054 1TI 002 013 それアダムは前に造られ、エバは後に造られたり。 054 1TI 002 014 アダムは惑されず、女は惑されて罪に陷りたるなり。 054 1TI 002 015 然れど女もし愼みて信仰と愛と潔とに居らば、子を生むことに因りて救はるべし。 054 1TI 003 001 『人もし監督の職を慕はば、これよき業を願ふなり』とは、信ずべき言なり。 054 1TI 003 002 それ監督は責むべき所なく、一人の妻の夫にして、自ら制し、愼み、品行 正しく、旅人を懇ろに待し、能く教へ、 054 1TI 003 003 酒を嗜まず、人を打たず、寛容にし、爭はず、金を貪らず、 054 1TI 003 004 善く己が家を理め、謹嚴にして子女を從順ならしむる者たるべし。 054 1TI 003 005 (人もし己が家を理むることを知らずば、爭でが神の教會を扱ふことを得ん) 054 1TI 003 006 また新に教に入りし者ならざるべし、恐らくは傲慢になりて惡魔と同じ審判を受くるに至らん。 054 1TI 003 007 外の人にも令聞ある者たるべし、然らずば誹謗と惡魔の羂とに陷らん。 054 1TI 003 008 執事もまた同じく謹嚴にして、言を二つにせず、大酒せず、恥づべき利をとらず、 054 1TI 003 009 潔き良心をもて信仰の奧義を保つものたるべし。 054 1TI 003 010 まづ彼らを試みて責むべき所なくば、執事の職に任ずべし。 054 1TI 003 011 女もまた謹嚴にして人を謗らず、自ら制して凡ての事に忠實なる者たるべし。 054 1TI 003 012 執事は一人の妻の夫にして、子女と己が家とを善く理むる者たるべし。 054 1TI 003 013 善く執事の職をなす者は良き地位を得、かつキリスト・イエスに於ける信仰につきて大なる勇氣を得るなり。 054 1TI 003 014 われ速かに汝に往かんことを望めど、今これらの事を書きおくるは、 054 1TI 003 015 若し遲からんとき、人の如何に神の家に行ふべきかを汝に知らしめん爲なり。神の家は活ける神の教會なり、眞理の柱、眞理の基なり。 054 1TI 003 016 實に大なるかな、敬虔の奧義『キリストは肉にて顯され、靈にて義とせられ、御使たちに見られ、もろもろの國人に宣傳へられ、世に信ぜられ、榮光のうちに上げられ給へり』 054 1TI 004 001 されど御靈あきらかに、或 人の後の日に及びて、惑す靈と惡鬼の教とに心を寄せて、信仰より離れんことを言ひ給ふ。 054 1TI 004 002 これ虚僞をいふ者の僞善に由りてなり。彼らは良心を燒金にて烙かれ、 054 1TI 004 003 婚姻するを禁じ、食を斷つことを命ず。されど食は神の造り給へる物にして、信じかつ眞理を知る者の感謝して受くべきものなり。 054 1TI 004 004 神の造り給へる物はみな善し、感謝して受くる時は棄つべき物なし。 054 1TI 004 005 そは神の言と祈とによりて潔めらるるなり。 054 1TI 004 006 汝もし此 等のことを兄弟に教へば、信仰と汝の從ひたる善き教との言にて養はるる所のキリスト・イエスの良き役者たるべし。 054 1TI 004 007 されど妄なる談と老いたる女の昔話とを捨てよ、また自ら敬虔を修行せよ。 054 1TI 004 008 體の修行もいささかは益あれど、敬虔は今の生命と後の生命との約束を保ちて凡ての事に益あり。 054 1TI 004 009 これ信ずべく正しく受くべき言なり。 054 1TI 004 010 我らは之がために勞しかつ苦心す、そは我ら凡ての人、殊に信ずる者の救主なる活ける神に望を置けばなり。 054 1TI 004 011 汝これらの事を命じかつ教へよ。 054 1TI 004 012 なんぢ年 若きをもて人に輕んぜらるな、反つて言にも、行状にも、愛にも、信仰にも、潔にも、信者の模範となれ。 054 1TI 004 013 わが到るまで、讀むこと勸むること教ふる事に心を用ひよ。 054 1TI 004 014 なんぢ長老たちの按手を受け、預言によりて賜はりたる賜物を等閑にすな。 054 1TI 004 015 なんぢ心を傾けて此 等のことを專ら務めよ。汝の進歩の明かならん爲なり。 054 1TI 004 016 なんぢ己とおのれの教とを愼みて此 等のことに怠るな、斯くなして己と聽く者とを救ふべし。 054 1TI 005 001 老人を譴責すな、反つて之を父のごとく勸め、若き人を兄弟の如くに、 054 1TI 005 002 老いたる女を母の如くに勸め、若き女を姉妹の如くに全き貞潔をもて勸めよ。 054 1TI 005 003 寡婦のうちの眞の寡婦を敬へ。 054 1TI 005 004 されど寡婦に子もしくは孫あらば、彼ら先づ己の家に孝を行ひて親に恩を報ゆることを學ぶべし。これ神の御意にかなふ事なり。 054 1TI 005 005 眞の寡婦にして獨殘りたる者は、望を神におきて、夜も晝も絶えず願と祈とを爲す。 054 1TI 005 006 されど佚樂を放恣にする寡婦は、生けりと雖も死にたる者なり。 054 1TI 005 007 これらの事を命じて彼らに責むべき所なからしめよ。 054 1TI 005 008 人もし其の親族、殊に己が家族を顧みずば、信仰を棄てたる者にて、不 信者よりも更に惡しきなり。 054 1TI 005 009 六十歳 以下の寡婦は寡婦の籍に記すべからず、記すべきは一人の夫の妻たりし者にして、 054 1TI 005 010 善き業の聲聞あり、或は子女をそだて、或は旅人を宿し、或は聖徒の足を洗ひ、或は惱める者を助くる等、もろもろの善き業に從ひし者たるべし。 054 1TI 005 011 若き寡婦は籍に記すな、彼らキリストに背きて心 亂るる時は、嫁ぐことを欲し、 054 1TI 005 012 初の誓約を棄つるに因りて批難を受くべければなり。 054 1TI 005 013 彼 等はまた懶惰に流れて家々を遊びめぐる、啻に懶惰なるのみならず、言 多くして徒事にたづさはり、言ふまじき事を言ふ。 054 1TI 005 014 されば若き寡婦は嫁ぎて子を生み、家を理めて敵に少しにても謗るべき機を與へざらんことを我は欲す。 054 1TI 005 015 彼らの中には既に迷ひてサタンに從ひたる者あり。 054 1TI 005 016 信者たる女もし其の家に寡婦あらば、自ら之を助けて教會を煩はすな。これ眞の寡婦を教會の助けん爲なり。 054 1TI 005 017 善く治むる長老、殊に言と教とをもて勞する長老を一層 尊ぶべき者とせよ。 054 1TI 005 018 聖書に『穀物を碾す牛に口籠を繋くべからず』また『勞動人のその價を得るは相應しきなり』と云へばなり。 054 1TI 005 019 長老に對する訴訟は二三人の證人なくば受くべからず。 054 1TI 005 020 罪を犯せる者をば衆の前にて責めよ、これ他の人をも懼れしめんためなり。 054 1TI 005 021 われ神とキリスト・イエスと選ばれたる御使たちとの前にて嚴かに汝に命ず、何事をも偏り行はず、偏頗なく此 等のことを守れ、 054 1TI 005 022 輕々しく人に手を按くな、人の罪に與るな、自ら守りて潔くせよ。 054 1TI 005 023 今よりのち水のみを飮まず、胃のため、又しばしば病に罹る故に、少しく葡萄酒を用ひよ。 054 1TI 005 024 或 人の罪は明かにして先だちて審判に往き、或 人の罪は後にしたがふ。 054 1TI 005 025 斯くのごとく善き業も明かなり、然らざる者も遂には隱るること能はず。 054 1TI 006 001 おほよそ軛の下にありて奴隷たる者は、おのれの主人を全く尊ぶべき者とすべし。これ神の名と教との譏られざらん爲なり。 054 1TI 006 002 信者たる主人を有てる者は、その兄弟なるに因りて之を輕んぜず、反つて彌 増々これに事ふべし。その益を受くる主人は信者にして愛せらるる者なればなり。汝これらの事を教へかつ勧めよ。 054 1TI 006 003 もし異なる教を傳へて、健全なる言すなはち我らの主イエス・キリストの言と、敬虔にかなふ教とを肯はぬ者あらば、 054 1TI 006 004 その人は傲慢にして何をも知らず、ただ議論と言爭とにのみ耽るなり、之によりて嫉妬・爭鬪・惡しき念おこり、 054 1TI 006 005 また心 腐りて眞理をはなれ、敬虔を利 益の道とおもふ者の爭論おこるなり。 054 1TI 006 006 されど足ることを知りて敬虔を守る者は、大なる利 益を得るなり。 054 1TI 006 007 我らは何をも携へて世に來らず、また何をも携へて世を去ること能はざればなり。 054 1TI 006 008 ただ衣食あらば足れりとせん。 054 1TI 006 009 されど富まんと欲する者は、誘惑と羂、また人を滅亡と沈淪とに溺らす愚にして害ある各樣の慾に陷るなり。 054 1TI 006 010 それ金を愛するは諸般の惡しき事の根なり、ある人々これを慕ひて信仰より迷ひ、さまざまの痛をもて自ら己を刺しとほせり。 054 1TI 006 011 神の人よ、なんぢは此 等のことを避けて、義と敬虔と信仰と愛と忍耐と柔和とを追ひ求め、 054 1TI 006 012 信仰の善き戰闘をたたかへ、永遠の生命をとらへよ。汝これが爲に召を蒙り、また多くの證人の前にて善き言明をなせり。 054 1TI 006 013 われ凡ての物を生かしたまふ神のまへ、及びポンテオ・ピラトに向ひて善き言明をなし給ひしキリスト・イエスの前にて汝に命ず。 054 1TI 006 014 汝われらの主イエス・キリストの現れたまふ時まで汚點なく責むべき所なく、誡命を守れ。 054 1TI 006 015 時いたらば幸福なる唯一の君主、もろもろの王の王、もろもろの主の主、これを顯し給はん。 054 1TI 006 016 主は唯ひとり不 死を保ち近づきがたき光に住み、人の未だ見ず、また見ること能はぬ者なり。願はくは尊貴と限りなき權力と彼にあらんことを、アァメン。 054 1TI 006 017 汝この世の富める者に命ぜよ。高ぶりたる思をもたず、定なき富をたのまずして、唯われらを樂しませんとて萬の物を豐に賜ふ神に依頼み、 054 1TI 006 018 善をおこなひ、善き業に富み、惜みなく施し、分け與ふることを喜び、 054 1TI 006 019 かくて己のために善き基を蓄へ、未來の備をなして眞の生命を捉ふることを爲よと。 054 1TI 006 020 テモテよ、なんぢ委ねられたる事を守り、妄なる虚しき物語、また僞りて知識と稱ふる反對論を避けよ。 054 1TI 006 021 ある人々この知識を裝ひて信仰より外れたり。願はくは御惠なんじと偕に在らんことを。 # # BOOK 055 2TI 2 Timothy テモテへの手紙第二 055 2TI 001 001 神の御意により、キリスト・イエスにある生命の約束に循ひて、キリスト・イエスの使徒になれるパウロ、 055 2TI 001 002 書を我が愛する子テモテに贈る。願はくは父なる神および我らの主キリスト・イエスより賜ふ、恩惠と憐憫と平安と汝に在らんことを。 055 2TI 001 003 われ夜も晝も祈の中に絶えず汝を思ひて、わが先祖に效ひ清き良心をもて事ふる神に感謝す。 055 2TI 001 004 我なんぢの涙を憶え、わが歡喜の滿ちん爲に汝を見んことを欲す。 055 2TI 001 005 是なんぢに在る虚僞なき信仰をおもひ出すに因りてなり。その信仰の曩に汝の祖母ロイス及び母ユニケに宿りしごとく、汝にも然るを確信す。 055 2TI 001 006 この故に、わが按手に因りて汝の内に得たる神の賜物をますます熾にせんことを勸む。 055 2TI 001 007 そは神の我らに賜ひたるは、臆する靈にあらず、能力と愛と謹愼との靈なればなり。 055 2TI 001 008 されば汝われらの主の證をなす事と、主の囚人たる我とを恥とすな、ただ神の能力に隨ひて福音のために我とともに苦難を忍べ。 055 2TI 001 009 神は我らを救ひ聖なる召をもて召し給へり。是われらの行爲に由るにあらず、神の御旨にて創世の前にキリスト・イエスをもて我らに賜ひし恩惠に由るなり。 055 2TI 001 010 この恩惠は今われらの救主キリスト・イエスの現れ給ふに因りて顯れたり。彼は死をほろぼし、福音をもて生命と朽ちざる事とを明かにし給へり。 055 2TI 001 011 我はこの福音のために立てられて宣傳者・使徒・教師となれり。 055 2TI 001 012 之がために我これらの苦難に遭ふ。されど之を恥とせず、我わが依頼む者を知り、且わが委ねたる者を、かの日に至るまで守り得給ふことを確信すればなり。 055 2TI 001 013 汝キリスト・イエスにある信仰と愛とをもて我より聽きし健全なる言の模範を保ち、 055 2TI 001 014 かつ委ねられたる善きものを我等のうちに宿りたまふ聖 靈に頼りて守るべし。 055 2TI 001 015 アジヤに居る者みな我を棄てしは汝の知る所なり、その中にフゲロとヘルモゲネとあり。 055 2TI 001 016 願はくは主オネシポロの家に憐憫を賜はんことを。彼はしばしば我を慰め、又わが鎖を恥とせず。 055 2TI 001 017 そのロマに居りし時には懇ろに尋ね來りて、遂に逢ひたり。 055 2TI 001 018 願はくは主かの日にいたり主の憐憫を彼に賜はんことを、彼がエペソにて我に事へしことの如何ばかりなりしかは、汝の能く知るところなり。 055 2TI 002 001 わが子よ、汝キリスト・イエスにある恩惠によりて強かれ。 055 2TI 002 002 且おほくの證人の前にて、我より聽きし所のことを他の者に教へ得る忠實なる人々に委ねよ。 055 2TI 002 003 汝キリスト・イエスのよき兵卒として我とともに苦難を忍べ。 055 2TI 002 004 兵卒を務むる者は生活のために纏はるる事なし、これ募れる者を喜ばせんとすればなり。 055 2TI 002 005 技を競ふ者、もし法に隨ひて競はずば冠冕を得ず。 055 2TI 002 006 勞する農夫まづ實の分配を得べきなり。 055 2TI 002 007 汝わが言ふ所をおもへ、主なんぢに凡ての事に就きて悟を賜はん。 055 2TI 002 008 わが福音に云へる如く、ダビデの裔にして死人の中より甦へり給へるイエス・キリストを憶えよ。 055 2TI 002 009 我はこの福音のために苦難を受けて惡人のごとく繋がるるに至れり、されど神の言は繋がれたるにあらず。 055 2TI 002 010 この故に我えらばれたる者のために凡ての事を忍ぶ。これ彼 等をして永遠の光榮と共にキリスト・イエスによる救を得しめんとてなり。 055 2TI 002 011 ここに信ずべき言あり『我等もし彼と共に死にたる者ならば、彼と共に生くべし。 055 2TI 002 012 もし耐へ忍ばば、彼と共に王となるべし。若し彼を否まば、彼も我らを否み給はん。 055 2TI 002 013 我らは眞實ならずとも、彼は絶えず眞實にましませり、彼は己を否み給ふこと能はざればなり』 055 2TI 002 014 汝かれらに此 等のことを思ひ出さしめ、かつ言爭する事なきやう神の前にて嚴かに命ぜよ、言爭は益なくして聞く者を滅亡に至らしむ。 055 2TI 002 015 なんぢ眞理の言を正しく教へ、恥づる所なき勞動人となりて、神の前に錬達せる者とならんことを勵め。 055 2TI 002 016 また妄なる虚しき物語を避けよ。かかる者はますます不 敬虔に進み、 055 2TI 002 017 その言は脱疽のごとく腐れひろがるべし、ヒメナオとピレトとは斯くのごとき者の中にあり。 055 2TI 002 018 彼らは眞理より外れ、復活ははや過ぎたりと云ひて、或 人々の信仰を覆へすなり。 055 2TI 002 019 されど神の据ゑ給へる堅き基は立てり、之に印あり、記して曰ふ『主おのれの者を知り給ふ』また『凡て主の名を稱ふる者は不義を離るべし』と。 055 2TI 002 020 大なる家の中には金 銀の器あるのみならず、木また土の器もあり、貴きに用ふるものあり、また賤しきに用ふるものあり。 055 2TI 002 021 人もし賤しきものを離れて自己を潔よくせば貴きに用ひらるる器となり、淨められて主の用に適ひ、凡ての善き業に備へらるべし。 055 2TI 002 022 汝わかき時の慾を避け、主を清き心にて呼び求むる者とともに、義と信仰と愛と平和とを追ひ求めよ。 055 2TI 002 023 愚なる無學の議論を棄てよ、これより分爭の起るを知ればなり。 055 2TI 002 024 主の僕は爭ふべからず、凡ての人に優しく能く教へ忍ぶことをなし、 055 2TI 002 025 逆ふ者をば柔和をもて戒むべし、神あるひは彼らに悔改むる心を賜ひて眞理を悟らせ給はん。 055 2TI 002 026 彼ら一度は惡魔に囚はれたれど、醒めてその羂をのがれ、神の御心を行ふに至らん。 055 2TI 003 001 されど汝これを知れ、末の世に苦しき時きたらん。 055 2TI 003 002 人々おのれを愛する者・金を愛する者・誇るもの・高ぶる者・罵るもの・父 母に逆ふもの・恩を忘るる者・潔からぬ者、 055 2TI 003 003 無情なる者・怨を解かぬ者・譏る者・節制なき者・殘刻なる者・善を好まぬ者、 055 2TI 003 004 友を賣る者・放縱なる者・傲慢なる者・神よりも快樂を愛する者、 055 2TI 003 005 敬虔の貌をとりてその徳を捨つる者とならん、斯かる類の者を避けよ。 055 2TI 003 006 彼らの中には人の家に潜り入りて愚なる女を虜にする者あり、斯くせらるる女は罪を積み重ねて各樣の慾に引かれ、 055 2TI 003 007 常に學べども眞理を知る知識に至ること能はず。 055 2TI 003 008 彼の者らはヤンネとヤンブレとがモーセに逆ひし如く、眞理に逆ふもの、心の腐れたる者、また信仰につきて棄てられたる者なり。 055 2TI 003 009 されど此の上になほ進むこと能はじ、そはかの二人のごとく彼らの愚なる事も亦すべての人に顯るべければなり。 055 2TI 003 010 汝は我が教誨・品行・志望・信仰・寛容・愛・忍耐・迫害、および苦難を知り、 055 2TI 003 011 またアンテオケ、イコニオム、ルステラにて起りし事、わが如何なる迫害を忍びしかを知る。主は凡てこれらの中より我を救ひ出したまへり。 055 2TI 003 012 凡そキリスト・イエスに在りて敬虔をもて一生を過さんと欲する者は迫害を受くべし。 055 2TI 003 013 惡しき人と人を欺く者とは、ますます惡にすすみ、人を惑し、また人に惑されん。 055 2TI 003 014 されど汝は學びて確信したる所に常に居れ。なんぢ誰より之を學びしかを知り、 055 2TI 003 015 また幼き時より聖なる書を識りし事を知ればなり。この書はキリスト・イエスを信ずる信仰によりて救に至らしむる知慧を汝に與へ得るなり。 055 2TI 003 016 聖書はみな神の感動によるものにして、教誨と譴責と矯正と義を薫陶するとに益あり。 055 2TI 003 017 これ神の人の全くなりて諸般の善き業に備を全うせん爲なり。 055 2TI 004 001 われ神の前また生ける者と死にたる者とを審かんとし給ふキリスト・イエスの前にて、その顯現と御國とをおもひて嚴かに汝に命ず。 055 2TI 004 002 なんぢ御言を宣傳へよ、機を得るも機を得ざるも常に勵め、寛容と教誨とを盡して責め、戒め、勸めよ。 055 2TI 004 003 人々 健全なる教に堪へず、耳 痒くして私慾のまにまに己がために教師を増し加へ、 055 2TI 004 004 耳を眞理より背けて昔話に移る時 來らん。 055 2TI 004 005 されど汝は何事にも愼み、苦難を忍び、傳道者の業をなし、なんぢの職を全うせよ。 055 2TI 004 006 我は今 供物として血を灑がんとす、わが去るべき時は近づけり。 055 2TI 004 007 われ善き戰鬪をたたかひ、走るべき道程を果し、信仰を守れり。 055 2TI 004 008 今よりのち義の冠冕わが爲に備はれり。かの日に至りて正しき審判 主なる主、これを我に賜はん、啻に我のみならず、凡てその顯現を慕ふ者にも賜ふべし。 055 2TI 004 009 なんぢ勉めて速かに我に來れ。 055 2TI 004 010 デマスは此の世を愛し、我を棄ててテサロニケに往き、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに往きて、 055 2TI 004 011 唯ルカのみ我とともに居るなり。汝マルコを連れて共に來れ、彼は職のために我に益あればなり。 055 2TI 004 012 我テキコをエペソに遣せり。 055 2TI 004 013 汝きたる時わがトロアスにてカルポの許に遺し置きたる外衣を携へきたれ、また書物、殊に羊皮紙のものを携へきたれ。 055 2TI 004 014 金 細工人アレキサンデル大に我を惱せり。主はその行爲に隨ひて彼に報いたまふべし。 055 2TI 004 015 汝もまた彼に心せよ、かれは甚だしく我らの言に逆ひたり。 055 2TI 004 016 わが始の辯明のとき誰も我を助けず、みな我を棄てたり、願はくはこの罪の彼らに歸せざらんことを。 055 2TI 004 017 されど主われと偕に在して我を強めたまへり。これ我によりて宣教の全うせられ、凡ての異邦人のこれを聞かん爲なり。而して我は獅子の口より救ひ出されたり。 055 2TI 004 018 また主は我を凡ての惡しき業より救ひ出し、その天の國に救ひ入れたまはん。願はくは榮光 世々 限りなく彼にあらん事を、アァメン。 055 2TI 004 019 汝プリスカ及びアクラ、またオネシポロの家に安否を問へ。 055 2TI 004 020 エラストはコリントに留れり。トロピモは病ある故に我かれをミレトに遺せり。 055 2TI 004 021 なんぢ勉めて冬のまへに我に來れ、ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤ、及び凡ての兄弟、なんぢに安否を問ふ。 055 2TI 004 022 願はくは主なんぢの靈と偕に在し、御惠なんぢらと偕に在らんことを。 # # BOOK 056 TIT Titus テトスへの手紙 056 TIT 001 001 神の僕またイエス・キリストの使徒パウロ――我が使徒となれるは、永遠の生命の望に基きて神の選民の信仰を堅うし、また彼らを敬虔にかなふ眞理を知る知識に至らしめん爲なり。 056 TIT 001 002 僞りなき神は、創世の前に、この生命を約束し給ひしが、 056 TIT 001 003 時いたりて御言を宣教にて顯さんとし、その宣教を我らの救主たる神の命令をもて我に委ねたまへり。―― 056 TIT 001 004 われ書を同じ信仰によりて我が眞實の子たるテトスに贈る。願はくは父なる神および我らの救主キリスト・イエスより賜ふ恩惠と平安と、汝にあらんことを。 056 TIT 001 005 わが汝をクレテに遣し置きたる故は、汝をして缺けたる所を正し、且わが命ぜしごとく町々に長老を立てしめん爲なり。 056 TIT 001 006 長老は責むべき所なく、一人の女の夫にして、子女もまた放蕩をもて訴へらるる事なく、服從せぬことなき信者たるべきなり。 056 TIT 001 007 それ監督は神の家 司なれば、責むべき所なく、放縱ならず、輕々しく怒らず、酒を嗜まず、人を打たず、恥づべき利を取らず、 056 TIT 001 008 反つて旅人を懇ろに待ひ、善を愛し、謹愼あり、正しく潔く節制にして、 056 TIT 001 009 教に適ふ信ずべき言を守る者たるべし。これ健全なる教をもて人を勸め、かつ言ひ逆ふ者を言ひ伏することを得んためなり。 056 TIT 001 010 服從せず、虚しき事をかたり、人の心を惑す者おほし、殊に割禮ある者のうちに多し。 056 TIT 001 011 彼らの口を箝がしむべし、彼らは恥づべき利を得んために、教ふまじき事を教へて全家を覆へすなり。 056 TIT 001 012 クレテ人の中なる或る預言者いふ『クレテ人は常に虚僞をいふ者、あしき獸、また懶惰の腹なり』 056 TIT 001 013 この證は眞なり。されば汝きびしく彼らを責めよ、 056 TIT 001 014 彼らがユダヤ人の昔話と眞理を棄てたる人の誡命とに心を寄することなく、信仰を健全にせん爲なり。 056 TIT 001 015 潔き人には凡ての物きよく、汚れたる人と不 信者とには一つとして潔き物なし、彼らは既に心も良心も汚れたり。 056 TIT 001 016 みづから神を知ると言ひあらはせど、其の行爲にては神を否む。彼らは憎むべきもの、服はぬ者、すべての善き業に就きて棄てられたる者なり。 056 TIT 002 001 されど汝は健全なる教に適ふことを語れ。 056 TIT 002 002 老人には自ら制することと謹嚴と謹愼とを勸め、また信仰と愛と忍耐とに健全ならんことを勸めよ。 056 TIT 002 003 老いたる女にも同じく、清潔にかなふ行爲をなし、人を謗らず、大酒の奴隷とならず、善き事を教ふる者とならんことを勸めよ。 056 TIT 002 004 かつ彼 等をして若き女に夫を愛し、子を愛し、 056 TIT 002 005 謹愼と貞操とを守り、家の務をなし、仁慈をもち、己が夫に服はんことを教へしめよ。これ神の言の汚されざらん爲なり。 056 TIT 002 006 若き人にも同じく謹愼を勸め、 056 TIT 002 007 なんぢ自ら凡ての事につきて善き業の模範を示せ。教をなすには邪曲なきことと謹嚴と、 056 TIT 002 008 責むべき所なき健全なる言とを以てすべし。これ逆ふ者をして我らの惡を言ふに由なく、自ら恥づる所あらしめん爲なり。 056 TIT 002 009 奴隷には己が主人に服ひ、凡ての事において之を喜ばせ、之に言ひ逆はず、 056 TIT 002 010 物を盜まず、反つて全き忠信を顯すべきことを勸めよ。これ凡ての事において我らの救主なる神の教を飾らん爲なり。 056 TIT 002 011 凡ての人に救を得さする神の恩惠は既に顯れて、 056 TIT 002 012 不 敬虔と世の慾とを棄てて謹愼と正義と敬虔とをもて此の世を過し、 056 TIT 002 013 幸福なる望、すなはち大なる神、われらの救主イエス・キリストの榮光の顯現を待つべきを我らに教ふ。 056 TIT 002 014 キリストは我等のために己を與へたまへり。是われらを諸般の不法より贖ひ出して、善き業に熱心なる特選の民を己がために潔めんとてなり。 056 TIT 002 015 なんぢ全き權威をもて此 等のことを語り、勸め、また責めよ。なんぢ人に輕んぜらるな。 056 TIT 003 001 汝かれらに司と權威ある者とに服し、かつ從ひ、凡ての善き業をおこなふ備をなし、 056 TIT 003 002 人を謗らず、爭はず、寛容にし、常に柔和を凡ての人に顯すべきことを思ひ出させよ。 056 TIT 003 003 我らも前には愚なるもの、順はぬもの、迷へる者、さまざまの慾と快樂とに事ふるもの、惡意と嫉妬とをもて過すもの、憎むべき者、また互に憎み合ふ者なりき。 056 TIT 003 004 されど我らの救主なる神の仁慈と、人を愛したまふ愛との顯れしとき、 056 TIT 003 005 我らの行ひし義の業にはよらで、唯その憐憫により、更生の洗と、我らの救主イエス・キリストをもて豐に注ぎたまふ聖 靈による維新とにて、我らを救ひ給へり。 056 TIT 003 006 我らの行ひし義の業にはよらで、唯その憐憫により、更生の洗と、我らの救主イエス・キリストをもて豐に注ぎたまふ聖 靈による維新とにて、我らを救ひ給へり。 056 TIT 003 007 これ我らが其の恩惠によりて義とせられ、永遠の生命の望にしたがひて世嗣とならん爲なり。 056 TIT 003 008 この言は信ずべきなれば、我なんぢが此 等につきて確證せんことを欲す。神を信じたる者をして愼みて善き業を務めしめん爲なり。かくするは善き事にして人に益あり。 056 TIT 003 009 されど愚なる議論・系圖・爭鬪、また律法に就きての分爭を避けよ。これらは益なくして空しきものなり。 056 TIT 003 010 異端の者をば一度もしくは二度、訓戒して後これを棄てよ。 056 TIT 003 011 かかる者は汝の知るごとく、邪曲にして自ら罪を認めつつ尚これを犯すなり。 056 TIT 003 012 我アルテマス或はテキコを汝に遣さん、その時なんぢ急ぎてニコポリなる我がもとに來れ。われ彼處にて冬を過さんと定めたり。 056 TIT 003 013 教法師ゼナス及びアポロを懇ろに送りて、乏しき事なからしめよ。 056 TIT 003 014 かくて我らの伴侶も善き業を務めて必要を資けんことを學ぶべし、これ果を結ばぬ事なからん爲なり。 056 TIT 003 015 我と偕に居る者みな汝に安否を問ふ。信仰に在りて我らを愛する者に安否を問へ。願はくは御惠、なんぢら凡ての者と偕にあらん事を。 # # BOOK 057 PHM Philemon ピレモンへの手紙 057 PHM 001 001 キリスト・イエスの囚人たるパウロ及び兄弟テモテ、書を我らが愛する同勞者ピレモン、 057 PHM 001 002 我らの姉妹アピヤ、我らと共に戰鬪をなせるアルキポ及び汝の家にある教會に贈る。 057 PHM 001 003 願はくは我らの父なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と、汝らに在らんことを。 057 PHM 001 004 われ祈るとき常に汝をおぼえて我が神に感謝す。 057 PHM 001 005 これ主イエスと凡ての聖徒とに對する汝の愛と信仰とを聞きたればなり。 057 PHM 001 006 願ふところは、汝の信仰の交際の活動により、人々われらの中なる凡ての善き業を知りて、榮光をキリストに歸するに至らんことなり。 057 PHM 001 007 兄弟よ、我なんぢの愛によりて大なる勸喜と慰安とを得たり。聖徒の心は汝によりて安んぜられたればなり。 057 PHM 001 008 この故に、われキリストに在りて、汝になすべき事を聊かも憚らず命じ得れど、 057 PHM 001 009 むしろ愛の故によりて汝にねがふ。 057 PHM 001 010 既に年 老いて今はキリスト・イエスの囚人となれる我パウロ、縲絏の中にて生みし我が子オネシモの事をなんぢに願ふ。 057 PHM 001 011 かれ前には汝に益なき者なりしが、今は汝にも我にも益ある者となれり。 057 PHM 001 012 我かれを汝に歸す、かれは我が心なり。 057 PHM 001 013 我は彼をわが許に留めおきて、我が福音のために縲絏にある間、なんぢに代りて我に事へしめんと欲したれど、 057 PHM 001 014 なんぢの承諾を經ずして斯くするを好まざりき、是なんぢの善の止むを得ざるに出でずして心より出でんことを欲したればなり。 057 PHM 001 015 彼が暫時なんぢを離れしは、或は汝かれを永遠に保ち、 057 PHM 001 016 もはや奴隷の如くせず、奴隷に勝りて愛する兄弟の如くせん爲なりしやも知るべからず。我は殊に彼を愛す、まして汝は肉によりても主によりても、之を愛せざる可けんや。 057 PHM 001 017 汝もし我を友とせば、請ふ、われを納るるごとく彼を納れよ。 057 PHM 001 018 彼もし汝に不義をなし、または汝に負債あらば、之を我に負はせよ。 057 PHM 001 019 我パウロ手づから之を記す、われ償はん、汝われに身を以て償ふべき負債あれど、我これを言はず。 057 PHM 001 020 兄弟よ、請ふ、なんぢ主に在りて我に益を得させよ、キリストに在りて我が心を安んぜよ。 057 PHM 001 021 我なんぢの從順を確信して之を書き贈る。わが言ふところに勝りて汝の行はんことを知るなり。 057 PHM 001 022 而して我がために宿を備へよ、我なんぢらの祈により、遂に我が身の汝らに與へられんことを望めばなり。 057 PHM 001 023 キリスト・イエスに在りて我とともに囚人となれるエパフラス、 057 PHM 001 024 及び我が同勞者マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカ皆なんぢに安否を問ふ。 057 PHM 001 025 願はくは主イエス・キリストの恩惠、なんぢらの靈と偕にあらんことを。 # # BOOK 058 HEB Hebrews ヘブル人への手紙 058 HEB 001 001 神むかしは預言者 等により、多くに分ち、多くの方法をもて先祖たちに語り給ひしが、 058 HEB 001 002 この末の世には御子によりて、我らに語り給へり。神は曾て御子を立てて萬の物の世嗣となし、また御子によりて諸般の世界を造り給へり。 058 HEB 001 003 御子は神の榮光のかがやき、神の本質の像にして、己が權能の言をもて萬の物を保ちたまふ。また罪の潔をなして、高き處にある稜威の右に坐し給へり。 058 HEB 001 004 その受け給ひし名の御使の名に勝れるごとく、御使よりは更に勝る者となり給へり。 058 HEB 001 005 神は孰の御使に曾て斯くは言ひ給ひしぞ『なんぢは我が子なり、われ今日なんぢを生めり』と。また『われ彼の父となり、彼わが子とならん』と。 058 HEB 001 006 また初子を再び世に入れ給ふとき『神の凡ての使は之を拜すべし』と言ひ給ふ。 058 HEB 001 007 また御使たちに就きては『神は、その使たちを風となし、その事ふる者を焔となす』と言ひ給ふ。 058 HEB 001 008 されど御子に就きては『神よ、なんじの御座は世々 限りなく、汝の國の杖は正しき杖なり。 058 HEB 001 009 なんぢは義を愛し、不法をにくむ。この故に神なんぢの神は歡喜の油を、汝の友に勝りて汝にそそぎ給へり』と。 058 HEB 001 010 また『主よ、なんぢ太初に地の基を置きたまへり、天も御手の業なり。 058 HEB 001 011 これらは滅びん、されど汝は常に存へたまはん。これらはみな衣のごとく舊びん。 058 HEB 001 012 而して汝これらを袍のごとく疊み給はん、これらは衣のごとく變らん。されど汝はかはり給ふことなく汝の齡は終らざるなり』と言ひたまふ。 058 HEB 001 013 又いづれの御使に曾て斯くは言ひ給ひしぞ『われ汝の仇を汝の足臺となすまでは、我が右に坐せよ』と。 058 HEB 001 014 御使はみな事へまつる靈にして、救を嗣がんとする者のために職を執るべく遣されたる者にあらずや。 058 HEB 002 001 この故に我ら聞きし所をいよいよ篤く愼むべし、恐らくは流れ過ぐる事あらん。 058 HEB 002 002 若し御使によりて語り給ひし言すら堅くせられて、咎と不 從順とみな正しき報を受けたらんには、 058 HEB 002 003 我ら斯くのごとき大なる救を等閑にして爭でか遁るることを得ん。この救は初め主によりて語り給ひしものにして、聞きし者ども之を我らに確うし、 058 HEB 002 004 神また徴と不思議とさまざまの能力ある業と、御旨のままに分ち與ふる聖 靈とをもて證を加へたまへり。 058 HEB 002 005 それ神は我らの語るところの來らんとする世界を、御使たちには服はせ給はざりき。 058 HEB 002 006 或 篇に人 證して言ふ『人は如何なる者なれば、之を御心にとめ給ふか。人の子は如何なる者なれば、之を顧み給ふか。 058 HEB 002 007 汝これを御使よりも少しく卑うし、光榮と尊貴とを冠らせ、 058 HEB 002 008 萬の物をその足の下の服はせ給へり』と。既に萬の物を之に服はせ給ひたれば、服はぬものは一つだに殘さるる事なし。されど今もなほ我らは萬の物の之に服ひたるを見ず。 058 HEB 002 009 ただ御使よりも少しく卑くせられしイエスの、死の苦難を受くるによりて榮光と尊貴とを冠らせられ給へるを見る。これ神の恩惠によりて萬民のために死を味ひ給はんとてなり。 058 HEB 002 010 それ多くの子を光榮に導くに、その救の君を苦難によりて全うし給ふは、萬の物の歸するところ、萬の物を造りたまふ所の者に相應しき事なり。 058 HEB 002 011 潔めたまふ者も、潔めらるる者も、皆ただ一つより出づ。この故に彼らを兄弟と稱ふるを恥とせずして言ひ給ふ、 058 HEB 002 012 『われ御名を我が兄弟たちに告げ、集會の中にて汝を讃め歌はん』 058 HEB 002 013 また『われ彼に依頼まん』又『視よ、我と神の我に賜ひし子 等とは……』と。 058 HEB 002 014 子 等はともに血肉を具ふれば、主もまた同じく之を具へ給ひしなり。これは死の權力を有つもの、即ち惡魔を死によりて亡し、 058 HEB 002 015 かつ死の懼によりて生涯、奴隷となりし者どもを解放ち給はんためなり。 058 HEB 002 016 實に主は御使を扶けずしてアブラハムの裔を扶けたまふ。 058 HEB 002 017 この故に神の事につきて憐憫ある忠實なる大 祭司となりて、民の罪を贖はんために、凡ての事において兄弟の如くなり給ひしは宜なり。 058 HEB 002 018 主は自ら試みられて苦しみ給ひたれば、試みられるる者を助け得るなり。 058 HEB 003 001 されば共に天の召を蒙れる聖なる兄弟よ、我らが言ひあらはす信仰の使徒たり大 祭司たるイエスを思ひ見よ。 058 HEB 003 002 彼の己を立て給ひし者に忠實なるは、モーセが神の全家に忠實なりしが如し。 058 HEB 003 003 家を造る者の家より勝りて尊ばるる如く、彼もモーセに勝りて大なる榮光を受くるに相應しき者とせられ給へり。 058 HEB 003 004 家は凡て之を造る者あり、萬の物を造り給ひし者は神なり。 058 HEB 003 005 モーセは後に語り傳へられんと爲ることの證をせんために、僕として神の全家に忠實なりしが、 058 HEB 003 006 キリストは子として神の家を忠實に掌どり給へり。我等もし確信と希望の誇とを終まで堅く保たば、神の家なり。 058 HEB 003 007 この故に聖 靈の言ひ給ふごとく『今日なんぢら神の聲を聞かば、 058 HEB 003 008 その怒を惹きし時のごとく、荒野の嘗試の日のごとく、こころを頑固にするなかれ。 058 HEB 003 009 彼處にて汝らの先祖たちは我をこころみて驗し、かつ四十 年の間わが業を見たり。 058 HEB 003 010 この故に我この代の人を憤ほりて云へり、「彼らは常に心まよい、わが途を知らざりき」と。 058 HEB 003 011 われ怒をもて「彼らは、我が休に入るべからず」と誓へり』 058 HEB 003 012 兄弟よ、心せよ、恐らくは汝 等のうち活ける神を離れんとする不 信仰の惡しき心を懷く者あらん。 058 HEB 003 013 汝 等のうち誰も罪の誘惑によりて頑固にならぬやう、今日と稱ふる間に日々 互に相 勸めよ。 058 HEB 003 014 もし始の確信を終まで堅く保たば、我らはキリストに與る者となるなり。 058 HEB 003 015 それ『今日なんじら神の聲を聞かば、その怒を惹きし時のごとく、こころを頑固にするなかれ』と云へ。 058 HEB 003 016 然れば聞きてなほ怒を惹きし者は誰なるか、モーセによりてエジプトを出でし凡ての人にあらずや。 058 HEB 003 017 また四十 年のあひだ、神は誰に對して憤ほり給ひしか、罪を犯してその死屍を荒野に横たへし人々にあらずや。 058 HEB 003 018 又かれらは我が安息に入るべからずとは、誰に對して誓ひ給ひしか、不 從順なる者にあらずや。 058 HEB 003 019 之によりて見れば、彼らの入ること能はざりしは、不 信仰によりてなり。 058 HEB 004 001 然れば我ら懼るべし、その安息に入るべき約束はなほ遺れども、恐らくは汝らの中これに達せざる者あらん。 058 HEB 004 002 それは彼らのごとく我らも善き音信を傳へられたり、然れど彼らには聞きし所の言 益なかりき。聞くもの之に信仰をまじへざりしに因る。 058 HEB 004 003 われら信じたる者は、かの休に入ることを得るなり。『われ怒をもて「彼らは、わが休に入るべからず」と誓へり』と云ひ給ひしが如し。されど世の創より御業は既に成れるなり。 058 HEB 004 004 或 篇に七日めに就きて斯く云へり『七日めに神その凡ての業を休みたまへり』と。 058 HEB 004 005 また茲に『かれらは、我が休に入るべからず』と云へり。 058 HEB 004 006 然れば之に入るべき者なほ在り、曩に善き音信を傳へられし者らは、不 從順によりて入ることを得ざりしなれば、 058 HEB 004 007 久しきを經てのち復、日を定めダビデによりて『今日』と言ひ給ふ。曩に記したるが如し。曰く『今日なんじら神の聲を聞かば、こころを頑固にするなかれ』 058 HEB 004 008 若しヨシュア既に休を彼らに得しめしならば、神はその後、ほかの日につきて語り給はざりしならん。 058 HEB 004 009 然れば神の民の爲になほ安息は遺れり。 058 HEB 004 010 既に神の休に入りたる者は、神のその業を休み給ひしごとく、己が業を休めり。 058 HEB 004 011 されば我等はこの休に入らんことを務むべし、是かの不 從順の例にならひて誰も墮つることなからん爲なり。 058 HEB 004 012 神の言は生命あり、能力あり、兩刃の劍よりも利くして、精神と靈魂、關節と骨髓を透して之を割ち、心の念と志望とを驗すなり。 058 HEB 004 013 また造られたる物に一つとして神の前に顯れぬはなし、萬の物は我らが係れる神の目のまへに裸にて露るるなり。 058 HEB 004 014 我等には、もろもろの天を通り給ひし偉なる大 祭司、神の子イエスあり。然れば我らが言ひあらはす信仰を堅く保つべし。 058 HEB 004 015 我らの大 祭司は我らの弱を思ひ遣ること能はぬ者にあらず、罪を外にして凡ての事、われらと等しく試みられ給へり。 058 HEB 004 016 この故に我らは憐憫を受けんが爲、また機に合ふ助となる惠を得んがために、憚らずして惠の御座に來るべし。 058 HEB 005 001 凡そ大 祭司は人の中より選ばれ、罪のために供物と犧牲とを献げんとて、人にかはりて神に事ふることを任ぜらる。 058 HEB 005 002 彼は自らも弱に纒はるるが故に、無知なるもの、迷へる者を思ひ遣ることを得るなり。 058 HEB 005 003 之によりて民のために爲すごとく、また己のためにも罪に就きて献物をなさざるべからず。 058 HEB 005 004 又この貴き位はアロンのごとく神に召さるるにあらずば、誰も自ら之を取る者なし。 058 HEB 005 005 斯くの如くキリストも己を崇めて自ら大 祭司となり給はず。之に向ひて『なんじは我が子なり、われ今日なんじを生めり』と語り給ひし者、これを立てたり。 058 HEB 005 006 また他の篇に『なんじは永遠にメルキゼデクの位に等しき祭司たり』と言ひ給へるが如し。 058 HEB 005 007 キリストは肉體にて在ししとき、大なる叫と涙とをもて、己を死より救ひ得る者に祈と願とを献げ、その恭敬によりて聽かれ給へり。 058 HEB 005 008 彼は御子なれど、受けし所の苦難によりて從順を學び、 058 HEB 005 009 かつ全うせられたれば、凡て己に順ふ者のために永遠の救の原となりて、 058 HEB 005 010 神よりメルキゼデクの位に等しき大 祭司と稱へられ給へり。 058 HEB 005 011 之に就きて我ら多くの言ふべき事あれど、汝ら聞くに鈍くなりたれば釋き難し。 058 HEB 005 012 なんじら時を經ること久しければ、教師となるべき者なるに、今また神の言の初歩を人より教へられざるを得ず、汝らは堅き食物ならで乳を要する者となれり。 058 HEB 005 013 おほよそ乳を用ふる者は幼兒なれば、未だ義の言に熟せず、 058 HEB 005 014 堅き食物は智力を練習して善惡を辨ふる成人の用ふるものなり。 058 HEB 006 001 この故に我らはキリストの教の初歩に止ることなく、再び死にたる行爲の悔改と神に對する信仰との基、 058 HEB 006 002 また各樣のバプテスマと按手と、死人の復活と永遠の審判との教の基を置かずして完全に進むべし。 058 HEB 006 003 神もし許し給はば、我ら之をなさん。 058 HEB 006 004 一たび照されて天よりの賜物を味ひ、聖 靈に與る者となり、 058 HEB 006 005 神の善き言と來世の能力とを味ひて後、 058 HEB 006 006 墮落する者は更にまた自ら神の子を十字架に釘けて肆し者とする故に、再びこれを悔改に立返らすること能はざるなり。 058 HEB 006 007 それ地しばしば其の上に降る雨を吸ひ入れて耕す者の益となるべき作物を生ぜば、神より祝福を受く。 058 HEB 006 008 されど茨と薊とを生ぜば、棄てられ、かつ詛に近く、その果ては焚かるるなり。 058 HEB 006 009 愛する者よ、われら斯くは語れど、汝らには更に善きこと、即ち救にかかはる事あるを深く信ず。 058 HEB 006 010 神は不義に在さねば、汝らの勤勞と、前に聖徒につかへ、今もなほ之に事へて御名のために顯したる愛とを忘れ給ふことなし。 058 HEB 006 011 我らは汝 等がおのおの終まで前と同じ勵をあらはして全き望を保ち、 058 HEB 006 012 怠ることなく、信仰と耐忍とをもて約束を嗣ぐ人々に效はんことを求む。 058 HEB 006 013 それ神はアブラハムに約し給ふとき、指して誓ふべき己より大なる者なき故に、己を指して誓ひて言ひ給へり、 058 HEB 006 014 『われ必ず、なんぢを惠み惠まん、なんぢを殖し殖さん』と、 058 HEB 006 015 斯くの如くアブラハムは耐へ忍びて約束のものを得たり。 058 HEB 006 016 おほよそ人は己より大なる者を指して誓ふ、その誓はすべての爭論を罷むる保證たり。 058 HEB 006 017 この故に神は約束を嗣ぐ者に御旨の變らぬことを充分に示さんと欲して誓を加へ給へり。 058 HEB 006 018 これ神の謊ること能はぬ二つの變らぬものによりて、己の前に置かれたる希望を捉へんとて遁れたる我らに強き奨勵を與へん爲なり。 058 HEB 006 019 この希望は我らの靈魂の錨のごとく安全にして動かず、かつ幔の内に入る。 058 HEB 006 020 イエス我等のために前驅し、永遠にメルキゼデクの位に等しき大 祭司となりて、その處に入り給へり。 058 HEB 007 001 此のメルキゼデクはサレムの王にて至高き神の祭司たりしが、王たちを破りて還るアブラハムを迎へて祝福せり。 058 HEB 007 002 アブラハムは彼に凡ての物の十分の一を分け與へたり。その名を釋けば第一に義の王、次にサレムの王、すなはち平和の王なり。 058 HEB 007 003 父なく、母なく、系圖なく、齡の始なく、生命の終なく、神の子の如くにして限りなく祭司たり。 058 HEB 007 004 先祖アブラハム分捕物のうち十分の一、最も善き物を之に與へたれば、その人の如何に尊きかを思ふべし。 058 HEB 007 005 レビの子 等のうち祭司の職を受くる者は、律法によりて、民すなはちアブラハムの腰より出でたる己が兄弟より、十分の一を取ることを命ぜらる。 058 HEB 007 006 されど此の血脈にあらぬ彼は、アブラハムより十分の一を取りて約束を受けし者を祝福せり。 058 HEB 007 007 それ小なる者の大なる者に祝福せらるるは論なき事なり。 058 HEB 007 008 かつ此所にては死ぬべき者 十分の一を受くれども、彼處にては『活くるなり』と證せられた者これを受く。 058 HEB 007 009 また十分の一を受くるレビすら、アブラハムに由りて十分の一を納めたりと云ふも可なり。 058 HEB 007 010 そはメルキゼデクのアブラハムを迎へし時に、レビはなほ父の腰に在りたればなり。 058 HEB 007 011 もしレビの系なる祭司によりて全うせらるる事ありしならば(民は之によりて律法を受けたり)何ぞなほ他にアロンの位に等しからぬメルキゼデクの位に等しき祭司の起る必要あらんや。 058 HEB 007 012 祭司の易る時には律法も亦 必ず易るべきなり。 058 HEB 007 013 此 等のことは曾て祭壇に事へたることなき他の族に屬する者をさして云へるなり。 058 HEB 007 014 それ我らの主のユダより出で給へるは明かにして、此の族につき、モーセは聊かも祭司に係ることを云はざりき。 058 HEB 007 015 又メルキゼデクのごとき他の祭司おこり、肉の誡命の法に由らず、朽ちざる生命の能力によりて立てられたれば、我が言ふ所いよいよ明かなり。 058 HEB 007 016 又メルキゼデクのごとき他の祭司おこり、肉の誡命の法に由らず、朽ちざる生命の能力によりて立てられたれば、我が言ふ所いよいよ明かなり。 058 HEB 007 017 そは『なんぢは永遠にメルキゼデクの位に等しき祭司たり』と證せられ給へばなり。 058 HEB 007 018 前の誡命は弱く、かつ益なき故に廢せられ、 058 HEB 007 019 (律法は何をも全うせざりしなり)更に優れたる希望を置かれたり、この希望によりて我らは神に近づくなり。 058 HEB 007 020 かの人々は誓なくして祭司とせられたれども、 058 HEB 007 021 彼は誓なくしては爲られず、誓をもて祭司とせられ給へり。即ち彼に就きて『主ちかひて悔い給はず、「なんじは永遠に祭司たり」』と言ひ給ひしが如し。 058 HEB 007 022 イエスは斯くも優れたる契約の保證となり給へり。 058 HEB 007 023 かの人々は死によりて永くその職に留ることを得ざる故に、祭司となりし者の數 多かりき。 058 HEB 007 024 されど彼は永遠に在せば易ることなき祭司の職を保ちたまふ。 058 HEB 007 025 この故に彼は己に頼りて神にきたる者のために執成をなさんとて常に生くれば、之を全く救ふこと得給ふなり。 058 HEB 007 026 斯くのごとき大 祭司こそ我らに相應しき者なれ、即ち聖にして惡なく、穢なく、罪人より遠ざかり、諸般の天よりも高くせられ給へり。 058 HEB 007 027 他の大 祭司のごとく先づ己の罪のため、次に民の罪のために日々 犧牲を献ぐるを要し給はず、その一たび己を献げて之を成し給ひたればなり。 058 HEB 007 028 律法は弱みある人々を立てて大 祭司とすれども、律法の後なる誓の御言は、永遠に全うせられ給へる御子を大 祭司となせり。 058 HEB 008 001 今いふ所の要點は斯くのごとき大 祭司の我らにある事なり。彼は天にては稜威の御座の右に坐し、 058 HEB 008 002 聖所および眞の幕屋に事へたまふ。この幕屋は人の設くるものにあらず、主の設けたまふ所なり。 058 HEB 008 003 おおよそ大 祭司の立てらるるは供物と犧牲とを献げん爲なり、この故に彼もまた献ぐべき物あるべきなり。 058 HEB 008 004 然るに若し地に在さば、既に律法に循ひて供物を献ぐる祭司 等あるによりて祭司とはなり給はざるべし。 058 HEB 008 005 彼らの事ふるは、天にある物の型と影となり。モーセが幕屋を建てんとする時に『愼め、山にて汝が示されたる式に效ひて凡ての物を造れ』との御告を受けしが如し。 058 HEB 008 006 されどキリストは更に勝れる約束に基きて立てられし勝れる契約の中保となりたれば、更に勝る職を受け給へり。 058 HEB 008 007 かつ初の契約もし虧くる所なくば、第二の契約を求むる事なかりしならん。 058 HEB 008 008 然るに彼らを咎めて言ひ給ふ『主いひ給ふ「視よ、我イスラエルの家とユダの家とに、新しき契約を設くる日 來らん。 058 HEB 008 009 この契約は我かれらの先祖の手を執りて、エジプトの地より導き出しし時に立てし所の如きにあらず、彼らは我が契約にとどまらず、我も彼らを顧みざりしなり」と主いひ給ふ。 058 HEB 008 010 「されば、かの日の後に我がイスラエルの家と立つる契約は是なり」と主いひ給ふ。「われ我が律法を彼らの念に置き、そのこころに之を記さん、また我かれらの神となり、彼らは我が民とならん。 058 HEB 008 011 彼らはまた各人その國人に、その兄弟に教へて、なんじ主を知れと言はざるべし。そは小より大に至るまで、皆われを知らん。 058 HEB 008 012 我もその不義を憐み、この後また其の罪を思ひ出でざるべし』と。 058 HEB 008 013 既に『新し』と言ひ給へば、初のものを舊しとし給へるなり、舊びて衰ふるものは、消失せんとするなり。 058 HEB 009 001 初の契約には禮拜の定と世に屬する聖所とありき。 058 HEB 009 002 設けられたる幕屋あり、前なるを聖所と稱へ、その中に燈臺と案と供のパンとあり。 058 HEB 009 003 また第二の幕の後に至 聖所と稱ふる幕屋あり。 058 HEB 009 004 その中に金の香壇と金にて徧く覆ひたる契約の櫃とあり、この中にマナを納れたる金の壺と芽したるアロンの杖と契約の石碑とあり、 058 HEB 009 005 櫃の上に榮光のケルビムありて贖罪所を覆ふ。これらの物に就きては、今 一々 言ふこと能はず、 058 HEB 009 006 此 等のもの斯く備りたれば、祭司たちは常に前なる幕屋に入りて禮拜をおこなふ。 058 HEB 009 007 されど奧なる幕屋には、大 祭司のみ年に一度おのれと民との過失のために献ぐる血を携へて入るなり。 058 HEB 009 008 之によりて聖 靈は前なる幕屋のなほ存するあひだ、至 聖所に入る道の未だ顯れざるを示し給ふ。 058 HEB 009 009 この幕屋はその時のために設けられたる比喩なり、之に循ひて献げたる供物と犧牲とは、禮拜をなす者の良心を全うすること能はざりき。 058 HEB 009 010 此 等はただ食物・飮物さまざまの濯事などに係り、肉に屬する定にして、改革の時まで負せられたるのみ。 058 HEB 009 011 然れどキリストは來らんとする善き事の大 祭司として來り、手にて造らぬ此の世に屬せぬ更に大なる全き幕屋を經て、 058 HEB 009 012 山羊と犢との血を用ひず、己が血をもて只 一たび至 聖所に入りて、永遠の贖罪を終へたまへり。 058 HEB 009 013 もし山羊および牡牛の血、牝牛の灰などを穢れし者にそそぎて其の肉體を潔むることを得ば、 058 HEB 009 014 まして永遠の御靈により瑕なくして己を神に献げ給ひしキリストの血は、我らの良心を死にたる行爲より潔めて活ける神に事へしめざらんや。 058 HEB 009 015 この故に彼は新しき契約の中保なり。これ初の契約の下に犯したる咎を贖ふべき死あるによりて、召されたる者に約束の永遠の嗣業を受けさせん爲なり。 058 HEB 009 016 それ遺言は必ず遺言 者の死を要す。 058 HEB 009 017 遺言は遺言 者 死にてのち始めて效あり、遺言 者の生くる間は效なきなり。 058 HEB 009 018 この故に初の契約も血なくして立てしにあらず。 058 HEB 009 019 モーセ律法に循ひて諸般の誡命をすべての民に告げてのち、犢と山羊との血また水と緋色の毛とヒソプとをとりて、書および凡ての民にそそぎて言ふ、 058 HEB 009 020 『これ神の汝らに命じたまふ契約の血なり』と。 058 HEB 009 021 また同じく幕屋と祭のすべての器とに血をそそげり。 058 HEB 009 022 おほよそ律法によれば、萬のもの血をもて潔めらる。もし血を流すことなくば、赦さるることなし。 058 HEB 009 023 この故に天に在るものに象りたる物は此 等にて潔められ、天にある物は此 等に勝りたる犧牲をもて潔めらるべきなり。 058 HEB 009 024 キリストは眞のものに象れる、手にて造りたる聖所に入らず、眞の天に入りて今より我等のために神の前にあらはれ給ふ。 058 HEB 009 025 これ大 祭司が年ごとに他の物の血をもて聖所に入るごとく、屡次おのれを献ぐる爲にあらず。 058 HEB 009 026 もし然らずば世の創より以來しばしば苦難を受け給ふべきなり。然れど今、世の季にいたり己を犧牲となして罪を除かんために一たび現れたまへり。 058 HEB 009 027 一たび死ぬることと死にてのち審判を受くることとの人に定りたる如く、 058 HEB 009 028 キリストも亦おほくの人の罪を負はんが爲に一たび献げられ、復 罪を負ふことなく、己を待 望む者に再び現れて救を得させ給ふべし。 058 HEB 010 001 それ律法は來らんとする善き事の影にして眞の形にあらねば、年毎にたえず献ぐる同じ犧牲にて、神にきたる者を何時までも全うすることを得ざるなり。 058 HEB 010 002 もし之を得ば、禮拜をなす者、一たび潔められて復 心に罪を憶えねば、献ぐることを止めしならん。 058 HEB 010 003 然れど犧牲によりて、年ごとに罪を憶ゆるなり。 058 HEB 010 004 これ牡牛と山羊との血は罪を除くこと能はざるに因る。 058 HEB 010 005 この故にキリスト世に來るとき言ひ給ふ『なんぢ犧牲と供物とを欲せず、唯わが爲に體を備へたまへり。 058 HEB 010 006 なんぢ燔祭と罪祭とを悦び給はず、 058 HEB 010 007 その時われ言ふ「神よ、我なんぢの御意を行はんとて來る」我につきて書の卷に録されたるが如し』と。 058 HEB 010 008 先には『汝いけにへと供物と燔祭と罪祭と(即ち律法に循ひて献ぐる物)を欲せず、また悦ばず』と言ひ、 058 HEB 010 009 後に『視よ、我なんぢの御意を行はんとて來る』と言ひ給へり。その後なる者を立てん爲に、その先なる者を除き給ふなり。 058 HEB 010 010 この御意に適ひてイエス・キリストの體の一たび献げられしに由りて我らは潔められたり。 058 HEB 010 011 すべての祭司は日毎に立ちて事へ、いつまでも罪を除くこと能はぬ同じ犧牲をしばしば献ぐ。 058 HEB 010 012 然れどキリストは罪のために一つの犧牲を献げて限りなく神の右に坐し、 058 HEB 010 013 斯くて己が仇の己が足臺とせられん時を待ちたまふ。 058 HEB 010 014 そは潔めらるる者を一つの供物にて限りなく全うし給ふなり。 058 HEB 010 015 聖 靈も亦われらに之を證して 058 HEB 010 016 『「この日の後、われ彼らと立つる契約は是なり」と主いひ給ふ。また「わが律法をその心に置き、その念に銘さん」』と言ひ給ひて、 058 HEB 010 017 『この後また彼らの罪と不法とを思ひ出でざるべし』と言ひたまふ。 058 HEB 010 018 かかる赦ある上は、もはや罪のために献物をなす要なし。 058 HEB 010 019 然れば兄弟よ、我らイエスの血により、 058 HEB 010 020 その肉體たる幔を經て我らに開き給へる新しき活ける路より憚らずして至 聖所に入ることを得、 058 HEB 010 021 かつ神の家を治むる大なる祭司を得たれば、 058 HEB 010 022 心は濯がれて良心の咎をさり、身は清き水にて洗はれ、眞の心と全き信仰とをもて神に近づくべし。 058 HEB 010 023 また約束し給ひし者は忠實なれば、我ら言ひあらはす所の望を動かさずして堅く守り、 058 HEB 010 024 互に相 顧み、愛と善き業とを勵まし、 058 HEB 010 025 集會をやむる或 人の習慣の如くせず、互に勸め合ひ、かの日のいよいよ近づくを見て、ますます斯くの如くすべし。 058 HEB 010 026 我等もし眞理を知る知識をうけたる後、ことさらに罪を犯して止めずば、罪のために犧牲、もはや無し。 058 HEB 010 027 ただ畏れつつ審判を待つことと、逆ふ者を焚きつくす烈しき火とのみ遺るなり。 058 HEB 010 028 モーセの律法を蔑する者は慈悲を受くることなく、二三人の證人によりて死に至る。 058 HEB 010 029 まして神の子を蹈みつけ、己が潔められし契約の血を潔からずとなし、恩惠の御靈を侮る者の受くべき罰の重きこと如何許とおもふか。 058 HEB 010 030 『仇を復すは我に在り、われ之を報いん』と言ひ、また『主その民を審かん』と言ひ給ひし者を我らは知るなり。 058 HEB 010 031 活ける神の御手に陷るは畏るべきかな。 058 HEB 010 032 なんぢら御光を受けしのち苦難の大なる戰鬪に耐へし前の日を思ひ出でよ。 058 HEB 010 033 或は誹謗と患難とに遭ひて觀物にせられ、或は斯かることに遭ふ人の友となれり。 058 HEB 010 034 また囚人となれる者を思ひやり、永く存する尤も勝れる所有の己にあるを知りて、我が所有を奪はるるをも喜びて忍びたり。 058 HEB 010 035 されば大なる報を受くべき汝らの確信を投げすつな。 058 HEB 010 036 なんぢら神の御意を行ひて約束のものを受けん爲に必要なるは忍耐なり。 058 HEB 010 037 『いま暫くせば、來るべき者きたらん、遲からじ。 058 HEB 010 038 我に屬ける義人は、信仰によりて活くべし。もし退かば、わが心これを喜ばじ』 058 HEB 010 039 然れど我らは退きて滅亡に至る者にあらず、靈魂を得るに至る信仰を保つ者なり。 058 HEB 011 001 それ信仰は望むところを確信し、見ぬ物を眞實とするなり。 058 HEB 011 002 古への人は之によりて證せられたり。 058 HEB 011 003 信仰によりて我等は、もろもろの世界の神の言にて造られ、見ゆる物の顯るる物より成らざるを悟る。 058 HEB 011 004 信仰に由りてアベルはカインよりも勝れる犧牲を神に献げ、之によりて正しと證せられたり。神その供物につきて證し給へばなり。彼は死ぬれども、信仰によりて今なほ語る。 058 HEB 011 005 信仰に由りてエノクは死を見ぬように移されたり。神これを移し給ひたれば見出されざりき。その移さるる前に神に喜ばるることを證せられたり。 058 HEB 011 006 信仰なくしては神に悦ばるること能はず、そは神に來る者は、神の在すことと神の己を求むる者に報い給ふこととを、必ず信ずべければなり。 058 HEB 011 007 信仰に由りてノアは、未だ見ざる事につきて御告を蒙り、畏みてその家の者を救はん爲に方舟を造り、かつ之によりて世の罪を定め、また信仰に由る義の世嗣となれり。 058 HEB 011 008 信仰に由りてアブラハムは召されしとき嗣業として受くべき地に出で往けとの命に遵ひ、その往く所を知らずして出で往けり。 058 HEB 011 009 信仰により異國に在るごとく約束の地に寓り、同じ約束を嗣ぐべきイサクとヤコブと共に幕屋に住めり、 058 HEB 011 010 これ神の營み造りたまふ基礎ある都を望めばなり。 058 HEB 011 011 信仰に由りてサラも約束したまふ者の忠實なるを思ひし故に、年 邁ぎたれど胤をやどす力を受けたり。 058 HEB 011 012 この故に死にたる者のごとき一人より天の星のごとく、また海邊の數へがたき砂のごとく夥多しく生れ出でたり。 058 HEB 011 013 彼 等はみな信仰を懷きて死にたり、未だ約束の物を受けざりしが、遙にこれを見て迎へ、地にては旅人また寓れる者なるを言ひあらはせり。 058 HEB 011 014 斯く言ふは、己が故郷を求むることを表すなり。 058 HEB 011 015 若しその出でし處を念はば、歸るべき機ありしなるべし。 058 HEB 011 016 されど彼らの慕ふ所は天にある更に勝りたる所なり。この故に神は彼らの神と稱へらるるを恥とし給はず、そは彼 等のために都を備へ給へばなり。 058 HEB 011 017 信仰に由りてアブラハムは試みられし時イサクを献げたり、彼は約束を喜び受けし者なるに、その獨子を献げたり。 058 HEB 011 018 彼に對しては『イサクより出づる者なんぢの裔と稱へらるべし』と云ひ給ひしなり。 058 HEB 011 019 かれ思へらく、神は死人の中より之を甦へらすることを得給ふと、乃ち死より之を受けしが如くなりき。 058 HEB 011 020 信仰に由りてイサクは來らんとする事につきヤコブとエサウとを祝福せり。 058 HEB 011 021 信仰に由りてヤコブは死ぬる時ヨセフの子 等をおのおの祝福し、その杖の頭によりて禮拜せり。 058 HEB 011 022 信仰に由りてヨセフは生命の終らんとする時、イスラエルの子らの出で立つことに就きて語り、又おのが骨のことを命じたり。 058 HEB 011 023 信仰に由りて兩親はモーセの生れたる時、その美しき子なるを見て、王の命をも畏れずして三月の間これを匿したり。 058 HEB 011 024 信仰に由りてモーセは人と成りしときパロの女の子と稱へらるるを否み、 058 HEB 011 025 罪のはかなき歡樂を受けんよりは、寧ろ神の民とともに苦しまんことを善しとし、 058 HEB 011 026 キリストに因る謗はエジプトの財寶にまさる大なる富と思へり、これ報を望めばなり。 058 HEB 011 027 信仰に由りて彼は王の憤恚を畏れずしてエジプトを去れり。これ見えざる者を見るがごとく耐ふる事をすればなり。 058 HEB 011 028 信仰に由りて彼は過越と血を灑ぐこととを行へり、これ初子を滅す者の彼らに觸れざらん爲なり。 058 HEB 011 029 信仰に由りてイスラエル人は紅海を乾ける地のごとく渡りしが、エジプト人は然せんと試みて溺れ死にたり。 058 HEB 011 030 信仰に由りて七日のあいだ廻りたればエリコの石垣は崩れたり。 058 HEB 011 031 信仰に由りて遊女ラハブは平和をもて間者を接けたれば、不 從順の者とともに亡びざりき。 058 HEB 011 032 この外なにを言ふべきか、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル及び預言者たちに就きて語らば、時 足らざるべし。 058 HEB 011 033 彼らは信仰によりて國々を服へ、義をおこなひ、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、 058 HEB 011 034 火の勢力を消し、劍の刃をのがれ、弱よりして強くせられ、戰爭に勇ましくなり、異國人の軍勢を退かせたり。 058 HEB 011 035 女は死にたる者の復活を得、ある人は更に勝りたる復活を得んために、免さるることを願はずして極刑を甘んじたり。 058 HEB 011 036 その他の者は嘲笑と鞭と、また縲絏と牢獄との試錬を受け、 058 HEB 011 037 或 者は石にて撃たれ、試みられ、鐵鋸にて挽かれ、劍にて殺され、羊・山羊の皮を纏ひて經あるき、乏しくなり、惱され、苦しめられ、 058 HEB 011 038 (世は彼らを置くに堪へず)荒野と山と洞と地の穴とに徨へり。 058 HEB 011 039 彼 等はみな信仰に由りて證せられたれども約束のものを得ざりき。 058 HEB 011 040 これ神は我らの爲に勝りたるものを備へ給ひし故に、彼らも我らと偕ならざれば、全うせらるる事なきなり。 058 HEB 012 001 この故に我らは斯く多くの證人に雲のごとく圍まれたれば、凡ての重荷と纏へる罪とを除け、忍耐をもて我らの前に置かれたる馳場をはしり、 058 HEB 012 002 信仰の導師また之を全うする者なるイエスを仰ぎ見るべし。彼はその前に置かれたる歡喜のために、恥をも厭はずして十字架をしのび、遂に神の御座の右に坐し給へり。 058 HEB 012 003 なんじら倦み疲れて心を喪ふこと莫らんために、罪人らの斯く己に逆ひしことを忍び給へる者をおもへ。 058 HEB 012 004 汝らは罪と鬪ひて未だ血を流すまで抵抗しことなし。 058 HEB 012 005 また子に告ぐるごとく汝らに告げ給ひし勸言を忘れたり。曰く『わが子よ、主の懲戒を輕んずるなかれ、主に戒めらるるとき倦むなかれ。 058 HEB 012 006 そは主、その愛する者を懲しめ、凡てその受け給ふ子を鞭うち給へばなり』と。 058 HEB 012 007 汝らの忍ぶは懲戒の爲なり、神は汝らを子のごとく待ひたまふ、誰か父の懲しめぬ子あらんや。 058 HEB 012 008 凡ての人の受くる懲戒、もし汝らに無くば、それは私生兒にして眞の子にあらず、 058 HEB 012 009 また我らの肉體の父は、我らを懲しめし者なるに尚これを敬へり、況して靈魂の父に服ひて生くることを爲ざらんや。 058 HEB 012 010 そは肉體の父は暫くの間その心のままに懲しむることを爲しが、靈魂の父は我らを益するために、その聖潔に與らせんとて懲しめ給へばなり。 058 HEB 012 011 凡ての懲戒、今は喜ばしと見えず、反つて悲しと見ゆ、されど後これに由りて練習する者に、義の平安なる果を結ばしむ。 058 HEB 012 012 されば衰へたる手、弱りたる膝を強くし、 058 HEB 012 013 足蹇へたる者の履み外すことなく、反つて醫されんために汝らの足に直なる途を備へよ。 058 HEB 012 014 力めて凡ての人と和ぎ、自ら潔からんことを求めよ。もし潔からずば、主を見ること能はず。 058 HEB 012 015 なんじら愼め、恐らくは神の恩惠に至らぬ者あらん。恐らくは苦き根はえいでて汝らを惱し、多くの人これに由りて汚されん。 058 HEB 012 016 恐らくは淫行のもの、或は一飯のために長子の特權を賣りしエサウの如き妄なるもの起らん。 058 HEB 012 017 汝らの知るごとく、彼はそののち祝福を受けんと欲したれども棄てられ、涙を流して之を求めたれど囘復の機を得ざりき。 058 HEB 012 018 汝らの近づきたるは、火の燃ゆる觸り得べき山・黒 雲・黒闇・嵐、 058 HEB 012 019 ラッパの音、言の聲にあらず、この聲を聞きし者は此の上に言の加へられざらんことを願へり。 058 HEB 012 020 これ『獸すら山に觸れなば、石にて撃るべし』と命ぜられしを、彼らは忍ぶこと能はざりし故なり。 058 HEB 012 021 その現れしところ極めて怖しかりしかば、モーセは『われ甚く怖れ戰けり』と云へり。 058 HEB 012 022 されど汝らの近づきたるはシオンの山、活ける神の都なる天のエルサレム、千萬の御使の集會、 058 HEB 012 023 天に録されたる長子どもの教會、萬民の審判 主なる神、全うせられたる義人の靈魂、 058 HEB 012 024 新約の仲保なるイエス及びアベルの血に勝りて物 言ふ灑の血なり、 058 HEB 012 025 なんじら心して語りたまふ者を拒むな、もし地にて示し給ひし時これを拒みし者ども遁るる事なかりしならば、況して天より示し給ふとき、我ら之を退けて遁るることを得んや。 058 HEB 012 026 その時、その聲、地を震へり、されど今は誓ひて言ひたまふ『我なほ一たび地のみならず、天をも震はん』と。 058 HEB 012 027 此の『なほ一度』とは震はれぬ物の存らんために、震はるる物すなはち造られたる物の取り除かるることを表すなり。 058 HEB 012 028 この故に我らは震はれぬ國を受けたれば、感謝して恭敬と畏懼とをもて御心にかなふ奉仕を神になすべし。 058 HEB 012 029 我らの神は燒き盡す火なればなり。 058 HEB 013 001 兄弟の愛を常に保つべし。 058 HEB 013 002 旅人の接待を忘るな、或 人これに由り、知らずして御使を舍したり。 058 HEB 013 003 己も共に繋がるるごとく囚人を思へ、また己も肉體に在れば、苦しむ者を思へ。 058 HEB 013 004 凡ての人、婚姻のことを貴べ、また寢床を汚すな。神は淫行のもの、姦淫の者を審き給ふべければなり。 058 HEB 013 005 金を愛することなく、有てるものを以て足れりとせよ。主みづから『われ更に汝を去らず、汝を捨てじ』と言ひ給ひたればなり。 058 HEB 013 006 然れば我ら心を強くして斯く言はん『主わが助主なり、我おそれじ。人われに何をなさん』と。 058 HEB 013 007 神の言を汝らに語りて汝らを導きし者どもを思へ、その行状の終を見てその信仰に效へ。 058 HEB 013 008 イエス・キリストは昨日も今日も永遠までも變り給ふことなし。 058 HEB 013 009 各樣の異なる教のために惑さるな。飮食によらず、恩惠によりて心を堅うするは善し、飮食によりて歩みたる者は益を得ざりき。 058 HEB 013 010 我らに祭壇あり、幕屋に事ふる者は之より食する權を有たず。 058 HEB 013 011 大 祭司、罪のために活物の血を携へて至 聖所に入り、その活物の體は陣營の外にて燒かるるなり。 058 HEB 013 012 この故にイエスも己が血をもて民を潔めんが爲に、門の外にて苦難を受け給へり。 058 HEB 013 013 されば我らは彼の恥を負ひ、陣營より出でてその御許に往くべし。 058 HEB 013 014 われら此處には永遠の都なくして、ただ來らんとする者を求むればなり。 058 HEB 013 015 此の故に我らイエスによりて常に讃美の供物を神に献ぐべし、乃ちその御名を頌むる口唇の果なり。 058 HEB 013 016 かつ仁慈と施濟とを忘るな、神は斯くのごとき供物を喜びたまふ。 058 HEB 013 017 汝らを導く者に順ひ之に服せよ。彼らは己が事を神に陳ぶべき者なれば、汝らの靈魂のために目を覺しをるなり。彼らを歎かせず、喜びて斯く爲さしめよ、然らずば汝らに益なかるべし。 058 HEB 013 018 我らの爲に祈れ、我らは善き良心ありて凡てのこと正しく行はんと欲するを信ずるなり。 058 HEB 013 019 われ速かに汝らに歸ることを得んために、汝らの祈らんことを殊に求む。 058 HEB 013 020 願はくは永遠の契約の血によりて、羊の大牧者となれる我らの主イエスを、死人の中より引上げ給ひし平和の神、 058 HEB 013 021 その悦びたまふ所を、イエス・キリストに由りて我らの衷に行ひ、御意を行はしめん爲に凡ての善き事につきて、汝らを全うし給はんことを。世々 限りなく榮光、かれに在れ、アァメン。 058 HEB 013 022 兄弟よ、請ふ我が勸の言を容れよ、我なんじらに手短く書き贈りたるなり。 058 HEB 013 023 なんじら知れ、我らの兄弟テモテは釋されたり。彼もし速かに來らば、我かれと偕に汝らを見ん。 058 HEB 013 024 汝らの凡ての導く者、および凡ての聖徒に安否を問へ。イタリヤの人々、なんぢらに安否を問ふ。 058 HEB 013 025 願はくは恩惠なんぢら衆と偕に在らんことを。 # # BOOK 059 JAM James ヤコブの手紙 059 JAM 001 001 神および主イエス・キリストの僕ヤコブ、散り居る十二の族の平安を祈る。 059 JAM 001 002 わが兄弟よ、なんぢら各樣の試錬に遭ふとき、只管これを歡喜とせよ。 059 JAM 001 003 そは汝らの信仰の驗は、忍耐を生ずるを知ればなり。 059 JAM 001 004 忍耐をして全き活動をなさしめよ。これ汝らが全くかつ備りて、缺くる所なからん爲なり。 059 JAM 001 005 汝らの中もし智慧の缺くる者あらば、咎むることなくまた惜む事なく、凡ての人に與ふる神に求むべし、さらば與へられん。 059 JAM 001 006 但し疑ふことなく、信仰をもて求むべし。疑ふ者は、風に動かされて翻へる海の波のごときなり。 059 JAM 001 007 かかる人は主より何 物をも受くと思ふな。 059 JAM 001 008 斯かる人は二心にして、凡てその歩むところの途 定りなし。 059 JAM 001 009 卑き兄弟は、おのが高くせられたるを喜べ。 059 JAM 001 010 富める者は、おのが卑くせられたるを喜べ。そは草の花のごとく過ぎゆくべければなり。 059 JAM 001 011 日 出で熱き風 吹きて草を枯らせば、花 落ちてその麗しき姿ほろぶ。富める者もまた斯くのごとく、その途の半にして己まづ消え失せん。 059 JAM 001 012 試錬に耐ふる者は幸福なり、之を善しとせらるる時は、主のおのれを愛する者に、約束し給ひし生命の冠冕を受くべければなり。 059 JAM 001 013 人 誘はるるとき『神われを誘ひたまふ』と言ふな、神は惡に誘はれ給はず、又みづから人を誘ひ給ふことなし。 059 JAM 001 014 人の誘はるるは己の慾に引かれて惑さるるなり。 059 JAM 001 015 慾 孕みて罪を生み、罪 成りて死を生む。 059 JAM 001 016 わが愛する兄弟よ、自ら欺くな。 059 JAM 001 017 凡ての善き賜物と凡ての全き賜物とは、上より、もろもろの光の父より降るなり。父は變ることなく、また囘轉の影もなき者なり。 059 JAM 001 018 その造り給へる物の中にて我らを初穗のごとき者たらしめんとて、御旨のままに眞理の言をもて、我らを生み給へり。 059 JAM 001 019 わが愛する兄弟よ、汝らは之を知る。されば、おのおの聽くことを速かにし、語ることを遲くし、怒ることを遲くせよ。 059 JAM 001 020 人の怒は神の義を行はざればなり。 059 JAM 001 021 されば凡ての穢と溢るる惡とを捨て、柔和をもて其の植ゑられたる所の靈魂を救ひ得る言を受けよ。 059 JAM 001 022 ただ御言を聞くのみにして、己を欺く者とならず、之を行ふ者となれ。 059 JAM 001 023 それ御言を聞くのみにして之を行はぬ者は、鏡にて己が生來の顏を見る人に似たり。 059 JAM 001 024 己をうつし見て立ち去れば、直ちにその如何なる姿なりしかを忘る。 059 JAM 001 025 されど全き律法、すなはち自由の律法を懇ろに見て離れぬ者は、業を行ふ者にして、聞きて忘るる者にあらず、その行爲によりて幸福ならん。 059 JAM 001 026 人もし自ら信心ふかき者と思ひて、その舌に轡を著けず、己が心を欺かば、その信心は空しきなり。 059 JAM 001 027 父なる神の前に潔くして穢なき信心は、孤兒と寡婦とをその患難の時に見舞ひ、また自ら守りて世に汚されぬ是なり。 059 JAM 002 001 わが兄弟よ、榮光の主なる我らの主イエス・キリストに對する信仰を保たんには、人を偏り視るな。 059 JAM 002 002 金の指輪をはめ華美なる衣を著たる人、なんぢらの會堂に入りきたり、また粗末なる衣を著たる貧しき者いり來らんに、 059 JAM 002 003 汝 等その華美なる衣を著たる人を重んじ視て『なんぢ此の善き處に坐せよ』と言ひ、また貧しき者に『なんぢ彼處に立つか、又はわが足下に坐せよ』と言はば、 059 JAM 002 004 汝らの中にて區別をなし、また惡しき思をもてる審判 人となるに非ずや。 059 JAM 002 005 わが愛する兄弟よ、聽け、神は世の貧しき者を選びて信仰に富ませ、神を愛する者に約束し給ひし國の世繼たらしめ給ひしに非ずや。 059 JAM 002 006 然るに汝らは貧しき者を輕んじたり、汝らを虐げ、また裁判所に曳くものは、富める者にあらずや。 059 JAM 002 007 彼らは汝らの上に稱へらるる尊き名を汚すものに非ずや。 059 JAM 002 008 汝 等もし聖書にある『おのれの如く汝の隣を愛すべし』との尊き律法を全うせば、その爲すところ善し。 059 JAM 002 009 されど若し人を偏り視れば、これ罪を行ふなり。律法、なんぢらを犯罪者と定めん。 059 JAM 002 010 人、律法 全體を守るとも、その一つに躓かば是すべてを犯すなり。 059 JAM 002 011 それ『姦淫する勿れ』と宣ひし者、また『殺す勿れ』と宣ひたれば、なんぢ姦淫せずとも、若し人を殺さば律法を破る者となるなり、 059 JAM 002 012 なんぢら自由の律法によりて審かれんとする者のごとく語り、かつ行ふべし。 059 JAM 002 013 憐憫を行はぬ者は憐憫なき審判を受けん、憐憫は審判にむかひて勝ち誇るなり。 059 JAM 002 014 わが兄弟よ、人みづから信仰ありと言ひて、もし行爲なくば何の益かあらん、かかる信仰は彼を救ひ得んや。 059 JAM 002 015 もし兄弟 或は姉妹、裸體にて日用の食物に乏しからんとき、 059 JAM 002 016 汝 等のうち、或 人これに『安らかにして往け、温かなれ、飽くことを得よ』といひて體に無くてならぬ物を與へずば、何の益かあらん。 059 JAM 002 017 斯くのごとく信仰もし行爲なくば、死にたる者なり。 059 JAM 002 018 人もまた言はん『なんぢ信仰あり、われ行爲あり、汝の行爲なき信仰を我に示せ、我わが行爲によりて信仰を汝に示さん』と。 059 JAM 002 019 なんぢ神は唯一なりと信ずるか、かく信ずるは善し、惡鬼も亦 信じて慄けり。 059 JAM 002 020 ああ虚しき人よ、なんぢ行爲なき信仰の徒然なるを知らんと欲するか。 059 JAM 002 021 我らの父アブラハムはその子イサクを祭壇に献げしとき、行爲によりて義とせられたるに非ずや。 059 JAM 002 022 なんぢ見るべし、その信仰、行爲と共にはたらき、行爲によりて全うせられたるを。 059 JAM 002 023 またアブラハム神を信じ、その信仰を義と認められたりと云へる聖書は成就し、かつ彼は神の友と稱へられたり。 059 JAM 002 024 かく人の義とせらるるは、ただ信仰のみに由らずして行爲に由ることは、汝らの見る所なり。 059 JAM 002 025 また遊女ラハブも使者を受け、これを他の途より去らせたるとき、行爲によりて義とせられたるに非ずや。 059 JAM 002 026 靈魂なき體の死にたる者なるが如く、行爲なき信仰も死にたるものなり。 059 JAM 003 001 わが兄弟よ、なんぢら多く教師となるな。教師たる我らの更に嚴しき審判を受くることを、汝ら知ればなり。 059 JAM 003 002 我らは皆しばしば躓く者なり、人もし言に蹉跌なくば、これ全き人にして全身に轡を著け得るなり。 059 JAM 003 003 われら馬を己に馴はせんために轡をその口に置くときは、その全身を馭し得るなり。 059 JAM 003 004 また船を見よ、その形は大く、かつ激しき風に追はるるとも、最 小き舵にて舵人の欲するままに運すなり。 059 JAM 003 005 斯くのごとく舌もまた小きものなれど、その誇るところ大なり。視よ、いかに小き火の、いかに大なる林を燃すかを。 059 JAM 003 006 舌は火なり、不義の世界なり、舌は我らの肢體の中にて、全身を汚し、また地獄より燃え出でて一生の車輪を燃すものなり。 059 JAM 003 007 獸・鳥・匍ふもの・海にあるもの等、さまざまの種類みな制せらる、既に人に制せられたり。 059 JAM 003 008 されど誰も舌を制すること能はず、舌は動きて止まぬ惡にして死の毒の滿つるものなり。 059 JAM 003 009 われら之をもて主たる父を讃め、また之をもて神に象りて造られたる人を詛ふ。 059 JAM 003 010 讃美と呪詛と同じ口より出づ。わが兄弟よ、かかる事はあるべきにあらず。 059 JAM 003 011 泉は同じ穴より甘き水と苦き水とを出さんや。 059 JAM 003 012 わが兄弟よ、無花果の樹オリブの實を結び、葡萄の樹、無花果の實を結ぶことを得んや。斯くのごとく鹽 水は甘き水を出すこと能はず。 059 JAM 003 013 汝 等のうち智くして慧き者は誰なるか、その人は善き行状により柔和なる智慧をもて行爲を顯すべし。 059 JAM 003 014 されど汝 等もし心のうちに苦き妬と黨派心とを懷かば、誇るな、眞理に悖りて僞るな。 059 JAM 003 015 かかる智慧は上より下るにあらず、地に屬し、情 慾に屬し、惡鬼に屬するものなり。 059 JAM 003 016 妬と黨派心とある所には亂と各樣の惡しき業とあればなり。 059 JAM 003 017 されど上よりの智慧は第一に潔よく、次に平和・寛容・温順また憐憫と善き果とに滿ち、人を偏り視ず、虚僞なきものなり。 059 JAM 003 018 義の果は平和をおこなふ者の平和をもて播くに因るなり。 059 JAM 004 001 汝 等のうちの戰爭は何處よりか、分爭は何處よりか、汝らの肢體のうちに戰ふ慾より來るにあらずや。 059 JAM 004 002 汝ら貪れども得ず、殺すことをなし、妬むことを爲れども得ること能はず、汝らは爭ひまた戰す。汝らの得ざるは求めざるに因りてなり。 059 JAM 004 003 汝ら求めてなほ受けざるは慾のために費さんとて妄に求むるが故なり。 059 JAM 004 004 姦淫をおこなふ者よ、世の友となるは、神に敵するなるを知らぬか、誰にても世の友とならんと欲する者は、己を神の敵とするなり。 059 JAM 004 005 聖書に『神は我らの衷に住ませ給ひし靈を、妬むほどに慕ひたまふ』と云へるを虚しきことと汝ら思ふか。 059 JAM 004 006 神は更に大なる恩惠を賜ふ。されば言ふ『神は高ぶる者を拒ぎ、へりくだる者に恩惠を與へ給ふ』と。 059 JAM 004 007 この故に汝ら神に服へ、惡魔に立ち向へ、さらば彼なんぢらを逃げ去らん。 059 JAM 004 008 神に近づけ、さらば神なんぢらに近づき給はん。罪人よ、手を淨めよ、二心の者よ、心を潔よくせよ。 059 JAM 004 009 なんぢら惱め、悲しめ、泣け、なんぢらの笑を悲歎に、なんぢらの歡喜を憂に易へよ。 059 JAM 004 010 主の前に己を卑うせよ、然らば主なんぢらを高うし給はん。 059 JAM 004 011 兄弟よ、互に謗るな。兄弟を謗る者、兄弟を審く者は、これ律法を誹り、律法を審くなり。汝もし律法を審かば、律法をおこなふ者にあらずして審判 人なり。 059 JAM 004 012 立法者また審判者は唯 一人にして、救ふことをも滅ぼすことをも爲し得るなり。なんぢ誰なれば隣を審くか。 059 JAM 004 013 聽け『われら今日もしくは明日それがしの町に往きて、一年の間かしこに留り、賣買して利を得ん』と言ふ者よ、 059 JAM 004 014 汝らは明日のことを知らず、汝らの生命は何ぞ、暫く現れて遂に消ゆる霧なり。 059 JAM 004 015 汝 等その言ふところに易へて『主の御意ならば、我ら活きて此のこと、或は彼のことを爲さん』と言ふべきなり。 059 JAM 004 016 されど今なんぢらは高ぶりて誇る、斯くのごとき誇はみな惡しきなり。 059 JAM 004 017 人 善を行ふことを知りて、之を行はぬは罪なり。 059 JAM 005 001 聽け、富める者よ、なんぢらの上に來らんとする艱難のために泣きさけべ。 059 JAM 005 002 汝らの財は朽ち、汝らの衣は蠧み、 059 JAM 005 003 汝らの金 銀は錆びたり。この錆なんぢらに對ひて證をなし、かつ火のごとく汝らの肉を蝕はん。汝 等この末の世に在りてなほ財を蓄へたり。 059 JAM 005 004 視よ、汝 等がその畑を刈り入れたる勞動人に拂はざりし値は叫び、その刈りし者の呼聲は萬軍の主の耳に入れり。 059 JAM 005 005 汝らは地にて奢り樂しみ、屠らるる日に在りて尚おのが心を飽かせり。 059 JAM 005 006 汝らは正しき者を罪に定め、且これを殺せり、彼は汝らに抵抗することなし。 059 JAM 005 007 兄弟よ、主の來り給ふまで耐へ忍べ。視よ、農夫は地の貴き實を、前と後との雨を得るまで耐へ忍びて待つなり。 059 JAM 005 008 汝らも耐へ忍べ、なんぢらの心を堅うせよ。主の來り給ふこと近づきたればなり。 059 JAM 005 009 兄弟よ、互に怨言をいふな、恐らくは審かれん。視よ、審判 主、門の前に立ちたまふ。 059 JAM 005 010 兄弟よ、主の名によりて語りし預言者たちを苦難と耐忍との模範とせよ。 059 JAM 005 011 視よ、我らは忍ぶ者を幸福なりと思ふ。なんぢらヨブの忍耐を聞けり、主の彼に成し給ひし果を見たり、即ち主は慈悲ふかく、かつ憐憫あるものなり。 059 JAM 005 012 わが兄弟よ、何事よりも先づ誓ふな、或は天、あるひは地、あるひは其の他のものを指して誓ふな。只なんぢら然りは然り否は否とせよ、罪に定めらるる事なからん爲なり。 059 JAM 005 013 汝 等のうち苦しむ者あるか、その人、祈せよ。喜ぶ者あるか、その人、讃美せよ。 059 JAM 005 014 汝 等のうち病める者あるか、その人、教會の長老たちを招け。彼らは主の名により其の人に油をぬりて祈るべし。 059 JAM 005 015 さらば信仰の祈は病める者を救はん、主かれを起し給はん、もし罪を犯しし事あらば赦されん。 059 JAM 005 016 この故に互に罪を言ひ表し、かつ癒されんために相 互に祈れ、正しき人の祈ははたらきて大なる力あり。 059 JAM 005 017 エリヤは我らと同じ情をもてる人なるに、雨 降らざることを切に祈りしかば、三年 六个月のあひだ地に雨 降らざりき。 059 JAM 005 018 かくて再び祈りたれば、天 雨を降らし、地その果を生ぜり。 059 JAM 005 019 わが兄弟よ、汝 等のうち眞理より迷ふ者あらんに、誰か之を引囘さば、 059 JAM 005 020 その人は知れ、罪人をその迷へる道より引囘す者は、かれの靈魂を死より救ひ、多くの罪を掩ふことを。 # # BOOK 060 1PE 1 Peter ペテロの手紙第一 060 1PE 001 001 イエス・キリストの使徒ペテロ、書をポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ピテニヤに散りて宿れる者、 060 1PE 001 002 即ち父なる神の預じめ知り給ふところに隨ひて、御靈の潔により柔順ならんため、イエス・キリストの血の灑を受けんために選ばれたる者に贈る。願はくは恩惠と平安と汝らに増さんことを。 060 1PE 001 003 讃むべきかな、我らの主イエス・キリストの父なる神、その大なる憐憫に隨ひ、イエス・キリストの死人の中より甦へり給へることに由り、我らを新に生れしめて生ける望を懷かせ、 060 1PE 001 004 汝らの爲に天に蓄へある、朽ちず汚れず萎まざる嗣業を繼がしめ給へり。 060 1PE 001 005 汝らは終のときに顯れんとて備りたる救を得んために、信仰によりて神の力に護らるるなり。 060 1PE 001 006 この故に汝ら今しばしの程さまざまの試煉によりて憂へざるを得ずとも、なほ大に喜べり。 060 1PE 001 007 汝らの信仰の驗は、壞つる金の火にためさるるよりも貴くして、イエス・キリストの現れ給ふとき譽と光榮と尊貴とを得べきなり。 060 1PE 001 008 汝らイエスを見しことなけれど之を愛し、今 見ざれども之を信じて、言ひがたく、かつ光榮ある喜悦をもて喜ぶ。 060 1PE 001 009 これ信仰の極、すなはち靈魂の救を受くるに因る。 060 1PE 001 010 汝らの受くべき恩惠を預言したる預言者たちは、この救につきて具に尋ね査べたり。 060 1PE 001 011 即ち彼らは己が中に在すキリストの靈の、キリストの受くべき苦難および其の後の榮光を預じめ證して、何時のころ如何なる時を示し給ひしかを査べたり。 060 1PE 001 012 彼 等はその勤むるところ己のためにあらず、汝らの爲なることを默示によりて知れり。即ち天より遣され給へる聖 靈によりて福音を宣ぶる者どもの、汝らに傳へたる所にして、御使たちも之を懇ろに視んと欲するなり。 060 1PE 001 013 この故に、なんぢら心の腰に帶し、愼みてイエス・キリストの現れ給ふときに、與へられんとする恩惠を疑はずして望め。 060 1PE 001 014 從順なる子 等の如くして、前の無知なりし時の慾に效はず、 060 1PE 001 015 汝らを召し給ひし聖者に效ひて、自ら凡ての行状に潔かれ。 060 1PE 001 016 録して『われ聖なれば、汝らも聖なるべし』とあればなり。 060 1PE 001 017 また偏ることなく各人の業に隨ひて審きたまふ者を父と呼ばば、畏をもて世に寓る時を過せ。 060 1PE 001 018 なんぢらが先祖たちより傳はりたる虚しき行状より贖はれしは、銀や金のごとき朽つる物に由るにあらず、 060 1PE 001 019 瑕なく汚點なき羔羊の如きキリストの貴き血に由ることを知ればなり。 060 1PE 001 020 彼は世の創の前より預じめ知られたまひしが、この末の世に現れ給へり。 060 1PE 001 021 これは彼を死人の中より甦へらせて之に榮光を與へ給ひし神を、彼によりて信ずる汝らの爲なり、この故に汝らの信仰と希望とは神に由れり。 060 1PE 001 022 なんぢら眞理に從ふによりて靈魂をきよめ、僞りなく兄弟を愛するに至りたれば、心より熱く相 愛せよ。 060 1PE 001 023 汝らは朽つる種に由らで、朽つることなき種、すなはち神の活ける限りなく保つ言に由りて新に生れたればなり。 060 1PE 001 024 『人はみな草のごとく、その光榮はみな草の花の如し、草は枯れ、花は落つ。 060 1PE 001 025 されど主の御言は永遠に保つなり』汝らに宣傅へたる福音の言は即ちこれなり。 060 1PE 002 001 されば凡ての惡意、すべての詭計・僞善・嫉妬および凡ての謗を棄てて、 060 1PE 002 002 いま生れし嬰兒のごとく靈の眞の乳を慕へ、之により育ちて救に至らん爲なり。 060 1PE 002 003 なんぢら既に主の仁慈あることを味ひ知りたらんには、然すべきなり。 060 1PE 002 004 主は人に棄てられ給へど、神に選ばれたる貴き活ける石なり。 060 1PE 002 005 なんぢら彼にきたり、活ける石のごとく建てられて靈の家となれ。これ潔き祭司となり、イエス・キリストに由りて神に喜ばるる靈の犧牲を献げん爲なり。 060 1PE 002 006 聖書に『視よ、選ばれたる貴き隅の首石を我シオンに置く。之に依頼む者は辱しめられじ』とあるなり。 060 1PE 002 007 されば信ずる汝らには尊きなれど、信ぜぬ者には『造家者らの棄てたる石は、隅の首石となれる』にて、 060 1PE 002 008 『つまづく石、礙ぐる岩』となるなり。彼らは服はぬに因りて御言に躓く。これは斯く定められたるなり。 060 1PE 002 009 されど汝らは選ばれたる族、王なる祭司・潔き國人・神に屬ける民なり、これ汝らを暗黒より召して、己の妙なる光に入れ給ひし者の譽を顯させん爲なり。 060 1PE 002 010 なんぢら前には民にあらざりしが、今は神の民なり。前には憐憫を蒙らざりしが、今は憐憫を蒙れり。 060 1PE 002 011 愛する者よ、われ汝らに勸む。汝らは旅人また宿れる者なれば、靈魂に逆ひて戰ふ肉の慾を避け、 060 1PE 002 012 異邦人の中にありて行状を美しく爲よ、これ汝らを謗りて惡をおこなふ者と云へる人々の、汝らの善き行爲を見て、反つて眷顧の日に神を崇めん爲なり。 060 1PE 002 013 なんぢら主のために凡て人の立てたる制度に服へ。或は上に在る王、 060 1PE 002 014 或は惡をおこなふ者を罰し、善をおこなふ者を賞せんために王より遣されたる司に服へ。 060 1PE 002 015 善を行ひて愚なる人の無知の言を止むるは、神の御意なればなり。 060 1PE 002 016 なんぢら自由なる者のごとくすとも、その自由をもて惡の覆となさず、神の僕のごとくせよ。 060 1PE 002 017 なんぢら凡ての人を敬ひ、兄弟を愛し、神を畏れ、王を尊べ。 060 1PE 002 018 僕たる者よ、大なる畏をもて主人に服へ、啻に善きもの、寛容なる者にのみならず、情なき者にも服へ、 060 1PE 002 019 人もし受くべからざる苦難を受け、神を認むるに因りて憂に堪ふる事をせば、これ譽むべきなり。 060 1PE 002 020 もし罪を犯して撻たるるとき、之を忍ぶとも何の功かある。されど若し善を行ひてなほ苦しめらるる時これを忍ばば、これ神の譽めたまふ所なり。 060 1PE 002 021 汝らは之がために召されたり、キリストも汝らの爲に苦難をうけ、汝らを其の足跡に隨はしめんとて模範を遺し給へるなり。 060 1PE 002 022 彼は罪を犯さず、その口に虚僞なく、 060 1PE 002 023 また罵られて罵らず、苦しめられて脅かさず、正しく審きたまふ者に己を委ね、 060 1PE 002 024 木の上に懸りて、みづから我らの罪を己が身に負ひ給へり。これ我らが罪に就きて死に、義に就きて生きん爲なり。汝らは彼の傷によりて癒されたり。 060 1PE 002 025 なんぢら前には羊のごとく迷ひたりしが、今は汝らの靈魂の牧者たる監督に歸りたり。 060 1PE 003 001 妻たる者よ、汝らもその夫に服へ。たとひ御言に遵はぬ夫ありとも、汝らの潔く、かつ恭敬しき行状を見て、言によらず妻の行状によりて救に入らん爲なり。 060 1PE 003 002 妻たる者よ、汝らもその夫に服へ。たとひ御言に遵はぬ夫ありとも、汝らの潔く、かつ恭敬しき行状を見て、言によらず妻の行状によりて救に入らん爲なり。 060 1PE 003 003 汝らは髮を辮み、金をかけ、衣服を裝ふごとき表面のものを飾とせず、 060 1PE 003 004 心のうちの隱れたる人、すなはち柔和、恬靜なる靈の朽ちぬ物を飾とすべし、是こそは神の前にて價 貴きものなれ。 060 1PE 003 005 むかし神に望を置きたる潔き女たちも、かくの如くその夫に服ひて己を飾りたり。 060 1PE 003 006 即ちサラがアブラハムを主と呼びて之に服ひし如し。汝らも善を行ひて何事にも戰き懼れずばサラの子たるなり。 060 1PE 003 007 夫たる者よ、汝らその妻を己より弱き器の如くし、知識にしたがひて偕に棲み、生命の恩惠を共に嗣ぐ者として之を貴べ、これ汝らの祈に妨害なからん爲なり。 060 1PE 003 008 終に言ふ、汝らみな心を同じうし、互に思ひ遣り、兄弟を愛し、憐み、へりくだり、 060 1PE 003 009 惡をもて惡に、謗をもて謗に報ゆることなく、反つて之を祝福せよ。汝らの召されたるは祝福を嗣がん爲なればなり。 060 1PE 003 010 『生命を愛し、善き日を送らんとする者は、舌を抑へて惡を避け、口唇を抑へて虚僞を語らず、 060 1PE 003 011 惡より遠ざかりて善をおこなひ、平和を求めて之を追ふべし。 060 1PE 003 012 それ主の目は義人の上にとどまり、その耳は彼らの祈にかたむく。されど主の御顏は惡をおこなふ者に向ふ』 060 1PE 003 013 汝 等もし善に熱心ならば、誰か汝らを害はん。 060 1PE 003 014 たとひ義のために苦しめらるる事ありとも、汝ら幸福なり『彼 等の威嚇を懼るな、また心を騷がすな』 060 1PE 003 015 心の中にキリストを主と崇めよ、また汝らの衷にある望の理由を問ふ人には、柔和と畏懼とをもて常に辯明すべき準備をなし、 060 1PE 003 016 かつ善き良心を保て。これ汝 等のキリストに在りて行ふ善き行状を罵る者の、その謗ることに就きて自ら愧ぢん爲なり。 060 1PE 003 017 もし善をおこなひて苦難を受くること神の御意ならば、惡を行ひて苦難を受くるに勝るなり。 060 1PE 003 018 キリストも汝らを神に近づかせんとて、正しきもの正しからぬ者に代りて、一たび罪のために死に給へり、彼は肉體にて殺され、靈にて生かされ給へるなり。 060 1PE 003 019 また靈にて往き、獄にある靈に宣傅へたまへり。 060 1PE 003 020 これらの靈は、昔ノアの時代に方舟の備へらるるあひだ寛容をもて神の待ち給へるとき、服はざりし者どもなり、その方舟に入り水を經て救はれし者は、僅にしてただ八人なりき。 060 1PE 003 021 その水に象れるバプテスマは肉の汚穢を除くにあらず、善き良心の神に對する要求にして、イエス・キリストの復活によりて今なんぢらを救ふ。 060 1PE 003 022 彼は天に昇りて神の右に在す。御使たち及びもろもろの權威と能力とは彼に服ふなり。 060 1PE 004 001 キリスト肉體にて苦難を受け給ひたれば、汝らも亦おなじ心をもて自ら鎧へ。――肉體にて苦難を受くる者は罪を止むるなり―― 060 1PE 004 002 これ今よりのち、人の慾に從はず、神の御意に從ひて、肉體に寓れる殘の時を過さん爲なり。 060 1PE 004 003 なんぢら過ぎにし日は、異邦人の好む所をおこなひ、好色・慾 情・酩酊・宴樂・暴飮・律法にかなはぬ偶像 崇拜に歩みて、もはや足れり。 060 1PE 004 004 彼らは汝らの己とともに放蕩の極に走らぬを怪しみて譏るなり。 060 1PE 004 005 彼らは生ける者と死にたる者とを審く準備をなし給へる者に己のことを陳ぶべし。 060 1PE 004 006 福音の死にたる者に宣傅へられしは、彼らが肉體にて人のごとく審かれ、靈にて神のごとく生きん爲なり。 060 1PE 004 007 萬の物のをはり近づけり、然れば汝ら心を慥にし、愼みて祈せよ。 060 1PE 004 008 何事よりも先づ互に熱く相 愛せよ。愛は多くの罪を掩へばなり。 060 1PE 004 009 また吝むことなく互に懇ろに待せ。 060 1PE 004 010 神のさまざまの恩惠を掌どる善き家 司のごとく、各人その受けし賜物をもて互に事へよ。 060 1PE 004 011 もし語るならば、神の言をかたる者のごとく語り、事ふるならば、神の與へたまふ能力を受けたる者のごとく事へよ。是イエス・キリストによりて事々に神の崇められ給はん爲なり。榮光と權力とは世々 限りなく彼に歸するなり、アァメン。 060 1PE 004 012 愛する者よ、汝らを試みんとて來れる火のごとき試煉を異なる事として怪しまず、 060 1PE 004 013 反つてキリストの苦難に與れば、與るほど喜べ、なんぢら彼の榮光の顯れん時にも喜び樂しまん爲なり。 060 1PE 004 014 もし汝 等キリストの名のために謗られなば幸福なり。榮光の御靈すなはち神の御靈なんじらの上に留り給へばなり。 060 1PE 004 015 汝 等のうち誰にても或は殺人、あるひは盜人、あるひは惡を行ふ者、あるひは妄に他人の事に干渉する者となりて苦難に遭ふな。 060 1PE 004 016 されど若しキリステアンたるをもて苦難を受けなば、之を恥づることなく、反つて此の名によりて神を崇めよ。 060 1PE 004 017 既に時いたれり、審判は神の家より始るべし。まづ我等より始るとせば、神の福音に從はざる者のその結局は如何にぞや。 060 1PE 004 018 義人もし辛うじて救はるるならば、不 敬虔なるもの、罪ある者は何處にか立たん。 060 1PE 004 019 されば神の御意に從ひて苦難を受くる者は、善を行ひて己が靈魂を眞實なる造物主にゆだね奉るべし。 060 1PE 005 001 われ汝らの中なる長老たちに勸む(我は汝らと同じく長老たる者、またキリストの苦難の證人、顯れんとする榮光に與る者なり) 060 1PE 005 002 汝らの中にある神の群羊を牧へ。止むを得ずして爲さず、神に從ひて心より爲し、利を貪るために爲さず、悦びてなし、 060 1PE 005 003 委ねられたる者の主とならず、群羊の模範となれ。 060 1PE 005 004 さらば大牧者の現れ給ふとき、萎まざる光榮の冠冕を受けん。 060 1PE 005 005 若き者よ、なんぢら長老たちに服へ、かつ皆たがひに謙遜をまとへ『神は高ぶる者を拒ぎ、へりくだる者に恩惠を與へ給ふ』 060 1PE 005 006 この故に神の能力ある御手の下に己を卑うせよ、さらば時に及びて神なんぢらを高うし給はん。 060 1PE 005 007 又もろもろの心勞を神に委ねよ、神なんぢらの爲に慮ぱかり給へばなり。 060 1PE 005 008 愼みて目を覺しをれ、汝らの仇なる惡魔、ほゆる獅子のごとく歴迴りて呑むべきものを尋ぬ。 060 1PE 005 009 なんぢら信仰を堅うして彼を禦げ、なんぢらは世にある兄弟たちの同じ苦難に遭ふを知ればなり。 060 1PE 005 010 もろもろの恩惠の神、すなはち永遠の榮光を受けしめんとて、キリストによりて汝らを召し給へる神は、汝らが暫く苦難をうくる後、なんぢらを全うし、堅うし、強くして、その基を定め給はん。 060 1PE 005 011 願はくは權力 世々 限りなく神にあれ、アァメン。 060 1PE 005 012 われ忠實なる兄弟なりと思ふシルワノに由りて、簡單に書き贈りて汝らに勸め、かつ此は神の眞の恩惠なることを證す、汝 等この恩惠に立て。 060 1PE 005 013 汝らと共に選ばれてバビロンに在る教會、なんぢらに安否を問ふ、わが子マルコも安否を問ふ。 060 1PE 005 014 なんぢら愛の接吻をもて互に安否を問へ。願はくはキリストに在る汝ら衆に平安あらんことを。 # # BOOK 061 2PE 2 Peter ペテロの手紙第二 061 2PE 001 001 イエス・キリストの僕また使徒なるシメオン・ペテロ、書を我らの神および救主イエス・キリストの義によりて、我らと同じ貴き信仰を受けたる者に贈る。 061 2PE 001 002 願はくは神および我らの主イエスを知るによりて、恩惠と平安と汝らに増さんことを。 061 2PE 001 003 キリストの神たる能力は、生命と敬虔とに係る凡てのものを我らに賜へり。是おのれの榮光と徳とをもて召し給へる者を我ら知るに因りてなり。 061 2PE 001 004 その榮光と徳とによりて我らに貴き大なる約束を賜へり、これは汝らが世に在る慾の滅亡をのがれ、神の性質に與る者とならん爲なり。 061 2PE 001 005 この故に勵み勉めて汝らの信仰に徳を加へ、徳に知識を、 061 2PE 001 006 知識に節制を、節制に忍耐を、忍耐に敬虔を、 061 2PE 001 007 敬虔に兄弟の愛を、兄弟の愛に博愛を加へよ。 061 2PE 001 008 此 等のもの汝らの衷にありて彌増すときは、汝 等われらの主イエス・キリストを知るに怠ることなく、實を結ばぬこと無きに至らん。 061 2PE 001 009 此 等のものの無きは盲人にして遠く見ること能はず、己が舊き罪を潔められしことを忘れたるなり。 061 2PE 001 010 この故に兄弟よ、ますます勵みて汝らの召されたること、選ばれたることを堅うせよ。若し此 等のことを行はば躓くことなからん。 061 2PE 001 011 かくて汝らは我らの主なる救主イエス・キリストの永遠の國に入る恩惠を豐に與へられん。 061 2PE 001 012 されば汝らは此 等のことを知り、既に受けたる眞理に堅うせられたれど、我つねに此 等のことを思ひ出させんとするなり。 061 2PE 001 013 我は尚この幕屋に居るあいだ、汝らに思ひ出させて勵ますを正當なりと思ふ。 061 2PE 001 014 そは我らの主イエス・キリストの我に示し給へるごとく、我わが幕屋を脱ぎ去ることの速かなるを知ればなり。 061 2PE 001 015 我また汝 等をして我が世を去らん後にも、常に此 等のことを思ひ出させんと勉むべし。 061 2PE 001 016 我らは我らの主イエス・キリストの能力と來りたまふ事とを汝らに告ぐるに、巧なる作話を用ひざりき、我らは親しくその稜威を見し者なり。 061 2PE 001 017 いとも貴き榮光の中より聲 出でて『こは我が愛しむ子なり、我これを悦ぶ』と言ひ給へるとき、主は父なる神より尊貴と榮光とを受け給へり。 061 2PE 001 018 我らも彼と偕に聖なる山に在りしとき、天より出づる此の聲をきけり。 061 2PE 001 019 かくて我らが有てる預言の言は堅うせられたり。汝 等この言を暗き處にかがやく燈火として、夜明け、明星の汝らの心の中にいづるまで顧みるは善し。 061 2PE 001 020 なんじら先づ知れ、聖書の預言は、すべて己がままに釋くべきものにあらぬを。 061 2PE 001 021 預言は人の心より出でしにあらず、人々 聖 靈に動かされ、神によりて語れるものなればなり。 061 2PE 002 001 されど民のうちに僞 預言者おこりき、その如く汝らの中にも僞 教師あらん。彼らは滅亡にいたる異端を持ち入れ、己らを買ひ給ひし主をさへ否みて、速かなる滅亡を自ら招くなり。 061 2PE 002 002 また多くの人かれらの好色に隨はん、之によりて眞の道を譏らるべし。 061 2PE 002 003 彼らは貪慾によりて飾言を設け、汝 等より利をとらん。彼らの審判は古へより定められたれば遲からず、その滅亡は寢ねず。 061 2PE 002 004 神は罪を犯しし御使たちを赦さずして地獄に投げいれ、之を黒闇の穴におきて審判の時まで看守し、 061 2PE 002 005 また古き世を容さずして、ただ義の宣傅者なるノアと他の七人とをのみ護り、敬虔ならぬ者の世に洪水を來らせ、 061 2PE 002 006 またソドムとゴモラとの町を滅亡に定めて灰となし、後の不 敬虔をおこなふ者の鑑とし、 061 2PE 002 007 ただ無法の者どもの好色の擧動を憂ひし正しきロトのみを救ひ給へり。 061 2PE 002 008 (この正しき人は彼らの中に住みて、日々その不法の行爲を見 聞して、己が正しき心を傷めたり) 061 2PE 002 009 かく主は敬虔なる者を試煉の中より救ひ、また正しからぬ者を審判の日まで看守して之を罰し、 061 2PE 002 010 別けて、肉に隨ひて、汚れたる情 慾のうちを歩み、權ある者を輕んずる者を罰することを知り給ふ。この曹輩は膽 太く放縱にして、尊き者どもを譏りて畏れぬなり。 061 2PE 002 011 御使たちはかの尊き者どもに勝りて、大なる權勢と能力とあれど、彼らを主の御前に譏り訴ふることをせず。 061 2PE 002 012 然れど、かの曹輩は恰も捕へられ屠らるるために生れたる辯別なき生物のごとし、知らぬことを譏り、不義の價をえて必ず亡さるべし。 061 2PE 002 013 彼らは晝もなほ酒食を快樂とし誘惑を樂しみ、汝らと共に宴席に與りて、汚點となり瑕となる。 061 2PE 002 014 その目は淫婦にて滿ち罪に飽くことなし、彼らは靈魂の定らぬ者を惑し、その心は貪欲に慣れて呪詛の子たり。 061 2PE 002 015 彼らは正しき道を離れて迷ひいで、ベオルの子バラムの道に隨へり。バラムは不義の報を愛して、 061 2PE 002 016 その不法を咎められたり。物 言はぬ驢馬、人の聲して語り、かの預言者の狂を止めたればなり。 061 2PE 002 017 この曹輩は水なき井なり、颶風に逐はるる雲霧なり、黒き闇かれらの爲に備へられたり。 061 2PE 002 018 彼らは虚しき誇をかたり、迷の中にある者どもより辛うじて遁れたる者を、肉の慾と好色とをもて惑し、 061 2PE 002 019 之に自由を與ふることを約すれど、自己は滅亡の奴隷たり、敗くる者は勝つ者に奴隷とせらるればなり。 061 2PE 002 020 彼 等もし主なる救主イエス・キリストを知るによりて、世の汚穢をのがれしのち、復これに纏はれて敗くる時は、その後の状は前よりもなほ惡しくなるなり。 061 2PE 002 021 義の道を知りて、その傳へられたる聖なる誡命を去り往かんよりは寧ろ義の道を知らぬを勝れりとす。 061 2PE 002 022 俚諺に『犬おのが吐きたる物に歸り來り、豚 身を洗ひてまた泥の中に轉ぶ』と云へるは眞にして、能く彼らに當れり。 061 2PE 003 001 愛する者よ、われ今この第二の書を汝らに書き贈り、第一なると之とをもて汝らに思ひ出させ、その潔よき心を勵まし、 061 2PE 003 002 聖なる預言者たちの預じめ云ひし言、および汝らの使徒たちの傳へし主なる救主の誡命を憶えさせんとす。 061 2PE 003 003 汝 等まづ知れ、末の世には嘲る者 嘲笑をもて來り、おのが慾に隨ひて歩み、 061 2PE 003 004 かつ言はん『主の來りたまふ約束は何處にありや、先祖たちの眠りしのち、萬のもの開闢の初と等しくして變らざるなり』と。 061 2PE 003 005 彼らは殊更に次の事を知らざるなり、即ち古へ神の言によりて天あり、地は水より出で水によりて成立ちしが、 061 2PE 003 006 その時の世は之により水に淹はれて滅びたり。 061 2PE 003 007 されど同じ御言によりて今の天と地とは蓄へられ、火にて燒かれん爲に、敬虔ならぬ人々の審判と滅亡との日まで保たるるなり。 061 2PE 003 008 愛する者よ、なんぢら此の一事を忘るな。主の御前には一日は千年のごとく、千年は一日のごとし。 061 2PE 003 009 主その約束を果すに遲きは、或 人の遲しと思ふが如きにあらず、ただ一人の亡ぶるをも望み給はず、凡ての人の悔改に至らんことを望みて汝らを永く忍び給ふなり。 061 2PE 003 010 されど主の日は盜人のごとく來らん、その日には天とどろきて去り、もろもろの天體は燒け崩れ、地とその中にある工とは燒け盡きん。 061 2PE 003 011 かく此 等のものはみな崩るべければ、汝 等いかに潔き行状と敬虔とをもて、 061 2PE 003 012 神の日の來るを待ち之を速かにせんことを勉むべきにあらずや、その日には天 燃え崩れ、もろもろの天體 燒け溶けん。 061 2PE 003 013 されど我らは神の約束によりて、義の住むところの新しき天と新しき地とを待つ。 061 2PE 003 014 この故に愛する者よ、汝 等これを待てば、神の前に汚點なく瑕なく安然に在らんことを勉めよ。 061 2PE 003 015 且われらの主の寛容を救なりと思へ、これは我らの愛する兄弟パウロも、その與へられたる智慧にしたがひ曾て汝らに書き贈りし如し。 061 2PE 003 016 彼はその凡ての書にも此 等のことに就きて語る、その中には悟りがたき所あり、無學のもの心の定らぬ者は、他の聖書のごとく之をも強ひ釋きて自ら滅亡を招くなり。 061 2PE 003 017 されば愛する者よ、なんぢら預じめ之を知れば、愼みて無法の者の迷にさそはれて己が堅き心を失はず、 061 2PE 003 018 ますます我らの主なる救主イエス・キリストの恩寵と主を知る知識とに進め。願はくは今および永遠の日までも榮光かれに在らんことを。 # # BOOK 062 1JO 1 John ヨハネの手紙第一 062 1JO 001 001 太初より有りし所のもの、我等が聞きしところ、目にて見し所、つらつら視て手觸りし所のもの、即ち生命の言につきて、 062 1JO 001 002 ――この生命すでに顯れ、われら之を見て證をなし、その曾て父と偕に在して、今われらに顯れ給へる永遠の生命を汝らに告ぐ―― 062 1JO 001 003 我らの見しところ聞きし所を汝らに告ぐ、これ汝 等をも我らの交際に與らしめん爲なり。我らは父および其の子イエス・キリストの交際に與るなり。 062 1JO 001 004 此 等のことを書き贈るは、我らの喜悦の滿ちん爲なり。 062 1JO 001 005 我らが彼より聞きて、また汝らに告ぐる音信は是なり、即ち神は光にして少しの暗き所なし。 062 1JO 001 006 もし神と交際ありと言ひて暗きうちを歩まば、我ら僞りて眞理を行はざるなり。 062 1JO 001 007 もし神の光のうちに在すごとく光のうちを歩まば、我ら互に交際を得、また其の子イエスの血、すべての罪より我らを潔む。 062 1JO 001 008 もし罪なしと言はば、是みづから欺けるにて眞理われらの中になし。 062 1JO 001 009 もし己の罪を言ひあらはさば、神は眞實にして正しければ、我らの罪を赦し、凡ての不義より我らを潔め給はん。 062 1JO 001 010 もし罪を犯したる事なしといはば、これ神を僞 者とするなり、神の言われらの中になし。 062 1JO 002 001 わが若子よ、これらの事を書き贈るは、汝らが罪を犯さざらん爲なり。人もし罪を犯さば、我等のために父の前に助主あり、即ち義なるイエス・キリストなり。 062 1JO 002 002 彼は我らの罪のために宥の供物たり、啻に我らの爲のみならず、また全世界の爲なり。 062 1JO 002 003 我らその誡命を守らば、之によりて彼を知ることを自ら悟る。 062 1JO 002 004 『われ彼を知る』と言ひて其の誡命を守らぬ者は僞 者にして眞理その衷になし。 062 1JO 002 005 その御言を守る者は誠に神の愛、その衷に全うせらる。之によりて我ら彼に在ることを悟る。 062 1JO 002 006 彼に居ると言ふ者は、彼の歩み給ひしごとく自ら歩むべきなり。 062 1JO 002 007 愛する者よ、わが汝らに書き贈るは、新しき誡命にあらず、汝らが初より有てる舊き誡命なり。この舊き誡命は汝らが聞きし所の言なり。 062 1JO 002 008 然れど我が汝らに書き贈るところは、また新しき誡命にして、主にも汝らにも眞なり、その故は眞の光すでに照りて、暗黒はややに過ぎ去ればなり。 062 1JO 002 009 光に在りと言ひて其の兄弟を憎むものは、今もなほ暗黒にあるなり。 062 1JO 002 010 その兄弟を愛する者は、光に居りて顛躓その衷になし。 062 1JO 002 011 その兄弟を憎む者は暗黒にあり、暗きうちを歩みて己が往くところを知らず、これ暗黒はその眼を矇したればなり。 062 1JO 002 012 若子よ、我この書を汝らに贈るは、なんぢら主の御名によりて罪を赦されたるに因る。 062 1JO 002 013 父たちよ、我この書を汝らに贈るは、汝ら太初より在す者を知りたるに因る。若き者よ、我この書を汝らに贈るは、なんぢら惡しき者に勝ちたるに因る。子供よ、我この書を汝らに贈りたるは、汝ら御父を知りたるに因る。 062 1JO 002 014 父たちよ、我この書を汝らに贈りたるは、汝ら太初より在す者を知りたるに因る。若き者よ、我この書を汝らに贈りたるは、汝ら強くかつ神の言その衷に留り、また惡しき者に勝ちたるに因る。 062 1JO 002 015 なんぢら世をも世にある物をも愛すな。人もし世を愛せば、御父を愛する愛その衷になし。 062 1JO 002 016 おほよそ世にあるもの、即ち肉の慾、眼の慾、所有の誇などは、御父より出づるにあらず、世より出づるなり。 062 1JO 002 017 世と世の慾とは過ぎ往く、されど神の御意をおこなふ者は永遠に在るなり。 062 1JO 002 018 子供よ、今は末の時なり、汝らが非キリスト來らんと聞きしごとく、今や非キリスト多く起れり、之によりて我等その末の時なるを知る。 062 1JO 002 019 彼らは我等より出でゆきたれど、固より我等のものに非ざりき。我らの屬ならば、我らと共に留りしならん。されどその出でゆきしは、皆われらの屬ならぬことの顯れん爲なり。 062 1JO 002 020 汝らは聖なる者より油を注がれたれば、凡ての事を知る。 062 1JO 002 021 我この書を汝らに贈るは、汝ら眞理を知らぬ故にあらず、眞理を知り、かつ凡ての虚僞の眞理より出でぬことを知るに因る。 062 1JO 002 022 僞 者は誰なるか、イエスのキリストなるを否む者にあらずや。御父と御子とを否む者は非キリストなり。 062 1JO 002 023 凡そ御子を否む者は御父をも有たず、御子を言ひあらはす者は御父をも有つなり。 062 1JO 002 024 初より聞きし所を汝らの衷に居らしめよ。初より聞きしところ汝らの衷に居らば、汝らも御子と御父とに居らん。 062 1JO 002 025 我らに約し給ひし約束は是なり、即ち永遠の生命なり。 062 1JO 002 026 汝らを惑す者どもに就きて我これらの事を書き贈る。 062 1JO 002 027 なんぢらの衷には、主より注がれたる油とどまる故に、人の汝らに物を教ふる要なし。此の油は汝らに凡ての事を教へ、かつ眞にして虚僞なし、汝 等はその教へしごとく主に居るなり。 062 1JO 002 028 されば若子よ、主に居れ。これ主の現れ給ふときに臆することなく、其の來り給ふときに恥づることなからん爲なり。 062 1JO 002 029 なんぢら主を正しと知らば、凡て正義をおこなふ者の主より生れたることを知らん。 062 1JO 003 001 視よ、父の我らに賜ひし愛の如何に大なるかを。我ら神の子と稱へらる。既に神の子たり、世の我らを知らぬは、父を知らぬによりてなり。 062 1JO 003 002 愛する者よ、我等いま神の子たり、後いかん、未だ顯れず、主の現れたまふ時われら之に肖んことを知る。我らその眞の状を見るべければなり。 062 1JO 003 003 凡て主による此の希望を懷く者は、その清きがごとく己を潔くす。 062 1JO 003 004 すべて罪をおこなふ者は不法を行ふなり、罪は即ち不法なり。 062 1JO 003 005 汝らは知る、主の現れ給ひしは罪を除かん爲なるを。主には罪あることなし。 062 1JO 003 006 おほよそ主に居る者は罪を犯さず、おほよそ罪を犯す者は未だ主を見ず、主を知らぬなり。 062 1JO 003 007 若子よ、人に惑さるな、義をおこなふ者は義人なり、即ち主の義なるがごとし。 062 1JO 003 008 罪を行ふものは惡魔より出づ、惡魔は初より罪を犯せばなり。神の子の現れ給ひしは、惡魔の業を毀たん爲なり。 062 1JO 003 009 凡て神より生るる者は罪を行はず、神の種、その衷に止るに由る。彼は神より生るる故に罪を犯すこと能はず。 062 1JO 003 010 之に由りて神の子と惡魔の子とは明かなり。おほよそ義を行はぬ者および己が兄弟を愛せぬ者は神より出づるにあらず。 062 1JO 003 011 われら互に相 愛すべきは汝らが初より聞きし音信なり。 062 1JO 003 012 カインに效ふな、彼は惡しき者より出でて己が兄弟を殺せり。何 故ころしたるか、己が行爲は惡しく、その兄弟の行爲は正しかりしに因る。 062 1JO 003 013 兄弟よ、世は汝らを憎むとも怪しむな。 062 1JO 003 014 われら兄弟を愛するによりて、死より生命に移りしを知る、愛せぬ者は死のうちに居る。 062 1JO 003 015 おほよそ兄弟を憎む者は即ち人を殺す者なり、凡そ人を殺す者の、その内に永遠の生命なきを汝らは知る。 062 1JO 003 016 主は我らの爲に生命を捨てたまへり、之によりて愛といふことを知りたり、我等もまた兄弟のために生命を捨つべきなり。 062 1JO 003 017 世の財寶をもちて兄弟の窮乏を見、反つて憐憫の心を閉づる者は、いかで神の愛その衷にあらんや。 062 1JO 003 018 若子よ、われら言と舌とをもて相 愛することなく、行爲と眞實とを以てすべし。 062 1JO 003 019 之に由りて我ら眞理より出でしを知り、且われらの心われらを責むとも神の前に心を安んずべし。 062 1JO 003 020 神は我らの心よりも大にして一切のことを知り給へばなり。 062 1JO 003 021 愛する者よ、我らが心みづから責むる所なくば、神に向ひて懼なし。 062 1JO 003 022 且すべて求むる所を神より受くべし。是その誡命を守りて御心にかなふ所を行へばなり。 062 1JO 003 023 その誡命はこれなり、即ち我ら神の子イエス・キリストの名を信じ、その命じ給ひしごとく互に相 愛すべきことなり。 062 1JO 003 024 神の誡命を守る者は神に居り、神もまた彼に居給ふ。我らその賜ふところの御靈に由りて其の我らに居給ふことを知るなり。 062 1JO 004 001 愛する者よ、凡ての靈を信ずな、その靈の神より出づるか否かを試みよ。多くの僞 預言者 世に出でたればなり。 062 1JO 004 002 凡そイエス・キリストの肉體にて來り給ひしことを言ひあらはす靈は神より出づ、なんぢら之によりて神の御靈を知るべし。 062 1JO 004 003 凡そイエスを言ひ表さぬ靈は神より出でしにあらず、これは非キリストの靈なり。その來ることは汝ら聞けり、この靈いま既に世にあり。 062 1JO 004 004 若子よ、汝らは神より出でし者にして既に彼らに勝てり。汝らに居給ふ者は世に居る者よりも大なればなり。 062 1JO 004 005 彼らは世より出でし者なり、之によりて世の事をかたり、世も亦かれらに聽く。 062 1JO 004 006 我らは神より出でし者なり。神を知る者は我らに聽き、神より出でぬ者は我らに聽かず。之によりて眞理の靈と迷謬の靈とを知る。 062 1JO 004 007 愛する者よ、われら互に相 愛すべし。愛は神より出づ、おほよそ愛ある者は、神より生れ神を知るなり。 062 1JO 004 008 愛なき者は、神を知らず、神は愛なればなり。 062 1JO 004 009 神の愛われらに顯れたり。神はその生み給へる獨子を世に遣し、我等をして彼によりて生命を得しめ給ふに因る。 062 1JO 004 010 愛といふは、我ら神を愛せしにあらず、神われらを愛し、その子を遣して我らの罪のために宥の供物となし給ひし是なり。 062 1JO 004 011 愛する者よ、斯くのごとく神われらを愛し給ひたれば、我らも亦たがひに相 愛すべし。 062 1JO 004 012 未だ神を見し者あらず、我等もし互に相 愛せば、神われらに在し、その愛も亦われらに全うせらる。 062 1JO 004 013 神、御靈を賜ひしに因りて、我ら神に居り神われらに居給ふことを知る。 062 1JO 004 014 又われら父のその子を遣して世の救主となし給ひしを見て、その證をなすなり。 062 1JO 004 015 凡そイエスを神の子と言ひあらはす者は、神かれに居り、かれ神に居る。 062 1JO 004 016 我らに對する神の愛を我ら既に知り、かつ信ず。神は愛なり、愛に居る者は神に居り、神も亦かれに居給ふ。 062 1JO 004 017 かく我らの愛 完全をえて、審判の日に懼なからしむ。我等この世にありて主の如くなるに因る。 062 1JO 004 018 愛には懼なし、全き愛は懼を除く、懼には苦難あればなり。懼るる者は、愛いまだ全からず。 062 1JO 004 019 我らの愛するは、神まづ我らを愛し給ふによる。 062 1JO 004 020 人もし『われ神を愛す』と言ひて、その兄弟を憎まば、これ僞 者なり。既に見るところの兄弟を愛せぬ者は、未だ見ぬ神を愛すること能はず。 062 1JO 004 021 神を愛する者は亦その兄弟をも愛すべし。我等この誡命を神より受けたり。 062 1JO 005 001 凡そイエスをキリストと信ずる者は、神より生れたるなり。おほよそ之を生み給ひし神を愛する者は、神より生れたる者をも愛す。 062 1JO 005 002 我等もし神を愛して、その誡命を行はば、之によりて神の子供を愛することを知る。 062 1JO 005 003 神の誡命を守るは即ち神を愛するなり、而してその誡命は難からず。 062 1JO 005 004 おほよそ神より生るる者は世に勝つ、世に勝つ勝利は我らの信仰なり。 062 1JO 005 005 世に勝つものは誰ぞ、イエスを神の子と信ずる者にあらずや。 062 1JO 005 006 これ水と血とに由りて來り給ひし者、即ちイエス・キリストなり。啻に水のみならず、水と血とをもて來り給ひしなり。 062 1JO 005 007 證する者は御靈なり。御靈は眞理なればなり。 062 1JO 005 008 證する者は三つ、御靈と水と血となり。この三つ合ひて一つとなる。 062 1JO 005 009 我等もし人の證を受けんには、神の證は更に大なり。神の證はその子につきて證し給ひし是なり。 062 1JO 005 010 神の子を信ずる者はその衷にこの證をもち、神を信ぜぬ者は神を僞 者とす。これ神その子につきて證せし證を信ぜぬが故なり。 062 1JO 005 011 その證はこれなり、神は永遠の生命を我らに賜へり、この生命はその子にあり。 062 1JO 005 012 御子をもつ者は生命をもち、神の子をもたぬ者は生命をもたず。 062 1JO 005 013 われ神の子の名を信ずる汝らに此 等のことを書き贈るは、汝らに自ら永遠の生命を有つことを知らしめん爲なり。 062 1JO 005 014 我らが神に向ひて確信する所は是なり、即ち御意にかなふ事を求めば、必ず聽き給ふ。 062 1JO 005 015 かく求むるところ、何事にても聽き給ふと知れば、求めし願を得たる事をも知るなり。 062 1JO 005 016 人もし其の兄弟の死に至らぬ罪を犯すを見ば、神に求むべし。さらば彼に、死に至らぬ罪を犯す人々に生命を與へ給はん。死に至る罪あり、我これに就きて請ふべしと言はず。 062 1JO 005 017 凡ての不義は罪なり、されど死に至らぬ罪あり。 062 1JO 005 018 凡て神より生れたる者の罪を犯さぬことを我らは知る。神より生れ給ひし者、これを守りたまふ故に、惡しきもの觸るる事をせざるなり。 062 1JO 005 019 我らは神より出で、全世界は惡しき者に屬するを我らは知る。 062 1JO 005 020 また神の子すでに來りて我らに眞の者を知る知識を賜ひしを我らは知る。而して我らは眞の者に居り、その子イエス・キリストに居るなり、彼は眞の神にして永遠の生命なり。 062 1JO 005 021 若子よ、自ら守りて偶像に遠ざかれ。 # # BOOK 063 2JO 2 John ヨハネの手紙第二 063 2JO 001 001 長老、書を選ばれたる婦人および其の子供に贈る。われ眞をもて汝らを愛す。啻に我のみならず、凡て眞理を知る者はみな汝らを愛す。 063 2JO 001 002 これは我らの衷に止りて永遠に偕にあらんとする眞理に因りてなり。 063 2JO 001 003 父なる神および父の子イエス・キリストより賜ふ恩惠と憐憫と平安とは、眞と愛との中にて我らと偕にあらん。 063 2JO 001 004 われ汝の子供のうちに、我らが父より誡命を受けし如く、眞理に循ひて歩む者あるを見て甚だ喜べり。 063 2JO 001 005 婦人よ、われ今なんぢに願ふは、我らが互に相 愛すべき事なり。これは新しき誡命を書き贈るにあらず、我らが初より有てる誡命なり。 063 2JO 001 006 彼の誡命に循ひて歩むは即ち愛なり、汝らが初より聞きしごとく、愛に歩むは即ち誡命なり。 063 2JO 001 007 人を惑すもの多く世にいで、イエス・キリストの肉體にて來り給ひしことを言ひ表さず、かかる者は人を惑す者にして、非キリストなり。 063 2JO 001 008 なんぢら我らが働きし所を空しくせず、滿ち足れる報を得んために自ら心せよ。 063 2JO 001 009 凡そキリストの教に居らずして、之を越えゆく者は神を有たず、キリストの教にをる者は父と子とを有つなり。 063 2JO 001 010 人もし此の教を有たずして汝らに來らば、之を家に入るな、安かれと言ふな。 063 2JO 001 011 之に安かれと言ふ者は、その惡しき行爲に與するなり。 063 2JO 001 012 我なほ汝らに書き贈ること多くあれど、紙と墨とにてするを好まず、我らの歡喜を充さんために汝 等にいたり、顏をあわせて語らんことを望む。 063 2JO 001 013 選ばれたる汝の姉妹の子供、なんぢに安否を問ふ。 # # BOOK 064 3JO 3 John ヨハネの手紙第三 064 3JO 001 001 長老、書を愛するガイオ、わが眞をもて愛する者に贈る。 064 3JO 001 002 愛する者よ、我なんぢが靈魂の榮ゆるごとく汝すべての事に榮え、かつ健かならんことを祈る。 064 3JO 001 003 兄弟たち來りて汝が眞理を保つこと、即ち眞理に循ひて歩むことを證したれば、われ甚だ喜べり。 064 3JO 001 004 我には我が子供の、眞理に循ひて歩むことを聞くより大なる喜悦はなし。 064 3JO 001 005 愛する者よ、なんぢ旅人なる兄弟たちにまで行ふ所みな忠實をもて爲せり。 064 3JO 001 006 かれら教會の前にて汝の愛につきて證せり。なんぢ神の御意に適ふやうに彼らを見 送らば、その行ふところ善からん。 064 3JO 001 007 彼らは異邦人より何をも受けずして御名のために旅立せり。 064 3JO 001 008 されば斯かる人を助くべきなり、我らも彼らと共に眞理のために働く者とならん爲なり。 064 3JO 001 009 われ曩に聊か教會に書きおくれり。然れど彼らの中に長たらんと欲するデオテレペス我らを受けず。 064 3JO 001 010 この故に我もし往かば、その行へる業を思ひ出させん。彼は惡しき言をもて我らを罵り、なほ足れりとせずして自ら兄弟たちを接けず、之を接けんとする者をも拒みて教會より逐ひ出す。 064 3JO 001 011 愛する者よ、惡に效ふな、善にならへ。善をおこなふ者は神より出で、惡をおこなふ者は未だ神を見ざるなり。 064 3JO 001 012 デメテリオは凡ての人にも眞理にも證せらる。我等もまた證す、なんぢ我らの證の眞なるを知る。 064 3JO 001 013 我なほ汝に書き贈ること多くあれど、墨と筆とにてするを欲せず、 064 3JO 001 014 速かに汝を見、たがひに顏をあはせて語らんことを望む。 汝に平安あれ、朋友たち安否を問ふ。なんぢ名をさして友たちに安否を問へ。 # # BOOK 065 JUD Jude ユダの手紙 065 JUD 001 001 イエス・キリストの僕にしてヤコブの兄弟なるユダ、書を召されたる者、すなはち父なる神に愛せられ、イエス・キリストの爲に守らるる者に贈る。 065 JUD 001 002 願はくは憐憫と平安と愛と、なんぢらに増さんことを。 065 JUD 001 003 愛する者よ、われ我らが共に與る救につき勵みて汝らに書き贈らんとせしが、聖徒の一たび傳へられたる信仰のために戰はんことを勸むる書を、汝らに贈るを必要と思へり。 065 JUD 001 004 そは敬虔ならずして我らの神の恩惠を好色に易へ、唯一の主なる我らの主イエス・キリストを否むものども潜り入りたればなり。彼らが此の審判を受くべきことは昔より預じめ録されたり。 065 JUD 001 005 汝らは固より凡ての事を知れど、我さらに汝 等をして思ひ出さしめんとする事あり、即ち主エジプトの地より民を救ひ出して、後に信ぜぬ者を亡し給へり。 065 JUD 001 006 又おのが位を保たずして己が居所を離れたる御使を、大なる日の審判まで、闇黒のうちに長久の繩目をもて看守し給へり。 065 JUD 001 007 ソドム、ゴモラ及びその周圍の町々も亦これと同じく、淫行に耽り、背倫の肉 慾に走り、永遠の火の刑罰をうけて鑑とせられたり。 065 JUD 001 008 かくの如くかの夢 見る者どもも肉を汚し、權威ある者を輕んじ、尊き者を罵る。 065 JUD 001 009 御使の長ミカエル惡魔と論じてモーセの屍體を爭ひし時に、敢へて罵りて審かず、唯『ねがはくは主なんぢを戒め給はんことを』と云へり。 065 JUD 001 010 されど此の人々は知らぬことを罵り、無知の獸のごとく、自然に知る所によりて亡ぶるなり。 065 JUD 001 011 禍害なるかな、彼らはカインの道にゆき、利のためにバラムの迷に走り、またコラの如き謀反によりて亡びたり。 065 JUD 001 012 彼らは汝らと共に宴席に與り、その愛餐の暗礁たり、憚らずして自己をやしなふ牧者、風に逐はるる水なき雲、枯れて又かれ、根より拔かれたる果なき秋の木、 065 JUD 001 013 おのが恥を湧き出す海のあらき波、さまよふ星なり。彼らの爲に暗き闇、とこしへに蓄へ置かれたり。 065 JUD 001 014 アダムより七代に當るエノク彼らに就きて預言せり。曰く『視よ、主はその聖なる千萬の衆を率ゐて來りたまへり。 065 JUD 001 015 これ凡ての人の審判をなし、すべて敬虔ならぬ者の不 敬虔を行ひたる不 敬虔の凡ての業と、敬虔ならぬ罪人の、主に逆ひて語りたる凡ての甚だしき言とを責め給はんとてなり』 065 JUD 001 016 彼らは呟くもの、不滿をならす者にして、おのが慾に隨ひて歩み、口に誇をかたり、利のために人に諂ふなり。 065 JUD 001 017 愛する者よ、汝らは我らの主イエス・キリストの使徒たちの預じめ言ひし言を憶えよ。 065 JUD 001 018 即ち汝らに曰らく『末の時に嘲る者おこり、己が不 敬虔なる慾に隨ひて歩まん』と。 065 JUD 001 019 彼らは分裂をなし、情 慾に屬し、御靈を有たぬ者なり。 065 JUD 001 020 されど愛する者よ、なんぢらは己がいと潔き信仰の上に徳を建て、聖 靈によりて祈り、 065 JUD 001 021 神の愛のうちに己をまもり、永遠の生命を得るまで我らの主イエス・キリストの憐憫を待て。 065 JUD 001 022 また彼らの中なる疑ふ者をあはれみ、 065 JUD 001 023 或 者を火より取出して救ひ、或 者をその肉に汚れたる下衣をも厭ひ、かつ懼れつつ憐め。 065 JUD 001 024 願はくは汝らを守りて躓かしめず、瑕なくして榮光の御前に歡喜をもて立つことを得しめ給ふ者、 065 JUD 001 025 即ち我らの救主なる唯一の神に、榮光・稜威・權力・權威、われらの主イエス・キリストに由りて、萬 世の前にも今も萬 世までも在らんことを、アァメン # # BOOK 066 REV Revelation ヨハネの黙示録 066 REV 001 001 これイエス・キリストの默示なり。即ち、かならず速かに起るべき事を、その僕どもに顯させんとて、神の彼に與へしものなるを、彼その使を僕ヨハネに遣して示し給へるなり。 066 REV 001 002 ヨハネは神の言とイエス・キリストの證とに就きて、その見しところを悉とく證せり。 066 REV 001 003 此の預言の言を讀む者と之を聽きて其の中に録されたることを守る者どもとは幸福なり、時 近ければなり。 066 REV 001 004 ヨハネ書をアジヤに在る七つの教會に贈る。願はくは今 在し、昔 在し、後 來りたまふ者、および其の御座の前にある七つの靈、 066 REV 001 005 また忠實なる證人、死人の中より最先に生れ給ひしもの、地の諸 王の君なるイエス・キリストより賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。願はくは我らを愛し、その血をもて我らを罪より解放ち、 066 REV 001 006 われらを其の父なる神のために國民となし祭司となし給へる者に、世々 限りなく榮光と權力とあらんことを、アァメン。 066 REV 001 007 視よ、彼は雲の中にありて來りたまふ、諸衆の目、殊に彼を刺したる者これを見ん、かつ地上の諸族みな彼の故に歎かん、然り、アァメン。 066 REV 001 008 今いまし、昔いまし、後きたり給ふ主なる全能の神いひ給ふ『我はアルパなり、オメガなり』 066 REV 001 009 汝らの兄弟にして汝らと共にイエスの艱難と國と忍耐とに與る我ヨハネ、神の言とイエスの證との爲にパトモスといふ島に在りき。 066 REV 001 010 われ主日に御靈に感じゐたるに、我が後にラッパのごとき大なる聲を聞けり。 066 REV 001 011 曰く『なんぢの見る所のことを書に録して、エペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、ヒラデルヒヤ、ラオデキヤに在る七つの教會に贈れ』 066 REV 001 012 われ振反りて我に語る聲を見んとし、振反り見れば七つの金の燈臺あり。 066 REV 001 013 また燈臺の間に人の子のごとき者ありて、足まで垂るる衣を著、胸に金の帶を束ね、 066 REV 001 014 その頭と頭髮とは白き毛のごとく雪のごとく白く、その目は焔のごとく、 066 REV 001 015 その足は爐にて燒きたる輝ける眞鍮のごとく、その聲は衆の水の聲のごとし。 066 REV 001 016 その右の手に七つの星を持ち、その口より兩刃の利き劍いで、その顏は烈しく照る日のごとし。 066 REV 001 017 我これを見しとき其の足下に倒れて死にたる者の如くなれり。彼その右の手を我に按きて言ひたまふ『懼るな、我は最先なり、最後なり、 066 REV 001 018 活ける者なり、われ曾て死にたりしが、視よ、世々 限りなく生く。また死と陰府との鍵を有てり。 066 REV 001 019 されば汝が見しことと今あることと、後に成らんとする事とを録せ、 066 REV 001 020 即ち汝が見しところの我が右の手にある七つの星と七つの金の燈臺との奧義なり。七つの星は七つの教會の使にして、七つの燈臺は七つの教會なり。 066 REV 002 001 エペソに在る教會の使に書きおくれ。「右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燈臺の間に歩むもの斯く言ふ、 066 REV 002 002 われ汝の行爲と勞と忍耐とを知る。また汝が惡しき者を忍び得ざることと、自ら使徒と稱へて使徒にあらぬ者どもを試みて、その虚僞なるを見あらはししこととを知る。 066 REV 002 003 なんぢは忍耐を保ち、我が名のために忍びて倦まざりき。 066 REV 002 004 されど我なんぢに責むべき所あり、なんぢは初の愛を離れたり。 066 REV 002 005 さればなんぢ何處より墜ちしかを思へ、悔改めて初の行爲をなせ、然らずして若し悔改めずば、我なんぢに到り汝の燈臺を、その處より取除かん。 066 REV 002 006 されど汝に取るべき所あり、汝はニコライ宗の行爲を憎む、我も之を憎むなり。 066 REV 002 007 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし、勝を得る者には、われ神のパラダイスに在る生命の樹の實を食ふことを許さん」 066 REV 002 008 スミルナに在る教會の使に書きおくれ。「最先にして最後なる者、死人となりて復 生きし者かく言ふ。 066 REV 002 009 われ汝の艱難と貧窮とを知る――されど汝は富める者なり。我はまた自らユダヤ人と稱へてユダヤ人にあらず、サタンの會に屬く者より汝が譏を受くるを知る。 066 REV 002 010 なんぢ受けんとする苦難を懼るな、視よ、惡魔なんぢらを試みんとて、汝らの中の或 者を獄に入れんとす。汝ら十日のあひだ患難を受けん、なんぢ死に至るまで忠實なれ、然らば我なんぢに生命の冠冕を與へん。 066 REV 002 011 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし。勝を得るものは第二の死に害はるることなし」 066 REV 002 012 ペルガモに在る教會の使に書きおくれ。「兩刃の利き劍を持つもの斯く言ふ、 066 REV 002 013 われ汝の住むところを知る、彼處にはサタンの座位あり、汝わが名を保ち、わが忠實なる證人アンテパスが、汝 等のうち即ちサタンの住む所にて殺されし時も、なほ我を信ずる信仰を棄てざりき。 066 REV 002 014 されど我なんぢに責むべき一二の事あり、汝の中にバラムの教を保つ者どもあり、バラムはバラクに教へ、彼をしてイスラエルの子孫の前に躓物を置かしめ、偶像に献げし物を食はせ、かつ淫行をなさしめたり。 066 REV 002 015 斯くのごとく汝らの中にもニコライ宗の教を保つ者あり。 066 REV 002 016 さらば悔改めよ、然らずば我すみやかに汝に到り、わが口の劍にて彼らと戰はん。 066 REV 002 017 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし、勝を得る者には我かくれたるマナを與へん、また受くる者の外たれも知らざる新しき名を録したる白き石を與へん」 066 REV 002 018 テアテラに在る教會の使に書きおくれ。「目は焔のごとく、足は輝ける眞鍮の如くなる神の子かく言ふ、 066 REV 002 019 われ汝の行爲および汝の愛と信仰と職と忍耐とを知る、又なんぢの初の行爲よりは後の行爲の多きことを知る。 066 REV 002 020 されど我なんぢに責むべき所あり、汝はかの自ら預言者と稱へて我が僕を教へ惑し、淫行をなさしめ、偶像に献げし物を食はしむる女イゼベルを容れおけり。 066 REV 002 021 我かれに悔改むる機を與ふれど、その淫行を悔改むることを欲せず。 066 REV 002 022 視よ、我かれを牀に投げ入れん、又かれと共に姦淫を行ふ者も、その行爲を悔改めずば、大なる患難に投げ入れん。 066 REV 002 023 又かれの子供を打ち殺さん、斯くてもろもろの教會は、わが人の腎と心とを究むる者なるを知るべし、我は汝 等おのおのの行爲に隨ひて報いん。 066 REV 002 024 我この他のテアテラの人にして未だかの教を受けず、所謂サタンの深きところを知らぬ汝らに斯くいふ、我ほかの重を汝らに負はせじ。 066 REV 002 025 ただ汝 等はその有つところを我が到らん時まで保て。 066 REV 002 026 勝を得て終に至るまで我が命ぜしことを守る者には、諸國の民を治むる權威を與へん。 066 REV 002 027 彼は鐵の杖をもて之を治め、土の器を碎くが如くならん、我が父より我が受けたる權威のごとし。 066 REV 002 028 我また彼に曙の明星を與へん。 066 REV 002 029 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし」 066 REV 003 001 サルデスに在る教會の使に書きおくれ。「神の七つの靈と七つの星とを持つ者かく言ふ、われ汝の行爲を知る、汝は生くる名あれど死にたる者なり。 066 REV 003 002 なんぢ目を覺し、殆ど死なんとする殘のものを堅うせよ、我なんぢの行爲のわが神の前に全からぬを見とめたり。 066 REV 003 003 されば汝の如何に受けしか、如何に聽きしかを思ひいで、之を守りて悔改めよ。もし目を覺さずば、盜人のごとく我きたらん、汝わが何れの時きたるかを知らざるべし。 066 REV 003 004 されどサルデスにて衣を汚さぬもの數名あり、彼らは白き衣を著て我とともに歩まん、斯くするに相應しき者なればなり。 066 REV 003 005 勝を得る者は斯くのごとく白き衣を著せられん、我その名を生命の書より消し落さず、我が父のまへと御使の前とにてその名を言ひあらはさん。 066 REV 003 006 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし」 066 REV 003 007 ヒラデルヒヤにある教會の使に書きおくれ。「聖なるもの眞なる者、ダビデの鍵を持ちて、開けば閉づる者なく、閉づれば開く者なき者かく言ふ、 066 REV 003 008 われ汝の行爲を知る、視よ、我なんぢの前に開けたる門を置く、これを閉ぢ得る者なし。汝すこしの力ありて、我が言を守り、我が名を否まざりき。 066 REV 003 009 視よ、我サタンの會、すなはち自らユダヤ人と稱へてユダヤ人にあらず、ただ虚僞をいふ者の中より、或 者をして汝の足下に來り拜せしめ、わが汝を愛せしことを知らしめん。 066 REV 003 010 汝わが忍耐の言を守りし故に、我なんぢを守りて、地に住む者どもを試むるために全世界に來らんとする試錬のときに免れしめん。 066 REV 003 011 われ速かに來らん、汝の有つものを守りて、汝の冠冕を人に奪はれざれ。 066 REV 003 012 われ勝を得る者を我が神の聖所の柱とせん、彼は再び外に出でざるべし、又かれの上に、わが神の名および我が神の都、すなはち天より我が神より降る新しきエルサレムの名と、我が新しき名とを書き記さん。 066 REV 003 013 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし」 066 REV 003 014 ラオデキヤに在る教會の使に書きおくれ。「アァメンたる者、忠實なる眞なる證人、神の造り給ふものの本源たる者かく言ふ、 066 REV 003 015 われ汝の行爲を知る、なんぢは冷かにもあらず熱きにもあらず、我はむしろ汝が冷かならんか、熱からんかを願ふ。 066 REV 003 016 かく熱きにもあらず、冷かにもあらず、ただ微温きが故に、我なんぢを我が口より吐き出さん。 066 REV 003 017 なんぢ、我は富めり、豐なり、乏しき所なしと言ひて、己が惱める者・憐むべき者・貧しき者・盲目なる者・裸なる者たるを知らざれば、 066 REV 003 018 我なんぢに勸む、なんぢ我より火にて煉りたる金を買ひて富め、白き衣を買ひて身に纏ひ、なんぢの裸體の恥を露さざれ、眼藥を買ひて汝の目に塗り、見ることを得よ。 066 REV 003 019 凡てわが愛する者は、我これを戒め之を懲す。この故に、なんぢ勵みて悔改めよ。 066 REV 003 020 視よ、われ戸の外に立ちて叩く、人もし我が聲を聞きて戸を開かば、我その内に入りて彼とともに食し、彼もまた我とともに食せん。 066 REV 003 021 勝を得る者には我とともに我が座位に坐することを許さん、我の勝を得しとき、我が父とともに其の御座に坐したるが如し。 066 REV 003 022 耳ある者は御靈の諸 教會に言ひ給ふことを聽くべし」』 066 REV 004 001 この後われ見しに、視よ、天に開けたる門あり。初に我に語るを聞きしラッパのごとき聲いふ『ここに登れ、我この後おこるべき事を汝に示さん』 066 REV 004 002 直ちに、われ御靈に感ぜしが、視よ、天に御座 設けあり。 066 REV 004 003 その御座に坐したまふ者あり、その坐し給ふものの状は碧玉・赤瑪瑙のごとく、かつ御座の周圍には緑玉のごとき虹ありき。 066 REV 004 004 また御座のまはりに二十四の座位ありて、二十四人の長老、白き衣を纏ひ、首に金の冠冕を戴きて、その座位に坐せり。 066 REV 004 005 御座より數多の電光と聲と雷霆と出づ。また御座の前に燃えたる七つの燈火あり、これ神の七つの靈なり。 066 REV 004 006 御座のまへに水晶に似たる玻璃の海あり。御座の中央と御座の周圍とに四つの活物ありて、前も後も數々の目にて滿ちたり。 066 REV 004 007 第一の活物は獅子のごとく、第二の活物は牛のごとく、第三の活物は面のかたち人のごとく、第四の活物は飛ぶ鷲のごとし。 066 REV 004 008 この四つの活物おのおの六つの翼あり、翼の内も外も數々の目にて滿ちたり、日も夜も絶間なく言ふ、『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、昔いまし、今いまし、のち來りたまふ主たる全能の神』 066 REV 004 009 この活物ら御座に坐し、世々 限りなく活きたまふ者に榮光と尊崇とを歸し、感謝する時、 066 REV 004 010 二十四人の長老、御座に坐したまふ者のまへに伏し、世々 限りなく活きたまふ者を拜し、おのれの冠冕を御座のまへに投げ出して言ふ、 066 REV 004 011 『我らの主なる神よ、榮光と尊崇と能力とを受け給ふは宜なり。汝は萬物を造りたまひ、萬物は御意によりて存し、かつ造られたり』 066 REV 005 001 我また御座に坐し給ふ者の右の手に、卷 物のあるを見たり、その裏表に文字あり、七つの印をもて封ぜらる。 066 REV 005 002 また大聲に『卷 物を開きてその封印を解くに相應しき者は誰ぞ』と呼はる強き御使を見たり。 066 REV 005 003 然るに天にも地にも、地の下にも、卷 物を開きて之を見 得る者なかりき。 066 REV 005 004 卷 物を開き、これを見るに相應しき者の見えざりしに因りて、我いたく泣きゐたりしに、 066 REV 005 005 長老の一人われに言ふ『泣くな、視よ、ユダの族の獅子・ダビデの萠蘗、すでに勝を得て卷 物とその七つの封印とを開き得るなり』 066 REV 005 006 我また御座および四つの活物と長老たちとの間に、屠られたるが如き羔羊の立てるを見たり、之に七つの角と七つの目とあり、この目は全世界に遣されたる神の七つの靈なり。 066 REV 005 007 かれ來りて御座に坐したまふ者の右の手より卷 物を受けたり。 066 REV 005 008 卷 物を受けたるとき、四つの活物および二十四人の長老、おのおの立琴と香の滿ちたる金の鉢とをもちて、羔羊の前に平伏せり、此の香は聖徒の祈祷なり。 066 REV 005 009 かくて新しき歌を謳ひて言ふ『なんぢは卷 物を受け、その封印を解くに相應しきなり、汝は屠られ、その血をもて諸種の族・國語・民・國の中より人々を神のために買ひ、 066 REV 005 010 之を我らの神のために國民となし、祭司となし給へばなり。彼らは地の上に王となるべし』 066 REV 005 011 我また見しに、御座と活物と長老たちとの周圍にをる多くの御使の聲を聞けり。その數、千々萬々にして、 066 REV 005 012 大聲にいふ『屠られ給ひし羔羊こそ、能力と富と知慧と、勢威と尊崇と、榮光と讃美とを受くるに相應しけれ』 066 REV 005 013 我また天に、地に、地の下に、海にある萬の造られたる物、また凡てその中にある物の云へるを聞けり。曰く『願はくは御座に坐し給ふものと羔羊とに、讃美と尊崇と榮光と權力と世々 限りなくあらん事を』 066 REV 005 014 四つの活物はアァメンと言ひ、長老たちは平伏して拜せり。 066 REV 006 001 羔羊その七つの封印の一つを解き給ひし時、われ見しに、四つの活物の一つが雷霆のごとき聲して『來れ』と言ふを聞けり。 066 REV 006 002 また見しに、視よ、白き馬あり、之に乘るもの弓を持ち、かつ冠冕を與へられ、勝ちて復 勝たんとて出でゆけり。 066 REV 006 003 第二の封印を解き給ひたれば、第二の活物の『來れ』と言ふを聞けり。 066 REV 006 004 かくて赤き馬いで來り、これに乘るもの地より平和を奪ひ取ることと、人をして互に殺さしむる事とを許され、また大なる劍を與へられたり。 066 REV 006 005 第三の封印を解き給ひたれば、第三の活物の『來れ』と言ふを聞けり。われ見しに、視よ、黒き馬あり、之に乘るもの手に權衝を持てり。 066 REV 006 006 かくてわれ四つの活物の間より出づるごとき聲を聞けり。曰く『小麥 五合は一デナリ、大麥 一升 五合は一デナリなり、油と葡萄酒とを害ふな』 066 REV 006 007 第四の封印を解き給ひたれば、第四の活物の『來れ』と言ふを聞けり。 066 REV 006 008 われ見しに、視よ、青ざめたる馬あり、之に乘る者の名を死といひ、陰府これに隨ふ。かれらは地の四 分の一を支配し、劍と饑饉と死と地の獸とをもて人を殺すことを許されたり。 066 REV 006 009 第五の封印を解き給ひたれば、曾て神の言のため、又その立てし證のために殺されし者の靈魂の祭壇の下に在るを見たり。 066 REV 006 010 彼ら大聲に呼はりて言ふ『聖にして眞なる主よ、何時まで審かずして地に住む者に我らの血の復讐をなし給はぬか』 066 REV 006 011 ここにおのおの白き衣を與へられ、かつ己 等のごとく殺されんとする同じ僕たる者と兄弟との數の滿つるまで、なほ暫く安んじて待つべきを言ひ聞けられたり。 066 REV 006 012 第六の封印を解き給ひし時、われ見しに、大なる地震ありて日は荒き毛 布のごとく黒く、月は全面 血の如くなり、 066 REV 006 013 天の星は無花果の樹の大風に搖られて、生り後の果の落つるごとく地におち、 066 REV 006 014 天は卷 物を卷くごとく去りゆき、山と島とは悉とくその處を移されたり。 066 REV 006 015 地の王たち・大臣・將校・富める者・強き者・奴隷・自主の人、みな洞と山の巖間とに匿れ、 066 REV 006 016 山と巖とに對ひて言ふ『請ふ、我らの上に墜ちて御座に坐したまふ者の御顏より、羔羊の怒より、我らを隱せ。 066 REV 006 017 そは御怒の大なる日 既に來ればなり。誰か立つことを得ん』 066 REV 007 001 この後、われ四人の御使の地の四隅に立つを見たり、彼らは地の四方の風を引止めて、地にも海にも諸種の樹にも風を吹かせざりき。 066 REV 007 002 また他の一人の御使の、活ける神の印を持ちて日の出づる方より登るを見たり、かれ地と海とを害ふ權を與へられたる四人の御使にむかひ、大聲に呼はりて言ふ、 066 REV 007 003 『われらが我らの神の僕の額に印するまでは、地をも海をも樹をも害ふな』 066 REV 007 004 われ印せられたる者の數を聽きしに、イスラエルの子 等のもろもろの族の中にて印せられたるもの合せて十四萬 四千あり。 066 REV 007 005 ユダの族の中にて一萬 二千 印せられ、ルベンの族の中にて一萬 二千、ガドの族の中にて一萬 二千、 066 REV 007 006 アセルの族の中にて一萬 二千、ナフタリの族の中にて一萬 二千、マナセの族の中にて一萬 二千、 066 REV 007 007 シメオンの族の中にて一萬 二千、レビの族の中にて一萬 二千、イサカルの族の中にて一萬 二千、 066 REV 007 008 ゼブルンの族の中にて一萬 二千、ヨセフの族の中にて一萬 二千、ベニヤミンの族の中にて一萬 二千 印せられたり。 066 REV 007 009 この後われ見しに、視よ、もろもろの國・族・民・國語の中より、誰も數へつくすこと能はぬ大なる群衆、しろき衣を纏ひて手に棕梠の葉をもち、御座と羔羊との前に立ち、 066 REV 007 010 大聲に呼はりて言ふ『救は御座に坐したまふ我らの神と羔羊とにこそ在れ』 066 REV 007 011 御使みな御座および長老たちと四つの活物との周圍に立ちて、御座の前に平伏し神を拜して言ふ、 066 REV 007 012 『アァメン、讃美・榮光・知慧・感謝・尊貴・能力・勢威、世々 限りなく我らの神にあれ、アァメン』 066 REV 007 013 長老たちの一人われに向ひて言ふ『この白き衣を著たるは如何なる者にして何處より來りしか』 066 REV 007 014 我いふ『わが主よ、なんぢ知れり』かれ言ふ『かれらは大なる患難より出できたり、羔羊の血に己が衣を洗ひて白くしたる者なり。 066 REV 007 015 この故に神の御座の前にありて、晝も夜もその聖所にて神に事ふ。御座に坐したまふ者は彼らの上に幕屋を張り給ふべし。 066 REV 007 016 彼らは重ねて飢ゑず、重ねて渇かず、日も熱も彼らを侵すことなし。 066 REV 007 017 御座の前にいます羔羊は、彼らを牧して生命の水の泉にみちびき、神は彼らの目より凡ての涙を拭ひ給ふべければなり』 066 REV 008 001 第七の封印を解き給ひたれば、凡そ半時のあひだ天 靜なりき。 066 REV 008 002 われ神の前に立てる七人の御使を見たり、彼らは七つのラッパを與へられたり。 066 REV 008 003 また他の一人の御使、金の香爐を持ちきたりて祭壇の前に立ち、多くの香を與へられたり。これは凡ての聖徒の祈に加へて、御座の前なる金の香壇の上に献げんためなり。 066 REV 008 004 而して香の煙、御使の手より聖徒たちの祈とともに神の前に上れり。 066 REV 008 005 御使その香爐をとり、之に祭壇の火を盛りて地に投げたれば、數多の雷霆と聲と電光と、また地震おこれり。 066 REV 008 006 ここに七つのラッパをもてる七人の御使これを吹く備をなせり。 066 REV 008 007 第一の御使ラッパを吹きしに、血の混りたる雹と火とありて、地にふりくだり、地の三分の一 燒け失せ、樹の三分の一 燒け失せ、もろもろの青 草 燒け失せたり。 066 REV 008 008 第二の御使ラッパを吹きしに、火にて燃ゆる大なる山の如きもの海に投げ入れられ、海の三分の一 血に變じ、 066 REV 008 009 海の中の造られたる生命あるものの三分の一 死に、船の三分の一 滅びたり。 066 REV 008 010 第三の御使ラッパを吹きしに、燈火のごとく燃ゆる大なる星、天より隕ちきたり、川の三分の一と水の源泉との上におちたり。 066 REV 008 011 この星の名は苦艾といふ。水の三分の一は苦艾となり、水の苦くなりしに因りて多くの人 死にたり。 066 REV 008 012 第四の御使ラッパを吹きしに、日の三分の一と月の三分の一と星の三分の一と撃たれて、その三分の一は暗くなり、晝も三分の一は光なく、夜も亦おなじ。 066 REV 008 013 また見しに、一つの鷲の中空を飛び、大なる聲して言ふを聞けり。曰く『地に住める者どもは禍害なるかな、禍害なるかな、禍害なるかな、尚ほかに三人の御使の吹かんとするラッパの聲あるに因りてなり』 066 REV 009 001 第五の御使ラッパを吹きしに、われ一つの星の天より地に隕ちたるを見たり。この星は底なき坑の鍵を與へられたり。 066 REV 009 002 かくて底なき坑を開きたれば、大なる爐の煙のごとき煙、坑より立ちのぼり、日も空も坑の煙にて暗くなれり。 066 REV 009 003 煙の中より蝗 地上に出でて、地の蝎のもてる力のごとき力を與へられ、 066 REV 009 004 地の草すべての青きもの又すべての樹を害ふことなく、ただ額に神の印なき人をのみ害ふことを命ぜられたり。 066 REV 009 005 されど彼らを殺すことを許されず、五月のあひだ苦しむることを許さる、その苦痛は、蝎に刺されたる苦痛のごとし。 066 REV 009 006 このとき人々、死を求むとも見出さず、死なんと欲すとも死は逃げ去るべし。 066 REV 009 007 かの蝗の形は戰爭の爲に具へたる馬のごとく、頭には金に似たる冠冕の如きものあり、顏は人の顏のごとく、 066 REV 009 008 之に女の頭髮のごとき頭髮あり、齒は獅子の齒のごとし。 066 REV 009 009 また鐵の胸當のごとき胸當あり、その翼の音は軍車の轟くごとく、多くの馬の戰鬪に馳せゆくが如し。 066 REV 009 010 また蝎のごとき尾ありて之に刺あり、この尾に五月のあひだ人を害ふ力あり。 066 REV 009 011 この蝗に王あり。底なき所の使にして、名をヘブル語にてアバドンと云ひ、ギリシヤ語にてアポルオンと云ふ。 066 REV 009 012 第一の禍害すぎ去れり、視よ、此の後なほ二つの禍害きたらん。 066 REV 009 013 第六の御使ラッパを吹きしに、神の前なる金の香壇の四つの角より聲ありて、 066 REV 009 014 ラッパを持てる第六の御使に『大なるユウフラテ川の邊に繋がれをる四人の御使を解放て』と言ふを聞けり。 066 REV 009 015 かくてその時その日その月その年に至りて、人の三分の一を殺さん爲に備へられたる四人の御使は解放たれたり。 066 REV 009 016 騎兵の數は二億なり、我その數を聞けり。 066 REV 009 017 われ幻影にてその馬と之に乘る者とを見しに、彼らは火・煙・硫黄の色したる胸當を著く。馬の頭は獅子の頭のごとくにて、その口よりは火と煙と硫黄と出づ。 066 REV 009 018 この三つの苦痛、すなはち其の口より出づる火と煙と硫黄とに因りて、人の三分の一 殺されたり。 066 REV 009 019 馬の力はその口とその尾とにあり、その尾は蛇の如くにして頭あり、之をもて人を害ふなり。 066 REV 009 020 これらの苦痛にて殺されざりし殘の人々は、おのが手の業を悔改めずして、なほ惡鬼を拜し、見ること聞くこと歩むこと能はぬ、金・銀・銅・石・木の偶像を拜せり、 066 REV 009 021 又その殺人・咒術・淫行・竊盜を悔改めざりき。 066 REV 010 001 我また一人の強き御使の、雲を著て天より降るを見たり。その頭の上に虹あり、その顏は日の如く、その足は火の柱のごとし。 066 REV 010 002 その手には展きたる小き卷 物をもち、右の足を海の上におき、左の足を地の上におき、 066 REV 010 003 獅子の吼ゆる如く大聲に呼はれり、呼はりたるとき七つの雷霆おのおの聲を出せり。 066 REV 010 004 七つの雷霆の語りし時、われ書き記さんとせしに、天より聲ありて『七つの雷霆の語りしことは封じて書き記すな』といふを聞けり。 066 REV 010 005 かくて我が見しところの海と地とに跨り立てる御使は、天にむかひて右の手を擧げ、 066 REV 010 006 天および其の中に在るもの、地および其の中にあるもの、海および其の中にある物を造り給ひし、世々 限りなく生きたまふ者を指し、誓ひて言ふ『この後、時は延ぶることなし。 066 REV 010 007 第七の御使の吹かんとするラッパの聲の出づる時に至りて、神の僕なる預言者たちに示し給ひし如く、その奧義は成就せらるべし』 066 REV 010 008 かくて我が前に天より聞きし聲のまた我に語りて『なんぢ往きて、海と地とに跨り立てる御使の手にある展きたる卷 物を取れ』と言ふを聞けり。 066 REV 010 009 われ御使のもとに往きて、小き卷 物を我に與へんことを請ひたれば、彼いふ『これを取りて食ひ盡せ、さらば汝の腹 苦くならん、然れど其の口には蜜のごとく甘からん』 066 REV 010 010 われ御使の手より小き卷 物をとりて食ひ盡したれば、口には蜜のごとく甘かりしが、食ひし後わが腹は苦くなれり。 066 REV 010 011 また或 物われに言ふ『なんぢ再び多くの民・國・國語・王たちに就きて預言すべし』 066 REV 011 001 ここにわれ杖のごとき間竿を與へられたり、かくて或 者いふ『立ちて神の聖所と香壇と其處に拜する者どもとを度れ、 066 REV 011 002 聖所の外の庭は差措きて度るな、これは異邦人に委ねられたり、彼らは四十 二个月のあひだ聖なる都を蹂躙らん。 066 REV 011 003 我わが二人の證人に權を與へん、彼らは荒布を著て千二百 六十日のあひだ預言すべし。 066 REV 011 004 彼らは地の主の御前に立てる二つのオリブの樹、二つの燈臺なり。 066 REV 011 005 もし彼らを害はんとする者あらば、火その口より出でてその敵を焚き盡さん。もし彼らを害はんとする者あらば、必ず斯くのごとく殺さるべし。 066 REV 011 006 彼らは預言するあひだ雨を降らせぬやうに天を閉づる權力あり、また水を血に變らせ、思ふままに幾度にても諸種の苦難をもて地を撃つ權力あり。 066 REV 011 007 彼 等がその證を終へんとき、底なき所より上る獸ありて之と戰鬪をなし、勝ちて之を殺さん。 066 REV 011 008 その屍體は大なる都の衢に遺らん。この都を譬へてソドムと云ひ、エジプトの云ふ、即ち彼らの主もまた十字架に釘けられ給ひし所なり。 066 REV 011 009 もろもろの民・族・國語・國のもの、三日半の間その屍體を見、かつ其の屍體を墓に葬ることを許さざるべし。 066 REV 011 010 地に住む者どもは彼らに就きて喜び樂しみ互に禮物を贈らん、此の二人の預言者は地に住む者を苦しめたればなり』 066 REV 011 011 三日半ののち生命の息、神より出でて彼らに入り、かれら足にて起ちたれば、之を見るもの大に懼れたり。 066 REV 011 012 天より大なる聲して『ここに昇れ』と言ふを彼ら聞きたれば、雲に乘りて天に昇れり、その敵も之を見たり、 066 REV 011 013 このとき大なる地震ありて、都の十分の一は倒れ、地震のために死にしもの七 千 人にして、遺れる者は懼をいだき天の神に榮光を歸したり。 066 REV 011 014 第二の禍害すぎ去れり、視よ、第三の禍害すみやかに來るなり。 066 REV 011 015 第七の御使ラッパを吹きしに、天に數多の大なる聲ありて『この世の國は我らの主および其のキリストの國となれり。彼は世々 限りなく王たらん』と言ふ。 066 REV 011 016 かくて神の前にて座位に坐する二十四人の長老ひれふし神を拜して言ふ、 066 REV 011 017 『今いまし、昔います主たる全能の神よ、なんぢの大なる能力を執りて王と成り給ひしことを感謝す。 066 REV 011 018 諸國の民 怒をいだけり、なんぢの怒も亦いたれり、死にたる者を審き、なんぢの僕なる預言者および聖徒、また小なるも大なるも汝の名を畏るる者に報賞をあたへ、地を亡す者を亡したまふ時いたれり』 066 REV 011 019 斯くて天にある神の聖所ひらけ、聖所のうちに契約の櫃 見え、數多の電光と聲と雷霆と、また地震と大なる雹とありき。 066 REV 012 001 また天に大なる徴 見えたり。日を著たる女ありて、其の足の下に月あり、其の頭に十二の星の冠冕あり。 066 REV 012 002 かれは孕りをりしが、子を産まんとして産みの苦痛と惱とのために叫べり、 066 REV 012 003 また天に他の徴 見えたり。視よ、大なる赤き龍あり、これに七つの頭と十の角とありて、頭には七つの冠冕あり。 066 REV 012 004 その尾は天の星の三分の一を引きて之を地に落せり。龍は子を産まんとする女の前に立ち、産むを待ちて其の子を食ひ盡さんと構へたり。 066 REV 012 005 女は男子を産めり、この子は鐵の杖もて諸種の國人を治めん。かれは神の許に、その御座の下に擧げられたり。 066 REV 012 006 女は荒野に逃げゆけり。彼處に千二百 六十日の間かれが養はるる爲に神の備へ給へる所あり。 066 REV 012 007 かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、 066 REV 012 008 勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。 066 REV 012 009 かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。 066 REV 012 010 我また天に大なる聲ありて『われらの神の救と能力と國と神のキリストの權威とは、今すでに來れり。我らの兄弟を訴へ夜晝われらの神の前に訴ふるもの落されたり。 066 REV 012 011 而して兄弟たちは羔羊の血と己が證の言とによりて勝ち、死に至るまで己が生命を惜まざりき。 066 REV 012 012 この故に天および天に住める者よ、よろこべ、地と海とは禍害なるかな、惡魔おのが時の暫時なるを知り、大なる憤恚をいだきて汝 等のもとに下りたればなり』と云ふを聞けり。 066 REV 012 013 かくて龍はおのが地に落されしを見て、男子を生みし女を責めたりしが、 066 REV 012 014 女は荒野なる己が處に飛ぶために、大なる鷲の兩の翼を與へられたれば、其處にいたり、一年、二年、また半年のあひだ蛇のまへを離れて養はれたり。 066 REV 012 015 蛇はその口より水を川のごとく、女の背後に吐きて之を流さんとしたれど、 066 REV 012 016 地は女を助け、その口を開きて龍の口より吐きたる川を呑み盡せり。 066 REV 012 017 龍は女を怒りてその裔の殘れるもの、即ち神の誡命を守りイエスの證を有てる者に、戰鬪を挑まんとて出でゆき、 海邊の砂の上に立てり。 066 REV 013 001 我また一つの獸の海より上るを見たり。之に十の角と七つの頭とあり、その角に十の冠冕あり、頭の上には神を涜す名あり。 066 REV 013 002 わが見し獸は豹に似て、その足は熊のごとく、その口は獅子の口のごとし。龍はこれに己が能力と己が座位と大なる權威とを與へたり。 066 REV 013 003 我その頭の一つ傷つけられて死ぬばかりなるを見しが、その死ぬべき傷いやされたれば、全地の者これを怪しみて獸に從へり。 066 REV 013 004 また龍おのが權威を獸に與へしによりて、彼ら龍を拜し、且その獸を拜して言ふ『たれか此の獸に等しき者あらん、誰か之と戰ふことを得ん』 066 REV 013 005 獸また大言と涜言とを語る口を與へられ、四十 二个月のあひだ働く權威を與へらる。 066 REV 013 006 彼は口をひらきて神を涜し、又その御名とその幕屋すなはち天に住む者どもとを涜し、 066 REV 013 007 また聖徒に戰鬪を挑みて、之に勝つことを許され、且もろもろの族・民・國語・國を掌どる權威を與へらる。 066 REV 013 008 凡て地に住む者にて、其の名を屠られ給ひし羔羊の生命の書に、世の創より記されざる者は、これを拜せん。 066 REV 013 009 人もし耳あらば聽くべし。 066 REV 013 010 虜にせらるべき者は虜にせられん、劍にて殺す者はおのれも劍にて殺さるべし、聖徒たちの忍耐と信仰とは茲にあり。 066 REV 013 011 我また他の獸の地より上るを見たり。これに羔羊のごとき角 二つありて龍のごとく語り、 066 REV 013 012 先の獸の凡ての權威を彼の前にて行ひ、地と地に住む者とをして死ぬべき傷の醫されたる先の獸を拜せしむ。 066 REV 013 013 また大なる徴をおこなひ、人々の前にて火を天より地に降らせ、 066 REV 013 014 かの獸の前にて行ふことを許されし徴をもて地に住む者どもを惑し、劍にうたれてなほ生ける獸の像を造ることを地に住む者どもに命じたり。 066 REV 013 015 而してその獸の像に息を與へて物 言はしめ、且その獸の像を拜せぬ者をことごとく殺さしむる事を許され、 066 REV 013 016 また凡ての人をして、大小・貧富・自主・奴隷の別なく、或はその右の手、あるいは其の額に徽章を受けしむ。 066 REV 013 017 この徽章を有たぬ凡ての者に賣買することを得ざらしめたり。その徽章は獸の名、もしくは其の名の數字なり。 066 REV 013 018 智慧は茲にあり、心ある者は獸の數字を算へよ。獸の數字は人の數字にして、その數字は六 百 六十 六なり。 066 REV 014 001 われ見しに、視よ、羔羊シオンの山に立ちたまふ。十四萬 四千の人これと偕に居り、その額には羔羊の名および羔羊の父の名 記しあり。 066 REV 014 002 われ天よりの聲を聞けり、多くの水の音のごとく、大なる雷霆の聲のごとし。わが聞きし此の聲は彈琴者の立琴を彈く音のごとし。 066 REV 014 003 かれら新しき歌を御座の前および四つの活物と長老たちとの前にて歌ふ。この歌は地より贖はれたる十四萬 四千 人の他は誰も學びうる者なかりき。 066 REV 014 004 彼らは女に汚されぬ者なり、潔き者なり、何處にまれ羔羊の往き給ふところに隨ふ。彼らは人の中より贖はれて神と羔羊とのために初穗となれり。 066 REV 014 005 その口に虚僞なし、彼らは瑕なき者なり。 066 REV 014 006 我また他の御使の中空を飛ぶを見たり。かれは地に住むもの、即ちもろもろの國・族・國語・民に宣傳へんとて、永遠の福音を携へ、 066 REV 014 007 大聲にて言ふ『なんぢら神を畏れ、神に榮光を歸せよ。その審判のとき既に至りたればなり。汝ら天と地と海と水の源泉とを造り給ひし者を拜せよ』 066 REV 014 008 ほかの第二の御使、かれに從ひて言ふ『倒れたり、倒れたり。大なるバビロン、己が淫行より出づる憤恚の葡萄酒をもろもろの國人に飮ませし者』 066 REV 014 009 ほかの第三の御使、かれらに從ひ大聲にて言ふ『もし獸とその像とを拜し、且その額あるいは手に徽章を受くる者あらば、 066 REV 014 010 必ず神の怒の酒杯に盛りたる混りなき憤恚の葡萄酒を飮み、かつ聖なる御使たち及び羔羊の前にて、火と硫黄とにて苦しめらるべし。 066 REV 014 011 その苦痛の煙は世々 限りなく立ち昇りて、獸とその像とを拜する者、また其の名の徽章を受けし者は、夜も晝も休息を得ざらん。 066 REV 014 012 神の誡命とイエスを信ずる信仰とを守る聖徒の忍耐は茲にあり』 066 REV 014 013 我また天より聲ありて『書き記せ「今よりのち主にありて死ぬる死人は幸福なり」御靈も言ひたまふ「然り、彼 等はその勞役を止めて息まん。その業これに隨ふなり」』と言ふを聞けり。 066 REV 014 014 また見しに、視よ、白き雲あり、その雲の上に人の子の如きもの坐して、首には金の冠冕をいただき、手には利き鎌を持ちたまふ。 066 REV 014 015 又ほかの御使、聖所より出で、雲のうへに坐したまふ者にむかひ、大聲に呼はりて『なんぢの鎌を入れて刈れ、地の穀物は全く熟し、既に刈り取るべき時 至ればなり』と言ふ。 066 REV 014 016 かくて雲の上に坐したまふ者その鎌を地に入れたれば、地の穀物は刈り取られたり。 066 REV 014 017 又ほかの御使、天の聖所より出で、同じく利き鎌を持てり。 066 REV 014 018 又ほかの火を掌どる御使、祭壇より出で、利き鎌を持つ者にむかひ大聲に呼はりて『なんぢの利き鎌を入れて地の葡萄の樹の房を刈り收めよ、葡萄は既に熟したり』と言ふ。 066 REV 014 019 御使その鎌を地に入れて地の葡萄を刈りをさめ、神の憤恚の大なる酒槽に投げ入れたり。 066 REV 014 020 かくて都の外にて酒槽を踐みしに、血 酒槽より流れ出でて馬の轡に達くほどになり、一 千 六 百 町に廣がれり。 066 REV 015 001 我また天に他の大なる怪しむべき徴を見たり。即ち七人の御使ありて最後の七つの苦難を持てり、神の憤恚は之にて全うせらるるなり。 066 REV 015 002 我また火の混りたる玻璃の海を見しに、獸とその像とその名の數字とに勝ちたる者ども、神の立琴を持ちて玻璃の海の邊に立てり。 066 REV 015 003 彼ら神の僕モーセの歌と羔羊の歌とを歌ひて言ふ『主なる全能の神よ、なんぢの御業は大なるかな、妙なるかな、萬國の王よ、なんぢの道は義なるかな、眞なるかな。 066 REV 015 004 主よ、たれか汝を畏れざる、誰か御名を尊ばざる、汝のみ聖なり、諸種の國人きたりて御前に拜せん。なんぢの審判は既に現れたればなり』 066 REV 015 005 この後われ見しに、天にある證の幕屋の聖所ひらけて、 066 REV 015 006 かの七つの苦難を持てる七人の御使、きよき輝ける亞麻 布を著、金の帶を胸に束ねて聖所より出づ。 066 REV 015 007 四つの活物の一つ、その七人の御使に、世々 限りなく生きたまふ神の憤恚の滿ちたる七つの金の鉢を與へしかば、 066 REV 015 008 聖所は神の榮光とその權力とより出づる煙にて滿ち、七人の御使の七つの苦難の終るまでは、誰も聖所に入ること能はざりき。 066 REV 016 001 我また聖所より大なる聲ありて、七人の御使に『往きて神の憤恚の七つの鉢を地の上に傾けよ』と言ふを聞けり。 066 REV 016 002 かくて第一の者ゆきて其の鉢を地の上に傾けたれば、獸の徽章を有てる人々とその像を拜する人々との身に、惡しき苦しき腫物 生じたり。 066 REV 016 003 第二の者その鉢を海の上に傾けたれば、海は死人の血の如くなりて、海にある生物ことごとく死にたり。 066 REV 016 004 第三の者その鉢をもろもろの河と、もろもろの水の源泉との上に傾けたれば、みな血となれり。 066 REV 016 005 われ水を掌どる御使の『いま在し昔います聖なる者よ、なんぢの斯く定め給ひしは正しき事なり。 066 REV 016 006 彼らは聖徒と預言者との血を流したれば、之に血を飮ませ給ひしは相應しきなり』と云へるを聞けり。 066 REV 016 007 我また祭壇の物 言ふを聞けり『然り、主なる全能の神よ、なんぢの審判は眞なるかな、義なるかな』と。 066 REV 016 008 第四の者その鉢を太陽の上に傾けたれば、太陽は火をもて人を燒くことを許さる。 066 REV 016 009 かくて人々 烈しき熱に燒かれて、此 等の苦難を掌どる權威を有たちまふ神の名を涜し、かつ悔改めずして神に榮光を歸せざりき。 066 REV 016 010 第五の者その鉢を獸の座位の上に傾けたれば、獸の國 暗くなり、その國人 痛によりて己の舌を齧み、 066 REV 016 011 その痛と腫物とによりて天の神を涜し、かつ己が行爲を悔改めざりき。 066 REV 016 012 第六の者その鉢を大なる河ユウフラテの上に傾けたれば、河の水 涸れたり。これ日の出づる方より來る王たちの途を備へん爲なり。 066 REV 016 013 我また龍の口より、獸の口より、僞 預言者の口より、蛙のごとき三つの穢れし靈の出づるを見たり。 066 REV 016 014 これは徴をおこなふ惡鬼の靈にして、全能の神の大なる日の戰鬪のために全世界の王たちを集めんとて、その許に出でゆくなり。 066 REV 016 015 (視よ、われ盜人のごとく來らん、裸にて歩み羞所を見らるることなからん爲に、目を覺してその衣を守る者は幸福なり) 066 REV 016 016 かの三つの靈、王たちをヘブル語にてハルマゲドンと稱ふる處に集めたり。 066 REV 016 017 第七の者その鉢を空中に傾けたれば、聖所より御座より大なる聲いでて『事すでに成れり』と言ふ。 066 REV 016 018 かくて數多の電光と聲と雷霆とあり、また大なる地震おこれり、人の地の上に在りし以來かかる大なる地震なかりき。 066 REV 016 019 大なる都は三つに裂かれ、諸國の町々は倒れ、大なるバビロンは神の前におもひ出されて、劇しき御怒の葡萄酒を盛りたる酒杯を與へられたり。 066 REV 016 020 凡ての島は逃げさり、山は見えずなれり。 066 REV 016 021 また天より百 斤ほどの大なる雹、人々の上に降りしかば、人々 雹の苦難によりて神を涜せり。是その苦難 甚だしく大なればなり。 066 REV 017 001 七つの鉢を持てる七人の御使の一人きたり、我に語りて言ふ『來れ、われ多くの水の上に坐する大淫婦の審判を汝に示さん。 066 REV 017 002 地の王たちは之と淫をおこなひ、地に住む者らは其の淫行の葡萄酒に醉ひたり』 066 REV 017 003 かくてわれ御靈に感じ、御使に携へられて荒野にゆき、緋色の獸に乘れる女を見たり、この獸の體は神を涜す名にて覆はれ、また七つの頭と十の角とあり。 066 REV 017 004 女は紫色と緋とを著、金・寶石・眞珠にて身を飾り、手には憎むべきものと己が淫行の汚とにて滿ちたる金の酒杯を持ち、 066 REV 017 005 額には記されたる名あり。曰く『奧義 大なるバビロン、地の淫婦らと憎むべき者との母』 066 REV 017 006 我この女を見るに、聖徒の血とイエスの證人の血とに醉ひたり。我これを見て大に怪しみたれば、 066 REV 017 007 御使われに言ふ『なにゆゑ怪しむか、我この女と之を乘せたる七つの頭、十の角ある獸との奧義を汝に告げん。 066 REV 017 008 なんぢの見し獸は前に有りしも今あらず、後に底なき所より上りて滅亡に往かん、地に住む者にて世の創より其の名を生命の書に記されざる者は、獸の前にありて今あらず、後に來るを見て怪しまん。 066 REV 017 009 智慧の心は茲にあり。七つの頭は女の坐する七つの山なり、また七人の王なり。 066 REV 017 010 五 人は既に倒れて一人は今あり、他の一人は未だ來らず、來らば暫時のほど止るべきなり。 066 REV 017 011 前にありて今あらぬ獸は第八なり、前の七人より出でたる者にして滅亡に往くなり。 066 REV 017 012 汝の見し十の角は十 人の王にして未だ國を受けざれども、一時のあひだ獸と共に王のごとき權威を受くべし。 066 REV 017 013 彼らは心を一つにして己が能力と權威とを獸にあたふ。 066 REV 017 014 彼らは羔羊と戰はん。而して羔羊かれらに勝ち給ふべし、彼は主の主、王の王なればなり。これと偕なる召されたるもの、選ばれたるもの、忠實なる者も勝を得べし』 066 REV 017 015 御使また我に言ふ『なんぢの見し水、すなわち淫婦の坐する處は、もろもろの民・群衆・國・國語なり。 066 REV 017 016 なんぢの見し十の角と獸とは、かの淫婦を憎み、之をして荒涼ばしめ、裸ならしめ、且その肉を喰ひ、火をもて之を燒き盡さん。 066 REV 017 017 神は彼らに御旨を行ふことと、心を一つにすることと、神の御言の成就するまで國を獸に與ふることとを思はしめ給ひたればなり。 066 REV 017 018 なんぢの見し女は地の王たちを宰どる大なる都なり』 066 REV 018 001 この後また他の一人の御使の大なる權威を有ちて天より降るを見しに、地はその榮光によりて照されたり。 066 REV 018 002 かれ強き聲にて呼はりて言ふ『大なるバビロンは倒れたり、倒れたり、かつ惡魔の住家、もろもろの穢れたる靈の檻、もろもろの穢れたる憎むべき鳥の檻となれり。 066 REV 018 003 もろもろの國人はその淫行の憤恚の葡萄酒を飮み、地の王たちは彼と淫をおこなひ、地の商人らは彼の奢の勢力によりて富みたればなり』 066 REV 018 004 また天より他の聲あるを聞けり。曰く『わが民よ、かれの罪に干らず、彼の苦難を共に受けざらんため、その中を出でよ。 066 REV 018 005 かれの罪は積りて天にいたり、神その不義を憶え給ひたればなり。 066 REV 018 006 彼が爲しし如く彼に爲し、その行爲に應じ倍して之を報い、かれが酌み與へし酒杯に倍して之に酌み與へよ。 066 REV 018 007 かれが自ら尊びみづから奢りしと同じほどの苦難と悲歎とを之に與へよ。彼は心のうちに「われは女王の位に坐する者にして寡婦にあらず、決して悲歎を見ざるべし」と言ふ。 066 REV 018 008 この故に、さまざまの苦難、一日のうちに彼の身にきたらん、即ち死と悲歎と饑饉となり。彼また火にて燒き盡されん、彼を審きたまふ主なる神は強ければなり。 066 REV 018 009 彼と淫をおこなひ、彼とともに奢りたる地の王たちは、其の燒かるる煙を見て泣きかつ歎き、 066 REV 018 010 その苦難を懼れ、遙に立ちて「禍害なるかな、禍害なるかな、大なる都、堅固なる都バビロンよ、汝の審判は時の間に來れり」と言はん。 066 REV 018 011 地の商人かれが爲に泣き悲しまん。今より後その商品を買ふ者なければなり。 066 REV 018 012 その商品は金・銀・寶石・眞珠・細布・紫色・絹・緋色および各樣の香木、また象牙のさまざまの器、價 貴き木、眞鍮・鐵・蝋石などの各樣の器、 066 REV 018 013 また肉桂・香料・香・香 油・乳香・葡萄酒・オリブ油・麥粉・麥・牛・羊・馬・車・奴隷および人の靈魂なり。 066 REV 018 014 なんぢの靈魂の嗜みたる果物は汝を去り、すべての美味、華美なる物は亡びて汝を離れん、今より後これを見ること無かるべし。 066 REV 018 015 これらの物を商ひ、バビロンに由りて富を得たる商人らは、其の苦難を懼れて遙に立ち、泣き悲しみて言はん、 066 REV 018 016 「禍害なるかな、禍害なるかな、細布と紫色と緋とを著、金・寶石・眞珠をもて身を飾りたる大なる都、 066 REV 018 017 斯ばかり大なる富の時の間に荒涼ばんとは」而して凡ての船 長、すべて海をわたる人々、舟子および海によりて生活を爲すもの遙かに立ち、 066 REV 018 018 バビロンの燒かるる煙を見て叫び「いづれの都か、この大なる都に比ぶべき」と言はん。 066 REV 018 019 彼 等また塵をおのが首に被りて泣き悲しみ叫びて「禍害なるかな、禍害なるかな、此の大なる都、その奢によりて海に船を有てる人々の富を得たる都、かく時の間に荒涼ばんとは」と言はん。 066 REV 018 020 天よ、聖徒・使徒・預言者よ、この都につきて喜べ、神なんぢらの爲に之を審き給ひたればなり』 066 REV 018 021 ここに一人の強き御使、大なる碾臼のごとき石を擡げ海に投げて言ふ『おほいなる都バビロンは斯くのごとく烈しく撃ち倒されて、今より後 見えざるべし。 066 REV 018 022 今よりのち立琴を彈くもの、樂を奏するもの、笛を吹く者、ラッパを鳴す者の聲なんぢの中に聞えず、今より後さまざまの細工をなす細工人なんぢの中に見えず、碾臼の音なんぢの中に聞えず、 066 REV 018 023 今よりのち燈火の光なんぢの中に輝かず、今よりのち新郎・新婦の聲なんぢの中に聞えざるべし。そは汝の商人は地の大臣となり、諸種の國人はなんぢの咒術に惑され、 066 REV 018 024 また預言者・聖徒および凡て地の上に殺されし者の血は、この都の中に見出されたればなり』 066 REV 019 001 この後われ天に大なる群衆の大聲のごとき者ありて、かく言ふを聞けり。曰く『ハレルヤ、救と榮光と權力とは、我らの神のものなり。 066 REV 019 002 その御審は眞にして義なるなり、己が淫行をもて地を汚したる大淫婦を審き、神の僕らの血の復讐を彼になし給ひしなり』 066 REV 019 003 また再び言ふ『ハレルヤ、彼の燒かるる煙は世々 限りなく立ち昇るなり』 066 REV 019 004 ここに二十四人の長老と四つの活物と平伏して御座に坐したまふ神を拜し『アァメン、ハレルヤ』と言へり。 066 REV 019 005 また御座より聲 出でて言ふ『すべて神の僕たるもの、神を畏るる者よ、小なるも大なるも、我らの神を讃め奉れ』 066 REV 019 006 われ大なる群衆の聲おほくの水の音のごとく、烈しき雷霆の聲の如きものを聞けり。曰く『ハレルヤ全能の主、われらの神は統治らすなり。 066 REV 019 007 われら喜び樂しみて之に榮光を歸し奉らん。そは羔羊の婚姻の時いたり、既にその新婦みづから準備したればなり。 066 REV 019 008 彼は輝ける潔き細布を著ることを許されたり、此の細布は聖徒たちの正しき行爲なり』 066 REV 019 009 御使また我に言ふ『なんぢ書き記せ、羔羊の婚姻の宴席に招かれたる者は幸福なり』と。また我に言ふ『これ神の眞の言なり』 066 REV 019 010 我その足下に平伏して拜せんとしたれば、彼われに言ふ『愼みて然すな、我は汝およびイエスの證を保つ汝の兄弟とともに僕たるなり。なんぢ神を拜せよ、イエスの證は即ち預言の靈なり』 066 REV 019 011 我また天の開けたるを見しに、視よ、白き馬あり、之に乘りたまふ者は「忠實また眞」と稱へられ、義をもて審きかつ戰ひたまふ。 066 REV 019 012 彼の目は焔のごとく、その頭には多くの冠冕あり、また記せる名あり、之を知る者は彼の他になし。 066 REV 019 013 彼は血に染みたる衣を纏へり、その名は「神の言」と稱ふ。 066 REV 019 014 天に在る軍勢は白く潔き細布を著、白き馬に乘りて彼にしたがふ。 066 REV 019 015 彼の口より利き劍いづ、之をもて諸國の民をうち、鐵の杖をもて之を治め給はん。また自ら全能の神の烈しき怒の酒槽を踐みたまふ。 066 REV 019 016 その衣と股とに『王の王、主の主』と記せる名あり。 066 REV 019 017 我また一人の御使の太陽のなかに立てるを見たり。大聲に呼はりて、中空を飛ぶ凡ての鳥に言ふ『いざ、神の大なる宴席に集ひきたりて、 066 REV 019 018 王たちの肉、將校の肉、強き者の肉、馬と之に乘る者との肉、すべての自主および奴隷、小なるもの大なる者の肉を食へ』 066 REV 019 019 我また獸と地の王たちと彼らの軍勢とが相 集りて、馬に乘りたまふ者および其の軍勢に對ひて戰鬪を挑むを見たり。 066 REV 019 020 かくて獸は捕へられ、又その前に不思議を行ひて獸の徽章を受けたる者と、その像を拜する者とを惑したる僞 預言者も、之とともに捕へられ、二つながら生きたるまま硫黄の燃ゆる火の池に投げ入れられたり。 066 REV 019 021 その他の者は馬に乘りたまふ者の口より出づる劍にて殺され、凡ての鳥その肉を食ひて飽きたり。 066 REV 020 001 我また一人の御使の底なき所の鍵と大なる鎖とを手に持ちて、天より降るを見たり。 066 REV 020 002 彼は龍、すなわち惡魔たりサタンたる古き蛇を捕へて、之を千年のあひだ繋ぎおき、 066 REV 020 003 底なき所に投げ入れ閉ぢ込めて、その上に封印し、千年の終るまでは諸國の民を惑すことなからしむ。その後、暫時のあひだ解放さるべし。 066 REV 020 004 我また多くの座位を見しに、之に座する者あり、審判する權威を與へられたり。我またイエスの證および神の御言のために馘られし者の靈魂、また獸をもその像をも拜せず、己が額あるいは手にその徽章を受けざりし者どもを見たり。彼らは生きかへりて千年の間キリストと共に王となれり。 066 REV 020 005 (その他の死人は千年の終るまで生きかへらざりき)これは第一の復活なり。 066 REV 020 006 幸福なるかな、聖なるかな、第一の復活に干る人。この人々に對して第二の死は權威を有たず、彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年のあひだ王たるべし。 066 REV 020 007 千年 終りて後サタンは其の檻より解放たれ、 066 REV 020 008 出でて地の四方の國の民、ゴグとマゴグとを惑し戰鬪のために之を集めん、その數は海の砂のごとし。 066 REV 020 009 かくて彼らは地の全面に上りて、聖徒たちの陣營と愛せられたる都とを圍みしが、天より火くだりて彼 等を燒き盡し、 066 REV 020 010 彼らを惑したる惡魔は、火と硫黄との池に投げ入れられたり。ここは獸も僞 預言者もまた居る所にして、彼らは世々 限りなく晝も夜も苦しめらるべし。 066 REV 020 011 我また大なる白き御座および之に座し給ふものを見たり。天も地もその御顏の前を遁れて跡だに見えずなりき。 066 REV 020 012 我また死にたる者の大なるも小なるも御座の前に立てるを見たり。而して數々の書 展かれ、他にまた一つの書ありて展かる、即ち生命の書なり、死人は此 等の書に記されたる所の、その行爲に隨ひて審かれたり。 066 REV 020 013 海はその中にある死人を出し、死も陰府もその中にある死人を出したれば、各自その行爲に隨ひて審かれたり。 066 REV 020 014 かくて死も陰府も火の池に投げ入れられたり、此の火の池は第二の死なり。 066 REV 020 015 すべて生命の書に記されぬ者はみな火の池に投げ入れられたり。 066 REV 021 001 我また新しき天と新しき地とを見たり。これ前の天と前の地とは過ぎ去り、海も亦なきなり。 066 REV 021 002 我また聖なる都、新しきエルサレムの、夫のために飾りたる新婦のごとく準備して、神の許をいで、天より降るを見たり。 066 REV 021 003 また大なる聲の御座より出づるを聞けり。曰く『視よ、神の幕屋、人と偕にあり、神、人と偕に住み、人、神の民となり、神みづから人と偕に在して、 066 REV 021 004 かれらの目の涙をことごとく拭ひ去り給はん。今よりのち死もなく、悲歎も號叫も苦痛もなかるべし。前のもの既に過ぎ去りたればなり』 066 REV 021 005 かくて御座に坐し給ふもの言ひたまふ『視よ、われ一切のものを新にするなり』また言ひたまふ『書き記せ、これらの言は信ずべきなり、眞なり』 066 REV 021 006 また我に言ひたまふ『事すでに成れり、我はアルパなり、オメガなり、始なり、終なり、渇く者には價なくして生命の水の泉より飮むことを許さん。 066 REV 021 007 勝を得る者は此 等のものを嗣がん、我はその神となり、彼は我が子とならん。 066 REV 021 008 されど臆するもの、信ぜぬもの、憎むべきもの、人を殺すもの、淫行のもの、咒術をなすもの、偶像を拜する者および凡て僞る者は、火と硫黄との燃ゆる池にて其の報を受くべし、これ第二の死なり』 066 REV 021 009 最後の七つの苦難の滿ちたる七つの鉢を持てる七人の御使の一人きたり、我に語りて言ふ『來れ、われ羔羊の妻なる新婦を汝に見せん』 066 REV 021 010 御使、御靈に感じたる我を携へて大なる高き山にゆき、聖なる都エルサレムの、神の榮光をもて神の許を出でて天より降るを見せたり。 066 REV 021 011 その都の光輝はいと貴き玉のごとく、透徹る碧玉のごとし。 066 REV 021 012 此處に大なる高き石垣ありて十二の門あり、門の側らに一人づつ十二の御使あり、門の上に一つづつイスラエルの子孫の十二の族の名を記せり。 066 REV 021 013 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門あり。 066 REV 021 014 都の石垣には十二の基あり、これに羔羊の十二の使徒の十二の名を記せり。 066 REV 021 015 我と語る者は都と門と石垣とを測らん爲に金の間竿を持てり。 066 REV 021 016 都は方形にして、その長さ廣さ相 均し。彼は間竿にて都を測りしに一千 二百 町あり、長さ廣さ高さみな相 均し。 066 REV 021 017 また石垣を測りしに、人の度すなはち御使の度に據れば百 四十 四 尺あり。 066 REV 021 018 石垣は碧玉にて築き、都は清らかなる玻璃のごとき純金にて造れり。 066 REV 021 019 都の石垣の基はさまざまの寶石にて飾れり。第一の基は碧玉、第二は瑠璃、第三は玉髓、第四は緑玉、 066 REV 021 020 第五は紅縞 瑪瑙、第六は赤瑪瑙、第七は貴橄欖石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十は緑玉髓、第十 一は青玉、第十二は紫 水晶なり。 066 REV 021 021 十二の門は十二の眞珠なり、おのおのの門は一つの眞珠より成り、都の大路は透徹る玻璃のごとき純金なり。 066 REV 021 022 われ都の内にて宮を見ざりき、主なる全能の神および羔羊はその宮なり。 066 REV 021 023 都は日月の照すを要せず、神の榮光これを照し、羔羊はその燈火なり。 066 REV 021 024 諸國の民は都の光のなかを歩み、地の王たちは己が光榮を此處にたづさへきたる。 066 REV 021 025 都の門は終日 閉ぢず(此處に夜あることなし) 066 REV 021 026 人々は諸國の民の光榮と尊貴とを此處にたづさえ來らん。 066 REV 021 027 凡て穢れたる者また憎むべき事と虚僞とを行ふ者は、此處に入らず、羔羊の生命の書に記されたる者のみ此處に入るなり。 066 REV 022 001 御使また水晶のごとく透徹れる生命の水の河を我に見せたり。この河は神と羔羊との御座より出でて都の大路の眞中を流る。 066 REV 022 002 河の左右に生命の樹ありて十二 種の實を結び、その實は月 毎に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり。 066 REV 022 003 今よりのち詛はるべき者は一つもなかるべし。神と羔羊との御座は都の中にあり。その僕らは之に事へ、 066 REV 022 004 且その御顏を見ん、その御名は彼らの額にあるべし。 066 REV 022 005 今よりのち夜ある事なし、燈火の光をも日の光をも要せず、主なる神かれらを照し給へばなり。彼らは世々 限りなく王たるべし。 066 REV 022 006 彼また我に言ふ『これらの言は信ずべきなり、眞なり、預言者たちの靈魂の神たる主は、速かに起るべき事をその僕どもに示さんとて、御使を遣し給へるなり。 066 REV 022 007 視よ、われ速かに到らん、この書の預言の言を守る者は幸福なり』 066 REV 022 008 これらの事を聞き、かつ見し者は我ヨハネなり。かくて見 聞せしとき我これらの事を示したる御使の足下に平伏して拜せんとせしに、 066 REV 022 009 かれ言ふ『つつしみて然すな、われは汝および汝の兄弟たる預言者、また此の書の言を守る者と等しく僕たるなり、なんじ神を拜せよ』 066 REV 022 010 また我に言ふ『この書の預言の言を封ずな、時 近ければなり。 066 REV 022 011 不義をなす者はいよいよ不義をなし不淨なる者はいよいよ不淨をなし、義なる者はいよいよ義をおこなひ、清き者はいよいよ清くすべし。 066 REV 022 012 視よ、われ報をもて速かに到らん、各人の行爲に隨ひて之を與ふべし。 066 REV 022 013 我はアルパなり、オメガなり、最先なり、最後なり、始なり、終なり、 066 REV 022 014 おのが衣を洗ふ者は幸福なり、彼らは生命の樹にゆく權威を與へられ、門を通りて都に入ることを得るなり。 066 REV 022 015 犬および咒術をなすもの、淫行のもの、人を殺すもの、偶像を拜する者、また凡て虚僞を愛して之を行ふ者は外にあり。 066 REV 022 016 われイエスは我が使を遣して諸 教會のために此 等のことを汝らに證せり。我はダビデの萠蘗また其の裔なり、輝ける曙の明星なり』 066 REV 022 017 御靈も新婦もいふ『來りたまへ』聞く者も言へ『きたり給へ』と、渇く者はきたれ、望む者は價なくして生命の水を受けよ。 066 REV 022 018 われ凡てこの書の預言の言を聞く者に證す。もし之に加ふる者あらば、神はこの書に記されたる苦難を彼に加へ給はん。 066 REV 022 019 若しこの預言の書の言を省く者あらば、神はこの書に記されたる生命の樹、また聖なる都より彼の受くべき分を省き給はん。 066 REV 022 020 これらの事を證する者いひ給ふ『然り、われ速かに到らん』アァメン、主イエスよ、來りたまへ。 066 REV 022 021 願はくは主イエスの恩惠なんぢら凡ての者と偕に在らんことを。